JP2003034841A - 被削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents
被削性に優れた機械構造用鋼Info
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Abstract
粗さを改善した黒鉛鋼を提供する。 【解決手段】 C:1.0〜2.0%、Si:0.5〜
2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.001〜
0.1%、S:0.1〜0.7%、Al:0.001〜
0.05%、N:0.0001〜0.02%、Mg:
0.0001〜0.009%を含有し、金属組織がフェ
ライト、黒鉛、及びセメンタイトからなり、黒鉛化率が
80%を超えることを特徴とする被削性に優れた機械構
造用鋼。
Description
形し、自動車や産業機械などの部品として使用する機械
構造用鋼に関わり、特にセメンタイトを黒鉛化すること
で冷間加工性を向上した黒鉛鋼に関わるものである。
織にすることにより冷間鍛造性及び切削性が向上するこ
とは従来から知られており、黒鉛による切削性の向上
は、層間結合力が弱い結晶構造をもつことから潤滑性に
優れること、あるいは黒鉛がチップブレーカーとして機
能するためと考えられ、その技術は特開昭49−678
16号公報に開示されている。しかしながら、この方法
では切削工具寿命はPb快削鋼並に向上するものの、工
具と被削材の間に形成される構成刃先が大きく成長する
ことにより切削面の表面粗さが粗くなる問題が残されて
いる。
−212352号公報では工具と被削材の界面に潤滑性
に優れたPb、Bi、MnS、MnTe、MnSeなど
の被膜を形成させることで工具とフェライトの凝着を防
止し構成刃先の生成を抑制できることが開示されてい
る。しかし、PbやBi、Sの多量添加は著しく黒鉛化
を阻害し、黒鉛化のための焼鈍時間を延長しなくてはな
らず、製造コストが増加する問題が残されている。
開平2−111842号公報では、BNを黒鉛の析出核
として利用することが有効であり、この結果、黒鉛粒径
は約5〜10μm程度に微細化することが開示されてい
る。しかし、本発明者らの調査によると、この方法では
黒鉛粒径は微細化されているものの黒鉛間の最大距離は
100μm程度あり黒鉛分散は不均一である。この原因
は、BNはオーステナイト粒界やMnS上に析出するた
め、熱間圧延方向に伸長化したMnS上にBNが列状に
析出したり、旧オーステナイト界に沿って編み目状にB
Nが析出した結果、黒鉛も列状や網目状に析出し不均一
分散になると推定できる。更に、BNを黒鉛析出核に利
用するにはBN析出のための熱処理が必要となり熱処理
工程が増加し製造コストが上昇する。制御圧延によりB
Nの析出処理を圧延中に行うことも想定できるが、精密
な温度管理が必要となる等、製造工程が制約される課題
が残されている。またBNの利用では黒鉛粒径が微細化
しても黒鉛の不均一分散が原因で切削面粗さが改善しな
い問題が残されている。
添加によりZrNが黒鉛化を阻害する固溶Nを低減する
と共に黒鉛析出核として機能し黒鉛が微細化することが
開示されている。更に、特開平10−140281号公
報ではCaとZrの複合添加によりこれらの複合硫化物
を生成し、BNの析出核として機能した結果、黒鉛が微
細化し5〜10hの焼鈍で黒鉛化率が70%になること
が開示されている。しかし、これらの従来方法ではZr
の炭窒化物あるいはZrの硫化物を生成するために、約
0.01〜0.2wt.%のZrの多量添加が必要であ
る。このため10μmを超える粗大なZr(CN)やZ
rS等の析出物が生成し、疲労強度や靭性などの機械的
特性を劣化させたり、粗大なZr(CN)が工具の摩耗
を促進し工具寿命が劣化する問題が残されている。
として切削工具寿命に優れると共に、切削表面粗さも優
れた黒鉛鋼を提供することを目的とする。
素含有量を1.0%以上とし、かつS量を0.1%以
上、Mgを添加することで、短時間の焼鈍による軟質化
と切削工具寿命と切削面粗さの両立が可能となることを
見出した。被削性の改善機構は、黒鉛とフェライトの二
相構造により適度に構成刃先が成長し工具摩耗を抑制す
ると共に、高C、高S化により潤滑性が向上したことに
加えて黒鉛サイズの微細化により、構成刃先の成長が適
度に抑制された結果、工具と被削材の間の過剰な隙間を
防止し切削表面粗さが改善したと考えられる。
メンタイトを黒鉛化した際に黒鉛粒径が粗大化し、高周
波焼入れ特性、冷間鍛造性、あるいは部品の疲労特性を
劣化させる。黒鉛粗大化の原因は、黒鉛体積率が多いこ
とに加え、高炭素化により溶鋼中の酸素濃度が低下し、
黒鉛の析出核となるAl2O3等の酸化物が減少したこと
によると考えられる。一方、S含有量が0.1%を超え
る鋼は黒鉛化時間を著しく長時間化する。MnSなどの
硫化物として析出していないSが黒鉛化を著しく阻害し
ていると考えられる。またS含有量が増加すると硫化物
が粗大化し硫化物をサイトに析出する黒鉛も粗大化し、
冷間鍛造性や疲労特性を劣化させると共に、高周波焼入
れ後に粗大な黒鉛の分解が不十分なため、マルテンサイ
トとフェライトの混在した組織となり、熱処理後の疲労
特性を顕著に劣化させる。
とにより、1.0%を超える高炭素鋼で、かつSを0.
