JP2002358875A - 電子源の製造装置 - Google Patents

電子源の製造装置

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JP2002358875A
JP2002358875A JP2001164347A JP2001164347A JP2002358875A JP 2002358875 A JP2002358875 A JP 2002358875A JP 2001164347 A JP2001164347 A JP 2001164347A JP 2001164347 A JP2001164347 A JP 2001164347A JP 2002358875 A JP2002358875 A JP 2002358875A
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electron source
source substrate
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electron
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Yukinori Kataoka
幸徳 片岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型の真空チャンバ及び高真空対応の排気装
置を用いることなく、熱応力による基板の破損や特性分
布の発生を防止して、電子放出特性の優れた電子源を効
率良く製造し得る電子源の製造装置を提供する。 【解決手段】 導電体が形成された電子源基板10を支
持する基板ホルダー207と、電子源基板10の一部の
領域を覆う容器12と、容器12内を所定の雰囲気にす
る手段と、前記導電体に電圧を印加する手段とを有する
電子源の製造装置において、基板ホルダー207が、前
記導電体に電圧を印加することによる該導電体からの発
熱領域よりも広い電子源基板10の領域を静電吸着する
静電チャック208を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の電子放出素
子を備える電子源を製造する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子としては、大別して
熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類の
ものが知られている。冷陰極電子放出素子には、電界放
出型、金属/絶縁層/金属型や表面伝導型電子放出素子
等がある。
【0003】表面伝導型電子放出素子は基板上に形成さ
れた小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0004】本出願人は、新規な構成を有する表面伝導
型電子放出素子とその応用に関し、多数の提案を行って
いる。その基本的な構成、製造方法などは、例えば特開
平7−235255号公報、特開平8−171849号
公報などに開示されている。
【0005】表面伝導型電子放出素子の基本構成は、基
板上に、対向する一対の素子電極と、該一対の素子電極
に接続されその一部に電子放出部を有する導電性膜とを
有するものであり、電子放出部には上記導電性膜の一部
に形成された亀裂(間隙)が含まれている。また、上記
亀裂とその近傍には、炭素あるいは炭素化合物を主成分
とする堆積膜が形成されている。
【0006】このような電子放出素子を基板上に複数個
配置し、各電子放出素子を配線で結ぶことにより、複数
個の表面伝導型電子放出素子を備える電子源を作製する
ことができる。
【0007】また、上記電子源基板と蛍光体基板とを組
み合わせることにより、画像形成装置の表示パネルを形
成することができる。
【0008】従来、このような電子源もしくは表示パネ
ルの製造は以下のように行われていた。
【0009】即ち、第1の製造方法としては、まず、基
板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素
子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した
配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成
した電子源基板全体を真空チャンバ内に設置する。次
に、真空チャンバ内を排気した後、外部端子を通じて上
記各素子に電圧を印加し各素子の導電性膜に亀裂を形成
する(以下、各素子の導電性膜に亀裂を形成することを
フォーミング処理と記す)。更に、該真空チャンバ内に
有機物質を含む気体を導入し、有機物質の存在する雰囲
気下で前記各素子に再び外部端子を通じて電圧を印加
し、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積させる
(以下、該亀裂近傍に炭素あるいは炭素化合物を堆積さ
せることを活性化処理と記す)。
【0010】また、第2の製造方法としては、まず、基
板上に、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素
子電極からなる素子を複数と、該複数の素子を接続した
配線とが形成された電子源基板を作成する。次に、作成
した電子源基板と蛍光体が配置された基板とを支持枠を
挟んで接合して画像表示装置のパネルを作成する。その
後、該パネル内をパネルの排気管を通じて排気し、パネ
ルの外部端子を通じて上記各素子に電圧を印加し各素子
の導電性膜に亀裂を形成する(フォーミング処理)。更
に、該パネル内に該排気管を通じて有機物質を含む気体
を導入し、有機物質の存在する雰囲気下で前記各素子に
再び外部端子を通じて電圧を印加し、該亀裂近傍に炭素
あるいは炭素化合物を堆積させる(活性化処理)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上の製造方法が採ら
れていたが、第1の製造方法は、とりわけ、電子源基板
が大きくなるに従い、前記電子放出素子の素子数が増加
し、配線電流も増加する。従って配線の発熱量が増加す
ることにより、基板の温度分布が悪化し、熱応力による
基板の破損や特性分布が起きてしまう。さらに電子源基
板が大きくなると、より大型の真空チャンバ及び高真空
対応の排気装置が必要になる。
【0012】また、第2の製造方法は、画像形成装置の
パネル内空間は非常に狭く(表面伝導型電子放出素子を
用いたパネルでは通常数mm程度)、このようなパネル
からの排気及び該パネル内空間への有機物質を含む気体
の導入には長時間を要する。
【0013】そこで本発明は、大型の真空チャンバ及び
高真空対応の排気装置を用いることなく、熱応力による
基板の破損や特性分布の発生を防止して、電子放出特性
の優れた電子源を効率良く製造し得る電子源の製造装置
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の構成は、以下の通りである。
【0015】即ち、本発明の電子源の製造装置は、導電
体が形成された電子源基板を支持する支持体と、前記電
子源基板の一部の領域を覆う容器と、前記容器内を所定
の雰囲気にする手段と、前記導電体に電圧を印加する手
段とを有する電子源の製造装置において、前記支持体
が、前記導電体に電圧を印加することによる該導電体か
らの発熱領域よりも広い前記電子源基板の領域を吸着固
定する支持手段を有することを特徴としているものであ
る。
【0016】上記本発明の電子源の製造装置は、好まし
い実施形態として、「前記支持手段は、前記電子源基板
を静電吸着する手段であること」、「前記支持体は、前
記発熱領域よりも広い領域に熱伝導部材を備えているこ
