JP2002525100A - 分泌タンパク質48 - Google Patents

分泌タンパク質48

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JP2002525100A JP2000572254A JP2000572254A JP2002525100A JP 2002525100 A JP2002525100 A JP 2002525100A JP 2000572254 A JP2000572254 A JP 2000572254A JP 2000572254 A JP2000572254 A JP 2000572254A JP 2002525100 A JP2002525100 A JP 2002525100A
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amino acid
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ロク,シー
オー. シェパード,ポール
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ザイモジェネティクス,インコーポレイティド
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Abstract

(57)【要約】 分泌タンパク質−48(Zsig48)、ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、Zsig48に特異的に結合する抗体及び抗イディオタイプ抗体。Zsig48ペプチドは白血球を増殖させ、したがって、がんの治療及び免疫抑制された患者における白血球を上昇させるのに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は一般に診断治療用の新サイトカインに関連する。本発明は特に、「分
泌タンパク質−48」(略称Zsig48)という新規分泌タンパク質、およびZsig48を
コードする核酸分子に関連する。
【0002】 発明の背景 多細胞生物の細胞の増殖、維持、存続、分化はホルモンとポリペプチド増殖因
子による調節を受ける。これらの拡散性分子は細胞が相互間の情報伝達や、細胞
・器官の形成および破損した組織の修復・再生を目的とする協調作用を行えるよ
うにする。ホルモンと増殖因子の例は、ステロイドホルモン(エストロゲン、テ
ストステロンなど)、副甲状腺ホルモン、卵胞刺激ホルモン、インターロイキン
、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、顆粒球−マクロファー
ジコロニー刺激因子(GM-CSF)、エリトロポエチン(EPO)およびカルシトニン
などである。
【0003】 ホルモンと増殖因子はタンパク質への結合により細胞の代謝に影響を及ぼす。
タンパク質は、細胞内の信号伝達経路たとえば第二メッセンジャー系などと結合
する内在性膜タンパク質の場合もあろう。他のクラスのタンパク質は転写因子な
どのような可溶性分子である。 特に興味深いのはサイトカイン、つまり細胞の増殖、維持、存続または分化を
促進する分子である。サイトカインの例としては、赤血球細胞の発達を刺激する
エリトロポエチン(EPO)、巨核球系譜細胞の発達を刺激するトロンボポエチン
(TPO)、および好中球の発達を刺激する顆粒球−コロニー刺激因子(G-CSF)な
どがある。これらのサイトカインは、貧血患者または化学療法を受けるがん患者
の正常血液細胞レベルを回復するのに有効である。これらのサイトカインは生体
内活性が立証済みであり、他のサイトカイン、サイトカイン作動薬およびサイト
カイン拮抗薬の臨床的可能性およびニーズもまた巨大であることをはきっり示し
ている。
【0004】 発明の要約 本発明は抹消血単核細胞(PBMNC)、すなわちT細胞、B細胞および単球の増殖
を刺激することができる「Zsig48」という分泌タンパク質を提供することにより
、このニーズを満たすものである。本発明はまたZsig48ポリペプチドとZsig48融
合タンパク質、それにそれらのポリペプチドおよびタンパク質をコードする核酸
分子を提供する。
【0005】 シグナル配列を伴うヒトZsig48ポリペプチドは配列番号1および2に示される10
5アミノ酸残基の配列からなる。シグナル配列は配列番号2のアミノ酸残基1〜26
からなる。したがって、成熟Zsig48ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸残基27
(ロイシン)〜アミノ酸残基105(ヒスチジン)からなり、これは配列番号3によ
っても定義される。もう1つの成熟Zsig48ポリペプチドは配列番号2のアミノ酸残
基29(ロイシン)〜アミノ酸残基105からなり、これは配列番号4によっても定義
される。さらにもう1つ、3番目のシグナルペプチダーゼ切断部位では、シグナル
配列は配列番号2のアミノ酸残基1〜40からなり、成熟配列はアミノ酸残基41(プ
ロリン)〜アミノ酸残基105からなる。この成熟配列は配列番号5によっても定義
される。もう1つの成熟Zsig配列は配列番号2のアミノ酸残基26からアミノ酸残基
105まで及び、配列番号16によっても表される。
【0006】 本発明はさらに、かかるポリペプチドおよび製薬上許容しうるキャリヤーを含
む医薬組成物を提供する。 本発明はまた、ヒトZsig48ポリペプチド変異体を含む。その場合、変異ポリペ
プチドは配列番号2、3、4、5または16のアミノ酸配列と、少なくとも70%の同一
性、少なくとも80%の同一性、少なくとも90%の同一性、少なくとも95%の同一性
、または95%超の同一性からなる群より選択される同一性を共有し、また変異ポ
リペプチドのアミノ酸配列と配列番号2、3、4および5のアミノ酸配列の差異は1
以上の保存的アミノ酸置換に由来する。 本発明のもう1つの実施態様は、前述のアミノ酸配列を有するZsig48ポリペプ
チドのエピトープ含有部分のアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチド
に関連する。本発明のZsig48ポリペプチドのエピトープ含有部分のアミノ酸配列
を有するペプチドまたはポリペプチドには、かかるポリペプチドのうち、少なく
とも9個の、好ましくは少なくとも15個以上の、またさらに好ましくは少なくと
も30〜50個のアミノ酸を備える部分を含む。ただし、本発明のポリペプチドの全
アミノ酸配列に至るまでの任意の長さのエピトープ含有ポリペプチドもまた本発
明に含まれる。また、これらのポリペプチドのうち、別のポリペプチドまたは輸
送分子と融合したものも特許請求の範囲に含まれる。そうしたポリペプチドの例
は配列番号8、9、10、11または12のうちの1つ以上からなるポリペプチドなどで
ある。
【0007】 本発明はまた、前述のポリペプチド類をコードする単離ポリヌクレオチドを提
供する。 本発明はまたZsigポリペプチドをコードする単離核酸分子を提供する。その核
酸分子は次の(a)〜(d)からなる群より選択される:(a)配列番号1のヌクレオチド
配列を含む核酸分子、(b)配列番号2、3、4または5によって定義されるポリペプ
チドからなる群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、80%、90%、95%ま
たは99%一致するアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドをコードする核酸分子
、(c)配列番号1のヌクレオチド配列または配列番号1の相補体からなる核酸分子
と、ストリンジェントな洗浄条件後もハイブリッド形成した状態を保つ核酸分子
、および(d)配列番号2、3、4および5によって定義されるポリペプチドからなる
群より選択されるアミノ酸配列と少なくとも70%、80%、90%、95%または99%一致
するアミノ酸配列を有する単離ポリペプチドをコードする核酸分子と、ストリン
ジェントな洗浄条件後もハイブリッド形成した状態を保つ核酸分子。配列番号14
はZsig48のゲノム配列を示す。
【0008】 本発明はまた、かかる核酸分子を含むベクターおよび発現ベクター、かかるベ
クターおよび発現ベクターを含む組み換え宿主細胞、およびかかる発現ベクター
を含む組み換えウィルスを提供する。これらの発現ベクターおよび組み換え宿主
細胞はZsig48ポリペプチドの調製に使用することができる。さらに、本発明は製
薬上許容しうるキャリヤーと前記発現ベクターまたは組み換えウィルスのうちの
少なくとも1つを含む医薬組成物を提供する。好ましくは、かかる医薬組成物は
ヒトZsig48遺伝子またはその変異体を含む。
【0009】 本発明はさらに、Zsig48ポリペプチドと特異的に結合する抗体または抗体断片
を見込む。かかる抗体の例としてはポリクローナル抗体、マウスモノクローナル
抗体、マウスモノクローナル抗体に由来するヒト化抗体、およびヒトモノクロー
ナル抗体などがある。抗体断片の例としては、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、
Fv、scFv、および最小認識単位などがある。
【0010】 さらに、生物学的検体中のZsig48ポリペプチドの存在は、(a)生物学的検体を
、配列番号2、3、4または5のいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドと特
異的に結合する抗体または抗体断片と、前記抗体または抗体断片と生物学的検体
との結合を可能にするような条件の下で接触させるステップ、および(b)結合抗
体または結合抗体断片を検出するステップを含む方法により検出することができ
る。
【0011】 本発明はまた、Zsig48分泌シグナル配列をコードするヌクレオチド配列および
生物学的活性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸分子を
見込む。この場合、Zsig48分泌シグナル配列は配列番号2の残基1〜26、1〜28ま
たは1〜40のアミノ酸配列を含む。生物学的活性ポリヌクレオチドの例としては
、VIIa因子、プロインスリン、インスリン、卵胞刺激ホルモン、組織プラスミノ
ーゲンアクチベーター、腫瘍壊死因子、インターロイキン、コロニー刺激因子、
インターフェロン、エリトロポエチン、およびトロンボポエチンなどがある。さ
らに本発明はZsig48分泌シグナル配列とポリペプチドを含む融合タンパク質を提
供する。この場合、Zsig48分泌シグナル配列は配列番号2の残基1〜26、1〜28ま
たは1〜40のアミノ酸配列を含む。
【0012】 本発明はまた、T細胞、B細胞または単球の増殖を引き起こす能力をもつ抗Zsig
48抗体または抗体断片と特異的に結合する抗イディオタイプ抗体または抗イディ
オタイプ抗体断片を見込む。 本発明はさらに、Zsig48を含む染色体の変化を検出するための方法を含む。Zs
ig48遺伝子座における染色体異常の例としては、異数性、遺伝子コピー数変化、
挿入、欠失、制限部位変化、および再配列などがある。これらの異常は上流プロ
モーターおよび調節領域を含むフランキング配列内で起こる場合があるし、コー
ド配列内の変異または遺伝子発現レベルの変化として現れる場合もある。こうし
た方法はZsig48遺伝子とその遺伝子産物を調べることにより実施される。一般に
、適当な検定方法としては技術上周知の分子遺伝学的手法、たとえば制限断片長
多型分析、PCR法を使用する短縦列反復配列分析、リボヌクレアーゼ保護法、単
一ヌクレオチド多型の使用、タンパク質トランケーション法、およびその他、技
術上周知の遺伝子連関法などがある。
【0013】 特に本発明は個人のZsig48遺伝子の変化を診断するための方法を提供するが、
それは(a)その個人の生物学的検体から単離したRNAからのZsig48をコードする核
酸分子を増幅すること、および(b)増幅核酸分子中の突然変異を検出すること(
突然変異の存在はZsig48遺伝子の変化を示唆する)からなる。同様に、患者の染
色体異常を検出する方法は(a)患者の生物学的検体から単離したRNAからのZsig48
をコードする核酸分子を増幅すること、および(b)増幅核酸分子中の突然変異を
検出すること(突然変異の存在は染色体異常を示唆する)からなる。これらの方
法の変形では、検出ステップは増幅核酸分子のヌクレオチド配列を配列番号1の
ヌクレオチド配列と比較することからなる。あるいは、検出ステップは増幅核酸
分子と配列番号2のアミノ酸配列をコードする対照核酸分子を分画し、分画した
増幅核酸分子と対照核酸分子の長さを比較することからなる。増幅法の例として
はPCR法や逆転写酵素PCR法などがある。
【0014】 本発明はさらに、白血球の増殖を促進するための方法であって白血球をZsig48
と接触させることを含む方法を提供する。 本発明のこれらや他の態様は以下の詳細な説明および添付図面の参照によって
明白となろう。さらに、以下では種々の参考文献を掲げるが、それらは言及によ
りそのまま本書に組み込まれる。
【0015】 (発明の詳細な説明) 本書で引用する諸々の参考文献の教示は言及により本書にそのまま組み込まれ
る。 用語の意味 以下の説明では多数の用語が頻出するが、本発明を理解しやすくするためにそ
の意味を明確にしておく。
【0016】 「核酸」または「核酸分子」はヌクレオチドをいい、これにはデオキシリボ核
酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ連鎖反応
法(PCR)により生成される断片、および連結、切断、エンドヌクレアーゼ作用
、エキソヌクレアーゼ作用などによって生成される断片が含まれる。核酸分子は
、天然ヌクレオチドである単量体(DNA、RNAなど)、または天然ヌクレオチドの
類似体(天然ヌクレオチドのα-光学異性体など)、または両者の組み合わせか
らなりうる。修飾ヌクレオチドは糖部分および/またはピリミジンもしくはプリ
ン塩基部分が変化しうる。糖の修飾はたとえば1個以上のカルボキシル基のハロ
ゲン、アルキル基、アミン、およびアジド基による置換を含むが、あるいは糖が
エーテルまたはエステルとして機能化される場合もある。さらに、糖部分全体を
立体的におよび電子的に類似の構造、たとえばアザ糖や炭素環式糖類似体で置換
することもできる。塩基部分の修飾例にはアルキル化プリンおよびピリミジン、
アシル化プリンもしくはピリミジン、または他の周知の複素環式置換基などがあ
る。核酸単量体はホスホジエステル結合または類似の結合によって結合すること
ができる。ホスホジエステル結合の類似の結合にはホスホロチオエート、ホスホ
ロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロア
ニロチオエート、ホスホルアニリデート、ホスホルアミジエートなどがある。「
核酸分子」には、ポリアミド主鎖に結合した天然または修飾核酸塩基を含む、い
わゆる「ペプチド核酸」も含まれる。核酸は1本鎖、2本鎖いずれでもよい。
【0017】 「核酸分子の相補体」は相補的なヌクレオチド配列を有し基準ヌクレオチド配
列に対して逆向きである核酸分子をいう。たとえば、配列5’ ATGCACGGG 3’は5
’ CCCGTGCAT 3’に対して相補的である。 「コンティグ」は核酸分子であって、もう1つの核酸分子と隣接する一続きの
同一または相補的配列を有するものをいう。隣接配列は、ある核酸分子の任意の
一続きと全面的または部分的に「重複する」と言われる。
【0018】 「縮重ヌクレオチド配列」は、あるポリペプチドをコードする基準核酸分子に
比して1個以上の縮重コドンを含むヌクレオチド配列をいう。縮重コドンは異な
るトリプレットのヌクレオチドを含むが、同じアミノ酸残基をコードする(たと
えば、トリプレットGAUおよびGACはそれぞれAspをコードする)。 「構造遺伝子」は核酸分子であって、メッセンジャーRNA(mRNA)へと転写さ
れ、次いで特定のポリペプチドに特有のアミノ酸配列へと翻訳されるものをいう
【0019】 「単離核酸分子」は生物体のゲノムDNAと一体化されていない核酸分子である
。たとえば、細胞のゲノムDNAからすでに分離されてる増殖因子をコードするDNA
分子は単離DNA分子である。単離核酸分子のもう1つの例は生物体のゲノムと一体
化されていない化学合成された核酸分子である。特定の種から単離された核酸分
子はその種に由来する染色体の完全なDNA分子よりも小さい。
【0020】 「核酸分子コンストラクト」は、天然には存在しない配置に結合並列された核
酸分子の断片を含むよう人為的に修飾されている1本鎖または2本鎖の核酸分子で
ある。 「直鎖状DNA」は遊離した5’末端および3’末端を有する非環状DNA分子をいう
。直鎖状DNAは閉環状DNA分子から、酵素による消化または物理的破壊によって作
製することができる。
【0021】 「相補DNA(cDNA)」はmRNA鋳型から逆転写酵素によって形成される1本鎖DNA
分子である。逆転写の開始には一般に、mRNAに対して部分的に相補的なプライマ
ーが使用される。当業者は「cDNA」という用語を、そうした1本鎖DNA分子とその
相補DNA鎖からなる2本鎖DNA分子の意味にも使用する。「cDNA」はRNA鋳型から合
成されるcDNA分子のクローンをもいう。
【0022】 「プロモーター」は構造遺伝子の転写を導くヌクレオチド配列である。一般に
プロモーターは遺伝子の5’末端非コード領域に、構造遺伝子の転写開始部位に
近接して存在する。転写開始に関わるプロモーター内の配列要素はしばしばコン
センサスヌクレオチド配列と呼ばれる。これらのプロモーター内配列要素はRNA
ポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列、分化特異的要素(DSE。McGehee e
t al., Mol. Endocrinol. 7:551(1993))、サイクリックAMP応答要素(CRE)、
血清応答要素(SRE。Treisman, Seminars in Cancer Biol. 1:47(1990))、グル
ココルチコイド応答要素(GRE)、およびその他転写因子の結合部位を含む。そ
の他転写因子にはCRE/ATF(O’Reilly et al., J. Biol. Chem. 267: 19938(19
92))、AP2(Ye et al., J. Biol. Chem. 269:25728(1994))、SP1、cAMP応答要
素結合タンパク質(CREB。Loeken, Gene Expr. 3:253 (1993))およびオクタマ
ー因子(一般に、Watson et al., eds., Molecular Biology of the Gene, 4版.
(The Benjamin/ Cummings Publishing Company, Inc. 1987)およびLemaigre an
d Rousseau, Biochem.J. 303: 1 (1994) を参照)などがある。プロモーターが
誘導性プロモーターである場合には、転写速度は誘導物質に応答して増す。他方
、プロモーターが構成性プロモーターである場合には、転写速度は誘導物質によ
る調節を受けない。抑制性プロモーターも知られている。
【0023】 「コアプロモーター」はTATAボックスや転写開始部位などプロモーター機能に
不可欠のヌクレオチド配列を含む。この定義によれば、コアプロモーターは検出
可能な活性を強化するかまたは細胞特異的活性を付与するような特異的配列を欠
く場合に、検出可能な活性をもつことももたないこともあろう。 「調節要素」はコアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である。
たとえば、調節要素は特定の細胞、組織または細胞小器官で排他的に、または優
先的に、転写を可能にするような細胞因子と結合するヌクレオチド配列を含むこ
とがある。この種の調節配列は通常、「細胞特異的」、「組織特異的」または「
細胞小器官特異的」に発現する遺伝子と会合する。たとえばZsig48調節要素は胎
盤、腎臓、心臓、または白血球での遺伝子発現を優先的に誘発する。
【0024】 「エンハンサー」は調節要素の一種であり、転写開始部位に対するエンハンサ
ーの距離または向きに関係なく、転写効率を高めることができる。 「異種DNA」は所与の宿主細胞内に天然には存在しないDNA分子またはDNA分子
の集団をいう。特定の宿主細胞にとって異種であるDNA分子は宿主細胞の種に由
来するDNA(すなわち内因性DNA)を含む場合がある。これは宿主DNAが非宿主DNA
(すなわち外来DNA)と結合している場合である。たとえば、転写プロモーター
を含む宿主DNA断片と作動可能に結合された、ポリペプチドをコードする非宿主D
NA断片を含むDNA分子は異種DNA分子とみなされる。逆に言えば、異種DNA分子は
外来プロモーターによって作動可能に結合された内因性遺伝子を含む場合がある
。もう1つの例として、野生型細胞由来の遺伝子を含むDNA分子は、そのDNA分子
が野生型遺伝子を欠く突然変異細胞に導入される場合には、異種DNAとみなされ
る。
【0025】 「ポリペプチド」は天然、合成いずれであれ、ペプチド結合によって結合され
たアミノ酸残基の重合体である。アミノ酸残基数約10未満のポリペプチドは一般
に「ペプチド」と呼ばれる。 「タンパク質」は1以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質は
糖鎖などのような非ペプチド成分を含むこともある。糖や他の非ペプチド置換基
はタンパク質産生の場となる細胞によってタンパク質に付加されるが、細胞の種
類によって異なろう。本書では、タンパク質はそのアミノ酸主鎖構造から定義し
ており、糖鎖などのような置換基は一般に明記されないが、それにもかかわらず
存在する場合がある。
【0026】 非宿主DNA分子によってコードされるペプチドまたはポリペプチドは「異種」
ペプチドまたはポリペプチドである。 「統合遺伝要素」は、その要素を人間による操作を介して宿主細胞に導入した
後に宿主細胞の染色体に組み込まれたDNA断片である。本発明では、統合遺伝要
素は、エレクトロポレーションなどの方法によって細胞に導入された直鎖状プラ
スミドに由来するのが最も一般的である。統合遺伝要素は原宿主細胞からその子
孫に伝えられる。
【0027】 「クローニングベクター」は宿主細胞中で自己複製する能力をもつプラスミド
、コスミドまたはバクテリオファージなどのような核酸分子である。クローニン
グベクターは一般に、ベクターの本質的な生物学的機能を失うことなく核酸分子
の挿入を決定的に可能にするような1個または少数の制限酵素認識部位、それに
クローニングベクターによって形質転換された細胞の識別と選択への使用に適し
たマーカー遺伝子を含む。マーカー遺伝子は一般にテトラサイクリン耐性または
アンピシリン耐性をもたらす遺伝子を含む。
【0028】 「発現ベクター」は宿主細胞内で発現する遺伝子をコードする核酸分子である
。一般に、発現ベクターは転写プロモーター、遺伝子および転写終結因子を含む
。遺伝子の発現は通常、プロモーターの制御下にあり、その種の遺伝子はプロモ
ーターに「作動可能に結合されている」と言われる。同様に、調節配列とコアプ
ロモーターは調節要素がコアプロモーターの活性を調節する場合には作動可能に
結合されている。
【0029】 「組み換え宿主」はクローニングベクターまたは発現ベクターなどのような異
種核酸分子を含む細胞である。本書では、発現ベクターからZsig48を産生する細
胞は組み換え宿主の例となる。対照的にZsig48は、Zsig48の「天然産生源」であ
って発現ベクターを欠く細胞からも産生可能である。 「統合形質転換体」は、その中で異種DNAが細胞のゲノムDNAへとすでに統合さ
れている組み換え宿主細胞である。
【0030】 「融合タンパク質」は少なくとも2つの遺伝子のヌクレオチド配列を含む核酸
分子によって発現させられたハイブリッドタンパク質である。たとえば、融合タ
ンパク質はアフィニティーマトリックスを結合するポリヌクレオチドと融合した
Zsig48ポリペプチドの少なくとも一部分を含むことができる。そうした融合タン
パク質はアフィニティークロマトグラフィーの使用により多量のZsig48を単離す
るのに好都合である。
【0031】 「受容体」は「リガンド」と呼ばれる生物学的活性分子に結合する細胞関連の
タンパク質である。この相互作用は細胞に対するリガンドの作用を調節する。受
容体には膜結合型、細胞質内型、核内型;単量体型(甲状腺刺激ホルモン受容体
、β-アドレナリン受容体など)または多重結合型(PDGF受容体、成長ホルモン
受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリトロポエチン受容体、I
L-6受容体など)がある。膜結合型受容体は細胞外リガンド結合ドメインと信号
伝達に関与するのが一般的である細胞内エフェクタードメインを含む多重ドメイ
ン構造を特徴とする。ある種の膜結合型受容体では、細胞外リガンド結合ドメイ
ンと細胞内エフェクタードメインは、完全な機能性受容体を構成する別個のポリ
ペプチド内にある。
【0032】 一般に、受容体にリガンドが結合すると受容体の立体配座が変化して細胞内の
エフェクタードメインと他分子の間に相互作用が起こり、それに伴い細胞内の代
謝系に変化が起こる結果となる。受容体−リガンド相互作用としばしば連動して
いる代謝系の事象には遺伝子転写、リン酸化反応、脱リン酸反応、サイクリック
AMP産生の増大、細胞カルシウムの動員、膜脂質の動員、細胞接着、イノシトー
ル脂質の加水分解およびリン脂質の加水分解などが含まれる。
【0033】 「分泌シグナル配列」はペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列
を意味し、分泌ペプチドはより大きなポリペプチドの構成要素としてそのより大
きなポリペプチドをそれが合成される場である細胞の分泌経路へと導く。通常、
分泌経路を通過中により大きなペプチドが切れて、分泌ペプチドが外れる。 「単離ポリペプチド」は、汚染性の細胞成分(たとえば炭水化物、脂質、また
は天然ポリペプチドに付随する他のタンパク質性不純物)を本質的に含まないポ
リペプチドである。一般に、単離ポリペプチドは高純度の、すなわち少なくとも
純度約80%の、少なくとも純度約90%の、少なくとも純度約95%の、純度95%超の、
または純度99%超のポリペプチドを含む。特定のタンパク質調製品が単離ポリペ
プチドを含むことを証明する1つの方法は、タンパク質調製品をドデシル硫酸ナ
トリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけCoomassie Brilliant
Blueでゲルを染色した後に単一バンドが出現するかどうかをみる方法である。
しかし、「単離(された)」という用語は同じポリペプチドの代替物理的形態で
の、たとえば二量体としての、またはグリコシル化形態または誘導体形態での出
現を排除するものではない。
【0034】 「アミノ末端」または「N末端」と「カルボキシル末端」または「C末端」はポ
リペプチド内の位置を意味する。文脈が許す場合には、これらの用語はポリペプ
チドの特定の配列または部分に関して近接位置または相対位置を表す。たとえば
、あるポリペプチド内の基準配列に関してカルボキシル末端に位置するある種の
配列は基準配列のカルボキシル末端の近くに位置するが、完全ポリペプチドのカ
ルボキシル末端に位置するとは限らない。
【0035】 「発現」は遺伝子産物の生合成をいう。たとえば、構造遺伝子の場合には発現
は構造遺伝子のmRNAへの転写とmRNAの1以上のポリペプチドへの翻訳を伴う。 「スプライス変異体」は本書では、一遺伝子から転写されるRNAの択一的形態
を意味する。スプライス変異は被転写RNA分子内の、またはそれほど一般的では
ないが別個の被転写RNA分子間の、選択的スプラスイス部位の使用により自然発
生し、そして同じ遺伝子から転写されたいくつかのmRNAをもたらし得る。スプラ
イス変異体は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることにな
ろう。スプライス変異体という用語は本書ではまた、ある遺伝子から転写された
mRNAのスプライス変異体がコードするポリペプチドの意味にも使用する。
【0036】 「免疫調整因子」はサイトカイン、幹細胞増殖因子、リンホトキシン、共刺激
分子、造血因子、およびこれらの分子の合成類似体を含む。 「補体/抗補体対」は、適当な条件下で非共有結合により会合した安定的な対
を形成する非同一部分をいう。たとえば、ビオチンとアビジン(またはストレプ
タビジン)は補体/抗補体対の原型的メンバーである。補体/抗補体対の例とし
ては他に受容体/リガンド対、抗体/抗原(またはハプテンまたはエピトープ)
対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対などがある。補体/抗補体対のそ
の後の解離が望ましい場合には、補体/抗補体対は好ましくは結合度が109 M-1
未満である。
【0037】 「抗イディオタイプ抗体」は免疫グロブリンの可変領域ドメインと結合する抗
体である。本書の文脈では、抗イディオタイプ抗体は抗Zsig48抗体の可変領域と
結合する。したがって、抗イディオタイプ抗体はZsig48のエピトープによく似る
。 「抗体断片」はF(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fabなどのような抗体の一部分であ
る。抗体断片は構造に関係なく、完全抗体によって認識される同じ抗原と結合す
る。たとえば、Zsig48モノクローナル抗体断片はZsig48エピトープと結合する。
【0038】 「抗体断片」はまた、特異的抗原と結合する、合成または遺伝子組み換えポリ
ペプチドを含む。たとえば、軽鎖可変領域からなるポリペプチド、重鎖と軽鎖の
可変領域からなる「Fv」断片、軽鎖および重鎖可変領域がペプチドリンカーによ
って接続されている組み換え1本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)、
および超可変領域によく似るアミノ酸残基からなる最小認識単位などである。
【0039】 「キメラ抗体」は一方で齧歯類由来の可変ドメインおよび相補性決定領域を、
他方でヒト抗体由来の抗体分子をそれぞれ含む組み換えタンパク質である。 「ヒト化抗体」はモノクローナル抗体のマウス相補性決定領域がマウス免疫グ
ロブリンの重および軽可変鎖からヒト可変ドメインへと転移されている組み換え
タンパク質である。
【0040】 「治療剤」は抗体部分と結合して治療に有効な複合体を形成する分子または原
子である。治療剤はたとえば薬剤、毒素、免疫調整因子、キレート剤、ホウ素化
合物、光活性剤または染料および、放射性同位体などである。 「検出可能なラベル」は抗体部分と複合して診断のために有用な分子を産生す
ることができる分子または原子である。検出可能なラベルはたとえば、キレート
剤、光活性剤、放射性同位体、蛍光剤、常磁性イオンまたは他のマーカー部分な
どである。
【0041】 「アフィニティータグ」はポリペプチドセグメントであって、第2のポリペプ
チドに付着させることによりその第2ポリペプチドの精製または検出に備えるか
または第2ポリペプチドの基質付着部位を提供することができるものをいう。原
則として、それに対して抗体または他の特異的結合物質が提供されるペプチドま
たはタンパク質はアフィニティータグとして使用することができる。アフィニテ
ィータグにはポリヒスチジントラクト、プロテインA(Nilsson et al., EMBO J.
