JP2002504308A - 胎児肝−脾臓のcDNAライブラリーから得られた新規EGFモチーフタンパク質 - Google Patents

胎児肝−脾臓のcDNAライブラリーから得られた新規EGFモチーフタンパク質

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JP2002504308A
JP2002504308A JP2000522238A JP2000522238A JP2002504308A JP 2002504308 A JP2002504308 A JP 2002504308A JP 2000522238 A JP2000522238 A JP 2000522238A JP 2000522238 A JP2000522238 A JP 2000522238A JP 2002504308 A JP2002504308 A JP 2002504308A
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polypeptide
amino acid
polynucleotide
sequence
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JP2000522238A
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ラドジェ ティー. ドルマナック,
ラドミール クルベンヤコブ,
マーク ディクソン,
スネザナ ドルマナック,
アイヴァン ラバット,
デナ レシュコウィッツ,
デーヴィッド キタ,
ジョン フォード,
Original Assignee
ハイセック インコーポレイテッド
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Publication date
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規ポリヌクレオチド及びかかるポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質、そしてこれらポリヌクレオチド及びタンパク質に対する治療、診断及び研究用途を提供する。詳細には、本発明のポリペプチドは、EGFリピートドメインとの類似性を有するアミノ酸配列を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ポリヌクレオチド、及び当該ポリヌクレオチドによってコード
されるタンパク質を提供するものであり、さらにこれらポリヌクレオチド及びタ
ンパク質に対する治療、診断及び研究用途に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
タンパク質因子(例えば、リンホカイン、インターフェロン、CSF、及びイ
ンターロイキンなどのサイトカインを含む)の発見で目標とされた技術は、ここ
十年に及び急速に成熟してきている。現在常用されているハイブリダイゼーショ
ンクローニング及び発現クローニング技術によって、新規ポリヌクレオチドが、
発見されたタンパク質に直接関連する情報(すなわち、ハイブリダイゼーション
クローニングの場合にはタンパク質の部分的なDNA/アミノ酸配列;発現クロ
ーニングの場合はタンパク質の活性)に負うというという意味で「直接的に」ク
ローニングされる。さらに近年行われるようになったシグナル配列クローニング
などの技術(今やよく認識されている分泌リーダー配列モチーフの存在に基づい
てDNAを単離する技術)などの「間接的」クローニング技術は、様々なPCR
を用いたクローニング技術や低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションクロ
ーニング技術と共に、リーダー配列クローニングの場合はその分泌特性に依って
、あるいはPCRを用いた技術の場合には細胞または組織の供給源に依って、生
物学的活性を有することが知られているタンパク質に対する数多くのDNA/ア
ミノ酸配列を入手可能とするにより当該技術状態を進展させてきている。本発明
は、これらタンパク質、及びそれらタンパク質をコードするポリヌクレオチドに
関するものである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明の組成物には、新規の単離されたポリペプチド、詳細には新規のEGF
リピート含有ポリペプチド、当該ポリペプチドをコードする単離されたポリヌク
レオチド(組換えDNA分子、クローニングされた遺伝子またはその縮重変異体
、特に対立(突然)変異体などの天然に存在する変異体を含む)、そして当該ポ
リペプチドに存在する1以上のエピトープを特異的に認識する抗体が包含される
【0004】 本発明の組成物は加うるに、本発明のポリヌクレオチドを含有する発現ベクタ
ーを含めたベクター、当該ポリヌクレオチドを含有するように遺伝的に設計され
た細胞、及び当該ポリヌクレオチドを発現するように遺伝的に設計された細胞を
包含するものである。
【0005】 本発明の単離されたポリヌクレオチドは、配列番号:3または6のアミノ酸配
列を含んでなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:4のア
ミノ酸残基第1〜502位(配列で最初のアミノ酸残基を第1位とする)を含む
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ酸残基第1
〜21位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のア
ミノ酸残基第80〜93位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
配列番号:6のアミノ酸残基第95〜128位を含むポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ酸残基第133〜168位を含むポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ酸残基第175
〜214位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6の
アミノ酸残基第220〜259位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオ
チド;配列番号:6のアミノ酸残基第446〜465位を含むポリペプチドをコ
ードするポリヌクレオチド;または配列番号:6のアミノ酸残基第363〜36
5位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むが、これらに限定
されることはない。
【0006】 本発明の単離されたポリヌクレオチドはさらに、配列番号:1、2もしくは5
のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列
のヌクレオチド第205〜267位(配列で最初の核酸残基を第1位とする)を
含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第44
2〜483位を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌク
レオチド第487〜588位を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオ
チド配列のヌクレオチド第601〜708位を含むポリヌクレオチド;配列番号
:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第727〜846位を含むポリヌクレオ
チド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第862〜981位を含
むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第154
0〜1599位を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌ
クレオチド第1729〜1731位を含むポリヌクレオチド;または配列番号:
5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第1291〜1299位を含むポリヌクレ
オチドを含むが、これらに限定されることはない。
【0007】 本発明のポリヌクレオチドはさらにまた、アメリカン・タイプ・カルチャー・
コレクション(ATCC、10801 University Blvd., Manassas, Virginia, 2011
0-2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートのヌクレ オチド配列を含むポリヌクレオチド;ATCC(10801 University Blvd., Mana
ssas, Virginia, 20110-2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY2のcDN Aインサートのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY1 のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコ
ードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY2のcD NAインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;配列番号:6の全長のタンパク質
コード配列を含むポリヌクレオチドであって、クローンpEGFR-HY2のcDNAイ ンサート、配列番号:5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のc DNAインサートを含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY2のcDNAイン サート、配列番号:5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のcD NAインサートを含む、配列番号:6の成熟タンパク質コード配列のヌクレオチ
ド配列を含むポリヌクレオチドを包含するが、これらに限定されることはない。
本発明のポリヌクレオチドにはまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーショ
ン条件下に配列番号:1、2または5のヌクレオチド配列の相補体とハイブリダ
イズするポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチドのいずれかの対立変異体であ
るポリヌクレオチド;前記タンパク質のいずれかの相同体種をコードするポリヌ
クレオチド;または配列番号:3もしくは配列番号:6のポリペプチドまたは配
列番号:4のアミノ酸第1〜502位の、特異的ドメインまたは欠切体を含むポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されるも
のではない。
【0008】 本発明のポリヌクレオチドは加うるに、如上のポリヌクレオチドのいずれかの
相補体を包含する。
【0009】 本発明の単離されたポリペプチドには、配列番号:3もしくは配列番号:6の
アミノ酸配列を含むポリペプチド;配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位
を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残基第1〜21位を含むポリペプ
チド;配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位を含むポリペプチド;配列番
号:6のアミノ酸残基第95〜128位を含むポリペプチド;配列番号:6のア
ミノ酸残基第133〜168位を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残
基第175〜214位を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残基第22
0〜259位を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残基第446〜46
5位を含むポリペプチド;または配列番号:6のアミノ酸残基第363〜365
位を含むポリペプチドが包含されるが、これらに限定されることはない。
【0010】 本発明のポリペプチドにはさらに、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレク
ション(ATCC、10801 University Blvd., Manassas, Virginia, 20110-2209
、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードさ れるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ATCC(10801 University Blvd., Ma
nassas, Virginia, 20110-2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY2のcD NAインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;クローン
pEGFR-HY2のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、配列番号: 5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートを含 む配列番号:6の全長のタンパク質;またはクローンpEGFR-HY2のcDNAイン サートによりコードされるアミノ酸配列、配列番号:5の核酸第323〜357
位及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートを含む配列番号:6の成熟タン パク質コーディング配列が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0011】 本発明のタンパク質組成物はさらに、親水性の、例えば薬剤的に容認されうる
担体などの、容認されうる担体を含むとよい。
【0012】 本発明はさらに、ポリペプチドを製造するための方法に関し、この方法は、好
適な培養用培地にて本発明の細胞培養物を生育させる工程と、当該培養物からタ
ンパク質を精製する工程を含むものである。好ましい実施態様には、かかる方法
によって製造されるタンパク質が、タンパク質の成熟型であるものが包含される
【0013】 本発明のポリヌクレオチドは、分子生物学分野の当業者に知られている様々な
技術にて、多岐にわたり応用することができる。これらの技術には、ハイブリダ
イゼーションプローブとしての使用、PCR用のオリゴマーとしての使用、クロ
モソーム及び遺伝子マッピングに対する使用、そしてアンチセンスDNAまたは
RNA、それらの化学的類似体の作製における使用などが包含される。例えば、
mRNAの発現が特定の細胞または組織タイプに大いに限定される場合、本発明
のポリヌクレオチドを例えばin situハイブリダイゼーションなどで使用する、 試料中の特定の細胞または組織のmRNAの存在を検出するためのハイブリダイ
ゼーションプローブとして使用することができる。
【0014】 他の実施態様の例で、ポリヌクレオチドは発現遺伝子を同定するための発現配
列タグとして、あるいは、当該技術分野でよく知られておりVollrathら、Scienc e 、258巻、52〜59頁(1992)で例証されているように、ヒトゲノムの物理的マッピ
ングのための発現配列タグとして、診断において使用される。
【0015】 本発明のポリペプチドは、現在のところ他のタンパク質に適用されている様々
な旧来の手法及び方法にて使用することができる。例えば、本発明のポリペプチ
ドは、当該ポリペプチドに特異的に結合する抗体を作製するために使用すること
ができる。ATPase活性を有する本発明のポリペプチドは、血小板凝集を阻害 するためにも有用であり、従って炎症性応答によって惹起される病理学的状態の
予防または処置に用いることができる。本発明のポリペプチドは、分子量マーカ
ーとして、また食品補助剤としても使用することができる。
【0016】 本発明のタンパク質と薬剤的に容認されうる担体を含有する組成物を、被験者
に治療上有効な量投与する工程を含む、医療状態を防止、処置または緩和するた
めの方法も提供される。
【0017】 さらに詳細には、本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドは、例えば皮膚
の再生などといった場合における、上皮組織の刺激のための方法の一部にて利用
することができる。本発明のポリペプチド及びポリヌクレオチドは従って、例え
ば、組織修復及び再生、角膜移植治癒、火傷処置、移植用皮膚製造及び適用、な
らびに、例えば外科的切開、及び胃潰瘍や糖尿病性潰瘍などの潰瘍の処置等の創
傷治癒のための方法の一部をなすものとして利用してもよい。加えて、本発明の
ポリヌクレオチド及びポリペプチドはさらに、例えば、白血病などの、細胞運命
及び細胞分化に関わる障害の予防及び/または処置のための方法、さらには神経
障害の処置のための方法の一部をなすものとして利用することができる。
【0018】 本発明の方法はさらに、試料中の本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチ
ドの存在を検出するための方法に関する。かかる方法は例えば、前記した障害の
予知的及び診断的評価の一部をなすものとして、またかかる病態の素因を呈する
被験者を同定するために利用することができる。さらに、本発明は前記した障害
の処置のための臨床試験に関わる、薬剤の有効性を評価するため、及び患者の病
状の進行をモニターするための方法を提供する。
【0019】 本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドの発現を
モジュレートする化合物を同定するための方法も提供する。かかる方法は、例え
ば、前記したような障害の症状を緩和することができる化合物を同定するために
利用することができる。かかる方法には、本発明のポリペプチドと相互作用する
(例えば結合する)化合物及びその他の物質を同定するためのアッセイが包含さ
れるが、これに限定されることはない。
【0020】 本発明の方法には、前記したような障害を処置するための方法も包含され、こ
れは、前記障害に関連する症状または体質を呈する個体に、上記化合物を投与す
る工程を含んでもよい。加えて、本発明は標的遺伝子産物の全般的な活性をモジ
ュレートする化合物及びその他の物質を投与することによって、前記疾患または
障害を処置するための方法に関するものでもある。化合物及びその他の物質は、
標的遺伝子の発現レベルか、または標的タンパク質の活性のいずれかに対して、
かようなモジュレーションをもたらすことができるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
[定義] 「ヌクレオチド配列」なる語は、ヌクレオチドのヘテロポリマーまたはこれら
ヌクレオチドの配列を称する。「核酸」及び「ポリヌクレオチド」なる語は、ヌ
クレオチドのヘテロポリマーを称し、本明細書にて互換可能に使用することとす
る。一般に、本発明によって提供される核酸セグメントは、微生物もしくはウイ
ルスオペロン、または真核生物遺伝子に由来する調節エレメントを含む組換え転
写ユニットにて発現され得るものである合成核酸を提供すべく、ゲノムと短いオ
リゴヌクレオチドリンカーの断片から、または一連のオリゴヌクレオチドから、
または個々のヌクレオチドから組立られたものでもよい。
【0022】 「オリゴヌクレオチド断片」または「ポリヌクレオチド断片」、「一部分」、
または「セグメント」なる語は、mRNAまたはDNA分子の同じかまたは関連
する一部分を、同定または増幅する、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または様
々なハイブリダイゼーション法で使用するのに充分な長さを有する、ポリペプチ
ドヌクレオチド残基のストレッチを称する。
【0023】 「オリゴヌクレオチド」または「核酸プローブ」は、本発明で提供されるポリ
ヌクレオチド配列に基づいて調製される。オリゴヌクレオチドは、少なくとも約
15ヌクレオチド、そして通常少なくとも約20ヌクレオチドを有するような、
ポリヌクレオチド配列の一部を含むものである。核酸プローブは、約6kbより
も少ないヌクレオチド、通常約1kbよりも少ないヌクレオチドを有するような
ポリヌクレオチドの一部分を含む。偽陽性を排除すべく適切に試験を行った後、
これらのプローブは、例えば、細胞または組織に特異的mRNA分子が存在する
か否かを調べるために、またはWalshら(Walsh, P. S.ら、1992、PCR Methods A
ppl 1巻、241〜250頁)に記載されるとおりにクロモソームDNAから類似の核 酸配列を単離するために使用してもよい。
【0024】 「プローブ」には、天然に存在するか、または組換え合成もしくは化学合成さ
れた、一本鎖または二本鎖核酸が包含される。プローブは、ニックトランスレー
ション、クレノウ・フィルイン反応、PCRまたは当該技術分野でよく知られて
いる他の方法によってラベルするとよい。本発明のプローブ、その調製及び/ま
たはラベリングは、Sambrook, J.ら、1989、Molecular Cloning: A Laboratory
Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY; またはAusubel, F. M.ら、1989 、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨー クNY(双方とも引用することによってその開示内容全体を本明細書に組入れるこ
ととする)に詳説されている。
【0025】 「ストリンジェント」なる語は、当該技術分野にてストリンジェントとして一
般に理解される条件を称する。ストリンジェントな条件には、高いストリンジェ
ンシーの条件(すなわち、0.5 M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(S
DS)、 1 mM EDTAで65℃にてフィルターに結合したDNAにハイブリダ
イゼーションさせ、そして68℃にて0.1 x SSC/0.1%SDSで洗浄する)、及
び中程度のストリンジェンシーの条件(すなわち、42℃にて0.2 x SSC/0.1%
SDSで洗浄する)が包含され得る。
【0026】 デオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションに関する場合には、さ
らなる例となるハイブリダイゼーション条件に、37℃(14塩基のオリゴに対
して)、48℃(17塩基のオリゴに対して)、55℃(20塩基のオリゴに対
して)、及び60℃(23塩基のオリゴに対して)にて、6 x SSC/0.05%ピロ ホスフェートナトリウムでの洗浄が包含される。
【0027】 「組換え」の語は、本明細書においてポリペプチドまたはタンパク質を言及す
るのに用いる場合、ポリペプチドまたはタンパク質が組換え(例えば微生物また
は哺乳動物)発現系に由来することを意味する。「微生物」では、細菌または真
菌(例えば酵母)発現系で製造される組換えポリペプチドまたはタンパク質を言
及するものとする。産物として、「組換え微生物」は元来の内在性物質が実質的
に含まれず、そして元来付随しているグリコシル化を伴う、ポリペプチドまたは
タンパク質で定義される。ほとんどの細菌培養物(例えば大腸菌)培養物中で発
現されるポリペプチドまたはタンパク質には、グリコシル化の修飾はないはずで
あり、また酵母で発現されるポリペプチドまたはタンパク質は、哺乳動物細胞で
発現されるものと概して相違するグリコシル化を有しているはずである。
【0028】 「組換え発現媒体またはベクター」なる語は、DNA(RNA)配列からポリ
ペプチドを発現するための、プラスミドまたはファージまたはウイルスまたはベ
クターを称することとする。発現媒体は、(1)例えば、プロモーター、エンハ
ンサー等、遺伝子発現において調節的な役割を有している遺伝的エレメント(1
または複数)、(2)mRNAに転写されてタンパク質に翻訳される構造配列ま
たはコーディング配列、ならびに(3)適切な転写開始及び終結配列、を組合わ
せたものを含む転写ユニットを含んでいることができる。酵母または真核細胞発
現系での使用が意図される構造ユニットには、好ましくは宿主細胞によって翻訳
されるタンパク質の細胞外分泌を可能ならしめるリーダー配列が含まれる。ある
いは、リーダーまたは輸送配列なしに組換えタンパク質が発現される場合には、
N−末端メチオニン残基を含んでいてもよい。この残基はその後引き続いて、発
現された組換えタンパク質から切除されてもされなくてもよく、しかして最終産
物が得られる。
【0029】 「組換え発現系」なる語は、染色体DNAに組換え転写ユニットが安定に組込
まれている宿主細胞、または染色体外に組換え転写ユニットを担持する宿主細胞
を意味する。本明細書にて定義される組換え発現系は、発現されるべきDNAセ
グメントまたは合成遺伝子に連結された調節エレメントの誘導に際して、異種性
ポリペプチドまたはタンパク質を発現するはずである。この用語はまた、例えば
プロモーターまたはエンハンサー等の、遺伝子発現において調節的な役割を有し
ている組換え遺伝子エレメント(1または複数)を安定に組込んだ宿主細胞も含
意する。本明細書にて定義される組換え発現系は、発現されるべき内在性DNA
セグメントまたは遺伝子に連結された調節エレメントの誘導に際して、細胞にと
って内在性のポリペプチドまたはタンパク質を発現するはずである。細胞は、原
核細胞でも真核細胞でもよい。
【0030】 「読み取り枠(オープンリーディングフレーム)」のORFなる語は、終止コ
ドンをまったく含まず、アミノ酸をコードする一連のヌクレオチドトリプレット
を意味し、そしてタンパク質に転写可能なはいれつのことである。
【0031】 「発現モジュレーティング断片」のEMFなる語は、作動可能に連結されたO
RFまたは他のEMFの発現をモジュレートする、一連のヌクレオチドを意味す
る。
【0032】 本明細書にて使用する場合、EMFの存在によって配列の発現が変化する場合
に、配列が「作動可能に連結された配列の発現をモジュレートする」と称される
。EMFには、プロモーター、及びプロモーターをモジュレートする配列(誘導
可能エレメント)が包含されるが、これらに限定されることはない。EMFの1
つのクラスは、発現を誘導する断片、または特異的な調節因子または生理的事象
に応答して作動可能に連結されたORFを誘導する断片である。
【0033】 本明細書で使用する場合、「取り込みモジュレーティング断片」のUMFなる
語は、連結されたDNA断片の細胞への取り込みを媒介する一連のヌクレオチド
を意味する。UMFは、コンピューターに基づく下記システムで、標的配列また
は標的モチーフとして知られているUMFを使用して容易に同定することができ
る。
【0034】 UMFの活性の存在は、候補となるUMFをマーカー配列に付けることによっ
て確認することができる。この結果得られる核酸分子は次いで、適切な条件下に
適切な宿主と共にインキュベートされ、そしてマーカー配列の取り込みが調べら
れる。前記したとおり、UMFは連結されたマーカー配列の取り込みの頻度を増
加させるはずである。
【0035】 「活性体」なる語は、天然に存在する種々のポリペプチドの生物学的及び/ま
たは免疫学的活性を保持するポリペプチドのフォームを称するものとする。
【0036】 「天然に存在するポリペプチド」なる語は、遺伝的に操作されていない細胞に
よって製造されるポリペプチドを称し、特に、アセチレーション、カルボキレー
ション、グリコシレーション、ホスホリレーション、リピデーション及びアシレ
ーションを含め(これらに限定されることはない)、ポリペプチドの転写後修飾
が生じている様々なポリペプチドを含意する。
【0037】 「誘導体」なる語は、通常にはヒトタンパク質に生じないような、ユビキチン
結合、ラベリング(例えば、放射性核種または様々な酵素を用いたラベリング)
、ペギレーション(ポリエチレングリコールでの誘導体化)、及びオルニチン等
、アミノ酸の化学合成による挿入または置換などの技術により化学的に修飾され
たポリペプチドを称する。
【0038】 「組換え変異体」なる語は、組換えDNA技術を使用して作出された、アミノ
酸挿入、欠失、及び置換により天然に存在するポリペプチドとは相違する種々の
ポリペプチドを称するものとする。細胞輸送など目的となる活性を損なうことな
く、いずれのアミノ酸残基を置換、付加または欠失すればよいかを決定する上で
の方針は、特定のポリペプチドの配列を相同性ペプチドの配列と比較し、そして
相同性が高い領域になされるアミノ酸配列の変化の数を最小化することによって
見出され得るものである。
【0039】 好ましくは、アミノ酸「置換」は、1つのアミノ酸を類似の構造的及び/また
は化学的特性を有する別のアミノ酸に置換えた結果、すなわち、保存的アミノ酸
置換であるとよい。アミノ酸置換は、関係する残基の極性、電荷、可溶性、疎水
性、親水性、及び/または両親媒性に基づいてなされるとよい。例えば、非極性
(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリ
ン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンが包含され、極性中性
アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパ
ラギン、及びグルタミンが包含され、正荷電(塩基性)アミノ酸には、アルギニ
ン、リジン、及びヒスチジンが包含され、そして負荷電(酸性)アミノ酸には、
アスパラギン酸及びグルタミン酸が包含される。「挿入」または「欠失」は、典
型的には約1〜5アミノ酸の範囲とする。組換えDNA技術を使用し、そして得
られる組換え変異体の活性をアッセイして、ポリペプチド分子にアミノ酸の挿入
、欠失、または置換を系統的に行うことにより、許容される変更を実験的に決定
してもよい。
【0040】 あるいは、機能の改変が所望される場合には、挿入、欠失、または保存的でな
い変更を施して、改変型ポリペプチドを製造することができる。かかる改変によ
って、例えば、本発明のポリペプチドの生物学的機能または生化学的特性の1以
上を変更することができる。例えば、かような改変は、リガンドとの結合親和性
、鎖間親和性、または分解/回転(ターンオーバー)速度などのポリペプチドの
特性を変化させ得る。さらに、かかる改変は、発現のために選択された宿主細胞
における、発現、スケールアップ等により適したポリペプチドを作製するように
選択することができる。例えば、ジスルフィド架橋を除くために、システイン残
基を欠失させるか、または別のアミノ酸に置換することができる。
【0041】 本明細書にて使用される場合、「実質的に同等」なる語は、ヌクレオチド配列
とアミノ酸配列の双方について、例えば変異体配列など、参照配列と対象配列と
の間で、その総合的な効果が悪影響をもたらすような機能的不同性を惹起しない
、1以上の置換、欠失、または付加により参照配列とは異なる配列を言及できる
ものとする。典型的には、このような実質的に同等な配列は、本明細書に開示し
た配列の1つとの相違が、20%を超えないものである(すなわち、実質的に同
等な配列における個々の残基の置換、付加、及び/または欠失の数を、対応する
参照配列と比較した(実質的に同等な配列中の総残基数で割った)数が、約0.
