JP2003049557A - 建物の制振装置 - Google Patents

建物の制振装置

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JP2003049557A
JP2003049557A JP2001237355A JP2001237355A JP2003049557A JP 2003049557 A JP2003049557 A JP 2003049557A JP 2001237355 A JP2001237355 A JP 2001237355A JP 2001237355 A JP2001237355 A JP 2001237355A JP 2003049557 A JP2003049557 A JP 2003049557A
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building
damper
vibration
vibration damping
vibration control
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Hiroaki Ichinose
博明 一ノ瀬
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Toyo Tire Corp
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Toyo Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大変形後の制振ダンパーに復元力を持たせて
設置初期から長年月経過後も所定の耐震性能、制振性能
を安定よく発揮させることができるようにする。 【解決手段】 建物の骨組部材(10,10、11,1
1)側に固定のガゼットプレート14,14´間に亘っ
て制振ダンパー1を架設して構成される建物の制振装置
において、制振ダンパー1を構成するように軸方向に相
対移動可能に組み付けられた複数の鋼板プレートのう
ち、一方のガゼットプレート14に固定接合される二枚
の鋼板プレート2A,2A側に連結された板状取付部5
と他方のガゼットプレート14´に固定接合される一枚
の鋼板プレート2Bの軸方向一端部との間に、制振ダン
パー1に対して軸方向の変形復元力を付与するコイル状
の弾性ばね8を、一枚の鋼板プレート2Bと直列の状態
で張設している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物の制振装置に関
する。詳しくは、例えばビルや戸建住宅等の新設あるい
は既設の建物の耐震性能及び制振性能を高めるために、
軸方向に相対移動可能に組付けられた二つの剛性部材間
に粘弾性体等のエルネギー吸収材を介在させてなる制振
ダンパーを建物の相対変位可能な二つの骨組部材間に亘
って架設して構成される建物の制振装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ビル等の建物の耐震性能、制振性能を高
めるために、例えば柱と梁や柱と梁といった骨組部材の
接合部位間に亘って、粘弾性ダンパー、粘性ダンパー、
オイルダンパー等の各種制振ダンパーをブレースや方杖
として架設することは従来より広く知られている。
【0003】従来一般の建物の制振装置では、その主要
機能部となる制振ダンパーの設計にあたって、地震等に
より建物に入力される振動エネルギーをいかに効率よく
吸収して所定の振動減衰性能を高め得るかに重点がおか
れ、地震後などの振動終息後の対策についてはほとんど
考慮されていないといって過言でない。例えばエネルギ
ー吸収材として微小変形から大変形までの広い範囲の変
形に対して優れたエネルギー吸収性能を有し、かつ、微
小変形に対しては復元性を有する粘弾性体を用いてなる
粘弾性ダンパーを制振ダンパーとして使用する場合で
も、粘弾性体による振動エネルギーの吸収能力を高める
ために、その粘性を第一義的に重視し、変形終息後の復
元力となる弾性はほとんど考慮されておらず、大変形後
はエネルギー吸収材を含めて制振ダンパー全体が元の状
