JP2002356934A - 板材を二重に用いた遮音構造 - Google Patents

板材を二重に用いた遮音構造

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Hideki Tachibana
秀樹 橘
Shinichi Sakamoto
慎一 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は低周波数域における遮音性能の向
上を図ることができるようにした板材を二重に用いた遮
音構造を提供することにある。 【解決手段】 一対の壁体1,2が所定間隔で設けられ
る二重壁構造において、上記一対の壁体間にヘルムホル
ツ共鳴器4を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は室内外を隔てる壁
体や窓のガラス板を二重構造にした遮音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】室内外の遮音性能を高めるために、室内
外を隔てる壁体を二重にする、いわゆる二重壁構造が採
用されることが多い。さらに、部屋の壁体にはガラス板
などの開口部が必要不可欠であるが、開口部は遮音上の
弱点となるため、これには二重窓構造が採用される。
【0003】これらの二重壁構造や二重窓構造のような
板材を二重に用いた遮音構造は、建築における部屋の界
壁、外壁は言うに及ばず、発生騒音が問題となる航空機
や高速鉄道でも車体の重量軽減と室内静穏化の双方の目
的を達する最も代表的な対策手段として用いられている
方法である。
【0004】しかしながら、このような遮音構造では、
高周波数域では高い遮音性能を得られるものの、一般に
低周波数域の、ある特定の周波数で遮音性能が極端に低
下する。これは、物理的には、二重構造を構成する二枚
の板材とその間に存在する空気がバネマス系を構成する
ことにより、ある特定の周波数で共振を生じることが原
因であり、この種の構造に宿命的な現象である。
【0005】図12は、曲線Xで示す一重壁および曲線
Yで示す二重壁の遮音性能を模式的に表したものであ
る。同図において範囲Dは二重壁構造が有利な周波
数域であり、範囲Dは二重壁構造が不利な周波数域
である。つまり、材料を二重に用いていることにより、
コストの増大や及び設置スペースが大きくなるにもか係
わらず、周波数範囲Dでは遮音性能がかえって悪化
する結果となっている。
【0006】なお、曲線Xにおいてfcはコイシデンス
限界周波数であり、曲線Yにおいてfrは低音域共鳴透
過周波数である。
【0007】一般的に、高周波数域よりも低周波数域の
騒音を低減する対策の方が困難であり、このような現象
は騒音制御技術に関わる大きな課題の一つとなってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、遮音性能の低下
を防ぐために、二枚の板材の間に空気層の代わりにグラ
スファイバーなどの材料を挿入したサンドイッチパネル
構造が考えられている。この方法は、透光性確保の面で
二重窓構造には適用することが不可能であり、二重壁構
造の場合には内部に挿入する材料として大面積のものが
必要であり、コストがかかるといった問題がある。
【0009】また、遮音性能の低下を直接なくすわけで
はないが、共鳴周波数が聴感上、影響のない非常に低い
周波数になるように設計してその影響を軽減する手段が
考えられる。しかしながら、この方法では当然のことな
がらその構造自体が巨大なものとなり、そのためのスペ
ースが必要となるので、汎用的に用いることのできる手
段とはなり得ない。
【0010】この発明は、板材を二重に用いた遮音構造
の宿命的な欠点である、低周波数域での遮音性能の低下
を改善するようにした板材を二重に用いた遮音構造を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、一対
の板材が所定間隔で設けられる遮音構造において、上記
一対の板材間にヘルムホルツ共鳴器を設けたことを特徴
とする遮音構造にある。
【0012】請求項2の発明は、上記一対の板材の材質
及び構造寸法によって決定される共鳴透過周波数を求
