JP2003095942A - 脂肪細胞におけるグルコース取込阻害剤及びglut4トランスロケーション抑制剤、筋肉細胞におけるグルコース取込活性化剤並びに脂肪軽減飲食物 - Google Patents

脂肪細胞におけるグルコース取込阻害剤及びglut4トランスロケーション抑制剤、筋肉細胞におけるグルコース取込活性化剤並びに脂肪軽減飲食物

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JP2003095942A
JP2003095942A JP2001289463A JP2001289463A JP2003095942A JP 2003095942 A JP2003095942 A JP 2003095942A JP 2001289463 A JP2001289463 A JP 2001289463A JP 2001289463 A JP2001289463 A JP 2001289463A JP 2003095942 A JP2003095942 A JP 2003095942A
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inhibitor
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Iwao Sakane
巌 坂根
Takami Tsunoda
隆巳 角田
Hitoshi Ashida
均 芦田
Kazuki Kanazawa
和樹 金沢
Genichi Danno
源一 団野
Takashi Koyashiki
隆 古屋敷
Sayaka Terajima
さやか 寺嶋
Hiroyoshi Nagayasu
弘宜 永安
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Ito En Ltd
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Ito En Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 茶抽出物及びその含有成分がグルコースの取
込活性及びGLUT4の機能等に与える影響について研
究し、その成果に基づいて茶抽出物及びその含有成分の
新たな用途を提供せんとする。 【解決手段】 本発明は、カテキンガレート、ガレート
エステルを備えたカテキン、茶抽出物のいずれかを有効
成分とする脂肪細胞におけるグルコース取込阻害剤及び
インスリン刺激応答性グルコース取込阻害剤を提供す
る。脂肪細胞量を軽減することができ、肥満、肥満に伴
う様々な疾病の治療及び予防を図ることができる。更
に、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを逆に活性化
させ、過剰なグルコースを筋肉細胞に取り込ませて消費
し、血中糖濃度を高めることがなく、肥満防止に伴う倦
怠感なども無い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、茶(Camellia sinensi
s)を抽出して得られる茶抽出物及びその含有成分の新
たな用途、特にグルコースの取り込みにおける新たな用
途に関する。
【0002】
【発明の背景及び従来の技術】食生活が豊かになるにつ
れ、「肥満」は現代人が抱える最も深刻な悩みの一つと
なっている。肥満は、美容的に好ましくないばかりか、
糖尿病、動脈硬化、高トリアシルグリセロール血症、高
コレステロール血症、血栓症等疾患などの様々な疾病を
引き起こすことが知られている。
【0003】肥満は、脂肪細胞の分化・肥大、或いは脂
肪細胞数そのものの増加により生じるが、いずれの場合
にも“グルコースの取り込み”が深く関与している。
【0004】ところで、グルコースは極性物質であるた
め、血中から各細胞にグルコースが取り込まれるには輸
送担体(gulucose transporter:GLUT)が必要であ
る。現在9種類のGLUT(GLUT1〜9)がクロー
ニングされており、その中で生体内の糖・脂質代謝に大
きく関与する脂肪細胞にはGLUT1及びGLUT4が
発現している。その中でも特にGLUT4は脂肪細胞の
膜上におけるグルコースの取込活性に主要な役割を果た
している。
【0005】GLUT4は、インスリン感受型GLUT
と呼ばれ、通常は脂肪細胞及び筋肉細胞における細胞内
小胞に存在し、インスリンの刺激を受けると細胞膜上に
移行(トランスロケーション)しグルコースを取り込め
る状態とする。GLUT4のトランスロケーションは、
インスリンが受容体に結合し、受容体のβサブユニット
が自己リン酸化することが情報伝達の開始となり、その
後インスリン受容体基質(IRS)のリン酸化、ホスフ
ァチジルイノシトール3キナーゼの活性化、Akt/Protei
n KinaseBの活性化という経路を介して細胞内の小胞体
から細胞膜へのエキソサイトーシスにより、移行が完了
する。また、GLUT4は、筋肉細胞内により多くのグ
