JP2003016614A - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドの製造方法

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JP2003016614A
JP2003016614A JP2001198271A JP2001198271A JP2003016614A JP 2003016614 A JP2003016614 A JP 2003016614A JP 2001198271 A JP2001198271 A JP 2001198271A JP 2001198271 A JP2001198271 A JP 2001198271A JP 2003016614 A JP2003016614 A JP 2003016614A
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permanent magnet
magnetic head
magnetic
sputtering
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JP2001198271A
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Shinji Kudo
伸二 工藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 更なる狭トラック化への対応等が実現可能で
ある磁気ヘッドを、容易に製造し得るようにする。 【解決手段】 磁気抵抗効果素子1と、その両側に配設
される永久磁石膜2と、その永久磁石膜を覆うように配
設される低抵抗化電極膜3とを備えてなる磁気ヘッドの
製造するのに際し、二層レジスト膜または逆テーパレジ
スト膜の形成後、前記永久磁石膜2と前記低抵抗化電極
膜3とをそれぞれ異なる直進性のスパッタリングにより
成膜して、前記低抵抗化電極膜3のみを前記磁気抵抗効
果素子1の両端部近傍にオーバーラップさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体の一種で
ある磁気テープに対して用いるための磁気ヘッドの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばVTR(Video Tape Recor
der)装置のような磁気テープを記録媒体として使用す
るシステムにおいても、再生用ヘッドとして、磁気抵抗
効果型のヘッド素子(以下「MR素子」という)を有し
て構成された磁気ヘッド(以下「MRヘッド」という)
が用いられることがある。これは、一般に電磁誘導を利
用して記録再生を行うインダクティブ型磁気ヘッド素子
よりもMR素子が高密度記録に適していることから、M
Rヘッドを用いることでより高密度記録化が図れるため
である。
【0003】MRヘッドとしては、例えば図31に示す
ように、磁気テープからの漏洩磁界によって抵抗値が変
化するMR素子101の他に、その両側に隣接して配設
された二つの永久磁石膜102と、各永久磁石膜102
を覆うように配設された低抵抗化電極膜103と、を備
えてなるものが知られている。永久磁石膜102は、M
R素子101を単磁区化して磁気的安定化を図りバルク
ハウゼンノイズの発生を抑制するために、MR素子10
1の両側に埋め込まれたものである。また、低抵抗化電
極膜103は、MR素子101の抵抗値を減少させるた
めに、永久磁石膜102の上部にて、より抵抗値の低い
導電性材料によって形成されたものである。これら永久
磁石膜102および低抵抗化電極膜103は、通常スパ
ッタリングによって成膜されるが、いずれも同一の成膜
装置および同一の成膜条件によって成膜されるのが一般
的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、MRヘッド
に対しては、近年、更なる狭トラック化への対応が求め
られている。狭トラック化への対応を実現するために
は、MRヘッドにおける磁気的読み出しトラック幅を狭
くすればよい。ただし、MRヘッドでは、通常、MR素
子101の永久磁石膜102との境界近傍部分が、MR
素子101の磁化に対する反磁界の影響やMR素子10
1の端部に強く働く水平バイアスの影響等のために、磁
気的に不安定な状態となっている。したがって、単に読
み出しトラック幅を狭くしただけでは、このような磁気
的に不安定な部分がトラック幅の大部分を占め、低抵抗
変化の無い高抵抗部分となって読み出し効率が低下して
しまうので、結果として狭トラック化への限界が生じる
ことになる。
【0005】これに対しては、MR素子101の両端部
近傍、すなわち永久磁石膜102との境界近傍部分に、
低抵抗化電極膜103をオーバーラップさせることが考
えられる。低抵抗化電極膜103をオーバーラップさせ
れば、MR素子101の両端部近傍における活性化領域
(磁気的に不安定な状態の領域)を無視できるようにな
り、不均一な磁壁移動に伴うノイズの発生を抑えられ、
またMR素子101全体の抵抗値を減少させ高S/N比
を実現できるからである。つまり、MR素子101の両
端部近傍に低抵抗化電極膜103をオーバーラップさせ
れば、更なる狭トラック化への対応も実現可能となり得
る。
【0006】しかしながら、従来のMRヘッドの製造方
法では、MR素子101の両端部近傍に低抵抗化電極膜
103のみをオーバーラップさせることが非常に困難で
ある。これは、既に説明したように、永久磁石膜102
および低抵抗化電極膜103のいずれも、同一の成膜装
置および同一の成膜条件によって成膜されるからであ
る。すなわち、同一の成膜装置および同一の成膜条件に
よって成膜されるから、永久磁石膜102に続いて低抵
抗化電極膜103を成膜しても、低抵抗化電極膜103
のみをオーバーラップさせることはできず、オーバーラ
ップさせようとすると低抵抗化電極膜103の成膜まで
の間に多くの工程を経る必要が生じ、製造効率の大幅な
低下を招いてしまうことになる。
【0007】そこで、本発明は、上述した事情を鑑み、
ヘッド素子両端部近傍に低抵抗化電極膜のみを容易にオ
ーバーラップさせることのできる磁気ヘッドの製造方法
を提案することで、その磁気ヘッドの更なる狭トラック
