JP2003098194A - 非接触型電圧プローブ装置 - Google Patents

非接触型電圧プローブ装置

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JP2003098194A
JP2003098194A JP2002207519A JP2002207519A JP2003098194A JP 2003098194 A JP2003098194 A JP 2003098194A JP 2002207519 A JP2002207519 A JP 2002207519A JP 2002207519 A JP2002207519 A JP 2002207519A JP 2003098194 A JP2003098194 A JP 2003098194A
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energy
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Ryuichi Kobayashi
隆一 小林
Mitsuo Hattori
光男 服部
Takeshi Ideguchi
健 井手口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プローブ周囲の状況による浮遊容量の影響を
最小にし、安定で再現性のよい非接触型電圧プローブ装
置を提供すること。 【解決手段】 同軸円筒形外部電極201Bを高入力イ
ンピーダンス電圧プローブ203のアース側に接続し、
同軸円筒形外部電極201Bを接地する接続導体線もし
くは接続端子210を有すことにより、円筒形内部電極
201Aと周囲の金属物230との間の静電容量の変化
によるプローブの感度の変化や、周囲のケーブル221
の電圧の影響を抑える。円筒形内部電極201Aと同軸
円筒形外部電極201Bとの間に低誘電率プラスチック
もしくは発泡材質を介在させることにより、電極201
Aと201Bとの間の静電容量を低減させ、プローブの
感度を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非接触型電圧プロ
ーブ装置に関し、より詳細には、電磁妨害波源を探査す
る電磁妨害波侵入経路の特定およびそのための電磁妨害
波探索装置に用いられる非接触型電圧プローブ装置に関
する。
【0002】本発明の提示する電磁妨害波侵入経路の特
定方法は、通信機器や情報処理装置等の電子装置に対す
るEMC(Electromagnetic Compatibility)問題を解
決するために用いられる。本発明の電磁妨害波侵入経路
の特定方法を用いることにより、装置に侵入する妨害波
の侵入経路を特定することが可能となり、妨害波に対す
る有効な対策や、妨害波源の特定が可能となり、EMC
問題の解決に役立つ。特に従来経験や知識に依存してい
た電磁妨害波の侵入経路特定が、物理量により客観的に
行えるため、経験のないものでも容易に実行できるよう
になる。
【0003】
【従来の技術】情報通信装置は、半導体技術の進歩とと
もに高密度、高集積、大容量、低電圧駆動化が進んでい
る。また、複数の装置間を結ぶ接続ケーブルの増加や装
置接続形態の複雑化も進んできている。そのため、装置
に接続されるケーブルと大地間に、誘導等により発生し
たコモンモードの電磁妨害波が、ケーブルを伝わり装置
に侵入し故障を発生させるという現象が生じている。特
に大容量化により、1回の故障の与える社会的影響は大
きくなり、また低電圧駆動化により、故障も発生しやす
くなっている。このケーブルなどを伝わり伝搬する電磁
妨害波を伝導性妨害波と呼び、この伝導性妨害波による
装置の故障をなくすことが重要な課題となっている。
【0004】ここで、“IEEE Standard Dictionary of
Electrical and Electronics Terms”によれば、コモン
モードの妨害波とは、信号線と共通基準プレーン(大
地)との間に現われ、伝搬路の両側の電位を同時にかつ
共通基準プレーン(大地)に対して同じ大きさだけ変化
させる妨害波であると定義されている。不要電波問題対
策協議会監修の「電磁環境関連技術用語集」によれば、
コモンモード電圧とは、各相と規定の基準電位との間に
現われる電圧(位相を含む)の平均値をいう。ここの基
準電位とは、通常は大地電位、または筐体の電位であ
る。ディファレンシャルモード電圧とは、規定する一組
の導体の中の2線間に現われる電圧をいう。
【0005】このような伝導性の妨害波の対策のために
は、装置に侵入する妨害波の電圧・電流を測定し、その
侵入経路やレベルを正確に把握する必要がある。また、
装置故障の原因である電磁妨害波の波源を特定すること
により、有効な対策や原因の除去が可能となる。
【0006】妨害波による誤動作の状況を把握するため
には、サービス運用状態での妨害波の電圧・電流測定が
必要である。そこで、ケーブルを伝わる伝導性の妨害
波、特に、大地との間に発生するコモンモード電圧を効
率よく、しかも運用状態で通信信号に対して影響を与え
ず、簡便で精度よく測定できる電圧プローブの開発が必
要とされ、その一方法として、ケーブルとの静電結合を
利用した非接触型の電圧プローブが検討されている。し
かしながら、静電結合を利用するため、内部のケーブル
の位置や、周囲の金属体との間に生じる静電容量により
感度が不安定となる可能性があった。特に、周囲の金属
物との間に生じる浮遊容量は、周囲の状況によって変化
する。そのため、感度が大きく変化したり、周囲の金属
物のもつ電位の影響を受けやすい状態であった。
【0007】従来の非接触型電圧プローブ装置を図17
(A)に示す。図中符号201Aは円筒形電極、202
はケーブルの固定用治具、203は高入力インピーダン
ス電圧プローブ、204はレベルメータである。図17
(A)に示すように、円筒形電極201Aは、周囲の建
物鉄筋や金属物230およびケーブル221などの間に
静電結合を生じている。このときの周囲の影響がないと
