JP2003032072A - 弾性表面波装置およびその製造方法 - Google Patents

弾性表面波装置およびその製造方法

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JP2003032072A
JP2003032072A JP2001220195A JP2001220195A JP2003032072A JP 2003032072 A JP2003032072 A JP 2003032072A JP 2001220195 A JP2001220195 A JP 2001220195A JP 2001220195 A JP2001220195 A JP 2001220195A JP 2003032072 A JP2003032072 A JP 2003032072A
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acoustic wave
surface acoustic
dielectric
dielectric constant
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Yasuo Ehata
泰男 江畑
Seiichi Mitobe
整一 水戸部
Masayoshi Etsuno
昌芳 越野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中心周波数(動作周波数)が高い弾性表面波フ
ィルタにおいて、電極抵抗増による損失や反射増による
損失を抑える。 【解決手段】圧電性基板10上に形成された櫛歯状電極
14a〜14cの間に、圧電性基板10の誘電率よりも
低い(例えば1/3以下)誘電率を持つ電極間媒体12
ab、12bcが埋め込まれる。ここで、櫛歯状電極1
4a〜14の表面と電極間媒体12ab、12bcの表
面とは、同一平面となるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、携帯電話の受信
用/送信用バンドパスフィルタ等に利用される弾性表面
波装置の改良およびその製法に関する。とくに、弾性表
面波装置の電極関連構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波フィルタ装置(surface acou
stic wave filter device;SAWフィルタとも称され
る)は、圧電性基板に櫛歯状電極を形成することで構成
されている。この弾性表面波フィルタ装置は、受動素子
であるため電源がなくても動作でき、また小型・軽量で
あることから、電子部品の高密度実装が求められる携帯
電話などでよく用いられている。従来より、弾性表面波
フィルタはよく知られている。その例として、特開平0
9−326669号公報に開示された弾性表面波フィル
タがある。
【0003】一般に、弾性表面波装置は、圧電性基板上
に形成されたアルミニウム(以下適宜Alと略記する)
を主成分とする導電性薄膜からフォトリソグラフィ技術
により不要部分をエッチング除去し、インターデジタル
電極またはインターデジタル変換器(以下適宜IDTと
略記する)を形成して構成されている。
【0004】このような弾性表面波装置では、IDTの
電極指が隣接する電極指との間の圧電基板表面近傍に電
界を発生させて、基板の圧電性により弾性表面波を励振
する。逆に、弾性表面波が電極部に伝搬すると、伝搬さ
れた弾性表面波に対応した電荷が電極上に発生する。そ
の際、一部の弾性表面波は電極端面で反射される現象も
生ずる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、IDTの電極
指の線幅は、弾性表面波フィルタの中心周波数(動作周
波数)と圧電性基板の弾性表面波の伝搬速度によって決
まる弾性表面波波長λの1/4程度に設定され、またI
DTの電極膜厚は弾性表面波波長λの1/100から1
/10程度に選ばれる。したがって、弾性表面波フィル
タの中心周波数(動作周波数)が高くなるに従い、電極
指の線幅および膜厚は小さくなり、電極部分でのオーミ
ック抵抗増による損失の増大が無視できなくなる。しか
しながら、膜厚を増すと弾性表面波伝搬速度の低下が大
きくなり、また電極部での弾性表面波の反射も大きくな
る。
【0006】上記のように、中心周波数(動作周波数)
が高い弾性表面波フィルタにおいては、これまでの電極
構造では電極膜厚が薄くなることから電極抵抗の増大が
避けられず、フィルタの通過損失が大きくなる。一方、
電極抵抗増に起因する損失増大を抑えるために電極膜厚
を増すと、弾性表面波伝搬速度の低下や弾性表面波の反
射増大が不可避的に生じる。すると、弾性表面波フィル
タの中心周波数の偏差が大きくなったり、反射増に伴う
モード変換損失によるフィルタの通過損失の増大が避け
られない。
