JP2003046480A - ピークリミッタ及びマルチキャリア増幅装置 - Google Patents
ピークリミッタ及びマルチキャリア増幅装置Info
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Abstract
設定が困難で効率よくピーク制限できないという問題点
があったが、本発明は、増幅器入力信号における所望の
ピークファクタを精度良く実現するように効率のよいピ
ークリミットを行い、増幅システムの電力効率を向上で
きるピークリミッタ及びマルチキャリア増幅装置を提供
する。 【解決手段】 各キャリアのベースバンド信号を入力
し、高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマル
チキャリア信号のピークファクタを求め、当該ピークフ
ァクタを元にして、各ベースバンド信号の振幅を抑圧し
た各信号を出力するピークリミッタ及びマルチキャリア
増幅装置である。
Description
の移動通信システムの基地局装置等のマルチキャリア信
号を増幅するシステムで使用されるピークリミッタ及び
マルチキャリア増幅装置に係り、特に増幅システムの電
力効率を向上できるピークリミッタ及びマルチキャリア
増幅装置に関する。
e Division Multiple Access:広帯域符号分割多元接
続)方式を移動通信方式として採用する移動通信システ
ムに備えられた基地局装置(CDMA基地局装置)で
は、物理的に遠く離れた移動局装置(CDMA移動局装
置)まで無線信号を到達させる必要があるため、送信対
象となる信号を増幅器(アンプ)で大幅に増幅して送信
出力することが必要である。しかしながら、増幅器はア
ナログデバイスであるため、その入出力特性は非線形な
関数となる。特に、飽和点と呼ばれる増幅限界以降で
は、増幅器に入力される電力が増大しても出力電力がほ
ぼ一定となる飽和状態になってしまう。そして、この非
線形な出力によって出力信号に非線形歪が発生する。
外の信号成分が帯域制限フィルタによって低レベルに抑
えられるが、増幅器通過後の信号では非線形歪が発生し
て希望信号帯域外(隣接チャネル)へ信号成分が漏洩す
る。例えば基地局装置では上記したように送信電力が高
いため、このような隣接チャネルへの漏洩電力の大きさ
は厳しく規定されており、隣接チャネル漏洩電力(AC
P:Adjacent Channelleakage Power)を削減する技術
が用いられる。
減する技術の一例として、バックオフ法、フィードフォ
ワード法、プリディストーション法などが用いられる。
ここで、各方法の概要と動作特性について図6を使って
説明する。図6は、増幅器の特性と、各隣接チャネル漏
洩電力削減方法の動作特性を説明する説明図であり、
(a)がバックオフ法の特性を示し、(b)が、フィー
ドフォワード法、プリディストーション法の特性を示し
ている。
領域に制限し、動作点を下げることによって非線形歪が
発生するのを防ぐ方法である。具体的には、図6(a)
に示すように、増幅器の特性が実線で示す曲線のよう
に、途中まで線形で飽和すると非線形になって飽和出力
レベルになる場合に、バックオフ法では、線形性を保っ
ている最大の出力電力から、増幅器入力信号のピークフ
ァクタだけ低い点に動作点を設定するようになってい
る。ここでピークファクタとは、図7に示すように増幅
器入力信号における最大電力と平均電力の比であり、す
なわち平均電力に対して最大電力の差が小さいほどピー
クファクタは小さいことになる。図7は、一般的な増幅
器のピークファクタの説明図である。
で増幅して出力された(希望信号+歪成分)からエラー
アンプで増幅された(歪成分)を引くことによって歪補
償を行う方法である。また、プリディストーション法
は、希望信号を増幅器に入力する前に、通常AM/AM
変換、AM/PM変換で表される非線形特性の逆特性に
よって希望信号に予め歪を与えて(希望信号+歪成分)
を入力し、増幅器で発生する(歪成分)と相殺するよう
に歪補償を行う方法である。つまり、フィードフォワー
ド法、及びプリディストーション法では、歪成分が発生
するという前提で発生する歪を補償するものであるの
で、図6(b)に示すように、増幅器の特性曲線に対し
て、例えば、飽和出力電力(レベル)から増幅器入力信
号のピークファクタだけ低い点に動作点を設定すること
ができ、バックオフ法よりも動作点を高く設定すること
ができる。
ワード法とプリディストーション法が主流であり、その
理由はシステムの電力効率を向上することができるため
である。増幅器の動作点を高く設定できれば出力電力が
大きくなるため電力効率が向上するが、電力効率は、増
幅器入力信号のピークファクタの大きさに大きく左右さ
れることになる。ピークファクタが大きくなると、使用
する電力増幅回路のトランジスタのサイズが大きくな
り、また飽和出力電力から大きく出力レベルを下げて使
用する必要がある。このようにレベルを下げていくと電
力増幅器のDC供給電力と取り出される送信電力の比は
低下してしまう。
にピークファクタをできるだけ小さくする技術が重要で
あり、その一例として、増幅器の前段にピークリミッタ
を設け、最大電力(ピーク)を制限した信号を増幅器の
入力信号とする方法がある。従来のピークリミッタにつ
いて、図8を使って説明する。図8は、従来のピークリ
ミッタの構成例を示すブロック図である。従来のピーク
リミッタ1′は、図8に示すように、平均電力検出部1
1′と、瞬時電力検出部12′と、ピーク検出部13
と、リミッタ部14′とから構成されている。
説明する。平均電力検出部11′は、入力信号IQの平
均電力を検出して平均電力情報を出力するものである。
瞬時電力検出部12′は、入力信号IQの瞬時電力を検
出して瞬時電力情報を出力するものである。ピーク検出
部13は、入力信号IQのピークの有無を検出するもの
である。具体的には、例えば入力される平均電力情報と
瞬時電力情報から比の演算を行って入力信号のピークフ
ァクタを算出し、算出されたピークファクタが予め定め
られているピーク閾値を超えるかどうか、すなわち、リ
ミットを施すべきピークの有無を検出し、ピーク検出情
報を出力するようになっている。ここで、予め定められ
ているピーク閾値とは、後続して設置する増幅器におけ
る特性(図6(b))で飽和出力レベルに対して動作点
を想定しているピークファクタを考慮した値である。
のピークを制限するもので、具体的には、入力されるピ
ーク検出情報に従って、リミットを施すべきピークが検
出された場合に、入力される入力信号IQの電力(振
幅)を予め定められているリミット電力になるように制
限して出力信号IQを出力するようになっている。
ついて説明する。従来のピークリミッタ1′では、入力
信号IQが、平均電力検出部11′、瞬時電力検出部1
2′、及びリミッタ部14′に入力され、平均電力検出
部11′では入力信号の平均電力が検出されて平均電力
情報が出力され、瞬時電力検出部12′では入力信号の
瞬時電力が検出されて瞬時電力情報が出力され、ピーク
検出部13で、平均電力情報と瞬時電力情報からリミッ
トを施すべきピークの有無が検出されてピーク検出情報
が出力され、リミッタ部14′でピーク検出情報に従っ
て、リミットを施すべきピークが検出された場合に、入
力される入力信号IQの電力を予め定められているリミ
ット電力に制限された出力信号IQが出力されるように
なっている。
力信号IQは、帯域制限前のベースバンド信号であり、
ピークリミッタ1′によってリミッタ処理が施された後
にフィルタ(図示せず)によって帯域制限を行うので、
歪は発生せず、また、ピークリミッタ1′によって入力
信号のピーク値を制限しているため、入力信号のピーク
ファクタを小さくしており、帯域制限後に行う増幅器の
動作点を上げることができるので電力効率を向上できる
ものである。ここで、ピークリミッタ1′によるリミッ
タ後に帯域制限を行うため、帯域制限後のピークファク
タは帯域制限前のピークファクタより通常は大きくな
る。これは、帯域制限前の矩形波が、帯域制限後に鈍る
ことで、ピークが高くなるポイントが現れるためであ
る。そこで、ピーク検出部13で設定するピーク閾値
は、帯域制限後のピークファクタが大きくなることを考
慮してピーク閾値を低めに設定する必要がある。
従来のマルチキャリア増幅装置について図9を使って説
明する。図9は、従来のマルチキャリア増幅装置の概略
構成ブロック図である。尚、図9では、一例として2キ
ャリアの場合の構成を示している。マルチキャリア信号
を増幅する従来のマルチキャリア増幅装置は、各キャリ
ア毎に独立した系列として信号ピークの制限を行うピー
クリミッタ1′と、帯域制限を施す帯域制限フィルタ2
と、RF周波数にアップコンバート(高周波変調)する
アップコンバータ3とから構成され、更に、各キャリア
系列からの出力を結合してマルチキャリア信号を出力す
る結合器4と、マルチキャリア信号を増幅する増幅器5
とから構成されている。
各キャリア系列の入力信号IQが各ピークリミッタ1′
に入力され、ピークリミッタ1′で各入力信号のピーク
ファクタが算出され、予め定められたピーク閾値に基づ
いて、ピークファクタがピーク閾値を超える場合に信号
ピーク値が制限されてピーク制限信号A1,A2が出力
され、各々帯域制限フィルタ2で帯域制限された信号B
1,B2が出力され、更に各アップコンバータ3で各R
F周波数にアップコンバートされた高周波変調信号(キ
ャリア信号)C1,C2が出力される。そして、各キャ
リア系列のアップコンバータ3の出力信号が結合器4で
結合されてマルチキャリア信号Dが出力され、増幅器5
で増幅されて出力されるようになっている。
では、各キャリア系列でピークリミッタ1′によって信
号のピーク値が制限されてピークファクタを小さくする
処理を施した信号A1,A2に対して、帯域制限、アッ
プコンバートを行い、その後に結合し、結合後のマルチ
キャリア信号を増幅器5で増幅することになり、結合前
の信号のピークファクタが小さくなっていることによ
り、結合後のマルチキャリアのピークファクタも小さく
なるため、結果的に増幅器5への入力信号のピークファ
クタが抑圧されて、増幅器5における動作点を上げるこ
とができるものである。
を軽減する従来技術としては、2000年9月8日公開
の特開平2000−244452号「CDMA無線基地
局」(出願人:国際電気株式会社、発明者:檜者昌弘
他)がある。この従来技術は、キャリア数、多重数が多
く、個別の送信電力が大きい変調信号を共通増幅器に入
力した場合にベースバンド信号のリミッタレベルを高
く、それ以外の場合はリミッタレベルを低く設定するリ
ミットレベル可変を行うCDMA無線基地局であり、こ
れにより、キャリア数、多重数が多く、個別の送信電力
が大きい場合には、発生する歪みを低減させることがで
き、多重数が少ない場合には、受信側の誤り率を抑える
ことができ、また、リミットレベルの可変により、低消
費電力の増幅器を使用することができるために装置全体
の低消費電力に寄与するものである。