と」、「前記支持体は、前記導電体からの発熱を放熱す
る手段を備えていること」、「前記支持体は、前記発熱
領域よりも広い前記電子源基板の領域を加熱する手段を
備えていること」、「前記支持体は、前記発熱領域より
も広い前記電子源基板の領域を冷却する手段を備えてい
ること」、「前記支持体は、前記発熱領域よりも広い前
記電子源基板の領域を均熱温度制御する手段を備えてい
ること」、「前記容器は、該容器内に導入された気体を
拡散させる手段を備えていること」、「前記電子源基板
として、導電性膜及び該導電性膜に接続された一対の素
子電極からなる素子の複数と、該複数の素子を接続した
配線とからなる導電体が形成されたものを用いるこ
と」、を含むものである。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の好ましい実施態様
を示す。
【0018】本発明の電子源の製造装置は、電子源基板
上に形成された導電体に通電処理を施すことにより、こ
の導電体の一部に電子放出機能を付与し電子放出素子と
するものである。
【0019】この電子源基板としては、導電性膜及び該
導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子の複
数と、該複数の素子を接続した配線とからなる導電体が
形成されたものを好適に用いることができる。この場
合、導電体に通電処理(前述のフォーミング処理及び活
性化処理)を施すことにより、上記複数の素子の各導電
性膜に電子放出部を形成して前述の表面伝導型電子放出
素子とすることができる。
【0020】先ず、この表面伝導型電子放出素子の構成
及び製造方法を説明する。
【0021】図3は、表面伝導型電子放出素子の一構成
例を示す模式図であり、図3(a)は平面図、図3
(b)は図3(a)中のA−A面における断面図であ
る。図3において、10は基板(基体)、2と3は電極
(素子電極)、4は導電性膜、29は炭素膜、5は炭素
膜29の間隙、Gは導電性膜4の間隙である。
【0022】基板10としては、石英ガラス、Na等の
不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガ
ラスにスパッタ法等によりSiO2を積層した積層体、
アルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いること
ができる。
【0023】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2、Pd
−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23−SnO2等の透明導電体及びポ
リシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択される。
【0024】素子電極間隔、素子電極長さ、導電性膜4
の幅2及び厚さ等は、応用される形態等を考慮して、設
計される。素子電極間隔は、好ましくは、数百nmから
数百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素
子電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μ
mの範囲とすることができる。
【0025】素子電極長さは、電極の抵抗値、電子放出
特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲とすること
ができる。素子電極2,3の膜厚は、数十nmから数μ
mの範囲とすることができる。
【0026】尚、図3に示した構成だけでなく、基板1
0上に、導電性膜4、対向する素子電極2,3の順に積
層した構成とすることもできる。
【0027】導電性膜4を構成する主な材料としては、
例えばPd,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,C
u,Cr,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金
属、PdO,SnO2,In23,PbO,Sb23
の酸化物、HfB2,ZrB2,LaB6,CeB6,YB
4,GdB4等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,Ta
C,SiC,WCなどの炭化物、TiN,ZrN,Hf
N等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等が挙
げられる。
【0028】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定される。この導電性膜
4の膜厚は、好ましくは数Åから数百nmであり、その
抵抗値Rsが、102〜107Ω/□の抵抗値を示す膜厚
で形成したものが好ましく用いられる。なおRsは、幅
がwで長さがlの薄膜の、長さ方向に測定した抵抗R
を、R=Rs(l/w)と置いたときの値である。上記
抵抗値を示す膜厚はおよそ5nmから50nmの範囲に
あり、この膜厚範囲において、それぞれの材料の薄膜は
微粒子膜の形態を有している。ここで述べる微粒子膜と
は、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造
は、微粒子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒
子が互いに隣接、あるいは重なり合った状態(いくつか
の微粒子が集合し、全体として島状構造を形成している
場合も含む)をとっている。微粒子の粒径は、数Åから
数百nmの範囲、好ましくは、1nmから20nmの範
囲である。
【0029】図3に示した構成の表面伝導型電子放出素
子の製造方法の一例を説明する。
【0030】1)基板10を洗剤、純水及び有機溶剤等
を用いて十分に洗浄した後、真空蒸着法、スパッタ法等
により素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフ
ィー技術を用いて基板10上に素子電極2,3を形成す
る。
【0031】2)素子電極2,3を設けた基板10上
に、有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。
有機金属溶液には、前述の導電性膜4の材料の金属を主
元素とする有機化合物の溶液を用いることができる。有
機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等
によりパターニングし、金属酸化物からなる導電性膜4
を形成する。ここでは、有機金属溶液の塗布法を挙げて
説明したが、導電性膜4の形成法はこれに限られるもの
ではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気相堆積
法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法等を用
いることもできる。
【0032】3)続いて、フォーミング工程を施す。素
子電極2,3間に、不図示の電源より通電すると、導電
性膜4は局所的に破壊,変形もしくは変質等の構造の変
化がもたらされ、間隙Gが形成される。
【0033】フォーミング処理のために素子に印加する
電圧は、パルス状の電圧を用いる。パルスの形状として
は、例えば波高値が一定の三角波パルスや、波高値の漸
増する三角波パルスを用いることができる。
【0034】通電フォーミング処理の終了は、パルスと
パルスの間に、導電性膜4の破壊、変形もしくは変質を
引き起こさない程度の電圧パルスを印加し、素子に流れ
る電流を測定して検知することができる。例えば、0.
