JP2003019000A - β−マルトース含水結晶含有粉末とその製造方法並びに用途 - Google Patents

β−マルトース含水結晶含有粉末とその製造方法並びに用途

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JP2003019000A JP2002240597A JP2002240597A JP2003019000A JP 2003019000 A JP2003019000 A JP 2003019000A JP 2002240597 A JP2002240597 A JP 2002240597A JP 2002240597 A JP2002240597 A JP 2002240597A JP 2003019000 A JP2003019000 A JP 2003019000A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 噴霧方式で粉末化され、水系媒体への溶解性
に優れ、かつ取扱いの容易なβ−マルトース含水結晶含
有粉末とその製造方法並びに用途を提供する。 【解決手段】 無水物換算で、マルトース86w/w%
以上93w/w%未満及びグルコース2w/w%以上を
含有するマルトース含有水溶液をマスキットとし、これ
を噴霧方式で粉末化し、次いで、比較的低湿度で高温の
雰囲気に保ち、更に、比較的高湿度で低温の雰囲気に保
って、マルトース中のα−アノマー含量を7%以上14
%未満含有し、結晶化度が62%以上72%未満であ
る、β−マルトース含水結晶含有粉末とその製造方法を
確立し、更に、そのβ−マルトース含水結晶含有粉末
の、飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物への用途を
確立して課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、β−マルトース含
水結晶含有粉末とその製造方法並びに用途に関し、更に
詳細には、噴霧方式で粉末化され、水系媒体への溶解性
に優れ、取扱い容易なβ−マルトース含水結晶含有粉末
とその製造方法並びに当該粉末を水系媒体に溶解、含有
せしめた飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物への用
途に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、甘味料として砂糖が大量に消費さ
れてきた。しかしながら、砂糖は甘味が強すぎることか
ら最近の嗜好に合わず、また、虫歯の主な誘発物質であ
るなどの欠点を有している。
【0003】近年、砂糖の欠点を解消するために、各種
糖質を利用することが提案され、とりわけ、澱粉から製
造されるマルトースについては、砂糖と比較して甘味が
弱い、虫歯誘発の懸念が少ない、風味が良好である、な
どの特徴を有しており、現在では、食品級のβ−マルト
ース含水結晶含有粉末が、(株)林原商事から登録商標
『サンマルト』及び『サンマルトS』として市販され、
その消費量の更なる拡大が期待できる。
【0004】β−マルトース含水結晶含有粉末は、通
常、マルトース含有水溶液を原料として、分蜜方式、切
削方式又は噴霧方式により製造されている。
【0005】これらのうち、分蜜方式は、原料のマルト
ース含有水溶液を濃縮し、β−マルトース含水結晶が種
晶として共存する状態下で、撹拌しつつ徐冷してβ−マ
ルトース含水結晶を晶出させたマスキットとし、これを
遠心分離などにより、結晶と蜜とに分離し、結晶部分を
採取、乾燥する粉末の製造方法である。この方式は、き
わめて高純度の結晶粉末が得られるものの、蜜を副生す
る分、β−マルトース含水結晶粉末の収率が低い欠点が
ある。
【0006】これに対して、切削方式や噴霧方式は、通
常、原料のマルトース含有水溶液を濃縮し、これをマス
キットにした後、切削方式においては全量を固化、熟成
させて切削、乾燥して粉末を採取するか、噴霧方式にお
いてはマスキットを噴霧乾燥させたものを熟成し採取す
る、粉末の製造方法である。これらの方式は、マルトー
スの純度を高めることはできないものの全量を粉末化で
き、蜜を副生することもなく、工業的に有利である。
【0007】詳細には、切削方式については、通常、マ
ルトース含有水溶液を濃縮し、種晶としてβ−マルトー
ス含水結晶を加えてβ−マルトース含水結晶を部分的に
晶出させマスキットとしたのち、全量をブロック状に固
化、熟成させて、これを切削、乾燥、篩別して、安定な
β−マルトース含水結晶含有粉末を製造するものであ
る。この切削方式によって工業的に生産された製品は、
(株)林原商事より商標登録『サンマルト』として販売
されている。この切削方式によれば、原料マルトースの
全量を粉末化することができ、工業的に有利であるもの
の、この切削方式には、マスキットをブロック状に固
化、熟成させるのに5乃至15日間もの長い期間を要す
るのみならず、その後の切削、乾燥、篩別に繁雑な工程
を必要とする欠点がある。
【0008】一方、噴霧方式については、従来、マルト
ース含有水溶液を濃縮し、種晶としてβ−マルトース含
水結晶を加えてβ−マルトース含水結晶を部分的に晶出
させマスキットとしたのち、これを噴霧乾燥して粉末化
し、熟成させて、β−マルトース含水結晶含有粉末を製
造する方法が知られていた(特公昭54−3937号公
報、特公昭54−27325号公報)。この噴霧方式
は、マスキットを固化、熟成させる長い期間を必要とせ
ず工業的には最も有利であるものの、それでも、その製
造に3乃至4日間もの期間を要し、噴霧方式でスムーズ
に連続的に粉末を製造することが困難であった。
【0009】その後、これを改善するために、マルトー
ス以外の糖質、具体的には、グルコース、マルトトリオ
ース及びグルコース重合度4以上のオリゴ糖などの含量
をできる限り低減させて、無水物換算で、マルトース含
量約95w/w%(以下、本明細書では、特段の断りが
ない限り、w/w%を単に%と略称する。)以上とした
極めて高純度のマルトース含有水溶液を用いることによ
り、噴霧方式でβ−マルトース含水結晶含有粉末を比較
的短時間で製造する方法が確立され、(株)林原商事よ
り登録商標『サンマルトS』として販売されるに至っ
た。しかしながら、本発明者等が初めて見いだした知見
によれば、この噴霧方式によって得られるβ−マルトー
ス含水結晶含有粉末は、意外にも、水系媒体への溶解性
が必ずしも満足できるものでなく、この溶解性を更に向
上させる必要性のあることが判明した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、本発明者等
が新たに見いだした上記噴霧方式の欠点を解決するため
になされたもので、工業的に有利で、且つ安価に実施で
きる噴霧方式を採用し、水系媒体への溶解性に優れ、取
扱い容易なβ−マルトース含水結晶含有粉末とその製造
方法並びに用途を提供することを課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するために、噴霧方式で粉末化されるβ−マル
トース含水結晶含有粉末の各種物性について研究し、と
りわけ、原料のマルトース含有水溶液の糖組成と得られ
る粉末の各種物性との関係に着目して、鋭意研究を重ね
た。即ち、各種糖組成のマルトース含有水溶液から調製
したマスキットを、噴霧方式で粉末とし、まず、比較的
低湿度で高温の雰囲気に保ち、次いで、比較的高湿度で
低温の雰囲気に保って得られるβ−マルトース含水結晶
含有粉末を採取し、この粉末の吸湿性、固着性、溶解
性、α−アノマー含量、結晶化度などの諸性質について
詳細に調べた。
【0012】その結果、、噴霧方式で粉末化され、無
水物換算で、マルトース86%以上93%未満及びグル
コース2%以上含有し、結晶化度が62%以上72%未
満であるβ−マルトース含水結晶含有粉末が、水系媒体
への溶解性に優れ、且つ、取扱い容易な粉末であること
を見いだし、当該粉末の製造方法として、、無水物換
算で、マルトース86%以上93%未満及びグルコース
2%以上を含有している水溶液を、β−マルトース含水
結晶を晶出させたマスキットとし、次いで噴霧方式で粉
末とし、更に、比較的低湿度で高温の雰囲気に保って、
マルトース中のα−アノマー高含有粉末とし、その後、
比較的高湿度で低温の雰囲気に保って、噴霧された粉末
のマルトース中のα−アノマー含量を7%以上14%未
満に低減せしめ、得られる結晶化度が62%以上72%
未満の粉末を採取することを特徴とするβ−マルトース
含水結晶含有粉末の製造方法を確立し、併せて、、前
記の、又はの製造方法で得られるβ−マルトース含
水結晶含有粉末を水系媒体に溶解、含有せしめた組成物
を確立して本発明を完成した。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のβ−マルトース含水結晶
含有粉末の原料に用いるマルトース含有水溶液として
は、噴霧方式で粉末化され、無水物換算で、マルトース
86%以上93%未満及びグルコース2%以上を含有
し、結晶化度が62%以上72%未満であるβ−マルト
ース含水結晶含有粉末ができるものであればよく、その
ようなマルトース含有水溶液の製造方法としては、例え
ば、特公昭54−3937号公報、特公昭56−281
53号公報、特公昭57−3356号公報、特許第25
18646号公報などに開示されるように、各種の澱粉
を加熱、糊化したのちにα−アミラーゼ(EC.3.
