JP2002525056A - 哺乳類のトランスフォーミング増殖因子β−9 - Google Patents

哺乳類のトランスフォーミング増殖因子β−9

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Abstract

(57)【要約】 新規の哺乳類Ztgfβ−9ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、並びに抗体及び抗イディオタイプ抗体を含む関連の組成物及び方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明の背景 最終分化及びアポトーシス性のプログラムされた細胞死に対する細胞増殖の過
程の適当な調節は、正常な発生及びホメオスタシスの重要な観点であり(Raff,
M.C., Cell, 86 : 173-175 (1996))、そして多くのヒトの病気を変えることが明
らかにされてきた。例えば、Sawyers, C.L. et al., Cell, 64 : 337-350 (1991
) ; Meyaard, L. et al., Science, 257 : 217-219 (1992) ; Guo, Q. et al.,
Nature Med., 4 : 957-962 (1998) ; Barinaga, M. Science, 273 : 735-737 (1
996) ; Solary, E. et al., Eur. Respir. J., 9 : 1293-1305 (1996) ; Hamet,
P. et al., J. Hypertension, 14 : S65-S70, (1996) ; Roy, N. et al. Cell,
80 : 167-178 (1995) ; 及びAmbrosini, G., Nature Med., 8 : 917-921 (1997
) を参照のこと。多くの展開が、この平衡の調節の理解に向けられてきた。例え
ば、シグナリングカスケードは細胞外の刺激物質を介することが解明されており
、例えば増殖因子、ペプチドホルモン、及び細胞−細胞の相互作用が、特異的な
系統への前記細胞の拘束及びそれらのその結果として起こる増殖的な展開を調節
する(Morrison, S.J. et al., Cell, 88 : 287-298 (1997)) 。更に、細胞周期
の出口と最終分化とが、ほとんどの細胞型で結びついていることが明らかになっ
た。例えば、Coppola, J.A. et al. Nature, 320 : 760-763 (1986) ; Freytag,
S.O., Mol. Cell. Biol. 8 : 1614-1624 (1988) ; Lee, E.Y. et al., Genes D
ev., 8 : 2008-2021 (1994) ; Morgenbesser, S.D., et al., Nature, 371 : 72
-74 (1994) ; Casaccia-Bonnefil, P. et al., Genes Dev., 11 : 2335-2346 (1
996) ; Zacksenhaus, E. et al., Genes Dev., 10 : 3051-3064 (1996) ; 及びZ
hang, P. et al., Nature, 387 : 151-158 (1997) を参照のこと。アポトーシス
(プログラムされた細胞死)も、多くの発生及びホメオスタシス的な過程で重要
な役割を果たし(Raff, M.C., Nature, 356 : 397-400 (1992) 、そしてしばし
ば統合的に最終分化と一緒に調節される(Jacobsen, K.A. et al., Blood, 84 :
2784-2794 (1994) ; Yan, Y. et al., Genes Dev., 11 : 973-983 (1997))。
従って、個々の系統、組織、器官の細胞型が、又は多細胞生物全体のものでも、
増殖によって増大した細胞の生成と、最終分化及びアポトーシスから生じる減少
した細胞数との間の精巧に調節されたバランスの結果であることは明らかである
。このバランスは、複数の調節経路の集合によって共同して調節されていると思
われる。その様なネットワークの新規メンバーの同定は、正常な細胞の過程と、
ヒトの病状の病因及び処置との両方に重要な洞察を提供することができる。
【0002】 インターロイキン17(IL−17)は、免疫系の重要な調節因子として含意
されてきたサイトカインである(Spriggs, M.K., J. Clinical Immunology, 17
: 366-369 (1997), Broxmeyer, H.E., J. Experimental Medicine, 183 : 2411-
2415 (1996), Yao, Z., et al., J. Immunology, 155 : 5483-5486 (1995), Yao
, Z., et al., Immunity, 3 : 811-821 (1995)) 。ヒトIL−17は、活性化し
たCD4+記憶T細胞によってほぼ独占的に関連される(しかし、マウスでは、
CD4−/CD8−T細胞もIL−17を発現する)(Aarvak, T., et al., J.
Immunology, 162 : 1246-1251 (1999), Kennedy, J., et al., J. Interferon
Cytokine Research, 16 : 611-617 (1996)) 。対照的に、IL−17受容体(I
L−17R)は、いたるところで発現している様である(Yao, Z., et al., Imm
unity, 3 : 811-821 (1995)) 。IL−17は、様々な異なるストロマ細胞型か
らのIL−6、IL−8、単球走化性ペプチド−1及びG−CSFの分泌を誘導
するが、リンパ球によるサイトカインの関連に対しては作用しない(Teunissen,
M.B.M., J. Investigative Dermatology, 111 : 645-649 (1998), Jovanovic,
D.V., et al., J. Immunology, 160 : 3513-3521 (1998), Chabaud, M., et al.
, J. Immunology, 161 : 409-414 (1998), Cai, X.-Y., et al., Immunology Le
tters, 62 : 51-58 (1998), Fossiez, F., et al., J. Experimental Medicine,
183 : 2593-2603 (1996)) 。IL−17は更に、繊維芽細胞上でのICAM−
1接着分子の発現を増強し、そして顆粒の関連を刺激することができる(Schwar
zenberger P., et al., J. Immunology, 161 : 6383-9 (1998)) 。合わせて考え
ると、これらの観察は、IL−17がプロ炎症サイトカインとして機能すること
を示してきた。IL−17は更に、樹状細胞の分化、破骨細胞の生成を促進し、
ヒトの骨関節炎の軟骨における一酸化窒素の関連を誘導することができ、そして
慢性関節性リウマチの患者の滑液に存在する(Antonysamy, M.A., et al., J. I
mmunology, 162 : 577-584 (1999), Kotake, S., et al., J. Clinical Investi
gation, 103 : 1345-1352, (1999), Attur, M.G., et al., Arthritis & Rheuma
tism, 40 : 1050-1053 (1997)) 。可溶性IL−17Rタンパク質によるIL−
17の妨害は、心臓の同種移植拒絶を抑制することが明らかとなり、これは腎臓
の同種移植拒絶を経験しているヒト由来の腎臓の生検材料におけるIL−17の
mRNAの増大と相関していた(Antonysamy, M.A., et al., J. Immunology, 1
62 : 577-584 (1999)) 。IL−17mRNAの発現の増大は、多発性硬化症を
有するヒトにも見られる(Matusevicius, D. et al., Multiple Sclerosis, 5 :
101-104 (1999)) 。更に、IL−17は、ヌードマウスにおける、ヒトの頸部
の腫瘍形成を促進することができる(Tartour, E. et al., Cancer Res., 59 :
3698-36704 (1999)) 。従って、IL−17は免疫系及び炎症の過程の調節にお
いて重要な役割を果たすようである。
【0003】 従って、増殖、分化、及びアポトーシスの経路に関わる新規のタンパク質を発
見する必要が絶えずある。これらの経路の誘導因子及び阻害因子のin viv
oでの活性は、新規の増殖、分化、及びアポトーシスのタンパク質、それらのア
ゴニスト及びアンタゴニストの巨大な臨床上の潜在能、及びそれらの必要性を例
示する。抗ウイルス活性を有する新規因子を発見する必要もある。
【0004】 本発明の要約 本発明はトランスフォーミング増殖因子β−9と称され、以後Ztgfβ−9
と言及する、新規の抗ウイルスポリペプチド、並びに関連組成物及び方法を提供
することによりこの必要性を扱う。このポリペプチドは、下文の例10に開示し
た様な抗ウイルス活性を有する。それは更に、ニューロンのグリア細胞、リンパ
球、造血細胞及びストローマ細胞の増殖、分化及びアポトーシスを調節するのに
使用される。
【0005】 従って、本発明の1つの観点は単離したZtgfβ−9ポリペプチド及びポリ
ヌクレオチドを提供する。ヒトの配列は配列番号1及び2に定義する。
【0006】 配列番号1のヌクレオチド配列は、配列番号1及び2に示す様な開始Metを
有する約202個のアミノ酸のポリペプチドをコードするオープンリーディング
フレームを含む。予想されるシグナル配列はアミノ酸残基15のアラニン(これ
も含む)まで及んでいるアミノ酸残基1のメチオニンを含んで成る。従って、前
記のシグナル配列を除いた成熟配列は、配列番号2のアミノ酸残基16のアラニ
ンからアミノ酸残基202のプロリン(これも含む)まで及ぶ。この成熟配列は
、配列番号3にも表す。代わりの態様において、前記のシグナル配列は、アミノ
酸残基16のアラニンまで及んでおり、そしてこれを含んでいる。このことは、
配列番号2の、アミノ酸17のグリシンからアミノ酸残基202のプロリン(こ
れも含む)まで及ぶ成熟配列を生成する。この成熟配列は、配列番号4によって
も表される。別の代わりの態様において、前記のシグナル配列はアミノ酸残基1
7のグリシンまで及んでおり、そしてこれを含んでいる。このことは、配列番号
2のアミノ酸残基18のアラニンからアミノ酸残基202のプロリン(これも含
む)まで及ぶ成熟配列をもたらす。この成熟配列は更に、配列番号5によって表
される。Ztgfβ−9の別の変異体は、配列番号16及び17に開示する。前
記の成熟配列は、アミノ酸残基23のアラニンから、アミノ酸残基209のプロ
リン(これも含む)まで及ぶ。前記の成熟配列は、配列番号18によっても表さ
れる。
【0007】 マウスZtgfβ−9は配列番号8及び9に定義する。シグナル配列は、1位
のメチオニンから22位のアラニンまで及ぶ。従って、成熟配列は配列番号9の
23位のアラニンから205位のアルギニンに及ぶ。前記の成熟配列は更に、配
列番号12によって表される。
【0008】 本発明の追加の態様は、上述したアミノ酸配列を有するZtgfβ−9のエピ
トープ関連部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチドに関する。本
発明のZtgfβ−9のエピトープ関連部分のアミノ酸配列を有するペプチド又
はポリペプチドは、少なくとも9個、好ましくは少なくとも15個及び更に好ま
しくは少なくとも30〜50個のアミノ酸を有するその様なポリペプチドの部分
を含むが、上述した本発明のポリペプチドの全体のアミノ酸配列を最大の長さと
し、そしてこれを含むエピトープ関連ポリペプチドも本発明に含まれる。その様
なエピトープ関連ポリペプチドの例は、配列番号13,14,15,19,20
,21及び22である。別のポリペプチド又は担体分に融合しているこれらのポ
リペプチドも本発明の範囲内にある。Ztgfβ−9のエピトープ関連部分をコ
ードする単離した核酸もまた、本発明の範囲内にある。
【0009】 本発明は更に、1又は複数のアミノ酸残基の付加、欠失及び/又は置換によっ
て修飾されたアミノ酸配列を有する上述したペプチド又はポリペプチドの単離し
たペプチド又はポリペプチドを含んで成り、そしてこれは前記ペプチド又はポリ
ペプチドの生物学的活性を維持している。
【0010】 本発明の更なる観点において、本質的にペプチド結合によって連結した第1部
分及び第2部分から成るキメラポリペプチドが提供される。前記キメラポリペプ
チドの第1部分は、本質的に(a)上述したZtgfβ−9ペプチド、(b)上
述したポリペプチドの対立遺伝子変異体から成る。前記キメラポリペプチドの第
2部分は、本質的に別のポリペプチド、例えばアフィニティータグから成る。1
つの態様において、前記のアフィニティータグは免疫グロブリンFcポリペプチ
ドである。本発明は更に、前記のキメラポリペプチドをコードする発現ベクター
及び前記のキメラポリペプチドを関連するためにトランスフェクションされた宿
主細胞を提供する。
【0011】 本発明の別の観点は、(a)上述したZtgfβ−9ポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列;及び(a)のヌクレオチド配列のいずれかに相補的なヌク
レオチド配列、から成る群から選択されるポリヌクレオチドを含んで成る、単離
した核酸分子を提供する。
【0012】 本発明の更なる態様は、上文の(a)又は(b)のヌクレオチド配列のいずれ
かに対して少なくとも90%相同、及び更に好ましくは少なくとも95%、97
%、98%、又は99%相同のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、あ
るいはストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件下で、上文の(a)又
は(b)のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにハイブリダイズするポ
リヌクレオチド、を含んで成る単離した核酸分子を含む。
【0013】 本発明の更なる態様は、Ztgfβ−9ポリペプチドのいずれかに対して少な
くとも90%同一、及び更に好ましくは95%、97%、98%、又は99%同
一であるアミノ酸配列を有する単離したポリペプチド、並びにこれらのポリペプ
チドをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0014】 本発明の別の観点において、(a)転写プロモーター;(b)上述したポリペ
プチドをコードするDNAセグメント、及び(c)転写ターミネーターを含んで
成る発現ベクターが提供され、この中で、前記のプロモーター、DNAセグメン
ト、及びターミネーターは作用可能に連結している。
【0015】 本発明の第3の観点において、上文で開示した発現ベクターが導入された、培
養した真核細胞が提供され、ここで、前記の細胞は前記のDNAセグメントによ
ってコードされたタンパク質ポリペプチドを発現する。
【0016】 本発明の別の態様において、上述したZtgfβ−9ポリペプチドに特異的に
結合する単離した抗体が存在する。Ztgfβ−9ポリペプチドに結合する抗体
の製造方法も本発明の範囲内であり、これはZtgfβ−9ポリペプチド又はZ
tgfβ−9エピトープ関連ポリペプチドを哺乳類に接種し、その結果、前記の
哺乳類が前記ポリペプチドに対する抗体を関連することができ、そして前記抗体
を単離すること、を含んで成る。
【0017】 本発明のこれら及び他の観点は、次の詳細な説明によって明らかになるだろう
【0018】 本発明の詳細な説明 本明細書に列記した引用の全ての技術は、引用によってそれらの全てが本明細
書に組入れられる。
【0019】 次の説明において、いくつかの語句は広範囲に使用される。次の定義は本発明
の理解を容易にするために提供される。
【0020】 本明細書で使用する場合、“核酸”又は“核酸分子”はポリヌクレオチド、例
えばデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、オリゴヌクレオチド
、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって生成したフラグメント、ならびにラ
イゲーション、切断、エンドヌクレアーゼ作用、及びエキソヌクレアーゼ作用に
よって生成したフラグメントを言及する。核酸分子は、天然のヌクレオチド(例
えばDNA及びRNA)、又は天然のヌクレオチドの類似体(例えば、天然のヌ
クレオチドのα−光学異性体型)、あるいは両者の組合わせ、の単量体から成っ
ていてもよい。修飾したヌクレオチドは、糖部分及び/又はピリミジン若しくは
プリン塩基部分において交換されていてもよい。糖の修飾は、例えばハロゲン、
アルキル基、アミン、及びアジド基による1又は複数のヒドロキシル基の置換を
含み、あるいは糖は、エーテル又はエステルとして機能的になっていてもよい。
更に、全体の糖部分は立体的かつ電機的に類似の構造で置換されることがあり、
例えばアザ(aza)糖及び炭素環の糖類似体である。塩基部分の修飾の例は、
アルキル化プリン及びピリミジン、アシル化プリン又はピリミジン、あるいは他
の公知のヘテロ環状置換物を含む。核酸単量体はホスホジエステル結合又はその
様な結合の類似体によって連結していてもよい。ホスホジエステル結合の類似体
は、ホスホロチオエート(phosphorothioate)、ホスホロジチ
オエート(phosphorodithioate)、ホスホロセレノエート(
phosphoroselenoate)、ホスホロジセレノエート(phos
phorodiselenoate)、ホスホロアニロチオエート(phosp
horoanilothioate)、ホスホラニリデート(phosphor
anilidate)、ホスホルアミデート(phosphoramidate
)などを含む。前記の“核酸分子”の語句は、ポリアミド主鎖に結合した天然又
は修飾の核酸塩基を含んで成る、いわゆる“ペプチド核酸”も含む。核酸は一本
鎖又は二本鎖のいずれであってもよい。
【0021】 “核酸分子の相補体”の語句は、引用のヌクレオチド配列に対して相補的なヌ
クレオチド配列及び逆の配向を有する核酸分子を言及する。例えば、5’ATG
CACGGG3’は5’CCCGTGCAT3’に相補的である。
【0022】 “コンティグ”の語句は、別の核酸分子に同一又は相補的な配列の隣接してい
る伸長を持つ核酸分子を表す。コンティグ配列は、それらの全体の内側で又は前
記核酸分子の部分的な伸長に沿って、そのいずれかで核酸分子の与えた伸長を“
重復”すると言われている。
【0023】 “縮重ヌクレオチド配列”の語句は、ポリペプチドをコードする引用の核酸分
子と比べて、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列を表す。縮重コ
ドンは、ヌクレオチドの異なるトリプレットを含むが、同一のアミノ酸残基をコ
ードしている(すなわち、GAU及びGACのトリプレットは、それぞれAsp
をコードしている)。
【0024】 “構造遺伝子”の語句は、メッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、そ
して次に特異的なポリペプチドに特徴的なアミノ酸配列に翻訳される核酸分子を
言及する。
【0025】 “単離した核酸分子”は、生物のゲノムDNAに組込まれていない核酸分子で
ある。例えば、細胞のゲノムDNAから分離された増殖因子をコードするDNA
分子は、単離したDNA分子である。単離した核酸分子の別の例は、生物のゲノ
ムに組込まれていない、化学的に合成した核酸分子である。特定の種から単離し
た核酸分子は、その種由来の染色体の相補的なDNA分子よりも小さい。
【0026】 “核酸分子のコンストラクト”は、天然に存在しない配列と組合わせ、そして
それに並列している核酸のセグメントを含む様に、人の介入によって修飾された
、一本鎖又は二本鎖のいずれかの核酸分子である。
【0027】 “直鎖状DNA”は、自由な5’及び3’末端を有する、非環状DNA分子を
表す。直鎖状DNAは、閉じた環状のDNA分子、例えばプラスミドから、酵素
消化又は物理的な分断によって調製することができる。
【0028】 “相補的DNA(cDNA)”は、mRNAの鋳型から、逆転写酵素によって
形成する一本鎖のDNA分子である。典型的に、mRNAの一部に相補的なプラ
イマーが、逆転写の開始に利用される。当業者も、その様な一本鎖DNA分子及
びその相補的なDNA鎖から成る二本鎖DNA分子を言及するために、“cDN
A”の語句を使用する。“cDNA”の語句は更に、RNAの鋳型から合成した
cDNA分子のクローンを言及する。
【0029】 “プロモーター”は、構造遺伝子の転写を指示するヌクレオチド配列である。
典型的に、プロモーターは構造遺伝子の転写開始部位に近い、遺伝子の5’の非
コード領域に位置している。転写の開始において機能するプロモーター内の配列
の因子は、しばしば共通のヌクレオチド配列によって特徴づけられる。これらの
プロモーター因子はRNAポリメラーゼ結合部位、TATA配列、CAAT配列
、分化特異的因子(DSE ; McGehee et al., Mol. Endocrinol. 7 : 551 (199
3)) 、サイクリックAMP応答因子(CRE)、血清応答因子(SRE;Treism
an, Semirars in Cancer Biol. 1 : 47 (1990)) 、糖質コルチコイド応答因子(
GRE)、並びに他の転写因子の結合部位、例えばCRE/ATF(O'Reilly e
t al., J. Biol. Chem. 267 : 19938 (1992)) 、AP2(Ye et al., J. Biol.