リコーゲンを移動させる働きを為し、運動選手は一般の
人よりもGLUT4が多いことが報告されている(「炭
水化物ローディングの最新知見」慶応義塾大学スポーツ
医学研究センター紀要 1996)。
【0006】以上の点から、本発明者は、茶抽出物及び
その含有成分がグルコースの取込活性及びGLUT4の
機能等に与える影響について研究した結果、様々な発見
を得ることができ、その成果に基づいて本発明を想到す
るに至ったものである。
【0007】ちなみに、茶抽出物の機能については、従
来、特開平06−80580号が、茶葉に含まれる多糖
類(リボース,アラビノース及びグルコース)を有効成
分とする血漿コレステロール低下剤を開示し、特開平1
0−158181号が、茶より抽出した植物エキスを含
有する脂肪分解促進剤は、全身あるいは局所の脂肪組織
の減少を促進して肥満体質の改善、肥満の抑制・防止に
効果を発揮する旨を開示し、特開平11−302168
号が、茶抽出物中のエピカテキンガレートを有効成分と
して含有するグルコース吸収阻害剤は、腸管でのグルコ
ース吸収を抑制し、肥満や糖尿病などの治療等に有効で
ある旨を開示している。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、カテキンガレ
ート、ガレートエステルを備えたカテキン、茶抽出物の
いずれかを有効成分とする脂肪細胞におけるグルコース
取込阻害剤及びインスリン刺激応答性グルコース取込阻
害剤を提案する。
【0009】本発明の有効成分を摂取すれば、脂肪細胞
におけるグルコースの取り込み、特にインスリン刺激に
よって高まるグルコース取り込みを抑制することがで
き、脂肪細胞量を軽減することができる。これによっ
て、脂肪過剰状態すなわち肥満、並びに肥満に伴う糖尿
病、動脈硬化、高トリアシルグリセロール血症、高コレ
ステロール血症、血栓症等疾患などの様々な疾病の治療
及び予防を図ることができる。更に、本発明の有効成分
は、脂肪細胞におけるグルコース取り込みを抑制するだ
けでなく、筋肉細胞におけるグルコース取り込みを逆に
活性化させ、過剰なグルコースを筋肉細胞に取り込ませ
て消費させることができるから、血中糖濃度を高めるこ
とがなく、肥満防止に伴う倦怠感などが無いばかりか、
逆に活動力の向上を図ることもできる。
【0010】脂肪細胞においてグルコース取込活性を阻
害する機序としては、脂肪細胞に存在するグルコース輸
送担体のトランスロケーションの抑制、或いはインスリ
ンレセプターヘの結合など様々な機構が考えられるが、
本研究では、本発明の有効成分はGLUT4のトランス
ロケーションを特異的に抑制することを解明した。そこ
で本発明は、カテキンガレート、ガレートエステルを備
えたカテキン、茶抽出物のいずれかを有効成分とする脂
肪細胞におけるGLUT4トランスロケーション抑制剤
を提案する。
【0011】また、本発明は、カテキンガレート、ガレ
ートエステルを備えたカテキン、茶抽出物のいずれかを
有効成分とする筋肉細胞におけるグルコース取込活性化
剤を提供する。かかる有効成分を摂取すれば、筋肉細胞
におけるGLUT4トランスロケーションを活性化し、
筋肉細胞におけるグルコースの取込活性を増大させるこ
とができ、その結果、筋肉細胞に多くのエネルギー源を
取り込ませ、筋肉細胞量を増大させることができる。よ
って、筋肉組織の活性化、肉体疲労軽減、運動能力の向
上、筋肉組織の増強・増大、引いては体質改造などに効
果的に用いることができる。したがって、カテキンガレ
ート、ガレートエステルを備えたカテキン、茶抽出物の
いずれかを有効成分とする筋肉細胞におけるGLUT4
トランスロケーション活性化剤、或いは筋肉活性化剤と
しても提供することができる。
【0012】上記本発明における有効成分としては、カ
テキンガレート、ガレートエステルを備えたカテキン、
茶抽出物のいずれかであればよいが、好ましくはガレー
トエステルを備えたカテキン、その中でも特にカテキン
ガレートは、いずれの発明においても高い効果を期待す
ることができ好ましいと言える。
【0013】本研究により、インスリン分泌の前後いず
れにおいて、本発明の有効成分を摂取しても、効果を得
ることができることが確認されているから、本発明の有
効成分は、食物摂取の前、食物摂取と同時、或いは食物
摂取後のいずれに摂取しても効果を得ることができる。
しかも、本発明の有効成分は、古くから日常的に愛飲さ
れ、誰でも安心して摂取できる茶に由来する成分である
から、長期間無理なくかつ安心して摂取することがで
き、慢性的な症状及び疾病の根本治療並びに予防、さら
には体質改善に特に効果的である。
【0014】なお、本発明のカテキンとは(-)-カテキン
の意であり、(-)の表示を省略してある場合には(-)-カ
テキンを意味する。例えば、カテキンガレートは(-)-カ
テキンガレートの意である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の「インスリン刺激応答性
グルコース取込阻害剤」、「脂肪細胞におけるグルコー
ス取込阻害剤」、「脂肪細胞におけるGLUT4トラン