2.1.1)を作用させるか、酸又は機械力により、で
きるだけ低い加水分解率に液化し、次いで、β−アミラ
ーゼ(EC.3.2.1.2)と澱粉枝切り酵素(プル
ラナーゼEC.3.2.1.41又はイソアミラーゼE
C.3.2.1.68のいずれか)を作用させて糖化し
て製造する方法がある。
【0014】本発明でいう、無水物換算で、マルトース
86%以上93%未満及びグルコース2%以上を含有す
る水溶液は、前述のように澱粉から製造され、通常、他
の糖質としてマルトトリオース及びグルコース重合度4
以上のオリゴ糖などを含有している。このマルトトリオ
ース及びグルコース重合度4以上のオリゴ糖は、マルト
ース含有水溶液からβ−マルトース含水結晶の晶出を阻
害し易いのでできるだけこの含量を低減させることが望
ましく、とりわけ、マルトトリオースについては、その
含量を、無水物換算で、2%未満にするのが好適であ
る。
【0015】マルトトリオース及びグルコース重合度4
以上のオリゴ糖の含量を低減させる方法としては、例え
ば、特公昭56−28154号公報、特許第26965
30号公報などに開示されているように、マルトトリオ
ース又はグルコース重合度4以上のオリゴ糖に比較的よ
く作用し、それらを分解してグルコースやマルトースな
どを生成する酵素を作用させることで、マルトトリオー
ス又はグルコース重合度4以上のオリゴ糖の含量を減少
させるとともにマルトースの含量を増加させることがで
きる。また、UF膜や逆浸透膜、活性炭などを用いてマ
ルトトリオース又はグルコース重合度4以上のオリゴ糖
を分離、除去することも、更に、特公昭62−5112
0号公報、特公平5−79316号公報などに開示され
ているように、イオン交換樹脂を用いるクロマト分離法
を用いてマルトトリオース又はそれ以上のオリゴ糖を分
離、除去することもできる。
【0016】本発明の特徴の一つは、次に述べる各工程
を組み合わせる一連の製造方法を採用し、マルトースの
晶出速度を高めることにより、無水物換算で、マルトー
ス含量が86%以上93%未満、換言すれば、グルコー
ス、マルトトリオース及びグルコース重合度4以上のオ
リゴ糖などのマルトース以外の糖質を7%以上14%未
満と比較的多量共存含有しているにもかかわらず、噴霧
方式で、溶解性に優れ、且つ、取扱いの容易なβ−マル
トース含水結晶含有粉末が容易に、比較的短時間に製造
できることである。
【0017】即ち、一連の製造方法は、(a)、本発明
に用いる糖組成のマルトース含有水溶液をマスキットと
し、次いで、(b)、噴霧方式、望ましくは、高圧ノズ
ルや回転円盤を用いた噴霧乾燥法により粉末とし、望ま
しくは、水分10%未満、更に望ましくは、約5乃至9
%の粉末とし、更に、これに含まれるマルトースの晶出
速度を高めるために、(c)、これを比較的低湿度で高
温の雰囲気、望ましくは、相対湿度(RH)40%未
満、更に望ましくは20%未満で、望ましくは、75℃
を越え、更に望ましくは80乃至110℃の雰囲気に1
乃至4時間程度保って、マルトース異性体であるα−ア
ノマーの高含有粉末、望ましくは、マルトース中のα−
アノマー含量が35%以上の粉末とし、その後、
(d)、比較的高湿度で低温の雰囲気、望ましくは、相
対湿度(RH)70%を越え、更に望ましくは80%以
上で、望ましくは、50℃未満、更に望ましくは20乃
至45℃の雰囲気に5乃至10時間程度保って、そのマ
ルトース中のα−アノマー含量を7%以上14%未満に
低減せしめ、(e)、得られる結晶化度が62%以上7
2%未満のβ−マルトース含水結晶含有粉末を採取する
ことにより達成される。
【0018】以下、前記各工程について、更に詳細に説
明する。前記工程(a)においては、マルトース含有水
溶液を濃縮し、望ましくは、水分15乃至30%の濃縮
液とし、これに種晶としてβ−マルトース含水結晶の適
量、通常は0.1乃至5%程度を共存させて徐冷、攪拌
しつつマスキットを製造する。この際、β−マルトース
含水結晶の晶出率(以下、本明細書では、特段の断りが
ない限り、晶出率とは、マスキットを結晶と蜜とに分別
し、(結晶無水物重量/マスキットの無水物重量)×1
00の値をいう。)が高くなればなる程、マスキットの
粘度が上昇する。
【0019】また、前記工程(b)においては、本発明
者等は、β−マルトース含水結晶を含む高粘度のマスキ
ットを実質的に晶出率を低下させない範囲内で加熱、昇
温させてその粘度を低下させることにより、噴霧方式で
β−マルトース含水結晶含有粉末が容易に製造できると
いう知見を得た。すなわち、本発明者等は、マスキット
を加熱、昇温すると、粘度は温度の上昇とともに直ちに
低下するものの、生成した結晶は多少温度が上昇しても
短時間では溶解することはなく、晶出率の低下は殆ど見
られないことを見出し、実質的に晶出率を低下させるこ
となく、マスキットを昇温することでマスキットの粘度
を、望ましくは、50,000cp(以下、本明細書で
は、特段の断りがない限り、粘度cpとはBH型回転粘
度計を使用し、No.7のローターを用い、4rpmで
回転させて測定したときの値をいう。)以下にすれば、
噴霧処理の操作が容易となり、しかも、その乾燥効率を
良くできることが明らかとなった。
【0020】昇温の方法は特に限定されない。例えば、
マスキットが入った助晶機のジャケットに温水を流す、
助晶機内に直接蒸気を加える、助晶機から送液ポンプの
間で熱交換機を使用して加温するなど公知の方式が適宜
採用できる。昇温の程度は、マスキットの粘度が噴霧で
きる程度、具体的には、50,000cp以下、望まし
くは、40,000cp以下となればよく、通常、2乃
至15℃、望ましくは、2乃至10℃の範囲で晶出率の
低下を起こさない程度になるべく短時間に行うのが好適
である。
【0021】前記工程(c)においては、粉末をα−マ
ルトース無水結晶の少量と接触させてマルトース中のα
−アノマーへの異性化を促進する方法を採用することも
有利に実施できる。マルトース異性体としては、α−ア
ノマーとβ−アノマーが存在する。結晶の形態として
は、α−マルトース無水結晶、β−マルトース含水結
晶、β−マルトース無水結晶並びにα−マルトースとβ
−マルトースが一定の割合で共存するα、βコンプレッ
クス結晶が知られている。
【0022】マルトース中のα−アノマーを7%以上1
4%未満含有するとは、マルトース中のα−アノマーの
含量を意味し、その形態が非晶質であるか結晶質である
かは問わない。一般的に、マルトース中のα−アノマー
の含量が14%以上の場合は、非晶質のマルトースが多
いか、又は、α−マルトース無水結晶を含有しているこ
とを意味し、逆に、マルトース中のα−アノマーの含量
が7%未満の場合は、残りはβ−マルトースであるので
β−マルトース含水又は無水結晶の含量が高いことを意
味している。
【0023】更に、前記工程(d)においては、5乃至
10時間程度保ってマルトース中のα−アノマー含量を
7%以上14%未満に低減せしめた後、必要ならば、更
に乾燥工程を加えることも有利に実施できる。
【0024】前記工程(e)においては、得られるβ−
マルトース含水結晶含有粉末が、粒度分布試験(「澱粉
糖関連工業分析法」、1991年発行、(株)食品化学
新聞社、118頁記載の粒度分布の測定方法に準じて、
JIS・Z8801のふるいを用い、試料50gを15
分間篩って測定した。)において、比較的粒度の大きな
粉末を多量含有しており、通常、106μmを越す粉末
を60%以上含んでおり、多くの場合、150μmを越
え300μm以下の粉末を40%以上含んでいる。ま
た、この150μmを越え300μm以下の粉末は、し
ばしば噴霧乾燥機内を落下する途中、又は熟成から乾燥
終了に至る工程で、複数個の粒子が付着、凝集して生成
した凝集物を含んでいる。
【0025】この様にして得られる本発明のβ−マルト
ース含水結晶含有粉末は、水系媒体への溶解性に優れ、
しかも、保存安定性、流動性良好で、取扱い容易な粉末
である。
【0026】本発明でいう水系媒体とは、β−マルトー
ス含水結晶含有粉末を溶解、含有させることのできる水
又は水分を多く含む液状物、ペースト状物、半固状物又
は固状物を意味する。とりわけ、粘性を有する水系媒体
としては、例えば、糖類、澱粉、脂肪、蛋白質、ポリフ
ェノール及び乳化剤などを含むものであって、具体的に
は、例えば、求肥、餅菓子などに用いられる糊化澱粉、
小麦粉、米粉などの澱粉高含有粉末から調製された生
地、ドウ、麺などや、生あん、魚肉、畜肉などの擂潰食
肉、液卵、乳クリーム、発酵乳、ピーナッツペースト、
果実パルプ、野菜パルプ、糖類シロップ、抽出液濃縮物
などがある。
【0027】本発明のβ−マルトース含水結晶含有粉末
は、前述の粘性を持つ水系媒体への溶解性に優れ、これ
に利用されることはもとより、粘度の低い水系媒体への
用途にも有利に利用できる。また、良質で上品な甘味を
有すると共に、虫歯の原因の一つであるデキストランの
生成を阻害する作用を有しており、虫歯を起こしにくい
甘味料としても好適に利用される。
【0028】また、本発明のβ−マルトース含水結晶含
有粉末は、プルラン、ヒドロキシエチルスターチ、ポリ
ビニルピロリドンなどの公知の結合剤と併用して、錠剤
の糖衣剤としても有利に用いることができる。更に、本
発明のβ−マルトース含水結晶含有粉末は、浸透圧調節
性、賦形性、照り付与性、保湿性、粘性、糖質晶出防止
性、糊化澱粉の老化防止性などの有用な性質をも兼備し
ている。
【0029】従って、本発明のβ−マルトース含水結晶
含有粉末は、甘味料、呈味改良剤、風味改良剤、品質改
良剤、安定剤、賦形剤などとして、食品、飼料、餌料、
化粧品、医薬品、嗜好品などの各種組成物に有利に用い
ることができる。
【0030】本発明のβ−マルトース含水結晶含有粉末
の具体的な用途としては、各種物品の甘味付けのための
調味料としても用いることができる。必要に応じて、例
えば、粉飴、ブドウ糖、フラクトース、ラクトスクロー
ス、蔗糖、トレハロース、異性化糖、蜂蜜、メープルシ
ュガー、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラ
クトオリゴ糖、ソルビトール、マルチトール、ラクチト
ール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α−グリコシ
ルステビオシド、レバウディオシド、グリチルリチン、
L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステ
ル、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、グ
リシン、アラニンなどのような他の甘味料の1種又は2
種以上と併用することも、必要ならば、デキストリン、
澱粉、砂糖、乳糖などの増量剤の1種又は2種以上と併
用することも随意である。
【0031】又、本発明のβ−マルトース含水結晶含有
粉末は、そのままで、又は必要に応じて、適宜の増量
剤、賦形剤、結合剤、甘味料などの1種又は2種以上と
併用して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体状、錠剤
状、フィルム状又はシート状などの各種形状に成型して
用いることも随意である。
【0032】更に、本発明のβ−マルトース含水結晶含
有粉末の甘味は、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味な
どの他の呈味を有する各種物質とよく調和し、各種飲食
物の甘味付け、呈味改良に、又品質改良を目的として用
いることができる。具体的には、例えば、アミノ酸、ペ
プチド類、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、
ひしお、ふりかけ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、
三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソー
ス、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールウ、シチューの
素、スープの素、ダシの素、核酸系調味料、複合調味
料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシ
ュガーなど各種調味料として有利に利用できる。又、例
えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、
ういろう、あん類、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリー、カス
テラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラ
ッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カ
スタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポン
ジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、
キャラメル、キャンディーなどの洋菓子、アイスクリー
ム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜
などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペー
スト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト
類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果
実、野菜の加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、
らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の
素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜肉製品
類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天
ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢こんぶ、さ
きするめ、ふぐみりん干しなどの各種珍味類、のり、山
菜、するめ、小魚、貝などで製造されるつくだ煮類、煮
豆、ポテトサラダ、こんぶ巻などの惣菜食品、ヨーグル
ト、チーズなどの乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜のビ
ン詰、缶詰類、清酒、合成酒、リキュール、洋酒などの
酒類、コーヒー、紅茶、ココア、ジュース、炭酸飲料、
乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミック
ス、ホットケーキミックス、即席しるこ、即席スープな
どの即席食品、更には、離乳食、治療食、ドリンク剤、
ペプチド食品、冷凍食品、健康食品などの各種飲食物に
有利に利用できる。
【0033】更に、家畜、家禽、その他蜜蜂、蚕、魚な
どの飼育動物用の飼料、餌料などの嗜好性を向上させる
目的で使用することもできる。その他、タバコ、練歯
磨、口紅、リップクリーム、内服液、錠剤、トローチ、
肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香剤、うがい剤などの
各種固形物用甘味剤として、又はそれらの呈味改良剤、
矯味剤、品質改良剤、安定剤などとして有利に利用でき
る。
【0034】本発明のβ−マルトース含水結晶含有粉末
は、品質改良剤及び/又は安定剤として、有効成分、活
性成分又は生理活性物質を含む健康食品、医薬品などに
配合することにより、安定で高品質の液状、ペースト状
又は固状の健康食品や医薬品を得ることができる。前記
有効成分や生理活性物質としては、例えば、インターフ
ェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン
−γ、TNF−α、TNF−β、マクロファージ遊走阻
止因子、コロニー刺激因子、トランスファーファクタ
ー、インターロイキンなどのリンホカイン、インシュリ
ン、成長ホルモン、プロラクチン、エリトロポエチン、
卵細胞刺激ホルモンなどのホルモン、BCGワクチン、
日本脳炎ワクチン、はしかワクチン、ポリオ生ワクチ
ン、痘苗、破傷風トキソイド、ハブ抗毒素、ヒト免疫グ
ロブリンなどの生物製剤、ペニシリン、エリスロマイシ
ン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、スプレ
プトマイシン、硫酸カナマイシンなどの抗生物質、チア
ミン、リボフラビン、L−アスコルビン酸、α−グリコ
シルアスコルビン酸、肝油、カロチノイド、エルゴステ
ロール、トコフェロール、ルチン、α−グリコシルルチ
ン、ナリンジン、α−グリコシルナリンジン、ヘスペリ
ジン、α−グリコシルヘスペリジンなどのビタミン類、
リパーゼ、エラスターゼ、ウロキナーゼ、プロテアー
ゼ、β−アミラーゼ、イソアミラーゼ、グルカナーゼ、
ラクターゼなどの酵素、薬用人参エキス、笹エキス、梅
エキス、松エキス、スッポンエキス、クロレラエキス、
アロエエキス、プロポリスエキスなどのエキス類、ウイ
ルス、乳酸菌、酵母などの生菌、ローヤルゼリーなどを
例示することができる。
【0035】以上述べた各種組成物に、本発明のβ−マ
ルトース含水結晶含有粉末を含有させる方法は、これら
の組成物が完成するまでの工程で含有させればよく、例
えば、混和、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、塗布、被
覆、噴霧、注入、晶出、固化など公知の方法が適宜選ば
れる。その量は、通常、前記組成物重量当たり、1%以
上、好ましくは、2%以上、より好ましくは、5乃至9
9%配合するのが好適である。
【0036】以下、本発明を具体的な実験を用いて詳し
く説明する。
【0037】
【実験】〈各種β−マルトース結晶含有粉末の物性に及
ぼす原料糖組成の影響〉噴霧方式による、各種β−マル
トース結晶含有粉末の物性に及ぼす原料糖組成の影響を
調べた。試験用粉末は、糖組成の異なる各種の原料マル
トース含有水溶液を調製し、これを噴霧方式でβ−マル
トース含水結晶含有粉末としたものを用いた。マルトー
ス含有水溶液は、市販の精製マルトース((株)林原商
事販売登録商標『サンマルトS』)、又は、この精製マ
ルトースにグルコース(和光純薬(株)販売 試薬特
級)、マルトトリオース、マルトテトラオース及び/又
はマルトペンタオース(いずれも(株)林原生物化学研
究所製造 試薬)を加えて各種組成のマルトース含有水
溶液を調製した。
【0038】噴霧方式によるβ−マルトース含水結晶含
有粉末の調製は次の通り行った。即ち、原料のマルトー
ス含有水溶液を水分25%に濃縮したのち助晶機に移
し、種晶としてβ−マルトース含水結晶を1%加え、ゆ
っくり攪拌しながら、温度を徐々に30℃まで低下さ
せ、12乃至18時間かけてβ−マルトース含水結晶を
部分的に晶出させ、マスキットを得た。マスキットの晶
出率は36乃至43%であった。助晶を終了した後、マ
スキットの粘度が50,000cpを超えるものについ
ては、高圧ポンプで送液する前に加温し、晶出率を実質
的に低減させることなく約45,000cpに粘度を下
げるとともに、加圧ノズルを用いて噴霧した。噴霧時の
乾燥用熱風の温度は75℃、熱風の送風方式は噴霧乾燥
機内で垂直下降流、送風空気量は噴霧乾燥機内から取出
した時の乾燥粉末の水分が約8.5%となるように調節
した。
【0039】得られた粉末は、直ちに、種晶としてα−
マルトース無水結晶0.2%と混合接触せしめ、温度9
0℃、相対湿度(RH)20%の恒温恒湿機内で2時間
保存し、次いで、30℃、相対湿度(RH)80%の恒
温恒湿機内で5時間保持し、熟成を行ってβ−マルトー
ス含水結晶含有粉末を得た。この粉末を、次に述べる各
種物性試験に供した。
【0040】物性試験には、対照として、精製マルトー
ス((株)林原商事販売 登録商標『サンマルト
S』)、試薬β−マルトース含水結晶((株)林原生物
化学研究所製造 商品名『マルトースHHH』)及びα
−マルトース無水結晶((株)林原商事販売 登録商標
『ファイントース』)を用いた。
【0041】物性試験は次のような方法で行った。 A.糖組成分析は、KS−801カラム(昭和電工製)
又はCH04SSカラム(MCI製)を用いた液体クロ
マトグラフィーを行い、クロマトグラムの面積比より糖
組成を求めた。
【0042】B.吸湿性試験は、アルミカップに入れた
試料の蓋をしないで、RH75.2%(飽和塩化ナトリ
ウム水溶液で平衡化)に調整したデシケーター内に入
