JP2003040997A - 電気電子部品搬送用部品製造用ポリカーボネート樹脂及び電気電子部品搬送用部品 - Google Patents

電気電子部品搬送用部品製造用ポリカーボネート樹脂及び電気電子部品搬送用部品

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JP2003040997A
JP2003040997A JP2001225743A JP2001225743A JP2003040997A JP 2003040997 A JP2003040997 A JP 2003040997A JP 2001225743 A JP2001225743 A JP 2001225743A JP 2001225743 A JP2001225743 A JP 2001225743A JP 2003040997 A JP2003040997 A JP 2003040997A
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polycarbonate
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Yoshihiro Kurasawa
義博 倉沢
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】搬送部品として使用した場合、収納する電気電
子部品を汚染する畏れの無い様に、トータルアウトガス
が低減され、且つ、揮発性塩素化合物を実質的に含有し
ないポリカーボネート樹脂を提供する。 【解決手段】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導
入し得る化合物との反応により製造され、ヘッドスペー
スガスクロマトグラフィーを用いて100℃×30分の
条件で測定したトータルアウトガス量が3ppm以下で
あり、且つ、該条件下での揮発性塩素化合物を実質含有
しないことを特徴とする電気電子部品搬送用部品製造用
ポリカーボネート樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気電子部品搬送
用部品の材料として最適な、揮発分の低減されたポリカ
ーボネート樹脂に関する。くわしくは、トータルアウト
ガスが少なくかつ、揮発性塩素化合物を実質的に含有し
ない、電気電子部品搬送用部品製造用ポリカーボネー
ト、並びに該樹脂から成形された電気電子部品搬送用部
品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透
明性等に優れた樹脂として多くの分野で幅広く用いられ
ており、特に近年では、シリコンウエハーやハードディ
スク、磁気ヘッド、ICチップ等の精密電気製品や電子
機器の部品の収納や搬送用容器に採用されるケースが増
えてきている。ところが、こういった精密電気電子部品
はその高性能化に伴い、汚染を極端に嫌うようになって
きている。そのため、これらの電気電子部品の搬送用容
器から発生する様々な有機物(アウトガス)が、収納さ
れている電気電子部品に付着、汚染することを避けるた
め、搬送用部品にも低汚染性が求められるようになって
きている。通常、ポリカーボネート樹脂製の搬送用部品
からは、ポリカーボネートの重合に用いた溶媒や、ポリ
カーボネートの低分子量体、ポリカーボネートの分解物
等の様々な有機物が発生し、電気電子部品に悪影響を及
ぼす。中でも、塩素系の化合物は影響度が大きく、この
為、残存塩素を減らす試みがなされている。例えば、特
開平10−211686号には塩素イオンを低減したポ
リカーボネートを用いた精密部材用収納容器に関する記
載が、特開2000−63505号には、塩素原子を1
0ppm以下、且つ、フェノール化合物を100ppm
以下に低減した搬送容器用ポリカーボネートに関する記
載が開示されている。
【0003】しかしながら、どちらの場合にも塩素化合
物は充分低減されているとはいえない。上記公知技術で
採用されている界面法によるポリカーボネート製造法で
は、塩素系溶媒のジクロロメタンを用いたり、重合成分
に塩素化合物のホスゲンを用いており、これらに由来す
る塩素化合物が充分除去されていないためである。これ
を改良する為に、重合後に他の溶媒で洗浄する方法も提
案されているが、逆に、洗浄に用いた溶媒が残ってしま
い電気電子部品に悪影響を与えるおそれがある。更に
は、これらの文献には塩素等の特定物質を低減すること
が記載されているが、その他の有機物質全般の量は考慮
されてはいない。実際には、どんな有機物が電気電子部
品に悪影響を及ぼすか定かではなく、塩素化合物は勿論
のこと、トータルでのアウトガスを低減させることが求
められている。
【0004】一方、塩素系有機溶媒やホスゲンを用いな
い、いわゆる「溶融法」によるポリカーボネートでは、
塩素系化合物は少ないことが期待される。しかしなが
ら、この方法で得られるポリカーボネートには、低分子
量のポリカーボネートが多く残存したり、ポリカーボネ
ート自体の耐熱性の低さから、分解物が多く発生したり
する問題があり、近年の電気電子部品搬送用部品に要求
される厳しいスペックを満足するものでは無かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況の下、本発
明は、トータルアウトガスを低減し、かつ揮発性塩素化
合物を実質含まない、電気電子部品搬送用部品製造用の
ポリカーボネートを提供すること及びかかるポリカーボ
ネート樹脂を成形してなる電気電子搬送用部品を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、特定の製法によりト
ータルアウトガスが大幅に低減され、かつ揮発性塩素化
合物を実質含まないレベルのポリカーボネートが得ら
れ、電気電子部品搬送用に好適であることを見出し本発
明を完成するに至った。すなわち本発明の要旨は、芳香
族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導入し得る化合物と
の反応により製造され、ヘッドスペースガスクロマトグ
ラフィーを用いて100℃×30分の条件で測定したト
ータルアウトガス量が3ppm以下であり、かつ、揮発
性塩素化合物を実質含まないことを特徴とする電気電子
部品搬送用部品製造用ポリカーボネート樹脂及びかかる
ポリカーボネート樹脂を成形して得られた電気電子部品
