JP2002305248A - 半導体集積回路 - Google Patents

半導体集積回路

Info

Publication number
JP2002305248A
JP2002305248A JP2002006791A JP2002006791A JP2002305248A JP 2002305248 A JP2002305248 A JP 2002305248A JP 2002006791 A JP2002006791 A JP 2002006791A JP 2002006791 A JP2002006791 A JP 2002006791A JP 2002305248 A JP2002305248 A JP 2002305248A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
energy
terminal
circuit
switch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002006791A
Other languages
English (en)
Inventor
Keiichi Kusumoto
馨一 楠本
Akira Matsuzawa
昭 松澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2002006791A priority Critical patent/JP2002305248A/ja
Publication of JP2002305248A publication Critical patent/JP2002305248A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
  • Dc-Dc Converters (AREA)
  • Electronic Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電池電圧の半分以下の電圧に変換する場合でも
変換効率が低下せず、電圧変換部の効率が90%以上で
あり、オンチップ化が容易であるDC/DC変換器の実
現。 【解決手段】 電源装置200は、所定のタイミングで
エネルギーを供給するエネルギー供給回路210と、エ
ネルギー供給回路210から供給されるエネルギーを受
け取り、そのエネルギーを保存するエネルギー保存回路
220とを備えている。エネルギー保存回路220は、
インダクタ221と、接続点222においてインダクタ
221の一端に接続される容量223と、接続点224
においてインダクタ221の他端に接続される容量22
5とを含んでいる。エネルギーは、接続点222と接続
点224のうち少なくとも一方を介して負荷に供給され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】(技術分野)本発明は、低電力LSIに適
した電源装置および電圧変換器に関する。
【0002】(背景技術)直流の入力電圧値を異なる直
流の出力電圧値に昇圧、降圧及び反転させる回路には、
DC/DC変換器がある。DC/DC変換器は変換効率
と発熱量の観点からレギュレータよりも変換効率に優れ
発熱量が小さい。トランスとの比較では装置の体積が小
さくなる。こうした特徴から変換効率、発熱量及び装置
の体積の要求が強いワーク・ステーション、パーソナル
・コンピュータに多く使用されている。
【0003】図51Aおよび図51Bは、従来のDC/
DC変換器61の構成を示す。入力電圧を降圧して出力
する部分を図51Aに示している。電圧入力端子には電
源の電圧が与えられる。信号入力端子Aと信号入力端子
Bに与えられたパルス信号に従ってNMOSトランジス
タ50、51が開状態と閉状態に変化させる。NMOS
トランジスタ50が閉状態になり、NMOSトランジス
タ51が開状態になるとLC部に電流が供給される。こ
の供給された電流の時間変化はインダクタンスLによっ
て電圧に変換されて端子Aは出力端子よりも速く電圧が
上昇する。つぎに、NMOSトランジスタ50が開状態
になり、NMOSトランジスタ51が閉状態になるとL
C部から電流が放出される。これらの供給された電流と
放出された電流との比率で出力電圧が決定される。NM
OSトランジスタ50が閉状態の時間がNMOSトラン
ジスタ51が閉状態の時間に比べて長い場合には出力電
圧は上昇し、NMOSトランジスタ50が閉状態の時間
がNMOSトランジスタ51が閉状態の時間に比べて短
い場合には出力電圧は降下する。例えば、NMOSトラ
ンジスタ50が閉状態の時間がNMOSトランジスタ5
1が閉状態の時間と等しいときに出力電圧が1.5Vで
あったとする。NMOSトランジスタ50が閉状態の時
間がNMOSトランジスタ51が閉状態の時間に比べて
長い場合には出力電圧は1.5Vよりも高い電圧とな
り、NMOSトランジスタ50が閉状態の時間がNMO
Sトランジスタ51が閉状態の時間に比べて短い場合に
は出力電圧は1.5Vよりも低い電圧となる。
【0004】図51Bに示されているように、NMOS
トランジスタ50、51の開閉状態を指示する信号が、
信号入力端子A、Bから入力され、信号入力端子A、B
に入力されるパルス信号はパルス生成部55によって生
成されている。パルス生成部55の出力パルスの周期と
パルス幅は制御部57によって制御されている。制御部
57は基準電圧生成部56から出力される電圧と電圧変
換部54のモニタ端子の電圧を比較して、パルス生成部
から出力されるパルス信号の周期とパルス幅をモニタ端
子の電圧が目標の電圧となるように制御する。
【0005】最近はDC/DC変換器を、携帯電話やP
HSなどの携帯機器にも使用することで、リチウム・イ
オン電池の寿命をのばすことが考えられるようになっ
た。3Vの出力電圧を持つリチウム・イオン電池の出力
電圧を、DC/DC変換器によって1V近傍に降圧し携
帯電話に使用されているLSIを前記1V近傍で動作さ
せることによりLSIの消費電力を削減できる可能性が
あるからである。
【0006】しかしながら、こうした電池の寿命を延ば
すことを実現するためには、DC/DC変換器は以下に
示す(1)および(2)の課題を同時に解決する必要が
ある。 (1)電池の電圧を半分以下の電圧に変換する場合で
も、変換効率を低下させないこと。
【0007】携帯電話に使用されているリチウム・イオ
ン電池の出力電圧は3Vである。LSIの消費電力を削
減するためにはリチウム・イオン電池の出力電圧を効率
よく1Vに降圧する必要がある。しかしながら、従来の
DC/DC変換器61(図51B)を用いてこのような
降圧をすると、変換効率が低下してしまう。従来のDC
/DC変換器61は、制御系回路58の消費電力が大き
いからである。例えば、電源電圧が1Vの場合には、L
SIの消費電力が10mW程度であるのに対し、パルス
生成部55、制御部57および基準電圧生成部56を含
む制御系回路58の消費電力は100mW程度となって
しまう。このように、電源電圧が低い場合には、LSI
の消費電力よりもDC/DC変換器61の制御系回路5
8の消費電力の方が大きくなってしまうことが、変換効
率を低下させる原因である。 (2)電圧変換部の効率が90%以上であること。
【0008】従来のDC/DC変換器61において、電
圧変換部54の効率低下は、NMOSトランジスタ5
0、51に流れる電流によって発生する。電圧変換部5
4では、1サイクルで2回分の効率低下を生じさせるこ
とになる。電圧変換部54では、NMOSトランジスタ
50、51は1サイクルで開状態となるからである。
【0009】さらに、オンチップに関する課題として以
下に示す(3)が挙げられる。 (3)オンチップ化が容易であること。
【0010】従来のDC/DC変換器61においては、
インダクタ52の値は100μH程度である。しかし、
そのような大きい値を有するインダクタをシリコン基板
上に形成することは困難である。シリコン基板上に形成
できるのは、せいぜい200nH程度のインダクタだか
らである。また、100μH程度のインダクタを使用す
ると、輻射電磁波ノイズによって他のLSIの誤動作を
誘発するおそれがある。
【0011】さらに、従来のDC/DC変換器61にお
いて、80%以上の変換効率を実現するためには、スイ
ッチ50、51の閉状態での抵抗値(オン抵抗)が0.
1mΩ程度である必要がある。しかし、そのような小さ
いオン抵抗を有するスイッチをシリコン基板上に形成す
ることは困難である。シリコン基板上に形成できるの
は、オン抵抗がせいぜい500mΩ程度のスイッチだか
らである。500mΩ程度のオン抵抗を有するスイッチ
を使用した場合には、変換効率が60%以下にまで低下
してしまう。
【0012】このように、従来のDC/DC変換器61
では、上記(1)〜(3)の課題のいずれも解決するこ
とができない。
【0013】本発明の目的の1つは、上記(1)〜
(3)の課題を同時に解決し、かつ、小さい出力電流出
力時においても高効率の電圧変換を実現する電圧変換器
を提供することにある。
【0014】さらに、本発明は、低電力LSIに適した
電源装置の基本発明である。本発明は、(1)エネルギ
ー損失がほとんどなく、(2)様々なタイプの電圧波形
を生成することができ、(3)LSI用の電源として適
している、という特徴を有する電源装置を提供すること
を目的とする。
【0015】さらに、本発明は、LC共振回路を含む電
源装置とその電源装置から電源電圧が供給される少なく
とも1つの回路ブロックとを含む半導体集積回路におい
て、LC共振回路の動作によって発生するノイズを低減
することができる半導体集積回路を提供することを目的
とする。
【0016】(発明の開示)請求項1に係る本発明の電
源装置は、所定のタイミングでエネルギーを供給するエ
ネルギー供給手段と、前記エネルギー供給手段から供給
される前記エネルギーを受け取り、前記エネルギーを保
存するエネルギー保存手段とを備えている。前記エネル
ギー保存手段は、インダクタと、第1の接続点において
前記インダクタの一端に接続される第1の容量と、第2
の接続点において前記インダクタの他端に接続される第
2の容量とを含み、前記エネルギーは、前記第1の接続
点と前記第2の接続点のうち少なくとも一方を介して負
荷に供給される。
【0017】請求項1に係る本発明によれば、エネルギ
ー保存手段に含まれるインダクタと第1の容量と第2の
容量とによってエネルギー保存手段の外部にエネルギー
を実質的に漏らさない閉じた系が形成される。エネルギ
ー保存手段の外部にエネルギーが実質的に漏れないた
め、電源装置におけるエネルギーの損失がほとんどな
い。これにより、低消費電力型の電源装置を提供するこ
とができる。
【0018】また、請求項1に係る本発明によれば、第
1の容量と第2の容量とをそれぞれ所定値に設定するこ
とにより、第1の接続点および第2の接続点のそれぞれ
から様々なタイプの電圧波形を負荷に供給することがで
きる。例えば、第1の接続点と第2の接続点のうちの一
方から直流電圧波形を負荷に供給することができる。あ
るいは、第1の接続点と第2の接続点のうちの一方から
交流電圧波形を負荷に供給することができる。あるい
は、第1の接続点と第2の接続点のうちの一方から直流
電圧波形を負荷に供給し、第1の接続点と第2の接続点
のうちの他方から交流電圧波形を負荷に供給することが
できる。あるいは、第1の接続点と第2の接続点の両方
から交流電圧波形を負荷に供給することができる。
【0019】ある実施形態では、前記負荷は、整流作用
を提供する構造を有する半導体回路である。請求項1に
係る本発明の電源装置は、このような負荷に電源を供給
するのに適している。請求項1に係る本発明の電源装置
は、負荷に集中的に電流が流れることが起こり得ない構
造を有しているからである。
【0020】他の実施形態では、前記負荷には、前記第
1の接続点と前記第2の接続点のうち一方から直流電圧
波形が供給される。
【0021】他の実施形態では、前記負荷には、前記第
1の接続点と前記第2の接続点のうち一方から交流電圧
波形が供給される。
【0022】他の実施形態では、前記負荷には、前記第
1の接続点と前記第2の接続点のうち一方から直流電圧
波形が供給され、前記第1の接続点と前記第2の接続点
のうち他方から交流電圧波形が供給される。
【0023】他の実施形態では、前記負荷には、前記第
1の接続点と前記第2の接続点のうち一方から交流電圧
波形が供給され、前記第1の接続点と前記第2の接続点
のうち他方から交流電圧波形が供給される。
【0024】他の実施形態では、前記電源装置と前記負
荷とは、単一の半導体チップ上に形成される。
【0025】他の実施形態では、前記電源装置から前記
負荷に供給された前記エネルギーのうち少なくとも一部
は、再利用を目的として前記電源装置に戻される。
【0026】他の実施形態では、前記電源装置から前記
負荷に供給された前記エネルギーのうち少なくとも一部
は、前記第1の接続点と前記第2の接続点のうち前記エ
ネルギーを前記負荷に供給する際に使用された接続点と
同一の接続点を介して前記電源装置に戻される。
【0027】他の実施形態では、前記電源装置から前記
負荷に供給された前記エネルギーのうち少なくとも一部
は、前記第1の接続点と前記第2の接続点のうち前記エ
ネルギーを前記負荷に供給する際に使用された接続点と
異なる接続点を介して前記電源装置に戻される。
【0028】本発明の電圧変換器は、電源から供給され
る第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の電圧
を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記被電圧
供給回路によって消費された電力に実質的に等しい電力
を前記電源から前記電圧変換部に供給するように、前記
電圧変換部を制御する制御部とを備えており、これによ
り上記目的が達成される。
【0029】ある実施形態では、前記制御部は、前記電
圧変換部から出力される前記第2の電圧が所望の電圧よ
り下がったことを検出する第1の検出器を備えており、
前記制御部は、前記第1の検出器によって前記電圧変換
部から出力される前記第2の電圧が前記所望の電圧より
下がったことが検出された場合に前記電圧変換部を制御
する。
【0030】本発明の他の電圧変換器は、電源から供給
される第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の
電圧を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記電
圧変換部を制御する制御部とを備えた電圧変換器であっ
て、前記電圧変換部は、インダクタと、第1の接続点に
おいて前記インダクタの一端に接続される第1の容量
と、第2の接続点において前記インダクタの他端に接続
される第2の容量とを含む共振回路と、第1の端子と第
2の端子とを有するスイッチであって、前記第1の端子
は前記電源に接続され、前記第2の端子は前記共振回路
の前記第1の接続点に接続されるスイッチとを含んでお
り、前記制御部は、前記スイッチの開閉を制御する。こ
れにより上記目的が達成される。
【0031】ある実施形態では、前記制御部は、前記電
圧変換部から出力される前記第2の電圧が所望の電圧よ
り下がったことを検出する第1の検出器を備えており、
前記制御部は、前記第1の検出器によって前記電圧変換
部から出力される前記第2の電圧が前記所望の電圧より
下がったことが検出された場合において、前記スイッチ
の開閉を制御する。
【0032】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧が前記電源から供給される前記第1の
電圧より小さく前記所望の電圧より大きい期間におい
て、前記スイッチの開閉を制御する。
【0033】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧が所定の第1の基準電圧に到達したこ
とを検出する第2の検出器と、前記第1の接続点の電圧
が前記所定の第1の基準電圧より大きい所定の第2の基
準電圧に到達したことを検出する第3の検出器とをさら
に備えており、前記第2の検出器によって前記第1の接
続点の電圧が前記所定の第1の基準電圧に到達したこと
が検出された場合には、前記制御部は、前記スイッチの
状態が開状態から閉状態に変化するように前記スイッチ
を制御し、前記第3の検出器によって前記第1の接続点
の電圧が前記所定の第2の基準電圧に到達したことが検
出された場合には、前記制御部は、前記スイッチの状態
が閉状態から開状態に変化するように前記スイッチを制
御する。
【0034】他の実施形態では、前記第1の検出器は、
前記被電圧供給回路が動作するタイミングと同期して動
作を開始する。
【0035】他の実施形態では、前記制御部は、前記電
圧変換部から出力される前記第2の電圧が所定の基準電
圧に到達したことを検出する第4の検出器を備えてお
り、リセット信号に応答して、前記制御部は、前記スイ
ッチの状態が開状態から閉状態に変化するように前記ス
イッチを制御し、前記第4の検出器によって前記電圧変
換部から出力される前記第2の電圧が前記所定の基準電
圧に到達したことが検出された場合には、前記制御部
は、前記スイッチの状態が閉状態から開状態に変化する
ように前記スイッチを制御する。
【0036】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧変化に応じて、クロック信号を生成す
るクロック信号生成器と、前記クロック信号の周期が所
定の周期と異なることを検出した場合に、前記リセット
信号を出力する回路をさらに備えている。
【0037】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧変化の最大値が所定の基準電圧より小
さいことを検出した場合に、前記リセット信号を出力す
る回路をさらに備えている。
【0038】他の実施形態では、前記制御部は、前記所
望の電圧を生成する第1の基準電圧生成器をさらに備え
ており、前記第1の基準電圧生成器は、前記第1の検出
器が動作する期間内でのみ動作する。
【0039】他の実施形態では、前記制御部は、前記所
望の電圧を生成する第1の基準電圧生成器をさらに備え
ており、前記第1の基準電圧生成器は、前記被電圧供給
回路から送られた信号に応じて、前記所望の電圧を変動
させる。
【0040】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧が所定の第1基準電圧に到達したこと
を検出する第2の検出器をさらに備えており、前記第2
の検出器によって前記第1の接続点の電圧が前記所定の
第1の基準電圧に到達したことが検出された場合には、
前記制御部は、前記スイッチの状態が開状態から閉状態
に変化するように前記スイッチを制御し、前記制御部
は、前記スイッチの状態が開状態から閉状態に変化して
から所定の時間が経過した後に前記スイッチの状態が閉
状態から開状態に変化するように前記スイッチを制御す
る。
【0041】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧が上昇している期間において、前記ス
イッチの開閉を制御する。
【0042】他の実施形態では、前記制御部は、前記第
1の接続点の電圧が下降している期間において、前記ス
イッチの開閉を制御する。
【0043】他の実施形態では、前記電圧変換部は、前
記スイッチを通って前記インダクタから前記電源に向か
って流れる戻り電流を一時的に蓄積する蓄積手段をさら
に備えている。
【0044】本発明の他の電圧変換器は、電源から供給
される電圧を所望の電圧に変換して、前記所望の電圧を
被電圧供給回路に供給する電圧変換器であって、前記電
圧変換器は、第1の変換効率を有する第1の電圧変換器
と、所定の電流より小さい電流が前記電圧変換器から前
記被電圧供給回路に流れる場合において前記第1の変換
効率より大きい第2の変換効率を有する第2の電圧変換
器と、前記電圧変換器から前記被電圧供給回路に流れる
電流を検出する電流検出器とを含んでおり、前記電流検
出器によって検出される電流が前記所定の電流より大き
い場合には、前記第1の電圧変換器が動作し、前記電流
検出器によって検出される電流が前記所定の電流より小
さい場合には、前記第2の電圧変換器が動作する。これ
により上記目的が達成される。
【0045】本発明の他の電圧変換器は、電源から供給
される第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の
電圧を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記電
圧変換部を制御する制御部とを備えた電圧変換器であっ
て、前記電圧変換部は、第1のインダクタと、第1の接
続点において前記第1のインダクタの一端に接続される
第1の容量と、第2の接続点において前記第1のインダ
クタの他端に接続される第2の容量とを含む第1の共振
回路と、第1の端子と第2の端子とを有する第1のスイ
ッチであって、前記第1の端子は前記電源に接続され、
前記第2の端子は前記第1の共振回路の前記第1の接続
点に接続される第1のスイッチと、第2のインダクタ
と、第3の接続点において前記第2のインダクタの一端
に接続される第3の容量と、第4の接続点において前記
第2のインダクタの他端に接続される第4の容量とを含
む第2の共振回路と、第3の端子と第4の端子とを有す
る第2のスイッチであって、前記第3の端子は前記第1
の共振回路の前記第2の接続点に接続され、前記第4の
端子は前記第2の共振回路の前記第3の接続点に接続さ
れる第2のスイッチとを含んでおり、前記制御部は、前
記第1のスイッチおよび第2のスイッチの開閉を制御す
る。これにより、上記目的を達成することができる。
【0046】本発明の他の電圧変換器は、電源から供給
される第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の
電圧を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記電
圧変換部を制御する制御部とを備えた電圧変換器であっ
て、前記電圧変換部は、第1のインダクタと、第1の接
続点において前記第1のインダクタの一端に接続される
第1の容量と、第2の接続点において前記第1のインダ
クタの他端に接続される第2の容量とを含む共振回路
と、第1の端子と第2の端子とを有する第1のスイッチ
であって、前記第1の端子は前記電源に接続され、前記
第2の端子は前記共振回路の前記第1の接続点に接続さ
れる第1のスイッチと、第2のインダクタと、第3の容
量と、第3の端子と第4の端子とを有する第2のスイッ
チとを含む変調共振回路であって、前記第2のインダク
タの一端は第3の接続点において前記第2の容量に接続
され、前記第2のインダクタの他端は前記第2の接続点
に接続され、前記第2のスイッチの前記第3の端子は前
記電源に接続され、前記第2のスイッチの前記第4の端
子は前記第3の接続点に接続される、変調共振回路とを
含んでおり、前記制御部は、前記第1のスイッチおよび
第2のスイッチの開閉を制御する。これにより、上記目
的を達成することができる。
【0047】本発明の他の電圧変換器は、電源から供給
される第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の
電圧を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記電
圧変換部を制御する制御部とを備えた電圧変換器であっ
て、前記電圧変換部は、第1のインダクタと、第1の接
続点において前記第1のインダクタの一端に接続される
第1の容量と、第2の接続点において前記第1のインダ
クタの他端に接続される第2の容量とを含む共振回路
と、第1の端子と第2の端子とを有する第1のスイッチ
であって、前記第1の端子は前記電源に接続され、前記
第2の端子は前記共振回路の前記第1の接続点に接続さ
れる第1のスイッチと、第2のインダクタと、第3の容
量と、第3の端子と第4の端子とを有する第2のスイッ
チとを含む変調共振回路であって、前記第2のインダク
タの一端は前記第1の接続点に接続され、前記第2のイ
ンダクタの他端は第3の接続点において前記第3の容量
に接続され、前記第2のスイッチの前記第3の端子は前
記電源に接続され、前記第2のスイッチの前記第4の端
子は前記第3の接続点に接続される、変調共振回路とを
含んでおり、前記制御部は、前記第1のスイッチおよび
第2のスイッチの開閉を制御する。これにより、上記目
的を達成することができる。
【0048】本発明の半導体集積回路は、LC共振回路
を含む電源装置と、前記電源装置から電源電圧を供給さ
れる少なくとも1つの回路ブロックとを備えた半導体集
積回路であって、前記LC共振回路の共振周波数は、前
記少なくとも1つの回路ブロックによって使用される周
波数帯域において、前記共振周波数に基づいて決定され
るノイズの強さが所定の値以下となるように設定されて
いる。これにより、上記目的が達成される。
【0049】前記電源装置と前記少なくとも1つの回路
ブロックとは、単一の半導体チップ上に形成されていて
もよい。
【0050】前記電源装置と前記少なくとも1つの回路
ブロックとは、異なる半導体チップ上に形成されていて
もよい。
【0051】前記電源装置は、直流電圧を前記少なくと
も1つの回路ブロックに供給してもよい。
【0052】(発明を実施するための最良の形態)1.本発明による電源装置の基本原理 図1は、本発明による電源装置200の構成を示す。電
源装置200は、エネルギー供給回路210と、エネル
ギー保存回路220とを含んでいる。
【0053】エネルギー供給回路210は、所定のタイ
ミングでエネルギーをエネルギー保存回路220に供給
する。エネルギー供給回路210から供給されるエネル
ギーは、任意の種類のエネルギーであり得る。例えば、
エネルギー供給回路210から供給されるエネルギー
は、電気エネルギー(電力)、光エネルギー、磁気エネ
ルギー、放射線エネルギーである。
【0054】エネルギー保存回路220は、エネルギー
供給回路210から供給されるエネルギーを受け取り、
そのエネルギーを保存する。エネルギー保存回路220
は、インダクタ221と、接続点222においてインダ
クタ221の一端に接続される容量223と、接続点2
24においてインダクタ221の他端に接続される容量
225とを含んでいる。ここで、Lはインダクタ221
のインダクタンスを示し、C1は容量225の容量値を
示し、C2は容量223の容量値を示す。
【0055】エネルギー保存回路220に保存されるエ
ネルギーは、接続点222と接続点224のうち少なく
とも一方を介して負荷(図1には示されていない)に供
給される。
【0056】電源装置200と負荷とは、単一の半導体
チップ上に形成されてもよい。後述するように、電源装
置200に使用されるインダクタの値は、比較的小さい
値で足りる。例えば、そのようなインダクタの値は10
0nH程度である。従って、電源装置200をシリコン
基板上に形成することは容易である。
【0057】電源装置200は、以下の(1)〜(3)
に示す特徴を有する。 (1)電源装置200におけるエネルギー損失がほとん
どない。 (2)電源装置200は、様々なタイプの電圧波形を生
成することができる。 (3)電源装置200は、LSI用の電源として適して
いる。特徴1:エネルギー損失がほとんどない 図1に示されるように、容量223は、極板223−1
と極板223−2とを有している。極板223−1と極
板223−2とは互いに電気的に絶縁されている。極板
223−1は接続点222に接続され、極板223−2
はグランドに接続されている。同様に、容量225は、
極板225−1と極板225−2とを有している。極板
225−1と極板225−2とは互いに電気的に絶縁さ
れている。極板225−1は接続点224に接続され、
極板225−2はグランドに接続されている。
【0058】エネルギー供給回路210から供給される
エネルギーは、容量223の極板223−1からインダ
クタ221を介して容量225の極板225−1に至る
閉じた系に電荷を発生させる。このようにして発生した
電荷は、その閉じた系の外部に移動することができな
い。極板223−1と極板223−2とは互いに電気的
に絶縁されているため、極板223−1から極板223
−2に電荷が移動する経路がなく、極板225−1と極
板225−2とは互いに電気的に絶縁されているため、
極板225−1から極板225−2に電荷が移動する経
路がないからである。
【0059】このように、閉じた系における電荷の量は
一定に保たれる。このことは、エネルギー保存回路22
0において静的エネルギーの量が一定に保たれることを
意味する。静的エネルギーは、その閉じた系における電
荷の量によって表されるからである。エネルギー保存回
路220に保存される静的エネルギーの量は、1/2・
(q1+q22/(C1+C2)によって表される。ここ
で、q1は容量225に蓄積された電荷量を表し、q2
容量223に蓄積された電荷量を表す。いいかえれば、
静的エネルギーとは、閉じた系に含まれる端子の電圧変
化がなくなり一定となったとき、いわば静止したときに
閉じた系が持っているエネルギーということもできる。
【0060】図2A〜図2Eは、エネルギー保存回路2
20において動的エネルギーが容量223と容量225
との間をインダクタ221を介して循環しながら一定に
保たれることを模式的に示したものである。エネルギー
保存回路220における動的エネルギーの状態は、図2
Aに示す状態から図2Eに示す状態に遷移し、その後、
図2Eに示す状態から図2Aに示す状態に遷移する。以
降、このような状態変化が繰り返される。
【0061】動的エネルギーは、インダクタ221に蓄
積されるエネルギーと、容量223と容量225との間
の電荷量の差(電位差)に基づくエネルギーとに分類さ
れる。図2A〜図2Eにおいて、EM1はインダクタ22
1に蓄積されるエネルギーを示し、EM2は容量223と
容量225との間の電荷量の差(電位差)に基づくエネ
ルギーを示す。(EM1+EM2)は、一定に保たれる。E
M1=1/2・Li1 2である。ここで、i1はインダクタ
221を流れる電流を表す。EM2=|1/2・q1 2/C
1−1/2・q2 2/C2|である。ここで、q1は容量2
25に蓄積された電荷量を表し、q2は容量223に蓄
積された電荷量を表す。いいかえれば、動的エネルギー
とは、閉じた系に含まれる端子の電圧を振動させる、い
わば動かすことができるエネルギーということができ
る。
【0062】インダクタ221に蓄積されたエネルギー
M1は、容量223から容量225に向かって(また
は、容量225から容量223に向かって)電荷を移動
させるように作用する。従って、インダクタ221に蓄
積されたエネルギーEM1がゼロになるまで、容量223
から容量225に向かって(または、容量225から容
量223に向かって)電荷の移動が継続する。
【0063】インダクタ221に蓄積されたエネルギー
M1がゼロである場合には、容量223と容量225と
の間の電荷量の差(電位差)に基づくエネルギーEM2
最大となる。従って、容量223と容量225との間の
電荷量の差(電位差)をなくす方向に電荷の移動が開始
される。電荷がインダクタ221を通過することによ
り、インダクタ221にエネルギーEM1が蓄積される。
以下、このようなプロセスが繰り返される。
【0064】このように、エネルギー保存回路220
は、静的エネルギーおよび動的エネルギーを実質的に一
定に保つ。言い換えれば、エネルギー保存回路220の
外部に静的エネルギーおよび動的エネルギーが実質的に
漏れることがない。ここで、「実質的に」とは、容量2
23および225の極板間を流れるリーク電流による静
的エネルギーの漏れや、インダクタ221の抵抗に基づ
く減衰による動的エネルギーの漏れのような意図しない
エネルギー漏れを除いて、エネルギー漏れがないという
意味である。このことは、電源装置200におけるエネ
ルギーの損失がほとんどないことを意味する。これによ
り、低消費電力型の電源装置を提供することが可能とな
る。特徴2:様々なタイプの電圧波形を生成することができ
1>>C2という関係を満たすように容量223の容量
値と容量225の容量値とを設定することにより、接続
点222において交流電圧波形、接続点224において
直流電圧波形を生成することができる。このような電圧
波形は、エネルギー保存回路220における共振に基づ
いて得られる。電圧波形に関する数学的根拠は、(式
1)〜(式17)を参照して後述される。
【0065】また、C1≒C2という関係を満たすように
容量223の容量値と容量225の容量値とを設定する
ことにより、接続点222および接続点224のいずれ
においても、交流電圧波形を生成することができる。
【0066】さらに、エネルギー供給回路210から供
給されるエネルギーのうち静的エネルギーとしてエネル
ギー保存回路220に保存されるエネルギーと、動的エ
ネルギーとしてエネルギー保存回路220に保存される
エネルギーとの割合を調整することによって、交流電圧
波形の振幅中心と交流電圧波形の振幅とを任意に設定す
ることができる。静的エネルギーが交流電圧波形の振動
中心を決定し、動的エネルギーが交流電圧波形の振幅を
決定するからである。
【0067】図3は、C1>>C2の場合における、接続
点222の交流電圧波形の一例を示す。このように、静
的エネルギーESと動的エネルギーEMとを適切に与える
ことにより、振動中心が電圧VPであり、かつ、振幅が
1/2VDDである交流電圧波形を得ることができる。接
続点222の電圧は、グランド電圧より常に高いか等し
いことに留意されたい。
【0068】C1>>C2である場合には、接続点222
の電圧波形は、周期T0=2π(√LC2で振動する正弦
波に近似され得る。従って、インダクタ221のインダ
クタンスLと容量223の容量値C2との積(LC2)を
可変にすることによって接続点222の電圧波形の周期
0を任意の値に調整することができる。LC2は、電源
装置200の動作前に予め所定の値に調整され、電源装
置200の動作中にはその所定の値に固定されていても
よい。あるいは、LC2は、電源装置200の動作中に
制御回路によって動的に制御され得る。例えば、その制
御回路は、エネルギー供給回路210からエネルギー保
存回路220に供給されるエネルギーが小さくなるにつ
れて周期T0が長くなるようにLC2を制御し、エネルギ
ー供給回路210からエネルギー保存回路220に供給