め、この共鳴透過周波数に上記ヘルムホルツ共鳴器の共
鳴周波数を合わせることを特徴とする請求項1記載の遮
音構造にある。
【0013】請求項3の発明は、上記板材は家屋等の空
間部を構成する壁体であることを特徴とする請求項1記
載の二重壁構造にある。
【0014】請求項4の発明は、上記板材は窓用のガラ
ス板であることを特徴とする請求項1記載の遮音構造に
ある。
【0015】請求項5の発明は、上記一対の板材の材質
及び構造寸法によって決定される共鳴透過周波数frd
は下記(1)式によって求められ、この共鳴透過周波数
frdに合わされる上記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波
数fは下記(2)式によって求められることを特徴
とする請求項2記載の遮音構造にある。
【0016】
【数3】
【0017】
【数4】
【0018】但し、m、mはそれぞれ2枚の板
の面密度(単位:kg/m)、dは一対の壁体1,2
の間隔(単位:m)、ρは空気の密度(=1.20
5kg/m)、cは音速(=340+0.6Tm/
sec)、Tは温度(℃)、sはヘルムホルツ共鳴
器の開口部の開口面積、lは開口部の長さ、Vはヘルム
ホルツ共鳴器の背後空気層部の体積、Dは開口部の断面
形状を円形とした場合の直径である。
【0019】この発明によれば、板材を二重に用いた遮
音構造において、宿命的な共鳴透過による低周波数域で
の遮音欠損をヘルムホルツ共鳴器によって改善すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら発明の
実施の形態を説明する。
【0021】図1と図2は板材を二重に用いた遮音構造
としての二重壁に対してこの発明を適用する際の構成図
を示し、図3乃至図6はヘルムホルツ共鳴器(Helm
holtz resonator)の吸音概念図を示
す。
【0022】図1に示す二重壁構造は、たとえば家屋等
の建築物の壁部や航空機、鉄道、自動車などの空間部を
構成するものである。この二重壁構造は板材としての第
1の壁体1と第2の壁体2とが所定の間隔で離間して設
けられている。一対の壁体1,2の周辺部の一側にはヘ
ルムホルツ共鳴器4が設けられている。
【0023】なお、図2に示すように、一対の壁体1,
2間に間柱3がある場合には、ヘルムホルツ共鳴器4を
一対の壁体1,2の間柱3の側面に設けるようにしても
よく、或いは図示しないが一対の壁体1,2間の周辺部
と間柱3の側面との両方に設けるようにしてもよく、こ
れら壁体1,2間に設けられるヘルムホルツ共鳴器4の
数は限定されるものでない。
【0024】上記2枚の壁体1,2の材質および構造寸
法(板の厚さ、面密度、二枚の板の間隔等)は、その時々
の設置状況によって適切に決定されるものであり、任意
である。この発明においては、これらの物理特性はヘル
ムホルツ共鳴器4の各部寸法を決定する際の境界条件と
なる。
【0025】二重壁を構成する2枚の壁体1,2の材質
(面密度)、およびそれらの間隔が決まると、共鳴透過
周波数frdは下記(3)式によって求められ、ヘルム
ホルツ共鳴器4が設けられていない場合にはこの共鳴透
過周波数frd付近で遮音性能が大きく低下する。
【0026】
【数5】
【0027】上記(3)式で、m、mはそれぞ
れ2枚の板の面密度(単位:kg/m )、dは一対の
壁体1,2の間隔(単位:m)、ρは空気の密度
(=1.205kg/m)、cは音速(=340+
0.6Tm/sec)、Tは温度(℃)である。
【0028】通常の二重壁構造では、この共鳴周波数は
100Hz程度の低い周波数となる。
【0029】上記ヘルムホルツ共鳴器4が、この発明の
根幹となる構成要素である。ヘルムホルツ共鳴器4は、
図3の原理図に示すように棒状の本体5を有し、この本
体5には一端が本体5の一端面に開口した開口部6及び
この開口部6の他端に連通した背後空気層部7とによっ
て壷状の吸音部8が形成されている。なお、吸音部8の
形状は壷状に限定されるものでない。
【0030】上記ヘルムホルツ共鳴器4の吸音の原理を
図3に基づいて説明すると、上記開口部6に音波Wが入
射すると、図4に示すようにこの開口部6の空気がマス
