JP2002301376A - 金属触媒の分離方法 - Google Patents

金属触媒の分離方法

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JP2002301376A
JP2002301376A JP2001106387A JP2001106387A JP2002301376A JP 2002301376 A JP2002301376 A JP 2002301376A JP 2001106387 A JP2001106387 A JP 2001106387A JP 2001106387 A JP2001106387 A JP 2001106387A JP 2002301376 A JP2002301376 A JP 2002301376A
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solvent
compound
metal catalyst
acid
imide compound
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Application number
JP2001106387A
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English (en)
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Hitoshi Watanabe
仁志 渡邊
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イミド化合物と金属触媒とを含む混合物か
ら、イミド化合物と金属触媒とを分離できる方法を提供
する。 【解決手段】 イミド化合物(N−アセトキシフタルイ
ミド、N−ヒドロキシフタルイミドなど)と金属触媒
(水溶性助触媒など)とで構成された触媒系の存在下、
基質と酸素とを接触させ、溶媒を利用して、反応生成物
(芳香族カルボン酸など)を析出させて、前記イミド化
合物と金属触媒とを溶媒相に分配させる。この溶媒相を
濃縮し、水性溶媒によりイミド化合物を晶析させて、金
属触媒を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のイミド化合
物で構成されたイミド化合物と金属触媒とで構成された
混合物から、金属触媒を効率よく分離するのに有用な方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】N−ヒドロキシフタルイミドなどのイミ
ド化合物を利用すると、酸素との接触により基質を効率
よく酸化できる。例えば、特開平8−38909号公
報、特開平9−327626号公報および特開平9−2
78675号公報には、酸化触媒として、N−ヒドロキ
シフタルイミドなどのイミド化合物を用い、基質(炭化
水素類、例えば、シクロヘキサン、キシレンなどのメチ
ル基含有芳香族炭化水素、ジエン類など)を、分子状酸
素と接触させて酸化する方法が開示されている。
【0003】さらに、前記イミド化合物は、ニトロ化反
応などの種々の反応においても触媒として有用である。
例えば、特開平11−239730号公報には、前記イ
ミド化合物の存在下、基質と窒素酸化物とを反応させ
て、対応するニトロ化合物を得る方法、基質と一酸化炭
素及び酸素とを反応させて、対応するカルボン酸を生成
させる方法が開示されている。WO99/41219に
は、前記イミド化合物の存在下、基質を酸素及び1,2
−ジカルボニル化合物(ビアセチルなど)と反応させる
と、アシル化反応が進行することが開示されている。日
本化学会1999年春季年会予稿集では、N−ヒドロキ
シフタルイミドを触媒とし、α,β−不飽和エステルと
アルコールと酸素とを反応させると、ラジカルカップリ
ング反応が進行し、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
ンが生成すること、炭化水素類を酸素及び二酸化硫黄と
反応させると、対応するスルホン酸が生成することが報
告されている。
【0004】また、酸化反応生成物と酸化触媒とを分離
する方法も提案されている。例えば、特開平10−11
4702号公報には、前記酸化触媒(イミド化合物)の
存在下で基質(シクロヘキサンなど)を酸化させて、反
応混合物から、水性溶媒及び非水溶性溶媒を用いて、目
的生成物(アジピン酸など)と前記酸化触媒とを分離す
る方法が開示されている。この方法は、水溶性の反応生
成物と非水溶性の酸化触媒との分離に有用である。しか
し、非水溶性の反応生成物と非水溶性の酸化触媒との分
離、非水溶性の反応生成物と水溶性の酸化触媒との分離
が困難である。さらに、前記方法では、酸化反応生成物
の種類によっては、水相からの水溶性生成物を分離する
ことも困難な場合がある。特に、反応を促進するため金
属触媒の共存下で反応させると、反応生成物の分離に加
えて、酸化触媒と金属触媒とを効率よく分離することが
困難である。そのため、金属触媒を分離回収し、再利用
することも困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、イミド化合物と金属触媒とを効率よく分離できる方
法を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、反応混合物から簡単
な操作でイミド化合物と金属触媒を効率よく分離回収で
きる分離方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討の結果、イミド化合物と金属触
媒とを含む混合物(例えば、前記イミド化合物と金属触
媒との共存下、基質と酸素とを接触させて得られた反応
混合物)から、晶析溶媒を用いることにより、前記イミ
ド化合物と金属触媒とを効率よく分離できることを見い
だし、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明の方法では、下記式
(I)で表されるイミド単位を有するイミド化合物と金
属触媒とを含む混合物から、晶析溶媒を用いて、前記イ
ミド化合物と前記金属触媒とを分離する。
【0009】
【化2】
【0010】(式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又
