JP2002364070A - 柱固定具及び該柱固定具を用いた柱固定工法 - Google Patents

柱固定具及び該柱固定具を用いた柱固定工法

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JP2002364070A
JP2002364070A JP2002205064A JP2002205064A JP2002364070A JP 2002364070 A JP2002364070 A JP 2002364070A JP 2002205064 A JP2002205064 A JP 2002205064A JP 2002205064 A JP2002205064 A JP 2002205064A JP 2002364070 A JP2002364070 A JP 2002364070A
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Hidekazu Okita
秀和 大北
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OKITA KENCHIKU JIMUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄骨建造物における柱の固定強度の確保と低
コスト化とを両立し得る柱固定具及びこれを用いた柱固
定工法を提案する。 【解決手段】 基礎32上にアンカーボルト11により
締着固定される基板3と、該基板3と一体化され且つ上
記柱1の底部1aの側壁にボルト接合される接合板4と
を備えた柱固定具2を用い、上記柱1の底部1aに上記
柱固定具2を上記接合板4を介してボルト接合により固
定し、しかる後、上記柱1の底部1aに取り付けられた
上記柱固定具2の上記基板3を上記基礎32上に載置す
るとともに該基板3を上記アンカーボルト11により上
記基礎32側に締結固定する。かかる構成によれば、上
記柱固定具2を用いて上記柱1の固定を行うことで柱1
の底部1aに対する直接的な溶接が無くなり溶接コスト
の低減が可能となるとともに、高い信頼性をもつ柱固定
工法をより安価に提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、例えば鉄骨建造
物の柱を基礎上に固定するための柱固定具及びその柱固
定工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図16には、従来の鉄骨建造物の柱51
の固定構造を示している。即ち、従来は、柱51の底部
51aを基礎54側に固定する場合、該底部柱51aに
平板状の基板52を溶接接合により固定し、該基板52
を基礎54側に埋設配置したアンカーボルト53によっ
て該基礎54側に締結固定するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
柱51の底部51aに基板52を溶接接合により固定
し、該基板52をアンカーボルト53によって基礎54
側に締結する固定工法を採用した場合には、以下のよう
な問題があった。
【0004】(イ) 上記柱51と基板52との接合部
は、特に耐震性という点において強度性能上極めて重要
な部位である。従って、柱51と基板52とを溶接によ
り接合するに際しては高水準の溶接品質が担保されるこ
とが要求されるが、これを充足する技術レベルを有する
工場は限られる。その結果、所要の技術レベルにある工
場での製作によれば技術料が付加されることで溶接コス
トが高くつき、延いては鉄骨全体としての製作コストの
上昇を招来し、逆に、所要の技術レベルに達しない工場
での製作によれば溶接品質のバラツキ等によって柱51
の強度性能上の信頼性が十分に確保できないことにな
る。
【0005】(ロ) 長尺大重量の柱51に上記基板5
2を直接溶接合するものであって、溶接対象物が大型で
ある分だけ溶接作業性が低劣となり、延いては溶接コス
トの上昇を招来することになる。
【0006】(ハ) 柱51に基板52が溶接固定され
ていることから、該柱51の輸送形態は該柱51の外表
面から上記基板52の一部が張り出した形態となり、例
えば該柱51が単体状態である場合の輸送形態に比し
て、かさ張り、それだけ車両による輸送効率が悪く、輸
送コストの上昇を招来することになる。
【0007】そこで本願発明は、柱の固定強度の確保と
低コスト化とを両立し得るようにした柱固定具及びこれ
を用いた柱固定工法を提案することを目的としてなされ
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題
を解決するための具体的手段として次のような構成を採
用している。
【0009】本願の第1の発明にかかる柱固定具は、基
礎32上にアンカーボルト11により締着固定されると
ともにその上面側には柱1の底部1aが直交状態で当接
される基板3と、該基板3と一体化され且つ上記柱1の
底部1aの側壁にボルト接合される接合板4とを備えた
ことを特徴としている。
【0010】本願の第2の発明では、上記第1の発明に
かかる柱固定具において、上記柱固定具2を、上記基板
3上に上記接合板4を立設状態で溶接接合して構成した
ことを特徴としている。
【0011】本願の第3の発明では、上記第2の発明に
かかる柱固定具において、上記接合板4を、上記柱1の
側壁の外面側に配置される外側接合板4Aと内面側に配
置される内側接合板4Bとで構成し、上記外側接合板4
Aと内側接合板4Bとによって上記柱1の側壁をその内
外両側から挟着することを特徴としている。
