JP2003055284A - 縮合環含有化合物の製造法 - Google Patents

縮合環含有化合物の製造法

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JP2003055284A
JP2003055284A JP2001247551A JP2001247551A JP2003055284A JP 2003055284 A JP2003055284 A JP 2003055284A JP 2001247551 A JP2001247551 A JP 2001247551A JP 2001247551 A JP2001247551 A JP 2001247551A JP 2003055284 A JP2003055284 A JP 2003055284A
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Takashi Suzuki
貴 鈴木
Yoshihisa Inomata
佳久 猪俣
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ジメタノナフタレン骨格等を有する縮合環含
有化合物を工業的に有利に製造する方法を提供する。 【解決手段】 一般式 R1OCH2CH=CHCH2OR2 (1)
(R1,R2は夫々水素又はC2〜5のアシル基を示
す。)の化合物および/または一般式2のノルボルネン
化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシクロペ
ンタジエンとを、溶媒の存在下でディールス・アルダー
反応を行い、得られる反応混合物を2層以上に分離し、
そのうちの1層以上にシクロペンタジエンの3量体また
は4量体等のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一
部を溶解し、それ以外の層にジメタノナフタレン骨格等
を有する一般式3の縮合環含有化合物の少なくとも一部
を溶解し分液操作を行い該化合物を精製する。 (RおよびRは上記と同じである。) (RおよびRは上記と同じ、nは0〜2の整数であ
る。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の構造材料お
よび機能材料として使用される高分子化合物の原料とし
て有用なジメタノナフタレン骨格等を有する縮合環含有
化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ペルヒドロジメタノナフタレン骨
格を有するジメタノール化合物と芳香族ジカルボン酸よ
り得られるポリエステルは、高いガラス転移温度を有す
ることが、例えば文献Journal of Polymer Science: Po
lymer Chemistry Edition, vol.10, p. 3191,(1972)
により知られている。当該文献には、上記のジメタノー
ル化合物の製造方法として、フマル酸のジエチルエステ
ルとシクロペンタジエンのディールス・アルダー反応に
よりノルボルネン骨格またはノルボルネンの累積した骨
格を有する化合物を得て、次いで水添反応によりノルボ
ルナン骨格またはノルボルナンの累積した骨格を有する
化合物に変換させた後、エステル部分の還元反応により
該ジメタノール化合物を製造する方法が開示されてい
る。また、英国特許第796,135号明細書には、2
−ブテン−1,4−ジオールとジシクロペンタジエンか
らノルボルネン−2,3−ジメタノールが製造されるこ
とが開示されている。一方、特開平3−31230号公
報、特開平3−56429号公報には、シクロペンタジ
エンまたはジシクロペンタジエンと2−ブテン−1,4
−ジオール ジカルボキシレートとのディールス・アル
ダー反応により得られる1,2,3,4,4a,5,8,8a
−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−
2,3−ジメタノール ジカルボキシレートが水素添加反
応および加水分解反応によりペルヒドロ−1,4:5,8
−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノールに変換さ
れることが開示されている。さらに、特開平5−132
348号公報、特開平7−25797号公報では、シク
ロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンと2−ブテ
ン−1,4−ジオール ジカルボキシレートと5−ノルボ
ルネン−2,3−ジメタノール ジカルボキシレートをデ
ィールス・アルダー反応させ、得られる反応混合物から
未反応の原料等を蒸留分離したのちの残さを水素添加反
応に付してペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタ
レン−2,3−ジメタノールを製造する方法が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の方法で
は、ペルヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−
2,3−ジメタノールまたはそのジアセテートは、減圧
蒸留、場合によっては更に再結晶することにより単離さ
れている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、
反応混合液中には副生成物であるシクロペンタジエンの
3量体、4量体等が必ず含まれており、それらのシクロ
ペンタジエン多量体または水素添加反応により生成する
シクロペンタジエン多量体の水素添加物は、ペルヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタ
ノールまたはそのジアセテートと沸点が近いため、減圧
蒸留や再結晶によって効率よく分離することが困難であ
ることが明らかとなった。また更に、本発明者らの検討
によれば、溶媒の非存在下で反応を行うと反応液の粘度
の上昇が起こり攪拌が困難になってしまうという問題点
や、得られた反応混合物は高粘度グリース状で取扱いが
困難であるといった問題点も明らかとなった。高粘度反
応物の生成は反応器等のファウリングの原因となり、反
応熱の除去が不充分となるため非常に危険である。その
他配管の閉塞の原因ともなり、安定した運転が困難にな
ってしまう。本発明の目的は、ジメタノナフタレン骨格
等を有する縮合環含有化合物を工業的に有利に製造する
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、下記の
一般式(1)で示される化合物および/または下記一般
式(2)で示される化合物とシクロペンタジエンおよび
/またはジシクロペンタジエンとを、溶媒の存在下でデ
ィールス・アルダー反応を行い、得られる反応混合物を
2層以上に層分離し、そのうちの少なくとも1層にシク
ロペンタジエンの3量体または4量体等のシクロペンタ
ジエン多量体の少なくとも一部を溶解し、それ以外の層
に下記一般式(3)で示される化合物の少なくとも一部
を溶解したのちに分液操作に付することを特徴とする、
下記一般式(3)で示される縮合環含有化合物の製造法
である。
【化5】 R1OCH2CH=CHCH2OR2 ・・・式(1) (式中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素
数2〜5のアシル基を表す。)
【化6】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
義と同じである。)
【化7】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
義と同じである。nは0から2の整数である。)
【0005】本発明の第2は、上記一般式(1)、
(2)および(3)においてRおよび/またはR
炭素数2〜5のアシル基の場合、上記ディールス・アル
ダー反応で得られた反応混合物の精製工程に加水分解反
応またはエステル交換反応を含む第1の発明に記載の縮
合環含有化合物の製造法である。
【0006】本発明の第3は、上記ディールス・アルダ
ー反応で得られた反応混合物の精製工程に、触媒の存在
下に水素ガスとの反応による水素添加反応を含む下記一
般式(4)で示されるの縮合環含有化合物の製造法であ
る。
【化8】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
義と同じである。nは0から2の整数である。)
【0007】本発明の第4は、ディールス・アルダー反