きの等価回路は、図17(B)のように表わされる。こ
のときプローブ203からの出力電圧V は以下の式
で与えられる。
【0008】
【数1】
【0009】ただし、Vはケーブル20と大地間に発生
した電圧、Cはケーブル220と円筒形電極201Aと
の間のキャパシタンス、R は高入力インピーダンス
電圧プローブ203の入力抵抗、C は高入力インピ
ーダンス電圧プローブ203の入力キャパシタンスであ
る。
【0010】ここで、周囲に建物鉄筋や、接地された金
属キャビネット205等があり、それと円筒形電極20
1Aとの静電容量をC とする。また他のケーブル2
21等に電圧V が発生しており、それと円筒形電極
201Aが静電容量C を通して結合しているとする
と、等価回路は図17(C)のように表わされる。この
等価回路からわかるように、静電容量C ,C によ
って感度が変化するとともに、電圧V の影響が電圧
′に含まれることとなり、電圧Vの測定において
大きな誤差要因となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述の点から、現在の
非接触型電圧プローブ装置の問題点として以下の点が挙
げられ、安定した再現性のある電圧測定が困難であっ
た。
【0012】(1)プローブ203の周囲の状況によ
り、浮遊容量の値C,Cが変化し、プローブ203
の感度が変化する。
【0013】(2)周囲金属物230に発生している電
圧の影響を受けやすい。
【0014】従来、ケーブルを伝搬し装置に侵入する伝
導性妨害波の測定には、電流プローブを用いた電流測定
による方法が一般的であった。しかし、妨害波がどこか
ら装置に侵入しているかということは、技術者の経験に
依存するところが大きく、正しく侵入経路を特定するこ
とは困難であった。たとえば、電流の大きさの比較によ
り侵入経路を特定しようとしても、共振が発生している
場合には、必ずしも侵入したところの電流の値が大きく
なるわけではないといったことから、大きさによる判定
は不可能である。また、直流電流以外では、電流の流れ
る方向を特定することは困難であり、電磁妨害波の進行
方向を測定することもできなかった。そのため、侵入経
路の判定は測定者の経験に依存しており、判断を誤る場
合も多かった。また、その場合にも侵入経路の特定が不
確実(不正確)だったため、原因である妨害波の発生源
を突きとめることも困難であった。
【0015】一方、妨害波の経路を特定するため、接続
されているケーブルを切り分けて判断する方法もある
が、装置の停止やケーブルの切断等を必要とするため、
実際の状況における妨害波の影響を正確に測定すること
はできなかった。
【0016】さらに複数の妨害波が侵入したときに、各
妨害波を切り分けて妨害波源を探査することもできなっ
た。
【0017】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、プローブ周囲の状
況による浮遊容量の影響を最小にし、安定で再現性のよ
い非接触型電圧プローブ装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、円筒形
状の内部電極と、該内部電極の外側に該内部電極を取り
巻いて同軸に配置された同軸円筒形状の外部電極と、前
記内部電極の内側に配置され、非測定対象のケーブルを
貫入させて保持するケーブル固定部材と、前記内部電極
に接続された高入力インピーダンスの電圧検出手段と、
前記外部電極を前記電圧検出手段のアース側に接続する
手段とを具え、前記電圧検出手段は高周波領域での寄生
インダクタンスまたはキャパシタンスを低減するように
前記外部電極に取り付けられ、前記内部電極と前記外部
電極との間に低誘電率材料を配置したことを特徴とす
る。
【0019】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、前記内部電極と前記外部電極と
の間に低誘電率プラスチックまたは発泡材料を配置した
ことを特徴とする。
【0020】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
又は2に記載の発明において、前記内部電極および前記
外部電極と前記ケーブル固定部材を一体構造の2つ割り
半円筒形状の2つの半部で構成し、該2つの半部を、前
記ケーブル固定部材の内側に前記ケーブルを挟むことが
できるようにして、電気的および機械的に結合可能とし
たことを特徴とする。
【0021】また、請求項4に記載の発明は、請求項3
に記載の発明において、前記2つの半部における前記内
部電極を構成する部分同士および前記外部電極を構成す
る部分同士を、繰り返し屈曲に耐える導線で接続したこ
とを特徴とする。
【0022】また、請求項5に記載の発明は、請求項3
又は4に記載の発明において、前記2つの半部を蝶番ま
たは電気接点により電気的および機械的に結合したこと
を特徴とする。
【0023】また、請求項6に記載の発明は、請求項1
乃至5いずれかに記載の発明において、前記電圧検出手
段は能動素子を有する高入力インピーダンスの電圧プロ
ーブであることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例を詳細に説明する。 [実施例1]図1は、電子装置に電磁妨害波が侵入した
場合における本発明の一実施例を示す図である。図中符
号1,2は電子装置、3,4,5,6,7は電子装置
1,2に接続されるケーブル類である。8は電磁妨害波
の誘導源であり、9aは誘導された電磁妨害波を表して
いる。また9b,9c,9dは装置2を通過して出てい
く妨害波である。10は電流プローブを表し、内部の矢
印の方向に電流が流れるときに正の電圧が妨害波電圧・
電流測定のための測定器23側に出力される。
【0025】符号11は電圧プローブを表している。本
実施例ではどちらのプローブ10,11も非接触型のも
のを用いている。特に電圧プローブ11には、図18に
つき後述するように、円筒形電極を有し、静電結合によ
り電圧を検出する非接触型電圧プローブを用い、装置の
