JP2003011066A - 研磨工具及びその製造方法 - Google Patents

研磨工具及びその製造方法

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JP2003011066A
JP2003011066A JP2001224182A JP2001224182A JP2003011066A JP 2003011066 A JP2003011066 A JP 2003011066A JP 2001224182 A JP2001224182 A JP 2001224182A JP 2001224182 A JP2001224182 A JP 2001224182A JP 2003011066 A JP2003011066 A JP 2003011066A
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abrasive
polishing
polishing tool
fixed
resin
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JP2001224182A
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English (en)
Inventor
Kazuto Hirokawa
一人 廣川
Hirokuni Hiyama
浩国 桧山
Taketaka Wada
雄高 和田
Naonori Matsuo
尚典 松尾
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Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
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Publication date
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  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨速度の安定性、良好な段差特性が得られ
ると共に、半導体ウェハの研磨対象物の研磨面に発生す
る欠陥(スクラッチ)の低減等を各種の研磨対象物に対
して良好に発揮できる研磨工具を提供する。 【解決手段】 研磨対象物を押圧しつつ摺動すること
で、砥粒5を介して研磨を行う研磨工具において、該研
磨工具は熱可塑性樹脂4により主として構成されてい
る。熱可塑性樹脂として、ブタジエンスチレン、ポリブ
タジエン、又はアクリルゴム系MBS樹脂が好ましい。
ここで、研磨工具は、該研磨工具内に砥粒を含む固定砥
粒研磨工具または、非固定砥粒の研磨パッドである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨工具及びその
製造方法に係り、特に半導体ウエハ等の研磨対象物を平
坦かつ鏡面状に研磨する研磨装置に用いる、固定砥粒研
磨工具又は研磨パッド等の研磨工具の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体デバイスの高集積化が進む
につれて、回路の配線が微細化し、集積されるデバイス
の寸法もより微細化されつつある。そこで、半導体ウエ
ハの表面に形成された被膜を研磨により除去して、表面
を平坦化する工程が必要となる場合があるが、この平坦
化法の手法として、化学・機械研磨(CMP)装置によ
り研磨することが行われている。この種の化学・機械研
磨(CMP)装置は、研磨布(パッド)を貼ったターン
テーブルとトップリングとを有し、ターンテーブルとト
ップリングとの間に研磨対象物を介在させて、トップリ
ングが一定の圧力をターンテーブルに与えつつ両者が回
転し、研磨布に砥液(スラリ)を供給しつつ研磨対象物
の表面を平坦かつ鏡面状に研磨している。
【0003】このような砥液(スラリ)を用いた化学・
機械研磨(CMP)においては、比較的軟らかな研磨布
に研磨砥粒を多量に含む砥液(スラリ)を供給しつつ研
磨するので、パターン依存性に問題がある。パターン依
存性とは研磨前に存在する半導体ウエハ上の凹凸パター
ンにより研磨後にもその凹凸に起因した緩やかな凹凸が
形成され、完全な平坦度が得られにくいことである。即
ち、細かなピッチの凹凸の部分は研磨速度が早く、大き
なピッチの凹凸の部分は研磨速度が遅くなり、これによ
り研磨速度の早い部分と研磨速度の遅い部分とで緩やか
な凹凸が形成されるという問題である。又、研磨布(パ
ッド)による研磨では、凹凸の凸部のみならず凹部も共
に研磨されるため、凸部のみが研磨されて完全に平坦と
なった状態で研磨が停止するいわゆるセルフストップ機
能は実現することが困難であった。
【0004】一方で、酸化セリウム(CeO)等の砥
粒を例えばフェノール樹脂等のバインダを用いて固定し
た、いわゆる固定砥粒研磨工具を用いた半導体ウエハの
研磨が研究されている。このような固定砥粒研磨工具に
よる研磨では、研磨材が従来の化学機械研磨と異なり硬
質であるため、凹凸の凸部を優先的に研磨し、凹部は研
磨され難いため、絶対的な平坦性が得やすいという利点
がある。又、固定砥粒研磨工具の組成によっては、凸部
の研磨が終了し平坦面となると研磨速度が著しく低下
し、研磨が事実上進行しなくなるいわゆるセルフストッ
プ機能が現れる。又、固定砥粒研磨工具を用いた研磨で
は砥粒を多量に含む研濁液(スラリ)を使用しないた
め、環境問題の負荷が低減するという利点もある。
【0005】しかしながら、固定砥粒研磨工具を用いた
研磨では、以下に述べる問題点がある。即ち、半導体デ
バイスを製作する上で化学・機械研磨(CMP)後の半
導体ウェハ研磨面は、高平坦性を実現すると共にスクラ
ッチ(キズ)の発生を防ぐ必要がある。一般的な化学・
機械研磨(CMP)用研磨パッドによる研磨では、パッ
ドの硬度が高い場合に研磨面にスクラッチが生じやすい
ことが知られており、そのためパッド材料には柔らかい
発泡剤が使用されている。一方で、半導体固定砥粒研磨
工具では前記パッドより硬い材料を用いるため、研磨面
の高い平坦性が実現できる反面、研磨面に多くのスクラ
ッチが発生しやすい。
【0006】従って、半導体固定砥粒研磨工具は、非常
に限られたバインダ種類や、砥粒、バインダ、気孔の組
成比のバランスが取れた比較的狭い範囲で使用されてき
た。一方、研磨の対象は、シリコン基板、ポリシリコン
膜、酸化膜、窒化膜、アルミ又は銅材からなる配線層等
と多岐にわたる。このため、これらの各種の研磨対象に
応じて、研磨速度の安定性、及び良好な段差特性を有す
ると共に、スクラッチ(キズ)の発生しにくい固定砥粒
研磨工具を製作することは、事実上困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した事情
に鑑みて為されたもので、研磨速度の安定性、良好な段
差特性が得られると共に、半導体ウェハの研磨対象物の
研磨面に発生する欠陥(スクラッチ)の低減等を各種の
研磨対象物に対して良好に発揮できる研磨工具及びその
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、研磨対象物を押圧しつつ
摺動することで、砥粒を介して研磨を行う研磨工具にお
いて、該研磨工具は熱可塑性樹脂により主として構成さ
れていることを特徴とする研磨工具である。ここで、本
発明の固定砥粒研磨工具は、砥粒と樹脂を均一混合した
ものを成形して作成しているため、砥粒が樹脂のマトリ
ックス中に均一に分散固定されている。
【0009】請求項2に記載の発明は、研磨対象物を押
圧しつつ摺動することで、砥粒を介して研磨を行う研磨
工具において、該研磨工具は固さを有するプラスチック
樹脂と、該樹脂中に存在する弾性を有する弾性要素とか
ら構成されていることを特徴とする研磨工具である。
【0010】請求項3に記載の発明は、前記研磨工具
は、非固定砥粒の研磨パッドであることを特徴とする。
【0011】請求項4に記載の発明は、前記研磨工具
は、研磨パッドであることを特徴とする。
【0012】これまで半導体ウェハ等の固定砥粒研磨工
具は、PVAやフェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬
化性樹脂が一般に広く用いられてきた。本発明では、熱
硬化性樹脂に代えて熱可塑性樹脂を用いること、又、固
さを有するプラスチック材中に弾性要素を有する樹脂
(高分子物質)を用いることにより、後述するように従
来の固定砥粒研磨工具では得られなかった様々な特性の
固定砥粒研磨工具を得ることができる。即ち、半導体ウ
ェハ等の研磨においては研磨中に発熱が生じるので、固
定砥粒研磨工具又は研磨パッドに熱可塑性樹脂を用いる
ことで、研磨中に当該樹脂が発熱により軟らかくなる。
これにより軟らかな研磨面による研磨が可能となり、ス
クラッチ(キズ)の発生が抑えられる。又、樹脂中に弾
性要素を含む硬い樹脂を用いることで、マクロ的に見れ
ば硬く、ミクロ的に見れば軟らかな研磨面が得られ、こ
れにより平坦特性に優れると共にスクラッチ(キズ)の
発生の少ない高品位の研磨が行える。
【0013】請求項5に記載の発明は、前記砥粒が酸化
セリウム(CeO)、アルミナ(Al)、炭化
珪素(SiC)、酸化珪素(SiO)、ジルコニア
(ZrO)、酸化鉄(FeO、Fe)、酸化マ
ンガン(MnO、Mn)、酸化マグネシウム
(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム
(BaO)、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸バリウム(Ba
CO)、炭酸カルシウム(CaCO)、ダイヤモン
ド(C)、又はこれらの複合材料で構成されていること
を特徴とする。
【0014】これにより比較的入手が容易な原料を用い
て、研磨速度安定性、段差特性に優れ、且つスクラッチ
(キズ)の発生の少ない研磨を実現可能な固定砥粒研磨
工具を提供できる。
【0015】請求項6に記載の発明は、前記研磨工具
は、所定の型内に射出成形法で加圧注入することにより
成形したものであることを特徴とする。射出成形とは、
加熱して流動状態にした原材料を、閉じた金型の空洞部
(キャビティ)に加圧注入し、金型内で固化させること
により、金型空洞部に相当する成形品を造る方法であ
る。これにより、容易に、且つ良好な量産性で固定砥粒
研磨工具等を製造することができる。
【0016】請求項7に記載の発明は、アクリロニトリ
ルブタジエンスチレン(ABS)樹脂を含むことを特徴
とする。ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエ
ン、スチレンの共重合物である。小さく柔らかなブタジ
エンゴムの核に硬いAS(アクリロニトリルスチレン)
樹脂が絡んだ構造をしている。これにより、ABS樹脂
で構成した固定砥粒研磨工具は、研磨作用面はマクロ的
に見ればAS樹脂と同等に硬く、研磨時には研磨対象の
高平坦性が得られ、ミクロ的に見れば、柔らかなブタジ
エンゴムによる衝撃吸収作用が働き、スクラッチ(キ