m、背後空気層部7の空気がバネkとなる単一共振系と
なり、特定のある周波数で開口部6の空気が激しく振動
する。このとき、開口部6内の空気と、開口部6の周壁
面との摩擦によって音響エネルギーが熱エネルギーに変
換されて吸音の効果が発生する。
【0031】開口部6の直後にグラスファイバーなどの
通気性をもつ吸音材(図示せず)を設置しておけば、吸
音率が上昇し、かつ、吸音する周波数範囲を広げること
が可能となる。
【0032】図5と図6に示すように、所定の厚みをも
つ板材11に連続的に開口部6が開いている構造は、ヘ
ルムホルツ共鳴器4が連続的に並んでいる構造と等価で
あると考えることができる。当然ながら、ヘルムホルツ
共鳴器4は吸音部8の数が多い程、吸音効果は高まるこ
とになる。なお、この場合、吸音部8の各背後空気層部
7は図2に示すように各開口部6毎に隔別されていない
が、仮想線で示すように各開口部6に対応する部分が背
後空気層部7となる。
【0033】図3及び図5、図6に示す構成の各ヘルム
ホルツ共鳴器4の共鳴周波数fは、開口部6の開口面
積をs、開口部6の長さをl、背後空気層部7の体積を
V、開口部6の断面形状を円形とした場合の直径をDと
すれば、下記(4)式のように求められる。
【0034】
【数6】
【0035】上記(4)式で計算されるヘルムホルツ共
鳴周波数f(すなわち、最大に吸音する周波数)
と、境界条件として与えられた二重壁の構造寸法から予
測される、上記(3)式によって計算される共鳴透過周
波数frd(すなわち、遮音欠損が生じてしまう周波
数)とが一致するように、ヘルムホルツ共鳴器4の構造
寸法を決定する。
【0036】すなわち、この発明は、二重壁構造内の音
響エネルギーが増加する周波数をターゲットにヘルムホ
ルツ共鳴器4を設計することにより、最大の効率で吸音
を行おうとするものである。
【0037】この発明においては、二重壁構造の共鳴透
過周波数frdとヘルムホルツ共鳴周波数fが一致
するようなヘルムホルツ共鳴器4を設計し、それを吸音
手段として一対の壁体1,2間に設ける。
【0038】上記ヘルムホルツ共鳴器4は、壁体1,2
と一体形成してもよく、これら壁体1,2と別体で独立
して形成してもよく、要は一対の壁体1、2の間の空気
層内に挿入する形で設置されればよい。
【0039】上記ヘルムホルツ共鳴器4は下記の手順で
設計される。
【0040】第1の工程では、ヘルムホルツ共鳴器4を
設置する一対の壁体1、2の材料および構造寸法より、
共鳴透過周波数frdを上記(3)式により計算する。
【0041】第2の工程では、ヘルムホルツ共鳴器4の
幅寸法は二重壁構造を構成する2枚の壁体1,2の間隔
によって決まるので、ヘルムホルツ共鳴器4を構成する
幅以外の構造寸法(開口部6の大きさおよび隣り合う開
口部6の距離、開口部6の長さ、背後空気層部7の深
さ)を、上記(4)式によるヘルムホルツ共鳴周波数f
と、上記(3)式で計算した共鳴透過周波数frd
が一致するように決定する。
【0042】以上の設計により決定された寸法で、ヘル
ムホルツ共鳴器4を製作する。製作したヘルムホルツ共
鳴器4は、二重壁構造の一対の壁体1,2の間の空気層
の所定の位置に設置する。所定の位置とは、当該二重壁
構造の本来の機能を妨げない位置である。
【0043】二重壁構造は、一重壁構造よりも遮音性能
の高い構造として用いられることが多い。この二重壁構
造は、高周波数帯域では一重壁構造よりも格段に高い遮
音性能を有するものの、二重壁構造を構成する板材の面
密度およびその設置間隔によって決定される共鳴透過周
波数frdにおいて遮音欠損が生じ、図12に示すよう
に一重壁構造よりも遮音性能が低下する周波数帯域が生
じる。
【0044】遮音欠損の生じる周波数は、通常の構造
(一対の壁体1,2の間隔である、中空層幅が10cm
〜20cm程度)で100Hz程度或いはそれ以下の低
周波数領域となり、騒音対策は一般に困難である。ま
た、中空層幅が10mm程度では共鳴周波数fが5
00Hz周辺となって遮音性能低下の影響が大きい。
【0045】そこで、この発明の手順に従い、当該二重
壁構造の共鳴透過周波数frdに共鳴周波数fを合
わせて設計したヘルムホルツ共鳴器4を二重壁構造の内