ピークリミッタ及びマルチキャリア増幅装置では、各キ
ャリア系列毎に設けたピークリミッタ1′で、各キャリ
ア系列の入力信号から検出したピークファクタとピーク
閾値との関係に基づいてピーク制限を行い、各々帯域制
限を行った後に合成するので、結合器4出力であるマル
チキャリア信号のピークファクタは、経験上各キャリア
系列のピークファクタよりも大きくなるため、増幅器5
への入力信号に対して所望するピークファクタを得るた
めに、各ピークリミッタ1′における最適なピーク閾値
を設定する調整は困難であり、安全のためにピーク閾値
を低めに設定することになり、効率よくピークリミット
を行うことができないという問題があった。複数キャリ
アにおけるピークファクタと1キャリアのピークファク
タとの比較の一例として、W−CDMAにおける2〜4
キャリア入力のピークファクタは、1キャリア入力のピ
ークファクタと比較して2〜6dB程度大きくなる。
ア信号を結合器4で結合したマルチキャリア信号の電力
が実際には小さくなるにも係わらず、ある1つのキャリ
ア信号のピークファクタが閾値よりも大きくなったよう
な場合にも、従来のピークリミッタ1′ではピーク制限
を行うので、必要のないピーク制限で変調精度の劣化を
発生させていたという問題点があった。
で、増幅器入力信号における所望のピークファクタを精
度良く実現するように効率のよいピークリミットを行
い、増幅システムの電力効率を向上できるピークリミッ
タ及びマルチキャリア増幅装置を提供することを目的と
する。
決するための本発明は、マルチキャリア信号を増幅する
システムにおいて用いられるピークリミッタであって、
各キャリアのベースバンド信号を入力し、各ベースバン
ド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定される
マルチキャリア信号の平均電力を求め平均電力情報を出
力する平均電力検出部と、各キャリアのベースバンド信
号を入力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した
場合に近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電
力を求め瞬時電力情報を出力する瞬時電力検出部と、平
均電力情報と瞬時電力情報を入力し、瞬時電力と平均電
力との比であるピークファクタを求め、ピークファクタ
と予め定められているピーク閾値とを比較してピークを
検出しピーク検出情報を出力するピーク検出部と、当該
各キャリアのベースバンド信号とピーク検出情報を入力
し、ピーク検出情報からピークが検出されると、各キャ
リアのベースバンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力
するリミッタ部とを有するものなので、各ベースバンド
信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマ
ルチキャリア信号のピークファクタに基づいて各ベース
バンド信号の振幅を制限することにより、増幅対象のマ
ルチキャリア信号のピーク発生を捉えてピークファクタ
を小さくするように効果的に、且つ効率よく各ベースバ
ンド信号の振幅を抑圧できる。
明は、マルチキャリア信号を増幅するマルチキャリア増
幅装置において、各キャリアのベースバンド信号を入力
し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近
似的に想定されるマルチキャリア信号のピークファクタ
を求め、ピークファクタを元にして、各ベースバンド信
号の振幅を抑圧した各信号を出力するピークリミッタ
と、ピークリミッタの出力信号であるピークを抑圧した
各キャリアのベースバンド信号に帯域制限を行う帯域制
限フィルタと、帯域制限された信号を高周波帯にアップ
コンバートするアップコンバータと、高周波帯にアップ
コンバートされた各キャリアの信号を結合しマルチキャ
リア信号を出力する結合器と、マルチキャリア信号を増
幅する増幅器とを有するものなので、各ベースバンド信
号を帯域制限の後、高周波帯に変換してから合成した場
合に近似的に想定されるマルチキャリア信号のピークフ
ァクタに基づいて各ベースバンド信号の振幅を制限する
ことにより、増幅器に入力されるマルチキャリア信号の
ピーク発生を捉えてピークファクタを小さくするように
効果的に、且つ効率よく各ベースバンド信号の振幅を抑
圧して、その結果増幅器入力信号における所望のピーク
ファクタを精度良く実現できる。
を参照しながら説明する。尚、以下で説明する機能実現
手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのよう
な回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は
全部をソフトウェアで実現することも可能である。更
に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよ
く、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよ
い。
ークリミッタは、各キャリアのベースバンド信号を入力
し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近
似的に想定されるマルチキャリア信号のピークファクタ
を求め、当該ピークファクタを元にして、各ベースバン
ド信号の振幅を抑圧した各信号を出力するものなので、
増幅対象のマルチキャリア信号のピーク発生を捉えてピ
ークファクタを小さくするように効果的に、且つ効率よ
く各ベースバンド信号の振幅を抑圧でき、増幅システム
の電力効率を向上できるものである。
ピークリミッタは、各キャリアのベースバンド信号を入
力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に
近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均電力を求
め平均電力情報を出力する平均電力検出部と、各キャリ
アのベースバンド信号を入力し、各ベースバンド信号を
高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチキ
ャリア信号の瞬時電力を求め瞬時電力情報を出力する瞬
時電力検出部と、平均電力情報と瞬時電力情報を入力
し、瞬時電力と平均電力との比であるピークファクタを
求め、ピークファクタと予め定められているピーク閾値
とを比較してピークを検出しピーク検出情報を出力する
ピーク検出部と、当該各キャリアのベースバンド信号と
ピーク検出情報を入力し、ピーク検出情報からピークが
検出されると、各キャリアのベースバンド信号の振幅を
抑圧した各信号を出力するリミッタ部とを有するものな
ので、増幅対象のマルチキャリア信号のピーク発生を捉
えてピークファクタを小さくするように効果的に、且つ
効率よく各ベースバンド信号の振幅のピークを抑圧で
き、増幅システムの電力効率を向上できるものである。
マルチキャリア増幅装置について、図1を使って説明す
る。図1は、本発明の実施の形態に係るマルチキャリア
増幅装置の構成ブロック図である。尚、図9と同様の構
成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
本実施の形態に係るマルチキャリア増幅装置は、図1に
示すように、従来のマルチキャリア増幅装置と同様の構
成として、各キャリア毎に独立した系列として帯域制限
を施す帯域制限フィルタ2と、RF周波数にアップコン
バート(高周波変調)するアップコンバータ3と、各キ
ャリア系列からの出力を結合してマルチキャリア信号を
出力する結合器4と、マルチキャリア信号を増幅する増
幅器5とから構成され、更に従来各キャリア系列毎に設
けられていたピークリミッタ1′の代わりに、各キャリ
ア系列共通のピークリミッタ1が設けられている。
バータ3と結合器4と増幅器5は、従来と全く同様であ
るので、詳細な説明は省略する。本発明の特徴部分であ
るピークリミッタ1は、複数(図1では、2つ)のキャ
リア系列のベースバンド信号(入力信号)を入力し、各
入力信号がアップコンバータ3で高周波変調され、結合
器4で結合(合成)されたマルチキャリア信号を想定し
て、近似的に想定されたマルチキャリア信号のピークフ
ァクタを求め、求めたピークファクタが増幅器5の入力
信号に対して所望するピークファクタを超える場合に、
各入力信号のピーク値を制限するものである。
号)を合成する状況について、図2を使って説明する。
図2は、複数のキャリア信号及び合成後のマルチキャリ
ア信号の複素空間表現を示す説明図である。一般的にマ
ルチキャリア信号送信においては、複数の入力信号が各
々ある周波数間隔(キャリア周波数差)を持つ搬送波
(キャリア)で変調されて、図2(a)(b)(c)に
示すように各キャリア信号が、時間の経過と共に位相を
変化させながら異なる周期で複素空間を回転している。
そして、各々のキャリア信号が各周波数で回転する過程
で、各キャリア信号を合成したマルチキャリア信号は、
各キャリア信号の位相が異なっている場合には、合成に
よって、IQ空間でうち消しあって電力値はそれほど大
きな値を示すことはないが、複数のキャリア信号が同相
に近づくに従い電力値は増大し、位相が一致した場合に
は、図2(d)に示すように、各キャリア信号の電力が
加算されて瞬間的に瞬時電力が多大な値のピークを持つ
可能性がある。尚、図2(d)では、分かり易くするた
めに各信号の矢印をずらして表記している。つまり、本
発明では、複数キャリア信号の位相が異なる時点では、
個々のキャリア信号の電力が大きくてもリミットはかけ
ず、上記説明した複数キャリア信号の位相が一致する時
点のマルチキャリア信号の電力を捉えてリミットをかけ
るタイミングを検出するのが目的である。
構成について、図3を使って説明する。図3は、本発明
のピークリミッタの内部構成ブロック図である。尚、図
8と同様の構成をとる部分については同一の符号を付し
て説明する。本発明のピークリミッタ1は、図3に示す
ように、平均電力検出部11と、瞬時電力検出部12
と、ピーク検出部13と、リミッタ部14とから構成さ
れている。尚、主たる構成要素としては図8で示した従
来のピークリミッタと同様であるが、各要素の働きが従
来とは異なっている。
説明する。平均電力検出部11は、複数のキャリア系列
(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均電力を
検出し、平均電力情報を出力するものである。尚、具体
的に高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成したマル
チキャリア信号を近似的に想定する方法については、後
述する。
列(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力を
検出し、瞬時電力情報を出力するものである。具体的に
