JP2002356431A - ステロイドを有効成分とする網脈絡膜疾患治療剤 - Google Patents

ステロイドを有効成分とする網脈絡膜疾患治療剤

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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来よりも優れた効果を有するステロイドを有
効成分とする網脈絡膜疾患治療剤およびステロイド剤を
簡便に投与できる網脈絡膜疾患治療用の剤型を提供する
こと。 【解決手段】本発明は、ベタメサゾンおよびハイドロコ
ルチゾンを有効成分とする網膜疾患治療剤を有効成分と
する結膜下注射剤を提供するものである。本発明は、ま
た、ステロイドを有効成分とする網脈絡膜疾患治療用結
膜下注射剤を提供するものである。網脈絡膜疾患はたと
えば加齢黄斑変性、糖尿病網膜症または増殖性硝子体網
膜症である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のステロイ
ド、即ちベタメサゾンまたはハイドロコルチゾンを有効
成分とする網脈絡膜疾患治療剤およびステロイドを有効
成分とする網脈絡膜疾患治療用結膜下注射剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】網脈絡膜疾患は失明にもつながる難治性
の疾患であり、中でも加齢黄斑変性、糖尿病網膜症およ
び増殖性硝子体網膜症は主要な網脈絡膜疾患である。
【0003】加齢黄斑変性(age-related macular dege
neration;以下「AMD」とする)は原因不明の、加齢に
伴って黄斑部に生じる疾患である。これは50歳以上の
高齢者に多く、近年高齢者の視力低下および失明の主要
原因疾患として注目されている。AMDには黄斑部に脈
絡膜由来の新生血管が伸展し、出血や滲出を生じる滲出
型と、脈絡膜血管新生が関与せず、網膜色素上皮細胞や
脈絡膜毛細管板の萎縮をきたす萎縮型がある。滲出型
は、高齢者の黄斑に脈絡膜から網膜色素上皮細胞あるい
は網膜下に新生血管が伸展し、出血や滲出型病変を生じ
る。
【0004】糖尿病網膜症(diabetic retinopathy;以
下「DR」とする)は糖尿病の眼合併症で、近年成人の失
明の第1位を占める疾患である。人口の高齢化が進み、
糖尿病罹患患者の長命化もあり、DRの発症頻度は増加
している。DRは網膜血管病で、毛細管レベルの細小血
管症として始まる。血管症の初期病変であるものは単純
網膜症、病変が進行し毛細血管の閉塞が進行している状
態が前増殖網膜症、血管症の閉塞が拡大し網膜虚血が進
行し、網膜硝子体に血管新生を発症したものが増殖網膜
症と呼ばれる。
【0005】増殖性硝子体網膜症(proliferative vitr
eoretinopathy;以下「PVR」とする)は、裂孔原性網膜
剥離に続発する重篤な合併症である。増殖性硝子体網膜
症の頻度は網膜剥離の5〜10%とされているが、近年
硝子体手術の普及に伴い増加傾向にある。この病態の本
質は網膜色素上皮細胞、網膜グリア細胞、繊維芽細胞な
どの非血管由来細胞が増殖することにあり、剥離網膜の
前面・後面あるいはその硝子体中に膜様の増殖物が形成
され、網膜に対する強い牽引が起こり全剥離の状態に陥
る。
【0006】網脈絡膜疾患の治療は主として外科手術に
よって行われている。外眼部疾患の治療は点眼等による
薬物療法が主であるが、網膜には薬物が極めて移行しに
くく、それが網脈絡膜疾患の薬物療法を困難にしてい
る。静脈注射や経口投与による網脈絡膜疾患の治療も試
みられているが、薬物の全身作用が強く現れることもあ
って、硝子体内に直接薬物を注入する方法等が研究され
ている。
【0007】網脈絡膜疾患の治療に用いられる薬物とし