4:1075 (1985); Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3(1991))、グルタチ
オンSトランスフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67:31(1988))、Glu-Glu
アフィニティータグ(Grussenmeyer et al., Pro. Natl. Acad. Sci. USA 82:79
52(1985))、サブスタンスP、FLAGペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6:12
04(1988))、ストレプタビジン結合ペプチド、または他の抗原エピトープまたは
結合ドメインなどが含まれる。一般に、Ford et al., Protein Expression and
Purification 2:95 (1991)を参照。アフィニティータグをコードするDNAは商業
的な供給元(ニュージャージー州ピスカタウェーのPharmacia Biotech社など)
から入手できる。
【0042】 「裸抗体」は抗体断片と区別された、治療剤と複合体を形成していない抗体全
体である。裸抗体にはポリクローナルおよびモノクローナル抗体、並びにある種
の組み換え抗体、たとえばキメラおよびヒト化抗体が含まれる。 「抗体成分」は抗体全体と抗体断片の両方を含む。 「免疫複合体」は抗体成分と検出可能レベルの治療剤との複合体である。
【0043】 「抗体融合タンパク質」は抗体成分と治療剤を含む遺伝子組み換え分子をいう
。この種の融合タンパク質に適した治療剤の例は免疫調整因子(「抗体−免疫調
整因子融合タンパク質」)や毒素(抗体−毒素融合タンパク質)などである。 「腫瘍随伴抗原」は正常細胞では通常、発現しないかもっと低レベルで発現す
るタンパク質である。腫瘍随伴タンパク質の例はαフェトプロテイン、がん胎児
性抗原およびHer-2/neuなどである。当業者には腫瘍随伴抗原の例が他にも多数
知られている。たとえばUrban et al., Ann. Rev. Immunol. 10:617(1992)を参
照。
【0044】 「感染性作用剤」は微生物と寄生虫の両方を意味する。「微生物」はウィルス
、細菌、リケッチア、マイコプラズマ、原生動物、菌類などの微生物である。「
寄生虫」は感染性の、一般に微細なまたはごく小さな多細胞無脊椎動物、もしく
はその卵または幼形であって、免疫介在型クリアランスもしくは溶菌化または食
細胞破壊を受けるものをいい、マラリア原虫やスピロヘータはその例である。
【0045】 「感染性作用剤抗原」は感染性作用剤関連の抗原である。 「ターゲットポリペプチド」または「ターゲットペプチド」は少なくとも1個
のエピトープを含み、ターゲット細胞上で、たとえば腫瘍細胞または感染性作用
剤抗原をもつ細胞上で発現するアミノ酸配列である。T細胞は、主要組織適合複
合体(MHC)分子によってターゲットポリペプチドまたはターゲットペプチドに
提示されるペプチドエピトープを認識して、一般にターゲット細胞を溶解するか
または他の免疫細胞をターゲット細胞の部位に集めターゲット細胞を破壊する。
【0046】 「抗原ペプチド」はMHC分子を結合してMHC−ペプチド複合体を形成するペプチ
ドであり、この複合体の形成はT細胞によって認識されることにより、提示があ
り次第ただちにT細胞に対する細胞傷害性リンパ球応答を誘発する。こうして、
抗原ペプチドは適当なMHC分子へと結合し細胞傷害性T細胞応答(たとえば細胞の
溶解、または前記抗原を結合または発現するターゲット細胞に対する特異的サイ
トカインの放出)を誘発する。抗原ペプチドの結合は抗原提示細胞またはターゲ
ット細胞上で、クラスIまたはクラスIIMHC分子との関連で可能になる。
【0047】 真核生物ではRNAポリメラーゼIIがmRNA生成のための構造遺伝子の転写を触媒
する。RNAポリメラーゼII鋳型を含むように核酸分子を設計すれば、転写産物RNA
が特定mRNAと相補的な配列をもつようにすることができる。転写産物RNAは「ア
ンチセンスRNA」といい、アンチセンスRNAをコードする核酸分子は「アンチセン
ス遺伝子」という。アンチセンスRNA分子はmRNAへと結合して、結果的にmRNAの
翻訳を開始させることができる。
【0048】 「Zsig48特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「Zsig 48アンチセ
ンスオリゴヌクレオチド」は、(a)Zsig48遺伝子の一部と安定的なトリプレック
スを形成する能力、または(b)Zsig48遺伝子の転写産物mRNAの一部と安定的なデ
ュプレックスを形成する能力のある配列を有するオリゴヌクレオチドである。 「リボザイム」は触媒中心をもつ核酸分子である。これにはRNA酵素、自己ス
プライシングRNA、自己切断RNA、およびこれらの触媒機能を果たす核酸分子が含
まれる。リボザイムをコードする核酸分子は「リボザイム遺伝子」という。
【0049】 「外部誘導配列」は内生リボザイムのRNアーゼ Pを特定種の細胞内mRNAへと誘
導し、結果的にRNアーゼ PによるmRNAの切断を起こさせる核酸分子である。外部
誘導配列をコードする核酸分子は「外部誘導配列遺伝子」という。 「変異ヒトZsig48遺伝子」は配列番号2の変形であるアミノ酸配列を有するポ
リペプチドをコードする核酸分子をいう。この種の変異体としては自然発生型の
Zsig48遺伝子多型や、配列番号2、3、4または5のアミノ酸配列の保存的アミノ酸
置換を含む合成遺伝子などがある。本書で述べているヌクレオチド配列の挿入ま
たは欠失を伴う核酸分子もまたZsig48遺伝子の変異体である。変異Zsig48遺伝子
は、その遺伝子が配列番号1またはその相補体のヌクレオチド配列を有する核酸
分子と、ストリンジェントな条件下でハイブリッドを形成するかどうかの判定に
より同定することができる。
【0050】 あるいは、変異Zsig48遺伝子は配列比較によっても同定することができる。2
つのアミノ酸配列は、最大限に対応するよう配置したときに両者のアミノ酸残基
が同じであれば、「100%のアミノ酸配列同一性」を有する。同様に、2つのヌク
レオチド配列は、最大限に対応するよう配列したときに両者のヌクレオチド残基
が同じであれば、「100%のヌクレオチド配列同一性」を有する。配列比較は標準
ソフトウェアプログラム、たとえばDNASTAR社(ウィスコンシン州マジソン)製
のLASERGENEバイオインフォマティックス演算ソフトパッケージに含まれるソフ
トウェアなどを使用して実行することができる。至適配置の決定により2つのヌ
クレオチドまたはアミノ酸の配列を比較する他の方法は技術上周知である(たと
えば、Peruski and Peruski, The Internet and the New Biology: Tools for G
enomic and Molecular Research (ASM Press, Inc. 1997); Wu et al., (eds.)
“Information Superhighway and Computer Database of Nucleic Acids and Pr
oteins,” in Methods in Gene, pp.123-151(CRC Press, Inc. 1997)およびBish
op(ed.), Guide to Human Genome Computing, 2nd Edition (Academic Press, I
nc. 1998)などを参照)。配列の同一性を決定する特定の方法については以下で
説明する。
【0051】 変異Zsig48遺伝子または変異Zsig48ポリペプチドの同定に使用される特定方法
のいかんを問わず、変異遺伝子または変異遺伝子がコードするポリペプチドは抗
Zsig48抗体に対する特異的結合能を機能的特徴とする。 「対立遺伝子変異体」は染色体上の一遺伝子座に複数の択一的遺伝子形態が存
在する場合にいずれかの遺伝子形態をいう。対立遺伝子変異は突然変異により自
然発生し、また結果的に集団内に表現型多型をもたらすことになろう。遺伝子の
突然変異はサイレント突然変異(コードされるポリペプチドに変化がない)の場
合もあれば、変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする場合もあ
ろう。
【0052】 「オルトログ」は、ある種に由来するポリペプチドまたはタンパク質であって
、他種に由来するポリペプチドまたはタンパク質の機能的対応物であるものをい
う。オルトログ間の配列差異は種分化の結果である。 「パラログ」は一生物が産生する別個の、ただし構造的に関連し合うタンパク
質である。パラログは遺伝子重複に由来すると考えられている。たとえば、α−
グロビン、β−グロビンおよびミオグロビンは互いにパラログである。
【0053】 標準分析方法は不正確なので、高分子の分子量と長さは近似値であるものとす
る。そうした値を「約」Xまたは「およそ」Xとして表記する場合、Xの表記値は
±10%の正確度であるものとする。 はじめに 配列番号2に示されるZsig48はシステイン残基48とシステイン残基81の間に単
一ジスルフィド結合を、また配列番号2のアミノ酸残基88(プロリン)からアミ
ノ酸残基105(ヒスチジン)に至る両親媒性ヘリックス、すなわち親水面と疎水
面の両方を含むヘリックスを有する。したがって、Zsig48の構造、特にC末端ヘ
リックスは、Zsig48がGプロテイン結合7-膜貫通ドメイン(TMD)クラスの受容体
に対応するペプチドリガンドであることを示唆する。Gプロテイン結合受容体は
、酵素またはイオンチャンネルでありうる別個の細胞膜結合ターゲットタンパク
質の活性を間接的に調節する。
【0054】 受容体とターゲットタンパク質の相互作用は第3のタンパク質、三量体のGTP結
合調節タンパク質、すなわちGプロテインによって調節される。したがって、Zsi
g48はそのGプロテイン結合7-TMD受容体へと結合する。すると受容体はこの細胞
外事象を、ターゲット細胞のふるまいを変化させる細胞内シグナルの1つへと変
換する。したがって、この受容体クラスに対応するリガンドに関する一般的な効
用の主張はZsig48にも通用しよう。これには細胞代謝および分泌の変化、イオン
輸送、細胞増殖、分化などが含まれよう。
【0055】 Zsig48は心臓、胎盤および腎臓で高レベルに発現することがすでに判明してい
る。Zsig48が胎盤で高レベルに発現するという事実は、このポリペプチドが胎盤
に対し血管の発達または代謝産物の輸送といったサポート機能を提供することに
より胎児の発達に直接または間接に作用するする可能性があることを示唆する。
心臓における転写産物の出現はさらに、Zsig48が自己分泌またはパラ分泌機序に
よる心筋機能調節因子として重要であることを示唆する。さらに、Zsig48が白血
球でも発現することがRT-PCRによって突き止められている。
【0056】 以下の実施例3は、Zsig48が個人の白血球増殖の促進に使用できることを示し
ている。 ヒトZsig48遺伝子の作製 本発明のポリヌクレオチド(一般的にはcDNA配列)は本書で述べているポリペ
プチドをコードする。本発明のポリペプチドをコードするcDNA配列は一連のコド
ンからなる。各コドンはポリペプチドの各アミノ酸残基をコードしており、また
3個のヌクレオチドからなっている。アミノ酸残基とそれをコードするコドンの
関係は次のとおりである。
【0057】 アラニン(Ala)はGCA、GCC、GCGまたはGCTでコードされ、 システイン(Cys)はTGCまたはTGTでコードされ、 アスパラギン酸(Asp)はGACまたはGATでコードされ、 グルタミン酸(Glu)はGAAまたはGAGでコードされ、 フェニルアラニン(Phe)はTTCまたはTTTでコードされ、 グリシン(Gly)はGGA、GGC、GGGまたはGGTでコードされ、 ヒスチジン(His)はCACまたはCATでコードされ、 イソロイシン(Ile)はATA、ATCまたはATTでコードされ、 リシン(Lys)はAAAまたはAAGでコードされ、 ロイシン(Leu)はTTA、TTG、CTA、CTC、CTGまたはCTTでコードされ、 メチオニン(Met)はATGでコードされ、 アスパラギン(Asn)はAACまたはAATでコードされ、 プロリン(Pro)はCCA、CCC、CCGまたはCCTでコードされ、 グルタミン(Gln)はCAAまたはCAGでコードされ、 アルギニン(Arg)はAGA、AGG、CGA、CGC、CGGまたはCGTでコードされ、 セリン(Ser)はAGC、AGT、TCA、TCC、TCGまたはTCTでコードされ、 トレオニン(Thr)はACA、ACC、ACGまたはACTでコードされ、 バリン(Val)はGTA、GTC、GTGまたはGTTでコードされ、 トリプトファン(Trp)はTGGでコードされ、 チロシン(Tyr)はTACまたはTATでコードされる。
【0058】 本発明によれば、あるポリヌクレオチドが本書で説明されているとおりである
と請求されるとき、特許請求の範囲にはセンス鎖とアンチセンス鎖の両方、それ
にセンス鎖とアンチセンス鎖の両方をそれぞれの水素結合によりアニールして2
本鎖としたDNAが含まれるものとする。さらに、本発明のポリペプチドをコード
し、また本書で説明されているcDNAによってコードされるメッセンジャーRNA(m
RNA)も特許請求の範囲に含まれる。そのmRNAは本書で説明されているのと同じ
コドンを使用してポリペプチドをコードすることになろうが、ただし各チミンヌ
クレオチド(T)にはウラシルヌクレオチド(U)が取って代わる。
【0059】 ヒトZsig48遺伝子をコードする核酸分子は、配列番号1を土台にしたポリヌク
レオチドプローブによるヒトcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングに
よって得ることができる。これらの手法は標準的であり、十分に確立されている
。 たとえば、ヒトZsig48遺伝子をコードする核酸分子はヒトcDNAライブラリーか
ら単離することができる。この場合、最初のステップは技術上周知の方法を使用
して胎盤、腎臓、白血球または心臓組織からRNAを単離することによりcDNAライ
ブラリーを作成することであろう。一般に、RNA単離手法は細胞を破壊する方法
、RNアーゼによるRNA分解を阻害する手段、およびRNAを不純物のDNA、タンパク
質、多糖類から分離する方法を提供しなければならない。全RNAはたとえば、組
織を液体窒素で凍結し、凍結組織を乳鉢と乳棒で粉砕して細胞を溶解し、粉砕し
た組織をフェノール/クロロホルム溶液で抽出してタンパク質を除去し、塩化リ
チウムによる分別沈殿法で残りの不純物からRNAを分離するという方法により単
離することができる(たとえば、Ausubel et al. (eds.), Short Protocols in
Molecular Biology, 3rd Edition (John Wiley & Sons 1995), pp. 4-1〜4-6[
“Ausubel (1995)”]; Wu et al., Methods in Gene Biotechnology, pp.33-41
(CRC Press, Inc. 1997)[“Wu (1997)”]を参照)。
【0060】 あるいは、全RNAは胎盤、白血球、腎臓または心臓組織から、粉砕組織をグア
ニジニウムイソチオシアネートによって抽出し、さらに有機溶媒で抽出し、分画
遠心法でRNAを分離するという方法を用いて単離することもできる(たとえば、C
hirgwin et al., Biochemistry 18:52(1979); Ausubel (1995), pp.4-1〜4-6; W
u (1997), pp.33-41を参照)。
【0061】 cDNAライブラリーを構築するには、全RNA調製物からポリ(A)+RNAを単離しなけ
ればならない。全RNAからポリ(A)+RNAを単離するにはオリゴ(dT)-セルロースク
ロマトグラフィーという標準手法を使用することができる(たとえば、Aviv and
Leder, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 69:1408(1972); Ausubel (1995), pp.4-
11〜4-12を参照)。
【0062】 2本鎖cDNA分子は技術上周知の手法を使用してポリ(A)+RNAから合成する(Wu (
1997), pp.41-46などを参照)。さらに、市販キットを使用して2本鎖cDNA分子を
合成することもできる。その種のキットはたとえば、Life Technologies, Inc.
(メリーランド州ゲーサーズバーグ)、CLONTECH Laboratories, Inc.(カリフ
ォルニア州パロアルト)、Promega Corporation(ウィスコンシン州マジソン)
およびSTRATAGENE(カリフォルニア州ラホーヤ)から販売されている。
【0063】 cDNAライブラリーの構築には種々のクローニングベクターが使える。たとえば
、λgt10ベクターなどのようなバクテリオファージ由来のベクターを用いてcDNA
ライブラリーを作成することができる。Huynh et al., “Constructing and Scr
eening cDNA Libraries in λgt10 and λgt11,” in DNA Cloning: A Practica
l Approach Vol.I,Glover (ed.), p.49 (IRL Press, 1985); Wu (1997) pp.47-
52などを参照。
【0064】 あるいは、2本鎖cDNA分子をプラスミドベクターに、たとえばpBLUESCRIPTベク
ター(STRATAGENE; La Jolla, CA)、LAMDAGEM-4(Promega Corp.)または他の
市販ベクターに挿入することができる。適当なクローニングベクターはAmerican
Type Culture Colletion(バージニア州マナッサス)からも入手することがで
きる。
【0065】 クローンcDNA分子を増幅するには、標準手法を使用してcDNAライブラリーを原
核生物宿主に挿入する。たとえば、cDNAライブラリーはLife Technologies, Inc
.(メリーランド州ゲーサーズバーグ)などから市販されているE. coli DH5コン
ピテント細胞に導入することができる。 ヒトゲノムライブラリーは技術上周知の手段により作成することができる(Au
subel (1995), pp.5-1〜5-6; Wu (1997), pp.307-327などを参照)。ゲノムDNA
の単離には界面活性剤Sarkosylによる組織の溶解、プロテイナーゼKによる溶解
物の消化、遠心分離による溶解物からの溶解性残骸の除去、イソプロパノールの
使用による溶解物からの核酸の沈殿、および塩化セシウム濃度勾配による再懸濁
DNAの精製という方法を用いることができる。
【0066】 ゲノムライブラリーの作成に適したDNA断片は制限酵素によるゲノムDNAのラン
ダム切断またはゲノムDNAの部分消化によって得ることができる。ゲノムDNA断片
をファージベクターまたはコスミドベクターなどのようなベクターに挿入するに
は在来手法、たとえば制限酵素の消化による適当な末端の準備、アルカリホスフ
ァターゼ処理による無用なDNA分子結合の防止、および適当なリガーゼによる接
合などを用いることができる。その種の操作手法は技術上周知である(Ausubel
(1995), pp.5-1〜5-6; Wu (1997), pp.307-327などを参照)。
【0067】 ヒトZsig48遺伝子をコードする核酸分子もまた、本書で説明しているようなヒ
トZsig48遺伝子のヌクレオチド配列を土台にしたヌクレオチド配列を有するオリ
ゴヌクレオチドをプライマーとするポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により得る
ことができる。PCRでライブラリーをスクリーニングする一般的な方法は、たと
えばYu et al., “Use of the Polymerase Chain Reaction to Screen Pharge L
ibraries,” in Methods in Molecular Biology, Vol.15: PCR Protocols: Curr
ent Methods and Applications, White (ed.), pp.211-215 (Humana Press, Inc
. 1993)に記載されている。また、PCRを使用して関連遺伝子を単離する手法は、
たとえばPreston, “Use of Degenerate Oligonucleotide Primers and the Pol
ymerase Chain Reaction to Clone Gene Family Members,” in Methods in Mol
ecular Biology, Vol.15: PCR Protocols: Current Methods and Applications,
White (ed.), pp.317-337 (Humana Press, Inc. 1993)に記載されている。ある
いは、ヒトゲノムライブラリーはResearch Genetics(アラバマ州ハンツビル)
やThe American Type Culture Collection(バージニア州マナッサス)などのよ
うな商業的供給元から手に入れることもできる。cDNAまたはゲノムクローンを含
むライブラリーは標準方法を使用して、配列番号1を土台にした1個以上のポリヌ
クレオチドプローブでスクリーニングすることができる(Ausubel (1995), pp.6
-1〜6-11などを参照)。
【0068】 後述の要領で作製される抗Zsig48抗体もまた、ヒトZsig48遺伝子をコードする
DNA配列をcDNAライブラリーから単離するのに使用することができる。たとえば
、その種の抗体はλgt11発現ライブラリーのスクリーニングに、あるいはそれに
続くハイブリッド選択および翻訳のイムノスクリーニングに、使用することがで
きる(たとえば、Ausubel (1995), pp.6-12〜6-16; Margolis et al., “Screen
ing λ expression libraries with antibody and protein probes,” in DNA C
loning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover et al. (eds.) pp.1-14
(Oxford University Press 1995)を参照)。
【0069】 代替方法として、相互プライミング長鎖オリゴヌクレオチドと本書で説明して
いるヌクレオチドを使用して核酸分子を合成することによりZsig48遺伝子を得る
こともできる(Ausubel (1995), pp8-8〜8-9などを参照)。PCRを使用する既存
方法では長さ2 kb以上のDNA分子を合成することができる(Adang et al., Plant
Molec. Biol. 21:1131 (1993); Bambot et al., PCR Methods and Application
s 2:266 (1993); Dillon et al., "Use of the Polymerase Chain Reaction for
the Rapid Construction of Sythetic Genes," in Methods in Molecular Biol
ogy, Vol. 15: PCR Protocols: Current Methods and Applications, White (ed
.), pp.263-268 (Humana Press, Inc. 1993); Halowachuk et al., PCR Methods
Appl. 4:299 (1995))。
【0070】 本発明の核酸分子はホスホアミダイト法などのようなプロトコールを使用して
「DNAシンセサイザー」で合成することもできる。化学合成による2本鎖DNAが遺
伝子または遺伝子断片の合成といった用途に必要とされる場合には、各相補鎖を
別々につくる。短い遺伝子(60〜80塩基対)の作製は技術的に簡単で、相補鎖を
合成してアニールするだけである。しかし、比較的長い遺伝子(>300塩基対)
の作製では特別の戦略が必要となろう。というのは、化学合成時の各サイクルの
対合効率が100%になることはめったにないからである。この問題を克服するには
、合成遺伝子(2本鎖)を、長さ20〜100ヌクレオチドの1本鎖断片からモジュー
ル方式で組み立てる。オリゴヌクレオチドの合成に関しては、たとえばGlick an
d Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles and Applications of Rec
ombinant DNA(ASM Press 1994); Itakura et al., Annu. Rev. Biochem. 53:3
23 (1984); およびClimie et al., Proc. Nat’l Acad. Sic. USA 87:633(1990
)を参照。
【0071】 Zsig48 cDNAまたはZsig48ゲノム断片の配列は標準方法を使用して決定するこ
とができる。さらに、Zsig48プロモーターまたは調節要素を含むゲノム断片の同
定も既定の手法、たとえば欠失分析などにより行うことができる(一般にAusube
l (1995)を参照)。 5’フランキング配列のクローニングは、米国特許第5,641,670号で開示されて
いる方法を踏まえた「遺伝子活性化」によりZsig48タンパク質の産生を容易にす
る。簡単に言えば、細胞内における固有Zsig48遺伝子の発現は、少なくともター
ゲッティング配列、調節配列、エキソンおよび非対合スプライス供与部位を含む
DNAコンストラクトをZsig48座に導入することにより、変化する。ターゲティン
グ配列はコンストラクトと固有Zsig48座の相同組み換えを可能にするZsig48の5
’非コード配列であり、その相同組み換えによりコンストラクト内の配列は固有
Zsig48コード配列と作動可能に結合される。こうして、内因性Zsig48プロモータ
ーの他の調節配列による置換または補足と、それに伴う発現の強化、組織特異化
、またはその他の調節が可能になる。
【0072】 Zsig48遺伝子変異体の作製 本発明は、本書で説明しているZsig48ポリペプチドをコードする様々な核酸分
子を、DNAおよびRNA分子を含めて、提供する。遺伝子コードの縮合を考えれば、
これらのポリヌクレオチド分子では相当の配列変異が可能であることは当業者に
は自明であろう。
【0073】 種々の種は「優先的コドン使用」を示す場合がある。一般に、Grantham et al
., Nuc. Acids. Res. 8:1893(1980); Haas et al., Curr. Biol. 6:315(1996);
Wain-Hobson et al., Gene 13:355(1981); Grosjean and Fiers, Gene 18:199(1
982); Holm, Nuc. Acids. Res. 14:3075(1986); Ikemura, J. Mol. Biol. 158:5
73(1982); Sharp and Matassi, Curr. Opin. Genet. Dev. 4:851(1994); Kane,
Curr. Opin. Biotechnol. 6:494(1995); Makbrides, Microbiol. Rev. 60: 512(
1996)を参照。本書で用いる用語「優先的コドン使用」または「優先的コドン」
は特定種の細胞内で最も頻繁に使用されるタンパク質翻訳コドンを指し、したが
って各アミノ酸をコードするコドン群の中で1つまたは少数の代表的コドンが優
遇されている状況を指す述語である。たとえば、アミノ酸のトレオニン(Thr)
をコードするコドンにはACA、ACC、ACGまたはACTがあるが、哺乳動物の細胞内で
最も一般的に使用されるコドンはACCであり、また他の種、たとえば昆虫細胞、
酵母、ウィルスまたは細菌では別のThrコドンが優先的に使用されよう。特定種
の優先的コドンは技術上周知のさまざまな方法によって本発明のポリヌクレオチ
ドに導入することができる。たとえば、組み換えDNAに優先的コドン配列を導入
すると、特定の細胞または種におけるタンパク質翻訳効率が高まり、タンパク質
の産生が増強されるという可能性がある。
【0074】 本発明はさらに、他種由来の機能的対応物に当たる変異ポリペプチドおよび核
酸分子(オルトログ)を提供する。これらの種には哺乳類、鳥類、両生類、爬虫
類、魚、昆虫およびその他の脊椎・無脊椎動物が含まれるが、これらに限定され
ない。特に重要なのは他の哺乳動物に由来するZsig48ポリペプチド、たとえばマ
ウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマおよび他の霊長類に由来するポリ