高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成したマルチキ
ャリア信号を近似的に想定する方法については、後述す
る。
合成後のマルチキャリア信号におけるピークの有無を検
出するものである。具体的には、平均電力検出部11及
び瞬時電力検出部12から入力される想定された合成後
のマルチキャリア信号における平均電力情報と瞬時電力
情報から比の演算を行ってピークファクタを算出し、算
出されたピークファクタが予め定められているピーク閾
値を超えるかどうか、すなわち、リミットを施すべきピ
ークの有無を検出し、ピーク検出情報を出力するように
なっている。ここで、予め定められているピーク閾値と
は、後続して設置する増幅器5における特性(図6
(b))で飽和出力レベルに対して動作点を想定してい
るピークファクタを考慮した値である。尚、本発明のピ
ーク検出部13におけるピークの検出対象は、近似的に
想定された合成後のマルチキャリア信号であるが、入力
される平均電力情報と瞬時電力情報からピークの有無を
検出する動作は、従来のピーク検出部13と全く同様で
ある。
(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、各入力信号IQの振幅のピークを制限するもので、
具体的には、ピーク検出部13から入力されるピーク検
出情報に従って、近似的に想定された合成後のマルチキ
ャリア信号にリミットを施すべきピークが検出された場
合に、各入力信号IQの電力(振幅)を予め定められて
いるリミット電力になるように制限して各出力信号IQ
を出力するようになっている。
ると、複数のキャリア系列の入力信号IQが、平均電力
検出部11及び瞬時電力検出部12及びリミッタ部14
に入力され、平均電力検出部11では、RF帯で各キャ
リア信号を合成した場合に近似的に想定されるマルチキ
ャリア信号の平均電力が検出されて平均電力情報が出力
される。一方、瞬時電力検出部12では、同様にRF帯
で各キャリア信号を合成した場合に近似的に想定される
マルチキャリア信号の瞬時電力が検出されて瞬時電力情
報が出力される。そして、ピーク検出部13で、近似的
に想定されたマルチキャリア信号の平均電力情報と瞬時
電力情報から、近似的に想定されたマルチキャリア信号
におけるリミットを施すべきピークの有無が検出されて
ピーク検出情報が出力され、リミッタ部14でピーク検
出情報に従って、リミットを施すべきピークが検出され
た場合に、入力される各入力信号IQの電力(振幅)を
予め定められているリミット電力に制限された出力信号
IQが出力されるようになっている。
出部12における、高周波(RF)帯で各キャリア信号
を合成したマルチキャリア信号を近似的に想定する方法
について説明する。RF帯で合成したマルチキャリア信
号を近似的に想定する第1の方法(第1の想定方法)
は、入力される各入力信号にキャリア周波数差(Δf)
のオフセットを与えてから合成し、一定のサンプリング
間隔で合成信号の電力を検出する方法である。
検出部12への入力信号はベースバンド信号IQである
ので、RF帯における合成を想定するためには、本来な
らば、各アップコンバータ3で高周波変調されるRF周
波数に変換してみて、RF周波数の信号合成、電力測定
を行わなければならないが、RF周波数での信号処理は
非常に速いサンプリングが必要になるので高価な信号処
理デバイスが必要になってしまう。しかし、各キャリア
周波数が、互いにキャリア周波数差(Δf)を持つので
あれば、各入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみ
のオフセットを与えて合成すれば、一定のサンプリング
間隔(例えば、最も周波数の小さいキャリア信号の一周
期)のタイミングにおいては、その時点の複数キャリア
の状態を捉えることができ、マルチキャリア信号を近似
的に想定して瞬時電力や平均電力を検出するには十分で
ある。
瞬時電力検出部12′と、本発明の平均電力検出部11
及び瞬時電力検出部12との違いを数式を用いて説明す
る。まず、各入力信号IQをベクトル複素表現で[数
1]のように表す。
ア増幅装置の各ピークリミッタ1′における従来の瞬時
電力検出部12′で求められる瞬時電力、及び平均電力
検出部11′で求められる平均電力は、[数2]のよう
に表すことができる。
付け平均など各種あるが、その方法については限定しな
い。それに対して、図1、図2に示した本発明のマルチ
キャリア増幅装置のピークリミッタ1における瞬時電力
検出部12で求められる瞬時電力、及び平均電力検出部
11で求められる平均電力は、上記説明した第1の想定
方法で求める場合には、[数3]のように表すことがで
きる。
波数の差である。すなわち、各入力信号は、Δfだけ差
のある各RF周波数にアップコンバートされるとして、
各キャリア系列の入力信号にキャリア周波数差(Δf)
分のみのオフセットを与えて合成し、異なるRF周波数
の信号が合成された信号を疑似的に作り出す。そして、
一定のサンプリング間隔(例えば、最も周波数の小さい
キャリア信号の一周期)で、合成信号の平均電力を検出
すれば、サンプリング間隔は粗いが、長時間測定するこ
とによって、ほぼRF帯で合成されたマルチキャリア信
号の平均電力に近い電力値を得ることができる。
列委の入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみのオ
フセットを与えて合成すると、図2(d)に示したよう
に、複数のキャリア信号の位相が一致した場合に、瞬間
的に瞬時電力がピークを持つはずであるので、このタイ
ミングを逃さないようにサンプリングを行って瞬時電力
を検出すれば、ほぼRF帯で合成されたマルチキャリア
信号におけるピークリミットを施すべきピークを検出す
るために重要な瞬時電力値を取得することができる。
する平均電力検出部11及び瞬時電力検出部12の構成
例について、図4、図5を使って説明する。図4は、本
発明の平均電力検出部11の構成例を示すブロック図で
あり、図5は、本発明の瞬時電力検出部12の構成例を
示すブロック図である。本発明の第1の想定方法を実現
する平均電力検出部11は、図4に示すように、各入力
信号にキャリア周波数差(Δf)のオフセットを与える
ための複素乗算部21,22,23,…と、各オフセッ
トを与えられた信号を合成する加算器24と、加算信号
の瞬時電力を求める電力計算部25と、瞬時電力から平
均電力を求める平均部26とから構成されている。
は、入力される複数(図4では4つ)の入力信号に対し
て、入力信号−1はそのまま、入力信号−2は複素乗算
部21でΔfだけ回転されてオフセットがかけられ、入
力信号−3は複素乗算部22で2Δfだけ回転されてオ
フセットがかけられ、入力信号−4は複素乗算部23で
3Δfだけ回転されてオフセットがかけられ、全ての信
号が加算器24で加算(合成)され、電力計算部25で
瞬時電力が求められ、平均部26で平均電力が求められ
るようになっている。
る瞬時電力検出部12は、図5に示すように、各入力信
号にキャリア周波数差(Δf)のオフセットを与えるた
めの複素乗算部31,32,33,…と、各オフセット
を与えられた信号を合成する加算器34と、加算信号の
瞬時電力を求める電力計算部35とから構成されてい
る。図5に示した瞬時電力検出部12の動作は、平均電
力検出部11の動作と同様である。
乗算部と、加算器と、電力計算部までの構成は、どちら
も同一であるので、この部分を共通とし、電力計算部出
力を瞬時電力情報として出力し、当該瞬時電力情報を平
均部26に入力して、平均電力を求め、平均電力情報と
して出力するようにしても構わない。
出部12における、RF帯で合成後のマルチキャリア信
号を近似的に想定する別の方法について説明する。RF
帯で合成後のマルチキャリア信号を近似的に想定する第
2の方法(第2の想定方法)は、入力される各入力信号
をベクトルとして捉え、ベクトル演算により信号を合成
して平均電力を求め、また、合成信号(ベクトル)の瞬
時電力が最大になるタイミングの電力を演算により取得
する方法である。
求め方について説明する。図1のマルチキャリア増幅装
置において、各キャリア系列の入力ベースバンド信号は
ピークリミッタ1から出力された後、個別にアップコン
バータ3でRF周波数帯にアップコンバートされた後に
結合器4で合成されマルチキャリア信号になる。そのた
め、マルチキャリア信号の平均電力を測定する場合は、
本来なら各RF周波数で回転している信号の合成電力の
平均を測定する必要がある。しかし、RF信号で合成電
力を測定する場合は非常に速いサンプリングが必要にな
るので高価な信号処理デバイスが必要になってしまう。
そこで、本発明では、各キャリアの入力ベースバンド信
号をベクトルとして捉え、一定のタイミングでサンプリ
ングを行ってベクトル合成演算し、合成されたベクトル
の電力の平均を求めて、RF帯で合成後の近似的に想定
したマルチキャリア信号の平均電力とするようになって
いる。
求め方について説明する。上記平均電力の求め方で説明
したのと同様に、RF信号で瞬時電力を測定する場合は
非常に速いサンプリングが必要になるので高価な信号処
理デバイスが必要になってしまう。そこで、本発明で
は、各キャリアのキャリア信号が同相になるタイミング
で、各キャリアのベースバンド信号の電力の総和を求め
て、RF帯で合成後の近似的に想定したマルチキャリア
信号の瞬時電力とするようになっている。
リア信号が各RF周波数で回転する過程で、各キャリア
信号を合成したマルチキャリア信号は、複数のキャリア
信号が同相に近づくに従い電力値は増大し、位相が一致
した場合には、図2(d)に示すように、各キャリア信
号の電力が加算されて瞬間的に瞬時電力が多大な値のピ
ークを持つ可能性があり、この時点のマルチキャリア信
号の瞬時電力を捉えてリミットをかけるタイミングを検
出すればよいからである。このとき、その合成ベクトル
の電力は、各キャリア系列の入力信号の個々の電力の和
に等しいことになる。例えばW−CDMA方式の場合、
入力信号が3.84[MHz]で、キャリア間隔が5
[MHz]なので、必ず複数キャリアのベクトルが同一
方向となる瞬間がある。
及び瞬時電力の求め方の概念について、数式を用いて説
明する。第1の想定方法で説明したように、各キャリア
周波数が、互いにキャリア周波数差(Δf)を持つので
あれば、各入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみ
のオフセットを与えて合成することで、近似的な合成を
行うことができ、瞬時電力、平均電力は[数3]で表す
ことができた。[数3]の平均電力において、eの項が
同一ベクトルとなり、1+j・0=1となる瞬間だけを
サンプリングすると、[数4]の平均電力のようにな
る。これは、各入力ベースバンド信号について、ベクト
ル合成演算した合成ベクトルの電力を平均した数式とな
る。これはサンプリングを粗くしたことにはなるが、長