てステロイドが有用であることがすでに知られており、
特にトリアムシノロンについては種々の報告がある。例
えば、アメリカ特許第5770589号には、トリアム
シノロンを硝子体内に注入することによる黄斑変性の治
療方法が開示されている。Am.J.Ophthal. 89:131-136,
1980には、トリアムシノロンアセトニドを硝子体内に注
入することによって、硝子体に移植した繊維芽細胞の増
殖を抑制し、PVRの治療に有用であることが報告され
ている。J.Ocul.Pharmacol.Ther. 15(5),425-428, 1999
には、トリアムシノロンのテノン嚢下注射により脈絡膜
の血管新生の抑制に効果があることが報告されている。
【0008】しかしながら、ステロイドの中で、ベタメ
サゾンおよびハイドロコルチゾンが網脈絡膜疾患の治療
に用られた例は知られていない。また、ステロイドの投
与法として硝子体内注射、テノン嚢下注射が知られてい
るが、網脈絡膜疾患治療の投与方法における結膜下注射
の有用性は報告されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにトリアム
シノロンが網脈絡膜疾患の治療に有用であることが知ら
れているが、まだまだ効果の面から満足できるものでは
なく、より優れた効果を示すステロイドを見出すことは
非常に興味ある課題であった。
【0010】また、ステロイドが網脈絡膜疾患に有用で
あることが分かっても、ステロイドを如何にして効率よ
くに網脈絡膜へ移行させるかが大きな課題であり、その
手段として硝子体内注射やテノン嚢下注射が提唱されて
いるが、これらの手段は医師の技量に負うところが多
く、さらに、眼組織の障害も大きいので患者にとっても
相当の苦痛等を伴う。従って、網膜への移行性、投与の
簡便性、眼組織の障害性等のバランスがとれた投与剤の
開発が望まれている。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは鋭意
研究を行った結果、ベタメサゾンおよびハイドロコルチ
ゾンが優れた脈絡膜血管新生阻害作用、血管透過性亢進
抑制作用および網膜剥離抑制作用を示すことを見出し、
これらの化合物が網脈絡膜疾患、特に加齢黄斑変性、糖
尿病網膜症および増殖性硝子体網膜症の治療剤として有
用であることを見出した。また、ステロイドを結膜下注
射すれば、より簡便に投与でき、かつ効率よくステロイ
ドを網脈絡膜へ送達できることを併せて見出した。従来
から知られている硝子体内注射は、薬物を網膜組織に接
する硝子体内に直接注入する方法であり、テノン嚢下注
射は、微細組織であるテノン嚢内に注入する方法であ
る。いずれの投与方法も直接目視できない部位への投与
であるため、高度な技術を必要とし、患者への負担も大
きく、投与回数にはおのずと制約がある。また、注射針
が内眼部まで達するため眼内感染症を誘発する可能性も
ある。一方、結膜下注射は、目視できる部分へ注射する
ため、比較的手技は簡便で、且つ患者への負担も少な
く、投与回数にそれほど制約はない。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明における第一の発明は、薬
物、即ちステロイドの種類に特徴がある発明である。こ
の発明は、エステル若しくは塩の形態となっていても良
いベタメサゾンまたはハイドロコルチゾン(以下これら
のステロイド化合物を「本化合物」という)を有効成分と
する網脈絡膜疾患治療剤に関するものである。本化合物
におけるエステルとは医薬として許容されるエステルで
あれば特に制限は無く、リン酸エステル、マレイン酸エ
ステル、酢酸エステル、蟻酸エステル等が挙げられる。
【0013】本化合物における塩は医薬として許容され
る塩類であれば特に制限は無く、ナトリウム塩、カリウ
ム塩等が挙げられる。本化合物のうち特に好ましい例
