JP2003054615A - 巻締め用蓋およびそれを用いた容器 - Google Patents

巻締め用蓋およびそれを用いた容器

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JP2003054615A
JP2003054615A JP2002162825A JP2002162825A JP2003054615A JP 2003054615 A JP2003054615 A JP 2003054615A JP 2002162825 A JP2002162825 A JP 2002162825A JP 2002162825 A JP2002162825 A JP 2002162825A JP 2003054615 A JP2003054615 A JP 2003054615A
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rubber
opening
winding
sealing member
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JP2002162825A
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English (en)
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Ayumi Aisaka
あゆみ 相阪
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部から針を刺し込んで内部に封入された液
体を取り出す容器に用いられる巻締め用蓋並びに容器に
関し、従来よりもコアリングによるゴム屑の発生が抑制
された、安全性が高く、また、針刺部に陥没のない良好
な外観の容器を安定して製造することができる巻締め用
蓋並びに容器を提供する。 【解決手段】 巻締め蓋1は、内部に液体を収容する容
器本体に設けられた開口部に当接して該開口部を塞ぐゴ
ム製蓋部2と、天壁3cに、上記容器本体内部に収容さ
れた液体を外部に取り出すための針刺用の開口部4を有
し、該針刺用の開口部4にてゴム製蓋部2が露出するよ
うに上記ゴム製蓋部2を被覆する金属製蓋部3とを備
え、上記ゴム製蓋部2は、直径7〜9mm、厚み1〜
2.2mmの円柱形状として50Nの荷重を加えた場合
に35%以上の歪み率を有する平板状のゴムからなり、
かつ、その上縁部または下縁部に切欠部が設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に液体を収容
する容器本体に設けられた開口部に巻締めにより固定さ
れ、容器本体内部に収容された液体を、巻締め用の被覆
部材に設けられた開口部から露出する弾性を有する封止
部材に針を刺すことにより、該針を介して外部に取り出
すことができる巻締め用蓋およびそれを用いた容器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば注射用の薬液の保存には、
容器の開口部が、針刺部を有する蓋により閉塞され、蓋
を取り外すことなく、該容器から注射器で直接内部の薬
液を取り出すことができる容器が用いられている。この
ような容器は、内部の薬液を誤ってこぼしてしまうこと
がなく、また、外気との接触を避け、ほこりや雑菌が薬
液内部に侵入することを防止することができる。
【0003】特に、インシュリンやヒト成長ホルモン
(hGH;human growth hormone)等の蛋白製剤の薬液
投与は、患者あるいはその家族等の介護者によって行わ
れることから、このような薬液の投与には、安全性に優
れると共に取り扱いが簡単なカートリッジ交換型の注射
器が好適に用いられており、このようなカートリッジ交
換型の注射器では、薬液保存容器として、予め規定され
た複数回の投与回数分の薬液が容器本体内に封入され
た、蓋部分に針刺部を有する円筒形のカートリッジが使
用されている。
【0004】このようなカートリッジ交換型の注射器で
は、蓋部分に針刺部を有するカートリッジを、先端に薬
液投与のための針先を有すると共に後端に該カートリッ
ジから薬液を取り出すための針先を有する両頭の針管を
注射針として備えた注射器に組み込んで使用するように
なっており、薬液投与の度に、上記カートリッジの開口
部を塞ぐ蓋に設けられた針刺部に注射針の一方の針先が
刺し込まれ、規定量の薬液が該注射針を介して患者に投
与されるようになっている。
【0005】このような薬液保存容器として従来用いら
れている容器60(図7参照)は、その開口部(図示せ
ず)に、図6に示すように円柱状(円形平板状)のゴム
製蓋部51と、これを覆うアルミ製蓋部52とで構成さ
れた巻締め用蓋50が巻締め固定されることで、その開
口部が閉塞されている。
【0006】上記ゴム製蓋部51を覆うアルミ製蓋部5
2の中央部分には、針刺用の開口部53が設けられ、上
記ゴム製蓋部51の天壁51aは、この開口部53によ
ってその一部が外部に露出され、この開口部53から露
出するゴム製蓋部51に注射針を刺し込むことにより、
容器60内に封入された薬液を外部に取り出すことがで
きるようになっている。
【0007】上記巻締め用蓋50を用いた上記容器60
は、上記アルミ製蓋部52の天壁部52aに嵌合された
上記ゴム製蓋部51が、容器本体61(図6参照)に設
けられた図示しない開口部に当接した状態で巻き締めさ
れることにより、上記容器本体61の開口部を上記ゴム
製蓋部51により閉塞した状態で固定される。通常、こ
のような容器60は、容器本体61内に薬液を収容した
後、内部の天壁部52aにゴム製蓋部51を嵌合させた
上記アルミ製蓋部52を巻締めることにより、薬液を密
封するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ゴ
ム製蓋部51に用いているゴムが硬いと、通針時の抵抗
が高くなり、容器60内に封入された注射液等の薬液を
該容器60から投与する際、注射針を抜き差しすること
によりゴム屑が発生する、いわゆるコアリングが生じ、
この通針により発生したゴム屑が薬液に混入し、ゴム屑
が針中に詰まったり、そのまま人体内に注射されてしま
う虞れ等があり、商品価値が低下する。
【0009】特に、前記したようにインシュリンやhG
H等の蛋白製剤薬液の投与に用いられるカートリッジの
ゴム製蓋部51に硬いゴムを使用すると、このようなカ
ートリッジにおいては、予め規定された複数回の投与回
数分の薬液が容器本体内に封入されていることから、複
数回、該ゴム製蓋部51に対し注射針の抜き刺しが行わ
れ、この結果、コアリングによるゴム屑が多量に発生す
る。
【0010】このため、このようなコアリングの問題を
改善すべく、柔らかいゴムからなるゴム製蓋部51を使
用したところ、容器本体61内に薬液を収容した後、上
記巻締め用蓋50を巻締めしたときに、図7に示すよう
に該巻締め用蓋50の開口部53から露出するゴム製蓋
部51が、巻締め時にかかる応力により内部に陥没する
という別の問題が生じることが判った。
【0011】ゴム製蓋部51の上記開口部53から露出
している部分は針刺部として用いられる。このため、こ
のように開口部53から露出するゴム製蓋部51が陥没
していると、外観が損なわれるという問題があるのみな
らず、その表面が汚れていても判らないという問題があ
る。さらに、上記ゴム製蓋部51が陥没していると、未
使用品と、そうでないもの、つまり、一回以上、針を刺
したものとの見分けがつかず、未使用のカートリッジで
あるにも関わらず、既に使用されているカートリッジと
誤認される虞れがある。あるいは既に使用されているカ
ートリッジを未使用のカートリッジと誤認する虞れがあ
る。
【0012】なお、上記開口部53から露出するゴム製
蓋部51の陥没は、前記インシュリンやhGH等の蛋白
製剤薬液の投与に用いられるカートリッジのように複数
回の通針が行われる場合に限らず、1回の投与を対象と
した容器においても、外観上の問題や、上記開口部53
から露出するゴム製蓋部51の陥没部分54に埃等が溜
まり易いといった問題や、この陥没部分54に汚れや菌
等が付着していても判らず、また、滅菌(殺菌)が困難
であるという問題を招来する。
【0013】しかしながら、このような陥没が生じない
ように巻締め圧を緩くすることは、充分な気密性が確保
できず、容器60内に封入された薬液が漏れる原因にな
る。また外部から菌が侵入し、薬液が汚染される可能性
がある。
【0014】なお、従来、ゴム製蓋部51として、表面
(第1層)を、硬いゴムで形成し、薬液との接触面(第
2層)を、柔らかいゴムで形成することにより二重構造
としたゴム製蓋部が用いられているものもあるが、ゴム
製蓋部51をこのような二重構造とする場合、二種類の
ゴムの打ち抜きが必要となり、また、打ち抜いた二種類