時間測定すると第1の想定方法の平均電力と等しくなる
ので、第2の想定方法を用いると、ハード構成が簡単に
なる。また、瞬時電力は、[数4]の瞬時電力に示すよ
うに、単純に位相が一致したタイミングで、各キャリア
系列の入力信号の電力の和を求める数式になっている。
動作について図1を使って説明する。本発明のマルチキ
ャリア増幅装置では、各キャリア系列の入力ベースバン
ド信号IQ(図1では2つ)が全てピークリミッタ1に
入力され、ピークリミッタ1で各入力信号が高周波(R
F)帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチキャ
リア信号のピークファクタが算出され、予め定められた
ピーク閾値に基づいて各入力ベースバンド信号の振幅の
ピークが制限されてピーク制限信号a1,a2が出力さ
れる。この時、ピーク制限信号a1,a2は、図9に示
した従来のマルチキャリア増幅装置の各ピークリミッタ
1′から出力されるピーク制限信号A1,A2とは異な
り、RF帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチ
キャリア信号において、ピークファクタがピーク閾値を
超える場合だけピークが制限されている信号である。
域制限フィルタ2で帯域制限されて信号b1,b2とな
り、更にアップコンバータ3で各RF周波数にアップコ
ンバートされて高周波変調信号(キャリア信号)c1,
c2となって出力される。そして、各キャリア系列のア
ップコンバータ3の出力信号が結合器4で結合されてマ
ルチキャリア信号dが出力され、増幅器5で増幅されて
出力されるようになっている。
ャリア信号dは、図9に示した従来のマルチキャリア増
幅装置の結合器4から出力されるマルチキャリア信号D
とは異なり、ピークリミッタ1における処理によってマ
ルチキャリア信号におけるピーク電力値が制限されてい
るだけで、その他の部分にはピークリミッタ1における
処理の影響が与えられていない信号である。
の結果、本発明では、各キャリア系列の入力信号に対し
てピークリミッタ1によって、高周波帯で合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号のピークファ
クタを元にして、各入力信号ピーク値が制限されてピー
クファクタを小さくする処理を施した信号a1,a2に
対して、帯域制限、アップコンバートの後に結合し、結
合後のマルチキャリア信号を増幅器5で増幅することに
なり、結果的に増幅器5に入力されるマルチキャリア信
号のピークファクタが抑えられて、増幅器5おける動作
点を上げることができるものである。
リア系列のベースバンド信号を入力し、各ベースバンド
信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマ
ルチキャリア信号の平均電力を平均電力検出部11で求
めると共に、瞬時電力検出部12で当該マルチキャリア
信号の瞬時電力を求め、ピーク検出部13でこの平均電
力と瞬時電力からピークファクタを求めて予め設定され
ているピーク閾値との比較によってピークの有無を検出
し、ピークがある場合に、リミッタ部14で各ベースバ
ンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力するものである
ので、増幅対象のマルチキャリア信号に関するピーク発
生を捉えて、ピークファクタを小さくするように効果
的、且つ効率よく入力信号に対してピークリミットが為
され、その結果増幅器入力信号における所望のピークフ
ァクタを精度良く実現できる効果がある。また、例え、
個々の入力信号としては、ピークファクタが増幅器5で
所望されるピークファクタを上回っていても、合成され
ると小さくなるような場合には、当該入力信号に対して
ピークリミットを施さないので、不要なピーク制限によ
る変調精度劣化を招くことなく、効率よくピーク制限を
行うことができる効果がある。
瞬時電力検出部12において、各ベースバンド信号を高
周波帯で合成した場合のマルチキャリア信号を近似的に
想定する方法として、本来なら各アップコンバータ3で
高周波変調されるRF周波数に変換して合成するところ
であり、RF信号の電力測定には非常に高速のサンプリ
ングが要求されるところであるが、第1の想定方法を用
いると、入力される各入力信号に複素乗算部を用いてキ
ャリア周波数差(Δf)のオフセットを与えてから合成
し、合成信号の瞬時電力や平均電力を検出するので、ベ
ースバンド信号の周波数に対するサンプリングで瞬時電
力や平均電力を検出することができ、構成をさほど増大
することなく、高周波帯で合成した場合のマルチキャリ
ア信号に近似するマルチキャリア信号の瞬時電力や平均
電力を検出できる効果がある。
て、第2の想定方法を用いると、入力される各入力信号
をベクトルとして捉え、一定の、例えば、同一ベクトル
となるタイミングでサンプリングを行ってベクトル演算
により信号を合成して平均電力を求めるので、近似可能
な程度までサンプリングを粗くして効率よく検出処理を
行い、且つ演算処理のみで平均電力を求めることによっ
て構成を簡略化でき、ハード規模の縮小し、コストを低
減できる効果がある。
て、第2の想定方法を用いると、複数の入力信号のキャ
リア位相が一致するタイミング、すなわち合成信号(ベ
クトル)の瞬時電力が最大になるタイミングの電力を演
算により取得するので、ピークファクタのポイントとな
る瞬時電力を効果的に捉えることができ、且つ演算処理
のみで瞬時電力を求めることにより構成を簡略化でき、
ハード規模の縮小し、コストを低減できる効果がある。
ば、複数の入力ベースバンド信号が全てピークリミッタ
1に入力され、ピークリミッタ1で各入力信号が高周波
(RF)帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチ
キャリア信号のピークファクタが算出され、予め定めら
れたピーク閾値に基づいて各入力ベースバンド信号のピ
ーク値が制限されて出力され、帯域制限フィルタ2で帯
域制限され、更にアップコンバータ3で各RF周波数に
アップコンバートされ、結合器4で結合されてマルチキ
ャリア信号が出力され、増幅器5で増幅されて出力され
るので、間接的にではあるが、結果的に増幅器5に入力
されるマルチキャリア信号のピーク発生を捉えてピーク
ファクタが抑圧されて、増幅器5の動作点を上げること
ができ、増幅システムの電力効率を向上させることがで
きる効果がある。また、従来の技術で問題になってい
た、結合器4で結合されるとうち消されてしまうような
ケースにおける、個々のキャリア系列におけるピーク制
限がなくなるので、必要のないピーク制限による変調精
度の劣化を回避することができ、システム全体としての
信頼性を向上できる効果がある。
増幅するシステムにおいて用いられるピークリミッタで
あって、平均電力検出部が、各キャリアのベースバンド
信号を入力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成し
た場合に近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均
電力を求め平均電力情報を出力し、同様に瞬時電力検出
部が、近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電
力を求め瞬時電力情報を出力し、ピーク検出部が瞬時電
力と平均電力との比であるピークファクタを求め、ピー
クファクタと予め定められているピーク閾値とを比較し
てピークを検出しピーク検出情報を出力し、リミッタ部
がピーク検出情報からピークが検出されると、各キャリ
アのベースバンド信号の振幅を抑圧して各信号を出力す
るピークリミッタとしているので、各ベースバンド信号
を高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチ
キャリア信号のピーク発生を捉えピークファクタを小さ
くするように効果的に、且つ効率よく各ベースバンド信
号の振幅のピークを抑圧できる効果がある。
幅するマルチキャリア増幅装置において、ピークリミッ
タが、各キャリアのベースバンド信号を入力し、各ベー
スバンド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定
されるマルチキャリア信号のピークファクタを求め、ピ
ークファクタを元にして、各ベースバンド信号の振幅を
抑圧した各信号を出力し、帯域制限フィルタがピークリ
ミッタからのピークを抑圧した各キャリアのベースバン
ド信号に帯域制限を行い、アップコンバータが帯域制限
された各信号を高周波帯にアップコンバートし、結合器
が各キャリアの信号を結合してマルチキャリア信号を出
力し、増幅器がマルチキャリア信号を増幅するマルチキ
ャリア増幅装置としているので、各ベースバンド信号を
帯域制限の後、高周波帯に変換してから合成した場合の
近似的に想定されるマルチキャリア信号のピーク発生を
捉え、ピークファクタを小さくするように効果的に、効
率よく各ベースバンド信号の振幅のピークを抑圧して、
その結果増幅器入力信号における所望のピークファクタ
を精度良く実現でき、増幅システムの電力効率を向上で
きる効果がある。
装置の構成ブロック図である。
ア信号の複素空間表現を示す説明図である。
である。
ク図である。
ク図である。
方法の動作特性を説明する説明図である。
る。
図である。
ック図である。
3…アップコンバータ、 4…結合器、 5…増幅
器、 11,11′…平均電力検出部、 12,12′
…瞬時電力検出部、 13…ピーク検出部、 14、1
4′…リミッタ部、 21,22,23,31,32,
33…複素演算部、 24、34…加算器、 25、3
5…電力計算部、 26…平均部
9)
ャリア増幅装置
動通信システムの基地局装置等のマルチキャリア信号を
増幅するシステムで使用されるピークリミッタ及びマル
チキャリア増幅装置に係り、特に増幅システムの電力効
率を向上できるピークリミッタ及びマルチキャリア増幅
装置に関する。
ltiple Access:符号分割多元接続)方式を移動通信方
式として採用する移動通信システムに備えられた基地局
装置(CDMA基地局装置)では、物理的に遠く離れた
移動局装置(CDMA移動局装置)まで無線信号を到達
させる必要があるため、送信対象となる信号を増幅器
(アンプ)で大幅に増幅して送信出力することが必要で
ある。しかしながら、増幅器はアナログデバイスである
ため、その入出力特性は非線形な関数となる。特に、飽
和点と呼ばれる増幅限界以降では、増幅器に入力される
電力が増大しても出力電力がほぼ一定となってしまう。
そして、この非線形な出力によって出力信号に非線形歪
が発生する。
外の信号成分が帯域制限フィルタによって低レベルに抑
えられるが、増幅器通過後の信号では非線形歪が発生し
て希望信号帯域外(隣接チャネル)へ信号成分が漏洩す
る。例えば基地局装置では上記したように送信電力が高
いため、このような隣接チャネルへの漏洩電力の大きさ