されるエネルギーが大きくなるにつれて周期T0が短く
なるようにLC2を制御する。このように周期T0を制御
することにより、エネルギー供給回路210からエネル
ギー保存回路220に供給されるエネルギーが大きくな
るにつれて、単位時間あたりに、接続点222の電圧が
電源電圧VDDに近接する回数を増加させることができ
る。従って、接続点222の電圧が電源電圧VDDに近接
した期間(図3の期間TA)においてエネルギー供給回
路210からエネルギー保存回路220にエネルギーが
供給されるようにエネルギー供給のタイミングを制御す
ることにより、エネルギー供給回路210からエネルギ
ー保存回路220にエネルギーが供給される際に発生す
るエネルギー損失を最小化することができる。接続点2
22の電圧が電源電圧VDDに近接した期間(図3の期間
A)において、エネルギー供給回路210からエネル
ギー保存回路220にエネルギーを供給することが最も
高効率のエネルギー供給だからである。
【0069】さらに、LC2を一定に保つという条件の
下にLとC2とを可変にすることにより、周期T0を変化
させることなく、エネルギー供給回路210から供給さ
れるエネルギーに含まれる静的エネルギーESと動的エ
ネルギーEMとの比率を調整することが可能となる。容
量223の容量値C2を増加させてインダクタ221の
インダクタンスLを減少させることにより、容量223
および容量225に蓄積されるエネルギー(静的エネル
ギー)を増加させ、インダクタ221に蓄積されるエネ
ルギー(動的エネルギー)を減少させることができる。
逆に、容量223の容量値C2を減少させてインダクタ
221のインダクタンスLを増加させることにより、容
量223および容量225に蓄積されるエネルギー(静
的エネルギー)を減少させ、インダクタ221に蓄積さ
れるエネルギー(動的エネルギー)を増加させることが
できる。
【0070】以上、容量値C2とインダクタンスLとを
調整する例を説明した。さらに、容量値C1と容量値C2
とインダクタンスLとを調整することにより、静的エネ
ルギーESと動的エネルギーEMとの比率をさらに詳細に
調整することができる。
【0071】例えば、エネルギー供給回路210によ
り、接続点222から電流i0が流れ出すと仮定する。
電流i0のうち容量223に流れ込む電流を電流i1
し、電流i0のうち容量225に流れ込む電流を電流i2
とする。電流i1と電流i2との比率は、容量値C1、容
量値C2およびインダクタンスLを調整することにより
任意の値に設定することができる。容量223および容
量225に蓄積されるエネルギー(静的エネルギー)
は、1/2・(q1+q22/(C1+C2)によって表
され、インダクタ221に蓄積されるエネルギー(動的
エネルギー)は、1/2・Li1 2によって表される。こ
こで、q1は容量225に蓄積された電荷量を表し、q2
は容量223に蓄積された電荷量を表す。従って、電流
1と電流i2との比率を調整することにより、容量22
3および容量225に蓄積されるエネルギー(静的エネ
ルギー)とインダクタ221に蓄積されるエネルギー
(動的エネルギー)とを調整することが可能となる。
【0072】このように、交流電圧波形の振動中心や振
幅を自在に制御できることは、「断熱充電の原理」を利
用して容量性の負荷を充電することに適している。「断
熱充電の原理」とは、交流電圧波形を用いて容量性の負
荷を充電することに関する原理である。「断熱充電の原
理」によれば、より長い時間をかけてその容量性の負荷
を充電する方が、その充電に伴うエネルギー損失をより
小さくすることができることが知られている。
【0073】図4Aは、周期T0で電源電圧VDDとグラ
ンド電圧GNDとの間を振動する交流電圧波形(A)
と、周期T0で電源電圧VDDと電圧−VDDとの間を振動
する交流電圧波形(B)とを対比して示す。電源電圧V
DDからグランド電圧GNDに至るまで断熱充電を行う場
合には、交流電圧波形(A)の断熱充電期間TAの長さ
は、交流電圧波形(B)の断熱充電期間TBの長さの2
倍である。従って、交流電圧波形(A)を用いて断熱充
電を行う方がエネルギー損失が小さい点で有利であるこ
とが分かる。このことは、グランド電圧GNDから電源
電圧VDDに至るまで断熱充電を行う場合にも同様であ
る。
【0074】図4Bは、周期T0で電源電圧VDDと電圧
1/2VDDとの間を振動する交流電圧波形(A)と、周
期T0で電源電圧VDDと電圧−VDDとの間を振動する交
流電圧波形(B)とを対比して示す。電源電圧VDDから
電圧1/2VDDに至るまで断熱充電を行う場合には、交
流電圧波形(A)の断熱充電期間TAの長さは、交流電
圧波形(B)の断熱充電期間TEの長さの約4倍であ
る。従って、交流電圧波形(A)を用いて断熱充電を行
う方がエネルギー損失が小さい点で有利であることが分
かる。このことは、電圧1/2VDDから電源電圧VDD
至るまで断熱充電を行う場合にも同様である。
【0075】さらに、図4Aと図4Bとを対比すると、
交流電圧波形の振幅が小さい方が断熱充電を行う上でよ
り効果的であることが分かる。特徴3:LSI用の電源として適している 電源装置200の接続点222に負荷としてLSIが接
続された場合を考える。LSIは、必ず寄生ダイオード
を含んでいる。本明細書では、寄生ダイオードとは、整
流作用を提供する構造を有する半導体回路をいうと定義
する。例えば、LSIの外部で生じる突入電流からLS
Iの内部を保護するために設けられている保護ダイオー
ドは、寄生ダイオードである。LSIがバイポーラトラ
ンジスタを使用する場合には、例えば、ベース・エミッ
タ間、ベース・コレクタ間に寄生ダイオードが形成され
る。LSIがMOSトランジスタを使用する場合には、
例えば、ソース・ウェル間、ドレイン・ウェル間に寄生
ダイオードが形成される。
【0076】図5は、寄生ダイオード250を含むLS
Iを電源装置200の接続点222に接続した場合の等
価回路を示す。接続点222の電圧がグランド電圧GN
Dより低くなると、寄生ダイオード250に順方向電流
が流れる。これにより、寄生ダイオード250において
電力が消費される。その結果、エネルギー損失が発生す
る。また、寄生ダイオード250に順方向電流が流れる
ことは、寄生ダイオード250を破壊するおそれがあ
る。インダクタ221に蓄積されるエネルギーが寄生ダ
イオード250によって集中的に消費される可能性があ
るからである。
【0077】これに対し、本発明による電源装置200
によれば、特徴2で述べたように、接続点222の電圧
がグランド電圧GNDより常に高いか等しくなるように
交流電圧波形を制御することができる。このような制御
の下では、寄生ダイオード250に順方向電流が流れる
ことはない。従って、LSIに含まれる寄生ダイオード
250に起因してエネルギー損失が発生することはな
い。
【0078】さらに、仮に、寄生ダイオード250に順
方向電流が流れた場合であっても、寄生ダイオード25
0の破壊に至ることはない。インダクタ221に蓄えら
れていた動的エネルギーは静的エネルギーに変換されて
エネルギー保存回路220において保存されるからであ
る。
【0079】従来では、デジタル回路やSRAM(スタ
ティック・ランダム・アクセス・メモリ)やROM(リ
ード・オンリー・メモリ)を集積することによりLSI
を形成するのが通常であった。近年では、フラッシュ・
メモリやDRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス
・メモリ)や高周波から低周波に至る範囲のアナログ回
路を集積することによりLSIを形成する傾向にある。
このような傾向は、今後ますます強くなり、10年後に
は新しい集積回路の時代に入ると予想されている。この
ような集積回路の各回路ブロックがより高い制御領域に
おいて動作するためには、各回路ブロックが必要とする
様々な電圧を高効率で生成する電源が必要となる。様々
な種類の回路ブロックの消費電力を削減することによっ
て集積回路のより高いシステム動作を実現可能となるか
らである。また、所定の周波数領域において低いノイズ
特性がもとめられる。
【0080】本発明の電源装置は、単電源として、動的
エネルギーを静的エネルギーに高効率で変換すること
や、交流電源および直流電源を負荷に高効率で供給する
ことを実現する。そのような単電源の電源装置を複数個
組み合わせることにより、多電源の電源装置が得られ
る。多電源の電源装置は、複数の電源電圧を発生させ
る。多電源の電源装置は、同一の種類の複数の電源装置
を組み合わせたものであってもよいし、異なる種類の複
数の電源装置を組み合わせたものであってもよい。
【0081】図6Aは、エネルギー供給回路210の構
成を示す。エネルギー供給回路210は、エネルギー保
存回路220の接続点222に電気エネルギー(電力)
を供給する。エネルギー供給回路210は、接続点22
2においてエネルギー保存回路220に接続されてい
る。
【0082】図6Aに示すエネルギー供給回路210
は、直流電源211と、直流電源211と接続点222
との間に設けられたスイッチ212とを含んでいる。
【0083】スイッチ212がオンされると、直流電源
211からの電荷がスイッチ212を介してエネルギー
保存回路220に供給される。スイッチ212をオンす
るタイミングを制御することにより、所定のタイミング
で直流電源211からの電荷をエネルギー保存回路22
0に供給することができる。
【0084】直流電源211に代えて交流電源を使用し
てもよい。交流電源からの電力を所定のタイミングでス
イッチングすることにより、交流電源を直流電源とみな
すことができるからである。
【0085】また、直流電源211に代えてパルス状の
波形を有する電圧を供給する電源を使用してもよい。そ
のような電源から供給される電力の大きさは、例えば、
パルス幅変調によって制御され得る。このような電源を
使用すれば、スイッチ212は不要になる。
【0086】図6Bは、エネルギー供給回路210の他
の構成を示す。エネルギー供給回路210は、エネルギ
ー保存回路220のインダクタ221に磁気エネルギー
を供給する。エネルギー供給回路210とエネルギー保
存回路220とは、非接触である。
【0087】図6Bに示すエネルギー供給回路210
は、インダクタ214と、交流電源215とを含んでい
る。エネルギー供給回路210のインダクタ214に電
流が流れることによって磁界が発生し、その磁界によっ
てエネルギー保存回路220のインダクタ221に電流
が流れる。インダクタ221に電流が流れることによっ
て動的エネルギーがインダクタ221に蓄積される。こ
のように、エネルギー供給回路210から供給される磁
気エネルギーは、エネルギー保存回路220のインダク
タ221によって受け取られ、動的エネルギーとしてエ
ネルギー保存回路220に保存される。
【0088】図6Cは、エネルギー供給回路210の他
の構成を示す。エネルギー供給回路210は、エネルギ
ー保存回路220の容量223と容量225のうち少な
くとも一方に光エネルギーを供給する。エネルギー供給
回路210とエネルギー保存回路220とは、非接触で
ある。
【0089】図6Cに示すエネルギー供給回路210
は、光を放射する発光回路216を含んでいる。容量2
23と容量225のうち少なくとも一方は、受け取った
光を電気に変換する機能を有している。このように、エ
ネルギー供給回路210から供給される光エネルギー
は、エネルギー保存回路220の容量223(または容
量225)によって受け取られ、静的エネルギーとして
エネルギー保存回路220に保存される。例えば、容量
223(または容量225)は、フォトダイオードや太
陽電池であり得る。
【0090】図6Dは、エネルギー供給回路210の他
の構成を示す。
【0091】図6Dに示すエネルギー供給回路210
は、電源211と、スイッチ212と、スイッチ212
aと、インバータ212bと、容量212cとを含んで
いる。
【0092】エネルギー保存回路220において、一般
に、接続点222の電圧が上昇する場合には、インダク
タ221を通って容量225から容量223に向かって
電流が流れている。このような電流が流れている場合に
おいてスイッチ212をオンすると、スイッチ212を
通ってインダクタ221から電源211に向かって電流
が一時的に流れる。ここでは、この電流を「戻り電流」
と呼ぶことにする。戻り電流は、電源211に蓄積され
る。しかし、電源211がエネルギー蓄積型ではない電
源(例えば、一般に出力段が電流を吸い込んでグランド
にすててしまうタイプの電源など)や電池などに代表さ
れるように寄生的な内部抵抗が大きい電源(例えば、リ
チウム・イオン・電池など)である場合には、エネルギ
ーの損失が大きくなる。エネルギー蓄積型ではない電源
では、戻り電流が電源211を通ってグランドに捨てら
れてしまうし、電池では、寄生的な内部抵抗によってエ
ネルギーが損失されてしまうからである。
【0093】スイッチ212aと容量212cとは、戻
り電流が電源211に流れ込むのを防ぐために設けられ
ている。スイッチ212aは、電源211とスイッチ2
12との間に設けられている。容量212cは、スイッ
チ212aとスイッチ212との間にある接続点212
dに接続されている。容量212cは、容量値C0を有
している。
【0094】スイッチ212がオン状態である場合に
は、スイッチ212aはオフ状態とされる。この場合、
戻り電流は、容量212cに蓄積される。このようにし
て、エネルギーが容量212cに蓄積される。容量21
2cに蓄積されたエネルギーは、エネルギー保存回路2
20に供給され得る。
【0095】スイッチ212がオフ状態である場合に
は、スイッチ212aはオン状態とされる。その結果、
電源211から容量212cに電流が流れ、容量212
cの電圧が電源電圧VDDに等しくなる。
【0096】インバータ212bは、スイッチ212と
スイッチ212aとを交互にオンオフするために使用さ
れる。スイッチ212とスイッチ212aとを交互にオ
ンオフすることにより、上述した動作が繰り返される。
【0097】図58Aは、エネルギー供給回路210の
他の構成を示す。
【0098】図58Aに示すエネルギー供給回路210
は、電源211と、スイッチ212と、スイッチ212
aと、容量212cとを含んでいる。容量212cは、
戻り電流を一時的に蓄積する。
【0099】図58Bは、接続点222の電圧変化(波
形(A))と接続点224の電圧変化(波形(B))と
を示す。
【0100】時刻t1において、コンパレータ272a
は、接続点222の電圧が電源電圧VDDに到達したこと
を検出し、検出信号を制御回路271aに出力する。制
御回路271aは、検出信号に応答して、スイッチ21
2aをオフ状態からオン状態に変化させる。
【0101】戻り電流が存在する場合には、時刻t1
らt2の期間において、接続点222の電圧が電源電圧
DDよりも高い電圧に向かって上昇する。こうした電圧
の変化は、接続点222から容量212cに向かって戻
り電流が流れ、その戻り電流が容量212cに一時的に
蓄積されていることを表している。
【0102】時刻t2において、接続点222の電圧は
最高点に達し、その後、接続点222の電圧は降下し始
める。
【0103】時刻t2からt3の期間において、容量21
2cからエネルギー保存回路220に電流が流れ始め
る。
【0104】時刻t3において、コンパレータ272a
は、接続点222の電圧が電源電圧VDDに再び到達した
ことを検出し、検出信号を制御回路271aに出力す
る。制御回路271aは、検出信号に応答して、スイッ
チ212aをオン状態からオフ状態に変化させる。
【0105】さらに、時刻t3において、制御回路27
1は、スイッチ212をオフ状態からオン状態に変化さ
せる。その後、スイッチ212は、時刻t4に至るまで
オン状態を維持される。スイッチ212がオン状態であ
る期間中、電源211からスイッチ212を介してエネ
ルギー保存回路220にエネルギーが供給される。
【0106】このように、戻り電流は、電源211に戻
ることなく、容量212cに一時的に蓄積される。2.動的エネルギーと静的エネルギーの比率の調整 エネルギー供給回路210が図6Aに示す構成を有して
いる場合には、スイッチ212をオンするタイミングを
制御することにより、エネルギー保存回路220に供給
される動的エネルギーと静的エネルギーの比率を調整す
ることができる。
【0107】スイッチ212をオンする期間は、接続点
222の電圧vの大きさとインダクタ221を流れる電
流i1の向きとを考慮して、以下に示す4つの期間に分
類される。ここで、接続点224から接続点222に向
かう方向に電流i1が流れる場合に電流i1は正の値を有
し、接続点222から接続点224に向かう方向に電流
1が流れる場合に電流i1は負の値を有するとする。
【0108】期間I:電源電圧VDDと電圧vとの差が所
定の電圧VTHより小さく、かつ、電流i1が正の値を有
する期間。
【0109】期間II:電源電圧VDDと電圧vとの差が
所定の電圧VTHより小さく、かつ、電流i1が負の値を
有する期間。
【0110】期間III:電源電圧VDDと電圧vとの差
が所定の電圧VTHより大きく、かつ、電流i1が正の値
を有する期間。
【0111】期間IV:電源電圧VDDと電圧vとの差が
所定の電圧VTHより大きく、かつ、電流i1が負の値を
有する期間。
【0112】図7Aは、期間I〜IVと電圧vの波形と
電流i1の波形との関係を示す。電圧vの波形は、所定
の電圧VTHを中心に振動する正弦波形である。電流i1
の波形は、ゼロを中心に振動する正弦波形である。
【0113】エネルギー供給回路210からエネルギー
保存回路220にエネルギーを供給する際に発生するエ
ネルギー損失を最小化するためには、スイッチ212の
端子間電圧ができるだけ小さいときにスイッチ212を
オンすることが必要とされる。これは、容量に電荷を充
電する際には電源と容量との間に存在する抵抗にかかる
電圧を最小化することによってその抵抗によるエネルギ
ー損失を最小化することができるという「断熱充電の原
理」に基づく。従って、エネルギー損失を最小化するた
めには、電源電圧VDDと電圧vとの差が小さい期間Iま
たは期間IIにおいて、スイッチ212がオンされるこ
とが好ましい。
【0114】以下、期間Iおよび期間IIにおいてエネ
ルギー保存回路220に供給される動的エネルギーと静
的エネルギーの比率を説明する。
【0115】図7Bは、期間Iにおいてインダクタ22
1を流れる電流i1とスイッチ212を流れる電流i2
を示し、図7Cは、期間Iにおいてスイッチ212をオ
ンするタイミングを示す。
【0116】図7Bに示されるように、期間Iにおい
て、電流i1は、電流i2の方向とは逆方向に流れる。そ
の結果、電流i2はインダクタ221よりも容量223
に向かって多く流れる。このことは、期間Iにおいて、
エネルギー保存回路220に動的エネルギーよりも静的
エネルギーが多く供給されることを意味する。動的エネ
ルギーは、インダクタ221を流れる電流によって主と
して発生するからである。
【0117】図7Dは、期間IIにおいてインダクタ2
21を流れる電流i1とスイッチ212を流れる電流i2
とを示し、図7Eは、期間IIにおいてスイッチ212
をオンするタイミングを示す。
【0118】図7Dに示されるように、期間IIにおい
て、電流i1は、電流i2の方向と同一の方向に流れる。
その結果、電流i2は容量223よりもインダクタ22
1に向かって多く流れる。このことは、期間IIにおい
て、エネルギー保存回路220に静的エネルギーよりも
動的エネルギーが多く供給されることを意味する。動的
エネルギーは、インダクタ221を流れる電流によって
主として発生するからである。
【0119】このように、スイッチ212をオンするタ
イミングとして期間Iおよび期間IIのうちの一方を選
択することにより、エネルギー供給回路210からエネ
ルギー保存回路220に供給される動的エネルギーと静
的エネルギーの比率を調整することが可能となる。3.動的エネルギーと静的エネルギーの検出 エネルギー保存回路220は、動的エネルギーと静的エ
ネルギーとを保存する。エネルギー保存回路220に接
続される負荷の性質(すなわち、容量的な性質が強いか
抵抗的な性質が強いか)に応じて、負荷によって消費さ
れる動的エネルギーの量と負荷によって消費される静的
エネルギーの量は変動する。
【0120】エネルギー保存回路220における動的エ
ネルギーと静的エネルギーの保存量を一定に保つために
は、動的エネルギーの減少量と静的エネルギーの減少量
とを分離して検出して、動的エネルギーの減少量に応じ
てエネルギー供給回路210からエネルギー保存回路2
20にエネルギーを供給し、静的エネルギーの減少量に
応じてエネルギー供給回路210からエネルギー保存回
路220にエネルギーを供給する必要がある。
【0121】以下、動的エネルギーおよび静的エネルギ
ーの検出およびその検出に基づく動的エネルギーおよび
静的エネルギーの供給を説明する。なお、ここでは、エ
ネルギー供給回路210は、図6Aに示す構成を有する
ものと仮定する。しかし、以下に説明する動的エネルギ
ーおよび静的エネルギーの検出方法および供給方法は、
エネルギー供給回路210が他の構成(例えば、図6B
または図6Cに示す構成)を有している場合にも適用可
能である。
【0122】図8は、動的エネルギーおよび静的エネル
ギーを検出する機能を有する電源装置1301の構成を
示す。負荷370は、接続点224において電源装置1
301に接続されている。負荷370は、容量成分と抵
抗成分のうち少なくとも一方を含む。
【0123】電源装置1301は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、参照電圧生成回路371
〜374と、コンパレータ375〜379と、クロック
信号生成回路380とをさらに含んでいる。
【0124】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0125】図9Aは、交流電圧波形(A)と対比し
て、交流電圧波形(A’)を示す。ここで、交流電圧波
形(A)は、エネルギー保存回路220に保存されてい
る動的エネルギーが一定に保たれている場合における接
続点222の電圧の時間に対する変化を表し、交流電圧
波形(A’)は、エネルギー保存回路220に保存され
ている動的エネルギーが減少した場合における接続点2
22の電圧の時間に対する変化を表す。図9Aに示され
るように、エネルギー保存回路220に保存されている
動的エネルギーが減少した場合には、接続点222にお
ける交流電圧波形の振動中心は変化せず、振動振幅が減
少する。
【0126】図9Bは、交流電圧波形(A)と対比し
て、交流電圧波形(A’)を示す。ここで、交流電圧波
形(A)は、エネルギー保存回路220に保存されてい
る静的エネルギーが一定に保たれている場合における接
続点222の電圧の時間に対する変化を表し、交流電圧
波形(A’)は、エネルギー保存回路220に保存され
ている静的エネルギーが減少した場合における接続点2
22の電圧の時間に対する変化を表す。図9Bに示され
るように、エネルギー保存回路220に保存されている
静的エネルギーが減少した場合には、接続点222にお
ける交流電圧波形の振動中心がシフトする。
【0127】図10Aは、動的エネルギーを検出する処
理の手順を示す。この処理は、制御回路271(図8参
照)によって所定の時間毎に実行される。ここで、VA
は接続点222における電圧を表し、VP、Vr1、Vr2
およびVr3は参照電圧生成回路371〜374からそれ
ぞれ出力される参照電圧を表し、VDDは電源電圧を表
す。これらの電圧は、VP<Vr3<Vr2<Vr1<VDD
いう関係を満たす。また、交流電圧波形(A)および
(A’)と同一の周期を有するクロック信号がクロック
信号生成回路380(図8参照)によって生成される。
クロック信号の波形は、図9Aに示されている。
【0128】ステップS11では、電圧VAが上昇中に
電圧VAが電圧Vr3を越えたか否かが判定される。電圧
Aが上昇中に電圧VAが電圧Vr3を越えたことは、コン
パレータ379の出力信号がLレベルからHレベルに変
化することによって検出される。電圧VAが上昇中に電
圧VAが電圧Vr3を越えた場合には、処理はステップS
12に進む。
【0129】ステップS12では、電圧VAが上昇中に
電圧VAが電圧Vr1を越えたか否かが判定される。電圧
Aが上昇中に電圧VAが電圧Vr1を越えたことは、コン
パレータ376の出力信号がLレベルからHレベルに変
化することによって検出される。電圧VAが上昇中に電
圧VAが電圧Vr1を越えた場合には、エネルギー供給回
路210からエネルギー保存回路220に動的エネルギ
ーを供給することなく処理は終了する。動的エネルギー
を供給しなければなれないほどエネルギー保存回路22
0に保存されている動的エネルギーが減少していないと
判断されるからである。
【0130】一方、電圧VAが上昇中に電圧VAが電圧V
r1を越えることなく、クロック信号の立ち下がりエッジ
が検出された場合(ステップS13)には、エネルギー
供給回路210からエネルギー保存回路220に動的エ
ネルギーを供給する必要があると判断される。交流電圧
波形(A’)の次の周期まで電圧VAが電圧Vr1に到達
することはあり得ないからである。従って、この場合に
は、処理はステップS14に進む。
【0131】ステップS14では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr2を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr2を下回ったことは、
コンパレータ378の出力信号がHレベルからLレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr2を下回った場合には、制御回路2
71は、スイッチ212をオンにする(ステップS1
5)。
【0132】ステップS16では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr3を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr3を下回ったことは、
コンパレータ379の出力信号がHレベルからLレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr3を下回った場合には、制御回路2
71は、スイッチ212をオフにする(ステップS1
7)。
【0133】このように、エネルギー保存回路220に
保存されている動的エネルギーが減少した場合には、電
源電圧VDDの近傍であり、かつ、電圧VAが下降中の期
間T1において、スイッチ212がオンにされる。これ
により、エネルギー供給回路210からエネルギー保存
回路220に動的エネルギーを供給することができる。
【0134】図10Bは、静的エネルギーを検出する処
理の手順を示す。この処理は、制御回路271(図8参
照)によって所定の時間毎に実行される。ここで、VA
は接続点222における電圧を表し、VP、Vr1、Vr2
およびVr3は参照電圧生成回路371〜374からそれ
ぞれ出力される参照電圧を表し、VDDは電源電圧を表
す。これらの電圧は、VP<Vr3<Vr2<Vr1<VDD
いう関係を満たす。
【0135】ステップS21では、期間T1より期間T2
が小さいか否かが判定される。ここで、期間T1は、交
流電圧波形(A)に沿って電圧VAが電圧VPを越えた時
刻から次に電圧VPを下回るまでに要する時間として定
義される。期間T2は、交流電圧波形(A’)に沿って
電圧VAが電圧VPを越えた時刻から次に電圧VPを下回
るまでに要する時間として定義される。期間T1および
期間T2は、コンパレータ375の出力信号がLレベル
からHレベルに変化した時刻からHレベルからLレベル
に変化した時刻までの時間を測定することにより、制御
回路271によって求められる。
【0136】期間T1より期間T2が小さいと判定された
場合には、エネルギー供給回路210からエネルギー保
存回路220に静的エネルギーを供給する必要があると
判断される。従って、この場合には、処理はステップS
22に進む。
【0137】ステップS22では、電圧VAが上昇中に
電圧VAが電圧Vr3を越えたか否かが判定される。電圧
Aが上昇中に電圧VAが電圧Vr3を越えたことは、コン
パレータ379の出力信号がLレベルからHレベルに変
化することによって検出される。電圧VAが上昇中に電
圧VAが電圧Vr3を越えた場合には、制御回路271
は、スイッチ212をオンにする(ステップS23)。
【0138】ステップS24では、電圧VAが上昇中に
電圧VAが電圧Vr2を越えたか否かが判定される。電圧
Aが上昇中に電圧VAが電圧Vr2を越えたことは、コン
パレータ378の出力信号がLレベルからHレベルに変
化することによって検出される。電圧VAが上昇中に電
圧VAが電圧Vr2を越えた場合には、制御回路271
は、スイッチ212をオフにする(ステップS25)。
【0139】このように、エネルギー保存回路220に
保存されている静的エネルギーが減少した場合には、電
源電圧VDDの近傍であり、かつ、電圧VAが上昇中の期
間T3において、スイッチ212がオンにされる。これ
により、エネルギー供給回路210からエネルギー保存
回路220に静的エネルギーを供給することができる。 4.動的エネルギーの調整 図11Aは、エネルギー保存回路220に保存される動
的エネルギーの量を調整する機能を有する電源装置13
02の構成を示す。負荷390は、接続点224におい
て電源装置1302に接続されている。負荷390は、
容量成分と抵抗成分のうち少なくとも一方を含む。
【0140】電源装置1302は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、
参照電圧生成回路273とをさらに含んでいる。
【0141】エネルギー保存回路220に動的エネルギ
ーが過剰に供給されると、接続点222における交流電
圧波形の振動振幅が増大する。電源装置1302は、接
続点222の電圧がグランド電圧GND以下となった場
合において、接続点222における交流電圧波形の振動
振幅を減少させることを目的とする。
【0142】エネルギー保存回路220には、素子39
1が設けられている。素子391は、接続点222に接
続されている。素子391は、例えば、カソードを端子
aとし、アノードを端子bとするダイオードである(図
11B参照)。そのダイオードは、ショットキ・バリヤ
・ダイオードであってもよい。あるいは、素子391
は、ドレインを端子aとし、ソースを端子bとし、ウエ
ルを電源VDDとしてゲートとソースとを接続したPMO
Sトランジスタであってもよい(図11C参照)。その
ようなPMOSトランジスタのしきい値VTは、高くて
も低くても構わない。
【0143】図11Dは、接続点222における交流電
圧波形(A)を示す。
【0144】素子391として図11Bに示されるダイ
オードを使用する場合には、接続点222の電圧がグラ
ンド電圧GND以下になると、ダイオードが順方向にバ
イアスされる。その結果、グランド電圧GNDからダイ
オードの順方向電圧VTだけ下がった電圧に接続点22
2の電圧が固定される(例えば、図11Dの期間t3
4を参照)。ダイオードは順方向にバイアスされるた
め、順方向電流が流れる。ダイオードの順方向電流は、
インダクタに蓄積された動的エネルギーによって生じ
る。従って、インダクタに蓄積された動的エネルギーが
ダイオードによって消費される。その結果、接続点22
2における交流電圧波形の振動振幅が減少する。一方、
ダイオードの順方向電流によって電荷がエネルギー保存
回路220に供給される。これにより、静的エネルギー
が増大する。
【0145】素子391として図11Cに示されるPM
OSトランジスタを使用する場合には、ドレインの電圧
がグランド電圧GNDからしきい値電圧VTだけ下がっ
た電圧になると、PMOSトランジスタが導通状態にな
る。その結果、PMOSトランジスタの端子b(ソー
ス)から端子a(ドレイン)に向かってドレイン電流が
流れる。このドレイン電流は、インダクタに蓄積された
動的エネルギーによって生じる。従って、インダクタに
蓄積された動的エネルギーがPMOSトランジスタによ
って消費される。その結果、接続点222における交流
電圧波形の振動振幅が減少する。一方、ドレイン電流に
よって電荷がエネルギー保存回路220に供給される。
これにより、静的エネルギーが増大する。
【0146】図12は、エネルギー保存回路220に保
存される動的エネルギーの量を調整する機能を有する電
源装置1303の構成を示す。電源装置1303は、磁
気結合を利用して、エネルギー供給回路210からエネ
ルギー保存回路にエネルギーを供給する。
【0147】エネルギー保存回路220には、素子39
1が設けられている。素子391は、接続点222に接
続されている。素子391の構成は、上述したとおりで
ある。
【0148】エネルギー保存回路220に動的エネルギ
ーが過剰に供給された場合には、素子391によってイ
ンダクタに蓄積された動的エネルギーが消費される。そ
の結果、接続点222における交流電圧波形の振動振幅
が減少する。一方、素子391によって電荷がエネルギ
ー保存回路220に供給される。これにより、静的エネ
ルギーが増大する。
【0149】このように、過剰な動的エネルギーが素子
391によって消費されることにより、接続点222に
おける交流電圧波形の振動振幅が減衰する。これによ
り、エネルギー保存回路220に保存される動的エネル
ギーの量が一定に保たれる。
【0150】図13Aは、エネルギー保存回路220に
保存される動的エネルギーの量を調整する機能を有する
電源装置1304の構成を示す。負荷400は、接続点
224において電源装置1304に接続されている。負
荷400は、容量成分と抵抗成分のうち少なくとも一方
を含む。
【0151】電源装置1304は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、
参照電圧生成回路273と、制御回路402と、コンパ
レータ403〜404と、参照電圧生成回路405〜4
06とをさらに含んでいる。
【0152】エネルギー保存回路220に動的エネルギ
ーが過剰に供給されると、接続点222における交流電
圧波形の振動振幅が増大する。電源装置1304は、接
続点222の電圧がグランド電圧GND以下となった場
