JP2003048901A - 長鎖キシロオリゴ糖組成物およびその製造方法 - Google Patents

長鎖キシロオリゴ糖組成物およびその製造方法

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JP2003048901A
JP2003048901A JP2001242906A JP2001242906A JP2003048901A JP 2003048901 A JP2003048901 A JP 2003048901A JP 2001242906 A JP2001242906 A JP 2001242906A JP 2001242906 A JP2001242906 A JP 2001242906A JP 2003048901 A JP2003048901 A JP 2003048901A
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Yoshinari Izumi
可也 泉
Atsushi Kojo
敦 古城
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分解されずに腸まで届くことで整腸作用の効
果が高く、尚かつ鎖長が長いためにオリゴ糖の特徴ばか
りでなく食物繊維様の作用を有するキシロオリゴ糖およ
びその製法を提供する。 【解決手段】 (1)キシロース重合体の混合組成物で
あるキシロオリゴ糖組成物において、キシロースの5量
体〜20量体を主成分とするキシロオリゴ糖組成物。
(2)キシロース重合体の混合組成物であり、かつキシ
ロースの5量体以上を主成分とする長鎖キシロオリゴ糖
組成物を製造する方法であり、リグノセルロース材料を
原料とし、それを酵素的にもしくは物理化学的に処理し
てキシロオリゴ糖組成物を製造する方法において、キシ
ロオリゴ糖を構成成分とする複合体を中間体とし、該中
間体を分解処理することを特徴とする長鎖キシロオリゴ
糖組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、健康食品、食品添
加物、薬品・化粧品添加物などとして利用されるキシロ
オリゴ糖に関する。特には、キシロースの重合体混合物
であるキシロオリゴ糖組成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】国民の健康に対する関心の高まりから、
毎日摂取する食物を通して健康を維持する試みが注目を
集めている。特に食物繊維やオリゴ糖といった多糖や、
それらの分解生成物はそれらが消化器官で発揮する生理
活性が注目され近年非常に研究されている分野でもあ
る。食物繊維は従来から糖質代謝や脂質代謝といった生
体の基本的代謝に関わるフードファクターとして重要視
されてきた経緯がある。機能性食品のなかにもこの食物
繊維の作用をうたったものは少なくない。
【0003】食物繊維は便性の改善や発ガン物質を吸着
することで腸内における発ガン物質の希釈を行うといっ
た機能があり、近年ではヒトのフードファクターとして
重要視されている。また従来の食物繊維の中には血液の
高脂血症を改善したり、糖代謝を制御することでヒトの
健康を制御しうる可能性を有するものも存在している。
特にアルギン酸ナトリウムやペクチン、タマリンド種子
ガムやグアーガムといった酸性糖を多く含む食物繊維は
血液中の総コレステロールやリン脂質、トリグリセライ
ドの量を低下させ高脂血症を改善すると報告されてい
る。(Rotenberg,S. and Jakobsen,P,E.:The effect of
dietary pectin on lipid composition of blood, ske
letal muscle and internal organs of rats. J.Nutr.,
108,1384(1978)) しかし、これらの食物繊維は大腸菌の生育を抑え、ビフ
ィズス菌の選択的増殖性を促す働きを持つ糖類ではな
い。むしろ小腸の粘膜細胞を物理的にこそぎ落とし、栄
養吸収に対して負の影響を与えることも少なくない。
(Cassidy,M.M.,Lightfood,F.G.,Grau,L.E et al.:Effe
ct of chronic intake of dietary fibers on the ultr
asutractual topography of rat jejunum and colon :
a scanning electron microscopy study.Am.J.Cli.Nut
r.,112.6(1982) )
【0004】一方、オリゴ糖類は腸内有用細菌の選択的
な増殖促進効果を通して、おなかの調子を良好に保つ機
能を有し、特定保健用食品として認定された乳酸菌飲料
に利用され、チョコレートなどの菓子類にも利用されて
いる有用な糖類である。また、ヒトの食品用途だけでは
なく家畜の飼料としての用途もある。さらに、医薬、サ
ニタリー製品の分野でも乳化剤、皮膚の保湿成分として
の用途がある。
【0005】一般に、特定保健食品用に用いられるオリ
ゴ糖類はその殆どが整腸作用、即ち腸内悪玉菌である大
腸菌や腸内腐敗発酵菌であるクロストリジウム属の菌の
数を減らし、相対的に腸内善玉菌といわれるビフィズス
菌を増加させる作用を持っている。いろいろあるオリゴ
糖類のなかでも、例えば、小麦フスマに由来するキシロ
オリゴ糖は有名である。小麦フスマ由来のキシロオリゴ
糖の作用についても、腸内善玉菌のビフィズス菌の選択
的増殖を促す一方で、腸内悪玉菌である大腸菌の数を相
対的に低下させると言われている。大腸菌や腸内腐敗発
酵菌は腸内で増殖しながら発ガン性物質を生産すること
が知られている(金沢ら:大腸細菌叢-とくに胆汁酸代
