JP2002541438A - 混合細胞個体群内の希少な細胞型の同定及び分析用システム及び方法 - Google Patents

混合細胞個体群内の希少な細胞型の同定及び分析用システム及び方法

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JP2002541438A JP2000600083A JP2000600083A JP2002541438A JP 2002541438 A JP2002541438 A JP 2002541438A JP 2000600083 A JP2000600083 A JP 2000600083A JP 2000600083 A JP2000600083 A JP 2000600083A JP 2002541438 A JP2002541438 A JP 2002541438A
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Abstract

(57)【要約】 キャリヤ(10)によって運ばれた細胞の混合個体群中の希少細胞を検出し分析するための方法及びシステム。該方法は、(a)キャリヤ(10)の希少細胞を形態学的に同定しかくして既知の場所の同定済み希少細胞を得るために自動式又は半自動式光学走査システム(30)を使用すること、及び(b)同定済み希少細胞を化学的、生化学的及び/又は遺伝学的に分析することによって実施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の分野及び背景 本発明は、細胞混合個体群内の希少細胞型を同定し分析するためのシステム及
び方法に関する。特に、本発明は、細胞混合個体群を形成する母親の血液から誘
導された細胞中の希少細胞である胎児細胞を形態学的に同定し、形態学的及び化
学的、生化学的及び/又は遺伝学的に分析するための自動又は半自動式システム
及び方法に関する。より特定的には、本発明は、母親の血液から誘導された胎児
細胞内の染色体異常の自動式又は半自動式出生前診断のためのシステム及び方法
に関する。本発明は同様に、ガン患者の血液から誘導された細胞中の希少腫瘍細
胞を形態学的に同定し形態学的及び化学的、生化学的及び/又は遺伝学的に分析
するための自動又は半自動システム及び方法にも関する。
【0002】 本発明に従ったシステム及び方法は、原則として、実施前にいかなる生物学的
富化プロセスも必要とせず、画像処理技術の組合せを利用する全自動又は半自動
化スクリーニングシステムを介して、例えば胎児又はガン細胞といった希少細胞
を同定し分析することができる。
【0003】 さらに、好ましい実施形態に従うと、本発明のシステム及び方法は、希少細胞
を特徴づける形態学的特長に基づく希少細胞検出と、染色体マーカー及び/又は
抗原マーカーといったような細胞マーカーの特徴づけに基づく希少細胞の化学的
、生化学的及び/又は遺伝学的分析を相乗的に組合わせ、かくして結果をさらに
相乗的に確証する。
【0004】 かくして、本発明のシステム及び方法は、母親由来の血液中の胎児細胞の検出
及び分析に特に応用可能である。さらに、本発明のシステム及び方法は、同様に
、ガン患者由来の血液中の腫瘍細胞の検出にも応用でき、かくして、一般に最小
残存病変(MRD)と呼ばれるものを監視し検出するために利用可能である。
【0005】 その他の細胞型の個体群の中で発見された希少細胞型の同定及びその後の分析
は、医学にとって極めて重要なものである。
【0006】 例えば、母親の血液中の胎児細胞の同定及び遺伝学的分析は、胎児障害の出生
前診断、胎児性別決定などにおいて重要である。
【0007】 希少腫瘍細胞の化学的、生化学的及び/又は遺伝学的な同定及び分析は、最小
残存病変(MRD)の検出のために利用可能である。
【0008】 現在、個々の希少細胞の形態学的同定及びその後の形態学的及び化学的、生化
学的及び/又は遺伝学的な複合分析を可能にする自動式システムは、全く利用で
きない。かくして、希少細胞型の同定及び化学的、生化学的又は遺伝学的分析は
、現在のところその基礎が非常に制限された中で実施されており、標準的に、希
少細胞の手動式検出及び計数ならびに同一の患者から採取したかかる細胞のもう
1つの独立したグループのその後の分析によって行なわれている。
【0009】 先行技術は、見かけ上希少細胞型の富化及び/又は化学的、生化学的及び/又
は遺伝学的分析のために利用できるシステムについて記述しているが、かかるシ
ステムは、標準的に、1つだけか又は複数の特定細胞型のみの富化及び/又は遺
伝学的分析を提供する、専用の性質を帯びているものである。
【0010】 例えば、W094/02646は、希少胎児細胞を富化し問合せするための方
法を記述している。この方法は、希少細胞富化を実施するために細胞特異的抗体
を利用する。富化に続いて、希少細胞は単数又は複数の先行技術を介して遺伝学
的、化学的又は生化学的に問合せされ得る。
【0011】 前述の方法及び付加的な先行技術による方法に固有の制限のため、これらの方
法は、単数又は複数の細胞型に専用のものであり利用が煩雑で時間がかかりかつ
往々にしてそれを使いものにならなくする可能性のある信頼性の低い結果を提供
することから、商業規模では実施できなくなっている。
【0012】 例えば、母親の血液中の胎児細胞の場合に1:100,000未満の濃度で希
少細胞を同定するための効率的な能力が欠如していることが、安全な出生前試験
にとって1つの障害となっている。もう1つの例で、MRDの場合、形態学的及
び化学的、生化学的及び/又は遺伝学的特徴について希少ガン細胞を同定し同時
分析することが実用上不可能であるため、試験の精度には制限がある。
【0013】 母親の血液中の胎児細胞 母親の血液循環中に胎児細胞が存在することは、妊娠初期において行なうこと
ができる危険性の無い出生前診断試験のための1つの機会を提供している。妊娠
6週目で早くも母親の血液系中にかかる細胞を発見することができるということ
を示唆する証拠が存在している。これらの細胞は、胎児の遺伝情報を含んでおり
、従って、分離されたならば、ダウン症候群(染色体21トリソミー)といった
ような異常についての胎児染色体検査が可能となる。数多くの研究者が、母親の
血液の胎児細胞の分離方法を開発し、かくしてその染色体異常を検出するための
最少限の危険性しかない試験を開発しようと試みてきた。しかしながらこの作業
は、母親の血液中の胎児細胞が希少であることそして胎児細胞と母親の血液細胞
の間の区別がむずかしいことから、きわめて困難なものである。
【0014】 母親の血液中を循環する胎児細胞の存在は、一世紀以上前から知られている。
1893年、Schmorl〔1〕は、母親の血液系中の栄養芽細胞の存在を実
証した。1969年には、Walknowska et al.,〔2〕が、2
1人の妊娠中の女性から採取した血液標本中に雄特異的Y染色体が存在したこと
、そしてその後これらの女性のうちの19人が男児を、他の2人が女児を出産し
たことを示した。これらの発見事実は、その他の研究者によって確証されており
、これらの研究者は、男性胎児を妊娠している女性の循環中のY(雄)クロマチ
ンを伴う細胞の存在を記録した。
【0015】 これらの発見事実は、染色体異常について胎児を検査するための手段としての
用途にこれらの胎児細胞を試し、これらを分離するよう、数多くの研究者を促す
ことになった。分析のためには、栄養芽細胞、リンパ球及び有核赤血球という3
つのタイプの胎児細胞を使用することができる。
【0016】 栄養芽細胞: 栄養芽細胞は、母親の血液標本中に存在するきわめて希少な(
赤血球枯渇母系血液標本中で細胞1,000,000個あたり約1個)、多核(
各々直径約10μmの30〜50個の核)性で例外的に大きい(直径100〜2
00μm)胎児細胞である。栄養芽細胞は、いくつかの理由から出生前診断にと
って理想的なものではない。すなわち、第1に、妊娠の最初の3ヶ月間、母親の
血液中に存在する栄養芽細胞の数はきわめて少ない。第2に、母親の血液中に放
出される栄養芽細胞は、肺の中にすばやく捕獲された状態となり、従ってこれら
の細胞型は末梢循環中にほとんど残っていない。多核性であることから、栄養芽
細胞は、胎児細胞と同じ染色体全数を共有せず、従って、染色体分析のためには
良い候補ではない。
【0017】 リンパ球: 胎児リンパ球は、出生前診断のための魅力的な潜在的細胞供給源
である。1つの潜在的な問題点は、一部のケースにおいて、かかる細胞が妊娠後
長年にわたり母親の循環中に存続しうるという点にある。Bianchi et
al.は、Y染色体を含有する雄性胎児細胞の兆候を、男児を出産し分娩後6
カ月から27年の8人の妊娠していない女性のうちの6人に発見した〔3〕。こ
の点において、前胎児のリンパ球の存在が現胎児のリンパ球分析を妨害する可能
性があるということは明白である。
【0018】 有核赤血球: 胎児有核赤血球/Nucleated Red Blood
Cells−NRBC)は、複数の理由から、母親の血中を循環する胎児細胞の
出生前診断にとって最も適したものであると思われる。まず第1に、母親の有核
赤血球は、大人の循環中には稀である(臨床的状況下を除いて)が、胎児におい
ては、特に妊娠初期の間には一般的である。第2に、胎児有核赤血球は、転移レ
セプタといったような複数の独特の抗原を発現する。第3に、胎児有核赤血球は
、これらの胎児細胞を同定するための細胞マーカーとして使用される可能性をも
つゼータ(ζ)及びガンマ(γ)ヘモグロビンといったような独特の胎児ヘモグ
ロビン鎖を産生する〔4〕。最後に、赤血球は、短命であり、1回の妊娠から次
の妊娠まで存続する可能性が低い〔5〕。
【0019】 母親の血液中の胎児細胞の頻度: 母親の血液からの胎児細胞の分離は、その
希少さのため特に困難なことであった。母親の血液中の胎児細胞の出現の推定値
は、10分の1から10分の1までの範囲で変動している〔6〕。Hama
da et al.,は、細胞がY染色体を支持することの証拠を見い出すため
に未選別の母親の血液についての螢光インサイチュハイブリダイゼーション(F
ISH)を使用した。かかる細胞の数は、妊娠が進むにつれて、最初の3ヶ月間
の10分の1から最終時の10分の1まで増大した〔7〕。もう1つの興味
深い問いは、母親の循環中への胎児細胞の進入のタイミングに関するものである
。利用可能なデータによると、胎児DNA由来の配列の検出は、最初の3ヶ月間
においてさえ可能である。体外受精で受胎した男性胎児をもつ2人の女性の研究
において、胎児DNAは、早くも妊娠33日及び40日で、母親の血液中で発見
された〔8〕。図1は、1つの研究グループによって報告された7mlの母親の
血液中の有核赤血球の平均数を示している
〔9〕。下表1は、母親の血液中のD
NA又は胎児細胞からの性別決定のためのいくつかの実験をまとめたものである
。結果は、早くも妊娠6週でこのような同定を行なうことができるということを
示している。
【0020】
【表1】
【0021】 現在、胎児内の染色体異常を同定させるために母親由来の血液標本を活用する
試験は全く市販されていない。かかる試験を開発するために多大な努力が払われ
てきた。かかる努力は主として、標本中に存在する胎児細胞を富化し濃縮するた
めに、さまざまなプロセスによって血液標本から母親の細胞を除去することに向
けられてきた。従って、かかる方法は、「富化プロセス」として関連する文献中
で言及されている。これまでのところ、一般的な富化プロセスとしては、次の4
つのものが存在する:すなわち(i)密度勾配;(ii)螢光励起細胞選別(F
ACS);(iii)磁気励起細胞選別(MACS);及び(iv)電荷流分離
(及び/又は電気泳動)である。
【0022】 かくして、母親の血液中で胎児細胞がきわめて希少であることから、母親の血
液からの胎児細胞分画又は胎児遺伝材料を富化及び/又は分離するための数多く
の専門的技術が設計されてきた。
【0023】 かかる方法を用いて限定的な分離を達成することができるものの、これらの方
法は標準的に、例えば許容誤差が実質的にゼロであるといったように、非常に信
頼性の高い遺伝的試験のために使用可能である胎児細胞分画の分離を行うのに充
分な感度をもっていない。さらに、現在使用されている勾配遠心分離といったよ
うな富化方法は、全て、実質的な細胞損失を結果としてもたらし、かくして、そ
の後の分析のため又はその後の細胞選別又は富化技術と共に使用するために利用
可能な胎児細胞の数を低減させる。
【0024】 母親の血液標本から胎児細胞を分離する試みの中で利用されてきたより感度の
高いアプローチは、特定の胎児細胞型に特異的なラベル付けされた抗体を利用す
る。抗体ラベル付けされた細胞は次に、抗体ラベルの認識によって左右されるさ
まざまな方法によって分離されうる。例えば、螢光励起細胞選別(FACS,H
erzenberg et al.,1979,Proc. Natl. Ac
a. Sci. USA 76:1453)、磁気励起細胞選別(MACS,G
anshirt−Ahlert et al., 1992,Am. J. O
bstet. Gynecol. 166:1350)又は両方の手順の組合せ
(Ganshirt−Ahlert et al., 1992,Am. J.