のゴムを接着する工程が必要となるため、ゴム製蓋部5
1の製造工程が複雑になり、コストの増大を招く等の問
題がある。
【0015】さらに、ゴム製蓋部51をこのような二重
構造とする場合、表面の、硬いゴムからなる層、すなわ
ち、第1層においては、コアリングが発生するため、こ
のコアリングにより生じた硬いゴムからなる層のゴム屑
が通針時に薬液中に混入する虞れがある。しかも、上記
したように接着剤等を使用して二種類のゴム同士を接着
する場合、表面の、硬いゴムからなる層において発生し
たゴム屑に接着剤が付着している虞れがあり、薬液の品
質への悪影響が懸念される。
【0016】このため、上記ゴム製蓋部51としては、
単層構造を有することが好ましく、このようなコアリン
グ並びにゴム製蓋部51の表面陥没の問題が生じない巻
締め用蓋並びに容器を提供することは、安全で信頼性の
高い巻締め用蓋並びに容器を提供することに繋がる。
【0017】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、外部から針を刺し込んで内部に封入され
た液体を取り出す容器に用いられる巻締め用蓋並びに容
器に関し、上記した問題を招来しない巻締め用蓋並びに
容器を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる巻締め用
蓋は、上記の課題を解決するために、内部に液体を収容
する容器本体に設けられた開口部に当接して該開口部を
塞ぐ封止部材(例えばゴム製蓋部)と、天壁に、上記容
器本体内部に収容された液体を外部に取り出すための針
刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて上記封止部
材が露出するように上記封止部材を被覆する巻締め用の
被覆部材(例えば金属製蓋部)とを備え、上記容器本体
に設けられた開口部に巻締めにより固定される巻締め用
蓋であって、上記封止部材は、直径7〜9mm、厚み1
〜2.2mmの円柱形状として50Nの荷重を加えた場
合に35%以上の歪み率を有する平板状(例えば円板
状)のゴムからなり、かつ、その上縁部または下縁部に
切欠部が設けられていることを特徴としている。
【0019】また、本発明にかかる巻締め用蓋は、上記
の課題を解決するために、内部に液体を収容する容器本
体に設けられた開口部に当接して該開口部を塞ぐ封止部
材(例えばゴム製蓋部)と、天壁に、上記容器本体内部
に収容された液体を外部に取り出すための針刺用の開口
部を有し、該針刺用の開口部にて上記封止部材が露出す
るように上記封止部材を被覆する巻締め用の被覆部材
(例えば金属製蓋部)とを備え、上記容器本体に設けら
れた開口部に巻締めにより固定される巻締め用蓋であっ
て、上記封止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2
mmの円柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35
%以上の歪み率を有する平板状(例えば円板状)のゴム
からなり、かつ、上記針刺用の開口部により露出する部
分以外の部分に切欠部が設けられていることを特徴とし
ている。
【0020】本発明にかかる巻締め用蓋は、上記の課題
を解決するために、内部に液体を収容する容器本体に設
けられた開口部に当接して該開口部を塞ぐ封止部材(例
えばゴム製蓋部)と、天壁に、上記容器本体内部に収容
された液体を外部に取り出すための針刺用の開口部を有
し、該針刺用の開口部にて上記封止部材が露出するよう
に上記封止部材を被覆する巻締め用の被覆部材(例えば
金属製蓋部)とを備え、上記容器本体に設けられた開口
部に巻締めにより固定される巻締め用蓋であって、上記
封止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円
柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以上の
歪み率を有する平板状のゴムからなり、かつ、巻締め前
の上記封止部材と被覆部材との間並びに巻締め前の上記
被覆部材と容器本体との間の少なくとも一方に、上記封
止部材における上記針刺用の開口部からの露出部が巻締
め時に陥没しないように上記封止部材の巻締め時の変形
を許容する空間(空間部)が形成されていることを特徴
としている。
【0021】本発明にかかる容器は、上記の課題を解決
するために、本発明にかかる上記巻締め用蓋により容器
本体に設けられた開口部が巻締め固定されていることを
特徴としている。
【0022】本発明にかかる容器は、上記の課題を解決
するために、当該容器は、蛋白製剤の薬液を内部に封入
したカートリッジを注射器本体に組み込んで用いられる
カートリッジ交換型の注射器における蛋白製剤の薬液保
存用のカートリッジであることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明にかかる
実施の一形態について、図1〜図5に基づいて説明すれ
ば、以下の通りである。
【0024】本発明にかかる巻締め用蓋は、内部に液体
を収容する容器本体に設けられた開口部に巻締めにより
固定され、容器本体内部に収容された液体を、巻締め用
の被覆部材に設けられた開口部から露出する、ゴムから
なる弾性を有する封止部材に針を刺すことにより外部に
取り出すことができるものであり、インシュリンやヒト
成長ホルモン(hGH;human growth hormone)等の蛋
白製剤の薬液投与に用いられるカートリッジ交換型の注
射器において蛋白製剤の薬液の保存に用いられるカート
リッジ等に好適に用いられる。
【0025】以下、本実施の形態では、本発明にかかる
容器として、インシュリンやhGH等の蛋白製剤の薬液
投与に用いられるカートリッジ交換型の注射器において
蛋白製剤の薬液の保存に用いられるカートリッジを例に
挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに限定される
ものではない。
【0026】図1は本実施の形態にかかる巻締め用蓋の
巻締め前の状態を示す断面図であり、図2は本実施の形
態にかかる他の巻締め用蓋の巻締め前の状態を示す断面
図である。図3は本実施の形態にかかる図1または図2
に示す巻締め用蓋を用いた薬液保存用のカートリッジの
構成を一部破断にて示す概略構成図である。また、図4
は、図3に示すカートリッジを用いたカートリッジ交換
型の注射器の構成を示す分解斜視図である。
【0027】本実施の形態にかかる巻締め用蓋1は、例
えば図1に示すように、内部に液体を収容する容器本体
15(図中、二点鎖線で示す)に設けられた開口部12
(図中、点線で示す)に当接して該開口部12を塞ぐ、
弾性を有するゴム製蓋部2(封止部材)と、該ゴム製蓋
部2を被覆する巻締め用の被覆部材としての、例えば中
央部に開口部4が設けられた天壁(端面)を有する筒状
(帽子状)の金属製蓋部3とを有している。
【0028】上記ゴム製蓋部2は、薄肉の円板状(平板
状)のゴムからなり、上記金属製蓋部3によって、容器
本体15に設けられた開口部12に固定される。該ゴム
製蓋部2は、好適には、上記金属製蓋部3の端面内壁3
aに予め嵌合された状態で用いられ、該ゴム製蓋部2を
端面内壁3aに嵌合させた金属製蓋部3を巻締めること
により、上記容器本体15に設けられた開口部12を閉
塞するようになっている。
【0029】巻締めとは、金属製蓋部3の筒部(胴部)
における上記端面とは反対側の端部3bを、該端部の周
縁部に沿って巻き込み、その部分を押し潰して密封する
ことを示す。すなわち、本実施の形態にかかる巻締め用
蓋1は、該巻締め用蓋1を、容器本体15に設けられた
開口部12を囲むように覆い被せた状態で上記金属製蓋
部3の筒部における端部3bを容器本体15に設けられ
た開口部12に向けて押圧し、変形させることで巻締め
固定される。
【0030】上記金属製蓋部3に用いられる金属材料と
しては、巻締め可能な金属であれば特に限定されるもの
ではないが、加工性等の点で、例えばアルミニウム等が
好適に用いられる。
【0031】上記金属製蓋部3は、上記ゴム製蓋部2
を、巻締めにより、該ゴム製蓋部2の上から押さえて、
上記容器本体15に設けられた開口部12に固定するよ
うになっている。該金属製蓋部3は、その端面である天
壁3cに、針刺用の開口部4を有し、該開口部4にて上
記ゴム製蓋部2の天壁表面が露出するように上記ゴム製
蓋部2を被覆している。
【0032】上記開口部4は、図1に示すように上記金
属製蓋部3の中央部、つまり、容器本体15に設けられ
た開口部12と対向する位置に設けられ、この開口部4
を介してゴム製蓋部2に針を刺し通すことで、容器本体
15内部に収容された液体を外部に取り出すことができ
るようになっている。
【0033】すなわち、上記ゴム製蓋部2において、上
記開口部4から露出する露出部2aは、容器本体15内