謝と大腸発癌について-.総合臨床,26,1042〜1050(197
7))ことから、大腸菌や腸内腐敗発酵菌の数を腸内で減
らすことは長期にわたる健康を考えた場合に重要であ
る。
【0006】整腸作用を期待し、経口でオリゴ糖類を摂
取した場合に関しては、胃酸や消化液中の酵素による酸
加水分解からくるオリゴ糖の重合度の低下が大きな問題
である。オリゴ糖は酸や酵素による加水分解により徐々
に低分子化し最終的には大腸菌やクロストリジウム属に
属する腐敗性嫌気性菌でも資化することが可能な単糖に
まで分解されることが知られている。しかし、2量体や
3量体を主成分とするキシロオリゴ糖組成物はオリゴ糖
の中でも胃酸に対する抵抗性が他のオリゴ糖に比べて比
較的高く(特許第2549638号公報)、それほど分解され
ずに腸内に届けられる可能性が高い。実際にキシロオリ
ゴ糖をヒトに投与した場合、生体内での整腸効果が確認
されている。
【0007】現在上市されているキシロオリゴ糖は、小
麦フスマやコーンコブといった草本類を原料として作ら
れているが、これらの草本植物中のキシラン主鎖にはグ
ルクロン酸など他の糖が側鎖に分枝している。側鎖が多
いキシランからはキシロースのみを構成糖とするオリゴ
糖は重合度が比較的小さいものしか生成することができ
ない。それは側鎖を除く作業過程により主鎖であるキシ
ラン鎖も徐々に低分子化していくからである。現状では
上市されているキシロオリゴ糖を構成するオリゴ糖は2
量体や3量体を主成分とするものがほとんどである。
【0008】天然物に由来するヘミセルロース材料中の
キシランを酵素的に分解処理する場合、使用する酵素で
あるキシラナーゼの違いにより分解生成物に大きな違い
が現れる。一般に真菌類であるカビやキノコに由来する
キシラナーゼは基質特異性が比較的にルーズであり、ま
た糖化力がバクテリア由来のキシラナーゼに比べ非常に
高いという特徴がある。このため酵素として真菌類に由
来する酵素液を用いてキシロオリゴ糖組成物を生成させ
た場合、基質であるキシランを一気に分解してしまい、
キシロオリゴ糖組成物中のキシロビオースの存在比が7
0%以上であるようなキシロオリゴ糖組成物を作ってし
まう。
【0009】一方、バクテリアが生産するようなキシラ
ナーゼを用いてキシロオリゴ糖を生成させた場合、酵素
の基質特異性が真菌類のキシラナーゼと大きく異なるた
め、生成するキシロオリゴマーの組成比が2量体である
キシロビオースから5量体までの分布でキシロオリゴ糖
を生成することが知られている(特開平1−25228
0号公報)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、現状で
は上市されているキシロオリゴ糖を構成するオリゴ糖は
2量体や3量体を主成分とするものがほとんどであり、
食物繊維とは異なる物質であると認知されている。本発
明は、キシロオリゴ糖の鎖長が長く、分解されずに腸ま
で届くことで整腸作用の効果が高く、尚かつ鎖長が長い
ためにオリゴ糖の特徴ばかりでなく食物繊維様の作用を
有するキシロオリゴ糖を提供することを課題とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は以下の構成を採用する。即ち、本発明は下
記(1)〜(2)のキシロオリゴ糖組成物であり、ま
た、本発明は下記(3)〜(9)のキシロオリゴ糖組成
物の製造方法である。
【0012】(1)キシロース重合体の混合組成物であ
るキシロオリゴ糖組成物において、キシロースの5量体
〜20量体を主成分とするキシロオリゴ糖組成物。 (2)上記(1)において、キシロースの平均重合度が
7〜20であるキシロオリゴ糖組成物。
【0013】(3)キシロース重合体の混合組成物であ
り、かつキシロースの5量体以上を主成分とする長鎖キ
シロオリゴ糖組成物を製造する方法であり、リグノセル
ロース材料を原料とし、それを酵素的にもしくは物理化
学的に処理してキシロオリゴ糖組成物を製造する方法に
おいて、キシロオリゴ糖を構成成分とする複合体を中間
体とし、該中間体を分解処理することを特徴とする長鎖
キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
【0014】(4)上記(3)の方法において、リグノ
セルロースが化学パルプであることを特徴とする長鎖キ
シロオリゴ糖組成物の製造方法。 (5)上記(3)または(4)の方法において、リグノ
セルロースの酵素処理もしくは物理化学的がヘミセルラ
ーゼ処理であることを特徴とする長鎖キシロオリゴ糖組
成物の製造方法。 (6)上記(5)の方法において、前記ヘミセルラーゼ
がキシラナーゼであることを特徴とする長鎖キシロオリ
ゴ糖組成物の製造方法。 (7)上記(3)〜(6)のいずれかの方法において、
前記キシロオリゴ糖を構成成分とする複合体がキシロオ
リゴ糖とリグニンの複合体であることを特徴とする長鎖
キシロオリゴ糖組成物の製造方法。 (8)上記(7)の方法において、前記キシロオリゴ糖
を構成成分とする複合体がキシロオリゴ糖とリグニンの
間に被加水分解性を有する化学結合により結合された複
合体であることを特徴とする長鎖キシロオリゴ糖組成物
の製造方法。 (9)上記(3)〜(8)のいずれかの方法において、
前記分解処理が酸加水分解処理であることを特徴とする
長鎖キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
【0015】本発明の好ましい態様は、更に下記(1
0)〜(15)に列記する方法である。 (10)上記(8)の方法において、複合体は、キシロ
ースの2〜20量体とリグニンが化学結合した複合体で
あることを特徴とする長鎖キシロオリゴ糖組成物の製造
方法。
【0016】(11)上記(5)の酵素処理工程におい