は厳しく規定されており、隣接チャネル漏洩電力(AC
P:Adjacent Channelleakage Power)を削減する技術
が用いられる。
減する技術の一例として、バックオフ法、フィードフォ
ワード法、プリディストーション法などが用いられる。
ここで、各方法の概要と動作特性について図6を使って
説明する。図6は、増幅器の特性と、各隣接チャネル漏
洩電力削減方法の動作特性を説明する説明図であり、
(a)がバックオフ法の特性を示し、(b)が、フィー
ドフォワード法、プリディストーション法の特性を示し
ている。
領域に制限し、動作点を下げることによって非線形歪が
発生するのを防ぐ方法である。具体的には、図6(a)
に示すように、増幅器の特性が実線で示す曲線のよう
に、途中まで線形で飽和すると非線形になって飽和出力
レベルになる場合に、バックオフ法では、線形性を保っ
ている最大の出力電力から、増幅器入力信号のピークフ
ァクタだけ低い点に動作点を設定するようになってい
る。ここでピークファクタとは、図7に示すように増幅
器入力信号における最大電力と平均電力の比であり、す
なわち平均電力に対して最大電力の差が小さいほどピー
クファクタは小さいことになる。図7は、一般的な増幅
器のピークファクタの説明図である。
で増幅して出力された(希望信号+歪成分)からエラー
アンプで増幅された(歪成分)を引くことによって歪補
償を行う方法である。また、プリディストーション法
は、希望信号を増幅器に入力する前に、通常AM/AM
変換、AM/PM変換で表される非線形特性の逆特性に
よって希望信号に予め歪を与えて(希望信号+歪成分)
を入力し、増幅器で発生する(歪成分)と相殺するよう
に歪補償を行う方法である。つまり、フィードフォワー
ド法、及びプリディストーション法では、歪成分が発生
するという前提で発生する歪を補償するものであるの
で、図6(b)に示すように、増幅器の特性曲線に対し
て、例えば、飽和出力電力(レベル)から増幅器入力信
号のピークファクタだけ低い点に動作点を設定すること
ができ、バックオフ法よりも動作点を高く設定すること
ができる。
ワード法とプリディストーション法が主流であり、その
理由はシステムの電力効率を向上することができるため
である。増幅器の動作点を高く設定できれば出力電力が
大きくなるため電力効率が向上するが、電力効率は、増
幅器入力信号のピークファクタの大きさに大きく左右さ
れることになる。ピークファクタが大きくなると、使用
する電力増幅回路のトランジスタのサイズが大きくな
り、また飽和出力電力から大きく出力レベルを下げて使
用する必要がある。このようにレベルを下げていくと電
力増幅器のDC供給電力と取り出される送信電力の比は
低下してしまう。
にピークファクタをできるだけ小さくする技術が重要で
あり、その一例として、増幅器の前段にピークリミッタ
を設け、最大電力(ピーク)を制限した信号を増幅器の
入力信号とする方法がある。従来のピークリミッタにつ
いて、図8を使って説明する。図8は、従来のピークリ
ミッタの構成例を示すブロック図である。従来のピーク
リミッタ1′は、図8に示すように、平均電力検出部1
1′と、瞬時電力検出部12′と、ピーク検出部13
と、リミッタ部14′とから構成されている。
説明する。平均電力検出部11′は、入力信号IQの平
均電力を検出して平均電力情報を出力するものである。
瞬時電力検出部12′は、入力信号IQの瞬時電力を検
出して瞬時電力情報を出力するものである。ピーク検出
部13は、入力信号IQのピークの有無を検出するもの
である。具体的には、例えば入力される平均電力情報と
瞬時電力情報から比の演算を行って入力信号の瞬時電力
対平均電力比を算出し、算出された瞬時電力対平均電力
比が予め定められているピークファクタ閾値を超えるか
どうか、すなわち、リミットを施すべきピークの有無を
検出し、ピーク検出情報を出力するようになっている。
ここで、予め定められているピークファクタ閾値とは、
後続して設置する増幅器における特性(図6(b))で
飽和出力レベルに対して動作点を想定しているピークフ
ァクタを考慮した値である。
のピークを制限するもので、具体的には、入力されるピ
ーク検出情報に従って、リミットを施すべきピークが検
出された場合に、入力される入力信号IQの電力(振
幅)を予め定められているリミット電力になるように制
限して出力信号IQを出力するようになっている。
ついて説明する。従来のピークリミッタ1′では、入力
信号IQが、平均電力検出部11′、瞬時電力検出部1
2′、及びリミッタ部14′に入力され、平均電力検出
部11′では入力信号の平均電力が検出されて平均電力
情報が出力され、瞬時電力検出部12′では入力信号の
瞬時電力が検出されて瞬時電力情報が出力され、ピーク
検出部13で、平均電力情報と瞬時電力情報からリミッ
トを施すべきピークの有無が検出されてピーク検出情報
が出力され、リミッタ部14′でピーク検出情報に従っ
て、リミットを施すべきピークが検出された場合に、入
力される入力信号IQの電力を予め定められているリミ
ット電力に制限された出力信号IQが出力されるように
なっている。
力信号IQは、帯域制限前のベースバンド信号であり、
ピークリミッタ1′によってリミッタ処理が施された後
にフィルタ(図示せず)によって帯域制限を行うので、
歪は発生せず、また、ピークリミッタ1′によって入力
信号のピーク値を制限しているため、入力信号のピーク
ファクタを小さくしており、帯域制限後に行う増幅器の
動作点を上げることができるので電力効率を向上できる
ものである。ここで、ピークリミッタ1′によるリミッ
タ後に帯域制限を行うため、帯域制限後のピークファク
タは帯域制限前のピークファクタより通常は大きくな
る。これは、帯域制限前の矩形波が、帯域制限後に鈍る
ことで、ピークが高くなるポイントが現れるためであ
る。そこで、ピーク検出部13で設定するピークファク
タ閾値は、帯域制限後の瞬時電力対平均電力比が大きく
なることを考慮してピークファクタ閾値を低めに設定す
る必要がある。
従来のマルチキャリア増幅装置について図9を使って説
明する。図9は、従来のマルチキャリア増幅装置の概略
構成ブロック図である。尚、図9では、一例として2キ
ャリアの場合の構成を示している。マルチキャリア信号
を増幅する従来のマルチキャリア増幅装置は、各キャリ
ア毎に独立した系列として信号ピークの制限を行うピー
クリミッタ1′と、帯域制限を施す帯域制限フィルタ2
と、RF周波数にアップコンバート(高周波変調)する
アップコンバータ3とから構成され、更に、各キャリア
系列からの出力を結合してマルチキャリア信号を出力す
る結合器4と、マルチキャリア信号を増幅する増幅器5
とから構成されている。
各キャリア系列の入力信号IQが各ピークリミッタ1′
に入力され、ピークリミッタ1′で各入力信号の瞬時電
力対平均電力比が算出され、予め定められたピークファ
クタ閾値に基づいて、瞬時電力対平均電力比がピークフ
ァクタ閾値を超える場合に信号ピーク値が制限されてピ
ーク制限信号A1,A2が出力され、各々帯域制限フィ
ルタ2で帯域制限された信号B1,B2が出力され、更
に各アップコンバータ3で各RF周波数にアップコンバ
ートされた高周波変調信号(キャリア信号)C1,C2
が出力される。そして、各キャリア系列のアップコンバ
ータ3の出力信号が結合器4で結合されてマルチキャリ
ア信号Dが出力され、増幅器5で増幅されて出力される
ようになっている。
では、各キャリア系列でピークリミッタ1′によって信
号のピーク値が制限されて瞬時電力対平均電力比を小さ
くする処理を施した信号A1,A2に対して、帯域制
限、アップコンバートを行い、その後に結合し、結合後
のマルチキャリア信号を増幅器5で増幅することにな
り、結合前の信号の瞬時電力対平均電力比が小さくなっ
ていることにより、結合後のマルチキャリアの瞬時電力
対平均電力比も小さくなるため、結果的に増幅器5への
入力信号の瞬時電力対平均電力比が抑圧されて、増幅器
5における動作点を上げることができるものである。
を軽減する従来技術としては、2000年9月8日公開
の特開平2000−244452号「CDMA無線基地
局」(出願人:国際電気株式会社、発明者:檜者昌弘
他)がある。この従来技術は、キャリア数、多重数が多
く、個別の送信電力が大きい変調信号を共通増幅器に入
力した場合にベースバンド信号のリミッタレベルを高
く、それ以外の場合はリミッタレベルを低く設定するリ
ミットレベル可変を行うCDMA無線基地局であり、こ
れにより、キャリア数、多重数が多く、個別の送信電力
が大きい場合には、発生する歪みを低減させることがで
き、多重数が少ない場合には、受信側の誤り率を抑える
ことができ、また、リミットレベルの可変により、低消
費電力の増幅器を使用することができるために装置全体
の低消費電力に寄与するものである。
ピークリミッタ及びマルチキャリア増幅装置では、各キ
ャリア系列毎に設けたピークリミッタ1′で、各キャリ
ア系列の入力信号から検出した瞬時電力対平均電力比と
ピークファクタ閾値との関係に基づいてピーク制限を行
い、各々帯域制限を行った後に合成するので、結合器4
出力であるマルチキャリア信号の瞬時電力対平均電力比
は、経験上各キャリア系列の瞬時電力対平均電力比より
も大きくなるため、増幅器5への入力信号に対して所望
する瞬時電力対平均電力比を得るために、各ピークリミ
ッタ1′における最適なピークファクタ閾値を設定する
調整は困難であり、安全のためにピークファクタ閾値を
低めに設定することになり、効率よくピークリミットを
行うことができないという問題があった。複数キャリア
における瞬時電力対平均電力比と1キャリアの瞬時電力
対平均電力比との比較の一例として、W−CDMAにお
ける2〜4キャリア入力の瞬時電力対平均電力比は、1
キャリア入力の瞬時電力対平均電力比と比較して2〜6
dB程度大きくなる。
ア信号を結合器4で結合したマルチキャリア信号の電力
が実際には小さくなるにも係わらず、ある1つのキャリ
ア信号の瞬時電力対平均電力比がピークファクタ閾値よ
りも大きくなったような場合にも、従来のピークリミッ
タ1′ではピーク制限を行うので、必要のないピーク制
限で変調精度の劣化を発生させていたという問題点があ
った。
で、増幅器入力信号における所望の瞬時電力対平均電力
比を精度良く実現するように効率のよいピークリミット
を行い、増幅システムの電力効率を向上できるピークリ
ミッタ及びマルチキャリア増幅装置を提供することを目
的とする。
決するための本発明は、マルチキャリア信号を増幅する
システムにおいて用いられるピークリミッタであって、
各キャリアのベースバンド信号を入力し、各ベースバン
ド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定される
マルチキャリア信号の平均電力を求め平均電力情報を出
力する平均電力検出部と、各キャリアのベースバンド信
号を入力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した