合において、接続点222における交流電圧波形の振動
振幅を減少させることを目的とする。
【0153】エネルギー保存回路220には、スイッチ
401が設けられている。スイッチ401は、接続点2
22に接続されている。スイッチ401は、例えば、N
MOSトランジスタであり得る。スイッチ401の開閉
タイミングは、制御回路402によって制御される。
【0154】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0155】図13Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)とを示す。
【0156】接続点224の電圧が目標電圧VPを下回
った場合には、制御回路271はスイッチ212をオン
にする。例えば、制御回路271は、時刻t3〜t4の期
間においてスイッチ212をオンにする。あるいは、ス
イッチ212をオンにする期間は、時刻t1〜t2の期間
であってもよいし、時刻t1〜t4の期間であってもよ
い。これにより、エネルギー供給回路210からエネル
ギー保存回路220にエネルギーが供給される。その結
果、接続点222における交流電圧波形の振動振幅が増
大する。
【0157】エネルギー保存回路220に動的エネルギ
ーが過剰に供給された場合には、接続点222の電圧が
グランド電圧GND以下となる。エネルギー保存回路2
20に保存されている静的エネルギーが減少して接続点
222における交流電圧波形の振動中心が1/2VDD
り小さくなった場合も同様である。
【0158】接続点222の電圧がグランド電圧GND
以下となる期間において、制御回路402はスイッチ4
01をオンにする。例えば、制御回路402は、時刻t
5〜t6の期間においてスイッチ401をオンにする。あ
るいは、スイッチ401をオンにする期間は、時刻t7
〜t8の期間であってもよいし、時刻t5〜t8の期間で
あってもよい。その結果、グランド電圧GNDから接続
点222に向かって電流が流れる。この電流は、インダ
クタに蓄積された動的エネルギーによって生じる。従っ
て、インダクタに蓄積された動的エネルギーがスイッチ
401によって消費される。その結果、接続点222に
おける交流電圧波形の振動振幅が減少する。一方、スイ
ッチ401を介して電荷がエネルギー保存回路220に
供給される。これにより、静的エネルギーが増大する。
【0159】このように、接続点222の電圧がグラン
ド電圧GNDよりも低い場合においてスイッチ401を
オンにすることにより、エネルギー保存回路220に保
存されている動的エネルギーの一部はスイッチ401の
寄生抵抗によって熱エネルギーに変換されて消費され、
他の動的エネルギーの一部は静的エネルギーに変換され
てエネルギー保存回路220に蓄積される。
【0160】一方、接続点222の電圧がグランド電圧
GNDより高い場合においてスイッチ401をオンにす
ると、エネルギー保存回路220に保存されている静的
エネルギーはグランド電圧GNDに向かって放出され
る。エネルギー保存回路220から放出された静的エネ
ルギーの一部はスイッチ401の寄生抵抗によって熱エ
ネルギーに変換されて消費され、他の静的エネルギーの
一部は電荷がインダクタ221を通過することによって
動的エネルギーに変換される。
【0161】すなわち、グランド電圧GNDより低い電
圧でスイッチ401をオンにすることにより、エネルギ
ー保存回路220に保存されている動的エネルギーを減
少させ、静的エネルギーを増大させることができる。グ
ランド電圧GNDより高い電圧でスイッチ401をオン
にすることにより、エネルギー保存回路220に保存さ
れている動的エネルギーを増大させ、静的エネルギーを
減少させることができる。
【0162】このように、スイッチ401をオンにする
タイミングを調整することにより、エネルギー保存回路
220に保存される動的エネルギーと静的エネルギーと
を調整することができる。スイッチ401をオンにする
タイミングは、参照電圧生成回路406から出力される
参照電圧Vr3、Vr4を調整することにより、任意に調整
することができる。
【0163】図14は、動的エネルギーを調整する処理
の手順を示す。この処理は、制御回路271(図13A
参照)によって所定の時間毎に実行される。ここで、V
Aは接続点222における電圧を表し、VBは接続点22
4における電圧を表し、VPは参照電圧生成回路273
から出力される参照電圧を表し、Vr1およびVr2は参照
電圧生成回路405から選択的に出力される参照電圧を
表し、Vr3およびVr4は参照電圧生成回路406から選
択的に出力される参照電圧を表し、VDDは電源電圧を表
し、GNDはグランド電圧を表す。これらの電圧は、V
r4<Vr3<GND<VP< Vr2<Vr1<VDDという関係
を満たす。
【0164】ステップS31では、電圧VBが電圧VP
下回ったか否かが判定される。電圧VBが電圧VPを下回
ったことは、コンパレータ272の出力信号がHレベル
からLレベルに変化することによって検出される。電圧
Bが電圧VPを下回った場合には、処理はステップS3
2に進む。
【0165】ステップS32では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr1を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr1を下回ったことは、
コンパレータ403の出力信号がLレベルからHレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr1を下回った場合には、制御回路2
71は、スイッチ212をオンにする(ステップS3
3)。
【0166】ステップS34では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr2を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr2を下回ったことは、
コンパレータ403の出力信号がLレベルからHレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr2を下回った場合には、制御回路2
71は、スイッチ212をオフにする(ステップS3
5)。
【0167】ステップS36では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr3を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr3を下回ったことは、
コンパレータ404の出力信号がLレベルからHレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr3を下回った場合には、制御回路4
02は、スイッチ401をオンにする(ステップS3
7)。
【0168】ステップS38では、電圧VAが下降中に
電圧VAが電圧Vr4を下回ったか否かが判定される。電
圧VAが下降中に電圧VAが電圧Vr4を下回ったことは、
コンパレータ404の出力信号がLレベルからHレベル
に変化することによって検出される。電圧VAが下降中
に電圧VAが電圧Vr4を下回った場合には、制御回路4
02は、スイッチ401をオフにする(ステップS3
9)。
【0169】このように、接続点222の電圧がグラン
ド電圧GND以下となる期間において、スイッチ401
はオンにされる。過剰な動的エネルギーがスイッチ40
1によって消費されることにより、接続点222におけ
る交流電圧波形の振動振幅が減衰する。これにより、エ
ネルギー保存回路220に保存される動的エネルギーの
量が一定に保たれる。5.ノイズについて 図6Aに示されるように、スイッチ212を介してエネ
ルギー供給回路210からエネルギー保存回路220に
エネルギーが供給される場合には、スイッチ212がオ
ン状態である期間の長さに応じて、動的エネルギーと静
的エネルギーの総供給量(あるいは、動的エネルギーと
静的エネルギーの変換量)が決定される。エネルギー保
存回路220から負荷に供給される動的エネルギーと静
的エネルギーが多くなると、スイッチ212がオン状態
である期間が長くなるように制御される。エネルギー保
存回路220から負荷に供給される動的エネルギーと静
的エネルギーが少なくなると、スイッチ212がオン状
態である期間が短くなるように制御される。
【0170】このように、スイッチ212がオン状態で
ある期間の長さが変化すると、接続点222における正
弦波振動の歪みも変化する。その結果、歪みの周波数ス
ペクトルが変化する。
【0171】接続点222における正弦波振動は、イン
ダクタ221に電流を流す。インダクタ221を流れる
電流は電磁波を発生させる。その電磁波の周波数は、正
弦波振動の周波数と一意的に関連する。インダクタ22
1を電流が流れることによって発生した電磁波は、他の
インダクタに結合して他のインダクタが接続されている
回路に影響を与える。これがいわゆるノイズである。
【0172】ノイズはフィルタによって除去され得る。
フィルタによるノイズの除去を容易にするためには、ノ
イズの周波数スペクトルがほぼ一定で変化しないことが
好ましい。スイッチ212がオン状態である期間の長さ
を一定とすることにより、ノイズの周波数スペクトルを
一定とすることができる。スイッチ212がオン状態で
ある期間の長さを一定とする場合には、スイッチ212
の寄生抵抗を変化させることによりエネルギーの供給量
および変換量を調整すればよい。
【0173】スイッチ212の寄生抵抗を変化させるこ
とは、例えば、電源211と接続点222との間に互い
に並列に接続された複数のスイッチを設け、その複数の
スイッチのうち同時にオン状態にするスイッチの個数を
変化させることによって達成される。
【0174】図15は、スイッチ部212eの構成例を
示す。スイッチ部212eは、互いに並列に接続された
4個のスイッチ212−1〜212−4を含んでいる。
ある期間では、スイッチ212−1のみがオン状態とさ
れる。別のある期間では、スイッチ212−1および2
12−2がオン状態とされる。さらに別のある期間で
は、スイッチ212−1〜212−3がオン状態とされ
る。さらに別のある期間では、スイッチ212−1〜2
12−4がオン状態とされる。同時にオン状態にされる
スイッチの数が増大するにつれて、エネルギーの供給量
および変換量が増大する。
【0175】このように、スイッチ212がオン状態で
ある期間の長さを一定とし、かつ、スイッチ212の寄
生抵抗を変化させてエネルギーの供給量および変換量を
調整することにより、ノイズの周波数スペクトルを一定
とすることができる。これにより、ノイズをフィルタに
よって除去することが容易になる。6.共振動作について エネルギー保存回路220の接続点222における正弦
波振動の周波数fは、C1>>C2という条件が成立する
場合には、f=1/{2π・√(LC2)}によって表
される。ここで、Lはインダクタ221のインダクタン
スであり、C1は容量225の容量値であり、C2は容量
223の容量値である。
【0176】容量値C2を大きくすると、周波数fは低
くなる。また、インダクタンスLを大きくすると、周波
数fは低くなる。
【0177】周波数fが低いことは、様々なタイプの電
源回路において使用される比較器に入力される信号の変
化の速度が小さいことを意味する。これにより、比較器
が誤差なく電圧を検出することができる。比較器は、検
出対象の信号が遅くなればそれだけ正確に電圧を検出す
ることができるという特性を有しているからである。さ
らに、比較器が十分に正確に電圧を検出する能力を有し
ている場合には、比較器の検出精度を下げることにより
比較器の消費電力を削減することができる。その上、ス
イッチ212の両端子にかかる電圧差が小さくなってい
るときを見はからってエネルギー供給回路210からエ
ネルギー保存回路220にエネルギーを供給することが
できるので、スイッチ212の両端子に大きな電圧差が
生じることによって発生するとつ入電流によるノイズの
発生を回避できる。
【0178】このように、エネルギー保存回路220
は、容量値および/またはインダクタンスを変更するこ
とにより接続点222における正弦波振動の周波数fを
高くしたり低くしたりすることができるという特徴を有
している。それゆえ、共振動作におけるノイズの周波数
を高くしたり低くしたりすることができる。
【0179】接続点222における正弦波振動の振幅を
一定に保つという条件下で、容量値C2を大きくする
と、容量223に充電されるべき電荷量が増大する。そ
の結果、容量223に流れ込む電流が増大する。
【0180】正弦波振動を用いて負荷に電荷を供給する
場合、または、負荷から電荷を回収する場合には、その
電荷量は負荷に依存して変動する。従って、周波数fと
負荷に供給する電荷量(および/または負荷から回収す
る電荷量)とを考慮して、エネルギー保存回路220の
回路設計がなされなければならない。7.LC共振動作に基づくノイズの低減について LSIの高集積化が進むに従って、DRAMなどに代表
されるメモリ回路、デジタル回路、アナログ回路が単一
のチップに形成されるようになることが予想されてい
る。これらの様々な回路が単一のチップに混載された場
合には、中間周波のアナログ回路の動作周波数帯域にノ
イズが混入することによってアナログ回路の特性に及ぼ
す影響が、今後は次第に、問題になると考えられる。
【0181】図75は、システムLSIの1つの実施形
態を示す。システムLSI1801は、例えば、携帯電
話のように、送られてきた高周波数の電波を受信し、復
調する機能を有している。
【0182】システムLSI1801は、高周波信号を
受信し中間周波数に復調する機能を有する中間周波およ
び高周波アナログ回路ブロック1802と、復調に必要
なプログラムが記憶されているDRAMブロック180
3と、復調動作を制御し復調信号をデジタル信号に変換
するA/D変換器を含む低周波アナログ回路ブロック1
804と、デジタル復調信号のノイズ除去などの信号処
理を行うデジタル回路ブロック1805と、LC共振回
路を含む電源装置1806とを含んでいる。回路ブロッ
ク1802〜1805および電源装置1806は、単一
のシリコン・チップ上に形成されている。電源装置18
06は、回路ブロック1802〜1805の少なくとも
1つに電源電圧を供給する。
【0183】図75に示されるように、中間周波および
高周波アナログ回路ブロック1802と電源装置180
6とは近接して配置されているため、LC共振回路のイ
ンダクタによって発生するノイズが中間周波および高周
波アナログ回路ブロック1802に混入する。一方、中
間周波および高周波アナログ回路ブロック1802はノ
イズによる特性の低下が顕著であることから、信号伝達
などの適用の形態ごとに、許容されるノイズの強さが規
格によって定められている。例えば、ある規格は、10
〜20MHzの周波数帯域に−60dBm以上のノイズ
が混入することを禁止している。
【0184】ノイズの混入を防ぐためには、インダクタ
を含まない電源装置、例えばオペアンプによる電源装置
を使用する方法がある。しかし、インダクタを含まない
電源装置は、エネルギー損失が大きいためLSIの低電
力化、低発熱化に対して不利である。インダクタを含む
電源装置を使用する場合には、インダクタに流れる電流
によって放射ノイズが発生する。従って、中間周波およ
び高周波アナログ回路ブロックの特性に影響する周波数
帯域に許容された強さ以上のノイズが混入しないように
する必要がある。
【0185】図51Aに示される電圧変換部54を有す
る従来のDC/DC変換器61では、スイッチ50から
の電流の供給が終了すると、スイッチ50が開状態から
閉状態に変化する。スイッチ50が開状態から閉状態に
変化するときにインダクタ52に流れる電流が急激に変
化するため、インダクタ52の特性に従って信号入力端
子Aの電圧は瞬時にグランド電圧に到達する。その結
果、インダクタ52から発生するノイズは、信号入力端
子Aの電圧の急激な変化に応じた高い周波数に至るノイ
ズ分布を有することになる。このことは、中間周波およ
び高周波アナログ回路ブロックの特性に影響する周波数
帯域に許容された強さ以上のノイズが混入する原因とな
る。
【0186】一方、LC共振回路を含む電源装置180
6では、LC共振回路の共振周波数を適切に設定するこ
とによりインダクタを流れる電流変化を制限することが
可能である。これにより、ノイズの周波数を低減するこ
とができる。
【0187】図77は、LC共振回路の共振周波数に対
するノイズの強さの分布を示す。図77において、曲線
a、b、cは、それぞれ、LC共振回路の共振周波数f
La、fLb、fLcに対応する。ここで、fLa<fLb<fLc
という関係がある。LC共振回路の共振周波数fLa、f
Lb、fLcのそれぞれは、容量C(例えば、図1のC2
とインダクタL(例えば、図1のL)とを設計時に適切
に設定することによって設定される。これにより、設計
時にLとCとを適切に選んで作り込むことができる。共
振周波数fは、f=1/2π√LCによって表される。
ノイズが分布する周波数帯域は、LC共振回路の共振周
波数を低くするにつれて狭くなることがわかる。なお、
曲線dは、上述した従来のDC/DC変換器61による
ノイズ分布を示す。
【0188】中間周波および高周波アナログ回路ブロッ
ク1802に対して、特定の周波数帯域(周波数f1
上周波数f2以下の帯域)におけるノイズの強さを所定
の値P 2以下にしなければならないと仮定する。この場
合には、LC共振回路の共振周波数をfLaまたはfLb
設定することによって、その特定の周波数帯域における
ノイズの強さを所定の値P2以下にすることができる。
これにより、ノイズによって中間周波および高周波アナ
ログ回路ブロック1802の特性が低下することを防止
することができる。周波数f1は、例えば、10MHz
であり、周波数f2は、例えば、20MHzである。所
定の値P2は、例えば、−60dBmである。
【0189】単一のシリコン・チップ上に様々な回路ブ
ロックを混載する場合に限らず、マルチ・チップ・モジ
ュールや基板上の高密度実装のようにLSIの実装密度
が高くなった場合においても、中間周波および高周波ア
ナログ回路ブロックの特性に影響する周波数帯域に許容
された強さ以上のノイズが混入しないようにする必要が
ある。
【0190】図76は、LC共振回路を含む電源装置1
806と中間周波および高周波アナログ回路ブロック1
802とが異なるチップ上に形成されている例を示す。
システムLSI1807は、デジタル回路ブロック18
05と電源装置1806とを含んでいる。システムLS
I1807と中間周波および高周波アナログ回路ブロッ
ク1802とは、異なるシリコン・チップ上に形成され
ている。電源装置1806は、回路ブロック1802、
1805の少なくとも1つに電源電圧を供給する。
【0191】図78は、システムLSI1807と中間
周波および高周波アナログ回路ブロック1802との距
離Dに対するノイズの強さの分布を示す。図78におい
て、曲線e、f、gは、それぞれ、システムLSI18
07と中間周波および高周波アナログ回路ブロック18
02との距離De、Df、Dgに対応する。ここで、De
f>Dgという関係がある。ノイズが分布する周波数帯
域は、システムLSI1807と中間周波および高周波
アナログ回路ブロック1802との距離Dが小さくなる
につれて広くなることがわかる。
【0192】上述したように、LC共振回路の共振周波
数を十分に小さく設定することにより、特定の周波数帯
域におけるノイズの強さを所定の値以下にすることがで
きる。これにより、ノイズによって中間周波および高周
波アナログ回路ブロック1802の特性が低下すること
を防止することができる。
【0193】LC共振回路を含む電源装置1806とし
ては、本明細書の第8章および第9章で説明されるあら
ゆるタイプの電源装置を使用することができる。ただ
し、LC共振回路は、インダクタの一端に第1容量が接
続され、かつ、インダクタの他端に第2容量が接続され
た構成(以下、C−L−C構成という)を含むことを必
須としない。電源装置1806のLC共振回路は、イン
ダクタの一端のみに容量が接続された構成(以下、L−
C構成という)を含んでいてもよい。
【0194】図79は、L−C構成のLC共振回路を含
む電源装置1806の構成を示す。電源装置1806
は、複数の回路ブロックのうちの少なくとも1つに直流
の電源電圧を供給する。電源装置1806と複数の回路
ブロックとは単一の半導体チップ上に形成されていても
よいし、異なる半導体チップ上に形成されていてもよ
い。
【0195】インダクタ1820と容量1821とによ
ってLC共振回路が構成されている。LC共振回路には
電流調整回路1811が接続されている。電流調整回路
1811が接続されているインダクタ1820の端子の
電圧はVDD/2に設定されている。ここで、電源電圧を
DDとする。
【0196】インダクタ1820に流れる電流が電流調
整回路1811から容量1821に向かって流れる場合
には、接続点1818の電圧が上昇する。インダクタ1
820に流れる電流が容量1821から電流調整回路1
811に向かって流れる場合には、接続点1818の電
圧が下降する。
【0197】接続点1818の電圧が所定の電圧振幅の
LC共振をするように、電流調整回路1811は、接続
点1818の電圧をモニタしながら電流の入出力を調整
する。接続点1818の共振電圧を直流電圧に変換する
ために、コンパレータ1813、1819と参照電圧生
成回路1814と制御回路1812とが設けられてい
る。制御回路1812によってスイッチ1815を開閉
することにより、負荷1817の接続点1816の電圧
を直流電圧に変換する。このような変換方法は、図17
Aを参照して後述される電源装置における変換方法と同
様である。図79に示される制御回路1812、コンパ
レータ1819、1813、スイッチ1815、負荷1
817および参照電圧生成回路1814は、図17Aに
示される制御回路283、コンパレータ284、28
5、スイッチ282、負荷280および参照電圧生成回
路286に対応する。8.電源装置200のタイプ 電源装置200は、以下の(1)〜(4)に示す4タイ
プに大別される。 (1)DCタイプ:エネルギー保存回路220の接続点
222と接続点224のうち一方から供給される直流電
圧波形を使用するタイプである。 (2)ACタイプ:エネルギー保存回路220の接続点
222と接続点224のうち一方から供給される交流電
圧波形を使用するタイプである。 (3)DC−ACタイプ:エネルギー保存回路220の
接続点222と接続点224のうち一方から供給される
直流電圧波形を使用し、かつ、他方から供給される交流
電圧波形を使用するタイプである。 (4)AC−ACタイプ:エネルギー保存回路220の
接続点222と接続点224のうち一方から供給される
交流電圧波形を使用し、かつ、他方から供給される交流
電圧波形を使用するタイプである。8.1 DCタイプの電源装置 図16Aは、接続点224に接続された負荷270に直
流電圧波形を供給するDCタイプの電源装置201の構
成を示す。負荷270は、容量成分と抵抗成分のうち少
なくとも一方を含む。
【0198】電源装置201は、基本的な構成であるエ
ネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220に
加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、参
照電圧生成回路273とをさらに含んでいる。なお、図
16Aに示す例では、エネルギー供給回路210は、図
6Aに示す構成を採用している。しかし、エネルギー供
給回路210の構成としては、図6A〜図6Dおよび図
58Aに示すいずれの構成を採用してもよい。動的エネ
ルギーを調整する手段として図11A、図11B、図1
3Aに示す構成を採用してもよい。
【0199】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0200】図16Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)(破線で示される)と接続点224におけ
る直流電圧波形(B)(実線で示される)とを示す。厳
密にいうと、接続点224における電圧波形も交流電圧
波形である。しかし、接続点224における電圧波形は
直流電圧波形とみなすことができる。接続点224にお
ける電圧振動は、接続点222における電圧振動に比較
して十分に小さいからである。
【0201】上述したように、エネルギー供給回路21
0から供給される静的エネルギーと動的エネルギーの割
合を適切に調整することにより、振動中心が電圧VP
あり、かつ、振幅が1/2VDDである交流電圧波形
(A)を得ることができる。また、直流電圧波形(B)
は、交流電圧波形(A)の振動中心にほぼ等しい。
【0202】以下、電源装置201の動作を説明する。
【0203】コンパレータ272は、接続点224の電
圧と参照電圧生成回路273から出力される電圧VP
を比較することにより、接続点224の電圧が電圧VP
を下回ったことを検出する。接続点224の電圧が電圧
P以上である場合には、コンパレータ272の出力信
号はHレベルであり、接続点224の電圧が電圧VP
り低い場合には、コンパレータ272の出力信号はLレ
ベルである。
【0204】時刻t1において、接続点224の電圧が
電圧VPを下回ると、コンパレータ272の出力信号
は、HレベルからLレベルに変化する。制御回路271
は、コンパレータ272の出力信号の変化に応答して、
スイッチ212をオン状態にする。これにより、エネル
ギー保存回路220へのエネルギーの供給が開始され
る。その結果、接続点224の電圧は上昇する。
【0205】時刻t2において、接続点224の電圧が
電圧VP以上となると、コンパレータ272の出力信号
は、LレベルからHレベルに変化する。制御回路271
は、コンパレータ272の出力信号の変化に応答して、
スイッチ212をオフ状態にする。これにより、エネル
ギー保存回路220へのエネルギーの供給が終了する。
【0206】同様にして、時刻t3においてエネルギー
保存回路220へのエネルギーの供給が開始され、時刻
4においてエネルギー保存回路220へのエネルギー
の供給が終了する。
【0207】このように、負荷270によって消費され
たエネルギーは、エネルギー保存回路220に保存され
ていたエネルギーが減少することによって検知される。
減少したエネルギーが回復するように、エネルギーがエ
ネルギー保存回路220に供給される。
【0208】このようにして、DCタイプの電源装置2
01は、電源電圧VDDより低い電圧を負荷270に提供
することができる。8.2 ACタイプの電源装置 図17Aは、交流電圧波形を用いて、接続点222に接
続された負荷280における接続点281の電圧を所望
の電圧に充電するACタイプの電源装置202の構成を
示す。負荷280は、容量成分と抵抗成分のうち少なく
とも一方とスイッチ282とを含む。
【0209】電源装置202は、図16Aに示す電源装
置201の構成に加えて、制御回路283と、コンパレ
ータ284と、コンパレータ285と、参照電圧生成回
路286とをさらに含んでいる。動的エネルギーを調整
する手段として図11A、図11B、図13Aに示す構
成を採用してもよい。
【0210】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0211】図17Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)と接続点281における電圧波形(C)を示す。
【0212】上述したように、エネルギー供給回路21
0から供給される静的エネルギーと動的エネルギーの割
合を適切に調整することにより、振動中心が電圧VP
あり、かつ、振幅が1/2VDDである交流電圧波形
(A)を得ることができる。また、直流電圧波形(B)
は、交流電圧波形(A)の振動中心にほぼ等しい。
【0213】以下、接続点281の電圧を電圧V1から
電圧V1より低い電圧Vr1に設定する場合における電源
装置202の動作を説明する。時刻t=0において、接
続点281は、電圧V1に充電されていると仮定する。
【0214】コンパレータ284は、接続点222の電
圧と接続点281の電圧とを比較することにより、交流
電圧波形(A)が下降中の状態において接続点222の
電圧が電圧V1に到達したのか交流電圧波形(A)が上
昇中の状態において接続点222の電圧が電圧V1に到
達したのかを検出する。交流電圧波形(A)が下降中の
状態において接続点222の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ284の出力信号はLレベルか
らHレベルに変化する。交流電圧波形(A)が上昇中の
状態において接続点222の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ284の出力信号はHレベルか
らLレベルに変化する。
【0215】時刻t1において、交流電圧波形(A)が
下降中の状態において接続点222の電圧が電圧V1
到達すると、コンパレータ284の出力信号はLレベル
からHレベルに変化する。制御回路283は、コンパレ
ータ284の出力信号の変化に応答して、スイッチ28
2をオン状態にする。これにより、交流電圧波形(A)
に沿って接続点281の電圧が変化する。
【0216】コンパレータ285は、接続点281の電
圧と参照電圧生成回路286から出力される電圧Vr1
を比較することにより、接続点281の電圧が電圧Vr1
に到達したか否かを検出する。
【0217】時刻t2において、接続点281の電圧が
電圧Vr1に到達すると、コンパレータ285の出力信号
はLレベルからHレベルに変化する。制御回路283
は、コンパレータ285の出力信号の変化に応答して、
スイッチ282をオフ状態にする。これにより、接続点
281の電圧は電圧Vr1に保たれる。
【0218】次に、接続点281の電圧を電圧Vr1から
電圧Vr1より高い電圧Vr2に設定する場合には、交流電
圧波形(A)の上昇変化を利用する。
【0219】時刻t3において、交流電圧波形(A)が
上昇中の状態において接続点222の電圧が電圧Vr1
到達すると、コンパレータ284の出力信号はHレベル
からLレベルに変化する。制御回路283は、コンパレ
ータ284の出力信号の変化に応答して、スイッチ28
2をオン状態にする。これにより、交流電圧波形(A)
に沿って接続点281の電圧が変化する。
【0220】コンパレータ285は、接続点281の電
圧と参照電圧生成回路286から出力される電圧Vr2
を比較することにより、接続点281の電圧が電圧Vr2
に到達したか否かを検出する。このように、参照電圧生
成回路286は、電圧Vr1と電圧Vr2とを所定のタイミ
ングで切り換えて出力する。
【0221】時刻t4において、接続点281の電圧が
電圧Vr2に到達すると、コンパレータ285の出力信号
はHレベルからLレベルに変化する。制御回路283
は、コンパレータ285の出力信号の変化に応答して、
スイッチ282をオフ状態にする。これにより、接続点
281の電圧は電圧Vr2に保たれる。
【0222】負荷280の接続点281の電圧は、参照
電圧生成回路286から出力される電圧を調整すること
によって任意の電圧に充電され得る。
【0223】また、DCタイプの電源装置201と同様
にして、負荷280によって消費されたエネルギーは、
エネルギー保存回路220に保存されていたエネルギー
が減少することによって検知される。減少したエネルギ
ーが回復するように、エネルギーがエネルギー保存回路
220に供給される。
【0224】このようにして、ACタイプの電源装置2
02は、交流電圧波形を用いて、接続点222に接続さ
れた負荷280における接続点281の電圧を所望の電
圧に充電することができる。交流電圧波形を用いて容量
成分を含む負荷280を充電することは、上述した「断
熱充電の原理」に基づいている。従って、負荷280を
充電する際に負荷280によって消費されるエネルギー
はきわめて小さい。8.3 DC−ACタイプの電源装置 図18Aは、DC−ACタイプの電源装置203の構成
を示す。電源装置203の構成は、接続点224に負荷
270が接続されている点を除いて、図17Aに示す電
源装置202の構成と同一である。
【0225】接続点224に負荷270を接続すること
により、負荷270に直流電圧波形を供給することがで
きる。また、接続点222に負荷280を接続すること
により、交流電圧波形を用いて負荷280における接続
点281の電圧を所望の電圧に充電することができる。
【0226】図18Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)と接続点281における電圧波形(C)を示す。8.4 AC−ACタイプの電源装置(その1) 図19Aは、AC−ACタイプの電源装置204の構成
を示す。電源装置204は、第1の交流電圧波形を用い
て接続点222に接続された負荷280における接続点
281の電圧を所望の電圧に充電し、かつ、第1の交流
電圧波形とは180度だけ位相の異なる第2の交流電圧
波形を用いて接続点224に接続される負荷290にお
ける接続点291の電圧を所望の電圧に充電する。負荷
290は、容量成分と抵抗成分のうち少なくとも一方と
スイッチ292とを含む。
【0227】電源装置204は、図17Aに示す電源装
置202の構成に加えて、制御回路293と、コンパレ
ータ294と、コンパレータ295とをさらに含んでい
る。制御回路293の機能は、制御回路283の機能と
同一である。コンパレータ294の機能は、コンパレー
タ284の機能と同一である。コンパレータ295の機
能は、コンパレータ285の機能と同一である。動的エ
ネルギーを調整する手段として図11A、図11B、図
13Aに示す構成を採用してもよい。
【0228】参照電圧生成回路286は、電圧Vr1と電
圧Vr2とを所定のタイミングで切り換えて出力する。参
照電圧生成回路286は、コンパレータ285に電圧V
r1を出力する一方、コンパレータ295に電圧Vr2を出
力する。また、参照電圧生成回路286は、コンパレー
タ285に電圧Vr2を出力する一方、コンパレータ29
5に電圧Vr1を出力する。
【0229】容量値C1と容量値C2とは、C1≒C2とい
う関係を満たすように設定される。これにより、接続点
222において交流電圧波形が得られ、接続点224に
