JP2002530074A - 細胞表現型に相関するポリペプチド標的を検証する方法 - Google Patents

細胞表現型に相関するポリペプチド標的を検証する方法

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JP2002530074A JP2000582549A JP2000582549A JP2002530074A JP 2002530074 A JP2002530074 A JP 2002530074A JP 2000582549 A JP2000582549 A JP 2000582549A JP 2000582549 A JP2000582549 A JP 2000582549A JP 2002530074 A JP2002530074 A JP 2002530074A
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アレキサンダー カム カール,
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Abstract

(57)【要約】 異なる二つの「攪乱因子」、すなわち、細胞の表現型を優性的に改変するタンパク質と相互作用する細胞間タンパク質のスクリーニングによる特定の表現型に関連するタンパク質の同定。 タンパク質の相互作用は、好ましくは、2−ハイブリッドアッセイによって検出される。 本発明の二重の2−ハイブリッドスクリーニングによれば、疑似陽性が解消または減少する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、目的とする表現型に相関する細胞経路に関与する、大抵は内因性
のタンパク質またはポリペプチドである、内因性の生理学的に関連性のある細胞
成分を同定するための一般的に適用可能な方法を含む。 これら細胞成分は、大
抵は「攪乱因子」である内因性因子またはプローブとの間の相互作用によって容
易に同定され、そして、好ましくは、一つ以上の独立した生理学的に関連のある
攪乱因子に結合する能力によって特徴付けがなされる。 これら方法を用いるこ
とにより、有望な治療剤が平行検証に付され、そして、生理学的に無関係の擬陽
性を容易に排除することができる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ほとんどの薬剤開発スキームは、疾患、例えば、癌への誘導を可能とする生理
学的経路での内因性成分の正確な同定を必要とする。 これら内因性成分は、有
望な治療標的であるかもしれず、または、疾患の発症に関連する遺伝子への道筋
を指し示すものであるかもしれない。 しかしながら、このような生理学的に関
連のある成分(すなわち、目的とする細胞経路に関与する成分)の同定は、時間
を要する上に、不確かなものであった。
【0003】 細胞外、細胞上または細胞内での様々なタンパク質−タンパク質、タンパク質
/DNA、タンパク質/RNAまたは酵素−基質の相互作用(「内因性細胞相互
作用」)は、これら相互作用が、生物での障害または疾患状態のもとである分子
機構や生理学的関連成分を同定するための手段を提供することから、特に興味の
あるところであろう。 例えば、ある関連性内因性細胞相互作用が一旦同定され
れば、それはさらに詳細に探求され、大抵は関連する生理学的関連遺伝子および
/または細胞経路の同定が可能となる。 加えて、生理学的関連内因性細胞相互
作用は、有望な治療剤のスクリーニングのための基本原理をもたらす。 標的細
胞にて生理学的関連性の無い相互作用を探し求める労力を結果的に必要としない
ようにする上で、このような内因性細胞相互作用を正確に同定することは重要な
ことである。
【0004】 関連性内因性相互作用を同定するために攪乱因子を用いると、生理学的関連内
因性細胞相互作用の同定効率を上げる利点がよく認められる。 攪乱因子は、細
胞内の内因性タンパク質と相互作用するタンパク質性分子である場合が多く、内
因性細胞経路の正常機能の一部または全部を攪乱する。 特定の生化学的相互作
用を攪乱することで、選択特性としても使用できる相関「変異」表現型をもたら
す。 攪乱因子として、タンパク質性構造(ペプチド、ポリペプチドまたはタン
パク質)、核酸またはその他の化合物がある。
【0005】 内因性タンパク質性化合物を同定するための攪乱因子を使用することの利点が
あるにしても、標的細胞での活性生理学的経路に、特定の結合相互作用を介して
検出可能なタンパク質性化合物を結合する上において様々な困難性がある。 例
えば、タンパク質−リガンドまたは酵素−基質相互作用を検出するための現在の
システムでは、少なくとも二つのタイプの疑似陽性、すなわち、(1) 研究対象細
胞の内部環境での真正な相互作用を反映していない、タンパク質−リガンド相互
作用を検出するために用いたアッセイ系での疑似人工産物による相互作用(以下
、「人工相互作用」と称する)、および(2) 細胞内部環境では発生するが、目的
とする細胞経路への関連性が無い相互作用(以下、「非関連相互作用」と称する
)をよく検出する。 逆に言えば、現在のアッセイ法では、生理学的関連相互作
用(目的とする細胞経路に関連のある相互作用)が検出を免れてしまうとの、好
ましくない疑似陰性をももたらす。 さらに、疑似陰性を減らすためにアッセイ
の感度を高めると、疑似陽性が多くなる結果を招く。
【0006】 タンパク質−リガンド相互作用をアッセイするために、二つの方法、すなわち
、生化学的方法と準遺伝子的方法が最も一般的に利用されている。 いずれの方
法も、技術的問題点を抱えている。
【0007】 生化学的方法は、当業者に周知のアフィニティー精製技術によって類型化する
ものである。 要するに、アフィニティー精製技術は、アフィニティー試薬とし
て選択したタンパク質またはペプチドを用い、これを反応混合物に対して接触せ
しめる。 アフィニティー試薬に対して相互作用する成分を、単離および精製す
る。 この一般的な方法は、標的と試薬との間の相互作用が不安定または弱い場
合や、あるいは、結合パートナーの一方または双方を消化するプロテアーゼが反
応混合物中にある場合には、その有用性は制限を受ける。 さらに、この方法で
は、不都合なことに、やや非特異的に結合したタンパク質や強烈な相互作用を呈
するタンパク質が多いため、非常に低濃度でも生成する生理学的関連結合パート
ナーが検出されず、疑似陽性および疑似陰性を示すことがある。 これらタンパ
ク質は、アフィニティー試薬を利用して結合する真正陽性と拮抗する疑似陽性タ
ンパク質であり、よって、真正陽性の存在が隠れてしまうことになる。
【0008】 準遺伝子的方法として、2−ハイブリッドアッセイとして当業者に周知の技術
が挙げられる。 例えば、The yeast two-hybrid system. Oxford Univ. Press
(1977), Bartel, Paul L. and Fields, Stanley, Ed. このアッセイは、(哺乳
動物細胞および細菌細胞でも使用できるが)酵母細胞でよく行われており、そし
て、相互作用性プローブまたは通常はDNA結合ドメイン(「BD」)部分に融合さ
れる「バイト(釣り餌)」を有する第一ベクター、および、相互作用性標的また
は通常はDNA転写(「活性ドメイン」または「AD」)部分に融合される「プレイ
(獲物)」を有する第二ベクターの構築にかかっている。 バイトとプレイが相
互作用した場合、ADとBD部分は、結合複合体の下流に位置するレポーター遺伝子
(例えば、His3遺伝子)の転写をもたらすに十分な物理的近さで導入される。
プレイ/バイト相互作用は、レポーター遺伝子を発現する酵母細胞、例えば、ヒ
スチジン不在下で成長可能な酵母細胞を同定することによって検出される。
【0009】 タンパク質−リガンド相互作用の検出のための酵母2−ハイブリッドアッセイ
システムは一般的に用いられているが、このアッセイシステムでは数種類の疑似
陽性を示すことが知られている。 例えば、ある事例では、BD-関連バイトとAD-
関連プレイとの間の先行結合(「人工相互作用」の一例)が無くとも、このアッ
セイでのBD融合部分が「自己活性的」であるので、下流レポーター遺伝子の転写
が生じる。 他の事例では、アッセイにてバイトとプレイが相互作用し、その結
果、マーカー遺伝子の転写を引き起こす。 しかしながら、例えば、プレイとバ
イトの間での相互作用が、治療標的細胞(例えば、表現型アッセイで用いた宿主
細胞)にてin vivoで相互作用しなかったり、あるいは、治療標的細胞での研究
対象の表現型に関連のある生理学的経路にて役割を果たさない相互作用(「非関
連相互作用」)であることから、プレイとバイトとの間での相互作用は生理学的
には関連性が無い。
【0010】 酵母2−ハイブリッド技術は、高速処理式プロトコールに適用することができ
る。 具体的には、このスクリーニング技術は、最小の労力で大量の試料の取り
扱うために用いることができ、理論的には、推定結合パートナーの迅速かつ効率
的な単離を可能にする。 このことは2−ハイブリッド技術において非常に好都
合なことであるが、不都合なことに、そこでの推定上の相互作用の数の増大に伴
い、疑似陽性(「人工相互作用」と「非関連相互作用」の双方)を、時間を要す
る個別のアッセイや第二のスクリーニング工程によって選別しなければならない
【0011】 研究者たちは、酵母2−ハイブリッドアッセイでの疑似陽性にまつわる問題点
を減らす努力を行ってきたが、現在までのところ、主に疑似陽性の第一要因であ
る人工相互作用(すなわち、酵母アッセイシステムでの発生が認められるが、標
的細胞の内因性細胞環境では発生しない推定結合現象)に研究対象が絞られてい
る。 このような人工産物は、酵母アッセイシステムの過剰感度、それに、任意
分子、自己活性化分子との非特異的な相互作用を証明する「粘着」タンパク質の
存在、および第二のタンパク質−結合部分との相互作用が無くともDNAに結合す
る転写部分などの様々な要因によってもたらされる。 これら人工産物を減らす
ための方法として、(1) 結合ドメイン(「BD」)部分に関する様々な試験融合
タンパク質を用いた(活性ドメインまたは「AD」に融合した)結合パートナー
候補のレプリカ培養、すなわち、他の試験融合物と相互作用する結合パートナー
が消散するレプリカ培養、(2) プレイとバイトを含んだベクターの修飾(例えば
、Louvet O. et al., Biotechniques 23(5):816-18, 820 (1997))、(3) このア
ッセイを用いた宿主酵母細胞の再調製(例えば、Feilotter, HE et al., Nuclei
c Acids Res. 22(8):1502-3 (1994))、および(4) エピトープ標識したタンパク
質を用いた共免疫処置および共局在化(Wong, C. and Naumovski, L., Anal. Bi
ochem. 252(1):33-39 (1997))などがある。 酵母細胞での公知の遺伝子産物の
相互関係を確認するために、主要な陰性表現型を利用した方法も記載されている
(He and Jacobson, Genes Dev. 9(4):437-54 (1995))。
【0012】 いずれの従来技術の方法も、タンパク質相互作用のスクリーニングの速度と正
確性を改善する、効率的かつ一般に適用可能な方法を提供するものでない。 例
えば、人工的な相互作用を解消する方法(例えば、レプリカ培養)は、多大の手
間と労力を要するものであり、生理学的に無関連の相互作用を選別するものでも
なく、また、真正な陽性を排除する可能性すらある。 さらに、タンパク質相互
作用アッセイの一成分として攪乱因子を用いても、結果的に目的とする内因性経
路とは関連が認められない結合の検出を、予め除外するには至らない。
【0013】 このように、タンパク質−リガンド相互作用アッセイでの生理学的に無関連の
疑似陽性を減少または解消し、そして、創薬プロセスの能率を改善ならしめるこ
とが待望されているのである。 好ましくは、この問題に対する解決手段は、高
速処理スクリーニング技術を併用できるものとする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、生理学的関連分子間相互作用をスクリーニングするための方法を
提供する。 これら相互作用は、大抵、内因性タンパク質または他のタンパク質
性分子(本明細書では「内因性タンパク質」と称する)および一つ以上の対応す
るリガンドとの間のものである。 このような内因性タンパク質−リガンド相互
作用は、しばしば、目的とする内因性細胞経路に関与したり、あるいは間接的に
影響を与える。 このような生理学的関連タンパク質−リガンド相互作用は、非
関連性相互作用を同定および解消するための個別の二つの表現型プローブを用い
て検出される。 これら方法は、内因性哺乳動物タンパク質が関与するアッセイ
、および高速処理スクリーニング法の合理化および集中処置を図る上で特に有用
である。
【0015】 本発明の方法は、疑似陽性を解消するための個別の一つ以上の表現型プローブ
を用いて生理学的関連タンパク質相互作用をスクリーニングする。 本発明の方
法は、(i) 内因性細胞成分と第一表現型プローブとの間の相互作用を検出し、お
よび(ii)これによって同定された内因性細胞成分(「推定治療標的分子」)が、
標的での生理学的関連性を確認する第二の個別の表現型プローブと相互作用の有
無を決定する。 プローブと内因性細胞成分との間の相互作用は、標準的なタン
パク質−リガンド相互作用アッセイ、例えば、酵母2−ハイブリッド技術を用い
て検出される。 内因性細胞成分と相互作用することで、各プローブが同じ(ま
たは密接に関連する)「目的とする表現型」での改変を招くことから、双方のプ
ローブは、共に「表現型性」である。 目的とする表現型もまた、細胞内での内
因性遺伝経路(例えば、細胞成長/停止、細胞代謝状態、あるいは目的とする内
因性生理学的経路と関連のあることが知られている遺伝子の細胞発現のような、
細胞タイプまたは細胞状態指標をもたらす生化学的/生理学的経路)の状態を指
