JP2002339063A - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

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JP2002339063A
JP2002339063A JP2001147370A JP2001147370A JP2002339063A JP 2002339063 A JP2002339063 A JP 2002339063A JP 2001147370 A JP2001147370 A JP 2001147370A JP 2001147370 A JP2001147370 A JP 2001147370A JP 2002339063 A JP2002339063 A JP 2002339063A
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JP
Japan
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substrate
plasma
vacuum vessel
plasma source
discharge
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JP2001147370A
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English (en)
Inventor
Takeshi Saito
武志 斉藤
Toshiyuki Watanabe
敏行 渡邊
Katsuhiko Seki
克彦 関
Shiro Asano
史朗 浅野
Etsuo Noda
悦夫 野田
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Toshiba Corp
Tungaloy Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Tungaloy Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大型の基体にイオンを注入するときも、均一
な量のイオンを注入でき、安定した品質の製品を得るこ
とのできるイオン注入装置を提供する。 【解決手段】 イオン注入装置は真空容器21内に放電
によりプラズマを生成し、基体Wにイオンを注入するプ
ラズマ源32を備える。このプラズマ源32を基体Wに
倣わせ案内するガイドレール31およびプラズマ源32
を駆動するプラズマ源駆動装置33a、33bを設け
る。基体Wとプラズマ源32とを相対的に移動させなが
ら、プラズマ源32によって基体Wの一部分を取り囲む
放電プラズマを生成し、等量のイオンを生成プラズマか
ら基体Wの表面に向かって加速し、注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばタービン
翼、自動車のボディーのような比較的大型の基体にイオ
ンを注入するためのイオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金属製の基体にイオンを注入することに
よりその基体の耐磨耗性、耐熱性、硬度などを向上させ
る試みがなされている。たとえば、ステンレス鋼からな
る基体にチタンまたは窒素を注入した場合、当該基体の
耐磨耗および疲労寿命などが大幅に改善されることが知
られている。このような基体にイオンを注入する方法と
して、注入したい物質の正イオンを含む放電プラズマ中
に基体を保持し、数十から数百kVの負のパルス電圧を
印加する方法が提案されている(参考文献:J.R.Conr
ad, et al., "Plasma source ion-implantation techn
ique for surfacemodification of materials", J. App
l.Phys 62(11),1987,pp.4591-4596)。このイオン注入
方式はPSII(Plasma Source Ion Implantation)ある
いはPBII(Plasma Based Ion Implantation) 、また
はPIII(Plasma Immersion IonImplantation)とい
う、略称で呼ばれている。
【0003】この提案方式は従来のイオン源から引き出
した注入イオンを質量分離用の偏向磁石を通した後に加
速して基体に注入する方法と比較すると、次のような特
徴がある。一つは提案方式では基体が三次元形状をして
いる場合でも、基体の周囲を取り囲むプラズマから基体
表面にほぼ垂直にイオンを注入することができることか
ら、イオンを一方向からしか注入することができない従
来方法で必要とされる基体の駆動機構が不要になること
であり、さらに注入時間も短縮できる利点がある。他の
一つは長距離のビーム輸送が不要となり、このため、装
置の構成を単純化することが可能で、従来の装置と比べ
て安価な装置になることである。
【0004】以下、従来のPSII装置について図面を
参照して説明する。このPSII装置は、たとえば米国
特許第4,764,394号明細書などに記載されたも
のと同様のものである。図21において、真空容器1は
上面の上板2と下面の底板3と側面の側板4とに囲まれ
た円筒形状の容器である。底板3には図示しないガス源
から真空容器1内に放電ガスを導入するガス導入口5お
よび図示しない真空排気ポンプを用いて真空容器1内を
真空に排気するための真空排気口6が設けられている。
【0005】また、上板2および底板3の外壁には角棒
状の永久磁石7aおよび永久磁石7bがそれぞれ複数個
ずつ、互いに平行に配置されている。なお、永久磁石7
a、7bは上板2および底板3の外壁に直角の方向励磁
され、隣接する磁石7同士の極性は互いに異なってい
る。
【0006】また、図22に示すように、側板4の外周
壁にも複数個の永久磁石7cが垂直方向に、互いに平行
に配置される。ここでも隣接する磁石7cの極性は互い
に異なっている。このような永久磁石7a、7b、7c
の配置により真空容器1の内壁全面を覆う磁力線8a、
8b、8cを形成することが可能である。
【0007】一方、真空容器1の上板2、底板3および
側板4には上板2、底板3および側板4自身を陽極と
し、その陰極となるフィラメント9が設けられる。さら
に、真空容器1内にはイオンを注入するターゲット10
を保持するための金属製のターゲット保持台11がブッ
シング12を介して設けられる。これは真空容器1とは
電気的に絶縁されている。
【0008】また、真空容器1の外壁に内部のフィラメ
ント9に通電するための図示しないフィラメント電源と
接続したアーク電源からなる放電電源ユニット13が設
けられる。この放電電源ユニット13を用いて上板2、
底板3および側板4を陽極、フィラメント9を陰極とし
て放電を起こすことが可能である。ターゲット10には
高圧ケーブル14およびブッシング12を経由してパル
ス高電圧電源15からパルス状の高電圧を印加できるよ
うになっている。
【0009】イオン注入においてはガス導入口5からタ
ーゲット10に注入したい物質のガス(窒素、酸素な
ど)を供給しておき、放電電源ユニット13のフィラメ
ント電源によってフィラメント9に通電して加熱し、発
生する熱電子を真空排気口6を用いて予め真空状態にし
ておいた真空容器1内に充満させる。この状態から放電
電源ユニット13によりフィラメント9と真空容器1と
の間に放電を発生させて放電プラズマPを生成する。
【0010】この後、イオンを注入するターゲット10
を保持したターゲット保持台11と結ぶパルス高電圧電
源15を投入し、プラズマの生成とは独立に真空容器1
に対してパルス幅がおよそ数十マイクロ秒、大きさが数
十から数百kV程度の負のパルス電圧を印加する。
【0011】このターゲット10への電圧印加が数十マ
イクロ秒という短い時間幅でパルス化されているのはタ
ーゲット10への電圧印加によってプラズマおよびター
ゲット10間にアーク放電が発生するのを防止するため
である。ターゲット10、すなわち基体に負の電圧が印
加されると、基体を取り囲んだプラズマ中にシースが成
長し、電子が基体から遠ざけられ、逆にイオンが基体方
向に加速され、この結果、イオンが基体に注入されるこ
とになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
PSII装置を用いて大型の基体を処理しようとした場
合、基体全体を取り囲むプラズマの確保のために大容積
のプラズマ生成が不可欠になる。放電プラズマの一般的
