JP2003071963A - クーリング層積層構造 - Google Patents

クーリング層積層構造

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JP2003071963A JP2001263521A JP2001263521A JP2003071963A JP 2003071963 A JP2003071963 A JP 2003071963A JP 2001263521 A JP2001263521 A JP 2001263521A JP 2001263521 A JP2001263521 A JP 2001263521A JP 2003071963 A JP2003071963 A JP 2003071963A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水の散水や、人工的な水の供給等を行わなくて
も、クーリング効果が発揮され、夏期の冷房使用による
消費電力エネルギーを節約することができ、さらにその
クーリング効果が長期にわたり持続するような積層構造
を提供する。 【解決手段】水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有す
る吸放湿層上に、水蒸気透過性を有し、赤外線反射率が
20%以上であり、表面の水に対する接触角が70°以
下である透湿層を積層する。吸放湿層においては、例え
ば、(a)結合材、(b)多孔質無機粉体を含むことが
できる。さらに、(c)吸放湿性合成樹脂微粒子、
(d)架橋剤を含有することが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクーリング性を必要
とする部位、主として土木構造物や建築物の屋根や屋
上、外壁、内壁、天井などに適用することで、太陽光照
射時等の表面温度上昇時、特に夏期の日中においてもク
ーリング効果を発揮することができるクーリング層積層
構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、都市部において、コンクリート建
造物や冷房等から排出される人工放射熱などにより、都
市気候が作り出されている。特に夏期において都市部に
おける温度の上昇は著しく、そのため建物内の冷房使用
が頻繁になり、消費電力エネルギーが増加してしまう。
このような日射による蓄熱や、室内温度の上昇を抑制す
る方法の一つとして、水の蒸発潜熱を利用した方法が提
案されている。例えば、日射によって温度の上昇を生じ
た屋上や屋根に水を散水したり、さらにこれを持続させ
るために予めこれらの表面に吸水性物質等の保水体を被
覆しておいたりするものである。しかし、このような表
面の冷却方法は、人工的に保水体へ給水を行なうもの
で、新たに設備が必要となるためコストの面で大きな負
担となり、また、屋上や屋根の構造も変えるという煩雑
性を伴う問題があった。一方、近年、都心や都市近郊部
においては、自動車からの排出ガス等により、大気中に
油性の汚染物質が浮遊している状況である。そのような
油性の汚染物質が、建築物等の表面被膜に付着した場合
には、著しいすす状あるいはすじ状の汚染を生じ景観を
損うだけでなく、汚染物質の高い赤外線吸収能によって
汚染物質が蓄熱場として作用し、基材の温度上昇をまね
いていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
点に鑑みなされたもので、水の散水や、人工的な水の供
給等を行わなくても、冷却効果(以下、「クーリング効
果」ともいう。)が発揮され、夏期の冷房使用による消
費電力エネルギーを節約することができ、さらに、その
クーリング効果が長期にわたり持続するような積層構造
を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討の結
果、大気中の水蒸気を自律的に吸湿し、太陽光等による
熱によってその水分が気化し、太陽光等による熱量を水
の蒸発潜熱に置換することでクーリング効果を発揮する
ことができる積層構造に想到し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は以下の特徴を有するも
のである。 1.水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有する吸放湿
層上に、水蒸気透過性を有し、赤外線反射率が20%以
上であり、表面の水に対する接触角が70°以下である
透湿層を積層することを特徴とするクーリング層積層構
造。 2.吸放湿層が、(a)結合剤を固形分で100重量
部、(b)多孔質無機粉体を10〜600重量部含有す
ることを特徴とする1.に記載のクーリング層積層構
造。 3.吸放湿層が、さらに、(c)吸放湿性合成樹脂微粒
子を2〜100重量部含有することを特徴とする2.に
記載のクーリング層積層構造。 4.吸放湿層において、(a)が反応性官能基含有合成
樹脂結合剤を含み、(c)が反応性官能基含有吸放湿性
合成樹脂微粒子であり、さらに、(d)該官能基と反応
可能な官能基を有する架橋剤を含有することを特徴とす
る3.に記載のクーリング層積層構造。 5.(b)が比表面積100m/g以上の多孔質無機
粉体であることを特徴とする2.〜4.のいずれかに記
載のクーリング層積層構造。 6.透湿層のJIS Z0208による透湿度が40g
/m・24H以上であることを特徴とする1.〜5.