応で使用する溶媒が、炭素数10以下の含酸素化合物お
よび炭素数5〜10の炭化水素化合物からなる2つの化
合物群中のそれぞれ1種類以上であることを特徴とする
第1ないし3の発明のいずれかに記載の縮合環含有化合
物の製造法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造法について詳
細に説明する。本発明において用いる上記一般式(1)
または(2)で示される化合物において、R1およびR2
はそれぞれ水素原子または炭素数2〜5のアシル基を表
すが、該アシル基としては具体的には以下の構造式で示
されるものが挙げられる。
【化9】 これらのうちアセチル基であることが製造上好ましい。
なお、一般式(3)および(4)で示される化合物にお
いても同様である。
【0009】上記一般式(1)で示される化合物におい
てRおよびRがそれぞれ水素原子である2−ブテン
−1,4−ジオールはアセチレンとホルマリンとから公
知のレッペ反応により製造することができ、また2−ブ
テン−1,4−ジオール ジカルボキシレートを加水分解
することに製造することもできる。また、一般式(1)
で示される化合物においてRおよびRがそれぞれ炭
素数2〜5のアシル基である2−ブテン−1,4−ジオ
ール ジカルボキシレートは、例えば、パラジウム触媒
の存在下にブタジエン、低級カルボン酸および酸素を反
応させることにより合成できる(特公昭52−1217
2号公報参照)。なお、2−ブテン−1,4−ジオール
から2−ブテン−1,4−ジオール ジカルボキシレート
を製造することも可能である。一般式(1)で示される
化合物はシス体、トランス体またはそれらの混合体の何
れであってもよく、一般的にはアセチレンとホルマリン
より製造される2−ブテン−1,4−ジオールはシス体
が主であり、ブタジエン、低級カルボン酸および酸素よ
り製造される2−ブテン−1,4−ジオール ジカルボキ
シレートはトランス体が主である。
【0010】上記一般式(2)で示されるノルボルネン
化合物は、上記一般式(1)で示される化合物とシクロ
ペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンとを
ディールス・アルダー反応することにより合成すること
が出来る。一般式(2)で示される化合物のノルボルネ
ン環の2つの置換基はそれぞれ独立してエキソ位または
エンド位にあってよく、これらの異性体に対応した上記
一般式(3)で示される化合物の異性体が得られる。ま
た、上記一般式(3)または(4)で示される化合物の
ジメタノナフタレン環はエキソ体、エンド体またはそれ
らの混合体の何れであってもよく立体構造は限定されな
い。
【0011】本発明の製造法においては、まず、一般式
(1)で示される化合物および/または一般式(2)で
示される化合物とシクロペンタジエンまたはジシクロペ
ンタジエンを2種類以上の溶媒の存在下にディールス・
アルダー反応を実施するが、この際ジシクロペンタジエ
ンを用いることが好ましく、ナフサ等の熱分解油から回
収されるものが工業的に大量に得られしかも安価である
ので好ましい。ジシクロペンタジエンは市販のものを使
用することができ、工業的に入手可能であれば純度は7
0%以上のものを使用することができるが、通常は純度
95%品を好適に使用することができる。さらに純度9
5%を超えるジシクロペンタジエンも使用することがで
きる。また原料ジシクロペンタジエン中のジシクロペン
タジエン成分におけるエンド体含有量は80%以上であ
ることが好ましい。また、シクロペンタジエンを含むジ
シクロペンタジエンを使用することができる。
【0012】上記ディールス・アルダー反応は150〜
300℃の温度範囲内で行い、より好ましくは160〜
280℃、更に好ましくは180〜240℃の温度範囲
で行う。上記温度範囲内で加熱することによりジシクロ
ペンタジエンの熱分解により生成したシクロペンタジエ
ンがディールス・アルダー反応を起こして目的の化合物
が生成する。150℃よりも低温では反応が遅くなるた
め好ましくなく、300℃よりも高温ではシクロペンタ
ジエンの3量体および4量体等(以下、シクロペンタジ
エン多量体と称する。)や一般式(3)で示される化合
物に更にシクロペンタジエンが付加反応した生成物など
(以下、ジシクロペンタジエン付加重質物と称する。)
の生成量が多くなるため好ましくない。反応時間は0.
1〜30時間、好ましくは0.5〜20時間の範囲で行
う。
【0013】ジシクロペンタジエンは一般式(1)で示
される化合物1モルに対して0.1〜10モル、好まし
くは0.2〜5モル、更に好ましくは0.5〜3モルの量
で用いられ、また一般式(2)で示される化合物1モル
に対して0.1〜5モル、好ましくは0.2〜3モル、よ
り好ましくは0.6〜2モルの範囲で用いられる。ま
た、一般式(1)および一般式(2)で示される化合物
に対するジシクロペンタジエンの量は0.1〜5モル倍
であることが好ましい。ジシクロペンタジエンの量が上
記範囲よりも少ない場合、目的とする製造物のひとつで
ある一般式(3)で示される化合物の収量が低くなるた
め好ましくなく、上記範囲を超える場合はシクロペンタ
ジエン多量体やシクロペンタジエン付加重質物の生成量
が多くなるため好ましくない。シクロペンタジエンの使
用量としてはシクロペンタジエンをジシクロペンタジエ
ンに換算した量が上記範囲内となる量が好ましい。ま
た、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンの
上記範囲内の量を連続的または継続的に反応系中に供給
することができ、その結果、シクロペンタジエン多量体
やシクロペンタジエン付加重質物の生成を抑えることが
できるため好ましい。また、反応は加圧下で行うことが
反応速度が大であるため好ましく、その場合10MPa
以下、好ましくは5MPa以下、更には3MPa以下が
好ましい。
【0014】本ディールス・アルダー反応を溶媒の非存
在下で行うと、反応が進行するに従い反応液の粘度が徐
々に上昇し、やがては攪拌の継続が困難になってしま
い、反応器のファウリングの原因となり反応熱の除去が
不充分となり非常に危険で、その他配管の詰まりの原因
となり安定した運転か困難になる。また反応終了後に反
応器から取出した反応混合物は高粘度グリース状でその
後の取扱いが困難となってしまう。本発明においては、
溶媒の存在下で反応を行うことにより、反応液の粘度の
上昇を防ぎ、安定した攪拌を行うことができるため反応
熱の除去が十分に行え、得られる反応混合物は低粘度の
液体であるため取扱いを容易にすることができる。
【0015】上記のディールス・アルダーにより得られ
る反応混合物には、目的とする製造物のひとつである一
般式(3)で示される化合物以外に、未反応の一般式
(1)または(2)で示される化合物、反応のシクロペ
ンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンが含ま
れるが、これら以外にもシクロペンタジエン多量体やシ
クロペンタジエン付加重質物が含まれている。これらの
うち特にシクロペンタジエン多量体は前述した反応条件
のうちでどのような条件を選択しても必ず反応液中に相
当量副生する化合物で、沸点などの化学的および物理的
特性が一般式(3)で示される化合物と類似しているた
めこれらを効率よく分離することが必要である。
【0016】本発明の製造法においては、該ディールス
・アルダー反応を特定の溶媒存在下で行うことにより、
ディールス・アルダー反応終了後、反応混合物を冷却、
静置するだけで反応混合物を2層以上に層分離させるこ
とができ、そのうちの少なくとも1層にシクロペンタジ
エン多量体の少なくとも一部を溶解させ、それ以外の層
に上記一般式(3)で示される化合物の少なくとも一部
を溶解させた状態で分液操作に付することにより、両者
を効率よく分離することができる。
【0017】本発明で使用する溶媒としてはディールス
・アルダー反応に不活性なものであれば適宜使用可能で
あり、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜
10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群からそれ
ぞれ1種類以上選択された計2種類以上の溶媒を使用す
ることができる。炭素数10以下の含酸素化合物として
は、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、sec−
ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2
