JP2002342557A - 携帯端末の位置情報に基づく人口分布統計処理システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定エリアに限らず広範囲にわたる人口分布
情報を恒常的に収集し、さらに統計的処理を施し、人口
の集中状況や移動状況を把握し、さらに移動予測を可能
とする。 【解決手段】 各エリアの携帯端末（携帯電話、ＰＨ
Ｓ）から発信された位置登録情報を各エリアの基地局を
介して受信し、所定の観測時間における各エリアの位置
登録情報の受信数をカウントして蓄積し、所定の観測時
間を所定回数繰り返した観測周期ごとに各エリアの各観
測時間におけるカウント値を転送する１以上の基地局交
換機と、１以上の基地局交換機から転送された各エリア
の各観測時間におけるカウント値を蓄積し、各エリアご
とのカウント値を各観測時間における人口分布データと
して保持するとともに、統計的に分析して人口分布の短
期未来予測を行って短期未来予測値を算出する統計情報
管理データベースとを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、広く普及した携帯
端末（携帯電話、ＰＨＳ）の移動状況を統計的に把握
し、人口の集中状況、移動状況、移動予測を行うための
人口分布統計処理システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】都市部などにおける人口の集中状況や移
動状況などを把握するには、従来は複数の調査ポイント
にそれぞれ調査員を配置して人の移動（交通量）をカウ
ントする方式が一般的であった。これは、一定時間ごと
にカウントした数値を後で集計して統計処理するもので
あり、リアルタイムの情報取得は想定されていなかっ
た。また、広範囲にわたる情報収集には多大な人件費を
要するので、地域限定的な用途に限られていた。

【０００３】一方、移動体通信事業者は、自通信網につ
いて輻輳対策の観点から交換機の負荷監視および制御を
行っているが、携帯端末の位置登録情報自体を網制御や
その他のサービスに利用することは現在行われていな
い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の街頭調査的な方
法では、人手によるために調査時間や調査エリアが限定
されてしまう。その結果、ある特定エリアのある限られ
た時間について、人の動向を把握することはできるが、
広範囲かつ長期間（例えば数カ月）にわたるデータを収
集することは困難であった。

【０００５】本発明は、特定エリアに限らず広範囲にわ
たる人口分布情報を恒常的に収集し、さらに統計的処理
を施し、人口の集中状況や移動状況を把握し、さらに移
動予測を可能とする携帯端末の位置情報に基づく人口分
布統計処理システムを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の携帯端末の位置
情報に基づく人口分布統計処理システムは、携帯端末
（携帯電話、ＰＨＳ）の位置登録情報をもとにするもの
であり、基地局交換機および統計情報管理データベース
に以下の機能を備えて実現される。

【０００７】まず、既存の基地局交換機に追加する機能
は次の通りである。 (1) エリア（基地局）ごとに観測時間Ｔ内の位置登録情
報数をカウントし、蓄積する。 (2) 観測周期（Ｔ×Ｎ）で、各エリアごとに各観測時間
における収集データ（カウント数）を統計情報管理デー
タベースへ転送する。 (3) 転送済みデータをクリアし、次の観測周期のデータ
収集を再開する。

【０００８】次に、新規に設ける統計情報管理データベ
ースの機能は次の通りである。 (4) 統括する基地局交換機に対する情報収集インタフェ
ースを備え、配下の複数の基地局交換機から転送された
データを受信する。なお、統計情報管理データベースの
設置単位は、例えば都道府県レベルを想定している。 (5) 各基地局交換機から転送されたデータ（生データ）
を蓄積する。 (6) 蓄積した生データ（各観測時間における人口分布デ
ータ）に対して統計的処理を施し、その結果（統計デー
タ）を蓄積する。この統計的処理としては、例えば(a)
あるエリアについて過去の変動状況による短期未来予測
値の計算、(b) 隣接エリアについて統計データの相関関
係を求めることによる隣接エリア間の移動状況の予測、
などを行う。

