JP2003040688A - 軽量セラミック焼結体 - Google Patents
軽量セラミック焼結体Info
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Abstract
た軽量セラミック焼結体の提供。 【解決手段】 (a)相対密度が70〜95%である焼
結体からなり、(b)その平均結晶粒径が5〜50μm
であり、(c)存在する気孔は実質的に密閉したもので
あって、その平均密閉気孔径が2〜50μmであり、
(d)その密閉気孔断面の短径と長径の比の平均値が
0.60以上である、ことを特徴とする軽量セラミック
焼結体。
Description
プ性、耐食性などにすぐれた軽量セラミック焼結体に関
する。なお、本発明でいう耐熱性とは耐熱衝撃抵抗性だ
けでなく、加熱・冷却の繰り返しに対する耐久性をも意
味する。
体が有する気孔が必ずしも密閉でなく、貫通気孔を多く
含み、機械的特性および耐食性が低く、耐火物としての
用途しか使用できないものであった。また、緻密質から
なる焼結体は機械的特性および耐食性は多孔質焼結体に
比べて高いものの耐熱性に欠けるという問題を有してい
る。
気孔形成剤を添加して、気孔を有効に利用して耐熱性の
向上をねらったものもあるが、気孔径だけでなく、その
気孔径分布ならびに気孔形状までは制御されていないた
め、十分な効果が得られていないのが実状である。
性、耐クリープ性および耐食性にすぐれた軽量セラミッ
ク焼結体を提供することにある。
うな現状を鑑み鋭意研究を重ねた結果、相対密度、結晶
粒径、密閉気孔径およびその形状を制御することにより
すぐれた耐熱性、耐クリープ性および耐食性を有する軽
量セラミック焼結体が得られることを見出した。なお、
一般的に十分に焼結させた場合は、結晶粒子同士がきっ
ちりと隙間なくひっついた状態になるが、十分に焼結さ
せない場合には結晶粒子と結晶粒子との間に隙間(気
孔)ができる。このようにしてできた隙間を利用したの
が、従来タイプの軽量セラミック焼結体であり、当然耐
熱性をはじめとする機械的特性が低い。もう1つの従来
タイプの軽量セラミック焼結体は耐火物であり、粒度の
大きい原料を使用して高温で焼成したものであるため、
結晶粒径がかなり大きく機械的特性が低く、耐食性が低
いなどの欠点がある。これに対して、本発明のものは、
結晶粒子同士をきっちり焼結させ、気孔径および気孔形
状を制御しているため、耐熱性、耐クリープ性および強
度が高く、耐食性にすぐれた軽量セラミック焼結体とす
ることができる。
95%である焼結体からなり、(b)その平均結晶粒径
が5〜50μmであり、(c)存在する気孔は実質的に
密閉したものであって、その平均密閉気孔径が2〜50
μmであり、(d)その密閉気孔断面の短径と長径の比
の平均値が0.60以上である、ことを特徴とする軽量
セラミック焼結体に関する。本発明の第2は、(e)平
均密閉気孔径と密閉気孔径の標準偏差から求められる変
動係数が50%以下である請求項1記載の軽量セラミッ
ク焼結体に関する。本発明の第3は、(f)密閉気孔断
面の短径と長径の比の平均値と密閉気孔断面の標準偏差
とから求められる変動係数が30%以下であることを特
徴とする請求項1または2記載の軽量セラミック焼結体
に関する。
質、マグネシア質、ムライト質、スピネル質、ジルコニ
ア質に適用することが可能である。
・分散スラリーに所定の相対密度および気孔径になるよ
うに気孔形成剤としてのアクリル系樹脂球状粒子や多糖
類球状粒子などの有機質球状粒子のような有機質で丸味
を帯びた粒子を使用することが必要である。この気孔形
成剤をセラミック粉体に添加、混合して成形し、これを
焼成すると、有機質の気孔形成剤は消失し、跡形として
の密閉気孔が残るので、密閉気孔の形状は本質的には気
孔形成剤の形状に基因した形状となり、密閉気孔は丸味
を帯びた形状となる。気孔形状が丸味を帯びていない場
合には、焼結体に応力が負荷されると気孔に応力集中が
おこりやすくなって、耐熱性、耐クリープ性および強度
の低下が起るので好ましくない。また、気孔径および気
孔径分布は気孔形成剤の粒子径に依存するため、使用す