2以下である)。このような配列は、元の配列と80%の配列一致性を有すると
称される。一つの実施態様において、本発明の実質的に同等の(例えば変異体)
配列は、開示した配列との相違が10%を超えず(90%の配列一致性)、さら
なる実施態様では5%を超えず(95%の配列一致性)、そしてさらなる実施態
様においては、2%を超えない(98%の配列一致性)。本発明の実質的に同等
な(例えば、変異体の)アミノ酸配列は概して、開示したアミノ酸配列と少なく
とも約95%の配列一致性を有し、一方、本発明の実質的に同等なヌクレオチド
配列は、例えば遺伝コードの重複すなわち縮重を考慮して、さらに低いパーセン
テージの配列一致性を有することができる。本発明の目的のため、実質的に同等
な生物学的活性及び実質的に同等な発現特性を有する配列は、実質的に同等と考
えられる。同等性を調べるために、成熟配列のトランケーション(例えば偽の終
止コドンを作出する変異によるものなど)は無視されるべきである。
【0042】 このような実質的に同等な配列をコードする核酸配列(例えば上記の一致性パ
ーセンテージを有する配列)は、当業者によく知られている標準的なハイブリダ
イゼーション法によって、所定のとおりに単離及び同定することができる。
【0043】 所望の場合、ポリペプチドが細胞膜を透過するように導く「シグナルまたはリ
ーダー配列」を含むように、発現ベクターを設計してもよい。このような配列は
、本発明のポリペプチドに自然に存在していても、または組換えDNA技術によ
り異種タンパク質供給源から供給されても構わない。
【0044】 ポリペプチド「断片」、「部分」、または「セグメント」は、少なくとも約5
アミノ酸、場合によっては少なくとも約7アミノ酸、好ましくは少なくとも約9
〜13アミノ酸、そして実施態様によっては少なくとも約17以上のアミノ酸の
アミノ酸残基のストレッチである。活性であるためには、いずれのポリペプチド
も生物学的及び/または免疫学的活性を呈するのに充分な鎖長を有していなけれ
ばならない。
【0045】 あるいは、同じかまたは類似するこれらポリペプチドをコードする組換え変異
体は、遺伝コードの「縮重」を利用することによって合成または選択され得る。
様々なコドンの置換(様々な制限部位を作り出す沈黙(サイレント)変化など)
を、特定の原核細胞系または真核細胞系でのプラスミドもしくはウイルスベクタ
ーへのクローニングや発現を至適化するように導入してもよい。ポリヌクレオチ
ド配列での変異は、そのポリペプチド、またはそのポリペプチドのいずれかの部
分の特性を修飾してリガンドへの結合親和性、鎖間の親和性、または分解/回転
速度などの特性を変化させるように、ポリペプチドに付加される他のポリペプチ
ドのドメインを反映するものである。
【0046】 本願で使用される「活性化された」細胞は、正常または疾患プロセスの一部を
担う神経分泌分子または酵素分子の移送を含めた、細胞外または細胞内膜輸送に
関与するものである。
【0047】 本明細書中で使用する「精製された」なる語は、核酸またはポリヌクレオチド
に、他の生物学的高分子(例えばポリヌクレオチド、タンパク質等)が実質的に
存在しないことを表す。一つの実施態様において、ポリヌクレオチドまたはポリ
ペプチドは、本発明の生物学的高分子で少なくとも95重量部、より好ましくは
少なくとも99.8重量%を構成するように精製される(但し、水、緩衝液、及
び他の小分子、特に1000ダルトン未満の分子量を有する分子は共存していて
よい)。
【0048】 本明細書にて使用される「単離された」なる語は、天然の供給源においてその
核酸またはポリペプチドと共に存在している少なくとも1つの他成分(例えば核
酸またはポリペプチド)から分離させた、核酸またはポリペプチドである。一つ
の実施態様において、核酸またはポリペプチドは、何かあるとしても、溶媒、緩
衝剤、イオン、またはその溶液に通常存在する他の成分のみの存在下にある。「
単離された」及び「精製された」なる語は、それらの天然の供給源中に存在する
核酸またはポリペプチドを包含するのではない。
【0049】 「感染」なる語は、ウイルスまたはウイルスベクターを使用することにより好
適な宿主細胞に核酸を導入することを称する。
【0050】 「形質転換」なる語は、染色体外エレメントとしてか、または染色体への組込
みによって、DNAが複製可能となるように、好適な宿主細胞にDNAを導入す
ることを意味する。
【0051】 「トランスフェクション」なる語は、何らかのコーディング配列が実際に発現
されているか否かを問わず、好適な宿主細胞によって発現ベクターが保有されて
いることを称する。
【0052】 「中間断片」なる語は、5〜1000塩基の間の鎖長、好ましくは10〜40
塩基対の鎖長を有する核酸を意味する。
【0053】 「分泌」タンパク質とは、好適な宿主細胞にて発現された場合に、そのアミノ
酸配列のシグナル配列による結果としての輸送を含め、膜を越えて、または通過
して輸送されたタンパク質を称する。「分泌」タンパク質には、発現細胞から全
体が(例えば、可溶性タンパク質)または一部が(例えば、受容体)分泌される
タンパク質を包含するが、これらに限定されることはない。「分泌」タンパク質
はまた、小胞体の膜を越えて輸送されるタンパク質も包含するが、これに限定さ
れることもない。
【0054】 以上の用語はそれぞれ、別途の内容が述べられない限り、上記内容すべてを包
含するものとする。
【0055】 [本発明のポリヌクレオチド及び核酸] 本発明のヌクレオチド配列及び核酸配列を以下に示す。生物学的活性を呈する
ことができる本発明のタンパク質の断片も、本発明に包含されるものとする。タ
ンパク質の断片は、一本鎖状でも、あるいは、例えば、H. U. Saragoviら、Bio/
Technology 10巻、773〜778頁(1992)及びR. S. McDowellら、J. Amer. Chem. So
c. 114巻、9245〜9253頁(1992)(双方の文献とも、引用することによって本明細
書に組入れることとする)に記載されるような既知の方法を使用して環状化して
もよい。このような断片は、タンパク質結合部位の結合価の増大を含め、多くの
目的のために、免疫グロブリンなどの担体分子に融合させてもよい。例えば、タ
ンパク質の断片は免疫グロブリンのFc部分に「リンカー」配列を介して融合さ
せるとよい。二価のフォームのタンパク質の場合、IgG分子のFc部分へ、そ
のような融合を行うとよい。他の免疫グロブリンイソタイプも、このような融合
体を作製するために使用され得る。例えば、タンパク質−IgM融合体が、本発
明のタンパク質の二価のフォームで作製されよう。
【0056】 本発明はさらに、開示されたタンパク質の全長及び成熟フォーム(例えば、疎
水性シグナルペプチドを含まないもの)の双方を提供する。かかるタンパク質の
全長のフォームは、各々開示されたクローンのヌクレオチド配列の翻訳により、
配列表に示されている。かかるタンパク質の成熟フォームは、好適な哺乳動物細
胞またはその他の宿主細胞にて、開示された全長のポリヌクレオチドを発現する
ことによって得られる(例えば、標準的な技術を使用し、ATCCに寄託された
クローンを用いて得られる)。タンパク質の成熟フォームの配列は、全長のフォ
ームのアミノ酸配列から決定することもできる。
【0057】 本発明はまた、本明細書に開示されるcDNA配列に対応する遺伝子も提供す
る。対応する遺伝子は、本明細書に開示される配列情報を使用して、既知の方法
に従って単離することができる。このような方法には、同定のため、開示された
配列情報からプローブまたはプライマーを調製し、及び/または適切なゲノムラ
イブラリーかもしくは遺伝的材料の他の供給源にて遺伝子を増幅する工程が含ま
れる。
【0058】 本発明のタンパク質が膜結合性である場合(例えば、受容体等)、本発明によ
ってかかるタンパク質の可溶性フォームも提供される。このようなフォームで、
タンパク質がその発現細胞にて細胞から完全に分泌されるように、タンパク質の
細胞内ドメイン及び膜貫通ドメインの一部またはすべてが欠失されるのである。
本発明のタンパク質の細胞内及び膜貫通ドメインは、配列情報から、かかるドメ
インを特定するための既知技術に従い同定することができる。
【0059】 開示されたポリヌクレオチド及びタンパク質の種相同体も、本発明によって提
供される。種相同体は、本明細書に提供された配列から好適なプローブまたはプ
ライマーを作り、そして所望の種由来の好適な核酸供給源をスクリーニングする
ことによって単離及び同定することができる。
【0060】 本発明はさらにまた、開示されたポリヌクレオチドまたはタンパク質の対立変
異体、すなわち、そのポリヌクレオチドによってコードされるものと同じか、相
同か、またはそれに関連するタンパク質もコードする単離されたポリヌクレオチ
ドの、天然に存在する選択的(オーターナティブ)フォームをも包含する。
【0061】 本発明の組成物には、組換えDNA分子、クローニングされた遺伝子もしくは
その縮重変異体、特に対立変異体などの天然に存在する変異体を含めた、単離さ
れたポリヌクレオチド、単離された新規ポリペプチド、及びかかるポリペプチド
に存在する1以上のエピトープを特異的に認識する抗体を包含する。
【0062】 開示されたポリヌクレオチド及びタンパク質の種相同体も、本発明によって提
供される。種相同体は、本明細書で提供される配列から好適なプローブまたはプ
ライマーを作り、そして所望の種由来の好適な核酸供給源をスクリーニングする
ことによって単離され得る。
【0063】 本発明はまた、開示されたポリペプチドまたはタンパク質の対立変異体、すな
わち、そのポリヌクレオチドによってコードされるものと同じか、相同か、また
はそれに関連するタンパク質もコードする単離されたポリヌクレオチドの、天然
に存在する選択的(オーターナティブ)フォームをも包含する。
【0064】 [6.2. 本発明の核酸] 本発明の単離されたポリヌクレオチドには、配列番号:3もしくは配列番号:
6もしくは配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位のアミノ酸配列を含むポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドと、そしてそれらの特異的ドメインを
コードするポリヌクレオチドが包含されるが、これらに限定されることはない。
例えば、配列番号:6のアミノ酸残基第1〜21位を含むポリペプチドをコード
するポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位を含むポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ酸残基第95〜
128位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のア
ミノ酸残基第133〜168位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ド;配列番号:6のアミノ酸残基第175〜214位を含むポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド;配列番号:6のアミノ
酸残基第220〜259位を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
配列番号:6のアミノ酸残基第446〜465位を含むポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチド;または配列番号:6のアミノ酸残基第363〜365位を
含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
【0065】 好ましい実施態様において、本発明の単離されたポリヌクレオチドには、配列
番号:1、2もしくは5のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;配列番号
:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第205〜267位を含むポリヌクレオ
チド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第442〜483位を含
むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第487
〜588位を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレ
オチド第601〜708位を含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチ
ド配列のヌクレオチド第727〜846位を含むポリヌクレオチド;配列番号:
5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第862〜981位を含むポリヌクレオチ
ド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第1540〜1599位を
含むポリヌクレオチド;配列番号:5のヌクレオチド配列のヌクレオチド第17
29〜1731位を含むポリヌクレオチド;または配列番号:5のヌクレオチド
配列のヌクレオチド第1291〜1299位を含むポリヌクレオチドが包含され
るが、これらに限定されることはない。
【0066】 本発明のポリヌクレオチドにはさらに、アメリカン・タイプ・カルチャー・コ
レクション(ATCC、10801 University Blvd., Manassas, Virginia, 20110-
2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートのヌクレオ チド配列を含むポリヌクレオチド;ATCC(10801 University Blvd., Manass
as, Virginia, 20110-2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY2のcDNA インサートのヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY1の cDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
ドするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY2のcDN Aインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする
ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;配列番号:6の全長のタンパク質コ
ーディング配列を含むポリヌクレオチドで、クローンpEGFR-HY2のcDNAイン サート、配列番号:5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のcD NAインサートを含むポリヌクレオチド;クローンpEGFR-HY2のcDNAインサ ート、配列番号:5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のcDN Aインサートを含む、配列番号:6の成熟タンパク質コーディング配列のヌクレ
オチド配列を含むポリヌクレオチドを包含するが、これらに限定されることはな
い。
【0067】 本発明のポリヌクレオチドにはまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件下に配列番号:1、2または5のヌクレオチド配列の相補体とハイブリ
ダイズするポリヌクレオチド;前記ポリヌクレオチドのいずれかの対立変異体で
あるポリヌクレオチド;前記タンパク質のいずれかの相同体種をコードするポリ
ヌクレオチド;または配列番号:3もしくは配列番号:6のポリペプチドまたは
配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位の、付加的な特異的ドメインまたは
欠切体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが包含されるが、これ
らに限定されるものではない。
【0068】 本発明のポリヌクレオチドは加うるに、如上のポリヌクレオチドのいずれかの
相補体を包含する。
【0069】 本発明のポリヌクレオチドはまた、前記ポリヌクレオチドと実質的に同等なヌ
クレオチド配列も包含される。本発明のポリヌクレオチドは、前記したポリヌク
レオチドと少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、そしてさ
らに好ましくは少なくとも約95%の配列一致性を有することができるものであ
る。本発明はさらに、前記したポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと少
なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、そしてさらに好ましく
は少なくとも約95%の配列一致性を有するヌクレオチド配列を含むポリヌクレ
オチドの相補体も提供する。ポリヌクレオチドは、DNA(ゲノム、cDNA、
増幅されたもの、もしくは合成DNA)またはRNAであり得る。このようなポ
リヌクレオチドを得るための方法及びアルゴリズムは、当業者によく知られてお
り、そして例えば所望の配列体のポリヌクレオチドを常套的に単離することがで
きるハイブリダイゼーション条件を調べるための方法を包含し得る。
【0070】 本発明のポリヌクレオチドは、よく樹立された組換えDNA技術によって、様
々な他のヌクレオチド配列のいずれかに繋ぐことができる(Sambrook, J.ら(198
9) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory
, NYを参照されたい)。ポリペプチドにつなぐのに有用なヌクレオチド配列には
、当該技術分野でよく知られている、ベクター(例えばプラスミド、コスミド、
ラムダファージ誘導体、ファージミド等)の組合せが包含される。従って、本発
明はまた、本発明のポリヌクレオチドを包含するベクター、及びポリヌクレオチ
ドを含む宿主細胞も提供する。一般にベクターは、少なくとも1つの生物にて機
能を有する複製起点と、利便な制限エンドヌクレアーゼ部位、及び宿主細胞用の
選択可能マーカーを含んでいる。本発明のベクターは、発現ベクター、複製ベク
ター、プローブ作製ベクター、及び配列決定ベクターを包含する。本発明の宿主
細胞は、原核細胞または真核細胞とすることができ、そして単細胞生物でも多細
胞生物の一部でもよい。
【0071】 本発明の範囲に含まれる配列は、記載した特定の配列に限定することはなく、
その対立変異体をも包含するものである。対立変異体は、配列番号:1、2もし
くは5で示される配列、それらの代表的な断片、または配列番号:1、2もしく
は5と少なくとも99.9%一致するヌクレオチド配列を、同種の別の単離物由
来の配列と比較することによって容易に調べることができる。さらには、コドン
の可変性に対応するよう、本発明はこの明細書に開示した特定のORFがコード
すると同様のアミノ酸配列をコードする核酸分子をも包含することとする。換言
すると、ORFのコーディング領域で、1つのコドンを同じアミノ酸をコードす
る別のコドンに置換することなどは明らかに企図される。双方向でORFなど特
定の断片の再配列(すなわち、両鎖の配列)決定を行うことによって、本明細書
に開示した特定の配列のいずれも、エラーについて簡単にスクリーニングするこ
とができる。
【0072】 本発明はさらに、配列番号:1、2もしくは5またはその断片の配列を有する
核酸を含む組換え構築体を提供する。本発明の組換え構築体は、プラスミドまた
はウイルスベクターなどのベクターを含む、そのベクター中に正方向または逆方
向にて配列番号:1、2もしくは5、またはその断片の配列が挿入されている。
本発明のORFの1つを含むベクターの場合、ベクターは、ORFに作動可能に
連結された、例えばプロモーターなどを包含する調節因子をさらに含んでいると
よい。本発明のEMF及びUMFを含むベクターについては、ベクターはさらに
EMFまたはUMFと作動可能に連結された、マーカー配列または異種性ORF
を含むとよい。数多くの好適なベクター及びプロモーターが当業者によって知ら
れており、本発明の組換え構築体を作製するために市場で入手することができる
。以下のベクターが例として挙げられるものである。細菌:pBs、phagescript、
PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratage
ne);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5(Pharmacia)。真菌:pWL
neo、pSV2cat、pOG44、PXTI、pSG、(Stratagene);pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL (Pharmacia)。
【0073】 本発明の単離されたポリヌクレオチドは、組換え法によってタンパク質を生産
するために、Kaufmanら、Nucleic Acids Res. 19巻、4485〜4490頁(1991)に開示
されるpMT2またはpED発現ベクターなどの発現制御配列に作動可能に連結しても よい。多くの好適な発現制御配列が、当該技術分野で知られている。組換えタン
パク質を発現する一般的な方法も知られているところであり、R. Kaufman、Meth
ods in Enzymology、185巻、537〜566頁(1990)に例証されている。本明細書にお
ける「作動可能に連結される」なる語は、連結されたポリヌクレオチド/発現制
御配列で形質転換(トランスフェクト)されている宿主細胞によってタンパク質
が発現するように、本発明の単離されたポリヌクレオチドと発現制御配列とが、
ベクターまたは細胞内に適応することを意味する。
【0074】 プロモーター領域は、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)ベ
クターまたは選択可能マーカーを有するその他のベクターを用いて、所望の種々
の遺伝子から選択され得る。2つの適切なベクターは、pKK232-8及びpCM7である
。特に好ましい細菌性プロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラム ダPR、及びtrcが包含される。真核細胞性プロモーターには、CMV最初期、H
SVチミジンキナーゼ、初期及び後期SV40、レトロウイルス由来のLTR、
及びマウスメタロチオネイン−Iが包含される。適切なベクター及びプロモータ
ーの選択は、当該技術分野の通常技術レベルに充分入るものである。一般に、組
換え発現ベクターは、複製起点と、例えばE. coliのアンピシリン耐性遺伝子及 びS. cerevisiae TRP1遺伝子などの、宿主細胞の形質転換を可能ならしめる選択
可能マーカーと、そして下流の構造遺伝子の転写をもたらす、高発現遺伝子由来
のプロモーターとを包含する。かかるプロモーターは、とりわけ3−ホスホグリ
セリン酸キナーゼ(PGK)、a−因子、酸ホスファターゼ、または熱ショック
タンパク質などの糖分解酵素をコードするオペロン由来のものが好ましい。異種
性構造配列は、転写開始及び終結配列と、そして好ましくは、翻訳されたタンパ
ク質の細胞膜周辺空間または細胞外培地への分泌をもたらすことができるリーダ
ー配列と共に、適切な相にて組立てられる。任意に異種性配列は、発現される組
換え産物の安定化またはその精製を容易にするためなどの、望ましい特徴を付与
するN−末端同定ペプチドを包含する融合タンパク質をコードし得るものとされ
る。細菌で使用するために有用な発現ベクターは、機能性プロモーターを有する
作動可能な読み取り相にて、好適な転写開始及び終結シグナルと共に、所望のタ
ンパク質をコードする構造DNA配列を挿入することによって構築される。ベク
ターは、その保持を確約すべく、また望まれる場合に宿主での増幅を提供するべ
く、1以上の表現型選択可能マーカーと複製起点とを含んでいる。形質転換のた
めに好適な原核細胞性宿主には、E. coliBacillus subtilisSalmonella typ himurium 及びシュードモナス、ストレプトミセス、及びアウタフィロコカス属に
含まれる様々な種が包含されるが、選択肢としてその他のものも可能である。
【0075】 代表的であるが限定的ではない例として、細菌に対して有用な発現ベクターで
は、よく知られているクローニングベクターpBR322(ATCC37017)の遺
伝子エレメントを含む市販のプラスミドに由来する、選択可能マーカー及び細菌
性複製起点を含むものを挙げることができる。かかる市販のベクターには、例え
ばpKK223-3(Pharmacia Fine Chemicals、Uppsala、スウェーデン)及びGEM 1(
Promega Biotec、Madison、ウィスコンシン州、米国)が包含される。これらpBR
322の「骨格」セクションは、適切なプロモーター及び発現されるべき構造配列 と組合わせられる。好適な宿主株を形質転換し、そして適切な細胞密度になるま
で宿主株を生育した後、選択されたプロモーターを適切な手段(例えば、温度シ
フトまたは化学的誘導)によって誘導または抑制解除し、そして細胞をさらなる
期間にわたって培養する。典型的には、細胞は遠心分離によって回収され、物理
的または化学的手段によって破壊され、そしてその結果得られる粗抽出物を集め
てさらに精製する。
【0076】 本発明の核酸配列の範囲に包含されるのは、図2または4に示すDNA配列ま
たはその相補体の配列の断片に、ストリンジェント条件下でハイブリダイズする
核酸配列であり、前記断片は約10塩基対を超え、好ましくは約20〜50塩基
対か、100塩基対をさらに超えるものであるとよい。本発明によれば、新規核
酸、またはその機能的等価物をコードするポリヌクレオチド配列は、かかる核酸
またはその機能的等価物の適切な宿主細胞における発現をもたらす組換えDNA
分子を作製するために使用してもよい。
【0077】 本発明の核酸配列はさらに、前記核酸の変異体をコードする配列にも関するも
のである。これらの変異アミノ酸配列は、天然または変異ポリヌクレオチドに適
切なヌクレオチドの変更を導入することにより当該技術分野で知られている方法
によって調製することができる。変異アミノ酸配列の構築には2つの変化因子す
なわち、変異の位置及び変異の性質、がある。当該核酸の変異アミノ酸配列は、
好ましくは、自然状態では起こらないアミノ酸配列を与えるようにポリヌクレオ
チドを変異させることによって構築される。これらのアミノ酸の変化は、異なる
種由来の核酸で異なる部位(可変部位)にて、または保存性の高い領域(定常領
域)で作ってもよい。このような位置にある部位は、好ましくは、例えば先ず、
保存的選択(例えば疎水性アミノ酸を異なる疎水性アミノ酸に)で、その後もっ
と隔たった選択(例えば、疎水性アミノ酸を荷電アミノ酸に)で、置換を行うこ
とにより系列的に修飾し、それから標的部位で削除または挿入を行ってもよい。
アミノ酸配列の削除は一般に、約1〜30残基、好ましくは約1〜10残基の範
囲で、好ましくは隣接しているとよい。アミノ酸の挿入には、1〜100残基以
上の鎖長の範囲のアミノ及び/またはカルボキシ末端融合と、さらに1または複
数のアミノ酸残基の配列内への挿入が包含される。配列内への挿入は、約1〜1
0アミノ酸残基、好ましくは1〜5残基の範囲であるとよい。末端への挿入の例
には、異なる宿主細胞における分泌のため、または細胞内標的化のために必要と
される異種性シグナル配列が包含される。
【0078】 好ましい方法において、新規核酸をコードするポリヌクレオチドは、部位特異
的突然変異誘発によって変更される。この方法では、所望の変異アミノ酸のポリ
ヌクレオチド配列をコードするオリゴヌクレオチド配列と、さらに、変更される
部位の両端側いずれにも安定な二重鎖を形成するよう、変更されたアミノ酸の両
側の充分な隣接するヌクレオチドとを使用する。一般的に、部位特異的突然変異
誘発の技術は、当業者にはよく知られており、そしてこの技術はEdelmanら、DNA 、2巻、183頁(1983)などの出版物に例示されている。ポリヌクレオチド配列に部
位特異的な変更を作り出すための汎用性があり有効な方法が、Zoller及びSmith 、Nucleic Acids Res. 10巻、6487〜6500頁(1982)に公開された。新規核酸の変 異アミノ酸配列を作出するために、PCRを使用してもよい。少量の鋳型DNA
を出発物質として使用する場合、鋳型DNAにおける対応領域と配列上僅かに相
違するプライマーで、所望の変異アミノ酸配列を作製することができる。PCR
増幅の結果、プライマーにより特定される位置でそのポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチドの鋳型と相違するDNA断片の産物が、一集団生じるのである
。DNA断片の産物は、プラスミドの対応する領域と置き換わり、そしてこの結
果、所望の変異アミノ酸配列が得られる。
【0079】 変異アミノ酸配列を作製するためのさらなる技術は、Wellsら、Gene 34巻、31
5頁(1985)に記載のカセット突然変異誘発技術;ならびに、例えばSambrookら、 前出 、及びCurrent Protocols in Molecular Biology、Ausubelら、における技 術など、当該技術分野にてよく知られている、他の突然変異誘発技術である。遺
伝コードが本来有する縮重のため、これらの新規核酸のクローニング及び発現の
ために本発明を実施するに際して、実質的に同様のまたは機能的に同等なアミノ
酸配列をコードする他のDNA配列を使用することもできる。かようなDNA配
列には、ストリンジェント条件下に適切な新規核酸配列とハイブリダイズするこ
とができるDNA配列が包含される。
【0080】 [6.3. 宿主] 本発明はさらに、本発明のポリヌクレオチドを含むように遺伝的に操作された
宿主細胞を提供する。例えば、かかる宿主細胞は、既知の形質転換、トランスフ
ェクションまたは感染法を使用して、宿主細胞へと導入された本発明の核酸を含
むとよい。本発明はさらにまた、本発明のポリヌクレオチドを発現するように遺
伝的に操作された宿主細胞を提供するもので、かかるポリヌクレオチドは、細胞
でのポリヌクレオチドの発現を駆動する、宿主細胞とは異種性の調節配列と作動
的会合関係にある。
【0081】 宿主細胞は、哺乳動物細胞などの高等真核生物の宿主細胞、酵母細胞などの下
等真核生物の宿主細胞であってよく、または、細菌細胞などの原核生物細胞でも
よい。宿主細胞への組換え構築体の導入は、カルシウムホスフェートトランスフ
ェクション、DEAEデキストランを用いたトランスフェクション、またはエレ
クトロポレーション(Davis, L.ら、Basic Methods in Molecular Biology (198
6))によって行うことができる。本発明のポリヌクレオチドの1つを含む宿主細
胞は、単離断片によってコードされる遺伝子産物を製造する旧来の方法にて使用
することができ(ORFの場合)、あるいはEMFの制御下に異種性タンパク質