場合に近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電
力を求め瞬時電力情報を出力する瞬時電力検出部と、平
均電力情報と瞬時電力情報を入力し、瞬時電力と平均電
力との比である瞬時電力対平均電力比を求め、瞬時電力
対平均電力比と予め定められているピークファクタ閾値
とを比較してピークを検出しピーク検出情報を出力する
ピーク検出部と、当該各キャリアのベースバンド信号と
ピーク検出情報を入力し、ピーク検出情報からピークが
検出されると、各キャリアのベースバンド信号の振幅を
抑圧した各信号を出力するリミッタ部とを有するものな
ので、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に
近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力対平
均電力比に基づいて各ベースバンド信号の振幅を制限す
ることにより、増幅対象のマルチキャリア信号のピーク
発生を捉えて瞬時電力対平均電力比を小さくするように
効果的に、且つ効率よく各ベースバンド信号の振幅を抑
圧できる。
明は、マルチキャリア信号を増幅するマルチキャリア増
幅装置において、各キャリアのベースバンド信号を入力
し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近
似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力対平均
電力比を求め、瞬時電力対平均電力比を元にして、各ベ
ースバンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力するピー
クリミッタと、ピークリミッタの出力信号であるピーク
を抑圧した各キャリアのベースバンド信号に帯域制限を
行う帯域制限フィルタと、帯域制限された信号を高周波
帯にアップコンバートするアップコンバータと、高周波
帯にアップコンバートされた各キャリアの信号を結合し
マルチキャリア信号を出力する結合器と、マルチキャリ
ア信号を増幅する増幅器とを有するものなので、各ベー
スバンド信号を帯域制限の後、高周波帯に変換してから
合成した場合に近似的に想定されるマルチキャリア信号
の瞬時電力対平均電力比に基づいて各ベースバンド信号
の振幅を制限することにより、増幅器に入力されるマル
チキャリア信号のピーク発生を捉えて瞬時電力対平均電
力比を小さくするように効果的に、且つ効率よく各ベー
スバンド信号の振幅を抑圧して、その結果増幅器入力信
号における所望のピークファクタを精度良く実現でき
る。
を参照しながら説明する。尚、以下で説明する機能実現
手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのよう
な回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は
全部をソフトウェアで実現することも可能である。更
に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよ
く、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよ
い。
ークリミッタは、各キャリアのベースバンド信号を入力
し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近
似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力対平均
電力比を求め、当該瞬時電力対平均電力比を元にして、
各ベースバンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力する
ものなので、増幅対象のマルチキャリア信号のピーク発
生を捉えて瞬時電力対平均電力比を小さくするように効
果的に、且つ効率よく各ベースバンド信号の振幅を抑圧
でき、増幅システムの電力効率を向上できるものであ
る。
ピークリミッタは、各キャリアのベースバンド信号を入
力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に
近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均電力を求
め平均電力情報を出力する平均電力検出部と、各キャリ
アのベースバンド信号を入力し、各ベースバンド信号を
高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチキ
ャリア信号の瞬時電力を求め瞬時電力情報を出力する瞬
時電力検出部と、平均電力情報と瞬時電力情報を入力
し、瞬時電力と平均電力との比である瞬時電力対平均電
力比を求め、瞬時電力対平均電力比と予め定められてい
るピークファクタ閾値とを比較してピークを検出しピー
ク検出情報を出力するピーク検出部と、当該各キャリア
のベースバンド信号とピーク検出情報を入力し、ピーク
検出情報からピークが検出されると、各キャリアのベー
スバンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力するリミッ
タ部とを有するものなので、増幅対象のマルチキャリア
信号のピーク発生を捉えて瞬時電力対平均電力比を小さ
くするように効果的に、且つ効率よく各ベースバンド信
号の振幅のピークを抑圧でき、増幅システムの電力効率
を向上できるものである。
マルチキャリア増幅装置について、図1を使って説明す
る。図1は、本発明の実施の形態に係るマルチキャリア
増幅装置の構成ブロック図である。尚、図9と同様の構
成をとる部分については同一の符号を付して説明する。
本実施の形態に係るマルチキャリア増幅装置は、図1に
示すように、従来のマルチキャリア増幅装置と同様の構
成として、各キャリア毎に独立した系列として帯域制限
を施す帯域制限フィルタ2と、RF周波数にアップコン
バート(高周波変調)するアップコンバータ3と、各キ
ャリア系列からの出力を結合してマルチキャリア信号を
出力する結合器4と、マルチキャリア信号を増幅する増
幅器5とから構成され、更に従来各キャリア系列毎に設
けられていたピークリミッタ1′の代わりに、各キャリ
ア系列共通のピークリミッタ1が設けられている。
バータ3と結合器4と増幅器5は、従来と全く同様であ
るので、詳細な説明は省略する。本発明の特徴部分であ
るピークリミッタ1は、複数(図1では、2つ)のキャ
リア系列のベースバンド信号(入力信号)を入力し、各
入力信号がアップコンバータ3で高周波変調され、結合
器4で結合(合成)されたマルチキャリア信号を想定し
て、近似的に想定されたマルチキャリア信号の瞬時電力
対平均電力比を求め、求めた瞬時電力対平均電力比が増
幅器5の入力信号に対して所望する瞬時電力対平均電力
比を超える場合に、各入力信号の振幅を抑制するもので
ある。
号)を合成する状況について、図2を使って説明する。
図2は、複数のキャリア信号及び合成後のマルチキャリ
ア信号の複素空間表現を示す説明図である。一般的にマ
ルチキャリア信号送信においては、複数の入力信号が各
々ある周波数間隔(キャリア周波数差)を持つ搬送波
(キャリア)で変調されて、図2(a)(b)(c)に
示すように各キャリア信号が、時間の経過と共に位相を
変化させながら異なる周期で複素空間を回転している。
そして、各々のキャリア信号が各周波数で回転する過程
で、各キャリア信号を合成したマルチキャリア信号は、
各キャリア信号の位相が異なっている場合には、合成に
よって、IQ空間でうち消しあって電力値はそれほど大
きな値を示すことはないが、複数のキャリア信号が同相
に近づくに従い電力値は増大し、位相が一致した場合に
は、図2(d)に示すように、各キャリア信号の電力が
加算されて瞬間的に瞬時電力が多大な値のピークを持つ
可能性がある。尚、図2(d)では、分かり易くするた
めに各信号の矢印をずらして表記している。つまり、本
発明では、複数キャリア信号の位相が異なる時点では、
個々のキャリア信号の電力が大きくてもリミットはかけ
ず、上記説明した複数キャリア信号の位相が一致する時
点のマルチキャリア信号の電力を捉えてリミットをかけ
るタイミングを検出するのが目的である。
構成について、図3を使って説明する。図3は、本発明
のピークリミッタの内部構成ブロック図である。尚、図
8と同様の構成をとる部分については同一の符号を付し
て説明する。本発明のピークリミッタ1は、図3に示す
ように、平均電力検出部11と、瞬時電力検出部12
と、ピーク検出部13と、リミッタ部14とから構成さ
れている。尚、主たる構成要素としては図8で示した従
来のピークリミッタと同様であるが、各要素の働きが従
来とは異なっている。
説明する。平均電力検出部11は、複数のキャリア系列
(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均電力を
検出し、平均電力情報を出力するものである。尚、具体
的に高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成したマル
チキャリア信号を近似的に想定する方法については、後
述する。
列(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力を
検出し、瞬時電力情報を出力するものである。具体的に
高周波(RF)帯で各キャリア信号を合成したマルチキ
ャリア信号を近似的に想定する方法については、後述す
る。
合成後のマルチキャリア信号におけるピークの有無を検
出するものである。具体的には、平均電力検出部11及
び瞬時電力検出部12から入力される想定された合成後
のマルチキャリア信号における平均電力情報と瞬時電力
情報から比の演算を行って瞬時電力対平均電力比を算出
し、算出された瞬時電力対平均電力比が予め定められて
いるピークファクタ閾値を超えるかどうか、すなわち、
リミットを施すべきピークの有無を検出し、ピーク検出
情報を出力するようになっている。ここで、予め定めら
れているピークファクタ閾値とは、後続して設置する増
幅器5における特性(図6(b))で飽和出力レベルに
対して動作点を想定しているピークファクタを考慮した
値である。尚、本発明のピーク検出部13におけるピー
クの検出対象は、近似的に想定された合成後のマルチキ
ャリア信号であるが、入力される平均電力情報と瞬時電
力情報からピークの有無を検出する動作は、従来のピー
ク検出部13と全く同様である。
(図3では、2キャリア系列)の入力信号IQを入力
し、各入力信号IQの振幅のピークを制限するもので、
具体的には、ピーク検出部13から入力されるピーク検
出情報に従って、近似的に想定された合成後のマルチキ
ャリア信号にリミットを施すべきピークが検出された場
合に、瞬時電力対平均電力比を予め定められているピー
クファクタ閾値以下になるように各キャリア系列の入力
信号の振幅を抑制する。
ると、複数のキャリア系列の入力信号IQが、平均電力
