JP2003001432A - 電圧上昇式溶接方法および溶接装置 - Google Patents

電圧上昇式溶接方法および溶接装置

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JP2003001432A
JP2003001432A JP2001190930A JP2001190930A JP2003001432A JP 2003001432 A JP2003001432 A JP 2003001432A JP 2001190930 A JP2001190930 A JP 2001190930A JP 2001190930 A JP2001190930 A JP 2001190930A JP 2003001432 A JP2003001432 A JP 2003001432A
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Ryoda Sato
亮拿 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 物体の大小に拘わらず安定した溶接を行うこ
とのできる溶接方法を提案する。また、この溶接方法を
効果的に実施する溶接装置を提供する 【解決手段】 被溶接部材と溶接母材とを加圧する初期
加圧工程と、時間経過に伴って被溶接部材と溶接母材と
の間に印加する溶接電圧Vの実効値を上昇させつつ、当
該溶接電圧の上昇に応じて被溶接部材と溶接母材との間
に加える加圧力Fを増大させる通電加圧工程と、溶接電
圧Vの通電停止から所定時間経過した後に、被溶接部材
と溶接母材との加圧力Fを解除させる終了工程とを有し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電圧上昇式溶接方法
および溶接装置に係り、更に詳しくは、物体の大小に拘
わらず安定した溶接を行える溶接方法およびこの方法を
用いた溶接装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属の溶接方法には、接合部
を溶融して接着する融接、接合部を加熱し軟化させた状
態で加圧する圧接、或いは、接合部に溶融した金属接合
剤を挟むように圧接するろう付などが知られている。こ
のような溶接方法は多種多様のものが実用化されている
が、融接としてはTIG溶接(Tungsten Inert-gas arc
welding)、アーク溶接、スタッド溶接などがあり、圧
接として抵抗溶接や超音波溶接などが挙げられる。
【0003】例えば、金属板にビスを溶接する場合は、
スタッド溶接を採用することが多い。スタッド溶接は、
被溶接部材(金属スタッド)と溶接母材との間隙を調整
しつつアークを発生させて接合部を溶融し、加圧して接
合するものである。また、金属板同士を溶接する場合
は、抵抗溶接が多く採用される。抵抗溶接の中でも代表
的なスポット溶接は、重ねた金属板を対向する電極で加
圧挟持し、大電流を通電して加圧点を瞬間的に溶融させ
て圧接するものである。また、缶体に蓋を気密溶接する
ような場合は、ビーム溶接を用いられることが多い。則
ち、真空中において、缶体と蓋の境界部分に沿って全周
に渡ってレーザービームを照射し、境界部分を溶融させ
て溶着させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、板状の溶接
母材に例えば太さ1ミリのビスをスタッド溶接しようと
すると、ビスと母材との間にスパークが生じてビスが飛
散したり、過渡の溶融によって溶接位置が定まりにくい
嫌いがあった。また、スポット溶接では、通電電流によ
って被溶接部材と溶接母材との接触部をジュール熱で溶
融して圧接するが、大きな加圧力を必要とするため、細
線の溶接などは困難であった。また、抵抗率の異なる異
種金属板をスポット溶接しようとすると、通電時におけ
る金属板同士の溶融状態に差が発生し、安定した接合を
得ることが困難であった。更に、ビーム溶接を用いた気