搬送用部品に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明のポリカーボネート樹脂は、電気電子部
品搬送用部品の製造に用いられる。本発明において、電
気電子部品搬送用部品とは、例えば、ICチップのトレ
ーやIC部品ボックス、ウエハーのトレーやケース、回
路基盤の収納ボックスやトレー、ハードディスク、C
D、DVD、MO等の光や磁気による記録媒体の基盤、
ハウジング、ヘッド等の部品のトレーや収納箱等の如
く、搬送(保管等の場合を含む)のために電気電子部品
を収納する部品を意味する。
【0008】本発明のポリカーボネート樹脂は、ヘッド
スペースガスクロマトグラフィーを用いて100℃×3
0分の条件で測定したトータルアウトガス量が3ppm
以下であることを必要とする。、従来の搬送用部品によ
る電気電子部品の汚染の原因と考えられている、ポリカ
ーボネート樹脂重合時の溶媒や原料の分解物に由来する
メチレンクロライド、ヘプタン、フェノール、トルエ
ン、アルキルフェノール、スチレン等は、100℃×3
0分の加熱により放出されると考えられ、かかる条件で
測定したアウトガスが3ppm以下という、本発明のポ
リカーボネートは汚染物質が極めて少ないものである。
アウトガス量は、好ましくは2ppm以下、とりわけ好
ましくは1ppm以下である。該条件下で測定したトー
タルアウトガス量が3ppmを越えると、被搬送物であ
る電気電子部品を汚染し、作動不良等の不具合を招く畏
れがあり好ましくない。
【0009】ヘッドスペースガスクロマトグラフィーを
用いて測定するには、ヘッドスペース部分を100℃に
設定し、試料管に試料を導入して30分放置し、発生し
た揮発物を吸着する。次いでこの吸着された揮発性物質
をガスクロマトグラフィーに導入し、クロマトグラムを
得る。ここで、別途測定、作成しておいたヘプタンの検
量線をベースに、試料から発生した揮発物の定量を行
う。また、揮発物の定性については、ガスクロマトグラ
フィーにおいて保持時間が既知の場合はその保持時間か
ら、その他の場合は質量分析により行うことができる。
【0010】本発明のポリカーボネート樹脂は、実質的
に揮発性塩素化合物を含まない。揮発性塩素化合物を含
むと、被搬送物である電気電子部品を汚染し、作動不良
等の不具合を招き好ましくない。ここで、揮発性塩素化
合物は、ヘッドスペースクロマトグラフィーを用いて上
記方法により測定することができ、「実質的に含まな
い」とは、かかる測定装置の検出限界以下の量であり、
検出が不可能なことを意味する。
【0011】本発明のポリカーボネート樹脂は、粘度平
均分子量が12000〜40000であることが好まし
く、特に好ましくは14000〜35000、とりわけ
好ましくは15000〜32000である。粘度平均分
子量が12000未満であると機械強度が低下し、40
000を超えると成形性が低下するため好ましくない。
なお、粘度平均分子量の測定法は、後述の実施例で採用
した方法に準ずる。
【0012】ポリカーボネート樹脂の原料としては、芳
香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を導入し得る化合物
を用い、公知の方法である、界面重縮合法、エステル交
換法等により製造できる。このうち、炭酸結合を導入し
得る化合物として、炭酸ジエステルを用い、エステル交
換法で製造することが好ましい。炭酸ジエステルは、下
記の式(IV)で表される。
【0013】
【化4】
【0014】(式(IV)中、A及びA’は同一であっ
ても異なっていてもよく、置換されていても良い炭素数
1〜18の脂肪族炭化水素基あるいは芳香族炭化水素基
を示す。)。上記式(IV)で表される炭酸ジエステル
は、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカー
ボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネ
ート等のジアリールカーボネートが例示される。好まし
くはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネ
ートであり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。
これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を混
合して用いてもよい。また、上記のような炭酸ジエステ
ルと共に、好ましくは50モル%以下、さらに好ましく
は30モル%以下の量でジカルボン酸、あるいはジカル
ボン酸エステルを使用してもよい。このようなジカルボ
ン酸あるいはジカルボン酸エステルとしては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフ
タル酸ジフェニルなどが用いられる。このようなカルボ
ン酸、あるいはカルボン酸エステルを炭酸ジエステルと
併用した場合には、ポリエステルカーボネートが得られ
る。
【0015】もう一つの原料である芳香族ジヒドロキシ
化合物は、式(V)で示される。
【0016】
【化5】
【0017】(式(V)中、Bはハロゲン置換されても
良い炭素数1〜15の炭化水素基、O、S、CO、SO
及びSO2より選ばれる2価の基を示す。Xはそれぞれ
同一または異なるものであって、ハロゲン原子、ニトロ
基、置換されていても良い炭素数1〜14の脂肪族炭化
水素基、置換されていてもよい炭素数6〜18の芳香族
炭化水素基、炭素数1〜8のアルキルオキシ基および炭
素数6〜18のアリールオキシ基を示す。pは0〜4の
整数であり、sは0または1である。)。
【0018】上記式(V)で表される芳香族ジヒドロキ
シ化合物は例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチル
フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−
(3,5−ジフェニル)フェニル]プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジ
フェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフ
ェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジ
エトキシジフェニルエーテルなどが例示される。これら