のいずれかに記載のクーリング層積層構造。 7.透湿層が、(p)合成樹脂及び、(q)アルコキシ
シラン化合物を含有することを特徴とする1.〜6.の
いずれかに記載のクーリング層積層構造。 8.(q)が、(q−1)炭素数1〜3のアルコキシル
基と炭素数4〜12のアルコキシル基を含有するアルコ
キシシランの縮合物であることを特徴とする7.に記載
のクーリング層積層構造。 9.(q)が(q−2)繰り返し単位の炭素数が1〜4
のポリオキシアルキレン基と炭素数が1〜4のアルコキ
シル基を含有するアルコキシシランの縮合物であること
を特徴とする7.に記載のクーリング層積層構造。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態と
ともに詳細に説明する。
【0007】[吸放湿層]本発明における吸放湿層は、
水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有するものであ
る。
【0008】ここで水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性
とは、図1に示すように、相対湿度を横軸に、水蒸気吸
脱着量を縦軸にとった場合の吸脱着等温線で、吸着曲線
より脱離曲線が上側になることを意味するものである。
なお、この吸脱着等温線は、温度を一定(25℃に設
定)として相対湿度を低い状態から高い状態へ順次上げ
た後、再び低い状態へ戻すことによって得られ、吸放湿
層が単位重量当りに保持可能な水蒸気量を表すものであ
る。
【0009】具体的には、まず温度25℃、相対湿度4
0%の恒温恒湿器内に吸放湿層の重量が平衡になるまで
放置し、放置後の重量を測定する。次に同温度で湿度の
みを上昇させた恒温恒湿器内で同様の操作を行い、順次
段階的に湿度のみを上げながら相対湿度90%まで測定
を行う。その後、同温度下で湿度のみを段階的に下げな
がら同様の操作を繰り返し、重量を測定する。このよう
な測定により得られる各湿度における吸放湿層の重量か
ら水蒸気吸脱着量を算出することにより、水蒸気吸脱着
性を示す吸脱着等温線を得ることができる。
【0010】本発明では、このような水蒸気吸脱着性を
有することにより、大気中の水蒸気を吸着した吸放湿層
が、温度の上昇とともに水蒸気を脱離し、その際、水蒸
気の蒸発潜熱により吸放湿層から熱が奪われるため、温
度の上昇を抑えることができる。さらに、このヒステリ
シス特性によって、夜間等の温度の低い状態において大
気中の水蒸気を吸着し、温度が高い昼の間に脱離による
温度上昇の抑制効果を発揮することができる。
【0011】本発明における吸放湿層は、(a)結合剤
を固形分で100重量部、(b)多孔質無機粉体を10
〜600重量部 含有することが望ましい。
【0012】具体的に、(a)結合剤(以下「(a)成
分」という。)としては、(a−1)合成樹脂結合剤及
び/または(a−2)無機結合剤を使用することが望ま
しい。
【0013】(a−1)合成樹脂結合剤(以下「(a−
1)成分」という。)としては、例えば、エチレン樹
脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリ
コン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等の
水系、溶剤系の何れの樹脂も使用することができる。特
に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ
素樹脂から選ばれる1種または2種以上の樹脂を用いる
と耐久性を高めることができ、またエポキシ樹脂を用い
ると密着性を高めることができ好ましい。 (a−1)成分を用いることにより、可撓性を有する吸
放湿層を得ることができる。また、可撓性の程度は、樹
脂のガラス転移温度等を調整することにより、自由に変
えることができる。
【0014】(a−2)無機結合剤(以下「(a−2)
成分」という。)としては、例えば、ポルトランドセメ
ント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュ
セメント、白色セメント、焼石膏、コロイダルシリカ、
水溶性珪酸アルカリ金属塩等があげられ、これらの1種
または2種以上を使用することができる。 (a−2)成分を用いることにより、吸放湿層の厚みを
大きくすることが可能となる。また高い水蒸気吸脱着性
能を確保することも可能となる。
【0015】結合剤として(a−1)成分を含む場合、
(a−1)成分は反応性官能基含有合成樹脂結合剤であ
ることが望ましい。(a−1)成分の反応性官能基とし
ては、後述する架橋剤の官能基と反応可能であるものが
使用できる。このような官能基の組み合わせとしては、
例えば、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基
とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カ
ルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサ
ゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基と
ヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等があげられ
る。
【0016】本発明では(a−1)成分の反応性官能基
として、特に、カルボキシル基が好適に用いられる。カ
ルボキシル基含有合成樹脂結合剤は、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン
酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸等、及
びこれらのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金
属塩等のカルボキシル基含有モノマーを共重合すること
により得られる。これらモノマーは1種または2種以上
を使用することができる。
【0017】(b)多孔質無機粉体(以下「(b)成
分」という。)は、本発明吸放湿層にヒステリシス特性
を付与するために有効にはたらく成分である。(b)成
分を含有することにより、水の気化潜熱による温度上昇
抑制効果を長時間保持することができる。(b)成分と
しては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、硫酸ナトリ
ウム、アルミナ、活性炭、アロフェン等の粘土鉱物の多
孔質無機粉体を使用することができる。(b)成分とし
てはシリカゲル、ゼオライト、活性炭、アロフェンから
選ばれる1種以上が好ましく、この中でもシリカゲルが
最も好ましい。
【0018】(b)成分の比表面積は100m/g以
上(好ましくは200m/g以上、さらに好ましくは
300m/g以上)であることが望ましく、このよう
な比表面積を有することにより高いクーリング効果を発
揮させることが可能となる。なお、比表面積は、BET
法により測定される値である。(b)成分の混合量は
(a)成分の固形分100重量部に対して、10〜60
0重量部である。(b)成分の混合量が10重量部より
小さい場合は、十分な吸脱着性能、ヒステリシス特性を
得ることができない。600重量部を超えると吸放湿層
が脆くなりやすく、クラック発生のおそれが高くなる。
【0019】吸放湿層においては、上述の成分に加え、
さらに(c)吸放湿性合成樹脂微粒子(以下「(c)成
分」という。)を含有することが望ましい。(c)成分
を含有することにより、水蒸気吸脱着量を増加させ、水
蒸気吸脱着速度を高めることができる。(c)成分は吸
放湿性を有するものであるが、具体的には、温度20
℃、相対湿度45%における吸湿率が10wt%以上
(好ましくは20wt%以上、さらに好ましくは30w
t%以上)である吸放湿性合成樹脂微粒子を好適に用い
ることができる。なお、温度20℃、相対湿度45%に
おける吸湿率とは、試料を120℃にて1時間乾燥した
後、温度20℃、相対湿度45%の恒温恒湿器にて24
時間吸湿させたときの重量変化を測定することにより得
られる値であり、下記式により求めることができる。吸
湿率(wt%)={(吸湿後の重量−乾燥後の重量)/
乾燥後の重量}×100
【0020】(c)成分は、例えば、各種(メタ)アク
リル酸エステル類、アクリルアミド類、芳香族ビニル
類、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニル類等の単量体
の1種または2種以上を公知の方法により共重合して得
られるものであるが、水蒸気吸脱着性向上の点から、架
橋構造を有することが望ましい。このような架橋構造
は、重合段階における架橋性単量体の導入、重合後にお
ける架橋性化合物の導入等の方法により形成することが
できる。架橋性単量体としては、ジビニルベンゼン、エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビ
スアクリルアミド等、また、架橋性化合物としては、ヒ
ドラジン系化合物等を好適に用いることができる。
【0021】(c)成分は反応性官能基含有吸放湿性合
成樹脂微粒子であることが望ましい。このような反応性
官能基としては、(a−1)成分と同様のものが使用で
きるが、本発明では、特に、カルボキシル基が好適に用
いられる。(c)成分にカルボキシル基を導入する方法
としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル
基を有する単量体の単独重合あるいは共重合可能な他の
単量体との共重合による方法、(メタ)アクリロニトリ
ル等のシアノ基含有単量体を共重合した重合体に加水分
解処理を施す方法、アルケン、ハロゲン化アルキル、ア
ルコール、アルデヒド等の酸化による方法、等があげら
れる。(c)成分のカルボキシル基含有量は、1mmo
l/g以上であることが望ましい。
【0022】(c)成分の混合量は、(a)成分の固形
分100重量部に対して2〜100重量部、好ましくは
10〜40重量部である。この混合量が2重量部より小
さい場合は単位時間における水蒸気吸着性が低下する傾
向となる。100重量部を超えると吸放湿層が脆くなり
やすく、クラック発生のおそれが高くなる。(c)成分
の粒径は、特に限定されないが、0.1〜100μm程
度のものを使用することができる。
【0023】吸放湿層において、(a−1)成分として
反応性官能基含有合成樹脂結合剤を使用し、(c)成分
として反応性官能基含有吸放湿性合成樹脂微粒子を使用
する場合には、(a−1)成分及び(c)成分の反応性
官能基と反応可能な官能基を有する架橋剤(以下
「(d)成分」という。)を使用することが望ましい。
このような(d)成分が含まれることにより、架橋構造
が導入され、吸放湿層の強度が向上し、さらには優れた
水蒸気吸脱着性を発揮することができる。(d)成分
は、これらの官能基を一分子中に二個以上含むことが望
ましい。(d)成分の官能基としては、(a−1)成分
及び(c)成分と反応可能なものである限り限定されな
いが、本発明では特に、カルボキシル基と反応可能な官
能基であるカルボジイミド基、エポキシ基、アジリジン
基、オキサゾリン基等から選ばれる1種以上が好適に用
いられる。
【0024】(d)成分の具体例としては、例えば、カ
ルボジイミド基を含む架橋剤として、特開平10−60
272号公報、特開平10−316930号公報、特開
平11−60667号公報等に記載のもの等、エポキシ