し示す検出可能な細胞特性である。 目的とする表現型の改変は、直接的(例え
ば、成長している場合)、間接的(例えば、その表現型に相関するレポーターの
発現パターンの改変を通じて)、または(それ自体が目的とする表現型であるか
、あるいは間接的にその表現型を反映する)一つ以上の遺伝子の発現による改変
として検出できる。 本発明のある態様によれば、第一の表現型相互作用の結果
は、タンパク質相互作用の第二ラウンドと、表現型プローブの小さく集合したグ
ループを収束するための表現型アッセイを行うために使用される。
【0016】 上述した方法論は、推定治療標的の生理学的関連性を明らかにするための平行
スクリーニングプロトコールを提供する。 まず、少なくとも二つの「個別」の
プローブ、すなわち、個別のアッセイで同定され、かつ個別のライブラリーから
任意に得ることができるプローブが、人工相互作用によってもたらされる疑似陽
性を減少または解消するかについて試験を行う。 そして、同じ(または密接に
関連する)目的とする表現型での改変をもたらす一つ以上のプローブを用いた相
互作用は、タンパク質−リガンド相互作用が、その表現型に関連する内因性細胞
経路に実際に結合していることを指し示す確たる証拠を提供するため、少なくと
も二つの「表現型」プローブを用いた試験は、結合パートナーが生理学的に関連
性のある見込みを実質的に高める。 第一のプローブとそれに続くプローブの双
方が共に、同一または関連する表現型形質の生理学的エフェクターであることが
示されたので、双方のプローブと相互作用する内因性細胞成分は、正に真正陽性
であり、すなわち、細胞での生理学的関連内因性細胞経路に関与する。 目的と
する表現型が、例えば、所望の障害または疾患に関連するものについて選択され
る場合に、本発明の方法は、同定された内因性細胞成分が検証済の治療標的であ
るとの確たる証拠を提供する。 さらに、検証済の治療標的は、(i) 標的に結合
し、そして治療効果を発揮する小分子のスクリーニング、(ii)生理学的経路の解
明、 (iii)標的をコードし、または標的に関連する遺伝子の同定、および(iv)関連す
る生理学的異常を診断材料の提供などの様々な用途を有する。
【0017】 請求にかかる発明の特定の態様によれば、表現型プローブを「攪乱因子」とす
る。 攪乱因子の性質と用途は、その開示全体を参考までに本明細書に特に取り
込んだ、係属中の共同出願である1996年8月19日に出願された米国特許出願第08
/699,266号(「機能分析に基づいた遺伝子の同定のための選択システム」)、WO
98/07886、そして、1997年3月4日に出願された米国特許出願第08/812,994号(
「細胞表現型に影響を与える因子をコードする核酸配列を同定するための方法」
)に、より詳細に記載されている。 簡単に言えば、攪乱因子として、(遺伝子
の対立形質よりもむしろ)標的細胞の内因性成分に対して優性的に作用し、それ
によって、正常細胞機能に相互作用を及ぼす、タンパク質性成分(タンパク質、
タンパク質断片またはドメイン、ポリペプチドまたはペプチド)または核酸部分
がある。 これら攪乱因子は、通常、治療標的細胞内または治療標的細胞上にあ
るタンパク質またはポリペプチド、あるいは標的細胞のmRNAまたはDNAと相互作
用する。 これら治療標的細胞は、大抵は、哺乳類動物細胞であり、ある実施態
様では、癌性またはウィルス感染したヒトの細胞である。
【0018】 特許請求された発明は、一般に、タンパク質−リガンド相互作用を検出するた
めの他の方法にも適用可能であるが、本発明の方法のある態様は、酵母2−ハイ
ブリッドアッセイシステムであることを特徴とする。 ある好ましい実施態様に
よれば、推定内因性標的分子の生理学的重要性を検証するために、少なくとも2
ラウンドのタンパク質相互作用アッセイと、個別の2組の表現型プローブが用い
られる。 特に好ましい実施態様によれば、攪乱因子あるいは他のかようなプロ
ーブの生理学的重要性の検証と、それら生理学的に関連のあるプローブに結合す
る内因性攪乱因子成分の同定の作業を行き来することになる。 任意に、第一の
酵母2−ハイブリッドアッセイで用いた「プレイ」または相互作用性標的は、後
続の酵母2−ハイブリッドアッセイ工程での「バイト」または相互作用性プロー
ブとして利用することができる。 本発明の基本的な方法は、自己活性的な相互
作用性プローブを対比選択する工程をさらに含むことができる。 この追加工程
は、アッセイでの人工産物における疑似陽性を解消する上においても好都合なも
のである。
【0019】 本願発明によれば、表現型に基づいてタンパク質相互作用を最初に同定し、さ
らに、生理学的に関連のある真正の相互作用を正確に決定するために、これら相
互作用をひとまとめに試験することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
スクリーニング法の概観 疾患経路に関与する新規薬剤の開発や遺伝子の同定にあっては、共通の課題、
すなわち、治療標的細胞(例えば、癌細胞)の分子機構を研究し、そして、今後
の研究においても好適な標的である内因性細胞成分を同定する必要がある。 こ
れら細胞成分は、特定の細胞異常、障害または疾患、例えば、黒色腫、乳癌また
はウィルス感染に関連する内因性細胞間経路の一部である。 あるいは、内因性
細胞成分は、細胞シグナル、細胞認識または他の内因性細胞経路に関与するタン
パク質、糖タンパク質またはリン脂質のような、分泌タンパク質あるいは細胞表
面成分または細胞膜成分である。 このような標的細胞成分として、チロシンキ
ナーゼ、Gタンパク質、Gタンパク質結合レセプター、サイクリン、転写要素お
よびインテグリンなどがあるが、これらに限定されない。 かような内因性細胞
間または細胞表面経路(以下、「生理学的経路」と総称する)を修飾または攪乱
することで、異常細胞、障害または疾患状態に至る。 このように、かような生
理学的経路に関与または関連する内因性細胞経路を同定することで、診断または
処置に向けての貴重な病識が提供される。
【0021】 関連内因性細胞相互作用を同定するための第一工程では、アッセイで用いる宿
主細胞、つまり、代表的な治療標的細胞(例えば、HS294T/黒色腫)を選択する
。 表現型プローブ(例えば、攪乱因子)をコードするDNAが、アッセイ用の細胞系
に導入される。 そして、この攪乱因子産物は、宿主細胞での一つ以上の内因性
成分の正常活性に影響を与え、あるいは攪乱する(すなわち、増大、減少あるい
は改変する)ために、一つ以上の内因性細胞成分に特異的に相互作用を及ぼす。
内因性成分の作用を改変しても、これら成分に関連する生理学的関連経路が改変
または攪乱される。 このような攪乱は、標的細胞の表現型形質(「目的とする
表現型」または「表現型状態」とも称する)での相関変化によっても検出するこ
とができる。 「表現型」形質とは、細胞の生理学的状態または細胞の出現につ
いての測定またはモニター可能な徴候を指す。 選択された表現型形質は、標的
経路の生理学的状態の正確な指標(例えば、スクリーニング、または、好ましく
は、選択基準)として直接利用することができる。 あるいは、標的細胞の表現
型状態は、目的とする生理学的経路の必要部分ではないにもかかわらず、その表
現型に相関する個別のレポーター遺伝子の発現レベルの変化を検出することによ
って、モニターすることができる。 さらに、表現型状態は、標的細胞での一つ
以上の遺伝子の発現度の変化を反映するか、あるいは反映するかもしれない。
【0022】 次に、表現型プローブと相互作用する内因性細胞成分は、標準的な生化学的ま
たは準遺伝子的タンパク質相互作用アッセイ技術(例えば、酵母、細菌または哺
乳動物細胞での2−ハイブリッドシステム)を用いて同定される。 この相互作
用アッセイは、一ラウンドの表現型的標的スクリーニングで完了し(すなわち、
表現型プローブを同定するための標的細胞での第一の生理学的アッセイと、それ
に続く、第一表現型プローブに相互作用する内因性細胞成分を同定するための第
一のタンパク質−リガンド相互作用アッセイ)、そして、本明細書にて「推定治
療標的分子」と称する(本明細書では、推定標的、治療標的候補または標的候補
ライブラリーとも称する)相互作用性細胞成分の第一プールを形成する。 これ
ら推定標的は、ほぼ全部が真正陽性(すなわち、目的とする生理学的経路に関連
する内因性細胞成分)である。 あるいは、おそらくは、これら成分の集合体は
、タンパク質相互作用アッセイでの人工産物による相互作用に基づいて同定した
疑似陽性を高率で含むであろう。 または、これら成分の集合体は、標的細胞に
おいて発生する相互作用ではあるが、目的とする内因性生理学的経路とは関連性
の無い疑似陽性を含むであろう。
【0023】 疑似陽性から真正陽性を分離すべく(すなわち、生理学的関連内因性細胞相互
作用を同定すべく)、これら推定治療標的分子の生理学的関連性を検証するため
の別個の表現型評価サイクルが利用される。 一般に、ある好ましい実施態様に
よれば、標準的なタンパク質−リガンド相互作用アッセイを利用するこの方法で
は、上記した推定治療標的分子(すなわち、第一の表現型プローブと相互作用し
た内因性分子のプール)を、推定検証用プローブ(本明細書では、第二プローブ
候補とも称する)の第二の別のプール、例えば、新規の推定攪乱ライブラリーへ
の曝露を包含する。 (なお、この実施態様での第二のプローブの集合は、未だ
「表現型」プローブとして確立されておらず、また、適切な生理学的アッセイに
おける宿主細胞での攪乱能力も未だ認められていない。) この第二のタンパク
質−リガンド相互作用アッセイから、推定標的分子に結合する推定検証用プロー
ブ(第二の候補プローブ)をコードするこれら配列が、PCRまたはプラスミド単
離技術のいずれかによって単離され、表現型アッセイで用いた宿主細胞での発現
を駆動するのに好適な発現ベクターに再クローニングされ、これら宿主細胞に導
入され、そして、表現型アッセイの他のラウンドに付される。 この第二の表現
型アッセイは、表現型スクリーニングの第一ラウンドで用いたアッセイと同一で
あり、または、密接に関連する目的とする表現型がモニタリングまたは選択する
ために選ばれる。 表現型スクリーニングでのこの第二のラウンドでは、標的分
子候補に結合した推定検証用プローブ(第二プローブ候補)のサブライブラリー
から、生理学的に重要な検証用表現型プローブの第二の独立した集合を選別する
【0024】 最後に、この好適な実施態様によると、表現型検討のための第一サイクルにて
推定標的のプールが生成すれば、第三のタンパク質相互作用アッセイを行うこと
で、プローブ/標的の各ペアーが同定される。 そうするために、検証用表現型
プローブは、推定治療標的分子のライブラリーに曝され、そして、再度、標準的
なタンパク質−リガンド相互作用技術を用いて、特定の検証用表現型プローブに
結合する推定治療標的分子のライブラリーでのメンバーが、同定および単離され
る。 推定治療標的分子への結合は、第二の表現型アッセイに適用される推定検
証用プローブのプールを狭量ならしめる基準として使用されるので、スクリーニ
ングの第二ラウンドでは、第二の表現型プローブの限定された集合に対して焦点
が向けられることになる。 あるいは、表現型スクリーニングの第一ラウンドに
おいて推定標的が一つだけ同定されれば、その表現型プローブと、それに対応す
る内因性細胞結合パートナーとを相関させるための最終のタンパク質−相互作用
の工程は不要となる。
【0025】 他の好適な実施態様によれば、上記した(i) 表現型スクリーニングと(ii)タン
パク質−リガンド相互作用のスクリーニングの工程は逆の順で行われる。 具体
的には、まず、独立した第二の推定検証用プローブのプール(通常は、攪乱因子
ライブラリー)が、検証用表現型プローブのサブライブラリーを選択するために
表現型でアッセイされる。 次いで、第二のプローブだけが、推定治療標的分子
のライブラリーに曝される。 相対速度および/または選択した表現型アッセイ
のプロトコールに対する選択したタンパク質相互作用アッセイのプロトコールの
容易度に応じて、および/または、表現型標的スクリーニングの第一および第二
のラウンドにて同定された攪乱因子の数と結合特性に応じて、好都合な方の実施
態様を利用することができる。
【0026】 表現型アッセイ 目的とする内因性生理学的経路に関する相互作用と無関係で好都合な相互作用
との間の差別化を行うにあたって、表現型関連性、すなわち、治療用標的細胞の
本質を選択する宿主細胞の生理学的正常機能を攪乱することで、特定の内因性細
胞相互作用に対する表現型の変化と直接的または間接的に相関する能力を有する
プローブを使用する。
【0027】 表現型の変化を直接的にモニターした場合、標的細胞内での分子レベルの表現
型プローブまたは攪乱因子の作用は、容易に測定または同定可能な変化として現
れる。 このような変化として、(i) 例えば、酵母接合型フェロモン、レチノイ
ン酸、シスプラチンのような化学療法剤、それにインスリン離脱のような成長因
子欠乏などの様々な細胞毒性刺激物質または細胞成長抑制刺激物質の存在下での
細胞成長、(ii)例えば、p16のような腫瘍抑制剤のような特定の刺激物質または
薬剤の存在下での細胞死または細胞周期の停止、(iii)接着性の獲得または喪失
のような行動変化、(iv)例えば、顕微鏡で目視可能な改変のような細胞全体の形
態学的変化、または(v)例えば、細胞−表面タンパク質でのタンパク質発現で直
接的に認められる変化などがあるが、これらに限定されない。 同様に、遺伝子
発現形態での変化は、表現型状態を構成または反映する。 このような改変形態
は、例えば、当業者に周知のマイクロアレイ技術を用いて標的細胞にて検出され
る。
【0028】 表現型の変化が間接的にモニターされる場合、表現型状態は、適切な介在物、
例えば、表現型とは相関するが、表現型とは無関係のレポーター遺伝子を介して
モニターされる。 このような例として、(i) その発現がアポトーシスのような
目的とする表現型に関与するシス調節配列に融合している特定のレポーター遺伝