ズ)の発生が押さえられ、高品位の研磨が実現可能とな
る。又、ABS樹脂で構成した研磨用パッドは、研磨作
用面はマクロ的に見ればAS樹脂と同等に硬く、ミクロ
的に見れば、柔らかなブタジエンゴムによる衝撃吸収作
用が働くので、同様に高品位の研磨が実現可能となる。
【0017】請求項8に記載の発明は、前記樹脂が、ゴ
ム材質を含む弾性体をコアとした、コアシェル型樹脂を
含むことを特徴とする。ここで、前記樹脂が、ブタジエ
ンスチレン、ポリブタジエン、又はアクリルゴム系MB
S樹脂であることが好ましい。この樹脂を用いて固定砥
粒研磨工具を製作することにより、高い研磨速度が得ら
れると共に、ABS樹脂の場合と同様にスクラッチが極
めて少ない固定砥粒研磨工具による研磨が行える。又、
ABS,MBSの他にゴム等の弾性体をコアとしたコア
シェル型構造の樹脂も同様に有効である。
【0018】請求項10に記載の発明は、前記弾性要素
として弾性体充填材を含み、該弾性体充填材がゴム系充
填材を含むものである。これにより、研磨工具の構成材
料として小さく柔らかなゴム粒子を含むことにより、上
記ABS樹脂と同様のマクロ的に見れば硬く、ミクロ的
に見れば軟らかな効果が得られ、高品位の研磨が実現可
能となる。従って、外部より砥粒を含むスラリを供給し
ながら、研磨する場合にも、スクラッチ(キズ)の少な
い高品位の研磨を実現できる。
【0019】請求項11に記載の発明は、前記研磨工具
を構成する材料に、更に界面活性剤を添加したことを特
徴とする。一般に固定砥粒研磨工具において砥粒を固定
するバインダに用いる高分子材料(樹脂)は、砥粒との
濡れ性が悪く、そのため、砥粒とバインダのみで成形し
た場合、砥粒が均一に分散せず、大きな砥粒塊が成形体
中に存在してしまうという問題がある。極く小さい砥粒
塊は研磨時に脱落し、研磨副生成物や研磨クズを捕集す
るポケットとして機能すると言われており、研磨に対し
有用であると考えられる。しかしながら、大きな数百n
mオーダーの砥粒塊は、研磨時に該砥粒塊がすぐに固定
砥粒研磨工具から離脱してしまい、研磨能力の経時変化
が大きく、すぐに研磨能力が低下してしまう。さらに、
研磨工具面内で研磨能力に差が生じてしまい、研磨むら
が生じてしまうなど研磨阻害要因となる。そのため、原
料混練時に界面活性剤を利用し、砥粒とバインダの濡れ
性を確保し、砥粒を均一に分散させることで、安定した
研磨を可能とする固定砥粒研磨工具を製作することがで
きる。
【0020】請求項12に記載の発明は、前記研磨工具
を構成する材料に、更に親水性物質を加えたことを特徴
とする。一般に、高分子材料は、疎水性を示し、研磨液
をはじいてしまうため、研磨液保持能力が低く、安定し
た研磨を行うことが難しいという問題がある。そのた
め、表面に親水基を多く持つ親水性物質をパッドに含有
することにより親水性を確保し、これにより表面にむら
無く研磨液を保持することが可能となり、安定した研磨
を行うことができる。
【0021】請求項13に記載の発明は、研磨対象物を
抑圧しつつ摺動することで、砥粒を介して研磨を行なう
固定砥粒研磨工具において、前記研磨工具を構成する材
料に親水性基を付加(変性)したことを特徴とする。請
求項11と同様に表面にむら無く研磨液を保持すること
が可能となり、安定した研磨を行うことができる。
【0022】請求項14に記載の発明は、研磨対象物を
押圧しつつ摺動することで、砥粒を介して研磨を行なう
固定砥粒研磨工具において、該固定砥粒研磨工具にブタ
ジエンスチレン、ポリブタジエン、又はアクリルゴム系
MBS樹脂を含有させたことを特徴とする研磨工具であ
る。
【0023】MBS樹脂は、メタクリル酸メチルとブタ
ジエンとスチレンを原料とした共重合体であり、ゴム層
であるブタジエンとスチレンの共重合体(SBR)をコ
アとし、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合体(M
S)をシェルとしたコアシェル型の熱可塑性樹脂であ
る。ブタジエンとスチレンの共重合体(SBR)の他、
ポリブタジエン系ゴムやポリアクリル酸エステル系ゴム
等をコアとしたMBS樹脂がある。MBS樹脂のシェル
に用いられるメタクリル酸メチルとスチレンの共重合体
(MS)は、プラスチックとしては非常に高い硬度であ
るPMMAに対し、スチレンを混ぜることで低硬度化が
はかれる特徴を持つ。PMMAは高い硬度であるが、非
常に脆い特徴がある樹脂であり、この高い硬度と脆さが
固定砥粒工具用材料として適していることが分かってい
る。特にスクラッチ特性に対し、この樹脂は有効であっ
た。さらに、この材質にスチレンを混ぜ重合することに
より、低硬度化、脆さの制御が可能であり、かつ材料コ
スト低減に効果があると考えられる。この材質のシェル
にゴム層のコアを組み合わせたMBS樹脂は、衝撃性が
向上でき、固定砥粒研磨加工時に砥粒からの衝撃力を緩
和できる。そのため、スクラッチの発生のない高品位の
加工が可能となる。
【0024】請求項15に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、前記原料の混合物を成形治具に充填し、加熱・冷却
処理、及び/又は加圧処理により成形することを特徴と
する固定砥粒研磨工具の製造方法である。
【0025】請求項16に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として、該原料を成形治具に充填する前
文は充填中又は充填後に、前記砥粒粉末と熱可塑性樹脂
を混合することを特徴とする固定砥粒研磨工具の製造方
法である。
【0026】請求項17に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、熱可塑性樹脂を重合又は製造する段階で砥粒又はス
ラリと熱可塑性樹脂の原料を混合し分散液とし、その分
散液中で熱可塑性樹脂、砥粒の混合重合物を製造するこ
とを特徴とする固定砥粒研磨工具の製造方法である。熱
可塑性樹脂の(微)粒子を得る方法に、懸濁重合及び乳
化重合があり、それらの方法によると熱可塑性樹脂の原
料(モノマー)の分散液中で球状の重合物を製作可能で
ある。その分散液中に砥粒又はスラリ(砥粒分散液)を
混ぜることにより、重合段階で砥粒と樹脂の混合物を得
ることが可能になる。
【0027】請求項18に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、砥粒又はスラリと熱可塑性樹脂の原料を混合し分散
液とし、その分散液中で熱可塑性樹脂、砥粒の混合重合
物を製造した後にスプレードライヤ又は噴霧乾燥処理を
行うことを特徴とする固定砥粒研磨工具の製造方法であ
る。熱可塑性樹脂の(微)粒子を得る方法に、懸濁重合
及び乳化重合があり、それらの方法によると熱可塑性樹
脂の原料(モノマー)の分散液中で球状の重合物を製作
可能である。その分散液中に砥粒又はスラリ(砥粒分散
液)を混ぜることにより、重合段階で砥粒と樹脂の混合
物を得ることが可能になる。さらに得られた混合物微粒
子を乾燥造粒する事により固定砥粒製作に適したサイズ
の混合物を得ることが可能になる。さらに、混合微粒子
の砥粒と樹脂の割合の均一性を向上することが可能にな
る。
【0028】請求項19に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、熱可塑性樹脂を重合又は製造する際に1〜500μ
mの粒径の熱可塑性樹脂、砥粒の混合重合物を得ること
を特徴とする固定砥粒研磨工具の製造方法である。熱可
塑性樹脂の(微)粒子を得る方法に、懸濁重合及び乳化
重合があり、それらの方法によると熱可塑性樹脂の原料
(モノマー)の分散液中で球状の重合物を製作可能であ
る。その分散液中に砥粒又はスラリ(砥粒分散液)を混
ぜることにより、重合段階で砥粒と樹脂の混合物を得る
ことが可能になる。さらに混合物を得る段階で混合物微
粒子を固定砥粒製作に適した1〜500μmサイズにす
る事で乾燥するだけで混合粉体を得ることが可能にな
る。
【0029】請求項20に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、成形治具に充填する前に前記砥粒粉末又はスラリと
熱可塑性樹脂の粉末又はエマルジョン液を水又は溶媒に
混合分散し、その混合液を乾燥粉末処理することを特徴
とする。
【0030】請求項21に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、成形治具に充填する前に前記砥粒粉末文はスラリを
乾燥し、その乾燥物と熱可塑性樹脂のエマルジョン液を
混合分散し、その混合液を乾燥粉末処理することを特徴
とする。
【0031】請求項22に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法におい
て、成形治具に充填する前に前記砥粒粉末文はスラリを
乾燥し、その乾燥物と熱可塑性樹脂の乾燥物を再び水又
は溶媒に分散し、その混合液を乾燥粉末処理することを
特徴とする。
【0032】請求項23に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を混合した液体状原料として固定砥粒を製造す
る方法において、成形治具に充填する前に前記液体状の
原料を乾燥する工程で、噴霧乾燥処理することを特徴と
する請求項15乃至18及び20乃至22のいずれかに
記載の固定砥粒研磨工具の製造方法である。
【0033】請求項24に記載の発明は、砥粒及び熱可
塑性樹脂を原料として、これらを混合して固定砥粒を製
造する方法において、前記固定砥粒原料混合物を乾燥さ
せる際又は乾燥させた後、粉砕し、l〜500μmの粉
末にすることを特徴とする請求項15乃至18及び20
乃至23のいずれかに記載の固定砥粒研磨工具の製造方
法である。請求項25に記載の発明は、上述した研磨工
具を具備したことを特徴とする半導体ウエハの研磨装置
である。また、請求項26に記載の発明は、上述した研
磨工具を用いて半導体ウエハを研磨することを特徴とす
る研磨方法である。請求項27に記載の発明は、砥粒及
び樹脂を原料として固定砥粒を製造する方法において、
成形治具に充填する前に前記砥粒と樹脂を液中で混合
し、該砥粒と樹脂の混合物をスプレードライヤ又は他の
噴霧乾燥処理を行い、該乾燥処理された混合物を成形治
具に充填し、成形することを特徴とする固定砥粒研磨工
具の製造方法である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、添付図面を参照しながら説明する。
【0035】図1は、本発明の実施形態の固定砥粒研磨
工具を模式的に示す。(a)に示す固定砥粒研磨工具1
は、砥粒5、気孔又は気孔剤2とがバインダ(樹脂)4
により結合して構成されている。ここで、バインダ4と
してABS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いる。これによ
り、温度を上昇させるとバインダが軟化し、弾力性を有
する状態となり、ゴム系樹脂と同等な作用を為し、研磨
に際して軟らかく研磨対象物の被研磨面に接触すること
でスクラッチ等を低減して研磨を行うことができる。
(b)に示す固定砥粒研磨工具1は、砥粒5、ゴム系粒
