JP2003064060A - 1−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法 - Google Patents
1−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法Info
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Abstract
フェニルピペラジンを収率よく工業的に容易に製造しう
る方法を提供すること。 【解決手段】式(I): 【化1】 で表わされるジオール化合物をクロロ化させ、得られた
式(II): 【化2】 で表わされるジクロロ化合物を単離せずにアンモニアと
反応させることを特徴とする式(III): 【化3】 で表わされる1−メチル−3−フェニルピペラジンの製
造方法。
Description
フェニルピペラジンの製造方法に関する。さらに詳しく
は、抗鬱剤として有用なミルタザピンの製造中間体とし
て好適に使用しうる1−メチル−3−フェニルピペラジ
ンの製造方法に関する。
合物である。従来、ミルタザピンの製造中間体として、
ピペラジン誘導体が知られている。ピペラジン誘導体の
製造方法としては、1−メチル−3−フェニルピペラジ
ンと、2−クロロ−3−シアノピリジンとをフッ化カリ
ウムの存在下で反応させる方法が知られている(特公昭
59−42678号公報)。
である1−メチル−3−フェニルピペラジンを製造する
方法としては、スチレンオキシドとN−メチルエタノー
ルアミンとを水中で反応させる方法(特公昭53−15
520号公報)や、2−フェニルピペラジンをヨウ化メ
チルでメチル化させる方法が知られている(米国特許第
4,772,705号明細書)。
生成し、カラム分離などの煩雑な処理を必要とするの
で、生産性の面で欠点があり、また後者の方法には、1
−メチル−3−フェニルピペラジンを高収率で得ること
ができず、また大量のアセトンを必要とするので、工業
的生産性に劣るという欠点がある。
て、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−2−
ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミンをクロロ化さ
せ、得られたN−(2−クロロエチル)−N−エチル−
2−クロロ−2−フェニルエチルアミンを造塩した後、
その塩とアンモニアとを反応させる、1−メチル−3−
フェニルピペラジンの製造方法が提案されている〔国際
公開第 01/23345 号パンフレット(2001)〕。
ェニルピペラジンを工業的規模で製造することができる
という優れた方法である。しかし、最近、1−メチル−
3−フェニルピペラジンをより簡便に製造しうる方法の
開発が望まれている。
術に鑑みてなされたものであり、煩雑な操作を必要とせ
ずに、1−メチル−3−フェニルピペラジンを収率よく
工業的に容易に製造しうる方法を提供することを目的と
する。
せ、得られた式(II):
アンモニアと反応させることを特徴とする式(III):
ペラジンの製造方法に関する。
用いられる式(I):
「ジオール化合物」という)は、具体的には、N−(2
−ヒドロキシエチル)−N−メチル−2−ヒドロキシ−
2−フェニルエチルアミンである。
1/23345 号パンフレット(2001)に記載されている方法に
より、容易に製造することができる。
ルエタノールアミンとを非プロトン性極性有機溶媒中で
反応させることにより、ジオール化合物を得ることがで
きる。
限定がないが、経済性および反応後の処理を考慮して、
通常、スチレンオキシド1モルに対して、0.8〜1.