おいて交流電圧波形が得られる。
【0230】図19Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における交流電圧波形
(B)と接続点281における電圧波形(C)と接続点
291における電圧波形(D)とを示す。交流電圧波形
(A)と交流電圧波形(B)とは、振動中心と振幅はほ
ぼ同じであるが、位相が180度だけ異なっている。
【0231】交流電圧波形(A)と交流電圧波形(B)
の両方を使用することにより、下降中の交流電圧波形
(A)を用いて接続点281の電圧を電圧V1から電圧
1より低い電圧Vr1に設定することと並行して、上昇
中の交流電圧波形(B)を用いて接続点291の電圧を
電圧V2から電圧V2より高い電圧Vr2に設定することが
できる。同様にして、上昇中の交流電圧波形(A)を用
いて接続点281の電圧を電圧Vr1から電圧Vr1より高
い電圧Vr2に設定することと並行して、下降中の交流電
圧波形(B)を用いて接続点291の電圧を電圧Vr2
ら電圧Vr2より低い電圧Vr1に設定することができる。
なお、容量値C1と容量値C2との関係は、C 1>C2であ
ってもよく、C1<C2であってもよい。8.5 AC−ACタイプの電源装置(その2) 図20Aは、AC−ACタイプの電源装置205の構成
を示す。電源装置205は、第1の交流電圧波形と第1
の交流電圧波形とは180度だけ位相の異なる第2の交
流電圧波形とを選択的に利用して、接続点222および
接続点224に接続される負荷300における接続点3
01の電圧を所望の電圧に充電する。負荷300は、容
量成分と抵抗成分のうち少なくとも一方とスイッチ30
2とスイッチ303とを含む。
【0232】電源装置205は、図16Aに示す電源装
置201の構成に加えて、制御回路304と、コンパレ
ータ305と、コンパレータ306と、コンパレータ3
07と、参照電圧生成回路308とをさらに含んでい
る。動的エネルギーを調整する手段として図11A、図
11B、図13Aに示す構成を採用してもよい。
【0233】容量値C1と容量値C2とは、C1≒C2とい
う関係を満たすように設定される。これにより、接続点
222において交流電圧波形が得られ、接続点224に
おいて交流電圧波形が得られる。
【0234】図20Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における交流電圧波形
(B)と接続点301における電圧波形(C)および
(C’)とを示す。交流電圧波形(A)と交流電圧波形
(B)とは、振動中心と振幅はほぼ同じであるが、位相
が180度だけ異なっている。
【0235】以下、接続点301の電圧を電圧V1から
電圧V1より高い電圧Vr2に設定する場合における電源
装置205の動作を説明する。時刻t=0において、接
続点301は、電圧V1に充電されていると仮定する。
【0236】コンパレータ305は、接続点222の電
圧と接続点301の電圧とを比較することにより、交流
電圧波形(A)が下降中の状態において接続点222の
電圧が電圧V1に到達したのか交流電圧波形(A)が上
昇中の状態において接続点222の電圧が電圧V1に到
達したのかを検出する。交流電圧波形(A)が下降中の
状態において接続点222の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ305の出力信号はLレベルか
らHレベルに変化する。交流電圧波形(A)が上昇中の
状態において接続点222の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ305の出力信号はHレベルか
らLレベルに変化する。
【0237】コンパレータ307は、接続点224の電
圧と接続点301の電圧とを比較することにより、交流
電圧波形(B)が下降中の状態において接続点224の
電圧が電圧V1に到達したのか交流電圧波形(B)が上
昇中の状態において接続点224の電圧が電圧V1に到
達したのかを検出する。交流電圧波形(B)が下降中の
状態において接続点224の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ307の出力信号はLレベルか
らHレベルに変化する。交流電圧波形(B)が上昇中の
状態において接続点224の電圧が電圧V1に到達した
場合には、コンパレータ307の出力信号はHレベルか
らLレベルに変化する。
【0238】時刻t2において、交流電圧波形(B)が
上昇中の状態において接続点224の電圧が電圧V1
到達すると、コンパレータ307の出力信号はHレベル
からLレベルに変化する。制御回路304は、コンパレ
ータ307の出力信号の変化に応答して、スイッチ30
3をオン状態にする。これにより、交流電圧波形(B)
に沿って接続点301の電圧が変化する。
【0239】コンパレータ306は、接続点301の電
圧と参照電圧生成回路308から出力される電圧Vr2
を比較することにより、接続点301の電圧が電圧Vr2
に到達したか否かを検出する。
【0240】時刻t3において、接続点301の電圧が
電圧Vr2に到達すると、コンパレータ306の出力信号
はLレベルからHレベルに変化する。制御回路304
は、コンパレータ306の出力信号の変化に応答して、
スイッチ303をオフ状態にする。これにより、接続点
301の電圧は電圧Vr2に保たれる。
【0241】次に、接続点301の電圧を電圧V1から
電圧V1より低い電圧Vr1に設定する場合における電源
装置205の動作を説明する。時刻t=0において、接
続点301は、電圧V1に充電されていると仮定する。
【0242】時刻t1において、交流電圧波形(A)が
下降中の状態において接続点222の電圧が電圧V1
到達すると、コンパレータ305の出力信号はLレベル
からHレベルに変化する。制御回路304は、コンパレ
ータ305の出力信号の変化に応答して、スイッチ30
2をオン状態にする。これにより、交流電圧波形(A)
に沿って接続点301の電圧が変化する。
【0243】コンパレータ306は、接続点301の電
圧と参照電圧生成回路308から出力される電圧Vr1
を比較することにより、接続点301の電圧が電圧Vr1
に到達したか否かを検出する。このように、参照電圧生
成回路308は、電圧Vr1と電圧Vr2とを所定のタイミ
ングで切り換えて出力する。
【0244】時刻t3において、接続点301の電圧が
電圧Vr1に到達したことが検出されると、コンパレータ
306の出力信号はLレベルからHレベルに変化する。
制御回路304は、コンパレータ306の出力信号の変
化に応答して、スイッチ302をオフ状態にする。これ
により、接続点301の電圧は電圧Vr1に保たれる。
【0245】負荷300の接続点301の電圧は、参照
電圧生成回路308から出力される電圧を調整すること
によって任意の電圧に充電され得る。
【0246】また、DCタイプの電源装置201と同様
にして、負荷300によって消費されたエネルギーは、
エネルギー保存回路220に保存されていたエネルギー
が減少することによって検知される。減少したエネルギ
ーが回復するように、エネルギーがエネルギー保存回路
220に供給される。
【0247】このようにして、交流電圧波形(A)と交
流電圧波形(B)のうち所望の電圧に早くたどりつく電
圧波形を選択的に使用することにより、負荷300を所
望の電圧に充電するのに要する時間を短縮することがで
きる。なお、容量値C1と容量値C2との関係は、C1
2であってもよく、C1<C2であってもよい。8.6 AC−ACタイプの電源装置(その3) 図21は、AC−ACタイプの電源装置206の構成を
示す。負荷410は、接続点1222と接続点1224
と接続点1226とにおいて電源装置206に接続され
ている。負荷410は、容量成分と抵抗成分のうち少な
くとも一方とスイッチ412〜414とを含む。
【0248】電源装置206は、エネルギー供給回路2
10とエネルギー保存回路1220とを含む。動的エネ
ルギーを調整する手段として図11A、図11B、図1
3Aに示す構成を採用してもよい。
【0249】エネルギー保存回路1220は、LCの共
振回路を縦続接続した構成を有している。より詳しく言
うと、エネルギー保存回路1220は、インダクタ12
21と、インダクタ1228と、容量1223と、容量
1225と、容量1227とを含んでいる。インダクタ
1221とインダクタ1228とは接続点1224を介
して直列に接続されている。容量1223は、接続点1
222においてインダクタ1221に接続されている。
容量1225は、接続点1224においてインダクタ1
221および1228に接続されている。容量1227
は、接続点1226においてインダクタ1228に接続
されている。ここで、L1、L2はインダクタ1221、
1228のインダクタンスをそれぞれ示し、C1〜C3
容量1223、1225、1227の容量値をそれぞれ
示す。
【0250】電源装置206は、制御回路271と、コ
ンパレータ272と、参照電圧生成回路273と、制御
回路415と、コンパレータ416〜419と、参照電
圧生成回路420とをさらに含んでいる。
【0251】容量値C1と容量値C2と容量値C3とは、
1≒C2≒C3という関係を満たすように設定される。
これにより、接続点1222において交流電圧波形が得
られ、接続点1224において交流電圧波形が得られ、
接続点1226において交流電圧波形が得られる。
【0252】図22は、接続点1222における交流電
圧波形(A)と接続点1224における交流電圧波形
(B)と接続点1226における交流電圧波形(C)と
負荷410の接続点411における電圧波形(D)とを
示す。交流電圧波形(A)〜(C)は、ほぼ同一の振動
中心と振幅とを有している。交流電圧波形(A)と交流
電圧波形(C)とは、位相が180度だけ異なってい
る。
【0253】図23A〜図23Dは、図22に示される
期間T1〜T4のそれぞれにおける電荷の移動を示す。こ
こで、VAは接続点1222の電圧を表し、VBは接続点
1224の電圧を表し、VCは接続点1226の電圧を
表すと定義する。
【0254】期間T1において、容量1223に蓄積さ
れた電荷が容量1225と容量1227とに移動する
(図23A)。これにより、電圧VAは下降し、電圧VB
と電圧VCとは上昇する。
【0255】期間T2において、容量1223に蓄積さ
れた電荷と容量1225に蓄積された電荷とが容量12
27に移動する(図23B)。これにより、電圧VA
電圧VBとは下降し、電圧VCは上昇する。
【0256】期間T3において、容量1225に蓄積さ
れた電荷と容量1227に蓄積された電荷とが容量12
23に移動する(図23C)。これにより、電圧VA
上昇し、電圧VBと電圧VCとは下降する。
【0257】期間T4において、容量1227に蓄積さ
れた電荷が容量1223と容量1225とに移動する
(図23D)。これにより、電圧VAと電圧VBとは上昇
し、電圧VCは下降する。
【0258】以下、接続点411の電圧を電圧V1から
電圧V1より低い電圧Vr1に設定する場合における電源
装置206の動作を説明する。時刻t=0において、接
続点411は、電圧V1に充電されていると仮定する。
【0259】時刻t1において、電圧VCが下降中に電圧
Cが接続点411の電圧(すなわち、電圧V1)に到達
すると、制御回路415はスイッチ414をオンにす
る。その結果、接続点411の電圧は、交流電圧波形
(C)に沿って下降する。
【0260】時刻t2において、電圧VCが下降中に電圧
Cが参照電圧生成回路420から出力される参照電圧
r2に到達すると、制御回路415はスイッチ414を
オフにする。その結果、接続点411の電圧は、電圧V
r2に保たれる。
【0261】次に、接続点411の電圧を電圧Vr2から
電圧Vr2より高い電圧Vr1に設定する場合における電源
装置206の動作を説明する。
【0262】時刻t3において、電圧VCが上昇中に電圧
Cが参照電圧生成回路420から出力される参照電圧
r2に到達すると、制御回路415はスイッチ414を
オンにする。その結果、接続点411の電圧は、交流電
圧波形(C)に沿って上昇する。
【0263】時刻t4において、電圧VCが上昇中に電圧
Cが参照電圧生成回路420から出力される参照電圧
r1に到達すると、制御回路415はスイッチ414を
オフにする。このようにして、負荷410における容量
成分が断熱充電される。ここまでの動作は、上述したA
C−ACタイプの電源装置204および205の動作と
同様である。
【0264】時刻t4において、接続点411の電圧を
電圧Vr1から電圧Vr2に設定する場合には、交流電圧波
形(C)の代わりに交流電圧波形(B)を使用すること
が効率的である。交流電圧波形(C)に沿って接続点4
11の電圧を下降させるためにはスイッチ414をオン
するのを時刻t5まで待つ必要がある。これに対し、交
流電圧波形(B)を使用すれば、時刻t5より早い時刻
4においてスイッチ413をオンすることができるか
らである。このように、交流電圧波形(B)を使用する
ことにより、動作周波数を高くすることが可能となる。
【0265】一般に、別々の回路によってそれぞれ生成
される複数の交流電圧波形を使用する場合には、それら
の交流電圧波形間の位相を調整する必要がある。これに
対し、電源装置206によれば、交流電圧波形(A)〜
(C)の間で位相を調整する必要がない。LCの共振回
路の縦続接続の性質により、交流電圧波形(B)の位相
は、交流電圧波形(A)と交流電圧波形(C)との間に
設定されるからである。
【0266】図24Aは、C1,C2<<C3という関係
を満たすように容量値C1〜C3を設定した場合に、各接
続点において得られる電圧波形を示す。接続点1222
において交流電圧波形(A)が得られ、接続点1224
において交流電圧波形(B)が得られ、接続点1226
において直流電圧波形(C)が得られる。
【0267】図24Bは、C1,C3<<C2という関係
を満たすように容量値C1〜C3を設定した場合に、各接
続点において得られる電圧波形を示す。接続点1222
において交流電圧波形(A)が得られ、接続点1224
において直流電圧波形(B)が得られ、接続点1226
において交流電圧波形(C)が得られる。
【0268】このように、容量値C1〜C3を適切に組み
合わせることにより、様々なタイプの電圧波形を生成す
ることができる。
【0269】表1は、接続点1222、1224および
1226のそれぞれにおいて得られる電圧波形の組み合
わせをまとめたものである。
【0270】表1
【0271】
【表1】 9.電源装置200のエネルギー再利用タイプ 電源装置200は、エネルギー再利用の観点から、以下
の(1)〜(5)に示す5タイプに大別される。 (1)エネルギー再利用ACタイプ:エネルギー保存回
路220の接続点222と接続点224のうち一方から
供給される交流電圧のエネルギーのうち少なくとも一部
を同一の接続点を介してエネルギー保存回路220に戻
すことにより、エネルギーを再利用するタイプである。 (2)エネルギー再利用DCタイプ:エネルギー保存回
路220の接続点222と接続点224のうち一方から
供給される直流電圧のエネルギーのうち少なくとも一部
を同一の接続点を介してエネルギー保存回路220に戻
すことにより、エネルギーを再利用するタイプである。 (3)エネルギー再利用AC−ACタイプ:エネルギー
保存回路220の接続点222と接続点224のうち一
方から供給される交流電圧のエネルギーのうち少なくと
も一部を他方の接続点を介してエネルギー保存回路22
0に交流電圧のエネルギーとして戻すことにより、エネ
ルギーを再利用するタイプである。 (4)エネルギー再利用AC−DCタイプ:エネルギー
保存回路220の接続点222と接続点224のうち一
方から供給される交流電圧のエネルギーのうち少なくと
も一部を他方の接続点を介してエネルギー保存回路22
0に直流電圧のエネルギーとして戻すことにより、エネ
ルギーを再利用するタイプである。 (5)エネルギー再利用DC−ACタイプ:エネルギー
保存回路220の接続点222と接続点224のうち一
方から供給される直流電圧のエネルギーのうち少なくと
も一部を他方の接続点を介してエネルギー保存回路22
0に交流電圧のエネルギーとして戻すことにより、エネ
ルギーを再利用するタイプである。9.1 エネルギー再利用ACタイプの電源装置 図19Aに示されるAC−ACタイプの電源装置204
は、エネルギー再利用ACタイプの電源装置1201に
相当する。エネルギー保存回路220の接続点222か
ら供給される交流電圧波形(A)(図19B参照)が上
昇中である状態にはエネルギー保存回路220から負荷
280にエネルギーが供給され、交流電圧波形(A)が
下降中である場合には接続点222を介して負荷280
からエネルギー保存回路220にエネルギーが戻される
からである。エネルギー保存回路220の接続点224
から供給される交流電圧波形(B)についても同様であ
る。
【0272】このように、負荷280および負荷290
の容量成分に蓄積された電荷がエネルギー保存回路22
0に戻されることにより、エネルギーが再利用される。
これにより、わずかなエネルギー損失で負荷280およ
び負荷290を充放電することが可能となる。9.2 エネルギー再利用DCタイプの電源装置 図25Aは、エネルギー再利用DCタイプの電源装置1
202の構成を示す。負荷310は、接続点224とに
おいて電源装置1202に接続されている。負荷310
は、容量成分C3とスイッチ312とスイッチ313と
を含む。
【0273】電源装置1202は、接続点224を介し
て直流電圧波形を負荷310に供給する。電源装置12
02から接続点224を介して供給されるエネルギー
は、負荷310の容量成分C3に蓄積される。負荷31
0の容量成分C3に蓄積されたエネルギーのうち少なく
とも一部は、接続点224を介して電源装置1202に
戻される。これにより、エネルギーが再利用される。
【0274】電源装置1202は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、
参照電圧生成回路273と、制御回路314とをさらに
含んでいる。なお、図25Aに示す例では、エネルギー
供給回路210は、図6Aに示す構成を採用している。
しかし、エネルギー供給回路210の構成としては、図
6A〜図6Dおよび図58Aに示すいずれの構成を採用
してもよい。動的エネルギーを調整する手段として図1
1A、図11B、図13Aに示す構成を採用してもよ
い。
【0275】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0276】図25Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)と接続点311における電圧波形(C)とを示
す。
【0277】以下、電源装置1202の動作を説明す
る。
【0278】コンパレータ272は、接続点224の電
圧と参照電圧生成回路273から出力される電圧VP
を比較することにより、接続点224の電圧が電圧VP
を下回ったことを検出する。接続点224の電圧が電圧
P以上である場合には、コンパレータ272の出力信
号はHレベルであり、接続点224の電圧が電圧VP
り低い場合には、コンパレータ272の出力信号はLレ
ベルである。
【0279】時刻t=0において、スイッチ312はオ
フ状態であり、かつ、スイッチ313はオン状態であ
る。従って、負荷310の接続点311の電圧はグラン
ド電圧GNDに設定される。
【0280】時刻t1において、制御回路314は、ス
イッチ312をオン状態にし、かつ、スイッチ313を
オフ状態とする。その結果、接続点311の電圧は電源
電圧VDDに向かって充電される。時刻t1から時刻t2
期間において、接続点311の電圧は上昇するので、負
荷310の容量成分C3に蓄積されていた電荷は接続点
224を介してエネルギー保存回路220に戻される。
【0281】時刻t3において、制御回路314は、ス
イッチ312をオフ状態にし、かつ、スイッチ313を
オン状態とする。その結果、接続点311の電圧はグラ
ンド電圧GNDに向かって充電される。時刻t3から時
刻t4の期間において、接続点311の電圧は下降する
ので、エネルギー保存回路220から接続点224を介
して供給される電荷が負荷310の容量成分C3に蓄積
される。
【0282】負荷310にエネルギーを供給することに
より、エネルギー保存回路220の接続点224の電圧
が低下する。
【0283】時刻t4において、接続点224の電圧が
電圧VPを下回ると、コンパレータ272の出力信号
は、HレベルからLレベルに変化する。制御回路271
は、コンパレータ272の出力信号の変化に応答して、
スイッチ212をオン状態にする。これにより、エネル
ギー保存回路220へのエネルギーの供給が開始され
る。その結果、接続点224の電圧は上昇する。
【0284】時刻t5において、接続点224の電圧が
電圧VP以上となると、コンパレータ272の出力信号
は、LレベルからHレベルに変化する。制御回路271
は、コンパレータ272の出力信号の変化に応答して、
スイッチ212をオフ状態にする。これにより、エネル
ギー保存回路220へのエネルギーの供給が終了する。
【0285】負荷310の接続点311の電圧は、グラ
ンド電圧GNDから電源電圧VDDに上昇するように、ま
たは、電源電圧VDDからグランド電圧GNDに下降する
ように制御される。負荷310の接続点311の電圧が
上昇すると、負荷310の容量成分C3に蓄積された電
荷は接続点224を介してエネルギー保存回路220に
戻される。負荷310の接続点311の電圧が下降する
と、エネルギー保存回路220から接続点224を介し
て供給される電荷が負荷310の容量成分C3に蓄積さ
れる。
【0286】このように、負荷310の容量成分C3
蓄積された電荷がエネルギー保存回路220に戻される
ことにより、エネルギーが再利用される。これにより、
わずかなエネルギー損失で負荷310を充放電すること
が可能となる。9.3 エネルギー再利用AC−ACタイプの電源装置 図26Aは、エネルギー再利用AC−ACタイプの電源
装置1203の構成を示す。電源装置1203の構成
は、図20Aに示されるAC−ACタイプの電源装置2
05の構成と同一である。負荷300は、接続点222
と接続点224とにおいて電源装置1203に接続され
ている。負荷300は、容量成分C3とスイッチ302
とスイッチ303とを含む。動的エネルギーを調整する
手段として図11A、図11B、図13Aに示す構成を
採用してもよい。
【0287】電源装置1203は、接続点222を介し
て交流電圧波形を負荷300に供給し、接続点224を
介して交流電圧波形を負荷300に供給する。電源装置
1203から接続点224を介して供給されるエネルギ
ーは、負荷300の容量成分C3に蓄積される。負荷3
00の容量成分C3に蓄積されたエネルギーのうち少な
くとも一部は、接続点222を介して電源装置1203
に戻される。これにより、エネルギーが再利用される。
【0288】図26Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における交流電圧波形
(B)と接続点301における電圧波形(C)とを示
す。交流電圧波形(A)と交流電圧波形(B)とは、振
動中心と振幅はほぼ同じであるが、位相が180度だけ
異なっている。
【0289】以下、電源装置1203の動作を説明す
る。
【0290】時刻t=0において、負荷300の接続点
301は、電圧V1に充電されていると仮定する。スイ
ッチ302はオフ状態であり、かつ、スイッチ303は
オフ状態である。
【0291】時刻t1において、交流電圧波形(B)が
上昇中の状態において接続点224の電圧が接続点30
1の電圧(すなわち、電圧V1)に到達すると、コンパ
レータ307の出力信号はHレベルからLレベルに変化
する。制御回路304は、コンパレータ307の出力信
号の変化に応答して、スイッチ303をオン状態にす
る。これにより、交流電圧波形(B)に沿って接続点3
01の電圧が変化する。
【0292】コンパレータ306は、接続点301の電
圧と参照電圧生成回路308から出力される電圧Vr2
を比較することにより、接続点301の電圧が電圧Vr2
に到達したか否かを検出する。
【0293】時刻t2において、接続点301の電圧が
電圧Vr2に到達すると、コンパレータ306の出力信号
はLレベルからHレベルに変化する。制御回路304
は、コンパレータ306の出力信号の変化に応答して、
スイッチ303をオフ状態にする。これにより、接続点
301の電圧は電圧Vr2に保たれる。
【0294】時刻t3において、交流電圧波形(A)が
下降中の状態において接続点222の電圧が接続点30
1の電圧(すなわち、Vr2)に到達すると、コンパレー
タ305の出力信号はLレベルからHレベルに変化す
る。制御回路304は、コンパレータ305の出力信号
の変化に応答して、スイッチ302をオン状態にする。
これにより、交流電圧波形(A)に沿って接続点301
の電圧が変化する。
【0295】コンパレータ306は、接続点301の電
圧と参照電圧生成回路308から出力される電圧Vr1
を比較することにより、接続点301の電圧が電圧Vr1
に到達したか否かを検出する。このように、参照電圧生
成回路308は、電圧Vr1と電圧Vr2とを所定のタイミ
ングで切り換えて出力する。
【0296】時刻t4において、接続点301の電圧が
電圧Vr1に到達したことが検出されると、コンパレータ
306の出力信号はHレベルからLレベルに変化する。
制御回路304は、コンパレータ306の出力信号の変
化に応答して、スイッチ302をオフ状態にする。これ
により、接続点301の電圧は電圧Vr1に保たれる。
【0297】時刻t=0から時刻t1の期間では、エネ
ルギー保存回路220と負荷300との間でエネルギー
の移動はない。この期間中、スイッチ302およびスイ
ッチ303はいずれもオフ状態であり、エネルギー保存
回路220と負荷300とが電気的に分離されているか
らである。
【0298】時刻t1から時刻t2の期間では、エネルギ
ー保存回路220から接続点224を介して負荷300
にエネルギーが供給される。この期間中、スイッチ30
2がオフ状態であり、かつ、スイッチ303がオン状態
であるからである。その結果、負荷300の接続点30
1の電圧が上昇する。
【0299】時刻t2から時刻t3の期間では、エネルギ
ー保存回路220と負荷300との間でエネルギーの移
動はない。この期間中、スイッチ302およびスイッチ
303はいずれもオフ状態であり、エネルギー保存回路
220と負荷300とが電気的に分離されているからで
ある。
【0300】時刻t3から時刻t4の期間では、負荷30
0から接続点222を介してエネルギー保存回路220
にエネルギーが戻される。この期間中、スイッチ302
がオン状態であり、かつ、スイッチ303がオフ状態で
あるからである。その結果、負荷300の接続点301
の電圧が下降する。
【0301】このようにして、エネルギー保存回路22
0から接続点224を介して負荷300に供給されたエ
ネルギーのうち少なくとも一部が負荷300から接続点
222を介してエネルギー保存回路220に戻されるこ
とにより、エネルギーが再利用される。これにより、わ
ずかなエネルギー損失で負荷300を充放電することが
可能となる。なお、容量値C1と容量値C2との関係は、
1>C2であってもよく、C1<C2であってもよい。9.4 エネルギー再利用AC−DCタイプの電源装置 図27Aは、エネルギー再利用AC−DCタイプの電源
装置1204の構成を示す。負荷320は、接続点22
2と接続点224とにおいて電源装置1204に接続さ
れている。負荷320は、容量成分C3とスイッチ32
3〜326とを含む。動的エネルギーを調整する手段と
して図11A、図11B、図13Aに示す構成を採用し
てもよい。
【0302】電源装置1204は、接続点222を介し
て交流電圧波形を負荷320に供給し、接続点224を
介して直流電圧波形を負荷320に供給する。電源装置
1204から接続点222を介して供給されるエネルギ
ーは、負荷320の容量成分C3に蓄積される。負荷3
20の容量成分C3に蓄積されたエネルギーのうち少な
くとも一部は、接続点224を介して電源装置1204
に戻される。これにより、エネルギーが再利用される。
【0303】電源装置1204は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、
参照電圧生成回路273と、制御回路327と、コンパ
レータ328と、コンパレータ329と、参照電圧生成
回路330とをさらに含んでいる。なお、図27Aに示
す例では、エネルギー供給回路210は、図6Aに示す
構成を採用している。しかし、エネルギー供給回路21
0の構成としては、図6A〜図6Cに示すいずれの構成
を採用してもよい。
【0304】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0305】図27Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)と接続点321における電圧波形(C)と接続点
322における電圧波形(D)とを示す。
【0306】以下、電源装置1204の動作を説明す
る。
【0307】時刻t=0において、負荷320の接続点
321は、電圧V1に充電されていると仮定する。スイ
ッチ323〜325はオフ状態であり、かつ、スイッチ
326はオン状態である。
【0308】時刻t1において、交流電圧波形(A)が
上昇中の状態において接続点222の電圧が接続点32
1の電圧(すなわち、電圧V1)に到達すると、コンパ
レータ328の出力信号はHレベルからLレベルに変化
する。制御回路327は、コンパレータ328の出力信
号の変化に応答して、スイッチ323をオン状態にす
る。これにより、交流電圧波形(A)に沿って接続点3
21の電圧が変化する。
【0309】コンパレータ329は、接続点321の電
圧と参照電圧生成回路330から出力される電源電圧V
DDとを比較することにより、接続点321の電圧が電源
電圧VDDに到達したか否かを検出する。
【0310】時刻t2において、接続点321の電圧が
電源電圧VDDに到達すると、コンパレータ329の出力
信号はLレベルからHレベルに変化する。制御回路32
7は、コンパレータ329の出力信号の変化に応答し
て、スイッチ323をオフ状態にし、かつ、スイッチ3
24をオン状態にする。これにより、接続点321の電
圧は接続点224の電圧(すなわち、電圧VP)に向か
って変化する。
【0311】時刻t3において、接続点321の電圧が
電圧VPに到達する。
【0312】時刻t1から時刻t2の期間では、エネルギ
ー保存回路220から接続点222を介して負荷320
にエネルギーが供給される。エネルギー保存回路220
から供給されたエネルギーは、負荷320の容量成分C
3に蓄積される。時刻t2から時刻t3の期間では、負荷
320から接続点224を介してエネルギー保存回路2
20にエネルギーが戻される。
【0313】このように、エネルギー保存回路220か
ら接続点222を介して負荷320に供給されたエネル
ギーのうち少なくとも一部が負荷320から接続点22
4を介してエネルギー保存回路220に戻されることに
より、エネルギーが再利用される。これにより、わずか
なエネルギー損失で負荷320を充放電することが可能
となる。
【0314】時刻t4において、交流電圧波形(A)が
下降中の状態において接続点222の電圧が接続点32
1の電圧(すなわち、電圧VP)に到達すると、コンパ
レータ328の出力信号はLレベルからHレベルに変化
する。制御回路327は、コンパレータ328の出力信
号の変化に応答して、スイッチ323をオン状態にし、
かつ、スイッチ324をオフ状態にする。これにより、
交流電圧波形(A)に沿って接続点321の電圧が変化
する。
【0315】時刻t5において、接続点321の電圧が
電圧Vr1に到達したことが検出されると、コンパレータ
329の出力信号はHレベルからLレベルに変化する。
制御回路327は、コンパレータ329の出力信号の変
化に応答して、スイッチ323をオフ状態にし、かつ、
スイッチ324をオン状態にする。また、制御回路32
7は、コンパレータ329の出力信号の変化に応答し
て、スイッチ325をオン状態にし、かつ、スイッチ3
26をオフ状態にする。これにより、接続点321の電
圧は接続点224の電圧(すなわち、電圧VP)に向か
って変化する。
【0316】時刻t6において、接続点321の電圧が
電圧VPに到達する。
【0317】時刻t4から時刻t5の期間では、負荷32
0から接続点222を介してエネルギー保存回路220
にエネルギーが戻される。時刻t5から時刻t6の期間で
は、エネルギー保存回路220から接続点224を介し
て負荷320にエネルギーが供給される。エネルギー保
存回路220から供給されたエネルギーは、負荷320
の容量成分C3に蓄えられる。
【0318】このように、エネルギー保存回路220か
ら接続点224を介して負荷320に供給されたエネル
ギーのうち少なくとも一部が負荷320から接続点22
2を介してエネルギー保存回路220に戻されることに
より、エネルギーが再利用される。これにより、わずか
なエネルギー損失で負荷320を充放電することが可能
となる。
【0319】なお、負荷320にエネルギーを供給する
ことにより、エネルギー保存回路220の接続点224
の電圧が低下する。図27Bに示す例では、時刻t2
おいて接続点224の電圧が電圧VPを下回っている。
接続点224の電圧が電圧VPを下回ると、コンパレー
タ272の出力信号は、HレベルからLレベルに変化す
る。制御回路271は、コンパレータ272の出力信号
の変化に応答して、スイッチ212を所定の期間中オン
状態にする。その結果、接続点224の電圧が上昇す
る。9.5 エネルギー再利用DC−ACタイプの電源装置 図28Aは、エネルギー再利用DC−ACタイプの電源
装置1205の構成を示す。負荷350は、電源装置1
205の接続点224と接続点351との間に設けられ
ている。負荷360は、接続点351とグランドとの間
に設けられている。接続点351には、容量成分C3
接続されている。
【0320】電源装置1205は、接続点224を介し
て直流電圧波形を負荷350に供給する。電源装置12
05から接続点224を介して供給されるエネルギー
は、容量成分C3に蓄積される。容量成分C3に蓄積され