【0007】この発明は上記事情に鑑みなされたもの
で、その目的は、中心周波数(動作周波数)が高い弾性
表面波フィルタにおいて、電極抵抗増による損失や反射
増による損失を抑えることのできる弾性表面波装置を提
供することである。
【0008】この発明の他の目的は、上記の弾性表面波
装置の製造に適した方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の一実施の形態に係る弾性表面波装置は、
圧電性基板(10)上に櫛歯状電極(14a〜14d/
IDT)を持つ。この弾性表面波装置において、前記櫛
歯状電極(14a〜14d)の間に前記圧電性基板(1
0)の誘電率よりも低い(低ければ低いほど良いが、例
えば基板誘電率の1/3以下)誘電率を持つ電極間媒体
(12ab、12bcなど)が埋め込まれる。
【0010】上記弾性表面波装置において、前記櫛歯状
電極(14a〜14d)の表面と前記電極間媒体(12
ab、12bcなど)の表面とは、ほぼ同一の平面とな
るように構成される。
【0011】また上記他の目的を達成するために、この
発明の一実施の形態に係る弾性表面波装置の製造方法で
は、圧電性基板(10)上に、この基板よりも誘電率が
小さく空気より誘電率が大きい誘電体(12)を形成し
(図1(a));前記誘電体(12)の所定位置を除去
して凹部(12a〜12d)を設け(図1(b));前
記凹部(12a〜12d)を含んで前記誘電体(12)
上に電極物質(14)を堆積し(図1(c)(d));
前記凹部(12a〜12d)内に前記電極物質(14a
〜14d)が残るように、前記誘電体(12)上に堆積
した前記電極物質(14)を除去し(図1(e));前
記凹部(12a〜12d)内に残された前記電極物質
(14a〜14d)によってインターデジタル変換器
(図1(f)のIDT)を形成するようにしている。
【0012】上記弾性表面波装置あるいは上記製造方法
により得られた弾性表面波装置によれば、櫛歯状電極
(IDT)の電極指の電極膜厚を厚くすることで、電極
のオーミックな損失増加を防止できる。電極指の電極膜
厚を厚くしたことによる弾性表面波の伝搬速度低下ある
いは弾性表面波の反射増は、圧電性基板より小さな誘電
率の電極間媒体(SiOなど)で隣接電極指の間を埋
めることにより、抑えている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
の一実施の形態に係る弾性表面波フィルタ装置およびそ
の製造方法を説明する。
【0014】図1は、この発明の一実施の形態に係る弾
性表面波装置の製造方法の一例を説明する図である。
【0015】まず、タンタル酸リチウムLiTaO
(あるいは四ほう酸リチウムLi )を用い
た圧電性基板10上に、例えば高周波スパッタ装置によ
り、誘電膜としての珪素酸化物SiO(二酸化シリコ
ン)12が形成される(図1(a))。珪素酸化物Si
12は、圧電性基板LiTaO10よりも誘電率
の小さな誘電体であるが、周囲の空気よりは無論誘電率
が大きい。ここでは、SiO誘電膜12の膜厚は、約
0.3μmとされる。
【0016】次に、所定のマスクパターンを用いて、基
板10よりも低誘電率な誘電膜12がフォトリソグラフ
ィ技術によりエッチングされ、櫛歯状電極(金属薄膜の
電極)が形成される部分がドライエッチング法により除
去される(図1(b))。誘電膜12のエッチング除去
部分には、凹部12a〜12dが残される。この凹部1
2a〜12dは基板10の表面に達する深さを持つ。
【0017】次に、凹部12a〜12dを含んで誘電膜
12全体の上に、例えば直流スパッタ装置により、電極
物質(Al合金またはCu合金)の薄膜14*が形成さ
れる(図1(c))。ここで、薄膜14*を構成する金
属膜は、チタンとアルミニウムの二層構造として、圧電
性基板10の表面およびニ酸化シリコン誘電膜12の表
面との密着性を良好にする。
【0018】こうして形成されたAl合金(またはCu
合金)の薄膜14*上に、さらに、Al合金(またはC
u合金)層14がスパッタ法やメッキにより成膜(堆
積)される(図1(d))。このAl合金層14の成膜
厚は誘電膜12の厚さより厚くなるように操作され、そ
の結果、誘電膜12の凹部12a〜12dはAl合金層
14で埋め尽くされる。なお、この凹部の埋め尽くし
は、1回の成膜でなされてもよい。
【0019】次に、例えばメカノケミカル研磨装置によ
りAl合金層14上を研磨し、凹部12a〜12d内に
Al合金層14の一部14a〜14dが取り残されるよ
うな所まで、研磨が続けられる。この研磨は、誘電膜1
2の上面と凹部12a〜12d内のAl合金層14a〜
14dの上面とがほぼ揃った所で停止される(図1
(e))。この状態で、誘電膜12および凹部12a〜
12d内のAl合金層14a〜14dの厚さhは、図1
(a)の工程で形成したSiO誘電膜12の膜厚0.