スロケーション抑制剤」、「筋肉細胞におけるグルコー
ス取込活性化剤」、「筋肉細胞におけるGLUT4トラ
ンスロケーション活性化剤」、「筋肉活性化剤」はいず
れも、「茶抽出物」、「ガレートエステルを備えたカテ
キン」、或いは「カテキンガレート」を、適宜濃度で配
合することによって製造することができる。
【0016】「茶抽出物」は、茶(Camellia sinensis
の茶葉、茶芽、茶樹などを含む)を抽出して得られるも
のであり、茶生葉、紅茶やプアール茶等の発酵茶、ウー
ロン茶や包種茶等の半発酵茶、緑茶や釜煎り緑茶、ほう
じ茶等の不発酵茶のいずれか(単独)、又は、これらの
2種類以上の混合物を抽出して得られるもの、或いはそ
れぞれを抽出して得られたものの混合物を用いることが
できる。ただし、本発明の効果、例えばインスリン刺激
応答性グルコース取込阻害作用の点からすると、緑茶の
中でも番茶や玉露ではなくて煎茶、紅茶の中でもディン
ブラ及びウバではなくてヌアラ、ウーロン茶の中でも水
仙ではなく鉄観音及び色種を用いるのが好ましい。
【0017】また、「茶抽出物」は、茶を水、温水また
は熱水、好ましくは40℃〜100℃の温熱水、中でも
90〜100℃の熱水にて抽出して得られた抽出物、更
に好ましくはこの抽出物を樹脂吸着や限外濾過・逆浸透
濾過等の濾過或いは酢酸エチル等を使用した分配抽出な
どの精製手段によってカテキン、中でもガレートエステ
ルを備えたカテキン、その中でも(-)-カテキンガレート
の含有量を高める方向に精製して得られる茶抽出物、或
いはこれらの茶抽出物を濃縮或いは乾燥させた茶抽出エ
キスを挙げることができる。緑茶抽出物の好ましい一例
としては、緑茶を熱水抽出処理し、この抽出物を乾燥さ
せてカテキン濃度を約30%とした緑茶エキス(伊藤園
社製商品名:テアフラン30A)や、緑茶を熱水抽出処
理し、この抽出物をカテキン以外の成分を排除するため
にカラム法により処理し乾燥させて、茶ポリフェノール
濃度を約85〜95%とした緑茶エキス(伊藤園社製商
品名:テアフラン90S)などを例示することができ
る。
【0018】他方、「ガレートエステルを備えたカテキ
ン」とは、(-)-エピカテキンガレート、(-)-エピガロカ
テキンガレート、(-)-カテキンガレート、(-)-ガロカテ
キンガレートのいずれか、或いはこれらのいずれかの重
合体、或いはこれらのうちの二種類以上の共重合体、或
いはこれらのうちの二種類以上の混合物を包含するもの
であり、その中でも(-)-カテキンガレートを25%以上
含有するもの、更には単離した「(-)-カテキンガレー
ト」が好ましい。「ガレートエステルを備えたカテキ
ン」は、茶のほかにもコラ、大黄、リンゴ、モモ、ナ
シ、カカオ豆、柿しぶ等、数多くの植物中に存在してお
り、これらを抽出して得ることもできる。上記のカテキ
ン或いはそれらの混合物をレトルト殺菌すると、これら
カテキンの重合体や共重合体が生じることが知られてい
る。
【0019】上記「茶抽出物」、「ガレートエステルを
備えたカテキン」、「(-)-カテキンガレート」は、それ
ぞれ単独の有効成分として配合することが可能である
が、既に或いは将来的にインスリン刺激応答性グルコー
ス取込阻害作用、脂肪細胞におけるグルコース取込阻害
作用、脂肪細胞におけるGLUT4トランスロケーショ
ン抑制作用、筋肉細胞におけるグルコース取込活性化作
用、筋肉細胞におけるGLUT4トランスロケーション
活性化作用、或いは筋肉活性化作用が認められた材料と
混合してこれらを有効成分として配合することも有効で
ある。なお、単独の有効成分として配合する場合、例え
ば「茶抽出物」、「ガレートエステルを備えたカテキ
ン」、「(-)-カテキンガレート」をそれぞれ、精製水又
は生理食塩水などに溶解して薬剤(例えば経口投与剤、
腹腔内投与剤、脳内投与剤等)などとして提供すること
ができる。
【0020】本発明の「インスリン刺激応答性グルコー
ス取込阻害剤」、「脂肪細胞におけるグルコース取込阻
害剤」、「脂肪細胞におけるGLUT4トランスロケー
ション抑制剤」、「筋肉細胞におけるグルコース取込活
性化剤」「筋肉細胞におけるGLUT4トランスロケー
ション活性化剤」、「筋肉活性化剤」はいずれも、経口
投与剤または非経口投与剤(筋肉注射、静脈注射、皮下
投与、直腸投与、経皮投与、経鼻投与など)として使用
することができ、それぞれの投与に適した配合及び剤型
とするのが好ましい。剤型について言えば、例えば経口
投与剤用としては液剤、錠剤、散剤、顆粒、糖衣錠、カ
プセル、懸濁液、乳剤、丸剤などの形態に調製すること
ができ、非経口投与剤用としては注射剤、アンプル剤、
直腸投与剤、油脂性坐剤、水溶性坐剤などの形態に調製
することができる。配合(製剤)について言えば、通常
用いられている賦形剤、増量剤、結合剤、湿潤化剤、崩
壊剤、表面活性剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、
溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤
などを用いて常法により製造することができる。また、
例えば乳糖、果糖、ブドウ糖、でん粉、ゼラチン、炭酸
マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースまたはその塩、アラビアゴム、ポリエ
チレングリコール、シロップ、ワセリン、グリセリン、
エタノール、プロピレングリコール、クエン酸、塩化ナ
トリウム、亜硫酸ソーダ、リン酸ナトリウムなどの無毒
性の添加剤を配合することも可能である。
【0021】また、本発明の「インスリン刺激応答性グ
ルコース取込阻害剤」、「脂肪細胞におけるグルコース
取込阻害剤」、「脂肪細胞におけるGLUT4トランス
ロケーション抑制剤」、「筋肉細胞におけるグルコース
取込活性化剤」「筋肉細胞におけるGLUT4トランス
ロケーション活性化剤」、「筋肉活性化剤」はいずれ
も、医薬品のほか、医薬部外品、薬理効果を備えた健康
食品・健康飲料・特定保健用食品・機能性食品、その他
ヒト以外の動物に対する薬剤や飼料などとして提供する
こともできる。例えば、医薬部外品として調製し、これ
を瓶ドリンク飲料等の飲用形態、或いはタブレット、カ
プセル、顆粒等の形態とすることにより、より一層摂取
し易くすることができる。薬理効果を備えた健康食品・
健康飲料・特定保健用食品・機能性食品としては、例え
ば本発明の有効成分を、炭酸、賦形剤(造粒剤含む)、
希釈剤、或いは更に甘味剤、フレーバー、小麦粉、でん
ぷん、糖、油脂類等の各種タンパク質、糖質原料やビタ
ミン、ミネラルなどの飲食品材料群から選ばれた一種或
いは二種以上と混合したり、或いは、現在公知の飲食
品、例えばスポーツ飲料、果実飲料、乳飲料、茶飲料、
野菜ジュース、乳性飲料、アルコール飲料、ゼリー、ゼ
リー飲料、炭酸飲料、チューインガム、チョコレート、
キャンディ、ビスケット、スナック、パン、乳製品、魚
肉練り製品、畜肉製品、冷菓、乾燥食品、サプリメント
などに添加して製造することができる。中でも、糖類を
多く含んだ飲食物素材に「単離したカテキンガレート」
を添加してなる飲食物は、優れた脂肪軽減飲食物(言い
換えればダイエット飲食物)、筋肉活性化飲食物などと
して提供することができる。
【0022】本発明における有効成分の含有量は、使用
方法によっても異なるが、医薬品であれば、カテキン乾
燥重量換算にして0.001〜1重量%、特に0.01〜
0.5重量%配合するのが好ましく、飲食品であれば、
カテキン乾燥重量換算にして0.001〜1重量%、特
に0.01〜0.5重量%配合するのが好ましい。脂肪
軽減飲食物或いは筋肉活性化飲食物として調製する場合
には、単離したカテキンガレートを飲食品中に0.00
1〜1重量%配合し、カテキンガレート濃度を通常飲用
されるお茶の5倍〜500倍に調製するのが好ましい。
なお、摂取量としては、カテキン乾燥重量換算で一日に
10〜5000mg、好ましくは100〜1500mg
程度が好ましい。
【0023】<試験1>本試験では、緑茶抽出物をラッ
トに自由摂取させた時の糖代謝および脂質代謝の変化を
調べるため、血液成分および脂肪組織と筋肉組織でのグ
ルコースの取り込みの変化を調べた。
【0024】(ラットの飼育)試験には離乳直後のWist
ar系雄ラット(3週齢)を使用した。これらを5匹ずつ
2群に分け、一方の群には緑茶抽出物((株)伊藤園
製:“お〜いお茶”)を、もう一方にはコントロールと
してイオン交換水をそれぞれ3週間自由摂取させた。体
重、摂食量、および摂水量は毎日測定した。3週間後、
4時間絶食させたラットを麻酔し、心臓から採血した
後、開腹し脂肪組織および大腿筋を摘出して実験に用い
た。
【0025】(血漿成分の測定)採血した血液を遠心分
離により血球と血漿に分離した。得られた血漿を用いて
血糖値、トリアシルグリセロール量、遊離脂肪酸量、総
コレステロール量およびHDLコレステロール量を和光
純薬社製の測定キットを用いて測定した。
【0026】(脂肪組織および筋肉組織における3-O-Me
thyl-D-glucose(以下「3−OMG」という。)の取り
込み)ラットから脂肪組織および大腿部筋肉組織を摘出
後、細切し、約100mgの組織細片を5.5mMのグ
ルコースを含むKrebs-Ringer-Hepes buffer(KRH)
にて80分間インキュベートした。さらにグルコースを
含まないKRHに置き換えて15分間インキュベート
し、3Hでラベルした3−OMG(6.5mM、0.5
μCi)を30秒間取り込ませた。その後、0.3mM
フロレチンのKRH溶液で取り込みを停止させ、同溶液
で数回洗浄後、NCSII可溶化剤にて完全に溶解させ
た。溶解後、液体シンチレーションカウンターにて組織
内に取り込まれた3−OMG量を測定した。
【0027】<試験2>茶成分のグルコース輸送機構へ
およぼす影響を細胞レベルで調べるため、マウス由来の
前駆脂肪細胞である3T3−L1株細胞を脂肪細胞に分
化させ、これに「茶抽出物」あるいは「カテキン」を添
加した時のグルコースの細胞内への取り込み、およびG
LUT4のトランスロケーションについて調べた。