【0012】本願の第4の発明では、上記第1の発明に
かかる柱固定具において、上記柱固定具2を、上記基板
3上に上記接合板4をボルト接合した構成したことを特
徴としている。
【0013】本願の第5の発明では、上記第4の発明に
かかる柱固定具において、上記接合板4を、上記基板3
上に衝合され且つボルト接合される第1板部4aと、上
記柱1の側壁に衝合され且つボルト接合される第2板部
4bとからなるL形板材で構成したことを特徴としてい
る。
【0014】本願の第6の発明にかかる柱固定方法で
は、基礎32上にアンカーボルト11により締着固定さ
れるとともにその上面側には柱1の底部1aが直交状態
で当接される基板3と、該基板3と一体化され且つ上記
柱1の底部1aの側壁にボルト接合される接合板4とを
備えた柱固定具2を用い、上記柱1の底部1aに上記柱
固定具2を上記接合板4を介してボルト接合により固定
し、しかる後、上記柱1の底部1aに取り付けられた上
記柱固定具2の上記基板3を上記基礎32上に載置する
とともに該基板3を上記アンカーボルト11により上記
基礎32側に締結固定することを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】本願発明ではかかる構成とすることによ
り次のような効果が得られる。
【0016】 本願の第1の発明にかかる柱固定具に
よれば、基礎32上にアンカーボルト11により締着固
定されるとともにその上面側には柱1の底部1aが直交
状態で当接される基板3と、該基板3と一体化され且つ
上記柱1の底部1aの側壁にボルト接合される接合板4
とを備えたことを特徴としている。
【0017】この発明の柱固定具2を上記柱1の上記基
礎32側への固定に用いる場合には、上記柱1の底部1
aに上記柱固定具2を装着し且つその接合板4をボルト
接合により該底部1a側に固定し、この状態で上記柱1
と一体的に上記基板3を上記基礎32上に載置し且つこ
れを該基礎32側に設けたアンカーボルト11により締
結固定することで、該柱1が上記基礎32側に固定され
る。
【0018】従って、上記柱1はその底部1aに基板等
の張り出し部材が設けられていない単体状態で施工現場
へ輸送することができることから、その輸送効率が高
く、輸送コストの低減によるコストダウンが図れる。
【0019】また、上記柱1の底部1aに対する直接的
な溶接が皆無であることから、溶接コストの低減が可能
となり、それだけコストダウンが図れることになる。
【0020】 本願の第2の発明にかかる柱固定具に
よれば、上記に記載の効果に加えて次のような特有の
効果が得られる。即ち、この発明では、上記第1の発明
にかかる柱固定具において、上記柱固定具2を、上記基
板3上に上記接合板4を立設状態で溶接接合して構成し
ているので、該基板3と接合板4との溶接作業は、例え
ば従来のように柱1の底部に直接基板を溶接接合する場
合に比して、溶接対象物が小型軽量であり、このため溶
接作業が簡易且つ迅速に作業性良く行え、それだけコス
トダウンが促進されることになる。
【0021】また、上記基板3と接合板4との溶接は、
例えば従来のように柱1の底部に直接基板を溶接接合す
る場合に比して、作業形態が単純であることから、該溶
接を例えば溶接ロボットを用いて行うことが容易であ
り、その結果、溶接品質の確保と低コスト化との両立が
可能となる。
【0022】 本願の第3の発明にかかる柱固定具に
よれば、上記に記載の硬化に加えて次のような特有の
効果が得られる。即ち、この発明では、上記第2の発明
にかかる柱固定具において、上記接合板4を、上記柱1
の側壁の外面側に配置される外側接合板4Aと内面側に
配置される内側接合板4Bとで構成し、上記外側接合板
4Aと内側接合板4Bとによって上記柱1の側壁をその
内外両側から挟着するようにしているので、上記柱1の
側壁の内外両側にそれぞれ摩擦接合面が形成され(所謂
「二面剪断状態」の実現)、例えば上記柱1の側壁の内
外何れか一方側のみに接合板4が設けられている場合
(即ち、側壁の内外何れか一方側のみに摩擦接合面が形
成された所謂「一面剪断状態」の場合)に比して、上記
接合板4における発生支持力が増加し、より大きな柱固
定強度が要求される場合にも容易に対応することができ
る。また、例えば、必要支持力が「一面剪断状態」にお
けるそれと同じである場合には、「一面剪断状態」の場
合よりも、接合ボルトの数を減らしたり、あるいは接合
ボルトの締め付けトルクを低下させることができ、それ
だけ柱固定具の低コスト化が図られることになる。
【0023】 本願の第4の発明にかかる柱固定具に
よれば、上記に記載の効果に加えて次のような特有の
効果が得られる。即ち、この発明では、上記柱固定具2
を、上記基板3上に上記接合板4をボルト接合して構成
しているので、該柱固定具2の製作、及び該柱固定具2
の上記柱1の底部1aの取付け作業が全てボルト接合と
され、溶接接合が皆無とされる。この結果、ボルト接合
コストは溶接コストに比して格段に安価であることか
ら、上記柱固定具2の低コスト化及び該柱固定具2を用
いた上記柱1の固定作業の低コスト化がより一層促進さ
れることになる。
【0024】 本願の第5の発明にかかる柱固定具に
よれば、上記に記載の効果に加えて次のような特有の
効果が得られる。即ち、この発明では、上記接合板4
を、上記基板3上に衝合され且つボルト接合される第1
板部4aと、上記柱1の側壁に衝合され且つボルト接合
される第2板部4bとからなるL形板材で構成している
ので、上記基板3と上記接合板4とを接合して上記柱固
定具2を形成した場合、該基板3と該接合板4の第1板
部4aとが積層一体化され共働して一つの強度部材とし