子(例えば、GFPのような蛍光物質)の所定の刺激物質存在下での誘発、および(
ii)同じく、その発現が目的とする表現型に関与しているレポーターを用いた、
所定の刺激物質存在下でのレポーター遺伝子発現の低下があるが、これらに限定
されない。 このような間接的なモニタリングは、本明細書に参考までに取り込
んだ、前出の米国特許出願第08/812,994号に詳細に記載されている。 具体的な
表現型の特徴をモニターする代表的なアッセイを、表1にまとめている。
【0029】
【表1A】
【0030】
【表1B】
【0031】 ある事例では、表現型アッセイで用いた細胞系(本明細書では「表現型アッセ
イ宿主細胞」または単に「宿主細胞」とも称する)は、実際のところ、治療標的
細胞と同じとすることができる(すなわち、表現型アッセイは、目的とする癌細
胞に対して直接的に実施できる)。 他の事例では、表現型アッセイ宿主細胞は
、治療標的細胞とその由来を同じとすることができるが、実験目的のために幾つ
かの手法で修飾することができる。 さらに他の事例では、表現型アッセイ宿主
細胞として、治療標的細胞のある形態での代表的なものではあるが、その細胞と
の関連がないものを選択することができる(例えば、一般的には、ヒト細胞モデ
ルに対する酵母細胞の使用、または哺乳類動物細胞のウィルス感染モデルに対す
る腎臓胚細胞系293の使用)。 いずれにしても、多種多様の好適な表現型アッ
セイと宿主細胞が当業者に周知であり、そして、表1は、かような細胞とアッセ
イの代表的なサンプリング例に過ぎない。
【0032】 表現型プローブ 選択した宿主細胞にて目的とする表現型に変化をもたらす外因性分子を、表現
型プローブと称する。 前出の米国特許出願第08/699,266号および第08/812,994
号に説明されている通り、攪乱因子は、表現型プローブへの応用に優れた分子の
一類である。 このように、攪乱因子は、細胞の内因性生理学的経路と相互作用
し、そして、標的細胞内での内因性経路の分断を探知する有用な介在物である相
関的表現型変化をもたらす。 本明細書の上記関連出願などにより詳細に記載さ
れているように、これら表現型の変化は、適切なアッセイを用いて検出される。
【0033】 攪乱因子を、タンパク質性分子(タンパク質、タンパク質断片またはドメイン
、ポリペプチドまたはペプチド)、標的細胞の内因性成分と相互作用する核酸部
分、または他の有機または無機化合物とすることができる。 タンパク質性攪乱
因子を、例えば、合成DNA、cDNA、または断片化、変形または消化したゲノミッ
クDNAからなる発現ライブラリー(「攪乱因子ライブラリー」)での産物として
、選択系に導入することができる。 攪乱因子は、他の配列をそこに結合せずと
も細胞内で発現でき、あるいは、他の分子に融合することもできる。 例えば、
アッセイシステムでの安定性の向上、および/または、蛍光性のような検出可能
な特質を簡単に付与するために、一つ以上のポリペプチド配列を攪乱因子に融合
できる。 このような融合部分の例として、GFP、LacZまたはGal4がある。 そ
の詳細が、本明細書にその全体を参考までに取り込んだ、「発光体上のペプチド
ライブラリーのための方法および組成物」という名称の、係属中の共同所有にか
かる米国特許出願第08/965,477号に記載されている。
【0034】 標的細胞内で一旦発現すると、攪乱因子は、遺伝的変異や後成状態を探知また
は真似る表現型状態を、宿主細胞にて誘発する。 標的細胞内での改変は、レポ
ーター遺伝子、あるいは細胞成長や細胞形態またはマーカーの発現のような他の
適当な特徴での相関的変化のモニタニングを介して検出される。 レポーター遺
伝子を用いる場合、関連する表現型に対して可能な限り密接に相関し、それを反
映するものを選択する。 このレポーターは、迅速かつ定量的な決定を許容する
に十分なレベルで宿主細胞内で発現される。
【0035】 未確認内因性経路および要素の分断 好ましくは、本発明の方法は、例えば、ショウジョウバエ、C. elegansおよび
哺乳類動物でのパターン形成遺伝子での遺伝学的発見など、標的細胞での生物化
学的または生理学的経路の未決定要素を同定するために好都合に応用できる。
他の実施態様では、本発明の方法は、その一部しか解明されていない内因性経路
での未確認要素を単離するために好都合に応用できる。 その例として、成長調
節に関与するp16経路の下流要素を同定するために、p16介在細胞周期停止由来
の復帰突然変異体を使用することがある。
【0036】 レポーター遺伝子 無数のレポーター遺伝子が、発現モニタリングでの使用に適しており、よって
、細胞の表現型状態の間接的モニタリングにも適している。 レポーターは、ス
クリーニングや選択のために利用できる遺伝子産物を含む。 使用したレポータ
ー遺伝子として、大腸菌由来のLacZ遺伝子(Shapiro S.K., Chou J. et al., Ge
ne Nov.; 25: 71-82 (1983))、細菌由来のCAT遺伝子(Thiel G., Petersohn D.
, and Schoch S., Gene 2月12日; 168: 173-176 (1996))、ホタル由来の発光
酵素遺伝子(Gould S.J. and Subramani S., 1988)、クラゲ由来の天然GFP遺伝
子(Chalfie, M. and Prasher D.C., 米国特許第5,491,804号)、GFPの修飾体ま
たは変異体(Abedi et al (1998))、他の生物由来のGFP(Prolume)、およびDsR
ed(Clontech)などがある。 この一連のものは、細胞質での遺伝子の発現をモ
ニタリングするために当初から使用されている。 他の遺伝子のファミリーを、
例えば、リンパ球抗原CD20の遺伝子の細胞表面での発現をモニタリングするため
に用いた。 通常は、レポーターレベルを定量するために、細胞表面マーカー(
例えば、CD20)に結合する標識付けされた抗体が使用される(Koh, J., Enders,
G.H. et al., 1995)。
【0037】 天然のGFPは、自然界に産する蛍光性タンパク質であり、その蛍光は主として
緑色のスペクトル領域にある。 天然のGFPは、レポーター用途に向けて開発が
続けられており、そして、そのタンパク質に幾つかの修飾または変異を加えたも
のが、改変されたスペクトル特性を具備していることが決定されている(例えば
、Cormack, B.P., Valdivia R.H. and Falkow, S., Gene 173: 33-38 (1996))
。 (天然GFPとかような関連分子の双方を、本明細書では、「GFP」と総称する。)
高レベルのGFP発現が、酵母からヒト細胞に至る細胞において認められている。
それは強固な多目的レポーターであり、細胞質での発現は、FACSのような流動式
選別機を用いて定量的に測定することができる。
【0038】 これらレポーターの内、自己蛍光タンパク質(例えば、GFP)および細胞表面
レポーターは、「生体染料」として作用するので、とりわけ、生体細胞のモニタ
リングでの用途に使われる。 それらの発現は、生存細胞において評価すること
ができ、そして、それら細胞は無傷のままで後続の分析に供することができる。
しかしながら、生体染料は、本発明の方法においては特に必要とされない。 迅
速かつ高感度で発現を定量できるレポーターの使用は、非常に有用である。 そ
のため、蛍光性レポーター(または、蛍光媒体で直接的または間接的に標識付け
できるレポーター)が、特に好ましい。 この性質は、蛍光活性化細胞選別器(F
ACS)のような流動式選別器での高速処理スクリーニングを可能にする。
【0039】 選択されたレポーター遺伝子は、所望の配列(例えば、攪乱因子をコードする
DNA)の支持台としても都合良く機能する。 例えば、GFPは、かような支持台と
して利用でき、そして、発現したポリペプチドの構造は、攪乱因子挿入体の安定
化ポリペプチドとして機能する。 攪乱因子配列は、GFP支持台のN-またはC-末
端の端部または近傍のいずれかに挿入することができ、あるいは、適当な中間部
位に挿入することもできる。 安定化ポリペプチド支持台としてのGFPの使用に
ついては、前出の米国特許出願第08/965,477号に記載されており、本明細書に参
考までに取り込んだ。
【0040】 高速処理プロトコール 各細胞の表現型状態は、好ましくは、レポーター、選択分子または他の選択基
準における細胞単位での発現レベルを、迅速かつ定量的に測定可能な選別機器ま
たは選別方法を介して決定される。 本明細書で使用する「高速処理」なる語は
、少なくとも1×103細胞/時間、好ましくは、1×107細胞/時間の細胞の選別
を指す。 高速処理スクリーニング、選別またはアッセイは、一般的には、平行
処理または迅速連続処理のいずれかによって分析される無数の細胞または反応を
受け入れることが可能な技術に関する。 例えば、流動式選別器は、1時間当た
りに約1×108細胞を検査できるので、高速連続処理機器であるといえる。
【0041】 ある好ましい高速処理態様によれば、目的とする表現型形質を有する細胞が、
例えば、フローサイトメトリーや他の好適な分離技術によって単離される。 細
胞の分離は、蛍光性や磁気特性などの好適な分別基準に基づいて実施される。
目的とする表現型に相関する固有のプローブは、例えば、それをコードする固有
のDNA配列のPCR増幅によって得られる。 一般に、このことは、標準的なタンパ
ク質相互作用技術、例えば、生化学的結合性アッセイまたは酵母2−ハイブリッ
ドアッセイを用いて行われる。 次いで、攪乱因子結合パートナーである推定治
療標的分子のプールをコードするDNAが、例えば、標準的なDNA回収技術と、それ
に続く、当プライマー結合部位として側方配列を用いたPCR増幅、または該技術
分野で周知のプラスミド単離技術によって単離される。
【0042】 酵母2−ハイブリッド技術を用いる態様 本願発明の表現型評価工程は、タンパク質性攪乱因子プローブと内因性標的分
子との間の相互作用を検出するための方法を必要とする。 酵母2−ハイブリッ
ド技術が、かような方法の一つである。 本願発明に酵母2−ハイブリッド技術
を適用する場合、この技術は、推定または現存の表現型プローブと推定または現
存の内因性標的分子との間の相互作用を検出する。 この方法の一般的な手法と
詳細な実験手順は、当業者に周知のことである。
【0043】 この実施態様において、推定の内因性治療標的分子の集合は、最初の一組の表
現型プローブ(例えば、攪乱因子)を用いて、まず、推定の攪乱因子をコードす
る配列の初期ライブラリーを、表現型アッセイで用いた細胞系(例えば、代表的
なヒト黒色腫治療標的細胞であるヒト細胞系HS294T、WM35またはWM1552C)に導
入することによって同定される。 次いで、攪乱因子DNAを含む細胞は、当該細
胞の大半を殺傷する刺激物質の存在下で成長する変異細胞を選択するためのプロ
トコールのような、表現型選別またはアッセイに付される。 所望の表現型を有
する細胞は、FACSや成長度に基づく特性のような標準的技術を介して同定および
分離される。 このようにして表現型で選別した細胞から、これら細胞の生理学
的状態を改変する一組の表現型プローブが回収される。 この表現型プローブは
、標的細胞での関連する内因性成分との相互作用を介してその表現型効果を呈す
るものと推定される。
【0044】 次に、例えば、最初の一組の表現型プローブと相互作用する表現型で選別され
た細胞から、内因性細胞成分のプールを同定するために、最初の酵母2−ハイブ
リッドタンパク質相互作用アッセイを行う。 そして、これら細胞成分は、推定
治療標的分子と同定される。
【0045】 限定を意図しない例として、上記の生理学的に関連性のある最初の攪乱因子の
各々は、2−ハイブリッド検索のためのバイトまたは相互作用性プローブとして
の転写要素、例えば、Gal4のDNA結合ドメインとの融合物としてクローニングさ
れる。 これら表現型バイト構築物は、好適な酵母株、例えば、共形質転換に好
適な株、または正反対の接合型の酵母細胞に接合する能力を有し、かつ転写要素
(例えば、Gal4)融合バイトをコードするプラスミドの運搬媒体または選別手段
として機能できる株に導入される。 次に、この株は、適当なADを具備してクロ
ーニングされたプレイライブラリーを有する第二の酵母株に接合される。 限定
を意図しない例として、このライブラリーは、目的とする標的細胞または生物に
存在しうるすべてのタンパク質ドメインを含むように構築される。 これは、好
適な酵母2−ハイブリッド発現ベクターにクローニングされた断片化gDNAまたは
無作為感作cDNAの使用によって(全部または大部分を)達成することができる。
【0046】 次に、プレイ構築物を含む酵母細胞は、バイト構築物を含む攪乱因子を有する
酵母細胞に接合される。 得られた接合細胞は、適当な培地(例えば、AD/BD複
合体に関連する特定のマーカー活性を検出するようデザインされた培地)に接種
される。 マーカー遺伝子を発現する酵母細胞は、回収される。 これら細胞で
の未特定部分は、バイト(攪乱因子)とプレイ(内因性細胞標的候補)との間で
の相互作用によって、マーカー遺伝子の発現を明示するであろう。 これら特定
のプレイ配列は、攪乱因子結合パートナー候補または標的候補のサブライブラリ
ーを含む。 標的候補のサブライブラリーは、プライマー結合部位として側方配
列を用いたPCR増幅または当該技術分野で周知のプラスミド単離技術によって、
純粋DNA(酵母無し)として回収することができる。 あるいは、バイトおよび
プレイ構築物は、同じ酵母細胞に導入することができ、そして、得られた共形質
転換した酵母細胞は培地に接種されて、マーカー遺伝子を発現する細胞は回収さ
れる。
【0047】 これら標的配列候補は、大腸菌へのプラスミドの再導入またはPCRによって増
幅される。 そして、それらは、酵母2−ハイブリッドスクリーニングの第二ラ
ウンドの準備に向けて、バイト配列として(例えば、融合パートナーとして当初