な生成方法としては、フィラメント・アーク放電、高周
波放電、マイクロ波を用いた放電などがあるが、いずれ
も高密度で均一な大容積のプラズマ生成は非常に困難で
ある。
【0013】たとえば、大容積のプラズマ生成に関して
最も実績のあるフィラメント・アーク放電、高周波放電
の場合でも、これまで120cm×40cm×30cm
程度の体積しか実績がない。仮に、この体積以上の基体
をイオン注入するとなれば、基体にはプラズマと接触し
ている部分と、プラズマと接触していない部分とが生じ
ることになる。
【0014】また、基体全体がプラズマと接触している
場合でも、高密度のプラズマと接触している部分と、低
密度のプラズマと接触している部分とが混在する可能性
が高くなる。このような場合、プラズマの濃淡に応じて
基体に負のパルス電圧を印加した際に注入されるイオン
の量が変化するために基体表面には処理層の斑ができ、
結果として基体の品質を大きく損ねてしまうことにな
る。
【0015】さらに、プラズマの濃淡に応じて基体表面
に対するイオンの注入角度も変化することが避けられ
ず、イオン注入層の深さなどが不均一になり、安定した
品質を保てない可能性がある。
【0016】そこで、本発明の目的は大型の基体にイオ
ンを注入するときも、均一な量のイオンを注入でき、安
定した品質の製品を得ることを可能にしたイオン注入装
置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は真
空容器と、この真空容器内に設けられ、処理される基体
を保持する保持手段と、この保持手段を真空容器との絶
縁を保って支持する絶縁体と、真空容器内にあって放電
によりプラズマを生成し、基体にイオンを注入するプラ
ズマ源と、このプラズマ源に放電ガスを供給する装置
と、基体に真空容器の電位を基準とした正または負の電
圧を印加する電源とを備えてなるイオン注入装置におい
て、基体が前記保持手段に投影する領域にプラズマ源を
案内するように案内装置およびプラズマ源を駆動するプ
ラズマ源駆動装置を設け、プラズマ源によって基体の一
部分を取り囲む放電プラズマを生成し、プラズマ源と基
体とを相対的に移動させながら、基体にイオンを注入す
るようにしたことを特徴とする。
【0018】上記構成からなるイオン注入装置において
は大型の基体全体を取り囲むプラズマを生成するのでは
なく、小容積のプラズマを生成することで、プラズマを
高密度で、しかも均一性を高めることができる。そし
て、プラズマ源と基体とを相対的に移動させながら、生
成したプラズマによって基体の一部分を取り囲み、ほぼ
均一で、同等な量のイオンを基体の表面に対してほぼ垂
直方向に加速し、注入するようにしたので、処理層の厚
みを均一に保つことができ、しかも斑を生じにくくする
ことが可能になる。これにより大型の基体に対しても均
一な量のイオンを注入することが可能になり、安定した
品質の製品を得ることができる。
【0019】また、請求項2に係る発明は真空容器と、
この真空容器内に設けられ、処理される基体を回転可能
に保持する保持手段と、この保持手段を真空容器との絶
縁を保って支持する絶縁体と、真空容器内にあって放電
によりプラズマを生成し、基体にイオンを注入するプラ
ズマ源と、このプラズマ源に放電ガスを供給する装置
と、基体に真空容器の電位を基準とした正または負の電
圧を印加する電源とを備えてなるイオン注入装置におい
て、回転する基体の軸方向にプラズマ源を移動させるプ
ラズマ源駆動装置を設け、プラズマ源によって基体の一
部分を取り囲む放電プラズマを生成し、プラズマ源と基
体とを相対的に移動させながら、基体にイオンを注入す
るようにしたことを特徴とする。
【0020】上記構成からなるイオン注入装置において
は大型の基体全体を取り囲むプラズマを生成するのでは
なく、小容積のプラズマを生成することで、プラズマを
高密度で、しかも均一性を高めることができる。そし
て、プラズマ源と基体とを相対的に移動させながら、生
成したプラズマによって基体の一部分を取り囲み、ほぼ
均一で、同等な量のイオンを基体の表面に対してほぼ垂
直方向に加速し、注入するようにしたので、処理層の厚
みを均一に保つことができ、しかも斑を生じにくくする
ことが可能になる。これにより大型の基体に対しても均
一な量のイオンを注入することが可能になり、安定した
品質の製品を得ることができる。
【0021】さらに請求項3に係る発明は真空容器と、
この真空容器内に設けられ、処理される中空円筒状の基
体を保持する保持手段と、この保持手段を真空容器との
絶縁を保って支持する絶縁体と、真空容器内にあって放
電によりプラズマを生成し、基体にイオンを注入するプ
ラズマ源と、このプラズマ源に放電ガスを供給する装置
と、基体に真空容器の電位を基準とした正または負の電
圧を印加する電源とを備えてなるイオン注入装置におい
て、中空円筒状の基体の内面軸方向にプラズマ源を移動
させるプラズマ源駆動装置を設け、プラズマ源によって
基体の内面の一部分を取り囲む放電プラズマを生成し、
プラズマ源と基体とを相対的に移動させながら、基体に
イオンを注入するようにしたことを特徴とする。
【0022】上記構成からなるイオン注入装置において
は大型の基体全体を取り囲むプラズマを生成するのでは
なく、小容積の放電容器でプラズマを生成することで、
プラズマを高密度で、しかも均一性を高めることができ
る。そして、プラズマ源と基体とを相対的に移動させな
がら、生成したプラズマによって基体の一部分を取り囲
み、ほぼ均一で、同等な量のイオンを基体の表面に対し
てほぼ垂直方向に加速し、注入するようにしたので、処
理層の厚みを均一に保つことができ、しかも斑を生じに
くくすることが可能になる。これにより大型の基体に対
しても均一な量のイオンを注入することが可能になり、
安定した品質の製品を得ることができる。
【0023】また、請求項4に係る発明はプラズマ源が
生成プラズマをカスプ磁場によって閉じ込める一対のプ
ラズマガンを備え、ラインカスプ部またはポイントカス
プ部から漏れ出すプラズマによって基体の一部分を取り
囲むように構成したものである。
【0024】上記構成からなるイオン注入装置において
はカスプ磁場から漏れ出す大面積の薄いシート形状の高
密度プラズマによって大面積の基体および処理の困難な
中空円筒形状の基体の内面などに対しても効率よくイオ
ンを注入することが可能になる。
【0025】さらに、請求項5に係る発明はプラズマ源
が生成プラズマをミラー磁場によって閉じ込める複数個
のコイルを備え、ミラー端から漏れ出すプラズマによっ
て基体の一部分を取り囲むように構成したものである。
【0026】上記構成からなるイオン注入装置において
はミラー磁場から漏れ出す大面積の円錐状高密度プラズ
マによって大面積の基体に効率よくイオンを注入するこ
とが可能になる。
【0027】また、請求項6に係る発明はプラズマ源が
高周波誘導コイルまたはマイクロ波源ユニットを備え、
高周波誘導コイルまたはマイクロ波源ユニットで発生さ
せた高周波またはマイクロ波を用いる放電によりプラズ
マを生成するように構成したものである。
【0028】上記構成からなるイオン注入装置において
は高周波またはマイクロ波を用いて放電プラズマを生成
することで、不純物混入量の少ない定常的なプラズマを
生成することができる。
【0029】さらに、請求項7に係る発明はプラズマ源
が放電プラズマ発生源と金属蒸気または金属プラズマを
発生する金属蒸気源とを備えるものである。
【0030】上記構成からなるイオン注入装置において
は金属蒸気源と放電プラズマ源とを組み合わせて基体
に、たとえばチタンあるいはアルミニウムなどを蒸着す
ることができる。これにより金属化合物からなる処理層
の厚みを均一に保つことができ、しかも斑を生じにく
く、かつ基体との密着性の良好な厚膜を形成することが
可能になる。
【0031】また、請求項8に係る発明はプラズマ源が
それぞれ放電プラズマを生成する複数台のプラズマ源か
らなるものである。
【0032】上記構成からなるイオン注入装置において
は小容積の複数個の放電容器でプラズマを生成すること
で、各々の部分で高密度で、しかも均一性の高いプラズ
マを生成することができ、大型の基体にも効率よくイオ
ンを注入することが可能になる。
【0033】さらに、請求項9に係る発明は真空容器に
隣接して設けられた第2真空容器と、この第2真空容器
と真空容器との間にあって真空容器間の連通を遮断する
ゲートバルブと、処理される基体を第2真空容器から真
空容器に搬入すると共に、そこから第2真空容器に搬出
する基体搬送装置とを備えるものである。
【0034】上記構成からなるイオン注入装置において
は内部の汚染やそれに起因する異常放電などのトラブル