化への対応を実現可能にすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために案出された磁気ヘッドの製造方法で、磁気
抵抗効果素子と、当該磁気抵抗効果素子の両側に隣接し
て配設される永久磁石膜と、当該永久磁石膜を覆うよう
に配設される低抵抗化電極膜とを備えてなる磁気ヘッド
の製造方法であって、前記磁気抵抗効果素子を構成する
ための膜を二層レジスト膜または逆テーパレジスト膜で
覆い、当該膜の前記二層レジスト膜または前記逆テーパ
レジスト膜で覆われた以外の部分をエッチングで除去
し、当該エッチングによる除去部分に前記永久磁石膜を
スパッタリングにより成膜し、さらに前記永久磁石膜の
成膜時とは異なる直進性のスパッタリングにより前記低
抵抗化電極膜を成膜して、前記磁気抵抗効果素子の両端
部近傍に当該低抵抗化電極膜のみをオーバーラップさせ
ることを特徴とする。
【0009】上記手順の磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、磁気抵抗効果素子を形成するための膜の成膜後、永
久磁石膜が必要となる部分を開口部としてレジスト膜で
マスクする。このとき、レジスト膜は、上層側のほうが
下方側より突出した形状となっている二層構造または逆
テーパ構造とする。そして、開口部に露出している部分
をエッチング除去した後に、永久磁石膜の成膜をスパッ
タリングによって行う。ただし、このスパッタリング
は、例えばスパッタ粒子の入射角が一定(直進性が良
い)となる条件で行う。その後、低抵抗化電極膜の成膜
をスパッタリングによって行うが、このときのスパッタ
リングは、例えばスパッタ粒子の入射角がランダムとな
る条件で行うといったように、永久磁石膜の成膜時とは
異なる直進性で行う。これにより、二層構造または逆テ
ーパ構造による遮蔽部分には、低抵抗化電極膜のみが成
膜される。したがって、マスクとなっていたレジスト膜
を剥離すれば、磁気抵抗効果素子の両端部近傍には、低
抵抗化電極膜のみがオーバーラップしている状態とな
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明に係る
磁気ヘッドの製造方法について説明する。
【0011】先ず、本発明に係る磁気ヘッドの製造方法
の説明に先立ち、その製造方法によって得られる磁気ヘ
ッドについて説明する。図1は本発明に係る製造方法に
よって得られる磁気ヘッドにおける素子構造の一例を示
す構成図であり、図2はその磁気ヘッドの全体の概略構
成図であり、図3はその磁気ヘッドが搭載される回転ド
ラムの一例の概略構成を示す模式図である。
【0012】図1に示すように、本実施形態で説明する
磁気ヘッドは、従来のものと略同様に、MR素子1の他
に、その両側に隣接して配設された二つの永久磁石膜2
と、各永久磁石膜2を覆うように配設された低抵抗化電
極膜3と、を備えてなるものである。ただし、この磁気
ヘッドでは、MR素子1の両端部近傍に低抵抗化電極膜
3のみがオーバーラップしている点に特徴がある。な
お、これらは、後述するように、薄膜形成プロセスを経
て形成される。
【0013】また、これらMR素子1、永久磁石膜2お
よび低抵抗化電極膜3は、図2に示すように、磁気的な
シールドを行うために配された一対の磁性シールド層
4,5に挟支され、さらにこれらが一対の硬質非磁性基
板6,7によって挟支され、これによりMRヘッド8が
構成されている。そして、MRヘッド8の一端面には、
略円弧状の摺動面8aが形成されている。摺動面8a
は、記録媒体の一種である磁気テープと高速で摺動する
ためのものである。この摺動面8a上では、硬質非磁性
基板7、磁性シールド層5、MR素子1、磁性シールド
層4および硬質非磁性基板6が、順に磁気テープの走行
方向(図中矢印A参照)に沿って積み重なる薄膜積層構
造を構成している。
【0014】なお、図例では、特徴を分かりやすく示す
ために、MR素子1および磁性シールド層4,5付近の
部分を大きく表記しているが、実際には当該部分は各硬
質非磁性基板6,7に比べると非常に微細である。具体
的には、例えば硬質非磁性基板6,7の磁気テープ走行
方向長さは0.8mm程度であるが、MR素子1および
磁性シールド層4,5等を含む部分の磁気テープ走行方
向長さは5μm程度である。したがって、このMRヘッ
ド8において、摺動面8aとなるのは、殆ど各硬質非磁
性基板6,7の上部端面だけである。
【0015】このように構成されたMRヘッド8は、図
3に示すように、回転ドラム9に搭載され、ヘリカルス
キャンニング方式によって記録媒体である磁気テープ1
0から信号を検出し再生する。つまり、本実施形態で説
明するMRヘッド8は、VTR装置のような磁気テープ
を記録媒体として使用するシステムにおいて、再生用ヘ
ッドとして用いられるものであり、インダクティブ型磁
気ヘッド素子よりも高密度記録化を図るのに適したもの
である。
【0016】次に、以上のようなMRヘッド8の製造方
法について説明する。図4〜28は、MRヘッドの製造
手順を説明するための図である。なお、これらの図は、
特徴を分かりやすく示すために、図1,2と同様に、特
徴となる部分を拡大して示している場合があり、各部材
の寸法の比率が実際と同じであるとは限らない。また、
以下の説明では、MRヘッドを構成する各部材、その材
料、大きさおよび膜厚等について具体的な例を挙げる
が、本発明は以下の例に限定されるものではない。例え
ば、以下の説明では、ハードディスク装置等で実用化さ
れているものと同様な構造を有するシールド型のSAL
(Soft Adjacent Layer)バイアス方式のMR素子を用
いた例を挙げるが、GMR(Giant MR)ヘッドやスピ
ンバルブヘッドといったMR素子も勿論使用可能であ
る。
【0017】MRヘッドを製造する際には、先ず、図4
(a)および(b)に示すように、例えば直径4インチ
の円盤状の基板11を用意し、この基板11の表面に対
して鏡面加工を施す。この基板11は、硬質非磁性基板
6となるもので、その材料には高硬度の軟磁性材料であ
るAl23−TiC(アルチック)、α−Fe23(α
−ヘマタイト)、NiZnフェライト等が好適である。
【0018】そして、基板11上に下層シールドを形成
する。ここでは、MR素子を基準とした場合に、MR素
