JP2003057173A - 表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方法及び分析装置、並びに表面プラズモン共鳴センサチップ - Google Patents

表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方法及び分析装置、並びに表面プラズモン共鳴センサチップ

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JP2003057173A
JP2003057173A JP2001242668A JP2001242668A JP2003057173A JP 2003057173 A JP2003057173 A JP 2003057173A JP 2001242668 A JP2001242668 A JP 2001242668A JP 2001242668 A JP2001242668 A JP 2001242668A JP 2003057173 A JP2003057173 A JP 2003057173A
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JP
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signal
resonance
sample
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surface plasmon
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JP2001242668A
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Takaaki Munebayashi
孝明 宗林
Satoru Isomura
哲 磯村
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

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  • Physics & Mathematics (AREA)
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  • Biochemistry (AREA)
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  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折格子型の表面プラズモン共鳴センサチッ
プを用いた試料の分析において、センサチップの傾きに
よる検出シグナルの誤差を容易に補正できるようにして
正確な濃度分析を可能にする。 【解決手段】 表面プラズモン共鳴センサチップ1のセ
ンサ面1aに形成された共鳴領域8,9A〜9Eのうち
一部領域9A〜9Eを試料中の検出種と特異的に結合す
る結合物質10を固定化しない特定領域として設け、結
合物質10が固定化された反応領域8からのシグナルと
ともに特定領域9A〜9Eから得られるシグナルを用い
て分析を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモン共
鳴(SPR)を利用した試料の分析方法及び分析装置に
関し、特に、回折格子型のセンサチップ(表面プラズモ
ン共鳴センサチップ)を用いた分析方法及び分析装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におい
ては、化学種,生化学種又は生物種等の検出種を含む試
料流体の定量的及び/又は定性的な分析方法として、表
面プラズモン共鳴(SPR)を利用した分析方法が知ら
れている。表面プラズモン共鳴は、金属層に光が入射し
た場合に金属表面に誘起される表面プラズモン波が入射
光により生成されたエバネッセント波に共鳴して励起さ
れる現象である。表面プラズモン共鳴は入射光の波長及
び角度に依存しており、表面プラズモン共鳴が励起され
たときには、特定の入射角又は特定の波長を有する光成
分の光エネルギーが表面プラズモン波へ移行することに
より、対応する入射角又は波長を有する反射光が大きく
減少するという特徴がある。
【0003】表面プラズモン共鳴を起こすためには、特
定の表面プラズモン波を有する金属と、表面プラズモン
波と共鳴するエバネッセント波を誘起する光学構造とが
必要となる。エバネッセント波を誘起する光学構造とし
ては現在二つの構造が知られている。一つはプリズムの
全反射を利用した光学構造であり、もう一つは回折格子
を利用した光学構造である。なお、上記の金属にこれら
の光学構造を組み合わせた素子は一般に表面プラズモン
共鳴センサチップ(以下、単にセンサチップという)と
呼ばれている。
【0004】このようなセンサチップのうち、回折格子
型のセンサチップは、通常、図10に示すように表面に
凹凸形状(グレーティング)103を有する透明基体1
01上に金属層102を積層された構造になっている。
凹凸形状103上に金属層102が積層されることで金
属層102の表面にも凹凸形状104が現れ、この金属
層102の表面の凹凸形状104が回折格子として機能
する。この回折格子104が形成された金属層102の
表面には、特定の検出種と相互作用して特異的に結合す
る結合物質(リガンド,分子認識素子)106が塗布され
て固定化される。
【0005】図10に示すような回折格子型のセンサチ
ップ100において、照射光の照射により金属層102
に誘起される表面プラズモン波は、その波数をksp[k
sp=2π/λsp(波長)]とすると、次の式(数1)で
表される。
【0006】
【数1】
【0007】また、回折格子104の作用により生じる
エバネッセント波は、その波数をkev[kev=2π/λ
ev(波長)]とすると、次の式(数2)で表される。
【0008】
【数2】
【0009】なお、数1或いは数2において、ωは照射
光の角振動数、θは照射光の入射角、kgは回折格子1
04の格子定数、mは回折格子104による回折光の回
折次数、εm(ω)は金属層102の誘電率、nl(ω)
は金属層102の表面の媒質の屈折率を示している。上
記の数1,数2の関係を同一のグラフ上に表したものが
図11に示す分散関係図である。図中、曲線A1,A2
は照射光の各振動数ωと表面プラズモン波の波数ksp
の関係を示している。数1から明らかなように表面プラ
ズモン波は金属層102の表面の媒質の屈折率に依存し
ていることから、仮に媒質の屈折率が大きくなると照射
光の各振動数ωと表面プラズモン波の波数kspとの関係
は例えば曲線A1から曲線A2へと変化することにな
る。
【0010】一方、図中、直線B1,B2は照射光の各
振動数ωとエバネッセント波の波数kevとの関係を示し
ている。数2から明らかなように照射光の各振動数ωと
エバネッセント波の波数kevとの関係は入射角度θによ
り変化することから、仮に入射角度θが大きくなると照
射光の各振動数ωとエバネッセント波の波数kevとの関
係は例えば直線B1から直線B2へと変化することにな
る。
【0011】図11中、上記の曲線A1或いはA2と直
線B1或いは直線B2との交点が表面プラズモン共鳴が
起きる共鳴点を示し、その共鳴点に対応する波長及び入
射角が共鳴波長及び共鳴角度となる。この共鳴点では反
射光の強度は極小値を示す。上記のように結合物質10
6が固定化された金属層102の表面に試料を接触させ
ることにより、結合物質106に試料中の検出種が捕捉
されるが、結合物質106に検出種が捕捉されると金属
層102の表面の媒質の屈折率が変化する。そして、こ
の屈折率の変化の程度は、結合物質106に捕捉される
検出種の物質量、すなわち試料中の検出種の濃度の変化
に対応していることから、表面プラズモン共鳴が起きる
共鳴波長及び共鳴角度を調べることで、試料中の検出種
の濃度を分析することができる。具体的には、予め検出
種の濃度と共鳴波長及び共鳴角度との関係を示す検量線
を作成しておき、検出された共鳴波長及び共鳴角度をこ
の検量線に当てはめることで検出種の濃度を分析するこ
とができる。
【0012】共鳴点を検出する方法としては、入射角度
を変えずに入射波長を変化させる方法(波長スキャン)
と入射波長を変えずに入射角度を変化させる方法(角度
スキャン)の何れかの方法が一般的である。例えば、表
面プラズモン波の特性曲線が曲線A2にあり、照射光の
入射波長及び入射角度の初期値が点P1に対応している
場合には、波長スキャンでは、図11中に矢印C1で示
すように波長(角振動数ω)を直線B1に沿って変化さ
せていきながら反射光の強度を測定することにより、共
鳴点P2を検出することができる。また、角度スキャン
では、図11中に矢印C2で示すように波長(角振動数