のGAL4 BDドメインを用いて)改めてクローニングされる。 あるいは、この最
初の酵母2−ハイブリッドスクリーニングを、バイトをADドメインに、そして、
プレイ(標的ライブラリー候補)をBDドメインに結合して「逆行」的に行うこと
ができる。 その代わりに、最初の標的配列候補は、BDベクターにて回収され、
そして、それらはADベクターでの第二ライブラリーをスクリーニングするために
直接的に使用することができる。
【0048】 任意に、スクリーニングに先駆けて、選択したAD-融合候補標的を有する第二
のBD-融合ライブラリーから自己活性化配列を減らすことができる。 陰性選択
、例えば、URA+表現型に対する選択を利用することで実行可能である。 陰性選
択の目的は、自己活性型、例えば、AD融合をもたらす第二の相互作用性タンパク
質の不在下でURA+レポーター表現型を付与することができる、第二ライブラリー
配列を削除することにある。 そして、今や自己活性型配列が減少したこのサブ
ライブラリーは、攪乱因子候補である第二バインダーを同定するために、標的候
補としてバイトを利用する第二スクリーニングでのプレイとして使用することが
できる。
【0049】 プレイおよびバイト構築物のきちんとした組成物であるにもかかわらず、プレ
イおよびバイト構築物を曝すために、好適な酵母宿主細胞に接合して、第二のタ
ンパク質相互作用アッセイを進める。 例えば、標的の集合が、BD部分への融合
物として再構成するのであれば、例えば、Gal4活性化ドメインに融合した攪乱因
子ペプチド配列を含むかもしれない第二のプレイライブラリーにまとめて接合さ
れる。 形質転換した酵母は、もう一度、BD/AD相互作用性構築物に対して応答
性のあるマーカー遺伝子に好適な選択培地に接種され、そして、標的とプレイと
の相互作用の対が回収される。
【0050】 この第二結合パートナーのプールから、一組の推定検証用プローブ(本明細書
では第二プローブ候補とも称する)が回収される。 これらプローブは、PCR-増
幅され、また、哺乳類動物発現ベクター、例えば、CMV-誘導ベクターにクローニ
ングされる。 そして、これらプローブは、好適な宿主細胞、例えば、当初の生
理学的アッセイで用いられ、そして、表現型プローブの第二プールを選択するた
めに生理学的選択またはスクリーニングに付される細胞に導入される。 当初の
攪乱因子と同一もしくは同様の生理学的効果を宿主細胞に及ぼす(すなわち、所
望の表現型をもたらす)第二の表現型プローブ配列が回収される。 最後に、こ
れら第二の表現型プローブは、標的候補ライブラリーのメンバーの生理学的重要
性を検証するために用いられる。 第一および第二表現型プローブの双方に結合
する標的候補が、真正な標的である。 ここにきて、これら内因性標的と、二つ
の個別の独立した表現型プローブとの相互作用が認められたので、この標的は、 in vivo 治療標的として絶対的な選択枝である。
【0051】 特定の標的タンパク質に対する特定の攪乱因子の接合の論理的根拠は、宿主細
胞に同一または同様の生理学的変化を及ぼす二つの独立したエフェクター(例え
ば、攪乱因子)の同定に関与し、また、酵母2−ハイブリッドシステムのような
タンパク質−リガンド相互作用アッセイにて同じ標的タンパク質を認識する。
ここに記載した一連の工程を用いることで、タンパク質−リガンド相互作用工程
は、攪乱因子を、標的候補を同じ組み合わせのものに絞り込む(すなわち、第二
の検証用エフェクター攪乱因子は、第一攪乱因子の結合パートナーへの結合性に
基づいて単離される)ため、同じ標的タンパク質に結合する二つの攪乱因子を見
つけることが可能となる。 加えて、第二の検証用攪乱因子(ならびに第一の攪
乱因子)は、細胞に対するその生理学的効果によって同定される。 よって、二
つの攪乱因子に共通する標的は、生理学的に関連性の無い標的でないといえる。
【0052】 酵母2−ハイブリッドレポーター構築物 通常、酵母2−ハイブリッドレポーター遺伝子は、BDによって認識され、そし
て、スクリーニングを促すマーカーを得るために選択される上流プロモーター領
域に融合される。 その例として、Gal1プロモーター領域に融合したlacZ遺伝子
や、Gal1プロモーター配列に融合したHis3酵母遺伝子がある。 様々な酵母2−
ハイブリッドレポーター構築物が、本願発明の検証方法での使用に適している。
これらレポーター構築物についての望ましい基準は、厳格な選択(すなわち、酵
母細胞は、バイトとプレイ配列との間のタンパク質−リガンド相互作用が欠乏し
ている場合に死滅する)、または簡便なスクリーニングをもたらす(例えば、互
いに相互作用するバイトとプレイがある場合に細胞の色が変化する)。 例とし
て、(1) ウラシルの欠乏下で成長し、かつ5-フルオロオロト酸(5-FOA)の存在下
で死滅する性状を付与するUra3遺伝子、(2) ヒスチジン欠乏下での成長を許容す
るHis3遺伝子、(3) β−ガラクトシダーゼの存在/欠乏下での色度アッセイにて
モニターされるLacZ遺伝子、(4) ロイシン欠乏下で成長する性状を付与するLeu2
遺伝子、および、(5) リシン欠乏下で成長し、あるいはα−アミノアジピン酸の
存在下で死滅する性状を付与するLys2遺伝子がある。 これらレポーター遺伝子
は、例えば、Gal2プロモーター、Gal1プロモーター、Gal7プロモーター、または
LexAオペレーター配列などの、幾つかの好適なシス−調節要素による転写条件下
に置かれる。
【0053】 相互作用を検出するために生化学的結合アッセイを用いる態様 タンパク質−リガンド相互作用を検出するための酵母2−ハイブリッド方法の
ような準遺伝子的方法の使用に代えて、標的を検出し、そして、第二の攪乱因子
候補を同定するために生化学的方法を用いることもできる。 例えば、アフィニ
ティー精製技術が、当業者に周知である。 攪乱因子のようなタンパク質性プロ
ーブは、アフィニティー精製の一成分として、細胞抽出物から攪乱因子結合パー
トナーを特異的に選択するために使用することができる。 攪乱因子と関連する
内因性細胞結合パートナーは単離されて、そして、標準的な分析法で分析するた
めに回収される。 限定を意図しない一例として、内因性攪乱因子結合タンパク
質を分離および特徴決定するために質量スペクトル法が使用できる。 配列デー
タベースを参照することによって、結合パートナーの同一性が同定される。 ま
た、これは、標準的なファージ表示法での使用のための適量の精製タンパク質の
発現のための(例えば、ファージで発現した)結合パートナーをコードするcDNA
の単離を容易ならしめる。 精製した標的候補は、一組の第二の検証用プローブ
候補に曝される。 精製タンパク質に結合するファージ表示ライブラリー由来の
プローブが回収され、そして、後述する好適な生理学的アッセイに付される。 これらプローブに結合する内因性細胞標的候補は、前述したように、同定および
単離される。
【0054】 検証方法の利点 本願発明の表現型平行検証戦略は応用がきき、また、タンパク質相互作用スク
リーニングでの疑似陽性の問題を効果的に解消する。 さらに、本発明は、潜在
的なタンパク質性および非タンパク質性治療剤を、生理学的に関連のある経路で
の所望の変化をもたらす能力に関してスクリーニングするための強力な手段を提
供する。
【0055】 本明細書に記載した本発明のある重要な特徴は、攪乱因子プローブと相互作用
するタンパク質−リガンド相互作用アッセイにて知られた特定の推定治療標的分
子が、高い確率で、所定の生理学的経路に結合できることにある。 よって、非
常に困難で、かつ通常はその確立に時間を要する結合である、細胞内での生理学
的経路へタンパク質−リガンド相互作用を関連付けることが可能となる。 本明
細書に記載の方法を用いないと、各標的候補について、個別に、かつ入念にその
生理学的役割を試験しなければならない。 そうなると、例えば、抗体またはア
ンチセンス構築物の生産、細胞へのそれらの導入、そして、特異的表現型のモニ
タリングが必要となる。
【0056】 本発明のプロトコールは、所定の形態で細胞の生理機能を改変する特異的ペプ
チドまたはタンパク質エフェクターでの内因性標的に対して高速処理スクリーニ
ングができるので、非常に好都合である。 明確な利点は二つある。 一つは、
スクリーニングを一括してできるため、各標的候補を個別に念入りに試験する必
要がないこと。 第二に、疑似陽性(例えば、タンパク質相互作用アッセイを介
して同定された疑似タンパク質−リガンド相互作用)を簡単に減らすことができ
、ひいては解消に至る。 これら利点は、重大な結果をもたらす。 本発明は、
新薬開発プロセスでの上流部分での主要な障害、すなわち、エフェクター分子(
例えば、攪乱因子)での検証された真正な標的を同定することの困難性を回避す
る。 これは、細胞内での生理学的役割と攪乱因子結合パートナーとの結びつき
、すなわち、細胞内での明確な生化学的/生理学的経路と細胞タンパク質との特
異的な結びつきによって行われる。
【0057】 現在のゲノミック手法およびプロテオミック手法に関連する主要な欠点の一つ
が、細胞内での生理学的役割と特定の遺伝子またはタンパク質とを関連づけるこ
とが非常に困難であることを留意されたい。 本明細書に記載の方法は、この問
題の解決に向けて多大なる貢献を果たす。 この技術を用いることで、タンパク
質−リガンド相互作用は、特異的な生理学的関連(そして、医学的関連)経路を
明らかにし、単に目録への収載に止まるものではない。 このようなタンパク質
−リガンド相互作用の生理学的関連性が一旦明らかになれば、このようなタンパ
ク質(またはその試薬)は、潜在的な治療価値を有する小さな有機分子を同定す
るための試薬として利用するために、公知の高速処理式スクリーニングプロトコ
ールに容易に取り込むことができる。
【0058】 よって、本明細書に記載した方法は、当該技術分野で公知の方法から見ても、
実質的な利点をもたらす。 どの推定標的候補も、特定の細胞異常、障害または
疾患に関連する目的とする内因性細胞性/生理学的経路に結合されるので、それ
らの治療上の有用性が検証される。 この検証工程は、他の研究に付される標的
の最終プールのサイズを縮小するとの別の効果をもたらし、また、例えば、組み
合わせ化学ライブラリーの高速処理式スクリーニングための検証済試薬をも提供
する。
【0059】
【実施例】
実施例1 表現型プローブライブラリーおよび標的候補ライブラリーの作成と特徴決定 (1) 表現型アッセイ用の攪乱因子ライブラリーの作成 表現型アッセイでは、表現型アッセイで用いた標的細胞に適したベクターに、
スクリーニングのための所望の多様な遺伝材料がもたらされるように構築された
推定攪乱因子のライブラリーがよく利用される。 例えば、目的とする標的治療
細胞が哺乳動物細胞、または、特に、ヒトの癌細胞である場合、このライブラリ
ーは、(1) 哺乳動物細胞への攪乱因子ライブラリーの導入、および(2) 引き続い
て、哺乳動物標的細胞でのライブラリーの発現が可能となるようライブラリーを
構築しなくてはならない。
【0060】 限定を意図しない実施例では、潜在的攪乱因子をコードするcDNAライブラリー
は、当該技術分野で周知の方法を用いた以下の手順に従って調製することができ
る。 二本鎖DNAは、特定のタイプの細胞または組織、例えば、ヒト胎盤組織か
ら単離した無作為感作mRNAから調製される。 あるいは、無作為剪断ゲノミック
DNA断片も利用することができる。 いずれの事例でも、これら断片は、その端
部を修復するために酵素で処理され、そして、例えば、哺乳動物細胞での発現に
適した好適なレトロウィルスまたはエピソーム発現ベクターにライゲーションさ
れる。 そのベクターの一例として、CMVプロモーターからライブラリークロー
ンをEGFP融合体として発現することを許容するレトロウィルスベクターである(
その開示を参考までに本明細書に取り込んだWO 99/24617[米国特許出願第08/965
,477号の優先権出願の対応PCT出願として1998年11月5日に出願されたPCT/US98/
23778号]に記載の)pVT334がある。 このようなベクターは、ヒト細胞への導入
を容易ならしめるために、標準的手順によって、感染粒子内に入れ込むことがで
きる。 そして、攪乱因子を含むベクターは大腸菌に導入され、そして、クロー
ンが選択される。 mRNAの数が適切な範囲に至るに十分な数のクローン(例えば
、100万個のクローン)が回収され、そして、残留ベクターとそれらの挿入体を
単離するための大量培養にて生育される。 このプロセスは、後続の表現型スク
リーニングと後述するタンパク質相互作用アッセイのための調製の際に取得され
るライブラリーDNAの大規模定量を可能とする。
【0061】 推定攪乱因子の一般的な第二の取得源として、様々な大きさのペプチドをコー
ドする合成DNAライブラリーを調製することができる。 例えば、Abedi et al.,
Nucleic Acids Res. 26(2):623-630 (1998)と、本明細書に参考までに取り込ん
前出の係属中の米国特許出願第08/965,477号に記載された一般的な方法を用い
て、15個のアミノ酸(aa)の合成ペプチドをコードするライブラリーを作成した。
要するに、無作為に作成された15個のアミノ酸のペプチドをコードするDNAが合
成され、そして、選択したEGFP構築物のXhoIおよびBamHI部位に挿入された。
よって、これら工程は、無作為ペプチド表示ライブラリーを作成することができ
る。 あるいは、「スマート」な攪乱因子をコードする標的化または遺伝子工学的に作
成した合成DNAライブラリーを構築することができる。 例えば、遺伝子工学的
に作成された公知または疑似の攪乱因子の変異体をコードする様々なDNAを、容
易に構築することができる。
【0062】 (2) 標的細胞に特異的な遺伝子ライブラリーの構築 本明細書に記載の標的検証方法のタンパク質相互作用部分は、タンパク質のラ
イブラリーに対する表現型プローブの提示を必要とする。 ある実施態様によれ
ば、目的とするタンパク質は、選択した標的細胞に対して特別なものとなる。
