JP2003095953A - ホスファチジルセリン含有組成物、製造方法および用途 - Google Patents

ホスファチジルセリン含有組成物、製造方法および用途

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JP2003095953A
JP2003095953A JP2001290664A JP2001290664A JP2003095953A JP 2003095953 A JP2003095953 A JP 2003095953A JP 2001290664 A JP2001290664 A JP 2001290664A JP 2001290664 A JP2001290664 A JP 2001290664A JP 2003095953 A JP2003095953 A JP 2003095953A
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Shikan Abejima
祀干 阿部島
Atsuro Nishina
淳良 仁科
Takamiki Abe
高樹 阿部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘度が低く、透明感があり、製造後の粘度の
上昇が少ないホスファチジルセリンを含有する組成物を
提供する。また、エタノールを併用してホスファチジル
セリンを中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶解、分散したホ
スファチジルセリンを含有する組成物を得た後、脱エタ
ノールを行って、格段に粘度が低く、透明感があり、製
造後の粘度の上昇が少ないホスファチジルセリン組成物
の製造方法を提供する。またさらには、前記のホスファ
チジルセリンを含有する組成物をゼラチンを用いて被覆
してなるカプセルを提供する。 【解決方法】ホスファチジルセリン含有物、中鎖脂肪酸
トリグリセリド、エタノールを含有することを特徴とす
るホスファチジルセリン含有組成物。また、ホスファチ
ジルセリン含有物5〜70重量%、中鎖脂肪酸トリグリ
セリド4〜60重量%、エタノール0.5〜60重量%
である請求項1記載のホスファチジルセリン含有組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホスファチジルセ
リン含有組成物、その製造方法およびその用途に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ホスファチジルセリンは、牛脳中
に存在することが知られ、その生理活性が注目されてき
た。ホスファチジルセリンが、特に脳機能の改善効果を
有することが知られるようになってきたが、前記のよう
にように牛脳からの抽出では、入手性に問題があり、ま
た、例えば「狂牛病」のような問題から使用に際して動
物由来のものの使用については嫌われる可能性の問題が
ある。そこで、例えば、植物の大豆レシチン(ホスファ
チジルコリン含有)から酵素を用いて塩基交換反応を利
用してホスファチジルセリンを製造する技術が開示され
ている(特開2000−333689号公報)。ホスフ
ァチジルセリンを含有する組成物の製造方法としては、
ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジル
コリンとホスファチジルエタノールアミンの両方を併用
して、ホスファチジルセリンを油脂に溶解する方法が開
示されている(特開2001−122884号公報)。
前記の開示された方法では、油脂に難溶解性であるホス
ファチジルセリンをホスファチジルエタノールアミン、
ホスファチジルコリンを媒介にして油脂に溶解するもの
である。例えば実施例1には、ホスファチジルセリン含
有リン脂質33重量%、中鎖脂肪酸トリグリセリド6
1.2%、ホスファチジルエタノールアミン5.8%を
含有する組成物が開示されている。製造方法は記載され
ていないが、本発明者らが追試してこの方法に準じて得
た組成物は、製造直後の粘性が非常に高く、一般的な機
能性食品の形態であるゼラチンカプセルの製造に適して
おらず、また、外観も完全に白濁する問題点を有するこ
とがわかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な背景のもとで、例えば健康食品の分野ではホスファチ
ジルセリンを商品化するために、ホスファチジルセリン
を含有する組成物で、流動性を有するなど取扱性に優れ