ω)を一定とし、入射角度θを変化させて直線B1の傾
きを変化させていきながら反射光の強度を測定すること
により、共鳴点P3を検出することができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図12
(a)に示すようにセンサチップ100が垂直方向に傾
いている場合、実際のセンサチップ100への照射光の
入射角度は水平面に対する入射角度θにセンサチップ1
00の傾き角度βを加えた角度となる。この場合は、図
12(b)に示すようにエバネッセント波の特性線Bの
傾きが変化してしまい、表面プラズモン波との共鳴点が
ずれてしまう。
【0014】また、図13(a)に示すようにセンサチ
ップ100が照射光の照射方向に対して水平面内で傾い
ている場合には、見かけの回折格子104のピッチは、
傾き角度αの分だけ実際のピッチpよりも広がってしま
う。この場合は、数1における回折格子104の格子定
数kgが変化するため、図13(b)に示すようにバネ
ッセント波の特性線Bが平行移動してしまい、表面プラ
ズモン波との共鳴点がずれてしまう。
【0015】このため、センサチップ100が垂直方向
にも水平面内でも傾いていないものと仮定して共鳴波長
や共鳴角度を検出したのでは、これらの検出シグナルに
センサチップ100の傾きに伴う誤差が含まれてしまう
ため、試料中の検出種の濃度を正確に分析することはで
きない。このようなセンサチップ100の傾きの影響を
排除する方法としては、センサチップ100の垂直方向
への傾き角度βや水平面内での傾き角度αを考慮して検
出値を補正することが考えられる。しかしながら、通
常、検出シグナルに誤差があるとしても、それが垂直方
向への傾き角度βによるものなのか、水平面内での傾き
角度αによるものなのか、或いは垂直方向へも水平面内
でも傾いている場合に双方どの程度の影響があるのか特
定は困難であるため、センサチップ100の傾き角度
β,αを考慮して検出シグナルの補正を行うことは極め
て難しい。
【0016】また、上記の課題とは別に、近年、特開平
2000−121551号公報に開示されているよう
に、試料中の検出種の濃度をリアルタイムで測定する技
術が提案されている。特開平2000−121551号
公報に開示された技術はプリズム型のセンサチップに関
するものであるが、濃度未知の試料とともに濃度の異な
る複数の濃度既知の試料を別々にセンサ面に接触させた
状態で照射光を照射し、濃度既知の試料について表面プ
ラズモン共鳴が生じたときのシグナル(共鳴角度及び共
鳴波長)を検出してその検出結果から検量線を作成し、
作成した検量線に濃度未知の試料についての検出結果を
当てはめることで、濃度未知の試料の濃度をリアルタイ
ムに分析しようとするものである。このようなリアルタ
イム分析によれば、予め検量線を作成しておく必要がな
いので、極めて短時間で濃度分析を行うことができると
いう利点がある。
【0017】しかしながら、この技術では、濃度既知の
試料を複数常に備えている必要があるので装置構造が大
掛かりになってしまい、簡便にはリアルタイム分析を行
うことができない。また、この技術では濃度の異なる複
数の試料を収容するための収容部が必要になるが、この
技術を回折格子型のセンサチップに転用する場合、回折
格子型のセンサチップのセンサ面(金属層102の表
面)には、凹凸形状の回折格子104が形成されている
ため、収容部間のシール性を確保するための何らかの手
段が必要になるという課題もある。
【0018】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、その第1の目的は、回折格子型の表面プラズ
モン共鳴センサチップを用いて行う試料の分析におい
て、センサチップの傾きによる検出シグナルの誤差を容
易に補正できるようにして正確な濃度分析を可能にした
分析方法及び分析装置を提供することにある。また、そ
の第2の目的は、回折格子型の表面プラズモン共鳴セン
サチップを用いて行う試料の分析において、上記第1の
目的を達成するための手段と主要部を共通にする手段に
よって試料のリアルタイム分析を可能にした分析方法及
び分析装置を提供することにある。
【0019】そして、その第3の目的は、上記第1の目
的にかかる分析方法及び分析装置、及び第2の目的にか
かる分析方法及び分析装置に共通して好適に使用可能な
回折格子型の表面プラズモン共鳴センサチップを提供す
ることにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意検討した結果、発明者らは、表面プラズモン共鳴セ
ンサチップのセンサ面に形成された共鳴領域のうち一部
領域を試料中の検出種と特異的に結合する結合物質を固
定化しない特定領域として設け、上記結合物質が固定化
された反応領域からのシグナルとともに上記特定領域か
ら得られるシグナルを用いて分析を行うことで、上記の
第1の目的及び第2の目的を達成できることを見出し、
本発明を完成した。
【0021】まず、上記第1の目的を達成するため、本
発明の分析方法(第1の分析方法)は、試料と接するセ
ンサ面の近傍に金属層と回折格子とが設けられて、光の
照射により上記金属層の表面に誘起される表面プラズモ
ン波と上記回折格子の作用により生じるエバネッセント
波との共鳴現象が生じうる共鳴領域が上記センサ面に形
成され、上記共鳴領域のうちの一部反応領域に試料中の
検出種(化学種,生化学種又は生物種等)と特異的に結
合する結合物質(抗原抗体反応、相補的DNA結合、リ
セプター/リガンド相互作用、酵素/基質相互作用等の
相互作用によって検出種を捕捉できる物質)が固定化さ
れた回折格子型の表面プラズモン共鳴センサチップを用
いて行う試料の分析方法であって、以下のステップを実
行することを特徴としている。
【0022】すなわち、この第1の分析方法では、上記
センサ面に試料を接触させて光を照射する照射ステッ
プ、上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射
光のうち上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上
記反応領域での上記共鳴現象に相関するシグナル(共鳴
波長や共鳴角度等)を検出する第1検出ステップ、上記
センサ面からの反射光を受光し、受光した反射光のうち
上記共鳴領域内で且つ上記反応領域外の特定領域からの
反射光の強度に基づき、上記特定領域での上記共鳴現象
に相関するシグナルを検出する第2検出ステップ、所定
の標準条件下(例えば垂直方向や水平面内での傾きがゼ
ロの状態)における上記特定領域での上記共鳴現象に相
関する標準シグナルと今回検出された上記特定領域に対
応するシグナルとの比較に基づいて今回検出された上記
反応領域に対応するシグナルを補正する補正ステップ、
補正された上記反応領域に対応するシグナルに基づき上
記試料中の検出種の濃度を演算する濃度演算ステップを
実行する。
【0023】これにより、上記表面プラズモン共鳴セン
サチップが垂直方向や水平面内で傾いている場合でも、
上記特定領域において所定の標準条件下において得られ
た標準シグナルと今回検出されたシグナルとの比較に基
づいて、上記反応領域に対応するシグナルが補正される
ので、傾きによる誤差の影響をうけることなく、上記試
料中の検出種の濃度を正確に分析することが可能にな
る。なお、上記の各ステップは記載順に実行してもよ
く、同時に実行してもよい。特に、各ステップを同時に
実行する場合には、リアルタイムでシグナルを補正する
ことができるので、上記表面プラズモン共鳴センサチッ
プの設置状態が不安定で垂直方向や水平面内での傾斜角
度が変動しているような場合でも、正確な分析が可能に
なる。
【0024】上記の第1の分析方法は、以下の構成を有
する本発明の分析装置(第1の分析装置)を用いること
により実施することができる。この第1の分析装置は、
上記表面プラズモン共鳴センサチップをそのセンサ面に
試料を接触させた状態で保持手段により保持し、上記保
持手段により保持された状態の上記表面プラズモン共鳴
センサチップのセンサ面に向けて光照射手段により光を
照射し、上記センサ面からの反射光を受光手段により受
光するような装置構成を有している。
【0025】そして、さらに上記受光手段により受光し
た反射光から上記試料を分析するための手段として、第
1シグナル検出手段、第2シグナル検出手段、補正手
段、及び濃度演算手段を備えている。上記第1シグナル
検出手段は、上記受光手段により受光した反射光のうち
上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上記反応領
域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出する手段
であり、上記第2シグナル検出手段は、上記受光手段に
より受光した反射光のうち上記共鳴領域内で且つ上記反
応領域外の特定領域からの反射光の強度に基づき、上記