部に収容された液体を外部に取り出すための針刺部とし
て用いられる。これにより、上記容器本体15内部に収
容された薬液は、上記巻締め用蓋1を取り外すことな
く、上記開口部4から露出するゴム製蓋部2の露出部
(針刺部)に注射針を刺し込むことで、該注射針を通し
て外部に取り出すことができるようになっている。
【0034】本実施の形態にかかる巻締め用蓋1は、前
記したように、インシュリンやhGH等の蛋白製剤の薬
液投与に用いられるカートリッジ交換型の注射器におい
て蛋白製剤の薬液の保存に用いられるカートリッジの蓋
として好適に用いられる。
【0035】図2に示すように、本実施の形態にかかる
薬液保存用の容器としてカートリッジ交換型の注射器に
用いられるカートリッジ11は、その両端に、開口部1
2・13を有すると共に、これら開口部12(第1の開
口部)と開口部13(第2の開口部)とを接続する内腔
14を有する筒状(略円筒形状)の容器本体15(胴
部)と、上記開口部12を閉鎖する第1の閉鎖部材とし
ての巻締め用蓋1と、容器本体15を介して上記巻締め
用蓋1との間にインシュリンやhGH等の蛋白製剤の薬
液18を収容する密閉空間を形成する第2の閉鎖部材と
しての略円柱状のゴム栓16(ゴムプランジャ)とを備
えている。
【0036】ゴム栓16は、容器本体15の内腔14の
内径よりも僅かに大きな外径を有し、上記容器本体15
の内腔14に、この内腔14を形成している内壁と該ゴ
ム栓16の外周面との間に周方向に連続したシールを形
成した状態で上記内腔14に沿って移動可能に装入され
ている。
【0037】また、上記容器本体15の両端に設けられ
た開口部12・13のうち、開口部12は、上記容器本
体15の一端が縮径されて容器本体15のほぼ中心軸上
に口部17を形成し、その先端が開放されてなってい
る。該開口部12は、針刺部を有する上記巻締め用蓋1
によって巻締め固定することによって閉塞されている。
【0038】上記カートリッジ11は、例えば、上記開
口部12に上記巻締め用蓋1を未装着の状態で、上記開
口部13からゴム栓16を装入し、上記開口部12から
容器本体15内に薬液18(液体)を注入した後、上記
開口部12を巻締め用蓋1で覆い、金属製蓋部3の筒部
先端部、すなわち、金属製蓋部3の筒部における上記開
口部4が設けられた端面とは反対側の端部3bを口部1
7に向けて押圧し、変形させることにより密封される。
あるいは、上記カートリッジ11は、例えば、上記開口
部13に上記ゴム栓16を未装入の状態で、上記開口部
12を上記巻締め用蓋1で覆い、金属製蓋部3の筒部先
端部を口部17に向けて押圧し、変形させて上記開口部
12を閉塞した後、上記開口部13から容器本体15内
に薬液18を注入した後、上記開口部13からゴム栓1
6を圧縮変形しながら装入することで密封される。
【0039】このような構成を有するカートリッジ11
は、例えば図3に示すカートリッジ交換型の注射器21
(薬液投与機器)に組み込まれ、該注射器21を用いて
患者に注射される。
【0040】このような注射器21としては、例えば、
ヒト成長ホルモン水溶液(ヒト成長ホルモン含有弱酸性
溶液製剤)の投与に用いられる、Disetronic社製の「Pe
n 100S」(商品名)が挙げられる。
【0041】該注射器21は、カートリッジ11を収容
するホルダ22(注射器本体)と、このホルダ22の後
端に連結されるアクチュエータ23とからなっている。
該注射器21を使用する際、上記カートリッジ11は、
上記ホルダ22に挿入され、このホルダ22の後端にア
クチュエータ23が連結される。また、ホルダ22の先
端にはキャップ24が装着される。このキャップ24
は、先端に患者に薬液18を投与するための針先25a
を有すると共に後端に上記カートリッジ11から薬液1
8を取り出すための針先25bを有する両頭の針管を注
射針25として備えている。該注射針25は、該注射針
25の両端、つまり、針先25a・25bが、キャップ
24の内側の端面と外側の端面とからそれぞれ突出する
ようにキャップ24の端面に貫通状態で固定されてい
る。
【0042】これにより、使用時には、上記キャップ2
4の内側の端面から突出した針25の一端(針先25
b)が巻締め用蓋1の針刺部(露出部2a)に刺通さ
れ、この状態でアクチュエータ23を作動し、上記カー
トリッジ11のゴム製蓋部2を押圧することで、カート
リッジ11内の薬液18(注射用液)、この場合はヒト
成長ホルモン水溶液が規定量、上記注射針25を通じて
送り出され、患者に投与される。
【0043】このように、カートリッジ交換型の注射器
21に用いられる薬液保存用のカートリッジ11は、該
カートリッジ11の薬液採取用の口部17における開口
部12を閉塞する巻締め用蓋1を取り外すことなく、注
射器21で直接、カートリッジ11内部の薬液18が取
り出されるようになっている。
【0044】このようなカートリッジ交換型の注射器2
1においては、予め規定された複数回の投与回数分の薬
液18がカートリッジ11内に封入されて用いられる。
このため、上記カートリッジ11においては、複数回に
渡って、針刺部、すなわち、上記ゴム製蓋部2の露出部
2aに対し、注射針25の抜き刺しが行われる。
【0045】このため、上記ゴム製蓋部2に用いている
ゴムが硬いと、ゴムが脆く、切れ易くなり、上記針刺部
において注射針25を抜き差しすることにより、ゴム屑
が発生する、いわゆるコアリングが生じ、この通針によ
り発生したゴム屑がコアとして薬液18中に混入する虞
れがある。そして、このようなコアリングによるゴム屑
が薬液18中に混入した場合、ゴム屑がそのまま人体内
に注射されてしまう虞れがある。
【0046】そこで、実使用に際してコアリングを防止
することができるゴムの歪み率(硬度)を測定し、実使
用に際してコアリングを防止することができるゴムの種
類について鋭意検討したところ、直径7〜9mm、厚み
1〜2.2mmの円柱形状(円形平板状)として50N
の荷重を加えた場合に35%以上の歪み率を有するゴム
が、コアリングが生じ難く、実使用時におけるコアリン
グの発生を防止することができることが判った。
【0047】そこで、本実施の形態では、上記ゴム製蓋
部2に、コアリング防止の観点から選択した、直径7〜
9mm、厚み1〜2.2mmの円柱形状として50Nの
荷重を加えた場合に35%以上の歪み率を有する柔らか
いゴムを使用している。
【0048】また、従来、コアリングの発生による問題
を招来する硬いゴムの歪み率(硬度)についても同様に
測定したところ、巻締め用蓋に従来用いられている硬い
材質のゴムは、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの
円柱形状として50Nの荷重を加えた場合の歪み率が3
0%以下であることが判った。
【0049】本実施の形態にかかる上記ゴム製蓋部2に
用いられるゴムの上記歪み率は、35%以上であればよ
いが、コアリング防止の観点から、40%以上であるこ
とがより好ましく、43%以上であることがより一層好
ましい。また、上記歪み率は、35%以上であればよい
が、操作性の観点から、その上限は70%であることが
好ましく、60%であることがより好ましく、55%で
あることがより一層好ましい。
【0050】上記歪み率が70%を越えると、上記ゴム
製蓋部2に用いられるゴムの柔らかさのために操作性が
低下する傾向にある。具体的には、製造ラインにおい
て、封止部材、つまり、上記ゴム製蓋部2を容器にセッ
トすることが困難となり、作業効率が低下する。また、
封止部材をその保管場所から容器にセットする位置に保
持して移動させることが困難となる傾向にある。
【0051】このため、上記ゴム製蓋部2に用いられる
ゴムは、上記歪み率が35%以上、70%以下の範囲内
のものを使用することが好ましく、40%以上、60%
以下の範囲内のものを使用することがより好ましく、4
3%以上、55%以下の範囲内のものを使用することが
より一層好ましい。
【0052】上記ゴム製蓋部2の歪み率(硬度)は、小
型卓上試験器(EZ Test−20N、島津製作所
製)により、測定すべき試料の厚みに対する変位を測定
することにより求めることができる。
【0053】〔歪み率の測定方法〕ここで、上記歪み率
(硬度)の算出方法について以下に説明する。先ず、直
径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円柱形状(円形平
板状)となるように成形したゴムを試料として使用し、
各試料を、小型卓上試験機(EZ Test-20N、島津製作所
製)の試料台に載せ、直径16mmの圧縮治具を用いて
試験速度10mm/minで圧縮し、荷重50Nのとき
の変位を測定する。歪み率は、このようにして得られた
変位から、次式 歪み率(%)=変位/試料の厚み×100 に基づいて算出することができる。歪み率の算出は、例