ペプチドである。ヒトZsig48のオルトログのクローンは本発明によって提供され
る情報と組成物を在来クローニング手法と組み合わせて使用することにより得ら
れる。たとえばcDNAは、Zsig48を発現するタイプの細胞または組織から本書で説
明されている要領で得られたmRNAを使用してクローニングすることができる。適
当なmRNA源は、本書で説明している配列から設計されたプローブでノーザンブロ
ットをプローブすることにより同定することができる。次いで、陽性組織または
細胞系統のmRNAからライブラリーを作成する。
【0075】 Zsig48をコードするcDNAは種々の方法で、たとえば完全なまたは部分的なヒト
cDNAによるプロービングまたは本書で開示した配列を土台とする1組以上の縮退
プローブによるプロービングによって、単離することができる。cDNAはまた、本
書で開示した代表的なヒトZsig48配列から設計されるプライマーによるPCRでク
ローニングすることができる。追加的な方法として、cDNAライブラリーを使用し
て宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションを行い、目的cDNAの発現をZs
ig48ポリペプチドに対する抗体によって検出することもできる。類似の手法はゲ
ノムクローンの単離およびマウスZsig48をコードする核酸の単離にも応用するこ
とができる。
【0076】 配列番号1に示される配列がヒトZsig48の単一対立遺伝子を表すこと、また対
立遺伝子の変異および選択的スプライシングが起こると期待されることは、当業
者には自明であろう。この配列の対立遺伝子変異体のクローンは種々の個体から
のcDNAまたはゲノムライブラリーの標準手法によるプロービングで得ることがで
きる。配列番号1に示されるヌクレオチド配列の対立遺伝子変異体はサイレント
突然変異を含む変異体や変異の結果としてアミノ酸配列の変化を伴う変異体を含
めて、本発明の範囲内に入る。配列番号2、3、4および5の対立遺伝子変異体であ
るタンパク質もまた同様である。Zsig48ポリペプチドの性質を保持するmRNAであ
って選択的スプライシングが起きたmRNAから生成されるcDNA分子は本発明の範囲
内に入るし、その種のmRNAおよびcDNAがコードするポリペプチドもまた同様であ
る。これらの配列の対立遺伝子変異体およびスプライス変異体は、技術上周知の
標準手法により種々の固体または組織に由来するcDNAまたはゲノムライブラリー
をプローブすることにより、クローニングすることができる。
【0077】 本発明の好ましい実施態様では、ヒトZsig48をコードする単離核酸分子は配列
番号1のヌクレオチド配列またはその相補配列を有する核酸分子と、「ストリン
ジェントな条件」下でハイブリダイズすることができる。一般に、ストリンジェ
ントな条件は規定イオン強度およびpHでの特定配列の熱溶融温度(Tm)を約5℃下
回るように選択する。Tmは、ターゲット配列の50%が(規定のイオン強度およびp
Hで)完全対応プローブにハイブリダイズする温度である。
【0078】 たとえば、変異Zsigポリペプチドをコードする核酸分子は配列番号1のヌクレ
オチド配列を有する核酸分子(またはその相補体)と、50%ホルムアミド、5x SS
C(1x SSC:0.15 M塩化ナトリウムおよび15 mMクエン酸ナトリウム)、50 mMリ
ン酸ナトリウム(pH 7.6)、5xデンハルト溶液(100xデンハルト溶液:2% (w/v)
Ficoll 400、2%(w/v)ポリビニルピロリドンおよび2%(w/v)ウシ血清アルブミン
)、10%硫酸デキストラン、および20 μg/mlの変性剪断処理したサケ***DNAを
含む溶液中で、一晩42℃でハイブリダイズすることができる。技術にたけた人な
ら、このハイブリダイゼーション条件の変種を考案することも可能である。たと
えばハイブリダイゼーション混合物を、ホルムアミドを含まない溶液中に約65℃
といったもっと高温で温置することも可能である。さらに、あらかじめ混合して
あるハイブリダイゼーション溶液(たとえば、CLONTECH Laboratories, Inc.か
ら出ているEXPRESSHYBハイブリダイゼーション溶液など)を入手し、メーカーの
説明書に従ってハイブリダイゼーションを行うことも可能である。
【0079】 ハイブリダイゼーションの後は、ストリンジェントな条件の下で、または高度
にストリンジェントな条件の下で、核酸分子を洗浄してまだハイブリッド形成し
ていない核酸分子を除去することができる。代表的なストリンジェントな洗浄条
件には、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えた0.5x〜2x SSC溶液による5
5〜65℃での洗浄が含まれる。すなわち、変異Zsig48ポリペプチドをコードする
核酸分子は配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子(またはその相補体
)と、ストリンジェントな洗浄条件の下でハイブリダイズするが、その場合の洗
浄のストリンジェントさは55〜65℃で0.1% SDS添加0.5x〜2x SSCに相当し、これ
には55℃で0.5x SSC+0.1% SDSまたは65℃で2x SSC+0.1% SDSも含まれる。技術
にたけた人なら、洗浄溶液のSSCをSSPEに取って代えることにより同等の条件を
簡単に考案することができる。
【0080】 代表的な高度にストリンジェントな洗浄条件には、0.1% SDS添加0.1x〜0.2x S
SC溶液による50〜65℃での洗浄が含まれる。言い換えれば、変異Zsig48ポリペプ
チドをコードする核酸分子は配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子(
またはその相補体)と、高度にストリンジェントな洗浄条件の下でハイブリダイ
ズするが、その場合の洗浄のストリンジェントさは50〜65℃で0.1% SDS添加0.1x
〜0.2x SSCに相当し、これには50℃で0.1x SSC+0.1% SDSまたは65℃で0.2x SSC
+0.1% SDSも含まれる。
【0081】 本発明はまた、配列番号2、配列番号5またはそれらのオルトログと実質的に類
似する配列同一性を有する単離Zsig48ポリペプチドを提供する。「実質的に類似
する配列同一性」とは本書ではポリペプチドが配列番号2、3、4および5、または
それらのオルトログに示される配列と少なくとも70%の、少なくとも80%の、少な
くとも90%の、少なくとも95%の、または95%超の同一性を有しているという意味
である。
【0082】 本発明はまた、2つの基準(すなわちコードされるポリペプチドと配列番号2の
アミノ酸配列の間の類似性の決定および前述のハイブリダイゼーション検定)を
用いて同定することができるZsig48変異核酸分子を見込む。その種のZsig48変異
体には、核酸分子であって、(1)洗浄のストリンジェントさが55〜65℃で0.1% SD
S添加0.5x〜2x SSCに相当するストリンジェントな洗浄条件の下で配列番号1のヌ
クレオチド配列(またはその相補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、か
つ(2)配列番号2、3、4または5のアミノ酸配列と少なくとも70%の、少なくとも80
%の、少なくとも90%の、少なくとも95%の、または95%超の配列同一性を有するポ
リペプチドをコードするものが含まれる。あるいは、Zsig48変異体は、核酸分子
であって(1)洗浄のストリンジェントさが50〜65℃で0.1% SDS添加0.1x〜0.2x SS
Cに相当する高度にストリンジェントな洗浄条件の下で配列番号1のヌクレオチド
配列(またはその相補体)を有する核酸分子とハイブリダイズし、かつ(b)配列
番号2、3、4または5のアミノ酸配列と少なくとも70%の、少なくとも80%の、少な
くとも90%の、少なくとも95%の、または95%超の配列同一性を有するポリペプチ
ドをコードするものとして特徴づけることができる。
【0083】 本発明はまた、ハイブリダイゼーション検定と配列番号2、3、4または5に関す
る配列同一性決定のうち少なくとも一方によって同定されるヒトZsig48変異核酸
分子を見込む。 百分率配列同一性は在来法によって決定される。たとえば、Altschul et al.,
Bull. Math. Bio. 48:603(1986)およびHenikoff and Henikoff, Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 89:10915(1992)を参照。それは簡単に言えば、2つのアミノ酸配
列をアラインメントスコアが最大となるように対応づける方法である。スコアリ
ングにはギャップオープニングペナルティ=10、ギャップエキステンションペナ
ルティ=1、および表1(アミノ酸は標準1文字表記)に示すようなHenikoff and
Henikoff (ibid.)の“BLOSUM 62”スコアリングマトリックスが使用される。百
分率同一性は([同一断片の対の総数]/[長いほうの配列の長さ+2つの配列
を対応づけて配置するために長いほうの配列に導入されたギャップの数])×10
0の式で計算される。
【0084】
【表1】
【0085】 当業者は2つのアミノ酸配列の対応づけに利用できる既存アルゴリズムがたく
さんあることに気付く。ピアソンとリップマン(Pearson and Lipman)の類似性
検索アルゴリズム“FASTA”は、本書で開示したアミノ酸配列と推定Zsig48変異
体が共有する同一性レベルとを調べるのに適したタンパク質アラインメント法で
ある。FASTAアルゴリズムについてはPearson and Lipman, Proc. Nat’l Acad,
Sci. USA 85:2444(1988)およびPearson, Meth. Enzymol. 183:63(1990)で説明さ
れている。簡単に言えば、FASTAはまず問い合わせ配列(たとえば配列番号2)と
最大同一性密度(ktup変数が1の場合)または同一性対(ktup=2の場合)のいず
れかを有するテスト配列が共有する領域を特定することにより、保存的アミノ酸
置換、挿入または欠失を考慮することなく配列の類似性を特徴づける。次いで、
アミノ酸置換マトリックスを使用してすべてのアミノ酸対の類似性を比較するこ
とにより最大同一性密度を有する10の領域についてスコアを付け直し、それらの
領域の末端を「切り捨て」て最高スコアに寄与する残基だけを含めるようにする
【0086】 「カットオフ」値(配列の長さとktup値を基礎に所定の式で計算)を超えるス
コアの領域がいくつかあれば、切り捨てた当初領域を調べてそれらの領域を結合
すればギャップを伴う近似的なアラインメントが形成できるかどうかを判定する
。最後に、アミノ酸の挿入と欠失を考慮に入れるNeedleman-Wunsch-Sellersアル
ゴリズムの修正版(Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48:444(1970); Sell
ers, SIAM J. Appl. Math. 26:787(1974))を使用して2アミノ酸配列の最高スコ
ア領域を対応させる。FASTA解析用パラメーターの例は次のとおりである:ktup
=1、ギャップオープニングペナルティ=10、ギャップエキステンションペナル
ティ=1、置換マトリックス=BLOSUM62。これらのパラメーターは、Pearson, Me
th. Enzymol. 183:63(1990)の付録2で説明されているように、スコアリングマト
リックスファイル(“SMATRIX”)を修正することによりFASTAプログラムに導入
することができる。
【0087】 FASTAは前述の比率を使用して核酸分子の配列同一性を判定するときに使用す
ることができる。核酸配列の比較では、ktup値は1〜6、好ましくは3〜6の範囲内
とし、最も好ましくは3として、他のパラメーターは前述のとおりとすることが
できる。 本発明は配列番号2、3、4または5のアミノ酸配列と対比して保存的アミノ酸変
化がみられるポリペプチドをコードする核酸分子を含む。すなわち、配列番号2
、3、4または5の1以上のアミノ酸置換を含む変異体が得られるが、そこではアル
キルアミノ酸がZsig48アミノ酸配列中のアルキルアミノ酸に置換し、芳香族アミ
ノ酸がZsig48アミノ酸配列中の芳香族アミノ酸に置換し、硫黄を含むアミノ酸が
Zsig48アミノ酸配列中の硫黄を含むアミノ酸に置換し、水酸基を含むアミノ酸が
Zsig48アミノ酸配列中の水酸基を含むアミノ酸に置換し、酸性アミノ酸がZsig48
アミノ酸配列中の酸性アミノ酸に置換し、塩基性アミノ酸がZsig48アミノ酸配列
中の塩基性アミノ酸に置換し、または二塩基性モノカルボキシルアミノ酸がZsig
48アミノ酸配列中の二塩基性モノカルボキシルアミノ酸に置換する。
【0088】 一般的なアミノ酸では、「保存的アミノ酸置換」はたとえば次の各群内のアミ
ノ酸間の置換である:(1)グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロ
イシン、(2)フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファン、(3)セリンとト
レオニン、(4)アスパラギン酸とグルタミン酸、(5)グルタミンとアスパラギン、
および(6)リシン、アルギニンおよびヒスチジン。
【0089】 表2 保存的アミノ酸置換 塩基性: アルギニン リシン ヒスチジン 酸性: グルタミン酸 アスパラギン酸 極性: グルタミン アスパラギン 疎水性: ロイシン イソロイシン バリン 芳香族: フェニルアラニン トリプトファン チロシン 低分子: グリシン アラニン セリン トレオニン メチオニン BLOSUM62表は、関連タンパク質500群あまりの高度保存領域を代表するタンパ
ク質配列断片に関する約2,000の局所多重アラインメントに由来するアミノ酸置
換マトリックスである(Henikoff and Henikoff, Pro. Nat’l Acad. Sci. USA
89:10915(1992))。したがって、BLOSUM62置換頻度を使用すれば、本発明のアミ
ノ酸配列へと導入される可能性のある保存的アミノ酸置換を定義することができ
る。アミノ酸置換は(前述のように)もっぱら化学的性質に基づいて設計するこ
とも可能ではあるが、「保存的アミノ酸置換」という用語は好ましくは−1より
大きいBLOSUM62値をとる置換である。たとえば、アミノ酸置換が0、1、2または3
のBLSUM62値を特徴とするならば、その置換は保存的である。このシステムによ
れば、好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも1(たとえば、1、2または3)の
BLOSUM62値を特徴とするが、もっと好ましい保存的アミノ酸置換は少なくとも2
(たとえば、2または3)のBLOSUM62を特徴とする。
【0090】 ヒトZsig48の特定の変異体は対応するヒトのアミノ酸配列(すなわち配列番号
2、3、4または5)と少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくと
も95%、または95%超の配列同一性を有することを特徴とし、その場合のアミノ酸
配列の変異は1以上の保存的アミノ酸置換に由来する。 Zsig48遺伝子の保存的アミノ酸変化は配列番号1に示されるヌクレオチドのヌ
クレオチドによる置換により導入することができる。そうした「保存的アミノ酸
」変異体は、たとえばオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発、リンカー走査突然
変異誘発、PCR使用の突然変異誘発などによって得られる(Ausubel (1995)、pp.
8-10〜8-22およびMcPherson (ed.), Directed Mutagenesis: A Practical Appro
ach (IRL Press 1991)を参照)。そうした変異体がもつT細胞、B細胞または白血
球増殖促進能は本書で述べているような標準的方法を使用して特定することがで
きる。あるいは、抗Zsig48抗体に対する特異的結合能によって変異Zsig48ポリペ
プチドを同定することができる。
【0091】 本発明のタンパク質はまた、非天然型アミノ酸残基を含むことができる。非天
然型アミノ酸は、たとえばトランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノプロリン、
シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシプロリン、N-メチルグリシ
ン、アロ-トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒド
ロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン
酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、
3,3-ジメチルプロリン、t-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-
アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、および4-フルオロフェニルア
ラニンなどであるが、これらに限定されない。
【0092】 非天然型アミノ酸残基をタンパク質に組み込む方法はいくつかが技術上周知で
ある。たとえば、in vitro系で化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAs
を使用してナンセンス突然変異を抑制する方法である。アミノ酸を合成してtRNA
をアミノアシル化する方法は技術上周知である。ナンセンス突然変異を含むプラ
スミドの転写と翻訳は一般にE. coli S30抽出物と市販の酵素および試薬を含む
無細胞系で行われる。タンパク質の精製はクロマトグラフィーで行う。たとえば
、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722(1991); Ellman et al., Met
hods Enzymol. 202:301(1991); Chung et al., Science 259:806(1993); Chung
et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 90: 10145 (1993)を参照。
【0093】 第2の方法では、転写はXenopus(アフリカツメガエル)の卵母細胞の中で、突
然変異mRNAと化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAsのマイクロインジ
ェクションによって行われる(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271:19991(19
96))。第3の方法ではE. coli細胞を、置換されることになる天然型アミノ酸の
不在下で、かつ所望の非天然型アミノ酸(たとえば、2-アザフェニルアラニン、
3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、または4-フルオロフェニル
アラニンなど)の存在下で、培養する。これによって非天然型アミノ酸が天然型
の代わりにタンパク質に組み込まれる。Koide et al., Biochem. 33:7470(1994)
を参照。天然型アミノ酸残基はin vitro化学修飾によって非天然型へと転換する
ことができる。化学修飾を部位指定突然変異誘発と組み合わせれば、置換の範囲
をさらに広げることができる(Wynn and Richards, Protein Sci. 2:395(1993)
)。
【0094】 少数の非保存的アミノ酸、遺伝子コードによってコードされないアミノ酸、非
天然型アミノ酸、および不自然なアミノ酸がZsig48アミノ酸残基に置換するよう
にしてもよい。 本発明のポリペプチドにおける「必須」アミノ酸の同定には技術上周知の方法
、たとえば部位指定突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発などの方法を
使用することができる[Cunningham and Wells, Science 244:1081(1989); Bass
et al., Pro. Nat’l Acad. Sci. USA 88:4498(1991); Coombs and Corey, “S
ite-Directed Mutagenesis and Protein Engineering,” in Proteins: Analysi
s and Design, Angeletti (ed.), pp.259-311 (Academic Press, Inc. 1998)]
。後者の方法では、分子中のすべての残基に単一アラニン突然変異を導入し、そ
の結果得られた突然変異分子について後述の要領で生物学的活性を検査し、その
分子の活性に不可欠のアミノ酸残基を特定する。Hilton et al., J. Biol Chem.
271:4699(1996)をも参照。配列分析ではヒトZsig48ポリペプチド内に存在する
モチーフを特定することもできる。
【0095】 Zsig48リガンド結合部位の特定には配列分析を用いることができるが、推定接
触部位アミノ酸の変異との併用による物理的構造分析によってZsig48リガンド結
合ドメインの位置を求めることもできる。その種の物理的方法には核磁気共鳴、
結晶学、電子線回折、またはホトアフィニティーラベルなどがある。たとえば、
de Vos et al., Science 255:306(1992); Smith et al., J. Mol. Biol. 224:89
9 (1992); Wlodaver et al., FEBS Lett. 309:59(1992)を参照。さらにビオチン
またはFITCで標識したZsig48をZsig48リガンドの発現クローニングに使用するこ
ともできる。
【0096】 多重アミノ酸置換の実行と試験には周知の突然変異誘発法やスクリーニング法
、たとえばReidhaar-Olson and Sauer, Science 241: 53(1988)またはBowie and
Sauer, Proc. Nat’l Acad. Si. USA 86: 2152(1989)で開示されている方法な
どを使用することができる。簡単に言えば、これらの著者は一ペプチド内の2つ
以上の位置を同時にランダム化し、機能的ポリペプチドを選別し、次いで突然変
異誘発によるポリペプチドの配列を決定して各位置で許容される置換の範囲を求
めるという方法を説明している。使用可能な方法としては他に、ファージによる
タンパク質展示[Lowman et al., Biochem. 30:10832(1991); Ladner et al.,
米国特許第 5,223,409号; Huse, 国際公開第WO 92/06204号]や領域指定突然変
異誘発[Derbyshire et al., Gene 46:145(1986); Ner et al., DNA 7:127 (198
8)]などがある。
【0097】 開示したZsig48ヌクレオチドおよびポリペプチド配列の変異体もまた、DNAシ
ャッフリング[Stemmer, Nature 370:389(1994); Stemmer, Proc. Nat’l Acad.
Sci. USA 91:10747(1994); 国際公開第WO 97/20078号]によって生成すること
ができる。簡単に言えば、親DNAのランダム分画とそれに続くPCR法使用のリアセ
ンブリーによるin vitro相同組み換えでランダム導入型の点突然変異を引き起こ
すことにより変異DNAが生成される。この手法は親DNAのファミリー、たとえば対
立遺伝子変異体または異種由来DNAを使用して修正し、変異体生成プロセスの変
異性をさらに高めるようにすることができる。所望の活性の選別またはスクリー
ニングとそれに続く突然変異誘発の再開、検定は、望ましい突然変異の選別と有
害な変化の排除を同時に進めることにより、配列の急速な「進化」をもたらす。
【0098】 本書で説明するような突然変異誘発法は、クローニングや突然変異誘発による
宿主細胞内のポリペプチドの活性を検出するための高生産性自動スクリーニング
法と組み合わせることができる。生物学的活性を有するポリペプチドまたは抗Zs
ig48抗体と結合するポリペプチドをコードする突然変異誘発に由来するDNA分子
は、宿主細胞から回収し最新機器を使用して迅速に配列を決定することができる
。これらの方法は、目的ポリペプチド中の個別アミノ酸残基の重要性をすばやく
判定することを可能にするし、また構造が未知のポリペプチドに応用することも
できる。
【0099】 本発明はまた、Zsig48ポリペプチドの「機能的断片」およびそうした機能的断
片をコードする核酸分子を含む。Zsig48ポリペプチドをコードする核酸分子の機
能的断片を得るには核酸分子の定型的な欠失分析を用いることができる。たとえ
ば、配列番号1のヌクレオチド配列をもつDNA分子をBal31ヌクレアーゼで消化す
れば、一連の重複欠失を得ることができる。エキソヌクレアーゼ消化法の代わり
に、所望の断片の生成を指定するためオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発によ
って欠失かまたは終始コドンを導入する方法もある。あるいは、Zsig48遺伝子の
特定の断片をPCR法で合成することもできる。
【0100】 本発明はまた、配列番号2のアミノ酸配列と対比してアミノ酸に変化が生じたZ
sig48遺伝子の機能的断片を見込む。変異Zsig48遺伝子は構造をもとに、前述の
ような配列番号2、3、4または5のヌクレオチドおよびアミノ酸配列との同一性レ
ベルの判定により同定することができる。構造に基づく変異遺伝子の同定に対す
る代替アプローチは、潜在的変異Zsig48遺伝子をコードする核酸分子が前述のよ
うに配列番号1のヌクレオチド配列をもつ核酸分子とハイブリダイズすることが
できるかどうかを判定する方法である。
【0101】 本発明はまた、本書で述べているZsig48ポリペプチドのエピトープ含有部分を
もつポリペプチド断片またはペプチドを提供する。その種の断片またはペプチド
は「免疫原エピトープ」を、すなわち全タンパク質を免疫原として使用したとき
に抗体反応を誘発するタンパク質の一部分を含むかもしれない。免疫原エピトー
プ含有ペプチドは標準的方法を用いて同定することができる(たとえば、Geysen
et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 81:3998(1983)を参照)。その種のエピ
トープ(後述のJameson-Wolf法(DNAstar社)によって決定される)の例は配列番
号2のアミノ酸残基38(セリン)からアミノ酸残基57(トレオニン)までのポリ
ペプチド(配列番号8);配列番号2のアミノ酸残基38(セリン)からアミノ酸残
基79(トレオニン)までのポリペプチド(配列番号9);配列番号2のアミノ酸残
基38(セリン)からアミノ酸残基102(セリン)までのポリペプチド(配列番号1
0);配列番号2のアミノ酸残基60(トレオニン)からアミノ酸残基79(トレオニ
ン)までのポリペプチド(配列番号11);および配列番号2のアミノ酸残基60(
トレオニン)からアミノ酸残基102(セリン)までのポリペプチド(配列番号12
)などである。
【0102】 対照的に、ポリペプチド断片またはペプチドは、タンパク質分子のうちの、抗
体が特異的に結合する一領域、すちなわ「抗原エピトープ」を含むかもしれない
。ある種のエピトープは直鎖状または連続状のアミノ酸からなり、その種のエピ
トープの抗原性は変性剤による妨害を受けない。周知のように、あるタンパク質
のエピトープとよく似た働きをする比較的低分子の合成ペプチドを使用してその
タンパク質に対する抗体の産生を刺激することもできる(たとえばSutcliffe et
al., Science 219:660(1983)を参照)。したがって、本発明の抗原エピトープ
含有ペプチドおよびポリペプチドは、本書で説明しているポリペプチドと結合す
る抗体を生み出すのに有効である。
【0103】 抗原エピトープ含有ペプチドおよびポリペプチドは好ましくは配列番号2の少
なくとも4〜10個のアミノ酸を、少なくとも10〜15個のアミノ酸を、または少な
くとも約15〜約30個のアミノ酸を含む。その種のエピトープ含有ペプチドおよび
ポリペプチドは本書で述べているようなZsig48ポリペプチドの分画またはペプチ
ドの化学合成によって生産することができる。さらに、エピトープはファージに
よるランダムペプチドライブラリーの展示によって選択することができる[たと
えば、Lane and Stephen, Curr. Opin. Immunol. 5:268(1993); Cortese et al.