たエネルギーのうち少なくとも一部は、接続点222を
介して電源装置1205に戻される。これにより、エネ
ルギーが再利用される。
【0321】電源装置1205は、基本的な構成である
エネルギー供給回路210とエネルギー保存回路220
に加えて、制御回路271と、コンパレータ272と、
参照電圧生成回路273と、スイッチ352と、制御回
路353と、コンパレータ354と、コンパレータ35
5と、参照電圧生成回路356とをさらに含んでいる。
なお、図28Aに示す例では、エネルギー供給回路21
0は、図6Aに示す構成を採用している。しかし、エネ
ルギー供給回路210の構成としては、図6A〜図6D
および図58Aに示すいずれの構成を採用してもよい。
動的エネルギーを調整する手段として図11A、図11
B、図13Aに示す構成を採用してもよい。
【0322】容量値C1と容量値C2とは、C1>>C2
いう関係を満たすように設定される。これにより、接続
点222において交流電圧波形が得られ、接続点224
において直流電圧波形が得られる。
【0323】図28Bは、接続点222における交流電
圧波形(A)と接続点224における直流電圧波形
(B)と接続点351における電圧波形(C)とを示
す。
【0324】以下、電源装置1205の動作を説明す
る。
【0325】時刻t=0から時刻t1の期間では、エネ
ルギー保存回路220から接続点224を介して負荷3
50に電荷が供給される。その結果、接続点224の電
圧はしだいに低下する。負荷350を通過した電荷のう
ち一部は負荷360を通ってグランドに到達する。残り
の電荷は、容量成分C3に蓄積される。その結果、接続
点351の電圧はしだいに上昇する。
【0326】時刻t1において、接続点224の電圧が
電圧VPを下回ると、コンパレータ272の出力信号
は、HレベルからLレベルに変化する。制御回路271
は、コンパレータ272の出力信号の変化に応答して、
時刻t1から時刻t2の期間中、スイッチ212をオン状
態にする。これにより、エネルギー供給回路210から
エネルギー保存回路220にエネルギーが供給される。
その結果、接続点224の電圧が上昇する。
【0327】時刻t2から時刻t3の期間では、エネルギ
ー供給回路210からエネルギー保存回路220にエネ
ルギーは供給されない。その結果、接続点224の電圧
はしだいに下降する。
【0328】時刻t3において、交流電圧波形(A)が
下降中の状態において接続点222の電圧が接続点35
1の電圧に到達すると、コンパレータ354の出力信号
はLレベルからHレベルに変化する。制御回路353
は、コンパレータ354の出力信号の変化に応答して、
スイッチ352をオン状態にする。これにより、交流電
圧波形(A)に沿って接続点351の電圧が変化する。
【0329】時刻t3から時刻t4の期間では、容量成分
3に蓄積された電荷がスイッチ352および接続点2
22を介してエネルギー保存回路220に戻される。
【0330】時刻t4において、接続点351の電圧が
電圧Vrに到達すると、コンパレータ355の出力信号
はHレベルからLレベルに変化する。ここで、参照電圧
生成回路は電圧Vrを参照電圧としてコンパレータ35
5に出力している。制御回路353は、コンパレータ3
55の出力信号の変化に応答して、スイッチ352をオ
フ状態にする。
【0331】時刻t4から時刻t5の期間では、エネルギ
ー供給回路210からエネルギー保存回路220にエネ
ルギーが供給されないため接続点224の電圧はしだい
に下降し、容量成分C3に蓄積された電荷がエネルギー
保存回路220に戻されないため接続点351の電圧は
しだいに上昇する。接続点224の電圧の下降は、エネ
ルギー供給回路210からエネルギー保存回路220に
エネルギーが供給されることによって上昇に転じる。接
続点351の電圧の上昇は、容量成分C3に蓄積された
電荷がエネルギー保存回路220に戻されることによっ
て下降に転じる。このようにして、接続点224の電圧
と接続点351の電圧とはいずれも所望の電圧の近傍に
維持される。
【0332】なお、図28Aに示す例では、接続点22
4と接続点351との間に負荷350が設けられ、接続
点351とグランドとの間に負荷360が設けられてい
る。負荷350および負荷360に加えて、接続点22
4とグランドとの間にさらに別の負荷を設けてもよい。
あるいは、接続点224と接続点351との間に負荷3
50を設け、かつ、接続点224とグランドとの間に負
荷360を設けてもよい。あるいは、負荷360を設け
ずに、負荷350のみを設けてもよい。10.本発明の電圧変換器への適用 以下、本発明を電圧変換器(DC/DCコンバータ)に
適用する場合について説明する。 (実施の形態1)図29は、本発明による電圧変換器2
0の構成を示す。電圧変換器20は、電源1から供給さ
れる電圧を他の電圧に変換して、その他の電圧を被電圧
供給回路(負荷)2に供給する電圧変換部3と、負荷2
によって消費された電力に実質的に等しい電力を電源1
から電圧変換部3に供給するように、電圧変換部3を制
御する制御部130とを含んでいる。電源1は、端子2
1において電圧変換器20に接続されている。負荷2
は、端子22において電圧変換器20に接続されてい
る。
【0333】制御部130は、電圧変換部3に含まれる
スイッチ26(図29には示されていない。図30参
照)を開閉動作する駆動回路4と、検出器8、15およ
び18から出力される信号に基づいてスイッチ26の開
閉状態を決定する同期回路5とを含んでいる。
【0334】制御部130は、電圧変換部3の動作周期
を規定するクロック・パルスを生成するクロック生成器
6と、クロック生成器6から出力されたクロック・パル
スを検出するクロック検出器7とをさらに含んでいる。
【0335】制御部130は、電圧変換部3の端子3e
から出力される電圧と目的の電圧とを比較する検出器8
と、目的の電圧を生成する基準電圧生成器9と、制御ク
ロック・パルスとクロック生成器6から出力されるクロ
ック・パルスとに基づいて検出器8と基準電圧生成器9
の動作タイミングを制御する同期回路10とをさらに含
んでいる。制御クロック・パルスは、端子23を介して
同期回路10に供給される。また、目的の電圧を指示す
る信号が端子25を介して基準電圧生成器9に供給され
る。
【0336】制御部130は、電圧変換部3の端子3e
から出力される電圧と初期電圧とを比較する検出器11
と、初期電圧を生成する基準電圧生成器12と、スター
ト信号と制御クロック・パルスと同期回路5から出力さ
れる信号とクロック検出器7から出力される信号とに基
づいて検出器11と基準電圧生成器12の動作タイミン
グを制御する同期回路13とをさらに含んでいる。スタ
ート信号は、端子24を介して同期回路13に供給され
る。制御クロック・パルスは、端子23を介して同期回
路13に供給される。
【0337】制御部130は、電圧変換部3に含まれる
スイッチ26(図29には示されていない。図30参
照)の状態が開状態から閉状態に変化するタイミングを
規定する電圧を生成する基準電圧生成器14と、基準電
圧生成器14から出力される電圧と電圧変換部3の端子
3cから出力される電圧とを比較する検出器15と、制
御クロック・パルスとクロック生成器6から出力される
クロック・パルスとに基づいて基準電圧生成器14と検
出器15の動作タイミングを制御する同期回路16とを
さらに含んでいる。制御クロック・パルスは、端子23
を介して同期回路16に供給される。
【0338】制御部130は、電圧変換部3に含まれる
スイッチ26(図29には示されていない。図30参
照)の状態が閉状態から開状態に変化するタイミングを
規定する電圧を生成する基準電圧生成器17と、基準電
圧生成器17から出力される電圧と電圧変換部3の端子
3cから出力される電圧とを比較する検出器18と、制
御クロック・パルスとクロック生成器6から出力される
クロック・パルスとに基づいて基準電圧生成器17と検
出器18の動作タイミングを制御する同期回路19とを
さらに含んでいる。制御クロック・パルスは、端子23
を介して同期回路19に供給される。
【0339】図30は、電圧変換部3の構成を示す。電
圧変換部3は、端子3a〜3eを有している。端子3a
は、端子21を介して電源1に接続される。端子3b
は、駆動回路4に接続される。端子3cは、検出器15
と検出器18とクロック生成器6とに接続される。端子
3dは、端子22を介して負荷2に接続される。端子3
eは、検出器8と検出器11とに接続される。
【0340】電圧変換部3は、共振回路140と、電源
1と共振回路140とを電気的に接続するスイッチ26
とを含んでいる。
【0341】スイッチ26は、例えば、PMOSトラン
ジスタであり得る。
【0342】共振回路140は、インダクタ28と容量
27、29とを含んでいる。
【0343】インダクタ28の一端と容量27とは接続
点3fにおいて接続される。接続点3fは端子3cに接
続される。以下の説明では、接続点3fと端子3cとを
同一のものとして扱う。スイッチ26は、共振回路14
0の接続点3fに接続される。
【0344】インダクタ28の他端と容量29とは接続
点3gにおいて接続される。接続点3gは端子3dと端
子3eに接続される。以下の説明では、接続点3gと端
子3dと端子3eとを同一のものとして扱う。
【0345】端子3bには、スイッチ26の開閉状態を
制御する信号が入力される。
【0346】以下、電圧変換部3の動作を説明する。こ
こで、容量29、27の容量値をC 1、C2と表し、イン
ダクタ28のインダクタンス値をLと表すこととする。
【0347】共振回路140において、容量29に蓄積
された電荷の一部はインダクタ28を介して容量27に
伝搬される。さらに、容量27に伝搬された電荷はイン
ダクタ28を介して容量29に伝搬されなおす。このよ
うに電荷が容量27と容量29との間でインダクタ28
を介してやりとりされる。
【0348】図31は、スイッチ26が開状態であり、
かつ、負荷2が端子3dに接続されていない場合におけ
る、共振回路140の等価回路を示す。スイッチ26が
開状態であり、かつ、負荷2が端子3dに接続されてい
ない場合には、容量27と容量29とを流れる電流は反
対方向であり大きさは等しい。このことから(式1)が
成り立つ。
【0349】 C1・(dvg(t))/(dt)+C2・(dvf(t))/(dt)=0 ・・・(式1) ここで、 vf(t)、vg(t)は、時刻tにおける端
子3f、3gの電圧をそれぞれ表す。
【0350】インダクタ28の端子電圧は(式2)によ
って表される。
【0351】 vg(t)−vf(t)=L・(di)/(dt) ・・・(式2) ここで、iはインダクタ28を流れる電流を表し、端子
3gから端子3fに流れる電流を正符号とした。さら
に、インダクタ28を流れる電流iは容量27を流れる
電流と等しい。このことから(式3)が成り立つ。
【0352】 i=C2・(dvf(t))/(dt) ・・・(式3) (式1)〜(式3)を演算して、電圧vf(t)、v
g(t)について整理すると(式4)、(式5)が得ら
れる。
【0353】
【数1】 (式4)、(式5)を理解しやすくするために、実際の
設計値を考慮して、(式6)〜(式8)の条件を導入す
る。
【0354】 C1>>C2 ・・・(式6) C2/C1・vf(0)≒0 ・・・(式7) C2/C1・(vg(0)−vf(0))≒0 ・・・(式8) (式6)〜(式8)の条件を(式4)、(式5)に適用
すると、(式4)、(式5)は(式9)、(式10)に
示すように簡単化される。
【0355】
【数2】 ここで、vf(0)、vg(0)は時刻t=0における端
子3f、3gの電圧を表す。i(0)は時刻t=0にお
けるインダクタンス電流iを表す。さらに、αは(式1
1)によって表される。
【0356】
【数3】 (式6)〜(式8)の条件を(式11)に適用すると、
(式11)は(式12)に示すように簡単化される。
【0357】
【数4】 (式9)から、端子3fの電圧vf(t)は余弦関数で
表された第1項の交流成分と第2項の直流成分とによっ
て表されることが理解される。交流成分の周波数fR
余弦関数の時刻tの係数(角速度)から求められる。す
なわち、交流成分の周波数fRは(式13)によって表
される。
【0358】 fR=1/(2π・√(LC2)) ・・・(式13) 交流成分の振幅Afは余弦関数の係数である。すなわ
ち、交流成分の振幅Afは(式14)によって表され
る。
【0359】 Af=vf(0)−vg(0)+i(0)/C2 ・・・(式14) (式10)から、端子3gの電圧vg(t)は余弦関数
で表された第1項の交流成分と第2項の直流成分とによ
って表されることが理解される。端子3gの電圧v
g(t)の交流成分の周波数は端子3fの電圧vf(t)
の交流成分の周波数と等しい。
【0360】交流成分の振幅Agは余弦関数の係数であ
る。すなわち、交流成分の振幅Agは(式15)によっ
て表される。
【0361】 Ag=(i(0)/C1)・√(LC2) ・・・(式15) 実際の設計では、(式16)の条件を適用することがで
きる。
【0362】 vf(0)−vg(0),i(0)/C2>>i(0)/C1 ・・・(式1 6) (式16)から、端子3f、3gの電圧の交流成分の振
幅には次の関係があることがわかる。
【0363】Af>>Ag ・・・(式17) 実際の設計では、端子3gの振幅は端子3fの振幅の1
/50〜1/100程度である。
【0364】例えば、被変換電源から供給される電圧を
3V、電圧変換器20から出力される電圧を1.5Vと
仮定する。C1=50[μF]、C2=5[μF]、L=
100[nH]のときのシミュレーション結果による
と、端子3fの電圧の振幅は1.5V、端子3gの電圧
の振幅は20mVである。周波数は500[kHz]で
あった。したがって、端子3gの電圧の振幅は端子3f
の電圧の振幅の1/75である。
【0365】このように、端子3fの電圧vf(t)の
交流成分は大きな振幅を有する。一方、端子3gの電圧
g(t)の交流成分は、端子3fの電圧vf(t)と比
較するとほとんど無視できるほど小さい振幅を有するこ
とがわかる。
【0366】端子3fの電圧vf(t)の直流成分は端
子3gの電圧vg(t)の直流成分と近似的に等しい。
一例として、電圧変換器20から出力される電圧(端子
gの電圧vg(t))を1.5Vとすれば、端子3fの
電圧vf(t)の直流成分は1.5Vである。したがっ
て、端子3fの電圧vf(t)は1.5Vを中心に3V
から0Vまで振動することがわかる。
【0367】図34において、曲線aは、端子3fの電
圧の変化を示す。曲線aは、時刻tss以降で余弦波振
動をしている。ここで、余弦波が時間とともに減衰して
いるのは電圧変換器20の出力端子22に負荷2が接続
されているためである。
【0368】図31を参照して既に行った議論では、電
圧変換器20の出力端子22に負荷2が接続されていな
い場合を仮定していたため、(式4)、(式5)には減
衰項が表れなかった。実際には、電圧変換器20の出力
端子22に負荷2が接続されているため、(式4)、
(式5)に減衰項が発生する。電圧変換器20から負荷
2を通じて電流が流れだすためである。
【0369】図34に示されるように、余弦波は減衰す
る。図34において、VDDは被変換電源1の電圧を表
し、VPは目的の出力電圧を表す。
【0370】次に、図29〜図34を参照しながら、電
圧変換部3のスイッチ(PMOSトランジスタ)26の
開閉動作の制御を詳細に説明する。
【0371】まず、図32を参照しながら、電圧変換器
20の動作を説明する。
【0372】スタート信号は、端子24を介して電圧変
換器20に入力される。スタート信号が電圧変換器20
に入力される前は、基準電圧生成器12および検出器1
1は電流を消費しない。このように、基準電圧生成器1
2および検出器11が電流を消費しない動作をスリープ
という。
【0373】スタート信号に応答して、基準電圧生成器
12の動作は、スリープから基準電圧出力に移行する。
基準電圧出力期間では、基準電圧生成器12は動作を開
始し、基準電圧VS(図34における電圧VS)を検出器
11に出力する。
【0374】スタート信号に応答して、検出器11の動
作は、スリープからセットに移行する。セット期間で
は、検出器11は、基準電圧生成器12から出力される
基準電圧VSを標本化し保持する。
【0375】スタート信号に応答して、スイッチ26の
状態は開状態(OFF)から閉状態(ON)に変化す
る。
【0376】基準電圧VSを検出器11に出力した後、
基準電圧生成器12の動作は、基準電圧出力からスリー
プに戻る。
【0377】基準電圧VSを標本化し保持した後、検出
器11の動作は、セットから検出に移行する。検出期間
では、検出器11は、電圧変換部3の端子3e(端子
d、gと同じ)の電圧と基準電圧VSとを比較すること
により、端子3eの電圧が基準電圧VSより高いか否か
を検出する。
【0378】端子3eの電圧が基準電圧VSより高いこ
とが検出器11によって検出されると、検出器11はパ
ルス信号(図32の出力信号)を出力する。出力信号を
出力した後、検出器11の動作は、検出からスリープに
戻る。
【0379】出力信号に応答して、スイッチ26の状態
は閉状態(ON)から開状態(OFF)に変化する。
【0380】次に、図34を参照して、電圧変換器20
の動作を説明する。図34において、波形aは、電圧変
換部3の端子3cの電圧変化を示し、波形bは、電圧変
換部3の端子3eの電圧変化を示す。
【0381】スタート信号が電圧変換器20に入力され
る。これにより、電圧変換器20の動作が開始される。
時刻tsにおいて、スイッチ26の状態が開状態(OF
F)から閉状態(ON)に変化する。
【0382】時刻tsから時刻teまでの期間中、電圧変
換部3の端子3cおよび3eの電圧が基準電圧VS(電
圧変換器20の初期電圧)に上昇する。この期間をセッ
ト・アップ期間という。セット・アップ期間では、(式
6)の条件に従って端子3cの電圧(図34において波
形aで示される)と端子3eの電圧(図34において波
形bで示される)とが上昇する。端子3cの電圧は、端
子3eの電圧に比較して急速に上昇する。
【0383】時刻teから時刻tSLまでの期間中、電圧
変換部3の端子3dには負荷2が接続されていないと仮
定する。この期間をホールド期間という。このような仮
定をおくことができるのは、電圧変換器20の出力端子
22(電圧変換部3の端子3d)に接続されるLSIは
電圧変換器20のセット・アップ期間が終了してもすぐ
には動作せず、電圧変換器20のセット・アップ期間の
終了後、一定時間が経過した後に動作を開始することが
一般的だからである。
【0384】図29では、負荷2を抵抗の記号を用いて
表している。電圧変換器20の動作速度に比べて出力端
子22に接続されるLSIの動作速度は十分に早いの
で、LSIによる負荷を抵抗による負荷に近似的に置き
換えることができるからである。電圧変換器20の動作
は500kHz程度であるのに対して、LSIの動作は
一般的に20MHz以上である。
【0385】ホールド期間では、電圧変換部3の端子3
dの電圧は保持される。電圧変換部3の出力端子22に
負荷2は接続されないからである。ホールド期間におい
て端子3dの電圧が保持されることは、図34に示され
る波形bがホールド期間では横軸に平行であることによ
って表されている。
【0386】(式4)および(式5)に従って、端子3
cの電圧(波形a)と端子3eの電圧(波形b)とはと
もに正弦波振動を開始する。ここで、端子3eの電圧
(波形b)も正弦波振動をしているが図34には端子3
eの電圧(波形b)が正弦波振動している様子は示され
ていない。(式17)からわかるように、端子3eの電
圧(波形b)の振幅は端子3cの電圧(波形a)の振幅
に比べて十分に小さいからである。
【0387】ホールド期間における電圧変換部3の端子
3cの電圧の振幅は、他の期間に比べて大きくなってし
まう。これは、セット・アップ期間における電圧変化に
よって時刻teにおける端子3cの電圧が電源電圧VDD
よりも降下するからである。これにより、PMOSスイ
ッチ26の端子3f側のドレイン領域とウエル領域とに
より形成されているダイオードは順方向にバイアスされ
る。その結果、正弦波aはクランプされる。
【0388】時刻tSS以後は、電圧変換部3の端子3f
の電圧はクランプされない。これは、移行期間(時刻t
SLから時刻tSSまでの期間)において端子3fの電圧
(波形a)が一度クランプされると、それによって振動
エネルギーが減衰して端子3fの電圧(波形a)の振幅
が小さくなるためである。
【0389】時刻tSS以後の期間を定常動作期間とい
う。定常動作期間では、電圧変換部3の端子3f、3g
の電圧は正弦波振動をする。ただし、定常動作期間では
出力端子22に接続されるLSIは動作を開始するので
(負荷2が接続されているので)減衰型の正弦波振動と
なる。このように正弦波振動は実際には減衰している
が、正弦波振動の1周期程度の期間であれば端子3f、
3gの電圧は(式4)、(式5)に従って振動している
とみなすことができる。減衰量は十分に小さいからであ
る。
【0390】図35は、図34に示される時刻t1以後
の波形aおよび波形bを示す。定常動作期間における正
弦波振動の1周期以上の期間にわたって波形aおよび波
形bを観察すると、波形a、bの正弦波の振幅と直流成
分は減衰していくことになる。負荷2に電流が流れるか
らである。
【0391】図33は、定常動作期間における電圧変換
器20の動作を示す。
【0392】図33には、共振クロックの波形が示され
ている。共振クロックは、クロック生成器6によって電
圧変換部3の端子3fの正弦波振動をクロック・パルス
に整形することによって得られる。
【0393】共振クロックのレベルがHレベルからLレ
ベルに変化することに応答して、検出器8の動作は、ス
リープから標本に移行する。標本期間では、検出器8
は、電圧変換部3の端子3gの電圧を追従して保持する
といういわゆる標本化動作を行う。あるいは、検出器8
の動作は、被電圧供給回路(負荷)2が動作するタイミ
ングに同期して開始されてもよい。
【0394】標本期間の終了後、検出器8の動作は、標
本から比較に移行する。比較期間では、検出器8は、基
準電圧生成器9から出力される所望の電圧VPと標本化
された電圧とを比較する。その結果、所望の電圧VP
標本化された電圧よりも大きい(すなわち、標本化され
た電圧が所望の電圧VPより小さい)場合には、検出器
8から出力される信号のレベルがLレベルからHレベル
に変化する。比較期間の終了後、検出器8の動作はスリ
ープに戻る。
【0395】検出器8の動作が標本から比較に移行する
のに同期して、基準電圧生成器9の動作がスリープから
電圧出力に移行する。電圧出力期間では、基準電圧生成
器9は、所望の電圧VPを検出器8に出力する。電力出
力期間の終了後、基準電圧生成器9の動作はスリープに
戻る。
【0396】検出器8から出力される信号のレベルがH
レベルである場合には、共振クロックのレベルがLレベ
ルからHレベルに変化することに応答して、基準電圧生
成器14の動作は、スリープから電圧出力に移行する。
電圧出力期間では、基準電圧生成器14は、基準電圧V
Sを検出器15に出力する。基準電圧VSは、スイッチ2
6を閉状態にするタイミングを決定するために使用され
る。電圧出力期間の終了後、基準電圧生成器14の動作
はスリープに戻る。
【0397】基準電圧生成器14の動作がスリープから
電圧出力に移行するのに同期して、検出器15の動作
は、スリープからセットに移行する。セット期間では、
検出器15は、基準電圧生成器14から出力される基準
電圧VSを標本化し保持する。その後、検出器15の動
作は、セットから検出に移行する。検出期間では、検出
器15は、電圧変換部3の端子3fの電圧(図35の波
形a)と基準電圧VSとを比較することにより、端子3
fの電圧(図35の波形a)が基準電圧VSに到達した
か否かを検出する。端子3fの電圧(図35の波形a)
が基準電圧VSに到達した場合には(図35の点1)、
検出器15から出力される信号のレベルがLレベルから
Hレベルに変化する。検出器15から出力される信号の
レベルが変化したことは、同期回路5に伝達される。同
期回路5は、この信号のレベル変化に応答して、スイッ
チ26の状態を開状態から閉状態に変化させる。検出期
間の終了後、検出器15の動作はスリープに戻る。
【0398】検出器8から出力される信号のレベルがH
レベルである場合には、共振クロックのレベルがLレベ
ルからHレベルに変化することに応答して、基準電圧生
成器17の動作は、スリープから電圧出力に移行する。
電圧出力期間では、基準電圧生成器17は、基準電圧V
Cを検出器15に出力する。基準電圧VCは、スイッチ2
6を開状態にするタイミングを決定するために使用され
る。電圧出力期間の終了後、基準電圧生成器17の動作
はスリープに戻る。
【0399】基準電圧生成器17の動作がスリープから
電圧出力に移行するのに同期して、検出器18の動作
は、スリープからセットに移行する。セット期間では、
検出器18は、基準電圧生成器17から出力される基準
電圧VCを標本化し保持する。その後、検出器18の動
作は、セットから検出に移行する。検出期間では、検出
器18は、電圧変換部3の端子3fの電圧(図35の波
形a)と基準電圧VCとを比較することにより、端子3
fの電圧(図35の波形a)が基準電圧VCに到達した
か否かを検出する。端子3fの電圧(図35の波形a)
が基準電圧VCに到達した場合には(図35の点2)、
検出器18から出力される信号のレベルがLレベルから
Hレベルに変化する。検出器18から出力される信号の
レベルが変化したことは、同期回路5に伝達される。同
期回路5は、この信号のレベル変化に応答して、スイッ
チ26の状態を閉状態から開状態に変化させる。検出期
間の終了後、検出器18の動作はスリープに戻る。
【0400】スイッチ26は、検出器15から出力され
る信号がLレベルからHレベルに変化してから検出器1
8から出力される信号がLレベルからHレベルに変化す
るまでの期間において閉状態(ON)となり、その他の
期間において開状態(OFF)となる。このように、ス
イッチ26は、端子3fの電圧が電源1から供給される
電圧VDDより小さく、目的の電圧VPより大きい期間に
おいて、開閉される。
【0401】上述した定常動作期間における電圧変換器
3の動作を要約すると以下のようになる。
【0402】電圧変換部3の端子3gの電圧が所望の電
圧VPを下回っていることが検出部8によって検出され
ると、動作開始信号が同期回路5を経由して検出部8か
ら検出器15および検出器18に送られる。動作開始信
号に応答して、電源1から電圧変換部3に電荷を注入す
る動作が開始される。
【0403】検出部15と検出部18とは、検出部8か
らの動作開始信号に応答して、それぞれの動作を開始す
る。端子3fの電圧が基準電圧VSに到達したことが検
出部15によって検出されると、スイッチ26は開状態
から閉状態に変化するように制御される。その後、端子
3fの電圧が基準電圧VC(>基準電圧VS)に到達した
ことが検出部18によって検出されると、スイッチ26
は閉状態から開状態に変化するように制御される。
【0404】あるいは、スイッチ26が開状態から閉状
態に変化するように制御された後、所定の期間が経過し
た後にスイッチ26が閉状態から開状態に変化するよう
に制御されてもよい。あるいは、スイッチ26が開状態
から閉状態に変化するように制御された後、端子3fの
電圧が基準電圧VC(>基準電圧VS)に到達したことが
検出部18によって検出されてから所定の期間が経過し
た後にスイッチ26が閉状態から開状態に変化するよう
に制御されてもよい。
【0405】スイッチ26が閉状態である期間中、被変
換電源1と電圧変換部3とが接続される。その結果、被
変換電源1から電圧変換部3に電荷が注入され、電力が
供給される。
【0406】本発明による電圧変換器20は、消費電力
がきわめて小さいという利点を有している。その理由を
以下に述べる。
【0407】スイッチ26が閉状態である期間中、被変
換電源1から電圧変換部3に電流が流れる。被変換電源
1から電圧変換部3に流れ込む電流はPMOSスイッチ
26のソース端子(被変換電源1に接続されている側の
端子)からドレイン端子(端子3fに接続されている側
の端子)に流れる。PMOSスイッチ26のソース端子
からドレイン端子間には抵抗が存在する。従って、PM
OSスイッチ26の端子間(ソース端子とドレイン端子
との間)で電圧が発生し、端子間を流れる電流によって
電力が消費される。このような電力の消費が電圧変換の
ときに発生する変換エネルギー損失である。変換エネル
ギー損失率ηcは(式18)によって定義される。
【0408】 ηc=(PMOSスイッチ26のソース端子とドレイン端子間で消費される 電力)/(負荷2で消費される電力) ・・・(式18) 変換効率が悪い電圧変換器とは、変換エネルギー損失率
ηcが大きい電圧変換器をいう。逆に、変換効率が良い
電圧変換器とは、変換エネルギー損失率ηcが小さい電
圧変換器をいう。(式18)の分母は負荷2の抵抗値と
変換後の電圧とが一定の場合にはオームの法則によって
一定である。そこで、変換エネルギー損失率ηcを小さ
くするためには分子を小さくする必要がある。PMOS
スイッチ26のソース端子とドレイン端子間で発生した
電圧をVds、その端子間を流れる電流をId(ソース端
子からドレイン端子に流れる電流の向きを正とする。)
とすると消費電力Ptは次式で表される。
【0409】Pt=Vds・Id ・・・(式19) 負荷2の抵抗値と変換後の電圧とが一定の場合には、供
給しなければならない電流Id(供給しなければならな
い総電荷量)は一定である。従って、消費電力Ptを小
さくすることは、端子間電圧Vdsを小さくすることによ
って達成できる。
【0410】電圧変換器20は、図35に示されている
ように電圧変換部3の端子3fの電圧を振動させて、P
MOSスイッチ26のソース端子に接続されている被電
源電圧1の電圧VDDと端子3fの電圧(波形a)とを近
接させてPMOSスイッチ26を閉じる。被電源電圧1
の電圧VDDと端子3fの電圧とを近接させてPMOSス
イッチ26を閉じることにより、消費電力Ptを小さく
することが可能になる。そのようなタイミングでPMO
Sスイッチ26を閉じることにより、ソース端子とドレ
イン端子間を流れる電流Idが同一という仮定の下で、
ソース端子とドレイン端子間に発生した電圧Vdsを小さ
くできるからである。
【0411】さらに、電圧変換部3における抵抗成分
は、PMOSスイッチ26のソース端子とドレイン端子
間の抵抗であるから、この部分での消費電力が小さいこ
とは上述のとうりである。この点から電圧変換部3での
発熱がほとんどない。
【0412】さらに、検出器8が基準電圧生成器9から
出力される基準電圧VP(所望の電圧)と電圧変換部3
の端子3dの電圧とを比較した結果において、基準電圧
P(所望の電圧)が端子3dの電圧よりも低い場合に
は、検出器15、基準電圧生成器14、同期回路16、
検出器18、基準電圧生成器17および同期回路19は
動作しない。例えば、図33に示される2周期目の動作
がこれに相当する。このように、制御部130が条件的
な動作を行うことにより、消費電力を削減している。さ
らに、消費電力をさげるためには、電圧変換器20から
出力される出力電流が小さいときに検出器8、基準電圧
生成器9の動作周期を長くすればよい。
【0413】さらに、本発明による電圧変換器20は次
のような利点を有している。検出器8、基準電圧生成器
9、検出器11、基準電圧生成器12、検出器15、基
準電圧生成器14、検出器18および基準電圧生成器1
7によって消費される電力は、制御部130全体によっ
て消費される電力の大部分を占めている。一般に、制御
回路系における電力消費の主な要因は、高精度および/
または高速な動作が要求される点にある。例えば、基準
電圧生成器においては高精度な電圧出力が要求されるほ
ど消費電力が増大する。また、検出器においては高精度
かつ高速な検出が要求されるほど消費電力が増大する。
従って、低消費電力化のためには制御回路系は低精度な
電圧出力、低精度と低速の検出を行うことが好ましい。
本発明による電圧変換器20における電圧変換部3の共
振周波数は上述のように1MHz〜500kHz程度で
あるから、電圧変換部3の端子3fの電圧は非常にゆっ
くり変化する。従って、電圧変換部3を制御する制御部
130は、高精度かつ高速な動作を必要としない。例え
ば、図35における点1、2の検出は低速で十分である
し、低精度な検出で十分である(高速動作では、高精
度、高速の検出が必要である)。
【0414】このようにして、制御部130の消費電力
を極めて小さくすることが可能となる。実際の設計で
は、制御部130の消費電力を1mW以下に抑えること
ができることが確認された。このことは、負荷2の消費
電力が10mW以下となった場合であっても、制御部1
30の消費電力が負荷2の消費電力の約10%にしかす
ぎないことを意味する。共振周波数を低く設定できるの
で、共振動作によるノイズ周波数を低くすることができ
る。
【0415】図53Aは、従来のDC/DC変換器にお
ける負荷の消費電力PLと変換損失Ptとの関係を示す。
図53Bは、本発明による電圧変換器20における負荷
の消費電力PLと変換損失Ptとの関係を示す。ここで、
変換損失Ptは、制御系回路の消費電力PCと電圧変換部
の消費電力PSを加算することよって得られる。すなわ
ち、Pt= PC+PSである。
【0416】図54Aは、従来のDC/DC変換器にお
ける負荷の消費電力PLと総合損失率ηCtとの関係を示
す。図54Bは、本発明による電圧変換器20における
負荷の消費電力PLと総合損失率ηCtとの関係を示す。
ここで、総合損失率ηCtは、変換損失Ptを負荷の消費
電力PLで割り算することによって得られる。すなわ
ち、ηCt=Pt/PL=(PC+PS)/PLである。
【0417】表2に、従来のDC/DC変換器61およ
び本発明による電圧変換器20の特性をまとめた。
【0418】表2
【0419】
【表2】 さらに、本発明による電圧変換器20は、オンチップ化
が容易であるという利点を有している。その理由を以下
に説明する。
【0420】共振回路140のインダクタ28の値は1
00nH程度で足りる。このように、インダクタ28の
値が十分に小さいので、電圧変換器20をシリコン基板
上に形成することは容易である。また、インダクタ28
の値が十分に小さいので、輻射電磁波ノイズもほとんど
