JP2002532068A - 血管新生阻害タンパク質に結合するタンパク質およびそれを使用した組成物および方法 - Google Patents

血管新生阻害タンパク質に結合するタンパク質およびそれを使用した組成物および方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、血管新生関連タンパク質であるアンジオスタチンタンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質に結合するレセプターなどのペプチドおよびタンパク質に関する。本発明のペプチドおよびタンパク質は、血液または尿を含む体液から単離するか、あるいは組換え法、酵素法、または化学的方法によって合成することができる。ペプチドは、血管新生関連タンパク質のレセプターの同定、ならびに血管新生関連タンパク質を制御、輸送、および相互作用する他のタンパク質の同定に特に重要である。本発明は、特に、アンジオスタチンタンパク質の推定レセプターとしてのラミニンタンパク質および推定エンドスタチンタンパク質としてのトロポミオシンに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (関連出願についてのクロスレファレンス) 本出願は、1998年12月4日に提出された、米国特許出願第09/206
,059号に対して優先権を主張する。本出願はまた、1999年8月26日に
提出された、米国特許仮出願第60/150,938号に関する。
【0002】 (発明の分野) 本発明は、血管新生関連タンパク質(アンジオスタチンタンパク質またはエン
ドスタチンタンパク質など)に結合するペプチドおよびタンパク質に関する。本
発明のペプチドおよびタンパク質は、血液または尿を含む体液や組織から単離す
るか、組換え法、酵素法、または化学的方法によって合成することができる。さ
らに、本発明は、血管新生に関連するタンパク質測定用の診断アッセイおよびキ
ット、タンパク質局在化用の組織化学的キット、タンパク質をコードする核酸配
列、およびタンパク質生合成の監視用の分子プローブにおけるこのような結合分
子の使用に関する。
【0003】 (発明の背景) 本明細書中で使用されるように、用語「血管新生」は、組織および器官への新
規の血管の生成を意味する。正常な生理学的条件下で、ヒトまたは動物は、非常
に特異的で限定された状況においてのみ血管新生をする。例えば、血管新生は、
通常、創傷治癒、胎児および胚の発達、ならびに黄体、子宮内膜、および胎盤の
形成時に認められる。用語「内皮細胞」は、漿液腔(serous cavities)、リン
パ管、血管に整列する平坦な上皮細胞の薄層を意味する。
【0004】 制御および非制御の血管新生は、いずれも類似の様式で進行すると考えられる
。基底膜で覆われた内皮細胞および周皮細胞は、毛細血管を形成する。血管新生
は、内皮細胞および白血球が放出した酵素によって基底膜のびらんから開始され
る。次いで、血管内腔に整列する内皮細胞が基底膜を通過して***する。血管新
生刺激により、内皮細胞がびらん形成した基底膜を通して移動するよう誘導され
る。移動した細胞は、親血管から「新芽」を形成し、そこで内皮細胞が有糸***
および増殖する。内皮新芽が互いに合併してループ状毛細血管を形成することに
より、新規の血管が作製される。
【0005】 持続的で非制御の血管新生は内皮細胞による病態の多様化、腫瘍転移、および
異常な成長において起こり、さらに、非制御の血管新生はまた、これらの病態に
認められる病理学的損傷を支持する。非制御の血管新生が起こる多様な病態を、
血管新生依存性疾患または血管新生関連疾患と総称する。
【0006】 腫瘍成長が血管新生依存性であるという仮説は、1971年に初めて提唱され
た(Folkman J.、Tumor angiogenesis: The
rapeutic implications.、N.Engl.Jour.M
ed.285:1182 1186、1971)。その最も簡潔な文章では、「
いったん腫瘍の「受け取り」が行われると、それぞれの腫瘍細胞集団の増加には
腫瘍上に集中する新規の毛細血管の増加が先立つにちがいない」と述べられてい
る。腫瘍の「受け取り」は、現在、数立方ミリメートルの体積を占め、細胞数が
数百万個を超えない腫瘍細胞集団が既存の受容微細血管上で生き延びることがで
きる、腫瘍成長の前血管段階を示すと理解されている。この段階を超えた腫瘍体
積の増大には、新規の毛細血管の誘導が必要である。例えば、マウスにおける初
期段階の前血管段階の肺への微小癌組織の転移は、組織学的切片に対する強力な
顕微鏡以外では検出不可能であろう。
【0007】 血管新生が癌移転の主要な役割を果たすことは明白である。この血管新生活性
を抑制または除去することができる場合、腫瘍は存在しても成長はしないであろ
う。疾患状態では、血管新生の予防により、新規の微小血管系の侵入によって生
じる損傷を防ぐことができる。血管新生過程を調節する治療により、これらの疾
患を抑止および軽減することができるであろう。
【0008】 血管新生によって媒介される疾患の一例は、眼の新生血管疾患である。この疾
患は、網膜または角膜などの眼構造への新規の血管の侵入によって特徴づけられ
る。これは、失明の最も一般的な原因であり、約20種類の眼疾患に関与する。
加齢黄斑変性症では、関連する視覚問題は、網膜色素上皮下の血管結合組織の増
殖に伴うブルーフ膜の欠損による脈絡膜の毛細血管の内殖(ingrowth)によって
生じる。血管新生損傷はまた、糖尿病網膜症、未熟児の網膜症、角膜移植片拒絶
、血管新生緑内障、および水晶体後線維増殖症に関連する。角膜の新血管形成に
関連する他の疾患には、以下が含まれるが、これらに限定されない:流行性角結
膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの超過装着、骨粗鬆症、アトピー性
角膜炎、上方輪部角膜炎、翼状片角膜乾燥症、シェーグレン(sjogrens)、赤鼻
、フィレクテヌロシス(phylectenulosis)、梅毒、マイコバクテリア感染、脂
質変性、化学熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス
感染、原生動物感染、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン周辺角膜変性症、辺
縁角膜炎、慢性関節リウマチ、全身性狼瘡、多発動脈炎、外傷、ウェグナーサル
コイドーシス、強膜炎、スティーブンジョンソン病、ペリフィゴイド(periphig
oid)放射状角膜切開、および角膜移植片拒絶。
【0009】 網膜/脈絡膜の新血管形成に関連する疾患には、以下が含まれるが、これらに
限定されない:糖尿病網膜症、網膜黄斑変性、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅
毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頚動脈閉塞疾
患、慢性ブドウ膜炎/ブィトリティス(vitritis)、細菌感染、ライム病、全身
性エリテマトーデス、未熟児の網膜症、イールズ病、ベヘット病、網膜炎または
脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、
シュタルガルト病、パース プレニティス(pars planitis)、慢性網膜剥離、
粘度亢進症候群、トキソプラズマ症、外傷、およびレーザー照射後合併症。他の
疾患には、以下が含まれるが、これらに限定されない:ルベオーシス関連疾患(
隅角の新血管系形成)および血管結合組織または線維組織の異常増殖による疾患
(増殖性硝子体網膜症の全形態を含む)。
【0010】 血管新生が関与すると考えられる他の疾患は、慢性関節リウマチである。関節
の滑膜に存在する血管は、血管新生を受ける。新規の血管網の形成に加えて、内
皮細胞は、パンヌスを成長させ軟骨を破壊させる因子および反応性酸素種を放出
する。血管新生に関与する因子は、慢性関節リウマチの慢性的な炎症状態に積極
的に寄与し、その維持を援助し得る。
【0011】 血管新生に関連する因子はまた、変形性関節症に関与する場合がある。血管新
生関連因子による軟骨細胞の活性化は、関節破壊に寄与する。より後の段階では
、血管新生因子は、新規の骨形成を促進するであろう。骨の破壊を予防する治療
介入により、疾患の進行を阻止し、関節炎を患う人々を助けることができる。
【0012】 慢性炎症には、病理学的血管新生も含み得る。潰瘍性大腸炎およびクローン病
などの病態は、炎症組織への新規の血管の内殖を伴う組織学的変化を示す。バル
トネラ症(南米で発見された細菌感染)は、血管内皮細胞の増殖によって特徴づ
けられる慢性状態となり得る。血管新生に関連する別の病理学的役割は、アテロ
ーム性動脈硬化症に見出される。血管内腔に形成されるプラークは血管新生刺激
活性を有することが示されている。
【0013】 幼児期に最も頻繁に起こる血管新生疾患の1つは、血管腫である。ほとんどの
症例で、腫瘍は良性であり、介入(intervention)することなく抑制される。よ
り重篤な症例では、腫瘍は巨大な空洞および浸潤形態に進行し、臨床的合併症を
引き起こす。血管腫の全身形成(血管腫症)は死亡率が高い。現在使用されてい
る治療では治療することができない治療耐性血管腫が存在する。
【0014】 血管新生はまた、オスラー−ウェバー−レンドゥー病(Osler-Weber-Rendu di
sease)または遺伝性出血性毛細管拡張症などの遺伝病における障害の原因でも
ある。これは、多発性の小血管腫(血管またはリンパ管の腫瘍)によって特徴づ
けられる遺伝病である。血管腫は皮膚および粘膜に見出され、しばしは鼻出血(
鼻血)または胃腸出血を併発し、肺または肝臓動静脈フィステルを併発する場合
もある。
【0015】 薬物の標的特性を改良するために、製薬工業の研究者らは非常に努力してきた
。当業者に周知のように、複数回の疾患発症により、特定の細胞型またはタンパ
ク質(抗原、エピトープ、または表面のマーカー)を提示する。このような例で
は、固有の細胞表面マーカーに対して抗体が惹起され、薬物が抗体に結合するこ
とができる。薬物/抗体複合体の患者への投与の際、細胞表面マーカーへの抗体
の結合により、比較的高濃度の薬物が罹患組織または器官に送達される。罹患器
官中の特定の細胞型が固有の細胞表面レセプターまたは特定のレセプターのリガ
ンドを発現する類似の方法を用いることができる。これらの場合、薬物を、特異
的リガンドまたはレセプターにそれぞれ結合させることができるので、罹患器官
への比較的高濃度の薬物の送達法が得られる。
【0016】 血管新生に関与する最も重要なタンパク質の1つは、アンジオスタチンタンパ
ク質である(O’Reilly et al.に付与された米国特許第5,63
9,725号(その全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)
。アンジオスタチンタンパク質は、還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動で同定
したところ約38,000ダルトンから45,000ダルトンの間の分子量を有
し、無傷のプラスミノーゲン分子のアミノ酸約番号98で開始するプラスミノー
ゲンフラグメントのそれに実質的に類似のアミノ酸配列を有することが好ましい
。アンジオスタチンタンパク質は、一般的に、血管新生阻害し、例えば、線維芽
細胞成長因子の存在下で培養中のウシ毛細血管内皮細胞の成長を阻害する能力を
有するように「内皮阻害活性」を有する。
【0017】 アンジオスタチンタンパク質は、組換え供給源から、動物に移植した遺伝子が
変更された細胞から、腫瘍から、および細胞培養物から、ならびに他の供給源か
ら産生させることができる。アンジオスタチンタンパク質は、体液(血清および
尿が含まれるが、これらに限定されない)から単離することができる。組換え技
術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いたDNA供給源からの遺伝子増
幅および逆転写酵素/PCRを用いたRNA供給源からの遺伝子増幅が含まれる
【0018】 アンジオスタチンタンパク質は、in vitroおよびin vivoでの
内皮細胞増殖を阻害することができることが示されている。アンジオスタチンタ
ンパク質は、他の細胞型由来の細胞株の増殖を阻害しない。特に、アンジオスタ
チンタンパク質は、ルイス肺癌細胞株、ミンク肺上皮、3T3線維芽細胞、ウシ
大動脈平滑筋細胞、ウシ網膜色素上皮、MDCk細胞(イヌの腎上皮)、WI3
8細胞(ヒト胎児肺線維芽細胞)、EFN細胞(マウス胎児線維芽細胞)、およ
びLM細胞(マウス結合組織)に影響を与えない。腫瘍保有マウスにおける内因
性アンジオスタチンタンパク質は、約10mgアンジオスタチンタンパク質/k
g体重の全身濃度で転移の阻害に有効である。
【0019】 アンジオスタチンタンパク質は、プラスミノーゲン分子のクリングル領域によ
って定義される特異的三次元構造を有する(Robbins,K.C.、「Th
e plasminogen−plasmin enzyme system」
、Hemostasis and Thrombosis、Basic Pri
nciples and Practice、第2版、Colman,R.W.