子よりも前に形成されるシールドを下層シールド、MR
素子形成後に作成されるシールドを上層シールドとい
う。下層シールド形成のために、基板11上には、図5
(a)および(b)に示すように、軟磁性薄膜12をス
パッタリングにより形成する。ここで用いる軟磁性薄膜
12は、例えばFeAlSi(センダスト)のように、
良好な軟磁性を示し、かつ、摩耗腐食に優れたものであ
れば、特に限定されるものではない。ただし、MRヘッ
ドのシールドとして機能するためには、システムで使用
する最長波長の2倍以上の厚みが必要であり、積層膜全
体の厚みは必要に応じて決定される(例えば2.5μ
m)。
【0019】軟磁性薄膜12を形成したら、その後は、
図6(a)および(b)に示すように、シールド膜をヘ
ッド毎に分離するためのパターニングを行う。先ず、レ
ジスト膜を塗布した後に、必要な形状に露光および現像
を行う、いわゆるフォトリソグラフィ技術を用いて、下
層シールドが必要となる位置に、例えば横80μm、縦
100μm程度の大きさのレジストパターン13を残
す。そして、エッチングによりレジストパターン13が
形成されていない部分の軟磁性薄膜12を除去する。こ
こでのエッチングは、ドライ方式でもウェット方式でも
構わないが、加工のし易さ等を考慮すると、イオンエッ
チングが好適である。その後、イオンエッチングによっ
て炭化したレジスト表面を除去するためにO2アッシャ
ーを施し、アセトンまたはNMP(N−メチルピロリド
ン)等の有機溶剤にてレジストパターン13を剥離す
る。
【0020】これにより、基板11上には、図7(b)
に示すように、レジストパターン13に対応した下層シ
ールド14が形成されることになる。この下層シールド
14は、磁性シールド層4に相当するものである。下層
シールド14を形成した後は、続いて、図7(a)およ
び(b)に示すように、下層シールド14として残った
部分の凹凸を無くして基板表面を平坦化するために、基
板全面にスパッタ法や蒸着等の形成方法によってAl2
3層15を例えば3μm程度形成し、下層シールド1
4上面が現れるまで表面を研磨する。このとき、Al2
3層15の膜厚は、下層シールド14が完全に埋まる
必要が有るため、その下層シールド14の厚み以上にす
る。なお、Al23の代わりにSiO2等を用いても構
わない。表面の研磨は、ダイヤモンド砥粒で粗く削った
後化学的研磨(バフ研磨)で表面を慣らしてもいいし、
はじめから化学的研磨のみでも良い。ただし、基板全面
にわたって、下層シールド14の表面が露出するまで行
う必要がある。そして、下層シールド14に用いた軟磁
性薄膜12の種類に応じて、その材料に最適な熱処理を
施す。例えば、軟磁性薄膜12がセンダストであれば、
550℃前後まで1時間で加熱した後、同温度で1時間
保持し、その後自然冷却させるといった熱処理を施す。
この熱処理によって、透磁率は800前後の値を得るこ
とができる。
【0021】このような熱処理を施した後は、図8
(a)および(b)に示すように、MR素子の下層ギャ
ップとなる非磁性非導電性膜16を、スパッタリング等
により成膜する。ここで、非磁性非導電性膜16の材料
には、絶縁特性や耐磨耗性等の観点から、Al23が好
適である。なお、この非磁性非導電性膜16の膜厚は、
記録信号の周波数等に応じて適切な値に設定すればよ
く、例えば100nm程度と設定することが考えられ
る。ただし、このとき、下層ギャップの膜厚算出方法に
おいて、最終的にシステムに必要なシールドシールド間
距離(いわゆる再生ギャップ)をGとして、G/2−
(下層Ta5nm+SALバイアス層NiFeNb32
nm+中間絶縁層Ta5nm+MR層NiFe30nm
/2)と決定することで、下層シールドと上層シールド
の真中間にMR素子が設置されることになる。
【0022】非磁性非導電性膜16を成膜した後は、図
9(a)および(b)に示すように、その非磁性非導電
性膜16の上に、SALバイアス方式のMR素子を構成
するための薄膜(以下「MR素子用薄膜」という)17
を成膜する。具体的には、MR素子用薄膜17は、例え
ば、Ta(5nm)/NiFeNb(32nm)/Ta
(5nm)/NiFe(30nm)/Ta(1nm)
を、この順にスパッタリングにより順次成膜して形成す
る。この場合は、NiFeが、磁気抵抗効果を有する軟
磁性膜であり、MR素子の感磁部となる。また、NiF
eNbが、NiFeに対してバイアス磁界を印加するた
めの軟磁性膜(いわゆるSAL膜)となる。なお、磁気
抵抗効果素子の材料や膜厚は、上記の例に限るものでは
なく、システムの要求等に応じて適切なものを用いるよ
うにすればよい。
【0023】その後は、MR素子の動作の安定化を図る
ために、図10〜16に示すように、各MR素子毎に、
二つの矩形状の永久磁石膜18a,18b(図1におけ
る永久磁石膜2に相当)を、フォトリソグラフィ技術を
用いて、MR素子用薄膜17に埋め込むとともに、素子
の抵抗値を減少させるために、永久磁石膜18a,18
bの上部に、より抵抗値の低い導電性材料による低抵抗
化電極膜19a,19b(図1における低抵抗化電極膜
3に相当)を形成する。なお、図11〜16(後述する
図17〜図21も含む)は、一つのMR素子に対応する
部分、すなわち図10中の矢印Bの部分を拡大して示し
ている。
【0024】ここで形成する各永久磁石膜18a,18
bは、図11(a)および(b)に示すように、例えば
長軸方向の長さt3を約50μm、短軸方向の長さt4
を約10μmとして、その間隔t5を約5μmとする。
この間隔t5が、最終的には、MR素子の素子幅(例え
ば、約5μm)になる。ただし、素子幅は、上記の例に
限るものではなく、システムの要求等に応して、適切な
値に設定するようにすればよい。これら永久磁石膜18
a,18bが設置される位置は、下層シールド14上で
あり、下層シールドの内部に収まっている必要がある。
具体的には、幅方向は永久磁石膜18a,18bの中心
が下層シールド14の中心と一致する位置で、縦方向は
下層シールド14の上端部から30μm程度離れた位置
とすることが考えられる。ただし、永久磁石膜18a,
18bの位置は、最終的にシールドとして残る部分がM
R素子の磁束進入方向の幅(デプス)の5倍程度以上あ
ればよく、上述した値に限定されるものではない。
【0025】このような永久磁石膜18a,18bおよ