の発生頻度を軽減することが可能になる。
【0035】また、請求項10に係る発明は真空容器を
間に挟むように各々真空容器に隣接して設けられた第2
真空容器および第3真空容器と、第2真空容器および第
3真空容器と真空容器との間にあってそれぞれ真空容器
間の連通を遮断する2個のゲートバルブと、処理される
基体を第2真空容器から真空容器に搬入すると共に、そ
こから第3真空容器に搬出する2個の基体搬送装置とを
備えるものである。
【0036】上記構成からなるイオン注入装置において
は内部の汚染やそれに起因する異常放電などのトラブル
の発生頻度を軽減することが可能になる。さらに、装置
の休止時間を格段に少なくすることができ、生産性を大
きく高めることが可能になる。
【0037】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)本発明の実
施の形態について図面を参照して説明する。図1におい
て、イオン注入装置は真空容器21を備えている。この
真空容器21は密閉した容器として、各面を囲う上板2
2、底板23および側板24で構成されている。真空容
器21の内部には処理される基体Wを所定の位置に保持
するためのターゲット保持台25が設けられている。こ
のターゲット保持台25は絶縁碍子26を介して真空容
器21の底板23に設置された注入ステージ27上に固
定されている。ターゲット保持台25はブッシング28
および高圧ケーブル29を介してパルス高電圧電源30
と接続されている。
【0038】一方、真空容器21内の上部に側板24に
両端を支持されたガイドレール31が設けられている。
さらに、真空容器21内の上部に後に詳述される放電容
器を有するプラズマ源32がガイドレール31に沿って
移動可能に設けられている。このプラズマ源32は真空
容器21の外部のプラズマ源駆動装置33a、33bと
駆動機構(図示せず)を介して結ばれている。このプラ
ズマ源駆動装置33a、33bは制御装置34と接続さ
れ、そこからの指令で動作するように構成されている。
なお、図中、符号35は真空容器21内の空気を排気す
る真空排気口を示している。
【0039】図2にプラズマ源32の詳細を示してい
る。このプラズマ源32はケース36内に内蔵される放
電容器37と高周波誘導コイル38とから構成されてい
る。放電容器37は円筒状の絶縁管39と封止フランジ
40とからなる。放電容器37はその全域で気密を高く
保つために絶縁管39の一端が封止フランジ40によっ
て封止され、一方、絶縁管39の他端は開口として構成
され、真空容器21内に臨ませている。
【0040】また、高周波誘導コイル38はセラミック
ス製の絶縁管39の外面との間にある離間距離を保って
数回巻き付けられ、同軸ケーブル41を介して外部の高
周波電源(図示せず)と接続されている。この高周波誘
導コイル38は中空構造で、内部を冷却媒体としての冷
却水が流動する。
【0041】さらに、放電容器37に図示しないガス供
給源から放電ガスを供給するためのガス管42が接続さ
れる。高周波誘導コイル38の両端には冷却水を循環さ
せるための冷却水管43a、43bが接続される。ま
た、ケース36の側面に図示しない圧縮空気源から空気
を供給するための空気管44a、44bが接続される。
【0042】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、真空容器21の内部を真空に保持す
る。真空容器21の真空排気口35と連絡させた真空排
気装置(図示せず)を動作させて真空容器21内を規定
の真空値になるように排気する。さらに、高周波誘導コ
イル38に対して冷却水管43a、43bを通して冷却
水を内部に循環させる。また、ケース36に対して空気
管44a、44bを通して圧縮空気を内部に循環させ
る。
【0043】この状態から放電容器37内にガス管42
を通して、例えば窒素ガスなどの放電ガスを供給すると
共に、高周波電源から同軸ケーブル41を通して高周波
誘導コイル38に高周波電力を供給し、放電プラズマP
を発生させる。このとき、放電容器37の内部に生成し
たプラズマと接触することで、放電容器37の温度は急
激に高くなる。この熱はケース36内に供給される圧縮
空気に伝わり、その循環により外部に逃がされる。
【0044】一方、高周波誘導コイル38においては導
体を流れる高周波電流によって熱が発生する。内部を循
環する冷却水はこの熱を奪いながら、高周波誘導コイル
38の出口に達し外部に流出する。
【0045】この状態を保ちながら、制御装置34から
指令をプラズマ源駆動機構33a、33bに与え、プラ
ズマ源32を図中の矢印の方向に移動させながら、パル
ス高電圧電源30から高圧ケーブル29およびブッシン
グ28を通してターゲット保持台25上に置かれた基体
Wに真空容器21の電位に対して負のパルス電圧を印加
する。プラズマ源駆動機構33a、33bの駆動速度お
よび駆動方向は制御装置34からの指令によって制御す
ることができる。
【0046】放電プラズマPのうち、基体Wを取り囲む
部分にイオンシースが形成され、基体Wには基体Wの表
面に対してほぼ垂直方向に放電プラズマP中のイオンが
注入される。このとき、イオン注入が行われるのは放電
プラズマPによって取り囲まれる基体Wの一部分である
ことから、引き続きプラズマ源32を基体Wの未処理部
分に移動し、同様の手順でイオンを注入する。そして、
イオン注入を繰り返しながら、基体W全体にわたって処
理する。
【0047】本実施例においては高周波を用いて容積の
小さい放電容器37を用いてプラズマを生成するので、
高密度で、しかも均一性が高く、不純物混入量の少ない
プラズマを定常的に生成することができる。そして、プ
ラズマ源32の位置を移動させて生成したプラズマによ
って基体Wの一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量
のイオンを基体Wの表面に対してほぼ垂直方向に加速
し、注入するようにしたので、処理層の厚みを均一に保
つことができ、しかも斑を生じにくくすることが可能に
なる。したがって、大型の基体Wに対しても均一な量の
イオンを注入することが可能になり、安定した品質の製
品を得ることができる。
【0048】(第2の実施の形態)本発明の第2の実施
の形態について図3、図4および図5を参照して説明す
る。図3において、イオン注入装置はプラズマ源45を
備えている。このプラズマ源45は対面させた2個の円
筒状のケース46a、46b内にコイル47a、47b
をそれぞれ内蔵している。双方のコイル47a、47b
は同軸上において対峙し、互いに離間距離を保って配置
されている。コイル47a、47bはそれぞれ電流を供
給するための直流電源48(コイル47bの直流電源は
簡略化のために図示省略)と接続している。また、コイ
ル47a、47b内の巻線を冷却するための冷却水管4
3a、43bと接続している。
【0049】さらに、ケース46a、46b内にコイル
47a、47bと同心を保ってそれぞれプラズマガン4
9a、49bが設けられている。このプラズマガン49
a、49bは放電ガスを供給するためのガス管42およ
び放電を発生させ、生成プラズマに並進エネルギーを与
えるための放電電源回路50(プラズマガン49bの放
電電源回路は簡略化のために図示省略)と接続してい
る。
【0050】また、一対のケース46a、46bはそれ
ぞれ側板24で支持されるプラズマ源支持体51a、5
1bと接続している。プラズマ源支持体51a、51b
は真空容器21の外側においてプラズマ源駆動装置33
a、33bと駆動機構(図示せず)を介して結ばれてい
る。このプラズマ源駆動装置33a、33bは制御装置
34と接続されている。
【0051】さらに、真空容器21の外側に内部に支持
される各基体Wを回転させるための基体駆動装置52が
設けられている。この基体駆動装置52は図4に示すプ
ラズマ源45の周方向にほぼ均等に配置される。本実施
の形態では8本の場合を示す。各々基体駆動装置52は
ブッシング28および基体保持具53を介して基体Wを
駆動する。基体駆動装置52はそれぞれ指令を出力する
制御装置34と接続している。また、各々基体Wはブッ
シング28および高圧ケーブル29を介してパルス高電
圧電源30と接続している。
【0052】図5にプラズマガン49aの詳細を示して
いる。もう一つのプラズマガン49bも同一の構成から
なる。プラズマガン49aは同軸上に配置される中空円
筒形状の陰極54と円筒形状の陽極55とを備える。双
方は絶縁リング56で電気的に絶縁されている。陽極5
5の内部にはヘッド支持棒57が内蔵されており、先端