れ、25℃で3日間放置したのち、重量変化を測定し、
元のサンプル対する重量増加の割合(%)を求め、吸湿
性とした。
【0043】C.固着性は、吸湿性試験で3日間放置後
取り出したアルミカップ内の試料の状態を肉眼観察し、
試料が試験前と比べて吸湿したことにより固まっておれ
ば、固着性有りとした。
【0044】D.溶解性試験は、(i)水に対する溶解
性試験としては、25℃の脱イオン水5mlをプラスチ
ック製試験管に入れ、これに各種糖組成のマルトース結
晶含有粉末1gを一度に加え、粉末が完全に水中に沈ん
だ状態で密栓し、これを50℃の恒温槽中で保持し、粉
末の溶解状態を20分毎に肉眼観察した。評価は、粉末
が完全溶解し、透明になるまでに要する時間(分)を求
めた。評価の基準は、粉末が溶けて見えなくなるまでの
時間が短いものほど溶解性に優れると判断した。
【0045】(ii)デキストリン含有水溶液に対する
溶解性試験としては、粘性を有する濃度17%のデキス
トリン((株)松谷化学工業製造 商品名『パインデッ
クス#1』)水溶液5mlをプラスチック製試験管に入
れ、これに各種糖組成のマルトース結晶含有粉末1gを
前記(i)の水に対する溶解性試験の場合と同様に加
え、粉末が完全に水中に沈んだ状態で密栓し、これを5
0℃の恒温槽中で保持し、粉末の状態を肉眼観察した。
評価の基準は前記(i)の水に対する溶解性試験の場合
と同様とした。
【0046】E.マルトース異性体の分析は、試料を無
水ピリジンに溶解後、TMS化処理を行って、2%OV
−17 クロモソルブW(AW−DMCS)を用いたガ
スクロマトグラフィーを行い、クロマトグラムの面積比
よりα、β−アノマー比を求めた。
【0047】F.粉末の結晶化度の測定は、X線回折装
置ガイガーフレックスRDA−IIB(Cu、Kα線使
用)(理学電気(株)製)を用いて、粉末X線回折図形
に基づくルーランド(Ruland)の方法(アクタ
クリスクログラフィカ:Acta Crystallo
graphica、第14巻、第1180頁、1961
年)により求めた。測定した粉末のうち、代表的な粉末
X線回折図形を図1乃至図5に示した。
【0048】原料のマルトース含有水溶液の糖組成及び
得られた各粉末の吸湿性、固着性、溶解性、α−アノマ
ー含量、結晶化度についての試験結果は、各種マルトー
ス結晶含有粉末の物性として表1にまとめた。
【0049】
【表1】
【0050】表1から明らかなように、試験No.3乃
至6の噴霧方式で得られた、無水物換算で、マルトース
86%以上93%未満及びグルコース2%以上を含有
し、他の糖質として、マルトトリオース及びグルコース
重合度4以上のオリゴ糖を含有し、マルトース異性体と
してマルトース中のα−アノマーを7%以上14%未満
含有する結晶化度が62%以上72%未満のβ−マルト
ース含水結晶含有粉末は、吸湿性が低く、固着性が見ら
れず保存安定性良好、取扱い容易で、しかも、水及び粘
性を有するデキストリン含有水溶液などの水系媒体への
溶解性に優れていることが判明した。これに対して、試
験No.1及び2のマルトース含量が82.4%及び8
4.2%と低く、マルトース異性体としてマルトース中
のα−アノマー含量が14%を越える結晶化度が62%
未満の噴霧方式で得られたβ−マルトース含水結晶含有
粉末は、水系媒体への溶解性に優れているものの吸湿性
が高く、固着性を示し、保存安定性に劣る不安定な粉末
であった。
【0051】一方、試験No.7のマルトース含量が9
4.1%と高く、マルトース異性体としてマルトース中
のα−アノマー含量が7%未満と少なく、結晶化度が7
2%を越える噴霧方式で得られたβ−マルトース含水結
晶含有粉末は、吸湿性が少なく、固着性がないものの、
水系媒体への溶解性に劣る粉末であった。
【0052】なお、対照として用いた試験No.8の
『サンマルトS』は、噴霧方式で得られた粉末である。
しかしながら、マルトース純度が95.0%、結晶化度
74.5%といずれも高く、吸湿性がほとんどなく、固
着性も全くないものの、水系媒体への溶解性に劣るもの
であった。また、試験No.9の『マルトースHHH』
は、マスキットを分蜜して得られた結晶粉末である。本
粉末はきわめて高純度のマルトースであって、マルトー
ス純度が99.6%、結晶化度も82.6%と高く、吸
湿性がほとんどなく、固着性も全く示さないものの、水
系媒体への溶解性に劣るものであった。更に、試験N
o.10の『ファイントース』は、他の試料と異なっ
て、α−マルトース無水結晶粉末である。本粉末はマル
トース中のα−アノマー含量が高く、粉末が示す性質は
β−マルトース含水結晶を主とする他の粉末とは大きく
異なっており、結晶化度が高いにもかかわらず、吸湿性
が高く、固着性も激しく、保存安定性に劣る不安定な粉
末であり、その上、水系媒体への溶解性に劣るものであ
った。
【0053】以上の結果から、噴霧方式によるβ−マル
トース結晶含有粉末の製造においては、無水物換算で、
マルトース86%以上93%未満及びグルコース2%以
上を含有している水溶液を原料とし、本発明の一連の製
造方法に従って製造すると、水系媒体への溶解性に優
れ、取扱いの容易なβ−マルトース結晶含有粉末を得る
ことができることが判明した。
【0054】従って、本発明を採用することにより得ら
れる、無水物換算で、マルトース86%以上93%未満
及びグルコース2%以上を含有し、結晶化度が62%以
上72%未満であるβ−マルトース結晶含有粉末は、水
系媒体への溶解性に優れ、取扱い容易で、しかも高収率
に製造できるのに加え、これまでと比較して、水系媒体
に溶解して使用するときの作業時間を大幅に短縮するこ
とができ、産業上もきわめて価値の高いものといえる。
【0055】以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によ
って限定されるものではない。
【0056】
【実施例A−1−a】<マルトース含有水溶液の調製>
馬鈴薯澱粉1重量部と水4重量部との懸濁液に市販の細
菌液化型α−アミラーゼ(商品名『スピターゼHS』、
長瀬産業(株)販売)を加え90℃に昇温し、加熱糊化
したのち、直ちに130℃に加熱して酵素反応を止め、
DE1.8の液化液を得た。この澱粉液化液を55℃ま
で急冷し、澱粉枝切り酵素(シュードモナス菌を培養し
て調製したイソアミラーゼ、(株)林原生物化学研究所
販売)を澱粉1g当たり100単位及び大豆由来のβア
ミラーゼ(商品名『#1500』、長瀬産業(株)販
売)を澱粉1g当たり50単位、更に、マルトース生成
α−アミラーゼ(商品名『マルトゲナーゼ』、ノボ ノ
ルディスク(株)販売)を糖質1g当たり10単位加え
加えpH5.0に保って40時間糖化した。これを、常
法に従って、活性炭処理による脱色、イオン交換樹脂処
理による脱塩を行って精製し、減圧濃縮してマルトース
含有水溶液を得た。マルトース含有水溶液の糖組成は、
グルコース3.8%、マルトース92.5%、マルトト
リオース1.1%、マルトテトラオース以上2.6%で
あった。
【0057】
【実施例A−1−b】<β−マルトース含水結晶含有粉
末の調製>実施例A−1−aで得られたマルトース含有
水溶液を水分29%に濃縮したのち助晶缶に移し、種晶
としてβ−マルトース含水結晶を1%加え、ゆっくり攪
拌しながら、マスキットの温度を徐々に29℃まで低下
させ、12時間かけてβ−マルトース含水結晶を部分的
に晶出させた。マスキットの晶出率は37%となった。
助晶終了後のマスキットを高圧ポンプで送液し、回転円
盤を用いて噴霧乾燥機内に噴霧した。このときの乾燥用
熱風の温度は70℃、熱風の送風は噴霧乾燥機内で垂直
下降並流、送風空気量は噴霧乾燥機内から取出し時の乾
燥粉末の水分が7.5%となるように調節した。
【0058】この粉末を直ちにα−マルトース無水結晶
0.2%と混合接触させ、温度85℃、相対湿度(R
H)20%で3時間保持し、次いで、30℃、相対湿度
(RH)80%で5時間保持し熟成を行って、結晶化度
が71.4%、水分6.1%のβ−マルトース含水結晶
含有粉末を、原料の馬鈴薯澱粉に対し、無水物換算で、
収率96%で得た。本粉末は、無水物換算で、マルトー
ス92.5%とともに、グルコース3.8%、マルトト
リオース1.1%及びグルコース重合度4以上のオリゴ
糖2.6%を含有し、しかも、マルトース異性体として
マルトース中のα−アノマーを7.8%含有しているも
ので、水系媒体への溶解性に優れていた。しかも、25
℃、相対湿度(RH)75.2%の条件下で保存しても
ほとんど吸湿性を示さず、保存安定性に優れ、流動性良
好で、取扱い容易な粉末であった。また、本粉末の粒度
分布を測定した結果、粒子中に微粒子が凝集した粉末を
含み、150μm以上300μm以下の粒子が41%含
まれていた。
【0059】また、本粉末は、甘味料、呈味改良剤、品
質改良剤、安定剤、変色防止剤、増量剤、賦形剤、結合
剤などとして、とりわけ、水系媒体への溶解性に優れて
いるので、例えば、水又は水分を多く含む液状物のみな
らず、ペースト状物、半固状物又は固状物などに溶解、
含有せしめて、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、
医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。更に、そ
のままで、又は必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤
などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、
錠剤など各種形状に成形して使用することも随意であ
る。
【0060】
【実施例A−2−a】<マルトース含有水溶液の調製>
コーンスターチ1重量部と水3重量部との懸濁液に市販
の細菌液化型α−アミラーゼ(商品名『スピターゼH
S』、長瀬産業(株)販売)を加え90℃に昇温し、加
熱糊化したのち直ちに130℃に加熱して酵素反応を止
め、DE2.5の液化液を得た。この澱粉液化液を55
℃まで急冷し、澱粉枝切り酵素(シュードモナス菌を培
養して調製したイソアミラーゼ、(株)林原生物化学研
究所販売)を澱粉1g当たり50単位及び大豆由来のβ
アミラーゼ(商品名『#1500』、長瀬産業(株)販
売)を同じく20単位加えpH5.0に保って40時間
糖化し、マルトース含量が固形物当たり84.6%の高
純度マルトース含有糖化液を得た。マルトース含有糖化
液の糖組成は、グルコース3.5%、マルトース84.