を製造するのに使用することができる。
【0082】 本発明のORFの1以上を発現するために、種々の宿主/ベクター系を使用す
ることができる。これらには、HeLa細胞、Cv-1細胞、COS細胞、及びSf9細
胞などの真核生物の宿主、さらにはE. coli及びB. subtilisなどの原核生物の宿
主が包含されるが、これらに限定されることはない。最も好ましい細胞は、所定
のポリペプチドまたはタンパク質を通常には発現していないものか、あるいはそ
のポリペプチドまたはタンパク質を低い天然レベルで発現しているものである。
成熟タンパク質は、哺乳動物細胞、酵母、細菌、または適切なプロモーターの制
御下にある他の細胞で発現させることができる。このようなタンパク質を製造す
るために、本発明のDNA構築体に由来するRNAを使用した、無細胞翻訳系も
用いることができる。原核生物及び真核生物宿主で使用するために適切なクロー
ニング及び発現ベクターは、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Ma nual , Second Edition, Cold Spring Harbor, ニューヨーク(1989)(引用するこ
とによりその開示内容を本明細書の一部とする)に記載されている。
【0083】 組換えタンパク質を発現するために、様々な哺乳動物細胞培養系も使用するこ
とができる。哺乳動物細胞発現系の例には、Gluzman、Cell 23巻、175頁(1981) に記載のサル腎線維芽細胞のCOS−7細胞、及び例えば、C127、3T3、
CHO、HeLa及びBHK細胞系などの適合可能ベクターを発現することができる
他の細胞系が包含される。哺乳動物発現ベクターは、複製起点、好適なプロモー
ター、そしてさらに必要な何らかのリボソーム結合タンパク質、ポリアデニレー
ション部位、スプライス供与及び受容部位、転写終結配列、及び5’フランキン
グ非転写配列を含むものとされよう。SV40ウイルスゲノムに由来するDNA
配列、例えば、SV40起点、初期プロモーター、エンハンサー、スプライス、
及びポリアデニレーション部位を、必要とされる非転写遺伝子エレメントを提供
するために使用してもよい。細菌培養物で生産される組換えポリペプチド及びタ
ンパク質は、通常、先ず細胞ペレットから抽出し、次いで1回以上の塩析、水性
イオン交換またはサイズ排除クロマトグラフィー工程に付される。タンパク質再
折りたたみの工程も、成熟タンパク質の立体配置を完全なものにするのに、必要
に応じて使用することができる。最後に、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)を最終精製工程に採用することができる。タンパク質の発現に用いられる細
菌細胞は、凍結−融解サイクリング、超音波処理、機械的破壊、または細部溶解
剤の使用等を含めた、種々の好都合な方法によって破壊することができる。
【0084】 数多くの細胞型が、タンパク質の発現のために好適な宿主細胞として働き得る
。哺乳動物宿主細胞には、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣
(CHO)細胞、ヒト腎293細胞、ヒト上皮A431細胞、ヒトColo205細
胞、3T3細胞、CV−1細胞、他の形質転換される霊長類細胞系、正常な二倍
体細胞、一次組織のin vitro培養物由来の細胞株、一次移植片、HeLa細胞、マウ
スL細胞、BHK、HL−60、U937、HaKまたはJurlat細胞などが包含
される。
【0085】 あるいは、酵母などの下等真核細胞または細菌などの原核細胞で、タンパク質
を製造することが可能である。潜在的に好適な酵母菌株には、Saccharomyces ce
revisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces株、Candida、または異 種性タンパク質を発現することができる種々の酵母株が包含される。潜在的に好
適な細菌株には、Escherichia coli、Bacillus subtilis、Salmonella typhimur
ium、または異種性タンパク質を発現することができる種々の細菌株が包含され る。タンパク質が酵母または細菌にて製造される場合、機能性タンパク質を得る
ために、例えば適切な部位のホスホリレーションまたはグリコシレーションなど
によって、そこで生産されたタンパク質を修飾する必要があるかもしれない。か
かる共有結合は、既知の化学的方法または酵素的方法を用いて実施することがで
きる。
【0086】 本発明の他の実施態様において、誘導可能な調節エレメントの制御下に本発明
のポリヌクレオチドを含む内在性遺伝子を発現するように、細胞及び組織を操作
してもよく、この場合、内在性遺伝子の調節配列を相同組換えによって置換すれ
ばよい。本明細書に記載するとおり、遺伝子操作法によって合成される、異なる
遺伝子または新規調節配列から単離した調節配列で、遺伝子に存在する調節領域
を置換するのに遺伝子ターゲッティングを使用することができる。このような調
節配列は、プロモーター、エンハンサー、足場(骨格)付着領域、天然の調節エ
レメント、転写開始部位、調節タンパク質結合部位、または当該配列の組合せを
含むとよい。あるいは、RNAまたは製造されたタンパク質の構造または安定性
に影響を及ぼす配列が、置換、除去、付加、もしくはポリアデニレーションシグ
ナル、mRNA安定化配列、スプライス部位、タンパク質の移送もしくは分泌を
増強または修飾するためのリーダー配列、またはタンパク質もしくはRNA分子
の機能もしくは安定性を変更もしくは改善するその他の配列を包めたターゲッテ
ィングによるその他の修飾をなされてもよい。
【0087】 ターゲッティング事象は、単なる調節配列の挿入、例えば、遺伝子の上流に新
しいプロモーターもしくはエンハンサーまたはそれらの両方を挿入すること等、
新しい調節配列の制御下に遺伝子を置くことであってよい。あるいは、ターゲッ
ティング事象は、組織特異的な負の調節エレメントの欠失など、調節エレメント
の単なる欠失であってもよい。あるいは、ターゲッティング事象は存在するエレ
メントを置換することであってもよく、例えば、天然に存在するエレメントより
も広い細胞型特異性、もしくは天然に存在するエレメントと相違する細胞型特異
性を有するエンハンサーで、組織特異的エンハンサーを置換することができる。
ここで、天然に存在する配列は削除され、そして新しい配列が付加される。あら
ゆる場合において、ターゲッティング事象の同定は、外来性DNAが宿主細胞へ
と組込まれた細胞の選択を許容するような、ターゲッティングDNAに隣接する
1以上の選択可能なマーカー遺伝子を使用することによって難なく行われ得る。
ターゲッティング事象の同定はまた、負に選択可能なマーカーが外来DNAに連
結されるが、その負に選択可能なマーカーがターゲッティング配列の側方にある
ように、そして宿主細胞ゲノムに含まれる配列との正しい相同性組換え事象の結
果負に選択可能なマーカーの安定な組込みは惹起されないようにして、負の選択
の特性を呈する1以上の選択マーカー遺伝子の使用することによっても、難なく
行われ得る。この目的のために有用なマーカーには、ヘルペス単純ウイルスチミ
ジンキナーゼ(TK)遺伝子または細菌のキサンチン−グアニンホスホリボシル
−トランスフェラーゼ(gpt)遺伝子が包含される。
【0088】 本発明のかかる特徴で使用することができる遺伝子ターゲッティングまたは遺
伝子活性化技術は、Chappelの米国特許No.5,272,071、Sherwinらの
米国特許No.5,578,461、Seldenらの国際出願No.PCT/US9
2/09627(WO93/09222)、Skoultchiらの国際出願No.PC T/US90/06436(WO91/06667)に、さらに詳細に記載され
ており、これらを引用することにより、その開示内容全体を本明細書に組込むこ
ととする。
【0089】 [6.4. 本発明のポリペプチド] 本発明の単離されたポリペプチドには、配列番号:3もしくは配列番号:6の
アミノ酸配列または配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位を含むポリペプ
チドが包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明のポリペプチド
にはさらに、配列番号:3もしくは配列番号:6のアミノ酸配列または配列番号
:4のアミノ酸残基第1〜502位の1以上の特異的ドメインを含むポリペプチ
ドがさらに包含され得る。例えば、配列番号:6のアミノ酸残基第1〜21位を
含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位を含むポリペプ
チド;配列番号:6のアミノ酸残基第95〜128位を含むポリペプチド;配列
番号:6のアミノ酸残基第133〜168位を含むポリペプチド;配列番号:6
のアミノ酸残基第175〜214位を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ
酸残基第220〜259位を含むポリペプチド;配列番号:6のアミノ酸残基第
446〜465位を含むポリペプチド;または配列番号:6のアミノ酸残基第3
63〜365位を含むポリペプチドが挙げられるが、これらに限定されることは
ない。
【0090】 本発明のポリペプチドにはさらに、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレク
ション(ATCC、10801 University Blvd., Manassas, Virginia, 20110-2209
、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードさ れるアミノ酸配列を含むポリペプチド;ATCC(10801 University Blvd., Ma
nassas, Virginia, 20110-2209、米国)に寄託されたクローンpEGFR-HY2のcD NAインサートによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;クローン
pEGFR-HY2のcDNAインサートによりコードされるアミノ酸配列、配列番号: 5の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートを含 む配列番号:6の全長のタンパク質コーディング配列;クローンpEGFR-HY2のc DNAインサート、配列番号:6の核酸第323〜357位及びクローンpEGFR-
HY1のcDNAインサートを含む配列番号:6の成熟タンパク質コーディング配 列が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0091】 本発明のタンパク質組成物はさらに、親水性の、例えば薬剤的に容認されうる
担体などの、容認されうる担体を含むとよい。
【0092】 本発明はさらに、ポリペプチドを製造するための方法に関し、この方法は、好
適な培養用培地にて本発明の細胞培養物を生育させる工程と、当該培養物からタ
ンパク質を精製する工程を含むものである。例えば、本発明の方法には、本発明
のポリヌクレオチドを含む好適な発現ベクターを含有する宿主細胞を、目的のポ
リペプチドの発現を許容する条件下に培養することでポリペプチドを製造するた
めのプロセスが包含される。ポリペプチドは、その培養物から(便宜的には培養
用培地から)回収され、さらに精製することができる。好ましい実施態様には、
かかる方法によって製造されるタンパク質が、全長または成熟型のタンパク質で
あるものが包含される。
【0093】 本発明はさらに、本発明の核酸断片によって、または本発明の核酸断片の縮重
変異体によってコードされる、単離されたポリペプチドを提供する。「縮重変異
体」なる語によって、ヌクレオチド配列にて本発明の核酸断片(例えば、ORF
)と相違するが、遺伝コードの縮重のため、同じポリペプチド配列をコードする
ヌクレオチド断片が企図される。本発明の好ましい好ましい核酸断片は、タンパ
ク質をコードするORFである。本発明の単離されたポリペプチドまたはタンパ
ク質のいずれかを得るために、当該技術分野で知られている様々な方法論を利用
することができる。最も簡単なレベルでは、アミノ酸配列は市販のペプチド合成
装置を使用して合成することができる。これは、小さいペプチドや、より大きな
ペプチドの断片を製造する上で特に有用である。断片は、例えば天然のポリペプ
チドに対する抗体を作製する上で有用である。また別の方法において、ポリペプ
チドまたはタンパク質は、そのポリペプチドまたはタンパク質を天然に生産して
いる細菌細胞から精製される。当業者であれば、本発明の単離されたポリペプチ
ドまたはタンパク質の1つを得るために、ポリペプチド及びタンパク質を単離す
るための既知の方法に難なく従うことができる。これらには、免疫クロマトグラ
フィー、HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフ
ィー、及び免疫親和性クロマトグラフィーなどが包含されるが、これらに限定さ
れることはない。例えば、Scopes、Protein Purification: Principles and Pra ctice 、Springer-Verlag (1994); Sambrookら、Molecular Cloning: A Laborato ry Manual ; Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biologyを参照された
い。
【0094】 本発明のポリペプチド及びタンパク質は、所望のポリペプチドまたはタンパク
質を発現するように改変された細胞から精製してもよい。本明細書で使用する場
合、細胞が遺伝子操作によって、通常生産していないか、あるいは通常は低レベ
ルだけしか生産されていないポリペプチドまたはタンパク質を生産するようにな
されている場合に、所望のポリペプチドまたはタンパク質を発現するように改変
されていると称される。当業者であれば、本発明のポリペプチドまたはタンパク
質の1つを生産する細胞を作製するために、組換えまたは合成配列の何れかを導
入または発現するための方法を、原核細胞または真核細胞に難なく適用すること
ができる。精製されたポリペプチドは、ポリペプチドに結合する分子を同定する
ための既知技術である、in vitro結合アッセイで使用することができる。これら
の分子には、例えば、小分子、コンビナトリアルライブラリー由来の分子、抗体
またはその他のタンパク質が包含されるが、これらに限定されることはない。結
合アッセイにて同定された分子は次いで、当該技術分野で知られているin vivo 組織培養または動物モデルにて、アンタゴニストまたはアゴニストについて試験
が行われる。簡単に説明すると、分子は複数の細胞培養または動物にて滴定され
、その後動物/細胞の死か、または動物/細胞の生存延長について調べられる。
【0095】 加うるに、結合分子は毒素、例えばリシンもしくはコレラ毒素、または細胞に
対する毒性を有する他の化合物と複合されてもよい。毒素−結合分子複合体は、
次いで配列番号:3もしくは6または配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502
位の特異性によって、腫瘍細胞またはその他の細胞へのターゲッティングが行わ
れる。
【0096】 本発明のタンパク質は、例えば、そのタンパク質をコードするヌクレオチド配
列を含んでいる体細胞または生殖細胞によって特徴付けられる、トランスジェニ
ックウシ、ヤギ、ブタ、またはヒツジのミルクの成分として、トランスジェニッ
クウシ動物の産物として発現されてもよい。
【0097】 タンパク質は、旧来の既知化学合成によって製造されてもよい。合成法によっ
て本発明のタンパク質を構築するための方法は、当業者によく知られたものであ
る。一次、二次もしくは三次構造、または立体構造特性をタンパク質と共有する
ことの利によって、合成法により構築されたタンパク質配列は、そのタンパク質
活性を含め、それと共通する生物学的特性を保有し得るのである。しかして、そ
れらタンパク質は、治療用化合物のスクリーニングに、そして抗体作製のための
免疫学的プロセスに、天然の精製タンパク質の生物学的または免疫学的代替物と
して使用され得る。
【0098】 本発明によって提供されるタンパク質は、精製タンパク質と類似したアミノ酸
配列によってその特徴が示されるタンパク質であるが、修飾は自然に存在してい
たかまたは故意に操作してなされたものをも包含する。例えば、ペプチドまたは
DNA配列における修飾は、既知の技術を用いて当業者により行うことができる
ものである。タンパク質配列の修飾で興味の対象となるのは、コーディング配列
における選択されたアミノ酸残基の変更、置換、挿入または欠失を包含しうる。
例えば、1以上のシステイン残基を欠失するかまたは他のアミノ酸と置換して分
子の立体配置を変更するとよい。かような変更、置換、挿入または欠失のための
技術には、当該技術分野でよく知られている(例えば、米国特許No.4,51
8,584を参照されたい)。好ましくは、かかる変更、置換、挿入または欠失
は、タンパク質の所望の活性を保持しているものとされる。
【0099】 タンパク質の活性全体もしくは一部分を保持していることが期待されるような
、そしてそのためにスクリーニングやその他免疫学的方法のために有用であり得
るようなタンパク質の配列の断片及び誘導体もまた、本明細書に開示の内容に基
づき、当業者によって難なく行われ得る。このような修飾が、本発明に包含され
るものと考えられる。
【0100】 タンパク質はさらにまた、1以上の昆虫発現ベクターにて好適な制御配列に本
発明の単離されたポリヌクレオチドを作動可能に連結し、そして昆虫発現系を利
用することによって製造することができる。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系
のための材料及び方法は、例えば、Invitrogen、San Diego、カリホルニア州、 米国より市販されているMaxBat. RTM.キットなど、キットにて入手でき、またか
かる方法は、Summers及びSmith、Texas Agricultural Experiment Station Bull
etin No. 1555 (1987)(引用することにより、本明細書に組入れることとする)
に記載されるとおり、当該技術分野でよく知られている。本明細書で用いる場合
、本発明のポリヌクレオチドを発現することができる昆虫細胞は、「形質転換さ
れて」いる。
【0101】 本発明のタンパク質は、組換えタンパク質を発現するのに好適な培養条件下で
、形質転換された宿主細胞を培養することによって調製され得る。この結果得ら
れる発現タンパク質は、次いで、ゲル濾過及びイオン交換クロマトグラフィーな
どの既知の精製プロセスを使用して、かかる培養物(すなわち、培養培地または
培養抽出物)から精製されるとよい。タンパク質の精製はさらに、タンパク質と
結合する試薬を含有するアフィニティーカラム;コンカナバリンAアガロース、
ヘパリン−トヨパール.RTM.またはシバクロム(Cibacrom)ブルー3GAセ
ファロース.RTM.などのアフィニティー樹脂を用いた1以上の工程;フェニ
ルエーテル、ブチルエーテル、もしくはプロピルエーテルなどの樹脂を用いた疎
水性相互作用クロマトグラフィーにかかる1以上の工程;または免疫アフィニテ
ィークロマトグラフィーなども包含していてよい。
【0102】 あるいは、本発明のタンパク質は、精製を容易ならしめる形態にて発現されて
もよい。例えば、マルトース結合蛋白質(MBP)、グルタチオン−S−トラン
スフェラーゼ(GST)またはチオレドキシン(TRX)の融合タンパク質など
といった、融合タンパク質として発現されるとよい。かかる融合タンパク質を発
現及び精製するためのキットが、New England BioLab(Beverly、マサチューセ ッツ州)、Pharmacia(Piscataway、ニュージャージー州)及びIn Vitrogenから
、それぞれ市販されている。タンパク質は、また、エピトープでタグ付し、次い
でかかるエピトープに対する特異抗体を使用して精製することもできる。このよ
うなエピトープの1つ(「Flag」)は、Kodak(New Haven、コネチカット州)よ
り市販されている。
【0103】 最後に、例えば、ペンダントメチルまたは他の脂肪族基を有するシリカゲルな
どの、疎水性RP−HPLC媒体を利用した、1以上の逆相高速液体クロマトグ
ラフィー(RP−HPLC)工程を、さらなるタンパク質精製のために行っても
よい。実質的に均質の単離された組換えタンパク質を得るために、前記精製工程
のいくつかまたはすべてを、種々に組合わせて行うこともできる。かくして精製
されたタンパク質は、他の哺乳動物タンパク質を実質的に含んでおらず、また、
本発明において「単離されたタンパク質」として定義されるものである。
【0104】 [6.4. クローンの寄託] 以下のクローン、pEGFR-HY1及びpEGFR-HY2は、アメリカン・タイプ・カルチャ
ー・コレクション(ATCC)10801 University Avenue, Manassas, Virginia
に、1998年11月19日にブダペスト条約に基づいて寄託した、クローンpE
GFR-HY1のcDNAインサートは、配列番号:5のヌクレオチド第358〜23 65位に対応し、このcDNAインサートを含んでいるベクターは、pT7T3D-pac
である。pEGFR-HY2のcDNAインサートは、配列番号:5の核酸第1〜322 位に対応する。このcDNAインサートを含んでいるベクターは、pGEM(登録商
標)-T Easy Vectir(Promega)で、5’端にMarathon(登録商標)cDNA Ad
aptor 2 Primer(Clontech)配列が付けられている。クローンは、後述の実施 例に記載したような、プラスミドクローンが代表的である。
【0105】
【表1】
【0106】 [6.5. 用途及び生物学的活性] 本発明のポリヌクレオチド及びタンパク質は、以下に示す1以上の用途または
生物学的活性(本明細書に引用したアッセイに関連するものも含める)を呈する
ことが期待される。本発明のタンパク質に対して記載した用途及び活性は、かか
るタンパク質の投与もしくは使用によって、またはかかるタンパク質をコードす
るポリヌクレオチドの投与もしくは使用(例えば、遺伝子療法、またはDNAの
導入に好適なベクターで)によって提供され得る。
【0107】 [6.6. 研究用途及び有用性] 本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、様々な目的に対して研究共同
体により使用され得る。ポリヌクレオチドは、分析、特徴付けまたは治療用途の
ための組換えタンパク質を発現するために;対応するタンパク質が優先的に発現
されている(構成性発現あるいは、組織分化もしくは発生の特定の段階または疾
患状態でのいずれか)組織に対するマーカーとして;サザンゲルの分子量マーカ
ーとして;染色体を同定するための、もしくは関連する遺伝子の位置をマッピン
グするための染色体マーカーもしくはタグ(ラベルされた場合)として;潜在性
のある遺伝的障害を同定すべく患者の内在性DNAと比較するため;ハイブリダ
イズを行い、しかして新規の関連DNA配列を発見するためのプローブとして;
遺伝的フィンガープリンティング法のためのPCRプライマーを誘導する情報源
として;他の新規ポリヌクレオチドを発見するプロセスで既知配列を「差し引く
」ためのプローブとして;発現パターンの実験も含め、「遺伝子チップ」または
その他の支持体に付けるためのオリゴマーを選択及び製造する目的で;DNA免
疫付与技術を使用して、抗タンパク質抗体を作出するため;そして、抗DNA抗
体を作出するか、別の免疫応答を誘発するための抗原として、使用することがで
きる。ポリヌクレオチドが、他のタンパク質に結合するか、または潜在的結合性
を有するタンパク質をコードする場合(例えば、受容体−リガンド相互作用にお
ける結合など)、ポリヌクレオチドはさらに、結合が生じる他のタンパク質をコ
ードするポリヌクレオチドを同定するため、または結合の相互作用の阻害剤を同
定するために、相互作用捕捉アッセイ(例えば、Gyurisら、Cell 75巻、791〜80
3頁(1993))においても使用することができる。
【0108】 本発明によって提供されるタンパク質は、高処理能力(ハイ・スループット)
スクリーニング用の複数のタンパク質のパネルにおいて;抗体を作出するためか
、または別の免疫応答を惹起するため;生物学的流体中のタンパク質(またはそ
の受容体)のレベルを定量的に調べるべく設計されたアッセイにおける試薬(ラ
ベルされた試薬を含む)として;対応するタンパク質が優先的に発現されている
(構成性発現かまたは、組織分化もしくは発生もしくは疾患状態の特定段階での
発現のいずれか)組織におけるマーカーとして;そして当然ながら関連受容体ま
たはリガンドを単離するため等の種々の目的または用途を包含する、生物学的活
性を調べるためのアッセイにおいて同様に使用することができる。タンパク質が
他のタンパク質に結合するかまたは潜在的な結合性を有している場合(例えば、
受容体−リガンド相互作用における場合など)、結合が生じる他のタンパク質を
同定するために、あるいは、結合の相互作用性の阻害剤を同定するために、タン
パク質を使用することができる。これらの結合の相互作用に関与するタンパク質
は、結合の相互作用性のペプチドまたは小分子の、阻害剤またはアゴニストをス
クリーニングするためにも使用することができる。
【0109】 これらの研究用途のいずれかまたはすべてが、研究成果として商業化するため
、試薬用またはキット形式へと開発されることが可能である。
【0110】 前記の用途を実施するための方法は、当該技術分野でよく知られている。かよ
うな方法を開示している文献には、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual
」第2版、, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Sambrook, J., E. F. Fri
tsch and T. Maniatis編集、1989、及び「Methods in Enzymology: Guide to Mo
lecular Cloning Techniquies」、Acadmic Press, Berger, S. L. and A. R. Ki
mmel編集、1987が包含される。
【0111】 [6.5.2. 栄養上の利用] 本発明のポリヌクレオチド及びタンパク質は、栄養供給源または栄養補給剤と
しても使用することができる。かかる用途には、タンパク質またはアミノ酸補給
剤としての用途、炭素供給源としての用途、チッ素供給源としての用途、及び炭
水化物の供給源としての用途が包含されるがこれらに限定されることはない。こ
のような場合、本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドは特定の生物の餌に
添加することができ、または、粉剤、丸剤、液剤、懸濁剤またはカプセル剤など
の形状として、独立した固体または液体調製物として投与することもできる。微
生物の場合、本発明のタンパク質またはポリヌクレオチドは、微生物が培養され
る培地に添加することができる。
【0112】 [6.5.3. サイトカイン及び細胞増殖/分化活性] 本発明のタンパク質は、サイトカイン、細胞増殖(誘導もしくは阻害のいずれ
か)または細胞分化(誘導もしくは阻害のいずれか)活性を呈し得るか、または
特定の細胞集団における他のサイトカインを誘導し得る。本発明のポリヌクレオ
チドは、かかる特質を呈するポリペプチドをコードし得るものである。今日まで
に発見された多くのタンパク質因子は、あらゆる既知のサイトカインを含め、1
以上の因子依存性細胞増殖アッセイにおいて活性を呈し、しかしてこのアッセイ
がサイトカイン活性の簡便な確認法として役立つのである。本発明のタンパク質
の活性は、32D、DA2、DA1G、T10、B9、B9/11、BaF3、
MC9/G、M+(preB M+)、2E8、RB5、DA1、123、T116
5、HT2、CTLL2、TF−1、Mo7e及びCMKを包含する(これらに
限定されることはない)細胞系のための数多くの、常法たる因子依存性細胞増殖
アッセイのいずれかによって証明される。本発明のタンパク質の活性は、他の手
段のうちとりわけ、以下の方法によって測定されるとよい。
【0113】 T−細胞または胸腺細胞増殖に対するアッセイには、Current Protocols in I
mmunology, J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevac
h, W. Strober編集、Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience 出版(Chapter 3、In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19;
Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Takaiら, J. Immunol. 137:3494
-3500, 1986; Bertagnolliら, J. Immunol. 145:1706-1712, 1990; Bertagnolli
ら, Cellular Immunology 133:327-341, 1991; Bertagnolli,ら, I. Immunol. 1
49: 3778-3783, 1992; Bowman et al, I. Immunol. 152: 1756-1761, 1994に記 載されるものが包含されるがこれらに限定されることはない。
【0114】 サイトカイン製造及び/または脾臓細胞、リンパ節細胞もしくは胸腺細胞増殖
に対するアッセイには、Kruisbeek A. M. and Shevach, E. M.、Current Protoc
ols in Immunology. J. E. e.a. Coligan編集、Vol 1 pp. 3.12.1-3.12.14, Joh
n Wiley and Sons, Toronto. 1994; and Measurement of mouse and human inte
rleukin .gamma., Schreiber, R. D.、Current Protocols in Immunology. J. E
. e.a. Coligan編集 Vol 1 pp. 6.8.1-6.8.8, John Wiley and Sons, Toronto.
1994に記載されるものが包含されるがこれらに限定されることはない。
【0115】 造血及びリンパ球新生細胞の増殖及び分化に対するアッセイには、Measuremen
t of Human and Murine Interleukin 2 and Interleukin 4, Bottomly, K., Dav
is, L. S. and Lipsky, P. E.、Current Protocols in Immunology. J. E. e.a.