えば上記小型卓上試験機(EZ Test-20N、島津製作所製)
に接続したデータ処理装置(Factory SHIKIBU 、島津製
作所製)により自動的に行うことができる。
【0054】上記ゴム製蓋部2に用いられるゴムとして
は、コアリングによる問題を解消するという観点に基づ
けば、上記歪み率を満足させることができるものであれ
ば、特に限定されるものではないが、上記巻締め用蓋を
特に医療分野に用いる場合、上記ゴムとしては、容器本
体15中に収容される液体、例えば薬液18を、汚染、
変質させるような溶出物を溶出しない材料からなるもの
を用いることが望ましい。
【0055】また、上記巻締め用蓋1を特に上記ヒト成
長ホルモン水溶液を収容する容器、例えば上記したカー
トリッジ11の巻締め用蓋として用いる場合、上記ゴム
製蓋部2および前記ゴム栓16としては、界面活性剤を
含みかつpHが約5.5から6.5の緩衝溶液1mlに
上記ゴム製蓋部2あるいはゴム栓16を一個浸漬し、温
度25℃で1週間振とう保存した後、上記緩衝溶液中の
金属イオンの溶出量を原子吸光法で測定した場合、多価
金属イオンの溶出量が約50ppm以下となるゴムから
なることが、上記ヒト成長ホルモン水溶液の変質(白
濁)を防ぎ、化学的に安定なhGH溶液製剤の供給を行
う上で、より好ましい。
【0056】このようなヒト成長ホルモン水溶液の保存
容器に用いられるゴム製蓋部2および前記ゴム栓16と
して適したゴムは、下記の試験によって、選別される。 (1)界面活性剤を含む緩衝溶液(pH6)を調製し、
1mlをガラス製バイアルに入れる。なお、上記緩衝溶
液には、適宜、等張化剤、安定化剤、保存剤、酸化防止
剤、溶解補助剤、賦形剤等を添加してもよい。原則的に
は、目的とするhGH溶液製剤の組成、保存条件、使用
方法等により試験条件も変え得るが、ゴムから溶出する
成分を厳密に評価する意味から言えば、キレート剤等、
金属イオンに影響を与える薬剤は添加しない方が好まし
い。 (2)上記バイアルに、上記ゴム製蓋部2あるいはゴム
栓16と同じ大きさに打ち抜いたゴム材1個を浸漬し、
25℃で1週間振とう保存する。 (3)緩衝溶液中の金属イオンの溶出量を原子吸光法に
より測定する。 (4)多価金属イオン、特に亜鉛および/またはアルミ
ニウムの溶出量が50ppm以下であるゴム材に使用し
たゴムを上記ゴム製蓋部2あるいはゴム栓16の材料と
して選択する。好ましくは、上記条件でゴム材1個あた
りの亜鉛および/またはアルミニウムイオンの溶出量が
20ppm以下のものを選別する。
【0057】また、上記ゴム製蓋部2は、複数回の針刺
により、容器本体15内部に収容された液体、例えば前
記薬液18が漏出しないことが好ましい。
【0058】このようなゴムとしては、特に限定される
ものではないが、具体的には、例えば、大協精工製の
「D21―7」(商品名)が挙げられる。
【0059】特に、上記巻締め用蓋1をヒト成長ホルモ
ン水溶液(ヒト成長ホルモン含有弱酸性溶液製剤)を収
容する容器、例えば上記したカートリッジ11の巻締め
用蓋として用いる場合、上記ゴムとしては、上記大協精
工製の「D21−7」(商品名)が好適に用いられる。
【0060】また、本実施の形態では、上記ゴム製蓋部
2に、上記したように、直径7〜9mm、厚み1〜2.
2mmの円柱形状として50Nの荷重を加えた場合に3
5%以上の歪み率を有する柔軟性の高いゴムを使用して
いることから、上記ゴム栓16に用いるゴムとしては、
上記したゴム製蓋部2よりも硬い材質のゴムが用いられ
る。
【0061】これは、上記ゴム製蓋部2における上記針
刺用の開口部4から露出している露出部2aが針刺部と
して用いられる一方、ゴム栓16は、プランジャ(ゴム
プランジャ)として、使用時にカートリッジ11内部を
移動する必要があり、また、該ゴム栓16の移動により
薬液18の投与量が決定されるためである。なお、上記
ゴム栓16については、摩擦により剥げ落ちる可能性が
ある、多量のシリコンによるコーティング等の表面加工
は一般的に好まれないが、摩擦を軽減するために少量の
シリコンにてコーティングすることは可能である。
【0062】直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円
柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以上の
歪み率を有するゴムは、針の抜き差しによるゴム屑が発
生し難く、通常の使用、例えば上記カートリッジ11を
注射器21に組み込んで使用するに際し、規定回数の針
刺(通針)を行った場合のコアリングを防止することが
できる反面、巻締めに通常用いられる条件で巻締めを行
うと、ゴム製蓋部2が変形して針刺部中央に、図7に示
すような陥没が生じる。
【0063】前記したように、ゴム製蓋部2における上
記針刺用の開口部4から露出している露出部2aは針刺
部として用いられる。このため、このように開口部4か
ら露出するゴム製蓋部2が陥没していると、外観上、好
ましくないばかりか、その表面が汚れていても判らない
という問題があり、例えば、未使用品と、そうでないも
の、つまり、一回以上、針を刺したものとの見分けがつ
かないといった問題が生じる虞れがある。また、注射針
25を抜いたり刺したりする間に上記ゴム製蓋部2の露
出部2aに隙間が生じ、この隙間に菌が繁殖しても気が
つかないといった問題が生じる虞れもある。
【0064】なお、上記開口部4から露出するゴム製蓋
部2の陥没による問題は、前記インシュリンやhGH等
の蛋白製剤の薬液投与に用いられるカートリッジ11の
ように複数回の針刺が行われる場合における上記雑菌の
繁殖の問題に限らず、1回の投与を対象とした容器にお
いても、上記陥没部分に埃等が溜まり易いといった問題
や、この陥没部分に汚れや菌等の不純物が付着していて
も判らず、また、滅菌(殺菌)が困難であるという問題
等がある。
【0065】しかしながら、このような陥没が生じない
ように巻締め圧を緩くすることは、カートリッジ11内
に封入された薬液18が漏れる原因になる。また、外部
からの菌の侵入による薬液汚染の原因となる。
【0066】以下に、本実施の形態において用いる柔ら
かいゴムを従来同様、円柱形状(円形平板状)として用
いた巻締め用蓋を使用したカートリッジと、硬いゴムを
用いた従来の巻締め用蓋を使用したカートリッジにおけ
る各問題点において検証する。
【0067】まず、以下の測定において使用する各ゴム
の歪み率の測定結果を以下に示す。本実施の形態におい
て使用する柔らかいゴムとしては、大協精工製の「D2
1−7」(商品名)を使用した。一方、硬いゴムとして
は、大協精工製の「D21−5」(商品名)を使用し
た。
【0068】歪み率の測定には、上記「D21−7」、
「D21−5」を、何れも直径7.7〜7.9mm(約
7.7〜7.9mm)、厚さ1.5〜1.7mm(約
1.5〜1.7mm)の円柱状(円形平板状)に成形し
たものを試料として使用し、前記した〔歪み率の測定方
法〕に基づいて、各10個の試料に対し、1回ずつの測
定を行った。なお、「D21−7」については、2つの
異なるロット番号のものについて上記測定を行った。こ
のようにして測定した各試料の歪み率を表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】表1に示すように、50Nの荷重に対する
「D21−7」の歪み率は、ロット1で45〜49%
(約45〜49%)、ロット2(ロット1とは別ロット
の「D21−7」)で46〜53%(約46〜53%)
であり、50Nの荷重に対する「D21−5」の歪み率
は23〜30%(約23〜30%)であった。歪み率は
試料によってばらつきがあり、このばらつきを考慮して
巻締め用蓋に用いるゴムを選択することが望ましい。な
お、上記した結果から、上記「D21−7」は、その歪
み率のばらつきを考慮しても、その歪み率は、前記した
好ましい範囲内にあることが判る。
【0071】次に、これらのゴム(「D21−7」、
「D21−5」)を、何れも直径約7.7〜7.9m
m、厚さ約1.5〜1.7mmの円柱状(円形平板状)
に成形したものをゴム製蓋部(ラインシール(1)、ラ
インシール(2))として使用すると共に、該ゴム製蓋
部に嵌合する内径を有する金属製蓋部を用いてそれぞれ
巻締め用蓋を作成した。続いて、このようにして得られ
た、「D21−7」を用いた巻締め用蓋(1)および
「D21−5」を用いた巻締め用蓋(2)を使用してカ
ートリッジ(巻締め用蓋付き容器)を作成し、これらカ
ートリッジの充填試験を行い、外観、コアリングの発生
の有無、気密性について調べた。なお、以下の各試験に
おいては、柔らかいゴムとしてロット1の「D21−
7」を使用した。
【0072】〔充填試験方法〕カートリッジの充填試験
は、以下の方法により行った。まず、1mlガラスカー
トリッジ(容器本体)を洗浄し、シリコーンコーティン