動作状態で測定が可能となるようにした。図のように、
誘導源8からケーブル類6に誘導された妨害波9aはケ
ーブル類6とアース間のコモンモードを伝搬し電子装置
1,2に向かっていく。
【0026】この妨害波9aが電子装置1,2に侵入す
ることにより、電子装置1,2内の電子回路に影響を与
え、電子装置1,2が誤動作する。侵入した妨害波は、
電子1,2に接続されている他のケーブル類5,4,7
から妨害波9b,9c,9dのように出ていく。これを
従来の電流プローブによる測定から電流の大きさのみで
侵入経路の判定を行うと、例えば、図中ケーブル類4で
共振が起こっている場合、電流の大きさは、ケーブル類
6よりもケーブル類4の方が大きくなり、誤った侵入経
路を特定してしまう。
【0027】しかしながら、本発明では妨害波9a〜9
dの電圧・電流を測定器23により測定し、そのエネル
ギーを求めることにより、エネルギーの流れる方向がわ
かり妨害波の進行方向を知ることが可能となる。また共
振時においてもエネルギー保存側からエネルギーが大き
くなることはないため、その影響を排除することが可能
となる。測定器23は、例えば、後述する図11に示す
妨害波探索装置101と同様に構成できる。
【0028】図2は、図1で示した実施例の場合のさら
なる具体例を示す図である。この具体例では、時間領域
での妨害波電圧および電流を測定し、測定した電圧およ
び電流をフーリエ変換してから妨害波のエネルギー、す
なわち電力の計算を行った。
【0029】図2において、符号12は小型の通信装置
の主装置、13は妨害波をコモンケーブルに印加するた
めの印加装置、14,15は通信端末、16,17,1
8は通信ケーブルであり、19は電源ケーブルである。
また20は装置をアースから浮かせるために用いたアク
リル板であり、21はアースをとるための銅版である。
22は妨害波発生器であり、23は妨害波電圧・電流お
よび妨害波エネルギー測定のための測定器であり、例え
ば、妨害波の波形を記録できるディジタルオシロスコー
プと制御演算用装置(コンピュータ)とを組合せたもの
である。
【0030】図8は、上述した実施例における妨害波侵
入経路の特定方法の全体の流れのステップS1〜S10
を示す図である。
【0031】図2のように、妨害波発生器22から発生
した妨害波を印加装置13から通信ケーブル17を通し
主装置12の方向へ銅版21との間(コモンモード)に
印加する。すなわち、この実施例においては、妨害波の
侵入ケーブルが通信ケーブル17である場合を模擬して
いる。主装置12に電流が流入する方向を正となるよう
に、電流プローブ10、電圧プローブ11を各ケーブル
17,18,19に設置する(S1)。
【0032】各ケーブル17,18,19に設置した電
流プローブ10、電圧プローブ11により、通信ケーブ
ル17,18、および電源ケーブル19のコモンモード
電圧および電流波形を検出し、これら電圧および電流を
測定器23のディジタルオシロスコープに供給して図8
のステップS2〜S5の処理に従ってエネルギーを計算
した。電流の方向の設定より、エネルギーの流れる方向
は、主装置12に流れ込む方向が正の値となり、主装置
12から出る方向が負の値となる。
【0033】周波数領域での電流・電圧の測定結果、す
なわち妨害波の周波数を10,50,100,500,
1000kHzの正弦波としたときの測定結果を図3に
示し、これらからエネルギーを計算した結果を図4に示
す。図3の測定結果から、電流、電圧の値とも、侵入経
路である通信ケーブル17の値が最大となっているとは
限らず、この結果から侵入経路を特定することは困難で
ある。
【0034】次に、妨害波のエネルギーの流れに注目
し、その値を計算する。まず、単一周波数の正弦波信号
の場合、そのエネルギー(電力)の有効分は以下の式で
計算される。
【0035】
【数2】
【0036】ここでV,Iは妨害波の電圧,電流であ
り、V ,I はその複素共役である。
【0037】妨害波は通常単一周波数正弦波ではなく、
様々な周波数成分を含んでいる。そこで、ステップS2
において時間領域で測定された妨害波電圧および電流波
形をフーリエ変換(FFT)により周波数領域のデータ
に変換する(S3)。フーリエ変換の結果は、測定され
た妨害波の電圧・電流に対する各周波数の寄与分とその
位相を表す。異なる周波数の電圧と電流の間では、エネ
ルギーの計算値はゼロとなることから、妨害波の持つエ
ネルギーは妨害波を構成する各周波数毎で計算されたエ
ネルギーの和で表される。従って、任意波形のエネルギ
ーは以下の式で計算することができる。
【0038】
【数3】
【0039】ここでV(ω ),I(ω )はそれぞ
れ、測定した電圧v(t)・電流i(t)の波形から計
算された複素フーリエ変換成分であり、 はその複素
共役を表している。各ケーブルの測定データから(3)
式を用いて各ケーブルを伝搬する妨害波のエネルギーを
計算し、その大きさ、伝搬方向を求めることにより、妨
害波のエネルギーの流れを把握することができるように
なる。
【0040】計算手順を以下に示す。
【0041】1)測定された妨害の電圧および電流の波
形をフーリエ変換(FFT)により、時間領域から周波
数領域に変換する(S3)。
【0042】2)プローブの特性を補正し(S4)、
(3)式を用いて、測定した各ケーブルのエネルギーの
有効分を計算する(S5)。
【0043】3)電流方向の設定により、エネルギーは
正、または負の値をとる。すなわち、ステップS6にお
いて、計算されたエネルギーの符号が正(+)ならばエ
ネルギーの伝搬方向は電流プローブの設定方向と同じに
なり、ステップS7へ進み、計算されたエネルギーの符
号が負(−)ならばエネルギーの伝搬方向は電流プロー
ブの設定方向と逆になり、ステップS8へ進む。次のス
テップS9において、その符号と計算されたエネルギー
の大小比較を行う。次のステップS10において、その
大小比較の結果に基づいて、妨害波の侵入経路を特定す
る。すなわち、エネルギーの大きさが最大で、エネルギ