子等の弾性体充填材3、気孔又は気孔剤2とがバインダ
(樹脂)4により結合して構成されている。ここで、バ
インダ4としては硬い樹脂を用いている。弾性体充填材
3は、ゴム系粒子と同等な作用を為し、研磨に際して軟
らかく研磨対象物の被研磨面に接触することでスクラッ
チ等を低減して研磨を行うことができる。
【0036】従来の固定砥粒研磨工具は、砥粒を含むバ
インダ混合原料を圧縮成形で成形することが一般的であ
った。これに対して本発明の固定砥粒研磨工具は熱可塑
性樹脂を使用することを特徴としたものであり、これに
より、射出成形やブロー成形、真空成形などにより量産
効果の大きい固定砥粒研磨工具の製作が可能となる。熱
可塑性樹脂はある温度以上になると溶解する特徴を有す
るので、今までにない様々な特性の固定砥粒研磨工具を
製作することが可能となり、種々の研磨対象に好適な研
磨特性を有する固定砥粒研磨工具を製作することができ
る。研磨対象物に対し、好適な熱可塑性樹脂を主成分と
した固定砥粒研磨工具を選定することにより、研磨の際
には局所的に高温になると考えられ、固定砥粒研磨工具
の研磨作用部では、軟化し粘性を有することになる。こ
のため、砥粒による研磨面への加工圧力を安定させるこ
とができ、砥粒に過度な加工力がかかることがない。す
なわち、軟らかな工具で砥粒を押さえつけることにな
り、研磨後の研磨対象物表面のスクラッチ(キズ)を低
減できる。
【0037】本発明では、固定砥粒研磨工具の砥粒を固
定するバインダとしての樹脂に、主として熱可塑性樹脂
を用いる。主として、とは、バインダ樹脂を100%熱
可塑性樹脂で構成してもよいが、バインダ樹脂の少なく
とも50%以上、望ましくは80%以上、(より望まし
くは90%以上)を熱可塑性樹脂で構成し、残りを熱硬
化性樹脂やその他のもので構成してもよいことを示す。
研磨工具は砥粒、空孔、バインダ、場合によってはその
他の補強材や充填材、添加剤から成る。熱可塑性樹脂
は、後述するように、研磨工具全体の体積比で30〜8
0vol%であれば良いが、本発明では40vol%以上、好
ましくは50vol%以上を熱可塑性樹脂が占めること
が望まれる。
【0038】以下に、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の構
成材料例を示す。熱硬化性樹脂には、フェノール(P
F)、ユリア(UF)、メラミン(MF)、不飽和ポリ
エステル(UP)、エポキシ(EP)、シリコーン(S
I)、ポリウレタン(PUR)等があり、これらの物質
はそれぞれ硬化剤である第三の物質を添加して硬化させ
る。又、熱可塑性樹脂には、汎用プラスチックとして知
られるポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(P
C)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(P
S)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(AB
S)、ブタジエンスチレン、ポリブタジエン、又はアク
リルゴム系MBS樹脂(メチルメタクリレートブタジエ
ンスチレン(MBS))、スチレンモノマーとアクリロ
ニトリルの共重合樹脂(AS)、ポリメチルメタアクリ
ル(PMMA)、メタクリル酸メチルとスチレンの共重
合体(MS)ボリビニールアルコール(PVA)、ポリ
塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、エンジニアリングプラスチックとして
知られるポリアミド(PA)、ポリアセタール(PO
M)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエー
テル(PPE(変性PPO))、ポリブチレンテレフタ
レート(PBT)、超高分子量ポリエチレン(UHMW
−PE)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)、スーパー
エンジニアリングプラスチックとして知られているポリ
サルボン(PSF)、ポリエーテルサルボン(PE
S)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ボリア
リレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポ
リエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケ
トン(PEEK)、ポリイミド(PI)、液晶ポリマー
(LCP)、ボリテトラフロロエチレン(PTFE)等
がある。
【0039】熱硬化性樹脂は、単独又は第二の物質を加
えて加熱することにより三次元構造又は網状構造とな
り、不融不溶の樹脂になる。すなわち、一旦硬化すれば
再び軟らかくならない性質をもつ樹脂である。この樹脂
はある温度で化学反応が活性になり、硬化(架橋)が始
まり、その硬化温度である時間を保持することで硬化が
完了する。冷却は、変形や内部残留応力の発生を防ぐた
め、徐々に冷やすことで、硬化した状態が保持される。
熱可塑性樹脂は、加熱によりある軟化温度を過ぎると反
応が起こることなく軟化し流動性を有する樹脂であり、
冷却すると再び固化する。即ち、元の性質に戻る。
【0040】図2は、射出成形器を模式的に示す。この
射出成形器は、シリンダ16内のシリンダ室16aに保
持された液状材料を金型15内に射出成形するための加
圧ヘッド19を備えている。スクリュー17はスクリュ
ー回転用油圧モータ12により回転することで投入口1
8より投入された樹脂材料を加圧ヘッド19の前のシリ
ンダ室内の空間16に押圧移動する。シリンダ16の周
面にはヒータ13が配置され、投入された固形の樹脂材
料をスクリュー17で移動中に加温し、樹脂の融点以上
にすることにより、液状材料に変換する。そして、射出
油圧駆動機11により加圧ヘッド19を金型15側に押
圧移動することにより、液状樹脂が金型15内の空隙部
15aに充填される。
【0041】即ち、主に砥粒と樹脂を混練した材料は材
料投入口18より投入され、スクリュー17を回転させ
ることにより、供給部18から射出部16aへと送られ
る。その際、材料はヒータ13により加熱され、溶解
し、液状となる。加圧ヘッド19を往復動作することに
より、液状材料は、金型15の空隙部15aへと射出さ
れ、製品形状となる。その後、冷却、離型し、製品とな
る。射出成形用樹脂には、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリ
デン樹脂、ポリスチレンメタアクリル樹脂、ポリカーボ
ネイト酢酸セルロース、ポリアセタールポリアミド、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、3フッ化エチレン樹脂、
フッ化ビニリデン樹脂、等の熱可塑性樹脂全般、及びフ
ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート
などの一部の熱硬化性樹脂を用いることができ、様々な
樹脂の成形が可能となる。又、一度に多数の成形品が製
造可能となり、圧縮成形と比較し加工工程が少なく、製
作時間が短縮でき、複雑な形状でも精度よく製造するこ
とができるばかりでなく、高能率で量産化が容易にな
る。又、砥粒の混合割合及び樹脂の粒度調整によって圧
縮成形、熱処理併用圧縮成形も可能である。この場合
も、高温時に硬化することがないため、作業時間に制限
がなく取り扱いが容易である。
【0042】特にバインダとしてABS樹脂を用いれ
ば、温度上昇時に熱可塑性樹脂による軟らかな研磨が行
なえると同時に、ABS樹脂はブタジエンゴムの核にA
S樹脂が絡んだコアシェル型構造をしているため、研磨
時に発生する温度が樹脂の軟化温度より低い場合にも、
スクラッチ(キズ)の少ない研磨が可能であり、高品位
のウエハ平坦化加工が可能となる。即ち、ABS樹脂
は、その組成自体が弾性要素を本質的に備えており、マ
クロ的に見ればAS樹脂と同等に硬く、研磨時には研磨
対象の高平坦性が得られ、ミクロ的に見れば、柔らかな
ブタジエンゴムによる衝撃吸収作用が働き、スクラッチ
(キズ)の発生が押さえられる。なおABS樹脂以外に
も、樹脂構造に弾性体が入り込んだ構造をしているもの
として、塩化ビニルにメチルメタクリレートブタジエン
スチレン(MBS)を改質剤として加えたものが挙げら
れる。これにより弾性要素として、MBSを作用させる
ことができ、同様にマクロ的に見れば硬く、研磨時には
研磨対象の高平坦性が得られ、ミクロ的に見れば、柔ら
かな弾性要素による衝撃吸収作用を得ることができる。
又、MBS樹脂の割合を多くした、即ち主成分にしたバ
インダで成形した固定砥粒は、さらに衝撃吸収作用が大
きく有効である。
【0043】図1(b)に示すように、砥粒とバインダ
(プラスチック材料)の他に微細ゴム粒子を混練し、成
形してもABS樹脂の効果と同等の効果が得られる。プ
ラスチック材料中に添加するゴム系粒子の具体例として
は、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエン(SB
R)、ブタジエン(BR)、クロロプレン(CR)、ブ
チル(IIR)、ニトリル(NBR)、エチレンプロピ
レン(EPM,EPDM)、クロロスルホン化ポリスチ
レン(CSM)、アクリルゴム(アクリル酸アルキルエ
ステルと架橋性モノマとの共重合性体ACM、アクリル
酸アルキルエステルとアクリロニトリルとの共重合体A
NMなどのアクリル酸エステル)、ウレタンゴム
(U)、シリコンゴム(SI)、フッ素ゴム(FK
M)、多硫化ゴム(T)等が挙げられ、特にクロロスル
ホン化ポリスチレン(CSM)は耐候性、耐酸性、耐無
機薬品性、耐摩耗性に優れ、アクリルゴム(アクリル酸
アルキルエステルと架橋性モノマとの共重合性体ACM
や、アクリル酸アルキルエステルとアクリロニトリルと
の共重合体ANMなどのアクリル酸エステル)は耐熱性
に優れ、フッ素ゴム(FKM)は耐熱性、耐薬品性、耐
候性に優れ、シリコンゴム(SI)は耐熱性に優れるば
かりでなく、使用温度範囲が広範囲であり、研磨環境に
対し、変質しづらく、非常に好適である。
【0044】又、ゴム系粒子以外に弾性体中空粒子も同
様にして有効である。例えば、ポリアクリロニトリル
(PAN)等の中空粒子を用いてもよい。
【0045】ところで、高品位の研磨を行うためには、
固定砥粒研磨工具作用面内で研磨効率を一定にする必要
があり、そのため砥粒の分布を均一にする必要がある。
多くの樹脂は高分子材料であり、金属酸化物である砥粒
との濡れ性が悪く、砥粒は固定砥粒研磨工具組織内に大
きな塊状粒子として存在する傾向がある。例えば、砥粒
に酸化セリウム微細粒子、バインダにABS樹脂を用い
た場合、砥粒との濡れ性が悪く、成形品中に砥粒が数m
mから数百nmオーダーの砥粒塊が存在する傾向があ
る。界面活性剤を添加することでこれを改善でき、高品
位の研磨が可能となる。均一分散の方法は界面活性剤の
利用以外に、成形前に十分な時間をかけ練り込むことが
考えられるが、時間がかかり、効率的でない。界面活性
剤を使用すれば、表面張力を下げられ、均一分散が可能
となる。例えば、ユリア系樹脂に非イオン活性剤を0.
