JP2002537561A - 細胞タンパク質成分を単離および分析するための方法および装置 - Google Patents

細胞タンパク質成分を単離および分析するための方法および装置

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、さまざまな集団の細胞におけるプロテオーム分析を可能にする、レーザー捕捉顕微解剖細胞におけるタンパク質の分析を行なうための装置および方法について記載している。特に開示している実施例は、正常細胞対悪性細胞の分析、または、正常から悪性に進行している細胞における特異なタンパク質発現の比較である。免疫測定法、一次元ゲル電気泳動および二次元ゲル電気泳動による特徴付け、ウエスタンブロッティング、液体クロマトグラフィー四重極型イオントラップエレクトロスプレー(LCQ-MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間法(MALD/TOF)、および表面強化型レーザー脱着イオン化質量分析法(SELDI)などの技法を用いて、顕微解剖された細胞のタンパク質成分を分析することができる。同一の組織試料に由来する腫瘍細胞および正常細胞のタンパク質成分を定性的および定量的に比較することを可能になることに加えて、本方法はまた、結合能力およびアミノ酸配列など、腫瘍細胞のタンパク質特性を調べること、ならびに、薬剤治療に反応する、特定の細胞集団におけるタンパク質発現の差異を調べることも可能にする。また本方法は、タンパク質のフィンガープリントを使用することによって、腫瘍転移の発生源となる組織を同定するための迅速かつ信頼性の高い方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 発明の分野 本発明は、所望のタイプよりなる均一な集団あるいは亜集団である細胞標本を
分析するための方法および装置に関する。特に、本発明によって、同一の組織標
本より得た腫瘍細胞および正常細胞から分離したタンパク質の間で、タンパク質
成分およびその特徴を直接比較することが可能になる。
【0002】背景の考察 プロテオミクスは、正常状態と疾病状態の間における、細胞タンパク質の量の
変化を研究するものである。分子生物学の範囲がゲノミクスを越えてプロテオミ
クスへと広がるにつれて、発生中の組織、病気になった組織、または遺伝的に変
異した組織で発現するタンパク質の量を観察するための直接的な方法に対する需
要が高まっている。組織を直接観察することは、その非相同的な三次元構造のた
めに困難である。このような構造は、さまざまな細胞型が、隣接細胞、結合支質
、血管、腺成分および筋成分、脂肪細胞、および炎症細胞または免疫細胞と強い
結合相互作用を起こす結果できる。このような本来の組織環境中で細胞が発現す
るタンパク質の量およびタイプは、より容易に研究できる培養細胞および移植細
胞が発現するたんぱく質の量およびタイプとは全く異なっている。このように考
えると、タンパク質の量を測定して、生体内での状態を反映した結果を得る直接
的な手段が必要とされる。
【0003】 組織亜集団から得られるタンパク質高分子を抽出・分析する従来の方法には、
組織の不要部分の紫外光レーザーによる切断法(Meirer-Rugeら、「凍結乾燥組
織断片の顕微解剖のためのローリー法におけるレーザー(The laser in the Low
ry technique for microdissection of freeze-dried tissue slices)」、8 Hi
stochemical J. 384 (1976))、および組織細胞のオイルウエル分離法(oil wel
l isolation)(Matschinskyら。、「オイルウエル法による解糖中間体および共
同因子の定量的組織化学分析(Quantative histochemical analysis of glycolyt
ic intermediates and cofactors with an oil well technique)」、16(1) J. H
istochemical Cytochem. 29 (1968))などがある。これらの方法は複雑で、多く
の労力を要し、タンパク質安定化剤を利用するものではなかった。
【0004】 このような制約があったため、腫瘍細胞と正常細胞の直接比較の多くは成功し
なかった。相互汚染の危険なしに、単一組織において、正常細胞中のタンパク質
のスペクトルと腫瘍細胞タンパク質のスペクトルとを直接比較する方法はなかっ
た。腫瘍細胞でタンパク質の量が変化することについての仮説の多くは、培養細
胞株の研究に基づいたものであるが、培養細胞株には、培養中ずっと増殖できる
という能力があるため、これがさらに、結果を変動させている。腫瘍組織と正常
組織の間における蛋白質量の違いを直接定量する方法もなかった。この分野にお
ける研究の多くは免疫組織化学法を用いて行われてきたため、上記したように定
量性と特異性に限界があることを示してきた。その上、腫瘍発生のさまざまな段
階におけるタンパク質成分を比較したり、腫瘍細胞で見られるタンパク質と正常
細胞で見られるタンパク質の特徴を比較する方法もなかった。タンパク質のアミ
ノ酸配列の決定や結合特性を調べることもできなかった。そして、このような比
較タンパク質研究を行なうことができなかったため、腫瘍の原因と思われるもの
が既に分かっていない限り、腫瘍転移の原因となるものを確実に判定することは
困難であった。
【0005】発明の概要 疾病状態に進行中の細胞の容量が、組織生検試料の5%容量よりも少ないとい
う事実によって、プロテオーム研究は複雑なものになっている。病気の細胞と正
常細胞が混在していると、病細胞における示差的タンパク質発現が、正常細胞に
おけるタンパク質発現という「基礎環境」によって遮蔽されてしまう可能性があ
る。免疫組織化学法は、標的抗原の位置を教えるだけなので、それによっては、
この問題を解決することはできない。本技術は、染色された組織細胞における抗
原分子の実際の数によって、免疫組織化学染色の強度を較正することができない
ため、定量的なデータを提供するという点では有効ではない。また、抗体の多く
は、酵素前駆体と活性酵素という種類の違いを区別することができない。免疫学
に基づく研究では、細胞のタンパク質成分の全体図を簡単に提供することはでき
ない。
【0006】 本発明は、顕微解剖された細胞試料からタンパク質を抽出する装置と方法、抽
出されたタンパク質に、免疫測定法、一次元(1D)および二次元(2D)電気泳動
による特徴づけ、ウエスタンブロッティング、マトリックス支援レーザー脱離イ
オン化法(MALD/TOF)、液体クロマトグラフィー四重極イオントラップ型エレク
トロスプレー(LCQ-MS)、および表面強化型レーザー脱着イオン化質量分析法(
SELDI)など、さまざまな分析処理を行なうことについて記載するものである。
これらの方法は、同一組織に由来する腫瘍細胞と正常細胞のタンパク質成分を定
性的かつ定量的に直接比較するための方法である。本方法は、また、結合能力や
アミノ酸配列など、腫瘍細胞タンパク質の特徴を調べるためのものである。本方
法は、さらに、タンパク質のフィンガープリント法を使用することによって、腫
瘍転移の原因となる組織を同定するための迅速かつ信頼性の高い方法を提供する
【0007】 本方法では、レーザー捕捉顕微解剖法(laser capture microdissection)を
用いて組織試料から細胞集団を抽出することによって、組織試料から採取した選
択細胞集団のタンパク質成分を分析する。抽出される細胞集団は、例えば、特定
の細胞性下部構造(器官の内腔の上皮から採取した細胞、より正常な細胞の大集
団という基礎環境に対して悪性転換した細胞ポケット)の細胞である可能性もあ
る。この単離された細胞集団からタンパク質を単離し、タンパク質の特徴を分析
して、選択した単離細胞集団のタンパク質の特徴に関する情報を提供することが
できる。
【0008】 特に開示された実施例では、単離された悪性細胞における示差的タンパク質発
現を用いて、悪性転換の過程で起きるタンパク質発現パターンの変化を調べるこ
とができる。別の実施例では、生物学的転換(正常細胞から異形成細胞、浸潤癌
への腫瘍進行など)のさまざまな段階にある細胞を調べて、腫瘍進行のさまざま
な段階における示差的タンパク質発現を分析することができる。同様の方法を用
いて、治療目的(特定のタンパク質の発現を標的とする薬剤の選択など)のため
に、または、薬剤応答アッセイ法(薬剤応答の指標として、タンパク質発現にお
ける変化を査定するため)において、細胞を分析することができる。
【0009】発明の詳細な説明 レーザー捕捉顕微解剖法(LCM)は、染色した異質性組織を直接かつ高出力の
顕微鏡により可視化した中から純粋な細胞集団を回収することを可能にする、最
近になって開発された技術である。Emmert-Buckら、「レーザー捕捉顕微解剖法
(Laser Capture Microdissection)」、274 Science 998 (1996); Bonnerら、
「レーザー捕捉顕微解剖法:組織の分子分析(Laser Capture Microdissection:
Molecular Analysis of Tissue)」、278 Science 1481 (1997)を参照のこと。
レーザー光線は、組織切片内で顕微鏡によって同定および標的された細胞に特異
的に結合する特殊な転移用フィルムを局所的に活性化する。そして、細胞を結合
した転移用フィルムを組織切片からはがすと、不必要な細胞は後に残る。このよ
うにしてLCMを単離した細胞のDNA分析のために応用することが、Liottaらに付与
された米国特許第5,843,657号に記載されており、参照として本明細書に組み入
れられる。
【0010】 簡単に述べると、LCM処理は以下のように行なわれる。まず、透明な転移用フ
ィルムを組織切片の表面に当てる。顕微鏡下で、作業者は、組織薄片を載せたガ
ラス切片を通して観察しながら、調べようとする細胞の顕微鏡で見える塊を選択
する。目的の細胞が視界の中央にあるときには、作業者は、顕微鏡光学装置に組
み込まれた近IFレーザーダイオードを活性化するボタンを押す。パルス状のレー
ザー光線が、目的の細胞の真上にある転移用フィルム上の正確なスポットを活性
化する。この正確な位置で、フィルムは溶けて、その下にある目的の細胞と融合
する。フィルムを取り除くと、目的の細胞は、局所的に伸展したポリマーの中に
しっかりと取り込まれるが、残りの組織は後に残る。得られた細胞は、正確な形
態を維持したまま、転移用フィルムに保持され、DNA、RNA、およびこれから分析
するタンパク質など、細胞の細胞内成分が確実に保存される。分析を続けるため
に、取り出した転移用フィルムと細胞をプラスチック製のキャップ(LCMキャッ
プという)上に移動させる。
【0011】 このように保存された細胞内成分を、細胞からLCMキャップ上に単離するには
、新しい処理手順、緩衝液、および装置の開発が必要となる。特に、本方法は、
一般的なLCMレーザー照射において得られる数である約1500から約5個という細胞
数の非常に小さな試料サイズからタンパク質を抽出するための新しい処理法を利
用している。この処理法は、一般的に、非常に少量の独自の緩衝液を用いて、一
回の可溶化工程でタンパク質を抽出することを含む。このように少量および小さ
な試料サイズの取り扱いを容易にするために、可溶化工程を便利に行なうことの
できる装置が開発された。この新しい処理法の結果、他の非腫瘍細胞型または正
常細胞型による相互汚染を実質的に受けていない、そのままのタンパク質が得ら
れる。単離されたタンパク質は活性を維持しているため、いくつもの免疫学的測
定法や生化学的測定法による分析が可能になる。
【0012】 タンパク質の単離工程用緩衝液は、塩、界面活性剤、プロテアーゼ阻害剤、お
よびホスファターゼ阻害剤などの緩衝液成分を一種類以上含むことがある。特に
、免疫組織化学法によって分析すべきタンパク質を抽出するのに効果的な緩衝液
の一つは、緩衝液であるトリス塩酸、NaCl、界面活性剤の登録商標ノニデットP-
40、EDTA、およびリン酸ナトリウム、プロテアーゼ阻害剤であるアプロチニンお
よびロイペプチン、ならびに、ホスファターゼ阻害剤であるデオキシコール酸ナ
トリウムおよびオルトバナジン酸ナトリウム、ならびに4-2-アミノエチルベンゼ
ンスルホニルフルロリド(4-2-aminoethyl benzensulfonylfluroride)(AEBSF
)を含む。別の塩で使用できそうなのはLiClであり、また、グリセロールは、分
画用緩衝液に加えることのできる適当な乳化剤である。さらに別のプロテアーゼ
阻害剤には、ダイズトリプシンインヒビターおよびペプスタチンなどである。他
の適当なホスファターゼ阻害剤には、フェニルメチルスルホニルフルオリド、モ
リブデン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、およびベータ-グリセリンリン酸な
どである。2-Dゲル分析には、1%SDS溶液での単純な溶解が効果的であったが、S
ELDI法を用いた最終的な分析には、標準的なPBSを主材料として、界面活性剤の
トライトンX-100(Triton X-100)(シグマ社、ミズーリ州セントルイス)、登
録商標MEGA 10(ICN社、オハイオ州オーロラ)、およびオクチルB-グルコピラノ
シド(ESA、マサチューセッツ州チェルムスフォード)を添加したものが必要で
ある。2-Dゲル分析の前に使用した別の緩衝液は、7 M尿素、2 Mチオウレア、CHA
PS、MEGA10、オクチルB-グルコピラノシド、トリス、DTT、トリブチルホスフィ
ン、およびファルマライト(Pharmalyte)を含むものであった。好適な1:100濃
度の緩衝液は、以下の通りである。
【0013】 緩衝液を作製し、使用の際に蒸留水で1:100に希釈する。この緩衝液は-20℃で
凍結保存しなければならない。数時間解凍するだけで使用することができる。す
べての場合において、緩衝液は、約1μlから約15μlという非常な少量で使用し
、レーザー捕捉された分離細胞がLCMキャップ上にまだ載っているときに、直接
アプライする。
【0014】 LCMキャップ上で直接タンパク質を可溶化する処理法を簡単にするために、少
量を取り扱うために装置を開発した。この装置(図16に示す)は、可溶化処理が
行なわれる小チャンバー1をもつ。このチャンバーには、それに接着した細胞を
もつLCMキャップをそのまま受け入れることができるよう構築された上部開口部2
をもつ。LCMキャップは、細胞を持つ表面をチャンバーが内側になるようにチャ
ンバー1の中に置かれる。LCMキャップが装置に取り付けられさえすれば、細胞は
方策上チャンバーの中に位置することになり、可溶化緩衝液を入れたところで、
タンパク質の可溶化が起こる。このチャンバーには、少なくとも一つの流入口3
が付いていて、可溶化緩衝液をチャンバー1に導入するための装置であるシリン