Coligan編集 Vol 1 pp. 6.3.1-6.3.12, John Wiley and Sons, Toronto. 1991;
deVriesら, J. Exp. Med. 173:1205-1211, 1991; Moreauら, Nature 336:690-6
92, 1988; Greenbergerら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 80:2931-2938, 198
3, Measurement of mouse and human interleukin B--Nordan, R.、Current Pro
tocols in Immunology. J. E. e.a. Coligan編集 Vol 1 pp. 6.6.1-6.6.5, John
Wiley and Sons, Toronto. 1991; Smithら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 8
3:1857-1861, 1986; Measurement of human Interleukin 11--Bennett, F., Gi
annotti, J., Clark, S. C. and Turner, K. J.、Current Protocols in Immuno
logy. J. E. e.a. Coligan 編集 Vol 1 pp. 6. 15.1 John Wiley and Sons, Tor
onto. 1991; Measurement of mouse and human Interleukin 9--Ciarletta, A.,
Giannotti, J., Clark, S. C. and Turner, K. J.、Current Protocols in Imm
unology. J. E. e.a. Coligan 編集Vol 1 pp. 6.13.1, John Wiley and Sons, T
oronto. 1991に記載されるものが包含されるがこれらに限定されることはない。
【0116】 抗原に対するT−細胞クローン応答に対するアッセイ(とりわけ、APC−T
細胞相互作用に影響するタンパク質を同定するものと、増殖及びサイトカイン製
造を測定することによって直接的なT−細胞効果を同定するもの)には、Curren
t Protocols in Immunology, J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Marguli
es, E. M. Shevach, W Strober編集、Greene Publishing Associates and Wiley
-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function;
Chapter 6, Cytokines and their cellular receptors; Chapter 7, Immunolog
ic studies in Humans); Weinbergerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6091-
6095, 1980; Weinbergerら, Eur. J. Immun. 11:405-411, 1981; Takaiら, J. I
mmunol. 137: 3494-3500, 1986; Takaiら, J. Immunol. 140:508-512, 1988に記
載されるものが包含ささるが、これらに限定されることはない。
【0117】 [6.5.4. 免疫刺激または抑制活性] 本発明のタンパク質は、そのアッセイが本明細書に記載された活性を含め(そ
れらに限定されることはない)、免疫刺激または免疫抑制活性を呈するとよい。
本発明のポリヌクレオチドは、このような活性を呈するポリペプチドをコードす
ることができる。タンパク質は、様々な免疫不全及び障害(重症複合免疫不全(
SCID)を包含する)の処置において、例えば、T及び/またはBリンパ球の
生育及び増殖を調節する(アップレギュレーションまたはダウンレギュレーショ
ン)上で、さらにはNK細胞及び他の細胞集団の細胞溶解活性をもたらす上で、
有用であり得る。これらの免疫不全は、遺伝的なものであっても、あるいは、ウ
イルス(例えば、HIV)や、細菌もしくは真菌によって惹起されるものであっ
ても、または自己免疫異常に起因するものであってもよい。さらに詳細には、H
IV、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、ミコバクテリア、リーシュマニア亜種
、マラリア亜種、及びカンジダ症などの様々な真菌感染を包含する、ウイルス、
細菌、真菌により惹起される感染性疾患、またはその他の感染が、本発明のタン
パク質を使用して処置され得る。当然ながら、この点に関連して、本発明のタン
パク質は、一般に免疫系を強化することが望まれ得る場合、すなわちガンの処置
においても有用であり得る。
【0118】 本発明のタンパク質を使用して処置され得る自己免疫異常は、例えば、結合組
織疾患、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、慢性関節リウマチ、自己免疫性肺炎
症、ギラン・バレー症候群,自己免疫性甲状腺炎、インスリン依存性糖尿病、重
症筋無力症、移植片−宿主疾患及び自己免疫性炎症性眼疾患が包含される。かか
る本発明のタンパク質は、喘息(特にアレルギー性喘息)、または他の呼吸の不
具合などといった、アレルギー反応及びアレルギー状態の処置において有用でも
あり得る。免疫抑制が所望される(例えば、臓器移植を含める)他の状態も、本
発明のタンパク質を使用して処置可能であり得る。
【0119】 本発明のタンパク質を使用して、数多くの方法で免疫反応させることも可能で
あり得る。ダウンレギュレーションは、既に進行している免疫応答を阻害もしく
は阻止する態様であっても、または免疫応答の誘導の防止にかかるものであって
もよい。活性化T細胞の機能は、T細胞の応答を抑制することにより、もしくは
T細胞における特異的な寛容を誘導することにより、またはそれら双方によって
、活性化T細胞の機能を阻害してもよい。T細胞応答の免疫抑制は、通常は活性
、非抗原特異性のプロセスであり、これは抑制剤にT細胞が継続的に曝されるこ
とが必要である。寛容は、T細胞における非応答性または反応不顕性を誘導する
ことを包含しており、通常抗原特異的である点において免疫抑制と区別可能であ
って、寛容化剤への曝露が終わった後も持続する。操作上は、寛容化剤の非存在
下に特異抗原に曝した際のT細胞の応答欠如によって、寛容を立証することがで
きる。
【0120】 1以上の抗原機能をダウンレギュレートまたは防止すること(Bリンパ球抗原
機能(例えばB7など)を含めるが、これに限定されない)、例えば活性化T細
胞による高レベルリンホカイン合成の防止などが、組織、皮膚及び臓器移植の状
況において、また移植片対宿主病(GVHD)で有用であろう。例えば、T細胞
機能の阻止の結果、組織移植における組織破壊の低減が引き起こされるはずであ
る。典型的には、組織移植において、T細胞による外来物としての認識と、それ
に続き移植体を破壊する免疫反応を通じて移植の拒絶が惹起される。移植に先駆
けて、B7リンパ球抗原と免疫細胞上にあるその天然リガンド(1以上)との相
互作用を阻害または阻止する分子(B7−2活性を有するペプチドの可溶性モノ
マーフォームを単独、もしくは別のBリンパ球抗原(例えば、B7−1、B7−
3など)の活性を有するペプチドのモノマーフォームと組合わせて、または阻害
抗体など)を投与することで、対応する共刺激シグナルを伝達することなく、免
疫細胞上の天然リガンド(1以上)への分子の結合を導くことができる。このよ
うにしてBリンパ球抗原機能を阻害することで、T細胞などの免疫細胞によるサ
イトカイン合成が妨げられ、しかして免疫を抑制するものとして作用するのであ
る。さらに、共刺激の欠如が、T細胞を反応不顕性化するのにも充分で、それに
より被験者に寛容が誘導されるかもしれない。Bリンパ球抗原阻害剤による長期
寛容の誘導によって、これら阻害剤の反復投与の必要性が回避されるかもしれな
い。被験者で充分な免疫抑制または寛容を成し遂げるために、複数のBリンパ球
抗原の組合わせの機能を阻害することも必要であるかもしれない。
【0121】 臓器移植拒絶またはGVHDの防止における、特定の阻害剤の有効性は、ヒト
における有効性を予測させるものである動物モデルを使用して評価することがで
きる。使用することができる適切な系の例には、ラットでの同種間心臓移植と、
マウスでの異種間膵島細胞移植とが包含され、これらは双方とも、Lenschowら,
Science 257:789-792 (1992) 及びTurkaら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:
11102-11105 (1992)に記載されるごとく、CTLA4Ig融合タンパク質の免疫
抑制効果をin vivoで検査するのに使用されている。加えて、GVHDのマウス モデル(Paul 編集、Fundamental Immunology, Raven Press, New York, 1989,
pp. 846-847を参照されたい)を、その疾患の発生に対するBリンパ球抗原機能 の効果をin vivoで調べるために使用することができる。
【0122】 抗原機能の阻害はさらに、自己免疫疾患を処置するために治療上有用であり得
る。多くの自己免疫異常は、自身の組織に対して反応性を有し、そして疾患の病
理に関わるサイトカイン及び自己抗体の製造を促進するT細胞の不適切な活性化
の結果である。自己反応性T細胞の活性化の防止は、病徴を低減または排除し得
る。Bリンパ球抗原の受容体:リガンド相互作用を破壊することによってT細胞
の共刺激を阻害する試薬の投与を、T細胞活性化を阻害するために、そして疾患
プロセスに関わるかもしれない自己抗体またはT細胞由来のサイトカインの生産
を防止するために使用することができる。加うるに、阻害剤は長期間にわたる疾
患の軽減を導き得る自己反応性T細胞の抗原特異的な寛容を誘導するかもしれな
い。自己免疫異常の防止または緩和における阻害剤の有効性は、ヒト自己免疫疾
患の充分特徴付けられた、数多くの動物モデルを使用して調べることができる。
その例には、ネズミ実験的自己免疫脳炎、MRL/lpr/lpr マウスまたはNZB ハイブリッドマウスにおける全身性紅斑性狼瘡、ネズミ自己免疫コラーゲン関節
炎、NODマウス及びBBラットにおける糖尿病、ならびにネズミ実験的重症筋
無力症が包含される(Paul 編集、Fundamental Immunology, Raven Press, New
York, 1989, pp. 840-856を参照されたい)。
【0123】 免疫応答を上方制御する手段としての抗原機能(好ましくはBリンパ球抗原機
能)のアップレギュレーションもまた、治療に有用であるかもしれない。免疫応
答のアップレギュレーションは、現存する免疫応答を増強するかまたは初期免疫
応答を誘発する形をとるとよい。例えば、Bリンパ球抗原機能を刺激することを
通じて自己免疫を増強することが、ウイルス感染の場合に有用であるかもしれな
い。加えて、インフルエンザ、感冒、及び脳炎などの全身性ウイルス疾患が、B
リンパ球抗原の刺激性形態を全身投与することによって緩和される可能性もある
【0124】 あるいは、T細胞を感染患者から取り出し、本発明のポリペプチドのいずれか
をを発現している、ウイルス抗原でパルス付けされたAPCと、あるいは本発明
の可溶性ペプチドの刺激型と一緒に、in vitroでT細胞を共刺激し、そしてin v
itroで活性化したT細胞を患者に再び導入することにより、感染患者において抗
生活免疫応答は増強され得る。抗ウイルス性免疫応答を増強する別の方法として
は、患者から感染細胞を単離し、かかる細胞が本発明のタンパク質全体またはそ
の一部を細胞表面上に発現するように、本明細書における開示に従って、本発明
のタンパク質をコードする核酸で細胞をトランスフェクトして、トランスフェク
トされた細胞を患者に再び導入する方法がある。そうすれば感染細胞は、共刺激
シグナルをT細胞へin vivoで伝達し、それによりT細胞を活性化することがで きるはずである。
【0125】 腫瘍細胞の表面上に、Bリンパ球抗原(1または複数種)の活性を有している
本発明のペプチドが存在することによって、T細胞に必要な共刺激シグナルが提
供され、トランスフェクトされた腫瘍細胞に対する、T細胞による免疫応答が誘
発される。加えて、MHCクラスIもしくはMHCクラスII分子が欠如してい
るか、あるいは充分な量のMHCクラスIもしくはMHCクラスII分子を再度
発現できない腫瘍細胞を、MHCクラスIα鎖タンパク質及びβ2ミクログロブ リンタンパク質、またはMHCクラスIIα鎖タンパク質及びMHCクラスII
β鎖タンパク質の核酸の全体もしくは一部(例えば、細胞質ドメインが欠切され
た部分)でトランスフェクトして、それにより細胞表面上にMHCクラスIもし
くはMHCクラスIIタンパク質を発現させることができる。適切なクラスIま
たはクラスII MHCを、Bリンパ球抗原(例えば、B7−1、B7−2、B 7−3)の活性を有するペプチドと組合せて発現すると、トランスフェクトされ
た腫瘍細胞に対する、T細胞による免疫応答が誘発される。任意に、MHCクラ
スII関連タンパク質の発現を阻害するアンチセンス構築体をコードする遺伝子
(不変異体鎖など)もまた、Bリンパ球抗原の活性を有するペプチドをコードす
るDNAと共に共トランスフェクトされ得、しかして腫瘍関連抗原の呈示を促進
し、そして腫瘍特異的免疫性を誘発することができる。このように、ヒト被験者
における、T細胞による免疫応答を誘発することで、当該被験者における腫瘍特
異的慣用を充分に克服することができる。
【0126】 本発明のタンパク質の活性は、種々の手段のうちでも以下に記載する方法によ
って測定され得るものである。
【0127】 胸腺細胞または脾臓細胞への細胞毒性に対する好適なアッセイには、Current
Protocols in Imrnunology、J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulie
s, E. M. Shevach, W. Strober編集、Pub. Greene Publishing Associates and
Wiley-Interscience (Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Func
tion 3.1-3.19; Chapter 7, Immunologic studies in Humans); Herrmannら, Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492, 1981; Herrmannら, J. Immunol. 128
:1968-1974, 1982; Handaら, J. Immunol. 135:1564-1572, 1985; Takaiら, I.
Immunol. 137:3494-3500, 1986; Takaiら, J. Immunol. 140:508-512, 1988; He
rrmannら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2488-2492, 1981; Herrmannら, J.
Immunol. 128:1968-1974, 1982; Handaら, J. Immunol. 135:1564-1572, 1985;
Takaiら, J. Immunol. 137:3494-3500, 1986; Bowmanら, J. Virology 61:1992-
1998; Takaiら, J. Immunol. 140:508-512, 1988; Bertagnolliら, Cellular Im
munology 133:327-341, 1991 ; Brownら, J. Immunol. 153:3079-3092, 1994に 記載されたものが包含されるが、それらに限定されることはない。
【0128】 T細胞依存性イムノグロブリン応答及びアイソトープスイッチングに対するア
ッセイ(とりわけ、T細胞依存性抗体応答をモジュレートするタンパク質及びT
h1/Th2プロファイルに作用するタンパク質を同定するもの)には、Malisz
ewski, J. Immunol. 144:3028-3033, 1990; 及びAssays for B cell function:
In vitro antibody production, Mond, J. J. and Brunswick, M.、Current Pro
tocols in Immunology. J. E. e.a. Coligan 編集Vol 1 pp. 3.8.1-3.8.16, Joh
n Wiley and Sons, Toronto. 1994に記載されたものが包含されるが、それらに 限定されることはない。
【0129】 リンパ球混合反応(MLR)アッセイ(とりわけ、Th1及びCTL応答を優
先的に生み出すタンパク質を同定するもの)には、Current Protocols in Immun
ology, J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevach, W
. Strober編集、Pub. Greene Publishing Associates and Wiley Interscience
(Chapter 3, In Vitro assays for Mouse Lymphocyte Function 3.1-3.19; Chap
ter 7, Immunologic studies in Humans); Takaiら, J. Immunol. 137:3494-350
0, 1986; Takaiら, J. Immunol. 140:508-512, 1988; Bertagnolliら, J. Immun
ol. 149:3778-3783, 1992に記載されたものが包含されるが、それらに限定され ることはない。
【0130】 樹状細胞依存性アッセイ(とりわけ、天然のT細胞を活性化する樹状細胞によ
って発現されるタンパク質を同定するもの)には、Gueryら, J. Immunol. 134:5
36-544, 1995; Inabaら, Journal of Experimental Medicine 173:549-559, 199
1; Macatoniaら, Journal of Immunology 154:5071-5079, 1995; Porgadorら, J
ournal of Experimental Medicine 182:255-260, 1995; Nairら, Journal of Vi
rology 67:4062-4069, 1993; Huangら, Science 264:961-965, 1994; Macatonia
ら, Journal of Experimental Medicine 169:1255-1264, 1989; Bhardwajら, Jo
urnal of Clinical Investigation 94:797-807, 1994;及びInabaら, Journal of
Experimental Medicine 172:631-640, 1990に記載されたものが包含されるが、
それらに限定されることはない。
【0131】 リンパ球生存/アポトーシスに対するアッセイ(とりわけ、スーパー抗原誘導
後のアポトーシスを妨げるタンパク質及びリンパ球恒常性を調節するタンパク質
を同定する)には、Darzynkiewiczら, Cytometry 13:795-808, 1992; Gorczyca ら, Leukemia 7:659-670, 1993; Gorczycaら, Cancer Research 53:1945-1951,
1993; Itohら, Cell 66:233-243, 1991; Zacharchuk, Journal of Immunology 1
45:4037-4045, 1990; Zamaiら, Cytometry 14:891-897, 1993; Gorczycaら, Int
ernational Journal of Oncology 1:639-648, 1992に記載されたものが包含され
るが、それらに限定されることはない。
【0132】 T細胞の方向付け(コミットメント)及びの初期の工程に影響を及ぼすタンパ
ク質に対するアッセイには、Anticaら, Blood 84:111-117, 1994; Fineら, Cell
ular Immunology 155:111-122, 1994; Galyら, Blood 85:2770-2778, 1995; Tok
iら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7548-7551, 1991に記載されたものが包含
されるが、それらに限定されることはない。
【0133】 [6.5.5. 造血調節活性] 本発明のタンパク質は、造血の調節において有用であり得、また結果的に、骨
髄細胞またはリンパ系細胞の欠陥の処置において有用であり得る。コロニー形成
細胞または因子依存性細胞系を支持する最低限の生物学的活性でも、造血の調節
への関与を示唆するのである。その例として挙げられるのは、赤血球系前駆細胞
の成長及び増殖を、単独もまたは他のサイトカインと併せて支持すること(それ
により例えば、様々な貧血を処置する上での、または赤血球前駆細胞及び/もし
くは赤血球細胞の産生を刺激すべく、放射線療法/化学療法と併用するためなど
の有用性が示唆される);顆粒球及び単球/マクロファージなどの骨髄細胞の成
長及び増殖(すなわち、旧来のCSF活性)を(例えば、結果として生じる骨髄
抑制を防止すべく化学療法と併用するなど)支持すること;巨核球の成長及び増
殖を支持して、結果的に血小板の成長及び増殖を支持し、それにより血小板減少
症などの様々な血小板障害の予防または処置を可能にし、また一般的には血小板
輸液の代わりもしくは補完するものとしての使用を可能とすること;ならびに/
または前記造血細胞のいずれかそしてすべてに成熟することができ、従って様々
な幹細胞障害(再生不良性貧血及び発作性夜間ヘモグロビン尿症を含め(これら
に限定されない)、通常は移植で処置される障害など)における治療用途や、さ
らには正常細胞もしくは遺伝子療法用に遺伝的に操作された細胞として、in-viv
o もしくはex-vivoのいずれか(すなわち、骨髄移植もしくは末梢前駆細胞移植 (同種もしくは異種)との併用)で、放射線療法/化学療法後の幹細胞区画の再
増殖における治療用途が認められる、造血幹細胞の成長及び増殖を支持すること
などである。
【0134】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のうちでも以下の方法によって測定す
ることができる。
【0135】 様々な造血細胞系の増殖及び分化に対する好適なアッセイは、前掲記のとおり
である。
【0136】 胎児幹細胞分化に対するアッセイ(とりわけ、胎児の分化造血に影響を及ぼす
タンパク質を同定するもの)には、Johanssonら Cellular Biology 15:141-151,
1995; Kellerら, Molecular and Cellular Biology 13:473-486, 1993; McCian
ahanら, Blood 81:2903-2915, 1993に記載されたものが包含されるが、それらに
限定されることはない。
【0137】 幹細胞の生存及び分化に対するアッセイ(とりわけ、リンパ−造血を調節する
タンパク質を同定するもの)には、Methylcellulose colony forming assays, F
reshney, M. G. In Culture of Hematopoietic Cells. R. I. Freshney,ら 編集
Vol pp. 265-268, Wiley-Liss, Inc., New York, N.Y. 1994; Hirayamaら, Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 89:5907-5911, 1992; Primitive hematopoietic colo
ny forming cells with high proliferative potential, McNiece, I. K. and B
riddell, R. A. In Culture of Hematopoietic Cells. R. I. Freshney,ら 編集
Vol pp. 23-39, Wiley-Liss, Inc., New York, N.Y. 1994; Nebenら, Experime
ntal Hematology 22:353-359, 1994; Cobblestone area forming cell assay, P
loemacher, R. E. in Culture of Hematopoietic Cells. R. I. Freshney,ら 編
集 Vol pp. 1 -21, Wiley-Liss, Inc., New York, N.Y. 1994; Long term bone
marrow cultures in the presence of stromal cells, Spooncer, E., Dexter,
M. and Allen, T. In Culture of Hematopoietic Cells. R. I. Freshney,ら 編
集 Vol pp. 163-179, Wiley-Liss, Inc., New York, N.Y. 1994; Long term cul
ture initiating cell assay, Sutherland, H. J. In Culture of Hematopoieti
c Cells. R. I. Freshneyら 編集 Vol pp. 139-162, Wiley-Liss, Inc., New Yo
rk, N.Y. 1994に記載されたものが包含されるが、それらに限定されることはな い。
【0138】 [6.5.6. 組織成長活性] 本発明のタンパク質はまた、骨、軟骨、腱、靭帯及び/もしくは神経組織の成
長または再生のため、さらに創傷治癒ならびに組織修復及び置換のために、そし
て火傷、切開及び潰瘍の処置に使用される組成物における有用性も有している。
【0139】 本発明のタンパク質で、骨が正常に形成されない場合に軟骨及び/または骨の
成長を誘導するものは、ヒト及び他の動物における骨折及び軟骨損傷もしくは欠
損の治癒に適用できる。本発明のタンパク質を用いるこのような調製物は、閉鎖
骨折そして開放骨折の低減における予防的用途、さらに人工関節の固定の向上に
も用途を有する。骨形成剤によって誘導される新生骨形成は、先天性、外傷誘発
性、または腫瘍学的切除で誘発された頭蓋欠損の修復に寄与し、そして美容整形
外科においても有用である。
【0140】 本発明のタンパク質は、歯周病、及びその他の歯修復プロセスの処置において
も使用され得る。かかる薬剤は、骨形成細胞を誘引する環境を提供し、骨形成細
胞の成長を刺激し、または骨形成細胞の前駆体の分化を誘導し得る。本発明のタ
ンパク質はさらに、骨及び/もしくは軟骨修復の刺激を通じて、または炎症の阻
害、もしくは炎症プロセスによって媒介される組織破壊のプロセス(コラゲナー
ゼ活性、破骨細胞活性等)を阻害することによるものなど、骨粗鬆症または骨関
節炎の処置においても有用である。
【0141】 本発明のタンパク質に寄与可能となり得る組織再生活性の別の範疇に、腱/靭
帯形成がある。本発明のタンパク質で、腱/靭帯様組織もしくは他の組織の形成
を、かかる組織が正常に形成されない条件下で誘導するものは、ヒト及びその他
の動物における、腱もしくは靭帯の披裂、変形、及び他の腱または靭帯の欠損の
治癒に適用できる。腱/靭帯様組織を誘導するタンパク質を用いた調製物は、腱
もしくは靭帯組織への損傷を防止する予防的用途と、さらに骨もしくはその他の
組織への腱もしくは靭帯の固定の向上、または腱もしくは靭帯組織への欠損を修
復する上での用途も有している。本発明の組成物によって誘導される新生腱/靭
帯様組織形成は、先天性、外傷誘発性、またはその他の原因による腱もしくは靭
帯欠損の修復に寄与し、そして腱もしくは靭帯の付着もしくは修復のための美容
整形外科においても有用である。本発明の組成物は、腱形成細胞もしくは靭帯形
成細胞を誘引する環境、腱形成細胞もしくは靭帯形成細胞の成長を刺激する環境
、腱形成細胞もしくは靭帯形成細胞の前駆体の分化を誘導する環境、または組織
修復に作用させるべくin vivoに戻すためのex vivoの腱/靭帯細胞もしくは前駆
体の成長を誘導する環境を提供し得る。本発明の組成物は、腱炎、心皮巣(carp
el tunnel)症候群及びその他の腱もしくは靭帯欠損の処置においても有用であ る。
【0142】 本発明のタンパク質はまた、神経細胞の増殖、ならびに神経及び脳組織の再生
、すなわち、中枢及び末梢神経系疾患ならびに神経障害(ニューロパシー)の処
置のため、そして機械的及び外傷性障害で、神経細胞もしくは神経組織への変性
、死または外傷に関わるものの処置のためにも有用であり得る。さらに詳細には
、タンパク質は、末梢神経の傷害、末梢性神経障害及び局所性神経障害などの末
梢神経系の疾患、ならびにアルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬
化症、及びシャイ・ドレーガー症候群などの中枢神経系疾患の処置において有用
であり得る。本発明によって処置され得るさらなる状態には、脊髄障害、頭部外
傷及び卒中などの脳血管疾患等、機械的及び外傷性障害が包含される。化学療法
または機械療法に起因する末梢神経障害もまた、本発明のタンパク質を使用して
処置することができる。
【0143】 本発明のタンパク質は、圧迫潰瘍、脈管不全に関連する潰瘍、外科的及び外傷
性創傷などを含めた(それらに限定されることはない)進行性創傷のより良好な
もしくはより迅速な封鎖を促進するためにも使用され得る。
【0144】 本発明のタンパク質は、臓器(例えば、膵臓、肝臓、腸、腎臓、皮膚、内皮を
含む)、筋肉(平滑筋、骨格筋もしくは心筋)及び脈管(血管内皮を含む)組織
などの、その他の組織の発生または再生に対する活性、あるいはかかる組織を含
む細胞の成長を促進する活性をも呈し得るものである。望ましい効果の一部は、
正常組織の再生を可能とする、線維性瘢痕の阻害もしくはモジュレーションによ
るものである。本発明のタンパク質は、血管形成活性も呈し得る。
【0145】 本発明のタンパク質はさらに、腸の保護もしくは再生及び肺もしくは肝線維症
、様々な組織での再灌流障害、ならびに全身的なサイトカイン損傷に起因する状
態のためにも有用であり得る。
【0146】 本発明のタンパク質はまた、前記組織の前記組織もしくは前駆細胞からの分化
を促進または阻害するため、あるいは前記組織の成長を阻害するためにも有用で
あり得る。
【0147】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のなかでも、以下の方法によって測定
されるとよい。
【0148】 組織産生活性に対するアッセイには、国際特許公開No.W095/1603
5(骨、軟骨、腱);国際特許公開No.W095/05846(神経、ニュー
ロン);国際特許公開No.W091/07491(皮膚、内皮)に記載された
ものが包含されるが、それらに限定されることはない。
【0149】 創傷治癒活性に対するアッセイには、Winter, Epidermal Wound Healing, pps
. 71-112 (Maibach, H. I. and Rovee, D. T., 編集), Year Book Medical Publ
ishers, Inc., Chicago, as modified by Eaglstein and Mertz, J. Invest. De
rmatol 71:382-84(1978)に記載されたものが包含されるが、それらに限定される
ことはない。
【0150】 [6.5.7. アクチビン/インヒビン活性] 本発明のタンパク質は、アクチビン関連またはインヒビン関連活性も呈し得る
ものである。本発明のポリヌクレオチドは、かかる特性を呈するポリペプチドを
コードするものであるとよい。インヒビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放
出を阻害する能力によって特徴付けられ、一方アクチビンは、卵胞刺激ホルモン
(FSH)の放出を促進する能力によって特徴付けられる。かくして、本発明の
タンパク質は、単独または、インヒビンα−ファミリーのメンバーとのヘテロダ
イマーにて、インヒビンの雌性哺乳動物における受精能を低減する、及び優性哺
乳動物における***形成を低減する能力に基づく避妊薬として有用であるかもし
れない。他のインヒビンを充分な量投与することで、これら哺乳動物における不
妊症を誘導することができる。あるいは、本発明のタンパク質は、ホモダイマー
にて、もしくはインヒビンβ群の他のタンパク質サブユニットとのヘテロダイマ
ーにて、下垂体前葉の細胞からのFSH放出を刺激するアクチビン分子の能力に
基づく、受精能誘導治療剤としても有用であり得る。例えば、米国特許No.4
,798,885を参照されたい。本発明のタンパク質は、ウシ、ヒツジ、ブタ
などの家畜の一生の繁殖能力を増大するために、性的に未成熟な哺乳動物におけ
る受精能の開始を早めるためにも有用であり得る。
【0151】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のうちでも、以下の方法によって測定
されるとよい。
【0152】 アクチン/インヒビン活性に対するアッセイには、Valeら, Endocrinology 91
:562-572, 1972; Lingら, Nature 321:779-782, 1986; Valeら, Nature 321:776
-779, 1986; Masonら, Nature 318:659-663, 1985; Forageら, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA 83:3091-3095, 1986に記載されたものが包含されるが、それらに限
定されることはない。
【0153】 [6.5.8. 化学走性/ケモカイン活性] 本発明のタンパク質は、例えば、単球、線維芽細胞、好中球、T細胞、肥満細
胞、好酸球、上皮及び/もしくは内皮細胞などを含めた哺乳動物細胞に対する化
学走性またはケモカイン活性(例えば、ケモカインとしての作用)を有し得る。
本発明のポリヌクレオチドは、かかる特質を呈するポリペプチドをコードするこ
とができるものである。化学走性及びケモカインタンパク質を、所望の作用部位
に所望の細胞集団を移動させるかまたは誘引するために使用することができる。
化学走性またはケモカインタンパク質は、創傷及び組織に対するその他の外傷の
処置において、さらに局所的な感染の処置においても、特に利点を提供するもの
である。例えば、腫瘍または感染部位へのリンパ球、単球または好中球の誘引の
結果、腫瘍または感染物質に対する免疫応答の改善へと導くことができる。
【0154】 タンパク質またはペプチドは、特定の細胞集団の方向付けられた指向または動
きを直接的または間接的に刺激することができれば、かかる特定の細胞集団に対
する化学走性活性を有することとなる。おそらく、タンパク質またはペプチドは
、細胞の方向付けられた動きを直接的に刺激する能力を有している。特定のタン
パク質が、細胞の集団に対する化学走性活性を有しているかどうかは、細胞化学
走性に対する様々な既知のアッセイにて、かかるタンパク質またはペプチドを使
用することによって難なく調べることができる。
【0155】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のうちでも、以下の方法によって測定
されるとよい。
【0156】 化学走性活性に対するアッセイ(化学走性を誘導または防止するタンパク質を
同定するもの)は、膜を越えて細胞が移動することを誘導するタンパク質の能力
、そして1つの細胞集団が別の細胞集団に接着することを誘導するタンパク質の
能力を測定するアッセイからなる。移動と接着に対する好適なアッセイには、Cu
rrent Protocols in Immunology, J. E. Coligan. A. M. Kruisbeek, D. H. Mar
guiles, E. M. Shevach, W. Strober編集、Pub. Greene Publishing Associates
and Wiley-Interscience (Chapter 6.12, Measurement of alpha and beta Che
mokines 6.12.1-6.12.28; Taubら J. Clin. Invest. 95:1370-1376, 1995; Lind
ら APMIS 103:140-146, 1995; Muller et al Eur. J. Immunol. 25:1744-1748;
Gruberら J. of Immunol. 152:5860-5867, 1994; Johnston et at. J. Immunol.