部に挿入すれば、二重壁構造の寸法を変えることなく、
二重壁構造の最大の欠点であった低周波数域の遮音欠損
を大きく改善することができる。
【0046】図7はこの発明を二重窓構造に適用した例
を示す。同図において21、22は二重窓を構成する板
材としての一対のガラス板で、これらガラス板は図示し
ない窓枠などに所定の間隔で保持される。これら一対の
ガラス板21,22の周辺部、この実施の形態では幅方
向両側に、上記(3)式によって求められた共鳴等透過
波数frdに合ううよう、上記(4)式に基づいて共鳴
周波数fが設計された、この発明のヘルムホルツ共
鳴器4が設けられている。
【0047】二重窓構造において、一対のヘルムホルツ
共鳴器4をガラス板21,22の幅方向両側に設けるよ
うにしたことで、窓構造の最大の目的である採光性を十
分に確保しながら低周波数域での遮音性の向上を図るこ
とができる。
【0048】なお、ヘルムホルツ共鳴器4は一対のガラ
ス板21,22の両側だけでなく、一側或いは周辺部の
4側に設けるようにしてもよく、要は窓構造の採光性を
損なわない範囲で設ければよい。
【0049】以上述べたこの発明の効果を確認するため
に、二重窓構造を対象として縮尺模型実験を行った。実
験の方法およびその結果を具体的に説明する。対象とし
た二重窓の概要を図8乃至図10に示す。模型実験の縮
尺は1/5を想定し、窓部材の材料としてはガラス板を
想定し、音響模型実験の相似則を考慮して厚さ1mmの
アルミ板31採用した。
【0050】なお、ヘルムホルツ共鳴器4は、アクリル
樹脂板を用い、図9に示すようにアルミ板31の周辺部
の4辺にそれぞれ設けた。そして、アクリル樹脂板32
に図8(a)に示す円孔を開けることで、ヘルムホルツ
共鳴器4の開口部6とした。
【0051】このような構成の二重窓構造の共鳴透過周
波数frdを上記(3)式に従って計算すると、およそ
600Hz(実物の周波数に換算すると120Hz)と
なる。次に、計算された共鳴透過周波数frdである6
00Hzがヘルムホルツ共鳴器4の共鳴周波数f
一致するように、かつ、二重窓の厚み(15mm)は変
えないように、ヘルムホルツ共鳴器4の各部寸法を図8
(a)、(b)と図9にa〜gで示すように設計した。
【0052】なお、aは開口部6の長さ寸法、bは背後
空気層部7の深さ寸法、cは開口部6の間隔、dはヘル
ムホルツ共振器4の厚さ寸法、eは開口部6の直径、f
は一方のヘルムホルツ共振器4の長さ寸法、gは他方の
ヘルムホルツ共振器4の長さ寸法であり、a=15m
m、b=35mm、c=15mm、d=15mm、e=
5mm、f=740mm、g=470mmである。
【0053】実験は、図10のように実験用残響箱41
の開口部42に作製した二重窓の模型43を設置し、音
響インテンシティ分析器44を用いた音響インテンシテ
ィ法による音響透過損失測定を行った。このとき、音源
としてはスピーカ音源45を用い、実験用残響箱41内
部に設置した。図中46は音圧測定マイクロフォンであ
り、これらマイクロフォン46によって捕捉された音圧
は音圧レベル分析器47で分析する。
【0054】なお、実験用残響箱41はアクリル樹脂に
よって製作し、その高さ寸法は1.52m、幅寸法は
1.34m、奥行き寸法は0.84mである。
【0055】図11に音響透過損失の実験結果を示す。
同図において、グラフAはヘルムホルツ共振器4が設け
られた模型43の音響透過損失を示すグラフであり、こ
の図11には比較対象としてグラフBのガラス板が1枚
の一重窓の音響透過損失測定結果と、グラフCの二重窓
の音響透過損失測定結果を示してある。
【0056】実験結果を見ると、630Hz帯域で一重
窓よりも二重窓の方が音響透過損失が約4dB低くなっ
ている。この周波数帯域が二重窓の共鳴透過周波数であ
り、遮音欠損が生じている様子が明瞭に見られる。それ
よりも高周波数帯域では、一重窓よりも二重窓の方が遮
音性能が高い。
【0057】それに対して、グラフAで示す設計したヘ
ルムホルツ共鳴器4を挿入した模型43の場合の音響透
過損失を見ると、グラフCの二重窓に比べて共鳴透過周
波数frdが含まれる約630Hz帯域の周辺で遮音性
能が約7dB高くなっている。
【0058】以上の実験結果より、二重窓構造にヘルム