は、リン酸ベタメサゾンナトリウムおよびハイドロコル
チゾンである。
【0014】本化合物の網脈絡膜疾患治療に対する有用
性を調べるべく、脈絡膜血管新生阻害作用、血管透過性
亢進抑制作用および網膜剥離抑制作用について検討し
た。詳細については後述の実施例の項で述べる。
【0015】本化合物の投与形態としては結膜下注射が
好ましいが、医師の技量や患者の症状等に応じて通常の
ステロイドの投与形態を用いることもできる。即ち、第
一の発明においては、ベタメサゾンまたはハイドロコル
チゾンを、非経口でも経口でも投与することができる。
非経口投与剤型としては注射剤、点眼剤等が挙げられ、
また経口投与剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒
剤、散剤等が挙げられ、汎用されている技術を用いて本
化合物を製剤化することができる。例えば、注射剤の場
合は、塩化ナトリウム等の浸透圧調整剤、リン酸ナトリ
ウム等のpH調整剤、ポリソルベート80等の界面活性
剤、メチルセルロース等の増粘剤等の通常用いられる添
加剤を本化合物に加え、これらを注射用の蒸留水に溶解
すればよい。この注射剤は、結膜下注射としては無論、
硝子体内注射やテノン嚢下注射でも用いることができ
る。
【0016】本化合物の投与量は症状、年齢等によって
適宜選択できるが、注射剤であれば、通常1回当たり1
μg〜10mg、好ましくは10μg〜1mgを投与す
れば良い。
【0017】本発明における第二の発明は、上述の本化
合物のようなステロイドを結膜下注射することによる網
脈絡膜疾患の治療剤に関するものである。この発明は投
与部位に特徴のある発明であって、使用するステロイド
の種類には制約されない。即ち、第二の発明は、本化合
物の他、トリアムシロノン等網脈絡膜疾患に有用なステ
ロイド全てに適用できる。第二の発明の効果は、後述の
薬理試験の結果で明らかなように、医師及び患者の双方
にとって有益な結膜下注射によりステロイドが網脈絡膜
疾患部位に到達し薬効を発揮できることにある。第二の
発明において用いられる注射剤の製造方法、投与量等に
ついては、第一の発明での説明と同様である。
【0018】以下に製剤例および薬理試験の結果を示
す。
【0019】
【実施例】[製剤例]本化合物の注射剤の一般的な製剤例
を以下に示す。
【0020】1)注射剤 処方100mL中 リン酸ベタメサゾン 20mg 塩化ナトリウム 900mg 注射用蒸留水 適量
【0021】[薬理試験]本化合物のAMDおよびDRに
対する効果を調べるため、脈絡膜血管新生阻害試験およ
び網膜血管透過性抑制試験を行った。また、PVRに対
する効果を調べるため網膜剥離抑制試験を行った。
【0022】1.リン酸ベタメサゾンナトリウムの脈絡
膜血管新生阻害試験 (レーザー誘発ラット脈絡膜血管新生モデルの作製)ラ
ットに5%塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジ
ン注射液の混合液(7:1) 1mL/kgを筋肉内投与す
ることによりラットを全身麻酔し、0.5%トロピカミ
ド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼して散瞳
させた後、クリプトンレーザー光凝固装置により光凝固
を行った。光凝固は、眼底後局部において、太い網膜血
管を避け、焦点を網膜深層に合わせて1眼につき8ヶ所
散在状に実施した(凝固条件:スポットサイズ100μ
m、出力100mW、凝固時間0.1秒)。光凝固後、
眼底撮影を行い、レーザー照射部位を確認した。
【0023】(薬物の投与方法)リン酸ベタメサゾンナ
トリウムをリン酸緩衝液に0.2および2mg/mLに
なるよう溶解し、レーザー照射日より7日間結膜下へ5
0μL投与した。比較群としてトリアムシノロンを0.