密溶接では、前記した缶体と蓋との境界部分に正確にビ
ームを照射するのが困難で、気密性が得られず不良率が
高かった。また、ビーム溶接装置が高価であり、量産品
のコストが上昇するため改善が望まれていた。
【0005】本発明は、前記事情に鑑みて提案されるも
ので、物体の大小に拘わらず安定した溶接を行うことの
できる新規な溶接方法を提案することを目的とする。ま
た、同時に提案される本発明は、この溶接方法を効果的
に実施する溶接装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に提案される本発明は、被溶接部材と溶接母材とを加圧
する初期加圧工程と、時間経過に伴って被溶接部材と溶
接母材との間に印加する溶接電圧の実効値を上昇させつ
つ、当該溶接電圧の上昇に応じて被溶接部材と溶接母材
との間に加える加圧力を増大させる通電加圧工程と、溶
接電圧の通電停止から所定時間経過した後に、被溶接部
材と溶接母材との加圧力を解除させる終了工程とを有し
ている。
【0007】ここで、溶接中は被溶接部材と溶接母材と
の間に印加される溶接電圧が高い程、加圧力を増大する
必要がある。則ち、溶接電圧が高くなるに連れてアーク
が生じ易く、アークに伴うスプレー移行によって被溶接
部材と溶接母材との間隙が増大する。このため、接触部
の溶融範囲も不必要に拡がって溶接の仕上がり状態が低
下する。本発明は、溶接電圧を上昇させながら加圧力も
増加させることにより、アークを生じる寸前の状態、ま
たは、アーク長をできる限り微少な状態に維持しつつ、
溶接に必要な熱を、接触部の通電に伴い接触抵抗に生じ
るジュール熱によって効率良く蓄積させることに特徴を
有する新規な溶接方法である。
【0008】本発明の溶接方法によれば、初期加圧工程
において被溶接部材と溶接母材との間に極めて低い加圧
力を印加した状態で、溶接母材に対して被溶接部材を位
置決めする。次いで、通電加圧工程に入って溶接が開始
される。通電加圧工程では、被溶接部材と溶接母材との
間に低電圧および低加圧を印加した状態で溶接を開始す
る。そして、時間の経過と共に溶接電圧を上昇させると
共に、溶接電圧の上昇に応じて加圧力も増大させる。こ
れにより、接触部においてアーク発生寸前の状態あるい
は微少アークが発生した状態を維持させつつ、接触部の
通電に伴って接触抵抗に生じるジュール熱によって熱を
蓄積する。この後、必要な熱が接触部に蓄積されて最適
な溶融状態となった時点で加圧力が最適値(鍛圧)に至
る。この通電加圧工程が終了すると、終了工程に入る。
終了工程では、鍛圧が印加されたまま溶接電圧の通電が
停止される。そして、溶接電圧の通電停止から所定時間
経過して溶融部分が冷却し固着した後に、加圧力を解除
して溶接が完了する。
【0009】このように、本発明によれば、被溶接部材
と溶接母材の接触部に溶接に必要な熱を効率良く蓄積さ
せて溶融させることができ、不必要な電力消費が低減さ
れる。また、最適な溶融状態において最適な鍛圧を加え
て溶接を完了する。これにより、溶融過多や過大加圧に
よって溶融部分が膨出したり、スパッタが発生する不具
合を最小限に抑えることができ、仕上がりも良好とな
る。本発明では、溶接電圧は直流または交流のいずれで
も可能であり、被溶接部材と溶接母材との間に加わる電
圧の実効値を、時間の経過に伴って上昇させれば良い。
【0010】前記本発明において、通電加圧工程は、被
溶接部材と溶接母材との接触部における温度またはアー
ク発生状態に応じて、溶接電圧または加圧力の少なくと
もいずれかを調整しつつ行うことができる。被溶接部材
および溶接母材が予め定まっている場合は、溶接電圧お
よび加圧力の上昇曲線は予め固定的に設定すれば良い。
しかし、接触部における温度(溶融状態)またはアーク
の発生状態に応じて、溶接電圧または加圧力またはこれ
らの双方を調整することにより、被溶接部材や溶接母材
の材質に合わせた最適な溶接を行うことができ、汎用性
が向上する。
【0011】前記本発明において、通電加圧工程は、被