特定領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出す
る手段である。また、上記補正手段は、所定の標準条件
下における上記特定領域での上記共鳴現象に相関する標
準シグナルと上記第2シグナル検出手段で検出されたシ
グナルとの比較に基づいて上記第1シグナル検出手段で
検出されたシグナルを補正する手段であり、上記濃度演
算手段は、上記補正手段により補正されたシグナルに基
づき上記試料中の検出種の濃度を演算する手段である。
【0026】なお、上記の第1の分析方法において、好
ましくは、上記表面プラズモン共鳴センサチップとして
上記特定領域が複数箇所設けられた表面プラズモン共鳴
センサチップを用いる。そして、上記補正ステップにお
いて、各特定領域に対応する標準シグナルと今回検出さ
れた各特定領域に対応するシグナルとの比較に基づいて
今回検出された上記反応領域に対応するシグナルを補正
するようにする。このように複数の特定領域から得られ
るシグナルに基づき上記反応領域に対応するシグナルを
補正することで、補正の精度を高めてより正確に分析を
行うことが可能になる。この場合、上記の第1の分析装
置にかかる補正手段は、各特定領域に対応する標準シグ
ナルと上記第2シグナル検出手段で検出されたシグナル
との比較に基づいて上記第1シグナル検出手段で検出さ
れたシグナルを補正するように構成すればよい。
【0027】また、より好ましくは、上記表面プラズモ
ン共鳴センサチップとして上記の各特定領域が同一条件
下においてそれぞれ異なるシグナルを示すように形成さ
れた表面プラズモン共鳴センサチップを用いる。そし
て、上記補正ステップにおいて、各特定領域に対応する
標準シグナルと今回検出された各特定領域に対応するシ
グナルとに基づいて上記標準条件下で得られるシグナル
と今回の条件下で得られるシグナルとの対応関係を求
め、上記対応関係に基づいて今回検出された上記反応領
域に対応するシグナルを補正するようにする。このよう
に上記標準条件下で得られるシグナルと今回の条件下で
得られるシグナルとの対応関係に基づき上記反応領域に
対応するシグナルを補正することで、補正の精度をさら
に高めることが可能になる。この場合、上記の第1の分
析装置にかかる補正手段は、各特定領域に対応する標準
シグナルと上記第2シグナル検出手段で検出されたシグ
ナルとに基づいて上記標準条件下で得られるシグナルと
今回の条件下で得られるシグナルとの対応関係を求め、
上記対応関係に基づいて上記第1シグナル検出手段で検
出されたシグナルを補正するように構成すればよい。
【0028】一方、上記第2の目的を達成するため、本
発明の分析方法(第2の分析方法)は、第1の分析方法
と同様に試料と接するセンサ面の近傍に金属層と回折格
子とが設けられて、光の照射により上記金属層の表面に
誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作用によ
り生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じうる共鳴
領域が上記センサ面に形成され、上記共鳴領域のうちの
一部反応領域に試料中の検出種と特異的に結合する結合
物質が固定化された回折格子型の表面プラズモン共鳴セ
ンサチップを用いて行う試料の分析方法であって、以下
のステップを実行することを特徴としている。
【0029】すなわち、この第2の分析方法では、上記
センサ面に試料を接触させて光を照射する照射ステッ
プ、上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射
光のうち上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上
記反応領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出
する第1検出ステップ、上記センサ面からの反射光を受
光し、受光した反射光のうち上記共鳴領域内で且つ上記
反応領域外の特定領域からの反射光の強度に基づき、上
記特定領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出
する第2検出ステップ、予め記憶された上記反応領域に
対応するシグナルが上記特定領域に対応するシグナルに
一致するときの上記試料中の検出種の濃度情報と、今回
検出された上記反応領域に対応するシグナルと上記特定
領域に対応するシグナルとの対応関係とに基づき現在の
上記試料中の検出種の濃度を演算する濃度演算ステップ
を実行する。
【0030】これにより、上記反応領域に対応するシグ
ナルが示す上記試料中の検出種の濃度が今回検出された
上記特定領域に対応するシグナルを利用して演算される
ので、濃度既知の試料を用意することなく簡便に試料の
リアルタイム分析を行うことが可能になる。なお、上記
の各ステップは記載順に実行してもよく、同時に実行し
てもよい。特に、各ステップを同時に実行する場合に
は、試料中の検出種の濃度変化、すなわち、試料中の検
出種が結合物質に結合していく様子をリアルタイムでモ
ニタすることが可能になる。
【0031】上記の第2の分析方法は、以下の構成を有
する本発明の分析装置(第2の分析装置)を用いること
により実施することができる。この第2の分析装置は、
上記の第1の分析装置と同様、上記表面プラズモン共鳴
センサチップをそのセンサ面に試料を接触させた状態で
保持手段により保持し、上記保持手段により保持された
状態の上記表面プラズモン共鳴センサチップのセンサ面
に向けて光照射手段により光を照射し、上記センサ面か
らの反射光を受光手段により受光するような装置構成を
有している。
【0032】そして、さらに上記受光手段により受光し
た反射光から上記試料を分析するための手段として、第
1シグナル検出手段、第2シグナル検出手段、記憶手
段、及び濃度演算手段を備えている。上記第1シグナル
検出手段は、上記受光手段により受光した反射光のうち
上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上記反応領
域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出する手段
であり、上記第2シグナル検出手段は、上記受光手段に
より受光した反射光のうち上記共鳴領域内で且つ上記反
応領域外の特定領域からの反射光の強度に基づき、上記
特定領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出す
る手段である。また、上記記憶手段は、上記反応領域に
対応するシグナルが上記特定領域に対応するシグナルに
一致するときの上記試料中の検出種の濃度を予め記憶し
た手段であり、上記濃度演算手段は、上記第1シグナル
検出手段で検出されたシグナルと上記第2シグナル検出
手段で検出されたシグナルとの対応関係と上記記憶手段
に記憶された上記特定領域に対応する濃度情報とに基づ
き現在の上記試料中の検出種の濃度を演算する手段であ
る。
【0033】なお、上記の第2の分析方法において、好
ましくは、上記表面プラズモン共鳴センサチップとして
上記特定領域が複数箇所設けられ、且つ各特定領域が同
一条件下においてそれぞれ異なるシグナルを示すように
形成された表面プラズモン共鳴センサチップを用いる。
そして、上記反応領域に対応するシグナルが上記各特定
領域に対応するシグナルに一致するときの上記試料中の
検出種の各濃度に関する情報を予め記憶しておき、上記
濃度演算ステップにおいて、今回検出された上記各特定
領域に対応するシグナルと予め記憶された上記各特定領
域に対応する濃度情報とに基づいて検量線を作成し、上
記検量線に今回検出された上記反応領域に対応するシグ
ナルを当てはめることにより現在の上記試料中の検出種
の濃度を演算するようにする。このように検出した上記
各特定領域に対応するシグナルに基づき検量線を作成
し、作成した検量線を用いて現在の上記試料中の検出種
の濃度を演算することで、より正確なリアルタイム分析
が可能になる。この場合、上記の第2の分析装置にかか
る記憶手段には、上記反応領域に対応するシグナルが上
記各特定領域に対応するシグナルに一致するときの上記
試料中の検出種の各濃度に関する情報を予め記憶してお
き、上記濃度演算手段は、上記第2シグナル検出手段で
検出された上記各特定領域に対応するシグナルと上記記
憶手段に記憶された上記各特定領域に対応する濃度情報
とに基づいて検量線を作成し、上記検量線に上記第1シ
グナル検出手段で検出されたシグナルを当てはめること
により現在の上記試料中の検出種の濃度を演算するよう
に構成すればよい。
【0034】そして、上記第3の目的を達成するため、
本発明の表面プラズモン共鳴センサチップは、上記の回
折格子型の表面プラズモン共鳴センサチップであって、
特に、試料中の検出種と特異的に結合する結合物質が固