2および2mg/mLになるようリン酸緩衝液に懸濁
し、同様に投与した。基剤投与群として、リン酸緩衝液
を同様に投与した。
【0024】(評価方法)光凝固後7日目に10%フル
オレセイン 0.1mLを頚静脈から注入して、蛍光眼
底造影を行った。蛍光眼底造影で、蛍光漏出が認められ
なかったスポットを陰性、蛍光漏出が認められたスポッ
トを陽性として判定した。レーザー照射8ヶ所のスポッ
トに対する陽性スポット数から新生血管発現率を算定
し、下記式に従い、脈絡膜血管新生阻害率を算出した。
【0025】
【式1】脈絡膜血管新生阻害率(%)=(A−A
/A×100 A:基剤投与群の新生血管発現率 A:薬物投与群の新生血管発現率
【0026】(結果)上記試験の結果を表1に示す。投
与量10μg/eye(1眼)/day(1日)および
100μg/eye/dayともにリン酸べタメサゾン
ナトリウムはトリアムシノロンより高い脈絡膜血管新生
阻害率を示し、10μg/eye/dayではトリアム
シノロンの約3倍もの強い阻害効果を有することが判明
した。
【表1】
【0027】2.ハイドロコルチゾンの脈絡膜血管新生
阻害試験 (レーザー誘発ラット脈絡膜血管新生モデルの作製)上
述のリン酸ベタメサゾンナトリウムの試験と同様にレー
ザー誘発ラット脈絡膜血管新生モデルを作製した。
【0028】(薬物の投与方法)ハイドロコルチゾンを
リン酸緩衝液に2および20mg/mLになるよう溶解
し、レーザー照射直後に1回結膜下へ50μL投与し
た。基剤投与群として、リン酸緩衝液を同様に投与し
た。
【0029】(評価方法)上述のリン酸ベタメサゾンナ
トリウムの試験と同様にして評価した。
【0030】(結果)上記試験の結果を表2に示す。投
与量100および1000μg/eye/dayともに
ハイドロコルチゾンは脈絡膜血管新生阻害効果を有する
ことが判明した。
【0031】
【表2】
【0032】3.リン酸ベタメサゾンの網膜血管透過性
抑制試験 (トロンビン誘発ラット網膜血管透過性亢進モデルの作
製)ラットに5%塩酸ケタミン注射液および2%塩酸キ
シラジン注射液の混合液(7:1)を1 mL/kg筋肉内
投与することにより全身麻酔した後、0.5%トロピカ
ミド−0.5%塩酸フェニレフリン点眼液を点眼して左
眼を散瞳させた。薬物投与群および対照群のラットに
は、手術用顕微鏡にて観察しながら水晶体ならびに網膜
を傷つけないよう33G針を用いて、硝子体内(左眼)
にトロンビン(500U/mL)を2.5 μL注入し
た。正常群のラットにはトロンビンの代わりに基剤 (ダ
ルベッコ改変リン酸緩衝生理食塩液)を投与した。
【0033】(薬物の投与方法)リン酸ベタメサゾンナ
トリウムを2mg/mLまたは20mg/mLになるよ
うに生理食塩液に溶解した。トロンビンまたは基剤 (ダ
ルベッコ改変リン酸緩衝生理食塩液)の投与1時間前お
よび23時間後に、ラット左眼に0.4%オキシブプロ
カイン点眼液を点眼した後、薬物投与群のラットには2
mg/mLまたは20mg/mLリン酸ベタメサゾンを
結膜下注射した。正常群および対照群のラットには生理
食塩液を結膜下注射した。
【0034】(評価方法)トロンビン硝子体内投与の4
8時間後に、ラットに0.5%トロピカミド−0.5%
塩酸フェニレフリン点眼液を点眼して散瞳させ、5%塩
酸ケタミン注射液および2%塩酸キシラジン注射液の混
合液(7:1)を1mL/kg筋肉内投与してラットを全
身麻酔した後、1%フルオレセイン溶液 (1mL/k
g) を陰茎静脈内投与した。フルオレセイン投与約40
分後に血液を心臓より採取した後直ちに、フルオロトロ
ンマスターにて眼内蛍光色素濃度を測定した。採血した
血液は15,000rpm × 5分で遠心分離後、その
上清(血漿)をリン酸緩衝生理食塩液で51倍希釈し、
フルオロトロンマスターにて血漿中蛍光色素濃度を測定