Chem. 269 : 25728 (1994)) 、SP1、cAMP応答因子結合タンパク質(CR
EB;Loeken, Gene Expr. 3 : 253 (1993)) 及び八量体因子(一般的な、Watso
n et al., eds., Molecular Biology of the Gene, 4th ed. (The Benjamin/Cum
mings Publishing Company, Inc. 1987) 、及びLemaigre and Rousseau, Bioche
m. J. 303 : 1 (1994) を参照のこと)を含む。プロモーターが誘導可能なプロ
モーターならば、転写の速度は誘導体因子に応じて増大する。反対に、転写の速
度は、プロモーターが構成性プロモーターであるならば、誘導因子によって調節
されない。抑制性プロモーターも知られている。
【0030】 “コアプロモーター”は、TATAボックスを含むプロモーターの機能及び転
写の開始のための必須のヌクレオチド配列を含む。この定義によって、コアプロ
モーターは、活性を増強するか、又は組織の特異的活性を与えうる特異的な配列
無しに、検出可能な活性を持つか、又は持たなくてもよい。
【0031】 “調節因子”は、コアプロモーターの活性を調節するヌクレオチド配列である
。例えば、調節因子は、特定の細胞、組織、又は細胞小器官において、独占的に
又は選択的に転写を可能にする細胞因子と結合するヌクレオチド配列を含んでい
てもよい。調節因子のこれらの型は、通常“細胞特異的”、“組織特異的”、又
は“細胞小器官特異的”な挙動で発現する遺伝子と関係している。例えば、Zt
gfβ−9調節因子は、脳、脊髄、心臓、骨格筋、胃、膵臓、副腎、唾液腺、肝
臓、小腸、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節、心臓、甲状腺、気管、精巣、卵巣及び
胎盤において、選択的に遺伝子の発現を誘導する。
【0032】 “エンハンサー”は、転写の効率を増大することができる型の調節因子であり
、これは転写の開始部位に対するエンハンサーの距離又は配向に関係がない。
【0033】 “非相同性DNA”は、与えた宿主細胞内に天然で存在しないDNA分子、又
はDNA分子の集団を言及する。特定の宿主細胞に非相同なDNA分子は、宿主
DNAが非宿主DNA(すなわち外因性のDNA)と組合わされる限り、宿主細
胞の種に由来するDNA(すなわち内因性のDNA)を含んでいてもよい。例え
ば、転写プロモーターを含んで成る宿主DNAセグメントに、作用可能に連結し
たポリペプチドをコードする非宿主DNAセグメントを含むDNA分子は、非相
同性DNA分子であるとみなされる。反対に、非相同性DNA分子は、外因性の
プロモーターと作用可能に連結した内因性の遺伝子を含んで成っていてもよい。
別の例示として、野生型細胞由来の遺伝子を含んで成るDNA分子は、そのDN
A分子が野生型遺伝子を欠失している変異体細胞に導入されるならば、非相同性
DNAであるとみなされる。
【0034】 “ポリペプチド”は、天然又は合成のいずれかによって関連した、ペプチド結
合によって連結したアミノ酸の重合体である。約10個以下のアミノ酸残基のポ
リペプチドは、通常“ペプチド”と言及される。
【0035】 “タンパク質”は、1又は複数のポリペプチド鎖を含んで成る高分子である。
タンパク質は更に、非ペプチド性成分、例えば炭水化物基を含んで成っていても
よい。炭水化物及び他の非ペプチド性置換基は、前記タンパク質が関連する細胞
によってタンパク質に加えられ、そしてこれは細胞の型によって変化するだろう
。タンパク質は、換言するとそれらのアミノ酸主鎖構造物として本明細書で定義
され;置換基、例えば炭水化物基は、一般に具体化されてないが、それにもかか
わらず存在することがある。
【0036】 非宿主DNA分子がコードするペプチド又はポリペプチドは、“非相同性”ペ
プチド又はポリペプチドである。
【0037】 “組込まれた遺伝的因子”は、その因子が人の手によって細胞に導入された後
に、宿主細胞の染色体内に組入れられたDNAのセグメントである。本発明にお
いて、組込まれた遺伝的因子は、ほぼ一般的にエレクトロポレーション又は他の
技術によって細胞に導入される直鎖状のプラスミドに由来する。組込まれた遺伝
的因子は、元の宿主細胞からその子孫へと移る。
【0038】 “クローニングベクター”は、核酸分子、例えばプラスミド、コスミド、又は
バクテリオファージであり、これらは宿主細胞において自律的に複製する能力を
有する。クローニングベクターは、典型的に1又は少数の制限エンドヌクレアー
ゼ認識部位を含んでおり、これは決定可能な方法で、前記ベクターの必須の生物
学的機能を損うことない核酸分子、並びに前記のクローニングベクターで形質転
換した細胞の同定及び選択における使用に適当なマーカー遺伝子をコードするヌ
クレオチド配列、の挿入を認める。マーカー遺伝子は、典型的にテトラサイクリ
ン耐性又はアンピシリン耐性を提供する遺伝子を含む。
【0039】 “発現ベクター”は、宿主細胞で発現する遺伝子をコードする核酸分子である
。典型的に、発現ベクターは転写プロモーター、遺伝子、及び転写ターミネータ
ーを含んで成る。遺伝子の発現は、通常プロモーターの調節のもとに置かれ、そ
してその様な遺伝子は前記プロモーターに“作用可能に連結”していると言われ
る。同様に、調節因子及びコアプロモーターは、前記の調節因子が前記のコアプ
ロモーターの活性を調節するならば、作用可能に連結している。
【0040】 “組換え宿主”は、非相同性核酸分子、例えばクローニングベクター又は発現
ベクターを含む細胞である。本文脈における組換え宿主の例は、発現ベクターか
らZtgfβ−9を関連する細胞である。対照的に、Ztgfβ−9はZtgf
β−9の“天然の供給源”であり、そして発現ベクターを欠く細胞によって関連
することもできる。
【0041】 “組込み型形質転換細胞”は、非相同DNAが細胞のゲノムDNAに組込まれ
始めた組換え宿主細胞である。
【0042】 “融合タンパク質”は、少なくとも2つの遺伝子のヌクレオチド配列を含んで
成る核酸分子によって発現する雑種タンパク質である。例えば、融合タンパク質
は、親和性マトリックスに結合するポリペプチドと融合したZtgfβ−9ポリ
ペプチドの少なくとも一部を含んで成る。その様な融合タンパク質は、アフィニ
ティークロマトグラフィーを用いて、大量のZtgfβ−9を単離する手段を提
供する。
【0043】 “受容体”の語句は、“リガンド”と命名された生物活性分子に結合する、細
胞に会合したタンパク質を表す。この相互作用は、細胞上のリガンドの効果を媒
介する。受容体は、膜結合型、細胞質型又は核型;単量体型(例えば、甲状腺刺
激ホルモン受容体、β−アドレナリン受容体)又は多量体型(例えばPDGF受
容体、成長ホルモン受容体、IL−3、受容体、GM−CSF受容体、G−CS
F受容体、エリスロポエチン受容体及びIL−6受容体)であってもよい。膜結
合型受容体は、典型的にシグナル伝達に関与する細胞外のリガンド結合ドメイン
及び細胞内エフェクタードメインを含んで成る複数のドメイン構造を特徴とする
。ある細胞膜結合型受容体において、細胞外のリガンド結合ドメイン及び細胞内
のエフェクタードメインは、完全な機能的受容体を含んで成る別々のポリペプチ
ドに位置している。
【0044】 通常、受容体へのリガンドの結合は、細胞内のエフェクタードメインと他の分
子との間の相互作用を起こす、受容体の高次構造の変化をもたらし、次にこれは
前記細胞の代謝の変化をもたらす。受容体−リガンドの相互作用にしばしば関連
している代謝の事象は、遺伝子の転写、リン酸化、脱リン酸化、サイクリックA
MPの関連の増大、細胞のカルシウムの移動、膜脂質の移動、細胞接着、イノシ
トール脂質の加水分解及びリン脂質の加水分解を含む。
【0045】 “分泌シグナル配列”の語句は、大きなポリペプチドの成分として、それが合
成される細胞の分泌経路を介して前記の大きなポリペプチドを指示するペプチド
(“分泌ペプチド”)をコードするDNA配列を表す。前記の大きなポリペプチ
ドは、通常分泌経路を介する転移の間に開裂して、分泌ペプチドが除去される。
【0046】 “単離したポリペプチド”は、細胞性成分、例えば炭水化物、脂質、又は天然
の前記ポリペプチドと会合した他のタンパク質性の不純物が本質的に混入してい
ないポリペプチドである。典型的に、単離したポリペプチドの調製物は、高度に
精製した形態のポリペプチドを含んでおり、すなわち少なくとも約80%純粋、
少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、95%以上純粋、又は99
%以上純粋である。特定のタンパク質調製物が単離したポリペプチドを含むこと
を示す1つの方法は、前記のタンパク質調製物のドデシル硫酸ナトリウム(SD
S)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動及び前記ゲルのクーマシーブリリアント
ブルー染色の後の、見かけの一本のバンドによる。しかし、“単離した”の語句
は、代わりの物質的な型における同一のポリペプチド、例えば二量体あるいは代
わりにグリコシル化しているか又は誘導されている型の存在を排除しない。
【0047】 “アミノ末端又はN末端”及び“カルボキシル末端又はC末端”の語句は、本
明細書でポリペプチド内の位置を表すために使用される。前記の文を考慮すると
、これらの語句は近接しているか又は関連している位置を表すために、特定の配
列又はポリペプチドの一部に関して使用する。例えば、ポリペプチド内の対照配
列に対してカルボキシル末端に位置しているある配列は、前記の対照配列のカル
ボキシル末端に近接して位置しているが、必ずしも完全なポリペプチドのカルボ
キシル末端に位置していない。
【0048】 “発現”の語句は、遺伝子生成物の生合成を言及している。例えば、構造遺伝
子の場合、発現は構造遺伝子のmRNAへの転写及び1又は複数のポリペプチド
へのmRNAの翻訳を含む。
【0049】 “スプライス変異体”の語句は、本明細書で、遺伝子から転写されたRNAの
別の型を表すのに使用される。スプライス変異体は、転写されたRNA分子内で
、又はあまり一般的ではない、別々に転写された分子間で、選択的スプライシン
グ部位の使用によって天然に生じ、そして同一の遺伝子から転写された複数のm
RNAをもたらすことがある。スプライス変異体は、変化したアミノ酸配列を有
するポリペプチドをコードすることがある。スプライス変異体の語句は、本明細
書で、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変異体がコードするポリペプ
チドを表すためにも使用される。
【0050】 本明細書で使用する場合、“免疫モジュレーター”の語句は、サイトカイン、
幹細胞増殖因子、リンホトキシン、刺激を助ける分子、造血因子、及びこれらの
分子の合成類似体を含む。
【0051】 “相補体/抗相補体の対”の語句は、適当な条件下で非共有結合した適当な対
を形成する同一でない部分を表す。例えば、ビオチン及びアビジン(又はストレ
プトアビジン)は相補体/抗相補体の対の基本的なメンバーである。他の例示的
な相補体/抗相補体の対は、受容体/リガンドの対、抗体/抗原(あるいはハプ
テン又はエピトープ)の対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対などを含
む。前記の相補体/抗相補体の対の結果として起こる解離が望ましい場合、前記
の相補体/抗相補体の対は、好ましくは109-1以下の結合親和性を有する。
【0052】 “抗イディオタイプ抗体”は、免疫グロブリンの可変領域ドメインと結合する
抗体である。本文脈において、抗イディオタイプ抗体は抗Ztgfβ−9抗体の
可変領域と結合し、そしてその結果、抗イディオタイプ抗体は、Ztgfβ−9
のエピトープを擬態する。
【0053】 “抗体フラグメント”は抗体の一部であり、例えばF(ab′)2 、F(ab
2 、Fab′、Fabなどである。構造に関係なく、抗体フラグメントは、無
傷の抗体によって認識される同一の抗原と結合する。例えば、Ztgfβ−9の
モノクローナル抗体フラグメントは、Ztgfβ−9のエピトープと結合する。
【0054】 “抗体フラグメント”の語句は、更に、特異的な抗原に結合する合成又は遺伝
子操作したポリペプチド、例えば軽鎖の可変領域から成るポリペプチド、重鎖及
び軽鎖の可変領域から成る“Fv”フラグメント、重鎖及び軽鎖の可変領域が、
ペプチドリンカー(“scFvタンパク質”)によって連結している組換え一本
鎖ポリペプチド分子、並びに超可変領域を擬態するアミノ酸残基から成る最小の
認識単位を含む。
【0055】 “キメラ抗体”は、げっ歯類の抗体由来の可変ドメイン及び相補性を決定する
領域を含み、一方、残りの抗体分子がヒト抗体に由来する組換えタンパク質であ
る。
【0056】 “ヒト化抗体”は、モノクローナル抗体のマウスの相補性を決定する領域が、
マウスの免疫グロブリンの可変の軽鎖及び重鎖から、ヒトの可変ドメインへと変
換された組換えタンパク質である。
【0057】 本明細書で使用する場合、“治療因子”は、抗体部分に複合して、治療に有用
な複合体を生成する分子又は原子である。治療因子の例は、薬剤、毒素、免疫モ
ジュレーター、キレート剤、ホウ素化合物、光活性剤又は染料、及び放射性同位
体を含む。
【0058】 “検出可能な標識”は、抗体部分と複合して、診断に有用な分子を生成するこ
とができる分子又は原子である。検出可能な標識の例は、キレート剤、光活性剤
、放射性同位体、蛍光剤、常磁性イオン、又は他のマーカー部分を含む。
【0059】 “アフィニティータグ”の語句は、本明細書で、第2ポリペプチドの精製又は
検出を提供するか、又は基質への第2ポリペプチドの結合部位を提供するために
、第2ポリペプチドに結合するポリペプチドセグメントを表す。原則として、抗
体又は他の特異的な結合因子に利用できるいずれかのペプチド又はタンパク質は
、アフィニティータグとして使用できる。アフィニティータグは、ポリヒスチジ
ン群、プロテインA(Nilsson et al., EMBO J. 4 : 1075 (1985) ; Nilsson et
al., Methods Enzymol. 198 : 3 (1991)) 、グルタチオンSトランスフェラー
ゼ(Smith and Johnson, Gene 67 : 31 (1988)) 、Glu−Gluアフィニティ
ータグ(Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 : 7952 (1985)
) 、P物質、FLAGペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6 : 1204 (1988)
) 、ストレプトアビジン結合ペプチド、あるいは他の抗原性エピトープ又は結合
ドメインを含む。一般的な、Ford et al., Protein Expression and Purificati
on 2 : 95 (1991) を参照のこと。アフィニティータグをコードするDNAは、
市販から入手可能である(例えば、Pharmacia Biotech, Pisataway, NJ) 。
【0060】 “裸(naked)の抗体”は、抗体フラグメントとは対照的に、治療因子と
複合していない、完全な抗体である。裸の抗体は、ポリクローナル及びモノクロ
ーナル、その両方の抗体、並びにある組換え抗体、例えばキメラ及びヒト化抗体
を含む。
【0061】 本明細書で使用する場合、“抗体成分”の語句は、完全な抗体及び抗体フラグ
メント、その両方を含む。
【0062】 “免疫複合体”は、治療因子又は検出可能な標識との抗体成分の複合体である
【0063】 本明細書で使用する場合、“抗体融合タンパク質”は、抗体成分及び治療因子
を含んで成る組換え分子を言及する。その様な融合タンパク質に適当な治療因子
の例は、免疫モジュレーター(“抗体−免疫モジュレーター融合タンパク質”)
及び毒素(“抗体−毒素融合タンパク質”)を含む。
【0064】 “腫瘍と関連する抗原”は、正常な対応細胞によって通常発現していないか、
又は低レベルで発現するタンパク質である。腫瘍と関連する抗原の例は、αフェ
トプロテイン、ガン胎児性抗原、及びHer−2/neuを含む。腫瘍と関連す
る抗原の、多くの他の例示は、当業者に知られている。例えば、Urban et al.,
Ann. Rev. Immunol. 10 : 617 (1992) を参照のこと。
【0065】 本明細書で使用する場合、“感染因子”は、微生物及び寄生虫の両方を表す。
“微生物”は、ウイルス、細菌、リケッチア、マイコプラズマ、原生動物、菌類
及び微生物様のものを含む。“寄生虫”は、感染性の、通常徴視的な又は非常に
小さい多細胞性の無脊椎動物、あるいはその卵又は幼虫型を表し、これは免疫を
媒介する浄化又は溶解的又は食細胞による破壊の影響を受けやすく、例えばマラ
リア性の寄生虫、スピロヘータなどがある。
【0066】 “感染因子抗原”は、感染因子と会合する抗原である。
【0067】 “標的ポリペプチド”又は“標的ペプチド”は、少なくとも1つのエピトープ
を含んで成り、そして標的細胞、例えば腫瘍細胞、又は感染因子抗原を有する細
胞で発現する、アミノ酸配列である。T細胞は、主要組織適合複合体分子によっ
て、標的ポリペプチド又は標的ペプチドに提示されるペプチドエピトープを認識
し、そして典型的に標的細胞を溶解するか、又は他の免疫細胞を標的細胞の前記
部位に集合させ、それによって標的細胞を殺す。
【0068】 “抗原ペプチド”は、主要組織適合複合体分子に結合し、T細胞によって認識
されるMHCペプチド複合体を形成せしめ、それによってT細胞への提示に応じ
て細胞障害性リンパ球を誘導するペプチドである。従って、抗原ペプチドは適当
な主要組織適合複合体分子への結合、及び細胞障害性T細胞の応答、例えば細胞
溶解あるいは抗原に結合するか又はそれを発現する標的細胞に対する特異的なサ
イトカインの放出の誘導、をすることができる。抗原ペプチドは、クラスI又は
クラスIIの主要組織適合複合体分子に関連する、抗原提示細胞又は標的細胞上に
結合することができる。
【0069】 真核生物において、RNAポリメラーゼIIは構造遺伝子の転写を触媒し、mR
NAを生成せしめる。核酸分子は、RNAの転写物が、特異的なmRNAのそれ
に相補的である配列を有する様に、RNAポリメラーゼIIの鋳型を含めて設計す
ることができる。前記のRNAの転写物は“アンチセンスRNA”と称され、そ
してアンチセンスRNAをコードする核酸分子は、“アンチセンス遺伝子”と称
される。アンチセンスRNA分子は、mRNA分子に結合し、mRNAの翻訳又
はmRNAの分解の阻害をもたらすことができる。
【0070】 “Ztgfβ−9に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド”又は“Ztg
fβ−9のアンチセンスオリゴヌクレオチド”は、(a)Ztgfβ−9の一部
と安定な三重合体を形成することができるか、又は(b)Ztgfβ−9のmR
NA転写物の一部と安定な二重合体を形成できる配列を有するオリゴヌクレオチ
ドである。
【0071】 “リボザイム”は、触媒中心を含む核酸分子である。前記の語句は、RNA酵
素、自己スプライシングRNA、自己開裂RNA、及びこれらの触媒機能を行う
核酸分子を含む。リボザイムをコードする核酸分子は、“リボザイム遺伝子”と
称される。
【0072】 “外部のガイド配列”は、内因性のリボザイム、RNアーゼPを、細胞内mR
NAの特定の種に向かわせ、RNアーゼPによる前記mRNAの開裂を生じさせ