基を含む架橋剤として、ポリエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリヒドロキシアルカンポリグリシジ
ルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、
ソルビトールポリグリシジルエーテル等、アジリジン基
を含む架橋剤として、2,2−ビスヒドロキシメチルブ
タノ―ル―トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオ
ネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレンウレア、
ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチ
レンウレア等、オキサゾリン基を含む架橋剤として、2
−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル
−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル
−2−オキサゾリン等の重合性オキサゾリン化合物を各
化合物と共重合可能な単量体と共重合した樹脂等があげ
られる。
【0025】吸放湿層においては、上記成分の他、各種
の添加剤、例えば、顔料、骨材、繊維、増粘剤、レベリ
ング剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分
散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を含むこと
もできる。
【0026】[透湿層]本発明における透湿層は、水蒸
気透過性を有し、赤外線反射率が20%以上で、表面の
水に対する接触角が70°以下の層である。本発明で
は、このような透湿層を積層することにより、吸放湿層
が外気や太陽光線に直接触れることがなくなり、吸放湿
層の劣化や汚染等を防止することができる。また、透湿
層が赤外線反射性を有することにより、被膜自体の蓄熱
を抑制することが可能となる。さらに、接触角が70°
以下であることにより、透湿層の表面に付着した汚染物
質が降雨等によって流れ落とされやすくなり、汚染物質
による蓄熱場の形成が防止され、被膜自体の温度上昇を
抑制することができ、且つ被膜表面の穴が汚染物質で塞
がれないことで、被膜の吸放湿能を低下させないように
することができるため、吸放湿効果が長期にわたり維持
できるようになる。
【0027】このような透湿層は、上述のような性質を
有するものであれば特に限定されず、例えば、各種の結
合剤、顔料、充填材、骨材、添加剤等から選ばれる成分
を適宜選択し、混合した組成物によって形成することが
できる。
【0028】具体的に、透湿層において、その被膜表面
を親水性にする方法としては、例えば、 水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等の親
水性基ないしは親水性セグメントとしてポリアルキレン
オキサイド、ポリオキサゾリン、ポリアミド等を有する
ポリマーを水系、溶剤系の結合剤として使用する。 水系、溶剤系の一般的な結合剤に、親水性を付与する
成分を配合する。等の方法があげられる。
【0029】このうち、の方法においては、結合剤と
して(p)合成樹脂(以下「(p)成分」という)、親
水性付与成分として(q)アルコキシシラン化合物(以
下「(q)成分」という)を含有する組成物が好適に用
いられる。(p)成分としては、例えば、エチレン樹
脂、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリ
コン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等の
水系、溶剤系の何れの樹脂も使用することができる。特
に、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系か
ら選ばれる1種または2種以上の樹脂を用いると耐候性
を高めることができ好ましい。
【0030】(q)成分は、被膜形成途上において被膜
の表面に局在化し、被膜表面を親水性にすることができ
るものである。本発明では、被膜表面への局在化のしや
すさと表面親水化の早期発現の点から、特に、(q)成
分として、(q−1)炭素数が1〜3のアルコキシル基
と、炭素数が4〜12のアルコキシル基を含有するアル
コキシシランの縮合物(以下、「(q−1)成分」とい
う。)、または、(q−2)繰り返し単位の炭素数が1
〜4のポリオキシアルキレン基と、炭素数が1〜4のア
ルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物(以
下、「(q−2)成分」という。)、を使用することが
望ましい。
【0031】(q−1)成分においては、アルコキシル
基が、炭素数1〜3と炭素数4〜12のものが混在して
いることにより、(p)成分との相溶性が飛躍的に向上
し、表面配向性に優れ、被膜物性の優れた被膜が形成で
きる。炭素数が1〜3のアルコキシル基のみの場合は、
(p)成分との相溶性、表面配向性が不十分となり、炭
素数が4〜12のアルコキシル基のみの場合は、耐汚染
性が低下する傾向となる。(q−1)成分は、該低縮合
物全体のアルコキシル基のうち、約5〜50当量%が炭
素数4〜12のアルコキシル基となるようにしたものが
(p)成分との相溶性、被膜の耐汚染性に優れるため好
ましい。
【0032】(q−1)成分の平均縮合度は4〜20で
あることが望ましい。平均縮合度が20より大きいもの
は、粘度上昇等により取り扱いが不便となり、平均縮合
度が4より小さいのものは、揮発性が高くなりやはり取
り扱いが不便となる。
【0033】このような(q−1)成分は、公知の方法
