JP2002513916A - 単層を利用する被検体の電子的検出方法 - Google Patents

単層を利用する被検体の電子的検出方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、伝導オリゴマーおよび絶縁体の混合物を有する自己集合単層を使用する、標的被検体の電子的検出に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、1998年5月6日付け米国特許出願番号60/084,652、
1998年5月6日付け60/084,509、および1998年8月17日付
け09/135,183の継続出願である。
【0002】 発明の分野 本発明は、標的被検体を検出するための伝導性オリゴマーと絶縁体との混合物
を有する自己集合単層の使用に関する。
【0003】 発明の背景 液体または気体中の特異的な物質の存在および/または濃度を検出することに
ついては、多くのアッセイまたはセンサーがある。これらの多くは、検出のため
のメカニズムとして特異的な配位子/抗配位子の反応によっている。すなわち、
対の物質(即ち、結合対や配位子/抗配位子)は、互いに結合するが、他の物質
とはほとんどまたはまったく結合しないことが分かっている。多くの技術におい
て複合体の検出にこれらの結合対が使用されてきた。一般的にこれらの方法は、
複合体の1つの成分をなんらかの方法、例えば、放射性同位体、蛍光物質および
他の光学活性分子、酵素などを用いて標識し、複合体全体を検出可能にして実施
される。
【0004】 他のアッセイは検出に電子的シグナルを用いる。とくに興味深いのはバイオセ
ンサーである。少なくとも2種のバイオセンサーが知られている。それらは酵素
をベースとするかまたは代謝性のバイオセンサー、および結合性またはバイオ親
和性センサーである。例えば、米国特許4,713,347; 5,192,507; 4,920,047; 3,8
73,267およびこれらの特許に開示の文献参照。これらの既知センサーのいくつか
は交流電流(AC)技術を利用しているが、この技法は、バルク(または誘導)イ
ンピーダンスの相違を検出することに限定される。
【0005】 生体分子の結合と検出のために、表面に自己集合した単層(SAM)を使用す
ることは最近探究はじめている。例えば、WO98/20162、PCT/US
98/12430;PCT/US98/12082;PCT/US99/017
05;およびUSP5,620,850、およびそれらの引用文献参照。
【0006】 したがって、自己集合単層を用いて標的被検体を電子的に検出する新規な方法
および組成物を提供することが本発明の目的である。
【0007】 本発明の要約 上に概説した目的に従って、本発明は伝導性オリゴマーを含む単層(単分子層
、monolayer)と捕獲結合リガンドを含む電極を含む組成物を提供する。該組成物
はさらに少なくとも1つの共有結合により付着した電子伝達部分と、標的被検体
に結合する溶液結合リガンドを含むリクルートリンカーを含む。
【0008】 さらなる態様において、本発明はテストサンプル中の標的被検体を検出する方
法であって、伝導性オリゴマーの単層を含む電極に、捕獲結合リガンドへの結合
を介して、当該標的被検体を付着させることを含む方法を提供する。リクルート
リンカー、またはシグナル運搬体は直接または間接に標的被検体に付着し、アッ
セイ複合体を形成する。本発明はさらに当該ETMと当該電極間の電子伝達を検
出することを含む。 本方法の組成物を含むキットおよび装置も提供される。
【0009】 本発明の組成物を含むキットおよび装置も提供される。
【0010】 発明の詳細な説明 本発明は被検体の電子的検出に関する。これまでの研究は、PCT US97/
20014に記載のように、核酸の検出に関するものであり、伝導性オリゴマー
、すなわち化学的“ワイヤー”、を用いて電極に共有結合させた核酸を利用する
ものであった。電子伝達部位(ETM)を含む2重鎖核酸を形成させて、ヘテロ環
塩基の積重“π軌道”を介する電極への電子伝達が起こり、その結果、標的配列
の検出を可能とする。積重π軌道がない場合、すなわち標的鎖がない場合は電子
伝達はごく僅かであり、従ってこのシステムをアッセイとして使用することがで
きる。この以前の研究では、自己集合単層(SAM)の使用が、電極を溶液成分
から電子的に遮蔽し、電極への非特異結合量を有意に減少させることを報告した
【0011】 本発明は、単層が伝導性オリゴマー(好ましくは伝導性オリゴマーおよび絶縁
体の混合物)を含む場合、単層の表面でETMの存在または不存在が直接検出し
得るという発見に向けられたものである。従って、例えば、標的が核酸である場
合、それはETMからの電子が、シグナルを生成するために、積重したπ軌道中
を移動する必要のないものである。代りに、伝導性オリゴマーを含む、SAM表
面上のETMの存在を直接検出し得る。このように、標的被検体の表面上の結合
種への結合により、ETM含有のリクルートリンカーがその表面にもたらされ、
ETM検出が進み得る。従って、標的被検体および結合種の役割は、表面にET
Mリクルートの特異性を提供することであり、それらは電極を用いて検出するこ
とができる。理論でくくらない1つの可能なメカニズムは、伝導性オリゴマーを
含むSAMの役割は、電極の電子表面を“励起する”ことであり、一方で溶液成
分から電極を遮蔽することの利益は変わりなく提供し、電極への非特異結合量を
減少させることである。
【0012】 本発明は、以下のように図面に描出した多くの可能な態様と共に、一般的に説
明することができる。好適な態様において、図2に描出したように、伝導性オリ
ゴマーの自己集合単層(SAM)、好ましくは伝導性オリゴマーと絶縁体の混合
物、および共有結合により付着した標的被検体結合リガンド(多くの場合本明細
書では“捕獲結合リガンド”という)を含む電極が作製される。標的被検体が添
加され、それが支持体に結合した結合リガンドに結合する。溶液結合リガンドが
付加されるが、それは第一結合リガンドと同一であっても異なっていてもよく、
また、標的被検体に結合して“サンドイッチ”様のものを形成するものでもよい
。溶液結合リガンドはETM含有のリクルートリンカーを含むか、またはETM
含有のリクルートリンカーに直接もしくは間接に結合する部分を含む。この単層
表面へのETMの“リクルート”は、ETMと電極間の電子伝達を介して電子検
出を可能とする。標的被検体が存在しないと、リクルートリンカーは洗い流され
るか、または検出を可能とするほど表面に十分接近した位置にはない。
【0013】 別の好適な態様においては、図4に描出したように、競合結合型アッセイが実
施される。この態様において、サンプル中の標的被検体は、下記説明のように、
また、技術上一般に知られているように、標的被検類似体に置換えられる。類似
体は少なくとも1つのETMを含む、直接または間接に付着したリクルートリン
カーを含む。捕獲結合リガンドに類似体を結合させることは、ETMをその表面
に採り入れ、ETMと電極間の電子伝達に基づく検出を可能とする。
【0014】 さらなる好適な態様は、図4Bに描出したような、競合アッセイであって、そ
こでは標的被検体と表面に付着した標的被検類似体とが、直接または間接に付着
したリクルートリンカー保持溶液結合リガンドとの結合に向かって競合する。こ
の場合に、シグナルの喪失が見られることがある。
【0015】 したがって、本発明は、標的被検体の検出に有用な方法と組成物を提供する。
本明細書において“標的被検体”または“被検体”または文法上の等価物とは、
検出すべき、また、下記定義の結合種に結合し得る分子または化合物を意味する
。適切な被検体は、これらに限定されるものではないが、環境上または臨床上の
化学物質などの小型の化学分子、または汚染物質または生体分子、例えば、これ
らに限定されるものではないが、殺菌剤、殺虫剤、毒素、治療上のおよび乱用さ
れる薬物、ホルモン、抗生物質、抗体、有機物質などを含む。適切な生体分子は
、これらに限定されるものではないが、タンパク質(酵素、免疫グロブリンおよ
び糖タンパク質を含む)、核酸、脂質、レクチン、炭水化物、ホルモン、全細胞
(原核(病原性バクテリアなど)および真核細胞、哺乳動物腫瘍細胞を含む)、
ウイルス、胞子などを含む。特に好適な被検体は酵素を含むタンパク質、薬物、
細胞、抗生物質、抗原、細胞膜抗原および受容体(神経性、ホルモン性、栄養物
、および細胞表面受容体)またはそれらのリガンドなどである。
【0016】 本明細書において“タンパク質” または文法上の等価物とは、タンパク質、
オリゴペプチドおよびペプチドならびに類似体を意味し、非天然産のアミノ酸お
よびアミノ酸類似体を含むタンパク質およびペプチド模倣構造体を包含する。
【0017】 当業者には明らかなように、本方法を用いることで極めて多種類の被検体を検
出し得る;基本的には、下記説明の結合リガンドを作製し得る標的被検体はすべ
て本発明の方法を用いて検出し得る。
【0018】 本明細書で「核酸」または「オリゴヌクレオチド」またはそれらと均等内容の
語は、一緒に共有結合されている少なくとも2個のヌクレオチドを意味する。本
発明の核酸は一般にホスホジエステル結合を含むが、場合によっては、下記で概
説されている通り、交互のバックボーンを有し得る核酸類似体が含まれ、例えば
ホスホルアミド(Beaucageら、Tetrahedoron 49(10):1925(199
3)およびそれに記載された参考文献、Letsinger, J. Org. Chem. 35:38
00(1970)、Sprinzlら、Eur. J. Biochem. 81:579(1977)、
Letsingerら、Nucl. Acids Res. 14:3487(1986)、Sawaiら、Chem.
Lett. 805(1984)、Letsingerら、J. Am. Chem. Soc. 110:44
70(1988)、およびPauwelsら、Chemica Scripta 26:141 9198
6))、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res. 19:1437(1
991)、および米国特許第5644048号)、ホスホロジチオエート(Briu
ら、J. Am. Chem. Soc. 111:2321(1989)、O−メチルホスホルア
ミダイト連鎖(Eckstein、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Appr
oach、オクスフォード・ユニバーシティー・プレス参照)、およびペプチド核酸
バックボーンおよび連鎖(Egholm、J. Am. Chem. Soc. 114:1895(19
92)、Meierら、Chem. Int. Ed. Engl.、31:1008(1992)、Niels
en、Nature、365:566(1993)、Carissonら、Nature 380:20
7(1996)参照、これら全てを引用して説明の一部とする)が含まれる。他
の類似核酸には、正のバックボーン(Denpcyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、
92:6097(1995))、非イオン性バックボーン(米国特許第5386
023,5637684,5602240,5216141および4469863
号、Kiedrowshiら、Angew. Chem. Intl. Ed. English、30:423(1991
)、Letsingerら、J. Am. Chem. Soc.、110:4470(1988)、Letsin
gerら、Nucleoside & Nucleotide、13:1597(1994)、2および3章
、ASCシンポジウムシリーズ580、“Carbohydrate Modifications in Anti
sense Research”、Y.S. SanghuiおよびP. Dan Cook編、Mesmaekerら、Bioorgan
ic & Medicinal Chem. Lett.、4:395(1994)、Jeffsら、J. Biomolec
ular NMR、34:17(1994)、Tetrahedron Lett.37:743(199
6))および非リボースバックボーンを伴うもの、例えば米国特許第52350
33および5034506号、および6および7章、ASCシンポジウムシリー
ズ580、“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”、Y.S. San
ghuiおよびP. Dan Cook編記載のものがある。また、1個またはそれ以上の炭素
環状糖類を含む核酸も核酸の定義内に含まれる(Jenkinsら、Chem. Soc. Rev.(
1995)169−176頁参照)。幾つかの核酸類似体は、Rawls、C & E New
s 1997年6月2日号、35頁に報告されている。これらの参考文献は全て特
に引用して説明の一部とする。リボース−リン酸バックボーンにこれらの修飾を
加えることにより、ETMの付加が簡易化され、または生理学的環境における上
記分子の安定性および半減期が増加され得る。
【0019】 当業界の技術者が認めるように、これらの核酸類似体は全て本発明で使用され
得る。さらに、天然に存する核酸および類似体の混合物が製造され得る。例えば
、伝達性オリゴマーまたはETM結合部位では、類似構造が使用され得る。別法
として、異なる核酸類似体の混合物、および天然核酸および類似体の混合物も製
造され得る。
【0020】 特に好ましいのは、ペプチド核酸類似体を含むペプチド核酸(PNA)である
。天然に存する核酸の高荷電ホスホジエステルバックボーンとは対照的に、これ
らのバックボーンは中性条件下では実質的に非イオン性である。これによって、
2つの利点が得られる。まず、PNAバックボーンは、改善されたハイブリダイ
ゼーション速度論を呈する。PNAは、誤対合対完全適合塩基対において融解温
度(Tm)のより大きな変化を有する。DNAおよびRNAは、内部誤対合の場
合典型的にはTmの2−4℃降下を呈する。非イオン性PNAバックボーンの場
合、降下は7−9℃に近い。同様に、それらの非イオン的性質故に、これらのバ
ックボーンに結合された塩基のハイブリダイゼーションは、塩濃度に対して比較
的非感受性である。還元塩ハイブリダイゼーション溶液は、生理学的塩溶液より
も(150ミリモルの範囲で)低いファラデー電流を有するため、これは本発明
のシステムでは特に有利である。
【0021】 核酸は、明記されている通り1本または2本鎖であるか、または2本鎖または
1本鎖の両配列の一部を含み得る。核酸は、DNA、ゲノム性およびcDNAの
両方、RNAまたはハイブリッドであり得、その場合核酸はデオキシリボ−およ
びリボ−ヌクレオチドの任意の組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン
、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン
、イソグアニンなどを含む塩基の任意の組み合わせを含む。好ましい態様は、米
国特許第5681702号で総括的に記載されている通り、非特異的ハイブリダ
イゼーションを低減化するために、標的配列ではなく、他のプローブと相補的に
なるように設計された核酸においてイソシトシンおよびイソグアニンを用いる。
ここで使用されている、「ヌクレオシド」の語は、ヌクレオチド並びにヌクレオ
シドおよびヌクレオチド類似体、および修飾ヌクレオシド、例えばアミノ修飾ヌ
クレオシドを包含する。さらに、「ヌクレオシド」は、非天然的類似構造を包含
する。すなわち、例えば各々塩基を含む、ペプチド核酸の個々の単位は、ここで
はヌクレオシドと称される。
【0022】 ある実施態様において、核酸標的被検体は好ましくない。
【0023】 当業界の技術者が認めるであろうように、本発明の方法を用いて、非常に多く
の被検体を検出することができる;基本的に、下記で調製し得る結合配位子など
のいかなる標的被検体をも、本発明の方法を用いて検出することができる。
【0024】 従って、本発明は標的被検体の検出に有用な方法および組成物を提供する。好
ましい実施態様として、組成物は単層を含む電極を含む。本明細書での“電極”
は、電子装置に接続したとき、電流または電荷を感知し、それをシグナルに変換
し得る構成物を意味する。このように、電極とは本明細書に記載のETMである
。好適な電極は技術上既知であり、これらに限定されるものではないが、ある種
の金属およびその酸化物、例えば、金、白金、パラジウム、シリコン、アルミニ
ウム;金属酸化物電極、例えば、酸化白金、酸化チタン、酸化スズ、酸化スズイ
ンジウム、酸化パラジウム、酸化けい素、酸化アルミニウム、酸化モリブデン(
Mo26)、酸化タングステン(WO3)および酸化ルテニウム;および炭素(
ガラス状電極、黒鉛およびカーボンペースト)などを包含する。好適な電極は金
、けい素、炭素および金属酸化物電極などであり、金が特に好ましい。
【0025】 本明細書に記載の電極は平らな表面として図示しているが、これは電極の可能
な一形状であって、図式化を目的とするのみのものである。電極の形状は使用さ
れる検出法により変わる。例えば、平面状の電極は光検出法に好適であり、ある
いは合成および検出のために処理可能な位置を必要として連なった核酸を調製す
る場合に好適である。あるいは、伝導性オリゴマーと内部表面に結合した核酸を
含んでなるSAMの場合には、単一プローブ分析のために、電極をチューブの形
状とすることができる。これは少容量のサンプルに露出すべき核酸の表面積を最
大とするのを可能にする。
【0026】 検出電極は伝導性オリゴマーを含む単層を含む。本明細書での“単層”または
“自己集合単層”または“SAM”とは、表面上に自動的に化学吸着した分子の
比較的秩序だった集合体を意味し、そこでは分子が互いに略平行に、かつ、表面
に対し大まかに垂直に方向づけられている。分子それぞれは官能基を含み、それ
が表面に接着し、また、一部が単層中の隣接する分子と相互作用し、比較的秩序
だった配列を形成する。“まじりあった”単層は不均質の単層からなるが、すな
わち、そこでは少なくとも2つの異なる分子が単層を作り上げている。SAMは
伝導性オリゴマーのみであっても、あるいは伝導性オリゴマーと絶縁体の混合物
であってもよい。本明細書に概説するように、単層の使用が、生体分子の表面へ
の非特異的結合の量を減少させ、核酸の場合、オリゴヌクレオチドと電極の距離
に応じてオリゴヌクレオチドのハイブリッド形成効率が増化する。このように、
単層は電極表面から離れている標的被検体の維持を容易にする。さらに、単層は
電極表面から離れている荷電種を保持するのに役立つ。このように、この層は電
極とETM間または電極と溶媒内の荷電種間の電気的接触を防止するのに役立つ
。かかる接触はサンプル内に存在する可能性のある荷電種を介して、直接の“短
絡”または間接の短絡に至る。したがって、単層は、好ましくは電極表面上の均
一層にきっちりと詰込み、“ホール”が存在するのを最少にする。このように、
単層は電極への溶媒接近をブロックする物理的障壁として作用する。
【0027】 好適な態様において、単層は伝導性オリゴマーを含んでなる。本明細書におい
て“伝導性オリゴマー”は実質的に伝導性のオリゴマーを意味し、好ましくは線
状であり、そのある態様では文献上“分子線”という。本明細書において“実質
的に伝導性”とは該オリゴマーが100Hzで電子を移動し得ることを意味する
。一般に、伝導性オリゴマーは、伝導性オリゴマーの単量体単位間のように、実
質的に重なり合うπ−軌道、すなわち、共役π−軌道を有するが、伝導性オリゴ
マーは1つ以上のシグマ(σ)結合をも含んでいる。さらに、伝導性オリゴマー
は会合したETMへの電子の注入またはETMからの受け入れ能力によって機能
的に定義することもできる。さらに、伝導性オリゴマーは本明細書に定義した絶
縁体よりもより伝導性である。さらに、本発明の伝導性オリゴマーは電気活性ポ
リマーとは区別すべきもので、これはそれ自体で電子を供与または受容できるも
のである。
【0028】 好適な態様において、伝導性オリゴマーは約10-6ないし104Ω-1cm-1
伝導性Sを有し、好ましくは約10-5ないし103Ω-1cm-1であって、これら
のS値は約20Åないし約200Åの範囲の分子から計算される。以下に記載す
るように、絶縁体は約10-7Ω-1cm-1以下の伝導性S、好ましくは10-8Ω-1 cm-1より低い値を有する。一般的には、Gardner et al., Sensors and Actuat
ors A51 (1995) 57-66 (参照により本明細書に取込む) を参照されたい。
【0029】 伝導性オリゴマーの所望の性質は、高い伝導性、本発明組成物の合成と使用の
ために有機溶媒および/または水への十分な溶解性、および反応に対する好適な
化学的抵抗などであるが、該反応が起こるのは、1)核酸合成の際(すなわち、
本発明の構成物合成に際し、伝導性オリゴマーを含むヌクレオシドを核酸シンセ
サイザーに加える際)、2)伝導性オリゴマーが電極に付着する際、または3)
ハイブリダイゼーションアッセイの際、である。さらに、自己集合単層の形成を
促進する伝導性オリゴマーが好ましい。
【0030】 本発明のオリゴマーは、本明細書に記載のように、少なくとも2つの単量体サ
ブユニットを含む。下記に詳しく説明するが、オリゴマーには、ホモおよびヘテ
ロオリゴマーがあり、ポリマーも含む。
【0031】 好ましい実施態様では、伝導性オリゴマーは、構造1に示した構造を持つ: 構造1
【化1】 当業者には理解されるとおり、ここに示した構造は全て、更なる原子または構
造を有し得る。即ち、構造1の伝導性オリゴマーは、電極、遷移金属錯体、有機
ETM、およびメタロセンなどのETMに、および核酸などの捕獲結合配位子に
、またはこれら数種に結合させることができる。特記しない限り、ここに示した
伝導性オリゴマーは、その左側で電極に結合させる。つまり、構造13の場合は
、左側の“Y”を本明細書に記載の電極につなげる。伝導性オリゴマーを結合配
位子に結合させるとき、右側の“Y”は、存在するならば、直接的にまたは本発
明に記載のリンカーを用いて、捕獲結合配位子に結合させる。
【0032】 本実施態様では、Yは芳香族基であり、nは1から50の整数であり、gは1
または0のいずれかであり、eは0から10の整数であり、mは0または1であ
る。gが1のとき、B−Dは共役結合であり、好ましくは、アセチレン(B−D
は、好ましくはアセチレンから選択される共有結合である)、アルケン、置換ア
ルケン、アミド、アゾ、−C=N−(−N=C−、−CR=N−および−N=C
R−を含む)、−Si=Si−および−Si=C−(−C=Si−、−Si=CR−お
よび−CR=Si−を含む)から選択される。gが0のとき、eは好ましくは1で
あり、Dは好ましくはカルボニルまたはヘテロ原子部であり、このヘテロ原子は
、酸素、硫黄、窒素、ケイ素またはリンから選択される。そのため、適切なヘテ
ロ原子部には、−NHおよび−NR、式中、Rは本明細書に定義のとおりである
;置換硫黄;スルホニル(−SO2−)スルホキシド(−SO−);酸化ホスフィン(
−PO−および−RPO−);およびチオホスフィン(−PS−および−RPS−
)があるが、これらに限定されない。しかしながら、下記に概略説明するとおり
、伝導性オリゴマーを金電極に結合させるような場合、硫黄誘導体は好ましくな
い。
【0033】 “芳香族基”またはその均等物とは、本書では、一般に5から14の炭素原子
を含む芳香族単環式または多環式炭化水素部(より大きい多環式環構造を作るこ
ともできるが)およびそれらの炭素環式ケトンまたはチオケトン誘導体で、その
遊離の原子価を持つ炭素原子が芳香族環の一員であるものを意味する。芳香族環
には、アリーレン基および2つ以上の原子を除いた芳香族基がある。本願の目的
には、芳香族は複素環を含む。“複素環”または“ヘテロアリール”とは、1か
ら5個の指定炭素原子を、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選
択されるヘテロ原子で置換した、そしてその遊離の原子価を持つ原子が芳香族環
の一員である芳香族基、およびそれらの複素環式ケトンおよびチオケトン誘導体
を意味する。従って、複素環には、チエニル、フリル、ピロリル、ピリミジニル
、オキサリル、インドリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、チアゾリル、
イミドジル等がある。
【0034】 重要なのは、伝導性オリゴマーのY芳香族基が異なっていてもよいこと、即ち
、伝導性オリゴマーがヘテロオリゴマーであり得ることである。つまり、伝導性
オリゴマーは、単一型のY基または複数型のY基のオリゴマーを含むことができ
る。
【0035】 芳香族基は、本書中で一般にRで表す置換基で置換できる。R基は、必要に応
じて加え、伝導性オリゴマーのパッキングに影響を及ぼすことができる、即ち、
R基を用いて単層におけるオリゴマーの会合を変化させることができる。R基を
加えて、1)オリゴマーまたはオリゴマーを含む組成物の溶解度を変える;2)シ
ステムの共役または電子化学電位を変える;および3)単層表面の電荷または特
性を変えることもできる。
【0036】 好ましい実施態様では、伝導性オリゴマーが3つのサブユニットより大きいと
き、R基は、溶液合成を行う場合の溶解度を高めるのに好ましい。しかしながら
、R基およびその位置は、下記のように、表面上、特に単層内での伝導性オリゴ
マーのパッキングへの影響を最小限にするよう選択される。一般に、単層内では
小さいR基のみが使用され、大きいR基は一般に単層表面上にある。そのため、
例えば、単層内の伝導性オリゴマー部分にメチル基を付けて溶解度を高めるのが
好ましく、例えば、C3からC10のより長いアルコキシ基を単層表面上に付け
るのが好ましい。一般に、本明細書に記載のシステムでは、このことは、一般に
、立体的に重要なR基は、単層を形成する分子の平均長さによるが、最初の2つ
または3つのオリゴマーサブユニットのいずれにも結合させないことを意味する
【0037】 適切なR基には、水素、アルキル、アルコール、芳香族、アミノ、アミド、ニ
トロ、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホニル、ケイ素部、ハロゲン、硫
黄含有部、リン含有部、およびエチレングリコールがあるが、これらに限定され
ない。本明細書に示した構造では、Rは、その位置が置換されていない場合は水
素である。ある位置では、2つの置換基、RおよびR'が可能であり、その場合
、RおよびR'基は同一であるかまたは異なっているかのいずれかでよい。
【0038】 “アルキル基”またはその均等物とは、直鎖状または分枝状アルキル基を意味
し、直鎖アルキル基が好ましい。分枝状ならば、1箇所以上の、特記しなければ
任意の位置で枝分かれしている。このアルキル基は、約1から約30の炭素原子
(C1−C30)の範囲であり得、好ましい実施態様では、約1から約20の炭素
原子(C1−C20)を利用し、約C1から約C12ないしC15が好ましく、C
1ないしC5が特に好ましいが、ある実施態様では、アルキル基は、もっと大き
くてもよい。アルキル基の定義の中に含まれるものには、C5およびC6環など
のシクロアルキル基や、窒素、酸素、硫黄、またはリンを持つ複素環式環もある
。アルキルはまた、好ましくは硫黄、酸素、窒素およびケイ素のヘテロ原子を持
つヘテロアルキルも含む。アルキルは、置換アルキル基も含む。“置換アルキル
基”とは、更に上記定義の1以上の置換基部“R”を含むアルキル基を意味する
【0039】 “アミノ基”またはその均等物とは、−NH2、−NHRおよび−NR2基を意
味し、Rは本明細書に定義のとおりである。
【0040】 “ニトロ基”とは、−NO2基を意味する。
【0041】 “硫黄含有部”とは、硫黄原子を含有する化合物を意味し、チア−、チオ−お
よびスルホ−化合物、チオール(−SHおよび−SR)、スルフィド(−RSR−)
、スルホキシド(−R−SO−R−)、スルフォン(−R−SO2−R−)、ジスル
フィド(−R−S−S−R−)およびスルフォニルエステル(−R−SO2−O−R
−)、があるが、これらに限定されない。“リン含有部”は、リンを含有する化
合物を意味し、ホスフィンおよびホスフェートがあるが、これらに限定されない
。“シリコン含有部”とは、シリコン含有化合物を意味する。
【0042】 “エーテル”とは、−O−R−基を意味する。好ましいエーテルはアルコキシ
基であり、−O−(CH2) 2CH3および−O−(CH2)4CH3が好ましい。
【0043】 “エステル”とは、−COOR基を意味する。
【0044】 “ハロゲン”とは、臭素、ヨウ素、塩素またはフッ素を意味する。好ましい置
換アルキルは、部分的にまたは全体的にハロゲン化したアルキル、例えばCF3
等である。
【0045】 “アルデヒド”とは、−RCOH基を意味する。
【0046】 “アルコール”とは、−OH基およびアルキルアルコール−ROHを意味する
【0047】 “アミド”とは、−RCONH−またはRCONR−基を意味する。
【0048】 “エチレングリコール”または“(ポリ)エチレングリコール”とは、−(O−
CH2−CH2)n−基を意味するが、エチレン基の各炭素原子は、一重にまたは二
重に置換されていてもよく、即ち、−(O−CR2−CR2)n−、但しRは上記定
義のとおりである、であってよい。酸素の位置に他のヘテロ原子を持つエチレン
グリコール誘導体(即ち、−(N−CH2−CH2)n−または−(S−CH2−CH2) n −または置換基を持つ)も好ましい。
【0049】 好ましい置換基には、メチル、エチル、プロピル、−O−(CH2)2CH3およ
び−O−(CH2)4CH3などのアルコキシ基およびエチレングリコールおよびそ
れらの誘導体があるが、これらに限定されない。
【0050】 好ましい芳香族基には、フェニル、ナフチル、ナフタレン、アントラセン、フ
ェナントロリン、ピロール、ピリジン、チオフェン、ポルフィリンおよび縮合環
誘導体を含むこれらそれぞれの誘導体があるが、これらに限定されない。
【0051】 本明細書に示した伝導性オリゴマーでは、gが1のとき、B−Dは2つの原子
または化学部分をつなげる結合である。好ましい実施態様では、B−Dは、重複
または共役π軌道を含有する共役結合である。
【0052】 好ましいB−D結合は、アセチレン(−C≡C−、アルキンまたはエチンとも
呼ばれる)、アルケン(−CH=CH−、エチレンとも呼ばれる)、置換アルケン(
−CR=CR−、−CH=CR−および−CR=CH−)、アミド(−NH−CO
−および−NR−CO−または−CO−NH−および−CO−NR−)、アゾ(−
N=N−)、エステルおよびチオエステル(−CO−O−、−O−CO−、CS−
O−および−O−CS−)および他の共役結合(−CH=N−、−CR=N−、−
N=CH−および−N=CR−)、(−SiH=SiH−、−SiR=SiH−、−S
iH=SiR−、およびSiR=SiR−)、(−SiH=CH−、−SiR=CH−、
−SiH=CR−、−SiR=CR−、−CH=SiH−、−CR=SiH−、−C
H=SiR−および−CR=SiR−)などから選択される。特に好ましいB−D
結合は、アセチレン、アルケン、アミドおよびこれら3種の置換誘導体およびア
ゾである。とりわけ好ましいB−D結合は、アセチレン、アルケンおよびアミド
である。二重結合に結合させたオリゴマー成分は、トランスまたはシス配置、ま
たは混合型であってよい。そのため、BまたはDのいずれかは、炭素、窒素また
はケイ素を含むことができる。置換基は、上記Rのところで定義したとおりであ
る。
【0053】 構造1伝導性オリゴマーのg=0のとき、eは好ましくは1であり、D部分は
上記定義のカルボニルまたはヘテロ原子部分であり得る。
【0054】 上記Y環のように、どの単一伝導性オリゴマー内でも、B−D結合(またはg=
0のときD部分)は、全て同じでもよく、または少なくとも1つが異なっていて
もよい。例えば、mが0のとき、末端B−D結合は、アミド結合であることがで
き、残りのB−D結合はアセチレン結合であることができる。一般に、アミド結
合が存在するとき、アミド結合はできるだけ少ない方が好ましいが、ある実施態
様では、全てのB−D結合がアミド結合である。よって、上記Y環のところで概
略説明したとおり、上記単層内ではある型のB−D結合が伝導性オリゴマー中に
存在でき、単層レベル上では別の型のB−D結合があるので、捕獲結合配位子が
伝導性オリゴマーを介して結合している場合、被検体−結合配位子結合により大
きな柔軟性を与えることができる。
【0055】 本明細書に示した構造中、nは1から50の整数であるが、より長いオリゴマ
ーもまた使用できる(例えば、Schumm et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 19
94 33(13): 1360参照)。理論に縛られることなく、効率のよい結合配位子と標的
の会合のためには、反応は表面から少し離れて起こるべきと思われる。即ち、例