る核酸分子である。外部のガイド配列をコードする核酸分子は、“外部のガイド
配列遺伝子”と称される。
【0073】 “変異体ヒトZtgfβ-9遺伝子”の語句は、配列番号2を修飾したアミノ
酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を言及する。その様な変異体
は、Ztgfβ-9の天然の多型、及び配列番号2のアミノ酸配列の保存的なア
ミノ酸置換を含む合成遺伝子を含む。Ztgfβ-9遺伝子の追加の変異体型は
、本明細書で述べる核酸配列の挿入又は欠失を含む核酸分子である。変異体Zt
gfβ-9遺伝子は、前記遺伝子が配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸
分子、又はその相補体と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするかど
うかを決定することによって同定することができる。
【0074】 同様に、“変異体マウスZtgfβ-9遺伝子”の語句は、配列番号9を修飾
したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする核酸分子を言及する。変異
体マウスZtgfβ-9遺伝子は、前記遺伝子が配列番号8のヌクレオチド配列
を有する核酸分子、又はその相補体と、ストリンジェントな条件下でハイブリダ
イズするかどうかを決定することによって同定することができる。
【0075】 あるいは、変異体Ztgfβ-9遺伝子は、配列の比較によって同定すること
ができる。2つのアミノ酸配列は、2つのアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大
限一致する様に並べられた場合に同一であるならば、“100%のアミノ酸配列
の同一性”を有する。同様に、2つのヌクレオチド配列は、2つのヌクレオチド
配列のヌクレオチド残基が、最大限一致する様に並べられた場合に同一であるな
らば、“100%のヌクレオチド配列の同一性”を有する。配列の比較は、標準
的なソフトウェアプログラム、例えばDNASTAR(Madison,Wis
consin)によって製造された、LASERGENE bioinform
atics compating suiteに含まれるものを用いて行うこと
ができる。2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列を、最適な並びを決定すること
によって比較する他の方法は、当業者に公知である(例えば、Peruski and Peru
ski, The Internet and the New Biology : Tools for Genomic and Molecular
Research (ASM Press, Inc. 1997), Wu et al. (eds.),“Information Superhig
hway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins,”in Methods i
n Gene Biotechnology, pages 123-151 (CRC Press, Inc. 1997)、並びにBishop
(ed.), Guide to Human Genome Computing, 2nd Edition (Academic Press, In
c. 1998)を参照のこと)。配列の同一性を決定する詳しい方法は以下に記載す
る。
【0076】 変異体Ztgfβ-9遺伝子又は変異体Ztgfβ-9ポリペプチドを同定する
ために使用する特定の方法にかかわらず、変異体遺伝子又は変異体遺伝子によっ
てコードされるポリペプチドは、その抗ウイルス又は抗増殖活性のいずれか、あ
るいは抗Ztgfβ-9抗体に特異的に結合する能力によって機能的に特徴づけ
られる。
【0077】 “対立遺伝子変異体”の語句は、同一の染色体の遺伝子座を占める遺伝子の、
2又はそれ以上の別の型のいずれかを表すために本明細書で使用する。対立遺伝
子の変異は、突然変異を介して天然に起こり、そして個体群の中の表現型の多型
をもたらすことがある。遺伝子の変異はサイレント(コードされたポリペプチド
における変化が無い)であってもよく、又は変化したアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードしていてもよい。対立遺伝子変異体の語句は、本明細書で、遺
伝子の対立遺伝子変異体によってコードされるタンパク質を表すためにも使用す
る。
【0078】 “オーソログ”の語句は、異なる種由来のポリペプチド又はタンパク質の機能
的対応物である、ある種から得られるポリペプチド又はタンパク質を表す。オー
ソログ間の配列の差異は種形成の結果である。
【0079】 “パラログ”は、生物によって作られた、異なるが構造的に関連しているタン
パク質である。パラログは、遺伝子の複製を介して生じることが信じられている
。例えば、α−グロブリン、β−グロブリン、及びミオグロブリンは、互いにパ
ラログである。
【0080】 標準的な解析方法の不正確性によって、多量体の分子量及び鎖長は近似値であ
ると理解される。その様な値が、“約”X又は“ほぼ”Xとして表される場合、
Xの述べられている値は、±10%まで精密であると理解されるだろう。
【0081】 ヒト又はマウスのZtgfβ-9遺伝子をコードする核酸分子は、配列番号1
又は8に基づいたポリヌクレオチドプローブを用いて、ヒト又はマウスのcDN
A又はゲノムライブラリーをスクリーニングすることで得ることができる。これ
らの技術は標準的であり、そしてよく確立されている。例示として、ヒトZtg
fβ-9をコードする核酸分子は、ヒトのcDNAライブラリーから単離できる
。この場合、第一段階は、脳、脊髄、心臓、骨格筋、胃、膵臓、副腎、唾液腺、
肝臓、小腸、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節、心臓、甲状腺、気管、精巣、卵巣又
は胎盤組織から、当業者に公知の方法を用いてRNAを単離することによって、
cDNAライブラリーを調製することだろう。通常、RNAの単離技術は、細胞
を破壊する方法、RNアーゼが行うRNAの分解を阻害する手段、並びにDNA
、タンパク質、及び多糖の混入物からRNAを分離する方法を提供しなければな
らない。例えば、全RNAは、液体窒素中で組織を凍結させ、乳鉢及び乳棒で凍
結組織を粉砕して細胞を溶解せしめ、フエノール/クロロホルムの溶液で粉砕し
た組織を抽出してタンパク質を除去せしめ、そして塩化リチウムによる選択的沈
澱によって、残存している不純物からRNAを分離することによって単離するこ
とができる(例えば、Ausubel et al., (eds.), Short Protocols in Molecular
Biology, 3rd Edittion, p 4-1〜4-6 (John Wiley & Sons 1995) 〔“Ausubel
(1995)”〕;Wu et al., Methods in Gene Biotechnology, p 33-41 (CRC Press
, Inc. 1997)〔“Wu (1997)”〕を参照のこと)。
【0082】 あるいは、全RNAは脳又は脊髄組織及び心臓、骨格筋、胃、膵臓、副腎、唾
液腺、肝臓、小腸、骨髄、胸腺、脾臓、リンパ節、甲状腺、気道、精巣、卵巣又
は胎盤から、グアニジンイソチオシアネートで粉砕した組織を抽出し、有機溶媒
を抽出し、そして示差遠心分離を用いて混入物からRNAを分離することで単離
することができる(例えば、Chirgwin et al., Biochemistry 18 : 52 (1979) ;
Ausubel (1995), p 4-1〜4-6 ; Wu (1997) p 33-41を参照のこと)。cDNA
ライブラリーを構築するために、ポリ(A)+ RNAを、全RNA調製物から単
離しなければならない。ポリ(A)+ RNAは、オリゴ(dT)セルロースクロ
マトグラフィーの標準的な技術を用いて、全RNAから単離することができる(
例えば、Aviv and Leder, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 69 : 1408 (1972) ; Au
subel (1995) p 4-11〜4-12を参照のこと)。二本鎖cDNA分子は、当業者に
公知の技術を用いてポリ(A)+ RNAから合成できる(例えば、Wu (1997), p
41-46を参照のこと)。更に、商業的に入手可能なキットは、二本鎖cDNA分
子を合成するために使用することができる。例えば、その様なキットはLife
Technologies,Inc.(Gaithersburg, MD),CLONTEC
H Laboratories,Inc.(Palo Alto, CA),Promega
Corporation(Madison, WI)及びSTRATAGENE(La Joll
a, CA)から入手可能である。
【0083】 様々なクローニングベクターが、cDNAライブラリーの構築に適している。
例えば、cDNAライブラリーは、バクテリオファージ由来のベクター、例えば
λgt10ベクターにおいて調製することができる。例えば、Huynh et al.,“C
onstructing and Screening cDNA Libraries in λgt10 and λgt11,”in DNA
Cloring : A Practical Approach Vol. I, Glover (ed.), p 49 (IRL Press, 19
85) ; Wu (1997), p 47-52を参照のこと。あるいは、二本鎖cDNA分子は、プ
ラスミドベクター、例えばpBLUESCRIPTベクター(STRATAGENE ; La
Jolla, Ca), LAMDAGEM−4(Promega Corp.)又は他の商業的に入手可
能なベクターに挿入することができる。適当なクローニングベクターも、Ame
rican Type Culture Collection(Manassas, VA
)から得ることができる。クローン化したcDNA分子を増幅するために、前記
のcDNAライブラリーは、標準的な技術を用いて、原核細胞の宿主に挿入され
る。例えば、cDNAライブラリーは、例えばLife Technologi
es,Inc.(Gaithersburg, MD)から入手出来る、コンピテントE.コリ(
coli)DH5細胞に導入することができる。
【0084】 ヒトのゲノムライブラリーは、当業者に公知の手段によって調製することがで
きる(例えば、Ausubel (1995), p 5-1〜5-6 ; Wu (1997), p 307-327を参照の
こと)。ゲノムDNAは、界面活性剤サルコシルで組織を溶解し、プロテインキ
ナーゼKで溶解物を分解し、遠心によって前記溶解物から不溶性の残骸を浄化し
、イソプロパノールを用いて前記溶解物から核酸を沈澱させ、そして塩化セシウ
ム密度勾配で再懸濁したDNAを精製することによって単離することができる。
ゲノムライブラリーの作製に適したDNAフラグメントは、ゲノムDNAの無作
為な剪断又は制限エンドヌクレアーゼを用いるゲノムDNAの部分分解によって
得ることができる。ゲノムDNAのフラグメントは、従来技術、例えば適当な末
端を提供するための制限酵素分解の使用、DNA分子の不所望の連結を避けるた
めのアルカリホスファターゼ処置の使用、及び適当なリガーゼによるライゲーシ
ョン、に従い、ベクター、例えばバクテリオファージ又はコスミドベクターに挿
入することができる。その様な操作のための技術は、当業界で公知である(例え
ば、Ausubel (1995), p 5-1〜5-6 ; Wu (1997), p 307-327を参照のこと)。
【0085】 ヒトZtgfβ-9遺伝子をコードする核酸分子は、上述した様な、ヒトZt
gfβ−9のヌクレオチド配列に基づくヌクレオチド配列を用いたオリゴヌクレ
オチドプライマーによる、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて得ることも
できる。PCRを用いるライブラリーをスクリーニングする一般的な方法は、例
えばYu et al.,“Use of the Polymerase Chain Reaction to Screen Phage Lib
raries,”in Methods in Moleuclar Biology, Vol. 15 : PCR Protocols : Curr
ent Methods and Applications, White (ed.), pages 211-215 (Humana Press,
Inc. 1993)に提供されている。更に、関連遺伝子を単離するためにPCRを用
いる技術は、例えばPreston,“Use of Degenerate Oligonucleotide Primers an
d the Polymerase Chain Reaction to Clone Gene Family Members,”in Method
s in Molecular Biology, Vol. 15 : PCR Protocols : Current Methods and Ap
plications, White (ed.), pages 317-337 (Humana Press, Inc. 1993)に記載
されている。あるいは、ヒトのゲノムライブラリーは、商業的な供給源、例えば
Research Genetics(Huntsville, AL)及びAmerican
Type Culture Collection(Manassas, VA)から入手
出来る。cDNA又はゲノムのクローンを含むライブラリーは、標準的な技術(
例えば、Ausubel (1995), p 6-1〜6-11を参照のこと)を用いて、配列番号1に
基づく1又は複数のポリヌクレオチドプローブでスクリーニングすることができ
る。
【0086】 下文に記載する様に製造した、抗Ztgfβ−9抗体は、cDNAライブラリ
ーからヒトZtgfβ−9遺伝子をコードするDNA配列を単離するために使用
することができる。例えば、前記抗体はλgt11発現ライブラリーをスクリー
ニングするために使用することができ、又は前記抗体はハイブリッドの選択及び
翻訳の後の免疫スクリーニングに使用することができる(例えばAusubel (1995)
, p 6-12〜6-16 ; Margolis et al.,“Screening λ expression libraries wit
h antibody and protein probes,”in DNA Cloning 2 : Expression Systems, 2
nd Edition, Glover et al. (eds.), p 1-14 (Oxford University Press 1995)
を参照のこと)。
【0087】 あるいは、Ztgfβ−9遺伝子は相互プライミング ロング オリゴヌクレ
オチド(mutually priming long oligonucle
otide)及び本明細書に記載のヌクレオチド配列を用いて、核酸分子を合成
することで得ることができる(例えば、Ausubel (1995), p 8-8〜8-9を参照のこ
と)。ポリメラーゼ連鎖反応を用いる確立された技術は、少なくとも2キロ塩基
の長さのDNA分子を合成する能力を提供する(Adang et al., Plant Molec. B
iol. 21 : 1131 (1993), Bambot et al., PCR Methods and Applications 2 : 2
66 (1993), Dillon et al.,"Use of the Polymerase Chain Reaction for the R
apid Construction of Synthetic Genes,"in Methods in Molecular Biology, V
ol. 15 : PCR Protocols : Current Methods and Applications, White (ed.),
p 263-268, (Humana Press, Inc. 1993)、及びHolowachuk et al., PCR Methods
Appl. 4 : 299 (1995))。Ztgfβ−9 cDNA又はZtgfβ−9のゲ
ノムフラグメントの配列は、標準的な方法を用いて決定することができる。更に
、Ztgfβ−9のプロモーター又は調節因子を含むゲノムフラグメントの同定
は、よく確立された技術、例えば欠失解析を用いて達成することができる(通常
、Ausubel (1995) を参照のこと)。
【0088】 5’フランキング配列のクローニングも、米国特許第5,641,670号に
開示された方法に従う“遺伝子の活性化”によって、Ztgfβ−9タンパク質
の製造を容易にする。簡単に述べると、細胞内の内因性Ztgfβ−9遺伝子の
発現は、少なくとも標的配列、調節配列、エキソン、及び不対のスプライスドナ
ー部位を含んで成るDNAコンストラクトを、Ztgfβ−9の遺伝子座に導入
することで変化する。前記の標的配列は、前記コンストラクトの、内因性Ztg
fβ−9の遺伝子座による相同的組換えを許容する、Ztgfβ−9の5’非コ
ード配列であり、それによって前記コンストラクト内の前記配列は、内因性のZ
tgfβ−9のコード配列と作用可能に連結する様になる。この方法において、
内因性のZtgfβ−9プロモーターは、他の調節配列で置換するか又は補足す
ることができ、その結果、増強した、組織特異的の、又は他の方法で調節した発
現が提供される。
【0089】 更に、本発明のポリヌクレオチドは、DNA合成機を用いて合成することがで
きる。最近では、選択方法はホスホルアミダイト(phosphoramidi
te)法である。化学的に合成した二本鎖DNAが、遺伝子又は遺伝子フラグメ
ントの合成の様な利用に必要ならば、各相補鎖は別々に製造される。短い遺伝子
(60〜80bp)の製造は技術的に簡単な仕事であり、そして相補鎖を合成し、
そして次にそれらをアニーリングすることで達成することができる。しかし、よ
り長い遺伝子(>300bp)の製造のために、特別な戦略に頼らねばならないの
は、化学的なDNAの合成の間、各周期のカップリング効率が、滅多に100%
ではないためである。この問題に打ち勝つために、合成遺伝子(二本鎖)は、2
0〜100ヌクレオチドの長さの一本長フラグメントから、モジュール型で組立
てられる。前記タンパク質をコードする配列に加えて、合成遺伝子は、クローニ
ングベクターの制限エンドヌクレアーゼ部位への挿入を容易にする末端配列を設
計することができ、そして他の配列は、転写及び翻訳の適当な開始及び終結のた
めのシグナルを含めて加えられるべきでもある。Glick, Bernard R. and Jack J
. Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles & Applications of Recom
binant DNA, (ASM Press, Washington, D.C. 1994), Itakura, K. et al. Synth
esis and use of synthetic oligonucleotides. Annu. Rev. Biochem. 53 : 323
-356 (1984)、及びClimie, S. et al. Chemical synthesis of the thymidylate