の中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パンが好ましい。また、これらの芳香族ジヒドロキシ化
合物は単独で、あるいは2種以上を混合して用いること
ができ、必要に応じて共重合体とすることもできる。
【0019】炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合
物との混合比率は、所望する芳香族ポリカーボネートの
分子量と末端ヒドロキシ基量により決められる。末端ヒ
ドロキシ基量は製品ポリカーボネートの熱安定性やアウ
トガス量、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼ
し、実用的な物性を持たせるためには1,000ppm
以下であり、800ppm以下が好ましく、700pp
m以下が特に好ましい。また、エステル交換法で製造す
るポリカーボネートでは、末端ヒドロキシ基量が少なく
なりすぎると、分子量が上がらず色調も悪くなるので、
末端ヒドロキシ基量は100ppm以上とし、200p
pm以上が好ましく、300ppm以上が特に好まし
い。従って、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して
炭酸ジエステルを等モル量以上用いるのが一般的であ
り、通常、1.01〜1.30モル、好ましくは1.0
1〜1.20モルの量で用いるのが望ましい。
【0020】エステル交換法により芳香族ポリカーボネ
ートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用さ
れる。エステル交換触媒としては特に制限はないが、主
として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金
属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、
塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいは
アミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可
能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、
2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合
物1モルに対して、1×10-9〜1×10-3モルの範
囲から選ばれる。特にアルカリ金属化合物、アルカリ土
類化合物では、通常、芳香族ジヒドロキシ化合物1モル
に対して1×10-9〜1×10-4モル、好ましくは1
×10-8〜1×10-5モルの範囲で用いられる。塩基
性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウ
ム化合物或いはアミン系化合物等の塩基性化合物では、
芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10-9
〜1×10-3、好ましくは1×10-7〜1×10-4
モルの範囲で用いられる。触媒量がこれらの量より少な
ければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量のポリカー
ボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、こ
の量より多い場合は、後述の環状オリゴマー量の増加、
ひいてはアウトガスの増加、ポリマー色相の悪化、耐熱
性の低下、耐加水分解性の低下や、ゲルの発生による異
物量の増大等が発生し好ましくない。
【0022】アルカリ金属化合物としては、リチウム、
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸水素塩、フェ
ニルリン酸塩等の無機アルカリ金属化合物や、ステアリ
ン酸、安息香酸等の有機酸類、メタノール、エタノール
等のアルコール類,石炭酸、ビスフェノールA等のフェ
ノール類との塩などの有機アルカリ金属化合物等が挙げ
られる。
【0023】アルカリ土類金属化合物としては、ベリリ
ウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バ
リウムの水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩等の無
機アルカリ土類金属化合物や、有機酸類、アルコール
類、フェノール類との塩などの有機アルカリ土類金属化
合物などが挙げられる。
【0024】塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素、等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩、或いはストロンチウム塩等が挙げ
られる。
【0025】塩基性リン化合物としては、例えば、トリ
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、
あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0026】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロ
キシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメ
チルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルア
ンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニ
ウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒ
ドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキ
シド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベン
ジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルト
リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェ
ニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