グおよび滅菌を行った後、洗浄および滅菌済のゴム栓
(ゴムプランジャ)を装填した。次いで、このガラスカ
ートリッジに、注射用水1.1mlを充填し、予め洗浄
および滅菌を行った巻締め用蓋を被せて巻締めを行っ
た。ガラスカートリッジの充填および巻締めには、全自
動充填機(EAM/TL Filler 、Efficient Automated Mach
ine corp. 製) を使用した。
【0073】ここでは、巻締め圧は該全自動充填機(EA
M/TL Filler)の標準的な条件である8.27×104
aとした。
【0074】この結果、硬いゴムを用いた上記従来の巻
締め用蓋(2)上面は平らであり、外観上、特に問題の
ないカートリッジが得られた。そこで、次に、これらの
カートリッジについてコアリング試験を実施した。
【0075】〔コアリング試験方法〕ここで、コアリン
グ試験の方法について以下に説明する。
【0076】まず、カートリッジ交換型の投与器として
ニュートロピンペン(商品名、Disetronic社製)を使用
し、その使用法に従って予め注射針を取り付けたホルダ
(注射器本体)に上記各カートリッジを装填した。上記
注射針にはB−Dマイクロファインプラス29G(商品
名、ベクトン・ディッキンソン社製)を使用した。続い
て、上記ホルダから注射針を取り外し、再度取り付ける
操作を繰り返した。針刺し毎に蛍光灯スタンド(白色背
景)の前でカートリッジ内を観察し、液中に浮遊するゴ
ム片(コア)の有無を確認した。
【0077】この結果、上記硬いゴム(ラインシール
(2))を用いたカートリッジの巻締め用蓋(2)で
は、その殆どが、10回以内の針刺しでコアが発生し
た。
【0078】一方、柔らかいゴムを用いた巻締め用蓋
(1)では、上記ゴムが変形し、該巻締め用蓋(1)の
天壁中央部に設けられた針刺用の開口部から露出するゴ
ムが、図7に示したように開口部内側へ陥没するという
外観上の問題が生じた。
【0079】そこで、上記ゴムの変形、すなわち、ライ
ンシールの変形を防止するため、巻締め圧を4.83×
104 Paに下げて、同様にカートリッジの充填試験を
行ったところ、ラインシールの変形はなく、外観には問
題のないカートリッジが作成できた。
【0080】これらのカートリッジについても上記と同
様にコアリング試験を実施した結果、針刺し10回では
コアリングが発生せず、殆どのカートリッジでは20回
針刺しを行ってもコアリングは発生しなかった。このこ
とから、硬いゴムを用いた場合に問題となったコアリン
グの発生は、柔らかいゴムを用いることで大幅に改善さ
れることが確認された。上記巻締め用蓋(1)および
(2)を用いた上記コアリング試験の結果を併せて表2
に示す。
【0081】
【表2】
【0082】しかしながら、柔らかいゴム(ラインシー
ル(1))を用いて弱い巻締め圧(4.83×104
a)で巻締めしたカートリッジの中には、巻締めが緩
く、容易に巻締め用蓋が回転するものが存在した。そこ
で、これらのカートリッジについて色素侵入試験(Dye
Leakage Test)を行いて気密性を確認した。
【0083】〔色素侵入試験(Dye Leakage Test)方
法〕色素侵入試験(Dye Leakage Test)は、以下のよう
にして行った。まず、メチレンブルー(ナカライテスク
社製)を精製水に溶解して1重量%メチレンブルー水溶
液を調整した。次に、下端からゴム栓(ゴムプランジ
ャ)が抜けないように金網等で固定した上記カートリッ
ジを深型容器内に置き、該カートリッジの上面から3c
mの高さまで上記1重量%メチレンブルー水溶液を加え
た。このカートリッジを、深型容器ごと真空乾燥器(楠
本化成株式会社製、ETAC VT-220 型)内に載置して真空
ポンプで減圧し、6.53×103 Pa以下の気圧下で
5分間保持(9.48×104 Pa以上減圧)した後、
大気圧(圧力表示1.01×105 Pa)に戻した。こ
の減圧および復圧操作を合計5回繰り返した。その後、
カートリッジを取り出し、外面をよく洗浄して清浄にし
た後、蛍光灯下で白色の背景を用いて目視(目視による
検出限界:0.1ppm)により観察し、カートリッジ
内へのメチレンブルーの浸潤の有無を確認した。
【0084】この結果、105本のカートリッジ中、1
9本でカートリッジ内への色素の侵入が認められ、気密
性に問題があると判断された。この結果を表3に示す。
なお、色素侵入が認められたものを、色素侵入試験不適
合品とし、色素侵入が認められなかったものを、色素侵
入試験適合品と記す。
【0085】
【表3】
【0086】以上の試験結果から、(1)硬いゴムを用
いると巻締め時の変形が生じず、外観には問題ないが、
コアリングが起こり易い、(2)コアリングの問題を解
決するため柔らかいゴムを用いるとコアリングを防止あ
るいは抑制することができるが、巻締めにより変形し、
外観上の問題が生じる、(3)柔らかいゴムにおける変
形の問題を解決するため巻締め圧を下げると巻締めが緩
くなり、気密性に問題が生じる、ことが判った。
【0087】しかしながら、前記したように、ゴム製蓋
部2に、コアリング防止の観点から選択した柔らかいゴ
ム、すなわち、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの
円柱形状(円形平板状)としたときに50Nの荷重を加
えると歪み率が35%以上となるゴムを使用した場合、
上記ゴム製蓋部2を従来と同じ形状、すなわち、金属製
蓋部3に嵌合する単なる円柱形状(円形平板状)とする
と、気密性に問題が生じないよう高い巻締め圧で巻締め
を行った場合、ゴム製蓋部2が変形して針刺部中央に、
図7に示すような陥没が生じる。
【0088】そこで、本実施の形態にかかる巻締め用蓋
1は、針刺用の開口部4により露出する部分以外の部分
(つまり、露出部2a(針刺部)以外の部分)、例え
ば、巻締め前のゴム製蓋部2と金属製蓋部3との間並び
に巻締め前の上記金属製蓋部3と容器本体15との間
(例えば、巻締め前の上記金属製蓋部3と容器本体15
における口部17の上面17aとの間)の少なくとも一
方に、切欠部5(図1参照)を形成することで、上記開
口部12により形成される空間とは別に、上記ゴム製蓋
部2における上記針刺用の開口部4からの露出部2aが
巻締め時に陥没しないように上記ゴム製蓋部2の巻締め
時の変形を許容する空間、例えば図1に示す空間部6を
有している。
【0089】該巻締め用蓋1は、巻締め時に、上記ゴム
製蓋部2を構成するゴムが押し潰されて外側に広がるこ
とにより、上記空間部6、つまり、ゴム製蓋部2と金属
製蓋部3との間、あるいは、上記金属製蓋部3と容器本
体15における口部17の上面17aとの間といった、
ゴム製蓋部2と金属製蓋部3と容器本体15とで形成さ
れる空間にゴムが広がり、上記容器本体15に設けられ
た開口部12を閉塞する。なお、上記巻締め用蓋1にお
いて、上記ゴム製蓋部2は上記容器本体15の天面側に
のみ設けられており、側面は、容器本体15と金属製蓋
部3との間に、殆ど隙間は設けられていない。つまり、
金属製蓋部3の内径は、容器本体15の口部17に嵌合
する大きさに設けられている。
【0090】本願発明者等が鋭意検討した結果、ゴム製
蓋部2の陥没の原因は、ゴム製蓋部2と金属製蓋部3と
の間で押し潰された、上記ゴム製蓋部2を構成するゴム
のはみ出しであるとの考えに達した。つまり、このよう
なゴム製蓋部2の陥没は、巻締め時に、金属製蓋部3と
容器本体15との間でゴム製蓋部2を構成しているゴム
が押し潰されて広がろうとするのに対し、金属製蓋部3
と容器本体15との間には逃げ道がなく、またゴム製蓋
部2の上面は巻締め機で押さえ付けられているため、唯
一の開放部である容器本体15の開口部12の内側にゴ
ムが押し出されてしまうことに由来すると考えられる。
【0091】このため、上記したように金属製蓋部3内
に隙間を設け、押さえ付けられたゴムが外周側に広がる
余地、例えば空間部6を与えることにより、このような
ゴムのはみ出しによる陥没を防止することができる。
【0092】このような空間は、例えば金属製蓋部3
側、すなわち、ゴム製蓋部2と金属製蓋部3の端面内壁
3a(天壁)との間にあってもよく、金属製蓋部3と容
器本体15における口部17の上面17aとの間やゴム
製蓋部2と金属製蓋部3の筒部(胴部)との間にあって
もよい。ゴム製蓋部2と金属製蓋部3と容器本体15と
で形成される領域に上記したようにゴムのはみ出しによ
る変形を許容する十分な空間を設けることで、上記陥没
を防止することができる。
【0093】特に、上記ゴム製蓋部2として、図1また
は図2に示すように、上縁部または下縁部に切欠部5を
有する平板状(円板状)のゴム製蓋部2を用いること
で、良好な気密性を得るべく巻締め圧を上げても上記ゴ
ム製蓋部2の変形による陥没を生じない良好な外観のカ
ートリッジ11を安定して製造することができる。