て機能することになる。このため、例えば、上記基板3
はこれが単一の板材で構成される場合に比して、上記第
1板部4aが負担する強度分だけその板厚を薄く設定す
ることができ、その低コスト化が促進されることにな
る。
【0025】 本願の第6の発明にかかる柱固定方法
では、基礎32上にアンカーボルト11により締着固定
されるとともにその上面側には柱1の底部1aが直交状
態で当接される基板3と、該基板3と一体化され且つ上
記柱1の底部1aの側壁にボルト接合される接合板4と
を備えた柱固定具2を用い、上記柱1の底部1aに上記
柱固定具2を上記接合板4を介してボルト接合により固
定し、しかる後、上記柱1を起立させ、その底部1aに
取り付けられた上記柱固定具2の上記基板3を上記基礎
32上に載置するとともに該基板3を上記アンカーボル
ト11により上記基礎32側に締結固定するようにして
いるので、(a) 上記柱1の底部1aに対する直接的
な溶接箇所がなく、また上記柱固定具2の製作に際して
溶接箇所があったとしても、この溶接は、例えば上記柱
1の底部1aに直接基板を溶接する場合に比してその溶
接対象物が小型軽量であって溶接作業を容易且つ作業性
良く行うことができるとともに、溶接ロボット等の高レ
ベルの溶接品質の確保が容易な溶接工法にて溶接でき強
度性能上高い信頼性が担保されること、等から、高い信
頼性をもつ柱固定工法をより安価に提供することができ
る、(b) 柱1の底部1aへの柱固定具2の取付けが
建方現場において行われるものであることから、該柱1
の建方現場への輸送効率が高く、輸送コストを含む鉄骨
建造物全体としての低コスト化が図られる、等の効果が
得られるものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を好適な実施形態
に基づいて具体的に説明する。
【0027】A:第1の実施形態 図1〜図4には、本願発明の第1の実施形態にかかる柱
固定具2及び該柱固定具2を用いた柱1の固定工法を示
しており、同各図において符号1は柱、2は上記柱1を
基礎32に固定するための柱固定具である。この柱1の
底部1aの上記基礎32への固定は、特に該柱1を用い
た鉄骨建造物全体としての耐震性という点において強度
上極めて重要であり、かかる強度性能を、しかもより安
価に確保する手段として上記柱固定具2が用いられるも
のである。
【0028】上記柱1は、この実施形態では、角管体で
一体構成され、その底部1aを下方に向けた状態で次述
の柱固定具2を介して基礎32上に立設固定される。そ
して、この柱1は、上記柱固定具2を介して固定される
ことから、その底部1aは単にその軸線に直交する方向
に切断されたままの状態で使用される。従って、従来の
ように柱1の底部1aに基板を直接溶接により接合する
場合に比して、該柱1に対する加工工数が低減されると
ともに、その輸送時においては該柱1の表面から外方へ
延出する部分が少ないことから輸送効率が良好となり、
これらの相乗効果として、その低コスト化が促進される
ものである。
【0029】上記柱固定具2は、上述のように上記柱1
の底部に取り付けられてこれを上記基礎32側に固定す
るためのものであって、上記基礎32の平面形状に対応
した大きさの矩形平板体でなる基板3と、該基板3の上
面にそれぞれ立設固定された四枚の接合板4,4,・・
とで構成される。
【0030】上記基板3は、所要の固定強度に対応した
所定厚さをもつ厚板で構成され、その各隅部には上記基
礎32に植設された各アンカーボルト11,11,・・
のそれぞれに対応するようにして複数のボルト孔21,
21,・・が形成されている。また、上記基板3の一つ
の辺の略中央部にはこれを厚さ方向に貫通してグラウト
材注入孔8が形成されている(図1及び図2参照)。ま
た、この基板3の略中心位置には作業孔6が形成されて
いる。
【0031】上記接合板4は、所定厚さの略台形状板材
で一体形成されるものであって、その長辺寸法は上記柱
1の辺寸法に略合致した寸法とされており、特にこの実
施形態においては、上記接合板4を上記柱1の各辺にそ
れぞれ対応するように4枚備えている。そして、これら
各接合板4,4,・・は、上記基板3の中心位置に上記
柱1の底部1aを載置した状態において該柱1の各辺の
表面にそれぞれ対応し且つ該表面から所定の隙間(例え
ば3mm程度)をもって対向するように、四角対向状に
それぞれ立設配置され且つこの位置及び姿勢においてそ
れぞれ溶接接合により固定されている。従って、これら
4枚の接合板4,4,・・を上記基板3上に固定した状
態においては、該各接合板4,4,・・によって上記柱
1をその外側から取り囲むようになっている。なお、上
記接合板4の上記基板3への溶接が該接合板4の外側か
らの片開先による隅肉溶接で行われることから、該接合
板4の内側には角棒体を裏当材5として配置している。
そして、これら各接合板4,4,・・にそれぞれ対応し
て設けられた裏当材5,5,・・は、該各接合板4,
4,・・の内側において四角枠状に配置されることか
ら、この実施形態ではこれら各裏当材5,5,・・を上
記柱1の底部の支持材として機能させるようにし、該各
裏当材5,5,・・の上面に上記柱1の底部1aの端面
を載置するようにしている(図2を参照)。さらに、上
記接合板4には、これを上記柱1の側壁に締結固定する
ために、複数個のボルト孔22,22,・・が設けられ
ている。
【0032】上記柱固定具2の製作に際しては、上述の
ように、上記基板3に対して上記各接合板4,4,・・
を溶接接合により固定するが、この場合、この溶接作業
は、これら二つの溶接対象物が、例えば、従来のように