態に戻らないものが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来一般
の建物の制振装置においては、建物がエネルギー吸収材
の弾性範囲内で変形する時にのみ制振ダンパーによって
所定の耐震性能、制振性能を発揮することが可能である
が、建物がエネルギー吸収材の塑性領域に入るまで大き
く変形した後はエネルギー吸収材を含めて制振ダンパー
が元の状態に復元しないために、建物が次に変形した時
には耐震性能、制振性能を全く発揮させることができな
い、あるいは、発揮させることができるにしても性能の
著しい低下は避けられず、長年月の間に何回となく繰り
返し変形された後は建物が大きく歪変形したり倒壊した
りするなど所定の耐震性能、制振性能を持続させること
ができないという問題があった。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもの
で、大変形後の制振ダンパーに復元力を持たせて設置か
ら長年月経過後も所定の耐震性能、制振性能を安定よく
発揮させることができる建物の制振装置を提供すること
を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る建物の制振装置は、軸方向に相対移動
可能に組付けられた二つの剛性部材間にエネルギー吸収
材を介在させてなる制振ダンパーを建物の相対変位可能
な二つの骨組部材の接合部間に亘って架設して構成され
る建物の制振装置であって、上記建物の二つの骨組部材
の接合部またはそれに連なる部材間には、制振ダンパー
に変形復元力を付与する弾性ばねが介装されていること
を特徴とするものである。
【0007】上記構成の本発明によれば、制振ダンパー
とは別に変形復元力を付与するための専用の弾性ばねが
設けられているので、制振ダンパーの設計に際しては、
振動エネルギーを最も効率よく吸収する特性のエネルギ
ー吸収材を用いることに設計の重点をおけることと、弾
性ばねが建物の変形に対して弾性抵抗を付与することと
が相俟って、高い振動減衰性能を発揮させつつ、地震等
による変形終息後は、変形したエネルギー吸収材を含む
制振ダンパーを弾性ばねの復元力によって元の状態に戻
して、次の振動付加に伴う変形時にも同等の振動減衰性
能を持続することが可能である。これによって、制振ダ
ンパーの設置から長年月経過後も所定の耐震性能、制振
性能を安定よく発揮させて建物の歪変形や倒壊を確実に
防止することができる。
【0008】特に、制振ダンパーとして、請求項2に記
載のように、互いに平行状に対向配置された複数の剛性
部材の対向面間に粘弾性体を層状に挟在させてなる粘弾
性ダンパーを用いる場合、建物が粘弾性体の弾性範囲を
越えて塑性領域にまで大きく変形したとしても、変形終
息後はその大きく剪断変形した粘弾性ダンパーを優れた
元の履歴特性に復元させて長年月使用後の耐震性能、制
振性能を一層安定よく維持することができる。
【0009】上記建物の制振装置において、制振ダンパ
ーに変形復元力を付与する弾性ばねは、請求項3に記載
のように、制振ダンパーと別個に並列の状態で介装させ
ても、また、請求項4に記載のように、制振ダンパーを
構成する複数の剛性部材のうち一方の接合部に接合され
た一部の剛性部材と直列の状態で介装させてもよいが、
特に、直列の状態に介装する場合は、予想を越える大き
な変形に伴って粘弾性体等のエネルギー吸収材がダンパ
ー構成用剛性部材との接着箇所で破断したとしても、制
振ダンパーを完全に分解させることなく、直列状態にあ
る一部の剛性部材と弾性ばねとは建物の相対変位可能な
二つの骨組部材の接合部間に亘る架設状態に維持するこ
とが可能であり、したがって、大地震等の大変形時にお
ける建物の倒壊防止効果を一層高めることができる。
【0010】また、上記のように、制振ダンパーを構成
する複数の剛性部材のうち一方の接合部に接合された一
部の剛性部材と弾性ばねとが直列の状態で介装される構
成のものにおいて、請求項7に記載のように、その弾性
ばねを、制振ダンパーを構成する一部の剛性部材を除く
他の剛性部材により被覆させる構成、例えば剛性部材が