【0094】上記切欠部5は、予め切欠部が形成された
型を用いた金型成形や射出成形等により形成してもよ
く、例えば円柱状(円板状、平板状)のゴムの上縁部ま
たは下縁部を切欠く(打ち抜き後のゴム製蓋部2の周縁
部を切り落とす)ことにより形成してもよく、その形成
方法は、特に限定されない。
【0095】上記切欠部5の大きさや形状は、巻締め圧
やゴム製蓋部2に用いるゴムの硬度(歪み率)やゴム製
蓋部2の大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限
定されるものではないが、上記切欠部5により形成され
る空間部6の大きさ(空隙率)が、上記切欠部5が形成
されていないゴム製蓋部2の体積、つまり、円柱状の従
来のゴム製蓋部2全体の体積に対して10〜20容量%
の範囲内となるように形成されることが好ましく、上記
円板状(円柱状)の従来のゴム製蓋部2の全体の体積に
対して12〜18容量%の範囲内となるように形成され
ることがより好ましい。これにより、上記ゴム製蓋部2
の陥没を防止し、良好な外観のカートリッジ11を安定
して製造することができる。
【0096】ここで、上記空間部6の大きさ(空隙率)
の算出方法について、図5(a)・(b)を参照して以
下に説明する。
【0097】図5(a)は、上記空隙率の計算方法を説
明するためのゴム製蓋部2の断面模式図であり、図5
(b)は、上記空隙率の計算方法を説明するためのゴム
製蓋部2の立体模式図である。
【0098】まず、図5(a)・(b)に示すように、
上記ゴム製蓋部2の一方の端部(端面、図5(a)・
(b)においては上面)から切欠き部5の基端までの厚
みをd1、上記ゴム製蓋部2の切欠き部5の基端から他
方の端部(端面、図5(a)・(b)においては下面)
までの厚みをd2とし、切欠かれていない端面(この場
合は下面)における上記ゴム製蓋部2の半径をr1、切
欠き部5が設けられた端面(この場合は上面)における
上記ゴム製蓋部2の半径をr2、上記r1とr2との差
(r1−r2)をa、上記切欠き部5によって形成され
るテーパを錐面の一部とする直円錐の頂点から上記切欠
き部5が設けられた端面(この場合は上面)までの高さ
をd3とすると、切欠き部5形成前のゴム製蓋部2の体
積は、d1+d2の厚みを有する円柱(円筒)の体積に
等しいことから、これを円柱全体の体積とすると、該円
柱全体の体積は、 円柱全体の体積=π×r1×r1×(d1+d2) で表される。
【0099】また、ラインシール部、すなわち、上記切
欠き部5が設けられた図5(a)・(b)に示すゴム製
蓋部2の体積(ラインシール部の体積)は、 ラインシール部の体積=(π×r1×r1×d1)+
{1/3×π×r1×r1×(d2+d3)−(1/3
×π×r2×r2×d3) で表される。ここで、a:d2=r1:(d2+d3)
から、d3は、 d3=(r1×d2/a)−d2 で表される。
【0100】従って、空間部6(空隙部)の体積は、 空隙部の体積=円柱全体の体積−ラインシール部の体積 となり、空隙率は、次式 空隙率(%)=空隙部の体積−円柱全体の体積×100 で求めることができる。
【0101】本実施の形態において、上記切欠部5の形
成位置は、図1に示すように円板状(平板状)のゴム製
蓋部2の周縁部における上縁部でも図2に示すように下
縁部でも構わないが、図1に示すように上記切欠部5を
上記ゴム製蓋部2の上縁部に設けることで、上記ゴム製
蓋部2を上記金属製蓋部3に嵌合(嵌着)させるに際
し、嵌合(嵌着)を、より容易に行うことができる。
【0102】さらに、上記ゴム製蓋部2は、注射針の刺
通を容易に行うため、肉薄に形成されていることが好ま
しい。上記ゴム製蓋部2の厚みは、特に限定されるもの
ではないが、例えば1.5mm〜2.0mmの範囲内と
なるように形成されていることが望ましい。
【0103】以下、図1および図2に示す本実施の形態
にかかる巻締め用蓋1について、充填試験、気密性評
価、コアリング試験、巻締め後の形状評価、色素混入試
験等の評価を行なった結果について、以下に説明する。
【0104】〔実施例1〕コアリングの発生し難い柔ら
かいゴム(前記大協精工製「D21−7」(商品名))
からなる円柱状(円形平板状)のゴム板(直径7〜9m
m、厚み1〜2.2mm)の上縁部を該ゴム板の周縁に
沿ってニッパーを用いて斜めに切り落とすことにより、
本実施の形態にかかる巻締め用蓋1として、上縁部に切
欠部5を有する、片面(上面)周辺部を薄くした円板状
のゴムからなるゴム製蓋部2をラインシールとして備え
た巻締め用蓋(サンプルA)を作成した。
【0105】また、本実施の形態にかかる巻締め用蓋1
として、コアリングの発生し難い柔らかいゴム(前記大
協精工製「D21−7」(商品名))からなる円柱状
(円形平板状)のゴム板(直径7〜9mm、厚み1〜
2.2mm)の下縁部を、該ゴム板の周縁に沿ってニッ
パーを用いて斜めに切り落とすことにより、下縁部に切
欠部5を有する、片面(下面)周辺部を薄くした円板状
のゴムからなるゴム製蓋部2をラインシールとして備え
た巻締め用蓋(サンプルB)を作成した。
【0106】これらサンプルA・B(巻締め用蓋1)を
構成する筒状の金属製蓋部3の内径は、それぞれ、上記
ゴム製蓋部2が嵌合する大きさとした。また、上記サン
プルA・Bにおける空隙率は、何れも10〜20容量%
とした。
【0107】まず、これらサンプルA・Bを用いてカー
トリッジの充填実験を行った。まず、予めシリコーンコ
ーティングを施した1mlガラスカートリッジ(容器本
体)に、〔充填試験方法〕にて説明した方法にしたがっ
てゴム栓(ゴムプランジャ)を装填した後、注射用水
1.1mlを充填し、各サンプルA・Bを被せて巻締め
を行った。
【0108】また比較用サンプルとして、切欠部5を形
成せず、全体を僅かに外側へ湾曲させたゴム製蓋部を作
成して同様に充填実験を行った。これは外に凸になるよ
うにゴム全体を湾曲させることでゴム栓の変形による内
側への陥没を防止する効果を狙ったものである。
【0109】この結果、比較用のサンプルについては、
巻締め圧を強くすると、円筒状のゴム製蓋部を用いた従
来の巻締め用蓋と同様に、上記巻締め用蓋の中央部に設
けられた開口部から露出するゴム製蓋部が陥没してしま
い、形状面での改善は得られなかった。
【0110】一方、サンプルAおよびサンプルBについ
ては何れも巻締め圧を上げると僅かではあるが外側へ盛
り上がるような形となり、従来のような陥没は認められ
なかった。サンプルAとサンプルBとでは形状に差異は
認められず、何れも外観の良好なカートリッジを作成す
ることができた。
【0111】次に、これらサンプルA・Bを用いたカー
トリッジの気密性並びにコアリングの有無の評価を行っ
た。気密性は、色素混入試験(Dye Leakage Test)により
評価した。該色素混入試験(Dye Leakage Test)は、前
記〔色素混入試験(Dye Leakage Test)方法〕にて説明し
た方法に基づいて行った。また、コアリングの有無は、
前記〔コアリング試験方法〕にて説明した方法に基づい
て針刺し確認を行なった。但し、ここでは注射針として
B−Dマイクロファインプラス31G(商品名、ベクト
ン・ディッキンソン社製)を使用した。この色素混入試
験の結果を表4に、コアリング試験の結果を表5に示
す。
【0112】なお、比較用のサンプルについては形状面
での改善が認められなかったことからこれらの評価は行
わなかった。
【0113】
【表4】
【0114】
【表5】
【0115】表4に示すように、色素混入試験の結果、
サンプルA・Bの何れも色素の侵入は認められず、気密
性に問題はないと判断された。
【0116】また、コアリングの発生についても、サン
プルA・Bの何れも、20回以内にゴム屑(コア)が認
められたサンプルは殆どなく、問題ないと判断された。
なお、上記ゴム製蓋部2の上縁部を切り取ったサンプル
Aと下縁部を切り取ったサンプルBとの差は認められな
かった。
【0117】〔実施例2〕ゴム製蓋部2の周辺部(上縁
部または下縁部)に切欠部5によるテーパを設けた本発
明のゴム製蓋部2(ラインシール)3種(N1、N2、
N3)を使用し、前記〔充填実験方法〕に基づいて全自
動充填機(EAM/TL Filler)により、上記各ゴム製蓋部2
(N1、N2、N3)を用いたカートリッジ(サンプル
1a〜1c)の充填実験を行った。巻締め圧は上記全自
動充填機(EAM/TL Filler)の標準的な条件である8.2
7×104 Paとした。
【0118】この結果、N1、N2、N3の何れについ
ても金属製蓋部3中央部に設けられた開口部4から露出
するゴム製蓋部2(露出部2a)の陥没は認められず、
巻締め後の該露出部2aの形状は、平らあるいは外側へ
凸となり、全て外観の良好なカートリッジが得られた。
上記測定に用いた各ゴム製蓋部2の寸法を表6に、巻締
め後の形状評価を表7に示す。なお、表7中、僅かに凸