ジ4を備え付けることができる。流入口3は、狭い流入管5によってチャンバーに
接続しているため、管の中に液体を入れると、毛細管作用によって可溶化チャン
バーの方に移動する。この装置は、所望であれば、それぞれが、シリンジのよう
な液体導入用装置を備えた2個以上の流入用チャンバーを含むことができる。ま
た、この装置は、可溶化したタンパク質を回収して取り出す装置を備えることの
できる狭い流出管7によってチャンバーに接続している流出口6をもつ。本装置の
態様の一つは、チャンバー1、流入口3、流入管5、流出口6、および流出管7をも
ち、これらはすべて、リューサイトなどの硬化プラスチックブロックで機械加工
されている。
【0015】 タンパク質が可溶化されれば、さまざまな免疫学的分析法や生化学的分析法を
用いて、単離されたタンパク質を特徴づけることができる。通常、まず、細胞を
、LCM捕捉のために特定の形態学的特徴に基づいて同定するため、これらの測定
法の結果は、確実に回収された細胞型を代表するものである。
【0016】 実施することのできる測定法のタイプには、目的とするタンパク質に特異的な
抗体を使用する可溶性免疫測定法がある。抗体は、化学発光マーカー、蛍光マー
カー、および放射性マーカーなど、さまざまなマーカーで標識することができる
。最良の結果を得るためには、用いる測定法を、微粒子酵素免疫測定法(MEIA)
のように高感度のものにする必要がある。血清中の免疫検出分子を評価するため
に使用される検量線を用いて、細胞当たりの分子数を推定することができる。こ
のようにして、ただいま説明している方法は、生体内における目的タンパク質分
子の実際の数量を測定することのできる定量的免疫測定法を提供する。
【0017】 抽出されたタンパク質を分析するために用いることのできる別のタイプの測定
法は、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(2D PAGE)である。試料の正
常細胞から抽出されたタンパク質と、試料の腫瘍細胞から抽出されたタンパク質
の両方を泳動し、ブロットを比較することによって、タンパク質発現の差異を見
ることができる。特に、コンピュータの中で染色したゲルを走査し、画像比較用
ソフトウエアを使用することによって、一方の細胞型には存在し、他方の細胞型
には存在しないタンパク質の位置を決めることができる。さらに、このように変
化したタンパク質を、それらが存在するゲルから単離し、それらの配列がデータ
ベースに存在していれば、質量分析計MS-MSによる配列決定法を用いて、タンパ
ク質を同定することができる。このようにして、正常細胞と腫瘍細胞の間におけ
るタンパク質の違いをより完全に理解することができるようになる。さらに、2-
Dゲルから単離した目的のタンパク質は、既知のリガンドまたは推定リガンドに
対する、タンパク質の結合能力の変化を機能的に調べる結合実験で使用すること
もできる。最後に、この比較分析は、正常細胞と腫瘍細胞の間で行なう必要はな
く、異なった段階で十分な形態学的差異が現れるため、LCM技術を用いて集団を
別々に単離することができる場合には、腫瘍が単離された段階の間の比較に用い
ることもできる。
【0018】 実施することのできるさらに別の分析には、表面強化型レーザー脱着イオン化
質量分析法(SELDI)、すなわちSELDI(サイファージェン・バイオシステムズ社
、カリフォルニア州パロ・アルト)を使用するものが含まれる。この方法は、2-
Dゲル分析では別々に焦点を当てることのできないタンパク質、特に、非常に塩
基性が高く、非常に小さな(< 7000ダルトン)タンパク質、または、細胞の中で
低量または控えめに発現するタンパク質を分離することができる。使用する細胞
の試料サイズがきわめて少ないことから、発現量が低下することが、これらの実
験では決定的なことである。SELDIでも、ゲル分析よりは迅速にタンパク質を分
離できる。SELDIは、粗製試料からもとのままのタンパク質をフェムトモル・レ
ベルで脱離および検出するための「プロテインチップ(protein chip)」を利用
する。目的とするタンパク質を、アルミニウム支持体上の8から24個の予め決め
られた領域にフォーマットされたプロテインチップの限られた狭い表面領域に直
接載せる。これらの表面は、精製タンパク質リガンド、レセプター、抗体または
DNAオリゴヌクレオチドなどの、疎水性、陽イオン性、陰イオン性、または生化
学的なベイト分子である標準的なクロマトグラフィー用支持体を含む、一定の化
学的「おとり(bait)」マトリックスで被覆されている。Strauss, 「生体分子
を検索するための新しい方法(New ways to probe the molecules of life)」
、282 Science 1406 (1998)を参照。LCMで回収した試料の場合には、可溶化され
たタンパク質をSELDIチップの表面に載せる。表面へのタンパク質の結合は、ベ
イトとなる表面の性質と、採用する洗浄条件とによって決まる。そして、結合し
たタンパク質の混合物を、レーザー脱離およびイオン化、また、さらに、高感度
分子量検出器から作られた飛行時間型質量分析計によって特徴を調べる。このデ
ータから、使用するエネルギー吸着分子、および用いるベイト表面/洗浄条件に
依存して、1000から300,000ダルトンの範囲で実際の分析と検出を行なうことが
できるSELDIによって、試料のタンパク質フィンガープリントが作成される。
【0019】 作成されたタンパク質フィンガープリントは、疾病特異的かつ器官特異的であ
ることが分かっている。すなわち、特定の組織型由来の腫瘍におけるタンパク質
フィンガープリントは、正常であっても、腫瘍または転移型であっても、その組
織型の特徴を残していることになる。このことは、器官の発生源と思われる正常
組織または腫瘍組織のタンパク質フィンガープリントと比較することによって、
未知の転移がどこに起因しているかを決定することを可能にする。
【0020】 以下の実施例によって、本発明の原理をさらに具体的に説明する。
【0021】 実施例1免疫測定法による、良性および悪性の前立腺上皮に由来する細胞内PSAの定量法
症例材料 組織は、IRBに許容されたプロトコールに従って、メリーランド州ベテスダに
ある国立癌研究所の泌尿器腫瘍学部門(Urologic Oncology Branch in the Nati
onal Cancer Institute, Bethesda, MD)、およびミネソタ州ロチェスターにあ
るメイヨ・クリニック(Mayo Clinic in Rochester MN)から入手した。手術後
、組織試料を液体窒素で素早く凍結させた。そして、この組織を光干渉断層計(
O.C.T.)化合物(ティシュー・テック、マイルズ社、インディアナ州エルクハー
ト(Tissue Tek, Miles, Elkhart, IN))の中に包埋して、-80℃で保存した。
症例は、組織切片に存在する組織学に基づいて、正常な腺、前立腺上皮内腫瘍(
PIN)、および隣接する癌腫が同一の患者の中で比較できそうなものを選択した
。前立腺組織の症例は、陰性対照として使用するためにの間質を十分含むように
選択した。
【0022】 切片化と染色 O.C.T.包埋組織の塊をクリオスタットで8μmの切片になるように切った。切断
後、直ちに切片をドライアイスの上に置いて-80℃で保存した。切片は、一度に
一枚だけ融解して、タンパク質分解を最小限に抑えた。70%エタノールで10秒間
固定した後、ヘマトキシリンおよびエオキシン(eoxin)で染色し、キシレンで
脱水した。
【0023】 レーザー捕捉顕微解剖法 ピクセル(PixCell)装置は、ジョイスティックによって移動する顕微鏡スラ
イド台をもつオリンパス(Olympus)IX-50顕微鏡を内臓する。作業者は、このジ
ョイスティックを用いて、直径5から60μmに焦点を合わせることのできる固定し
たレーザー光線の下に組織を位置させる。LCM転移用フィルムをバイアルキャッ
プ(登録商標キャップシュア(CapSure)TF-100転移用フィルム担体、直径5 mm
、光学級の透明プラスチック;これに合うバイアルはブリンクマン(Brinkmann
)#22 36 430-8である)の下面に固定させる。LCMによって細胞を採取するのに
かかる時間は、常に、15分未満である。選択された細胞を含むフィルムの表面に
抽出用緩衝液を一滴垂らす。水滴を下面に載せたキャップを、50μlの免疫測定
用希釈緩衝液を入れた、適合するバイアルの口に差し込んだ。バイアル試料用貯
蔵容器にシールを貼って、測定前の48時間未満、-20℃で凍結させて保存した。
融解した試料を4℃で2.5時間以内保持してから、免疫測定用モジュールの中に入
れた。
【0024】 図1では、30μmのレーザー照射のサイズを、ジョイスティックの操作によって
顕微解剖した前立腺の一例とを比較している。組織から取り出して、フィルムに
移した細胞の数を目視により計数することによって、採取した純粋な上皮細胞ま
たは癌腫細胞の収量、および細胞採取の精度を検査した。表1は、レーザー照射
回数と顕微解剖された細胞数の平均数とを比較したものである。
【0025】
【表1】 標準的なレーザースポットの直径である30μmには、5〜7個の細胞が含まれる。
各組織細胞の集塊密度、形、および容量は変動することがある。したがって、細
胞収率の精度は、照射回数が少ないほど低くなる。
【0026】 LCMによって採取した細胞に由来するタンパク質の可溶化 照射された転移細胞からのタンパク質抽出は、倒立したポリマーフィルムの捕
捉面に、少量の緩衝液を直接ピペッティングして行なった(図2)。組織細胞を
含む転移表面に5μlの抽出用緩衝液を置いた後、染色細胞の完全な可溶化が行わ
れたことを目視によって確認した。抽出された細胞タンパク質をもつ転移キャッ
プを、免疫測定用緩衝液を入れたバイアルの口に挿入した。分析後、転移キャッ
プを対比染色して、細胞が完全に可溶化されたことを確認した。希釈した抽出用
緩衝液が免疫測定の基礎環境や直線的較正に干渉することはなかった。
【0027】 抽出緩衝液 最終緩衝液組成物は、以下の貯蔵液の1/1000希釈液であった。すなわち、50 m
Mトリス塩酸、1%NP-40、0.1%デオキシコール酸ナトリウム、150 mM NaCl、4 m
M EDTA、アプロチニン(10 mg/ml)、ロイペプチン(10 mg/ml)、ピロリン酸ナ
トリウム(10 mM)、オルトバナジン酸ナトリウム(2 mM)、およびAEBSR(100
mM)。
【0028】 測定法原理 イムライト第三世代PSA(Immlite Third Generation PSA)測定法(ダイアグ
ノスティック・プロダクツ社、カリフォルニア州ロサンジェルス(Diagnostic P
roducts Corp., Los Angeles, CA))を、LCMによって採取された組織細胞から
可溶化したPSAを測定するのに適合するように調整した。フォトン産生を照度計
(出力:相対的光単位(RLU))で測定した。600,000から10,000,000 RLUの範囲
になったPSA陽性試料に対して、陰性組織またはゼロ対照では80140,000 RLUとい
う値になった。
【0029】 PSA免疫測定法:微粒子酵素免疫測定法(MEIA) イムライト(Immulite)・イムノアッセイ・アナライザー(ダイアグノスティ
ック・プロダクツ社、カリフォルニア州ロサンジェルス(Diagnostic Products
Corp., Los Angeles, CA))上で超高感度PSA試薬キットを用い、自動2地点化学
発光測定法によってPSAを測定した。RLUは、光電子増倍管によって検出され、PS
Aの濃度に比例する光子を反映している。この測定法の感度は、0.004 ng/mLのPS
A、または、測定1回当たり約4×106のPSA分子である。
【0030】 免疫組織化学法 PSAに関する免疫組織化学的染色法は以下の通りである。凍結切片を脱水して
からアセトンで固定した。3%ヤギ血清で洗滌した後、一次抗体とのインキュベ
ーションを室温で1時間行なった。二次抗体をアビジン/ビオチンで標識した。基
質系は、ペルオキシダーゼ/DABであった。二回目の反応は、本質的には、製品に
入っていた説明書の指示にしたがって行なった。
【0031】 検量線 イムライトのパッケージに入っていた説明書に記載され、血清中でのPSAを測
定するために用いた検量線を、LCMによって採取した細胞性組織タンパク質の測
定に利用した。血清用に設計された検量線が、緩衝液溶液中のLCM抽出した細胞
タンパク質によって再現された。濃度が分かっているPSAを含む血清試料または
緩衝液試料を、等量の100回照射PSA陰性組織細胞と混合した。すべての場合で、
約100%の回収率が得られ、ゼロ用量の上昇やシグナルの減少は見られなかった
。図3に示すように、各患者の症例について、実際の組織細胞のレーザー照射回
数と、計算されたPSA分子数とを比較した。直線回帰分析によって、0.04 ng/mL
から1 ng/mLの動的範囲にわたって、0.95よりも高いr値が得られた。
【0032】 感度 顕微解剖された細胞タンパク質についての本測定法の検出限界を、PSAを含ま
ない試料すなわちPSA陰性組織のシグナル応答を2標準偏差上回る濃度と定義する
と、この限界は0.04 ng/mlであった。この基準によって達成された感度は、30μ
mの一回レーザー照射であった(5〜7細胞)。
【0033】 不正確さ 細胞捕捉の不正確さは、15回のレーザー照射から抽出されたタンパク質で測定
されたPSAの変動係数が15.8%であるのに対して、100回照射したときには3.3%と
いう変動係数であった。生物学的な不均一さが想定されることを踏まえると、た
とえ、シグナルの平均度数(804,416 RLU)が、基礎環境となる組織を合わせて1
00回照射した場合の平均値(132,759)よりも実質的に大きかったとしても、一
回のレーザー照射ではPSA測定値は60.2%の変動係数を示すことになる(図4)。
このように、組織試料の15回(分析感度の閾値)から100回のレーザー照射によ
る捕捉(15分以内に完了する)によって、日常的な測定については、許容できる
低精度レベルを提供することができる。
【0034】 組織免疫組織化学との相関関係 正常な上皮、癌腫および前立腺上皮内腫瘍(PIN)を含む前立腺組織切片に対
して、PSAを測定するためのPSA免疫測定法と一緒にLCMを用いた分析を行なった
。上記した低精度分析に基づいて、レーザー照射回数を100回とした。調べた標
本毎に、100回照射に基づくという結論が曲線の直線部分に含まれていることを
確認するために、照射回数を連続的にいくつか変えて標準曲線を用意した(図3B
)。隣接する切片に対して、前立腺特異的抗原に関する免疫組織化学法を行なっ
た。同じ符号が付けられた切片をLCMによってサンプリングした細胞集団と同じ
細胞集団のPSA免疫応答性を別々に採点して、ゼロから5プラスまでの段階にラン
ク付けした(図5)。細胞当たりの平均分子数は、104から106であった。免疫組
