JP2003019870A - 直描型平版印刷用原版 - Google Patents

直描型平版印刷用原版

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JP2003019870A
JP2003019870A JP2001208040A JP2001208040A JP2003019870A JP 2003019870 A JP2003019870 A JP 2003019870A JP 2001208040 A JP2001208040 A JP 2001208040A JP 2001208040 A JP2001208040 A JP 2001208040A JP 2003019870 A JP2003019870 A JP 2003019870A
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Kiyosuke Kasai
清資 笠井
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オフセット原版として地汚れがなく、また画像
の欠落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷
可能とする直描型平版印刷用原版を得る。 【解決手段】 耐水性支持体上に画像受理層を有する直
描型平版印刷用原版において、画像受理層中に、表面に
凹凸を有する少なくとも1種の多孔質フィラー粒子、及
び金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介して繋
がった結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素結合を形成
し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体からなる結
着樹脂を少なくとも含有する直描型平版印刷用原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直描型平版印刷用
原版に関し、更に詳しくは、地汚れのない鮮明な画像の
印刷物を多数枚印刷可能とする平版印刷版を与える平版
印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、軽印刷分野を中心にして使用され
ている平版印刷用原版には、(1)耐水性支持体上に、
親水性の画像受理層を設けた直描型の原版、(2)耐水
性支持体上に、酸化亜鉛を含む画像受理層(親油性)を
設けた原版に直描製版した後、非画像部を、不感脂化処
理液で不感脂化処理して印刷版とするもの、(3)耐水
性支持体上に、光導電性酸化亜鉛を含む光導電層を設け
た電子写真感材を原版とし、画像形成後に非画像部を、
不感脂化処理液により不感脂化処理して印刷版とするも
の、(4)耐水性支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層を設
けた銀塩写真型の原版等が挙げられる。
【0003】最近の事務機器の発達とOA化の発展に伴
い、印刷分野において、上記(1)の直描型平版印刷用
原版に電子写真式プリンター、感熱転写プリンター、イ
ンクジェットプリンター等の種々の方法で製版(即ち画
像形成)を行い、印刷版とするための特定の処理をする
ことなく直接に印刷版を作成するオフセット平版印刷方
式が望まれている。
【0004】従来の直描型平版印刷用原版は、紙等の支
持体の両面に裏面層及び中間層を介して画像受理層とな
る表面層が設けられている。裏面層または中間層はPV
Aや澱粉等の水溶性樹脂及び合成樹脂エマルジョン等の
水分散性樹脂と顔料で構成されている。画像受理層は通
常、無機顔料、水溶性樹脂及び耐水化剤で構成される。
【0005】無機顔料としては、カオリン、クレー、タ
ルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、アルミナなどが挙げられる。
【0006】水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコー
ル(PVA)、カルボキシPVAのような変性PVA、
澱粉及びその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒ
ドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、
カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニ
ル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
合体等の水溶性樹脂が挙げられている。
【0007】また、耐水化剤としてはグリオキザール、
メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド
樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポ
リアミド樹脂のような変性ポリアミド樹脂、ポリアミド
・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミド
エピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹
脂等が挙げられている。
【0008】その他、更に、塩化アンモニウム、シラン
カップリング剤の架橋触媒等が併用できることも知られ
ている。
【0009】更に、直描型平版印刷用原版の画像受理層
に用いる結着剤として、分解によりカルボキシル基、ヒ
ドロキシル基、チオール基、アミノ基、スルホ基又はホ
スホノ基を生成する官能基を有すると共に、熱/光で硬
化する官能基を含有し予め架橋されている樹脂を用いる
(特開平1−226395号、同1−269593号、
同1−288488号各公報)、上記官能基含有樹脂と
熱/光硬化性樹脂を併用する(特開平1−266546
号、同1−275191号、同1−309068号各公
報)、上記官能基含有樹脂と架橋剤を併用する(特開平
1−267093号、同1−271292号、同1−3
09067号各公報)ことにより、非画像部の親水性向
上、画像受理層の膜強度の向上、更に耐刷性の改良が検
討されている。
【0010】また画像受理層中に、無機顔料及び結着剤
とともに、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基のよ
うな親水性基を含有した1μm以下の微小粒径の樹脂粒
子を含有させる(特開平4−201387号、同4−2
23196号各公報)あるいは、分解により上記の様な
親水性基を生成する官能基を含有する微小径樹脂粒子を
含有させる(特開平4−319491号、同4−353
495号、同5−119545号、同5−58071
号、同5−69684号各公報)ことにより非画像部の
親水性を向上させる事が検討されている。
【0011】しかしながら、この様にして得られた従来
の印刷版は、印刷耐久性を向上するために耐水化剤の添
加量を多くしたり疎水性樹脂を使用したりして疎水性を
増大させると、耐刷性は向上するが親水性が低下して印
刷汚れが発生し、他方親水性を良くすると耐水性が劣化
し耐刷性が低下するという問題があった。
【0012】特に30℃以上の高温での使用環境下で
は、オフセット印刷に使用する浸し水に表面層が溶解
し、耐刷性の低下及び印刷汚れの発生など欠点があっ
た。更に、直描型平版印刷用原版の場合、油性インキ等
を画像部として画像受理層に描画するものであり、印刷
用原版の受理層と油性インキの接着性が良くなければ、
たとえ非画像部の親水性が充分で上記の如き印刷汚れが
発生しなくても、印刷時に画像部の油性インキが欠落し
てしまい、結果として耐刷性が低下してしまうという問
題も未だ充分に解決される所まで至っていない。
【0013】他方、画像受理層として酸化チタンとポリ
ビニルアルコールそして加水分解したテトラメトキシシ
ラン又はテトラエトキシシランを含有する親水層から成
る版(特開平3−42679号、同10−268583
号等)が挙げられる。しかし、実際に製版して印刷版と
して印刷してみると、画像の耐刷性が不充分であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の様な従
来の直描型平版印刷用原版の有する問題点を改良するも
のである。
【0015】本発明の目的は、オフセット印刷版として
全面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れも発生させな
い優れた直描型平版印刷用原版を提供することである。
【0016】本発明の他の目的は、地汚れがなく、画像
の欠落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷
可能とする印刷版を与える直描型平版印刷用原版を提供
することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の構
成により達成される。
【0018】(1)耐水性支持体上に画像受理層を有す
る直描型平版印刷用原版において、画像受理層中に、表
面に凹凸を有する少なくとも1種の多孔質フィラー粒
子、及び金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介
して繋がった結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素結合
を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体から
なる結着樹脂を少なくとも含有することを特徴とする直
描型平版印刷用原版。
【0019】(2)多孔質フィラー粒子の平均細孔径分
布が1Å〜1μmであることを特徴とする前記(1)に
記載の直描型平版印刷用原版。
【0020】(3)多孔質フィラー粒子の平均比表面積
が0.05m2/g〜5000m2/gであることを特徴
とする前記(1)又は(2)に記載の直描型平版印刷用
原版。
【0021】(4)多孔質フィラー粒子が無機物から成
ることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記
載の直描型平版印刷用原版。
【0022】また、本発明の好ましい態様を以下に示
す。
【0023】(5)多孔質フィラー粒子が画像受理層中
の全フィラー量の25重量%以上であることを特徴とす
る前記(1)〜(4)のいずれかに記載の直描型平版印
刷用原版。
【0024】(6)画像受理層中の結着樹脂と全フィラ
ーの混合比が結着樹脂/全フィラー=80/20重量%
〜5/95重量%であることを特徴とする前記(1)〜
(5)のいずれかに記載の直描型平版印刷用原版。
【0025】(7)金属原子及び/又は半金属原子が酸
素原子を介して繋がった結合を含有する樹脂が、下記一
般式(I)で示される少なくとも1種の化合物の加水分
解共縮合によるポリマーであることを特徴とする前記
(1)〜(6)のいずれかに記載の直描型平版印刷用原
版。
【0026】一般式(I) (R0)n0(Y)z-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
ヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、M0は3〜6
価の金属又は半金属を表し、zはM0の価数を表し、nは
0、1、2、3または4を表す。但し、z−nは2以上
である。〕 (8)画像受理層表面の平滑性がベック平滑度で30
(sec/10mL)以上であることを特徴とする前記(1)
〜(7)のいずれかに記載の直描型平版印刷用原版。
【0027】(9)耐水性支持体上に画像受理層を有す
る直描型平版印刷用原版において、画像受理層中に、水
素元素よりもイオン化傾向が小さい金属元素の金属塩、
光触媒性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子、及び
金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介して繋が
った結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し
得る基を含有する有機ポリマーとの複合体からなる結着
樹脂を少なくとも含有することを特徴とする直描型平版
印刷用原版。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。
【0029】本発明では、表面に凹凸を有する多孔質フ
ィラー粒子と金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子
を介して繋がった結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素
結合を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体
からなる結着樹脂との組み合わせにおいて、各材料の相
互作用が高く、表面に凹凸を有する多孔質フィラー粒子
の分散性が良好となることにより、製版後、耐刷性に優
れた膜が得られると同時に、粒子表面が微細な凹凸形状
をとることにより、画像の熱定着でその樹脂成分が溶融
し前記凹凸に密着しアンカー効果が発現することにより
耐刷性が更に向上する。また、多孔質粒子が形成する特
殊な形状により上記アンカー効果の発現がより一層顕著
なものとなり、耐刷性が更に向上する。また、印刷時に
画像受理層表面の保水量が十分に保てることで良好な画
像密着性と親水性を発現することができる。
【0030】本発明の画像受理層に供される表面に凹凸
を有する多孔質フィラー粒子について説明する。
【0031】表面に凹凸を有する粒子(以下、表面凹凸
粒子とも称する)としては、多孔質状のコア粒子表面に
小粒子を固着させてなる粒子が挙げられる。
【0032】ここで、表面凹凸粒子を構成する多孔質状
のコア粒子は無機粒子でも有機粒子でもよく、特に限定
されない。
【0033】無機多孔質フィラー粒子として金属、酸化
物、複合酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸
塩、リン酸塩、窒化物、炭化物硫化物及びこれらの少な
くとも2種以上の複合化物等が挙げられ、具体的には、
硝子、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化
ジルコン、酸化錫、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウ
ム、酸化マグネシウム、硼酸マグネシウム、水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩
基性硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カル
シウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化
珪素、窒化チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタ
ン、硫化亜鉛、ゼオライト、及びこれらの少なくとも2
種以上の複合化物等が挙げられる。好ましくは、硝子、
シリカ、酸化チタン、アルミナ、ゼオライト、酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カ
ルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0034】有機多孔質フィラー粒子として炭素化合
物、高分子化合物、セルロース類及びこれらの少なくと
も1種以上と無機化合物との複合物が挙げられ、具体的
には、木炭、活性炭、高分子多孔質焼結体、樹脂フォー
ム類、シリコン多孔質体、高吸水性樹脂類等が挙げられ
る。好ましくは、木炭、活性炭、高分子多孔質焼結体、
高吸水性樹脂類等が挙げられる。
【0035】多孔質フィラー粒子のサイズは、平均粒子