01〜0.2%添加することにより、表面張力は約63
から約50dyne/cmに下がることが知られてい
る。
【0046】上述の説明は研磨用の固定砥粒研磨工具の
構成例についてのものであるが、上述した構成例は研磨
用砥粒を多量に含む砥液(スラリ)を用いて半導体ウエ
ハ等を研磨する場合に用いられる研磨パッドにも同様に
適用可能である。研磨パッドとして、より高硬度な樹脂
を用いた場合、研磨面の平坦性が得られるが、研磨時に
多くのスクラッチ(キズ)を生じ易い。そこで、図3
(a)に示すように、研磨パッドを硬質の樹脂4で形成
すると共に、その組成内に小さく軟らかなゴム粒子6を
入れることにより、スクラッチ(キズ)の発生を防止で
きる。
【0047】使用するゴムの具体例としては、固定砥粒
研磨工具の場合と同様に、天然ゴム(NR)、スチレン
ブタジエン(SBR)、ブタジエン(BR)、クロロプ
レン(CR)、ブチル(IIR)、ニトリル(NB
R)、エチレンプロピレン(EPM,EPDM)、クロ
ロスルホン化ポリスチレン(CSM)、アクリルゴム
(アクリル酸アルキルエステルと架橋性モノマとの共重
合性体ACM、アクリル酸アルキルエステルとアクリロ
ニトリルとの共重合体ANMなどのアクリル酸エステ
ル)、ウレタンゴム(U)、シリコンゴム(SI)、フ
ッ素ゴム(FKM)、多硫化(T)等を用いることがで
きる。特に、クロロスルホン化ポリスチレン(CSM)
は耐候性、耐酸性、耐無機薬品性、耐摩耗性に優れ、ア
クリルゴム(アクリル酸アルキルエステルと架橋陛モノ
マとの共重合性体ACMや、アクリル酸アルキルエステ
ルとアクリロニトリルとの共重合体ANMなどのアクリ
ル酸エステル)は耐熱性に優れ、フッ素ゴム(FKM)
は耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れ、シリコンゴム(S
I)は耐熱性に優れるばかりでなく、使用温度範囲が広
範囲であり、研磨環境に対し、変質しづらく、非常に好
適である。又、ゴム粒子以外に弾性体中空粒子も同様に
して有効である。例えば、ポリアクリロニトリル(PA
N)等の中空粒子を用いることができる。樹脂材料は上
述の固定砥粒研磨工具に用いられた材料と同様な材料が
用いられる。
【0048】図3(b)は、研磨パッドにABS樹脂を
用いた場合を示す。研磨パッドにABS樹脂7を用いれ
ば、ABS樹脂はマクロ的には硬度の高い樹脂である
が、その組成に小さく軟らかなブタジエンゴム8を含ん
でいる。これにより、研磨作用面はマクロ的に見ればア
クリロニトリルスチレン(AS:SAN)樹脂と同等に
硬く、研磨時には研磨対象の高平坦性を得られ、ミクロ
的に見れば、軟らかなブタジエンゴムによる研磨砥粒の
衝撃吸収作用が働き、スクラッチ(キズ)の発生が押さ
えられ、高品位の研磨が実現可能となる。
【0049】次に、ABS樹脂の代表的な製造プロセス
について説明する。ABS樹脂はAS樹脂の中にポリブ
タジエンのゴムの粒子を存在させたコアシェル型樹脂で
ある。ゴムの粒子径やゴム相と樹脂相との界面の制御が
比較的容易な乳化重合法が一般的なその製造方法であ
る。ABS樹脂の代表的な製造プロセスはブタジエンを
乳化重合させて,ポリブタジエンラテックスをつくるゴ
ムラテックス製造工程と,このラテックスにアクリロニ
トリルとスチレンを加えて(又はこれらに砥粒を加え)
乳化重合によってグラフト反応を行うグラフト重合工
程,このグラフト共重合体を凝固させ,脱水乾燥する後
処理工程からなる。ポリブタジエンラテックスは,攪拌
機材の槽型重合器にブタジエン,水,乳化剤,触媒,重
合度調節剤を仕込み,乳化重合によって得られるが,基
本的には合成ゴムの乳化重合と同じである.得られた重
合物は,ゴム粒子径,ゲル含有量(橋かけ構造)などを
制御するため,重合処方や重合操作条件で制御をおこな
う。上記乳化重合の他に、アクリロニトリルとスチレン
のみのAS共重合体ラテックスを別工程で製造し,グラ
フト共重合体ラテックスと混合して凝固,脱水乾燥する
グラフトブレンド法による製造プロセスや塊状重合プロ
セスなどがある。
【0050】次に、ブタジエンスチレン、ポリブタジエ
ン、又はアクリルゴム系MBS樹脂を用いた固定砥粒研
磨工具について説明する。この広い意味でのMBS樹脂
は、ブタジエンスチレン、ポリブタジエン、又はアクリ
ルゴムをコアとするコアシェル構造のグラフトポリマで
あり、主に塩化ビニル樹脂又はアクリル樹脂の耐衝撃性
を改良する改質剤として使用されている。MBS樹脂
は、メタクリル酸メチルとブタジエンとスチレンを原料
とした共重合体であり、ゴム層であるブタジエンとスチ
レンの共重合体(SBR)をコアとし、メタクリル酸メ
チルとスチレンの共重合体(MS)をシェルとしたコア
シェル型の熱可塑性樹脂である。
【0051】塩化ビニル又はアクリル樹脂にMBS樹脂
を添加したものをバインダとして用いた固定砥粒研磨工
具については、一般的な場合、添加量は数〜20%程度
であり、塩化ビニルの特性を重視した設計である。これ
に対し、樹脂中のMBS樹脂の割合を20%以上、さら
に50%以上、又さらに100%にした場合には、衝撃
吸収効果の高い工具となる。この樹脂をバインダ材とし
て用い、酸化セリア砥粒と組み合わせることにより、研
磨時のスクラッチの発生が非常に少ない固定砥粒研磨工
具が得られる。例えば、エポキシ樹脂とMBS樹脂を混
合してバインダ材として用いてもよい。即ち、この固定
砥粒研磨工具はMBS樹脂が熱可塑性樹脂であるため、
成形が容易であり、且つ成形体の強度も高い。そして、
MBS樹脂をバインダ材として用いた場合には砥粒の自
生作用があり、これにより高い研磨速度が得られる。例
えば、従来のエポキシ樹脂をバインダ材として用いた固
定砥粒研磨工具と比較して、約2倍の研磨速度が得られ
る。さらに、樹脂自体が耐衝撃性を有するため、研磨時
に砥粒に作用する力が緩和(抑制)され、スクラッチの
ない、即ち欠陥の少ない研磨が可能となる。MBS樹脂
は、その構造単位が吸水効果により広がり、砥粒を保持
する能力が低下して砥粒の自生が容易となるものと考え
られる。
【0052】図4は、(a)研磨速度と(b)欠陥量に
ついて、各種の樹脂材料による固定砥粒を比較した実験
データである。図4及び図5の実験は、図13に示す装
置(後述)によって行った。図4(a)に示すように、
ABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂を用いた固定砥粒
は、その研磨速度がフェノール樹脂又はエポキシ樹脂を
用いた固定砥粒に対して、かなり高いことがわかる。ま
た、図4(b)に示すように、単位面積あたりの欠陥量
もABS樹脂、AS樹脂、MBS樹脂を用いたものは、
フェノール樹脂又はエポキシ樹脂を用いたものと比較し
て、同等もしくはそれ以下のデータが得られている。即
ち、熱可塑性樹脂を用いた固定砥粒は、全般的に研磨速
度が高く、欠陥量が少ない。ABS樹脂、MBS樹脂を
用いた固定砥粒は、特に研磨速度が高く、且つ研磨後の
スクラッチや付着物等の欠陥量が少ない傾向にある。
【0053】図5は、各種の樹脂材料による(a)研磨
速度と(b)欠陥量について、砥粒を含有しない研磨パ
ッドを比較した実験データである。この実験データは、
PC(ポリカーボネート)、Epoxy(エポキシ)、
Phenol(フェノール)、ABS(アクリロニトリ
ルブタジエンスチレン)、MBS(メチルメタクリレー
トブタジエンスチレン)、PE(高密度ポリエチレ
ン)、RB(ブタジエンラバー)、AS(アクリロニト
リルスチレン)の各種樹脂についての比較データであ
る。この実験データからも、ABS樹脂やMBS樹脂を
用いた研磨パッドは、研磨速度が高く、欠陥量が少ない
ことが判る。
【0054】係るMBS樹脂による固定砥粒の構成例に
ついて説明する。砥石組成比(砥粒率(Vg)とバインダー
率(Vb)と空孔率(Vp)の比率)(vol%)は、一例とし
て砥粒率(Vg):バインダー率(Vb):空孔率(Vp)=3
5:55:10(vol%)である。
【0055】この固定砥粒研磨工具は、一般的なフェノ
ール、エポキシ樹脂による固定砥粒研磨工具と比較し、
上述したように加工速度が速く、スクラッチが少ないと
いう特徴があり、スクラッチの発生が好ましくない半導
体の製造工程においても適用することが可能である。一
般的なフェノールやエポキシ樹脂による固定砥粒研磨工
具が、研磨中に同時にドレッシングを行う必要があるよ
うな高い研磨速度が必要な工程に対して、研磨中にドレ
ッシングすることなく所要の高い研磨速度が得られる。
又、ドレッシングに際してダイヤモンド砥粒の脱落の心
配がないため、ダイヤモンド粒子によるスクラッチの発
生も生じない。
【0056】次に、MBS樹脂を用いた固定砥粒研磨工
具の組成比について説明する。固定砥粒の組成比(砥粒
率(Vg)とバインダー率(Vb)と空孔率(Vp)の比率)
(vol%)は、一般に 10%<砥粒率(Vg)<50% 30%<バインダー率(Vb)<80% 0%<空孔率(Vp)<40% であり、 20%<砥粒率(Vg)<45% 40%<バインダー率(Vb)<70% 0%<空孔率(Vp)<20% が望ましく、 30%<砥粒率(Vg)<40% 50%<バインダー率(Vb)<60% 5%<空孔率(Vp)<15% がさらに望ましい。
【0057】この固定砥粒工具の製造方法について次に
説明する。まず、微細な酸化セリウムと、ブタジエンス
チレン、ポリブタジエン、又はアクリルゴム系MBS樹
脂とを混合した乾燥粉を作製する。この混合乾燥粉を得
る具体的方法の例を次に示す。第1の方法は、砥粒粉
と、ブタジエンスチレン、ポリブタジエン、又はアクリ
ルゴム系MBS樹脂粉末を単に混合する方法であり簡便
に混合乾燥粉が得られる。
【0058】第2の方法は、砥粒に必要に応じて水及び
/又は水溶液及び/又は溶媒及び/又はバインダー及び
/又は薬剤を加えたスラリ形態の砥粒液を自然乾燥又は
加熱乾燥又は凍結乾燥等の方法により乾燥させ、その後
必要に応じて粉砕等による粉末化処理を行い、ブタジエ
ンスチレン、ポリブタジエン、又はアクリルゴム系MB
S樹脂粉末と混合することで前記混合乾燥粉を得る方法
である。ただし、砥粒は微細であるために凝集しやす
く、砥粒単独で粉末化させるためには、スプレードライ
ヤ又は他の噴霧乾燥を用い、凝集力又は結合力が弱く、
かつ取り扱いや成形に適した平均粒径1〜500μm、
望ましくは10〜100μm、更に望ましくは30〜8
0μmの大きさの粉末にすることが望ましい。砥粒スラ
リに含有するバインダーは強固に結合するバインダーは
適さず、強固な結合力の樹脂バインダーではなく、水架
橋や分子間力による結合や、結合力の弱いバインダー
(結合力の弱い樹脂バインダーを含む)を選定すること
が望ましい。
【0059】第3の方法は、第1,2の方法で混合粉を
得た後、混合粉を水又は水溶液又は溶媒中に分散した
後、自然乾燥又は加熱乾燥又は凍結乾燥又はスプレード
ライヤや他の噴霧乾燥方法により乾燥処理することによ
り混合粉を得る方法である。この混合粉は、砥粒と樹脂
の混合が均一に出来る特徴があり、成形された固定砥粒
においても均一な組成が得られやすく好ましい成形粉が
得られる。この場合に対しても、スプレードライヤ又は
他の噴霧乾燥を用い、乾燥条件すなわち乾燥装置の運転
条件を選定することにより、取り扱いや成形に適した平
均粒径及び粒度分布に制御できる。例えば、平均粒径1
〜500μm、望ましくは10〜100μm、更に望ま
しくは30〜80μmの大きさの粉末にすることが望ま
しい。
【0060】第4の方法は、砥粒に必要に応じて水及び
/又は水溶液及び/又は溶媒及び/又はバインダー及び
/又は薬剤を加えたスラリ形態の砥粒液を、ブタジエン
スチレン、ポリブタジエン、又はアクリルゴム系MBS
樹脂の粉末及び必要に応じて水又は水溶液又は溶媒を加
えて、混合又は混合分散し、自然乾燥又は加熱乾燥又は
凍結乾燥又はスプレードライヤを含む噴霧乾燥方法によ
り乾燥処理することにより混合粉を得る。この場合も前
記理由によりスプレードライヤ又は他の噴霧乾燥を用