織化学法によるスコアは、定量化と平行しており、正常細胞集団と腫瘍細胞集団
によるPSA産生の異質性を反映していた。例えば、症例Cの場合、正常な上皮は、
6.3×106個の分子を含んでおり、免疫組織化学法では3プラスと採点された。こ
れに対して、PIN細胞は、3.7×105個の分子を含んでおり、2プラスと採点された
。また、腫瘍細胞は.9×104個を含んでおり、1プラスと染色された。
【0035】 この新規技術を応用すれば、図5に示したように、これまで定性的な染色によ
ってしか検出されなかったPSA発現の不均質性を定量的に確認できるようになる
。一細胞当たりから得られるPSA分子の平均数は、対数にして数桁にわたってい
た。免疫組織化学染色による差異は、細胞あたりのPSA分子数が10倍以上多くな
らない限り識別できなかった。
【0036】 本技術は、中量または低量存在する、単一の具体的な既知のタンパク質につい
て、生体内での組織細胞あたりのタンパク質分子の実際数を直接評価する最初の
方法の一つを提供する。正常な前立腺上皮における全PSA分子数は、104から106
であった。PSAは、前立腺癌を臨床的に観察するために使用される重要な血清検
体であるが、前立腺癌に特異的なマーカーではない。従前より研究者は、前立腺
中のさまざまな腫瘍集団および非腫瘍集団において、PSA免疫組織化学染色の強
度の不均一性が大きいことを報告してきた。純粋に組織学的に分類された顕微解
剖細胞集団でも、今回見られたように、集団を構成する細胞間でPSA発現にある
程度の不均一性があると予想される。
【0037】 実施例2正常な食道上皮と癌性食道上皮の比較タンパク質分析 患者および組織試料 調査した2つの標本は、中華人民共和国山西省太原にある山西癌病院に入院し
ていて、食道癌と診断された患者のものである。どちらの患者も、治癒的外科切
除を施すべき患者と見なされていた。どちらの症例も、食道の第2段階にある扁
平上皮癌であった。
【0038】 顕微解剖 それぞれの症例から凍結切片スライドを調製して、選択的に正常な上皮細胞ま
たは腫瘍細胞を捕捉することを目指して、LCM(ピクセル100、アルクトゥルス・
エンジニアリング社(Arcturus Engineering)、カリフォルニア州マウンテンビ
ュー)による顕微解剖を行なった。プロテアーゼを阻害するために染色槽に最終
濃度2 mMでAEBSF(ベーリンガーマイハイム社(Boeringer Manheim))を加えた
以外は、前記した通りにLCMを実施した。それぞれの症例で、50,000個の細胞を
採取した。組織切片を注意深く精査したところ、それぞれの顕微解剖物が>98%
の所望の細胞(正常対腫瘍)を含むと評価された。
【0039】 試料調製 7 M尿素、2 Mチオウレア、4%CHAPS、1%MEGA10、1%オクチル-b-グルコピラ
ノシド、40 mMトリス、50 mM DTT、および2 mMトリブチルホスフィン(TBP)を
含むIEF溶解用溶液を100μl、および0.5%(v/v)ファルマライト(Pharmalyte
)を、LCMキャップ上に接着させた顕微解剖細胞に直接適用し、エッペンドルフ
チューブに入れて、すべての細胞が完全に可溶化するまで1分間激しく撹拌した
。そして、同一の顕微解剖材料から採取した細胞を含む別のキャップに再びIEF
溶解用溶液を適用して、各100μlが、50,000細胞からの可溶化物を含むまで同じ
処理を繰り返した(約7000LCM転移パルス)。
【0040】 二次元PAGEおよび画像分析 一次元等電点電気泳動を、ファルマシアイモビリンIPGドライストリップ装置
(Pharmacia Immobikine IPG Dry-strip system)上で、本質的には製造業者の
記載するところにしたがって行なった。全泳動時間120 kVhで一次元分離を行う
ために、既製の固定化pH勾配ストリップ(18 cm, 3〜10非直線的)を用いた。ス
トリップは、SDSとトリスpH 6.9で予め平衡させ、TBP(2 mM)で還元し、ヨード
アセトアミド(2.5 % w/v)でアルキル化して、直接、8〜18%直線勾配SDS-PAGE
ゲルに適用して、40ボルトの定電圧で一晩電気泳動した。ゲルを銀染色して、ユ
ーマックス(Umax)スキャナーをアドビ・フォトショップ(Adobe Photoshop)
ソフトウエアとともに用い、また、テクトロニクスIISDX(Tektronix IISDX)写
真品質プリンターを用いて、直接的走査画像化分析を行なった。走査した画像を
分析して、MELANIE IIソフトウエアパッケージ(バイオラド社(BioRad))を用
いて比較した。直接の可視化によって容易に明らかになるタンパク質スポットを
示す画像を用いて、タンパク質フィンガープリントの比較を行なった。正常細胞
と腫瘍細胞との間で存在/完全に不在というスポットのみを変化ありと定義した
。各実験は2回反復して行なったが、同様の結果が得られた(データは示さない
)。一次元泳動を行なう前に、抗-アルファ-チューブリン免疫ブロット分析によ
って試料泳動量を標準化した。ブロットのスコア評価には、複数の感光時間の比
較も含まれていた。
【0041】 アルファ-チューブリンの分析 10μlのIEF可溶化物を2×SDSサンプル緩衝液に1:1で希釈して、5分間煮沸し、
4〜20%NOVEXトリス-グリシンSDSゲルに適用して、1時間電気泳動した。イモビ
ロン(Immobilon)PVDF膜を捕捉面として用い、BIO-RAD半乾式ブロッティング装
置を用いて、1.5時間免疫ブロッティングを行なった。1.5%オボアルブミンを含
む1×TBS緩衝液によってブロットをブロックし、モノクローナル抗アルファ-チ
ューブリン抗体とともに3時間インキュベートした。抗アルファ-チューブリン抗
体は、シグマ社から購入し、最終希釈度1:100で使用した。ブロットを1×TBSで5
分間ずつ3回洗浄してから二次抗体を加えた。HRP結合ウサギ抗マウス二次抗体を
シグマ社から購入して、最終希釈率1:10,000で使用した。ブロットを洗浄してか
ら、コダック社のバイオマックス(Kodak Bio-Max)フィルムでのオートラジオ
グラフィーによって化学発光検出を行うためにECL基質(アマーシャム社(Amers
ham))を加えた。
【0042】 質量分析 症例番号1から顕微解剖した腫瘍について別個に2D PAGEを行なったが、ゲルは
、亜鉛-イミダゾールで染色および分析した。両方の腫瘍で調節が異常になった2
種類のタンパク質を選んで質量分析MS-MS配列決定を行なった。アクリルアミド
プラグをゲルから取り出して、HPLC級水で5分間ゲルを洗浄してから、既述した
ようにして、ゲルのトリプシン分解を行なった。
【0043】 インゲル(in-gel)タンパク質分解 ゲル片を切り出して、12 mlの30%メタノールの中で30分間(室温で)エンド-
オーバー-エンド(end-over-end)で混合して洗浄し、150μlの1:1アセトニトリ
ル/100 mM炭酸水素アンモニウムpH 8によって30分間洗浄した。各スポットを4分
の1にスライスして、トリプシン(2 pmol/μl)(プロメガ改良型トリプシン(P
romega modified trypsin))を含む、10μlの100 mM炭酸水素アンモニウムpH 8
で再水和した。そして、さらに、トリプシンを含まない10μlの分解用緩衝液を
加えた。37℃で20時間インキュベートした後、チューブを短時間遠心して凝縮物
を集め、余った液体を新しいチューブに移した。ゲル基質に残っているペプチド
を、150μlの60%水性アセトニトリル、0.1% TFAによって30℃で30分間ずつ2回
抽出した。エッペンドルフスピードバック濃縮装置によって、抽出容量を約5μl
まで減らした。
【0044】 エレクトロスプレー質量分析法 インゲル分解によるトリプシン分解ペプチドに関する質量分析データを、ポリ
アミド被覆した融合シリカ・マイクロキャピラリーHPLCを経由して導入した後、
フィニガン(Finnigan)-MAT LCQイオントラップ質量分析計による衝突誘起解離
(CID)から得た。
【0045】 サイトケラチンIとアネキシンIの免疫ブロット分析 症例番号1の顕微解剖した腫瘍の細胞可溶化物を等量含むゲルの、2種類の二次
元ゲルを同時に行なった。一方のゲルは銀染色し、他方は、上記で概述したよう
に、PVDF膜に免疫ブロットした。II型サイトケラチンまたはアネキシンIに対す
る抗体をプローブとして使用した以外は、前述したようにして、二次元ウエスタ
ンブロット分析を行なった。抗パンII型サイトケラチン抗体はシグマ社より購入
し、最終希釈率1:1000で使用した。抗アネキシンI抗体はトランスダクション・
ラブズ社(Transduction Labs)より購入し、最終希釈率1:5000で使用した。
【0046】 組織の固定/包埋 オスのBALB Cマウスを殺して、素早く、外科的に肝臓を切りだした。一片をOC
T化合物((ティシュー・テック、マイルズ社、インディアナ州エルクハート(T
issue Tek, Miles, Elkhart, IN))の中に包埋して、直ちに、ドライアイス上
で凍結させた。2片を、プロテアーゼインヒビター(コンプリート(Complete)
、ミニベーリンガーマンハイム社(MiniBoeringer Mannheim)、インディアナ州
インディアナポリス)を含む70%エタノール中で、室温で1時間固定した。次に
、これらの切片の一つを、パラフィンワックス中に包埋・封鎖し、もう一片はポ
リエステルワックス(ガラード-シュレジンガー・インダストリーズ社(Gallard
-Schlesinger Industries, Inc.)、ニューヨーク州カールプレイス(Carle Pla
ce))中で包埋・封鎖した。ポリエステルワックスに包埋するには、90%エタノ
ール中で4℃、1時間、続いて、99%エタノール中で4℃、1時間、、そして、100
%エタノール中で室温下1時間、組織を脱水した。そして、50%ポリエステルワ
ックス:エタノールを42℃で2時間、その後、90%ポリエステルワックス:エタ
ノールを42℃で1時間、組織に浸透させた。最後に、氷上に置いた凍結用モール
ド中で、90%ポリエステルワックス:エタノールによって、組織をブロックした
。別の肝臓切片を10%中和緩衝したホルマリン中で固定して、パラフィンワック
ス中に包埋・封鎖した。各ブロックから8ミクロン厚の切片を切り出して、ガラ
ス切片の上に置いて、ヘマトキシリンとエオシンで染色し、約5000細胞(1200レ
ーザーパルス)をLCMによって解剖した。細胞を付着させた転移用キャップを、
細胞を可溶化するためのSDS緩衝液を30マイクロリットル含むエッペンドルフチ
ューブの上に載せて、回収したタンパク質をSDS-PAGEで分析した。
【0047】 対応する正常食道細胞と腫瘍食道細胞のタンパク質プロフィール 顕微解剖された正常な上皮と腫瘍細胞で、二人の患者に由来するもののタンパ
ク質プロフィールを2D PAGEで分析した(図6)。この調査目的のためには、比較
群の間に一目瞭然の「オン-オフ」という差があったときにのみ、「変化あり」
と採点した。両方の試料に存在し、量に僅かな違いがあるようなタンパク質の量
については、定量的な評価は行わなかった。各試料の少量の等量液を用いたアル
ファ-チューブリンの免疫ブロット分析を用いて、各解剖物から全タンパク質量
が等量であることを確認した(図6C)。
【0048】 正常-腫瘍対の間で全体的なタンパク質プロフィールは非常によく似ていた。
例えば、症例番号1から顕微解剖された正常上皮では、観察されたタンパク質の9
8%が対応する腫瘍と共通であった(表2)。
【0049】
【表2】
【0050】 しかしながら、対になった正常-腫瘍試料間で17個の明らかな違いが認められ
、そのうちの12個が、どちらの症例でも同じように生じていた。図8のパネルAと
Bにおいて丸で囲んだスポットが、対応する正常上皮と比較して、上方制御また
は下方制御されているタンパク質を示している。2D PAGEに内在する変動性を査
定するための対照として、各実験は2回実施して、結果を比較した。各反復泳動
において、100%のタンパク質が一致していると採点された(データは非表示)
【0051】 タンパク質の同定 さらに、顕微解剖された細胞に由来するタンパク質の同定法の実現可能性を判
定するための分析を行うために、両方の腫瘍で過剰発現したタンパク質と過少発
現したタンパク質という2種類のタンパク質を選択した。二次元ゲル上の印を付
けたスポットが、質量分析MS-MS配列決定法のために選ばれた。別の二次元ゲル
を泳動したが、このゲルは、亜鉛-イミダゾールによって染色・分析され、その
後、タンパク質を溶離し、またトリプシンによるインゲル分解を行なった。さら
に、分解用緩衝液中に存在する、不安定な塩である炭酸水素アンモニウムをほと
んど取り除いたてから、試料を精製することなくESI-MSによって分子量を得た。
各試料について、ESI-MSスペクトルにおけるペプチドの質量ピークは、不純物に
よって簡単に区別することができ、質量を、内部較正標準を用いて補正した。試
料の取り扱い、およびMALDIまたはESIローディングに用いたプロトコールによっ
て、多数の真のペプチド質量ピークが現れたが、これによって、ペプチド適合コ
ンピュータプログラムによる同定が、単純で信頼性の非常に高いものになった。
結果を表3に示す。トリプシン分解産物の実験による分子量と、理論的な推定値
とを適合させることによって、この2種類のタンパク質のそれぞれについて、一
次アミノ酸配列の広範囲にわたって、多数のペプチドが同定された。腫瘍で過剰
発現されるタンパク質は、サイトケラチン1であると同定され、腫瘍で過少発現
されるタンパク質はアネキシンIであると同定された。
【0052】
【表3】
【0053】 タンパク質の確認−免疫ブロット法 質量分析の結果を確認するために、症例番号2に由来する、顕微解剖された正
常上皮と腫瘍の試料は、2D PAGEで分離し、ヒトパン(pan)-II型サイトケラチ
ンに対する抗体、およびアネキシンIに対する抗体を用いた免疫ブロット分析を
行なった。図7は、腫瘍で上方制御されているタンパク質の実体がサイトケラチ
ン1であると確認した結果を示している。腫瘍で下方制御されているタンパク質
の実体がアネキシンIであることも同様に確認された(結果は示されていない)
【0054】 上皮対間質 本方法が、顕微解剖された細胞集団間におけるタンパク質の変化を検出するの
に有効なことを確認するために、間質の一領域を顕微解剖して、解剖された正常
上皮および腫瘍と比較した(図8)。間質細胞は、上皮とは顕著に異なる細胞系
譜および表現形質を代表するものである。観察したタンパク質の25%未満(675
個のうち約150個)が、この二つの細胞集団間で同一だと採点された(表2)。正
常上皮と腫瘍を比較したときに変化していた17種類のタンパク質はいずれも、間
質には存在していなかった。
【0055】 全組織切片対顕微解剖細胞 顕微解剖していない全組織切片からの試料を2D PAGEで分析し、同じ切片に由