び低抵抗化電極膜19a,19bを埋め込む際には、先
ず、フォトリソグラフティ技術を用いて、永久磁石膜1
8a,18bが必要となる部分に、二つの長方形の開口
部を有したレジスト膜20で、MR素子用薄膜17上を
マスクする。ただし、このときに、MR素子用薄膜17
上に形成するレジスト膜20は、図12に示すような反
射防止膜20aとの二層構造のもの、または図13に示
すように開口部分が逆テーパ形状となっている逆テーパ
構造のものとする。すなわち、レジスト膜20は、上層
側のほうが下方側より突出した形状に形成する。
【0026】図12のような二層構造のレジスト膜20
を形成するには、一層目に通常は反射防止膜として用い
られる、例えばブリューワーサイエンス(Brewer Scien
ce)社製ARCを用い、上層には一般に用いられるレジ
スト、例えばクライアント社製AZ6108等を用い、
露光までは通常の工程で行われる手法で行い、現像のみ
通常より長時間行えばよい。これにより、一層目のAR
Cのみが除去され、上層が突出した二層構造のレジスト
形状が形成される。また、図13のような逆テーパ形状
のレジスト膜20を形成するには、逆テーパ用のレジス
ト、例えば日本ゼオン社製ZPN−1100やクライア
ント社製AZ5214Eを用いて、通常のプリベーク・
露光後に110℃の温度で加熱(反転ベーキング)と過
大露光(反転露光)を行えばよい。
【0027】そして、レジスト膜20を形成すると、例
えば図14(a)および(b)に示すように、エッチン
グを施して、開口部に露呈していたMR素子用薄膜17
を除去する。なお、ここでのエッチングは、ドライ方式
でもウェット方式でも構わないが、加工のし易さ等を考
慮すると、イオンエッチングが好適である。
【0028】MR素子用薄膜17を除去した後は、図1
5(a)および(b)に示すように、永久磁石膜18
a,18bをスパッタリングによって成膜する。このと
きのスパッタリングは、スパッタ粒子の直進性が良くな
る条件下で行う。すなわち、二層構造または逆テーパ形
状のレジスト膜20の最外端部からスパッタ粒子が回り
込むことのない直進性のスパッタリングを行う。
【0029】具体的には、永久磁石膜18a,18bの
ターゲットに対し、基板11を略平行にセッティング
し、スパッタ粒子の入射角が一定となる条件下で、スパ
ッタリングを行う。スパッタ粒子の入射角が一定となる
条件、すなわち直進性が良いスパッタリングの条件とし
ては、ターゲット−被成膜部間の距離が300mm以
上、ガス圧が2×102Pa以下の領域、処理チャンバ
内の到達真空度が1×10- 6Pa程度等が挙げられる。
これらの条件がいずれも満たされていれば、直進性の良
いスパッタリングが行えると言える。ただし、スパッタ
粒子がレジスト膜20の最外端部から回り込むことがな
ければ、他の条件下でスパッタリングを行うようにして
もよい。
【0030】なお、永久磁石膜18a,18bの材料と
しては、保磁力が1000[Oe]以上ある材料、例え
ばCoNiPtやCoCrPt等が好適である。そし
て、その厚みは、MR素子1の厚みと等しくする。
【0031】永久磁石膜18a,18bの成膜後は、図
16(a)および(b)に示すように、さらに低抵抗化
電極膜19a,19bをスパッタリングによって成膜す
る。このときのスパッタリングは、永久磁石膜18a,
18bの場合とは異なり、スパッタ粒子の直進性が悪く
なる条件下で行う。すなわち、二層構造または逆テーパ
形状のレジスト膜20の最外端部からスパッタ粒子が回
り込む直進性のスパッタリングを行う。
【0032】具体的には、スパッタ粒子の入射角がラン
ダムとなる条件下で、スパッタリングを行う。スパッタ
粒子の入射角がランダムとなる条件、すなわち直進性が
悪いスパッタリングの条件としては、ターゲット−被成
膜部間の距離が300mm未満、ガス圧が2×102
aを超える領域、処理チャンバ内の到達真空度が2×1
-5〜8×10-4Pa程度等が挙げられる。これらの条
件のいずれかが満たされていると、直進性の悪いスパッ
タリングが行えると言える。ただし、スパッタ粒子がレ
ジスト膜20の最外端部から回り込めば、他の条件下で
スパッタリングを行うようにしてもよい。
【0033】このような直進性が悪いスパッタリングを
行うことで、低抵抗化電極膜19a,19bは、スパッ
タ粒子の入射角が一定の場合には成膜されなかったレジ
スト遮蔽部にまで成膜されることになり、これによりM
R素子1の両端近傍に低抵抗化電極膜3がオーバーラッ
プすることになる。
【0034】なお、低抵抗化電極膜19a,19bの材
料としては、例えばTiW,Ta等が好適である。そし
て、その厚みは、例えば60nmとする。永久磁石膜1
8a,18bも含め、これらの厚みは、システムで必要
な抵抗値、MR素子のトラック幅等で決定される。
【0035】そして、永久磁石膜18a,18bおよび
低抵抗化電極膜19a,19bを形成すると、マスクと
なっていたレジスト膜20を、そのレジスト膜20上に
成膜された永久磁石膜18a,18bおよび低抵抗化電
極膜19a,19bとともに除去する。これにより、所
定パターンの永久磁石膜18a,18bがMR素子用薄
膜17に埋め込まれ、かつ、低抵抗化電極膜19a,1
9bがMR素子1の両端近傍にオーバーラップしている
状態となる。
【0036】その後は、図17(a)および(b)に示
すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、最終的に
MR素子として動作する部分(以下「素子部分」とい
う)21を残して、MR素子用薄膜17を除去する。な
お、このとき、当該素子部分21にセンス電流を供給す
るための端子となる部分(以下「端子部分」という)2
2a,22bも残しておく。具体的には、例えば、先ず
フォトレジストにより各MR素子毎に、素子部分21と
端子部分22a,22bとに開口部を有するマスクを形
成する。次に、エッチングを施して、開口部に露呈して
いたMR素子用薄膜17を除去する。ここでのエッチン
グは、ドライ方式でもウェット方式でも構わないが、加
工のし易さ等を考慮すると、イオンエッチングが好適で
ある。その後、マスクとなっていたフォトレジストを除
去することにより、MR素子用薄膜17のうち、素子部
分21と端子部分22a,22bとが残された状態とな