ーの伝搬方向が装置に入る向きの経路を侵入経路と判定
する。
【0044】測定した波形データの計算の結果から、計
算されたエネルギーの符号が正の値となっているのは、
通信ケーブル17の場合のみである。電流方向の設定か
ら、妨害波の侵入経路は通信ケーブル17からであるこ
とが言え、これは実際の測定系での印加方向と一致す
る。従って、本発明の方法により、妨害波の侵入経路を
特定できることが示された。 [実施例2]本発明のうち、特に連続波(Continuous W
ave)に対して有効であると考えられる実施例を図5に
示す。図中、図1と同一部分は同一符号を付してその説
明を省略する。本実施例では、周波数領域での妨害波電
圧および電流の絶対値と位相差を測定し、その測定結果
から妨害波のエネルギーを計算する。そのために、この
実施例では、図1に示した測定器23の代りにベクトル
ボルトメータやネットワークアナライザといった位相差
を測定できる装置を用いる。この実施例において24,
25,26,27はベクトルボルトメータである。測定
した電磁妨害波の電圧・電流の絶対値、位相差から、妨
害波のエネルギーの有効分は(3)式を用いることによ
り計算でき、その結果から、妨害波の侵入経路を特定す
ることが可能となる。
【0045】本実施例における妨害波侵入経路の特定方
法の流れは、図8の流れ図からステップS3を除いたも
のである。 [実施例3]本実施例は、特にインパルス性妨害波(Im
pulsive Inteference Wave)に対して有効である実施例
を示す。エネルギーを直接求める方法としては、図6に
示すように、妨害波の発生している時間において、電流
・電圧波形を測定し、積分した値を求める方法がある。
積分値は、アナログ回路を用いて積分計算する方法と、
サンプリングして、その値から、次式
【0046】
【数4】
【0047】で計算する方法がある。図7に実施例3を
示す。図中、図1と同一部分は同一符号を付してその説
明を省略する。図9に本実施例における妨害波侵入経路
の特定方法の全体の流れS1〜S5を示す。この実施例
では、電圧、電流測定部とエネルギー積分回路を組み合
わせたプローブ28を取り付け(S1)、このプローブ
28によりエネルギー(電力)を取り出し、29,3
0,31,32の電力測定器で各ケーブルの妨害波のエ
ネルギー(電力)を直接測定する(S2)。測定(また
は計算)されたエネルギーの符号からエネルギーの伝搬
方向を決定し(S3)、測定(または計算)されたエネ
ルギーの大小を比較する(S4)ことにより、妨害波の
侵入経路を特定(S5)することが可能となる。すなわ
ち、エネルギーの大きさ最大で、エネルギーの伝搬方向
が装置に入る向きの経路を侵入経路と判定する。
【0048】なお、インパルス性妨害波のような単発妨
害波の場合にも、時間領域で積分する代わりに、電力を
周波数領域で算出し、その周波数スペクトラムから伝搬
方向を特定することも勿論可能である。 [実施例4]次に、装置に接続されたケーブルを伝搬す
る複数の妨害波のエネルギーの流れを捉え、その各周波
数成分におけるエネルギーの正負の大きさを表示するこ
とより、複数の妨害波を分離し、各周波数成分に対応し
た妨害波の侵入方向を探査可能とした実施例を図10,
図11および図12に示す。
【0049】図10は、実施例4の装置の使用形態例を
示す。図中符号101は電磁妨害波探索装置、102は
電圧測定のためのプローブ装置であり、例えば、図18
に示すような非接触型の電圧プローブ装置である。10
3は電流測定のためのプローブ装置であり、たとえば電
磁結合型の非接触型電流プローブである。このような非
接触型のプローブを用いることにより、装置を定常状態
に保ったまま妨害波の電圧、電流の測定ができる。10
4は妨害波の発生しているケーブルを表している。
【0050】図11は、図10に示した妨害波探索装置
の構成を示すブロック図である。図中の矢印は測定され
た信号のデータの流れを表している。妨害波信号の時間
領域での電圧および電流波形をプローブ装置102およ
び103によりそれぞれ測定する。これら時間領域での
妨害波の電圧波形および電流波形を測定部111に供給
してAD変換された測定データを得る。測定部111で
得られた電圧波形・電流波形を示すデジタルデータを記
録装置112に記録し、記録装置112に記録したデー
タから演算部113により、妨害波の周波数成分毎のエ
ネルギーを計算する。計算されたエネルギーおよび測定
された電圧波形および電流波形は、表示部114により
表示される。この場合、周波数成分毎のエネルギーの正
負と大きさを、周波数を示す座標を有した画面に表示す
る。
【0051】符号115は、装置101の各部111〜
114を制御するCPUである。図11において、電圧
プローブ装置102および電流プローブ装置103は、
例えば、図1に示した電圧プローブ10および電流プロ
ーブ11のように、複数のケーブルに配置されている複
数の電圧プローブおよび電流プローブをそれぞれcollec
tivelyに示すものとする。なお、図1に示した測定器2
3も図11に示すような構成とすることができる。
【0052】妨害波の伝搬方向は、CPU115の制御
の下で、以下の手順により決定される。 (a)プローブ102および103により妨害波信号の
電圧および電流を時間領域で測定し、それら測定出力を
測定部111によりデジタルデータに変換する。 (b)演算部113により、妨害波電圧および電流の波
形を示すデータを時間領域のデータから周波数領域のデ
ータに変換する。
【0053】(c)演算部113により、プローブ10
2および103の特性を補正した後、測定した各ケーブ
ルのエネルギーを各周波数成分毎に計算する。 (d)演算部113に対しては、電流の流れる方向を予
め定めておき、その電流方向の設定に応じてエネルギー
は正、または負の値をとる。その符号と計算されたエネ
ルギーの大きさとを表示部114等に表示する。
【0054】(e)表示された結果より、妨害波の伝搬
方向を目視で特定する。あるいは(d)で得たエネルギ
ーの方向を示す符号とエネルギーの大きさとからCPU