径が、好ましくは0.03μm〜20μm、より好まし
くは0.05μm〜15μm、更に好ましくは0.1μ
m〜10μmである。
【0036】多孔質フィラー粒子の細孔径は、平均細孔
径分布が、好ましくは1Å〜1μm、より好ましくは1
0Å〜500nm、更に好ましくは50Å〜300nm
である。
【0037】多孔質フィラー粒子の表面積は、平均比表
面積が、好ましくは0.05m2/g〜5000m2/g、
より好ましくは1m2/g〜3000m2/g、更に好まし
くは10m2/g〜1000m2/gである。
【0038】上記多孔質フィラー粒子以外に他の粒子を
併用してもよく、併用することができる粒子は、無機粒
子でも有機粒子でもよく、特に限定されない。
【0039】無機粒子としては、例えば、金属粉体、金
属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物及びこ
れらの複合化物等が挙げられ、好ましくは金属酸化物及
び金属硫化物等であり、より好ましくはガラス、SiO
2、TiO2、ZnO、Fe23、ZrO2、SnO2、Z
nS、CuS等の粒子が挙げられる。
【0040】また、有機粒子としては、例えば合成樹脂
粒子、天然高分子粒子等が挙げられ、好ましくはアクリ
ル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
オキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン
イミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチ
ルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサ
ン等であり、より好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂粒子が挙げ
られる。
【0041】用いる多孔質フィラー粒子量は画像受理層
中の全フィラー粒子量の25重量%以上が好ましく、よ
り好ましくは画像受理層中の全フィラー粒子量の50重
量%以上、更に好ましくは75重量%以上である。 ま
た画像受理層中の結着樹脂と全フィラーの混合比(質量
比)は、好ましくは結着樹脂/全フィラー=80/20
〜5/95、より好ましくは、結着樹脂/全フィラー=
70/30、更に好ましくは、結着樹脂/全フィラー=
60/40〜5/95である。
【0042】上記多孔質フィラー粒子と併用できる粒子
の平均粒径は0.03〜10μmが適当であり、好まし
くは平均粒径0.05〜8μmであり、より好ましくは
平均粒径0.08〜5μmである。
【0043】表面に凹凸を有する粒子を形成するために
上記多孔質フィラー粒子(コア粒子)に固着させること
ができる小粒子としては、主として無機粒子が用いられ
る。例えば、金属粉体、金属酸化物、金属窒化物及びこ
れらの複合化物等が挙げられ、好ましくは金属酸化物等
であり、より好ましくは金属、ガラス、SiO2、TiO2、Zn
O、Fe2O3、ZrO2、SnO2等の粒子である。
【0044】小粒子の平均粒径は0.005〜3μmが
適当であり、好ましくは平均粒径0.01〜2μmであ
り、より好ましくは平均粒径0.01〜1μmである。
【0045】表面凹凸粒子において、小粒子の平均粒径
はコア粒子の平均直径の1/3以下が適当であり、好ま
しくは1/5以下、より好ましくは1/10以下であ
る。
【0046】コア粒子の表面に固着する小粒子の被覆度
は、本発明の効果が現れる範囲で任意に選ぶことができ
る。一般には、被覆率は2%以上であり、全面が被覆さ
れていてもよい。優れた耐刷性を得るためには、被覆率
は好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜60%
である。
【0047】本発明の表面凹凸粒子は、例えば、東レリ
サーチセンター(株)編「微粒子ポリマーの新展開」に
記載のヘテロ凝集を利用する方法、コア粒子表面からの
重合反応による方法、粉体工学会編「粒子設計工学」に
記載のハイブリダイザーを用いる乾式凝集攪拌法、等を
用いて容易に製造することができる。また、ある種の表
面凹凸粒子はコア粒子の表面に小粒子を析出させること
により製造できる。
【0048】ヘテロ凝集を利用する方法としては、具体
的には、コア粒子に表面荷電の異なる微小粒子を液中で
混合し吸着させる方法、コア粒子表面と反応する官能基
を有する微小粒子を液中で混合し吸着させる方法等が挙
げられる。好ましくは、コア粒子として表面がアニオン
性のSiO2、TiO2等の酸化物粒子と表面カチオン性
のアルミナゾル等を水溶液中で混合させる方法、コア粒
子として表面がカチオン性のアルミナ粒子等と表面アニ
オン性のコロイダルシリカ、チタニア等を水溶液中で混
合させる方法が挙げられる。
【0049】コア粒子表面からの重合反応による方法と
しては、具体的には、コア粒子表面にアルコキシシリル
基を有し、シリカゾルゲル反応がコア粒子表面のアルコ
キシシリル基から成長し、微粒子を形成する方法等が挙
げられる。
【0050】また、ハイブリダイザーを用いる乾式凝集
攪拌法としては、具体的には、コア粒子表面に熱融着性
を有する樹脂粒子(アクリル樹脂、ポリエステル、ポリ
エチレン等)をハイブリダイザーにて乾式混合する方法
が挙げられる。
【0051】画像受理層における表面凹凸粒子の含有量
は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは20
〜90質量%である。
【0052】本発明の一つの態様によれば、表面凹凸粒
子は金属物質の微小片(小粒子に該当)を表面に担持し
た光触媒性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子(コ
ア粒子に該当)からなる。
【0053】光触媒性を有する金属化合物多孔質フィラ
ー粒子とは、照射された活性光の光吸収によって活性化
されて近傍に存在する金属物質をその表面に担持させる
ものであり、具体的には、TiO2、RTiO3(Rはア
ルカリ土類金属原子)、AB 2-xx3-xx10(Aは
水素原子又はアルカリ金属原子、Bはアルカリ土類金属
原子又は鉛原子、Cは希土類原子、Dは周期律表の5A
族元素に属する金属原子、Eは周期律表の4族元素に属
する金属原子、xは0〜2の任意の数値を表す)、Sn
2、ZrO2、ZnO、Bi23、WO3、Fe23
Cu2O、V25、MoO3、Al23、Cr23、Zn
S、MoS2、FeS、CuS、PbS、MoSe2、P
bSe、CuSe、SiCなどを挙げることができる。
【0054】酸化チタン(TiO2)は、イルメナイト
やチタンスラグの硫酸加熱焼成、あるいは加熱塩素化後
酸素酸化など既知の任意の方法で作られたものを使用で
きる。酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用できる
が、特にアナターゼ型のものが感度が高く好ましい。ア
ナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得る過程の
焼成条件を選ぶことによって得られることはよく知られ
ている。その場合に無定形の酸化チタンやルチル型酸化
チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶が40%
以上、好ましくは60%以上含むものが上記の理由から
好ましい。
【0055】RTiO3のRはマグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、ベリリウムなどの周期
律表のアルカリ土類元素に属する金属原子であり、特に
ストロンチウムとバリウムが好ましい。上記のRは、そ
の合計が上記の式に化学量論的に整合する限り2種以上
のアルカリ土類金属原子を共存させることができる。
【0056】一般式AB2-xx3-xx10で表される
化合物において、Aは水素原子及びナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金
属原子から選ばれる1価原子で、その合計が上記の式に
化学量論的に整合する限りそれらの2種以上を共存して
もよい。
【0057】Bは、アルカリ土類金属原子又は鉛原子で
あり、上記同様に化学量論的に整合する限り2種以上の
原子が共存していてもよい。
【0058】Cは希土類原子であり、好ましくはスカン
ジウム、イットリウムの他、ランタン、セリウム、プラ
セオジウム、ネオジウム、ホルミウム、ユウロピウム、
ガドリニウム、テルビウム、ツリウム、イッテルビウ
ム、ルテチウムなどのランタノイド系元素に属する原子
であり、また、その合計が上記の式に化学量論的に整合
する限り2種以上を共存してもよい。
【0059】Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一
種以上で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられ
る。また、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A
族元素が共存してもよい。
【0060】Eは同じくシリコン、ゲルマニウム、錫、
鉛、チタン、ジルコニウムなどの4族元素に属する金属
原子であり、また、2種以上の4族の金属原子が共存し
てもよい。
【0061】xは0〜2の任意の数値を示す。
【0062】一般式AB2-xx3-xx10で表される
化合物の具体例としては、CsLa 2NbTi210、H
Ca1.5La0.5Nb2.5Ti0.510、LaNbTi2
10などが挙げられる。
【0063】これらの化合物の製造方法としては、例え
ば、CsLa2NbTi210微粒子は、その化学量論に
対応するCs2CO3、La23、NbO5、TiO2を乳
鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、130℃で5時間
焼成し、それを冷却してから乳鉢に入れて数ミクロン以
下の微粒子に粉砕して得られる。この方法は、CsLa
2NbTi210型微粒子に限られず、HCa1.5La0.5
Nb2.5Ti0.510、LaNbTi210など前述のA
2-xx3-xx10(0≦x≦2)に適用される。
【0064】その他の光触媒性を有する金属化合物とし
て、市販の容易に入手できるものを用いることができ
る。
【0065】本発明においては、以上のTiO2、RT
iO3、AB2-xx3-xx10、SnO2、ZrO2
ZnO、Bi23、WO3、Fe23、Cu2O、V
25、MoO3、Al23、Cr23、ZnS、Mo
2、FeS、CuS、PbS、MoSe2、PbSe、
CuSe及びSiCのうちの少なくとも一つを単独ある
いは2種以上の組み合わせて画像受理層に分散含有させ
ることができる。
【0066】光触媒性を有する金属化合物粒子の表面に
微小片として担持される金属物質は、担持された状態で
親水性を発現するものが好ましい。金属物質自体は親水
性でも疎水性でもよく、種々の公知の金属物質を用いる
ことができる。
【0067】本発明に用いることができる好ましい金属
物質は、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、
Pt、Pd、Rh、In、Sn、Wなどが挙げられる。
【0068】これらの金属物質は、光触媒性を有する金
属化合物粒子の近傍に存在する状態で活性光が照射され
ることにより、光触媒性を有する金属化合物粒子の表面
に担持させることができるが、より好ましくは、これら
の金属物質の水溶性塩とし、該水溶性塩の存在下で光触
媒性を有する金属化合物粒子に活性光を照射することに
より、水溶性塩が光還元されて微小片となって光触媒性
を有する金属化合物粒子の表面に析出させる方法であ
る。
【0069】金属物質の微小片を表面に担持した光触媒
性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子を結着樹脂中
に分散してなる画像受理層は容易に製造することができ
る。具体的には、金属物質の微小片を表面に担持した光
触媒性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子を結着樹
脂と混合して画像受理層を形成する方法、微小片の金属
に対応する金属塩の水溶液中に、光触媒性を有する金属
化合物多孔質フィラー粒子を分散して含有する画像受理
層を浸漬して活性光の照射を行う方法、金属塩の水溶液
を光触媒性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子を含
む画像受理層に含浸させて活性光の照射を行う方法、金
属塩を光触媒性を有する金属化合物多孔質フィラー粒子
とともに含有した画像受理層に活性光の照射を行う方法
などのいずれの方法を用いてもよい。金属塩の水溶液を
用いる場合、水溶液中の金属塩の濃度は、0.0001
〜10モル/L、好ましくは0.001〜5モル/L、
より好ましくは0.01〜3モル/Lの濃度で用いられ
る。また、金属塩を画像受理層に含浸又は添加する場合
は、乾膜基準で塗布層中の濃度が1×10-7〜1×10
-2モル/m2、好ましくは1×10-6〜5×10-3モル
/m2、より好ましくは1×10-5〜3×10-3モル/
2となるように含浸又は添加される。
【0070】これらの金属微小片を構成する金属の中で
特に好ましいのは、イオン化傾向が水素元素よりも小さ
い(弱い)金属、すなわちCu、Hg、Ag、Pt、A
u、Pd及びRhであり、特に好ましい金属はCu、A
g及びAuである。
【0071】金属微小片を形成させるために用いられる
水溶性金属塩は、上記の金属の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲ
ン酸塩、ハライド塩、ハロゲン酸錯塩、アンモニア錯塩
(上記各塩のアンモニア性水溶液)及び亜硫酸塩であ
る。
【0072】活性光とは、光触媒性を有する化合物が光
吸収によって活性化されて触媒機能を発現する波長の光
を指している。活性光の光源は、高圧水銀灯などの水銀
灯、キセノンアーク灯、キセノン放電灯、各種の蛍光
灯、タングステン灯、ハロゲン灯、可視部あるいは紫外
線領域に発振波長を有するレーザー光などを製版方法や
光触媒性を有する化合物の種類によって選択して使用す
る。
【0073】また、活性光の照射の際に、金属微小片の
析出を促進する目的でさらに光触媒による被酸化性の化
合物を存在させてもよい。この目的に用いられる化合物
には、麦芽糖、乳糖、デキストラン、デキストリン、可
溶性デンプンなどの糖類や炭水化物、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、グルオキザール、スクシンジア
ルデヒドなどのアルデヒド類、ソルビトール、ポリエチ
レングリコール、ハイドロキノンなどの水酸基を有する
アルコール類やフェノール類、さらにはポリアクリル酸
などのカルボキシル基を有する化合物、エチレングリコ
ールジメチルエーテルなどのエーテル類、N−メチルピ
ロリドンなどのアミド類、エチレングリコールモノメチ
ルモノアセテートなどのエステル類、アセチルアセトン
などのケトン類などが挙げられる。用いる場合の添加量
は、化合物の種類によって異なるが、画像受理層の固形
物重量の0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30
重量%である。
【0074】また、本発明の効果を発揮するためには、
金属化合物が光触媒性を有していることに加えて、この
金属化合物を含んだ画像受理層中も、光変換作用が効果
的に起こるのに必要なレベルの光吸収能、すなわち粒子
密度を有していることが望ましい。充分な光吸収能は、
光変換が可能な300〜1200nmの分光波長領域中に
吸光度が0.3以上の分光吸収域を有することである
が、具体的には照射光の波長域(単波長光の場合は、そ
の波長を中心とする100nm幅の波長域)に吸光度が
0.3以上の吸収極大を有するか、又はこの波長域に吸