【０００９】(7) 統計的処理に基づく短期未来予測と、
実際の結果に基づく予測アルゴリズムの補正を行う。こ
れは、(6-a) で予測した値と実際の値との差分を予測ア
ルゴリズムにフィードバックして予測アルゴリズムの精
度を高めるものである。 (8) 各エリアの人口分布データおよび短期未来予測値を
地図上に対応付けて表示する。

【００１０】(9) ユーザ登録／認証処理を行う。これ
は、統計情報管理データベースが管理する情報を参照可
能なユーザをあらかじめ登録し、要求ユーザが参照可能
なユーザか否かの認証を行う。 (10)ユーザへの情報提供インタフェースを備える。これ
は認証ユーザに対して要求された情報を提供する。 (11)統計情報管理データベース間のネットワーク化を図
る。(4) に示すように、例えば都道府県単位に設置され
る統計情報管理データベース間をネットワークで接続す
ることにより、より広範囲にわたる情報として管理する
ことができる。

【００１１】以上により、従来は人手による作業のため
限られたエリアの特定時間帯のデータしか収集できなか
ったが、携帯端末（携帯電話、ＰＨＳ）の使用可能なエ
リアであれば、すべてのエリアについてリアルタイムか
つ恒常的に、人口の集中状況や移動状況などの人口分布
データを収集することができる。しかも、広範囲にわた
り、精度の高い人口分布データの収集が可能である。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明システムの実施形
態を示す。図において、各エリアＡ，Ｂ，Ｃの携帯端末
１ａ〜１ｆから発信された位置登録情報は、各エリアの
基地局２を介して複数のエリアを管理する基地局交換機
３に転送される。基地局交換機３に転送された位置登録
情報は、各エリアごとに観測時間Ｔでカウントされ、蓄
積される。基地局交換機３は、観測周期（Ｔ×Ｎ）で、
各エリアごとに各観測時間Ｔにおける収集データ（カウ
ント数）を統計情報管理データベース４へ転送する。

【００１３】統計情報管理データベース４は、統括する
基地局交換機３に対する情報収集インタフェースを備
え、配下の複数の基地局交換機３から転送されたデータ
を受信して蓄積する。また、統計情報管理データベース
４どうしが接続され、ネットワーク化が図られる。ここ
では、統計情報管理データベース４Ｐ，４Ｑにそれぞれ
の統括地域Ｐ，Ｑにおける各エリアごとのデータが蓄積
される。

【００１４】統計情報管理データベース４は、各基地局
交換機から転送されたデータに対して統計的処理を施
し、その結果（統計データ）を蓄積する。例えば、ある
エリアについて過去の変動状況による短期未来予測値を
計算し、この予測値と実際の値との差分を予測アルゴリ
ズムにフィードバックして予測アルゴリズムの精度を高
める。また、アクセス端末５からのユーザ登録および認
証を行い、要求に対する情報提供を行う。

【００１５】図２は、既存の基地局交換機３に追加され
る機能を示す。図において、基地局交換機は、エリア
（基地局）ごとに観測時間Ｔ内に着信する位置登録情報
数をカウントし、蓄積する。例えば、観測時間Ｔ内にエ
リアＡの基地局から、携帯端末１ａ，１ｂ，１ｃの位置
登録情報が着信した場合には、カウント値３が蓄積され
る。また、観測時間Ｔ内にエリアＢの基地局から、携帯
端末１ｄ，１ｅの位置登録情報が着信した場合には、カ
ウント値２が蓄積される。次に、観測周期（Ｔ×Ｎ）
で、各エリアごとに各観測時間Ｔにおける収集データ
（カウント数）を統計情報管理データベースへ転送す
る。次に、転送済みデータをクリアし、次の観測周期の
データ収集を再開する。