このような場合、代表的な治療標的細胞、例えば、HS294T、WM35またはWM1552C
(黒色腫)の細胞系に由来する内因性細胞タンパク質の集合を作成および試験す
ることが望ましい。 これら内因性タンパク質は、選択した細胞系に由来する遺
伝子ライブラリーを発現することによって容易に取得することができる。 限定
を意図しない例によれば、治療標的ライブラリーを構築するために、治療標的細
胞系のmRNAが使用される。 あるいは、胎児の脳、肝臓または腎臓に由来する
cDNAライブラリーを調製することもできる。 ライブラリー構築、利用および維
持の詳細は、攪乱因子cDNAライブラリーの構築に関する上記の通りである。
【0063】 実施例2 酵母2−ハイブリッドアッセイ構成要素の作成と特徴決定 酵母2−ハイブリッドアッセイでの様々な構成要素、例えば、バイト構築物、
プレイ構築物および宿主細胞の調製は、当該技術分野に周知のことである。 以下の記述は、これら構成要素の限定を意図しない実施例である。
【0064】 (1) 好適な酵母ベクター 表現型プローブ(攪乱因子)と標的ライブラリーが一旦選択されると、酵母で
の使用に適した発現ベクターに、その各々が組み込まれる。 標的と攪乱因子ラ
イブラリーは、適切なバイトとプレイの融合構築物において、バイト/プレイラ
イブラリーとして配置される。
【0065】 cDNAまたはgDNA由来の攪乱因子に適した活性化ドメインベクターとして、例え
ば、pACT2がある。 ペプチド攪乱因子またはペプチドプレイライブラリーに適
した活性化ドメインベクターとして、攪乱因子または標的配列に関する後続のク
ローニングのためのBamHIとXhoI内部部位を具備したGFP支持台タンパク質を有す
るpVT562(図5)およびpVT592(図6)がある。 pVT562およびpVT592を利用し
たライブラリーは、好適な酵母株、例えば、yVT97およびyVT98のそれぞれに形質
転換される。
【0066】 結合ドメインベクターの例として、マルチプルクローニング部位に融合した細
菌LexA DNA結合タンパク質を含むpVT725がある。 このベクターは、酵母および
細菌のそれぞれを選択するための、酵母His3遺伝子およびカナマイシン耐性遺伝
子(KanR)も含んでいる。(図8)。
【0067】 BD融合体として発現されるペプチトプレイライブラリー用ベクターの例として
、例えば、ペプチド配列のライブラリーをコードする核酸に関して引き続いて行
われるクローニングのためのBamHIとXhoIの内部部位を具備したGFP支持台タンパ
ク質を有するpVT560がある(図7)。 このpVT560を利用したライブラリーは、
適切な酵母株、例えば、yVT99またはyVT100に形質転換される。
【0068】 任意に、プレイライブラリーは、自己活性化配列を解消するための他の工程、
例えば、非活性化配列を発現する酵母のサブライブラリーをもたらす5-FOAの存
在下での選択を介して自己活性的転写ペプチドを発現する酵母が除去される工程
に付すことができる。
【0069】 攪乱因子標的候補に結合することができるペプチドの同定は、酵母で発現する
ペプチドライブラリーを、標的タンパク質を発現する酵母とを大量接合し、そし
て、(選択したレポーターに応じて)ヒスティジン、ロイシンまたはウラシルを
欠いたプレート上での成長せしめて選択することによって行われる。
【0070】 (2) 酵母2−ハイブリッドアッセイのための攪乱因子ライブラリーの構築 先の実施例に記載したように、攪乱因子ライブラリーは、限定を意図するもの
ではないが、合成DNA挿入体、gDNAまたはcDNAなどの幾つかの材料に由来し、そ
して、支持台タンパク質、例えば、天然または修飾GFPに挿入される。 酵母2
−ハイブリッドアッセイにて攪乱因子ライブラリーをスクリーニングするために
は、適切なベクターに組み込まなければならない。
【0071】 ベクターpVT560、pVT592およびpVT562を、以下のようにして構築した。
【0072】 プラスミドベクターpVT560(図7)は、PlexA(Clontech 98/99 p.98)のBamHI
とXhoI部位を、クレノウ断片を用いて、個別の工程で補修して構築した。 (本
明細書に参考までに取り込んだ、前出の米国特許出願第98/965,477号に記載され
たpVT27にある)XhoIとBamHI内部制限部位を含むGFP遺伝子を、修飾GFPにクロー
ニングするためにEcoRIを用いた。 GFPのリーディングフレームは、pLexAのDNA
結合ドメインを含むフレーム内に置かれた。 最後に、pVT560を得るために、(
酵母STE4遺伝子の1194コーディング塩基を含む)1.2kbのBamHI-XhoIスタッファ
ー断片を、GFP遺伝子にクローニングした。
【0073】 プラスミドベクターpVT592(図6)は、まず、ADH1プロモーター、マルチプル
クローニング部位に融合したGal4 ADおよびADH1 3'ターミネーターを含む1.5kb
の断片を、PCRによって、pACT2から生成せしめて構築した。 PCRの後、張り出
し端をクレノウ断片で補修し、そして、PvuII消化と、子牛腸管ホスファターゼ(
CIP)による脱ホスホリル化を予め行ったpRS124(Sikorski & Hieter (1989))に、
これら断片をライゲーションした。 得られたプラスミドを、EcoRIで消化し、C
IPで処理し、そして、pVT592をもたらすGal4 ADを有するフレーム内にGFPが来る
ように、GFP遺伝子(ならびに1.2kb XhoI/BamHIスタッファー)を含んだpVT562
由来のEcoRI断片にライゲーションした。
【0074】 プラスミドベクターpVT562(図5)は、pATC2(Clontech 97/98 p.56)を用いて
、以下のようにして、構築を始めた。 pACT2のBamHIとXhoI部位を、クレノウ断
片を用いて、個別の工程で補修して構築した。 (前出のpVT27にある)XhoIとB
amHI内部制限部位を含むGFP遺伝子を、修飾pACT2にクローニングするためにEcoR
Iを用いた。 GFPのリーディングフレームは、pATC2のDNA結合ドメインを含むフ
レーム内に置かれた。 最後に、pVT562を得るために、(酵母STE4遺伝子の1194
コーディング塩基を含む)1.2kbのBamHI-XhoIスタッファー断片を、GFP遺伝子に
クローニングした。 そして、攪乱因子ライブラリーは、XhoI/BamHI内部部位(
または、本明細書に参考までに取り込んだ、前出の米国特許出願第98/965,477号
に記載の他の所望の内部部位)にクローニングされた。 あるいは、この攪乱因
子ライブラリーは、選択したGFPのN-末端またはC-末端の端部または近傍の位置
にクローニングすることができる。 これらGFP構築体は、攪乱因子を有する融
合タンパク質として発現される。
【0075】 (3) 酵母2−ハイブリッドアッセイのための標的ライブラリー 先の実施例に記載したように、目的とする治療標的細胞に特有の遺伝ライブラ
リーを構築することができる。 このような標的ライブラリーは、酵母での使用
に適したベクターに組み込まれる。 このようなベクターの一例として、識別可
能なTRP1マーカーを有するpACT2がある。 このベクターは、標的細胞挿入体の
上流に、構造的に発現を駆動するADHプロモーターを具備している。 あるいは
、市販のライブラリーを利用することができる。 攪乱因子標的候補を同定する
目的の2−ハイブリッド選抜を実施するのに適したライブラリーを、幾つかの供
給源から得ることができる。 例えば、LexA-およびGal4-の双方を利用した2−
ハイブリッド選抜のためのライブラリーは、幾つかの会社(例えば、クローンテ
ックやオリジーン)から市販されている。
【0076】 (4) タンパク質−リガンド相互作用を検出するためのレポーター構築物 治療用途の生理学的関連候補である内因性標的の検証は、特に、タンパク質−
リガンド相互作用を検出するためのレポーターの作成と特徴決定に関与する。 かようなレポーター構築物の例を、以下に示すが、これらに限定されない。
【0077】 レポーター1−(pVT85): このレポーターは、酵母Gal2上流活性化配列(UAS)
による転写条件下のURA3遺伝子を含む。 Lys2コーディング領域に代えて、この
レポーターを、酵母染色体に容易に組み込むために、Gal2-Ura3構築体には、そ
の5'側にLYS2遺伝子のコーディング領域の上流側直近に位置する500塩基対が、
また、その3'側にLYS2遺伝子のコーディング領域の3'側直近に位置する500塩基
対が横付けされる。 図4。 このベクター全体は、ベクターpRS413(Sikorski
, RS and Hieter. P., Genetics 122(1):19-27 (1989))を含む酵母動原体にも
クローニングされており、それ故、エピソームのように使用することができる。
【0078】 このレポーターは、Gal4を利用した2−ハイブリッドシステム、例えば、Fiel
ds. S. and Song, O., Nature 340:245-246 (1989)での使用が意図されている。
【0079】 レポーター2−(pVT86): このレポーターは、GAL2 UAS配列が、8個のLexA
オペレーター配列(Ebina et al., 1983)を含む調節プロモーター配列と交換さ
れていることを除けば、レポーター#1と同一である。 図4。 このレポーター
でのLexAオペレーター配列の数は、転写調節の至適レベルに応じて加減すること
ができる。 このレポーターは、BrentとPtashneによって考案されたLexAを利用
した相互作用トラップ内での使用が意図されている。
【0080】 レポーター3−(pVT87): このレポーターは、酵母Gal1上流活性化配列(UAS)
による転写条件下の酵母His3遺伝子を含む。 His3コーディング領域に代えて、
このレポーターを、酵母染色体に容易に組み込むために、Gal1-His3構築体には
、その5'側にHis3コーディング領域の上流側直近に位置する500塩基対(bp)が、
また、その3'側にHis3コーディング領域の3'側直近に位置する500塩基対が横付
けされる。 図3。 このレポーター全体は、ベクターpRS415を含む酵母動原体
にもクローニングされており、それ故、エピソームのように使用することができ
る。 このレポーターは、Gal4を利用した2−ハイブリッドシステムでの使用が意図さ
れている。
【0081】 レポーター4−(pVT88): このレポーターは、His3遺伝子が、Gal1 UASでは
なく、Gal7 UASによる転写条件下にあることを除けば、レポーター3と同一であ
る。 図3。 このレポーターは、Gal4を利用した2−ハイブリッドシステムで
の使用が意図されている。
【0082】 レポーター5−(pVT89): このレポーターは、Gal1 UASによる転写条件下に
ある細菌LacZ遺伝子を含んでいる。 このレポーター全体は、酵母動原体を用い
たベクター、例えば、pRS413にクローニングされ、そして、エピソームのように
使用される。 図3。
【0083】 レポーター6−(pVT90): このレポーターは、8個のLexAオペレーター配列
による転写条件下のLacZ遺伝子からなる。 図4。 レポーター2に関して、こ
のレポーターでのLexAオペレーター配列の数は、転写調節の至適レベルに応じて
加減することができる。 このレポーターの二つの特徴は、Lys2コーディング領
域に代えて、このレポーターを、酵母染色体に組み込むことを容易にする。 ま
ず、その5'側にLys2遺伝子のコーディング領域の上流側直近に位置する500塩基
対が、また、その3'側にLys2遺伝子のコーディング領域の3'側直近に位置する50
0塩基対が横付けされる。 次に、5' Lys2配列とLexAプロモーター配列との間に
、ネオマイシン(NEO)耐性遺伝子が挿入される。 このレポーターは、LexAを利
用した相互作用トラップ、例えば、Golemis, E.A., et al., (1996), 「相互作
用するタンパク質を同定するための相互作用トラップ/2−ハイブリッドシステ
ム」、 "Current Protocols in Molecular Biology", Ausebel et al., eds., New York
, John Wiley & Sons, 第20.1.1.章〜第20.1.28章、と共に使用される。
【0084】 (5) レポーター構築物の特徴決定 構築を終えた後に、すべてのレポーターについて、動原体を利用したベクター
を用いて、(本明細書に記載した)適当な酵母株にて特徴の決定を行った。 試
験した特有のパラメーターは、以下の通りである。
【0085】 レポーター1: レポーター1は、以下の工程、すなわち、(a) ウラシルが欠
乏した所定培地での成長の欠如と、5-フルオロオロト酸(5-FOA)の存在下での成
長を検出し、および(b) 弱化Gal4-転写活性剤の存在下で、ウラシルと5-FOAに対
する感受性の欠乏した中での成長を検出する、工程によって特徴が決定される。
【0086】 所望であれば、希望の特質を得るために、ウラシル原栄養性と5-FOA耐性に関
与する陽性および陰性選択を併用してなる、PCRを利用したGal2 UAS配列の突然
変異によって、このレポーターの微調整が行われる。
【0087】 レポーター2: 8個のLexAオペレーター(8op)による転写調節下にあるUR
A3遺伝子を含むレポーター2は、EGY48株のゲノムでのLYS2遺伝子の代わりに組
み込まれ、その組み込みは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用によって確認さ
れる。 組み込みを終えた後に、このレポーターは、以下の特徴が決定された。
【0088】 すなわち、(1) このレポーターが、LexAが融合した強力転写活性剤および弱化
転写活性剤の双方の存在下で、宿主酵母株にURA+表現型を付与すること:(2) こ
のレポーターが、一対の相互作用タンパク質、すなわち、LexA融合体(p53)とし