2モル程度であることが好ましい。
ば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジン
−2−オン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げら
れ、これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いる
ことができる。これらの中では、ジメチルホルムアミド
および1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オンは、
本発明において好適に使用しうるものである。
定がないが、通常、スチレンオキシド100容量部に対
して300〜600容量部程度であることが好ましい。
50℃以上、好ましくは80℃以上であることが望まし
いが、あまりにも温度が高い場合には、副生成物が生成
するようになるので、120℃以下、好ましくは100
℃以下であることが望ましい。
い。通常、大気であってもよく、例えば、窒素ガスなど
の不活性ガスであってもよい。
〜5時間程度である。反応の終点は、例えば、ガスクロ
マトグラフィーなどで容易に確認することができる。
が得られるが、得られたジオール化合物は、反応溶液か
ら単離した後に、次工程のクロロ化に供してもよく、あ
るいは単離せずに、その反応溶液を次工程のクロロ化に
供してもよい。後者の方法は、ジクロロ化合物を収率よ
く得る観点から好ましい。
をクロロ化させる。ジオール化合物のクロロ化は、例え
ば、塩化チオニル、オキシ塩化燐、オキザリルクロリ
ド、ホスゲンなどのクロロ化剤を用いて行なうことがで
きる。クロロ化剤の量は、特に限定がないが、通常、ジ
オール化合物1当量あたり2〜3当量程度であることが
好ましい。
ール化合物のクロロ化は、例えば、クロロ化剤をトルエ
ン、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾ
リジン−2−オンなどの有機溶媒に溶解しておき、その
クロロ化剤の有機溶媒溶液と、前記で得られた反応溶液
とを混合し、適宜、攪拌することによって容易に行なう
ことができる。この場合、有機溶媒の量は、通常、クロ
ロ化剤100重量部に対して100〜500重量部程度
であることが好ましい。
は、特に限定がないが、通常、20〜50℃程度である
ことが好ましい。
時間は、特に限定がないが、通常、1〜12時間程度で
ある。また、クロロ化の終点は、例えば、ガスクロマト
グラフィーなどで容易に確認することができる。
ることにより、式(II):
「ジクロロ化合物」という)が得られる。ジクロロ化合
物は、具体的には、N−(2−クロロエチル)−N−メ
チル−2−クロロ−2−フェニルエチルアミンである。
溶液からジクロロ化合物を単離せずに、アンモニアとの
反応に供される。しかし、ジクロロ化合物とアンモニア
との反応の前に、反応溶液に含まれている不純物を有機
層に残し、生成したジクロロ化合物を水層に含有させる
ことにより、ジクロロ化合物から不純物を除去すること
が、高純度を有するジクロロ化合物を得る観点から好ま
しい。
ロロ化合物を含む反応溶液を水中に添加した後、有機層
と水層とを分離する方法が挙げられる。
化合物を抽出しうる量であれば特に限定がないが、通
常、抽出する疎水性有機溶媒の使用量を考慮してジクロ
ロ化合物を含む反応溶液100容量部に対して、20〜
150容量部、好ましくは30〜50容量部であること
が望ましい。また、水温は、ジクロロ化合物の分解を防
ぐ観点から、0〜30℃であることが好ましい。
は有機層に残り、また生成したジクロロ化合物は塩酸塩
として水層に移行する。
水層には、ジクロロ化合物を遊離塩基として抽出するた
めに、トルエン、モノクロロベンゼンなどの疎水性有機
溶媒を添加することが好ましい。疎水性有機溶媒の量
は、ジクロロ化合物を十分に抽出する観点から、水層1
00重量部に対して、30〜100重量部、好ましくは
40〜60重量部であることが望ましい。
び塩酸塩を十分に遊離塩基化し、ジクロロ化合物の分解
を防ぐ観点から、3〜7、好ましくは4〜5となるよう
に調整することが望ましい。水層のpHは、水層にアル
カリを添加することによって容易に調整することができ
る。アルカリとしては、例えば、0〜30℃の水酸化ナ
トリウム水溶液などを用いることができる。
収するが、ジクロロ化合物の収率をより一層高めるため
に、水層にトルエンなどの疎水性有機溶媒を添加し、水
層に残存しているジクロロ化合物を疎水性有機溶媒に抽
出し、その有機層を先に回収した有機層と合一させるこ
とが好ましい。
に供される。
記有機層に代表される反応溶液に吹き込んでもよく、あ
るいは水に溶解させたアンモニア水として反応溶液に添
加してもよい。アンモニアをアンモニア水として使用す