3μmより極僅か薄くなっているが、大まかには、h≒
0.3μmとなっている。
【0020】凹部12a〜12dを形成するマスクパタ
ーンは弾性表面波装置のIDTを形成するパターン形状
となっているので、図1(e)の工程完了後の弾性表面
波装置の面上には、図1(f)に例示されるような櫛歯
状電極14a〜14dが形成される。
【0021】図1(e)の工程終了後は、凹部12a〜
12d内のAl合金層14a〜14dで形成されるID
Tの電極指(14a〜14d)の間が、基板10より誘
電率の小さな(しかし周囲の空気よりは誘電率の大き
な)電極間媒体(12ab、12bc、12cd;ここ
ではSiO)により充填されている。これが、図1の
製法により得られた弾性表面波装置の大きな特徴であ
る。
【0022】また、図1(e)の工程終了後は、Al合
金層14a〜14dの表面と電極間媒体12ab、12
bc、12cdの表面とがほぼ同一平面となるまで研磨
されている。別の言い方をすると、Al合金層14a〜
14dの表面上に周囲の空気よりも誘電率の大きな物質
(ここではSiO)が存在しない。これが、図1の製
法により得られた弾性表面波装置の他の特徴である。
【0023】この発明の実施形態としての製造方法は、
上記のものに限られない。例えば、上記の製造方法とは
逆に、先に電極指パターンを形成し、次いで絶縁層を被
覆した後に研磨を行って、図1(f)または後述する図
2の構造を得るようにしてもよい。
【0024】すなわち、まずスパッタリング法等により
基板(10)上にAl合金薄膜(14)を形成し、フォ
トリソグラフィ技術等により電極指パターンを形成す
る。次いで、例えば高周波スパッタ装置によりSiO
膜(12)を堆積して電極指全体を覆った後、このSi
膜(12)をメカノケミカル研磨装置等により研磨
して、Al合金を露出させる(その結果の構造は、例え
ば図1(e)のようになる)。このような方法によって
も、図1(f)または後述する図2の構造を得ることが
できる。
【0025】(その他の実施の形態)銅(Cu)は、耐マ
イグレーション性に優れかつ比抵抗もアルミニウム(A
l)より小さいので、大電力励振される携帯電話の送信
側弾性表面波フィルタ用として好ましい電極材料であ
る。
【0026】しかしながら、銅(Cu)は、ドライエッ
チングが困難で電極形成が難しい材料でもある。この発
明に係る構造(図1の製法で用いる構造)では、ニ酸化
シリコンをドライエッチング(図1(b))してから、
Cuのパターニングは研磨にて行う(図1(e))の
で、Cu膜のドライエッチングは不要となっている。従
って、図1の製法は、IDTの電極指材料として銅など
のドライエッチングが困難な材料を用いる場合にも適し
ている。
【0027】図2は、この発明の一実施の形態に係る弾
性表面波装置における櫛歯状電極指間の電束分布を模式
的に説明する図である。以下、Al(またはCu)合金
層14a〜14cおよび電極間媒体12ab、12bc
(誘電膜12)上に何もない構造の弾性表面波装置を中
心にして、説明する。
【0028】図1の製法により得られた図2の構造の弾
性表面波装置では、従来構造のように金属電極指部分1
4a〜14cが基板10の表面上に突起しておらず、金
属電極指部分14a〜14cと電極指間部分12ab、
12bcの上面がほぼ揃い、基板表面上はほぼ平坦に保
たれている。
【0029】一般に、IDTの金属電極指部分での弾性
表面波の速度低下および反射は、電極指端部の段差の物
理的形状によるものが大きく、この段差が生じないよう
に表面上を平坦に保つことがこの段差の影響を小さく抑
えるキーポイントとなる。
【0030】上記物理的な段差形状の影響を抑える構造
としては、図2の構造の他に、次のようなものが考えら
れる。すなわち、図示しないが、圧電性基板10の表面
において電極指が形成される部分にフォトリソグラフィ
技術により予め溝を形成し、その溝を覆うように金属薄
膜を成膜する構造が考えられる。しかしながら、この構
造では、電極指間の部分(12ab、12bcに対応)
は圧電性基板10と同一物質となるため基板10と同様
に誘電率が高く、電極指間の電界(あるいは電束)は電
極指間の間隙部(12ab〜12cd;ここは弾性表面
波のエネルギ伝送については有効に機能しない)に集中
し、隣接電極指間の電気機械結合係数が実質的に低下し
たものとなる。このため、電極指間を高誘電率媒体で充
填した構造では弾性表面波フィルタの挿入損失が大きく
なる。
【0031】また、上記物理的な段差形状の影響を抑え
る構造の別の例として、電極指構造としてアルミニウム