1V程度の電圧印加により素子に流れる電流を測定し、
抵抗値を求めて、1MΩを越えた時点で通電フォーミン
グを終了するのが好ましい。
【0035】上記の通電フォーミング処理は、還元性物
質を含有する雰囲気中にて行うことが好ましい。
【0036】導電性膜4が金属酸化物よりなる場合は、
還元性を有する物質としてH2,CO等の他、メタン、
エタン、エチレン、プロピレン、ベンゼン、トルエン、
メタノール、エタノール、アセトンなどの有機物質のガ
スも効果がある。これは、還元により導電性膜を構成す
る物質が金属酸化物から金属に変化する際、凝集を伴う
からであると思われる。一方、導電性膜4が金属より構
成される場合は、当然還元に伴う凝集は起こらないの
で、COやアセトン等は凝集を促進する効果を示さない
が、H2はこの場合でも凝集を促進する効果を示す。
【0037】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If,放出電流Ieが著し
く変化する工程である。
【0038】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、素子にパルスの印加を繰り返すこ
とで行うことができる。この雰囲気は、例えば油拡散ポ
ンプやロータリーポンプなどを用いて真空容器内を排気
した場合に雰囲気内に残留する有機ガスを利用して形成
することができる他、イオンポンプなどにより一旦十分
に排気した真空中に適当な有機物質のガスを導入するこ
とによっても得られる。このときの好ましい有機物質の
ガス圧は、前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機
物質の種類などにより異なるため、場合に応じ適宜設定
される。適当な有機物質としては、アルカン、アルケ
ン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、
アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フ
ェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙
げることができる。より具体的には、メタン、エタン、
プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチ
レン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不
飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタ
ノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミ
ン、フェノール、ベンゾニトリル、アセトニトリル等が
使用できる。
【0039】この処理により、雰囲気中に存在する有機
物質から、前記間隙G内の基板10上、およびその近傍
の導電性膜4上に炭素あるいは炭素化合物からなるカー
ボン膜29が形成され、素子電流If,放出電流Ieが、
著しく変化するようになる。
【0040】活性化工程の終了判定は、素子電流If
放出電流Ieを測定しながら、適宜行うことができる。
なお、パルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜
設定される。
【0041】炭素及び炭素化合物とは、例えばグラファ
イト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するもの
で、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構造、PG
は結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、
GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさら
に大きくなったものを指す。)、非晶質カーボン(アモ
ルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グ
ラファイトの微結晶の混合物を指す。)、炭化水素(C
mnで表される化合物、ないしこの他にN,O,Clな
どの他の元素を有する化合物を含む。)であり、その膜
厚は、50nm以下の範囲とするのが好ましく、30n
m以下の範囲とすることがより好ましい。
【0042】以上の様な通電処理を施すことにより、一
対の素子電極2,3間に導電性膜4を有する素子を表面
伝導型の電子放出素子とすることができる。
【0043】本発明の電子源の製造装置は、上記のよう
な導電性膜4及び該導電性膜4に接続された一対の素子
電極2,3からなる素子の複数と、該複数の素子を接続
した配線とからなる導電体が形成された電子源基板等に
対して前述のような通電処理を施すことにより、複数の
電子放出素子が配設された電子源を製造するための装置
であり、以下にその実施形態例を具体的に説明する。
【0044】(第1の実施形態)本発明の第1の実施形
態に係る電子源の製造装置を図1及び図2に示す。図1
は装置の全体構成を示す模式図、図2は図1における電
子源基板の周辺部分を示す部分切り欠き斜視図である。
【0045】これらの図において、10は電子源基板で
あり、X方向配線7、Y方向配線8、導電性膜に接続さ
れた一対の素子電極からなる素子6、等が形成されてい
る。12は容器、15は気体の導入口、16は排気口、
18はシール部材、19は拡散板、21は水素または有
機物質ガス、22はキャリアガス、23は水分除去フィ
ルター、24はガス流量制御装置、25a〜25hはバ
ルブ、26a、26bは真空ポンプ、27a、27bは
真空計、28は配管、30は取り出し配線、32は電源
及び電流制御系からなる駆動ドライバー、31は電子源