来する、顕微解剖された正常上皮細胞集団および腫瘍細胞集団と比較した。タン
パク質の酸化、および2D PAGEフィンガープリント上でのタンパク質分解など、
レーザー捕捉顕微解剖によって生じた可能性のある改良点の影響を評価するため
に実験を行なった。また、この実験によって、顕微解剖された細胞集団で、それ
が由来する全組織切片において確実に同定することができるかもしれない細胞集
団に存在するタンパク質の比率を決定した。図9は、顕微解剖されたいない全組
織切片と、それに対応する顕微解剖された試料とを2D PAGEで比較した結果を示
している。顕微解剖された細胞に由来する2Dゲル中に存在したタンパク質はすべ
て、腫瘍では異なった調節をうけていることが分かったタンパク質(丸くかこっ
たもの)も含めて、顕微解剖していない全組織切片において、同一の分子量およ
び等電点のところで可視化された。このことは、LCMが、顕微解剖された細胞か
ら回収されるタンパク質に対して外見上の影響を与えなかったことを示している
【0056】 他の癌への有効性と拡張 これら同一の方法を食道細胞セットのさらに8個の正常細胞/扁平上皮癌に対し
て用いた。その結果、アネキシンIは、すべての癌腫細胞には存在しないが、正
常上皮にはつよく発現していることが示された。免疫組織化学実験によって、上
記したように、アネキシンIは、この癌では、前悪性状態にあるときに速やかに
消失し、細胞が癌化しても存在しないままであることが示されている。現在説明
している技術は、食道癌以外の癌におけるアネキシンIの可能的役割を調べるこ
とに拡張することもできる。特に、実験を行なって、アネキシンIの存在量が、
前立腺癌で変化していないかを調べた。ウエスタンブロッティング分析および免
疫組織化学的測定法を用いたところ、上記したように、3つの前立腺癌のうち2つ
が、アネキシンIの発現を全く失い、残りの一つでは、発現が低下していること
が分かった。このように、これらの結果は、本技術が、さまざまなタイプの癌や
、その他の状態(正常な器官発生など)におけるタンパク質の変化を明らかにす
るために利用できることを示している。
【0057】 顕微解剖した細胞集団に関する従来の研究は、主にDNAを、最近になってはメ
ッセンジャーRNAの分析を中心に行われており、全体的なゲノムの変化、突然変
異をもつ特定の遺伝子、またはmRNAの発現量を同定することを目的としてきた。
これらの努力は成功を収め、正常細胞および疾病細胞における分子プロフィール
を同定するためには非常に有望ではあるが、これらは、変異遺伝子または調節不
全を起こした遺伝子のタンパク質産物に関する部分的な情報を提供するだけであ
る。翻訳効率、翻訳後修飾、タンパク質の安定性、リン酸化状態、タンパク質−
タンパク質相互作用、およびタンパク質とDNAの結合親和性などが、DNAおよびmR
NA研究のみでは調べることのできないパラメータの例である。これらの問題に取
り組むためには、タンパク質に基づく分析が必要となる。さらには、タンパク質
のプロファイリングによって、例えば、タンパク質の短縮を生じる腫瘍抑制遺伝
子変異のような一定の変化のタイプを、ゲノムまたは発現に基づく研究法よりも
簡単に検出できるようになろう。したがって、高速かつ大量にタンパク質研究を
行なうことは、正常細胞および疾病細胞の分子解剖を決定するための将来の努力
における重要な要素となろう。
【0058】 ヒト組織から特異的な細胞集団を正確に回収することは、特に、下流の分子的
利用において、数万個の細胞を必要とするときには、技術的に取り組み甲斐のあ
る問題である。本研究において、正常な上皮を得ることが、最も困難な課題であ
った。LCMによる顕微解剖は、際だっており、50,000個の正常な上皮細胞(およ
び腫瘍細胞)を、かなりの短時間に高度の純度で回収することを可能にし、外見
上タンパク質に損傷を与えたり、分解することもなかった。5万個の顕微解剖細
胞から、銀染色による2D-PAGEを用いて、約675種類の異なるタンパク質が可視化
された。下方検出限界が1ナノグラムと仮定すると、この分析は、細胞あたり50,
000から1,000,000コピーの範囲で存在するタンパク質を同定したことになる。
【0059】 大量または中程度の量存在する、機能不全を起こしたタンパク質は、検出、調
査、および観察するのが最も容易であるため、基礎研究および臨床応用への利用
可能性を保っている。しかしながら、顕微解剖した正常細胞および腫瘍細胞のプ
ロテオーム研究も、より高い割合の細胞タンパク質の分析が可能になる感度上昇
によって恩恵を受けるはずである。なお、顕微鏡下で見られる病斑で生物学的に
興味深い(そして、臨床的に重要な可能性がある)が50,000細胞よりも少ない細
胞からなる病斑が多くある。これらの条件では、(例えば)125-I標識またはビ
オチン化によって標識したタンパク質が、顕微解剖された細胞から可視化される
タンパク質の数を劇的に増加させる(データは非表示)。同様に、免疫ブロッテ
ィングをクラス特異的な抗体で走査することで、例えば、細胞周期制御に関与す
る既知のタンパク質のすべてなど、特異的なタンパク質の部分集団の検出をより
高感度で可能にする。
【0060】 いくつかの場合には、分析する材料が少量なのは、高感度タンパク質フィンガ
ープリントを得たり、目的のタンパク質を同定したりするのには理想的ではない
。このような場合に、有用な方策は、各症例から平行する「診断的」および「配
列的」二次元ゲルを作製することである。診断用フィンガープリントは、顕微解
剖細胞から得ることができ、正常-腫瘍の差異を検出するための最大限の感度を
提供する。そして、配列決定用フィンガープリントは、タンパク質の実体を決定
するためのものである。配列決定用二次元ゲルは、組織の中に存在する、顕微解
剖された細胞集団も含む、すべての細胞型を表す大量のタンパク質を含む全組織
切片の凍結片を連続して再切断したものから作製する。診断用二次元ゲルと配列
決定用二次元ゲルを並べると、次の質量分析またはN末側配列分析に用いる目的
のタンパク質を判定することが可能になる。この技術は、症例番号1から得られ
た顕微解剖腫瘍細胞中に存在する675種類のタンパク質を、対応する全組織切片
の二次元ゲル中でうまく可視化して並列させた。腫瘍特異的な変化を2つ選んで
、さらに質量分析を行なって、サイトケラチン1(過剰発現)およびアネキシンI
(過少発現)であることを確認した。両タンパク質の実体は、免疫ブロットでは
確認できなかった。この結果と一致して、サイトケラチンとアネキシンIが、上
皮癌では調節不全になることが、以前報告されていた。
【0061】 したがって、いくつかの態様においては、同一患者からの対応する正常細胞と
腫瘍細胞とを比較するのが有利である。腫瘍において下方制御されることが分か
っている7種類のタンパク質のうち、2つは、症例番号1の正常上皮だけに見られ
、一つは、症例番号2だけに存在した。これらのタンパク質は、「患者特異的」
であり、単一の参照用正常試料が比較用に使用されていたら、同定されることは
なかったであろう。したがって、同一患者内で、正常-腫瘍の対を比較するのが
、腫瘍形成過程で起こるすべてのタンパク質変化を確実に検出するのに有利であ
る。さらには、タンパク質プロフィールにおける、人による類似性と差異につい
てはほとんど知られていないため、本発明を用いて正常細胞と疾病細胞の両方を
患者間で分析した結果を提供し、病気感受性や病気の進行に関係する患者特異的
なタンパク質プロフィールを明らかにするのに役立てることができる。
【0062】 本研究で用いられた食道の標本は、外科的切除後直ちに液体窒素の中で凍らせ
たものであり、組織学用の組織切片はクリオスタット上で調製した。凍結切片は
、回収できるDNA、RNA、およびタンパク質が比較的高品質であるため、しばしば
、組織の分子的分析に用いられる。標準的なホルマリン固定およびパラフィン包
埋によって処理された組織は、固定化の過程、および包埋の間に長時間高温に曝
すことで分子架橋が起こるため、利点が少ない。
【0063】 以上をまとめると、2D-PAGEタンパク質プロフィール作成、およびその後に行
なわれる選択されたタンパク質の実体の判定を、顕微解剖された細胞集団から行
なうことができ、疾病特異的な変化を独自に検出することが可能になる。これら
の技術および方法によって、正常細胞およびそれらに関連する病理を研究するた
めに、生体内におけるタンパク質の量と状態を判定することができる。
【0064】 実施例3正常および癌化した前立腺上皮およびインビトロ前立腺細胞培養株の間における 比較タンパク質分析 患者および組織試料 国立癌研究所の診療センター(メリーランド州ベテスダ)、およびメイヨ・ク
リニック(ミネソタ州ロチェスターで前立腺根治摘除を受けた前立腺癌患者から
の組織を用いた。前立腺の末梢ゾーンから組織を採取し、直ちに急速凍結し、-8
0℃で保存した。対応する腫瘍細胞と正常細胞の培養細胞株は、NCIにおいて前立
腺摘除標本から調製され、Brightら、Cancer Res. 57: 995-1002 (1997)の記載
に従って不死化した。LnCaPおよびPC3細胞は、アメリカン・タイプカルチャー・
コレクション(American Type Culture Collection)(バージニア州マナッサス)
より購入した。顕微解剖を行ない、実施例2に記載したとおりに、2D-PAGEを行う
ために細胞を調製した。実施例2に記載したように、試料泳動量を標準化するた
めにアルファ-チューブリンを用いながら2D-PAGEゲルを行なった。抗-アルファ-
チューブリン抗体を1:1000で使用し、HRP結合ウサギ抗マウス二次抗体を1:10,00
0で使用したが、これらは、シグマ社(ミズーリ州セントルイス)から購入した
。上記の条件でブロットを洗浄し、ECL基質(アマーシャム社、ニュージャージ
ー州ピスカタウェイ)を加えて、コダック社のバイオマックス(Kodak Bio-Max
)フィルムでのオートラジオグラフィーによって化学発光検出を行なった。PSA
については、スクリプス研究所(Scripps Laboratories)(カリフォルニア州サ
ンディエゴ)から抗PSA抗体を購入した。
【0065】 対応した正常前立腺上皮および癌化した前立腺上皮のタンパク質プロフィール 2つの異なった症例から顕微解剖した細胞の分析によって、銀染色で示された
ように、約750の別個のタンパク質が明らかになった。変化したタンパク質に、
実施例2で検討したようにしてスコアを付け、その結果を表4に示した。正常な前
立腺組織と腫瘍前立腺組織の間では全部で12種類のタンパク質が変化していた。
どちらの症例でも、6個の腫瘍特異的な変化が見られた。2つのタンパク質は、両
症例の正常細胞で専ら発現していた。その他3つのタンパク質は、一方の症例の
正常細胞だけで発現しており、また別のタンパク質が、もう一方の症例の正常細
胞だけで発現していた。これらの結果から、本方法によって、顕微解剖された細
胞試料のタンパク質成分の間で意味のある比較ができることが確認される。別の
タンパク質が癌細胞で過剰発現しており、そのうちの一つが、免疫ブロットによ
ってPSAであると確認された。上皮細胞と間質細胞の間でも比較を行なったとこ
ろ、45%未満のタンパク質が同じであった。この結果、さまざまな組織型におい
て、上皮細胞型と間質細胞型とではタンパク質発現がことなることが確認された
。上皮細胞で変化した6種類のタンパク質は、すべて上皮特異的で、観察された
変化が、正常細胞によって間質細胞集団が汚染されたためでないことを示してい
る。
【0066】
【表4】
【0067】 前立腺培養細胞株のタンパク質発現との比較 前立腺癌培養細胞株のタンパク質プロフィールが生体内での前立腺癌を代表す
るものであるかを判定するため、インビトロで培養されている細胞可溶化物を2D
-PAGEで分析し、得られたパターンを、LCM由来の正常-悪性前立腺上皮のパター
ンと比較した。2つの一般的な培養細胞株であるLnCaPおよびPC3の2D-PAGEパター
ンを、最初に、生体内の癌細胞と比較した。この2つの培養細胞株の間では、タ
ンパク質発現は類似していたが、生体内の上皮のタンパク質パターンとは顕著に
異なっており、20%未満の一致率しかなかった。2D-PAGEプロフィールにおける違
いが、発現における定性的または定量的な変化の結果であるか否かを評価するた
めに、PSAを検査用分子として用いて免疫ブロットを行なった。正常細胞、PC3、
生体内で切除された腫瘍細胞から発生させた腫瘍細胞培養株ではPSAは検出され
なかった。これに対して、LnCaPはPSAを発現させたが、移動度に変化が起き、タ
ンパク質の定性的な変化を反映していた。これらの結果は、不死細胞と生体内で
単離された細胞を比較すると、細胞発現には定量的変化と定性的変化があること
を示している。最後に、既に不死化している生体内腫瘍細胞と、それらの腫瘍細
胞から作られた培養株とを直接比較すると、タンパク質発現の実質的な変化が示
される。この観察結果の意味は、LnCaPおよびPC3培養細胞株と、腫瘍細胞との間
で見られるタンパク質発現の違いの少なくともいくつかは、不死化処理によって
生じたタンパク質の変化を反映しているということである。
【0068】 実施例4腫瘍細胞試料および非腫瘍細胞試料におけるPSAタンパク質の特徴 良性および悪性上皮のLCM 前立腺根治摘除標本から凍結組織を採取して、OCT化合物(ティシュー・テッ
ク、マイルズ社、インディアナ州エルクハート(Tissue Tek, Miles, Elkhart,
IN))の中に包埋した。標準的なクリオスタットを用いて8ミクロンの切片を作
製し、標準的なプロトコールを用いて、ヘマトキシリンとエオシンで染色した。
病理学者が、良性および悪性の組織を確認してから、LCMを行なって、それぞれ
の細胞集団にレーザーを向けて、それらから細胞を採取した。LCMは、プロテア
ーゼを阻害するために染色槽に最終濃度2 mMでAEBSF(ベーリンガーマイハイム
社(Boeringer Manheim))を加えた以外は、既述したとおりに行なった。一次
元および二次元電気泳動分析は、各細胞集団について、それぞれ、2,000(約8〜
10,000細胞)および5,000(約20〜25,000細胞)の30ミクロンレーザー照射を用
いた。組織切片を注意深く精査したところ、それぞれの顕微解剖物は、>95%の
所望の細胞を含むと評価された。
【0069】 細胞内PSAのウエスタンブロット分析 1D PAGE分析には、2×SDS緩衝液を用いて、EVAフィルム(LCMキャップから)
から直接細胞を可溶化し、可溶化物を20%トリス-グリシン非変性ゲルで泳動し
て、ノベックス(Novex)装置を使ってナイロン膜に移動させた。スクリプス研
究所から購入したマウスモノクローナル抗体を1:1,000の濃度で一次抗体として
使用し、シグマ社から入手したマウス・ホースラディッシュペルオキシダーゼ標
識抗IgG抗体を二次抗体として使用した。ピアス社(Pierce)から入手したウル
トラ-ECL(ultra-ECL)によってECL反応を起こさせた。精製した遊離PSA、およ