6%、マルトトリオース8.2%、マルトテトラオース
以上3.7%であった。
【0061】この糖化液に、更に、タカアミラーゼAを
糖質1g当たり50単位加えpH5.5に保って、更に
20時間、酵素反応を進めた。これを常法に従って、活
性炭処理による脱色、イオン交換樹脂処理による脱塩を
行い精製し、減圧濃縮してマルトース含有水溶液を得
た。マルトース含有水溶液の糖組成は、グルコース5.
6%、マルトース91.2%、マルトトリオース1.3
%、マルトテトラオース以上1.9%であった。
【0062】
【実施例A−2−b】<β−マルトース含水結晶含有粉
末の調製>実施例A−2−aで得られたマルトース含有
水溶液を水分26%に濃縮したのち助晶機に移し、種晶
としてβ−マルトース含水結晶を1%加え、ゆっくり攪
拌しながら、マスキットの温度を徐々に30℃まで低下
させ、14時間かけてβ−マルトース含水結晶を部分的
に晶出させた。マスキットの晶出率は41%であった。
助晶終了後のマスキットを高圧ポンプで送液し、回転円
盤を用いて噴霧乾燥機内に噴霧した。乾燥用の熱風の温
度は75℃、熱風の送風は噴霧乾燥機内で垂直下降並
流、送風空気量は噴霧乾燥機内から取出し時の乾燥粉末
の水分が8.5%となるように調節した。
【0063】この粉末を直ちにα−マルトース無水結晶
0.2%と混合接触させ、温度90℃、相対湿度(R
H)25%で2時間保持し、次いで、30℃、相対湿度
(RH)80%で5時間保持し熟成を行って、結晶化度
70.4%、水分6.1%のβ−マルトース含水結晶含
有粉末を、原料のコーンスターチに対し、無水物換算
で、収率95%で得た。本粉末は、無水物換算で、マル
トース91.2%とともに、グルコース5.6%、マル
トトリオース1.3%及びグルコース重合度4以上のオ
リゴ糖1.9%を含有し、しかも、マルトース異性体と
してマルトース中のα−アノマーを9.2%含有してい
るもので、水系媒体への溶解性に優れていた。しかも、
25℃、相対湿度(RH)75.2%の条件下で保存し
てもほとんど吸湿性を示さず、保存安定性に優れ、流動
性良好で、取扱い容易な粉末であった。また、本粉末の
粒度分布を測定した結果、粒子中に微粒子が凝集した粉
末を含み、150μm以上300μm以下の粒子が47
%含まれていた。
【0064】また、本粉末は、甘味料、呈味改良剤、品
質改良剤、安定剤、変色防止剤、増量剤、賦形剤、結合
剤などとして、とりわけ、水系媒体への溶解性に優れて
いるので、例えば、水又は水分を多く含む液状物のみな
らず、ペースト状物、半固状物又は固状物などに溶解、
含有せしめて、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、
医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。更に、そ
のままで、又は必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤
などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、
錠剤など各種形状に成形して使用することも随意であ
る。
【0065】
【実施例A−3−a】<マルトース含有水溶液の調製>
コーンスターチ3重量部と水7重量部との懸濁液に市販
の細菌液化型α−アミラーゼ(商品名『スピターゼH
S』、長瀬産業(株)販売)を加え90℃に昇温し、加
熱糊化したのち直ちに130℃に加熱して酵素反応を止
め、DE4.3の液化液を得た。この澱粉液化液を55
℃まで急冷して澱粉枝切り酵素(シュードモナス菌を培
養して調製したイソアミラーゼ、(株)林原生物化学研
究所販売)を澱粉1g当たり50単位、大豆由来のβア
ミラーゼ(商品名『#1500』、長瀬産業(株)販
売)を同じく20単位を加えpH5.0に保って40時
間糖化し、マルトース含量が固形物当たり84.6%の
糖化液を得た。これを、常法に従って、活性炭処理によ
る脱色、イオン交換樹脂処理による脱塩を行って精製
し、減圧濃縮して糖濃度45%のマルトース含有水溶液
を得て、分画原料とした。
【0066】分画に用いた分画用樹脂は、アルカリ金属
型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)販売、商品
名『アンバーライトXT−1007(Na型)』、架
橋度6%)を使用し、内径5.4cmのジャケット付ス
テンレス製カラムに水懸濁液で充填し、糖質水溶液が直
列に流れるようにカラム2本を連結して樹脂層全長を1
0mとした。
【0067】カラム内温度を55℃に維持しつつ、原料
の糖質水溶液を樹脂に対して5v/v%加え、これに5
5℃の温水をSV0.3で流して分画し、マルトトリオ
ース高含有画分を分離、除去して、マルトースを高含有
しているとともに他にオリゴ用などを含有しているマル
トース高含有画分を採取した。次いで、常法に従って、
活性炭処理による脱色、イオン交換樹脂処理による脱塩
を行って精製し、減圧濃縮してマルトース含有水溶液を
得た。このマルトース含有水溶液の糖組成は、グルコー
ス6.0%、マルトース90.1%、マルトトリオース
0.8%、マルトテトラオース以上3.1%であった。
【0068】
【実施例A−3−b】<β−マルトース含水結晶含有粉
末の調製>実施例A−3−aで得られたマルトース含有
水溶液を水分24%に濃縮したのち助晶機に移し、種晶
としてβ−マルトース含水結晶を1%加え、ゆっくり攪
拌しながら、マスキットの温度を徐々に29℃まで低下
させ、15時間かけてβ−マルトース含水結晶を部分的
に晶出させた。晶出率は40%であった。助晶終了後の
マスキットは粘度が高いため、高圧ポンプで送液時に加
温し、晶出率を低減させることなく、約40,000c
pに粘度を下げるとともに、加圧ノズルを用いて噴霧乾
燥機内に噴霧した。このときの乾燥用熱風の温度は75
℃とし、熱風の送風は噴霧乾燥機内で垂直下降並流と
し、送風空気量は噴霧乾燥機内から取出し時の乾燥粉末
の水分が9.0%となるように調節した。
【0069】この粉末を直ちにα−マルトース無水結晶
0.2%と混合接触させ、温度85℃、相対湿度(R
H)20%で2時間保持し、次いで、35℃、相対湿度
(RH)75%で5時間保持し熟成を行って、結晶化度
が69.0%、水分6.4%のβ−マルトース含水結晶
含有粉末を、原料コーンスターチに対して、無水物換算
で、収率89%で得た。本粉末は、無水物換算で、マル
トース90.1%とともに、グルコース6.0%、マル
トトリオース0.8%及びグルコース重合度4以上のオ
リゴ糖3.1%を含有し、しかも、マルトース異性体と
してマルトース中のα−アノマーを9.9%含有してい
るもので、水系媒体への溶解性に優れていた。しかも、
25℃、相対湿度(RH)75.2%の条件下で保存し
てもほとんど吸湿性を示さず、保存安定性にも優れ、流
動性良好で、取扱い容易な粉末である。また、本粉末の
粒度分布を測定した結果、粒子中に微粒子が凝集した粉
末を含み、150μm以上300μm以下の粒子が51
%含まれていた。
【0070】また、本粉末は、甘味料、呈味改良剤、品
質改良剤、安定剤、変色防止剤、増量剤、賦形剤、結合
剤などとして、とりわけ、水系媒体への溶解性に優れて
いるので、例えば、水又は水分を多く含む液状物のみな
らず、ペースト状物、半固状物又は固状物などに溶解、
含有せしめて、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、
医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。更に、そ
のままで、又は必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤
などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、
錠剤など各種形状に成形して使用することも随意であ
る。
【0071】
【実施例A−4−a】<マルトース含有水溶液の調製>
コーンスターチ1重量部と水2重量部との懸濁液に市販
の細菌液化型α−アミラーゼ(商品名『スピターゼH