溶接部材と溶接母材との間に時間の経過に伴って波高値
を上昇させるパルス電圧を印加して行うことができる。
溶接に際して、被溶接部材と溶接母材の材質が異なる場
合、抵抗率も異なる。このため、通電を行うと抵抗率の
大きい材質で発生する熱量が大きく、抵抗率の小さい材
質で発生する熱量が少なくなり、溶融状態に差が生じて
安定した溶接が行われない。
【0012】しかし、パルス電圧を印加することによ
り、抵抗率の異なる被溶接部材と溶接母材の双方に対し
て短時間に入熱を加えて温度上昇させることができる。
このパルス電圧を波高値を上昇させつつ繰り返し通電す
ることにより、接触部を効果的に加熱することができ
る。特に、パルス電圧の立ち上がりを急峻にすることに
より、パルスの立ち上がりによって接触部を急激に加熱
することができ、抵抗率の異なる材質の溶接に一層好適
である。
【0013】則ち、通電加圧工程の初期では、アークを
生じる寸前の状態、または、アーク長をできる限り微少
な状態に維持しつつ、ジュール熱およびアークによる熱
を接触部に加えて溶融させる。そして、通電加圧工程の
後半では、アークによる入熱に加えて、急峻な立ち上が
りのパルス電圧によるジュール熱を更に発生させる。こ
れにより、接触部に短時間に入熱を印加して溶融させる
ことができ、被溶接部材や溶接母材の形状(断面積な
ど)の差、あるいは、材質による抵抗率の差に伴う発生
熱量の差の影響を抑えることができる。
【0014】また、パルス電圧の繰り返し周波数を商用
交流電源の周波数に比べて高くすることにより、入熱の
蓄積を短時間で行わせることができ、微少アークの持続
性も向上する。また、波高値を上昇させるパルス電圧を
印加する代わりに、例えば、パルス電圧の波高値を一定
として、パルス幅を変化させたりパルス電圧の繰り返し
周期(周波数)を変化させる構成を採ることも可能であ
る。
【0015】同時に提案される本発明の溶接装置は、時
間経過に伴って実効値を変化させる溶接電圧を生成して
被溶接部材と溶接母材との間に印加する電源部と、時間
経過に伴って加圧力を変化させて被溶接部材と溶接母材
との間に加える加圧手段と、電源部および加圧手段の制
御を含む溶接制御を行う制御手段とを備えた構成とされ
ている。この構成によれば、制御手段は、通電開始から
通電終了に至る期間の電源部のの制御を行うと共に、加
圧開始から加圧終了に至る期間の加圧手段の制御を行う
ことができ、前記本発明の溶接方法を効果的に実施する
ことが可能である。
【0016】前記本発明において、電源部は、時間の経
過に伴って波高値を上昇させるパルス電圧を生成する構
成を採ることができる。この構成によれば、前記請求項
3に記載の溶接方法を効果的に実施することが可能であ
る。
【0017】前記本発明において、電源部は、一次側三
相巻線と二次側単相巻線とを有する変圧器と、当該変圧
器の一次側に接続される三相交流の通電位相を制御する
位相制御手段と、当該変圧器の二次側単相巻線から出力
されるパルス電圧の波高値を制御する波高値制御部を備
えた構成とすることができる。
【0018】位相制御手段には、例えば、サイリスタを
用いて三相交流の点弧位相を変化させる構造を採ること
ができる。三相交流の通電位相を制御すると、変圧器の
一次側には各相の半サイクル毎に、所定の点弧位相から
消弧位相(ゼロ位相)に至るまでサイリスタによって通
電が行われる。これにより、変圧器の二次側には、三相
交流の3倍の周波数を有するパルス電圧(同一極性のパ
ルス電圧)を発生させることができる。このパルス電圧
の波高値を波高値制御部で制御して、例えば、波高値が
上昇するパルス電圧を溶接電圧として生成することがで
きる。
【0019】特に、変圧器のインピーダンス(一次側お
よび二次側のコイルのインダクタンス)を低減させた構
造を採ることにより、力率が改善されると共に、変圧器
の二次側から出力される位相制御されたパルス電圧の立
ち上がりを極めて急峻にすることができる。また、波高
値制御部は公知技術の回路を組み合わせて構成すること
ができる。