た材料が求められている。本発明の第1の目的は、粘度
が低く、透明感があり、製造後の粘度の上昇が少ないホ
スファチジルセリンを含有する組成物を提供することに
ある。本発明の第2の目的は、エタノールを併用してホ
スファチジルセリンを中鎖脂肪酸トリグリセリドに溶
解、分散しホスファチジルセリンを含有する組成物を得
た後、脱エタノールを行って、格段に粘度が低く、透明
感があり、製造後の粘度の上昇が少ないホスファチジル
セリン組成物の製造方法を提供することにある。本発明
の第3の目的は、前記のホスファチジルセリンを含有す
る組成物をゼラチンを用いて被覆してなるカプセルを提
供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み鋭意検討した結果、ホスファチジルセリンを
中鎖脂肪酸トリグリセリドとエタノールを用いて溶解す
ることにより、粘度が低く、透明感があり、製造後の粘
度の上昇が少ない組成物を得た。またその組成物を得た
後、脱エタノールを行っても粘度が低くくて流動性があ
り、透明感があり、製造後の粘度の経時的な変化の少な
い組成物を得ることができることの知見を得て、本発明
を完成させるに至った。すなわち、本発明は、次の
[1]〜[5]である。 [1] ホスファチジルセリン含有物、中鎖脂肪酸トリ
グリセリド、エタノールを含有することを特徴とするホ
スファチジルセリン含有組成物。 [2] ホスファチジルセリン含有物5〜70重量%、
中鎖脂肪酸トリグリセリド4〜70重量%、エタノール
0.5〜60重量%である前記の[1]記載のホスファ
チジルセリン含有組成物。 [3] ホスファチジルセリン含有物/中鎖脂肪酸トリ
グリセリドの重量比が5〜70/4〜70でエタノール
の含量が2重量%以下である前記の[1]記載のホスフ
ァチジルセリン含有組成物。 [4] 25℃における粘度が100〜10000cp
であり、かつ25℃における{(粘度測定後の5日後の
粘度―粘度測定時の粘度)/粘度測定時の粘度}で表さ
れる粘度変化の値が1以下である前記の[1]〜[3]
記載のホスファチジルセリン含有組成物。 [5] 前記の[1]〜[3]記載のホスファチジルセ
リン含有組成物の製造方法であって、ホスファチジルセ
リン含有物5〜70重量%、中鎖脂肪酸トリグリセリド
4〜70重量%、エタノール0.5〜60重量%を配合
してなる混合物から脱エタノールを行うことを特徴とす
る、ホスファチジルセリン含有組成物の製造方法。 [6] 前記の[4]記載のホスファチジルセリン含有
組成物をゼラチンで被覆してなるカプセル化物。
【0005】
【発明の実施の形態】ここでホスファチジルセリン含有
物は、グリセリンの1個の水酸基がリン酸基とセリンと
が結合し、他の2個の水酸基が脂肪酸とエステル結合し
ているのものを含有しているものを指す。また、本発明
でいうホスファチジルセリン含有組成物とは、前記のホ
スファチジルセリン含有物と中鎖脂肪酸のトリグリセリ
ドおよびエタノールを配合したものを指す。本発明で用
いるホスファチジルセリン含有物としては、牛脳等の天
然資源から抽出したもの、あるいは牛脳抽出物の市販
品、また前記のように公知の方法(例えば特開2000
−333689号公報)で、ホスファチジルコリンとセ
リンから、酵素ホスホリパーゼDを用いて塩基交換して
得られたホスファチジルセリン等が挙げられる。これら
の原料は1種または2種以上配合しても使用できる。前
記のように入手性、安全性、取扱性等の点から、より好
ましくは植物由来のホスファチジルコリンを酵素変換し
たホスファチジルセリンが挙げられる。本発明のホスフ
ァチジルセリン含有物は、高純度のホスファチジルセリ
ンを用いることが望ましいが、高純度のホスファチジル
セリン含有物は入手性や取扱性の問題があり、ホスファ
チジルセリンと油脂または他のリン脂質との混合物を使
用しても差し支えない。本発明においては、例えば、ホ
スファチジルセリン含有物の市販品;シグマ社製品、ホ
スファチジルセリン99%含有品、大豆由来ホスファチ
ジルセリン(試作品;ホスファチジルセリン20.6重
量%、ホスファチジルコリン14.6重量%、ホスファ
チジルエタノールアミン6.1重量%、ホスファチジル
イノシトール5.8重量%、ホスファチジン酸15.8
重量%、その他36.7重量%含有品)等が使用でき
る。本発明のホスファチジルセリン含有組成物中に配合
するホスファチジルセリン含有物は5〜70重量%がよ
り好ましく、10〜60重量%がさらに好ましい。ホス