収極大を有しなくても吸光度が0.3以上の連続した1
00nm以上の吸収波長域が存在していることを意味す
る。この光吸収能の条件を満たしていれば、この吸収波
長域に相当する波長の露光を行うことによって、版材の
親水性と画像密着性が良好となる。
【0075】次に、本発明の画像受理層に供される結着
樹脂について説明する。
【0076】本発明の結着樹脂は、金属原子及び/又は
半金属原子が酸素原子を介して繋がった結合を含有する
樹脂(以下、単に「(半)金属含有樹脂」と称すること
もある)と、この樹脂と水素結合を形成し得る基を含有
する有機ポリマーとの複合体から成る樹脂であることを
特徴とする。
【0077】「(半)金属含有樹脂と有機ポリマーとの
複合体」とは、ゾル状物質及びゲル状物質を含む意味に
用いる。
【0078】(半)金属含有樹脂は「酸素原子−金属原
子又は半金属原子−酸素原子」から成る結合を主として
含有するポリマーを示す。ここで、(半)金属含有樹脂
は、金属原子及び半金属原子の両方を含有していてもよ
い。好ましくは、半金属原子のみを含有する樹脂、半金
属原子と金属原子とを含有する樹脂である。
【0079】(半)金属含有樹脂は、下記一般式(I)
で示される化合物の加水分解共縮合によって得られるポ
リマーであることが好ましい。
【0080】一般式(I) (R0)n0(Y)z-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
ヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、M0は3〜6
価の金属又は半金属を表し、zはM0の価数を表し、n
は0、1、2、3、または4を表す。但し、z−nは2
以上である。〕ここで、加水分解共縮合とは、反応性基
が酸性ないし塩基性条件下で加水分解、縮合を繰り返
し、重合していく反応である。
【0081】上記化合物は、単独あるいは2種以上を組
み合わせて(半)金属含有樹脂の製造に用いられる。
【0082】次に一般式(I)で示される化合物につい
て詳しく説明する。
【0083】一般式(I)中のR0は、好ましくは、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状もしくは分岐状
のアルキル基{例えば、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等;これ
らの基に置換され得る基としては、ハロゲン原子(塩素
原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、チオー
ル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、エポキシ
基、−OR′基(R′は、炭化水素基、例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘ
プチル基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブテ
ニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキシ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル
基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロモエチ
ル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2
−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピ
ル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR′基、−CO
OR′基、−COR′基、−N(R″)(R″)(R″
は、水素原子又は前記R′と同一の内容を表し、各々同
じでも異なってもよい)、−NHCONHR′基、−N
HCOOR′基、−Si(R′)3基、−CONHR″
基、−NHCOR′基等が挙げられる。これらの置換基
はアルキル基中に複数置換されてもよい)}、炭素数2
〜12の置換されてもよい直鎖状又は分岐状のアルケニ
ル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、
ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル
基、ドデセニル基等、これらの基に置換される基として
は、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のもの
が挙げられ、又複数置換されていてもよい)、炭素数7
〜14の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベン
ジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフ
チルメチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に
置換される基としては、前記アルキル基に置換される基
と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよ
い)、炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式基(例
えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シク
ロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ノ
ルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置換され
る基としては、前記アルキル基の置換基と同一の内容の
ものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭素数6
〜12の置換されてもよいアリール基(例えばフェニル
基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル基に置
換される基と同一の内容のものが挙げられ、また複数置
換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子及びイオ
ウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮
環してもよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピ
ラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロ
ール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、
ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベ
ンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン
環等で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前
記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げら
れ、又複数置換されてもよい)を表す。
【0084】反応性基Yは、好ましくは、ヒドロキシ
基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又
はヨウ素原子を表す)、−OR1基、−OCOR2基、−
CH(COR3)(COR4)基、−CH(COR3
(COOR4)基、又は−N(R5)(R6)基を表す。
【0085】−OR1基において、R1は炭素数1〜10
の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキシ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキシプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0086】−OCOR2基において、R2は、R1と同
様の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳
香族基(芳香族基としては、前記R0中のアリール基で
例示したと同様のものが挙げられる)を表す。
【0087】−CH(COR3)(COR4)基及び−C
H(COR3)(COOR4)基において、R3は炭素数
1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基等)又はアリール基(例えば、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基等)を表し、R4は炭素
数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、
炭素数7〜12のアラルキル基(例えば、ベンジル基、
フェネチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル
基、メトキシベンジル基、カルボキシベンジル基、クロ
ロベンジル基等)又はアリール基(例えば、フェニル
基、トリル基、キシリル基、メシチル基、メトキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、カルボキシフェニル基、ジ
エトキシフェニル基等)を表す。
【0088】また−N(R5)(R6)基において、R5
びR6は、互いに同じでも異なってもよく、各々、好ま
しくは水素原子又は炭素数1〜10の置換されてもよい
脂肪族基(例えば、前記の−OR1基のR1と同様の内容
のものが挙げられる)を表す。より好ましくは、R5
6の炭素数の総和が12ケ以内である。
【0089】M0は、好ましくは、遷移金属、希土類金
属、周期表III〜V族の金属又は半金属が挙げられる。
より好ましくはAl、Si、Sn、Ge、Ti、Zr等
が挙げられ、更に好ましくはAl、Si、Sn、Ti、
Zr等が挙げられる。特にSiが好ましい。
【0090】一般式(I)で示される化合物の具体例と
しては、以下のものが挙げられるが、これに限定される
ものではない。
【0091】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルト
リクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n
−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリ
クロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシ
シラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロ
ルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルト
リメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n
−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt
−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラ
ン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキ
シシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ
t−ブトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラブロ
ムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシ
ラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロル
シラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメト
キシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメ
チルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、
フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエ
トキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロム
ヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポ
キシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビ
ニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキ
シシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、ト
リフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプ
ロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリ
エトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポ
キシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタア
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−
ブトキシンラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、Ti
(OR)4(Rはアルキル基(例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基
等)を表す)、TiCl4、Zn(OR)2、Zn(CH3
COCHCOCH3)2、Sn(OR)4、Sn(CH3CO
CHCOCH3)4、Sn(OCOR)4、SnCl4、Zr
(OR)4、Zr(CH3COCHCOCH3)4、Al(O
R)3
【0092】次に、本発明に供される有機ポリマーにつ
いて説明する。
【0093】本発明に用いられる有機ポリマーは、
(半)金属含有樹脂と水素結合を形成し得る基(以下、
特定の結合基とも言う)を有する。このような基として
は、好ましくは、アミド結合(カルボン酸アミド結合及
びスルホンアミド結合を含む)、ウレタン結合及びウレ
イド結合から選ばれる少なくとも一種の結合及び水酸基
を挙げることができる。
【0094】有機ポリマーは、繰り返し単位成分とし
て、本発明の特定の結合基を少なくとも1種ポリマーの
主鎖及び/又は側鎖に含有するものが挙げられる。好ま
しくは、繰り返し単位成分として、−N(R11)CO
−、−N(R11)SO2−、−NHCONH−及び−N
HCOO−から選ばれる少なくとも1種の結合がポリマ
ーの主鎖及び/又は側鎖に存在する成分、及び/又は−
OH基を含有する成分が挙げられる。上記アミド結合中
のR11は、水素原子又は有機残基を表し、有機残基とし
ては、一般式(I)中のR0における炭化水素基及びヘ
テロ環基と同一の内容のものが挙げられる。
【0095】ポリマー主鎖に本発明の特定の結合基を含
有するポリマーとしては、−N(R 11)CO−結合また
は−N(R11)SO2−結合を有するアミド樹脂、−N
HCON−結合を有するウレイド樹脂、−NHCOO−
結合を含有するウレタン樹脂等が挙げられる。
【0096】アミド樹脂製造に供されるジアミン類とジ
カルボン酸類又はジスルホン酸類、ウレイド樹脂に用い