柱の底部と基板とを直接溶接する場合における溶接対象
物である柱と基板の場合に比して、共に小型軽量である
ことから、その作業そのものが容易で且つ作業性良く行
えること、及び該溶接には例えば溶接ロボット等の技術
レベルの高い溶接法の適用が可能であって、必ずしも技
術レベルの高い作業員を擁する特定工場でなくとも高い
溶接品質をもつ溶接を行うことが可能であること、等か
ら、高水準の溶接品質をもつ信頼性の高い溶接が実現さ
れ、延いては上記基板3と上記各接合板4,4,・・と
を接合して構成される上記柱固定具2はより高い強度性
能をもつことになる。
【0033】尚、この実施形態においては、上記柱1の
底部1aをその周囲から取り囲むように上記接合板4を
四枚設けているが、本願発明はこのような接合板4の配
置構成、配置数に限定されるものではなく、例えば上記
柱1の四つの面のうち、対向する特定の2面(例えば、
鉄骨建造物の梁方向において対向する2面)に対応する
ように上記接合板4を二枚用いてこれを対向状態で上記
基板3側に接合固定することもできる。これは、鉄骨建
造物の桁方向の強度は筋交い等の他の手段によって確保
することが可能である、との観点からの設定である。
【0034】続いて、上記柱固定具2を用いて上記柱1
を上記基礎32上に固定する工法について、図2〜図6
を参照して説明する。尚、図2には図示していないが、
上記基礎32の上面の略中心位置には、予め椀伏状のレ
ベルモルタルが設けられている。
【0035】柱1の建方に際しては、先ず、上記柱1を
横に寝かせた状態で、該柱1の底部1aに上記柱固定具
2を装着する。即ち、横に寝かせた上記柱1の底部1a
に対して、上記柱固定具2をその各接合板4,4,・・
側から嵌挿し、該各接合板4,4,・・の底部に位置す
る上記裏当材5,5,・・に上記柱1の底部端面を当接
させる。この柱固定具2への上記柱1の底部1aの嵌挿
は、該柱1の各辺の幅寸法よりも上記柱固定具2側の上
記各接合板4,4,・・の対向間隔(内寸)を大きく設
定していること、及び上記接合板4の片開先隅肉溶接に
起因する外側への歪み変形とによって、容易に行われ
る。
【0036】次に、上記柱固定具2の上記基板3側から
上記作業孔6を通してその内部に手を差し入れて、上記
各接合板4,4,・・の各ボルト孔22,22,・・、
及びこれにそれぞれ重合する上記柱1側の各ボルト孔
(図示省略)にそれぞれ接合ボルト9を嵌挿し、該各接
合板4,4,・・の外側に突出した接合ボルト9の先端
側にそれぞれナット12を螺合させる。そして、これら
各ナット12を所定の締め付けトルクで締め付け、上記
柱1の各側壁と上記各接合板4,4,・・とを摩擦締結
してこれら両者を一体化させる。この場合、上記ナット
12の締め付けに伴って上記接合板4が上記柱1の側壁
に引き寄せられる方向に撓曲変形し、該接合板4はその
略全域が上記柱1の側壁に可及的均等に当接し、これら
の接合面に所要の摩擦力が発生し、上記柱1と接合板4
とは確実に接合固定される。
【0037】しかる後、上記柱固定具2が取り付けられ
た上記柱1を吊り上げて上記基礎32側に搬送し、該基
礎32上に上記柱固定具2の基板3を載置し、且つ該基
板3の各ボルト孔21,21,・・にそれぞれ上記アン
カーボルト11を挿通させ、これに次述する座金15を
介してナット14を螺合させる。この状態では、上記基
板3が上記基礎32の上面に設けたレベルモルタル上に
載置されていることから、該基板3の下面と上記基礎3
2の上面との間には上記レベルモルタルの高さに対応し
た間隙が設けられるとともに、この間隙によって上記柱
1の寝起き調整が可能とされる。
【0038】上記柱1の寝起きを調整し且つ上記各アン
カーボルト11に螺合された上記ナット14を適度に締
め込んだ後、上記基板3と上記基礎32の上面との間の
間隙にグラウト材を充填する。即ち、図2に示すよう
に、上記基板3の外周側に型枠19を配置し該型枠19
によって上記間隙の周囲を閉塞する。しかる後、上記基
板3に設けた上記グラウト材注入孔8に注入ノズル18
を取付け、該注入ノズル18から上記グラウト材注入孔
8を通して上記間隙にグラウト材を注入充填する。
【0039】この場合、図5に示すように、上記基板3
側のボルト孔21の内周面とここに挿通された上記アン
カーボルト11の外周面との間には、これら両者の径寸
法差によって該基板3をその板厚方向に貫通する環状隙
間20が形成されている。また、上記座金15は、図5
及び図6に示すように、その底面15a側にそのボルト
孔16を径方向に跨いで両側壁にそれぞれ開口する溝1
7が形成されている。このため、上記座金15が上記基
板3の上面に衝合した状態においては、図5に示すよう
に、該溝17が上記環状隙間20に連続し、これら両者
を介して上記基板3の下面側の上記間隙は上記基板3の
上面側に臨むことになる。
【0040】従って、上記グラウト材注入孔8から上記
間隙にグラウト材が注入されると、それに伴って該間隙
内の空気は、図5に流線Aで示すように、上記環状隙間
20から上記各アンカーボルト11,11,・・に取り
付けた上記各座金15,15,・・の溝17を通して外
部へ排出され、上記間隙へのグラウト材の注入が下記苦
実にかつ効率良く行われる。尚、上記基板3に設けた上
記作業孔6はレベルモルタルによって閉塞されている。
【0041】そして、上記間隙にグラウト材が十分に充
填されると、グラウト材そのものが上記環状隙間20か
ら上記溝17を通って座金15の外周側に噴き出され
る。このグラウト材の噴き出しを視認することで作業者
は上記間隙へのグラウト材の充填の完了を確認すること