えば、表面上での捕獲プローブに対する標的核酸の核酸ハイブリダイゼーション
のためには、ハイブリダイゼーションが表面から少し離れて起こるべきであり、
ハイブリダイゼーション速度は、特に200から300塩基対の長いオリゴヌク
レオチドの場合、表面からの距離の関数として上昇すると思われる。従って、核
酸が伝導性オリゴマーを介して結合しているとき、以下でより詳しく記すように
、伝導性オリゴマーの長さは、その核酸の最も近いヌクレオチドが電極表面から
約6Åから約100Å(但し、500Åまでの距離が使用できる)に位置するよう
な長さであり、約15Åから約60Åが好ましく、約25Åから約60Åも好ま
しい。従って、nは芳香族基のサイズ応じて変わるが、一般に、約1から約20
であって、約2から約15が好ましく、約3から約10が特に好ましい。
【0056】 本明細書に示した構造中、mは0または1のいずれかである。つまり、mが0
のとき、伝導性オリゴマーの末端には、B−D結合またはD部分があり、即ち、
D原子が直接的かまたはリンカーを介するかのいずれかで捕獲結合配位子に結合
している。ある実施態様では、例えば、伝導性オリゴマーを核酸のリボース−ホ
スフェート主鎖のホスフェートに結合させるとき、伝導性オリゴマーと核酸の間
に結合させたリンカーなどの別の原子があってもよい。更に、下記に概略説明す
るとおり、D原子は、アミノ修飾リボースの窒素原子であり得る。あるいは、m
が1のとき、伝導性オリゴマーの末端にはY、芳香族基があり、即ち、その芳香
族基は、捕獲結合配位子またはリンカーに結合している。
【0057】 当業者には明らかなように、多数の伝導性オリゴマーが利用できる。これらは
、例えば、縮合芳香族環または、−(CF2)n−、−(CHF)n−および−(CFR
)n−などのテフロン( 登録商標 )様オリゴマーを含む化合物などの当分野で知られ
ている他の伝導性オリゴマーと同じく、構造1や構造8式の範囲内にある伝導性
オリゴマーを含む。例えば、Schumm et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:
1361 (1994); Grosshenny et al., Platinum Metals Rev. 40 (1): 26-35 (199
6); Tour, Chem. Rev. 96: 537-553 (1996); Hsung et al., Organometallics 1
4: 4808-4815 (1995);およびここに引用されている文献参照、これらは全てはっ
きりと出典明示により本明細書に組込まれている。
【0058】 本実施態様の特に好ましい伝導性オリゴマーは、下記である: 構造2
【化2】 構造2は、gが1のときの構造1である。構造2の好ましい実施態様には、e
が0であり、Yがピロールまたは置換ピロールであるもの;eが0であり、Yが
チオフェンまたは置換チオフェンであるもの;eが0であり、Yがフランまたは
置換フランであるもの;eが0であり、Yがフェニルまたは置換フェニルである
もの;eが0であり、Yがピリジンまたは置換ピリジンであるもの;eが1であ
り、B−Dがアセチレンであり、Yがフェニルまたは置換フェニルであるもの(
例えば、下記構造4参照)がある。構造2の好ましい実施態様はまた、下記構造
3に示した、eが1である場合のものである:
【0059】 構造3
【化3】 構造3の好ましい実施態様は、Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−
Dがアゾであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアセチ
レンであるもの;Yがフェニルまたは置換フェニルであり、B−Dがアルケンで
あるもの;Yがピリジンまたは置換ピリジンであり、B−Dがアセチレンである
もの;Yがチオフェンまたは置換チオフェンであり、B−Dがアセチレンである
もの;Yがフランまたは置換フランであり、B−Dがアセチレンであるもの;Y
がチオフェンまたはフラン(または置換チオフェンまたはフラン)であり、B−D
がアルケンおよびアセチレン交互の結合であるものである。
【0060】 本明細書に示した構造の殆どが構造3の伝導性オリゴマーを利用している。し
かしながら、どの構造3オリゴマーも、本明細書中の他の構造、即ち構造1また
は8オリゴマー、または他の伝導性オリゴマーで置換でき、かかる構造3の使用
は、本発明の範囲を限定する意味を持たない。
【0061】 構造3の特に好ましい実施態様は、下記の構造4、5、6および7を含む: 構造4
【化4】 構造4の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水素
であるもの;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの、および溶解度
を高めるためのR基の使用がある。
【0062】 構造5
【化5】 構造5のようにB−D結合がアミド結合であるとき、伝導性オリゴマーは、擬
似ペプチドオリゴマーである。構造5中のアミド結合は、カルボニルを左側にし
て、即ち、CONH−で示すが、逆、即ち−NHCO−も使用できる。構造17
の特に好ましい実施態様には、nが2であり、mが1であり、Rが水素であるも
の;nが3であり、mが0であり、Rが水素であるもの(この実施態様では、末
端窒素(D原子)はアミノ修飾リボースの窒素であり得る)、および溶解度を高め
るためのR基の使用がある。
【0063】 構造6
【化6】 構造6の好ましい実施態様には、第1のnが2であり、第2のnが1であり、
mが0であり、全てのR基が水素であるもの、または溶解度を高めるためのR基
の使用がある。
【0064】 構造7
【化7】 構造7の好ましい実施態様には、第1のnが3であり、第2のnが1−3であ
り、mが0または1のいずれかであるもの、および溶解度を高めるためのR基の
使用がある。
【0065】 好ましい実施態様では、伝導性オリゴマーは、構造8で示した構造を持つ: 構造8
【化8】 この実施態様では、Cは炭素原子であり、nは1から50の整数であり、mは
0または1であり、Jは酸素、窒素、ケイ素、リン、硫黄、カルボニルまたはス
ルホキシドからなる群から選択されるヘテロ原子であり、Gはアルカン、アルケ
ンまたはアセチレンから選択される結合であって、2つの炭素原子と一緒になっ
てC−G−C基がアルケン(−CH=CH−)、置換アルケン(−CR=CR−)ま
たはそれらの混合物(−CH=CRまたは−CR=CH−)、アセチレン(−C≡
C−)またはアルカン(−CR2−CR2−、Rは水素または本明細書に記載の置換
基のいずれかである)であるようにする。各サブユニットのG結合は、他のサブ
ユニットのG結合と同一かまたは異なっていてもよく、つまり、アルケンとアセ
チレン結合が交互にあるオリゴマーが使用できる。しかしながら、Gがアルカン
結合であるとき、オリゴマー中のアルカン結合数は最小に維持すべきであり、伝
導性オリゴマー当りシグマ結合約6以下が好ましい。アルケン結合が好ましく、
本明細書に総括的に示しているが、アルカンおよびアセチレン結合は、当業者に
は明らかなように、本明細書に記載したどの構造または実施態様でも置換できる
【0066】 ある実施態様では、例えば、ETMが存在しないとき、m=0ならば少なくと
も1つのG結合はアルカン結合である。
【0067】 好ましい実施態様では、構造8のmは0である。特に好ましい実施態様では、
構造9に示したように、mは0であり、Gはアルケン結合である: 構造9
【化9】 構造9のアルケンオリゴマーおよび本明細書に示した別のものは、一般に、好
ましいトランス配置で示しているが、シスまたはトランスとシスの混合したオリ
ゴマーも使用できる。上記のように、R基を加えて、電極上での組成物のパッキ
ング、オリゴマーの親水性または疎水性、およびオリゴマーの柔軟性、即ち、回
転、ねじれ、または縦の柔軟性を変えることができる。nは上記定義のとおりで
ある。
【0068】 好ましい実施態様では、Rは水素であるが、Rはアルキル基およびポリエチレ
ングリコールまたは誘導体であってもよい。
【0069】 別の実施態様では、伝導性オリゴマーは、異なる型のオリゴマー、例えば、構
造1や8の混合物であってもよい。
【0070】 加えて、この単層は伝導性オリゴマーを含んでおり、少なくとも単層中の伝導
性オリゴマーのいくつかの末端は電子的にさらされている。本明細書中の“電子
的にさらされた”とは、末端に近接してETMを置くとき、および適切なシグナ
ル開始後に、ETMの存在に依存したシグナルが検出され得ることを意味する。
伝導性オリゴマーは末端基を有していても有していなくてもよい。従って、好ま
しい実施態様では、余分な末端基がなく、伝導性オリゴマーはその末端が、例え
ばアセチレン結合などのB−D結合のような基の1つで終る構造1から9を示す
。あるいは、好ましい実施態様では、本明細書中でしばしば“Q”として示す末
端基を加える。末端基はいくつかの理由により、例えば、ETMの検出用の伝導
性オリゴマーの電子的利用可能性を改善するために、またはSAMの表面を例え
ば非特異的結合を防ぐなどの他の事由によって変えるために、使用することがで
きる。標的被検体が核酸、例えば、DNAまたはRNAである場合、ハイブリダ
イゼーションを促進するために、核酸が表面上に着地するのに反発するか、妨げ
るように、陰性荷電表面を形成するように、末端で陰性に荷電した基であり得る
。好ましい不動態化剤末端基は、−NH2、−OH、−COOH、−CH3等のア
ルキル基、および、(ポリ)エチレングリコールのような(ポリ)アルキルオキサイ
ドを含み、−OCH2CH2OH、−(OCH2CH2O)2H、−(OCH2CH2O)3 H、および−(OCH2CH2O)4Hが好ましい。
【0071】 一実施態様において、異なるタイプの末端基を有する伝導性オリゴマーの混合
物を使用することが可能である。従って、例えば、いくつかの末端基は検出を容
易にし、いくつかは非特異的結合を防止し得る。
【0072】 単層は異なる伝導性オリゴマー種を含み得るが、適度に同一なSAMが形成さ
れ得るように、異なる種を選択するのが好ましいことが、理解されるであろう。
従って、例えば、捕獲結合配位子を伝導性オリゴマーを用いて電極に共有結合さ
せるとき、1つのタイプの伝導性オリゴマーを使用して捕獲結合配位子を結合さ
せ、別のタイプの機能によりETMを検出することは可能である。同様に、異な
る長さの伝導性オリゴマーの混合物を単層に有して、非特異的シグナルの減少を
促進するのが望ましい。従って、例えば、好ましい実施態様は、単層の残部の表
面下、つまり使用されているなら、絶縁層の下で、または他の伝導性オリゴマー
の特定のフラクション下で終わる伝導性オリゴマーを利用する。同様に、異なる
伝導性オリゴマーを使用して、単層の形成を容易にしたり、別の特性を持つ単層
をつくることもできる。
【0073】 好ましい実施態様において、単層はさらに絶縁部を含み得る。本明細書におけ
る“絶縁体”とは、実質的に非伝導性オリゴマーを意味し、好ましくは線状であ
る。本明細書において、“実質的に非伝導性”とは、絶縁体が100Hzで電子
を伝達しないことを意味する。絶縁体を介した電子伝達の比率は、好ましくは本
明細書に記載の伝導性オリゴマーを介した比率よりも遅い。
【0074】 好ましい実施態様において、絶縁体は、約10-7Ω-1cm-1以下の導電率Sを有
し、約10-8Ω-1cm-1より低いのが好ましい。一般にGardner et al.前掲を参照
【0075】 通常、絶縁体はシグマ結合を有する、アルキルまたはヘテロアルキルオリゴマ
ーまたは部分であるが、いずれの具体的な絶縁体分子も芳香族基または1以上の
共役結合を含み得る。本明細書において“ヘテロアルキル”とは、少なくとも1
つのヘテロ原子、つまり鎖に含まれた窒素、酸素、硫黄、リン、シリコンまたは
ホウ素を有するアルキル基を意味する。あるいは、絶縁体は、好ましくは電子伝
達を実質的に阻害するかまたは遅らせる1以上のヘテロ原子または結合を添加し
た伝導性オリゴマーと非常に類似であり得る。
【0076】 適切な絶縁体は当業者に既知であり、−(CH2)n−、−(CRH)n−および
−(CR2)n−、エチレングリコールまたは酸素の代わりの他のヘテロ原子、つ
まり窒素または硫黄(電極が金のとき、硫黄誘導体は好ましくない)を用いる誘導
体を含むが、これらに限定しない。
【0077】 伝導性オリゴマーについて、絶縁体は本明細書に定義のR基で置換され得、電
極でのその部分または伝導性オリゴマーのパッキング、絶縁体の親水性または疎
水性、および絶縁体の柔軟性、すなわち回転の、捩れのまたは縦の柔軟性を変え
る。例えば、分枝アルキル基を使用し得る。同様に、上記概説のように絶縁体は
特に単層の表面に作用する末端基を含み得る。
【0078】 単層をつくる種の長さは必要に応じて変化する。上記に概説のように、結合は
、表面から離れてより有効であるように見える。核酸が結合する種(下記に概説
のように、これらは絶縁体または伝導性オリゴマーのいずれかであり得る)は、
基本的に単層を形成する種と同じ長さかそれらより長く、核酸がハイブリダイゼ
ーションのための溶媒により接近可能となる。いくつかの実施態様において、捕
獲結合配位子が結合する伝導性オリゴマーは単層より短い。
【0079】 当業者には明らかなように、単層をつくる異なる種の、実際の組合せと比率は
、広範に変化し得る。一般に、3つの成分システムが好ましく、第1の種は、種
を含有する核酸(すなわち、以下で詳記するように、絶縁体または伝導性オリゴ
マーのいずれかを介して電極に結合し得る捕獲プローブ)を含む。第2の種は伝
導性オリゴマーであり、第3の種は絶縁体である。この実施態様において、第1
の種は約90%から約1%を含み得、約20%から約40%が好ましい。捕獲結
合配位子が核酸であり、同様に標的も核酸である場合、約30%から約40%が
短いオリゴヌクレオチド標的に特に好ましく、約10%から約20%が長い標的
に好ましい。第2の種は約1%から約90%を含み得、約20%から約90%が
好ましく、約40%から約60%が特に好ましい。第3の種は約1%から約90
%を含み得、約20%から約40%が好ましく、約15%から約30%が特に好
ましい。第1:第2:第3の種の好ましい比率は、短い標的については2:2:
1、長い標的については1:3:1であり、全チオール濃度は、500μMから
1mMの範囲および833μMが好ましい。
【0080】 好ましい実施態様として、第1種および第2種を含む2成分システムを使用す
る。この実施態様において、第1の種は約1%から約90%を含み得、約10%
から約40%が好ましく、約10%から約40%が特に好ましい。第2の種は約
1%から約90%を含み得、約10%から約60%が好ましく、約20%から約
40%が特に好ましい。
【0081】 伝導性オリゴマーと絶縁体の共有結合は、様々な方法で達成され、使用する電
極および絶縁体と伝導性オリゴマーの組成物に依存する。好ましい実施態様とし
て、本明細書に記載の捕獲結合配位子と共有結合した結合リンカーは、電極に共
有結合している。例えば、結合リンカーの一方の端または末端が捕獲結合配位子
に結合し、もう一方が電極に結合する。いくつかの実施態様において、結合リン
カーが末端以外の位置で結合するか、またはさらに、分枝結合リンカーが一方の
末端で電極に結合し、他の末端で2つ以上の捕獲結合配位子に結合するのが望ま
しいが、これは好ましくない。同様に、一般に構造11−13に記載されるよう
に、結合リンカーは2つの部位で電極に結合し得る。一般に構造10でAとして
下記に示すように、あるタイプのリンカーが使用される。構造10において、“
X”は伝導性オリゴマー、“I”は絶縁体であり、斜線の表面は電極である:
【0082】
【化10】
【0083】 本実施態様において、Aはリンカーまたは原子である。“A”の選択は、電極
の特徴に一部依存する。従って、例えば、Aは、金電極を使用する場合、硫黄部
である。あるいは、酸化金属電極を使用するとき、Aはオキサイドの酸素に結合
したシリコン(シラン)部である(例えば、Chen et al., Langmuir 10: 3332-3337
(1994); Lenhard et al., J. Electroanal. Chem. 78: 195-201 (1977)参照、
両方とも出典明示により本明細書の一部とする)。炭素ベースの電極を使用する
とき、Aはアミノ部である(好ましくは、1級アミン;例えば、Deinhammer et a
l., Langmuir 10: 1306-1313 (1994)参照)。従って、好ましいA部は、シラン部
、硫黄部(アルキル硫黄部を含む)およびアミノ部を含むが、これらに限定されな
い。好ましい実施態様において、当分野で既知のようなレドックスポリマーとの
エポキシドタイプ結合は使用しない。
【0084】 本明細書には一つの部分としてしか記載していないが、絶縁体および伝導性オ
リゴマーは、1個以上の“A”部で電極と結合し得る;“A”部は同一または異
なり得る。従って、例えば、電極が金電極であり、“A”が硫黄原子または部分
であるとき、一般に下記構造11、12および13に記載のように、複数の硫黄
原子が、電極に伝導性オリゴマーを結合させるのに使用し得る。当業者に認めら
れるように、このような他の構造が製造できる。構造11、12および13にお
いて、A部は硫黄原子だけであるが、置換硫黄部も使用し得る。
【0085】
【化11】
【0086】
【化12】
【0087】
【化13】
【0088】 構造13と同様に、3つの硫黄部が電極に結合している一つの炭素原子で終了
する伝導性オリゴマーを有することが可能であることも留意すべきである。さら
に本明細書に必ずしも記載されていないが、伝導性オリゴマーと絶縁体はまた“
Q”末端基を含み得る。
【0089】 好ましい実施態様において、電極は金電極であり、結合は当分野で既知のよう
に硫黄結合を介しており、すなわち、A部は硫黄原子または部分である。金−硫
黄結合の正確な特徴は知られていないが、この結合は本発明の目的で、共有結合
と考える。代表的な構造は構造3の伝導性オリゴマーを用いて構造14に記載す
るが、本明細書に記載のすべての構造について、いずれの伝導性オリゴマーまた
は伝導性オリゴマーの組合せも使用し得る。同様にいずれの伝導性オリゴマーま
たは絶縁体も本明細書に記載の末端基を含み得る。構造14は、“A”リンカー
が硫黄原子のみを含むように記載しているが、他の原子も存在し得る(すなわち
、硫黄から伝導性オリゴマーへのまたは置換基へのリンカー)。
【0090】
【化14】
【0091】 好ましい実施態様において、電極は炭素電極、すなわち、ガラス状炭素電極で
あり、結合はアミン基の窒素原子を介している。代表的な構造を構造15に示す
。また別の原子が存在し得、すなわち、ZタイプリンカーおよびXまたは末端基
であり得る。
【0092】
【化15】
【0093】
【化16】
【0094】 構造16において、酸素原子は酸化金属電極のオキサイド由来である。Si原
子は他の原子を含み得る、すなわち、置換基を含むシリコン部であり得る。
【0095】 好適な態様において、伝導性オリゴマーを含む単層を含む電極はさらに捕獲結
合リガンドを含む。本明細書において“捕獲結合リガンド”または“捕獲結合種
”または“捕獲プローブ”とは、標的被検体の存在をプローブするのに使用し、
標的被検体に結合する化合物を意味する。一般に、捕獲結合リガンドは、検出の
目的で電極に標的被検体を付着させるのを可能とする。下記により詳しく概説す
るように、捕獲プローブへの標的被検体付着は、直接的(すなわち、標的被検体
が捕獲結合リガンドに結合する)または間接的(1つ以上の捕獲伸長リガンドが
用いられる)であってよい。本明細書において“共有結合により付着した”とは
、2つの部分が少なくとも1つの結合により付着していることを意味し、該結合
はシグマ結合、パイ結合および配位結合を包含する。
【0096】 好適な態様において、結合は特異的であり、結合リガンドは結合対の部分であ
る。本明細書において“特異的に結合”とは、該リガンドが、試験サンプルの被
検体と他の成分または混入物とを識別するのに十分な特異性もって被検体に結合
することを意味する。しかし、当業者には明らかなように、それ程特異的ではな
い結合を用いても被検体を検出することが可能である;例えば、このシステムに
は異なる結合リガンド、例えば、異なるリガンドのアレイを使用でき、特定のど
の被検体の検出も、結合リガンドのパネルへの結合の“サイン”を介するが、こ
れは“電子の鼻”が作用する様式に類似している。このことは化学被検体の検出
に格別の用途を見出す。この結合は、非特異結合を除去するための洗浄工程を含
むアッセイの条件下でも結合したままであるために十分なものでなければならな
い。ある態様においては、例えば、ある生体分子の検出では、結合リガンドに対
する被検体の結合定数は少なくとも約104〜106-1であり、好ましくは約1
5ないし109-1であり、そして特に好ましいのは約107〜109-1である
【0097】 当業者には明らかなように、結合リガンドの組成は標的被検体の組成に依存す
る。広範な被検体に対する結合リガンドが既知であるか、または既知技法を用い
て容易に見出すことができる。例えば、被検体が一本鎖核酸である場合、結合リ
ガンドは相補性核酸であろう。同様に、被検体は核酸結合タンパク質であっても
よく、捕獲結合リガンドは一本鎖または二本鎖核酸である;あるいは、結合リガ
ンドは、被検体が一本鎖または二本鎖核酸である場合、核酸結合タンパク質であ
ろう。被検体がタンパク質である場合、結合リガンドはタンパク質または小型分
子を含む。好適な結合リガンドはペプチドを包含する。例えば、被検体が酵素で
ある場合、適切な結合リガンドは基質および阻害剤を包含する。当業者には明ら
かなように、会合するいずれか2つの分子を被検体としてまたは結合リガンドと
して使用し得る。適切な被検体/結合リガンド対は、抗体/抗原、受容体/リガ
ンド、タンパク質/核酸、酵素/基質および/または阻害剤、炭水化物(糖タン
パク質および糖脂質を含む)/レクチン、タンパク質/タンパク質、タンパク質
/小型分子などであるが、これらに限定されるものではない;また、炭水化物と
その結合パートナーも適切な被検体−結合リガンド対である。これらは野生型ま
たは誘導配列であってもよい。好適な態様において、結合リガンドは多量化する
ことの知られる細胞表面受容体、例えば、成長ホルモン受容体、グルコース輸送
体(特にGLUT4受容体)、トランスフェリン受容体、表皮成長因子受容体、
低密度リポタンパク質受容体、高密度リポタンパク質受容体、表皮成長因子受容
体、レプチン受容体、インターロイキン受容体(IL−1、IL−2、IL−3
、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11
、IL−12、IL−13、IL−15、およびIL−17受容体を含む)、ヒ
ト成長ホルモン受容体、VEGF受容体、PDGF受容体、EPO受容体、TP
O受容体、毛様神経栄養因子受容体、プロラクチン受容体、およびT細胞受容体
などの部分(とりわけ、細胞外の部分)である。
【0098】 捕獲結合リガンドを付着リンカーに付着させる方法は、一般に当該技術分野で
知られているように実施されるが、付着リンカーの組成と捕獲結合リガンドに左
右される。一般に、捕獲結合リガンドは官能基の使用を経て付着リンカーに付着
させるが、各官能基は次いで付着に用い得るものである。付着に好適な官能基は
、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基である。これらの官能基
は次いで直接または本明細書では“Z”で表すリンカーの使用を経て付着させ得
る。リンカーは当技術分野で既知である;例えば、ホモ−またはヘテロ−二官能
性リンカーがよく知られたものである(参照:1994ピアース・ケミカル・カ
ンパニーカタログ、架橋に関する技術の項、155〜200頁;出典明示により
本明細書の一部とする)。好適なZリンカーは、アルキル基(置換アルキル基お
よびヘテロ原子部分を含むアルキル基)、短鎖アルキル基を有するエステル、ア
ミド、アミン、エポキシ基およびエチレングリコール、および好ましい誘導体な
どであるが、これらに限定されるものではない。Zはスルホンアミドを形成する
スルホン基であってもよい。
【0099】 この様式で、タンパク質、レクチン、核酸、小型有機分子、炭水化物などを含
む捕獲結合リガンドを付加し得る。 好適な態様において、捕獲結合リガンドは本明細書に概説するように、例えば
、付着リンカーを介して直接電極に付着させる。あるいは、捕獲結合リガンドは
図2Cに描出したように、捕獲伸長成分を利用してもよい。この態様において、
捕獲結合リガンドは、標的被検体を結合する第一部分と、表面付着に使用し得る
第二部分を含む。図2Cは表面に結合する核酸成分の使用について描出するが、
これは他の同様の結合パートナーであってもよい。
【0100】 好適な態様ではタンパク質性の捕獲結合リガンドを利用する。当技術分野で知
られているように、相当数の技法がタンパク質性の捕獲結合リガンドを付着させ
るのに使用し得る。この状況での“タンパク質”とはタンパク質、ポリペプチド
およびペプチドを包含する。ある部分をタンパク質に付加させるための広範な技
術が知られている。好適な一方法がUSP5,620,850(出典明示によりそ
の全体を本明細書の一部とする)に概説されている。タンパク質を電極に付着さ
せることは既知である;Heller, Acc. Chem. Res. 23: 128 (1990)および関連研
究参照。
【0101】 好適な態様では核酸を捕獲結合リガンドとして利用する、例えば、標的被検体
が核酸または核酸結合タンパク質である場合、または核酸がタンパク質結合のた
めのアプタマー(aptamer)として作用する場合などである;USP5,270,
163、5,475,096、5,567,588、5,595,877、5,637,
459、5,683,867、5,705,337および関連特許(出典明示により
本明細書の一部とする)参照。この態様において、核酸捕獲結合リガンドは、伝
導性オリゴマーであるか、または絶縁体を介している“付着リンカー”を介して
電極に共有結合により付着している。このようにして、付着リンカーの一端を核
酸に付着させ、他端(当業者が認めるところであるが、いずれの場合にも正確な
末端である必要はない)を電極に付着させる。このように、構造1〜16のいず
れもさらに末端基として有効な核酸を含み得る。このように、本発明は、核酸に
ついて下記構造17に一般的に描出したように、電極に共有結合により付着した
結合リガンドを含む組成物を提供する。
【0102】
【化17】
【0103】 構造17において、左側の斜線記号は、電極を表す。本明細書に定義するよう
に、Xは伝導性オリゴマーであり、Iは絶縁体である。F1は、電極および伝導
性オリゴマーまたは絶縁体の共有結合をもたらす結合であり、本明細書に記載さ
れ、例えば下記に“A”と定義されるように、結合、原子またはリンカーを含む
。F2は、構造17の結合配位子、核酸に伝導性オリゴマーまたは絶縁体を共有
結合させる結合であり、本明細書に記載のように結合、原子または結合であり得
る。F2は伝導性オリゴマーの一部、絶縁体の一部、結合配位子の一部であり得
、または例えば本明細書で“Z”について定義するように両方に外因性であり得
る。
【0104】 一般に、捕獲結合リガンド、特に核酸の付着に有用な方法、合成反応式および
組成物が、WO98/20162、PCT/US98/12430、PCT/U
S98/12082、PCT/US99/01705およびPCT/US99/
01703(出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)に概説されてい
る。
【0105】 好適な態様において、捕獲結合リガンドは伝導性オリゴマーを介して電極に共
有結合により付着している。結合リガンドと伝導性オリゴマーの共有結合付着は
、当業者には明らかなように、幾つかの方法で達成することができる。
【0106】 好適な態様において、捕獲結合リガンドは核酸であり、その付着は下記説明の
ように、ヌクレオシド塩基への付着によるか、核酸のバックボーン(リボース、
リン酸エステル、または核酸類似体バックボーンの類似基)への付着によるか、
または遷移金属リガンドへの付着による。下に概説する技法は一般に天然に存在
する核酸について説明しているが、当業者も認めるように、同様の技法は核酸類
似体にも使用し得る。
【0107】 好適な態様において、伝導性オリゴマーは核酸のヌクレオシド塩基に付着させ
る。これは下記説明のように、オリゴマーの種類に応じて幾つかの方法で実施し
得る。一態様において、オリゴマーは末端のヌクレオシド、すなわち、核酸の3
’または5’ヌクレオシドに付着させる。あるいは、伝導性オリゴマーを内部ヌ
クレオシドに付着させる。
【0108】 塩基への付着点は塩基により異なる。一般に、いずれの位置での付着も可能で
ある。一部の態様では、例えば、ETMを含むプローブがハイブリダイゼーショ
ンに使用される場合、相補塩基の水素結合に関与しない位置に付着させるのが好
ましい。このように、例えば、一般に付着はウリジン、シトシンおよびチミンな
どのピリミジン類の5または6位置に対するものである。アデニンおよびグアニ
ンなどのプリン類については、結合は、好ましくは8位置を介する。非標準の塩
基に対する付着は、相当する位置で好適になされる。
【0109】 一態様において、付着は直接的である;すなわち、伝導性オリゴマーと塩基の
間に介在する原子はない。この態様において、例えば、末端アセチレン結合を有
する伝導性オリゴマーを塩基に直接付着させる。構造18はこの結合の一例であ
り、ここでは構造3の伝導性オリゴマーと塩基としてウリジンを使用しているが
、当業者も認めるように、他の塩基と伝導性オリゴマーを使用することもできる
【0110】
【化18】
【0111】 本明細書に示したペントース構造には、水素、ヒドロキシ、ホスフェートまた
はアミノ基などの他の基が結合していることに留意すべきである。更に、本明細
書に示したこのペントースおよびヌクレオシド構造は、通常表現の鏡像として非
慣用的に示す。更に、ペントースおよびヌクレオシド構造はまた、任意の位置に
、例えば、合成中に必要に応じて、保護基などの新たな基を含有できる。
【0112】 加えて、塩基は、必要に応じて更なる修飾を含むこともあり、即ち、カルボニ
ルまたはアミン基を変更したり、保護することもできる。
【0113】 別の実施態様では、結合は、一般に、塩基としてウリジンおよび構造3のオリ
ゴマーを用いる構造19に示したように、アミドおよびアミン結合を含む、多く
の異なるZ−リンカーを介する:
【0114】
【化19】
【0115】 この実施態様では、Zはリンカーである。好ましくは、Zは約1から約10原
子の短いリンカーであり、1から5原子が好ましく、アルケン、アルキニル、ア
ミン、アミド、アゾ、イミンなどの結合を含有してもよく、含有しなくてもよい
。リンカーは当分野では知られており、例えば、よく知られているとおり、ホモ
またはヘテロ二官能性リンカーである(1994 Pierce Chemical Company catalog,
technical section on cross-linker, pages 155-200参照、出典明示により本
明細書の一部とする)。好ましいZリンカーには、アルキル基(置換アルキル基
およびヘテロ原子部分を含有するアルキル基を含む)があるが、これらに限定さ
れず、好ましいのは、短いアルキル基、エステル、アミド、アミン、エポキシ基
およびエチレングリコールおよび誘導体であり、特に好ましいのは、プロピル、
アセチレンおよびC2アルケンである。Zはまた、スルホン基であってもよく、
下記のようにスルホンアミド結合を形成する。
【0116】 好ましい実施態様では、核酸と伝導性オリゴマーの結合は、核酸主鎖への結合
を介して行う。これは、リボース−ホスフェート主鎖のリボースへの結合または
主鎖のホスフェートへの結合、または類似主鎖の他の基への結合を含む多くの方
法で実施できる。
【0117】 予備事項として、下記に十分説明するように、本実施態様における結合部位は
、3'または5'末端ヌクレオチド、または内部ヌクレオチドであると理解される
べきである。
【0118】 好ましい実施態様では、伝導性オリゴマーをリボース−ホスフェート主鎖のリ
ボースへ結合させる。これは、幾つかの方法で実施できる。当分野では知られて
いるように、リボースの2'または3'位のいずれかにアミノ基、硫黄基、ケイ素
基、リン基またはオキソ基で修飾したヌクレオシドを作成できる(Imazawa et al
., J. Org. Chem., 44: 2039 (1979); Hobbs et al., J. Org. Chem. 42 (4): 7
14 (1977); Verheyden et al., J. Org. Chem. 36 (2): 250 (1971); McGee et
al., J. Org. Chem. 61: 781-785 (199); Mikhailopulo et al., Liebigs. Ann.