て発現する一方のタンパク質と、B42活性化ドメイン(ラージT抗原)に融合し
た第二のタンパク質の存在下で、宿主酵母株にURA+表現型を付与すること:(3)
このレポーターが、通常は活性化転写をしないLexA融合体の存在下でURA+表現型
を表さないこと:(4) このレポーターが、LexAが融合した強力転写活性剤および
弱化転写活性剤の双方の存在下で、宿主酵母株に5-FOA-表現型を付与すること:
(5) このレポーターが、一対の相互作用タンパク質、すなわち、LexA融合体(p53
)として発現する一方のタンパク質と、B42活性化ドメイン(ラージT抗原)に融
合した第二のタンパク質の存在下で、宿主酵母株に5-FOA-表現型を付与すること
:(6) このレポーターが、通常は活性化転写をしないLexA融合体の存在下で5-FO
A-表現型を表すこと:および、(7) このレポーターが、5-FOAの存在下で成長可
能なクローンをpVT560を利用したペプチドライブラリーから選択することによっ
て、当該ライブラリーから自己活性化配列を選別するために好都合に利用された
こと、が決定された。
【0089】 レポーター3および4: レポーター3および4は、以下の工程、すなわち、
(a) ヒスティジンが欠乏した培地での成長の最低レベルを検出し、および(b) 弱
化Gal4-転写活性剤の存在下で、ヒスティジンが欠乏した培地での成長を検出す
る、工程によって特徴が決定される。 これら二つのレポーターの内の一方、最
も好ましくは、活性化に対して高感度応答を示すレポーターが、後述する酵母株
の修飾のために使用される。
【0090】 レポーター5: LacZ遺伝子が組み込まれたレポーター5は、強力転写活性剤
および弱化転写活性剤の存在下で、特異的なβ−ガラクトシダーゼ活性を検出す
ることによって特徴が決定される。
【0091】 レポーター6: 8個のLexAオペレーター(8op)による転写調節下にあるLa
cZ遺伝子を含むレポーター6は、yVT98株をもたらすyVT87株のゲノムでのLYS2遺
伝子の代わりに組み込まれた。 組み込みを終えた後に、このレポーターは、以
下の特徴が決定された。 すなわち、(1) このレポーターが、LexAが融合した強
力転写活性剤の存在下で、宿主酵母株にLacZ+表現型を付与すること:(2) この
レポーターが、一対の相互作用タンパク質、すなわち、LexA融合体(p53)として
発現する一方のタンパク質と、B42活性化ドメイン(ラージT抗原)に融合した
第二のタンパク質の存在下で、宿主酵母株にLacZ+表現型を付与すること:およ
び、(3) このレポーターが、通常は活性化転写をしないLexA融合体の存在下でLa
cZ+表現型を表さないこと、が決定された。
【0092】 (6) 具体的な宿主酵母株の作成と特徴決定 限定を意図しない検証用酵母レポーター株の具体例は、以下の通りである。
【0093】 YVT96: YM4271(Liu, J. et al., 1993) MATa, ura3-52 his3-200 ade2-101
ade5 lys2-801 leu2-3, 112 trp1-901 try1-501 gal4Δgal80Δ ade5::hisGを出
発株とした。 レポーター1のLYS2座への相同組み換えによって、YM4271を、yV
T96, MATa, ura3-52 his3-200 ade2-101 ade5 lys2::GAL2-URA3 leu2-3, 112 tr
p1-901 try1-501 gal4D gal80Δ ade5::hisGに変換した。 PCRによって、組み
込みが確認される。
【0094】 YVT97: YM4271(Liu, J. et al., 1993) MATa, ura3-52 his3-200 ade2-101
ade5 lys2-801 leu2-3, 112 trp1-901 try1-501 gal4Δgal80Δ ade5::hisGを出
発株とした。 YM4271は、(a) Methods in Enzymology Vol.194:132-146 (1991)
のHOエンドヌクレアーゼのトランジション発現を介して、MATaからMATαに変換
し、そして、(b) レポーター3または4のいずれかのHIS3座への相同組み換えに
よって組み込みを行うことで、yVT97, MATα, ura3-52 his3:GAL1またはGAL7-HI
S3 ade2-101 ade5 lys2-801 leu2-3, 112 trp1-901 try1-501 gal4Δ gal80Δ a
de5::hisGに変換されるであろう。 PCRによって、組み込みが確認される。
【0095】 YVT98: EGY48(Estojak, J. Et al., 1995) MATα, ura3 his3 trp1 leu2::L
exAop(x6)-LEU2を出発株とした。 レポーター6のLYS2座への相同組み換えによ
って、EGY48を、yVT98, MATα ura3 his3 trp1 leu2::LexAop(x6)-LEU2 lys2::L
exAop(8xまたは2x)-LacZに変換した。
【0096】 YVT99: EGY48(Estojak, J. Et al., 1995) MATα, ura3 his3 trp1 leu2::L
exAop(x6)-LEU2を出発株とした。 レポーター2のLYS2座への相同組み換えを行
い、そして、HOエンドヌクレアーゼのトランジション発現を介して、接合型をMA
TaからMATαに変換することによって、EGY48を、yVT99 MATa ura3 his3 trp1 le
u2::LexAop(x6)-LEU2 lys2::LexAop(8xまたは2x)-URA3に変換した。
【0097】 YVT100: YM4271(Liu, J. et al., 1993) MATa, ura3-52 his3-200 ade2-101
ade5 lys2-801 leu2-3, 112 trp1-901 try1-501 gal4Δgal80Δ ade5::hisGを
出発株とした。 レポーター2のLYS2座への相同組み換えによって、YM4271を、
yVT100, MATa, ura3-52 his3-200 ade2-101 ade5 lys2::lexAop(8xまたは2x)-UR
A3 leu2-3, 112 trp1-901 try-501 gal4Δ gal80Δ ade5::hisGに変換した。 P
CRによって、組み込みが確認された。
【0098】 実施例3 黒色腫細胞系での生理学的関連標的の同定 本願発明は、哺乳類動物細胞を選択/スクリーニングして単離された攪乱因子
の標的を発見するために応用することができる。 その一例として、調節された
p16遺伝子を含むHS294T黒色腫細胞へのレトロウィルス遺伝子移植によって、攪
乱因子のライブラリーが得られる。 この遺伝子の誘発によって、細胞周期の停
止と、ひいては、p16の過剰発現による細胞死を招く。 p16が介在した細胞周
期の停止と細胞死を免れた細胞が回収され、次いで、この最初の表現型アッセイ
に供される。 攪乱因子に横付けするDNA配列に特異的なプライマーを用いたPCR
増幅によって、残存する攪乱因子が単離される。
【0099】 次に、最初のタンパク質相互作用アッセイは、攪乱因子の最初の一組に結合し
た内因性細胞成分を単離する。 攪乱因子配列は、酵母発現ベクター内にBD Gal
4またはLexA融合体を得るためにクローニングされ、そして、ハプロイド酵母に
導入される。 Gal4を利用したシステムにおいて、最初の2−ハイブリッド選択
に用いる酵母株は、例えば、yVT97である。 あるいは、攪乱因子は、LexAを利
用したシステムでクローニングされ、そして、酵母株yVT98が用いられる。 次
いで、プレイライブラリーが、BD-攪乱因子融合構築体を抱える酵母に共形質転
換され、そして、AD/BD相互作用の結果として、選択されたレポーターを発現す
る酵母細胞が選抜される。 この最初のアッセイは、ヒスティジン(Gal4システ
ム)またはロイシン(LexAシステム)のいずれかを欠いた所定の培地での最初の
選択と、それに続く、LacZレポーターによる発現をモニタリングするプレイ−バ
イト相互作用に関する任意の第二スクリーニングから構成されている。 標的候
補をコードするプラスミドDNAは、標準的な手法によって、生存酵母から個別に
回収することができる。
【0100】 最初のタンパク質相互作用アッセイを行うための他の方法も利用できる。 こ
の場合、攪乱因子配列は、例えば、yVT98でのLexA融合タンパク質、または、例
えば、yVT97でのGAL4 BD融合タンパク質として発現される。 「プレイ」ライブ
ラリー(B42ADまたはGAL4ADのいずれかを用いて融合タンパク質として発現したcD
NAクローン)が、yVT99(LexAシステム)またはyVT96(Gal4システム)のような正
反対の接合型の酵母株内に置かれる。 そして、プレイライブラリーと攪乱因子
配列は、標準的な接合手順によって同じ細胞内に導入される。 次に、攪乱因子
と相互作用するプレイクローンの選択を、利用可能なマーカーの組み合わせ(例
えば、YVT98/99の組み合わせにおけるLEU、URA、LacZや、yVT96/97の組み合わせ
におけるHIS、URA、LacZなど)を用いて実施することができる。 標的候補をコ
ードするプラスミドDNAは、標準的な手法によって、生存酵母から回収すること
ができる。
【0101】 DNAの回収に先駆けて人為的な疑似陽性を除去するための任意の工程が、以下
のようにして実施される。 第一ラウンドでの各生存体をプールし、そして、非
選択培地での成長および/または陰性選択の使用を介して、プラスミドを含む攪
乱因子を喪失するように誘発することができる。 次いで、プラスミドをコード
する標的候補だけを抱えた酵母は、ラミンタンパク質のような「疑似バイト」を
抱えたyVT96(Gal4)あるいはyVT99またはyVT100(LexA)株に接合されるであろう。
【0102】 そして、二倍体の選択が、5-FOAの存在下で行うことができる。 この方法に
て、成長およびコロニー形成をする細胞での二倍体のみが豊富になる。 そして
、表現型アッセイで用いた治療標的細胞系由来のDNAが、標準的な手法によって
回収される。
【0103】 次に、他のタンパク質相互作用アッセイが実施される。 2−ハイブリッド選
択の第二ラウンドが、推定治療標的(攪乱因子の最初の一組に結合した内因性分
子)と、独立した第二の攪乱因子ライブラリー、すなわち、ペプチドライブラリ
ーをコードする合成DNA、またはGal4 ADを有する融合物として発現した、例えば
、ヒト胎児脳mRNAでの、例えば、無作為感作ライブラリーとの間で行われる。
一般に、このような選択は、1つ以上の標的候補を抱えた酵母株と、適切なcDNA
またはペプチド攪乱因子プローブライブラリーを抱えた酵母株との間の接合に関
与する。 使用した株は、Gal4システムの場合にはyVT96と97、そして、LexAシ
ステムの場合にはyVT98と、yVT99またはvVT100のいずれかであった。 標的候補
は、このような選択に先駆けて、結合ドメイン部位にサブクローニングすること
ができる。 このような選択は、選択後もなお疑似陽性が残存していることを除
けば、第一ラウンドと同様に実施される。
【0104】 ペプチドライブラリーとして第二の独立した攪乱因子ライブラリーを用いた態
様に関して、この第二のタンパク質−タンパク質相互作用アッセイは、以下のよ
うにして実施される。 2−ハイブリッド選択の第二ラウンドが、(攪乱因子配
列と「プレイ」cDNAライブラリーとの間の最初の2−ハイブリッド選択で得られ
た)標的候補と無作為ペプチドライブラリーとの間で行われる。 この選択ラウ
ンドでのある態様によれば、活性化ドメイン(GAL4またはB42のいずれか)を有
する融合物として得られた標的候補は、それらがDNA結合ドメイン融合体(LexA
またはGAL4のいずれか)として発現されるようにサブクローニングされる。 標
的候補-BD融合体(LexAおよびGAL4システムそれぞれでのyVT98およびyVT97)を
抱えた酵母は、GFP-ペプチド「プレイ」ライブラリー(例えば、その開示全体を
参考までに本明細書に取り込んだ、Abedi et al., (1998))を有する正反対の接
合型の酵母株(yVTs99および96)に接合される。 次に、様々な標的候補に結合
するペプチドの選択が、先述した入手可能なマーカーを用いて実施される。 こ
の選択ラウンドで取得された疑似陽性を、前選択として除去する必要はない。
【0105】 任意に、標的候補に結合するペプチドは、標的候補を結合ドメイン融合体とし
て発現せずとも同定される。 このような手法の利点として、当初に結合ドメイ
ン発現ベクターであると同定されたAD融合ベクターから、これら標的をコードす
る配列をサブクローニングする必要性が解消される点がある。 さらに、自己活
性であるが故にBD融合体として使用できなくなる可能性も無意味なものになる。
この種の選択は、標的候補がAD融合体として発現され、また、GFP-ペプチド「プ
レイ」ライブラリー配列が結合ドメイン融合体として発現されることを除けば、
他の選択手段と同一のものである。 自己活性ペプチド配列は、本明細書に記載
した技術を用いて、実際の選択に先駆けて除去される。
【0106】 cDNAまたはgDNAのいずれかに由来するライブラリーを用いた他の態様によれば
、最初の表現型プローブ配列によって同定された標的候補の集団が、Gal4 ADを
有する融合体として発現される、例えば、ヒト胎児脳mRNAまたはgDNAの第二の独
立した無作為感作ライブラリーに対して試験される。 そして、2−ハイブリッ
ド選択が、先に詳述したようにして実施される。
【0107】 次に、第二の表現型アッセイが、以下のようにして実施される。 回収された
ペプチドライブラリーまたはcDNAライブラリー配列が、哺乳動物発現ベクター、