により妨害波の伝搬方向を決定する。
【0055】ここで、項目(d)の表示部114におけ
る妨害波のエネルギーの表示は、たとえば図12に示す
ようなものであり、横軸に周波数(Frequency)を表示
し、縦軸に符号を含めたエネルギーの大きさ(Power)
を表している。一般に、複数の妨害波はそれぞれ個別の
周波数スペクトルをもつので、周波数スペクトルを分析
することで複数の妨害波を識別できる。周波数領域でエ
ネルギーを表示することにより、例えば、2つの妨害波
がそれぞれ別な経路から侵入していた場合でも、その周
波数成分に着目することにより、それを分離でき、2つ
の妨害波の侵入経路を特定することが可能となる。ま
た、表示の上部には各周波数成分毎のエネルギーを足し
合わせた値(total power)が表示できるようになって
いる。図12の例では、正側および負側に少なくとも1
つずつ妨害波がありそうであるということがわかる。
【0056】すなわち、ケーブル類に発生する電磁妨害
波電圧、および電流から、伝搬する妨害波のエネルギー
の有効分を計算し、エネルギーの大きさおよびエネルギ
ーの流れる方向から、電磁妨害波の伝搬方向を特定する
電磁妨害波測定方法において、時間領域での妨害波電圧
および電流の波形を測定し、測定した電圧波形v(t)
および電流波形i(t)を時間領域から周波数領域に変
換し、妨害波の持つ各周波数成分を求め、該各周波数成
分毎のエネルギーの有効分を計算することにより、複数
の妨害波を分離して、各妨害波の伝搬方向を特定する。
【0057】以上のように、複数のケーブルに流れる電
圧および電流を測定し、その波形から複数の妨害波の有
効エネルギーを計算することにより各妨害波を分離し
て、妨害波の伝搬方向を容易に特定することが可能にな
る。本発明の装置を用いて伝搬方向を容易に特定できる
ようになることにより、以下の効果が得られる。
【0058】イ.妨害波の波源を特定することが容易に
でき、原因を取り除くことが可能となる。 ロ.妨害波の伝搬方向が明らかになるため、有効な対策
を行うことが可能となる。 ハ.エネルギーの有効分に注目しているため共振の影響
を受けることがない。
【0059】ニ.周波数領域でエネルギーを評価するこ
とにより、複数の異なる周波数成分の妨害波を分離し
て、それら妨害波の侵入経路を特定することができる。 ホ.非接触で妨害波の電圧および電流を測定することに
より、装置を停止することなく、動作状態のまま妨害波
の伝搬方向を特定することができる。
【0060】以上述べたように、実施例4によれば、装
置を動作状態に維持しながら、妨害波の挙動を正確に把
握し、物理量によって定量的に電磁妨害波の伝搬方向を
特定し、また複数の妨害波を分離して探査することがで
きる。 [実施例5]実施例5は、図8に示した手順に従って妨
害波の侵入経路を判定する実施例1のさらに詳細な例で
あり、図11に示したのと同様の構成を用い、CPU1
15によって全体の処理を制御する。実施例5のエネル
ギー計算のフローチャートを図13および図14に示
す。
【0061】図13において、ステップS1〜S5は図
8と同様であり、それらの説明は省略する。ステップS
6では測定したケーブル本数が全ケーブル本数nになっ
たか否かを判定する。n本すべてのケーブルについてエ
ネルギーの計算がなされたならば、図14に示す次のス
テップS7およびS8に移る。ここでのエネルギーの大
きさは各周波数成分のトータルで評価する。
【0062】図14において、ステップS7において、
各ケーブルのエネルギーの符号を判定する。ここで、電
流プローブの極性を、妨害波の電流が装置に入る方向に
流れた時に正の値が出るように設定した場合、エネルギ
ーが正であれば、エネルギーの伝搬方向は装置に入る方
向と判定し、逆にエネルギーが負であれば、エネルギー
の伝搬方向は装置から遠ざかる方向と判定する。
【0063】ステップS8においては、各ケーブルのエ
ネルギーの大きさを比較する。そのために、まず、エネ
ルギーを最大値で正規化する。スレッシュホールドPt
を設定する。ついで、スレッシュホールドPtを越える
エネルギーについては、大きな値と称する。スレッシュ
ホールドPt以下のエネルギーについては、小さな値と
称する。
【0064】次のステップS9においては、ステップS
7およびS8により判定したエネルギーの符号と大きさ
とを、図15(A)〜(J)に示すCase1〜Cas
e10のいずれかに分類する。Case1または4のと
きはステップS10に進む。Case6のときはステッ
プS11に進む。Case2または5のときはステップ
S12に進む。Case3,7,8,9または10のと
きはステップS13に進む。図15の(A)〜(J)に
おいて、1,2,…,nはケーブルの番号を示す。
【0065】これらCase1〜10をまとめると次の
表1のようになる。
【0066】
【表1】
【0067】ステップS10,S11およびS12の場
合には、それぞれ次のステップS14,S15およびS
16において、符号が正であり、かつ大きさが最大のケ
ーブルを特定する。ステップS17では、ステップS1
4において特定されたケーブルの番号を表示や印刷の形
で出力する。ステップS18では、ステップS15で特
定されたケーブルの番号を出力し、かつ“負の値が正の
値より大きい”旨の警告をも出力する。ステップS19
では、ステップS16において特定されたケーブルの番
号を出力し、かつ“複数のケーブルの各ケーブル間隔を
調べる必要有”の警告をも出力する。その理由は、ケー
ブル間隔が近い場合には、複数本のケーブルに同じ妨害
源から妨害波が誘導される可能性があるので、ケーブル
間隔をチェックする必要があるからである。
【0068】ステップS13の場合には、次のステップ
S20において、妨害波の伝搬方向の特定ができないこ
とと、再測定をすることの指示を出力する。
【0069】[実施例6]複数妨害波の侵入経路を特定
する実施例4のさらに具体的な周波数領域での判定手順
の一例を図16に示す。図13のステップS4までの処