S』、長瀬産業(株)販売)を加え90℃に昇温し、加
熱糊化したのち直ちに130℃に加熱して酵素反応を止
め、DE4.3の液化液を得た。この澱粉液化液を55
℃まで急冷して澱粉枝切り酵素(シュードモナス菌を培
養して調製したイソアミラーゼ、(株)林原生物化学研
究所販売)を澱粉1g当たり50単位、大豆由来のβア
ミラーゼ(商品名『#1500』、長瀬産業(株)販
売)を同じく10単位加え、pH5.0に保って40時
間糖化し、マルトース含量が固形物当たり74.1%の
糖化液を得た。これを、常法に従って、活性炭処理によ
る脱色、イオン交換樹脂処理による脱塩を行って精製
し、減圧濃縮して糖濃度45%のマルトース含有水溶液
を得て、分画原料とした。
【0072】分画に用いた分画用樹脂は、アルカリ金属
型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)販売、商品
名『アンバーライトXT−1007(Na型)』、架
橋度6%)を使用し、内径5.4cmのジャケット付ス
テンレス製カラムに水懸濁液で充填し、糖質水溶液が直
列に流れるようにカラム2本を連結して樹脂層全長を1
0mとした。
【0073】カラム内温度を55℃に維持しつつ、原料
の糖質水溶液を樹脂に対して5v/v%加え、これに5
5℃の温水をSV0.3で流して分画し、マルトトリオ
ース高含有画分を分離、除去して、マルトースを高含有
しているとともに他にオリゴ用などを含有しているマル
トース高含有画分を採取した。次いで、常法に従って、
活性炭処理による脱色、イオン交換樹脂処理による脱塩
を行って精製し、減圧濃縮してマルトース含有水溶液を
得た。マルトース含有水溶液の糖組成は、グルコース
9.8%、マルトース87.4%、マルトトリオース
1.0%、マルトテトラオース以上1.8%であった。
【0074】
【実施例A−4−b】<β−マルトース含水結晶含有粉
末の調製>実施例A−4−aで得られたマルトース含有
水溶液を水分20%に濃縮したのち助晶機に移し、種晶
としてβ−マルトース含水結晶を1%加え、ゆっくり攪
拌しながら、マスキットの温度を徐々に32℃まで低下
させ、16時間かけてβ−マルトース含水結晶を部分的
に晶出させた。晶出率は39%となった。助晶終了後の
マスキットは粘度が高いために、高圧ポンプで送液時に
加温し、晶出率を低減させることなく、約45,000
cp以下に粘度を下げるとともに、回転円盤を用いて噴
霧乾燥機内に噴霧した。このときの乾燥用熱風の温度は
90℃とし、熱風の送風は噴霧乾燥機内で垂直下降並流
とし、送風空気量は噴霧乾燥機内から取出し時の乾燥粉
末の水分が9.5%となるように調節した。
【0075】この粉末を直ちにα−マルトース無水結晶
0.2%と混合接触させ、温度90℃、相対湿度(R
H)20%で3時間保持し、次いで、30℃、相対湿度
(RH)80%で5時間保持し熟成を行って、結晶化度
が64.6%、水分6.8%のβ−マルトース含水結晶
含有粉末を、原料のコーンスターチに対し、無水物換算
で、収率80%で得た。本粉末は、無水物換算で、マル
トース87.4%とともに、グルコース9.8%、マル
トトリオース1.0%及びグルコース重合度4以上のオ
リゴ糖1.8%を含有し、しかも、マルトース異性体と
してマルトース中のα−アノマーを12.7%含有して
いるもので、水系媒体への溶解性に優れていた。しか
も、25℃、相対湿度(RH)75.2%の条件下で保
存してもほとんど吸湿性を示さず、保温安定性に優れ、
流動性良好で、取扱い容易な粉末であった。また、本粉
末の粒度分布を測定した結果、粒子中に微粒子が凝集し
た粉末を含み、150μm以上300μm以下の粒子が
53%含まれていた。
【0076】また、本粉末は、甘味料、呈味改良剤、品
質改良剤、安定剤、変色防止剤、増量剤、賦形剤、結合
剤などとして、とりわけ、水系媒体への溶解性に優れて
いるので、例えば、水又は水分を多く含む液状物のみな
らず、ペースト状物、半固状物又は固状物などに溶解、
含有せしめて、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、
医薬品などの各種組成物に有利に利用できる。更に、そ
のままで、又は必要に応じて、増量剤、賦形剤、結合剤
などと混合して、顆粒、球状、短棒状、板状、立方体、
錠剤など各種形状に成形して使用することも随意であ
る。
【0077】
【実施例B−1】<甘味料>実施例A−1−bの方法で
得たβ−マルトース含水結晶含有粉末0.5重量部、ソ
ルビトール無水結晶0.5重量部、α−グリコシルステ
ビオシド(東洋精糖(株)販売、登録商標『αGスイー
ト』)0.01重量部及びL−アスパルチル−L−フェ
ニルアラニンメチルエステル(味の素(株)販売、登録
商標『アスパルテーム』)0.01重量部を均一に混合
し、顆粒成型機にかけて、顆粒状甘味料を得た。本品
は、甘味の質が優れ、蔗糖の約2倍の甘味度を有し、実
質的に低カロリーである。本甘味料は、それに配合した
高甘味度甘味物の分解もなく、安定性に優れており、低
カロリー甘味料として、カロリー摂取を制限している肥
満者、糖尿病者などのための低カロリー飲食物などに対
する甘味付けに好適である。また、本甘味料は、虫歯誘
発菌による酸の生成が少なく、不溶性グルカンの生成も
少ないことより、虫歯を抑制する飲食物などに対する甘
味付けにも好適である。
【0078】
【実施例B−2】<ハードキャンディー>蔗糖50重量
部と実施例A−2−bの方法で得たβ−マルトース含水
結晶含有粉末50重量部を水100重量部に溶解、加熱
混合し、次いで減圧下で水分2%未満になるまで加熱濃
縮し、これにクエン酸0.6重量部及び適量のレモン香
料と着色料とを混和し、常法に従って成形し、製品を得
た。本品は歯切れ、色調、呈味、風味とも良好で、蔗糖
の晶出も起こさず、吸湿性少なく、ダレも起こさない安
定で高品質のハードキャンディーである。
【0079】
【実施例B−3】<チューインガム>ガムベース3重量
部を柔らかくなる程度に加熱溶融し、これに無水結晶マ
ルチトール((株)林原商事販売、登録商標『マビッ
ト』)2重量部、キシリトール2重量部、実施例A−3
−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末2重
量部、及び含水結晶トレハロース((株)林原商事販
売、登録商標『トレハ』)1重量部を加え、更に適量の
香料と着色料とを混合し、常法に従って、ロールにより
練り合わせ、成形、包装して製品を得た。本品は、テク
スチャー、呈味、風味良好で、低う蝕性、低カロリーの
チューインガムとして好適である。
【0080】
【実施例B−4】<加糖練乳>原乳100重量部に実施
例A−4−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有
粉末2重量部及び蔗糖2重量部を溶解し、プレートヒー
ターで加熱殺菌し、次いで濃度70%に濃縮し、無菌状
態で缶詰して製品を得た。本品は、温和な甘味で風味も
良く、フルーツ、コーヒー、ココア、紅茶などの調味用
に有利に利用できる。
【0081】
【実施例B−5】<乳酸菌飲料>脱脂粉乳175重量
部、実施例A−2−bの方法で得たβ−マルトース含水
結晶含有粉末60重量部及びラクトスクロース高含有粉
末((株)林原商事販売、登録商標『乳果オリゴ』)5
0重量部を水1,150重量部に溶解し、65℃で30
分間殺菌し、40℃に冷却後、これに、常法に従って、
乳酸菌のスターターを30重量部植菌し、37℃で8時
間培養して乳酸菌飲料を得た。本品は、風味良好で、オ
リゴ糖を含有し、乳酸菌を安定に保つだけでなく、ビフ
ィズス菌増殖促進作用、整腸作用を有する乳酸菌飲料と
して好適である。
【0082】
【実施例B−6】<粉末ジュース>噴霧乾燥により製造
したオレンジ果汁粉末33重量部に対して、実施例A−
4−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末5
0重量部、無水結晶マルチトール((株)林原商事販売
登録商標『マビット』)10重量部、無水クエン酸
0.65重量部、リンゴ酸0.1重量部、アスコルビン
酸2−グルコシド結晶粉末((株)林原商事販売)0.