る。
【0037】なお、素子部分21の幅t6は、例えば約
7μmとする。この幅t6は、最終的には、素子部分2
1のテープ摺動面側の端部から他端までの長さ、すなわ
ちデプス長dに相当する。したがって、本例では、素子
部分21のデプス長dは約7μmとなる。ただし、デブ
ス長dは、上記の例に限るものではなく、システムの要
求等に応じて、適切な値に設定するようにすればよい。
また、端子部分22a,22bについては、例えば、そ
れぞれの長さt7を約2mmとし、それぞれの幅t8を
約80μmとし、それらの間隔t9を約40μmとする
ことが考えられる。
【0038】次いで、図18(a)および(b)に示す
ように、フォトリソグラフィ技術を用いて、素子部分2
1にセンス電流を供給するための端子部分22a,22
bを、より電気抵抗の小さい導電膜に置き換えて、素子
部分21にセンス電流を供給するための端子22a′,
22b′を形成する。具体的には、先ず、フォトレジス
トにより、端子となる部分22a,22bに開口部を有
するマスクを形成する。そして、エッチングを施して、
開口部に露呈している部分、すなわち端子となる部分2
2a,22bに残されていたMR素子用薄膜17を除去
する。続いて、フォトレジストのマスクをそのまま残し
た状態で、その上に導電膜を成膜する。ここで、導電膜
は、例えば、Ti(10nm)/Cu(90nm)/T
i(10nm)をこの順にスパッタリングにより順次成
膜して形成する。その後、マスクとなっていたフォトレ
ジストを、当該フォトレジスト上に成膜された導電膜と
ともに除去する。これにより、導電膜からなる端子が形
成された状態となる。
【0039】そして、図19(a)および(b)に示す
ように、端子22a′,22b′を形成した後、MR素
子の上層ギャップとなる非磁性非導電性膜23を、スパ
ッタリング等により成膜する。ここで、非磁性非導電性
膜23の材料には、絶縁特性や耐磨耗性等の観点から、
Al23が好適である。この非磁性非導電性膜23の膜
厚は、記録信号の周波数等に応じて適切な値に設定すれ
ばよく、具体的には、例えば120nm程度とする。こ
の上層ギャップの正確な膜厚算出方法は、最終的にシス
テムに必要なシールドとシールド間距離(いわゆる再生
ギャップ)をGとして、G/2−(MR層NiFe30
nm/2+下層Ta5nm)と決定することで、下層シ
ールドと上層シールドの真中間にMR素子が設置される
ことになる。
【0040】非磁性非導電性膜23の成膜後は、図20
(a)および(b)に示すように、上層シールドとなる
軟磁性薄膜24を成膜する。このとき、軟磁性薄膜24
は、上層ギャップであるAl23を形成した後、図21
または図22に示すように、上層シールドとして必要と
なる部分を開口部としてレジスト膜25でマスクするこ
とで形成する。これにより、軟磁性薄膜24の形状を、
必要とされるシールドの形状とする。この上層シールド
となる軟磁性薄膜24は、磁性シールド層5に相当する
ものである。
【0041】ただし、ここで重要なことは、開口部を形
作るレジスト膜25が、図21(b)に示すように二層
構造か、または図22(b)に示す逆テーパ型になって
おり、上層側のほうが下方側より突出した形状となって
いることである。これは、スパッタしたシールド膜をリ
フトオフの手法により形成するためである。なお、これ
らのレジスト膜25は、永久磁石膜18a,18bおよ
び低抵抗化電極膜19a,19bを形成した際に用いた
レジスト膜20と同様の手法によって形成すればよい。
【0042】このようなレジスト膜25によるマスクを
経て、上層シールドを形成する軟磁性薄膜24をスパッ
タにより形成する。ここで注意が必要なのは、既にMR
素子が形成されているため、下層シールドで行ったよう
な高温での熱処理工程を要れることができないことであ
る。そのため、上層シールドとして用いる軟磁性薄膜2
4には、MR素子の耐熱温度である350℃以下の熱処
理、または熱処理無しで軟磁性を示す材料でなくてはい
けないという制限が有る。このことから、軟磁性薄膜2
4としては、Co系のアモルファス材料を用いることが
考えられる。
【0043】その後は、図21または図22で示したレ
ジスト膜25を、その上にスパッタされた軟磁性膜と共
に除去することで、上層シールドとなる軟磁性薄膜24
の形成を終了する。レジスト膜25の剥離には、アセト
ンまたはNMP(N一メチルピロリドン)等の溶剤を用
いる。このレジスト膜25と同時にレジスト膜25上に
形成された材料を除去し、レジストで覆われていない部
分のみを残すことをリフトオフ手法と呼ぶが、このリフ
トオフ手法によってリフトオフされる材料の端部を明瞭
に分断させるためには、上述した二層構造や逆テーパー
タイプのレジスト形状が必要となる。すなわち、これら
の形状によって成膜される材料が分断され、その分断部
からレジストを除去する溶剤が入り込むことにより、明
瞭なパターニングが可能となる。
【0044】このときの剥離は、超音波洗浄槽等を用い
れば、その剥離時間を短縮することができる。また、軟
磁性体シールドが軟磁性層と非磁性層を交互に堆積させ
た積層膜の場合は、イオンエッチングでシールドの形成
を行った時のような、積層膜端部が静磁結合されず、ノ
イズの原因となることがない。
【0045】上層シールドを形成する軟磁性薄膜24の
形成後は、図23(a)および(b)に示すように、フ
ォトリソグラフィ技術を用いて、外部回路と接続するた
めの外部接続端子26a,26bを、上述した端子22
a′,22b′の端部上に形成する。具体的には、例え
ば、先ずフォトレジストにより、外部接続端子26a,
26bとなる部分に開口部を有するマスクを形成する。
続いて、エッチングを施して、開口部に露呈している部
分、すなわち外部接続端子26a,26bとなる部分の
非磁性非導電性膜23を除去し、上記端子22a′,2
2b′の端部を露出させる。そして、フォトレジストの
マスクをそのまま残した状態で、その上に導電膜を成膜
する。ここで、導電膜は、例えば、硫酸銅溶液を用いた
電解メッキにより、Cuを6μm程度の膜厚となるよう
に形成する。なお、この導電膜の形成方法は、他の膜に
影響を与えないものであれば、電解メッキ以外の方法で
もよい。その後、マスクとなっていたフォトレジスト
を、当該フォトレジスト上に成膜された導電膜とともに