【0027】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリンなどが挙げられる。これらの触媒のうち、実用的
にはアルカリ金属化合物、塩基性アンモニウム化合物、
塩基性リン化合物が望ましく特にアルカリ金属化合物が
好ましい。
【0028】重合反応は、炭酸ジエステルと芳香族ジヒ
ドロキシ化合物とを用い、通常は上記エステル交換触媒
を用いて、粘度平均分子量が12000〜40000、
好ましくは14000〜35000、とりわけ好ましく
は15000〜32000となるように実施される。粘
度平均分子量が12000未満であると機械強度が低下
し、40000を超えると成形性が低下するため好まし
くない。
【0029】電気電子部品搬送用部品の製造に適した本
発明のポリカーボネート樹脂を得るためには、ポリカー
ボネート中に含まれるオリゴマー量を制御することが重
要である。すなわち、下記式(I)で示される環状オリ
ゴマーの含有量を1000ppm以下とすることが必要
である。
【0030】
【化6】
【0031】(式(I)中、Bはハロゲン置換されても
良い炭素数1〜15の炭化水素基、O、S、CO、SO
及びSO2より選ばれる2価の基を示す。Xはそれぞれ
同一または異なるものであって、ハロゲン原子、ニトロ
基、置換されていても良い炭素数1〜14の脂肪族炭化
水素基、置換されていても良い炭素数6〜18の芳香族
炭化水素基、炭素数1〜8のアルキルオキシ基又は炭素
数6〜18のアリールオキシ基を示す。mは2〜8の整
数を、pは0〜4の整数を、sは0または1を示
す。)。環状オリゴマーは単一種とは限らず、式(I)
に包含される各種環状オリゴマー混合物の含量の総和が
1000ppm以下であることが必要で、好ましくは7
00ppm以下、さらに好ましくは450ppm以下で
ある。環状オリゴマー量が1000ppmを超えると、
着色し、耐熱性、耐加水分解性等が低下する他、熱安定
性が低下しポリカーボネートの分解、ひいてはアウトガ
スの増加を招き好ましくない。この理由は必ずしも明確
ではないが、環状オリゴマーが反応性に富み、高温下で
着色成分を生成したり、分解を促したりし易いためと推
測している。
【0032】また環状オリゴマーが1000ppm以下
であっても、環状オリゴマー量の割合が、特定の直鎖状
オリゴマーを含めたオリゴマー総量に対して特定値以上
の場合、物性に悪影響を与える。従って式(I)の環状
オリゴマーと、下記式(II)及び式(III)で表さ
れるオリゴマーの含有量と粘度平均分子量が下記関係式
(1)を満たさなければならない。
【0033】
【化7】
【0034】(式(II)中、A、A’はそれぞれ同一
または異なって、置換されていても良い炭素数1〜18
の脂肪族炭化水素基又は置換されていても良い炭素数6
〜18の芳香族炭化水素基を示す。nは1〜7の整数を
示し、B、X、p及びsは式(I)と同一の意義を有
す。)
【0035】
【化8】
【0036】(式(III)中、A”は置換されていて
も良い炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は置換され
ていても良い炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を示
す。n’は1〜7の整数を示し、B、X、p及びsは式
(I)と同一の意義を有す。)
【0037】
【数2】 0<[I]/([I]+[II]+[III])×100<3.6×10-8× (Mv) (1)
【0038】(式(1)中、[I],[II],[II
I]はそれぞれ、各オリゴマーの重量を示し、Mvはポ
リカーボネートの粘度平均分子量を示す。)。これらの
オリゴマーは、ポリカーボネート製造中に生成する成分
であると考えられ、従って、式(I)、(II)、(I
II)において、X、B、p及びsはポリカーボネート
製造で使用された芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する
ものであり、また、末端基A、A’及びA”は、炭酸結
合を導入し得る化合物、例えば(IV)の炭酸ジエステ
ルの末端基、又は用いた末端停止剤に由来するものであ
る。
【0039】環状オリゴマーは反応性が高いため100
0ppmを越えると物性に悪影響を与えるが、1000
ppm以下でも物性に悪影響を与えることがある。それ
は環状オリゴマー量の割合が、特定の直鎖状オリゴマー
量に対して計算される値よりも多い時であり、式(1)
でその値は計算される。物性の悪くなる理由は1000
ppmより多いときと同様に、環状オリゴマーの反応性
が高いからと思われる。
【0040】環状オリゴマーの生成機構は定かではない
が、ポリマー製造時の熱履歴、触媒種・量の影響、ポリ
マー製造途中でのモノマーや副生する芳香族ヒドロキシ
化合物の濃度等の影響で生成量は変化する。ある分子鎖
が環状体になるには、自分自身の末端基同士が反応する
必要がある。しかしこれは通常起こりにくいため、一般
に重合初期には隣接した分子間の末端基同士が反応す
る。しかし重合が進行し、系内に特定の末端基ばかりが
多くなると分子間の反応が低減し、分子内の反応が起こ
りやすくなるものと考えられる。特に末端水酸基が少な
い状態で、高温に保つと環状オリゴマーが出来やすくな
る。従って製造途中においては、末端水酸基の割合を極
端に低下させないようにすることが好ましい。具体的に
は、250℃以上、特には260℃以上で反応させ、分
子量を5%以上増加させる最終段の重合工程において、
当該反応で用いる重合装置入り口の末端水酸基の割合を
100ppm以上で重合することが好ましく、200p
pm以上で重合することがさらに好ましい。また触媒に
ついてはその量が多くなると、カーボネート結合が活性
化され易くなり、通常では起こりにくいカーボネート末
端同士の反応が起こり、環状オリゴマーも出来やすくな
るものと考えられる。さらにまた、環状オリゴマー生成
の活性化エネルギーは高いので、温度が高くなるほど急
激に生成するようになるので、重合は320℃以下、好
ましくは310℃以下で行うと良い。
【0041】環状オリゴマーの含有量を低減させるだけ
の目的であれば、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、ア
セトン等のポリカーボネートを溶解する力が弱い溶媒で
抽出処理することもできる。しかし、抽出操作による環
状オリゴマー含有量の低減では他のオリゴマー量も低減
し、オリゴマー中の環状オリゴマー量の割合は大きく変