ができる。このグラウト材が硬化することで、上記基板
3と上記基礎32の上面との間にはグラウト層7が形成
され、上記柱1にかかるかかる荷重は上記基礎32側に
効率良く分散支持されることになる。
【0042】以上で上記柱1の建方作業が完了する。
【0043】B:第2の実施形態 図7〜図10には、本願発明の第2の実施形態にかかる
柱固定具2及びこれを用いた柱1の固定工法を示してい
る。
【0044】上記柱1は、上記第1の実施形態のそれと
同一構成であるので、第1の実施形態における該当説明
を援用することとし、ここでの説明は省略する。
【0045】上記柱固定具2は、上記第1の実施形態に
おいてはこれを溶接構造としていたのに対して、この実
施形態ではこれをボルト接合構造としており、基板3と
四つの接合板4,4,・・とを備えて構成されている。
【0046】上記基板3は、上記基礎32の平面形状に
対応した矩形形状をもつ平板体で構成され、その各隅部
には上記基礎32に植設された各アンカーボルト11,
11,・・のそれぞれに対応するようにして各隅部毎に
二個づつボルト孔21,21が形成されている。また、
各辺の左右一対のボルト孔21,21の中間位置には、
次述の接合板4を固定するためのボルト孔24が複数個
列設されている。さらに、上記基板3の一つの辺の略中
央部にはこれを厚さ方向に貫通してグラウト材注入孔8
が形成されている。また、この基板3の略中心位置には
作業孔6が形成されている。
【0047】上記接合板4は、上記基板3に衝合接合さ
れる第1板部4aと該第1板部4aに対して略直角に折
曲されて上記柱1の側壁に衝合接合される第2板部4b
とからなるL形板材で構成されている。そして、この接
合板4の第1板部4aには、上記基板3側の上記ボルト
孔21に対応するボルト孔23と上記ボルト孔24に対
応するボルト孔25とがそれぞれ設けられている。ま
た、上記第2板部4bには、ボルト孔22が複数個設け
られている。
【0048】そして、上記基板3と上記各接合板4,
4,・・とは、図8及び図10に示すように、上記基板
3側の各ボルト孔24,24,・・とこれらに重合する
上記接合板4の上記第1板部4a側の各ボルト孔25,
25,・・とにそれぞれ接合ボルト10を嵌挿し且つナ
ット13を締め付けることで接合一体化され、上記柱固
定具2を構成する。また、この柱固定具2においては、
上記各接合板4の各第2板部4b,4b,・・によって
矩形の平面形状をもつスペースが形成されるとともに、
該各第2板部4b,4b,・・のうち、対向する一対の
第2板部4b,4b間の内寸法は上記柱1の各辺の幅寸
法より所定寸法だけ大きく設定されていることは上記第
1の実施形態の場合と同様である。
【0049】尚、上記柱固定具2は、上記基板3と上記
各接合板4,4,・・とにそれぞれ分解された状態で施
工現場へ輸送される。従って、例えば、上記柱固定具2
を成形状態(即ち、上記基板3に対して上記各接合板
4,4,・・を組み付けて一体化した状態)で輸送する
場合に比して、各部材がコンパクトであることから、そ
の輸送効率が高く、輸送コストの低減にも寄与するもの
である。また、上記柱固定具2は、全く溶接接合を行う
ことなく、全てボルト接合のみによって形成されるもの
であるが、かかるボルト接合構造によれば、ボルト接合
コストは溶接コストに比して格段に安価であることから
して、上記柱固定具2の低コスト化及び該柱固定具2を
用いた上記柱1の固定作業の低コスト化がより一層促進
されることになる。
【0050】続いて、上記柱固定具2を用いて上記柱1
を上記基礎32上に固定する工法について、図8〜図1
0を参照して説明する。
【0051】柱1の建方に際しては、先ず、施工現場に
おいて、上記柱固定具2の組み立てを行う。即ち、上記
基板3の上面の所定位置に上記各接合板4,4,・・を
それぞれ載置し、且つこの状態でこれら両者間に接合ボ
ルト10を挿通しこれに螺合されたナット13を適度に
締め込むことで、上記基板3と上記各接合板4,4,・
・とが相互に接合一体化され、上記基板3の上面から上
記各接合板4,4,・・の第2板部4b,4b,・・が
四角筒状に上方へ延出した形態をもつ柱固定具2が形成
される。
【0052】しかる後、上記柱1を横に寝かせた状態
で、該柱1の底部1aに上記柱固定具2を装着する。即
ち、横に寝かせた上記柱1の底部1aに対して、上記柱
固定具2をその各接合板4,4,・・側から嵌挿し、上
記基板3の上面に上記柱1の底部端面を当接させる。こ
の柱固定具2への上記柱1の底部1aの嵌挿は、該柱1
の各辺の幅寸法よりも上記柱固定具2側の対向する一対
の接合板4,4の第2板部4b,4bの対向間隔(内
寸)を大きく設定していることによって、容易に行われ
る。
【0053】次に、上記柱固定具2の上記基板3側から
上記作業孔6を通してその内部に手を差し入れて、上記
各接合板4,4,・・の各ボルト孔22,22,・・、
及びこれにそれぞれ重合する上記柱1側の各ボルト孔
(図示省略)にそれぞ接合ボルト9を嵌挿し、該各接合
板4,4,・・の外側に突出した接合ボルト9の先端側
にそれぞれナット12を螺合させる。そして、これら各
ナット12を所定の締め付けトルクで締め付け、上記柱
1の各側壁と上記各接合板4,4,・・とを摩擦締結し
てこれら両者を一体化させる。この場合、上記ナット1
2の締め付けに伴って上記接合板4が上記柱1の側壁に
引き寄せられる方向に撓曲変形し、該接合板4はその略
全域が上記柱1の側壁に可及的均等に当接し、これらの
接合面に所要の摩擦力が発生し、上記柱1と接合板4と
は確実に接合固定される。
【0054】しかる後、上記柱固定具2が取り付けられ