部にOリング58を装着した三角錐形状のガスパフヘッ
ド59が設けられている。
【0053】また、ヘッド支持棒57には円形の電磁駆
動板60が取り付けられており、バネ61によってボデ
ィ62と反対側に押すことによってOリング58を真空
シール用突起63に押し付けている。陽極55と電磁駆
動板60との間にはバルブ駆動用コイル64が設けら
れ、バルブ駆動用コンデンサ65、サイリスタ(SC
R)66からなるバルブ駆動回路67が接続されてい
る。なお、ボディ62の内部にはガス室68が設けられ
ており、放電ガスを貯めることができる。
【0054】また、陰極54および陽極55には双方の
電極間で放電を発生させるために主放電用コンデンサ6
9とイグナイトロン70とからなる主放電回路71が接
続されている。なお、サイリスタ66およびイグナイト
ロン70には遅延パルス発生装置72が接続される。さ
らに、陽極55は複数個の透孔73を備える。
【0055】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、真空排気口35と連絡させた真空排気
装置(図示せず)を動作させて真空容器21内を規定の
真空値になるように排気する。さらに、冷却水管43
a、43bを通して冷却水を、コイル47a、47bの
内部を循環させながら、コイル47a、47bに直流電
源48から電圧を印加し、双方に逆向きの電流を流す。
このとき、磁力線Mで示されるようなカスプ磁場が形成
される。
【0056】カスプ磁場ではPCで示すポイントカスプ
と呼ばれる点状の穴とLCで示すラインカスプと呼ばれ
るリング状の穴とが生じる。それぞれのポイントカスプ
PCに配置されたプラズマガン49a、49bによって
図中の矢印の方向に生成プラズマに並進エネルギーを与
えながら、カスプ磁場にプラズマを入射し、磁場中に閉
じ込める。
【0057】このとき、プラズマガン49a、49bは
次のように動作させる。図示しない充電電源を用いてバ
ルブ駆動用コンデンサ65と主放電用コンデンサ69と
を充電しておき、遅延パルス発生装置72から、まず、
サイリスタ66を閉状態にするパルス信号を送る。バル
ブ駆動用コンデンサ65が放電を開始し、バルブ駆動用
コイル64には電流が流れて磁場が誘起される。
【0058】この誘起された磁場は電磁駆動板60を貫
くために電磁駆動板60には誘導電流が発生して逆向き
の磁場が誘起される。両者は反発しあう結果、バネ61
が押し下げられ、真空シール用突起63とOリング58
との間に隙間が生じ、ガス室68に充満していた放電ガ
スが陽極55の透孔73から陽極55と陰極54との間
の空間に供給される。
【0059】次に、遅延パルス発生装置72からサイリ
スタ66に送ったパルス信号から時間遅れを持つ遅延パ
ルス信号が、イグナイトロン70に送られて主放電回路
71が閉状態になり、主放電用コンデンサ69によって
陰極54と陽極55との間に放電電圧が印加される。こ
の際、陽極55と陰極54との間の空間に供給されてい
た放電ガスにより高密度のプラズマがパルス状に発生
し、陽極55から陰極54に向かう放電電流が流れる。
【0060】この放電電流は図中の矢印の向きに誘導磁
場を誘起させ、プラズマ中を流れる放電電流に働く電磁
力によって生成プラズマを高速で押し出すためにプラズ
マがカスプ磁場に入射されるのである。このようにして
カスプ磁場に入射された放電プラズマPはカスプ磁場に
閉じ込められると共に、ラインカスプLCの円周から薄
いシート状になって磁場の外に漏れ出す。
【0061】この状態からプラズマ源駆動装置33a、
33bを動作させてプラズマ源45を移動させながら、
パルス高電圧電源30から高圧ケーブル29およびブッ
シング28を通してイオンを注入する基体Wに真空容器
21に対して負のパルス電圧を印加する。
【0062】一方、それぞれブッシング28は基体駆動
装置52によって回転できるようになっており、基体駆
動機構52の回転速度、プラズマ源駆動装置33a、3
3bの駆動速度および駆動方向が制御装置34からの指
令によって制御される。
【0063】放電プラズマPのうち、基体Wを取り囲む
部分にイオンシースが形成され、基体Wには基体Wの表
面に対してほぼ垂直方向に放電プラズマP中のイオンが
注入される。このとき、イオン注入が行われるのは放電
プラズマPによって取り囲まれる基体Wの一部分である
ことから、引き続きプラズマ源45を基体Wの未処理部
分に移動し、また基体Wを回転させながら、同様の手順
でイオンを注入する。そして、イオン注入を繰り返しな
がら、基体W全体にわたって処理する。
【0064】なお、本実施の形態のプラズマガン49
a、49bを備えたプラズマ源45は図6および図7に
示す中空円筒形状の基体Wの中心部に配置して使用する
ことが可能である。
【0065】本実施例においてはプラズマガン49a、
49bによって生成プラズマに並進エネルギーを与える
ことによってプラズマを効率よく磁場中に注入して閉じ
込め、カスプ磁場によって薄いシート形状の高密度プラ
ズマを生成し、基体Wおよびプラズマ源45の双方を移
動させながら、生成したプラズマによって基体Wの一部
分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量のイオンを基体W
の表面に対してほぼ垂直方向に加速し、注入するように
したので、処理層の厚みを均一に保つことができ、しか
も斑を生じにくくすることが可能になる。したがって、
大型の基体Wに対しても均一な量のイオンを注入するこ
とが可能になり、安定した品質の製品を得ることができ
る。
【0066】(第3の実施の形態)本発明の第3の実施
の形態ついて図8および図9を参照して説明する。図8
において、イオン注入装置はプラズマ源74を備えてい
る。このプラズマ源74は円筒状のケース46内に放電
容器75と本実施の形態では3個のコイル47a、47
b、47cとを内蔵している。これらのコイル47a、
47b、47cは同軸上に配置されている。さらに、コ
イル47a、47b、47cはそれぞれ電流を供給する
ための直流電源48と接続している。また、コイルコイ
ル47a、47b、47c内の巻線を冷却するための冷
却水管43a、43bと接続している。さらに、放電容
器75に放電ガスを供給するためのガス管42が接続さ
れている。
【0067】一方、この放電容器75は真空窓76およ
びマイクロ波導入口77を有する。さらに、マイクロ波
によってプラズマを生成するために放電容器75はマイ
クロ波を発生するマイクロ波源ユニット78と導波管7
9を介して接続されている。このマイクロ波源ユニット
78はマイクロ波発振器、アイソレータ、サーキュレー
タ、スタブチューナ(いずれも図示せず)などからな
る。
【0068】また、平板形状の基体Wは、図9に示すよ
うに、真空容器21の上方に設けられるプラズマ源74
の下方に配置される。
【0069】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入はプラズマ源74においてプラズマ閉じ込めにミラ
ー磁場を利用する。冷却水管43a、43bに冷却水を
循環させ、コイル47a、47b、47cを冷却しなが
ら、直流電源48から直流電圧を印加し、それぞれコイ
ル47a、47b、47cに同方向の電流を流す。この
とき、放電容器75内に磁力線Mで示されるようなミラ
ー磁場が形成される。
【0070】次いで、ガス管42を通して放電ガスを供
給しながら、マイクロ波源ユニット78から導波管7
9、真空窓76およびマイクロ波導入口77通して放電
容器75内にマイクロ波を供給する。この場合、マイク
ロ波の周波数に対応して決まる電子サイクロトロン共鳴
磁場の部分で特に活発に放電プラズマPが発生する。ミ
ラー磁場の上下端にはミラースロートMSと呼ばれる磁
場の穴が開いており、ミラー磁場に閉じ込められた放電
プラズマはコイル47a、47b、47cの間を往復運
動する過程でミラースロートMSの部分から放電容器7
5の外部に漏れ出し、基体Wの方向に向かう。なお、本
実施の形態では、コイルを3個用いてミラー磁場を形成
したが、それ以上のコイルを用いて形成しても何ら問題
はない。
【0071】本実施の形態においてはマイクロ波を用い
てミラー磁場中に不純物混入量の少ない高密度プラズマ
を定常的に生成することができる。そして、基体Wおよ
びプラズマ源74の双方を移動させながら、ミラースロ
ートMSから磁場の外に漏れ出す円錐状の高密度プラズ
マによって基体Wの一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同
等な量のイオンを基体Wの表面に対してほぼ垂直方向に
加速し、注入するようにしたので、処理層の厚みを均一