, Curr. Opin. Biotechnol. 7:616(1996)を参照]。エピトープを特定し、エピ
トープを含む小ペプチドから抗体を生産するための標準的な方法は、たとえばMo
le, “Epitope Mapping,” in Methods in Moleular Biology, Vol. 10, Manson
(ed.), pp.105-116(The Humana Press, Inc. 1992); Price, “Production an
d Characterization of Sythetic Peptide-Derived Antibodies,” in Monoclon
al Antibodies: Production, Engineering, and Clinical Application, Ritter
and Ladyman (eds.), pp.60-84(Cambridge University Press 1995); Coliga
n et al., (eds.), Current Protocols in Immunology, pp.9.3.1 -9.3.5 and p
p.9.4.1-9.4.11(John Wiley & Sons 1997)で説明されている。
【0104】 変異Zsig48遺伝子の特定のヌクレオチド配列がどうであれ、その遺伝子は抗Zs
ig48抗体への特異的結合能を特徴とするポリペプチドをコードする。 変異体や融合タンパク質を含めてどのようなZsig48ポリペプチドについても、
当業者は容易にその変異体をコードする完全縮重ポリヌクレオチド配列を、表1
および2に記載した情報を使用して生成することができる。さらに、当業者は標
準ソフトウェアを使用して、本書で説明しているヌクレオチドおよびアミノ酸配
列を基礎にZsig48の変異体を考案することができる。したがって、本発明は配列
番号1、2、3、4、5、8、9、10、11および12の配列のうちのすくなくとも1つを
提供するデータ構造を符号として収めたコンピュータ可読媒体を含む。たとえば
、コンピュータ可読媒体は配列番号1と配列番号2のうち少なくとも1つを提供す
るデータ構造を収めることができる。適当な形態のコンピュータ可読媒体として
は磁気媒体や光学読み取り媒体がある。磁気媒体の例はハードドライブ、ランダ
ムアクセスメモリー(RAM)チップ、フロッピー(登録商標)ディスク、デジタ ルリニアテープ(DLT)、ディスクキャッシュ、ZIPディスクなどである。光学読 み取り媒体の例はコンパクトディスク[CDリードオンリーメモリー(CD-ROM)、CD リライタブル(CD-RW)、CD-レコーダブルなど]やデジタルバーサティル/ビデオ ディスク(DVD)(DVD-ROM、DVD-RAM、DVD+ RWなど)である。
【0105】 Zsig48融合タンパク質および複合体の生産 Zsig48融合タンパク質はZsig48を組み換え宿主内で発現させ発現したZsig48を
単離するのに使用できる。後述のように特定のZsig48融合タンパク質は診断や治
療にも使用できる。 ある種の融合タンパク質は組み換え宿主細胞に由来するZsig48ポリペプチドを
誘導するペプチドを含む。Zsig48を真核生物宿主細胞の分泌経路へと導くために
、分泌シグナル配列(シグナルペプチド、リーダー配列、プレプロ配列またはプ
レ配列とも呼ばれる)をZsig48発現ベクターに与える。分泌シグナル配列はZsig
48に由来するかもしれないが、適当なシグナル配列は別の分泌タンパク質に由来
する、または新規合成されることもあろう。その場合、分泌シグナル配列はZsig
48コード配列と作動可能に結合され、その結果、両配列は正しい読み枠内で連結
され、また新規合成ポリペプチドを宿主細胞の分泌経路内へと導くよう配置され
る。分泌シグナル配列は一般に、目的ポリペプチドをコードするヌクレオチド配
列の5’に位置するが、ある種の分泌シグナル配列は目的ヌクレオチド配列の他
の場所に位置することもあろう(Welch et al., 米国特許第5,037,743号; Holla
nd et al., 米国特許第5,143,830号などを参照)。
【0106】 哺乳動物細胞で産生されるZsig48または他タンパク質の分泌シグナル配列(た
とえば、米国特許第5,641,655号で説明されているような組織プラスミノーゲン
アクチベーターなど)は組み換え哺乳動物宿主でのZsig48の発現に有用であるが
、酵母細胞での発現には酵母シグナル配列が選好される。適当な酵母シグナル配
列の例は(MFα1遺伝子がコードする)酵母接合フェロモンα因子、(SUC2遺伝
子がコードする)インベルターゼ、または(PHO5遺伝子がコードする)酸性ホス
ファターゼなどである。たとえば、Romanos et al., “Expression of Cloned G
enes in Yeast,” in DNA Cloning 2: A Practical Approach, 2nd Edition, Gl
over and Hames (eds.), pp.123-167 (Oxford University Press 1995)を参照。
【0107】 細菌細胞では、融合タンパク質として異種タンパク質を発現させて、毒性の低
減、安定性の向上、および発現タンパク質回収の増進をはかるのがしばしば望ま
しい。たとえば、Zsig48はポリペプチドのグルタチオンSトランスフェラーゼを
含む融合タンパク質として発現させることができる。グルタチオンSトランスフ
ェラーゼ融合タンパク質は一般に可溶性であり、また固定化グルタチオンカラム
でE. coli溶解物から容易に精製することができる。
【0108】 同様のアプローチで、マルトース結合タンパク質ポリペプチドを含むZsig48融
合タンパク質をアミロース樹脂カラムで単離することができるし、切断型プロテ
インA遺伝子のC末端部を含む融合タンパク質をIgGセファロースを使用して単離
することもできる。宿主細胞内で異種ポリペプチドを融合タンパク質として発現
させる既存方法は、たとえばWilliams et al., “Expression of Foreign Prote
ins in E. coli Using Plasmid Vectors and Purification of Specific Polycl
onal Antibodies,” in DNA Cloning: A Practical Approach, 2nd Edition, Gl
over and Hames (eds.), pp.15-58 (Oxford University Press 1995)が記載して
いる。さらに、市販の発現系を使用することもできる。たとえば、PINPOINT Xa
タンパク質精製システム(Promega Corporation; Madison, WI)は、発現時にビ
オチン化するポリペプチドを含む融合タンパク質を、アビジンを含む樹脂で単離
する方法を提供する。
【0109】 原核または真核細胞で発現する異種ポリペプチドを単離するのに有用なペプチ
ドタグには、ポリヒスチジンタグ(ニッケルキレート樹脂に対する親和性をもつ
)、c-mycタグ、カルモジュリン結合タンパク質(カルモジュリンアフィニティ
ークロマトグラフィーで単離される)、サブスタンスP、RYIRSタグ(抗RYIRS抗
体と結合する)、Glu-Gluタグ、およびFLAGタグ(抗FLAG抗体と結合する)など
がある。たとえば、Luo et al., Arch. Biohem. Biophys. 329:215(1996); Morg
anti et al., Appl. Biochem. 23:67(1996); Zheng et al., Gene 186:55(1997)
を参照。この種のペプチドタグをコードする核酸分子は、たとえばSigma-Aldric
h Corporation(ミズーリ州セントルイス)から市販されている。
【0110】 本発明はまた、本発明のZsig48ポリペプチドに含まれる分泌シグナル配列の、
他ポリペプチドを分泌経路に導くことを目的とした使用を見込む。シグナル融合
ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸残基1〜26または1〜28または1〜40に由来
する分泌シグナル配列が技術上周知の方法や本書に記載した方法を用いて他ポリ
ペプチドと作動可能に結合されるよう作製することができる。本発明の融合ポリ
ペプチドに含まれる分泌シグナル配列は好ましくはアミノ末端で追加のペプチド
へと融合させて、追加のペプチドを分泌経路に導けるようにする。この種のコン
ストラクトは技術上周知の用途が多数ある。たとえば、これらの新規分泌シグナ
ル配列を収めた融合コンストラクトは、通常は非分泌タンパク質である受容体な
どの活性成分の分泌を導く。
【0111】 この種の融合体はトランスジェニック動物や培養組み換え細胞に使用すれば、
分泌経路へとペプチドを導くことができよう。後者に関しては、代表例のポリペ
プチドは薬学的活性分子、たとえばVIIa因子、プロインスリン、インスリン、卵
胞刺激ホルモン、組織型プラスミノーゲンアクチベーター、腫瘍壊死因子、イン
ターロイキン(たとえば、インターロイキン-1(IL-1)、IL-2、IL-3、IL-4、IL5
、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14およびIL-15)
、コロニー刺激因子(顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)や顆粒球マクロファージ
コロニー刺激因子(GM-CSF)など)、インターフェロン(インターフェロン-α、-
β、-γ、-ω、-δ、-τなど)、幹細胞増殖因子「S1因子」、エリトロポエチン
、およびトロンボポエチンなどである。本発明の融合ポリペプチドに含まれるZs
ig48分泌シグナル配列は好ましくはアミノ末端で追加のペプチドへと融合させて
、追加のペプチドを分泌経路に導けるようにする。Zsig48分泌シグナル配列を含
む融合タンパク質は標準的な手法を用いて作製することができる。
【0112】 もう1種類の融合タンパク質はZsig48ポリペプチドと免疫グロブリン重鎖定常
領域(一般的にはFc断片であり、2または3個の定常領域ドメインとヒンジ領域を
含むが可変領域を欠く)を含む。たとえば、Chang et al., 米国特許第5,723,12
5号はヒトインターフェロンとヒト免疫グロブリンFc断片を含む融合タンパク質
について記載している。このインターフェロンのC末端はペプチドリンカー部分
によってFc断片のN末端へと結合されている。ペプチドリンカーの例は、免疫学
的に不活性であるT細胞不活性配列を主に含むペプチドである。代表的なペプチ
ドリンカーのアミノ酸配列はGGSGG SGGGG SGGGG S(配列番号17)である。この
融合タンパク質では、好ましいFc部分はヒトγ4鎖であり、これは溶液中で安定
であり、補体活性化活性がほとんど、またはまったくない。したがって、本発明
はZsig48部分とヒトFc断片を含むZsig48融合タンパク質であって、Zsig48部分の
C末端が、たとえば配列番号20のアミノ酸配列からなるペプチドのようなペプチ
ドリンカーを介して、Fc断片のN末端に結合しているものを見込む。このZsig48
部分はZsig48分子でも、またはその断片でもよい。
【0113】 さらにもう1種類のZsig48融合タンパク質はIgG配列、このIgG配列のアミノ末
端と共有結合したZsig部分、およびZsig48部分のアミノ末端と共有結合したシグ
ナルペプチドを含み、融合タンパク質中のIgG配列は次の要素から、次の順序で
成る:ヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン。したがって、IgG配列はC
H1ドメインを欠く。抗体部分と非抗体部分の両方を含む融合タンパク質を作製す
るためのこの一般的なアプローチはLaRochelle et al., EP 742830(WO 95/2125
8)で説明されている。
【0114】 Zsig48部分とFc部分を含む融合タンパク質は、たとえばin vitro検定ツールと
して使用することができる。たとえば、生物学的検体中のZsig48リガンドの存在
はZsig48-免疫グロブリン融合タンパク質を使用して検出することができる。そ
こでは、Zsig48部分は同起源のリガンドのターゲッティングに使用され、またプ
ロテインAまたは抗Fc抗体などのような巨大分子は融合タンパク質-受容体複合体
の検出に使用される。さらに、この種の融合タンパク質は、Zsig48のリガンドに
対する結合を妨げる作動薬および拮抗薬の特定にも使用できる。
【0115】 さらに、抗体可変ドメインを含む抗体-Zsig48融合タンパク質は治療用タンパ
ク質として有用である。その場合、抗体部分はターゲット抗原、たとえば腫瘍随
伴抗原に結合する。抗体-サイトカイン融合タンパク質の製作方法は技術上周知
である。たとえば、インターロイキン-2部分を含む抗体融合タンパク質について
は、Boleti et a., Ann. Oncol. 6:945(1995); Nicolet et al., Cancer Gene T
her. 2:161(1995); Becker et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 93:7826 (19
96); Hank et al., Clin. Cancer Res. 2:1951(1996); およびHu et al., Cance
r Res. 56:4998(1996)が説明している。さらに、Yang et al., Hum. Antibodies
Hybridomas 6:129(1995)およびXiang et al., J. Biotechnol. 53:3(1997)はF(
ab’)2断片と腫瘍壊死因子α部分を含む融合タンパク質について説明している。
他のサイトカイン-抗体融合タンパク質はIL-8、IL-12またはインターロイキン-
τをサイトカイン部分として含む[Holzer et al., Cytokine 8:214 (1996); Gi
llies et al., J. Immunol. 160:6195(1998); Xiang et al., Hum. Antibodies
Hybridomas 7:2(1996)]。また、Gillies,米国特許第5,650,150号をも参照。
【0116】 融合タンパク質は技術上周知の方法により、融合タンパク質の各構成部分を調
製し、それらを化学的に結合することで作製することができる。あるいは、適正
な読み枠内で融合タンパク質の両構成部分をコードするポリヌクレオチドを周知
の方法で生成し、本書で述べた方法で発現させることもできる。融合タンパク質
の酵素的または化学的切断の一般的な方法については、たとえばAusubel (1995)
, pp.16-19〜16-25が説明している。
【0117】 本発明はまた、Zsig48ポリペプチドがポリマーと結合されている化学修飾Zsig
48組成物を見込む。この場合、ポリマーは一般に水溶性とし、Zsig48複合体が生
理的環境などのような水性環境の中で沈殿しないようにする。適当なポリマーの
例は、単一の反応性基、たとえばアシル化用の活性エステルまたはアルキル化用
のアルデヒドなどをもつように修飾したポリマーである。こうすることで重合度
の調節が可能になる。反応性アルデヒドの例はポリエチレングリコールプロピオ
ンアルデヒドまたはそのモノ(C1-C10)アルコキシまたはアリールオキシ誘導体
である(たとえば、Harris et al., 米国特許第5,252,714号を参照)。ポリマー
は分岐型、非分岐型いずれでもよい。さらに、ポリマーの混合物を使用してZsig
48複合体を調製することもできる。
【0118】 治療用のZsig48複合体は好ましくは製薬上許容しうる水性ポリマーを含む。適
当な水性ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ-PEG、モノ(
C1-C10)アルコキシ-PEG、アリールオキシ-PEG、ポリ-(N-ビニルピロリドン)PEG
、トレシルモノメトキシPEG、PEGプロピオンアルデヒド、ビス-スクシンイミジ
ルカルボネートPEG、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキ
シド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール類(グリセ
ロールなど)、ポリビニルアルコール、デキストラン、セルロースまたは他の炭
水化物系ポリマーなどである。適当なPEGは分子量が約600〜約60,000であり、こ
の範囲にはたとえば5,000、12,000、20,000および25,000が含まれる。また、Zsi
g48複合体はこの種の水溶性ポリマーの混合物を含んでもよい。
【0119】 アシル化によるポリエチレングリコール化(PEGylation)では一般にPEGの活
性エステル誘導体をZsig48ポリペプチドと反応させる必要がある。活性化PEGエ
ステルの例はN-ヒドロキシスクシンイミドへとエステル化したPEGである。本書
でいう「アシル化」にはZsig48と水溶性ポリマーの間の、次のようなタイプの結
合が含まれる:アミド、カルバメート、ウレタンなど。アシル化によりポリエチ
レングリコール化(PEGylated) Zsig48を調製する方法は一般に、(a)1個以上の
PEG基がZsig48に結合するという条件の下でZsig48ポリペプチドをPEG(PEGのア
ルデヒド誘導体の反応性エステルなど)と反応させるステップ、および(b)反応
生成物を回収するステップからなる。一般に、アシル化のための至適反応条件は
既知のパラメーターと所望の結果をもとに決定されよう。たとえば、PEG:Zsig4
8比が大きくなるほどポリ-ポリエチレングリコール化Zsig48産物の比率は高くな
る。
【0120】 アシル化によるポリエチレングリコール化の産物は一般にポリ-ポリエチレン
グリコール化 Zsig48産物であり、そこではリシンε-アミノ基がアシル結合基を
介してポリエチレングリコール化される。結合の例はアミドである。一般に、結
果的に得られるZsig48は少なくとも95%がモノ-、ジ-またはトリ-ポリエチレング
リコール化しよう。ただし、反応条件次第で、もっと高度にポリエチレングリコ
ール化した種が形成されることもあろう。ポリエチレングリコール化した種は未
結合Zsig48ポリペプチドから透析、限外ろ過、イオン交換クロマトグラフィー、
アフィニティークロマトグラフィーなどのような標準手法を用いて分離すること
ができる。
【0121】 アルキル化によるポリエチレングリコール化では一般に還元剤の存在下でPEG
の末端アルデヒド誘導体をZsig48と反応させる必要がある。PEG基は好ましくは-
CH2-NH基を介してポリペプチドに結合させる。 モノ-ポリエチレングリコール化産物の生成を目的とした還元的アルキル化に
よる誘導は、誘導に利用できる主アミノ基の種類によって活性に差があることを
利用する。一般に、反応はリシン残基のε-アミノ基とタンパク質のN末端残基の
α-アミノ基との間のpKa差を活かせるようなpHで行われる。そうした選択的誘導
により、アルデヒドなどのような反応性基を含む水溶性ポリマーのタンパク質へ
の結合が調節される。ポリマーとの複合は主にタンパク質のN末端で起こり、リ
シン側鎖アミノ基などのような他の反応性基にはたいした修飾を伴わない。本発
明はZsig48モノポリマー複合体の実質的に均一な調製物を提供する。
【0122】 実質的に均一なモノポリマーZsig複合体分子集団を生成するための還元的アル
キル化は次のステップで構成することができる:(a)Zsig48のアミノ末端のα-ア
ミノ基の選択的修飾を許容するのに適したpHでの還元的アルキル化条件の下で、
Zsig48ポリペプチドを反応性PEGと反応させること、および(a)反応生成物を回収
すること。還元的アルキル化に使用する還元剤は水溶液中で安定であるものとし
、また好ましくは還元的アルキル化の初期過程で形成されるシッフ塩基だけを還
元できるものとする。好ましい還元剤としてはホウ水素化ナトリウム、シアノホ
ウ水素化ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボランおよびピ
リジンボランなどがある。
【0123】 実質的に均質なモノポリマーZsig48複合体集団を生成するための還元的アルキ
ル化反応条件は、Zsig48のN末端に対する水溶性ポリマーの選択的付着を許容す
るような条件である。そうした反応条件は一般に、リシンのアミノ基とN末端の
α-アミノ基の間にpKa差を考慮する。pHは使用するポリマー:Zsig48比にも影響
する。一般に、pHが低ければタンパク質に対するポリマーの過剰を大きくする必
要があろう。というのは、N末端のα-アミノ基の反応性が低ければ、至適条件を
実現するにはより多くのポリマーが必要となるからである。逆にpHが高ければ、
より多くの反応性基が反応に参加するのでポリマー:Zsig48比をそれほど大きく
する必要はない。一般に、pHは3〜9または3〜6の範囲になろう。
【0124】 考慮する必要があるもう1つの要因は水溶性ポリマーの分子量である。一般に
、ポリマーの分子量が大きくなるほど、タンパク質に付着するポリマー分子の数
は少なくなろう。ポリエチレングリコール化反応では、代表的な分子量は約2 kD
a〜約100 kDa、約5 kDa〜約50 kDa、または約12kDa〜約25kDaである。水溶性ポ
リマー:Zsig48のモル比は一般に1:1〜100:1の範囲であろう。一般的に、水溶性
ポリマー:Zsig48のモル比はポリ-ポリエチレングリコール化の場合で1:1〜20:1
、モノ-ポリエチレングリコール化の場合で1:1〜5:1であろう。
【0125】 Zsig48と水溶性ポリマーを含む複合体を生成するための一般的な方法は技術上
周知である。たとえば、Karasiewicz et al., 米国特許第5,382,657号; Greenwa
ld et al., 米国特許第5,738,846号; Nieforth et al., Clin. Pharmacol. Ther
. 59:636(1996); Monkarsh et al., Anal. Biochem. 247:434(1997)を参照。 培養細胞によるZsig48ポリペプチドの産生 本発明のポリペプチドは完全長ポリペプチド、機能的断片、および融合タンパ
ク質を含めて、組み換え宿主細胞内で通常の手法を用いて産生させることができ
る。Zsig48遺伝子を発現させるには、ポリペプチドをコードする核酸分子を発現
ベクター内での転写発現を調節する調節配列に作動可能に結合し、次いで宿主細
胞に導入しなければならない。発現ベクターはプロモーターやエンハンサーなど
のような転写調節配列に加えて、転写調節配列と発現ベクターが入っている細胞
の選別に適したマーカー遺伝子とを含むこともできる。
【0126】 真核細胞で異種タンパク質を産生させるのに適した発現ベクターは一般に、(1
)細菌の複製起点および細菌宿主内の発現ベクターの増殖と選択に備えた抗生物
質耐性マーカーをコードする原核生物DNA要素、(2)プロモーターなどのような転
写開始を調節する真核生物DNA要素、および(3)転写終結/ポリアデニル化配列な
どのような転写産物のプロセッシングを調節するDNA要素を含む。前述のように
、発現ベクターは宿主細胞の分泌経路へと異種ポリペプチドを導く分泌配列をコ
ードするヌクレオチド配列を含むこともできる。たとえば、Zsig48発現ベクター
はZsig48遺伝子、およびZsig48遺伝子または他の分泌遺伝子に由来する分泌配列
を含むことになろう。
【0127】 本発明のZsig48タンパク質は哺乳類の細胞でも発現させることができる。適当
な哺乳類宿主細胞の例は、サバンナモンキー腎細胞(Vero; ATCC CRL 1587)、
ヒト胎児腎細胞(293-HEK; ATCC CRL 1573)、仔ハムスター腎細胞(BHK-21, BH
K-570; ATCC CRL 8544, ATCC CRL 10314)、イヌ腎細胞(MDCK; ATCC CCL 34)
、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO-K1; ATCC CCL61; CHO DG44[Chasin e
t al., Som. Cell. Molec. Genet. 12:555 (1986)])、ラット下垂体細胞(GH1
; ATCC CCL82)、HeLa S3細胞(ATCC CCL2.2)、ラット肝臓がん細胞(H-4-II-E
; ATCC CRL 1548)、SV40-形質転換サル腎細胞(COS-1; ATCC CRL 1650)および
マウス胎仔細胞(NTH-3T3; ATCC CRL 1658)などである。
【0128】 哺乳類の宿主では、転写および翻訳調節シグナルはアデノウィルス、ウシパピ
ローマウィルス、シミアンウィルスなどのような、調節シグナルが高発現レベル
の特定遺伝子と結び付いているウィルス源に由来してもよい。適当な転写および
翻訳調節配列は哺乳類遺伝子、たとえばアクチン、コラーゲン、ミオシンおよび
メタロチオネイン遺伝子などから得ることもできる。
【0129】 転写調節配列はRNA合成の開始を導くにたるプロモーター領域を含む。適当な
真核生物プロモーターはマウスのメタルチオネインI遺伝子(Hamer et al., J.
Molec. Appl. Genet. 1:273(1982))、ヘルペスウィルスのTKプロモーター(McK
night, Cell 31:355 (1982))、SV40初期プロモーター(Benoist et al., Natur
e 290: 304(1981))、ラウス肉腫ウィルスのプロモーター(Gorman et al., Pro
c. Nat’l Acad. Sci, USA 79:6777(1982))、サイトメガロウィルスのプロモー
ター(Foecking et al., Gene 45:101(1980))およびマウス乳がんウィルスのプ
ロモーター(一般に、Etcheverry, “Expression of Engineered Proteins in M
ammlian Cell Culture,” in Protein Engineering: Principles and Practice,
Cheland et al. (eds.), pp.163-181 (John Wiley & Sons, Inc. 1996)を参照
)などである。
【0130】 あるいは、原核生物プロモーターが真核生物プロモーターの制御を受ける場合
には、原核生物プロモーター、たとえばバクテリオファージT3 RNAポリメラーゼ
プロモーターを使用して哺乳類細胞でのZsig48遺伝子の発現を調節することもで
きる(Zhou et al., Mol. Cell. Biol. 10:4529(1990)およびKaufman et al., N
ucl. Acid. Res. 19:4485(1991))。
【0131】 発現ベクターの宿主細胞への導入には様々な標準手法、たとえばリン酸カルシ
ウムトランスフェクション法、リポソーム仲介トランスフェクション法、マイク
ロプロジェクティル仲介送達法、エレクトロポレーション法などが使用できる。
好ましくは、トランスフェクション後の細胞は選別、増殖を経て、宿主細胞ゲノ
ム内に安定的に組み込まれた発現ベクターを含む組み換え宿主細胞を提供するよ
うにする。真核細胞にベクターを導入する手法および優性選択マーカーを使用し
てそうした適当な形質転換体を選択するための手法は、たとえばAusubel (1995)
およびMurray (ed.), Gene Transfer and Expression Protocols (Humana Press
1991)で説明されている。
【0132】 適当な選択マーカーの一例は、抗生物質ネオマイシンに対する耐性を付与する
遺伝子である。この場合、選択はネオマイシン系の薬品、たとえばG-418などの
存在下で行われる。選択系は目的遺伝子の発現レベルを高めるためにも使用でき
る。この操作は「増幅」と呼ばれる。増幅は、低レベルの選択薬を含む培地でベ
クター導入体を培養し、次いで選択薬の増量により導入遺伝子産物を高レベルで
産生する細胞を選択することによって行われる。好ましい増幅性選択マーカーは
メトトレキサート耐性を付与するジヒドロ葉酸レダクターゼである。他の耐薬品
性遺伝子(ヒグロマイシン耐性、多重薬品耐性、ピューロマイシンアセチルトラ
ンスフェラーゼなど)も使用できる。あるいは、表現型の変容をもたらすマーカ
ー、たとえば緑色蛍光タンパク質、またはCD4、CD8、クラスI MHC、胎盤アルカ
リホスファターゼなどのような細胞表面タンパク質を使用して導入細胞と非導入
細胞を、FACS分類や磁気ビーズ分離法などの手段により選別することもできる。
【0133】 Zsig48ポリペプチドはまた、ウィルス送達系を使用して培養哺乳類細胞で産生
させることもできる。これに適したウィルスはアデノウィルス、ヘルペスウィル
ス、ワクシニアウィルス、アデノ随伴ウィルス(AAV)などである。2本鎖DNAウ
ィルスであるアデノウィルスは現時点で研究が最も進んでいる異種核酸送達用の
遺伝子転移ベクターである(Becker et al., Meth. Cell. Biol. 43:161 (1994)
; Douglas and Curiel, Science & Medicine 4:44(1997)を参照)。アデノウィ
ルス系の利点は比較的大きなDNAインサートにも対応できる、高力価への増殖が
可能、広範囲の哺乳動物細胞への感染が可能、異なるプロモーターを含むきわめ
て多数の利用可能ベクターとの併用を可能にするフレキシビリティーなどである
【0134】 アデノウィルスゲノムの部分を削除することにより、一段と大きな異種DNAイ
ンサート(〜7 kb)を受け入れることができる。これらのインサートは直接接合
によって、または同時トランスフェクションを受けたプラスミドとの相同組み換
えによって、ウィルスDNAへと組み込むことができる。ウィルスベクターから不
可欠のE1遺伝子を取り除くという方法もあり、その場合にはE1遺伝子が宿主細胞
から提供されない限り複製能を失う結果となる。たとえば、アデノウィルスベク
ターを導入したヒト293細胞(ATCC Nos. CRL-1573、45504、45505)は付着細胞
として、または浮遊培養で、比較的高密度に増殖させ、相当量タンパク質を産生
させることができる(Garnier et al., Cytotechnol. 15:145(1994))。
【0135】 Zsig48遺伝子は、また、他の高等真核細胞、例えば、トリ、菌類、昆虫、酵母
、または植物細胞中で発現させることができる。バキュロウイルス系は、クロー
ニングされたZsig48遺伝子を昆虫細胞の中に導入する効率よい手段を提供する。
適当な発現ベクターはオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californ
ica)多核多角体病ウイルス(AcMNPV)をベースとし、そしてよく知られている
プロモーター、例えば、ショウジョウバエ(Drosophila)熱ショックタンパク質(
hsp)70プロモーター、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa califor
nica)核多角体病ウイルス前初期遺伝子プロモーター(ie−1)および後初期39K
プロモーター、バキュロウイルスp10プロモーター、およびショウジョウバエ(Dr
osophila)メタロチオネインプロモーターを含有する。
【0136】 組換えバキュロウイルスをつくる第2の方法は、Luckowが記載するトランスポ
ゾンに基づく系を利用する(Luckow他、J. Virol. 67:4566(1993))。この
系は、転移ベクターを利用し、BAC−to−BACキット(Life Technologies、マリ
イランド州ロックビレ)で販売されている。この系は転移ベクター、PFASTBAC(
Life Technologies)を利用する。このベクターは、大腸菌(E. coli)中で「
バクミド」と呼ばれる大きいプラスミドとして維持されているバキュロウイルス
ゲノムの中へに、Zsig48ポリペプチドをコードするDNAを動かすためのTn7トラン
スポゾンを含有する。下記の文献を参照のこと:Hill−PerkinsおよびPossee、J
. Gen. Virol. 75:1551(1994)、およびChazenbalkおよびRapoport、J. B
iol. Chem. 270:1543(1995)。さらに、転移ベクターは発現されたZsig48ポ
リペプチドのCまたはN末端におけるエピトープタグ、例えば、Glu−Gluエピトー
プタグをコードするDNAとのインフレーム融合物を包含する(Grussenmeyer他、P
roc. Nat'l Acad. Sci. 82:7952(1985))。この分野において知られてい
る技術を使用して、Zsig48遺伝子を含有する転移ベクターを大腸菌(E. coli)
の中に形質転換し、組換えバキュロウイルスを示す中断されたlacZ遺伝子を含有
するバクミドについてスクリーニングする。次いで、組換えバキュロウイルスゲ
ノムを含有するバクミドDNAを普通の技術に従い単離する。
【0137】 例示的なpFASTBACベクターをかなりの程度に修飾することができる。例えば、
ポリヘドリンプロモーターを除去し、バキュロウイルス塩基性タンパク質プロモ
ーター(また、Pcor、p6.9またはMPプロモーターとして知られている)で置換す
ることができる。バキュロウイルス塩基性タンパク質プロモーターは、バキュロ
ウイルス感染においてより早く発現され、そして分泌されたタンパク質の発現に
好都合であることが示された(例えば、下記の文献を参照のこと:Hill−Perkin
sおよびPossee、J. Gen. Virol. 71:971(1990)、およびChazenbalkおよび
Rapoport、J. Biol. Chem. 270:1543(1995)。このような転移ベクターコ
ンストラクトにおいて、塩基性タンパク質プロモーターの短いまたは長いバージ
ョンを使用することができる。そのうえ、自然のZsig48分泌シグナル配列を昆虫
タンパク質由来分泌シグナル配列で置換した転移ベクターを構築することができ
る。例えば、エクディステロイド・グルコシルトランスフェラーゼ(Ecdysteroi
d Glucsoyltransferase)(EGT)、ミツバチメリチン(Melittin)(Invitroge
n Corporation、カリフォルニア州カールスバッド)、またはバキュロウイルス
gp67(PharMingen、カリフォルニア州サンディエゴ)に由来する分泌シグナル配
列を構築において使用して自然のZsig48分泌シグナル配列を置換することができ
る。
【0138】 組換えウイルスまたはバクミドを使用して宿主細胞をトランスフェクトする。
適当な昆虫宿主細胞は下記のものを包含する:IPLB−Sf−21に由来する細胞系統
、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)さなぎ卵巣細胞系統
、例えば、Sf9(ATCC CRL 1711)、Sf21AE、およびSf21(Invitrogen Corpor
ation、カリフォルニア州サンディエゴ)、ならびにショウジョウバエ(Drosophi
la)シュナイダー−2細胞、およびトリコデルマ・ニ(Trichoderma ni)に由来
するHIGH FIVEO細胞系統(Invitrogen)(米国特許第5,300,435号)。商業的に
入手可能な無血清細胞を使用して、細胞を増殖させかつ維持することができる。
適当な培地はSf9細胞についてSf900 II(商標)(Life Technologies)または
ESF 921(商標)(Expression Systems);およびトリコデルマ・ニ(T. ni
)細胞についてEx−cellO405(商標)(JRH Biosciences、カンサス州レネクサ
)である。組換えウイルスを使用するとき、細胞は典型的にはほぼ2〜5×105
胞から1〜2×106細胞の接種密度まで増殖させ、この時間において組換えウイル
ス系統を0.1〜10、より典型的には約3の感染多重度(MOI)で添加する。
【0139】 バキュロウイルス系において組換えタンパク質タンパク質を産生する確立され
た技術は、下記の文献に記載されている:Bailey他、″Manipulation of Bacu
lovirus Vectors″、Methods in Molecular Biology、Vol. 7:Gene Tran
sfer and Expression Protocols(編)、pp. 147−168(The Humana Pres
s,Inc.、1991)、Patel他、″The baculovirus expression system″、DNA
Cloning 2:Expression Systems、第2版、Glover他(編)、Baculovirus Ex
pression Protocols(The Humana Press,Inc.、1995)、およびLucknow、″
Insect Cell Expression Technology″、Protein Engineering:Principle
and Pracitice、Cleland他(編)、pp. 183−218(John Wiley & Sons,I
nc.、1996)。
【0140】 本明細書に記載する遺伝子を発現するために、また、酵母細胞を包含する真菌
細胞を使用することができる。これに関して特に興味ある酵母種は、サッカロミ
セス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichi
a pastoris)、およびピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)を包含する
。酵母における発現に適当なプロモーターは、GAL1(ガラクトース)、PGK(ホ
スホグリセレートキナーゼ)、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)、AOX1(ア
ルコールオキシダーゼ)、HIS4(ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ)、およびそ
の他からのプロモーターを包含する。多数の酵母クローニングベクターが設計さ
れ、容易に入手可能である。これらのベクターは、YIpをベースとするベクター
、例えば、YIp5、YRpベクター、例えば、YRp17、YEpベクター、例えば、YEp13お
よびYCpベクター、例えば、YCp19を包含する。外来DNAでサッカロミセス・セレ
ビシエ(S. cerevisiae)を形質転換し、それから組換えポリペプチドを産生す
る方法は、例えば、下記の文献に記載されている:Kawasaki、米国特許第4,599,
311号、Kawasaki他、米国特許第4,931,373号、Brake、米国特許第4,870,008号、
Welch他、米国特許第5,037,743号、およびMurray他、米国特許第4,845,075号。
【0141】 選択可能なマーカー、一般的に薬剤耐性または特定の栄養素(例えば、ロイシ
ン)の不存在下に増殖する能力により決定された表現型により、形質転換された
細胞を選択する。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
において使用するために好ましいベクター系は、Kawasaki他(米国特許第4,931,
373号)が開示するPOT1ベクター系であり、これはグルコースを含有する培地中
の増殖による形質転換された細胞の選択を可能とする。酵母において使用するた
めに適当なプロモーターおよびターミネーターは、解糖酵素遺伝子(例えば、下
記の文献を参照のこと:Kawasaki、米国特許第4,599,311号、Kingsman他、米国
特許第4,615,974号、およびBitter、米国特許第4,977,092号)およびアルコール
デヒドロゲナーゼ遺伝子からのものを包含する。また、下記の文献を参照のこと
:米国特許第4,990,446号、米国特許第5,063,154号、米国特許第5,139,936号、
および米国特許第4,661,454号。
【0142】 ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロミセス
・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロマイセス・ラクチス(Kl
uyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluyveromyces fr
agilis)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis)、ピキア・パストリス
(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia metanolica)、ピキア・
グイレルモンディイ(Pichia guillermondii)およびカンジダ・マルトサ(Can
dida maltosa)を包含する、他の酵母についての形質転換はこの分野において
知られている。例えば、下記の文献を参照のこと:Gleeson他、J. Gen. Micro
biol. 132:3459(1986)、およびCregg、米国特許第4,882,279号。アスペルギ
ルス(Aspergillus)細胞は、KcKnight他、米国特許第4,935,349号の方法に従い
用いることができる。アクレモニウム・クリソゲヌム(Acremonium chrysogenu
m)を形質転換する方法は、Sumino他、米国特許第5,162,228号に開示されている
。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換する方法は、Lambowitz、米国特許
第4,486,533号に開示されている。
【0143】 例えば、組換えタンパク質を産生する宿主としてピキア・メタノリカ(Pichia
metanolica)を使用することは、下記の文献に開示されている:Raymond、米
国特許第5,716,808号、Raymond、米国特許第5,736,383号、Raymond他、Yeast 1
4:11−23(1998)、および国際公開No.WO 97/17450、WO 97/17451、WO 98
/02536、およびWO 98/02565。ピキア・メタノリカ(P. metanolica)におい
て使用するDNA分子は普通に二本鎖、環状プラスミドとして製造され、これらは
好ましくは形質転換前に線状化される。ピキア・メタノリカ(P. metanolica)
中でポリペプチドを産生するために、プラスミド中のプロモーターおよびターミ
ネーターはピキア・メタノリカ(P. metanolica)遺伝子、例えば、ピキア・メ
タノリカ(P. metanolica)アルコール利用遺伝子(AUG1またはAUG2)のそれで
あることが好ましい。
【0144】 他の有用なプロモーターは、ジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ホル
メートデヒドロゲナーゼ(FMD)、およびカタラーゼ(CAT)遺伝子を包含する。
宿主染色体の中へのDNAの統合を促進するために、両端において宿主DNA配列によ
りフランクされるプラスミドの全セグメントを有することが好ましい。ピキア・
メタノリカ(Pichia metanolica)において使用するために好ましい選択可能な
マーカーは、ホスホリボシル−5−アミノイミダゾールカルボキシラーゼ(AIRC
;EC 4. 1. 21)をコードし、かつアデニンの不存在下にade2宿主細胞の増殖
を可能とする、ピキア・メタノリカ(P. metanolica)ADE2遺伝子である。メタ
ノールの使用を最小とすることが望ましい、大規模の、工業的プロセスのために
、両方のメタノール利用遺伝子(AUG1およびAUG2)が欠失されている宿主細胞を
使用することが好ましい。分泌されるタンパク質を産生するために、液胞プロテ
アーゼ遺伝子(PEP4およびPRB1)を欠如する宿主細胞は好ましい。エレクトロポ
レーションを使用して、問題のポリペプチドをコードするDNAを含有するプラス
ミドをピキア・メタノリカ(P. metanolica)細胞の中への導入を促進する。2.