てキシラン及び/又はヘミセルロースをヘミセルラーゼ
を用いて処理し、得られる糖溶液を加水分解処理工程に
おいて酸加水分解処理し、次いで精製・分離工程におい
て該加水分解処理工程から得られる処理液からキシロオ
リゴ糖成分を分離・回収することを特徴とする、重合度
が5以下のキシロオリゴ糖含有率が5%以下でありかつ
平均重合度が7以上、好ましくは10以上である長鎖キ
シロオリゴ糖組成物の製造方法。
【0017】(13)前記加水分解処理工程は、前記酵
素処理工程から得られる糖溶液を濃縮した糖溶液につい
て行われる工程であることを特徴とする、(12)記載
の長鎖キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
【0018】(14)前記酵素処理工程は、pH3〜1
0、好ましくは5〜9の範囲に調整した糖溶液を、10
℃〜90℃、好ましくは30℃〜60℃の温度で酵素処
理する工程であることを特徴とする、(5)に記載の長
鎖キシロオリゴ糖組成物の製造方法。 (15)前記加水分解処理工程は、pHを約3.5以
下、又はそれ以下の値に調整した糖溶液を、105℃〜
150℃、好ましくは110℃〜121℃の温度で、1
5分以上、好ましくは30分〜60分間加熱して酸加水
分解処理を行う工程であることを特徴とする、(9)に
記載の長鎖キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
【0019】(14)前記精製・分離工程は、前記酸加
水分解処理工程から得られる糖溶液を、陽イオン交換樹
脂カラム−陰イオン交換樹脂カラム-溶解度の差による
分別沈殿を利用して精製する工程を含むことを特徴とす
る、(11)に記載のキシロオリゴ糖組成物の製造方
法。
【0020】本発明者らは、今回、使用する酵素がバチ
ルス属に由来する中性好熱キシラナーゼで、なおかつ原
材料が広葉樹化学パルプであるようなリグノセルロース
材料を用いた場合、キシロースの2量体から20量体に
わたるキシロオリゴ糖の分布を有するキシロオリゴ糖組
成物を得ることができること、このキシロオリゴ糖組成
物中では分子量が大きな5量体から20量体が比較的多
く含まれ、さらにはこのキシロオリゴ糖の組成物中での
キシロビオースの存在比はキシロオリゴ糖組成物中の全
糖量の約10%以下であることを見いだした。キシロビ
オースが酸加水分解した場合、大腸菌等腸内有害菌が容
易に資化し得るキシロースに変換されることを考える
と、一般的にキシロオリゴ糖は酸加水分解に対する抵抗
力が強いとはいえ、キシロビオースの存在比が低いこと
は機能性を保持する上で重要である。
【0021】化学パルプ由来のリグノセルロースを材料
として製造された長鎖キシロオリゴ糖組成物はコーンコ
ブや綿実殻を原料として製造されたキシロオリゴ糖より
も平均重合度が高いという特徴がある。リグノセルロー
スを材料とした場合、使用する酵素を調整することで平
均重合度が2から平均重合度が5までの任意の比率で新
規なキシロオリゴ糖を作ることがある程度は可能であ
る。しかし、今回見いだした新たな知見としては、長鎖
キシロオリゴ糖を製造する場合の最も大きな特徴は「キ
シロオリゴ糖−リグニン複合体」を中間体として使用す
る点にある。
【0022】キシロオリゴ糖−リグニン複合体は広葉
樹、針葉樹クラフトパルプを酵素もしくは物理化学的処
理にて処理した場合その処理液中に見いだされる新規な
化合物である。この化合物は2量体から20量体のキシ
ロオリゴ糖鎖にリグニンが結合した物質である。キシロ
オリゴ糖に対してリグニンの分子量は圧倒的に大きいた
めそれが立体的に邪魔になりキシラナーゼやキシロシダ
ーゼはキシロオリゴ糖−リグニン複合体を分解できな
い。そのため酵素処理をおこなってもキシロオリゴ糖−
リグニン複合体におけるキシロオリゴ糖は分解され残
り、比較的長鎖のキシロオリゴ糖がリグニンと結合した
状態で溶液中に存在する。しかし、このキシロオリゴ糖
−リグニン複合体は希酸による酸処理でキシロオリゴ糖
とリグニンの間は容易に開裂させることができ、この性
質を利用することで重合度が5〜20量体のキシロオリ
ゴ糖組成物を容易に製造することができるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明で言う長鎖キシロオリゴ糖組成物とは、その
オリゴ糖組成物中の比較的重合度の大きなキシロオリゴ
糖含有率が高いものである。具体的には、組成物中の全
糖重量に対して、キシロースの5量体以上のキシロオリ
ゴ糖が80重量%以上であるものを言う。本発明の長鎖
キシロオリゴ糖組成物の平均重合度を測定した場合、平
均重合度は5以上であり、好ましくは7以上、更に好ま
しくは10以上である。
【0024】中でも、キシロオリゴ糖組成物として製造
し易く、性能的にも優れているのは、キシロースの5量
体〜20量体を主成分とするものであり、好ましくは7
量体〜20量体を主成分とするもの、更に好ましくは、
10量体〜20量体を主成分とするものである。ここで
「5量体〜20量体を主成分とする」という表現は、全
糖重量に対して、5量体〜20量体の合計重量が50重
量%以上であることを意味し、ある量体が存在していな
くても良い。もちろん使用する酵素や酸処理の条件を変
更することで平均重合度がさらに高い値のキシロオリゴ
糖組成物を自由に設計製造することが可能なことは言う
までもない。
【0025】本発明の長鎖キシロオリゴ糖組成物は、リ
グノセルロース材料をヘミセルラーゼ処理した後に、希
酸によりキシロオリゴ糖−リグニン複合体を酸加水分解
することによって重合度の大きなキシロオリゴ糖を含む
液体として得ることができる。リグノセルロースとして
のパルプをヘミセルラーゼ処理する際のパルプ濃度は1
