JP2003000249A - クローディンによるMT−MMPsを介したproMMP−2活性化 - Google Patents

クローディンによるMT−MMPsを介したproMMP−2活性化

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JP2003000249A
JP2003000249A JP2001140296A JP2001140296A JP2003000249A JP 2003000249 A JP2003000249 A JP 2003000249A JP 2001140296 A JP2001140296 A JP 2001140296A JP 2001140296 A JP2001140296 A JP 2001140296A JP 2003000249 A JP2003000249 A JP 2003000249A
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Hiroshi Sato
博 佐藤
Kenichi Obata
賢一 小幡
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Kanazawa University NUC
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Kanazawa University NUC
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 MT1-MMP などのMT-MMPs によるproMMP-2活性
化の活性調節に関与する遺伝子を解明し、proMMP-2活性
化に関与する様々な生物活性・生理現象の研究開発を行
う。 【解決手段】 claudinsは、MT1-MMP などのMT-MMPs に
よるproMMP-2活性化を促進する機能を有し、その機能解
明から有用な医薬などの研究開発が可能である。また、
変異claudin タンパク質は、当該proMMP-2活性化を抑制
及び/又は阻害する機能を有し、血管新生、癌細胞の移
動・転移・浸潤の抑制及び/又は阻害剤として有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クローディン類(c
laudins)が膜型マトリックスメタロプロテアーゼ類(mem
brane-type matrix metalloproteinases: MT-MMPs)を介
した潜在型マトリックスメタロプロテアーゼ-2(proMMP-
2)活性化を促進することに関する。また、本発明は、該
クローディン類によるMT-MMPs を介したproMMP-2活性化
を阻害する物質、特にはMT1-MMP を介したproMMP-2活性
化を阻害する物質に関する。本発明は、該クローディン
類とMT-MMPs 及び/又はproMMP-2との複合体形成を阻害
し、よってproMMP-2の活性化を阻害して、該proMMP-2の
活性化に起因する様々な生理的、生物的過程を制御する
方法並びにそのための薬物に関する。本発明は、さらに
クローディン類の細胞外ドメインに着目した、MT-MMPs
、特にはMT1-MMP 、を介したproMMP-2活性化調節機構
に基づく癌の浸潤・転移の阻害などに関する医薬や治療
法を提供する。
【0002】
【従来技術】マトリックスメタロプロテアーゼ類(MMP
s) は、細胞外マトリックス(extracellular matrix: E
CM)と基底膜成分のさまざまな構成タンパク質を分解
し、細胞外マトリックス代謝に必須であると考えられて
いる亜鉛依存性のエンドペプチダーゼのファミリーであ
る。これらの酵素群は、正常な胚の発生、骨の成長ある
いは創傷の治癒など、結合組織の再構成に関連している
し、アテローム性動脈硬化症、肺気腫、リウマチ性関節
炎、癌の浸潤・転移などの各種の病的な過程における関
与も知られるようになってきている。これまでに、数多
くの哺乳類MMPsがcDNAクローニングによりアミノ酸レベ
ルまで解析されている。例えば、MMP-1 (collagenase);
MMP-2 (gelatinase A); MMP-3 (stromelysin-1); MMP-
7 (matrilysin); MMP-8 (neutrophil collagenase); MM
P-9 (gelatinase B); MMP-10 (stromelysin-2); MMP-11
(stromelysin-3); MMP-12 (macrophage elastase); MM
P-13 (collagenase-3); MMP-14 (MT1-MMP); MMP-15 (MT
2-MMP); MMP-16 (MT3-MMP); MMP-17 (MT4-MMP); MMP-1
9; MMP-20 (enamelysin); MMP-24 (MT5-MMP); MMP-25
(MT6-MMP) などである。これらのMMPsは、1次構造、基
質特異性および細胞分布により、少なくとも4 種のサブ
ファミリー:コラゲナーゼ、ゼラチナーゼ、ストロメラ
イシンおよび膜型マトリックスメタロプロテアーゼ類(M
T-MMPs) に分類されているが、このうちMT-MMPs サブフ
ァミリーは、最も新しくMMPsのサブクラスとして報告さ
れたもので、例えば、MT1-MMP, MT2-MMP, MT3-MMP, MT4
-MMP, MT5-MMP, MT6-MMPなどが挙げられ、多くのMMPsに
特徴的なヘモペキシンドメインの後方に、単一の膜貫通
領域を持つI型の膜タンパク質である。
【0003】細胞が組織内を移動・浸潤・転移する際に
は、その周りを取り囲む細胞外基質(ECM) の分解が必須
のステップである。そのステップに中心的な役割を担っ
ているが MMPと呼ばれる酵素群であり、中でも細胞膜表
面に発現するMT1-MMP は癌の移動・浸潤・転移及び血管
新生においてその役割が重要視されている。MT1-MMP
は、膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1 (membrane
-type 1 matrix metalloproteinase: MT1-MMP)あるいは
MMP-14とも呼ばれる酵素 (MEROPS ID:M10.014) で、ヒ
トにおいてはその染色体遺伝子座14q11-q12 を占める遺
伝子 (C. Mignon et al., Genomics, 28: pp.360-361
(1995))の産物であると報告されているものであり、DNA
クローニング並びに組換えタンパク質の発現に成功し
て、その存在が確認されるとともに詳細な構造及び特性
が明らかにされたものである (H. Sato et al., Natur
e, 370: pp.61-65 (1994); T. Takino et al., Gene, 1
55: pp.293-298 (1995); 特開平7-203961号公報; 特開
平7-303482号公報; GenBank TM accession number: D26
512)。MT1-MMP は、ヒトの他、イヌ、ヤギ、ウサギ、イ
ノシシ、ネズミなどでもその存在が確認されている。ヒ
トMT1-MMP のcDNAは、582 個のアミノ酸残基をコードし
(EMBL accession No. D26512, E09720 &E 10297; SWISS
-PROT: P50281) 、その構造はシグナルペプチドに続く
プロペプチドドメイン、ストロメリシン-3 (stromelysi
n-3)に類似した特異な10個のアミノ酸残基からなる挿入
配列 (フィウリン(furin)-様酵素認識部位の可能性のあ
る配列) 、亜鉛結合サイトの可能性を持つ部位を有する
コア酵素ドメイン、ヒンジドメイン、ヘモペキシン様ド
メイン、膜貫通 (transmembrane: TM)ドメインからなっ
ている。
【0004】これまでに、MT1-MMP は、同じMMP メンバ
ーであり、基底膜分解酵素であるゼラチナーゼ A (MMP-
2)の潜在型 (プロゼラチナーゼA/72kDa IV型コラゲナー
ゼ:proMMP-2)を活性化すること、さらにMT1-MMP 自身
も、I, II 及び III型コラーゲン、フィブロネクチン、
ラミニン、ビトロネクチンおよびaggrecanなど様々なEC
M 分子を分解することがわかっている。また、MT1-MMP
は、腫瘍浸潤や転移の過程を促進することも示された(S
eiki, M., Apmis, 107, 137-143 (1999); Sato,H. et a
l., Nature, 370, 61-65 (1994)) 。MT1-MMP はまたpro
MMP-2 (Sato, H.et al., Nature, 370, 61-65 (1994))
やプロコラゲナーゼ-3(proMMP-13)(Knauper, V. et a
l., J. Biol. Chem., 271, 17124-17131 (1996)) のよ
うな他のMMPsを活性化する。このようにMT1-MMP の発現
は細胞表面での多様なたん白分解酵素カスケードの開始
に関与する可能性があり、そして、MT1-MMP は癌細胞浸
潤や転移(Seiki, M., Apmis, 107, 137-143 (1999); Sa
to, H. et al., Nature, 370, 61-65 (1994)) だけでな
く脈管形成(Hiraoka, N. et al., Cell 95, 365-77 (19
98); Zhou, Z. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
97, 4052-4057 (2000)) や骨格発育(Zhou, Z. et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97, 4052-4057 (2000);
Holmbeck, K. et al., Cell, 99, 81-92 (1999))のよう
な他の生理的プロセスにも関与していることが示されて
いる。このようにMT1-MMP は組織における生理的,病理
学的細胞浸潤に対する必要な道具であるらしいと思わ
れ、それゆえ、細胞表面でのMT1-MMP の作用機序を解明
することは重要である。
【0005】MT1-MMP はproMMP-2を活性化し、細胞外マ
トリックスを直接破壊することにより、癌細胞浸潤を促
進することが示されている。MT1-MMP によるproMMP-2の
細胞表面での活性化は腫瘍浸潤における重要なステップ
であると考えられる。なぜなら、MMP-2 は基底膜の主要
構成成分であるIV型コラーゲンやラミニンを分解する(S
tetler-Stevenson, W. G. et al., Annu. Rev. Cell Bi
ol., 9, 541-73 (1993))。活性型MMP-2 の発生はまた腫
瘍浸潤性とよく相関する(Tokuraku, M. et al., Int.
J. Cancer, 64, 355-359 (1995); Nomura, H. et al.,
Cancer Res., 55, 3263-3266 (1995)) 。ところで、こ
れまでこのMT1-MMP を介したproMMP-2活性化プロセスに
おいてproMMP-2と優先的に複合体を形成するTIMP-2は中
心的な役割を果たしていると考えられる。このモデルで
は、活性型MT1-MMP は最初にそのcatalytic domainを介
してTIMP-2と結合する。このようにして、細胞表面上に
可溶型TIMP-2を結合させる。このTIMP-2−MT1-MMP 複合
体は引き続きproMMP-2に対するレセプターとして働き、
proMMP-2のC 末端ドメインとTIMP-2のC 末端ドメインと
の間の相互作用により3元複合体を形成する。proMMP-2
のプロペプチドはTIMP-2を結合していない隣接するMT1-
MMP により、Asn66-Leu67 (SWISS-PROT accession No.
P08253) 間で切断され、活性型中間体を形成する。この
MMP-2 中間体は、十分高い濃度で細胞表面上に存在する
とき、分子間auto-cleavage により完全な活性型にさら
に加工される。MT1-MMP に比べ相対的にTIMP-2が過剰に
存在するとき、この活性化の第一段階はブロックされ
る。三元複合体の限局的な濃縮を達成するために、膜上
の特異部分に局在することが必要とされる。
【0006】ヒトを含めた哺乳類などの多細胞生物にお
いては、隣接する細胞との接着の情報は、細胞の増殖、
分化、移動、さらには癌などの細胞の移動・浸潤・転移
など、また炎症などの病的な現象を含めた生命現象の調
節、維持などに深く関与している。そうした接着に関与
する細胞間接着分子は、細胞表面で集合して接着のため
の特殊に分化した膜領域を形成することが知られてお
り、こうした膜領域は、細胞間接着装置と呼ばれ、主と
して、gap junction (GJ), adherens junction (AJ), d
esmosome及びtight junction (TJ) の4 つに分類されて
いる。そのTJを構成する構成膜タンパクの一つとして見
出されたものが、一群のクローディン(claudin) ファミ
リーである。Claudin ファミリーはTJ鎖の主要成分であ
り、それは傍細胞封着(バリアー機能)並びに上皮およ
び内皮細胞シートにおける膜ドメイン分化(囲い機能)
に直接関与している。今日までに、18個のclaudin フ
ァミリーが同定されている。claudinsのファミリーとし
ては、例えば、クローディン-1(claudin-1) 、クローデ
ィン-2(claudin-2) 、クローディン-3(claudin-3) 及び
クローディン-5(claudin-5) の他、クローディン-6(cla
udin-6) 、クローディン-7(claudin-7) 、クローディン
-8(claudin-8) などが報告されている(特開2000-32984
号公報; Furuse, M., et al., J. Cell Biol., 141: 15
39-1550 (1998)およびFuruse, M., et al., J. Cell Bi
ol., 147: 891-903 (1999)) 。しかしながら、クローデ
ィン、MT-MMPs 、proMMP-2間の相互作用の生理的意義
は、これまで知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これまでのMMP 類及び
/又は膜型MMP 類と癌との関係については、例えば、プ
ロゼラチナーぜAの活性化(Okada ら, Eur.J.Bioche
m., 194, pp721-730, 1990) 、MT1-MMP によるMMP-2 の
活性化(Satoら, Nature, 370, pp61-65, 1994) などに
よる関係が示唆されているが、具体的な関与については
未だ不明である。こうした細胞外マトリックスや基底膜
成分のさまざまな構成タンパク質に対して活性を有する
MMPsは、その活性の亢進などにより様々な病的な症状や
発症に影響を及ぼしているだけでなく、癌などの転移・
浸潤、さらには癌組織周辺での血管新生などに関与して
いることが示唆されている。従って、MMPsの活性調節に
関与している遺伝子やタンパク質として如何なるものが
存在し、どのような機構でそれらがMMPsの活性の制御に
関与しているなどを解明することが求められている。よ
って、癌などの細胞の移動・浸潤・転移を制御する方策
の探索のためにも、MT1-MMP によるproMMP-2の活性化を
制御する因子並びにそれに関わる更なる研究を進めるこ
とが求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、MT-MMPs
を介した潜在型MMP-2(proMMP-2) の活性化の調節に関与
している遺伝子のスクリーニング系を構築し、その探索
をおこなった結果、クローディン (claudin)と呼ばれる
一群の遺伝子群が、該MT-MMPs を介したproMMP-2活性化
を促進する活性を有すること、さらには、クローディン
の細胞外ドメインの修飾体が、該MT-MMPs を介したproM
MP-2活性化に対して阻害活性を示すことを見出し、本発
明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、 〔1〕 クローディンファミリーから選択されたものに
よるMT-MMPs を介したproMMP-2の活性化方法; 〔2〕 クローディンファミリーから選択されたもの
が、クローディン-1、クローディン-2、クローディン-
3、又はクローディン-5であることを特徴とする上記
〔1〕記載の方法; 〔3〕 MT1-MMP を介したproMMP-2の活性化であること
を特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載の方法; 〔4〕 (1) クローディンファミリーから選択されたも
のと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたものとの複
合体形成を阻害することを特徴とする、proMMP-2活性化
阻害剤; 〔5〕 (1) クローディンファミリーから選択されたも
のと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたものとの複
合体形成を阻害することを特徴とする上記〔4〕記載の
proMMP-2活性化阻害剤;
【0010】〔6〕 (i) クローディンファミリーから
選択されたものとMT-MMPs から選択されたものとの複合
体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、ある
いは(ii)クローディンファミリーから選択されたものと
proMMP-2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻
害をなすことを特徴とする、血管新生、細胞の移動、浸
潤及び/又は転移阻止剤; 〔7〕 細胞が、癌細胞であることを特徴とする上記
〔6〕記載の剤; 〔8〕 複合体が、(1) クローディンファミリーから選
択されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択された
ものとの複合体であることを特徴とする上記〔6〕又は
〔7〕の剤;
〔9〕 複合体形成が、クローディンファミリーから選
択されたものの少なくとも細胞外ドメインとの間でなさ
れているものであることを特徴とする上記〔4〕〜
〔8〕のいずれか一記載の剤; 〔10〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたものとの
複合体形成を阻害することを特徴とするproMMP-2活性化
を阻害する方法; 〔11〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたものとの
複合体形成を阻害することを特徴とする上記〔10〕記
載の方法;
【0011】〔12〕 (i) クローディンファミリーか
ら選択されたものとMT-MMPs から選択されたものとの複
合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あ
るいは(ii)クローディンファミリーから選択されたもの
とproMMP-2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化
阻害をなすことを特徴とする、血管新生、細胞の移動、
浸潤及び/又は転移を阻止する方法; 〔13〕 細胞が、癌細胞であることを特徴とする上記
〔12〕記載の方法; 〔14〕 複合体が、(1) クローディンファミリーから
選択されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択され
たものとの複合体であることを特徴とする上記〔12〕
又は〔13〕の方法; 〔15〕 複合体形成が、クローディンファミリーから
選択されたものの少なくとも細胞外ドメインとの間でな
されているものであることを特徴とする上記〔10〕〜
〔14〕のいずれか一記載の方法;
【0012】〔16〕 (1) クローディンファミリーか
ら選択されたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択さ
れたものとの複合体形成を阻害する活性を有する物質; 〔17〕 複合体が、(a) 細胞表面に存在するクローデ
ィンファミリーから選択されたもの又は(b) 細胞表面に
存在するMT-MMPs から選択されたものとの複合体である
ことを特徴とする上記〔16〕記載の物質; 〔18〕 (A) クローディンファミリーから選択された
ものであって且つその細胞外ドメイン領域に変異を有す
るクローディン、その誘導体又はその類縁体あるいはそ
れらと実質的に同等の活性を有するもの; (B) クローディンファミリーから選択されたものであっ
て且つその細胞外ドメイン領域に相当するペプチドの一
部に相当するペプチド断片あるいはそれらと実質的に同
等の活性を有する誘導体又はその類縁体; 及び (C) クローディンファミリーから選択されたものの細胞
外ドメイン領域に対する抗体から成る群から選ばれたも
のであることを特徴とする上記〔16〕又は〔17〕記
載の物質;
【0013】〔19〕 (A) クローディンファミリーか
ら選択されたものの細胞外ドメイン領域における変異
が、アミノ酸残基の欠失、置換及び挿入から成る群から
選ばれたものである; (B) (i) 細胞外ドメイン領域に相当するペプチドが、配
列表の配列番号:1記載の ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asp38〜Phe67
に相当するペプチド、 ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Val55〜Cys64
に相当するペプチド、及び ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asn142 〜Val
155に相当するペプチドから成る群から選ばれ且つ(ii)
該ペプチドのうちの少なくとも連続した3個以上のアミ
ノ酸残基を有するものである;あるいは (C) (i) 細胞外ドメイン領域に相当するペプチドが、配
列表の配列番号:1記載の ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asp38〜Phe67
に相当するペプチド、 ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Val55〜Cys64
に相当するペプチド、及び ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asn142 〜Val
155に相当するペプチドから成る群から選ばれ且つ(ii)
該ペプチドのうちの少なくとも連続した3個以上のアミ
ノ酸残基を有するものに対する抗体であることを特徴と
する上記〔16〕〜〔18〕のいずれか一記載の物質;
【0014】〔20〕 (i) 上記〔18〕の(A) 記載の
ものをコードする核酸、(ii)上記〔18〕の(B) 記載の
細胞外ドメイン領域に相当するペプチドの一部に相当す
るペプチド断片をコードする核酸、(iii) 上記 (i)の核
酸とハイブリダイスすることができる核酸、及び(iv)
上記 (i)〜(iii) のいずれか一の核酸と実質的に同等の
活性を有する核酸から成る群から選ばれたものであるこ
とを特徴とする核酸; 〔21〕 (i) 上記〔19〕の(A) 記載の変異クローデ
ィン、その誘導体又はその類縁体あるいはそれらと実質
的に同等の活性を有するものをコードする核酸、(ii)上
記〔19〕の(B) 記載のペプチド断片をコードする核
酸、(iii) 上記 (i)の核酸とハイブリダイスすることが
できる核酸、及び(iv)上記 (i)〜(iii) のいずれか一の
核酸と実質的に同等の活性を有する核酸から成る群から
選ばれたものであることを特徴とする上記〔20〕記載
の核酸; 〔22〕 ヒトクローディン-1の38-67 位のアミノ酸残
基を欠失した変異体(M1Δ38-67), ヒトクローディン-1
の55-64 位のアミノ酸残基を欠失した変異体(M2Δ55-6
4), ヒトクローディン-1の142-155 位のアミノ酸残基を
欠失した変異体 (M3Δ142-155), ヒトクローディン-1の
54位のシステイン残基をセリン残基で置換した変異体(M
4C54S), ヒトクローディン-1の64位のシステイン残基を
セリン残基で置換した変異体(M5C64S), ヒトクローディ
ン-1のC-末端側のPDZ モチーフを破壊した変異体 (M6Δ
YV) 及びヒトクローディン-1のN-末端側の1-101 位のア
ミノ酸残基を欠失した変異体 (M7Δ1-101)から成る群か
ら選ばれたものあるいはそれらと実質的に同等の活性を
有するものをコードすることを特徴とする上記〔20〕
又は〔21〕記載の核酸;
【0015】〔23〕 上記〔20〕〜〔22〕のいず
れか一記載の核酸を含有することを特徴とするベクタ
ー; 〔24〕 上記〔20〕〜〔22〕のいずれか一記載の
核酸又は上記〔23〕記載のベクターを含有することを
特徴とする形質転換体; 〔25〕 上記〔20〕〜〔22〕のいずれか一記載の
核酸又は上記〔23〕記載のベクターを含有することを
特徴とする遺伝子治療用剤; 〔26〕 上記〔4〕〜
〔9〕のいずれか一記載のもの
あるいは上記〔16〕〜〔24〕のいずれか一記載のも
のを含有することを特徴とする医薬又は獣医薬; 〔27〕 proMMP-2活性化に起因する疾患あるいは病的
な状態の治療及び/又は予防のためのものであることを
特徴とする上記〔26〕記載の医薬又は獣医薬; 〔28〕 血管新生、細胞の移動、浸潤及び/又は転移
を抑制及び/又は阻止するためのものであることを特徴
とする上記〔26〕記載の医薬又は獣医薬; 〔29〕 細胞が、癌細胞であることを特徴とする上記
〔28〕記載の医薬又は獣医薬;
【0016】〔30〕 (1) クローディンファミリーか
ら選択されたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択さ
れたものとの複合体形成を指標に、proMMP-2の活性化を
阻害する物質をスクリーニングすることを特徴とするス
クリーニング方法; 〔31〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたものとの
複合体形成を阻害することを特徴とする上記〔30〕記
載の方法; 〔32〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proMMP-2と
を発現している細胞系を使用することを特徴とする上記
〔30〕又は〔31〕記載の方法; 〔33〕 上記〔30〕〜〔32〕のいずれか一記載の
方法で取得したproMMP-2の活性化を阻害する物質; 〔34〕 (i) クローディンファミリーから選択された
ものとMT-MMPs から選択されたものとの複合体形成を阻
害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あるいは(ii)ク
ローディンファミリーから選択されたものとproMMP-2と
の複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすこ
とを指標に、血管新生、細胞の移動、浸潤及び/又は転
移を阻止する活性を有する物質をスクリーニングするこ
とを特徴とするスクリーニング方法; 〔35〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proMMP-2と
を発現している細胞系を使用することを特徴とする上記
〔34〕記載の方法;
【0017】〔36〕 上記〔34〕又は〔35〕記載
の方法で取得した血管新生、細胞の移動、浸潤及び/又
は転移阻止活性を有する物質; 〔37〕 proMMP-2の活性化阻害のスクリーニングにお
いて、(i)(1)クローディンファミリーから選択されたも
の、(2)MT-MMPsから選択されたもの及び(3) proMMP-2の
存在下に、(ii) proMMP-2 の活性化阻害候補化合物の共
存下あるいは(iii) 該proMMP-2の活性化阻害候補化合物
の非共存下のproMMP-2の活性化の程度を比較することを
特徴とするproMMP-2の活性化を阻害する物質のスクリー
ニング方法; 〔38〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proMMP-2と
を発現している細胞系を使用することを特徴とする上記
〔37〕記載の方法; 〔39〕 (1) クローディンファミリーから選択された
ものと(2)MT1-MMP及び(3) proMMP-2の存在下にスクリー
ニングされることを特徴とする上記〔37〕又は〔3
8〕記載の方法;及び 〔40〕 上記〔37〕〜〔39〕のいずれか一記載の
方法で取得したproMMP-2の活性化を阻害する物質を提供
する。
【0018】本発明のその他の目的、特徴、優秀性及び
その有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明
白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実
施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ま
しい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されて
いるものであることを理解されたい。本明細書に開示し
た本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改
変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明
細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易
に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特
許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているも
ので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに
含めて解釈されるべきものである。本明細書において、
用語「及び/又は」とは、 (1)併合的接続関係と (2)選
択的接続関係の両方が存在することを意味しており、例
えば「治療及び/又は予防」の場合では (1)治療及び予
防並びに (2)治療又は予防の両方を包含する意味で使用
されている。その他においても用語「及び/又は」は同
様に (1)併合的接続関係と (2)選択的接続関係の両方を
包含する意味で使用されている。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明では、claudin ファミリー
に属するタンパク質による、MT-MMPs を介したproMMP-2
活性化法、さらには該活性化を阻害する方法及びその阻
害活性を持った物質及び医薬の提供がなされ、さらにそ
うした阻害活性物質のスクリーニング方法及びそれに用
いる薬剤が提供される。特に、claudin の細胞外ドメイ
ン領域は、MT1-MMP を介したproMMP-2の活性化に重要な
働きをしており、例えばclaudin の細胞外ドメイン領域
に変異を有するタンパク質は、in vivo 及び in vitro
でMT1-MMP を介したproMMP-2の活性化に阻害的な活性を
示し、阻害剤あるいは医薬として有望であり、またこの
事実を基礎に各種claudinsによるproMMP-2の活性化阻害
剤開発を行うことを可能にする。本発明は、一方では、
claudin とMT-MMPs とからなる複合体あるいはclaudin
とproMMP-2とからなる複合体などの形成をモニターする
ための手法を提供するものである。さらに、遺伝子治療
の途も提供する。本発明は、claudinsの細胞外ドメイン
領域を特異的に認識する抗体、例えばモノクローナル抗
体に関し、該抗体を使用した免疫学的測定試薬や医薬、
さらには各種測定法も提供する。
【0020】本発明に従い、claudinsファミリーの一種
から誘導された変異体で且つproMMP-2の活性化阻害活性
を有するポリペプチド若しくは該変異claudin ポリペプ
チドのアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有し且
つproMMP-2活性化阻害活性あるいは同等の抗原性を有す
るものであるペプチドまたはその塩、そのポリペプチド
の特徴的な部分ペプチドまたはその塩、それらをコード
する遺伝子、例えばDNA 、RNA など、その遺伝子を遺伝
子組換え技術で操作することが可能なように含有してい
るベクターあるいはプラスミド、こうしたベクターなど
で形質転換された宿主細胞、さらにはその遺伝子を発現
するトランスジェニックマウス等のトランスジェニック
動物、その形質転換細胞を、培養して該ポリペプチドま
たはその塩を製造する方法、こうして得られた該ポリペ
プチドまたはその塩やそのポリペプチドの特徴的な部分
ペプチドまたはその塩を用いて得られた抗体、特にはモ
ノクローナル抗体、その抗体を産生するハイブリドーマ
細胞、該所定のコード遺伝子、例えばDNA 、RNA などを
プローブとして用いたり、あるいは該抗体を用いた測定
・診断手段並びに試薬が提供される。さらには、本明細
書で開示され説明されている活性成分の利用を提供し、
例えば、該活性成分を含有する医薬あるいは試薬などが
提供され、そうした活性成分を用いた疾患、疾病あるい
は異常な状態の治療及び/又は予防方法、さらにはスク
リーニング方法などが提供される。該変異claudin ポリ
ペプチドは、好ましくはclaudin の細胞外ドメイン領域
に変異導入されたものが挙げられる。
【0021】本明細書で用いる用語「ポリペプチド」と
しては、以下に記載するような如何なるポリペプチドを
指すものであってもよい。ポリペプチドの基本的な構造
は周知であり、当該技術分野において非常に数多くの参
考書及びその他の刊行物に記載がある。こうしたことに
鑑み、本明細書で用いる用語「ポリペプチド」は、ペプ
チド結合又は修飾したペプチド結合により互いに結合し
ているような2個又はそれ以上のアミノ酸を含む任意の
ペプチド又は任意のタンパク質を意味する。本明細書で
用いる用語「ポリペプチド」としては、当該分野におい
て通常、例えばペプチド、オリゴペプチドあるいはペプ
チドオリゴマーとも称せられる短い鎖のもの、及びタン
パク質と一般的に言われ、多くの形態のものが知られて
いる長い鎖のものの両方を意味してよい。ポリペプチド
は、しばしば、通常、20種の天然型アミノ酸(天然に存
在しているアミノ酸: あるいは遺伝子でコードされるア
ミノ酸)と称されるアミノ酸(20個存在している)以外
のアミノ酸を含有していてもよい。ポリペプチドは、ま
た末端アミノ酸残基を含めて、その多くのアミノ酸残基
が翻訳された後にプロセッシング及びその他の改変(あ
るいは修飾)されるといった天然の工程によるのみなら
ず、当業者に周知の化学的改変技術によっても、上記の
ポリペプチドはそれが改変(修飾)できることは理解さ
れよう。該ポリペプチドに加えられる改変(修飾)につ
いては、多くの形態のものが知られており、それらは当
該分野の基礎的な参考書及びさらに詳細な論文並びに多
数の研究文献にも詳しく記載されており、これらは当業
者に周知である。幾つかのとりわけ常套的な改変・修飾
としては、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グ
ルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、水酸化及びADP-
リボシル化等が挙げられ、例えばT. E. Creighton, Pro
teins-Structure and Molecular Properties, Second E
dition, W. H. Freeman and Company, New York, (199
3); B.C.Johnson(Ed.), Posttranslational Covalent M
odification of Proteins, Academic Press, New York,
(1983) (Wold, F., "Posttranslational Protein Modi
fications: Perspective and Prospects", pp.1-12); S
eifter et al., "Analysis for Protein Modifications
and nonprotein cofactors", Meth. Enzymol., 182: 6
26-646 (1990); Rattan et al., "Protein Synthesis:
Posttranslational Modification and Aging", Ann. N.