に保つことができ、しかも斑を生じにくくすることが可
能になる。したがって、大型の基体Wに対しても均一な
量のイオンを注入することが可能になり、安定した品質
の製品を得ることができる。
【0072】(第4の実施の形態)本発明の第4の実施
の形態について図10を参照して説明する。イオン注入
装置はプラズマ源80を有する。このプラズマ源80は
ケース36内に放電プラズマ発生源81と共に、金属蒸
気または金属プラズマを発生させるための金属蒸気源8
2を備えている。この金属蒸気源82は円筒状の金属管
83からなる容器で構成されており、容器の一端は封止
フランジ84によって封止されている。この容器内に周
囲を金属製の保護板85によって覆われた円盤状の蒸発
ディスク86を設けている。この蒸発ディスク86はチ
タン、アルミニウム、あるいはこれらの金属の合金から
なる。この蒸発ディスク86に接して先端が鋭角に尖っ
たトリガー電極87が装着されている。
【0073】一方、金属管83および封止フランジ84
はアーク放電電源88と接続されている。また、トリガ
ー電極87はトリガーパルス電源89と接続されてい
る。なお、放電プラズマ発生源81は第1の実施の形態
のプラズマ源32と同一の構成からなるため、詳細な説
明は省略する。
【0074】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、トリガーパルス電源89からトリガー
電極87を陰極、蒸発ディスク86を陽極としてパルス
状の高電圧を印加し、蒸発ディスク86およびトリガー
電極87間に微小なアーク放電を発生させる。引き続き
アーク放電電源88から金属管83および封止フランジ
84を陽極、蒸発ディスク86を陰極として電圧を印加
し、アーク放電を発生させる。こうして、金属蒸気源8
2において金属蒸気または金属プラズマを生成すること
ができる。
【0075】この放電による金属蒸気の生成中、金属管
83、封止フランジ84および蒸発ディスク86の温度
が上昇するので、冷却水管43a、43bを通して冷却
水を循環させ、金属管83、封止フランジ84および蒸
発ディスク86を冷却水によって冷却する。
【0076】このように放電プラズマ発生源81と共に
設ける金属蒸気源82を用いてチタン、アルミニウムな
どの金属からなる蒸発ディスク86から金属蒸気または
金属プラズマを発生させながら、放電ガス(例えば、窒
素)を用いて放電プラズマ発生源81を動作させ、処理
される基体Wに真空容器21に対して負のパルス電圧を
印加することで、基体Wにチタンあるいはアルミニウム
を蒸着させつつ、チタンイオン、アルミニウムイオン、
窒素イオンを注入することができる。これによりTi
N、TiAlNなどの硬質膜を基体の表面に形成するこ
とが可能になる。
【0077】なお、金属蒸気源82と放電プラズマ発生
源81とは同時に、または交互に動作させてもよい。こ
の場合、基体Wに真空容器の電位を基準とした数10k
Vから100kVの負の電圧を印加して注入を行った
後、引き続き基体Wに真空容器の電位を基準とした数1
00から1kVの負の電圧を印加しながら、金属蒸気源
82と放電プラズマ発生源81とを同時に、または交互
に動作させることが望ましい。
【0078】本実施の形態においては基体およびプラズ
マ源の双方を移動させながら、生成したプラズマによっ
て基体の一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量のイ
オンを基体の表面に対してほぼ垂直方向に加速し、注入
すると共に、金属蒸気源と放電プラズマ源とを組み合わ
せて基体にチタンあるいはアルミニウムを蒸着するよう
にしたので、処理層の厚みを均一に保つことができ、し
かも斑を生じにくく、かつ基体との良好な密着性を保っ
て硬質膜を形成することが可能になる。したがって、大
型の基体に対しても均一な量のイオンを注入することが
可能になり、安定した品質の製品を得ることができる。
【0079】(第5の実施の形態)本発明の第5の実施
の形態について図6および図11を参照して説明する。
図11において、イオン注入装置は金属蒸気源90を備
えている。この金属蒸気源90は同軸上に配置される中
空円筒形状の陰極54と円筒形状の陽極55とを備え
る。この陽極55はチタン、アルミニウム、あるいはこ
れらの金属の合金からなる。双方の電極54、54は絶
縁リング56で電気的に絶縁されている。
【0080】また、陰極54は小孔91を有し、そこに
先端が鋭角に尖ったトリガー電極92を装着している。
陽極55とトリガー電極92との間にコンデンサおよび
サイリスタ(図示せず)からなるトリガーパルス電源9
3を接続している。さらに、陰極54と陽極55には電
極間で放電を発生させるために主放電用コンデンサ69
およびイグナイトロン70からなる主放電回路71が接
続されている。なお、サイリスタとイグナイトロン70
とに遅延パルス発生装置72を接続している。
【0081】本実施の形態の金属蒸気源90は図6に示
すプラズマガン49a、49bのうち、どちらか一方の
プラズマガンに代えて、使用するもので、たとえばプラ
ズマガン49aと組み合わせて使用する場合、プラズマ
ガン49aと対峙する位置に設ける。
【0082】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、充電電源(図示せず)を用いてトリガ
ーパルス電源93のコンデンサと主放電用コンデンサ6
9を充電し、遅延パルス発生装置72からまずサイリス
タを閉状態にするパルス信号を送る。トリガーパルス電
源72のコンデンサが放電を開始すると、陽極55とト
リガー電極92との間に微小なアーク放電が発生し、陽
極55の表面で蒸発した金属が陰極54と陽極55との
間に満たされる。
【0083】引き続き遅延パルス発生装置72からはサ
イリスタに送ったパルス信号から時間遅れを持つ、遅延
パルス信号がイグナイトロン70に送られて主放電回路
71が閉状態になり、このとき、主放電用コンデンサ6
9によって陰極54と陽極55と間にアーク放電が発生
し、金属蒸気および高密度の金属プラズマがパルス状に
生成する。生成プラズマは図中の矢印の方向に高速で押
し出されてカスプ磁場に入射され、閉じ込められる。
【0084】このように、たとえばプラズマガン49a
と金属蒸気源90とを組み合わせてチタン、アルミニウ
ムなどの金属からなる陽極55を使用し、金属蒸気また
は金属プラズマを発生させながら、放電ガス(例えば、
窒素)を用いて放電プラズマ発生源として動作させ、基
体に真空容器に対して負のパルス電圧を印加すること
で、基体にチタンあるいはアルミニウムを蒸着させなが
ら、チタンイオン、アルミニウムイオン、窒素イオンを
注入することができる。これによりTiN、TiAlN
などの硬質膜を基体に表面に形成することが可能にな
る。
【0085】なお、金属蒸気源90とプラズマガン49
aとは同時に、または交互に動作させてもよい。この場
合、基体に真空容器の電位を基準とした数10kVから
100kVの負の電圧を印加して注入を行った後、引き
続き基体に真空容器の電位を基準とした数100から1
kVの負の電圧を印加しながら、金属蒸気源90とプラ
ズマガン49aとを同時に、または交互に動作させるこ
とが望ましい。
【0086】本実施の形態においては基体およびプラズ
マ源の双方を移動させながら、生成したプラズマによっ
て基体の一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量のイ
オンを基体の表面に対してほぼ垂直方向に加速し、注入
するようにしたので、処理層の厚みを均一に保つことが
でき、しかも斑を生じにくく、かつ基体との密着性の良
好な厚膜を形成するすることが可能になる。したがっ
て、大型の基体に対しても均一な量のイオンを注入する
ことが可能になり、安定した品質の製品を得ることがで
きる。
【0087】(第6の実施の形態)本発明の第6の実施
の形態について図11および図12を参照して説明す
る。図12において、放電容器75内に金属蒸気源90
が設けられている。この金属蒸気源90はミラー磁場の
磁力線の湾曲した部分に配置されている。金属蒸気源9
0は第5の実施の形態のものと同一の構成からなるた
め、詳細な説明は省略する。
【0088】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入においてはマイクロ波によって放電ガス(例えば、
窒素)を用いて放電プラズマを生成する。また、金属蒸
気源90の陽極55を使用してチタンあるいはアルミニ
ウムの金属蒸気または金属プラズマを発生させる。基体