〜30重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で行わ
れるが、広葉樹クラフトパルプ以外のリグノセルロース
を製造原料に用いる場合はこの限りではない。たとえ
ば、リグノセルロースに由来するキシランについて、処
理時のパルプ濃度を例示すると、小麦フスマ由来キシラ
ンでは0.5〜5%、好ましくは2%前後、コーンコブ
由来キシランでは1〜10%、好ましくは5%前後、綿
実殼由来キシランでは1〜10%、好ましくは5%前
後、粉砕コーンパイプでは0.2〜5%、好ましくは1
%前後、カラスムギ由来キシランでは0.2〜5%、好
ましくは1%前後などである。
【0026】本発明のキシロオリゴ糖組成物を得ること
ができる原料リグノセルロース物質としては針葉樹や広
葉樹のような木材が好ましく用いられるが、ケナフ、
麻、バガス、イネ等の非木本性の植物であってもよく、
特に限定されるものではない。本発明に使用されるパル
プは、化学パルプ、機械パルプ、脱墨パルプ等何でもよ
いが、広葉樹化学パルプが好ましい。化学パルプを得る
ための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイ
ド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公
知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネ
ルギー効率等を考慮するとクラフト蒸解法が好適に用い
られる。
【0027】リグノセルロース材料として広葉樹クラフ
トパルプを用いる場合、まずアルカリ酸素漂白工程で漂
白したパルプをヘミセルラーゼで処理することが望まし
いが、蒸解後のパルプや、機械パルプをそのままヘミセ
ルラーゼ処理原料として用いても良い。
【0028】クラフト蒸解で得られたパルプ表面には蒸
解工程でパルプ繊維内より溶出されたヘミセルロースが
再吸着されていることは周知である。この再吸着したヘ
ミセルロースはその90%以上がD−キシロースがβ1
→4結合することによって構成されたキシランである。
広葉樹クラフトパルプではヘミセルロース中の側鎖であ
るアラビノースやグルクロン酸はそのほとんどが分解除
去されている。また側鎖の中の4−O−メチルグルクロ
ン酸は側鎖として残存するがアルカリ条件下でヘキセン
ウロン酸へと変換される。このヘキセンウロン酸は酸性
条件下で加熱すると容易に分解除去されるのでキシロオ
リゴ糖の製造にはあまり問題にならない。化学パルプ表
面の再吸着キシランは、通常の植物中の細胞壁内に存在
するキシランと違ってパルプの蒸解工程において抽出さ
れた際に、その主鎖であるキシランに結合している側鎖
の大部分は分解除去されている。そのため再吸着キシラ
ンは通常の細胞壁中のキシランと比べて側鎖の保有率が
非常に低い。しかし、後述するキシロオリゴ糖−リグニ
ン複合体を形成しているため再吸着キシランをキシラナ
ーゼで分解、除去するとパルプスラリーにこのキシロオ
リゴ糖−リグニン複合体が溶出してくるため反応液が茶
色になる。この茶色の反応液中には280nmの吸収を持つ
物質が存在するがこれはリグニンの芳香環に由来する吸
収であると考えられている。
【0029】再吸着分を含めたキシラン含量は広葉樹ク
ラフトパルプ絶乾重量の約20%を占める。ヘミセルラ
ーゼ処理においては、酵素が広葉樹クラフトパルプに作
用し、再吸着分を含むキシラン全般に作用してこれを低
分子化する。例えばバチルス・エスピ−S−2113株
のキシラナーゼ(特開平8−224081号公報参照)
を利用する場合、処理反応液中に生じるキシロース及び
キシロオリゴ糖の構成糖の割合は、3〜5量体が最も多
く、単量体が少ない組成比のオリゴ糖を生成する。
【0030】本発明者らは、すでに、広葉樹クラフトパ
ルプのヘミセルラーゼ処理工程より得られる排水中にキ
シロオリゴ糖とリグニン様物質が結合したキシロオリゴ
糖複合体が存在することを見いだしている。更にはキシ
ロオリゴ糖複合体は比較的重合度の大きなオリゴ糖にリ
グニン様の物質が結合していることを見いだしている。
このキシロオリゴ糖複合体は希酸処理により容易にキシ
ロオリゴ糖とリグニン様物質を分離除去し得るので重合
度の大きなキシロオリゴ糖を大量安価に製造できる。
【0031】現在のところ、大規模な酵素処理工程で利
用されている酵素はそのほとんどがヘミセルラーゼであ
るが、市販のヘミセルラーゼのいずれも本発明のキシロ
オリゴ糖の製造方法における酵素処理工程に用いること
ができる。例えば商品名カルタザイム(クラリアント社
製)、商品名エコパルプ(ローム・エンザイム社製)、
商品名スミチーム(新日本化学工業社製)、パルプザイ
ム(ノボノルディクス社製)などの市販の酵素製剤や、
トリコデルマ属、テルモミセス属、オウレオバシヂウム
属、ストレプトミセス属、アスペルギルス属、クロスト
リジウム属、バチルス属、テルモトガ属、テルモアスク
ス属、カルドセラム属、テルモモノスポラ属などの微生
物により生産されるキシラナーゼを使用することができ
る。
【0032】酵素処理温度は、10〜90℃、好ましく
は30〜60℃の範囲であるが、酵素の至適温度に近い
処理温度がより好ましい。一般的な酵素の場合、処理温
度が10℃未満では反応が不十分となる上、そのような
温度を得ること自体に多大のコストを要するので適さな
い。一方、温度が90℃を超えて高くなると、処理系を
密閉化しないと熱ロスが大きくなる上、一般的な酵素の
場合、酵素自体が変性し、不活性になるので適さない。
処理時の溶液pHは3〜10、好ましくは5〜9の範囲
であるが、酵素の至適pHに近いpHがより好ましい。
広葉樹クラフトパルプをアルカリ酸素漂白して得られる