Hum. Genet. 51:A48)を利用することのできるフローサイ
トメトリ(Herzenberg, L. A., et al., Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 76,1453−1455(
1979);Iverson, G. M., et al., Prenat
al Diagnosis 1,61−73(1981);Bianchi,
D. W., et al., Prenatal Diagnosis11,
523−528(1991))により母親の細胞成分からのこれらの細胞の分離
を容易にするために胎児細胞にラベル付けするべく、胎児細胞特異的抗体を使用
することができる。さらに、勾配遠心分離及びフローサイトメトリ方法の組合せ
を、分離又は選別効率の増大のために使うこともできる。
【0025】 これらの非侵襲的富化方法は現在使用されている侵襲的技術に対する1つの代
替案を提供するが、それらの設計に固有の制限のため、かかる方法は広く実践さ
れていない。
【0026】 例えば、フローサイトメトリ技術に固有の主たる制限は、かかる技術によって
利用される抗体から生じるものである。かかる抗体は、細胞特異的に生成される
ものの、往々にして、標本中にはるかに高い濃度で存在するその他の望ましくな
い細胞型と交差反応する。その結果、かかる方法は、往々にして、複数の胎児細
胞型を富化するために充分であるにすぎず、信頼性の高い、許容誤差がゼロの胎
児細胞分離のためには使用できない。
【0027】 いくつかの出版物が、顕微操作を介した胎児細胞の分離について記述している
【0028】 Tutschek B. et al.,「顕微操作による大腿骨頸部標本か
らの胎児細胞の分離;その胎児起源の分子立体配座及び「胎児異数性」の診断」
、Prenatal Diagnosis,第15巻:951−960,199
5 は、母親の細胞の同時分離の可能性を減少させるための顕微操作による大腿
骨頸部標本からの胎児細胞の分離を教示している。しかしながらTutsche
k B. et al.は、母親の血液標本からの希少細胞の分離を教示できて
いない。
【0029】 Takabayashi H, et al.,「母親の血液からの非侵襲性
胎児DNA診断の開発」、Prenatal Diagnosis,第15巻:
74−77、1995 は、パッペンハイム染色された胎児有核赤血球の検出及
び検索について教示している。
【0030】 Cueung M et al.「母親の血液中の胎児細胞の分析による鎌状
赤血球貧血及び重症地中海貧血の出生前診断」Nature Genetics
,第14巻:264〜268、1996 は、顕微鏡スライドからの抗胎児グロ
ビン抗体で染色された胎児有核赤血球のスクレーピングについて教示している。
【0031】 しかしながら、顕微操作前の細胞同定が手動式で実施され、この作業が骨の折
れるかつ時間のかかる作業であることがわかるであろう。
【0032】 本書で「生物学的プロセス」と呼ぶこれらの方法は全て、富化又は分離される
べき細胞の特定の特徴以外の全てのデータを放棄するように設計されている。こ
れらの方法は、以下のような固有の制限のうちの単数又は複数の制限を受けてい
る:すなわち
【0033】 最終結果の質が悪い− 顕微操作を除いて、上述の方法の各々は、母親を起源
とする細胞を放棄し、その結果、胎児細胞濃度は約1:10から約1:10 まで増大する。これらの結果は、商業的に見込みのある試験にとって充分なもの
ではない。
【0034】 細胞の喪失− 以上で言及した富化技術、特に顕微操作においては、重要な細
胞、すなわち胎児起源の細胞が富化プロセス中に喪失する危険性がある。実際、
富化プロセスにおいて30%という多くの胎児細胞が失なわれ得るということを
実証している報告も存在する〔10〕。
【0035】 これらの理由から、現在のところ、検出された胎児細胞のその後の化学的、生
化学的及び/又は遺伝学的分析と組合わされた胎児細胞検出を可能にするいかな
るシステムも方法も存在しない。
【0036】 胎児細胞の同定及び分離における現在の研究傾向は、胎児細胞を母親の細胞と
区別するパラメータは1つだけか又は少数であるという概念に基づくものである
。かくして、上述の富化方法の各々は、胎児細胞を母親の細胞から分離するため
に単一の胎児細胞パラメータを利用する。例えば、密度勾配の場合、それは細胞
の重量であり、FACS及びMACSの場合、それは細胞抗原である。しかしな
がら、問題は、現在いかなる単一の有効な分別も存在せず、1つの細胞グループ
をもう1つの細胞グループと区別するためのより良い方法は、各々がその重量に
従った同定決定に寄与する異なる1組のパラメータを利用することによるもので
あると思われる。
【0037】 かくして、本発明の検出及び分析方法は、組合せで使用されたとき、その他の
細胞型の個体群の中のさまざまな希少細胞型を分別しかくしてその分別を可能に
することのできる1組の区別可能なパラメータを利用している。本発明は同時に
、この検出を、検出された細胞のその後の化学的、生化学的及び/又は遺伝学的
分析と組合せている。
【0038】 発明の要約 本発明の1つの態様に従うと、顕微鏡の載物台上に取付けるため及び揺動バケ
ット式遠心分離機内に設置するための標本キャリヤにおいて、少なくとも50の
標本ウェルで形成された約3500平方ミリメートル以上の表面積を含んで成る
標本キャリヤが提供されている。
【0039】 本発明のもう1つの態様に従うと、複数の孔で形成されているコンテナを含ん
で成るディスペンサにおいて、前記ディスペンサが少なくとも50の標本ウェル
で形成された約3500平方ミリメートルより大きい表面積を内含する標本キャ
リヤと整合するよう適合され、かくして前記ディスペンサがキャリヤ上に取付け
られた時点で、コンテナの複数の孔がキャリヤの複数のウェルに対面し、孔を通
してのウェル内への標本の送り出しを容易にするようになっている、ディスペン
サが提供されている。
【0040】 本発明のさらにもう1つの態様に従うと、(a)複数の孔で形成されているコ
ンテナを内含するディスペンサ、及び(b)少なくとも50の標本ウェルで形成
された約3500平方ミリメートルよりも大きい表面積を内含する標本キャリヤ
であり、かくしてディスペンサがキャリヤ上に取付けられた時点で、コンテナの
複数の孔がキャリヤの複数のウェルに対面し、孔を通したウェル内への標本の送
り出しを容易にするようになっている標本キャリヤ、を含んで成る標本調製アセ
ンブリが提供されている。
【0041】 本発明のさらにもう1つの態様に従うと、標本を送り出す方法において、(a
)(i)複数の孔で形成されているコンテナを内含するディスペンサ、及び(i
i)少なくとも50の標本ウェルで形成された約3500平方ミリメートルより
も大きい表面積を内含する標本キャリヤを内含する調製アセンブリを提供する段
階、(b)コンテナの複数の孔がキャリヤの複数のウェルに対面し、孔を通して
のウェル内への標本の送り出しを容易にするように、キャリヤ上にディスペンサ
を取付ける段階、及び(c)孔を通して標本をウェル内に送り出す段階、を含ん
で成る方法が提供されている。
【0042】 本発明の付加的な態様に従うと、標本を分析する方法において、(a)(i)
複数の孔で形成されているコンテナを内含するディスペンサ、及び(ii)少な
くとも50の標本ウェルで形成された約3500平方ミリメートルよりも大きい
表面積を内含する標本キャリヤ、を内含する調製アセンブリを提供すること、(
b)コンテナの複数の孔がキャリヤの複数のウェルに対面し、孔を通してのウェ
ル内への標本の送り出しを容易にするように、キャリヤ上にディスペンサを取付
けること、及び(c)孔を通して標本をウェル内に送り出すこと、によって標本
を送り出す段階、及び前記ウェルのうちの少なくとも1つの中味を分析する段階
、を含んで成る方法が提供されている。
【0043】 以下で記述する本発明の好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、標本キ
ャリヤは、少なくとも2つのfeducialマーカーをさらに含んで成る。
【0044】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、feducia
lマーカーは十字線構成を特色にしている。
【0045】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、コンテナは、そ
れをチャンバに分割する仕切りを内含し、一方チャンバの各々が孔のうちの少な
くとも1つと流体連通状態にある。
【0046】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、孔は、コンテナ
の外に突出する突出部分の遠位端部に位置づけされている。
【0047】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、孔を通して標本
をウェル内に送り出す段階は遠心力の下で実施される。
【0048】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、各ウェルが標本
から誘導された細胞の単層を確実に内含するようにするべく予備措置が講じられ
ている。
【0049】 本発明のさらなる付加的な特徴に従うと、細胞の混合個体群内の希少細胞を同
定する間の偽陽性結果を低減させる方法において、(a)その形態学的特長に従
って希少細胞を同定する第1のアルゴリズムを、希少細胞の同定のために利用す
る段階、及び(b)希少細胞を特徴づけする細胞マーカーに従って希少細胞を同
定する第2のアルゴリズムを、希少細胞の同定のために独立して利用する段階、
(c)第1のアルゴリズム及び第2のアルゴリズムの両方共が、細胞混合個体群
の1つの特異的細胞を微量のものとして同定した場合にのみ、この特異的細胞を
希少細胞として同定する段階、を含んで成る方法が提供されている。
【0050】 本発明のさらなる付加的な特徴に従うと、キャリヤによって担持される細胞の
混合個体群中の希少細胞を検出し分析する方法において、(a)キャリヤ上の希
少細胞を形態学的に同定しかくして既知の場所の同定済み希少細胞を得るために
自動式又は半自動式光学走査システムを使用する段階、及び(b)同定済み希少
細胞を化学的、生化学的及び/又は遺伝学的に分析する段階、を含んで成る方法
が提供されている。
【0051】 以下で記述される本発明の好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、該方
法は、形態学的画像及び同定済み希少細胞の化学的、生化学的及び/又は遺伝学
的分析を提示する画像を同時表示する段階がさらに含まれている。
【0052】 本発明のさらに付加的な特徴に従うと、キャリヤによって担持される細胞の混
合個体群の中で希少細胞を同定するためのシステムにおいて、撮像装置と光学的
に通信する光学拡大装置及び撮像装置により収集されつつある画像を分析するた
めの処理装置を内含する走査ユニットを含んで成るシステムであって、処理装置
は、1つの画像処理アルゴリズムを実行するためのものであり、画像処理アルゴ
リズムは、撮像装置によって収集された1つの画像を細胞核と結びつけられた第
1の画素グループ、細胞質と結びつけられた第2の画素グループ及び背景と結び
つけられた第3の画素グループへとセグメント化するためのものであるシステム
が提供されている。
【0053】 本発明のさらなる態様に従うと、キャリヤによって担持される細胞の混合個体
群中で希少細胞を同定する方法において、(a)(i)撮像装置と光学的に通信
する光学拡大装置、及び(ii)撮像装置によって収集された画像を分析するこ
とを目的とし、画像処理アルゴリズムを実施するための処理装置を内含する走査
ユニットを提供する段階、(b)撮像装置を介して、細胞混合個体群の画像を収
集する段階、及び(c)撮像装置によって収集された細胞の混合個体群の画像を
細胞核と結びつけられた第1の画素グループ、細胞質と結びつけられた第2の画
素グループ及び背景と結びつけられた第3の画素グループへとセグメント化し、
かくして希少細胞の同定を可能にするために画像処理アルゴリズムを利用する段
階、を含んで成る方法が提供されている。
【0054】 以下で記述する本発明の好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、画像処
理アルゴリズムによって計算された少なくとも2つの閾値に従って第1、第2及
び第3の画素グループがセグメント化され、かくして細胞混合個体群の画像を第