除去する。これにより、外部接続端子26a,26bが
形成された状態となる。なお、この外部接続端子26
a,26bの長さt12は、例えば約50μmとする。
また、この外部接続端子26a,26bの幅t13は、
上記端子22a′,22b′の幅t8と同じであり、例
えば約80μmとなる。
【0046】外部接続端子26a,26bを形成する
と、次いで、図24(a)および(b)に示すように、
MR素子全体を外部と遮断するため、全面に保護膜27
を形成する。具体的には、例えばスパッタリングによ
り、Al23を4μm程度の膜厚となるように形成す
る。なお、この保護膜27の材料は、非磁性非導電性の
材料であれば、Al23以外も使用可能であるが、耐環
境性や耐磨耗性等を考慮すると、Al23が好適であ
る。また、この保護膜27の形成方法は、スパッタリン
グ以外の方法によるものであってもよく、例えば蒸着等
によって形成するようにしてもよい。その後、外部接続
端子26a,26bが表面に露出するまで、全面に被覆
した保護膜27を研磨する。ここでの研磨は、例えば粒
径が約2μmのダイヤモンド砥粒により、外部接続端子
26a,26bの表面が露出するまで大まかに研磨した
後、シリコン砥粒によるバフ研磨を施して、表面を鏡面
状態に仕上げるようにする。
【0047】このようにして保護膜27を形成した後
は、基板11上に形成された多数のMR素子群に対し、
図25に示すように、その基板を短冊状に切り分け、幾
つかのMR素子が横方向に並ぶようなブロック28を形
成する。横方向に並ぶMR素子の数は生産性を考慮する
とできる限り多い方が良い。図例では簡略化のため5個
のみ示しているが、実際はこれ以上でも構わない。ブロ
ック28の幅t14は2mmとしている。
【0048】短冊状に切り分けたブロック28を形成す
ると、次いで、図26に示すように、その切り出された
ブロック28に、例えば厚さt15が約0.7mmの基
板29を貼り付ける。基板29の貼り付けには、例えば
樹脂等の接着剤が用いればよい。このとき、基板29の
高さt16を第1の基板11の高さt14よりも小さく
して、外部接続端子26a,26bを露出させ、これら
への電気的な接続を行い得るようにする。この基板29
は、硬質非磁性基板7となるもので、基板11と同種の
材料(多結晶フェライト等)を用いる。
【0049】基板29の貼り付け後は、図27に示すよ
うに、摺動面8aとなる面に対し研削加工を施し、円弧
状とする。具体的には、MR素子の前端が摺動面8a上
に露呈するとともに、当該MR素子のデプス長dが所定
の長さとなるまで、ブロック28および基板29の接合
体に対して円筒研磨を施す。これにより、摺動面8aが
略円弧状の曲面とされる。なお、この研磨によって形成
されるテープ摺動面8aのR形状は、テープテンション
等に応じた適切な形状とすればよく、特に限定されるも
のではない。
【0050】そして、研磨が終了すると、MRヘッドを
個別に分離するために、図28に示すように、システム
で要求されるアジマス角度θをつけて、一定間隔でブロ
ック28および基板29からなる接合体の切断を行う。
【0051】図1に示した本実施形態におけるMRヘッ
ド8は、以上のような手順によって製造される。そし
て、MRヘッド8を使用する際には、そのMRヘッド8
をチップベースに貼り付けるとともに、外部接続端子2
6a,26bとチップベースに設けられた端子とを電気
的に接続し、これらを磁気テープ装置1の回転ドラム2
aに取り付ける。
【0052】以上のように、本実施形態におけるMRヘ
ッドの製造方法では、永久磁石膜18a,18bおよび
低抵抗化電極膜19a,19bの埋め込みを、二層構造
または逆テーパ形状のレジスト膜20の形成後、互いに
異なる直進性のスパッタリング、さらに詳しくはスパッ
タ粒子の入射角が一定となる(直進性が良い)スパッタ
リング条件と、スパッタ粒子の入射角がランダムな(直
進性が悪い)スパッタリング条件とで、それぞれ行うよ
うになっている。したがって、本実施形態のMRヘッド
の製造方法によれば、MR素子1の両端近傍に低抵抗化
電極膜3のみをオーバーラップさせた構成とすることが
でき、しかもそのために例えば多くの工程を要すること
がなく、容易に当該構成を実現することができる。
【0053】また、MR素子1の両端近傍に低抵抗化電
極膜3のみをオーバーラップさせた構成とすることがで
きることから、本実施形態の製造方法によって得られる
MRヘッドを用いれば、MR素子1の両端近傍の活性化
領域を無視できるようになり、不均一な磁壁移動に伴う
ノイズの発生を抑えられるようになる。さらに、MR素
子1全体の抵抗値を減少させ、抵抗値から発生する熱ノ
イズを抑えた高いSN比を実現できる。さらにまた、サ
ブミクロンレベルの更なる狭トラック化を目指した場合
であっても、従来のような読み出し効率の低下を極力回
避でき、結果として更なる狭トラック化に好適なものと
なる。つまり、本実施形態のMRヘッドの製造方法によ
れば、低ノイズおよび狭トラックといった特徴を合わせ
持つMRヘッドを提供することができる。
【0054】なお、本実施形態におけるMRヘッドの製
造方法では、低抵抗化電極膜19a,19bの埋め込み
時にスパッタ粒子の入射角がランダムな(直進性の悪
い)スパッタリングを行っているが、その際にスパッタ
粒子がレジスト遮蔽部に入り込む角度は、例えば図29
に示すように、二層構造のレジスト膜20におけるレジ
スト形状の切れ込み量をa、反射防止膜20aの厚みを
bとすると、a,bのアスペクト比が0.5〜1.5程
度であることが望ましい。これは、逆テーパ形状のレジ
スト膜20の場合についても全く同様である。
【0055】また、スパッタリングを行う際におけるス
パッタ粒子の直進性の善し悪しについては、例えば成膜
時におけるカバレージ(COVERAGE)特性に基づいて判断
することが考えられる。カバレージ特性とは、例えば図
30(a)に示すように、アスペクト比がc,dによっ
て特定されるホール(穴)部に成膜を行い、そのホール
部の深さに対して成膜がされた量eを測定して得られる
特性をいう。このようなカバレージ特性について、ター
ゲット−被成膜部間の距離を可変させて測定したとこ
ろ、図30(b)に示すように、当該距離(T/S)が
300mm以上であれば、直進性の良いスパッタリング
が行え、300mm未満であればスパッタ粒子の直進性