et al.編、J.B.Lippincott Company、340〜3
57頁、1987)。このような5つのクリングル領域が存在し、これらは、高
次構造に関連したモチーフであり、プラスミノーゲン分子のアミノ末端部分にお
いて実質的な配列相同性を有する。プラスミノーゲン分子構造の略図については
、図1を参照のこと。
【0020】 完全なマウスウプラスミノーゲン分子のアミノ酸配列を、配列番号81に示す
【0021】 ヒトアンジオスタチンタンパク質の好ましいアミノ酸配列を、図2に示す。
【0022】 本明細書中で使用されるように、「クリングル1」は、内皮細胞阻害活性を有
し、クリングル1と相同性の配列(例としては、配列番号1のアンジオスタチン
タンパク質の11〜90のアミノ酸位置に対応するヒトクリングル1の配列があ
るが、これに限定されない)を含むアミノ酸配列を有するプラスミノーゲンのタ
ンパク質誘導体を意味する。本明細書中で使用されるように、「クリングル2」
は、例えば、配列番号1のアンジオスタチンタンパク質の94〜172のアミノ
酸位置であるが、これに限定されない。本明細書中で使用されるように、「クリ
ングル3」は、例えば、配列番号1のアンジオスタチンタンパク質の185〜2
63のアミノ酸位置であるが、これに限定されない。本明細書中で使用されるよ
うに、「クリングル4」は、例えば、配列番号1のアンジオスタチンタンパク質
の288〜366のアミノ酸位置であるが、これに限定されない。
【0023】 さらに、上で同定したクリングルフラグメントに、種々の休止の(silent)ア
ミノ酸置換、付加、または欠失を行うことができ、これらはフラグメントの内皮
細胞阻害活性を有意に変更させないので、特許請求の範囲を超えるよう意図され
るものではないことが理解される。
【0024】 プラスミノーゲン分子の各クリングル領域は、約80個のアミノ酸を含み、ま
た3つのジスルフィド結合を含む。抗血管新生アンジオスタチンタンパク質は、
クリングル領域由来の種々の量のアミノ末端またはカルボキシ末端アミノ酸を含
むことができ、天然に存在するジスルフィド結合のいくつかまたは全てを還元す
ることができる。アンジオスタチンタンパク質はまた、凝集し、再折りたたみさ
れない組換え形態で得ることができる。さらに、クリングルペプチドのそれぞれ
および群は、血管新生の阻害に有用であり得る(PCT/US96/05856
(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0025】 ヒトアンジオスタチンタンパク質のcDNA配列を、配列番号29として示す
【0026】 in vivoでの抗血管新生活性を有する三次元クリングルの様な構造また
はシステインモチーフを有する任意の単離タンパク質またはペプチドもアンジオ
スタチンタンパク質化合物であることが意図される。本発明のアンジオスタチン
タンパク質のアミノ酸配列は、例えば、プラスミノーゲン分子が誘導された種に
依存して変化し得る。したがって、ヒトプラスミノーゲン由来の本発明のアンジ
オスタチンタンパク質は、マウス由来のアンジオスタチンタンパク質とわずかに
配列が異なるにもかかわらず、マウス腫瘍モデルに示されるように抗血管新生活
性を有する。
【0027】 別の重要な血管新生関連タンパク質は、エンドスタチンタンパク質である(O
’Reilly et al.の米国特許出願第08/740,168号および
WO97/15666(これらは共に、その全体が本明細書中で参考として援用
される)を参照のこと)。エンドスタチンタンパク質は、内皮増殖および血管新
生の強力かつ特異的なインヒビターである。エンドスタチンタンパク質での全身
治療によって、腫瘍誘導性血管新生がほぼ完全に抑制される。
【0028】 エンドスタチンタンパク質は、それぞれ非還元および還元ゲル電気泳動で同定
したところ約18,000ダルトン〜20,000ダルトンの分子量を有し、培
養内皮細胞の内皮細胞増殖を阻害することができる。エンドスタチンタンパク質
はコラーゲン分子のフラグメントに実質的に類似のアミノ酸配列を有し、ヘパリ
ンアフィニティーカラムに結合するがリジンアフィニティーカラムには結合しな
い。
【0029】 エンドスタチンタンパク質は、マウス血管内皮種EOMAから単離することが
できる。エンドスタチンタンパク質は、組換え供給源から、動物に移植された遺
伝子が変化した細胞から、腫瘍から、および細胞培養物から、ならびに他の供給
源から産生させることもできる。エンドスタチンタンパク質は、体液(血清およ
び尿が含まれるが、これらに限定されない)から単離することができる。組換え
技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いたDNA供給源からの遺伝子
増幅および逆転写酵素/PCRを用いたRNA供給源からの遺伝子増幅が含まれ
る。
【0030】 あるいは、本発明の内皮増殖阻害タンパク質(すなわち、エンドスタチンタン
パク質)は、より大きな公知のタンパク質(ヒトα1XVIII型コラーゲンお
よびマウスα1XVIII型コラーゲン(共通または類似のN末端アミノ酸配列
を共有するタンパク質)など)から単離することができる。類似のN末端アミノ
酸配列を有する他の潜在的エンドスタチンタンパク質供給物質の例には、以下が
含まれる:ボス トーラス(Bos taurus)前胃エステラーゼ、ヒトα1XV型コ
ラーゲン、Pseudomonas属由来のNAD依存性蟻酸脱水素酵素(EC
1.2.1.2)、ウシアデノウイルス3型のs11459ヘキソンタンパク
質、CELF21D12 2 F21d12.3 カエノハブディティス エレ
ガンス(Caenorhabditis elegans)遺伝子産物、トマト金色モザイクウイルス由
来のVAL1 TGMV AL1タンパク質、ヒトアデノウイルス12由来のs
01730ヘキソンタンパク質、およびサッカロミケス セレビザエ(Saccharo
myces cerevisiae)。
【0031】 ヒトエンドスタチンは、さらに、図3および配列番号2に記載の好ましいアミ
ノ酸配列によって特徴づけることができる。好ましい最初の20個のアミノ末端
アミノ酸配列は、XVIII型コラーゲンまたはXV型コラーゲンのC末端フラ
グメントに対応する。特に、1つの実施形態では、エンドスタチンタンパク質の
アミノ末端アミノ酸配列は、アミノ酸1105から開始してアミノ鎖1124で
終了するマウスα1XVIII型コラーゲン中に見出される内部20アミノ酸ペ
プチド領域に対応する。インヒビターのアミノ末端アミノ酸配列はまた、アミノ
酸1132から開始してアミノ鎖1151で終了するヒトα1XVIII型コラ
ーゲン中に見出される内部20アミノ酸ペプチド領域に対応する。エンドスタチ
ンタンパク質のcDNA配列を、配列番号30に示す。
【0032】 アンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク質はいずれも、内
皮細胞増殖を特異的かつ可逆的に阻害するので、例えば、避妊薬として、血管新
生関連疾患、特に血管新生依存性癌および腫瘍の治療に、ならびに血管新生依存
性癌および腫瘍の治癒に使用することができる。血管新生過程を調節する治療に
よって、血管新生によって媒介されるこのような疾患を抑止および軽減すること
ができる。血管新生過程の調節に有用な潜在的な治療には、血管新生に関連する
抗原マーカーおよびレセプターの認識およびそれに続くこのようなマーカーおよ
びレセプターの修飾を含み得る。例えば、いったん血管新生関連タンパク質のレ
セプターが同定されると、これを妨害することにより血管新生関連タンパク質の
効果を阻害し、最終的に血管新生を減少させることができる。
【0033】 抗原マーカーおよびレセプターの同定に有効な技術の1つは、ファージディス
プレイ技術である(例えば、Phage Display of Peptid
es and Proteins:A Laboratory Manual、
Brian K.Kay et al.編、Academic Press S
an Diego、1996を参照のこと)。ファージディスプレイ技術は、タ
ンパク質および抗体などのリガンドと相互作用するそれぞれのエピトープの同定
用の強力なツールである。ファージペプチドライブラリーは、典型的には、それ
ぞれ異なるペプチドを発現し、被覆タンパク質の1つにおけるインサートとして
一本鎖DNAゲノムにコードされる多数の異なるファージクローンを含む。理想
的なファージライブラリーでは、各クローン数は、20n(「n」は、ファージ
によってコードされるランダムペプチドを形成する残基数である)であろう。例
えば、ファージライブラリーが7残基ペプチドについてスクリーニングされた場
合、理論的にはライブラリーは207(すなわち1.28×109)の7残基配列
を含むことが可能であろう。したがって、7量体ペプチドライブラリーには、約
109個の個々のファージが含まれるはずである。
【0034】 特定のタンパク質(または抗体)によって認識されるエピトープを模倣するこ
とができるファージクローンディスプレイペプチドを、そのタンパク質(または
抗体)の結合親和性に基づいたライブラリーから選択し、挿入ペプチド配列をフ
ァージクローンのDNA配列から推定する。このアプローチは、標的タンパク質
の一次配列の予備知識が不必要で、アミノ酸の線状配列(線状エピトープ)また
は一次配列内のそれぞれから離れたアミノ酸の空間的近位(立体構造エピトープ
)のいずれかによって標的内に提示されたエピトープが共に同定可能であり、非
プロテイナーゼ分子(脂質および炭水化物部分など)由来のエピトープのペプチ
ド ミモトーブもまた作製することができるので、特に望ましい。
【0035】 血管新生関連疾患に関して、アンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチ
ンタンパク質などの血管新生関連タンパク質が癌などの障害の発症に重要な役割
を果たすことは明らかである。したがって、必要なのは、このようなタンパク質
に結合するレセプターおよび分子の同定用の方法および組成物の開発である。こ
のようなレセプターおよび分子の同定により、血管新生関連タンパク質の影響お
よび相互作用の理解を容易にするので、これらのタンパク質の活性を必要に応じ
て改変する薬物を開発することができる。
【0036】 (発明の要旨) 本発明によれば、血管新生の調整、および全ての型の望ましくない血管新生、
特に腫瘍成長に関連する血管新生の阻害に、有効な組成物および方法が得られる
。特に、本発明は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク
質などの血管新生関連ペプチドおよびタンパク質に結合するペプチドおよびタン
パク質を含む。これらの結合分子およびタンパク質の同定により、血管新生関連
タンパク質の影響についての理解が深まり、癌および腫瘍発達などの障害に関連
する血管新生緩和用の治療薬の開発も可能となった。
【0037】 アンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク質を、in vi
troでの内皮細胞およびin vivoでの腫瘍成長に対するbFGFなどの
内皮成長因子の血管新生活性のその阻害能力によって定義する。アンジオスタチ
ンタンパク質は、およそプラスミノーゲンのクリングル領域1から4を含み、還
元ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって同定したところ約38,000ダル
トンから45,000ダルトンの間の分子量を有するタンパク質である。好まし
い実施形態では、アンジオスタチンタンパク質は、アミノ酸番号98から始まる
マウスプラスミノーゲンフラグメントのそれに実質的に類似のアミノ酸配列を有
する。
【0038】 エンドスタチンタンパク質はコラーゲンフラグメントであり、それぞれ非還元
および還元ゲル電気泳動で同定したところ約18,000ダルトン〜20,00
0ダルトンの間の分子量を有するタンパク質である。エンドスタチンタンパク質
は、さらに、ヘパリンアフィニティーカラムには結合するがリジンアフィニティ
ーカラムには結合不可能な能力によって特徴づけられる。エンドスタチンタンパ
ク質の好ましい最初の20個のN末端アミノ酸配列は、XVIII型コラーゲン
またはXV型コラーゲンのC末端フラグメントに対応する。
【0039】 本発明はまた、血管新生関連ペプチドおよびタンパク質に結合するペプチドお
よびタンパク質をコードする核酸配列、ならびにこのような結合ペプチドおよび
タンパク質をコードする核酸配列を含む発現ベクター、およびこのようなペプチ
ドおよびタンパク質をコードする核酸配列を含む1つまたは複数の発現ベクター
を含む細胞を含む。本発明は、さらに、血管新生関連タンパク質結合ペプチドお
よびタンパク質をコードする核酸配列を患者に移入してin vivoアンジオ
スタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質レベルを改変する遺伝子治
療法を含む。
【0040】 本発明はまた、生物学的流動物および組織中の血管新生関連タンパク質に結合
するペプチドおよびタンパク質の検出および測定用ならびに組織および細胞中の
このようなペプチドおよびタンパク質の局在化用の診断法およびキットを含む。
診断法およびキットは、当業者に周知の任意の構成であり得る。
【0041】 本発明は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質に結
合して細胞に適切なシグナルを伝達し、血管新生のアゴニストまたはアンタゴニ
ストとして作用するペプチドおよびタンパク質を含む。
【0042】 さらに、本発明は、血管新生関連タンパク質およびそのアナログに結合し、技
