JP2003054150A - 平版印刷版の版面洗浄方法 - Google Patents

平版印刷版の版面洗浄方法

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JP2003054150A
JP2003054150A JP2001248856A JP2001248856A JP2003054150A JP 2003054150 A JP2003054150 A JP 2003054150A JP 2001248856 A JP2001248856 A JP 2001248856A JP 2001248856 A JP2001248856 A JP 2001248856A JP 2003054150 A JP2003054150 A JP 2003054150A
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Yasuo Okamoto
安男 岡本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光重合型感光性平版印刷版から製版される印
刷版において、優れた汚れ除去能力を発揮し、同時に印
刷版の耐刷性を劣化させることのない、版面洗浄方法を
提供する。 【解決手段】 支持体、光重合性感光層及び酸素遮断性
保護層を含む光重合型感光性平版印刷版を画像露光し、
現像した後、得られた平版印刷版の版面洗浄に、大豆多
糖類を含有する乳化型版面洗浄剤を用いることを特徴と
する平版印刷版の版面洗浄方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版の版面洗
浄方法に関し、さらに詳しくは光重合型感光性平版印刷
版を原版として製版される平版印刷版の版面洗浄方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】平版印刷は、水と油が本質的に混り合わ
ない性質を巧みに利用した印刷方式であり、印刷版面は
水を受容し油性インキを反撥する領域と水を反撥して油
性インキを受容する領域から成り、前者が非画像域であ
り、後者が画像域である。従ってその均衡がくづれ、例
えば非画像域の親水性が何らかの原因で劣化するとしば
しばその領域にインキが付着し、所謂「地汚れ」とな
る。このような地汚れが発生する場合は多種多様である
が、代表的なものは平版印刷版を高耐刷力とするために
施されるバーニング等の処置を施した場合や、平版印刷
版の版面を不感脂化ガムで保護することなく大気中に放
置した場合がある。この様な現象は印刷時に印刷機のト
ラブル又は休憩時間等で印刷機を停止した場合等に於い
ても同様に起きることがある。従って通常、印刷機を停
止する場合印刷関係者等は不感脂化ガム液を塗布する習
慣がある。また、不感脂化ガムが塗布されていない平版
印刷版の非画像域に親油性の物が付着し放置された場
合、その部分が感脂化され、汚れと成る。例えば指紋等
の跡が印刷物の背景に現れるのも同様な原因によるもの
である。更にまた非画像域に傷が付いた場合でありこの
場合は傷の中にインキが詰まり、次第に感脂化されて汚
れとなる。
【0003】上述のような、汚れの発生した平版印刷版
は、版面のインキを除去すると共に非画像域の親水性を
回復せしめるためのいわゆる版面洗浄剤(プレートクリ
ーナーと呼ぶことも有る。)で処理されるものが通例で
ある。かかる版面洗浄剤の一として、従来珪酸ナトリウ
ム水溶液から成るものが知られていた。しかしながら、
この版面洗浄剤は不感脂化作用が極めて高いという効果
を有するものの、アルカリ性のため、水性アルカリ現像
液で現像される光重合性平版印刷版においては、網点外
周部では酸素による重合阻害のため、光反応性が弱く、
網点ハイライト部(1〜5%部)はしっかり固まらず、
このため版面洗浄剤が画像部と支持体との界面に侵入し
て、耐刷不良となり易いという問題がある。この問題は
特に、光重合性感光層が光重合開始剤としてチタノセン
化合物を含んでいる版において、顕著であった。
【0004】一般に、印刷中に汚れが発生した場合は先
ず版面のインキを洗浄剤(灯油又は炭化水素系溶剤)で
除去し、次いで不感脂化処理剤で処理する。上記のよう
な従来の版面洗浄剤も、版面をインキ洗浄剤で洗浄した
後に施こす必要があるため、版面洗浄剤処理をするとき
には処理工程が2工程となり繁雑である。そのため近年
両機能を統合させた乳化型即ちインキ洗浄剤作用及び不
感脂化作用を兼ね備えた版面洗浄剤も開発されている。
例えば特開昭52−15702号にはアルカリ性の乳化
型版面洗浄剤が開示されており、特開昭53−2102
号には酸性の乳化型版面洗浄剤が開示されている。しか
し乍ら、このような乳化型版面洗浄剤はバーニング処理
した平版印刷版に対する汚れ除去力が劣り又傷汚れ等に
対しては、不感脂化作用の持続性が不充分であって、印
刷の途中でしばしば汚れが再発するという欠点が有っ
た。
【0005】また、酸性の乳化型版面洗浄剤は、乳化安
定化を図るために保護コロイド成分として多くのアラビ
アガムを使用し、アラビアガム特有の非画像域の汚れ防
止力を利用するのが一般的である。一方、アルカリ性の
乳化型版面洗浄剤では、アラビアガムはゲル化するた
め、一般的には繊維素系高分子が用いられていた。その
ため乳化が不安定で、液分離が起こりやすいため使用す
る前には保存しておいた洗浄剤を充分にかくはんして液
を均一にしてから使用しないと処理ムラが生じやすい欠
点も有していた。更にアラビアガムは、アフリカ大陸の
アラビアガムベルト地帯と言われているスーダン国が主
生産地であるため近年気候の変化による旱魃の影響、政
治不安定等のために市場変動が激しく、入手が困難とな
っている。このためアラビアガムに代替できる水溶性高
分子が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、とり
わけ光重合型感光性平版印刷版から製版される印刷版に
おいて、優れた汚れ除去能力を発揮し、同時に印刷版の
耐刷性を劣化させることのない、版面洗浄方法を提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々研究を
重ねた結果、光重合型感光性平版印刷版から製版される
印刷版を版面洗浄する際に、皮膜形成性を有する大豆か
ら抽出された多糖類を含有する乳化型版面洗浄剤で洗浄
することにより、上記課題が達成されることを見出し、
本発明を完成させるに至った。従って本発明は、支持
体、光重合性感光層及び酸素遮断性保護層を含む光重合
型感光性平版印刷版を画像露光し、現像した後、得られ
た平版印刷版の版面洗浄に、大豆多糖類を含有する乳化
型版面洗浄剤を用いることを特徴とする平版印刷版の版
面洗浄方法である。本発明の1つの実施態様として、光
重合性感光層が光重合開始剤としてチタノセン化合物を
含有している光重合型感光性平版印刷版を画像露光し、
現像した後、得られた平版印刷版の版面洗浄に大豆多糖
類を含有する乳化型版面洗浄剤を用いる版面洗浄方法が
挙げられる。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明の版面洗浄方法に用
いる版面洗浄剤について説明する。該版面洗浄剤は、皮
膜形成性を有する大豆から抽出された多糖類を含有して
いる乳化型版面洗浄剤である。この版面洗浄剤は酸性あ
るいはアルカリ性とすることができ、酸性の版面洗浄剤
はpH1〜4、アルカリ性の版面洗浄剤はpH10〜1
3とするのが好ましい。大豆から抽出された多糖類、す
なわち水溶性大豆多糖類は、ラムノース、フコース、ア
ラビノース、キシロース、ガラクトース、グルコース及
びウロン酸等を構成糖に含有し、その平均分子量は5〜
100万である。版面洗浄剤中の水溶性大豆多糖類の含
有量は好ましくは0.1〜30質量%で、より好ましく
は5〜20質量%の範囲である。上記大豆多糖類は水あ
るいは50℃以下の温水に溶解し、均一な水溶液として
使用する。
【0009】酸性の乳化型版面洗浄剤は、(1)水溶性
大豆多糖類、(2)リン酸、重合リン酸、そのアルカリ
金属塩及び有機ホスホン酸からなる群から選ばれた少な
くとも一種の化合物、(3)硝酸塩、(4)硫酸塩又は
重硫酸塩、(5)水を含む水相と、平版インキに対する
溶解作用を具備する(6)炭化水素系溶剤を含む油相か
ら成ることを特徴とする。この組成物には更に、(7)
界面活性剤、(8)水溶性コロイド物質、(9)湿潤
剤、(10)チキソトロピィー剤、(11) pH調整剤
を必要に応じて含有させることができる。版面洗浄剤に
は、上記成分の他に防腐剤、殺菌剤、染料等を添加して
もよい。上記成分(1)の水溶性大豆多糖類は、原料大
豆を水で抽出して得られた多糖類であり、主としてガラ
クトース、アラビノース、ガラクツロン酸を構成成分と
して含有する。このような水溶性大豆多糖類の製造方法
は特開平5−32701号公報に記載されている。ま
た、市販品としてはソヤファイブ−S−LN(不二製油
(株)製)等が挙げられる。本発明で使用できる大豆多
糖類の平均分子量は5〜100万で、10質量%水溶液
の粘度(25℃)が5〜100cpの範囲のものが好まし
く使用される。
【0010】上記成分(2)としては例えばリン酸、リ
ン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、ピ
ロ燐酸、ピロ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸カリウム、ピロ
燐酸リチウム、トリポリ燐酸、トリポリ燐酸ナトリウ
ム、トリポリ燐酸カリウム、トリポリ燐酸リチウム、テ
トラ燐酸、テトラ燐酸ナトリウム、テトラ燐酸カリウ
ム、テトラ燐酸リチウム、ヘキサメタ燐酸、ヘキサメタ
燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸カリウム、ヘキサメタ