ファチジルセリン含量が5重量%未満では、組成物中の
ホスファチジルセリンの含量が低くなりすぎ、必要な量
のホスファチジルセリンを摂取するために大量の組成物
を摂取する必要となるので好ましくない。また、ホスフ
ァチジルセリン含量が70重量%より高い場合には、粘
性が著しく高くなり、透明度が落ちるので好ましくな
い。
【0006】ホスファチジルセリン含有物と配合する中
鎖脂肪酸のトリグリセリド(以下、MCT油と略すこと
もある。)としては、炭素数6、8、10の脂肪酸を主
とする単体、あるいはこれらの混合脂肪酸のトリグリセ
リド、また前記脂肪酸のトリグリセリドの混合物が挙げ
られ、いずれも使用できる。20℃で液体でなければ流
動性が出ないので、曇点の低いものが望ましい。なお、
炭素数が6、8、10以外の脂肪酸を構成成分として少
量含んでいても、流動性を悪くしたり、曇点を高めない
量のものであれば、中鎖脂肪酸トリグリセリドとして使
用しても差し支えない。本発明で用いるMCT油の市販
品として、例えば、日本油脂(株)社製、パナセート8
00B(炭素数8の脂肪酸が主体)、パナセート810
(炭素数8と10の脂肪酸が主体)、花王(株)社製、
ココナードRK(炭素数8の脂肪酸が主体)、ココナー
ドMT(炭素数8と10の脂肪酸が主体)、ココナード
MT−N(炭素数8と10の脂肪酸が主体)等が挙げら
れる。本発明のホスファチジルセリン含有組成物中のM
CT油は、4〜70重量%が好ましく、より好ましくは
10〜50重量%である。組成物中のMCT油が4重量
%未満では、組成物の粘度が著しく高くなるので好まし
くない。また、組成物のMCT油が70重量%よりも高
い場合には、組成物中のホスファチジルセリンの含量が
低くなりすぎ、必要な量のホスファチジルセリンを摂取
するために大量の組成物を摂取する必要となるので好ま
しくない。
【0007】本発明で使用するエタノールは、炭水化物
の発酵により得られたものや有機合成により得られたも
のを使用することができる。本発明のホスファチジルセ
リン含有組成物を食品として使用するためには、食品添
加物、または食品グレードのエタノールを使用する。ま
た、エタノール中に水が混入していると、組成物の透明
度が落ちるので、純度99%以上のエタノールを使用す
ることが望ましい。
【0008】本発明のホスファチジルセリン含有組成物
中のエタノールの量は、0.5〜60重量%が好まし
く、より好ましくは0.5〜30重量%である。前記の
ホスファチジルセリン含有組成物中のエタノールの量が
0.5重量%未満の場合には、著しく粘度が上がるので
好ましくない。また含有組成物中のエタノールの量が6
0重量%より多い場合には組成物中のホスファチジルセ
リンの量が低くなりすぎ、必要な量のホスファチジルセ
リンを摂取するために大量の組成物を摂取する必要とな
るので好ましくない。
【0009】本発明のホスファチジルセリン含有組成物
を製造する方法は、所定量の原料となるホスファチジル
セリンと中鎖脂肪酸トリグリセリドと、エタノールを均
一に混合すればよい。その具体的な方法は、原料となる
ホスファチジルセリンと、中鎖脂肪酸トリグリセリド
と、エタノールを計量、混合すればよく、特に配合順序
等は規定されないが、例えば、エタノールに、原料ホス
ファチジルセリンと、中鎖脂肪酸トリグリセリドを加
え、かき混ぜて充分に粘性の低い混合物を調製する。前
記のかき混ぜの際には機械的にかき混ぜながら、室温ま
たは加熱下で行う。その際には、温度を高くしすぎる
と、ホスファチジルセリンや中鎖脂肪酸トリグリセリド
の分解を引き起こしやすいので60℃以下でかき混ぜる
ことが好ましい。前記のかき混ぜ機としては、例えば、
プロペラ攪拌や市販の均質化機、例えば、TKホモミキ
サー(特殊機化工業株式会社製品)やポリトロン(キネ
マチカ社製品)を使用することができる。かき混ぜの時
間は、特に限定されないが、均一になればよい。
【0010】本発明のホスファチジルセリン含有組成物
は、上記のエタノールを含んだ混合物の状態で機能性食
品素材として使用することができるが、減圧下で脱エタ
ノールを行ってもなお流動性を有する。脱エタノールの
工程は、室温または加熱下で行うが、加熱温度が高すぎ
ると、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ホスファチジルセリ
ンの分解が起こったり着色や「やけ」の臭気が付与され
るおそれがあるため、60℃以下とすることが望まし
い。最終的にホスファチジルセリン/中鎖脂肪酸トリグ