が悪くなることが分かった。また、カバレージ特性につ
いて、ガス圧を可変させて測定したところ、図30
(c)に示すように、当該ガス圧が2×102Pa以下
の領域であれば、直進性の良いスパッタリングが行え、
2×102Pa未満であればスパッタ粒子の直進性が悪
くなることが分かった。
【0056】これらのことから、本実施形態におけるM
Rヘッドの製造方法では、既に説明したように、ターゲ
ット−被成膜部間の距離が300mm以上、ガス圧が2
×102Pa以下の領域、処理チャンバ内の到達真空度
が1×10-6Pa程度といった条件がいずれも満たされ
ている状態で永久磁石膜18a,18bのスパッタリン
グを行う一方、これらの条件のいずれかが満たされてい
ない状態で低抵抗化電極膜19a,19bのスパッタリ
ングを行っている。ただし、スパッタリングをの直進性
の善し悪しについては、必ずしもこれらの条件に限定さ
れるものではなく、永久磁石膜18a,18bおよび低
抵抗化電極膜19a,19bの大きさ等によっても変わ
ってくることが考えられる。つまり、本発明は、上述し
た条件に限定されるものではない。
【0057】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る磁
気ヘッドの製造方法によれば、ヘッド素子両端部近傍に
低抵抗化電極膜のみを容易にオーバーラップさせること
のできるようになり、これによりその磁気ヘッドの更な
る狭トラック化等への対応が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法によって得られる磁気ヘ
ッドの素子構造の一例を示す構成図である。
【図2】図1の磁気ヘッドの全体の概略構成図である。
【図3】図1の磁気ヘッドが搭載される回転ドラムの一
例の概略構成を示す模式図である。
【図4】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法の手順を説
明するための図(その1)であり、(a)は基板の平面
図であり、(b)はその側面図である。
【図5】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法の手順を説
明するための図(その2)であり、(a)は基板上に軟
磁性膜を成膜した状態を示す平面図であり、(b)はそ
の側面図である。
【図6】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法の手順を説
明するための図(その3)であり、(a)はシールド形
状にフォトレジストパターンを形成した状態を示す平面
図であり、(b)はその側面図である。
【図7】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その4)であり、(a)は下層シールドを形
成した後の状態を示す平面図であり、(b)はその側断
面図である。
【図8】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その5)であり、(a)は非磁性非導電性膜
を成膜した状態を示す平面図であり、(b)はその側断
面図である。
【図9】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明する
ための図(その6)であり、(a)は磁気抵抗効果型素
子用薄膜を成膜した後の状態を示す平面図であり、
(b)はその側断面図である。
【図10】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その7)であり、磁気抵抗効果型素子用薄
膜に永久磁石膜を埋め込んだ状態を示す平面図である。
【図11】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その8)であり、(a)は図10における
一つのヘッド素子に対応する部分を拡大した平面図であ
り、(b)はそのC−C断面図である。
【図12】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その9)であり、(a)は二層構造のレジ
スト膜について一つのヘッド素子に対応する部分を拡大
した平面図であり、(b)はそのD−D断面図である。
【図13】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その10)であり、(a)は逆テーパ形状
のレジスト膜について一つのヘッド素子に対応する部分
を拡大した平面図であり、(b)はそのE−E断面図で
ある。
【図14】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その11)であり、(a)は磁気抵抗効果
型素子用薄膜のエッチング状態の一例について一つのヘ
ッド素子に対応する部分を拡大した平面図であり、
(b)はそのF−F断面図である。
【図15】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その12)であり、(a)は永久磁石膜の
成膜状態について一つのヘッド素子に対応する部分を拡
大した平面図であり、(b)はそのG−G断面図であ
る。
【図16】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その13)であり、(a)は低抵抗化電極
膜の成膜状態について一つのヘッド素子に対応する部分
を拡大した平面図であり、(b)はそのH−H断面図で
ある。
【図17】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その14)であり、(a)は素子部分およ
び端子部分の形成後の状態について一つのヘッド素子に
対応する部分を拡大した平面図であり、(b)はそのI
−I断面図である。
【図18】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その15)であり、(a)は電気抵抗の小
さい端子の形成後の状態について一つのヘッド素子に対
応する部分を拡大した平面図であり、(b)はそのJ−
J断面図である。
【図19】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その16)であり、(a)はヘッド素子の