【0020】また、変圧器の一次側に加えられる三相交
流の内、特定の一相のみに対して位相制御を行い、他の
二相を通電させない構成とすることもできる。また、特
定の二相に見に対して位相制御を行い、他の一相を通電
させない構成を採用することも可能である。
【0021】前記本発明において、加圧手段は付勢部材
を備えており、制御手段によって付勢部材の付勢力の調
節制御を行う構成とすることができる。本発明では、溶
接電圧の上昇に応じて被溶接部材と溶接母材とに加える
加圧力を増加させる。しかし、被溶接部材と溶接母材と
を短時間に加熱溶融しなければならず、溶接電圧および
加圧力は極めて短時間に増加させる必要がある。ここ
で、溶接電圧は前記したように電源部によって電気的に
制御可能であるが、短時間に加圧力を増加させるのは困
難である。
【0022】本発明では、バネを用いて急峻に加圧力を
増加させる付勢部材を加圧手段に備えることができる。
また、溶接電流を用いて電磁力を発生させる付勢部材を
加圧手段に備えることも可能である。そして、バネや電
磁力による付勢力を制御手段で調節することによって加
圧力として利用する。例えば、圧縮開放機構をバネと組
み合わせたものでは、圧縮状態のバネを制御手段で開放
することにより、溶接開始時に合わせて急峻に増加する
加圧力を印加することができる。また、バネや電磁機構
を用いた付勢部材に加えて、例えば、エアーシリンダを
利用した付勢部材を併用することにより、必要な加圧特
性を得ることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明に
係る電圧上昇式溶接方法の実施形態を説明する。図1
は、本実施形態の溶接方法をグラフで示したもので、横
軸を時間軸とし、縦軸に溶接電圧V、加圧力Fおよび熱
量E1,E2を取り、溶接の進捗状況に応じた変化を重
ね合わせて示したものである。また、図2は、溶接時に
おける被溶接部材、溶接母材、溶接電極および加圧手段
の配置を模式的に示した図である。
【0024】本実施形態の溶接方法では、図2に示すよ
うに、固定電極31と加圧電極32との間に溶接電圧が
印加される。固定電極31は固定され、加圧電極32に
は付勢具So〜S2が取り付けられて、電極31,32
同士の間に載置される溶接母材W1と被溶接部材W2に
加圧力を加える構成としている。ここで、付勢具Soは
初期加圧工程における加圧力を発生させるもので、バネ
を用いて構成される。また、付勢具S1は通電加圧工程
の初期において急峻に増加する加圧力を発生させるもの
で、バネを用いて構成され、更に、付勢具S2はエアシ
リンダを用いて、通電加圧工程から終了工程にかけて加
圧力(鍛圧)を発生させる。
【0025】図1、図2を参照して、本実施形態の溶接
方法を詳細に説明する。 初期加圧工程では、被溶接部材W2を溶接母材W1に
当接させ、付勢具Soを作動させて加圧電極32を被溶
接部材W2に当接させて加圧力を印加する。これによ
り、被溶接部材W2は溶接母材W1に微少加圧力で押圧
されて位置決めされる。この初期加圧工程は溶接が開始
される前の待機状態である。
【0026】通電加圧工程に入ると、パルス状の溶接
電圧Vの通電が開始されると共に付勢具S1が作動して
加圧力が印加される。溶接電圧Vはパルス幅t1のパル
ス電圧であり、周期to毎に繰り返して印加され、波高
値は時間経過に伴って増加する。一方、付勢具S1によ
る加圧は、溶接電圧Vの通電開始と略同時に印加され
て、加圧力は急峻に増大する。そして、所定数のパルス
電圧V(図1では3番目のパルス電圧)の通電開始時近
傍で、付勢具S1による加圧力は最大となる。この通電
加圧工程の初期は、パルス電圧Vの急峻な立ち上がりに
よって接触部が加熱され、微少アークが発生する状態ま
たはアークが発生する直前に通電が停止する動作を繰り
返す。これにより、アークによる熱量E1とジュール熱
による熱量E2とが接触部に蓄積される。
【0027】通電加圧工程において、付勢具S1の加
圧力Fが最大値に至ると、引き続いて付勢具S2による