Chem. 513-519 (1993); McGee et al., Nucleosides & Nucleotides 14 (6): 1
329 (1995)、全て出典明示により本明細書の一部とする)。次いで、伝導性オリ
ゴマーを加えるためにこれらの修飾ヌクレオシドを用いる。
【0119】 好ましい実施態様は、アミノ修飾ヌクレオシドを利用する。このとき、これら
のアミノ修飾リボースを用いて、伝導性オリゴマーに対してアミドまたはアミン
結合を形成できる。好ましい実施態様では、アミノ基を直接リボースに結合させ
るが、当業者には明らかであるように、“Z”について記載したような短いリン
カーをアミノ基とリボースとの間に与えることができる。
【0120】 好ましい実施態様では、リボースに結合させるためにアミド結合を使用する。
好ましくは、構造1〜3の伝導性オリゴマーを用いるならば、mが0であるので
、伝導性オリゴマーの末端はアミド結合である。この実施態様では、アミノ修飾
リボースのアミノ基の窒素は、伝導性オリゴマーの“D”原子である。よって、
本実施態様の好ましい結合を、構造20に示す(構造3の伝導性オリゴマーを用
いる)。
【0121】
【化20】
【0122】 当業者には明らかなように、構造20は、アミド結合として固定された末端結
合を有する。
【0123】 好ましい実施態様では、ヘテロ原子結合、即ち、オキソ、アミン、硫黄等を用
いる。好ましい実施態様はアミン結合を利用する。また、アミド結合について上
記で概説したとおり、アミン結合の場合も構造3の伝導性オリゴマーを用いると
、アミノ修飾リボースの窒素が伝導性オリゴマーの“D”原子であり得る。よっ
て、例えば、構造21および22は、それぞれ構造3および9の伝導性オリゴマ
ーを持つヌクレオシドを示し、ヘテロ原子として窒素を用いているが、他のヘテ
ロ原子を使用することもできる:
【0124】
【化21】
【0125】 構造21では、好ましくは、mもtも0ではない。ここで好ましいZはメチレ
ン基またはその他の脂肪族アルキルリンカーである。この位置にある1、2また
は3つの炭素は特に合成の際に有用である。
【0126】
【化22】
【0127】 構造22では、Zは上記定義のとおりである。適切なリンカーには、メチレン
およびエチレンがある。
【0128】 別の実施態様では、伝導性オリゴマーを、核酸のリボース−ホスフェート主鎖
(または類似体)のホスフェートを介して核酸に共有結合させる。この実施態様で
は、結合は直接的か、またはリンカーまたはアミド結合を利用する。構造23は
、直接結合を示しており、構造24は、アミド結合を介した結合を示している(
両方とも、構造3の伝導性オリゴマーを利用しているが、構造8の伝導性オリゴ
マーも可能である)。構造23および24は、3'位の伝導性オリゴマーを示して
いるが、5'位も可能である。更に、構造23および24とも、天然のホスホジ
エステル結合を示しているが、当業者には明らかなように、ホスホジエステル結
合の非標準類似体も使用できる。
【0129】
【化23】
【0130】 構造23中、末端にYが存在する(即ちm=1)場合、Zは存在しない(即ち、
t=0)のが好ましい。末端にYが存在しない場合、Zは存在するのが好ましい
【0131】 構造24は、末端B−D結合がアミド結合であり、末端にYが存在せず、Zが
上記定義のリンカーである好ましい実施態様を示す。
【0132】
【化24】
【0133】 好ましい実施態様では、伝導性オリゴマーは、遷移金属配位子を介して核酸に
共有結合する。本実施態様では、伝導性オリゴマーを遷移金属に1以上の配位原
子を提供する配位子に共有結合させる。一実施態様では、下記構造25に総括的
に示したように、伝導性オリゴマーが結合する配位子には、核酸も結合している
。あるいは、下記構造26に総括的に示したように、伝導性オリゴマーは1つの
配位子に結合しており、核酸は別の配位子に結合している。よって、遷移金属の
存在下で伝導性オリゴマーは核酸に共有結合する。これらの構造はいずれも構造
3の伝導性オリゴマーを示しているが、その他のオリゴマーを利用する こともできる。構造25および26は、核酸用の2つの代表的な構造を示す:当
業者に明らかであろうように、例えばタンパク質の結合配位子など他の型の捕獲
結合配位子に、同様の方法で結合することができる。
【0134】
【化25】
【0135】
【化26】
【0136】 本明細書記載の構造中、Mは金属原子であり、遷移金属が好ましい。本発明に
使用するのに適した遷移金属はカドミウム(Cd)、銅(Cu)、コバルト(C
o)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、
ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、白金(Pt)、ス
カンジウム(Sc)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)
、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(
Tc)、タングステン(W)、およびイリジウム(Ir)などであるが、これら
に限定されるものではない。すなわち、遷移金属の第一シリーズ、白金族(Ru
、Rh、Pd、Os、IrおよびPt)並びにFe、Re、W、MoおよびTc
が好ましい。特に好ましいのはルテニウム、レニウム、オスミウム、白金、コバ
ルトおよび鉄である。
【0137】 Lは補助配位子であり、金属イオン結合のための配位原子を提供する。当業者
が認識するように、補助配位子の数と性質は金属イオンの配位数に依存する。単
座、二座または多座補助配位子はどの位置で使用してもよい。従って、例えば、
金属が6の配位数を有する場合、伝導性オリゴマーの末端からのL、核酸から与
えられるL、およびrを6まで加える。従って、金属が六配位数の場合、rは0
(全配位原子が他の2つの配位子によって与えられる場合)から4(全ての補助配
位子が一座配位の場合)の範囲であろう。従って、一般に、金属イオンの配位数
および他の配位子の選択に依存してrは0ないし8であるであろう。
【0138】 ある実施態様において、金属イオンは6の配位数を有し、そして伝導性オリゴ
マーに付着した配位子および核酸に付着した配位子は、両方共、少なくとも2量
体である;すなわち、rは、好ましくは、0、1(すなわち残った補助配位子は
2量体である)または2(2つの一座配位補助配位子が使用される)である。
【0139】 技術的に認識されるように、補助配位子は同一であっても異なってもよい。適
切な配位子は2つの範疇に入る:配位原子(一般的には文献上、シグマ(σ)供
与体という)として(金属イオンに依存して)、窒素、酸素、イオウ、炭素また
はリン原子を用いる配位子、およびメタロセン配位子などの有機金属配位子(一
般的には文献上、パイ(π)供与体といい、本明細書ではLmで図示する)であ
る。適切な窒素供与配位子は技術上周知であり、以下のものを包含するがこれら
に限定されるものではない:NH2;NHR;NRR';ピリジン;ピラジン;イ
ソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジンおよびビピリジンの置換誘導体;
テルピリジンおよび置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10−フェナント
ロリン(phenと略記)およびフェナントロリンの置換誘導体、例えば、4,
7−ジメチルフェナントロリンおよびジピリド[3,2−a:2',3'−c]フ
ェナジン(dppzと略記);ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12
−ヘキサアザトリフェニレン(hatと略記);9,10−フェナントレンキノ
ン・ジイミン(phiと略記);1,4,5,8−テトラアザフェナントレン(
tapと略記);1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラデカン(cyc
lamと略記)、EDTA、EGTAおよびイソシアニド。融合した誘導体を包
含する置換誘導体も使用することができる。ある態様においては、ポルフィリン
およびポルフィリンファミリーの置換誘導体を使用してもよい。例えば、Compre
hensive Coordination Chemistry, Ed. Wilkinson et al., Pergammon Press, 1
987, Chapters 13.2 (pp 73-98), 21.1 (pp 813-898) and 21.3 (pp 915-957)参
照。この文献の全部を特に参照により本明細書に取込む。
【0140】 炭素、酸素、イオウおよびリンを用いる適切なシグマ供与配位子は技術上既知
である。例えば、適切なシグマ炭素供与体はCotton and Wilkenson, Advanced O
rganic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, 1988に見出されるが、こ
の文献を参照により本明細書に取込む;例えば、38ページ参照。同様に、適切
な酸素配位子は、クラウンエーテル、水、および技術上既知の他のものを包含す
る。ホスフィンおよび置換ホスフィンも適切である;Cotton and Wilkensonの3
8ページ参照。
【0141】 酸素、イオウ、リンおよび窒素−供与配位子は、ヘテロ原子が配位原子として
作動するような様式で付着する。
【0142】 好適な態様においては、有機金属配位子を用いる。レドックス部分として使用
する純有機化合物、およびヘテロ環状またはエキソ環状置換基として供与原子を
もつδ−結合有機配位子との種々の遷移金属配位複合体に加えて、π−結合有機
配位子をもつ多様な遷移金属有機金属化合物が入手可能である(Advanced Inorg
anic Chemistry, 5th Ed., Cotton & Wilkinson, John Wiley & Sons, 1988, Ch
apter 26; Organometallics, A Concise Introduction, Elschenbroich et al.,
2nd Ed., 1992, VCH; およびComprehensive Organometallic Chemistry II, A
Review of the Literature 1982-1994, Abel et al. Ed., Vol. 7, Chapters 7,
8, 10 & 11, Pergamon Press, 特に参照により本明細書に取込む)。かかる有
機金属配位子は、シクロペンタジエニド・イオン[C55(−1)]などの環状
芳香族化合物および種々の環置換および環融合誘導体、例えば、インデニリド(
−1)イオンなどであって、一群のビス(シクロペンタジエニル)金属化合物(
すなわち、メタロセン)を産生する;例えば、Robins et al., J. Am. Chem. So
c., 104: 1882-1893 (1982); およびGassman et al., J. Am. Chem. Soc., 108:
4228-4229 (1986)参照;これらを出典明示により本明細書に組込まれている。
これらの内、フェロセン[(C552Fe]およびその誘導体が多様な化学的
(Connelly e al., Chem. Rev. 96: 877-910 (1996), 出典明示により本明細書
に組込まれている)および電子化学的(Geiger et al., Advances in Organomet
allic Chemistry 23: 1-93; およびGeiger et al., Advances in Organometalli
c Chemistry 24: 87, 出典明示により本明細書に組込まれている)電子移動また
は“レドックス”反応に使用されているプロトタイプの例である。様々な第一、
第二および第三列遷移金属のメタロセン誘導体は、核酸のリボース環またはヌク
レオシド塩基の何れかに共有結合により付着しているレドックス部分としての有
力な候補である。他の潜在的に適切な有機金属配位子は、ベンゼンなどの環状ア
レンなどを包含し、ビス(アレン)金属化合物とその環置換および環融合誘導体
を産生するが、そのビス(ベンゼン)クロミウムはプロトタイプの例である。ア
リル(−1)イオンなどの他の非環状π−結合配位子またはブタジエンは潜在的
に適切な有機金属化合物を産生し、かかる配位子はすべて他のπ−結合およびδ
−結合配位子と連携して、金属−炭素結合をもつ一般クラスの有機金属化合物を
構成する。架橋有機配位子およびさらなる非架橋配位子を有し、同様に金属−金
属結合を有し、また有さない、かかる化合物の種々のダイマーおよびオリゴマー
の電気化学的研究は、核酸分析における有力な候補レドックス部分である。
【0143】 1種以上の補助配位子が有機金属配位子である場合、該配位子は一般に有機金
属配位子の炭素原子の一つを介して付着するが、ただし付着はヘテロ環状配位子
に対し他の原子を介してであってもよい。好適な有機金属配位子は、置換誘導体
およびメタロセンオファンを含むメタロセン配位子を包含する(上記Cotton and Wilkensonの1174ページ参照)。例えば、メチルシクロペンタジエニルなど
のメタロセン配位子の誘導体、好ましくは複数のメチル基を有する例えば、ペン
タメチルシクロペンタジエニルなどを用い、メタロセンの安定性を増大させるこ
とができる。好適な態様において、メタロセンの2つのメタロセン配位子の1つ
のみが誘導化される。
【0144】 本明細書に記載のように、配位子の任意の組み合わせを使用し得る。好ましい
組み合わせは:a)全配位子が窒素供与配位子である;b)全配位子が有機金属配
位子である;そしてc)伝導性オリゴマーの末端の配位子がメタロセン配位子で
あり、核酸により提供される配位子は窒素投与配位子であることを含み、必要に
より、他の配位子と一緒であり、それは窒素供与配位子またはメタロセン配位子
またはその混合物である。これらの組み合わせは、構造3の伝導性オリゴマーを
使用した代表例に記載され、構造27(フェナンスロリンおよびアミノを代表的
配位子として使用して)、28(フェロッセンを金属−配位子組み合わせとして使
用して)および29(シクロペンタジエニルおよびアミノを代表的配位子として使
用して)に記載する。 構造27
【化27】 構造28
【化28】 構造29
【化29】
【0145】 好ましい態様において、本発明で使用する配位子は、キレート化金属イオンの
レドックス状態に依存して、別の蛍光特性を示す。下記のように、これは、従っ
て、ETMと電極間の電子伝達の検出の別のモードとして作用する。
【0146】 下記により詳細に示すような、好ましい態様において、核酸に結合した配位子
は、リボース−ホスフェート主鎖のリボースの2'または3'位置に結合したアミ
ノ基である。本配位子は、金属イオンに結合する多座配位子を形成するように、
多くのアミノ基を含み得る。他の好ましい配位子は、シクロペンタジエンおよび
フェナンスロリンを含む。
【0147】 核酸などの結合配位子を結びつけるために金属イオンを用いると、システムの
内部制御または測定として機能し、表面上の利用可能な結合配位子の数を測定で
きる。しかしながら、当業者には明らかなように、金属イオンを用いて核酸など
の結合配位子を伝導性オリゴマーに結びつける場合、下記のように、システムの
残部で使用されるETMのレドックス電位とは異なるレドックス電位を、この金
属イオン錯体が有しているのが、通常望ましい。これは、標的被検体の存在から
捕獲プローブの存在を区別し得るために一般に決まっている。これは同定、測定
および/または定量化に有用である。従って、電極での捕獲プローブの量を標的
被検体の量と比較して、サンプル中の標的配列の量を定量化することができる。
これはセンサーまたはシステムの内部制御として機能するのに非常に重要である
。これにより、標的を添加する前または後のいずれにおいても、同様のしかし異
なる制御システムに頼るよりも、検出に用いられる同じ分子について測定が可能
となる。従って、検出に使用される実際の分子はいかなる実験の前にも定量化し
得る。これは以前の方法より重要な利点である。
【0148】 好適な態様において、捕獲結合リガンドを絶縁体を介して電極に共有結合によ
り付着させる。タンパク質および核酸などの様々な結合リガンドがアルキル基な
どの絶縁体に付着することは周知であり、それらの付着は、核酸塩基、またはリ
ボースまたはリン酸エステル部分を含むバックボーンに対して、または核酸類似
体の代替バックボーンに対して、またはアミノ酸の側鎖もしくはバックボーンに
対して実施し得る。
【0149】 好適な態様においては、図面に一般的に描出したように、表面上に1種または
それ以上の異なる捕獲結合リガンド種(本明細書において、ある場合には、“ア
ンカーリガンド”、または核酸種について一般的にいう“プローブ”という語句
をもつ“アンカープローブ”または“捕獲プローブ”ともいう)があってもよい
。一部の態様においては、以下により詳細に説明するように、そこには捕獲結合
リガンドの1タイプまたは捕獲結合リガンドエクステンダーの1タイプがあって
もよい。あるいは、異なる捕獲結合リガンド、または多様な異なる捕獲伸長結合
リガンドをもつ1種の捕獲結合リガンドを用いることもできる。同様に、核酸シ
ステムを用いる場合、比較的短いプローブ配列を含む補助捕獲プローブを使用す
ることが望ましく、これはシステムの成分、例えば、リクルートリンカーを“取
押さえる”のに使用し、表面でのETM濃度を上げることができる。
【0150】 このように、本発明は標的被検体検出システムに有用な、伝導性オリゴマーと
捕獲結合リガンドを含む単層を含む電極を提供する。 好適な態様においては、該組成物はさらに溶液結合リガンドを含む。溶液結合
リガンドは標的被検体に結合する点で捕獲結合リガンドに似ている。溶液結合リ
ガンドは捕獲結合リガンドと同一でもまたは異なっていてもよい。一般に、溶液
結合リガンドは、図5Aに描出したような場合もあるが、直接表面に結合するも
のではない。溶液結合リガンドは少なくとも1つのETMを含むリクルートリン
カーを直接含むか、またはリクルートリンカーが溶液結合リガンドに結合する標
識プローブの部分である。
【0151】 このように、共有結合により付着したETMをもつ“リクルートリンカー”ま
たは“シグナル運搬体”が提供される。“電子供与体部分”、“電子受容体部分
”、および“ETM”(ETM)という用語または文法上の等価物は一定の条件
下で電子伝達し得る分子をいう。電子供与体および電子受容体の許容力は相対的
であるということは理解されるべきである;すなわち、一定の実験条件下で電子
を失う分子が、異なる実験条件下で電子を受容し得ることである。可能な電子供
与体部分と電子受容体部分の数は非常に多く、また、電子転移化合物の当業者で
あれば本発明において多くの化合物を利用し得るであろう、ということも理解さ
れるべきてある。好適なETMとは、遷移金属複合体、有機ETM、および電極
であるが、これらに限定されるものではない。
【0152】 好適な態様において、ETMは遷移金属複合体である。遷移金属とはその原子
が部分的なまたは完全な電子のd殻を有するものである。本発明に使用する適切
な遷移金属は上に列記してある。 遷移金属は上記定義の様々なリガンドLと複合体を形成し、当該技術上周知の
ように、適切な遷移金属複合体となる。
【0153】 遷移金属複合体に加えて、他の有機電子供与体および受容体は、本発明に使用
する核酸に共有結合により付着していてもよい。これらの有機分子は、リボフラ
ビン、キサンテン色素、アジン色素、アクリジンオレンジ、N,N'−ジメチル
−2,7−ジアザピレニウム・ジクロリド(DAP2+)、メチルビオロジェン、
臭化エチジウム、キノン類、例えば、N,N'−ジメチルアントラ(2,1,9
−def.6,5,10−d'e'f’)ジイソキノリン・ジクロリド(ADIQ 2+ );ポルフィリン([メソ−テトラキス(N−メチル−x−ピリジニウム)ポ
ルフィリン・テトラクロリド])、ベルラミン・ブルーB塩酸塩、ビンドシェド
ラー(Bindschedler)グリーン;2,6−ジクロロインドフェノール、2,6−
ジブロモフェノールインドフェノール;ブリリアント・クレストブルー(塩化3
−アミノ−9−ジメチルアミノ−10−メチルフェノキシアジン)、メチレンブ
ルー; ナイルブルーA(アミノアフトジエチルアミノフェノキサジン硫酸塩)
、インジゴ−5,5',7,7'−テトラスルホン酸、インジゴ−5,5',7−
トリスルホン酸;フェノサフラニン、インジゴ−5−モノスルホン酸;サフラニ
ンT;塩化ビス(ジメチルグリオキシマト)鉄(II);インデュリンスカーレ
ット、ニュートラルレッド、アントラセン、コロネン、ピレン、9−フェニルア
ントラセン、ルブレン、ビナフチル、DPA、フェノチアジン、フルオランテン
、フェナントレン、クリセン、1,8−ジフェニル−1,3,5,7−オクタテ
トラセン、ナフタレン、アセナフタレン、ペリレン、TMPDおよびこれら化合
物の類似体と置換誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0154】 一態様において、電子供与体および受容体は技術上既知のレドックスタンパク
質である。しかし、多くの態様においてレドックスタンパク質は好ましくない。
【0155】 特異ETMの選択は、下に一般的に概説するように、使用した電子移動検出の
タイプに影響される。好適なETMはメタロセンであり、フェロセンが特に好ま
しい。
【0156】 好適な態様においては、複数のETMが使用される。実施例に記載の通り、多
数のETMを使用することはシグナルの増幅を提供し、その結果、より感度のよ
い検出限度を可能とする。したがって、複数のETMが好ましく、リクルートリ
ンカー当たり少なくとも約2ETMが好ましく、少なくとも約10個が特に好ま
しく、少なくとも約20ないし50個がとりわけ好ましい。ある場合には、非常
に多数のETM(100ないし1000個)を使用することができる。
【0157】 当業者が認識するように、ETMを含むラベルプローブ(またはある態様にお
いては標的)の部分(本明細書においては“リクルートリンカー”または“シグ
ナル担体”と呼称する)は核酸であるか、またはそれはETMに溶液結合配位子
を結合する非核酸リンカーであってもよい。かくして、当業者が認識するように
、使用し得る構成は様々である。好適な態様において、リクルートリンカーは核
酸(類似体を含む)であり、ETMの付着は以下を介して可能である:(1)塩
基;(2)リボース、リン酸エステル、または核酸類似体に匹敵する構造を含む
バックボーン;(3)下記のヌクレオシド置換体;または(4)下記のメタロセ
ンポリマー。好適な態様において、リクルートリンカーは非核酸であり、ETM
置換基を含むメタロセンポリマーまたはアルキル型ポリマー(下により詳細に説
明するように、ヘテロアルキルを含む)のいずれかである。これらの選択肢は図
中に一般的に図示する。
【0158】 好適な態様において、リクルートリンカーは核酸であり、共有結合により付着
したETMを含んでいる。ETMは様々な位置で核酸内のヌクレオシドに付着し
ていてもよい。好適な態様は、(1)ヌクレオシド塩基への付着、(2)塩基置
換体としてのETMの付着、(3)リボース−リン酸バックボーンのリボースま
たはリン酸部分への、または核酸類似体の類似構造へなどの核酸バックボーンへ
の付着、および(4)メタロセンポリマーを介しての付着、などであり、後者が
好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0159】 さらに、下記のように、リクルートリンカーが核酸である場合、第二のラベル
プローブを用いることが望ましく、該プローブは本明細書に定義のように第一ラ
ベルプローブの一部にハイブリッド形成する第一部分とリクルートリンカーを含
んでなる第二部分を有する。これは一般的に図39Qおよび39Rに図示される
;これはアンプリファイアープローブの使用に似ているが、第一および第二ラベ
ルプローブ両者がETMを含んでなる場合は例外である。
【0160】 好適な態様において、伝導性オリゴマーの付着のために、既に一般的に概説さ
れているようにヌクレオシドの塩基に付着する。付着は内部ヌクレオシドまたは
末端ヌクレオシドに対してなされる。
【0161】 共有結合による塩基への付着は選定されたETM上の部分に依存するが、一般
には上記されているように、伝導性オリゴマーが塩基に付着するのに似ている。
付着は、一般には、塩基のどの部位になされてもよい。好適な態様において、E
TMは遷移金属複合体であり、かくして、適切な金属リガンドの塩基への付着が
ETMの共有結合による付着に導く。あるいは、当業者が認識するように、同様
のタイプの結合を有機ETMの付着に使用してもよい。
【0162】 一態様において、シトシンのC4付着アミノ基、アデニンのC6付着アミノ基
、またはグアニンのC2付着アミノ基が遷移金属リガンドとして使用し得る。
【0163】 芳香族基を含むリガンドは技術上既知のようにアセチレン結合を介して付着す
ることができる(Comprehensive Organic Synthesis, Trost et al., Ed., Perg
amon Press, Chapter 2.4; Coupling Reactions Between sp2 and sp Carbon Ce
nters, Sonogashira, pp 521-549, and pp 950-953参照; 出典明示により本明細
書に組込まれている)。構造30は金属イオンと他の必要なリガンド存在下での
代表的な構造を図示する;構造30ではウリジンを図示しているが、本明細書全
体について、他の塩基を使用することも可能である。
【0164】
【化30】 aはリガンドであり、窒素、酸素、イオウまたはリン供与リガンドまたはメ
タロセンリガンドなどの有機金属リガンドを包含する。適切なリガンドLaはフ
ェナントロリン、イミダゾール、bpyおよびterpyなどであるが、これら
に限定されるものではない。LrおよびMは上記定義のとおりである。再度、当
業者が認識するように、リンカー(“Z”)はヌクレオシドとETMの間に含ま
れる。
【0165】 同様に、伝導性オリゴマーとしては、その結合がリンカーを用いてなされるが
、リンカーはアミド結合を利用することができる(一般的に、Telser et al., J
. Am. Chem. Soc. 111: 7221-7226 (1989); Telser et al., J. Am. Chem. Soc.
111: 7226-7232 (1989)参照;両文献を特に出典明示により本明細書に組込まれ
ている)。これらの構造は下記構造31に一般的に図示する。再度ここではウリ
ジンを塩基として使用しているが、上記同様、他の塩基も使用し得る。
【化31】
【0166】 この態様において、Lは上記定義のリガンドであり、LrおよびMも上記定義
のとおりである。好ましくは、Lはアミノ、phen、bypおよびterpy
である。
【0167】 好適な態様において、ヌクレオシドに付着したETMはメタロセンである;す
なわち、構造31のLおよびLrは両者ともメタロセンリガンドであり、上記の
m 'である。構造32は好適な態様を図示するものであり、この場合メタロセン
はフェロセン、塩基はウリジンであるが、他の塩基も使用可能である。
【化32】
【0168】 予備データが示唆するところでは、構造32は環化可能であって、第二アセチ
レン炭素原子がカルボニル酸素を攻撃し、フラン様構造を形成する。好適なメタ
ロセンはフェロセン、コバルトセンおよびオスミウムオセンなどである。
【0169】 好適な態様において、ETMは核酸のリボース−リン酸バックボーンのいずれ
かの位置、すなわち、5'または3'末端またはいずれかの内部ヌクレオシドでリ
ボースに付着している。この場合のリボースはリボース類似体を包含する。技術
的に知られているように、リボースの2'または3'位置のいずれかで修飾されて
いるヌクレオシドは、窒素、酸素、イオウおよびリン−含有修飾により可能とな
し得る。アミノ−修飾および酸素−修飾リボースが好ましい。一般的には、PC
T公開WO95/15971(出典明示により本明細書に組込まれている)を参
照されたい。これらの修飾基は遷移金属リガンドとして、または他の遷移金属リ
ガンドおよび有機金属リガンド付着のための化学的に官能性の部分、または当業
者認知の有機電子供与体部分として使用することができる。この態様において、
本明細書において“Z”として図示したようなリンカーも同様に、またはリボー
スとETM間の伝導性オリゴマーも使用可能である。好適な態様では、リボース
の2'または3'位での付着を利用するが、2'位置が好ましい。このように例え
ば、構造13、14および15に図示された伝導性オリゴマーはETMに置換え
ることができる;あるいは、ETMは伝導性オリゴマーの遊離末端に加えてもよ
い。
【0170】 好適な態様において、メタロセンはETMとして作動し、下記構造33に図示
するようにアミド結合を介して付着する。例示ではメタロセンがフェロセンであ
る場合の好適な化合物につきその合成を概説する。
【化33】
【0171】 好適な態様においては、アミンの結合が構造34に一般的に図示するように使
用される。
【化34】 Zは本明細書に定義のごときリンカーであり、1〜16原子のものが好ましく、
2〜4原子がとりわけ好ましい。tは1または0である。
【0172】 好適な態様においては、オキソ結合が構造35に一般的に図示するように使用
される。
【化35】 構造35において、Zは本明細書に定義のとおりのリンカーであり、tは1ま
たは0である。好適なZリンカーは、(CH2nおよび(CH2CH2O)nなど
のヘテロアルキル基を含むアルキル基を包含し、nは1ないし10が好ましく、
n=1ないし4がとりわけ好ましく、n=4が特に好ましい。
【0173】 他のヘテロ原子を利用する結合も可能である。
【0174】 好適な態様において、ETMは核酸のリボース−リン酸バックボーンのいずれ
かの位置でリン酸エステルに付着する。これは様々な様式でなされる。一態様に
おいて、ホスホジエステル結合類似体、例えば、ホスホラミドまたはホスホラミ
ダイト結合は核酸中に取込まれていてもよく、その場合、ヘテロ原子(すなわち
、窒素)が遷移金属リガンドとして作動する(PCT公開WO95/15971
参照;出典明示により本明細書に組込まれている)。あるいは、構造23および
24に図示されている伝導性オリゴマーをETMに置換えてもよい。好適な態様
において、組成物は構造36に示した構造を有する。
【化36】
【0175】 構造36において、ETMはリン酸エステル結合を介して、一般にはリンカー
Zを使用することにより付着する。好適なZリンカーは、(CH2n、(CH2
CH2O)nなどのヘテロアルキル基を含むアルキル基を包含し、nは1ないし1
0が好ましく、n=1ないし4がとりわけ好ましく、n=4が特に好ましい。
【0176】 ETMがヌクレオシドの塩基またはバックボーンに付着している場合、より詳
しく下に概説するように、“樹枝状”構造を介してETMを付着させることが可
能である。図37に一般的に示すように、アルキルベースのリンカーを用い、各
枝の末端に1個以上のETMを含んでなる多数の分枝構造を創り出すことができ
る。一般に、これは多数のヒドロキシ基を含む分枝点を創り出すことにより実施
されるが、このヒドロキシ基を用いてさらなる分枝点を加えることができる。末
端のヒドロキシ基は次いでホスホラミダイト反応に用い、一般的にはヌクレオシ
ド置換およびメタロセンポリマー反応のために以下に実施するように、ETMに
加えることができる。
【0177】 好適な態様において、メタロセンなどのETMは、ETMとして作動するよう
に“ヌクレオシド置換体”として使用する。例えば、フェロセンの2つのシクロ
ペンタジエン環の間の距離は、二本鎖核酸中の2つの塩基間の直交距離に類似し
ている。フェロセンに加え、他のメタロセン、例えば、コバルトまたはルテニウ
ムなどを含むメタロセンなどの空気安定性メタロセンを使用することができる。
このように、メタロセン部分は、構造37(リボース−リン酸バックボーンを有
する核酸)および構造38(ペプチド核酸バックボーン)に一般的に図示するよ
うに、核酸のバックボーンに取込んでもよい。構造37および38ではフェロセ
ンを図示しているが、当業者が認識するように、他のメタロセンも同様に使用し
得る。一般に、空気に安定なメタロセンが好ましく、金属としてルテニウムおよ
びコバルトを利用するメタロセンが包含される。
【0178】
【化37】 構造37において、Zは上記定義のリンカーであり、一般的には短 いアルキル基をもち、酸素などのヘテロ原子を含むものが好ましい。一般に、重
要なことはリンカーの長さであり、より詳しく以下に説明するように、二本鎖核
酸の最少の摂動がもたらされるようにする。このように、メチレン、エチレン、
エチレングリコール、プロピレンおよびブチレンがすべて好適であり、エチレン
およびエチレングリコールが特に好ましい。さらに、各Zリンカーは同一であっ
ても、異なってもよい。構造37はリボース−リン酸バックボーンを表示してい
るが、当業者が認識するように、リボース類似体およびリン酸エステル結合類似
体などの核酸類似体を使用してもよい。
【0179】
【化38】 構造38において、好適なZ基は上記掲載のとおりであるが、再度、各Zリン
カーは同一または異なってもよい。上述のように、他の核酸類似体も同様に使用
し得る。
【0180】 さらに、上記の構造と検討ではメタロセン、特にフェロセンを描出しているが
、同じ一般的な着想を用い、下記のように、メタロセンに加えヌクレオシドの置
換体として、またはポリマーの態様において、ETMを付加することができる。
このように、例えば、1、2または3個(またはそれ以上)のリガンドを含んで