Y. Acad. Sci., 663: p.48-62 (1992)等の記載を参照
できる。
【0022】本明細書中、「相同性」とは、ポリペプチ
ド配列(あるいはアミノ酸配列)又はポリヌクレオチド
配列(あるいは塩基配列)における2本の鎖の間で該鎖
を構成している各アミノ酸残基同志又は各塩基同志の互
いの適合関係において同一であると決定できるようなも
のの量(数)を意味し、二つのポリペプチド配列又は二
つのポリヌクレオチド配列の間の配列相関性の程度を意
味するものである。相同性は容易に算出できる。二つの
ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列間の相同性
を測定する方法は数多く知られており、「相同性」
(「同一性」とも言われる)なる用語は、当業者には周
知である (例えば、Lesk, A. M. (Ed.), Computational
Molecular Biology, Oxford University Press, New Y
ork, (1988);Smith, D. W. (Ed.), Biocomputing: Info
rmatics and Genome Projects, Academic Press, New Y
ork, (1993); Grifin, A. M. & Grifin, H. G. (Ed.),
Computer Analysis of Sequence Data: Part I, Human
Press, New Jersey, (1994);von Heinje, G., Sequence
Analysis in Molecular Biology, Academic Press,New
York, (1987); Gribskov, M. & Devereux, J. (Ed.),
Sequence Analysis Primer, M-Stockton Press, New Yo
rk, (1991) 等) 。二つの配列の相同性を測定するのに
用いる一般的な方法には、Martin, J. Bishop (Ed.), G
uide to Huge Computers, Academic Press, San Diego,
(1994); Carillo, H. & Lipman, D., SIAM J. Applied
Math., 48: 1073 (1988) 等に開示されているものが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。相同性
を測定するための好ましい方法としては、試験する二つ
の配列間の最も大きな適合関係部分を得るように設計し
たものが挙げられる。このような方法は、コンピュータ
ープログラムとして組み立てられているものが挙げられ
る。二つの配列間の相同性を測定するための好ましいコ
ンピュータープログラム法としては、GCG プログラムパ
ッケージ (Devereux, J. et al., Nucleic Acids Resea
rch, 12(1): 387 (1984)) 、BLASTP、BLASTN、FASTA (A
tschul, S. F. et al., J. Molec. Biol., 215: 403 (1
990)) 等が挙げられるが、これらに限定されるものでな
く、当該分野で公知の方法を使用することができるし、
市販のものを使用できる。
【0023】本明細書中、「ポリメラーゼ・チェイン・
リアクション(Polymerase Chain Reaction) 」又は「PC
R 」とは、一般的に、米国特許第 4683195号明細書など
に記載されたような方法を指し、例えば、所望のヌクレ
オチド配列をインビトロで酵素的に増幅するための方法
を指している。一般に、PCR 法は、鋳型核酸と優先的に
ハイブリダイズすることのできる2個のオリゴヌクレオ
チドプライマーを使用して、プライマー伸長合成を行う
ようなサイクルを繰り返し行うことを含むものである。
典型的には、PCR 法で用いられるプライマーは、鋳型内
部の増幅されるべきヌクレオチド配列に対して相補的な
プライマーを使用することができ、例えば、該増幅され
るべきヌクレオチド配列とその両端において相補的であ
るか、あるいは該増幅されるべきヌクレオチド配列に隣
接しているものを好ましく使用され得る。PCR 反応は、
当該分野で公知の方法あるいはそれと実質的に同様な方
法や改変法により行うことができるが、例えば R. Saik
i, et al., Science, 230:1350, 1985; R. Saiki, et a
l., Science, 239: 487, 1988 ; H. A. Erliched., PCR
Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover e
t al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Pra
ctical Approach Series), IRLPress, Oxford Universi
ty Press (1995) ; M. A. Innis et al. ed., "PCRProt
ocols: a guide to methods and applications", Acade
mic Press, New York (1990)); M. J. McPherson, P. Q
uirke and G. R. Taylor (Ed.), PCR: a practical app
roach, IRL Press, Oxford (1991); M. A. Frohman et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998-9002 (19
88) などに記載された方法あるいはそれを修飾したり、
改変した方法に従って行うことができる。また、PCR 法
は、それに適した市販のキットを用いて行うことがで
き、キット製造業者あるいはキット販売業者により明ら
かにされているプロトコルに従って実施することもでき
る。
【0024】代表的な場合には、例えば鋳型(例えば、
mRNAを鋳型にして合成されたDNA; 1st strand DNA)と該
遺伝子に基づいてデザインされたプライマーとを、10×
反応緩衝液 (Taq DNA ポリメラーゼに添付されている)
、dNTPs ( デオキシヌクレオシド三リン酸dATP, dGTP,
dCTP, dTTPの混合物)、Taq DNA ポリメラーゼ及び脱
イオン蒸留水と混合する。混合物を、例えば、GeneAmp
2400 PCR system, Perkin-Elmer/Cetus などの自動サー
マルサイクラーを用いて一般的なPCR サイクル条件下に
そのサイクルを25〜60回繰り返すが、増幅のためのサイ
クル数は適宜目的に応じて適当な回数とすることができ
る。PCR サイクル条件としては、例えば、変性90〜95℃
5〜100 秒、アニーリング40〜60℃ 5〜150 秒、伸長65
〜75℃ 30〜300 秒のサイクル、好ましくは変性 94 ℃
15 秒、アニーリング 58 ℃ 15 秒、伸長 72 ℃ 45 秒
のサイクルが挙げられるが、アニーリングの反応温度及
び時間は適宜実験によって適当な値を選択できるし、変
性反応及び伸長反応の時間も、予想されるPCR 産物の鎖
長に応じて適当な値を選択できる。アニーリングの反応
温度は、通常プライマーと鋳型DNA とのハイブリッドの
Tm値に応じて変えることが好ましい。伸長反応の時間
は、通常1000bpの鎖長当たり1 分程度がおおよその目安
であるが、より短い時間を選択することも場合により可
能である。
【0025】得られたPCR 産物は、通常 1〜2% アガロ
ースゲル電気泳動にかけて、特異なバンドとしてゲルか
ら切り出し、例えば、gene clean kit (Bio 101)などの
市販の抽出キットを用いてDNA を抽出する。抽出された
DNA は適当な制限酵素で切断し、必要に応じ精製処理し
たり、さらには必要に応じ5'末端をT4ポリヌクレオチド
キナーゼなどによりリン酸化した後、pUC18 などのpUC
系ベクターといった適当なプラスミドベクターにライゲ
ーションし、適当なコンピテント細胞を形質転換する。
作製されたDNA 断片を基に、ファージベクター、プラス
ミドベクターを使用するなどしてcDNAライブラリーを構
築することもできる。大腸菌などの宿主細胞の形質転換
をするには、例えばカルシウム法、ルビジウム/カルシ
ウム法、カルシウム/マンガン法、TFB 高効率法、FSB
凍結コンピテント細胞法、迅速コロニー法、エレクトロ
ポレーションなど当該分野で知られた方法あるいはそれ
と実質的に同様な方法で行うことができる(D. Hanaha
n, J. Mol. Biol., 166: 557, 1983 など)。また、ク
ローニングされたPCR 産物はその塩基配列を解析され
る。
【0026】本明細書中、「クローディン(claudin) 」
とは、上記で説明した一群のTJを構成する構成膜タンパ
クの一つとして見出されたもので、その一般的な構造と
しては四つの膜貫通ドメイン領域、二つの細胞外ドメイ
ン領域、そしてN-及びC-端側の細胞内ドメイン領域から
なるものである。クローディンファミリーに属するタン
パクとしては、例えばクローディン-1(claudin-1), -2,
-3, -4, -5, -6, -7,-8, -9, -10, -11, -12, -14, -1
5, -16, -17, -18, -19, -20, -21, -22 などが知られ
ている(J. Cell Biol., 141: 1539-1550 (1998); Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 96: 511-516 (1999); Gene, 2
26(2): 285-295 (1999); Hum. Genet.,107(3): 249-256
(2000); J. Biol. Chem., 272(42): 26652-26658 (199
7); Genomics, 42(2): 245-251 (1997); Genomics, 46
(3): 443-449 (1997); NCBI Inter Net Data Bases等)
。クローディンとしては、哺乳類由来のものが挙げら
れ、好ましくはヒト由来のものである。ヒトクローディ
ンファミリーに属するタンパクであるクローディン-1,
-2, -3, -5などは、以下で説明するように、MT1-MMPを
介したproMMP-2活性化に関与しているデータが得られて
いる。
【0027】クローディンファミリーから選択されたも
のは、MT-MMPs を介したproMMP-2活性化を促進する活性
を有し、特に、MT1-MMP を介したproMMP-2活性化を亢進
する活性を有する。このproMMP-2活性化促進活性には、
例えば、クローディンファミリーから選択されたものと
MT-MMPs から選択されたものとの間での複合体の形成、
クローディンファミリーから選択されたものとproMMP-2
との間での複合体の形成などが関与していることを支持
する実験データが得られている。該proMMP-2活性化促進
活性は、クローディンの細胞外ドメイン領域のアミノ酸
配列部分に基づいていると予測され、これらアミノ酸配
列またはそれと実質的に同等なアミノ酸配列を有するポ
リペプチドは、MT-MMPs から選択されたものやproMMP-2
との間で複合体を形成し、proMMP-2活性化能を発揮する
と考えられる。これらのことは、claudin の細胞外ドメ
イン領域に変異導入されたものは、proMMP-2活性化に対
する阻害活性を有することを意味する。さらには、clau
din の細胞外ドメイン領域に相当するペプチドの全部又
は一部に相当するペプチド断片あるいはそれらと実質的
に同等の活性を有する誘導体又はその類縁体は、claudi
n の細胞外ドメイン領域の有する機能に拮抗して、proM
MP-2活性化に対する阻害活性を有することを意味すると
考えられてよい。
【0028】例えば、ヒトクローディン-1は、配列表の
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有し、その細胞
外ドメイン領域はそれぞれアミノ酸配列 Gln29〜Arg81,
Thr 137 〜Gln163と考えられる。したがって、該ヒトク
ローディン-1の場合では、該細胞外ドメイン領域のうち
に、以下に記載するようにして変異などが導入された変
異体、類縁体、誘導体であってよいし、さらに細胞外ド
メイン領域に相当するアミノ酸配列 Asp38〜Phe67, Val
55〜Cys64 及びAsn142〜Val155から成る群から選ばれた
ものあるいはそのペプチドの一部に相当するペプチド断
片あるいはそれらと実質的に同等の活性を有する誘導体
又はその類縁体であってよく、それらは(1)proMMP-2 活
性化を阻害する活性、(2) (a) クローディンファミリー
から選択されたものと(b)MT-MMPs及びproMMP-2から選択
されたものとの複合体形成を阻害する活性、特には(a)
クローディンファミリーから選択されたものと(b)MT1-M
MP及びproMMP-2から選択されたものとの複合体形成を阻
害する活性、(3)(i)クローディンファミリーから選択さ
れたものとMT-MMPs から選択されたものとの複合体形成
を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あるいは(i
i)クローディンファミリーから選択されたものとproMMP
-2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をな
し、proMMP-2活性化に伴う細胞や組織の変化を抑制及び
/又は阻害したり、proMMP-2活性化に伴う生理的変化及
び/又は生物学的変化を抑制及び/又は阻害したり、血
管新生、細胞の移動、浸潤及び/又は転移を阻止する活
性などを示す。上記した性状を持つものであれば、オリ
ジナルのアミノ酸配列と少なくとも60% より高い相同
性、好ましくは70% 以上の相同性、さらに好ましくは80
%以上の相同性、また好ましくは85% 以上の相同性、も
っと好ましくは90% 以上の相同性、より好ましくは95%
以上の相同性、特に好ましくは97% 以上の相同性を有す
るとか、同等の抗原性などといった実質的に同等の生物
学的活性を有するアミノ酸配列を有するものがすべて挙
げられてよい。
【0029】該変異クローディン及びクローディン細胞
外ドメインペプチド断片などとしては、proMMP-2活性化
を阻害する活性を有するものであれば特に限定されない
が、上記したように複合体形成を阻害する活性をもつも
の、また好ましいものとしては細胞表面に存在するMT1-
MMP を介したproMMP-2活性化を阻害する活性を持つもの
が挙げられる。代表的なものとしては、ヒトクローディ
ン-1の細胞外ドメイン領域に変異を有するもの、例えば
ヒトクローディン-1の38-67 位のアミノ酸残基を欠失し
た変異体 (M1Δ38-67), ヒトクローディン-1の55-64 位
のアミノ酸残基を欠失した変異体 (M2Δ55-64), ヒトク
ローディン-1の142-155 位のアミノ酸残基を欠失した変
異体 (M3Δ142-155), ヒトクローディン-1の54位のシス
テイン残基をセリン残基で置換した変異体(M4C54S), ヒ
トクローディン-1の64位のシステイン残基をセリン残基
で置換した変異体(M5C64S), ヒトクローディン-1のC-末
端側のPDZ モチーフを破壊した変異体 (M6ΔYV) 及びヒ
トクローディン-1のN-末端側の1-101 位のアミノ酸残基
を欠失した変異体 (M7Δ1-101)、細胞外ドメイン領域に
相当するアミノ酸配列 Asp38〜Phe67, Val55〜Cys64
びAsn142〜Val155から成る群から選ばれたものあるいは
そのペプチドの一部に相当するペプチド断片あるいはそ
れらと実質的に同等の活性を有する誘導体又はその類縁
体が挙げられるが、これに限定されない。該ペプチド断
片としては、連続したアミノ酸残基5個以上、好ましく
は10個以上、また好ましくは20個以上、さらに好ましく
は30個以上、より好ましくは40個以上、また好ましくは
50個以上、さらに好ましくは60個以上、もっと好ましく
は70個以上、また好ましくは80個以上、さらに好ましく
は90個以上、もっとも好ましくは100 個以上、また好ま
しくは110 個以上) を有するものが挙げられる。該タン
パク質は、所望の生物活性(例えば、MT1-MMP を介した
proMMP-2活性化を阻害する活性、あるいはクローディン
とMT1-MMP との間の複合体形成によるproMMP-2活性化を
阻害する活性、クローディンとproMMP-2との間の複合体
形成によるproMMP-2活性化を阻害する活性、さらには、
該複合体形成が引き起こし、結果として生ずる血管新
生、細胞の移動、浸潤及び/又は転移を、抑制あるいは
阻害する活性など)を有している限り、クローディンの
細胞外ドメイン領域の天然に存在するアミノ酸配列中
に、適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠
失、挿入、転移あるいは付加をなしたごとき変異を導入
した相当するタンパク質であってよい。
【0030】こうした変異・変換・修飾法としては、化
学的な手法、あるいはclaudin ファミリーの遺伝子(Gen
BankTM/EMBL データベース参照) の塩基配列を基に遺伝
子工学的に常用される方法を適用したものが挙げられ、
例えば日本生化学会編、「続生化学実験講座1、遺伝子
研究法 II 」、p105(広瀬進)、東京化学同人(1986);
日本生化学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組
換えDNA 技術)」、p233(広瀬進)、東京化学同人(199
2); R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in Enzymolog
y", Vol. 154, p. 350 & p. 367, Academic Press, New
York (1987);R. Wu, L. Grossman, ed., "Methods in
Enzymology", Vol. 100, p. 457 & p.468, Academic Pr
ess, New York (1983); J. A. Wells et al., Gene, 3
4: 315, 1985; T. Grundstroem et al., Nucleic Acids
Res., 13: 3305, 1985; J. Taylor et al., Nucleic A
cids Res., 13: 8765, 1985; R. Wu ed., "Methods inE
nzymology", Vol. 155, p. 568, Academic Press, New
York (1987); A. R. Oliphant et al., Gene, 44: 17
7, 1986 などに記載の方法が挙げられる。例えば合成オ
リゴヌクレオチドなどを利用する位置指定変異導入法
(部位特異的変異導入法) (Zoller et al., Nucl. Acid
s Res., 10: 6487, 1987; Carter et al., Nucl. Acids
Res., 13: 4331, 1986), カセット変異導入法 (casset
te mutagenesis: Wells et al., Gene, 34: 315, 198
5), 制限部位選択変異導入法 (restriction selection
mutagenesis: Wells et al., Philos. Trans. R. Soc.
London Ser A, 317: 415, 1986),アラニン・スキャンニ
ング法 (Cunningham & Wells, Science, 244: 1081-108
5, 1989), PCR 変異導入法, Kunkel法, dNTP[αS]法
(Eckstein),亜硫酸や亜硝酸などを用いる領域指定変異
導入法等の方法が挙げられる。
【0031】さらに得られた該タンパク質は、化学的な
手法でその含有されるアミノ酸残基を修飾することもで
きるし、ペプチダーゼ、例えばペプシン、キモトリプシ
ン、パパイン、ブロメライン、エンドペプチダーゼ、エ
キソペプチダーゼなどの酵素を用いて修飾したり、部分
分解したりしてその誘導体などにすることができる。場
合によっては、該タンパク質は、in vivo あるいは in
vitro グルコシレーション又は脱グルコシレーションを
したり、グルコシル化される位置を変えることもできる
(WO87/05330; Apin and Wriston, CRC Crit. Rev. Bio
chem., pp.259-306 (1981); Hakimuddin et al., Arch,
Biochem. Biophys., 259: pp.52 (1987); Edge et a
l., Anal. Biochem., 118: pp.131 (1981); "Methods i
n Enzymology", Vol. 138, pp. 350, Academic Press,
New York(1987) 等) 。該タンパク質は、C 末端が通常
カルボキシル基(-COOH) またはカルボキシレート (-COO
- ) であるが、C 末端がアミド(-CONH2)またはエステル
(-COOR) であってもよい。ここでエステルにおけるR と
しては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプ
ロピルもしくはn-ブチルなどのC1-6アルキル基、例え
ば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8 シク
ロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどの
C6-12 アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなど
のフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチ
ルなどのα−ナフチル-C1-2アルキル基などのC7-14
ラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピ
バロイルオキシメチル基などが用いられる。該タンパク
質が C末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレ
ート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化ま
たはエステル化されているものも本発明に従った所望タ
ンパク質に含まれてよい。この場合のエステルとして
は、例えば上記したC 末端のエステルなどが用いられ
る。
【0032】さらに、該タンパク質は、上記したタンパ
ク質において、N 末端にメチオニン残基を持つものであ
ってよく、さらに該メチオニン残基のアミノ基が保護基
(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC1-5 アルキル
−カルボニル基などのC1-6アシル基など)で保護されて
いるもの、N 端側が生体内で切断され生成したグルタミ
ル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の
側鎖上の置換基(例えば、-OH 、-COOH 、アミノ基、イ
ミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適
当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC
1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖
鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク
質なども含まれてよい。また遺伝子組換え法で製造する
時に融合タンパク質として発現させ、生体内あるいは生
体外で、所望の変異体と実質的に同等の生物学的活性を
有しているものに変換・加工してもよい。遺伝子工学的
に常用される融合産生法を用いることができるが、こう
した融合タンパク質はその融合部を利用してアフィニテ
ィクロマトグラフィーなどで精製することも可能であ
る。
【0033】こうした融合タンパク質としては、ヒスチ
ジンタグに融合せしめられたもの、あるいはマルトース
結合タンパク (MBP), グルタチオン-S- トランスフェラ
ーゼ(GST)又はチオレドキシン (TRX)のアミノ酸配列に
融合せしめられたものなどが挙げられる。同様に、ポリ
ペプチドは、ヘテロジーニアスなエピトープのタグを付
加され、該エピトープに特異的に結合する抗体を用いて
のイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる単離
・精製をなし得るようにすることもできる。代表的なも
のとしては、ポリヒスチジン(poly-His)又はポリヒスチ
ジン- グリシン(poly-His-Gly)タグ、flu HAタグ及びそ
れに対する抗体 12CA5、c-myc タグ及びそれに対する抗
体 8F9, 3C7, 6E10, G4, B7 あるいは9E10、Herpes Sim
plex virus glycoprotein D (gD)タグ及びそれに対する
抗体、 Flag-ペプチド、緑色蛍光タンパク (Green Fluo
rescence Protein: GFP)、 KT3エピトープ ペプチド、
α-tubulin エピトープ ペプチド、T7 gene 10 prote
inペプチド タグなどが挙げられる (Field et al., Mo
lecular and Cellular Biology, 8: pp.2159-2165(198
8); Evan et al., Molecular and Cellular Biology,
5: pp.3610-3616 (1985); Paborsky et al., Protein E
ngineering, 3(6): pp.547-553 (1990); Hoppet al., B
ioTechnology, 6: pp.1204-1210 (1988); Martin et a
l., Science,255: pp.192-194 (1992); Skinner et a
l., J. Biol. Chem., 266: pp.15163-15166 (1991); Lu
tz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
87: pp.6393-6397 (1990))。こうした融合タンパク質の
発現及び精製は、それに適した市販のキットを用いて行
うことができ、キット製造業者あるいはキット販売業者
により明らかにされているプロトコルに従って実施する
こともできる。タンパク質の構造の修飾・改変などは、
例えば日本生化学会編、「新生化学実験講座1、タンパ
ク質 VII、タンパク質工学」、東京化学同人(1993)を参
考にし、そこに記載の方法あるいはそこで引用された文
献記載の方法、さらにはそれらと実質的に同様な方法で
行うことができる。また下記するようにその生物学的活
性のうちには、免疫的に活性、例えば抗原性を有すると
いうことも含まれてよい。該修飾・改変のうちには、脱
アミノ化、ヒドロキシル化、リン酸化、メチル化、アセ
チル化、開環、閉環、含有糖鎖の種類を違うものに変え
ること、含有糖鎖の数を増減すること、D-体アミノ酸残
基への置換などであってもよい。それらの方法は、当該
分野で知られている(例えば、T. E. Creighton, Prote
ins: Structure and Molecular Properties, pp.79-86
W.H. Freeman & Co., San Francisco, USA (1983),等)
【0034】かくして該タンパク質は、1個以上のアミ
ノ酸残基が同一性の点で天然のものと異なるもの、1個
以上のアミノ酸残基の位置が天然のものと異なるもので
あってもよい。該タンパク質は、claudin ファミリーの
タンパク質に特有なアミノ酸残基が1個以上(例えば、
1〜190 個、好ましくは1〜50個、さらに好ましくは1
〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特には1〜5 個な
ど)欠けている欠失類縁体、特有のアミノ酸残基の1個
以上(例えば、1〜100 個、好ましくは1〜50個、さら
に好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、特
には1〜5 個など)が他の残基で置換されている置換類
縁体、1個以上(例えば、1〜100 個、好ましくは1〜
50個、さらに好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1
〜10個、特には1〜5 個など)のアミノ酸残基が付加さ
れている付加類縁体も包含する。クローディンの細胞外
ドメイン以外において、天然のクローディンの特徴であ
るドメイン構造あるいは活性中心構造が維持され且つ上
記した複合体形成に対しての抵抗性が維持されているあ
るいはMT-MMPs を介したproMMP-2活性化に抵抗性であれ
ば、上記のごとき変異体は、全て本発明に包含される。
また該タンパク質はその細胞外ドメイン以外であれば、
天然のクローディンと実質的に同等の一次構造コンフォ
メーションの一部を有しているものも含まれてよいと考
えられ、さらにMT-MMPs を介したproMMP-2活性化に対し
て抵抗性であること以外は天然のクローディンと実質的
に同等の生物学的活性を有しているものも含まれてよい
と考えられる。さらに天然に生ずる変異体の一つである
こともできる。
【0035】該変異タンパク質は、例えば、例えばヒト
M1Δ38-67,M2Δ55-64,M3Δ142-155,M4C54S, M5C64S,M6
ΔYV, M7Δ1-101 に対し、50% より高い相同性を有して
いるものが挙げられ、より好ましくはそれに対し、70%
以上の、あるいは 90%以上の相同アミノ酸配列を有する
ものが挙げられる。該タンパク質から誘導される断片と
は、該クローディンの細胞外ドメイン部分を含むタンパ
ク質の一部のペプチド(すなわち、該クローディンタン
パク質の部分ペプチド)であって、上記変異タンパク質
と実質的に同等な活性を有するものであればいずれのも
のであってもよい。例えば、該タンパク質の部分ペプチ
ドは、ヒトクローディン-1の細胞外ドメイン領域に相当
するアミノ酸配列 Asp38〜Phe67, Val55〜Cys64 及びAs
n142〜Val155の構成アミノ酸配列のうち少なくとも連続
した2個以上、好ましくは5個以上、さらには10個以
上、ある場合には20個以上のアミノ酸配列を有するペプ
チドが挙げられる。
【0036】本明細書において、「実質的に同等」とは
蛋白質の活性、例えば、MT1-MMP を介したproMMP-2活性
化に対する抵抗性、proMMP-2活性化阻害活性、それに対
応する生理的な活性、生物学的な活性が実質的に同じで
あることを意味する。さらにまた、その用語の意味の中
には、実質的に同質の活性を有する場合を包含していて
よく、該実質的に同質の活性としては、例えば、クロー
ディンファミリーから選択されたものとMT1-MMP との間
の複合体の形成を阻害する性質、クローディンファミリ
ーから選択されたものとproMMP-2との間の複合体の形成
を阻害する性質、proMMP-2の活性化に関連する細胞の移
動、浸潤及び/又は転移を抑制及び/又は阻害する活性
などを挙げることができる。該実質的に同質の活性と
は、それらの活性が性質的に同質であることを示し、例
えば、生理的に、薬理学的に、あるいは生物学的に同質
であることを示す。例えば、該複合体形成を阻害する活
性とか、proMMP-2活性化阻害活性などの活性が、同等
(例えば、約 0.001〜1000倍、好ましくは約0.01〜100
倍、より好ましくは約 0.1〜20倍、さらに好ましくは約
0.5〜2 倍) であることが好ましいが、これらの活性の
程度、タンパク質の分子量などの量的な要素は異なって
いてもよい。
【0037】ある場合には、アミノ酸の置換、欠失、あ
るいは挿入は、しばしばポリペプチドの生理的な特性や
化学的な特性に大きな変化を生ぜしめないし、こうした
場合、その置換、欠失、あるいは挿入を施されたポリペ
プチドは、そうした置換、欠失、あるいは挿入のされて
いないものと実質的に同一であるとされるであろう。該
アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換体とし
ては、そのアミノ酸が属するところのクラスのうちの他
のアミノ酸類から選ぶことができうる。例えば、非極性
(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、フェニルアラ
ニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、ト
リプトファン、メチオニンなどが挙げられ、極性(中
性)としては、グリシン、セリン、スレオニン、システ
イン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどが挙げ
られ、陽電荷をもつアミノ酸(塩基性アミノ酸)として
は、アルギニン、リジン、ヒスチジンなどが挙げられ、
陰電荷をもつアミノ酸(酸性アミノ酸)としては、アス
パラギン酸、グルタミン酸などが挙げられる。
【0038】本発明のタンパク質及びその一部のペプチ
ドの合成には、当該ペプチド合成分野で知られた方法、
例えば液相合成法、固相合成法などの化学合成法を使用
することができる(Stewart et al., Solid-Phase Pept
ide Synthesis, W. H. Freeman Co., San Francisco, C
A, USA, 1969; Merrifeld, J. Am. Chem. Soc., 85,214
9-2154, 1963; J. Org. Chem., 37, 3404, 1972; G. B.