1、第2及び第3画素グループへとセグメント化する段階は、画像処理アルゴリ
ズムによって計算された少なくとも2つの閾値に従って実施される。
【0055】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、少なくとも2つ
の閾値は、(i)各々の画素の各々のカラーチャネルがそのそれぞれの強度に従
って重みづけされ、単色重みづけ済み平均強度が画素の各々に対し与えられてい
る単色画像へと、細胞のカラー画像を変換すること、(ii)画素の間の単色重
みづけ済み平均強度分布の分布を表わすヒストグラムを生成すること、及び(i
ii)ヒストグラムを用いて、少なくとも2つの閾値を計算することによって計
算される。
【0056】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、撮像装置によっ
て収集された1つの画像を細胞核と結びつけられた第1の画素グループ、細胞質
と結びつけられた第2の画素グループ及び背景と結びつけられた第3の画素グル
ープへとセグメント化する段階は、少なくとも1つの核2進画像と細胞質2進画
像を生成することによって実施される。
【0057】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、画像処理アルゴ
リズムはさらにブロブ分類のためのものであり、一方ブロブ分類は、まず第1に
、2進画像内の結合された構成要素を同定し、かくして2進画像の各々の中のブ
ロブを同定し、その後ブロブから抽出された特長を評定することによって実施さ
れる。
【0058】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、細胞混合個体群
の画像を第1、第2及び第3画素グループへとセグメント化する段階は、ブロブ
分類によって実施され、一方ブロブ分類は、最初に、2進画像内の結合された構
成要素を同定し、かくして2進画像の各々の中のブロブを同定し、その後ブロブ
から抽出された特長を評定することによって実施される。
【0059】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、特長は、(i)
ブロブの各々のサイズ;(ii)ブロブの各々の周囲;(iii)ブロブの各々
の粗度;(iv)ブロブの各々のち密度;(v)ブロブの各々の伸び;(vi)
境界枠の寸法;(vii)最小直径;(viii)最大直径;(ix)平均直径
;(x)凸状周囲;(xi)1画素の最小強度;(xii)1画素の最大強度;
(xiii)画素の平均強度;(xiv)画素強度の標準偏差;(xv)画素強
度の2乗の和;及び(xvi)ブロブの各々の孔数から成るグループの中から選
択される。
【0060】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、細胞核と結びつ
けられた第1の画素グループは、ブロブ発見及び分類アルゴリズム及び境界検出
アルゴリズムを用いて再定義される。
【0061】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、細胞質と結びつ
けられた第2の画素グループは、境界検出アルゴリズムの結果を用いて再定義さ
れる。
【0062】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、画像処理アルゴ
リズムはさらに、2進画像の各々から誘導されたブロブを整合させ、その後、整
合したブロブから抽出された特長を評定してこれらのブロブを分類するためのも
のである。
【0063】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、特長は、(i)
整合したブロブのブロブ間サイズ比;(ii)整合したブロブのブロブ間オーバ
ーラップレベル;(iii)整合したブロブのブロブ縁部間最小距離;及び(i
v)整合したブロブのブロブ縁部間最大距離から成るグループの中から選択され
る。
【0064】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、画像処理アルゴ
リズムはさらに、整合したブロブと結びつけられた画素のカラー特長を抽出する
ためのものである。
【0065】 記述されている好ましい実施形態中のさらなる特徴に従うと、画像処理アルゴ
リズムはさらに、強制的特長及び必要にして充分な特長に従って希少細胞を同定
するためのものである。
【0066】 本発明は、細胞混合個体群内で胎児細胞又はガン細胞といったような希少細胞
型を同定し分析するためのシステム及び方法を提供することによって、現在知ら
れている構成の欠点にうまく対処している。本発明は、このような希少細胞の形
態学的同定及び形態学的及び化学的、生化学的及び/又は遺伝学的分析の相乗効
果をもたらす。
【0067】 本発明の方法及びシステムの実施には、手動式、自動式又はそれらの組合せで
、選択されたタスク又はステップを実行又は補完することが関与する。さらに、
本発明の方法及びシステムの好ましい実施形態の実際の計装及び機器に従うと、
複数の選択されたステップを、ハードウェアによって又はいずれかのファームウ
ェアのいずれかのオペレーティングシステム上でソフトウェアによって、又はそ
れらの組合せによって実施することができる。例えば、ハードウェアとしては、
本発明の選択されたステップは、チップ又は回路として実施できる。ソフトウェ
アとしては、本発明の選択されたステップは、いずれかの適切なオペレーティン
グシステムを用いてコンピュータによって実行されている複数のソフトウェア命
令として実施可能である。いずれの場合でも、本発明の方法及びシステムの選択
されたステップは、複数の命令を実行するための計算プラットフォームといった
ようなデータプロセッサによって遂行されているものとして記述することができ
る。 図面の簡単な説明 本発明は、本書中で添付図面を参照しながら単なる一例を用いて記述されてい
る。図面をここで詳しく特定的に参照しながら示されている事項が一例であって
本発明の好ましい実施形態についての例示的論述を目的とし、かつ本発明の原理
及び概念的態様の最も有用かつ容易に理解できる記述であると考えられているも
のを提供するために紹介されている、ということを強調しておきたい。この点に
おいて、本発明の根本的な理解のために必要であるより以上に詳細に本発明の構
造的細部を示す試みは全くなされておらず、図面と共に明細書を読むことによっ
て、当業者には、本発明のいくつかの形態をいかにして実践において実施できる
かが明確になっている。 図中、 図1は先行技術において報告されているような7mlの母親の血液中の有核赤
血球の平均数を示すヒストグラムである。 図2は本発明に従った標本キャリヤの上面図である。 図3は本発明の標本キャリヤ上に標本を送り出すのに利用できる、本発明に従
った標本ディスペンサの斜視図である。 図4は本発明のシステムのさまざまな構成要素を描くブラックボックスダイア
グラムである。 図5は本発明のシステム及び方法によって利用されるさまざまな標本処理ステ
ップを描いた流れ図である。 図6は本発明のシステム及び方法によって利用される画像処理アルゴリズムを
全体として描いた流れ図である。 図7は本発明により利用される画像処理アルゴリズムに従ったヒストグラムの
生成及びそれによる細胞質及び核の2進画像の生成を詳細に描いた流れ図である
。 図8〜9は本発明の教示に従った、未変換ヒストグラム(図8)及び変換ヒス
トグラム(図9)を例示する。 図10は本発明の教示に従った核、細胞質及び関連する画素について生成され
た曲線及びその間の分別を行なう閾値を示すグラフである。 図11は本発明の画像処理アルゴリズムによって実現される「ブロブ発見」ス
テップを詳細に示す流れ図である。 図12は一般に本発明のアルゴリズムを用いた細胞の分類を示す流れ図である
。 図13は本発明の画像処理アルゴリズムによって実現された核セグメンテーシ
ョンを結果としてもたらす、核境界検出のためにとられるステップを例示する流
れ図である。 図14は本発明の画像処理アルゴリズムによって実現される細胞分類ステップ
の流れ図である。 図15a−bは本発明の画像処理アルゴリズムを利用して分別され得る2つの
隣接細胞(図15a)と単一の多核細胞(図15b)の画像を描いている。
【0068】 好ましい実施形態の説明 本発明は、細胞混合個体群中の希少細胞型を同定しかつ分析するために使用す
ることのできるシステム及び方法に関する。特定的に言うと、本発明は、母親の
血中の循環胎児細胞又はガン患者の循環腫瘍細胞を形態学的に同定し、形態学的
及び化学的、生化学的及び/又は遺伝学的にこれを分析するために使用できる。
原則的には、本発明に従ったシステム及び方法は、実施に先立ちいかなる生物学
的除去及び/又は富化プロセスも必要とせず、画像処理技術のみを用いて、全自
動又は半自動式スクリーニングユニットを介して例えば胎児細胞又はガン細胞と
いったような希少細胞を固定し分析することができる。本発明のシステム及び方
法は、希少細胞を特徴づける形態学的特長に基づく希少細胞検出を、細胞の形態
学と細胞マーカー分析の相乗的組合せに依存する結果を提供するべく、染色体マ
ーカー、細胞抗原マーカー及び/又は化学的/生化学的マーカーといったような
細胞マーカーの特徴づけに基づくその後の希少細胞分析と、相乗的に組合せるも
のである。本発明のシステム及び方法の好ましい実施形態を実施する間、数ダー
スの形態学的に関連するパラメータが利用され、背景細胞個体群から対象の希少
細胞を区別するために重みづけされ、かくしてより良い結果が達成される。
【0069】 本発明に従ったシステム及び方法の原理及び作動は、図面及び付随の記述を参
照することによってより良く理解できる。
【0070】 本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、以下の
明細書中に記されているか又は図面に例示されている構成要素の配置及び構造上
の細部にその応用が制限されているものではない、ということを理解すべきであ
る。本発明は、その他の実施形態で実施されるか又はさまざまな形で実践又は実
施されることのできるものである。同様に、本書で用いられている語法及び用語
は記述を目的としているものであって制限的意味をもつものとみなされてはなら
ないということを理解すべきである。
【0071】 本発明は、(i)形態学的希少細胞検出;及び(ii)希少細胞マーカー分析
という2つの連続する段階に分割することができる。
【0072】 明細書中及びクレーム部分で本書にて使用されている「マーカー分析」及び「
細胞マーカー分析」という表現は、互換的に使用され、制限的意味はないものの
、例えば遺伝子発現から直接又は間接的に産生される産物の分析又は螢光インサ
イチュハイブリダイゼーション(FISH)といったような染色体分析を内含す
る。例えばmRNAの分析は、例えば適切な核酸プローブを使用することによっ
て実施することが可能である。例えば適切な抗体プローブを用いることによって
、タンパク質発現分析を行なうことができ、かつ/又は監視すべき活性に応じて
適切な試薬を使用することによってタンパク質活性分析を行なうことができる。
さらに、1つの細胞によって表示された複合炭水化物の分析は、例えば抗体、レ
クチン又はさまざまな炭水化物に特異的な化学反応を用いることによって行なう
ことができる。
【0073】 これら2つの段階は、形態学処理キット(本書では予備処理キットとも呼ばれ
ている)、走査キット及び細胞マーカー処理キット(時として本書で後処理キッ
トとも呼ばれている)を組合せた形で使用することによって実施される。
【0074】 希少細胞検出は、本発明の教示に従うと、形態学処理キット及び走査キットを
組合わせた形で使用することによって実施される。マーカー分析は、走査ユニッ
ト又は撮像ユニット及びマーカー処理キットを介して実施される。
【0075】 先行技術の方法及びシステムとは異なり、本発明のシステム及び方法は、例え
ば、細胞の形態を示し例えば明視野照明で撮られた1つの画像及び同じ細胞のマ
ーカープロフィールを示すもう1つの画像といった各細胞の2つの画像をスクリ
ーン上に提示することによって、個々の希少細胞の形態とそれらのマーカープロ
フィールの間でクロスリファレンスを行なうために利用可能である。こうして本
発明の場合がそうであるように、2つの全く異なる分析方法が利用された場合、
偽陽性又は偽陰性の結果の確率がきわめて低くなることから、細胞遺伝学者は、
実質的により高い精度で結果を分析できることになる。これとはきわだって対照