なる、メタロセン以外の遷移金属複合体である場合、該リガンドをフェロセンに
ついて表現したように機能化し、ホスホラミダイト基の付加を可能とすることが
できる。特に、この態様において好ましいのは、少なくとも2つの環(例えば、
アリールおよび置換アリール)リガンドを含んでなる複合体であり、その場合、
各リガンドはホスホラミダイト化学による付着のための官能基を含んでなる。当
業者が認識するように、このタイプの反応は、ここで生じるシグナルの増幅を可
能とするために、核酸バックボーンの一部としてまたは核酸の“側鎖基”として
ETMのポリマーを創出するが、正しい化学基を含むように官能化し得る実質的
にいずれのETMによっても実施することができる。
【0181】 このように、フェロセンなどのメタロセン(または他のETM)を核酸のバッ
クボーンに挿入することにより、核酸類似体が調製される;すなわち、本発明は
少なくとも1個のメタロセンを含んでなるバックボーンをもつ核酸を提供する。
このことはバックボーンに付着した、すなわち、リボース、リン酸エステルなど
を介して、メタロセンを有する核酸から識別される。すなわち、伝統的な核酸ま
たは類似体から造られた2つの核酸(この場合の核酸は単一のヌクレオシドを包
含する)それぞれは、メタロセンを介して互いに共有結合により付着することが
できる。異なる観点で、メタロセン誘導体または置換メタロセンが提供されるが
、その場合は、メタロセンの2つの芳香環それぞれが核酸置換基を有する。
【0182】 さらに、より詳しく以下に説明するように、間にヌクレオチドをもつか、およ
び/または隣接するメタロセンをもつ1個より多いメタロセンをバックボーンに
取込ませることが可能である。隣接するメタロセンをバックボーンに付加する場
合、これは“メタロセンポリマー”としての下記の工程と同じである;すなわち
、バックボーン内にメタロセンポリマーの領域が存在する。
【0183】 核酸置換基に加え、ある場合には、メタロセン(またはETM)の芳香環の一
方または双方にさらなる置換基を付加することが望ましい。例えば、これらのヌ
クレオシド置換体は一般に実質的に相補的な核酸、例えば、標的配列またはもう
一つのプローブ配列とハイブリッド形成すべきプローブ配列の部分なので、置換
基をメタロセン環に付加して、反対鎖上の1個または複数個の塩基に水素結合形
成するのを容易にすることが可能である。これらはメタロセン環上のどの位置に
付加してもよい。適切な置換基は、アミド基、アミン基、カルボン酸、および置
換アルコールを含むアルコール類であるが、これらに限定されるものではない。
さらに、これらの置換基は同様にリンカーを介して付着させることができるが、
一般的には好ましくない。
【0184】 さらに、ETM、特にフェロセンなどのメタロセン上に置換基を付加してET
Mのレドックス性を変化させてもよい。このように、例えばある態様では、より
詳しく以下に記載するように、異なる様式で(すなわち、塩基またはリボース付
着)、異なるプローブ上、または異なる目的で(例えば、校正または内部基準と
して)付着した異なるETMを有することが望ましい。このように、メタロセン
上に置換基を付加することは、2つの異なるETMの識別を可能とする。
【0185】 これらのメタロセン−バックボーン核酸類似体を生成させるために、中間成分
も提供される。このように、好適な態様において、本発明は構造39に一般的に
表示するように、ホスホラミダイト・メタロセンを提供する。
【化39】
【0186】 構造39において、PGは保護基であり、一般に核酸の合成に適した基でああ
て、DMT、MMTおよびTMTなどがすべて好適である。芳香環はメタロセン
の環であるか、または遷移金属複合体もしくは他の有機ETM用リガンドの芳香
環であることができる。芳香環は同一または異なってもよく、また、本明細書に
検討するように置換されていてもよい。
【0187】 構造40はフェロセン誘導体を図示する:
【化40】
【0188】 これらのホスホラミダイト類似体は技術上既知の標準的オリゴヌクレオチド合
成に追加することができる。
【0189】 構造41はフェロセンペプチド核酸(PNA)モノマーを図示し、技術上既知
のPNAの合成(または通常のタンパク質合成)に追加することができ、図面と実
施例内に表示される。
【化41】 構造41において、PG保護基はペプチド核酸合成に使用するのに適しており
、MMT、boc、およびFmocなどが好ましい。
【0190】 これら同一の中間化合物を用いてETMまたはメタロセンポリマーを形成する
ことが可能であり、これらは、より詳しく以下に説明するように、バックボーン
置換体としてよりもむしろ核酸に付加される。
【0191】 好適な態様において、ETMはポリマーとして、例えば、メタロセンポリマー
として、本明細書およびUS特許番号5,124,246に概説されているよう
に、“分枝したDNA”態様と同様の“分枝した”構成で、修飾した機能化ヌク
レオチドを用い付着させる。一般的な着想は以下のとおりである。修飾されたホ
スホラミダイトヌクレオチドが生成されるが、それはメタロセンなどのホスホラ
ミダイトETMの付着に使用し得る遊離のヒドロキシ基を最終的に含むことがで
きる。この遊離のヒドロキシ基は塩基またはリボースもしくはリン酸エステルな
どのバックボーン上に存在し得る(当業者も認識するであろうが、他の構造を含
む核酸類似体も使用し得る)。修飾されたヌクレオチドを核酸に取込み、ヒドロ
キシ保護基を除去し、遊離のヒドロキシを生じる。構造39および40において
上述したように、メタロセンなどのホスホラミダイトETMの付加に基づき、メ
タロセンETMなどのETMを付加する。メタロセンなどのさらなるホスホラミ
ダイトETMを付加し、図36でフェロセンについて描写したように“メタロセ
ンポリマー”を含む“ETMポリマー”を形成することができる。さらに、ある
態様においては、図36に一般的に描出したように、“キャッピング”基をポリ
マー中の末端ETMに、例えば、最終リン酸エステル基をメタロセンに付加する
ことによりポリマーの溶解性を上昇させることが望ましい。他の適切な溶解度上
昇性“キャッピング”基は当業者が認識するであろう。留意すべきことは、これ
らの溶解度上昇性基は、リガンド環、例えば、本明細書で検討したメタロセンの
他の位置でポリマーに付加させることができることである。
【0192】 この一般的な着想の好適な態様を図面に概説する。この態様において、ホスホ
ラミダイトヌクレオチドのリボースの2'位置は、この場合はオキソ結合を介し
て保護されたヒドロキシ基を含むように先ず官能化するが、リンカーの数につい
ては、Zリンカーについて本明細書で一般的に記載するようにいずれの数も使用
し得る。保護修飾されたヌクレオチドは、次いで標準的なホスホラミダイトの化
学により伸長する核酸中に取込む。保護基を除去し、遊離のヒドロキシ基を用い
、再び標準的なホスホラミダイトの化学を用い、フェロセンなどのホスホラミダ
イトメタロセンを付加させる。同様の反応は核酸の類似体についても可能である
。例えば、構造41に示したペプチド核酸とメタロセンモノマーを用い、メタロ
センポリマーを含むペプチド核酸構造を生成させることができた。
【0193】 このように、本発明は図36および37に一般的に図示したように、メタロセ
ンポリマーの“分枝”を含んでなる核酸のリクルートリンカーを提供する。好適
な態様ではメタロセンの長さが1ないし約50個、好ましくは約5ないし約20
個、とりわけ好ましくは約5ないし約10個のメタロセンポリマーを利用する。
【0194】 さらに、リクルートリンカーが核酸である場合、ETMの組合わせがなされる
。 好適な態様において、リクルートリンカーは核酸ではなく、代りに如何なる種
類のリンカーまたはポリマーであってもよい。当業者が認識するように、ETM
を含むように修飾し得る一般的なリンカーまたはポリマーを用いることができる
。一般に、ポリマーまたはリンカーは適度に溶解すべきであり、ETM付加のた
めの適切な官能基を含むべきである。
【0195】 本明細書にて用いる場合、“リクルートポリマー”とは少なくとも2または3
個のサブユニットを含んでなり、共有結合により付着している。モノマーサブユ
ニットの少なくともある部分はETMの共有結合による付着のための官能基を含
む。ある態様において、カップリング部分はサブユニットとETMとを共有結合
させるために用いる。付着のための好適な官能基は、アミノ基、カルボキシ基、
オキソ基およびチオール基などであって、アミノ基が特に好ましい。当業者が認
識するように、多様なリクルートポリマーが可能である。
【0196】 適切なリンカーとしては、アルキルリンカー(ヘテロアルキル((ポリ)エチ
レングリコール型構造を含む)、置換アルキル、アリールアルキルリンカーを含
む)を包含するが、これらに限定されるものではない。ポリマーについては上記
のごとく、リンカーはETM付着のための1個以上の官能基を含んでなり、付着
は当業者認識のとおりに、例えば、周知のホモ−またはヘテロ−二官能性リンカ
ーを使用することによって実施される(1994年Pierce Chemical Companyの
カタログ、架橋剤に関する技術のセクション、155〜200ページ参照。出典
明示により本明細書に組込まれている)。
【0197】 適切なリクルートポリマーは、機能化したスチレン、例えば、アミノスチレン
、機能化したデキストラン、およびポリアミノ酸などを包含するが、これらに限
定されるものではない。好適なポリマーは、ポリリジンなどのポリアミノ酸(ポ
リ−D−アミノ酸およびポリ−L−アミノ酸両方)、およびリジンと特に好適な
他のアミノ酸を含むポリマーなどである。他の適切なポリアミノ酸は、ポリグル
タミン酸、ポリアスパラギン酸、リジンとグルタミン酸またはアスパラギン酸と
の共重合体、リジンとアラニン、チロシン、フェニルアラニン、セリン、トリプ
トファン、および/またはプロリンとの共重合体などである。
【0198】 好適な態様において、リクルートリンカーは上記のようにメタロセンポリマー
が含まれる。
【0199】 溶液結合配位子またはラベルプローブ第一部分へのリクルートリンカーの付着
は、当業者が認識するように、リクルートリンカーおよび標識および/または結
合配位子の組成に依存する。標識プローブまたは結合配位子が核酸である場合、
一般に核酸リクルートリンカーは、要求されるETM含有ヌクレオシドの取込み
とともに、第一種の合成の際に形成される。あるいは、ラベルプローブまたは結
合配位子の第一部分とリクルートリンカーが別個に造られ、次いで付着してもよ
い。両方が核酸である場合、相補性の重なり合う区分があって、例えば、技術的
に既知のプソラレンを使用することにより、化学的に架橋し得る二本鎖核酸の区
分を形成させてもよい。
【0200】 非核酸リクルートリンカーを使用する場合、リクルートリンカーのリンカー/
ポリマー付着は一般に、当業者が認識するような標準的化学技法を用いて実施さ
れる。例えば、アルキル−ベースのリンカーを使用する場合、付着は核酸への絶
縁体付着と同様である。
【0201】 さらに、核酸と非核酸の混合物であるリクルートリンカーを、線状形態(すな
わち、核酸セグメントがアルキルリンカーとともに結合している)または分枝形
態(ETMを含み、かつ、さらに分枝していてもよいアルキル“分枝”をもつ核
酸)で入手することが可能である。
【0202】 プローブ配列、すなわち、相補性配列にハイブリッド形成するように設計され
た配列に連接したETMを入手することも可能である。このように、ETMは非
リクルートリンカーにも同様に付加させることができる。例えば、アッセイ複合
体の成分にハイブリッド形成するラベルプローブ断片、例えば、第一部分に、ま
たは上記および図39Rに記載の標的配列に付加したETMが存在してもよい。
これらのETMは一部の態様において電子移動検出に使用してもよく、あるいは
その位置とシステムによっては使用することができない。例えば、ある態様にお
いて、例えば、図39Aおよび39Bに図示したように、無作為に取込ませたE
TMを含有する標的配列が捕獲プローブに直接ハイブリッド形成する場合には、
捕獲プローブにハイブリッド形成する部分にETMが存在する。もし捕獲プロー
ブが伝導性オリゴマーを用いる電極に付着するならば、これらのETMはすでに
説明したように電子移動を検出するのに使用することができる。あるいは、これ
らのETMは特異的に検出し得ない可能性もある。
【0203】 同様に、ある態様においては、リクルートリンカーが核酸である場合、リクル
ートリンカーの一部またはすべてが二本鎖であることが、ある例では望ましい。
一態様においては、第二リクルートリンカーが存在し、それが実質的に第一リク
ルートリンカーに相補的であり、第一リクルートリンカーにハイブリッド形成し
得ることがある。好適な態様において、第一リクルートリンカーは共有結合によ
り付着したETMを含んでなる。別の態様において、第二リクルートリンカーは
ETMを含み、第一リクルートリンカーは含まず、ETMは第二リクルートリン
カーが第一に対してハイブリッド形成することによりその表面に集められる。さ
らにもう一つの態様においては、第一および第二リクルートリンカー双方がET
Mを含んでなる。留意すべきことは、上記のように、大量数のETMを含んでな
る核酸は、同様にはハイブリッド形成しない、すなわち、ETMの付着部位と特
性に依存してTmが低下することがある。かくして、一般に、多数のETMが鎖
のハイブリッド形成に用いられるとき、一般には約5より小さく、好ましくは約
3より小さくする。あるいはETMは、介在するヌクレオチドが充分にハイブリ
ッド形成して良好な反応速度が可能となるように十分な空間距離をとるべきであ
る。
【0204】 一態様においては、核酸標的および/または結合配位子および/またはリクルー
トリンカーを使用する場合、非共有結合により付着したETMを使用してもよい
。一態様において、ETMはハイブリッド形成の指標である。ハイブリッド形成
の指標は、ミランらの方法と同様に、通常は逆に、二本鎖核酸と優先的に会合す
るETMが添加されたときに作動する(Millan et al., Anal. Chem. 65: 2317-
2323 (1993); Millan et al., Anal. Chem. 66: 2943-2948 (1994); 両文献を特
に参照により本明細書に取込む)。この態様において、表面での二重鎖核酸とE
TMハイブリッド形成の指標との会合によるETMの局部的濃度上昇は伝導性オ
リゴマーを含んでなる単層を用いてモニターすることができる。ハイブリッド形
成の指標は挿入剤と小溝および/または主溝結合部分を含んでいる。好適な態様
においては挿入剤を用いてもよい;挿入は一般に二本鎖核酸の存在下にのみ起こ
るので、二本鎖核酸の存在下においてのみETMが集中する。遷移金属複合体E
TMの挿入は技術的に既知である。同様に、主溝または小溝結合部分、例えば、
メチレンブルーを本態様において使用してもよい。
【0205】 同様に、本発明のシステムは非共有結合により付着したETMを利用し得るが
、これは一般的に Napier et al., Bioconj. Chem. 8: 906 (1997)(特に参照に
より本明細書に取込む)に記載されている。この態様において、DNA存在の結
果としてある分子のレドックス状態が変化することは(すなわち、ルテニウム複
合体によるグアニン酸化)、同様に伝導性オリゴマーを含んでなるSAMを用い
検出することができる。
【0206】 このように、本発明は伝導性オリゴマーを含み、一般に捕獲結合配位子、およ
び結合配位子、またはETM含有リクルートリンカーを含む結合配位子と結合す
る標識プローブのいずれかを含む、単層を含んでいる電極を提供する。
【0207】 好適な態様において、本発明の組成物はサンプル中の標的被検体を検出するた
めに使用する。好ましい実施態様において、標的被検体は核酸であり、そうして
標的配列の検出を行なう。本明細書において“標的配列”という用語または文法
的等価物は一本鎖核酸上の核酸配列を意味する。標的配列は、遺伝子の部分、調
節配列、ゲノムDNA、cDNA、mRNAとrRNAを含むRNA、その他で
あってよい。長さは任意であるが、配列が長い程より特異性が増すことは理解さ
れる。当業者が認めるであろうように、相補標的配列は多くの形状を取り得る。
例えば、それはより大きな核酸配列内に、すなわち、とりわけ、遺伝子またはm
RNAのすべてまたは部分、プラスミドまたはゲノムDNAの制限フラグメント
内に含まれていてもよい。以下により詳細に概説するように、プローブは標的配
列にハイブリダイズするように調製し、サンプル中標的配列の存在または不存在
を決める。一般に、この用語は当業者が理解するところである。標的配列は異な
る標的ドメインから構成されていてもよい;例えば、サンプル標的配列の第一標
的ドメインは捕獲プローブまたは捕獲伸長プローブの一部にハイブリダイズして
もよく、第二標的ドメインは増幅プローブの一部、標識プローブ、または異なる
捕獲もしくは捕獲伸長プローブなどにハイブリダイズしてもよい。標的ドメイン
は隣接していても、離れたいてもよい。“第一”および“第二”という用語は標
的配列の5’−3’配向に関して、配列の配向を付与することを意味するもので
はない。例えば、相補標的配列の5’−3’配向を仮定すると、第一標的ドメイ
ンは第二ドメインに対して5’に位置してもよく、あるいは第二ドメインに対し
て3’に位置してもよい。
【0208】 必要であれば、標的被検体は既知技法により調製する。例えば、既知の溶解バ
ッファー、エレクトロポレーションなどによりサンプルを処理して細胞を溶解し
、当業者には明らかなように、必要に応じ生成させる。好適な態様において、標
的被検体が核酸である場合には、PCR、およびPCT/US99/01705
(出典明示によりその全体を本明細書の一部とする)に概説されているような他
の増幅技法により増幅を実施する。
【0209】 標的被検体が核酸である場合には、本発明のプローブは標的配列に相補性(下
に説明するように、サンプルの標的配列または他のプローブ配列に対し)となる
ように設計し、標的配列と本発明プローブのハイブリダイゼーションが起こるよ
うにする。下に概説するように、この相補性は完全である必要はない;標的配列
と本発明の一本鎖核酸間のハイブリダイゼーションを阻害するような、相当数の
塩基対ミスマッチがあってもよい。しかし、もし突然変異の数が多すぎて、最少
の緊縮ハイブリダイゼーション条件下でもハイブリダイゼーションが起こらない
ならば、その配列は相補的標的配列ではない。このように、本明細書において“
実質的に相補的”とは、プローブが正常の反応条件下でハイブリダイズするため
に標的配列に十分に相補的であることを意味する。
【0210】 一般に、本発明の核酸組成物はオリゴヌクレオチドプローブとして有用である
。当業者には明らかなように、プローブの長さは、標的配列の長さおよびハイブ
リダイゼーションと洗浄条件により変わる。一般に、オリゴヌクレオチドプロー
ブは約8ないし約50ヌクレオチドの範囲であり、好ましくは約10ないし約3
0であり、特に好ましいのは約12ないし約25である。ある場合には、非常に
長いプローブ、例えば、50ないし200〜300ヌクレオチドの長さのものを
用いてもよい。このように、本明細書に描出した構造において、ヌクレオシドは
核酸と置換え得る。
【0211】 多様なハイブリダイゼーション条件が本発明において使用し得るが、高度、中
程度および低度の緊縮条件などである;例えば、Maniatis et al., Molecular C
loning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, 1989, and Short Protocols in M
olecular Biology, ed. Ausubel, et al.(出典明示により本明細書の一部とす
る)参照。ハイブリダイゼーション条件は技術上知られるように、非イオン性バ
ックボーン、すなわちPNAを用いても変わり得る。さらに、架橋剤が標的結合
に続いて二本鎖のハイブリダイゼーション複合体を架橋する、すなわち、共有結
合により付着させるために加えられてもよい。
【0212】 当業者には明らかなように、本発明の核酸システムは、図面に一般的に描出し
たように、多数の異なる形状の上に取り得る。一般に、使用し得るシステムには
3つのタイプがある:(1)標的被検体それ自体がETMで標識されるシステム
(すなわち、非核酸システムについては標的被検体類似体の使用、または核酸シ
ステムについては標的配列が標識される;図6A、6Bおよび6C参照);(2
)標識プローブ(またはリクルートリンカーをもつ捕獲結合リガンド)が直接標
的配列に結合する(すなわち、核酸にハイブリダイズする)システム(核酸の実
施態様については図6D〜6Hおよび非核酸の実施態様については図2Aおよび
2C参照);および(3)リクルートリンカーを含む標識プローブが間接的に標
的被検体に、例えば、増幅プローブの使用を介して結合するシステム(核酸の実
施態様については図6I、6Jおよび6Kおよび非核酸の実施態様については図
2Bおよび2D参照)。
【0213】 これら3つのシステムすべてにおいて、要求されるというわけではないが、電
極表面に標的被検体を固定するのが好ましい。これは捕獲結合リガンドと所望に
より1つまたはそれ以上の捕獲伸長リガンドを用いて好適に実施される。捕獲結
合リガンドのみを利用する場合には、各標的被検体に対しユニークな捕獲結合リ
ガンドをもつことが必要である;すなわち、表面はユニークな捕獲結合リガンド
を含むように設計しなければならない。あるいは、捕獲伸長リガンドの使用、特
に捕獲伸長リガンドが捕獲伸長プローブ(すなわち、核酸)である場合、それを
使用することが可能であり、それが“普遍的”表面、すなわち、全ての標的配列
を検出するのに使用し得る単一タイプの捕獲プローブを含む表面を可能とする。
【0214】 捕獲伸長プローブまたは部分は、標的被検体および結合リガンドの特性に応じ
て、様々な異なる立体配座を採り得る。好適な態様において、標的被検体および
結合リガンドは核酸である。この態様において、“捕獲伸長”プローブは一般的
に図6に描出され、捕獲プローブの全部または一部にハイブリダイズする第一部
分と、標的配列の一部分にハイブリダイズする第二部分とをもつ。これが次いで
設計された可溶性プローブの生成を可能とするが、当業者も認めるように、一般
により簡単でコストも掛らない。本明細書に示すように(例えば、図6H)、2
つの捕獲伸長プローブを使用し得る。これは一般にアッセイ複合体を安定化する
ためになされる(例えば、標的配列が大きい場合、または大きな増幅プローブ(
特に、分枝または樹枝状増幅プローブ)が使用される場合)。
【0215】 捕獲結合リガンドが核酸でない場合、捕獲伸長成分をなお使用し得る。一態様
において、図2Cに描出したように、捕獲結合リガンドが核酸の会合した捕捉エ
クステンダーをもち(当業者も認めるであろうが、同様に結合対の一部であって
もよい)、電極表面を標的とするために使用し得る。あるいは、さらなる捕獲伸
長成分を用いて、“一般的”表面を可能とする(図1参照)。
【0216】 好適な態様において、捕獲結合配位子は以下に検討するSAMの形成後に加え
られる(上記(4))。これは、当業者が認識するように種々の方法で実施し得る。
一態様において、末端官能基を有する伝導性オリゴマーは、活性化されたカルボ
ン酸エステルとイソチオシアン酸エステルを利用する好適な態様により調製され
るが、それは、活性化されたカルボン酸エステルおよび核酸を用いる図7に一般
的に図示したように、結合配位子に取付けた一級アミンと反応する。他の捕獲配
位子を同様の方法で取りつけてもよい。これら二種類の試薬は水溶液中で安定で
あるという利点をもち、さらに一級アルキルアミンと反応する。これがその表面
上に既知方法(インクジェット、スポッティングなど)によるプローブ(捕獲プ
ローブまたは検出プローブのいずれか、または両方)のスポッティングを可能と
する。
【0217】 さらに、捕獲結合配位子を表面上に固定化するために用い得る多くの非核酸方
法がある。例えば、結合パートナー対が利用し得る;すなわち、一方の結合パー
トナーは伝導性オリゴマーの末端に付着させ、他方は結合配位子の末端に付着さ
せる。これはまた核酸捕獲プローブを使用せずに実施し得る;すなわち、一方の
結合パートナーは捕獲プローブとして作用し、他方は標的配列または捕獲伸長プ
ローブのいずれかに付着する。すなわち、標的配列が結合パートナーを含むか、
または標的配列にハイブリッド形成する捕獲伸長プローブが結合パートナーを含
むかのいずれかである。適切な結合パートナー対は、ビオチン/ストレプトアビ
ジンなどのハプテン対、抗原/抗体、NTA/ヒスチジンタグなどであるが、こ
れらに限定されるものではない。一般に、より小型の結合パートナーが好ましい
【0218】 好適な態様において、標的配列それ自体が修飾され結合パートナーを含む場合
、結合パートナーは標的配列に酵素的に付着し得る修飾ヌクレオチドを介して、
例えば、PCR標的増幅工程に際して付着する。あるいは、結合パートナーは標
的配列に容易に付着する。
【0219】 あるいは、標的にハイブリッド形成するための核酸部分並びに結合パートナー
を有する捕獲伸長プローブを利用してもよい(例えば、捕獲伸長プローブは結合
パートナーに付着するのに使用されるアルキルリンカーなどの非核酸部分を含ん
でいてもよい)。この態様においては、安定のために標的の二本鎖核酸と捕獲伸
長プローブとを、例えば、技術上既知のプソラレンを用い架橋することが望まし
い。
【0220】 一態様において、該標的は捕獲結合配位子を用いる電極表面に結合しない。こ
の態様において重要なことは、本明細書のすべてのアッセイについて、過剰のラ
ベルプローブは検出前に除去すべきであり、アッセイ複合体(リクルートリンカ
ーを含む)は表面に接近させるべきことである。当業者が認識するように、これ
は他の方法で実施するのがよい。例えば、アッセイ複合体は、単層を含んでなる
電極に付加されるビーズ上に存在してもよい。ETMを含むリクルートリンカー
は、表面上へのビーズの重力沈降、ビーズ成分と表面間の静電気的または磁気的
相互作用などの当技術分野で周知の技法を用い、上述の結合パートナー付着を用
いて伝導性オリゴマー表面に近接して設置することができる。あるいは、過剰の
ラベルプローブなどの過剰の試薬を除去した後、アッセイ複合体を、例えば、ア
ッセイ複合体を表面に押し込むのに充分な電圧をもつシステムにパルス送達する
ことにより、表面に送り込むことが可能である。
【0221】 しかし、好適な態様では、捕獲結合配位子を介して付着したアッセイ複合体を
利用する。
【0222】 核酸システム用では、好ましい実施態様として、それ自体がETMを含む標的
配列を用いる。上記に検討したように、このことは相当数の位置に取込まれたE
TMをもつ標的配列により実施し得ることであり、上記概説のとおりである。代
表的な例を図6A、6Bおよび6Cに描出する。この態様においては、このシス
テムのその他について、プローブと標的の3’−5’配向が、ETM含有構造(
すなわち、リクルートリンカーまたは標的配列)が可能な限り単層の表面に接近
するように、また、正しい配向となるように選択される。これは図面に一般的に
示したように、絶縁体または伝導性オリゴマーを介する付着により実施すること
ができる。さらに、当業者が認めるであろうように、複数の捕獲プローブは、捕
獲プローブの5’−3’配向が異なる場合である図6Cに描出したような形状で
、または図6Aおよび6Bに描出したような複数の捕獲プローブを用いた場合に
標的の“ループ”が生成する場所で利用することができる。
【0223】 核酸システム用では、好ましい実施態様として、、図6D−6Iに一般的に描
出したように、標的配列に直接ハイブリダイズする標識プローブを利用する。こ
れらの態様において、標的配列は、好ましくは、捕獲伸長プローブを含む捕獲プ
ローブにより表面に固定するが、必ずしも必要ではない。次いで、標識プローブ
を用い、伝導性オリゴマーからなる単層の表面近傍にETMをもってくる。好適
な態様においては、複数の標識プローブを用いる;すなわち、標識プローブは標
的配列にハイブリダイズする部分(図では141と標示)が多数の異なる標識プ
ローブに対して異なり得るように設計し、その結果、シグナルの増幅が起こるが
、その理由は複数の標識プローブがそれぞれの標識配列に結合し得るからである
。このように、図に描出したように、nは少なくとも1の整数である。所望の感
度、標的配列の長さ、標識プローブ当たりのETM数により、nの好適な範囲は
1〜50、特に好ましくは約1ないし約20、そしてとりわけ好ましいのは約2
ないし約5である。さらに、もし“一般の”標識プローブが望ましいのであれば
、増幅プローブの使用について一般的に下に説明したように、標識伸長プローブ
を用いることができる。
【0224】 上記のように、この態様においては一般に、システムの形状と標識プローブ(
リクルートリンカー)の配置は単層表面に可能な限り近接してETMが集まるよ
うに設計する。 好適な態様において、標識プローブは間接的に標的被検体に結合させる。すな
わち、本発明はシグナル増幅技術と電極上での電子伝達検出との新規な組合わせ
用途を見出だすが、核酸検出において、これは図6I(以下参照)に一般的に描出
したように、サンドイッチハイブリダイゼーションアッセイにとりわけ有用であ
る。これらの態様において、本発明の増幅プローブはサンプル中の標的配列に直
接または間接的に結合する。増幅プローブは、好ましくは標識プローブの結合に
利用し得る比較的多数の増幅配列を含むので、検出可能なシグナルが有意に増加
し、標的の検出限界が有意に改善され得る。これらの標識と増幅プローブ、およ
び本明細書に記載の検出方法は、本質的に既知の核酸ハイブリダイゼーションに
よるいずれかの方式、例えば、標的を直接固相に結合する方式で、または標的が
1つ以上の核酸に結合し、それが次いで固相に結合するサンドイッチハイブリダ
イゼーションアッセイにて、使用可能である。
【0225】 一般に、これらの態様は以下のように説明し得る。増幅プローブは標的配列に
直接(例えば、図6I)または標識伸長プローブの使用を介して(例えば、図6
Nおよび6O)ハイブリダイズするが、これは“一般的な”増幅プローブの調製
を可能とする。標的配列は、好ましくは捕獲プローブを使用して電極上に固定す
るが、必ずしも必要ではない。好ましくは、増幅プローブは多様な増幅配列を含
むが、ある態様においては、下記説明のように、増幅プローブは唯1つの増幅配
列を含む。増幅プローブは多くの異なる形状をとることができる;例えば、分枝
立体配座、樹枝状立体配座、または増幅配列の線状“ひも”などである。これら
の増幅配列を使用して標識プローブとのハイブリダイゼーション複合体を形成し
、電極を用いてETMを検出することができる。
【0226】 したがって、本発明は少なくとも1つの増幅プローブからなるアッセイ複合体
を提供する。本明細書において“増幅プローブ”または“核酸多量体”または“
増幅多量体”または文法上の等価物とはシグナル増幅を容易にするために用いる
核酸プローブを意味する。増幅プローブは以下に定義するように、少なくとも1
つの一本鎖核酸プローブ配列、および少なくとも1つの一本鎖核酸増幅配列、好
ましくは多様な増幅配列を含んでいる。幾つかの実施態様において、増幅結合配
位子を使用することができ、それは非核酸由来であるが、リクルートリンカーを
含む標識配位子に後に会合/結合する複数の部位を含む。しかしながら、核酸シ
ステムにおいては増幅プローブが好ましい
【0227】 増幅プローブは標識配列にハイブリダイズするために、直接または間接に使用
する第一プローブ配列を含む。すなわち、増幅プローブ自体が標的配列に実質的
に相補的である第一プローブ配列をもち得るか(例えば、図6I)、またはそれ
が追加のプローブの一部に実質的に相補的である第一プローブ配列をもち、その
追加のプローブはこの場合標識伸長プローブと呼ばれるものであって、標的配列
に実質的に相補的である第一部分を有する(例えば、図6N)。好適な態様にお
いて、増幅プローブの第一プローブ配列は標的配列に実質的に相補的であり、そ
れを図6Iに一般的に描出してある。
【0228】 一般に、本明細書のプローブすべてについて、第一プローブ配列は特異性と安
定性を与えるに十分な長さのものである。このように一般に、もう一つの核酸に
ハイブリダイズするように設計された本発明のプローブ配列(すなわち、プロー
ブ配列、増幅配列、より大きなプローブの部分またはドメイン)は少なくとも約
5個のヌクレオシドの長さであり、好ましくは少なくとも約10個であり、そし
て特に好ましくは少なくとも約15個である。
【0229】 好適な態様において、図8に描出するように、増幅プローブまたは本発明の他
のプローブのいずれかは、それら標的の不存在下でヘアピン基部−ループ構造を
形成することがある。基部二本鎖配列の長さは、ヘアピン構造が標的の存在下で
有利とならないように選択する。本発明のシステムにおいて、またはいずれかの
核酸検出システムにおいて、これらの型のプローブを使用すると非特異結合が有
意に減少し、結果としてシグナル−ノイズ比が増大するに至る。
【0230】 一般に、これらのヘアピン構造は4つの成分を含む。その第一成分は標的結合
配列、すなわち、標的に相補的領域(サンプル標的配列であるか、または結合が
要望どおりである他のプローブ配列であってもよい)であって、約10個のヌク
レオチドの長さがあり、好ましくは約15個である。第二成分はループ配列であ
り、核酸ループの形成を容易にし得るものである。この観点で特に好ましいのは
GTCの反復であり、脆弱X症候群において屈曲部を形成するものとして同定さ
れている。(PNA類似体を使用する場合、屈曲部はプロリン残基を含むものが
好ましい)。一般に、3ないし5つの反復が用いられるが、4ないし5が好まし