られるジイソシアナート類、ウレタン樹脂に用いられる
ジオール類としては、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」第I章(株)培風舘刊(1
986年)、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物
を用いることができる。
【0097】また、他のアミド結合を有するポリマーと
して、下記一般式(II)で示される繰り返し単位含有の
ポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化体また
はポリビニルピロリドンとその誘導体が挙げられる。
【0098】
【化1】
【0099】式(II)中、Z1は−CO−、−SO2−又
は−CS−を表す。R20は式(I)中のR0と同一の内
容のものを表す。r1は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表す。r1は同
じでも異なってもよい。pは2又は3の整数を表す。
【0100】一般式(II)で示される繰り返し単位を含
有するポリマーのうち、Z1が−CO−を表し、pが2
を表すポリマーは、置換基を有していてもよいオキサゾ
リンを触媒の存在下で開環重合することにより得られ
る。触媒としては、例えば、硫酸ジメチル、p−トルエ
ンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやス
ルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えばヨウ化メチ
ル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触
媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トル
エンスルホン酸などの酸や、これらの酸とオキザゾリン
との塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。な
お、このポリマーは単独重合体であってもよく、共重合
体であってもよい。また、他のポリマーにこのポリマー
がグラフトした共重合体であってもよい。
【0101】オキサゾリンの具体例としては、例えば、
2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2
−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキ
サゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−
ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−
オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリ
ン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2
−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニ
ルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニ
ル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)
−2−オキサゾリンなどが挙げられる。好ましいオキサ
ゾリンには、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキ
サゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが含まれ
る。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種
以上使用できる。
【0102】一般式(II)で示される繰り返し単位を有
する他のポリマーについても、オキサゾリンの代わりに
チアゾリン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン又
は4,5−ジヒドロ−1,3−チアジンを用いて同様に
得ることができる。
【0103】ポリアルキレンイミンのN−アシル化体と
しては、カルボン酸ハライド類との高分子反応で得られ
る−N(CO−R20)−を含むカルボン酸アミド体、又
はスルホニルハライド類との高分子反応で得られる−N
(SO2−R20)−を含むスルホンアミド体(ここで、
20は上記式(II)におけるR20と同義である)が挙げ
られる。
【0104】また、ポリマーの側鎖に本発明の特定の結
合基を含有するポリマーとしては、少なくとも該特定の
結合基から選ばれた結合基の少なくとも1種を含有する
成分を主成分として含有するものが挙げられる。このよ
うな成分としては、例えば、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、クロトンアミド、ビニル酢酸アミドあるいは
以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0105】
【化2】
【0106】
【化3】
【0107】一方、水酸基含有の有機ポリマーとして
は、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成高分
子のいずれでもよく、具体的には小竹無二雄監修「大有
機化学19、天然高分子化合物I」朝倉書店刊(196
0年)、経営開発センター出版部編「水溶性高分子・水
分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出版部刊
(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマーの応用
と市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、「機能
性セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985
年)等に記載のものが挙げられる。
【0108】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トラカガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0109】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、水酸基を少なくとも1種含有するアクリルアミド
又はメタクリルアミドのN−置換体の重合体もしくは共
重合体(N−置換基として、例えば、モノメチロール
基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、2,
3,4,5,6−ペンタヒドロキシペンチル基、等)等
が挙げられる。但し、合成高分子としては、繰り返し単
位の側鎖置換基中に少なくとも1個の水酸基を含有する
ものであれば、特に限定されるものではない。
【0110】本発明の有機ポリマーは単独で用いてもよ
いし、2種以上を併用してもよい。有機ポリマーの質量
平均分子量は、好ましくは103〜106、より好ましく
は5×103〜4×105である。
【0111】(半)金属含有樹脂と有機ポリマーの複合
体において、(半)金属含有樹脂と有機ポリマーの割合
は広い範囲で選択できるが、好ましくは(半)金属含有
樹脂/有機ポリマーの質量比で10/90〜90/1
0、より好ましくは20/80〜80/20である。こ
の範囲において、画像受理層の膜の強度、印刷時の湿し
水に対する耐水性が良好となる。
【0112】本発明の複合体を含む結着樹脂は、前記化
合物の加水分解重縮合により生成した(半)金属含有樹
脂のヒドロキシル基と、有機ポリマー中の前記特定の結
合基とが水素結合作用により均一な有機、無機ハイブリ
ッドを形成し、相分離することなくミクロ的に均質とな
る。(半)金属含有樹脂に炭化水素基が存在する場合に
は、その炭化水素基に起因して、有機ポリマーとの親和
性がさらに向上するものと推定される。また、この複合
体は成膜性に優れている。
【0113】本発明の複合体は、前記化合物を加水分解
重縮合し、有機ポリマーと混合することにより製造する
か、または有機ポリマーの存在下、前記シラン化合物を
加水分解重縮合することにより製造される。
【0114】好ましくは、有機ポリマーの存在下、前記
化合物をゾル−ゲル法により加水分解重縮合することに
より有機・無機ポリマー複合体を得ることができる。生
成した有機・無機ポリマー複合体において、有機ポリマ
ーは、化合物の加水分解重縮合により生成したゲルのマ
トリックス(すなわち無機金属酸化物の三次元微細ネッ
トワーク構造体)中に均一に分散している。
【0115】上記好ましい方法としてのゾル−ゲル法
は、従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうことができ
る。具体的には、「ゾル−ゲル法による薄膜コーティン
グ技術」(株)技術情報協会(刊)(1995年)、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書に詳細に記載の方法に従って実施でき
る。
【0116】画像受理層用の塗布液は、水系溶媒が好ま
しく、更には塗液調整時の沈殿抑制による均一液化のた
めに水溶性溶媒を併用する。水溶性溶媒としては、アル
コール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン
等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコールモ
ノメチルモノアセテート等)、アミド類(ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル
ピロリドン等)等が挙げられ、1種あるいは2種以上を
併用してもよい。
【0117】更に、一般式(I)で示される前記の
(半)金属化合物の加水分解及び重縮合反応を促進する
ために、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ま
しい。
【0118】触媒は、酸または塩基性化合物をそのまま
か、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させ
た状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と
いう)を用いる。そのときの濃度については特に限定し
ないが、濃度が濃い場合は加水分解及び重縮合速度が速
くなる傾向がある。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用い
ると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、
塩基性触媒の濃度は1N(水溶液での濃度換算)以下が
望ましい。
【0119】酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触
媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、
亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸
や酢酸などのカルボン酸、構造式RCOOHのRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0120】本発明の画像受理層には、上記した成分と
共に、他の構成成分を含有してもよい。
【0121】他の成分として、本発明の表面凹凸粒子以
外の無機顔料粒子を含有してもよい。例えば、シリカ、
アルミナ、カオリン、クレー、酸化亜鉛、酸化チタン、
炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸
バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これら他
の無機顔料は、本発明の表面凹凸粒子の総量100質量
部に対して、40質量部を超えない範囲で用いる。好ま
しくは、20質量部以内である。
【0122】その他、画像受理層には、膜強度をより向
上させるために架橋剤を添加してもよい。架橋剤として
は、通常架橋剤として用いられる化合物を挙げることが
できる。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハ
ンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(198
6年)等に記載されている化合物を用いることができ
る。
【0123】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談杜(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0124】本発明の画像受理層は、上記塗布液を耐水
性支持体上に、従来公知の塗布方法のいずれかを用いて
塗布、乾燥することにより成膜される。
【0125】形成される画像受理層の膜厚は0.2〜1
0μmが好ましく、より好ましくは0.5〜8μmであ
る。この範囲で均一な厚みの膜が作成され、且つ膜の強
度が充分となる。
【0126】本発明の画像受理層はその表面の平滑性が
ベック平滑度で30(秒/10mL)以上が好ましい。ここ
でベック平滑度は、ベック平滑度試験機により測定する
ことができ、高度に平滑に仕上げられた中央に穴のある
円形のガラス板上に、試験片を一定圧力(1kg/cm2)で
押しつけ、減圧下で一定量(10mL)の空気が、ガラス面
と試験片との間を通過するのに要する時間を測定するも
のである。
【0127】製版(画像形成)を電子写真式プリンター
で行う場合、用いるトナーが乾式トナーと液体トナーで
好ましい範囲は以下のようになる。
【0128】乾式トナーを用いる電子写真式プリンター
では、本発明の原版の画像受理層表面のベック平滑度
は、30〜200(秒/10mL)が好ましく、より好まし
くは50〜150(秒/10mL)である。この範囲におい
て、トナー画像を原版に転写し定着するプロセスにおい
て、飛散トナーの非画像部への付着(即ち、地汚れ)が
防止され、また画像部のトナー密着が均一且つ充分にな
され、細線・細文字の再現性やべタ画像部の均一性が良
好となる。
【0129】他方、液体トナーを用いる電子写真式プリ
ンターでは、画像受理層表面のベック平滑度は30(秒
/10mL)以上で、高い程よく、150〜3000(秒/
10mL)、より好ましくは200〜2500(秒/10mL)
である。
【0130】また、インクジェット式プリンター、感熱
転写型プリンターでは、上記液体トナー利用の電子写真
式プリンターの場合と同様の範囲が好ましい。
【0131】この範囲において、細線・細文字、網画像
等の高精細なトナー画像部が忠実に画像受理層上に転写
・形成され且つ画像受理層表面とトナー画像部の密着も
充分になされ、画像部強度が保持できる。
【0132】更に好ましくは、本発明の画像受理層表面
の形状を凹凸の形成が高く且つ間隔が密な状態とする。
具体的には、ISO−468で定義される表面中心平均
粗さSRaが1.3〜3.5μmの範囲で且つ表面粗さ
の密度を表示する平均波長Sλaが50μm以下の範囲
であることが好ましい。より好ましくは、SRaが1.
35〜2.5μm、Sλaが45μm以下の範囲であ
る。この事により、電子写真製版後の非画像部への飛散
トナーの付着及び付着トナーの定着時の太りが抑制され
るものと推定される。
【0133】次に、本発明に供せられる耐水性支持体に
ついて説明する。
【0134】耐水性支持体としては、アルミニウム板、
亜鉛板、銅−アルミニウム板、銅−ステンレス板、クロ
ム−銅板等のバイメタル板、クロム−銅−アルミニウム
板、クロム−鉛−鉄板、クロム−銅−ステンレス板等の
トライメタル板で、その厚さが0.1〜3mm、特に0.