リセリドの重量比が5〜70/4〜70の組成物中のエ
タノールの含量を2重量%以下とする。得られたホスフ
ァチジルセリン含有組成物は、ゼラチンカプセル等に適
した形態とすることができる。前記の脱エタノールの工
程では、例えば、ロータリーエバポレーター、真空薄膜
蒸留器(エバポール(株式会社大川原製作所製品))等
の機械を使用することができる。得られたホスファチジ
ルセリン含有組成物は、25℃における粘度は100〜
10000cpsであり、ゼラチンカプセル等に充填可
能な流動性を有する。また、25℃における{測定後5
日後の粘度―測定時の粘度)/測定時の粘度}で表わさ
れる粘度変化の値が1以下である。
【0011】本発明のホスファチジルセリン含有組成物
には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他
の成分を配合してもよい。その他の成分としては、例え
ば、着色料、安定剤、酸化防止剤、香料、ビタミン類、
微量成分等を挙げることができる。
【0012】また、前記のようにホスファチジルセリン
含有組成物は、その後脱溶剤を行って、さらに濃縮して
も、流動性を有するので、そのようにして得たホスファ
チジルセリン含有組成物は、カプセル用の材料として好
適に使用できる。例えば、通常の方法で、ホスファチジ
ルセリン含有組成物を内容物とし、ゼラチン等を皮膜成
分として、シームレスカプセル化することができる。
【0013】
【発明の効果】本発明のホスファチジルセリン含有組成
物は、ホスファチジルセリン含有物、中鎖脂肪酸トリグ
リセリド、エタノールを含有しているので、粘度が低
く、また前記の表示による粘度変化がすくないことを特
徴とするのである。また前記のホスファチジルセリン含
有組成物を脱エタノールしたアルコール分2%以下のも
のも流動性があり、健康食品等のカプセル用の原料とし
て使用するのに好適である。また本発明のホスファチジ
ルセリン組成物をゼラチンでカプセルしたものは、機能
性食品として、ホスファチジルセリンを無理なく摂取す
ることができる。
【0014】
【実施例】次に実施例を用いて本発明をさらに詳細に説
明する。次に用いた分析方法、評価方法を示す。 1.リン脂質成分の定量方法;ホスファチジルセリン等
の定量には、高速液体クロマトグラフィー(ギルソン社
製・モデル303)を用い、固定相にはシリカゲルカラ
ム(直径4.6mm×長さ250mm)、また移動相に
はアセトニトリル、メタノール、10mMリン酸2水素
アンモニウム、各611:289:100の混合溶媒を
使用し、検出は、紫外線波長202nmにおける吸収ピ
ークを測定する。予め作成しておいた検量線を用いて試
料中のホスファチジルセリン等の量を測定した。 2.流動性の測定方法;ホスファチジルセリン組成物を
容積100mlのビーカーに入れ、25℃下でB型粘度
計(東京計器株式会社製品)を用いてホスファチジルセ
リン含有組成物の粘度を測定して判定した。粘度はB型
粘度計により、測定時の粘度、その後5日後の粘度を測
定した。さらに粘度の変化率は、{(測定後5日後の粘
度―測定時の粘度)/測定時の粘度}の値を算出して評
価した。 3.エタノール含量の測定 50mlの容積の遠心分離管にホスファチジルセリン含
有組成物の試料1gと9mlのn−ヘキサンを加え、さ
らに内部標準としてメタノール0.01gを加えて、1
0分間超音波機でかき混ぜた。その後、2000rpm
で遠心分離して、その上澄み液を採取した。その試料を
ガスクロマトグラフィー(装置;島津製作所製、GC−
8APT;カラム;モレキュラーシーブ5A、径3mm
×長さ3m)により測定して、試料中のエタノール含量
を求めた。
【0015】製造例1;ホスファチジルセリン(PS−
A)の製造;内容積3リットルのフラスコに65%ホス
ファチジルコリン{ホスファチジルコリン2種の配合
物;(ナッターマン社製、商品名;ホスフォリポン10
0、ホスファチジルコリン濃度95%品 70gと、ル
ーカスマイヤー社製、商品名;エピクロン135Fホス
ファチジルコリン濃度35%品 130g混合したもの
で、ホスファチジルコリン濃度56%に調製したもの)
200gに、精製水1800mL、L−セリン{味の素
(株)}210gを秤取り、食用乳化剤(三菱化学
(株)商品名リョートーS−1170、ショ糖エステ
ル、HLB=11)20gを加え、これらを特殊機化工
業(株)のTKホモミキサーを用いて内容物を混合懸濁
させ、さらにホスフォリパーゼD{旭化成工業(株)社
製、放射線菌由来酵素活性10IU/mgのもの}4.