Fields (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 289
(Solid-Phase Peptide Synthesis), AcademicPress, Ne
w York (1997)) 。こうした方法では、例えばタンパク
質あるいはペプチド合成用樹脂を用い、適当に保護した
アミノ酸を、それ自体公知の各種縮合方法により所望の
アミノ酸配列に順次該樹脂上で結合させていく。縮合反
応には、好ましくはそれ自体公知の各種活性化試薬を用
いるが、そうした試薬としては、例えばジシクロヘキシ
ルカルボジイミドなどカルボジイミド類を好ましく使用
できる。生成物が保護基を有する場合には、適宜保護基
を除去することにより目的のものを得ることができる。
本発明のタンパク質及びその一部のペプチドは、それが
遊離型のものとして得られた場合には、それ自体公知の
方法あるいはそれに準じた方法で塩に変換することがで
き、またそれらは塩として得られた場合には、それ自体
公知の方法あるいはそれに準じた方法で遊離型のものあ
るいは他の塩に変換することができる。
【0039】所望のタンパク質(各クローディンやその
細胞外ドメインに存在しているアミノ酸配列のうちの任
意の連続した領域を有するタンパク質断片又はそれから
誘導された断片、各クローディンの膜貫通ドメイン、細
胞内ドメインあるいは欠失部分を有するタンパク質又は
それから誘導された断片を含む)は、GenBank TM /EMBL
などのデータベースに登録されたヒトなどの哺乳動物遺
伝子の塩基配列を基に遺伝子工学的操作を適用して得る
ことができる。該ヒトクローディンなどを含めたクロー
ディン遺伝子の塩基配列を有する核酸、例えばDNA 分子
は、該遺伝子の塩基配列に基づいて適切なプライマーを
設計・合成し、好ましくは該ヒトクローディン塩基配列
のオリジンである動物由来のmRNAあるいはそのmRNAから
調製されたcDNAを用い、所望の配列をPCR 増幅やリガー
ゼチェインリアクション(LCR) 増幅することにより得ら
れる。場合によっては、得られたDNA 断片をプローブに
種々のヒト組織あるいは培養細胞等から構築されたヒト
ジェノミック DNAライブラリーあるいはヒト由来cDNAラ
イブラリーをスクリーニングして得ることもできる。
【0040】所望のポリペプチドをコードする遺伝子
は、その塩基配列に開始コドン、例えば、Met をコード
するコドン(及び終止コドン)が付加されているもの、
また、該塩基配列がコードするタンパク質と少なくとも
80%の相同性を有するアミノ酸配列を持ち且つ所定のpr
oMMP-2活性化に対し阻害活性を有するかあるいは同等の
抗原性などのそれと実質的に同等の生物学的活性を有す
るペプチドをコードするといったそれと同効の塩基配列
を含有するものであれば如何なるものであってもよい。
所望のポリペプチドをコードする遺伝子は、一本鎖DNA
、二本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA
などの核酸であり、またヒトゲノムDNA 、ヒトジェノ
ミックDNA ライブラリー、ヒト組織・細胞由来のcDNA、
合成DNA のいずれであってもよい。該所望のポリペプチ
ドをコードする遺伝子の塩基配列は、修飾(例えば、付
加、除去、置換など)されることもでき、そうした修飾
されたものも包含されてよい。さらには、以下説明する
ように、本発明の核酸は、本発明の変異クローディンペ
プチドあるいはその一部をコードするものであってよ
く、好ましいものとしてはDNA が挙げられる。また上記
「同効の塩基配列」とは、例えばストリンジェントな条
件で既知のクローディンの塩基配列うちの連続した5個
以上の塩基配列、好ましくは10個以上の塩基配列、より
好ましくは15個以上の塩基配列、さらに好ましくは20個
以上の塩基配列とハイブリダイズし、所定のものと実質
的に同等のアミノ酸配列をコードするものなどが挙げら
れる。
【0041】使用できる遺伝子組換え技術としては、例
えば J. Sambrook, E. F. Fritsch& T. Maniatis, "Mol
ecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd editio
n)", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spr
ing Harbor, New York (1989);D. M. Glover et al. e
d., "DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Prac
tical Approach Series), IRL Press, Oxford Universi
ty Press (1995);日本生化学会編、「続生化学実験講座
1、遺伝子研究法II」、東京化学同人 (1986);日本生化
学会編、「新生化学実験講座2、核酸 III(組換えDNA
技術)」、東京化学同人 (1992); R. Wu ed., "Methods
in Enzymology", Vol. 68 (RecombinantDNA), Academi
c Press, New York (1980); R. Wu et al. ed., "Metho
ds in Enzymology", Vol. 100 (Recombinant DNA, Part
B) & 101 (Recombinant DNA, Part C), Academic Pres
s, New York (1983); R. Wu et al. ed., "Methods in
Enzymology", Vol. 153 (Recombinant DNA, Part D), 1
54 (Recombinant DNA, PartE) & 155 (Recombinant DN
A, Part F), Academic Press, New York (1987); J.H.
Miller ed., "Methods in Enzymology", Vol. 204, Aca
demic Press, New York (1991); R. Wu et al. ed., "M
ethods in Enzymology", Vol. 218, Academic Press, N
ew York (1993)などに記載の方法あるいはそこで引用さ
れた文献記載の方法あるいはそれらと実質的に同様な方
法や改変法が挙げられる( それらの中にある記載はそれ
を参照することにより本明細書の開示に含められる) 。
【0042】先ず目的の塩基配列を基にセンスプライマ
ーとアンチセンスプライマーを合成する。PCR 法で用い
るプライマーとしては、所望の部位を含むDNA 断片を増
幅できるものであれば、特に限定されない。センスプラ
イマーは、好ましくは該遺伝子の5'端側のエクソン部位
から選んで合成することができ、アンチセンスプライマ
ーは、好ましくは該遺伝子の3'端側のエクソン部位から
選んで合成することができ、より好ましくは該センスプ
ライマー合成に利用したエクソン部位以外から選ぶこと
ができる。5'端側のプライマーとしては、少なくとも開
始コドンを含有するか、あるいは該開始コドンを含めて
増幅できるように選択し、また3'端側のプライマーとし
ては、少なくともストップコドンを含有するか、あるい
は該ストップコドンを含めて増幅できるように選択する
ことが好ましい。
【0043】遺伝子のcDNAは、その全長を一度に入手す
ることを目指してもよいが、所定のエクソン部位 (複数
のエクソン部位) を利用して、複数のプライマーをデザ
インして合成し、複数のPCR をデザインして行い、こう
して得られたDNA 断片に基づいてクローニングしたDNA
断片から当該遺伝子のcDNAを得ることもできる。例え
ば、当該遺伝子のエクソン部位のうち解析した5'端側の
エクソン部位の塩基配列に基づいてデザインされたプラ
イマーを利用して、当該遺伝子のcDNAの5'端側のcDNAを
取得し、一方当該遺伝子のエクソン部位のうち解析した
3'端側のエクソン部位の塩基配列に基づいてデザインさ
れたプライマーを利用して、当該遺伝子のcDNAの3'端側
のcDNAを取得し、次に必要に応じてこれらプライマーや
得られた当該遺伝子のcDNAの5'端側のcDNA並びに3'端側
のcDNAの塩基配列の情報を利用してデザインしたプライ
マーを用い、ヒトの組織、特には、ヒト脳組織などから
単離したmRNAから逆転写酵素により作製された1st stra
nd cDNA を鋳型にしてPCR により増幅して、当該遺伝子
のcDNAを得ることもできる。5'端側のプライマーとして
は、少なくとも開始コドンを含有するか、あるいは該開
始コドンを含めて増幅できるように選択し、また3'端側
のプライマーとしては、少なくともストップコドンを含
有するか、あるいは該ストップコドンを含めて増幅でき
るように選択することが好ましい。プライマーは、好ま
しくは 5個以上の塩基からなるオリゴヌクレオチド、例
えば、10〜50個、さらに好ましくは15〜35個、より好ま
しくは18〜25個の塩基からなるオリゴヌクレオチドが挙
げられる。プライマーの作製は、当該分野で知られた方
法で行うことができ、代表的にはフォスフォジエステル
法、フォスフォトリエステル法、フォスフォアミダイト
法などにより合成でき、例えば自動DNA 合成装置、例え
ば、model 381A DNA synthesizer (Applied Biosystem
s) などを用いて合成できる。また、当該遺伝子の取得
には、所定のクローンから特異的なハイブリダイゼーシ
ョンプローブを調製し、ヒト由来DNA ライブラリーをス
クリーニングし、プローブにハイブリダイズするクロー
ンを選択することにより行うこともできる。プローブな
どを放射性同位体などによって標識するには、市販の標
識キット、例えばランダムプライムドDNA ラベリングキ
ット (Boehringer Mannheim)などを使用して行うことが
できる。例えば、random-primingキット (Pharmacia LK
B, Uppsala) などを使用して、プローブ用DNA を [α-
32P]dCTP (Amersham)などで標識し、放射活性を持つプ
ローブを得ることができる。
【0044】鋳型として用いるcDNAライブラリーは、市
販の種々の組織由来cDNAライブラリーを直接使用するこ
ともでき、例えばStratagene, Invitrogen, Clontechな
どから市販されたcDNAライブラリーを用いることができ
る。典型的な例では、該標識DNA 断片とヒト組織・細胞
から調製した遺伝子ライブラリー、例えばヒトP1 artif
icial chromosomeジェノミックライブラリー(Human Gen
ome Mapping ResourceCenter)、ヒト脳cDNAライブラリ
ー (例えば、Clontechなどから入手可能) を用い、ハイ
ブリダイゼーションを行う。ヒトcDNAライブラリーは、
例えば、λgt10などのファージ中に構築することがで
き、それを大腸菌C600hfl 株などの宿主大腸菌に感染さ
せ、プラークを形成させて得ることができる。必要に応
じて該クローン中のcDNAの挿入配列はサブクローニング
することができる。決定された塩基配列を基にして、目
的とするDNA を単離することもできる。塩基配列の決定
は、ダイデオキシ法、例えば M13ダイデオキシ法など、
Maxam-Gilbert 法などを用いて行うことができるが、市
販のシークエンシングキット、例えば Taqダイプライマ
ーサイクルシークエンシングキット(Applied Biosyste
ms)、Sequenase v 2.0 kit などを用いたり、自動塩基
配列決定装置、例えば蛍光DNA シーケンサー装置 (例え
ば、Model 373A, Applied Biosystems) などを用いて行
うことが出来る。ダイデオキシ法に用いられるポリメラ
ーゼとしては、例えば、DNA ポリメラーゼ Iのクレノー
・フラグメント、AMV 逆転写酵素、Taq DNA ポリメラー
ゼ、T7 DNAポリメラーゼ、修飾 T7 DNA ポリメラーゼな
どが挙げられる。当該遺伝子の塩基配列の全部あるいは
一部を有する核酸は、化学合成によって得ることも可能
である。その場合断片を化学合成し、それらを酵素によ
り結合することによってもよい。また、化学合成断片を
プライマーあるいはプローブとして用いて所望の配列を
得ることも可能である。
【0045】本明細書中、「オリゴヌクレオチド」と
は、比較的短い一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチド
で、好ましくはポリデオキシヌクレオチドが挙げられ、
Angew. Chem. Int. Ed. Engl., Vol.28, p.716-734 (19
89) に記載されているような既知の方法、例えば、トリ
エステル法、ホスファイト法、ホスホアミダイト法、ホ
スホネート法などの方法により化学合成されることがで
きる。通常合成は、修飾された固体支持体上で合成を便
利に行うことができることが知られており、例えば、自
動化された合成装置を用いて行うことができ、該装置は
市販されている。該オリゴヌクレオチドは、一つ又はそ
れ以上の修飾された塩基を含有していてよく、例えば、
イノシンなどの天然においては普通でない塩基あるいは
トリチル化された塩基などを含有していてよい。得られ
た PCR産物をクローニングし、得られた PCR産物を同定
し、所望のヒトclaudins, MT-MMPs などをコードするDN
A 断片を取得することもできる。また、この DNA断片を
プローブに同様にして種々のcDNAライブラリーをスクリ
ーニングし、目的とするDNA を単離することもできる。
PCR 産物のクローニングには、例えば、p-Direct (Clon
tech), pCR-Script TM SK(+) (Stratagene), pGEM-T (P
romega), pAmp TM: Gibco-BRL)などの市販のプラスミド
ベクターを用いることが出来る。
【0046】完全なオープン・リーディング・フレーム
を含む全長の遺伝子配列を取得するには、必要に応じ
て、上記の様にして得られたDNA 断片をプローブに用い
て、上記したような種々のヒト組織あるいは培養細胞か
ら構築されたcDNAライブラリーをスクリーニングし、プ
ローブにハイブリダイズするクローンを選択し、該クロ
ーン中のcDNAの挿入配列の塩基配列を決定し、該遺伝子
を構成しているDNA 断片を同定し取得する。もちろん、
必要に応じて該クローン中のcDNAの挿入配列はサブクロ
ーニングすることができる。目的とするDNA を単離する
ためには、逆転写PCR (polymerase chain reactioncoup
led reverse transcription; RT-PCR) 、RACE (rapid a
mplification of cDNA ends) を適用することが出来
る。RACEは、例えば、M. A. Innis et al. ed., "PCR P
rotocols" (M. A. Frohman, "a guide to methods and
applications"), pp.28-38, Academic Press, New York
(1990) などに記載された方法に従って行うことができ
る。RT-PCR産物はプラスミドベクターにクローニングす
ることができ、それを高効率のコンピテント細胞に導入
できる。更に、微量の細胞あるいは組織からmRNAを単離
精製できる方法、例えば、REXkit, United States Bioc
hemical; Glass MAX TM RNA spin cartridge system,Gi
bco-BRL などの市販のキットを利用し、得られたmRNAを
オリゴ(dT)プライマーを用いて逆転写して、1st strand
DNAを合成し、ついで1st strand DNAの3'末端にホモポ
リマーテール (例えば、G残基)を付けた後、あるいは
該 DNAにアダプターを付けた後、オリゴ(dT)プライマー
とオリゴ(dC)プライマーあるいはアダプタープライマー
を用いてcDNAを PCR増幅することもできる。これに適し
た市販のキットとしては、SuperScript TM pre-amplifi
cation system (Gibco-BRL); cDNA Cycle TM kit (Invi
trogen) などが挙げられる。
【0047】ハイブリダイゼーションは、サンプル(例
えば、ヒト組織・細胞から調製した遺伝子ライブラリ
ー、代表的には、λgt10などのファージ中に構築され、
それを大腸菌C600hfl 株などの宿主大腸菌に感染させ、
プラークを形成させて得たものなど、代表的には所定の
挿入DNA を保持するなどしている微生物により形成され
たプラーク) をナイロンフィルターなどの膜に転写せし
め、必要に応じ変成処理、固定化処理、洗浄処理などを
施した後、その膜に転写せしめられたものを、必要に応
じ変成させた標識プローブDNA 断片と、ハイブリダイゼ
ーション用バッファ中で反応させて行われる。ハイブリ
ダイゼーション処理は、普通約35℃〜約80℃、より好適
には約50℃〜約65℃で、約15分〜約36時間、より好適に
は約1 時間〜約24時間行われるが、適宜最適な条件を選
択して行うことができる。例えば、ハイブリダイゼーシ
ョン処理は、約55℃で約18時間行われる。ハイブリダイ
ゼーション用バッファとしては、当該分野で普通に使用
されるものの中から選んで用いることができ、例えば、
Rapid hybridization buffer(Amersham)などを用いる
ことができる。転写した膜の変成処理としては、アルカ
リ変性液を使用する方法が挙げられ、その処理後中和液
や緩衝液で処理するのが好ましい。また膜の固定化処理
としては、普通約40℃〜約 100℃、より好適には約70℃
〜約90℃で、約15分〜約24時間、より好適には約1 時間
〜約4 時間ベーキングすることにより行われるが、適宜
好ましい条件を選択して行うことができる。例えば、フ
ィルターを約80℃で約2 時間ベーキングすることにより
固定化が行われる。転写した膜の洗浄処理としては、当
該分野で普通に使用される洗浄液、例えば1M NaCl 、1m
M EDTAおよび 0.1% SodiumDodecyl sulfate (SDS) 含
有 50mM Tris-HC1緩衝液,pH8.0 などで洗うことにより
行うことができる。ナイロンフィルターなどの膜として
は、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで用
いることができ、例えば、ナイロンフィルター[ハイボ
ンド(Hybond)-N、Amersham]などを挙げることができ
る。
【0048】上記アルカリ変性液、中和液、緩衝液とし
ては、当該分野で普通に使用されるものの中から選んで
用いることができ、アルカリ変性液としては、例えば、
0.5MNaOH および1.5M NaCl を含有する液などを挙げる
ことができ、中和液としては、例えば、1.5M NaCl 含有
0.5M Tris−HCl 緩衝液,pH8.0 などを挙げることがで
き、緩衝液としては、例えば、 2×SSPE(0.36M NaCl、
20mM NaH2PO4および2mM EDTA)などを挙げることができ
る。またハイブリダイゼーション処理に先立ち、非特異
的なハイブリダイゼーション反応を防ぐために、必要に
応じて転写した膜はプレハイブリダイゼーション処理す
ることが好ましい。このプレハイブリダイゼーション処
理は、例えば、プレハイブリダイゼーション溶液[50%
formamide、 5×Denhardt's溶液(0.2 %ウシ血清アル
ブミン、0.2 % polyvinyl pyrrolidone)、 5×SSPE、
0.1 % SDS、100 μg/ml 熱変性サケ***DNA ]などに
浸し、約35℃〜約50℃、好ましくは約42℃で、約 4〜約
24時間、好ましくは約 6〜約8 時間反応させることによ
り行うことができるが、こうした条件は当業者であれば
適宜実験を繰り返し、より好ましい条件を決めることが
できる。ハイブリダイゼーションに用いる標識プローブ
DNA 断片の変成は、例えば、約70℃〜約100℃、好まし
くは約100 ℃で、約1 分間〜約60分間、好ましくは約 5
分間加熱するなどして行うことができる。なお、ハイブ
リダイゼーションは、それ自体公知の方法あるいはそれ
に準じた方法で行うことができるが、本明細書でストリ
ンジェントな条件とは、例えばナトリウム濃度に関し、
約15〜約50mM、好ましくは約19〜約40mM、より好ましく
は約19〜約20mMで、温度については約35〜約85℃、好ま
しくは約50〜約70℃、より好ましくは約60〜約65℃の条
件を示す。
【0049】ハイブリダイゼーション完了後、フィルタ
ーを十分に洗浄処理し、特異的なハイブリダイゼーショ
ン反応をした標識プローブDNA 断片以外の標識プローブ
を取り除く。フィルターの洗浄処理は、当該分野で普通
に使用されるものの中から選んで用いて行うことがで
き、例えば、0.1 % SDS含有 0.5×SSC ( O.15M NaCl、
15mM クエン酸)溶液などで洗うことにより実施でき
る。ハイブリダイズしたプラークは、代表的にはオート
ラジオグラフィーにより検出することができるが、当該
分野で用いられる方法の中から適宜選択してプラーク検
出に用いることもできる。検出したシグナルに相当する
プラークを、適切な緩衝液、例えば、SM溶液( 100mM N
aCl および10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.
5 )などに懸濁し、ついでこのファージ懸濁液を適度に
希釈して、大腸菌に感染させ、得られた大腸菌を培養し
て、その培養された大腸菌から目的組換え体ファージを
得る。なお、必要に応じて上記プローブDNA を使用し
て、ハイブリダイゼーション処理により遺伝子ライブラ
リーやcDNAライブラリーから目的組換え体ファージをス
クリーニングする処理は、繰り返して行うことができ
る。また目的組換え体ファージは、培養された大腸菌か
ら抽出処理、遠心分離処理などを施して得ることができ
る。
【0050】得られたファージ粒子などは、当該分野で
普通に使用される方法で精製分離することができ、例え
ば、グリセロールグラジエント超遠心分離法(Molecula
r cloning, a laboratory manual, ed. T. Maniatis, C
old Spring Harbor Laboratory, 2nd ed. 78, 1989)な
どにより精製することができる。ファージ粒子などから
は、当該分野で普通に使用される方法でDNA を精製分離
することができ、例えば、得られたファージなどをTM溶
液(10mM MgSO4含有50mM Tris-HCl 緩衝液、pH7.8 )な
どに懸濁し、DNase I およびRNase A などで処理後、20
mM EDTA 、50μg/ml Proteinase K 及び0.5 %SDS 混合
液などを加え、約65℃、約1 時間保温した後、これをフ
ェノール抽出ジエチルエーテル抽出後、エタノール沈殿
によりDNA を沈殿させ、次に得られたDNA を70%エタノ
ールで洗浄後乾燥し、TE溶液(10mM EDTA 含有10mM Tri
s-HC1 緩衝液、pH8.0 )に溶解するなどして得られる。
また、目的としているDNA は、サブクローニングなどに
より大量に得ることも可能であり、例えばサブクローニ
ングは、宿主として大腸菌を用いプラスミドベクターな
どを用いて行うことができる。こうしたサブクローニン
グにより得られたDNA も、上記と同様にして遠心分離、
フェノール抽出、エタノール沈殿などの方法により精製
分離できる。
【0051】クローディンファミリーなどのMT-MMPs を
介したproMMP-2活性化因子は、クローニングされている
ヒト由来のcDNAライブラリーなどの哺乳動物由来のcDNA
ライブラリー、例えば種々のヒト由来の組織あるいは培
養細胞(特には、ヒトの腎臓、脳、松果体、下垂体後
葉、網膜、胸腺、精巣、卵巣、子宮、腸、心臓、肝臓、
膵臓、小腸、大腸などの組織・細胞等)cDNAライブラリ
ーから得られたcDNA挿入配列を持つプラスミドを、適当
な検知系によって、MT-MMPs のうちの少なくとも一つを
介したproMMP-2活性化を促進していることを指標にして
選別を行うことにより検索される。具体的には、例えば
MMP-2 及びMT1-MMP の全長のcDNAを発現するベクターと
共に、試験されるべき該cDNAライブラリーから得られた
cDNA挿入配列を持つプラスミドを、適当な宿主細胞にト
ランスフェクトし、例えば潜在型、中間体、活性化型MM
P-2 を検出にかけ、活性化型MMP-2 の産生を増強する遺
伝子プラスミド集団を検索することによりなされる。こ
の検索手法は、繰り返し行なうことができる。
【0052】本発明で得られた核酸は、一本鎖DNA 、二
本鎖DNA 、RNA 、DNA:RNA ハイブリッド、合成DNA など
であり、またヒトゲノムDNA 、ヒトジェノミックDNA ラ
イブラリー、ヒト組織・細胞由来のcDNA、合成DNA のい
ずれであってもよい。該核酸は、また本明細書で具体的
に開示された特徴的な配列を有するものにストリンジェ
ントな条件下にハイブリダイズするものであってよい。
該核酸は、所望のタンパク質をコードするように、その
塩基配列は、上記したように、遺伝子組換え技術など当
業者に知られた方法で修飾(例えば、付加、除去、置換
など)され、例えば、クローディンのアミノ酸配列中に
適宜、1個ないし複数個以上のアミノ酸の置換、欠失、
挿入、転移あるいは付加したごとき変異を導入して、相
当するタンパク質を製造することができる。
【0053】本発明で得られたDNA 断片を、下記で詳し
く説明するような適当なベクター、例えば、プラスミド
pEX 、pMAMneo 、pKG5、pET3a (Stratagene) などのベ
クターに組込み、下記で詳しく説明するような適当な宿
主細胞、例えば、大腸菌、酵母、293T細胞、CHO 細胞、
COS 細胞などで発現させることができる。また、該DNA
断片は、そのままあるいは適当な制御配列を付加したDN
A 断片として、または適当なベクターに組込み、そして
動物などの細胞に導入することができる。所定の遺伝子
を発現するトランスジェニック動物を作成することもで
きる。動物としては、哺乳動物が挙げられ、例えば、マ
ウス、ラット、ウサギ、モルモット、ウシなどが挙げら
れる。好ましくは、マウスなどの動物の受精卵に該DNA
断片を導入して、トランスジェニック動物を作成するこ
とができる。その方法は当業者に知られた方法、例え
ば、米国特許明細書第4736866 号、同第4870009 号等に
記載された方法に従い行うことができる。
【0054】所定の遺伝子産物の確認を、当該遺伝子を
トランスフェクションした、293T細胞、COS-1 細胞など
のそれに適した、腫瘍由来細胞を含む動物細胞などを用
いて行うことができる。この外来遺伝子を哺乳動物など
の動物細胞に導入する方法としては当該分野で知られた
方法あるいはそれと実質的に同様な方法で行うことがで
き、例えばリン酸カルシウム法(例えば、F. L. Graham
et al., Virology, 52: 456, 1973など)、DEAE- デキ
ストラン法(例えば、D. Warden et al., J. Gen. Viro
l., 3: 371, 1968など)、エレクトロポレーション法
(例えば、E. Neumann et al., EMBO J, 1: 841, 1982
など)、マイクロインジェクション法、リボソーム法、
ウイルス感染法、ファージ粒子法などが挙げられる。こ
うして所定の遺伝子をトランスフェクションされた動物
細胞の産生する遺伝子産物は、それを解析することもで
きる。解析には、例えば、モノクローナル抗体などの抗
体を用いた免疫沈降実験あるいはウェスタンブロッティ
ングなどを用いることができる。
【0055】所定の遺伝子を組込むプラスミドとしては
遺伝子工学的に常用される宿主細胞(例えば、大腸菌、
枯草菌等の原核細胞宿主、酵母、293T細胞、CHO 細胞、
COS細胞等の真核細胞宿主、Sf21等の昆虫細胞宿主)中
で該DNA が発現できるプラスミドであればどのようなプ
ラスミドでもよい。こうした配列内には、例えば選択し
た宿主細胞で発現するのに好適なコドンに修飾されてい
ることができるし、制限酵素部位が設けられていること
もできるし、目的とする遺伝子の発現を容易にするため
の制御配列、促進配列など、目的とする遺伝子を結合す
るのに役立つリンカー、アダプターなど、さらには抗生
物質耐性などを制御したり、代謝を制御したりし、レポ
ーター配列など検出や選別などに有用な配列等を含んで
いることができる。好ましくは、適当なプロモーター、
例えば大腸菌を宿主とするプラスミドでは、トリプトフ
ァンプロモーター(trp) 、ラクトースプロモーター(la
c) 、トリプトファン・ラクトースプロモーター(tac)
、リポプロテインプロモーター(lpp)、λファージ PL
プロモーター等を、動物細胞を宿主とするプラスミドで
は、SV40レートプロモーター、MMTV LTRプロモーター、
RSV LTR プロモーター、CMV プロモーター、SRαプロモ
ーター等を、酵母を宿主とするプラスミドでは、GAL1、
GAL10 プロモーター等を使用し得る。さらにCYC1, HIS
3, ADH1, PGK, PHO5, GAPDH, ADC1, TRP1, URA3, LEU2,
EN0, TP1, AOX1等の制御系を使用することもできる。
所望ポリペプチドをコードするDNA のトランスクリプシ
ョンを促進するためエンハンサーをベクターに挿入する
ことができ、そうしたエンハンサーとしてはプロモータ
ーに働いてトランスクリプションを促進する作用を持
つ、通常おおよそ10〜100 bpの cis作用を持つエレメン
トのものが挙げられる。多くのエンハンサーが、グロビ
ン、エラスターゼ、アルブミン、α- フェトプロテイ
ン、インシュリンなどの哺乳動物遺伝子から知られてい
る。代表的には、真核細胞感染性ウイルスから得られる
エンハンサーが好適に使用でき、例えばレプリケーショ
ンオリジンのレート領域にあるSV40エンハンサー (100-
270 bp), サイトメガロウイルスの初期プロモーターの
エンハンサー, ポリオーマのレプリケーションオリジン
のレート領域にあるエンハンサー, アデノウイルスのエ
ンハンサーなどの例が挙げられる。また、必要に応じ
て、宿主にあったシグナル配列を付加することもでき、
それらは当業者によく知られているものを使用できる。
【0056】大腸菌を宿主とするプラスミドとしては、
例えばpBR322, pUC18, pUC19, pUC118, pUC119, pSP64,
pSP65, pTZ-18R/-18U, pTZ-19R/-19U, pGEM-3, pGEM-
4, pGEM-3Z, pGEM-4Z, pGEM-5Zf(-), pBluescript KS
TM (Stratagene) などが挙げられる。大腸菌での発現に
適したプラスミドベクターとしては、例えばpAS, pKK22
3 (Pharmacia), pMC1403, pMC931, pKC30, pRSET-B (In
vitrogen) なども挙げられる。動物細胞を宿主とするプ
ラスミドとしては、例えばSV40ベクター、ポリオーマ・
ウイルスベクター、ワクシニア・ウイルスベクター、レ
トロウイルスベクターなどが挙げられ、具体的には pc
D, pcD-SRα, CDM8, pCEV4, pME18S, pBC12BI, pSG5 (S
tratagene) などが挙げられる。酵母を宿主とするプラ
スミドとしては、YIp 型ベクター、YEp 型ベクター、YR
p 型ベクター、YCp 型ベクターなどが挙げられ、例えば
pGPD-2などが挙げられる。宿主細胞としては、宿主細胞
が大腸菌の場合、例えば大腸菌K12 株に由来するものが
挙げられ、例えばNM533, XL1-Blue, C600, DH1, DH5, D
H11S, DH12S, DH5α, DH10B, HB101, MC1061, JM109, S
TBL2などが挙げられ、B834株由来としては、BL21(DE3)/
pLysS などが挙げられる。宿主細胞が酵母の場合、例え
ば Saccharomyces cerevisiae, Schizosaccharomyces p
rombe, Pichia pastoris, Kluyveromyces 株, Candida,
Trichoderma reesia, その他の酵母株などが挙げられ
る。宿主細胞が動物細胞の場合、例えばアフリカミドリ
ザル線維芽細胞由来のCOS-7 細胞、COS-1 細胞、CV-1細
胞、ヒト腎細胞由来 293細胞、ヒト表皮細胞由来A431細
胞、ヒト結腸由来 205細胞、マウス線維芽細胞由来のCO
P 細胞、MOP 細胞、WOP 細胞、チャイニーズ・ハムスタ
ー細胞由来のCHO 細胞、CHO DHFR- 細胞、ヒトHeLa細
胞、マウス細胞由来C127細胞、マウス細胞由来NIH 3T3
細胞、マウスL 細胞、9BHK、HL-60 、U937、HaK 、Jurk
at細胞、その他の形質転換されて得られたセルライン、
通常の二倍体細胞、インビトロの一次培養組織から誘導
された細胞株などが挙げられる。昆虫細胞としては、カ
イコ核多角体病ウイルス (Bombyx mori nuclear polyhe
drosis virus) 、それに由来するものあるいはその他の
適切なものをベクターとし、Spodoptera frugiperda (c
aterpillar), Aedes aegypti (mosquito), Aedes albop
ictus (mosquito), Drosophila melangaster (fruitfl
y), カイコ幼虫あるいはカイコ培養細胞、例えばBM-N
細胞などを用いることが挙げられる (例えば、Luckow e
t al.,Bio/Technology, 6, 47-55 (1988); Setlow, J.