的に、形態学かマーカー分析のいずれかに依存する先行技術のシステム及び方法
は、偽陽性又は偽陰性結果を生み出す確率がずっと高い。
【0076】 上述の利点に加えて、本発明のシステムは、表示スクリーンからの直接診断を
可能にし、かくして使用し易さを大幅に高めるものである。
【0077】 前処理 明視野照明及び/又は螢光励起の下で検分した場合の希少細胞の形態学的特長
をより良く捕捉しかくしてその検出を増強するために、いくつかの前処理ステッ
プを行うことができる。
【0078】 任意の無核細胞の除去及び希少細胞の富化: 或る種の血液標本を分析するとき、無核細胞が1つの血液標本中の細胞の大部
分を占めていること及び/又はかかる細胞が例えば勾配遠心分離又は細胞溶解と
いった単純でかつきわめて弁別力ある手順により容易に除去できることを理由と
して、無核細胞を除去することが有利であり得る。無核細胞の除去は又、それが
より多くの有核細胞のスクリーニングを可能にし、かくして本発明の方法及びシ
ステムの効率を増大させることからも有利である。しかしながら、この段階が本
発明のシステム及び方法にとって不可欠なものではないということもわかるだろ
う。いずれにせよ、本発明によって実践されている除去段階は、発明の背景の部
分にある方法において実施されている富化段階とは異なるものである。これらの
方法とは全く対照的に、この除去段階は、胎児細胞を除去することがないように
細心の注意を払って行なわれる。従って、この段階は、胎児血液細胞を富化する
だけでなく、当初の胎児細胞の数量を維持する。一方富化プロトコルは、胎児細
胞の濃度を増大させるが、同時に一部のケースでは胎児細胞の数量を最高30%
減少させる。以上のことにもかかわらず、背景の部で記述され希少細胞富化のた
めに設計されている方法のいずれでも、本発明の前処理手順の一部として利用す
ることが可能である。
【0079】 高照度光染色:利用分野に応じて、本発明では、細胞の形態学的特長を均等に
増強させるために、従来の高照度光染色手順が利用される。組織学的染色剤とし
ても知られている複数の高照度光染色剤及び手順を以下で詳述するように利用す
ることができる。特定的染色剤組成物は、非特定的染色剤に加えて、例えば胎児
ヘモグロビンといったような希少細胞に独特のタンパク質マーカーを染色する親
和性(抗体/レクチンベースの)高照度光染色剤を内含することができる。適切
な組織学的染色剤の例としては、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドー
ル、エオシン、フルオレセインイソチオシアネート、ヘキスト33258,ヘキ
スト33342,ヨウ化プロビジウム、キナクリン、フルオレセイン・ファロイ
ジン、レゾルフィン、ヘマトキシリン、オレンジG,ライトグリーンSF,ロマ
ノフスキー・ギームザ、メイ・グリュンバルト、ブルー対比染色剤、エチルグリ
ーン、フォイルゲン−ナフトールイエローS、ギームザ、メチレンブルー、メチ
ルグリーン、ピロニン、ナフトールイエロー、ニュートラルレッド、パパニコラ
ウ染色剤、レッド対比染色剤C及びシリウスレッドが含まれるが、これらに制限
されるわけではない。
【0080】 染色は、同じ人物又は異なる人物からの標本の均等な細胞染色を確保するよう
な要領で、本発明の好ましい実施形態に従って実施される。これは、本発明のシ
ステム及び方法のニーズを満たすべく共通の染色プロトコルを修正することによ
って達成される。
【0081】 さらに、利用される染色剤(単複)は、母親の細胞から胎児細胞を分離できる
ようにする特異的マーカーを内含することができる。当該技術分野において知ら
れているさまざまなこのようなマーカーを本発明において利用することができる
【0082】 螢光染色: 本発明に従うと、細胞調製物は同様に、制限的な意味なくクロモ
マイシンA、DAPI、アクリフラピン・フォイルゲン反応、オーラミンO・
フォイルゲン反応、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、高親和性DNA螢光
体、DNA結合タンパク質に融合された緑色螢光タンパク質、ACMA、キナク
リン及びアクリジンオレンジ、フォイルゲン試薬、ガロシアニンクロム・ミョウ
バン、ガロシアニンクロム・ミョウバンとナフトールイエローS、メチルグリー
ン・ピロニンYとチオニン・フォイルゲン試薬といったようなさまざまな螢光染
色剤で染色することもできる。
【0083】 任意には、このような螢光染色を上述の高照度光染色に加えて利用することが
できる。かかる同時染色は、付加的な標本調製無く、高照度光及び螢光励起の両
方の下での標本の検査を可能にし、かくして、特定の細胞を同定するためのより
精確な方法を提供することができる。
【0084】 標本の物理的調製 本発明は希少細胞型の検出に標的を定められたものであることから、先行技術
のシステムによってもたらされるものを超えて画像捕捉を増強するように、標本
の調製及び標本の提示を入念に実施する必要がある。
【0085】 かくして、本発明の1つの態様に従うと、本書でキャリヤ10と呼ばれている
新規の標本キャリヤが提供される。
【0086】 図2に特定的に示されているように、キャリヤ10は以下の設計上の特長を内
含している: (i) 標準的顕微鏡スライドのものよりも実質的に大きい広い表面積。この
特長によって、単一のキャリヤ10により比較的大量の標本材料を確実に担持す
ることができる。本発明に従ったキャリヤ10は、約60×60mm、より好ま
しくは約70×70mm、最も好ましくは約75×75mmである表面積を有す
る。本書で使用されている「約」という語は±10%の誤差を意味する。さらに
、先行技術の標本スライドとは対照的に、キャリヤ10は、先行技術のスライド
において存在する単一又は数個の標本ウェルとは異なり、60〜120個の標本
ウェル(そのうちの1つが12として示されている)を内含している。本書に記
述されているキャリヤ10はそれでも、標準的な揺動バケット式遠心分離機の中
に設置されるのに充分なほどに小さいものであることがわかるだろう。 (ii) キャリヤ10は同様に、例えばその4つのコーナーに備えられキャ
リヤ上の標本を方向づけするのに使用できるfeducialマーカー14を内
含することもできる。マーカー14は、好ましくは十字線構成をその特色として
いる。 (iii) 本発明のキャリヤ10は、例えば細胞遠心分離機の原理を利用す
ることによる有効な標本提示を可能にする。例えば、図3に特定的に示されてい
るように、複数の孔20が具備されたコンテナ18を内含する専用ディスペンサ
16をキャリヤ10の上面に置き、かくして、ディスペンサの各孔がキャリヤ1
0のウェル12と同じ方向を向くようにすることができる。コンテナ18は、各
孔20と連絡する単一のチャンバ22又は複数のチャンバ22を内含することが
でき、複数のチャンバ22の場合、各チャンバ22には、単数又は複数の孔20
が具備されている。いずれの場合でも、使用中は、25〜100マイクロリット
ル、好ましくは約50マイクロリットルの血液標本がコンテナ18の各チャンバ
22内に入れられ、その後キャリヤ10及びディスペンサ16が数分間遠心分離
機内に置かれる。その結果、各ウェル12は、分離された標本中に見られる細胞
型の一部分の均等な分布を標準的に内含しかつ最も重要なことに単一の細胞分の
厚みをもつ1層の血液層で均等にコーティングされることになる。血液標本の均
等性及び厚みのために、好ましくは走査中に利用されるオートフォーカス手順が
単純になり、かくしてこの手順が大幅に簡略化される。 (iv) キャリヤ10のウェル12の一部分の形態は、例えばFISH分析
といったようなさまざまなマーカー分析技術に専用のものであり得る。かくして
、このようなウェル中での細胞検出の後、最適な条件下でFISH染色を実施す
ることができる。キャリヤのこの特長は、この場合FISHプローブがウェルの
一分画に適用されるにすぎないことから、さまざまなFISHプローブの費用効
果性の高い利用をも可能にするということがわかるだろう。
【0087】 さらに、FISHプローブはその他のあらゆる分析試薬を特定のウェル12に
送り出すために、ディスペンサ16又は類似の設計の専用カバースリップを利用
することができるということもわかるだろう。こうして、FISHプローブが適
切に提供されることになる。かかるカバースリップを自動式に用いて、手順を大
幅に単純化することができるということもわかるだろう。
【0088】 標本走査 図4に特定的に示されているように、キャリヤ10上に備えられた血液標本を
走査するために、本書にシステム30として言及されている本発明の走査システ
ムは、キャリヤ10を保持し、X,Yそして任意にはZ軸に沿ってキャリヤ10
を並進運動させるように設計されている載物台32を内含する。任意には、シス
テム30は、載物台32にキャリヤ10を装填するのに役立つ自動式ローダー3
4を内含する。載物台32は、好ましくは、高照度光照明及び螢光励起照明(例
えば紫外線照明)の両方が備わっている顕微鏡36にとり付けられる。グレース
ケール又は好ましくはカラー画像を提供できるCCDカメラといったような撮像
装置38が顕微鏡36に取付けられ、かくして提供された画像を捕捉し、この画
像は、表示及び画像処理のため、パーソナルコンピュータ(PC)又はパーソナ
ルワークステーションといったようなコンピュータ40に転送される。
【0089】 図5は、細胞標本を処理するためにシステム30によって利用されるさまざま
なステップ(50〜54)を記述する自明の流れ図である。撮像装置38によっ
て捕捉された各画像は、例えば標本中の胎児有核赤血球(NRBC)又はガン細
胞を検出し位置を特定するためコンピュータ40によって処理され、分析される
。このような標本処理を可能にするため、本発明のシステム30は、毎秒約10 〜10個の細胞という分析速度で全標本を検査し、かくして30分未満で1
〜10個の細胞を含有する標本の走査を可能にする。
【0090】 以下でさらに記述するように、又先行技術の設計とはきわめて対照的に、本発
明のシステムは、自動化された標本調製及び走査と組合わされた形態学的及び/
又は分光特性に基づく胎児細胞検出を可能にする高処理量の光学走査の組合せを
利用している。
【0091】 希少細胞の同定のために利用されるアルゴリズム 本発明の細胞検出方法は、その細胞型についてその標本がまだ富化されていな
い場合でさえ、血液標本中の例えば最小残存病変状態にある、胎児NRBC又は
ガン細胞といったような希少細胞を検出するために、新しいアルゴリズムを実施
する。
【0092】 一般に、図6に特定的に示されているように、本発明のアルゴリズムは3つの
ステップを利用している。
【0093】 このアルゴリズムは、染色、照明及び背景光学雑音の変動を説明するべく、処
理対象の各標本に対し適合させることができる、ということがわかるだろう。こ
の適合化は、以下でさらに記述する3重化ステップの終りで行なわれる。
【0094】 60という番号で示されているように、画像捕捉の後、本発明のアルゴリズム
は、以下のステップを利用する。すなわちここで、「3重化」と呼ばれ61とい
う番号で示されている第1のステップでは、さまざまな画像オブジェクトが、細
胞核、細胞質及び標本背景という3つのカテゴリに分けられる。次に2つの2進
画像が新規作成され、第1の画像では、細胞核及び類似のオブジェクトのピクチ
ャ要素(画素)が、例えば「1」といった第1の2進記号でマーキングされ、一
方その他の画素は全て「0」といったその他の2進記号でマーキングされる。従
って、第2の画像では、細胞質及び類似のオブジェクトの画素が「1」とマーキ
ングされ、その他の画素は全て「0」とマーキングされる。
【0095】 本書で「ブロブ発見」と呼ばれ、62という番号で示されている本発明のアル
ゴリズムのその後のステップにおいては、2進画像データは、処理された2進デ
ータに従ってブロブの位置を特定するべく処理される。ここで「ブロブ選択」と
呼ばれ63という番号で示されている次のステップでは、先行ステップで特徴づ
けされた各々のオブジェクトが、撮像装置38によって捕捉されたもとのカラー
画像及び2進画像データの両方を用いて処理される。細胞画像は、一組の特長の
抽出によって分析され、細胞はそれに応じて分類される。
【0096】 3重化: 3重化ステップは各画像内に発見されるオブジェクトの少なくとも
大部分についてのデータを実際に誘導しなければならない、ということがわかる
だろう。NRBC及び/又はガン細胞の細胞質及び核の構造及び/又はサイズは
かかる細胞に独特のものであることから、かかるデータを誘導する最も効率の良
い方法は、これらのオブジェクトの形状及びサイズを別々に検査することであろ