理を終えた後に、周波数毎にエネルギーを計算する場合
に図16のステップS1に進む。このステップS1で
は、各周波数毎のエネルギーを図示の計算式により計算
する。次のステップS2では、n個のエネルギースペク
トルのデータのそれぞれを示す周波数スペクトルに対し
て、図14の処理を行って各周波数ごとに妨害波の伝搬
方向を判定する。それにより、各周波数スペクトル毎に
特定されたケーブルの番号を出力する。
【0070】[実施例7]図18は、本発明非接触型電
圧プローブ装置の一例を示す図である。ここで、図17
(A)と同様の箇所には同一符号を付す。
【0071】図18において、符号201はケーブル2
20に加わる電圧を非接触で検出するために、ケーブル
220を貫通させる円筒形内部電極201Aと、この内
部電極201Aを取り囲んで同軸に配置された同軸円筒
形外部電極201Bとを有する非接触電極である。20
2はケーブル220を内部電極201Aの内側に固定す
るための絶縁体で作られた固定用の治具である。203
は能動素子(トランジスタ)を使用した高入力インピー
ダンス電圧検出回路により構成できる高入力インピーダ
ンスの電圧プローブである。
【0072】同軸円筒形外部電極201Bを高入力イン
ピーダンス電圧プローブ203のアース側に接続し、同
軸円筒形外部電極201Bを接地する接続導体線もしく
は接続端子210を有すことにより、円筒形内部電極2
01Aと周囲の金属物230との間の静電容量の変化に
よるプローブの感度の変化や、周囲のケーブル221の
電圧の影響を抑える。円筒形内部電極201Aと同軸円
筒形外部電極201Bとの間に低誘電率プラスチックも
しくは発泡材質を介在させることにより、電極201A
と201Bとの間の静電容量を低減させ、プローブの感
度を向上させることができる。
【0073】なお、接続端子210を直接にアース側に
接続できない環境では、プローブ装置全体の下に金属板
を配置して、その金属板に接続端子210を接続する。
これにより、外側電極201Bは容量を介在させる形で
アース側に接続されることになる。
【0074】符号204はレベルメーターである。この
レベルメーター204は電圧を測定するための装置であ
れば、例えばオシロスコープ等でもよい。あるいはま
た、図1に示した測定装置23、図11に示した探索装
置とすることもできる。図18に示す非接触型電圧プロ
ーブ装置は、ケーブル220と円筒形内部電極201A
との間に生じる静電結合により、ケーブル220を伝わ
る電圧の変化を取り出す。同軸円筒形外部電極201B
は、材質として導電率の大きな導体、たとえば銅、アル
ミニウムのようなものを用いている。
【0075】また、ケーブル220を固定するための治
具202は、絶縁体材料でできており、内部を通るケー
ブル220と円筒形内部電極201Aとの距離を一定に
保つことにより内部電極201Aとケーブル220との
間の静電容量が一定となるようにする。また高入力イン
ピーダンス電圧プローブ203は、入力インピーダンス
が抵抗とキャパシタンスの並列回路で表されるものを用
いるとカットオフ周波数以上でほぼ平坦な特性が得られ
る。
【0076】円筒形内部電極201Aの内部を通るケー
ブル220と大地との間に電圧Vが発生したとする(図
中、電源205で示す)。このとき、ケーブル220と
円筒形内部電極201Aとの間には静電結合により結合
が生じる。この結合の割合、すなわちケーブル220と
円筒形内部電極201Aとの間のキャパシタンスCは以
下の式で近似できる。
【0077】
【数5】
【0078】ここで、ε は真空中の誘電率、ε
ケーブル固定用治具202の比誘電率、aは内部を通る
ケーブル220の導体外径、bは円筒形内部電極201
Aの内径、lは円筒形内部電極201Aおよび201B
の長さである。また円筒形内部電極201Aと円筒形外
部電極201Bとの間のキャパシタンスC は、同様
に以下の式で近似される。
【0079】
【数6】
【0080】ここで、cは円筒形内部電極201Aの外
径、dは円筒形外部電極201Bの内径、lは円筒形電
極201Aおよび201Bの長さである。
【0081】高入力インピーダンス電圧プローブ203
の入力抵抗R 、入力キャパシタンスをC とする
と、非接触型電圧プローブ装置は図19に示すような等
価回路で表される。図19において、205はケーブル
220に発生した電圧Vを模擬した電圧源であり、20
6はケーブル220と円筒形内部電極201Aとの間の
キャパシタンスCを表わし、207は円筒形内部電極2
01Aと円筒形外部電極201Bとの間のキャパシタン
スC を表している。
【0082】また、208および209はそれぞれ高入
力インピーダンス電圧プローブ203の入力抵抗R
および入力キャパシタンスC を表している。この等
価回路から、レベルメーター204により測定される出
力電圧、すなわち等価回路におけるR またはC
端子間の電圧V は以下の式で与えられる。
【0083】
【数7】
【0084】ωR (C+C )≫1が成立する周波
数範囲では、プローブ203の出力電圧V
【0085】
【数8】
【0086】となり、周波数に依らず一定の感度を有す
ることがわかる。
【0087】本発明では、従来の非接触型電圧プローブ
装置に比べ、外側に円筒形外部電極201Bを設けて、
これを接地することにより、外部からの影響をなくすこ
とができる。周囲の影響を考慮した従来の非接触型電圧
プローブ装置の等価回路を示す図17(C)に対応する
本発明の場合の等価回路を図17(D)に示す。図17
(D)の等価回路は図19の等価回路と等価であり、円
筒形外部電極201Bを接地することにより、誤差要因
となるC ,C ,V を取り除くことができるこ
とがわかる。
【0088】[実施例8]図20(A)および(B)
は、本発明による非接触型電圧プローブ装置の一実施例
の概略構成を示すそれぞれ平面図および断面図である。
図21(A)および(B)は、図20(B)に示すa−
a′線で切って示す断面図である。
【0089】図20(A)および(B)、図21(A)
および(B)において、211および212は図18に