基板の取り出し配線30と駆動ドライバー32とを接続
する配線、33は拡散板19の開口部、62は真空枠部
材、207は電子源基板を支持する支持体(基板ホルダ
ー)である。
【0046】容器12は、ガラスやステンレス製の容器
であり、容器からの放出ガスの少ない材料からなるもの
が好ましい。この容器12は、電子源基板10の取り出
し配線部を除き、少なくとも電子放出素子となる素子6
が形成された領域を覆い、かつ、少なくとも、1.33
×10-5Pa(1×10-7Torr)から大気圧の圧力
範囲に耐えられる構造のものである。
【0047】シール部材18は、電子源基板10と容器
12との気密性を保持するためのものであり、Oリング
やゴム性シートなどが用いられる。
【0048】基板ホルダー207には静電チャック20
8が具備してある。この静電チャック208による電子
源基板10の固定は、該静電チャック208の中に置か
れた電極209と電子源基板10との間に電圧を印加し
て静電力により電子源基板10を基板ホルダー207に
吸引するものである。なお、電子源基板10の電位を所
定の値に保持するため、基板の裏面にはITO膜などの
導電部材(不図示)を形成してある。
【0049】静電チャック方式による電子源基板10の
吸着のためには、電極209と電子源基板10の距離が
短くなっている必要があり、いったん別の方法で電子源
基板10を静電チャック208に押し付けることが望ま
しい。図1に示す装置では、静電チャック208の表面
に形成された溝211の内部を排気して電子源基板10
を大気圧により静電チャックに押し付け、高圧電源21
0により電極209に高電圧を印加することにより、電
子源基板10を十分に吸着する。この後真空容器12の
内部を排気しても電子源基板10にかかる圧力差は静電
チャック208による静電力によりキャンセルされて、
電子源基板10が変形したり、破損することが防止でき
る。
【0050】また、基板ホルダー207と電子源基板1
0の間の熱伝導を大きくするために、上述のようにいっ
たん排気した溝211内に熱交換のための気体を導入す
ることが望ましい。かかる気体としては、Heが好まし
いが、他の気体でも効果がある。熱交換用の気体を導入
することで、溝211のある部分での電子源基板10と
静電チャック208の間の熱伝導が可能となるのみなら
ず、溝211のない部分でも単に機械的接触により電子
源基板10と静電チャック208が熱的に接触している
場合に比べ、熱伝導が大きくなるため、全体としての熱
伝導は大きく改善される。これにより、前述したフォー
ミングや活性化などの通電処理の際、電子源基板10で
発生した熱が容易に静電チャック208を介して基板ホ
ルダー207に移動して、電子源基板10の温度上昇や
局所的な熱の発生による温度分布の発生が抑えられる。
【0051】更に、基板ホルダー207にヒーター21
2や冷却ユニット213などの温度制御手段を設けるこ
とにより、電子源基板10の温度をより精度良く均一に
制御できる。さらに、ヒーター212を、素子部と、電
子源基板の取り出し電極部とで分割し、それぞれの発熱
量に合せて制御することで、電子源基板10の温度ばら
つきを小さくし、温度分布による熱応力を最小限にする
ことで、電子源基板10の破損をより確実に防止でき
る。
【0052】有機物質ガス21には、前述した電子放出
素子の活性化処理に用いられる有機物質、または、有機
物質を窒素、ヘリウム、アルゴンなどで希釈した混合気
体が用いられる。また、前述したフォーミングの通電処
理を行う際には、素子6の導電性膜への亀裂形成を促進
するための気体、例えば、還元性を有する水素ガス等を
真空容器12内に導入することもある。このように他の
工程で異なる気体を導入する際には、バルブ部材25e
等を用いて所望の系統を真空容器12への導入配管28
に接続すれば、使用することができる。
【0053】有機ガス21は、有機物質が常温で気体で
ある場合にはそのまま使用でき、有機物質が常温で液
体、または、固体の場合は、容器内で蒸発または昇華さ
せて用いる、或いは更にこれを希釈ガスと混合するなど
の方法で用いることができる。キャリアガス22には、
窒素またはアルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスが用い
られる。
【0054】有機物質ガス21と、キャリアガス22
は、一定の割合で混合されて、真空容器12内に導入さ
れる。両者の流量及び、混合比は、ガス流量制御装置2
4によって制御される。ガス流量制御装置24は、マス
フローコントローラ及び電磁弁等から構成される。これ
らの混合ガスは、必要に応じて配管28の周囲に設けら
れた図示しないヒータによって適当な温度に加熱された
後、導入口15より、真空容器12内に導入される。混
合ガスの加熱温度は、電子源基板10の温度と同等にす
ることが好ましい。
【0055】なお、配管28の途中に、水分除去フィル
ター23を設けて、導入ガス中の水分を除去するとより
好ましい。水分除去フィルター23には、シリカゲル、
モレキュラーシーブ、水酸化マグネシウム等の吸湿材を
用いることができる。
【0056】真空容器12に導入された混合ガスは、排
気口16を通じて、真空ポンプ26aにより一定の排気
速度で排気され、真空容器12内の混合ガスの圧力は一
定に保持される。真空ポンプ26aは、ドライポンプ、
ダイヤフラムポンプ、スクロールポンプ等、低真空用ポ
ンプであり、本発明においてはオイルフリーポンプが好
ましく用いられる。
【0057】気体の導入口15と排気口16の位置は、
本実施形態に限定されず、種々の態様を取ることができ
るが、容器12内に有機物質を均一に供給するために
は、気体の導入口15と排気口16の位置は、容器6に
おいて、図1に示すように、上下に、もしくは、図示し