燐酸リチウム、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシ
エタン1,1−ジスルホン酸、ニトリロトリスホスホン
酸、N−カルボキシメチルN,N−ジ(メチレンホスホ
ン酸)、ヘキサメチレンジアミン−テトラ(メチレンホ
スホン酸)、エチレンジアミン−テトラ(メチレンホス
ホン酸)、ジエチレントリアミン−ペンタ(メチレンホ
スホン酸)、N,N−ジ(カルボキシメチル)−N−メ
チレンホスホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−
N,N−ジ(メチレンホスホン酸)、N−ヒドロキシメ
チル−N,N’N’−エチレンジアミントリス(メチレ
ンホスホン酸)、N−ヒドロキシエチル−N’,N’−
ジエチルエチレンジアミン−N,N,N’,N’−テト
ラ(メチレンホスホン酸)、ジ(2−ヒドロキシプロピ
レン)トリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリ
(2−ヒドロキシプロピレン)テトラアミンヘキサ(メ
チレンホスホン酸)等を挙げることができる。これらの
化合物は市販品として入手でき、例えばモンサント・ケ
ミカル・カンパニー (Monsanto Chemical Company)から
「DEQUEST類」としてまたフィリップ・A・ハン
ト・ケミカル・コーポレーション (Philip A Hant Chem
ical Corp)のウエイランドケミカル部門 (Wayland Chem
ical Division ) から「WAYPLEX」類として市販
されている。上記のような化合物は、単独又は2種以上
組み合わせて用いることができ、版面洗浄剤の総質量を
基準に0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質
量%の範囲となるように含有させられる。
【0011】成分(3)の硝酸塩としては、硝酸亜鉛、
硝酸コバルト、硝酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝
酸カリウム、硝酸ニッケル、硝酸ビスマス、硝酸錫、硝
酸ストロンチウム、硝酸セシウム、硝酸セリウムのよう
な硝酸の金属塩および硝酸アンモニウムが挙げられる。
水溶性の硝酸金属塩の使用範囲は全組成物質量の0.5〜
10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
【0012】成分(4)の硫酸塩又は重硫酸塩は例えば
硫酸塩としては硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ア
ルミニウム等を挙げることができる。重硫酸塩は一般式
M(HSO4)n (但し、Mは金属を示し、nはMの価数を示
す。)で表わされ、例えば硫酸水素ストロンチウム、硫
酸水素カリウム、硫酸水素カルシウム、硫酸水素タリウ
ム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素鉛、硫酸水素ビスマ
ス、硫酸水素マグネシウム、硫酸水素ロジウム等が挙げ
られる。これらの化合物は、単独又は2種以上組み合わ
せて使用でき、版面洗浄剤の総質量を基準として0.01
〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲で含
有させられる。版面洗浄剤の水相の残余の成分は水であ
るが、その量は版面洗浄剤の総質量に対して45〜85
質量%が適しており、より好ましくは50〜80質量%
である。
【0013】一方、版面洗浄剤の油相として含有させら
れる成分(6)の炭化水素系溶剤は平版印刷インキを溶
解する作用を有するもので、通常印刷インキの洗浄に使
われている石油留分で沸点が120〜320℃のものが
特に有用である。この炭化水素系溶剤の使用範囲は全組
成物質量の5〜60質量%、より好ましくは10〜40
質量%である。成分(6)は、成分(5)の水と混ざり
合わないため、使用する時に充分混合分散した状態で用
いる。このとき分散の安定性を高める目的で成分(7)
の界面活性剤を添加することが有用である。界面活性剤
としてはアニオン型界面活性剤およびノニオン型界面活
性剤がある。アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸塩
類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸
塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハ
ク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐
鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレ
ンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチ
レンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアル
キルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オ
レイルタウリンナトリウム塩類、N−アルキルスルホコ
ハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩
類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエ
ステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオ
キシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩
類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸
エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩
類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物
類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化
物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が
挙げられる。これらの中でもジアルキルスルホコハク酸
塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルベンゼン
スルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0014】また、ノニオン型界面活性剤としては、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン
ポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン
脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル
類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロ
ピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸
部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪
酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エス
テル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオ
キシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセ
リン脂肪酸部分エステル類、脂肪酸ジエタノールアミド
類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、
ポリオキシエチレンアルキルアミン類、トリエタノール
アミン脂肪酸エステル類、トリアルキルアミンオキシド
類などが挙げられる。その中でもポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン−ポリ
オキシプロピレンブロックポリマー類等が好ましく用い
られる。これらの界面活性剤は二種以上併用してもよ
い。又使用量は特に限定されるものではないが、好まし
い範囲は全組成物質量の0.5〜10質量%である。
【0015】成分(8)の水溶性コロイド物質は粘度調
整剤であり、組成物の25℃における粘度が10cps 〜
1000cps の範囲となるように使用する。好ましい具
体例としてはデキストリン、サイクロデキストリン、ア
ルギン酸塩、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチル
セルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、メチルセルロース等)等の天然物と
その変性体及びポリビニルアルコール及びその誘導体、
ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共
重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル/
無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸
共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体等の合成
物であり、これ等の物質は単独又は混合して使うことが
でき、上述のような粘度範囲とするための水溶性コロイ
ド物質の使用範囲は、全組成物質量の1〜24質量%、
より好ましくは3〜20質量%から選ぶことができる。
【0016】上記成分の他、版面洗浄剤には良好な広が
り特性を与え、乾燥を抑えて使用適性を良好ならしめる
一種又はそれ以上の湿潤剤(成分(9))も有用であ
る。適当な湿潤剤は一般式:HO−(R−O)n −H(式中Rは
Cm H2m (m=2〜6)であり、nは1〜500であ
る)で表される化合物である。好ましい化合物の一例を
あげると、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキシレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレング
リコールなどであり、他の湿潤剤としてはグリセリン、
ソルビトール、ペンタエリスリトールが有用である。湿
潤剤の使用量は全組成物質量の5〜30質量%の範囲で
効果が認められより、好ましくは10〜25質量%の範
囲である。
【0017】成分(10)のチキソトロピー剤は動的圧
力によって液の粘度が低下し静のときは粘度が上昇して
スポンジ等で版面を処理するときの作業特性を良好にす
る。適当なチキソトロピー剤としては、珪酸の微粉末、
パミス、炭酸カルシウム、ゼオライト等が挙げられる。
使用量は全組成物質量の1〜10質量%の範囲が適当で
あり、好ましくは3〜7質量%の範囲である。版面洗浄
剤は、前述の如く酸性のものは pH1〜4の範囲に調整
される。このような pH範囲に調整するために使用され
る pH調整剤(成分(11))としては硫酸、亜りん
酸、くえん酸、酢酸、蓚酸、マロン酸、酒石酸、りんご
酸、乳酸、レブリン酸、酪酸、マレイン酸、ピコリン酸
などの酸が使用され、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウムなどのアルカリを併用してもよい。
【0018】アルカリ性版面洗浄剤は、(1)水溶性大
豆多糖類、(12)一般式M2O・nSiO2〔Mはアル
カリ金属、−N(CH3)4 、−N(CH2CH3)4、−N(CH2OH)4
は−N(C2H4OH)4、nは1〜3.2〕で表わされるケイ酸塩
の水溶液又コロイド溶液、(5)水を含む水相と、平版
インキに対する溶解作用を具備する(6)炭化水素系溶
剤を含む油相からなることを特徴とする。この組成物に
は更に成分(7)界面活性剤、(8)水溶性コロイド物
質、(9)湿潤剤、(13)モリブデン酸、ホウ酸、硝
酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸及びこれらの水溶性塩か
ら選ばれた少くとも一種、(11)pH調整剤を必要に
応じて含有させることができる。
【0019】成分(12)のケイ酸塩としては、ケイ酸
ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸
ルビジウム、ケイ酸セシウム、テトラメチルアンモニウ
ムシリケート、テトラエチルアンモニウムシリケート、
テトラメタノールアンモニウムシリケート、テトラエタ
ノールアンモニウムシリケートなどがあげられる。又、
コロイド溶液としては LuDoxという商品名で DuPont 社
より入手できる、コロイダルシリカも同様に使用でき
る。珪酸塩の使用範囲は全組成物質量の3〜30質量
%、より好ましくは5〜25質量%である。アルカリ性
版面洗浄剤において、成分(6)の炭化水素系溶剤の使
用範囲は全組成物質量の10〜50質量%、より好まし
くは15〜40質量%である。この水相と油相は混ざり
合わないため使用するときは充分に混合分散した状態で
用いる。分散の安定性を高める目的で成分(7)の界面
活性剤の添加が有用である。成分(7)、(8)、
(9)の種類及び使用量は、酸性の版面洗浄剤と同じで
ある。
【0020】版面洗浄剤には、親水層に発生した傷のた
めに生じる地汚れを防止する作用や回復した親水性を維
持強化する働きが求められる。この作用は成分(13)
のモリブデン酸、ホウ酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリ
ン酸及びそれらの水溶性塩、好ましくはアルカリ金属塩
及びアンモニウム塩から選ばれた少くとも一種類を併用
することによって強化される。例えばモリブデン酸ナト
リウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸リチウ
ム、モリブデン酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、ホ
ウ酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸アンモニウム、
硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、リン酸
ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸
アンモニウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリ
ウム、ピロリン酸リチウム、トリポリリン酸ナトリウ
ム、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸リチウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸カ
リウム、ヘキサメタリン酸リチウム等を挙げることがで
きる。該化合物は全組成物質量の0.1〜10質量%の範
囲で使用され、より好ましくは0.2〜5質量%の範囲で
ある。
【0021】一般式M2O・nSiO2で表わされる成分
(12)は pH10〜13の範囲で版面洗浄剤の汚れ除
去能力を最も高くする。この pH範囲に調整するため、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の pH調整剤(1
1)を用いる。アルカリ性版面洗浄剤には、上記の成分
の他にパミス、シリカ粉末、ゼオライト等の粒状粉末、
防腐剤、殺菌剤、染料等を添加してもよい。アルカリ性
版面洗浄剤は水相の pH値が11〜14、より好ましく
は11.5〜13の範囲で特にすぐれた性能を発揮する。
従ってこのような pH範囲となるよう pH調整剤、例え
ばリン酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が必要
に加えられる。
【0022】本発明において、上記の版面洗浄剤の使用
態様は特に限定されるものではなく、例えばスポンジに
ふくませて版上を拭くなどの態様で使用することができ
る。
【0023】次に、感光性平版印刷版について説明す
る。本発明の版面洗浄方法を適用し得る平版印刷版は、
その原版として支持体、光重合性感光層及び酸素遮断性
保護層を含む光重合型感光性平版印刷版であれば、特に
その構成が限定されるものではない。以下に、典型的な
構成を説明する。感光性平版印刷版の感光層を構成する
光重合型感光性組成物は、付加重合可能なエチレン性不
飽和化合物、光重合開始剤、高分子結合剤を必須成分と
し、必要に応じ、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種
々の化合物を併用することができる。
【0024】エチレン性不飽和化合物とは、光重合型感
光性組成物が活性光線の照射を受けた時、光重合開始剤
の作用により付加重合し、架橋、硬化するようなエチレ
ン性不飽和結合を有する化合物である。付加重合可能な
エチレン性二重結合を含む化合物は、末端エチレン性不
飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する
化合物の中から任意に選択することができる。例えばモ
ノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体および
オリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共
重合体などの化学的形態をもつものである。モノマーお
よびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロト
ン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価
アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂
肪族多価アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
【0025】脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カル
ボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アク
リル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3
−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテ
ル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサン
ジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアク
リレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソル
ビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリ
レート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトー
ルヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチ
ル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリ
ゴマー等がある。
【0026】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレ
ート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトール
テトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオ
キシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチル
メタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フ
ェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0027】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等があ
る。クロトン酸エステルとしては、エチレングリコール
ジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネ
ート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビト
ールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エ
ステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネー
ト、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビ
トールテトライソクロトネート等がある。
【0028】マレイン酸エステルとしては、エチレング
リコールジマレート、トリエチレングリコールジマレー
ト、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテ
トラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマ
ーの混合物も挙げることができる。また、脂肪族多価ア
ミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの
具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチ
レンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレン
ビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−
メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリ
ルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレン
ビスメタクリルアミド等がある。
【0029】その他の例としては、特公昭48−417
08号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、
下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニル
モノマーを付加せしめた1分子中に2個以上の重合性ビ
ニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられ
る。
【0030】 CH2=C(R5)COOCH2CH(R6)OH (A) (ただし、R5およびR6はHあるいはCH3を示す。)
【0031】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号に記載されているようなウレタンアク
リレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−
43191号、特公昭52−30490号各公報に記載
されているようなポリエステルアクリレート類、エポキ
シ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアク
リレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレート
を挙げることができる。さらに日本接着協会誌 Vol.2
0、No.7、300〜308ページ(1984年)に光
硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されている
ものも使用することができる。なお、これらエチレン性
不飽和化合物の使用量は、感光層全成分の5〜80質量
%、好ましくは30〜70質量%の範囲で使用される。
【0032】また本発明で使用する感光性平版印刷版の
感光層に含有させる光重合開始剤としては、使用する光
源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開
始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始
系)を適宜選択して用いることができる。以下に具体例
を列挙するがこれらに制限されるものではない。400
nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの
第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合
にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国
特許第2,850,445号に記載のある種の光還元性
染料、例えばローズベンガル、エオシン、エリスロシン
など、あるいは、染料と開始剤との組み合わせによる
系、例えば、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−
20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジ
カル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377
号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキル
アミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528
号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジ
カルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183
号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭
54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の
系(特開昭52−112681号、特開昭58−155
03号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオール
の系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と
色素の系(特開昭59−1504号、特開昭59−14
0203号、特開昭59−189340号、特開昭62
−174203号、特公昭62−1641号、米国特許
第4766055号)、染料と活性ハロゲン化合物の系
(特開昭63−258903号、特開平2−63054
号など)染料とボレート化合物の系(特開昭62−14
3044号、特開昭62−150242号、特開昭64
−13140号、特開昭64−13141号、特開昭6
4−13142号、特開昭64−13143号、特開昭
64−13144号、特開昭64−17048号、特開
平1−229003号、特開平1−298348号、特
開平1−138204号など)、ローダニン環を有する
色素とラジカル発生剤の系(特開平2−179643
号、特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケ
トクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、
チタノセンとキサンテン色素さらにアミノ基あるいはウ
レタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物
を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平
4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニ
ン色素の系(特開平6−295061号)、チタノセン
とベンゾピラン環を有する色素の系(特開平8−334
897号)等を挙げることができる。
【0033】また、最近400〜410nmの波長のレ
ーザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感
応する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が
開発されており、これらの光開始系も使用される。例え