1%以上含有してもMg系の酸化物が微細分散し、それ
らを析出核にして黒鉛が均一に、かつ微細に分散し、黒
鉛化時間も著しく短縮化することを見出した。
MgOあるいはMgAl2O4が主体であるがMg−Si
系、Mg−Ti系の酸化物も存在する。更にMgの添加
によりMgを含有しない酸化物、例えばAl2O3、Ti
2O3なども微細化する効果を有する。またこれらの酸化
物を核に析出するMnSなどの硫化物も顕著な微細化が
認められる。酸化物や硫化物、あるいはこれらの複合介
在物は黒鉛の析出サイトとして機能するため、Mg添加
によりこれらの酸化物や硫化物を微細分散させた鋼材
は、焼鈍処理を行うことでこれらの酸化物や硫化物を核
として黒鉛が微細析出する。また酸化物や硫化物はBN
などの炭窒化物と異なり溶鋼中あるいは纈P相域で析出
するため組織の影響を受けずに均一分散させることがで
きる。
により黒鉛化速度が増加し黒鉛化に要する焼鈍時間も短
縮化できる。本発明者は以上のような知見に基づき従来
困難であった高Cかつ高Sの鋼でも短時間で黒鉛化が可
能であり、冷間鍛造性や疲労特性の劣化の原因となる粗
大黒鉛の生成を防止した被削性に優れた機械構造用鋼を
得るに至った。
%、Si:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜2.0
%、P:0.001〜0.1%、S:0.1〜0.5% Al:0.001〜0.05%、N:0.0001〜
0.02%、Mg:0.0001〜0.009%を含有
し、金属組織がフェライト、黒鉛、及びセメンタイトか
らなり、黒鉛化率が80%を超えることを特徴とする被
削性に優れた機械構造用鋼。
5%、Cr:0.01〜0.7%、Ni:0.05〜3
%、Co:0.05〜3%、Cu:0.05〜3%、
B:0.0001〜0.01%の1種または2種以上を
更に含有することを特徴とする上記(1)記載の機械構
造用鋼。
0.02%、Ca:0.0001〜0.005%の1種
または2種を更に含有することを特徴とする(1)また
は(2)記載の機械構造用鋼。
0.05%、Nb:0.005〜0.08%、V :
0.005〜0.2%の1種または2種以上を更に含有
することを特徴とする(1)乃至(3)の内のいずれか
に記載の機械構造用鋼。
05%、Bi:0.01〜0.05%、Sn:0.05
〜0.2%、Te:0.002〜0.02%、Se:
0.002〜0.02%の1種または2種以上を更に含
有することを特徴とする(1)乃至(4)の内のいずれ
かに記載の機械構造用鋼。
を限定した理由を以下に説明する。
る。工具寿命改善に必要な黒鉛量を十分確保するためそ
の下限値を1.0%とした。上限は連続鋳造の際の熱間
延性を確保するために2.0%とした。
である。短時間の焼鈍処理により十分な黒鉛を析出させ
て高い黒鉛化率とするためにはSiを添加することが必
要であり、その下限値は0.5%である。ただしSi含
有量が増大するとフェライト相が固溶硬化し冷間加工性
の劣化を招くので、上限値を2.0%とした。
リックス中に固溶Mnとして存在する。MnSは単独あ
るいは複合介在物を形成し黒鉛の生成サイトとなると共
に、潤滑性を向上し切削面粗さを改善する。十分なMn
S量を確保するしためその下限値を0.1%とした。た
だし固溶Mn量が大きくなると黒鉛化を著しく阻害する
ので上限値は2.0%とした。
性劣化の原因となるので少ないことが望ましいが、被削
性の観点からは切削面の粗さを改善するため、表面粗さ
を必要とする鋼の場合には適量を添加する。その含有量
は、0.001%未満ではその効果が認められないので
0.001%を下限とした。また、0.1%を超えると
靭性が劣化し、圧延中にも割れを生じたりするため、
0.1%を上限とした。
と反応して硫化物として存在する。これらの硫化物は黒
鉛の核生成サイトとして機能すると共に、潤滑性を向上
し切削面粗さを改善する。ただし0.1%未満では十分
な量の硫化物が確保できず、またS量が多すぎると熱間
延性を劣化させるため上限値を0.7%とした。
結合してAlNを形成する。AlNは結晶粒の細粒化に
有効であり、焼入れ焼戻し後の靭性を向上させる。0.