定化された反応領域に加えて、所定の標準条件下におい
て照射された照射光の入射波長と上記共鳴現象が生じる
入射角度との間に所定の対応関係を生じさせ、且つ、照
射光の照射領域に応じて異なる対応関係を生じさせるよ
うに形成された標準領域を上記共鳴領域に備えたことを
特徴としている。
【0035】このような構成により、上記センサ面に光
を照射した場合には、上記標準領域からは照射光の入射
条件に応じた所定のシグナルが検出され、且つ、照射光
の照射領域に応じて異なるシグナルが検出される。した
がって、上記標準領域を上記特定領域として利用するこ
とで、上記の第1の分析方法及び分析装置においては、
高い精度で上記反応領域に対応するシグナルの誤差を補
正することができ、上記の第2の分析方法及び分析装置
においては、各照射領域からのシグナルに基づき検量線
の作成を可能にしてより正確なリアルタイム分析が可能
になる。
【0036】なお、照射光の照射領域に応じて上記の異
なる対応関係を生じさせるようにするには、上記標準領
域内に設けられた上記回折格子の形状、及び上記金属層
の厚み、材質のうち少なくとも一つの要素を領域に応じ
て変更すればよい。この場合、好ましくは上記標準領域
を独立した複数の標準スポットから構成し、上記標準ス
ポット毎に上記の少なくとも一つの要素を変更する。或
いは、上記標準領域を連続した単一の領域から構成し、
上記標準領域上の位置に応じて上記の少なくとも一つの
要素を変更すればよい。上記回折格子の形状としては、
溝ピッチ(周期:凹凸の凸から隣接する凸までの距離)、
溝深さ(頂から谷底までの距離)、溝方向等があるが、好
ましくは上記回折格子のピッチによって上記対応関係を
制御するようにする。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。 (A)実施形態 まず、図1を用いて本発明の一実施形態にかかるセンサ
チップ(表面プラズモン共鳴センサチップ)1の構成に
ついて説明する。図1に示すように本実施形態にかかる
センサチップ1は、その表面(センサ面)1aを金属層
3により被覆され、金属層3上の複数のスポット(測定
点)8,9A〜9Eに回折格子6,7A〜7Eが部分的
に形成されている。
【0038】この構造によれば、照射光がセンサチップ
1のセンサ面1aに照射されると、照射光はセンサ面1
a上の回折格子6,7A〜7Eが形成された各個所にお
いて回折し、この回折現象によりエバネッセント波が生
じる。また、照射光が金属層3に作用することにより金
属層3の表面に表面プラズモン波が発生する。そして、
特定の波長及び入射角の励起光が照射されたときにエバ
ネッセント波と表面プラズモン波とが共鳴し、表面プラ
ズモン共鳴(SPR)が起きる。すなわち、このセンサ
チップ1では、金属層3上に回折格子6,7A〜7Eが
部分的に形成されている各スポット8,9A〜9Eがそ
れぞれ共鳴領域となっている。
【0039】これらのスポット8,9A〜9Eのうち、
各スポット8には同一形状の回折格子5が同一方向に形
成されている。センサチップ1の使用時(試料の分析に
用いる際)には、図2に示すように各スポット8上には
結合物質10が固定化されて、試料中の検出種(化学
種,生化学種又は生物種等)と反応する反応領域とな
る。結合物質10は、抗原抗体反応、相補的DNA結
合、リセプター/リガンド相互作用、酵素/基質相互作
用等の相互作用によって特定の物質と特異的に結合しう
る性質を備えた結合物質であり、検出すべき検出種に応
じた結合物質10が選択される。試料中に複数の検出種
が含まれる場合には、各検出種に応じた結合物質10が
それぞれ選択されて、それぞれ別々のスポット8に固定
化される。なお、このとき、結合物質10がスポット8
全体を完全に覆うように結合物質10を固定するのが好
ましい。
【0040】これに対し、スポット9A〜9Eにはそれ
ぞれ異なるピッチの回折格子7A〜7Eが同一方向に形
成されている。ここでは、回折格子7Aのピッチはスポ
ット8の回折格子6と同ピッチであり、以下、回折格子
7B,7C,7D,7Eの順にピッチが広くなるように
形成されている。また、これらスポット9A〜9Eは、
本発明にかかる特定領域(標準領域)であり、上記のス
ポット8とは異なり結合物質10は固定化されていな
い。以下、これらスポット9A〜9Eを標準スポット9
A〜9Eという。
【0041】ところで、共鳴領域において検出されるシ
グナル、すなわち共鳴角度及び共鳴波長の大きさは、前
述の数2及び図13から明らかなように、同一の入射条
件で照射光を照射したときには回折格子のピッチが狭い
ほど小さな値となる。例えば、同一の入射波長で照射光
(単色光)を照射する場合には回折格子のピッチが狭い
ほど共鳴角度が小さくなり、同一の入射角度で照射光
(白色光)を照射する場合には回折格子のピッチが狭い
ほど共鳴波長が小さくなる。回折格子のピッチと検出シ
グナルの大きさの関係は、結合物質10を固定したスポ
ット8で得られる試料中の検出種の濃度と検出シグナル
の大きさの関係と同様、線形関係である。したがって、
試料中の検出種の濃度と回折格子のピッチとの間にも間
接的には線形関係があると言える。このことから、回折
格子のピッチを変えることで、任意の濃度に対応するシ
グナルを再現することが可能になると考えられる。
【0042】本実施形態では、各標準スポット9A〜9
Eの回折格子7A〜7Eのピッチをそれぞれ異ならせる
ことにより、各標準スポット9A〜9Eから得られるシ
グナルによって種々の濃度に対応するシグナルを再現で
きるようにしている。図3(a)は、センサチップ1が
水平に配置され、且つ照射光の照射方向に対し水平面内
での傾きがゼロの状態(標準条件下)において角度スキ
ャンを行い、各標準スポット9A〜9Eにおける共鳴角
を検出した結果と、同様の標準条件下において試料中の
検出種の濃度を変えながら角度スキャンを行い、結合物
質10が固定されたスポット8における共鳴角を検出し
た結果とを示したグラフである。ここでは、試料中の検
出種の濃度と共鳴角の関係を検出種の濃度を横軸にして
示すとともに、上述した間接的な線形関係に基づき、試
料中の検出種の濃度と回折格子のピッチとの関係を検出
種の濃度を横軸にして示している。同様に、図3(b)
は標準条件下において波長スキャンを行った場合の検出
結果であり、試料中の検出種の濃度と共鳴波長の関係を
検出種の濃度を横軸にして示すとともに、試料中の検出
種の濃度と回折格子のピッチとの関係を検出種の濃度を
横軸にして示している。
【0043】上記のセンサチップ1は、以下のような方
法により製造することができる。すなわち、図4(a)
に示す基体2の表面に、まず、図4(b)に示すように
レーザ加工等により複数箇所に部分的に凹凸形状4,5
A〜5Eを形成し、次いで、図4(c)に示すように基
体2の表面全面にスパッタリングや蒸着により金属層3
を積層することで製造することができる。凹凸形状4,
5A〜5E上に金属層3が積層されることで金属層3の
表面にも凹凸形状が現れ、この金属層3の表面の凹凸形
状が回折格子6,7A〜7Eとして機能する。
【0044】基体2の材質は、表面に凹凸形状4,5A
〜5Eを形成することができ、金属層3を保持できる機
械的強度が十分であるならばその材質に限定はない。凹
凸形状4,5A〜5Eの形成しやすさからは樹脂が好ま
しく、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、ポ
リエステル樹脂(ポリカーボネートなど)などが好適な材
質として挙げられる。
【0045】基体2に形成する凹凸形状4,5A〜5E
は、金属層3を積層したときにその表面に所望の回折格
子6,7A〜7Eが得られるように金属層3の厚み等を
考慮して形成する。形成方法としては、上述のレーザ加
工等の他、射出成型によって基体2とともに成型しても
よい。凹凸形状4,5A〜5Eとしては、矩形波形状,
正弦波形状,鋸歯状形状などがあり得るが、好ましくは
回折格子6,7A〜7Eの溝深さが10〜200nm
(より好ましくは30〜120nm)、ピッチが400
〜1200nm(照射光の波長と関係する)の範囲となる
ような周期的な凹凸形状とする。
【0046】金属層3は、表面プラズモン波を誘起しう
るものであればその材質に限定はない。例えば、金,
銀,銅,アルミニウムやこれらを含む合金等、或いは
銀,銅,アルミニウムの酸化物等を用いることができ
る。感度や安価な点では銀が好ましいが、安定性の面で
は金が好ましい。なお、金属層3の厚みは、好ましくは
20〜300nmとし、より好ましくは30〜160n
mとする。なお、金属層3の厚みが小さい場合には、照
射光が金属層3を透過して基体2の表面に達し、照射光
が基体2表面の凹凸形状4,5A〜5Eにより回折する
場合もある。この場合は凹凸形状4,5A〜5Eが回折
格子として機能することになる。
【0047】凹凸形状4,5A〜5Eが形成された各領
域の形状、すなわちスポット8,9A〜9Eの形状は、