それぞれ互いに平行状に対向配置された偏平帯状プレー
トの場合は隣接する偏平帯状プレート間に位置させ、ま
た、剛性部材がそれぞれ内外同心状に嵌合配置された筒
状体の場合はその一方の筒状体の内部に収納位置させる
構成を採用することによって、弾性ばね全体が露出し錆
付き等による性能劣化や夾雑物の挟み込みによる性能障
害の発生をなくして、該弾性ばねによる変形復元作用を
長期間に亘り安定維持することができる。
【0011】なお、本発明における制振ダンパーのエネ
ルギー吸収材としては、粘弾性体が最も有効であるが、
粘弾性体以外に、粘性体や弾塑性体を使用してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
にもとづいて説明する。図1は本発明に係る建物の制振
装置の完成状態を示す概略正面図であり、水平方向で隣
接する柱10,10(骨組部材)と上下で隣接する梁1
1,11(骨組部材)とからなる骨組体13を水平方向
に複数列及び垂直方向に多段に構成して構築された鉄骨
造りのビル(建物)において、複数の骨組体13…のう
ち、例えば水平方向で一つ置きに位置する二列の骨組体
13,13にそれぞれ制振ダンパー1,1…がブレース
として架設されている。
【0013】具体的には、図2に示すように、各骨組体
13を構成し地震等の振動がビルに入力したとき、相対
変位する一方の柱10と上部梁11の接合内隅部に固着
のガゼットプレート(接合部位)14と、他方の柱10
と下部梁11の接合内隅部に固着のガゼットプレート
(接合部位)14´との間に亘ってそれぞれ制振ダンパ
ー1…がその軸方向両端の取付部5,5´をガゼットプ
レート14,14´にボルト・ナット等の締付具6,6
´を介して固定接合して架設されている。
【0014】上記制振ダンパー1は、例えば図3に示す
ように、互いに平行状に対向配置した二枚の鋼板プレー
ト(帯状偏平剛性部材の一例)2A,2Aとそれら二枚
の鋼板プレート2A,2A間の中央位置にそれらと平行
に配置された一枚の鋼板プレート(帯状剛性部材の一
例)2Bとの各対向面間にエルネギー吸収材の一例とな
る粘弾性体3,3が層状に挟在され、二枚の鋼板プレー
ト2A,2Aの長手方向一端側には間隔維持部材4,4
及びボルト・ナット9を介して一方のガゼットプレート
14に対する板状取付部5が連結されているとともに、
一枚の鋼板プレート2Bの長手方向他端側には該鋼板プ
レート2Bから一体に延設した板状部により他方のガセ
ットプレート14´に対する取付部5´が形成されてい
る。
【0015】このような構成の制振ダンパー1は、図2
に示す架設状態において、建物に地震等の振動エネルギ
ーが入力して骨組体13を構成する柱10,10及び梁
11,11が相対変位したとき、その相対変位に伴い二
枚の鋼板プレート2A,2Aと一枚の鋼板プレート2B
とが層状の粘弾性体3,3を剪断変形させる方向、つま
り、軸方向に相対移動して振動エネルギーの吸収減衰性
能を発揮するものである。
【0016】なお、制振ダンパー1としては、図3に示
したように、三枚の鋼板プレート2A,2A、2Bを用
いて各対向面間に二層の粘弾性体3,3を挟在させたも
の以外に、二枚の鋼板プレートの対向面間に一層の粘弾
性体を挟在させたもの、五枚の鋼板プレートを用いて各
対向面間に四層の粘弾性体を挟在させたものなど種々の
多段積層タイプの粘弾性ダンパーに限らず、軸方向に相
対移動可能に組み付けられた板状あるいは筒状の二つの
剛性部材間にオイルを含む粘性体や弾塑性体を介在させ
てなる粘性ダンパーや履歴ダンパーを用いてもよい。
【0017】上記図2のように建物の骨組体13のガゼ
ットプレート14,14´間に架設して用いられる制振
ダンパー(粘弾性ダンパー)1において、骨組体13の
一方のガゼットプレート14に固定接合される二枚の鋼
板プレート2A,2A側に連結された板状取付部5と他
方のガゼットプレート14´に固定接合される一枚の鋼
板プレート2Bの軸方向一端部との間には、制振ダンパ
ー1に対して軸方向の変形復元力を付与するコイル状の
弾性ばね8が、一枚の鋼板プレート2Bと直列の状態
で、かつ、二枚の鋼板プレート2A,2Aにより上下ま