【0028】(茶抽出物の調製)「茶抽出物」として、
緑茶(煎茶(本山産)・玉露(朝比奈産)・番茶(静岡
産))、紅茶(ヌアラ・ウバ・ディンブラ)およびウー
ロン茶(鉄観音・色種・水仙)の抽出物をそれぞれ3
種、計9種を実験に用いた。なお、それぞれの茶抽出
は、茶葉10gに対して約90℃の熱湯200mlを加
え、適宜攪拌を加えながら10分間抽出し、抽出液をエ
バポレーターにより濃縮し、その後凍結乾燥させるよう
にして行った。
【0029】グルコースの取り込み実験には5mg/m
lとなるようにKRHに懸濁したものを、また、GLU
T4トランスロケーション実験には取り込み実験と同濃
度でPhosphate buffered saline(PBS)に懸濁した
ものをそれぞれ用いた。他方、「カテキン」として、カ
テキン(C)、エピカテキン(EC)、ガロカテキン
(GC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレ
ート(Cg)、エピカテキンガレート(ECg)、ガロ
カテキンガレート(GCg)、エピガロカテキンガレー
ト(EGCg)の計8種を用いた。これらは、10mM
となるようにジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解
したものを取り込み実験とGLUT4トランスロケーシ
ョン実験に用いた。
【0030】(前駆脂肪細胞株3T3−L1細胞の培養
および脂肪細胞への分化誘導)マウス由来の前駆脂肪細
胞株である3T3−L1細胞を、35mmまたは100
mmディッシュに播種し飽和状態になるまで培養した
後、脂肪細胞への分化誘導を行った。分化誘導は1μM
dexamethazone、0.5mM 3-isobuthyl-1-methylx
antine、10μg/mlインスリンおよび100μMア
スコルビン酸リン酸を添加したDMEM培地(10%牛
胎児血清(FBS)を含む)で細胞を3日間培養し、つ
いで10μg/mlインスリン、100μMアスコルビ
ン酸リン酸を含むDMEMで2日間培養した。その後、
10%FBSを含むDMEM培地で5〜8日間培養を続
け顕微鏡観察にて約90%の細胞が脂肪細胞に分化した
段階でぞれぞれの実験に使用した。
【0031】(3−OMGの細胞への取り込み)3T3
−L1細胞を35mmディッシュに播種し分化させた
後、あらかじめ無血清培地で18時間培養することで脱
感作を行った。茶抽出物およびカテキンの影響は、次に
示す2通りの方法を用いて調べた。1つ目の方法は、イ
ンスリンを与える前に茶抽出物(終濃度100μg/m
l)またはカテキン(50μM)を細胞に添加し15分
間、次いで100nMインスリンを15分間作用させた
後、 3Hでラベルした3−OMG(6.5mM、0.5
μCi)を30秒間取り込ませた。もう1つの方法は、
あらかじめ100nMインスリンを細胞に15分間添加
し、GLUT4をトランスロケーションさせた後、茶抽
出物を添加し、3H−3−OMGの取り込みを行った。
いずれの方法も、細胞への3H−3−OMGの取り込み
を30秒間とし、GLUTの阻害剤である0.3mMフ
ロレチンのKRH溶液で細胞をすばやく洗浄することで
反応を停止させた。さらに細胞を0.3mMフロレチン
のKRH溶液で3回洗浄し、0.5%SDS水溶液で可
溶化した後、液体シンチレーションカウンターで細胞内
に取り込まれた3Hの値を測定した。盲検として、3H−
3−OMGの非特異的な細胞への吸着をあらかじめフロ
レチンで取り込みを阻害した細胞を用いて同様に測定し
た。細胞内に取り込まれた3Hの値から盲検値を引いた
ものを真のグルコース取り込み量とした。
【0032】(細胞膜の調製およびウェスタンブロット
法によるGLUT4の検出)ウェスタンブロット法によ
るGLUT4の検出は、100mmディッシュに播種し
分化させた3T3−L1脂肪細胞に上記同様に脱感作
し、15分間の茶抽出物処理(前述の茶抽出物、すなわ
ち茶葉10gに対して約90℃の熱湯200mlを加
え、適宜攪拌を加えながら10分間抽出し、抽出液をエ
バポレーターにより濃縮し、その後凍結乾燥させて得た
茶抽出物を50μg/ml作用させた。)し、次いで1
5分間のインスリン刺激を行ったものを用いた。これら
の細胞をホモジナイズし、密度勾配超遠心分離法にて細
胞膜画分を調製した。得られた細胞膜画分のタンパク質
量を測定し、その1μgをSDS−PAGEに供してタ
ンパク質を分離した。分離後のタンパク質をPVDF
(ポリビニリデンジフルオリド)膜に転写し、5%スキ
ムミルクのTris-buffered saline-Tween(TBST:2
0mM Tris−HCl(pH8.0)、0.15M Na
Cl、0.05% Tween20)溶液でブロッキングし
た。メンブレンをTBSTで数回洗浄した後、一次抗体
として抗GLUT4抗体を、2次抗体としてホースラデ
ィシュパーオキシダーゼ標識した抗ヤギIgG抗体を反
応させた。メンブレン上の免疫複合体をECL plus化
学発光試薬と反応させ、X線フィルムに露光させること