う。
【0097】 かくして、本発明の好ましい実施形態に従うと、3重化ステップはまず最初に
、標本の染色及びその他のパラメータの変動を補償するべく適合された閾値を生
成する。染色用試薬及びその他の調製試薬の変化が明らかに存在することから、
細胞画像の色及びコントラストの均等性を保証する方法は全くない。かくして、
利用された標本調製ステップによって結果が影響を受けることがないように、各
々の特定的標本に特定的閾値を適合させなくてはならない。このような適合化を
もたらすために、システム30は、走査部域を複数の部域に分割することにより
現行のスライドから画像セットを捕捉し、各部域の代表的画像を捕捉する。これ
らの画像の各々を表わすヒストグラムが、以下でさらに記述する通りに生成され
分析され、最適な3重化閾値がそこから決定される。
【0098】 図7は、以上で記述したヒストグラムの生成について詳細に記述している。捕
捉された各画像のカラー画素の個々のチャンネル(赤色チャンネル70a,緑色
チャンネル70b及び青色チャンネル70c)は、重みづけされた単色値(71
a−c)へと変換され、その後各々のカラー画素について加重平均(72)が計
算される。加重平均は、CCDセンサー内の変動を補償するため及び画像内に存
在する特長を増強するため、各カラーチャンネルについて異なる重みを適用する
ことによって生成される。
【0099】 ひとたび単色画素が得られたならば、73という番号で示されているような正
規化された256グレースケール(0〜255)が新規作成される。このヒスト
グラムは、全ての画像からの画素を表わし、かくして標本から捕捉された各部域
の品質を反映する。このヒストグラムに基づいて、細胞質及び核について、74
によって表わされているように、独立した閾値を選択することができる。各々の
閾値について、閾値より低い値が「0」(ゼロ)に変換され、一方それより高い
値は「1」(ワン)に変換される。1つの実施形態では、これは、2つの同一の
画像内の核及び細胞質について独立して実行される。低い閾値の選択によりオブ
ジェクトを背景として誤って同定することになりかねないことから、これらの閾
値の選択が大きな重要性をもつことは明らかである。或いは、閾値を過度に高く
選択した場合、数多くのオブジェクトがアルゴリズムにより誤って分析され、か
くしてランタイムは増大し、「偽陽性」結果が導かれることになる。
【0100】 かくして、ヒストグラムの目的は、核、細胞質及び背景を分離するため、2つ
の閾値を生成することにある。かくして、最適な閾値は、(i)細胞の核の平均
強度及びその分布;(ii)細胞質の平均強度及びその分布;及び(iii)背
景の強度とその分布という3つのパラメータによって主として左右される。
【0101】 画質の変動に起因して、本発明のアルゴリズムは、好ましくは、正規化された
画像である単色画像から閾値を生成する、ということがわかるだろう。
【0102】 本発明のもう1つの実施形態に従うと、閾値の決定は、以下のようにして実施
される。
【0103】 まず第1のステップで、ヒトスグラムは、その画像中に存在するランダム雑音
を無効にするために変換される。これは、以下の等式を用いてヒストグラムの各
値をその隣接値の平均によって置換することにより実施される。 bin[I]=平均(bin[I-2],bin[I-1],..,bin[I+2])
【0104】 図8−9は、未変換ヒストグラム(図8)及び変換ヒストグラム(図9)を例
示している。この変換の後、閾値の決定が行なわれる。例えば、血液標本の場合
には、細胞核、細胞質及び背景の値が各々標準的に鐘形の曲線分布に追従する。
かくして、核曲線のピーク値(ピークの右側)のものより大きい値によって最適
な細胞核閾値が表わされ、細胞質曲線のピーク値のものよりも大きい値によって
最適な細胞質閾値が表わされる。ピーク値を検出するためには、アルゴリズムは
、増大する値のシーケンス(山の左坂)とそれに続く減少する値のシーケンス(
山の右坂)についてヒストグラムをサーチする。これは、核及び細胞質の両方の
曲線について逐次的に行なわれる。
【0105】 図10に特定的に示されているように、アルゴリズムは好ましくは、「核の山
」と「細胞質の山」という2つの曲線の間に核閾値を設定する。同様にして、ア
ルゴリズムは、好ましくは、「細胞質の山」と「背景の山」という2つの曲線の
間に細胞質閾値を設定する。
【0106】 本発明を実践に移す間に、標準的細胞質閾値が(正規化された0〜255のグ
レースケールのうち)180〜220の間にある一方で標準的核閾値が(正規化
された0〜255のグレースケールのうち)60〜90の間の値を受けるという
ことが発見された。
【0107】 かくして、本発明のアルゴリズムをさらに利用する前に、数多くの細胞画像の
統計的分析から決定される予め設定された境界値の範囲内に閾値があるか否かの
決定がなされる。計算された閾値がこれらの境界の外にある場合、閾値は新しい
境界値となるように設定される。
【0108】 さらに、アルゴリズムは同様に「核」として分類された画素の数と「細胞質」
として分類された画素の数の間の比を計算し、この比が予め定められたダイナミ
ックレンジ内に入ることを保証する。さらに、核及び細胞質の平均サイズを計算
し、予め定められた範囲に比較することができる。予め定められた標本分布条件
下で、付随する画素の合計数から決定されるような核及び/又は細胞質の数とい
った絶対的パラメータも同様に決定することができる。これらのパラメータは全
て、分析の質を評定するために使用可能である。以前と同様、これらのパラメー
タは、システムがデータを蓄積するにつれて更新される。誤ったパラメータは、
誤った閾値の選択を表わす。このような場合、閾値は、好ましくはシステムがそ
れまでに収集した画像データベース全体又はその一部分に基づいて計算されたも
のである予め設定された閾値によって置換される。かくして、本発明のシステム
は、つねに自らを品質制御し、その分析を最適化するため自らを再調整する。
【0109】 確認の後、一組の調整因子が適用され、結果は、スライド特定的ベクトルg (s)の形に翻訳される。このベクトルは、加重平均計算の一部として「ブロブ
発見」(本書で記述されている)のステップにおいて使用される。本発明によっ
て利用されるこのプロセスは、その他の先行技術の適合プロセスとは異なるもの
である。標準的には、アルゴリズムパラメータを設定するために適合プロセスが
使用される。本発明では、制限的な意味はないものの染色の変動、照明及びその
他の光学的に誘導された雑音の変動を補償するために同じアルゴリズムが適合さ
れる。
【0110】 図7にさらに示されているように、閾値がひとたび決定されたならば(74)
,本発明のシステムは、系統的に標本の走査を開始することができる。このとき
核及び細胞質の2進画像が、撮像装置38によって捕捉された各々のカラー画像
について計算される。閾値は予め決定されていることから、画像処理は単純かつ
高速である。75で示されているように、まず最初に、カラー画像は、各々のカ
ラーチャンネルについて予め定められた重みを用いてグレーレベル画像へと変換
される。第2に、76で示されているように、本発明のアルゴリズムは、グレー
スケール(単色)画像を2つの2進画像に変換するために2つの予め定められた
閾値を利用する:第1の閾値は「核画像」を設定し、一方第2の閾値は「細胞質
画像」を設定する。
【0111】 ブロブ発見: ブロブ発見は本発明に従うと、1つの画像の全てのオブジェク
トの位置を特定し、望ましくないタイプのものである全てのオブジェクトをろ過
して除去するのに役立つ。
【0112】 図11は、各々の隣接する成分を異なるラベルでラベル付けすることによって
2進核及び細胞質画像を別々に処理する結合された成分のアルゴリズムを用いて
111に示されているように開始する「ブロブ発見」を例示している。2進画像
がひとたびラベル付けされると、各々のラベル付けされた成分は「ブロブ」とみ
なされ、112で示されているように、一組の特長が各ブロブについて抽出され
る。一組の特長は2進画像から抽出されるため、それには、オブジェクトの形状
に関する113で示されているような特長が含まれている。標準的な1組の特長
には、制限的な意味なく、(i)中の画素数に各画素の物理的サイズを乗じたも
のである画素数を表わす各ブロブのサイズ;(ii)各ブロブの縁部に沿って存
在する画素の数を表わす、各ブロブの周囲;(iii)各ブロブの周囲と凸状周
囲の間の比率を表わす、各ブロブの粗度;(iv)各ブロブのサイズと直径の間
の比率を表わす、各ブロブのち密度;(v)ブロブの長さとその幅の間の比率を
表わす、各ブロブの伸び;(vi)境界枠の寸法;(vii)最小直径;(vi
ii)最大直径;(ix)平均直径;(x)凸状周囲;(xi)1画素の最小強
度;(xii)1画素の最大強度;(xiii)全画素の平均強度;(xiv)
画素強度の標準偏差;(xv)画素強度の2乗の和;及び(xvi)各ブロブ内
に存在する不連続領域の数を表わす各ブロブの「孔」の数が含まれる。
【0113】 処理された核及び細胞質ブロブはそれらの座標に従って整合され、次に以下の
ものを決定することによって付加的な特長が抽出される;(i)各々の細胞質と
そのそれぞれの核の間の比率;(ii)各細胞質とそのそれぞれの核の間のオー
バーラップレベル(全部/一部);(iii)核と細胞質の縁部間最小距離;及
び(iv)核と細胞質の縁部間最大距離。
【0114】 これらの特長の各々は、(i)赤、緑及び青のプレーンについて独立して;(
ii)色相彩度及び強度(HSI)プレーンについて独立して;及び(iii)
本書に記述されているように生成された縁部検出画像について、といういずれか
のプレーンについて計算できる。
【0115】 隣接する細胞質間にオーバーラップが発生した場合には、上述の特長のうちの
いくつかの計算を決定することはできない、ということがわかるだろう。従って
、このようなケースには、非有意評点が割当てられる。
【0116】 特長の決定の後、以上で決定された特長と特長データベースの間の比較が行な
われる。
【0117】 このデータベースは、専門家によって細心に分類された記憶済み画像ライブラ
リの特長の値を記憶する。かくして、分析された画像から抽出された特長の計算
は、その値をデータベースによって記憶された値と比較することによって実施さ
れる。114で示されているように、各々の比較は、1つのオブジェクトをこの
特長によって特徴づけされる画像のクラスに分類する確率評点が与えられる。こ
の時点で、1つのオブジェクトの特長分布が分かっている場合に評点及び重みを
決定するのに、弁別理論技法が用いられる。代替的には、分布が未知である1つ
のオブジェクトの評点及び重みを決定するにあたり、ファジー理論技法が利用さ
れる。
【0118】 115で示されているように、各特長の評点が計算される場合、重みづけされ
た和がそれに割当てられ、最終評点が、各オブジェクトについて決定される。重
みは、非常に重要である特長にはより大きな値が割当てられかくしてその評点を
増大させるような形で分布させられる。この場合、いかなる単一のパラメータも
この分類を支配せず、評点に影響を及ぼすのはむしろ、全てのパラメータとその
値の組合せである、ということがわかるだろう。
【0119】 1つのオブジェクトが予め定められた閾値より高い合計評点を受けた場合、そ
れは、以下でさらに記述するその後の「ブロブ選択」ステップにより処理される
。このような場合、このオブジェクトについてすでに計算された特長セットは、
コンピュータメモリによって記憶される。
【0120】 数学的には、重みづけされた和は、以下の等式によって表現できる: F=S(s)*a*f なお式中、Sは上述のパラメータの合計であり、g(s)は上述の適合ベ
クトルであり、aは現特長の重みであり、fは特長そのものである。
【0121】 ブロブ選択: 図12に示されているように、ブロブ選択ステップにおいて、
本発明のアルゴリズムは、各々のオブジェクトを検査し、それが所望のタイプの
ものであるか否かの決定を下す。これは、121に示されているように、以下の
入力から処理される:すなわち(i)トリミングされた画像がオブジェクトをそ
の中心に置くような形で、より大きな2進画像をトリミングすることによって、
2つの2進画像(1画素あたり1ビット)が生成される;(ii)トリミングさ
れた画像がそのオブジェクトをその中心に置くような形で、先行するステップで
捕捉されたより大きなカラー画像から1つのカラー画像がトリミングされる、(
iii)このオブジェクトについて計算されその中で負の選択パラメータとして