5〜4.5kV/cm、好ましくは約3.75kV/cmの場の強さを有する、指数関数的に減衰
するパルス電界、および1〜40ミリ秒、最も好ましくは約20ミリ秒の時間定数(t
)を使用するエレクトロポレーションにより、ピキア・メタノリカ(P. metano
lica)細胞を形質転換することができる。
【0145】 また、発現ベクターを植物プロトプラスト、無傷の植物組織、または単離され
た植物細胞の中に導入することができる。植物組織の中に発現ベクターを導入す
る方法は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefacie
ns)を使用する植物組織の直接的感染または同時培養、マイクロプロジェクティ
ル仲介送達、DNA注入、エレクトロポレーション、およびその他を包含する。例
えば、下記の文献を参照のこと:Horsh他、Science 227:1229(1985)、Klein
他、Biotechnology 10:268(1992)、およびMiki他、″Procedure for Intr
oducing Foreign DNA into Plants″、Methods in Plant Molecular Bi
ology and Biotechnology、Glick他(編)、pp. 67−88(CRC Press、1993
)。
【0146】 あるいは、原核宿主細胞中でZsig48遺伝子を発現させることができる。原核宿
主中でZsig48ポリペプチドを発現させるために使用できる適当なプロモーターは
この分野においてよく知られており、そして下記のものを包含する:T4、T3、Sp
6およびT7ポリメラーゼを認識することができるプロモーター、バクテリオファ
ージラムダのPRおよびPLプロモーター、大腸菌(E. coli)のtrp、recA、熱シ
ョック、lacUV5、tac、1pp−lacSpr、phoA、およびlacZプロモーター、枯草菌(
B. subtilis)のプロモーター、バシラス(Bacillus)、ストレプトマイセス(
Streptomyces)プロモーター、バクテリオファージラムダのintプロモーター、p
BR322のblaプロモーター、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼ遺伝子のCATプロモーター。原核プロモーターは下記の文献において概観さ
れている:Glick、J. Ind. Microbiol. 1:277(1987)、Watson他、Molecul
ar Biology of the Gene、第4版(Benjamin Cummins、1987)、およびAusu
bel他、(1995)。
【0147】 好ましい原核宿主は、大腸菌(E. coli)および枯草菌(Bacillus subtilis
)を包含する。大腸菌(E. coli)の適当な株は下記のものを包含する:BL21(
DE3)、BL21(DE3)pLysS、BL21(DE3)pLysE、DH1、DH41、DH5、DH51、DH51F'
、DH5IMCR、DH10B、DH10B/p3、DH11S、C600、HB101、JM101、JM105、JM109、JM
110、K38、RR1、Y1088、Y1089、CSH18、ER1451、およびER1647(例えば、下記の
文献を参照のこと:Brown(編)、Molecular Biology Labfax(Academic Pre
ss、1991)。枯草菌(Bacillus subtilis)の適当な株は下記のものを包含する
:BR151、YB886、MI119、MI120、およびB170(例えば、下記の文献を参照のこと
:Hardy、″Bacillus Cloning Methods″、DNA Cloning:A Practical App
roach、Glover(編)(IRL Press、1985)。
【0148】 細菌、例えば、大腸菌(E. coli)中でZsig48ポリペプチドを発現させるとき
、ポリペプチドは、典型的には不溶性顆粒として、細胞質の中に保持されるか、
あるいは細菌分泌シーケンスにより周辺質空間に向けられることがある。前者の
場合において、細胞を溶解し、顆粒を回収し、例えば、グアニジンイソチオシア
ネートまたは尿素を使用して変性する。次いで変性されたポリペプチドをリフォ
ルディングし、変性剤を希釈することによって、例えば、尿素溶液および還元し
たグルタチオンと酸化したグルタチオンとの組合わせに対して透析することによ
って、次いで緩衝化生理食塩水に対して透析することによって、二量体化するこ
とができる。後者の場合において、ポリペプチドは周辺質空間から細胞を崩壊し
て(例えば、超音波処理または浸透圧ショックにより)周辺質空間の含量を解放
し、タンパク質を回収し、これにより変性およびリフォルディングの必要性を排
除することによって、可溶性および機能性の形態で回収することができる。
【0149】 原核宿主においてタンパク質を発現させる方法はこの分野においてよく知られ
ている(例えば、下記の文献を参照のこと:Williams他、″Expression of fo
regn proteins in E. coli using plasmid vectors and purification
of specific polyclonal antibodies″、DNA Cloning 2:Expression S
ystems、第2版、Glover他(編)、p. 15(Oxford University Press、1995)
、Ward他、″Genetic Manipulation and Expression of Antibodies″、Mo
noclonal Antibodies:Principles and Applications、p. 137(Wiley−Lis
s、Inc.、1995)、およびGeorgiou、″Expression of Proteins in Bacteri
a″、Protein Engineering:Principles and Practice、Cleland他(編)、p
. 101(John Wiley & Sons、Inc.、1996))。細菌、酵母、昆虫、および植
物細胞の中に発現ベクターを導入する標準的方法は、例えば、Ausubel(1995)
により提供される。
【0150】 哺乳動物細胞系により産生される外来タンパク質を発現しかつ回収する一般的
方法は、例えば、下記の文献に記載されている:Etcheverry、″Expression of
Engeneered Proteins in Mammalian Cell Culture″、Protein Enginee
ring:Principles and Practice、Cleland他(編)、p. 163(Wiley−Liss、
Inc.、1996)。細菌系により産生されるタンパク質を回収する標準的技術は、例
えば、下記の文献に記載されている:Grisshammer他、″Purification of ove
r−produced proteins from E. coli cells″、DNA Cloning 2:Express
ion Systems、第2版、Glover他(編)、pp. 59−92(Oxford University Pr
ess、1995)。バキュロウイルス系から組換えタンパク質を単離する確立された
方法は、下記の文献に記載されている:Richardson(編)、Baculovirus Expre
ssion Protocols(The Humana Press,Inc.、1995)。
【0151】 Zsig48ポリペプチドの単離 本発明のポリペプチドを、汚染している高分子、特に他のタンパク質および核
酸に関して、少なくとも約80%の純度、より好ましくは少なくとも約90%の純度
、または95%より高い純度に、かつ感染因子および発熱因子を含まないように、
精製することが好ましい。本発明のポリペプチドは、また、99.9%より高い純度
である、薬学的に純粋な状態に精製することができる。好ましくは、精製された
ポリペプチドは他のポリペプチド、特に動物由来の他のポリペプチドを実質的に
含有しない。
【0152】 分画および/または慣用の精製方法を使用して、天然源(例えば、胎盤または
白血球)から精製されたZsig48の調製品、および組換えZsig48ポリペプチドおよ
び組換え宿主細胞から精製されたZsig48ポリペプチドを得ることができる。一般
に、硫酸アンモニウム沈降および酸またはカオトロープ抽出を試料の分画に使用
することができる。典型的な精製工程は、ヒドロキシアパタイト、サイズ排除、
FPLCおよび逆相高性能液体クロマトグラフィーを包含することができる。適当な
クロマトグラフィー媒質は、誘導化デキストラン、アガロース、セルロース、ポ
リアクリルアミド、特製品シリカ、およびその他を包含する。
【0153】 PE1、DEAE、QAEおよびQ誘導体は好ましい。典型的なクロマトグラフィー媒質
は、フェニル、ブチルまたはオクチル基で誘導体化された媒質、例えば、フェニ
ル−セファローズFF(Pharmacia)、トヨパール(Toyopear)ブチル650(Toso
Haas、ペンシルベニア州モンゴメリヴィレ)、オクチル−セファローズ(Pharma
cia)およびその他;またはポリアクリル酸樹脂、例えば、アンバークロム(Amb
erchrom)OG71(Toso Haas)、およびその他を包含する。適当な固体支持体は
、ガラスビーズ、シリカをベースとする樹脂、セルロース系樹脂、アガロースビ
ーズ、架橋したアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋したポリスチレン
ビーズ、およびその他を包含し、これらはそれらを使用すべき条件下に不溶性で
ある。アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基および/
または炭水化物部分によるタンパク質の結合を可能とする反応性基で、これらの
支持体を修飾することができる。
【0154】 カップリング化学の例は、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミド
活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒドロラジド活性化、およ
びカーボジイミドのカップリング化学のためのカルボキシルおよびアミノ誘導体
を包含する。これらおよび他の固体媒質はこの分野においてよく知られており、
この分野において広く使用されており、そして商業的供給会社から入手可能であ
る。ポリペプチドの単離および精製の特定の方法の選択は日常的設計事項であり
、一部分選択した支持体の性質により決定される。例えば、下記の文献を参照の
こと:Affinity Chromatography:Principle & Methods(Pharmacia LKB B
iotechnology)、およびDoonan、Protein Purification Protocols(The Hum
ana Press、1996)。
【0155】 Zsig48の単離および精製における追加の変法を当業者は案出することができる
。例えば、後述するようにして得られた、抗Zsig48抗体を使用して、イムノアフ
ィニティー精製により大量のタンパク質を単離することができる。モノクローナ
ル抗体のカラムを使用して、組換え細胞からおよび天然源からインターフェロン
を精製することは、例えば、下記の文献に記載されている:Staehelin他、J. B
iol. Chem. 256:9750(1981)、およびAdolf他、J. Biol. Chem. 265:92
90(1990)。そのうえ、支持体媒質に結合したリガンドポリペプチドに受容体、
例えば、Zsig48を結合させる方法はこの分野においてよく知られている。
【0156】 また、特定の性質を利用することによって、本発明のポリペプチドを単離する
ことができる。例えば、ポリヒスチジンタグを含んでなるものを包含する、ヒス
チジンに富んだタンパク質を精製するために、固定化された金属イオン吸着(IM
AC)クロマトグラフィーを使用することができる。簡単に述べると、まずゲルに
2価の金属イオンで帯電させてキレートを形成する(Sulkowski、Trends in Bi
ochem. 3:1(1985))。使用する金属イオンに依存して、異なるアフィニティ
ーを有するこのマトリックスにヒスチジンに富んだタンパク質を吸着させ、そし
て競合溶離、pHを低下させること、または強いキレート化剤の使用により、溶離
することができる。他の精製法は、レクチンアフィニティークロマトグラフィー
およびイオン交換クロマトグラフィーによるグリコシル化タンパク質の精製を包
含する(M. Deutscher(編)、Meth. Enzymol. 182:529(1990))。例えば
、Rinderknecht他、J. Biol. Chem. 259:6790(1984)のインターフェロン
−γの単離法は、1工程でインターフェロンをコンカナバリンA−セファローズと
結合させることを必要とする。本発明の追加の態様の範囲内で、問題のポリペプ
チドとアフィニティータグ(例えば、マルトース結合性タンパク質、免疫グロブ
リンドメイン)との融合体を構築して精製を促進することができる。
【0157】 また、Zsig48ポリペプチドまたはそれらの断片を、後述するように、化学的合
成により製造することができる。Zsig48ポリペプチドはモノマーまたはマルチマ
ーであり、グリコシル化または非グリコシル化されることができ、そして初期メ
チオニンアミノ酸残基を含むか、あるいは含まないことができる。 本発明のペプチドおよびポリペプチドは、少なくとも6、好ましくは少なくと
も9、最も好ましくは少なくとも15の配列番号2、3、4または5の隣接アミノ酸残
基を含んでなる。本発明のある種の態様の範囲内において、ポリペプチドはこれ
らのアミノ酸配列、例えば、配列番号8〜12の20、30、40、50、100、またはそれ
より多い残基を含んでなる。このようなペプチドおよびポリペプチドをコードす
る核酸分子は、ポリメラーゼ連鎖反応のプライマーおよびプローブとして有用で
ある。
【0158】 Zsig48ポリペプチドの化学的合成 本発明のZsig48ポリペプチドは、また、排他的固相合成、部分的固相法、断片
縮合または古典的溶液合成により合成することができる。ポリペプチドは好まし
くは固相ペプチド合成により、例えば、下記の文献に記載されているように、製
造される:Merrifield、J. Am. Chem. Soc. 85:2149(1963)。
【0159】 固相合成は、通常、カルボキシル末端から、アルファ−アミノ保護された(側
鎖保護)アミノ酸を適当な固体支持体にカップリングすることによって実施され
る。取付けをクロロメチル、クロロトリチルまたはヒドロキシメチル樹脂に対し
て行うとき、エステル結合が形成し、そして生ずるポリペプチドはC末端に遊離
カルボキシル基を有するであろう。あるいは、アミド樹脂、例えば、ベンズヒド
リルアミンまたはp−メチルベンズヒドリルアミン樹脂(tBoc化学について)お
よびRinkアミドまたはPAL樹脂(Fmoc化学について)を使用するとき、アミド結
合が形成し、生ずるポリペプチドはC末端にカルボキシアミド基を有するであろ
う。これらの樹脂は、ポリスチレンまたはポリアミドをベースとするか、あるい
はポリエチレングリコールグラフト化されているか、ハンドルまたはリンカーを
含むか、または含まないか、取付けられた第1アミノ酸を含むか、または含まな
いかどうかにかかわらず、商業的に入手可能であり、そしてそれらの製造は下記
の文献に記載されている:Stewart他、″Solid Phase Peptide Synthesis″
(第2版)、(Pierce Chemical Co.、1984)、BayerおよびRapp、Chem. Pept
. Prot. 3:3(1986)、Atherton他、″Solid Phase Peptide Synthesis:
A Practical Approach(IRL Press、1989)、およびLloy−Williams他、Chem
ical Approaches to the Synthesis of Peptide and Proteins(CRC P
ress,Inc.)。
【0160】 ポリペプチドを製造する「自然化学的連結反応」アプローチは、全化学的合成
戦略の1つの変法である(例えば、下記の文献を参照のこと:Dawson他、Science
266:776(1994)、Hackeng他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 94:7845
(1997)、およびDawson、Methods Enzymol. 287:34(1997))。この方法に
よれば、C末端チオエステル基を有するペプチドにN末端システインを含有するペ
プチドを連結反応して、連結反応部位に通常のペプチド結合を形成する。
【0161】 「発現されたタンパク質連結反応」法は、連結反応アプローチの半合成変法で
ある(例えば、下記の文献を参照のこと:Muir他、Proc. Nat'l Acad. Sci.
USA 95:6705(1998);SeverinovおよびMuir、J. Biol. Chem. 273:1620
5(1998))。ここで、合成ペプチドおよびタンパク質切断断片を結合して、所
望のタンパク質産物を生成する。この方法は天然以外のアミノ酸(例えば、生物
物理学的または生化学的プローブを含んでなるアミノ酸)の部位特異的組込みに
特に有用である。
【0162】 Muir他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 95:6705(1998)が例示するアプ
ローチにおいて、NdeIおよびSmaI制限部位を使用して、遺伝子または遺伝子断片
をPCYB2−IMPACTベクター(New England Biolabs,Inc.、マサチュセッツ州ベ
バーリイ)の中にクローニングした。その結果、遺伝子または遺伝子断片キチン
結合性ドメイン配列と融合したフレーム中で発現させ、そしてPro−Glyを問題の
タンパク質の自然のC末端に付ける。グリシン残基は自然の化学的結合を加速す
るので、C末端グリシンの存在は副反応の機会を減少させる。キチン樹脂を用い
るアフィニティークロマトグラフィーを使用して、発現された融合タンパク質を
精製し、樹脂結合タンパク質を緩衝液中でチオフェノールおよび合成ペプチドと
インキュベートすることによって、化学的連結反応工程を開始する。この混合物
は、合成ペプチドと急速に結合して所望の半合成タンパク質を産生するタンパク
質の、高度に反応性のフェニルαチオエステル誘導体のin situ 世代を産生す
る。
【0163】 Zsig48アナログの一般的クラスは、後述するように、抗イディオタイプ抗体、
およびそれらの断片により産生される。そのうえ、抗イディオタイプ可変ドメイ
ンを含んでなる組換え抗体をアナログとして使用することができる(例えば、下
記の文献を参照のこと:Monfardini他、Proc. Assoc. Am. Physicians 108
:420(1996))。抗イディオタイプZsig48抗体の可変ドメインはZsig48を模擬
するので、これらのドメインはZsig48アゴニストまたはアンタゴニスト活性を提
供することができる。
【0164】 組合わせライブラリーを使用することによって、Zsig48アナログを同定する第
3アプローチは提供される。ファージディスプレイおよび他の組合わせライブラ
リーを構築し、スクリーニングする方法は、例えば、下記の文献に記載されてい
る:Kay他、Phage Display of Peptides and Proteins(Academic Press
、1996)、Verdine、米国特許第5,783,384号、Kay他、米国特許第5,747,334号、
およびKauffman他、米国特許第5,723,323号。
【0165】 受容体として、Zsig48の活性はケイ素をベースとするバイオセンサー・マイク
ロフィジオメーターにより測定可能である。マイクロフィジオメーターは、受容
体の結合および引き続く細胞応答に関連する、細胞外酸性化速度またはプロトン
分泌を測定する。典型的な装置は、モレキュラー・ディバイシズ・コーポレーシ
ョン(Molecular Devices Corp.)(カリフォルニア州サニーヴェイル)によ
り製作されたCYTOSENSORマイクロフィジオメーターである。種々の細胞の応答、
例えば、細胞増殖、イオン輸送、エネルギー産生、炎症性応答、調節および受容
体活性、およびその他をこの方法により測定することができる(例えば、下記の
文献を参照のこと:McConnell他、Science 257:1906(1992)、Pitchford他、
Meth. Enzymol. 228:84(1997)、Arimilli他、J. Immunol. Meth. 212:
49(1998)、およびVan Liefde他、Eur. J. Pharmacol. 346:87(1998))
。そのうえ、付着性または非付着性真核または原核細胞をアッセイするために、
マイクロフィジオメーターを使用することができる。
【0166】 Zsig48、そのアナログ、および抗イディオタイプZsig48抗体を使用して、Zsig
48リガンドを同定し、単離することができる。例えば、本発明のペプチドおよび
タンパク質をカラム上に固定化し、カラムの上を展開する組織および血清調製物
からのリガンドタンパク質と結合させることができる(Hermanson他(編)、Imm
obilized Affinity Ligand Techniques、pp.195−202(Academic Press、19
92))。放射性標識化またはアフィニティー標識化Zsig48ポリペプチドは、また
、生物学的試料中のZsig48リガンドを同定または位置決定するために使用できる
(例えば、下記の文献を参照のこと:Deutscher(編)、Methods in Enzymol.
、Vol. 182、pp. 721−37(Academic Press、1990);Brunner他、Ann. Rev
. Biochem. 62:483(1993);Fedan他、Biochem. Pharmacol. 33:1167(1
984))。また、下記の文献を参照のこと:VarthakaviおよびMinocha、J. Gen.
Virol. 77:1875(1996)、これには受容体同定のための抗イディオタイプ抗
体が記載されている。
【0167】 さらに、固相系を使用して、Zsig48リガンド、またはZsig48リガンドのアゴニ
ストまたはアンタゴニストを同定することができる。例えば、Zsig48ポリペプチ
ドまたはZsig48融合タンパク質を商業的に入手可能なバイオセンサー計器の受容
体チップの表面上に固定化することができる(BIACORE、Biacore AB;スイス国
ウップサラ)。この計器の使用は、例えば、下記の文献に開示されている:Karl
sson、Immunol. Methods 145:229(1991)、およびCunninghamおよびWells、
J. Mol. Biol. 234:554(1993)。
【0168】 例示として、アミンまたはスルフヒドリル化学を使用して、フローセル内の金
フィルムに取付けられたデキストリン繊維に、Zsig48ポリペプチドまたは融合タ
ンパク質を共有結合させる。次いで試験試料をセルに通過させる。受容体が試料
の中に存在するとき、それは固定化されたポリペプチドまたは融合タンパク質に
結合し、媒質の屈折率を変化させる。屈折率は金フィルム表面プラズモン共鳴の
変化として検出される。このシステムはオンおよびオフ速度(これから結合アフ
ィニティーを計算することができる)の測定、および結合の化学量論的評価を可
能とする。また、抗体−抗原の相互作用、および他の補体/抗補体の対の相互作
用を検査するために、このシステムを使用することができる。
【0169】 Zsig48タンパク質に対する抗体の産生 Zsig48に対する抗体は、例えば、抗原として天然源から単離されたZsig48発現
ベクターまたはZsig48の産物を使用して、得ることができる。特に有用な抗Zsig
48抗体はZsig48に対して「特異的に結合する」。抗体が下記の2つの性質の少な
くとも1つを示す場合、抗体は特異的に結合すると考えられる:(1)抗体は限界
レベルの結合活性でZsig48に結合する、そして(2)抗体はZsig48に関係するポ
リペプチドと有意に交差反応しない。
【0170】 第1の特徴に関すると、抗体がZsig48ポリペプチド、ペプチドまたはエピトー
プと106/Mまたはそれより大きい、好ましくは107/Mまたはそれより大きい、よ
り好ましくは108/Mまたはそれより大きい、最も好ましくは109/Mまたはそれよ
り大きい結合アフィニティー(Ka)で結合する場合、抗体は特異的に結合する。
当業者は、抗体の結合アフィニティーを、例えば、スキャッチャード分析[Scat
chard、Ann. NY Acad. Sci. 51:660(1949)]により容易に決定すること
ができる。第2特徴に関すると、例えば、標準的ウェスタンブロット分析を使用
して抗体がZsig48を検出するが、既知の関係するポリペプチドを検出しない場合
、抗体は関係するポリペプチド分子と有意に交差反応しない。
【0171】 Zsig48エピトープを支持するペプチドおよびポリペプチドを使用して、抗Zsig
48抗体を製造することができる。本発明の抗原性エピトープを支持するペプチド
およびポリペプチドは、配列番号2の中に含有される、少なくとも9、好ましくは
15〜約30アミノ酸の配列、例えば、配列番号8〜12を含有する。しかしながら、
本発明のポリペプチドの30〜50アミノ酸、または本発明のポリペプチドの全体の
アミノ酸配列までおよびそれを包含する、本発明のアミノ酸配列のより大きい部
分を含んでなるペプチドまたはポリペプチドは、また、Zsig48と結合する抗体を
誘導するために有用である。エピトープを支持するペプチドのアミノ酸配列は、
水性溶媒中の実質的な溶解度を提供するように選択することが望ましい(すなわ
ち、配列は相対的に親水性の残基を含むが、疎水性残基は好ましくは回避される
)。そのうえ、プロリン残基を含有するアミノ酸配列は、また、抗体産生に望ま
しいことがある。
【0172】 例示として、ヒトZsig48中の潜在的抗原性部位は、LASERGENE(DNASTAR;ウイ
スコンシン州マディソン)のPROTENプログラム(バージョン3.14)により供給さ
れる、Jameson−Wolf法、JamesonおよびWolf、CABIOS 4:181(1988)を使用し
て同定された。デフォルトパラメーターがこの解析において使用される。これら
は前述の配列番号8、9、10、11および12のポリペプチドを生じた。
【0173】 タンパク質構造を予測する、6つの主要なサブルーチンを組合わせることによ
って、Jameson−Wolf法は潜在的抗原決定基を予測する。簡単に述べると、Hopp
−Woods法、Hopp他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 78:3824(1981)は、
最大の局所的親水性の領域を表すアミノ酸配列を同定するために最初に使用され
た(パラメーター:平均7残基)。第2工程において、Emini法、Emini他、J. Vi
rol. 55:836(1985)を使用して、表面確率を計算した(パラメーター:表面
決定限界値(0.6)=1)。第3に、Karplus−schultz法、Karplusおよびschultz
、Naturwissenschaften 72:212(1985)を使用して主鎖の柔軟性を予測した(
パラメーター:柔軟性限界値(0.2)=1)。
【0174】 解析の第4および第5において、Chou−Fasman法を使用して二次構造の予測をデ
ータに適用した、Chou、″Prediction of Protein Structural Classes fr
om Amino Acid Composition″、Prediction of Protein Structure and
the Principles of Protein Conformation、Fasman(編)、pp. 549−586
(Plenum Press、1990)、およびGarnier−Robson、Garnier他、J. Mol. Bio
l. 120:97(1978)(Chou−Fasmanパラメーター:コンフォメーションテーブ
ル=64タンパク質;α領域限界値=103;β領域限界値=105;Garnier−Robson
パラメーター:αおよびβ決定定数=0)。第6サブルーチンにおいて、柔軟性パ
ラメーターおよびヒドロパシー/溶媒アクセス可能性因子を組合わせて表面輪郭
値を決定し、「抗原性指数」と表示する。最後に、ピーク拡張関数を抗原性指数
し、この関数は代表的ピーク値の20、40、60、または80%を添加することによっ
て主要な代表的ピークを拡張して、内部領域に関する表面領域の移動性から誘導
された追加の遊離エネルギーを説明する。しかしながら、らせん領域は柔軟性が
低い傾向があるので、らせん領域に存在する主要なピークに、この計算を適用し
なかった。
【0175】 この解析の結果は、配列番号2の下記のアミノ酸配列が適当な抗原性ペプチド
を提供するであろうことを示した:前述したような配列番号8、9、10、11および
12。 組換えZsig48タンパク質またはZsig48に対するポリクローナル抗体は、この分
野においてよく知られている方法により製造することができる。例えば、下記の
文献を参照のこと:Green他、″Production of Polyclonal Antsera″、Immu
nochemical Protocls(Manson編)、pp. 1−5(Humana Press、1992)、およ
びWilliams他、″Expression of foreign proteins in E. coli using
plasmid vectors and purification of specific polyclonal antibodie
s″、DNA Cloning 2:Expression Systems、第2版、Glover他(編)、pp. 1
5(Oxford University Press、1995)。アジュバント、例えば、明礬(水酸化
アルミニウム)またはフロインド完全アジュバントまたはフロインド不完全アジ
ュバントを使用して、Zsig48ポリペプチドの免疫原性を増加することができる。
また、免疫化に有用なポリペプチドは、融合ポリペプチド、例えば、Zsig48また
はその一部分と免疫グロブリンポリペプチドまたはマルトース結合性タンパク質
との融合体である。ポリペプチド免疫原は全長の分子またはその一部分であるこ
とができる。ポリペプチドの一部分は「ハプテン様」である場合、このような一
部分は免疫化のために好都合には高分子担体(例えば、キーホールリンペットヘ
モシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)または破傷風トキソイド)に結
合または連鎖することができる。
【0176】 ポリクローナル抗体は典型的には動物、例えば、ウマ、雌牛、イヌ、ニワトリ
、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ヤギ、またはヒツジにおいて生じるが
、本発明の抗Zsig48抗体はまたヒト以下の霊長目抗体に由来することができる。
診断的および治療的に有用な抗体を生じさせる一般的方法は、例えば、下記の文
献に記載されている:Goldenberg他、国際特許公開No.WO91/11465、およびLosm
an他、Int. J. Cancer 46:310(1990)。
【0177】 あるいは、モノクローナル抗Zsig48抗体を生じさせることができる。特異的抗
原に対する齧歯類モノクローナル抗体はこの分野において知られている方法によ
り得ることができる(例えば、下記の文献を参照のこと:Kohler他、Nature 25
6:495(1975)、Coligan他(編)、Current Protocols in Imunology、Vol.