たは左右が覆われる状態で張設(介装)されている。
【0018】上記のような制振ダンパー1が介装されて
いる建物の制振装置によれば、架設初期の通常時には、
図4(a)の模式図に示すように、粘弾性体3,3が非
変形状態にある。この状態で、建物に地震等の振動エネ
ルギーが入力して骨組体13を構成する柱10,10及
び梁11,11が相対変位し、これに伴い制振ダンパー
1に軸方向引張り力が加わった時は、図4(b)の模式
図に示すように、二枚の鋼板プレート2A,2Aと一枚
の鋼板プレート2Bとが層状の粘弾性体3,3を剪断変
形させる軸方向に相対移動して振動エネルギーの吸収減
衰性能を発揮し所定の耐震性能、制振性能が得られる。
【0019】地震等による振動終息後は、剪断変形した
層状粘弾性体3,3を含む制振ダンパー1の全体が弾性
ばね8の復元力によって図4(c)の模式図に示すよう
に、元の状態、つまり、図4(a)に示す架設初期の状
態に戻され、これに伴い建物全体が元の状態に復元され
ることになるため、次に建物に地震等の振動エネルギー
が入力し骨組体13を構成する柱10,10及び針1
1,11が相対変位した場合にも上述したと同等の振動
減衰性能が持続されており、所定の耐震性能、制振性能
を発揮することが可能である。特に、制振ダンパー1と
して粘弾性ダンパーを用いることによって、建物が粘弾
性体3,3の弾性範囲を越えて塑性領域に移行するまで
大きく変形したとしても、変形終息後は大きく塑性変形
した層状の粘弾性体3,3を元の履歴特性に復元させて
長年月使用後の耐震性能、制振性能を安定よく維持する
ことが可能である。
【0020】また、弾性ばね8が制振ダンパー1におけ
る一枚の鋼板プレート2Bと直列の状態で介装されてい
るので、予想を越える大きな変形に伴って粘弾性体3,
3が二枚の鋼板プレート2A,2Aとの接着箇所x,x
で破断したとしても、制振ダンパー1を完全に分解させ
ることなく、直列状態にある一枚の鋼板プレート2Bと
弾性ばね8とは建物の相対変位可能な二つの骨組部材1
0,11のガゼットプレート14,14´間に亘る架設
状態に維持されることになり、したがって、大地震等の
大変形時における建物の倒壊防止効果を一層高めること
が可能である。
【0021】図5〜図8はそれぞれ本発明に係る建物の
制振装置の主要機能部となる制振ダンパー1の他の実施
例の構成を模式的に示す。図5に示す実施例では、図3
に示すような構成を持つ粘弾性ダンパー(制振ダンパ
ー)1とは別個に、建物の骨組体13のガゼットプレー
ト14,14´間に亘ってコイル状の弾性ばね8を粘弾
性ダンパー1と並列の状態に張設したものである。図6
に示す実施例では、図3に示すような構成を持つ粘弾性
ダンパー(制振ダンパー)1において、軸方向一端部に
建物における骨組体13の一方のガゼットプレート14
に固定接合可能な取付部5を連結した二枚の鋼板プレー
ト2A,2Aの各軸方向他端部と他方のガゼットプレー
ト14´との間にそれぞれ、制振ダンパー1に対して軸
方向の変形復元力を付与するコイル状の弾性ばね8を、
二枚の鋼板プレート2A,2Aと直列の状態で張設した
ものである。
【0022】また、図7に示す実施例では、内外同心状
に嵌合配置させた金属製筒状体からなる二つの剛性部材
2B´,2A´の内外円周面間に筒状の粘弾性体3を介
在させてなる筒型粘弾性ダンパー(制振ダンパー)1を
使用し、この筒型粘弾性ダンパー1の内筒剛性部材2B
´の軸方向一端部と骨組体13における一方のガゼット
プレート14に固定接合可能な外筒剛性部材2A´側の
取付部5との間に、制振ダンパー1に対して軸方向の変
形復元力を付与するコイル状の弾性ばね8を、内筒剛性
部材2B´と直列の状態で、かつ、外筒剛性部材2A´
内に収容される状態に張設したものである。さらに、図
8に示す実施例では、二枚の鋼板プレート2A,2Aを
共用し、その軸方向の両側にそれら二枚の鋼板プレート
2A,2Aと平行状にそれぞれ一枚の鋼板プレート2
B,2Bを配置し、これら各鋼板プレート2B,2Bと
二枚の共用鋼板プレート2A,2Aとの対向面間にそれ
ぞれ粘弾性体3,3…を介在させてなる二つの粘弾性ダ