びACTに結合したPSAをスクリプス研究所から購入して対照として使用した。2D P
AGE分析には、IEF緩衝液(7 M尿素、2 Mチオウレア、4%CHAPS、1%MEGA-10、1
%オクチル-b-グルコピラノシド、40 mMトリス、50 mM DTT、および2 mMトリブ
チルホスフィン(TBP)、ならびに0.5%(v/v)ファルマライト(Pharmalyte)
)を用いて細胞をEVAフィルムから溶かし出し、細胞可溶化物を用いて、既製の
固定化pH勾配ストリップ(ファルマシア社から入手した18 cm, 3〜10非直線的ス
トリップ)を一晩膨らませた。一次元分離は、全泳動時間120 kVhで行なった。
ストリップは、SDSとトリスpH 6.9を含む溶液で予め平衡し、DTT(50 mM)で還
元し、ヨードアセトアミド(2.5 % w/v)でアルキル化して、直接、9%定組成SD
S-PAGEゲルに適用して、40ボルトの定電圧で一晩電気泳動した。タンパク質をナ
イロン膜に移行させて、前述した試薬を用いてウエスタンブロットを行なった。
悪性上皮および良性上皮を含む28ミクロンの凍結切片をEF緩衝液に懸濁し、ちょ
うど今記載したようにして、2D PAGEおよびウエスタンブロッティングによって
分析した。
【0070】 PSA/ACT結合実験 悪性および正常な前立腺上皮を、LCMを用いて解剖し、溶解用緩衝液(プロテ
アーゼインヒビターと100 mM NaClを含む)を用いてEVAフィルムから溶かし出し
て、タンパク質を可溶化した。1マイクログラムの精製したACT(スクリプス研究
所から購入)を、2,000レーザー照射回数(約10,000細胞)分の正常上皮または
悪性上皮を含む、10μlの溶解用緩衝液に加えて、37℃で2時間インキュベートし
た。
【0071】 結果 PSAは、不活性な酵素前駆体として産生され、17アミノ酸のペプチドを解離し
、その後で7アミノ酸のプロペプチドを放出して活性化されるセリンプロテアー
ゼである。PSAの触媒活性型は、分子量約30 kdで高度にグリコシル化されている
。PSAは、LnCaP細胞で定常的に産生されることが示されているが、培養されてい
ない前立腺上皮におけるPSAの前駆型とプロセス型の相対的割合は未だに報告さ
れていない。さらに、PSAがACTに結合する場所もまだ知られていない。これらの
疑問に答えるため、LCMによって採取された正常上皮細胞と悪性上皮細胞につい
て、抗PSAウエスタンブロット分析を行なったところ、30 kdのところにバンドが
出現した(図10)。これらの結果は、いくつかの症例で非常に再現性が高く、大
部分の細胞内PSAが30 kdの形で存在していることを示している。この発見は、PS
Aが細胞内ではなく、細胞外の空隙中または血清内のいずれかでACTと結合するこ
とを示唆している。細胞内PSAの全量は、悪性細胞がより多くPSAを含んでいる場
合もあれば、良性細胞がより多くPSAを含んでいる場合もあるというようにさま
ざまである。正常な前立腺上皮および悪性前立腺上皮のどちらの中でも細胞内PS
A量が変動するということは、従来の報告と矛盾しない。
【0072】結合実験 30 kd蛋白質がPSAの活性型を表すか否かを確認するために、われわれは、それ
がACTに結合するか否かを決定する実験を行った。図11に示すように、細胞PSAの
大部分は、インキュベーションの2時間後にACTと複合体を形成し、正常上皮と
悪性上皮に由来するPSAの結合能に差を認めなかった。この知見は、30 kd型が活
性PSAを表すが、血清%不含PSAが癌の男性では低い理由の説明とならないことを
示唆している。正常および悪性上皮細胞において細胞内に認められるPSAは、分
子量およびACT結合能によって同一であるように思われるが、1D PAGEゲル上での
パターンが変化しない他の蛋白質改変が、この試験的方法論によって失われてい
る可能性がある。したがって、LCM由来組織からの細胞溶解物について2D PAGEを
実施した。図12Aに示すように、3つの異なる30 kdイソ型が良性および悪性上皮
細胞にも同様に存在し、このことは、悪性前立腺上皮に認められるPSAが変異し
ていないか、または異なるようにグリコシル化されていないことを示している、
なぜなら、これらが存在すれば二次元ウェスタン上での等電点における変化とし
て反映されるであろうためである。さらに、これらの3つのイソ型はいずれも、
全てが還元条件で無傷のままであったことから、PSAの蛋白質切断型ではない。
精製PSA/ACT複合体は、還元条件で無傷のままである(図12B)という事実から、
図11において証明された知見は2D PAGEのアーチファクトではないことが確認さ
れる。さらに、良性および悪性上皮の双方を含む全組織凍結切片(LCMに暴露さ
れていない)を分析して、細胞にレーザーを照射してもPSA構造を変化させない
ことを証明した(図12A)。
【0073】 これらの実験は、正常および悪性前立腺上皮において形成されたPSAが分子量
、等電点、またはACTとの結合能に関して差がないこと、そして血清%不含レベ
ルの差は、悪性前立腺上皮によるACT産生が変化した結果ではないことを示して
いる。
【0074】 実施例5腫瘍および非腫瘍細胞試料に関するSELDI蛋白質フィンガープリントの作製 SELDIによって形成された蛋白質フィンガープリントの再現性を評価するため
に、同じ患者(症例1)からの前立腺腫瘍上皮細胞の2つの異なる細胞集団(1
解剖あたり細胞1200個)を凍結組織切片から個々に顕微鏡下で切除した。プロテ
アーゼを阻害するために、AEBSF(ベーリンガー・マンハイム社)を、染色液に
最終濃度2 mMで加えた。病理学者による組織切片の注意深い観察に基づいて、
各顕微鏡切除物は、純度が95%以上であると推定された。顕微鏡切除した細胞を
、標準的な1×PBS塩基中に1%(w/v)トライトン-X-100(シグマ社、セントル
イス、ミズーリ州)1%(w/v)MEGA 10(ICN社、オーロラ、オハイオ州)、お
よび1%(w/v)オクチル-B-グルコピラノシド(ESA、ケルムスフォード、マサ
チューセッツ州)を含む抽出緩衝液2μlによって、LCMキャップ上で直接溶解し
た。SELDI分析は、脂肪族逆相チップ(キファーゲン社、パロアルト、カリフォ
ルニア州)を用いて実施した。チップ上の誘引剤表面は、アセトニトリル(シグ
マ社、セントルイス、ミズーリ州)2μlによって前処置した。アセトニトリル
が完全に蒸発する直前に、溶解物2μlを誘引剤表面に適用した。分析物を風乾
させて濃縮した後、3,5-ジメトキシ-4-ヒドロキシ桂皮酸(シナピン酸、98%、
シグマ社、セントルイス、ミズーリ州)0.3 mlを、この試験における全ての実験
について選択されるエネルギー吸収分子として加えた。
【0075】 この実験の結果(図13A)を、SELDIソフトウェア分析パッケージによって提供
された考えられるいくつかのフォーマットの2つにおいて示す。第一の表示は、
各分子量範囲をx-軸に示した標準的なクロマトグラフィー質量マップである。そ
れぞれの「ピーク」は、異なる分子量を有する蛋白質イソ型を表す。第二の表示
は、質量マップクロマトグラムからのピークデータをとり、蛋白質に関して「染
色された」標準的な1D PAGEゲルを調べる場合のようにデータを表し、分子量範
囲を、クロマトグラムにおいて認められたスケールと同じスケールで表示するゲ
ル-ビュー(登録商標)ディスプレイである。同じ腫瘍の異なる顕微鏡切除領域
の溶解物の蛋白質プロフィールは、ほぼ同一である。これらの結果は、再現可能
な蛋白率プロフィールがLCM由来細胞から生成されることを示している。類似の
実験を数回繰り返したが、同じ結果が得られた(データは示していない)。
【0076】 同じ細胞タイプの捕獲された細胞集団の患者間での再現性および相対的均一性
を評価するために、異なる患者2人(症例1および症例2)からの前立腺腫瘍上
皮を切除して(1切除あたり細胞1200個)、上記のように分析した。これらの結
果を図13Bに示す質量マッピングとゲルビュー(登録商標)ディスプレイによっ
て示し、症例1および症例2から形成された蛋白質のフィンガープリントが、非
常に再現性が高いことを示している。2つの症例からの多数の試料について、類
似の結果が得られた(データは示していない)。症例1と症例2において認めら
れた蛋白質発現パターンにおける軽微な差は、同じ症例からの顕微鏡切除の場合
に認められる場合と同様に多様ではなかった(データは示していない)。
【0077】 LCM-獲得細胞からの蛋白質プロフィールの検出におけるSELDIの相対的感度を
評価するために、前立腺腫瘍上皮の数を減少させた異なる顕微鏡切除物4個を単
離して、得られた溶解物に上記のように逆相脂肪族チップを用いたSELDI分析を
行った。ゲルビュー(登録商標)ディスプレイで図13Cに示した結果は、450個も
の少ない細胞から蛋白質プロフィールを可視化できること、そしてスペクトルは
細胞1500個の場合に認められる場合と同等であることを示している。より少ない
細胞数(300個および150個)の質量マップは、より再現性の低い結果を生じ、こ
のことは、同じ組織切片における領域による蛋白質発現の微小不均一性を反映す
るか、またはそのような少数の細胞が、少数の細胞からの複雑な蛋白質混合物を
評価する場合に最適な結果を提供しない可能性があることを示している(データ
は示していない)。各実験の対照として、溶解緩衝液単独またはLCMをブランク
スライドガラスと共に分析した。それぞれは平坦な基準値SELDIスペクトルを示
した(データは示していない)。ゲルビュー(登録商標)ディスプレイは、それ
ぞれの異なるスペクトルの相対的強度を標準化して、質量マップにおいて認めら
れるスペクトルを反映していない、すなわち細胞総数が減少すると、認められる
ピークの相対的強度も減少する(データは示していない)。細胞数の範囲を用い
た結果によって、ピークの相対的強度は細胞数に比例する可能性があり、細胞45
0個〜1500個の蛋白質のフィンガープリントを調べたところ、スペクトルの相対
的適合度は変化していないことが示される。
【0078】 これらの試験を目的とする場合、15 kDa〜70 kDaの分子量範囲のみを分析した
が、SELDIの実際的な解像検出作業範囲は、使用するエネルギー吸収分子および
用いる誘引物質表面/洗浄条件に応じて、1000〜300,000ダルトンまでである。
蛋白質発現参考標準物質のハウスキーピングマーカーとして抗αチューブリンを
用いた、われわれの研究所におけるLCM由来細胞のウェスタンブロット分析は、
同数のレーザー照射によって細胞を調達すると、ほぼ同等の(±5%)最終的な
蛋白質収率が得られることを示した。
【0079】 異なる腫瘍タイプの示差的なSELDI分析 LCM獲得細胞集団のSELDIフィンガープリントを利用した臨床および研究試験の
両者についての実際的な応用は、疾患特異的および臓器特異的である診断的フィ
ンガープリントを開発することであろう。この考え方の実現可能性を評価するた
めに、われわれは、異なる患者の前立腺、***および結腸腫瘍からの腫瘍上皮を
SELDIが識別できるか否かを調べた。細胞200個を上記のように分析して、得られ
たスペクトルを図14AおよびBに示す。それぞれの腫瘍タイプは、独自のフィンガ
ープリントを示し、異なる固形腫瘍タイプからの上皮細胞において広範囲の蛋白
質の差が起こることを説明している。異なるタイプの腫瘍のあいだの蛋白質発現
パターンに対する新しい洞察があれば、新しい治療戦略の開発、または最善の戦
略の選択に役立つであろう。細針吸引または前哨リンパ節分析によって得られた
限られた量の細胞からの診断および予後は、腫瘍特異的または進行期特異的プロ
フィールを作製することができれば、そして鋳型として用いることができれば、
非常に迅速に得ることができるであろう。
【0080】 肝転移を有する結腸癌のSELDI蛋白質フィンガープリント 腫瘍の進行の際に起こる蛋白質発現の変化を評価することができれば、患者に
おける腫瘍発生の基礎となる根本的なメカニズムの解明に役立つであろう。この
プロセスを調べるためにLCM由来細胞のSELDI分析の可能性を調べるために、われ
われは患者1人からの結腸正常上皮、原発性癌、および肝転移を分析した。比較
として、われわれは正常な肝細胞を分析し、これを同じ症例から顕微鏡下で切除
した。結果を図14Cに示し、正常な上皮細胞と腫瘍上皮細胞特異的フィンガープ
リントを同定できることを示している。
【0081】 さらに、転移した結腸腫瘍からの蛋白質プロフィールは、腫瘍または正常細胞
状態にかかわらず、結腸上皮と類似しており、肝細胞蛋白質プロフィールではな
い。重要なことは、転移からの細胞は、自身の明確な蛋白質フィンガープリント
を有するという点である。この独自性は、転移腫瘍が自身の新しい環境の結果と
してその発現プロフィールを変化させたという事実に由来するか、または細胞の
転移を可能にした蛋白質発現の変化を反映する、またはその両者である可能性が
ある。このタイプの分析の直接の応用は、腫瘍が転移する可能性があることを予
測する原発腫瘍の蛋白質プロフィールを同定することであり、これはより積極的
な患者の治療と追跡調査の必要性を示すであろう。結腸から肝転移に至る蛋白質
フィンガープリントを前立腺または***腫瘍上皮のフィンガープリントと比較す
ると(図14A)、フィンガープリントは正常または腫瘍状態にかかわらず、結腸
のフィンガープリントと最も類似していることを認めることができる。このタイ
プの分析の実際の応用は、臓器特異的である蛋白質フィンガープリントの作製で
あり、その結果、未知起源の転移の特徴を調べて、特定の臓器タイプとマッチさ
せることができるであろう。用いることができるフィンガープリントの組の例に
関しては図15を参照のこと。
【0082】 これらの結果は、LCM由来細胞のSELDI分析が、高度の再現性、適合度、感度お
よび識別で行うことができることを示している。これらの操作条件によって、患
者組織から直接得た疾患細胞の小さい集団について蛋白質分析を行うという刺激
的な可能性が生じる。われわれは、組織切片から直接採取した定義された患者マ
ッチ細胞において起こっている疾患特異的蛋白質変化を初めて可視化することが
できた。
【0083】 癌疾患進行の評価 通常の前悪性前立腺上皮内新生物(PIN)および明白に浸潤した癌細胞および
正常細胞を染色した組織切片1個から顕微鏡下で切除して、上記のような蛋白質
バイオマーカーフィンガープリントを得た。細胞約1500個から単離した蛋白質に
ついて比較を行い、試料は全て3本ずつ実施した。分子量28,000および32,000ダ
ルトンを有する蛋白質2個は、細胞が正常から前癌段階そして明白な浸潤へと進
行する際に、再現性よく異なるように発現されることが判明した。結果を図17A
、17B、および17Cに開示する。特にこれらの2つの蛋白質の発現の相対的な比率
は、細胞の状態に相関させることができ、分析した3例では再現可能である。こ
れは極めて小さい試料セットであるが、この実験は、現在の技術によって、細胞