ば、カチオン色素/ボレート系(特開平11−8464
7)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000
−147763)、カルバゾール型色素/チタノセン系
(特開2001−42524)、オキサゾリジノン系色
素/チタノセン系(特開2001−100412)など
を挙げることができる。本発明においては特にチタノセ
ン化合物を用いた系が、感度の点で優れており好まし
い。
【0034】チタノセン化合物としては、種々のものを
用いることができるが、例えば、特開昭59−1523
96号、特開昭61−151197号各公報に記載され
ている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いること
ができる。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニ
ル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル
−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−
Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェ
ニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス
−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、
ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−
トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエ
ニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−
イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4
−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペ
ンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テト
ラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタ
ジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1
−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,
6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1
−イル等を挙げることができる。チタノセンと組み合わ
せる色素として好ましいものは、シアニン系、メロシア
ニン系、キサンテン系、ケトクマリン系、ベンゾピラン
系色素である。
【0035】更に上記光開始剤に必要に応じ、2−メル
カプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダ
ゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオー
ル化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキル
アミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水
素供与性化合物を加えることにより更に光開始能力が高
められることが知られている。これらの光重合開始剤
(系)の使用量はエチレン性不飽和化合物100質量部
に対し、0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜70
質量部、更に好ましくは0.2〜50質量部の範囲で用い
られる。
【0036】本発明で使用する感光性平版印刷版の感光
層に用いられる高分子結合剤としては、該組成物の皮膜
形成剤としてだけでなく、アルカリ現像液に溶解する必
要があるため、アルカリ水に可溶性または膨潤性である
有機高分子重合体が使用される。該有機高分子重合体
は、例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現
像が可能になる。この様な有機高分子重合体としては、
側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭
59−44615号、特公昭54−34327号、特公
昭58−12577号、特公昭54−25957号、特
開昭54−92723号、特開昭59−53836号、
特開昭59−71048号に記載されているもの、すな
わち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イ
タコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共
重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
【0037】また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸
性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付
加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用で
ある。特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレー
ト/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重
合性ビニルモノマー〕共重合体及び〔アリル(メタ)ア
クリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の
付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。こ
の他に水溶性有機高分子として、ポリビニルピロリドン
やポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮
膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン
とエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
また特公平7−120040号、特公平7−12004
1号、特公平7−120042号、特公平8−1242
4号、特開昭63−287944号、特開昭63−28
7947号、特開平1−271741号、特開平11−
352691号に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用
途には有用である。
【0038】これら高分子重合体は側鎖にラジカル反応
性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させる
ことができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレ
ン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照
射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト
基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニ
ウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミ
ド基等が挙げられる。上記付加重合反応し得る官能基と
しては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリ
ル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又
アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カル
バモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレ
ン基、スルフォン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能
基も有用である。
【0039】組成物の現像性を維持するためには、高分
子結合剤は適当な分子量、酸価を有することが好まし
く、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜2
00の高分子重合体が有効に使用される。これらの有機
高分子重合体は全組成中に任意な量を混和させることが
できる。しかし90質量%を超える場合には形成される
画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは
10〜90%、より好ましくは30〜80%である。ま
た光重合可能なエチレン性不飽和化合物と有機高分子重
合体は、質量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ま
しい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、更に
好ましくは3/7〜7/3である。
【0040】また、以上の基本成分の他に感光性組成物
の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性