1、pp. 2.5.1−2.6.7(John Wiley & Sons、1991)[″Coligen″]、Pic
ksley他、″Productions of monoclonal antibodies against proteins e
xpressed in E. coli″、DNA Cloning 2:Expression Systems、第2版、G
lover他(編)、p. 93(Oxford University Press、1995)。
【0178】 簡単に述べると、モノクローナル抗体は次のようにして得ることができる。Zs
ig48遺伝子産物を含んでなる組成物をマウスに注射し、血清試料を取出して抗体
産生の存在を確認し、脾臓を除去してBリンパ球を獲得し、Bリンパ球を骨髄腫細
胞と融合させてハイブリドーマを産生し、ハイブリドーマをクローニングし、抗
原に対する抗体を産生する陽性クローンを選択し、抗原に対する抗体を産生する
クローンを培養し、そしてハイブリドーマ培養物から抗体を単離する。
【0179】 さらに、本発明の抗Zsig48抗体はヒトモノクローナル抗体から誘導することが
できる。抗原チャレンジに応答して特異的ヒト抗体を産生するように操作された
トランスジェニックマウスから、ヒトモノクローナル抗体は得られる。この技術
において、内因的重鎖および軽鎖の遺伝子座のターゲッテッド崩壊を含有する胚
幹細胞に由来するマウスの系統の中に、ヒト重鎖および軽鎖の因子を導入する。
トランスジェニックマウスをヒト抗原に対して特異的なヒト抗体を合成すること
ができ、そしてこれらのマウスはヒト抗体を分泌するハイブリドーマの産生に使
用することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、例
えば、下記の文献に記載されている:Green他、Nature Genet. 7:13(1994)
、Lonberg他、Nature 368:856(1994)、およびTaylor他、Int. Immun. 6:
579(1994)。
【0180】 種々のよく確立された技術により、モノクローナル抗体をハイブリドーマ培養
物から単離し、精製することができる。このような単離技術は、プロテインAセ
ファローズ、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフ
ィーを包含する(例えば、下記の文献を参照のこと:Coligan、pp. 2.7.1−2.7
.12およびpp. 2.9.1−2.9.3;Baines他、″Purification of Immunoglobulin
G(IgG)″、Methods in Molecular Biology、Vol. 10、pp. 79−104(T
he Humana Press,Inc.、1992))。
【0181】 特定の使用のために、抗Zsig48抗体の断片を調製することが望ましいことがあ
る。このような抗体断片は、例えば、抗体のタンパク質分解的加水分解により得
ることができる。抗体断片は、慣用法により全抗体をペプシンまたはパパインで
消化することによって得ることができる。例示として、ペプシンで抗体を酵素的
に切断して、F(ab')2と表示する5S断片を形成することによって、抗体断片を
産生することができる。この断片をチオール還元剤でさらに切断して、3.5S Fa
b'1価の断片を産生することができる。必要に応じて、ジサルファイド結合の切
断から生ずるスルフヒドリル基のブロッキング基を使用して、切断反応を実施す
ることができる。別法として、別方法として、ペプシンを使用する酵素的切断は
2つの1価のFab断片およびFc断片を直接的に産生する。これらの方法は、例えば
、下記の文献に開示されている:Goldenberg、米国特許第4,331,647号、Nisonof
f他、Arch. Biochem. Biophys. 89:230(1960)、Porter、Biochem. J. 7
3:119(1959)、Edelman他、Methods in Enzymology Vol. 1、p. 422(Ac
ademic Press、1967)、およびColigan、pp. 2.8.1−2.8.10および2.10.−2.1
0.4。
【0182】 抗体を切断する他の方法、例えば、重鎖を分離して1価の重鎖断片を形成する
方法、断片のそれ以上の切断、または他の酵素的、化学的または遺伝的技術を、
断片が無傷の抗体が認識する抗原に結合するかぎり、また、使用することができ
る。 例えば、Fv断片がVHおよびVL鎖の会合を含んでなる。この会合は下記の文献に
開示されているように非共有的であり得る:Inbar他、Proc. Nat'l Acad. Sc
i. USA 69:2659(1972)。あるいは、可変鎖は分子間ジサルファイド結合に
より結合するか、あるいは化学物質、例えば、グルタルアルデヒドにより架橋す
ることができる(例えば、下記の文献を参照のこと:Sandhu、Crit. Rev. Bio
tech. 12:437(1992))。
【0183】 Fv断片は、ペプチドリンカーにより接続されたVHおよびVLを含んでなることが
できる。オリゴヌクレオチドにより接続されたVHおよびVLドメインをコードする
DNA配列を含んでなる構造遺伝子を構築することによって、これらの一本鎖抗原
結合性タンパク質(scFv)は製造される。構造遺伝子を発現ベクターの中に挿入
し、引き続きこれを宿主細胞、例えば、大腸菌(E. coli)の中に導入する。組
換え宿主細胞は、2つのVドメインを架橋するリンカーペプチドを使用して一本ポ
リペプチド鎖を合成する。scFvを産生する方法は、例えば、下記の文献に開示さ
れている:Whitlow他、Methds:A Companion to Methods in Enzymology
2:97(1991)(また、下記の文献を参照のこと:Bird他、Science 242:423(
1988)、Ladner他、米国特許第4,946,778号、Pack他、Bio/Technology 11:12
71(1993]、およびSandhu、前掲)。
【0184】 例示として、リンパ球をin vitroにおいてZsig48ポリペプチドに暴露し、ファ
ージまたは同様なベクター中の抗体ディスプレイライブラリーを選択することに
よって、scFvを得ることができる(例えば、免疫化または標識化されたZsig48タ
ンパク質またはペプチドを使用する)。潜在的Zsig48ポリペプチド結合性ドメイ
ンを有するポリペプチドをコードする遺伝子は、ファージ(ファージディスプレ
イ)または細菌、例えば、大腸菌(E. coli)上にディスプレイされた、ランダ
ムペプチドライブラリーをスクリーニングすることによって、得ることができる
。ポリペプチドをコードする天然源は多数の方法、例えば、ランダム突然変異誘
発およびランダムポリペプチド合成において得ることができる。これらのランダ
ムペプチドディスプレイライブラリーを使用して、既知のターゲットと相互作用
するペプチドについてスクリーニングすることができ、既知のターゲットはタン
パク質またはポリペプチド、例えば、リガンドまたは受容体、生物学的または合
成的高分子、または有機または無機の物質であることができる。
【0185】 このようなランダムペプチドディスプレイライブラリーをつくりかつスクリー
ニングする技術は、この分野において知られており(Ladner他、米国特許第5,22
3,409号、Ladner他、米国特許第4,946,778号、Ladner他、米国特許第5,403,484
号、Ladner他、米国特許第5,571,698号、およびKay他、Phage Display of Pe
ptides and Proteins(Academic Press,Inc.、1966))そしてランダムペプ
チドディスプレイライブラリーおよびこのようなライブラリーをスクリーニング
するキットは、例えば、CLONTECH Laboratories,Inc.(カリフォルニア州パロ
アルト)、Invitrogen Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)、New England
Biolabs,Inc.(マサチュセッツ州ベバーリイ)、およびPharmacia LKB Bio
technology,Inc.(ニュージャージイ州ピスカタウェイ)から商業的に入手可能
である。本明細書に開示するZsig48配列を使用してランダムペプチドディスプレ
イライブラリーをスクリーニングして、Zsig48に結合するタンパク質を同定する
ことができる。
【0186】 抗体断片の他の形態は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチド
である。問題の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって、CDRペプ
チド(「最小認識単位」)を得ることができる。このような遺伝子は、例えば、
ポリメラーゼ連鎖反応を使用して抗体産生細胞のRNAから可変領域を合成するこ
とによって製造された(例えば、下記の文献を参照のこと:Larrick他、Methds
:A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991)、Courtenay−
Luck、″Genetic Manipulation of Monoclonal Antibdies″、Monoclonal
Antibdies:Productions,Engineering and Clinical Application、Ritter
他(編)、p. 166(Cambridge University Press、1995)、およびWard他、
″Genetic Manipulation and Expression of Antibodies″、Monoclonal
Antibodies:Principles and Applications、Birch他(編)、p. 137(Wiley
−Liss、Inc.、1995)。
【0187】 あるいは、抗Zsig48抗体は「ヒト化」モノクローナル抗体から誘導することが
できる。マウス免疫グロブリンの重および軽可変鎖からのマウス相補的決定領域
をヒト可変ドメインの中に転移させることによって、ヒト化モノクローナル抗体
は産生される。次いで、ネズミ対応物のフレームワーク領域において、ヒト抗体
の典型的な残基を置換する。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体成分の使
用は、ネズミ定常領域の免疫原性に関連する潜在的問題を排除する。ネズミ免疫
グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的技術は、例えば、下記の文献
に開示されている:Orlandi他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86:3833(1
989)。ヒト化モノクローナル抗体を産生する技術は、例えば、下記の文献に開
示されている:Jones他、Nature 321:522(1986)、Cartr他、Proc. Nat'l
Acad. Sci. USA 89:4285(1992)、Sandhu、Crit. Rev. Biotech. 12:4
37(1992)、Singer他、J. Immunol. 150:2844(1993)、Sudhir(編)、Ant
ibody Engineering Protocls(Humana Press,Inc.、1995)、Kelley、″Eng
ineering Therapeutic Antibodies″、Protein Engineering:Principles a
nd Practice、Cleland他(編)、p. 399−434(John Wiley & Sons,Inc.
、1996)、およびQueen他、米国特許第5,693,762号(1997)。
【0188】 ポリクローナル抗イディオタイプ抗体は、標準技術に従い動物を抗Zsig48抗体
または抗体断片で免疫化することによって製造することができる。例えば、下記
の文献を参照のこと:Green他、″Production of Plyclonal Antisera″、Me
thods in Molecular Biology:Immunochemical Protocols、Manson(編)、
pp. 1−2(Humana Press、1992)。また、下記の文献を参照のこと:Coligan
、pp. 2.4.1−2.4.7。あるいは、前述の技術に従い、免疫原として抗Zsig48抗
体または抗体断片を使用して、モノクローナル抗イディオタイプ抗体を製造する
ことができる。他の別法として、前述の技術を使用して、ヒト化抗イディオタイ
プ抗体またはヒト以下の霊長目抗体を製造することができる。抗イディオタイプ
抗体を産生する方法は、例えば、下記の文献に開示されている:Irie、米国特許
第5,208,146号、Green他、米国特許第5,637,677号、およびVarthakaviおよびMin
ocha、J. Gen. Virol. 77:1875(1996)。
【0189】 Zsig48ヌクレオチド配列の診断的適用 生物学的試料中のZsig48遺伝子の発現を発現するために、核酸分子を使用する
ことができる。プローブ分子は配列番号1のヌクレオチド配列またはその断片を
含んでなる二本鎖核酸分子、ならびに配列番号1のヌクレオチド配列の補体また
はその断片を有する一本鎖核酸分子を包含する。プローブ分子はDNA、RNA、オリ
ゴヌクレオチド、およびその他であることができる。
【0190】 基本的アッセイにおいて、一本鎖プローブ分子を生物学的試料から単離された
RNAと、プローブとターゲットZsig48RNA種との間の塩基対合を促進する温度およ
びイオン強度の条件下に、インキュベートする。非結合プローブをハイブリダイ
ゼーションした分子から分離した後、ハイブリッドの量を検出する。例示的生物
学的試料は血液、尿、唾液、組織生検、および剖検材料を包含する。
【0191】 RNA検出のよく確立されたハイブリダイゼーション法は、ノーザン分析および
ドット/スロットブロットハイブリダイゼーションを包含する(例えば、下記の
文献を参照のこと:Ausbel(1985)、pp. 4−1〜4−27、およびWu他(編)、″
Analysis of Gene Expression at the RNA Level″、Methods in Gene
Biotechnology、pp. 225−239(CRC Press,Inc.、1997))。核酸プローブ
を放射性同位元素、例えば、32Pおよび35Sで直接標識化することができる。ある
いは、Zsig48 RNAを非放射線的ハイブリダイゼーション法で検出することがで
きる(例えば、下記の文献を参照のこと:Isaac(編)、Protocols for Nucle
ic Acid Analysis by Nonradioactive Probes(Humana Press,Inc.、199
3))。典型的には、非放射線的検出は、色素形成または化学発光基質の酵素的
変換により達成される。例示的非放射性成分はビオチン、フルオレセイン、およ
びジゴキシゲニンを包含する。
【0192】 Zsig48オリゴヌクレオチドプローブは、また、in vivo診断に有用である。例
示として、18F標識化オリゴヌクレオチドを被検体に投与し、陽電子放射断層撮
影法により可視化することができる(Tavitian他、Nature Medicine 4:467(
1998))。 多数の診断手順は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を利用して検出方法の感度
を増加する。PCRを実施する標準技術はよく知られている(一般に、下記の文献
を参照のこと:Mathew(編)、Protocols in human Molecular Genetics(H
umana Press,Inc.、1991)、White(編)、PCR Protocols:Current Method
s and Applications(Humana Press,Inc.、1993)、Cotter(編)、Molecul
ar Diagnosis of Cancer(Humana Press,Inc.、1996)、HanausekおよびWa
laszek(編)、Tumor Marker Protocols(Humana Press,Inc.、1998)、Lo
(編)、Clinical Applications of PCR(Humana Press,Inc.、1998)、お
よびMeltzer(編)、PCR in Bioanalysis(Humana Press,Inc.、1998))。
【0193】 診断アッセイのためのPCRの一変形は逆転写酵素−PCR (RT-PCR) である。 RT−PCR技術において、RNAを生物学的試料から単離し、cDNAに逆転写し、そし
てcDNAをZsig48プライマーとインキュベートする(例えば、下記の文献を参照の
こと:Wu他(編)、″Rapid Isolation of Specific cDNAs or Genes by
PCR″、Methods in Gene Biotechnology、pp. 15−28(CRC Press,Inc.
、1997)。次いでPCRを実施し、産物を標準技術により分析する。
【0194】 例示として、RNAを生物学的試料から、例えば、前述のグアニジニウム−チオ
シアネート細胞溶解手順により単離する。あるいは、固相技術を使用して細胞ラ
イゼイトからmRNAを単離することができる。ランダムオリゴヌクレオチド、dTの
短いホモポリマー、またはZsig48アンチセンスオリゴマーを使用して、逆転写反
応を単離されたRNAでプライムすることができる。オリゴ−dTプライマーは、対
照ターゲット配列を提供できる、種々のmRNAヌクレオチド配列が増幅されるとい
う利点を提供する。典型的には20塩基長さである、2つのフランキングオリゴヌ
クレオチドプライマーを使用してポリメラーゼ連鎖反応により、Zsig48配列を増
幅する。
【0195】 種々のアプローチを使用して、PCR増幅生成物を検出することができる。例え
ば、PCR生成物ゲル電気泳動により分画し、臭化エチジウム染色により可視化す
ることができる。あるいは、分画したPCR生成物を膜に移し、検出可能に標識化
されたZsig48プローブとハイブリダイゼーションさせ、オートラジオグラフィー
により検査することができる。追加の別のアプローチは、ジゴキシゲニン標識化
デオキシリボ核酸トリホスフェートを使用して化学発光を検出する方法、および
C−TRAK比色アッセイを包含する。
【0196】 Zsig48の発現を検出する他のアプローチはサイクリングプローブ技術(CPT)
であり、ここで一本鎖DNAターゲットは過剰のDNA−RNA−DNAキメラプローブと結
合して複合体を形成し、RNA部分をRNアーゼHで切断し、そして切断されたキメラ
プローブの存在を検出する(例えば、下記の文献を参照のこと:Beggs他、J. C
lin. Microbiol. 34:2985(1996)、Bekkaoui他、Biotechniques 20:240(
1996))。Zsig48配列を検出する別の方法は、核酸配列をベースとする増幅(NA
SBA)、交差ハイブリダイゼーションにより鋳型の共同増幅(CATCH)、およびリ
ガーゼ連鎖反応(LCR)のようなアプローチを利用することができる(例えば、
下記の文献を参照のこと:Mrshall他、米国特許第5,686,272号(1997)、Dyer他
、J. Virol. Methods 60:161(1996)、Ehricht他、Eur. J. Biochem. 2
43:358(1997)、およびChadwick他、J. Virol. Methods 70(59(1998))
。他の標準的方法はこの分野において知られている。
【0197】 また、Zsig48プローブおよびプライマーを使用して、組織検体におけるZsig48
遺伝子の発現を検出し、位置決定することができる。このようなin situハイブ
リダイゼーションの方法は、この分野においてよく知られている(例えば、下記
の文献を参照のこと:Choo(編)、In Situ Hybridization Protocols(Huma
na Press,Inc.、1994)、Wu他(編)、″Analysis of Cellular DNA or
Abundance of mRNA by Radioactive In Situ Hybridization(RISH)″
、Methods in Gene Biotechnology、pp. 259−278(CRC Press,Inc.、199
7)、およびWu他(編)、″Localization of DNA or Abundance of mRNA
by Fluorescence In Situ Hybridization(RISH)″、Methods in Gene
Biotechnology、pp. 279−289(CRC Press,Inc.、1997)。種々の追加の診
断アプローチは当業者によく知られている(例えば、下記の文献を参照のこと:
Mathew(編)、Protocols in Human Molecular Genetics(Humana Press,
Inc.、1991)、ColemanおよびTsongalis、Molecular Diagnostics(Humana Pr
ess,Inc.、1996)、およびElles、Molecular Diagnosis of Genetic Disea
ses(Humana Press,Inc.、1996)。
【0198】 また、Zsig48ヌクレオチド配列を含んでなる核酸分子を使用して、被検体の染
色体が染色体7q36.3にマップされたZsig48遺伝子中に突然変異を含有するかどう
かを決定することができる。Zsig48遺伝子遺伝子座における検出可能な染色体異
常は、下記のものを包含するが、これらに限定されない:異数性、遺伝子コピー
数の変化、挿入、欠失、制限部位の変化および再配列。Zsig48遺伝子を不活性化
する遺伝的変更は特に重要である。
【0199】 染色体7q36.3におけるZsig48遺伝子座に関連する異常は、本発明の核酸分子を
使用して、下記の技術により検出することができる:分子遺伝的技術、例えば、
制限断片長さ多形性(RFLP)分析、PCR技術を用いる短い縦列反復(STR)、増幅
不応性突然変異系分析(ARMS)、一本鎖コンフォメーション多形性(SSCP)検出
、RNアーゼ切断法、変性勾配ゲル電気泳動、蛍光補助ミスマッチ分析(FAMA)、
およびこの分野において知られている他の遺伝的分析技術(例えば、下記の文献
を参照のこと:Mathew(編)、Protocols in Human Molecular Genetics(H
umana Press,Inc.、1991)、Marian、Chest 108:255(1995)、Colemanおよ
びTsongalis、Molecular Diagnostics(Humana Press,Inc.、1996)、Elles
、Molecular Diagnosis of Genetic Diseases(Humana Press,Inc.、1996
)、Landegren(編)、Laboratory Protocols for Mutation Detection(Ox
ford University Press、1996)、Birren他(編)、Genome Analysis、Vol.
2:Detecting Genes(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1998)、
Dracopoli他(編)、Current Protocols in Human Genetics(John Wiley
& Sons、1998)、およびRichardsおよびWard、″Molecular Diagnostic Tes
ting″、Principles of Molecular Medicine、pp. 83−88(Humana Press
,Inc.、1998)。
【0200】 また、タンパク質トランケーションは遺伝子の不活性化の検出において有用で
あり、ここで翻訳停止突然変異はコード化タンパク質の一部分のみを産生する(
例えば、下記の文献を参照のこと:Stoppa−Lyonnet他、Blood 91(3920(1998
))。このアプローチによれば、RNAを生物学的検体から単離し、cDNAの合成に
使用する。次いでPCRを使用してZsig48ターゲット配列を増幅し、RNAポリメラー
ゼプロモーター、翻訳開始配列、およびインフレームATGトリプレットを導入す
る。RNAポリメラーゼを使用してPCR生成物を転写し、転写物をin vitroにおい
てT7結合網状赤血球ライゼイト系で翻訳する。次いで翻訳生成物をSDS−PAGEに
より分画して翻訳生成物の長さを測定する。タンパク質トランケーション試験は
、例えば、下記の文献に開示されている:Dracopoli他(編)、Current Protoc
ols in Human Genetics、pp.9.11.1−9.11.18(John Wiley & Sons、1998
)。
【0201】 関係するアプローチにおいて、Zsig48タンパク質を被検体から単離し、単離さ
れたZsig48タンパク質の分子量を測定し、次いで正常Zsig48タンパク質、例えば
、配列番号2、3、4または5のアミノ酸を有するタンパク質、の分子量と比較する
。単離されたZsig48タンパク質について実質的に低いモノ(Mono)Qは、タンパ
ク質がトランケートされていることを示す。これに関して、「実質的に低い分子
量」は少なくとも約10%低い、好ましくは少なくとも約25%低いことを意味する
。Zsig48タンパク質は種々のこの分野において知られている手順、例えば、免疫
沈降、固相ラジオイムノアッセイ、酵素結合イムノアッセイ、またはウェスタン
ブロッティングにより単離することができる。単離されたZsig48タンパク質の分
子量は、標準技術、例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により測定
することができる。
【0202】 本発明は、また、Zsig48遺伝子の発現について診断アッセイを実施するか、あ
るいはZsig48遺伝子中の突然変異を検出するキットを包含する。このようなキッ
トは、核酸プローブ、例えば、配列番号1のヌクレオチド配列またはその断片を
含んでなる二本鎖核酸分子、ならびに配列番号1のヌクレオチド配列の補体また
はその断片を有する一本鎖核酸分子を含んでなる。プローブ分子はDNA、RNA、オ
リゴヌクレオチド、およびその他であることができる。キットはPCRを実施する
ための核酸プライマーを含んでなる。
【0203】 好ましくは、このようなキットは、前述の核酸診断アッセイを実施するために
必要な要素のすべてを含有する。キットはZsig48プローブまたはプライマーを含
む少なくとも1つの容器を含んでなるであろう。また、キットはZsig48配列の存
在を示すことができる1またはそれ以上の試薬を含んでなる第2容器を含むことが
できる。このようなインジケーター試薬の例は、検出可能な標識、例えば、放射
能標識、蛍光色素、化学発光剤、およびその他を包含する。キットは、また、Zs
ig48プローブおよびプライマーを使用してZsig48遺伝子の発現を検出するユーザ
ーへの運搬手段を含むことができる。例えば、書かれた使用説明書は、Zsig48を
コードする核酸分子、またはZsig48をコードするヌクレオチド配列に対して相補
的であるヌクレオチド配列を有する核酸分子を検出するために、同封された核酸
分子を使用することができることを説明することができる。書かれた材料は容器
に直接的適用するか、あるいはパッケージのインサートの形態で提供されること
ができる。
【0204】 抗Zsig48抗体の診断的適用 本発明は、in vitroで生物学的検体をZsig48の存在についてスクリーニング
するために、抗Zsig48抗体の使用することに関する。in vitroアッセイの1つの
型において、抗Zsig48抗体を液相において使用する。例えば、Zsig48とその抗体
との間の結合を促進する条件下に、生物学的検体を微量の標識化Zsig48および抗
Zsig48抗体と混合することによって、生物学的検体中のZsig48の存在を試験する
ことができる。抗体、例えば、Fc抗体またはストレプトコッカス(Streptococcu
s)プロテインAと結合する固定化されたタンパク質と、検体中のZsig48および抗
Zsig48の複合体を接触することによって、複合体をこの混合物から分離すること
ができる。生物学的検体中のZsig48の濃度は、抗体に結合した標識化Zsig48の量
に逆比例し、遊離Zsig48の量に直接的に関係する。例示的生物学的検体は、血液
、尿、唾液、組織生検材料、および剖検材料を包含する。
【0205】 あるいは、抗Zsig48抗体を固相担体に結合する、in vitroアッセイを実施す
ることができる。例えば、抗体をポリマー、例えば、アミドデキストランに結合
させて、抗体を不溶性支持体、例えば、ポリマー被覆ビーズ、プレートまたは管
に結合させることができる。他の適当なin vitroアッセイは、当業者にとって
容易に明らかであろう。
【0206】 他のアプローチにおいて、生検検体から調製した組織切片中のZsig48を検出す
るために、抗Zsig48抗体を使用することができる。このような免疫化学的検出を
使用して、Zsig48の相対量を決定し、検査した組織中のZsig48の分布を決定する
ことができる。一般的免疫化学的技術はよく確立されている(例えば、下記の文
献を参照のこと:Ronder、″Cell Marking Techniques and Their Applica
tion″、Mammalian Development:A Practical Approach、Monk(編)、pp.