発生しない。その上、スイッチ26の両端子には大きな
電圧差が生じないので、スイッチ26の両端子に大きな
電圧差が生じたときに生じるとつ入電流によるノイズも
発生しない。
【0421】また、スイッチ26としてPMOSスイッ
チを使用した場合には、スイッチ26のオン抵抗を50
0mΩ程度にすることができる。このように、スイッチ
26のオン抵抗が十分に大きいので、電圧変換器20を
シリコン基板上に形成することは容易である。500m
Ω程度のオン抵抗を有するスイッチを使用した場合で
も、90%以上の変換効率を確保することが可能であ
る。
【0422】以下、電圧変換器20の非定常動作を説明
する。電圧変換部3の端子3fの正弦波の振動電圧はク
ロック生成器6によって方形波のクロック・パルスに変
換されている。クロック生成器6から出力されるクロッ
ク・パルスは同期回路10、16および19に供給され
る。従って、このクロック・パルスが正しく出力されな
いことは、電圧変換器20の誤動作を引き起こす。検出
器8、15および18と基準電圧生成器9、14および
17とは、同期回路10、16および19から供給され
るクロック・パルスに同期して動作しているからであ
る。
【0423】クロック検出器7は、クロック生成器6か
らクロック・パルスが正しく出力されない場合に、電圧
変換器20の動作を正常な動作に戻すために設けられて
いる。クロック・パルスが正しく出力されないことは、
例えば、電圧変換部3の端子3fの電圧変動に異常が発
生した場合に起こり得る。クロック検出部7は、クロッ
ク生成器6からクロック・パルスが正しく出力されてい
ないことを検出すると、リセット信号を同期回路13に
出力する。
【0424】同期回路13は、リセット信号に応答し
て、電圧変換器20の動作を再開始する。同期回路13
がリセット信号を受け取った後の電圧変換器20の動作
は、同期回路13が端子24を介してスタート信号を受
け取った後の電圧変換器20の動作と同様である。この
ようにして、電圧変換部3における共振動作が再生さ
れ、クロック生成器6から出力されるクロック・パルス
が再生される。その結果、電圧変換器20の動作は、定
常動作に戻る。
【0425】以下、電圧変換器20の他の非定常動作を
説明する。
【0426】端子3fの振動振幅が小さくなると、端子
3fの電圧が基準電圧VSには到達するが、基準電圧VC
には到達しないということが起こり得る。この場合、P
MOSスイッチ26の状態は、開状態から閉状態に変化
した後、閉状態のままとなり、閉状態から開状態に変化
できないことになる。
【0427】このような非定常動作は、同期回路5によ
って検出される。同期回路5は、電圧変換部3の容量2
7、29とインダクタ28によって決定される所定の期
間(共振回路の振動周期)内に、以下に示す3つの信号
のうちいずれか1つが生成されなかったことを検出した
場合には、リセット信号を同期回路13に出力する。
【0428】・検出器8から同期回路5を経由して検出
器15および検出器18に出力される動作開始信号 ・検出器15から同期回路5に出力される信号であっ
て、PMOSスイッチ26の状態を開状態から閉状態に
変化させるタイミングを規定する信号 ・検出器18から同期回路5に出力される信号であっ
て、PMOSスイッチ26の状態を閉状態から開状態に
変化させるタイミングを規定する信号 同期回路13は、リセット信号に応答して、電圧変換器
20の動作を再開始する。同期回路13がリセット信号
を受け取った後の電圧変換器20の動作は、同期回路1
3が端子24を介してスタート信号を受け取った後の電
圧変換器20の動作と同様である。このようにして、電
圧変換部3における共振動作が再生される。その結果、
電圧変換器20の動作は、定常動作に戻る。
【0429】さらに、電圧変換器20の定常動作とは異
なる動作を説明する。
【0430】電圧変換器20から出力される電圧(端子
22の電圧)は、電圧変換器20の端子3eの電圧が基
準電圧生成器9から出力される基準電圧VP(所望の電
圧)に一致するように変動される。所望の電圧VPは、
端子25を介して基準電圧生成器9に入力される信号に
よって指定される。基準電圧生成器9に入力される信号
によって所望の電圧VPの変更が指示されると、電圧変
換器20から出力される電圧(端子22の電圧)は変更
後の所望の電圧VPに向かって変化していく。
【0431】電圧変換器20から出力される電圧が低下
する場合には、電圧変換部3の端子3fの振動振幅が減
衰していくので、前回の所望の電圧から次の所望の電圧
までの電圧差が大きいと端子3fの振動振幅の減衰も大
きくなる。端子3fの振動振幅を保持するために、前回
の所望の電圧と次の所望の電圧と間に中間の電圧を設
け、電圧変換器20から出力される電圧がその中間の電
圧を下回ったときに、検出器15、18を動作させて、
PMOSスイッチ26の開閉動作を行うようにすればよ
い。このように、電圧変換部3の共振回路に電荷(共振
エネルギー)を供給することにより、端子3fの振動振
幅を回復することが可能となる。
【0432】次に、電圧変換部3に電荷を供給する他の
方法を説明する。図35を参照して上述した方法によれ
ば、端子3fの電圧が上昇する期間において、点1にお
いてPMOSスイッチ26の状態が開状態から閉状態に
変化し、点2においてPMOSスイッチ26の状態が閉
状態から開状態に変化するように、電圧変換部3に電荷
を供給するタイミングが制御される。
【0433】端子3fの電圧が上昇する期間の代わり
に、端子3fの電圧が下降する期間において、電圧変換
部3に電荷を供給するようにしてもよい。
【0434】図36は、定常動作状態における端子3f
の電圧変化(波形a)と端子3eの電圧変化(波形b)
とを示す。図36に示されるように、端子3fの電圧が
基準電圧VSに到達した時点(点3)でPMOSスイッ
チ26の状態が開状態から閉状態に変化し、端子3fの
電圧が基準電圧VCに到達した時点(点4)でPMOS
スイッチ26の状態が閉状態から開状態に変化するよう
に、電圧変換部3に電荷を供給するタイミングを制御す
るようにしてもよい。
【0435】もちろん、端子3fの電圧が上昇する期間
において電圧変換部3に電荷を供給する動作(図35)
と、端子3fの電圧が下降する期間において電圧変換部
3に電荷を供給する動作(図36)とを組み合わせるこ
とも可能である。このような2つの動作を組み合わせれ
ば1つの動作による電圧変換動作よりも高効率の電圧変
換動作を実現することができる。このように、2つの動
作を組み合わせることは、変換効率の点で好ましく、P
MOSスイッチ26の制御が複雑になる点で好ましくな
い。しかし、回路規模の増大は無視できる程に小さいの
で優れた電圧変換動作であると考えることができる。た
だし、PMOSスイッチ26の動作を制御する制御回路
の消費電力が大きくなるので、電圧変換器20からの出
力電流値が大きいときは2つの制御を組み合わせるのが
望ましく、電圧変換器20からの出力電流値が小さいと
きには1つの制御による動作が適している。
【0436】図37Aおよび図37Bは、検出器8の構
成と動作を示す。図37Aにおいて、入力端子I1は電
圧変換部3の端子3e(端子3g)に接続されている。
入力端子I2には基準電圧生成器9から出力される電圧
が入力される。検出器8は、トランジスタ30〜35、
37、38と容量36とを含むチョッパ比較器と、論理
ゲート39、40とを含んでいる。
【0437】チョッパ比較器は、図37Bに示される動
作に従って電圧変換部3の端子3g(端子3e、3d、
出力端子22)の電圧と基準電圧生成器9から出力され
る電圧とを比較する。クロック・パルスφ1(φ1Bはφ1
の反転クロック・パルス)がLレベルからHレベルに変
化した期間(図37Bにおける標本期間)では電圧変換
部3の端子3g(端子3e、3d、出力端子22)の電
圧を追従して保持する。クロック・パルスφ1がHレベ
ルからLレベルに変化した期間(図37Bにおける比較
期間)では、端子I2に基準電圧生成器9から出力され
る電圧が入力される。端子3gの電圧が基準電圧生成器
9から出力される電圧よりも小さいときは、インバータ
(トランジスタ37、38)の出力端子ではLレベルの
信号が出力される。
【0438】クロック・パルスφ4(φ4Bはφ4の反転ク
ロック・パルス)がLレベルからHレベルに変化する
と、端子3gの電圧と基準電圧生成器9から出力される
電圧の比較結果が検出器8から出力することが可能とな
り、出力端子OはLレベルからHレベル(端子3gの電
圧が基準電圧生成器9から出力される電圧よりも小さい
とき)に変化する。クロック・パルスφ4がLレベルか
らHレベルに変化する時刻はチョッパ比較器が比較期間
に入って(クロック・パルスφ2がHレベルに変化す
る)から遅延している。これは、チョッパ比較器の出力
値が比較期間の初期では不安定であり、不安定な信号を
検出器8から出力されないようにするためである。検出
器8は、電圧変換部3から出力される電圧(端子3eの
電圧)を保持した後(標本化した後)に、標本化された
電圧と基準電圧生成器9から出力される電圧と比較す
る。このように端子3eの電圧を標本化する理由は、負
荷2がデジタルLSIであった場合におけるノイズの影
響を軽減するためである。端子3eの電圧を標本化する
ことにより、端子22に重畳されたノイズを加算した電
圧を検出器8が検出することを回避することができる。
【0439】図38は、負荷2がデジタルLSIである
場合に、ノイズの影響を低減する方法を示す。端子23
を介して同期回路10に入力されるクロック・パルスを
端子22に接続されたデジタルLSIのクロック・パル
スとする(同期クロック・パルスとする)ことによっ
て、デジタルLSIから発生しているノイズのタイミン
グを計り、回避することができる。図38において、シ
ステム・クロックはデジタルLSI(負荷2)に入力さ
れている動作クロック・パルスである。図38では、シ
ステム・クロックが変化する点でデジタルLSIがノイ
ズを発生させている様子が、電圧変換器20から出力さ
れる電圧VPにノイズが重畳されていることによって表
されている。重畳されたノイズはシステム・クロックの
変化点から一定の時間tdが経過すると減衰するので、
時刻tdが経過したのちに検出器8が電圧変換部3の端
子3eの電圧を保持することにより、ノイズを回避する
ことができる。端子23に入力されるクロック・パルス
は、端子22に接続されたデジタルLSIに入力されて
いるクロック・パルスと同じ周期でなくてもよいが、同
期がかかっていることが必要である。
【0440】図52を参照して、LSIのノイズの発生
機構を説明する。LSIは、パッケージの中にシリコン
・チップを組み込んでいる。パッケージのピンとシリコ
ン・チップとの間はボンディング・ワイヤによって接続
されている。このボンディング・ワイヤはインダクタン
スLpを有している。システム・クロックが変化するこ
とにより、シリコン・チップには電流i(t)が流れ
る。電流i(t)が変化すると、インダクタンスLp
よって電圧が発生する。この電圧がノイズとなるわけで
ある。
【0441】図39Aは、検出器15の構成を示す。検
出器18の構成は検出器15の構成と同一であるから、
検出器15について詳細な説明をし、検出器18の説明
は省略する。
【0442】図37Aと異なるのは端子I1、I2に接続
されたスイッチがPMOSスイッチ41、42である点
である。スイッチとしてPMOSスイッチ41、42を
使用するのは、以下の理由による。電圧変換器20から
出力される電圧が被変換電源1の電圧の1/2よりも小
さい場合には、端子I2(電圧変換部3の端子3fの電
圧が入力される端子)の電圧が0V以下に振動する。ス
イッチとしてNMOSトランジスタを使用するか、並列
接続されたPMOSトランジスタを使用する構成では、
NMOSトランジスタのドレイン(ソース)とウエルで
構成されたダイオードは順方向にバイアスされてしま
い、電圧変換部3からダイオードを通して電荷が損失さ
れてしまう。この電荷の損失は共振回路に供給された電
荷の損失であり、電圧変換効率を低下させる。
【0443】このような電荷の損失を避けるために、P
MOSスイッチ41、42を使用しているのである。
【0444】出力端子にANDゲートを使用しているの
は、基準電圧生成器14から出力される電圧が電圧変換
部3から出力される電圧を越えたときに検出器15から
出力される信号がLレベルからHレベルに変化するよう
にするためである。クロック・パルスφ4がLレベルか
らHレベルに変化する時刻はチョッパ比較器が比較期間
に入って(クロック・パルスφ2BがLレベルに変化す
る)から遅れている。これは、チョッパ比較器の出力値
が比較期間の初期では不安定であり、不安定な信号を検
出器15から出力しないようにするためである。
【0445】図39Bは、検出器15の動作を示す。標
本期間(基準電圧生成器14の電圧を標本化)ではクロ
ック・パルスφ1BがLレベルになり、比較期間ではクロ
ック・パルスφ2BがLレベルに変化する。
【0446】なお、クロック生成器6によって変換され
たクロック・パルスは端子3fの正弦波の振動電圧の周
期としているが逓倍の周期であってもよく、端子3fの
正弦波の振動周期の2倍のクロック・パルスとすると、
検出器8は図33に示された動作周期の2倍の周期で電
圧変換部3の出力電圧(端子3gの電圧)を標本化する
ことになる。検出器8の動作周期は低い方が電圧変換器
20の全体で消費される電力が小さくなる。しかしなが
ら、電圧変換器20の出力電圧を大きくすると、PMO
Sスイッチ26で消費される電力が大きくなる傾向があ
るので負荷2の大きさによって適切な設計にする必要が
ある。 (実施の形態2)図40は、電圧変換器20の他の構成
を示す。図40に示される電圧変換器の構成は、モニタ
661を除いて図29に示される電圧変換器20の構成
と同一である。
【0447】モニタ661は2つの入力端子と3つの出
力端子とを有している。モニタ661の一方の入力端子
は、電圧変換部3の端子3dに接続されている。モニタ
661の他方の入力端子は、同期回路10に接続されて
いる。モニタ661の3つの出力端子は、同期回路5と
基準電圧生成器14、17にそれぞれ接続されている。
モニタ661は、電圧変換部3の出力端子3dの電流
(時間あたりに低下する電圧)を検出する。この電流
(時間あたりに低下する電圧)から負荷2に流れ込む電
流(時間あたりに低下する電圧)を求めることができる
からである。モニタ661は、負荷2によって消費され
る電力に実質的に等しい電力を電源1から電圧変換部3
に供給する。例えば、モニタ661は負荷2によって消
費される電流が増大することを検出すると、電圧変換部
3に含まれるPMOSスイッチ26が閉状態である期間
を増やすことによって、電圧変換部3に供給する電荷量
を増やす。
【0448】PMOSスイッチ26が閉状態である期間
を増加させるには、例えば、基準電圧生成器14から出
力される電圧(この電圧によってスイッチ26が開状態
から閉状態に変化するタイミングが決定される)を低下
させ、基準電圧生成器17から出力される電圧(この電
圧によってスイッチ26が閉状態から開状態に変化する
タイミングが決定される)を上昇させればよい。
【0449】ところで、電圧変換効率に関しては次のよ
うなことが考えられる。PMOSスイッチ26が閉状態
となる期間は短く、電圧変換部3の端子3fの振動電圧
が被変換電源1の電圧に近い所で、スイッチ26が閉状
態となる期間が設定されることが電圧変換効率を良くす
る上で好ましい。より優れた変換効率を実現するために
基準電圧生成器14、17から出力される電圧を調整す
ることが望ましい。
【0450】PMOSスイッチ26が閉状態となる期間
を増加させるために、基準電圧生成器14、17から出
力される電圧を検出器8の動作状態に応じて調整するよ
うにしてもよい。例えば、電圧変換部3の端子3eの電
圧と基準電圧生成器9から出力される電圧の比較結果が
2回つづけて、端子3eの電圧が基準電圧生成器9から
出力される電圧を下回る場合には、負荷2で消費される
電荷量がPMOSスイッチ26を閉状態とすることによ
り被変換電源1から供給される電荷量より大きいことを
意味する。このような場合には、PMOSスイッチ26
が閉状態となる期間を増大させないと、電圧変換器20
の出力端子22の電圧は所望の電圧を維持することがで
きない。そこで、検出器8は、2回つづけて端子3eの
電圧が基準電圧生成器9から出力される電圧を下回って
いることを示す信号をモニタ661に送る。モニタ66
1は、検出器8からの信号に応答して、基準電圧生成器
14、17から出力される電圧を調整して、PMOSス
イッチ26が閉状態となる期間を増大させる。
【0451】このように、モニタ661が電圧変換部3
の出力電流を検出することに代えて、検出器8が電圧変
換部3の端子3eの電圧と基準電圧生成器9から出力さ
れる電圧の比較結果における端子3eの電圧が基準電圧
生成器9から出力される電圧を下回る頻度を検出するこ
とにより、PMOSスイッチ26が閉状態となる期間を
増大させることができる。
【0452】さらに、電圧変換部3に含まれるPMOS
スイッチ26の状態が閉状態から開状態に変化するタイ
ミングは、基準電圧生成器17から出力される電圧を上
昇させることによって遅延させることができるだけでは
なく、モニタ661からの信号によって同期回路5から
のPMOSスイッチ26の閉状態から開状態への動作信
号を遅延させることによっても実現することができる。
同期回路5からのPMOSスイッチ26の閉状態から開
状態への動作信号を遅延させるほうが、回路規模を増大
させずに微細な調整ができる。従って、基準電圧生成器
17によって粗調整し、同期回路5からのPMOSスイ
ッチ26の閉状態から開状態への動作信号を遅延させる
ことによって微調整を行うのが、優れた調整方法である
といえる。
【0453】図41は、モニタ661の処理の手順を示
す制御フローである。
【0454】制御ブロックC1では、電圧変換部3の端
子3dの電圧Vdと目的の電圧(すなわち、基準電圧生
成器9から出力される電圧)Vpとが比較される。電圧
dが電圧Vpより小さい場合には、処理は制御ブロック
C2に進む。電圧Vdが電圧V pより大きい場合には、制
御ブロックC3の処理が繰り返される。制御ブロックC
1において電圧Vdと電圧Vpとを比較した結果は、制御
ブロックC2において記憶される。制御ブロックC2で
は、制御ブロックC1における比較結果が5回連続して
d<Vpである場合が検出される。Vd<Vpが5回連続
すると、制御ブロックC3において電圧VsがΔVだけ
下げられる。ここで、電圧Vsは、基準電圧生成器14
から出力される電圧であり、電圧ΔVは、電圧Vsを変
動させるときの最小電圧幅である。制御ブロックC3の
処理が終了した後、処理は制御ブロックC1に戻る。
【0455】制御ブロックC2においてVd<Vpが5回
連続したことが検出されることは、電源1から電圧変換
部3に供給される電力が負荷2で消費される電力より小
さいことを意味する。ところで、Vd<Vpが5回連続す
るまで待つのはマージンをとるためである。電圧Vd
電圧Vpより小さい場合には電源1から電圧変換部3に
電力が供給され、この供給された電力が負荷2で消費さ
れる電力よりも小さい場合には、制御ブロックC1にお
ける次の比較においても電圧Vdは電圧Vpより小さくな
る。従って、Vd<Vpが2回連続することは、電源1か
ら電圧変換部3に供給される電力が不足していることを
意味する。しかしながら、電圧Vdと電圧Vpとの比較は
ノイズの影響を受けやすい。特に、電圧Vdが電圧Vp
近ければそれだけノイズの影響を受けやすくなる。ノイ
ズの影響を受けにくくするためには、Vd<Vpが2回連
続した場合に電源1から電圧変換部3に供給される電力
が不足していると判定するよりも、Vd<Vpが5回連続
した場合に電源1から電圧変換部3に供給される電力が
不足していると判定する方が好ましい。3回分のマージ
ンを取ることによりノイズによる比較ミスが除外される
ので、判定がより確実となるからである。制御ブロック
C3において電圧VsをΔVだけ下げることは、電源1
から電圧変換部3に供給される電力を増やすことを意味
する。電圧V sを下げると、スイッチ26が閉状態とな
る期間が長くなるからである。
【0456】制御ブロックC4〜C6においても制御ブ
ロックC1〜C3と同様の処理が行われる。すなわち、
制御ブロックC4では、電圧Vdと電圧Vpとが比較され
る。制御ブロックC5においてVd>Vpが5回連続した
ことが検出された場合には、制御ブロックC6において
電圧VsがΔVだけ上げられる。制御ブロックC5にお
いてVd>Vpが5回連続したことが検出されることは、
電源1から電圧変換部3に供給される電力が負荷2で消
費される電力より大きいことを意味する。制御ブロック
C6において電圧VsをΔVだけ上げることは、電源1
から電圧変換部3に供給される電力を減らすことを意味
する。電圧Vsを上げると、スイッチ26が閉状態とな
る期間が短くなるからである。
【0457】図42は、図41の制御フローを実現する
ための回路構成例を示す。基準電圧生成器141は、電
圧Vpを生成する。検出器142は、電圧Vdと電圧Vp
とを比較する。検出器142は、Vd<Vpの場合には”
0”をシフトレジスタ143に出力し、Vd>Vpの場合
には”1”をシフトレジスタ143に出力する。シフト
レジスタ143は、検出器142からの”0””1”の
出力信号を5回にわたって保持する。エンコーダ144
は、シフトレジスタ143に保持された5回分のデータ
がすべて”0”である場合(すなわち、”0”が5回連
続した場合)には、基準電圧生成器14から出力される
電圧VsをΔVだけ下げ、シフトレジスタ143に保持
された5回分のデータがすべて”1”である場合(すな
わち、”1”が5回連続した場合)には、基準電圧生成
器14から出力される電圧VsをΔVだけ上げる。この
ようにして、図41に示す制御が実現される。
【0458】図43は、基準電圧生成器14から出力さ
れる電圧Vsが変化する様子を示す。一度の電圧変化で
十分でない場合には、電源1から電圧変換部3に供給さ
れる電力が負荷2で消費される電力に等しくなるまでさ
らに電圧変化が繰り返される。
【0459】図44は、電圧Vcを決定する処理の手順
を示す制御フローである。
【0460】制御ブロックC7では、電圧変換部3の端
子3dの電圧Vdと目的の電圧(すなわち、基準電圧生
成器9から出力される電圧)Vpとが比較される。電圧
dが電圧Vpより小さい場合には、処理は制御ブロック
C8に進み、そうでない場合には、制御ブロックC7の
処理が繰り返される。制御ブロックC8では、Vd<Vp
が5回連続したか否かが判定される。Vd<Vpが5回連
続した場合には、処理は制御ブロックC7に戻る。そう
でない場合には、処理は制御ブロックC9に進む。制御
ブロックC9では、電圧VcがΔVだけ上げる。その
後、処理は制御ブロックC10に進む。制御ブロックC
10では、電圧Vdと電圧Vpとが比較される。電圧Vd
が電圧Vpより大きい場合には、処理は制御ブロックC
11に進み、そうでない場合には、制御ブロックC10
の処理が繰り返される。制御ブロックC11では、Vd
>Vpが5回連続したか否かが判定される。Vd>Vp
5回連続した場合には、処理は制御ブロックC7、C1
4に戻る。そうでない場合には、処理は制御ブロックC
12、C13に進み、電圧Vcが2ΔVだけ下がる。そ
の後、処理は制御ブロックC7、C14に戻る。制御ブ
ロックC14では、電圧Vd電圧Vpとが比較される。電
圧Vdが電圧Vpより大きい場合には、処理は制御ブロッ
クC15に進み、そうでない場合には、制御ブロックC
14の処理が繰り返される。制御ブロックC15では、
d>Vpが5回連続したか否かが判定される。Vd>Vp
が5回連続した場合には、処理は制御ブロックC14に
戻る。そうでない場合には、処理は制御ブロックC9に
進む。
【0461】制御ブロックC7〜C15の意味を以下に
述べる。制御ブロックC7、C8のフローは、電圧Vd
が電圧Vpより小さい期間が5回連続していることか
ら、図41に示した制御フローでも述べたように、
「幅」(電圧 Vsと電圧Vcの電位差)を決定している
最中であることを意味する。制御ブロックC14、C1
5のフローについても同様である。制御ブロックC8、
C15の出力が「No」であるならば、その幅は決定さ
れていることを意味する。その幅が決定された時点で、
「高さ」(電圧Vc)が決定される。制御ブロックC9
では、電圧VcがΔVだけ上げられる。この動作は、図
41に示される制御後の適切な幅から意図的に電圧Vc
を変動させることを意味している。適切な幅を意図的に
広げれば(電圧VcをΔVだけ上げれば)、電源1から
電圧変換部3に供給される電力は増大するから、制御ブ
ロックC10における電圧Vdと電圧Vpとの比較は、V
d>Vpが5回連続すると予想される。Vd>Vpが5回連
続すれば、図44の制御フローは完了する。しかしなが
ら、Vd>Vpが5回連続しない場合には電圧Vcを上げ
すぎていることを意味する。なぜなら、電圧Vcを上げ
ることにより、本来は幅が増大することによって電源1
から電圧変換部3に供給される電力が増加するはずであ
るのに実際にはその電力の増加が少ない(Vd>Vpが5
回連続しない)のは、電圧変換部3の端子3fの電圧が
電源1の電圧よりも高い期間でスイッチ26を閉状態と
しているために、電圧変換部3に供給した電力が電源1
に逆流するからである。この場合には、より低い電圧V
cでスイッチ26を閉状態から開状態に移行しなければ
ならない。従って、この場合には制御ブロックC9にお
いて電圧VcをいったんΔVだけ上げていることを考慮
して制御ブロックC12、C13において電圧Vcを2
ΔVだけ下げるわけである。以上が、電圧Vcの高さの
調整手順の一例である。
【0462】表3に幅の決定、高さの決定、間欠動作に
ついてまとめた。
【0463】表3
【0464】
【表3】 (実施の形態3)図45は、本発明による電圧変換器の
他の構成を示す。61は従来のDC/DC変換器であ
る。62は被変換電源であり、63は電圧変換器20の
端子23に接続されるクロック・パルス生成器であり、
64は端子24に接続されているスタート信号生成器で
ある。65は変換後の電圧が供給されている負荷となる
LSIである。LSI65からは最適な供給電圧値を電
圧変換器20の端子25に送る。電圧変換器20はLS
I65に供給する電流が小さいときには高効率の電圧変
換をおこなうが、その一方では供給電流が大きくなると
変換効率は低下して従来のDC/DC変換器61の電圧
変換効率よりも低くなる。
【0465】図45に示される電圧変換器20の構成
は、図40に示される電圧変換器20の構成と同様であ
る。電圧変換器20は、端子22からLSI65に流れ
る電流を検出する電流検出器を含んでいる。あるいは、
この電流検出器は、電圧変換器20の外部に設けられて
いてもよい。
【0466】その電流検出器によって検出される電流が
所定の電流より小さい場合には、電圧変換器20が動作
する。その電流検出器によって検出される電流が所定の
電流より大きい場合には、DC/DC変換器61が動作
する。
【0467】あるいは、端子22からLSI65に出力
される電圧が所定の電圧の時間積分値より大きい場合に
は、電圧変換器20が動作し、端子22からLSI65
に出力される電圧が所定の電圧の時間積分値より小さい
場合には、DC/DC変換器61が動作するようにして
もよい。
【0468】このように、DC/DC変換器61の電圧
変換効率が電圧変換器20よりも高い場合には、電圧変
換器20からの供給を停止して、DC/DC変換器61
から電流を供給する。
【0469】さらに、LSI65の消費電流の変化に対
する対応だけでなく、所望の電圧が大きく変化するとき
に所望の電圧までの移行をDC/DC変換器61によっ
て実行する。所望の電圧に到達したのちは電圧変換器2
0によって電流供給を開始する。これで、所望の電圧へ
の移行(セトリング)が高速になる。所望の電圧間の移
行期間でのDC/DC変換器61の切り替えだけではな
く、電圧変換器20のスタートアップ、リセットをDC
/DC変換器61によって実行することもできる。
【0470】図46は、電圧変換器20と従来のDC/
DC変換器61とを組み合わせることにより、電圧変化
の速度を大きくする様子を示す。
【0471】図46において、期間I、IIIでは電圧
変換器20のみが動作する。従って、これらの期間では
高変換効率で電力が負荷2に供給される。期間IIでは
電圧変換器20とDC/DC変換器61とが同時に動作
するによって、電圧変換器20のみが動作する場合に比
較して、出力電圧を1Vから2Vに急速に立ち上げる。
ただし、この期間では変換効率は低下する。
【0472】図47は、DC/DC変換器61の電圧変
換部54と電圧変換器20の電圧変換部3との間に共用
することができる回路部分があることを示す。DC/D
C変換器61と電圧変換器20の回路規模に最も影響を
与えるのはスイッチ26、66と容量27、29とイン
ダクタ28である。従って、これらの回路部分を共有す
ることで回路規模を大きくすることなくDC/DC変換
器61を電圧変換器20に取り込むことができる。すな
わち、図47に示されているように電圧変換部3の端子
3fにNMOSスイッチ66を接続することにより、D
C/DC変換器61の電圧変換部54を構成することが
できる。電圧変換部54と電圧変換部3との間で回路部
分を共用することができることから、図47の構成をと
れば回路規模をほとんど増大させずにDC/DC変換器
61と電圧変換器20とを実現できる。 (実施の形態4)図48Aおよび図48Bは、電圧変換
部3の他の構成を示す。
【0473】図48Aに示される電圧変換部3の構成
は、ダイオード67と容量66とがスイッチ26に接続
されている点で、図30に示される電圧変換部3の構成
と異なっている。ダイオード67は、例えば、ショット
キバリア・ダイオードであり得る。
【0474】図48Bに示される電圧変換部3の構成
は、ツェナー・ダイオード68がスイッチ26に接続さ
れている点で、図30に示される電圧変換部3の構成と
異なる。
【0475】図48Aおよび図48Bに示される端子3
a〜3eは、図29に示される端子3a〜3eと同一で
ある。図33に示されているように、セット・アップ期
間の電圧変換部3の動作特性から移行期間で端子3fの
電圧(波形aの電圧)が被変換電圧VDDよりも高くなり
PMOSトランジスタ26の端子3fに接続されたドレ
インとウエル間で形成されている(寄生している)ダイ
オードが順方向にバイアスされたときにドレインからウ
エルに向かって電流がながれる。この電流は容量27、
29とインダクタ28の値によっては大きい電流値を持
つことになり、ドレインとウエル間のダイオードの順方
向耐電流値を越えてPMOSトランジスタを破壊する。
そこで、端子3fと端子3a間にダイオード67を接続
し、端子3aとグランド間に容量66を接続する。端子
3fの電圧が被変換電源1の電圧(端子3aの電圧)よ
りも高くなって、ダイオード67が順方向にバイアスさ
れると電流は端子3fから端子3aに向かってながれ、
端子3aに流れ込んだ電流は容量66に流れ込む。ここ
で、ダイオード67はPMOSトランジスタ26のドレ
インとウエル間で構成されたダイオードが順方向に電流
が流れ始める電圧値よりも小さい電圧で順方向電流が流
れ始める。PMOSトランジスタ26には大電流が流れ
ないので破壊は起こらない。ただし、ダイオード67は
耐電流値が大きいものが必要になるので半導体集積回路
上に形成するよりも外付け部品とすることが一般的であ
る。容量66はダイオード67の順方向電流を被変換電
源1に逆流量を低減する。
【0476】図48Bは、ツェナー・ダイオード68に
よって端子3fからグランド端子に電流を流して、PM
OSトランジスタ26には大電流を流さないようにする
構成を示す。ここで、ツェナー・ダイオード68はPM
OSトランジスタ26のドレインとウエル間に電流が流
れ始める電圧よりも低い電圧であり、被変換電源1の電
圧よりも高い電圧となっている。 (実施の形態5)図49Aおよび図49Bは、電圧変換
部3の他の構成を示す。
【0477】図49Aに示される電圧変換部3の構成
は、端子3fとグランド端子との間にダイオード69が
接続されている点で、図30に示される電圧変換部3と
異なる。ダイオード69は、例えば、ショットキバリア
・ダイオードであり得る。
【0478】図49Bに示される電圧変換部3の構成
は、端子3fとグランド端子との間にツェナー・ダイオ
ード70が接続されている点で、図30に示される電圧
変換部3と異なる。
【0479】図49Aの構成では、端子3fの電圧がグ
ランド電圧GNDよりも低い電圧になり、ダイオード6
9が順方向にバイアスされるとグランド端子から端子3
fに向かって電流が流れる。ダイオード69に順方向電
流が流れ始める電圧はPMOSトランジスタ26の端子
3fに接続されたドレインとウエル間で構成されたダイ
オードの逆方向耐電圧よりも小さい電圧とすることで、
PMOSトランジスタ26の破壊を防ぐことができる。
【0480】図49Bの構成は、図49Aのダイオード
69をツェナー・ダイオード70に置き換えたものであ
る。ツェナー・ダイオード70に電流が流れ始める電圧
はPMOSトランジスタ26の端子3fに接続されたド
レインとウエル間で構成されたダイオードの逆方向耐電
圧よりも小さい電圧とすることで、PMOSトランジス
タ26の破壊を防ぐことができる。ダイオード69とツ
ェナー・ダイオード70は半導体集積回路上に形成する
よりも外付け部品とすることが一般的である。 (実施の形態6)図50は、電圧変換器20の他の動作
手順を示す。図50に示される電圧変換器20の動作手
順は、検出器15、18の検出期間、検出器15、18
の出力信号およびPMOSスイッチ26の開閉動作の点
で、図33に示される電圧変換器20の動作手順と異な
る。
【0481】検出器15が検出期間にはいると、検出器
15は、電圧変換部3の端子3fの電圧と基準電圧生成
器14から出力される電圧VSとを比較し、端子3fの
電圧が電圧VSを越えたときに出力信号としてHパルス
を出力する。その後、端子3fの電圧が頂点をこえて下
がりはじめると、端子3fの電圧は電圧VSに再び近づ
く。検出器15は、端子3fの電圧が電圧VSを下回っ
たときに出力信号としてHパルスを再び出力する。
【0482】検出器18が検出期間にはいると、検出器
18は、電圧変換部3の端子3fの電圧と基準電圧生成
器17から出力される電圧VCとを比較し、端子3fの