不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱
重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁
止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノー
ル、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、
t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオ
ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン第
一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミ
ンアルミニウム塩等が挙げられる。熱重合禁止剤の添加
量は、全組成物の質量に対して約0.01%〜約5%が好
ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止
するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪
酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の
表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量
は、全組成物の質量の約0.5%〜約10%が好ましい。
【0041】更に感光層の着色を目的として、着色剤を
添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシア
ニン系顔料(C. I. Pigment Blue 15:3、15:
4、15:6など)、アゾ系顔料、カーボンブラック、
酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタ
ルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シ
アニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成
物の約0.5%〜約20%が好ましい。加えて、硬化皮膜
の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタ
レート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェー
ト等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加
量は全組成物の質量の10%以下が好ましい。
【0042】感光性平版印刷版の感光層組成物を支持体
上に塗布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に
供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチ
レンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルア
セトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エ
チレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチ
レングリコールエチルエーテルアセテート、エチレング
リコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパ
ノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート−3−メト
キシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸
メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独
あるいは混合して使用することができる。そして、塗布
溶液中の固形分の濃度は1〜50質量%が適当である。
【0043】本発明で使用する感光性平版印刷版の感光
層における光重合性組成物には、塗布面質を向上するた
めに界面活性剤を添加することができる。感光層の被覆
量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範
囲が適当である。より好ましくは0.3〜5g/m2であ
る。更に好ましくは0.5〜3g/m2 である。
【0044】また、前記感光層の上には、酸素の重合禁
止作用を防止するために酸素遮断性の保護層が設けられ
る。酸素遮断性保護層に含まれる水溶性ビニル重合体と
しては、ポリビニルアルコール、およびその部分エステ
ル、エーテル、およびアセタール、またはそれらに必要
な水溶性を有せしめるような実質的量の未置換ビニルア
ルコール単位を含有するその共重合体が挙げられる。ポ
リビニルアルコールとしては、71〜100%加水分解
され、重合度が300〜2400の範囲のものが挙げら
れる。具体的には株式会社クラレ製PVA−105、P
VA−110、PVA−117、PVA−117H、P
VA−120、PVA−124、PVA−124H、P
VA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−
203、PVA−204、PVA−205、PVA−2
10、PVA−217、PVA−220、PVA−22
4、PVA−217EE、PVA−220、PVA−2
24、PVA−217EE、PVA−217E、PVA
−220E、PVA−224E、PVA−405、PV
A−420、PVA−613、L−8等が挙げられる。
上記の共重合体としては、88〜100%加水分解され
たポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピ
オネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセ
タールおよびそれらの共重合体が挙げられる。また、ビ
ニルピロリドンを40mol%以上含む、MWが1万〜
50万である水溶性ビニルピロリドン系共重合体、例え
ばルビスコール64W(ビーエスエフジャパン社製)が
挙げられる。その他有用な重合体としてはポリビニルピ
ロリドン、ゼラチンおよびアラビアゴムが挙げられ、こ
れらは単独または、併用して用いても良い。
【0045】感光性平版印刷版において酸素遮断性保護
層を塗布する際に用いる溶媒としては、純水が好ましい
が、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトンなどのケトン類を純水と混合
しても良い。そして塗布溶液中の固形分の濃度は1〜2
0質量%が適当である。上記酸素遮断性保護層には、さ
らに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性
を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加
えても良い。水溶性の可塑剤としては、たとえばプロピ
オンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソ
ルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル
系ポリマーなどを添加しても良い。その被覆量は乾燥後
の質量で約0.1g/m2〜約15g/m2の範囲が適当
である。より好ましくは1.0g/m2〜約5.0g/
2である。
【0046】次に、感光性平版印刷版の支持体について
説明する。感光性平版印刷版における支持体は、一般的
にアルミニウム支持体である。アルミニウム支持体は、
寸度的に安定なアルミニウムまたはその合金(例えば珪
素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、
ビスマス、ニッケルとの合金)、またはアルミニウム、
アルミニウム合金がラミネートもしくは蒸着されたプラ
スチックフイルムまたは紙を意味し、通常その厚さは
0.05mm〜1mm程度である。また特開昭48−1
8327号公報に記載の複合シートも使用することがで
きる。
【0047】アルミニウム支持体は適宜、以下のような
基板表面処理が施される。 (砂目立て処理)砂目立て処理方法は、特開昭56−2
8893号に開示されているような機械的砂目立て、化
学的エッチング、電解グレインなどがある。さらに塩酸
または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化
学的砂目立て方法、及びアルミニウム表面を金属ワイヤ
ーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨
剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン
法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラ
シグレイン法のような機械的砂目立て法を用いることが
でき、上記砂目立て方法を単独あるいは組み合わせて用
いることもできる。その中でも表面粗さを作る方法は、
塩酸または硝酸電解液中で化学的に砂目立てする電気化
学的方法であり、適する電流密度は100C/dm2
400C/dm2の範囲である。さらに具体的には、
0.1〜50%の塩酸または硝酸を含む電解液中、温度
20〜100℃、時間1秒〜30分、電流密度100C
/dm 2〜400C/dm2の条件で電解を行うことが好
ましい。
【0048】このように砂目立て処理したアルミニウム