図1に示すような矩形の他、円形,多角形,楕円形等、
種々の形状を選択することができるが、スポット8,9
A〜9間には形状及び大きさに差がなく、均一なもので
あることが好ましい。面積に換算した場合には、ばらつ
きが±10%、好ましくは±2%以内に収まるようにす
るのが好ましい。
【0048】次に、本実施形態にかかるセンサチップ1
の使用方法について説明する。センサチップ1を試料の
分析に用いる際には、図2に示すように各スポット8に
結合物質10を固定化したものを用いる。そして、この
ように結合物質10が固定化されたセンサチップ1を図
5に示す構成の分析装置20にセットして分析を行う。
この分析装置20はセンサチップ1を固定するためのホ
ルダ(保持手段)21,光源(光照射手段)22,光検
出器(受光手段)23及び分析部24から主に構成され
ている。
【0049】ホルダ21には検出種を含む試料流体が通
過する流路21aが形成されている。センサチップ1は
そのセンサ面1aが流路21aを流れる試料に接するよ
うに配置されて固定される。光源22はセンサチップ1
のセンサ面1aに向けて照射光を照射するようにセンサ
チップ1に対して流路21aを挟んで配置されている。
光源22は分析の方法に応じて選択され、共鳴角の変位
に基づき分析を行う場合には単色光を光源として用い、
最大吸収波長(共鳴波長)の変位に基づき分析を行う場
合には白色光を光源として用いる。単色光の光源として
は、レーザ光源、特に価格,大きさの点で半導体レーザ
が好ましく、波長は350〜1300nm程度とするの
が好ましい。また、ハロゲン・タングステンランプなど
の白色光を干渉フィルターや分光器等で分光して得た単
色光を光源として用いることも可能である。一方、白色
光の光源としては、ハロゲン・タングステンランプ、キ
セノンランプ等が好ましい。
【0050】光検出器23はセンサチップ1からの反射
光を検出する検出器であり、光源22同様にセンサチッ
プ1に対して流路21aを挟んで配置され、照射光が回
折して生じる回折光のうち0次の回折光(反射光)の方
向に向けられている。光検出器23としては、例えばC
CD素子を集積したものやシリコンフォトダイオードア
レイ等が好ましい。なお、図中では省略しているが、P
偏光のみが表面プラズモン波を共鳴させることができる
ため、光源22とセンサチップ1との間、またはセンサ
チップ1と光検出器23との間には、光源22からの照
射光、或いはセンサチップ1からの反射光を偏光するた
めの偏光子が設置されている。
【0051】分析部24は光検出器23からの検出情報
に基づき分析処理を行う装置である。分析部24は、本
発明にかかる第1シグナル検出手段、第2シグナル検出
手段、補正手段、記憶手段、及び濃度演算手段として機
能する。以下、分析部24の各機能とあわせて、本実施
形態にかかるセンサチップ1を用いた試料の分析手順に
ついて、別途測定により得られた検量線を用いて分析を
行う場合と、検量線の作成も測定と同時に行うリアルタ
イム分析を行う場合とに分けて具体的に説明する。
【0052】別途測定により得られた検量線を用いて行
う分析では、図6に示すフローチャートに沿って処理が
行われる。なお、ここでは光源22から照射する照射光
は単色光(単一波長の光)であり、照射光のセンサチッ
プ1に対する入射角度を変化させる角度スキャンによっ
て分析が行われるものとする。この場合、まず、センサ
チップ1をホルダ21にセットしてセンサチップ1のセ
ンサ面1aを試料に接触させる(ステップA1)。これ
によりセンサ面1aの各スポット8に固定された結合物
質10に試料流体中の検出種が特異的に結合する。そし
て、結合物質10に結合した検出種の物質量に応じて各
スポット8の金属層3表面近傍の媒質の屈折率が変化
し、各スポット8における表面プラズモン波の共鳴条件
が変化する。一方、結合物質10が固定化されていない
標準スポット9A〜9Eについては、金属層3表面近傍
の媒質の屈折率の変化はなく、表面プラズモン波の共鳴
条件に変化はない。
【0053】次に、光源22からセンサ面1aに向けて
照射光を照射する(ステップA2)。ここでは、照射光
が全てのスポット8,9A〜9Eを照らすように、すな
わち全スポット8,9A〜9Eが一本の照射光の照射範
囲内に含まれるように照射光の太さを調整する。これに
より、全てのスポット8,9A〜9Eを同時に測定する
ことができる。センサ面1aに照射された照射光は各ス
ポット8,9A〜9Eに形成された回折格子6,7A〜
7Eにおいて回折光を生じさせる。このうち0次の回折
光(反射光)を光検出器23によって検出する(ステッ
プA3)。
【0054】光検出器23により検出された反射光の情
報は分析部24に送られる。分析部24は、光検出器2
3からの反射光の情報から結合物質10が固定された各
スポット8からの反射光の情報を抽出して、スポット8
毎に反射光の強度が最小となる入射角度、すなわち共鳴
角度を検出する。ここでは、分析部24は本発明にかか
る第1シグナル検出手段として機能する(ステップA
4)。
【0055】また、分析部24は、標準領域である標準
スポット9A〜9Eからの反射光の情報も抽出し、標準
スポット9A〜9E毎に反射光の強度が最小となる共鳴
角度(参照共鳴角度)を検出する。ここでは、分析部2
4は本発明にかかる第2シグナル検出手段として機能す
る(ステップA5)。このようにして得られた各スポッ
ト8,9A〜9Eの共鳴角度には、センサチップ1の傾
斜による誤差が含まれている可能性がある。そこで、分
析部24は、ステップA5で検出した各標準スポット9
A〜9Eの共鳴角度を用いて、ステップA4で検出した
各スポット8の共鳴角度を補正する。
【0056】具体的には、標準領域である各標準スポッ
ト9A〜9Eについては、図3(a)に示すように標準
条件下における共鳴角度との関係が既知である。したが
って、標準条件下における各標準スポット9A〜9Eの
共鳴角度をθ0A,θ0B,θ0C,θ0D,θ0Eとし、今回ス
テップA5で検出された各標準スポット9A〜9Eの共
鳴角度をθA,θB,θC,θD,θEとすると、(θ0A
θA),,,,(θ0E,θE)の5組のデータが得られ
る。これらのデータから、適当な近似式により標準条件
下における共鳴角度と今回検出された共鳴角度との換算
式f(θ)が求められる。
【0057】この換算式f(θ)を用いると、未知のス
ポットで検出された共鳴角度をθXとすると、そのスポ
ットにおいて標準条件下で検出されるべき共鳴角度θ0X
は、次式(数3)であらわすことができる。
【0058】
【数3】θ0X=f-1(θX) 分析部24は、各標準スポット9A〜9Eの標準条件下
での共鳴角度と今回検出された共鳴角度との対応関係か
ら上記の式(数3)を作成し(ステップA6)、この式
にステップA4で検出された各スポット8の共鳴角度を
当てはめることにより、検出された各スポット8の共鳴
角度を標準条件下において各スポット8で検出されるべ
き共鳴角度に補正する(ステップA7)。以上のステッ
プA6,A7では分析部24は本発明にかかる補正手段
として機能する。
【0059】分析部24は、上記のようにして補正した
各スポット8の共鳴角度と照射光の波長とを別途測定し
て得られた検量線(或いは理論的な濃度換算式)に対応
させて、各スポット8に対応する検出種の濃度を算出す
る。ここでは分析部24は本発明にかかる濃度演算手段
として機能する(ステップA8)。このような手法によ
り分析を行うことで、センサチップ1が垂直方向や水平
面内で傾いている場合でも、標準条件下における標準ス
ポット9A〜9Eの共鳴角度(標準シグナル)と今回検
出された標準スポット9A〜9Eの共鳴角度との比較に
基づいて、反応領域である各スポット8の共鳴角度が補
正されるので、センサチップ1の傾きによる誤差の影響
をうけることなく、試料中の検出種の濃度を正確に分析
することが可能になる。
【0060】特に本実施形態では、複数の標準スポット
9A〜9Eの共鳴角度に基づき各スポット8の共鳴角度
を補正し、且つ、同一条件下においてそれぞれ異なる共
鳴角度を示すように各標準スポット9A〜9Eを形成し
ているので、標準条件下で得られる共鳴角度と今回の条
件下で得られる共鳴角度との対応関係が明確であり、高
い精度で補正を行うことができる。
【0061】なお、上記の各ステップA1〜A8は、上
述のように順に実行する他に同時に実行することも可能
である。各ステップを同時実行する場合には、リアルタ
イムで共鳴角度を補正することができるので、仮にセン
サチップ1の設置状態が不安定で垂直方向や水平面内で
の傾斜角度が変動しているような場合でも、正確な分析
が可能になる。
【0062】一方、リアルタイム分析では、図7に示す
フローチャートに沿って処理が行われる。なお、ここで
も光源22から照射する照射光は単色光(単一波長の
光)であり、照射光のセンサチップ1に対する入射角度
を変化させる角度スキャンによって分析が行われるもの