例えば、レトロウィルスベクターに再クローニングされる。 これら配列は、p
16で加工したHS294T黒色腫細胞に再度導入され、そして、それら細胞は、p16が
介在した細胞周期の停止と細胞死からの逃避が求められる選択系に付される。 この試験をパスし、かつコロニーを形成する細胞が回収され、そして、PCRによ
って、残存した攪乱因子をコードする配列を単離した。 ヒスティジン(Gal4)ま
たはロイシン(LexA)のいずれかを欠いた培地での選択と、LacZ遺伝子の発現をモ
ニタリングする二次的なスクリーニングとを利用する、先述したのと同じ方法に
よって、これら配列は、標的候補の集団に対して試験される。 よって、検証用
表現型プローブの一つに結合する標的候補は、検証済の生理学的に関連のある標
的として同定される。
【0108】 実施例4 酵母2−ハイブリッドタンパク質相互作用アッセイの 効率を改善するための任意工程 ある事例において、酵母2−ハイブリッド選択での第一ラウンドと第二ラウン
ドの間において、標的候補を、活性化ドメイン側から結合ドメイン側に転換する
ことが望ましい場合がある。 このようなことは、限定を意図するものではない
が、PCR、サブクローニングおよびギャップ修復などの分子生物学の標準的な手
段を用いた幾つかの方法によって達成できる。
【0109】 また、他の事例において、2−ハイブリッド選択に先駆けて、2−ハイブリッ
ドライブラリーから自己活性配列を除去することが望ましい場合がある。 この
ことは、無作為配列の大半が転写を促すので、Gal4やLexA DNA結合ドメインを有
するタンパク質やペプチド融合体においては最も重要な事項である。
【0110】 DB-融合体ライブラリー(例えば、cDNA断片またはペプチド「プレイ」ライブ
ラリー)から自己活性配列を除去するために、以下の一般的な方法が実施された
。 酵母株yVT99が、pVT560を利用した(LexA)ライブラリーで形質転換された。 ロ
イシン55+/-6を欠いた培地に接種された酵母の内、このライブラリーを抱えた5
×105の酵母は、***して、コロニーを形成しており、このことは、このライブ
ラリーでの約0.014+/-0.005%のペプチドが自己活性的であることを示している
。 ライブラリー全体から自己活性ペプチドを発現する酵母を除去するために、
(ライブラリープラスミドを選択するために)ヒスティジンを欠き、かつ0.25%
の5-FOAを含んだ所定の培地に、(ライブラリーの0.5倍を網羅する)7×106
酵母を接種した。 希釈プレートに形成された酵母コロニーを計数したところ、
酵母を含むライブラリーと、5-FOAが入ったプレートでの対照のプラスミドを保
有する酵母を含むライブラリーの双方において、一般的には、酵母の成長と***
に関する不都合な効果は認められなかった。 次に、ライブラリープラスミドを
保有する酵母は、5-FOA培地から回収され、そして、等分して冷凍した。 5-FOA
を用いて培養し、次いで、ロイシンとウラシルを欠いた所定の培地に接種された
1×106以下の酵母の内、***とコロニー形成に至った酵母は無く、このことは
、5-FOAによる処理によって、ライブラリー集団全体から自己活性配列が完全に
解消されることを指し示すものである。
【0111】 転写を自発的に活性化する標的候補に関係する2−ハイブリッド選択を容易な
らしめるために、結合ドメインcDNAライブラリーに関しても、同様の陰性選択を
実施することもできる。
【0112】 実施例5 検証されたタンパク質−リガンド相互作用を検出するための生化学的方法の利用 酵母2−ハイブリッドタンパク質相互作用アッセイの代替手段として、攪乱因
子に結合する治療標的細胞から内因性タンパク質を同定するためにアフィニティ
ー精製を利用することが可能である。 最初の工程は、攪乱因子に結合するタン
パク質を細胞抽出物から選択するためのアフィニティー試薬としての少なくとも
一つの攪乱因子の使用に関する。 これは、各攪乱因子ごと、あるいは、攪乱因
子全体に対して実施される。 攪乱因子には、好ましくは、それを固相支持体に
結合ならしめる一般的な結合マトリックスの使用を許容するラベルを添付する。
その例として、FLAGエピトープ、Hisタッグ、マルトース結合ドメイン、グルタ
チオン-S-トランスフェラーゼなどがある。
【0113】 結合とアフィニティー精製に好適な塩やpHなどの条件下で、細胞抽出物を用い
てインキュベーションを行った。 大抵の場合、細胞内での生理学的pHと塩レベ
ルを再現する条件が好適である。 場合によっては、ラベルまたはタッグとアフ
ィニティーマトリックスとの間に結合をもたらす条件(例えば、グルタチオン-S
-トランスフェラーゼと、そのリガンドであるグルタチオンとの間の相互作用に
好適な条件)が必要とされる。 このような条件は、標準的な製造業者の指示や
、標準的な分子生物学的プロトコールに基づいて整備することができる。 攪乱
因子とそれに結合した細胞性タンパク質は、非特異的に結合したタンパク質を除
去するよう設計された一連の通常の洗浄工程によって、塊状または非結合性の細
胞性タンパク質から分離される。 結合タンパク質と攪乱因子の濃縮複合体は、
分析のために回収される。
【0114】 次に、単一または集団の攪乱因子に結合したタンパク質を分析する。 特に関
心のある分析方法は、最近開発された、質量分析法である。 質量分析機器は、
市販されており、また、タンパク質を含む巨大分子を分析するために様々な場面
で使用することができる。 ある事例によれば、攪乱因子に結合したタンパク質
の試料は、まず、特異的なプロテアーゼまたは複数のプロテアーゼでタンパク質
分解され、HPLC(高圧液体クロマトグラフィー)カラムで断片化され、そして、
MALDI質量分析機器に付される。 検出されたピークから、電荷/質量比率が測
定され、そして、各ペプチド断片のアミノ酸組成が推定される。 このアミノ酸
組成は、タンパク質または翻訳DNAデータベース由来の予想断片と比較すること
ができる。 適合するものが見つかれば、攪乱因子結合パートナーは、通常は高
い確率をもってして、適合したものと同定することができる。 原則として、デ
ータベースでの「あたり(hits)」の総計は、当初の試料における攪乱因子結合タ
ンパク質候補のファミリーを定義する。
【0115】 このプロセスでの次工程は、攪乱因子結合タンパク質のファミリーでの各構成
タンパク質と生理学的相互作用を呈するペプチドまたはタンパク質断片の同定を
必要とする。 かような物質の単離のための生化学的手法の一つは、ファージ出
現を用いた、発現精製したタンパク質の使用が関係する。 上記結合パートナー
をコードする全長cDNAは、市販の生物体から構築または取得することができる。
これらクローンは、好適な発現構築体に転移することも、また、所定のタンパク
質の実質量を、例えば、大腸菌にて産生するために直接使用することもできる。
このタンパク質は、当該技術分野で周知で、かつファージ出現実験の基本として
用いられている様々な方法によって精製することができる。 これら実験におい
て、精製タンパク質は、通常、固相支持体に結合されており、そして、ファージ
表面に出現するペプチドのライブラリーから、二次的な攪乱因子候補の集団を選
択する機能を果たす。
【0116】 最後に、生理学的に関連のある結合パートナーを同定する。 例えば、これら
検証用攪乱因子候補をコードするDNA断片の集団は、哺乳動物発現ベクターにク
ローニングすることができ、そして、例えば、最初の攪乱因子を単離するために
用いたアッセイに、これら全集団を適用することができる。 アッセイから回収
したこれら二次的攪乱因子(すなわち、第一攪乱因子と同様の生理学的効果を呈
する攪乱因子)は、特定の標的候補に由来する。 つまり、それらは、先に同定
した特定の標的候補に結合する。 生化学的実験において一次および二次攪乱因
子の双方に結合すると判断された標的候補は、生理学的に関連のある結合パート
ナー、すなわち、in vivoでの攪乱因子標的である。
【0117】 実施例6 酵母での内因性標的の検証 酵母でのスクリーニングに関する本願発明の実施例として、ある一連の実験を
行ったところ、フェロモンによる成長停止に対する耐性を付与する攪乱因子の同
定に至った(Caponigro et al., 1998)。 この攪乱因子のスクリーニングによっ
て同定された標的候補の一つは、STE11の遺伝子産物(Id)であるSTE11pであった
。 STE11pの機能を検証するために、すなわち、STE11pが本当に酵母における生理学
的関連標的であることを証明するために、以下の実験を行った。
【0118】 全STE11遺伝子を、ベクターpLexA(Clontech)でのLexAタンパク質の構造に関し
てクローニングした。 ウェスターンブロット分析によれば、LexA-STE11pはよ
く発現しており、そして、EGY48株(yVT98株の前駆体)に導入した場合に自己活
性転写は認められなかった。 STE11pに結合するペプチドを同定するために、次
の工程が実施された。 まず、pVT592を利用したペプチドライブラリーの内の約
3×106個を、LexA-STE11p融合タンパク質を発現する酵母に共形質転換した。
次に、LexA-Ste11p融合体に結合することができるライブラリーでのペプチドが
、ロイシンを欠いた所定の培地で成長でき、かつ個別のLacZレポーターの転写を
促すこともできる酵母を選択することによって同定された。
【0119】 配列分析によれば、約68個の異なる推定上のSte11p結合ペプチドが、最初の2
−ハイブリッド選択にて取得されていたことが明らかとなった。 疑似バイト(
LexA-p53融合タンパク質)と「真正」バイト(LexA-Ste11p)を用いて、これら
推定上のバインダーの部分集団をさらに試験したところ、この選択で取得された
バインダーの約半分が、Ste11pに特異的であった。 全体として、約3×106
のライブラリーから、37個以下(全ライブラリークローンの0.001%)の明確なS
te11p結合ペプチドが得られた。 よって、GFP-支持台ペプチドは、STE11pバイ
ンダーの良き供給源であると言える。
【0120】 In vivoでSte11pを阻害できるペプチドを同定するために、以下の実験を行っ
た。 最初の選択で得た推定Ste11pバインダーの全集団を、ガラクトース調節し
たGAL1プロモーターからの良好な発現を許容したpVT27にひとまとめにサブクロ
ーニングした(Abedi et al., 1998)。 Ste11pバインダーの発現ライブラリー
は、yVT12株およびCaponigro et al., 1998に記載・特定されたα-因子-誘発細
胞周期停止から逃避可能な細胞に導入された。 プラスミドDNAは、このα-因子
-誘発細胞周期停止を免れた細胞から単離され、そして、逃避表現型と各ペプチ
ド配列との間の関連を確立するために、新たな酵母にて再試験を行った。 全体
として、α-因子-介在細胞周期停止に対する耐性を付与する二つの異なるペプチ
ドが認められた。 よって、この方法は、標的候補を検証するための、迅速かつ
効率的な方法を提供するものである。
【0121】 この方法は、フェロモン応答経路の構成要素を同定および検証するために、さ
らに応用することができる。 未知の標的を見つけるために、攪乱因子の第一集
団は、LexAまたはGal4 BDのいずれかを有する融合体として、酵母細胞内で発現
される。 これら融合体は「バイト」であり、また、酵母発現プラスミドに関し
てGal4 ADを有する融合体をコードするようクローニングされてなる、無作為に
剪断された酵母ゲノミックDNA(gDNA)からなるプレイライブラリーのメンバーと
の相互作用性について試験を行った。 バイトとプレイライブラリーは、共にハ
プロイド酵母細胞にて検証を受け、後に、共形質転換が続いた。 利用可能なマ
ーカーのメンバー、例えば、URA3+の発現に関する選択は、バイト配列と物理的
に相互作用するプレイ配列の部分集団を規定する。 PCR増幅またはプラスミド
単離を用いて、これらは回収された。
【0122】 AD融合標的候補は、例えば、LexA BDに融合されるGFP支持台上に出現したペプ
チド(15アミノ酸)のライブラリーに対して直接使用することができる。 この
プレイライブラリーでは、URA3+表現型に対する陰性選択による第二の物理的相
互作用が欠けている中でも活性化を促すメンバーが減っていた。 AD融合標的候
補とBD-ペプチド/GFP融合構築体との間の2−ハイブリッド選択で生存していた
細胞からペプチドが単離され、そして、GFP支持台の内部に融合したペプチドを
発現することができる、GFPを含むガラクトース調節した発現ベクターに再クロ
ーニングされる。
【0123】 GFP-ペプチド融合体のサブライブラリーが酵母細胞に再導入され、そして、フ
ェロモンとガラクトースの存在下で成長する酵母が同定される。 これら酵母は
、その逃避性能がガラクトース依存性であることを確認するためにさらに試験が
行われる。 フェロモンに対する耐性を付与するペプチドを発現するそれらは回
収され、そして、標的候補の当初の集団から結合パートナーを同定するために第
二の集束2−ハイブリッドアッセイに適用した。 攪乱因子の第二集団のメンバ
ーのいずれかに結合する当初のプレイライブラリー由来の標的候補は、例えば、
抗真菌剤の開発において有効に利用できる生理学的関連性、あるいはヒトの生理
学的経路を推定する生理学的関連性を有する、in vivoで有効な標的であると考
えらえる。
【0124】 実施例7 ウィルス感染した細胞での内因性標的の検証 ウィルス感染に関与する経路での脆弱箇所を同定するために、攪乱因子を使用
することができる。 これら脆弱箇所は、ウィルスによる生産的感染に必要とさ
れるウィルスタンパク質または細胞性タンパク質を含む。
【0125】 その例として、アデノウィルスがヒトに感染すると、場合によっては、風邪の
ような症状を呈する。 抗感染薬用のアデノウィルス標的を見つけ出すために、
アデノウィルスを、CMVプロモーター(アデノ-GFP、カタログNo. AES0515、クゥ