使用される1組の特長が、このステップでは、対象のオブジェクトを同定するた
めの正の選択パラメータとして利用される。
【0122】 ブロブ選択ステップは、細胞型を正しく同定するのに利用される。一般に、こ
の認識アルゴリズムは、特長抽出とそれに続く特長評価に基づいている。これら
の特長のうちのいくつかの抽出は、CPU集中的であるが、このステップは、オ
ブジェクトのサブセットについてのみ実施され、そのためそのCPU利用は、高
性能アルゴリズムが利用されることを条件として比較的わずかである。
【0123】 核境界検出: 先行ステップにより生成された2進核画像を分析することによ
って、正確な核境界検出が行なわれる。この検出は、本発明に従って、画像の閾
値決定により達成される。自明のものである図13に示されているように、核画
像を拡張しかくして核境界を精確に検出するために反復的アルゴリズムが利用さ
れる。かくして、131に示されているような第1ステップでは、全ての核境界
画素が1つの境界セットに付加される。132で示されているような第2ステッ
プでは、初期閾値が設定される。133で示されているような第3ステップでは
、境界セットの第1の画素が無作為に選択される。134で示されているような
第4ステップでは、第1の画素の第1の隣接画素が核の外側で選択される。この
段階では、135により示されているように、これらの画素の間のグレーレベル
比較が行なわれる。類似している場合には、136で示されているように、隣接
画素は閾値と比較される。それが閾値内に入る場合、137に示されているよう
に、隣接する画素は境界セットに付加される。これらの画素間のグレーレベル比
較が結果として非類似性を示した場合には、138で記されているように、隣接
する画素の全てがそれまでに検査されたわけではないならば、139で示されて
いるように、もう1つの隣接画素が類似の分析のために選択される。同様にして
、隣接画素が閾値の外にあるグレーレベルを有する場合には、それは、画素の境
界セットから拒絶され、139で示されているように、もう1つの隣接画素が類
似の分析のために選択される。140で示されているように、上述のとおりに隣
接する画素の全てが分析された時点で、最後の近接画素は境界セットから除去さ
れる。141で示されているように、画素の全てがひとたび境界セットから除去
されたならば、142で示されているように、新しい閾値が設定され、上述のプ
ロセスが143で示されているように、予め定義された閾値範囲内の全ての閾値
について及び145で示されているように境界セット内で全ての画素について実
行された時点で、144で示されているように核境界決定が完了し、一方境界セ
ットの全ての画素は核から付加されるか又は拒絶される。かくしてこの手順は、
図12の124で識別されているとおりの核のセグメンテーションを結果として
もたらす。
【0124】 細胞質の分割: 2つ以上の細胞質部域がオーバーラップすることが一般的で
あることから、核のまわりの予め定義された幅(例えば2又は3画素)の外部リ
ングが、本発明のアルゴリズムによって、細胞質とみなされる。このリングは実
際の細胞質の内側にあると仮定されているため、それは細胞質のカラー特長の適
正な表現であると考えられる。この手順を用いて、細胞質は、図12で125で
識別されているように、セグメント化される。
【0125】 核及び細胞質がひとたびセグメント化されたならば、本発明のアルゴリズムは
、以下でさらに記述されているように、核及び細胞質の画素からカラー特長を抽
出する。
【0126】 核及び細胞質のカラー特長: 図12でさらに示され122としてそこに表わ
されているように、核及び細胞質の両方のカラーデータは、捕捉されセグメント
化されたカラー画像から抽出される。抽出されるパラメータとしては、制限的な
意味なく、(i)カラーチャンネルの各々(例えば、赤、緑及び青)についての
平均強度;(ii)各々のカラープレーンの強度の標準偏差及び(iii)カラ
ー画像のRGBからHSIへの変換によって得られる平均的色相及び彩度、が含
まれ得る。
【0127】 上述のことに加えて、123で示されているように、核及び細胞質のいくつか
の付加的な特長も同様に、セグメント化されたカラー画像から抽出することがで
きる。例えば、核の縁部とその輪郭の間のコントラストとして定義される核のコ
ントラストを決定することができる。かかる決定は、核の輪郭の2進画像を準備
し、カラー画像に適用できる例えばSobel アルゴリズムといった縁部検出
アルゴリズムを利用することによって実施できる。このとき縁部及び輪郭画像を
重ね合せ、平均コントラストを容易に決定できるように、2進コントラストの評
点を生成することができる。
【0128】 その他の特長は、「ブロブ発見」について上述したとおりに決定される核の形
状特長、核及び細胞質の平均色相間の差から決定できる。「核セグメンテーショ
ン」ステップが、「ブロブ発見」ステップ内で決定された形状特長を改変しうる
ということがわかるだろう。かかるケースにおいては、これらの特長は再度計算
される。
【0129】 分類: 本発明のアルゴリズムによって利用される上述の分析ステップは、i
が特長タイプの指標であるものとして、1つの画像内の各オブジェクトについて
のN次元ベクトルf(o)を形成する数多くの特長の抽出を可能にする。本発
明の教示に従うと、この特長ベクトルは、細胞型を分類するために使用される。
【0130】 図14に示されているように、本発明のアルゴリズムは、特長ベクトルを分析
し、現細胞型についての評点を計算する。この特長は、次の3つのカテゴリに分
類することができる: (a) 140で示されているように、「強制的特長」は、予め定義された特
長評点(141)に従って1つの細胞を分類し、そうでなければ、その他の陽性
分類特長の如何に関わらず分類は拒絶される(142)。 (b) 143で示されているように、「勝者特長」又は「必要にして充分な
特長」は、その他の特長についての成果の如何に関わらず、1つの細胞を分類す
る。 (c) 144で示されているように、「標準的特長」は、細胞の最終評点に
寄与するが、最終分類を単独で定義できない。
【0131】 かくして、強制的セットの特長は、正規化された閾値と相関される。換言する
と、各特長について、スライド正規化因子(g(s))と特長の重みづけされ
た値(a )の積が予め設定された値より高いか否かの検査が存在する。
閾値は、1つの画像ライブラリについて以前に行なわれた統計的分析に基づいて
決定される。
【0132】 強制的特長の全てによって必然的に定められる条件が全て満たされたならば、
勝者特長の分析が行なわれる。一方、強制的特長のうちの単数又は複数のものが
最小値よりも低い場合、その細胞は、対象外の細胞として分類される。
【0133】 W=Sg(s)*aの和が、その細胞が陽性として分類される最小
値より大きい場合、勝者分析が行なわれ、予め定められた最小値に比較され、そ
うでなければ、次の処理ステップが行なわれる。
【0134】 標準的特長分析は、標準的特長Sについて計算され、145で識別される勝
者和(W)に付加される。結果として得られた値は、予め設定された値と比較
される。それが予め設定された値よりも大きい場合には、146で記されている
ように、細胞は陽性と分類され、その逆も成立する。
【0135】 上述のさまざまなステップは、本発明のアルゴリズムを介してしか実施できな
いということがわかるだろう。細胞タイプの間での分別を行なうために先行技術
の画像処理アルゴリズムを使用することができるが、かかるアルゴリズムは、標
準的に、本発明のアルゴリズムによって実施されるような処理済みオブジェクト
の組合せとしてではなく単一の処理済みオブジェクトとして各細胞を取扱うこと
によって異なる細胞型の画像を分別する。
【0136】 例えば、W097/20198及び米国特許第5,764,792号は、酸性
及び塩基性染料に対するその親和力に応じて標本中のガン細胞といったような希
少細胞を同定するための方法を記述している。これらの方法は、かかる細胞を検
出しその後、形状及びサイズといったような全細胞の形態学的分析に基づき、か
くして検出された細胞を分類するアルゴリズムを利用する。かくして、初期スク
リーニングがカラー画像分析に基づいているのみならず、形態学的研究は、細胞
をセグメント化し核及び細胞質を別々に対処することができない。
【0137】 先行技術の方法によって利用されるアルゴリズムは、一部の細胞型を他の細胞
型から区別する能力をもつものの、その処理様式はかかるアルゴリズムを形態学
的に全く異なる細胞型の同定に制限している。これとはきわめて対照的に、本発
明のアルゴリズムは、分析対象の各細胞と結びつけられた複数のオブジェクトの
特徴づけに依存するより正確な細胞特徴づけプロセスを可能にすることから、複
数の特長に従って、かかるアルゴリズムは、異なるタイプの形態学的に類似した
細胞又は例えば個別の多核細胞と多核細胞の塊を区別するために利用することが
できる。
【0138】 特定細胞認識 (i)細胞認識;及び(ii)対象外の細胞を拒絶する上での上述のアルゴリズ
ムの効率についての品質管理検査という最終目的の一方又は両方を達成するため
に、本発明の好ましい実施形態に従って、特定細胞認識が用いられる。
【0139】 図12で126及び127によって表わされているように、本発明のシステム
及び方法は、制限的な意味なく、好中球及びリンパ球といったような特定細胞型
を認識するために適合されている。
【0140】 好中球認識: 好中球を検出するためには、本発明のアルゴリズムは、フラグメント化された
核をサーチする。フラグメント化された核の画像には、単一の細胞質を共有する
単数又は複数の別々の核が内含されている。好中球を正確に検出するためには、
本発明のアルゴリズムは、隣接する細胞と好中球を区別できなくてはならない。
これは、分析対象のオブジェクトと単一の細胞質を共有する付加的なオブジェク
トをサーチすることによって達成される。
【0141】 最初に、アルゴリズムは、分析対象のオブジェクトから予め定義された距離だ
け離れたところに位置づけされた付加的な暗いオブジェクトをサーチする。この
ようなオブジェクトが検出された場合、アルゴリズムは、2つのオブジェクトの
境界を成す凸輪郭内のカラーを検査する。この輪郭が、背景(白色)画素を内含
するならば、2つのオブジェクトは(図15aに示されているような)別々の核
とみなされる。しかしながら、背景(白色)画素が検出されない場合、2つのオ
ブジェクトは、(図15bに示されているように)同じ核の2つのフラグメント
とみなされる。
【0142】 隣接する細胞と好中球を区別するために付加的な尺度を利用できるということ
がわかるだろう。これらの尺度は、(i)隣接する核の場合2つの暗オブジェク
トの間に存在し好中球の場合には存在しない細胞質の湾曲;(ii)2つの暗オ
ブジェクトを結合する直線に沿ってグレーレベルを分析する結合ラインに沿った
コントラストの変動(好中球の場合、かかるラインに沿って隣接する細胞の場合
に比べてグレーレベルのより小さな変動が存在する)が含まれるが、これらに制
限されるわけではない。
【0143】 リンパ球認識: リンパ球は、本発明に従うと、2つの定義づけ特性すなわち小さな細胞質及び
比較的大きな核を検出することによって検出される。
【0144】 かくして、各々のオブジェクトタイプについて、本発明のアルゴリズムは、分
析対象の細胞がリンパ球であるか否かを見極めるためにこれらの特長を評価する
【0145】 例えば、NRBC又はガン細胞をその他の血球の混合個体群の中から同定しな
ければならない場合には、その同定に続いて、例えば同定された細胞のうちの好
中球及び/又はリンパ球の認識を試みることにより、品質管理を適用することが
できる。
【0146】 NRBC認識: 以下では、本書に記述されている画像処理アルゴリズムを用いてNRBCの同
定において本発明を実践する現在最良の実施方法について記述する。下表2は、
本発明によって利用されるアルゴリズムの特長についての現在好まれている値を
示している。
【0147】
【表2】
【0148】 これらの値を用いると、本発明のシステムは、以下の性能を有していた:すな
わち、細胞遺伝学者によって手動で決定された合計25のNRBCを含有する2
00,000個の母親由来の白血球のうち、合計30のオブジェクトがNRBC
として同定された。これらのオブジェクトのうち、20は正NRBCであったが
、残りの10個のオブジェクトはリンパ球か又は細胞以外のオブジェクトであっ
た。
【0149】 細胞マーカー分析 本発明のシステム及び方法は、好ましくは、上述のような画像処理から得られ