い、取り扱いや成形に適した平均粒径及び粒度分布に制
御できる。例えば、平均粒径1〜500μm、望ましく
は10〜100μm、更に望ましくは30〜80μmの
大きさの粉末にすることが望ましい。最も望ましい砥石
原料の混合方法は、スラリ状の砥粒と、液体状(ラテッ
クス)のMBS樹脂を混合し、その後スプレードライヤ
により噴霧乾燥し造粒するものである。こうすると、ス
ラリとMBS樹脂の均一混合が達成できる。なお、砥粒
はスラリ状ではなくても、予めスラリを低温(室温〜2
00℃)でスプレードライヤにより噴霧乾燥処理した一
次粒子状の砥粒の状態で供給しても、MBS樹脂と均一
混合可能である。
【0061】第5の方法は、ブタジエンスチレン、ポリ
ブタジエン、又はアクリルゴム系MBS樹脂原料が、水
溶液やエマルジョンの形態の場合、乾燥粉末処理を行っ
た後、乾燥粉を砥粒粉末と混合し乾燥混合粉を得る方法
がある。又、更に水又は水溶液又は溶媒中に分散した
後、必要に応じバインダー及び/又は薬剤を添加し乾燥
又は乾燥粉砕処理により混合粉を得ることにより、砥粒
と樹脂及び前記添加剤が均一に混合出来る特徴がある。
その場合、成形された固定砥粒においても均一な組成が
得られやすい好ましい成形粉が得られる。
【0062】第6の方法は、ブタジエンスチレン、ポリ
ブタジエン、又はアクリルゴム系MBS樹脂原料が、水
溶液やエマルジョンの形態の場合、砥粒、又はスラリの
形態の砥粒原料を必要に応じて水又は水溶液又は溶媒を
加えて混合又は混合分散し乾燥粉末処理した乾燥砥粒
を、更に水又は水溶液又は溶媒中に分散した後、必要に
応じバインダ及び/又は薬剤を添加し、乾燥又は乾燥粉
砕処理により混合粉を得る方法である。この場合も砥粒
と樹脂及び前記添加剤が均一に混合できる特徴があり、
かつ成形された固定砥粒においても均一な組成が得られ
やすい好ましい成形粉が得られる。なお、次に示す成形
方法に用いる成形金型中にて乾燥と混合と原料の金型充
填を同時に行うこともでき、製作工程が短くなり望まし
い。
【0063】次に、この原料粉末を加熱・加圧成形を行
い、固定砥粒研磨工具にする成形について説明する。こ
の成形は、MBS樹脂が熱可塑性樹脂であるため、加熱
するだけで軟化するので原料粉末を型に入れて加熱する
だけで成形することができる。その際、金型は加圧しな
くてもよいが、成形後の固定砥粒研磨工具の形状の制
御、又は空孔率の制御を行うため、加圧しつつ行うこと
が好ましい。固定砥粒研磨工具の成形に際しては所要の
大きさおよび空孔率を得るため、加圧の際に限りなく容
積が小さくならないようにストッパ構造を有する金型を
用いて行うことが好ましい。このストッパ構造により、
圧力による成形が行われず、定容積による成形がなさ
れ、所定の形状および空孔率を固定砥粒研磨工具に与え
ることができる。加熱・加圧成形後、平面および外径の
加工を行い、所定の形状に整えた後に研磨に使用する。
又、固定砥粒研磨工具は平板形状のため、且つ構造体及
び材質が水分により変形・膨潤し易いため、形状加工な
どに際して固定砥粒研磨工具に十分に水分を与え、偏っ
た水分バランスとならないような配慮が必要である。
【0064】次に、酸化セリウム砥粒とMBS樹脂をバ
インダ材として用いた固定砥粒研磨工具の具体的な製造
方法例について説明する。固定砥粒研磨工具の成形サイ
ズは、一例として直径が55cmで厚さが5mm以上で
ある。成形前の砥粒粉末とバインダ材粉末との体積比
は、29〜49%(好ましくは34〜44%)が砥粒で
あり、残りの51〜71%(好ましくは56〜66%)
がバインダの粉末である。砥石材料として、砥粒、バイ
ンダの他に界面活性剤や研磨助剤等の添加剤や、ゴム等
の弾性体を加えたり、バインダ材を2種類以上の樹脂を
混合させて用いてもよい。そして、できあがった固定砥
粒研磨工具の体積組成比は、砥粒が25〜45%(好ま
しくは30〜40%)、バインダが45〜65%(好ま
しくは50〜60%)、空孔が0〜20%(好ましくは
5〜15%)であり、例えば、 砥粒:バインダ:
空孔=35:55:10を目標値とする。MBS樹脂は
熱可塑性樹脂であり、成形温度は150〜200℃程度
が好ましい。
【0065】上記乾燥処理は、自然乾燥、加熱乾燥でも
よいが、図4に示すように、スプレードライヤを用いる
のが好ましい。スプレードライヤにより原料が加熱乾燥
され、熱可塑性樹脂であるMBS樹脂が一旦溶けた後、
球状又はくぼみを有する塊状に乾燥する。そのため、ス
プレードライヤ処理前後の原料の混合が均一になり、扱
いやすくなる。金型に充填する前に、全ての原料を混合
させておくことが好ましい。液体状態で原料を金型に供
給し成形した場合、加熱加圧成形を行う際に、水分が蒸
発し、水が入ったまま固定砥粒が成形されてしまうか、
もしくは水分蒸発後の空洞により不均一な気泡、空洞が
できてしまうため、均一な望ましい固定砥粒ができな
い。そのため、原料を乾燥した粉末状で成形治具に供給
するのが好ましい。
【0066】スプレードライヤによる乾燥粉末化処理
は、次のようにして行われる。スプレードライング法
は、砥粒、もしくはMBS樹脂粉末等の原料を水又は溶
媒に拡散させ、超音波の印加等により十分に分散させて
微細粒子の懸濁液を形成する。そして、熱風が螺旋状に
回転している空間に微細粒子の懸濁液を供給する。これ
により、懸濁液の液体部分は瞬間的に乾燥され、微細粒
子が単位体積当たりの表面積を増大しながら集合体を形
成する。微細粒子として例えば0.3μmφ程度の砥粒
を用いることで、5〜100μmφ程度の微細砥粒の集
合体である球状に造粒を行うことができる。このスプレ
ードライング法によれば、濃縮、ろ過、粉砕、分級、乾
燥という数多くの工程を一挙に瞬間的に行うことがで
き、容易に微細粒子から塊状の集合体に造粒することが
可能である。造粒後の粒径(重合後の粒径)は、成形方
法により望ましい粒径があり、ホットプレスを用いる場
合は、1〜1000μmの範囲が良く、望ましくは5〜
500μm、更に望ましくは10〜200μmの範囲が
良い。なお、この粒径は、乾燥・造粒をスプレードライ
ヤ法を用いる場合には熱風温度、アトマイザー形状、ア
トマイザー回転数、熱風排風量、排風温度などスプレー
ドライヤ運転条件、及びスプレードライヤ供給液の粘
度、固形分濃度、原液供給速度などの調整により行うこ
とが可能である。
【0067】図6は、上述のスプレードライング法によ
る造粒に好適なスプレードライヤの一例を示す。スプレ
ードライヤ本体31には、配管37より熱風が吹き込ま
れ、本体31内でらせん状流43が形成される。熱風
は、エアフィルタ33を介して空気が送風機34より送
風され、ヒータ35で加熱された熱風がフィルタ36を
介して本体31内に供給される。微粒化装置32からは
微細砥粒の懸濁液がらせん状に回転している熱風中に供
給され、これにより上述したように砥粒集合体が形成さ
れる。造粒された砥粒集合体は、本体下部の容器42a
に入るか、配管38を介してサイクロン39により選別
され、その下部の室42bに入るか、又はバグフィルタ
40により選別され、その下部の室42cに入る。なお
バグフィルタ40を通過した熱風は、排風機41により
排出される。
【0068】次に、図7を参照して固定砥粒研磨工具の
成形工程について説明する。まず、(a)に示すよう
に、ダイス71と下側パンチ72を組み合わせた後に、
砥粒粉末と樹脂粉末の混合粉末である固定砥粒研磨工具
原料粉末73を入れ、不均一にならないように充填す
る。次に、(b)に示すように上パンチ74を荷重がか
からないように載せ、又は所定の加圧成形圧力より十分
小さい圧力で治具をセットし、樹脂のガラス転移点を超
え、且つ熱分解を起こさない所定成形温度(例えば15
0〜300℃)に加熱する。そして、熱が均一に伝わり
十分に樹脂粉末が溶融するために十分な時間(例えば5
〜30分)保持する。次に、上パンチ74を(c)に示
すようにその後目的とする容積まで加圧する。この際、
(b)に示すように段付きストッパ構造75を有する成
形治具を用いることで、所定の容積まで加圧することが
できる。
【0069】固定砥粒体が硬化中に、上からの圧力で横
に広がるように圧力がかかるため、ダイスが固定砥粒原
料に密着する。そのため、途中からダイス下方のスペー
サーを取り外すことによってダイスが固定砥粒原料と一
体になって動くことが出来、硬化した固定砥粒体の周縁
部に歪みが生ぜず、又、固定砥粒体内の密度が均一にな
る。又、初期にダイス71の下にスペーサをはさみ、成
形圧力より十分小さな圧力で加圧後、スペーサを抜き、
さらに成形圧力で加圧する手順により治具で成形しても
よい。なお、スペーサを使用しない方法でも成形は可能
であるが、成形品の内部応力緩和や密度均一性の目的で
使用した方が望ましい。更に、この加圧は上側パンチ7
4の位置制御で加圧成形するようにしてもよい。所定時
間の経過後、望ましくは自然冷却し、ガラス転移点より
十分低い温度に徐冷した後に、脱枠し固定砥粒研磨工具
73Aを得る。なお、図示するようなストッパ構造を有
する治具を用いないで、時間と温度と圧力で制御したプ
ロセスで製造してもよい。
【0070】固定砥粒研磨工具の成形を行った後に、外
形・平面加工を経て製品とする。この固定砥粒研磨工具
は十分な強度が得られず、単体では運搬、機械への固定
に際して割れる又は壊れる恐れがあるため台座に固着す
る。台座への固定(接着、粘着、機械的固定など)は、
固定砥粒研磨工具成形中に行うこともできるが、熱膨張
係数が相違する場合や材料の劣化が起こりうる場合に
は、成形後にこれを行うことが好ましい。固定砥粒研磨
工具は厚みを有した方が減耗という観点からは望ましい
が、使用時に減耗が少ない場合には薄い平板型でもよ
い。固定砥粒研磨工具を研磨に使用する場合には、水又
は液体を供給しつつ研磨に使用される場合が多い。この
ため固定砥粒研磨工具の膨潤の問題があるため、台座と
固定砥粒研磨工具の固定に際しては固定砥粒研磨工具を
使用時の状態に近いある程度膨潤した状態で固定するこ
とが好ましい。即ち、固定砥粒研磨工具内部にも十分に
使用時と同じ液体で膨潤した状態となるように液体をし
みこませ、固定砥粒研磨工具自体の寸法・形状が安定し
た状態で台座に接着固定し、その後使用時までその状態
を維持することが好ましい。
【0071】現在の代表的な固定砥粒研磨工具の製造工
程を示すと、平均粒径0.165μmのCeO砥粒入
りスラリとMBS樹脂の微分散液を混合し、スプレード
ライヤにて乾燥造粒を行い、9〜200μmの範囲の粒
度分布を持つ平均粒径45μmの造粒物を得た後、直径
560mm程度の金型に充填し、ホットプレス機にて加
熱温度200℃程度で加熱圧縮成形を行う。更に、台盤
(CMP装置テーブルに取り付けるためのカートリッジ
プレート)に接着剤にて張り付けた後、外径加工及び研
磨作用面の平面加工を経て砥石を製作している。
【0072】次に、熱可塑性樹脂のガラス転移点につい
て検討する。まず、研磨時に研磨工具が十分な強度を有
することが必要である。このため、ガラス転移点Tgは
常温(20〜25℃)以上であることが必要である。そ
して、研磨工具が研磨対象物に接触しない状態では、研
磨工具はもろい性質(脆性)を維持する必要があり、研
磨により樹脂が細かい研磨屑となり研磨を阻害しないこ
とが必要である。このため、ガラス転移点Tgは同様に
常温以上であることが必要である。また、樹脂が常温で
も軟化すると、研磨対象物(例えば半導体ウエハ)と接
触したときに研磨面が柔らかくなりすぎ、研磨対象物の
平坦性が得られない。また、樹脂が流動性を持つと砥粒
と共に集合し、凝集体を形成しやすくなるという問題も
ある。従って、研磨時に研磨対象物との接触部分の最表
面だけが軟化している状態が望ましい。通常、半導体ウ
エハの表面を研磨する場合には、その研磨面の温度は6
0℃位になる。このような観点からすると、研磨工具を
構成する樹脂のガラス転移点Tgは、60℃以上が望ま
しい。更に、研磨工具の製作時の成形性からガラス転移
点Tgが低すぎると離型しにくくなる。かかる観点から
すれば、ガラス転移点Tgは50℃以上であることが望