パルプを酵素処理して糖液を得る場合、パルプのpHが
アルカリ側に傾いているため、酵素の至適pHがアルカ
リ側に近い酵素の方がpHを調整する際のコストも低く
優位性がある。もしpHの調整が必要な場合は、任意の
酸性溶液又はアルカリ性溶液を添加して調整し、酵素処
理を行えばよいことは言うまでもない。
【0033】酵素処理により得られた糖液中にはキシロ
オリゴ糖(2〜20量体)とキシロオリゴ糖複合体が含
まれる。酵素処理液中の糖濃度は、バチルス・エスピー
2113株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生
物寄託センター寄託菌株FERM BP−5264)の
生産するキシラナーゼを対パルプ絶乾重当たり1ユニッ
ト(1ユニットは1分間に1マイクロモルのキシロース
を遊離させる酵素力)で使用し、10%濃度のパルプス
ラリー中に添加して処理した場合、約3000μg/m
l(キシロース換算)である。
【0034】この糖溶液は、後段の製造工程を考慮に入
れた場合、荷電NF膜やその他の限外ろ過膜、逆浸透膜
などの膜分離技術を用いて濃縮したり、エバポレーショ
ン等の濃縮作業により糖濃度を上昇させる作業を行うこ
とも可能である。実際に糖液のボリュームを減らすこと
は大量の糖液を後段の精製工程で処理する際のハンドリ
ングを容易にする。加えて言うならば、膜濃縮における
作業より得られた透過液は糖濃度が酵素処理液より低
く、リグニン等着色性の有機物含量が少ない特徴を持
つ。このため、膜濃縮工程より得られる透過液はパルプ
製造工程における工業用水として再利用できる。
【0035】糖溶液もしくは濃縮処理工程後の糖溶液に
ついては、希酸による酸加水分解処理を行ってキシロオ
リゴ糖複合体をキシロオリゴ糖とリグニン様物質とに分
離する。糖液のpHの調整方法としては、糖液に対して
鉱酸もしくは有機酸を適宜添加して糖液のpHを3.5
付近に調整することが一般的であるが、アンバーライト
200C(商品名、ローム・アンド・ハース社製)とい
ったカチオン交換樹脂で糖液を処理してイオン交換によ
りpHを下げることも可能である。次いでpH調整の終
わった糖溶液を105℃〜150℃、好ましくは110
℃〜121℃の範囲で加熱し、酸加水分解の処理を行
う。処理時間は15分以上であるが好ましくは30分か
ら60分である。加熱処理時間を90分以上に設定する
とオリゴ糖の単糖への分解が進み好ましくはない。糖液
のpHが3.5付近である場合、キシロオリゴ糖複合体
とリグニン様物質、キシロオリゴ糖と側鎖の一種である
ヘキセンウロン酸は分離除去可能であるが、キシロオリ
ゴ糖自身はほとんど分解することはない。
【0036】この処理でキシロオリゴ糖複合体からはリ
グニン様の有機物が分解除去され、キシロオリゴ糖へと
変換される。pH3.5、121℃、60分の処理条件
の時のキシロオリゴ糖複合体からキシロオリゴ糖への変
換効率は約95%である。このとき単糖の一部は加水分
解が進みフルフラール様物質となり更に縮合して沈殿す
る。キシロオリゴ糖複合体から切り離されたリグニン様
物質も同様に酸性下で縮合し不溶化して沈殿する。この
不溶化した沈殿物は濾紙や珪藻土によるろ過はもちろん
のことUF膜やMF膜そしてセラミックフィルター等に
よる分離除去が可能である。
【0037】上記のようにしてキシロオリゴ糖複合体か
ら得られたキシロオリゴ糖組成物は、比較的鎖長が長い
重合度が5〜9程度のキシロオリゴ糖を高い割合で含ん
でいる新規なキシロオリゴ糖組成物である。また、10
量体〜20量体程度のものも少量含んでいる。重合度が
比較的高いキシロオリゴ糖が得られる理由としては、酵
素処理により得られた糖液中のキシロオリゴ糖複合体は
2量体から20量体程度の鎖長のキシロオリゴ糖にリグ
ニン様物質が結合しているためヘミセルラーゼによる必
要以上の消化を免れていることに起因している。そのよ
うな状態から希酸による酸加水分解でリグニン様物質と
分離すると、比較的長い鎖長のキシロオリゴ糖が得られ
る。
【0038】酸加水分解して得られた糖液中には、キシ
ロオリゴ糖の他にキシロース、グルコースといった単糖
類やリグニン、フラン化合物、フルフラールといった有
機物も含有する。これらの有機物の混合物からキシロオ
リゴ糖のみを分離、精製する工程としては、イオン交
換、分子ふるい、エタノール分画、膜処理などの従来の
いかなる精製方法を組み合わせて用いても良い。例え
ば、陽イオン交換樹脂→陰イオン交換樹脂→活性炭とい
った順序でカラムを用いる精製方法では出発原料である
酸処理糖液を100%とした場合、精製キシロオリゴ糖
の回収率は約70%である。
【0039】この精製されたキシロオリゴ糖組成物を用
いて、長鎖キシロオリゴ糖組成物を作る方法は以下のよ
うにして行う。まず、キシロオリゴ糖を水に溶解する。
この時の濃度は特に限定されない。しかし、好ましくは
0.5%から50%、更に好ましくは5%から10%の
キシロオリゴ糖水溶液が望ましい。溶解するときの温度
は限定されないが、好ましくは10℃から100℃、更
に好ましくは40℃から60℃である。キシロオリゴ糖
の水溶液を静置し、長鎖キシロオリゴ糖を沈殿として分
別回収する時の静置時間も特に限定されない。十分な沈
殿が得られるように静置すればよいが、好ましくは12
時間以上である。静置の際の温度も特に限定されない
が、好ましくは10℃から40℃、更に好ましくは20
℃から30℃である。例えば、温度60℃にてキシロオ
リゴ糖濃度7%の水溶液を作製し、次いで室温まで冷却
後、24時間静置して得られた長鎖キシロオリゴ糖組成
物は分別回収後の平均重合度が12.3であった。沈殿
として回収された長鎖キシロオリゴ糖組成物は濃縮し、
粉体とすることも可能であるし、再度水に溶解し水溶液