わらないばかりか、抽出操作に用いた溶剤が残存してし
まい、ポリカーボネート樹脂のトータルアウトガスが増
加し、電気電子部品に悪影響を与えてしまい好ましくな
い。従って、上記の如き重合条件を選択することによ
り、オリゴマー量を制御することが好ましい。
【0042】式(I)、(II)、(III)で表され
るオリゴマーの含有量の測定は、例えばゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマ
トグラフィー(HPLC)、マススペクトル、NMR等
を用いて測定すること出来る。しかし、一般に高分子量
部と低分子量部を分取する必要があるので、MALDI
−TOFMS等の測定器を使用し、高分子量部から低分
子量部までを一括して測定することが好ましい。
【0043】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルのエステル交換反応は、100〜320℃の温度で、
常圧または減圧下、芳香族ヒドロキシ化合物等の副生成
物を除去しながら溶融重縮合反応で行うことが好まし
い。反応は通常、温度、圧力条件を変化させた2段以上
の多段工程で実施される。各段階の反応温度は、上記範
囲内で重合物が溶融状態にあれば特に制限はなく、また
反応時間も、反応の進行の程度により適宜定められる
が、0.1〜10時間であることが好ましい。これらの
条件はポリマーの分子量、色相および環状オリゴマー含
有量の観点から決定される。具体的には、第1段目の反
応は常圧あるいは減圧下で140〜260℃、好ましく
は180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましく
は0.5〜3時間反応させる。ついで反応系の減圧度を
上げながら反応温度を高め、最終的には2mmHg(2
67Pa)以下の減圧下、240〜320℃の温度で重
縮合反応を行う。これら各反応槽の条件は可能な限り変
動しないように制御するほうが、環状オリゴマー量を抑
制できる。溶融重縮合は、バッチ式または連続的におこ
なうことができるが、製品の安定性等を考慮すると連続
式で行うことが好ましい。
【0044】使用する装置は、槽型、管型或いは塔型の
いずれの形式であっても良く、各種の攪拌翼を具備した
竪型重合槽、横型1軸または/及び横型2軸タイプの重
合槽等を使用することができる。装置昇温中の雰囲気は
特に制限はないが、重合物の品質の観点から、窒素ガス
等の不活性ガス中、常圧または減圧下で行われるのが好
ましい。重合終了後、製造された芳香族ポリカーボネー
トは通常、ペレットとして回収されるが、その際、樹脂
中に残存するモノマーや副生物等の低分子量成分を除去
するためベント式押出機を通すことも可能である。
【0045】このようにして得られた芳香族ポリカーボ
ネートは、通常の耐熱安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、
着色剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング
剤、滑剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系
充填剤、無機系充填剤などの添加剤を添加してもよい。
このような添加剤は、溶融状態にある樹脂に添加するこ
ともできるし、また一旦ペレット化された樹脂を再溶融
して添加することもできる。しかし、本発明で規定する
条件でのアウトガス及び揮発性塩素化合物の量に影響を
与える添加剤の使用は避けなければならない。
【0046】製造工程において通常最も温度が高くなる
押出機条件は、環状オリゴマーの発生を低く抑えるため
に、温和な条件とすべきである。エステル交換触媒が活
性な状態で高温にすると、環状オリゴマーが生成するの
で、適当な失活剤を用いて触媒を失活することが好まし
い。
【0047】触媒、特にアルカリ金属化合物触媒を用い
た場合には、ポリカーボネート中の触媒を中和するため
に、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘
導体を使用することが好ましく、その量は触媒金属に対
して0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量である。
すなわち通常1〜100ppm、好ましくは1〜20p
pm添加する。
【0048】イオウ含有酸性化合物またはそれより形成
される誘導体の例としては、例えばスルホン酸、スルフ
ィン酸、硫酸またはそれらのエステルであり、具体的に
はジメチル硫酸、ジエチル硫酸、p−トルエンスルホン
酸、そのメチル、エチル、ブチル、オクチル及びフェニ
ルエステル類、ベンゼンスルホン酸、そのメチル、エチ
ル、ブチル、オクチル、フェニル及びトシルエステル
類、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸、ナ
フタレンスルホン酸等が挙げられる。これらの化合物の
内、p−トルエンスルホン酸のエステルまたはベンゼン
スルホン酸のエステルが好ましく、これらの化合物を2
種以上使用しても良い。イオウ含有酸性化合物またはそ
れより形成される誘導体のポリカーボネートへの添加方
法は、任意の方法により行うことができる。例えばイオ
ウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を直
接もしくは希釈剤で希釈して、溶融または固体状態にあ
るポリカーボネートに添加し、分散させることができ
る。具体的には重縮合反応器中、反応器からの移送ライ
ン中、押し出し機中に供給して混合することができる。
また、ミキサー等でペレット、フレーク、粉末等と混合
後、押し出し機に供給して混練することもできる。また
押し出し機でベントによる減圧処理を行う場合、もしく
は水や添加剤を添加する場合は、これらの添加および処
理は、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される
誘導体と同時に行っても良いが、イオウ含有酸性化合物
またはそれより形成される誘導体を最初に添加混練すこ
とが好ましい。
【0049】本発明に係わるポリカーボネート樹脂を用
いて電気電子搬送用部品を成形するには、射出成形や押
し出し成形、真空成形等の種々の成形法を用いることが
でき、特に限定されるものではない。ここで、アウトガ
スの少ない成形品を得るためには、成形条件にも留意す