【００１６】図３は、統計情報管理データベース４の構
成例を示す。図において、データ蓄積部４１は、統括す
る基地局交換機に対する情報収集インタフェースを備
え、配下の複数の基地局交換機から転送されたデータを
受信し、蓄積する。この生データは、各エリア（基地
局）ごとに例えば１週間程度蓄積される。

【００１７】統計処理部４２は、蓄積した生データに対
して統計的処理を施し、その結果（統計データ）を蓄積
する。この統計的処理としては、例えば短期予測アルゴ
リズム４３において、あるエリアについて過去の変動状
況による短期未来予測値を計算出力し、予測誤差のフィ
ードバック修正部４４において、予測した値と実際の値
との差分を予測アルゴリズムにフィードバックして予測
アルゴリズムの精度を高める。なお、出力された短期未
来予測値は、各エリアごとに地図上に対応付けて表示さ
れる。この統計データは、各エリア（基地局）ごとに例
えば過去３カ月程度蓄積され、３カ月超過した統計デー
タについては一旦データベースより退避し、オフライン
管理とする。

【００１８】ユーザ登録／認証処理部４５は、統計情報
管理データベースが管理する情報を参照可能なユーザを
あらかじめ登録し、要求ユーザが参照可能なユーザか否
かの認証を行う。情報提供インタフェース部４６は、認
証ユーザに要求されたデータを提供する。ユーザにおけ
る情報表示手段としては、表示に必要なグラフィックア
プリケーションをインストールしている端末（パソコン
等）と、携帯端末（携帯電話、ＰＨＳ）を想定してお
り、統計情報管理データベースから端末に応じたデータ
形式で情報が提供される。例えば、パソコン等の端末で
は地図上に各エリアの情報が表示され、携帯端末では音
声（トーキ）により情報がユーザに伝えられる。データ
ベース間接続部４７は、他の統計情報管理データベース
との接続制御を行い、相互にデータベース管理情報の交
換その他を行う。

【００１９】図４は、本発明システムにおける処理手順
の一例を示す。図において、統計情報管理データベース
４Ｐには、各基地局交換機Ａ，Ｂに蓄積された各エリア
Ａ，Ｂおよび各観測時間ごとの収集データ（カウント
数）が転送される。そして、各エリアごとのデータおよ
び統計処理による短期未来予測値が蓄積される。

【００２０】一方、統計情報管理データベース４Ｐが管
理する情報の参照を希望するユーザは、事前にアクセス
端末からユーザ登録を行う。事前登録済のユーザは、パ
ソコンまたは携帯端末から統計情報管理データベース４
Ｐへアクセスし、所定の認証後に要求する情報を取得す
ることができる。例えばエリアＡの込み具合、エリアＡ
の今後の込み具合などを要求すると、それぞれの要求に
応じた情報を参照することができる。また、統計情報管
理データベース４Ｐが管理していない他のエリアＥの状
況を確認したい場合には、統計情報管理データベース４
Ｐを介して統計情報管理データベース４Ｑにアクセス
し、必要な情報を得ることができる。

【００２１】ここで、予測アルゴリズムの一例を示す。 (1) エリア総数をＭとする。 (2) あるエリアにおけるある観測時間Ｔの位置登録情報
数Ｙj （ｊ＝１〜Ｍ）は、統計学における線形多重回帰
モデルを想定し、パラメータＸについては例えばサラリ
ーマンの勤務先、買い物できる場所、飲み屋、交通機関
の駅、学校などを想定すると、次のように表される。 Ｙj ＝α０＋α１・Ｘ１＋α２・Ｘ２＋…＋αｎ・Ｘｎ

【００２２】(3) あるエリアにおけるある観測時間Ｔの
位置登録情報数Ｙj について、時間による変動要素を付
加する。ここでは、線形多重回帰モデルの各パラメータ
に時間の要素を取り込み、次のモデルを新規に構築す
る。 Ｙj(T)＝α０＋α1(T)・Ｘ１＋α2(T)・Ｘ２＋…＋αｎ
(T)・Ｘｎ ここで、Ｔは例えば１時、１時30分、２時というよう
に、１日のうちの特定時刻を示す。αi(T)の決定アルゴ
リズムは、特定時刻の過去一定期間の蓄積データを平均
して算出する。