とする。また、ステップB1からステップB5までの処
理は、上述の別途測定により得られた検量線を用いて行
う分析におけるステップA1からステップA5までの処
理と同様の内容であるので、ステップB1からステップ
B5までの処理の説明は省略し、ステップB6から説明
する。
【0063】ステップB6では、分析部24は、ステッ
プB5(ステップA5と同じ処理内容)で検出された各
標準スポット9A〜9Eの共鳴角度と、各標準スポット
9A〜9Eが示す検出種の濃度とに基づき検量線を作成
する。具体的には、各標準スポット9A〜9Eが示す検
出種の濃度をCA,CB,CC,CD,CEとし、今回ステ
ップB5で検出された各標準スポット9A〜9Eの共鳴
角度をθA,θB,θC,θD,θEとすると、(CA
θA),,,,(CE,θE)の5組のデータが得られ
る。これらのデータから、適当な近似式により今回検出
される共鳴角度と検出種の濃度との換算式f(C,θ)
が求められる。この換算式f(C,θ)が検量線であ
る。なお、各標準スポット9A〜9Eが示す検出種の濃
度CA,,,,CEは、図3(a)の検出種の濃度と回折
格子のピッチとの対応関係を示すグラフから求められ
る。このグラフは予め実験等により作成されて分析部2
4内の記憶部(記憶手段)に記憶されている。
【0064】上記の換算式f(C,θ)を用いると、未
知のスポットで検出された共鳴角度をθXとすると、そ
のスポットに存在する検出種の濃度CXは、次式(数
4)であらわすことができる。
【0065】
【数4】CX=f-1(C,θX) 分析部24は、この式(数4)にステップB4(ステッ
プA4と同じ処理内容)で検出された各スポット8の共
鳴角度を当てはめることにより、各スポット8に対応す
る検出種の濃度をリアルタイムに算出する(ステップB
7)。以上のステップB6,B7では分析部24は本発
明にかかる演算手段として機能する。
【0066】このように、スポット8の共鳴角度が各標
準スポット9A〜9Eの共鳴角度に一致するときの検出
種の濃度情報と、今回検出された各スポット8の共鳴角
度と各標準スポット9A〜9Eの共鳴角度との対応関係
とに基づき、現在の検出種の濃度を演算することで、濃
度既知の試料を用意することなく簡便に試料のリアルタ
イム分析を行うことが可能になる。
【0067】特に本実施形態では、同一条件下において
それぞれ異なる値を示す複数の標準スポット9A〜9E
の共鳴角度に基づき検量線を作成し、作成した検量線を
用いて現在の検出種の濃度を演算しているので、極めて
正確にリアルタイム分析を行うことができる。なお、上
記の各ステップB1〜B7についても、上述のように順
に実行する他に同時に実行することも可能である。各ス
テップを同時実行する場合には、試料中の検出種が結合
物質10に結合していく様子をリアルタイムでモニタす
ることが可能になる。
【0068】(B)その他 以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述の
実施形態はあくまでも本発明の一実施形態であり、本発
明の実施形態がこれに限定されるものではない。例え
ば、上述の実施形態では角度スキャンによる分析を行っ
ているが、波長スキャンによる分析も勿論可能である。
この場合は、光源22からセンサチップ1に一定の入射
角度で白色光を分光器(図示略)で波長毎に分光して照
射し、その反射光を光検出器23で検出すればよい。こ
の場合は共鳴角度ではなく共鳴波長を表面プラズモン共
鳴現象に相関するシグナルとして用いることができる。
【0069】具体的には、図3(b)に示すように予め
計側された標準条件下における各標準スポット9A〜9
Eの共鳴波長をλ0A,λ0B,λ0C,λ0D,λ0Eとし、今
回検出された各標準スポット9A〜9Eの共鳴波長をλ
A,λB,λC,λD,λEとすると、(λ0A
λA),,,,(λ0E,λE)の5組のデータが得られ
る。これらのデータから適当な近似式により標準条件下
における共鳴波長と今回検出された共鳴波長との換算式
f(λ)を求めることできる。この換算式f(λ)を利
用することにより、未知のスポットにおいて標準条件下
で検出されるべき共鳴角度λ 0Xは、そのスポットで今回
検出された共鳴波長λXを用いて次式(数5)で求める
ことができる。
【0070】
【数5】λ0X=f-1(λX) したがって、この式に今回検出された各スポット8の共
鳴波長を当てはめることにより、検出された各スポット
8の共鳴波長を標準条件下において各スポット8で検出
されるべき共鳴波長に補正することができる。
【0071】また、各標準スポット9A〜9Eが示す検
出種の濃度をCA,CB,CC,CD,CEとし、今回検出
された各標準スポット9A〜9Eの共鳴波長をλA
λB,λC,λD,λEとすると、これら(CA
λA),,,,(CE,λE)の5組のデータから、適当
な近似式により今回検出される共鳴角度と検出種の濃度
との換算式f(C,λ)が求められる。この換算式f
(C,λ)を利用することにより、未知のスポットに存
在する検出種の濃度CXは、そのスポットで今回検出さ
れた共鳴波長λXを用いて次式(数6)で求めることが
できる。
【0072】
【数6】CX=f-1(C,λX) したがって、この式に今回検出された各スポット8の共
鳴波長を当てはめることにより、各スポット8に対応す
る検出種の濃度をリアルタイムに算出することができ
る。
【0073】また、本発明を適用可能なセンサチップは
上述の実施形態のものに限定されない。上述の実施形態
では複数の標準スポットが設けられたセンサチップを使
用しているが、図8に示すように標準スポット32が一
つのみ設けられたセンサチップ31を用いても本発明を
実施することができる。この場合、センサチップ31の
傾きによる誤差の補正は、今回標準スポット32で検出
されたシグナルと、標準条件下において標準スポット3
2で検出される標準シグナル(共鳴角度或いは共鳴波
長)との比較に基づいて、今回結合物質34が固定され
たスポット33で検出されたシグナルを補正することに
より行う。例えば、今回標準スポット32で検出された
共鳴波長と標準条件下で検出される共鳴波長との間にΔ
λの誤差がある場合には、この誤差Δλの分だけスポッ
ト33で検出された共鳴波長を補正する。また、標準ス
ポット32で検出されるシグナルがスポット33で検出
されるシグナルに一致するときの検出種の濃度情報と、
今回スポット33で検出されるシグナルと標準スポット
32で得られたシグナルとの対応関係とに基づき現在の
試料中の検出種の濃度を測定することにより、試料のリ
アルタイム分析が可能になる。
【0074】また、標準スポットを複数設ける場合、上
述の実施形態のように各標準スポットが独立したもので
はなく、図9に示すセンサチップ51のように単一の連
続した領域(標準領域)52内において段階的にピッチ
を変えて回折格子を形成したものでもよい。このような
構造によれば、照射光の照射位置に応じて回折格子のピ
ッチが変わるので、そこから検出されるシグナルも異な
ったものになる。したがって、このセンサチップ51に
よれば、上述の実施形態にかかるセンサチップと同様に
複数のデータに基づく補正やリアルタイム分析を行うこ
とができ、精度の高い補正やリアルタイム分析が可能に
なる。
【0075】さらに、上述の実施形態では回折格子のピ
ッチをパラメータとすることで同一条件下で異なるシグ
ナルを得ることを可能にしているが、回折格子の溝深
さ、金属層の厚み及び材質のうち少なくとも一つのパラ
メータを変更することによっても同一条件下で異なるシ
グナルを得ることができる。さらに、上述の実施形態で
は、従来の一般的な構造の回折格子型センサチップを用
いた場合について説明したが、本発明は他の様々な構造
の回折格子型センサチップを用いても実施することがで
きる。すなわち、試料と接するセンサ面と、センサ面の
近傍に設けられ表面プラズモン波を誘起しうる金属層
と、センサ面の近傍に設けられ照射光の照射によりエバ
ネッセント波を生じさせる回折格子とを備えたセンサチ
ップであればよい。
【0076】以上例を挙げたように、本発明はその趣旨
を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができ
る。
【0077】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の第1の分
析方法及び分析装置によれば、表面プラズモン共鳴セン
サチップが垂直方向や水平面内で傾いている場合でも、
特定領域において所定の標準条件下において得られた標
準シグナルと今回検出されたシグナルとの比較に基づい
て、反応領域に対応するシグナルが補正されるので、傾
きによる誤差の影響をうけることなく試料中の検出種の
濃度を正確に分析することができる利点がある。
【0078】また、本発明の第2の分析方法及び分析装
置によれば、今回検出された反応領域に対応するシグナ
ルが示す試料中の検出種の濃度が、今回検出された特定