synthase gene. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 : 633-637 (1990) を参照の
こと。
【0090】 本発明の好ましい態様において、単離したポリヌクレオチドは、配列番号1の
DNAの類似のサイズの領域、又はそれに相補的な配列に、ストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするだろう。通常、ストリンジェントな条件は、限定し
たイオン強度及びpHで、特異的な配列のための熱融点(Tm)より約5℃低く選
択される。Tmは、50%の標的配列が、完全に適合したプローブにハイブリダ
イズする温度である(限定したイオン強度及びpHのもと)。典型的なストリンジ
ェントな条件は、塩濃度がpH7で約0.02M又はそれ以下であり、そして温度
が少なくとも約60℃であるものである。既に記載した様に、本発明の単離した
ポリヌクレオチドはDNA及びRNAを含む。DNA及びRNAの単離方法は当
業界で公知である。全RNAは、グアニジン塩酸抽出、続けて塩化セシウム勾配
における遠心による単離を用いて調製することができる〔Chirgwin et al., Bio
chemistry 18 : 52-94 (1979)〕。ポリ(A)+ RNAは、Aviv and Leder, Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 69 : 1408-1412 (1972)の方法を用いて、全RNAか
ら調製される。相補的DNA(cDNA)は、既知の方法を用いてポリ(A)+
RNAから調製される。Ztgfβ−9ポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チドは続いて、例えばハイブリダイゼーション又はPCRによって同定し、そし
て単離される。
【0091】 当業者は、配列番号1及び2に開示した配列が、ヒトの一本鎖の対立遺伝子を
表すことを認識するだろう。異なる位置で開裂したリーダー配列を有する、いく
つかの天然の成熟N末端変異体が存在する。これらの配列の対立遺伝子変異体は
、標準的な手順に従い、異なる個体由来のcDNA又はゲノムライブラリーをプ
ローブ化することでクローニングすることができる。本発明は更に、他の種(“
種オーソログ”)由来の対応タンパク質及びポリヌクレオチドを提供する。特に
注目のものは、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、及び他の霊長
類を含む、他の哺乳類の種由来のZtgfβ−9ポリペプチドである。ヒトZt
gfβ−9タンパク質の種オーソログは、従来のクローニング技術と組合わせて
、本発明によって提供される情報及び組成物を用いてクローニングすることがで
きる。例えば、cDNAは、前記の遺伝子を発現する組織又は細胞型から得られ
たmRNAを用いてクローニングすることができる。mRNAの適当な供給源は
、本明細書で開示した配列から設計したプローブでノーザンブロットをプローブ
することで同定することができる。ライブラリーは、続いてポジティブな組織又
は細胞系から調製される。タンパク質をコードするcDNAは、続いて様々な方
法、例えば完全又は部分的なヒトcDNAあるいは開示した配列に基づいた1又
は複数の縮重プローブでプローブすることによって単離される。cDNAは、ポ
リメラーゼ連鎖反応、又はPCR(Mullis、米国特許第4,683,20
2号)を用いて、本明細書で開示した配列から設計したプライマーを用いてクロ
ーニングすることもできる。追加の方法において、cDNAライブラリーは宿主
細胞を形質転換するか、又はこれにトランスフェクションするために使用するこ
とができ、そして注目のcDNAの発現は、前記タンパク質に対する抗体を用い
て検出することができる。類似の技術を、ゲノムクローンの単離に利用すること
もできる。既に使用し、そして要求した様に、“配列番号2で定義される、ポリ
ペプチドをコードする単離したポリヌクレオチド”の言葉は、配列番号2,3,
4及び5のポリペプチドの、全ての対立遺伝子変異体及び種オーソログを含む。
【0092】 本発明の好ましい態様において、ヒトZtgfβ−9をコードする単離した核
酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列、又はそれに相補的な配列を有する核
酸分子に、“ストリンジェントな条件”下でハイブリダイズすることができる。
通常、ストリンジェントな条件は、限定したイオン強度及びpHで、特異的な配列
のための熱融解点(Tm)より5℃低く選択される。Tmは、50%の標的配列
が完全に適合したプローブにハイブリダイズする温度である(限定したイオン強
度及びpHのもと)。
【0093】 例示の様に、変異体Ztgfβ−9ポリペプチドをコードする核酸分子は、配
列番号1のヌクレオチド配列(又はその相補体)を有する核酸分子と、50%ホ
ルムアミド、5×SSC(1×SSC:0.15M塩化ナトリウム及び15mMク
エン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶
液(100×デンハルト溶液:2%(w/v)フィコール400、2%(w/v
)ポリビニルピロリドン、及び2%(w/v)ウシ血清アルブミン)、10%硫
酸デキストラン、及び20μg/mlの変性し、剪断したサケの***DNAを含ん
で成る溶液中で、42℃で一晩ハイブリダイズすることができる。当業者は、こ
れらのハイブリダイゼーションの条件の変形を考案することができる。例えば、
ハイブリダイゼーション混合物は、より高い温度、例えば約65℃で、ホルムア
ミドを含まない溶液中でインキュベートすることができる。更に、あらかじめ混
合してあるハイブリダイゼーション溶液は入手可能であり(例えば、EXPRE
SSHYBハイブリダイゼーション溶液は、CLONTECH Laborat
ories,Inc.から入手可能)、そしてハイブリダイゼーションは取扱い
説明書に従い行うことができる。ハイブリダイゼーションの後、核酸分子を洗浄
し、ストリンジェントな条件下、又は高度にストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズしなかった核酸分子を除去することができる。典型的なストリンジェン
トな洗浄条件は、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を有する0.5×
〜2×SSCの溶液中で、55〜65℃での洗浄を含む。それは、変異体Ztg
fβ−9ポリペプチドをコードする核酸分子が、配列番号1のヌクレオチド配列
を有する核酸分子(又はその相補体)と、ストリンジェントな洗浄条件下でハイ
ブリダイズする条件であり、ここで、洗浄時のストリンジェント性は、55〜6
5℃で0.1%SDSを有する0.5×〜2×SSCに相当し、それは、55℃
で0.1%SDSを有する0.5×SSC、又は65℃で0.1%SDSを有す
る2×SSCを含む。当業者は、例えば洗浄溶液中のSSPEをSSCに置き換
えることで、相当する条件を容易に考察することができる。
【0094】 典型的な、高度にストリンジェントな洗浄条件は、50〜65℃で0.1%ド
デシル硫酸ナトリウム(SDS)を有する0.1×〜0.2×SSCの溶液中で
の洗浄を含む。換言すると、変異体Ztgfβ−9ポリペプチドをコードする核
酸分子は、配列番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子(又はその相補体)
と、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、ここで、洗浄時のス
トリンジェント性は、50〜65℃で0.1%SDSを有する0.1×〜0.2
SSCに相当し、これは50℃で0.1%SDSを有する0.1×SSC、又は
65℃で0.1%SDSを有する0.2×SSCを含む。
【0095】 本発明は更に、配列番号2,3,4,5,9,12,17,18のポリペプチ
ド又はそれらのオーソログに対して、実質的に類似の配列同一性を有する単離し
たZtgfβ−9ポリペプチドを提供する。“実質的に類似の配列同一性”の語
句は、配列番号2,3,4,5,9,12,17,18に示した配列又はそれら
のオーソログに対する、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90
%、少なくとも95%又は95%及び99%以上の配列同一性を有するポリペプ
チドを表すために本明細書で使用する。
【0096】 本発明は更に、2つの基準:上述した様な、配列番号2,3,4,5,9,1
2,17又は18のアミノ酸配列を有するコードされたポリペプチド間の類似性
の決定、及びハイブリダイゼーションアッセイ、を用いて同定することができる
Ztgfβ−9の変異体核酸分子を考慮する。その様なZtgfβ−9変異体は
、(1)配列番号1,9又は16のヌクレオチド配列を有する核酸分子(又はそ
れらの相補体)と、ストリンジェントな洗浄条件下(ここで、洗浄時のストリン
ジェント性は、55〜65℃で0.1%SDSを有する0.5×〜2×SSCに
相当する)でハイブリダイズし、そして(2)配列番号2,3,4,5,9,1
2,17又は18に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも9
0%、少なくとも95%、又は95%以上の配列同一性を有するポリペプチドを
コードする、核酸分子を含む。あるいは、Ztgfβ−9変異体は、(1)配列
番号1のヌクレオチド配列を有する核酸分子(又はその相補体)と、ストリンジ
ェントな条件下でハイブリダイズし(ここで、洗浄時のストリンジェント性は、
50〜65℃で0.1%SDSを有する0.1×〜0.2×SSCに相当する)
、そして(2)配列番号2,3,4,5,9,12,17又は18のアミノ酸配
列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なく
とも95%あるいは95%又は99%以上の配列同一性を有するポリペプチドを
コードする、核酸分子として特徴づけることができる。
【0097】 本発明は更に、配列番号2に関する、少なくとも1つのハイブリダイゼーショ
ン解析及び配列同一性の決定によって特徴づけられる、ヒトZtgfβ−9変異
体核酸分子を考慮する。本発明は更に、配列番号8及び9に関する、少なくとも
1つのハイブリダイゼーション解析及び配列の同一性の決定によって同定した、
マウスZtgfβ−9変異体の核酸分子を含む。例えば、上述した試みを用いて
、マウスZtgfβ−9変異体の核酸分子は、少なくとも3つの基準:(1)配
列番号8のヌクレオチド配列を有する核酸分子(又はその相補体)との、ストリ
ンジェントな洗浄条件下でのハイブリダイゼーション(ここで、洗浄時のストリ
ンジェント性は、55〜65℃で0.1%SDSを有する0.5×〜2×SSC
に相当する)、(2)配列番号8のヌクレオチド配列を有する核酸分子(又はそ
の相補体)との、高度にストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション
(ここで、洗浄時のストリンジェント性は、50〜65℃で0.1%SDSを有
する0.1×〜0.2×SSCに相当する)、及び(3)配列番号12のアミノ
酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少
なくとも95%又は95%以上の配列同一性があるアミノ酸の同一性(%)、を
用いて同定することができる。
【0098】 配列同一性(%)は、常用の方法によって決定される。例えば、Altschul et
al., Bull. Math. Bio. 48 : 603 (1986)、及びHeinkoff and Heinkoff, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 89 : 10915 (1992)を参照のこと。簡単に述べると、2
つのアミノ酸配列は、10のギャップオープニングペナルティ、1のギャップエ
クステンションペナルティ、及び表1に示した様な(アミノ酸は、標準的な一文
字コードで示す)Heinkoff and Heinkoff (同書)の“BLOSUM 62”ス
コアリングマトリックスを用いて、アラインメントスコア(alignment
score)を最適化する様に並べられる。同一性(%)は次に、(〔合計の
同一性マッチ数〕/〔長い方の配列の長さ+2つの配列を並べるために、長い方
の配列に導入されるギャップ数〕)(100)で計算される。
【0099】
【表1】
【0100】 当業者は、2つのアミノ酸配列を並べて比較するのに利用可能な、多くの確立
されたアルゴリズムが存在することを認識している。Pearson及びLip
manの、“FASTA”類似性検索のアルゴリズムは、本明細書で開示したア
ミノ酸配列及び予想されるZtgfβ−9変異体のアミノ酸配列によって共有さ
れる同一性のレベルを試験するのに適した、タンパク質の配列の比較法である。
FASTAアルゴリズムは、Pearson and Lipman, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA
85 : 2444 (1998)、及びPearson, Meth. Enzymol. 183 : 63 (1990)に記載さ
れている。簡単に述べると、FASTAは、始めに疑問の配列(例えば配列番号
2)及び、同一性の最も高い密度(Ktupの変数が1の場合)又は同一性の対
(Ktupが2の場合)のいずれかを有する試験配列に共有されている領域を、
保存的なアミノ酸の置換、挿入、又は欠失を考慮せずに同定することで、配列の
類似性を特徴づける。同一性の最も高い密度を有する10個の領域は、次にアミ
ノ酸置換のマトリックスを用いて、全ての対合したアミノ酸の類似性を比較する
ことで再計算され、そして前記領域の末端は、最も高いスコアに寄与する残基の
みを含めるために“削除”される。“カットオフ”値(前記配列の長さ及びKt
up値に基づいてあらかじめ決定した式によって計算したもの)以上のスコアを
有する領域が複数あるならば、前記の削除した最初の領域は、その領域がギャッ
プを有する適当な並びを形成する様に結合することができるかどうかを決定する
ために試験される。最後に、前記の2つのアミノ酸配列の最も高いスコアを示す
領域は、アミノ酸の挿入及び欠失を考慮する、Needleman−Wunsc
h−Sellersアルゴリズムの修飾したもの(Needleman and Wunsch, J. M
ol. Biol. 48 : 444 (1970) ; Sellers, SIAM J. Appl. Math. 26 : 787 (1974)
)を用いて比較される。FASTA解析の例示的なパラメーターは:Ktup=
1、ギャップオープニングペナルティ=1、及び置換マトリックス=BLOSU
M62、である。これらのパラメーターは、Pearson, Meth. Enzymol. 183 : 63
(1990)の付表において説明されている様な、スコアリングマトリックスファイ
ル(“SMATRIX”)を修飾することで、FASTAプログラムに導入する
ことができる。
【0101】 FASTAは、上述した比率を用いて、核酸分子の配列同一性を決定するため
に使用することもできる。ヌクレオチド配列の比較のために、Ktup値は、上
述した他のパラメーターの組合わせによって1〜6に及ぶことがあり、好ましく
は3〜6、最も好ましくは3である。
【0102】 本発明は、配列番号2,3,4,5,9,12,17又は18のアミノ酸配列
と比較して、保存的なアミノ酸の変化を有するポリペプチドをコードする核酸分
子を含む。それは、変異体が配列番号2,3,4,5,9又は12の1又は複数
のアミノ酸置換を含む様に得ることができることであり、この中で、アルキルア
ミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列のアルキルアミノ酸で置換され、芳香
族アミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列の芳香族アミノ酸で置換され、硫
黄含有アミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列の硫黄含有アミノ酸で置換さ
れ、ヒドロキシ含有アミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列のヒドロキシ含
有アミノ酸で置換され、酸性アミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列の酸性
アミノ酸で置換され、塩基性アミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸配列の塩基
性アミノ酸で置換され、又は二塩基性モノカルボキシルアミノ酸は、Ztgfβ
−9のアミノ酸配列の二塩基性モノカルボキシルアミノ酸で置換される。
【0103】 一般的なアミノ酸の中で、例えば“保存的なアミノ酸の置換”は、次の各群の
中のアミノ酸の間の置換によって例示される:(1)グリシン、アラニン、バリ
ン、ロイシン、及びイソロイシン、(2)フェニルアラニン、チロシン、及びト
リプトファン、(3)セリン及びスレオニン、(4)アスパラギン酸及びグルタ
ミン酸、(5)グルタミン及びアスパラギン、並びに(6)リジン、アルギニン
及びヒスチジン。例えば、配列番号2,3,4,5又は12のいずれかと異なる
アミノ酸配列を有する変異体Ztgfβ−9ポリペプチドは、スレオニン残基を
Serで置換し、バリン残基をILeで置換し、アスパラギン酸残基をGluで
置換し、又はバリン残基をILeで置換することによって得ることができる。更
なる変異体は、2又はそれ以上のこれらのアミノ酸置換を有するポリペプチドを
製造することで得ることができる。
【0104】 ヒト又はマウス、いずれかのZtgfβ−9の変異体は、配列番号3及び12
のアミノ酸配列を比較し、そして相当するアミノ酸残基においていずれかの変異
を認めることで考案することができる。
【0105】 前記のBLOSUM62の表は、タンパク質配列セグメントの約2,000の
局所的な複数の比較から導いたアミノ酸置換のマトリックスであり、これは50
0群以上の関連タンパク質の高度に保存された領域を表している(Heinkoff and
Heinkoff, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 89 : 10915 (1992))。従って、BL
OSUM62の置換の回数は、本発明のアミノ酸配列に導入することができる保
存的なアミノ酸の置換を定義するために使用することができる。化学的特性(上
文で論じたもの)のみに基づいてアミノ酸の置換を設計することは可能であるが
、“保存的なアミノ酸の置換”の言葉は、好ましくは−1以上のBLOSUM6
2の値によって表される置換を言及する。例えば、アミノ酸の置換は、置換が0
,1,2、又は3のBLOSUM62の値を特徴とするならば保存的である。こ
の系に従って、好ましい保存的なアミノ酸の置換は、少なくとも1(例えば、1
,2又は3)のBLOSUM62値を特徴とし、一方、更に好ましい保存的なア
ミノ酸の置換は、少なくとも2(例えば2又は3)のBLOSUM62の値を特
徴とする。
【0106】 ヒト又はマウスZtgfβ−9の特定の変異体は、相当するヒト(すなわち配
列番号2,3,4,5又は17)又はマウス(すなわち配列番号9又は12)の