検出部11及び瞬時電力検出部12及びリミッタ部14
に入力され、平均電力検出部11では、RF帯で各キャ
リア信号を合成した場合に近似的に想定されるマルチキ
ャリア信号の平均電力が検出されて平均電力情報が出力
される。一方、瞬時電力検出部12では、同様にRF帯
で各キャリア信号を合成した場合に近似的に想定される
マルチキャリア信号の瞬時電力が検出されて瞬時電力情
報が出力される。そして、ピーク検出部13で、近似的
に想定されたマルチキャリア信号の平均電力情報と瞬時
電力情報から、近似的に想定されたマルチキャリア信号
におけるリミットを施すべきピークの有無が検出されて
ピーク検出情報が出力され、リミッタ部14でピーク検
出情報に従って、リミットを施すべきピークが検出され
た場合に、瞬時電力対平均電力比を予め定められている
ピークファクタ閾値以下になるように各キャリア系列の
入力信号の振幅を抑制する。
出部12における、高周波(RF)帯で各キャリア信号
を合成したマルチキャリア信号を近似的に想定する方法
について説明する。RF帯で合成したマルチキャリア信
号を近似的に想定する第1の方法(第1の想定方法)
は、入力される各入力信号にキャリア周波数差(Δf)
のオフセットを与えてから合成し、一定のサンプリング
間隔で合成信号の電力を検出する方法である。
検出部12への入力信号はベースバンド信号IQである
ので、RF帯における合成を想定するためには、本来な
らば、各アップコンバータ3で高周波変調されるRF周
波数に変換してみて、RF周波数の信号合成、電力測定
を行わなければならないが、RF周波数での信号処理は
非常に速いサンプリングが必要になるので高価な信号処
理デバイスが必要になってしまう。しかし、各キャリア
周波数が、互いにキャリア周波数差(Δf)を持つので
あれば、各入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみ
のオフセットを与えて合成すれば、一定のサンプリング
間隔(例えば、最も周波数の小さいキャリア信号の一周
期)のタイミングにおいては、その時点の複数キャリア
の状態を捉えることができ、マルチキャリア信号を近似
的に想定して瞬時電力や平均電力を検出するには十分で
ある。
瞬時電力検出部12′と、本発明の平均電力検出部11
及び瞬時電力検出部12との違いを数式を用いて説明す
る。まず、各入力信号IQをベクトル複素表現で[数
1]のように表す。
ア増幅装置の各ピークリミッタ1′における従来の瞬時
電力検出部12′で求められる瞬時電力、及び平均電力
検出部11′で求められる平均電力は、[数2]のよう
に表すことができる。
付け平均など各種あるが、その方法については限定しな
い。それに対して、図1、図2に示した本発明のマルチ
キャリア増幅装置のピークリミッタ1における瞬時電力
検出部12で求められる瞬時電力、及び平均電力検出部
11で求められる平均電力は、上記説明した第1の想定
方法で求める場合には、[数3]のように表すことがで
きる。
波数の差である。すなわち、各入力信号は、Δfだけ差
のある各RF周波数にアップコンバートされるとして、
各キャリア系列の入力信号にキャリア周波数差(Δf)
分のみのオフセットを与えて合成し、異なるRF周波数
の信号が合成された信号を疑似的に作り出す。そして、
一定のサンプリング間隔(例えば、最も周波数の小さい
キャリア信号の一周期)で、合成信号の平均電力を検出
すれば、サンプリング間隔は粗いが、長時間測定するこ
とによって、ほぼRF帯で合成されたマルチキャリア信
号の平均電力に近い電力値を得ることができる。
列委の入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみのオ
フセットを与えて合成すると、図2(d)に示したよう
に、複数のキャリア信号の位相が一致した場合に、瞬間
的に瞬時電力がピークを持つはずであるので、このタイ
ミングを逃さないようにサンプリングを行って瞬時電力
を検出すれば、ほぼRF帯で合成されたマルチキャリア
信号におけるピークリミットを施すべきピークを検出す
るために重要な瞬時電力値を取得することができる。
する平均電力検出部11及び瞬時電力検出部12の構成
例について、図4、図5を使って説明する。図4は、本
発明の平均電力検出部11の構成例を示すブロック図で
あり、図5は、本発明の瞬時電力検出部12の構成例を
示すブロック図である。本発明の第1の想定方法を実現
する平均電力検出部11は、図4に示すように、各入力
信号にキャリア周波数差(Δf)のオフセットを与える
ための複素乗算部21,22,23,…と、各オフセッ
トを与えられた信号を合成する加算器24と、加算信号
の瞬時電力を求める電力計算部25と、瞬時電力から平
均電力を求める平均部26とから構成されている。
は、入力される複数(図4では4つ)の入力信号に対し
て、入力信号−1はそのまま、入力信号−2は複素乗算
部21でΔfだけ回転されてオフセットがかけられ、入
力信号−3は複素乗算部22で2Δfだけ回転されてオ
フセットがかけられ、入力信号−4は複素乗算部23で
3Δfだけ回転されてオフセットがかけられ、全ての信
号が加算器24で加算(合成)され、電力計算部25で
瞬時電力が求められ、平均部26で平均電力が求められ
るようになっている。
る瞬時電力検出部12は、図5に示すように、各入力信
号にキャリア周波数差(Δf)のオフセットを与えるた
めの複素乗算部31,32,33,…と、各オフセット
を与えられた信号を合成する加算器34と、加算信号の
瞬時電力を求める電力計算部35とから構成されてい
る。図5に示した瞬時電力検出部12の動作は、平均電
力検出部11の動作と同様である。
乗算部と、加算器と、電力計算部までの構成は、どちら
も同一であるので、この部分を共通とし、電力計算部出
力を瞬時電力情報として出力し、当該瞬時電力情報を平
均部26に入力して、平均電力を求め、平均電力情報と
して出力するようにしても構わない。
出部12における、RF帯で合成後のマルチキャリア信
号を近似的に想定する別の方法について説明する。RF
帯で合成後のマルチキャリア信号を近似的に想定する第
2の方法(第2の想定方法)は、入力される各入力信号
をベクトルとして捉え、ベクトル演算により信号を合成
して平均電力を求め、また、合成信号(ベクトル)の瞬
時電力が最大になるタイミングの電力を演算により取得
する方法である。
求め方について説明する。図1のマルチキャリア増幅装
置において、各キャリア系列の入力ベースバンド信号は
ピークリミッタ1から出力された後、個別にアップコン
バータ3でRF周波数帯にアップコンバートされた後に
結合器4で合成されマルチキャリア信号になる。そのた
め、マルチキャリア信号の平均電力を測定する場合は、
本来なら各RF周波数で回転している信号の合成電力の
平均を測定する必要がある。しかし、RF信号で合成電
力を測定する場合は非常に速いサンプリングが必要にな
るので高価な信号処理デバイスが必要になってしまう。
そこで、本発明では、各キャリアの入力ベースバンド信
号をベクトルとして捉え、一定のタイミングでサンプリ
ングを行ってベクトル合成演算し、合成されたベクトル
の電力の平均を求めて、RF帯で合成後の近似的に想定
したマルチキャリア信号の平均電力とするようになって
いる。
求め方について説明する。上記平均電力の求め方で説明
したのと同様に、RF信号で瞬時電力を測定する場合は
非常に速いサンプリングが必要になるので高価な信号処
理デバイスが必要になってしまう。そこで、本発明で
は、各キャリアのキャリア信号が同相になるタイミング
で、各キャリアのベースバンド信号の電力の総和を求め
て、RF帯で合成後の近似的に想定したマルチキャリア
信号の瞬時電力とするようになっている。
リア信号が各RF周波数で回転する過程で、各キャリア
信号を合成したマルチキャリア信号は、複数のキャリア
信号が同相に近づくに従い電力値は増大し、位相が一致
した場合には、図2(d)に示すように、各キャリア信
号の電力が加算されて瞬間的に瞬時電力が多大な値のピ
ークを持つ可能性があり、この時点のマルチキャリア信
号の瞬時電力を捉えてリミットをかけるタイミングを検
出すればよいからである。このとき、その合成ベクトル
の電力は、各キャリア系列の入力信号の個々の電力の和
に等しいことになる。例えばW−CDMA方式の場合、
入力信号が3.84[MHz]で、キャリア間隔が5
[MHz]なので、必ず複数キャリアのベクトルが同一
方向となる瞬間がある。
及び瞬時電力の求め方の概念について、数式を用いて説
明する。第1の想定方法で説明したように、各キャリア
周波数が、互いにキャリア周波数差(Δf)を持つので
あれば、各入力信号にキャリア周波数差(Δf)分のみ
のオフセットを与えて合成することで、近似的な合成を
行うことができ、瞬時電力、平均電力は[数3]で表す
ことができた。[数3]の平均電力において、eの項が
同一ベクトルとなり、1+j・0=1となる瞬間だけを
サンプリングすると、[数4]の平均電力のようにな
る。これは、各入力ベースバンド信号について、ベクト
ル合成演算した合成ベクトルの電力を平均した数式とな
る。これはサンプリングを粗くしたことにはなるが、長
時間測定すると第1の想定方法の平均電力と等しくなる
ので、第2の想定方法を用いると、ハード構成が簡単に
なる。また、瞬時電力は、[数4]の瞬時電力に示すよ
うに、単純に位相が一致したタイミングで、各キャリア
系列の入力信号の電力の和を求める数式になっている。
動作について図1を使って説明する。本発明のマルチキ
ャリア増幅装置では、各キャリア系列の入力ベースバン
ド信号IQ(図1では2つ)が全てピークリミッタ1に
入力され、ピークリミッタ1で各入力信号が高周波(R
F)帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチキャ
リア信号の瞬時電力対平均電力比が算出され、予め定め
られたピークファクタ閾値に基づいて各入力ベースバン
ド信号の振幅のピークが制限されてピーク制限信号a
1,a2が出力される。この時、ピーク制限信号a1,
a2は、図9に示した従来のマルチキャリア増幅装置の
各ピークリミッタ1′から出力されるピーク制限信号A
1,A2とは異なり、RF帯で合成した場合に近似的に
想定されるマルチキャリア信号において、瞬時電力対平
均電力比がピークファクタ閾値を超える場合だけピーク
が制限されている信号である。
域制限フィルタ2で帯域制限されて信号b1,b2とな
り、更にアップコンバータ3で各RF周波数にアップコ
ンバートされて高周波変調信号(キャリア信号)c1,
c2となって出力される。そして、各キャリア系列のア
ップコンバータ3の出力信号が結合器4で結合されてマ
ルチキャリア信号dが出力され、増幅器5で増幅されて
出力されるようになっている。
ャリア信号dは、図9に示した従来のマルチキャリア増
幅装置の結合器4から出力されるマルチキャリア信号D
とは異なり、ピークリミッタ1における処理によってマ
ルチキャリア信号におけるピーク電力値が制限されてい