領域に対応するシグナルを利用して演算されるので、濃
度既知の試料を用意することなく簡便に試料のリアルタ
イム分析を行うことができる利点がある。さらに、本発
明の表面プラズモン共鳴センサチップによれば、標準領
域を特定領域として利用することで、第1の分析方法及
び分析装置においては、反応領域に対応するシグナルの
誤差を高い精度で補正することができ、第2の分析方法
及び分析装置においては、各照射領域からのシグナルに
基づき検量線の作成を可能にして正確なリアルタイム分
析が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるセンサチップの構
成を示す模式的な斜視図である。
【図2】図1のセンサチップに結合物質を固定化した状
態を示す模式的な斜視図である。
【図3】(a)は図1のセンサチップにおける角度スキ
ャン時の試料中の検出種の濃度と共鳴角度と回折格子の
ピッチとの関係を示す図であり、(b)は図1のセンサ
チップにおける角度スキャン時の試料中の検出種の濃度
と共鳴波長と回折格子のピッチとの関係を示す図であ
る。
【図4】図1のセンサチップの製造方法の一例を示す模
式的な斜視図であり、(a)〜(c)の順に製造手順を
示している。
【図5】本発明の一実施形態にかかる分析装置の構成を
示す模式的な模式図である。
【図6】図5の装置を用いた試料の分析手順を示すフロ
ーチャートである。
【図7】図5の装置を用いた試料の分析手順を示すフロ
ーチャートである。
【図8】本発明を適用可能なセンサチップの構成の一例
を示す模式的な斜視図である。
【図9】本発明を適用可能なセンサチップの構成の一例
を示す模式的な斜視図である。
【図10】従来のセンサチップの構成を示す模式的な斜
視図である。
【図11】従来のセンサチップの特性を示す分散関係図
である。
【図12】従来のセンサチップの課題を説明するための
図であり、(a)はセンサチップが垂直方向に傾いた状
態を示す側面図、(b)はそのときの分散関係図であ
る。
【図13】従来のセンサチップの課題を説明するための
図であり、(a)はセンサチップが水平面内での傾いた
状態を示す平面図、(b)はそのときの分散関係図であ
る。
【符号の説明】
1,31,41,51 センサチップ(表面プラズモン
共鳴センサチップ) 1a センサ面 2 基体 3 金属層 4,5A〜5E 凹凸形状 6,7A〜7E 回折格子 8,33 スポット(反応領域) 9A〜9E,32 標準スポット(標準領域,特定領
域) 10,34,44 結合物質 20 分析装置 21 ホルダ 21a 流路 22 光源 23 光検出器 24 分析部 43,52 標準領域

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層と
    回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の
    表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作
    用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じう
    る共鳴領域が上記センサ面に形成され、上記共鳴領域の
    うちの一部反応領域に試料中の検出種と特異的に結合す
    る結合物質が固定化された表面プラズモン共鳴センサチ
    ップを用いて行う試料の分析方法であって、 上記センサ面に試料を接触させて光を照射する照射ステ
    ップと、 上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射光の
    うち上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上記反
    応領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出する
    第1検出ステップと、 上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射光の
    うち上記共鳴領域内で且つ上記反応領域外の特定領域か
    らの反射光の強度に基づき、上記特定領域での上記共鳴
    現象に相関するシグナルを検出する第2検出ステップ
    と、 所定の標準条件下における上記特定領域での上記共鳴現
    象に相関する標準シグナルと今回検出された上記特定領
    域に対応するシグナルとの比較に基づいて今回検出され
    た上記反応領域に対応するシグナルを補正する補正ステ
    ップと、 補正された上記反応領域に対応するシグナルに基づき上
    記試料中の検出種の濃度を演算する濃度演算ステップと
    を備えたことを特徴とする、表面プラズモン共鳴を利用
    した試料の分析方法。
  2. 【請求項2】 上記特定領域が複数箇所設けられた表面
    プラズモン共鳴センサチップを用い、 上記補正ステップにおいては、各特定領域に対応する標
    準シグナルと今回検出された各特定領域に対応するシグ
    ナルとの比較に基づいて今回検出された上記反応領域に
    対応するシグナルを補正することを特徴とする、請求項
    1記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方
    法。
  3. 【請求項3】 上記の各特定領域が同一条件下において
    それぞれ異なるシグナルを示すように形成された表面プ
    ラズモン共鳴センサチップを用い、 上記補正ステップにおいては、各特定領域に対応する標
    準シグナルと今回検出された各特定領域に対応するシグ
    ナルとに基づいて上記標準条件下で得られるシグナルと
    今回の条件下で得られるシグナルとの対応関係を求め、
    上記対応関係に基づいて今回検出された上記反応領域に
    対応するシグナルを補正することを特徴とする、請求項
    2記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方
    法。
  4. 【請求項4】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層と
    回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の
    表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作
    用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じう
    る共鳴領域が上記センサ面に形成され、上記共鳴領域の
    うちの一部反応領域に試料中の検出種と特異的に結合す
    る結合物質が固定化された表面プラズモン共鳴センサチ
    ップを用いて行う試料の分析方法であって、 上記センサ面に試料を接触させて光を照射する照射ステ
    ップと、 上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射光の
    うち上記反応領域からの反射光の強度に基づき、上記反
    応領域での上記共鳴現象に相関するシグナルを検出する
    第1検出ステップと、 上記センサ面からの反射光を受光し、受光した反射光の
    うち上記共鳴領域内で且つ上記反応領域外の特定領域か
    らの反射光の強度に基づき、上記特定領域での上記共鳴
    現象に相関するシグナルを検出する第2検出ステップ
    と、 予め記憶された上記反応領域に対応するシグナルが上記
    特定領域に対応するシグナルに一致するときの上記試料
    中の検出種の濃度情報と、今回検出された上記反応領域
    に対応するシグナルと上記特定領域に対応するシグナル
    との対応関係とに基づき現在の上記試料中の検出種の濃
    度を演算する濃度演算ステップとを備えたことを特徴と
    する、表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方法。
  5. 【請求項5】 上記特定領域が複数箇所設けられ、且つ
    各特定領域が同一条件下においてそれぞれ異なるシグナ
    ルを示すように形成された表面プラズモン共鳴センサチ
    ップを用い、 上記反応領域に対応するシグナルが上記各特定領域に対
    応するシグナルに一致するときの上記試料中の検出種の
    各濃度に関する情報を予め記憶しておき、 上記濃度演算ステップにおいては、今回検出された上記
    各特定領域に対応するシグナルと予め記憶された上記各
    特定領域に対応する濃度情報とに基づいて検量線を作成
    し、上記検量線に今回検出された上記反応領域に対応す
    るシグナルを照合することにより現在の上記試料中の検