とは、金属製蓋部3の表面からのゴム(ゴム製蓋部2)
の盛り上がり部分の厚さ(以下、単に盛り上がりと記
す)、すなわち、金属製蓋部3表面から、巻締めにより
開口部4から突出したゴム製蓋部2の先端までの厚みが
0.2mm未満を示し、凸とは盛り上がりが0.2mm
以上、0.5mm未満を示し、非常に凸とは盛り上がり
が0.5mm以上を示す。
【0119】
【表6】
【0120】
【表7】
【0121】また、上記各カートリッジ(サンプル1a
〜1c)の気密性を確認するため、実施例1と同様にし
て色素侵入試験(Dye Leakage Test)を実施したとこ
ろ、何れも色素侵入は認められず、気密性に問題はない
と判断された。この結果を表8に示す。
【0122】
【表8】
【0123】さらに、上記各カートリッジ(サンプル1
a〜1c)について実施例1と同様にしてコアリング試
験を実施した結果、殆どのカートリッジでは20回以内
の針刺しではコアは発生しなかった。この結果を表9に
示す。
【0124】
【表9】
【0125】〔実施例3〕実施例2で用いた本発明のゴ
ム製蓋部2(ラインシール)3種(N1、N2、N3)
を使用し、実施例2と同様にして全自動充填機(EAM/TL
Filler)による充填実験を行った。但し、ここでの巻締
め圧は9.65×104 Paとした。
【0126】また、比較用サンプルとして、材質は同じ
柔らかいゴム(大協精工製「D21−7」(商品名))
を使用したゴム製蓋部周辺部に切欠部5が形成されてい
ないサンプル、すなわち、前記ラインシール(1)を用
いた巻締め用蓋(1)(表2参照)を使用したカートリ
ッジ(サンプル2a)についても同様に9.65×10
4 Paで巻締めを行った。
【0127】この結果、ゴム製蓋部周辺部に切欠部5を
有しない上記巻締め用蓋(1)を用いたカートリッジ
(サンプル2a)については巻締め圧9.65×104
Paでは多数のサンプルでゴム製蓋部(ラインシール)
が変形して中央部が内側へ陥没し、外観に問題のあるカ
ートリッジが多数を占めた。
【0128】一方、上記N1、N2、N3の何れについ
てもゴム製蓋部2(ラインシール)中央部の陥没は認め
られず、何れも、平らあるいは外側へ凸となり、外観
上、良好なカートリッジが得られた。この結果を表10
に示す。
【0129】
【表10】
【0130】また、上記N1、N2、N3を用いたカー
トリッジ(サンプル2b〜2c)について、前記〔色素
侵入試験(Dye Leakage Test)方法〕に基づいて色素侵
入試験を実施したところ、何れも色素侵入は認められ
ず、気密性にも問題がないことが確認された。この結果
を表11に示す。なお、表10中の評価については、表
7における評価と同様の評価を行うものとする。また、
表10中、その他の変形とは、前記した盛り上がり以外
の変形、例えば従来のゴム製蓋部に表裏の区別のために
設けられていた極浅い切り目が部分的に盛り上がる等
の、前記した盛り上がり以外の部分的な突起等を示す。
【0131】
【表11】
【0132】さらに、実施例1と同様にしてコアリング
試験を実施したところ、コアリングについても問題は認
められなかった。この結果を表12に示す。
【0133】
【表12】
【0134】以上のように、本実施の形態によれば、良
好な気密性を得るべく巻締め圧を上げてもゴム製蓋部2
の変形による陥没を生じない(厳密には、製品出荷時に
陥没のない)良好な外観の容器、例えば前記カートリッ
ジ11を、安定して製造することができる巻締め用蓋1
を提供することができる。本実施の形態にかかる巻締め
用蓋1は、上記ゴム製蓋部2の上縁部または下縁部に切
欠部5を設けることにより、上記ゴム製蓋部2と金属製
蓋部3との間並びに上記金属製蓋部3と容器本体15と
の間の少なくとも一方に、巻締めによる上記ゴムの変形
を許容することができる空間、例えば空間部6を有し、
巻締め圧を上げても上記ゴム製蓋部2の変形による陥没
を生じないことから、良好な気密性を得ることができ
る。
【0135】また、上記巻締め用蓋1は、針刺部が非陥
没状態を有していることから、殺菌(滅菌)が容易であ
り、該巻締め用蓋1を使用することで、安全性に優れた
容器を提供することができる。
【0136】なお、このような容器の保管、移送に際し
ては、例えば、上記巻締め用蓋1への保管、移送中の不
純物等の付着を防止するため、巻締め用蓋1を被覆す
る、使用時に取り外し可能な保護キャップや保護シール
等を用いることができる。
【0137】また、上記巻締め用蓋1は、ゴム製蓋部2
に前記した柔らかい材質のゴムを使用していることか
ら、従来よりもコアリングによるゴム屑(コア)の発生
が抑制され、複数回の針刺(通針)によるコアリング、
例えば規定回数の針刺(通針)によるコアリング、好適
には通常の針刺回数(例えば10回)の1.5倍〜2倍
の針刺回数(例えば20回)においてのコアリングを防
止することができ、また、コアが発生した場合にも、コ
アとして容器内部の液体中に浮遊するゴム屑の量を抑
え、より安全性が高いものとなっている。
【0138】また、上記巻締め用蓋1は、上記したよう
に単層のゴム層からなることで、ゴム製蓋部を接着剤等
を用いて二重構造とした場合のような薬液の品質への悪
影響を防止することができ、また、このようにゴム製蓋
部を接着剤等を用いて二重構造とした場合と比較して、
簡素な構造を有し、安価に製造することができる。
【0139】なお、本実施の形態では、上記巻締め用蓋
1が適用される容器として、カートリッジ交換型の注射
器21に用いられるカートリッジ11を例に挙げて説明
したが、本実施の形態はこれに限定されるものではな
く、例えば医療分野等において、薬剤の溶解に用いられ
る溶解液や薬液の保存、調製等に用いられる容器等、巻
締め用蓋により閉塞された開口部から針刺により容器内
部に収容された液体を取り出す種々の分野、用途に適用
することが可能である。
【0140】本実施の形態にかかる容器の形状、素材等
は、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定される
ものではなく、また、容器内に収容される液体も特に限
定されるものではない。
【0141】
【発明の効果】本発明にかかる巻締め用蓋は、以上のよ
うに、内部に液体を収容する容器本体に設けられた開口
部に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁に、上記
容器本体内部に収容された液体を外部に取り出すための
針刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて上記封止
部材が露出するように上記封止部材を被覆する巻締め用
の被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられた開口部
に巻締めにより固定される巻締め用蓋であって、上記封
止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円柱
形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以上の歪
み率を有する平板状のゴムからなり、かつ、その上縁部
または下縁部に切欠部が設けられている構成である。
【0142】本発明にかかる巻締め用蓋は、以上のよう
に、内部に液体を収容する容器本体に設けられた開口部
に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁に、上記容
器本体内部に収容された液体を外部に取り出すための針
刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて上記封止部
材が露出するように上記封止部材を被覆する巻締め用の
被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられた開口部に
巻締めにより固定される巻締め用蓋であって、上記封止
部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円柱形
状として50Nの荷重を加えた場合に35%以上の歪み
率を有する平板状のゴムからなり、かつ、上記針刺用の
開口部により露出する部分以外の部分に切欠部が設けら
れている構成である。
【0143】本発明にかかる巻締め用蓋は、以上のよう
に、内部に液体を収容する容器本体に設けられた開口部
に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁に、上記容
器本体内部に収容された液体を外部に取り出すための針
刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて上記封止部
材が露出するように上記封止部材を被覆する巻締め用の