はアシルオキシ基を示す) また、混合物を水性溶媒(例えば、水)で処理して、イ
ミド化合物を含む晶析成分と、金属触媒を含む水性溶媒
相とに分離してもよい。イミド化合物は、芳香族イミド
化合物であってもよく、金属触媒は、遷移金属化合物お
よび周期表13族元素を含む化合物から選択された少な
くとも1種の化合物であり、かつ水性溶媒に可溶であっ
てもよい。イミド化合物と金属触媒とで構成された触媒
系の存在下、基質と酸素との接触により生成した反応混
合物から、溶媒を利用して、前記イミド化合物及び金属
触媒を溶媒相に分配させることにより、反応生成物を分
離し、前記溶媒相から晶析溶媒により金属触媒を分離し
てもよい。
【0011】なお、本明細書において、「イミド化合
物」「金属触媒」とは、活性なイミド化合物や金属触媒
に限らず、活性が低下した生成物、変質又は分解生成物
をも包含する意味に用いる。また、「晶析」には、比較
的少量の溶媒を用いて目的化合物を洗浄又は結晶化処理
するリンス又はリパルプ処理をも含むものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、イミド化合物と
金属触媒とでを含む混合物から、晶析溶媒を用いて、前
記イミド化合物と前記金属触媒とを分離する工程で構成
されている。また、前記混合物は、イミド化合物と金属
触媒との共存下、基質を反応させて得られる反応混合物
であってもよい。
【0013】[イミド化合物]イミド化合物は、下記式
(I)で表されるイミド単位を有している。
【0014】
【化3】
【0015】(式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又
はアシルオキシ基を示す) アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、ア
セチルオキシ(アセトキシ)、プロピオニルオキシ、ブ
チリルオキシなどの炭素数1〜6程度のアシルオキシ基
(好ましくはC1-4アシルオキシ基、特にアセチルオキ
シ基)が含まれる。
【0016】イミド化合物の具体例としては、例えば、
下記式(II)で表される化合物が例示できる。
【0017】
【化4】
【0018】(式中、R1及びR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール
基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基を示し、R1及びR2は、互いに結合して二重結合、あ
るいは芳香族性又は非芳香族性環を形成してもよく、R
1及びR2により形成される芳香族性又は非芳香族性環
は、前記式(I)で示されるイミド単位を少なくとも1
つ有していてもよい。Xは前記に同じ) 前記式(II)の化合物において、置換基R1及びR2のうち
ハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が含
まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−
ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、
オクチル、デシル基などの炭素数1〜10程度の直鎖状
又は分岐鎖状アルキル基(好ましくはC1-6アルキル
基、特にC1 -4アルキル基)が含まれる。
【0019】アリール基には、フェニル基、ナフチル基
などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などのC3-10
シクロアルキル基が含まれる。アルコキシ基には、例え
ば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキ
シ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチル
オキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜10程度の
アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、特にC
1-4アルコキシ基が含まれる。
【0020】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカ
ルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニ
ル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボ
ニル基などのアルコキシ部分の炭素数が1〜10程度の
アルコキシカルボニル基(好ましくはC1-6アルコキシ
−カルボニル基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ−
カルボニル基)が含まれる。
【0021】アシル基としては、例えば、ホルミル、ア
セチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレ
リル、イソバレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6
程度のアシル基が例示できる。
【0022】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(II)において、R1及びR2
は互いに結合して、二重結合、あるいは芳香族性又は非
芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は
非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度で
あり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水
素環である場合が多い。芳香族性又は非芳香族性環は、
前記式(I)で表されるイミド単位を少なくとも1つ
(通常、1又は2)有していてもよい。このような環に
は、例えば、非芳香族性脂環族環(シクロヘキサン環な
どの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シク
ロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロア
ルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネ
ン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素
環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有
していてもよい芳香族環が含まれる。前記環は、芳香族
環で構成される場合が多い。
【0023】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【0024】
【化5】
【0025】(式中、R3〜R6は、同一又は異なって、
水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ
基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示
す。R1、R2及びXは前記に同じ) 置換基R3〜R6において、アルキル基、アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基、アシル基、ハロゲン原子とし
ては、前記と同様の基又は原子が例示できる。置換基R
3〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。
【0026】イミド化合物は、単独で又は二種以上組み
合わせて使用できる。
【0027】なお、前記式(I)で表されるイミド化合
物に対応する酸無水物には、例えば、無水コハク酸、無
水マレイン酸などの飽和又は不飽和脂肪族ジカルボン酸
無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水
物)、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン
酸1,2−無水物などの飽和又は不飽和非芳香族性環状
多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水
物)、無水ヘット酸、無水ハイミック酸などの橋かけ環
式多価カルボン酸無水物(脂環族多価カルボン酸無水
物)、無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テト
ラクロロ無水フタル酸、無水ニトロフタル酸、無水トリ
メリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水
物、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、1,8;4,
5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族
多価カルボン酸無水物が含まれる。
【0028】好ましいイミド化合物としては、例えば、
N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイ
ン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミ
ド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカル
ボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒ
ドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシ
テトラクロロフタル酸イミド、N−アセトキシフタル酸
イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキ
シハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸
イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イミ
ド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン
酸イミドなどが挙げられる。特に好ましい化合物には、
脂環族多価カルボン酸無水物、なかでも芳香族多価カル
ボン酸無水物から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合
物、例えば、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−アセ
トキシフタル酸イミドなどが含まれる。
【0029】前記イミド化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させて酸無水物基を開環した後、閉環
してイミド化することにより調製できる。
【0030】なお、このようなイミド化合物は、種々の
反応(例えば、酸化反応、カルボキシル化反応、ニトロ
化反応、スルホン化反応、アシル化反応、ラジカルカッ
プリング反応など)の触媒として利用できる。特に、前
記イミド化合物の存在下、基質と酸素とを接触させるだ
けで、カルボン酸類(脂肪族ジカルボン酸、芳香族カル
ボン酸、複素環式カルボン酸など)、ケトン類、ラクト
ン類などを高い選択率及び収率で得ることができる。
【0031】前記式(I)のイミド化合物の使用量は、
広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して1×
10-6モル(1×10-4モル%)〜1モル(100モル
%)、好ましくは1×10-5モル(1×10-3モル%)
〜0.5モル(50モル%)、さらに好ましくは1×1
-4モル(1×10-2モル%)〜0.4モル(40モル
%)程度であり、1×10-4モル(1×10-2モル%)
〜0.35モル(35モル%)程度である場合が多い。
【0032】[助触媒]前記イミド化合物は金属触媒
(金属助触媒又は単に助触媒という場合がある)と併用
される。助触媒としては、金属化合物、例えば、遷移金
属化合物や、ホウ素化合物などのように周期表13族元
素(ホウ素B、アルミニウムAlなど)を含む化合物が
含まれる。助触媒は、一種で又は二種以上組合わせて使
用できる。
【0033】前記遷移金属の元素としては、例えば、周
期表3族元素(例えば、スカンジウムSc、イットリウ
ムYの外、ランタンLa、セリウムCe、サマリウムS