ないが、左右の異なる位置にあることが好ましく、か
つ、略々対称の位置にあることがより好ましい。
【0058】電子源基板10の取り出し電極30は、真
空容器12の外側にあり、TAB配線やプローブなどを
用いて配線31と接続し、駆動ドライバー32に接続す
る。
【0059】以上のようにして、真空容器12内に有機
物質を含む混合ガスを流した状態で、駆動ドライバー3
2を用い、配線31を通じて電子源基板10上の各素子
6にパルス電圧を印加することにより、素子の活性化工
程を行うことができる。
【0060】上記のような構成を有する装置を用いて電
子源基板10上の各素子6にパルス電圧を印加し、フォ
ーミング処理及び活性化処理を行う際、素子6及び配線
7,8からの発熱がある。この双方の発熱量は同じでは
なく、更に、発熱領域も異なるため、電子源基板内に温
度のばらつきが生じ、熱応力により電子源基板が破損す
る危険性がある。このため本発明の装置においては、特
に、通電処理による上記発熱領域よりも広い領域におい
て電子源基板10を基板ホルダー207によって吸着固
定するようにしている。
【0061】上記通電処理による電子源基板10の発熱
領域と、基板ホルダー207による電子源基板10の吸
着固定領域の関係を図4を用いて説明する。
【0062】図4において、Hsは複数の素子6からの
発熱領域であり、DHsとLHsに囲まれた領域であ
る。Hpは素子6及び配線7,8からの発熱領域であ
り、DHpとLHpに囲まれた領域である。Hvは基板
ホルダー207によって電子源基板10を吸着固定する
領域であり、DHvとLHvに囲まれた領域である。
【0063】本発明の装置では、上記Hpの領域よりも
広い上記Hvの領域において基板ホルダー207によっ
て電子源基板10を吸着固定する。具体的には、図1に
示した装置では、基板ホルダー207が具備する静電チ
ャック208を、上記Hpの領域よりも広い範囲に渡っ
て設けている。このように通電処理による発熱領域より
も広い領域で電子源基板を吸着固定することにより、通
電処理時に電子源基板に発生する熱応力は静電チャック
208による静電力によりキャンセルされて、電子源基
板10が変形したり、破損することが防止できる。
【0064】(第2の実施形態)本発明の第2の実施形
態に係る電子源の製造装置を図5に示す。図5は全体構
成を示す模式図であり、図1中の符号と同一符号のもの
は同一部材である。
【0065】第1の実施形態では、静電チャック208
と電子源基板10の間の熱伝導を大きくするために、静
電チャック208に設けた溝211内に熱交換のための
気体を導入しているが、本実施形態はこれに代えて、基
板ホルダー207と電子源基板10との間に熱伝導部材
214を配置したものである。尚、その他の構成は第1
の実施形態と同様である。
【0066】熱伝導部材214は、基板ホルダー207
上に設置され、電子源基板10を保持して固定する機構
の障害にならないように、基板ホルダー207と電子源
基板10の間で挟持されるか、あるいは、基板ホルダー
207に埋め込まれるように設置されていてもよい。
【0067】熱伝導部材214は、電子源基板10の反
り・うねりを吸収し、電子源基板10への通電処理工程
における発熱を、確実に基板ホルダー207へ伝え、放
熱する機能を有し、例えば通電処理工程における前記複
数の素子及び前記複数の素子を接続する配線からの発熱
量に合せて温度調節し、電子源基板10内の温度分布に
よる応力を低減することで、電子源基板のクラック、破
損の発生を防ぐことができ、歩留まりの向上に寄与でき
る。
【0068】また、このような熱伝導部材214を設
け、通電処理工程における発熱を素早く、確実に放熱す
ることにより、温度分布による導入ガスの濃度分布の低
減、基板熱分布が影響する素子の不均一性の低減に寄与
でき、均一性に優れた電子源の製造が可能となる。
【0069】熱伝導部材214は、弾性部材であっても
よい。弾性部材の材料としては、テフロン(登録商標)
樹脂などの合成樹脂材料、シリコンゴム等のゴム材料、
アルミナなどのセラミック材料、銅やアルミの金属材料
等を使用することができる。これらは、シート状、ある
いは、分割されたシート状で使用されていてもよい。
【0070】また、熱伝導部材214を構成する弾性部
材は、電子源基板10に対向する面に凹凸の形状が形成
されていてもよい。この凹凸形状は、円柱状、角柱状等
の柱状、線状、円錐状などの突起状、球体や、ラグビー
ボール状(楕円球状体)などの球状体(半球状体)、あ
るいは、球状体表面に突起が形成されている形状、など
が好ましい。具体的には、図6に示すような、電子源基
板のX方向配線、あるいは、Y方向配線の位置に略々合
わせた線状の凹凸形状や、図7に示すように、各素子電
極の位置に略々合わせた柱状の凹凸形状、または、図示
しないが、半球状の凹凸形状が熱伝導部材の面に形成さ
れていることが好ましい。
【0071】さらに、熱伝導部材214は、円柱状、角
柱状等の柱状、電子源基板の配線に合わせたX方向、あ
るいは、Y方向に伸びた線状、円錐状などの突起状、球
体や、ラグビーボール状(楕円球状体)などの球状体、
あるいは、球状体表面に突起が形成されている形状の球
状体などの弾性部材自体が基板ホルダー207上に設置
されたものであってもよい。この例を図8及び図9に示
す。
【0072】図8は、複数の弾性部材を使用した球状の
熱伝導部材の構成概略図である。ここでは、ゴム材料の
部材等の変形し易い微少球状物と、この微少球状物の直
径よりも直径が小さな球状物(ゴム材料の部材よりも変
形し難い球状物質)とを電子源基板10と基板ホルダー
207との間に散布し、挟持することで、熱伝導部材2
14を構成している。
【0073】図9は、複合材料からなる熱伝導部材の構
成概略図である。セラミック部材、金属部材等の熱伝導