る必要がある。射出成形機や押し出し成形機のシリンダ
ー温度は、250〜350℃であることが好ましく、2
60〜330℃がより好ましく、270〜320℃がと
りわけ好ましい。また、射出成形の場合には、シリンダ
ー中に入っているショット数(=1ショット分の容量に
対する最大射出容量の比)と成形サイクル(分)の積が
20以下であることが好ましく、15以下であることが
より好ましく、10以下であることが最も好ましい。ま
た、ベント付き成形機の使用も成形品中のアウトガスを
低減させる為に好ましい。
【0050】本発明で規定する条件で測定されたアウト
ガス量が3ppm以下で、かつ、揮発性塩素化合物を実
質的に含まないポリカーボネート樹脂を用いて製造され
た搬送用部品から発生する有機物及び塩素系ガスは極め
て少量で、収納する電気電子部品を汚染する畏れが少な
い。特に、電気電子部品の搬送用部品としては、成形品
をペレット状にカットし、ヘッドスペースガスクロマト
グラフィーを用いて100℃×30分の条件で測定した
トータルアウトガス量が3ppm以下で、且つ、該条件
下での揮発性塩素化合物を実質含まないものが好まし
い。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を用いて更
に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、これら実施例に限定されるものではない。なお、以
下の例において、芳香族ポリカーボネートの分析は、以
下の測定法により行った。また、ポリカーボネートの重
合に用いた製造装置のフローシートを図1に示した。 (1)粘度平均分子量 ウベローデ粘度計を用いて塩化メチレン中20℃の極限
粘度[η]を測定し以下の式より求めた。
【0052】
【数3】 [η]=1.23×10-4×(Mv)0.83
【0053】但し、Mvはポリカーボネート樹脂の粘度
平均分子量である。 (2)オリゴマー含有量 MALDI−TOFMS(フィニガンマット社製VIS
ION200;レーザー(N2レーザー・337n
m)、測定質量範囲(m/z・0〜35000))を測
定に使用した。ジクロロメタン10ml中にポリカーボ
ネート0.1mgと内標としてトリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
0.01gとを溶解したポリマー溶液と、テトラヒドロ
フラン1ml中に2,4,6−トリヒドロキシアセトフ
ェノン80mgを溶解したマトリクス溶液を調製し、ポ
リマー溶液とマトリクス溶液を体積比1:1の割合で混
合し、試料溶液として用いた。
【0054】(3)末端水酸基量 四塩化チタン/酢酸法(Macromol Chem.88 215(196
5))により比色定量を行った。
【0055】(4)トータルアウトガス量及び揮発性塩
素化合物 ペレット1.5gを、ヘッドスペース装置(日本分析工
業製、JHS−100A)の試料管にセットし、100
℃×30分放置し、キャリヤーガスにHeを用い揮発物
を吸着管に吸着させた。この吸着された揮発物を、ガス
クロマトグラフィー(横河(株)製、HP 5890
A)に導入し、キャリヤーガスにHeを用い、40℃〜
300℃まで、10℃/分で昇温し、FIDにて検出し
た。得られたガスクロマトグラムと予め作成しておいた
ヘプタンの検量線をベースに、ヘプタン換算の揮発物量
を求めた。
【0056】実施例1 窒素ガス雰囲気下、135℃で、ビスフェノールA(B
PA)とジフェニルカーボネート(DCP)とを一定の
モル比(DPC/BPA=1.045)で溶融混合し、
135℃に加熱した原料導入管を介して常圧、窒素雰囲
気下、205℃に制御した縦型第1攪拌重合槽内に連続
供給し、平均滞留時間が70分になるように槽底部のポ
リマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ
液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供
給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした水酸化
セシウムをビスフェノールA1モルに対し、1×10
-6モルの流量で連続供給した。第1重合槽の槽底より
排出された重合液は、引き続き第2、3、4の縦型重合
槽並びに横型第5重合槽に逐次連続供給された。反応の
間、各槽の平均滞留時間が下記表−1に示す所定の時間
になるように液面レベルを制御し、また同時に副生する
フェノールの留去も行った。縦型第2重合槽より横型第
5重合槽での、各反応槽の重合条件および末端水酸基量
等を表−1に示した。
【0057】次いで、50kg/Hrの製造速度で連続
して得られるポリカーボネートを、溶融状態のまま、混
練部に内部温度測定用の温度計を設置し、3段ベント口
を具備した2軸押し機(神戸製鋼所(株)製、スクリュ
ー径0.046m、L/D=36)に導入し、触媒を中
和するためp−トルエンスルホン酸ブチルを5ppm添
加し、水添、脱揮した後、ペレット化した。押し出し機
条件は、吐出量=50kg/hr、回転数=150rp
m、最高樹脂温度=278℃であった。得られたポリカ
ーボネートの粘度平均分子量は22000であり、環状
オリゴマー量は400ppm、オリゴマー中の環状オリ
ゴマー量の割合は13.7%で、式(1)を満たした。
又、トータルアウトガスは0.5ppmと少なく、揮発
性塩素化合物は検出されなかった。評価結果を表−1に
示した。
【0058】実施例2 実施例1の触媒を水酸化ナトリウムに変更し、表−1に
示すように重合条件等を変更した以外は、実施例1とほ
ぼ同様に製造を行ってポリカーボネートを得た。評価結
果を表−1に示した。
【0059】実施例3 実施例1の触媒を炭酸セシウムに変更し、横型重合槽を
用いず、表−1に示す重合条件に変更した以外は、実施
例1とほぼ同様に製造を行ってポリカーボネートを得
た。評価結果を表−1に示した。
【0060】比較例1 実施例1において、触媒量を5×10-6モルに変更
し、等しい分子量を得るために表−1に示すように重合
条件等を変更した以外は、実施例1とほぼ同様に製造を
行ってポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネ
ートの粘度平均分子量は22000であり、環状オリゴ
マー量は610ppmであったが、オリゴマー中の環状
オリゴマー量の割合は19.5%と多く、式(1)を満
たすものではなかった。又、トータルアウトガスは4.