K. et al. (eds), Genetic Engineering, Vol. 8, pp.2
77-279, Plenum Publishing, 1986; Maeda et al., Nat
ure, 315, pp.592-594 (1985)) 。 Agrobacterium tume
faciensなどを利用して、植物細胞を宿主細胞として使
用することも可能であり、それに適するベクターと共
に、それらは当該分野で広く知られている。
【0057】本発明の遺伝子工学的手法においては、当
該分野で知られたあるいは汎用されている制限酵素、逆
転写酵素、DNA 断片をクローン化するのに適した構造に
修飾したりあるいは変換するための酵素であるDNA 修飾
・分解酵素、DNA ポリメラーゼ、末端ヌクレオチジルト
ランスフェラーゼ、DNA リガーゼなどを用いることが出
来る。制限酵素としては、例えば、R. J. Roberts, Nuc
leic Acids Res., 13:r165, 1985; S. Linn et al. ed.
Nucleases, p. 109, Cold Spring Harbor Lab., Cold
Spring Harbor, New York, 1982; R. J. Roberts, D. M
acelis, Nucleic Acids Res., 19: Suppl. 2077, 1991
などに記載のものが挙げられる。逆転写酵素としては、
例えばマウスモロネイ白血病ウイルス (mouse Moloney
leukemiavirus; MMLV) 由来の逆転写酵素 (reverse tra
nscriptase)、ニワトリ骨髄芽球症ウイルス (avian mye
loblastosis virus; AMV)由来の逆転写酵素などが挙げ
られる。逆転写酵素は、RNase H 欠損体などは好ましく
用いることができ、特にはRNase H 活性を欠いた修飾MM
LV RT が好ましく使用でき、さらには熱安定性の高いも
のが好ましい。適した逆転写酵素としては、MMLV RT (G
ibco-BRL) 、Superscript RT plus (Life Technologie
s) などが挙げられる。
【0058】DNA ポリメラーゼとしては、例えば大腸菌
DNA ポリメラーゼ、その誘導体であるクレノウ・フラグ
メント、大腸菌ファージT4 DNAポリメラーゼ、大腸菌フ
ァージT7 DNAポリメラーゼ、耐熱菌DNA ポリメラーゼな
どが挙げられる。末端ヌクレオチジルトランスフェラー
ゼとしては、例えばR. Wu et al. ed., "Methods inEnz
ymology", Vol. 100, p. 96, Academic Press, New Yor
k (1983) に記載の3'-OH 末端にデオキシヌクレオチド
(dNMP)を付加するTdTaseなどが挙げられる。DNA 修飾・
分解酵素としては、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレ
アーゼなどが挙げられ、例えばヘビ毒ホスホジエステラ
ーゼ、脾臓ホスホジエステラーゼ、大腸菌DNA エキソヌ
クレアーゼ I、大腸菌DNA エキソヌクレアーゼIII 、大
腸菌DNAエキソヌクレアーゼ VII、λエキソヌクレアー
ゼ、DNase I 、ヌクレアーゼS1、ミクロコッカス(Micro
coccus) ヌクレアーゼなどが挙げられる。DNA リガーゼ
としては、例えば大腸菌DNA リガーゼ、T4 DNAリガーゼ
などが挙げられる。DNA 遺伝子をクローニングしてDNA
ライブラリーを構築するのに適したベクターとしては、
プラスミド、λファージ、コスミド、P1ファージ、F因
子、YAC などが挙げられ、好ましくはλファージ由来の
ベクターが挙げられ、例えばCharon4A, Charon 21A,λg
t10, λgt11, λDASHII, λFIXII,λEMBL3,λZAPII TM
(Stratagene) などが挙げられる。
【0059】本発明のタンパク質をコードする核酸を含
有する発現ベクターで形質転換された形質転換体は、必
要に応じて適当な選択マーカーを用い、繰り返しクロー
ニングを行うことにより、高い発現能を安定して有する
細胞株を得ることができる。例えば、宿主細胞として動
物細胞を用いた形質転換体において、dhfr遺伝子を選択
マーカーとして利用した場合、MTX 濃度を徐々に上げて
培養し、耐性株を選択することにより、本発明のタンパ
ク質をコードするDNA を増幅させ、より高い発現を得ら
れる細胞株を得ることができる。本発明の形質転換体
は、本発明のタンパク質をコードする核酸が発現可能な
条件下で培養し、目的物を生成、蓄積せしめることがで
きる。該形質転換体は、当該分野で汎用されている培地
中で培養することができる。例えば、大腸菌、枯草菌等
の原核細胞宿主、酵母などを宿主としている形質転換体
は、液体培地を好適に使用することができる。培地中に
は、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機
物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえ
ばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖な
ど、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸
塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、
肉エキス、麦芽エキス、大豆粕、バレイショ抽出液など
の無機または有機物質、無機物としては,例えば、塩化
カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウ
ム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、酵母、ビ
タミン類、カザミノ酸、生長促進因子などを添加しても
よい。また、必要によりプロモーターを効率よく働かせ
るために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のよ
うな薬剤を加えることができる。培地のpHは約5〜8
が望ましい。
【0060】培養は、例えば大腸菌では通常約15〜約45
℃で約3〜約75時間行い、必要により、通気や攪拌を加
えることもできる。宿主が動物細胞である形質転換体を
培養する際、培地としては、たとえば約5〜約20%の胎
児牛血清を含むMEM 培地、PRMI1640培地、DMEM培地など
が用いられる。pHは約6〜約8であるのが好ましい。培
養は通常約30℃〜約40℃で約15〜約72時間行い、必要に
応じて通気や攪拌を加える。上記培養細胞から抽出する
に際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を
集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチー
ムおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細
胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により粗抽出液を得
る方法などを適宜用いることができる。緩衝液の中には
尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白変性剤や、トリトン X
-100(商品名)、ツウィーン-80(商品名)などの界面
活性剤を加えてあってもよい。培養液中に目的生成物が
分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法
で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に
含まれる目的生成物は、自体公知の分離・精製法を適切
に組み合わせてその精製を行なうことができ、例えば硫
酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セファデックスなど
によるゲルろ過法、例えばジエチルアミノエチル基ある
いはカルボキシメチル基などを持つ担体などを用いたイ
オン交換クロマトグラフィー法、例えばブチル基、オク
チル基、フェニル基など疎水性基を持つ担体などを用い
た疎水性クロマトグラフィー法、色素ゲルクロマトグラ
フィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィニテ
ィ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラフィ
ー法などにより精製して得ることができる。好ましく
は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、モノクローナル
抗体などの抗原と特異的に反応する抗体などのリガンド
などを固定化したアフィニティー・クロマトグラフィー
などで処理し精製分離処理できる。例えば、ゼラチン−
アガロース・アフィニティー・クロマトグラフィー、ヘ
パリン−アガロース・クロマトグラフィーなどが挙げら
れる。
【0061】該タンパク質及びその一部のペプチドの塩
としては、生理的に許容されるものあるいは医薬として
許容されるものが好ましいが、これらに限定されない。
こうした塩としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、
硝酸、リン酸などの無機酸との塩、例えば酢酸、ギ酸、
マレイン酸、フマール酸、コハク酸、クエン酸、酒石
酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、p-トルエ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などの有機酸との塩
などが挙げられる。さらに該塩としては、アンモニウム
塩、例えばエチルアミン、ジメチルアミン、トリメチル
アミン、ヒドロキシエチルアミンなどの有機塩基との塩
なども挙げられる。
【0062】該クローディン変異体、修飾体、誘導体、
その部分ペプチド断片などは、上記で説明したような分
離・精製処理を施すことができる。本発明では、「変異
体」、「断片」、「誘導体」及び「類縁体」なる用語
は、配列番号:1のポリペプチドなどのクローディンフ
ァミリーに属するポリペプチドやそれらをコードする塩
基配列から転写され且つスプライシングされていないか
又は特異的にスプライシングされた hnRNA又はmRNAによ
りコードされるポリペプチド、又はジェノミックDNA に
よりコードされるポリペプチドに関連して、その「変異
体」、「断片」、「誘導体」又は「類縁体」と称した場
合、このようなポリペプチドと本質的に同一の生物学的
機能又は活性を有しているポリペプチドの有する生物学
的機能又は活性に対して、抑制あるいは阻害する活性を
有しているポリペプチドを意味する。当該ポリペプチド
は組換えポリペプチド、天然ポリペプチド又は合成ポリ
ペプチドでよい。特定の好ましい態様では、これは組換
えポリペプチドである。
【0063】本発明で得られたDNA (例えば、変異クロ
ーディン-1をコードするDNA など)を対象動物に転移さ
せるにあたっては、それをDNA 断片としてあるいは該DN
Aを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合
して用いるのが一般に有利である。たとえば、マウスに
該DNA を導入する場合、これと相同性が高い動物由来の
所定のDNA を動物細胞で発現させうる各種プロモーター
の下流に結合した遺伝子コンストラクトを、対象動物の
受精卵、たとえばマウス受精卵へマイクロインジェクシ
ョンすることによって変異クローディン-1などを高産生
する遺伝子導入(トランスジェニック)マウスを作出で
きる。マウスとしては、特に純系のマウスに限定されな
いが、例えば、C57BL/6 、Balb/C、C3H 、(C57BL/6×DB
A/2)F1(BDF1)などが挙げられる。このプロモーターとし
ては、例えばウイルス由来プロモーター、メタロチオネ
イン等のユビキタスな発現プロモーターなどが好ましく
使用しうる。また該DNA を導入する場合、組換えレトロ
ウイルスに組み換えて、それを用いて行うこともでき
る。好適には対象DNA を導入されたマウス受精卵は、例
えば、ICR のような仮親のマウスを使用して生育せしめ
ることができる。受精卵細胞段階における本発明で得ら
れたDNA (例えば、変異クローディン-1をコードするDN
A)の転移は、対象動物の胚芽細胞および体細胞の全てに
存在するように確保される。DNA 転移後の作出動物の胚
芽細胞において当該対象ポリペプチドをコードするDNA
が存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞
および体細胞の全てに該ポリペプチドをコードするDNA
を有することを意味する。遺伝子を受け継いだこの種の
動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てにおい
て、該ポリペプチドを発現できる可能性を有している。
【0064】該DNA 導入動物は、交配により遺伝子を安
定に保持することを確認して、該DNA 保有動物として通
常の飼育環境で飼育継代を行うことができる。さらに、
目的DNA を保有する雌雄の動物を交配することにより、
導入遺伝子を相同染色体の両方に持つホモザイゴート動
物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべ
ての子孫が該DNA を有するように繁殖継代することがで
きる。該DNA が導入された動物は、該所望タンパク質が
高発現させられているので、該タンパク質の機能をスク
リーニングするための動物などとして有用である。この
遺伝子導入動物を、組織培養のための細胞源として使用
することもできる。例えば、遺伝子導入マウスの組織中
のDNA もしくはRNA を直接分析するかあるいは遺伝子に
より発現されたタンパク質組織を分析することにより、
MT1-MMP を介したproMMP-2活性化に関連した分析をする
ことができる。該ポリペプチドを有する組織の細胞を標
準組織培養技術により培養し、これらを使用して、たと
えば脳、胸腺、精巣、脳、腸、腎臓やその他の組織由来
の細胞についてその機能を研究することができる。ま
た、その細胞を用いることにより、たとえば各種組織の
機能を高めるような医薬開発に資することも可能であ
る。また、高発現細胞株があれば、そこから、所望ポリ
ペプチドを単離精製することも可能である。トランスジ
ェニック マウスなどに関連した技術は、例えば、Brin
ster, R. L., et al.,; Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
82: 4438, 1985; Costantini, F. & Jaenisch, R. (ed
s): Genetic manipulation of the early mammalian em
bryo, Cold Spring Harbor Laboratory, 1985などの文
献に記載の方法あるいはそこに引用された文献に記載の
方法、さらにはそれらの改変法により行うことができ
る。
【0065】本発明に従い、クローディンファミリーか
ら選択されたもの、MT-MMPs から選択されたもの(例え
ば、MT1-MMP)及びproMMP-2の共存する系を使用して、
(i) proMMP-2活性化を阻害する物質、(ii)クローディン
ファミリーから選択されたものとMT-MMPs から選択され
たもの(例えば、MT1-MMP)とからなる複合体形成を阻害
する物質及び/又は(iii) クローディンファミリーから
選択されたものとproMMP-2とからなる複合体形成を阻害
する物質などのスクリーニング方法が提供される。例え
ば MT1-MMP, claudin-1 及びproMMP-2(その分子を発現
する形質転換体細胞あるいはその培養物を含む) を使用
して、proMMP-2活性化を指標に物質のスクリーニングを
行うことができる。該スクリーニングでは、例えばMT1-
MMP, claudin-1及びproMMP-2を発現する形質転換体細胞
あるいはその培養物を使用し、(i) 試験試料の存在しな
い場合と、(ii)試験試料を接触させた場合との間で、当
該proMMP-2活性化につきその比較を行う。その他、上記
スクリーニングでは、当該生物学的活性(例えば、プロ
テアーゼ活性、該複合体形成、MT1-MMP を介したproMMP
-2の活性化、あるいはそれに起因する血管新生、細胞の
移動、浸潤及び/又は転移など、さらにはproMMP-2の活
性化に伴う生理的変化及び/又は生物学的変化など)を
測定して、比較することもできる。
【0066】発現分子は、そのまま使用できるが、フル
オレッセインなどの蛍光、酵素や放射性物質などで標識
したものでも使用できる。DNA 組換え技術を使用して適
当なタグを付加したものあるいは化学的な手法で標識を
付加したものも好適に使用できる。proMMP-2の活性化の
測定は当該分野で知られた手法で行うことができ、例え
ば抗体などで活性型MMP-2 を検出する方法が挙げられ
る。試験試料としては、例えばタンパク質、ペプチド、
非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、植物抽
出物、動物などの組織抽出物、細胞抽出物などが挙げら
れる。試験試料に使用される試験化合物の例には、好ま
しくは抗クローディン細胞外ドメイン抗体、変異クロー
ディン、クローディン細胞外ドメインペプチド断片など
が挙げられ、特には合成化合物を含んでいてよい。特に
好ましくは、抗クローディン細胞外ドメイン、擬クロー
ディン細胞外ドメイン化合物などが挙げられる。これら
化合物は、新規な化合物であってもよいし、公知の化合
物であってもよい。該スクリーニングは、当該分野で知
られた測定法に準じて実施することができる。また、下
記の抗体を使用しての測定法において説明した、各種標
識、緩衝液系その他適当な試薬等を使用したり、そこで
説明した操作等に準じて行うことができる。測定は通常
トリス塩酸緩衝液、リン酸塩緩衝液などの反応に悪影響
を与えないような緩衝液等の中で、例えば、pH4〜10
(好ましくは、pH約6〜8)において行うことができ
る。
【0067】これら個々のスクリーニングにあたって
は、それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業
者の通常の技術的配慮を加えて、本発明に関連した測定
系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細
については、総説、成書などを参照することができる
〔例えば、Methods in Enzymology, Vol. 1, 2, 5 & 6
(Preparation and Assay of Enzymes); 同書, Vol. 3
(Preparation and Assay ofSubstrates); 同書, Vol. 4
(Special Techniques for the Enzymologist); 同書,
Vol. 19 (Proteolytic Enzymes);同書, Vol. 45 (Prote
olytic Enzymes, Part B) ;同書, Vol. 80 (Proteolyt
ic Enzymes, Part C)(以上、Academic Press社 (USA)発
行) など参照〕。該スクリーニングを使用して、クロー
ディンファミリーから選択されたものによるMT-MMPs
(特には、MT1-MMP )を介したproMMP-2の活性化に関連
して、そのproMMP-2の活性化を促進する化合物(アゴニ
スト)や阻害する化合物(アンタゴニスト)又はそれら
の塩をスクリーニングする方法が提供され、同時にスク
リーニングするための試薬も提供される。本発明のスク
リーニング方法又はスクリーニングキットを用いて得ら
れる化合物又はその塩は、上記した試験化合物、例え
ば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成
化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組
織抽出液などから選ばれた化合物であり、該クローディ
ンファミリーから選択されたものによるMT-MMPs (特に
は、MT1-MMP )を介したproMMP-2の活性化等の機能を促
進あるいは阻害する化合物である。該化合物の塩として
は、例えば、薬学的に許容される塩などが挙げられる。
【0068】例えば、無機塩基との塩、有機塩基との
塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性ア
ミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適
な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩など
のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など
のアルカリ土類金属塩、並びにアルミニウム塩、アンモ
ニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例
としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シ
クロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-
ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化
水素酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸
との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、
クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、安息香酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、ア
ルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アス
パラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
【0069】本明細書中、「抗体」との用語は、広義の
意味で使用されるものであってよく、所望のクローディ
ンファミリーから選択されたものの細胞外ドメイン領域
及び関連ペプチド断片に対するモノクローナル抗体の単
一のものや各種エピトープに対する特異性を持つ抗体組
成物であってよく、また1価抗体または多価抗体並びに
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むもの
であり、さらに天然型(intact)分子並びにそれらのフラ
グメント及び誘導体も表すものであり、F(ab') 2, Fab'
及びFab といったフラグメントを包含し、さらに少なく
とも二つの抗原又はエピトープ (epitope)結合部位を有
するキメラ抗体若しくは雑種抗体、又は、例えば、クワ
ドローム(quadrome), トリオーム(triome)などの二重特
異性組換え抗体、種間雑種抗体、抗イディオタイプ抗
体、さらには化学的に修飾あるいは加工などされてこれ
らの誘導体と考えられるもの、公知の細胞融合又はハイ
ブリドーマ技術や抗体工学を適用したり、合成あるいは
半合成技術を使用して得られた抗体、抗体生成の観点か
ら公知である従来技術を適用したり、DNA 組換え技術を
用いて調製される抗体、本明細書で記載し且つ定義する
標的抗原物質あるいは標的エピトープに関して中和特性
を有したりする抗体又は結合特性を有する抗体を包含し
ていてよい。本明細書中「抗体」との用語は、所望のク
ローディンファミリーから選択されたものの細胞外ドメ
イン領域及び関連ペプチド断片に対する抗体と同様、抗
MMP 抗体、抗MT-MMP抗体などについても同様な意味で解
釈される。
【0070】抗原物質に対して作製されるモノクローナ
ル抗体は、培養中の一連のセルラインにより抗体分子の
産生を提供することのできる任意の方法を用いて産生さ
れる。修飾語「モノクローナル」とは、実質上均質な抗
体の集団から得られているというその抗体の性格を示す
ものであって、何らかの特定の方法によりその抗体が産
生される必要があるとみなしてはならない。個々のモノ
クローナル抗体は、自然に生ずるかもしれない変異体が
僅かな量だけ存在しているかもしれないという以外は、
同一であるような抗体の集団を含んでいるものである。
モノクローナル抗体は、高い特異性を持ち、それは単一
の抗原性をもつサイトに対して向けられているものであ
る。異なった抗原決定基(エピトープ) に対して向けら
れた種々の抗体を典型的には含んでいる通常の(ポリク
ローナル)抗体調製物と対比すると、それぞれのモノク
ローナル抗体は当該抗原上の単一の抗原決定基に対して
向けられているものである。その特異性に加えて、モノ
クローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成さ
れ、他のイムノグロブリン類の夾雑がないあるいは少な
い点でも優れている。モノクローナル抗体は、ハイブリ
ッド抗体及びリコンビナント抗体を含むものである。そ
れらは、所望の生物活性を示す限り、その由来やイムノ
グロブリンクラスやサブクラスの種別に関わりなく、可
変領域ドメインを定常領域ドメインで置き換えたり(例
えば、ヒト化抗体) 、あるいは軽鎖を重鎖で置き換えた
り、ある種の鎖を別の種の鎖でもって置き換えたり、あ
るいはヘテロジーニアスなタンパク質と融合せしめたり
して得ることができる(例えば、米国特許第4816567
号; Monoclonal Antibody Production Techniques and
Applications, pp.79-97, Marcel Dekker, Inc., New Y
ork, 1987 など) 。モノクローナル抗体を製造する好適
な方法の例には、ハイブリドーマ法 (G. Kohler and C.