ましい。更に、比較的低い温度で成形が可能であれば、
生産性が向上し、コスト低減が計れる。このような研磨
工具の製造という観点からすると、ガラス転移点Tgは
200℃以下が望ましい。以上を総合的に判断すると、
研磨工具を構成する樹脂のガラス転移点Tgは、常温よ
りも大きく、200℃以下が好ましい。
【0073】ところで、一般に樹脂材料は疎水性を示す
ため、研磨時にパッド表面に研磨砥液(スラリ)を保持
し難い。そのため、安定な研磨を行うためには、ドレッ
シング(シーズニング)と呼ばれる工程が必要となる。
即ち、ダイヤモンドヤスリでパッド表面を薄く削り、研
磨クズを排除すると共に表面を毛羽立てることにより、
表面積を増やし、スラリを保持しやすくする工程であ
る。パッド自身が親水性を示す場合、表面積を増やすた
めの余分なドレッシング工程が必要なくなり、研磨クズ
を除去するのみですむため、パッドのドレス代が少なく
なり、長期の使用が可能となる。親水性を示す材料に
は、−CO−OH、−OH、−NH、−NHCONH
、−(OCHCH)n−などの親水基を持つ材料
すべてが対象となる。又、一般に酸素、窒素、硫黄など
の元素を含む基は親水基であり、特に塩を作っている場
合には強親水性基となり、非常に好適である。強親水性
基には、−SOH、−SOM、−OSOH、−O
SOM、−COOM、−NR X(M:アルカリ金属
又は−NHR:アルキル基、X:ハロゲン)等があ
る。研磨パッドを構成する樹脂に、上記親水性物質を加
える、又は樹脂自身に親水性を付加する、すなわち改質
することにより、研磨時にパッド表面にスラリを容易に
保持することができる研磨パッドが得られる。
【0074】砥粒と樹脂を液中で均一に混合する技術
は、熱硬化性樹脂に対しても適用可能である。実施例と
して、液状フェノール樹脂とセリアスラリ、及び液状フ
ェノール樹脂とシリカスラリを混合した例を述べる。熱
硬化性樹脂は粉末状固体であれば、液状樹脂にするた
め、エタノール、メタノール等の有機溶媒に溶解または
微分散させる。溶媒は、水でもよい。液状樹脂であって
も粘度が高い場合には同様に純水やエタノール等の有機
溶媒に溶解または分散させる。本作業はその後の作業で
ある砥粒と混合する際に均一分散可能とするために重要
である。分散方法は攪拌機による分散であるが、超音波
分散など他の方法を利用してもよく、又はそれら複数の
組合せを利用してもよい。一般に攪拌機と超音波分散機
の併用では均一分散の効果が高い。
【0075】砥粒も粉末状固体であれば、純水やエタノ
ールを含む有機溶媒に溶解または微分散させる。スラリ
状の砥液であれば、そのまま、又は希釈し粘度を下げ
る。分散方法は樹脂と同様の方法が利用できる。スラリ
状の砥液と液状樹脂の混合は、同程度の粘度に合わせて
から混合する。どちらか一方の粘度が高すぎて均一混合
が困難な場合は水又は他の溶媒により希釈して、粘度を
同程度に調整してから混合することにより、砥粒を含有
するスラリ状の砥液と液状樹脂が均一に混ざる。液状樹
脂は、樹脂が水又は他の溶媒に分散又は溶解した状態の
乳状液、ゴム乳液、又は懸濁液である。
【0076】上記液状熱硬化性樹脂とスラリ状の砥液を
混ぜ、均一に混合分散させる。ここでも上記と同様の超
音波分散機と併用した分散方法が使用できる。また、熱
硬化性樹脂液、砥粒液を個別に分散処理しなくても2つ
を混合した際に初めて分散処理を行ってもよい。
【0077】上記作業でできた混合液をスプレードライ
ヤまたはその他の噴霧乾燥処理を行い、乾燥、造粒を行
い、粉末状混合物を得る。上記で得られた混合物を金型
に均一に充填し、加熱加圧処理を行い成形する。その
際、本混合物は熱硬化性樹脂と砥粒を均一に混合してあ
る粉体のため、金型充填の際に砥粒と熱硬化性樹脂の混
合比が崩れない。このため、容易に均一充填可能であ
る。
【0078】金型は図7に示す上下ダイス及びスペーサ
で構成される。熱硬化性樹脂は加熱後固まるので、定圧
成型でよい。この場合、低い圧力で加圧した後、スペー
サーを抜き、ダイスをフローティングさせた状態でさら
に加圧加熱成形する。所定時間経過後、冷却、脱枠し、
砥石を得る。
【0079】成形後平面外径加工を行い、所定の形状に
整えた後、研磨に使用する。また、固定砥粒研磨工具は
平板形状のため、且つ構造体及び材質が水分により変形
・膨潤しやすいため、形状加工に際して固定砥粒研磨工
具に十分に水分を与え、偏った水分バランスとならない
ような配慮が必要である。なお、砥粒と樹脂の液中混合
は、粉末状砥粒と液状フェノール樹脂を液中混合し、そ
の後スプレードライにて噴霧乾燥処理し、混合造粒粉を
作ってもよい。
【0080】図8は、本発明の実施形態に係る主として
半導体ウエハを研磨するためのポリッシング装置の各部
の配置構成を示す平面図である。このポリッシング装置
には、本発明の上述した固定砥粒研磨工具又は研磨用パ
ッドが用いられている。図8に示すポリッシング装置は
多数の半導体ウエハをストックするウエハカセット21
を載置するロードアンロードステージ22を4つ備えて
いる。ロードアンロードステージ22は昇降可能な機構
を有していても良い。ロードアンロードステージ22上
の各ウエハカセット21に到達可能となるように、走行
機構23の上に2つのハンドを有した搬送ロボット24
が配置されている。
【0081】前記搬送ロボット24における2つのハン
ドのうち下側のハンドはウエハカセット21より半導体
ウエハを受け取るときのみに使用され、上側のハンドは
ウエハカセット21に半導体ウエハを戻すときのみに使
用される。これは、洗浄した後のクリーンなウエハを上
側にして、それ以上ウエハを汚さないための配置であ
る。下側のハンドはウエハを真空吸着する吸着型ハンド
であり、上側のハンドはウエハの周縁部を保持する落し
込み型ハンドである。吸着型ハンドはカセット内のウエ
ハのずれに関係なく正確に搬送し、落し込み型ハンドは
真空吸着のようにごみを集めてこないのでウエハの裏面
のクリーン度を保って搬送できる。搬送ロボット24の
走行機構3を対称軸に、ウエハカセット21とは反対側
に2台の洗浄機25,26が配置されている。各洗浄機
25,26は搬送ロボット24のハンドが到達可能な位
置に配置されている。又2台の洗浄機25,26の間
で、ロボット24が到達可能な位置に、4つの半導体ウ
エハの載置台27,28,29,30を備えたウエハス
テーション70が配置されている。前記洗浄機25,2
6は、ウエハを高速回転させて乾燥させるスピンドライ
機能を有しており、これによりウエハの2段洗浄及び3
段洗浄にモジュール交換することなく対応することがで
きる。
【0082】前記洗浄機25,26と載置台27,2
8,29,30が配置されている領域Bと前記ウエハカ
セット21と搬送ロボット24が配置されている領域A
のクリーン度を分けるために隔壁84が配置され、互い
の領域の間で半導体ウエハを搬送するための隔壁の開口
部にシャッター31が設けられている。洗浄機25と3
つの載置台27,29,30に到達可能な位置に2つの
ハンドを有した搬送ロボット80が配置されており、洗
浄機26と3つの載置台28,29,30に到達可能な
位置に2つのハンドを有した搬送ロボット81が配置さ
れている。
【0083】前記載置台27は、搬送ロボット24と搬
送ロボット80との間で半導体ウエハを互いに受渡すた
めに使用され、半導体ウエハの有無検知用センサ91を
具備している。載置台28は、搬送ロボット24と搬送
ロボット81との間で半導体ウエハを受渡すために使用
され、半導体ウエハの有無検知用センサ92を具備す
る。載置台29は、搬送ロボット81から搬送ロボット
80へ半導体ウエハを搬送するために使用され、半導体
ウエハの有無検知用センサ93と半導体ウエハの乾燥防
止、もしくは洗浄用のリンスノズル95を具備してい
る。載置台30は、搬送ロボット80から搬送ロボット
81へ半導体ウエハを搬送するために使用され、半導体
ウエハの有無検知用センサ94と半導体ウエハの乾燥防
止、もしくは洗浄用のリンスノズル96を具備してい
る。載置台29及び30は共通の防水カバーの中に配置
されていて、搬送用のカバー開口部にはシャッター97
を設けている。載置台29は載置台30の上にあり、洗
浄後のウエハを載置台29に、洗浄前のウエハを載置台
30に置くことにより、リンス水の落下による汚染を防
止している。なお、図8においては、センサ91,9
2,93,94、リンスノズル95,96、およびシャ
ッター97は模式的に示したものであって、位置および
形状は正確に図示されていない。
【0084】前記搬送ロボット80および搬送ロボット
81の上側のハンドは、一度洗浄された半導体ウエハを
洗浄機もしくはウエハステーション70の載置台へ搬送
するのに使用され、下側のハンドは1度も洗浄されてい
ない半導体ウエハ、及び研磨される前の半導体ウエハを
搬送するのに使用される。下側のハンドで反転機へのウ
エハの出し入れを行うことにより、反転機上部の壁から
のリンス水のしずくにより上側のハンドを汚染すること
がない。前記洗浄機25と隣接するように搬送ロボット
80のハンドが到達可能な位置に洗浄機82が配置され
ている。又、洗浄機26と隣接するように搬送ロボット
81のハンドが到達可能な位置に洗浄機83が配置され
ている。前記洗浄機25,26,82,83とウエハス
テーション70の載置台27,28,29,30と搬送
ロボット80,81は全て領域Bの中に配置されてい
て、領域A内の気圧よりも低い気圧に調整されている。
前記洗浄機82,83は、両面洗浄可能な洗浄機であ
る。
【0085】本ポリッシング装置は、各機器を囲むよう
にハウジング66を有しており、前記ハウジング66内
は隔壁84、隔壁85、隔壁86、隔壁87、および隔
壁67により複数の部屋(領域A、領域Bを含む)に区
画されている。隔壁87によって領域Bと区分されたポ
リッシング室が形成され、ポリッシング室は更に隔壁6
7によって2つの領域CとDに区分されている。そし
て、2つの領域C,Dにはそれぞれ2つの研磨テーブル
と、1枚の半導体ウエハを保持しかつ半導体ウエハを前
記研磨テーブルに対して押し付けながら研磨するための
1つのトップリングが配置されている。即ち、領域Cに
は研磨テーブル54,56、領域Dには研磨テーブル5
5,57がそれぞれ配置されており、又、領域Cにはト
ップリング52、領域Dにはトップリング53がそれぞ
れ配置されている。又領域C内の研磨テーブル54に研
磨砥液を供給するための砥液ノズル60と、研磨テーブ
ル54のドレッシングを行うためのドレッサ58とが配
置されている。領域D内の研磨テーブル55に研磨砥液
を供給するための砥液ノズル61と、研磨テーブル55
のドレッシングを行うためのドレッサ59とが配置され
ている。さらに、領域C内の研磨テーブル56のドレッ
シングを行うためのドレッサ68と、領域D内の研磨テ
ーブル57のドレッシングを行うためのドレッサ69と
が配置されている。なお、研磨テーブル56,57の替
わりに、湿式タイプのウエハ膜厚測定機を設置してもよ
い。その場合は、研磨直後のウエハの膜厚を測定するこ
とができ、ウエハの削り増しや、測定値を利用して次の
ウエハへの研磨プロセスの制御を行うこともできる。
【0086】前記トップリング52および53に移送さ
れたウエハは、トップリングの真空吸着機構により吸着
され、ウエハは研磨テーブル54又は55まで吸着され
たまま搬送される。そして、ウエハは研磨テーブル5
4,55上に取り付けられた本発明の研磨パッド又は固
定砥粒研磨工具等からなる研磨面で研磨される。本発明
の研磨パッド又は固定砥粒研磨工具を用いれば、一段研
磨でもスクラッチの少ない良好な被研磨面を得ることが
できる。図6では、さらにトップリング52及び53が
それぞれに到達可能な位置に、前述した第2の研磨テー
ブル56と57が配置されている。これにより、ウエハ
は第1の研磨テーブル54,55で研磨が終了した後、
第2の研磨テーブル56,57に貼着された仕上げ用研
磨パッドで仕上げ研磨できるようになっている。仕上げ
用テーブルでは、SUBA400やPolytex(共