でGLUT4を検出した。
【0033】(免疫沈降法によるインスリンレセプター
のリン酸化の検出)インスリンレセプター(IR)のリ
ン酸化への茶抽出物の影響は、100mmディッシュに
播種し分化させた3T3−L1脂肪細胞に上記と同様の
処理(15分間の茶抽出物処理(前述の茶抽出物、すな
わち茶葉10gに対して約90℃の熱湯200mlを加
え、適宜攪拌を加えながら10分間抽出し、抽出液をエ
バポレーターにより濃縮し、その後凍結乾燥させて得た
茶抽出物を50μg/ml作用させた。)し、次いで1
5分間のインスリン刺激)を行ったものを用いた。これ
らの細胞をRIPA buffer(50mM Tris−HCl
(pH8.0)、150mM NaCl、1%NP40、
0.5% deoxycholate、0.1%SDS)で溶解し全
抽出液を調製した。得られた抽出液はタンパク量を測定
し、1mg分のタンパク質を抗IR−β抗体で免疫沈降
させ、抗体と結合したIR−βサブユニットをprotein
A/G agaroseに吸着させた。遠心分離により抗体と結合
したIR−βサブユニットを回収し、SDS−PAGE
に供してタンパク質を分離後、1次抗体として抗ホスホ
チロシン抗体を用いたウェスタンブロット法に供した。
ウェスタンブロット法の手順は上記と同様に行い、2次
抗体としてホースラディシュパーオキシダーゼ標識した
抗ウサギIgGを使用した。
【0034】<結果および考察> (緑茶のラット体脂肪におよぼす影響について)動物個
体レベルでの茶抽出物の影響を調べるため、ラットに緑
茶を3週間自由摂取させ、血中成分の変化および脂肪組
織と筋肉組織におけるグルコースの取込活性の変化を調
べたところ、次のような結果を得た。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】(茶摂取によるラット脂肪組織重量の変
化)茶抽出物を摂取させたラット群とイオン交換水のみ
を自由摂取させたコントロール群との体重変化を比較す
ると、飼育期間中と屠殺直前のいずれにおいても有意な
差は認められなかった(図1、表1)。また、これら2
群間の摂食量と飲水量の変化も同様に認められなかった
(図2、表1)。これらのラットを屠殺後、組織重量を
測定したところ、有意差は認められなかったが脂肪組織
の重量が約15%減少した。一方、肝臓、脾臓、胸腺と
腎臓の重量には変化が認められなかった。また肉眼での
観察では、これらを含めて全ての臓器に異常は認められ
なかった。これらの結果から、茶抽出物の摂取でラット
の体重は変化せず、正常な成長期の動物に対してやせる
効果は認められないと判断した。しかし、脂肪組織の重
量が減少傾向を示した。このことは、茶抽出物は前駆脂
肪細胞の脂肪細胞への分化誘導を抑制する可能性と、分
化後の脂肪細胞の脂肪蓄積量を減少させる可能性とを示
唆するものである。
【0039】(茶摂取による血漿成分の変化)上記のラ
ットから分離した血漿成分を測定した。茶抽出物の摂取
による血糖値の変化は認められなかった。一方、茶抽出
物摂取時のトリアシルグリセロール量はコントロール群
に比べて約15%減少した(表2)。一方、遊離脂肪酸
量は35%、総コレステロール量、HDLコレステロー
ル量およびLDLコレステロール量はいずれも20%程
度有意に低下した。これらの結果は、生体内で茶抽出物
の成分が脂質代謝に影響を与えていることを示唆するも
のである。少なくとも、トリアシルグリセロールやコレ
ステロール代謝の主要臓器・組織が肝臓、脂肪組織及び
小腸であることから、これらの臓器・組織において茶抽
出物が脂質成分の吸収、あるいは合成・分解系の調節を
行っていることは明らかである。
【0040】(脂肪組織および筋肉組織におけるグルコ
ース取り込みに及ぼす茶の影響)脂肪組織および筋肉組
織での3H−3−OMG取り込みの変化を調べた結果、
茶摂取群ラットは、脂肪組織において3H−3−OMG
の取り込みを減少させる傾向にあり、筋肉組織では逆に
有意にその取り込みを増加させた(表3)。茶摂取群の
ラットの脂肪組織におけるグルコースの取り込みの減少
は、脂質重量の減少傾向(表1)と密接に関連すると考
えられる。また、表2で血糖値の上昇が認められなかっ
たことから、脂肪組織に取り込まれなかったグルコース
は筋肉やその他の組織に活発に取り込まれていると考え
られる。
【0041】(3T3−L1脂肪細胞のグルコース輸送
におよぽす茶抽出物の影響)上記結果から、茶抽出物の
摂取により脂肪組織重量が減少し、生体内で脂質代謝に
影響を与えることが示された。脂肪組織は糖から脂質の
生合成を担う場である。そこで、脂肪組織の糖輸送機構
が細胞レベルで茶成分によりどのような影響を受けるの
かを3T3−L1脂肪細胞株を用いて調べたところ、次
のような結果を得た。
【0042】(茶抽出物9種のグルコース取り込みにお
よぼす影響)脂肪細胞の3−OMG取り込みは、インス
リン刺激により約3倍に増加し、インスリン応答性のグ
ルコース輸送機構が、この細胞に存在することが確認で
きた。茶抽出物(100μg/ml)をインスリンより