により製造することができるが、例えば、炭素数1〜3
のアルコキシル基を有するテトラアルコキシシラン縮合
物を、炭素数4〜12のアルコールでエステル交換反応
により変性する方法等があげられる。
【0034】(q−2)成分は、特に(p)成分が合成
樹脂エマルションである場合に好適に用いることができ
る。このような(q−2)成分は、合成樹脂エマルショ
ンとの相溶性が良好で、耐汚染性に優れた被膜を形成す
ることができる。(q−2)成分のアルコキシル基の炭
素数は1〜4である。炭素数が4を超えると、耐汚染性
が低下する傾向となる。ポリオキシアルキレン基の平均
分子量は、150〜2000であることが望ましい。平
均分子量が150未満の場合は、(p)成分との相溶性
が低下し、2000を超えると被膜の耐水性、強度等が
低下する傾向となる。また、(q−2)の平均縮合度は
1〜20であることが望ましい。平均縮合度が20を超
えると、取り扱いが不便になる。
【0035】(q−2)成分は、公知の方法により製造
することが可能であるが、例えば、アルコキシシラン縮
合物の1種または2種以上の混合物を、ポリオキシアル
キレン基含有化合物1種または2種以上でエステル交換
反応させる方法、カップリング剤を用いて付加反応させ
る方法等があげられる。
【0036】このような(q)成分は、(p)成分の樹
脂固形分100重量部に対して、SiO換算で1.0
〜50.0重量部、好適には2.0〜30.0重量部配
合することが望ましい。1.0重量部未満では被膜の親
水性が十分とならず耐汚染性に劣り、50.0重量部を
超えると、硬化被膜の外観が悪化したり、クラックが生
じるといった問題が発生しやすくなる。
【0037】ここでSiO換算とは、アルコキシシラ
ンやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完
全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ
(SiO)となって残る重量分にて表したものであ
る。一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反
応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらに
シラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反
応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行う
と、シリカ(SiO )となる。これらの反応は RO(Si(OR)O)R+(n+1)HO→n
SiO+(2n+2)ROH (Rはアルキル基を示す。nは整数。) という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシ
リカ成分の量を換算したものである。
【0038】本発明の透湿層では赤外線反射率が20%
以上、好ましくは50%以上であることが必要である
が、このような作用を発揮させる方法としては、赤外線
反射性の粉粒体を混入する方法が好適である。このよう
な赤外線反射性粉粒体としては、例えば、アルミニウム
フレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、アルミナ、無機系中空ビーズ、有機系中
空ビーズ等があげられる。このような粉粒体は、通常、
(p)成分の樹脂固形分100重量部に対し、10〜3
00重量部配合される。赤外線反射性粉粒体が10重量
部より少ない場合は、太陽光に対し十分な赤外線反射性
が得られず、温度上昇をまねいてしまう。300重量部
より多い場合は、透湿層にクラックが生じやすくなり、
赤外線反射性低下のおそれがある。なお、本発明におけ
る赤外線反射率は波長1μmの光に対する分光反射率を
測定することにより得られる値である。
【0039】透湿層の透湿度は、積層構造全体の吸放湿
作用と耐久性、耐候性、耐薬品性等の要求性能のバラン
スを考慮し適宜選択すればよいが、具体的には、JIS
Z0208による透湿度が40g/m・24H以上
であることが望ましい。透湿度がこのような値であれ
ば、吸放湿層の自律的な吸放湿作用を発揮させることが
できる。
【0040】[形成方法]本発明のクーリング層積層構
造は、クーリング効果を必要とする部位である、土木構
造物や建築物の屋根や屋上、外壁、内壁、天井などに適
用することができる。本発明における吸放湿層は、吸放
湿性塗料を塗付することにより形成してもよいし、予め
シート状、ボード状等の吸放湿性成形体に成形しておい
てもよい。このような吸放湿性塗料や吸放湿性成形体
は、吸放湿層に含まれる前述の成分を有するものであ
る。吸放湿層をシート状、ボード状等の成形体に成形す
る場合は、例えば、加圧成形、押出成形、鋳込み成形、
加熱圧縮成形、流し込み等の方法により製造することが
できる。この際、強度向上等のためにスレート板、押出
成形板、金属板、プラスチック板、コンクリート板、サ
イディングボード等の各種ボード類や、壁紙、織布、不
織布、セラミックペーパー、合成紙等の上に吸放湿層を
積層させることも可能である。また、ガラスメッシュ、
金属メッシュ等の各種メッシュ等を吸放湿層の表裏面に
積層したり、吸放湿層中に埋め込んだりすることもでき
る。同様に、透湿層は、透湿性塗料を塗付することによ
り形成してもよいし、予めシート状、ボード状等の透湿
性成形体に成形しておいてもよい。透湿層をシート状、
ボード状等の成形体に成形する場合は、透湿層の性能を
損わない限り、上述の吸放湿層と同様の方法を用いるこ
ともできる。
【0041】積層構造を形成する際の方法は特に限定さ
れないが、下記のいずれかの方法が好適である。 (1)吸放湿性塗料を塗付した後に、透湿性塗料を塗付