上層ギャップとなる非磁性非導電性膜を成膜した状態に
ついて1つのヘッド素子に対応する部分を拡大した平面
図であり、(b)はそのK−K断面図である。
【図20】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その17)であり、(a)は上層ギャップ
の形成後の状態について1つのヘッド素子に対応する部
分を拡大した平面図であり、(b)はそのL−L断面図
である。
【図21】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その18)であり、(a)はリフトオフを
行うために二層構造に形成されたレジストの形状を表わ
す平面図であり、(b)はそのM−M断面図である。
【図22】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その19)であり、(a)はリフトオフを
行うために逆テーパ型に形成されたレジストの形状を表
わす平面図であり、(b)はそのN−N断面図である。
【図23】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その20)であり、(a)は外部回路と接
続するための外部接続端子を形成した状態を示す平面図
であり、(b)はそのO−O断面図である。
【図24】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その21)であり、(a)は保護膜を成膜
した後その保護膜を外部接続端子が露出するまで研磨し
た状態を示す平面図であり、(b)はそのP−P断面図
である。
【図25】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その22)であり、ヘッド素子が形成され
た硬質非磁性基板をブロック状に切断した状態を示す模
式図である。
【図26】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その23)であり、図25のブロックに硬
質非磁性基板を張り合わせた状態を示す斜視図である。
【図27】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その24)であり、図26のブロックの上
面部分を円弧状に加工した状態を示す斜視図である。
【図28】本発明に係る磁気ヘッドの製造手順を説明す
るための図(その25)であり、図27のブロックをヘ
ッド素子毎に分断する様子を示す模式図である。
【図29】二層構造のレジスト膜におけるアスペクト比
について説明する模式図である。
【図30】スパッタリングの直進性について説明する図
であり、(a)はその判定の基になるカバレージ特性に
ついての説明図、(b)はT/S距離に対するカバレー
ジ特性の一具体例を示す説明図、(c)はガス圧に対す
るカバレージ特性の一具体例を示す説明図である。
【図31】一般的な磁気抵抗効果型の磁気ヘッドの素子
構造を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1…MR素子、2,18a,18b…永久磁石膜、3,
19a,19b…低抵抗化電極膜、8…MRヘッド、1
7…MR素子用薄膜、20…レジスト膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 43/08 H01L 43/12 43/12 G01R 33/06 R

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果素子と、当該磁気抵抗効果
    素子の両側に隣接して配設される永久磁石膜と、当該永
    久磁石膜を覆うように配設される低抵抗化電極膜とを備
    えてなる磁気ヘッドの製造方法であって、 前記磁気抵抗効果素子を構成するための膜を二層レジス
    ト膜または逆テーパレジスト膜で覆い、 当該膜の前記二層レジスト膜または前記逆テーパレジス
    ト膜で覆われた以外の部分をエッチングで除去し、 当該エッチングによる除去部分に前記永久磁石膜をスパ
    ッタリングにより成膜し、 さらに前記永久磁石膜の成膜時とは異なる直進性のスパ
    ッタリングにより前記低抵抗化電極膜を成膜して、前記
    磁気抵抗効果素子の両端部近傍に当該低抵抗化電極膜の
    みをオーバーラップさせることを特徴とする磁気ヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気ヘッドの製造方法に
    おいて、 前記永久磁石膜の成膜時には、前記二層レジスト膜また
    は前記逆テーパレジスト膜の最外端部からスパッタ粒子
    が回り込むことのない直進性のスパッタリングを行い、 前記低抵抗化電極膜の成膜時には、前記二層レジスト膜
    または前記逆テーパレジスト膜の最外端部からスパッタ
    粒子が回り込む直進性のスパッタリングを行うことを特
    徴とする磁気ヘッドの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112020004399T5 (de) 2019-09-19 2022-06-02 Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. Nb-mikrolegierter Stahl mit hoher Festigkeit und hohem Lochaufweitungsvermögen und Herstellungsverfahren dafür

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE112020004399T5 (de) 2019-09-19 2022-06-02 Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. Nb-mikrolegierter Stahl mit hoher Festigkeit und hohem Lochaufweitungsvermögen und Herstellungsverfahren dafür

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