も15分前に作用させたとき、この実験に用いた9種の
茶抽出物すべてがインスリン存在下における3−OMG
の取込活性を低下させた(図3)。インスリン非存在下
での3−OMGの取り込みを併せて測定したところ、ウ
ーロン茶は促進させる傾向を示した。インスリン存在下
での抑制効果が高かった茶抽出物のうち、煎茶に注目し
て抑制効果の濃度依存性を調べた(図4)。煎茶抽出物
は、インスリンよりも前に添加したとき、濃度依存的に
取り込みを減少させ、その効果は2μg/mlという低
濃度でも認められた。次に、あらかじめインスリン刺激
を与えた細胞で、煎茶抽出物の3−OMG取り込みへの
影響を調べた。煎茶抽出物(100μg/ml)は作用
時間1分までに、すみやかに、かつ経時的に取り込みを
減少させた(図5左)。また、作用時間1分での濃度依
存性を調べたところ、5μg/ml以上で取り込みを減
少させた(図5右)。以上のことから、茶抽出物は、イ
ンスリン刺激を与える前に添加しても、与えた後に添加
しても3−OMGの取り込みを抑制する効果があること
が明らかとなった。
【0043】(茶抽出物のGLUT4トランスロケーシ
ョンにおよぼす影響)脂肪細胞では、インスリンの刺激
によってGLUT4がトランスロケーション(移行)
し、グルコースの取り込み量が増大することから、茶抽
出物はこのトランスロケーションの情報伝達経路に作用
することが予想された。そこで、GLUT4のトランス
ロケーションに対する茶抽出物の影響、および最上流部
分であるIR−βサブユニットのリン酸化におよぼす茶
抽出物の影響を調べた。GLUT4のトランスロケーシ
ョンを調べたところ、インスリンは細胞膜上のGLUT
4タンパク質量を著しく増大させた。緑茶抽出物3種を
インスリン刺激前に作用させると、インスリンによるG
LUT4の細胞膜へのトランスロケーションを抑制した
(図6)。煎茶と玉露の抑制効果は番茶のそれよりも強
かった。また、紅茶ではヌアラが、ウーロン茶では色種
と水仙が同様の抑制効果を示し、紅茶のディンブラとウ
バ、およびウーロン茶の鉄観音はトランスロケーション
への影響はほとんど見られなかった。次に、煎茶抽出物
のIR−βサブユニットのリン酸化への影響を免疫沈降
法により調べたところ、煎茶を作用させた細胞は、コン
トロール細胞と同様にインスリンによってβサブユニッ
トのリン酸化は見られた(図7)。さらに、煎茶を作用
させた細胞ではIR・βサブユニットそのものの量もコ
ントロール細胞と同じであり、変化が認められなかっ
た。さらに、細胞の全タンパク質を用いてチロシン残基
のリン酸化を調べたところ、IR−βサブユニットの分
子量に相当する95kDa付近のバンドがインスリンに
よりリン酸化を受けた。しかし、煎茶抽出物によるリン
酸化程度の違いは認められなかった。以上の結果から、
煎茶抽出物はIRのリン酸化を変化させないことがわか
った。したがって、茶抽出物は、インスリンのレセプタ
ーヘの結合には影響を与えず、GLUT4のトランスロ
ケーションを特異的に抑制するということ、すなわち、
茶抽出物はインスリンへの初期シグナルを示すことなく
グルコース輸送を調節することが示唆された。
【0044】(カテキンのグルコース取り込みにおよぼ
す影響)茶抽出物が示すグルコースの取り込みとGLU
T4のトランスロケーションにおよぼす影響を比較する
と、茶の種類により挙動は異なることから、それぞれの
抽出物に含まれるカテキンなどの成分の組成や含有量の
違いがグルコース輸送機構の挙動変化に関与することが
考えられた。そこで8種のカテキンが3H−3−OMG
取り込みに及ぼす影響について調べたところ、次の結果
を得ることができた。カテキンのうち、ガレートエステ
ルを持つ4種のカテキン(Cg、ECg、GCg、EG
Cg)は、インスリン存在下でのグルコース取り込み量
を減少させ、他の4種(C、EC、GC、EGC)は減
少させなかった(図8)。抑制が認められた4種のう
ち、Cgの効果が最も強かった。これらのことから、茶
抽出物中のカテキン、特にガレートエステルを持つカテ
キン、中でも特にカテキンガレート(Cg)が3T3−
L1脂肪細胞のグルコース輸送機構に作用することが示
唆された。また、紅茶には重合物であるテアフラビンが
豊富に含まれているが、テアフラビン混合物について3
−OMGの取り込みを調べたところ、かなり強い抑制効
果が認められた。
【0045】<まとめ>茶抽出物をラットに摂取させる
と、体重は変化しないが脂肪組織重量は減少傾向を示し
た。脂肪組織は糖から脂質の生合成の場であり、糖輸送
活性が低下したり、リポタンパク質リパーゼやホルモン
感受性リパーゼなどの脂肪分解活性が増大したりすると
脂肪組織の重量減少につながる。脂肪の蓄積は、糖尿病
などの生活習慣病の発症に関与するため、茶抽出物の摂
取は生活習慣病の予防効果が期待できる。また、離乳直
後の正常ラット(3適齢)に茶を摂取させたことから、
脂肪組織重量の減少傾向は、糖輸送活性の抑制を介した
脂肪細胞の分化抑制による可能性が高い。茶抽出物が培
養細胞系でインスリン存在下でのグルコース輸送活性を
抑制することから、摂食に伴い血糖値が増加し膵臓β細