るだけで、その他の部分にはピークリミッタ1における
処理の影響が与えられていない信号である。
の結果、本発明では、各キャリア系列の入力信号に対し
てピークリミッタ1によって、高周波帯で合成した場合
に近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電力対
平均電力比を元にして、各入力信号ピーク値が制限され
て瞬時電力対平均電力比を小さくする処理を施した信号
a1,a2に対して、帯域制限、アップコンバートの後
に結合し、結合後のマルチキャリア信号を増幅器5で増
幅することになり、結果的に増幅器5に入力されるマル
チキャリア信号の瞬時電力対平均電力比が抑えられて、
増幅器5おける動作点を上げることができるものであ
る。
リア系列のベースバンド信号を入力し、各ベースバンド
信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定されるマ
ルチキャリア信号の平均電力を平均電力検出部11で求
めると共に、瞬時電力検出部12で当該マルチキャリア
信号の瞬時電力を求め、ピーク検出部13でこの平均電
力と瞬時電力から瞬時電力対平均電力比を求めて予め設
定されているピークファクタ閾値との比較によってピー
クの有無を検出し、ピークがある場合に、リミッタ部1
4で各ベースバンド信号の振幅を抑圧した各信号を出力
するものであるので、増幅対象のマルチキャリア信号に
関するピーク発生を捉えて、瞬時電力対平均電力比を小
さくするように効果的、且つ効率よく入力信号に対して
ピークリミットが為され、その結果増幅器入力信号にお
ける所望の瞬時電力対平均電力比を精度良く実現できる
効果がある。また、例え、個々の入力信号としては、瞬
時電力対平均電力比が増幅器5で所望される瞬時電力対
平均電力比を上回っていても、合成されると小さくなる
ような場合には、当該入力信号に対してピークリミット
を施さないので、不要なピーク制限による変調精度劣化
を招くことなく、効率よくピーク制限を行うことができ
る効果がある。
瞬時電力検出部12において、各ベースバンド信号を高
周波帯で合成した場合のマルチキャリア信号を近似的に
想定する方法として、本来なら各アップコンバータ3で
高周波変調されるRF周波数に変換して合成するところ
であり、RF信号の電力測定には非常に高速のサンプリ
ングが要求されるところであるが、第1の想定方法を用
いると、入力される各入力信号に複素乗算部を用いてキ
ャリア周波数差(Δf)のオフセットを与えてから合成
し、合成信号の瞬時電力や平均電力を検出するので、ベ
ースバンド信号の周波数に対するサンプリングで瞬時電
力や平均電力を検出することができ、構成をさほど増大
することなく、高周波帯で合成した場合のマルチキャリ
ア信号に近似するマルチキャリア信号の瞬時電力や平均
電力を検出できる効果がある。
て、第2の想定方法を用いると、入力される各入力信号
をベクトルとして捉え、一定の、例えば、同一ベクトル
となるタイミングでサンプリングを行ってベクトル演算
により信号を合成して平均電力を求めるので、近似可能
な程度までサンプリングを粗くして効率よく検出処理を
行い、且つ演算処理のみで平均電力を求めることによっ
て構成を簡略化でき、ハード規模の縮小し、コストを低
減できる効果がある。
て、第2の想定方法を用いると、複数の入力信号のキャ
リア位相が一致するタイミング、すなわち合成信号(ベ
クトル)の瞬時電力が最大になるタイミングの電力を演
算により取得するので、ピークファクタのポイントとな
る瞬時電力を効果的に捉えることができ、且つ演算処理
のみで瞬時電力を求めることにより構成を簡略化でき、
ハード規模の縮小し、コストを低減できる効果がある。
ば、複数の入力ベースバンド信号が全てピークリミッタ
1に入力され、ピークリミッタ1で各入力信号が高周波
(RF)帯で合成した場合に近似的に想定されるマルチ
キャリア信号の瞬時電力対平均電力比が算出され、予め
定められたピークファクタ閾値に基づいて各入力ベース
バンド信号のピーク値が制限されて出力され、帯域制限
フィルタ2で帯域制限され、更にアップコンバータ3で
各RF周波数にアップコンバートされ、結合器4で結合
されてマルチキャリア信号が出力され、増幅器5で増幅
されて出力されるので、間接的にではあるが、結果的に
増幅器5に入力されるマルチキャリア信号のピーク発生
を捉えて瞬時電力対平均電力比が抑圧されて、増幅器5
の動作点を上げることができ、増幅システムの電力効率
を向上させることができる効果がある。また、従来の技
術で問題になっていた、結合器4で結合されるとうち消
されてしまうようなケースにおける、個々のキャリア系
列におけるピーク制限がなくなるので、必要のないピー
ク制限による変調精度の劣化を回避することができ、シ
ステム全体としての信頼性を向上できる効果がある。
増幅するシステムにおいて用いられるピークリミッタで
あって、平均電力検出部が、各キャリアのベースバンド
信号を入力し、各ベースバンド信号を高周波帯で合成し
た場合に近似的に想定されるマルチキャリア信号の平均
電力を求め平均電力情報を出力し、同様に瞬時電力検出
部が、近似的に想定されるマルチキャリア信号の瞬時電
力を求め瞬時電力情報を出力し、ピーク検出部が瞬時電
力と平均電力との比である瞬時電力対平均電力比を求
め、瞬時電力対平均電力比と予め定められているピーク
ファクタ閾値とを比較してピークを検出しピーク検出情
報を出力し、リミッタ部がピーク検出情報からピークが
検出されると、各キャリアのベースバンド信号の振幅を
抑圧して各信号を出力するピークリミッタとしているの
で、各ベースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近
似的に想定されるマルチキャリア信号のピーク発生を捉
え瞬時電力対平均電力比を小さくするように効果的に、
且つ効率よく各ベースバンド信号の振幅のピークを抑圧
できる効果がある。
幅するマルチキャリア増幅装置において、ピークリミッ
タが、各キャリアのベースバンド信号を入力し、各ベー
スバンド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定
されるマルチキャリア信号の瞬時電力対平均電力比を求
め、瞬時電力対平均電力比を元にして、各ベースバンド
信号の振幅を抑圧した各信号を出力し、帯域制限フィル
タがピークリミッタからのピークを抑圧した各キャリア
のベースバンド信号に帯域制限を行い、アップコンバー
タが帯域制限された各信号を高周波帯にアップコンバー
トし、結合器が各キャリアの信号を結合してマルチキャ
リア信号を出力し、増幅器がマルチキャリア信号を増幅
するマルチキャリア増幅装置としているので、各ベース
バンド信号を帯域制限の後、高周波帯に変換してから合
成した場合の近似的に想定されるマルチキャリア信号の
ピーク発生を捉え、瞬時電力対平均電力比を小さくする
ように効果的に、効率よく各ベースバンド信号の振幅の
ピークを抑圧して、その結果増幅器入力信号における所
望の瞬時電力対平均電力比を精度良く実現でき、増幅シ
ステムの電力効率を向上できる効果がある。
装置の構成ブロック図である。
ア信号の複素空間表現を示す説明図である。
である。
ク図である。
ク図である。
方法の動作特性を説明する説明図である。
る。
図である。
ック図である。
3…アップコンバータ、 4…結合器、 5…増幅
器、 11,11′…平均電力検出部、 12,12′
…瞬時電力検出部、 13…ピーク検出部、 14、1
4′…リミッタ部、 21,22,23,31,32,
33…複素演算部、 24、34…加算器、 25、3
5…電力計算部、 26…平均部
Claims (6)
- 【請求項1】 マルチキャリア信号を増幅するシステム
において用いられるピークリミッタであって、 各キャリアのベースバンド信号を入力し、前記各ベース
バンド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定さ
れるマルチキャリア信号のピークファクタを求め、前記
ピークファクタを元にして、前記各ベースバンド信号の
振幅を抑圧した各信号を出力することを特徴とするピー
クリミッタ。 - 【請求項2】 マルチキャリア信号を増幅するシステム
において用いられるピークリミッタであって、 各キャリアのベースバンド信号を入力し、前記各ベース
バンド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想定さ
れるマルチキャリア信号の平均電力を求め平均電力情報
を出力する平均電力検出部と、 前記各キャリアのベースバンド信号を入力し、前記各ベ
ースバンド信号を高周波帯で合成した場合に近似的に想
定されるマルチキャリア信号の瞬時電力を求め瞬時電力
情報を出力する瞬時電力検出部と、 前記平均電力情報と前記瞬時電力情報を入力し、瞬時電
力と平均電力との比であるピークファクタを求め、前記
ピークファクタと予め定められているピーク閾値とを比
較してピークを検出しピーク検出情報を出力するピーク
検出部と、 当該各キャリアのベースバンド信号と前記ピーク検出情
報を入力し、ピーク検出情報からピークが検出される
と、前記各キャリアのベースバンド信号の振幅を抑圧し
た各信号を出力するリミッタ部とを有することを特徴と
するピークリミッタ。 - 【請求項3】 平均電力検出部が、入力した各キャリア
のベースバンド信号に前記各キャリアの周波数差のオフ
セットをかけてから合成し、前記合成された信号につい
て、平均電力を求める平均電力検出部であり、 瞬時電力検出部が、入力した各キャリアのベースバンド
信号に前記各キャリアの周波数差のオフセットをかけて
から合成し、前記合成された信号について、瞬時電力を
求める瞬時電力検出部であることを特徴とする請求項2
記載のピークリミッタ。 - 【請求項4】 平均電力検出部が、各キャリアのベース
バンド信号のベクトルを用いてベクトル合成演算し、前
記合成されたベクトルの電力の平均を求め平均電力とす
る平均電力検出部であることを特徴とする請求項2記載
のピークリミッタ。 - 【請求項5】 瞬時電力検出部が、各キャリアのキャリ
ア信号が同相になるタイミングで各キャリアのベースバ
ンド信号の電力の総和を求めて瞬時電力とする瞬時電力
検出部であることを特徴とする請求項2又は請求項4記
載のピークリミッタ。 - 【請求項6】 マルチキャリア信号を増幅するマルチキ
ャリア増幅装置において、 請求項1乃至請求項5記載のピークリミッタと、 前記ピークリミッタの出力信号であるピークを抑圧した
各キャリアのベースバンド信号に帯域制限を行う帯域制
限フィルタと、 前記帯域制限された信号を高周波帯にアップコンバート
するアップコンバータと、 前記高周波帯にアップコンバートされた各キャリアの信
号を結合しマルチキャリア信号を出力する結合器と、 前記マルチキャリア信号を増幅する増幅器とを有するこ
とを特徴とするマルチキャリア増幅装置。
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