Milstein, Nature, 256, pp.495-497 (1975)); ヒトB
細胞ハイブリドーマ法 (Kozbor et al., Immunology To
day, 4, pp.72-79 (1983); Kozbor,J. Immunol., 133,
pp.3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibod
y Production Techniques and Applications, pp.51-6
3, Marcel Dekker, Inc., New York (1987);トリオーマ
法; EBV-ハイブリドーマ法 (Cole et al., Monoclonal
Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc.,
pp.77-96 (1985))(ヒトモノクローナル抗体を産生する
ための方法);米国特許第4946778 号 (単鎖抗体の産生の
ための技術) が挙げられる他、抗体に関して以下の文献
が挙げられる:
【0071】S. Biocca et al., EMBO J, 9, pp.101-10
8 (1990); R.E. Bird et al., Science, 242, pp.423-4
26 (1988); M.A. Boss et al., Nucl. Acids Res., 12,
pp.3791-3806 (1984); J. Bukovsky et al., Hybridom
a, 6, pp.219-228 (1987); M.DAINO et al., Anal. Bio
chem., 166, pp.223-229 (1987); J.S. Huston et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, pp.5879-5883 (198
8); P.T. Jones et al., Nature, 321, pp.522-525 (19
86); J.J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymol
ogy", Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I:
Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies),
Academic Press, New York (1986); S.Morrison et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855
(1984); V.T. Oi et al., BioTechniques, 4, pp.214-2
21 (1986); L. Riechmann et al.,Nature, 332, pp.323
-327 (1988); A. Tramontano et al., Proc. Natl. Aca
d.Sci. USA, 83, pp.6736-6740 (1986); C. Wood et a
l., Nature, 314, pp.446-449 (1985); Nature, 314, p
p.452-454 (1985) あるいはそこで引用された文献(そ
れらの中にある記載はそれを参照することにより本明細
書の開示に含められる) 。
【0072】本発明に係るモノクローナル抗体は、それ
らが所望の生物活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の
一部が特定の種から誘導される又は特定の抗体クラス若
しくはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一又はホ
モローガスであるが、一方、鎖の残部は、別の種から誘
導される又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属す
る抗体の対応配列と同一又はホモローガスである、「キ
メラ」抗体(免疫グロブリン) を特に包含する(米国特
許第4816567 号明細書; Morrison et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 81, pp.6851-6855 (1984)) 。以下、
モノクローナル抗体を例に挙げて、抗体の作製につき詳
しく説明する。本発明のモノクローナル抗体は、ミエロ
ーマ細胞を用いての細胞融合技術を利用して得られたモ
ノクローナル抗体であってよく、例えば次のような工程
で作製できる。 1.免疫原性抗原の調製 2.免疫原性抗原による動物の免疫 3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合 5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及びモノクロー
ン化 6.モノクローナル抗体の製造
【0073】1.免疫原性抗原の調製 抗原としては、上記で記載してあるように、クローディ
ン類の細胞外ドメイン領域のタンパク質断片又はそれか
ら誘導された断片を単離したものを用いることもできる
が、配列決定されているクローディン類の細胞外ドメイ
ン領域のアミノ酸配列の情報(GenBankTM/EMBL)を基に、
適当なオリゴペプチドを化学合成しそれを抗原として利
用することができる。抗原は、そのまま適当なアジュバ
ントと混合して動物を免疫するのに使用できるが、免疫
原性コンジュゲートなどにしてもよい。免疫原として用
いる抗原は、クローディン類の細胞外ドメイン領域(例
えば、ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asp38〜Phe
67, Val55〜Cys64 及びAsn1 42〜Val155) から連続した
少なくとも3個のアミノ酸残基を選択したものであって
よい。例えば、ヒトクローディン-1を断片化したもの、
あるいはそのアミノ酸配列に基づき特徴的な配列領域を
選び、ポリペプチドをデザインして化学合成して得られ
た合成ポリペプチド断片であってもよい。また、その断
片を適当な縮合剤を介して種々の担体タンパク質類と結
合させてハプテン−タンパク質の如き免疫原性コンジュ
ゲートとし、これを用いて特定の配列のみと反応できる
(あるいは特定の配列のみを認識できる)モノクローナ
ル抗体をデザインするのに用いることもできる。デザイ
ンされるポリペプチドには予めシステイン残基などを付
加し、免疫原性コンジュゲートの調製を容易にできるよ
うにしておくことができる。担体タンパク質類と結合さ
せるにあたっては、担体タンパク質類はまず活性化され
ることができる。こうした活性化にあたり活性化結合基
を導入することが挙げられる。活性化結合基としては、
(1) 活性化エステルあるいは活性化カルボキシル基、例
えばニトロフェニルエステル基、ペンタフルオロフェニ
ルエステル基、1-ベンゾトリアゾールエステル基、N-ス
クシンイミドエステル基など、(2) 活性化ジチオ基、例
えば2-ピリジルジチオ基などが挙げられる。担体タンパ
ク質類としては、キーホール・リンペット・ヘモシアニ
ン (KLH)、牛血清アルブミン (BSA)、卵白アルブミン、
グロブリン、ポリリジンなどのポリペプタイド、細菌菌
体成分、例えばBCG などが挙げられる。
【0074】2.免疫原性抗原による動物の免疫 免疫は、当業者に知られた方法により行うことができ、
例えば村松繁、他編、実験生物学講座 14 、免疫生物
学、丸善株式会社、昭和60年、日本生化学会編、続生化
学実験講座5、免疫生化学研究法、東京化学同人、1986
年、日本生化学会編、新生化学実験講座 12 、分子免疫
学 III、抗原・抗体・補体、東京化学同人、1992年など
に記載の方法に準じて行うことができる。免疫化剤を
(必要に応じアジバントと共に)一回又はそれ以上の回
数哺乳動物に注射することにより免疫化される。代表的
には、該免疫化剤及び/又はアジバントを哺乳動物に複
数回皮下注射あるいは腹腔内注射することによりなされ
る。免疫化剤は、上記抗原ペプチド又はDNA クローニン
グして得られるリコンビナントタンパク質やそのリコン
ビナントのクローディン細胞外ドメインタンパク質ある
いはそれを酵素消化して得られた断片を含むものが挙げ
られる。免疫化剤は、免疫処理される哺乳動物において
免疫原性であることの知られているタンパク質(例えば
上記担体タンパク質類など)とコンジュゲートを形成せ
しめて使用してもよい。アジュバントとしては、例えば
フロイント完全アジュバント、リビ(Ribi)アジュバン
ト、百日咳ワクチン、BCG 、リポソーム、水酸化アルミ
ニウム、シリカ、リピッドA、合成トレハロース・ジコ
リノミコレート(TDM) アジュバントなどが挙げられる。
免疫は、例えばBALB/cなどのマウス、ハムスター、その
他の適当な動物を使用して行われる。抗原の投与量は、
例えばマウスに対して約1〜400 μg/動物で、一般に
は宿主動物の腹腔内や皮下に注射し、以後1〜4週間お
きに、好ましくは1〜2週間ごとに腹腔内、皮下、静脈
内あるいは筋肉内に追加免疫を2〜10回程度反復して行
う。免疫用のマウスとしてはBALB/c系マウスの他、BALB
/c系マウスと他系マウスとのF1マウスなどを用いること
もできる。必要に応じ、抗体価測定系を調製し、抗体価
を測定して動物免疫の程度を確認できる。本発明の抗体
は、こうして得られ免疫された動物から得られたもので
あってよく、例えば、抗血清、ポリクローナル抗体等を
包含する。
【0075】3.ミエローマ細胞(骨髄腫細胞)の調製 細胞融合に使用される無限増殖可能株(腫瘍細胞株)と
しては免疫グロブリンを産生しない細胞株から選ぶこと
ができ、例えば P3-NS-1-Ag4-1 (NS-1, Eur. J. Immuno
l., 6: 511-519, 1976), SP-2/0-Ag14 (SP-2, Nature,
276: 269〜270,1978 )、マウスミエローマ MOPC-21セル
ライン由来のP3-X63-Ag8-U1 (P3U1, Curr. topics Micr
obiol. Immunol., 81: 1-7, 1978 )、P3-X63-Ag8 (X63,
Nature,256: 495-497, 1975), P3-X63-Ag8-653 (653,
J. Immunol., 123: 1548-1550,1979) などを用いること
ができる。8-アザグアニン耐性のマウスミエローマ細胞
株はダルベッコMEM 培地 (DMEM培地) 、RPMI-1640 培地
などの細胞培地に、例えばペニシリン、アミカシンなど
の抗生物質、牛胎児血清(FCS) などを加え、さらに8−
アザグアニン(例えば5〜45μg/ml) を加えた培地で継
代されるが、細胞融合の2〜5日前に正常培地で継代し
て所要数の細胞株を用意することができる。また使用細
胞株は、凍結保存株を約37℃で完全に解凍したのち RPM
I-1640培地などの正常培地で3回以上洗浄後、正常培地
で培養して所要数の細胞株を用意したものであってもよ
い。
【0076】4.抗体産生細胞とミエローマ細胞との細
胞融合 上記2.の工程に従い免疫された動物、例えばマウスは
最終免疫後、2〜5日後にその脾臓が摘出され、それか
ら脾細胞懸濁液を得る。脾細胞の他、生体各所のリンパ
節細胞を得て、それを細胞融合に使用することもでき
る。こうして得られた脾細胞懸濁液と上記3.の工程に
従い得られたミエローマ細胞株を、例えば最小必須培地
(MEM培地) 、DMEM培地、RPMI-1640 培地などの細胞培地
中に置き、細胞融合剤、例えばポリエチレングリコール
を添加する。細胞融合剤としては、この他各種当該分野
で知られたものを用いることができ、この様なものとし
ては不活性化したセンダイウイルス(HVJ: Hemagglutina
ting Virus of Japan)なども挙げられる。好ましくは、
例えば30〜60%のポリエチレングリコールを 0.5〜2ml
加えることができ、分子量が 1,000〜8,000 のポリエチ
レングリコールを用いることができ、さらに分子量が
1,000〜4,000 のポリエチレングリコールがより好まし
く使用できる。融合培地中でのポリエチレングリコール
の濃度は、例えば30〜60%となるようにすることが好ま
しい。必要に応じ、例えばジメチルスルホキシドなどを
少量加え、融合を促進することもできる。融合に使用す
る脾細胞(リンパ球): ミエローマ細胞株の割合は、例
えば 1:1〜20:1とすることが挙げられるが、より好まし
くは 4:1〜7:1 とすることができる。融合反応を1〜10
分間行い、次にRPMI-1640 培地などの細胞培地を加え
る。融合反応処理は複数回行うこともできる。融合反応
処理後、遠心などにより細胞を分離した後選択用培地に
移す。
【0077】5.ハイブリドーマ(融合細胞)の選択及
びモノクローン化 選択用培地としては、例えばヒポキサンチン、アミノプ
テリン及びチミジンを含む、FCS 含有MEM 培地、RPMI-1
640 培地などの培地、所謂 HAT培地が挙げられる。選択
培地交換の方法は、一般的には培養プレートに分注した
容量と等容量を翌日加え、その後1〜3日ごとに HAT培
地で半量ずつ交換するというように処理することができ
るが、適宜これに変更を加えて行うこともできる。また
融合後8〜16日目には、アミノプテリンを除いた、所謂
HT培地で1〜4日ごとに培地交換をすることができる。
フィーダーとして、例えばマウス胸腺細胞を使用するこ
ともでき、それが好ましい場合がある。ハイブリドーマ
の増殖のさかんな培養ウェルの培養上清を、例えば放射
免疫分析(RIA) 、酵素免疫分析(ELISA) 、蛍光免疫分析
(FIA) などの測定系、あるいは蛍光惹起細胞分離装置(F
ACS)などで、所定の断片ペプチドを抗原として用いた
り、あるいは標識抗マウス抗体を用いて目的抗体を測定
するなどして、スクリーニングしたりする。目的抗体を
産生しているハイブリドーマをクローニングする。クロ
ーニングは、寒天培地中でコロニーをピック・アップす
るか、あるいは限界希釈法によりなされうる。限界希釈
法でより好ましく行うことができる。クローニングは複
数回行うことが好ましい。
【0078】6.モノクローナル抗体の製造 得られたハイブリドーマ株は、FCS 含有MEM 培地、RPMI
-1640 培地などの適当な増殖用培地中で培養し、その培
地上清から所望のモノクローナル抗体を得ることが出来
る。大量の抗体を得るためには、ハイブリドーマを腹水
化することが挙げられる。この場合ミエローマ細胞由来
の動物と同系の組織適合性動物の腹腔内に各ハイブリド
ーマを移植し、増殖させるか、あるいは例えばヌード・
マウスなどに各ハイブリドーマを移植し、増殖させ、該
動物の腹水中に産生されたモノクローナル抗体を回収し
て得ることが出来る。動物はハイブリドーマの移植に先
立ち、プリスタン(2,6,10,14-テトラメチルペンタデカ
ン)などの鉱物油を腹腔内投与しておくことができ、そ
の処理後、ハイブリドーマを増殖させ、腹水を採取する
こともできる。腹水液はそのまま、あるいは従来公知の
方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿法などの塩析、セフ
ァデックスなどによるゲルろ過法、イオン交換クロマト
グラフィー法、電気泳動法、透析、限外ろ過法、アフィ
ニティ・クロマトグラフィー法、高速液体クロマトグラ
フィー法などにより精製してモノクローナル抗体として
用いることができる。好ましくは、モノクローナル抗体
を含有する腹水は、硫安分画した後、DEAE−セファロー
スの如き、陰イオン交換ゲル及びプロテインAカラムの
如きアフィニティ・カラムなどで処理し精製分離処理で
きる。特に好ましくは抗原又は抗原断片(例えば合成ペ
プチド、組換え抗原タンパク質あるいはペプチド、抗体
が特異的に認識する部位など)を固定化したアフィニテ
ィ・クロマトグラフィー、プロテインAを固定化したア
フィニティ・クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイ
ト・クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0079】また、トランスジェニックマウス又はその
他の生物、例えば、その他の哺乳動物は、本発明の免疫
原ポリペプチド産物に対するヒト化抗体等の抗体を発現
するのに用いることができる。またこうして大量に得ら
れた抗体の配列を決定したり、ハイブリドーマ株から得
られた抗体をコードする核酸配列を利用して、遺伝子組
換え技術により抗体を作製することも可能である。当該
モノクローナル抗体をコードする核酸は、例えばマウス
抗体の重鎖や軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結
合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用するなどの
慣用の手法で単離し配列決定することができる。一旦単
離されたDNA は、上記したようにして発現ベクターに入
れ、CHO,COSなどの宿主細胞に入れることができる。該D
NA は、例えばホモジーニアスなマウスの配列に代え
て、ヒトの重鎖や軽鎖の定常領域ドメインをコードする
配列に置換するなどして修飾することが可能である (Mo
rrison et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 81: 658
1, 1984)。かくして所望の結合特異性を有するキメラ抗
体やハイブリッド抗体も調製することが可能である。ま
た、抗体は、下記するような縮合剤を用いることを含め
た化学的なタンパク合成技術を適用して、キメラ抗体や
ハイブリッド抗体を調製するなどの修飾をすることも可
能である。ヒト化抗体は、当該分野で知られた技術によ
り行うことが可能である(例えば、Jones et al., Natu
re, 321: pp.522-525 (1986); Riechmann et al., Natu
re, 332: pp.323-327 (1988); Verhoeyen et al., Scie
nce, 239: pp.1534-1536 (1988))。ヒトモノクローナル
抗体も、当該分野で知られた技術により行うことが可能
で、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのヒトミエ
ローマ細胞やヒト・マウスヘテロミエローマ細胞は当該
分野で知られている (Kozbor, J. Immunol.,133, pp.30
01 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Pro
duction Techniques and Applications, pp.51-63, Mar
cel Dekker, Inc., New York (1987)) 。バイスペシフ
ィックな抗体を製造する方法も当該分野で知られている
(Millstein et al., Nature, 305: pp.537-539 (198
3); WO93/08829; Traunecker etal., EMBO J., 10: pp.
3655-3659 (1991); Suresh et al., "Methods in Enzym
ology", Vol. 121, pp.210 (1986)) 。
【0080】さらにこれら抗体をトリプシン、パパイ
ン、ペプシンなどの酵素により処理して、場合により還
元して得られるFab 、Fab'、F(ab')2 といった抗体フラ
グメントにして使用してもよい。抗体は、既知の任意の
検定法、例えば競合的結合検定、直接及び間接サンドイ
ッチ検定、及び免疫沈降検定に使用することができる
(Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniq
ues, pp.147-158 (CRC Press, Inc., 1987) 。抗体を検
出可能な原子団にそれぞれコンジュゲートするには、当
分野で知られる任意の方法を使用することができ、例え
ば、David et al., Biochemistry, 13巻, 1014-1021 頁
(1974); Pain et al, J. Immunol. Meth., 40: pp.219
-231 (1981);及び "Methods in Enzymology", Vol. 18
4, pp.138-163 (1990) により記載の方法が挙げられ
る。標識物を付与する抗体としては、IgG 画分、更には
ペプシン消化後還元して得られる特異的結合部Fab'を用
いることができる。これらの場合の標識物の例として
は、下記するように酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリ
ホスファターゼあるいはβ-D- ガラクトシダーゼな
ど)、化学物質、蛍光物質あるいは放射性同位元素など
がある。
【0081】本発明での検知・測定は、イムノ染色、例
えば組織あるいは細胞染色、イムノアッセイ、例えば競
合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行
うことができ、ラジオイムノアッセイ、ELISA などを用
いることができ、B-F 分離を行ってもよいし、あるいは
行わないでその測定を行うことができる。好ましくは放
射免疫測定法や酵素免疫測定法であり、さらにサンドイ
ッチ型アッセイが挙げられる。例えばサンドイッチ型ア
ッセイでは、一方を本発明のクローディンファミリーか
ら選択されたものの細胞外ドメイン領域及び関連ペプチ
ド断片に対する抗体とし、他方をクローディンファミリ
ーから選択されたもの、MT-MMPs(例えばMT1MMPなど) あ
るいはproMMP-2に対する抗体とし、そして一方を検出可
能に標識化する。同じ抗原を認識できる他の抗体を固相
に固定化する。検体と標識化抗体及び固相化抗体を必要
に応じ順次反応させるためインキュベーション処理し、
ここで非結合抗体を分離後、標識物を測定する。測定さ
れた標識の量は抗原の量と比例する。このアッセイで
は、不溶化抗体や、標識化抗体の添加の順序に応じて同
時サンドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サン
ドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイ
などと呼ばれる。例えば洗浄、撹拌、震盪、ろ過あるい
は抗原の予備抽出等は、特定の状況のもとでそれら測定
工程の中で適宜採用される。特定の試薬、緩衝液等の濃
度、温度あるいはインキュベーション処理時間などのそ
の他の測定条件は、検体中の抗原の濃度、検体試料の性
質等の要素に従い変えることができる。当業者は通常の
実験法を用いながら各測定に対して有効な最適の条件を
適宜選定して測定を行うことが出来る。
【0082】抗原あるいは抗体を固相化できる多くの担
体が知られており、本発明ではそれらから適宜選んで用
いることができる。担体としては、抗原抗体反応などに
使用されるものが種々知られており、本発明においても
勿論これらの公知のものの中から選んで使用できる。特
に好適に使用されるものとしては、例えばガラス、例え
ば活性化ガラス、多孔質ガラス、シリカゲル、シリカ−
アルミナ、アルミナ、磁化鉄、磁化合金などの無機材
料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、
ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリ
レート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、ス
チレン−メタクリレート共重合体、ポリグリシジルメタ
クリレート、アクロレイン−エチレングリコールジメタ
クリレート共重合体など、架橋化アルブミン、コラーゲ
ン、ゼラチン、デキストラン、アガロース、架橋アガロ
ース、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、セルロースアセテートなどの天然または
変成セルロース、架橋デキストラン、ナイロンなどのポ
リアミド、ポリウレタン、ポリエポキシ樹脂などの有機
高分子物質、さらにそれらを乳化重合して得られたも
の、細胞、赤血球などで、必要に応じ、シランカップリ
ング剤などで官能性基を導入してあるものが挙げられ
る。さらに、ろ紙、ビーズ、試験容器の内壁、例えば試
験管、タイタープレート、タイターウェル、ガラスセ
ル、合成樹脂製セルなどの合成材料からなるセル、ガラ
ス棒、合成材料からなる棒、末端を太くしたりあるいは
細くしたりした棒、末端に丸い突起をつけたりあるいは
偏平な突起をつけた棒、薄板状にした棒などの固体物質
(物体)の表面などが挙げられる。
【0083】これら担体へは、抗体を結合させることが
でき、好ましくは本発明で得られる抗原に対し特異的に
反応するモノクローナル抗体を結合させることができ
る。担体とこれら抗原抗体反応に関与するものとの結合
は、吸着などの物理的な手法、あるいは縮合剤などを用
いたり、活性化されたものなどを用いたりする化学的な
方法、さらには相互の化学的な結合反応を利用した手法
などにより行うことが出来る。標識としては、酵素、酵
素基質、酵素インヒビター、補欠分子類、補酵素、酵素
前駆体、アポ酵素、蛍光物質、色素物質、化学ルミネッ
センス化合物、発光物質、発色物質、磁気物質、金属粒
子、例えば金コロイドなど、放射性物質などを挙げるこ
とができる。酵素としては、脱水素酵素、還元酵素、酸
化酵素などの酸化還元酵素、例えばアミノ基、カルボキ
シル基、メチル基、アシル基、リン酸基などを転移する
のを触媒する転移酵素、例えばエステル結合、グリコシ
ド結合、エーテル結合、ペプチド結合などを加水分解す
る加水分解酵素、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼな
どを挙げることができる。酵素は複数の酵素を複合的に
用いて検知に利用することもできる。例えば酵素的サイ
クリングを利用することもできる。
【0084】代表的な放射性物質の標識用同位体元素と
しては、[32P], [125I], [131I],[3H],[14 C],[35S] な
どが挙げられる。代表的な酵素標識としては、西洋ワサ
ビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼ、大腸菌β
-D- ガラクトシダーゼなどのガラクトシダーゼ、マレエ
ート・デヒドロゲナーゼ、グルコース-6- フォスフェー
ト・デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル
コアミラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、カタラー
ゼ、ウシ小腸アルカリホスファターゼ、大腸菌アルカリ
ホスファターゼなどのアルカリフォスファターゼなどが
挙げられる。アルカリホスファターゼを用いた場合、4-
メチルウンベリフェリルフォスフェートなどのウンベリ
フェロン誘導体、ニトロフェニルホスフェートなどのリ
ン酸化フェノール誘導体、NADPを利用した酵素的サイク
リング系、ルシフェリン誘導体、ジオキセタン誘導体な
どの基質を使用したりして、生ずる蛍光、発光などによ
り測定できる。ルシフェリン、ルシフェラーゼ系を利用
したりすることもできる。カタラーゼを用いた場合、過
酸化水素と反応して酸素を生成するので、その酸素を電
極などで検知することもできる。電極としてはガラス電
極、難溶性塩膜を用いるイオン電極、液膜型電極、高分
子膜電極などであることもできる。酵素標識は、ビオチ
ン標識体と酵素標識アビジン(ストレプトアビジン)に
置き換えることも可能である。標識は、複数の異なった
種類の標識を使用することもできる。こうした場合、複
数の測定を連続的に、あるいは非連続的に、そして同時
にあるいは別々に行うことを可能にすることもできる。
【0085】本発明においては、信号の形成に4-ヒドロ
キシフェニル酢酸、1,2-フェニレンジアミン、テトラメ
チルベンジジンなどと西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、
ウンベリフェリルガラクトシド、ニトロフェニルガラク
トシドなどとβ-D- ガラクトシダーゼ、グルコース-6-
リン酸・デヒドロゲナーゼなどの酵素試薬の組合わせも
利用でき、ヒドロキノン、ヒドロキシベンゾキノン、ヒ
ドロキシアントラキノンなどのキノール化合物、リポ
酸、グルタチオンなどのチオール化合物、フェノール誘
導体、フェロセン誘導体などを酵素などの働きで形成し
うるものが使用できる。蛍光物質あるいは化学ルミネッ
センス化合物としては、フルオレセインイソチオシアネ
ート、例えばローダミンBイソチオシアネート、テトラ
メチルローダミンイソチオシアネートなどのローダミン
誘導体、ダンシルクロリド、ダンシルフルオリド、フル
オレスカミン、フィコビリプロテイン、アクリジニウム
塩、ルミフェリン、ルシフェラーゼ、エクォリンなどの
ルミノール、イミダゾール、シュウ酸エステル、希土類
キレート化合物、クマリン誘導体などが挙げられる。標
識するには、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジ
ルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアル
デヒド基の反応などを利用して行うことができ、公知の
方法あるいは当該分野の当業者が容易になしうる方法、
さらにはそれらを修飾した方法の中から適宜選択して適
用できる。また上記免疫原性複合体作製に使用されるこ
とのできる縮合剤、担体との結合に使用されることので
きる縮合剤などを用いることができる。
【0086】縮合剤としては、例えばホルムアルデヒ
ド、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N'- ポ
リメチレンビスヨードアセトアミド、N,N'- エチレンビ
スマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジル
スクシネート、ビスジアゾベンジジン、1-エチル-3-(3-
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイ
ミジル 3-(2- ピリジルジチオ)プロピオネート(SPD
P)、N-スクシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シ
クロヘキサン-1- カルボキシレート(SMCC)、N-スルホス
クシンイミジル 4-(N- マレイミドメチル)シクロヘキ
サン-1- カルボキシレート、N-スクシンイミジル (4-
ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N-スクシンイミ
ジル 4-(1-マレイミドフェニル)ブチレート、 N-(ε
−マレイミドカプロイルオキシ)コハク酸イミド(EMC
S), イミノチオラン、S-アセチルメルカプトコハク酸無
水物、メチル-3-(4'- ジチオピリジル)プロピオンイミ
デート、メチル-4- メルカプトブチリルイミデート、メ
チル-3- メルカプトプロピオンイミデート、N-スクシン
イミジル-S- アセチルメルカプトアセテートなどが挙げ
られる。
【0087】本発明の測定法によれば、測定すべき物質
を酵素などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗
体試薬と、担体に結合された抗体とを順次反応させるこ
とができるし、同時に反応させることもできる。試薬を
加える順序は選ばれた担体系の型により異なる。感作さ
れたプラスチックなどのビーズを用いた場合には、酵素
などで標識したモノクローナル抗体などの標識抗体試薬
を測定すべき物質を含む検体試料と共に最初適当な試験
管中に一緒に入れ、その後該感作されたプラスチックな
どのビーズを加えることにより測定を行うことができ
る。本発明の定量法においては、免疫学的測定法が用い
られるが、その際の固相担体としては、抗体などタンパ
ク質を良く吸着するポリスチレン製、ポリカーボネイト
製、ポリプロピレン製あるいはポリビニル製のボール、
マイクロプレート、スティック、微粒子あるいは試験管
などの種々の材料および形態を任意に選択し、使用する
ことができる。測定にあたっては至適pH、例えばpH約4
〜約9に保つように適当な緩衝液系中で行うことができ
る。特に適切な緩衝剤としては、例えばアセテート緩衝
剤、クエン酸塩緩衝剤、フォスフェート緩衝剤、トリス
緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ボレート緩衝
剤、グリシン緩衝剤、炭酸塩緩衝剤、トリス−塩酸緩衝
剤などが挙げられる。緩衝剤は互いに任意の割合で混合
して用いることができる。抗原抗体反応は約0℃〜約60
℃の間の温度で行うことが好ましい。酵素などで標識さ
れたモノクローナル抗体などの抗体試薬及び担体に結合
せしめられた抗体試薬、さらには測定すべき物質のイン
キュベーション処理は、平衡に達するまで行うことがで
きるが、抗原抗体反応の平衡が達成されるよりもずっと
早い時点で固相と液相とを分離して限定されたインキュ
ベーション処理の後に反応を止めることができ、液相又
は固相のいずれかにおける酵素などの標識の存在の程度
を測ることができる。測定操作は、自動化された測定装
置を用いて行うことが可能であり、ルミネセンス・ディ
テクター、ホト・ディテクターなどを使用して基質が酵
素の作用で変換されて生ずる表示シグナルを検知して測
定することもできる。
【0088】抗原抗体反応においては、それぞれ用いら
れる試薬、測定すべき物質、さらには酵素などの標識を
安定化したり、抗原抗体反応自体を安定化するように適
切な手段を講ずることができる。さらに、非特異的な反
応を除去し、阻害的に働く影響を減らしたり、あるいは
測定反応を活性化したりするため、タンパク質、安定化
剤、界面活性化剤、キレート化剤などをインキュベーシ
ョン溶液中に加えることもできる。キレート化剤として
は、エチレンジアミン四酢酸塩 (EDTA) がより好まし
い。当該分野で普通に採用されていたりあるいは当業者
に知られた非特異的結合反応を防ぐためのブロッキング
処理を施してもよく、例えば、哺乳動物などの正常血清
タンパク質、アルブミン、スキムミルク、乳発酵物質、
コラーゲン、ゼラチンなどで処理することができる。非
特異的結合反応を防ぐ目的である限り、それらの方法は
特に限定されず用いることが出来る。本発明の測定方法
で測定される試料としては、あらゆる形態の溶液やコロ
イド溶液、非流体試料などが使用しうるが、好ましくは
生物由来の試料、例えば胸腺、睾丸、腸、腎臓、脳、乳
癌、卵巣癌、結腸・直腸癌、血液、血清、血漿、関節
液、脳脊髄液、唾液、羊水、尿、その他の体液、細胞培
養液、組織培養液、組織ホモジュネート、生検試料、組
織、細胞などが挙げられる。これら個々の免疫学的測定
法を含めた各種の分析・定量法を本発明の測定方法に適
用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要
とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作
法に当業者の通常の技術的配慮を加えて、本発明の当該
対象物質あるいはそれと実質的に同等な活性を有する物
質に関連した測定系を構築すればよい。
【0089】これらの一般的な技術手段の詳細について
は、総説、成書などを参照することができる〔例えば、
入江 寛編,「ラジオイムノアッセイ」,講談社,昭和
49年発行;入江 寛編,「続ラジオイムノアッセイ」,
講談社,昭和54年発行;石川栄治ら編,「酵素免疫測定
法」,医学書院,昭和53年発行;石川栄治ら編,「酵素
免疫測定法」(第2版),医学書院,昭和57年発行;石
川栄治ら編,「酵素免疫測定法」(第3版),医学書
院,昭和62年発行;H. V. Vunakis et al. (ed.), "Met
hods in Enzymology", Vol. 70 (Immunochemical Techn
iques, Part A),Academic Press, New York (1980); J.
J. Langone et al. (ed.), "Methods inEnzymology",
Vol. 73 (Immunochemical Techniques, Part B), Acade
mic Press, New York (1981); J. J. Langone et al.
(ed.), "Methods in Enzymology",Vol. 74 (Immunochem
ical Techniques, Part C), Academic Press, New York
(1981); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods in E
nzymology", Vol. 84 (Immunochemical Techniques, Pa
rt D: Selected Immunoassays), Academic Press,New Y
ork (1982); J. J. Langone et al. (ed.), "Methods i
n Enzymology", Vol. 92 (Immunochemical Techniques,
Part E: Monoclonal Antibodies and General Immunoa
ssay Methods), Academic Press, New York (1983); J.