術(陽電子放出断層撮影、オートラジオグラフィー、フローサイトメトリー、放
射性レセプター結合アッセイ、および免疫組織化学的方法が含まれるが、これら
に限定されない)を用いた血管新生関連タンパク質結合部位の検出および視覚化
における使用のために同位元素または他の分子またはタンパク質で標識すること
ができるタンパク質のフラグメントを含む。
【0043】 本発明のペプチドおよびアナログはまた、アンジオスタチンタンパク質または
エンドスタチンタンパク質レセプターについてのアゴニストおよびアンタゴニス
トとして作用することにより、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質の生物活性を上昇および妨害させる。このようなペプチドおよびタ
ンパク質を、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質レセ
プターの単離に使用する。
【0044】 本発明は、血管新生関連タンパク質結合ペプチドおよびタンパク質の転写およ
び翻訳に関与するリボ核酸およびデオキシリボ核酸の分子プローブを含む。この
ような分子プローブにより、組織および細胞における血管新生関連タンパク質の
生合成の検出および測定手段が得られる。
【0045】 したがって、本発明の目的は、血管新生関連ペプチドおよびタンパク質に結合
するペプチドおよびタンパク質を含む組成物および方法を提供することにある。
【0046】 本発明の別の目的は、血管新生によって媒介される疾患および過程の治療用の
組成物および方法を得ることである。
【0047】 本発明のさらに別の目的は、体液または組織中の血管新生関連タンパク質結合
ペプチドの存在および量の検出用の診断または予想(prognostic)法およびキッ
トを提供することにある。
【0048】 本発明のさらに別の目的は、血管新生によって媒介される疾患および過程(血
管種、固形腫瘍、血腫および骨腫瘍(blood borne tumor)、
白血病、転移、毛細血管拡張症、乾癬、強皮症、化膿性肉芽種、心筋血管新生、
クローン病、プラーク新血管形成、冠状動脈側副枝、大脳側副枝、動静脈奇形、
虚血性肢血管新生、角膜疾患、ルベオーシス、血管新生緑内障、糖尿病網膜症、
水晶体後線維増殖症、関節炎、糖尿病性新血管形成、黄斑変性症、創傷治癒、十
二指腸潰瘍、ヘリコバクター(Helicobacter)関連疾患、骨折、ケロイド、脈管
形成、血液新生、***、月経、胎盤形成、およびネコ引っ掻き熱が含まれるが、
これらに限定されない)の治療用の組成物および方法を提供することにある。
【0049】 本発明の別の目的は、癌の成長の治療および抑制用の組成物および方法を提供
することにある。
【0050】 本発明の別の目的は、癌の検出または予想用の組成物および方法を提供するこ
とにある。
【0051】 本発明の別の目的は、in vivoおよびin vitroでのアンジオス
タチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質の結合部位の視覚化および定
量に用いる組成物および方法を提供することにある。
【0052】 本発明のさらに別の目的は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質生合成の検出および定量に用いる組成物および方法を提供すること
にある。
【0053】 本発明の別の目的は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタン
パク質などの血管新生関連タンパク質に結合するレセプターを提供することにあ
る。
【0054】 本発明のさらに別の目的は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質などの血管新生関連タンパク質の活性に相互作用および制御するタ
ンパク質およびそのフラグメントを同定することにある。
【0055】 本発明のさらに別の目的は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質などの血管新生関連タンパク質の輸送に関与するタンパク質および
そのフラグメントを提供することにある。
【0056】 本発明の別の目的は、血管新生関連タンパク質がその活性を発揮する基質とし
て機能するタンパク質およびそのフラグメントを提供することにある。
【0057】 本発明のさらに別の目的は、最小の副作用の癌治療法を提供することにある。
【0058】 本発明のさらに別の目的は、ラミニンタンパク質を含むアンジオスタチンタン
パク質に結合するタンパク質およびペプチドおよび/またはトロポミオシンを含
むエンドスタチンタンパク質に結合するタンパク質およびペプチドを含む方法お
よび組成物を提供することにある。
【0059】 本発明のさらに別の目的は、癌成長治療または抑制用の細胞傷害性因子に結合
する、アンジオスタチンタンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質に
結合するペプチドを含む方法および組成物を提供することにある。
【0060】 本発明の別の目的は、アンジオスタチンタンパク質および/またはエンドスタ
チンタンパク質への結合および制御用のラミニンおよびトロポミオシンを含む融
合タンパク質を提供することにある。
【0061】 本発明のさらに別の目的は、アンジオスタチンタンパク質および/またはエン
ドスタチンタンパク質に結合するペプチドまたはタンパク質を含む融合タンパク
質を提供することにある。
【0062】 本発明の別の目的は、血管新生関連タンパク質組成物の特定の位置への標的送
達用の方法および組成物を提供することにある。
【0063】 本発明のさらに別の目的は、血管新生過程の調整用の遺伝子治療に有用な組成
物および方法を提供することにある。
【0064】 本発明のこれらおよび他の目的、特徴、および利点は、以下の実施形態の開示
の詳細な説明および添付の特許請求の範囲の再検討後に明らかとなろう。
【0065】 (詳細な説明) 以下の説明は、現在において考え得る本発明の実施の最良の形態を含む。本説
明は、本発明の一般原理の例示を目的としてなされるものであり、本発明の限定
と解釈されるべきではない。全ての引例は、その全体が本明細書中で参考として
列挙され援用される。
【0066】 本明細書中で使用されるように、用語「アンジオスタチンタンパク質」は、お
よそプラスミノーゲン分子のクリングル領域1から4を含み、還元ポリアクリル
アミドゲル電気泳動で同定したところ約38,000ダルトンから45,000
ダルトンの間の分子量を有するタンパク質をいう。アンジオスタチンタンパク質
は、好ましくは、およそアミノ酸番号98で開始するマウスプラスミノーゲンフ
ラグメントのそれに実質的に類似のアミノ酸配列を有する。アンジオスタチンタ
ンパク質の説明は、O’Reilly et al.に付与された米国特許第5
,639,725号で得られる。ヒトアンジオスタチンタンパク質の好ましいア
ミノ酸配列を、図3に示す。
【0067】 本明細書中で使用されるように、用語「エンドスタチンタンパク質」はコラー
ゲン分子フラグメントであり、それぞれ非還元および還元ゲル電気泳動で同定し
たところ約18,000ダルトンから20,000ダルトンの間の分子量を有す
るタンパク質をいう。エンドスタチンタンパク質の好ましい最初の20個のN末
端アミノ酸配列は、XVIII型コラーゲンまたはXV型コラーゲンのC末端フ
ラグメントに対応する。エンドスタチンタンパク質の説明は、O’Reilly
et al.の米国特許出願第08/740,168号およびWO97/15
666で得られる。ヒトエンドスタチンタンパク質の好ましいアミノ酸配列を、
図3に示す。
【0068】 本明細書中で使用されるように、用語「血管新生関連タンパク質」は、アンジ
オスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク質ならびに血管成長および
発達に関与するその活性なフラグメントおよびホモログをいう。
【0069】 用語「血管新生関連タンパク質」には、動物またはヒト起源のタンパク質が含
まれ、化学反応によって、または発現系と組み合わせた組換え技術によって合成
されたタンパク質も含まれる。
【0070】 本明細書中で使用されるように、用語「結合ペプチド」は、血管新生関連タン
パク質に結合するペプチド、その活性なフラグメント、およびホモログをいう。
好ましい結合ペプチドには、本明細書中で血管新生関連タンパク質に結合するこ
とができるペプチドとして定義したペプチドアナログが含まれることが当業者に
理解される。例として、結合ペプチド、そのアミノ酸配列(配列番号3〜28、
配列番号31〜42、および配列番号82〜133)、およびその実験の要約を
、以下の説明に示した。本明細書中の結合ペプチドおよびタンパク質は、天然に
存在する免疫グロブリン抗体分子以外である。
【0071】 本明細書中で使用されるように、用語「a」、「an」、および「the」は
、「1つまたは複数」を意味し、文脈上不適切でない限り複数形を含むと定義す
る。本明細書中で使用されるように、句「生物活性」は、生物系由来の化合物の
機能性、反応性、および特異性またはその化合物に反応する化合物、またはこれ
らの化合物の機能性、反応性、特異性を模倣する他の化合物をいう。適切な生物
活性化合物の例としては、酵素、抗体、抗原、およびタンパク質が含まれる。
【0072】 本明細書中で使用されるように、用語「体液」には、以下が含まれるが、これ
らに限定されない:唾液、歯肉分泌物、脳脊髄液、胃腸液、粘液、泌尿生殖器分
泌物、滑液、血液、血清、血漿、尿、嚢胞液、リンパ液、腹水、胸水、間質液、
細胞内液、眼からの分泌液(ocular fluids)、***、乳腺分泌物、およびビト
リール分泌液(vitreal fluid)、および鼻分泌物。
【0073】 別に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語
は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されているものと同一の意味
である。本明細書中に記載のものと類似または等価の他の物質および方法を本発
明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および物質を以下
に記載する。
【0074】 本発明は、血管新生に媒介されるかそれに関連する疾患および過程の検出およ
び治療の方法および組成物を含む。組成物には、血管新生関連タンパク質に結合
することができるペプチド、タンパク質、活性フラグメント、およびそのホモロ
グが含まれる。特に、本発明のペプチドおよびタンパク質は、アンジオスタチン
タンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質と相互作用するか結合する
ことができる。
【0075】 本発明は、癌などの疾患の診断または予想の目的で、体液および組織中の血管
新生関連タンパク質(アンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパ
ク質など)の検出用の血管新生関連タンパク質に結合するレセプターなどのペプ
チドおよびタンパク質の使用を含む。さらに、本発明はまた、細胞および組織中
のアンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク質結合部位および
レセプターの検出を含む。本発明は、さらに、アンジオスタチンタンパク質また
はエンドスタチンタンパク質の産生、投与、および活性を変化させるためのタン
パク質結合ペプチドおよびタンパク質の使用による血管新生疾患および過程(関
節炎および腫瘍が含まれるがこれらに限定されない)の治療法または予防法を含
む。アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質などの血管新
生関連タンパク質に結合するタンパク質およびペプチドは、動物またはヒト起源
であり得ることが理解される。このような結合ペプチドは、化学反応または発現
系と組み合わせた組換え技術によって合成することもできる。
【0076】 血管新生関連タンパク質は、体液(血清、尿、および腹水が含まれるがこれら
に限定されない)から単離するか、化学的方法または生物学的方法(細胞培養、
組換え遺伝子発現、ペプチド合成が含まれる)によって合成することができる。
タンパク質は、活性アンジオスタチンタンパク質を得るためのプラスミノーゲン
またはプラスミンの、または活性エンドスタチンタンパク質を得るためのコラー
ゲンのin vitroでの酵素触媒反応によって得ることもできる。アンジオ
スタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質に結合する好ましいペプチ
ドおよびタンパク質のアミノ酸配列を、配列番号3〜28、配列番号31〜42
、および配列番号82〜113として示す。組換え技術には、ポリメラーゼ連鎖
反応(PCR)を用いたDNA供給源からの遺伝子増幅、および逆転写酵素/P
CRを用いたRNA供給源からの遺伝子増幅が含まれる。本明細書中に記載の種
々のPCRおよびクローニング手順を行うために使用することができる方法の一
般的な参考文献は、Molecular Cloning: A Labora
tory Mannual(Sambrook et al.編、Cold S
pring Harbor Lab Publ.、1989、最新版)(本明細
書中で参考として援用される)に見出すことができる。アンジオスタチンタンパ
ク質およびエンドスタチンタンパク質はいずれも組織中への血管の成長(非血管
形成または血管形成腫瘍など)を阻害する。