い。第三の成分は自己相補性領域であり、これは標的配列領域の一部に相補的な
第一部分と標識プローブ結合配列の第一部分を含む第二部分を有する。第四の成
分は標識プローブ(または場合によっては他のプローブ)に実質的に相補的であ
る。第四の成分はさらに“付着末端”、すなわち、プローブの他の部分にハイブ
リダイズしない部分を含み、好ましくは、すべてではないが、ETMの殆どを含
む。一般構造を図38に描出する。当業者が認めるであろうように、本明細書に
記載したプローブのいずれかまたはすべてが、増幅、捕獲、捕獲伸長、標識、お
よび標識伸長プローブを含め、それらの標的不存在下でヘアピンを形成するよう
に配列することができる。
【0231】 好適な態様においては、数種の異なる増殖プローブを用いるが、そのそれぞれ
が標的配列の異なる部分にハイブリダイズする第一プローブ配列をもつ。すなわ
ち、1以上の増幅レベルがある;増幅プローブは多数の標識事象によりシグナル
を増幅し、また、それぞれ多様な標識をもつ数種の異なる増幅プローブが各標的
配列に対して使用される。このように、好適な態様では少なくとも2種類の異な
る増幅プローブのプールを利用するが、それぞれのプールは標的配列の異なる部
分に対しハイブリダイズするための異なるプローブ配列をもつ;異なる増幅プロ
ーブの数に関して唯一実際の制限は、当初標的配列の長さであろう。さらに、一
般に好ましいことではないが、異なる増幅プローブが異なる増幅配列を含むこと
も可能である。
【0232】 好適な態様において、増幅プローブはサンプルの標的配列と直接ハイブリダイ
ズしないが、代りに、図39Lに一般的に描出したように、標識伸長プローブの
第一部分にハイブリダイズする。これは“一般的な”増幅プローブ、すなわち、
様々な異なる標的と共に使用し得る増幅プローブの使用を可能とするためにとり
わけ有用である。これは増幅プローブの幾つかが特別の合成技術を必要とすると
いう理由で望ましいことである。このように、標識伸長プローブとして比較的短
いプローブを加えることが好ましい。このように、増幅プローブの第一プローブ
配列は、第一標識伸長一本鎖核酸プローブの第一部分またはドメインに実質的に
相補性である。標識伸長プローブはまた、標識配列の一部に実質的に相補性であ
る第二部分またはドメインをも含む。これらの部分双方が、好ましくは少なくと
も約10ないし約50ヌクレオシドの長さであり、好ましくは約15ないし約3
0の範囲である。“第一”および“第二”という用語は標的またはプローブ配列
の5’−3’配向に関して、配列の配向を付与することを意味するものではない
。例えば、相補標的配列の5’−3’配向を仮定すると、第一部分は第二部分に
対して5’に位置してもよく、あるいは第二部分に対して3’に位置してもよい
。本明細書では便宜上、プローブ配列の順序を一般に左から右に示すこととする
【0233】 好適な態様において、1つ以上の標識伸長プローブ増幅プローブ対が使用され
る、すなわち、nは1以上である。すなわち、複数の標識伸長プローブを用い、
その各々が標的配列の異なる部分に実質的に相補性である部分をもつ;これはも
う一つの増幅レベルとして役立ち得る。このように、好適な態様では少なくとも
2つの標識伸長プローブのプールを利用するが、その上限は標的配列の長さによ
り決まる。
【0234】 好適な態様においては、図6Oに描出し、またUSP5,681,697(出典
明示により本明細書の一部とする)に一般的に概説されているように、1つ以上
の標識伸長プローブを単一の増幅プローブと共に用い、非特異結合を減少させる
。この態様において、第一標識伸長プローブの第一部分は標的配列の第一部分に
ハイブリダイズし、第一標識伸長プローブの第二部分は増幅プローブの第一プロ
ーブ配列にハイブリダイズする。第二標識伸長プローブの第一部分は標的配列の
第二部分にハイブリダイズし、第二標識伸長プローブの第二部分は増幅プローブ
の第二プローブ配列にハイブリダイズする。これらの形状構造は、ある場合に“
十字型”構造または形状といい、一般に、大型の分枝または樹枝状増幅プローブ
を用いる場合には、安定性を付与するために実施される。
【0235】 さらに、当業者が認めるであろうように、標識伸長プローブは下記のように、
直接増幅プローブとよりもむしろプレ増幅プローブと相互作用する可能性がある
。 同様に、上記に概説したように、好適な態様では数種の異なる増幅プローブを
利用するが、それぞれが標識伸長プローブの異なる部分にハイブリダイズする第
一プローブ配列をもつ。さらに、上に概説したように、これは一般に好ましいこ
とではないが、異なる増幅プローブが異なる増幅配列を含むことも可能である。
【0236】 第一プローブ配列に加えて、増幅プローブはまた、少なくとも1つの増幅配列
を含んでいる。本明細書において“増幅配列”または“増幅セグメント”または
文法上の等価物とは、下記により詳しく説明するように、標識プローブの第一部
分に結合させるために、直接または間接に使用する配列を意味する。好ましくは
、増幅プローブは多様な増幅配列を含んでおり、好ましくは約3ないし約100
0からなり、特に好ましくは約10ないし約100からなり、そしてとりわけ好
ましいのは約50である。ある場合には、例えば、線状の増幅プローブを使用す
る場合、1ないし約20が好ましく、特に、約5ないし約10が好ましい。さら
に、非核酸増幅部を使用する場合、増幅セグメントが標識配位子と結合し得る。
【0237】 増幅配列は当業者が認めるであろうように、様々な様式で互いに結合すること
ができる。これらは互いに共有結合により直接結合するか、またはリン酸ジエス
テル結合、PNA結合などの核酸結合を介して、またはアミノ酸、炭水化物また
はポリオールブリッジなどの挿入結合剤を介して、または他の架橋剤または結合
パートナーを介して、介在配列もしくは化学的部分に結合してもよい。結合部位
はセグメントの末端であっても、および/または1つ以上の鎖内の内部ヌクレオ
チドであってもよい。好適な態様において、増幅配列は核酸結合を介して付着す
る。
【0238】 好適な態様においては、USP5,124,246(出典明示により本明細書の
一部とする)に一般的に説明されているように、分枝状の増幅配列を使用する。
分枝状の増幅配列は“フォーク様”または“櫛様”の立体配座を採ることが可能
である。“フォーク様”分枝状増幅配列は一般に分枝状構造を形成する起点から
発生する3つ以上のオリゴヌクレオチドセグメントをもつ。起点とは、少なくと
も3つのセグメントが共有結合によりまたは堅固に結合し得るもう一つのヌクレ
オチドセグメントまたは多機能分子である。“櫛様”分枝状増幅配列とは、線状
の背骨をもち、その背骨から多数の側鎖オリゴヌクレオチドが伸び出しているも
のである。いずれの立体配座においても、張り出したセグメントは、通常、修飾
したヌクレオチドに、またはオリゴヌクレオチド付着用の適切な官能基をもつ他
の有機部分に左右される。さらに、いずれの立体配座においても、多数の増幅配
列が、検出プローブに直接もしくは間接に結合させるために利用し得る。一般に
、これらの構造は修飾した多機能ヌクレオチドを用い、とりわけUSP5,63
5,352および5,124,246に記載されているように、技術上既知として
調製される。
【0239】 好適な態様において、樹枝状増幅プローブは、USP5,175,270(出典
明示により本明細書の一部とする)に記載されているように使用する。樹枝状増
幅プローブはハイブリダイゼーションを介して付着する増幅配列をもち、その結
果、それらの構造の成分として二本鎖核酸の部分をもつ。樹枝状増幅プローブの
外表面は多様な増幅配列をもつ。
【0240】 好適な態様においては、線状の増幅プローブを用いるが、これは個々の増幅配
列が末端−末端で直接結合するか、または短い介在配列と結合してポリマーを形
成する配列をもつ。他の増幅形状でのように、増幅配列間に追加の配列または部
分があってもよい。さらに、本明細書に概説するように、線状の増幅プローブは
図8に描出したように、ヘアピン基部−ループ構造を形成してもよい。
【0241】 一態様において、線状の増幅プローブは単一の増幅配列をもつ。これは、ハイ
ブリダイゼーション/解離のサイクルが起こって増幅プローブのプールを形成し
、それが標的にハイブリダイズして、次いで除去されてさらにプローブが結合す
るのを可能とする場合、または大量のETMを各プローブに対し使用する場合に
有用である。しかし、好適な態様においては、線状の増幅プローブは多様な増幅
配列を含む。
【0242】 さらに、増幅プローブは全体が線状であるか、全体が分枝であるか、全体が樹
枝状であるか、またはその組合わせであってもよい。 増幅プローブの増幅配列を直接または間接に用い、検出を可能とする標識プロ
ーブに結合させる。好適な態様において、増幅プローブの増幅配列は実質的に標
識プローブの第一部分に相補的である。あるいは、増幅伸長プローブを用いるが
、これは増幅配列に結合する第一部分と、標識プローブの第一部分に結合する第
二部分をもつ。
【0243】 さらに、本発明の組成物は“プレ増幅”分子を含んでもよいが、これは標識伸
長分子と増幅プローブ間の架橋部分としての役割をもつ。この方法で、さらに多
くの増幅因子と、したがて、さらに多くのETMが最終的に検出プローブに結合
される。プレ増幅分子は線状であっても分枝状であってもよく、典型的には約3
0〜3000個の範囲でヌクレオチドを含む。
【0244】 以下に概括する反応は、当業者が認めるであろうように様々な方法で実施する
ことができる。反応成分は同時に加えてもよいし、何らかの順序で順番に加えて
もよいが、好適な態様は以下に概括するとおりである。さらに、この反応はアッ
セイに含まれてもよい種々の他の試薬を含んでもよい。これらは塩、バッファー
、中性タンパク質、例えば、アルブミン、洗剤などの試薬類を含み、最適なハイ
ブリダイゼーションと検出を容易にし、および/または非特異もしくはバックグ
ランド相互作用を減少させるために使用することができる。他の条件でアッセイ
効率を改善する試薬として、例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤
、抗微生物剤などを、サンプル調製方法および標的の純度に応じて使用してもよ
い。
【0245】 一般に、方法は以下のとおりである。好適な態様においては、先ず標的を電極
に固定するか付着させる。核酸では、これは捕獲プローブと標的配列の一部分と
の間にハイブリダイゼーション複合体を形成させることにより実施する。好適な
態様では捕獲伸長プローブを利用する;この態様において、ハイブリダイゼーシ
ョン複合体は標的配列の一部分と捕獲伸長プローブの第一部分との間に形成され
、また、さらなるハイブリダイゼーション複合体が捕獲伸長プローブの第二部分
と捕獲プローブの一部分との間に形成される。さらなる好適な態様ではさらなる
捕獲プローブを利用し、かくして、標的配列の一部分と第二捕獲伸長プローブの
第一部分との間にハイブリダイゼーション複合体を、また、第二捕獲伸長プロー
ブの第二部分と捕獲プローブの第二部分との間にさらなるハイブリダイゼーショ
ン複合体を形成する。非核酸態様は、捕獲結合配位子および所望により捕獲伸長
配位子を利用する。
【0246】 別法として、電極に対する標的配列の付着は他の反応と同時に実施する。 この方法は、もし利用するのであれば、増幅プローブの導入で始める。好適な
態様においては、増幅プローブは標的配列の一部分に実質的に相補的な第一プロ
ーブ配列と、少なくとも1つの増幅配列を含む。
【0247】 一態様において、増幅プローブの第一プローブ配列は標的配列にハイブリダイ
ズし、ハイブリッド未形成の増幅プローブは除かれる。これは技術上既知のとお
りに実施されるが、アッセイのタイプに依存する。標的配列が電極などの表面に
固定化されると、過剰の試薬の除去は一般に、当業者が認めるであろうように、
1回以上の洗浄工程により実施される。この態様において、標的は固形支持体上
に固定される可能性がある。標的配列が表面に固定されない場合、本発明プロー
ブなど、過剰の試薬の除去は、該プローブに相補的な配列を含むビーズ(すなわ
ち、固形の支持体粒子)を添加することにより実施することができるが、その場
合、過剰のプローブはビーズに結合する。次いで、ビーズは、例えば、遠心分離
、濾過、磁場または静電場の適用などにより除去し得る。
【0248】 次いで、反応混合物は、増幅プローブが標的配列から解離する条件(温度、高
濃度塩、pH変化など)に付し、増幅プローブを取得する。次いで、増幅プロー
ブは増幅プローブ用の捕獲プローブからなる電極に加え、標識プローブを添加し
、次いで検出を実施する。
【0249】 好適な態様においては、標的配列にさらに増幅プローブを添加することにより
、より大きなプローブ・プールが生成し、ハイブリダイゼーション/解離反応が
繰返され、増幅プローブのより大きなプールを生成する。この増幅プローブのプ
ールは、次いで、増幅捕獲プローブからなる電極に添加し、標識プローブを添加
し、次いで検出を始める。
【0250】 この態様においては、本明細書に記載の方法を用い、電極を含む固形支持体上
に標的被検体を固定化するのが好ましい;当業者が認めるところであるが、代り
の固形支持体付着技術、例えば、ガラス、ポリマーなどへの付着技術を用いても
よい。1つの固形支持体上で反応を行い、次いでプールした増幅プローブを検出
用の電極に加えることも可能である。
【0251】 好適な態様において、増幅プローブは多様な増幅配列を含む。 一態様において、増幅プローブの第一プローブ配列は標的配列にハイブリダイ
ズし、ハイブリッド非形成増幅プローブを除去する。再度、好適な態様では固定
化した標的配列を利用するが、ここでは電極に付着した捕獲プローブとのハイブ
リダイゼーションにより固定化するか、または捕獲伸長プローブにハイブリッド
形成し、それを次いで本明細書に記載のように固定化した捕獲プローブとハイブ
リダイズさせることにより固定化する。一般に、これらの態様においては、捕獲
プローブと検出プローブを電極上、一般には同一の“アドレス”に固定する。
【0252】 好適な態様において、増幅プローブの第一プローブ配列は少なくとも一つの標
識伸長プローブの第一部分にハイブリダイズし、標識伸長プローブの第二部分は
標的配列の一部分にハイブリダイズする。他の好適な態様では、1を超える標識
伸長プローブを利用する。 好適な態様において、増幅プローブの増幅配列は、少なくとも1つの標識プロ
ーブ配列にハイブリダイズさせることにより、直接検出に使用する。
【0253】 本発明はこのように標的配列と標識プローブを最小限に含んでいるアッセイ複
合体を提供する。本明細書の“アッセイ複合体”とは、リクルートリンカーを含
む捕獲配位子、標的被検体(または下記の類似体)および標識部分を含む結合複合
体の集合体を意味し、その結果検出を可能とする。アッセイ複合体の組成物は本
明細書に概説した異なるプローブ成分の用途に依存するものである。このように
、図6Aにおいて、アッセイ複合体は捕獲プローブと標的配列を含む。アッセイ
複合体はまた、捕獲伸長配位子(プローブを含む)、標識伸長配位子、および増幅
配位子を包含するが、本明細書に概説するように、使用する形状に依る。
【0254】 このアッセイは、標的の存在下にのみアッセイ複合体の形成を可能とする緊縮
条件下に一般に実施する。緊縮は熱力学的変動である工程パラメーターを変える
ことにより制御し得る。パラメーターは温度、ホルムアミド濃度、塩濃度、カオ
トロピック塩濃度pH、有機溶媒濃度などであるが、これらに限定されるもので
はない。
【0255】 これらのパラメーターは、USP5,681,697に一般的に概説されている
ように、核酸における非特異結合を制御するためにも使用することができる。こ
のように、一定の工程は高い緊縮条件で実施するのが望ましい;例えば、最初の
ハイブリダイゼーション工程が標的配列と標識エクステンダーと捕獲伸長プロー
ブの間で実施される場合である。特定の結合を優先させる条件でこの工程を実施
すると、非特異結合の減少が可能となる。
【0256】 好適な態様において、本明細書に概括した成分のすべてを使用する場合、核酸
検出における好適な方法は以下のとおりである。一本鎖標的配列はハイブリダイ
ゼーション条件下で捕獲伸長プローブおよび標識伸長プローブと培養する。好適
な態様ではこの反応を電極の存在下に固定化捕獲プローブとで行うが、この反応
は最初のインキュベーションと引続く電極への付加による2工程で実施してもよ
い。過剰の試薬は洗浄除去し、次いで増幅プローブを添加する。もしプレ増幅プ
ローブを用いるならば、それらは増幅プローブの前に、または増幅プローブと同
時に加えるとよい。過剰の試薬は洗浄除去し、次いで標識プローブを添加する。
過剰の試薬は洗浄除去し、下に概説するように検出を始める。
【0257】 一態様においては、標的配列の異なる部分にそれぞれ実質的に相補性である多
くの捕獲プローブ(または捕獲プローブと捕獲伸長プローブ)が使用される。 再度、本明細書に概説するように、増幅プローブを用いる場合、このシステム
は、一般に、標識プローブ結合に際し、ETMを含んでいるリクルートリンカー
が単層表面の近接位に位置するように配置される。このように、例えば、本明細
書に概説するように、ETMが“樹枝状”型構造を介して付着する場合、核酸の
付着点からETMまでのリンカーの長さは、特に、捕獲伸長プローブを用いる場
合に捕獲プローブの長さと共に変わり得る。すなわち、より長い捕獲プローブは
、捕獲エクステンダーをもち、より短い捕獲プローブにおいてよりも、表面から
さらに離れて“保持”された標的配列となる。プローブ核酸とETMの間に余分
の連結配列を加えると、ETMが表面に空間的に近接することとなり、より良好
な結果を与える。
【0258】 さらに、所望により、本発明に利用される核酸は検出に先立ち、もし適用可能
であれば、リガーゼ使用などの標準的分子生物学技法を用いることにより結合さ
せることもできる。同様に、安定性を望むのであれば、架橋剤を加え、構造を安
定させることが可能である。
【0259】 本発明の他の態様では異なる工程を利用する。例えば、競合アッセイ法を実施
し得る。この態様において、サンプル中の標的被検体は、リクルートリンカーを
含むか、または間接的にリクルートリンカーに結合し得る部分を含む標的被検類
似体に置換え得る。これは当該技術上既知どおりに実施するが、例えば、類似体
を被検体に置換えるアフィニティクロマトグラフィー技法をもちい、被検体は結
合状態とし、類似体は遊離させ、電極表面上の捕獲結合リガンドと相互作用させ
る。これを一般的に図4Aに描出する。
【0260】 あるいは、好適な態様では、溶液結合リガンドが直接または間接に会合したE
TMを含むリクルートリンカーを含む場合、競合結合アッセイ法を利用する。こ
の態様において、溶液結合リガンドに結合する標的被検体または標的被検体類似
体が表面に付着する。溶液結合リガンドは表面に結合した被検体に結合し、シグ
ナルを与える。サンプルの標的被検体を導入することにより、溶液結合リガンド
の一部が表面に結合した標的から解離し、入ってくる標的被検体に結合する。こ
のように、サンプル中の標的被検体量に比例してシグナルの喪失が見られる。
【0261】 本発明の組成物は、一般に、下記に概説のように、一般に当分野で既知の方法
を使用して合成する。当業者に認められるように、下記に概説の多くの方法は、
リボース−ホスフェート主鎖を含む核酸に関する。しかしながら、上記に概説の
ように、多くの別の核酸類似体を使用し得、そのいくつかは主鎖にリボースまた
はホスフェートを含まない。これらの実施態様において、塩基以外の位置での結
合に関して、結合は、主鎖に依存して、当業者に認められるように行う。従って
、例えば、結合はPNA主鎖の炭素原子で、下記に記載のように、またはPNA
のいずれかの末端で行うことができる。
【0262】 本組成物はいくつかの方法で製造し得る。好ましい方法は最初にヌクレオシド
に結合した伝導性オリゴマーを、更にヌクレオシドを添加して捕獲プローブを形
成し、続いて電極へ結合させて、合成する。あるいは、全捕獲プローブを製造し
、次いで、完全な伝導性オリゴマーを添加し、続いて電極に結合する。あるいは
、伝導性オリゴマーの単層(そのいくつかは、捕獲プローブの結合のための官能
基を有する)を最初に電極に結合し、続いて捕獲プローブを結合する。後者の二
つの方法は、使用する伝導性オリゴマーが、溶媒中でおよび慣用的核酸合成の条
件下で安定でないとき、好ましいことがある。
【0263】 好ましい実施態様において、本発明の組成物は、最初に、ヌクレオシドに共有
結合した伝導性オリゴマーを形成し、続いて、さらにヌクレオシドを添加して捕
獲プローブ核酸を形成し、伝導性オリゴマーを電極へ添加することを含む最後の
工程により製造される。
【0264】 伝導性オリゴマーのヌクレオシドへの結合はいくつかの方法で行い得る。好ま
しい実施態様において、全てまたは一部の伝導性オリゴマーを、最初に合成し(
一般に、電極への結合のために官能基を末端に有する)、これを次いでヌクレオ
シドに結合させる。次いで、さらにヌクレオシドを必要に応じて添加し、最後の
工程で一般に電極へ結合させる。あるいは、オリゴマー単位を一度にヌクレオシ
ドに添加し、さらにヌクレオシドを添加し電極へ結合させる。多くの代表的な合
成をWO98/20162、PCT US98/12430、PCT US99/
01705およびPCT US99/01703の図面に示し、これら全ては出
典明示により本明細書の一部とする。
【0265】 次いで、伝導性オリゴマーを、本明細書に記載のように結合した、1個(また
はそれ以上の)オリゴマー単位を含み得るヌクレオシドに結合させる。
【0266】 好ましい実施態様において、結合は、アミドおよびアミン結合を介した結合を
含む様々な方法における、リボース−ホスフェート主鎖のリボースにである。好
ましい実施態様において、リボースに結合した窒素と伝導性オリゴマーの芳香族
環の間に、少なくとも一つのメチレン基または他の短い脂肪族アルキル基(Z基
として)が存在する。
【0267】 あるいは、結合はリボース−ホスフェート主鎖のホスフェートを介している。
【0268】 好ましい実施態様において、結合は塩基を介しており、アセチレン結合および
アミド結合を含んでいてもよい。好ましい実施態様において、保護基を、伝導性
オリゴマーの付加の前に塩基に添加してもよい。加えて、パラジウム交差結合反
応を変えて、二量体化問題を防止することもできる;すなわち、二つの伝導性オ
リゴマーが、塩基に結合せず、むしろ二量体化する。
【0269】 あるいは、塩基への結合を、一単位のオリゴマーを有するヌクレオシドを製造
し、続いて他を添加することによりなし得る。
【0270】 修飾ヌクレオシドを製造し、保護して活性化したら、電極への結合の前に、標
準合成法(Gait, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Pres
s, Oxford, UK 1984; Eckstein)により、成長しているオリゴヌクレオチドに、
幾通りかの方法でそれらを包含させ得る。
【0271】 一実施態様において、1またはそれ以上の修飾ヌクレオシドを三ホスフェート
形態に変形させ、成長しているオリゴヌクレオチド鎖に、酵素DNAポリメラー
ゼI、T4DNAポリメラーゼ、T7DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメ
ラーゼ、逆転写酵素およびRNAポリメラーゼを用いるなど、標準分子生物学手
法を用いて包含させる。3'修飾ヌクレオシドの核酸への包含には、末端デオキ
シヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用し得る。(Ratliff, Terminal deoxy
nucleotidyltransferase.In The Enzymes, Vol. 14A. P. D. Boyer ed. pp 105-
118. Academic Press, San Diego, CA 1981)。従って、本発明は、共有結合した
ETMを含むデオキシリボヌクレオシド三ホスフェートを提供する。好ましい実
施態様は、一般に下記構造42および43に示すように、リボース(好ましくは
2'位で)などの塩基または主鎖へのETM結合を利用する。
【0272】
【化42】
【0273】
【化43】
【0274】 従って、いくつかの実施態様において、でETMを含む核酸をその場で産生さ
せることができる。例えば、標的配列の末端をさらす、すなわち非ハイブリダイ
ズするように、標的配列は捕獲プローブ(例えば、表面上の)にハイブリダイズし
得る。酵素とETMで標識した三ホスフェートヌクレオチドの添加により、その
場での標識の製造が可能となる。同様にポリメラーゼにより認識される標識ヌク
レオチドを用いると、PCRと検出とを同時に行い得る;つまりその場で標的配
列が生成する。
【0275】 好ましい実施態様において、修飾ヌクレオシドをホスホルアミデイトまたはH
−ホスホネート形に変換し、これを次いでオリゴヌクレオチド合成の固相または
溶液合成に使用する。この方法で、リボースでの(すなわち、アミノ−またはチ
オール−修飾ヌクレオシド)または塩基での結合用の、修飾ヌクレオチドをオリ
ゴヌクレオチドに内部位置または5'末端で包含させる。これは、一般に、二つ
の方法の一つで行う。第1に、リボースの5'位を4',4−ジメトキシトリチル(
DMT)で保護し、続いて2−シアノエトキシ−ビス−ジイソプロピルアミノホ
スフィンとジイソプロピルアンモニウムテトラゾリド存在下で反応させるか、ま
たは2'−シアノエトキシホスフィンクロロジイソプロピルアミノと反応させ、
当分野で既知のようにホスホルアミデイトを得る;しかしながら、他の方法を当
業者に認められるように使用し得る。Gait 前掲; Caruthers, Science 230: 281
(1985)参照、両方とも出典明示により本明細書の一部とする。
【0276】 基の3'末端への結合のために、好ましい方法は制御孔ガラス(CPG)または
他のオリゴマー支持体への修飾ヌクレオシド(またはヌクレオシド代替物)の結
合を使用する。この実施態様において、修飾ヌクレオシドを5'末端でDMTで
保護し、次いで、無水コハク酸と活性化しながら反応させる。得られるスクシニ
ル化合物をCPGまたは当分野で既知の他のオリゴマー支持体に結合させる。更
に、修飾しているか、またはしていないホスホルアミデイトヌクレオシドを、脱
保護後に5'末端に結合させる。従って、本発明はCPGのような固体オリゴマ
ー支持体に結合したヌクレオシドに共有結合した伝導性オリゴマーまたは絶縁体
、および本発明のヌクレオシドのホスホルアミデイト誘導体を提供する。
【0277】 本発明はさらにETMを含むリクルートリンカーを有する標識プローブの製造
方法を提供する。当業者には明らかなように、これらの合成反応はリクルートリ
ンカーの特徴とETMの結合方法に依存する。核酸リクルートリンカーについて
、標識プローブは、本明細書で概説したように、1以上の位置でETMを包含さ
せて一般につくられる。遷移金属錯体をETMとして使用する場合、合成はいく
つかの方法で行われる。好ましい実施態様において、配位子、続いて遷移金属イ
オンをヌクレオシドに添加し、次いで、遷移金属錯体が結合しているヌクレオシ
ドをオリゴヌクレオチドに添加する、つまり、核酸合成機に添加する。あるいは
、配位子を結合させ、続いて成長しているオリゴヌクレオチド鎖に包含させ、金
属イオンを添加する。
【0278】 好ましい実施態様において、ETMをリボース−ホスフェート主鎖のリボース
に結合させる。これは、伝導性オリゴマーについて本明細書に概説したように通
常行われ、本明細書およびPCT公開WO95/15971に記載のように、ア
ミノ−修飾またはオキソ−修飾ヌクレオシドを使用して、リボースの2'または
3'位に行う。次いで、配位子として、例えば金属イオンの結合のための遷移金
属配位子として、または、例えばアミド結合を介した、他の配位子または有機E
TMの結合に使用できる化学的官能基として、当分野で認められるように、アミ
ノ基を使用し得る。例えば、例として、リボースを介して結合した種々のETM
を有するヌクレオシドの合成を記載する。
【0279】 好ましい実施態様において、ETMはリボース−ホスフェート主鎖のホスフェ
ートに結合する。本明細書に概説のように、これは、ホスホルアミデイト結合の
ようなホスホジエステル類似体を使用して行われる(一般に、PCT公開WO9
5/15971または図参照)。
【0280】 別の主鎖、例えば、ペプチド核酸または別のホスフェート結合への結合は、当
業者に認められるように行う。
【0281】 好ましい実施態様において、ETMはヌクレオシドの塩基に結合する。これは
、種々の方法でなし得る。一実施態様において、天然に存在するか、または本明
細書に記載ように添加した(例えば、図参照)塩基のアミノ基を、遷移金属錯体の
配位子として、または例えば、アミド結合を介して他の配位子をまたは有機ET
Mを添加するのに使用できる化学的官能基として使用する。これは、当業者に認
められるように行う。あるいは、ヘテロ環式環に結合したハロゲン原子を含むヌ
クレオシドは商品として入手可能である。アセチレン結合配位子は、一般的に既
知のように、ハロゲン化塩基を使用して添加し得る;例えば、Tzalis et al., T
etrahedron Lett. 36(34): 6017-6020 (1995); Tzalis et al., Tetrahedron Le
tt. 36(2): 3489-3490 (1995); およびTzalis et al., Chem. Communications (
投稿中) 1996参照、全て出典明示により本明細書の一部とする。また、塩基への
アセチレン結合を介して結合したメタロセン(この場合では、フェロセン)の合
成を記載した図面および実施例も参照。
【0282】 一実施態様において、ヌクレオシドを、核酸に包含させた遷移金属配位子を有
して製造し、次いで、遷移金属イオンおよび残りの必要な配位子を当分野で既知
のように添加する。別の実施態様において、遷移金属イオンおよび付加的配位子
を、核酸への包含前に添加する。
【0283】 本発明の核酸を、共有結合した結合リンカー(つまり、絶縁体または伝導性オ
リゴマーのいずれか)を有して製造し、結合リンカーを電極に結合させる。本方
法は、使用する電極のタイプによって変化する。本明細書に記載のように、結合
リンカーは一般に末端“A”リンカーを有して製造され、電極への結合を促進す
る。本適用の目的のために、硫黄−金結合は共有結合とみなす。
【0284】 好ましい実施態様において、伝導性オリゴマー、絶縁体および結合リンカーは
硫黄結合を介して電極に共有結合する。しかしながら、驚くべきことに、分子の
金電極への結合に使用する慣用的保護基は、一般に、本明細書に記載の組成物の
合成およびオリゴヌクレオチド合成反応への包含の両方への使用に理想的でない
。従って、本発明は、図に記載のようなエチルピリジンおよびトリメチルシリル
エチルを含む、普通でない保護保護基を使用した、伝導性オリゴマーの金電極へ
の結合の新規方法を提供する。しかしながら、当業者が理解するように、伝導性
オリゴマーが核酸を含まないとき、アセチル基などの慣用的保護基を使用し得る
。参照、Greene et al.、前掲。
【0285】 これは、いくつかの方法でなし得る。好ましい実施態様において、電極への結
合のために硫黄原子を含む伝導性オリゴマーのサブユニットをエチル−ピリジン
またはトリメチルシリルエチル基で保護する。前者に関して、これは一般に硫黄
原子(好ましくはスルフヒドリルの形で)を含むサブユニットをビニルピリジン基
またはビニルトリメチルシリルエチル基と、エチルピリジン基またはトリメチル
シリルエチル基が硫黄原子に添加されるような条件下で接触させることにより行
う。
【0286】 このサブユニットはまた、一般に、付加的サブユニットの結合のために官能部
を含み、従って、付加的サブユニットが結合して伝導性オリゴマーを形成する。
次いで、伝導性オリゴマーをヌクレオシドに結合させ、付加的ヌクレオシドが結
合する。保護基を次いで除去し、硫黄−金共有結合を行う。あるいは、伝導性オ
リゴマーの全てまたは一部を製造し、次いで、保護硫黄原子を含むサブユニット
を添加するか、硫黄原子を添加して、保護する。伝導性オリゴマーを次いでヌク
レオシドに結合させ、付加的ヌクレオチドを結合させる。あるいは、核酸に結合
した伝導性オリゴマーを製造し、次いで保護硫黄原子を含むサブユニットを添加
するか、硫黄原子を添加して、保護する。あるいは、エチルピリジン保護基を上
記のように使用してもよいが、1以上の工程の後に除去し、ジスルフィドのよう
な標準的な保護基に置き換える。このように、エチルピリジンまたはトリメチル
シリルエチル基は、合成反応のいくつかで保護基として作用し得、次いで、除去
して慣用的保護基に置き換えられる。
【0287】 本明細書の伝導性ポリマーの“サブユニット”は、硫黄原子が結合する伝導性
オリゴマーの少なくとも一部を意味するが、伝導性オリゴマーの付加的成分の添
加を可能にする官能基、または伝導性オリゴマーの付加的成分を含む付加的原子
も存在し得る。従って、例えば、構造1のオリゴマーを使用するとき、サブユニ
ットは少なくとも第1Y基を含む。
【0288】 好ましい方法は、1)一般に、ビニルピリジンまたはトリメチルシリルエチル
基をスルフヒドリルに添加して行う、伝導性オリゴマーの第1サブユニットに結
合した硫黄原子への、エチルピリジンまたはトリメチルシリルエチル保護基の添
加;2)伝導性オリゴマーの形成のための付加的サブユニットの添加;3)少なく
とも第1ヌクレオシドの伝導性オリゴマーへの添加;4)核酸を形成するための
付加的ヌクレオシドの第1ヌクレオシドへの添加;4)伝導性オリゴマーの金電
極への結合を含む。これはまた実施例に記載のように、ヌクレオシドの不存在下
でも行い得る。