た結果をさらに確証するのに利用される付加的な細胞マーカー分析ステップを利
用する。
【0150】 かかる分析を行なうためには、さまざまな化学的、生化学的及び/又は分子技
術(ここでは細胞マーカー分析)を介して、本発明の画像処理アルゴリズムに従
って胎児細胞又はガン細胞として同定された細胞をさらに特徴づけするために、
本発明のシステム30を利用することができる。
【0151】 かかる化学的、生化学的及び/又は分子技術は、画像処理を行なう前に予め全
ての細胞に適切な試薬を適用するか又は画像処理及び胎児細胞決定の後試薬を適
用することによって利用することができる。
【0152】 前者の場合、システム30は、検出された胎児細胞又はガン細胞の場所を識別
し、例えば螢光励起照明下での希少細胞の特定画像が分析のために得られる。
【0153】 後者の場合、システム30は、胎児細胞の場所を単純に識別し、局在化された
形で必要な試薬及び条件を提供し、例えば螢光励起照明下での希少細胞の特定画
像が分析のために得られる。
【0154】 本発明のこの特長は、細胞マーカー分析が標準的にスライド部域全体上で行な
われる先行技術の方法とは全く異なるものであることがわかるだろう。
【0155】 その上、本発明のシステム30はさらに、検出された胎児細胞を収集するため
に利用できる手動式又は自動式(ロボット)装置を内含することができる。これ
は、機械式マイクロマニピュータ又はレーザー切開装置を用いて行なうことがで
きる。このような形で取り上げられた細胞は、例えば、PCR増幅とそれに続く
ゲル電気泳動といったような複数の分子方法のうちのいずれか1つ及び/又は例
えば核酸配列決定といったような突然変異検出のための複数の方法のうちのいず
れか1つにおいて分析されうる。
【0156】 染色体分析: 染色体異常は、いくつかの疾病に特徴的なことである。例えば、染色体21ト
リソミーは、ダウン症候群に特徴的なものである。慢性リンパ性白血病(CLL
)におけるフィラデルフィア染色体及びバーキットリンパ腫における特異的染色
体異常といったようないくつかの染色体再配置も同様に充分詳細に記録されてい
る。これらの染色体異常は、その他の数多くのものと同様、既知の技術(例えば
FISH)及び/又は計装(例えば分光撮像システム)を用いて容易に同定可能
である。この目的では、例えば、本書に参考として内含されているApplie
d Spectral Imaging Ltd., Israelに譲渡され
た米国特許第5,719,024号、5,798,262号、5,871,93
2号、5,906,919号;5,912,165号及び5,936,731号
を参照のこと。
【0157】 mRNA分析: 染色体分析に加えて、本発明は同様に、特定のmRNA種を検出又は数量化す
るための方法をも利用することができる。かかる方法は、例えば、螢光タグ付け
されたプローブを利用することによって実施可能である。かくして、かかる分析
を利用することにより、NRBCは、胎児ヘモグロビンmRNA種に特異的なプ
ローブによって検出され得る。
【0158】 細胞に付随するタンパク質又は炭水化物の分析: 或る種のタンパク質、糖タンパク質及び/又は表面炭水化物は、一部の希少細
胞型に特徴的なものである。例えば、NRBCは、胎児ヘモグロビン種を内含す
る。一部のガン細胞は、腫瘍関連性又は腫瘍特異的抗原をそれらの表面上に提示
する。かかる抗原は、以上でその例が示されているかかる抗原に対して導かれた
抗体を標準的に内含する、抗原特異的親和性染色剤を用いて認識可能なタンパク
質、糖タンパク質及び/又は表面炭水化物の一部分でありうる。
【0159】 形態学的同定と細胞マーカー分析の間の共力作用 希少細胞同定の場合のように、本来高レベルで偽陽性の結果がでる可能性があ
る分析を改善するためには、独立した同定技術を使用し、その後それらの結果を
組合せて偽陽性結果を実質的に低減させることができる。
【0160】 上述のNRBCの同定における結果を考慮すると、偽陽性結果の程度(与えら
れた例では33%)を低下させるべく独立したNRBC同定手順を組合わせるこ
とが有利であることが判明するかもしれない。
【0161】 NRBCの同定のためには、かかる独立した同定技術として例えば、胎児ヘモ
グロビン、胎児ヘモグロビンmRNA,Y染色体の検出が含まれる可能性がある
。例えば、ガン細胞といったようなその他の希少細胞については以上でさらに詳
述されているように、さまざまな細胞マーカーの同定を、代替的に利用すること
ができる。
【0162】 単一の標本を組織学的染色剤及び親和性染色剤の両方で染色するためには次の
3つの可能性が存在するということがわかるだろう:(i)同時染色;(ii)
組織学的染色が親和性染色の前に行なわれる連続的染色及び(iii)組織学的
染色の次に親和性染色が行なわれる連続的染色である。さらに、これら3つのオ
プションのうちの1つのオプションの選択は、利用される染色剤の特定的性質に
大きく依存することがわかるだろう。いずれにせよ、同時染色が不可能であって
も、問題の細胞の場所が記録されているかぎり、連続的染色が応用可能である。
当業者であれば、一定の与えられた染色剤のためにこれらの染色オプションの中
からいかにして選択するかがわかるだろう。
【0163】 かくして、本発明に従った画像分析アルゴリズムは、単色に着色された細胞の
みを指摘する能力をもつ既知の先行技術アルゴリズムのうちのいずれか1つを利
用することができる。
【0164】 かくして、本発明のこの好ましい形態に従うと、細胞混合個体群内の希少細胞
の検出を改善するためには、本発明のシステム及び方法によって利用される画像
処理アルゴリズムによって得られた同定の結果は、着色された細胞のみを指摘す
る能力をもつ既知の先行技術のアルゴリズム(例えば両方共があたかも本書内に
完全に記録されているかのごとく参考として内含されているWO97/2019
8及び米国特許第5,764,792号中に記述されているようなもの)によっ
て得られる独立した結果と組合わされ、かくして偽陽性の存在を削減する。
【0165】 本発明についてその特定的実施形態と合わせて記述してきたが、当業者には数
多くの代替案、修正及び改変が明らかとなるということは明白である。従って、
冒頭のクレームの広範な範囲及び精神に入る全てこのような代替案、修正及び改
変を包括することが意図されている。本書で引用されている全ての出版物は、そ
の全体が参考として内含される。本書中のあらゆる参考文献の引用又は識別は、
かかる参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの容認とし
てみなされるべきものではない。
【参考文献】
【図面の簡単な説明】
【図1】 先行技術において報告されているような7mlの母親の血液中の有核赤血球の
平均数を示すヒストグラムである。
【図2】 本発明に従った標本キャリヤの上面図である。
【図3】 本発明の標本キャリヤ上に標本を送り出すのに利用できる、本発明に従った標
本ディスペンサの斜視図である。
【図4】 本発明のシステムのさまざまな構成要素を描くブラックボックスダイアグラム
である。
【図5】 本発明のシステム及び方法によって利用されるさまざまな標本処理ステップを
描いた流れ図である。
【図6】 本発明のシステム及び方法によって利用される画像処理アルゴリズムを全体と
して描いた流れ図である。
【図7】 本発明により利用される画像処理アルゴリズムに従ったヒストグラムの生成及
びそれによる細胞質及び核の2進画像の生成を詳細に描いた流れ図である。
【図8】 本発明の教示に従った、未変換ヒストグラムを例示する。
【図9】 本発明の教示に従った、変換ヒストグラムを例示する。
【図10】 本発明の教示に従った核、細胞質及び関連する画素について生成された曲線及
びその間の分別を行なう閾値を示すグラフである。
【図11】 本発明の画像処理アルゴリズムによって実現される「ブロブ発見」ステップを
詳細に示す流れ図である。
【図12】 一般に本発明のアルゴリズムを用いた細胞の分類を示す流れ図である。
【図13】 本発明の画像処理アルゴリズムによって実現された核セグメンテーションを結
果としてもたらす、核境界検出のためにとられるステップを例示する流れ図であ
る。
【図14】 本発明の画像処理アルゴリズムによって実現される細胞分類ステップの流れ図
である。
【図15】 本発明の画像処理アルゴリズムを利用して分別され得る2つの隣接細胞(図1
5a)と単一の多核細胞(図15b)の画像を描いている。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成13年1月28日(2001.1.28)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/48 G01N 33/483 C 5L096 33/483 G06T 1/00 295 G06T 1/00 295 7/00 200B 7/00 200 7/60 180B 7/60 180 180D G01N 1/28 F (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA24 BA14 BB10 CA25 CB01 FA16 FA19 FB03 FB11 FB12 GC15 JA01 JA04 2G052 AA28 AA33 AB16 AB27 AD34 AD54 DA06 FA08 GA32 HB06 HB10 JA09 2G057 AC01 BA01 GA03 2G059 AA05 BB13 BB14 CC16 DD03 DD12 DD13 EE07 EE13 FF01 FF03 HH02 KK04 MM02 MM03 MM05 MM09 5B057 AA10 BA11 BA29 CA01 CA08 CA16 CB02 CB06 CB16 CE12 DA12 DB05 DB08 DC03 DC09 DC16 5L096 AA02 AA06 BA06 BA13 CA02 EA43 FA06 FA35 FA65 FA66 FA76 FA77 GA51 MA07

Claims (38)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 顕微鏡の載物台上に取付けるため及び揺動バケット式遠心分
    離機内に設置するための標本キャリヤにおいて、少なくとも50の標本ウェルで
    形成された約3500平方ミリメートルより大きい表面積を含んで成る標本キャ
    リヤ。
  2. 【請求項2】 少なくとも2つのfeducialマーカーをさらに含んで
    成る、請求項1に記載の標本キャリヤ。
  3. 【請求項3】 前記feducialマーカーが十字線構成を特色にしてい
    る、請求項2に記載の標本キャリヤ。
  4. 【請求項4】 複数の孔で形成されているコンテナを含んで成るディスペン
    サにおいて、前記ディスペンサが少なくとも50の標本ウェルで形成された約3
    500平方ミリメートルより大きい表面積を内含する標本キャリヤと整合するよ
    う適合され、かくして前記ディスペンサが前記キャリヤ上に取付けられた時点で
    、前記コンテナの前記複数の孔が前記キャリヤの前記複数のウェルに対面し、前
    記孔を通した前記ウェル内への標本の送り出しを容易にするようになっている、
    ディスペンサ。
  5. 【請求項5】 前記コンテナが、それをチャンバに分割する仕切りを内含し
    、一方前記チャンバの各々が前記孔のうちの少なくとも1つと流体連通状態にあ
    る、請求項4に記載のディスペンサ。
  6. 【請求項6】 前記孔が前記コンテナの外に突出する突出部分の遠位端部に
    位置づけされている、請求項4に記載のディスペンサ。
  7. 【請求項7】 (a)複数の孔で形成されているコンテナを内含するディス
    ペンサ、及び (b)少なくとも50の標本ウェルで形成された約3500平方ミリメートル
    よりも大きい表面積を内含する標本キャリヤであり、かくして前記ディスペンサ
    が前記キャリヤ上に取付けられた時点で、前記コンテナの前記複数の孔が前記キ
    ャリヤの前記複数のウェルに対面し、前記孔を通しての前記ウェル内への標本の
    送り出しを容易にするようになっている標本キャリヤ、 を含んで成る標本調製アセンブリ。
  8. 【請求項8】 標本を送り出す方法において、 (a)(i)複数の孔で形成されているコンテナを内含するディスペンサ、及
    び(ii)少なくとも50の標本ウェルで形成された約3500平方ミリメート
    ルよりも大きい表面積を内含する標本キャリヤ、 を内含する調製アセンブリを提供する段階、 (b)前記コンテナの前記複数の孔が前記キャリヤの前記複数のウェルに対面