アミノ酸配列に対して、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90
%、少なくとも95%又は99%あるいはそれ以上の配列同一性を持つことを特
徴とし、ここで、アミノ酸配列中の変化は、1又は複数の保存的アミノ酸の置換
に起因する。
【0107】 Ztgfβ−9遺伝子の保存的アミノ酸の変化は、ヌクレオチドを配列番号1
又は9のいずれか1つに列挙したヌクレオチドで置換することによって導入する
ことができる。その様な“保存的アミノ酸”の変異体は、例えば、オリゴヌクレ
オチド部位指定突然変異導入法、リンカースキャニング突然変異導入法、ポリメ
ラーゼ連鎖反応を用いる突然変異導入法などによって得ることができる(Ausube
l (1995), p 8-10〜8-22 ; 及びMcPherson (ed.), Directed Mutagenesis : A P
ractical Approach (IRL Press 1991))。抗ウイルス又は抗増殖活性を促進する
、その様な変異体の能力は、標準的な方法、例えば本明細書に記載のアッセイを
用いて決定することができる。あるいは、変異体Ztgfβ−9ポリペプチドは
、特異的に抗Ztgfβ−9抗体に結合する能力によって同定することができる
【0108】 本発明のタンパク質は更に、天然のアミノ酸残基を含んで成っていてもよい。
非天然のアミノ酸は、限定しないがトランス−4−ヒドロキシプロリン、2,4
−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシ
プロリン、N−メチルグリシン、アロ−スレオニン、メチルスレオニン、ヒドロ
キシメチルシステイン、ヒドロキシメチルホモシステイン、ニトログルタミン、
ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、デヒドロプロリン、
3−及び4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン
、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−ア
ザフェニルアラニン、及び4−フルオロフェニルアラニンを含む。非天然のアミ
ノ酸残基をタンパク質に組込むために、いくつかの方法が当業界で知られている
。例えば、in vitroの系は、非センスの変異が、化学的にアミノアシル
化したサプレッサーtRNAを用いて抑制される様に適用することができる。ア
ミノ酸を合成し、そしてtRNAをアミノアシル化する方法が、当業界で知られ
ている。非センスの変異を含むプラスミドの転写及び翻訳は、典型的にE.コリ
S30抽出物及び商業的に入手可能な酵素及び他の試薬を含んで成る無細胞系で
行われる。タンパク質はクロマトグラフィーで精製する。例えば、Robertson et
al., J. Am Chem. Soc. 113 : 2722 (1991), Ellman et al., Methods Enzymol
. 202 : 301 (1991), Chung et al., Science 259 : 806 (1993), and Chung et
al., Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 90 : 10145 (1993)を参照のこと。
【0109】 第2の方法において、翻訳は変異したmRNA及び化学的にアミノアシル化し
たサプレッサーtRNAのマイクロインジェクションによって、アフリカツメガ
エルの卵母細胞において行う(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271 : 19991
(1996))。第3の方法において、E.コリ細胞は、置換されうる天然のアミノ酸
(例えば、フェニルアラニン)の非存在下及び所望の非天然のアミノ酸(例えば
、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルア
ラニン、又は4−フルオロフェニルアラニン)の存在下で培養される。前記の非
天然のアミノ酸は、その天然の対応物に代わって、タンパク質内に組込まれる。
Koide et al., Biochem. 33 : 7470 (1994) を参照のこと。天然のアミノ酸残基
は、in vitroの化学的修飾によって、非天然の種に変換されることがあ
る。化学的修飾は、置換の範囲を更に広げるために、部位指定突然変異導入法と
組合わせることができる(Wynn and Richards, Protein Sci. 2 : 395 (1993))
【0110】 限定数の非保存的アミノ酸、遺伝暗号によってコードされないアミノ酸、天然
に発生しないアミノ酸、及び非天然のアミノ酸は、Ztgfβ−9のアミノ酸残
基で置換されてもよい。
【0111】 本発明のポリペプチドの必須アミノ酸は、当業界で知られている方法、例えば
部位指定突然変異導入法又はアラニンスキャニング突然変異導入法に従い同定す
ることができる(Cunningham and Wells, Science 244 : 1081 (1989), Bass et
al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 88 : 4498 (1991), Coombs and Corey,“Sit
e-Directed Mutagenesis and Protein Engineering”, in Proteins : Analysis
and Design, Angeletti (ed.), p259-311 (Academic Press, Inc. 1998))。後
者の技術において、1つのアラニンの変異は、前記分子の各残基で導入され、そ
して生じた変異体分子は、前記分子の活性に必須であるアミノ酸残基を同定する
ために下文で開示する様に、生物学的活性を試験される。Hilton et al., J. Bi
ol. Chem. 271 : 4699 (1996) も参照のこと。
【0112】 表2 保存的なアミノ酸の置換 塩基性:アルギニン リジン ヒスチジン 酸性 :グルタミン酸 アスパラギン酸 極性 :グルタミン アスパラギン 疎水性:ロイシン イソロイシン バリン 芳香族:フェニルアラニン トリプトファン チロシン 小型 :グリシン アラニン セリン スレオニン メチオニン
【0113】 本発明のポリペプチドの必須アミノ酸は、当業界で知られている方法、例えば
部位指定突然変異導入法又はアラニンスキャニング突然変異導入法に従い同定す
ることができる〔Cunningham and Wells, Science 244 : 1081 (1989), Bass et
al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 88 : 4498 (1991)〕。後者の技術において、
1つのアラニンの変異は、前記分子の各残基で導入され、そして生じた変異体分
子は、前記分子の活性に必須であるアミノ酸残基を同定するために下文で開示す
る様に、生物学的活性(例えば、リガンド結合及びシグナル伝達)を試験される
。リガンド−タンパク質の相互作用の部位は、核磁気共鳴、結晶学又はフォトア
フィニティーラベリングなどの技術によって決定される様な結晶構造の解析によ
って決定することもできる。例えば、de Vos et al., Science 255 : 306-312 (
1992) ; Smith et al., J. Mol. Biol. 224 : 899-904, 1992 ; Wlodaver et al
., FEBS Lett. 309 : 59-64 (1992)を参照のこと。必須アミノ酸の同定は、関連
タンパク質との相同性の解析から推論することもできる。
【0114】 複数のアミノ酸の置換は、突然変異導入法及びスクリーニングの知られている
方法、例えばReidhaar-Olson and Sauer, Science 241 : 53-57 (1988)又はBowi
e and Saner, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 :2152-2156 (1989)に開示されて
いる様なものを用いて作製し、そして試験することができる。簡単に述べると、
これらの著者は、ポリペプチドの2又はそれ以上の位置を同時に無作為化し、機
能的なポリペプチドを選択し、そして次に変異したポリペプチドの配列を決定し
、各位置の許容できる置換のスペクトルを決定する方法を開示している。使用で
きる他の方法は、ファージディスプレイ(display)(例えばLowman et
al., Biochem. 30 : 10832-10837 (1991) ; Lander et al., 米国特許第5,223,4
09号;Huse, WIPO公開番号WO92/06204)及び領域指定突然変異導入法(Derbyshi
re et al., Gene 46 : 145 (1986) ; Ner et al., DNA 7 : 127 (1988) )を含
む。
【0115】 上文で開示した様な突然変異導入法は、宿主細胞でクローン化され、変異した
タンパク質の活性を検出するために、高処理量スクリーニング法と組合わせるこ
とができる。この点において好ましいアッセイは、下文に記述されている細胞増
殖アッセイ及びバイオセンサーを基にしたリガンド結合アッセイを含む。活性タ
ンパク質又はその一部(例えば、リガンド結合フラグメント)をコードする変異
したDNA分子は宿主細胞から回収し、そして最新機器を用いて素速く配列決定
することができる。これらの方法は、注目のポリペプチドの個々のアミノ酸残基
の重要性の素速い決定を可能にし、そして未知の構造のポリペプチドに適用する
こともできる。
【0116】 上文で論じた方法を用いて、当業者は配列番号2,3,4,5,9,12,1
7又は18あるいはその対立遺伝子変異体に実質的に同一であり、そして野生型
タンパク質の特性を保持する、様々なポリペプチドを製造することができる。本
明細書で表し、そして述べた様に、“配列番号2,3,4,5,9,12,17
又は18によって限定されるポリペプチド”の言葉は、前記ポリペプチドの全て
の対立遺伝子変異体及び種オーソログを含む。
【0117】 本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドのエピトープ関連部分を含んで成
るペプチド又はポリペプチドを提供する。このポリペプチド部分のエピトープは
、本発明のポリペプチドの免疫原性又は抗原性エピトープである。抗体が結合で
きるタンパク質の領域は、“抗原性エピトープ”として定義される。例えば、Ge
ysen, H.M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 : 3998-4002 (1984) を参
照のこと。
【0118】 抗原性エピトープを有する(すなわち、抗体に結合できるタンパク質分子の領
域を含む)ペプチド又はポリペプチドの選択に関して、タンパク質配列の一部を
真似ている比較的短い合成ポリペプチドは、部分的に真似したタンパク質と反応
する抗血清を簡単に導くことができるということは、当業界で公知である。Sutc
liffte, J.G. et al., Science, 219 : 660-666 (1983) を参照のこと。タンパ
ク質反応性血清を導くことができるペプチドは、しばしばタンパク質の一次配列
において表され、単純な化学的法則の組合わせで特徴づけることができ、そして
無傷のタンパク質の免疫優性領域(すなわち、免疫原性エピトープ)又はアミノ
若しくはカルボキシル末端、そのいずれにも限定されない。極度に疎水性のペプ
チド及び6又はそれ以下の残基のものは一般的に、前記の真似したタンパク質に
結合する抗体を誘導する際に効果的でなく、より長い可溶性のペプチド、特にプ
ロリン残基を含むものは、通常効果的である。
【0119】 故に、抗原性エピトープを有するペプチド及びポリペプチドは、本発明のポリ
ペプチドに特異的に結合する、モノクローナル抗体を含む抗体を生成するために
有用である。本発明の抗原性エピトープ関連ペプチド及びポリペプチドは、少な
くとも9個の配列を含み、好ましくは15〜約30個のアミノ酸が、本発明のポ
リペプチドのアミノ酸配列に含まれる。しかし、本発明のアミノ酸配列のより大
きな部分を含んで成り、本発明のポリペプチドの全アミノ酸配列の30〜50個
のアミノ酸、又はあらゆる長さのものを含むペプチド又はポリペプチドは、前記
タンパク質と反応する抗体に誘導するのに有用でもある。好ましくは、前記のエ
ピトープを有するペプチドのアミノ酸配列は、水性溶媒における実質的な可溶性
を提供するために選択され(すなわち、前記の配列は比較的親水性の残基を含み
、そして疎水性残基は、好ましくは避けられる);そしてプロリン残基を含む配
列が特に好ましい。配列表に示したポリペプチドの全てが、本発明に従い使用さ
れうる抗原性エピトープを含む。
【0120】 本発明のポリペプチド、通常cDNA配列は、上述したポリペプチドをコード
する。本発明のポリペプチドをコードするcDNA配列は、一連のコドンを含ん
で成り、前記ポリペプチドの各アミノ酸残基は、コドンによってコードされ、そ
して各コドンは3つのヌクレオチドを含んで成る。アミノ酸残基は、次のそれら
の各コドンによってコードされる。
【0121】 アラニン(Ala)は、GCA,GCC,GCG又はGCTによってコードさ
れ; システイン(Cys)はTGC又はTGTによってコードされ; アスパラギン酸(Asp)はGAC又はGATによってコードされ; グルタミン酸(Glu)はGAA又はGAGによってコードされ; フェニルアラニン(Phe)はTTC又はTTTによってコードされ; グリシン(Gly)はGGA,GGC,GGG又はGGTによってコードされ
; ヒスチジン(His)はCAC又はCATによってコードされ; イソロイシン(Ile)はATA,ATC又はATTによってコードされ; リジン(Lys)はAAA又はAAGによってコードされ; ロイシン(Leu)はTTA,TTG,CTA,CTC,CTG又はCTTに
よってコードされ; メチオニン(Met)はATGによってコードされ; アスパラギン(Asn)はAAC又はAATによってコードされ; プロリン(Pro)はCCA,CCC,CCG又はCCTによってコードされ
; グルタミン(Gln)はCAA又はCAGによってコードされ; アルギニン(Arg)はAGA,AGG,CGA,CGC,CGG又はCGT
によってコードされ; セリン(Ser)はAGC,AGT,TCA,TCC,TCG又はTCTによ
ってコードされ; スレオニン(Thr)はACA,ACC,ACG又はACTによってコードさ
れ; バリン(Val)はGTA,GTC,GTG又はGTTによってコードされ; トリプトファン(Trp)はTGGによってコードされ;そして チロシン(Tyr)はTAC又はTATによってコードされる。
【0122】 本発明に従い、cDNAが上述した様に請求される場合、請求されるものが、
センス鎖、アンチセンス鎖両方、並びに自身の各水素結合によって共にアニール
したセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を有する二本鎖のDNAであると理解さ
れることが認識されるだろう。更に、本発明のポリペプチドをコードするメッセ
ンジャーRNA(mRNA)も請求され、そしてこのmRNAは、上述したcD
NAによってコードされる。メッセンジャーRNA(mRNA)は、上文で定義
したものと同一のコドンを用いてポリペプチドをコードするが、但し、それぞれ
のチミンヌクレオチド(T)は、ウラシルヌクレオチド(U)で置換される。
【0123】 完全長のタンパク質、タンパク質フラグメント(例えば、受容体結合フラグメ
ント)、及び融合ポリペプチドを含む、本発明のタンパク質ポリペプチドは、従
来技術に従い、遺伝子操作した宿主細胞で生成することができる。適当な宿主細
胞は、外因性のDNA及び形質転換されるか、又はこれでトランフェクションさ
れ、そして培地で増殖することができる細胞型のものであり、そして細菌、菌細
胞、及び培養された高等の真核細胞を含む。真核細胞、特に多細胞生物の培養細
胞が好ましい。クローン化したDNA分子を扱い、そして外因性DNAを様々な
宿主細胞に導入するための技術は、Sambrook et al., Molecular Cloning : A L
aboratory Manual, (2nd ed.) (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold S
pring Harbor, NY, 1989)に開示されている。
【0124】 通常、Ztgfβ−9をコードするDNA配列は、その発現に必要な他の遺伝
的因子に作用可能に連結しており、これは通常、発現ベクター内に、転写プロモ
ーター及びターミネーターを含む。前記ベクターは、普通、1又は複数の選択マ
ーカー及び1又は複数の複製起点を含むが、当業者は、ある系において、選択マ
ーカーが別々のベクター上で提供されることがあり、そして前記の外因性のDN
Aの複製が、宿主細胞への組込みによって提供されることがあることを認識する
だろう。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクター及び他の因子
の選択は、当業界の通常の技術レベル内の、日常の設計の問題である。多くのそ
の様な因子は文献に記載されており、そして商業的な業者から入手可能である。
【0125】 Ztgfβ−9ポリペプチドを、宿主細胞の分泌経路に進めるために、分泌シ
グナル配列(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)
は発現ベクター内に提供される。前記の分泌シグナル配列は、前記タンパク質の
ものであってもよく、あるいは別の分泌タンパク質〔例えば、組織プラスミノー
ゲンアクチベーター(t−PA)〕のリーダー配列に由来するか、又はde n
ovo合成したものであってもよい。前記の分泌シグナル配列は、正確な読み枠
でZtgfβ−9 DNA配列に連結する。分泌シグナル配列は一般に、注目の
ポリペプチドをコードするDNA配列の5’側に位置しているが、あるシグナル
配列は、注目のDNA配列のほかの場所に位置していることがある(例えば、We
lch et al., 米国特許第5,037,743号;Holland et al., 米国特許第5,143,830号
を参照のこと)。
【0126】 培養哺乳類細胞は、本発明において好ましい宿主である。外因性DNAを哺乳
類の宿主細胞に導入する方法は、リン酸カルシウムによるトランスフェクション
(Wigler et al., Cell 14 : 725 (1978) ; Corsaro and Pearson, Somatic Cel
l Genetics 7 : 603 (1981) : Graham and Van der Eb, Virology 52 : 456 (19
73))、エレクトロポレーション(Neumann et al., EMBO J. 1 :841-845 (1982))
、DEAE−デキストランによるトランスフェクション(Ausubel et al., eds.
, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Inc., NY,
1987))、及びリポソームによるトランスフェクション(Hawley-Nelson et al.