001%未満ではAlNの量が不十分で細粒化効果が現
れず、0.05%を超えるとAl脱酸が支配的になりM
gの効果が飽和する。
を生成し、結晶粒の細粒化に有効であり、加工性を向上
させる。0.0001%未満では効果がなく、0.02
%を超えて添加しても効果が飽和するばかりでなく黒鉛
化を著しく阻害する。
し、これらは単独あるいは硫化物との複合介在物を生成
し黒鉛の析出サイトとして機能する。0.0001%未
満では効果が少なく、0.009%以上含有させるには
製鋼コストが増加する。またMgの添加は黒鉛粒の微細
化に効果があり、たとえ黒鉛化率が同じであっても微細
分散している方が高周波焼入れ等の性能に優れる。即ち
高周波焼入れのように短時間加熱による硬化処理におい
て、均一な表面硬化層を形成させるためには短時間に黒
鉛が鋼中に固溶、拡散しなければならない。そのため短
い拡散距離で表面一帯に均一にCを拡散できるように黒
鉛を微細分散させることが非常に有効である。この点で
Mgは非常に有効な元素である。
る。焼入性の効果を十分得るために、添加量の下限値を
0.01%とした。また0.5%を超えて添加するとフ
ェライト地の硬さが上昇し冷間加工性が損なわれると共
に黒鉛化を阻害する。
る。焼入性の効果を十分得るために添加量の下限値を
0.01%とした。また0.7%を超えて添加すると著
しく黒鉛化を阻害する。
化させ黒鉛化を促進させると共に、焼入性を高め強度を
確保するのに効果的である。0.05%未満では効果が
不十分であり、また3%を超えて添加しても効果は飽和
する共に経済的に極めて不利となる。
果を得るには0.0001%以上を添加しなければなら
ない。ただし0.01%を超えて添加すると黒鉛化を阻
害すると共に、B化合物が粒界に析出し破壊靭性を劣化
させる。
nSなどの硫化物を微細分散化させる。これらの酸化物
や硫化物は黒鉛の析出サイトとして有効に機能し黒鉛の
微細分散化及び短時間黒鉛化に有効である。ただし、Z
rの添加量が0.0005%未満ではこれらの効果が認
められず、0.02%を超えて添加すると粗大な(Z
r、X)SやZr(CN)を形成し、Zrによる酸化物
の微細化効果が減少するだけでなく破壊特性を劣化させ
る。
る。CaOやCaSは単独あるいはMnSとの複合体を
形成し黒鉛の析出サイトとして機能すると共に切削面粗
さを改善する。0.0001%未満では効果は少なく、
0.005%を超えて添加するとCa脱酸が支配的とな
り粗大なCaOが形成され疲労特性を劣化させる。
るいはTiCを形成する。炭窒化物はピンニング粒子と
して機能しオーステナイト粒の成長を抑制する効果があ
り破壊靭性値を向上させる。0.001%未満では黒鉛
微細化あるいは結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.