6mg、塩化カルシウム12g添加し、50℃で16時
間反応させた。反応終了後、反応懸濁液に塩化ナトリウ
ムを400g添加、20分かき混ぜてた後、30分静置
してホスファチジルセリン生成物を浮上させた。下層の
水溶液を分離除去し、残ったホスファチジルセリン生成
物を数回水で洗浄後、真空凍結乾燥機(0.002Pa
s、20℃、8時間)で乾燥してホスファチジルセリン
含有物(PS−A)175gを得た。このものは、やや
粘稠性のある粗い粉粒状の形状であった。前記の方法で
分析した結果、このホスファチジルセリン生成物中ホス
ファチジルセリン含量は20.6%であった。また、製
造例1により得られた反応物のリン脂質組成を表1に示
す。
【0016】製造例2;ホスファチジルセリン(PS−
B)の製造 内容積3リットルの反応釜にホスファチジルコリン(ナ
ッターマン社製 商品名ホスフォリポン100、濃度95%品)200g
に、精製水800mL、L−セリン{味の素(株)社
製}210gを秤取り、食用乳化剤{坂本薬品工業
(株)商品名、TS−310、グリセリン脂肪酸エステ
ルHLB=4のもの}20gを加えた後、これらを特殊
機化工業(株)のTKホモミキサーにて内容物を混合懸
濁させ、さらにホスフォリパーゼD{旭化成工業(株)
社製、放射線菌由来、酵素活性10IU/mgのも}
4.6mg、塩化カルシウム12g加え、50℃で22
時間反応させた。反応終了後、反応懸濁液に塩化ナトリ
ウムを400g添加、20分かき混ぜた後30分静置し
てホスファチジルセリン生成物を浮上させた。下層の水
溶液を分離除去し、残ったホスファチジルセリン生成物
を数回水で洗浄後、真空凍結乾燥機(0.002Pa
s、20℃、8時間)で乾燥して、ホスファチジルセリ
ン含有物(PS−B)166gを得た。このものは、や
や粘稠性のある粗い粉粒状の形状であった。前記の方法
で分析した結果、このホスファチジルセリン生成物中ホ
スファチジルセリン含量は71.2%であった。また、
製造例2により得られた反応物のリン脂質組成を表1に
示す。
【0017】
【表1】
【0018】注)用いた略号は次のとおりである。 PS;ホスファチジルセリン、 PC;ホスファチジルコリン、 PE;ホスファチジルエタノールアミン、 PI;ホスファチジルイノシトール、 PA;ホスファチジン酸。
【0019】実施例1〜6:300mlのガラスビーカ
ーに、表2に示したように製造例1、2で得られたホス
ファチジルセリン含有物(PS−A、PS−B)と中鎖
脂肪酸トリグリセリド(日本油脂(株)製商品名パナセ
ート810)を入れ、さらにエタノール(和光純薬工業
(株)製、エタノール純度99.5%)を加え、ポリト
ロン(キネマチカ社)を用いて25℃で外観が均一にな
るまでかき混ぜてホスファチジルセリン含有組成物を得
た。製造直後の粘度、製造5日後の粘度を前記の方法で
測定した。その結果をもとに、粘度変化率を算出した。
結果を表2に示す。
【0020】比較例1〜7:300mlのガラスビーカ
ーに、表3に示したように製造例2で得られたホスファ
チジルセリン含有物、大豆由来ホスファチジルエタノー
ルアミン(シグマ社製品)、中鎖脂肪酸トリグリセリド
(日本油脂(株)製商品名パナセート810)、DHA
油{ドコサヘキサエン酸(DHA)を脂肪酸の構成成分
として含む油(日本油脂(株)製、商品名、サンオメガ
DHA−27;DHA27%含有}、大豆油(日清製油
(株)製)を用いて、さらにエタノール(和光純薬
(株)、エタノール純度99.5)を加え、ポリトロン
(キネマチカ社)で25℃で10分間かき混ぜた。これ
らの混合物の粘度が非常に高く、完全に均質化すること
ができなかったものもあった。また、比較例1,2、
4,5については、調製直後において既に流動性を示さ
ず、粘度もB型粘度計の上限値である100000cp
を超えていた。調製後かろうじて流動性を示した比較例
3、6についてのみ25℃における粘度測定ができた。
結果を表3に示す。
【0021】実施例7〜9 実施例1〜3で調製したホスファチジルセリン含有組成
物を試料とし、ロータリーエバポレータを用いて、減圧
下(約0.02Pas)、50℃、120分脱エタノー
ルを行った。実施例1と同様に、エタノールの含量、製
造直後および5日後の粘度を測定した。また、得られた