にロデール・ニッタ製)等の研磨パッドに純水、もしく
は砥粒を含まない薬液を供給しながら純水仕上げを行な
うか、もしくはスラリを供給して研磨を行なう。半導体
ウエハに付けられた膜種によっては、第2の研磨テーブ
ル56,57で研磨された後、第1の研磨テーブル5
4,55で処理されることもある。この場合、第2の研
磨テーブルの研磨面が小径であることから、研磨パッド
に比べて値段の高い固定砥粒研磨工具を張り付け、粗削
りをした後に、大径の第1の研磨テーブルに寿命が固定
砥粒研磨工具に比べて短い研磨パッドを貼り付けて仕上
げ研磨をすることで、ランニングコストを低減すること
が可能である。このように、第1の研磨テーブルを研磨
パッド、第2の研磨テーブルを固定砥粒研磨工具とする
ことにより、安価な研磨テーブルを供給できる。という
のは、固定砥粒研磨工具の価格は研磨パッドより高く、
径が大きいほど高くなる。又、固定砥粒研磨工具より研
磨パッドの方が寿命が短いので、仕上げ研磨のように軽
荷重で行った方が寿命が延びる。又、径が大きいと接触
頻度が分散でき、寿命が延びる。よって、メンテナンス
周期が延び、生産性が向上する。
【0087】図9は、ポリッシング装置の要部を示す図
である。このポリッシング装置は、表面に研磨パッドに
代わり直径約60cmの固定砥粒研磨工具115を円盤
116に貼設した固定砥粒研磨工具117を装着した研
磨テーブル56(57)と、研磨中に砥粒を含まない水
又は薬液Wを供給する液供給ノズル110とを備えてい
る。ここで固定砥粒研磨工具117は、本発明の例えば
ABS樹脂又はMBS樹脂からなる熱可塑性樹脂により
主として構成されている固定砥粒研磨工具115を金属
又はセラミックスの円盤116に接着剤を用いて固着し
たものである。そして、固定砥粒研磨工具117は、研
磨テーブル56(57)にクランプ機構118,119
を用いて簡単、且つ確実に固定されている。ウエハ研磨
条件は例えば、「ウエハ面圧:300g/cm、回転
数:テーブル/ウエハ=30/35min−1、液体供
給量:200cc/min、液体種類:純水(1wt%
以下の界面活性剤含有)」である。又、「ウエハ面圧:
500g/cm、回転数:テーブル/ウエハ=25/
10min−1、液体供給量:200cc/min、液
体種類:純水(1wt%以下の界面活性剤含有)」の条
件で行ってもよい。
【0088】その他の研磨対象物104を保持するトッ
プリング101等の構成は、他の研磨テーブル54,5
5と同様である。ここで固定砥粒研磨工具115の研磨
面上に水等を供給するのは、研磨の際の研磨面の潤滑と
研磨によって生じる熱を除去する冷却のためである。一
例として、この場合には200ml/min程度の水を
供給している。水は不純物を含まない超純水を使用して
もよい。なお水に代えてアルカリ溶液等を用いるように
してもよい。
【0089】研磨対象物である半導体ウェハ104は、
トップリング101により弾性マット102を介して固
定砥粒研磨工具115上に押圧されつつ、駆動軸108
により回転駆動される。一方で、固定砥粒研磨工具11
5を固定した研磨テーブル56(57)も独立に回転駆
動され、ここで半導体ウェハ104の被研磨面が固定砥
粒研磨工具115の表面と接触し、摺動することにより
研磨が進行する。続く仕上げ工程は、純水(又は砥粒を
含まない薬液)を用いて柔らかい研磨パッドで洗浄兼仕
上げ処理を行う。
【0090】次に、固定砥粒研磨工具を貼着した固定砥
粒研磨工具を、回転定盤に固定する具体例を示す。図1
0は、クランプ方式により固定砥粒研磨工具を定盤に固
定することを示す。固定砥粒研磨工具115はアルミ材
等からなる金属円盤116に貼着により固定され、固定
砥粒研磨工具117を構成している。研磨テーブル56
(57)にはクランプ機構118を備え、このクランプ
機構118の可動部119が固定砥粒研磨工具117の
外周部を固定するようになっている。従って、可動部1
19を開いた状態にして固定砥粒研磨工具115を貼着
した固定砥粒研磨工具117を研磨テーブル56(5
7)上に載せ、可動部119を閉じることにより、可動
部のばね機構により固定砥粒研磨工具117を研磨テー
ブル56(57)に固定できる。又、可動部119が閉
じた位置から可動部119を開いた位置に回動すること
により、固定砥粒研磨工具117を研磨テーブル56
(57)から取り外すことができる。
【0091】図11は、固定砥粒研磨工具を定盤に固定
する他の固定方法を示す。固定砥粒研磨工具115はア
ルミ材等からなるつば付きの金属円盤116に貼着によ
り固定され、固定砥粒研磨工具117を構成している。
固定砥粒研磨工具117はそのつば部117Aが研磨テ
ーブル56(57)にクランプ132のボルト締結によ
り固定される。即ち、図示するように4個のクランプを
用いて、それぞれのクランプ132がボルト133によ
り研磨テーブル56(57)に設けられたネジ孔に対し
て固定砥粒研磨工具117のつば部117Aを締結する
ことにより固定される。クランプ132は、図示するよ
うに比較的幅広の円弧状の構造のものを用い、円弧の両
端部の中心に対してなす角度は、44°に設定して、2
個のボルトを用いて固定砥粒研磨工具117のつば部1
17Aを研磨テーブル56(57)の表面に挟み込むこ
とで固定する。従って、固定砥粒研磨工具117の研磨
テーブル56(57)への脱着は、ボルト133の脱着
により容易に行うことができる。なおこのように比較的
幅広のクランプを用いるのは、そのクランプにより固定
砥粒研磨工具117の外周部を研磨テーブル56(5
7)に固定するので、固定砥粒研磨工具115の研磨面
に押しつけによるたわみが出ないようにするためであ
る。
【0092】又、固定砥粒研磨工具117を構成する金
属円盤のつば部117Aの外周部に突起部135が合計
4カ所配設されている。そして各突起部135にはネジ
孔136が設けられており、吊りボルト又は押しボルト
137が締結できるようになっている。吊りボルト13
7は、固定砥粒研磨工具117の交換等に際して、固定
砥粒研磨工具117がかなりの重量を有するため、その
ハンドリングを容易にするために設けたものである。
又、ネジ孔136は、研磨テーブル56(57)に密着
している固定砥粒研磨工具117を剥がすために、押し
ボルト137を挿入するためのものでもある。即ち、固
定砥粒研磨工具117を密着した研磨テーブル56(5
7)から剥がすに際して、押しボルト137をネジ孔1
36に挿入して回転することにより、押しボルト137
の先端が回転定盤の表面に当接し、更に回転することに
より、固定砥粒研磨工具117を研磨テーブル56(5
7)から剥がすことができる。なお研磨テーブル56
(57)のネジ孔136に対する位置に溝138が形成
されている。溝138は吊りボルト又は押しボルト13
7の先端を受け入れる役割を果たす。
【0093】なおこの実施例ではクランプ132を4
個、突起部135を4個それぞれ配設しているが、押し
付け加重等の使用条件を考慮して、クランプをリング状
に構成して固定砥粒研磨工具の全周を固定するようにし
ても良い。又、突起部の数も、固定砥粒研磨工具の重量
や定盤との密着力を考慮して適宜配設数を増減しても良
い。なお固定砥粒研磨工具を貼着する金属円盤の材料と
しては、アルミ材以外にも耐食性を考慮し例えばステン
レス材やチタン等を用いても良いし、又樹脂等を用いて
も良い。
【0094】図12は、研磨砥液(スラリ)を用いたポ
リッシング装置の構成例を模式的に示す。この装置は、
本発明の例えばABS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いた研
磨パッド121を貼付した研磨テーブル54(55)を
備えている。研磨対象物である半導体ウエハ104を保
持するトップリング101とを備え、トップリング10
1が半導体ウエハ104を研磨パッド121に押圧しつ
つ、両者が回転することにより半導体ウエハ104の被
研磨面を摺動して研磨するものである。研磨パッド12
1上にはスラリ供給ライン122から研磨砥粒を多量に
含むスラリQが供給される。半導体ウエハ104の被研
磨面は、このように研磨砥粒を多量に含むスラリが分散
された研磨パッド121に押圧しつつ摺動することで、
その被研磨面の研磨が進行する。トップリング101
は、ボールベアリング111を介して回転シャフト10
8に傾動自在に保持され、回転シャフト108の回転に
伴い所定速度で回転する。半導体ウエハ104はトップ
リング周縁部に配置されたガイドリング128内に保持
され、弾性膜102を介してトップリング101により
研磨パッド121に対して押圧される。ここで、この研
磨パッドはABS樹脂又はMBS樹脂等の熱可塑性樹脂
が用いられているので、摺動時の温度上昇によりスクラ
ッチ等を生じないソフトな研磨を行うことができる。
又、樹脂成分に含まれる弾性要素を含む樹脂を用いるこ
とにより、マクロ的には硬く、ミクロ的には柔らかな高
品位の研磨を行うことができる。
【0095】図13は、本発明の他の実施形態のポリッ
シング装置を示す。このポリッシング装置は、回転する
保持部151に研磨対象の半導体ウエハ152を保持
し、これに同様に回転するペレット状の固定砥粒研磨工
具を摺接するものである。ペレット状の固定砥粒研磨工
具155は、例えば直径が20mm程度であり、厚さが
5mm程度であり、回転する保持具153に4個が取り
付けられている。保持具153は、その軸心153cの
回りに回転し、固定砥粒研磨工具155を研磨対象であ
る半導体ウエハ152の表面に押圧することで、固定砥
粒研磨工具155の研磨面が半導体ウエハ152の表面
に摺動することで研磨が進行する。ここで、研磨対象の
半導体ウエハの全面を研磨するように、固定砥粒研磨工
具の保持具153の軸心153cは、研磨対象である半
導体ウエハ152の中心151cに対して距離Lだけ偏
心している。この実施形態では、半導体ウエハは直径1
50mm又は200mmのものを対象とし、偏心量Lは
35mm程度である。
【0096】次に、このポリッシング装置のポリッシン
グ条件について例を挙げて概要を説明する。研磨対象の
半導体ウエハの回転数は、100min−1であり、固
定砥粒保持具の回転数は、25min−1である。ウエ
ハ面圧は390g/cmである。樹脂ペレットによる
研磨試験では、酸化セリウムスラリ(又は界面活性剤含
有酸化セリウムスラリ)を3cc程度供給する。また、
固定砥粒ペレットによる研磨試験では、純水(又は界面
活性剤を添加した純水)を同様に3cc程度供給すると
いう条件で行ってもよい。
【0097】なお、上記各実施例は、本発明の好ましい
実施例の一形態を述べたに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱
することなく、種々の変形実施例が可能なことは勿論で
ある。
【0098】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、固定砥粒
研磨工具又は研磨パッドを構成する樹脂に、熱可塑性樹
脂、又は弾性要素を有する樹脂を用いることにより、良
好な平坦性が得られると共に、スクラッチ(キズ)の少
ない高品位の研磨を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の固定砥粒研磨工具の構成例
を模式的に示す図であり、(a)は熱可塑性樹脂を用い
た場合であり、(b)は弾性体充填材を含む場合であ
る。
【図2】射出成形の説明に付する図である。
【図3】本発明の実施形態の研磨パッドの構成例を模式
的に示す図である。
【図4】(a)研磨速度と(b)欠陥量について、各種
の樹脂材料による固定砥粒を比較した実験データであ
る。
【図5】(a)研磨速度と(b)欠陥量について、砥粒
を含有しない研磨パッドを比較した実験データである。
【図6】スプレードライング法による造粒に好適なスプ
レードライヤの一例を示す図である。
【図7】加熱圧縮成形による固定砥粒研磨工具の製造方
法の説明に付する図である。
【図8】ポリッシング装置の全体構成例を示す平面図で