する方法。 (2)吸放湿性塗料を塗付した後に、透湿性成形体を貼
着する方法。 (3)吸放湿性成形体に、透湿性塗料を塗付する方法。 (4)吸放湿性成形体に、透湿性成形体を貼着する方
法。
【0042】上記(1)及び(2)の方法では、まず、
クーリング性を必要とする基材表面に吸放湿性塗料を塗
付する。このような基材としては、例えば、コンクリー
ト、モルタル、金属、プラスチック、あるいはスレート
板、押出成形体、サイディングボード等の各種ボード類
等があげられる。このような各種基材に対して吸放湿性
塗料を塗付する際には、基材に直接塗付してもよいし、
表面形状や密着性等を考慮して何らかの表面処理(シー
ラー、サーフェーサー、フィラー等による下地処理等)
を施した後に塗付してもよい。既に被膜が形成された基
材に適用することも可能である。塗付作業時には、例え
ば、圧送ポンプ、スプレー、ローラー、刷毛、コテ等を
用いることができる。
【0043】(1)の方法では、吸放湿性塗料の被膜を
形成した後、透湿性塗料を塗付する。この際、例えば、
スプレー、ローラー、刷毛、コテ等の塗装器具を用いる
ことができる。
【0044】(2)の方法では、吸放湿性塗料を塗付し
た後に、透湿性成形体を貼着する。このとき、吸放湿性
塗料が乾燥する前に透湿性成形体を貼着すれば、接着剤
や粘着剤を使用せずに積層構造を形成することができ
る。このようにすれば、吸放湿層の性能を十分に発揮さ
せることが可能となる。接着剤等を使用して貼着する場
合は、吸放湿層の性能が阻害されないように、水蒸気透
過性を有する接着剤等を使用することが望ましい。ま
た、水蒸気透過性を確保するために、点接着や線接着等
の手段を用いることもできる。透湿性成形体を貼着する
際には、釘、鋲、その他の各種固定具を使用することも
できる。
【0045】上記(3)及び(4)の方法では、予め積
層構造を形成させたものを、クーリング性を必要とする
部位に取り付けてもよいし、クーリング性を必要とする
部位に吸放湿性成形体を取り付けた後に、透湿層を積層
してもよい。
【0046】吸放湿性成形体を、クーリング性を必要と
する部位に取り付ける際には、釘、鋲、その他の各種固
定具を使用することができる。また、接着剤、粘着剤等
を介して基材表面に貼着することもできる。
【0047】(3)の方法では、吸放湿性成形体に、透
湿性塗料を塗付する。この際、例えば、スプレー、ロー
ラー、刷毛、コテ等の塗装器具を用いることができる。
【0048】(4)の方法では、吸放湿性成形体に、透
湿性成形体を貼着する。透湿性成形体を接着剤等を使用
して貼着する場合は、吸放湿層の性能が阻害されないよ
うに、水蒸気透過性を有する接着剤等を使用することが
望ましい。水蒸気透過性を確保するために、点接着や線
接着等の手段を用いることもできる。また、釘、鋲、そ
の他の各種固定具を使用することもできる。
【0049】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明
確にする。なお、吸放湿層、透湿層を形成するための組
成物においては表1に示す原料を使用した。
【0050】
【表1】
【0051】また、各試験は以下の方法によって行っ
た。
【0052】(水蒸気吸脱着性試験方法)まず、温度2
5℃、相対湿度40%の恒温恒湿器内に各試験体の重量
が平衡になるまで放置し、放置後の重量を測定した。次
に同温度で湿度のみを上昇させた恒温恒湿器内で同様の
操作を行い、順次段階的に湿度のみを上げながら相対湿
度90%まで測定を行った。その後、同温度下で湿度の
みを段階的に下げながら同様の操作を繰り返し、重量を
測定した。各湿度における試験体の重量から水蒸気吸脱
着量を算出することにより、水蒸気吸脱着性を示す吸脱
着等温線を得た。 (遮熱試験方法)まず、温度25℃、相対湿度90%の
恒温恒湿器内に各試験体の重量が平衡になるまで放置し
た。次に、250Wの赤外線ランプを用いて、赤外線を
試験体表面に360分間照射し、その裏面温度を測定し
た。次に、各試験体を大阪府茨木市で南向き45度傾斜
にて4ヵ月間屋外曝露した後に、同様の方法にて赤外線
を照射し、裏面温度を測定した。
【0053】(透湿度測定方法)JIS Z0208
「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に従っ
て試験を行った。なお、試験片としては、各組成物を乾
燥膜厚30μmに成膜させたものを用いた。 (接触角測定方法)厚さ0.5mmのアルミ板上に、乾
燥膜厚が30μmとなるように各組成物を塗付し、温度
25℃相対湿度55%下で14日間乾燥して被膜を形成
させた。得られた試験体を脱イオン水中に3時間浸漬
し、18時間乾燥させた後、CA−A型接触角測定装置
にて被膜表面の接触角を測定した。 (赤外線反射率測定方法)厚さ0.5mmのアルミ板上
に、乾燥膜厚が30μmとなるように各組成物を塗付
し、温度25℃相対湿度55%下で14日間乾燥して被
膜を形成させた。得られた試験体の赤外線反射率を、分
光光度計(島津製作所製「UV−3100」)により測
定した。ブランクとしては、硫酸バリウム微粉末を固め
た白板を用いた。
【0054】試験I 試験例1〜5は、合成樹脂結合剤を使用した各種吸放湿
層について試験を行ったものである。
【0055】(吸放湿層の水蒸気吸脱着性試験1)表1
に示した原料を使用して、表2に示した比率に従って各
原料を混合し、吸放湿性塗料を作製した(組成物1〜
5)。厚さ0.5mmのアルミ板上に、各吸放湿性塗料
を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付し、温度25
℃相対湿度55%下で14日間乾燥し被膜を形成させ
て、試験体を作製した。これらの試験体について水蒸気