加圧が開始される。図1に示すように、付勢具S2によ
る加圧力は時間経過と共に漸増する。通電加圧工程の後
半は、パルス電圧の波高値が更に増大し、急峻な立ち上
がりのパルス電圧によってジュール熱による熱量E2が
一層増大して、接触部に効果的に入熱が加えられる。そ
して、パルス電圧Vの波高値が最大値に達する直前に鍛
圧の印加が開始され、パルス電圧Vの波高値が最大とな
る近傍では、加圧力Fは飽和して略一定の鍛圧が印加さ
れる。この通電加圧工程の末期は、接触部の溶融状態が
最適となり、鍛圧を印加して溶着が行われる。
【0028】終了工程に入るとパルス電圧Vの通電が
停止され、溶融部分は鍛圧によって加圧されて溶着する
と共に、冷却が始まる。そして、所定時間が経過して被
溶接部材W2が溶接母材W1に固着すると、加圧力Fが
解除されて溶接が完了する。
【0029】このように、本実施形態の電圧上昇式溶接
方法によれば、被溶接部材W2と溶接母材W1の接触部
が最適な溶融状態に至った時点で最適な鍛圧を印加して
溶着させることができる。則ち、スポット溶接のよう
に、溶接開始前の設定条件に応じて、大きな加圧力を加
えた状態で大電圧を印加して瞬時に溶着させるものとは
自ずと発想を異にするものである。本発明の溶接方法を
採用することにより、溶融状態と加圧力を調整しながら
溶融部分を拡げつつ溶着させることができ、仕上がりの
良好な溶接を実現することが可能となる。また、接触部
分に効果的に入熱を加えながら溶接を行うので、不必要
な電力消費を削減できる。この電圧上昇式溶接方法によ
れば、種々の材質について、予め、溶接試験を行って溶
接電圧Vと加圧力Fとの最適値を求めておくことによ
り、材質の異なる溶接物についても極めて良好な溶接を
行うことができる。また、微少物から大形状の溶接物に
至るまで、溶接電圧Vと加圧力Fとを調整設定して安定
した溶接を行うことが可能となる。
【0030】
【実施例】次に、前記した溶接方法を効果的に実施する
本発明の溶接装置の実施例を説明する。図3は本発明の
溶接装置1の構成図であり、図4は溶接装置1の各部の
波形を示したものである。溶接装置1は、制御手段1
0、電源部20および加圧手段30を備えて構成され
る。尚、加圧手段30は前記図2に示したものと同一で
あり、同一符号を付して重複した説明を省略する。制御
手段10は、各制御工程に応じて電源部20および加圧
手段30を含む溶接装置1の構成要素を集中制御するも
のである。則ち、初期加圧工程、通電加圧工程および最
終工程に応じて制御手段10から電源部20に制御信号
を送出して溶接電圧を制御すると共に、加圧手段30へ
制御信号を送出して加圧力を制御する。
【0031】電源部20は、位相制御部21、変圧器2
5および波高値制御部26を備えており、電源部20か
ら出力される溶接電圧が加圧手段30の電極31,32
へ送出されて溶接が行われる。ここで、電源部20を構
成する位相制御部21および変圧器25は、特許第28
84547号で既に登録された電源装置と同一構成であ
る。
【0032】位相制御部21は、三相交流の各相のゼロ
クロスを検出するゼロクロス検出器22と、各相毎に直
列に接続されたサイリスタ24a〜24cと、サイリス
タの点弧位相を制御する位相調整器23a〜23cを備
えている。この位相制御部21は、ゼロクロス検出器2
2でゼロ位相を検出して各位相調整器23a〜23cに
伝送し、各位相調整器23a〜23cではゼロ位相から
所定位相だけ遅れた位相でサイリスタ24a〜24cに
向けて点弧信号を送出する。これにより、図4(a)に
示すように、変圧器25の一次側コイル25a〜25c
へ、各相毎にサイリスタ24a〜24cの点弧位相から
消弧位相(ゼロ位相)までの間だけ通電を行う。
【0033】位相制御部21によって、変圧器25の一
次側コイル25a〜25cに図4(a)に示す通電が行
われると、図4(b)に示すパルス電圧が二次側コイル
25dに誘起される。このパルス電圧の周波数は三相交
流の周波数の3倍となる。そして、発生したパルス電圧