性硬質部材からなる球状物で中心部材を構成し、この球
状物表面をゴム部材で被覆したものを用いることで熱伝
導部材214を構成している。
【0074】以上説明した本発明の電子源基板の製造装
置においては、容器12は、電子源基板10上の少なく
とも素子6が形成されている領域のみを覆えばよいた
め、装置の小型化が可能である。また、電子源基板10
の取り出し電極30が容器外にあるため、電子源基板と
電気的処理を行うための電源装置(駆動ドライバ)との
電気的接続を容易に行うことが出来る。
【0075】また、図1及び図5に示すように、容器1
2の気体導入口15と電子源基板10との間に拡散板1
9を設けると、混合気体の流れが制御され、基板全面に
均一に有機物質が供給されるため、電子放出素子の均一
性が向上し好ましい。
【0076】拡散板19としては、図1及び図5に示し
たように、開口部33を有する金属板などが用いられ
る。拡散板19の開口部33は、導入口近傍と、導入口
から遠い領域での開口部の面積を変えるか、あるいは、
開口部の数を変えて形成することが好ましい。具体的に
は、図10(断面図)及び図11(平面図)に示すよう
に、導入口15から遠いほど、開口部の面積が大きい
か、あるいは、図示してはいないが、開口部の数が多
い、あるいは、開口部の面積が大きく、その数が多いよ
うに形成すると、容器12内を流れる混合気体の流速が
略々一定となり、均一性向上の点でより好ましい。
【0077】拡散板19の開口部の形状は上記に限定さ
れるものではなく、例えば、開口部33を、同心円状に
等間隔でかつ円周方向に等角度間隔で形成し、かつ、該
開口部の開口面積を下式の関係を満たすように設定する
とよい。ここでは、気体の導入口15からの距離に比例
して開口面積が大きくなるように設定している。これに
より、電子源基板表面により均一性良く導入物質を供給
することができ、電子放出素子の活性化を均一性よく行
うことができる。 Sd=S0×[1+(d/L)21/2 但し、 d:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との交
点からの距離 L:気体の導入口の中心部から、気体の導入口の中心部
からの延長線と拡散板との交点までの距離 Sd:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との
交点からの距離dにおける開口面積 S0:気体の導入口の中心部からの延長線と拡散板との
交点における開口面積
【0078】本発明の製造装置により製造された電子源
と画像形成部材とを組み合わせることにより、例えば図
12に示されるような画像形成装置を構成できる。尚、
図12は画像形成装置(表示パネル)68を模式的に表
した斜視図であり、部分的に切り欠いて示している。
【0079】同図において、7はX方向配線、8はY方
向配線、10は電子源、69は図3に示したような電子
放出素子、62は支持枠、66はフェイスプレート(ガ
ラス基板63、メタルバック64、及び蛍光体65から
なる)、67は高圧端子、Dx1乃至DxmおよびDy
1乃至Dynは装置外端子である。
【0080】図12に示す画像形成装置において、各電
子放出素子には、容器外端子Dx1乃至Dxm、Dy1
乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号を図示しない
信号発生手段によりそれぞれ印加することにより、電子
を放出させ、高圧端子67を通じ、メタルバック65、
あるいは、図示しない透明電極に5kV程度の高圧を印
加し、電子ビームを加速し、蛍光体膜64に衝突させ励
起、発光させることで画像を表示する。
【0081】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0082】[実施例]本実施例は、本発明に係る製造
装置を用いて図3に示したような表面伝導型電子放出素
子を複数備える図13に示される電子源を製造するもの
である。
【0083】先ず、図14に示すような単純マトリクス
配線された多数の導電性膜を有する電子源基板を以下の
ようにして作製した。図13及び図14において、10
はガラス基板、2と3は素子電極、4は導電性膜、29
は炭素膜、5は炭素膜29の間隙、Gは導電性膜4の間
隙、7はX方向配線、8はY方向配線、9は絶縁層であ
る。尚、素子数及び配線数は省略して一部のみを図示し
ている。
【0084】サイズ350mm×300mm、厚さ3m
mのガラス基板10の裏面に、ITO膜をスパッタ法に
より100nm形成した。前記ITO膜は、電子源の製
造時に静電チャックの電極として用いるもので、その抵
抗率が109Ωcm以下であれば、その材質には制限さ
れず、半導体、金属等が使用できる。
【0085】次に、上記ガラス基板10の表面にSiO
2層を形成し、さらにオフセット印刷法によりPtペー
ストを印刷し、加熱焼成して、厚み50nmの素子電極
2、3を形成した。また、スクリーン印刷法により、A
gペーストを印刷し、加熱焼成することにより、X方向
配線7(240本)及びY方向配線8(720本)を形
成し、X方向配線7とY方向配線8の交差部には、スク
リーン印刷法により、絶縁性ペーストを印刷し、加熱焼
成して絶縁層9を形成した。
【0086】次に、素子電極2、3間にバブルジェット
(登録商標)方式の噴射装置を用いて、パラジウム錯体
溶液を滴下し、350℃で30分間加熱して酸化パラジ
ウムの微粒子からなる導電性膜4を形成した。導電性膜
4の膜厚は、20nmであった。
【0087】以上のようにして、一対の素子電極2、3
及び導電性膜4からなる素子の複数がX方向配線7及び
Y方向配線8にてマトリクス配線された電子源基板10
を作成した。
【0088】この電子源基板10の反り、うねりに付い
て観察したところ、基板そのものが持っていた反り、う