吸脱着性試験を行った。結果を図2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】(試験例1)厚さ0.5mmのアルミ板上
に、組成物1を乾燥膜厚が500μmとなるように塗付
し、温度25℃相対湿度55%下で1日間乾燥して被膜
を形成させた後、表4に示す組成物Aを乾燥膜厚が30
μmとなるように塗付し、同条件下で14日間乾燥して
試験体を作製した。得られた試験体について、水蒸気吸
脱着性試験、および遮熱性試験を行った。
【0058】(試験例2)組成物1に代えて表2に示す
組成物2を使用した以外は、試験例1と同様にして試験
体を作製し、水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試験を
行った。 (試験例3)組成物1に代えて表2に示す組成物3を使
用した以外は、試験例1と同様にして試験体を作製し、
水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試験を行った。 (試験例4)組成物1に代えて表2に示す組成物4を使
用した以外は、試験例1と同様にして試験体を作製し、
水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試験を行った。 (試験例5)組成物1に代えて表2に示す組成物5を使
用した以外は、試験例1と同様にして試験体を作製し、
水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試験を行った。
【0059】(試験結果)各試験例(試験例1〜5)に
ついて、水蒸気吸脱着性試験を行った結果を図3に、遮
熱試験を行った結果を図4、図5に示す。試験例1〜4
の試験体では、優れた水蒸気吸脱着性、及び遮熱性を示
すことが認められたが、試験例5では、水蒸気吸脱着性
が低く、遮熱性においても不十分な結果となった。これ
らの結果より、試験例1〜4では、水の蒸発潜熱を利用
したクーリング機能が認められ、温度上昇を長時間抑制
できることが明らかとなった。また、架橋剤の混合によ
る効果も認められた。
【0060】試験II 試験例6〜10は、無機結合剤を使用した各種吸放湿層
について試験を行ったものである。
【0061】(吸放湿層の水蒸気吸脱着性試験2)表1
に示した原料を使用して、表3に示した比率に従って各
原料を混合し、吸放湿性塗料を作製した(組成物6〜1
0)。厚さ0.5mmのアルミ板上に、各吸放湿性塗料
を乾燥膜厚が2mmとなるように塗付し、温度25℃相
対湿度55%下で14日間乾燥し被膜を形成させて、試
験体を作製した。これらの試験体について水蒸気吸脱着
性試験を行った。結果を図6に示す。
【0062】(試験例6)厚さ0.5mmのアルミ板上
に、組成物6を乾燥膜厚が約2mmとなるように塗付
し、温度25℃相対湿度55%下で1日間乾燥して被膜
を形成させた後、表4に示す組成物Bを乾燥膜厚が30
μmとなるように塗付し、同条件下で14日間乾燥して
試験体を作製した。得られた試験体について、水蒸気吸
脱着性試験、および遮熱性試験を行った。
【0063】(試験例7)表3に示した組成物7を用い
た以外は、試験例6と同様にして試験体を作製し、試験
を行った。 (実施例8)表3に示した組成物8を用いた以外は、試
験例6と同様にして試験体を作製し、試験を行った。 (試験例9)表3に示した組成物9を用いた以外は、試
験例6と同様にして試験体を作製し、試験を行った。 (試験例10)表3に示した組成物10を用いた以外
は、試験例6と同様にして試験体を作製し、試験を行っ
た。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】(試験結果)各試験例(試験例6〜10)
について、水蒸気吸脱着性試験を行った結果を図7に、
遮熱試験を行った結果を図8、図9に示す。試験例6〜
9の試験体は、ヒステリシス特性を有する高い水蒸気吸
脱着性を示し、クーリング性能を発揮することができ
た。この中でも、特に試験例6〜8の試験体は、長時間
にわたり優れたクーリング性能を持続することができ
た。これに対し、試験例10の試験体は水蒸気吸脱着性
が低く、温度の上昇を抑制することが困難であった。
【0067】試験III 試験例11〜14は、各種透湿層について試験を行った
ものである。
【0068】(試験例11)厚さ0.5mmのアルミ板
上に、組成物1を乾燥膜厚が500μmとなるように塗
付し、温度25℃相対湿度55%下で1日間乾燥して被
膜を形成させた後、表4に示す組成物Bを乾燥膜厚が3
0μmとなるように塗付し、同条件下で14日間乾燥し
て試験体を作製した。得られた試験体について、水蒸気
吸脱着性試験、および遮熱性試験を行った。
【0069】(試験例12)組成物Bに代えて表4に示
す組成物Cを使用した以外は、試験例11と同様にして
試験体を作製し、水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試
験を行った。
【0070】(試験例13)組成物Bに代えて表4に示
す組成物Dを使用した以外は、試験例11と同様にして
試験体を作製し、水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試
験を行った。
【0071】(試験例14)組成物Bに代えて表4に示
す組成物Eを使用した以外は、試験例11と同様にして
試験体を作製し、水蒸気吸脱着性試験、および遮熱性試
験を行った。
【0072】(試験結果)各試験例(試験例11〜1
4)について、水蒸気吸脱着性試験を行った結果を図1
0に、遮熱試験を行った結果を図11、図12に示す。
試験例11は、曝露前後のいずれの遮熱性試験において
も優れた結果を得ることができた。試験例12は、曝露
前の遮熱性は良好であったが、曝露後に著しい温度上昇
が認められた。試験例13及び14は、曝露前後のいず