試料の癌への進行を分析できることを証明するものである。
【0084】 他の癌への応用 これらの同じ方法を拡大させて、食道細胞セットの正常/扁平細胞癌8個にお
ける蛋白質「バイオマーカー」の存在を決定した。異なる患者8人の腫瘍および
正常食道上皮について異なる3つの独立した顕微鏡切除を実施して、疎水性相互
作用C18結合表面を用いることによって細胞全体の溶解物にSELDI分析を行った。
各実験は3本ずつ行い、分析した各蛋白質ピークについて全体で72データポイン
トが得られた。結果を図18Aおよび18Bに報告する。2つの蛋白質が疾患特異的に
存在することが判明し、その1つは分析した8例中7例において腫瘍特異的にア
ップレギュレートされており、1つは、調べた症例8例全てからの正常上皮に特
異的に存在することが判明した。これらの分析に関する分散および標準偏差の係
数は、これらの2つの蛋白質の相対的な量が、疾患と相関する有効な「バイオマ
ーカー」として役立つ可能性があることを示している。このように、これらの結
果は、様々な癌タイプにおける蛋白質の変化の解明に本技術を応用可能であるこ
とを示している。
【0085】 実施例6 高処理量標的バリデーションおよび薬剤組織相互作用アッセイの複合体組織アレ
イ 上記のような有限の組織試料の蛋白質含有量を比較できることは、組織アレイ
を利用した高処理量アッセイに応用することができる。本発明の蛋白質抽出およ
び分析方法と共に用いることができる組織アレイ技術の例は、PCT出願国際公開
公報第09944063号および国際公開公報第09944062号に開示されており、その開示
は本明細書に参照として本明細書に組み入れられる。組織アレイフォーマットで
の方法は、可能性がある治療物質をスクリーニングするため、および細胞の非常
に少数のサブセットに対するそれらの影響を分析するために有用である。特に、
方法は、シグナル伝達経路のような特定の細胞経路に及ぼす治療物質の影響を分
析するために用いられる。これらの結果は、例えば、細胞に及ぼす特定の物質の
有効性または毒性を示すことができる。
【0086】 この方法をこのタイプの分析に応用するために、多数の患者からの組織を試験
すべき物質に暴露する。暴露は、試料を採取する前にインビボで行うことができ
、または試料の採取後および/またはレーザーによる顕微鏡下での切除後にイン
ビトロで行うことができる。インビボ暴露は、被験者に対する物質の投与を含み
、インビトロ投与は培養細胞に対する投与となりうる。試験することができるい
くつかの物質は、薬理物質、造影剤、リガンドのような標識蛋白質、サイトカイ
ンのような、細胞に対して特定の作用を有することが知られている他の物質が含
まれる。暴露後、顕微鏡切除技術を用いて試料から関連する細胞を単離して、細
胞を溶解して蛋白質、または核酸もしくはその他の細胞下構造のようなその他の
細胞成分を試料から単離させ、溶解物の内容物を限定された基質領域に移す。溶
解物内容物または細胞成分を、基質上の特定可能な位置に置き、そのような位置
は限定された領域である。限定された領域の1つの例は、アレイの座標である。
アレイは、ニトロセルロース、ナイロン、またはシリカのような如何なる適した
マトリクス上に、単離された蛋白質のマイクロスポットを適用することによって
構築される。
【0087】 図19を参考にして、マイクロスポットは、意味のあるデータが得られるように
マトリクス上に整列させる。マイクロスポットは、例えばマイクロピペットを用
いてマトリクス上に置くことができ、基質の例には、ガラスもしくはプラスチッ
クスライドガラス、抱埋培地の切片、またはニトロセルロースマトリクスが含ま
れる。1つの態様において、マイクロスポットはy軸に患者数、そしてx軸に悪性
段階のような、得られた様々な試料を分類する基準を配列することができる。他
のもう一つの基準には治療前後の試料、上皮および間質のような様々な細胞タイ
プ、または胚試料に関しては発達段階が含まれる。次にマイクロスポットにいく
つかのタイプの分析を行って、例えば特定の蛋白質の量が変化しているか否かを
決定する。そのような分析は、結合物質として抗体によるプロービングを含みう
る。もう一つの分析は、核酸のような他の結合物質、標識もしくは非標識DNAも
しくはRNAによるプロービング、またはアプタメリック(aptameric)もしくはフ
ァージディスプレイスクリーニングが含まれる。次に、蛋白質の細胞含有量の一
貫した変化は、関連する物質に対する組織または細胞の暴露に相関する。
【0088】 マトリクスは、一般的な捕獲マトリクスとなり得て、その結果試料から単離さ
れた全ての蛋白質が存在する、または関心対象の蛋白質のみが維持される特異的
結合剤によって抱埋される。この態様において、可溶性型での顕微鏡切除蛋白質
は、例えば放射活性または蛍光タグによって標識することができ、結合物質によ
る捕獲は、標識の存在によって検出される。または、蛋白質スポットそのものは
、標識した試験溶液による処理後に蛋白質スポット内の標識した標的またはリガ
ンドを検出する場合のように、相互作用のための結合物質または誘引物質として
作用しうる。蛋白質の単離方法のために、それぞれのスポットは個々の組織から
の純粋な細胞集団から抽出した蛋白質、または関心対象の特定集団の組合せであ
る可能性があるため、試験は非常に感度がよい。
【0089】 多数の患者からの試料を用いることによって、より大きい統計学的有意性が得
られる。または、所望の統計学的結果を得るために、多数の試料を患者1人の組
織または複数の組織から収集することができる。患者の組織以外の他の試料源に
は、ホルマリンおよびエタノール固定パラフィン抱埋染色組織切片が含まれる。
そのような試料に関しては、顕微鏡を用いて染色された組織を調べて、その後、
さらなる分析のために関心対象の切片の正確な領域から細胞を顕微鏡下で切除す
ることが可能である。そうすれば結果は、切片画像の写真または他の記録を参考
にすることができる。
【0090】 さらに、組織アレイは、体の組織セットを含みうると予想され、これによって
、患者の体の他の組織からの試料に対して実験的組織から得られた結果を比較す
ることが可能となる。このように、個々の患者の蛋白質組成における如何なる変
異または治療物質が有する如何なる全体的な効果も、結果の解釈の際に考慮する
ことができる。他に考えられる対照には、スポットのマトリクスに適用された既
知の蛋白質混合物またはそれぞれのスポットを陽性対照によって「スパイキング
」することが含まれる。
【0091】 多数の患者の***組織の蛋白質含有量を調べるための試料組織アレイを示す略
図を図19に示す。この図において、多数の患者の組織を用いて、被験者に投与さ
れた特定の治療物質が、正常な組織から間質浸潤に至る悪性物の様々な段階にお
ける***組織の蛋白質含有量に及ぼす影響を調べる。これらの組織は、LCMを用
いて組織標本から顕微鏡下で切除する。試験の感度のために、各段階のサブセッ
トにおける細胞生化学経路のレベルに及ぼす作用に関して、詳細な疑問を得るこ
とができる。
【0092】 本発明の方法の組織アレイ技術のさらなる応用は、診断または治療部分の標的
に関して様々な組織タイプを予めスクリーニングするために蛋白質含有量アッセ
イを用いることである。この態様において、治療または診断物質は、患者の治療
におけるそれが適当であるか否かを評価される。この物質の標的が判明すれば、
患者の様々な細胞タイプにおけるこの標的の有無を調べることができる。このよ
うに、例として図19の***組織を用いて、化学療法剤の標的酵素が特定の癌細胞
に存在するか否かが疑問である場合、試料を、説明のように作製してアレイに置
く。次に、標的の抗体または他の同定手段を用いて、標的物質が存在するか否か
を決定する。これによって、疾患を有する組織における標的分子の存在に基づい
て、患者または疾患タイプに関して診断、造影、または治療物質を特異的に選択
することが可能となる。
【0093】 組織試料とアレイ分析の結果とのあいだの比較アッセイの準備のために、組織
は例えば、70%エタノールにおいて固定して、パラフィンブロックにおいて抱埋
されて保存してもよい。パラフィンブロックは、5〜10 μmの切片に切断して、
顕微鏡スライドに載せる。これらのスライド上の組織は、室温で5分間キシレン
中に切片を置き、その後キシレンを70℃で5分間加熱することによってパラフィ
ン除去する。次に、スライドガラスをアセトンに10秒間入れ、ディフクイック溶
液II(ダード・ベーリンガー社)中で5秒間、そしてアセトン中に10秒間入れる
【0094】 関心対象の細胞を、ピクスセルII(アークツルス・エンジニアリング社)を用
いてLCMによってスライドガラスから切除する。スポットサイズ30 μmを用いて
、3000レーザーパルスを照射して関心対象の細胞下構造から細胞を収集し、プラ
スチックキャップ上に支持されたサーモプラスチックポリマーフィルムに細胞を
抱埋する。4%BMEを含むSDS試料緩衝液(ノベックス社)1に対してT-PER(ピ
アス社)1の割合からなる抽出緩衝液を沸騰するまで加熱する。熱抽出緩衝液40
μlを標準的な500 μl微量遠心管に加える。サーモプラスチックフィルムに抱
埋した組織を含むキャップを試験管に挿入して、倒立させて抽出緩衝液が組織を
覆うようにする。倒立させた試験管を20〜30秒間ボルテックスで攪拌して細胞の
破壊を助け、細胞成分を放出させる。なお倒立させて、緩衝液をキャップ表面か
ら溢れさせ、試験管とキャップの集合体を70℃のインキュベータ内で一晩インキ
ュベートする。インキュベーション後、試験管を倒立した位置で再度攪拌して、
その後、直立に戻して10秒間遠心する。T-PERを用いて、得られた溶解物から希
釈液を作製する。溶解物または希釈液の最小で10 μlを96ウェル丸底マイクロタ
イタープレートのウェルの底に入れる。
【0095】 このプレートをジェネティックマイクロシステムズ417アレイヤーのステージ
に置く。純粋なニトロセルロースに覆われたオンサイトスライド(シュライヒャ
ー&シュエル社)をアレイヤーの適当な位置に置く。切片および繰り返し実験の
所望の数を添付のソフトウェアにプログラムした後、機器を作動させる。金属の
微小試験管を適当なウェルに沈めて、溶解物1μlを持ち上げ、試験管の口径の中
でこれを捕獲する。試験管をニトロセルロース切片上に置いた後、捕獲した溶解
物にピンを刺し、直径500 μmを測定するニトロセルロース表面に微小量をしみ
込ませる。
【0096】 異なる2つの検出システムを用いて、ニトロセルロースに適用される蛋白質の
濃度は良好に可視化および定量され、これは本発明の方法と共に用いることがで
きる検出手段の代表である。
【0097】 システム1 ウェスタンスター化学発光検出システム(トロピクスインク、ベッドフォード
、マサチューセッツ州)は、膜結合蛋白質についてデザインされたイムノブロッ
ト検出システムである。ニトロセルロースメンブレンについて概要したプロトコ
ールを、オンサイトスライドについても実施する。ニトロセルロース切片をアレ
イヤー上で調製して乾燥させた後、これを説明書通りにI-ブロックブロッキング
緩衝液(キットに付属)に沈めて、軌道を描く攪拌器上で少なくとも1時間攪拌
する。選択する一次抗体をI-ブロック緩衝液を用いて推奨される濃度に希釈する
。ブロッキング段階の後に切片から水を除去して、希釈した一次抗体をスライド
グラス上に注ぎ、攪拌せずに4℃で一晩インキュベートする。一晩インキュベー
トした後、切片を1×PBS/0.1%ツイーン洗浄緩衝液において攪拌せずに洗浄し、
1回目は15分、2回目は5分間洗浄する。アルカリフォスファターゼに結合させた
第二抗体をI-ブロックブロッキング緩衝液で希釈して切片に注ぐ。軌道を描く攪
拌器上で室温で4〜5時間インキュベートさせる。このインキュベーション終了時
、切片をPBSによって上記のように洗浄する。10×アッセイ緩衝液(キットに付
属)を脱イオン水によって希釈して、切片を1×アッセイ緩衝液に浸して2分間2
回インキュベートする。切片をティシューペーパー片で水滴を落として乾燥させ
る。ニトロセルロース切片に関しては、ニトロブロックII(キットに付属)の20
倍希釈液を、CDP-スターの直ちに使用できる基質溶液を用いて調製する。この基
質溶液を切片上にプールして、5分間放置する。このインキュベーション終了後
、切片の水滴を除去してプラスチック展開ホルダーに入れ、その後、x線フィル
ムに露出する。前立腺組織における前立腺可溶性抗原の含有量の分析に関するこ
のシステムを用いた代表的な結果を図20Bおよび20Cに示す。
【0098】 システム2 第二の説明的な実施例は、ダコ自動染色ユニバーサル染色システム(ダココー
ポレーション、カーピンテリア、カリフォルニア州)を利用する。この自動切片
処理システムは、一次抗体を用いた後、特許申請されたホースラディッシュ・ペ
ルオキシダーゼ標識ポリマー(ダコ・エンビジョン(登録商標)システム)を加
える。これは、比色検出可能な標識抗体の例である。調製されたオンサイトスラ
イドをI-ブロック(トロピクスインク)において少なくとも1時間ブロックする
。ダコ自動染色器は、切片に与えるインキュベーション時間および試薬容量をプ
ログラムする。ニトロセルロース切片を洗浄緩衝液(ダコ社が予め包装)によっ
て洗浄する。用いる抗体について明記されたように希釈した一次抗体を既定量60
0 μlに適用して、30分インキュベートさせる。この段階の後、HRPポリマーを10
分間加えた後、洗浄緩衝液によって洗浄する。基質を切片に加えて、5分放置し
た後、最後に洗浄してから肉眼的可視化のために乾燥させる。結果陽性は、切片
上にしみ込ませた蛋白質の目に見える染色である。前立腺組織における前立腺可
溶性抗原(PSA)の含有量の分析のためにこのシステムを用いた代表的な結果を
図20Aに示す。
【0099】 小さい試料サイズの蛋白質含有量を分析する組織アレイ方法は、非常に少数の
細胞数に適用した場合でも非常に再現性がよい。正常な食道組織の異なる切片5
個を用いて、技術の再現性を調べる実験を実施して、アネキシンIに関する検出
を実施した。試料のサイズは500照射もの高さから16照射までの低さに至る顕微
鏡切除の「照射」数が多様であった。細胞数を変化させた試料を採取して、蛋白
質を上記のように単離して、単離された蛋白質をニトロセルロース紙のマトリク
スに載せた。標準的なウェスタン技術を用いて、少量をしみ込ませた蛋白質を、
上記の抗体システムをプローブとして用いて調べた。これらの試験の結果を図21
A、21B、および21Cにおいてダイヤグラムにする。図21Aは、各データセットから
の結果(各切片について3つずつの結果の平均値)が、セット内でなおも一貫し
ていることを示している。予想されるように、分散量は試料に含まれる「照射」
数がより少なければ増加する。しかし、図21Bにグラフとして示すように、125と
いう少ない照射を含む多数の試料に関する結果の変動は、18%に過ぎない。これ
らの結果は、小さい組織試料の蛋白質含有量を分析するこの方法が信頼できるこ
とを示している。図21Cに示す結果も同様に、この結論を支持し、様々なシリー