とすることも可能である。溶解度の差を利用して分別精
製された長鎖キシロオリゴ糖組成物の回収率は出発原料
であるキシロオリゴ糖組成物を100%とした場合約3
%である。
【0040】精製された長鎖キシロオリゴ糖を含む糖溶
液をイオンクロマトグラフィー(ダイオネクス社)を用
いて分析したところ2量体ないし少なくとも20量体以
上のキシロオリゴ糖を含む糖液であることが判明した。
このときの有機分重量を分析したところ絶乾重量中の全
糖量は99%以上であった。また、秤量されたるつぼを
用いての灰分の測定では精製糖液中の灰分は事実上認め
られなかった。
【0041】前述したように、本発明の新規な長鎖キシ
ロオリゴ糖組成物は、リグノセルロース材料を出発原料
とし、それをヘミセルラーゼ処理した反応ろ液から分
離、精製して得られる重合度の大きなキシロオリゴ糖含
有組成物である。また、この重合度の大きな長鎖キシロ
オリゴ糖組成物は、酵素や爆砕などの物理化学的手法を
用いることで従来からあるキシロース、キシロースの2
量体を主成分とするキシロオリゴ糖などに容易に変換す
ることもできるため、本方法を利用してキシロース、キ
シロビオースを製造する方法も本発明に含まれる。
【0042】
【実施例】以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具
体的に説明するが、もちろん本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。以下に示す%は特に断らない限
りすべて重量によるものであり、対パルプの添加率はパ
ルプの絶乾重量に対する容量の比率である。なお、各測
定法は以下のとおりである。
【0043】(1) 全糖量の定量:全糖量は検量線をD−
キシロース(和光純薬工業)を用いて作製し、フェノー
ル硫酸法(「還元糖の定量法」学会出版センター 発
行)にて定量した。 (2) 還元糖量の定量:還元糖量は検量線をD−キシロー
ス(和光純薬工業)を用いて作製、ソモジ−ネルソン法
(「還元糖の定量法」学会出版センター 発行)にて定
量した。 (3) 平均重合度の決定法:サンプル糖液を50℃に保ち
15000rpmにて15分遠心分離し不溶物を除去し
上清液の全糖量を還元糖量(共にキシロース換算)で割
って平均重合度を求めた。
【0044】(4) 新規キシロオリゴ糖の定量方法:オリ
ゴ糖の定量方法はイオンクロマトグラフ(ダイオネクス
社製)を用い、分析用カラムも同様にダイオネクス社の
Carbo Pac PA−10を用いて分析した。分
離溶媒には100mM NaOH溶液を用い、溶出溶媒
には前述の分離溶媒に酢酸ナトリウムを500nMとな
るように添加し、溶液比で、分離溶媒:溶出溶媒=4:
6となるような直線勾配を組み分離した。
【0045】<検量線の作製>検量線の作成用には、標
品としてキシロース(X)、キシロビオース(X2)、
キシロトリオース(X3)、キシロテトラオース(X
4)を用いた。これらオリゴ糖類は前述の分析メソッド
では単位重量あたり(今回は1μg当たり)のピーク面
積がキシロースから順にキシロビオース、キシロトリオ
ース、キシロテトラオースの順に小さくなる。以下標品
が存在しない場合のキシロオリゴ糖の定量のために既存
の単位重量当たりの面積をもとに検量線を作成したとこ
ろ、 Y=4×107×(X-0.6709) という式を得た。この場合Yは1μg当たりのオリゴ糖
のピーク面積を示し、Xはオリゴ糖の重合度である。
(図1参照)
【0046】この式をもとにオリゴ糖の標品が存在しな
いキシロペンタオース(X5)、キシロヘキサオース
(X6)、以下キシロオリゴ糖として20量体(X2
0)までの1μg当たりの面積を計算上求めて検量シー
トを作製し表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】以下、キシロオリゴ糖の濃度の定量にはこ
の検量シートを用いて計算した。キシロオリゴ糖を中性
糖としてフェノール硫酸法で定量した時に34mg/m
lであったサンプルをこの計算シートで計算すると3
6.5mg/mlであった。この計算シートを用いると
標品が存在しないキシロオリゴ糖の濃度も計算できる。
また、この計算シートで得られた値は比較的誤差が少な
く非常に有用である。
【0049】(5) 酵素力価の定義:酵素として用いたキ
シラナーゼの活性測定にはカバキシラン(シグマ社製)
を用いた。酵素力価の定義はキシラナーゼがキシランを
分解することで得られる還元糖の還元力をDNS法
(「還元糖の定量法」学会出版センター 発行)を用い
て測定し、1分間に1マイクロモルのキシロースに相当
する還元力を生成させる酵素量を1ユニットとした。
【0050】(6) イオンクロマトグラフによる分析:キ
シロオリゴ糖の分析にはイオンクロマトグラフ(ダイオ
ネクス社)を用いた。分析には糖類の分析に適したカラ
ムとしてCarbo Pac PA−10(ダイオネク
ス社)を用いた。
【0051】実施例1 <酵素処理工程>国内産広葉樹チップ70%、ユーカリ
材30%からなる混合広葉樹チップを原料として、クラ
フト蒸解によりカッパー価20.1、パルプ粘度41c
psの工場製の未晒パルプを得た。次いで、酸素脱リグ
ニンを行い、カッパー価9.6、パルプ粘度25.1c
psの酸素脱リグニンパルプを得た。このパルプを10
0メッシュのろ布にてろ別、洗浄後、パルプ濃度を10
%に調整し、希硫酸を加えてpH8に調整し、ついでバ
チルス・エスピーS−2113株(独立行政法人産業技
術総合研究所 特許生物寄託センター寄託菌株FERM
BP−5264)の生産するキシラナーゼを対パルプ
1ユニット/gとなるように添加し、60℃で120分
処理した。処理後、100メッシュのろ布でろ過してパ