【0077】 本発明は、さらに、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパ
ク質を含む血管新生関連タンパク質に結合することができるペプチドおよびタン
パク質をコードする核酸配列を含むベクターを含む組成物および方法を含み、前
述のベクターは細胞中に存在する場合このような結合ペプチドを発現することが
でき、組成物はこのようなベクターを含む細胞を含む。アンジオスタチンタンパ
ク質またはエンドスタチンタンパク質に結合する好ましいペプチドおよびタンパ
ク質の核酸配列を、配列番号43〜80として示す。遺伝コードの縮重により、
別の核酸配列が同一の配列を有するペプチドをコードし得る。本発明は、さらに
、ヒトまたは非ヒト動物へのこのようなベクターを含む細胞の移植を含む方法を
含む。
【0078】 本発明はまた、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質
などの血管新生関連タンパク質に結合するペプチドをコードする患者の遺伝子を
制御する遺伝子治療を含む。遺伝子産物であるタンパク質の発現用の細胞へのD
NAの種々の導入または送達法(遺伝子治療ともいう)は、Gene Tran
sfer into Mammalian Somatic Cells in
vivo、N.Yang、Crit.Rev.Biotechn.12(4)
:335〜356、1992(本明細書中で参考として援用される)に開示され
ている。遺伝子治療には、ex vivoまたはin vivo治療いずれかに
用いる体細胞または生殖細胞へのDNA配列の組み込みが含まれる。遺伝子治療
は、遺伝子を置換し、正常または異常な遺伝子機能を増加させ、感染疾患および
他の病態に対処するように機能する。
【0079】 遺伝子治療を用いた医学上の問題の治療法には、欠失遺伝子の同定後の欠失遺
伝子の機能の置換またはわずかに機能的な遺伝子を増加させるための機能的遺伝
子の付加などの治療ストラテジー;または病態を治療するか治療計画がより作用
しやすい組織または器官を作製する産物タンパク質の遺伝子の付加などの予想ス
トラテジーが含まれる。予防ストラテジーの例として、例えば、アンジオスタチ
ンタンパク質に結合するラミニンタンパク質、および/またはエンドスタチンに
結合するトロポミオシンを含むペプチドまたはタンパク質の遺伝子を、患者に移
植して血管新生の発生を緩和することができる。
【0080】 ペプチドDNAまたはペプチド調節配列の多数の導入プロトコールを、本発明
で想定する。このような技術の例は、細胞中のエリスロポイエチン遺伝子を作動
させる「遺伝子スイッチ」を挿入するために相同的組換えを用いた、Trans
karyotic Therapies,Inc.、Cambridge、Ma
ssachusettsに見出される。Genetic Engineerin
g News、1994年4月15日号を参照のこと。このような「遺伝子スイ
ッチ」を使用して、対応する遺伝子を通常は発現しない細胞中で所望のペプチド
を活性化させることができる。
【0081】 遺伝子治療用の遺伝子導入法は、以下の3つの広範なカテゴリーに分類される
:物理的方法(例えば、エレクトロポレーション、直接的遺伝子導入、および微
粒子銃)、化学的方法(脂質ベースのキャリアまたは他の非ウイルスベクター)
、および生物学的方法(ウイルス由来のベクターおよびレセプターの取り込み)
。遺伝子治療の方法論は、送達部位によって説明することもできる。基本的な遺
伝子送達法は、当業者に周知であり、これには、ex vivo遺伝子導入、i
n vivo遺伝子導入、およびin vitro遺伝子導入が含まれる。
【0082】 化学的遺伝子治療法には、必ずしもリポソームではないが、細胞膜を通過して
DNAを輸送するための脂質ベースの化合物(リポフェクションまたはサイトフ
ェクチンなど)が含まれ得る。別の化学的方法は、細胞表面レセプターへの特異
的リガンドの結合および包膜化(enveloping)および細胞膜を通過する輸送を含
むレセプターベースのエンドサイトーシスを使用し得る。リガンドは、DNAに
結合し、全複合体が、細胞内に輸送される。リガンド遺伝子複合体を、血流に注
射するとレセプターを有する標的細胞がリガンドに特異的に結合し、リガンド−
DNA複合体が細胞に輸送される。
【0083】 多くの遺伝子治療法では、細胞に遺伝子を挿入するためにウイルスベクターを
使用する。例えば、遺伝子を末梢性および腫瘍浸潤性リンパ球、肝細胞、表皮細
胞、筋細胞、または他の体細胞に導入するためのex vivo法において改変
レトロウイルスベクターが使用されている。次いで、これらの改変細胞を患者に
導入して、挿入DNA由来の遺伝子産物を得る。
【0084】 ウイルスベクターもまた、in vivoプロトコールを使用した細胞への遺
伝子挿入に使用されている。外来遺伝子の組織特異的発現をさせるために、組織
特異的であることが公知のシス活性調節エレメントまたはプロモーターを使用す
ることができる。あるいは、in vivoでの特異的解剖学的部位へのDNA
またはウイルスベクターのin situ送達を用いてこれを行うことができる
。ウイルスベクターを、例えばカテーテルによってin vivo部位に直接送
達させることによって、一定の領域のみにウイルスを感染させて、長期の部位特
異的遺伝子発現を得ることができる。改変ウイルスを血管に注射して器官に送達
させるレトロウイルスベクターを用いるin vivo遺伝子導入もまた、哺乳
動物組織および肝組織で実施されている。
【0085】 遺伝子導入におけるレトロウイルスベクターの基本的な利点には、ほとんどの
細胞型における有効な感染および遺伝子発現、標的細胞の染色体DNAへの正確
なシングルコピーベクターの組み込み、ならびにレトロウイルスゲノムの操作の
容易さが含まれる。
【0086】 本明細書中で用いる方法によれば、潜在的な結合ペプチドを示すファージライ
ブラリーを、固定血管新生関連タンパク質とインキュベートして、固定血管新生
関連タンパク質に特異的に結合する組換えペプチドをコードするクローンを選択
した。3回のバイオパニング(biopanning)(固定血管新生関連タンパク質への
結合)後、組換えペプチドをコードするファージを増幅し、次にそれぞれが異な
る組換えタンパク質または結合ペプチドを発現した各ウイルスプラークを増やし
て結合アッセイを行うのに十分なペプチドの量を産生させた。
【0087】 血管新生関連結合ペプチドの可能な同定方法に含まれる1つの方法では、組換
え結合ペプチドをコードするDNAを真核生物タンパク質発現ベクターへライゲ
ーションするために、続いて修飾してもよい。この修飾は、5’分泌シグナル配
列の除去および組換え結合ペプチドの翻訳を指示する翻訳開始コドンの付加が必
須である。終結コドンもまた、コード配列の下流領域の構築物に組み込む。本発
明の開発に使用した全てのクローニングの手順は、標準的な実験慣習にしたがっ
て行った。
【0088】 種々の型の分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、およびそのフラグメ
ントなどの種々の集団を含むライブラリーの調製法は、当該分野で公知であり、
市販されている(例えば、Ecker and Crooke、Biotech
nology、13:351〜360、1995、およびこれに引用されている
参考文献を参照のこと)。
【0089】 本発明で使用したファージディスプレイライブラリーは、Ph.D.−7ファ
ージディスプレイライブラリー(New England BioLabs、カ
タログ番号8100)、7マーのランダムペプチドからなる組み合わせライブラ
リーを含む。直鎖状7マーペプチドからなるPh.D.−7ファージディスプレ
イライブラリーを、M13のpIIIコートタンパク質にGly−Gly−Gl
y−Ser可変性リンカーを介して融合させた。ライブラリーは、2.8×10 9 個の独立クローンを含み、短鎖アミノ酸中に濃縮された結合エレメントを必要
とする標的の同定に有用である。
【0090】 本発明で使用された別のファージディスプレイライブラリーは、非変性条件下
でジスルフィド結合して環状ペプチドを示すシステイン残基が隣接した7マーの
ランダムペプチドからなる組み合わせライブラリーであるPh.D.−C7Cラ
イブラリー(New England BioLabs、カタログ番号8120
)を含む。非還元条件下で、システインは、ジスルフィド結合を形成してそれぞ
れがジスルフィドループ中に拘束されたペプチドが得られた。ライブラリーは、
Ph.D.−7ライブラリーと同様にペプチドがM13のpIIIコートタンパ
ク質にGly−Gly−Gly−Ser可変性リンカーを介して融合された3.
7×109個の独立クローンを含む。拘束されたライブラリーは、エピトープ構
造の同定に有用である。このライブラリーを、7アミノ酸環状化ペプチドの結合
についてスクリーニングした。
【0091】 当該分野に公知の方法および製造者の指示にしたがって、ファージの選択を行
った。「標的」タンパク質、組換えヒトアンジオスタチンタンパク質、または組
換えヒトエンドスタチンタンパク質を湿室中で組織培養プレートに一晩被覆した
。パニングの第1ラウンドでは、約2×1011個のファージを、タンパク質被覆
プレート上で室温で60分間穏やかに撹拌しながらインキュベートした。次いで
、プレートを、標準的な洗浄液(0.1%Tween 20を含むTBS(50
mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl))を用いて数
回洗浄した。次いで、標的タンパク質を用いた溶出後、結合したファージを回収
および増幅した。第2および第3ラウンドのパニングを、必要に応じて行った。
【0092】 最後のスクリーニングのファージ感染細菌の各コロニーを無作為に選択後、フ
ァージDNAを単離し、自動ジデオキシ配列決定法に供した。示されたペプチド
の配列をDNA配列から推定した。
【0093】 ファージディスプレイ法の使用は、血管新生関連タンパク質のレセプターとし
て機能する分子の検出に特に望ましい。例えば、特異的レセプターを、そのリガ
ンドに結合することができるようにファージ表面に示すことができる。次いで、
レセプターを、例えばin vitro変異誘発によって改変し、リガンドによ
り高い結合親和性を有する変異型を選択することができる。本明細書中で使用さ
れる、用語「レセプター」は、特異的血管新生関連タンパク質または特異的血管
新生関連タンパク質の群に結合する分子を意味する。天然「レセプター」を、細
胞集団の表面に発現させ得る、またはこのような分子の細胞外ドメインであり得
る(このような形態は天然に存在するか存在しない)、または血漿中または細胞
もしくは器官内で天然の結合機能を果たす可溶性分子であり得る。
【0094】 あるいは、ファージ−レセプターを、アンジオスタチンタンパク質およびエン
ドスタチンタンパク質、改変リガンド、または潜在的な薬物候補などのリガンド
の結合についての迅速なスクリーニング系の基本として使用することができる。
すなわち、クローニングの単純さ、便利な発現、標準的な試薬、および取扱の容
易さというこの系の利点は、薬物スクリーニングへの適用に特に魅力的である。
【0095】 さらに、ファージ−レセプターを使用して、血管新生および血管新生関連疾患
の発症における血管新生関連タンパク質の役割のより深い理解のために、かつ最
終的には改変するために結合ペプチドおよびタンパク質を同定することができる
。例えば、結合ペプチドを使用して、血管新生関連タンパク質(アンジオスタチ
ンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質など)の活性と相互作用し、かつ
/またはその活性を制御(正または負に)するタンパク質を同定することができ
る。さらに、このような結合ペプチドを使用して、血管新生関連タンパク質輸送
に関与する他のタンパク質および分子、ならびに血管新生関連タンパク質がその
活性を発揮する基質を同定することもできる。
【0096】 血管新生関連タンパク質に結合するペプチドおよびタンパク質の合成後、ペプ
チドおよびタンパク質をin vitroアッセイに添加して、アンジオスタチ
ンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質の生物活性をさらに同定すること
ができる。これらのアッセイは、当業者に周知であり、HUVECおよびBCE
増殖アッセイ、HUVEC創傷/移動(migration)アッセイ、内皮細胞管形成
アッセイ、CAMアッセイ、マトリゲル(Matrigel)浸潤アッセイ、およびラッ
ト大動脈アッセイが含まれる。特に、アンジオスタチンタンパク質またはエンド
スタチンタンパク質の活性を阻害または刺激するペプチドおよびタンパク質を同
定する。このアッセイにおけるアンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質の活性を阻害または刺激するペプチドまたはタンパク質の能力は、
ペプチドまたはタンパク質が、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質とその活性を制御するタンパク質との相互作用を模倣することがで
きることを示す。
【0097】 結合ペプチドおよびタンパク質の生物活性を、in vivoで試験すること
もできる。B16B16転移アッセイまたはルイス肺原発性腫瘍もしくは転移ア
ッセイのいずれかに使用する前に、ペプチドまたはタンパク質を、その標的血管
新生関連タンパク質(アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパ
ク質)とプレインキュベートし得る。このような実験では、標的タンパク質であ
るアンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質と、ペプチドま
たはタンパク質と予め結合させている標的タンパク質であるアンジオスタチンタ
ンパク質またはエンドスタチンタンパク質との比較を行う。ペプチド/標的タン
パク質相互作用がアンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質
の活性に関与する重要な生物学的相互作用を模倣する場合、標的タンパク質の抗
血管新生活性がペプチドまたはタンパク質の結合によって無効になることが予想
されるであろう。
【0098】 ペプチドまたはタンパク質がアンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチ
ンタンパク質と相互作用するタンパク質のエピトープを模倣するかの同定に対す
る相補的アプローチには、抗体を作製するために合成ペプチドおよびタンパク質
が使用されるであろう。これらの抗ペプチドおよび抗タンパク質抗体は、アンジ
オスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質と相互作用するタンパク
質を認識するであろう。アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタン
パク質とその結合タンパク質との相互作用に重要な部位への結合によって、これ
らの抗体は、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質の抗
血管新生活性に影響を与えるであろう。したがって、これらの抗ペプチドおよび
抗タンパク質抗体を、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパ
ク質の活性に影響を与える能力についてアッセイすることができる。
【0099】 抗ペプチドおよび抗タンパク質抗体を使用して、λgt1l発現ライブラリー
などのファージ発現ライブラリーをスクリーニングすることもできる。このよう
なアプローチにより、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパ
ク質と相互作用するタンパク質に対応するcDNAのクローニングが可能であろ
う。いったんcDNAが同定されると、これらを、組換え技術、および単独で同
定するか、またはその標的血管新生関連タンパク質と組み合わせた種々のアッセ
イにおける抗血管新生活性を用いて産生させることができる。
【0100】 上記の方法および以下の実施例に記載の方法を用いて、表1〜表4のペプチド
がアンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質に結合する直鎖
状または環状ペプチドと同定された。
【0101】 2つのファージディスプレイライブラリーをスクリーニングし、第1のライブ
ラリーは、直鎖状7残基ペプチドをコードする直鎖状ライブラリーであり、第2
のライブラリーはジスルフィド拘束ペプチドライブラリーであった。特に、第2
のライブラリーは、1対のシステイン残基が隣接する7マーランダムペプチド配
列からなっていた。システイン残基は、自発的にジスルフィド結合を形成して環
状ペプチドを示すファージが得られる。
【0102】
【表1】
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】
【0105】
【表4】
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】 上記アミノ酸配列に対応する核酸配列を、配列番号43〜80に示す。
【0109】 本発明は、プラスミノーゲンに対してアンジオスタチンタンパク質に優先的に
結合する表5および表6に記載のペプチドを含む。ペプチドの優先的な結合活性
は、好ましいアンジオスタチンタンパク質レセプターがこれらのペプチドの1つ
であることを例示している。
【0110】 さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載されているペプチドに対する相同配
列を共有するタンパク質に関する。このようなタンパク質には、ヒト可能性眼球
転写活性化因子(human possible global transcription activator)、ホスホ
ペントムターゼ、リボヌクレアーゼRH前駆体、大豆初期ノジュリン、JNK活
性化キナーゼ1、IL−12β鎖、グルタチオンレダクターゼ、大豆トリプシン
インヒビター(kunitz)、線維芽細胞第6成長因子、走化性タンパク質、
アネキシンXI、WEE 1、RAS抑制タンパク質1、ATPシンターゼγ鎖
、チオレドキシン、コラゲネーゼ、糖タンパク質B−1前駆体、デヒドロキナ酸
デヒドラターゼ、補体成分C8β鎖、オルニチンデカルボキシラーゼ抗酵素、ア
デニル酸シクラーゼ、およびATPシンターゼα鎖が含まれる。
【0111】 本発明の相同性検索を、FASTA配列類似性検索を用いて行った。ペプチド
配列を、デフォルト設定(ktup 2およびスコア行列としてBLOSUM5
0)を用いてSwissProtデータベースに問い合わせた。W.R./Pe
arson & D.J.Lipman、PNAS、85、2444〜2448
、1998.に記載のように、ワールド・ワイド・ウェブを用いて(サイト:h
ttp://www.fasta.genome.ad.jp/)検索を行った
【0112】 上記表1〜表6に記載のペプチドの同定後、潜在的なレセプターまたはそのフ
ラグメントに相当する、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタン
パク質に結合するペプチドを同定するために、さらなる分析を行った。このよう
なペプチドに対する考察を、以下および実施例に示す。
【0113】 アンジオスタチンタンパク質に結合するタンパク質およびペプチド 本発明は、特に、これに限定されないが血管新生調整のためのラミニンタンパ
ク質、および望ましくない血管新生、特に、腫瘍成長に関連する血管新生の阻害
形態を含む基底膜からなる組成物および方法に関する。以下の実施例に示すよう
に、アンジオスタチンタンパク質(ファージディスプレイ技術で同定)およびラ
ミニンタンパク質(特に、実施例7)に結合するペプチド間の配列類似性の結果
として、ラミニンタンパク質は、アンジオスタンチンタンパク質のレセプターま
たはレセプターと密接に関連する分子を含むと考えられる。さらに、ラミニンタ
ンパク質は、アンジオスタチンタンパク質活性の媒介に関与するタンパク質とも
考えられる。
【0114】 本発明の所見に基づいて、アンジオスタチンタンパク質はラミニンタンパク質
のβ−1鎖と相互作用すると考えられる。ラミニンは、IV型コラーゲン、グリ
コサミノグリカン、およびヘパリンと結合し、細胞接着の促進に関与する細胞外
基質に見出される基底膜由来の非コラーゲン糖タンパク質である。ラミニンタン
パク質は、α鎖、β鎖、およびγ鎖を有するヘテロ3量体である。
【0115】 ラミニンタンパク質のアミノ酸配列を、図6A(配列番号113)に示し、核
酸配列を、図6B(配列番号114)に示す。
【0116】 エンドスタチンタンパク質に結合するタンパク質およびペプチド 本発明は、特に、血管新生調整のためのトロポミオシン、および望ましくない
血管新生、特に、腫瘍成長に関連する血管新生阻害形態を含む方法および組成物
に関する。以下の実施例(特に実施例5、6、8、および9)に示すように、ト
ロポミオシンは、エンドスタチンタンパク質のレセプターまたはレセプターと密
接に関連する分子を含むと考えられる。さらに、トロポミオシンは、エンドスタ
チンタンパク質活性の媒介に関与するタンパク質とも考えられる。
【0117】 以下の理論に拘束されることを望まないが、E37ペプチドはトロポミオシン
タンパク質部分のミモトープと考えら得る。特に、E37ペプチドの三次元形態
はトロポミオシンタンパク質の(三次元)領域と類似している。ミモトープの相
同性を、「形態相同性」として特徴づけることができる。当業者に公知であるよ
うに、タンパク質の三次元折りたたみのために、エピトープは常にタンパク質配
列の直鎖状形態からなるのではない。このようなエピトープを、その形態の非直
鎖状エピトープの形態に対応する直鎖状配列、このようなペプチドをミノトープ
という、によって模倣することができる。本発明の重要な所見は、E37ペプチ
ドがトロポミオシンの実際のリガンド結合部位のミモトープを含むことである。
したがって、驚くべきことに、本発明の所見は、エンドスタチンタンパク質レセ
プターを定義するだけでなく、E37ペプチドによって示された実際のリガンド
結合ドメインも定義する。
【0118】 実施例でさらに詳述するように、in vitroおよびin vivo実験
により、トロポミオシンはエンドスタチンタンパク質のレセプターまたはレセプ
ターに密接に関連する分子を含むことが示される。E37に対する抗体は、E3
7ペプチドおよびトロポミオシンが共通のエピトープを共有することを示し、こ
れは、このエピトープによってエンドスタチンタンパク質およびトロポミオシン
が結合し、エンドスタチンタンパク質の抗血管新生活性がこの相互作用によって
媒介されると考えられる。さらに、in vivo実験によって、エンドスタチ
ンタンパク質の抗腫用活性はE37ペプチドの存在下で著しく減少するという結
論が支持される。
【0119】 以下の理論に拘束されることを望まないが、トロポミオシンとエンドスタチン
タンパク質との結合および血管新生に対するこの相互作用の結果のさらなる支持
は、周皮細胞に対するこのような結合の効果に由来し得る。内皮細胞が血管新生
によって新規の血管を形成した後、この血管は未熟で比較的不安定である(退行
されるか容易に再構築され得る)。血管がより成熟して安定になるにつれて、血
管は周皮細胞と会合し、内皮細胞周囲にバリアを形成する。この過程のいくつか
の時点で、周皮細胞は線維芽細胞に分化する。周皮細胞に会合した血管は退行す
ることができないこと、およびこれによりなぜアンジオスタチンタンパク質また
はエンドスタチンタンパク質などの抗血管新生化合物が腫瘍の脈環構造を標的し
、活発な器官の維持に必要な血管を標的しないかということを説明することがで
きるいくつかの証拠が存在する。
【0120】 エンドスタチンタンパク質は、PDGF−BBまたは周皮細胞の20%ウシ胎
児血清刺激初代培養物の増殖を阻害し、線維芽細胞程度を抑制する。より詳細に
は、エンドスタチンタンパク質は、PDGF−BBまたは20%ウシ胎児血清に
応答して増殖が刺激された周皮細胞の初代培養物へのチミジン取り込みを持続的
に減少させて、線維芽細胞レベルを抑制する。この結果を、MTT増殖キットを
用いて確認した。
【0121】 さらに、エンドスタチンタンパク質は、周皮細胞の線維芽細胞への分化に影響
を与えないようであるが、増殖阻害は周皮細胞/線維芽細胞分化経路にしたがっ
た分化の程度に依存して変化する。エンドスタチンタンパク質は、分化のより早
い段階で細胞により高い効果がある傾向がある。このような細胞は全細胞数のほ
んの一部分であるが、その増殖阻害は最終全細胞数に有意に影響を与え得る。初
期の細胞分化経路の細胞におけるエンドスタチンタンパク質の効果により、最終
全細胞数の70〜80%が減少する。エンドスタチンタンパク質はまた、これら
の細胞の形態を変化させる。
【0122】 エンドスタチンタンパク質に結合すると最初に同定されたトロポミオシンのイ
ソフォーム(哺乳動物細胞によって発現されるトロポミオシンの異なるイソフォ
ーム(タイプ)が20種類以上存在する)は、線維芽細胞トロポミオシンであっ
た。以下の理論に拘束されることを望まないが、トロポミオシンはエンドスタチ
ンタンパク質の作用機構に関与するので、周皮細胞はそれらが線維芽細胞トロポ
ミオシンを発現していることにより阻害されると考えられる。エンドスタチンタ
ンパク質は、ヒト心臓トロポミオシンに結合しないので、これは、全てのトロポ
ミオシンのイソフォームがエンドスタチンタンパク質に結合するわけではないこ
とを示す。したがって、エンドスタチンタンパク質の細胞のタイプの特異性を、
発現されるトロポミオシンのイソフォームによって説明することができる。本発
明者らはまた、エンドスタチンタンパク質が線維芽細胞表面に結合するというこ
とを証明した。
【0123】 以下の理論に拘束されることを望まないが、エンドスタチンタンパク質とトロ
ポミオシンとの相互作用の結果として、エンドスタチンタンパク質は周皮細胞分
化を阻害し、これらの細胞をアポトーシス経路に誘導すると考えられる。
【0124】 本発明は、さらに、以下の実施例によって例示されるが、本発明の範囲を限定
すると決して解釈されない。それに対して、本手段は本発明の精神および/また
は添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく他の実施形態、変形形態、お
よびその等価物に変更することができ、これらは本明細書中の説明を通読後に当
業者が示唆できることが明確に理解される。
【0125】 [実施例] 実施例1 血管新生関連結合ペプチドの同定 「ファージディスプレイライブラリー」は、ファージコートタンパク質との融
合物としてクローン化タンパク質配列の収集物を発現するベクター中に構築され
たタンパク質発現ライブラリーである。したがって、本発明に関して、血管新生
関連タンパク質への潜在的な結合能力を有する一本鎖組換えタンパク質を、ファ
ージ粒子の外側への融合タンパク質として示す。この「設置」により、組換え結
合タンパク質と固定タンパク質(アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタ
チンタンパク質など)との間の接触および結合を有利に可能にする。血管新生関
連タンパク質に結合するファージを回収することができる。次いで、それぞれの
ファージをクローン化し、クローン化ファージによって発現されるペプチドを同
定することができる。血管新生関連タンパク質に特異的な結合ペプチドを発現す
るファージクローンを、固定タンパク質への一連のラウンドのファージ結合、お
よび細菌宿主細胞中での成育による増幅によって実質的に富化させることができ
る。
【0126】 種々の型の分子、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、およびそのフラグメ
ントの種々の集団を含むライブラリーの調製法は当該分野で周知であり、市販さ
れている(例えば、Ecker and Crooke、Biotechnol
ogy、13、351〜360、1995、および本明細書中の引例(それぞれ
、本明細書中に参照により援用される)を参照のこと)。
【0127】 分子がペプチド、タンパク質、またはそのフラグメントである場合、分子をi
n vitroで直接産生させることができる、または、in vitroで産
生させた核酸から発現させることができる。ペプチドの合成法および核酸化学は
、当業者に周知である。
【0128】 分子のライブラリーを、例えば、目的の細胞、組織、器官、または生物から回
収したmRNA由来のcDNA発現ライブラリーの構築によって産生させること
もできる。このようなライブラリーの作製法は、当該分野で周知であり(例えば
、Sambrook et al.、Molecular Cloning:A
laboratory manual(Cold Spring Harbo
r Laboratory Press、1989、最新版)、本明細書中に参
照により援用される)を参照のこと。好ましくは、cDNAによってコードされ
るペプチドを、cDNAを含む細胞またはウイルスの表面で発現させる。例えば
、cDNAを、ファージベクターにクローン化させることができ、発現の際、コ
ードされたペプチドを融合タンパク質としてファージ表面に発現させる。
【0129】 ファージディスプレイ技術を使用して、アンジオスタチンタンパク質またはエ
ンドスタチンタンパク質に結合するペプチドおよびタンパク質配列を同定し、ア
ンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質と相互作用するエフ
ェクター分子のエフェクター結合部位を模倣するペプチドも同定した。
【0130】 材料と方法 ファージディスプレイライブラリー Ph.D.−7ファージディスプレイライブラリー(New England
BioLabs、カタログ番号8100)である7マーのランダムペプチドか
らなる組み合わせライブラリーを、7アミノ酸結合ペプチドについてスクリーニ
ングした。Ph.D.−7ファージディスプレイライブラリーは、M13のpI
IIコートタンパク質にGly−Gly−Gly−Ser可変性リンカーを介し
て融合させた直鎖状7マーペプチドからなる。ライブラリーは、2.8×109
個の独立クローンを含む。Ph.D.ライブラリーは、短鎖アミノ酸中に集約さ
れた結合エレメントを必要とする標的の同定に有用である。
【0131】 Ph.D.−C7Cライブラリー(New England BioLabs
、カタログ番号8120)は、非変性条件下でジスルフィド結合して環状ペプチ
ドを示すシステイン残基に隣接した7マーのランダムペプチドからなる組み合わ
せライブラリーである。非環元条件下で、システインはジスルフィド結合を形成
して、ジスルフィドループ中に拘束されたペプチドが得られた。ライブラリーは
、Ph.D.−7ライブラリーと同様にペプチドがM13のpIIIコートタン
パク質にGly−Gly−Gly−Ser可変性リンカーを介して融合された、
3.7×109個の独立クローンを含む。拘束されたライブラリーは、構造エピ
トープの同定に有用である。Ph.D.−C7Cライブラリーを、7アミノ酸環
状化ペプチドの結合についてスクリーニングした。
【0132】 全ての可能な7マー配列の代表を含み、十分に特徴づけられたライブラリーで
もあるので、この特定のライブラリーを選択した。さらに、短鎖標的配列は、典
型的には、強力な相互作用が同定される高親和性相互作用でほとんど結合されな
い。要するに、このライブラリー中のペプチドは、より高い親和性で結合するよ
うに結合させるので、標的タンパク質の天然のリガンドを模倣する可能性が増大
する。
【0133】 ファージの選択 製造者の指示にしたがって、ファージディスプレイライブラリーをスクリーニ
ングした。約100μg/mlの組換えヒトアンジオスタチンタンパク質、K1
−4タンパク質、または組換えヒトエンドスタチンタンパク質を、4℃の湿室中
で6mmの組織培養プレート上に一晩被覆した。パニングの第1ラウンドでは、
2×1011個のファージを、タンパク質被覆プレート上で室温で60分間穏やか
に撹拌しながらインキュベートした。プレートを、0.1%Tween 20を
含むTBS(50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaC
l)を用いて6回洗浄した。100μg/mlの標的タンパク質を用いて溶出し
た後、結合ファージを回収および増幅した。第2および第3のパニングを、0.
5%Tween 20を含むTBS洗浄緩衝液以外は第1のスクリーニングと同
様に行った。
【0134】 アンジオスタチン関連結合ペプチドの配列決定 第3のスクリーニング後、10〜12個のそれぞれのファージ感染細菌クロー
ンを無作為に選択し、ファージDNAを単離して自動ジデオキシ塩基配列決定法
に供した。示されたペプチドの配列を、DNA配列から推定した。
【0135】 結果 以下の表7〜表10に示したペプチドは、アンジオスタチンタンパク質または
エンドスタチンタンパク質に結合する直鎖状または環状ペプチドとして同定した
【0136】
【表7】
【0137】
【表8】
【0138】
【表9】
【0139】
【表10】
【0140】 実施例2 プラスミノーゲンよりアンジオスタチンタンパク質に優先的に結合する結合ペプ
チドの同定 実施例1に記載の直鎖状(Ph.D.−7)および拘束(Ph.D.−C7C
)ライブラリーを、アンジオスタチンタンパク質特異的結合クローン、プラスミ
ノーゲンに対してアンジオスタチンタンパク質に優先的に結合するファージにつ
いてスクリーニングした。
【0141】 材料と方法 以下のように、両ライブラリーに対して4ラウンドのスクリーニングを行った
【0142】 ラウンド1 ・2×1011個のファージをアンジオスタチンタンパク質被覆プレートに結合さ
せる。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを100μg/mlプラスミノーゲンで溶出する。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを100μg/mlアンジオスタチンタンパク質K1−4で溶出する
。 ・アンジオスタチンタンパク質溶出ファージを増幅する。 ラウンド2 ・2×1011個の増幅初代スクリーニングアンジオスタチンタンパク質溶出ファ
ージをアンジオスタチンタンパク質被覆プレートに結合させる。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを100μg/mlプラスミノーゲンで溶出し、プレートを10回洗
浄し、ファージを100μg/mlアンジオスタチンタンパク質K1−4で溶出
する。 ・アンジオスタチンタンパク質溶出ファージを増幅する。 ラウンド3 ・2×1011個の増幅第2世代スクリーニングアンジオスタチンタンパク質溶出
ファージをアンジオスタチンタンパク質被覆プレートに結合させる。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを200μg/ml lys−プラスミノーゲンで溶出する。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを100μg/mlアンジオスタチンタンパク質K1−4で溶出する
。 ・アンジオスタチンタンパク質溶出ファージを増幅する。 ラウンド4 ・2×1011個の増幅第3世代スクリーニングアンジオスタチンタンパク質溶出
ファージをアンジオスタチンタンパク質被覆プレートに結合させる。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを200μg/ml lys−プラスミノーゲンで溶出する。 ・プレートを10回洗浄する。 ・ファージを100μg/mlアンジオスタチンタンパク質K1−4で溶出する
【0143】 溶出ファージを滴定し、プレートあたり約75pfuで接種した。直鎖状ライ
ブラリー(クローンPAL49〜PAL−72)および拘束ライブラリー(クロ
ーンPAC−73〜PAC−96)からそれぞれ24個のプラークを選択し、フ
ァージを増幅させた。
【0144】 滴定しなかったファージを、ELISAアッセイにおいてアンジオスタチンタ
ンパク質およびプラスミノーゲンへの結合能力についてアッセイした。ファージ
の1:4〜1:65の範囲の4倍希釈物の536体を試験した。いくつかのファ
ージは、プラスミノーゲンと比較してアンジオスタチンタンパク質に優先的に結
合すると同定された。これらのファージを、さらなる分析用に選択した。
【0145】
【表11】
【0146】
【表12】
【0147】 実施例3 ファージディスプレイ技術およびELISAアッセイを用いたアンジオスタチン
関連結合ペプチドの比較 New England BioLabsが推奨するように、改変ELISA
アッセイを使用して標的タンパク質へのファージの結合特異性を同定した。標的
タンパク質(アンジオスタチンタンパク質、エンドスタチン、プラスミノーゲン
)で被覆したプレートで、約6.25×1010〜2×105個のファージ粒子の
4倍連続希釈物を96ウェルプレート中でインキュベートした。プレートを0.
5%Tween 20を含むTBSで6回洗浄後、1:5000希釈のHRP結
合抗M13抗体(Pharmacia#27−9411−01)とインキュベー
トした。プレートを0.5%Tween 20を含むTBSで6回洗浄後、AB
TS(2,23−アジノ−ビス(3−エチルベンズ−チアゾリン−6硫酸))ペ
ルオキシダーゼ基質溶液と室温で10〜60分間インキュベートした。プレート
を、Molecular Devices Spectra MAX 250マ
イクロプレートリーダーおよびSOFTmax(商品名)Proソフトウェアを
用いて410nmの吸光度を読み取った。
【0148】 図4および図5に示すように、ファージディスプレイ技術を用いて選択したペ
プチドは、プラスミノーゲンよりも標的タンパク質アンジオスタチンタンパク質
に優先的に結合した。
【0149】 実施例4 アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質と結合すると同定
されたペプチドに対する配列相同性を保有するタンパク質の同定 アンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク質と結合すると、
以前に同定されているペプチド(A1〜A11、E12〜E22、A25〜A3
6、E37〜E48、PAL−49、51、54、56、66、69、70、お
よびPAC−77、78、82、88、および91)と配列相同性を共有するタ
ンパク質についてタンパク質データベースを検索した。ペプチドが短鎖である(
検索に使用した配列が短いほど特異性が低い)ので、同定したペプチドと相同性
を共有する非常に多数のタンパク質が見出された。最も高い相同性を有するか生
物学的に興味深いと思われるペプチドの選択を、表13および表14で示した。
PALおよびPACペプチドと最も高い相同性を有するか生物学的に興味深いと
思われるタンパク質の選択を、表15および表16に示す。
【0150】 相同性検索を、FASTA配列類似性検索を用いて行った。ペプチド配列を、
デフォルト設定(ktup 2およびスコア行列としてBLOSUM50)を用
いてSwissProtデータベースに問い合わせた。W.R/Pearson
& D.J.Lipman、PNAS、85、2444〜2448、1998
、本明細書に参照により援用される、に記載のように、ワールド・ワイド・ウェ
ブを用いて、サイト:http://www.fasta.genome.ad
.jp/、検索を行った。
【0151】
【表13】
【0152】
【表14】
【0153】 高い相同性を有し、かつ生物学的に興味深いと思われるペプチドのさらなる選
択を、表15および表16に示す。
【0154】
【表15】
【0155】
【表16】
【0156】 実施例5 トロポミオシンとのアンジオスタチンタンパク質およびエンドスタチンタンパク
質の相互作用 アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質と結合したペプ
チドがアンジオスタチンタンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質と
結合するより大きなタンパク質の結合ドメインを示すという理論的根拠に基づい
て、アンジオスタチンタンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質結合
ペプチドおよびタンパク質は対応する抗ペプチド抗体によって認識される共通の
モチーフを共有すると理論付けられた。したがって、HUVEC発現ライブラリ
ーを、A10およびE37ペプチド(A10ペプチドはアンジオスタチンタンパ