153:1762-1768, 1994に記載されたものが包含されるが、それらに限定されるこ
とはない。
【0157】 [6.5.9. 止血及び血栓溶解活性] 本発明のタンパク質は、止血または血栓溶解活性を呈することもできる。本発
明のポリヌクレオチドは、かかる特質を呈するポリペプチドをコードすることが
できるものである。このようなタンパク質は、様々な凝固障害(血友病などの遺
伝病を含む)の処置に有用であることが期待され、あるいは外傷、外科手術もし
くは他の場合などに起因する創傷の処置における、凝固及び他の止血現象を増強
することが期待される。本発明のタンパク質は、血栓の溶解または形成阻害のた
めにも、またそれらの結果引き起こされる状態(例えば、心臓及び中枢神経系血
管の梗塞(例えば卒中)など)の処置及び防止のためにも有用であり得る。
【0158】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のうちでも、以下の方法によって測定
されるとよい。
【0159】 止血及び血栓溶解活性に対するアッセイには、Linetら, J. Clin. Pharmacol.
26:131-140, 1986; Burdickら, Thrombosis Res. 45:413-419, 1987; Humphrey
ら, Fibrinolysis 5:71-79 (1991); Schaub, Prostaglandins 35:467-474, 1988
に記載されたものが包含されるが、それらに限定されることはない。
【0160】 [6.5.10. 受容体/リガンド活性] 本発明のタンパク質は、受容体、受容体リガンドまたは受容体/リガンド相互
作用の阻害剤もしくはアンタゴニストとしての活性も示し得る。本発明のポリヌ
クレオチドは、かかる特性を呈するポリペプチドをコードすることができる。か
かる受容体とリガンドの例には、サイトカイン受容体及びそれらのリガンド、受
容体キナーゼ及びそれらのリガンド、受容体ホスファターゼ及びそれらのリガン
ド、細胞−細胞相互作用に関わる受容体及びそれらのリガンド(細胞接着分子(
セレクチン、インテグリン及びそれらのリガンドなど)ならびに抗原提示、抗原
認識ならびに細胞性及び体液性免疫応答の発生に関わる受容体/リガンド対を含
むがそれらに限定されることはない)を含むがそれらに限定されることはない。
受容体及びリガンドは、関連する受容体/リガンド相互作用の、可能なペプチド
または小分子阻害剤のスクリーニングのためにも有用である。本発明のタンパク
質(受容体及びリガンドの断片を含むが、それらに限定されることはない)は、
それ自体が受容体/リガンド相互作用の阻害剤として有用であり得る。
【0161】 本発明のタンパク質の活性は、他の手段のうちでも、以下の方法によって測定
されるとよい。
【0162】 受容体−リガンド活性に対する好適なアッセイには、Current Protocols in I
mmunology, J. E. Coligan, A. M. Kruisbeek, D. H. Margulies, E. M. Shevac
h, W. Strober編集、Pub. Greene Publishing Associates and Wiley-Interscie
nce (Chapter 7.28, Measurement of Cellular Adhesion under static conditi
ons 7.28.1-7.28.22), Takaiら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:6864-6868, 1
987; Biererら, J. Exp. Med. 168:1145-1156, 1988; Rosensteinら, J. Exp. M
ed. 169:149-160; Stoltenborgら, J. Immunol. Methods 175:59-68, 1994; Sti
ttら, Cell 80:661-670, 1995に記載されたものが包含されるが、それらに限定 されることはない。
【0163】 [6.5.11. 抗炎症活性] 本発明のタンパク質は、抗炎症活性も呈し得る。抗炎症活性は、炎症性応答に
関与する細胞に対する刺激を提供することによって、細胞−細胞相互作用(例え
ば、細胞接着など)を阻害もしくは促進することによって、炎症プロセスに関与
する細胞の化学走性を阻害もしくは促進すること、細胞の管外遊出を阻害もしく
は促進することによって、または炎症応答をより直接的に阻害もしくは促進する
その他の因子の産生を刺激もしくは抑制することによって、達成され得るもので
ある。かかる活性を呈するタンパク質は、感染に関わる暗示(敗血症性ショック
、敗血症もしくは全身性炎症反応症候群(SIRS)など)、虚血性再灌流傷害
、致死的内毒素、関節炎、補体媒介超急性拒絶、腎炎、サイトカインもしくはケ
モカインで誘導される肺傷害、炎症性腸疾患、クローン病またはTNFもしくは
IL−1などのサイトカインの過剰産生に起因する疾患を含めた(それらに限定
されることはない)、慢性もしくは急性状態の何れの炎症状態を処置するのにも
使用することができる。本発明のタンパク質はまた、アナフィラキシー及び抗原
物質もしくは材料への過敏症を処置するのにも有用であるかもしれない。
【0164】 [6.5.12. 白血病] 白血病及び関連障害は、本発明のポリヌクレオチド及び/もしくはポリペプチ
ドの機能を促進または阻害する治療剤を投与することによって、処置または防止
され得る。このような白血病及び関連障害には、急性白血病、急性リンパ球性白
血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白
血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病及び慢性リンパ球性白血病(
以上の障害の総説については、Fishmanら, 1985, Medicine, 第2版、J. B. Lipp
incott Co., Philadelphia)が包含されるが、それらに限定されることはない。
【0165】 [6.5.13. 神経系障害] 神経系の障害は、本発明のポリヌクレオチド及び/またはポリペプチドの活性
をモジュレートする化合物で、介入の効率について調べることができる細胞型に
関与しており、そのため、かように治療用途の徴候を観察することで処置するこ
とができるもので、それには神経系の傷害、そして軸索の連絡切断、ニューロン
の減損もしくは変性、または脱髄のいずれかを引き起こすような疾患または障害
が包含されるが、それらに限定されることはない。本発明によって処置され得る
患者の神経系傷害には、中枢(脊髄、脳を含む)または末梢神経系のいずれかの
以下の傷害が包含されるが、それらに限定されることはない。
【0166】 (i)物理的傷害によって惹起される傷害、または例えば、神経系の一部を切
断する傷害、もしくは圧縮傷害などの外科に関わる傷害を包含する外傷性傷害; (ii)神経系の一部における酸素の欠乏が、脳梗塞もしくは脳虚血を含めた
神経障害もしくは神経死を引き起こす虚血性傷害、または脊髄梗塞もしくは虚血
; (iii)神経系に関わる悪性腫瘍もしくは神経系以外の組織に由来する悪性
腫瘍の何れかである悪性組織によって破壊もしくは傷害を与えられた神経系の一
部における悪性傷害; (iv)感染の結果、例えば、膿瘍によって、またはヒト免疫不全ウイルス、
帯状ヘルペス、もしくは単純ヘルペスウイルスによる感染に関わるか、もしくは
ライム病、結核、梅毒に関わって、破壊もしくは傷害を与えられた神経系の一部
における感染性傷害; (v)パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、もしくは筋
萎縮性側索硬化症を包含する(それらに限定されることはない)変性プロセスの
結果破壊もしくは傷害を与えられた神経系の一部における変性傷害; (vi)ビタミンB12欠乏、葉酸欠乏、ウェルニッケ病、タバコ−アルコール
性弱視、マルキアファーヴァ・ビニャーミ病(脳梁の一次変性)、及びアルコー
ル性小脳変性を包含する(それらに限定されることはない)栄養障害もしくは代
謝の障害によって、破壊もしくは傷害を与えられた神経系の一部における栄養性
疾患もしくは栄養障害に関わる傷害; (vii)糖尿病(糖尿病性ニューロパシー、ベル(顔面神経)麻痺)、全身
性エリテマトーデス、ガン腫、もしくはサルコイドーシスを包含する(それらに
限定されることはない)全身性疾患に関わる神経学的傷害; (viii)アルコール、鉛、もしくは特定の神経毒を含む毒性物質によって
惹起される傷害;ならびに (ix)多発性硬化症、ヒト免疫不全ウイルスに関わる脊髄症、横断脊髄障害
を包含する(それらに限定されることはない)脱髄疾患もしくは様々な病因、進
行性多巣性白質脳症、及び橋中央ミエリン溶解によって破壊もしくは傷害を与え
られた神経系の一部における脱髄傷害。
【0167】 神経系障害の処置のために有用な本発明の治療剤は、ニューロンの生存または
分化を促進する生物学的活性を試験することによって選択され得る。例えば、以
下の効果、すなわち、 (i)培養でのニューロンの生存時間の増大; (ii)培養でもしくはin vivoでのニューロンの出芽の増大; (iii)培養もしくはin vivoでのニューロン関連分子(例えば、運動ニュー ロンに関してはコリンアセチルトランスフェラーゼもしくはアセチルコリンエス
テラーゼなど)の産生の増大;または (iv)in vivoでのニューロン機能障害の症状の減少 の何れかを奏する治療剤が本発明において有用であるが、それらに限定されるこ
とはない。 このような効果は、当該技術分野で知られている様々の方法によって測定され得
る。好ましい非限定的な実施態様において、ニューロンの生存の増大はArakawa ら (1990, J. Neurosci. 10:3507-3515)によって測定され得;ニューロンの出芽
の増大はPestronkら (1980, Exp. Neurol. 70:65-82)もしくはBrownら (1981, A
nn. Rev. Neurosci. 4:17-42)によって測定され得;ニューロン関連分子の産生 の増大は、測定されるべき分子によって、バイオアッセイ、酵素アッセイ、抗体
結合、ノザンブロットアッセイ等によって測定され得;そして運動ニューロン障
害機能は、例えば、衰弱、運動ニューロン伝導速度、もしくは機能的能力障害な
どの運動ニューロン障害の身体的症状を評価することによって測定され得る。
【0168】 特定の実施態様において、本発明によって処置され得る運動ニューロン障害に
は、梗塞、感染、毒素への曝露、外傷、外科的損傷、運動ニューロンと神経系の
他の成分にも作用し得る変性疾患もしくは悪性腫瘍、そして筋萎縮性側索硬化症
など選択的にニューロンに作用する障害を含み(それらに限定されることはない
)、そして進行性脊髄筋萎縮症、進行性延髄麻痺、一次萎縮性側索硬化症、幼児
性及び若年性筋萎縮、小児の進行性延髄麻痺(ファチオ・ロンデ症候群)、灰白
髄炎及び小児麻痺後症候群、ならびに遺伝性運動知覚ニューロパシー(シャルコ
ー・マリー・ツース病)などの障害が包含されるが、それらに限定されることは
ない。
【0169】 [6.5.14. 他の活性] 本発明のタンパク質は、1以上の以下の追加の活性または効果を示してもよい
;これらに限定されないが、細菌類、ウイルス類、真菌類及び寄生体類を含む感
染性薬剤の成長、感染もしくは機能を阻害する、または前記薬剤を死滅させるこ
と;これらに限定されないが、身長、体重、髪の色、目の色、皮膚、痩せ割合に
対する肥満度(fat to lean ratio)もしくは他の組織の色素沈着、または器官 もしくは体の部分サイズもしくは外観(例えば、胸部の増大もしく縮小、骨の形
態もしくは外観の変化など)を含む身体的特徴に変化をもたらすこと(抑制また
は増強すること);バイオリズムまたはカリカディックサイクル(caricadic cy
cles)もしくはリズムに変化をもたらすこと;雄性または雌性の対象の生殖能力
に変化をもたらすこと;食事の脂肪、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミン類
、ミネラル類、コファクターまたは他の栄養因子もしくは成分(類)の代謝、異
化、同化、加工、利用、貯蓄または排除に変化をもたらすこと;これらに限定さ
れないが、食欲、性的衝動、ストレス、(認識障害を含む)認識、(抑うつ性の
障害を含む)減退及び暴力行動を含む行動特徴に変化をもたらす;鎮痛効果また
は他の痛みを緩和する効果を提供すること;造血細胞系以外の細胞系における胚
幹細胞の分化と成長をプロモーションすること;ホルモン活性または内分泌活性
;酵素の場合、前記酵素の欠失を是正し、欠失に関連した疾患を治療すること;
(例えば、乾癬など)過増殖性障害の治療;(例えば、抗原または補体と結合す
る能力など)イムノグロブリン様活性;ならびにこのようなタンパク質か、この
ようなタンパク質と交差反応性のある別の材料または実体物に対する免疫応答を
生じるためのワクチン組成物において抗原として行動する能力。
【0170】 [6.6. 医薬製剤及び投与経路] 本発明のタンパク質(組換え及び非組換え供給源に由来するものを含むが、そ
れらに限定されることなく、種々の供給源に由来する)は、必要とする患者に、
様々な障害を治療または改善するための用量で、前記タンパク質自体で、または
前記タンパク質を適当な担体または(複数の)賦形剤と混合した医薬組成物で投
与してもよい。このような組成物は(タンパク質及び担体に加えて)、希釈剤、
充填剤、塩類、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野でよく知られた他
の材料も含有していてもよい。「薬学的に許容しうる」という用語は、(複数の
)有効成分の生物学的活性の効果を妨害しない非毒性の材料を意味する。前記担
体の特徴は、投与経路に依存するであろう。また、本発明の医薬組成物は、例え
ば、M−CSF、GM−CSF、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL
−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL
−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IFN、TNF0
、TNF1、TNF2、G−CSF、Meg−CSF、トロンボポエチン、幹細
胞因子、及びエリスロポエチンなどのサイトカイン類、リフォカイン類、または
他の造血因子も含有していてもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、前記タン
パク質の活性を高めるか、その活性または治療における使用を引き立たせるかの
どちらかの他の薬剤を含有していてもよい。このような追加の因子及び/または
薬剤は本発明のタンパク質と共に相乗効果を生じるため、または副作用を最小に
するために、医薬組成物に含有されていてもよい。逆に、本発明のタンパク質は
、特定のサイトカイン、リフォカイン、他の造血因子、血栓溶解性もしくは抗血
栓性因子、または抗炎症剤の副作用を最小にするために前記サイトカイン、リフ
ォカイン、その他の造血因子、血栓溶解性もしくは抗血栓性因子、または抗炎症
剤の製剤に含有されていてもよい。本発明のタンパク質は、それ自身または他の
タンパク質との多量体(例えば、ヘテロダイマーもしくはホモダイマー)または
複合体において活性であってもよい。結果として、本発明の医薬組成物は、その
ような多量体化した形態または複合体化した形態で本発明のタンパク質を含んで
いてもよい。
【0171】 本発明の化合物の製剤及び投与の技術は、"Remington's Pharmaceutical Scie
nces," Mack Publishing Co., Easton, PA, 最新版に見い出しうる。さらに薬学
的有効用量については、例えば、関連した医療状態の治療、治癒、予防もしくは
改善などの症状の改善、またはこのような状態の治療、治癒、予防または改善の
速度の増大を結果としてもたらすに充分な化合物の量を参照する。単独で投与さ
れる、個々の有効成分を適用する際は、治療上の有効用量は前記成分単独を参照
する。組合わせに適用する際には、治療効果をもたらす有効成分の組合わせた量
、治療上の有効用量が連続してまたは同時に、組合せて投与されるかどうかを参
照する。
【0172】 本発明の治療または使用方法を実行する際、本発明のタンパク質の治療上の有
効量を治療すべき状態を有するほ乳動物に投与する。本発明のタンパク質は、本
発明の方法に従って単独かサイトカイン類、リフォカイン類、他の造血因子を用
いる治療などの他の療法との組合わせかのいずれかで投与してもよい。1以上の
サイトカイン類、リフォカイン類または他の造血因子と共に投与する場合、本発
明のタンパク質を前記サイトカイン(類)、リフォカイン(類)、他の造血因子
(類)、血栓溶解性もしくは抗血栓性因子類と同時にか、連続的にかのいずれか
で投与してもよい。連続的に投与する場合、担当する医師が前記サイトカイン(
類)、リフォカイン(類)、他の造血因子(類)、血栓溶解性もしくは抗血栓性
因子類と組合わせて本発明のタンパク質を投与する適当な順序を決定するであろ
う。
【0173】 [6.6.1. 投与経路] 投与の適当な経路は、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、または腸投
与;髄腔内注射、直接心室内注射、静脈注射、腹腔内注射、鼻腔内注射、または
眼内注射に加えて、筋肉注射、皮下注射、骨髄内注射を含む非経口送達を含んで
いてもよい。前記医薬組成物に用いられるか本発明の方法を実施するために用い
られる本発明のタンパク質の投与は、経口摂取、吸入、局所適用または皮膚注射
、皮下注射、腹腔内注射、非経口注射もしくは静脈注射などの、様々な通常の方
法で行うことができる。患者への静脈投与が好ましい。
【0174】 これとは別に、前記化合物を例えば、関節炎の関節中にまたは線維症組織への
直接的な前記化合物の注射により、しばしばデポ製剤または持続性製剤で、全身
的な手法よりもむしろ局所的な手法で投与してもよい。しばしば緑内障手術の合
併症として生じる傷跡を残す過程を予防するために、前記化合物を例えば点眼液
として、局所的に投与してもよい。さらにまた、薬物を標的化した薬物送達シス
テムにおいて、例えば、関節炎組織または線維症組織を標的とする、例えば特異
的な抗体でコーティングしたリポソームにおいて、投与してもよい。前記リポソ
ームは標的化され罹患した組織によって選択的に吸収されるであろう。
【0175】 [6.6.2. 組成物/製剤] それゆえに本発明に従って使用する医薬組成物は、薬学的に用いることができ
る調製物への活性化合物の加工を容易にする賦形剤及び助剤を含む1以上の生理
的に許容できる担体を用いる通常の方法で形成してもよい。これらの医薬組成物
は、それ自体既知の方法で、例えば、通常の混合過程、溶解過程、顆粒化過程、
糖衣形成過程、研和過程、乳化過程、カプセル充填過程、捕捉過程または凍結乾
燥過程によって製造してもよい。適当な製剤は、選択される投与経路に依存する
。治療上の有効量の本発明のタンパク質が経口投与されるとき、本発明のタンパ
ク質は、錠剤、カプセル剤、粉剤、溶液またはエリキシル剤の形態であろう。錠
剤形態で投与されるとき、本発明の医薬組成剤は、追加的にゼラチンまたはアジ
ュバントなどの個体担体を含んでいてもよい。前記錠剤、カプセル剤、及び粉剤
は、約5〜95%の本発明のタンパク質を含み、好ましくは約25〜90%の本
発明のタンパク質を含む。液体形態で投与するとき、水、石油、ピーナッツ油、
鉱油、大豆油、もしくはごま油などの動物もしくは植物起源の油、または合成油
などの液体担体を加えてもよい。前記医薬調製物の液体形態は、生理的塩溶液、
デキストロースもしくは他の糖溶液、またはエチレングリコール、プロピレング
リコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール類をさらに含んでいて
もよい。液体形態で投与するとき、前記医薬調製物は、約0.5〜90重量%の
本発明のタンパク質を含み、好ましくは約1〜50重量%の本発明のタンパク質
を含む。
【0176】 治療上の有効量の本発明のタンパク質を静脈注射、皮膚注射または皮下注射に
より投与するとき、本発明のタンパク質は、発熱物質を含まず、非経口的に許容
しうる水溶液の形態であろう。充分に顧慮されたpH、等張性、安定性、などを
含有するこのような非経口的に許容しうるタンパク質溶液の調製物は、当該技術
に含まれる。静脈注射、皮膚注射または皮下注射用の好ましい医薬組成物は、本
発明のタンパク質に加えて、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロー
ス注射、デキストロース及び塩化ナトリウム注射などの等張ビヒクル、または当
該技術分野で既知の他のビヒクルを含むべきである。本発明の医薬組成物はまた
、安定化剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、または当業者にとって既知の他の添加
剤をも含んでいてもよい。注射用に、本発明の薬剤を水溶液中で、好ましくはハ
ンクス溶液、リンガー溶液、または生理的食塩緩衝液などの生理的に和合する緩
衝液中で製剤化してもよい。経粘膜投与用に、浸透すべきバリアーに適した浸透
剤を製剤中に用いる。このような浸透剤は、当該技術分野において一般的によく
知られている。
【0177】 経口投与用に、前記化合物は、活性化合物と当該技術分野において周知の薬学
的に許容しうる担体とを組合わせることによって容易に製剤化できる。このよう
な担体により、治療すべき患者による経口摂取のための、錠剤、ピル剤、糖衣錠
剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして本
発明の化合物を製剤化することが可能となる。経口使用のための医薬調製物は、
固体賦形剤を得ることができ、錠剤または糖衣錠の核を得るために、得られた混
合物を粉砕し、要すれば、随意に好ましい助剤を添加した後に、顆粒の混合物に
加工する。適した賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、ま
たはソルビトールを含む、糖類などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、
小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントゴム、
メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースナトリウム、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセル
ロース調製物である。所望すれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはア
ルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩などの崩壊剤を添加
してもよい。糖衣錠の核は適当なコーティングを伴って提供される。この目的で
、濃縮糖溶液を用いてもよく、この溶液は、アラビアゴム、タルク、ポリビニル
ピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化
チタン、ラッカー溶液類、及び適当な有機溶媒または溶媒混合物類を随意に含有
する。色素類または顔料類は同定するためにまたは活性化合物の用量の異なる組
合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣コーティングに添加してもよい。
【0178】 経口的に用いることができる医薬調製物は、ゼラチンとグリセロールまたはソ
ルビトールなどの可塑剤からできている、ソフト、シールドカプセルに加えて、
ゼラチンからできている押込め嵌めカプセルを含む。前記押込め嵌めカプセルは
有効成分をラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/またはタル
クまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに随意には、安定化剤
との混合物として含有できる。ソフトカプセルにおいては、活性化合物は脂肪油
、液体パラフィンまたは液体ポリエチレングリコール類などの適当な液体中に溶
解または懸濁してもよい。加えて、安定化剤を添加してもよい。経口投与用の全
ての製剤は、このような投与に適した投与形態であるべきである。バッカル投与
用に、組成物は通常の方法で製剤化された錠剤またはトローチ剤の形態をとって
いてもよい。
【0179】 吸入による投与用に、本発明に従った使用のための化合物は、適当な高圧ガス
、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテ
トラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを使用した、加圧パック
またはネブライザーからのエアロゾルスプレー噴射の形態で好都合に送達される
。加圧したエアロゾルのばあい、投与単位は、測定した量を送達するための値を
提供することによって決定してもよい。吸入器またはインサフレーターに用いる
、例えば、ゼラチンなどのカートリッジ及びカプセルは、化合物とラクトースま
たはデンプンなどの適当な粉体ベースとの粉体混合物を含有して製剤化してもよ
い。化合物は注射による、例えばボーラス投与または継続点滴による非経口投与
用に製剤化してもよい。注射用の製剤は、単位投与形態で、例えば、アンプルで
または多用量容器で、添加された保存剤と共に提供されてもよい。組成物は油性
または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳化剤のような形態をとっていても
よく、懸濁化剤、安定化剤及び/または分散化剤などの製剤化剤を含有していて
もよい。
【0180】 非経口投与用の医薬製剤は、水可溶性形態の活性化合物の水溶液を含む。加え
て、活性化合物の懸濁液は、適した油性注射懸濁液として調製してもよい。適当
な親油性溶媒またはビヒクルにはごま油などの脂肪油、またはオレイン酸エチル
もしくはトリグリセライド類などの合成脂肪酸エステル類、またはリポソーム類
が含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソル
ビトール、またはデキストランなどの懸濁液の粘性を増大する物質を含有してい
てもよい。随意に、前記懸濁液は、適当な安定化剤または化合物の安定性を増大
し高度に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤も含んでいてもよい。選択的に
、有効成分は使用前に、例えば、滅菌した発熱物質を含まない水などの、適当な
ビヒクルとの構成のための粉体形態であってもよい。
【0181】 また化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリド類などの通常の坐剤ベ
ースを含有する、坐剤または保持浣腸剤などの直腸組成物に製剤化されてもよい
。既に記載した製剤に加え、化合物はまた、デポ調製物としても製剤化されても
よい。このような持続性製剤は(例えば皮下的にもしくは筋肉内に)、移植によ
って、または筋肉注射によって投与してもよい。したがって、例えば、化合物は
、適当なポリマーまたは親水性材料(例えば許容しうる油中の乳化剤として)も
しくはイオン交換樹脂と共に、またはやや難溶性の誘導体として、例えば、やや
難溶性の塩として製剤化してもよい。 本発明の親水性化合物用の薬学的担体は
、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性有機溶媒、及び水性相を含
んでなる共溶媒系である。共溶媒系は、VPD共溶媒系であってもよい。VPD
は、無水エタノールにおける値にすると、65重量/容量%ポリエチレングリコ
ール 300、8重量/容量%の無極性界面活性剤ポリソルベート 80、及び3
重量/容量%ベンジルアルコールの溶液である。VPD共溶媒系(VPD:5W
)は、水溶液中5%デキストロースで1:1に希釈したVPDからなる。この共
溶媒系は、親水性化合物をよく溶かし、それ自体は全身投与において低毒性しか
生じない。当然、共溶媒系の比率は、その溶解性と毒性の特徴を壊すことなくか
なり変えてもよい。さらに、共溶媒系成分の同一性は、変化してもよい;例えば
、他の低毒性無極性界面活性剤をポリソルベート 80に代えて用いてもよく;
ポリエチレングリコールのフラクションサイズを変えてもよく;他の生体適合性
ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドンとポリエチレングリコールを置き換え
てもよく;かつデキストロースの代わりに他の糖類または多糖類を置き換えても
よい。これに代えて、親水性の医薬化合物用の他の送達システムを使ってもよい
。リポソーム類及び乳化剤は、親水性薬物用の送達ビヒクルまたは担体のよく知
られた例である。通常はより大きな毒性を犠牲にしているが、ジメチルスルフォ
キシドなどの特定の有機溶媒を用いてもよい。追加すると、化合物は、治療薬を
含有する固体親水性ポリマーの半透性マトリックスなどの、持効性システムを用
いて送達してもよい。種々の持効性材料が確立されており、当該技術分野でよく
知られている。持効性カプセル剤は、それらの化学的性状に依存して、数週間か
ら100日を超えて化合物を放出しうる。治療試薬の化学性状と生物学的安定性
に依存して、タンパク質の安定化のための追加の戦略を用いてもよい。
【0182】 医薬組成物はまた、適当な固体またはゲル相担体または賦形剤を含んでいても
よい。これらの担体または賦形剤の具体例としては、これらに限定されないが、
炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン類、セルロース誘導
体類、ゼラチン、及びポリエチレングリコール類などのポリマーなどが挙げられ
る。本発明の多くのプロテイナーゼ阻害化合物を薬学的に和合しうる対イオンと
の塩として提供してもよい。このような薬学的に許容しうる塩基付加塩は、フリ
ーの酸の生物学的有効性と性質を保持している塩であり、水酸化ナトリウム、水
酸化マグネシウム、アンモニア、トリアルキルアミン、ジアルキルアミン、モノ
アルキルアミン、二塩基性アミノ酸類、酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ト
リエタノールアミンなどの無機または有機塩基との反応によって得られる。
【0183】 本発明の医薬組成物は、本発明の(複数の)タンパク質とタンパク質またはペ
プチド抗原との複合体の形態であってもよい。前記タンパク質及び/またはペプ
チド抗原は、B及びTリンパ球の両方に対する刺激シグナルを誘導するであろう
。Bリンパ球は、それらの表面イムノグロブリン受容体を介して抗原と反応する
であろう。Tリンパ球は、MHCタンパク質による抗原提示に続いてT細胞受容
体(TCR)を介して抗原と反応するであろう。MHCと宿主細胞上のクラスI
及びクラスIIのMHC遺伝子によってコードされたタンパク質を含む構造的に
関連するタンパク質がTリンパ球に対して(複数の)ペプチド抗原を提示させる
ために働くであろう。抗原成分は、精製したMHCペプチド複合体単独としてま
たはT細胞に直接的にシグナルを送ることができる共刺激分子と共に供給できる
であろう。これに代えて、TCR及びT細胞上の他の分子と結合できる抗体に加
えて、表面イムノグロブリン及びB細胞上の他の分子と結合できる抗体を、本発
明の医薬組成物と組合わせることができる。本発明の医薬組成物は、他の薬学的
に許容しうる担体に加え、水溶液中のラメラ層、液晶、不溶性単層またはミセル
のような凝集した形態で存在する脂質などの両親媒性の薬剤と本発明のタンパク
質が組合わされたリソゾームの形態であってもよい。リポソーム製剤用の適当な
脂質は、これらに限定されないが、モノグリセリド類、ジグリセリド類、スルフ
ァチド類、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などを含む。例えば、全
て本明細書に参考文献として組込まれる、米国特許No.4,235,871;
米国特許No.4,501,728;米国特許No.4,837,028;及び
米国特許No.4,737,323において記載されているように、このような
リポソーム製剤の調製は、当該技術分野のレベルに含まれるものである。
【0184】 本発明の医薬組成物における本発明のタンパク質の量は、治療すべき状態の種
類と重篤度に依存するであろうし、患者が経験した先の治療の種類に依存するで
あろう。最終的には、担当する医師がそれぞれ個々の患者を治療するために本発
明のタンパク質の量を決定するであろう。最初に、担当医が低用量で本発明のタ
ンパク質を投与し、患者の反応を観察するであろう。より多くの用量の本発明の
タンパク質を患者にとって至適な治療効果が得られ、さらに薬用量が増加しない
点まで投与してもよい。本発明の方法を実行するために用いる種々の医薬組成物
は、体重1kgあたり本発明のタンパク質を約0.01μgから約100mg(
好ましくは約0.1μgから約10mg、さらに好ましくは約0.1μgから約
1mg)含有すべきことが企図される。骨、軟骨、腱または靱帯再生のために有
用な本発明の組成物については、治療方法は、組成物を局所に、全身的に、また
はインプラントもしくはデバイスとして局所的に投与することを含む。投与時、
本発明に用いる治療組成物は、もちろん、発熱物質を含まない、生理的に許容し
うる形態である。さらに、組成物は望ましくは骨、軟骨または組織損傷の部位に
送達するために粘性形態において注入されるかカプセルに入れてもよい。局所投
与は、傷の治癒と組織修復に適していてもよい。前記したような組成物にも随意
含まれうる本発明のタンパク質以外の治療に有用な薬剤は、選択的にまたは追加
的に、本発明の方法における組成物と共に同時にまたは連続的に投与してもよい
。骨及び/または軟骨形成にとって好ましくは、組成物が骨及び/または軟骨損
傷の部位にタンパク質含有組成物を送達でき、骨及び軟骨を発達させる構造を提
供し、最適に身体に再吸収されうるマトリックスを含んでいるであろう。このよ
うなマトリックスは、他の移植された医療適用のために現在使用されている材料
で形成されていてもよい。
【0185】 マトリックス材料の選択は、生体適合性、生体内分解性、物理的性質、表面上
の外観及び界面の性質に基づく。組成物の特別な適用は、適した製剤を限定する
であろう。組成物として可能性のあるマトリックスは、生体内分解性で、化学的
に定義された硫酸カルシウム、リン酸三石灰、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸
、ポリグリコール酸及びポリ無水物類であってもよい。他の可能性のある材料は
、生体内分解性でかつ生物学的によく定義された、骨または皮膚コラーゲンなど
である。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質類または細胞外マトリック
ス成分を含んでなる。他の可能性のあるマトリックスは、非生体内分解性で化学
的に定義される、焼結したヒドロキシアパタイト、生体ガラス、アルミン酸塩類
、または他のセラミックなどである。マトリックスは、ポリ乳酸とヒドロキシア
パタイトまたはコラーゲンとリン酸三石灰などの、前記したタイプの材料のいず
れかとの組合せを含んでなっていてもよい。バイオセラミックは、ポアサイズ、
粒子サイズ、粒子形、及び生体内分解性を変えるために、カルシウム−アルミン
酸塩−リン酸塩の組成及び加工において変更してもよい。現時点で好ましいのは
、150から800ミクロンの範囲の直径を有する多孔質粒子形態の乳酸とグリ
コール酸の50:50(モル重量)コポリマーである。いくつかの適用において
、タンパク質組成物がマトリックスから解離するのを防ぐために、カルボキシメ
チルセルロースまたはオーソローガス血餅などの、封鎖剤を利用するのに有用で
あろう。
【0186】 前記封鎖剤の好ましいファミリーは、メチルセルロース、エチルセルロース、
ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピル−メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む、(ヒドロキ
シアルキルセルロースを含む)アルキルセルロース類などのセルロース性材料で
あり、最も好ましくはカルボキシメチルセルロース(CMC)の陽イオン性塩で
ある。他の好ましい封鎖剤には、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ポリ(
エチレングリコール)、ポリオキシエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマ
ー及びポリ(ビニルアルコール)が含まれる。本明細書で有用な封鎖剤の量は、
全製剤重量に基づいて0.5〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%で
あり、これは前記タンパク質のポリマーマトリックスからの脱着を防ぎ組成物の
適当な取り扱いを提供するために必要な量を示しているが、初代細胞がマトリッ
クスに侵入するのを防ぐほどの量ではなく、これによってタンパク質に初代細胞
の骨形成活性を援助する機会が与えられる。さらなる組成物において、本発明の
タンパク質は、骨及び/もしくは軟骨欠損、傷、または問題となっている組織の
治療に有益な他の薬剤と組合わせてもよい。これらの薬剤には、上皮成長因子(
EGF)血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(T
GF−α及びTGF−β)、及びインスリン様成長因子(IGF)などの種々の
成長因子が含まれる。
【0187】 また現在、治療組成物は、獣医学的適用にも価値がある。ヒトに加えて、特に
飼い慣らされた動物及びサラブレッドの馬は、本発明のタンパク質を用いたこの
ような治療が望まれる医療対象である。組織再生に用いるべきタンパク質含有医
薬組成物の投与計画は、タンパク質の行動を修飾する様々な因子、例えば、形成
が望まれる組織重量の量、損傷の部位、損傷を受けた組織の状態、傷のサイズ、
損傷を受けた組織のタイプ(例えば、骨)、医療対象の年齢、性別、及び食餌、
感染の厳しさ、投与の回数及び他の臨床的因子を考慮して担当医によって決定さ
れるであろう。薬用量は、再構成に用いるマトリックスのタイプによって変化し
てもよいし、医薬組成物における他のタンパク質の包含によって変化してもよい
。例えば、最終組成物への、IGFI(インスリン様成長因子I)などの、他の
既知の成長因子の添加は、薬用量にも変化をもたらすかもしれない。進行は、組
織/骨成長及び/または修復の周期的な評価、例えば、X線、組織形態決定及び
テトラサイクリン標識によってモニターできる。
【0188】 本発明のポリヌクレオチド類は、遺伝子治療にも用いることができる。このよ
うなポリヌクレオチド類は、生体内か生体外のいずれかでほ乳類対象における発
現のために細胞に導入できる。本発明のポリヌクレオチド類はまた、細胞または
器官に核酸を導入する他の既知の方法(これらに限定されないが、ウイルスベク
ターまたはむき出しのDNAの形態における方法が含まれる)で投与してもよい
。増殖させるため、または細胞に所望の効果をもたらすか活性を生じさせるため
に、前記細胞を生体外で本発明のタンパク質の存在下で培養してもよい。処置さ
れた細胞は、ついで治療目的で生体内に導入することができる。
【0189】 [6.6.3. 有効薬用量] 本発明に用いるのに適した医薬組成物は、その意図される目的を達成する有効
量で有効成分を含有する組成物を含む。さらに詳細には、治療上の有効量は、治
療を受ける対象の存在する症状の進行を妨げるまたは緩和する効果がある量を意
味する。有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示に照らし、充分に当業者の
能力の範囲内である。本発明の方法に用いるいかなる化合物についても、治療上
の有効用量は、細胞培養アッセイから最初に推定できる。例えば、用量は、細胞
培養で決定したようなIC50を含んだ循環濃度を達成する動物モデルで処方でき
る(すなわち、C−プロテイナーゼ活性の最大阻害の半分を達成するテスト化合
物の濃度)。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をさらに精密に決定す
るために使うことができる。
【0190】 治療上の有効用量は、医療対象の症状を結果的に改善するか延命する化合物の
量を参照する。前記化合物の毒性及び治療効力は、例えば、LD50(個体群の5
0%が死亡する量)及びED50(個体群の50%に治療効果が出る量)を決定す
るための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定で
きる。毒性作用と治療効果との用量割合が治療インデックスであり、LD50とE
50の比として表現できる。高い治療インデックスを示す化合物が好ましい。ヒ
トに使用する薬用量の範囲を処方するために、これらの細胞培養アッセイ及び動
物研究から得られたデータを用いることができる。このような化合物の薬用量は
、好ましくはほとんど毒性がないか全く毒性のないED50を含む循環濃度の範囲
内にある。薬用量は、用いる投与形態と用いる投与経路に依存してこの範囲内で
変化してもよい。正確な処方、投与経路及び薬用量は、医療対象の状態を考慮し
て個々の医師によって選択することができる。例えば、Finglら、1975,"The Pha
rmacological Basis of Therapeutics", 1章 I頁中参照。投与量及び間隔は、 C−プロテイナーゼ阻害効果、または最小限の効果濃度(MEC)を維持するの
に充分な活性部分の血漿レベルを提供するために個々に調節してもよい。MEC
は、各化合物について変化するであろうが、インビトロのデータ;例えば、本明
細書に記載したアッセイを用いてC−プロテイナーゼの50〜90%阻害を達成
するのに必要な濃度から評価できる。MECを達成するのに必要な薬用量は、個
々の特徴及び投与経路に依存するであろう。しかしながら、HPLCアッセイま
たはバイオアッセイは、血漿濃度を決定するために用いることができる。
【0191】 投与間隔は、MEC値を用いても決定することができる。化合物を期間の10
〜90%で、好ましくは30〜90%の間で、もっとも好ましくは50〜90%
の間でMEC以上で血漿レベルを維持する計画を用いて投与すべきである。局所
投与または選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は血漿濃度とは関係がな
くてもよい。
【0192】 投与される化合物の量は、もちろん治療される対象、対象の体重、苦痛の深刻
度、投与方法及び処方した医師の判断に依存するであろう。
【0193】 [6.6.4. 包装] 前記組成物は、所望すれば、有効成分を含有する1以上の単位投与形態を含ん
でいてもよいパックまたはディスペンサーデバイスに存在していてもよい。前記
パックは、例えば、例えばブリスターパックなどの、金属またはプラスチックホ
イルを含んでいてもよい。前記パックまたはディスペンサーデバイスは、投与の
ための使用説明書を伴っていてもよい。和合しうる薬学的担体中に製剤化された
本発明の化合物を含む組成物を調製してもよく、適当な容器に置き、指示した状
態の治療のためのラベルを付してもよい。
【0194】 [6.7. 抗体] 本発明の別の側面は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体である。
このような抗体は、モノクローナル抗体かポリクローナル抗体のいずれかである
ことが可能であり、もちろん、トランスジェニック動物で産生されたものなどの
、これらの断片及びヒト化した形態または全ヒト形態であることも可能である。
本発明は、さらに本発明に従った抗体を産生するハイブリドーマを提供する。本
発明の抗体は、本発明のポリペプチドの検出及び/または精製に有用である。
【0195】 本発明のタンパク質はまた、前記タンパク質と特異的に反応するポリクローナ
ル及びモノクローナル抗体を得るのに動物を免疫化するために用いてもよい。免
疫原としてタンパク質全体かその断片のいずれかを用いてこのような抗体を得て
もよい。前記ペプチド免疫原は、追加的にカルボキシ末端にシステイン残基を含
有していてもよく、スカシガイのヘモシアニン(KLH)などのハプテンと接合
する。例えば、R. P. Merrifield, J. Amer. Chem. Soc. 85, 2149-2154(1963);
J. L. Krstenansky, ら、FEBS Lett. 211, 10(1987)に記載されているように、 このようなペプチドの合成方法は、当該技術分野において既知である。本発明の
タンパク質と結合するモノクローナル抗体は、前記タンパク質の免疫検出用の有
用な診断薬剤でありうる。前記タンパク質と結合する中和モノクローナル抗体も
また前記タンパク質に関連する状態と、前記タンパク質の異常発現が含まれるガ
ンのいくつかの形態の治療の両方に有用な治療用物質でありうる。ガンにかかっ
た細胞または白血病細胞の場合、前記タンパク質に対する中和モノクローナル抗
体は前記タンパク質によって仲介されうる、ガンにかかった細胞の転移性の拡大
を検出及び予防するのに有用でありうる。一般的には、所望の抗体を産生するこ
とができるハイブリドーマと同様にポリクローナル及びモノクローナル抗体を調
製する技術は、当該技術分野でよく知られている(Campbell. A. M., Monoclonal Antibodies Technology; Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecu ler Biology, Elsevier Science Publishers, アムステルダム, オランダ(1984
);St. Groth ら, J. Immunol. 35:1-21(1990); Kohler及びMilstein, Nature 25
6:495-497(1975))、トリオーマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドー
マ技術(Kozborら, Immunology Today 4:72(1983);Coleら, in Monoclonal Antib odies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc.(1985), 77-96頁)。
【0196】 抗体を産生することが知られているいかなる動物(マウス、ラビット、など)
も本発明のペプチドまたはポリペプチドで免疫できる。免疫化の方法は、当該技
術分野でよく知られている。このような方法には、前記ポリペプチドの皮下注射
または腹腔内注射が含まれる。当業者は、免疫化に用いた本発明のORFによっ
てコードされたタンパク質の量が免疫された動物、前記ペプチドの抗原性及び注
射した部位に基づいて変化するであろうことを認識するはずである。免疫原とし
て用いたタンパク質は、タンパク質の抗原性を増大するためにアジュバント中に
おいて投与するか修飾してもよい。タンパク質の抗原性を増大する方法は、当該
技術分野でよく知られており、これらに限定されないが、抗原とヘテローガスタ
ンパク質(グロブリンまたはβ−ガラクトシダーゼ)とのカップリング方法、ま
たは免疫化中アジュバントの包含による方法が含まれる。
【0197】 モノクローナル抗体については、免疫化した動物由来の脾臓細胞を取り、SP
2/0−Ag14ミエローマ細胞などの、ミエローマ細胞と融合し、モノクロー
ナル抗体産生ハイブリドーマ細胞とする。当該技術分野でよく知られている多数
の方法のいずれか1つによって、所望の特徴をもつ抗体を産生するハイブリドー
マ細胞を同定することができる。これらには、ELISAアッセイ、ウエスタン
ブロット分析、またはラジオイムノアッセイを用いたハイブリドーマのスクリー
ニングが含まれる(Lutzら, Exp. Cell Research. 175:109-124(1988))。所望の 抗体を分泌するハイブリドーマをクローン化し、当該技術分野でよく知られてい
る手順を用いてサブクラスを決定する(Campbell. A. M., Monoclonal Antibodie s Technology; Laboratory Techniques in Biochemistry and Moleculer Biolog y, Elsevier Science Publishers, アムステルダム, オランダ(1984))。一本鎖
抗体の産生のために記載された技術(米国特許No.4,946,778)は、
本発明のタンパク質に対する一本鎖抗体を産生するために適合できる。
【0198】 ポリクローナル抗体については、抗体含有抗血清を免疫化した動物から単離し
、前記手順の1つを使って所望の特異性をもった抗体の存在をスクリーニングす
る。本発明は、さらに検出可能な形態の前記抗体を提供する。抗体は、ラジオア
イソトープ、親和性標識(ビオチン、アビジンなど)、酵素標識(ホースラディ
ッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなど)、蛍光標識(FITC
またはローダミンなど)、常磁性原子、などを使用することによって検出できる
ように標識を付けることができる。このような標識化を完成させる手順は、当該
技術分野でよく知られている、例えば、参照(Sternberger, L. A.ら , J. Histo chem. Cytochem. 18:315(1970); Bayer, E. A.ら, Meth. Enzym. 62:308(1979);
Engval, E.ら, Immunol.109:129(1972); Goding, J. W. J. Immunol. Meth.13:2
15(1976))。
【0199】 本発明の標識した抗体は、興味あるポリペプチドの断片を発現する細胞または 組織を同定するin vitro、in vivo、及びin situアッセイのために用いることが
できる。前記抗体は、直接治療または他の診断にも用いてよい。本発明はさらに
、固体支持体上に固定化された前記抗体を提供する。前記固体支持体の具体例と
しては、ポリカーボネートなどのプラスチック、アガロース及びセファロースな
どの複合炭水化物、アクリル樹脂、ならびにポリアクリルアミド及びラテックス
ビーズなどが挙げられる。抗体をこのような固体支持体とカップリングさせる技
術は、当該技術分野でよく知られている(Weir, D. M.ら, "Handbook of Experi mental Immunology " 第4版, Blackwell Scientific Publications, オックスフ ォード, 英国,10章(1986);Jacoby, W. D. ら, Meth. Enzym. 34 Academic Pres
s, ニューヨーク(1974))。本発明の固定化された抗体は、本発明のタンパク質の
イムノアフィニティー精製用に加えてインビトロ、インビボ、及びインサイチュ
アッセイ用に使うことができる。
【0200】 [6.8. コンピュータ読み取り可能配列] この実施態様の1つの適用においては、本発明のヌクレオチド配列は、コンピ
ュータ読み取り可能媒体上に記録することができる。本明細書において用いる場
合、「コンピュータ読み取り可能媒体」は、コンピュータで直接読むことができ
アクセスできる媒体のいずれもをいう。このような媒体は、これらに限定されな
いが、フロッピーディスク、ハードデスク保存媒体、及び磁気テープなどの磁器
保存媒体;CD−ROMなどの光学的保存媒体;RAM及びROMなどの電気保
存媒体;ならびに磁器/光学保存媒体などのこれらのカテゴリーのハイブリッド
を含む。本発明のヌクレオチド配列をその上に記録しているコンピュータ読み取
り可能媒体を含んでなる製品を創造するために現在知られているコンピュータ読
み取り可能媒体のいくつかをどの様にして使うことができるかを、当業者であれ
ば容易に認識することができる。本明細書において用いる場合、「記録された」
は、コンピュータ読み取り可能媒体上に保存する工程をいう。当業者は、コンピ
ュータ読み取り可能媒体上に情報を保存するための現在知られている方法のいず
れかを本発明のヌクレオチド配列情報を含んでなる製品を製造するために容易に
採用することができる。
【0201】 種々のデータ保存構造は、本発明のヌクレオチド配列がその上に記録されてい
るコンピュータ読み取り可能媒体を創造するために当業者が入手できる。データ
保存構造の選択は、一般的に保存された情報にアクセスするために選択した手段
に基づくであろう。加えて、コンピュータ読み取り可能媒体上に本発明のヌクレ
オチド配列情報を保存するために種々のデータプロセッサープログラム及びファ
ーマットを使うことができる。前記の配列情報は、WordPerfect及びMicrosoft W
ordなどの市販のソフトウェアでフォーマットした、ワードプロセッシングのテ キストファイルで示すか、DB2、Sybase、Oracle、などの、データベースアプ
リケーションに保存された、ASCIIファイルの形態で示すことができる。当
業者は、本発明のヌクレオチド配列情報を記録したコンピュータ読み取り可能媒
体を得るために、かなり多数のデータプロセッサ構造フォーマット(例えば、テ
キストファイルまたはデータベース)に容易に適合することができる。配列番号
:1、2もしくは5のヌクレオチド配列またはその代表的な断片、またはコンピ
ュータ読み取り可能な形態の配列番号:1、2もしくは5と99.9%以上一致
するヌクレオチド配列を提供することによって、当業者はルーチンに種々の目的
で前記配列情報にアクセスすることができる。コンピュータソフトウェアは、公
に入手でき、当業者はコンピュータ読み取り可能媒体に提供された配列情報にア
クセスすることができる。以下に記載する例示によって、核酸配列中の読みとり
枠(ORF)を同定するためにSybaseシステム上のBLAST(Altschulら, J. Mol. Biol. 215:403-410(1990))及びBLAZE(Brutlagら, Comp. Chem. 17:20
3-207(1993))検索アルゴリズムを実行するソフトウェアをどの様に使うかを示す
。このようなORFは、断片をコードするタンパク質であってもよく、発酵反応
において及び商業的に有用な代謝物の製造において用いる酵素などの商業的に重
要なタンパク質の製造に有用でありうる。
【0202】 本明細書において用いる場合、「コンピュータに基づくシステム」は、本発明
のヌクレオチド配列情報を分析するために用いられるハードウェア手段、ソフト
ウェア手段、及びデータ保存手段をいう。本発明のコンピュータに基づくシステ
ムの最小のハードウェア手段は、中央処理装置(CPU)、入力手段、出力手段
、及びデータ保存手段を含んでなる。当業者は、目下入手できるコンピュータに
基づくシステムのいずれか1つが本発明に用いるのに適していることが容易に認
識できる。先に述べたように、本発明のコンピュータに基づくシステムは、本発
明のヌクレオチド配列をその中に保存したデータ保存手段、ならびに検索手段を
サポートし実行するために必要なハードウェア手段及びソフトウェア手段を含ん
でなる。本明細書において用いる場合、「データ保存手段」は、本発明のヌクレ
オチド配列情報を保存できるメモリー、または本発明のヌクレオチド配列情報を
その上に保存した製品にアクセスできるメモリーアクセス手段をいう。
【0203】 本明細書において用いる場合、「検索手段」は、データ保存手段の保存された
配列情報と標的配列または標的構造モチーフを比較するためにコンピュータに基
づくシステム上で実行される1以上のプログラムをいう。検索手段は、特定の標
的配列または標的モチーフと適合する既知配列の断片または領域を同定するのに
用いる。種々の既知のアルゴリズムは、公に開示されており、検索手段を処理す
るための種々の市販のソフトウェアがあり、本発明のコンピュータに基づくシス
テムに用いることができる。このようなソフトウェアの具体例としては、これら
に限定されないが、MacPattern(EMBL)、BLASTN及びBLASTA(
NPOLYPEPTIDEIA)が挙げられる。このコンピュータに基づくシス
テムに用いるために、相同検索を処理するためのいずれか1つの入手可能なアル
ゴリズムまたは実行するソフトウェアパッケージを適合できることは、当業者が
容易に認識できる。本明細書において用いる場合、「標的配列」は、6以上のヌ
クレオチドまたは2以上のアミノ酸の核酸またはアミノ酸配列であることが可能
である。標的配列が長くなるほど、標的配列がデータベースにおいてランダムな
発生として存在するでことが少なくなろうことが、当業者には容易に認識できる
。標的配列の最も好ましい配列の長さは、約10から100アミノ酸または約3
0から300ヌクレオチド残基である。しかしながら、遺伝子発現及びタンパク
プロセッシングの関連する配列断片などの、商業上重要な断片の検索は、より短
い長さであってもよいことが充分に認識されるであろう。
【0204】 本明細書において用いる場合、「標的構造モチーフ」、または「標的モチーフ
」は、前記標的モチーフの折りたたみによって形成される三次元立体配置に基づ
いて選択された(複数の)配列である合理的に選択された配列または配列の組合
せをいう。当該技術分野において知られている種々の標的モチーフがある。タン
パク質標的モチーフには、これらに限定されないが、酵素活性部位及びシグナル