した。フルオロトロンマスターにより得られたフルオレ
セイン投与約45分後の眼内蛍光色素濃度を血漿中蛍光
色素濃度で除して網膜血管透過性を算出した。
【0035】(結果)結果を表3に示す。正常群と対照
群を比較すると分かるように、対照群ではトロンビンに
より網膜の血管透過性亢進が認められた。しかし、トロ
ンビンとともにリン酸ベタメサゾンナトリウムを投与す
ると、トロンビンによる網膜の血管透過性亢進が抑制さ
れることが示された。
【0036】
【表3】
【0037】4.ベタメサゾンの網膜剥離抑制試験 (ディスパーゼ誘発ウサギPVRモデルの作製)ウサギ
に0.5%トロピカミド−0.5%塩酸フェニレフリン
点眼液を点眼し散瞳させ、5%塩酸ケタミン注射液およ
び2%塩酸キシラジン注射液の混合液(7:1) 1mL/
kgを筋肉内投与することによりウサギを全身麻酔し
た。0.4%オキシブプロカインを点眼し前眼部を麻酔
した後、生理食塩液で0.05U/100μLに調製し
たディスパーゼ溶液100μLを硝子体内に注入した。
ディスパーゼ溶液注入後6週目および10週目にディス
パーゼにより誘発されたPVRを眼底観察により確認し
た。
【0038】(薬物の投与)ベタメサゾンを0.1g/
mLになるようにリン酸緩衝液に溶解し、ディスパーゼ
注入直後に結膜下へ100μL投与した。基剤投与群と
して、リン酸緩衝液を同様に投与した。
【0039】(評価方法)ディスパーゼ誘発後56日目
に眼底観察を行いPVRをスコアにより判定した。判定
基準を以下に示す。スコア3以上をPVRの発現と定義
し、各群におけるPVRの発症率(網膜剥離の発症率)
を式2に従って算出した。
【0040】0:正常網膜 1:硝子体膜が認められる 2:網膜の牽引・血管異常・充血が認められる 3:局所的な剥離が認められる 4:広範囲な剥離が認められる 5:全剥離が認められる
【0041】
【式2】PVRの発症率(%)=PVR発現眼数/試験
眼数×100
【0042】(結果)結果を表4に示す。表に示したよう
に、基剤投与群およびベタメサゾン投与群におけるPV
Rの発症率は、それぞれ66.7%および37.5%で
あり、ベタメサゾンがPVRを抑制することがわかっ
た。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明のベタメサゾンまたはハイドロコ
ルチゾンは、優れた脈絡膜血管新生阻害作用、血管透過
性亢進抑制作用およびPVR抑制作用を有するので、加
齢黄斑変性治療剤および増殖性硝子体網膜症治療剤など
の網脈絡膜疾患治療剤として有用である。また本発明の
ステロイドを含有する注射剤を結膜下に注射して使用す
れば、網脈絡膜疾患を簡便に治療できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 DA10 MA01 MA04 MA58 MA66 NA14 ZA33 4C091 AA01 BB03 BB05 CC01 DD01 EE07 FF01 GG01 HH01 HH03 JJ03 KK12 LL01 MM01 NN01 NN04 PA03 PA06 PA09 PB02 QQ01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル若しくは塩の形態となっていて
    もよいベタメサゾンまたはハイドロコルチゾンを有効成
    分とする網脈絡膜疾患治療剤。
  2. 【請求項2】 ステロイドを有効成分とする網脈絡膜疾
    患治療用結膜下注射剤。
  3. 【請求項3】 網脈絡膜疾患が加齢黄斑変性、糖尿病網
    膜症または増殖性硝子体網膜症である請求項1または2
    に記載の網脈絡膜疾患治療剤。
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