は波高値制御部26によって波高値およびパルス幅の上
昇するパルス電圧に変換される。則ち、波高値制御部2
6では、図4(c)に示すように、時間経過に伴って波
高値Vが増大すると共にパルス幅t1も増加するパルス
電圧に変換され、このパルス電圧が溶接電圧として端子
a,bを介して電極31,32へ印加される構成であ
る。
【0034】ここで、本実施例の溶接装置1では、変圧
器25のインピーダンスが極めて低くなるように設計さ
れている。則ち、変圧器25の一次側コイル25a〜2
5cおよび二次側コイル25dのインダクタンスが極め
て低くなるような構造としている。これにより、図4
(b)に示すように、パルス電圧の立ち上がりを急峻に
することができ、これによって、異種金属における溶接
をも可能にしている。
【0035】また、電源部20では、三相交流電圧の周
波数の3倍の周波数を有したパルス電圧が出力される。
これにより、被溶接部材W2と溶接母材W1との間に短
時間に効果的に入熱を蓄積できると共に、微少アークを
安定して持続させることが可能である。このように、本
実施例の溶接装置1により前記した本発明の溶接方法を
効果的に実施することが可能となる。
【0036】(溶接例1)図5は、本実施例の溶接装置
1による溶接例を示したもので、携帯電話などに用いら
れるリチウムイオン電池を気密溶接するものである。図
5(a)に示すように、台座(不図示)に載置された缶
体(電池本体ケース)W1の開口部近傍の外周面に、前
後左右から割電極32a,32aおよび割電極32b,
32bを当接させて挟持する。次いで、蓋W1を開口部
に載置し、電極31を蓋W1に当接させる。割電極32
a,32aおよび割電極32b,32bは全て溶接電圧
(波高値制御部26)のa端子に接続され、電極31は
溶接電圧のb端子に接続される。そして、割電極32と
電極31との間に溶接電圧が印加される。また、加圧力
Fは加圧手段30によって電極31を下方へ押圧するこ
とで加えられる。
【0037】この場合の溶接手順は、前記実施形態で述
べた内容と同一であるため省略するが、本発明の溶接装
置1を用いることにより、極めて短時間に蓋W2を缶体
W1に気密溶接することができ、溶接部分のバリの発生
もなく良好な仕上がりが得られる。特に、このような溶
接では、材質の異なる蓋W2と缶体W1とを溶接するこ
とが多い。則ち、通電加圧工程の初期において蓋W2と
缶体W1との境界で抵抗率の差に伴って、両素材に発熱
の差が生じることがある。この場合、通電加圧工程の初
期では、抵抗率の低い素材は溶融せず、抵抗率が高い素
材、あるいは、断面積の小さい部分に通電電流が集中し
て溶融が先行する。このため、加圧力が低いときには接
触面の一部の溶融が遅れることも生じる。しかし、溶接
電圧および加圧力を上昇させるに連れて、溶融の遅れた
部分も急峻な立ち上がりのパルス電圧によって充分な入
熱が加わり、僅かな溶融状態の差は生じるものの、両素
材を充分に溶融させて溶着可能となる。
【0038】(溶接例2)図6は、別の溶接例を示した
もので、大径のパイプ同士を溶接するものである。尚、
前記溶接例1と同一構成部分には同一の符号を付して重
複した説明を省略する。この例では、溶接母材W1と被
溶接部材W2との外径が500mm、厚さ10mmの鋼
材同士を突き合わせて溶接するものである。従来、この
ような大型部材の端面溶接は困難であったが、本発明の
溶接装置1により3秒乃至4秒程度の短時間において、
確実に溶接が可能で仕上がりも良好である。この例で
は、溶接母材W1と被溶接部材W2との突き合わせ部分
の接触が良好でない場合であっても、溶接電圧(パルス
電圧)を上昇させながら接触部分を溶融させつつ加圧力
Fを増大させていく。これにより、突き合わせ部分の円
周方向へ沿って溶融が進行し、最後に鍛圧を印加するこ
とによって良好な溶接を確保することが可能である。
【0039】(溶接例3)図7は、別の溶接例を示した
もので、大径のパイプに直角に別のパイプを溶接するも
のである。尚、前記溶接例1,2と同一構成部分には同