Wに真空容器21に対して負のパルス電圧を印加するこ
とで、基体Wにチタンあるいはアルミニウムを蒸着しな
がら、チタンイオン、アルミニウムイオン、窒素イオン
を注入することができる。これによりTiN、TiAl
Nなどの硬質膜を基体に表面に形成することが可能にな
る。
【0089】なお、金属蒸気源90とプラズマ源74と
は同時に、または交互に動作させてもよい。この場合、
基体Wに真空容器21の電位を基準とした数10kVか
ら100kVの負の電圧を印加して注入を行った後、引
き続き基体Wに真空容器21の電位を基準とした数10
0から1kVの負の電圧を印加しながら、金属蒸気源9
0とプラズマ源74とを同時に、または交互に動作させ
ることが望ましい。
【0090】本実施の形態においては基体およびプラズ
マ源の双方を移動させながら、生成したプラズマによっ
て基体の一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量のイ
オンを基体の表面に対してほぼ垂直方向に加速し、注入
すると共に、金属蒸着源と放電プラズマ源とを組み合わ
せて基体Wにチタンあるいはアルミニウムを蒸着するよ
うにしたので、処理層の厚みを均一に保つことができ、
しかも斑を生じにくく、かつ基体Wとの密着性の良好な
厚膜を形成することが可能になる。したがって、大型の
基体に対しても均一な量のイオンを注入することが可能
になり、安定した品質の製品を得ることができる。
【0091】(第7の実施の形態)本発明の第7の実施
の形態について図13を参照して説明する。イオン注入
装置は第1プラズマ源32aおよび第2プラズマ源32
bを備えている。この第1プラズマ源32aおよび第2
プラズマ源32bはそれぞれガイドレール支持体94に
よって支持されたガイドレール31a、31b上を移動
可能に設けられている。
【0092】さらに、第1プラズマ源32aはターゲッ
ト保持台25上に配置される例えば平板形状の基体Wの
一方の面と対峙し、第2プラズマ源32bは基体Wの他
方の面と対峙するように配置されている。また、第1お
よび第2プラズマ源32a、32bのプラズマ生成手段
は第1の実施の形態と同一の構成からなるため、詳細な
説明は省略する。
【0093】本実施の形態は上記構成からなり、第1プ
ラズマ源32aからの放電プラズマPで基体Wの一方の
面の一部分を覆い、さらに第2プラズマ源32bからの
放電プラズマPによって基体Wの他方の面の一部分を覆
う。基体Wおよび第1プラズマ源32a、第2プラズマ
源32bの双方を移動させながら、基体Wに真空容器2
1に対して負のパルス電圧を印加することで、放電プラ
ズマPで覆われた基体Wの区域においてほぼ均一で、等
量のイオンを各々表面に向かって同時に加速し、注入す
ることができる。
【0094】第1および第2プラズマ源32a、32b
の双方について同期を取りながら、ガイドレール31
a、31b上を移動させ、基体W全域にわたって同じ操
作を繰り返すことで、基体Wを回転させたりすることな
く、基体W全体についてイオンを注入することが可能に
なる。
【0095】本実施の形態においては2台の第1および
第2プラズマ源32a、32bを用いて平板形状の基体
Wに効率よくイオン注入を行うことができる。
【0096】(第8の実施の形態)本発明の第8の実施
の形態について図14を参照して説明する。イオン注入
装置は第1プラズマ源32a、第2プラズマ源32b、
第3プラズマ源32c、第4プラズマ源32d、第5プ
ラズマ源32eおよび第6プラズマ源32fを備えてい
る。この第1プラズマ源32a、第2プラズマ源32
b、第3プラズマ源32c、第4プラズマ源32d、第
5プラズマ源32eおよび第6プラズマ源32fは1個
のケース95内に収容され、同時にその全体がガイドレ
ール31上を移動可能に設けられている。
【0097】さらに、各プラズマ源32a、32b、3
2c、32d、32e、32fはターゲット保持台25
上に配置される大型の基体W(例えば、自動車のボディ
ー)の各面と対面するように配置されている。また、各
プラズマ源32a、32b、32c、32d、32e、
32fのプラズマ生成手段は第1の実施の形態と同一の
構成からなるため、詳細な説明は省略する。
【0098】本実施の形態は上記構成からなり、各プラ
ズマ源32a、32b、32c、32d、32e、32
fからの放電プラズマPで基体Wの各面をほぼ一様に覆
う。基体Wおよび各プラズマ源32a、32b、32
c、32d、32e、32fの双方を移動させながら、
基体Wに真空容器21に対して負のパルス電圧を印加す
ることで、放電プラズマPで覆われた基体Wの区域にお
いてほぼ均一で、等量のイオンを各表面に向かって同時
に加速し、注入することができる。
【0099】各プラズマ源32a、32b、32c、3
2d、32e、32fについてガイドレール31a、3
1b上を移動させ、基体W全域にわたって同じ操作を繰
り返すことで、基体Wを回転させたりすることなく、基
体W全体についてイオンを注入することが可能になる。
なお、本実施の形態では、6台のプラズマ源を用いてイ
オン注入を行っているが、基体Wの形状に応じて、その
台数の増減は可能である。
【0100】本実施の形態においては多数のプラズマ源
を用いて大型の基体Wに効率よくイオン注入を注入する
ことができる。
【0101】(第9の実施の形態)本発明の第9の実施
の形態について図15を参照して説明する。イオン注入
装置は第1プラズマ源32a、第2プラズマ源32bお
よび第3プラズマ源32cと、第4プラズマ源32d、
第5プラズマ源32eおよび第6プラズマ源32fとを
備えている。この第1プラズマ源32a、第2プラズマ
源32bおよび第3プラズマ源32cは1個のケース9
6内に収容され、同時にその全体がガイドレール31a
上を移動可能に設けられている。また、第4プラズマ源
32d、第5プラズマ源32eおよび第6プラズマ源3
2fも1個のケース96内に収容され、同時にその全体
がガイドレール31b上を移動可能に設けられている。
【0102】さらに、各プラズマ源32a、32b、3
2cは円筒形状の基体Wの上面と対面し、各プラズマ源
32d、32e、32fは基体Wの下面と対面するよう
に配置されている。また、各プラズマ源32a、32
b、32c、32d、32e、32fのプラズマ生成手
段は第1の実施の形態と同一の構成からなるため、詳細
な説明は省略する。
【0103】本実施の形態は上記構成からなり、各プラ
ズマ源32a、32b、32c、32d、32e、32
fからの放電プラズマPで基体Wの上下面をほぼ一様に
覆う。基体Wを回転させながら、基体Wに真空容器21
に対して負のパルス電圧を印加することで、放電プラズ
マPで覆われた基体Wの区域においてほぼ均一で、等量
のイオンを各表面に向かって同時に加速し、注入するこ
とができる。なお、本実施の形態では、3台のプラズマ
源を1つのケースに納めているが、基体Wの大きさに応
じてそれ以上の台数を1つのケースに納めることも可能
である。
【0104】本実施の形態においては基体Wのそれぞれ
の側に複数台配置することにより円筒形状の基体Wに効
率よくイオンを注入することができる。
【0105】(第10の実施の形態)本発明の第10の
実施の形態について図16を参照して説明する。イオン
注入装置は第1真空容器21に隣接する第2真空容器9
7を有する。第1真空容器21および第2真空容器97
は第2真空容器97から第1真空容器21に基体Wを搬
送し、第1真空容器21から第2真空容器97に基体W
を搬送するするためのガイドレール98と、基体搬送装
置99と備えている。また、第1真空容器21と第2真
空容器97との間にあって双方の器内の連通を遮断する
ゲートバルブ100を具備する。
【0106】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、まず、ゲートバルブ100を閉じて第
1真空容器21と第2真空容器97との連通状態を遮断
する。次いで、基体Wを基体搬送装置99に保持させ、
真空排気装置(図示せず)を動作させてそれぞれ真空排
気口35から空気を抽出し、それぞれ第2真空容器97
および第1真空容器21内を所定の真空値になるまで排
気する。
【0107】この後、ゲートバルブ100を開放すると
共に、制御装置34を用いてプラズマ源駆動装置33
a、33bを動作させ、基体Wを保持した基体搬送装置
99をガイドレール98に沿って移動させ、基体Wを第
1真空容器21内に運び込み、ターゲット保持台25上
に置く。さらに、基体搬送装置99を第2真空容器97
に戻し、ゲートバルブ100を閉じた後に、第1真空容
器21内で基体Wにイオンを注入する。