J. Langoneet al. (ed.), "Methods in Enzymology",
Vol. 121 (Immunochemical Techniques, Part I: Hybri
doma Technology and Monoclonal Antibodies), Academ
ic Press, New York (1986); J. J. Langone et al. (e
d.), "Methods in Enzymology", Vol. 178 (Antibodie
s, Antigens, and Molecular Mimicry), Academic Pres
s, New York (1989); M. Wilchek et al. (ed.), "Meth
ods in Enzymology", Vol. 184 (Avidin-Biotin Techno
logy), Academic Press, New York (1990); J.J. Lango
ne et al. (ed.), "Methods in Enzymology", Vol. 203
(Molecular Design and Modeling: Concepts and Appl
ications, Part B: Anibodies and Antigens, Nucleic
Acids, Polysaccharides, and Drugs), Academic Pres
s, New York (1991) などあるいはそこで引用された文
献 (それらの中にある記載はそれを参照することにより
本明細書の開示に含められる) 〕。
【0090】本発明の抗クローディン細胞外ドメイン抗
体、特にモノクローナル抗体を用いて、エピトープマッ
ピングを行うこともでき、各エピトープを認識する抗体
を用いれば所定のクローディン細胞外ドメイン領域及び
その関連ペプチド断片などの検知・測定を行うことがで
きる。クローディン細胞外ドメイン及びその関連ペプチ
ド断片に対する抗体は、MT1-MMP を介したproMMP-2の活
性化などのクローディンによるMT-MMP類を介したproMMP
-2活性化に関連する現象の検出及び/又は測定、さらに
はMMPs活性の過剰により生ずる各種の生理活性物質の検
出及び/又は測定に有用である。該抗体、特にモノクロ
ーナル抗体は、(i) MMPsによる組織あるいはタンパク質
の分解が関連する障害、異常及び/又は疾患を検出した
り、(ii) MMPs による組織あるいはタンパク質の分解が
引き起こす細胞の腫瘍化、血管新生、細胞の移動、浸
潤、遊走及び/又は転移あるいはその可能性を検出した
り、及び/又は(iii) 細胞の腫瘍化、腫瘍細胞、血液系
細胞などの血管新生、細胞の移動、浸潤、遊走及び/又
は転移あるいはその可能性を検出するのに有用である。
癌の移動性、浸潤性、走化性及び/又は転移性の程度を
知るのに使用できると期待される。本発明では、クロー
ディンが、MT-MMPs (例えば、MT1-MMP)を介したproMMP
-2の活性化に関与するとの知見を提供しており、クロー
ディンによるMT-MMP類を介したproMMP-2活性化に関連す
る現象を検出及び/又は測定する手法、手段、さらには
そのための試薬を提供することを可能とし、クローディ
ンによるMT-MMP類を介したproMMP-2活性化が関連する障
害、異常及び/又は疾患を検出及び/又は測定したり、
細胞の腫瘍化、血管新生、細胞の移動、浸潤、遊走及び
/又は転移あるいはその可能性を検出したり、及び/又
は、抗癌剤、癌転移阻害剤、血管新生阻害剤、アルツハ
イマー治療剤、関節破壊治療剤、消炎剤及び/又は免疫
抑制剤の効果判定モニターとして使用したりすることが
可能となる。また、本発明では、MT1-MMP を介したproM
MP-2活性化による組織あるいはタンパク質の分解現象の
検出及び/又は測定方法やそのための試薬が提供でき
る。こうした中には、クローディンの発現を制御するこ
と及びそのための試薬・化合物も含まれる。
【0091】さらに、本発明では、クローディンの細胞
外ドメイン領域、例えばヒトクローディン-1のアミノ酸
配列 Asp38〜Phe67, Val55〜Cys64 及びAsn142〜Val155
から成る群から選ばれたものに基づいて分子設計を施し
て、MMPsによる各種タンパク質のプロセッシング(特に
は、MT1-MMP を介したproMMP-2の活性化) を抑制あるい
は阻害する活性を有する物質を得るのに使用できる。こ
うして得られる物質も本発明の思想の範囲内のものであ
るし、本発明の活性成分として扱うことができる。該配
列から特定の特徴部分を選択し、(i) そのうちの薬理作
用団をイソスターで置き換えることによりなされるか、
(ii) 構成アミノ酸残基の少なくとも1個をD体のアミ
ノ酸残基に置き換えるか、(iii) アミノ酸残基の側鎖を
修飾するか、(iv) 該配列に存在するアミノ酸残基とは
異なるアミノ酸残基を配置して連結するか、(v) 立体構
造を解析してmimic 体をデザインすることなど、当該分
野で採用される技術を駆使して行うことができる(例え
ば、首藤 紘一 編 医薬品の開発7巻(分子設計)、
平成2年6月25日発行、株式会社廣川書店及びそこで引
用している文献や論文など) 。そうした技術の一部は、
上記で説明したものを含んでいる。
【0092】本発明の活性成分は、MT-MMPs による各種
組織あるいはタンパク質のプロセッシング、例えば少な
くともMT1-MMP によるproMMP-2などのタンパク質のプロ
セッシングを抑制あるいは阻害するのに有用と期待され
る。また、該活性成分は、MMPs、例えばMMP-2 活性発現
の抑制に有用であり、MT1-MMP 遺伝子発現細胞における
MMPsによるタンパク質のプロセッシングが関連する障
害、異常及び/又は疾患の予防あるいは治療に有用であ
る。また、MMPsが関与する腫瘍細胞などの移動、浸潤、
遊走及び/又は転移の制御、例えば抑制に有用であると
期待される。クローディン変異体及びその細胞外ドメイ
ン関連ペプチドは、悪性腫瘍、すなわち癌の移動、浸潤
及び/又は転移の阻止及び/又は抑制するのに有用で、
血管新生阻害剤、抗腫瘍剤及び/又は癌転移抑制剤とし
て期待できる。また、血液系細胞の、MMPsによるプロセ
ッシングに関連する障害、異常及び/又は疾患の予防あ
るいは治療にも有用で、消炎剤及び/又は免疫抑制剤と
しても期待できる。さらに、アルツハイマー治療剤、関
節破壊治療剤などとしても期待できる。本発明の活性成
分は、MT1-MMP によるproMMP-2の活性化を高める働きを
持つものであることもできる。該成分は、proMMP-2活性
化に関連した生理学的反応及び/又は生物学的反応を促
進するものであることもできる。
【0093】本発明の活性成分は、クローディンが関与
しMT-MMPs (特には、MT1-MMP)を介したproMMP-2活性化
において、該proMMP-2活性化、クローディンとMT-MMPs
(特には、MT1-MMP)との複合体形成、クローディンとpr
oMMP-2との複合体形成などといった生物学的活性を抑制
及び/又は阻害する作用をもつものであれば特に限定さ
れないが、好ましくは有利な作用を持つものが挙げられ
る。該活性成分は、例えば、(a) クローディン変異タン
パク質、その一部のペプチドまたはそれらの塩、クロー
ディン細胞外ドメインタンパク質、その一部のペプチド
またはそれらの塩、その変異体、類縁体、誘導体等、
(b) 該クローディン変異体あるいはクローディン細胞外
ドメイン領域をコードするDNA などの核酸等、(c) 本発
明の抗体、その一部断片(モノクローナル抗体を包含す
る) またはその誘導体、(d) クローディンとMT1-MMP と
の複合体形成、クローディンとproMMP-2との複合体形成
作用といった生物学的活性を抑制及び/又は阻害する化
合物またはその塩などが包含される。
【0094】本発明の活性成分は、クローディンが関与
しMT-MMPs (特には、MT1-MMP)を介したproMMP-2のプロ
セッシングにおいて、該proMMP-2活性化、クローディン
とMT-MMPs (特には、MT1-MMP)との複合体形成、クロー
ディンとproMMP-2との複合体形成などによりproMMP-2を
活性型に変換する過程を抑制あるいは阻害するのに有用
と期待される。また、該活性成分は、proMMP-2の過度の
活性化により影響される及び/又は消失する機能の維持
あるいは回復に有用であり、クローディンとMT-MMPs
(特には、MT1-MMP)との複合体形成、クローディンとpr
oMMP-2との複合体形成などにより生ずるproMMP-2のプロ
セッシング、例えば少なくともクローディンが関与する
proMMP-2の活性化が関連する障害、異常及び/又は疾患
の予防あるいは治療に有用である。また、クローディン
によるproMMP-2のプロセッシングを抑制あるいは阻害す
るのに有用である。加えて、MT1-MMP 遺伝子発現細胞の
移動、浸潤及び/又は転移の制御、例えば抑制に有用で
あり、該発現細胞におけるMT1-MMP によるproMMP-2のプ
ロセッシングに関連して血管新生、細胞の移動、浸潤及
び/又は転移により生ずる障害、異常及び/又は疾患の
予防あるいは治療に有用であると期待される。さらにま
た、本発明のクローディン細胞外ドメインタンパク質や
クローディン細胞外ドメインに対する抗体を含めた活性
成分は、MT1-MMP 遺伝子を発現している血管新生、細胞
の移動、浸潤及び/又は転移の制御、例えば抑制に有用
であり、該クローディンが関与する複合体形成によるpr
oMMP-2活性化に関連して血管新生、細胞の移動、浸潤及
び/又は転移の亢進により生ずる障害、異常及び/又は
疾患の予防あるいは治療に有用である。特には、癌など
の腫瘍細胞の移動、浸潤及び/又は転移の阻止及び/又
は抑制するのに有用で、抗腫瘍剤及び/又は癌転移抑制
剤として期待できる。
【0095】本発明の活性成分〔例えば、(a) クローデ
ィン変異体タンパク質、その一部のペプチドまたはそれ
らの塩、あるいはその類縁体、誘導体等、クローディン
の細胞外ドメインペプチド断片またはそれらの塩、ある
いはその変異体、類縁体、誘導体等、(b) 該変異体や細
胞外ドメインペプチド断片などをコードするDNA などの
核酸等、(c) 本発明の抗体、その一部断片(モノクロー
ナル抗体を包含する)またはその誘導体、(d) MT1-MMP
などのMT-MMPs を介したproMMP-2活性化とか当該複合体
形成といった生物学的活性を抑制及び/又は阻害する化
合物またはその塩、(e) クローディンが関与するMT1-MM
P などのMT-MMPs を介したproMMP-2活性化のアゴニスト
あるいはアンタゴニストまたはその塩など〕を医薬とし
て用いる場合、通常単独或いは薬理的に許容される各種
製剤補助剤と混合して、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。好ましくは、経口投与、
局所投与、または非経口投与等の使用に適した製剤調製
物の形態で投与され、目的に応じていずれの投与形態
(吸入法、あるいは直腸投与も包含される)によっても
よい。また、本発明の活性成分は、抗腫瘍剤(抗癌
剤)、腫瘍移転阻害剤、血管新生阻害剤、アルツハイマ
ー治療剤、関節破壊治療剤、消炎剤及び/又は免疫抑制
剤と配合して使用することもできる。抗腫瘍剤(抗癌
剤)、腫瘍移転阻害剤、血管新生阻害剤、アルツハイマ
ー治療剤、関節破壊治療剤、消炎剤や免疫抑制剤として
は、有利な働きを持つものであれば制限なく使用でき、
例えば当該分野で知られたものの中から選択することが
できる。
【0096】そして、非経口的な投与形態としては、局
所、経皮、静脈内、筋肉内、皮下、皮内もしくは腹腔内
投与を包含し得るが、患部への直接投与も可能であり、
またある場合には好適でもある。好ましくはヒトを含む
哺乳動物に経口的に、あるいは非経口的(例、細胞内、
組織内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、胸腔
内、脊髄腔内、点滴法、注腸、経直腸、点耳、点眼や点
鼻、歯、皮膚や粘膜への塗布など)に投与することがで
きる。具体的な製剤調製物の形態としては、溶液製剤、
分散製剤、半固形製剤、粉粒体製剤、成型製剤、浸出製
剤などが挙げられ、例えば、錠剤、被覆錠剤、糖衣を施
した剤、丸剤、トローチ剤、硬カプセル剤、軟カプセル
剤、マイクロカプセル剤、埋込剤、粉末剤、散剤、顆粒
剤、細粒剤、注射剤、液剤、エリキシル剤、エマルジョ
ン剤、灌注剤、シロップ剤、水剤、乳剤、懸濁剤、リニ
メント剤、ローション剤、エアゾール剤、スプレー剤、
吸入剤、噴霧剤、軟膏製剤、硬膏製剤、貼付剤、パスタ
剤、パップ剤、クリーム剤、油剤、坐剤(例えば、直腸
坐剤)、チンキ剤、皮膚用水剤、点眼剤、点鼻剤、点耳
剤、塗布剤、輸液剤、注射用液剤などのための粉末剤、
凍結乾燥製剤、ゲル調整品等が挙げられる。
【0097】医薬用の組成物は通常の方法に従って製剤
化することができる。例えば、適宜必要に応じて、生理
学的に認められる担体、医薬として許容される担体、ア
ジュバント剤、賦形剤、補形剤、希釈剤、香味剤、香
料、甘味剤、ベヒクル、防腐剤、安定化剤、結合剤、p
H調節剤、緩衝剤、界面活性剤、基剤、溶剤、充填剤、
増量剤、溶解補助剤、可溶化剤、等張化剤、乳化剤、懸
濁化剤、分散剤、増粘剤、ゲル化剤、硬化剤、吸収剤、
粘着剤、弾性剤、可塑剤、崩壊剤、噴射剤、保存剤、抗
酸化剤、遮光剤、保湿剤、緩和剤、帯電防止剤、無痛化
剤などを単独もしくは組合わせて用い、それとともに本
発明のタンパク質等を混和することによって、一般に認
められた製剤実施に要求される単位用量形態にして製造
することができる。非経口的使用に適した製剤として
は、活性成分と、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し
得る媒体との無菌性溶液、または懸濁液剤など、例えば
注射剤等が挙げられる。一般的には、水、食塩水、デキ
ストロース水溶液、その他関連した糖の溶液、エタノー
ル、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールな
どのグリコール類が好ましい注射剤用液体担体として挙
げられる。注射剤を調製する際は、蒸留水、リンゲル
液、生理食塩水のような担体、適当な分散化剤または湿
化剤及び懸濁化剤などを使用して当該分野で知られた方
法で、溶液、懸濁液、エマルジョンのごとき注射しうる
形に調製する。
【0098】注射用の水性液としては、例えば生理食塩
水、ブドウ糖やその他の補助薬(例えば、D-ソルビトー
ル、D-マンニトール、塩化ナトリウムなど)を含む等張
液などが挙げられ、薬理的に許容される適当な溶解補助
剤、たとえばアルコール(たとえばエタノールなど)、
ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリ
エチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(た
とえばポリソルベート80 TM, HCO-50など)などと併用
してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などが挙げ
られ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルア
ルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例え
ば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)又は
浸透圧調節のための試薬、無痛化剤(例えば、塩化ベン
ザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例え
ば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールな
ど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノー
ルなど)、アスコルビン酸などの酸化防止剤、吸収促進
剤などと配合してもよい。調整された注射液は通常、適
当なアンプルに充填される。
【0099】非経口投与には、界面活性剤及びその他の
薬学的に許容される助剤を加えるか、あるいは加えず
に、水、エタノール又は油のような無菌の薬学的に許容
される液体中の溶液あるいは懸濁液の形態に製剤化され
る。製剤に使用される油性ベヒクルあるいは溶剤として
は、天然あるいは合成あるいは半合成のモノあるいはジ
あるいはトリグリセリド類、天然、半合成あるいは合成
の油脂類あるいは脂肪酸類が挙げられ、例えばピーナッ
ツ油、トウモロコシ油、大豆油、ゴマ油などの植物油が
挙げられる。例えば、この注射剤は、通常本発明化合物
を0.1 〜10重量%程度含有するように調製されることが
できる。局所的、例えば口腔、又は直腸的使用に適した
製剤としては、例えば洗口剤、歯磨き剤、口腔噴霧剤、
吸入剤、軟膏剤、歯科充填剤、歯科コーティング剤、歯
科ペースト剤、坐剤等が挙げられる。洗口剤、その他歯
科用剤としては、薬理的に許容される担体を用いて慣用
の方法により調製される。口腔噴霧剤、吸入剤として
は、本発明化合物自体又は薬理的に許容される不活性担
体とともにエアゾール又はネブライザー用の溶液に溶解
させるかあるいは、吸入用微粉末として歯などへ投与で
きる。軟膏剤は、通常使用される基剤、例えば、軟膏基
剤(白色ワセリン、パラフィン、オリーブ油、マクロゴ
ール400 、マクロゴール軟膏など)等を添加し、慣用の
方法により調製される。
【0100】歯、皮膚への局所塗布用の薬品は、適切に
殺菌した水または非水賦形剤の溶液または懸濁液に調剤
することができる。添加剤としては、例えば亜硫酸水素
ナトリウムまたはエデト酸二ナトリウムのような緩衝
剤;酢酸または硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウ
ムまたはクロロヘキシジンのような殺菌および抗真菌剤
を含む防腐剤およびヒプロメルローズのような濃厚剤が
挙げられる。坐剤は、当該分野において周知の担体、好
ましくは非刺激性の適当な補形剤、例えばポリエチレン
グリコール類、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセ
ライド等の、好ましくは常温では固体であるが腸管の温
度では液体で直腸内で融解し薬物を放出するものなどを
使用して、慣用の方法により調製されるが、通常本発明
化合物を0.1 〜95重量%程度含有するように調製され
る。使用する賦形剤および濃度によって薬品は、賦形剤
に懸濁させるかまたは溶解させることができる。局部麻
酔剤、防腐剤および緩衝剤のような補助薬は、賦形剤に
溶解可能である。経口的使用に適した製剤としては、例
えば錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、トロー
チのような固形組成物や、液剤、シロップ剤、懸濁剤の
ような液状組成物等が挙げられる。製剤調製する際は、
当該分野で知られた製剤補助剤などを用いる。錠剤及び
丸剤はさらにエンテリックコーティングされて製造され
ることもできる。調剤単位形態がカプセルである場合に
は、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を
含有することができる。
【0101】さらに、本発明のDNA などの核酸を上記し
たような治療及び/又は予防剤として用いる場合、該核
酸はそれを単独で用いることもできるし、あるいは上記
したような遺伝子組換え技術で使用される適当なベクタ
ー、例えばレトロウイルス由来ベクターなどウイルス由
来のベクターなどに結合させるなどして用いることがで
きる。本発明のDNA などの核酸は通常の知られた方法で
投与でき、そのままで、あるいは、例えば細胞内への摂
取が促進されるように、適当な補助剤あるいは生理的に
許容される担体などと共に、製剤化されて用いることが
でき、上記したような、医薬組成物又は医薬調製物など
として投与することができる。また遺伝子治療として知
られた方法を適用することもできる。本発明の活性成分
は、その投与量を広範囲にわたって選択して投与できる
が、その投与量及び投与回数などは、処置患者の性別、
年齢、体重、一般的健康状態、食事、投与時間、投与方
法、***速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療
を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその
他の要因を考慮して決められる。
【0102】医薬品製造にあたっては、その添加剤等や
調製法などは、例えば日本薬局方解説書編集委員会編、
第十三改正 日本薬局方解説書、平成8年7月10日発
行、株式会社廣川書店;一番ヶ瀬 尚 他編 医薬品の
開発12巻(製剤素剤〔I〕)、平成2年10月15日発行、
株式会社廣川書店;同、医薬品の開発12巻(製剤素材
〔II〕)平成2年10月28日発行、株式会社廣川書店など
の記載を参考にしてそれらのうちから必要に応じて適宜
選択して適用することができる。キット 本発明はさらに、本発明の前述の組成物成分を1又はそ
れ以上を充填した1又はそれ以上の容器を含む医薬分野
(臨床検査などの分析・測定分野も包含する)で許容さ
れるパック及びキットにも関する。このような (単一あ
るいは複数の)容器と一緒に、医薬又は生物学的産物の
製造、使用又は販売を規制する政府機関により指示され
た形態の注意書(文書)であって、ヒトへの投与用の製
品の製造、使用又は販売に関する該政府機関の承認を示
している注意書(添付文書)が添付されていてよいもの
である。
【0103】本発明では、新規開発のexpression cloni
ng method によりMT1-MMP を介したproMMP-2プロセシン
グの制御に関連した遺伝子を、特には293T細胞を用いス
クリーニングできる。かくしてMT1-MMP によるproMMP-2
のプロセシングを促進する遺伝子の1 つとして、内皮ti
ght junctions の主要構成成分であるclaudin-5 (trans
membrene protein deleted in velo-cardio-facial syn
drome [TMVCF] とも呼ばれる) をコードしているものが
同定できる。Claudin-5 が発現すると、MT1-MMP による
proMMP-2活性化においてTIMP-2と同様にproMMP-2を活性
化するだけでなく、すべてのMT-MMPs を介したproMMP-2
の活性化や膜貫通ドメインを欠如したMT1-MMP 変異体
(ΔMT1-MMP)を介したproMMP-2の活性化を促進した。pro
MMP-2のC末端欠失変異体(proΔMMP-2)は293T細胞中のMT
1-MMP により中間型にプロセスされ、さらに、claudin-
5 の導入により活性型に変換された。MT1-MMP によるpr
oMMP-2活性化におけるTIMP-2の誘導効果に比べ、claudi
n-5 存在下のΔMT1-MMP によるproMMP-2の活性化やMT1-
MMP による proΔMMP-2 プロセシングは、外因性TIMP-2
の発現により逆に抑制された。これらの結果は、claudi
n-5 がMT-MMPs によるproMMP-2活性化を誘導することに
TIMP-2が関与していないことを示唆している。MT-MMPs
を介したproMMP-2活性化の促進は他のclaudin ファミリ
ー、claudin-1,-2,-3 においても観察された。Claudin-
1 の細胞外ドメインのアミノ酸の置換或いは欠失は促進
効果を無効にした。Claudin-1 とMT1-MMP やMMP-2 との
直接的な関連が免疫沈降分析により示された。細胞−細
胞境界ばかりでなく細胞の他の部分にもMT1-MMP は、cl
audin-1 と共に局在した。Claudin-1 は、MT1-MMP を介
したMMP-2 の細胞表面上での局在化を促進した。これら
の結果は、claudin は、細胞表面上でMT-MMPおよびproM
MP-2を集め、限局的な濃縮を達成し、結果的にproMMP-2
活性化を亢進することを示唆している。明細書及び図面
において、用語は、IUPAC-IUB Commission on Biochemi
cal Nomenclatureによるか、あるいは当該分野において
慣用的に使用される用語の意味に基づくものである。代
表的な用語の意味を以下に示す。PCR: polymerase chai
n reactionSDS: sodium dodecyl sulfate;
【0104】 タンパク質、ペプチドなどのアミノ酸配列に関しては: A:アラニン残基 (Ala) M:メチオニン残基 (Met) C:システイン残基 (Cys) N:アスパラギン残基 (Asn) D:アスパラギン酸残基 (Asp) P:プロリン残基 (Pro) E:グルタミン酸残基 (Glu) Q:グルタミン残基 (Gln) F:フェニルアラニン残基 (Phe) R:アルギニン残基 (Arg) G:グリシン残基 (Gly) S:セリン残基 (Ser) H:ヒスチジン残基 (His) T:スレオニン残基 (Thr) I:イソロイシン残基 (Ile) V:バリン残基 (Val) K:リジン残基 (Lys) W:トリプトファン残基 (Trp) L:ロイシン残基 (Leu) Y:チロシン残基 (Tyr) ヌクレオチド配列に関しては: A:アデニン残基 G:グアニン残基 C:シトシン残基 T:チミン残基 後述の実施例3(2)に記載の、発現ベクターpEAK8 のHind
III、EcoRI サイトにClaudin-1 変異体の一つ M5C64S
をコードする配列をクローン化した発現ベクター:pEAK
M5C64Sを保持する大腸菌: pEAK M5C64S は、平成13年5
月1日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6
(郵便番号 305-8566)の独立行政法人産業技術総合研究
所特許生物寄託センター(National Institute of Adva
nced Industrial Science and Technology, Internatio
nal Patent Organism Depositary: IPOD)に寄託されて
保管されている(受託番号 FERM P-18318)。
【0105】
【実施例】以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されず、本明細書
の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解
されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載す
るもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又
は実施することのできるものであり、これは当業者にと
り周知で慣用的なものである。なお、以下の実施例にお
いて、特に指摘が無い場合には、具体的な操作並びに処
理条件などは、DNA クローニングでは J. Sambrook, E.