を主成分とした一様な電極用薄膜を形成し、電極指の間
隙部になる部分(12ab、12bcに対応)のみ陽極
酸化により酸化アルミニウムとして絶縁化する構造が考
えられる。この構造では製造プロセスは簡単であるが、
電極指線幅が微細で段差のアスペクト比(電極指間の隙
間部断面の縦横寸法比)が大きくなると、陽極酸化の精
度がとれず、弾性表面波フィルタの特性偏差が大きくな
る。
【0032】これらに対し、例えば図1の製法で得られ
た図2の構造を持つ弾性表面波装置では、電極指間の誘
電膜12として、珪素酸化物(SiO)など圧電基板
(LiTaOなど)の誘電率に比較し誘電率が十分低
い物質を選択できる。電極指間の媒体として誘電率の十
分に低い物質(SiOなど)を選択することにより、
電極指間媒体12ab、12bcの電束EF2を基板1
0内部の電束EF1より十分に小さくできる。このこと
から、電界(あるいは電束)の大部分は基板10の内部
に存在するようになり、隣接電極指間の電気機械結合係
数の低下という問題を実用上回避できる。
【0033】また、電極指間の媒体としてLSI製造に
多用される二酸化シリコンを用いる場合、酸化シリコン
は加工性が良好で電極指線幅の微細なものにも対応可能
である。
【0034】なお、図2において、Al(またはCu)
合金層14a〜14cおよび電極間媒体12ab、12
bc(誘電膜12)上に何もないのがこの発明による弾
性表面波装置の例であり、合金層14a〜14cおよび
電極間媒体12ab、12bc上が誘電体(SiO
ど)で覆われているのがこの発明によらない弾性表面波
装置の例である。
【0035】合金層14a〜14cおよび電極間媒体1
2ab、12bc上が誘電体で覆われていると、IDT
の電極指14bから隣接電極指14a、14cに向かう
電束の一部(EF3)が電極間媒体12ab、12bc
上の誘電体側へ若干漏洩し、弾性表面波フィルタの通過
損失の増大など、性能低下の原因となる。これに対し、
合金層14a〜14cおよび電極間媒体12ab、12
bc上が空気であれば、電極間媒体12ab、12bc
上の誘電体側へ漏洩する電束(EF3)は殆どなくな
り、上記「通過損失の増大などの性能低下」という問題
が起きない。
【0036】図3は、弾性表面波の音速と櫛歯状電極の
膜厚との関係を、種々な試料について例示する図であ
る。また、図4は、櫛歯状電極の電極1本当たりの反射
量と櫛歯状電極の膜厚との関係を、図3と同様な試料に
ついて例示する図である。図3および図4では、横軸の
膜厚を、波長に対する膜厚の比率(%)で表している。
従って、特定波長の弾性表面波についてみれば、図3お
よび図4の横軸はIDTの電極指の厚さそのものを表し
ている。また、図3および図4の試料の圧電性基板とし
ては、LiTaOの単結晶を、X軸を中心にY軸方向
に36゜回転した向きにカットしたものを用いている。
【0037】図3および図4において、(1)−黒菱形
−の曲線S01、S11は、図1(d)の構造において
電極指14a〜14dがアルミニウム(Al)で構成さ
れた構造から電極指間の誘電体12ab〜12cdを取
り除いた場合を示し、(2)−黒□−の曲線S02、S
12は、図1(d)の構造において電極指14a〜14
dが銅(Cu)で構成された構造から電極指間の誘電体
12ab〜12cdを取り除いた場合を示し、(3)−
白Δ−の曲線S03、S13は、図1(d)の構造にお
いて電極指14a〜14dが銅(Cu)で構成され、電
極指間の誘電体12ab〜12cdが酸化珪素(SiO
)で構成された場合を示し、(4)−黒O−の曲線S
04、S14は、図1(d)の構造において電極指14
a〜14dがアルミニウム(Al)で構成され、電極指
間の誘電体12ab〜12cdが酸化珪素(SiO
で構成された場合を示し、(5)−白O−の曲線S0
5、S15は、図1(d)の構造において電極指14a
〜14dがアルミニウム(Al)で構成され、電極指間
の誘電体12ab〜12cdが酸化珪素(SiO)で
構成され、さらにその表面上が(図2に例示したよう
に)誘電体(SiO)で覆われた第1の場合(膜厚h
/λが15%以下の範囲)を示し、(6)−白O−の曲
線S06、S16は、図1(d)の構造において電極指
14a〜14dがアルミニウム(Al)で構成され、電
極指間の誘電体12ab〜12cdが酸化珪素(SiO
)で構成され、さらにその表面上が(図2に例示した
ように)誘電体(SiO)で覆われた第2の場合(膜
厚h/λが15%以上の範囲)を示し、(7)−白□−
の曲線S07、S17は、図1(d)の構造において電
極指14a〜14dがアルミニウム(Al)で構成さ