被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられた開口部に
巻締めにより固定される巻締め用蓋であって、上記封止
部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mmの円柱形
状として50Nの荷重を加えた場合に35%以上の歪み
率を有する平板状のゴムからなり、かつ、巻締め前の上
記封止部材と被覆部材との間並びに巻締め前の上記被覆
部材と容器本体との間の少なくとも一方に、上記封止部
材における上記針刺用の開口部からの露出部が巻締め時
に陥没しないように上記封止部材の巻締め時の変形を許
容する空間が形成されている構成である。
【0144】本発明にかかる容器は、以上のように、本
発明にかかる上記巻締め用蓋により容器本体に設けられ
た開口部が巻締め固定されている構成である。
【0145】本発明にかかる容器は、以上のように、蛋
白製剤の薬液を内部に封入したカートリッジを注射器本
体に組み込んで用いられるカートリッジ交換型の注射器
における蛋白製剤の薬液保存用のカートリッジである構
成である。
【0146】本発明によれば、上記封止部材に、直径7
〜9mm、厚み1〜2.2mmの円柱形状として50N
の荷重を加えた場合に35%以上の歪み率を有する柔ら
かい材質のゴムを使用していることから、従来よりもコ
アリングによるゴム屑の発生が抑制された、安全性が高
い巻締め用蓋を提供することができると共に、上記切欠
部や空間部が設けられていることで、良好な気密性を得
るべく巻締め圧を上げても上記封止部材の変形による陥
没を生じない良好な外観の容器を、安定して製造するこ
とができる巻締め用蓋並びにそのような容器を提供する
ことができるという効果を奏する。
【0147】また、上記巻締め用蓋を用いれば、針刺部
に陥没のない容器を提供することができることから、殺
菌(滅菌)が容易であるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる巻締め用蓋の巻
締め前の状態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の一形態にかかる他の巻締め用蓋
の巻締め前の状態を示す断面図である。
【図3】本実施の形態にかかる巻締め用蓋を用いた薬液
保存用のカートリッジの構成を一部破断にて示す概略構
成図である。
【図4】図3に示すカートリッジを用いたカートリッジ
交換型の注射器の構成を示す分解斜視図である。
【図5】(a)は、空隙率の計算方法を説明するための
ゴム製蓋部の断面模式図であり、(b)は、上記空隙率
の計算方法を説明するためのゴム製蓋部の立体模式図で
ある。
【図6】従来の巻締め用蓋の巻締め前の状態を示す断面
図である。
【図7】ゴム製蓋部の針刺部における陥没の状態を示す
斜視図である。
【符号の説明】
1 巻締め用蓋 2 ゴム製蓋部(封止部材) 2a 露出部(針刺部) 3 金属製蓋部(被覆部材) 3a 端面内壁 3b 端部 3c 天壁 4 開口部(針刺用の開口部) 5 切欠部 6 空間部(空間) 11 カートリッジ 12 開口部(容器本体に設けられた開口部) 13 開口部 14 内腔 15 容器本体 16 ゴム栓 17 口部 17a 上面(容器本体上面) 18 薬液(液体) 21 注射器 22 ホルダ 23 アクチュエータ 24 キャップ 25 注射針(針)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E080 AA06 AA20 BB04 CE01 3E084 AA02 AA12 AA32 AB05 BA01 CA01 CB02 CC02 DA01 DB11 DC02 FA09 FD08 GB08 HA01 HB09 HC03 HD01 KB02 LA01 LB02 LD21

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部に液体を収容する容器本体に設けられ
    た開口部に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁
    に、上記容器本体内部に収容された液体を外部に取り出
    すための針刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて
    上記封止部材が露出するように上記封止部材を被覆する
    巻締め用の被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられ
    た開口部に巻締めにより固定される巻締め用蓋であっ
    て、 上記封止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mm
    の円柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以
    上の歪み率を有する平板状のゴムからなり、かつ、その
    上縁部または下縁部に切欠部が設けられていることを特
    徴とする巻締め用蓋。
  2. 【請求項2】内部に液体を収容する容器本体に設けられ
    た開口部に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁
    に、上記容器本体内部に収容された液体を外部に取り出
    すための針刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて
    上記封止部材が露出するように上記封止部材を被覆する
    巻締め用の被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられ
    た開口部に巻締めにより固定される巻締め用蓋であっ
    て、 上記封止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mm
    の円柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以
    上の歪み率を有する平板状のゴムからなり、かつ、上記
    針刺用の開口部により露出する部分以外の部分に切欠部
    が設けられていることを特徴とする巻締め用蓋。
  3. 【請求項3】内部に液体を収容する容器本体に設けられ
    た開口部に当接して該開口部を塞ぐ封止部材と、天壁
    に、上記容器本体内部に収容された液体を外部に取り出
    すための針刺用の開口部を有し、該針刺用の開口部にて
    上記封止部材が露出するように上記封止部材を被覆する
    巻締め用の被覆部材とを備え、上記容器本体に設けられ
    た開口部に巻締めにより固定される巻締め用蓋であっ
    て、 上記封止部材は、直径7〜9mm、厚み1〜2.2mm
    の円柱形状として50Nの荷重を加えた場合に35%以
    上の歪み率を有する平板状のゴムからなり、かつ、巻締
    め前の上記封止部材と被覆部材との間並びに巻締め前の
    上記被覆部材と容器本体との間の少なくとも一方に、上
    記封止部材における上記針刺用の開口部からの露出部が
    巻締め時に陥没しないように上記封止部材の巻締め時の
    変形を許容する空間が形成されていることを特徴とする
    巻締め用蓋。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の何れか1項に記載の巻締め
    用蓋により容器本体に設けられた開口部が巻締め固定さ
    れていることを特徴とする容器。
  5. 【請求項5】蛋白製剤の薬液を内部に封入したカートリ
    ッジを注射器本体に組み込んで用いられるカートリッジ
    交換型の注射器における蛋白製剤の薬液保存用のカート
    リッジであることを特徴とする請求項4記載の容器。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005095219A (ja) * 2003-09-22 2005-04-14 Fukai Kogyo Kk 医療用ゴム栓
JP2013530800A (ja) * 2010-07-19 2013-08-01 サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 規格外寸法を有する薬剤カートリッジ
JP2015512835A (ja) * 2012-03-09 2015-04-30 ビオコルプ ルシェルシェ エ デブロプマン 封止装置およびこの装置を備えた容器
JP2016537064A (ja) * 2013-10-15 2016-12-01 ベクトン ディキンソン フランス 注射システムを閉鎖するための先端部キャップアセンブリ

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