2重量部、クエン酸ソーダ0.1重量部、プルラン
((株)林原商事販売、商品名『PF−20』)0.5
重量部及び粉末香料の適量をよく混合攪拌し、粉砕し微
粉末にして、これを流動層造粒機に仕込み、排風温度4
0℃とし、これに実施例−4−bの方法で得たβ−マル
トース含水結晶含有粉末を水に溶解した70%水溶液を
バインダーとして適量スプレーし、30分間造粒し、計
量、包装して製品を得た。本品は、果汁含有率約30%
の粉末ジュースである。又、本品は、異味、異臭がな
く、高品質のジュースとして商品価値の高いものであ
る。
【0083】
【実施例B−7】<コーヒー飲料>焙煎したコーヒー豆
100重量部を粉砕し、これに熱水1,000重量部を
用いて抽出し、抽出液860重量部を得た。本液450
重量部に実施例A−1−bの方法で得たβ−マルトース
含水結晶含有粉末90重量部及び適量の重曹を含む水4
00重量部を加え、均一に混合して中性pHのコーヒー
飲料を調製し、次いで、これを常法に従って、缶に充填
し、120℃、30分間加熱殺菌して缶入りコーヒー飲
料を製造した。本品は、香り、味ともに良好な高品質の
コーヒー飲料である。また、本品を自動販売機に入れ、
60℃で1ヶ月間保持した後も、その良好な風味をよく
維持していた。また、本品は、夏場向けに冷却して保存
しても、香り、味ともに良好な高品質のコーヒー飲料で
ある。
【0084】
【実施例B−8】<カスタードクリーム>コーンスター
チ100重量部、実施例A−2−bの方法で得たβ−マ
ルトース含水結晶含有粉末50重量部、含水結晶トレハ
ロース((株)林原商事販売、登録商標『トレハ』)6
0重量部、砂糖40重量部、及び食塩1重量部を充分に
混合し、鶏卵280重量部を加えて攪拌し、これに沸騰
した牛乳1,000重量部を徐々に加え、更に火にかけ
て攪拌を続け、コーンスターチが完全に糊化して全体が
半透明になった時に火を止め、これを冷却して適量のバ
ニラ香料を加え、計量、充填、包装して製品を得た。本
品は、なめらかな光沢を有し、風味良好で、澱粉の老化
も抑制され、高品質のカスタードクリームである。
【0085】
【実施例B−9】<ういろう>米粉90重量部に、コー
ンスターチ20重量部、無水結晶マルチトール((株)
林原商事販売、登録商標『マビット』)70重量部、実
施例A−1−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含
有粉末50重量部、及びプルラン((株)林原商事販
売、商品名『PF−20』)4重量部を均一に混合して
ういろうの素を製造した。ういろうの素と適量の抹茶と
水とを混練し、これを容器に入れて60分間蒸し上げて
抹茶ういろうを製造した。本品は、照り、口当たりも良
好で、風味も良い。又、澱粉の老化も抑制され、日持ち
も良く、低カロリーのういろうとしても好適である。
【0086】
【実施例B−10】<求肥>餅粉4重量部を水6重量部
で溶いて、木枠に濡れ布巾を敷いたものに流し込み、こ
れを100℃で20分間蒸した後、これに実施例A−1
−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末2重
量部及び砂糖2重量部を加えて十分にこねた後に成形
し、求肥を得た。本品は、風味良好であり、しかも糊化
した餅米澱粉の老化が抑制され、その賞味期間を大幅に
延長することができる。
【0087】
【実施例B−11】<あん>原料あずき10重量部に、
常法に従って、水を加えて煮沸し、渋切り、あく抜き
し、水溶性夾雑物を除去して、あずきつぶあん約21重
量部を得た。この生あんに砂糖14重量部、実施例A−
3−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末3
重量部及び水7重量部を加えて煮沸し、これに少量のサ
ラダオイルを加えてつぶあんを壊さないように練り上
げ、製品のあんを約35重量部得た。本品は、色焼け、
離水もなく安定で、舌触り、風味良好で、あんパン、ま
んじゅう、団子、最中、氷菓などの製菓材料として好適
である。
【0088】
【実施例B−12】<パン>小麦粉100重量部、イー
スト2重量部、砂糖5重量部、実施例A−1−bの方法
で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末5重量部及び無
機フード0.1重量部を、常法に従って、水でこね、中
種を26℃で2時間発酵させ、その後30分間熟成、焼
き上げた。本品は、色相、すだちとも良好で、適度な弾
力、温和な甘味を有する高品質のパンである。
【0089】
【実施例B−13】<パン>米粉(五百城ニュートリィ
株式会社販売、商品名『上用粉 青』)100重量部、
グルテン(千葉製粉株式会社販売、商品名『グルリッチ
A』)18重量部、砂糖3重量部、含水結晶トレハロー
ス((株)林原商事販売、商品名『トレハ』)4重量
部、実施例A−2−bの方法で得たβ−マルトース含水
結晶含有粉末8重量部、食塩2重量部、海洋酵母(三共
フーヅ(株)販売)2.5重量部、生クリーム10重量
部、無糖練乳5重量部、ショートニング4重量部、水8
5重量部をミキサーにかけ、23℃で、低速6分、中速
3分で混捏し、一時停止した後、更に中速で4分間混捏
し、生地を作成した。次いで、これをフロアータイムと
して50分間発酵させた。生地は分割して丸め及び成形
を行い、20分間のベンチタイムを取った後、40℃、
湿度80%のホイロにて50分間の発酵を行った。発酵
終了後、上火230℃、下火200℃のオーブンにて4
5分間焼成し、米粉パンを調製した。本品は、容積の増
加量が大きく、ふっくら膨らみ、色調も良好であって、
断面の綺目も程良く、食味も良かった。更に、1週間冷
蔵庫内(5℃)で放置した後のパンの食感も殆ど変化が
なく、硬化によるパサツキも見られず保存性もよかっ
た。
【0090】
【実施例B−14】<アイシング>実施例A−2−bの
方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末10重量部
に乳化剤(シュガーエステル)1.2重量部を加熱混合
し、次いで、含水結晶トレハロース((株)林原商事販
売、登録商標『トレハ』)107重量部を混合し、更に
45℃に保ちながら、油脂7.5重量部を混合してアイ
シングを製造した。本品は、トレハロース微結晶を含有
し、成形性良好でべたつきもなく、経日変化の少ないア
イシングである。
【0091】
【実施例B−15】<ボンボン>実施例A−3−bの方
法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末3重量部、含
水結晶トレハロース((株)林原商事販売 登録商標
『トレハ』)300重量部及び水115重量部を混合
し、加熱してBx70まで煮詰め、品温を80℃まで冷
却し、ブランディー40重量部を混合した後、常法に従
って成形してボンボンを得た。本品は、トレハロースの
微結晶を含有し、ブランディー風味豊かで、径日変化の
少ない高品質のボンボンである。
【0092】
【実施例B−16】<ハム>豚もも肉1,000重量部
に食塩15重量部及び硝酸カリウム3重量部を均一にす
り込んで、冷室に1昼夜堆積する。これを水500重量
部、食塩100重量部、硝酸カリウム3重量部、実施例
A−4−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉
末40重量部及び香辛料からなる塩漬液に冷室で7日間
漬け込み、次いで、常法に従い、冷水で洗浄し、ひもで
巻き締め、薫煙し、クッキングし、冷却、包装して製品
を得た。本品は、色合いもよく、風味良好な高品質のハ
ムである。
【0093】
【実施例B−17】<佃煮>砂取り、酸処理して角切り
した昆布250重量部に醤油212重量部、アミノ酸液
318重量部及び実施例A−3−bの方法で得たβ−マ
ルトース含水結晶含有粉末35重量部及び砂糖20重量
部を加えて煮込みつつ、更にグルタミン酸ソーダ12重
量部、カラメル8重量部を加えて炊きあげ、昆布の佃煮
を得た。本品は低う蝕性の佃煮である。また、味、香り
だけでなく、色、艶ともに食欲をそそるものである。
【0094】
【実施例B−18】<浴用剤>ユズの皮ジュース1重量
部に対して、実施例A−1−bの方法で得たβ−マルト
ース含水結晶含有粉末10重量部の割合で混合し、ユズ
の皮エキス含有粉末を得た。本粉末5重量部に、焼塩9
0重量部、含水結晶トレハロース((株)林原商事販売
登録商標『トレハ』)2重量部、無水ケイ酸1重量部
及びα−グルコシル ヘスペリジン((株)林原商事販
売、商品名『αGヘスペリジン』)0.5重量部、アス
コルビン酸2−グルコシド結晶粉末((株)林原商事販
売)2重量部を混合して浴用剤を製造した。本品は、ユ
ズの香りも豊かで、入浴用の湯に100乃至10,00
0倍に希釈して利用すればよく、入浴後は、肌がしっと
りしなめらかで、湯冷めしない高品質の浴用剤である。
【0095】
【実施例B−19】<化粧用クリーム>モノステアリン
酸ポリオキシエチレングリコール2重量部、自己乳化型
モノステアリン酸グリセリン5重量部、実施例A−1−
bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末5重量
部、α−グルコシル ルチン(株式会社林原販売、登録
商標『αGルチン』)1重量部、アスコルビン酸2−グ
ルコシド結晶粉末((株)林原商事販売)1重量部流動
パラフィン1重量部、トリオクタン酸グリセリン10重
量部及び防腐剤の適量を常法に従って加熱溶解し、これ
にL−乳酸2重量部、1,3−ブチレングリコール5重
量部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナイザーにか
け乳化し、更に香料の適量を加えて撹拌混合し、化粧用
クリームを製造した。本品は、抗酸化性を有し、安定性
が高く、高品質の日焼け止め、美肌剤、色白剤などとし
て有利に利用できる。
【0096】
【実施例B−20】<練歯磨>第二リン酸カルシウム4
5重量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.5重量部、グリ
セリン25重量部、ポオキシエチレンソルビタンラウレ
ート0.5重量部、実施例A−2−bの方法で得たβ−
マルトース含水結晶含有粉末10重量部、サッカリン
0.02重量部及び防腐剤0.05重量部を水13重量
部と混合して練歯磨を得た。本品は、界面活性剤の洗浄
力を落とすことなく、嫌味を改良し、使用後感も良好で
ある。
【0097】
【実施例B−21】<流動食用固体製剤>実施例A−3
−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含有粉末10
0重量部、トレハロース含水結晶200重量部、マルト
テトラオース高含有粉末200重量部、粉末卵黄270
重量部、脱脂粉乳209重量部、塩化ナトリウム4.4
重量部、塩化カリウム1.8重量部、硫酸マグネシウム
4重量部、チアミン0.01重量部、アスコルビン酸ナ
トリウム0.1重量部、ビタミンEアセテート0.6重
量部及びニコチン酸アミド0.04重量部からなる配合
物を調製し、この配合物25グラムずつ防湿性ラミネー
ト小袋に充填し、ヒートシールして製品を得た。本品
は、β−マルトース含水結晶含有粉末及びトレハロース
含水結晶により適度の甘味が付加され、整腸作用に優れ
た流動食である。1袋分を約150乃至300mlの水
に溶解して流動食とし、経口的、又は鼻腔、胃、腸など
へ経管的使用方法により利用され、生体へのエネルギー
補給用に有利に利用できる。
【0098】
【実施例B−22】<錠剤>アスピリン50重量部に実
施例A−4−bの方法で得たβ−マルトース含水結晶含
有粉末14重量部、コーンスターチ4重量部を充分に混
合した後、常法に従って打錠機により打錠して厚さ5.