−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−1−
ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル
−1−ブタノール、tert−アミルアルコール、ネオペン
チルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノー
ル、3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノー
ル、3−メチル−3−ペンタノール、4−メチル−2−
ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、1
−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノー
ル、2−メチル−3−ヘキサノール、2,4−ジメチル
−3−ペンタノール、1−オクタノール、2−オクタノ
ール、3−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノー
ル、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール、1−ノ
ナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチル−4−ヘ
プタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノー
ル、1−デカノール、2−デカノール、4−デカノール
および3,7−ジメチル−1−オクタノール等の脂肪族
モノアルコール;シクロペンタノール、シクロヘキサノ
ールなどの脂環式モノアルコール;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、1,2−ジヒドロキ
シ−3−ブテンおよびグリセリン等の多価アルコール;
アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソプロピ
ルケトン、メチルブチルケトンおよびメチルイソブチル
ケトン等のケトン;ジメチルエーテル、ジエチルエーテ
ル、ジプロピルエーテル、ブチルエチルエーテル、メチ
ル−tert−ブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジペン
チルエーテル、テトラヒドロフランおよびテトラヒドロ
ピラン等のエーテル;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イ
ソプロピルおよび酢酸ブチル等のエステル;および水が
例示され、製造上、水、メタノール、エチレングリコー
ル、ジエチルエーテルおよび酢酸エチルを好ましく使用
することができる。
【0018】炭素数5〜10の炭化水素としては、n−
ペンタン、n−ヘキサン、メチルペンタン、n−ヘプタ
ン、メチルヘキサン、ジメチルペンタン、n−オクタ
ン、メチルヘプタン、ジメチルヘキサン、トリメチルペ
ンタン、ジメチルヘプタン、n−デカンなどの直鎖状あ
るいは分岐状の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、
キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼンなどの芳
香族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチル
シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、プロピルシク
ロヘキサンなどの脂環式化合物などが挙げられ、製造
上、n−ヘキサン、トルエン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサンを好ましく使用することができる。
【0019】これら含酸素化合物と炭化水素化合物をそ
れぞれ1種類以上用い、ディールス・アルダー反応終了
後に反応混合物が2層以上に分離し、そのうちの少なく
とも1層にシクロペンタジエン多量体等を主として溶解
させ、それ以外の層に上記一般式(3)で示される化合
物を主として溶解させ分液することができるものであれ
ばその組み合わせは任意である。好ましい溶媒の組み合
わせとしては、上記の含酸素化合物と炭化水素化合物を
それぞれ1種類ずつ用いた場合で、ディールス・アルダ
ー反応終了後に反応混合物は2層に分離する場合が多
く、一方の層にはシクロペンタジエン多量体の少なくと
も一部が溶解させ、他方の層には一般式(3)で示され
る化合物を溶解させることができる。具体的には、メタ
ノールとn−ヘキサン、メタノールとシクロヘキサン、
メタノールとトルエン、エチレングリコールとn−ヘキ
サン、エチレングリコールとオクタン、エチレングリコ
ールとトルエン、ジエチルエーテルとn−ヘキサンおよ
び酢酸エチルとn−ヘキサンなどの組み合わせを挙げる
ことができ、またこれらの例に水を更に加えた組み合わ
せも挙げられる。また、一旦分液されたそれぞれの層に
対して更に用いた反応溶媒の少なくとも一種類を加えて
抽出することもできる。
【0020】含酸素化合物と炭化水素化合物の重量比率
は前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは10/
90〜90/10、より好ましくは20/80〜80/
20であり、ディールス・アルダー反応の原料に添加す
る溶媒量は、一般式(1)および/または(2)で示さ
れる化合物とシクロペンタジエンおよび/またはジシク
ロペンタジエンの合計重量と、含酸素化合物と炭化水素
化合物の合計重量との比率が1/99〜99/1、好ま
しくは20/80〜80/20、より好ましくは30/
70〜70/30の範囲である。反応液を層分離させる
ときの温度条件は、例えば10〜150℃、好ましくは
10〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。
【0021】また、本製造法において、シクロペンタジ
エン多量体が溶解した層には未反応のシクロペンタジエ
ンおよび/またはジシクロペンタジエンを同時に溶解さ
せることができ、また一般式(3)で示される化合物が
溶解した層には一般式(1)および(2)で示される化
合物を同時に溶解させることもできる。
【0022】また、分液して回収された原料成分は必要
に応じてディールス・アルダー反応原料としてリサイク
ルすることが出来、また分離されたシクロペンタジエン
多量体やシクロペンタジエン付加重質物等もシクロペン
タジエンおよび/またはジシクロペンタジエンと等価な
反応原料として再使用することもできる。
【0023】本製造法は上記一般式(1)〜(3)で示
される化合物のRおよびRがそれぞれ水素原子また
は炭素数2〜5のアシル基の場合について行うことがで
きるが、RおよびRがそれぞれ水素原子である場合
に分離の効率が良く好適に実施される。
【0024】上記に述べた条件下でディールス・アルダ
ー反応を実施するが、反応はバッチ式、セミバッチ式、
連続式いずれの形式で行ってもよい。連続式で行う場合
の反応器は完全混合型、ピストンフロ−型、いずれの反
応器も使用できる。ピストンフロ−型反応器の市販品と
してノリタケカンパニ−(株)製「スタティックミキサ
−」、住友重機械工業(株)製「スル−ザ−ミキサ
−」、櫻製作所(株)製「スケヤミキサ−」などがあげ
られる。反応器は一段あるいは二段以上の多段の構造と
することもできる。完全混合型反応器やピストンフロ−
型反応器は直列または並列で組み合わせて使用すること
ができる。
【0025】また反応は酸化防止剤、重合禁止剤の存在
下に行うことができる。例えば、ハイドロキノン、2,
6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾ−ル、4−メトキシフェノール等のフェ
ノール系化合物、N,N−ジメチルヒドロキシルアミ
ン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のヒドロキ
シルアミン化合物などが好適に添加される。その添加量
は、反応器中に供給される反応原料全量に対して、通常
10〜10000ppm、好ましくは50〜5000p
pmの範囲である。また、製品である一般式(3)で示
される化合物にも50〜5000ppmの範囲で好まし
く添加することができる。
【0026】目的とする製造物のひとつである上記一般
式(3)で示される化合物は、式中のnが0から2の整
数である不飽和結合を有する縮合環含有化合物であり、