ンパー1A,1Aにおける一枚の鋼板プレート2B,2
Bの端部間に軸方向の変形復元力を付与するコイル状の
弾性ばね8を張設したものである。
【0023】図5〜図7に示す各実施例では、そのいず
れにおいても、建物に地震等の振動エネルギーが入力し
て骨組体13を構成する柱10,10及び梁11,11
が相対変位したとき、制振ダンパー1を構成する剛性部
材、すなわち、二枚の鋼板プレート2A,2Aと一枚の
鋼板プレート2Bあるいは外筒剛性部材2A´と内筒剛
性部材2B´とが層状の粘弾性体3,3あるいは筒状の
粘弾性体3を剪断変形させる軸方向に相対移動して所定
の耐震性能、制振性能を発揮する一方、地震等による振
動終息後は、剪断変形した層状の粘弾性体3,3あるい
は筒状の粘弾性体3を含む制振ダンパー1の全体が弾性
ばね8の復元力によって、架設初期の状態に戻され、こ
れに伴い建物全体が元の状態に復元されることになるた
め、次に建物に地震等の振動エネルギーが入力し骨組体
13を構成する柱10,10及び針11,11が相対変
位した場合にも同等の耐震性能、制振性能を持続させる
ことができる。
【0024】特に、図7に示す実施例のように、変形復
元用の弾性ばね8を、制振ダンパー1を構成する外筒剛
性部材2A内に収容される状態に張設するものでは、弾
性ばね8を外筒剛性部材2Aで保護することになるため
に、雨水等に晒されて錆付いて性能劣化したり周囲に浮
遊する夾雑物を挟み込んで性能障害を発生したりするこ
とがなく、該弾性ばね8による変形復元作用を長期間に
亘り安定維持することができる。
【0025】また、図8に示す実施例の場合は、建物に
地震等の振動エネルギーが入力して骨組体13を構成す
る柱10,10及び梁11,11の相対変位に伴い、二
つの粘弾性ダンパー(制振ダンパー)1A,1Bが軸方
向圧縮力及び引張り力を受けていずれの軸方向に相対移
動したとしても、振動終息後は単一のコイル状弾性ばね
8の変形復元力によって両粘弾性ダンパー1A,1Bを
元の状態に復元させることができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、変形復
元力を付与するための専用の弾性ばねを別個に設けるこ
とによって、制振ダンパー自体は、地震等による振動エ
ネルギーを最も効率よく吸収する特性のエネルギー吸収
材を使用することに設計の重点をおきながらも、地震等
による振動終息後は弾性ばねの復元力によって制振ダン
パーを元の状態に戻して、次の振動付加に伴う変形時に
も同等の振動減衰性能が発揮されるような初期性能を持
続することができる。したがって、弾性ばねを付加する
のみの簡単な構成改造を施すだけで、制振ダンパーの設
置初期の段階から長年月経過後も所定の耐震性能、制振
性能を安定よく発揮させて建物の歪変形や倒壊を確実に
防止することができるという効果を奏する。
【0027】特に、請求項2のように、互いに平行状に
対向配置された複数の剛性部材の対向面間に粘弾性体を
層状に挟在させてなる粘弾性ダンパーを制振ダンパーと
して用いる時は、建物が粘弾性体の弾性範囲を越えて塑
性領域にまで大きく変形した場合でも、変形終息後はそ
の大きく剪断変形した粘弾性ダンパーを優れた元の履歴
特性に復元させて長年月使用後の耐震性能、制振性能を
一層安定よく維持することができる。
【0028】また、請求項4に記載のように、制振ダン
パーを構成する複数の剛性部材のうち一方の接合部に接
合された一部の剛性部材と直列の状態で変形復元用の弾
性ばねを介装させる構成を採用することによって、予想
を越える大きな変形に伴って粘弾性体等のエネルギー吸
収材がダンパー構成用剛性部材との接着箇所で破断した
としても、制振ダンパーを完全に分解させることなく、
直列状態にある一部の剛性部材と弾性ばねとを建物の相
対変位可能な二つの骨組部材の接合部間に亘る架設状態
に維持することができて、大地震等の大変形時における
建物の倒壊防止効果を一層高めることができる。
【0029】さらに、請求項7に記載のように、変形復
元用の弾性ばねを制振ダンパーを構成する一部の剛性部
材を除く他の剛性部材により被覆させる構成、例えば剛
性部材がそれぞれ互いに平行状に対向配置された偏平帯