る場合には、アンモニア水におけるアンモニア濃度は、
通常、15〜28%程度であることが好ましい。アンモ
ニアの量は、ジクロロ化合物1モルに対して、5〜50
モル、好ましくは10〜20モルであることが、反応性
および経済性の観点から望ましい。
応させる際には、相間移動によって反応を促進させる観
点から、4級アンモニウム塩を使用することが好まし
い。4級アンモニウム塩としては、例えば、臭化テトラ
ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニ
ウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベン
ジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチル
アンモニウム、塩化トリカプリルメチルアンモニウム、
ヨウ化テトラブチルアンモニウムなどが挙げられ、これ
らは、単独でまたは2種以上を混合して用いることがで
きる。4級アンモニウム塩の量は、反応性および経済性
の観点から、ジクロロ化合物またはジクロロ化合物の塩
1モルに対して200mg〜30g、好ましくは1〜2
0gであることが望ましい。
る際の温度は、特に限定がないが、通常、10〜80
℃、好ましくは20〜50℃であることが望ましい。
〜10時間程度である。また、反応の終点は、例えば、
高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー
などで容易に確認することができる。
ペラジンを含む反応溶液を、例えば、酢酸エチル、トル
エン、エーテルなどで抽出し、蒸留などにより、有機溶
媒を除去することにより、該反応溶液から1−メチル−
3−フェニルピペラジンを単離することができる。
ルピペラジンは、ミルタザピンの製造中間体として有用
な化合物である。
オキサイド503.9g(4.19モル)を添加し、8
0〜85℃でN−メチルエタノールアミン286.4g
(3.81モル)を2時間17分間で滴下した。81〜
83℃で3時間攪拌し、ガスクロマトグラフィーで反応
終点を確認し、室温まで冷却した。
化合物がN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−
2−ヒドロキシ−2−フェニルエチルアミンであること
は、その一部を抽出したジオール化合物が以下の物性を
有することで確認することができた。
l3 )ppm:7.26−7.37(m,5H)、4.
73−4.77(m,1H)、3.66−3.67
(m,2H)、3.0−4.0(m,4H)、2.5−
2.7(m,4H)、2.37(S,3H)
ル368.8gを溶解した溶液に、先の反応溶液を3分
割した溶液565.1gを17〜23℃で滴下し、滴下
した溶液の容器をトルエン39gで洗浄し、前記溶液に
加えた。50〜53℃で2時間攪拌した。次に、反応溶
液を18〜23℃に冷却した後、別に水552gを入れ
た容器内に滴下し、水解した。トルエン58gで反応容
器を洗浄し、水解液に加えた。
600gを加え、得られた混合液に、10〜21℃の2
5重量%水酸化ナトリウム水溶液395gを約20分間
で滴下し、水層のpHを1.0とした。さらに10〜2
5℃の25重量%水酸化ナトリウム水溶液465gを約
30分間で混合液に滴下し、その水層のpHを4.6に
調整した。静置分液し、水層をトルエン393gで再度
抽出し、先の有機層と合一した。
合物がN−(2−クロロエチル)−N−メチル−2−ク
ロロ−2−フェニルエチルアミンであることは、一部を
塩酸塩としてNMRを測定して確認した。その測定結果
を以下に示す。
d6 )δppm:7.397−7.766(m,5
H)、5.82(bd,1H)、3.41−4.1
(m,6H)、2.908(s,3H)
7gに、臭化テトラブチルアンモニウム20.8gと2
8%アンモニア水784mLを加え、室温で先の有機層
を流入した。トルエン27gで有機層の容器を洗浄した
洗浄液を加えて混合した。
攪拌し、N−(2−クロロエチル)−N−メチル−2−
クロロ−2−フェニルエチルアミンが消失したことを確
認し、48重量%水酸化ナトリウム水溶液144gをそ
の混合溶液に流入し、45〜48℃で3時間攪拌した。
8重量%水酸化ナトリウム水溶液52gを流入し、30
分間攪拌した。その後、再度静置分液し、有機層を先の
有機層と合一した。静置し、下層に水層があればさらに
分液した。
離し、減圧下蒸留することにより、1−メチル−3−フ
ェニルピペリジン98.2gを得た。
ジンの沸点は、105〜116℃(0.4〜0.8kP
a)、N−メチルエタノールアミンからの収率は43.
9%であった。
ピペリジンのNMRは、以下のとおりであった。
z):1.8−1.9(br,1H)、1.95−2.