れの遮熱性試験においても不十分な結果となった。
【0073】
【発明の効果】本発明のクーリング層積層構造を建築物
の屋根、屋上、壁、天井等に適用すると、これらが夏期
における太陽光等の熱線によって蓄熱することを防止
し、建築物内部の温度上昇を抑制することができる。従
って、本発明の積層構造は夏期の冷房使用頻度を減少さ
せ、電力消費を節約することが可能となる。また、本発
明積層構造は既存の屋根、壁等に適用することができる
ため建築物の構造を大きく変える必要がなく、比較的容
易に施工することができ、改修工事を兼ねることもでき
る。また、本発明積層構造は、それ自体の温度上昇を抑
制することもできることから、温度上昇に起因する接着
不良等を防止することができる。吸放湿層あるいは透湿
層として、シート状物を用いた場合は、温度上昇による
シートの波打ち現象等を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水蒸気吸脱着性のヒステリシス特性を示すグラ
【図2】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ(組成物
1〜5)
【図3】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ(試験例
1〜5)
【図4】遮熱性試験結果を示すグラフ(試験例1〜5)
【図5】屋外曝露後の遮熱性試験結果を示すグラフ(試
験例1〜5)
【図6】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ(組成物
6〜10)
【図7】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ(試験例
6〜10)
【図8】遮熱性試験結果を示すグラフ(試験例6〜1
0)
【図9】屋外曝露後の遮熱性試験結果を示すグラフ(試
験例6〜10)
【図10】水蒸気吸脱着性試験結果を示すグラフ(試験
例11〜14)
【図11】遮熱性試験結果を示すグラフ(試験例11〜
14)
【図12】屋外曝露後の遮熱性試験結果を示すグラフ
(試験例11〜14)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/74 E04B 1/74 T E04F 13/18 E04F 13/18 A Fターム(参考) 2E001 DD04 FA04 FA16 FA18 HF04 HF11 2E110 AA01 AB02 AB03 AB04 AB22 AB23 GB42W 4D075 AE03 CA13 CA34 CA40 CA48 DA06 DB01 DB12 DB18 DB20 DB31 DC02 DC05 EA07 EA10 EA23 EB02 EB03 EB13 EB16 EB19 EB22 EB33 EB36 EB38 EB42 EC01 EC07 EC53 EC54 4F100 AA01A AA01H AB10 AH06B AK52B AL05A AR00A AR00B AS00A BA02 DE01A EH46 EH462 EJ86 EJ862 GB07 JB20B JD04B JD14A JD16A JJ10 JN06B YY00A YY00B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水蒸気吸脱着性がヒステリシス特性を有す
    る吸放湿層上に、水蒸気透過性を有し、赤外線反射率が
    20%以上であり、表面の水に対する接触角が70°以
    下である透湿層を積層することを特徴とするクーリング
    層積層構造。
  2. 【請求項2】吸放湿層が、(a)結合剤を固形分で10
    0重量部、(b)多孔質無機粉体を10〜600重量部
    含有することを特徴とする請求項1に記載のクーリング
    層積層構造。
  3. 【請求項3】吸放湿層が、さらに、(c)吸放湿性合成
    樹脂微粒子を2〜100重量部含有することを特徴とす
    る請求項2に記載のクーリング層積層構造。
  4. 【請求項4】吸放湿層において、(a)が反応性官能基
    含有合成樹脂結合剤を含み、(c)が反応性官能基含有
    吸放湿性合成樹脂微粒子であり、さらに、(d)該官能
    基と反応可能な官能基を有する架橋剤を含有することを
    特徴とする請求項3に記載のクーリング層積層構造。
  5. 【請求項5】(b)が比表面積100m/g以上の多
    孔質無機粉体であることを特徴とする請求項2〜4のい
    ずれかに記載のクーリング層積層構造。
  6. 【請求項6】透湿層のJIS Z0208による透湿度
    が40g/m・24H以上であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載のクーリング層積層構造。
  7. 【請求項7】透湿層が、(p)合成樹脂及び、(q)ア
    ルコキシシラン化合物を含有することを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載のクーリング層積層構造。
  8. 【請求項8】(q)が、(q−1)炭素数1〜3のアル
    コキシル基と炭素数4〜12のアルコキシル基を含有す
    るアルコキシシランの縮合物であることを特徴とする請
    求項7に記載のクーリング層積層構造。
  9. 【請求項9】(q)が(q−2)繰り返し単位の炭素数
    が1〜4のポリオキシアルキレン基と炭素数が1〜4の
    アルコキシル基を含有するアルコキシシランの縮合物で
    あることを特徴とする請求項7に記載のクーリング層積
    層構造。
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