一の符号を付して重複した説明を省略する。この例で
は、図7(b)に示すように、被溶接部材W2の下縁W
2aと溶接母材W1とが部分的にしか接触しない状態が
生じる場合がある。しかし、溶接電圧(パルス電圧)を
上昇させながら接触部分を溶融させつつ加圧力Fを増大
させるので、溶融が進むに連れて被溶接部材W2の端部
において円周方向へ溶融が拡がる。そして、最後に鍛圧
を印加することによって良好な溶接を確保することが可
能である。
【0040】(溶接例4)図8は、更に別の溶接例を示
したもので、額縁のフレーム等を溶接するものである。
尚、前記溶接例1〜3と同一構成部分には同一の符号を
付して重複した説明を省略する。この例では、断面が溝
形状を有するアングルの端部を45°に傾斜させて切断
し、切断面を突き合わせてアングル同士を直交させて溶
接するものである。この例においても、図8(b)に示
すように、被溶接部材W2と溶接母材W1との突き合わ
せ部分が部分的に接触しない状態が生じることもある。
しかし、接触部分をパルス電圧で溶融させつつ加圧力F
を増大させて、アングルの突き合わせ部分に沿って溶融
を進行させ、最後に鍛圧を印加することによって良好な
溶接を確保することが可能である。
【0041】このように、本発明の溶接装置1によれ
ば、従来のスポット溶接では為し得なかった溶接も容易
にしかも短時間に行うことができる。特に、溶接電圧を
上昇させながら溶接部分に効果的に入熱を加えつつ、加
圧力を増加させるので、無駄な電力を必要としない上に
溶接の仕上がりも良好である。更に、溶接装置1自体に
特殊な部材を用いていないので安価に製作でき、溶接費
用を削減することが可能となる。
【0042】尚、前記実施例に示した溶接装置1では、
溶接電圧としてパルス電圧を用いているが、本発明はこ
のような構成に限られるものではない。例えば、時間経
過に伴って電圧値が上昇する直流電圧を溶接電圧として
用いても良く、また、時間経過に伴って実効値の上昇す
る交流電圧を用いることも可能である。また、被溶接部
材W2と溶接母材W1との接触部の温度やアーク発生状
態を非接触センサなどで検知して、溶接電圧値や加圧力
をフィードバック制御する構成を採ることも可能であ
る。この構成によれば、最適な溶融状態において最適な
加圧力を印加することができ、異種金属などの溶接にお
いても一層良好な仕上がりを得ることができる。
【0043】
【発明の効果】請求項1に記載の本発明の電圧上昇式溶
接方法によれば、微少物や大形状の溶接物を問わず、短
時間に溶接部分を効果的に溶融して最適な状態で加圧す
ることができ、良好な仕上がりが得られる。特に、溶接
形状が長く、従来TIG溶接やビーム溶接などを採用せ
ざるを得なかったものに対しても、短時間に効率良く溶
接でき、しかも良好な仕上がりを得ることができる。ま
た、無駄な電力消費を削減することが可能である。請求
項2に記載の本発明によれば、溶接部分の温度やアーク
の発生を監視しつつ溶接を行うことができ、一層汎用性
を向上させることができる。請求項3に記載の本発明に
よれば、波高値の上昇するパルス電圧を用いることによ
って溶接部分を効果的に加熱し溶融させることが可能と
なる。請求項4から7に記載の本発明によれば、請求項
1から3に記載の本発明の溶接方法を効果的に実施で
き、しかも、安価な溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶接方法における溶接進行状態を、横
軸に時間、縦軸に溶接電圧、加圧力および発熱量を取っ
て工程毎に示したグラフである。
【図2】図1に示す溶接方法に採用する加圧力の印加方
法を示す模式図である。
【図3】本発明の溶接装置の構成図である。
【図4】(a)〜(c)は、図3に示す溶接装置の各部
の電圧波形である。
【図5】(a)は、図3で示す溶接装置を用いた溶接例
を示す斜視図、(b)は溶接完了後の仕上がりを示す斜
視図である。
【図6】(a),(b)は、図3で示す溶接装置を用い
た別の溶接例を示す斜視図、(c)は溶接完了後の仕上