F. Fritsch & T.Maniatis, "Molecular Cloning", 2nd
ed., Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Ha
rbor, N. Y. (1989) 及び D. M. Glover et al. ed.,
"DNACloning", 2nd ed., Vol. 1 to 4, (The Practica
l Approach Series), IRLPress, Oxford University Pr
ess (1995) ; 特にPCR 法では、H. A. Erliched., PCR
Technology, Stockton Press, 1989 ; D. M. Glover et
al. ed.,"DNA Cloning", 2nd ed., Vol. 1, (The Prac
tical Approach Series), IRLPress, Oxford Universit
y Press (1995) 及び M. A. Innis et al. ed.,"PCR
Protocols", Academic Press, New York (1990)に記載
の方法に準じて行っているし、また市販の試薬あるいは
キットを用いている場合はそれらに添付の指示書(proto
cols) や添付の薬品等を使用している。
【0106】以下の実施例で使用した材料につき説明す
る。Dulbecco's modified Eagles's medium (DMEM)は日
水より入手した。プライマーはGensetにより合成し、ヒ
ト胎盤cDNAライブラリーはEdgeBio Systems より入手し
た。次に、MT1-MMP, MT2-MMP, MT3-MMP, MMP-2, MMP-9
及びTIMP-2発現プラスミド、さらにMT1-MMP, MT2-MMP及
び MT3-MMPに対するモノクローナル抗体は、文献: Sat
o, H., et al., Nature, 370 (6484): 61-65 (1994); T
akino, T., etal., J. Biol. Chem., 270: 23013-23020
(1995);およびTanaka M., et al., FEBS Lett., 402:
219-222 (1997)の記載に従って得られた。pro ΔMMP-2
発現ベクターは、EcoRI/Bgl IIサイトを有する proMMP-
2 の第1位〜第468 位アミノ酸をコードする第1位〜第
1496位 DNA断片をpSG-UTのEcoRI/Bgl IIに挿入して得た
(GenBankTM accession number: NM 004530) 。pSG-UTは
BamHI サイトの後にTGA終止コドンを持つ。また、FLAG-
tagged MT4-MMP, MT5-MMP及び MT6-MMP発現プラスミド
は、それぞれ文献: Itoh, Y., et al., J. Biol. Che
m., 274: 34260-34266 (1999);およびKojima, S., et a
l., FEBS Lett., 480: 142-146 (2000) の記載に従って
得られた。Claudin-1 に対するポリクローナル抗体はZy
med より入手した。FLAG epitopeに対するモノクローナ
ル抗体M2はSigma より入手した。Claudin-2, Claudin-3
の発現プラスミドおよびポリクローナル抗体は、Furus
e, M.,et al., J. Cell Biol., 141: 1539-1550 (1998)
およびFuruse, M., et al., J.Cell Biol., 147: 891-9
03 (1999)に従って得られる。細胞培養に関して、293T
細胞および COS-1細胞は5%ウシ胎児血清含有DMEM培地
中で培養した。
【0107】実施例1 膜型MMP を介したproMMP-2活性化制御因子の検索 ヒト胎盤cDNA library 由来プラスミドDNA を、MMP-2,
MMP-9およびMT1-MMPcDNAと共にヒト胎児腎臓由来293T
細胞に導入した。発現ベクターpEAK8 上に構築されたヒ
ト胎盤cDNAライブラリー(EdgeBio Systems, Gaithersbu
rg, MD) は、非増幅の大腸菌クローンとして得た。30の
バクテリアクローンを2mlの MMI培地(4mM Tris-HCl, p
H 7.2, 1.25%トリプトン, 2.5%酵母抽出物, 125 mM NaC
l, 0.4% グリセロール) で37℃で一晩培養し、プラスミ
ドDNA をアルカリSDS 法で抽出、ポリエチレングリコー
ルによる沈殿として精製した。遺伝子導入の24時間前
に、293T細胞を5%牛胎児血清含有DMEMで、96穴(ウエ
ル)マイクロタイタープレート 1穴あたり 5 x 104個/
0.1 ml でまき込んだ。proMMP-2、proMMP-9、MT1-MMP
の全長cDNAをpSG5(Stratagene)のクローニングサイトに
挿入した発現ベクターを作成し、1穴あたりproMMP-2発
現プラスミド20ng、proMMP-9発現プラスミド3ng 、MT1-
MMP 発現プラスミド30ngをcDNAライブラリーから調製し
たプラスミドDNA(100 ng) とともにトランスフェクショ
ン試薬TransIT LT1(Mirus, Madiso, WI)を用い、その使
用書に従って、導入した。遺伝子導入後37℃で48時間培
養した後、培地を除き、細胞を1穴あたり50マイクロリ
ットルの SDS-PAGE サンプルバッファー (50 mM Tris-H
Cl pH6.8, 10% グリセロール,0.1% bromophemol blue,
2% SDS)中で穏やかな超音波破砕をかけ、可溶化した。
細胞可溶化物はゼラチンザイモグラフィー(Kadono, Y.,
et al., Cancer Res.,58: 2240-2244 (1998)) により
分析した。その細胞可溶化物は37℃で30分加温後、5マ
イクロリットルをゼラチンザイモグラフィーに供した。
結果を、図1に示す。MMP-2 、MMP-9 およびMT1-MMP cD
NAの遺伝子導入により、潜在型proMMP-9の92kDa のバン
ド、潜在型proMMP-2の68kDa のバンドおよび活性型中間
体MMP-2 の64kDa のバンドを生じた。プールcDNAの遺伝
子の導入により、proMMP-2の活性化が促進され、完全な
活性型を生じていること(lane 8) が見出された。proM
MP-2プロセシングを促進するタンパクを発現する単クロ
ーンcDNAが2回目のスクリーニングで得られた。proMMP
-2の切断を促進したcDNAプールを大腸菌株XL1-Blue (St
ratagene)に導入した。それぞれの大腸菌コロニーは、2
ml MMI培地で生育し、プラスミドDNA を精製した。MT1
-MMP によるproMMP-2の活性化を促進した DNAクローン
について、LI-COR DNAシークエンサーModel4200L(S)-2
を使用し、挿入された塩基配列を決定した。1.4kb cDNA
断片の核酸配列が決定された。核酸配列のホモロジー検
索によりこのcDNAクローンはvelo-cardio-facial syndr
ome (TMVCF) (GenBankTM accession number: NM 00327
7; Morita, K., J. Cell. Biol., 147: 185-194 (199
9))において欠失があるclaudin-5/膜貫通タンパクのヒ
ト遺伝子に由来するものであることが示された。
【0108】実施例2 (1) MT-MMPsによるproMMP-2プロセシングのClaudin-5
による促進 (a) MT1-MMPによるproMMP-2の活性化におけるclaudin-
5 発現の効果を、293T細胞を使用し試験した。293T細胞
は遺伝子導入24時間前に、24穴マイクロウエルにまき込
んだ。コントロールプラスミド(pSG5) 或いはclaudin-
5 プラスミド(50 ng)をMMP-2 プラスミド(80 ng)およ
び図2Aに示されている各MT-MMPs プラスミド(220 ng)
と共に、24穴培養プレート中で培養した293T細胞に、共
遺伝子導入した。全プラスミドDNA をpSG5プラスミドで
500 ng/well に合わせた。遺伝子導入後48時間で、細胞
を収集し、細胞を150 マイクロリットルのSDS-PAGEサン
プルバッファーで可溶化し、37℃で30分加温後、15マイ
クロリットルの細胞溶解物を実施例1と同様にしてゼラ
チンザイモグラフィーで分析した。結果を図2Aに示す。
Claudin-5 単独の発現はproMMP-2プロセシングに影響し
なかった。MT1-MMP或いはMT3-MMP cDNAの導入はproMMP-
2を潜在型から活性型中間体に変換した。これらの細胞
にclaudin-5 cDNAを導入すると完全な活性型を生成する
プロセシングが促進された。MT2-MMP 、MT4-MMP 、MT5-
MMP およびMT6-MMP の発現は、明らかなproMMP-2のプロ
セシングを誘導しないが、claudin-5 cDNAをこれらのMT
―MMPsと共に形質移入すると、proMMP-2活性化が観察さ
れた。また、上述のゼラチンザイモグラフィーに用いた
細胞可溶化物を還元条件下SDS-PAGEに供し、MT-MMPs の
発現を各モノクローナル抗体を用いウエスタンブロット
により調べた。結果を図2Bに示す。図2Bで、すべての細
胞はMMP-2 および図に示したようなプラスミドを、共遺
伝子導入した。また、MT1-MMP およびTIMP-2 cDNA を共
遺伝子導入した。イムノブロット分析によりMT-MMPs の
発現がclaudin-5 の発現の影響を受けないことを確認し
た。TIMP-2を発現させると、57kDa 型のMT1-MMP の蓄積
を誘導したが、claudin-5を発現させてもそれは認めら
れなかった(図2B左上) 。
【0109】(b) MT1-MMP 変異体によるproMMP-2プロ
セシングのClaudin-5 による促進 コントロールプラスミド(pSG5) 或いはclaudin-5 プラ
スミド(40 ng)をMMP-2 プラスミド(80 ng)および野生
型MT1-MMP (WT)或いは図3に示したようなその変異体プ
ラスミド(220 ng) と共に、24穴培養プレート中で培養
した293T細胞に、共遺伝子導入した。全プラスミドDNA
をpSG5プラスミドで500 ng/well に合わせた。遺伝子導
入後48時間で、細胞を収集し、ゼラチンザイモグラフィ
ーで分析した。結果を図3Aに示す。また、上述のゼラチ
ンザイモグラフィーに用いた細胞可溶化物を還元条件下
SDS-PAGEに供し、MT1-MMP 変異体Δ535 (Ala536 以降欠
除、SWISS PROT accession No. P50281)或いはΔ335 (P
he336 以降欠除、SWISS PROT accession No. P50281)の
発現をMT1-MMP に対するモノクローナル抗体を用いたウ
エスタンブロットにより調べた。結果を図3Bに示す。MT
1-MMP の膜貫通ドメインは細胞に結合したproMMP-2活性
化に重要で、膜貫通ドメインを欠いたMT1-MMP(Δ535)或
いは膜貫通ドメインおよびフィブロネクチン様ドメイン
を欠いたMT1-MMP(Δ335)では、かすかなproMMP-2活性化
機能を示したのみであったが、Claudin-5 と各MT1-MMP
変異体とを共発現させると、proMMP-2活性化が誘導され
た(図3A) 。イムノブロット分析によりMT1-MMP 変異体
の発現は、claudin-5 の発現の影響を受けることはない
ことを確認した(図3B) 。
【0110】(2) TIMP-2 非依存性proMMP-2活性化 proMMP-2プロセシングの一つのモデルでは、MT1-MMP 、
TIMP-2およびproMMP-2から構成される3分子複合体の形
成が関与している。それでTIMP-2と相互作用をするため
のC 末端ドメインを欠失した proΔMMP-2 は、MT1-MMP
によるプロセシングに非感受性であると考えられてい
る。そこで、 proΔMMP-2 プロセシングに対するclaudi
n-5 発現の影響を293TおよびCOS-1 細胞で試験した。pr
oΔMMP-2 プラスミド(40 ng)をコントロールプラスミ
ド(pSG5) 、MT1-MMPプラスミド(220 ng) およびclaud
in-5 プラスミド(50 ng)と共に、24穴培養プレート中
で培養した293T細胞に共遺伝子導入した。全プラスミド
DNA をpSG5プラスミドで500 ng/well に合わせた。遺伝
子導入後48時間で、細胞を収集し、ゼラチンザイモグラ
フィーで分析した。293T細胞中で発現した proΔMMP-2
はゼラチンザイモグラフィーにおいて48kDa バンドとし
て検出された(図4) 。興味深いことに、293T細胞にお
いてMT1-MMP を共発現せしめると、 proΔMMP-2 が44kD
a中間体にプロセシングされた。Claudin-5 cDNAを導入
すると、 proΔMMP-2 のMT1-MMP を介したプロセシング
を促進し、42kDa 活性型を生じた。 proΔMMP-2 とclau
din-5 cDNA単独の遺伝子導入ではプロセシングは起こら
なかった。
【0111】MT1-MMP による proΔMMP-2 プロセシング
とTIMP-2との関係を調べるために、MT1-MMP によるプロ
セシングにおけるTIMP-2発現の影響をproMMP-2と proΔ
MMP-2 の間で比較した。結果を図5A及び5Bに示す。proM
MP-2(80 ng)或いは proΔMMP-2 (40 ng)プラスミドお
よびMT1-MMP (220 ng) を図5に示したような量のTIMP
-2プラスミドと共に、24穴培養プレート中で培養した29
3T細胞(5A)或いはCOS-1 細胞(5B)に共遺伝子導入した。
遺伝子導入後48時間で、細胞を収集し、ゼラチンザイモ
グラフィーで分析した。全プラスミドDNA をpSG5プラス
ミドで500 ng/well に合わせた。293T細胞(図5A)にお
いて、proMMP-2はMT1-MMP により中間体へとプロセシン
グされる。そして TIMP-2 を発現せしめると、用量依存
的にproMMP-2活性化を促進し活性型を産生した。対照的
にMT1-MMP によるpro ΔMMP-2 のプロセシングはTIMP-2
発現により用量依存的にproMMP-2活性化を抑制した。CO
S-1 細胞(図5B)においては、proMMP-2は外来性TIMP-2
の発現無しにMT1-MMP により完全な活性型に変換され、
更なる誘導は無かった。しかし、高い用量でのTIMP-2 c
DNA の形質移入によりそれは妨害された。 proΔMMP-2
は外来性TIMP-2の発現無しでわずかに44kDa および42kD
a 体を生じたのみで、TIMP-2の発現により、阻害される
のみであった。
【0112】(3) TIMP-2の酵素結合免疫測定法(ELIS
A) 293T細胞は24穴マイクロウエルで発現ベクターと共に24
時間培養後、培養液を0.5 mlのFCS 不含培地に交換し、
さらに16時間培養した。COS-1 細胞についても同様に処
理した。培養液中のTIMP-2濃度は(Fujimoto, N., Zhan
g, J., Iwata, K., Shinya, T., Okada, Y., and Hayak
awa, T. (1993) Clin Chim Acta220, 31-45.)記載のELI
SA にて測定した (n=3)。外来性TIMP-2発現の有無によ
り、293TおよびCOS-1 細胞より分泌されるTIMP-2レベル
を比較した(表1) 。
【0113】
【表1】
【0114】293T細胞では内因性TIMP-2レベルが検出限
界以下であった(< 1 ng/ml)。COS-1 細胞における内因
性TIMP-2レベル(49 ng/ml) は、293T細胞における最大
のproMMP-2活性化を誘導するレベルと近似していた(10
1 ng/ml)。MT1-MMP によるproMMP-2活性化は、COS-1 細
胞において49〜1630 ng/mlの範囲内で合成されるTIMP-2
発現の条件下でほとんど一定していた。また、293T細胞
においてもまったく同様な範囲であった(101 〜995 ng
/ml)。MT1-MMP によるproMMP-2活性化を完全に阻害する
のはTIMP-2レベルが培地中で7280 ng/mlに達した時観察
された。
【0115】MT1-MMP 変異体Δ535 を介したproMMP-2活
性化におけるTIMP-2の影響を調べた。結果を図5Cに示
す。コントロールプラスミドあるいはclaudin-5 プラス
ミド(50 ng) 、proMMP-2(80 ng)およびMT1-MMP 変異体
Δ535 (220 ng) を図5Cに示したような量のTIMP-2プラ
スミドと共に24穴培養プレート中で培養した細胞に共に
遺伝子導入した。全プラスミドDNA をpSG5プラスミドで
500 ng/well に合わせた。遺伝子導入後48時間で、細胞
を収集し、ゼラチンザイモグラフィーで分析した。Δ53
5 単独の発現では、proMMP-2プロセシングを効果的には
誘導しなかった。また、種々の量におけるTIMP-2プラス
ミド導入は野生型MT1-MMP で観察されたような効果を示
さなかった。Δ535 によるproMMP-2の活性化はclaudin-
5 を共発現させたときのみ観察され、用量依存的にTIMP
-2発現により阻害された。claudin-5 の存在下のみ検出
されるMT2-, MT4-, MT5- およびMT6-MMP によるproMMP
-2活性化(図2A)は、促進されなかったが、TIMP-2の発
現により阻害されなかった。これらの結果は、TIMP-2が
claudin-5 を介したproMMP-2活性化に関係しないことを
示唆している。
【0116】実施例3 (1) MT-MMP を介したproMMP-2プロセシングのClaudin-
1, -2 および-3による促進 Claudin ファミリーの他のメンバーであるClaudin-1, -
2 および-3を用い、MT1-MMP を介したproMMP-2プロセシ
ングの促進を調べた。MMP-2(80ng) およびMT1-MMP(220n
g)プラスミドをコントロール或いは図6上段パネルに示
したclaudin プラスミド(50ng)と共に24穴培養プレート
中で培養した293T細胞に共に遺伝子導入した。全プラス
ミドDNA は、pSG5プラスミドと共に500ng/wellに合わせ
た。遺伝子導入後48時間で、細胞を収集し、ゼラチンザ
イモグラフィーで分析した(図6上段パネル)。細胞溶
解物は、また還元条件下でSDS-PAGEに供され、図6下段
パネルに示した抗体を用い、ウェスタンブロッティング
によってclaudin の存在を調べた(図6下段パネル)。
MT1-MMP と各claudin との共発現は、proMMP-2プロセシ
ングを亢進し、claudin-5 で観察されたのと同様に62kD
a 活性型を生じた。
【0117】(2) Claudin-1 cDNAのクローニング及び
変異体の作製 ヒト胎盤のトータルRNA から8 mer のランダムプライマ
ーとReverTra Ace逆転写酵素(TOYOBO, Japan) を用いて
cDNAを合成した。以下のプライマーを用いて、Claudin-
1 の cDNA (GenBankTM accession number AF134160) を
得た。なお、ヒトClaudin-1 のアミノ酸配列は、 MANAGLQLLG FILAFLGWIG AIVSTALPQW RIYSYAGDNI VTAQAMYEGL WMSCVSQSTG QIQCKVFDSL LNLSSTLQAT RALMVVGILL GVIAIFVATV GMKCMKCLED DEVQKMRMAV IGGAIFLLAG LAILVATAWY GNRIVQEFYD PMTPVNARYE FGQALFTGWA AASLCLLGGA LLCCSCPRKT TSYPTPRPYP KPAPSSGKDY V 〔配列表の配列番号:1〕である。
【0118】第202 位から始まりEcoRI サイト(下線)
付加した正プライマー:5'Cl-1
【化1】 〔配列番号:2〕
【0119】第886 位から始まりEcoRI サイト(下線)
付加した逆プライマー:3'Cl-1
【化2】 〔配列番号:3〕増幅したcDNA断片は、発現ベクターpE
AK8(pEAK-MI)のEcoRI サイトでクローン化した。pEAK-M
I ベクターは アンチセンスオリゴマー AAG CTT GAA TTC GGC GCG CCA GAT ATC GCA TGC 〔配列
番号:4〕 センスオリゴマー CGC CGG CGC CAT GGC GAT CGG CTA GCA GAT CT〔配列番
号:5〕 からなるリンカーをHind IIIとNot I で切断したpEAK8
に挿入して作成した。
【0120】一連のClaudin-1 変異体は、上で述べた野
生型Claudin-1 を鋳型としたtwo-step PCRで作成した。
第1段階は、野生型配列に対して特異的な変異を含んだ
アンチセンス、センスプライマーと5'Cl-1あるいは3'Cl
-1プライマーを使った2つの反応からなる。これによる
と5'Cl-1と適当なアンチセンスプライマーは、変異を含
む断片の上流部分を増幅し、3'Cl-1と対応するセンスプ
ライマーは下流部分を増幅する。産物を混合して5'Cl-1
と3'Cl-1を唯一のプライマーとする2回目のPCR に供し
た。全長を持つ構成物は、変異が導入された上流と下流
の半分づつがアニールすることによってのみ増幅され
る。PCR によって増幅された断片は、EcoRI で切断さ
れ、pEAK-MI でクローン化した。変異体は以下の変異プ
ライマーのセットで作成した。
【0121】MlΔ38-67, アンチセンス CAA GGA GTC GCC GGC ATA GGA GTA 〔配列番号:6〕 センス GCC GGC GAC TCC TTG CTG AAT CTG 〔配列番号:7〕 M2Δ55-64, アンチセンス GAC TTT GCA GGA CAT CCA CAG CC〔配列番号:8〕 センス ATG TCC TGC AAA GTC TTT GAC TC〔配列番号:9〕 M3Δ142-155,アンチセンス CCT GGC ATT GCC ATA CCA TGC TGT G 〔配列番号:10〕 センス TAT GGC AAT GCC AGG TAC GAA TTT G 〔配列番号:11〕
【0122】M4C54S, アンチセンス CTC TGC GAC ACG GAG GAC ATC 〔配列番号:12〕 センス CTG TGG ATG TCC TCC GTG TCG 〔配列番号:13〕 M5C64S, アンチセンス TCA AAG ACT TTG GAC TGG ATC 〔配列番号:14〕 センス GGC AGA TCC AGT CCA AAG TCT 〔配列番号:15〕 C-末端側のPDZ モチーフを破壊したM6ΔYV変異体は、以
下のプライマーセットによるPCR で作成した。 アンチセンス CCG AAT TCT GCA CCT GCC ACC 〔配列番号:16〕 センス GAC GGA TTC CAC TTA GTC TTT CC〔配列番号:17〕
【0123】得られたPCR 産物は、発現ベクターのHind
III、EcoRI サイトでクローン化した。N-末端側半分を
欠くM7Δ1-101 変異体は、以下のプライマーセットによ
るPCRで作成した。アンチセンス CAA GCT TGG CAT GAA GTG TAT GA〔配列番号:18〕 センス TGA ATT CGA CAG ATC ACA CGT AG〔配列番号:19〕 得られたPCR 産物は、発現ベクターのHind III、XbaIサ
イトでクローン化した。図8には、claudin-1 及びその
変異体の遺伝子構造の模式図を示す。
【0124】(3) 促進効果のClaudin-1 細胞外ドメイ
ンの変異による消失 Claudin-1 に欠損およびアミノ酸置換を導入した。これ
らの変異体について野生型MT1-MMP 或いはMT1-MMP 変異
体Δ335 により介されるproMMP-2プロセシングの促進効
果を調べた。図7にその結果を示す。図7Aにおいて、MT
1-MMP(上段パネル) 或いはΔ335(下段パネル) プラスミ
ドとMMP-2 プラスミドをコントロールプラスミド(レー
ン C)、claudin-1 (レーン W)或いは図7に示した変
異体プラスミド(変異体の遺伝子構造の模式図は図8に
示す)と共に、24穴培養プレート中の293T培養細胞に形
質導入した。形質導入後、48時間で細胞を収集し、ゼラ
チンザイモグラフィーにより分析した。細胞溶解物は、
また還元条件下でSDS-PAGEに供され、claudin-1 に対す
る抗体を用い、ウェスタンブロッティングによってclau
din-1 変異体の存在を確認した(図7B)。Claudin-1 の
最初の細胞外ドメイン中のアミノ酸残基38〜67或いは55
〜64の欠損はMT1-MMP 或いはΔ335 変異体を介したproM
MP-2活性化における促進効果を無効にした。第2の細胞
外ドメイン中のアミノ酸残基142 〜155 を欠損したclau
din-1 変異体は促進効果を明らかに減少させた。しかし
低いレベルの活性は残った。Claudin-1 の最初の細胞外
ドメイン中のシステイン54或いはシステイン64をセリン
に置換すると、亢進効果は非常に減少した。C 末端チロ
シンおよびバリン(PDZドメイン) の欠損は明確な効果を
示さなかった。N 末端101 個のアミノ酸残基の欠損は完
全にclaudin-1 の促進効果を無効にした。これらの結果
は、細胞外ドメイン、特には最初の細胞外ドメインが、
MT-MMPs を介したproMMP-2活性化の促進に重要であるこ
とを示唆している。
【0125】(4) 免疫沈降によるClaudin-1 と MT1-MMP
間の複合体形成 Claudin-1 とMT1-MMP 間の相互作用を免疫沈降法により
検討した。60 mm 径のプラスチックプレートで培養した
293T細胞にTransIT LT-1を使用し、各2マイクログラム
に調整したMT1-MMP, MMP-2あるいはclaudin-1 プラスミ
ドを導入、一過性の発現を24時間行い、その後、50マイ
クロキュリー/ml [S-35]のメチオニンとシステイン(Ame
rsham Pharmacia Biotech)で4時間標識した。細胞は細
胞溶解バッファー (50 mM Tris-HCl, pH 7.4, 150 mM N
aCl, 1% Triton X-100 (v/v), 0.5% sodium deoxychola
te, 0.1% SDS, 1 mM phenylmethyl sulfonylfluoride)
で溶解し、15,000 rpmで10分間遠心して上清を回収し
た。1マイクログラムの抗claudin-1 ポリクローナル抗
体あるいは抗MT1-MMP 、抗MMP-2 のモノクローナル抗体
を上清に加え、4℃で一晩インキュベートした。抗原−
抗体複合体は、Protein G Sepharose ビーズ(Amersham
Pharmacia Biotech)で集め、ビーズを細胞溶解バッファ
ーで3回洗浄した。ビーズに結合した物質は、1% 2-mer
captoethanolを含むSDS-PAGEサンプルバッファーで溶
出、2分間ボイルした後、12% ポリアクリルアミドゲル
で分離した。[S-35]で標識された物質はバイオイメージ
アナライザー(Fuji, Tokyo, Japan)で検出した。
【0126】結果を図9に示す。Claudin-1 に対するポ
リクローナル抗体はclaudin-1 cDNAを導入した293T細胞
から22kDa claudin-1 タンパクを沈降させた。MT1-MMP
およびclaudin-1 cDNAを共に導入した293T細胞では、cl
audin-1 と共にMT1-MMP は沈降した。しかし、MT1-MMP
cDNAのみを導入したとき、MT1-MMP を沈降させなかっ
た。MT1-MMP に対するモノクローナル抗体はMT1-MMP の
60kDa バンドを、またMT1-MMP とclaudin-1cDNAを共導
入した細胞からはMT1-MMP とclaudin-1 の両方を沈降さ
せたが、claudin-1 cDNAのみを導入した細胞からはclau
din-1 を沈降させなかった。またClaudin-1 は、MMP-2
に対する抗体によりMMP-2 とclaudin-1 cDNAを共に導入
した細胞からMMP-2 と共に沈降したが、各cDNAのみを導
入した細胞からは沈降しなかった。
【0127】実施例4 (1) FLAGあるいはGreen Fluorescence Protein (GFP)を
付加したClaudin-5 を構築した。マルチクローニングサ
イトとFLAGエピトープ(Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-L
ys) をコードする領域を、pFLAG-CTC プラスミドDNA (I
BI FLAG Biosystems, USA)を鋳型に、N26 とC24 (IBI F
LAG Biosystems, USA)をプライマーとしたPCR で増幅し
た。これをHind IIIとBgl IIで切断した後、pSG5のクロ
ーニングサイトに挿入した(pSG-FLAG と呼称) 。FLAGエ
ピトープを付加したClaudin-5 発現プラスミドは、Clau
din-5 を抗FLAG抗体M2で検出するために構築した。終止
コドンを制限酵素Bgl IIサイトに置換したClaudin-5 の
cDNAは、T7正プライマーと第774 位(GenBankTM Accessi
on No. NM 003277) から始まりBgl IIサイト(下線部)
を持つ逆プライマーによるPCR で増幅した。
【化3】 〔配列番号:20〕増幅した断片は、EcoRI とBgl IIで
切断し、pSG-FLAGベクターのEcoRI 、Bgl IIサイトに挿
入した(pSG-Claudin-5-FLAG と呼称) 。
【0128】(2) Claudin-5-GFPのキメラタンパク質
は、Claudin-5 の局在を共焦点レーザー顕微鏡でモニタ
ーするために作成した。GFP をコードする領域は、開始
コドンのATG をBgl IIサイトに置換した正プライマーと
Bgl IIサイトが付加された終止コドンの下流から始まる
逆プライマーによるPCR で増幅した。増幅断片は、Bgl
IIで切断されpSG-Claudin-5-FLAGプラスミドのclaudin-
5 cDNAフラグメントとFLAG領域の間にあるBgl IIサイト
に挿入した(pSG-Claudin-5-GFPと呼称) 。0.2mm 厚ガラ
ス底の35mm径プレートで培養された293T細胞にGFP-tagg
ed MT1-MMP (MT1-GFP)プラスミド(1μg)を形質導入し、
MT1-MMP プラスミド(1μg)あるいはclaudin-5 tagged w
ith GFP (Claudin-5-GFP) プラスミド(1μg)を導入し
た。共焦点レーザー顕微鏡を用い、蛍光を観察した。MT
1-GFP プラスミドのみを導入した細胞においてMT1-GFP
は細胞表面および細胞質顆粒に検出された。Claudin-5-
GFP は、細胞境界と細胞質顆粒で見られた。その局在
は、MT1-MMP の発現によって有意に変わらなかった。MT
1-MMP の細胞表面の局在に対するclaudin-1 発現の影響
をMT1-GFP プラスミド(1μg)をclaudin-1 プラスミド(1
μg)と共に発現させることによって調べた。形質導入さ
れた細胞を抗claudin-1 抗体およびTRITC を結合させた
ヤギ抗ウサギIgG 抗体を用い免疫染色した。共焦点レー
ザー顕微鏡で観察した。MT1-GFP がclaudin-1 と共局在
することが示された。Claudin-1 は細胞境界だけでなく
細胞質に局在した。細胞境界でのMT1-GFP とclaudin-1
の共局在は両cDNAを共に導入した細胞において明らかに
示された。さらに、MT1-GFP の一部もまた細胞の他の部
分にclaudin-1 と共に局在した。
【0129】(3) MMP-2 とMT1-GFP との共局在 MT1-MMP のcDNAフラグメントは pCEP4(Invitorgen)でク
ローン化した。MT1-MMP の終止コドンをPCR によって変
異を導入してインフレームでBgl IIサイトを作り、先に
述べたGFP のBgl IIサイトとつないだ (pCEP4-MT1-GF
P)。293T細胞は、0.2 mm厚ガラス底の35 mm 径プレート
(Matsunami Glass Ind., Ltd. Tokyo, Japan) にまき、
pCEP4-MT1-GFP (100ng) 、MMP-2 (100ng) およびClaudi
n-5 (100ng) の発現プラスミドを共に導入した。全プラ
スミドDNA は、pSG5プラスミドDNAで 2μg に合わせ
た。細胞は、4% paraformaldehyde で固定し、抗MMP-2
モノクローナル抗体 (Fuji Chemical Instustries Lt
d., Toyama, Japan)とヒツジ抗Claudin-1 ポリクローナ
ル抗体で染色した。TRITC 標識抗ヒツジIgG とCy3 標識
抗マウスIgG 抗体を2次抗体として使用した。蛍光は倒
立共焦点レーザー顕微鏡(Carl Zeiss, Ind.)でモニター
した。共焦点レーザー顕微鏡で観察した結果、MMP-2
は、MMP-2 とGFP の両cDNAを共に導入した細胞において
明らかに免疫染色されなかった。MT1-GFP とMMP-2 の共
発現は、わずかにMMP-2 とMT1-GFP の細胞表面での共局
在を引き起こした。それは、明らかにTIMP-2の導入によ
って高められた。MMP-2 は、MMP-2 とclaudin-5cDNAが
共に導入された細胞の細胞質顆粒に弱く局在した。MT1-
GFP とMMP-2 の細胞表面の共局在は、またclaudin-5 の
発現によって刺激され、細胞境界でのMMP-2 とMT1-GFP
の共局在は高められた。
【0130】これまで述べたように、本発明者らは、MT
1-MMP を介したMMP-2 活性化を調整する遺伝子の発現を
スクリーニングした結果、該MT1-MMP を介したMMP-2 活
性化を調整する因子として、内皮細胞特異的tight junc
tion (TJ) protein であるclaudin-5 を同定することに
成功した。そして、該因子は、MT1-MMP によるproMMP-2
活性化においてTIMP-2と同様にproMMP-2を活性化するも
のだけでなく、従来報告されているすべてのMT-MMPs を
介したproMMP-2活性化を促進していることを見出した。
293T細胞におけるMT1-MMP を介したproMMP-2の活性化を
促進する因子の一つとしてClaudin-5 を同定した。Clau
din-5 に加え、発現クローニング法によりTIMP-2遺伝子
を同定した。その発現は293T細胞においてclaudin-5 と
同様の促進効果を示した。さらに、いくつかの候補遺伝
子もクローン化できる。その遺伝子産物はMT1-MMP を介
したproMMP-2の活性化にポジティブ或いはネガティブに
影響するものであった。
【0131】293T細胞における内因性TIMP-2の低いレベ
ルでの発現は、MT1-MMP を介したproMMP-2活性化の制御
に関与する因子を効果的にスクリーニングすることを可
能にしている。MT1-MMP によるproMMP-2活性化モデル
は、proMMP-2, TIMP-2およびMT1-MMP 間の三元複合体の
形成、続いて、この複合体中のproMMP-2が隣接するTIMP
-2フリーのMT1-MMP により切断され、活性型中間体を形
成することを含んでいる。MMP-2 中間体の分子間auto-c
leavage により完全な活性型MMP-2 が生じる。それゆ
え、MT1-MMP の限局的な濃縮が、MMP-2 活性化の両ステ
ップに対する制御因子である。293T細胞における内因性
TIMP-2濃度は、MT1-MMP によるproMMP-2活性化に対して
最適以下であった。従って、293T細胞における外来性TI
MP-2の発現はMT1-MMPによるproMMP-2活性化を促進す
る。Claudin-5 はMT1-MMP によるproMMP-2活性化を促進
するためTIMP-2に置き換わるばかりでなく、他のMT-MMP
s による活性化を誘導したり、或いは細胞に結合したpr
oMMP-2活性化機能において劣っている或いはそれを欠如
したMT1-MMP 変異体による活性化をも誘導した。TIMP-2
発現の促進効果が、MT1-MMP を介したproMMP-2活性化に
おいて観察されたが、他のMT-MMPs或いはMT1-MMP 変異
体によるclaudin-5 誘導proMMP-2活性化は、TIMP-2発現
により阻害された。これらの結果は、TIMP-2がMT-MMPs
によるclaudin-5 で促進されたproMMP-2活性化に関与し
ていないことを示唆している。しかしながら、293T細胞
における低い濃度のTIMP-2の役割を完全に排除するもの
ではない。
【0132】MT-MMPs によるproMMP-2のTIMP-2依存活性