【0289】 上記の方法は、金電極へのおよび捕獲結合配位子を含む部分への絶縁分子の結
合にも使用し得る。
【0290】 好ましい実施態様において、伝導性オリゴマー(および好ましくは絶縁体)を
含む単層を電極に添加する。一般に、添加の化学は、伝導性オリゴマーの電極へ
の添加と類似か同じであり、即ち、金電極への結合に硫黄原子を使用するなどで
ある。核酸に共有結合した伝導性オリゴマーに加えて、単層を含む組成物を、少
なくとも5つの方法の一つでなし得る:(1)単層の添加、続く結合リンカー−核
酸錯体の連続的添加;(2)結合リンカー−核酸錯体の添加、続く単層の添加;(
3)単層と結合リンカー−核酸錯体の同時添加;(4)完全な核酸の結合に適した
官能部で終了している結合リンカーを含む単層の形成(1,2または3のいずれか
を使用した);または(5)核酸合成に適した官能部で終了している結合リンカー
を含む単層の形成、即ち、核酸を当分野で既知のように単層表面で合成する。こ
のような適当な官能部は、ホスホルアミデイト添加のためのヌクレオシド、アミ
ノ基、カルボキシル基、保護硫黄部、またはヒドロキシル基を含むが、これらに
限定されない。例としては、好ましい方法(1)を用いた金電極上の単層の形成を
記載する。
【0291】 好ましい実施態様において、核酸はペプチド核酸または類似体である。この実
施態様において、本発明は、少なくとも一つの共有結合したETMまたは結合リ
ンカーを有するペプチド核酸を提供する。好ましい実施態様において、これらの
部分はPNAの単量体サブユニットに共有結合する。本明細書の“PNAの単量
体サブユニット”は、−NH−CH2CH2−N(COCH2−塩基)−CH2−CO
−単量体またはPNAの誘導体(ここでは“ヌクレオシド”の定義内に含まれる)
を意味する。例えば、PNA主鎖の炭素原子の数を変え得る;一般に、PNA誘
導体の数を記載したNielsen et al., Chem. Soc. Rev. 1997, 73頁参照、出典明
示により本明細書の一部とする。同様に、塩基を主鎖に結合させるアミド結合を
変え得る;ホスホロアミドおよびスルファーアミド結合を使用し得る。あるいは
部分を内部単量体サブユニットに結合する。本明細書で“内部”は、単量体サブ
ユニットがN−末端単量体サブユニットまたはC−末端単量体サブユニットでな
いことを意味する。本実施態様において、部分を単量体サブユニットの塩基また
は主鎖に結合できる。塩基の結合は、本明細書に概説のように、または文献から
既知のように行う。一般に、部分を塩基に添加し、これを次いで本明細書に概説
のようにPNAに包含させる。塩基は、化学置換基の添加前またはその後に、P
NA合成反応への包含に必要なように保護されているか、包含されるように誘導
体化されている。塩基の保護および誘導体化を図に示す。塩基を次いで単量体サ
ブユニットに包含できる。図は、二つの異なる化学置換基、ETMおよび塩基で
結合した伝導性オリゴマーを示す。
【0292】 好ましい実施態様において、部分はPNA単量体の主鎖に共有結合する。結合
は、一般に、単量体サブユニットの非置換炭素原子の一つ、好ましくは主鎖のα
−炭素に行われるが(図に記載のとおり)、1または2位の炭素、または塩基を主
鎖に結合させるアミド結合のα−炭素での結合もなし得る。PNA類似体の場合
、他の炭素または原子も同様に置換し得る。好ましい実施態様において、部分を
、α−炭素原子に末端単量体サブユニットまたは内部の末端単量体サブユニット
へ添加する。
【0293】 この実施態様において、修飾単量体サブユニットを、ETM、結合リンカーま
たはその結合のための官能基で合成し、次いで塩基を添加し、修飾単量体を成長
しているPNA鎖に包含させ得る。図は、PNA単量体サブユニットの主鎖に共
有結合した伝導性オリゴマーの合成を記載し、単量体サブユニットの主鎖に結合
したフェロセンの合成を記載する。
【0294】 製造した共有結合部分を有する単量体サブユニットを、Will et al., Tetrahe
dron 51(44): 12069-12082 (1995)およびVanderlaan et al., Tett. Let. 38: 2
249-2252 (1987)(両方ともその全体を出典明示により本明細書の一部とする)
に概説のような方法を使用して、PNAに包含させる。これらの方法は、ペプチ
ド核酸への化学置換基の添加を、化学置換基を破壊させることなく可能にする。
【0295】 当業者に認められるように、電極は、核酸、伝導性オリゴマーおよび絶縁体の
任意の組み合わせを有するように製造し得る。
【0296】 本発明の組成物は、更に、一個以上の標識を任意の位置で含み得る。本明細書
での“標識”は、化合物の検出を可能にするために結合した元素(例えば、アイ
ソトープ)または化学化合物を意味する。好ましい標識は放射活性同位体標識、
着色または蛍光色素である。標識は、任意の位置で化合物に包含し得る。加えて
、本発明の組成物は、架橋剤のような他の部分も含み得、標的−プローブ錯体の
架橋を促進する。例えば、Lukhtanov et al., Nucl. Acids. Res. 24(4): 683 (
1996)およびTabone et al., Biochem. 33: 375 (1994)参照、両方とも出典明示
により本明細書の一部とする。
【0297】 一旦製造されると、組成物は本明細書に記載のように、多くに適用されて使用
される。特に、本発明の組成物は、ハイブリダイゼーションアッセイで使用され
る。当業者には明らかなように、電極は、核酸などの結合配位子の単一種つまり
単一結合配位子、または多数の結合配位子の種を有するようにつくられ得る。
【0298】 加えて、本明細書に概説のように、電極のような固体支持体の使用は、これら
の遺伝子プローブの配列形での使用を可能にする。オリゴヌクレオチド配列の使
用は、当分野で既知である。加えて、電極内に位置を“アドレッシング”するた
め、および電極の表面修飾のための方法は既知である。従って、好ましい実施態
様において、異なる結合配位子の配列は、電極の下に置かれ、その各々は伝導性
リンカーを介して電極に共有結合する。この実施態様において、オリゴヌクレオ
チドの多くの異なる種のプローブは、1から数千に広く変化し得、好ましくは約
4から約100,000、および特に好ましくは約10から約10,000である
【0299】 本発明は、結合リガンドに被検体が結合するのを変え得るものであり、そのた
め、生物機能に関わってくる治療薬として可能性のある候補生物活性作用物質の
スクリーニングに使用し得る。本明細書にて使用する用語“作用物質”または“
外因性化合物”とは、標的被検体の結合を直接または間接に変える能力をもつ全
ての分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小型有機分子、多糖類、ポリ
ヌクレオチドなどを意味する。一般に、複数のアッセイ混合物について、異なる
作用物質濃度で並行して実験を行い、種々の濃度に差異のある応答を得る。典型
的には、これらの濃度の1濃度が陰性コントロールとして、すなわち、ゼロ濃度
または検出レベル以下としての役割をもつ。
【0300】 候補作用物質は多種類の化学物質を包含するが、典型的には有機分子であり、
好ましくは分子量が100以上ないし約2,500ダルトン以下の小型の有機化
合物である。候補作用物質はタンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に必
要な官能基を含んでなり、典型的には少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキ
シルまたはカルボキシル基などを含み、好ましくは少なくとも2つの化学的官能
性基を含む。候補作用物質は多くの場合、上記官能基の1個以上で置換された環
状炭素またはヘテロ環構造および/または芳香環または多芳香環構造を含む。候
補作用物質はまた生体分子、例えば、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プ
リン、ピリミジン、誘導体、構造類似体またはその組合わせなどである。特に好
ましいのはペプチドである。
【0301】 候補作用物質は合成または天然化合物のライブラリーを含む多様な起源から入
手する。例えば、多くの手段が多様な有機化合物および生体分子のランダムおよ
び指向性合成のために利用可能であり、ランダムオリゴヌクレオチドの発現など
を包含する。あるいは、天然化合物のライブラリーを細菌、カビ、植物および動
物抽出物の形状で利用し得るか、または容易に製造し得る。さらに、天然のまた
は合成的に産生されるライブラリーおよび化合物を、通常の化学的、物理学的お
よび生化学的手段により容易に修飾し得る。既知の薬物を、指向性のまたはラン
ダムの化学的修飾、例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化など
に付して構造的類似体を産生させることができる。
【0302】 候補作用物質は標的被検体の前または後に加えるとよい。 少なくとも1つの標的配列と1つの標識プローブを含む本発明のアッセイ複合
体が形成されると、検出が電子的イニシエーションにより進行する。メカニズム
または理論に制限されなければ、検出はETMから電極への電子伝達に基づいて
いる。
【0303】 電子伝達の検出、すなわち、ETMの存在は一般に好適な電圧により電子的に
開始される。電位はアッセイ複合体に加える。加えられる電位の正確な制御と変
化はポテンショスタットおよび3つの電極システム(1つは参照用、1つはサン
プル用(または作業用)、1つは対向電極用)または2つの電極システム(1つ
はサンプル用、1つは対向電極用)による。これは一部ETMの選択に左右され
るシステム、また一部使用した伝導性オリゴマー、単層の組成と整合性、および
どのタイプの参照電極を使用したかに左右されるシステムのピーク電位に、印加
した電位がマッチすることを可能とする。
【0304】 好適な態様においては、共還元体または共酸化体(統合して、共酸化還元体)
を追加の電子源または吸込みとして用いる。一般的には、Sato et al., Bull. C
hem. Soc. Jpn 66: 1032 (1993); Uosaki et al., Electrochimica Acta 36: 17
99 (1991); and Alleman et al., J. Phys. Chem. 100: 17050 (1996)(これらすべてを出典
明示により本明細書の一部とする)参照。
【0305】 好ましい実施態様において、溶液中の入力源が電子伝達の開始に用いられる。
好ましくは、直流電流を用いてまたは拡散が制限されない交流周波数で開始およ
び検出がなされるときである。一般に、当業者はよくわかるように、好ましい実
施態様で“ホール”含有の単層を用いると、システムの短絡が回避できる。これ
はいくつかの一般的な方法で行うことができる。好ましい実施態様において、入
力電極源は、標識プローブのETMよりも低いか同じレドックス電位を有する。
このように、入力電子源のレドックス電位以上の電圧において、ETMおよび入
力電子源が酸化されて電子を与え得る。ETMは電極に電子を与え、入力源がE
TMに与える。例えば、実施例中に記載した本発明の組成物に結合したETMと
して、フェロセンは、水溶液中で大略200mVのレドックス電位を有する(フ
ェロセンが結合してもの、結合の方法およびなんらかの置換基の存在によって非
常に変化する)。電子源のフェロシアニドは、同様に約200mVのレドックス
電位を有する。従って、約200mVまたはそれ以上の電圧において、フェロセ
ンはフェリセニウムの変わり、電子を電極に伝達する。フェリシアニドを酸化し
て電子をETMに伝達することができる。この方法において、電子源(または同
時還元剤)はシステムに生じたシグナルを増幅するために働き、電子源分子が核
酸に結合したETMに電子を迅速に、かつ繰り返して伝達する。電子の供与・受
容の速度は、同時還元剤の拡散の速度すなわち同時還元剤とETMとの間の電子
伝達に制限される。電子伝達は濃度および大きさなどの影響を受ける。
【0306】 他方、ETMよりも低いレドックス電位を有する入力電子源が用いられる。E
TMのレドックス電位よりも低いが、電子源のレドックスよりも高い電圧におい
て、フェロシアニドなどの入力源は酸化され得ず、ETMに電子を与え得ない。
すなわち電子伝達が起きない。フェロセンが酸化されると、電子の伝達経路がで
きる。
【0307】 他の好ましい実施態様において、入力電子源は、標識プローブETMよりも高
いレドックス電位を有する。例えば、電子源のルミノールは大略720mVのレ
ドックス電位を有する。ETMのレドックス電位よりも低い電圧、すなわち20
0−720mVにおいては、電圧がルミノールのレドックス電位よりも低いので
、ETMはルミノール電子源から電子を受けることができない。しかし、ルミノ
ールのレドックス電位またはそれ以上で、ルミノールはETMに電子を伝達し、
迅速かつ反復の電子伝達を可能とする。この方法において、電子源(または同時
還元剤)はシステムで生じたシグナルを増幅するのに働き、電子源分子は標識プ
ローブのETMに迅速にかつ反復して電子を供与する。
【0308】 ルミノールは酸化に際して化学的発光種になるという別の利点もあり(参照Ji
rka et al.,Analytica Chemica Acta 284:345(1993))、ETMから電極への電子
伝達の光学的検出が可能となる。ルミノールが電極に直接接触しない限り、すな
わち電極への効率的な電子伝達経路がないようなETMの存在において、アッセ
イ複合体上のETMに電子を伝達することのみによりルミノールは酸化される。
ETMが存在していない(即ち、標的配列が本発明の組成物をハイブリダイズし
ない場合)と、ルミナールは顕著に酸化されないで、ルミノールからの低い光子
放出および低い(もしあれば)シグナル放出をもたらす。標的の存在で非常に大
きいシグナルが生じる。このように光子放出によるルミノール酸化の測定は、電
極に電子を与えるETMの能力についての間接的な測定となる。さらに、光子検
出は一般的に電子検出よりも感度がよいので、システムの感度が増大する。最初
の結果から、発光が過酸化水素濃度、pHおよびルミノール濃度(これは直線的
ではない)に依存していることが示唆される。
【0309】 適切な電子源分子は周知であり、フェリシアニドやルミノールが含まれるが、
これらに限定されない。
【0310】 他方、出力電子受容体を用いることができる。すなわち上記反応を逆に行う。
電極から電子を受けるメタロセンなどのETMを用いる。電子を迅速に繰り返し
受ける出力電子受容体でメタロセンをメタリセニウムに変える。この実施態様で
、コバルトイセニウムが好ましいETMである。
【0311】 単層の表面のETMの存在は、種々の方法によって検出することができる。光
学的検出には、これらに限定されるものではないが、例えばフルオレッセンス、
ホスホレッセンス、ルミニセンス、ケミルミニセンス、エレクトロルミニセンス
および屈折率がある。電子的検出には、これらに限定されるものではないが、ア
ンペロメトリー、ボルタメトリー、キャパシタンス、インピーダンスがある。こ
れらの方法には、交流または直流の電流に基づく時間・周波数依存法、パルス法
、ロックイン法、フィルター法(高パス、低パス、バンドパス)および時間分解
フルオレセンスなどの時間分解法がある。
【0312】 1つの実施態様において、ETMから電極への電子の効率的な伝達は、ETM
のレドックス状態での定型的変化をもたらす。ビピリジン、ピリジン、イミダゾ
ール環含有のルテニウム複合体を含む多くのETMでもって、レドックス状態に
おけるこれらの変化はスペクトルの変化に関連している。吸収の顕著な相違がこ
れらの分子について還元状態と酸化状態の間にみられる。例えば、参照、Fabbri
zzi et al.,Chem.Soc.Rev.1995 pp192-202。これらの相違は、分子光度計あるい
は光電子増倍管を用いて監視することができる。
【0313】 この実施態様において、電子供与体および受容体には、光学活性化すなわち開
始について上記したすべての誘導体が含まれる。好ましい電子供与体および受容
体は電子伝達を高感度で監視し得るレドックスについて大きいスペクタル変化を
特徴としている。好ましい例に、Ru(NH3)4pyおよびRu(bpy)zimがある。吸収によ
って監視される供給体または受容体のみが理想のスペクトル特性を有しているこ
とが理解されるべきである。
【0314】 好ましい実施態様において、電子伝達は蛍光定量で検出される。ルテニウムな
どの遷移金属複合体の多くが明白な蛍光性を有する。従って、核酸に結合した電
子供与体と受容体とのレドックス状態の電荷は、Ru(4,7−ビフェニル2
フェナントロリン)3 2+などによる蛍光を用いて、感度よく監視することができ
る。この化合物の生成は、標準的蛍光検出法によって容易に測定することができ
る。例えば、レーザー誘発蛍光は、標準的細胞蛍光定量、オンライン蛍光定量で
のフロー(例えばクロマトグラフィーに結合したもの)あるいは96ウエル・イ
ムノアッセイについて市販されているものに類似の多サンプル“プレートリーダ
ー”で記録することができる。
【0315】 他方、蛍光は、溶液中の結合配位子または光学繊維に結合した核酸プローブで
光学結合センサーを用いて測定することができる。蛍光は光学繊維に結合した光
学増倍管または他の光検出器を用いて監視することができる。これについての有
利な点は、検出に用いられるサンプル量が極めて少量でよいことである。
【0316】 さらに、Molecular Dynamicから販売されているFluorlmagerなどの走査蛍光検
出器が固体表面に並んだ修飾核酸分子の蛍光を監視するのに非常に適している。
このシステムの利点は、何千もの別異の核酸プローブでカバーされたチップを一
度に用いて多数電子伝達プローブを走査できることである。
【0317】 多くの遷移金属複合体が大きいStokesシフトでもって蛍光を現す。適当な例と
して、ルテニウムなどの遷移金属のビスおよびトリスフェナントロリン複合体、
およびビスおよびトリビピリジン複合体がある(参照、Juris, A., Balzani, V.
, et al. Coord. Chem. Rev., V.84, p.85-277, 1988)。好ましい例では、効率
的な蛍光(合理的に高い量子収量)および低い再構築エネルギーを示す。これら
には、Ru(4,7−ビフェニル2−フェナントロリン)3 2+、Ru(4,4’−
ジフェニル2,2’−ビピリジン)3 2+および白金複合体がある(参照、Cumming
s et al., J. Am. Chem. Soc. 118:1949-1960(1996)、出典明示により本明細書
の一部とする)。他方、ハイブリダイゼーションに関連する蛍光の低下は、これ
らのシステムを用いて測定できる。
【0318】 別の実施態様において、電子化学発光が電子伝達検出の基礎として用いられる
。Ru2+(bpy)3などのETMのいくつかで直接発光に励起状態の低下がおきる。
この性質の変化は、核酸ハイブリダイゼーションに関連しており、簡単な光学増
倍管で監視することができる。(参照、Blackburn, G.F. Clin. Chem. 37:1534-
1539(1991);および Juris et al., 上記)。
【0319】 好ましい実施態様において、電子検出に、アンペロメトリー、ボルタメトリー
、キャパシタンスおよびインピーダンスなどが用いられる。好ましい技法として
、これらに限定されるものでないが、電解重量分析、クーロメトリー(制御電位
クーロメトリーおよび一定カレント・クーロメトリーを含む)、ボルタメトリー
(サイクルボルタメトリー、パルスボルタメトリー(正常パルスボルタメトリー
、スクエア波ボルタメトリー、示差パルスボルタメトリー、オステリオウング・
スクエア波ボルタメトリー、静電量パルス法)、ストリッピング分析(アニオン
ストリッピング、カチオンストリッピング、スクエア波ストリッピングボルタメ
トリー)、伝導分析(電子的伝導、直接分析)、時間依存電子化学分析(クロノ
アンペロメトリー、クロノポテンショメトリー、サイクルクロノアンペロメトリ
ー、サイクルクロノポテンショメトリー、交流ポログラフィー、クロノガルバメ
トリー、クロノクロメトリー)、交流インピーダンス法、キャパシタンス法、交
流ボランタメトリー、光学電子化学法がある。
【0320】 好ましい実施態様において、電子伝達の監視はアンペロメトリー検出で行われ
る。この検出法において、望む標的遺伝子を含有するサンプル中の核酸結合電極
と対照(逆)電極との間の電位(単離された対照電極と比較して)が利用される
。相違する効率の電子伝達が標的核酸の存在または不存在によって生じる。すな
わち標的核酸の存在また不存在、および従って標識プローブ、が異なる電流をお
こす。
【0321】 アンペロメトリーで電子伝達を測定する器具は、感度のよい電流検出を含み、
電圧電位を制御する手段、常にポテンシオスタットを含む。この電圧は標識プロ
ーブ上の電子供与複合体の電位を参照することにより最適化される。電子供与複
合体には、鉄、オスミウム、白金、コバルト、レニウム、レテニウムの複合体に
ついて上記のものが含まれ、鉄複合体が最も好ましい。
【0322】 好ましい実施態様において、他の電子検出法が用いられる。例えばポテンシオ
メトリー(すなわちボルタメトリー)には、非ファラデー法(ネット電流なし)
が含まれ、pHや他のイオン検出器において通常用いられる。同様のセンサーが
ETMと電極との間の電子伝達を監視するために用いられる。さらに、絶縁体(
抵抗など)および導電体(導電、インピーダンス、キャピシタンス)などの他の
性質がETMと電極との間の電子伝達を監視するために用いられる。また、電流
を生じるいかなるシステム(電子伝達など)も小さい磁場を生じ、ある実施態様
で監視され得る。
【0323】 本発明の組成物で見られる電子伝達の速い速度がもたらす一つの利点は、時間
分解が吸収、蛍光あるいは電子流などによるモニターにおけるシグナル対ノイズ
結果を一般的に高め得ることである。本発明の電子伝達の速い速度は、高度のシ
グナルと電子伝達開始・完了間の定型的遅延とをもたらす。特定の遅延のシグナ
ルを増幅することにより、電子伝達のパルス開始および“ロックイン”増幅検出
およびフェーリエ変換がなされる。
【0324】 好ましい実施態様において、電子伝達は交流電流(AC)法を用いて始められ
る。理論に拘束されることなく、電極に連結したETMは、つながっている抵抗
とコンデンサーを流れる交流電圧に同様に反応する。基本的に、これらの抵抗と
コンデンサーとして働く複合体の性質を測定し得る方法は、検出の基本とするこ
とができる。驚くべきことに、従来からの電気化学理論、例えば、Laviron et a
l., J. Electroanal. Chem. 97:135(1979) および Laviron et al., J. Electro
anal. Chem. 105:35(1979)(出典明示により本明細書の一部とする)は、非常に
小さいEAC(10mV以下)および比較的多数の分子を除き、本明細書に記載のシ
ステムのモデルとはならない。すなわち、交流電流(I)は、Lavironの式に正
確には記載されていない。このことは、この理論が電子の限界のない源とシンク
を想定していることに部分的には由来するものであり、これは本発明のシステム
には当てはまらない。
【0325】 従って、Nernstの式と最初の原理を用いて、結果に密接に適合するモデルを開
発するために、別の式をつくりだした。これは次の通りである。Nernst式、下記
の式1は、同じ酸化電位ですべての分子が酸化されるわけでないので、与えられ
た電圧と温度における酸化分子(O)の還元分子(R)に対する比(分子数=n
)を示す。 式1
【数1】 (1) EDOは電極電位、E0は金属複合体の形式的電位、Rはガス定数、TはKelvin度
数での温度、nは伝達された電子の数、Fはファラデー定数、[O]は酸化分子
の温度、[R]は還元分子の濃度である。
【0326】 Nernst式は式2および3に書き改めることができる。 式2
【数2】 (2) EDOは電位の直流素子である。 式3
【数3】 (3)
【0327】 式3は式4、5、6に、単純化のために1に等しい濃度に正常化することによ
り書き改めることができる。次に分子の全数を掛けることを要す。 式4 [O]+[R]=1 式5 [O]=1−[R] 式6 [R]=1−[O]
【0328】 式5および6を式3に挿入し、nF/RTが38.9V-1に等しいことから、n
=1とすると、[O]および[R]をそれぞれ定義する式7および8は次の通りであ
る。 式7
【数4】 (4) 式8
【数5】 (5)
【0329】 交流ファラデー電流の発生を考慮して、与えられる電位での[O]/[R]比を検
定しなければならない。応用EACを有する特定のEDCは、本明細書で一般的に記
載されるように、EACの最大値で、表面の電圧がEDC+EACになるので、より多
くの分子が酸化状態になり、EACの最小値で、電圧が低くなるのでより還元され
る。従って、与えられたEDCでの交流電流(AC)は、Nernst曲線と同様に交流
および直流電圧の両方によって検出される。特定的に交流サイクル最小での酸化
分子の数を交流サイクル最大時の値から引くと、その交流サイクルにおける全変
化が式9に記載のように得られる。次いで2で割ると、交流振幅が得られる。 式9
【数6】 式10で交流電流が得られる。 式10
【数7】 (6)
【0330】 式11に示すように、全交流電流は、レドックス分子数C)、ファラデー定数
(F)、交流周波数(ω)、0.5(交流振幅を考慮するため)、式7に上記し
た比率から導かれる。交流電圧は大略、平均振幅EAC2/πである。 式11
【数8】 (7)
【0331】 式11を用いて、過電位(交流電圧)を増して、シュミレーションを行った。
図22Aはそのシュミレーションの1つを示す。図22Bは従来理論に基づくシ
ュミレーションを示す。図23Aおよび23Bは、シュミレーションで、実施例
7のEc−wireをプロットして、実際の実験データを表したものであり、モ
デルが実験結果によく一致していることが分かる。ある場合には電流が予測より
も小さいが、大抵は改善され得るフェロセン変性によるものであることが分かる
。しかし、電子伝達速度の影響も機器による因子も、式11に組み入れられてな
い。電子伝達速度は、応用周波数に近いか、それより低いと、重要である。この
ように真のiACは下記の式12に示すような3因子の関数である。 式12 iAC=f(Nernst因子)f(kET)f(機器因子)
【0332】 これらの式は、交流素子および直流素子を含む入力シグナルを利用するシステ
ムにおける期待交流電流をモデル化し、予測できる。上記したように、驚くべき
ことに従来の理論は、非常に低電圧の場合以外は、これらのシステムをまったく
モデル化しない。
【0333】 一般に、非特異的結合標識プローブ/ETMは、ETMを含む標識プローブが
正確な方向に特異的に結合したときよりも、インピーダンスに相違を示す(すな
わち、高いインピーダンス)。好ましい実施態様において、非特異的結合物質を
洗い落とすと、無限大の効果的なインピーダンスをもたらす。このように、一般
的に下記するように交流検出はいくつかの利点があり、それには、感受性の増加
およびバックグラウンドのノイズを拙除する能力が含まれる。特に、インピーダ
ンスの変化(例えばバルクインピーダンスを含む)を、ETM含有プローブの非
特異的結合と標的特異的アッセイ複合体形成の差として監視できる。
【0334】 従って、AC開始および検出方法を用いると、システムの周波数応答がETM
存在の結果として変化する。“周波数応答”は、電極とETMとの間の電子伝達
の結果としてのシグナル修飾を意味する。この修飾はシグナル周波数に従って相
違する。周波数応答には、1以上の周波数での交流電流、位相シフト、直流オフ
セット電圧、ファラデーインピーダンス等が含まれる。
【0335】 標的配列および標識プローブを含むアッセイ複合体がつくられると、第1入力
電子シグナルはシステムに用いられ、好ましくは少なくともサンプル電極(本発
明の複合体を含む)および逆電極を介してシステムに用いられ、電極とETMと
の電子伝達が開始される。電極システムも対照および実施電極に適用される電圧
で用いられる。第1入力シグナルは少なくとも1つの交流素子を含む。交流素子
は変化し得る振幅と周波数である。一般的に、本発明方法での使用において、交
流振幅は約1mV−1.1Vであり、約10mV−800mVが好ましく、特に
約10−500mVが好ましい。交流周波数は約0.01Hz−100KHzで
あり、約10Hz−10MHzが好ましく、約100Hz−20MHzが特に好
ましい。
【0336】 交流と直流シグナルとの組み合わせ使用は、驚くべき感受性とシグナル最大化
を含む種々の利点がある。
【0337】 好ましい実施態様において第1入力シグナルは交流素子および直流素子を含む
。すなわち、サンプルと逆電極直流オフセット電圧は、ETM(例えば、フェロ
センを用いると、掃引は一般に0から500mV)(あるいは、作動電極をグラ
ウンドすると、対照電極は0から−500mVで掃引される)の電子化学的電位
を介して掃引される。この掃引はシステムの最大応答が見られる直流電圧を同定
するのに用いられる。これは一般にETMの電子化学的電位かその周辺である。
この電圧が測定されると、掃引または1以上のユニホーム直流オンセット電圧が
用いられる。直流オンセット電圧は約−1Vから+1.1Vであり、約−500
mVから+800mVが望ましく、約−300から500mVが特に望ましい。
好ましい実施態様において直流オンセット電圧はゼロではない。直流オンセット
電圧のトップで、変化し得る振幅および周波数のシグナル交流素子が適用される
。もしETMが存在して交流摂動に応答し得ると、電極とETMとの間の電子伝
達によって、交流電流が生じる。
【0338】 確立したシステムにおいて、ETM(即ち標的配列の存在する)核酸の有無を
識別するのに、単一の入力シグナルを用いて十分である。他方、複数の入力シグ
ナルも適応される。これには、多くの種類があり、多重周波数、、多重交流振幅
あるいはこれらの組合せが用いられる。
【0339】 このように好ましい実施態様において、多重直流オンセット電圧を用いると、
直流電圧掃引が好ましい。これは単一の周波数または2以上の周波数で行われる
【0340】 好ましい実施態様において、交流振幅は変更することができる。理論にとらわ
れることなく、振幅を上げると推進力が増すようである。高い振幅は高い過電位
をもたらし、電子伝達に速い速度を与える。一般的に同じシステムがその周波数
での高い過電位の使用を介して単一の周波数での応答を改善する(すなわち、よ
り早い出力シグナル)。振幅が高周波数で増すと、システムを通しての電子伝達
の速度を増し、感受性が大きくなる。さらに、例えば、これは、適当な空間のあ
る配置を有さないような遅いシステムでの応答を惹起するのに用いられる。
【0341】 好ましい実施態様において、システムの測定は、少なくとも2つの単離した振
幅または過電位でなされる。複数の振幅が好ましい。上記したように、振幅変化
の結果としての応答の変化は、システムの同定、校正および定量の基礎を形成す
る。さらに1以上の交流周波数が同様に用いることができる。
【0342】 好ましい実施態様において、交流周波数は様々である。相違する周波数におい
て、異なる分子が異なる方法で応答する。当業者は分かるように、周波数が増す
と出力電流は一般に増加する。しかし、電極とETMに電子が行き来する速度よ
りも周波数が大きいときは、高い周波数は出力シグナルの喪失または低下をもた
らす。ある時点で周波数がETMと電極との間の電子伝達の速度よりも大きくな
り、出力シグナルも低下する。
【0343】 ある実施態様において、検出に単一周波数における出力シグナルの単一測定を
用いる。すなわち、標的配列の不存在と従ってETMを含む標識プローブの不存
在でのシステムの周波数応答はあらかじめ測定でき、特定の高周波数で非常に低
い。この情報を用いると、特定の周波数応答がアッセイ複合体の存在を示す。す
なわち、特定の周波数でのすべての応答はアッセイ複合体を特徴付ける。単一入
力高周波数を用いることのみが必要であり、すべての周波数応答のなんらかの変
化は、分析物が存在すること、標的配列が存在することを示す。
【0344】 さらに交流技法を用いると、ETM以外の物質によるすべての単一周波数での
バックグラウンドシグナルの顕著な低下をもたらす。すなわち、望まないシグナ
ルの“閉め出し”または“濾去”である。溶液中の電荷キャリヤーすなわちレド
ックス活性分子の周波数応答が、その拡散係数および電荷伝達係数によって制限
される。従って、高周波数では、電荷キャリヤーはその電荷を電極に伝達するの
に十分速く拡散し得ず、および/または電荷伝達速度が十分に速くない。このこ
とは、適切な単層を用いない場合あるいは部分的または不完全な単層を用いる場
合、すなわち溶媒が電極に到達し得ない場合に著しい。すでに概記したように、
直流技法において、電極に溶媒が到達し得る“ホール”の存在は、システムの“
短絡”溶媒電荷キャリヤーをもたらすことがある。すなわち、電極への到達およ
びバックグラウンドシグナルの生成である。しかし、現在の交流技法を利用する
と、1以上の周波数が選ばれて、単層の存在・不存在にかかわらず溶液中の1以
上の電荷キャリアーの周波数応答を防ぐ。このことは血液などの多くの生物体液
が、アンペロメトリー検出を妨害し得るレドックス活性分子を顕著な量で含有し
ているので、特に意味がある。
【0345】 好ましい実施態様において、システムの測定は少なくとも2つの単離された周
波数で行われ、複数の周波数の測定が好ましい。複数の周波数には走査がある。
例えば交流電流は、1−20Hzなどの低い入力周波数で、10−100kHz