, Focus 15 : 73 (1993) ; Ciccarone et al., Focus 15 : 80 (1993))を含む。
培養哺乳類細胞での組換えポリペプチドの生成は、例えば、Levinson等の、米国
特許第4,713,339号;Hagen 等の、米国特許第4,784,950号:
Palmiter等の、米国特許第4,579,821号;及びRingold の、米国特許第
4,656,134号に開示されている。適当な培養哺乳類細胞は、COS−1
(ATCC No. CRL 1650)、COS−7(ATCC No. CRL 1651)、BHK(ATCC No. C
RL 1632)、BHK570(ATCC No. CRL 10314)、293〔ATCC No. CRL 1573
; Graham et al., J. Gen. Virol. 36 : 59-72 (1977) 〕及びチャイニーズハム
スター卵巣(例えばCHO-K1 ; ATCC No. CCL 61)細胞系を含む。追加の適当な細
胞系は当業界で知られており、そして公共の寄託機関、例えばAmerican Type Ca
lture Collection (Rockville, Maryland)から入手可能である。通常、強力な
転写プロモーター、例えばSV40又はサイトメガロウイルス由来のプロモータ
ーが好ましい。例えば、米国特許第4,956,288号を参照のこと。他の適
当なプロモーターは、メタロチオネイン遺伝子由来のもの(米国特許第4,57
9,821号及び第4,601,978号)及びアデノウイルスの主要な後期の
プロモーターを含む。
【0127】 他の高等真核細胞は宿主細胞としても使用することができ、これは植物細胞、
昆虫細胞及びトリの細胞を含む。植物細胞において遺伝子を発現させるためのベ
クターとしての、アグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacteri
um rhizogenes)の使用は、Sinkar et al., J. Biosci. (Bangalo
re) 11 : 47 (1987)に概説された。昆虫細胞の形質転換及びそこでの外来ポリペ
プチドの生成は、Guarino 等の、米国特許第5,162,222号及びWIPO
公開番号WO94/06463に開示されている。昆虫細胞は、通常、Auto
grapha californica核多角体ウイルス(AcNPV)由来の
、組換えバキュロウイルスに感染することができる。Ztgfβ−9をコードす
るDNAは、AcNPVの多角体遺伝子のコード配列の代わりに、2つのうちの
1つの方法によって、バキュロウイルスゲノムに挿入される。はじめのものは、
野生型AcNPVと、AcNPV配列に隣接するZtgfβ−9のcDNAを含
むトランスファーベクターとの間の、相同的なDNAの組換えの伝統的な方法で
ある。適当な昆虫細胞、例えばSF9細胞は、野生型AcNPVで感染し、そし
てAcNPVポリヘドリン遺伝子プロモーター、ターミネーター及び隣接配列に
作用可能に連結したZtgfβ−9ポリヌクレオチドを含んで成るトランスファ
ーベクターによってトランスフェクションされる。King, L.A. and Possee, R.D
., The Baculovirus Expression System : A Laboratory Guide, (Chapman & Ha
ll, London) ; O'Reilly, D.R. et al., Baculovirus Expression Vectors: A L
aboratory Manual (oxford University Press, New York, New York, 1994) ; a
nd, Richardson, C. D., Ed., Baculovirus Expression Protocols. Methods in
Molecular Biology, (Humana Press, Totowa, NJ 1995)を参照のこと。昆虫細
胞における天然の組換えは、多角体プロモーターによって進められたZtgfβ
−9を含む組換えバキュロウイルスをもたらすだろう。組換えウイルスの貯蔵物
は、当業界で一般に使用される方法によって作製される。
【0128】 組換えバキュロウイルスを作製する第2の方法は、Luckow, V. A, et al., J
Virol 67 : 4566 (1993)に記載の、トランスポゾンを基にした系を利用する。こ
の系は、Bac−to−Bacキット(Life Technologies, Rockville, MD)で
販売されている。この系は、Ztgfβ−9ポリペプチドをコードするDNAを
、“バクミド”と称される巨大なプラスミドとしてE.コリで維持されるバキュ
ロウイルスゲノムに移動させるための、Tn7トランスポゾンを含むトランスフ
ァーベクター、pFastBacl(商標)(Life Technologies )を利用して
いる。前記のpFastBacl(商標)のトランスファーベクターは、注目の
遺伝子、この場合はZtgfβ−9の発現を進めるAcNPVポリヘドリンプロ
モーターを利用する。しかし、pFastBacl(商標)はかなりの程度まで
修飾することができる。前記のポリヘドリンプロモーターは、除去し、そしてバ
キュロウイルスの感染の初期に発現し、そして分泌タンパク質を発現するのに有
利であることが示された、バキュロウイルス塩基性タンパク質プロモーター(P
cor,p6.9又はMPプロモーターとしても知られている)で置換すること
ができる。Hill-Perkins, M.S. and Posses, R.D., J Gen Virol 71 : 971 (199
0) ; Bonning, B.C. et al., J Gen Virol 75 : 1551 (1994) ; and, Chazenbal
k, G.D., and Rapoport, B., J Biol Chem 270 : 1543 (1995)を参照のこと。そ
の様なトランスファーベクターのコンストラクトにおいて、塩基性タンパク質プ
ロモーターの短い又は長いものを使用することができる。更に、トランスファー
ベクターは、天然のZtgfβ−9分泌シグナル配列を、昆虫タンパク質に由来
する分泌シグナル配列と交換して構築することができる。例えば、エクジステロ
イドグルコシルトランスフェラーゼ(EGT)、ミツバチのメリチン(Invitrog
en, Carlsbad, CA)、又はバキュロウイルスgp67(PharMingen, San Diego,
CA)由来の分泌シグナル配列は、天然のZtgfβ−9分泌シグナル配列と交換
するために、コンストラクト内で使用することができる。更に、トランスファー
ベクターは、発現したZtgfβ−9ポリペプチドのC又はN末端で、エピトー
プタグをコードするDNA、例えばGlu−Gluエピトープタグ(Grussenmey
er, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 82 : 7952 (1985))によるインフレー
ム融合を含むことがある。当業界で知られている技術を用いて、Ztgfβ−9
を含むトランスファーベクターは、E.コリを形質転換し、そして組換えバキュ
ロウイルスの挿入されるlacZ遺伝子の暗示を含むドクミドでスクリーニング
される。組換えバキュロウイルスゲノムを含むバクミドDNAは、一般的な技術
を用いて単離され、そしてスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperd
a)細胞、例えばSf9細胞にトランスフェクションするために使用される。その
結果、Ztgfβ−9を発現する組換えウイルスが生成する。組換えウイルスの
貯蔵物は、当業者で一般的に使用される方法によって作製される。
【0129】 前記の組換えウイルスは、宿主細胞、典型的にシロヤナガ(fall arm
y worm)、スポドプテラ・フルギペルダ由来の細胞系を感染させるために
使用される。通常、Glick and Pasternak, Molecular Biotechnology : Princip
les and Applications of Recombinant DNA, ASM Press, Washington, D.C. (19
94)を参照のこと。別の適当な細胞系は、High FiveO(商標)の細胞
系であり、これはトリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(米
国特許第5,300,435号)に由来する。市販の無血清培地は、前記の細胞
を生育し、そして維持するために使用される。適当な培地は、Sf9細胞の場合
、Sf900II(商標)(Life Technologies)又はESF921(商標)(Exp
ression Systems) であり;そしてT.ニ細胞の場合、ExcellO405(
商標)(JRH Biosciences, Lenexa, KS )又はExpress FiveO(商
標)である。前記の細胞は、約2〜5×105 細胞の接種密度から1〜2×10 6 の密度で生育し、このとき、組換えウイルスの保存物は0.1〜10の感染多
重度(MOI)で加えられ、更に典型的には3付近である。前記の組換えウイル
スに感染した細胞は、典型的に感染後12〜72時間で組換えZtgfβ−9ポ
リペプチドを関連し、そして様々な効率で、それを培地に分泌する。培養物は、
通常、感染後48時間で採集する。遠心は、培地(上清)から細胞を分離するた
めに使用する。z*** ポリペプチドを含む上清は、通常0.45μmの孔の大き
さの、微孔質フィルターを介して濾過される。使用する方法は、一般的に入手可
能な研究の手引き書(King, L.A. and Possee, R.D., ibid. ; O'Reilly, D.R.
et al., ibid. ; Richardson, C.D., ibid)に記載されている。次の、前記の上
清からのZtgfβ−9ポリペプチドの精製は、本明細書に記載の方法を用いて
達成することができる。
【0130】 薬剤選択は、通常外来DNAが挿入された培養哺乳類細胞を選択するために使
用される。その様な細胞は、一般的に“トランスフェクタント”として言及され
る。選択剤の存在下で培養され、そして前記の注目の遺伝子をそれらの子孫に伝
えることができる細胞は、“安定なトランスフェクタント”として言及される。
好ましい選択マーカーは、抗生物質ネオマイシンに対する耐性をコードする遺伝
子である。選択は、ネオマイシン型の薬剤、例えばG−418などの存在下で行
われる。選択系は、注目の遺伝子の発現レベルを増大させるために使用してもよ
く、この方法は“増幅”と呼ばれる。増幅は、低濃度の選択剤の存在下でトラン
スフェクタントを培養し、そして次に高レベルの、導入した遺伝子の生成物を生
成する細胞を選択するために、選択剤の量を増やすことで行われる。好ましい増
幅可能な選択マーカーは、メトトレキサートに対する耐性を与える、ジヒドロ葉
酸レダクターゼである。他の薬剤耐性遺伝子(例えば、ヒグロマイシン耐性、複
数の薬剤耐性、及びピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も使用する
ことができる。
【0131】 他の高等真核細胞も宿主として使用することができ、これは昆虫細胞、植物細
胞及びトリの細胞を含む。昆虫細胞の形質転換及びその中での外来ポリペプチド
の生成は、Guarino 等の、米国特許第5,162,222号;Bang等の、米国特
許第4,775,624号;及びWIPO公開番号WO94/06463に開示
されている。植物細胞において遺伝子を発現させるためのベクターとしての、ア
グロバクテリウム・リゾジェネスの使用は、Shinkar et al., J. Biosci. (Bang
alore) 11 : 47-58 (1987)に概説された。
【0132】 酵母細胞、及び特にサッカロミセス属の細胞を含む菌細胞は、本発明において
、例えばタンパク質フラグメント又はポリペプチド融合物を生成するために使用
することもできる。外因性DNAで酵母細胞を形質転換し、そしてそれから組換
えポリペプチドを生成する方法は、例えばKawasakiの、米国特許第4,599,
311号;Kawasaki等の、米国特許第4,931,373号;Brake の、米国特
許第4,870,008号;Welch 等の、米国特許第5,037,743号;及
びMurray等の、米国特許第4,845,075号に開示されている。形質転換し
た細胞は、選択マーカー、一般に薬剤耐性又は特定の栄養素(例えばロイシン)
の非存在下で生育する能力によって決定される表現型によって決定される。酵母
における使用のための好ましいベクター系は、Kawasaki等の、米国特許第4,9
31,373号に開示されているPOT1ベクター系であり、これは、形質転換
した細胞をグルコース含有培地における増殖によって選択することができるよう
にするものである。酵母における使用に適当なプロモーター及びターミネーター
は、グルコース分解酵素遺伝子由来のもの(例えば、Kawasakiの、米国特許第4
,599,311号;Kingsman等の、米国特許第4,615,974号;及びBi
tterの、米国特許第4,977,092号を参照のこと)及びアルコールデヒド
ロゲナーゼ遺伝子由来のものを含む。米国特許第4,900,446号;第5,
063,154号;第5,139,936号及び第4,661,454号も参照
のこと。ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorph
a)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces
pombe)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces
lactis)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces
fragilis)、ウスチラゴ・マイジス(Ustilago maydi
s)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタ
ノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・ギレルモンジイ(
Pichia guillermondii)及びカンジダ・マルトーサ(Ca
ndida maltosa)を含む、他の酵母の形質転換系が当業界で知られ
ている。例えば、Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132 : 3459-3465 (1986
)及び、Cregg の、米国特許第4,882,279号を参照のこと。アスペルギ
ルス(Aspergillus)細胞を、McKnight等の、米国特許第4,935
,349号の方法に従い利用することもできる。アクレモニウム・クリソゲナム
(Acremonium chrysogenum)を形質転換する方法は、Su
mino等の、米国特許第5,162,228号に開示されている。ニューロスポラ
(Neurospora)を形質転換する方法は、Lambowitz の、米国特許第4
,486,533号に開示されている。
【0133】 細菌エスケリッチア(Escherichia)・コリ、バチルス及び他の属
の菌株を含む原核宿主細胞も、本発明における有用な宿主細胞である。これらの
宿主を形質転換し、そしてその中でクローン化した外来のDNA配列を発現する
技術は当業界で公知である(例えば、Sambrook等の上記のものを参照のこと)。
細菌、例えばE.コリにおいてZtgfβ−9ポリペプチドを発現するとき、前
記のポリペプチドは細胞質で、典型的には不溶性顆粒として維持されるか、又は
細菌の分泌配列によって周縁質空間に向かうことがある。前者の場合、前記細胞
は溶解され、そして顆粒は回収され、そして例えばグアニジンイソチオシアネー
ト又は尿素を用いて変性される。前記の変性したポリペプチドは、続いて再生さ
れ、そして変性剤を希釈することで、例えば尿素溶液並びに還元及び酸化したグ
ルタチオン混合液に対する透析、続く緩衝溶液に対する透析によって二量体化す
ることができる。後者の場合、前記ポリペプチドは、細胞を破壊して(例えば、
超音波又は浸透圧の衝激による)、周縁質空間の成分を放出させ、そして前記タ
ンパク質を回収し、それによって変性及び再生の必要性を回避するこで、周縁質
空間から、可溶性及び機能的な型で回収することができる。
【0134】 形質転換した又はトランスフェクションした宿主細胞は、選択した宿主細胞の
生育に必要な栄養素及び他の成分を含む培養培地中で、常用の方法に従い培養さ
れる。限定した培地及び複合培地を含む、様々な適当な培地が当業界で知られて
おり、そして通常、炭素源、窒素源、必須アミノ酸、ビタミン及び鉱物を含む。
培地は、更に、必要な増殖因子又は血清の様な成分を含むこともある。増殖培地
は通常、例えば、発現ベクター上にある選択マーカーによって補足されるか、又
は宿主細胞に同時トランスフェクションされる、薬剤耐性又は必須栄養素の欠損
によって、外来から加えられたDNAを含む細胞を選択するだろう。
【0135】 本発明の1つの観点において、新規タンパク質は培養細胞によって生成し、そ
して前記細胞又は前記タンパク質は、天然の受容体を含む、前記タンパク質のた
めの1又は複数の受容体、並びに相互作用するタンパク質、例えば二量体の重合
相手、天然のリガンドのアゴニスト及びアンタゴニストをスクリーニングするた
めに使用される。
【0136】 タンパク質の単離: 発現した組換えポリペプチド(又はキメラポリペプチド)は、分画並びに/又
は常用の1又は複数の精製方法を用いて精製することができる。硫安沈澱及び酸
又はカオトロープ抽出を、試料の分画に使用してもよい。例示的な精製段階は、
ハイドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLC及び逆層高性能液体クロマトグ
ラフィーを含んでいてもよい。適当な陰イオン交換媒体は、誘導デキストラン、
アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特別なシリカなどを含む。PE
I,DEAE,QAE及びQ誘導体が好ましく、DEAEファーストフローセフ
ァロース(Pharmacia, Piscataway, NJ )が特に好ましい。例示的なクロマトグ
ラフィー媒体は、フェニル、ブチル、又はオクチル基で誘導した媒体、例えばフ
ェニルセファロースFF(Pharmacia )、トヨパールブチル650(Toso Haas,
Montgomeryville, PA)、オクチルセファロース(Pharmacia )など;又はポリ
アクリル樹脂、例えばアンバークロムCG71(Toso Haas)などを含む。適当な
固体支持体は、ガラスビーズ、シリカを基ににした樹脂、セルロース樹脂、アガ
ロースビーズ、架橋したアガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋したポリ
アクリルアミド樹脂などを含み、これらは、それらが使用されうる条件下で不溶
性である。これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、
ヒドロキシル基及び/又は炭水化物部分によるタンパク質の結合をさせる反応基
によって修飾することができる。カップリング化学の例は、臭化シアン活性化、
N−ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性
化、ヒドラジド活性化、並びにカルボジイミドのカップリング化学のためのカル
ボキシル及びアミノ誘導体を含む。これら及び他の固体媒体は、当業界で公知で
ありそして幅広く使用されており、そして商業的な業者から入手可能である。支
持媒体に受容体ポリペプチドを結合させる方法は、当業界で公知である。特定の
方法の選択は、一般的な設計の問題であり、そして選択した支持体の特性によっ
て部分的に決定される。例えば、Affinity Chromatography : Principles & Met
hods(Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988)を参照のこと。
【0137】 本発明のポリペプチドは、それらの特性の利用によって単離することができる
。例えば、固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーは、ヒスチジ
ンが豊富なタンパク質を精製するために使用することができる。簡単に述べると
、ゲルが、はじめに二価の金属イオンを帯びて、キレートを形成する〔E. Salko
wski, Trends in Biochem. 3 : 1-7 (1985)〕。ヒスチジンが豊富なタンパク質
は、使用した金属イオンに依存して、異なる親和性を有するこのマトリックスに
吸着し、そしてpHを低下させる競合的な溶出、又は強力なキレート剤の使用によ
って溶出されるだろう。他の精製方法は、レクチンアフィニティークロマトグラ
フィー及びイオン交換クロマトグラフィーによる、グリコシル化したタンパク質
の精製を含む〔Methods in Enzymol., Vol. 182 : 529-39, “Guide to Protein
Puritication”, M. Deutsher, (ed.), (Acad. Press, San Diego, 1990)〕。
あるいは、注目のポリペプチドと親和性タグ(例えば、ポリヒスチジン、マルト
ース結合タンパク質、免疫グロブリンドメイン)との融合体は、精製を容易にす
るために構築されることがある。更に、分泌タンパク質の精製を容易にするため
に、アミノ又はカルボキシル末端の伸長、例えばポリヒスチジンタグ、P物質、
FLAG(商標)ペプチド〔Hopp et al., Bio/Technology 6 : 1204-1210 (198
8) ; Eastman Kodak Co., New Haven, CT から入手可能〕、Glu−Gluアフ
ィニティータグ〔Grussen meyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 : 79
52-4 (1985) 〕、あるいは抗体又は他の特異的な結合因子が入手可能である、別
のポリペプチド又はタンパク質は、精製において保護するために、Ztgfβに
融合することができる。
【0138】 “トランスジェニックマウス”と称される、Ztgfβ−9遺伝子を発現する
様に操作されたマウス及び“ノックアウトマウス”と称される、Ztgfβ−9
遺伝子の完全な不在を示すマウスも生成することができる(Snouwaert et al.,
Science, 257 : 1083 (1992) ; Lowell, et al., Nature, 366 : 740-742 (1993
) ; Capecchi, M. R., Science, 244 : 1288-1292, (1989) ; Palmiter, R.D. e
t al., Annu. Rev. Genet., 20 : 465-499, (1986))。例えば、広範にあるいは
組織特異的又は組織を限定したプロモーターのもとで、そのいずれかでZtgf
β−9を過剰発現するトランスジェニックマウスは、過剰発現が表現型をもたら
すかどうかを調べるために使用することができる。例えば、野生型Ztgfβ−
9ポリペプチド、そのポリペプチドフラグメント又は変異体は、Ztgfβ−9
の発現が機能的に明らかである組織を同定する、表現型をもたらす正常な細胞の
過程を変化させることがあり、そしてZtgfβ−9タンパク質、遺伝子、その
アゴニスト又はアンタゴニストの治療的な標的を示すことがある。更に、その様
な過剰発現は、ヒトの疾患との類似性を示す表現型を生じることもある。同様に
、ノックアウトZtgfβ−9マウスは、Ztgfβ−9がin vivoで絶
対的に必要とされる場所を決定するために使用することができる。ノックアウト
マウスの表現型は、Ztgfβ−9アンタゴニストのそのin vivoでの効
果を予言する。ヒトZtgfβ−9cDNAは、マウスZtgfβ−9mRNA
、cDNA及びゲノムDNAを単離するために使用することができ、次にこれら