05%を超えて添加すると逆に靭性が劣化する。
ンニング粒子として機能しオーステナイト粒の成長を抑
制する効果があり破壊靭性値を向上させる。0.005
%未満では結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.08
%を超えて添加すると逆に靭性が劣化する。
グ粒子として機能しオーステナイト粒の成長を抑制する
効果があり破壊靭性値を向上させる。0.005%未満
では結晶粒細粒化の効果は小さく、また0.2%を超え
て添加すると逆に靭性が劣化する。
凝着を抑制する作用があるので、切削仕上げ面粗さを顕
著に改善するが、0.01%未満ではその効果が認めら
れず、0.05%を超えると黒鉛化を著しく阻害するた
め上限を0.05%とした。
改善する効果がある。0.05%未満では効果が少な
く、0.2%を超えると効果が飽和する。
る効果がある。0.002%未満では効果が小さく、
0.02%を超えると熱間加工性が低下する。
ものである。 黒鉛化率(%)=(鋼中黒鉛含有量/鋼の炭素含有量) ・ ・ ・(1)
黒鉛のもつ変形に対する潤滑、易変形特性が発揮できる
ため、切削工具寿命が向上する。その黒鉛の効果は80
%以上で顕著なため、これを下限とした。また黒鉛化率
が不足すると硬質でこの点からも黒鉛化率によって工具
寿命に差が生じる。そして、黒鉛率化率80%を超える
黒鉛化を行うことにより、フェライト、黒鉛及びセメン
タイトからなる金属組織が得られる。
−オフライン焼鈍によりφ10mmの鋼線材を作成し
た。
快削鋼なので熱間圧延ままサンプルで評価した。熱間圧
延条件は800〜900℃で圧延し、冷却した。その
後、焼鈍炉により690℃で保定した。黒鉛化による軟
化特性や黒鉛粒径は前組織の作り込み条件によって異な
るので、圧延終了後の冷却方法は空冷、オンライン
水冷の2種類を作成した。空冷ではフェライトパーラ
イト主体の前組織を生成させ、オンライン水冷では圧
延直後に水槽に投入することで、マルテンサイトまたは
ベイナイトが焼鈍前組織となる。
焼入れ特性を表2に示す。
℃にて24時間焼鈍後のサンプルを用いた。また軟化特
性や高周波焼入れ特性に関しては顕著に鋼種間の差が見
られるように前処理:水冷、690℃での焼鈍サンプ
ルを用いた。軟化特性は黒鉛化率90%までの焼鈍時
間、黒鉛化焼鈍後の黒鉛平均粒径で評価した。
0)と切削面粗さ(Rz)で評価した。ここでドリル寿
命を示す指標VL1000とは累積穴深さ1000mm
まで穿孔可能な最大のドリル周速のことで、この値が大
きいほど高速で切削可能であり、被削性に優れることを
意味する。ドリルはφ5mmのストレートドリルを用
い、送り0.33mm/rev、水溶性切削油を用いて
ドリル周速を変化させてドリル折損までの累積穿孔深さ
を測定し、それをもとにVL1000を求めた。
に前処理:水冷とした場合の焼鈍時間と黒鉛化後の黒
鉛粒径、高周波焼入れ特性を評価した。
削表面を蝕針式粗さ計で測定し、JIS B0601に
準拠した十点平均粗さRzで評価した。図1に切削方法
を示す。切削条件は切削工具1を用いて切削速度80m
/min、工具送り0.05mm/revで、2.5s切
削後、工具を引き抜き6s間空転させる操作を1サイク
ルとし、切削により次々と溝が丸棒表面に創成されるの
で、その100サイクル目の溝底の切削面2の切削表面
粗さを測定した。切削面粗さはプランジ切削用高速度工
具SKH57を用いて、切削速度80m/min、送り
0.05m/revで表面粗さRzを評価した。
延材を690℃の焼鈍炉に種々の時間保持し次式で示さ
れる黒鉛化率を求め、黒鉛化率が90%に達する焼鈍時
間とした。
素含有量)×100 ここで、炭素含有量及び黒鉛含有量は化学分析により定
量した。黒鉛の平均粒径及び最大粒径はSEMの反射電
子線を利用した画像解析システムを利用して総視野0.