1〜1mmのものが挙げられる。また、厚みが80μm〜
200μmの耐水性処理を施した紙、プラスチックフィ
ルムあるいは金属箔をラミネートした紙またはプラスチ
ックフィルム等が挙げられる。
【0135】本発明に供せられる支持体は高平滑な表面
を有することが好ましい。即ち、画像受理層に隣接する
側の表面の平滑性が、ベック平滑度で300(秒/10m
L)以上、より好ましくは900〜3000(秒/10m
L)に調製されていることが好ましく、より好ましくは
1000〜3000(秒/10mL)であることが好まし
い。
【0136】支持体の画像受理層に隣接する側の表面の
平滑性をベック平滑度で300(秒/10mL)以上に規制
することによって、画像再現性及び耐刷性をさらに向上
させることができる。このような向上効果は、画像受理
層表面の平滑性が同じであっても得られるものであり、
支持体表面の平滑性が増すことで画像部と画像受理層と
の密着性が向上したためと考えられる。
【0137】このように規制された耐水性支持体の高平
滑な表面とは、画像受理層が直接塗布される面のことを
いい、例えば、支持体上に後述する導電層、アンダー
層、オーバーコート層を設ける場合には、その導電層、
アンダー層、オーバーコート層の表面のことをいう。
【0138】これにより支持体の表面の凹凸の影響を受
けることなく上記のように表面状熊が調整された画像受
理層が充分に保持され、より一層の画質向上が可能とな
る。
【0139】上記平滑度の範囲に設定する方法として
は、種々従来公知の方法を用いることができる。具体的
には、基体表面を樹脂により、溶融接着する方法、高平
滑の熱ローラーによるカレンダー強化法等の方法によ
り、支持体の表面のベック平滑度を調整する方法等を挙
げることができる。
【0140】本発明の直描型平版印刷用原版は耐水性支
持体上に設けられた画像受理層に、電子写真記録方式で
トナー画像を形成する、あるいは静電界を利用して油性
インクを吐出する静電吐出型インクジェット法で画像を
形成するために用いられる平版印刷用原版としても好ま
しく用いることができ、画像形成により得られた平版印
刷版は、鮮明な画像を多数枚印刷することが可能であ
る。
【0141】電子写真記録方式による画像形成は、通
常、電子写真プロセスで、被転写材上へのトナー画像の
転写は、静電転写により行なわれている。印刷用原版と
しての耐水性支持体は導電性であることが好ましく、特
にその体積固有抵抗値が104〜1013Ω・cmが好まし
く、より好ましくは107〜1012Ω・cmである。これ
により転写画像の滲み・歪みや非画像部へのトナー付着
汚れ等が実用上問題のない程度に抑制され、良好な画像
が得られる。
【0142】また、静電吐出型インクジェット記録方式
による画像形成でも、上記耐水性支持体は、導電性を有
するものであることが好ましく、少なくともその画像受
理層の直下の部分が1010Ω・cm以下の固有電気抵抗値
を有するものであることが好ましく、耐水性支持体全体
が1010Ω・cm以下であることがより好ましい。上記の
固有電気抵抗値は、さら好ましくは、108Ω・cm以下
であり、その値は、限りなく零であってもよい。導電性
が上記の範囲内において、帯電したインク滴が画像受理
層上に付着した際に該インク滴の電荷が速やかに接地面
を通して消失するために、乱れを生じない鮮明な画像が
形成される。
【0143】なお、固有電気抵抗値(体積固有電気抵抗
値または比電気抵抗値とも呼ばれる)の測定はJIS
K−6911に基づきガード電極を設けた3端子法で行
った。
【0144】支持体の画像受理層の直下の部分に上記の
ような導電性を持たせるには、紙、フィルム等の基体上
に、カーボンブラック等の導電性フィラーと結着剤から
なる層を塗布したり、金属箔を貼り付けたり、金属を蒸
着したりする方法が挙げられる。
【0145】一方、支持体全体が導電性を有するものと
しては、例えば塩化ナトリウムなどを含浸させた導電性
紙、カーボンブラック等の導電性フィラーを混入させた
プラスチックフィルム、アルミニウムなどの金属板等が
挙げられる。
【0146】例えば基体に塩化ナトリウムなどを含浸さ
せた導電性原紙を用い、その両面に耐水性を有する導電
性層を設けることにより得られる。基体として用いられ
る原紙としては、例えば木材パルプ紙、合成パルプ紙、
木材パルプ紙と合成パルプ紙の混抄紙をそのまま用いる
ことができる。また、原紙の厚さとしては80μm〜2
00μmが好ましい。
【0147】導電性層の形成は、導電性フィラーと結着
剤を含む層を上記導電性紙の両面に塗布することにより
達成される。塗布される導電性層の厚さは、5μm〜2
0μmが好ましい。
【0148】導電性フィラーとしては、粒子状のカーボ
ンブラック、グラファイト、例えば銀、銅、ニッケル、
真鍮、アルミニウム、鋼、ステンレスなどの金属粉、酸
化スズ粉末、フレーク状のアルミニウムまたはニッケ
ル、繊維状の炭素などが挙げられる。
【0149】結着剤として使用される樹脂としては、各
種の樹脂が適宜選択して用いられる。具体的には、疎水
性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、
スチレン−アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニ
リデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、親水性
樹脂としては例えばポリビニルアルコール系樹脂、セル
ロール系誘導体、でんぷんおよびその誘導体、ポリアク
リルアミド系樹脂、スチレン無水マレイン酸系共重合体
等が挙げられる。
【0150】導電性層を形成する他の方法として、導電
性の薄膜をラミネートすることがあげられる。導電性薄
膜としては、例えば金属箔、導電性プラスチックフィル
ムなどを用いることができる。さらに具体的には、金属
箔ラミネート材としてアルミ箔、導電性プラスチックフ
ィルムのラミネート材としては、カーボンブラックを混
入したポリエチレン樹脂などがあげられる。アルミ箔と
しては、硬質および軟質のどちらでも良く、厚みは5μ
m〜20μmが好ましい。
【0151】カーボンブラックを混入したポリエチレン
樹脂のラミネートには押し出しラミネート法が好まし
い。押し出しラミネート法とは、ポリオレフィンを熱溶
融し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧着後、
冷却してラミネートする方法であり、種々の装置が知ら
れている。ラミネート層の厚みは、10μm〜30μm
が好ましい。支持体全体が導電性を有するものとして、
基体として導電性を有するプラスチックフィルムや金属
板を用いる場合は、耐水性が満たされていればそのまま
で使用できる。
【0152】導電性を有するプラスチックフィルムとし
ては、例えば炭素繊維やカーボンブラック等の導電性フ
ィラーを混入させたポリプロピレン、ポリエステルフィ
ルムなどが、また金属板としては、アルミニウムなどが
使用できる。基体の厚みは80μm〜200μmが好ま
しい。80μm未満では印刷版としての強度が不足し、
200μmを超えると描画装置内での搬送性などのハン
ドリング性が低下する。
【0153】次に、導電性を有する層を設ける構成につ
いて説明する。
【0154】耐水性基体として、厚みが80μm〜20
0μmの耐水性処理を施した紙、プラスチックフィルム
あるいは金属箔をラミネートした紙またはプラスチック
フィルム等を用いることができる。
【0155】基体上に導電性層を形成する方法として
は、上記の支持体全体が導電性を有する場合で述べた方
法が使用できる。すなわち基体の一つの面に導電性フィ
ラーと結着剤を含む層を厚さ5μm〜20μmで塗布す
る。または金属箔、あるいは導電性を有するプラスチッ
クフィルムをラミネートすることにより得られる。
【0156】上記以外の方法としては、例えばプラスチ
ックフィルムにアルミ、スズ、パラジウム、金などの金
属蒸着膜を設けても良い。
【0157】以上のようにして導電性を有する耐水性支
持体を得ることができる。
【0158】また、本発明では上記のように画像受理層
とは反対の支持体面にカール防止を目的としてバックコ
ート層(裏面層)を設けることができるが、バックコー
ト層は、その平滑度が150〜700(秒/10mL)の範
囲であることが好ましい。これにより、印刷版をオフセ
ット印刷機に給版する場合に、ズレやスベリを生じるこ
となく印刷版が正確に印刷機にセットされる。
【0159】アンダー層またはバックコート層を設けた
耐水性支持体の膜厚としては、90〜130μmの範
囲、好ましくは100〜120μmの範囲である。
【0160】本発明の平版印刷用原版に、感熱転写記録
方式、電子写真記録方式あるいはインクジェット記録方
式等で画像形成を行ない製版が行われる。
【0161】電子写真記録方法としては、従来公知の記
録方式のいずれをも用いることができる。例えば電子写
真学会編「電子写真技術の基礎と応用」(株)コロナ社
刊、(1988年)、江田研一、電子写真学会誌27
113(1988)、川本晃生、同33,149(19
94)、川本晃生、同32,196(1993)等に記
載の方法あるいは市販のPPC複写機等が挙げられる。
【0162】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。
【0163】まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
上記「電子写真技術の基礎と応用」212頁以降に記載
の帯電デバイスにより感光材料を帯電する。コロトロン
又はスコトロン方式が一般的である。この時感光材料の
帯電電位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲
の表面電位となるようフィードバックをかけ、帯電条件
をコントロールすることも好ましい。その後例えば同じ
く上記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレ
ーザー光源による走査露光を行う。
【0164】次いで液体現像剤を用いてトナー画像の形
成を行う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料
は、そこからはずして同上引用資料の275頁以降に示
された湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は
同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0165】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなゴムローラ、ギャップロー
ラ、リバースローラ等のスクイーズ、コロナスクイー
ズ、エアスクイーズ等のスクイーズを行う。スクイーズ
前に現像剤の担体液体のみでリンスをすることも好まし
い。
【0166】次に感光体上に上記の様にして形成された
トナー画像を被転写材である平版印刷用原版上に転写・
定着する、または中間転写体を経由して平版印刷用原版
に転写・定着するものである。
【0167】インクジェット記録方法としては、従来公
知の記録方式のいずれでもよいが、インク画像の乾燥・
定着性、インクのつまり難さ等から油性インクが好まし
く且画像滲みを生じ難い静電吐出型インクジェット方式
が好ましい。ホットメルトインクを用いたソリッドジェ
ット方式も好ましく用いられる。
【0168】静電力を用いるオンディマンド型のインク
ジェット方式として一之瀬進、大庭有二、電子通信学会
論文誌Vol.J66-C(No.1),p47(1983)、大野忠義、水口
衛、画像電子学会誌vol.10,(No.3),p157(1981)等に記載
の静電加速型インクジェットあるいはスリットジェット
と呼ばれる方式が知られており、具体的態様が、例えば
特開昭56−170号、同56−4467号、同57−
151374号等に開示されている。
【0169】これは、インクタンクからスリット状のイ
ンク保持部内面に多数の電極を配置してなるスリット状
インク室にインクを供給すると共に、これらの電極に選
択的に高電圧を印加することにより、スリットと近接対
向する記録紙に電極近傍のインクを噴出させて記録する
ものである。
【0170】また、スリット状の記録ヘッドを用いない
他の方式として、特開昭61−211048号公報に
は、複数の微小孔を有するフィルム状インク支持体の穴
にインクを充填し、多針電極により選択的に電圧を印加
して孔内のインクを記録紙に移動させる手段が開示され
ている。
【0171】また、ソリッドジェット方式としては、So
lid Inkjet Platemaker SJ02A(日立工機(株)製)、
MP−1200Pro(Dynic(株)製)等の市販されたプ
リントシステムが挙げられる。
【0172】インクジェット記録方法を用いた製版方法
を図を用いてより具体的に説明する。
【0173】図1に示す装置系は油性インクを使用する
インクジェット記録装置1を有するものである。
【0174】図1のように、まず、マスター(平版印刷
用原版)2に形成すべき画像(図形や文章)のパターン
情報を、コンピュータ3のような情報供給源から、バス
4のような伝達手段を通し、油性インクを使用するイン
クジェット記録装置1に供給する。記録装置1のインク
ジェット記録用ヘッド10は、その内部に油性インクを
貯え、記録装置1内にマスター2が通過すると、前記情
報に従い、インクの微小な液滴をマスター2に吹き付け
る。これにより、マスター2に前記パターンでインクが
付着する。
【0175】こうしてマスター2に画像を形成し、製版
マスター(製版印刷用原版)を得る。
【0176】図1の装置系に用いられるインクジェット
記録装置の例を図2および図3に示す。図2および図3
では図1と共通する部材は共通の符号を用いて示してい
る。
【0177】図2はこのようなインクジェット記録装置
の要部を示す概略構成図であり、図3はヘッドの部分断
面図である。
【0178】インクジェット記録装置に備えられている
ヘッド10は、図3に示されるように、上部ユニット1
01と下部ユニット102とで挟まれたスリットを有
し、その先端は吐出スリット10aとなっており、スリ
ット内には吐出電極10bが配置され、スリット内には