た上記柱1を吊り上げて上記基礎32側に搬送し、該基
礎32上に上記柱固定具2の基板3を載置し、且つ該基
板3の各ボルト孔21,21,・・とこれに重合する上
記接合板4の第1板部4a側のボルト孔23,23,・
・にそれぞれ上記アンカーボルト11を挿通させ、これ
に次述する座金15を介してナット14を螺合させる。
この状態では、上記基板3が上記基礎32の上面に設け
たレベルモルタル上に載置されていることから、該基板
3の下面と上記基礎32の上面との間には上記レベルモ
ルタルの高さに対応した間隙が設けられるとともに、こ
の間隙によって上記柱1の寝起き調整が可能とされる。
【0055】上記柱1の寝起きを調整し且つ上記各アン
カーボルト11に螺合された上記ナット14を適度に締
め込んだ後は、上記第1の実施形態の場合と同様に、上
記基板3と上記基礎32の上面との間の間隙にグラウト
材を充填し、ここにグラウト層7を形成する。このグラ
ウト層7の形成によって、上記柱1にかかるかかる荷重
は上記基礎32側に効率良く分散支持される。
【0056】以上で上記柱1の建方作業が完了する。
【0057】尚、上述以外の作用効果は上記第1の実施
形態の場合と同様であるので、ここでの説明は省略す
る。
【0058】C:第3の実施形態 図11には、本願発明の第3の実施形態にかかる柱固定
具2及び該柱固定具2を用いた柱1の固定工法を示して
おり、同各図において符号1は柱、2は上記柱1を基礎
32に固定するための柱固定具である。この実施形態に
おける上記柱固定具2は、基本的には上記第1の実施形
態の柱固定具2に類するものであって、これと異なる点
は、該第1の実施形態の柱固定具2においては上記接合
板4を単一の板材で構成していたのに対して、この実施
形態においては該接合板4を近接対向状態で配置された
二枚の板材で構成した点にある。
【0059】即ち、この実施形態においては、図11〜
図14に示すように、上記柱1を囲繞するようにして上
記基板3側に溶接接合により固定される四枚の接合板4
を、該柱1の側壁の外面側に配置される外側接合板4A
と内面側に配置される内側接合板4Bとで構成してい
る。これら外側接合板4Aと内側接合板4Bとは、上記
柱1の外側の板厚より所定寸法だけ大きな対向間隔をも
って、上記基板3の上面にそれぞれ溶接固定されるが、
その場合、上記外側接合板4Aは外側から片面開先がと
られ、上記内側接合板4Bは内側から片面開先がとら
れ、共に隅肉溶接されることから、これらの反溶接側、
即ち、上記外側接合板4Aと内側接合板4Bの間には裏
当材5を設けることが必要となる。また、この裏当材5
は、上記柱1の支持部として機能するものである。これ
らのことを考慮して、この実施形態においては、上記柱
1の素材鋼材を所定幅で輪切りしてこれを上記裏当材5
として用いている。尚、上記外側接合板4Aと内側接合
板4Bには、これらの対向方向において同軸上に重合す
るようにして、それぞれ複数個のボルト孔22,22,
・・が設けられている。
【0060】一方、上記基板3は、上記柱1の断面形状
に対応するような矩形平板体で構成されるとともに、そ
の各隅部にはそれぞれアンカーボルト挿通用のボルト孔
21が設けられるとともに、一つの辺の中央部にグラウ
ト材注入孔8が設けられていることは上記第1の実施形
態の柱固定具2の場合と同様である。
【0061】上記柱固定具2の製作に際しては、上述の
ように、上記基板3に対して上記各接合板4,4,・・
(即ち、外側接合板4A及び内側接合板4B)を溶接接
合により固定するが、この場合、この溶接作業は、これ
ら三つの溶接対象物が、例えば、従来のように柱の底部
と基板とを直接溶接する場合における溶接対象物である
柱と基板の場合に比して、共に小型軽量であることか
ら、その作業そのものが容易で且つ作業性良く行えるこ
と、及び該溶接には例えば溶接ロボット等の技術レベル
の高い溶接法の適用が可能であって、必ずしも技術レベ
ルの高い作業員を擁する特定工場でなくとも高い溶接品
質をもつ溶接を行うことが可能であること、等から、高
水準の溶接品質をもつ信頼性の高い溶接が実現され、延
いては上記基板3と上記各接合板4,4,・・の外側接
合板4Aと内側接合板4Bとを接合して構成される上記
柱固定具2はより高い強度性能をもつことになる。
【0062】続いて、上記柱固定具2を用いて上記柱1
を上記基礎32上に固定する工法について、図12〜図
14を参照して説明する。
【0063】柱1の建方に際しては、先ず、上記柱1を
横に寝かせた状態で、該柱1の底部1aに上記柱固定具
2を装着する。即ち、横に寝かせた上記柱1の底部1a
に対して、上記柱固定具2をその各接合板4,4,・・
側から、該各接合板4,4,・・の外側接合板4Aと内
側接合板4Bの間に上記柱1の各側壁をそれぞれ嵌挿さ
せ、該外側接合板4Aと内側接合板4Bの隙間の底部に
位置する上記裏当材5に上記柱1の底部端面を当接させ
る。この柱固定具2の各接合板4,4,・・への上記柱
1の底部1aの側壁の嵌挿は、該柱1の各側壁の厚さ寸
法よりも上記外側接合板4Aと内側接合板4Bの間隔を
所定寸法だけ大きく設定していること、及び該外側接合
板4Aと内側接合板4Bの片開先隅肉溶接に起因する外
側及び内側への歪み変形(即ち、対向間隔が拡大する方
向の変形)とによって、容易に行われる。
【0064】次に、上記柱固定具2の上記基板3側から
上記作業孔6を通してその内部に手を差し入れて、上記
各接合板4,4,・・の外側接合板4Aと内側接合板4
Bとに重合状態でそれぞれ設けたボルト孔22,22、
及びこれに重合する上記柱1側の各ボルト孔(図示省
略)に接合ボルト9を嵌挿し、その突出端側にそれぞれ