などの高い周波数での出力シグナルに対する応答と比較すると、ETMの存在の
有無による周波数応答の相違を示す。好ましい実施態様において、周波数は少な
くとも2、好ましくは約5、さらに好ましくは少なくとも約10周波数で測定さ
れる。
【0346】 電子伝達を開始するために入力シグナルを伝導した後に、出力シグナルが受け
られ、すなわち検出される。出力シグナルの存在および増大は多くの因子に依存
する。すなわち、入力シグナルの過電位/振幅;入力交流シグナルの周波数;介
在媒体の組成物;直流オンセット;システムの環境;ETMの性質;溶媒;塩の
種類と濃度である。1つの与えられた入力シグナルにおいて、出力シグナルの存
在および増大は、一般的にETMの存在の有無、単層表面からのETMの位置と
距離および入力シグナルの性質に依存する。いくつかの実施態様において、標識
プローブの非特異的結合と標識プローブを含む標的特異的アッセイ複合体の形成
との相違をインピーダンスに基づき識別することは、可能である。
【0347】 好ましい実施態様において、出力シグナルは交流電流を含む。上記したように
、出力電流の大きさはパラメーターの数に依存する。これらのパラメーターを変
えると、数においてシステムが最適化される。
【0348】 本発明で生じる交流電流は一般的に、約1femptoamp−約1milliampにあり、
約50femptoamp−約100microampが好ましく、約1picoamp−約1microampが
特に好ましい。
【0349】 好ましい実施態様において、出力シグナルは入力シグナルに比較すると交流素
子でシフトする位相である。理論にとらわれることなしに、本発明のシステムを
充分にユニホームにすると、位相シフトの検出が可能となるようである。すなわ
ち、本発明の電子伝達が起きるバイオ複合体は、均質に交流入力と反応し、これ
は標準の電子素子と同じであり、位相シフトが測定できる。このことは、ETM
の存在の有無の検出の基礎として、および/または標識プローブを含む標的特異
的アッセイ複合体の存在とシステム成分に対する物質の非特異的結合との差異と
して働く。
【0350】 出力シグナルはETMの存在を特徴とする。すなわち出力シグナルは、標識プ
ローブとETMを含む標的特異的アッセイ複合体の存在を特徴とする。好ましい
実施態様において、検出の基礎は、アッセイ複合体の形成の結果としてのシステ
ムのファラデーインピーダンスの相違にある。ファラデーインピーデンスは、電
極とETMの系のインピーデンスである。ファラデーインピーデンスはバルクす
なわち2電子インピーデンスとまったく異なり、バルクインピーデンスは電極間
のバルク溶液のインピーデンスである。多くの因子がバルクインピーデンスに作
用しないファラデーインピーデンスを変えることができ、その逆も可能である。
このように核酸を含む本系のアッセイ複合体は一定のファラデーインピーデンス
を有し、これはETMと電極の距離、その電子的性質、介在媒体の組成物などに
依存している。本発明方法で重要なことは、ETMと電極との間のファラデーイ
ンピーダンスが、ETMを含む標識プローブが電極に特異的または非特異的に結
合するかどうかにより非常に異なることである。
【0351】 従って、本発明はさらに、交流検出法を用いて核酸検出のための装置を提供す
る。この装置は、少なくとも第1測定すなわちサンプル電極および第2測定すなわ
ち逆電極を有する試験室を含む。3電極系も用いられる。第1および第2電極は試
験サンプル受け領域に接触し、液体試験サンプルの存在下で、2つの電極は電子
的に接触し得る。
【0352】 好ましい実施態様において、第1測定電極は、取付リンカー、および上述の伝
導性オリゴマーを含む単層を介して共有結合した一本鎖核酸捕獲プローブを含む
【0353】 装置は、試験室すなわち測定電極に電気的に連結した交流電圧源を含む。好ま
しくは、交流電圧源はオフセット電圧も同様に放出し得る。
【0354】 好ましい実施態様において、装置はさらに、入力シグナルと出力シグナルとを
比較し得るプロセッサーを含む。プロセッサーは電極に結合しており、出力シグ
ナルを受けるように配置され、表面ヌクレオシドの存在を検出する。 従って本発明の組成物は、種々の研究、臨床、品質管理、野外試験などに用い
られる。
【0355】 好ましい実施態様において、これらのプローブは遺伝子診断に使用される。例
えば、本明細書中に開示した技術を使用して、プローブを、例えば、非茸腫結腸
癌遺伝子、BRCA1胸部癌遺伝子、各種の癌関連遺伝子であるP53、アルツ
ハイマー病の最大リスク指標であるアポE4遺伝子、などの標的配列を検出する
ために調製し、患者の前駆症状スクリーニング、全身性繊維症遺伝子変異、ある
いはその他の当技術分野で周知のすべてを容易にすることができる。
【0356】 別の実施態様では、ウイルスおよびバクテリアの検出は、本発明の複合体を使
用して実施できる。この実施態様では、プローブは、各種ウイルスおよびバクテ
リアから標的配列を検出するためにデザインされる。例えば、現今の血液スクリ
ーニングは坑HIV抗体の検出に依存している。本明細書中に開示した方法は、
臨床サンプルのHIV核酸配列、殊に高度に保存性のHIV配列を検出する直接
スクリーニングを可能とする。さらにこれは、坑ウイルス治療の効果を評価する
改良方法として、患者の体内を循環しているウイルスを直接モニターすることを
可能とする。同様に、リューケミア関連ウイルス、HLTV−IやHLTV−II
をこの方法で検出することができる。バクテリア感染症、例えば、結核、クリミ
ディアおよび他の性的伝染症も検出できる。
【0357】 好ましいある実施態様では、本発明の各核酸は、水あるいは食品サンプルのス
クリーニングにおいて毒性バクテリアのプローブとしても使用される。例えば、
各サンプルは、バクテリアを溶解処理してその核酸を遊離させ、次いでバクテリ
ア株を認識するようにプローブをデザインする。但し、該バクテリアは、Salmon
ella, Campylobacter, Vibrio cholerae, Leishmania, 腸毒性のE. Coli株、お
よびレジオネア病バクテリア、などの病原性株を含むがそれらに限定はされない
。同様にして、本発明の組成物を使用して生体治癒戦術を、評価できる。
【0358】 さらなる実施態様では、犠牲者や容疑者から採取したサンプルについて、犯罪
−現場を一致させる法医学的「DNA指紋鑑定」に使用される。
【0359】 さらなる実施態様では、あるアレイ配列のプローブは、ハイブリダイゼーショ
ンによる配列決定に使用される。
【0360】 このように、本発明は、ある実施態様においては、ハイブリダイズしていない
プローブを除去することなく標的配列を検出し得る、極めて特異的で感受性の高
いプローブを提供するものである。これは、自動化遺伝子プローブアッセイの形
成に有用である。
【0361】 あるいは、本発明の組成物は、PCRにおける成功した遺伝子増幅を検出する
のに有用であり、かくして成功したPCR反応を標的配列の存在または不存在の
指標とすることができる。PCRはこのような手法で数種の方法に使用される。
例えば、ある実施態様では、このPCR反応は当技術分野で知られているように
して実施され、次いで、標的核酸とETMとを含む本発明の組成物に加え、伝導
性オリゴマーを介して電極に共有結合させ、続いて標的配列を検出する。あるい
は、ETMで標識化したヌクレオチドを用い、電極の存在下にまたは続いて電極
を加えるかのいずれかで、伝導性オリゴマー及び標的核酸とともにPCRを実施
する。ETMを含有するPCR生成物の電極組成物との結合は、電子移動により
検出される。最終的に、伝導性ポリマーを介して電極に結合した核酸は、ETM
で標識化した第二プライマーの添加により、PCRプライマーの1種となるだろ
う。伸長させると、ETMおよび共有結合した電極を有する2本鎖核酸を生じる
。このような方法で、本発明は各標的配列のPCR検出に使用される。
【0362】 好ましいある実施態様では、これらの配列はmRNA検出に使用される。好ま
しいある実施態様は、これらのmRNAの3’ポリアデニル化末端近くにハイブ
リダイズする捕獲プローブまたは捕獲伸長プローブのいずれかを利用するもので
ある。これにより、標的結合プローブの1種、即ち、mRNA標的のポリ−A末
端と結合するポリ−T部分を含有するプローブ、を標的に使用することが可能と
なる。一般的に、このプローブは、好ましくは非ポリ−Tであり、検出プローブ
(または他のプローブ)と結合する第二部分、を含有する。これにより、1種標
的結合プローブの調製、および、異種プローブ合成実施量の減少が可能となる。
【0363】 好ましいある実施態様では、制限酵素およびライゲーション手法を使用するこ
とにより、「ユニバーサル」アレイ配列の創製が可能となる。この実施態様では
、図39に一般的に示した、制限エンドヌクレアーゼ末端を含む捕獲プローブを
含む単層である。核酸の相補的部分を利用することにより、「粘着性末端」を残
しつつ、制限エンドヌクレアーゼ部位のすべてを含むアレイ配列が調製される。
これらの制限エンドヌクレアーゼの1種またはそれ以上で標的サンプルを処理す
ることにより、それらの標的をアレイ配列に結合させることが可能となる。これ
は、標的の配列を知らなくても実施できる。それらの標的は、所望により、標準
的手法例えばリガーゼを用いてライゲートされ得、そして標準的標識または本発
明方法のいずれかを使用して標的配列を検出できる。
【0364】 本発明は、核酸類を感受性よく検出し得る方法を提供するものである。好まし
い実施態様では、約10×106以下、好ましくは約10×105以下、より好ま
しくは約10×104以下、特に好ましくは約10×103以下、最も好ましくは
約10×102以下の分子が検出される。これは標的配列とレポーター分子との
1:1相関を推認するものであり、もし各標的配列に対して1以上のレポーター
分子(即ち、電子伝達分子)を使用すれば、感受性がより高くなるはずであるこ
とは、当業者には明かであろう。
【0365】 現今、検出限界は刊行物発表されたDNAを介しての電子伝達率に基づいて評
価されており、それは大まかに言って、8ベースペア分離につき1×106電子
/秒/デュープレックスであり(Meade et al., Angw. Chem. Eng. Ed., 34:352
(1995)参照) 、高い推進力、約100kHzのAC振動数を可能とするもので
ある。予試験結果が示しているように、これらのシステムを介しての電子伝達は
、極めて効率的であり、ほぼ100×103電子/秒に達し、非常に僅かの分子
に対しても有力でフェムトアンプな感受性をもたらす。
【0366】 以下の実施例は、上記本発明の使用方法をより詳しく記述しようとするもので
あり、また、本発明の各種態様を実施するために最良と思われる方法を記載する
ものである。これらの実施例は、如何なる意味においても本発明の真の範囲を限
定しようとするものではなく、例示説明の目的で記載したものと理解されるべき
である。本明細書中に引用したすべての参照文献は、参照によりそれらの全部を
本書中の記載として導入する。
【0367】 実施例 実施例1 2’位でフェロセンにより修飾したヌクレオシドの合成
【0368】 図9に示す、N6の製造を記載する。
【0369】 化合物N6.フェロセン(20g、108mmol)および4−ブロモブチルクロ
リド(20g、108mmol)を、450mLのジクロロメタンに溶解し、次いで
無水AlCl3(14.7g、11mmol)を加える。反応混合物を室温で1時間
40分攪拌し、次いで600mLの氷を加えて急冷する。有機層を分離し、水層
が中性(pH=5)近くになるまで水洗する。有機層はNa2SO4で乾燥し、濃
縮する。粗製生成物を、50/50ヘキサン/ジクロロメタン、続いて30/7
0ヘキサン/ジクロロメタン/により300gmのシリカゲル上で溶出するフラ
ッシュクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物を26.4gm(73%)得
る。
【0370】 化合物N2.化合物N1(6g、18mmol)を丸底フラスコ中のトルエン12
0mLに溶解する。亜鉛(35.9g、55mmol)、塩化水銀(3.3g、12
mmol)および水(100mL)を順次加える。それからHCl溶液(12M、8
0mL)を滴下する。反応混合物を16時間室温で攪拌する。有機層を分離し、
水(2×100mL)で洗い、濃縮する。さらに270gmのシリカゲル上でフ
ラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)によって精製し、目的の化合物を褐色
の固形物として(3.3g、58%)得る。
【0371】 化合物N3.乾燥DMF400mL中にアデノシン13.6gm(51mmol)
を含む混合物を氷水浴中で10分間冷却してから、NaH(60%)3.0gm
(76mmol)を加える。反応混合物を0℃で1時間攪拌してから、化合物N2(
16.4g、51mmol)を加える。次いで、温度を緩やかに上げて30℃とし、
反応混合物をこの温度に4時間保持してから、氷100mlで急冷する。溶媒を
真空で蒸発させる。得られたゴム状物を水300mLと酢酸エチル300mLと
に溶解する。水層を完全に抽出する(酢酸エチル3×300mL)。集めた有機
抽出物を濃縮し、粗製生成物を、270gのシリカゲル上でフラッシュクロマト
グラフィーで精製する。このカラムを20%酢酸エチル/ジクロロメタン、50
%酢酸エチル/ジクロロメタン、70%酢酸エチル/ジクロロメタン、酢酸エチ
ル、1%メタノール/酢酸エチル、3%メタノール/酢酸エチル、および5%メ
タノール/酢酸エチルで溶出する。所望の画分を濃縮して目的化合物(6.5g
、25%)得る。
【0372】 化合物N4.化合物N3(6.5g、12.8mmol)を乾燥ピリジン150m
L中に溶解し、TMSCl(5.6g、51.2mmol)を加える。反応混合物を
室温で1.5時間攪拌する。次いで、フェノキシアセチルクロリド(3.3g、
19.2mmol)を0℃で加える。次いで、反応混合物を室温で4時間攪拌し、0
℃で水100mLを加えて急冷する。溶媒を減圧下に除去し、粗製ゴム状物をさ
らに90gのシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー精製する。(1%メ
タノール/ジクロロメタン)(2.3g、28%)
【0373】 化合物N5.化合物N4(2.2g、3.4mmol)およびDMAP(200m
g、1.6mmol)を乾燥ピリジン150mL中に溶解し、DMTCl(1.4g
、4.1mmol)を加える。反応混合物を室温で1夜、アルゴン気流中で攪拌する
。溶媒を減圧下に除去し、残査を250mLのジクロロメタンに溶解する。有機
溶液を5%NaHCO3溶液(3×250mL)で洗い、Na2SO4上で乾燥し
、それから濃縮する。さらに55gのシリカゲル上でフラッシュクロマトグラフ
ィー(1%TEA/50%ヘキサン/ジクロロメタン)によって精製し、目的の
化合物(1.3g、41%)を得る。
【0374】 化合物N6.ジクロロメタン150mL中にN5(3.30gm、3.50mm
ol)を含有する溶液中に、ジイソプロピルエチルアミン(4.87mL、8.0
eq.)およびDMAPの触媒量(200mg)を加える。混合物を0℃に保ち、N,
N−ジイソプロピルアミノ シアノエチル フォスフォンアミジン酸クロリド(
2.34mL、10.48mmol)を加える。反応混合物を加温し、室温で1夜攪
拌する。ジクロロメタン150mLおよび5%NaHCO3水溶液250mLを
加えて希釈したのち、有機層を分離し、5%NaHCO3(250mL)で洗い
、Na2SO4上で乾燥し、それから濃縮する。粗製生成物を66gのシリカゲル
を1%TEAヘキサン溶液を用いて充填したフラッシュカラムで精製する。溶出
溶媒は、1%TEAヘキサン溶液(500mL)、1%TEAおよび10%ジク
ロロメタンのヘキサン溶液(500mL)、1%TEAおよび20%ジクロロメ
タンのヘキサン溶液(500mL)、1%TEAおよび50%ジクロロメタンの
ヘキサン溶液(500mL)である。目的化合物を含む画分を集め、濃縮して、
目的の化合物(3gm、75%)を得る。
【0375】 実施例2「 分枝した」ヌクレオシドの合成
【0376】 図10に示す、N17の製造を記載する。
【0377】 化合物N14の合成.第三級ブチルジメチルシリルクロリド(33.38g、
0.22mol)のジクロロメタン300mL溶液中に、イミダゾール(37.6
9g、0.55mol)を加える。直ちに大量の沈殿が生成する。2−ブロモエタ
ノール(27.68g、0.22mol)を室温でゆっくり加える。反応混合物を
この温度で3時間攪拌する。有機層を水(200mL)、5%NaHCO3(2
×250mL)、および水(200mL)で洗う。溶媒を除去し、標題の化合物
52.52gを得る(99%)。
【0378】 化合物N15の合成.DMF1.0L中にアデノシン(40g、0.15mol)
を分散させた液中に、0℃でNaH(60%鉱物油溶液を8.98gm、0.2
2mol)を加える。混合物を0℃で1時間攪拌し、N14(35.79gm、0
.15mol)を加える。反応混合物を30℃で1夜攪拌する。氷水100mLを
加えて急冷する。溶媒を高真空下に除去する。残留する泡状物を800mlの酢
酸エチルと水700mLの混合液に溶解させる。水層をさらに酢酸エチル(3×
200mL)で抽出する。集めた有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮する。粗
製生成物を、300gのシリカゲルを1%TEAヘキサン溶液を用いて充填した
フラッシュカラムで精製する。溶出溶媒は、ジクロロメタン(500mL)、3
%MeOHジクロロメタン溶液(500mL)、5%MeOHジクロロメタン溶
液(500mL)、8%MeOHジクロロメタン溶液(2000mL)である。
目的の画分を集め、濃縮して、標題の化合物11.70g(19%)を得る。
【0379】 化合物N16の合成.0℃に冷却したN15(11.50gm、27.17mm
ol)の乾燥ピリジン300mL溶液中に、トリメチルシリルクロリド(13.7
1mL、0.11mol、4.0)を加える。混合物を0℃で40分間攪拌する。
フェノキシアセチルクロリド(9.38mL、67.93mmol)を加える。反応
混合物を0℃で2.5時間攪拌する。混合物を次いでジクロロメタン700mL
と水100mLの混合液に移す。混合物をよく振り混ぜ、有機層を分離する。5
%NaHCO3(2×300mL)で2回洗浄したのち、ジクロロメタンをロー
トベーパーで除去する。残査に水200mLを加え、得られたピリジン混合物を
室温で2時間攪拌する。次いで、溶媒を高真空下に除去する。ゴム状生成物をピ
リジン100mLとともに共留蒸発させる。残査を乾燥ピリジン250mL中に
0℃で溶解させ、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(11.02gm、3
2.60mmol)を加える。反応物を室温で1夜攪拌する。溶液をジクロロメタン
700mLと5%NaHCO3500mLとの混合液に移す。よく振り混ぜたの
ち、有機層を分離し、さらに5%NaHCO3(2×200mL)で洗浄し、次
いで濃縮する。粗製生成物を、270gのシリカゲルを1%TEA/30%CH 2 Cl2/ヘキサン溶液を用いて充填したフラッシュカラムで精製する。溶出溶媒
は、1%TEA/50%CH2Cl2/ヘキサン(1000mL)、1%TEA/
CH2Cl2(2000mL)である。目的生成物を含有する画分を集め、濃縮し
て、標題の化合物10.0g(43%)を得る。
【0380】 化合物N17の合成.N16(10.0gm、11.60mmol)のジクロロメ
タン300mL溶液中に、ジイソプロピルエチルアミン(16.2mL)および
触媒量のN,N−ジメチルアミノピリジン(200mg)を加える。混合物を氷水
浴中で冷却し、N,N−ジイソプロピルアミノ シアノエチル フォスフォンア
ミジン酸クロリド(7.78mL、34.82mmol)を加える。反応混合物を室
温で1夜攪拌する。反応混合物にジクロロメタン250mLおよび5%NaHC
3250mLを加えて希釈する。よく振り混ぜたのち、有機層を分離し、同量
の5%NaHCO3水溶液でもう一度洗い、Na2SO4上で乾燥し、濃縮する。
粗製生成物を120gのシリカゲルを1%TEAおよび10%ジクロロメタンの
ヘキサン溶液使用して充填したフラッシュカラムで精製する。溶出溶媒は、1%
TEAおよび10%ジクロロメタンのヘキサン溶液(500mL)、1%TEA
および20%ジクロロメタンのヘキサン溶液(500mL)、および、1%TE
Aおよび40%ジクロロメタンのヘキサン溶液(1500mL)である。該当画
分を集め、濃縮して、最終目的物(7.37gm、60%)を得る。
【0381】 実施例3 フォスフェートを介してフェロセンを結合しているヌクレオシドの合成
【0382】 図11に示す、Y63の合成を記載する。
【0383】 C102の合成:10.5gm(32.7mmol)のN2、16gmの酢酸カリ
ウム、および350mlのDMFからなる反応混合物を、100℃で2.5時間
攪拌する。反応混合物を室温まで放冷し、次いで400mlのエーテルと800
mlの水の混合液中に注ぎ込む。混合物を振り混ぜ、有機層を分離する。水層を
2回エーテルで抽出する。エーテル抽出液を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥し
、次いでカラムクロマトグラフィーのために濃縮する。シリカゲル(160gm
)を1%TEA/ヘキサンを用いて充填する。粗製物を負荷し、カラムを1%T
EA/0−100%CH2Cl2/ヘキサンで溶出する。目的物を含有する画分を
集め、濃縮してC102を5.8g(59.1%)得る。
【0384】 Y61の合成:C102を5.1gm(17.0mmol)含有するフラスコにジ
オキサン30mlを加える。この溶液に1MのNaOH少量を2.5時間を要し
て、または加水分解が完了するまで加える。加水分解後、生成物をヘキサンで抽
出する。集めた抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥し、クロマトグラフィーのため
に濃縮する。シリカゲル(100gm)を10%EtOAc/ヘキサンを用いて
充填する。粗製物溶液を負荷し、カラムを10%ないし50%EtOAcのヘキ
サン溶液で溶出する。目的物を含有する画分を集め、濃縮してY61を4.20
gm(96.1%)得る。
【0385】 Y62の合成:Y61を4.10gm(15.9mmol)含有するフラスコに、
ジクロロメタン200ml、7.72mlのDIPEA、および4.24gm(
15.9mmol)のビス(ジイソプロピルアミノ)クロロフォスフィンを加える。
この反応混合物をアルゴンの存在下に1夜攪拌する。反応混合物をもとの容量の
3分の1に濃縮したのち、ヘキサン200mlを加え、次いで反応混合物を再度
もとの容量の3分の1に濃縮する。この操作をもう一度繰り返す。沈殿した塩を
濾去し、溶液を濃縮して粗製のY62を8.24gm得る。この生成物は、さら
に精製することなく次の段階に使用する。
【0386】 Y63の合成:N−PACデオキシ−アデノシン1.0gm(1.45mmol)
、1.77gの粗製Y62、および125mgのN,N−ジイソプロピルアンモ
ニウムテトラゾリド、および100mlのジクロロメタンを含有する反応混合物
。この反応混合物を室温で1夜攪拌する。次いで、この反応混合物を100ml
のCH2Cl2および100mの5%NaHCO3溶液で希釈する。有機相を分離
し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。次いで、溶液をカラムクロマトグラフィーの
ために濃縮する。シリカゲル(35gm)を10%TEA/ヘキサンを用いて充
填する。粗製物を1%TEA/10−40%CH2Cl2/ヘキサンで溶出する。
生成物を含有する画分を集め、濃縮して標題生成物0.25gmを得る。
【0387】 実施例4 エチレングリコール末端化ワイヤーW71の合成 図12に示す。
【0388】 W55の合成:フラスコに、第3級ブチルジフェニルクロロシラン7.5gm
(27.3mmol)、トリ(エチレングリコール)25.0gm(166.5mmol
)、および乾燥DMF50mlをアルゴン雰囲気下に加える。混合物を攪拌し、
氷水浴中で冷却する。このフラスコに、別の漏斗から5.1gm(30.0mmol
)のAgNO3をDMF80mlに溶かした澄明な溶液を滴下する。添加完了後
、混合物を室温に温まるまで放置し、さらに30分間攪拌する。褐色のAgCl
沈殿を濾取し、DMF(3×10mL)で洗浄する。減圧下に溶媒を除去すると
、粘凋なシロップ様液体生成物が得られるので、これを約80mLのCH2Cl2 に溶解する。溶液を水(6×100mL)で洗浄し、未反応の原料物質、即ちト
リス(エチレングリコール)を除去し、次いでNa2SO4上で乾燥する。CH2
Cl2を除去すると、〜10.5gの粗製物が得られ、このものを50%CH2
2/ヘキサンを用いて充填したシリカゲル104gを含有するカラムで精製す
る。このカラムは3−5%MeOH/CH2Cl2で溶出する。目的物を含有する
画分を集め、濃縮し、精製した標題生成物8.01gm(75.5%)を得る。
【0389】 W68の合成:8.01gm(20.60mmol)のW55を含有するフラスコ
に、8.56gm(25.8mmol)のCBr4および60mlのCH2Cl2を加
える。混合物を氷水浴中で攪拌する。この溶液にゆっくりと8.11gm(31
.0mmol)のPPh3を含むCH2Cl215ml溶液を加える。混合物を0℃で
約35分間攪拌し、そして室温に温まるまで放置する。混合物の容積を約10.
0mlまで減らし、エーテル75mlを加える。沈殿を濾取し、エーテル2×7
5で洗浄する。エーテルを留去すると約15gの粗製物が得られるのでこれを精
製に用いる。ヘキサンを用いてシリカゲル(105gm)を充填する。サンプル
溶液を負荷したのち、カラムを50%CH2Cl2/ヘキサン、次いでCH2Cl2 で溶出する。目的の画分を集め、濃縮し、精製した標題生成物8.56gm(7
2.0%)を得る。
【0390】 W69の合成:5.2gm(23.6mmol)の4−ヨードフェノールを含有す
る乾燥DMF50ml溶液を、Ar下氷水浴中で冷却する。この混合液に1.0
gmのNaH(鉱物油中60%、25.5mmol)を少しづつ加える。混合物を約
5分間同温度で攪拌し、さらに室温で30分間攪拌する。8.68gm(19.
2mmol)のW68を含有するDMF20ml溶液を、アルゴン雰囲気でフラスコ
に加える。このフラスコをアルミニウムホイルで覆い、混合物を50℃で12時
間攪拌する。DMFを減圧下に除去する。残査を300mlの酢酸エチルに溶解
し、溶液を水(6×50mL)で洗浄する。酢酸エチルを減圧下に除去し、残査
を精製のために、30%CH2Cl2/ヘキサンで充填した100gのシリカゲル
カラム中に負荷する。カラムを30−100%CH2Cl2/ヘキサンで溶出する
。目的生成物を含有する画分を集め、濃縮し、標題生成物9.5gm(84.0
%)を得る。
【0391】 W70の合成:6.89gm(11.6mmol)のW69を含有する100ml
容丸底フラスコに、30mlのTBAF THF溶液を加える。溶液を室温で5
時間攪拌する。THFを除去し、残査をCH2Cl2150mlに溶解する。溶液
をH2O(4×25mL)で洗浄する。溶媒を除去すると10.5gmの半固体
が得られる。50%CH2Cl2/ヘキサンを用いてシリカゲル(65gm)を充
填する。サンプル溶液を負荷したのち、カラムを0−3%CH3OH/CH2Cl 2 で溶出する。各画分をTLC(CH3OH:CH2Cl2=5:95)で同定する
。目的生成物を含有する画分を集め、濃縮し、標題生成物4.10gm(99.
0%)を得る。
【0392】 W71の合成:1.12gm(3.18mmol)のW70、0.23g(0.8
8mmol)のPPh3、110mg(0.19mmol)のPd(dba)2、110m
g(0.57mmol)のCul、および0.75g(3.2mmol)のY4(1ユニ
ットワイヤー)をフラスコに加える。このフラスコにアルゴンをフラッシュし、
次いで乾燥DMF65ml、続けてジイソプロピルアミン25mlを導入する。
混合物を55℃で2.5時間攪拌する。全溶媒を減圧下に除去する。残査をCH 2 Cl2100mlに溶解し、溶液を飽和EDTA溶液(2×100mL)で完全
に洗浄する。CH2Cl2を除去すると2.3g粗製物が得られる。50%CH2
Cl2/ヘキサンを用いてシリカゲル(30gm)を充填し、サンプル溶液を負
荷したのち、カラムを10%酢酸エチル/CH2Cl2で溶出する。目的生成物を
含有する画分を濃縮し、標題生成物1.35gm(2.94mmol)を得る。この
ものはさらに熱ヘキサン溶液から再結晶して精製すると無色結晶となる。
【0393】 実施例5 絶縁体に結合したヌクレオシドの合成 図13に示す。
【0394】 C108の合成:フラスコに、2’−アミノ−5’−O−DMTウリジン2.
0gm(3.67mmol)、1.63gm(3.81mmol)のC44、TEA5m
l、およびジクロロメタン100mlを加える。この反応混合物を室温で72時
間攪拌する。溶媒を除去し、少量のCH2Cl2に溶解する。2%CH3OH/1
%TEA/CH2Cl2を用いてシリカゲル(35gm)を充填し、サンプル溶液
を負荷したのち、カラムを同溶媒系で溶出する。目的物を含有する画分を集め、
濃縮し、標題生成物2.5gm(80.4%)を得る。
【0395】 C109の合成:フラスコに、2.4gm(2.80mmol)のC108、ジイ
ソプロピルエチルアミン4ml、およびCH2Cl280mlを、アルゴンの存在
下に加える。この反応混合物を氷水浴で冷却する。一度冷却後、2−シアノエチ
ルジイソプロピルクロロ−フォスフォルアミド2.10gm(8.83mmol)を
加える。次いで混合物を1夜攪拌する。反応混合物を10mlのメタノールおよ
び150mlのCH2Cl2を加えて希釈する。この混合物を5%NHCO3溶液
で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いでカラムクロマトグラフィーのため
に濃縮する。1%TEAおよびヘキサンを用いてシリカゲル65gmを充填する
。粗製物を負荷し、カラムを1%TEA/0−20%CH2Cl2/ヘキサンで溶
出する。目的物を含有する画分を集め、濃縮し、標題生成物2.69gm(90
.9%)を得る。
【0396】 実施例6 伝導性オリゴマーと絶縁体を含む捕獲核酸含有電極の合成 上記の技法および標準核酸合成法を用い、伝導性オリゴマーを含む捕捉プロー
ブを作製した(以下では、“ワイヤ−1”)。アセチレン末端をもつ伝導性オリ
ゴマーを本明細書に概説したとおりに作製した(以下では、“ワイヤ−2”)。
【0397】 HS−(CH216−OH(以下では、“絶縁体−2”)を以下のようにして
作製した。 16−ブロモへキサデカン酸:16−ヒドロキシへキサデカン酸5.0gr(1
8.35mmole)をHBr(48%水溶液)と氷酢酸の1:1混合物24ml中で4
8時間還流することにより16−ブロモへキサデカン酸を調製した。冷却して、
粗製の生成物を反応容器内で固化した。これを濾取し、冷水(3×100ml)で
洗浄した。物質をn−へキサンから再結晶により精製し、濾取して高減圧下に乾
燥した。所望の産物6.1gr(99%収率)を得た。
【0398】 16−メルカプトへキサデカン酸:不活性雰囲気下、金属ナトリウム懸濁液(
40%鉱油)2.0grを乾燥メタノール100mlに0℃でゆっくり添加した。添
加の終末点で反応混合物を室温で10分間攪拌し、チオ酢酸1.75ml(21.5
8mmole)を加えた。さらに10分間攪拌した後、16−ブロモへキサデカン酸
6.1gr(18.19mmole)の脱気メタノール溶液30mlを加えた。得られた混
合物を15時間還流し、その後、室温まで冷却し、脱気した1.0M−NaOH
水溶液50mlを注入した。反応完結にはさらに3時間の還流が必要であった。得
られた反応混合物を氷浴で冷却し、氷水200mlを容れた容器に注ぎ、攪拌した
。この混合物を1.0M−HClでpH7に調整し、エーテル300mlで抽出し
た。有機層を分離し、水(3×150ml)、飽和NaCl水溶液150mlで洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルを除去した後、物質をn−へキサンか
らの再結晶により精製し、濾取して高減圧で乾燥した。所望の産物5.1gr(9
7%収率)を得た。
【0399】 16−ブロモヘキサデカン−1−オール:不活性雰囲気下、BH3・THF複
合体(1.0M−THF溶液)10mlを16−ブロモへキサデカン酸2.15gr(
6.41mmole)のTHF溶液30mlに−20℃で添加した。反応混合物をこの温
度で2時間攪拌し、次いで室温でさらに1時間攪拌した。その後、得られた混合
物は氷冷/飽和重炭酸ナトリウム水溶液200mlを容れた容器に攪拌下注いだ。
有機化合物をエーテル(3×200ml)で抽出した。エーテルフラクションを併
合し、硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルを除去した後、物質を最少量のジク
ロロメタンに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン
溶出)により精製した。所望の産物1.92gr(93%収率)を得た。
【0400】 16−メルカプトへキサデカン−1−オール:不活性雰囲気下、金属ナトリウ
ム懸濁液(40%鉱油)365mgを乾燥メタノール20mlに0℃で滴下した。滴
下終了後、反応混合物を室温で10分間攪拌し、次いでチオ酢酸0.45ml(6.