ク質に結合し、E37ペプチドはエンドスタチンタンパク質に結合する、実施例
1および実施例2を参照のこと)に対する抗体を用いてスクリーニングした。こ
れにより、ヒトトロポミオシンをコードする多数のクローンが単離された。
【0157】 以下の理論に拘束されることを望まないが、エンドスタチンタンパク質に結合
するタンパク質およびペプチドはトロポミオシンを含み、この相互作用により、
その血管新生効果を発揮すると考えられる。単離クローンのDNA配列に基づい
て、トロポミオシンを同定した。A10およびE37抗体によって認識されるク
ローンの5プライム末端および3プライム末端を、日常的なDNA配列決定技術
によって決定した。次いで、得られた配列を、GeneBankデータベース(
DNA配列)に対してBLASTを用いて検索したところ、本発明者らの5プラ
イムおよび3プライム末端配列は共にヒトトロポミオシンmRNAと高い類似性
が認められた。デフォルト設定(スコア行列としてBLOSUM62)を用いた
WWWサイト:http://www.blast.genome.ad.jp
lを用いてBLAST検索を行った。以下にBLAST検索の結果を示す。
【0158】
【表17】
【0159】
【表18】
【0160】
【表19】
【0161】
【表20】
【0162】 実施例6 エンドスタチンタンパク質に結合することができるペプチドの同定 上記実験の所見の結果として、HUVECλUni−ZAP XR cDNA
ライブラリー由来の9つのクローンを、これらのクローンがA10およびE37
ペプチドに対して作成されたポリクローナル抗体によって認識されるタンパク質
を発現する所見に基づいて精製した(実施例1および実施例2を参照のこと)。
配列決定データは、9クローン中6クローンがトロポミオシンをコードすること
を示した。1クローンについては配列決定反応ができなかったが、制限分析では
これもトロポミオシンをコードすることが示された。したがって、9クローン中
7クローンがトロポミオシンをコードする。
【0163】 1つのクローンは、ヒトグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G
APDH)をコードする。この配列のGenBankアクセッション番号は、H
UMG3 PDCである。
【0164】 他のクローンは、Jia骨髄ストロマホモサピエンスcDNAクローンと相同
性を共有する(cr36c10.x1)。この配列のGenBankアクセッシ
ョン番号は、AI755161である。
【0165】 DNA配列分析により、1つのクローン、PL26/2の5’末端はGAPD
Hをコードする一方で、3’末端はグルタミン酸が豊富なタンパク質に結合する
SH 3ドメイン(SH#BGRL、GenBankアクセッション番号AFO
42081)をコードすることが示された。
【0166】 以下の理論に拘束されることを望まないが、抗E37抗体は抗A10抗体より
も高い親和性でトロポミオシンを認識すると考えられる。
【0167】 トロポミオシンを認識する抗体を用いて、トロポミオシンとエンドスタチンタ
ンパク質との相互作用を分析する。また、トロポミオシンの局在を示し、内皮細
胞表面上のその推定位置を示すためにFACS分析を行う。HUVEC細胞表面
へのエンドスタチンタンパク質の結合のさらなる妨害実験およびアンジオスタチ
ンタンパク質についての比較アッセイを行う。アンジオスタチンタンパク質およ
び/またはエンドスタチンタンパク質に対する抗体を用いた免疫沈降を含むさら
なる実験を行って、得られたトロポミオシンの同時沈殿に基づいたレセプター/
タンパク質対合およびその逆を確認した。
【0168】 E.coliにおけるグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)融合タン
パク質としてのエンドスタチンタンパク質の発現によって、結合、例えば、トロ
ポミオシンへのエンドスタチンタンパク質の結合の確認を行う。エンドスタチン
−GSTを、親和性基質に結合させ、HUVEC抽出物とインキュベートした。
洗浄後、タンパク質を溶出させ、SDS−PAGEゲルで泳動し、抗トロポミオ
シン抗体を用いてウェスタンブロットプロービングを行う。エンドスタチンタン
パク質とトロポミオシンとの相互作用により、ウェスタンブロットにおいてトロ
ポミオシンが検出される。トロポミオシン−GSTおよび粗エンドスタチンタン
パク質を含む溶菌液(おそらくPiciaブロス)を用いてこの実験の逆も行う
【0169】 血管新生に関するエンドスタチンタンパク質活性に関与するトロポミオシンの
役割を同定するためのin vivo実験も行う。このような実験の1つでは、
抗トロポミオシン抗体をエンドスタチンタンパク質と同時投与する。エンドスタ
チンタンパク質とのトロポミオシンの相互作用の確認は、アンジオスタチンタン
パク質またはエンドスタチンタンパク質に典型的に起因する抗腫用活性の消失(
negation)による。別の型のin vivo実験では、トロポミオシンを組換え
発現させ、アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパク質のいず
れかと同時投与して、通常アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタ
ンパク質に関連する抗腫瘍活性に対する効果を観察する。
【0170】 別の実験では、標識アンジオスタチンタンパク質またはエンドスタチンタンパ
ク質(すなわち、ビオチン標識エンドスタチンタンパク質)を、腫瘍保有マウス
に投与して標識タンパク質(すなわち、結合部位)の最終結果を同定する。本発
明の別の態様では、免疫組織学的技術を用いて標識タンパク質およびトロポミオ
シンが共存するかどうかを観察する。当該分野で公知のように、トロポミオシン
は、細胞の形態および運動性において鍵となる役割を果たす線維の形成に関与す
る。したがって、本発明のさらに別の態様では、免疫蛍光を使用してトロポミオ
シンによって通常調節される細胞の組織化に対するアンジオスタチンタンパク質
および/またはエンドスタチンタンパク質の効果を研究する。
【0171】 実施例7 ラミニンタンパク質およびアンジオスタチンタンパク質の相互作用 アンジオスタチンタンパク質の潜在的なレセプター、またはレセプターもしく
は結合パートナーを含む分子を同定するために以下の実験を行った。
【0172】 材料と方法 アンジオスタチンタンパク質に対するバイオパニングによって得られたペプチ
ドの配列を変えて、多コピーの配列を取り除いた。これにより、以下の配列が残
存し、これを配列の特定のクラスに列挙した。
【0173】 I.データ
【0174】
【表21】
【0175】
【表22】
【0176】 II.データベース検索 配列データベースの明らかな検索により、アンジオスタチンタンパク質の潜在
的な標的であるいかなるヒトタンパク質も同定されなかった。特に、以下の配列
を含むタンパク質について検索を行った。
【0177】
【表23】
【0178】 これらのモチーフは、プラスミノーゲンの天然の基質であるフィブリノーゲン
中に存在しなかった。アンジオスタチンタンパク質選択ペプチドに対する類似性
を用いて、より詳細なフィブリノーゲンペプチドの検索を行った。以下に概説す
るように、この検索により、フィブリノーゲンα鎖中に選択ペプチドに有意な類
似性を有する多数の位置が同定された。
【0179】 選択ペプチドに類似性を有するフィブリノーゲン配列の存在により、さらなる
データベース検索を行い、ERVN(配列番号109)はラミニンβ1鎖中に存
在するテトラペプチドと同定された。しかし、ラミニンのより詳細な検索により
、アンジオスタチンタンパク質がラミニンβ1タンパク質に結合する可能性にさ
らに重点を置く(以下を参照のこと)。
【0180】 III.フィブリノーゲン プラスミノーゲンの天然の基質はフィブリノーゲンである。いくつかの研究に
より、無傷のクリングルドメインを含むプラスミノーゲンのフラグメントはフィ
ブリンに結合することが示されている。例えば、Wu et al.、J.Bi
ol.Chem.、265、19658〜64、1990は、クリングル1〜3
を含むプラスミノーゲンフラグメントはフィブリンに結合するが、クリングル1
〜5を含むフラグメントより親和性が低いことを示した。クリングル4はフィブ
リンに結合しないことが示された。フィブリンへのプラスミノーゲンの結合はリ
ジンとフィブリンとの相互作用に関連し、この結合をリジンアナログによって阻
害することができる。クリングル3のみは、リジン結合モチーフを欠くようであ
る(Cao et al.、J.Biol.Chem.、271、29461〜
29467、1996)。
【0181】 アンジオスタチンタンパク質選択ペプチド中の多数のリジンは、無傷のクリン
グルドメインを含むプラスミノーゲンおよびプラスミノーゲンフラグメントの公
知のリジン結合特性に一致する(リジン親和性は、k4>k1>k2>k3であ
る(なし))。フィブリン上のプラスミノーゲン結合部位は、未だ同定されてい
ない(例えば、Weisel et al.、1994、J.Mol.Biol
.、235、1117〜1135を参照のこと)。しかし、フィブリノーゲン中
には選択ペプチドと有意な相同性を有する多数の配列が存在する。これらの配列
はプラスミノーゲン結合に潜在的に関与し、以下の配列を含む。
【0182】
【表24】
【0183】 これらの結果により、フィブリノーゲン上のプラスミノーゲン結合部位につい
ての有意で重要な情報が得られる。
【0184】 IV.ラミニンβ1鎖 ラミニンβ1鎖は、1786アミノ酸長であり、約1%の無作為な変化により
ラミニンが任意のテトラペプチドを有する可能性がある。ラミニンタンパク質の
アミノ酸配列を図6A(配列番号113)に示し、核酸配列を図6B(配列番号
114)に示す。1つの60アミノ酸長領域中にアンジオスタチンタンパク質選
択ペプチドに対応する3つのモチーフが存在する(図7を参照のこと)。
【0185】 ラミニンの非常に小さな領域中に3つの推定接触モチーフが集中していること
は、アンジオスタチンタンパク質がラミニンタンパク質に結合する可能性を強く
支持する。
【0186】 V.ラミニンβ1鎖ドメイン構造 ラミニンは、それぞれ1つのα鎖、β鎖、γ鎖で分子を形成するヘテロトレマ
ー分子である。この3つの鎖は、分子内のいくつかの場所で三重らせんコイルド
コイルを形成する。推定結合部位は、ドメインIIと呼ばれるラミニンβ1鎖部
分に存在する。この分子は、以下のように組織された基底膜の複雑な複数のドメ
イン成分である。
【0187】
【表25】 アミノ酸範囲 特徴 1− 21 単一配列 22− 270 N−末端ドメイン 271− 540 4=1/2 EGF様ドメイン(完全4,部分1) 541− 771 ラミニン ドメイン 772−1178 8EGF様ドメイン 1179−1397 ドメインII 1216−1315コイルドコイル(約150オング ストローム長) 1353−1388コイルドコイル(約54オングス トローム長) 1398−1430 ドメインα 1431−1786 ドメインI 1442−1481コイルドコイル(約510オング ストローム長)
【0188】 推定結合部位は、ドメインII中に存在する。第1の2部位は、2つのコイル
ドコイルとの間のドメインII部分に存在する(第2の結合部位は、第2のコイ
ルドコイル開始の直前に存在する)。第3の部位は、第2のコイルドコイル領域
のほぼ末端であるがその領域内(このコンセンサス配列の切断部分(breaks)と
一致する、αヘリックス部分と推定される)に存在する。したがって、部位2お
よび部位3は、55オングストロームも離れており、ほとんどのコイルドコイル
によって分離されている。
【0189】 VI.マウスラミニン マウスラミニンは市販されている。マウスラミニンβ1鎖は、ヒトラミニンと
90%同一で94%類似している。推定結合部位では、第1の部位の第1のアミ
ノ酸のみが異なる。したがって、アンジオスタチンタンパク質がヒトラミニンに
結合する場合、ほぼマウスラミニンにも結合するであろう。
【0190】 VII.アンジオスタチンタンパク質の分子機構 ペプチドのファージディスプレイライブラリーのスクリーニングによって、フ
ィブリノーゲンおよびラミニンβ1鎖タンパク質の配列に類似性を示すペプチド
を同定した。アンジオスタチンタンパク質はラミニンβ1鎖タンパク質に親和性
を有すると考えられる。ラミニンタンパク質はアンジオスタチンタンパク質のレ
セプターまたはレセプターもしくは結合パートナーを含む分子を含むとさらに考
えられる。
【0191】 ラミニンタンパク質を認識する抗体を使用して、ラミニンタンパク質とアンジ
オスタチンタンパク質との相互作用を分析する。また、ラミニンタンパク質の局
在を示し、内皮細胞表面上のその位置を示すためにFACS分析を行う。HUV
EC細胞表面へのアンジオスタチンタンパク質の結合を妨害するさらなる実験、
およびエンドスタチンタンパク質についての比較アッセイを行う。アンジオスタ
チンタンパク質および/またはエンドスタチンタンパク質に対する抗体を用いた
免疫沈降を含むさらなる実験を行い、得られたラミニンタンパク質同時沈殿に基
づいたレセプター/タンパク質対合およびその逆を確認する。
【0192】 実施例8 トロポミオシンとエンドスタチンタンパク質とのin vitro相互作用 トロポミオシンとエンドスタチンタンパク質との相互作用を評価するために、
以下の実験を行った。
【0193】 材料と方法 この実験では、96ウェルプレートのウェルを、5μg/mlのエンドスタチ
ンタンパク質またはBSAタンパク質のいずれかで被覆した。
【0194】 ウェルを、トロポミオシンタンパク質を含んでいる、または含んでいないE.