ルプ残渣などを分離し、全糖濃度3700mg/lを含
む1050リッター(全糖量として3900g)の処理
液を得た。続いてNF膜(日東電工製:NTR−745
0、膜質:スルホン化ポリエーテルスルホン系、食塩阻
止率50%)を用いて容量比で40倍に濃縮した。この
濃縮液は全糖量を2700g含み、全糖回収率は70%
であった。濃縮液中の糖分析をイオンクロマトグラフィ
ーを用いて分析した結果、溶出時間24分以降にキシロ
オリゴ糖複合体のピークがみとめられた。これを図2に
示す。
【0052】<酸加水分解処理工程>酵素処理工程で得
られた濃縮糖液1,000mlに対して硫酸を添加して
pHを3.5に調製した後、この濃縮糖液を121℃に
て1時間反応させた。反応生成物をイオンクロマト用カ
ラム(ダイオネクス社:Carbo Pac PA−1
0)を用いたイオンクロマトグラフィーで分析した結
果、高濃度のキシロオリゴ糖(2量体〜20量体)を含
むことが判明した。
【0053】<キシロオリゴ糖の精製・分離工程>酸加
水分解処理工程で調製したキシロオリゴ糖の糖溶液(1
17mg/ml)10ml、全糖量として1.2gを強
酸性イオン交換樹脂(ローム・アンド・ハース社製:ア
ンバーライト200C)を充填したカラム(内径36m
m、長さ150mm)に負荷した。カラムを通過したキ
シロオリゴ糖を回収した後に、弱塩基性イオン交換樹脂
(ローム・アンド・ハース社製:IRA67)を充填し
た同様のカラムに負荷した。カラムを通過し得られたキ
シロオリゴ糖は、濃縮後、80mgの活性炭(和光純薬
製:品番037−02115)をキシロオリゴ糖溶液に
添加して60℃にて1時間攪拌し、脱色を行った。攪拌
後は0.22μmのメンブレンフィルターで活性炭をろ
過し、精製したキシロオリゴ糖溶液を得た。精製したキ
シロオリゴ糖溶液には280nm及び250nmの波長
の吸収は認められず、酸処理後のキシロオリゴ糖溶液に
含まれる紫外吸収物質は除去されていた。灰分の残存率
も出発原料である酸処理後のキシロオリゴ糖溶液に対し
て0.1%以下であった。また、キシロオリゴ糖の回収
率は70.2%であった。この精製キシロオリゴ糖のイ
オンクロマトフィーの結果は図3に示してある。
【0054】<長鎖キシロオリゴ糖の調製>原材料とし
て特開2000−333692号公報に記載の方法で調
整した平均重合が5.2である中性キシロオリゴ糖を出発
原料とした。出発原料70gを1000mlの超純水に分散さ
せ、良く攪拌する。出発原料は1000mlの純水に完全溶解
することはなく、見た目は白濁した液体が提供される。
この白濁液はゆっくりと60℃にまで加温すると完全に
溶解する。この完全溶解後の水溶液を室温で24時間静
置すると不溶性の長鎖オリゴ糖のみ沈殿してくる。そこ
で上澄みを静かにペリスタポンプで除去すると白色の長
鎖キシロオリゴ糖のみ回収される。この白色沈殿は糖含
量として497mgであった。白色沈殿は60℃、50mlの超純
水に懸濁すると完全溶解し無色透明な液体となる。この
透明な液体をスプレードライすることで乾燥した粉末化
した長鎖キシロオリゴ糖を得ることができた。この時の
長鎖キシロオリゴ糖の重量は455mgであった。長鎖キシ
ロオリゴ糖のイオンクロマトでの分析結果を図4に示
す。縦軸は酸化還元電位(nC)であり、横軸は溶出時間
である。溶出時間17分前後に長鎖キシロオリゴ糖が溶
出されてくることがわかる。
【0055】<長鎖キシロオリゴ糖の重合度>得られた
長鎖キシロオリゴ糖の粉末を超純水に溶解し1%水溶液
を作製した。平均重合度は全糖量をフェノール硫酸法で
測定し、その後1%水溶液の還元糖量をソモジーネルソ
ン法で測定した。いずれの測定においても検量線はD-キ
シロースを用いて作製した。平均重合度は1ml当たりの
全糖量を1ml当たりの還元糖量で割ることで求めた。そ
の結果上記方法で作製された長鎖キシロオリゴ糖の重合
度は12.3であった。これは出発原料の重合度5.2のキシ
ロオリゴ糖に比べ重合度が大きな長鎖キシロオリゴ糖で
ある。
【0056】実施例2 実施例1の手法により精製された長鎖キシロオリゴ糖組
成物(平均重合度=12.3)を用いて整腸作用について実
験した。2%長鎖キシロオリゴ糖添加食を4週間にわた
って投与し続けたSD系ラットは長鎖キシロオリゴ糖を全
く含まない食餌を投与した場合と比較して腸内でビフィ
ズス菌が選択的に増殖したため盲腸内容物のpHが低下
し、実際に盲腸内容物1g当たりのビフィズス菌数も増
加していた。この結果を図5に示す。
【0057】一方で投与するキシロオリゴ糖を鎖長別に
変化させて、その鎖長別にキシロオリゴ糖の食物繊維様
の作用を調べてみた。この時キシロビオースが70%以
上からなるオリゴ糖を2%添加した食餌を4週間にわた
って投与したSD系ラット群と長鎖キシロオリゴ糖を2%
添加した食餌を4週間にわたって投与したSD系ラット群
とを比較した。各群のラットの血液性状を比較した場合
において、総コレステロール、リン脂質、トリグリセラ
イド量は長鎖キシロオリゴ糖を投与し続けたラットの方
が優位に低下していた。トリグリセライド量に関する結
果を図6に示す。図中のCはオリゴ糖無添加区のラット
を示し、以下XBはキシロビオース投与群、XNは平均
重合度5.2のキシロオリゴ糖投与群、XN10は長鎖
キシロオリゴ糖投与群を示す。
【0058】この結果から長鎖キシロオリゴ糖は通常の
キシロオリゴ糖の生理活性の1つであるビフィズス菌の
選択的増殖性の亢進以外に高脂血症を防止する作用のあ
ることを見いだした。
【0059】
【発明の効果】本発明により、整腸作用だけではなく高
脂血症防止効果がある長鎖キシロオリゴ糖組成物が安
価、かつ大量に供給される。この新規キシロオリゴ糖組
成物は酸加水分解、酵素消化などの処理により容易にキ