状プレートの場合は隣接する偏平帯状プレート間に位置
させ、また、剛性部材がそれぞれ内外同心状に嵌合配置
された筒状体の場合はその一方の筒状体の内部に収納位
置させる構成を採用することによって、弾性ばね全体の
露出を防いで錆付き等による性能劣化や夾雑物の挟み込
みによる性能障害の発生をなくし、該弾性ばねによる変
形復元作用を長期間に亘り安定維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建物の制振装置の完成状態を示す
概略正面図である。
【図2】図1の要部の拡大正面図である。
【図3】制振ダンパーの構造を示す拡大側面図である。
【図4】(a)〜(c)は架設初期時、変形時及び復元
力作用時の状態変化を説明するための模式図である。
【図5】第2の実施例の構成を示す模式図である。
【図6】第3の実施例の構成を示す模式図である。
【図7】第4の実施例の構成を示す模式図である。
【図8】第5の実施例の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1,1A,1B 制振ダンパー 2A,2B 鋼板プレート(剛性部材) 2A´,2B´ 筒剛性部材 3 粘弾性体(エネルギー吸収材) 8 変形復元力付与用弾性ばね 10 柱(骨組部材) 11 梁(骨組部材) 14,14´ ガゼットプレート(接合部位)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DG01 DG02 FA01 FA02 FA03 GA02 GA10 GA12 GA42 GA59 HB02 HE01 LA01 LA09 LA11 LA18 3J048 AA03 AB01 AC01 BA11 BC02 BD08 DA02 DA03 DA05 EA38

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に相対移動可能に組付けられた二
    つの剛性部材間にエネルギー吸収材を介在させてなる制
    振ダンパーを建物の相対変位可能な二つの骨組部材の接
    合部間に亘って架設して構成される建物の制振装置であ
    って、 上記建物の二つの骨組部材の接合部またはそれに連なる
    部材間には、制振ダンパーに変形復元力を付与する弾性
    ばねが介装されていることを特徴とする建物の制振装
    置。
  2. 【請求項2】 上記制振ダンパーが、互いに平行状に対
    向配置された複数の剛性部材の対向面間に粘弾性体を層
    状に挟在させてなる粘弾性ダンパーである請求項1に記
    載の建物の制振装置。
  3. 【請求項3】 上記弾性ばねが、制振ダンパーとは別個
    に並列の状態で介装されている請求項1または2に記載
    の建物の制振装置。
  4. 【請求項4】 上記弾性ばねが、制振ダンパーを構成す
    る複数の剛性部材のうち一方の接合部に接合された一部
    の剛性部材と直列の状態で介装されている請求項1また
    は2に記載の建物の制振装置。
  5. 【請求項5】 上記制振ダンパーを構成する複数の剛性
    部材がそれぞれ偏平帯状プレートからなるものである請
    求項1ないし4に記載の建物の制振装置。
  6. 【請求項6】 上記制振ダンパーを構成する複数の剛性
    部材がそれぞれ内外同心状に嵌合配置された筒状体から
    なるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の建
    物の制振装置。
  7. 【請求項7】 上記制振ダンパーを構成する複数の剛性
    部材のうち一方の接合部に接合された一部の剛性部材と
    直列の状態で介装された弾性ばねが、その一部の剛性部
    材を除く他の剛性部材により覆われている請求項4ない
    し6のいずれかに記載の建物の制振装置。
  8. 【請求項8】 上記弾性ばねが、コイル状ばねである請
    求項1ないし7のいずれかに記載の建物の制振装置。
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