れ、電極指間の誘電体12ab〜12cdが窒化珪素
(Si)構成された場合を示している。
【0038】図3および図4の例では、曲線S04、S
14および曲線S07、S17が、この発明の一実施の
形態に係る構造を持った弾性表面波装置の特性である。
図3から分かるように、弾性表面波フィルタの動作周波
数(中心周波数)が高くなることに対応してIDTの電
極指の幅が小さくなった場合において、電極指の厚さを
増やしても、弾性表面波の音速は殆ど落ちない。また、
図4から分かるように、弾性表面波フィルタの動作周波
数(中心周波数)が高くなることに対応してIDTの電
極指の幅が小さくなった場合において、電極指の厚さを
増やしても、反射量はあまり増えない(電極指間の誘電
体にSiOを用いた場合では、反射量は殆ど増えな
い)。
【0039】従って、弾性表面波フィルタの動作周波数
(中心周波数)が高くなることに対応してIDTの電極
指の幅が小さくなっても、電極指の厚さを増やすこと
で、電極指のオーミックな損失の増大を防止できる。
【0040】また、オーミック損失増大を防ぐために電
極指の厚さを増やしても音速低下および反射量の増大が
殆どないので、(電極指の厚さを増やすことにより)弾
性表面波フィルタの性能が悪影響を受けることもない。
【0041】この発明を利用した試料の曲線(S04、
S14およびS07、S17)を、この発明によらない
試料の曲線と比べると、以下のような長所が認められ
る。すなわち、この発明によらない試料のアルミニウム
電極膜での従来構造(曲線S01、S11)と、この発
明を利用した試料のアルミニウム電極膜での構造(曲線
S04、S14)とを比較すると、この発明の試料で
は、電極指間に低誘電率な誘電膜(ここではSiO
を設けたことにより、弾性表面波の伝搬速度変化量で1
/3、反射量で1/5に減少している。これにより、実
質的に電極膜厚を増すことができ、電極抵抗によるオー
ミック損失の低減と、電極端面の反射に伴うモード変換
損失が低減できる。また、電極指材料はケミカルエッチ
ングでパターニングされるのではなく、研磨によってパ
ターニングされるので、ケミカルエッチング性の少ない
銅やダイヤモンド薄膜などの多層膜でもこの発明の実施
に利用可能である。このような多層膜電極膜では弾性表
面波のストレスによるAl電極膜の粒界移動が低減さ
れ、耐電力性の優れた弾性表面波フィルタを提供するこ
とができる。
【0042】また、アルミニウム(Al)の代わりに銅
(Cu)を用いたこの発明の試料(曲線S03、S1
3)でも、Alの場合(曲線S04、S14または曲線
S07、S17)ほど顕著ではないが、この発明によら
ない構造の曲線(S02、S12)よりも優れた結果
(音速変化の少なさと反射量増加の少なさ)が得られて
いる。
【0043】<この発明の実施の形態による効果>この
発明に係る構造によれば、周波数の高い弾性表面波フィ
ルタにおいて、電極抵抗を低くするため電極膜厚を厚く
しても、反射率の増大に伴うモード変換損失の上昇およ
び電極膜厚の製造偏差による中心周波数変化量の上昇が
避けられる。
【0044】電極指間の誘電膜の誘電率を圧電基板の例
えば1/3以下に設定することにより、電極指間の電束
は電極指の下の圧電基板中を主として通る(図2ではE
F2<<EF1)ようになり、電気機械結合係数の低下
も小さく抑えられる。
【0045】従って、この発明に係る構造を採った弾性
表面波フィルタは、損失の小さい、中心周波数の偏差の
少ないフィルタとなる。
【0046】なお、図3および図4に示すような特性図
の採り方は公知である。例えば、電気学会、第1回「高
機能EM回路デバイス」調査専門委員会の試料に、千葉
大学の近藤真太郎他による「金属グレーティング構造中
を伝搬するSAWに対する誘電膜被覆の影響」という論
文がある。この論文では、図3および図4の−o−曲線
に対応する構造(圧電性基板上およびその上の電極上を
誘電膜で被覆した、図1(c)に類似した構造)につい
て、解析がなされている。
【0047】この発明は上記各実施の形態に限定される
ものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しな
い範囲で種々な変形・変更が可能である。また、各実施
の形態は可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよ
く、その場合組み合わせによる効果が得られる。
【0048】さらに、上記実施の形態には種々な段階の
発明が含まれており、この出願で開示される複数の構成