示した電極構造を半割りした2組の半円筒形の電極半部
であり、これら半部211と212とを電気的および機
械的に接合することにより図18に示した電極構造を形
成する。202は内部電極201Aの内部を通るケーブ
ル220を固定するために発泡材質で作られた固定用治
具である。213は2つの半円筒形電極211と212
とを円筒形に固定するための金具であり、214は2つ
の半円筒形電極211と212とを機械的に締め付けか
つ、電気的に接続するための金具(蝶番)である。
【0090】円筒形内部電極201Aにおいて、測定対
象となるケーブル220との結合キャパシタンスは式
(6)により計算される。また電極201Aおよび20
1Bの材質は本実施例では銅板を用いているが、これは
導電率の大きな材質であれば、銅でなくてもかまわな
い。
【0091】ケーブル固定治具202において、弾性変
形しやすい材質を用いることにより、内部を通るケーブ
ル220の径にかかわらず、円筒形内部電極201Aの
中心付近にケーブル220を固定することが可能とな
る。また固定用治具202の材質は、本実施例ではゴム
製のスポンジを用いているが、同様な発泡性の材質であ
れば、ポリウレタン等の他の材質も使用可能である。さ
らに発泡性の材質ではなく、プラスチック製の板バネで
も可能である。
【0092】図21(B)では、繰り返し屈曲に耐える
導線215を図のように半割りの内部電極201A間に
取り付けて分割円筒形電極201A同士の電気的接続を
確実にしている。
【0093】図22は、実施例8の非接触型電圧プロー
ブ装置の周波数特性を示す図である。これより10[k
Hz]以上でフラットな特性を持つ広帯域なプローブで
あることが確認できる。
【0094】[実施例9]実施例9は、図23に示すよ
うに円筒形外部電極201Bに電圧検出回路216を取
り付けて、そこから同軸コネクタ217により同軸ケー
ブル等により電圧を取り出すことを可能とした非接触型
電圧プローブ装置である。同軸コネクタ217の中心導
体217Aを電極201Aに接続し、外部導体217B
を電極201Bに接続する。電圧検出回路216にはア
ンプを設けてもよい。この実施例により、高周波領域に
おいて高入力インピーダンスプローブのアース線等に発
生する寄生インダクタンスやキャパシタンスを低減で
き、周波数特性に広いプローブが実現できる。
【0095】以上のように、ケーブル220との静電結
合を行うための円筒形内部電極201Aの外側に同軸状
に円筒形外部電極201Bを設け、円筒形外部電極20
1Bを接地することにより、円筒形内部電極201Aと
周囲の鉄筋等の接地金属物230との静電容量の変化に
よってプローブ203の感度が変化することを抑える。
また周囲のケーブル221等に電圧が発生していると
き、円筒形内部電極201Aのみであると静電結合によ
り、測定対象以外の周囲のケーブルの電圧の影響を受け
るが、同軸円筒形外部電極201Bをさらに設けること
により、この影響を低減できる。
【0096】内部電極201Aと外部電極201Bとの
間隔を一定に固定するために、これらの間に支持材を入
れるが、その材質の誘電率が高いと、内外電極間の静電
容量が増加し、感度が低下する問題がある。
【0097】したがって、プローブの感度を向上させる
ためには、内部電極201Aと外部電極201Bとの間
の支持材として低誘電率のプラスチック材料または発泡
材質を用いることにより、内外電極間の静電容量の増加
を抑え、その問題を解決している。
【0098】次に、本発明の非接触型電圧プローブ装置
を測定対象ケーブル220に容易に取り付けるために図
20〜図23の実施例では分割電極の構造をしている
が、可動部分を設けた場合、電気的および機械的に安定
した電極を接続する必要がある。この問題解決のため、
可動部分に可撓性がよく反復、屈曲に強い導線215を
接続して両電極201Aを確実に接続する。
【0099】また、同じ効果を得るために、蝶番214
で半円筒電極211と212とを圧着してもよい。ま
た、外部からの妨害波による誤差を低減するとともに、
プローブ203の部分の静電容量を低減して感度を高め
るために、高入力インピーダンス電圧プローブ203の
代わりに、同軸円筒形電極にFET等の高入力インピー
ダンス電圧検出回路を取り付けてもよい。
【0100】実施例7,8および9によれば、ケーブル
220に印加された電圧は、ケーブル220と円筒形内
部電極201Aの大きさと距離によって決定される静電
結合により検出され、その感度はケーブル220と円筒
形内部電極201Aの結合キャパシタンス、および円筒
形内部電極201Aと円筒形外部電極201Bとのキャ
パシタンス、電圧プローブ203の入力インピーダンス
の比によって決定される。
【0101】以上述べたように、実施例7,8および9
によれば、円筒電極を同軸状に2重化して配置すること
により、周囲の金属体などによる影響を排除でき、ケー
ブルに印加された電圧を安定に再現性よく測定できるこ
とが可能となる。また非接触で電圧を測定するため、ケ
ーブルの損傷やサービスへの影響なしに、被測定ケーブ
ル導体に発生する電圧を測定することが可能となる。し
たがって、本発明は運用状態での伝導性電磁雑音の測定
などに対し有効である。
【0102】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、円筒
電極を同軸状に2重化して配置することにより、周囲の
金属体などによる影響を排除でき、ケーブルに印加され
た電圧を安定に再現性よく測定できることが可能とな
る。また非接触で電圧を測定するため、ケーブルの損傷
やサービスへの影響なしに、被測定ケーブル導体に発生
する電圧を測定することが可能となる。従って、本発明
は運用状態での伝導性電磁雑音の測定などに対し有効で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施例1のさらに具体的構成の一例を
示す構成説明図である。
【図3】本発明の実施例1の各ケーブルの電圧および電