化は、proMMP-2がTIMP-2と相互作用すると考えられてい
るC 末端ドメイン欠損proMMP-2変異体(proΔMMP-2)を用
い、より明確に示されている。293T細胞におけるMT1-MM
P による proΔMMP-2 の活性型中間体を形成するプロセ
シングは、外来性TIMP-2発現無しに最も効率的に行わ
れ、外来性TIMP-2発現により用量依存的に阻害される。
しかしながら、MT1-MMPによるproMMP-2活性化は逆に外
来性TIMP-2の発現により促進される。これらの結果は、
TIMP-2フリーのMT1-MMP が proΔMMP-2 を切断し中間体
を形成することおよびproMMP-2に対する受容体/活性化
因子として働く MT1-MMP−TIMP-2複合体が proΔMMP-2
をプロセシング出来ないことを示唆している。これは驚
くべきことではない。なぜなら、溶液中でC 末端ドメイ
ン欠損proMMP-2がTIMP-2の非存在下可溶型MT1-MMP によ
り活性化され得るからである。ΔMMP-2 中間体はclaudi
n-5 存在下にさらに完全な活性型へとプロセシングされ
る。293T細胞に比べ、COS-1 細胞は三元複合体形成に対
し十分高い濃度の内因性TIMP-2を含み、MT1-MMP による
MMP-2 プロセシングを促進する。このように、COS-1 細
胞においては、MT1-MMP によるproMMP-2活性化は効率的
であり、外来性TIMP-2発現が低い量では影響が無く、高
い量で阻害したのである。MT1-MMP による proΔMMP-2
の活性化はCOS-1 細胞においてかろうじて見られた。天
然型MT1-MMP およびMT3-MMP の他のMT−MMPsの発現およ
びMT1-MMP 変異体の発現は、COS-1 細胞においてたとえ
claudin-5 の存在下でも明らかなproMMP-2プロセシング
を誘導しなかった。これらのことはすべてCOS-1 細胞に
おける高濃度の内因性TIMP-2に起因するものであろう。
【0133】TIMP-2の結合にもかかわらず、proMMP-2が
プロセシングされて完全な活性型を形成するには、MT-M
MPs の限局的な濃縮が必要となる。すべてのMT-MMPs の
catalytic domains は、TIMP-2の存在しない溶液中でpr
oMMP-2のAsn66-Leu67 peptide bondを切断することは可
能であるので、それらは、適当な条件下に細胞表面上で
proMMP-2を活性化するはずである。その前には、MMP-2
の細胞表面の結合(それはECM 成分、ヘパリンかつ/或
いはインテグリンαvβ3 により仲介されている)が、
proMMP-2の活性化に何らかの役割を果たしている。Clau
din はMT-MMPsおよびproMMP-2を集め、Asn66-Leu67
合の切断だけでなく、引き続いて起こる中間体から活性
型へのauto-cleavage をも誘導しているかもしれない。
免疫沈降分析によりMT1-MMP およびproMMP-2がclaudin-
1 と相互作用することを直接的に示した。また、欠損分
析はclaudin-1 の細胞外ドメインがMT-MMPs のcatalyti
cdomainと相互作用することを示唆した。さらに、claud
in-1 からのC 末端PDZ モチーフ欠損が促進効果に影響
を与えなかったことは、ZO-1、-2、-3を通してアクチン
フィラメントへのclaudin-1 結合が必須でないことを示
唆している。proMMP-2活性化に対するTIMP-2の他の機能
は、57kDa 活性型MT1-MMP の安定化、結果的には、proM
MP-2活性化かもしれない。しかしながら、claudin はそ
のような安定化機能を示さなかった。
【0134】試験したすべて4 個のclaudin ファミリー
が293T細胞においてproMMP-2活性化を促進した。Claudi
n-5/TMVCF は内皮細胞特異的なTJ鎖の成分である。そし
て、MT1-MMP は血管新生に必須の役割を果たしている。
それゆえ、claudin-5 は血管新生の間にMT1-MMP 活性を
制御することおよび/又はMT1-MMP とclaudin との相互
作用が血管透過性のようなTJ機能に影響することが推測
される。次に、Claudin-1 は最も広範に分布するTJ成分
であるが、MDCK上皮細胞におけるclaudin-1 のTJ局在は
oncogne ras を用いた細胞の形質転換により或いはホル
ボールエステルでの処理により変化する。COS-1 細胞は
高レベルのclaudin-1 を合成している。しかしながら、
TJ鎖においては免疫的には局在化されていないが、細胞
膜および細胞質に散在して染色された。293T細胞におけ
るclaudin-1 の発現レベルはCOS-1 細胞に比べ大変低
い。
【0135】claudin-1 とMT1-MMP cDNAを導入した293T
細胞において、claudin-1 およびMT1-MMP はTJ鎖に限定
されるばかりでなくそれらの一部は細胞境界以外の部位
に共に局在していた。またMMP-2 およびclaudin-1 の共
局在は細胞境界および細胞質に観察された。Claudin-1
がMT1-MMP と共に免疫沈降した事実はその複合体の一部
がTJ鎖に組み込まれないことを示唆している。なぜな
ら、TJ鎖におけるclaudin は免疫沈降において容易には
可溶化されないからである。精巣上体におけるclaudin-
1 局在についての別の研究で、claudin-1 発現がTJ鎖に
独占的に局在せず、一方で、隣接する上皮細胞の全界面
並びに基底形質膜に沿って現れたことを示しており、こ
れは接着分子としてのclaudin-1 の役割を示唆するもの
である。これらのことは、claudin ファミリータンパク
がTJ鎖を構成するというよりは、より運動性の機能を持
つことを示唆している。腫瘍細胞の先端或いはinvadopo
dia へのMT1-MMP のターゲッティングは、MT1-MMP の膜
貫通/細胞質ドメインにより仲介されている。しかし、
claudin 誘導proMMP-2活性化はMT1-MMP のcatalytic do
mainのみを必要としている。このことは、proMMP-2活性
化に対するMT-MMPの細胞表面ターゲッティングおよび細
胞浸潤が異なった機構により調節されていることが示唆
される。かくして、claudin がMT1-MMP によるproMMP-2
活性化に対してTIMP-2と同様にproMMP-2を活性化するだ
けでなく、それがすべてのMT-MMPs によるproMMP-2活性
化を促進することが示された。こうしたことから、Clau
din とMT-MMPs 間の相互作用は細胞周囲のMT-MMPs 活性
だけでなくclaudin 機能をも制御していると思われる。
【0136】
【発明の効果】クローディンファミリーが、MT-MMPs(特
には、MT1-MMP)によるproMMP-2活性化に関与することを
利用して、proMMP-2活性化の制御・調節法を開発でき
る。該クローディン類によるMT-MMPs を介したproMMP-2
活性化を阻害する物質、特にはMT1-MMP を介したproMMP
-2活性化を阻害する物質が提供・開発可能で、該proMMP
-2活性化阻害物質を使用してproMMP-2の活性化に起因す
る様々な生理的、生物的過程を制御する方法並びにその
ための薬物を提供・開発できる。MT-MMPs 、特にはMT1-
MMP 、を介したproMMP-2活性化調節機構に基づく癌の浸
潤・転移の阻害、血管新生などに関する医薬や治療法の
研究開発に資する。本発明は、前述の説明及び実施例に
特に記載した以外も、実行できることは明らかである。
上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可
能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲
内のものである。
【0137】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Fuji Yakuhin Kogyo Kabushiki Kaisha <120> Claudin-Promoted Activation of Pro-MMP-2 Mediated by MT-MMPs <130> P-01NF358 <140> <141> <160> 20 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 211 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Ala Asn Ala Gly Leu Gln Leu Leu Gly Phe Ile Leu Ala Phe Leu 1 5 10 15 Gly Trp Ile Gly Ala Ile Val Ser Thr Ala Leu Pro Gln Trp Arg Ile 20 25 30 Tyr Ser Tyr Ala Gly Asp Asn Ile Val Thr Ala Gln Ala Met Tyr Glu 35 40 45 Gly Leu Trp Met Ser Cys Val Ser Gln Ser Thr Gly Gln Ile Gln Cys 50 55 60 Lys Val Phe Asp Ser Leu Leu Asn Leu Ser Ser Thr Leu Gln Ala Thr 65 70 75 80 Arg Ala Leu Met Val Val Gly Ile Leu Leu Gly Val Ile Ala Ile Phe 85 90 95 Val Ala Thr Val Gly Met Lys Cys Met Lys Cys Leu Glu Asp Asp Glu 100 105 110 Val Gln Lys Met Arg Met Ala Val Ile Gly Gly Ala Ile Phe Leu Leu 115 120 125 Ala Gly Leu Ala Ile Leu Val Ala Thr Ala Trp Tyr Gly Asn Arg Ile 130 135 140 Val Gln Glu Phe Tyr Asp Pro Met Thr Pro Val Asn Ala Arg Tyr Glu 145 150 155 160 Phe Gly Gln Ala Leu Phe Thr Gly Trp Ala Ala Ala Ser Leu Cys Leu 165 170 175 Leu Gly Gly Ala Leu Leu Cys Cys Ser Cys Pro Arg Lys Thr Thr Ser 180 185 190 Tyr Pro Thr Pro Arg Pro Tyr Pro Lys Pro Ala Pro Ser Ser Gly Lys 195 200 205 Asp Tyr Val 210 <210> 2 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 2 ccgaattctg cacctgccac c 21 <210> 3 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 3 tgaattcgac agatcacacg tag 23 <210> 4 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 4 aagcttgaat tcggcgcgcc agatatcgca tgc 33 <210> 5 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 5 cgccggcgcc atggcgatcg gctagcagat ct 32 <210> 6 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 6 caaggagtcg ccggcatagg agta 24 <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 7 gccggcgact ccttgctgaa tctg 24 <210> 8 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 8 gactttgcag gacatccaca gcc 23 <210> 9 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 9 atgtcctgca aagtctttga ctc 23 <210> 10 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 10 cctggcattg ccataccatg ctgtg 25 <210> 11 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 11 tatggcaatg ccaggtacga atttg 25 <210> 12 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 12 ctctgcgaca cggaggacat c 21 <210> 13 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 13 ctgtggatgt cctccgtgtc g 21 <210> 14 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 14 tcaaagactt tggactggat c 21 <210> 15 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 15 ggcagatcca gtccaaagtc t 21 <210> 16 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 16 ccgaattctg cacctgccac c 21 <210> 17 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 17 gacggattcc acttagtctt tcc 23 <210> 18 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 18 caagcttggc atgaagtgta tga 23 <210> 19 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 19 tgaattcgac agatcacacg tag 23 <210> 20 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:Oligonucleotide to act as a primer for PCR <400> 20 ggagatctga cgtagttctt cttgtcgtag t 31
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒト胎児腎臓由来293T細胞中にヒト胎盤cDNA
libraryからのプラスミドDNA と、MMP-9 、MMP-2 およ
びMT1-MMP とを、共に遺伝子導入し、得られた細胞可溶
化物についてゼラチンザイモグラフィーを行った結果の
電気泳動写真である。proMMP-2の活性型へのプロセシン
グがレーン8で促進されている。
【図2】 A. 293T細胞中にコントロールプラスミド
(pSG5) 或いはclaudin-5 プラスミド、MMP-2 プラスミ
ドおよび各MT-MMPs プラスミドを、共遺伝子導入し、得
られた細胞可溶化物についてゼラチンザイモグラフィー
を行った結果の電気泳動写真である。Claudin-5 が MT-
MMPsによるproMMP-2プロセシングを促進していることを
示している。 B. 上述A のゼラチンザイモグラフィーに用いた細胞可
溶化物について還元条件下SDS-PAGEに供し、MT-MMPs の
発現を各モノクローナル抗体を用いウエスタンブロット
により調べた結果の電気泳動写真である。本図では、MT
1-MMP およびTIMP-2遺伝子を共に導入した細胞とも比較
した結果も示してある。MT-MMPs の発現がclaudin-5 の
発現の影響を受けないことを示す。
【図3】 A. コントロールプラスミド(pSG5) 或い
はclaudin-5 プラスミドをMMP-2 プラスミドおよび野生
型MT1-MMP 或いは図に示したようなその変異体プラスミ
ドと共に、293T細胞に共遺伝子導入し、得られた細胞可
溶化物をゼラチンザイモグラフィーで分析した結果の電
気泳動写真である。Claudin-5 がMT1-MMP 変異体による
proMMP-2プロセシングを促進していることを示してい
る。 B. 上述の A. でのゼラチンザイモグラフィーに用い
た細胞可溶化物を還元条件下SDS-PAGEに供し、MT1-MMP
変異体Δ535 或いはΔ335 の発現をMT1-MMP に対するモ
ノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットにより調
べた結果の電気泳動写真である。
【図4】 proΔMMP-2 プラスミドをコントロールプラ
スミド(pSG5) 、MT1-MMP プラスミドおよびclaudin-5
プラスミドと共に、293T細胞に共遺伝子導入し、得られ
た細胞可溶化物をゼラチンザイモグラフィーで分析した
結果の電気泳動写真である。Claudin-5 が、MT1-MMP に
よる proΔMMP-2 のプロセシングを促進していることを
示している。
【図5】 A 及びB. proMMP-2或いは proΔMMP-2 プラ
スミドおよびMT1-MMP を図に示したような量のTIMP-2プ
ラスミドと共に、293T細胞(A) 或いはCOS-1細胞(B) に
共遺伝子導入し、得られた細胞可溶化物をゼラチンザイ
モグラフィーで分析した結果の電気泳動写真である。 C. コントロールプラスミドあるいはclaudin-5 プラス
ミド、proMMP-2およびMT1-MMP 変異体Δ535 を図に示し
たような量のTIMP-2プラスミドと共に293T細胞に共に遺
伝子導入し、得られた細胞可溶化物をゼラチンザイモグ
ラフィーで分析した結果の電気泳動写真である。
【図6】 MMP-2 およびMT1-MMP プラスミドをコントロ
ール或いは図に示したようなclaudin プラスミドと共に
293T細胞に共遺伝子導入し、得られた細胞可溶化物をゼ
ラチンザイモグラフィーで分析した結果の電気泳動写真
である(上段パネル)。得られた細胞溶解物は、また還
元条件下で、SDS-PAGEに供され、図に示したような抗体
を用い、ウェスタンブロッティングによって、claudin
の存在を調べた結果の電気泳動写真である(下段パネ
ル)。
【図7】 A: MT1-MMP (上段パネル) 或いはΔ335
(下段パネル) プラスミドとMMP-2 プラスミドをコント
ロールプラスミド(レーン C)、claudin-1 (レーン
W)或いは図に示した変異体プラスミドと共に、293T培
養細胞に形質導入し、48時間培養後得られた細胞可溶化
物をゼラチンザイモグラフィーで分析した結果の電気泳
動写真である。claudin-1 の細胞外ドメインがMT1-MMP
を介したproMMP-2活性化の促進に必須であることを示し
ている。 B: 上記A でのゼラチンザイモグラフィーに用いた細
胞可溶化物を還元条件下SDS-PAGEに供し、claudin-1 に
対する抗体を用いたウェスタンブロットによりclaudin-
1 変異体の存在を調べた結果の電気泳動写真である。
【図8】 C: claudin-1 変異体の模式図 推定上の膜貫通ドメインを暗くした。E1, 最初の細胞外
ドメイン、E2, 2番目の細胞外ドメイン、 C, システイ
ン、 S, セリン。
【図9】 Claudin-1、MT1-MMP およびMMP-2 の共免疫沈
降物の電気泳動写真である。293T細胞にclaudin-1 プラ
スミド単独、MT1-MMP プラスミド単独、MMP-2 プラスミ
ド単独或いは図に示すようなプラスミドを形質導入し
た。形質導入後24時間で、細胞をS-35メチオニンおよび
システインを用い4時間ラベルした。細胞は細胞可溶化
物緩衝液中で可溶化し、抗MT1-MMP モノクローナル抗
体、抗MMP-2 モノクローナル抗体或いは抗claudin-1 ポ
リクローナル抗体を用い免疫沈降させ、プロテインG-セ
ファデックスビーズで吸着し、回収した。免疫沈降物は
還元条件下12%SDS-PAGE分析によって分析され、バイオ
イメージ分析器により検出した。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/00 A61P 29/00 101 4C084 19/02 35/00 4H045 29/00 101 C07K 14/705 35/00 16/28 C07K 14/705 C12N 1/15 16/28 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/64 1/21 9/99 5/10 C12Q 1/02 9/64 G01N 33/15 Z 9/99 33/50 Z C12Q 1/02 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/15 5/00 A 33/50 A61K 37/02 (72)発明者 小幡 賢一 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB20 CB01 DA36 FB02 FB03 4B024 AA01 BA41 CA01 GA11 4B050 CC10 DD07 HH01 KK18 4B063 QA05 QA20 QQ21 QQ41 QQ61 QR16 QR77 QS24 QS31 QX01 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA44 CA60 4C084 AA02 AA07 AA13 AA17 DC50 NA14 ZA452 ZA592 ZA962 ZB152 ZB262 4H045 AA10 AA11 DA55 EA20 FA74

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クローディン(claudin) ファミリーから
    選択されたものによる膜型マトリックスメタロプロテア
    ーゼ類(MT-MMPs) を介した潜在型マトリックスメタロプ
    ロテアーゼ-2(proMMP-2)の活性化方法。
  2. 【請求項2】 クローディンファミリーから選択された
    ものが、クローディン-1(claudin-1) 、クローディン-2
    (claudin-2) 、クローディン-3(claudin-3)、又はクロ
    ーディン-5(claudin-5) であることを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1
    (membrane-type 1matrix metalloproteinase: MT1-MM
    P)を介したproMMP-2の活性化であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 (1) クローディンファミリーから選択さ
    れたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたもの
    との複合体形成を阻害することを特徴とする、proMMP-2
    活性化阻害剤。
  5. 【請求項5】 (1) クローディンファミリーから選択さ
    れたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたもの
    との複合体形成を阻害することを特徴とする請求項4記
    載のproMMP-2活性化阻害剤。
  6. 【請求項6】 (i) クローディンファミリーから選択さ
    れたものとMT-MMPsから選択されたものとの複合体形成
    を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あるいは(i
    i)クローディンファミリーから選択されたものとproMMP
    -2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をな
    すことを特徴とする、血管新生、細胞の移動、浸潤及び
    /又は転移阻止剤。
  7. 【請求項7】 細胞が、癌細胞であることを特徴とする
    請求項6記載の剤。
  8. 【請求項8】 複合体が、(1) クローディンファミリー
    から選択されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択
    されたものとの複合体であることを特徴とする請求項6
    又は7の剤。
  9. 【請求項9】 複合体形成が、クローディンファミリー
    から選択されたものの少なくとも細胞外ドメインとの間
    でなされているものであることを特徴とする請求項4〜
    8のいずれか一記載の剤。
  10. 【請求項10】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたも
    のとの複合体形成を阻害することを特徴とするproMMP-2
    活性化を阻害する方法。
  11. 【請求項11】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたも
    のとの複合体形成を阻害することを特徴とする請求項1
    0記載の方法。
  12. 【請求項12】 (i) クローディンファミリーから選択
    されたものとMT-MMPs から選択されたものとの複合体形
    成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あるいは
    (ii)クローディンファミリーから選択されたものとproM
    MP-2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害を
    なすことを特徴とする、血管新生、細胞の移動、浸潤及
    び/又は転移を阻止する方法。
  13. 【請求項13】 細胞が、癌細胞であることを特徴とす
    る請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 複合体が、(1) クローディンファミリ
    ーから選択されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選
    択されたものとの複合体であることを特徴とする請求項
    12又は13の方法。
  15. 【請求項15】 複合体形成が、クローディンファミリ
    ーから選択されたものの少なくとも細胞外ドメインとの
    間でなされているものであることを特徴とする請求項1
    0〜14のいずれか一記載の方法。
  16. 【請求項16】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたも
    のとの複合体形成を阻害する活性を有する物質。
  17. 【請求項17】 複合体が、(a) 細胞表面に存在するク
    ローディンファミリーから選択されたもの又は(b) 細胞
    表面に存在するMT-MMPs から選択されたものとの複合体
    であることを特徴とする請求項16記載の物質。
  18. 【請求項18】 (A) クローディンファミリーから選択
    されたものであって且つその細胞外ドメイン領域に変異
    を有するクローディン、その誘導体又はその類縁体ある
    いはそれらと実質的に同等の活性を有するもの; (B) クローディンファミリーから選択されたものであっ
    て且つその細胞外ドメイン領域に相当するペプチドの一
    部に相当するペプチド断片あるいはそれらと実質的に同
    等の活性を有する誘導体又はその類縁体; 及び (C) クローディンファミリーから選択されたものの細胞
    外ドメイン領域に対する抗体から成る群から選ばれたも
    のであることを特徴とする請求項16又は17記載の物
    質。
  19. 【請求項19】 (A) クローディンファミリーから選択
    されたものの細胞外ドメイン領域における変異が、アミ
    ノ酸残基の欠失、置換及び挿入から成る群から選ばれた
    ものである; (B) (i) 細胞外ドメイン領域に相当するペプチドが、配
    列表の配列番号:1記載の ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asp38〜Phe67
    に相当するペプチド、 ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Val55〜Cys64
    に相当するペプチド、及び ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asn142 〜Val
    155に相当するペプチドから成る群から選ばれ且つ(ii)
    該ペプチドのうちの少なくとも連続した3個以上のアミ
    ノ酸残基を有するものである;あるいは (C) (i) 細胞外ドメイン領域に相当するペプチドが、配
    列表の配列番号:1記載の ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asp38〜Phe67
    に相当するペプチド、 ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Val55〜Cys64
    に相当するペプチド、及び ヒトクローディン-1のアミノ酸配列 Asn142 〜Val
    155に相当するペプチドから成る群から選ばれ且つ(ii)
    該ペプチドのうちの少なくとも連続した3個以上のアミ
    ノ酸残基を有するものに対する抗体であることを特徴と
    する請求項16〜18のいずれか一記載の物質。
  20. 【請求項20】 (i) 請求項18の(A) 記載のものをコ
    ードする核酸、(ii)請求項18の(B) 記載の細胞外ドメ
    イン領域に相当するペプチドの一部に相当するペプチド
    断片をコードする核酸、(iii) 上記 (i)の核酸とハイブ
    リダイスすることができる核酸、及び(iv) 上記 (i)〜
    (iii) のいずれか一の核酸と実質的に同等の活性を有す
    る核酸から成る群から選ばれたものであることを特徴と
    する核酸。
  21. 【請求項21】 (i) 請求項19の(A) 記載の変異クロ
    ーディン、その誘導体又はその類縁体あるいはそれらと
    実質的に同等の活性を有するものをコードする核酸、(i
    i)請求項19の(B) 記載のペプチド断片をコードする核
    酸、(iii) 上記 (i)の核酸とハイブリダイスすることが
    できる核酸、及び(iv) 上記 (i)〜(iii) のいずれか一
    の核酸と実質的に同等の活性を有する核酸から成る群か
    ら選ばれたものであることを特徴とする請求項20記載
    の核酸。
  22. 【請求項22】 ヒトクローディン-1の38-67 位のアミ
    ノ酸残基を欠失した変異体 (M1Δ38-67), ヒトクローデ
    ィン-1の55-64 位のアミノ酸残基を欠失した変異体 (M2
    Δ55-64), ヒトクローディン-1の142-155 位のアミノ酸
    残基を欠失した変異体 (M3Δ142-155), ヒトクローディ
    ン-1の54位のシステイン残基をセリン残基で置換した変
    異体(M4C54S), ヒトクローディン-1の64位のシステイン
    残基をセリン残基で置換した変異体(M5C64S), ヒトクロ
    ーディン-1のC-末端側のPDZ モチーフを破壊した変異体
    (M6ΔYV) 及びヒトクローディン-1のN-末端側の1-101
    位のアミノ酸残基を欠失した変異体 (M7Δ1-101)から成
    る群から選ばれたものあるいはそれらと実質的に同等の
    活性を有するものをコードすることを特徴とする請求項
    20又は21記載の核酸。
  23. 【請求項23】 請求項20〜22のいずれか一記載の
    核酸を含有することを特徴とするベクター。
  24. 【請求項24】 請求項20〜22のいずれか一記載の
    核酸又は請求項23記載のベクターを含有することを特
    徴とする形質転換体。
  25. 【請求項25】 請求項20〜22のいずれか一記載の
    核酸又は請求項23記載のベクターを含有することを特
    徴とする遺伝子治療用剤。
  26. 【請求項26】 請求項4〜9のいずれか一記載のもの
    あるいは請求項16〜24のいずれか一記載のものを含
    有することを特徴とする医薬又は獣医薬。
  27. 【請求項27】 proMMP-2活性化に起因する疾患あるい
    は病的な状態の治療及び/又は予防のためのものである
    ことを特徴とする請求項26記載の医薬又は獣医薬。
  28. 【請求項28】 血管新生、細胞の移動、浸潤及び/又
    は転移を抑制及び/又は阻止するためのものであること
    を特徴とする請求項26記載の医薬又は獣医薬。
  29. 【請求項29】 細胞が、癌細胞であることを特徴とす
    る請求項28記載の医薬又は獣医薬。
  30. 【請求項30】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPs及びproMMP-2から選択されたも
    のとの複合体形成を指標に、proMMP-2の活性化を阻害す
    る物質をスクリーニングすることを特徴とするスクリー
    ニング方法。
  31. 【請求項31】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT1-MMP及びproMMP-2から選択されたも
    のとの複合体形成を阻害することを特徴とする請求項3
    0記載の方法。
  32. 【請求項32】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proM
    MP-2とを発現している細胞系を使用することを特徴とす
    る請求項30又は31記載の方法。
  33. 【請求項33】 請求項30〜32のいずれか一記載の
    方法で取得したproMMP-2の活性化を阻害する物質。
  34. 【請求項34】 (i) クローディンファミリーから選択
    されたものとMT-MMPs から選択されたものとの複合体形
    成を阻害してproMMP-2の活性化阻害をなすか、あるいは
    (ii)クローディンファミリーから選択されたものとproM
    MP-2との複合体形成を阻害してproMMP-2の活性化阻害を
    なすことを指標に、血管新生、細胞の移動、浸潤及び/
    又は転移を阻止する活性を有する物質をスクリーニング
    することを特徴とするスクリーニング方法。
  35. 【請求項35】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proM
    MP-2とを発現している細胞系を使用することを特徴とす
    る請求項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 請求項34又は35記載の方法で取得
    した血管新生、細胞の移動、浸潤及び/又は転移阻止活
    性を有する物質。
  37. 【請求項37】 proMMP-2の活性化阻害のスクリーニン
    グにおいて、(i)(1)クローディンファミリーから選択さ
    れたもの、(2)MT-MMPsから選択されたもの及び(3) proM
    MP-2の存在下に、(ii) proMMP-2 の活性化阻害候補化合
    物の共存下あるいは(iii) 該proMMP-2の活性化阻害候補
    化合物の非共存下のproMMP-2の活性化の程度を比較する
    ことを特徴とするproMMP-2の活性化を阻害する物質のス
    クリーニング方法。
  38. 【請求項38】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT-MMPsから選択されたものと(3) proM
    MP-2とを発現している細胞系を使用することを特徴とす
    る請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 (1) クローディンファミリーから選択
    されたものと(2)MT1-MMP及び(3) proMMP-2の存在下にス
    クリーニングされることを特徴とする請求項37又は3
    8記載の方法。
  40. 【請求項40】 請求項37〜39のいずれか一記載の
    方法で取得したproMMP-2の活性化を阻害する物質。
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