油性インク11が満たされた状態になっている。
【0179】ヘッド10では、画像のパターン情報のデ
ジタル信号に従って、吐出電極10bに電圧が印加され
る。図2に示されるように、吐出電極10bに対向する
形で対向電極10cが設置されており、対向電極10c
上にはマスター2が設けられている。電圧の印加によ
り、吐出電極10bと、対向電極10cとの間には回路
が形成され、ヘッド10の吐出スリット10aから油性
インク11が吐出され対向電極10c上に設けられたマ
スター2上に画像が形成される。
【0180】吐出電極10bの幅は、高画質の画像形成
を行うためにその先端はできるだけ狭いことが好まし
い。
【0181】例えば油性インクを図3のヘッド10に満
たし、先端が20μm 幅の吐出電極10bを用い、吐出
電極10bと対向電極10cの間隔を1.5mmとして、
この電極間に3kVの電圧を0.1ミリ秒印加すること
で40μm のドットの印字をマスター2上に形成するこ
とができる。
【0182】以上のようにして、平版印刷用原版上に、
油性インクを使用したインクジェット方式で画像形成し
て印刷版を作成することができる。
【0183】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される
ものではない。 実施例1 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、平
均粒径0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積3
00m2/g)100g、ポリビニルアルコール(PV
A203、クラレ(株)製)の10wt%水溶液113g
及び0.1規定硝酸銀水溶液300gを混合し、ペイン
トシェーカー(東洋精機(株))で30分間分散した液
に、あらかじめ加水分解した20wt%テトラメトキシシ
ラン水/エタノール(1:1)溶液107gとコロイダ
ルシリカ20%水溶液スノーテックC(日産化学工業
(株))182gとを混合した。軽印刷用電子写真式平
版印刷原版として用いられているELP−1X型マスタ
ー(富士写真フイルム(株)製)の支持体(アンダー側
のベック平滑度:1000(sec/10mL))に、上記画
像受理層組成物をワイヤーバーを用いて、乾燥後の塗布
量が5g/m2になるように塗布し、オーブンで100
℃、10分間乾燥した。次に、100W高圧水銀灯にて
パイレックス(登録商標)フィルターを通して2分間照
射することにより、多孔質フィラー粒子表面に黒色の金
属銀を析出させた(析出法1)。
【0184】このようにして作成した印刷原版の反射光
学濃度は1.12であった(測定は、国際規格ISO5
−3及び5−4に定められた光学系をもつ濃度計(X−
RITE濃度計)に中性色全可視光域フィルターを使
用)。
【0185】平版印刷用原版をベック平滑度試験機(熊
谷理工(株)製)を用い、空気容量10mLの条件にてそ
の平滑度を測定したところ、105(sec/10mL)であ
った。また、平版印刷用原版の表面に、蒸留水2μlを
乗せ、30秒後の表面接触角(度)を表面接触角計(商
品名CA−D、協和界面科学(株)製)を用いて測定し
たところ、5度以下であった。
【0186】上記の平版印刷用原版を、「AM−Straig
ht Imaging System」として市販されている、乾式トナ
ーを用いたレーザープリンターAMSIS・1200−
J Plate Setter(商品名)を通して製版した。
【0187】得られた製版物の複写画像について20倍
のルーペを用いて目視評価した所、製版画質は良好であ
つた。即ち、レーザープリンターからの乾式トナー転写
により得られた本発明の製版物は、細線、細文字の欠落
がなく、ベタ部も均一で、トナー転写のムラは全く認め
られず、旦つ非画像部もトナー飛散による地カブリも微
かで実用上問題のない良好なものであった。
【0188】次に上記平版印刷用原版を、上記と同一の
操作で製版した後、全自動印刷機AM−2850(商品
名、エーエム社(株)製)を用いて、湿し水として、P
S版用処理剤EU−3(富士写真フイルム(株)製)を
蒸留水で50倍に希釈した溶液を、湿し水受皿部に入
れ、オフセット印刷用墨インキを用いて印刷を行なつ
た。印刷10枚目の印刷物の印刷画像(地カブリ、画像
部のベタ均一性)を20倍のルーペを用いて目視評価し
た所、極めて良好なものであった。
【0189】更に、細線、細文字の欠落及びベタ部のム
ラのない画像を有し、非画像部のインキ汚れも実用上問
題のない良好な印刷物が3万枚以上得られた。
【0190】本発明の原版は良好な印刷物を多数枚得る
ことができる。比較例1画像受理層組成物の0.1規定
硝酸銀水溶液を蒸留水に変更した以外は、実施例1と同
様にして平版印刷用原版を作成した。
【0191】得られた原版の表面のベック平滑度は16
0度(sec/10mL)、水との接触角は5度以下であっ
た。
【0192】上記の原版を、実施例1と同様にして製版
し、印刷を行なった。製版した版の画質は、実施例1と
ほぼ同等で非画像部での飛散トナーも少なく画像も良好
であった。しかし、印刷物は刷り出しは非画像部の汚れ
がなく良好であったが、1000枚程印刷した所で画像
部の欠落が発生した。 実施例2 <直描型平版印刷用原版の作成>下記の組成物を、ガラ
スビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機(株))
にて室温で20分間分散した後、ガラスビーズを濾別し
て、分散物を得た。
【0193】 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、 平均粒径0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積 300m2/g) 100g ゼラチン(和光純薬工業(株))の10wt%水溶液 300g テトラエトキシシラン 25g エタノール 8.6g コロイダルシリカ20%水溶液;スノーテックC (日産化学工業(株)) 18 g フッ化アルキルエステル;FC−430(3M社製) 0.25g 硬化剤 CH2=CHSO2CH2CONH(CH2)3NHCOCH2SO2CH=CH2 1.0g 1規定塩酸 4g 0.1規定硝酸銀水溶液 250g 軽印刷用電子写真式平版印刷原版として用いられている
ELP−2X型マスター(富士写真フイルム(株)製)
の支持体(アンダー片側のベック平滑度:2000(se
c/10mL)以上)を用い、この上に上記組成物をワイヤ
ーバーを用いて乾燥後の塗布量6g/m2となる様に塗
布し、指触乾燥した後、更に110℃、30分間加熱し
た後、実施例1の析出法1と同様にして多孔質フィラー
粒子表面に金属銀を析出させて平版印刷用原版を作成し
た。
【0194】得られた原版の表面のベック平滑度は70
0(sec/10mL)、水との接触角は5度以下であった。 <電子写真感光体の作成>X型無金属フタロシアニン
(大日本インキ(株)製)2g、下記結着樹脂(P−
1)14.4g、下記結着樹脂(P−2)3.6g、下
記化合物(A)0.15g及びシクロヘキサノン80g
の混合物を、500mLのガラス容器にガラスビーズと共
に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所製)で6
0分間分散した後、ガラスビーズを濾別して感光層分散
液とした。
【0195】
【化4】
【0196】次いでこの分散液を脱脂処理を施した0.
2mm厚のアルミニウム板の上にワイヤーバーで塗布し、
指触乾燥した後、110℃の循環式オーブンで20秒間
加熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであった。
【0197】上記の様にして作成した電子写真感光体
を、暗所にて、コロナ帯電して表面電位を+450Vに
帯電したのち、あらかじめ原稿からカラースキャナーに
より読み取り、色分解し、システム特有の幾つかの色再
現に関わる補正を加えた後、デジタル画像データーとし
てシステム内のハードティスクに記憶させてあった情報
をもとに、露光装置として半導体レーザー描画装置を用
いて788mmの光で、ビームスポット径を15μmと
し、ピッチ10μm及びスキャン速度300cm/秒のス
ピードで露光した(即ち、2500dpi)。この時の
感光体上の露光量が25erg/cm2になるように露光し
た。
【0198】続いて下記内容の液体現像剤を用いて現像
し、ついでアイソパーG単独浴中でリンスをして非画像
部の汚れを除いてから、感光体表面温度が50℃となる
温風でアイソパーGの残量が10mg/トナー重量gとな
るように乾燥した。更に続けて、この感光体にコロナ帯
電器で−6KVのプリチャージをかけ、この感光体の画
像面を前記の平版印刷用原版と重ね、電子写真感光体側
からマイナスのコロナ放電をかけ転写した。 <液体現像剤>ニーダーに下記の組成の成分を混合し9
5℃で2時間混練し、混合物を得た。この混合物をニー
ダー内で冷却した後、同じニーダー内で粉砕した。この
粉砕物1重量部とアイソパーH4重量部をペイントシェ
ーカーで6時間分散し分散物を得た。この分散物をトナ
ー固形分が1リットル当たり1gとなる様、アイソパー
Gで希釈し、同時にマイナス荷電性を付与する荷電調節
剤として塩基性バリウムペトローネを1リットル当たり
0.1g含む様にして液体現像剤を作製した。 (混練用組成) エチレン・メタクリル酸共重合体 4重量郡 (三井デュポン社製、ニュクレルN−699) カーボンブラック#30(三菱化成(株)製) 1重量部 アイソパーL(エクソン社製) 15重量部 画像形成された平版印刷用原版(製版版)を温度100
℃、30秒間加熱しトナー画像部を完全定着した。
【0199】得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡に
より、200倍の倍率で観察して評価した。細線・細文
字等の滲みや欠落のない鮮明な画像であった。
【0200】次に、上記の様にして作成した印刷版を、
印刷機として、オリバー94型((株)桜井製作所製)
を用い、湿し水として、SLM−OD(三菱製紙(株)
製)を蒸留水で100倍に希釈した溶液を、湿し水受皿
部に入れ、オフセット印刷用墨インキを用いて印刷を行
なった。
【0201】印刷10枚目の印刷物の印刷画像を20倍
のルーぺを用い目視評価した所、非画像部の印刷インク
付着による地汚れは見られず、又ベタ画像部の均一性は
良好であった。更に200倍の光学顕微鏡観察でも、細
線・細文字の細り・欠落等は認められず良好な画質であ
った。
【0202】これと同等の印刷画質の印刷物が3万枚以
上得られた。 実施例3 <耐水性支持体の作成>基体として秤量100g/m2の上
質紙を用い、基体の一方の面に下記組成のバック層用塗
料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量12g/
m2のバック層を設けた後、バック層の平滑度が100
(sec/10mL)程度になるようにカレンダー処理を行っ
た。 (バックコート層用塗料) ・カオリン(50%水分散液) 200部 ・ポリビニルアルコール水溶液(10%) 60部 ・SBRラテックス(固形分50%、Tg:0℃) 100部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 5部 次いで、基体の他方の面に下記組成のアンダー層用塗料
をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量10g/m2
のアンダー層を設けた後、アンダー層の平滑度が150
0(sec/10mL)程度になるようにカレンダー処理を行
った。 (アンダー層用塗料) ・カーボンブラック(30%水分散液) 5.4部 ・クレー(50%水分散液) 54.6部 ・SBRラテックス(固形分50%、Tg:25℃) 36部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 4部 上記の各成分を混合し、全体の固形分が25%となるよ
うに水を加えてアンダー層用塗料とした。
【0203】得られたアンダー層の固有電気抵抗値は、
次の様にして測定した。
【0204】アンダー層用塗料を、充分に脱脂洗浄した
ステンレス板上に塗布し、乾燥塗布量10g/m2の塗膜と
した。得られたサンプルについて、その固有電気抵抗値
をJIS K−6911に基づきガード電極を設けた3
端子法で測定し、4×109Ω・cmという値を得た。 <直描型平版印刷用原版の作成>下記組成物を、ガラス
ビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機(株))に
て室温で20分間分散した後、ガラスビーズを濾別し
て、分散物を得た。
【0205】 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、平均粒径 0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)100g でん粉(PENON ZP-2、日澱化学(株)製)10%水溶液 300g テトラエトキシシラン 30g メチルトリメトキシシラン 3g スノーテックC(20%水溶液) 91g エタノール 10g 1規定塩酸 5g 0.1規定硫酸銅水溶液 300g 上記の耐水性支持体上に、この分散物をワイヤーバーを
用いて乾燥後の塗布量が6g/m2となる様に塗布しオーブ
ンで100℃、20分乾燥した後、実施例1の析出法1
と同様にして多孔質フィラー粒子表面に金属銅を析出
し、印刷用原版を作成した。 <油性インク(IK−1)の作成> (樹脂粒子の製造)ポリ(ドデシルメタクリレート)1
4g、酢酸ビニル100g、オクタデシルメタクリレー
ト4.0gおよびアイソパーHを286gの混合溶液
を、窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重
合開始剤として2,2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(略称A.I.V.N.)を1.5g加え、4時間
反応した。更に、2,2′−アゾビス(イソブチロニト
リル)(略称A.I.B.N.)を0.8gを加えた
後、温度80℃に加温して2時間反応し、続けてA.