要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出
され得る。たとえば、実施の形態に示される全構成要件
から1または複数の構成要件が削除されても、この発明
の効果あるいはこの発明の実施に伴う効果のうち少なく
とも1つが得られるときは、この構成要件が削除された
構成が発明として抽出され得るものである。
【0049】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の弾性表面
波フィルタ装置によれば、IDTの電極指の線幅が小さ
くなっても電極膜を厚くできることで電極抵抗の増大を
防ぎつつ、電極指間を基板よりも誘電率の小さな誘電体
で埋めることで段差発生を防ぎながら電束がこの電極指
間誘電体側に大きく漏洩することを防止することにより
弾性表面波の伝搬速度の低下/弾性表面波の反射を小さ
く抑えることができる。従って、この発明の弾性表面波
フィルタ装置によれば、中心周波数(動作周波数)が高
い弾性表面波フィルタにおいて、電極抵抗増による損失
や反射増による損失を抑えることのできる弾性表面波装
置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態に係る弾性表面波装置
の製造方法を説明する図。
【図2】この発明の一実施の形態に係る弾性表面波装置
における櫛歯状電極指間の電束分布を模式的に説明する
図。
【図3】弾性表面波の音速と櫛歯状電極の膜厚との関係
を、種々な試料について例示する図。
【図4】櫛歯状電極の電極1本当たりの反射量と櫛歯状
電極の膜厚との関係を、図3と同様な試料について例示
する図。
【符号の説明】
10…高誘電率圧電性基板;12…低誘電率電極間媒
体;14*…電極スパッタ膜;14…電極メッキ層;1
4a〜14d…櫛歯状電極(インターデジタル変換器/
IDT)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越野 昌芳 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5J097 AA03 BB11 FF03 HA02 HA03 KK05 KK09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧電性基板上に櫛歯状電極が形成された弾
    性表面波装置において、 前記櫛歯状電極の間に前記圧電性基板の誘電率よりも低
    い誘電率を持つ電極間媒体が埋め込まれ、前記櫛歯状電
    極の表面と前記電極間媒体の表面とがほぼ同一の平面と
    なるように構成されたことを特徴とする弾性表面波装
    置。
  2. 【請求項2】 前記電極間媒体の誘電率が、前記圧電性
    基板の誘電率のほぼ1/3以下であり、空気の誘電率よ
    り大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記電極間媒体が、珪素酸化物を含むこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記電極間媒体が、珪素窒化物を含むこ
    とを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項
    に記載の装置。
  5. 【請求項5】圧電性基板上に、この基板よりも誘電率が
    小さく空気より誘電率が大きい誘電体を形成し;前記誘
    電体の所定位置を除去して凹部を設け;前記凹部を含ん
    で前記誘電体上に電極物質を堆積し;前記凹部内に前記
    電極物質が残るように、前記誘電体上に堆積した前記電
    極物質を除去し;前記凹部内に残された前記電極物質に
    よって、その表面を前記誘電体の表面とほぼ同一平面と
    して、櫛歯状電極を形成するようにしたことを特徴とす
    る弾性表面波装置の製造方法。
  6. 【請求項6】圧電性基板上に電極物質を堆積し、前記電
    極物質をパターニングして櫛歯状電極を得る工程と、 前記圧電性基板上にこの基板よりも誘電率が小さく空気
    よりも誘電率が大きい誘電体を堆積して前記櫛歯状電極
    を覆う工程と、 前記誘電体をその表面から研磨し、前記櫛歯状電極を露
    出させる工程とを具備し、 前記誘電体表面と前記櫛歯状電極表面とをほぼ同一の平
    面とするとを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
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