19(m,2H)、2.31(s,3H)、2.78−
3.15(m,4H)、3.84−3.89(m,1
H)、7.22−7.41(m,5H)
チルホルムアミド50mlに添加し、これに80℃でN
−メチルエタノールアミン14.3g(0.19モル)
を滴下した。80℃で3時間攪拌し、ガスクロマトグラ
フィーで反応の終点を確認し、冷却した。
gを添加し、10℃に冷却し、メシル酸18.2gを滴
下した。
たところ、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−ヒドロ
キシ−N−メチル−2−フェニルエチルアミンメシル酸
塩であることが確認された。
56.2g(0.19モル)を0〜30℃で滴下し、2
0〜30℃で6時間攪拌した。冷却後、反応溶液を水1
20ml中に18〜24℃の温度で滴下した。
溶液225gを20〜25℃の温度で滴下し、pHを
4.4に調整し、静置し、分液した。
し、10分間攪拌し、活性白土6gを添加し、15分間
攪拌した後、濾過し、トルエン21.7gで洗浄した。
トルエン溶液に、28〜38℃で11.6%塩化水素酢
酸エチル溶液60g(0.19モル)を滴下し、20〜
30℃で1時間攪拌した後、濾過し、トルエン87gで
洗浄し、45〜60℃で乾燥してN−(2−クロロエチ
ル)−N−メチル−2−クロロ−2−フェニルエチルア
ミン塩酸塩(ジクロロ化合物の塩酸塩)37.7gを得
た(収率73.7%)。
175モル)に、酢酸エチル100ml、臭化テトラブ
チルアンモニウム460mgおよび先に得られたジクロ
ロ化合物の塩酸塩20.1g(0.075モル)を添加
し、40〜45℃で3時間攪拌した。
45℃で酢酸エチル30mlで2回抽出し、有機層を合
わせた。その後、減圧下で蒸留して1−メチル−3−フ
ェニルピペラジン7.1gを得た(N−メチルエタノー
ルアミンからの収率39.6%)。
ば、従来の比較例1の方法と対比して、簡便な操作で収
率よく、1−メチル−3−フェニルピペリジンを製造す
ることができることがわかる。
を必要とせずに、ミルタザピンの製造中間体として有用
な1−メチル−3−フェニルピペラジンを収率よく工業
的に容易に製造することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 式(I): 【化1】 で表わされるジオール化合物をクロロ化させ、得られた
式(II): 【化2】 で表わされるジクロロ化合物を単離せずにアンモニアと
反応させることを特徴とする式(III): 【化3】 で表わされる1−メチル−3−フェニルピペラジンの製
造方法。 - 【請求項2】 式(II)で表わされるジクロロ化合物をp
H3〜7で疎水性有機溶媒に抽出する請求項1記載の1
−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法。 - 【請求項3】 疎水性有機溶媒がトルエンまたはモノク
ロロベンゼンである請求項1または2記載の1−メチル
−3−フェニルピペラジンの製造方法。 - 【請求項4】 スチレンオキシドとN−メチルエタノー
ルアミンとを非プロトン性極性有機溶媒中で反応させ、
得られた式(I)で表わされるジオール化合物をクロロ
化させる請求項1または2記載の1−メチル−3−フェ
ニルピペラジンの製造方法。 - 【請求項5】 スチレンオキシドとN−メチルエタノー
ルアミンとを非プロトン性極性有機溶媒中で反応させた
後、得られた式(I)で表わされるジオール化合物を単
離せずにクロロ化させる請求項4記載の1−メチル−3
−フェニルピペラジンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259177A JP2003064060A (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 1−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001259177A JP2003064060A (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 1−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003064060A true JP2003064060A (ja) | 2003-03-05 |
Family
ID=19086591
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001259177A Pending JP2003064060A (ja) | 2001-08-29 | 2001-08-29 | 1−メチル−3−フェニルピペラジンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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-
2001
- 2001-08-29 JP JP2001259177A patent/JP2003064060A/ja active Pending
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