がりを示す斜視図である。
【図7】(a)は、図3で示す溶接装置を用いた別の溶
接例を示す斜視図、(b)は溶融の拡がりを示す説明図
である。
【図8】(a),(b)は、図3で示す溶接装置を用い
た別の溶接例を示す斜視図、(c)は溶接完了後の仕上
がりを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 溶接装置 10 制御手段 20 電源部 21 位相制御手段 25 変圧器 25a,25b,25c 一次側三相巻線 25d 二次側単相巻線 26 波高値制御部 30 加圧手段 Vo 溶接電圧 W1 溶接母材 W2 被溶接部材 F 加圧力 So,S1,S2 付勢部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被溶接部材と溶接母材とを加圧する初期
    加圧工程と、時間経過に伴って被溶接部材と溶接母材と
    の間に印加する溶接電圧の実効値を上昇させつつ、当該
    溶接電圧の上昇に応じて被溶接部材と溶接母材との間に
    加える加圧力を増大させる通電加圧工程と、溶接電圧の
    通電停止から所定時間経過した後に、被溶接部材と溶接
    母材との加圧力を解除させる終了工程とを有したことを
    特徴とする電圧上昇式溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記通電加圧工程は、被溶接部材と溶接
    母材との接触部における温度またはアーク発生状態に応
    じて、溶接電圧または加圧力の少なくともいずれかを調
    整しつつ行われることを特徴とする請求項1に記載の電
    圧上昇式溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記通電加圧工程は、被溶接部材と溶接
    母材との間に時間の経過に伴って波高値を上昇させるパ
    ルス電圧を印加して行われることを特徴とする請求項1
    または2に記載の電圧上昇式溶接方法。
  4. 【請求項4】 時間経過に伴って実効値を変化させる溶
    接電圧を生成して被溶接部材と溶接母材との間に印加す
    る電源部と、時間経過に伴って加圧力を変化させて被溶
    接部材と溶接母材との間に加える加圧手段と、前記電源
    部および加圧手段の制御を含む溶接制御を行う制御手段
    とを備えたことを特徴とする溶接装置。
  5. 【請求項5】 前記電源部は、時間の経過に伴って波高
    値を上昇させるパルス電圧を生成することを特徴とする
    請求項4に記載の溶接装置。
  6. 【請求項6】 前記電源部は、一次側三相巻線と二次側
    単相巻線とを有する変圧器と、当該変圧器の一次側に接
    続される三相交流の通電位相を制御する位相制御手段
    と、当該変圧器の二次側単相巻線から出力されるパルス
    電圧の波高値を制御する波高値制御部を備えたことを特
    徴とする請求項4または5に記載の溶接装置。
  7. 【請求項7】 前記加圧手段は付勢部材を備えており、
    前記制御手段によって当該付勢部材の付勢力の調節制御
    を行うことを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項
    に記載の溶接装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014208747A1 (ja) * 2013-06-27 2017-02-23 高周波熱錬株式会社 溶接構造部材及び溶接方法

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JPWO2014208747A1 (ja) * 2013-06-27 2017-02-23 高周波熱錬株式会社 溶接構造部材及び溶接方法

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