25mm2を測定することで評価した。
鋼を直径8mmに旋削した丸棒を用いて、1000℃で
3秒間の加熱条件で行った。その後、丸棒表層から1〜
3mmの範囲を円周方向に硬さ試験と光学顕微鏡観察を
行った。円周方向の硬度差が100(Hv)以上ある場
合、もしくは焼入れ組織にフェライトが存在する場合は
高周波焼入れ性が不良と判定した。
示す。硫黄快削鋼SUM23のVL1000は92m/
minであり、本発明鋼のVL1000はいずれの鋼種
でも硫黄快削鋼と同等以上の工具寿命である。Sが比較
的多く添加されている場合にはC量が少ないとVL10
00が小さく、SUM23のレベルには到達していなか
った。またMgを添加しなかったサンプルに関しては前
処理を空冷とした場合、24時間の焼鈍では十分に軟質
化しなかったため、ドリル工具寿命に劣った。
量の影響を示す。S量が多い方が表面粗さに優れ、S>
0.1%でSUM23よりも良好な表面粗さとなる。な
おドリル寿命に劣る実施例のサンプルに関してはプラン
ジ切削は実施しなかった。
って前組織を作成したサンプルの軟化に必要な焼鈍時間
と黒鉛化後の黒鉛粒径、高周波焼入れ特性の評価結果で
は、Mg添加は軟化に必要な焼鈍時間の短縮と黒鉛粒径
の微細化に大きな効果があった。更にMg添加材は微細
化したため、高周波焼入れ時の硬化層ばらつきも小さ
く、良好な効果層が得られた。
行った。
サンプルと同様である。図4にC量とVL1000との
関係を示す。S量が本発明の範囲である0.1〜0.7
%の鋼ではC量の増大に伴いVL1000が増加する傾
向を示すが、Mg含有量が異なる鋼は黒鉛化不足のため
硬度が高くVL1000も低い値である。一方切削面粗
さは、C量の図5に示すようにC量の増加に伴い減少す
る。S量が0.1%に満たない鋼種はいずれも硫黄快削
鋼の表面粗さに達していない。S量が0.1〜0.5%
の範囲とすることでRzは更に減少し、C量が本発明の
範囲の1.0%以上となる鋼種は硫黄快削鋼SUM23
と同等以上の切削面粗さである。即ち、C、S及びMg
の範囲を本発明の範囲とすることで、工具寿命と切削面
粗さのいずれも硫黄快削鋼と同等以上にすることが可能
となる。
満足する鋼13〜27は、いずれも水冷の場合、13
時間以下の焼鈍時間で黒鉛化率90%に達している。一
方Mgの範囲が本発明と異なる鋼28〜36はいずれも
20時間以上の焼鈍が必要である。特にS含有量が0.
1%を超える鋼29、30〜32、34、35は29時
間以上の焼鈍時間を要する。更に黒鉛の最大粒径は比較
例がいずれも4μmを超えるのに対し本発明鋼の黒鉛の
最大粒径は4μm以下であり著しく微細化している。ま
た高周波焼入れ特性は黒鉛粒径の影響を受け、微細な黒
鉛粒を有するサンプルでは均一に硬化したが、粗大な黒
鉛粒のものはばらつきが大きく不適と判定された。
削面粗さの両面において硫黄快削鋼以上の特性を示し、
被削性が優れ、かつ高周波焼入れ性も優れている。
削工具寿命と切削仕上げ面粗さに優れた黒鉛鋼を低コス
トで提供することが可能であり、産業上の効果は極めて
顕著なるものがある。
す図である。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 質量%で、C:1.0〜2.0%、S
i:0.5〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、P:
0.001〜0.1%、S:0.1〜0.7%Al:
0.001〜0.05%、N:0.0001〜0.02
%、Mg:0.0001〜0.009%を含有し、金属
組織がフェライト、黒鉛、及びセメンタイトからなり、
黒鉛化率が80%を超えることを特徴とする被削性に優
れた機械構造用鋼。 - 【請求項2】 質量%で、Mo:0.01〜0.5%、
Cr:0.01〜0.7%、Ni:0.05〜3%、C
o:0.05〜3%、Cu:0.05〜3%、B:0.
0001〜0.01%の1種または2種以上を更に含有
することを特徴とする請求項1記載の機械構造用鋼。 - 【請求項3】 質量%で、Zr:0.0005〜0.0
2%、Ca:0.0001〜0.005%の1種または
2種を更に含有することを特徴とする請求項1または2
記載の機械構造用鋼。 - 【請求項4】 質量%で、Ti:0.001〜0.05
%、Nb:0.005〜0.08%、V :0.005
〜0.2%、の1種または2種以上を更に含有すること
を特徴とする請求項1乃至3の内のいずれかに記載の機
械構造用鋼。 - 【請求項5】 質量%でPb:0.01〜0.05%、
Bi:0.01〜0.05%、Sn:0.05〜0.2
%、Te:0.002〜0.02%、Se:0.002
〜0.02%の1種または2種以上を更に含有すること
を特徴とする請求項1乃至4の内のいずれかに記載の機
械構造用鋼。
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