電圧が電圧VCを越えたときに出力信号としてHパルス
を出力する。端子3fの電圧が電圧VSまで降下した
後、再び上昇しはじめると、端子3fの電圧は電圧VC
に再び近づく。検出器18は、電圧VCを上回ったとき
に出力信号としてHパルスを出力する。
【0483】検出器15の初めのHパルス(端子3fの
電圧が電圧VSを越えたときの信号)に応答してスイッ
チ26は開状態から閉状態に移行する。その後、検出器
17の初めのHパルス(端子3fの電圧が電圧VCを越
えたときの信号)に応答してスイッチ26は閉状態から
開状態に移行する。
【0484】さらに、検出器15の次のHパルス(端子
3fの電圧が電圧VSを下回ったときの信号)に応答し
てスイッチ26は開状態から閉状態に移行する。最後
に、検出器17の次のHパルス(端子3fの電圧が電圧
Cを上回ったときの信号)に応答してスイッチ26は
閉状態から開状態に移行する。
【0485】このようにして、図35に示された点1と
点2の間でPMOSスイッチ26は閉状態となり、図3
6に示された点3と点4の間でPMOSスイッチ26は
再び閉状態となる。
【0486】このように、1周期の動作において、2度
PMOSスイッチ26を閉状態とすることにより、電圧
変換部3に電荷を供給する点1、点3の位置を規定する
電圧VSを被変換電源1の電圧に近づけることができ
る。このことにより、電圧変換効率が向上する。
【0487】なお、上述した実施の形態では、PMOS
スイッチ26が開状態から閉状態に移行するタイミング
と、PMOSスイッチ26が閉状態から開状態に移行す
るタイミングとをそれぞれ独立に制御していた。あるい
は、PMOSスイッチ26が閉状態から開状態に移行す
るタイミングをPMOSスイッチ26が開状態から閉状
態に移行するタイミングに従属させて制御するようにし
てもよい。例えば、PMOSスイッチ26が閉状態から
開状態に移行するタイミングは、PMOSスイッチ26
が開状態から閉状態に移行するタイミングを遅延させる
ことにより作成され得る。 (実施の形態7)図59は、電圧変換器1500の構成
を示す。電圧変換器1500は、電源1516から供給
される電源電圧を所望の電圧に変換する電圧変換部15
01と、電圧変換部1501を制御する制御部1518
とを備えている。
【0488】電圧変換部1501は、端子1501a〜
1501fを有している。端子1501aは、電源15
16に接続されている。端子1501fは、負荷151
7に接続されている。負荷1517は、抵抗成分と容量
成分の少なくとも一方を含んでいる。電圧変換部150
1から出力される所望の電圧は、端子1501fを介し
て負荷1517に供給される。
【0489】制御部1518は、検出部1510、15
12、1513および1515と、同期部1511およ
び1514とを含んでいる。
【0490】図60Aは、電圧変換部1501の構成を
示す。電圧変換部1501は、スイッチ1502と、共
振回路LC1と、スイッチ1506と、共振回路LC2
とを含んでいる。
【0491】共振回路LC1は、インダクタ1504
と、接続点1504−1においてインダクタ1504の
一端に接続される容量1503と、接続点1504−2
においてインダクタ1504の他端に接続される容量1
505とを含んでいる。
【0492】スイッチ1502は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1502は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1501bを介して同期部1511から供給さ
れる。スイッチ1502の端子S1は、端子1501a
を介して電源1516に接続されている。スイッチ15
02の端子S2は、共振回路LC1の接続点1504−
1に接続されている。
【0493】共振回路LC2は、インダクタ1508
と、接続点1508−1においてインダクタ1508の
一端に接続される容量1507と、接続点1508−2
においてインダクタ1508の他端に接続される容量1
509とを含んでいる。
【0494】スイッチ1506は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1506は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1501eを介して同期部1514から供給さ
れる。スイッチ1506の端子S1は、共振回路LC1
の接続点1504−2に接続されている。スイッチ15
06の端子S2は、共振回路LC2の接続点1508−
1に接続されている。
【0495】ここで、スイッチとそれに接続された共振
回路とを「基本共振回路」と呼ぶことにすると、電圧変
換部1501は、基本共振回路を2個直列に接続した構
成を有している。もちろん、基本共振回路の数は2個に
限定されない。電圧変換部1501は、N個の基本共振
回路を含み得る。ここで、Nは2以上の任意の整数であ
る。
【0496】このように基本共振回路を直列に接続した
構成を有する電圧変換部1501は、電源1516から
供給される電源電圧VDDを効率的に降圧することに適し
ている。その理由は、1段目の基本共振回路から出力さ
れる電圧VP(VP<VDD)2段目の基本共振回路の電源
電圧として利用することができるからである。
【0497】1個の基本共振回路のみを用いて電源電圧
DDを降圧する方法としては、交流波形の振動中心を下
方にシフトする方法と、交流波形の振幅を小さくする方
法とが考えられる。
【0498】図61Aは、1個の基本共振回路のみを用
いて交流波形(A)の振動中心を下方にシフトすること
により電源電圧VDDを降圧する様子を示す。波形
(A’)は交流波形(A)の振動中心を下方にシフトす
ることによって得られる波形である。このようにして得
られた波形(A’)の一部はグランドGNDを下回って
しまう。このことは、LSIの保護上好ましくない。
【0499】図61Bは、1個の基本共振回路のみを用
いて交流波形(A)の振幅を減少させることにより電源
電圧VDDを降圧する様子を示す。波形(A’)は交流波
形(A)の振幅を減少させることによって得られる波形
である。電圧VPと波形(A’)との間の電位差ΔVは
最小で(VDD−VP)である。従って、スイッチをオン
することによるエネルギー損失が大きい。
【0500】図61Cは、2個の基本共振回路が直列に
接続された電圧変換部1501によって電源電圧VDD
降圧される様子を示す。基本共振回路を直列に接続する
構成は、1個の基本共振回路のみを用いて電源電圧VDD
を降圧する際に発生する上述した問題点を解決する。
【0501】図61Cにおいて、波形(A)は共振回路
LC1の接続点1504−1の電圧の変化を示す。波形
(A)は電圧VPを中心として電源電圧VDDとグランド
GNDとの間を振動する交流波形である。波形(B)は
共振回路LC1の接続点1504−2の電圧の変化を示
す。波形(B)は電圧VPの直流波形である。波形
(C)は共振回路LC2の接続点1508−1の電圧の
変化を示す。波形(C)は電圧VPPを中心として電圧V
PとグランドGNDとの間を振動する交流波形である。
波形(D)は共振回路LC2の接続点1508−2の電
圧の変化を示す。波形(D)は電圧VPPの直流波形であ
る。ここで、VDD>VP>VPP>GNDある。
【0502】共振回路LC2は、共振回路LC1から出
力される電圧VPを電源電圧として利用することができ
る。従って、電圧VPと波形(C)との間の電位差ΔV
が小さい期間にスイッチ1502をオンすることができ
る。このようにスイッチ1502のオン期間を制御する
ことにより、スイッチ1502をオンすることによるエ
ネルギー損失を最小化することができる。また、図61
CにおいてT1<T2である。このことは、波形(A)に
比べて波形(C)が断熱充電に適していることを示して
いる。
【0503】図60Bは、電圧変換部1501の構成を
「エネルギー供給回路210」と「エネルギー保存回路
220」という観点から見直したものである。図60B
に示されるように、スイッチ1502と共振回路LC1
とスイッチ1506とを「エネルギー供給回路210」
として把握し、共振回路LC2を「エネルギー保存回路
220」として把握することができる。この場合、共振
回路LC1は、スイッチ1506を通って共振回路LC
2から電源1516に向かって流れる戻り電流を一時的
に蓄えるキャパシタとしての機能を有している。この意
味で、電圧変換部1501は、図6Dに示される構成と
類似の構成を有している。電圧変換部1501は、電源
1516からの電流を共振回路LC1に蓄える際には、
図6Dに示される構成に比較して低電力であるという利
点を有している。スイッチ1502の両端点間の電位差
が小さい期間にスイッチ1502をオンすることができ
るからである。
【0504】図62Aは、制御部1518が電圧変換部
1501のスイッチ1502をオンオフするタイミング
を示す制御フロー図である。
【0505】ステップS51:検出部1510は、端子
1501dの電圧Vdと目的電圧Vp 1とを比較する。電
圧Vdが目的電圧Vp1より小さい場合には、処理はステ
ップS52に進む。この場合、検出部1510は、電圧
dが目的電圧Vp1より小さいことを示す検出信号を検
出部1512に出力する。
【0506】ステップS52:検出部1512は、端子
1501cの電圧Vcが上昇中に電圧Vcが所定の電圧V
s1以上となったか否かを判定する。所定の電圧Vs1は、
スイッチ1502をオフからオンにするタイミングを決
定するために使用される。電圧Vcが上昇中に電圧Vc
所定の電圧Vs1以上となった場合には、処理はステップ
S53に進む。この場合、検出部1512は、電圧Vc
が上昇中に電圧Vcが所定の電圧Vs1以上となったこと
を示す検出信号を同期部1511に出力する。
【0507】ステップS53:同期部1511は、スイ
ッチ1502をオンにする。
【0508】ステップS54:検出部1512は、端子
1501cの電圧Vcが上昇中に電圧Vcが所定の電圧V
sp1以上となったか否かを判定する。所定の電圧V
sp1は、スイッチ1502をオンからオフにするタイミ
ングを決定するために使用される。電圧Vcが上昇中に
電圧Vcが所定の電圧Vsp1以上となった場合には、処理
はステップS55に進む。この場合、検出部1512
は、電圧Vcが上昇中に電圧Vcが所定の電圧Vsp1以上
となったことを示す検出信号を同期部1511に出力す
る。
【0509】ステップS55:同期部1511は、スイ
ッチ1502をオフにする。
【0510】ここで、所定の電圧Vsp1は所定の電圧V
s1よりも大きい。所定の電圧Vsp1と所定の電圧Vs1
の間の電位差が大きいほど、スイッチ1502がオンと
なる期間が長くなる。
【0511】図62Bは、制御部1518が電圧変換部
1501のスイッチ1506をオンオフするタイミング
を示す制御フロー図である。図62Bに示される制御フ
ロー図は、目標電圧として電圧Vp2が使用され、スイッ
チ1506のオン期間を決定する電圧として電圧Vs2
電圧Vsp2とが使用される点を除いて、図62Aに示さ
れる制御フロー図と同様である。
【0512】このように、スイッチ1506のオンオフ
は、スイッチ1502のオンオフとは独立に制御し得
る。
【0513】端子1501dの電圧Vdが直流である場
合には、共振回路LC1における正弦波振動と共振回路
LC2における正弦波振動とが互いに独立に動作しても
電圧の変換効率に影響を与えない。共振回路LC2は、
電圧Vdを電源電圧として動作するからである。
【0514】一方、端子1501の電圧Vdが交流であ
る場合には、端子1501dの電圧Vdと端子1501
fの電圧Vfが同期しているか否かが電圧の変換効率に
影響を与える。共振回路LC1から共振回路LC2にエ
ネルギーを転送する際のエネルギー損失を小さくするた
めには、スイッチ1506の両端子間の電位差(すなわ
ち、電圧Vdと電圧Vfとの間の電位差)が小さい期間に
スイッチ1506がオンとなるように電圧Vfの振幅と
位相とを制御する必要がある。このような制御は、例え
ば、スイッチ1506のオン期間を決定する電圧Vs2
電圧Vsp2とを可変に制御することによって達成され得
る。
【0515】図63Aは、電圧Vdと電圧Vfとが同期し
ている場合のスイッチ1506のオンオフのタイミング
を示す。図63Bは、電圧Vdと電圧Vfの同期が十分で
ない場合のスイッチ1506のオンオフのタイミングを
示す。
【0516】図63Aおよび図63Bにおいて、波形
(A)は電圧Vdの変化を示し、波形(B)は電圧Vf
変化を示す。図63Bの場合に比べて図63Aの場合の
方がスイッチ1506のオン期間におけるスイッチ15
06の両端子間の電位差(すなわち、電圧Vdと電圧Vf
との間の電位差)が小さい。従って、図63Bの場合に
比べて図63Aの場合の方がスイッチ1506によるエ
ネルギー損失が少ない。 (実施の形態8)図64は、電圧変換器1600の構成
を示す。電圧変換器1600は、電源1616から供給
される電源電圧を所望の電圧に変換する電圧変換部16
01と、電圧変換部1601を制御する制御部1632
とを備えている。
【0517】電圧変換部1601は、端子1601a〜
1601gを有している。端子1601aと端子160
1bとは、電源1616に接続されている。端子160
1gは、負荷1617に接続されている。負荷1617
は、抵抗成分と容量成分の少なくとも一方を含んでい
る。電圧変換部1601から出力される所望の電圧は、
端子1601gを介して負荷1617に供給される。
【0518】制御部1632は、検出部1627、16
29および1631と、同期部1628および1630
とを含んでいる。
【0519】図65は、電圧変換部1601の構成を示
す。電圧変換部1601は、スイッチ1619と、共振
回路LCと、変調共振回路MLCとを含んでいる。
【0520】共振回路LCは、インダクタ1623と、
接続点1623−1においてインダクタ1623の一端
に接続される容量1621と、接続点1623−2にお
いてインダクタ1623の他端に接続される容量162
5とを含んでいる。
【0521】スイッチ1619は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1619は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1601cを介して同期部1628から供給さ
れる。スイッチ1619の端子S1は、端子1601a
を介して電源1616に接続されている。スイッチ16
19の端子S2は、共振回路LCの接続点1623−1
に接続されている。
【0522】変調共振回路MLCは、インダクタ162
4と、容量1622と、スイッチ1620とを含んでい
る。インダクタ1624の一端は、接続点1624−1
において容量1622に接続される。インダクタ162
4の他端は、共振回路LCの接続点1623−2に接続
される。
【0523】スイッチ1620は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1620は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1601dを介して同期部1630から供給さ
れる。スイッチ1620の端子S1は、端子1601b
を介して電源1616に接続されている。スイッチ16
20の端子S2は、接続点1624−1に接続されてい
る。
【0524】電圧変換部1601は、スイッチ1619
とインダクタ1623と容量1621、1625とを含
む第1の基本共振回路と、スイッチ1620とインダク
タ1624と容量1622、1625とを含む第2の基
本共振回路とによって構成されていると考えることもで
きる。すなわち、容量1625は、第1の基本共振回路
と第2の基本共振回路とに共通の容量として作用する。
電圧変換部1601は、端子1601gからリップルの
ない直流電圧を出力するという利点を提供する。
【0525】端子1601gの電圧は、第1の基本共振
回路から出力される電圧と、第2の基本共振回路から出
力される電圧とを重ね合わせることによって得られる電
圧に等しい。従って、第1の基本共振回路から出力され
る電圧と第2の基本共振回路から出力される電圧とが同
一の振幅を有し、かつ、互いに180度だけシフトした
逆位相を有するように、電圧変換部1601を制御する
ことにより、端子1601gにおいてリップルが消去さ
れた直流電圧を得ることができる。
【0526】図66は、定常状態における電圧変換部1
601の各点の電圧変化を示したものである。曲線Eは
端子1601eの電圧変化を示す。曲線Fは端子160
1fの電圧変化を示す。曲線G’は第2の基本共振回路
から出力される電圧変化を示す。曲線G”は第1の基本
共振回路から出力される電圧変化を示す。曲線Gは端子
1601gの電圧変化を示す。曲線Gは、重ね合わせの
原理に基づいて曲線G’と曲線G”とを重ね合わせるこ
とによって得られる。
【0527】制御部1632は、端子1601eの電圧
(曲線E)と端子1601fの電圧(曲線F)とが同一
の振幅を有し、かつ、互いに180度だけシフトした逆
位相を有するように、スイッチ1620の開閉タイミン
グを制御する。このような制御により、第1の基本共振
回路から出力される電圧(曲線G”)と第2の基本共振
回路から出力される電圧(曲線G’)とが同一の振幅を
有し、かつ、互いに180度だけシフトした逆位相を有
する結果となる。その結果、曲線G’の振動と曲線G”
の振動とが互いに打ち消されて振動のない直流電圧(曲
線G)が得られる。このようにして、端子1601gか
ら出力される直流電圧からリップルを消去することがで
きる。
【0528】端子1601eの電圧と端子1601fの
電圧とが逆位相でない場合には、制御部1632は、端
子1601eの電圧と端子1601fの電圧とが逆位相
となるようにスイッチ1620をオンオフするタイミン
グを制御する。具体的には、制御部1632は、端子1
601eの電圧の位相を基準として、端子1601fの
電圧の位相を進めたり遅らせたりすることにより、端子
1601eの電圧の位相と端子1601fの電圧の位相
との間の関係を調整する。
【0529】図67は、端子1601eの電圧の位相と
端子1601fの電圧の位相との間の関係を調整する様
子を示す。図67において、曲線Eは端子1601eの
電圧変化を示し、曲線Fは端子1601fの電圧変化を
示す。
【0530】端子1601fの電圧が上昇中の期間Δt
oaにおいてスイッチ1620をオンすることにより、端
子1601fの電圧が引き上げられる。これにより、曲
線Fが曲線F’に移行する。このことは、曲線Fの位相
を進ませることを意味する。また、スイッチ1620を
オンする期間Δtoaの長さを調整することにより、曲線
Fの位相の進みの程度を調整することができる。
【0531】端子1601fの電圧が下降中の期間Δt
obにおいてスイッチ1620をオンすることにより、端
子1601fの電圧が引き上げられる。これにより、曲
線Fが曲線F”に移行する。このことは、曲線Fの位相
を遅らせることを意味する。また、スイッチ1620を
オンする期間Δtobの長さを調整することにより、曲線
Fの位相の遅れの程度を調整することができる。
【0532】このようにして、端子1601fの電圧
(曲線F)の位相を進めたり遅らせたりすることができ
る。
【0533】図68Aは、端子1601fの電圧(曲線
F)の位相を進めることにより、端子1601eの電圧
(曲線E)と端子1601fの電圧(曲線F)とが逆位
相となる様子を示す。図68Aでは、端子1601fの
電圧の上昇中にスイッチ1620をオンすることによ
り、時刻t5において端子1601eの電圧と端子16
01fの電圧とが逆位相となっている。
【0534】図68Bは、端子1601fの電圧(曲線
F)の位相を遅らせることにより、端子1601eの電
圧(曲線E)と端子1601fの電圧(曲線F)とが逆
位相となる様子を示す。図68Bでは、端子1601f
の電圧の下降中にスイッチ1620をオンすることによ
り、時刻t5において端子1601eの電圧と端子16
01fの電圧とが逆位相となっている。
【0535】以下、制御部1632の動作を説明する。
【0536】図69は、制御部1632が電圧変換部1
601のスイッチ1619をオンオフするタイミングを
示す制御フロー図である。
【0537】ステップS71:検出部1627は、端子
1601gの電圧Vgと目的電圧Vpとを比較する。電圧
gが目的電圧Vpより小さい場合には、処理はステップ
S72に進む。この場合、検出部1627は、電圧Vg
が目的電圧Vpより小さいことを示す検出信号を検出部
1629に出力する。
【0538】ステップS72:検出部1629は、端子
1601eの電圧Veが上昇中に電圧Veが所定の電圧V
s1以上となったか否かを判定する。所定の電圧Vs1は、
スイッチ1619をオフからオンにするタイミングを決
定するために使用される。電圧Veが上昇中に電圧Ve
所定の電圧Vs1以上となった場合には、処理はステップ
S73に進む。この場合、検出部1629は、電圧Ve
が上昇中に電圧Veが所定の電圧Vs1以上となったこと
を示す検出信号を同期部1628に出力する。
【0539】ステップS73:同期部1628は、スイ
ッチ1619をオンにする。
【0540】ステップS74:検出部1629は、端子
1601eの電圧Veが上昇中に電圧Veが所定の電圧V
sp1以上となったか否かを判定する。所定の電圧V
sp1は、スイッチ1619をオンからオフにするタイミ
ングを決定するために使用される。電圧Veが上昇中に
電圧Veが所定の電圧Vsp1以上となった場合には、処理
はステップS75に進む。この場合、検出部1629
は、電圧Veが上昇中に電圧Veが所定の電圧Vsp1以上
となったことを示す検出信号を同期部1628に出力す
る。
【0541】ステップS75:同期部1628は、スイ
ッチ1619をオフにする。
【0542】ここで、所定の電圧Vsp1は所定の電圧V
s1よりも大きい。所定の電圧Vsp1と所定の電圧Vs1
の間の電位差が大きいほど、スイッチ1619がオンと
なる期間が長くなる。
【0543】図70は、制御部1632が電圧変換部1
601のスイッチ1620をオンオフするタイミングを
示す制御フロー図である。
【0544】ステップS81:検出部1629は、端子
1601eの電圧Veが下降中に電圧Veが目標電圧Vp
に一致する時刻t1を検出する。検出された時刻t1は、
同期部1630に報知される。
【0545】ステップS82:検出部1631は、端子
1601fの電圧Vfが上昇中に電圧Vfが目標電圧Vp
に一致する時刻t2を検出する。検出された時刻t2は、
同期部1630に報知される。
【0546】ステップS83:同期部1630は、時刻
1と時刻t2とを比較する。t1<t2である場合には、
処理はステップS84に進む。t1≧t2である場合に
は、処理はステップS88に進む。
【0547】ステップS84:検出部1631は、電圧
fが上昇中に電圧Vfが所定の電圧Vsf以上となったか
否かを判定する。所定の電圧Vsfは、スイッチ1620
をオフからオンにするタイミングを決定するために使用
される。電圧Vfが上昇中に電圧Vfが所定の電圧Vsf
上となった場合には、処理はステップS85に進む。こ
の場合、検出部1631は、電圧Vfが上昇中に電圧Vf
が所定の電圧Vsf以上となったことを示す検出信号を同
期部1630に出力する。
【0548】ステップS85:同期部1630は、スイ
ッチ1620をオンにする。
【0549】ステップS86:検出部1631は、電圧
fが上昇中に電圧Vfが所定の電圧Vspf以上となった
か否かを判定する。所定の電圧Vspfは、スイッチ16
20をオンからオフにするタイミングを決定するために
使用される。電圧Vfが上昇中に電圧Vfが所定の電圧V
spf以上となった場合には、処理はステップS87に進
む。この場合、検出部1631は、電圧Vfが上昇中に
電圧Vfが所定の電圧Vsp f以上となったことを示す検出
信号を同期部1630に出力する。
【0550】ステップS87:同期部1630は、スイ
ッチ1620をオフにする。
【0551】ここで、所定の電圧Vspfは所定の電圧V
sfよりも大きい。所定の電圧Vspfと所定の電圧Vsf
の間の電位差が大きいほど、スイッチ1620がオンと
なる期間が長くなる。
【0552】ステップS88:検出部1631は、電圧
fが下降中に電圧Vfが所定の電圧Vsd以下となったか
否かを判定する。所定の電圧Vsdは、スイッチ1620
をオフからオンにするタイミングを決定するために使用
される。電圧Vfが下降中に電圧Vfが所定の電圧Vsd
下となった場合には、処理はステップS89に進む。こ
の場合、検出部1631は、電圧Vfが下降中に電圧Vf
が所定の電圧Vsd以下となったことを示す検出信号を同
期部1630に出力する。
【0553】ステップS89:同期部1630は、スイ
ッチ1620をオンにする。
【0554】ステップS90:検出部1631は、電圧
fが下降中に電圧Vfが所定の電圧Vspd以下となった
か否かを判定する。所定の電圧Vspdは、スイッチ16
20をオンからオフにするタイミングを決定するために
使用される。電圧Vfが下降中に電圧Vfが所定の電圧V
spd以下となった場合には、処理はステップS91に進
む。この場合、検出部1631は、電圧Vfが下降中に
電圧Vfが所定の電圧Vsp d以下となったことを示す検出
信号を同期部1630に出力する。
【0555】ステップS91:同期部1630は、スイ
ッチ1620をオフにする。
【0556】ここで、所定の電圧Vspdは所定の電圧V
sdよりも小さい。所定の電圧Vspdと所定の電圧Vsd
の間の電位差が大きいほど、スイッチ1620がオンと
なる期間が長くなる。 (実施の形態9)図71は、電圧変換器1700の構成
を示す。電圧変換器1700は、電源1716から供給
される電源電圧を所望の電圧に変換する電圧変換部17
01と、電圧変換部1701を制御する制御部1758
とを備えている。
【0557】電圧変換部1701は、端子1701a〜
1701gを有している。端子1701aと端子170
1eとは、電源1716に接続されている。端子170
1cは、負荷1717に接続されている。負荷1717
は、抵抗成分と容量成分の少なくとも一方を含んでい
る。電圧変換部1701から出力される所望の電圧は、
端子1701cを介して負荷1717に供給される。
【0558】制御部1758は、検出部1753〜17
55と、同期部1756および1757とを含んでい
る。
【0559】図72は、電圧変換部1701の構成を示
す。電圧変換部1701は、スイッチ1747と、共振
回路LCと、変調共振回路MLCとを含んでいる。
【0560】共振回路LCは、インダクタ1748と、
接続点1748−1においてインダクタ1748の一端
に接続される容量1746と、接続点1748−2にお
いてインダクタ1748の他端に接続される容量174
9とを含んでいる。
【0561】スイッチ1747は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1747は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1701bを介して同期部1756から供給さ
れる。スイッチ1747の端子S1は、端子1701a
を介して電源1716に接続されている。スイッチ17
47の端子S2は、共振回路LCの接続点1748−1
に接続されている。
【0562】変調共振回路MLCは、インダクタ175
0と、容量1751と、スイッチ1752とを含んでい
る。インダクタ1750の一端は、接続点1750−1
において容量1751に接続される。インダクタ175
0の他端は、共振回路LCの接続点1748−1に接続
される。
【0563】スイッチ1752は、端子S1と端子S2
を有している。スイッチ1752は、制御信号に応じ
て、端子S1と端子S2とを電気的に接続し、または、端
子S1と端子S2とを電気的に分離する。その制御信号
は、端子1701dを介して同期部1757から供給さ
れる。スイッチ1752の端子S1は、端子1701e
を介して電源1716に接続されている。スイッチ17
52の端子S2は、接続点1750−1に接続されてい
る。
【0564】電圧変換部1701は、スイッチ1747
とインダクタ1748と容量1746、1749とを含
む第1の基本共振回路(図73A参照)と、スイッチ1
752とインダクタ1750と容量1746、1751
とを含む第2の基本共振回路(図73B参照)とによっ
て構成されていると考えることもできる。すなわち、容
量1746は、第1の基本共振回路と第2の基本共振回
路とに共通の容量として作用する。電圧変換部1701
は、端子1701gの電圧と電源電圧VDDとの電位差が
小さい期間が長いという利点を提供する。
【0565】端子1701gの電圧は、第1の基本共振
回路における接続点1748−1の電圧と、第2の基本
共振回路における接続点1748−1の電圧とを重ね合
わせることによって得られる電圧に等しい。
【0566】図74は、定常状態における電圧電圧変換
部1701の各点の電圧変化を示したものである。曲線
Gは端子1701gの電圧変化を示す。曲線G’は第1
の基本共振回路における接続点1748−1の電圧変化
を示す。曲線G”は第2の基本共振回路における接続点
1748−1の電圧変化を示す。曲線Gは、重ね合わせ
の原理に基づいて曲線G’と曲線G”とを重ね合わせる
ことによって得られる。
【0567】なお、曲線G’の位相と曲線G”の位相と
は実施の形態8で述べた方法と同様の方法により調整さ
れ得る。
【0568】図74に示されるように、曲線Gの電位と
電源電圧VDDの電位との間の電位差が小さい期間Δtc1
は、通常の正弦波曲線Aと電源電圧VDDの電位との間の
電位差が小さい期間Δtc2よりも長い。従って、期間Δ
c1においてスイッチ1747をオンすることによっ
て、スイッチ1747によるエネルギー損失を低減する
ことができる。このように、変調共振回路MLCを設け
ることによって、通常の正弦波振動を用いるよりも高効
率かつ大きな出力電流を許容できる電圧変換器を得るこ
とができる。11.LSIのシステム電源として 本発明の電源装置は、LSIのシステム電源として、複
数の負荷のそれぞれに異なる電源電圧を供給する能力を
有している。
【0569】図55は、複数の負荷280−1〜280
−4がエネルギー保存回路220の接続点222に接続
されている電源装置の構成を示す。負荷280−1〜2
80−4をそれぞれに含む被エネルギー供給部287−
1〜287−4の構成は、図17Aに示されるそれの構
成と同様である。ただし、被エネルギー供給部287−
1〜287−4は、参照電圧生成回路286−1が参照
電圧Vr1を出力し、参照電圧生成回路286−2が参照
電圧Vr2を出力し、参照電圧生成回路286−3が参照
電圧Vr3を出力し、参照電圧生成回路286−4が参照
電圧Vr4を出力する点で異なっている。
【0570】図56は、接続点222における交流電圧
波形(A)と、接続点224における直流電圧波形
(B)と、負荷280−1の接続点281−1における
電圧波形(C)と、負荷280−2の接続点281−2
における電圧波形(D)と、負荷280−3の接続点2
81−3における電圧波形(E)と、負荷280−4の
接続点281−4における電圧波形(F)とを示す。こ
こで、電圧は、Vr4<V4<GND<V3<Vr3<VP
2<Vr2<VDD<V1<Vr1という関係を満たす。エネ
ルギー保存回路220に保存される動的エネルギーを増
大させることによって、図56に示されるように、交流
電圧波形(A)を電源電圧VDDより高い電圧とグランド
電圧GNDより低い電圧との間で振動させることができ
る。なお、交流電圧波形(A)の振動中心は電圧V
P(=1/2VDD)とした。交流電圧波形(A)の振動
中心は任意の電圧に設定可能である。
【0571】時刻t1において、接続点222の電圧が
上昇中に接続点222の電圧が負荷280−1の接続点
281−1の電圧に到達すると、制御回路283−1
は、コンパレータ284−1の出力値の変化に応答し
て、スイッチ282−1をオフ状態からオン状態に変化
させる。その結果、接続点281−1の電圧は交流電圧
波形(A)に沿って上昇する。
【0572】時刻t2において、接続点222の電圧が
参照電圧Vr1に到達すると、制御回路283−1は、コ
ンパレータ285−1の出力値の変化に応答して、スイ
ッチ282−1をオン状態からオフ状態に変化させる。
その結果、接続点281−1の電圧は電圧Vr1に設定さ
れる。その後、接続点281の電圧は電圧V1に向かっ
てしだいに下降する。負荷280−1によってエネルギ
ーが消費されるからである。
【0573】再び、接続点222の電圧が上昇中に接続
点222の電圧が負荷280−1の接続点281−1の
電圧に到達すると、制御回路283−1は、コンパレー
タ284−1の出力値の変化に応答して、スイッチ28
2−1をオフ状態からオン状態に変化させる。その結
果、接続点281−1の電圧は交流電圧波形(A)に沿
って上昇する。
【0574】このように、接続点281−1の電圧は、
電圧V1と電圧Vr1との間で上昇と下降とを繰り返す。
電圧V1と電圧Vr1との差を十分に小さくすることによ
って直流とみなすことのできる電圧を負荷280−1に
供給することが可能となる。なお、電圧Vr1は、任意の
値に設定することができる。
【0575】同様にして、接続点281−2の電圧は、
電圧V2と電圧Vr2との間で上昇と下降とを繰り返す。
電圧V2と電圧Vr2との差を十分に小さくすることによ
って直流とみなすことのできる電圧を負荷280−2に
供給することが可能となる。接続点281−3の電圧
は、電圧V3と電圧Vr3との間で上昇と下降とを繰り返
す。電圧V3と電圧Vr3との差を十分に小さくすること
によって直流とみなすことのできる電圧を負荷280−
3に供給することが可能となる。
【0576】電圧V4と電圧Vr4とはグランド電圧GN
Dより低い。接続点222の電圧が下降中にスイッチ2
82−4をオフ状態からオン状態に変化させることによ
り、接続点281−4の電圧は交流電圧波形(A)に沿
って下降する。その結果、電荷がエネルギー保存回路2
20に回収される。
【0577】接続点281−4の電圧は、電圧V4と電
圧Vr4との間で上昇と下降とを繰り返す。電圧V4と電
圧Vr4との差を十分に小さくすることによって直流とみ