4ppmと多かった。
【0061】比較例2 実施例2において、押出機条件を表−1に示すように変
更した以外は、実施例2とほぼ同様に製造を行ってポリ
カーボネートを得た。得られたポリカーボネートの粘度
平均分子量は21700であり、環状オリゴマー量は1
200ppmと多く、式(1)で計算される環状オリゴ
マー量の割合も18.3%と多く、式(1)を満たすも
のではなかった。又、トータルアウトガスは4.8pp
mと多かった。
【0062】比較例3 水酸化ナトリウム3.7kgを水42Lに溶解し、20
℃に保ちながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン7kg、ハイドロサルフィド15gを溶解
した。これにメチレンクロライド30Lを加えて攪拌し
つつ、p−t−ブチルフェノール148gを加え、次い
でホスゲン3.5kgを60分で吹き込んだ。ホスゲン
吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、乳
化後、8mLのトリエチルアミンを加え約1時間攪拌を
続け重合させた。重合液を水相と有機相に分離し、有機
相をリン酸で中和した後、洗液のpHが中性となるまで
洗浄を繰り返した後、イソプロパノールを35L加えて
重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過した後、120℃で
7時間乾燥することにより、白色粉末状のポリカーボネ
ートを得た。
【0063】得られたポリカーボネート粉末を、40m
m単軸押出機を用いて、シリンダー温度280℃で押し
出し、ペレット化した。得られたペレットの粘度平均分
子量は22000であり、環状オリゴマー量は1400
ppmと多く、環状オリゴマー量の割合も30.4%と
多く、式(1)を満たさなかった。又、トータルアウト
ガスは、1.7ppmであり、揮発性塩素化合物として
メチレンクロライドが0.2ppm検出された。
【0064】比較例4 水酸化ナトリウム3.7kgを水42Lに溶解し、20
℃に保ちながら、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン7kg、ハイドロサルフィド15gを溶解
した。これにメチレンクロライド30Lを加えて攪拌し
つつ、p−t−ブチルフェノール148gを加え、次い
でホスゲン3.5kgを60分で吹き込んだ。ホスゲン
吹き込み終了後、激しく攪拌して反応液を乳化させ、乳
化後、8mLのトリエチルアミンを加え約1時間攪拌を
続け重合させた。重合液を水相と有機相に分離し、有機
相をリン酸で中和した後、洗液のpHが中性となるまで
洗浄を繰り返した後、イソプロパノールを35L加えて
重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過した後、沈殿物をヘ
プタン35Lで洗浄し、濾過した。その後、120℃で
7時間乾燥することにより、白色粉末状のポリカーボネ
ートを得た。得られたポリカーボネート粉末を、40m
m単軸押出機を用いて、シリンダー温度280℃で押し
出し、ペレット化した。得られたペレットの粘度平均分
子量は22000であり、環状オリゴマー量は1300
ppmであった。環状オリゴマー量の割合は29.5%
と多く、式(1)を満たさなかった。又、揮発性塩素化
合物は検出されなかったが、トータルアウトガスは5.
3ppmと多く、その主成分はヘプタンであった。
【0065】実施例4 実施例1で得たポリカーボネートを用いて、型締め力3
50Tの射出成形機にて、シリンダー温度290℃、金
型温度80℃の条件でハードディスクの搬送・収納容器
を成形した。得られた成形品をペレット状に切り出し、
実施例1と同様にアウトガスの測定を行った。トータル
アウトガスは0.8ppmで、揮発性塩素化合物は検出
されなかった。次いで得られた容器の中にハードディス
ク基盤を収納し、23℃×168時間放置後、ハードデ
ィスク基盤を取り出し、基盤の表面をアセトンにて洗浄
し、回収したアセトン洗浄液をガスクロマトグラフィー
にて測定したところ、有機物は検出されなかった。この
ことから、ハードディスク基盤表面は汚染されておらず
正常であり、本容器は、搬送・収納容器として好適であ
ると判断された。
【0066】比較例5 比較例1で得たポリカーボネートを用いて、型締め力3
50Tの射出成形機にて、シリンダー温度290℃、金
型温度80℃の条件でハードディスクの搬送・収納容器
を成形した。得られた成形品をペレット状に切り出し、
実施例1と同様にアウトガスの測定を行った。トータル
アウトガスは8.7ppmと多く、揮発性塩素化合物は
検出されなかった。
【0067】次いで、得られた容器の中にハードディス
ク基盤を収納し、23℃×168時間放置後、ハードデ
ィスク基盤を取り出し、ハードディスク基盤の表面をア
セトンにて洗浄し、回収したアセトン洗浄液をガスクロ
マトグラフィーにて測定したところ、フェノールが0.