ねり及び上記までの加熱工程によって生じたと思われる
基板の反り、うねりによって、基板中央部に対して、
0.5mmほど周辺が反った状態であった。
【0089】次に、図1及び図2に示した製造装置を用
いて以後の工程を行った。
【0090】前記電子源基板10を基板ホルダー207
に載せた。尚、この基板ホルダー207が具備する静電
チャック208は、素子部(素子電極2、3及び導電性
膜4からなる素子の複数が配置されている領域)及び配
線部(素子部以外の配線7、8が配置されている領域)
よりも広い範囲に渡って設けている。
【0091】次に、バルブ25gを空け、溝211内を
100Pa以下に真空排気し、静電チャック208に真
空吸着した。この時、前記電子源基板10の裏面に形成
したITO膜は、接触ピン(不図示)により、高圧電源
210の負極側と同電位に接地した。更に、電極209
に2kVの直流電圧を高圧電源210(負極側を接地)
より供給し、電子源基板10を静電チャック208に静
電吸着させた。
【0092】次に、バルブ25gを閉じ、バルブ25h
を開け、Heガスを、溝211に導入し、500Paに
維持した。Heガスは、電子源基板10と静電チャック
208の間の熱伝導を向上させる作用がある。尚、He
ガスが最も好適であるが、N 2、Ar等のガスも使うこ
とができ、所望の熱伝導が得られればそのガス種には制
限されない。
【0093】次に、容器12をO−リング18を介して
電子源基板10上に、上記配線端部が容器12の外に出
るようにして載せ、容器12内に気密な空間を作り、バ
ルブ25fを開け、真空ポンプ26aにより同空間を圧
力が1×10-5Pa以下になるまで、真空排気した。
【0094】次に、水温15℃の冷却水を冷却ユニット
213に流し、更に、温度制御機能を有する電源(不図
示)より、電気ヒーター212に電力を供給し、電子源
基板10を50℃の一定温度に維持した。
【0095】次に、配線31に接続されたプローブユニ
ット(不図示)5を、容器6の外に露出した電子源基板
10上の配線端部に電気的に接触させ、配線31に接続
した駆動ドライバ32より、底辺1msec、周期10
msec、波高値10Vの三角パルスを120秒間印加
し、フォーミング処理工程を実施した。その結果、フォ
ーミング処理時に流れる電流によって発生する熱は、効
率よく静電チャック208に吸収され、さらに素子部か
らの発熱量と配線部からの発熱量の差により電子源基板
10に発生する熱応力を最小限にするために、ヒーター
212を分割し、それぞれの発熱量に合せて制御するこ
とで、電子源基板10は一定温度50℃に保たれ、良好
なフォーミング処理を実施でき、また、熱応力による電
子源基板10の破損も防ぐことができた。
【0096】以上のフォーミング処理により、図3に示
す間隙Gが導電性膜4に形成された。
【0097】次に、電気ヒーター212に流れる電流を
調整し、電子源基板10を60℃の一定温度に維持し
た。続いて、電離真空計(不図示)で容器12内の圧力
を測定しながら、配管28等を介して圧力が2×10-4
Paのベンゾニトリルを導入した。次に、駆動ドライバ
32より、プローブユニット(不図示)を通して、底辺
1msec、周期10msec、波高値15Vの三角パ
ルスを60分間印加して活性化処理を行った。その結
果、フォーミング処理工程と同様に、活性化処理時に流
れる電流によって発生する熱は、効率よく静電チャック
208に吸収され、さらに素子部からの発熱量と配線部
からの発熱量の差により電子源基板10に発生する熱応
力を最小限にするために、ヒーター212を分割し、そ
れぞれの発熱量に合せて制御することで、電子源基板1
0は一定温度60℃に保たれ、良好な活性化処理を実施
でき、また、熱応力による電子源基板10の破損も防ぐ
ことができた。
【0098】以上の活性化処理により、図3に示すよう
に、間隙5を隔てて炭素膜29が形成された。
【0099】以上の工程を終了した電子源基板10は、
ガラス枠及び蛍光体を配置したフェースプレートと位置
合わせを行い、低融点ガラスを用いて封着し、真空外囲
器を作製した。更に、前記外囲器内に真空排気、ベーキ
ング、封止工程等の工程を施し、図12に示した画像形
成パネルを作製した。
【0100】以上のようにして完成した画像形成パネル
において、各電子放出素子には、外部端子Dx1乃至D
xm、Dy1乃至Dynを通じ、走査信号及び変調信号
を図示しない信号発生手段によりそれぞれ印加すること
により、電子を放出させ、高圧端子67を通じ、メタル
バック65に5kVの高圧を印加し、電子ビームを加速
し、蛍光体膜64に衝突させ、励起、発光させることで
画像を表示した。
【0101】本実施例では、フォーミング処理、活性化
処理工程時に電子源基板を一定温度に保ったことによ
り、特性の揃った良好な表面伝導型電子放出素子を形成
でき、均一性が向上した画像性能を有する画像形成パネ
ルを作製できた。また、電子源基板の熱応力による破損
を防止でき、歩留まりを向上することができた。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子源の
製造装置によれば、大型の真空チャンバ及び高真空対応
の排気装置を用いることなく、熱応力による基板の破損
や特性分布の発生を防止して、電子放出特性の優れた電
子源を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子源の製造装置の一例を模式的
に示す全体構成図である。
【図2】図1における電子源基板の周辺部分を一部を破
断して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る電子源に好適に用いられる表面伝
導型電子放出素子の一例を示す図である。
【図4】電子源基板の発熱領域と、本発明における電子