【００２３】(4) あるエリアのある時刻Ｔにおけるαi
(T)の決定は、実際の値とモデルより算出した値の誤差
について、最小二乗法をもとにｎ次元の正規方程式を解
いて求める。 (5) 短期未来予測については、上記で求めた最新のパラ
メータ値をもとにＹj を決定する。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明では、携帯
端末の位置登録情報に基づく人口分布に関する情報を、
広範囲にわたり統計的に収集することが可能となる。

【００２５】得られた情報については、次のようなサー
ビスへの適用が可能である。 (1) 人口分布データまたは短期未来予測データにより、
人が集中している／集中すると思われるエリアを把握
し、タクシーの配車、屋台の出店などに利用し、収益を
上げることができる。 (2) 都市部における大規模災害時に、事前の統計情報を
もとに、救助地域の優先順位を決定し、被害を最小限に
抑えることができる。 (3) ネットワーク運用事業者は、特定エリアにおける人
口集中度などの詳細なトラヒックデータをもとに、有効
な輻輳対策を実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明システムの実施形態を示す図。

【図２】既存の基地局交換機３に追加される機能を説明
する図。

【図３】統計情報管理データベース４の構成例を示す
図。

【図４】本発明システムにおける処理手順の一例を示す
図。

【符号の説明】

１ 携帯端末 ２ 基地局 ３ 基地局交換機 ４ 統計情報管理データベース ５ アクセス端末 ４１ データ蓄積部 ４２ 統計処理部 ４３ 短期予測アルゴリズム ４４ フィードバック修正部 ４５ ユーザ登録／認証処理部 ４６ 情報提供インタフェース部 ４７ データベース間接続部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 孝次 東京都千代田区大手町二丁目３番１号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 與那原 亨 東京都千代田区大手町二丁目３番１号 日 本電信電話株式会社内 Ｆターム(参考） 5K067 AA41 BB04 EE02 EE16 FF02 FF03 HH21 JJ51

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各エリアの携帯端末（携帯電話、ＰＨ
   Ｓ）から発信された位置登録情報を各エリアの基地局を
   介して受信し、所定の観測時間における前記各エリアの
   位置登録情報の受信数をカウントして蓄積し、所定の観
   測時間を所定回数繰り返した観測周期ごとに各エリアの
   各観測時間におけるカウント値を転送する１以上の基地
   局交換機と、 前記１以上の基地局交換機から転送された各エリアの各
   観測時間におけるカウント値を蓄積し、各エリアごとの
   カウント値を各観測時間における人口分布データとして
   保持するとともに、統計的に分析して人口分布の短期未
   来予測を行って短期未来予測値を算出する統計情報管理
   データベースとを備えたことを特徴とする携帯端末の位
   置情報に基づく人口分布統計処理システム。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の携帯端末の位置情報に
   基づく人口分布統計処理システムにおいて、 前記統計情報管理データベースは、前記各エリアにおけ
   る前記人口分布データおよび前記短期未来予測値の参照
   を受け付けるユーザの登録および認証を行う手段と、登
   録および認証されたユーザからのアクセスに対して前記
   各エリアにおける前記人口分布データおよび前記短期未
   来予測値を提供する手段を含むことを特徴とする携帯端
   末の位置情報に基づく人口分布統計処理システム。
3. 【請求項３】 請求項１に記載の携帯端末の位置情報に
   基づく人口分布統計処理システムにおいて、 前記統計情報管理データベースはそれぞれ統括する地域
   ごとに複数配置され、各地域の統計情報管理データベー
   ス間で相互に前記各エリアにおける前記人口分布データ
   および前記短期未来予測値の参照を可能とする構成であ
   ることを特徴とする携帯端末の位置情報に基づく人口分
   布統計処理システム。