代表的なものとしてはnが1である1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナ
フタレン−2,3−ジメタノールあるいは1,2,3,4,
4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメ
タノナフタレン−2,3−ジメタノールジアセテート等
が挙げられる。また目的とする製造物である上記一般式
(4)で示される化合物は、後述する精製工程の変性工
程において上記一般式(3)で示される化合物の水素添
加反応により製造されるが、上記一般式(3)で示され
る化合物と同様に、式中のnが0から2の整数である縮
合環含有化合物である。代表的なものとしてはnが1で
ある1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタ
ノールあるいは1,2,3,4,4a,5,6,7,8,8a−
デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,
3−ジメタノールジアセテート等が挙げられる。なお、
上記一般式(3)および(4)で示される化合物として
は、nが0と1の化合物を含む組成物、nが1と2の化
合物を含む組成物、またはnが0、1および2の化合物
を含む組成物であってもよい。
【0027】上記の反応において分液されたディールス
・アルダー反応混合物のうち一般式(3)で示される化
合物を含む混合物層は、以下に述べる精製工程に供され
る。精製工程では(A)蒸留工程、(B)変性工程等の
各工程が適宜行われる。(B)変性工程は具体的には、
触媒の存在下で水素ガスにより行われる(b−1)水素
添加反応を行う工程および/または、一般式(1)〜
(4)で示される化合物中のRおよび/またはR
炭素数2〜5のアシル基の場合について行われる(b−
2)加水分解反応またはエステル交換反応を行う工程で
ある。上記の各工程の組合せ、実施回数ならびに順序は
特段の制約を受けない。精製工程はバッチ式、セミバッ
チ式、連続式の何れの方法で行ってもよい。
【0028】以下に(A)、および(B)の各工程につ
いてそれぞれ詳細に述べる。 (A)蒸留工程 本蒸留工程は、上記一般式(3)または(4)における
およびRがそれぞれ水素原子または炭素数2〜5
のアシル基の場合について行うことができ、実施回数・
順序は特に制限は受けない。蒸留工程は、常圧条件、減
圧条件のいずれで行うことも可能であるが減圧下で行う
ことが好ましく、蒸留塔の塔底温度が300℃を超えな
い温度、好ましくは250℃を超えない温度、より好ま
しくは220℃を超えない温度で、減圧条件を設定する
ことが望ましい。
【0029】(B)変性工程 (b−1)水素添加反応 本発明における上記一般式(3)で示される化合物は熱
的に比較的不安定であり、精製工程に蒸留工程を組み入
れた場合、採用する蒸留条件によっては一部熱分解し収
率が低下する。また採用する蒸留条件によっては、シク
ロペンタジエン多量体や、シクロペンタジエン付加重質
物の分解反応、重合反応が進行する。精製工程において
適宜に本水素添加反応を行うことによって一般式(3)
で示される化合物は、熱的に安定な上記一般式(4)で
示される化合物に変換することができ、またシクロペン
タジエン多量体もその水素添加物に変換することがで
き、上記の熱分解、重合反応を抑制することができる。
本工程は上記一般式(3)におけるRおよびRがそ
れぞれ水素原子または炭素数2〜5のアシル基の場合に
ついて行うことができる。
【0030】本水素添加反応は実施回数・順序は特に制
限は無いが、炭素−炭素二重結合に対して進行するた
め、一般式(3)で示される化合物以外に、未反応の一
般式(1)で示される化合物および一般式(2)で示さ
れる化合物、未反応シクロペンタジエンおよびジシクロ
ペンタジエン等が共存している場合にはこれらも同時に
水素添加を受けることになり、原料を回収し反応にリサ
イクル使用することを考慮すると、未反応原料を分離し
た後の混合物に対して行うことが好ましい。
【0031】本水素添加反応は、触媒の存在下で水素ガ
スにより行う。触媒としては炭素−炭素二重結合の水素
添加反応に一般的に使用される触媒が使用可能であり、
例えば、パラジウム担持活性炭、ラネーニッケル、ラネ
ーコバルト、酸化白金、白金担持活性炭、ニッケル珪藻
土、銅クロマイトなどの不均一系触媒;またはクロロト
リス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、白金−スズ
錯体、第三級ホスフィン−コバルトカルボニル錯体など
の均一系触媒を挙げることができる。触媒の使用量は、
反応混合液に対して、通常0.001〜10重量%の範
囲内が適当である。
【0032】水素添加反応は溶媒の不存在下に行うこと
もできるが、適当な溶媒の存在下に行うことが、混合液
の粘度が低下し、特に不均一系触媒を使用した場合の触
媒の分離が容易となるので好ましい。使用し得る溶媒と
しては一般に水素添加反応時に使用可能なものが種々例
示できるが、前記ディールス・アルダー反応で使用する
溶媒と同等のものを適宜選択して使用することが製造上
好適に行うことができる。
【0033】水素添加反応は水素ガスの存在下、使用す
る触媒の種類によっては常圧で行うことも可能である
が、加圧下で行うことが反応速度が大である場合が多い
ため望ましい。加圧下で行う場合には、30MPa以
下、好ましくは20MPa以下、更に好ましくは10M
Pa以下であるのが、反応装置、操作性等の面で工業的
に有利である。なお水素添加反応に影響を与えない他の
不活性ガス、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ア
ルゴン等が共存していて差支えない。水素添加反応は、
30〜250℃、より好ましくは60〜220℃、より
好ましくは80〜200℃の範囲内である。反応時間は
1分間〜50時間、好ましくは10分間〜20時間の範
囲内で行うのが好ましい。
【0034】(b−2)加水分解またはエステル交換反
応 加水分解またはエステル交換反応は、上記一般式(3)
または(4)におけるRおよび/またはRが炭素数
2〜5のアシル基の場合について行うことができ、一般
式(3)または(4)で示されるジカルボキシレート化
合物と水または低級脂肪族アルコールとを触媒の存在下
に反応させることによりジメタノール化合物が得られ
る。本工程の実施回数、順序は特段の制約を受けず、ま
た(b−1)水素添加反応と組み合わせて実施すること
も可能である。加水分解またはエステル交換反応を実施
する混合物中に、未反応のRおよび/またはRが炭
素数2〜5のアシル基の一般式(1)および(2)で示
される化合物が存在する場合、これらも同時に加水分解
またはエステル交換反応するため,効率的に反応を行う
ことや原料を回収し反応にリサイクル使用することを考
慮すると、未反応原料を分離した後の混合物に対して行
うことが好ましい。
【0035】エステル交換反応に使用する低級脂肪族ア
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、イソプロパノール、アリルアルコー
ル、n−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ
る。これらの中でも特にメタノールが好ましい。
【0036】加水分解反応またはエステル交換反応で使
用される触媒としては、例えば、硫酸、硝酸および塩酸
等の鉱酸;ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、メタンスルホン
酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン
酸、トリクロロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、
トリクロロ酢酸および酢酸等の有機酸;HPW12
40、HSiW12 、HTiW1240
CoW1240、HFeW1240、H
1862、HPW1133、HTiMo
1240、HPMo1240、HPMo11
39、HMo1862、HPMoW 11
40、HPVMo1140、HSiMo12
40、HPVMo1040、HPMo
40、H0.5Cs2.5PW1240およびこれら
の水和物等のタングステン酸、モリブデン酸或いはこれ
らのヘテロポリ酸;アンバーリストIR120等の陽イ
オン交換樹脂;H−ZSM−5等のH型ゼオライト等の
酸触媒のほか、エステル交換反応においては例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナ
トリウムメトキシド等の塩基触媒も挙げることができ
る。触媒の使用量としては原料に対して、0.001〜
15モル%の範囲が好ましく、0.01〜10モル%の
範囲が好ましい。
【0037】加水分解反応またはエステル交換反応は、
温度50〜200℃の範囲で行うのが好ましく、常圧
下、加圧下いずれでも実施可能である。通常は常圧下で
実施されるが、加圧下では反応温度を高くすることが可
能であり、反応時間が短縮化されることから有利な場合
がある。加水分解反応またはエステル交換反応に必要な
反応時間は、反応温度、用いる触媒の種類と量、および
水または低級脂肪族アルコールの量等により変化する
が、通常10分間〜10時間の範囲内である。
【0038】加水分解反応またはエステル交換反応の結
果生じる炭素数2〜5のカルボン酸類または低級脂肪族
アルコールのエステルを系外に除去することにより反応
の平衡をずらし、反応を進行させることができる。この
場合、上記カルボン酸と水またはエステルとエステル交
換反応のために用いる低級脂肪族アルコールは、共沸混
合物を形成する場合があり反応系外に留出できるため、
水または低級脂肪族アルコールの使用量としては反応に
必要な量に加えて共沸により留出する量も考慮して設定
するのが好ましい。
【0039】また、一般式(1)および/または(2)
で示される化合物とシクロペンタジエンおよび/または
ジシクロペンタジエンとを前記水または低級アルコール
を溶媒に使用し、前記触媒の存在下でディールス・アル
ダー反応することにより、ディールス・アルダー反応と
加水分解またはエステル交換反応を同時に進行させ、直
接一般式(3)で示されるジメタノール化合物を製造す
ることも可能である。ここで、少量の酸あるいは塩基触
媒を加えることで加水分解あるいはエステル交換反応を
促進することができる。
【0040】一般式(3)または(4)で示されるカル
ボキシレート化合物をジメタノール化合物に変換する方
法として加水分解またはエステル交換反応以外に、従来
より知られている例えば銅−クロマイト触媒存在下での
還元反応などを行うことも可能である。しかしながら、
高温かつ高圧水素条件を必要とする、といった問題があ
り工業的に有利な方法とはいえず、加水分解反応または
エステル交換反応を選択するのが好ましい。以上、精製
工程について詳細に説明したが、精製工程は(A)、
(B)両工程の実施回数、組合せ、実施順序に特段の限
定はないが、例えば、下記に示す組み合わせ・順序で好
ましく行うことができる。
【0041】上記一般式(1)および(2)で示される
化合物のRおよびRが水素原子の場合の精製工程を
例示すると、ディールス・アルダー反応終了後、冷却、
静置して反応液を層分離し、未反応シクロペンタジエ
ン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンタジエン多
量体を含む層と上記一般式(1)、(2)および(3)
で示される化合物を含む層を分液操作に付して分離し、
上記一般式(1)、(2)および(3)で示される化合
物を含む溶液を得る。次いで(A)蒸留工程により混合
物中に含まれる未反応の一般式(1)および(2)で示
される化合物、および溶媒等の低沸点成分を分離するこ
とにより目的生成物である一般式(3)で示される化合
物を得る場合や、このようにして得た一般式(3)で示
される化合物を、次いで(b−1)水素添加反応に付し
て一般式(4)で示される化合物を得る場合等が挙げら
れる。
【0042】また、上記一般式(1)および(2)で示
される化合物のRおよびRが炭素数2〜5のアシル
基の場合の精製工程を例示すると、ディールス・アルダ
ー反応終了後、冷却、静置して反応液を層分離し、未反
応シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンおよびシ
クロペンタジエン多量体を含む層と上記一般式(1)、
(2)および(3)で示される化合物を含む層を分液操
作に付して分離し上記一般式(1)、(2)および
(3)で示される化合物を含む溶液を得て、次いで
(A)蒸留工程を行い混合物中に含まれる未反応の一般
式(1)および(2)で示される化合物、溶媒等の低沸
点成分を分離することにより得られる蒸留残さを(b−
2)エステル交換反応に付して一般式(3)で示される
ジメタノール化合物を得る場合や、このようにして得た
一般式(3)で示されるジメタノール化合物を次いで
(b−1)水素添加反応に付して一般式(4)で示され
るジメタノール化合物を得る場合等を挙げることができ
る。
【0043】上記例示した精製工程を経て得られた、一
般式(3)または(4)で示されるジメタノール化合物
は、再結晶や蒸留等の通常の方法により更に精製するこ
ともできる。
【0044】上記の方法により製造される一般式(3)
または(4)で示されるジメタノール化合物は、シクロ
ペンタジエン多量体ないしはその水添物の含有量を容易
に5重量%以下とすることができ、さらに抽出を行うこ
とにより1重量%以下とすることができ、高純度のもの
とすることができる。また、(b)蒸留工程の蒸留条件
によっては、得られる一般式(3)または(4)で示さ
れるジメタノール化合物に、一般式(2)で示されるジ
メタノール化合物またはその水添物を含有した組成物を
得ることも可能である。
【0045】以上述べた製造法により得られる、一般式
(3)または(4)で示される縮合環含有化合物は、環
式構造を持ちながら性質が脂肪族化合物に類似している
ことから、これらの構造と性質を生かした種々の用途へ
の利用が検討されていて、それ自身直接、またはエポキ
シ誘導体、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、カ
ーボネート、ポリオール誘導体等に変換して用いること
により、種々の(共)重合体を製造することができる。
以下に種々の(共)重合体について具体的に例示する
が、何ら限定を受けるものではない。
【0046】「ポリエステル」本発明の製造法により製
造される縮合環含有ジオール化合物は、例えばポリエチ
レンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の
飽和ポリエステルにおけるジオール成分として使用する
ことができる。例えばエチレングリコールやブチレング
リコール等のジオール成分の代替としてあるいはこれら
と混合したものを、高純度テレフタル酸と例えばLi、
Ca、Zn、MnおよびCoの酢酸塩等の存在下に20
0〜250℃に加熱することにより低重縮合体を得て、
更にSb 、Sb(OCH、Pb(CH
OO)等の触媒を用い高真空条件下で270〜300
℃で重縮合反応することによりポリエステルを得ること
ができる。
【0047】「不飽和ポリエステル」不飽和ポリエステ
ル樹脂は不飽和二塩基酸またはその一部を各種の飽和二
塩基酸で置き換えた酸成分と、二価アルコールの縮合に
より得られる不飽和ポリエステルを、この不飽和ポリエ
ステルと共重合するビニル単量体に溶解したものからな
る。二価アルコールとしては例えばプロピレングリコー
ル等がよく使用され、それらの少なくとも一部を本発明
の縮合環含有ジオール化合物で置き換えた二価アルコー
ルを使用し、窒素等の不活性ガスを通しながら200℃
程度に加熱してエステル化反応させて不飽和ポリエステ
ルをえて、これに例えばスチレン等のビニル単量体、重
合安定剤を混合することにより不飽和ポリエステル樹脂
を得ることができる。この樹脂はコバルトなどの促進
剤、メチルエチルケトンパーオキサイド等の硬化剤と混
合し加熱反応させたり、直接電子線、紫外線などの照射
により硬化樹脂が得られる。
【0048】「ポリカーボネート」本発明の縮合環含有
ジオール化合物は例えばカーボネートまたはビスカーボ
ネートに変換することができ、これらは例えばNa、
K、Mg、Ca等のアルカリまたはアルカリ土類金属の
単体、酸化物または水酸化物、ZnO、PbO、Sb
等の塩基性金属酸化物やトリメチレンビス(トリフ
ェニルホスホニウム)ビストリフェニルボラネート等の
ボラネート等の触媒の存在下に、それ自身の縮合反応、
あるいは例えばビスフェノールAとのエステル交換反応
を250〜300℃程度の高温、減圧条件下で行うこと
によりポリカーボネートを得ることができる。
【0049】「ポリウレタン」ポリウレタンは例えばテ
トラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソ
シアネートやトリレンジイソシアネート、p,p’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート
と1,4−ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコ
ール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール等のポリオールを無触媒あるいは場合によ
っては各種第三アミン、有機酸のスズ塩等の触媒や発泡
剤などを添加した条件下で反応させることにより製造す
ることができるが、本発明の縮合環含有ジオール化合物
はそれ自身ジオール化合物としてあるいは上記ポリオー
ルと混合して反応させることも可能である。ポリウレタ
ンの利用される形態としては、繊維、フォーム、エラス
トマー、注型樹脂、塗料およびシーラント等と非常に多
岐にわたっているがそれらの何れにも適用することが可
能である。
【0050】「エポキシ樹脂」例えば、本発明の縮合環
含有ジオール化合物は2当量のエピクロルヒドリンとB
・OEt錯体やSnClのようなルイス酸存在
下に50〜70℃で反応させるとビスクロルヒドリンエ
ーテルに変換され、これを水酸化ナトリウムやアルミン
酸ナトリウム等の塩基存在下に閉環反応させるとジグリ
シジルエーテルに変換することができ、エポキシ樹脂と
して用いることができる。一般に広く使用されているジ
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジ
ルエーテル等があるが、前記の縮合環含有ジオールのジ
グリシジルエーテルはそれ自身単独であるいはビスフェ
ノールAのジグリシジルエーテル等と混合したものをジ
エポキシ成分とし、ジエチレントリアミン、ジアミノジ
フェニルメタン、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
ル酸、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2
−エチル−4−メチルイミダゾールおよびBF・C
NH錯体等の硬化剤やその他可塑剤、液状ゴム、
充填剤、希釈剤、顔料および溶剤などを混合し、温度1
00〜200℃で加熱、硬化させることによりエポキシ
樹脂を得ることができる。また本発明の縮合環含有ジオ
ール化合物と当量近傍のエピクロルヒドリンと反応させ
るとモノクロルヒドリンエーテルに変換され、これを塩
基存在下に閉環反応させるとモノグリシジルエーテルに
変換することもできる。また例えば、本発明の縮合環含
有ジオール化合物のうち、ジメタノナフタレン骨格に炭
素−炭素二重結合を有するオクタヒドロジメタノナフタ
レン ジメタノール化合物は、過酢酸,過安息香酸およ
びm−クロロ過安息香酸などの過酸化物と反応させるこ
とにより炭素−炭素二重結合がエポキシ化された化合物
に変換することができ、反応型希釈剤(反応型流動調節
剤とも言う)として添加することもできる。
【0051】「アルキド樹脂」本発明の縮合環含有ジオ
ール化合物は、アルキド樹脂の多価アルコール成分とし
て用いることができ、無水フタル酸、イソフタル酸、無
水トリメリット酸、無水マレイン酸およびアジピン酸等
の多塩基酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヤシ油脂
肪酸およびヒマシ油脂肪酸などの脂肪酸に代表される変
性剤、触媒としてCa、Pb、Zn、Li等の酸化物お
よび水酸化物、必要に応じてキシレンなどの溶媒等と最
終的に230〜260℃で反応させることによりアルキ
ド樹脂を得ることができる。多価アルコール成分として
は、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロー
ルプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコー
ルおよびネオペンチルグリコール等が一般的に用いられ
ているがこれらの少なくとも一部を本発明の縮合環含有
ジオール化合物に置き換えたものも用いることができ
る。
【0052】「アクリル樹脂」本発明における縮合環含
有ジメタノール ジ(メタ)アクリレート化合物は、縮
合環含有ジメタノールまたは縮合環含有ジメタノール
ジアセテート等のジカルボキシレートを、(メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル等の(メタ)アクリル酸化合物とエステル化反
応またはエステル交換反応することによっても製造する
ことができる。反応は、硫酸、硝酸および塩酸等の鉱酸
類、p−トルエンスルホン酸およびトリフルオロ酢酸等
の有機酸類、ヘテロポリ酸類、陽イオン交換樹脂および
H型ゼオライト類等を酸触媒として、またエステル交換
反応においてはこれら酸触媒に加えて、3ZnO−2B
、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛および酢酸カルシウ
ムに代表される周期率表第II族化合物の脂肪酸塩あるい
は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、ナトリウムメトキシド等の塩基触媒として、必要に
応じて溶媒の存在下に温度70〜150℃で行う。更に
このジ(メタ)アクリレートは縮合環含有ジメタノール
と(メタ)アクリル酸ハライド化合物を塩基の存在下に
反応させることによっても製造することができる。具体
的な(メタ)アクリル酸ハライド化合物としては、(メ
タ)アクリロイルクロライド等が挙げられ、塩基として
は、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびトリプ
ロピルアミン等の鎖状アルキルアミン;ピリジン、アニ
リンおよびN−メチルアニリン等の芳香族アミン;1,
5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノ−5−ネン(DB
N)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン
(DBO)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]
ウンデセ−7−エン(DBU)等の環状アルキルアミ
ン;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ムおよび炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩等が挙げら
れ、トリエチルアミンやトリプロピルアミンが好ましく
使用され、必要に応じて溶媒の存在下に温度0〜50℃
で反応させる。また更に、(メタ)アクリル酸化合物を
縮合環含有ジメタノールまたはジメタノールアセテート
に対して当量近傍用いて上記と同様の条件で反応させる
と縮合環含有モノ(メタ)アクリレート化合物を製造す
ることもできる。上記により製造された縮合環含有モノ
またはジ(メタ)アクリレート化合物は、それ自身単独
または(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチ
ル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メ
タ)アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレンおよびアク
リロニトリル等の重合性二重結合を有するモノマーおよ
び/またはラジカル重合性二重結合を有するエポキシ
系、ウレタン系およびエステル系(メタ)アクリレート
オリゴマーと混合して、tert−ブチルヒドロパーオキシ
ド、クメンヒドロパーオキシド、ジ−tert−ブチルパー
オキシドおよびジクミルパーオキシド等の有機過酸化
物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス化合物等
を触媒にして加熱する方法や、ベンゾフェノン、ベンゾ
イン、ベンゾインメチルエーテルまたはジエトキシアセ
トフェノン等の光重合開始剤と場合によってはトリエタ
ノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の
アミン類を光増感剤の存在下に紫外線または電子線等を
照射する方法によって樹脂を製造することができる。
【0053】以上に例示した(共)重合体は、ジメタノ
ナフタレン骨格等の構造が導入されるため、従来の重合
物と比較して、耐熱性、透明性、低複屈折性、耐候性、
耐光性、低吸水性、耐湿性、低誘電率、低誘電特性、絶
縁性、接着性、耐衝撃性や硬度などの機械特性、寸法安
定性および耐薬品性などの機能性を高めることができ、
各種構造材料、機能材料として広範囲の用途に適用可能
である。例えば、プリント配線基板、エレクトロニクス
デバイス封止剤などの電気・電子材料、光ファイバー、