支持体は、酸またはアルカリにより化学的にエッチング
される。酸をエッチング剤として用いる場合は、微細構
造を破壊するのに時間がかかり、工業的に適用するに際
しては不利であるが、アルカリをエッチング剤として用
いることにより改善できる。好適に用いられるアルカリ
剤は、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メ
タケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸
化リチウム等を用い、濃度と温度の好ましい範囲はそれ
ぞれ1〜50%、20〜10℃であり、Alの溶解量が
5〜20g/m3 となるような条件が好ましい。エッチ
ングのあと表面に残留する汚れ(スマット)を除去する
ために酸洗いが行われる。用いられる酸は硝酸、硫酸、
リン酸、クロム酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸等が用い
られる。特に電気化学的粗面化処理後のスマット除去処
理方法としては、好ましくは特開昭53−12739号
公報に記載されているような50〜90℃の温度の15
〜65質量%の硫酸と接触させる方法及び特公昭48−
28123号公報に記載されているアルカリエッチング
する方法が挙げられる。なお、本発明で有効に用いられ
るアルミニウム支持体の表面粗さ(Ra)は0.3〜
0.7μmである。
【0049】(陽極酸化処理)以上のようにして処理さ
れたアルミニウム支持体は、さらに陽極酸化処理が施さ
れる。陽極酸化処理はこの分野で従来より行われている
方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、
クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルフ
ォン酸等あるいはこれらの二種以上を組み合わせて水溶
液または非水溶液中でアルミニウムに直流または交流を
流すとアルミニウム支持体表面に陽極酸化皮膜を形成す
ることができる。陽極酸化処理の条件は使用される電解
液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、
一般的には電解液の濃度が1〜80%、液温5〜70
℃、電流密度0.5〜60アンペア/dm2、電圧1〜
100V、電解時間10〜100秒の範囲が適当であ
る。
【0050】これらの陽極酸化処理のうちでも特に英国
特許第1,412,768号明細書に記載されている、
硫酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第
3,511,661号明細書に記載されているリン酸を
電解浴として陽極酸化する方法が好ましい。陽極酸化皮
膜は1〜10g/m2であることが好ましく、1g/m2
以下であると版に傷が入りやすく、10g/m2以上は
製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利である。
好ましくは、1.5〜7g/m2である。更に好ましく
は、2〜5g/m2である。
【0051】更に、砂目立て処理及び陽極酸化後、アル
ミニウム支持体に封孔処理を施してもかまわない。かか
る封孔処理は、熱水及び無機塩または有機塩を含む熱水
溶液への基板の浸漬ならびに水蒸気浴などによって行わ
れる。またアルミニウム支持体にはアルカリ金属珪酸塩
によるシリケート処理以外の処理、たとえば弗化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理など
の表面処理がなされてもかまわない。
【0052】上記のようなアルミニウム支持体上と感光
層との間に、中間層を設けてもよい。中間層としては、
例えば、ホスホン酸基を有する化合物又はその塩を含む
中間層を挙げることができる。ホスホン酸基を有する化
合物とは、PO32 又はPO2 Hで示される基を有す
る化合物である。具体的には、エチルホスホン酸、ホス
ホエノールピルベート、フェニルホスホン酸、p−ニト
ロフェニルホスホン酸、p−メチルフェニルホスホン
酸、DL−o−ホスホセリン、α〜グリセロホスホン酸
及びこれらのアルカリ金属塩などを挙げることができ
る。また、1−アミノエタン−1,1−ジホスホン酸、
1−アミノ−1−フェニルメタン−1,1−ジホスホン
酸、1−ジメチルアミノエタン−1,1−ジホスホン
酸、1−ジメチルアミノブタン−1,1−ジホスホン
酸、1−ジメチルアミノメタン−1,1−ジホスホン
酸、1−プロピルアミノエタン−1,1−ジホスホン
酸、1−ブチルアミノメタン−1,1−ジホスホン酸、
アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミノペン
タメチレンホスホン酸、エチレンジアミノテトラメチレ
ンホスホン酸、ジエチレントリアミノペンタメチレンホ
スホン酸、アミノトリ(2−プロピレン−2−ホスホン
酸)などのようなアミノ基を有する化合物も挙げること
ができる。また、これらのアルカリ金属塩(ナトリウ
ム、カリウムやアンモニウム塩または低級アルカノール
アミン(トリエタノールアミン)塩なども有用である。
これらの中で、フェニルホスホン酸、1−アミノアルカ
ン−1,1−ジホスホン酸、アミノポリメチレンホスホ
ン酸などが特に有用である。
【0053】これらの化合物は、適当な溶剤、例えば
水、メタノールなどのアルコールに0.001〜10質
量%の濃度で溶解されて塗布液とすることができる。こ
のとき、塗布後のpHは1〜13の範囲にあれば適当で
ある。また塗布液の温度は、10〜50℃の範囲が適当
である。塗布方法としては、浸漬塗布、回転塗布、スプ
レー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法を用いてもよ
い。塗布量は、乾燥後の被覆量で1〜100mg/m2
が好適であるが、より好ましくは5〜50mg/m2
範囲である。中間層を塗設する前に必要に応じて有機ま
たは無機の下塗り層が設けられてもかまわない。このよ
うな中間層を設ける前又は後に、陽極酸化されたアルミ
ニウム板を米国特許第3,181,461号に記載され
ているように、アルカリ金属シリケート(例えば珪酸ソ
ーダ)の水溶液で処理することができる。
【0054】感光性平版印刷版における前記感光層を、
例えば、カーボンアーク灯、高圧水銀灯、キセノンラン
プ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステン
ランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミニウムレーザ
ー、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、
ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー(350nm
〜600nm)等の従来公知の活性光線で画像露光した
後、現像処理することにより、アルミニウム板支持体表
面に画像を形成することができる。画像露光後、現像ま
での間に、光重合型感光層の硬化率を高める目的で50
℃〜150℃の温度で1秒〜5分の時間の加熱プロセス
を設けることを行っても良い。
【0055】また、感光性平版印刷版の感光層の上に
は、前述したように、酸素遮断性を有する保護層が設け
てあり、前述の現像液を用いて、保護層の除去と感光層
未露光部の除去を同時に行う方法、または、水、温水で
保護層を先に除外し、その後未露光部の感光層を現像で
除去する方法が知られている。これらの水または温水に
は特開平10−10754号公報に記載の防腐剤等、特
開平8−278636号記載の有機溶剤等を含有させる
ことができる。
【0056】感光性平版印刷版の現像液による現像は、
常法に従って、0〜60℃、好ましくは15〜40℃程
度の温度で、例えば、露光処理した感光性平版印刷版を
現像液に浸漬してブラシで擦る等により行う。さらに自
動現像機を用いて現像処理を行う場合、処理量に応じて
現像液が疲労してくるので、補充液または新鮮な現像液
を用いて処理能力を回復させても良い。使用する現像液
は特に限定されるものではなく、慣用の現像液を使用す
ることができる。
【0057】このようにして現像処理された感光性平版
印刷版は特開昭54−8002号、同55−11504
5号、同59−58431号等の各公報に記載されてい
るように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、
アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理
されてもよい。感光性平版印刷版の後処理にはこれらの
処理を種々組み合わせて用いることができる。上記の様
な処理により得られた印刷版は特開2000−8947
8号公報に記載の方法による後露光処理やバーニングな
どの加熱処理により、耐刷性を向上させることができ
る。このような処理によって得られた平版印刷版はオフ
セット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0058】
【発明の効果】本発明の平版印刷版の版面洗浄方法によ
れば、小点の耐刷性を劣化させることなく、汚れ除去に
優れた効果を発揮し、また、非画像部の不感脂化性を持
続させることが可能となる。
【0059】
【実施例】次に本発明を実施例をもって説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお
「部」および「%」は他に指定のない限り、それぞれ質
量部および質量%を示す。 <版面洗浄剤1の調製>純水595質量部に水可溶性大
豆多糖類(不二製油(株)社製:商品名ソヤファイブ−
S−LN:分析値ガラクトース43.6%、アラビノース