2ppm検出された。このことからハードディスク基盤
表面が汚染されており、本容器は搬送・収納容器として
は不適であった。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
は、低分子の有機化合物に由来するアウトガスが極めて
少なく、また、揮発性塩素化合物を実質的に含有しない
ため、汚染を嫌う精密電気電子部品の搬送用部品製造に
最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリカーボネートを得るための製造方
法の1例を示すフローシート。
【符号の説明】
1.原料混合槽 2.縦型重合槽 3.攪拌翼 4.副
生物排出管 5.横型重合槽 6.攪拌翼 7.触媒導
入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA50 AH12 BA01 BC07 4J029 AA09 AB02 AD01 AE01 BB12A BB12B BB13A BB13B BF13 BF14A BF14B BG07X BG08X BH04 DB07 DB11 DB13 HC03 HC04A HC05A HC05B JA091 JA121 JB171 JC091 JC411 JC731 JF031 JF041 JF051 JF121 JF131 JF141 JF151 JF161 KB02 KC01 KC06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を
    導入し得る化合物との反応により製造され、ヘッドスペ
    ースガスクロマトグラフィーを用いて100℃×30分
    の条件で測定したトータルアウトガス量が3ppm以下
    であり、かつ、該条件下での揮発性塩素化合物を実質含
    まないことを特徴とする電気電子部品搬送用部品製造用
    ポリカーボネート樹脂。
  2. 【請求項2】 粘度平均分子量が12000〜4000
    0であることを特徴とする請求項1記載の電気電子部品
    搬送用部品製造用ポリカーボネート樹脂。
  3. 【請求項3】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸結合を
    導入し得る化合物との反応により製造され、下記式
    (I)で表される環状オリゴマーの含有量が1000p
    pm以下であり、式(II)及び式(III)で表され
    るオリゴマーを含有し、かつ、式(I)、式(II)及
    び式(III)で表されるオリゴマーの含有量と、粘度
    平均分子量が下記式(1)の関係を満たすことを特徴と
    する請求項1又は2に記載の電気電子部品搬送用部品製
    造用ポリカーボネート樹脂。 【化1】 (式(I)中、Bはハロゲン置換されていても良い炭素
    数1〜15の炭化水素基、O、S、CO、SO及びSO
    2より選ばれる2価の基を示す。Xはそれぞれ同一また
    は異なるものであって、ハロゲン原子、ニトロ基、置換
    されていても良い炭素数1〜14の脂肪族炭化水素基、
    置換されていても良い炭素数6〜18の芳香族炭化水素
    基、炭素数1〜8のアルキルオキシ基又は炭素数6〜1
    8のアリールオキシ基を示す。mは2〜8の整数を、p
    は0〜4の整数を、sは0または1を示す。) 【化2】 (式(II)中、A、A’は、それぞれ同一または異な
    って、置換されていても良い炭素数1〜18の脂肪族炭
    化水素基又は置換されていても良い炭素数6〜18の芳
    香族炭化水素基を示す。nは1〜7の整数を示し、B、
    X、p及びsは式(I)と同一の意義を有す。) 【化3】 (式(III)中、A”は、それぞれ同一または異なっ
    て、置換されていても良い炭素数1〜18の脂肪族炭化
    水素基又は置換されていても良い炭素数6〜18の芳香
    族炭化水素基を示す。n’は1〜7の整数を示し、B、
    X、p及びsは式(I)と同一の意義を有す。) 【数1】 0<[I]/([I]+[II]+[III])×100<3.6×10-8 ×(Mv) (1) (式(1)中、[I],[II],[III]はそれぞ
    れ、各オリゴマーの重量を示し、Mvは芳香族ポリカー
    ボネートの粘度平均分子量を示す。)
  4. 【請求項4】 芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエス
    テルとのエステル交換反応により製造されることを特徴
    とする請求項1〜3の何れかに記載の電気電子部品搬送
    用部品製造用ポリカーボネート樹脂。
  5. 【請求項5】 芳香族ジヒドロキシ化合物がビスフェノ
    ールAであり、炭酸ジエステルがジフェニルカーボネー
    トであることを特徴とする請求項4記載の電気電子部品
    搬送用部品製造用ポリカーボネート樹脂。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のポリカー
    ボネート樹脂を成形してなることを特徴とする電気電子
    部品搬送用部品。
  7. 【請求項7】 成形品をペレット状にカットし、ヘッド
    スペースガスクロマトグラフィーを用いて100℃×3
    0分の条件で測定したトータルアウトガス量が3ppm
    以下、かつ、該条件下での揮発性塩素化合物を実質含ま
    ないことを特徴とする請求項5記載の電気電子部品搬送
    用部品。
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