I.B.N.を0.6g加えて2時間反応した。その
後、温度を100℃に上げそのまま1時間攪拌し未反応
のモノマーを留去した。冷却後200メッシュのナイロ
ン布を通して得られた白色分散物は重合率93%で平均
粒径0.35μmのラテックスであった。粒径はCAP
A−500(堀場製作所(株)製)で測定した。 (インクの作成)ドデシルメタクリレート/アクリル酸
共重合体(共重合比:98/2重量比)10g、アルカ
リブルー10gおよびシェルゾール71、30gをガラ
スビーズとともにペイントシェーカー(東洋精機(株)
製)に入れ、4時間分散し、アルカリブルーの微小な青
色分散物を得た。
【0206】上記の樹脂粒子50g(固形分量とし
て)、上記の青色分散物5g(固形分量)および、ナフ
テン酸ジルコニウム0.06gをアイソパーGの1リッ
トルに希釈することにより青色油性インク(IK−1)
を作成した。
【0207】前記で得られた原版を用いて、パソコン出
力を描画できるグラフテック社製サーボ・プロターDA
8400を改造し、ペン・プロッター部に図2に示した
インク吐出ヘッドを装着し、1.5mmの間隔をおいた対
向電極上に設置された平版印刷用原版に上記油性インク
(IK−1)を用いて印字を行ない製版した。製版に際
しては、印刷用原版の画像受理層直下に設けられたアン
ダー層と対向電極を、銀ぺーストを用いて電気的に接続
した。
【0208】製版された版を、版面温度が70℃となる
様に調整したリコーフュザー(リコー(株)製)で10
秒間加熱しインク画像を定着した。
【0209】得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡に
より、200倍の倍率で観察して評価した。細線・細文
字等の滲みや欠落のない鮮明な画像であった。
【0210】次に、上記の様にして作成した印刷版を、
印刷機として、オリバー94型((株)桜井製作所製)
を用い、湿し水として、EU−3(富士写真フイルム
(株)製)を蒸留水で100倍に希釈した溶液を、湿し
水受け皿部に入れ、オフセット印刷用墨インキを用いて
印刷を行なった。
【0211】印刷10枚目の印刷物の印刷画像を20倍
のルーぺを用いて目視評価した所、非画像部の印刷イン
ク付着による地汚れは見られず、又ベタ画像部の均一性
は良好であった。更に200倍の光学顕微鏡観察でも、
細線・細文字の細り・欠落等は認められず、良好な画質
であった。
【0212】これと同等の印刷画質の印刷物が3万枚以
上得られた。 実施例4〜10 実施例1において、画像受理層用塗布液のPVA203
及びテトラメトキシシランの代わりに、下記表1の有機
ポリマー24g及びシラン化合物24gを用いた他は、
実施例1と同様にして平版印刷用原版を作成した。
【0213】
【表1】
【0214】得られた各原版の表面のベック平滑度は1
20〜150(sec/10mL)の範囲内で、水との接触角は
5度以下であった。
【0215】実施例1と同様にして製版して印刷版と
し、印刷を行なった所、得られた印刷物はいずれも実施
例1の印刷物と同様に、非画像部の汚れの無い鮮明な画
質のものであり、耐刷性も3万枚以上と良好であった。 実施例11 下記の組成物をペイントシェーカーで20分間分散して
分散物とした後、ELP−2X用支持体上に乾燥後の塗
布量が6g/m2となる様にワイヤーバーを用いて塗布し、
指触乾燥した。次いで、150℃、30分間加熱した
後、実施例1の析出法1と同様にして多孔質フィラー粒
子表面に金属銀を析出させて平版印刷用原版を作成し
た。 <画像受理層組成物> 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、平均粒径 0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)45g シリカ:サイリシア310(富士シリシア化学(株)製) 5g コハク酸変性でん粉PENON−F3(日澱化学(株)製) 30g テトラエトキシシラン 28g ベンジルトリメトキシシラン 2g 1規定塩酸 2g 0.1規定硝酸銀水溶液 300g 得られた画像受理層の表面のベック平滑度は300(se
c/10mL)、水との接触角は5度以下であった。
【0216】実施例3の記録装置および油性インクを用
いて製版した。得られた製版物の画質は、細線・細文字
等の精細な画像に歪み、滲み等が見られない鮮明なもの
であった。
【0217】次に実施例3と同様にして印刷した所、得
られた印刷物は、実施例3の印刷物と同様に、非画像部
の汚れのない鮮明な画質のものであり、耐刷性も3万枚
以上と良好なものであった。実施例12〜22画像受理
層成分の多孔質フィラー粒子を下記表2の金属化合物粒
子に変更した以外は実施例3と同様にして平版印刷用原
版を作成した。各原版の表面のベック平滑度は400〜
800(sec/10mL)であった。原版表面の接触角を測
定したところ、5度以下であった。
【0218】各原版について、実施例3と同様にして製
版し、印刷した。得られた印刷物は、非画像部に地汚れ
がなく、細線・細文字に滲みや歪みのない鮮明な画像の
ものであり、また、表2に示すように各版とも3万枚以
上の良好な耐刷性を示した。
【0219】
【表2】 実施例23〜39 画像受理層成分の硝酸銀水溶液を下記表3の金属塩水溶
液に変更した以外は実施例11と同様にして平版印刷用
原版を作成した。各原版の表面のベック平滑度は300
〜850(sec/10mL)であった。原版表面の接触角を
測定したところ、5度以下であった。
【0220】各原版について、実施例3と同様にして製
版し、印刷した。得られた印刷物は、非画像部に地汚れ
がなく、細線・細文字に滲みや歪みのない鮮明な画像の
ものであり、また、表3に示すように各版とも3万枚以
上の良好な耐刷性を示した。
【0221】
【表3】 実施例40 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、平
均粒径0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積3
00m2/g)100gを0.1規定硝酸銀水溶液60
0g中に混合し、攪拌しながら100w高圧水銀灯にて
パイレックスフィルターを通して3分間照射した。その
後、粒子を濾過し、1リッターの水で洗い乾燥すること
で粒子表面に黒色の金属銀を析出させた酸化チタン粒子
を得た。
【0222】上記酸化チタン粒子100g、ポリビニル
アルコール(PVA203、クラレ(株)製)の10wt
%水溶液113g及び水300gを混合し、ペイントシ
ェーカー(東洋精機(株)製)で30分間分散した液
に、あらかじめ加水分解した20wt%テトラメトキシシ
ラン水/エタノール(1:1)溶液107gとコロイダ
ルシリカ20%水溶液スノーテックスC(日産化学工業
(株)製)182gとを混合し、ELP−1X型マスタ
ーの支持体に、上記画像受理層組成物をワイヤーバーを
用いて、乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布
し、オーブンで100℃、10分乾燥した。
【0223】このようにして作成した平版印刷用原版の
ベック平滑度は110(sec/10mL)で、水との接触角は5
度以下であった。
【0224】上記の平版印刷用原版を実施例1と同様な
方法で製版、及び印刷を行った結果、印刷10枚目の印
刷物の印刷画像(地かぶり、画像部のベタ均一性)は、
きわめて良好であった。更に細線、細文字の欠落及びベ
タ部のムラのない画像を有し、非画像部のインキ汚れも
実用上問題の無い良好な印刷物が3万枚以上得られた。 実施例41 多孔質酸化チタンPC−101(チタン工業(株)、平
均粒径0.3μm、平均細孔径50Å、平均比表面積3
00m2/g)200gを0.1規定硝酸銀水溶液60
0g中に混合し、攪拌しながら100w高圧水銀灯にて
パイレックスフィルターを通して2分間照射した。その
後、粒子を濾過し、1リッターの水で洗い乾燥すること
で粒子表面に黒色の金属銀を析出させた酸化チタン粒子
を得た。
【0225】上記酸化チタン粒子を用いる以外は実施例
40と同様にして平版印刷用原版を作成した。
【0226】このようにして作成した平版印刷用原版の
ベック平滑度は125(sec/10mL)で、水との接触角は5
度以下であった。
【0227】この平版印用原版をソリッドジェット記録
方式のSolid Injet Platemaker SJO2A(日立工機(株)
製)を用い製版し、実施例1と同様な方法で印刷を行っ
た結果、印刷10枚目の印刷物の印刷画像(地かぶり、
画像部のベタ均一性)は、きわめて良好であった。更に
細線、細文字の欠落及びベタ部のムラのない画像を有
し、非画像部のインキ汚れも実用上問題の無い良好な印
刷物が3万枚以上得られた。 実施例42〜48 表面凹凸粒子の作成 <表面凹凸粒子1の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g 、メタノール200g、3−アミノプロピル
トリメトキシシラン(チッソ(株)製)20gを加え、
1時間攪拌し表面をカップリング処理した。その後、上
澄み液を除去した。次に、平均粒径0.02μmのコロ
イダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)製)
100gを加え、2時間攪拌し、10分間静置後に上澄
み液を除去し、真空乾燥し、表面に平均粒径0.02μ
mのシリカ粒子が吸着した多孔質フィラー粒子 を得た。 <表面凹凸粒子2の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g 、メタノール200g、3−アミノプロピル
トリメトキシシラン(チッソ(株)製)20gを加え、
1時間攪拌し表面をカップリング処理した。その後、上
澄み液を除去した。次に、平均粒径0.02μmのアル
ミナゾル(アルミナゾル520、日産化学(株)製)1
00gを加え、2時間攪拌し、10分間静置後に上澄み
液を除去し、真空乾燥し、表面に平均粒径0.02μm
のアルミナ粒子が吸着した多孔質フィラー粒子を得た。 <表面凹凸粒子3の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g 、メタノール200g、3−アミノプロピル
トリメトキシシラン(チッソ(株)製)20gを加え、
1時間攪拌し表面をカップリング処理した。その後、上
澄み液を除去した。次に、平均粒径0.02μmのコロ
イダルシリカ粒子(スノーテックスC、日産化学(株)
製)100gを加え、2時間攪拌し、10分間静置後に
上澄み液を除去し、真空乾燥し、表面に平均粒径0.0
2μmのシリカ粒子が吸着した多孔質フィラー粒子を得
た。 <表面凹凸粒子4の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g 、蒸留水200gに、平均粒径0.02μmの
コロイダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)
製)100gを加え、2時間攪拌し、10分間静置後に
上澄み液を除去し、真空乾燥し、表面に平均粒径0.0
2μmのシリカ粒子が吸着した平均粒径0.4μmの表
面凹凸多孔質フィラー粒子を得た。 <表面凹凸粒子5の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g 、蒸留水200gに、平均粒径0.02μmの
アルミナゾル(アルミナゾル520、日産化学(株)
製)100gを加え、2時間攪拌し、10分間静置後に
上澄み液を除去し、真空乾燥し、表面に平均粒径0.0
2μmのアルミナ粒子が吸着した平均粒径0.4μmの
表面凹凸多孔質フィラー粒子を得た。 <表面凹凸粒子6の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g に、平均粒径0.02μmのコロイダルシリカ
(スノーテックスC、日産化学(株)製)100gを加
え、2時間攪拌し、表面に平均粒径0.02μmのシリ
カ粒子が吸着した平均粒径0.16μmの表面凹凸多孔
質フィラー粒子を得た。 <表面凹凸粒子7の作成>多孔質フィラー粒子;アルミ
ナRK30(岩谷化学工業(株)製、平均粒径0.6μ
m、平均細孔径50Å、平均比表面積300m2/g)
100g を500gの1NNaOHに浸漬し、30分超音波
処理し表面を親水化した。その後、上澄み液を除去し、
水洗し、メタノール200g、(3−グリシドキシプロ
ピル)トリメトキシシラン20g(チッソ(株)製)を
加え、1時間攪拌し、表面をカップリング処理した。そ
の後、上澄み液を除去した。次に、平均粒径0.01μ
mのチタニア粒子(STS01、石原産業(株)製)100
g、メタノール200g、3−アミノプロピルトリメト
キシシラン(チッソ(株)製)20gを加え、1時間攪
拌し、表面をカップリング処理した。その後、上記表面
処理したシリカ粒子100gを加え、2時間攪拌し、1
0分間静置後に上澄み液を除去し、真空乾燥し、表面に
平均粒径0.01μmのチタニア粒子が吸着した平均粒
径2μmの表面凹凸多孔質フィラー粒子を得た。
【0228】下記の組成物を、ガラスビーズと共にペイ
ントシェーカー(東洋精機(株)製)にて室温で20分
間分散した後、ガラスビーズを濾別して、分散物を得
た。