30mmole)を添加した。さらに10分間攪拌した後、16−ブロモヘキサデカ
ン−1−オール1.0gr(3.11mmole)の脱気メタノール溶液を加えた。得ら
れた混合物を15時間還流し、室温に冷却し、脱気した1.0M−NaOH水溶
液20mlを注入した。反応完結にはさらに3時間の還流が必要であった。得られ
た反応混合物を氷浴で冷却し、氷水200mlを容れた容器に注ぎ、攪拌した。こ
の混合物を1.0M−HClでpH7に調整し、エーテル300mlで抽出した。
有機層を分離し、水(3×150ml)、飽和NaCl水溶液150mlで洗浄し、
硫酸ナトリウムで乾燥した。エーテルを除去した後、物質を最少量のジクロロメ
タンに溶かし、シリカゲルクロマトグラフィー(100%ジクロロメタン溶出)
により精製した。所望の産物600mg(70%収率)を得た。
【0401】 清浄な金でカバーした顕微鏡用スライドを、エタノール中100マイクロモル
のHS−(CH218−COOH含有溶液中、室温で4時間培養した。電極をエ
タノールでよくすすぎ、乾燥した。ワイヤ−1+ワイヤ−2溶液(1×SSCバ
ッファー中1マイクロモル、pH7.5)20〜30マイクロリットルを球状の
小滴として電極に加えた。電極は蒸発を最少とするために湿潤チャンバー内で室
温4時間培養した。次いで、ワイヤ−1溶液を電極から除き、電極は1×SSC
バッファー中に浸漬し、次いで1×SSCで4回すすいだ。電極は1×SSC中
2日間まで室温で保存した。
【0402】 別法として、また好ましくは、“2段階”法または“3段階”法が用いられる
。“2段階”手法は以下のとおりである。ワイヤ−1+ワイヤ−2混合物を〜5
−10マイクロモル濃度の水溶液として清浄な金表面に曝し、〜24時間培養し
た。これを水、次いでエタノールでよくすすぐ。次いで、金を〜100マイクロ
モルの絶縁体チオールのエタノール溶液に〜12時間曝し、よくすすいだ。補体
とのハイブリダイゼーションは3時間にわたり実施した。一般に、ハイブリダイ
ゼーション溶液は50℃に加温し、次いでハイブリダイゼーションを上昇させる
ために冷却した。
【0403】 “3段階”手法では上記と同じ濃度と溶媒を使用する。清浄な金電極を絶縁体溶
液中で〜1時間培養し、すすいだ。この手法では恐らく不完全な単層となり、未
反応の金領域をもつこととなる。次いで、スライドをワイヤ−1+ワイヤ−2溶
液の混合物と24時間にわたり培養した(一般には長い方がよい)。これらのワ
イヤはなおエチル−ピリジン保護基をその上に保持していた。ワイヤ溶液は5%
NH4OH、15%エタノール水であった。これがワイヤから保護基を除き、金
に結合することを可能とした(原位置脱保護)。次いでスライドを再度絶縁体中
で〜12時間培養し、上記のようにハイブリダイズした。
【0404】 一般に、水、エタノール、アセトニトリル、バッファー、混合物などを含む種
々の溶媒が使用し得る。また、その必要はないが、熱または超音波などのエネル
ギーの入力が析出工程の速度を上げるように思われる。また、両段階のインキュ
ベーション時間を長くする、例えば、1週間もの長さとすると、結果がよくなる
ように思われる。
【0405】 実施例7 AC検出法 本発明の別の組成物を含む電極を作製し、AC検出法に使用した。実験は以下
のように実施した。作業(サンプル)電極と参照電極間のDCオフセット電圧は
フェロセンの電子化学電位を介して、典型的には0ないし500mVで掃引した
。DCオフセットの頂上においては、可変振幅と周波数のACシグナルを利用し
た。励起周波数でのAC電流をDCオフセットに対してプロットした。
【0406】 実施例8 各種ETM結合物の比較
【0407】 図1に示した各種ETM結合物を比較した。表15に示すように検出プローブ
は電極表面に結合させた(表中ワイヤーを含む配列)。ポジティブ(即ち検出プ
ローブに相補的なプローブ)およびネガティブ(即ち検出プローブに相補的でな
いプローブ)コントロール標識プローブを添加した。
【0408】 本発明の各種組成物を含有する電極を調製し、AC検出法に使用した。実験は
下記のようなランであった。ワーキング(サンプル)電極と対照電極との間のD
Cオフセット電圧を、フェロセンの電気化学的ポテンシャルで消去すると、典型
的には0ないし500mVであった。DCオフセットのトップで、振幅および振
動数可変のACシグナルを適用した。励起振動数におけるAC電流をDCオフセ
ットに対してプロットした。
【0409】 その結果を表2に示すが、Y63、VIおよびIV化合物が最良結果を示した。
【0410】
【表1】 不明:ポジティブコントロールとネガティブコントロールとの間に相違がない。 ND:測定せず。
【0411】 異なる金属錯体を含むオリゴヌクレオチドの表
【表2】
【0412】 実施例9 本発明の好ましい実施態様
【0413】 各種の系を実験し、以下に概要を示したように、いずれも好適に実施できた。
全化合物を図で参照した。一般的にこれらの系は以下のように実施した。前述し
たように、電極、結合リンカーを介して付着させた捕獲プローブ、伝導性オリゴ
マー、および絶縁体を含む、各表面を調製した。この系の、標的配列、捕獲伸長
プローブ、および標識プローブを含む、他の構成成分は、混入し、一般的に90
℃で5分間アニール処理し、その後1時間で室温まで放冷した。混合物を次いで
電極に加え、AC検出を実施した。
【0414】 捕獲プローブ、捕獲伸長プローブ、非標識標的配列、及び標識プローブ: 上述の方法を使用して、25塩基配列を含む捕獲プローブD112を、伝導性
オリゴマーY5およびM44絶縁体と、2:2:1の割合で混合した。24塩基
配列を含み完全にD112捕獲プローブと相補的であり、24塩基配列を含み完
全に2tar標的と相補的な、シングルベースにより分離した捕獲伸長プローブ
D179を、2tar標的とともに加える。このD179分子は、電極に最も近
い末端にフェロセンを保持(塩基に対しC15連結を用いて)している。結合リ
ンカーが伝導性オリゴマーである場合、この位置またはそれに近接する位置にE
TMを使用すると、D179分子の存在の証明を可能とする。この位置のフェロ
センは、検出に用いた各ETMとは異なるレドックスポテンシャルを有する。標
的配列のある部分と完全に相補的な18塩基配列、13塩基配列のリンカー、お
よび枝分かれ配位を用いて結合している4つのフェロセンを含む、標識プローブ
D309(デンドリマー)を加える。代表的なスキャンを図20Aに示す。2t
ar標的を加えなかった場合、代表的なスキャンを図16Bに示す。代表的なス
キャンはこれ以上示していない。
【0415】 捕獲プローブおよび標識した標的配列の使用 実施例A :上記したように、捕獲プローブD94を、Y5およびM44伝導性オ
リゴマーとともに、2:2:1の割合で、合計チオール濃度833μMで、電極
上に加える。D94捕獲プローブと完全に相補的な15塩基配列、14塩基リン
カー配列、およびN6化合物を介して連結している6つのフェロセン、を含む標
的配列(D336)を使用した。代表的なスキャンを図20Cに示す。標的配列
とのホモロジーを有しない、異なる捕獲プローブ、D109の使用は、ネガティ
ブコントロールとして働く。
【0416】実施例B :上記したように、捕獲プローブD94を、Y5およびM44伝導性オ
リゴマーとともに、2:2:1の割合で、合計チオール濃度833μMで、電極
上に加える。D94捕獲プローブと完全に相補的な15塩基配列、N6化合物を
介して連結している6つのフェロセンにフックしているC131エチレングリコ
ールリンカー、を含む標的配列(D429)を使用した。代表的なスキャンを図
20Eに示す。標的配列とのホモロジーを有しない、異なる捕獲プローブ、D1
09の使用は、ネガティブコントロールとして働く。
【0417】 捕獲プローブ、捕獲伸長プローブ、非標識標的配列、および、標的結合配列と 各ETMとの間に長いリンカーを有する2種の標識プローブの使用 上記したように、捕獲プローブD112、Y5伝導性オリゴマー、M44絶縁
体、および捕獲伸長プローブD179を使用する。2種の標識プローブ:標的配
列のある部分と完全に相補的な18塩基配列、15塩基配列リンカー、および図
に示すようにN6連結を用いて結合している6つのフェロセン、を含むD295
、を加える。D297は、その18塩基配列が標的配列の他の部分とハイブリダ
イズしていること以外は同一である。
【0418】 捕獲プローブ、捕獲伸長プローブ、非標識標的配列、および、標的結合配列と 各ETMとの間に短いリンカーを有する2種の標識プローブの使用 上記したように、捕獲プローブD112、Y5伝導性オリゴマー、M44絶縁
体、および捕獲伸長プローブD179を使用する。2種の標識プローブ:標的配
列のある部分と完全に相補的な18塩基配列、5塩基配列リンカー、および図2
3に示すようにN6連結を用いて結合している6つのフェロセン、を含むD29
6、を加える。D298は、その18塩基配列が標的配列の他の部分とハイブリ
ダイズしていること以外は同一である。
【0419】 2種の捕獲プローブ、2種の捕獲伸長プローブ、非標識大型標的配列、および 、標的結合配列と各ETMとの間に長いリンカーを有する2種の標識プローブの 使用 このテストは、rRNA検出を目的とした。上記したように、Y5伝導性オリ
ゴマー、M44絶縁体、および、2種の捕獲配列D417およびEU1と相補的
な1種の表面プローブD350を使用した。D350、Y5及びM44は、0.
5:4.5:1の比率で加えた。2種の捕獲伸長プローブ:D350捕獲プロー
ブと相補的な16塩基、および標的配列と相補的な21塩基を有するD417、
および、D350捕獲プローブと相補的な16塩基、および標的配列の他の部分
と相補的な23塩基を有するEU1、を使用した。 2種の標識プローブ:標的配列のある部分と完全に相補的な30塩基配列、図1
5に示す3グレン(GLEN)を含むリンカー(ポリエチレングリコールを含む
)、およびN6を用いて結合している6つのフェロセン、を含むD468、を加
える。D449は、その28塩基配列が標的配列の他の部分とハイブリダイズし
ていること以外は同一であリ、使用したポリエチレングリコールリンカー(C1
31)はそれより短い。
【0420】 捕獲プローブ、非標識標的、および、標識プローブの使用 実施例A :捕獲プローブD112、Y5伝導性オリゴマー、およびM44絶縁体
を、とともに、2:2:1の割合で、合計チオール濃度833μMで、電極上に
置く。D112と相補的な配列を含む標的配列MT1を加え、さらに標識プロー
ブD358と相補的な20塩基配列を合わせた:この場合、標識プローブD35
8は、電極へ導入する前に標的配列に加えた。この標識プローブは、図に示すよ
うに、N6連結を用いて結合している6つのフェロセンを含有する。MT1を、
捕獲プローブと相補的でないNC112で置き換えると、シグナルは発生しない
。同様に、MT1を除くとしぐなるを発生しない。
【0421】実施例B :捕獲プローブD334、Y5伝導性オリゴマー、およびM44絶縁体
を、とともに、2:2:1の割合で、合計チオール濃度833μMで、電極上に
置く。捕獲プローブと相補的な配列を含む標的配列LP280を加え、標識プロ
ーブD335と相補的な20塩基配列を合わせ合わせた:この場合、標識プロー
ブD335は、電極へ導入する前に標的に加えた。この標識プローブは、図に示
すように、N6連結を用いて結合している6つのフェロセンを含有する。LP2
80を、LN280プローブ(標識プローブとは相補的であるが、捕獲プローブ
とは相補的でない)で置き換えると、シグナルは発生しない。
【0422】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> Clinical Micro Sensors <120> Electronic Methods for the Detection of Analytes Utilizing Monolayers <130> FA66343-1/RFT/RMS <140> PCT/US99/10104 <141> 1999-05-06 <150> 60/084,509 <151> 1998-05-06 <160> 47 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 49 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 1 acctggtctt gacatccacg gaaggcgtgg aaatacgtat tcgtgccta 49 <210> 2 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 2 catggttaac gtcaattgct gcggttatta a 31 <210> 3 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 3 gctcgcccca tggttagact gaattgctgc ggttattaa 39 <210> 4 <211> 39 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 4 gctcgctatg ctcttgatgg tgctgtggaa atctactgg 39 <210> 5 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 5 gctcgcatgg tgctgtggaa atctactgg 29 <210> 6 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence
<220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 6 gctcgctgac tgaattgctg cggttattaa 30 <210> 7 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: synthetic <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 7 cttccgtgga tgtcaagacc aggau 25 <210> 8 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: synthetic <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 8 accatggaca cagau 15 <210> 9 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: synthetic <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 9 ctgcggttat taacu 15 <210> 10 <211> 86 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 10 taggcacgaa tacgtatttc cacgataaat ataattaata accgcagcaa ttgacgtata 60 aagctatccc agtagatttc cacagc 86 <210> 11 <211> 47 <212> DNA <213> Artificial Sequence 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Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 17 atcctggtct tgacatccac ggaagatgtc cctacagtct ccatcaggca gtttcccaga 60 ca 62 <210> 18 <211> 57 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 18 tctacatgcc gtacatacgg aacgtacgga gcatcctggt cttgacatcc acggaag 57 <210> 19 <211> 26 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 19 gctcgcccgt atgtacggca tgtaga 26 <210> 20 <211> 21 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Combined DNA/RNA Molecule: synthetic <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 20 gctactacca tggacacaga u 21 <210> 21 <211> 28 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 21 acagacatca gagtaatcgc cgtctggt 28 <210> 22 <211> 41 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic <400> 22 gattactctg atgtctgtcc 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Artificial Sequence
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A、1Bおよび1Cは、標的核酸配列を電極に結合させる3
つの好ましい実施態様を示す。図1Aは、結合リンカー106を介して連結する
捕獲プローブ100にハイブリダイズする標的配列120を示す。それは本明細
書で概略する通り、伝導性オリゴマーか絶縁体の何れかとなり得る。電極105
は、不動態化剤107の単層を含み、それは伝導性オリゴマー(本明細書中では
108として示す)および/または絶縁体(本明細書中では109として示す)、
および好ましくは両方を含み得る。図に示した全実施態様に関するかぎり、当業
者には明らかであるが、nは少なくとも1である整数であり、通常好ましくはな
いが、そのシステムは捕獲プローブとして全く使用できない(すなわち、nは0
である)。nの上限は、標的配列の長さおよび必要な感度に依存する。図1Bは
、標的配列120の第一部分にハイブリダイズする第一部分111および捕獲プ
ローブ100にハイブリダイズする第二部分を有する単一捕獲伸長プローブ11
0の使用を示す。図1Cは、2つの捕獲伸長プローブ110および130の使用
を示す。第一捕獲伸長プローブ110は、標的配列120の第一部分にハイブリ
ダイズする第一部分111および補足プローブ100の第一部分102にハイブ
リダイズする第二部分112を有する。第二捕獲伸長プローブ130は、標的配
列120の第二部分にハイブリダイズする第一部分132および捕獲プローブ1
00の第二部分101にハイブリダイズする第二部分131を有する。当業者に
明らかなように、これらのシステムは核酸標的を表わすが、これらの結合配置は
非核酸捕獲結合配位子ともに使用し得る:例えば図2C参照。
【図2】 図2A、2B、2Cおよび2Dは、本発明の幾つかの態様を描出
する。図2Aは付着リンカー106を介して電極105に付着した捕獲結合リガ
ンド200の使用を示すものである。標的被検体210は捕獲結合リガンド20
0、およびETM135を有する直接に結合したリクルートリンカー230保持
の溶液結合リガンド220に結合する。図2Bは、溶液結合リガンド220の第
二部分240に結合する間接的に付着したリクルートリンカー145を用いる同
様の態様を描出する。図2Cは、アンカープローブ100に結合する部分120
を含む捕獲結合リガンド200を結合するためのアンカーリガンド100(本明
細書においてはリガンドが核酸を含む場合のアンカープローブという)の使用を
描出するものである。当業者には明らかなように、図1の態様のいずれかがここ
では同様に使用し得る。図2Dは増幅プローブ145の使用を描出するものであ
る。当業者には明らかなように、図3の増幅プローブ形状のいずれかがここでは
同様に使用し得る。
【図3】 図3A、3B、3C、3D、3E、3F、3Gおよび3Hは、本
発明の幾つかの態様を示す。核酸を表わす場合、同様に非核酸態様で使用するこ
とができる。本明細書中で考察するように両者を種々異なる割合で用い得るし、
また絶縁体は完全に欠失していてもよいのであるが、本明細書中に示したすべて
の単層では、伝導性オリゴマー108と絶縁体107の両方が、おおよそ1:1
の割合で存在するように示している。加えて、当業者には明らかなように、これ
らのどの構造も、特定の標的配列を繰り返し得、すなわち、長い標的配列の場合
、形成された多アッセイ複合体が存在し得る。加えて、図15の任意の電極結合
態様は、任意のこれらシステムに使用され得る。 図3A、3Bおよび3Dは、ETM135を含む標的配列120を有し、本明
細書において考察するように、これらは、例えば、ETMで修飾したヌクレオチ
ドを用いるPCR反応の間に酵素学的添加され得、標的配列を通して実質的にラ
ンダムに組込まれるか、または標的配列の末端に加えられる。図16Cは、標的
配列120の種々の部分にハイブリダイズする2種の捕獲プローブ100および
100'の使用を示す。当業者には明らかなように、この実施態様で2つの捕獲
プローブの5'-3'方向は異なる。 図3Cは、標的配列120に直接ハイブリダイズするリクルートリンカー(本
明細書中において、核酸を使用する場合は標識プローブともいう)145の使用
を示す。図3Cは、標的配列120の部分にハイブリダイズする第一部分141
、ETM135を含む第二部分142を含む標識プローブ145の使用を示す。 図3E、3Fおよび3Gは、標的には直接ハイブリダイズしないが、むしろ、
直接的(図3E)または間接的(図3Fおよび3G)に標的配列にハイブリダイズす
る増幅プローブ150にハイブリダイズする標識プローブ145を用いるシステ
ムを示す。増幅プローブ150を用いる図3Eは、標的配列120にハイブリダ
イズする第一部分151および標識プローブの第一部分141にハイブリダイズ
する少なくとも1つの第二部分152、すなわち、増幅配列を有する。図3Fは
同様である。但し、標的配列120にハイブリダイズする第一部分161および
増幅プローブ150の第一部分151にハイブリダイズする第二部分162を含
む第一標識伸長プローブ160を用いる。増幅プローブ150の第二部分152
は、標識プローブ140の第一部分141にハイブリダイズし、それはETM1
35を含むリクルートリンカー142をも含む。図3Gは、第二標識伸長プロー
ブ170を加え、標的配列120の部分にハイブリダイズする第一部分171お
よび増幅プローブの部分にハイブリダイズする第二部分を有する。 図3Hは、多標識プローブを利用するシステムを示す。標識プローブ140の
第一部分141は、リクルートリンカー142のすべてまたは一部にハイブリダ
イズし得る。
【図4】 図4Aおよび4Bは、本発明の2つの競合型アッセイ法を示す。
図4Aでは標的被検体210と、直接付着したリクルートリンカー145を含む
標的被検類似体310との置換を利用する。当業者には明らかなように、図2B
に示したごとく、間接的に付着したリクルートリンカーも用い得る。図4Bは競
合アッセイ法を示すが、ここでは標的被検体210と表面に付着した標的被検類
似体310が、直接結合したリクルートリンカー145を有する溶液結合リガン
ド220の結合と競合する(再度、間接的に付着したリクルートリンカーも図2
Bに示すように用い得る)。この事例においては、シグナルの喪失が見られる。
【図5】 図5A、5B、5C、5Dおよび5Eは、本発明のさらなる態様
を描出する。図5Aは、標的の添加が結合リガンドの立体配座を変え、リクルー
トリンカー145が単層表面近くに位置するようになる場合の立体配座を示す。
図5Bは候補生物活性作用物質のスクリーニングにおいて本発明を使用すること
を示すが、ここでは薬物候補の標的への添加が溶液結合リガンドの解離を引起し
、シグナル喪失を招く。さらに、酵素について図5Cに一般的に描出するように
、溶液結合リガンドはもう1つの表面に付加し、結合させることが可能である。
図5Cは、リクルートリンカー145を含む基質260を切断し、シグナル喪失
を招く酵素の使用を描出する。切断された断片も追加の電極に付加され、シグナ
ルの増加を引起す。図5Dは、2つの異なる捕獲結合リガンド200の使用を示
す;これらは捕獲伸長リガンドにより電極に付着させることも可能である。図5
Eでは追加の溶液結合リガンド250の形状で追加の“サンドイッチ成分”を加
える。
【図6】 図6A〜6Rは、核酸検出システムを描出する。図6Aおよび6
BはETM6含有の標的配列5を有する;本明細書で検討するように、これらは
酵素的に、例えば、ETMで修飾したヌクレオチドを用いてPCR反応に際し加
えると、標的配列全体に本質的にランダムに取込まれるか、または標的配列の末
端に付加される。図6Aは捕獲プローブ10が電極20にリンカー15を介して
付着している様子を示すが、本明細書で説明しているように、これは伝導性オリ
ゴマー25または絶縁体30であってもよい。標的配列5はETM6を含む。図
6Bは、該標的配列の一部分にハイブリダイズする第一部分12と、捕獲プロー
ブ10にハイブリダイズする第二部分13を含む捕獲伸長プローブ11の使用を
描出するものである。 図6Cは、標的配列5の異なる部分にハイブリダイズする2つの異なる捕獲プ
ローブ10および10’の使用を描出する。当業者に明らかなように、本態様に
おいて2つの捕獲プローブの5’−3’配向は異なる。 図6D〜6Hは、標的配列5に直接ハイブリダイズする標識プローブ40の使
用を描出する。図6Dは、標的配列5の一部分にハイブリダイズする第一部分4
1、捕獲プローブ10にハイブリダイズする第二部分42、およびETM6を含
むリクルートリンカー50を含む標識プローブ40の使用を示す。同様の態様を
図6Eに示すが、そこでは標識プローブ40が追加のリクルートリンカー50を
有する。図6Fは標的配列5の一部分にハイブリダイズする第一部分41および
付着したETM6保持リクルートリンカー50を含む標識プローブ40を描出す
る。括弧内は特定標的配列5に対して1個を超える標識プローブが、nを少なく
とも1として用い得ることを強調する。図6Gは図6Eの標識プローブ構造の使
用を描出するが、標的配列の一部分にハイブリダイズする第一部分12と捕獲プ
ローブ10にハイブリダイズする第二部分13を有する単一の捕獲伸長プローブ
11の使用も包含する。図6Hは図6Fの標識プローブ構造の使用を描出するが
、2つの捕獲伸長プローブ11および16を利用する。第一捕獲伸長プローブ1
1は、標的配列5の一部分にハイブリダイズする第一部分12および捕獲プロー
ブ10の第一部分14にハイブリダイズする第二部分13を有する。第二捕獲伸
長プローブ16は、標的配列5の第二部分にハイブリダイズする第一部分18お
よび捕獲プローブ10の第二部分19にハイブリダイズする第二部分17を有す
る。 図6I、6Jおよび6Kは、標的に直接ハイブリダイズするのではなく、むし
ろ増幅プローブにハイブリダイズする標識プローブ40を利用するシステムを描
出する。このように、増幅プローブ60は標的配列5にハイブリダイズする第一
部分65および少なくとも1つの第二部分70、すなわち、標識プローブの第一
部分41にハイブリダイズする増幅配列を有する。 図6L、6Mおよび6Nは、第一標識伸長プローブ80を利用するシステムを
描出する。これらの態様において、標識伸長プローブ80は、標的配列5の一部
分にハイブリダイズする第一部分81および増幅プローブ60の第一部分65に
ハイブリダイズする第二部分82を有する。 図6Oは、2つの標識伸長プローブ80および90の使用を描出する。第一の
標識伸長プローブ80は、標的配列5の一部分にハイブリダイズする第一部分8
1および増幅プローブ60の第一部分62にハイブリダイズする第二部分82を
有する。第二の標識伸長プローブ90は、標的配列5の第二部分にハイブリダイ
ズする第一部分91および増幅プローブ60の第二部分61にハイブリダイズす
る第二部分92を有する。 図6Pは、標的配列5の末端にハイブリダイズする標識プローブ40を利用す
るシステムを描出する。 図6Qおよび6Rは、多標識プローブを利用するシステムを描出する。標識プ
ローブ40の第一部分41は、リクルートリンカー50のすべて(図6R)また
は一部(図6Q)にハイブリダイズする。
【図7】 図7は、プレ形状化SAMに一級アミンで機能化された核酸付加
のための活性化カルボン酸エステルの使用を描出する。
【図8】 図8は典型的なヘアピン構造を示す。500は標的結合配列であ
り、510はループ配列であり、520は自己相補性領域であり、530は検出
プローブに実質的に相補的であり、そして530は“付着末端”、すなわち、E
TMを含むプローブの他の部分にハイブリダイズしない部分である。
【図9】 図9はリボースに結合したフェロセンを含むアデノシンの合成を
描出する。
【図10】 図10はETMポリマーの付加を可能とするための“分岐”点
(この場合にはアデノシン)の合成を描出する。
【図11】 図11はETM、この事例ではフェロセンを、リン酸エステル
を介してヌクレオシドに好適に付着させる合成図を描出する。
【図12】 図12はエチレングリコール末端伝導性オリゴマーの合成を描
出する。
【図13】 図13は電極に付着させるためのヌクレオシドリボースに対す
る絶縁体合成を描出する。
【図14】 図14A、14B、14C、14D、14E、14F、14G
、14H、14I、14Jおよび14Kは、本発明の多くの異なる態様を描出す
る;その結果を実施例7に示す。
【図15】 図15A〜15Oは本発明の多くの異なる組成物を描出する;
その結果を実施例7および8に示す。図15AはIを描出するが、P290とも
いう。図15BはIIを描出するが、P291ともいう。図15CはIIIを描出す
るが、W31ともいう。図15DはIVを描出するが、N6ともいう。図15E
はVを描出するが、P292ともいう。図15FはVIを描出するが、C23と
もいう。図15GはVIIを描出するが、C15ともいう。図15HはVIIIを描
出するが、C95ともいう。図15IはY63を描出する。図15Jは本発明の
もう1つの化合物を描出する。図15KはN11を描出する。図15LはC13
1を描出するが、これはホスホラミダイト基およびDMT保護基を有する。図1
5MはW38を描出するが、これもホスホラミダイト基およびDMT保護基を有
する。図15Nは“枝分かれ”の存在を可能とする市販入手可能な部分を描出す
るが、それを成長するオリゴヌクレオチド鎖に取込むことで両方のDMT保護酸
素に付加することになる。図15Oはグレンを描出するが、これもホスホラミダ
イト基およびDMT保護基を有し、非核酸リンカーとして作用する。図15A〜
15Gおよび15Jは、容易に付加されるホスホラミダイト基および保護基(す
なわち、DMT)なしで示してある。
【図16】 図16A〜16Bは実施例7に概説した実験からの代表的な走
査図を描出する。特に断らない限り、走査は初期電圧−0.11V、最終電圧0.
5Vで実施、点は10mVごとに採り、振幅0.025、周波数10Hz、サン
プル期間1秒、静止期間2秒とした。図16Aは、ピーク電位0.160V、ピ
ーク電流1.092×10-8A、およびピークアンペア7.563×10-10VA
とした。
【図17】 図17はリボース結合ETM、W38についての合成図式を描
出する。
【図18】 図18Aおよび18Bは、伝導性オリゴマーを5’位置または
他の位置に付加するのに用い得る伝導性オリゴマーの2つのリン酸エステル付着
を描出する。
【図19】 図19は“分岐”点ヌクレオシドを用いて複数のETMを核酸
に同時に取込ませる合成図を描出する。
【図20】 図20は、技術上知られているように、“分岐”点ホスホラミ
ダイトを用い、大量のETMを核酸に同時に付加させる代替法の図を描出する。
当業者に明らかなように、各終末点は相当数のETMを含み得る。
【図21】 図21A、21B、21C、21Dおよび21Eは、標識プロ
ーブの異なる可能な形状とETMの付着を描出する。図21A〜Cにおいて、リ
クルートリンカーは核酸である;図21DおよびEにおいては、核酸ではない。
A=ヌクレオシド置換;B=塩基への付着;C=リボースへの付着;D=リン酸
エステルへの付着;E=塩基、リボースまたはリン酸エステル(または他のバッ
クボーン類似体)に付着したメタロセンポリマー(本明細書に記載どおりである
が、これは同様に他のETMのポリマーであってもよい);F=塩基、リボース
またはリン酸エステルを介して付着した樹枝状構造(または他のバックボーン類
似体);G=“分岐”構造を介して、塩基、リボースまたはリン酸エステルを経
ての付着(または他のバックボーン類似体);H=メタロセン(または他のET
M)ポリマーの付着;I=樹枝状構造を介しての付着;J=標準リンカーを用い
ての付着。
【図22】 図22Aおよび22Bは実施例に用いた配列の一部を描出する
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年12月10日(1999.12.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 (式中、 Yは芳香族基である; nは1ないし50の整数である; gは1または0である; eはゼロないし10の整数である;そして mはゼロまたは1である; ただし、gが1である場合、B−Dは共役結合であり;そして gがゼロである場合、eは1であり、Dは、好ましくはカルボニルまたはヘテ
ロ原子部分であり; ヘテロ原子は酸素、イオウ、窒素、珪素またはリンから選択される) を有するものである、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の方法
【化2】 (式中、 Yは芳香族基であり; nは1ないし50の整数であり; gは1または0であり; eはゼロないし10の整数であり;そして mはゼロまたは1である; ただし、gが1である場合、B−Dは共役結合であり;そして gがゼロである場合、eは1であり、Dは、好ましくはカルボニルまたはヘテ
ロ原子部分であり; ヘテロ原子は酸素、イオウ、窒素、珪素またはリンから選択される) を有するものである、請求項11または12に記載の組成物。
【化3】 (式中、 Yは芳香族基であり; nは1ないし50の整数であり; gは1または0であり; eはゼロないし10の整数であり;そして mはゼロまたは1である; ただし、gが1である場合、B−Dは共役結合であり;そして gがゼロである場合、eは1であり、Dは、好ましくはカルボニルまたはヘテ
ロ原子部分であり; ヘテロ原子は酸素、イオウ、窒素、珪素またはリンから選択される)および ii)
【化4】 (式中、 nは1ないし50の整数であり; mはゼロまたは1であり; Cは炭素であり; Jはカルボニルまたはヘテロ原子部分であり、その場合のヘテロ原子は酸素、
窒素、珪素、リン、およびイオウを含む群より選択される;そして Gはアルカン、アルケンまたはアセチレンから選択される結合であり、その場
合、m=0のとき、少なくとも1つのGがアルカンではない)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 09/135,183 (32)優先日 平成10年8月17日(1998.8.17) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ユ・チャンジュン アメリカ合衆国91107カリフォルニア州パ サディナ、サウス・バークリー・アベニュ ー118番 Fターム(参考) 4B063 QA01 QQ42 QQ61 QQ67 QQ79 QQ94 QQ98 QR31 QR32 QR56 QR63 QS34 QX02

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)伝導性オリゴマーと絶縁体との混合物を含む単層;および b)共有結合により付着した捕獲結合リガンド; を含む、電極を含む組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、 a)標的被検体に結合する第一部分を含む溶液結合リガンド;および b)少なくとも1つのETMを含む第一部分を含むリクルートリンカー; を含むものである、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 当該溶液結合リガンドが当該リクルートリンカーを含む第二
    部分を含むものである、請求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 当該溶液結合リガンドが当該リクルートリンカーの第一部分
    に直接または間接に結合する第二部分を含むものである、請求項2に記載の組成
    物。
  5. 【請求項5】 当該溶液結合リガンドの当該第二部分が当該リクルートリン
    カーの当該第一部分に直接に結合するものである、請求項4に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 さらに、 a)少なくとも1つのETMを含む第一部分を含むリクルートリンカーを含む
    標的被検類似体、 を含むものである、請求項1に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 さらに、 a)少なくとも1つのETMを含む第一部分を含むリクルートリンカー;およ
    び b)当該リクルートリンカーの第二部分に直接または間接に結合する第一部分
    を含む標的被検類似体; を含むものである、請求項1に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 当該ETMがフェロセンである、請求項2、6または7に記
    載の組成物。
  9. 【請求項9】 当該リクルートリンカーが複数のETMを含むものである、
    請求項2、6または7に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 当該捕獲結合リガンドが核酸である、請求項1に記載の組
    成物。
  11. 【請求項11】 当該捕獲結合リガンドがタンパク質である、請求項1に記
    載の組成物。
  12. 【請求項12】 当該捕獲結合リガンドが炭水化物である、請求項1に記載
    の組成物。
  13. 【請求項13】 当該リクルートリンカーが核酸である、請求項2、6また
    は7に記載の組成物。
  14. 【請求項14】 サンプル中の標的被検体を検出する方法であって、 a)標的被検体を、 i)伝導性オリゴマーと絶縁体の混合物を含む単層;および ii)共有結合により付着した捕獲結合リガンド; を含む電極に結合させること; b)当該標的被検体に溶液結合リガンドを結合させること、但し、当該溶液結
    合リガンドが標的被検体に結合する第一部分と、少なくとも1つのETMを含む
    第一部分を含む直接または間接に付着したリクルートリンカーを含むものである
    ;そして c)当該ETMの存在を標的被検体存在の表示として当該電極を用いて検出す
    ること; を含んでなる方法。
  15. 【請求項15】 サンプル中の標的被検体を検出する方法であって、 a)当該サンプル中の当該標的被検体を、少なくとも1つのETMを含む第一
    部分を含む直接または間接に付着したリクルートリンカーを含む標的被検類似体
    と置換えること; b)当該標的被検類似体を i)伝導性オリゴマーと絶縁体の混合物を含む単層;および ii)共有結合により付着した捕獲結合リガンド; を含む電極に結合させること; c)当該ETMの存在を標的被検体存在の表示として当該電極を用いて検出す
    ること; を含んでなる方法。
  16. 【請求項16】 当該リクルートリンカーが複数のETMを含むものである
    、請求項14または15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 当該ETMがフェロセンである、請求項14または15に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 当該捕獲結合リガンドが核酸である、請求項14または1
    5に記載の方法。
  19. 【請求項19】 当該捕獲結合リガンドがタンパク質である、請求項14ま
    たは15に記載の方法。
  20. 【請求項20】 当該捕獲結合リガンドが炭水化物である、請求項14また
    は15に記載の方法。
  21. 【請求項21】 当該リクルートリンカーが核酸である、請求項14または
    15に記載の方法。
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