源基板の吸着固定領域の関係を説明するための図であ
る。
【図5】本発明に係る電子源の製造装置の別の例を模式
的に示す全体構成図である。
【図6】本発明に係る電子源の製造装置において使用さ
れる熱伝導部材の形状の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る電子源の製造装置において使用さ
れる熱伝導部材の形状の別の例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る電子源の製造装置において使用さ
れるゴム材料の球状物質を用いた熱伝導部材の一例を示
す断面図である。
【図9】本発明に係る電子源の製造装置において使用さ
れるゴム材料の球状物質を用いた熱伝導部材の別の例を
示す断面図である。
【図10】本発明に係る電子源の製造装置において使用
される拡散板の形状の一例を示す断面図である。
【図11】本発明に係る電子源の製造装置において使用
される拡散板の形状を示す平面図である。
【図12】画像形成装置の構成を一部を破断して示す斜
視図である。
【図13】本発明に係る電子源を示す平面図である。
【図14】本発明に係る電子源基板の平面図である。
【符号の説明】
2、3 素子電極 4 導電性膜 G 導電性膜の間隙 5 炭素膜の間隙 6 素子 7 X方向配線 8 Y方向配線 9 絶縁層 10 電子源基板 12 容器 15 気体の導入口 16 気体の排気口 18 シール部材 19 拡散板 21 有機ガス物質 22 キャリヤガス 23 水分除去フィルター 24 ガス流量制御装置 25a〜25f バルブ 26a、26b 真空ポンプ 26a、27b 真空計 28 配管 30 取り出し配線 31 電子源基板の取り出し配線30と駆動ドライバ3
2とを接続する配線 32 電源、電流測定装置及び電流−電圧制御系装置か
らなる駆動ドライバ 33 拡散板19の開口部 62 真空枠部材 63 ガラス基板 64 メタルバック 65 蛍光体 66 フェースプレート 67 高圧端子 68 画像形成装置(表示パネル) 69 電子放出素子 207 基板ホルダー 208 静電チャック 209 静電チャック内の電極 210 電源 211 溝 212 ヒーター 213 冷却ユニット 214 熱伝導部材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電体が形成された電子源基板を支持す
    る支持体と、前記電子源基板の一部の領域を覆う容器
    と、前記容器内を所定の雰囲気にする手段と、前記導電
    体に電圧を印加する手段とを有する電子源の製造装置に
    おいて、 前記支持体が、前記導電体に電圧を印加することによる
    該導電体からの発熱領域よりも広い前記電子源基板の領
    域を吸着固定する支持手段を有することを特徴とする電
    子源の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記支持手段は、前記電子源基板を静電
    吸着する手段であることを特徴とする請求項1に記載の
    電子源の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記支持体は、前記発熱領域よりも広い
    領域に熱伝導部材を備えていることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の電子源の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記支持体は、前記導電体からの発熱を
    放熱する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃
    至3のいずれかに記載の電子源の製造装置。
  5. 【請求項5】 前記支持体は、前記発熱領域よりも広い
    前記電子源基板の領域を加熱する手段を備えていること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子源
    の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記支持体は、前記発熱領域よりも広い
    前記電子源基板の領域を冷却する手段を備えていること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子源
    の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記支持体は、前記発熱領域よりも広い
    前記電子源基板の領域を均熱温度制御する手段を備えて
    いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載
    の電子源の製造装置。
  8. 【請求項8】 前記容器は、該容器内に導入された気体
    を拡散させる手段を備えていることを特徴とする請求項
    1乃至7のいずれかに記載の電子源の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記電子源基板として、導電性膜及び該
    導電性膜に接続された一対の素子電極からなる素子の複
    数と、該複数の素子を接続した配線とからなる導電体が
    形成されたものを用いることを特徴とする請求項1乃至
    8のいずれかに記載の電子源の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100375214C (zh) * 2003-01-21 2008-03-12 佳能株式会社 通电处理装置和电子源的制造装置

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