    出種の濃度を演算することを特徴とする、請求項4記載
    の表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析方法。
  6. 【請求項6】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層と
    回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の
    表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作
    用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じう
    る共鳴領域が上記センサ面に形成され、上記共鳴領域の
    うちの一部反応領域に試料中の検出種と特異的に結合す
    る結合物質が固定化された表面プラズモン共鳴センサチ
    ップと、 上記センサ面に上記試料を接触させた状態で上記表面プ
    ラズモン共鳴センサチップを保持する保持手段と、 上記表面プラズモン共鳴センサチップが上記保持手段に
    より保持された状態において上記センサ面に向けて光を
    照射する光照射手段と、 上記センサ面からの反射光を受光する受光手段と、 上記受光手段により受光した反射光のうち上記反応領域
    からの反射光の強度に基づき、上記反応領域での上記共
    鳴現象に相関するシグナルを検出する第1シグナル検出
    手段と、 上記受光手段により受光した反射光のうち上記共鳴領域
    内で且つ上記反応領域外の特定領域からの反射光の強度
    に基づき、上記特定領域での上記共鳴現象に相関するシ
    グナルを検出する第2シグナル検出手段と、 所定の標準条件下における上記特定領域での上記共鳴現
    象に相関する標準シグナルと上記第2シグナル検出手段
    で検出されたシグナルとの比較に基づいて上記第1シグ
    ナル検出手段で検出されたシグナルを補正する補正手段
    と、 上記補正手段により補正されたシグナルに基づき上記試
    料中の検出種の濃度を演算する濃度演算手段とを備えた
    ことを特徴とする、表面プラズモン共鳴を利用した試料
    の分析装置。
  7. 【請求項7】 上記表面プラズモン共鳴センサチップに
    上記特定領域が複数箇所設けられ、 上記補正手段は、各特定領域に対応する標準シグナルと
    上記第2シグナル検出手段で検出されたシグナルとの比
    較に基づいて上記第1シグナル検出手段で検出されたシ
    グナルを補正するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項6記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料
    の分析装置。
  8. 【請求項8】 上記の各特定領域は同一条件下において
    それぞれ異なるシグナルを示すように形成され、 上記補正手段は、各特定領域に対応する標準シグナルと
    上記第2シグナル検出手段で検出されたシグナルとに基
    づいて上記標準条件下で得られるシグナルと今回の条件
    下で得られるシグナルとの対応関係を求め、上記対応関
    係に基づいて上記第1シグナル検出手段で検出されたシ
    グナルを補正するように構成されていることを特徴とす
    る、請求項7記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料
    の分析装置。
  9. 【請求項9】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層と
    回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層の
    表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の作
    用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じう
    る共鳴領域が上記センサ面に形成され、上記共鳴領域の
    うちの一部反応領域に試料中の検出種と特異的に結合す
    る結合物質が固定化された表面プラズモン共鳴センサチ
    ップと、 上記センサ面に上記試料を接触させた状態で上記表面プ
    ラズモン共鳴センサチップを保持する保持手段と、 上記表面プラズモン共鳴センサチップが上記保持手段に
    より保持された状態において上記センサ面に向けて光を
    照射する光照射手段と、 上記センサ面からの反射光を受光する受光手段と、 上記受光手段により受光した反射光のうち上記反応領域
    からの反射光の強度に基づき、上記反応領域での上記共
    鳴現象に相関するシグナルを検出する第1シグナル検出
    手段と、 上記受光手段により受光した反射光のうち上記共鳴領域
    内で且つ上記反応領域外の特定領域からの反射光の強度
    に基づき、上記特定領域での上記共鳴現象に相関するシ
    グナルを検出する第2シグナル検出手段と、 上記反応領域に対応するシグナルが上記特定領域に対応
    するシグナルに一致するときの上記試料中の検出種の濃
    度を予め記憶した記憶手段と、 上記第1シグナル検出手段で検出されたシグナルと上記
    第2シグナル検出手段で検出されたシグナルとの対応関
    係と上記記憶手段に記憶された上記特定領域に対応する
    濃度情報とに基づき現在の上記試料中の検出種の濃度を
    演算する濃度演算手段とを備えたことを特徴とする、表
    面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  10. 【請求項10】 上記表面プラズモン共鳴センサチップ
    に上記特定領域が複数箇所設けられるとともに、各特定
    領域は同一条件下においてそれぞれ異なるシグナルを示
    すように形成され、 上記記憶手段に上記反応領域に対応するシグナルが上記
    各特定領域に対応するシグナルに一致するときの上記試
    料中の検出種の各濃度に関する情報が予め記憶され、 上記濃度演算手段は、上記第2シグナル検出手段で検出
    された上記各特定領域に対応するシグナルと上記記憶手
    段に記憶された上記各特定領域に対応する濃度情報とに
    基づいて検量線を作成し、上記検量線に上記第1シグナ
    ル検出手段で検出されたシグナルを照合することにより
    現在の上記試料中の検出種の濃度を演算するように構成
    されていることを特徴とする、請求項9記載の表面プラ
    ズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  11. 【請求項11】 試料と接するセンサ面の近傍に金属層
    と回折格子とが設けられて、光の照射により上記金属層
    の表面に誘起される表面プラズモン波と上記回折格子の
    作用により生じるエバネッセント波との共鳴現象が生じ
    うる共鳴領域が上記センサ面に形成された表面プラズモ
    ン共鳴センサチップにおいて、 試料中の検出種と特異的に結合する結合物質が固定化さ
    れた反応領域と、 所定の標準条件下において照射された照射光の入射波長
    と上記共鳴現象が生じる入射角度との間に所定の対応関
    係を生じさせ、且つ、照射光の照射領域に応じて異なる
    対応関係を生じさせるように形成された標準領域とを上
    記共鳴領域に備えたことを特徴とする、表面プラズモン
    共鳴センサチップ。
  12. 【請求項12】 上記標準領域内に設けられた上記回折
    格子の形状、及び上記金属層の厚み、材質のうち少なく
    とも一つの要素を領域に応じて変更することにより、上
    記の異なる対応関係を照射光の照射領域に応じて生じさ
    せるように構成されたことを特徴とする、請求項11記
    載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
  13. 【請求項13】 上記標準領域が独立した複数の標準ス
    ポットからなり、上記標準スポット毎に上記の少なくと
    も一つの要素が変更されていることを特徴とする、請求
    項12記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
  14. 【請求項14】 上記標準領域が連続した単一の領域か
    らなり、上記標準領域上の位置に応じて上記の少なくと
    も一つの要素が変更されていることを特徴とする、請求
    項12記載の表面プラズモン共鳴センサチップ。
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