る気孔形成剤は所定の気孔径および気孔径分布になるよ
うに整粒することが必要である。
〜95%であり、より好ましくは75〜90%であるこ
とが必要である。本発明でいう相対密度とは(焼結体か
さ密度/理論密度)×100(%)で算出したものを表
す。相対密度が70%未満の場合は気孔量が多くなり、
各々の気孔がつながって気孔径が大きくなり、強度低
下、耐クリープ性の低下や耐食性の低下をきたすので好
ましくない。また、相対密度が95%を越える場合は耐
熱性の低下をきたすので好ましくない。
5〜50μmであることが必要であり、より好ましくは
10〜40μmである。平均結晶粒径が5μm未満の場
合は、耐熱性が低下するだけでなく、耐食性が低下する
ので好ましくない。一方、50μmを越える場合には耐
熱性が低下するので好ましくない。
熱エッチングを施し、走査電子顕微鏡で観察し、インタ
ーセプト法により10点平均から求める。算出式として
は、
n:長さL当たりの結晶数〕 を用いる。
は2〜50μm、好ましくは5〜30μm、より好まし
くは5〜25μmである。平均密閉気孔径が2μm未満
の場合は気孔形成による耐熱性の向上の効果が少なく、
50μmを越える場合には密閉気孔が連続状態になった
り、強度低下および耐クリープ性の低下をきたすため好
ましくない。
し、走査電子顕微鏡で観察し、気孔部分と気孔でない部
分との二値化像から100個の気孔断面積を測定し、そ
の測定した断面積(S)から下式により等価円直径
(L)に換算し、その等価円直径の平均値(P)を求
め、平均密閉気孔径=1.5×Pとして求める。
面の短径と長径の比(短径/長径)の平均値が0.60
以上、より好ましくは0.65以上であることが必要で
あり、可能な限り1に近い方が好ましい。これらの数値
は、上記の平均密閉気孔径の測定方法と全く同様に焼結
体断面を鏡面仕上げし、走査電子顕微鏡で観察し、二値
化像から100個の気孔の長径と短径を測定し、短径と
長径の比を求め、その平均値を求める。短径と長径の比
が0.60未満の場合は、気孔形状が細長くなり、気孔
の曲率半径が小さくなり、応力集中が起こりやすくなっ
て、耐熱性、耐クリープ性および強度の低下をきたすの
で好ましくない。
ある実施例3の焼結体断面を走査電子顕微鏡で観察し、
その微構造観察写真を図1の(A)に、気孔分布状態
(二値化像)を図1の(B)に示し、本発明の範囲外の
ものである比較例7の焼結体断面を走査電子顕微鏡で観
察し、その微構造観察写真を図2の(A)に、気孔分布
状態(二値化像)を図2の(B)に示す。
と密閉気孔径の標準偏差から求められる変動係数が50
%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%
以下であることが望ましく、0%に近いほど好ましい。
変動係数とは下記により求められる係数であり、変動係
数が大きいということは密閉気孔径分布が広いことを意
味する。
気孔径)×100(%) 本発明の軽量セラミック焼結体は、密閉気孔径分布を狭
くすることにより、加わる負荷応力を分散させる効果が
あるが、変動係数が50%を越えると密閉気孔径の分布
が広くなり、負荷応力に対し、気孔に応力集中が起きや
すくなり、耐熱性、耐クリープ性および強度の低下が起
こるので好ましくない。
短径と長径の比の平均値と密閉気孔断面の標準偏差とか
ら求められる変動係数が30%以下、より好ましくは2
5%以下であることが望ましく、0%に近いほど好まし
い。密閉気孔の短径と長径の比の変動係数が30%を越
えると密閉気孔形状が扁平した形状の気孔が多く存在
し、扁平形状を有する気孔に応力集中が起きやすくなっ
て耐熱性、耐クリープ性および強度の低下が起こるので
好ましくない。
法で作製できるが、その一例を以下に示す。所望の組成
になるようにアルミナ、マグネシア、ムライト、スピネ
ルおよびジルコニアから選ばれた原料粉末を配合し、溶
媒として水または有機溶媒を用いて、ポットミル、アト
リッションミル等の粉砕機により粉砕・分散・混合す
る。なお、原料粉末は純度が99%以上、平均粒子径が
2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.