はノックアウト又はトランスジェニックマウスを生成するために使用される。こ
れらのマウスは、Ztgfβ−9遺伝子及びそれにコードされるタンパク質をi
n vivo系で研究するために適用されることがあり、そしてヒトの疾患に相
当するin vivoモデルとして使用することができる。更に、Ztgfβ−
9アンチセンスポリヌクレオチド又はZtgfβ−9に対するリボザイム又はZ
tgfβ−9に対する一本鎖抗体のトランスジェニックマウスの発現は、更にZ
tgfβ−9の生物学を結論づけるために使用することができる。
【0139】 使用 Ztgfβ−9の発現のノーザンブロット解析は、Ztgfβ−9が、脳及び
脊髄で高度に発現することを明らかにする。従って、Ztgfβ−9は、グリア
細胞又はニューロンのいずれかと関わる脊髄の維持における役割を果たすと思わ
れる。このことは、Ztgfβ−9が、様々な神経変性病、例えば筋萎縮性側索
硬化症(ALS)、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病及び末
梢神経細胞障害、又は多発性硬化症を含む脱髄病を処置するために使用すること
ができることを示す。Ztgfβ−9の発現の組織特異性は、Ztgfβ−9が
脊髄及び脳における増殖及び/又は維持因子であり、これを脊髄、脳又は末梢神
経系の損傷の処置に使用できることを示す。Ztgfβ−9は、単にウイルス感
染を処置するために誰かしらに投与することもできる。
【0140】 本発明は、有意な治療的価値を有する試薬も提供する。Ztgfβ−9ポリペ
プチド(天然又は組換え)、そのフラグメント、それに対する抗体及び抗イディ
オタイプ抗体は、Ztgfβ−9ポリペプチドに対する結合親和性を有するとし
て同定された化合物と一緒に、異常な生理学又は発生に関連する症状の処置に有
用であるべきであり、これは異常な増殖、例えばガン性の症状、又は変性的な症
状を含む。例えば、Ztgfβ−9ポリペプチドの異常な発現又は異常なシグナ
ル伝達に関連する疾患又は障害は、Ztgfβ−9ポリペプチドのアゴニスト又
はアンタゴニストの推定される標的であるべきである。特に、Ztgfβ−9は
炎症を処置するために使用することができる。炎症は、感染に対する免疫応答、
又は自己抗原に対する自己免疫応答の結果である。
【0141】 Ztgfβ−9ポリペプチドに対する抗体は、精製して、そして次に患者に投
与することができる。これらの試薬は、治療的な使用のために、追加の活性又は
不活性成分、例えば生理学的に無害な安定化剤及び補形薬と一緒の医薬として許
容される担体又は希釈剤と組合わせることができる。これらの組合わせは、滅菌
濾過し、そして投与容器中での凍結乾燥による投与形態又は安定化した水性製剤
での保存に置くことができる。この発明は更に、抗体、その結合フラグメント又
は補体結合ではない型を含む前記抗体の一本鎖抗体の使用を考慮する。
【0142】 効果的な治療に必要な試薬の量は、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態
、及び他の投与した薬物を含む、多くの異なる因子に依存するだろう。従って、
処置量は、安全性及び効きめを最適化するために滴定されるべきである。典型的
に、in vitroで使用する投与量は、これらの試薬のin vivo投与
に有用な量で、有用な指示を提供することがある。特定の障害の処置のための有
効量の動物試験は、ヒトの投与量の更なる予言的な指示を提供するだろう。投与
方法は、経口、静脈内、腹膜内、筋肉内、又は経皮投与を含む。医薬として許容
される担体は、いくつか例示するために、水、塩溶液又は緩衝液を含むだろう。
投与量の範囲は、通常、1日当たり、体重のキログラム当たり、1μg〜100
0μgが予想されるだろう。しかし、投与量は当業界で通常の技術を有する医者
によって決定することができる様に、それより高いか又は低くてもよい。薬剤製
剤及び投与量の範囲の完全な考察のために、Remington's Pharmaceutical Scien
ce, 17th Ed., (Mack Publishing Co., Easton, Penn., 1990 )及びGoodman an
d Gilman's : The Pharmacological Bases of Therapeutics, 9th Ed. (Pergamo
n Press 1996)を参照のこと。
【0143】 核酸を基にした治療的処置 哺乳類が変異したZtgfβ−9遺伝子を持つか又はZtgfβ−9を欠損し
ているならば、Ztgfβ−9遺伝子を、前記の哺乳の細胞に導入することがで
きる。1つの態様において、Ztgfβ−9ポリペプチドをコードする遺伝子は
、in vivoで、ウイルスベクターに導入される。その様なベクターは、弱
毒化した又は欠陥のDNAウイルス、例えば:限定しないが、単純ヘルペスウイ
ルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタインバールウイルス(EBV)
、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、SV40などを含む。完全
に又はほぼ完全にウイルス遺伝子を欠損している欠陥ウイルスが好ましい。欠陥
ウイルスは、細胞への導入後に感染しない。欠陥ウイルスベクターの使用は、前
記ベクターが他の細胞に感染することができることに関係なく、特異的な、局所
的な領域における、細胞への投与を与える。特定のベクターの例は、限定しない
が、欠陥ヘルペスウイルス1(HSV1)ベクター〔Kaplitt et al., Molec. C
ell, Neurosci., 2 : 320-330 (1991)〕、弱毒化したアデノウイルスベクター、
例えばStratford-Perricaudet et al., J. Clin. Invest., 90 : 626-630 (1992
) に記載のベクター、及び欠陥アデノ随伴ウイルスベクター〔Samulski et al.,
J. Virol., 61 : 3096-3101 (1987) ; Samulski et al., J. Virol., 63 : 382
2-3828 (1989)〕を含む。
【0144】 別の態様において、前記遺伝子は、レトロウイルスベクター、例えばAnderson
等の、米国特許第5,399,346号;Mann et al., Cell, 33 : 153 (1983)
; Temin等の、米国特許第4,650,764号;Temin 等の、米国特許第4,
980,289号;Markowitz et al., J. Virol., 62 : 1120 (1988) ; Temin
等の、米国特許第5,124,263号;Dougherty 等によって、1995年3
月16日に発表された、国際特許公開番号WO95/07358;及びBlood, 8
2 : 845 (1993)、に記載のものに導入することができる。
【0145】 あるいは、前記ベクターは、リポソームを用いるin vivoでのリポフェ
クションによって導入することもできる。合成陽イオン性脂質を、マーカーをコ
ードする遺伝子のin vivoでのトランスフェクションのためのリポソーム
を調製するために使用することができる〔Felgner et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 84 : 7413-7417 (1987) ; Mackey et al., Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 85 : 8027-8031 (1988)を参照のこと〕。外因性の遺伝子を、特異的な器官
にin vivoで導入するためのリポフェクションの使用は、ある実際的な利
点を有する。特異的な細胞に対するリポソームの分子標的化は、利益の一面を表
す。特定の細胞型への直接的なトランスフェクションが、細胞の異質性を有する
組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓、及び脳において特に有利なことは明らかである
。脂質は、標的化のための他の分子に化学的にカップリングしてもよい。標的化
されたペプチド、例えばホルモン又は神経伝達物質、及びタンパク質、例えば抗
体、又は非ペプチド分子は、リポソームに化学的にカップリングすることができ
る。
【0146】 身体から細胞を摘出し、裸のDNAプラスミドとして、又はウイルスベクター
によって、前記ベクターを導入し、そして次に形質転換した細胞を身体に再移植
することが可能である。遺伝子治療のための裸のDNAベクターは、当業界で公
知の方法、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロイ
ンジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウ
ム沈澱、遺伝子銃の使用又はDNAベクター輸送体の使用によって、所望の宿主
細胞に導入することができる〔例えば、Wu et al., J. Biol. Chem., 267 : 963
-967 (1992) ; Wu et al., J. Biol. Chem., 263 : 14621-14624 (1988)を参照
のこと〕。Ztgfβ−9の、ウイルスベクターを介する遺伝子輸送の様な技術
は、ヒトの疾患、例えばガン、免疫及び自己免疫疾患、並びに中枢及び末梢神経
系の疾患を処置するために使用することができる。
【0147】 Ztgfβ−9ポリペプチドは、Ztgfβ−9ポリペプチドに特異的に結合
する抗体を調製するために使用することもできる。これらの抗体は、その結果抗
イディオタイプ抗体を製造するために使用することができる。本明細書で使用す
る場合、“抗体”の語句は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、その抗
原結合フラグメント、例えばF(ab’)2 及びFabフラグメントなどを含み
、これは、遺伝子操作した抗体も含む。抗体は、それらが107 /M以上又はそ
れに等しいKa で、Ztgfβ−9ポリペプチドに結合し、そしてそれらが実質
的に従来技術のポリペプチドに結合しないならば、特異的に結合すると定義され
る。モノクローナル抗体の親和性は、当業界の通常の技術の1つによって、例え
ばスキャッチャード解析を用いることで容易に決定することができる。
【0148】 ポリクローナル及びモノクローナル抗体の製造方法は、当業界で公知である(
例えばSambrook et al., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, (Second
Edition) (Cold Spring Harbor NY, 1989);及びHurrell, J. G. R., Ed., Mono
clonal Hybridoma Antibodies : Techniques and Applications (CRC Press, In
c., Boca Raton, FL, 1982)を参照のこと)。ポリクローナル抗体は、様々な温
血動物、例えばウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、
ハムスター、モルモット及びウサギを、Ztgfβ−9ポリペプチド又はそのフ
ラグメントで接種することによって生成することができる。Ztgfβ−9ポリ
ペプチドの免疫原性は、アジュバント、例えばミョウバン(水酸化アルミニウム
)又は完全若しくは不完全フロインドアジュバントを介して増大させることもで
きる。免疫感作に有用なポリペプチドは、融合ポリペプチド、例えばZtgfβ
−9又はその一部と、免疫グロブリンポリペプチド又はマルトース結合タンパク
質との融合体も含む。前記ポリペプチドの免疫原は、完全長の分子又はその一部
であってもよい。前記ポリペプチドの一部が“ハプテン様”ならば、その様な一
部は、免疫感作のために高分子担体(例えば、キーホールリンペットヘモシアニ
ン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)又はテタヌストキシド)に、有利
に結合又は連結していてもよい。当業者に知られている様々なアッセイは、Zt
gfβ−9に特異的に結合する抗体を検出するために利用することができる。例
示的なアッセイは、Antibodies : A Laboratory Manual, Harlow and Lane (Eds
.), (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988)に詳細に記載されている。
その様なアッセイの代表的な例は:同時の免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ
、放射性免疫沈降、酵素免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロットアッ
セイ、阻害又は競合アッセイ、及びサンドイッチアッセイを含む。
【0149】 本明細書で使用する場合、“抗体”の語句は、ポリクローナル抗体、親和性精
製したポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、並びに抗原結合フラグメント
、例えばF(ab’)2 及びFabタンパク質分解的フラグメントを含む。遺伝
子操作した無傷な抗体又はフラグメント、例えばキメラ抗体、Fvフラグメント
、一本鎖抗体など、並びに合成した抗原結合ペプチド及びポリペプチドも含まれ
る。非ヒト抗体は、非ヒトCDRを、ヒトの骨格及び定常領域に移植するか、全
体の非ヒト可変ドメインを組込むことでヒト化することができる(任意に、暴露
している残基の置換により、ヒト様の表面でそれらを“覆う”ことによって、“
虚飾”の抗体となる)。いくつかの例において、ヒト化した抗体は、適当な結合
特性を増強するために、ヒト可変領域の骨格ドメイン内で、非ヒト残基を維持す
ることがある。抗体をヒト化することによって、生物学的な半減期が増大するこ
とがあり、そしてヒトへの投与による有害な免疫反応の潜在性が低下する。ヒト
抗体は、ヒトの免疫グロブリン部位を含むように操作されたマウスで生成するこ
とができる(Vaughan, et al., Nat. Biotech., 16 : 535-539 (1998))。
【0150】 本明細書で有用な抗体の生成又は選択のための別の技術は、Ztgfβ−9タ
ンパク質又はペプチドへの、in vitroでのリンパ球の暴露、及びファー
ジ又は類似のベクターの抗原提示ライブラリーの選択を含む(例えば、固定化し
た又は標識したZtgfβ−9タンパク質又はペプチドの使用を介する)。潜在
的なZtgfβ−9ポリペプチド結合ドメインを有するポリペプチドをコードす
る遺伝子は、ファージ(ファージの提示)又は細菌、例えばE.コリ上に提示さ
れたランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることで得ることができ
る。前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、いくつかの方法、例え
ば無作為突然変異導入法及び無作為ポリヌクレオチド合成によって得ることがで
きる。これらのランダムペプチド提示ライブラリーは、タンパク質又はポリペプ
チド、例えばリガンド又は受容体、生物学的又は合成的高分子、あるいは有機性
又は無機性物質であってもよい、既知の標的と相互作用するペプチドをスクリー
ニングするために使用することができる。その様なランダムペプチド提示ライブ
ラリーを作製し、そしてスクリーニングするための技術は当業界で公知であり(
Lander等の、米国特許第5,223,409号;Lander等の、米国特許第4,9
46,778号;Lander等の、米国特許第5,403,484号及びLander等の
、米国特許第5,571,698号)、そしてランダムペプチド提示ライブラリ
ー及びその様なライブラリーをスクリーニングするためのキットは、例えばClon
tech (Palo Alto, CA), Invitrogen Inc. (San Diego, CA), New England Biola
bs, Inc. (Beverly, MA)及びPharmacia LKB Biotechnology Inc. (Piscataway,
NJ)から、商業的に入手可能である。ランダムペプチド提示ライブラリーは、Z
tgfβ−9に結合するタンパク質を同定するために、本明細書で開示したZt
gfβ−9の配列を用いてスクリーニングすることができる。Ztgfβ−9ポ
リペプチドと相互作用するこれらの“結合タンパク質”は、細胞を標識するため
に;親和性精製で相同性ポリペプチドを単離するために使用することができ;そ
れらは、薬剤、毒素、放射性ヌクレオチドなどに直接的又は間接的に複合するこ
とができる。これらの結合タンパク質は、分析的な方法で、例えば発現ライブラ
リーをスクリーニングし、そして活性を中和するためにも使用することができる
。前記の結合タンパク質は、ポリペプチドの循還レベル決定するため;もととな
っている病理学又は疾患のマーカーとしての可溶性ポリペプチドを検出又は定量
するための、診断的アッセイに使用することができる。これらの結合タンパク質
は、in vitro及びin vivoでのZtgfβ−9の結合及びシグナ
ル伝達を防ぐための、Ztgfβ−9の“アンタゴニスト”として働くこともで
きる。
【0151】 抗体は、遺伝子治療によって生成させることもできる。動物は、Ztgfβ−
9又はその免疫原性フラグメントをコードするDNA又はRNAを投与され、そ
の結果、前記動物の細胞は核酸でトランスフェクションされ、そして順番に免疫
原性の応答を導くタンパク質を発現する。前記の動物によって生成する抗体は、
ポリクローナル又はモノクローナル抗体の型で単離される。Ztgfβ−9に対
する抗体は、前記タンパク質を発現する細胞を標識するために、親和性精製のた
めに、診断的なアッセイにおいて可溶性タンパク質ポリペプチドの循還レベルを
決定するためにそして、in vitro及びin vivoでのリガンド結合
及びシグナル伝達を防ぐためのアンタゴニストとして使用することができる。
【0152】 放射線ハイブリッドマッピングは、哺乳類の染色体の高い解像度の、隣接した
マップのために開発した体細胞の遺伝的技術である〔Cox et al., Science 250
: 245-250 (1990)〕。遺伝子配列の部分的又は完全な知識は、染色体の放射線ハ
イブリッドマッピングパネルとの使用に適したPCRプライマーの設計をするこ
とができる。ヒトゲノム全体を覆う市販の放射線ハイブリッドマッピングパネル
、例えばスタンフォードG3RHパネル及びGeneBridge4RHパネル
(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL )が入手可能である。これらのパ
ネルは、素速い、PCRに基づいた、染色体の局在、そして遺伝子、配列標識部
位(sequence−tagged site)(STS)、並びに注目の領
域内の、他の非多型性及び多型性マーカーの順序決定を可能にする。このことは
、注目の新規に発見した遺伝子と、既にマッピングされたマーカーとの間の、直
接的な比率の物理的距離の確立を含む。遺伝子の位置の正確な知識は、1)配列
が、存在しているコンティグの一部であるかどうかを決定し、そして様々な型、
例えばゲノムYAC−、BAC−又はファージゲノムのクローンあるいはcDN
Aクローンでの、追加の周りの遺伝的配列を得て、2)同一の染色体領域に対し
て連鎖を示す、遺伝しない疾患の可能性のある候補遺伝子を提供し、そして3)
モデル生物、例えば特定の遺伝子がどの様な機能を有するかを決定することを助
けるのに有用なマウスと相互参照することを含む、いくつかの方法において有用
であることがある。
【0153】 本発明は更に、診断的な適用における使用を見出す試薬を提供する。例えば、
前記のZtgfβ−9遺伝子は、染色体13q11.2−q11にマッピングさ
れた。Ztgfβ−9の核酸プローブは、第13染色体の異常を調べるために使
用することができる。例えば、Ztgfβ−9のDNA又はRNAあるいはその
一部を含んで成るプローブは、Ztgfβ−9がヒト染色体13q11.2−q
11上に存在するか又は変異が起きたかを決定するために使用することができる
。Ztgfβ−9遺伝子の遺伝子座の、検出可能な染色体異常は、限定しないが
、異数性、遺伝子のコピー数の変化、挿入、欠失、制限部位の変化及び再編成を
含む。その様な異常は、分子遺伝学的な技術、例えば制限断片長多型(RFLP
)解析、ショートタンデムリピート(Short tandem repeat (STR))解析を利用す
るPCR技術、及び当業界で知られている他の遺伝子連鎖解析を利用することに
よって、本発明のポリペプチドを用いて検出することができる。ヒトZtgfβ
−9は13q11.2−q11領域にマッピングされている。マウスZtgfβ
−9は、それぞれ22.0と19.5センチモルガンに位置するマウスの第14
染色体骨格マーカーd14mit64及びdmit82にマッピングされている
。前記の19.5cm領域は、ギャップ結合遺伝子gja3及びgjb2を含む、
ヒトの遺伝子座と相同性があるようである。Mignon, C. et al., Cytogenet. Ce
ll Genet. 72 : 185-186 (1996)を参照のこと。
【0154】 本発明は、次の限定しない例によって更に例示される。
【0155】例1 Ztgfβ−9のクローニング ヒトZtgfβ−9は、配列番号6及び7を用いるPCRスクリーニングによ
って整列した下垂体cDNAプラスミドライブラリーから単離した。サーマルサ
イクラーの条件は、以下の通りとした:94℃、3分間(1周期)、94℃、3
秒間(35周期)、62℃、20秒間、72℃、30秒間、72℃、5分間(1
周期)、そして4℃で保持した。反応は、ポジティブなプールを同定するために
ゲル電気泳動し、そしてこの方法において、前記ライブラリーはポジティブなク
ローンのプールに減らされた。これらを、E.コリDH10B細胞にエレクトロ
ポレーションし、そしてコロニーハイブリダイゼーションのために蒔いた。コロ
ニーは、Hybond Nフィルター(Amersham)に移され、そしてポジティブ
なコロニーが探索された。ポジティブなクローンは、完全長のZtgfβ−9の
ために配列決定した。
【0156】 前記のヒトZtgfβ−9cDNA(配列番号1及び16)の配列解析及び概
念翻訳は、長さが202アミノ酸残基の生成物を予想する。このタンパク質は、
IL−17ファミリーの2つのメンバーZcyto7(国際出願番号PCT/U
S98/08212)、及びIL−17と相同性がある。Ztgfβ−9は、L
asergene MegAlignソフトウェアを用いるClustal法で
決定した場合に、Zcyto7と27.8%のアミノ酸同一性及びIL−17と
20.6%の同一性を共有する。Higgins and Sharp, CABIOS 5 : 151 (1989)を
参照のこと。特に、Ztgfβ−9は、Zcyto7及びIL−17と、4つの
保存されたシステイン(配列番号2のアミノ酸残基114,119,167,1
69)を共有する。これらのシステインは、TGF−βタンパク質に見られるも
のに関するシステインの結び目様タンパク質の折りたたみを形成するのに関与し
ていることが予想される。
【0157】例2 Ztgfβ−9のノーザンブロット解析 組織分布の解析は、2つの成人及び胎児のヒトの脳のブロット、Clontech社(
Palo Alto, CA)のヒトの複数の組織及びマスタードットブロットを用いる、ノー
ザンブロット技術によって行った。プローブは、cDNAプールの配列番号6及
び7を用いたPCRによって得た。サーマルサイクラーの条件は以下の通りとし
た:94℃、3分間(周期)、94℃、10秒間(35周期)、66℃、20秒
間、72℃、30秒間、72℃、5分間(1周期)、そして4℃で保持した。反
応混合物は、調製済みのアガロースゲルで電気泳動され、そして162bpのフラ
グメントを、市販のゲル精製試薬及びプロトコール(QIAEX IIゲル抽出キ
ット;Qiagen, Inc., Santa Clarita, CA)を用いてゲル精製した。精製したDN
Aは市販のキット(Rediprime DNA標識システム;Amersham Corp.