配列が含まれる。核酸標的モチーフには、これらに限定されないが、プロモータ
ー配列、ヘアピン構造及び誘導可能な発現要素(タンパク質結合配列)が含まれ
る。
【0205】 [6.9. 三重らせん構造] 加えて、本発明の断片は、広く記載したように、三重らせん構造またはアンチ
センスのDNAまたはRNAによって遺伝子発現をコントロールするために用い
ることができ、何れの方法もDNAまたはRNAとのポリヌクレオチド配列の結
合に基づいている。これらの方法に使用するのに適したポリヌクレオチド類は、
通常20から40塩基長であり、転写に関連する遺伝子の領域と相補的であるよ
うに設計される(三重らせん−Leeら, Nucl. Acids Res. 6:3073(1979);Cooney ら, Science 15241:456(1988);及びDervanら, Science 251:1360(1991)参照)ま
たはmRNA自身(アンチセンス−Olmno, J. Neurochem. 56:560(1991); Oligo deoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression , CRC Press,
Boca Raton,フロリダ(1988))。アンチセンスRNAハイブリダイゼーションに よりmRNA分子のポリぺプチドへの翻訳をブロックするが、三重らせん構造は
結果として至適にDNAからのRNA転写の-遮断-を行う。両方の技術は、モデ
ル系で効果的であることが示されている。本発明の配列に含まれる情報は、アン
チセンスまたは三重らせんオリゴヌクレオチドの設計に必要である。
【0206】 [6.10. 診断アッセイ及びキット] 本発明はさらに、本発明の核酸プローブまたは抗体を用いて、テスト試料中の 、本発明のORF、またはその相同体の1つの存在または発現を同定する方法を
提供する。
【0207】 一般に、本発明のポリヌクレオチドを検出する方法は、試料を、前記ポリヌク
レオチドと結合して複合体を形成する化合物に、複合体を形成するのに充分な期
間接触させる工程、及び前記複合体を検出する工程を含み、複合体が検出されれ
ば、試料中の本発明のポリヌクレオチドを検出することができる。このような方
法はまた、試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に、当該
条件下で本発明のポリヌクレオチドとアニールする核酸プライマーに接触させる
工程、及びアニールしたポリヌクレオチドを増幅する工程を含み、ポリヌクレオ
チドが増幅されれば、本発明のポリヌクレオチドを試料中に検出することができ
る。
【0208】 一般的に、本発明のポリペプチドを検出する方法は、試料を、前記ポリペプチ
ドと結合して複合体を形成する化合物に、複合体を形成するのに充分な期間接触
させる工程、及び前記複合体を検出する工程を含み、複合体が検出されれば、試
料中の本発明のポリペプチドを検出することができる。
【0209】 詳細には、このような方法は、テスト試料を本発明の1以上の抗体または1以
上の核酸プローブと共にインキュベーションすること、及びテスト試料中の成分
と前記核酸プローブまたは抗体との結合をアッセイする工程を包含する。
【0210】 テスト試料と共に核酸プローブまたは抗体をインキュベーションするための条
件は、変動してよい。インキュベーション条件は、アッセイに用いたフォーマッ
ト、用いた検出方法、ならびにアッセイに用いた核酸プローブまたは抗体のタイ
プ及び性状に依存する。本発明の核酸プローブまたは抗体を用いるために一般に
入手できるハイブリダイゼーション、増幅または免疫学的アッセイフォーマット
を容易に適合できることは、当業者が認識するであろう。これらのアッセイの具
体例は、Chard, T., An Introduction to Radioimmunoassay and Related Techn iques, Elsevier Science Publishers, アムステルダム, オランダ(1986); Bul
lock, G. R. ら, Techniques in Immunocytochemistry, Academic Press, オー ランド, フロリダ1巻(1982), 2巻(1983), 3巻(1985);Tijssen, P., Practice an d Theory of immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Mole culer Biology, Elsevier Science Publishers, アムステルダム, オランダ(19
85)に見出すことができる。本発明のテスト試料には、細胞、細胞のタンパク質 もしくは膜抽出物、または痰、血液、血清、血漿、もしくは尿などの生物学的流
体が含まれる。前記方法に用いるテスト試料は、アッセイフォーマット、検出方
法の性状及びアッセイされる試料として用いる組織、細胞もしくは抽出物に基づ
いて変わるであろう。細胞のタンパク質抽出物または膜抽出物を調製する方法は
、当該技術分野でよく知られており、利用するシステムと和合しうる試料を得る
ために容易に適合できる。
【0211】 本発明の別の実施態様において、本発明のアッセイを行うために必要な試薬を
含むキットが提供される。特に、本発明は、厳重な監禁状態で、(a)本発明の
プローブまたは抗体の1つを含む第1の容器;及び(b)以下の1以上を含む1
以上の他の容器:洗浄試薬、結合したプローブまたは抗体の存在を検出できる試
薬、を含んでなる1以上の容器を受けるためのコンパートメントキットを提供す
る。
【0212】 詳細には、コンパートメントキットは、分離した容器に試薬を含むいかなるキ
ットも包含する。このような容器は、小さなガラス容器、プラスチック容器、ま
たはプラスチックもしくは紙のストリップを含む。このような容器によって試料
と試薬が交差汚染せず、各容器の薬剤または溶液が1つのコンパートメントから
別のコンパートメントに定量的な様式で添加できるような、1つのコンパートメ
ントから別のコンパートメントへの効率的な移送が可能となる。このような容器
には、テスト試料を受けるであろう容器、アッセイに用いる抗体を含む容器、洗
浄試薬(リン酸緩衝液、トリス緩衝液など)を含む容器、及び結合した抗体また
はプローブを検出するために用いる試薬を含む容器が含まれる。検出試薬のタイ
プには、標識した核酸プローブ、標識した第2の抗体、または選択肢として、第
1抗体を標識するならば、前記標識抗体と反応できる酵素結合試薬または抗体結
合試薬 が含まれる。本発明の開示したプローブ及び抗体を当該技術分野でよく知られて
いる確立されたキットフォーマットの1つに容易に組込むことができることは、
当業者が容易に認識するであろう。
【0213】 [6.11.スクリーニングアッセイ] 本発明のタンパク質及びポリヌクレオチドを使用して、本発明は、さらに配列
番号:1、2もしくは5の配列を有するポリヌクレオチドより得られるORFに
よってコードされるポリペプチドに、またはかかる核酸によってコードされるポ
リペプチドの特異的ドメインに、または配列番号:1、2もしくは5の配列を有
する核酸に結合する物質を獲得及び同定する方法を提供する。詳細には、当該方
法は以下の工程すなわち、 (a)物質に、本発明のORFによってコードされる単離されたタンパク質、
または本発明の核酸を接触させ、 (b)その物質が当該タンパク質もしくは当該核酸に結合するか否かを調べる
、工程を含むものである。
【0214】 一般には、本発明のポリヌクレオチドに結合する化合物を同定するためのこの
ような方法は、化合物を本発明のポリヌクレオチドに、ポリヌクレオチド/化合
物複合体を形成するのに充分な時間接触させる工程、及びその複合体を検出する
工程を含み、ポリヌクレオチド/化合物複合体が検出されれば本発明のポリヌク
レオチドに結合する化合物を同定することができる。
【0215】 同様に、一般的には従って、本発明のポリペプチドに結合する化合物を同定す
るためのこのような方法は、化合物を本発明のポリペプチドに、ポリペプチド/
化合物複合体を形成するのに充分な時間接触させる工程、及びその複合体を検出
する工程を含み、ポリペプチド/化合物複合体が検出されれば本発明のポリヌク
レオチドに結合する化合物を同定することができる。
【0216】 本発明のポリペプチドに結合する化合物を同定するための方法はまた、細胞に
おいて、化合物を本発明のポリペプチドに、ポリペプチド/化合物複合体を形成
するのに充分な時間接触させ、ここでその複合体は細胞においてレポーター遺伝
子配列の発現を駆動するものであり、次いで、レポーター遺伝子配列の発現を検
出することによって、ポリペプチド/化合物複合体が検出されれば本発明のポリ
ヌクレオチドに結合する化合物が同定されるように、その複合体を検出する工程
を含むことができる。
【0217】 このような方法によって同定される化合物には、本発明のポリペプチドの活性
をモジュレートする(すなわち、化合物非存在下で観察される活性に対して、そ
の活性を増加または減少させる)化合物を包含することができる。あるいは、こ
のような方法によって同定される化合物には、本発明のポリヌクレオチドの発現
をモジュレートする(すなわち、化合物非存在下で観察される発現レベルに対し
て、発現を増加または減少させる)化合物を包含することができる。本発明の方
法によって同定された化合物などの化合物は、活性/発現をモジュレートする能
力について、当該技術分野でよく知られている標準的なアッセイを使用して試験
することができる。
【0218】 前記のアッセイでスクリーニングされる物質には、ペプチド、炭化水素、ビタ
ミン誘導体、またはその他の医薬物質を包含することができるが、それらに限定
されることはない。物質は、無作為に選択及びスクリーニングするか、またはタ
ンパク質モデリング技術を使用して、合理的に選択もしくは設計することができ
る。
【0219】 ランダムスクリーニングのためには、ペプチド、炭化水素、医薬物質などの物
質を無作為に選択し、そして本発明のORFによってコードされるタンパク質に
結合する能力についてアッセイする。あるいは、物質は合理的に選択または設計
され得る。本明細書において使用する場合には、物質は特定のタンパク質の立体
配置に基づいて選択される場合に、物質は「合理的に選択または設計」されると
称される。例えば、当業者であれば、合理的に設計されたペプチド(例えば、Hu
rby ら, Application of Synthetic Peptides: Antisense Peptides," Syntheti c Peptides, A User 's Guide , W.H. Freeman, NY (1992), pp. 289-307, 及びK
aspczakら, Biochemistry 28:9230-8 (1989)を参照されたい)または医薬物質等
を作製すべく特異的なペプチド配列に結合することができるペプチド、医薬物質
等を作製するために現在利用可能な手法を難なく適用することができる。
【0220】 前記の物質に加えて、本発明の物質の一つのクラスは、広義には、本発明のO
RFまたはEMFの一つへの結合を通じて遺伝子発現を制御するために使用する
ことができる。前記のとおり、かかる物質は無作為に、スクリーニングまたは合
理的に設計/選択することができる。ORF及びEMFのターゲッティングによ
って、当業者には、配列特異的もしくはエレメント特異的物質であって、単一の
ORFもしくは同じEMFに発現制御を依存している複数のORFのいずれかの
発現をモジュレートするものを設計することが可能となる。DNA結合物質の一
つのクラスは、DNAもしくはRNAに結合することによってハイブリダイズも
しくは三重らせん構造を形成する塩基残基を含む物質である。かかる物質は、旧
来のホスホジエステル、リボ核酸骨格に基づくもの、あるいは塩基付着能を有す
る様々のスルフヒドリルもしくはポリマー誘導体とすることができる。
【0221】 これらの方法における使用のために好適な物質は、通常、20〜40の塩基を
含んでおり、そして転写に関与する遺伝子の領域に相補的(三重らせん−Leeら,
Nucl. Acids Res. 6:3073 (1979); Cooneyら, Science 241:456 (1988); 及びD
ervanら, Science 251:136 (1991)を参照されたい)、またはmRNA自体に相 補的(アンチセンス−Okano. J. Neurochem. 56:560 (1991); Oligodeoxynucleo tides as Antisense Inhibitors of Gene Expression , CRC Press, Boca Raton,
FL (1988))となるように設計される。三重らせんの形成の結果、最適には、D
NAからのRNA転写の遮断が引き起こされ、一方アンチセンスRNAハイブリ
ダイゼーションは、mRNA分子のポリペプチドへの転写を阻害する。双方の技
術は、モデル系にて有効であることが立証されている。本発明の配列に含まれる
情報は、アンチセンスまたは三重らせんオリゴヌクレオチド、及びその他のDN
A結合物質を設計するために欠くことができないものである。本発明のORFの
うちの1つによってコードされるタンパク質に結合する物質は、ORFによって
コードされるタンパク質の活性をモジュレートすることにより細菌感染を制御す
る際の診断試薬として使用することができる。本発明のORFのうちの1つよっ
てコードされるタンパク質に結合する物質は、医薬組成物を作製する既知の技術
を使用して製剤化することができる。
【0222】 [6.12. プローブとしての核酸の用途] 本発明の他の特徴は、天然に存在する核酸配列とハイブリダイズすることがで
きる、ポリペプチドに特異的な核酸ハイブリダイゼーションプローブを提供する
ことである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、配列番号:1、2ま
たは5の核酸配列に由来するものであるとよい。対応する遺伝子は、限られた数
の組織、特に成人組織にしか発現されないので、配列番号:1、2または5に由
来するハイブリダイゼーションプローブは、かかる組織の細胞型のRNAが試料
中に存在することの指標として使用することができる。
【0223】 好適なハイブリダイゼーション技術、例えば、in situハイブリダイゼーショ ンなどを採用することができる。米国特許No.4,683,195 及びNo
.4,965,188に記載されるようなPCRで、ヌクレオチド配列に基づく
オリゴヌクレオチドに対するさらなる用途が提供される。PCRにて使用される
かようなプローブは、組換えを起源とするものでも、化学合成されたものでも、
またはそれらの組合せでもよい。プローブは、一致する配列の検出のために別々
のヌクレオチド配列を含むもの、あるいは密接に関連するゲノム配列の同定のた
めに可能性を有する縮重プールを含むものとされよう。
【0224】 核酸に対する特異的ハイブリダイゼーションプローブのための他の手段には、
mRNAプローブの産生のためのベクターへ核酸配列をクローニングすることが
包含される。かかるベクターは、当該技術分野で知られ、市販されており、そし
てT7もしくはS6 RNAポリメラーゼとしてRNAポリメラーゼと、適切な 放射活性標識されたヌクレオチドを添加することによって、in vitroでRNAプ
ローブを合成するために使用することができる。ヌクレオチド配列は、対応する
ゲノム配列をマッピングするためのハイブリダイゼーションプローブを構築する
のに使用され得る。本発明で提供されるヌクレオチド配列は、よく知られた遺伝
的及び/または染色体マッピング技術を使用して、染色体または染色体の特異領
域にマッピングされ得る。これらの技術には、in situハイブリダイゼーション 既知染色体マーカーに対する連鎖解析、ライブラリーまたは既知染色体に特異的
なフロー選別された染色体調製物を用いたハイブリダイゼーションスクリーニン
グ等が包含される。染色体播塗物(spread)の蛍光in situハイブリダイゼーシ ョンの技術は、殊に、Verma ら, (1988) Human Chromosomes: A Manual of Bas
ic Techniques, Pergamon Press, New York NYに記載されている。
【0225】 染色体調製物の蛍光in situハイブリダイゼーション及びその他の物理的染色 体マッピング技術は、さらなる遺伝的マップデータに相関し得る。遺伝的マップ
データの例は、1994 Genome Issue of Science (265:1981 f)に見出すことがで きる。物理的染色体マップ上の核酸の位置と、特異疾患との間の相関(あるいは
特異疾患に対する素因)は、その遺伝疾患に関わるDNAの領域を定める助けと
なり得るのである。本発明のヌクレオチド配列は、正常、保因、または罹患個体
の間の遺伝子配列の相違を検出するために使用され得る。ヌクレオチド配列は、
組換えDNA技術のよく知られた方法を使用して、精製されたポリペプチドを産
生することができる。遺伝子が単離された後、その発現のための方法を教示する
多くの出版物があり、そのなかでも例示されるのは、Goeddel (1990) Gene Expr
ession Technology, Methods and Enzymology, Vol 185, Academic Press, San
Diegoである。ポリペプチドは、原核細胞または真核細胞のいずれかの、様々な 宿主細胞にて発現され得る。宿主細胞は、特定のポリペプチドのヌクレオチド配
列が単離された種と同じ種に由来するものでも、異なる種に由来するものでもよ
い。組換えDNA技術によってポリペプチドを製造する利点には、精製のために
適切な量のタンパク質が得られること、及び精製法の簡素化が可能となることが
包含される。
【0226】 そのようにして得られた各配列を、Applied Biosystems によって開発されI NHERIT(商標名)670配列分析システムに組込まれたた検索アルゴリズ
ムを使用して、GenBankの配列と比較した。このアルゴリズムにおいて、パター ン特定言語(TRW Inc., Los Angels, CAにより開発されたもの)を使用して 、相同性の領域を調べた。どのように配列比較を行うか決定する3つのパラメー
タは、ウィンドウサイズ、ウィンドウ補正値(offset)、及び許容測定誤差であ
った。これら3つのパラメータの組合せを使用して、照会配列と相同な領域を含
んでいる配列について、DNAデータベースを検索し、そして適切な配列を初期
値をもってスコア付けした。続いて、これらの相同領域を、偶然の一致から相同
領域を区別するために、ドットマトリックスプロットを使用して調べた。相同性
検索の結果を示すために、スミス−ウォーターマン・アラインメントを使用した
。ペプチド及びタンパク質配列の相同性は、DNA配列の相同性で使用したと類
似の方法により、INHERIT(商標名)670配列分析システムを用いて確
かめた。パターン特定言語及びパラメータウィンドウを使用して、初期値をもっ
てスコア付けされた相同性の領域を含んでいる配列についてタンパク質データベ
ースを検索した。偶然の一致から有意な相同性の領域を区別するために、ドット
−マトリックス相同性プロットを調べた。
【0227】 あるいは、BLAST(基本的局所アラインメント検索ツールを表す)を使用
して、局所配列アラインメント(Altschul SF (1993) J Mol Evol 36:290-300;
Altschul, SF ら(1990) J Mol Biol 215:403-10)について検索を行う。BLA STによって、配列の類似性を決定するためのヌクレオチド及びアミノ酸双方の
配列のアラインメントが作成される。アラインメントの局所的な特質のために、
BLASTは、正確な一致を調べる上でまたは相同体を同定する上で特に有用で
ある。ギャップを含まない一致については観念的であるので、モチーフ−スタイ
ル検索を実行するためには不適切である。BLASTアルゴリズム出力の基本的
な単位は、高スコア付けセグメント対(HSP)である。HSPは、任意である
が同じ長さの2つの配列断片で、そのアラインメントが局所的に極大であり、そ
のアラインメントスコアが、ユーザーに設定された閾値もしくは遮断スコアに、
適合するかまたはそれを超えるものからなっている。BLASTアプローチは、
照会配列とデータベース配列との間のHSPを探し、見出されたすべての一致部
分の統計的有意性を評価し、そしてユーザーが選択した有意性の閾値を満たすよ
うな一致部分のみを報告するすものである。パラメータEによって、データベー
ス配列一致部分を報告するための、統計的に有意な閾値が確立される。Eは、全
データベース検索の内容に含まれるHSP(または複数のHSPの組合せ)の発
生の機械の期待される頻度の上限として解釈される。その一致性がEを満たすデ
ータベース配列のすべてが、プログラム出力に報告されるのである。
【0228】 加うるに、BLAST分析を、LIFESEQ(商標名)データベースのライ
ブラリーに含まれる関連分子について検索するためにも使用した。このプロセス
、「電子ノザン」分析は、それが設定したストリンジェンシーにて一致するかま
たは相同な分子を検索するために、一度に1セルブレビン(cellubrevin)配列 を使用するという点でノザンブロット分析に類似したものである。電子ノザンの
ストリンジェンシーは、「プロダクトスコア」に基づいたものである。プロダク
トスコアは、(Blastにおけるヌクレオチドもしくは核酸の[照会と対照配
列の間の]%に、[照会と対照配列の長さに基づいた]可能なBLASTスコア
の最大%をかけたもの)を100で割ったものとして定義される。プロダクトス
コア40では、一致度は1〜2%誤差以内の正確さであり、そして70では、一
致度は正確なものである。相同または関連分子は、およそ15〜30の間のプロ
ダクトスコアを示すものを選択することによって同定することができる。
【0229】 本発明は、以下の実施例によって例証される。本明細書の開示を考慮して、当
業者であれば本発明の範囲に様々な実施態様や変更を施すことができるはずであ
る。従って、本発明の特徴にはそれらの広い範囲が包含され、以下の実施例によ
り限定的に解釈されるべきでないことはもちろんである。
【0230】
【産業上の利用の可能性】
[7.1. 実施例1] EGF受容体様タンパク質をコードする、胎児肝−脾臓のcDNAライブラリ ーから得られた新規核酸配列 複数の新規核酸を、ヒト胎児肝−脾臓組織から調製されたb2HFLS20W
cDNAライブラリーから、Bonaldoら, Genome Res. 6:791-806 (1996)に記載 されるとおりに、標準的PCR、SBH配列サイン分析及びサンガー配列決定技
術を使用して得た。ライブラリーのインサートを、そのインサートに近接するベ
クター配列に対して特異的なプライマーを使用したPCRで増幅した。これらの
試料をナイロン膜にスポットし、配列サインを与えるべくオリゴヌクレオチドプ
ローブについて問い合わせを行った。クローンは、類似または一致配列の群にク
ラスター形成させ、そして単一の代表的なクローンを、ゲル配列決定のために各
群から選択した。増幅されたインサートの5’配列は、次いで、典型的なサンガ
ー配列決定プロトコルにて逆M13配列決定プライマーを使用して演繹を行った
。PCR産物を精製し、そして蛍光染色終止サイクル配列決定に付した。377
Applied Biosystems(ABI)配列決定装置を使用して、単流ゲル配列決定を行
った。これらのインサートのうち2つが、このライブラリーからこれまでに得ら
れておらず、そしてこれまで公開データベースに報告されていない新規配列とし
て同定された。これらの配列を、図2に配列番号:1〜2として示す。配列番号
:1の核酸配列に対応するポリペプチド配列を、図2に配列番号:3として示し
ている。配列番号:2における「NNN」の表記は配列の曖昧さを表すので、配
列番号:2に対応するポリペプチド配列は、図2にて、配列番号:4のアミノ酸
残基第1〜502位として示している。これらのアミノ酸配列は、Notch(ショ ウジョウバエ由来)及びCD97のEGFモチーフに強力な相同性を有するEG
Fモチーフを含んでいる。
【0231】 表皮成長因子及びトランスフォーミング成長因子は、細胞内チロシンキナーゼ
ドメインを介して、EGF−Rを通じて細胞成長に対するシグナルを伝達する。
EGFを通じたシグナル伝達は、細胞***を誘導する。EGFの変異型は、細胞
***シグナル伝達の調節の欠如に起因する様々なガンに関わっていることが立証
されている(Carterら. Crit Rev Oncog 1994;5(4):389-428, Chrysogelos,ら,
Breast Cancer Res Treat 1994 Jan:29(1):29-40)。これによって、ヒトのガン
に対する治療ターゲットとして、EGF及びEGF−Rのその他のリガンドを使
用する機会が提供されている(Rusch,ら, Cytokine Growth Factor Rev 1996 Au
g;7(2):133;-141)。EGF受容体遺伝子の対立遺伝子の両方に標的化変異を施 したマウスは、多臓器不全で生後非常に若いうちに死亡し、EGF受容体が必須
の哺乳動物タンパク質であることが明らかにされている(Miettinen, ら, Natur
e 1995 July27;376( ):377-341)。Notchは、最初にショウジョウバエで同定さ れた受容体タンパク質である(Kidd, ら, Mol Cell Biol 1986 Sep;6(9):3094-3
108)。
【0232】 膜貫通受容体タンパク質のNotchファミリーは、発達の重要な調節因子である 。哺乳動物Notch遺伝子における変異は、白血病、乳ガン、卒中及び痴呆に関係 があるとされている(Panin,ら, Nature 1997 Jun 26;387(6636):908-912)。No
tchの細胞外ドメインは、36のEGF様リピート、膜貫通ドメイン及び3つの その他の反復エレメントを含んでいる(Kidd,ら, Mol Cell Biol 1986 Sep;6(9)
:3094-3108)。
【0233】 CD97は、主に白血球に発現されている表面分子である。CD97は、5つ
のEGF様ドメインと7つの膜貫通ドメインを有しており、Gタンパク質結合性
受容体の特徴を明示している。CD97はさらにまた、RGDモチーフ(インテ
グリン分子への結合に関与する)及び8つの潜在的なN−結合グリコシル化部位
も有している。CD97は、ガン(それはヒト甲状腺ガン腫の脱分化指標である
;Aust,ら, Cancer Res 1997 May 1;57(9):1798-1806)及び炎症(Gray,ら, Jou
rnal of Immunology 1996 157:5438-5447)と関わっている。
【0234】 [7.2. 実施例2] 配列番号:1〜2を用いた発現試験 配列番号:2が疾患または正常ヒト組織にて特異的に発現されているかどうか
を調べるために、ノザンブロット分析を実施した。cDNAインサート全体を、
マルチプライム・ラベリング法を用い、放射同位体で標識した。特異的なハイブ
リダイゼーションを確実とするために、高ストリンジェンシーの洗浄を行った。
得られたハイブリダイゼーションパターンで、合計5つの相違するバンドが認め
られた(およそ、6.5、4.0、2.1、0.5及び0.2kb)。これらの
バンドのうち2つ(6.5及び4.0kb)は、脳腫瘍に由来する試料(小脳の
星状細胞腫)に特徴的に発現されており、その他の19種の組織由来の試料(正
常脳、腎腫瘍及び正常腎臓、肝腫瘍及び正常肝臓、肺腫瘍及び正常肺、正常心臓
、膵臓脾臓及び骨格筋ならびに胎児脳、肝臓、肺、及び骨格筋)には認められな
かった。他の3つのバンドは、その他の組織に様々な程度で発現していた。これ
らの結果、2つの高分子量バンドが、脳腫瘍組織に特異的であり、他の試料には
見出されないことが示唆される。受容体を含むEGFモチーフは、これまでに様
々なガンの進行と関連付けられており、配列番号:2に対する全長のメッセンジ
ャーが脳腫瘍の進行に関わっていると考えられる。
【0235】 [7.3. 実施例3] 配列番号:3〜4に結合する分子の使用 配列番号:3、4、6または配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位に結
合する分子には、例えば、モノクローナル抗体、及び阻害剤として、または活性
化剤として作用するその他の小分子が包含されよう。前記を参照されたい。これ
らの分子は、以下のタイプのアッセイによって、配列番号:3、4、6または配
列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位のアゴニストまたはアンタゴニストと
して同定される。当該技術分野でよく知られている腫瘍細胞系(例えば、星状細
胞腫細胞系1321N1)を、結合分子の存在下に培養し、そして腫瘍細胞の成