【0108】イオン注入が終了した後、再びゲートバル
ブ100を開放し、基体搬送装置99を第1真空容器2
1に移動させ、基体搬送装置99で基体Wを保持し、第
2真空容器97に戻る。最後に、ゲートバルブ100を
閉じて第2真空容器97のみを大気開放し、処理を終了
した基体Wを外部に取り出す。
【0109】さらに、別の基体Wについて処理する場
合、引き続き基体Wを基体搬送装置99で保持し、真空
排気装置を用いて第2真空容器97を真空に排気した
後、ゲートバルブ100を開放すると共に、制御装置3
4を用いてプラズマ源駆動装置33a、33bを動作さ
せ、基体Wを保持した基体搬送装置99をガイドレール
98に沿って移動させ、基体Wを第1真空容器21内に
運び込み、同様の処理を繰り返す。
【0110】本実施の形態においては製造ラインなどに
おいて大型の基体Wを連続的に処理する場合にイオン注
入する第1真空容器21を大気に開放する必要がなくな
るので、大気開放した場合にしばしば発生する容器内部
の汚染やそれに起因する異常放電などのトラブルの発生
頻度を軽減することが可能になる。
【0111】(第11の実施の形態)本発明の第11の
実施の形態について図17を参照して説明する。イオン
注入装置は第1真空容器21に隣接する第2真空容器9
7および第3真空容器101を有する。第1真空容器2
1、第2真空容器97および第3真空容器101は各真
空容器21、97、101間に基体Wを搬送するするた
めのガイドレール102と、基体搬送装置99と備えて
いる。また、第1真空容器21と第2真空容器97との
間にあって双方の器内の連通を遮断するゲートバルブ1
00aおよび第2真空容器97と第3真空容器101と
の間にあって双方の器内の連通を遮断するゲートバルブ
100bを具備する。
【0112】本実施の形態は上記構成からなり、イオン
注入に先立って、まず、ゲートバルブ100a、100
bを閉じて第1真空容器21と第2真空容器97および
第3真空容器101との連通状態を遮断する。次いで、
基体Wを基体搬送装置99に保持させ、真空排気装置
(図示せず)を動作させてそれぞれ真空排気口35から
空気を抽出し、それぞれ第2真空容器97、第3真空容
器101および第1真空容器21内を所定の真空値にな
るまで排気する。
【0113】この後、ゲートバルブ100aを開放する
と共に、制御装置34を用いてプラズマ源駆動装置33
a、33bを動作させ、基体Wを保持した基体搬送装置
99をガイドレール98に沿って移動させ、基体Wを第
1真空容器21内に運び込み、ターゲット保持台25上
に置く。さらに、基体搬送装置99を第2真空容器97
に戻し、ゲートバルブ100aを閉じた後に、第1真空
容器21内で基体Wにイオンを注入する。
【0114】イオン注入が終了した後、ゲートバルブ1
00bを開放し、基体搬送装置99を第3真空容器10
1から第1真空容器21に移動させ、基体搬送装置99
で基体Wを保持し、第3真空容器101に戻り、その
後、ゲートバルブ100bを閉じる。第1真空容器21
内で基体Wにイオンを注入している間に、前もって別の
基体Wを基体搬送装置99に保持させたまま、真空排気
装置を用いて第2真空容器97を真空に排気しておく。
【0115】次いで、ゲートバルブ100aを開き、第
2真空容器97で別の基体Wを保持して待機していた基
体搬送装置99をガイドレール98に沿って移動させ、
基体Wを第1真空容器21内に運び込み、同様の処理を
実施する。処理を終了した基体Wは第3真空容器101
において大気開放して外部に取り出す。
【0116】本実施の形態においては製造ラインなどに
おいて大型の基体Wを連続的に処理する場合にイオンを
注入する第1真空容器21を大気に開放する必要がなく
なり、第1真空容器21を大気開放した場合にしばしば
発生する内部の汚染やそれに起因する異常放電などのト
ラブルの発生頻度を軽減することが可能になる。さら
に、第1真空容器21内でのイオン注入工程と並行して
処理された基体Wの第3真空容器101での運び出し、
次に処理される別の基体Wの第2真空容器97での処理
準備を行うことが可能であって、装置の休止時間を格段
に少なくすることができ、生産性を大きく高めることが
可能になる。
【0117】本発明に係るイオン注入装置を用いて次に
述べる望ましいイオン注入方法を実施することができ
る。すなわち、第1の方法は、図18(a)に示すよう
に、プラズマ源からプラズマを連続的に発生させると共
に、基体に、図18(b)に示すように、真空容器の電
位を基準とした複数のパルス状の負の略矩形電圧を印加
する方法である。このような方法を適用することにより
基体にパルス状の電圧が印加されている間は主として基
体へのイオン注入を果たし、パルス状の電圧が印加され
ない間はプラズマが金属蒸気成分を含んでいる場合には
主として表面への蒸着を果たし、含まない場合にはプラ
ズマと基体との接触による物理化学的な反応を進ませる
ことができ、これらの処理過程を繰り返すことで、基体
との密着性に優れた強固な膜を形成することが可能にな
る。
【0118】また、第2の方法は、図19(a)に示す
ように、プラズマをパルス状に繰り返し発生させると共
に、基体に、図19(b)に示すように、真空容器の電
位を基準とした負の電圧を連続的に印加する方法であ
る。このような方法を適用することによりプラズマから
基体への流入熱が小さくなる結果、基体の温度上昇を抑
えながら、エネルギーの揃ったイオンを基体に注入する
ことができ、熱による塑性変形の起こりやすい材料など
に対してもイオン注入による基体との密着性に優れた強
固な膜を形成することが可能になる。上記効果に加え
て、イオンの注入深さの揃った均一な表面処理を同時に
行うことができる。
【0119】さらに、第3の方法は、図20(a)に示
すようにプラズマをパルス的に繰り返し発生させると共
に、基体に、図20(b)に示すように、プラズマ生成
に同期し、かつプラズマ生成時間よりも長い、真空容器
の電位を基準としたパルス状の負の略矩形電圧を印加す
る方法である。このような方法を適用することによりプ
ラズマから基体への流入熱が小さくなる結果、基体の温
度上昇を抑えながら、エネルギーの揃ったイオンを基体
に注入することでき、熱による塑性変形の起こりやすい
材料などに対してもイオン注入による基体との密着性に
優れた強固な膜を形成することが可能になる。
【0120】さらに、上記効果に加えて、イオンの注入
深さの揃った均一な表面処理を同時に行うことができ
る。また、基体に連続的に電圧を印加する場合と比較す
ると、パルス高電圧電源での消費電力を低下させること
が可能になり、ブッシングなどの耐電圧条件も緩和する
ことが可能で、装置の構成がより単純化し、安価な装置
を提供することができる。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、大型の基体全体を取り
囲むプラズマを生成するのではなく、小容積のプラズマ
を生成することで、プラズマを高密度で、しかも均一性
を高めることができる。そして、プラズマ源と基体とを
相対的に移動させながら、生成したプラズマによって基
体の一部分を取り囲み、ほぼ均一で、同等な量のイオン
を基体の表面に対してほぼ垂直方向に加速し、注入する
ようにしたので、処理層の厚みを均一に保つことがで
き、しかも斑を生じにくくすることが可能になる。これ
により大型の基体に対しても均一な量のイオンを注入す
ることが可能になり、安定した品質の製品を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるイオン注入装
置の縦断面図。
【図2】図1に示されるイオン注入装置のプラズマ源の
詳細を示す断面図。
【図3】本発明の第2の実施の形態によるイオン注入装
置の縦断面図。
【図4】図3に示されるイオン注入装置の横断面図。
【図5】図3に示されるプラズマガンの詳細を示す断面
図。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る他のイオン注
入装置の縦断面図。
【図7】図6に示されるイオン注入装置の横断面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態によるイオン注入装
置の縦断面図。
【図9】図8に示されるイオン注入装置の横断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るイオン注入
装置のプラズマ源の詳細を示す断面図。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係るイオン注入
装置の金属蒸気源の詳細を示す断面図。