なすことのできる電圧を負荷280−4に供給すること
が可能となる。
【0578】負荷280−1〜280−4に供給される
電圧は互いに異なる。このようにして、複数の負荷に対
して異なる電源電圧を供給することができる。
【0579】図55に示す例では、接続点222に並列
に接続される被エネルギー供給部287−1〜287−
4は同一のタイプの構成を有する。しかし、被エネルギ
ー供給部287−1〜287−4は異なるタイプの構成
を有してもよい。例えば、被エネルギー供給部287−
1〜287−4のそれぞれは、第8章で言及した任意の
タイプの電源装置において接続点222または接続点2
24に接続される被エネルギー供給部に相当する構成に
置換され得る。また、被エネルギー供給部287−1〜
287−4のそれぞれは、第9章で言及した任意のエネ
ルギー再利用タイプの電源装置において接続点222ま
たは接続点224に接続される被エネルギー供給部に相
当する構成に置換され得る。複数の被エネルギー供給部
を接続点224に並列に接続する場合についても同様で
ある。
【0580】エネルギー保存回路220にエネルギーを
注入して保存する基本原理と、動的エネルギーと静的エ
ネルギーとをエネルギー保存回路220に高効率で注入
する方法と、動的エネルギーと静的エネルギーの比率を
制御する方法と、エネルギー保存回路220に蓄積され
た動的エネルギーを静的エネルギーに変換する方法(ま
たは、エネルギー保存回路220に蓄積された静的エネ
ルギーを動的エネルギーに変換する方法)と、スイッチ
のサイズを変調することによってノイズの周波数を一定
にする方法とを適切に組み合わせることにより、本発明
の電源装置を様々なタイプの回路の電源として応用する
ことができる。これは、本発明の電源装置を第10章で
言及した電圧変換器(DC/DC変換器)に適用する場
合においても同様である。
【0581】以下、エネルギー保存回路220の役割を
エネルギーの流れに着目して再考察する。
【0582】図57は、エネルギー保存回路220を中
心とした動的エネルギーおよび静的エネルギーの流れを
示す。エネルギー保存回路220は、回路内の抵抗成分
によるエネルギー損失を最小化した状態で、エネルギー
供給回路210とエネルギー保存回路220との間で双
方向に動的エネルギーおよび静的エネルギーをやりとり
することを実現する。また、エネルギー保存回路220
は、回路内の抵抗成分によるエネルギー損失を最小化し
た状態で、エネルギー保存回路220と負荷との間で双
方向に動的エネルギーおよび静的エネルギーをやりとり
することを実現する。
【0583】このように、エネルギー供給回路210や
負荷などの電子回路および部品に対して、エネルギー保
存回路220を中心とした動的エネルギーおよび静的エ
ネルギーの低損失の流れが生じていることがわかる。
【0584】エネルギー保存回路220に蓄積されてい
る動的エネルギーおよび静的エネルギーは、エネルギー
供給回路210、エネルギー保存回路220、負荷のそ
れぞれと制御回路との間で制御信号をやりとりすること
によって、エネルギー供給回路210と負荷が要求する
動的エネルギーおよび静的エネルギーの総和および比率
とに応じて適切に制御され得る。あるいは、エネルギー
保存回路220に蓄積される動的エネルギーおよび静的
エネルギーに対して、エネルギー供給回路210および
負荷によって消費されるエネルギーの量が適切に設計さ
れることが必要とされるかもしれない。
【0585】上述した実施形態では、動的エネルギーお
よび静的エネルギーは回路内の抵抗成分によって熱エネ
ルギーに変換され、その熱エネルギーは電子回路系のエ
ネルギー体系の外部に散逸する。熱エネルギーを動的エ
ネルギーおよび静的エネルギーに変換する変換回路を設
け、その変換回路から得られる動的エネルギーおよび静
的エネルギーをエネルギー供給回路210および/また
はエネルギー保存回路220に高効率で返還することに
より、電子回路系のエネルギー体系の外部に散逸するエ
ネルギー量を低減することができる。
【0586】なお、本願明細書には、以下のことが開示
されている。
【0587】本発明の電圧変換器は、電源から供給され
る第1の電圧を第2の電圧に変換して、前記第2の電圧
を被電圧供給回路に供給する電圧変換部と、前記電圧変
換部を制御する制御部とを備えている。前記電圧変換部
は、インダクタと、第1の接続点において前記インダク
タの一端に接続される第1の容量と、第2の接続点にお
いて前記インダクタの他端に接続される第2の容量とを
含む共振回路と、第1の端子と第2の端子とを有するス
イッチであって、前記第1の端子は前記電源に接続さ
れ、前記第2の端子は前記共振回路の前記第1の接続点
に接続されるスイッチとを含んでおり、前記制御部は、
前記スイッチの開閉を制御する。
【0588】前記制御部は、前記電圧変換部から出力さ
れる前記第2の電圧が所望の電圧より下がったことを検
出する第1の検出器を備えており、前記制御部は、前記
第1の検出器によって前記電圧変換部から出力される前
記第2の電圧が前記所望の電圧より下がったことが検出
された場合において、前記スイッチの開閉を制御する。
【0589】前記制御部は、前記第1の接続点の電圧が
所定の第1の基準電圧に到達したことを検出する第2の
検出器と、前記第1の接続点の電圧が前記所定の第1の
基準電圧より大きい所定の第2の基準電圧に到達したこ
とを検出する第3の検出器とをさらに備えており、前記
第2の検出器によって前記第1の接続点の電圧が前記所
定の第1の基準電圧に到達したことが検出された場合に
は、前記制御部は、前記スイッチの状態が開状態から閉
状態に変化するように前記スイッチを制御し、前記第3
の検出器によって前記第1の接続点の電圧が前記所定の
第2の基準電圧に到達したことが検出された場合には、
前記制御部は、前記スイッチの状態が閉状態から開状態
に変化するように前記スイッチを制御する。
【0590】前記制御部は、前記第1の接続点の電圧変
化に応じて、クロック信号を生成するクロック信号生成
器を備えており、前記クロック信号の1周期のうち第1
の半周期において前記第1の検出器によって前記電圧変
換部から出力される前記第2の電圧が前記所望の電圧よ
り下がったことが検出された場合には、前記クロック信
号の1周期のうち前記第1の半周期に続く第2の半周期
において前記第2の検出器および前記第3の検出器が動
作する。
【0591】前記制御部は、前記第1の基準電圧を生成
する第2の基準電圧生成器をさらに備えており、前記第
2の基準電圧生成器は、前記第2の検出器が動作する期
間内でのみ動作する。
【0592】前記制御部は、前記第2の基準電圧を生成
する第3の基準電圧生成器をさらに備えており、前記第
3の基準電圧生成器は、前記第3の検出器が動作する期
間内でのみ動作する。
【0593】前記制御部は、前記第1の基準電圧を生成
する第2の基準電圧生成器と、前記電圧変換部から出力
される前記第2の電圧の時間変化をモニタするモニタ回
路とをさらに備えており、前記第2の基準電圧生成器
は、前記モニタ回路の出力に応じて、前記第1の基準電
圧を変動させる。
【0594】前記制御部は、前記第2の基準電圧を生成
する第3の基準電圧生成器と、前記電圧変換部から出力
される前記第2の電圧の時間変化をモニタするモニタ回
路とをさらに備えており、前記第3の基準電圧生成器
は、前記モニタ回路の出力に応じて、前記第2の基準電
圧を変動させる。
【0595】前記電圧変換部から出力される前記第2の
電圧が前記所望の電圧に到達しないことを前記モニタ回
路が検出した場合には、前記第2の基準電圧生成器は、
前記第1の基準電圧を低下させる。
【0596】前記電圧変換部から出力される前記第2の
電圧が前記所望の電圧に到達しないことを前記モニタ回
路が検出した場合には、前記第3の基準電圧生成器は、
前記第2の基準電圧を上昇させる。
【0597】前記電圧変換部から出力される前記第2の
電圧が前記所望の電圧に到達していることを前記モニタ
回路が検出した場合には、前記第2の基準電圧生成器
は、前記第1の基準電圧を上昇させる。
【0598】前記電圧変換部から出力される前記第2の
電圧が前記所望の電圧に到達していることを前記モニタ
回路が検出した場合には、前記第3の基準電圧生成器
は、前記第2の基準電圧を低下させる。
【0599】前記制御部は、前記電圧変換部から出力さ
れる前記第2の電圧の時間変化をモニタするモニタ回路
をさらに備えており、前記電圧変換部から出力される前
記第2の電圧が前記所望の電圧に到達しないことを前記
モニタ回路が検出した場合には、前記制御部は、前記第
3の検出器によって前記第1の接続点の電圧が前記所定
の第2の電圧に到達したことが検出されてから所定の時
間が経過した後に前記スイッチの状態が閉状態から開状
態に変化するように前記スイッチを制御する。
【0600】前記制御部は、前記第3の検出器によって
前記第1の接続点の電圧が前記所定の第2の電圧に到達
したことが検出されてから所定の時間が経過した後に前
記スイッチの状態が閉状態から開状態に変化するように
前記スイッチを制御する。
【0601】(産業上の利用可能性)本発明の電源装置
によれば、エネルギー保存手段に含まれるインダクタと
第1の容量と第2の容量とによってエネルギー保存手段
の外部にエネルギーを実質的に漏らさない閉じた系が形
成される。エネルギー保存手段の外部にエネルギーが実
質的に漏れないため、電源装置におけるエネルギーの損
失がほとんどない。これにより、低消費電力型の電源装
置を提供することができる。
【0602】また、第1の容量と第2の容量とをそれぞ
れ所定値に設定することにより、第1の接続点および第
2の接続点のそれぞれから様々なタイプの電圧波形を負
荷に供給することができる。また、本発明の電源装置は
LSI用の電源として適している。
【0603】本発明の電圧変換器によれば、被電圧供給
回路によって消費された電力に実質的に等しい電力を電
源から電圧変換部に供給するように、電圧変換部が制御
される。これにより、電圧変換におけるエネルギー損失
の少ない高効率(90%以上)の電圧変換器を実現する
ことが可能となる。
【0604】また、本発明の他の電圧変換器によれば、
電源と共振回路とがスイッチを介して接続され、そのス
イッチの開閉動作は、制御部によって制御される。共振
回路は、インダクタと、第1の接続点においてそのイン
ダクタの一端に接続された第1の容量と、第2の接続点
においてそのインダクタの他端に接続された第2の容量
とを含んでいる。そのスイッチの開閉動作を所定のタイ
ミングで行うことにより、電圧変換におけるエネルギー
損失の少ない電圧変換器を実現することが可能となる。
【0605】スイッチの開閉動作の制御は、共振回路に
おける第1の接続点の電圧が電源電圧に近づいたときに
スイッチを閉状態として電源から共振回路に電流を流し
込むことにより、スイッチの両端子間の電圧差を小さく
して電流を共振回路に流し込むことができる。さらに、
スイッチの状態を開状態から閉状態に移行した後に、共
振回路における第1の接続点の電圧が電源電圧よりも高
くなる前に閉状態から開状態に移行することにより、共
振回路から電源に電流が逆流することを防いでいる。そ
して、電源から共振回路に流れ込む電流が一定のとき
(負荷で消費される電力が一定ならば、電源から共振回
路に流れ込む電流は一定になる。)スイッチの両端子間
の電圧差が小さいほどスイッチで消費される電力が小さ
くなり電圧変換効率は向上する。さらに、共振回路から
電源に電流が逆流することを防止することによって電力
消費が低減する。
【0606】本発明の他の電圧変換器によれば、変換効
率の異なる2つの電圧変換器を組み合わせることによ
り、変換効率の良い電圧変換器を実現することができ
る。
【0607】本発明の半導体集積回路によれば、電源装
置はLC共振回路を含んでおり、LC共振回路の共振周
波数は、電源電圧から電源電圧が供給される回路ブロッ
クによって使用される周波数帯域において、共振周波数
に基づいて決定されるノイズの強さが所定の値以下とな
るように設定されている。これにより、LC共振回路に
よって発生するノイズによって回路ブロックの特性が低
下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電源装置200の構成を示す図で
ある。
【図2A】エネルギー保存回路220において動的エネ
ルギーが容量223と容量225との間をインダクタ2
21を介して循環しながら一定に保たれることを模式的
に示す図である。
【図2B】エネルギー保存回路220において動的エネ
ルギーが容量223と容量225との間をインダクタ2
21を介して循環しながら一定に保たれることを模式的
に示す図である。
【図2C】エネルギー保存回路220において動的エネ
ルギーが容量223と容量225との間をインダクタ2
21を介して循環しながら一定に保たれることを模式的
に示す図である。
【図2D】エネルギー保存回路220において動的エネ
ルギーが容量223と容量225との間をインダクタ2
21を介して循環しながら一定に保たれることを模式的
に示す図である。
【図2E】エネルギー保存回路220において動的エネ
ルギーが容量223と容量225との間をインダクタ2
21を介して循環しながら一定に保たれることを模式的
に示す図である。
【図3】C1>>C2の場合における、接続点222の交
流電圧波形の一例を示す図である。
【図4A】交流電圧波形の例を示す図である。
【図4B】交流電圧波形の例を示す図である。
【図5】寄生ダイオード250を含むLSIを電源装置
200の接続点222に接続した場合の等価回路を示す
図である。
【図6A】エネルギー供給回路210の構成を示す図で
ある。
【図6B】エネルギー供給回路210の構成を示す図で
ある。
【図6C】エネルギー供給回路210の構成を示す図で
ある。
【図6D】エネルギー供給回路210の構成を示す図で
ある。
【図7A】電圧vの波形と電流i1の波形とを示す図で
ある。
【図7B】電圧vの波形と電流i1の波形とを示す図で
ある。
【図7C】電圧vの波形と電流i1の波形とを示す図で
ある。
【図7D】電圧vの波形と電流i1の波形とを示す図で
ある。
【図7E】電圧vの波形と電流i1の波形とを示す図で
ある。
【図8】電源装置1301の構成を示す図である。
【図9A】接続点における電圧波形を示す図である。
【図9B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図10A】動的エネルギーを検出する処理の手順を示
すフローチャートである。
【図10B】静的エネルギーを検出する処理の手順を示
すフローチャートである。
【図11A】電源装置1302の構成を示す図である。
【図11B】素子391の構成を示す図である。
【図11C】素子391の構成を示す図である。
【図11D】接続点における電圧波形を示す図である。
【図12】電源装置1303の構成を示す図である。
【図13A】電源装置1304の構成を示す図である。
【図13B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図14】動的エネルギーを調整する処理の手順を示す
フローチャートである。
【図15】スイッチ部212eの構成例を示す図であ
る。
【図16A】DCタイプの電源装置201の構成を示す
図である。
【図16B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図17A】ACタイプの電源装置202の構成を示す
図である。
【図17B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図18A】DC−ACタイプの電源装置203の構成
を示す図である。
【図18B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図19A】AC−ACタイプの電源装置204の構成
を示す図である。
【図19B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図20A】AC−ACタイプの電源装置205の構成
を示す図である。
【図20B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図21】AC−ACタイプの電源装置206の構成を
示す図である。
【図22】接続点おける電圧波形を示す図である。
【図23A】期間T1〜T4のそれぞれにおける電荷の移
動を示す図である。
【図23B】期間T1〜T4のそれぞれにおける電荷の移
動を示す図である。
【図23C】期間T1〜T4のそれぞれにおける電荷の移
動を示す図である。
【図23D】期間T1〜T4のそれぞれにおける電荷の移
動を示す図である。
【図24A】接続点における電圧波形を示す図である。
【図24B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図25A】エネルギー再利用DCタイプの電源装置1
202の構成を示す図である。
【図25B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図26A】エネルギー再利用AC−ACタイプの電源
装置1203の構成を示す図である。
【図26B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図27A】エネルギー再利用AC−DCタイプの電源
装置1204の構成を示す図である。
【図27B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図28A】エネルギー再利用DC−ACタイプの電源
装置1205の構成を示す図である。
【図28B】接続点における電圧波形を示す図である。
【図29】本発明による電圧変換器20の構成を示す図
である。
【図30】電圧変換部3の構成を示す図である。
【図31】共振回路140の等価回路を示す図である。
【図32】電圧変換器20の動作を示す図である。
【図33】定常動作期間における電圧変換器20の動作
を示す図である。
【図34】電圧変換部3の端子3cの電圧変化(波形
a)と、電圧変換部3の端子3eの電圧変化(波形b)
とを示す図である。
【図35】定常動作状態における波形aと波形bとを示
す図である。
【図36】定常動作状態における波形aと波形bとを示
す図である。
【図37A】検出器8の構成を示す図である。
【図37B】検出器8の動作を示す図である。
【図38】負荷2がデジタルLSIである場合に、ノイ
ズの影響を低減する方法を示す図である。
【図39A】検出器15の構成を示す図である。
【図39B】検出器15の動作を示す図である。
【図40】電圧変換器20の他の構成を示す図である。
【図41】モニタ661の処理の手順を示す制御フロー
である。
【図42】図41の制御フローを実現するための回路構
成例を示す図である。
【図43】基準電圧生成器14から出力される電圧Vs
が変化する様子を示す図である。
【図44】電圧Vcを決定する処理の手順を示す制御フ
ローである。
【図45】本発明による電圧変換器の他の構成を示す図
である。
【図46】電圧変換器20と従来のDC/DC変換器6
1とを組み合わせることにより、電圧変化の速度を大き
くする様子を示す図である。
【図47】DC/DC変換器61の電圧変換部54と電
圧変換器20の電圧変換部3との間に共用することがで
きる回路部分があることを示す図である。
【図48A】電圧変換部3の他の構成を示す図である。
【図48B】電圧変換部3の他の構成を示す図である。
【図49A】電圧変換部3の他の構成を示す図である。
【図49B】電圧変換部3の他の構成を示す図である。
【図50】電圧変換器20の他の動作手順を示す図であ
る。
【図51A】従来のDC/DC変換器61の構成を示す
図である。
【図51B】従来のDC/DC変換器61の構成を示す
図である。
【図52】LSIのノイズの発生機構を説明する図であ
る。
【図53A】従来のDC/DC変換器61における負荷
の消費電力PLと変換損失Ptとの関係を示す図である。
【図53B】本発明による電圧変換器20における負荷
の消費電力PLと変換損失Ptとの関係を示す図である。
【図54A】従来のDC/DC変換器61における負荷
の消費電力PLと総合損失率ηCtとの関係を示す図であ
る。
【図54B】本発明による電圧変換器20における負荷
の消費電力PLと総合損失率ηCtとの関係を示す図であ
る。
【図55】複数の負荷に異なる電源電圧を供給する電源
装置の構成を示す図である。
【図56】接続点における電圧波形を示す図である。
【図57】エネルギー保存回路220を中心とした動的
エネルギーおよび静的エネルギーの流れを示す図であ
る。
【図58A】エネルギー供給回路210の他の構成を示
す図である。
【図58B】接続点222の電圧変化(波形(A))と
接続点224の電圧変化(波形(B))とを示す図であ
る。
【図59】電圧変換器1500の構成を示す図である。
【図60A】電圧変換部1501の構成を示す図であ
る。
【図60B】電圧変換部1501の構成を示す図であ
る。
【図61A】電源電圧VDDを降圧する様子を示す図であ
る。
【図61B】電源電圧VDDを降圧する様子を示す図であ
る。
【図61C】電源電圧VDDを降圧する様子を示す図であ
る。
【図62A】制御部1518が電圧変換部1501のス
イッチ1502をオンオフするタイミングを示す制御フ
ロー図である。
【図62B】制御部1518が電圧変換部1501のス
イッチ1506をオンオフするタイミングを示す制御フ
ロー図である。
【図63A】スイッチ1506のオンオフのタイミング
を示す図である。
【図63B】スイッチ1506のオンオフのタイミング
を示す図である。
【図64】電圧変換器1600の構成を示す図である。
【図65】電圧変換部1601の構成を示す図である。
【図66】定常状態における電圧変換部1601の各点
の電圧変化を示す図である。
【図67】端子1601eの電圧の位相と端子1601
fの電圧の位相との間の関係を調整する様子を示す図で
ある。
【図68A】端子1601eの電圧(曲線E)と端子1
601fの電圧(曲線F)とが逆位相となる様子を示す
図である。
【図68B】端子1601eの電圧(曲線E)と端子1
601fの電圧(曲線F)とが逆位相となる様子を示す
図である。
【図69】制御部1632が電圧変換部1601のスイ
ッチ1619をオンオフするタイミングを示す制御フロ
ー図である。
【図70】制御部1632が電圧変換部1601のスイ
ッチ1620をオンオフするタイミングを示す制御フロ
ー図である。
【図71】電圧変換器1700の構成を示す図である。
【図72】電圧変換部1701の構成を示す図である。
【図73A】第1の基本共振回路の構成を示す図であ
る。
【図73B】第2の基本共振回路の構成を示す図であ
る。
【図74】定常状態における電圧電圧変換部1701の
各点の電圧変化を示す図である。
【図75】システムLSIの1つの実施形態を示す図で
ある。
【図76】LC共振回路の共振周波数に対するノイズの
強さの分布を示す図である。
【図77】LC共振回路を含む電源装置1806と中間
周波および高周波アナログ回路ブロック1802とが異
なるチップ上に形成されている例を示す図である。
【図78】システムLSI1807と中間周波および高
周波アナログ回路ブロック1802との距離Dに対する
ノイズの強さの分布を示す図である。
【図79】L−C構成のLC共振回路を含む電源装置1
806の構成を示す図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 5F038 AZ04 AZ10 BB04 BB08 BH03 BH04 BH05 BH15 BH19 DF01 EZ20 5H730 AA02 BB13 BB14 DD04 DD26 5J055 AX25 AX47 AX54 BX16 CX19 DX14 DX22 EX07 EY05 EY10 EY21 EZ10 EZ52 FX05 FX12 FX17 GX01 GX05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 LC共振回路を含む電源装置と、 前記電源装置から電源電圧を供給される少なくとも1つ
    の回路ブロックとを備えた半導体集積回路であって、 前記LC共振回路の共振周波数は、前記少なくとも1つ
    の回路ブロックによって使用される周波数帯域におい
    て、前記共振周波数に基づいて決定されるノイズの強さ
    が所定の値以下となるように設定されている、半導体集
    積回路。
  2. 【請求項2】 前記電源装置と前記少なくとも1つの回
    路ブロックとは、単一の半導体チップ上に形成されてい
    る、請求項1に記載の半導体集積回路。
  3. 【請求項3】 前記電源装置と前記少なくとも1つの回
    路ブロックとは、異なる半導体チップ上に形成されてい
    る、請求項1に記載の半導体集積回路。
  4. 【請求項4】 前記電源装置は、直流電圧を前記少なく
    とも1つの回路ブロックに供給する、請求項1に記載の
    半導体集積回路。
JP2002006791A 1996-10-08 2002-01-15 半導体集積回路 Pending JP2002305248A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002006791A JP2002305248A (ja) 1996-10-08 2002-01-15 半導体集積回路

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26761996 1996-10-08
JP8-267619 1996-10-08
JP8-327345 1996-12-06
JP32734596 1996-12-06
JP14974297 1997-06-06
JP9-149742 1997-06-06
JP2002006791A JP2002305248A (ja) 1996-10-08 2002-01-15 半導体集積回路

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10517378 Division

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002305248A true JP2002305248A (ja) 2002-10-18

Family

ID=27472962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002006791A Pending JP2002305248A (ja) 1996-10-08 2002-01-15 半導体集積回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002305248A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008537324A (ja) * 2005-03-10 2008-09-11 コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 集積回路のエネルギ供給装置
US8278998B2 (en) 2004-09-30 2012-10-02 Nec Corporation Power supply noise reduction circuit and power supply noise reduction method
JP2018508177A (ja) * 2015-03-13 2018-03-22 ペレグリン セミコンダクター コーポレーション 断熱的コンデンサ間電荷輸送の容易化のためのインダクタを有するdc−dc変圧器
DE102022200892A1 (de) 2022-01-27 2023-07-27 Robert Bosch Gesellschaft mit beschränkter Haftung Spannungswandler und Spannungswandlermodul
US11901817B2 (en) 2013-03-15 2024-02-13 Psemi Corporation Protection of switched capacitor power converter

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8278998B2 (en) 2004-09-30 2012-10-02 Nec Corporation Power supply noise reduction circuit and power supply noise reduction method
JP2008537324A (ja) * 2005-03-10 2008-09-11 コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 集積回路のエネルギ供給装置
JP4930862B2 (ja) * 2005-03-10 2012-05-16 コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 集積回路のエネルギ供給装置
US11901817B2 (en) 2013-03-15 2024-02-13 Psemi Corporation Protection of switched capacitor power converter
JP2018508177A (ja) * 2015-03-13 2018-03-22 ペレグリン セミコンダクター コーポレーション 断熱的コンデンサ間電荷輸送の容易化のためのインダクタを有するdc−dc変圧器
JP7020923B2 (ja) 2015-03-13 2022-02-16 ピーセミ コーポレーション 断熱的コンデンサ間電荷輸送の容易化のためのインダクタを有するdc-dc変圧器
DE102022200892A1 (de) 2022-01-27 2023-07-27 Robert Bosch Gesellschaft mit beschränkter Haftung Spannungswandler und Spannungswandlermodul

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100374439B1 (ko) 전원장치 및 전압 변환기
JP3598065B2 (ja) スイッチングレギュレータおよびこれを用いたlsiシステム
US7831851B2 (en) Switching regulator
US6924679B2 (en) Power supply control device, semiconductor device and method of driving semiconductor device
US7061292B2 (en) Adaptive voltage regulator for powered digital devices
US10374511B2 (en) Switched capacitor DC-to-DC converter and power conversion control methods
US20120256607A1 (en) Semiconductor device
US20050116697A1 (en) Method and apparatus for power supply controlling capable of effectively controlling switching operations
CN103460578A (zh) 充电泵电路
CN101640476A (zh) 功率调节器及其控制方法
US20200321860A1 (en) Li-ion-Compatible Fully-Integrated Hybrid Converter
CN103380565A (zh) 充电泵电路
US20140167722A1 (en) Synchronous dc-dc converter
US11005366B2 (en) Mixed power converter including switched-capacitor conversion circuit and inductor buck circuit
US10116211B2 (en) Power converter with adaptive zero-crossing current detection
CN103929048A (zh) 一种开关电源的过零检测电路
Maeng et al. A high-voltage dual-input buck converter with bidirectional inductor current for triboelectric energy-harvesting applications
US6724268B2 (en) Variable delay circuit, and differential voltage-controlled ring oscillator using the same, and PLL using the oscillator
US20220255435A1 (en) Bidirectional switching converter and operating method thereof
JP2002305248A (ja) 半導体集積回路
CN114487900A (zh) 开关电容转换器的短路检测装置及控制方法
TW200926194A (en) Charge pump and method for operating the same
CN115021748A (zh) 一种快速启动的八相位锁相环
CN106911323A (zh) 三角波发生器以及三角波生成***
Hannon et al. Design and optimisation of a high current, high frequency monolithic buck converter

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060509

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060705

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070219