粘度より粘度の変化率を求めた。結果を表4に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】表2から、実施例1〜6の本発明のホスフ
ァチジルセリン含有組成物が25℃で流動性を示し、い
ずれも製造直後の粘度が10000cps未満で、粘度
変化の値も1未満であることがわかる。また、表3か
ら、エタノールを用いずに調製した比較例1〜6は、流
動性が無いか低いかったが、また、ホスファチジルセリ
ン含有物とMCT油のみの配合である比較例7は、粘度
が高く流動性がないことがわかる。さらに従来技術のP
Sとホスファチジルエタノールアミンとを併用して混合
した比較例4、5、6では、粘度が高く流動性がないこ
とがわる。またさらに表4より、本発明のホスファチジ
ルセリン含有組成物を脱エタノール処理を行った実施例
7、8、9では、製造直後の粘度と5日後の粘度が比較
例1〜7に比べて低く、また粘度変化率も小さく、優れ
た品質であることがわかる。
【0026】実施例10;カプセル品 実施例 のホスファチジルセリン含有組成物の試料を内
容液として用いて、2重構造のノズルを有するカプセル
化機械を用いて、外側のカプセル材料の液組成が10%
ゼラチン溶液、塔内液がMCT油(パナセート810、
100%)を用いて5℃でカプセル化を行い、その後採
取して乾燥した。その結果、粒径5〜6mmのカプセル
が得られた。
【0027】比較例例8;カプセル品 比較例 のホスファチジルセリン含有組成物の試料を内
容液として用いて、実施例10と同様にを行なおうとし
たが、粘度が高く流動性がなく、カプセルの製造ができ
なかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/14 A61K 47/14 47/42 47/42 A61P 25/28 A61P 25/28 // A23L 1/30 A23L 1/30 Z Fターム(参考) 4B018 MD08 MD14 MD45 MD58 ME14 MF02 MF06 4C076 AA13 AA53 BB01 CC01 DD37E DD46A EE42H FF01 FF21 4C086 AA01 AA02 DA42 MA03 MA05 MA17 MA37 MA52 NA02 NA03 NA12 ZA15

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホスファチジルセリン含有物、中鎖脂肪酸
    トリグリセリド、エタノールを含有することを特徴とす
    るホスファチジルセリン含有組成物。
  2. 【請求項2】ホスファチジルセリン含有物5〜70重量
    %、中鎖脂肪酸トリグリセリド4〜70重量%、エタノ
    ール0.5〜60重量%である請求項1記載のホスファ
    チジルセリン含有組成物。
  3. 【請求項3】ホスファチジルセリン含有物/中鎖脂肪酸
    トリグリセリドの重量比が5〜70/4〜70でエタノ
    ールの含量が2重量%以下である請求項1記載のホスフ
    ァチジルセリン含有組成物。
  4. 【請求項4】25℃における粘度が100〜10000
    cpであり、かつ25℃における{(粘度測定後の5日
    後の粘度―粘度測定時の粘度)/粘度測定時の粘度}で
    表される粘度変化の値が1以下である請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載のホスファチジルセリン含有組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか1項に記載のホス
    ファチジルセリン含有組成物の製造方法であって、ホス
    ファチジルセリン含有物5〜70重量%、中鎖脂肪酸ト
    リグリセリド4〜70重量%、エタノール0.5〜60
    重量%を配合してなる混合物からを減圧下または常圧下
    で脱エタノール処理を行うことを特徴とする、ホスファ
    チジルセリン含有組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項4記載のホスファチジルセリン含有
    組成物を原料としてゼラチンで被覆してなるカプセル化
    物。
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