長速度の変化によって、アンタゴニストまたはアンタゴニスト活性を同定する。
一つの実施態様いおいて、結合分子は、細胞死をもたらすアンタゴニストである
【0236】 配列番号:3、4、6または配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位に結
合する抗体または好適な結合分子は、受容体タンパク質精製及びin situハイブ リダイゼーション分析においても有用である。最初のin situ分析では、配列番 号:3、4、6または配列番号:4のアミノ酸残基第1〜502位の発現と、免
疫系または発生の遺伝的障害との関連性が同定される。これらの結合分子を用い
in situハイブリダイゼーションで、次に、患者における免疫系または発生の これら遺伝的障害の診断が行われるのである。
【0237】 [7.4. 実施例4] 配列番号:5及び6 配列番号:5(図4)は、元のcDNA配列、配列番号:2の5’及び3’伸
長体である。5’方向には、5’RACE(cDNA端部の迅速増幅)(Frohma
n, M.A., Dush, M.K. 及びMartin, G.R., (1988) Proc. Natl. Acad Sci. USA 8
5, 8998-9002)と称される、欠切されたcDNAから5’配列情報をPCRに基
づいて伸長させる方法によって、さらなる配列を得た。胎児肝マラソン−レディ
(Marathon-Ready)cDNA(Clontech)を、PCRの鋳型として使用した。Cl
ontechによって提供されるアダプタープライマーAP1を、5’PCRプライマ
ーとして使用し、遺伝子特異的なプライマー10244−52(5'-CTCATCCTCAA
GCCCCTCTTT-3')を、3’PCRプライマーとして使用した。このPCR反応の 産物を100倍に希釈し、そしてネスト化PCR反応のための鋳型として、5’
プライマーとしてのAP1及び3’プライマーとしての別の遺伝子特異的なプラ
イマー10244−51(5'-CCATGAGAGTTCCCGCCTCTG-3')と共に使用した。こ のPCR反応の産物を、pGEM(登録商標)−T Easyベクターシステム(Pro
mega)を使用し、ユーザーマニュアルにおける指示に従って、pGEM(登録商
標)−T Easyベクターへとクローニングした。このクローニング反応に由来す る個々のコロニーの細菌懸濁液を、配列決定用のDNA断片を作製するために、
ベクタープライマー(T7: 5'-GTAATACGACTCACTATAGGG-3', SP6: 5'-ATTTAG
GTGACACTATAGAAGG-3')を用いたPCR反応の鋳型として使用した。PCR反応 におけるものと同じプライマー(T7及びSP6)を使用して、これらのDNA
断片を、BigDYEターミネーター(Perkin Elmer ABI)サイクル配列決定反
応(サンガー・ジデオキシ)を使用して配列決定した。138ヌクレオチドが、
配列番号:2の元のcDNA配列と5’端部で隣接している。これらのさらなる
配列に基づいて、2つのさらなる遺伝子特異的プライマー(l0244−A: 5'
-CCCAGGCTGACGTGCCGATGC-3', 10244−B: 5'-GCAGCAGGCCAGTTTAGTTCC-3')
を設計し、そしてこれらを使用して、5’RACEプロセスを繰り返した。
【0238】 胎児肝マラソン−レディcDNA(Clontech)を、5’プライマーとしてのA
P1及び3’プライマーとしての遺伝子特異的プライマー10244−Aと共に
、ネスト化PCR反応の鋳型として再度使用した。このPCR反応の産物は、同
様にpGEM(登録商標)−T Easyベクターへとクローニングし、そして個々 のコロニーのインサートを同様に配列決定した。さらなるヌクレオチド配列を、
前記のようにして得られた配列に近接する配列を生じる配列決定反応から得て、
図4に示すような配列番号:5(2365bp)の配列決定を完遂した。
【0239】 配列番号:6(図5)は、配列番号:5のヌクレオチド第205〜1866位
(開始のメチオニン及び終止コドンを含む)からの、アミノ酸翻訳である。最初
の21アミノ酸残基は、シグナルペプチドを表す疎水性領域を含んでいる。EG
Fモチーフは、配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位(EGFモチーフ1
)、配列番号:6のアミノ酸残基第95〜128位(EGFモチーフ2)、配列
番号:6のアミノ酸残基第133〜168位(EGFモチーフ3)、配列番号:
6のアミノ酸残基第175〜214位(EGFモチーフ4)、アミノ酸残基第2
20〜259位(EGFモチーフ5)に位置している。膜貫通ドメインは、配列
番号:6のアミノ酸残基第446〜465位に位置しており、潜在的なリン酸化
部位は配列番号:6のアミノ酸残基第509位に、そしてRGDモチーフは配列
番号:6のアミノ酸残基第363〜365位に位置している。
【0240】 このように、配列番号:1は、ショウジョウバエ発生遺伝子NotchのEGFモ チーフ(32%のアミノ酸配列相同性)、CD97のEGFモチーフ(38%の
アミノ酸配列相同性)、及びEGFコンセンサスモチーフ(26%アミノ酸配列
相同性)に類似した、EGFモチーフを含む、配列番号:3のポリペプチド配列
をコードするものである。配列番号:1は、ショウジョウバエNotch及びヒトC D97のEGFモチーフに最も類似した、EGF含有遺伝子のファミリーメンバ
ーに対するESTである。
【0241】 同様に、配列番号:5は、ショウジョウバエ発生遺伝子NotchのEGFモチー フ(31%のアミノ酸配列相同性)、CD97のEGFモチーフ(34%のアミ
ノ酸配列相同性)、及びEGFコンセンサスモチーフ(24%アミノ酸配列相同
性)に、タンパク質配列で類似した、配列番号:6のポリペプチド配列をコード
するものである。
【0242】 一般的に、保存性の高い特定のアミノ酸残基の内容及び位置により、EGF−
リピート含有ファミリーのメンバー(保存されたアミノ酸残基は、図1に示すと
おりである)として、配列番号:6が同定される。6つのシステイン及び2つの
グリシンが、EGFモチーフとして規定されるEGF−リピート間に高く保存さ
れている。4つのシステイン及び1つのグリシンは、既知EGF−リピートドメ
イン由来のコンセンサス配列に絶対的に保存されている。配列番号:6の4と半
分のEGFモチーフは、システイン及び1つのグリシン残基を、これら残基の間
の適切な間隔をもって含んでいる。かくして、配列番号:6はEGF−リピート
モチーフを含んでいるタンパク質として正しく分類されるものである。配列番号
:6は、CD97と最も高いアミノ酸類似性を有しているが、モチーフの保存さ
れた残基は、ショウジョウバエNotchに最も類似している。
【0243】 本発明は、以上例示した実施態様によってその範囲を限定的に解釈されるべき
ではない。これら実施態様は、本発明の一つの特徴を例示することを意図してな
されたものに過ぎず、機能的に同等の組成物及び方法が、本発明の範囲に入るべ
きものである。実際、本発明を実施するに当たって、数多くの修飾及び変更をな
すことが、本発明の好ましい実施態様を考慮すれば当業者に想起されるはずであ
る。従って、本発明の範囲の限定は、特許請求の範囲においてなされる限定のみ
によってなされるべきである。
【0244】 本明細書に引用した文献はすべて、引用することによりその全体を本明細書に
組入れることとする。
【図面の簡単な説明】
図1には、ショウジョウバエNotch、CD97、及びコンセンサスEFGF− Rリピートの、EFGF−リピート・モチーフに関する、配列番号:3〜4の配
列アラインメントを示す。Aはアラニン、Rはアルギニン、Nはアスパラギン、
Dはアスパラギン酸、Cはシステイン、Eはグルタミン酸、Qはグルタミン、G
はグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Lはロイシン、Kはリジン、
Mはメチオニン、Fはフェニルアラニン、Pはプロリン、Sはセリン、Tはスレ
オニン、Wはトリプトファン、Yはチロシン、Vはバリン、Xはこれら20のア
ミノ酸のいずれかである。ギャップはスペースで、そして非保存性配列はダッシ
ュで表されている。配列番号:4の領域は、102444と標識されている。各
タンパク質ストレッチの開始位置に対するアミノ酸の位置が記載されている。No
tch、CD97、及びEFGF−Rが順に列挙されている。コンセンサス配列に は、標識が付けられている(C)。保存されているシステイン及びグリシンには
、下線を付している。 図2には、b2HFLS20W cDNAライブラリーから、標準PCR法、ハイブリダ
イゼーション分析による配列決定、及び単流ゲル配列決定技術を用いて得られた
核酸配列を示す。これらの配列は、配列番号:1〜2としている。Aはアデノシ
ン、Cはシトシン、Gはグアノシン、Tはチミジン、そしてNはこれら4種の塩
基のいずれかである。 図3には、配列番号:3〜4を示す。配列番号:3のアミノ酸配列は、配列番
号:1のポリヌクレオチド配列に対応している。配列番号:4のアミノ酸残基第
1〜502位は、配列番号:2のポリヌクレオチド配列に対応しており、また配
列番号:6のアミノ酸第52〜553位(図5参照)に対応している。Aはアラ
ニン、Rはアルギニン、Nはアスパラギン、Dはアスパラギン酸、Cはシステイ
ン、Eはグルタミン酸、Qはグルタミン、Gはグリシン、Hはヒスチジン、Iは
イソロイシン、Lはロイシン、Kはリジン、Mはメチオニン、Fはフェニルアラ
ニン、Pはプロリン、Sはセリン、Tはスレオニン、Wはトリプトファン、Yは
チロシン、Vはバリン、Xはこれら20のアミノ酸のいずれかである。 図4には、配列番号:2のcDNA配列を5’及び3’側に伸ばしたものであ
る、配列番号:5を示す。 図5には、開始のメチオニン及び終止コドンを含め、配列番号:5のヌクレオ
チド第205〜1866位からのアミノ酸翻訳(配列番号:6)を示す。最初の
21アミノ酸は、シグナルペプチドを表す疎水性領域を含んでいる。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成11年8月31日(1999.8.31)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0237
【補正方法】変更
【補正内容】
【0237】 [7.4. 実施例4] 配列番号:5及び6 配列番号:5(図4)は、元のcDNA配列、配列番号:2の5’及び3’伸
長体である。5’方向には、5’RACE(cDNA端部の迅速増幅)(Frohma
n, M.A., Dush, M.K. 及びMartin, G.R., (1988) Proc. Natl. Acad Sci. USA 8
5, 8998-9002)と称される、欠切されたcDNAから5’配列情報をPCRに基
づいて伸長させる方法によって、さらなる配列を得た。胎児肝マラソン−レディ
(Marathon-Ready)cDNA(Clontech)を、PCRの鋳型として使用した。Cl
ontechによって提供されるアダプタープライマーAP1を、5’PCRプライマ
ーとして使用し、遺伝子特異的なプライマー10244−52(5'-CTCATCCTCAA
GCCCCTCTTT-3'、配列番号:12)を、3’PCRプライマーとして使用した。 このPCR反応の産物を100倍に希釈し、そしてネスト化PCR反応のための
鋳型として、5’プライマーとしてのAP1及び3’プライマーとしての別の遺
伝子特異的なプライマー10244−51(5'-CCATGAGAGTTCCCGCCTCTG-3'配列 番号:13)と共に使用した。このPCR反応の産物を、pGEM(登録商標)
−T Easyベクターシステム(Promega)を使用し、ユーザーマニュアルにおける
指示に従って、pGEM(登録商標)−T Easyベクターへとクローニングした 。このクローニング反応に由来する個々のコロニーの細菌懸濁液を、配列決定用
のDNA断片を作製するために、ベクタープライマー(T7: 5'-GTAATACGACTCA
CTATAGGG-3'(配列番号:14), SP6: 5'-ATTTAGGTGACACTATAGAAGG-3'(配 列番号:15))を用いたPCR反応の鋳型として使用した。PCR反応におけ
るものと同じプライマー(T7及びSP6)を使用して、これらのDNA断片を
、BigDYEターミネーター(Perkin Elmer ABI)サイクル配列決定反応(サ
ンガー・ジデオキシ)を使用して配列決定した。138ヌクレオチドが、配列番
号:2の元のcDNA配列と5’端部で隣接している。これらのさらなる配列に
基づいて、2つのさらなる遺伝子特異的プライマー(l0244−A: 5'-CCCAG
GCTGACGTGCCGATGC-3'(配列番号:16), 10244−B: 5'-GCAGCAGGCCAGTT
TAGTTCC-3'(配列番号:17))を設計し、そしてこれらを使用して、5’RA
CEプロセスを繰り返した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】 図1には、ショウジョウバエNotch、CD97、及びコンセンサスEFGF− Rリピートの、EFGF−リピート・モチーフに関する、配列番号:3〜4の配
列アラインメントを示す。Aはアラニン、Rはアルギニン、Nはアスパラギン、
Dはアスパラギン酸、Cはシステイン、Eはグルタミン酸、Qはグルタミン、G
はグリシン、Hはヒスチジン、Iはイソロイシン、Lはロイシン、Kはリジン、
Mはメチオニン、Fはフェニルアラニン、Pはプロリン、Sはセリン、Tはスレ
オニン、Wはトリプトファン、Yはチロシン、Vはバリン、Xはこれら20のア
ミノ酸のいずれかである。ギャップはスペースで、そして非保存性配列はダッシ
ュで表されている。配列番号:4の領域は、102444と標識されている。各
タンパク質ストレッチの開始位置に対するアミノ酸の位置が記載されている。No
tch、CD97、及びEFGF−Rが順に列挙されている。コンセンサス配列に は、標識が付けられている(C)。保存されているシステイン及びグリシンには
、下線を付している。 図2には、b2HFLS20W cDNAライブラリーから、標準PCR法、ハイブリダ
イゼーション分析による配列決定、及び単流ゲル配列決定技術を用いて得られた
核酸配列を示す。これらの配列は、配列番号:1〜2としている。Aはアデノシ
ン、Cはシトシン、Gはグアノシン、Tはチミジン、そしてNはこれら4種の塩
基のいずれかである。 図3には、配列番号:3〜4を示す。配列番号:3のアミノ酸配列は、配列番
号:1のポリヌクレオチド配列に対応している。(配列番号:18のアミノ酸配
列は、配列番号:2のポリヌクレオチド配列に対応している。)配列番号:4の
アミノ酸残基第1〜502位は、配列番号:2のポリヌクレオチド配列に対応し
ており、また配列番号:6のアミノ酸第52〜553位(図5参照)に対応して
いる。Aはアラニン、Rはアルギニン、Nはアスパラギン、Dはアスパラギン酸
、Cはシステイン、Eはグルタミン酸、Qはグルタミン、Gはグリシン、Hはヒ
スチジン、Iはイソロイシン、Lはロイシン、Kはリジン、Mはメチオニン、F
はフェニルアラニン、Pはプロリン、Sはセリン、Tはスレオニン、Wはトリプ
トファン、Yはチロシン、Vはバリン、Xはこれら20のアミノ酸のいずれかで
ある。 図4には、配列番号:2のcDNA配列を5’及び3’側に伸ばしたものであ
る、配列番号:5を示す。 図5には、開始のメチオニン及び終止コドンを含め、配列番号:5のヌクレオ
チド第205〜1866位からのアミノ酸翻訳(配列番号:6)を示す。最初の
21アミノ酸は、シグナルペプチドを表す疎水性領域を含んでいる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12P 21/02 H 4H045 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 G01N 33/53 M C12P 21/02 33/566 C12Q 1/68 C07K 14/715 G01N 33/53 C12P 21/08 33/566 C12N 15/00 ZNAA // C07K 14/715 A61K 37/02 C12P 21/08 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ディクソン, マーク アメリカ合衆国 95023 カリフォルニア ホリスター ゲービラン ドライブ 1411 アパートメント #B (72)発明者 ドルマナック, スネザナ アメリカ合衆国 94303 カリフォルニア パロアルト イースト グリーンウィッ チ プレイス 850 (72)発明者 ラバット, アイヴァン アメリカ合衆国 94086 カリフォルニア サニーヴェール アカラナス ドライブ 140 (72)発明者 レシュコウィッツ, デナ アメリカ合衆国 94087 カリフォルニア サニーヴェール ダーシャイヤー ウェ イ 678 (72)発明者 キタ, デーヴィッド アメリカ合衆国 94404 カリフォルニア フォスター シティ バウンティ ドラ イブ 899 (72)発明者 フォード, ジョン アメリカ合衆国 94304 カリフォルニア パロアルト オーク クリーク ドライ ブ 1380 アパートメント #402 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA12 BA63 CA04 DA01 DA02 DA05 DA11 GA11 4B063 QA01 QA13 QA18 QQ02 QQ42 QQ53 QR55 QS34 4B064 AG13 AG20 AG27 CA19 CC24 DA03 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4C084 AA02 AA06 BA01 BA22 CA56 MA52 MA66 NA14 ZA891 ZA961 ZB151 ZB211 ZB261 ZC351 4H045 AA10 AA11 BA10 CA40 DA50 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)配列番号:6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; b)配列番号:6のアミノ酸残基第1〜21位を含むポリペプチドをコードする
    ヌクレオチド配列; c)配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位を含むポリペプチドをコードす
    るヌクレオチド配列; d)配列番号:6のアミノ酸残基第95〜128位を含むポリペプチドをコード
    するヌクレオチド配列; e)配列番号:6のアミノ酸残基第133〜168位を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; f)配列番号:6のアミノ酸残基第175〜214位を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; g)配列番号:6のアミノ酸残基第220〜259位を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; h)配列番号:6のアミノ酸残基第446〜465位を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; i)配列番号:6のアミノ酸残基第363〜365位を含むポリペプチドをコー
    ドするヌクレオチド配列; j)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードされるア ミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列; k)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートの、全長のタンパク質 コード配列を含むヌクレオチド配列; l)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードされるア ミノ酸配列を含む成熟タンパク質をコードするヌクレオチド配列; m)配列番号:5の核酸配列; n)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第205〜267位; o)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第442〜483位; p)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第487〜588位; q)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第601〜708位; r)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第727〜846位; s)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第862〜981位; t)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第1540〜1599位; u)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第1729〜1731位; v)配列番号:5の核酸配列のヌクレオチド第1291〜1299位; w)クローンpEGFR-HY1のcDNAインサートのヌクレオチド配列;または x)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサートのヌクレオチド配列 を含む単離されたポリヌクレオチド。
  2. 【請求項2】 ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に、請求
    項1記載のポリヌクレオチドの相補体とハイブリダイズする、単離されたポリヌ
    クレオチド。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリヌクレオチドの相補体を含む、単離され
    たポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の単離されたポリヌクレオチドを含む
    ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の単離されたポリヌクレオチドを含む
    発現ベクター。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載のポリヌクレオチドを含むように遺伝
    操作された宿主細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載のポリヌクレオチドを含むように遺伝
    操作された宿主細胞で、該宿主細胞において該ポリヌクレオチドの発現を制御す
    る調節配列と作動可能な関係に操作された宿主細胞。
  8. 【請求項8】 a)配列番号:6のアミノ酸配列; b)配列番号:6のアミノ酸残基第1〜21位; c)配列番号:6のアミノ酸残基第80〜93位; d)配列番号:6のアミノ酸残基第95〜128位; e)アミノ酸残基第133〜168位; f)アミノ酸残基第175〜214位; g)アミノ酸残基第220〜259位; h)アミノ酸残基第446〜465位; i)アミノ酸残基第363〜365位; j)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードされるア ミノ酸配列; k)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードされる全 長のタンパク質を含むアミノ酸配列;または l)クローンpEGFR-HY2のcDNAインサート、配列番号:5の核酸第323〜 357位、及びクローンpEGFR-HY1のcDNAインサートによりコードされるア ミノ酸配列を含む成熟タンパク質をコードするヌクレオチド配列; を含む単離されたポリペプチド。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のポリペプチド及び担体を含む組成物。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のポリペプチドに対して作製される抗体。
  11. 【請求項11】 試料中の請求項1または2記載のポリヌクレオチドを検出
    するための方法であって、以下の工程すなわち、 a)試料を、該ポリヌクレオチドと結合して複合体を形成する化合物に、複合
    体を形成するのに充分な期間接触させ、及び、 b)該複合体を検出する、 工程を含み、複合体が検出されれば、請求項1または2記載のポリヌクレオチド
    が検出される方法。
  12. 【請求項12】 試料中の請求項1または2記載のポリヌクレオチドを検出
    するための方法であって、以下の工程すなわち、 a)試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に、当該条件
    下で請求項1または2記載のポリヌクレオチドとアニールする核酸プライマーに
    接触させ、及び b)アニールしたポリヌクレオチドを増幅する、 工程を含み、ポリヌクレオチドが増幅されれば、請求項1または2記載のポリヌ
    クレオチドが検出される方法。
  13. 【請求項13】 前記ポリヌクレオチドが、請求項8記載のポリペプチドを
    コードするRNA分子であり、そして前記方法がさらに、アニールしたRNA分
    子をcDNAポリヌクレオチドに逆転写する工程を含む請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 試料中の請求項8記載のポリペプチドを検出するための方
    法であって、以下の工程すなわち、 a)試料を、前記ポリペプチドと結合して複合体を形成する化合物に、複合体
    を形成するのに充分な期間接触させ、及び b)前記複合体を検出する、 工程を含み、複合体が検出されれば、請求項8記載のポリペプチドが検出される
    方法。
  15. 【請求項15】 請求項8記載のポリペプチドに結合する化合物を同定する
    ための方法であって、以下の工程すなわち、 a)化合物を、請求項8記載のポリペプチドに、ポリペプチド/化合物複合体
    を形成するのに充分な期間接触させ、及び b)前記複合体を検出する、 工程を含み、ポリペプチド/化合物複合体が検出されれば、請求項8記載のポリ
    ペプチドと結合する化合物が同定される方法。
  16. 【請求項16】 請求項8記載のポリペプチドに結合する化合物を同定する
    ための方法であって、以下の工程すなわち、 a)細胞において、化合物を請求項8記載のポリペプチドに、ポリペプチド/
    化合物複合体を形成するのに充分な時間接触させ、その複合体は細胞においてレ
    ポーター遺伝子配列の発現を駆動するものであり、及び b)レポーター遺伝子配列発現を検出することにより複合体を検出する、 工程を含み、ポリペプチド/化合物複合体が検出されれば、請求項8記載のポリ
    ペプチドと結合する化合物が同定される方法。
  17. 【請求項17】 請求項8記載のポリペプチドの活性をモジュレートする方
    法であって、以下の工程すなわち、該ポリペプチドを発現する細胞を、該ポリペ
    プチドの活性をモジュレートする化合物に、該活性をモジュレートするのに充分
    な時間接触させる工程を含む方法。
  18. 【請求項18】 請求項8記載のポリペプチドの活性をモジュレートする方
    法であって、以下の工程すなわち、該ポリペプチドを、該ポリペプチドの活性を
    モジュレートする化合物に、該活性をモジュレートするのに充分な時間接触させ
    る工程を含む方法。
  19. 【請求項19】 請求項8記載のポリペプチドを製造する方法であって、以
    下の工程すなわち、 a)請求項7記載の宿主細胞を、該細胞内に含まれるポリペプチドを発現させ
    るのに充分な期間培養し、及び b)工程(a)の細胞からペプチドを単離する、 工程を含む方法。
  20. 【請求項20】 配列番号:2または5の核酸配列を含む、単離されたポリ
    ヌクレオチド。
  21. 【請求項21】 配列番号:3、4もしくは6のアミノ酸配列、または配列
    番号:4のアミノ酸残基第1〜502位を含む、単離されたポリペプチド。
  22. 【請求項22】 細胞にて発現される請求項8記載のポリペプチドの活性を
    モジュレートする、請求項8記載のポリペプチドのモジュレーターの用途。
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