アンタム バイオテクノロジーズ社、モントリオール、ケベック州、カナダ)に
よって調節されたGFP遺伝子を含むように処理した。 このウィルスに感染した
細胞の蛍光は明るい緑色であるため、標準的な方法によって容易に視覚化または
選別することができる。
【0126】 配列をコードする推定攪乱因子を含むエプスタイン−バールウィルスベクター
は、以下のようにして構築された。 蛍光を消滅させるために、GFPをコドン66(
Y66F)で変異せしめた(「死滅した」GFP)。 そして、攪乱因子をコードする配
列は、C末端での死滅GFP支持台に挿入された。 二つの攪乱因子のライブラリ
ーが構築された。 最初のライブラリーは、合成ペプチドを利用し、そして、第
二のものは、ヒトの胎盤ポリA+mRNA由来のcDNAを利用していた。
【0127】 攪乱因子構築体は、リポフェクションを用いてヒト293細胞にトランスフェク
ションされ、そして、2日間にわたって攪乱因子/死滅GFP融合体の発現が許容
された。 そして、これら攪乱因子含有細胞を、10のMOIで、組換えアデノウィ
ルス発現蛍光性(「活性」)GFPで感染せしめた。 アデノウィルスで生産的に
感染していない細胞の個体数を高めるために、感染後に、細胞の集団を36時間ト
リプシン処理した。 細胞を48時間目に回収した場合、その後に再付着しない細
胞を洗浄して取り除いた。 そして、これら細胞を、フローサイトメトリーによ
って選別した。 これら薄暗い(すなわち、蛍光が小さい)細胞は流動選別器で
回収され、そして、残存している攪乱因子をコードする配列はPCRによって回収
される。
【0128】 再導入と感染のサイクルを2回行った後、アデノウィルス感染に対する耐性を
付与する攪乱因子が同定され、そして、そのコード配列が、BDベクターにクロー
ニングされる。 先の実施例に記載したのと同じ工程を遂行することによって、
検証された生理学的関連標的が同定される。
【0129】 上記の実施例は、本発明の説明目的のものであって、その範囲の限縮を意図す
るものではない。 本発明の他の態様は、当業者であれば容易に想到されるであ
ろうし、また、添付の請求の範囲によって包含されている。 本明細書で引用し
たすべての文献、特許および特許出願は、参考までに本明細書に取り込んだもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 生理学的に検証された標的分子を表現型プローブで同定するため
の基本的方法論を図式化してなる流れ図である。
【図2】 生理学的に検証された標的分子を(生理学的アッセイによって同
定した)表現型プローブおよび酵母2−ハイブリッドタンパク質相互作用アッセ
イを利用して同定する方法を図式化してなる流れ図である。
【図3】 Gal4を利用したレポーター系での使用のためにデザインされた代
表的な酵母2−ハイブリッドレポーター構築物; (1) pVT85(斜線が入った領域は、上流活性化配列(UAS)と、Gal2遺伝子
の5'側の9〜854位に至るヌクレオチドでの酵母Gal2遺伝子の5'側非翻訳領域(UT
R)の一部である。 白抜きの囲い部分は、UTRの5'側での最初の9個のヌクレオ
チド、URA3遺伝子のUTRの3'側での全コード領域と最初の81個のヌクレオチドを
表している。 実線で示した領域は、473885位(5'領域)のヌクレオチドで終わ
り、かつ469705位(3'領域)のヌクレオチドで始まるレポーターに横付けしてい
る第2染色体DNAを表している); (2) pVT87(Gal1遺伝子の5'側の9〜535位のヌクレオチドを用いている
こと、そして、白抜きの囲い部分が、UTRの5'側での最初の10個のヌクレオチド
、およびHis3遺伝子の全コード領域を表している以外は、pVT85の概略図と同様
である。 実線で示した領域は、721943位(5'領域)のヌクレオチドで終わり、
かつ722607位(3'領域)のヌクレオチドで始まるレポーターに横付けしている第
15染色体DNAを表している); (3) pVT88(Gal7遺伝子の5'側の38〜242位のヌクレオチドを用いている
こと、そして、白抜きの囲い部分が、UTRの5'側での最初の10個のヌクレオチド
とHis3遺伝子の全コード領域を表している以外は、pVT87の概略図と同様である
);および、 (4) pVT89(斜線が入った領域は、UTRの5'側のUAS、それにGal1遺伝子の
−553〜+87位に至るヌクレオチドでのGal1遺伝子のコード領域の一部である。 白抜きの囲い部分は、UTRの3'側のLys2に融合したLacZ遺伝子のコード領域を
表している)の概略図である。
【図4】 LexAを利用したレポーター系での使用のためにデザインされた代
表的な酵母2−ハイブリッドレポーター構築物; (1) pVT86(斜線が入った領域は、Gal1 UAS内に固定された8個のLexAオ
ペレーターを示し、白抜きの囲い部分は、UTRの5'側での最初の9個のヌクレオ
チド、Ura3遺伝子のUTRの3'側での全コード領域と最初の81個のヌクレオチドを
表している。 実線で示した領域は、473885位(5'領域)のヌクレオチドで終わ
り、かつ469705位(3'領域)のヌクレオチドで始まるレポーターに横付けしてい
る第2染色体DNAを表している);および (2) pVT90(白抜きの囲い部分が、LacZ遺伝子を表している以外は、pVT8
6の概略図と同様である)の概略図である。
【図5】 プラスミドベクターpVT562の概略図である。
【図6】 プラスミドベクターpVT592の概略図である。
【図7】 プラスミドベクターpVT560の概略図である。
【図8】 プラスミドベクターpVT725の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 1/19 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2G045 AA40 DA36 4B024 AA01 AA11 CA04 CA09 DA02 EA04 HA14 4B063 QA01 QA08 QQ08 QQ48 QQ79 QR33 QR55 QR58 QR60 QS34 QX02 4B065 AA72 AB01 BA02 CA44 CA46

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質の相互作用を同定するアッセイでの疑似陽性を減
    少する方法であって、以下の工程、すなわち; (a) 第一のタンパク質相互作用アッセイにて、第一の表現型プローブと
    相互作用する推定標的分子のプールを選択し、 (b) 第二のタンパク質相互作用アッセイにて、該推定標的分子のプール
    と相互作用する独立した第二のプローブのプールを選択し、 (c) 独立した該第二のプローブのプールから、表現型アッセイ宿主細胞
    にて関心のある表現型を改変することができる少なくとも一つの検証用表現型プ
    ローブを選択し、および (d) 第一の当該表現型プローブと該検証用表現型プローブの双方と相互
    作用する推定標的分子のプールでの要素を同定する、 工程を含む、タンパク質の相互作用を同定するアッセイでの疑似陽性を減少す
    る方法。
  2. 【請求項2】 関心のある表現型に相関する生理学的に関連のある標的分子
    を同定する方法であって、以下の工程、すなわち; (a) 関心のある第一の表現型を宿主細胞に付与する生理学的に関連のあ
    る第一のプローブと標的分子プールとの間での、タンパク質−リガンドの第一の
    相互作用を決定し、 (b) 関心のある第二の表現型を宿主細胞に付与する生理学的に関連のあ
    る別個の第二のプローブと標的分子プールとの間での、タンパク質−リガンドの
    第二の相互作用を決定し、および (c) 当該第一および第二のプローブの双方と相互作用する標的分子を単
    離する、 工程を含む、関心のある表現型に相関する生理学的に関連のある標的分子を同
    定する方法。
  3. 【請求項3】 前記第一および第二のタンパク質−リガンド相互作用が、第
    一および第二の酵母2−ハイブリッドアッセイを行うことで決定される請求項2
    に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第一の酵母2−ハイブリッドアッセイが、標的分子のプ
    ールをプレイとして利用し、かつ前記第二の酵母2−ハイブリッドアッセイが標
    的分子のプールをバイトとして用いる請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 関心のある前記第一および前記第二の表現型が、同じ細胞特
    性である請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 関心のある前記第一および前記第二の表現型が、関連する細
    胞特性である請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 関心のある表現型に相関する生理学的に関連のある標的を同
    定する方法であって、以下の工程、すなわち; (a) 第一の表現型プローブを、標的候補のライブラリーに曝し、 (b) 該第一の表現型プローブと相互作用する推定標的分子のプールを同
    定し、 (c) 該推定標的分子のプールを、第二プローブ候補のライブラリーに曝
    し、 (d) 該推定標的分子のプールと相互作用する第二プローブ候補の前記ラ
    イブラリー内のサブライブラリーを同定し、 (e) 前記サブライブラリーから、宿主細胞にて関心のある表現型を改変
    する検証用プローブを選択し、および (f) 当該検証用プローブと相互作用する推定標的分子のプールでの要素
    を同定する、 工程を含む、関心のある表現型に相関する生理学的に関連のある標的を同定す
    る方法。
  8. 【請求項8】 前記推定標的分子のプールが、攪乱因子結合パートナーであ
    る請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記攪乱因子結合パートナーが、ポリペプチドである請求項
    8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記標的候補ライブラリーが、組換えポリペプチドの発現
    ライブラリーである請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記発現ライブラリーが、ゲノミックDNAによってコー
    ドされる請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記発現ライブラリーが、cDNAによってコードされる
    請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第一および第二の表現型プローブが、攪乱因子である
    請求項7に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記方法が、少なくとも一つの攪乱因子を、安定ポリペプ
    チドに融合する工程をさらに含む請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記安定ポリペプチドが、GFPである請求項14に記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 前記第一および第二のプローブを標的分子のプールに曝す
    工程が、第一および第二の酵母2−ハイブリッドアッセイによって行われる請求
    項7に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記第一の酵母2−ハイブリッドアッセイが、標的候補ラ
    イブラリーの要素をプレイとして利用し、かつ前記第二の酵母2−ハイブリッド
    アッセイが標的分子のプールをバイトとして用いる請求項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記方法が、自己活性なバイト配列を解消する工程をさら
    に含む請求項16に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、GAL4に基づくレポ
    ーター系を利用している請求項16に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、LexAに基づくレポ
    ーター系を利用している請求項16に記載の方法。
  21. 【請求項21】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、pVT85、pVT87、pV
    T88およびpVT89からなるグループから選択されたレポーターベクターを利用して
    いる請求項19に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、pVT86およびpVT90
    からなるグループから選択されたレポーターベクターを利用している請求項20に
    記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、yVT96およびyVT97
    からなるグループから選択された酵母株を利用している請求項19に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記酵母2−ハイブリッドシステムが、yVT98およびyVT99
    からなるグループから選択された酵母株を利用している請求項20に記載の方法。
JP2000582549A 1998-11-17 1999-11-17 細胞表現型に相関するポリペプチド標的を検証する方法 Pending JP2002530074A (ja)

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