ホルツ共鳴器4を挿入すると、二重窓における共鳴透過
による低周波数域での遮音欠損を改善し、その結果、総
合的な遮音性能を改善できることが確認された。
【0059】この実験は、二重窓を対象とした実験的検
討であるが、たとえ対象が二重壁となった場合でもその
物理的メカニズムは全く同一であり、同様の傾向が得ら
れるであろうことは容易に予想できる。
【0060】以上のことより、この発明によれば以下の
利点がある。第1に、ヘルムホルツ共鳴器4を二重壁及
び二重窓の内部に設置することで、二重窓及び二重壁構
造に生じる低音域での共鳴透過を抑え、遮音性能を改善
することを効率的および低コスト・省スペースで実現で
きる。
【0061】第2に、建築における室の壁および外壁に
広く適用できる。また、建築以外でも航空機、鉄道、自
動車などのキャビティの隔壁に、静穏化と軽量化の双方
を実現する方法として適用することができる。
【0062】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、二重壁
及び二重窓等の板材を二重に用いた遮音構造において、
宿命的な共鳴透過による低周波数域での遮音欠損をヘル
ムホルツ共鳴器によって改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示すに二重壁構造の
斜視図。
【図2】図1の二重壁構造とは異なる箇所にヘルムホル
ツ共鳴器を設けた二重壁構造の斜視図。
【図3】ヘルムホルツ共鳴器の原理図。
【図4】図3のヘルムホルツ共鳴器を単一共振系で示し
た等価図。
【図5】ヘルムホルツ共鳴器の開口部が形成された板材
の平面図。
【図6】図5に示す板材が用いられたヘルムホルツ共鳴
器の断面図。
【図7】二重窓にヘルムホルツ共鳴器を用いた構成の斜
視図。
【図8】(a)は実験用のヘルムホルツ共鳴器の模型の
一部を示す断面図、(b)は正面図。
【図9】実験用のヘルムホルツ共鳴器の模型を一部断面
して示す平面図。
【図10】実験用のヘルムホルツ共鳴器の設置状態の説
明図。
【図11】実験結果を比較例とともに示すグラフ。
【図12】単層壁構造と二重壁構造との遮音性能を説明
したグラフ。
【符号の説明】
1,2…壁体 4…ヘルムホルツ共鳴器 21、22…ガラス板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の板材が所定間隔で設けられる遮音
    構造において、 上記一対の板材間にヘルムホルツ共鳴器を設けたことを
    特徴とする遮音構造。
  2. 【請求項2】 上記一対の板材の材質及び構造寸法によ
    って決定される共鳴透過周波数を求め、この共鳴透過周
    波数に上記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を合わせる
    ことを特徴とする請求項1記載の遮音構造。
  3. 【請求項3】 上記板材は家屋等の空間部を構成する壁
    体であることを特徴とする請求項1記載の二重壁構造。
  4. 【請求項4】 上記板材は窓用のガラス板であることを
    特徴とする請求項1記載の遮音構造。
  5. 【請求項5】 上記一対の板材の材質及び構造寸法によ
    って決定される共鳴透過周波数frdは下記(1)式に
    よって求められ、この共鳴透過周波数frdに合わされ
    る上記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数fは下記
    (2)式によって求められることを特徴とする請求項2
    記載の遮音構造。 【数1】 【数2】 但し、m、mはそれぞれ2枚の板の面密度(単
    位:kg/m)、 dは一対の壁体1,2の間隔(単位:m)、 ρは空気の密度(=1.205kg/m)、 cは音速(=340+0.6Tm/sec)、 Tは温度(℃)、 sはヘルムホルツ共鳴器の開口部の開口面積、 lは開口部の長さ、 Vはヘルムホルツ共鳴器の背後空気層部の体積、 Dは開口部の断面形状を円形とした場合の直径である。
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