coliの連続希釈物の存在下でインキュベートした。
【0195】 ウェルを洗浄して抗トロポミオシン抗体とインキュベートした後、抗マウスI
gG APと抗体を結合させ、KPL Blue Phosミクロウェルフォス
ファターゼ溶液を用いて発色させた。室温でのインキュベートから1時間後にO
D635を測定し、結果をグラフにプロットした(図8を参照のこと)。
【0196】 以下の4つの条件を試験した。 1)BSA被覆ウェル+トロポミオシンを含むE.coli溶菌液。 2)エンドスタチンタンパク質被覆ウェル+トロポミオシンを含むE.coli
溶菌液。 3)エンドスタチンタンパク質被覆ウェル+トロポミオシンを含まないE.co
li溶菌液。 4)BSA被覆ウェル+トロポミオシンを含まないE.coli溶菌液。
【0197】 結果と結論 グラフに示した結果によって示されるように(図8)、トロポミオシンを含む
E.coli溶菌液をエンドスタチンタンパク質被覆ウェル上でインキュベート
した場合(サンプル2)、ウェルをBSA被覆した場合またはE.coli溶菌
液中にトロポミオシンを含まない場合より非常に多数のトロポミオシンが結合す
る。OD635が高いほどより多数のトロポミオシンがプレートに結合されてい
る。
【0198】 したがって、この実験結果は、トロポミオシンとエンドスタチンタンパク質と
の正の結合相互作用を示す。
【0199】 実施例9 E37ペプチドとエンドスタチンタンパク質とのin vivo相互作用 E37ペプチドとエンドスタチンタンパク質との相互作用を同定するために以
下の実験を行った。
【0200】 材料と方法 B16BL6実験転移アッセイの簡単な説明を以下に示す。このアッセイは、
当業者に周知であり、詳細は米国特許出願第09/413,049号および国際
特許出願PCT/US99/11418号を参照のこと。
【0201】 5×104個のB16BL6細胞の200μlPBS溶液をC57BL/6J
マウスに尾静脈を介して注射した。注射3日後から治療を開始した。以下に8つ
の投与群を示す。 1)クエン酸・リン酸/PBS緩衝液 2)30μgエンドスタチンタンパク質(100μl PBS溶液中) 3)30μgエンドスタチンタンパク質(200μl PBS溶液中) 4)30μgエンドスタチンタンパク質+50倍モル過剰のコントロールペプチ
ド(200μl PBS溶液中) 5)30μgエンドスタチンタンパク質+250倍モル過剰のコントロールペプ
チド(200μl PBS溶液中) 6)30μgエンドスタチンタンパク質+10倍モル過剰のE37ペプチド(2
00μl PBS溶液中) 7)30μgエンドスタチンタンパク質+50倍モル過剰のE37ペプチド(2
00μl PBS溶液中) 8)30μgエンドスタチンタンパク質+250倍モル過剰のE37ペプチド(
200μl PBS溶液中)
【0202】 上記用量を胸腔後部に11日間毎日皮下投与した。全てのマウスを屠殺し、肺
を取り出し、各動物における表面転移数を立体顕微鏡で計数した。
【0203】 結果 本実験結果の要約を以下に列挙し、本実験の詳細な結果を図9に示す(図中、
各肺の転移数、平均、標準偏差、T/Cおよび2−テイル(2-tailed)T−テス
トの結果を列挙する)。結果を、図10にグラフで示す。
【0204】 エンドスタチンタンパク質のみでは、約79%の肺転移形成を阻害する。 エンドスタチンタンパク質+50倍モル過剰のネガティブコントロールペプチ
ドは約79%の肺転移形成を阻害する。 エンドスタチンタンパク質+250倍モル過剰のネガティブコントロールペプ
チドは約73%の肺転移形成を阻害する。 エンドスタチンタンパク質+10倍モル過剰のE37ペプチドは約76%の肺
転移形成を阻害する。 エンドスタチンタンパク質+50倍モル過剰のE37ペプチドは約61%の肺
転移形成を阻害する。 エンドスタチンタンパク質+250倍モル過剰のE37ペプチドは約21%の
肺転移形成を阻害する。
【0205】 結論 本研究は、E37ペプチドおよびエンドスタチンタンパク質はin vivo
で相互作用することを示す。本発明者らは、E37ペプチド(ランダムコントロ
ールペプチドではない)の存在下で、エンドスタチンタンパク質の抗腫瘍活性が
阻害されたことに基づいてこの仮説を立てた。本発明者らは、この仮説から、E
37ペプチドの存在下でのエンドスタチンタンパク質活性の減少は、エンドスタ
チンタンパク質へのE37ペプチドの結合の結果であると結論付ける。エンドス
タチンタンパク質へのE37ペプチドの結合の効果は、エンドスタチンがそのレ
セプター/結合タンパク質(本発明者らはトロポミオシンであると主張する)に
もはや結合することができないということである。
【0206】 上記は本発明の好ましい実施形態にのみ関連し、添付の特許請求の範囲に記載
の本発明の精神および範囲を逸脱することなく多数の変形形態または変更形態を
行うことができると理解されるべきである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 ヒトプラスミノーゲン構造およびそのクリングルフラグメント構造の略図を示
す。ヒトプラスミノーゲンは、Asn289でN結合したグリコシル化部位の片側
を有する791アミノ酸を含む一本鎖タンパク質である。ヒトプラスミノーゲン
の非プロテアーゼ領域は、クリングルと呼ばれる丸印で示した5つの個別のドメ
イン(K1、K2、K3、K4、およびK5)、およびこれらの構造を分離する
タンパク質配列(またはアミノ酸配列)に存在するN末端561アミノ酸からな
る。それぞれ3つのジスルフィド結合クリングルは、約80個のアミノ酸を含む
。アンジオスタチンは、これらのクリングルドメインの最初の4つ(K1−4)
を対象とし、クリングル3(K1−3)、およびクリングル4(K4)を、ヒト
プラスミノーゲンのエステラーゼ消化によって得る。クリングルフラグメントの
残りは、E.coli.で発現した組換えタンパク質である。「SS」は、シグ
ナル配列を示す。「PA」は、前活性化タンパク質を示す。
【図2】 ヒトアンジオスタチンタンパク質の好ましいアミノ酸配列を示す図である。
【図3】 ヒトエンドスタチンタンパク質の好ましいアミノ酸配列を示す図である。
【図4】 プラスミノーゲンよりアンジオスタチンタンパク質の方が線状ペプチド(ディ
スプレイ技術によって選択)との結合を優先することを示すグラフである。
【図5】 プラスミノーゲンよりアンジオスタチンタンパク質の方が環状ペプチド(ディ
スプレイ技術によって選択)との結合を優先することを示すグラフである。
【図6A】 ラミニンタンパク質の全アミノ酸配列(配列番号113)を示す図である。
【図6B】 ラミニンタンパク質の全ヌクレオチド酸配列(配列番号114)を示す図であ
る。
【図7】 1つの60アミノ酸長領域中のアンジオスタチンタンパク質選択ペプチドに対
応するラミニンタンパク質の3つのモチーフを示す図である。
【図8】 トロポミオシンとエンドスタチンタンパク質との相互作用を示すELISAア
ッセイの結果を示すグラフである。
【図9】 ペプチドE37とエンドスタチンタンパク質との相互作用のin vivo評
価実験の結果を示す図である。
【図10】 ペプチドE37とエンドスタチンタンパク質との相互作用のin vivo評
価実験の結果を平均、標準偏差、T/C、および2−テイル T−テスト(2-ta
iled T-テスト)の結果として示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C07K 14/705 ZCC 43/00 G01N 33/15 Z C07K 14/705 ZCC 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 33/566 33/53 A61K 35/76 33/566 45/00 // A61K 35/76 48/00 45/00 C12N 15/00 ZNAA 48/00 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA26 DA36 FB03 4B024 AA01 AA15 BA63 CA04 HA15 4C084 AA02 AA03 AA13 AA17 CA53 NA14 ZA332 ZA362 ZB152 ZB262 ZC412 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA14 ZA33 ZA36 ZB26 ZC41 4H045 AA10 AA30 BA10 CA40 DA50 EA28 EA54 FA74 HA05

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号3〜15、配列番号31〜42、および配列番号8
    2〜113を含むアミノ酸配列を含む血管新生阻害タンパク質レセプターであっ
    て、前記血管新生阻害タンパク質は、還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動での
    同定によると約38キロダルトンから45キロダルトンの間の分子量を有し、プ
    ラスミノーゲン分子のアミノ酸番号約98から始まるプラスミノーゲンフラグメ
    ントのアミノ酸配列と実質的に類似のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、
    血管新生阻害タンパク質レセプター。
  2. 【請求項2】 配列番号43〜55および配列番号69〜80を含む核酸配
    列を有する、請求項1記載のレセプターをコードする核酸。
  3. 【請求項3】 前記レセプターはラミニンタンパク質、トロポミオシン、な
    らびにその活性フラグメントおよびホモログを含む、請求項1記載の血管新生阻
    害タンパク質レセプター。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のレセプターを血管新生を促進する量で個体に
    投与する工程を含む、個体における血管新生の促進方法。
  5. 【請求項5】 (a)配列番号3〜15、配列番号31〜42、および配列
    番号82〜113からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドを得る
    工程と、 (b)前記ペプチドを血管新生阻害タンパク質に結合する能力について試験する
    工程と、 (c)前記ペプチドの血管新生阻害タンパク質媒介性血管新生に影響を与える能
    力を試験する工程とを含み、前記血管新生阻害タンパク質に結合し血管新生阻害
    タンパク質媒介性血管新生に影響を与える能力により、血管新生阻害タンパク質
    レセプターが同定され、 (d)前記血管新生阻害タンパク質は、還元ポリアクリルアミドゲル電気泳動で
    の同定によると約38キロダルトンから45キロダルトンの間の分子量を有し、
    プラスミノーゲン分子のアミノ酸番号約98から始まるプラスミノーゲンフラグ
    メントのアミノ酸配列と実質的に類似のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む
    、血管新生阻害タンパク質レセプターの同定方法。
  6. 【請求項6】 前記血管新生阻害タンパク質レセプターはラミニンタンパク
    質、トロポミオシン、ならびにその活性フラグメントおよびホモログを含む、請
    求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 配列番号16〜28および配列番号82〜113を含むアミ
    ノ酸配列を含む、血管新生阻害タンパク質レセプターであって、前記血管新生阻
    害タンパク質は、非還元および還元ゲル電気泳動での同定によると約18から約
    20キロダルトンの分子量を有し、コラーゲン分子のC末端フラグメントのアミ
    ノ酸配列と実質的に類似のアミノ酸配列を有する、血管新生阻害タンパク質レセ
    プター。
  8. 【請求項8】 配列番号56〜68からなる群から選択される核酸配列を有
    する、請求項7記載のレセプターをコードする核酸。
  9. 【請求項9】 ラミニンタンパク質、トロポミオシン、ならびにその活性フ
    ラグメントおよびホモログを含む、請求項7記載の血管新生阻害タンパク質レセ
    プター。
  10. 【請求項10】 請求項7記載のレセプターを血管新生を促進する量で個体
    に投与する工程を含む、個体における血管新生の促進方法。
  11. 【請求項11】 (a)配列番号16〜28および配列番号82〜113を
    含むアミノ酸配列を含むペプチドを得る工程と、 (b)前記ペプチドを血管新生阻害タンパク質に結合する能力について試験する
    工程と、 (c)前記ペプチドの血管新生阻害タンパク質媒介性血管新生に影響を与える能
    力を試験する工程とを含み、前記血管新生阻害タンパク質に結合し血管新生阻害
    タンパク質媒介性血管新生に影響を与える能力により、血管新生阻害タンパク質
    レセプターが同定され、 (d)前記血管新生阻害タンパク質は、非還元および還元ゲル電気泳動での同定
    によると約18から約20キロダルトンの分子量を有し、コラーゲン分子のC末
    端フラグメントのアミノ酸配列と実質的に類似のアミノ酸配列を有する、血管新
    生阻害タンパク質レセプターの同定方法。
  12. 【請求項12】 配列番号43〜80からなる群から選択される核酸の発現
    方法であって、前記核酸をベクターおよびコードされた前記タンパク質を組換え
    体産生することができる宿主細胞系にトランスフェクトする工程を含む、方法。
  13. 【請求項13】 前記血管新生阻害タンパク質レセプターはラミニンタンパ
    ク質、トロポミオシン、ならびにその活性フラグメントおよびそのホモログを含
    む、請求項11記載の方法。
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