【0229】 表面凹凸粒子(表−4記載) 100g ゼラチン(和光純薬(株))の10wt%水溶液 300g テトラエトキシシラン 30g エタノール 8.6g コロイダルシリカ20%水溶液(スノーテックC、日産化学工業(株)) 182g フッ化アルキルエステル(FC-430、3M社製) 0.25g 硬化剤 1.0 g (CH2=CHSO2CH2CONH(CH2)3NHCOCH2SO2CH=CH2) 1規定塩酸 4g 水 150g
【0230】
【表4】 ELP−2X型マスター(富士写真フイルム(株)製)
の支持体上に上記組成物をワイヤーバーを用いて乾燥後
の塗布量6g/m2となる様に塗布し、100℃で5分間
加熱して画像受理層を形成し平版印刷用原版を作成し
た。
【0231】得られた原版の表面のベック平滑度は60
0〜800(秒/10mL)、水との接触角は5度以下であ
った。
【0232】上記の平版印刷用原版を、「AM-Straight
Imaging System」として市販されている、乾式トナーを
用いたレーザープリンターAMSIS・1200−J Plate
Setterを通して製版した。
【0233】得られた製版物の複写画像を20倍のルー
ペを用いて目視評価した所、製版画質は良好であった。
即ち、レーザープリンターからの乾式トナー転写により
得られた本発明の製版物は、細線、細文字の欠落がな
く、ベタ部も均一で、トナー転写のムラは全く認められ
ず、且つ非画像部も、トナー飛散による地カブリも微か
で実用上問題のない良好なものであった。
【0234】次に平版印刷用原版を、上記と同一の操作
で製版した後、全自動印刷機AM−2850(エーエム社
(株)製)を用いて、湿し水として、PS版用処理剤EU-3
(富士写真フイルム(株)製)を蒸留水で50倍に希釈
した溶液を、湿し水受皿部に入れ、オフセット印刷用墨
インキを用いて印刷を行った。印刷10枚目の印刷物の
印刷画像(地カブリ、画像部のベタ均一性)を20倍の
ルーペを用いて目視評価した所、極めて良好なものであ
った。
【0235】更に、細線、細文字の欠落及びベタ部のム
ラのない画像を有し、非画像部のインキ汚れのない良好
な印刷物が3万枚以上得られた。
【0236】本発明の原版は良好な印刷物を多数枚得る
ことができる。 比較例2 画像受理層組成物の表面凹凸粒子を、平均粒径0.4μ
mの酸化チタン粒子(ルチル型、和光純薬(株)製)に
変更した以外は、実施例44と同様にして平版印刷用原
版を作成した。
【0237】得られた原版の表面のベック平滑度は60
0(秒/10mL)、水との接触角は5度以下であった。
【0238】上記の原版を、実施例44と同様にして製
版した。製版した版の画質は、実施例44とほぼ同等で
非画像部での飛散トナーも少なく画像も良好であった。
しかし、実施例44と同様にして印刷した所、印刷物は
刷り出しから非画像部に微かに印刷インキが付着したチ
リ状汚れが認められた。更にそのまま印刷した所、画像
部の欠落が1000枚程印刷した所で発生した。 実施例49〜55 <耐水性支持体の作成>基体として秤量100g/m2
上質紙を用い、基体の一方の面に下記組成のバック層用
塗料をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量12
g/m2のバック層を設けた後、バック層の平滑度が10
0(秒/10mL)程度になるようにカレンダー処理を行
い、耐水性支持体を得た。 (バック層用塗料) ・カオリン(50%水分散液) 200部 ・ポリビニルアルコール水溶液(10%) 60部 ・SBRラテックス (固形分50%、Tg:0℃) 100部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR-613) 5部 次いで、基体の他方の面に下記組成のアンダー層用塗料
をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量10g/
m2のアンダー層を設けた後、アンダー層の平滑度が1500
(秒/10mL)程度になるようにカレンダー処理を行っ
た。 (アンダー層用塗料) ・カーボンブラック(30%水分散液) 5.4部 ・クレー(50%水分散液) 54.6部 ・SBRラテックス(固形分50%、Tg:25℃) 36部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR-613) 4部 上記の各成分を混合し、全体の固形分が25%となるよ
うに水を加えてアンダー層用塗料とした。
【0239】得られたアンダー層の固有電気抵抗値は、
次の様にして測定した。
【0240】アンダー層用塗料を、充分に脱脂洗浄した
ステンレス板上に塗布し、乾燥塗布量10g/m2の塗膜
とした。得られたサンプルについて、その固有電気抵抗
値をJIS K-6911に基づきガード電極を設けた3端子法で
測定し、4×109Ω・cmという値を得た。 <直描型平版印刷用原版の作成>下記組成物を、ガラス
ビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機(株)製)
にて室温で20分間分散した後、ガラスビーズを濾別し
て、分散物を得た。
【0241】 表面凹凸粒子(表−5記載) 100g ポリビニルアルコール(PVA117、クラレ(株)製)10%水溶液 100g テトラエトキシシラン 30g メチルトリメトキシシラン 3g スノーテックC20%水溶液 91g エタノール 10g 1規定塩酸 5g 水 200g
【0242】
【表5】 上記の耐水性支持体上に、この分散物をワイヤーバーを
用いて乾燥後の塗布量6g/m2となる様に塗布しオーブ
ンで100℃、20分乾燥して平版印刷用原版を作成し
た。 <油性インク(IK−2)の作成> (樹脂粒子の製造例)ポリ(ドデシルメタクリレート)
14g、メチルメタクリレート30g、メチルアクリレ
ート66g、オクタデシルメタクリレート4.0gおよ
びアイソパーHを286gの混合溶液を、窒素気流下攪
拌しながら温度70℃に加温した。重合開始剤として
2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称A.I.
V.N.)を1.5g加え、4時間反応した。更に、2,
2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(略称A.I.B.
N.)を0.8gを加えた後、温度80℃に加温して2時
間反応し、続けてA.I.B.N.を0.6g加えて2時間反応
した。その後、温度を100℃に上げそのまま1時間攪
拌し未反応のモノマーを留去した。冷却後200のメッ
シュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率
93%で平均粒径0.35μmのラテックスであった。
粒径はCAPA-500(堀場製作所(株)製)で測定した。 (インクの作成)ドデシルメタクリレート/アクリル酸
共重合体(共重合比:98/2重量比)10g、ニグロ
シン10gおよびアイソパーH30gをガラスビーズと
ともにペイントシェーカー(東洋精機(株)製)に入
れ、4時間分散し、ニグロシンの微小な黒色分散物を得
た。
【0243】上記の樹脂粒子50g(固形分量とし
て)、上記の黒色分散物5g(固形分量)およびドデカ
ン酸コバルト塩0.06gをアイソパーGの1リットルに希
釈することにより黒色油性インク(IK−2)を作成し
た。
【0244】前記で得られた原版を用いて、パソコン出
力を描画できるグラフテック社製サーボ・プロターDA84
00を改造し、ペン・プロッター部に図2に示したインク
吐出ヘッドを装着し、1.5mmの間隔をおいた対向電極
上に設置された平版印刷用原版に上記油性インク(IK
−2)を用いて印字を行ない製版した。製版に際して
は、印刷用原版の画像受理層直下に設けられたアンダー
層と対向電極を、銀ペーストを用いて電気的に接続し
た。
【0245】製版された版を、版面温度が70℃となる
様に調整したリコーフュザー(リコー(株)製)で10
秒間インク画像を定着した。
【0246】得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡に
より、200倍の倍率で観察して評価した。細線・細文
字等の滲みや欠落のない鮮明な画像であった。
【0247】次に、上記の様にして作成した印刷版を、
印刷機として、オリバー94型((株)桜井製作所)を用い、
湿し水として、EU-3(富士写真フイルム(株)製)を蒸
留水で100倍に希釈した溶液を、湿し水受け皿部に入
れ、オフセット印刷用墨インキを用いて印刷を行った。
【0248】印刷10枚目の印刷物の印刷画像を20倍
のルーペを用いて目視評価した所、非画像部の印刷イン
ク付着による地汚れは見られず、又ベタ画像部の均一性
は良好であった。更に200倍の光学顕微鏡観察でも、
細線・細文字の細り・欠落等は認められず、良好な画質
であった。
【0249】これと同等の印刷画質の印刷物が3万枚以
上得られた。 比較例3 画像受理層組成物の表面凹凸粒子を、平均粒径2μmの
シリカ粒子(サイリシア、富士シリシア製)に変更した
以外は、実施例49と同様にして平版印刷用原版を作成
した。
【0250】得られた版の表面のベック平滑度は600
(秒/10mL)、水との接触角は5度以下であった。
【0251】上記の版を、実施例49と同様にして製版
した。製版した版の画質は、実施例49とほぼ同等で非
画像部での飛散トナーも少なく画像も良好であった。し
かし、実施例49と同様にして印刷した所、印刷部の欠
落が1000枚程印刷した所で発生した。 実施例56 実施例42で作成した直描平版印刷用原版を用い、「ソ
リッドインクジェットプレートメーカー SJ120(日立工
機(株))」として市販されている、ソリッドインクを
用いたインクジェット製版機を用い製版した。
【0252】得られた製版物の複写画像を20倍のルー
ペを用いて目視評価した所、製版画質は良好であった。
即ち、ソリッドインクジェット製版機から得られた本発
明の製版物は、細線、細文字の欠落がなく、ベタ部も均
一で、且つ非画像部も、インクの飛散による地カブリも
なく良好なものであった。
【0253】次に平版印刷用原版を、上記と同一の操作
で製版した後、全自動印刷機AM-2850(エーエム社
(株)制)を用いて、湿し水として、PS版用処理剤EU-3
(富士写真フイルム(株)製)を蒸留水で50倍に希釈
した溶液を、湿し水受皿部に入れ、オフセット印刷用墨
インキを用いて印刷を行った。印刷10枚目の印刷物の
印刷画像(地カブリ、画像部のベタ均一性)を20倍の
ルーペを用いて目視評価した所、極めて良好なものであ
った。更に、細線、細文字の欠落及びベタ部のムラのな
い画像を有し、非画像部のインキ汚れもない良好な印刷
物が3万枚以上得られた。
【0254】本発明の原版は良好な印刷物を多数枚得る
ことができる。
【0255】
【発明の効果】本発明の直描型平版印刷用原版を用いれ
ば、全面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れも発生さ
せない優れた画像を得ることができる。更に、画像の欠
落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷用原版への画像形成に用いる
装置系の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の平版印刷用原版への画像形成に用いる
インクジェット記録装置の要部を示す概略構成図であ
る。
【図3】本発明の平版印刷用原版への画像形成に用いる
インクジェット記録装置のヘッドの部分断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 平版印刷用原版(マスター) 3 コンピューター 4 バス 10 ヘッド 10a 吐出スリット 10b 吐出電極 10c 対向電極 11 油性インク 101 上部ユニット 102 下部ユニット

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性支持体上に画像受理層を有する直
    描型平版印刷用原版において、画像受理層中に、表面に
    凹凸を有する少なくとも1種の多孔質フィラー粒子、及
    び金属原子及び/又は半金属原子が酸素原子を介して繋
    がった結合を含有する樹脂と、該樹脂と水素結合を形成
    し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体からなる結
    着樹脂を少なくとも含有することを特徴とする直描型平
    版印刷用原版。
  2. 【請求項2】 多孔質フィラー粒子の平均細孔径分布が
    1Å〜1μmであることを特徴とする請求項1記載の直
    描型平版印刷用原版。
  3. 【請求項3】 多孔質フィラー粒子の平均比表面積が
    0.05m2/g〜5000m2/gであることを特徴と
    する請求項1又は2記載の直描型平版印刷用原版。
  4. 【請求項4】 多孔質フィラー粒子が無機物から成るこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の直描型
    平版印刷用原版。
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