ある。
【図9】ポリッシング装置の要部を示す、(a)は平面
図であり、(b)は断面図である。
【図10】クランプ方式により固定砥粒研磨工具を定盤
に固定する固定方法を示す断面図である。
【図11】固定砥粒研磨工具を定盤に固定する他の固定
方法を示す斜視図である。
【図12】研磨砥液を用いたポリッシング装置の構成例
を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態のポリッシング装置を
示す図である。
【符号の説明】 1 固定砥粒研磨工具 2 気孔又は気孔剤 3 ゴム系粒子または中空粒子 4 バインダ(樹脂) 5 砥粒又は砥粒集合体 6 ゴム粒子 7 ABS樹脂又はMBS樹脂 8 弾性要素 11 射出油圧シリンダ 12 スクリュー回転用油圧モータ 13 ヒータ 14 逆流防止弁 15 金型 16 シリンダ 17 スクリュー
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B24D 3/02 310 B24D 3/02 310A 3/32 3/32 C08J 5/14 CER C08J 5/14 CER C09K 3/14 550 C09K 3/14 550C 550D 550F 550J 550K H01L 21/304 622 H01L 21/304 622B 622F // C08L 55:02 C08L 55:02 (72)発明者 和田 雄高 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 松尾 尚典 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 3C058 AA07 AA09 CA01 DA02 DA12 DA17 3C063 AA10 AB05 BA22 BC03 BD01 CC30 EE10 EE26 FF23 4F071 AA12 AA12X AA13 AA22X AA34X AA77X AB03 AB18 AB21 AB26 AE13 AH19 BA01 BB05 BC06 BC07

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 研磨対象物を押圧しつつ摺動すること
    で、砥粒を介して研磨を行う研磨工具において、該研磨
    工具は熱可塑性樹脂により主として構成されていること
    を特徴とする研磨工具。
  2. 【請求項2】 研磨対象物を押圧しつつ摺動すること
    で、砥粒を介して研磨を行う研磨工具において、該研磨
    工具は固さを有するプラスチック樹脂と、該樹脂中に存
    在する弾性を有する弾性要素とから構成されていること
    を特徴とする研磨工具。
  3. 【請求項3】 前記研磨工具は、該研磨工具内に砥粒を
    含む固定砥粒研磨工具であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の研磨工具。
  4. 【請求項4】 前記研磨工具は、非固定砥粒研磨パッド
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨工
    具。
  5. 【請求項5】 前記砥粒が酸化セリウム(CeO)、
    アルミナ(Al )、炭化珪素(SiC)、酸化珪
    素(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化鉄(F
    eO、Fe)、酸化マンガン(MnO、Mn
    )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム
    (CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化亜鉛(Zn
    O)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸カルシウム
    (CaCO)、ダイヤモンド(C)、又はこれらの複
    合材料で構成されていることを特徴とする請求項3に記
    載の研磨工具。
  6. 【請求項6】 前記研磨工具は、所定の型内に射出成形
    法で加圧注入することにより成形したものであることを
    特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の研磨工
    具。
  7. 【請求項7】 前記樹脂が、アクリロニトリルブタジエ
    ンスチレン(ABS)樹脂を含むことを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の研磨工具。
  8. 【請求項8】 前記樹脂が、ゴム材質を含む弾性体をコ
    アとした、コアシェル型樹脂を含むことを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれかに記載の研磨工具。
  9. 【請求項9】 前記樹脂が、ブタジエンスチレン、ポリ
    ブタジエン、又はアクリルゴム系MBS樹脂であること
    を特徴とする請求項8に記載の研磨工具。
  10. 【請求項10】 前記弾性要素として弾性体充填材を含
    み、該弾性体充填材がゴム系充填材を含むことを特徴と
    する請求項2乃至5のいずれかに記載の研磨工具。
  11. 【請求項11】 前記研磨工具を構成する材料に、更に
    界面活性剤を添加したことを特徴とする請求項1乃至1
    0のいずれかに記載の研磨工具。
  12. 【請求項12】 前記研磨工具を構成する材料に、更に
    親水性物質を加えたことを特徴とする請求項1乃至10
    のいずれかに記載の研磨工具。
  13. 【請求項13】 前記研磨工具を構成する材料に親水性
    基を付加(変性)したことを特徴とする請求項1乃至1
    0のいずれかに記載の研磨工具。
  14. 【請求項14】 研磨対象物を押圧しつつ摺動すること
    で、砥粒を介して研磨を行なう固定砥粒研磨工具におい
    て、該固定砥粒研磨工具にブタジエンスチレン、ポリブ
    タジエン、又はアクリルゴム系MBS樹脂を含有させた
    ことを特徴とする研磨工具。
  15. 【請求項15】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、前記原料の混合物を成
    形治具に充填し、加熱・冷却処理、及び/又は加圧処理
    により成形することを特徴とする固定砥粒研磨工具の製
    造方法。
  16. 【請求項16】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として、
    該原料を成形治具に充填する前又は充填中又は充填後
    に、前記砥粒粉末と熱可塑性樹脂を混合することを特徴
    とする固定砥粒研磨工具の製造方法。
  17. 【請求項17】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、熱可塑性樹脂を重合又
    は製造する段階で砥粒又はスラリと熱可塑性樹脂の原料
    を混合し分散液とし、その分散液中で熱可塑性樹脂、砥
    粒の混合重合物を製造することを特徴とする固定砥粒研
    磨工具の製造方法。
  18. 【請求項18】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、砥粒又はスラリと熱可
    塑性樹脂の原料を混合し分散液とし、その分散液中で熱
    可塑性樹脂、砥粒の混合重合物を製造した後にスプレー
    ドライヤ又は噴霧乾燥処理を行うことを特徴とする固定
    砥粒研磨工具の製造方法。
  19. 【請求項19】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、熱可塑性樹脂を重合又
    は製造する際に1〜500μmの粒径の熱可塑性樹脂お
    よび砥粒の混合重合物を得ることを特徴とする固定砥粒
    研磨工具の製造方法。
  20. 【請求項20】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、成形治具に充填する前
    に前記砥粒粉末又はスラリと熱可塑性樹脂の粉末又はエ
    マルジョン液を水又は溶媒に混合分散し、その混合液を
    乾燥粉末処理することを特徴とする請求項15に記載の
    固定砥粒研磨工具の製造方法。
  21. 【請求項21】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、成形治具に充填する前
    に前記砥粒粉末又はスラリを乾燥し、その乾燥物と熱可
    塑性樹脂のエマルジョン液を混合分散し、その混合液を
    乾燥粉末処理することを特徴とする請求項15に記載の
    固定砥粒研磨工具の製造方法。
  22. 【請求項22】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として固
    定砥粒を製造する方法において、成形治具に充填する前
    に前記砥粒粉末又はスラリを乾燥し、その乾燥物と熱可
    塑性樹脂の乾燥物を再び水又は溶媒に分散し、その混合
    液を乾燥粉末処理することを特徴とする請求項15に記
    載の固定砥粒研磨工具の製造方法。
  23. 【請求項23】 砥粒及び熱可塑性樹脂を混合した液体
    状原料として固定砥粒を製造する方法において、成形治
    具に充填する前に前記液体状の原料を乾燥する工程で、
    噴霧乾燥処理することを特徴とする請求項15乃至18
    及び20乃至22のいずれかに記載の固定砥粒研磨工具
    の製造方法。
  24. 【請求項24】 砥粒及び熱可塑性樹脂を原料として、
    これらを混合して固定砥粒を製造する方法において、前
    記固定砥粒原料混合物を乾燥させる際又は乾燥させた
    後、粉砕し、1〜500μmの粉末にすることを特徴と
    する請求項15乃至18及び20乃至23のいずれかに
    記載の固定砥粒研磨工具の製造方法。
  25. 【請求項25】 請求項1乃至23のいずれかに記載の
    研磨工具を具備したことを特徴とする半導体ウエハの研
    磨装置。
  26. 【請求項26】 請求項1乃至23のいずれかに記載の
    研磨工具を用いて、半導体ウエハを研磨することを特徴
    とする研磨方法。
  27. 【請求項27】 砥粒及び樹脂を原料として固定砥粒を
    製造する方法において、成形治具に充填する前に前記砥
    粒と樹脂を液中で混合し、該砥粒と樹脂の混合物をスプ
    レードライヤ又は他の噴霧乾燥処理を行い、該乾燥処理
    された混合物を成形治具に充填し、成形することを特徴
    とする固定砥粒研磨工具の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記砥粒はスラリで供給されることを
    特徴とする請求項27に記載の固定砥粒研磨工具の製造
    方法。
  29. 【請求項29】 前記樹脂は液状で供給されることを特
    徴とする請求項27に記載の固定砥粒研磨工具の製造方
    法。
  30. 【請求項30】 砥粒と、該砥粒を結合する樹脂と、空
    孔を有する固定砥粒研磨工具であって、前記樹脂として
    熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする固定砥粒研磨工
    具。
  31. 【請求項31】 前記固定砥粒の組成比(vol%)が、 10%<砥粒率(Vg)<50% 30%<バインダー率(Vb)<80% 0%<空孔率(Vp)<40% であることを特徴とする請求項30に記載の固定砥粒研
    磨工具。
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