ナット12を螺合させる。そして、これら各ナット12
を所定の締め付けトルクで締め付け、上記柱1の側壁を
上記接合板4の外側接合板4Aと内側接合板4Bとによ
って内外両側から挟着状態で接合しこれらを一体化させ
る。この場合、上記ナット12の締め付けに伴って上記
外側接合板4Aと内側接合板4Bとが共に上記柱1の側
壁に引き寄せられる方向に撓曲変形し、該外側接合板4
Aと内側接合板4Bは共にその略全域が上記柱1の側壁
に可及的均等に当接し、これらの接合面に所要の摩擦力
が発生し、上記柱1と接合板4とは確実に接合固定され
ることになる。
【0065】また、このように上記柱1の各側壁を、上
記接合板4の外側接合板4Aと内側接合板4Bとによっ
て内外両面から挟着して接合することで、該柱1の側壁
の内外両側にそれぞれ摩擦接合面が形成され、所謂「二
面剪断状態」か実現される。この結果、例えば上記柱1
の側壁の内外何れか一方側のみに接合板4が設けられて
いる場合(例えば、上記第1の実施形態のように、側壁
の外面側のみに摩擦接合面が形成された所謂「一面剪断
状態」の場合に比して、上記接合板4部分における発生
支持力が増加することになる。従って、より大きな柱固
定強度が要求される場合にも容易に対応することができ
る。また、例えば、必要支持力が「一面剪断状態」にお
けるそれと同じである場合には、「一面剪断状態」の場
合よりも、接合ボルトの数を減らしたり、あるいは接合
ボルトの締め付けトルクを低下させることができ、それ
だけ柱固定具の低コスト化が可能となるものである。
【0066】しかる後、上記柱固定具2が取り付けられ
た上記柱1を吊り上げて上記基礎32側に搬送し、該基
礎32上に上記柱固定具2の基板3を載置し、且つ該基
板3の各ボルト孔21,21,・・とこれに重合する上
記接合板4の第1板部4a側のボルト孔23,23,・
・にそれぞれ上記アンカーボルト11を挿通させ、これ
に次述する座金15を介してナット14を螺合させる。
この状態では、上記基板3が上記基礎32の上面に設け
たレベルモルタル上に載置されていることから、該基板
3の下面と上記基礎32の上面との間には上記レベルモ
ルタルの高さに対応した間隙が設けられるとともに、こ
の間隙によって上記柱1の寝起き調整が可能とされる。
【0067】上記柱1の寝起きを調整し且つ上記各アン
カーボルト11に螺合された上記ナット14を適度に締
め込んだ後は、上記第1の実施形態の場合と同様に、上
記基板3と上記基礎32の上面との間の間隙にグラウト
材を充填し、ここにグラウト層7を形成する。このグラ
ウト層7の形成によって、上記柱1にかかるかかる荷重
は上記基礎32側に効率良く分散支持される。
【0068】以上で上記柱1の建方作業が完了する。
【0069】尚、上述以外の作用効果は上記第1の実施
形態の場合と同様であるので、ここでの説明は省略す
る。
【0070】D:第4の実施形態 図15には、本願発明の第4の実施形態にかかる柱固定
具2及び該柱固定具2を用いた柱1の固定工法を示して
いる。この実施形態では、上記第1〜第3の実施形態に
おいては上記柱1を角管体で構成していたのに対して、
該柱1をH型鋼で構成したものである。
【0071】そして、この実施形態では、上記柱1を、
そのウェブ1bの面方向が鉄骨建造物の桁方向に合致す
るようにその固定方向を設定している。かかる設定は、
鉄骨建造物の桁方向の強度確保は筋交い等の他の手段に
よって確保し、その梁方向の強度性能のみを次述の柱固
定具2を用いた固定構造によって確保する、という基本
思想に基づくものである。従って、上記柱固定具2も上
記基本思想に対応した構成としている。
【0072】即ち、上記柱固定具2は、基板3と一対の
接合板4,4とを備えて構成される。上記基板3は、矩
形厚板でなり、且つその各隅部にそれぞれアンカーボル
ト嵌挿用のボルト孔21を設けるとともに、一つの辺の
中央部にはグラウト材注入孔8を設けている。
【0073】上記接合板4は、略台形状の板材で構成さ
れ、この実施形態においては一対の接合板4を用い、こ
れら二つの接合板4,4を所定間隔(具体的には、上記
柱1の両フランジ1c,1c間の外寸法より所定寸法だ
け大きな寸法)をもって対向配置し、且つこれをそれぞ
れ溶接接合によって上記基板3に固定してなる。尚、こ
の接合板4の溶接に際しては、上記接合板4の裏側に裏
当材5が用いられるが、この裏当材5は後述のように、
そのまま上記柱1の支持部材として利用される。
【0074】また、上記接合板4には、これを上記柱1
のフランジ1c,1cにボルト接合するための複数個の
ボルト孔22が設けられている。さらに、上記柱1のフ
ランジ1c,1cには、上記接合板4側の上記ボルト孔
22に対応する位置にそれぞれボルト孔26が設けられ
ている。
【0075】上記柱固定具2を用いて上記柱1を基礎
(図示省略)上に固定する場合には、先ず、上記柱1を
横に寝かせた状態で、その底部1aに上記柱固定具2
を、その一対の接合板4,4間に上記柱1の底部1aが
位置するように嵌挿し、且つ該柱1の底部端面のうち、
フランジ1cに対応する部位はこれを上記裏当材5に、
ウェブ1cに対応する部位はこれを上記基板3に、それ
ぞれ当接させる。
【0076】しかる後、上記柱1の各フランジ1c,1
cと一対の接合板4,4とを接合ボルト9によって締結
接合する。以上で、上記柱1の固定作業の準備が完了す
る。後は、上記各実施形態においてそれぞれ説明した通
りの作業手順で作業が行われるが、これについてはその
説明を省略する。
【0077】尚、上記以外の作用効果については上記第
1第3の実施形態の場合と同様である。