, Arlington Heights, IL)を用いて、32Pで放射性標識した。前記のプローブ
は、NUCTRAPプッシュカラム(Stratagene Cloning Systems, La Jolla,
CA)を用いて精製した。EXPRESSHYB(Clontech, Palo Alto, CA)溶液
は、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションに使用した。ハイ
ブリダイゼーション溶液は、8mlのEXPRESSHYB、80μlの剪断した
サケの***DNA(10mg/ml,5Prime−3Prime,Boulder
, CO)、48μlのヒトCot−1DNA(1mg/ml,Gibco BRL
)及び18μlの放射性標識したプローブから成る。次に、50℃で行ったハイ
ブリダイゼーション及びブロットは、室温の2×SSC,0.1%SDS、その
後、60℃の2×SSC,0.1%SDS、更に60℃の0.1×SSC、0.
1%SDSで洗浄した。前記ブロットは一晩暴露し、そして展開した。主要な転
写のシグナルは、脳及び脊髄のMTNブロット上で観察された。
【0158】 マスタードットブロットのシグナルは、全ての脳組織(成人及び胎児)、脊髄
、心臓、骨格筋、胃、膵臓、副腎、唾液腺、肝臓、小腸、骨髄、胸腺、脾臓、リ
ンパ節、心臓、甲状腺、気管、精巣、卵巣及び胎盤で強力であった。
【0159】例3 マウスZtgfβ−9のクローニング 完全長の配列を、整列したマウスの精巣cDNA/プラスミドライブラリーか
ら得た。前記ライブラリーを、配列番号10及び11のオリゴヌクレオチドを用
いるPCRによってスクリーニングした。前記ライブラリーは、250個のクロ
ーンのポジティブなプールに減らされた。E.コリDH10B細胞(Gibco
BRL)を、エレクトロポレーションによって、このプールで形質転換した。
形質転換した培養物を滴定し、そして〜20細胞/穴で96穴プレートに配置し
た。前記細胞を、37℃で一晩、LBamp中で生育した。前記細胞のアリコー
トを沈澱させ、そしてポジティブなプールを同定するためにPCRを使用した。
ポジティブなプール由来の残りの細胞を蒔き、そしてコロニーを、ポジティブな
クローンを同定するためのPCRによってスクリーニングした。前記のクローン
を配列決定し、そしてそれらは予想される完全長のマウスZtgfβ−9の配列
を含んでいた。マウスのZtgfβ−9の配列は、配列番号8及び9に定義する
【0160】例4 マウスZtgfβ−9のノーザンブロット解析 ノーザンブロット解析は、マウスMTN及びマスタードットブロット(Clo
ntech)及びマウスの胚のブロットで行った。完全長のマウスZtgfβ−
9のcDNAクローン(クローニングの項を参照のこと)を、標準的なプロトコ
ールに従い、ApaI及びEcoRIで制限分解した。反応物をゲル電気泳動し
、そして〜686bpのフラグメントは、QiaexIIゲル精製キット(Qiagen,
Valencia, CA)を用いてゲル精製した。前記のcDNAを、Rediprime
II標識キット(Amersham)を用いてP32標識し、そして前述した試薬
及びプロトコールを用いてカラム精製した。ハイブリダイゼーション、洗浄、及
び検出は、例2に記載の条件下で行った。バンドは、心臓、脳、肺、肝臓、骨格
筋、腎臓及び精巣で観察された。前記のマスタードットブロットは、甲状腺で強
力なシグナルを持ち、多くの他の組織においてそれより薄いシグナルだった。マ
ウスの胚のブロットに対するハイブリダイゼーションは、Ztgfβ−9が試験
した全ての時期(7,11,15、及び17日目の胚)で発現したことを示した
【0161】 定量的PCRによって、マウスZtgfβ−9は、HCL視床下部細胞系にお
いて高度に発現し、そしてGT1−1及びGT1−7視床下部細胞系及び末分化
のP19奇形がん腫細胞系では低レベルであった。定量的RT−PCRを用いて
、マウスZtgfβ−9が、海馬の小脳及び嗅覚皮質のニューロンで検出され、
プルキンエ細胞及び他の神経群は、脳の切片において重度に標識された、脈絡叢
の内皮は、更に重度にポジティブであった。脊髄において、標識は、灰色質に限
定され、そして感覚及び運動神経を代表する後角及び前角神経に均一にみられる
ことが明らかとなった。強力な発現は、後根神経節でも観察された。
【0162】例5 抗体の生成 配列番号13,14及び15のポリペプチドを合成し、そしてウサギに注射し
、そして次に、ポリクローナル抗血清を、同族の抗原を用いるカラムクロマトグ
ラフィーによって親和性精製した。更に、マルトース結合タンパク質のC末端に
融合した完全長のヒトとマウスの、Ztgfβ−9融合タンパク質を、E.コリ
で発現させ、そしてアミロース樹脂上でのアフィニティークロマトグラフィーに
よって精製した。精製したタンパク質をウサギに注射し、そして次に、ポリクロ
ーナル抗血清を、同族の免疫原を用いるカラムクロマトグラフィーによって親和
性精製した。
【0163】例6 免疫細胞化学 例5の手順に従い生成した、ヒトZtgfβ−9に対する、親和性精製したポ
リクローナル抗体を、標準的なCOS細胞及びZtgfβ−9の哺乳類細胞発現
コンストラクトでトランスフェクションしたCOS細胞上で確認した。抗Ztg
fβ−9抗体で行った免疫細胞化学は、サルの脳及び脊髄におけるZtgfβ−
9の発現を示した。前記の免疫細胞化学の染色は細胞質内であり、そして多くの
巨大なニューロン及びプルキンエ細胞で観察された。ヒトの十二指腸に散在する
上皮細胞も、ポジティブな染色を示した。
【0164】例7 哺乳類細胞のタンパク質生成 C末端に、Glu−Gluアフィニティータグ〔Grussenmeyer et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 82 : 7952-4 (1985)〕を持つヒトZtgfβ−9タンパ
ク質、及び持たないものを、共にBHK細胞で発現させ、ここでは、Ztgfβ
−9の発現が、CMV最初期プロモーター、マウスの免疫グロブリンの重鎖の位
置の可変領域由来の共通イントロン、コード配列の挿入のための複数の制限部位
、終止コドン及びヒトの成長ホルモンのターミネーターによって進められる、発
現ベクターを用いる。前記プラスミドは更に、E.コリの複製起点、複製のSV
40プロモーター、エンハンサー及び起点を有する哺乳類の選択マーカー発現単
位、DHFR遺伝子並びにオープンリーディングフレームの5’末端のSV40
ターミネーター及びKozac配列を有する。
【0165】 安定な細胞のトランスフェクタントの選択の後、プールから回収した培地を、
Ztgfβ−9抗体又は抗EEエピトープタグ抗体を用いて、還元及び非還元条
件下で、ウエスタンブロットによる解析を行った。ヒトZtgfβ−9は、還元
条件下で、29KDa に移動することが明らかになった。前記タンパク質の完全に
プロセシングされた型の予想される分子量が20.31KDa であるので、このこ
とは、前記タンパク質が2つの潜在的なグリコシル化部位の1又は両方でグリコ
シル化されていることを示している。非還元条件下で、Ztgfβ−9タンパク
質は49KDa の位置に移動した。これらの結果は、ヒトZtgfβ−9が、ジス
ルフィド架橋したホモ二量体を形成することができることを示している。しかし
、C末端にEEタグを有するヒトZtgfβ−9及びタグのないヒトZcyto
7の同時発現、続く抗EEタグ抗体を用いる親和性精製が、両方のタンパク質の
同時精製をもたらし、このことはZtgfβ−9のホモ二量体に加えて、Ztg
fβ−9及びZcyto7も二量体化することができることを示した。Ztgf
β−9とZcyto7との相互作用は、前記タンパク質間の、鎖間のジスルフィ
ド結合に起因するものではないようである。BHK細胞で発現した、C末端にE
Eタグを持つヒトZtgfβ−9は、更に抗EE親和性精製され、そしてそのN
末端の配列が決定された。シグナル開裂部位は、アミノ酸A23まで進行して起
こったことが見出された。
【0166】例8 トランスジェニックマウス 完全長のマウスZtgfβ−9をコードするオープンリーディングフレームを
、最適化した開始コドンを導入するようにPCRによって増幅し、そしてZtg
fβ−9の発現がメタロチオネインIプロモーターによって調節される、トラン
スジェニックベクターに導入した。導入遺伝子の挿入物は、NotI分解及びア
ガロースゲル精製によってプラスミド主鎖から分離し、そしてB6C3F1Ta
cマウスの交配由来の受精した卵子を、マイクロインジェクションし、そして偽
妊娠の雌に移植した。創始者は、ゲノムのカルボキシル末端のDNA上のPCR
によって同定した(DNAeasy 96 キット;Qiagen)。トランス
ジェニック系は、C57BL/6Tacマウスと創始者を繁殖させることで開始
した。この研究で使用した動物のプロトコールは、ZymoGenetics Institutional
Animal Care及びUse Committee によって改良された。49の子孫の出産から、
8%のみが、トランスジェニックであることがわかり(前記の同一のプロモータ
ーによって進んだ、様々な他のcDNAで観察された平均20%と比較した結果
)、このことはマウスZtgfβ−9の高い発現が、胎児期に死に至らせること
を示している。これと一致して、同定した4匹の創始者の全てが、肝臓でZtg
fβ−9mRNAをわずかに低レベル発現した。5匹目の創始者は出産時に死亡
し、そして興味深いことに、この動物は肝臓でZtgfβ−9mRNAを非常に
高レベルで発現した(8500コピー/細胞)。この動物の組織病理学的な解析
は、胸腺の深刻なアポトーシス及び褐色脂肪の完全な脈管遮断を同定した。発現
している雄は、野生型の雌と繁殖させた。ある創始者は、生殖系列の伝達が可能
であったが、この創始の全てのトランスジェニックな子孫が、出産時に死亡する
か、又は離乳後すぐに萎縮してそして死亡するかのいずれかであった。これらの
動物の解析は、深刻な胸腺のアポトーシス、褐色脂肪の脈管遮断、肝炎、及び少
ないリンパ球の末梢血球数を含む、様々な表現型を同定した。これらの結果は、
Ztgfβ−9、そのアゴニスト及びアンタゴニスト、並びにZtgfβ−9に
対する抗体が、免疫細胞、脂肪生成、及び肝細胞の調節に有用であることを示し
ている。
【0167】例9 染色***置 ヒトZtgfβ−9は、2つの放射線ハイブリッドパネル上で、染色体13q
11.2にマッピングがされた。マウスのZtgfβ−9遺伝子は、それぞれ2
2.0及び19.5センチモルガンに位置する、第14染色体の骨格マーカーd
14mit64及びdmit82に連結している。
【0168】例10 Ztgfβ−9によるアデノウイルスの増殖阻害 ヒト及びマウスのZtgfβ−9のコード領域は、アデノウイルスシャトルベ
クター内にクローン化され、そして組換えられて、組換えアデノウイルスゲノム
を生成した。293A細胞へのZtgfβ−9アデノウイルスゲノムのトランス
フェクションは、非常に小さいウイルスのプラークをもたらした(トランスフェ
クション当たり1又は2個のプラークと少ない)。これらのプラークは、サイズ
が大きくならなかった。通常、プラークはウイルスの複製時に、1〜2日の周期
にわたりサイズが大きく広がる。前記の小さいプラークを採集し、そして我々は
293A細胞を感染させて、前記のウイルスを広げることに挑戦した。感染した
単層は、再び非常に少ないプラークを示し、そして前記のプラークはサイズも小
さかった。これらのプラークは時間が達ってもサイズが広がらなかった。前記の
ウイルスを増幅させる試みを2〜3回繰り返した後、最終的に、我々は素速く増
殖するウイルス群を得た。この増幅から生じるウイルスは、更にZtgfβ−9
の配列を含んでいる。しかし、これらのウイルスによる細胞の感染は、タンパク
質の関連をもたらさなかった。マウス及びヒト、両方のZtgfβ−9を含むウ
イルスの最初の挙動は、我々が見つけた他のいずれのcDNAのものとも異なっ
ている。明らかに、ウイルスの複製は阻害された。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 25/02 A61P 25/28 25/16 31/12 25/28 C07K 14/47 31/12 16/18 C07K 14/47 16/42 16/18 C12N 15/00 ZNAA 16/42 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA ,ZW (72)発明者 タフト,デビッド ダブリュ. アメリカ合衆国,ワシントン 98102,シ アトル,イースト ニュートン ストリー ト 264,アパートメント シー (72)発明者 フォレー,ケビン ピー. アメリカ合衆国,ワシントン 98102,シ アトル,ボーイルストン アベニュ イー スト 605 #206 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA80 CA04 DA02 EA02 GA12 4C084 AA02 AA06 AA13 BA01 CA53 CA56 CA59 NA14 ZA02 ZA16 ZA20 ZA94 ZB33 ZC78 4C085 AA13 AA14 BB11 CC04 DD22 DD23 DD43 DD86 EE01 EE06 FF24 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 EA21 EA22 EA28 FA72 FA73 FA74 HA05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2,3,4,5,9,12,13,14,15,1
    7,18,19,20,21及び22から成る群から選択される1又は複数のア
    ミノ酸配列に少なくとも90%同一である、アミノ酸配列を含んで成るポリペプ
    チドをコードする単離したポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 前記のポリヌクレオチドが、配列番号2,3,4,5,9,
    12,17及び18から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド
    をコードする、請求項1に記載の単離したポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2,3,4,5,13,
    14,15,17,18,19,20,21及び22から成る群から選択される
    アミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請求項1に記載の単離し
    たポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号2,3,4及び5から成
    る群から選択されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドをコードする、請求
    項3に記載の単離したポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号1及び9から成る群から
    選択される、請求項1に記載の単離したポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 アミノ酸配列が、配列番号2,3,4,5,9,12,13
    ,14,15,17,18,19,20,21及び22から成る群から選択され
    るアミノ酸配列に、少なくとも90%同一である、アミノ酸配列を含んで成る単
    離したポリペプチド。
  7. 【請求項7】 配列番号2,3,4,5,9,12,13,14,15,1
    7,18,19,20,21及び22から成る群から選択されるアミノ酸配列を
    含んで成る、請求項6に記載の単離したポリペプチド。
  8. 【請求項8】 前記アミノ酸配列が、配列番号2,3,4,5,9及び12
    から成る群から選択される、請求項6に記載の単離したポリペプチド。
  9. 【請求項9】 前記アミノ酸配列が、配列番号2,3,4及び5から成る群
    から選択される、請求項6に記載の単離したポリペプチド。
  10. 【請求項10】 配列番号2,3,4,5,9,12,13,14,15,
    17,18,19,20,21及び22から成る群から選択されるアミノ酸配列
    を含んで成るポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  11. 【請求項11】 請求項12に記載の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体
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