    し、前記孔を通しての前記ウェル内への標本の送り出しを容易にするように、前
    記キャリヤ上に前記ディスペンサを取付ける段階、及び (c)前記孔を通して前記標本を前記ウェル内に送り出す段階、 を含んで成る方法。
  9. 【請求項9】 前記孔を通して前記標本を前記ウェル内に送り出す前記段階
    が遠心力の下で実施される、請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 各ウェルが標本から誘導された細胞の単層を確実に内含す
    るようにするべく予備措置が講じられている、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 標本を分析する方法において、 (a)(i)複数の孔で形成されているコンテナを内含するディスペンサ、及
    び (ii)少なくとも50の標本ウェルで形成された約3500平方ミリメート
    ルよりも大きい表面積を内含する標本キャリヤ、 を内含する調製アセンブリを提供すること、 (b)前記コンテナの前記複数の孔が前記キャリヤの前記複数のウェルに対面
    し、前記孔を通した前記ウェル内への標本の送り出しを容易にするように、前記
    キャリヤ上に前記ディスペンサを取付けること、及び (c)前記孔を通して前記標本を前記ウェル内に送り出すこと、 によって標本を送り出す段階、及び 前記ウェルのうちの少なくとも1つの中味を分析する段階、 を含んで成る方法。
  12. 【請求項12】 キャリヤによって担持される細胞の混合個体群中の希少細
    胞を検出し分析する方法において、 (a)キャリヤ上の希少細胞を形態学的に同定しかくして既知の場所の同定済
    み希少細胞を得るために自動式又は半自動式光学走査システムを使用する段階、
    及び (b)前記同定済み希少細胞を化学的、生化学的及び/又は遺伝学的に分析し
    、かくしてキャリヤ上の希少細胞を形態学的に同定する前記段階の結果を確証す
    る段階、 を含んで成る方法。
  13. 【請求項13】 形態学的画像及び前記同定済み希少細胞の化学的、生化学
    的及び/又は遺伝学的分析を提示する画像を同時表示する段階をさらに含んで成
    る、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 キャリヤによって担持される細胞の混合個体群の中で希少
    細胞を同定するためのシステムにおいて、撮像装置と光学的に通信する光学拡大
    装置及び前記撮像装置により収集されつつある画像を分析するための処理装置を
    内含する走査ユニットを含んで成るシステムであって、前記処理装置は、1つの
    画像処理アルゴリズムを実行するためのものであり、前記画像処理アルゴリズム
    は、前記撮像装置によって収集された1つの画像を細胞核と結びつけられた第1
    の画素グループ、細胞質と結びつけられた第2の画素グループ及び背景と結びつ
    けられた第3の画素グループへとセグメント化し、かくして希少細胞の同定を可
    能にするためのものであるシステム。
  15. 【請求項15】 前記画像処理アルゴリズムによって計算された少なくとも
    2つの閾値に従って前記第1、第2及び第3の画素グループがセグメント化され
    る、請求項14に記載のシステム。
  16. 【請求項16】 前記少なくとも2つの閾値が、 (i) 各々の画素の各々のカラーチャネルがそのそれぞれの強度に従って重
    みづけされ、単色重みづけ済み平均強度が前記画素の各々に対し与えられている
    単色画像へと、前記細胞のカラー画像を変換すること、 (ii) 前記画素の間の単色重みづけ済み平均強度分布の分布を表わすヒ
    ストグラムを生成すること、及び (iii) 前記ヒストグラムを用いて、前記少なくとも2つの閾値を計算す
    ること、 によって計算される、請求項15に記載のシステム。
  17. 【請求項17】 前記撮像装置によって収集された1つの画像を、細胞核と
    結びつけられた第1の画素グループ、細胞質と結びつけられた第2の画素グルー
    プ及び背景と結びつけられた第3の画素グループへとセグメント化する段階が、
    少なくとも1つの核2進画像と細胞質2進画像を生成することによって実施され
    る、請求項15に記載のシステム。
  18. 【請求項18】 前記画像処理アルゴリズムがさらにブロブ分類のためのも
    のであり、一方ブロブ分類は、最初に、前記2進画像内の結合された構成要素を
    同定し、かくして前記2進画像の各々の中のブロブを同定し、その後前記ブロブ
    から抽出された特長を評定することによって実施される、請求項17に記載のシ
    ステム。
  19. 【請求項19】 前記特長が、(i)前記ブロブの各々のサイズ;(ii)
    前記ブロブの各々の周囲;(iii)前記ブロブの各々の粗度;(iv)前記ブ
    ロブの各々のち密度;(v)前記ブロブの各々の伸び;(vi)境界枠の寸法;
    (vii)最小直径;(viii)最大直径;(ix)平均直径;(x)凸状周
    囲;(xi)1画素の最小強度;(xii)1画素の最大強度;(xiii)画
    素の平均強度;(xiv)画素強度の標準偏差;(xv)画素強度の2乗の和;
    及び(xvi)前記ブロブの各々の孔数から成るグループの中から選択される、
    請求項18に記載のシステム。
  20. 【請求項20】 前記細胞核と結びつけられた前記第1の画素グループが、
    ブロブ発見及び分類アルゴリズム及び境界検出アルゴリズムを用いて再定義され
    る、請求項14に記載のシステム。
  21. 【請求項21】 前記細胞質と結びつけられた前記第2の画素グループが、
    前記境界検出アルゴリズムの結果を用いて再定義される、請求項20に記載のシ
    ステム。
  22. 【請求項22】 前記画像処理アルゴリズムがさらに、前記2進画像の各々
    から誘導されたブロブを整合させ、その後、整合したブロブから抽出された特長
    を評定してこれらのブロブを分類するためのものである、請求項18に記載のシ
    ステム。
  23. 【請求項23】 前記特長が、(i)整合したブロブのブロブ間サイズ比;
    (ii)整合したブロブのブロブ間オーバーラップレベル;(iii)整合した
    ブロブのブロブ縁部間最小距離;及び(iv)整合したブロブのブロブ縁部間最
    大距離から成るグループの中から選択される、請求項22に記載のシステム。
  24. 【請求項24】 前記画像処理アルゴリズムがさらに、前記整合したブロブ
    と結びつけられた画素のカラー特長を抽出するためのものである、請求項22に
    記載のシステム。
  25. 【請求項25】 前記画像処理アルゴリズムがさらに、強制的特長及び必要
    にして充分な特長に従って希少細胞を同定するためのものである、請求項22に
    記載のシステム。
  26. 【請求項26】 キャリヤによって担持される細胞の混合個体群中で希少細
    胞を同定する方法において、 (a)(i)撮像装置と光学的に通信する光学拡大装置、及び (ii)前記撮像装置によって収集された画像を分析することを目的とし、
    画像処理アルゴリズムを実施するための処理装置、 を内含する走査ユニットを提供する段階、 (b) 前記撮像装置を介して、前記細胞混合個体群の画像を収集する段階、
    及び (c) 前記撮像装置によって収集された細胞の前記混合個体群の前記画像を
    細胞核と結びつけられた第1の画素グループ、細胞質と結びつけられた第2の画
    素グループ及び背景と結びつけられた第3の画素グループへとセグメント化しか
    くして希少細胞の同定を可能にするために前記画像処理アルゴリズムを利用する
    段階、 を含んで成る方法。
  27. 【請求項27】 前記細胞混合個体群の前記画像を第1、第2及び第3画素
    グループへとセグメント化する前記段階が、前記画像処理アルゴリズムによって
    計算された少なくとも2つの閾値に従って実施される、請求項26に記載の方法
  28. 【請求項28】 前記少なくとも2つの閾値が、 (i) 各々の画素の各々のカラーチャネルがそのそれぞれの強度に従って重
    みづけされ、単色重みづけ済み平均強度が前記画素の各々に対し与えられている
    単色画像へと、前記細胞のカラー画像を変換すること、 (ii) 前記画素の間の単色重みづけ済み平均強度分布の分布を表わすヒ
    ストグラムを生成すること、及び (iii) 前記ヒストグラムを用いて、前記少なくとも2つの閾値を計算す
    ること によって計算される、請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 前記細胞混合個体群の前記画像を第1、第2及び第3画素
    グループへとセグメント化する前記段階が、少なくとも1つの核2進画像及び細
    胞質2進画像を生成することによって実施される、請求項26に記載の方法。
  30. 【請求項30】 前記細胞混合個体群の前記画像を第1、第2及び第3画素
    グループへとセグメント化する前記段階が、ブロブ分類によって実施され、一方
    、ブロブ分類は、最初に、前記2進画像内の結合された構成要素を同定し、かく
    して前記2進画像の各々の中のブロブを同定し、その後前記ブロブから抽出され
    た特長を評定することによって実施される、請求項29に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記特長が、(i)前記ブロブの各々のサイズ;(ii)
    前記ブロブの各々の周囲;(iii)前記ブロブの各々の粗度;(iv)前記ブ
    ロブの各々のち密度;(v)前記ブロブの各々の伸び;(vi)境界枠の寸法;
    (vii)最小直径;(viii)最大直径;(ix)平均直径;(x)凸状周
    囲;(xi)1画素の最小強度;(xii)1画素の最大強度;(xiii)画
    素の平均強度;(xiv)画素強度の標準偏差;(xv)画素強度の2乗の和;
    及び(xvi)前記ブロブの各々の孔数から成るグループの中から選択される、
    請求項30に記載の方法。
  32. 【請求項32】 前記細胞核と結びつけられた前記第1の画素グループが、
    ブロブ発見及び分類アルゴリズム及び境界検出アルゴリズムを用いて再定義され
    る、請求項26に記載の方法。
  33. 【請求項33】 前記細胞質と結びつけられた前記第2の画素グループが、
    前記境界検出アルゴリズムの結果を用いて再定義される、請求項32に記載の方
    法。
  34. 【請求項34】 前記画像処理アルゴリズムがさらに、前記2進画像の各々
    から誘導されたブロブを整合させ、その後、整合したブロブから抽出された特長
    を評定してこれらのブロブを分類するためのものである、請求項29に記載の方
    法。
  35. 【請求項35】 前記特長が、(i)整合したブロブのブロブ間サイズ比;
    (ii)整合したブロブのブロブ間オーバーラップレベル;(iii)整合した
    ブロブのブロブ縁部間最小距離;及び(iv)整合したブロブのブロブ縁部間最
    大距離から成るグループの中から選択される、請求項34に記載の方法。
  36. 【請求項36】 前記画像処理アルゴリズムがさらに、前記整合したブロブ
    と結びつけられた画素のカラー特長を抽出するために役立つ、請求項34に記載
    の方法。
  37. 【請求項37】 前記希少細胞が、強制的特長及び必要にして充分な特長に
    従って同定される、請求項26に記載の方法。
  38. 【請求項38】 細胞の混合個体群内の希少細胞を同定する間の偽陽性結果
    を低減させる方法において、 (a) その形態学的特長に従って希少細胞を同定する第1のアルゴリズムを
    、希少細胞の同定のために利用する段階、及び (b) 希少細胞を特徴づけする細胞マーカーに従って希少細胞を同定する第
    2のアルゴリズムを、希少細胞の同定のために独立して利用する段階、 (c) 前記第1のアルゴリズム及び前記第2のアルゴリズムの両方共が、細
    胞混合個体群の1つの特定細胞を希少のものとして同定した場合にのみ、この特
    定細胞を希少細胞として同定する段階、 を含んで成る方法。
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