胞からのインスリンが増加した状態で、茶抽出物は脂肪
組織への糖輸送を抑制し過剰エネルギーの供給を防ぐこ
とが考えられた。一方、この抑制効果に伴い、高血糖に
なるという悪影響が予想されたが、茶摂取ラットでは血
糖値に変化は認められず、筋肉組織のグルコースの取り
こみが亢進していた。このことから、茶は過剰エネルギ
ーを運動器官に廻し、活動力の向上に作用していると考
えることができる。このことは、筋肉と脂肪組織は同じ
内胚葉から分化しており、ともにGLUT4を発現する
が、茶抽出物により、同じGLUTのアイソフォームが
異なる器官・組織において正反対の挙動を示すことを示
唆すものである。また、以上の効果をもらたす有効成分
としては、茶抽出物の中でもカテキン、特にガレートエ
ステルを持つカテキン、その中でも特にカテキンガレー
トが強い効果を発揮するものと認められた。
【0046】(実施例1)以下の処方で脂肪細胞におけ
るグルコース取込阻害剤、インスリン刺激応答性グルコ
ース取込阻害剤、脂肪細胞におけるGLUT4トランス
ロケーション抑制剤、筋肉細胞におけるグルコース取込
活性化剤、筋肉細胞におけるGLUT4トランスロケー
ション活性化剤、筋肉活性化剤のいずれかとしてのタブ
レットを作成した。
【0047】 茶抽出物(テアフラン90S又はテアフラン30A) … 120mg ビタミンC … 50mg 乳化オリゴ糖 … 90mg 造粒剤 … 60mg 結晶セルロース … 80mg 還元麦芽糖水飴 … 90mg スクロース … 100mg 香料 … 適量
【0048】(実施例2)以下の処方で、脂肪軽減飲食
物又は筋肉活性飲食物としての飲料を作成した。
【0049】 カテキンガレート … 50mg ビタミンC … 50mg 果糖ぶどう液糖 … 10g 水溶性食物繊維 … 500mg 香料 … 適量 イオン交換水 … 100mL
【図面の簡単な説明】
【図1】 試験1における茶抽出物摂取開始後のラット
の体重変化を経時的に示したグラフである。
【図2】 試験1におけるラットの摂食量及び摂水量の
変化を経時的に示したグラフである。
【図3】 試験2において様々な種類の茶抽出物を摂取
させた場合の脂肪細胞における3−OMG取込活性を示
したグラフである。
【図4】 試験2において、インスリン刺激前に緑茶抽
出物を摂取した場合の脂肪細胞における3−OMG取込
活性を示したグラフである。
【図5】 試験2において、インスリン刺激後に緑茶抽
出物を摂取した場合の脂肪細胞における3−OMG取込
活性を示したグラフである。
【図6】 試験2において、緑茶抽出物がGLUT4ト
ランスロケーションに及ぼす影響を示すX線フィルムの
写真である。
【図7】 試験2において、緑茶抽出物がインスリンレ
セプター(IR)のリン酸化に及ぼす影響を示すX線フ
ィルムの写真である。
【図8】 試験2において、各種カテキンを摂取した場
合の脂肪細胞における3−OMG取込活性を示したグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/06 A61P 3/06 3/10 3/10 7/02 7/02 9/10 101 9/10 101 // C07D 311/62 C07D 311/62 (72)発明者 芦田 均 兵庫県神戸市垂水区上高丸3丁目11−2− 54 (72)発明者 金沢 和樹 兵庫県神戸市東灘区向洋町中5丁目5 533−409 (72)発明者 団野 源一 兵庫県神戸市西区秋葉台3丁目45−34 (72)発明者 古屋敷 隆 愛知県瀬戸市北浦町一丁目23−9 (72)発明者 寺嶋 さやか 兵庫県神戸市垂水区星が丘3−1−12 (72)発明者 永安 弘宜 山口県徳山市上村293−1 Fターム(参考) 4B018 LB08 MD59 ME04 MF01 4C062 FF56 4C086 AA01 AA02 BA08 MA01 MA04 NA14 ZA45 ZA54 ZA70 ZC33 ZC35 4C088 AB45 AC05 BA09 BA32 NA14 ZA45 ZA54 ZA70 ZC33 ZC35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カテキンガレートを有効成分とする脂肪
    細胞におけるグルコース取込阻害剤。
  2. 【請求項2】 カテキンガレートを有効成分とするイン
    スリン刺激応答性グルコース取込阻害剤。
  3. 【請求項3】 カテキンガレート、ガレートエステルを
    備えたカテキン、茶抽出物のいずれかを有効成分とする
    脂肪細胞におけるGLUT4トランスロケーション抑制
    剤。
  4. 【請求項4】 カテキンガレート、ガレートエステルを
    備えたカテキン、茶抽出物のいずれかを有効成分とする
    筋肉細胞におけるグルコース取込活性化剤。
  5. 【請求項5】 単離したカテキンガレートを添加してな
    る脂肪軽減飲食物。
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