25mm、1錠680mgの錠剤を製造した。本品は、
β−マルトース含水結晶含有粉末の賦形性を利用したも
ので、吸湿性がなく、物理的強度も充分にあり、しかも
水中での崩壊はきわめて良好である。
【0099】
【実施例B−23】<糖衣錠>重量150mgの素錠を
芯剤とし、これに実施例A−4−bの方法で得たβ−マ
ルトース含水結晶含有粉末40重量部、プルラン
((株)林原商事販売、商品名『PF−20』)2重量
部、水30重量部、タルク25重量部及び酸化チタン3
重量部からなる下掛け液を用いて錠剤重量が約230m
gになるまで糖衣し、次いで、同じβ−マルトース含水
結晶含有粉末65重量部、プルラン((株)林原商事販
売、商品名『PF−20』)1重量部及び水34重量部
からなる上掛け液を用いて、糖衣し、更に、ロウ液で艶
出しして光沢のある外観の優れた糖衣錠を得た。本品
は、耐衝撃性にも優れており、高品質を長期間維持す
る。
【0100】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の、噴霧方式で粉末化され、無水物換算で、マルトース
86%以上93%未満及びグルコース2%以上を含有
し、結晶化度が62%以上72%未満であるβ−マルト
ース含水結晶含有粉末は、マルトース異性体としてマル
トース中のα−アノマーを7%以上14%未満含有し、
水系媒体への溶解性に優れ、且つ、保存安定性に優れ、
流動性良好で、取扱い容易な粉末である。また、これら
のβ−マルトース含水結晶含有粉末は、グルコース、マ
ルトトリオース及びグルコース重合度4以上のオリゴ糖
などのマルトース以外の糖質を7%以上14%未満と比
較的多量共存含有しているにもかかわらず、噴霧方式で
の製造が容易であり、連続的で、短時間に製造すること
もでき、粉末収率も高いことから、コストダウンを計る
ことも容易である。
【0101】従って、本発明の確立は、水系媒体への溶
解性に優れたβ−マルトース含水結晶含有粉末を容易
に、低コストで製造できることから、澱粉糖製造業だけ
でなく、これを利用する側の人にとっても作業性の向上
などが期待できるために好都合であり、該当する、例え
ば飲食物、化粧品、医薬品製造業界を初めとする産業界
に与える工業的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 マルトース含量が、無水物換算で86.2%
で結晶化度が62.1%を示すβ−マルトース含水結晶
含有粉末の粉末X線回折図形。
【図2】 マルトース含量が、無水物換算で91.3%
で結晶化度が70.8%を示すβ−マルトース含水結晶
含有粉末の粉末X線回折図形。
【図3】 マルトース含量が、無水物換算で95.0%
で結晶化度が74.5%を示す精製マルトース(登録商
標『サンマルトS』)の粉末X線回折図形。
【図4】 マルトース含量が、無水物換算で99.6%
で結晶化度が82.6%を示す試薬β−マルトース含水
結晶(商品名『マルトースHHH』)の粉末X線回折図
形。
【図5】 マルトース含量が、無水物換算で98.5%
で結晶化度が76.3%を示すα−マルトース無水結晶
(登録商標『ファイントース』)の粉末X線回折図形。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 7/00 A61K 7/00 K N 7/16 7/16 7/50 7/50 9/20 9/20 9/28 9/28 47/34 47/34 47/36 47/36 47/42 47/42 47/44 47/44 Fターム(参考) 4B041 LC04 LE01 LK11 LP08 4B047 LB08 LG23 LP07 4C076 AA36 AA43 BB01 CC01 EE30 EE41 EE51 EE58 FF04 FF26 FF52 4C083 AA112 AB172 AB292 AC022 AC122 AC302 AC402 AC422 AC442 AC782 AC862 AD111 AD211 AD212 AD241 AD392 AD411 AD642 BB01 BB48 CC05 CC25 CC41 DD22 DD31 EE01 EE06 EE12 EE16 EE17 EE35 EE41 FF01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴霧方式で粉末化され、無水物換算で、
    マルトース86w/w%以上93w/w%未満及びグル
    コース2w/w%以上を含有し、結晶化度が62%以上
    72%未満であるβ−マルトース含水結晶含有粉末。
  2. 【請求項2】 マルトース異性体としてマルトース中の
    α−アノマーを7w/w%以上14w/w%未満含有
    し、他の糖質としてマルトトリオース及びグルコース重
    合度4以上のオリゴ糖を含有している請求項1記載のβ
    −マルトース含水結晶含有粉末。
  3. 【請求項3】 粒度分布試験で、106μmを越える粉
    末を60w/w%以上、望ましくは、150μmを越え
    300μm以下の粉末を40w/w%以上含んでいる請
    求項1又は2記載のβ−マルトース含水結晶含有粉末。
  4. 【請求項4】 150μmを越え300μm以下の粉末
    が複数の微粒子からなる凝集物を含有している請求項3
    記載のβ−マルトース含水結晶含有粉末。
  5. 【請求項5】 水系媒体への溶解性に優れていることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のβ−マル
    トース含水結晶含有粉末。
  6. 【請求項6】 無水物換算で、マルトース86w/w%
    以上93w/w%未満及びグルコース2w/w%以上を
    含有している水溶液を、β−マルトース含水結晶を晶出
    させたマスキットとし、次いで、噴霧方式で粉末とし、
    更に、比較的低湿度で高温の雰囲気に保って、マルトー
    ス中のα−アノマー高含有粉末とし、その後、比較的高
    湿度で低温の雰囲気に保って、マルトース中のα−アノ
    マー含量を7%以上14%未満に低減せしめ、得られる
    結晶化度が62%以上72%未満の粉末を採取すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のβ−マ
    ルトース含水結晶含有粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 マスキットを噴霧するに際し、マスキッ
    トの晶出率を実質的に低下させない範囲で加温し、粘度
    を低減させて噴霧することを特徴とする請求項6記載の
    β−マルトース含水結晶含有粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 比較的低湿度で高温の雰囲気に保つに際
    し、噴霧方式で得た粉末をα−マルトース無水結晶と接
    触させることを特徴とする請求項6、又は7記載のβ−
    マルトース含水結晶含有粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5のいずれかに記載のβ−
    マルトース含水結晶含有粉末、又は請求項6乃至8のい
    ずれかに記載の製造方法で得られるβ−マルトース含水
    結晶含有粉末を水系媒体に溶解、含有せしめた組成物。
  10. 【請求項10】 水系媒体が、水又は水分を多く含む液
    状物、ペースト状物、半固状物又は固状物である請求項
    9記載の組成物。
  11. 【請求項11】 水系媒体に、糖類、澱粉、脂質、蛋白
    質、ポリフェノール及び乳化剤から選ばれる1種又は2
    種以上を含有している請求項9又は10記載の組成物。
  12. 【請求項12】 組成物が、飲食物、化粧品又は医薬品
    である請求項9乃至11のいずれかに記載の組成物。
  13. 【請求項13】 飲食物、化粧品又は医薬品が、甘味
    料、ハードキャンディー、チューインガム、加糖練乳、
    乳酸菌飲料、粉末ジュース、コーヒー飲料、カスタード
    クリーム、ういろう、求肥、あん、パン、アイシング、
    ボンボン、ハム、佃煮、浴用剤、化粧用クリーム、練歯
    磨、流動食用固体製剤、錠剤、又は糖衣錠である請求項
    12記載の組成物。
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