22.5%、ガラクツロン酸2.2%、残存蛋白4.7%)8
0質量部を溶解した。次にヘキサメタリン酸ナトリウム
30質量部を攪拌しながら溶解し、順次硝酸マグネシウ
ム20質量部、硫酸水素ナトリウム5質量部を添加し、
リン酸(85%)15質量部、湿潤剤としてグリセリン
50質量部、防腐剤として4−イソチアゾリン−3−オ
ン誘導体2.0質量部を混合して水相を調製した。一方ソ
ルベント−K(日本石油化学(株)製:沸点151〜1
90℃の炭化水素系溶剤)150質量部、乳化剤として
ペレックスOT−P(花王(株)製ジアルキルスルホコ
ハク酸ナトリウム)20質量部、エマルゲン#903
(花王(株)製ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル)10質量部、ノニオンOP−80(日本油脂
(株)製ソルビタンモノオレート5質量部)を溶解した
油相を調製した。次に上記のように調製した水相を攪拌
加温し35℃に調整し、ゆっくりと油相を滴下し分散液
を作成し、ホモジナイザーを通し乳白色の乳化型版面洗
浄剤を作成した。
【0060】<版面洗浄剤2の調製>下記の水相及び油
相を版面洗浄剤1と同様の方法で調製し、版面洗浄剤2
を得た。 水相 純水 580(質量部) 水溶性大豆多糖類 60 (分析値:ガラクトース43.6%、 アラビノース22.5%、 ガラクツロン 酸2.2%、残存蛋白4.7%) 3号ケイ酸ナトリウム(40%) 30 ピロリン酸カリウム 10 水酸化ナトリウム 5 プロピレングリコール 70 油相 シェルゾール#71 180 (シェル石油化学(株)製 沸点170〜207℃の 炭化水素系溶剤) ベンジルアルコール 5 ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル 25 (第1工業薬品(株)製 ノイゲンEA80) ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム 15 (日本油脂(株)製ラピゾールB−80) ソルビタンモノラウレート 20 (アトラス社製、スパン−40)
【0061】<感材1の製造>厚さ0.30mmの材質
1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メ
ッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目
立てした後、よく水で洗浄した。10%水酸化ナトリウ
ムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水
で水洗後、20%HNO3で中和洗浄、水洗した。これ
をVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を
用いて1%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽
極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを
測定したところ0.45μm(Ra表示)であった。ひ
きつづいて30%のH2SO4水溶液中に浸漬し、55℃
で2分間デスマットした後、33℃、20%H2SO4
溶液中で、砂目立てした面に陰極を配置して、電流密度
5A/dm2において50秒間陽極酸化したところ厚さ
2.7g/m2であった。このように処理されたアルミ
ニウム板上に、下記組成の高感度光重合性組成物P−1
を乾燥塗布質量が1.5g/m2となるように塗布し、
100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
【0062】 (光重合性組成物P−1) エチレン性不飽和結合含有化合物(A1) 1.5 質量部 線状有機高分子重合体(B1) 2.0 質量部 増感剤(C1) 0.15質量部 光開始剤(D1) 0.2 質量部 β−フタロシアニン(F1)分散物 0.02質量部 フッ素系ノニオン界面活性剤メガファックF177 0.03質量部 (大日本インキ化学工業(株)製) メチルエチルケトン 9.0 質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 7.5 質量部 トルエン 11.0 質量部
【0063】
【化1】
【0064】この感光層上に下記組成の酸素遮断性保護
層用塗布液O−1を乾燥塗布質量が2.5g/m2とな
るように塗布し、120℃で3分間乾燥させ、感光性平
版印刷版を得た。 (保護層用塗布液O−1) ポリビニルアルコール 22質量部 (ケン化度98モル% 重合度500) EMALEX710 1質量部 (日本エマルジョン社製ノニオン界面活性剤) 水 450質量部
【0065】<感材2の製造>感材1の増感剤C1を以
下のC2に置き換えた以外は、感材1と同様にして製造
した。
【0066】 <使用した現像液> 水酸化カリウム 0.15g ポリオキシエチレンフェニルエーテル(n=13) 5.0g キレスト400(キレート剤) 0.1g 水 94.75g 現像液のpHは25℃で11.5、導電率は5mS/cmであ
った。
【0067】
【実施例1】上記で得た感材1をFD・YAGレーザー
(CSI社製プレートジェット4)で100μJ/cm
2 の露光量で、4000dpiにて175線/インチの
条件で、ベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻み)
を走査露光した後、上記現像液を仕込んだ自動現像機
(富士写真フイルム製LP−850PII)を用いて現像
処理、水洗、次いで乾燥した。この平版印刷版を4分割
し、以下の表1に示す条件で版を処理し、汚れ除去能力
について、三菱重工業製IF−2型印刷機上で版面洗浄
剤1で約30秒間処理したのち、水でふきとり、印刷テ
ストを実施した。
【0068】
【表1】
【0069】<印刷テスト>得られた印刷物において、
各汚れ項目について評価した。また、印刷を開始してか
ら鮮明な印刷物を得るまでの不良印刷物枚数(インク着
肉性)を調べた。さらに、2%網点が版飛びするまでの
印刷枚数(ハイライト耐刷性)を調べた。各例の評価結
果を表2にまとめる。
【0070】
【実施例2】上記で得た感材2を、発振波長400nm
のInGaN系半導体レーザーを用い、200μJ/c
2 の露光量で、4000dpiにて175線/インチ
の条件で、ベタ画像と1〜99%の網点画像(1%刻
み)を走査露光した後、上記現像液を仕込んだ自動現像
機(富士写真フイルム製LP−850PII)を用いて現
像処理、水洗、次いで乾燥した。この平版印刷版を4分
割し、実施例1と同様の条件で版を処理し、汚れ除去能
力について、三菱重工業製IF−2型印刷機上で版面洗
浄剤1で約30秒間処理したのち、水でふきとり、実施
例1と同様に印刷テストを実施した。
【0071】
【実施例3】感材1を用いて実施例1と同様に処理し、
但し版面洗浄剤1の代わりに版面洗浄剤2を用いて印刷
テストを実施した。
【実施例4】感材2を用いて実施例2と同様に処理し、
但し版面洗浄剤1の代わりに版面洗浄剤2を用いて印刷
テストを実施した。
【0072】<版面洗浄剤3>上記版面洗浄剤1の組成
中、水溶性大豆多糖類をアラビアガムに置き換えた以外
は同様の組成の版面洗浄剤3を調製した。
【比較例1及び2】比較例1は、感材1を用いて実施例
1と同様に処理し但し版面洗浄剤3を用いて印刷テスト
を実施した。比較例2は、感材2を用いて実施例2と同
様に処理し但し版面洗浄剤3を用いて印刷テストを実施
した。
【0073】
【表2】 露光条件:CSI社製 Plate Jet 4によりFD-YA
Gレーザー 100μJ/cm2、4000dpi、17
5線/インチで画像露光。 露光条件:発振波長400nmのInGaN系半導体
レーザーを用い、200μJ/cm2、4000dp
i、175線/インチで画像露光。
【0074】表2に結果から、本発明の版面洗浄方法に
よれば、小点の耐刷性を劣化させることなく、各種の汚
れを除去することができることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/029 G03F 7/029 7/11 501 7/11 501 7/40 7/40 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 AC01 AD01 BC32 BC42 BC53 BC54 BC85 CA39 CB10 CB13 CB14 CB43 DA04 FA03 FA17 FA28 2H096 AA08 BA05 BA06 BA20 CA20 EA02 GA08 HA30 JA04 2H114 AA04 AA22 AA23 BA02 DA09 DA11 DA13 EA03 EA04 GA03 GA05 GA06 GA09 GA22 GA27 GA35 GA36 3B201 AA47 BB09 BB95 CC14 CC21 4H003 AB22 AC03 AC11 DA12 EA10 EA15 EA21 EB41 ED02 ED03 ED28 FA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体、光重合性感光層及び酸素遮断性
    保護層を含む光重合型感光性平版印刷版を画像露光し、
    現像した後、得られた平版印刷版の版面洗浄に、大豆多
    糖類を含有する乳化型版面洗浄剤を用いることを特徴と
    する平版印刷版の版面洗浄方法。
  2. 【請求項2】 該光重合性感光層が光重合開始剤として
    チタノセン化合物を含有することを特徴とする、請求項
    1に記載の平版印刷版の版面洗浄方法。
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