5μm以下である。平均粒子径が2μmを越える場合に
は、焼結体内部に欠陥が多く存在するため、耐熱性をは
じめとする機械的特性の低下をきたすので好ましくな
い。得られた混合粉体の平均粒子径は1.5μm以下、
より好ましくは1.0μm以下である。平均粒子径がこ
れらの範囲外の場合には成形性の低下や得られた焼結体
に欠陥が多く存在するだけでなく、本発明の微構造を有
した焼結体が得られず、耐熱性が低下するだけでなく、
その他の機械的特性および耐食性の低下が起こるので好
ましくない。
成形、ラバープレス成形等の方法を採用する場合には、
混合粉体の分散スラリーに必要により公知の成形助剤
(例えばワックスエマルジョン、PVA、アクリル系樹
脂等)を加え、さらに気孔形成剤としてアクリル系球状
粒子または多糖類球状粒子を所定の相対密度になるよう
に添加し、スプレードライヤー等の公知の方法で乾燥さ
せて成形粉体を作製し、これを用いて成形する。また、
鋳込成形法を採用する場合には、混合粉体の分散スラリ
ーに必要により公知のバインダー(例えばワックスエマ
ルジョン、アクリル系樹脂等)を加え、さらに気孔形成
剤としてアクリル系球状粒子または多糖類球状粒子を所
定の相対密度になるように添加し、石膏型あるいは樹脂
型を用いて排泥鋳込、充填鋳込、加圧鋳込法により成形
する。なお、添加する気孔形成剤は所定の気孔径および
気孔分布になるように整粒することが必要である。さら
に、押出成形法を採用する場合には、混合粉体の分散し
たスラリーに気孔形成剤としてアクリル系球状粒子また
は多糖類球状粒子を所定の相対密度になるように添加
し、乾燥、整粒し、混合機を用いて水、バインダー(例
えばメチルセルロース等)を混合して坏土を作製し、押
出成形する。
0〜1800℃、より好ましくは1600〜1750℃
で焼成することによって焼結体を得る。
本発明はこれにより何ら限定されるものでない。
末と溶媒に水を用いてポットミルで粉砕・分散・混合
し、スラリーを作製した。気孔形成剤としてはアクリル
系樹脂球状粒子、多糖類球状粒子またはセルロースパウ
ダーを表1に示すような量で添加、混合した。得られた
スラリーにPVA等のバインダーを添加し、スプレード
ライヤー乾燥を施して成形用粉体とした。得られた成形
用粉体を金型を用いて1tonf/cm2の圧力でプレ
ス成形し、1450〜2200℃で焼成して、150m
m角で厚さ5mmの板を作製した。得られた実施例1〜
8、比較例1〜8の板状セッターの焼結体特性を表1〜
2に示す。
孔質焼結体であり、比較例1〜8は本発明の要件を少な
くとも一つ以上満足させていない焼結体である。なお、
比較例3および8は整粒しない気孔形成剤を使用し、比
較例7は不定形からなるセルロースパウダーを使用し
た。また、比較例2および4は気孔形成剤を添加せずに
作製した焼結体で、比較例2は平均粒子径10μmから
なる粉末を使用した。これらのデーターから本発明の軽
量セラミック焼結体はすぐれた耐熱性を有することが明
らかである。
板を載せて1000℃に加熱保持している電気炉中に挿
入し、30分加熱保持後、耐火物に載せたまま即座に炉
外に取り出し、室温下で急冷し、割れの有無により評価
した。また、上記と同条件の繰り返しによるクラック発
生の有無により耐久性を評価した。また、耐クリープ性
は焼結体を5×2×150mmに加工し、上スパン:3
1.3mm、下スパン:100mmの4点曲げで、2M
Paの応力で1400℃、5時間保持後のサンプルの下
スパン50mmの位置のたわみ量を測定した。さらに、
耐食性は市販のPZT粉末を直径25mm、厚さ5mm
に成形した成形体を焼結体の上にのせ、さらに成形体に
1kPaの応力をかけた状態で1300℃、5時間保持
を2サイクル行い、テスト後の焼結体断面を鏡面仕上げ
し、EDX分析により浸食深さを測定した。
2に示すとおり耐熱性および耐食性にすぐれている。そ
のため圧電体、誘電体などの電子部品材料、リチウムイ
オン2次電池正極材料、蛍光体材料およびセラミック材
料の熱処理用容器、単結晶育成用ルツボ、金属溶解用ル
ツボ、各種電気炉用炉心管、サポートチューブ、ラジア
ントチューブ、ガス吹込管、ガス採取管、測温用熱電対
および各種機器用の保護管、サポート用治具材などの熱
処理用部材だけでなく、気孔径だけでなく気孔形状をも
制御した密閉気孔からなるため、緻密質の焼結体と同等
の機械的特性および耐食性を有しながら、軽量であるた
め、熱処理用部材として省エネルギー効果があり、また
耐熱性が要求される機械部品にも十分使用可能である。
囲内である実施例3の焼結体断面を走査電子顕微鏡で観
察して得られた微構造観察写真であり、(B)は、その
気孔分布状態(二値化像)を示す。
囲外である比較例7の焼結体断面を走査電子顕微鏡で観
察して得られた微構造観察写真であり、(B)はその気
孔分布状態(二値化像)を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 (a)相対密度が70〜95%である焼
結体からなり、(b)その平均結晶粒径が5〜50μm
であり、(c)存在する気孔は実質的に密閉したもので
あって、その平均密閉気孔径が2〜50μmであり、
(d)その密閉気孔断面の短径と長径の比の平均値が
0.60以上である、ことを特徴とする軽量セラミック
焼結体。 - 【請求項2】 (e)平均密閉気孔径と密閉気孔径の標
準偏差から求められる変動係数が50%以下である請求
項1記載の軽量セラミック焼結体。 - 【請求項3】 (f)密閉気孔断面の短径と長径の比の
平均値と密閉気孔断面の標準偏差とから求められる変動
係数が30%以下であることを特徴とする請求項1また
は2記載の軽量セラミック焼結体。
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