ズにおける相対値が照射数が多様な試料のあいだでなおも一般的に一致している
ことを示している。要約すると、試料における「照射」数の減少は定量的で、定
性的ではない結果の特徴に影響を及ぼすことを示している。
【0100】 結合物質を固定した本発明の方法の例としての結果、および固定物質と接触さ
せて置いた細胞溶解物を、図22に示す。この実験において、顕微鏡下で切除した
正常および腫瘍食道細胞からの溶解物をビオチンで標識した。抗アネキシンI、
抗αチューブリン、抗ホスホEPK、マウスIgG1、および正常ウサギ血清を含む結
合物質のアレイをニトロセルロース紙上に置く。ビオチン標識溶解物を結合物質
アレイと接触するように置いて、アビジンペルオキシダーゼによって相互作用を
検出した。図22に示すように、腫瘍溶解物は、正常細胞溶解物と比較すると、減
少した濃度のアネキシンI、および増加した濃度のホスホEPKを含んだ。
【0101】 本発明は、示されおよび記述された特定の態様に制限されず、本発明の意図す
る範囲内から逸脱しない限り、態様に変更または改変を行うことができることが
理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザー光線の半径と、顕微解剖された上皮組織試料の大きさの
相対的な比較図。レーザー捕捉顕微解剖法(LCM)を実施して、前立腺の上皮内
層(epithelial lining)だけをポリマーフィルム上に選択的に移動させた。30
ミクロンのレーザー光線のスポットサイズを腺の厚さと比較して示す。EP:上皮
、LU:内腔、間質は、図に示したとおりである。
【図2】 関心対象の細胞が、どのようにしてLCMを用いて選択され、キャ
ップに移入され、そこでタンパク質を直接可溶化してチューブに入れられるかを
示す。
【図3】 細胞を回収するために使用したレーザー照射回数に対するPSA分
子数をグラフに表したものである。図3Aは、感度を明らかにするために、腫瘍細
胞の500照射数試料を連続的に希釈した結果を示している。RLU値をPSA分子数に
変換した。直線回帰は、r値が0.998であることを示している。図3Bは、同一患者
からの6種類の組織切片に対して行なった直線性分析の結果を報告するものであ
る。レーザー照射回数を示す。r = 0.95
【図4】 免疫測定法で使用されたPSA分子数、処理の変動係数、および平
均細胞数を示す表である。これらの感度および精度の分析は、別々の顕微解剖を
10回反復して行なった。RLUの平均読み出し値と、対応するPSA分子数が記載され
ている。基礎環境に対する2種類の標準偏差として定義される感度は1回のレーザ
ー照射である。不正確さ(%CV)は、試料あたりの照射数に反比例していた。
【図5】 PSA分子数を、免疫組織化学スコアと比較した表である。符号化
した標本を、病理学者が独立した免疫組織化学法によって採点し、高(+++)、
中(++)および低(+)というスコアを付けた。PIN:前立腺の上皮内腫瘍形成、
腫瘍:浸潤性癌腫、正常:組織学的に正常な前立腺。さまざまな段階における細
胞あたりのPSAの相対濃度は大きく変動し、半定量的な免疫組織化学的な採点結
果と直接的に合致していた。
【図6】 顕微解剖した正常な上皮および腫瘍上皮におけるタンパク質を2-
Dまたは1-Dゲルにより比較したものである。5万個の細胞をLCMによって採取し、
そのままIEF緩衝液で溶解し、3-10 NLファルマシアIPG IEFストリップ上で、100
kV時で泳動した。二次元泳動は、8〜18%直線勾配SDS-PAGEゲル上で行ない、ゲ
ルを銀で染色した。図6Aおよび6Bは、各患者について一致した腫瘍のフィンガー
プリントと正常細胞のフィンガープリントを示している。直接比較と整列を行な
うためのpI値と分子量を示す目盛をパネルAに示す。図6Cは、相対的なタンパク
質泳動量を標準化するために使用した、アルファ-チューブリンの免疫ブロット
を示している。
【図7】 抗パン-サイトケラチンII型抗体を用いたウエスタンブロットと
比較した、顕微解剖した正常上皮と腫瘍上皮の2-Dゲルによる比較である。ゲル
は、図6に記載した通りに泳動した。泳動を完了したゲルをPVDF膜に移行させて
、1:1000に希釈した抗パン-II型サイトケラチンによってウエスタンブロットを
行なった。
【図8】 顕微解剖した正常上皮、腫瘍上皮、および間質組織の2-Dゲルに
よる比較であり、変化が見られたタンパク質を丸く囲って差異を示した。図6に
関して記載した通りにゲルを調製して泳動した。
【図9】 顕微解剖した正常上皮および腫瘍上皮の2-Dゲルによる比較を、
全組織凍結切片と比較しながら示したものである。丸は、「変化」したタンパク
質の位置を示している。ゲルは図6に記載した通りに調製して泳動した。
【図10】 正常前立腺切除標本または腫瘍前立腺切除標本を顕微解剖した
ものの細胞可溶化物の一次元ゲル抗PSAウエスタンブロットである。レーン1と3
は、良性の上皮であり、レーン2と4は悪性上皮に由来するものである。
【図11】 抗PSAウエスタンブロットである。ここで、レーン1〜4は良性
の上皮、また、レーン5〜8は悪性である。レーン1と5は無処理、レーン2と6は、
ACTを加えたもの、また、レーン3と7は、インキュベーション対照であるが、レ
ーン4と8は、ACTを加えて、37℃で120分間インキュベートしたものである。
【図12】 複合体化した、または複合体となっていない分子種を示す、抗
PSAウエスタンブロットである。
【図13】 LCMによって得られた細胞可溶化物のSELDIタンパク質プロフィ
ールには反復性があり、感度がよいことを示すデータである。図13Aは、同一患
者から採取した同一の組織の切片から得られた前立腺癌上皮を2回別々に顕微解
剖して(各回1200細胞)、SELDIタンパク質フィンガープリンティングによって
分析した結果を示している。各顕微解剖についての質量分析質量マップをそのま
まの形で、同一のデータセットからのゲルビューディスプレイとともに示す。図
13Bは、二人の患者から採取した組織切片から得られた前立腺癌上皮を2回別々に
顕微解剖して(各回1200細胞)、SELDIタンパク質フィンガープリンティングに
よって分析した結果を示している。各顕微解剖についての質量分析質量マップを
そのままの形で、同一のデータセットからのゲルビュー(Gel-View)ディスプレ
イとともに示す。図13Cは、細胞数が次第に減少している4つの別々の顕微解剖を
、SELDIタンパク質フィンガープリンティングによって分析した結果を示してい
る。ゲルビューディスプレイは、これら4種類の質量分析を互いに直接並べたも
のを表している。
【図14】 LCMによって得られた細胞可溶化物のSELDIタンパク質プロフィ
ールは、異なった患者からの異なった腫瘍上皮細胞型の間、および、同じ患者の
腫瘍上皮細胞と正常な上皮細胞の間で差異があることを示している。図14Aおよ
び14Bでは、LCMによって得られる、前立腺、***、および結腸の凍結組織切片に
由来する腫瘍上皮細胞(1200細胞)を別々に入手して、SELDIによって分析した
。ゲルビュー表示を図14Aに示し、分光学的質量プロフィールをパネルBに示す。
図14Cは、同じ患者(patient-matched)から得た4種類の顕微解剖物である、120
0個の結腸の正常上皮細胞、結腸腫瘍上皮細胞、肝臓に転移した結腸癌からの結
腸腫瘍上皮細胞、および転移癌に隣接した正常肝細胞をSELDI分析した結果を示
す。ゲルビューディスプレイは、これら4種類の質量分析結果を互いに直接並べ
たものを表している。
【図15】 さまざまな腫瘍型の間でのSELDIフィンガープリント比較であ
る。
【図16】 LCMによって生物標本から取り出した細胞において、タンパク
質を可溶化するために開発された装置を示す。
【図17】 病気特異的な態様で調節を受けなくなったタンパク質を示す、
顕微解剖された食道上皮細胞のSELDI分析結果を示す。図17Aと図17Bは、8つの異
なった食道癌の症例をSELDI分析したもので、8人の異なった患者の互いに対応す
る腫瘍細胞と正常細胞とを3組別々に顕微解剖して、疎水性相互作用C18結合表面
を使用することによってSELDI分析を行なった。各反復は、3回反復で行なったと
ころ、分析した各タンパク質ピークについて全部で72個のデータポイントが得ら
れた。低質量領域におけるタンパク質のフィンガープリント分析の結果を図17A
に示し、高質量領域におけるそれを図17Bに示す。一つの症例(症例番号1)から
得られた代表的な質量マップを、各質量領域について示した正常および腫瘍のフ
ィンガープリント(それぞれ上図と下図)とともに各パネルの左側に示す。ゲル
様の図は、この症例と、他の2つの症例について示したものである。タンパク質1
、2、6および7を矢印で印付けした。次に、本実験で分析した症例のすべてにつ
いて、選択したタンパク質のそれぞれに対する相対的強度の比率として分析し、
統計的結果を各図の右側に示した:図17A:平均変動係数=正常顕微解剖および
腫瘍顕微解剖それぞれについて、12.7 % 、29.4%。図17B:平均変動係数=正常
顕微解剖および腫瘍顕微解剖それぞれについて、10.5 % 、18.9%。
【図18】 前立腺発癌SELDI分析の結果を示す。図18Aは、一つの症例(症
例番号2)からLCMによって得られた1500個の正常細胞、湿潤前の腫瘍(PIN)細
胞、および湿潤癌腫細胞のプロフィールを表す質量マップを示す。さらに、同じ
患者の対応する間質細胞(1500細胞)も分析のために顕微解剖した。図18Bは、
パネルAに示されている生の質量データをゲル様に画像化したものである。この
患者からの試料はすべて、3回反復して泳動し、そのうちの一つの実験を代表例
として示した。それぞれ分子量が28,000および32,000であるAおよびBという2種
類のタンパク質が、この患者で再現性をもって示差的に発現していることが分か
ったので、図18Aおよび18Bに示してある。図18Cは、2人の別の患者で対応する腫
瘍前立腺上皮および正常前立腺上皮の別の実験セットからのA対Bの比率を示すも
のである(平均変動係数≧正常顕微解剖および腫瘍顕微解剖それぞれについて、
17.2 % 、10.1%)。
【図19】 生体試料の一例として、悪性化のさまざまな段階にあるヒト乳
房細胞を顕微解剖したものを用いてハイスループット標的確認および薬剤-組織
相互作用アッセイを行なうための多重組織アレイ法を図解したものである。
【図20】 比色および化学発光検出法を用いて、前立腺可溶性抗原(PSA
)を検出した結果を示す。上側アレイの列は、3症例すべてについて、(1)タン
パク質標準物質、(2)前立腺間質、および(3)正常前立腺組織であり、一方、
下側アレイは、(4)前立腺上皮内腫瘍(PIN)、(5)腫瘍組織、および(6)浸
潤性腫瘍組織を含んでいる。ゲルで泳動した全タンパク質量は、列に沿って減少
している。図20Aは、比色測定結果を示しており、図20Bは、蛍光測定結果の陽画
像であり、図20Cは陰画像である。
【図21】 食道上皮細胞の混合試料を顕微解剖した試料について、タンパ
ク質分析の再現性を図解したものである。以下のデータはすべて、試料中に存在
する正常細胞から得られたものである。図21Aは、一つの切片内、および複数の
切片セットの間における「照射」サイズの変動に対し、正常細胞におけるアネキ
シンIタンパク質のデータに再現性があることを示している。図21Bは、これらの
データセットの変動係数をヒストグラムで示したものである。図21Cは、蛍光検
出によって示された、細胞から得られた全タンパク質の再現性をグラフで表した
ものである。
【図22】 固定化した結合因子と、顕微解剖した正常細胞および腫瘍細胞
から得た細胞可溶化物をビオチン標識したものとの相互作用の結果を示すもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 リオッタ ランス エイ. アメリカ合衆国 メリーランド州 ベセス タ ブラッドリー ブールバード 8601 (72)発明者 サイモン ニコル アメリカ合衆国 ニュージャージー州 ロ ーレンスビル バルサム コート 16 (72)発明者 エマート−バック マイケル アメリカ合衆国 メリーランド州 シルバ ー スプリング シダー クリーク レー ン 13620 (72)発明者 ペトゥリコイン エマニュエル エフ. ザ サード アメリカ合衆国 メリーランド州 ダンカ ーク フェザー リッジ コート 2805 Fターム(参考) 2G045 AA26 BB24 CB01 CB02 DA36 FB03 FB05 FB07 FB11 【要約の続き】 ことも可能にする。また本方法は、タンパク質のフィン ガープリントを使用することによって、腫瘍転移の発生 源となる組織を同定するための迅速かつ信頼性の高い方 法も提供する。

Claims (40)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組織試料由来の細胞集団のタンパク質成分を分析する方法に
    おいて、 a)レーザー捕捉顕微解剖法(laser capture microdissection)を用いて、該組
    織試料から該細胞集団を抽出する段階; b)抽出された該細胞集団からタンパク質試料を単離する段階;および c)単離された該タンパク質試料を分析する段階 を含む方法。
  2. 【請求項2】 タンパク質試料を単離する段階が、細胞性脂質を可溶化する
    ための界面活性剤を少なくとも一種類、タンパク質の成分および機能を保護する
    ためのタンパク質分解酵素阻害剤を少なくとも一種類、ならびに細胞核成分を溶
    解するための塩を少なくとも一種類含む少量の緩衝液の中に、抽出された細胞成
    分を可溶化させる段階を含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 少量の緩衝液が約1μlから約15μlである、請求項2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 タンパク質試料を分析する段階が、関心対象のタンパク質に
    特異的な標識抗体を用いて可溶性免疫測定法を行なう段階を含む、請求項1記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 標識抗体が、比色検出可能マーカー、化学発光マーカー、蛍
    光マーカー、および放射性マーカーからなる群より選択されるマーカーによって
    標識されている、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 細胞集団における関心対象のタンパク質の量を定量する方法
    であって、 a)レーザー捕捉顕微解剖法を用いて、組織試料から該細胞集団を抽出する段階
    ; b)Tris-HCl、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、塩化ナトリウム、EDTA、ア