光学用素子、光学レンズ、光ディスクなどの光学材料、
各種塗料や接着剤、電子線や紫外線などにより硬化する
硬化性樹脂、写真用フィルムや透明フィルムなどのフィ
ルム、歯科充填物、薬品包装材などの医薬・歯科材料、
透明樹脂コーティング剤、食器や包装材料、自動車部品
等への適用が可能である。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるも
のではない。 <実施例1>電誘導式攪拌装置を備えた内容積5Lのオ
ートクレーブに2−ブテン−1,4−ジオール1286
g(14.43mol)、メタノール760gおよびシ
クロヘキサン760gを仕込み、系内を窒素ガスで置換
した。次いで攪拌下にマントルヒータで内温200℃に
加熱し、純度95%のジシクロペンタジエン966g
(6.92mol)を定量ポンプを用いて連続的に4時
間かけてオートクレーブ内に添加し、更に1時間同温度
を維持しディールス・アルダー反応を行った。反応を実
施している間、反応液の粘度上昇は観測されず、何ら問
題なく反応を継続することができた。反応終了後、室温
まで冷却して取出した内容物を5Lの分液ロートに移し
静置したところ、反応混合物は2層に分離したので分液
した。上層の重量は826g、下層は2869g得られ
た。両者をガスクロマトグラフィーにてそれぞれ分析し
た結果、上層には2−ブテン−1,4−ジオール0.7g
(7.7mmol)、ジシクロペンタジエン61.5g
(0.47mol)、5−ノルボルネン−2,3−ジメタ
ノール5.2g(0.03mol)、シクロペンタジエン
3量体53.1g(0.27mol)、1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタ
ノナフタレン−2,3−ジメタノール5.2g(0.02
mol)、およびシクロペンタジエン4量体6.5g
(0.02mol)を含んでおり、下層には2−ブテン
−1,4−ジオール383.6g(4.35mol)、ジ
シクロペンタジエン72.9g(0.55mol)、5−
ノルボルネン−2,3−ジメタノール1263.4g
(8.19mol)、シクロペンタジエン3量体35.8
g(0.18mol)、1,2,3,4,4a,5,8,8a−
オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−
2,3−ジメタノール194.5g(0.88mol)、
およびシクロペンタジエン4量体3.1g(0.01mo
l)を含んでいた。この下層を更にシクロヘキサン50
0gで2回抽出操作を60℃で行ったところ、下層に2
−ブテン−1,4−ジオール358.3g(4.07mo
l)、ジシクロペンタジエン3.9g(0.03mo
l)、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール122
0.6g(7.91mol)、シクロペンタジエン3量体
2.0g(0.01mol)、1,2,3,4,4a,5,8,
8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレ
ン−2,3−ジメタノール180.7g(0.82mo
l)、およびシクロペンタジエン4量体0.1g(0.4
mmol)を含む組成物が2787g得られた。この組
成物をロータリーエバポレータで濃縮した後、圧力0.
13KPa、蒸留塔塔底温度220℃で減圧蒸留を行
い、2−ブテン−1,4−ジオール、ジシクロペンタジ
エン、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノールを留出
させて194gの釜残を得、更にこの釜残を圧力13.
3Pa、温度230℃で薄膜蒸留にかけたところ純度9
9.1%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタ
ノールを得た。
【0055】<比較例1>メタノールとシクロヘキサン
を用いない以外は実施例1と同様にディールス・アルダ
ー反応を行った。ジシクロペンタジエンの供給を開始し
て3時間を過ぎたあたりから反応液の粘度上昇が観測さ
れたので、3.5時間で反応を停止した。反応器を室温
まで冷却した後に内容物を取出したところ、高粘度のグ
リース状の混合物が得られた。
【0056】<実施例2>実施例1と同様の方法でディ
ールス・アルダー反応およびその後の分液操作を行って
取り出した下層の組成物を次いでロータリーエバポレー
タで濃縮した後、圧力0.13KPa、蒸留塔塔底温度
220℃で減圧蒸留を行い、2−ブテン−1,4−ジオ
ール、ジシクロペンタジエン、5−ノルボルネン−2,
3−ジメタノールを留出させて得た142gの釜残を、
500gのメチルシクロヘキサンとともに1Lオートク
レーブに仕込み、担持ニッケル触媒(日揮化学製、N−
113触媒)を7重量%の存在下で、温度110℃、水
素ガス圧力5.0MPaの条件で5時間水素添加反応を
行った。反応終了後、冷却して内容物を取出し、触媒を
ろ別して除いた後の反応混合物をガスクロマトグラフィ
ーにより分析すると、水素化シクロペンタジエン3量体
1.1g(0.01mol)、1,2,3,4,4a,5,6,
7,8,8a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフ
タレン−2,3−ジメタノール138.4g(0.62m
ol)、および水素化シクロペンタジエン4量体0.1
g(0.4mmol)を含む組成物を631g得た。こ
の水素添加反応物をロータリーエバポレータで濃縮した
後、圧力0.13KPa、蒸留塔塔底温度を最高270
℃で減圧蒸留し精製したところ純度99.0%の1,2,
3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロ−1,4:
5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノールが得
られた。
【0057】<実施例3>メタノールの替わりにジエチ
ルエーテル、シクロヘキサンの替わりにn−ヘキサンを
用いた以外は実施例1と同様に反応および精製を行った
ところ、純度99.2%の1,2,3,4,4a,5,8,8a
−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−
2,3−ジメタノールが得られた。
【0058】<実施例4>メタノールの替わりに酢酸エ
チル、シクロヘキサンの替わりにn−ヘキサンを用いた
以外は実施例1と同様に反応および精製を行ったとこ
ろ、純度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オ
クタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,
3−ジメタノールを得た。
【0059】<比較例2>反応溶媒にトルエン1500
gを使用し、ディールス・アルダー反応を行って得た反
応混合物を、5Lオートクレーブに仕込み、担持ニッケ
ル触媒(日揮化学製、N−113触媒)を7重量%添加
し、温度110℃、水素ガス圧力5.0MPaの条件下
で5時間水素添加反応を行った。反応終了後、冷却して
内容物を取出し、触媒をろ別して除いた後の反応混合物
をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、1,4
−ブタンジオール310.0g(3.13mol)、水素
化ジシクロペンタジエン253.5g(1.86mo
l)、ノルボルナン−2,3−ジメタノール1030.5
g(6.60mol)、水素化シクロペンタジエン3量
体153.3g(0.76mol)、1,2,3,4,4a,
5,6,7,8,8a−デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタ
ノナフタレン−2,3−ジメタノール145.3g(0.
65mol)、および水素化シクロペンタジエン4量体
21.5g(0.08mol)を含む組成物が2710g
得られた。この水素添加反応物を濃縮後、圧力0.13
KPa、蒸留塔塔底温度を最高270℃まで昇温してバ
ッチ形式の減圧蒸留を行った。留出した目的の1,2,
3,4,4a,5,6,7,8,8a−デカヒドロ−1,4:
5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノールの純
度は最高で93.8%までしか達せず、その留分の水素
化シクロペンタジエン3量体および4量体は5.2%で
あった。
【0060】<実施例5>内容積300mlのオートク
レーブに2−ブテン−1,4−ジオール18.8g(0.