115−38(IRL Press、1987)、Coligan、pp. 5.8.1〜5.8.8、Ausubel(1995
)、pp. 14.6.1〜14.6.13(Wiley Interscince、1990)、およびManson(編)
、Methods in Molecular Biology、Vol. 10:Immunochemical Protocols(
Humana Press,Inc.、1992))。
【0207】 免疫化学的検出は、生物学的検体を抗Zsig48抗体と接触させ、次いで生物学的
検体を抗体に結合する検出可能に標識化された分子と接触することによって実施
することができる。例えば、検出可能に標識化された分子は抗Zsig48抗体に結合
する抗体部分を含んでなる。あるいは、抗Zsig48抗体をアビジン/ストレプトア
ビジン(またはビオチン)と複合化させ、そして検出可能に標識化された分子は
ビオチン(またはアビジン/ストレプトアビジン)を含んでなることができる。
この基本的技術の多数の変法は当業者によく知られている。
【0208】 あるいは、抗Zsig48抗体を検出可能な標識化と複合化して抗Zsig48免疫複合体
を形成することができる。適当な検出可能な標識は、例えば、放射性同位体、蛍
光標識、化学発光標識、酵素標識、生物発光標識またはコロイド状金を包含する
。このような検出可能に標識化された免疫複合体を作り、検出する方法は当業者
によく知られており、下記においていっそう詳しく説明する。
【0209】 検出可能な標識は、オートラジオグラフィーにより検出される放射性同位体で
あることができる。本発明の目的に対して特に有用なアイソトープは、3H、125I
131I、35Sおよび14Cである。 抗Zsig48免疫複合体は、また、蛍光化合物で標識化することができる。免疫複
合体を適切な波長の光に暴露し、生ずる蛍光を検出することによって、蛍光標識
化された抗体の存在は決定される。蛍光標識化化合物は、蛍光イソチオシアネー
ト、ローダミン、フィコエリセリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o
−フタルデヒドおよびフルオレスカミンを包含する。
【0210】 あるいは、抗体成分を化学発光化合物にカップリングすることによって、抗Zs
ig48免疫複合体を検出可能に標識化することができる。化学反応過程の間に発生
するルミネセンスの存在を検出することによって、化学発光標識化免疫複合体の
存在は決定される。化学発光標識化化合物の例は、ルミノール、イソルミノール
、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびオキ
サレートエステルを包含する。
【0211】 同様に、生物発光化合物を使用して、本発明の抗Zsig48免疫複合体を標識化す
ることができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効能を増加させ
る、生物学的系において見出される型の化学発光である。生物発光タンパク質の
存在は、ルミネセンスの存在の検出により決定される。標識化に有用な生物発光
化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンを包含する。
【0212】 あるいは、抗Zsig48抗体成分を酵素に結合することによって、抗Zsig48免疫複
合体を検出可能に標識化することができる。抗Zsig48−酵素複合体を適当な基質
の存在下にインキュベートするとき、酵素成分は基質と反応して化学的成分を生
成し、化学的成分は、例えば、分光光度測定、蛍光測定または視的手段により検
出することができる。多特異的免疫複合体を検出可能に標識化するために使用で
きる酵素の例は、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシ
ダーゼおよびアルカリ性ホスファターゼを包含する。
【0213】 本発明に従い使用できる他の適当な標識化はこの分野において知られている。
マーカー成分の抗Zsig48抗体への結合は、この分野において知られている標準技
術により達成することができる。典型的な方法は下記の文献に開示されている:
Kennedy他、Clin. Chem. Act. 70:1(1976)、Schurs他、Clin. Chem. Ac
t. 81:1(1977)、Shih他、Int'l J. Cancer 46:1101(1990)、Stein他
、Cancer Res. 50:1330(1990)、およびColigan、上掲。
【0214】 そのうえ、アビジン、ストレプチアビジン、およびビオチンと複合化された抗
Zsig48抗体を使用することによって、免疫化学的検出の便利さおよび融通性を増
強することができる(例えば、下記の文献を参照のこと:Wilchek他(編)、″A
vidin−Biotin Technology″、Methods in Enzymology、Vol. 184(Academi
c Press、1990)、およびBayer他、″Immunochemical Applications of Avi
din−Biotin Technology″、Methods in Molecular Biology、Vol. 10、Ma
nson(編)、pp. 149−162(The Humana Press,Inc.、1992)。
【0215】 イムノアッセイを実施する方法はよく確立されている。例えば、下記の文献を
参照のこと:CookおよびSelf、″Monoclonal Antibodies in Diagnostic Im
munoassay″、Monoclonal Antibodies:Production,Engineering,and Clini
cal Application、RitterおよびLadyman(編)、pp. 180−208(Cambridge U
niversity Press、1995)、Perry、″The Role of Monoclonal Antibodies
in the Advancement of Immunoassay Technology″、Monoclonal Antib
odies:Principles and Applications、BirchおよびLennox(編)、pp. 107
−120(Wiley−Liss,Inc.、1995)、およびDiamandis、Immunoassay(Academic
Press,Inc.、1996)。関係するアプローチにおいて、ビオチンまたはFITC標
識化Zsig48を使用して、Zsig48に結合する細胞を同定する。このような結合は、
例えば、フローサイトメトリーを使用して検出することができる。
【0216】 本発明は、また、Zsig48遺伝子の発現について診断アッセイを実施するキット
を包含する。このようなキットは、抗Zsig48抗体、または抗体断片を含んでなる
、少なくとも1つの容器を含む。また、キットはZsig48抗体または抗体断片の存
在を示すことができる1または2以上の試薬を含んでなる第2容器を含むことがで
きる。このようなインジケーター試薬の例は、検出可能な標識、例えば、放射能
標識、蛍光色素、化学発光因子、酵素標識、生物発光標識、コロイド状金、およ
びその他を包含する。キットは、また、Zsig48抗体または抗体断片を使用してZs
ig48タンパク質を検出するユーザーへの運搬手段を含むことができる。例えば、
書かれた使用説明書は、Zsig48を検出するために、同封された抗体または抗体断
片を使用することができることを説明することができる。書かれた材料は容器に
直接的適用するか、あるいはパッケージのインサートの形態で提供されることが
できる。
【0217】 Zsig48活性を有するポリペプチドの治療上の使用 本発明の分子を使用して、末梢血白血球の増殖を促進することができる。これ
は、化学療法、放射線または病気により白血球が消耗された癌患者の治療におい
て有効である。骨髄を移植された患者にZsig48を投与して、移植された骨髄によ
り産生された白血球の増殖を促進することができる。また、中年過ぎまたはヒト
のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染個体におけるように、免疫抑制された個体
の治療において、Zsig48は有効であろう。Zsig48は、また、ワクチンとともに投
与すべきアジュバントとして使用することができる。
【0218】 一般に、T細胞、B細胞および単球(またはZsig48アナログまたは融合タンパク
質)の増殖を誘導するために投与されたZsig48の投与量は、因子、例えば、患者
の年齢、体重、高さ、性別、一般的医学的症状および前の病歴に依存して変化す
るであろう。典型的には、約1pg/kg〜10mg/kg/日の範囲の投与量のZsig48(
薬剤の量/患者の体重)をレシピエントに提供することが望ましく、好ましくは
投与量は静脈内投与において4〜100μg/kg/日であるが、より低いまたはより
高い投与量を状況に応じて投与することもできる。
【0219】 Zsig48活性を有する分子の被検体への投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉
内、皮下、胸内、胞膜内、領域カテーテルを通す灌流、または病巣内注射である
ことができる。治療用タンパク質を注射により投与するとき、投与は連続的注入
または単一または多数のボーラスによりことができる。あるいは、Zsig48は調節
放出性処方物として投与することができる。例えば、ClelandおよびJones、Phar
m. Res. 13:1464(1996)には、ポリ乳酸−コグリコール微小球の中にカプセ
ル化されたインターフェロン−γを製造する方法が記載されている。
【0220】 追加の投与経路は、経口、皮膚、粘膜−膜、肺、および経皮を包含する。経口
的送達は、ポリエステル微小球、ゼイン微小球、プロテイノイド微小球、ポリシ
アノアクリレート微小球、および脂質をベースとする系に適当である。[例えば
、下記の文献を参照のこと:DiBaseおよびMorrel、″Oral Delivery of Micr
oencapsulated Proteins″、Protein Delivery:Physical Systems、Sanders
およびHendren(編)、pp. 255−288(Plenum Press、1977)]。鼻内送達の
可能性は、インスリン投与のモードにより例示される[例えば、下記の文献を参
照のこと:HinchcliffeおよびIllum、Adv. Drug Deliv. Rev. 35:199(199
9)]。Zsig48を含んでなる乾燥または液状粒子を製造し、乾燥粉末のディスペ
ンサー、液状エーロゾル発生器、またはネブライザーの助けにより吸入すること
ができる[例えば、PettitおよびGombotz、TIBTECH 16:343(1998)、Patton
他、Adv. Drug Deliv. Rev. 35:235(1999)]。
【0221】 このアプローチはAERX糖尿病管理システムにより例示され、これはエーロゾル
化インスリンを肺の中に送達する、手で保持する吸入器である。研究において、
48,000kDa程度に大きいタンパク質は治療的濃度において低い周波数の超音波の
助けにより皮膚を横切って送達されることが示され、これは経皮投与の可能性を
例示する[Mitragotri他、Science 269:850(1955)]。エレクトロポレーシ
ョンを使用する経皮送達は、Zsig48を投与する他の手段を提供する(Potts他、P
harmacia Biotechnol. 10:213(1997))。
【0222】 Zsig48活性を有するタンパク質、ポリペプチド、またはペプチドを含んでなる
医薬組成物は、薬学上有効な組成物を製造する既知の方法に従い処方することが
でき、ここで治療上のタンパク質を薬学上許容される担体との混合物中で組合わ
せる。組成物の投与がレシピエント患者により許容されうる場合、組成物は「薬
学上許容される担体」であると呼ばれる。無菌のリン酸塩緩衝液、水、TWEEN(
登録商標)80およびマンニトールおよび酢酸ナトリウムは薬学上許容される担体
および添加剤の例である。他の適当な担体は当業者によく知られている。例えば
、下記の文献を参照のこと:Gemmarp(編)、Remington's Pharmaceutical Sc
iences、第19版(Mack Publishing Company、1995)。
【0223】 療法の目的で、Zsig48活性を有する分子および薬学上許容される担体を治療的
に有効量で患者に投与する。Zsig48活性を有するタンパク質、ポリペプチド、ま
たはペプチドおよび薬学上許容される担体は、投与される量が生理学的に有意で
ある場合、「治療的に有効量」で投与されたと呼ばれる。薬剤の存在がレシピエ
ント患者において検出可能な生理学的変化を生ずる場合、薬剤は生理学的に有意
である。本発明の関係において、薬剤の存在がT細胞、B細胞または単球の増殖を
生ずる場合、薬剤は生理学的に有意である。
【0224】 Zsig48活性を有する医薬組成物は、液体の形態、または固体の形態で構成する
ことができる。Zsig48活性を有するタンパク質、例えば、ヒトまたはネズミZsig
48は、前述したように、薬学上許容される水溶性ポリマー成分と複合体として投
与することができる。例示として、Zsig48−ポリエチレングリコール複合体は、
Zsig48の循環半減期を増加させ、かつポリペプチドの免疫原性を減少させるため
に有効である。リポソームカプセル化処方物を包含する、液体の形態は、注射可
能な溶液または経口懸濁液により例示される。典型的な固体の形態は、カプセル
剤、錠剤、および調節放出性形態、例えば、ミニ浸透圧ポンプまたは移植片を包
含する。他の投与形態を、例えば、下記の文献に示されているように、当業者は
案出することができる:AnselおよびPopovich、Pharmaceutical Dosage Forms
and Drug Delivery Systems、第5版(Lea & Febiger、1990)、Gennaro
(編)、Remington's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing
Company、1995)、およびRanadeおよびHollinger、Drug Delivery Systems
(CRC Press、1996)。
【0225】 例示として、Zsig48医薬組成物は、Zsig48、Zsig48アゴニスト、またはZsig48
アンタゴニスト(例えば、抗Zsig48抗体または抗体断片)を含んでなる容器を含
むキットとして供給することができる。Zsig48は、1回または多数回投与のため
の注射用溶液の形態で、または注射前に再構成される無菌の粉末として提供する
ことができる。あるいは、このようなキットは、治療用ポリペプチドを投与する
ために、乾燥粉末ディスペンサー、液体エーロゾル発生器、またはネブライザー
を含む。このようなキットは、さらに、医薬組成物の適用および使用に対する書
かれた情報を含むことができる。そのうえ、このような情報は、Zsig48組成物が
Zsig48に対する既知の過敏症を有する患者において禁忌であるという記述を含む
ことができる。
【0226】 Zsig48ヌクレオチド配列の療法上の使用 免疫調節Zsig48遺伝子を被検体の中に導入して、Zsig48の局在化発現を引き起
こすことによって、免疫学的応答を増強することができる。例示として、「免疫
調節遺伝子療法」は、IL−2、IL−3、IL−4、IL−6、IL−10、IL−12、IL−15、
インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子−α、または顆粒球−マクロファージコロ
ニー刺激因子を発現するベクターを使用してモデル系において検査された[例え
ば、下記の文献を参照のこと:Cao他、J. Gastroenterol. Hepatol. 11:105
3(1996)、Tahara他、Ann. N. Y. Acad. Sci. 795:275(1996)、Rakhmi
levich他、Hum. Gene Ther. 8:1303(1997)、およびCao他、Transplantati
on 65:325(1998)]。本発明は、Zsig48ヌクレオチド配列を使用して、免疫
系を増強して白血球、特にT細胞、B細胞または単球の増殖を促進することを包含
する。さらに、Zsig48遺伝子の発現を阻害する療法上の発現ベクター、例えば、
アンチセンス分子、リボザイム、または外部のガイド配列分子を提供することが
できる。
【0227】 Zsig48遺伝子を被検体の中に導入する多数のアプローチ、例えば、Zsig48を発
現する組換え宿主細胞、Zsig48をコードする裸核酸の送達、Zsig48をコードする
核酸分子とともにカチオン性液体担体の使用、およびZsig48を発現するウイルス
、例えば、組換えレトロウイルス、レトロウイルスアデノ関連ウイルス、組換え
アデノウイルス、および組換え単純ヘルペスウイルス[HSV]の使用がある(例
えば、下記の文献を参照のこと:Mulligan、Science 260:926(1993)、Rosen
berg他、Science 242:1575(1988)、LaSalle他、Science 259:988(1993)
、Wolff他、Science 247:1465(1990)、BreakfieldおよびDeluca、The New
Biologist 3:203(1991))。ex vivoアプローチにおいて、例えば、細胞
を被検体から単離し、Zsig48遺伝子を発現するベクターでトランスフェクトし、
次いで被検体の中に移植する。
【0228】 Zsig48遺伝子を発現させるために、Zsig48遺伝子の転写をコントロールするよ
うに、Zsig48遺伝子をコードするヌクレオチド配列がコアプロモーター、および
必要に応じて調節要素、に作用可能に連鎖された発現ベクターを構築する。発現
ベクターの一般的要件は前述された通りである。 あるいは、組換えウイルスベクターを使用して、Zsig48遺伝子を送達すること
ができる。このような組換えウイルスベクターは、例えば、下記のものを包含す
る:アデノウイルスベクター[例えば、Kass−Eisler他、Proc. Nat'l Acad.
Sci. USA 90:11498(1993)、Kolls他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA
91:215(1994)、Li他、Hum. Gene Ther. 4:403(1993)、Vincent他、Nat
. Genet. 5:130(1993)、およびZabner他、Cell 75:207(1993)]、アデ
ノ関連ウイルスベクター[Flotte他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 90:10
613(1993)]、アルファウイルス、例えば、セムリキ森林ウイルスおよびシン
ドビスウイルス[HertzおよびHuang、J. Virol. 66:857(1992)、Rajuおよ
びHuang、J. Virol. 65:2501(1991)、およびXiong他、Science 243:1188
(1989)]、ヘルペスウイルスベクター(例えば、米国特許第4,769,331号、米
国特許第4,859,587号、米国特許第5,288,641号および米国特許第5,328,688号)
、パルボウイルスベクター[Koering他、Hum. Gene Therap. 5:457(1994)
]、ポックスウイルスベクター[Ozaki他、Biochem. Biophys. Res. Commun.
193:653(1993)、PanicaliおよびPaoletti、Proc. Nat'l Acad. Sci. U
SA 79:4927(1982)]、ポックスウイルス、例えば、カナリア痘ウイルスまた
はワクシニアウイルス[Fisher−Hoch他、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 86
:317(1989)、およびFlexner他、Ann. N. Y. Acad. Sci. 569:86(1989
)]、およびレトロウイルス(例えば、Baba他、J. Neurosurg. 79:729(199
3)、Ram他、Cancer Res. 53:83(1993)、Takmiya他、J. Neurosci. Res.
33:493(1992)、VileおよびHart、Cancer Res. 53:962(1993)、Hart、
Cancer Res. 53:3860(1993)、およびAnderson他、米国特許第5,399,346号
)。種々の態様において、ウイルスベクターそれ自体、またはウイルスベクター
を含有するウイルス粒子は後述する方法および組成物において使用することがで
きる。
【0229】 1つの系の例示として、アデノウイルス、二本鎖DNAウイルスは異種核酸分子の
送達のためのよく特性決定された遺伝子転移ベクターである[外観については下
記の文献を参照のこと:Becker他、Meth. Cell Biol. 43:161(1994);Dou
glasおよびCuriel、Science & Medicine 4:44(1997)]。アデノウイルス
系は、下記のものを包含する、いくつかの利点を提供する:(i)比較的大きいD
NAインサートを収容する能力、(ii)高い力価に成長する能力、(iii)広い範
囲の哺乳動物細胞型を感染する能力、および(iv)偏在的、組織特異的、および
調節可能なプロモーターを包含する、多数の異なるプロモーターとともに使用で
きる能力。さらに、ウイルスは血流中で安定であるので、アデノウイルスを静脈
内注射により投与することができる。
【0230】 アデノウイルスゲノムの一部分が欠失されているアデノウイルスベクターを使
用して、インサートをウイルスDNAの中に直接的結合または共トランスフェクト
されたプラスミドを使用する相同的組換えにより組込む。典型的な系において、
必須E1遺伝子をウイルスベクターから欠失し、E1遺伝子が宿主細胞により提供さ
れないかぎり、ウイルスは複製しないであろう。完全な動物に静脈内投与すると
き、アデノウイルスは主として肝臓をターゲットとする。E1遺伝子が欠失された
アデノウイルス送達系は宿主細胞中の複製することができないが、宿主組織はコ
ード化された異種タンパク質を発現し、プロセスするであろう。対応する遺伝子
が分泌シグナル配列を含む場合、宿主細胞はまた異種タンパク質を分泌するであ
ろう。分泌されたタンパク質は、異種遺伝子を発現する組織(例えば、高度に血
管化された肝臓)から、循環の中に入る。
【0231】 そのうえ、ウイルス遺伝子の種々の欠失を含有するアデノウイルスベクターを
使用して、ベクターに対する免疫応答の減少または排除することができる。この
ようなアデノウイルスはE1欠失されており、そしてさらに、E2AまたはE4の欠失
を含有する(Lusky他、J. Virol. 72:2022(1998);Raper他、Human Gene
Therapy 9:671(1998))。E2bの欠失は、また、免疫応答を減少することが
報告された(Amalfitanno他、J. Virol. 72:956(1998))。アデノウイルス
ゲノム全体を欠失することによって、異種DNAの非常に大きいインサートを収容
することができる。ウイルス遺伝子のすべてが欠失されている、いわゆる「グー
トレス(gutless)」アデノウイルスの発生は、異種DNAの大きいインサートの挿
入に特に好都合である[外観については下記の文献を参照のこと:Yeh.およびPe
rricaudet、FASEB J. 11:615(1997)]。
【0232】 治療遺伝子を発現することができる組換えウイルスの高い力価の系統は、標準
方法を使用して感染した哺乳動物細胞から得ることができる。例えば、組換えHS
Vは、下記の文献に開示されているようにして、Vero細胞中に調製することがで
きる:Brandt他、J. Gen. Virol. 72:2043(1991)、Herold他、J. Gen.
Virol. 75:1211(1994)、VisalliおよびBrandt、Virology 185:419(1991
)、Grau他、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci. 30:2474(1989)、Brandt他
、J. Virol. Meth. 36:209(1992)、およびBrownおよびMacLean(編)、HS
V Virus Protocols(Humana Press、1997)。
【0233】 あるいは、リポソームを使用するin vivoリポフェクションにより、Zsig48遺
伝子を含んでなる発現ベクターを被検体細胞の中に導入することができる。合成
カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子のin vivoトランスフ
ェクションのためのリポソームを製造することができる[Felgner他、Proc. Na
t'l Acad. Sci. USA 84:7413(1987);Mackey他、Proc. Nat'l Acad.
Sci. USA 85:8027(1988)]。in vivoにおいて特定の器官の中に外因的遺
伝子を導入するためにリポフェクションを使用すると、ある種の実際的利点が得
られる。特定の細胞型にトランスフェクションを向けるためにリポソームを使用
することができる。これは細胞の不均質性を有する組織、例えば、膵臓、肝臓、
腎臓、および脳において特に好都合である。脂質をターゲッティングの目的で他
の分子に化学的にカップリングすることができる。ターゲッテッドペプチド(例
えば、ホルモンまたは神経伝達物質)、タンパク質、例えば、抗体、または非ペ
プチド分子をリポソームに化学的にカップリングすることができる。
【0234】 エレクトロポレーションは投与の他の別のモードである。例えば、Aiharaおよ
びMiyazaki、Nature Biotechnology 16:867(1998)は、筋肉の中への遺伝子
転移のためのin vivoエレクトロポレーションの使用を証明した。 遺伝子療法に対する別法において、治療遺伝子はZsig48の発現を阻害するZsig
48アンチセンスRNAをコードすることができる。アンチセンス分子に適当な配列
は、本明細書に開示するZsig48のヌクレオチド配列から誘導することができる。
【0235】 あるいは、リボザイムをコードするヌクレオチド配列に調節要素が作用可能に
連鎖されている、発現ベクターを構築することができる。mRNA分子中のある種の
ターゲット配列に向けられたエンドヌクレアーゼ活性を発現するように、リボザ
イムを設計することができる(例えば、下記の文献を参照のこと:Draperおよび
Macejak、米国特許第5,496,698号、McSwiggen、米国特許第5,525,468号、Chowri
raおよびMcSwiggen、米国特許第5,631,359号、およびRobertsonおよびGoldberg
、米国特許第5,225,337号)。本発明の関係において、リボザイムはZsig48 mRN
Aと結合するヌクレオチド配列を含む。
【0236】 他のアプローチにおいて、Zsig48遺伝子をコードするmRNA分子のRNアーゼP-仲
介切断を促進することができる、RNA転写物の産生を調節要素が指令する、発現
ベクターを構築することができる。このアプローチによれば、内因的リボザイム
、RNアーゼPを細胞内mRNAの特定の空間に向ける外部のガイド配列を構築するこ
とができ、引き続きこれを細胞リボザイムにより切断する(例えば、下記の文献
を参照のこと:Altman他、米国特許第5,168,053号、Yuan他、Science 263:126
9(1994)、Pace他、国際公開No.WO 96/18733、George他、国際公開No.WO 96
/21731、およびWerner他、国際公開No.WO 97/33991)。好ましくは、外部ガ
イド配列は、Zsig48 mRNAに対して相補的な10〜15ヌクレオチド配列、および3'
−NCCAヌクレオチド配列(ここでNは好ましくはプリンである)を含む。外部ガ
イド配列転写物はmRNAと相補的外部ガイド配列との間で塩基対を形成することに
よってターゲッテッドmRNA種に結合し、こうして塩基対領域の5'側に位置するヌ
クレオチドにおけるRNアーゼPによりmRNAの切断を促進する。
【0237】 一般に、Zsig48ヌクレオチド酸配列を有する治療ベクター、例えば、組換えウ
イルスを含んでなる組成物は、因子、例えば、被検体の年齢、体重、性別、一般
的医学的症状および前の病歴に依存して変化するであろう。治療ベクターの適当
な投与経路は、静脈内注射、動脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、腫瘍内注射
、および腫瘍を含有する腔の中への注射を包含する。例示として、Horton他、Pr
oc. Nat'l Acad. Sci. USA 96:1553(1999)は、インターフェロン−αを
コードするプラスミドDNAの筋肉内注射がネズミモデルにおいて一次および転移
性腫瘍に対して効力のある抗腫瘍作用を生成することを証明した。
【0238】 本発明のウイルスベクター、非ウイルスベクター、またはウイルスベクターお
よび非ウイルスベクターの組合わせを含んでなる組成物を既知の方法に従い処方
して薬学上有用な組成物を製造することができ、ここでベクターおよびウイルス
を薬学上許容される担体と混合物中で組合わせる。前述したように、組成物、例
えば、リン酸塩緩衝液は、その投与がレシピエント患者により許容されうる場合
、「薬学上許容される担体」であると言われる。他の適当な担体は当業者によく
知られている(例えば、下記の文献を参照のこと:Remington's Pharmaceutica
l Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)、およびGilman's
the Pharmcological Basis of Therpeutics、第7版(MacMillan Publishin
g Co.、1985))。
【0239】 療法の目的で、治療遺伝子発現ベクター、またはこのようなベクターを含んで
なる組換えベクター、および薬学上許容される担体を治療的に有効量で患者に投
与する。発現ベクター(またはウイルス)および薬学上許容される担体は、投与
される量が生理学的に有意である場合、「治療的に有効量」で投与されたと言わ
れる。薬剤の存在がレシピエント患者において検出可能な生理学的変化を生ずる
場合、薬剤は生理学的に有意である。本発明の関係において、薬剤の存在がT細
胞、B細胞または単球の増殖を引き起こす場合、薬剤は生理学的に有意である。
【0240】 治療遺伝子発現ベクターまたは組換えウイルスで治療された被検体がヒトであ
るとき、治療は好ましくは幹細胞の遺伝子療法である。すなわち、治療遺伝子発
現ベクターまたは組換えウイルスによるヒトの好ましい治療は、ヒト生殖系列の
一部分を形成し、連続的世代(すなわち、ヒト生殖系列遺伝子療法)に伝達され
る核酸分子を、細胞の中に導入しない。
【0241】 トランスジェニックマウスの産生 すべての組織においてまたは組織特異的または組織選択(tissue-preferred)
調節要素の制御下にヒトZsig48遺伝子を過剰に発現するように、トランスジェニ
ックマウスを操作することができる。これらのZsig48過剰産生体を使用して、過
剰発現から生ずる表現型を特性決定することができ、そしてトランスジェニック
マウスは過剰のZsig48により引き起こされるヒト疾患のモデルとして働くことが
できる。また、Zsig48を過剰に発現するトランスジェニックマウスは、より大き
い動物の乳または血液中でZsig48を産生する、モデルのバイオリアクターを提供
する。トランスジェニックマウスを産生する方法は当業者によく知られている[
例えば、下記の文献を参照のこと:Jacob、″Expression and Knockout of
Interferons in Transgenic Mice″、Overexpression and Knockout of
Cytokines in Transgenic Mice、Jacob(編)、pp. 111−124(Academic P
ress,Ltd.、1994)、MonasterskyおよびRobl(編)、Strategies in Transge
nic Animal Science(ASM Press、1995)、およびAbbudおよびNilson、″Rec
ombinant Protein Expression in Transgenic Mice″、Gene Expression
Systems:Using Nature for the Art of Expression、FernadezおよびH
oeffler(編)、pp. 367−397(Academic Press,Inc.、1999)]。
【0242】 例えば、Zsig48遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを産生する方法は
、成体の繁殖可能な雄(種マウス(studs))(B6C3f1、2〜8月齢(Taconic Fa
rms、ニューヨーク州ジャーマンタウン))、精管切除雄(ダッド(duds))(B
6D2f1、2〜8月齢(Taconic Farms))、青春前期の妊娠・出産可能な雌(ドナ
ー)(B6C3f1、4〜5月齢(Taconic Farms))成体の妊娠・出産可能な雌(レシ
ピエント)(B6C3f1、2〜4月齢(Taconic Farms))を使用して開始することが
できる。ドナーを1週間順化させ、次いでほぼ8IU/マウスの妊馬血清ゴナドトロ
ピン(Sigma Chemical Co.、ミゾリー州セントルイス)を腹腔内注射し、46〜
47時間後、8IU/マウスのヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG(Sigma))を腹腔内
注射して過剰***を誘発する。
【0243】 ドナーをホルモン注射後に種マウスと交尾させる。***は一般にhCG注射後13
時間以内に起こる。交尾後の次の朝に膣栓の存在により、交接が確証される。外
科用スコープ下に受精卵を収集する。輸卵管を収集し、ヒアルロニダーゼ(Sigm
a)を含有する尿分析用スライドの中に卵を解放させる。卵をヒアルロニダーゼ
中で1回洗浄し、5%CO2、5%O2および90%N2と37℃においてインキュベートした
ウィッテン(Whitten's)W640培地(例えば、下記の文献に開示されている:Men
inoおよびO'Claray、Biol. Reprod. 77:159(1986)、およびDienhartおよび
Downs、Zygote 4:129(1996))中で2回洗浄する。次いで、卵を37℃/5%CO2 のインキュベーター中でマイクロインジェクションまで貯蔵する。
【0244】 Zsig48をコードする配列を含有するプラスミドDNAの10〜20μgを線状化し、ゲ
ル精製し、10mMのTris−HCl(pH7.4)、0.25mMのEDTA(pH8.0)の中に5〜10ng/
μlの最終濃度でマイクロインジェクションのために再懸濁させる。例えば、Zsi
g48をコードする配列は、配列番号2、3、4または5のアミノ酸配列をコードする
ことができる。温かいCO2平衡化鉱油でオーバーレイされた1滴のW640培地中に収
集された卵の中に、プラスミドDNAをマイクロインジェクトする。DNAを注射針の
中に吸込み(内径0.75mm、外径1mmのホウケイ酸塩ガラスの毛管から引く)、個
々の卵の中に注射する。各卵を通して注射針を一倍体前核の一方または両方の中
に入れる。数ピコリットルのDNAを前核の中に注射し、仁と接触しないように注
射針を抜く。すべての卵が注射されるまで、この手順を反復する。首尾よくマイ
クロインジェクトされた卵を前もって通気したW640培地を含む器官組織培養皿の
中に移し、37℃/5%CO2インキュベーター中で一夜貯蔵する。
【0245】 次の日に、2細胞胚を擬妊娠レシピエントの中に移す。精管切除ダッドと交尾
後、交尾栓の存在によりレシピエントを同定する。レシピエントを麻酔し、背中
の左側の毛を剃り、外科用顕微鏡に移す。皮膚の中に、かつ胸郭、鞍状部、およ
び後脚により描かれる腹領域の中央部の、膝と脾臓との間の中間において、筋肉
壁を通して小さい切開を形成する。生殖器官を体外から出して小さい外科用ドレ
ープ上に置く。脂肪パッドを外科用ドレープ上で延伸し、子供用止血小鉗子(Ro
boz、マリイランド州ロックビレ)を脂肪パッドに取付け、左をマウスの背面の
上に掛けて、器官が滑って中に入って戻ることを防止する。鉱油を含有する細い
転移ピペット、および引き続いて交互にW640および気泡を使用して、前日の注射
からの12〜17の健康な2細胞の胚をレシピエントの中に移す。膨潤した輸精管膨
大部を捜し出し、輸精管膨大部と嚢との間に輸卵管を保持し、輸卵管の中に切れ
目を28gの針で嚢に密接させて作り、輸精管膨大部または嚢が裂けないように注
意する。
【0246】 ピペットを輸卵管中の切れ目の中に移し、胚を吹き込み、最初の気泡をピペッ
トから追い出す。脂肪パッドを腹腔の中におだやかに押し込み、生殖器官を滑り
込ませる。腹腔壁を1本の縫合糸で閉じ、皮膚を創傷クリップで閉じる。マウス
を37℃のスライド加温器上で最短4時間の間回復させる。レシピエントをケージ
の中に戻し、19〜21日間の妊娠を可能とする。出生後、分娩後19〜21日経過させ
た後、離乳させる。離乳子畜を雌雄鑑別し、別々の性別のケージの中に入れ、0.