【0078】D:その他 (1) 上記第1〜第3の実施形態においては上記柱1
を角管体で構成し、また上記第4の実施形態においては
上記柱1をH型鋼で構成していたが、本願発明は柱1の
素材形態が限定されるものではなく、例えば第1〜第3
の実施形態においてH型鋼を柱1として用いたり、逆に
第4の実施形態において角管体を柱1として用いること
もできることは勿論である。
【0079】(2) 上記第2の実施形態においては、
上記接合板4を板材を折曲形成したものを一例として示
したが、かかる折曲板材に限定されるものではなく、例
えばL型鋼等の非折曲材を用いることもできるものであ
る。
【0080】(3) 上記第2の実施形態においては、
上記接合板4を単一のL形板材で構成しているが、より
大きな支持荷重が要求されるような場合には、例えば上
記柱1の内側に位置するように板材を上記基板3に溶接
接合あるいはボルト接合により取付け、該板材と上記接
合板4の第2板部4bとによって上記柱1の側壁をその
両面側から挟着して二面剪断状態とすることもできるこ
とは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る柱固定具の第1の実施形態を示
す斜視図である。
【図2】図1に示した柱固定具による柱固定状態を示す
断面図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】図3のIV−IV断面図である。
【図5】アンカーボルト固定部分の拡大断面図である。
【図6】図5に示した座金の斜視図である。
【図7】本願発明に係る柱固定具の第2の実施形態を示
す斜視図である。
【図8】図7に示した柱固定具による柱固定状態を示す
断面図である。
【図9】図8のIX−IX矢視図である。
【図10】図9のXIV断面図である。
【図11】本願発明に係る柱固定具の第3の実施形態を
示す斜視図である。
【図12】図11に示した柱固定具による柱固定状態を
示す断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII矢視図である。
【図14】図のXIV−XIV断面図である。
【図15】本願発明に係る柱固定具の第4の実施形態を
示す斜視図である。
【図16】従来の柱固定構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1は柱、2は柱固定具、3は基板、4は接合板、5は裏
当材、6は作業孔、7はグラウト層、8はグラウト材注
入孔、9は接合ボルト、10は接合ボルト、11はアン
カーボルト、12及び14はナット、15は座金、16
はボルト孔、17は溝、18は注入ノズル、19は型
枠、20は環状隙間、21〜25はボルト孔である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基礎(32)上にアンカーボルト(1
    1)により締着固定されるとともにその上面側には柱
    (1)の底部(1a)が直交状態で当接される基板
    (3)と、該基板(3)と一体化され且つ上記柱(1)
    の底部(1a)の側壁にボルト接合される接合板(4)
    とを備えて構成されたことを特徴とする柱固定具。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 上記柱固定具(2)が、上記基板(3)上に上記接合板
    (4)を立設状態で溶接接合して構成されていることを
    特徴とする柱固定具。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 上記接合板(4)が、上記柱(1)の側壁の外面側に配
    置される外側接合板(4A)と内面側に配置される内側
    接合板(4B)とを備え、上記外側接合板(4A)と内
    側接合板(4B)とによって上記柱(1)の側壁をその
    内外両側から挟着するように構成されていることを特徴
    とする柱固定具。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 上記柱固定具(2)が、上記基板(3)上に上記接合板
    (4)をボルト接合して構成されていることを特徴とす
    る柱固定具。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 上記接合板(4)が、上記基板(3)上に衝合され且つ
    ボルト接合される第1板部(4a)と、上記柱(1)の
    側壁に衝合され且つボルト接合される第2板部(4b)
    とからなるL形板材で構成されていることを特徴とする
    柱固定具。
  6. 【請求項6】 基礎(32)上にアンカーボルト(1
    1)により締着固定されるとともにその上面側には柱
    (1)の底部(1a)が直交状態で当接される基板
    (3)と、該基板(3)と一体化され且つ上記柱(1)
    の底部(1a)の側壁にボルト接合される接合板(4)
    とを備えた柱固定具(2)を用い、上記柱(1)の底部
    (1a)に上記柱固定具(2)を上記接合板(4)を介
    してボルト接合により固定し、しかる後、上記柱(1)
    の底部(1a)に取り付けられた上記柱固定具(2)の
    上記基板(3)を上記基礎(32)上に載置するととも
    に該基板(3)を上記アンカーボルト(11)により上
    記基礎(32)側に締結固定することを特徴とする柱固
    定工法。
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