21mol)、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノー
ル32.9g(0.21mol)、n−ヘキサン63.2
gおよびメタノール63.2gを仕込み、系内を窒素ガ
スで置換した。次いで攪拌下にマントルヒータで内温2
00℃に加熱し、純度95%のジシクロペンタジエン2
8.2g(0.20mol)を定量ポンプを用いて連続的
に4時間かけてオートクレーブ内に添加し、更に1時間
同温度を維持しディールス・アルダー反応を行った。反
応を実施している間、反応液の粘度上昇は観測されず、
何ら問題なく反応を継続することができた。反応終了
後、室温まで冷却して取出した内容物を300mlの分
液ロートに移し静置したところ、反応混合物は2層に分
離したので分液した。上層の重量は45.7g、下層は
155.8g得られた。分液した下層をガスクロマトグ
ラフィーで分析した結果、2−ブテン−1,4−ジオー
ル4.9g(0.06mol)、ジシクロペンタジエン
9.7g(0.07mol)、5−ノルボルネン−2,3
−ジメタノール41.2g(0.27mol)、シクロペ
ンタジエン3量体4.9g(0.02mol)、1,2,
3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8
−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタノール12.0g
(0.05mol)、およびシクロペンタジエン4量体
0.8g(3.0mmol)含有していた。この下層を更
にn−ヘキサン50gで2回抽出操作を60℃で行った
ところ、下層に2−ブテン−1,4−ジオール4.4g
(0.05mol)、ジシクロペンタジエン0.2g
(1.5mmol)、5−ノルボルネン−2,3−ジメタ
ノール38.2g(0.25mol)、シクロペンタジエ
ン3量体0.4g(2.0mmol)、1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタ
ノナフタレン−2,3−ジメタノール10.0g(0.0
5mol)、およびシクロペンタジエン4量体0.1g
(0.4mmol)を含む組成物が得られた。この組成
物をロータリーエバポレータで濃縮した後、圧力0.1
3KPa、蒸留塔塔底温度220℃で減圧蒸留を行い、
2−ブテン−1,4−ジオール、ジシクロペンタジエ
ン、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノールを留出さ
せて11.8gの釜残を得、更にこの釜残を圧力13.3
Pa、温度230℃で薄膜蒸留にかけたところ純度9
9.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタ
ノールを得た。
【0061】<実施例6>内容積5Lのオートクレーブ
に2−ブテン−1,4−ジオール ジアセテート47.6
g(0.23mol)、5−ノルボルネン−2,3−ジメ
タノール ジアセテート65.9g(0.26mol)、
シクロヘキサン1500gおよびメタノール1500g
を仕込み、系内を窒素ガスで置換した。次いで攪拌下に
マントルヒータで内温200℃に昇温し、純度95%の
ジシクロペンタジエン36.5g(0.26mol)を定
量ポンプを用いて連続的に4時間かけてオートクレーブ
内に添加し、更に1時間同温度を維持しディールス・ア
ルダー反応を行った。反応終了後、冷却して内容物を5
L分液ロートに移し静置したところ2層に分離した。両
者を分液したところ、上層は520g、下層は2610
gであった。下層をガスクロマトグラフィーにより分析
した結果、2−ブテン−1,4−ジオール ジアセテート
13.5g(0.08mol)、ジシクロペンタジエン1
4.0g(0.11mol)、5−ノルボルネン−2,3
−ジメタノール ジアセテート74.1g(0.31mo
l)、シクロペンタジエン3量体10.3g(0.05m
ol)、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジメタ
ノール ジアセテート20.2g(0.07mol)、お
よびシクロペンタジエン4量体0.8g(3.0mmo
l)を含んでいた。ついでこの反応液をロータリーエバ
ポレータで濃縮し、得られた混合物135.1gを圧力
0.13KPa、蒸留塔塔底最高温度204℃で減圧蒸
留を行い、2−ブテン−1,4−ジオール ジアセテー
ト、ジシクロペンタジエン、5−ノルボルネン−2,3
−ジメタノール ジアセテート、シクロペンタジエン3
量体を留出させて23.4gの釜残を得た。この釜残に
は、5−ノルボルネン−2,3−ジメタノール ジアセテ
ート0.8g(4.6mmol)、シクロペンタジエン3
量体0.2g(1.0mmol)、1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフ
タレン−2,3−ジメタノール ジアセテート20.2g
(0.07mol)、およびシクロペンタジエン4量体
0.8g(3.0mmol)を含んでいた。次いでこの釜
残をメタノール150mlおよび5%水酸化ナトリウム
水溶液60mlを300ml三つ口フラスコに仕込み、
オイルバス中で3時間還流させエステル交換反応を行っ
た。反応終了後、冷却し、18%塩酸で中和しロータリ
ーエバポレータでメタノールを留去した後、エーテルで
抽出および濃縮により20.7gの反応液を得た。ガス
クロマトグラフィーにより反応液を分析した結果、収率
98.7mol%(14.4g)で1,2,3,4,4a,5,
8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフ
タレン−2,3−ジメタノールが生成しており、圧力1
3.3Pa、最高温度230℃で蒸留精製した結果、純
度99.0%の1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒ
ドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン−2,3−ジ
メタノールを得た。
【0062】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、特定の溶媒の
存在下にディールス・アルダー反応を行うと、高粘度の
反応混合物を生成することなく安定した運転を行うこと
ができ、反応後に冷却し静置するだけでジメタノナフタ
レン骨格等を有する縮合環含有化合物とシクロペンタジ
エン3量体および4量体等のシクロペンタジエン多量体
を効率よく分離することができ、高純度の縮合環含有化
合物を工業的に有利に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/16 C07C 69/16 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC21 AC28 AD16 AD31 BB11 BB14 BB15 BB16 BB17 BB31 BE20 BE60 BJ30 FC22 FC36 FC74 FE12 KA30

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)で示される化合物お
    よび/または下記一般式(2)で示される化合物とシク
    ロペンタジエンおよび/またはジシクロペンタジエンと
    を、溶媒の存在下でディールス・アルダー反応を行い、
    得られる反応混合物を2層以上に層分離し、そのうちの
    少なくとも1層にシクロペンタジエンの3量体または4
    量体等のシクロペンタジエン多量体の少なくとも一部を
    溶解し、それ以外の層に下記一般式(3)で示される化
    合物の少なくとも一部を溶解したのちに分液操作に付す
    ることを特徴とする、下記一般式(3)で示される縮合
    環含有化合物の製造法。 【化1】 R1OCH2CH=CHCH2OR2 ・・・式(1) (式中、RおよびRはそれぞれ水素原子または炭素
    数2〜5のアシル基を表す。) 【化2】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
    義と同じである。) 【化3】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
    義と同じである。nは0から2の整数である。)
  2. 【請求項2】 上記一般式(1)、(2)および(3)
    においてRおよび/またはRが炭素数2〜5のアシ
    ル基の場合、上記ディールス・アルダー反応で得られた
    反応混合物の精製工程に加水分解反応またはエステル交
    換反応を含む請求項1に記載の縮合環含有化合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】 上記ディールス・アルダー反応で得られ
    た反応混合物の精製工程に、触媒の存在下に水素ガスと
    の反応による水素添加反応を含む下記一般式(4)で示
    される縮合環含有化合物の製造法。 【化4】 (式中、RおよびRは上記一般式(1)における定
    義と同じである。nは0から2の整数である。)
  4. 【請求項4】 ディールス・アルダー反応で使用する溶
    媒が、炭素数10以下の含酸素化合物および炭素数5〜
    10の炭化水素化合物からなる2つの化合物群中のそれ
    ぞれ1種類以上であることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の縮合環含有化合物の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1757580A1 (en) 2005-08-25 2007-02-28 Dainippon Ink And Chemicals, Inc. Process for producing norbornene derivatives
US9382271B2 (en) * 2012-12-19 2016-07-05 Promerus, Llc Process for the preparation of high purity norbornene alkanols and derivatives thereof

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