流の大きさの一例を示す特性図である。
【図4】本発明の実施例1の各ケーブルのエネルギーを
計算した結果の一例を示す特性図である。
【図5】本発明の実施例2を示す構成説明図である。
【図6】本発明にかかるエネルギーを直接求める方法の
一例を示す特性図である。
【図7】本発明の実施例3を示す構成説明図である。
【図8】本発明の実施例1における妨害波侵入経路特定
方法の手順を示す流れ図である。
【図9】本発明の実施例3における妨害波侵入経路特定
方法の手順を示す流れ図である。
【図10】本発明の実施例4の使用形態例の説明図であ
る。
【図11】本発明の実施例4の構成を示すブロック図で
ある。
【図12】本発明の実施例4による妨害波のエネルギー
の表示の一例を示す特性図である。
【図13】本発明の実施例5におけるエネルギー計算の
手順の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施例5におけるエネルギー計算の
手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】(A)〜(J)は、図14のステップS9に
おける、エネルギーの大きさと方向の組合せの場合分け
の説明図である。
【図16】本発明の実施例6における周波数領域での判
定手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】(A)は従来の非接触型電圧プローブ装置の
構成を示す斜視図、(B)および(C)は(A)に示し
た電圧プローブ装置の等価回路図、(D)は(C)と対
比して示す、本発明の実施例7による電圧プローブ装置
の等価回路図である。
【図18】本発明の実施例7の非接触型電圧プローブ装
置を示す構成図である。
【図19】図18に示した電圧プローブ装置の等価回路
図である。
【図20】(A)および(B)は本発明の実施例8の非
接触型電圧プローブ装置をそれぞれ示す断面図および正
面図である。
【図21】(A)および(B)は図20(B)における
a−a′線断面図である。
【図22】本発明の実施例8の周波数特性を示す特性図
である。
【図23】(A)および(B)は本発明の実施例9の構
成を示すそれぞれ正面図および側面図である。
【符号の説明】
1,2 電子装置 3,4,5,6,7 ケーブル類 8 電磁妨害波の誘導源 9a〜9d 電磁妨害波 10 電流プローブ 11 電圧プローブ 12 小型の通信装置の主装置 13 印加装置 14,15 通信端末 16,17,18 通信ケーブル 19 電源ケーブル 20 アクリル板 21 銅版 22 妨害波発生器 23 測定器 24,25,26,27 ベクトルボルトメーター 28 プローブ 29,30,31,32 電力測定器 101 電磁妨害波探索装置 102 プローブ装置 103 プローブ装置 104 ケーブル 111 測定部 112 記録装置 113 演算部 114 表示部 115 CPU 201A 円筒形内部電極 201B 円筒形外部電極 202 固定用の治具 203 高入力インピーダンス電圧プローブ 204 レベルメーター 205 電圧源 206 キャパシタンスC 207 キャパシタンスC 208 入力抵抗R 209 入力キャパシタンスC 210 接続端子 211,212 半円筒形電極 214 蝶番 215 導線 216 電圧検出回路 217 コネクタ 217A 中心導体 217B 外部導体 220 ケーブル 221 ケーブル 230 周囲金属物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井手口 健 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 Fターム(参考) 2G025 AA10 AB07 AC04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒形状の内部電極と、 該内部電極の外側に該内部電極を取り巻いて同軸に配置
    された同軸円筒形状の外部電極と、 前記内部電極の内側に配置され、非測定対象のケーブル
    を貫入させて保持するケーブル固定部材と、 前記内部電極に接続された高入力インピーダンスの電圧
    検出手段と、 前記外部電極を前記電圧検出手段のアース側に接続する
    手段とを具え、 前記電圧検出手段は高周波領域での寄生インダクタンス
    またはキャパシタンスを低減するように前記外部電極に
    取り付けられ、 前記内部電極と前記外部電極との間に低誘電率材料を配
    置したことを特徴とする非接触型電圧プローブ装置。
  2. 【請求項2】 前記内部電極と前記外部電極との間に低
    誘電率プラスチックまたは発泡材料を配置したことを特
    徴とする請求項1に記載の非接触型電圧プローブ装置。
  3. 【請求項3】 前記内部電極および前記外部電極と前記
    ケーブル固定部材を一体構造の2つ割り半円筒形状の2
    つの半部で構成し、該2つの半部を、前記ケーブル固定
    部材の内側に前記ケーブルを挟むことができるようにし
    て、電気的および機械的に結合可能としたことを特徴と
    する請求項1又は2に記載の非接触型電圧プローブ装
    置。
  4. 【請求項4】 前記2つの半部における前記内部電極を
    構成する部分同士および前記外部電極を構成する部分同
    士を、繰り返し屈曲に耐える導線で接続したことを特徴
    とする請求項3に記載の非接触型電圧プローブ装置。
  5. 【請求項5】 前記2つの半部を蝶番または電気接点に
    より電気的および機械的に結合したことを特徴とする請
    求項3又は4に記載の非接触型電圧プローブ装置。
  6. 【請求項6】 前記電圧検出手段は能動素子を有する高
    入力インピーダンスの電圧プローブであることを特徴と
    する請求項1乃至5いずれかに記載の非接触型電圧プロ
    ーブ装置。
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