    プロチニン、ロイペプチン、ピロリン酸ナトリウム、オルトバナジン酸ナトリウ
    ム、およびAEBSFを含む約1μlから約15μlの緩衝液中に、抽出された細胞成分を
    可溶化することによって、抽出された該細胞集団からタンパク質試料を単離する
    段階;ならびに c)比色検出可能マーカー、化学発光マーカー、蛍光マーカー、および放射性マ
    ーカーからなる群より選択されるマーカーによって標識されている抗体が用いら
    れ、細胞集団に存在する関心対象のタンパク質の量を示すようにアッセイ法が較
    正されているような、タンパク質試料内の関心対象のタンパク質に特異的な標識
    抗体を用いて可溶性免疫測定法を行う段階 を含む方法。
  7. 【請求項7】 関心対象のタンパク質が、前立腺可溶性抗原(PSA)である
    、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 単離されたタンパク質試料を分析する段階が、 a)タンパク質を互いに分離させるために、一次元ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動(1D PAGE)または二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D PAGE)を行
    なう段階;および b)タンパク質特異的な色素または、関心対象のタンパク質に特異的な標識抗体
    によるウエスタンブロッティングを用いて、該タンパク質をさらに分析する段階
    を含む、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 タンパク質試料を分析する段階が、 a)タンパク質を互いに分離させるために、二次元ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動(2D PAGE)を行なう段階; b)関心対象のタンパク質をゲルから単離する段階;および c)関心対象のタンパク質のアミノ酸配列を決定する段階 を含む、請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 N末端配列決定法、質量分析MS-MS配列決定法、液体クロマ
    トグラフィー四重極型イオントラップエレクトロスプレー(LCQ-MS)、およびマ
    トリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型分析法(MALDI/TOF)からなる
    群より選択される方法を用いて配列を決定する、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 タンパク質試料を分析する段階が、細胞集団に関するタン
    パク質フィンガープリントを作製するために表面強化レーザー脱着/イオン化質
    量分析法(SELDI)を行なう段階を含む、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 細胞集団が、腫瘍細胞であると顕微鏡下で同定可能である
    、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 細胞集団における一つ又は複数の細胞内タンパク質の結合
    特性を特徴づける方法であって、 a)レーザー捕捉顕微解剖法(laser capture microdissection)を用いて、組織
    試料から該細胞集団を抽出する段階; b)タンパク質を互いに分離させるために、一次元ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動(1D PAGE)又は二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D PAGE)を行な
    う段階; c)少なくとも一つの関心対象のタンパク質をゲルから除去する段階; d)関心対象のタンパク質に対する既知又は推定結合パートナーと共にタンパク
    質をインキュベートすることにより、関心対象のタンパク質を更に分析する段階
    ;及び e)関心対象のタンパク質が、既知または推定結合パートナーに結合するか否か
    を判定する段階 を含む方法。
  14. 【請求項14】 関心対象のタンパク質がPSAであり、既知の結合パートナ
    ーがα-1-抗キモトリプシン(ACT)である、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 組織試料のいくつかの細胞集団におけるタンパク質成分を
    区別する方法であって、 a)レーザー捕捉顕微解剖法を用いて、一つ又は複数の組織試料から少なくとも
    第1および第2の細胞材料集団を直接抽出する段階; b)抽出された細胞集団からタンパク質を単離する段階; c)単離されたタンパク質を分析する段階;および d)異なる成分を同定するために、第1の細胞集団のタンパク質成分を、第2の細
    胞集団のタンパク質成分と比較する段階 を含む方法。
  16. 【請求項16】 タンパク質を単離する段階が、Tris-HCl、NP-40、デオキ
    シコール酸ナトリウム、塩化ナトリウム、EDTA、アプロチニン、ロイペプチン、
    ピロリン酸ナトリウム、オルトバナジン酸ナトリウム、およびAEBSFを含む緩衝
    液中で、抽出された細胞材料を可溶化させる段階を含む、請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 少量の緩衝液が約1μlから約15μlである、請求項15記載
    の方法。
  18. 【請求項18】 単離されたタンパク質を分析する段階が、細胞集団に存在
    する関心対象のタンパク質の量を示すようにアッセイ法が較正されていて、関心
    対象のタンパク質に特異的な標識抗体を用いて可溶性免疫測定法を行なう段階を
    含む、請求項15記載の方法。
  19. 【請求項19】 免疫測定法が高感度で、標識抗体が、比色検出可能マーカ
    ー、化学発光マーカー、蛍光マーカー、および放射性マーカーからなる群より選
    択されるマーカーによって標識されている、請求項15記載の方法。
  20. 【請求項20】 単離されたタンパク質を分析する段階が、 a)タンパク質を互いに分離させるために、二次元ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動(2D PAGE)を行なう段階; b)関心対象のタンパク質をゲルから単離する段階;および c)関心対象のタンパク質のアミノ酸配列を決定する段階 を含む、請求項15記載の方法。
  21. 【請求項21】 N末端配列決定法、質量分析MS-MS配列決定法、液体クロマ
    トグラフィー四重極型イオントラップエレクトロスプレー(LCQ-MS)、およびマ
    トリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型分析法(MALDI/TOF)からなる
    群より選択される方法を用いて配列を決定する、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 単離されたタンパク質を分析する段階が、 a)タンパク質を互いに分離させるために、一次元ポリアクリルアミドゲル電気
    泳動(1D PAGE)または二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D PAGE)を行
    なう段階;および b)タンパク質特異的な色素または、関心対象のタンパク質に特異的な標識抗体
    によるウエスタンブロッティングを用いて、タンパク質画分をさらに分析する段
    階 を含む、請求項15記載の方法。
  23. 【請求項23】 第1の細胞集団および第2の細胞集団が同一の組織試料に由
    来し、第1の集団が顕微鏡下で腫瘍細胞と同定可能であり、かつ、第2の集団が顕
    微鏡下で正常細胞と同定可能である、請求項15記載の方法。
  24. 【請求項24】 第1の集団がいくつかの亜集団を含み、それぞれの亜集団
    が、腫瘍進行の異なる段階にある細胞であると顕微鏡下で同定可能である、請求
    項15記載の方法。
  25. 【請求項25】 両細胞集団が同一の組織試料から抽出されるような、顕微
    鏡下で腫瘍細胞と同定可能な第1の細胞集団のタンパク質成分を、正常な第2の細
    胞集団のタンパク質成分と比較する方法であって、 a)レーザーが、第1および第2の集団を顕微鏡下でより大きな微小構造と異なっ
    て標的化し、そこからそれらを単離するように、レーザー捕捉顕微解剖法を用い
    て第1および第2の細胞集団を組織試料から抽出する段階; b)Tris-HCl、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、塩化ナトリウム、EDTA、ア
    プロチニン、ロイペプチン、ピロリン酸ナトリウム、オルトバナジン酸ナトリウ
    ム、およびAEBSFを含む約1μlから約15μlの緩衝液中で、抽出された細胞成分を
    可溶化させることによって、抽出された各細胞集団からタンパク質試料を単離す
    る段階; c)各細胞集団由来のタンパク質試料中のタンパク質を単離するために、一次元
    ポリアクリルアミドゲル電気泳動(1D PAGE)または二次元ポリアクリルアミド
    ゲル電気泳動(2D PAGE)を行なう段階; d)タンパク質特異的な色素、または関心対象のタンパク質に特異的な標識抗体
    によるウエスタンブロッティングを用いて、各細胞集団の単離されたタンパク質
    をさらに分析する段階;および、 e)第1の細胞集団の関心対象のタンパク質成分を、第2の細胞集団の関心対象の
    タンパク質成分と比較する段階 を含む方法。
  26. 【請求項26】 第1の細胞集団の起源を同定するために、顕微鏡下で腫瘍
    細胞と同定可能な第1の細胞集団のタンパク質成分を、第2の細胞集団のタンパク
    質成分と比較する方法であって、 a)レーザー捕捉顕微解剖法を用いて、第1および第2の細胞集団を組織試料また
    はお互いから抽出する段階; b)Tris-HCl、NP-40、デオキシコール酸ナトリウム、塩化ナトリウム、EDTA、ア
    プロチニン、ロイペプチン、ピロリン酸ナトリウム、オルトバナジン酸ナトリウ
    ム、およびAEBSFを含む約1μlから約15μlの緩衝液中に、抽出された細胞集団由
    来の細胞を可溶化させることによって、抽出された各細胞集団からタンパク質試
    料を単離する段階; c)各細胞集団について、タンパク質試料のフィンガープリントを作製するため
    に表面強化レーザー脱着/イオン化質量分析法(SELDI)を行なう段階;および、
    d)第1の細胞集団のタンパク質フィンガープリントを、既知の第2細胞集団のタ
    ンパク質フィンガープリントと比較して、二つの集団が同一起源を有するか否か
    を判定する段階 を含む方法。
  27. 【請求項27】 第1の細胞集団が顕微鏡下で腫瘍転移と同定可能であり、
    第2の細胞集団が既知の正常組織試料の一群である、請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 既知の正常組織試料が、第1の細胞集団と同じ患者に由来
    する、請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 レーザー捕捉顕微解剖法を用いて回収された細胞集団から
    タンパク質を単離するための装置であり、レーザー捕捉顕微解剖法によって得ら
    れた細胞集団が存在するチャンバー、毛細管作用によって流入口に導入された液
    体を移動させることができる管により該チャンバーに接続された、少なくとも一
    つ投入口、該細胞集団からタンパク質試料を単離するための流入口に連絡する液
    体の供給、および、少なくとも一つの流出口を含む装置。
  30. 【請求項30】 チャンバーが、レーザー捕捉顕微解剖処理において細胞を
    回収するために用いられるキャップを直接受け入れることができる構造をとる、
    請求項29記載の装置。
  31. 【請求項31】 少なくとも一つの投入口が、大量の液体を流入口および管
    の中に導入する装置を備えている、請求項29記載の装置。
  32. 【請求項32】 装置がシリンジである、請求項31記載の装置。
  33. 【請求項33】 レーザー捕捉顕微解剖法により回収された細胞集団からタ
    ンパク質を単離するための装置であって、流入口に導入された液体を移動させる
    ことができる管によって投入口がチャンバーに接続されているような、少量の液
    体をチャンバーに導入するためのシリンジをもつ3つの投入口を備えたチャンバ
    ーを含む装置。
  34. 【請求項34】 組織試料に由来する細胞集団における細胞成分の存在をス
    クリーニングする方法であって、 a)レーザー捕捉顕微解剖法を用いて、該組織試料から該細胞集団を抽出する段
    階; b)細胞成分を産生するために、抽出された細胞集団を溶解させる段階; c)少なくとも一種類の細胞成分または結合剤を限られた区域に固定化する段階
    ; d)細胞成分を結合因子と接触させる段階;および e)該成分及び結合因子の間の相互作用を検出する段階 を含む段階。
  35. 【請求項35】 細胞成分または結合剤が標識されており、細胞成分及び結
    合因子の間の相互作用を検出する段階が標識の存在を検出する段階を含む、請求
    項34記載の方法。
  36. 【請求項36】 標識が、比色標識、化学発光標識、放射性標識、および蛍
    光標識からなる群より選択される方法によって検出される、請求項35記載の方法
  37. 【請求項37】 固定された細胞成分または固定された結合因子の限られた
    区域がアレイである、請求項34記載の方法。
  38. 【請求項38】 細胞成分が固定化されている、請求項34記載の方法。
  39. 【請求項39】 結合剤が固定化されている、請求項34記載の方法。
  40. 【請求項40】 レーザー捕捉顕微解剖により組織試料から得られた細胞集
    団における細胞成分の存在をスクリーニングする方法であって、 (a)細胞成分に対する固定化された結合因子のアレイ、または(b)顕微解剖さ
    れた細胞由来の固定化された細胞成分のアレイのいずれかを含むアレイを提供す
    る段階; 固定化された結合剤のアレイを、レーザー顕微解剖された細胞の成分に曝露する
    か、または、固定化された細胞成分のアレイを、関心対象の細胞成分に対する結
    合剤に曝露する段階を含む方法。
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