シロビオース、キシロースに変換できる。またキシロオ
リゴ糖自体はもともとビフィズス菌の選択的増殖性があ
り機能性食品の材料にも使用されていることからもわか
るように、人体への安全性が高い材料であることから、
本発明のキシロオリゴ糖組成物も、整腸作用、コレステ
ロール低下作用等が期待される機能性食品用材料として
の適用が十分に可能な組成物である。さらに、家畜用や
栽培漁業用の餌等への添加剤としても有用である。更に
注目すべき点としては、平均重合度が高い新規な長鎖キ
シロオリゴ糖はそれをSD系オスのラットに投与した場
合、驚くべきことに血液性状の変化が認められる点であ
る。特に総コレステロール、リン脂質、トリグリセライ
ドといった脂質代謝に関する指標は長鎖キシロオリゴ糖
を投与しなかった場合に比べて軒並み低下していた。こ
れは食物繊維が有する特徴でありキシロオリゴ糖の鎖長
が長くなったため食物繊維様の作用を示すと推定され
る。即ち、「従来の低分子量キシロオリゴ糖と食物繊維
の機能を併せ持つ」機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 キシロオリゴ糖を定量するための検量線を示
す図。
【図2】 濃縮液中のキシロオリゴ糖複合体を示す図。
【図3】 キシロオリゴ糖−リグニン複合体から精製さ
れたキシロオリゴ糖を示す図。
【図4】 キシロオリゴ糖組成物より溶解度の差を利用
して新規に調製された長鎖キシロオリゴ糖を示す図。
【図5】 長鎖キシロオリゴ糖が有する整腸作用を示す
図。
【図6】 長鎖キシロオリゴ糖の有する高脂血症予防効
果のうち血液性状の変化を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/48 A61K 47/48 4C090 A61P 1/00 A61P 1/00 3/00 3/00 3/06 3/06 43/00 111 43/00 111 C07H 3/06 C07H 3/06 C12P 19/22 C12P 19/22 Fターム(参考) 4B064 AF04 AF11 CA21 CB01 CE11 DA10 4C057 AA02 BB04 4C076 BB01 CC16 CC21 CC40 EE58A EE59A 4C083 AD011 AD012 AD191 AD192 AD211 AD212 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 EA01 EA20 MA01 MA02 MA04 MA05 MA52 NA05 NA14 ZA69 ZC19 ZC33 4C090 AA01 AA04 BA04 BA51 BB10 BD41 CA43 DA09 DA23 DA27

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キシロース重合体の混合組成物であるキ
    シロオリゴ糖組成物において、キシロースの5量体〜2
    0量体を主成分とするキシロオリゴ糖組成物。
  2. 【請求項2】 キシロース重合体の平均重合度が7〜2
    0である請求項1に記載のキシロオリゴ糖組成物。
  3. 【請求項3】 キシロース重合体の混合組成物であり、
    かつキシロースの5量体以上を主成分とする長鎖キシロ
    オリゴ糖組成物を製造する方法であり、リグノセルロー
    ス材料を原料とし、それを酵素的にもしくは物理化学的
    に処理してキシロオリゴ糖組成物を製造する方法におい
    て、キシロオリゴ糖を構成成分とする複合体を中間体と
    し、該中間体を分解処理することを特徴とする長鎖キシ
    ロオリゴ糖組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 リグノセルロースが化学パルプであるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の長鎖キシロオリゴ糖組
    成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 リグノセルロースの酵素処理もしくは物
    理化学的がヘミセルラーゼ処理であることを特徴とする
    請求項3または4に記載の長鎖キシロオリゴ糖組成物の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ヘミセルラーゼがキシラナーゼであ
    ることを特徴とする請求項5に記載の長鎖キシロオリゴ
    糖組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記キシロオリゴ糖を構成成分とする複
    合体がキシロオリゴ糖とリグニンの複合体であることを
    特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載の長鎖
    キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記キシロオリゴ糖を構成成分とする複
    合体がキシロオリゴ糖とリグニンの間に被加水分解性を
    有する化学結合により結合された複合体であることを特
    徴とする請求項7記載の長鎖キシロオリゴ糖組成物の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記分解処理が酸加水分解処理であるこ
    とを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれかに記載の
    長鎖キシロオリゴ糖組成物の製造方法。
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