5cmのバイオプシー(遺伝子型別のために使用する)をきれいな鋏で尾から切り
取る。例えば、製造業者の取扱説明書に従いQIAGEN DNEASYキットを使用して、
尾の小片からゲノムDNAを調製する。同一プラスミドの中に導入されたZsig48遺
伝子または選択可能なマーカー遺伝子を増幅するように設計されたプライマーを
使用するPCRにより、ゲノムDNAを分析する。動物がトランスジェニックであるこ
とが確証された後、トランスジェニック雌を野生型雄と一緒に配置するか、ある
いはトランスジェニック雄を1匹または2匹の野生型雌と一緒に配置することによ
って、動物を同系交配系統に戻し交雑させる。子供が生まれ、離乳するとき、性
別で分離し、遺伝子型別のためにそれらの尾を切る。
【0247】 生きている動物におけるトランスジーンの発現を検査するために、部分的肝切
除を実行する。剣状突起のすぐ下の上部腹に外科的準備を行う。無菌技術を使用
して、小さい1.5〜2cmの切開を胸骨の下に形成し、肝臓の左横小葉を体外に取出
す。4−0の絹糸を使用して、下小葉の回りを結んで、それを体腔の外側で固定す
る。無外傷性クランプを使用して結束を保持すると同時に吸収性デクソン(Dexo
n)(Amersham Cyanamid、ニュージャージイ州ワイン)の第2ループを最初の結
束に近接させて配置する。デクソン結束から遠位切断を形成し、ほぼ100mgの切
除した肝臓組織を無菌のペトリ皿の中に入れる。切除した肝臓切片を14mlのポリ
プロピレンの丸底管に移し、液体窒素中で短時間凍結させ、次いでドライアイス
上で貯蔵する。外科部位を縫合糸および創傷クリップで閉じ、術後動物のケージ
を37℃の加熱パッド上に24時間配置する。動物を術後毎日検査し、術後7〜10日
後に創傷クリップを除去する。RNA溶液ハイブリダイゼーションアッセイまたは
ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、各トランスジェニックマウスについてZsig48 mRNAの発現レベルを検査する。
【0248】 Zsig48を過剰に発現するトランスジェニックマウスを産生することに加えて、
異常に遺伝子の発現が低いか、あるいは遺伝子を発現しないトランスジェニック
マウスを操作することが有用である。このようなトランスジェニックマウスは、
Zsig48の欠如に関連する疾患の有用なモデルを提供する。前述したように、アン
チセンス遺伝子、リボザイム遺伝子、または外部のガイド配列遺伝子を使用して
、Zsig48遺伝子の発現を阻害することができる。Zsig48遺伝子を過小発現するト
ランスジェニックマウスを産生するために、このような阻害配列をネズミZsig48 mRNAにターゲットさせる。特定の遺伝子の発現が異常に低いトランスジェニッ
クマウスを産生する方法は、この分野において知られている[例えば、下記の文
献を参照のこと:Wu他、″Gene Underexpression in Cultured Cells and
Animals by Antisense DNA and RNA Strategies″、Methods in Gene
Biotechnology、pp. 205−224(CRC Press、1997)]。
【0249】 Zsig48遺伝子をわずかに発現するか、あるいはまったく発現しないトランスジ
ェニックマウスを産生する別のアプローチは、非機能的Zsig48遺伝子で置換され
た少なくとも1つの正常Zsig48対立遺伝子を有するネズミを発生することである
。非機能的Zsig48遺伝子を設計する1つの方法は、ネズミZsig48をコードする核
酸分子内に、他の遺伝子、例えば、選択可能なマーカー遺伝子を挿入することで
ある。これらのいわゆる「ノックアウトマウス」を産生する標準方法はこの分野
において知られている[例えば、下記の文献を参照のこと:Jacob、″Expressio
n and Knockout of Interferons in Transgenic Mice″、Overexpressio
n and Knockout of Cytokines in Transgenic Mice″、Jacob(編)、pp
. 111−124(Academic Press,Ltd.、1994)、およびWu他、″New Strategie
s for Gene Knockout″、Methods in Gene Biotechnology、pp. 339−36
5(CRC Press、1997)]。
【0250】 本発明は、こうして一般的に記載された、下記の実施例を参照することによっ
て、いっそう容易に理解されるであろう。下記の実施例は本発明の例示であるが
、本発明を限定することを意図しない。 実施例1 Zsig48のクローニング 下記の実施例2に記載する、混合造血cDNAライブラリーをランダム配列決定す
ることによって、配列番号6の発現された配列タグ(EST)が発見され、そして全
長のクローンを単離し、配列決定すると、配列番号1および2の配列が得られた。
pSLzsig48中の1.6kbのインサートを分析すると、cDNA合成に使用したEcoRIアダ
プター配列がインサートの5'末端に存在することが明らかにされた。インサート
の3'末端に、XhoI部位が存在する。しかしながら、XhoI部位はオリゴヌクレオチ
ドプライマー上に存在するフランキング配列を欠如する。これが示唆するように
、pSLzsig48インサートはcDNA調製品と同時精製されるゲノム汚染物質に由来す
る。
【0251】 実施例2 造血細胞のcDNAライブラリーの産生 ヒト造血細胞系統、K562(ATCC #CCL243)、Daudi(ATCC #CCL213、HL−60
(ATCC #CCL240)、MOLT−4(ATCC #CCL1582)およびRaji ATCC #CCL86から
のcDNAを、下記の方法により、別々の反応において合成し、サイズ分画した。細
胞系統の各1つから抽出されたRNAを下記の方法で逆転写した。第1鎖cDNA反応は
、K562、Daudi、HL−60、MOLT−4またはRaji細胞(Clontech、カリフォルニア州
パロアルト)から2回ポリd(T)選択された10μlのポリ(A)+mRNAを1.0mg/ml
の濃度で含有し、そして2μlの20pmole/μlのXhoI部位を含有する第1鎖プライ
マー配列番号7(GTC TGG GTT CGC TAC TCG AGG CGG CCG CTA TTT TT
T TTT TTT TTT TTT)を含有した。この混合物を70℃で3.0分間加熱し、氷上
で冷却した。8μlの第1鎖緩衝液(5×SUPERSCRIPT(商標)緩衝液;Life Techn
ologies、マリイランド州ガイサースバーグ)、4.0μlの100mMのジチオスレイト
ール、および3.0μlの10mMのdTTP、dATP、dGTPおよび5−メチル−dCTP(Pharmac
ia LKB Biotechnology、ニュージャージイ州ピスカタウェイ)の各々を含有す
るデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)溶液をRNA−プライマー混合物に添加
することによって、第1鎖cDNA合成を開始した。
【0252】 この反応混合物を37℃において2分間インキュベートし、次いで10μlの200U/
μlのRNアーゼH-逆転写酵素(SUPERSCRIPT II(商標);Life Technologies)
を添加した。平行反応において10μCiの32P−αdCTPを反応混合物の1つからの5
μlのアリコートに添加して、分析のための反応を標識化することによって、第1
鎖合成の効率を分析した。反応を37℃において10分間、45℃において50分間イン
キュベートし、次いで50℃において10分間インキュベートした。標識化反応にお
いて組込まれなかった32P−αdCTPを、400孔サイズのゲル濾過カラム(Clontech
Laboratories、カリフォルニア州パロアルト)上のクロマトグラフィーにより
除去した。非標識化第1鎖反応において組込まれなかったヌクレオチドおよびプ
ライマーを、400孔サイズのゲル濾過カラム(Clontech Laboratories、カリフ
ォルニア州パロアルト)上のクロマトグラフィーにより除去した。標識化第1鎖c
DNAの長さをアクリルアミドゲル電気泳動により測定した。
【0253】 第2鎖反応は、135μlの非標識化第1鎖cDNA、40μlの5×ポリメラーゼI緩衝液
(125mMのTris:HCl、pH7.5、500mMのKCl、25mMのMgCl2、50mMの(NH4)2SO4)、2
.5μlの100mMのジチオスレイトール、5.0μlの10mMの各デオキシヌクレオチド三
リン酸を含有する溶液、7μlの5mMのβ−NAD、2.5μlの10U/μlの大腸菌(E.
coli)DNAリガーゼ(New England Biolabs、マサチュセッツ州ベバーリイ)、
7μlの10U/μlの大腸菌(E. coli)ポリメラーゼI(New England Biolabs、
マサチュセッツ州ベバーリイ)、および2.0μlの2U/μlのRNアーゼH(Life Te
chnologies、マリイランド州ガイサースバーグ)を含有した。第2鎖合成の1つか
らの10μlのアリコートを10μCiの32P−αdCTPの添加により標識化して、第2鎖
合成の効能をモニターした。反応を16℃において2時間インキュベートし、次い
で1μlの10mMのdNTP溶液および5.0μlのT4DNAポリメラーゼ(10U/μl、Boehrig
er Mannheim、インジアナ州インジアナポリス)を添加し、16℃においてさらに
10分間インキュベートした。
【0254】 アクリルアミドゲル電気泳動による分析前に、標識化反応において組込まれな
かった32P−αdCTPを400孔サイズのゲル濾過カラム(Clontech Laboratories、
カリフォルニア州パロアルト)上のクロマトグラフィーにより除去した。20.0μ
lの0.5MのEDTAの添加により反応を停止し、フェノール/クロロホルムおよびク
ロロホルムで抽出し、次いで3.0Mの酢酸ナトリウムおよび2μlのPELLET PAINT
(登録商標)担体(Novagen、ウイスコンシン州マディソン)の存在下にエタノ
ール沈降させた。cDNAの2回目のエタノール沈降を実施して、存在しうる微量レ
ベルのEDTAを除去した。10μgのmRNA鋳型から出発して、cDNAの収量はほぼ2μg
であると推定された。
【0255】 EcoRIアダプターを前述のcDNAの5'末端に結合して、発現ベクターの中へのク
ローニングを可能とした。12.0μlのアリコートのcDNA(約2.0μg)および4μl
の69pmole/μlのEcoRIアダプター(Pharmacia LKB Biotechnology、ニュージ
ャージイ州ピスカタウェイ)を、2.5μlの10×リガーゼ緩衝液(660mMのTris−H
Cl、pH7.5、100mMのMgCl2)、3.0μlの10mMのATP、3.5μlの0.1MのDTTおよび1μ
lの15U/μlのT4 DNAリガーゼ(Promega Cop.、ウイスコンシン州マディソン
)と混合した。反応を0℃〜22℃の温度勾配で48時間インキュベートした。65μl
のH2Oおよび10μlの10×H緩衝液(Boehringer Mannheim、インジアナ州インジ
アナポリス)を添加し、混合物を70℃において20分間インキュベートすることに
よって、反応を停止させた。
【0256】 発現ベクターの中へのcDNAの方向的クローニングを促進するために、cDNAをXh
oIで消化し、5'EcoRI粘着末端および3'XhoI粘着末端を有するcDNAを生成させた
。cDNAの3'末端におけるXhoI制限部位は以前に導入されていた。反応混合物中で
1.0μlの40U/μlのXhoI(Boehringer Mannheim、インジアナ州インジアナポリ
ス)の添加により、制限酵素の消化を実施した。消化を37℃において1時間実施
した。70℃における20分間インキュベーションおよび400孔サイズのゲル濾過カ
ラム(Clontech Laboratories、カリフォルニア州パロアルト)を通すクロマト
グラフィーにより、反応を停止させた。
【0257】 cDNAをエタノール沈降させ、70%のエタノールで洗浄し、空気乾燥し、13.5μ
lの水、2μlの10×キナーゼ緩衝液(660mMのTris−HCl、pH7.5、100mMのMgCl2
、0.51μlの0.1MのDTT、3μlの10mMのATP、1.0μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼ(10U/μl、Life Technologies、マリイランド州ガイサースバーグ)の中に
再懸濁させた。37℃において30分間インキュベートした後、cDNAを2.5Mの酢酸ア
ンモニウムの存在下にエタノール沈降させ、0.8%の低融点アガロースゲル上で
電気泳動させた。汚染するアダプターおよび0.5kb未満の長さのcDNAを切除し、
廃棄した。0.5〜2kb長さのcDNAを含有するゲルを切除し、レーン起源に対して同
一距離の位置におけるゲルの空の隣接レーンの中に配置した。
【0258】 電極を逆転させ、0.5〜2kb長さのcDNAがレーン起源付近に濃縮するまで、cDNA
を電気泳動させた。濃縮したcDNAを含有するゲル領域を切除し、マイクロフージ
管の中に入れ、ゲルスライスの近似体積を決定した。ゲルスライスの体積(300
μl)および35μlの10×β−アガロースI緩衝液(New England Biolabs)のほ
ぼ3倍のアリコートの水を管に添加し、アガロースを65℃に15分間加熱して溶融
した。検体を45℃に平衡化した後、3μlの1U/μlのβ−アガロースI緩衝液(Ne
w England Biolabs、マサチュセッツ州ベバーリイ)を添加し、混合物を45℃
において60分間インキュベートしてアガロースを消化した。インキュベーション
後、40μlの3Mの酢酸ナトリウムを検体に添加し、混合物を氷上で15分間インキ
ュベートした。検体を14,000×g、室温において15分間遠心して未消化アガロー
スを除去した。cDNAをエタノール沈降させ、70%のエタノール中で洗浄し、空気
乾燥し、40μlの水中に再懸濁させた。
【0259】 低融点アガロースゲルから回収した後、0.5〜2kbの画分をプールし、pBLUESCR
IPT(Gibco/BRL)の中にクローニングしてK562Lライブラリーを生成した。5つ
の細胞系統からのcDNAのプーリングを実施して、特にサイトカインおよびサイト
カイン受容体をコードするcDNAについて、メッセージの複雑さを増加させた。 実施例3 Zsig48を使用するM混合リンパ球および末梢血単球の調製 この実施例の目的は、混合白血球反応における末梢血白血球に対するZsig48の
作用を試験することである。
【0260】 単核白血球(これはT細胞、B細胞および他の個体に由来する単核白血球を有す
る1つの個体からの単球を包含する)を培養することによって、混合白血球反応
(MLR)を誘導した。これらの細胞は一般に末梢血から単離される。2つの個体間
に主要な組織適合性複合体(MHC)遺伝子の対立遺伝子において差が存在する場
合、単核細胞は4〜7日の期間にわたって増殖するであろう。細胞複製間に3H−チ
ミジンをDNAの中に組込むことによって、この増殖性応答は測定される。これは
同種異系MLRと呼ばれる。この実験において、個体の1つからの単核細胞を、培養
前のガンマ照射により、増殖不可能とする。照射された細胞を刺激因子と命名し
、未処理細胞は、まだ増殖することができ、応答因子と呼ぶ。
【0261】 使用する材料 RPMI 1640(Gibco)培地 FICOLL PAQUE PLUS(登録商標)(Amersham−Pharmacia Biotech) 手順: 血液を2つの個体から抜き出す。血液を組織培養培地中の希釈し、フィコール
で半分充填されている管の上部に層状に配置する。フィコールはリンパ球の密度
より大きいが、赤血球および顆粒球の密度より低い密度を有する。遠心後、赤血
球および顆粒球はフィコールを通過して管の底にペレットを形成するが、単核細
胞、すなわち、T細胞、B細胞および単球は培地とフィコールの界面に止まった。
PBMNCを含有する層を取出し、約5×108細胞/mlの培地の濃度で培地の中に再懸
濁させた。次いで個体の1つのからの細胞を3300ラドのガンマ線で照射した。こ
れらの照射した細胞を刺激因子と命名する。他の個体の細胞について何も実施し
ない。これらの照射した細胞を応答因子細胞と命名した。
【0262】 1×106細胞/mlの応答因子細胞および0.15×106細胞/mlの刺激因子細胞を含
有する、培地中の両方の細胞の懸濁液を調製した。混合細胞の100μlのアリコー
トを多ウェルプレートの1系列のウェルの中に入れた。トリプリケートウェルの
中に、下記の濃度のZsig48溶液のアリコートを入れた:0ng/ml、300ng/ml、20
0ng/ml、100ng/ml、50ng/ml、25ng/ml、10ng/ml、2ng/ml、0.1ng/mlおよ
び0.02ng/ml。
【0263】 また、応答因子細胞の懸濁液を3300ラドのガンマ線で照射した。次いで、0.15
×106細胞/mlの照射した応答因子細胞および1×106の非照射応答因子細胞を含
有する細胞懸濁液を調製した。この混合物を照射し、非照射応答因子細胞をモッ
ク混合白血球と呼んだ。モック混合白血球の100μlのアリコートを多ウェルプレ
ートの1系列のウェルの中に入れた。トリプリケートウェルの中に、下記の濃度
のZsig48溶液のアリコートを入れた:0ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、100ng/
ml、50ng/ml、25ng/ml、10ng/ml、2ng/ml、0.1ng/mlおよび0.02ng/ml。
【0264】 培養物を37℃においてCO2と5日間インキュベートした。5日目に各培養物に1μ
Ciの3H-チミジン(Amersham-Pharmacia Biotech)を加えた。プレートをさらに2
0〜24時間インキュベートした。細胞を96ウェルのフィルターマット上に収集し
、マットを乾燥した。マット上の乾燥した細胞を含有する各スポットに約30μl
のシンチレーション流体を添加し、放射線の計数/分(CPM)としてシンチレー
ションカウンター(Packard TOPCOUNT NXT(登録商標))により、放射線を1
分間検出した。これは細胞が吸収した3H−チミジンの量を示し、この量は白血球
が行った増殖量を示した。ウェルはトリプリケートで構成されていたので、下記
の結果はZsig48の各濃度における3つのウェルの平均を表す。
【0265】 結果 混合白血球反応(応答因子+刺激因子細胞) 添加したZsig48濃度 CPM(3H−チミジン) 300ng/ml 80,000cpm 200ng/ml 97,000cpm 100ng/ml 83,000cpm 50ng/ml 103,000cpm 25ng/ml 65,000cpm 10ng/ml 71,000cpm 2ng/ml 38,000cpm 0.1ng/ml 21,000cpm 0.02ng/ml 27,000cpm 0.00ng/ml 43,000cpm 非混合(モック)白血球反応 (応答因子+照射された応答因子細胞) 添加したZsig48濃度 CPM(3H−チミジン) 300ng/ml 41,000cpm 200ng/ml 19,000cpm 100ng/ml 23,000cpm 50ng/ml 10,000cpm 25ng/ml 5,000cpm 10ng/ml 4,000cpm 2ng/ml 3,000cpm 0.1ng/ml 2,000cpm 0.02ng/ml 2,000cpm 0.00ng/ml 2,000cpm 結論 前述のデータが示すように、Zsig48は混合白血球反応および非混合白血球反応
の両方において白血球の増殖を刺激する。こうして、抗原の存在下および細胞が
抗原により刺激されていない場合の両方において、白血球の増殖を促進するため
にZsig48を使用することができる。
【0266】 実施例4 zSig48のバキュロウイルス発現 昆虫細胞中でzSig48ポリペプチドを発現させるために、2つの発現ベクターを
調製した:C末端のGLU−GLUタグを有するzSig48を発現するように設計されたpSi
g48CEEおよびN末端のGLU−GLUタグを有するzSig48を発現するように設計されたp
Sig48NEE。
【0267】 pSig48CEE zsig48/pZP9からのPCR増幅により、5'および3'末端に、それぞれ、BamHIおよ
びXbaI制限部位を有する、335bpのzSig48断片を発生させた。断片をゲル電気泳
動(1%のSeaPlaque/1%のNuSieve)により可視化した。バンドを切除し、2mM
のMgCl2で0.5%のアガロースに希釈し、65℃において溶融し、BamHI/XbaI消化
したバキュロウイルスの発現ベクター、pZBV32L(pFastBac発現ベクターの修飾
物、多面体プロモーターは除去され、後期活性化塩基性タンパク質プロモーター
で置換されており、そしてGlu−Gluタグのコード配列ならびに停止シグナルが多
重クローニング領域の3'末端に挿入されている)の中に連結した。44ポイントの
6ngの制限消化されたzsig48インサートおよび215.9ngの対応するベクターを一夜
連結した。連結混合物をTE(10mMのTris−HCl、pH7.5および1mMのEDTA)中で3倍
に希釈し、そして4fmolの希釈した連結混合物をDH5aライブラリー効率(Library
Efficiency)コンピテント細胞(Life Technologies)の中に製造業者の指示
に従い42℃の水浴中の45秒間の熱ショックにより形質転換した。
【0268】 形質転換されたDNAおよび細胞を450mlのSOC培地(2%のバクト・トリプトン(
Bacto Tryptone)、0.5%のバクト酵母エキス、10mlの1MのNaCl、1.5mMのKCl、
10mMのMgCl2、10mMのMgSO4および20mMのグルコース)の中に希釈し、100mg/ml
のアンピシリンを含有するLBプレート上に配置した。クローンを制限消化により
分析し、1mlの陽性クローンを20mlのDH10Bac Max Efficiencyコンピテント細
胞(GIBCO−BRL、マリイランド州ガイサースバーグ)の中に製造業者のインスト
ラクションに従い42℃の水浴中の45秒間の熱ショックにより形質転換した。形質
転換されたDNAを980mlのSOC培地(2%のバクト・トリプトン、0.5%のバクト酵
母エキス、10mlの1MのNaCl、1.5mMのKCl、10mMのMgCl2、10mMのMgSO4および20mM
のグルコース)の中に希釈し、50mg/mlのカナマイシン、7mg/mlのゲンタマイ
シン、10mg/mlテトラサイクリン、IPTGおよびBluo Galを含有するルリア寒天
(Luria Agar)プレート上にプレートした。
【0269】 細胞を37℃において48時間インキュベートした。プラスミドの中に組込まれた
ウイルス(「バクミド」と呼ぶ)を有する細胞を同定するために、色選択を使用
した。白色であるコロニーを分析ために取り上げた。QiaVac Miniprep8系(Qia
gen)を製造業者の指示に従い使用して、バクミドDNAを陽性コロニーから単離し
た。塩基性タンパク質プロモーターおよびSV40末端に対するプロモーターを使用
するPCRによりDNAを増幅することによって、クローンを正しいインサートについ
てスクリーニングした。正しいインサートを有するクローンを使用して、スポド
プテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞をトランスフェ
クトした。
【0270】 pSig48NEE zsig48/pZP9(前述した)からのPCR増幅により、5'および3'末端に、それぞ
れ、BamHIおよびXbaI制限部位を有する、263bpのzSig48断片を発生させた。断片
をゲル電気泳動により可視化し、前述したように、発現ベクター、pZBV31L、の
中に連結した。1μlのpSig48NEEを使用して20mlのDH10Bac Max Efficiencyコ
ンピテント細胞(GIBCO−BRL、マリイランド州ガイサースバーグ)の中に製造業
者のインストラクションに従い42℃の水浴中の45秒間の熱ショックにより形質転
換した。次いで形質転換体を、前述したように、980mlのSOC培地の中に希釈し、
ルリア寒天プレート上にプレートした。バクミドDNAを陽性コロニーから単離し
、前述したようにPCR法を使用して正しいインサートについてスクリーニングし
た。正しいインサートを有するクローンを使用して、スポドプテラ・フルギペル
ダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9)細胞をトランスフェクトした。
【0271】 トランスフェクション Sf9細胞を5×106細胞/35mmのプレートで播種し、27℃において1時間結合させ
た。5μlのバクミドDNAを100mlのSf−900 II SEMで希釈した。6mlのCellFECTI
N試薬(Life Technologies)を100mlのSf−900 II SEMで希釈した。バクミド
DNAおよび脂質溶液をおだやかに混合し、室温において30〜45分間インキュベー
トした。細胞の1つのプレートからの培地を吸引し、細胞を2mlの新鮮な培地で1
×洗浄した。800μlのSf−900 II SEMを脂質−DNA混合物に添加した。洗浄培
地を吸引し、DNA−脂質混合物を細胞に添加した。細胞を27℃において4〜5時間
インキュベートした。DNA−脂質混合物を吸引し、2mlのSf−900 II SEMを各プ
レートに添加した。プレートを27℃、90%の湿度において96時間インキュベート
し、次いでウイルスを収集した。
【0272】 一次増幅 Sf9細胞を125mlの震盪フラスコ内の50mlのSf−900 II SEM中で0.41〜0.52×
105細胞/mlの近似密度に成長させた。次いでそれらを100mlの上記からのウイル
ス系統で感染させ、27℃において2〜3日間インキュベートし、次いでウイルスを
収集した。AcSig48CEEおよびAcSig48NEEについてのウイルス力価は、それぞれ、
1.08×108pfu/mlおよび1.84×108pfu/mlであった。
【0273】 前文から明らかなように、本発明の特定の態様を例示の目的で記載したが、本
発明の精神および範囲から逸脱しないで種々の変更が可能である。したがって、
本発明は添付された請求の範囲による以外限定されない。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/04 C07K 16/24 C07K 14/52 C12N 15/00 ZNAA 16/24 5/00 E C12N 5/06 B 5/10 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA ,ZW (72)発明者 シェパード,ポール オー. アメリカ合衆国,ワシントン 98053,レ ッドモンド,ノースイースト セカンド ストリート 20717 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 BA56 CA04 DA02 EA02 FA02 GA11 HA01 HA12 HA15 4B065 AA90X AA93Y AA94X AB01 AC14 BA02 BB34 CA24 CA44 4C084 AA02 AA07 AA13 BA01 BA08 CA01 DA01 DC50 MA05 NA10 NA14 ZA512 ZB092 ZB262 4H045 AA10 AA11 AA30 CA42 DA01 DA76 DA86 EA24 EA28 EA51 FA74

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2、3、4、5、15および16から成る群から選択される
    アミノ酸配列と少なくとも90%同一である配列から構成されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号8、9、10、11および12から成る群から選択されるア
    ミノ酸配列を含有するポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2、3、4、5、15および16から成る群から選択される
    アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードするポリヌクレ
    オチド。
  4. 【請求項4】 配列番号8、9、10、11および12から成る群から選択されるア
    ミノ酸配列を含有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 配列番号2、3、4、5、8、9、10、11、12、15および16から成
    る群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である配列から構成され
    たポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  6. 【請求項6】 配列番号2、3、4、5、8、9、10、11、12および15から成る群
    から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である配列から構成されたポ
    リペプチドに特異的に結合する抗体のエピトープに結合する抗イディオタイプ抗
    体。
  7. 【請求項7】 配列番号2、3、4、5、15および16から成る群から選択される
    アミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列から構成されたポリペプ
    チドと白血球を接触させることを含んでなる、白血球の増殖を促進する方法。
  8. 【請求項8】 個体内の低い白血球の計数を治療するための、配列番号2、3
    、4、5、15および16から成る群から選択されるアミノ酸配列から構成されたポリ
    ペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドまたは前記ポリペプチドをコ
    ードするポリヌクレオチドの使用。
  9. 【請求項9】 個体内の低い白血球の計数を治療する薬物を製造するための
    、配列番号2、3、4、5、15および16から成る群から選択されるアミノ酸配列から
    構成されたポリペプチドと少なくとも90%同一であるポリペプチドまたは前記ポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用。
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