【図12】本発明の第6の実施の形態によるイオン注入
装置の縦断面図。
【図13】本発明の第7の実施の形態によるイオン注入
装置の横断面図。
【図14】本発明の第8の実施の形態によるイオン注入
装置の横断面図。
【図15】本発明の第9の実施の形態によるイオン注入
装置の縦断面図。
【図16】本発明の第10の実施の形態によるイオン注
入装置の縦断面図。
【図17】本発明の第11の実施の形態によるイオン注
入装置の縦断面図。
【図18】(a)はプラズマ源の動作状況を示す図、
(b)は基体への印加電圧の時間変化を示す図。
【図19】(a)はプラズマ源の動作状況を示す図、
(b)は基体への印加電圧の時間変化を示す図。
【図20】(a)はプラズマ源の動作状況を示す図、
(b)は基体への印加電圧の時間変化を示す図。
【図21】従来のPSII装置の一例を示す縦断面図。
【図22】図21に示されるPSII装置の横断面図。
【符号の説明】
21 真空容器、第1真空容器 32、45、74、80 プラズマ源 33a、33b プラズマ源駆動装置 37、75 放電容器 47a、47b、47c コイル 49a、49b プラズマガン 52 基体駆動装置 81 放電プラズマ発生源 82、90 金属蒸気源 97 第2真空容器 100a、100b、100c ゲートバルブ 101 第3真空容器 W 基体 P 放電プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 敏行 福島県いわき市好間工業団地11番地1号 東芝タンガロイ株式会社いわき工場内 (72)発明者 関 克彦 福島県いわき市好間工業団地11番地1号 東芝タンガロイ株式会社いわき工場内 (72)発明者 浅野 史朗 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 野田 悦夫 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 4K029 CA13 DE02 KA01 KA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器と、この真空容器内に設けら
    れ、処理される基体を保持する保持手段と、この保持手
    段を該真空容器との絶縁を保って支持する絶縁体と、前
    記真空容器内にあって放電によりプラズマを生成し、該
    基体にイオンを注入するプラズマ源と、このプラズマ源
    に放電ガスを供給する装置と、前記基体に前記真空容器
    の電位を基準とした正または負の電圧を印加する電源と
    を備えてなるイオン注入装置において、該基体が前記保
    持手段に投影する領域内に前記プラズマ源を案内するよ
    うに案内装置および前記プラズマ源を駆動するプラズマ
    源駆動装置を設け、前記プラズマ源によって前記基体の
    一部分を取り囲む放電プラズマを生成し、前記プラズマ
    源と前記基体とを相対的に移動させながら、該基体にイ
    オンを注入するようにしたことを特徴とするイオン注入
    装置。
  2. 【請求項2】 真空容器と、この真空容器内に設けら
    れ、処理される基体を回転可能に保持する保持手段と、
    この保持手段を該真空容器との絶縁を保って支持する絶
    縁体と、前記真空容器内にあって放電によりプラズマを
    生成し、該基体にイオンを注入するプラズマ源と、この
    プラズマ源に放電ガスを供給する装置と、前記基体に前
    記真空容器の電位を基準とした正または負の電圧を印加
    する電源とを備えてなるイオン注入装置において、回転
    する前記基体の軸方向に前記プラズマ源を移動させるプ
    ラズマ源駆動装置を設け、前記プラズマ源によって前記
    基体の一部分を取り囲む放電プラズマを生成し、前記プ
    ラズマ源と前記基体とを相対的に移動させながら、該基
    体にイオンを注入するようにしたことを特徴とするイオ
    ン注入装置。
  3. 【請求項3】 真空容器と、この真空容器内に設けら
    れ、処理される中空円筒状の基体を保持する保持手段
    と、この保持手段を該真空容器との絶縁を保って支持す
    る絶縁体と、前記真空容器内にあって放電によりプラズ
    マを生成し、該基体にイオンを注入するプラズマ源と、
    このプラズマ源に放電ガスを供給する装置と、前記基体
    に前記真空容器の電位を基準とした正または負の電圧を
    印加する電源とを備えてなるイオン注入装置において、
    前記中空円筒状の基体の内面軸方向に前記プラズマ源を
    移動させるプラズマ源駆動装置を設け、前記プラズマ源
    によって前記基体の内面の一部分を取り囲む放電プラズ
    マを生成し、前記プラズマ源と前記基体とを相対的に移
    動させながら、該基体にイオンを注入するようにしたこ
    とを特徴とするイオン注入装置。
  4. 【請求項4】 前記プラズマ源が生成プラズマをカスプ
    磁場によって閉じ込める一対のプラズマガンを備え、ラ
    インカスプ部またはポイントカスプ部から漏れ出すプラ
    ズマによって前記基体の一部分を取り囲むように構成し
    たことを特徴とする請求項1、2または3記載のイオン
    注入装置。
  5. 【請求項5】 前記プラズマ源が生成プラズマをミラー
    磁場によって閉じ込める複数個のコイルを備え、ミラー
    端から漏れ出すプラズマによって前記基体の一部分を取
    り囲むように構成したことを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載のイオン注入装置。
  6. 【請求項6】 前記プラズマ源が高周波誘導コイルまた
    はマイクロ波源ユニットを備え、該高周波誘導コイルま
    たはマイクロ波源ユニットで発生させた高周波またはマ
    イクロ波を用いる放電によりプラズマを生成するように
    構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4または
    5記載のイオン注入装置。
  7. 【請求項7】 前記プラズマ源が放電プラズマ発生源と
    金属蒸気または金属プラズマを発生する金属蒸気源とを
    備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1
    項に記載のイオン注入装置。
  8. 【請求項8】 前記プラズマ源がそれぞれ放電プラズマ
    を生成する複数台のプラズマ源からなることを特徴とす
    る請求項1ないし6のいずれか1項に記載のイオン注入
    装置。
  9. 【請求項9】 前記真空容器に隣接して設けられた第2
    真空容器と、この第2真空容器と前記真空容器との間に
    あって該真空容器間の連通を遮断するゲートバルブと、
    処理される前記基体を前記第2真空容器から前記真空容
    器に搬入すると共に、そこから該第2真空容器に搬出す
    る基体搬送装置とを備えることを特徴とする請求項1な
    いし8のいずれか1項に記載のイオン注入装置。
  10. 【請求項10】 前記真空容器を間に挟むように各々該
    真空容器に隣接して設けられた第2真空容器および第3
    真空容器と、前記第2真空容器および第3真空容器と前
    記真空容器との間にあってそれぞれ該真空容器間の連通
    を遮断する2個のゲートバルブと、処理される前記基体
    を前記第2真空容器から前記真空容器に搬入すると共
    に、そこから該第3真空容器に搬出する2個の基体搬送
    装置とを備えることを特徴とする請求項1ないし8のい
    ずれか1項に記載のイオン注入装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007518233A (ja) * 2004-01-15 2007-07-05 ドクトル・ラウレ・プラスマテヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 大容積の構成要素のプラズマ加工
JP2010519693A (ja) * 2007-02-26 2010-06-03 ドクトル・ラウレ・プラスマテヒノロギー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 体積の大きな構成部品にプラズマ支援によるコーティングおよび表面処理を施す装置および方法

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