mなどのランタノイド元素、アクチニウムAcなどのア
クチノイド元素)、周期表4族元素(チタンTi、ジル
コニウムZr、ハフニウムHfなど)、5族元素(バナ
ジウムV、ニオブNb、タンタルTaなど)、6族元素
(クロムCr、モリブデンMo、タングステンWな
ど)、7族元素(マンガンMnなど)、8族元素(鉄F
e、ルテニウムRu、オスミウムOsなど)、9族元素
(コバルトCo、ロジウムRh、イリジウムIrな
ど)、10族元素(ニッケルNi、パラジウムPd、白
金Ptなど)、11族元素(銅Cu、銀Ag、金Auな
ど)などが挙げられる。
【0034】特に、前記式(I)で表されるイミド化合
物と組合せたとき、Ceなどのランタノイド元素、Ti
などの4族元素、Vなどの5族元素、Mo、Wなどの6
族元素、Mnなどの7族元素、Fe、Ruなどの8族元
素、Co、Rhなどの9族元素、Niなどの10族元
素、Cuなどの11族元素を含む化合物は、高い酸化活
性を示す。
【0035】助触媒は、前記元素を含み、かつ触媒能を
有する限り特に制限されず、水酸化物などであってもよ
いが、通常、前記元素を含む金属酸化物、有機酸塩、無
機酸塩、ハロゲン化物、前記金属元素を含む配位化合物
(錯体)やヘテロポリ酸又はその塩などである場合が多
い。また、ホウ素化合物としては、例えば、水素化ホウ
素(例えば、ボラン、ジボラン、テトラボラン、ペンタ
ボラン、デカボランなど)、ホウ酸(オルトホウ酸、メ
タホウ酸、四ホウ酸など)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸
ニッケル、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガンな
ど)、B23などのホウ素酸化物、ボラザン、ボラゼ
ン、ボラジン、ホウ素アミド、ホウ素イミドなどの窒素
化合物、BF3、BCl3、テトラフルオロホウ酸塩など
のハロゲン化物、ホウ酸エステル(例えば、ホウ酸メチ
ル、ホウ酸フェニルなど)などが挙げられる。
【0036】有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、プロ
ピオン酸塩、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ステアリン
酸塩などのC1-30カルボン酸塩(C2-24カルボン酸塩な
ど)が例示され、無機酸塩としては、例えば、硝酸塩、
硫酸塩又はリン酸塩などが挙げられる。また、ハロゲン
化物としては、例えば、塩化物や臭化物などが例示でき
る。
【0037】錯体を形成する配位子としては、OH(ヒ
ドロキソ)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ基などのアルコキシ基、アセチル、プロピオニルなど
のアシル基、メトキシカルボニル(アセタト)、エトキ
シカルボニルなどのアルコキシカルボニル基、アセチル
アセトナト、シクロペンタジエニル基、塩素、臭素など
ハロゲン原子、CO、CN、酸素原子、H2O(ア
コ)、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンな
どのトリアリールホスフィン)などのリン化合物、NH
3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO3(ニト
ラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ピ
リジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合物などが
挙げられる。錯体又は錯塩において、同種又は異種の配
位子は一種又は二種以上配位していてもよい。
【0038】好ましい錯体には、前記遷移金属元素を含
む錯体が含まれる。前記遷移金属元素と配位子とは適当
に組合せて錯体を構成することができ、例えば、セリウ
ムアセチルアセトナト、コバルトアセチルアセトナト、
ルテニウムアセチルアセトナト、銅アセチルアセトナト
などであってもよい。
【0039】ヘテロポリ酸を形成するポリ酸は、例え
ば、周期表5族又は6族元素、例えば、V(バナジン
酸),Mo(モリブデン酸)及びW(タングステン酸)
の少なくとも一種である場合が多く、中心原子は特に制
限されない。ヘテロポリ酸の具体例としては、例えば、
コバルトモリブデン酸塩、コバルトタングステン酸塩、
モリブデンタングステン酸塩、バナジウムモリブデン酸
塩、バナドモリブドリン酸塩などが挙げられる。
【0040】助触媒として、周期表7族元素及び/又は
9族元素で構成された助触媒[例えば、7族元素を含む
化合物と9族元素を含む化合物との組み合わせ(特に、
マンガン化合物とコバルト化合物との組み合わせ)]を
使用すれば、脂肪族ジカルボン酸(特にアジピン酸)又
は芳香族カルボン酸(テレフタル酸など)を効率よく生
成できる。
【0041】前記金属触媒は、晶析溶媒(特に、水、含
水溶媒などの水性溶媒など)に可溶であるのが好まし
い。このような金属触媒としては、例えば、有機酸塩
(酢酸塩など)、無機酸塩(硫酸塩など)、ハロゲン化
物(塩化物など)、錯体、ヘテロポリ酸などが例示でき
る。
【0042】前記イミド化合物(I)と助触媒とで構成
される触媒系は、均一系であってもよく、不均一系であ
ってもよい。また、触媒系は、担体に触媒成分を担持し
た固体触媒であってもよい。担体としては、活性炭、ゼ
オライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトな
どの多孔質担体を用いる場合が多い。固体触媒における
触媒成分の担持量は、担体100重量部に対して、前記
式(I)のイミド化合物0.1〜50重量部程度であ
る。また、助触媒の担持量は、担体100重量部に対し
て、0.1〜30重量部程度である。
【0043】助触媒の使用量は、例えば、基質1モルに
対して1×10-6モル〜0.7モル、好ましくは1×1
-5モル〜0.3モル、さらに好ましくは1×10-5
ル〜0.1モル(10モル%)程度であり、1×10-6
モル〜1×10-2モル、特に1×10-6モル〜1×10
-3モル程度であってもよい。ヘテロポリ酸又はその塩を
助触媒として使用する場合、基質100重量部に対して
0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部、
さらに好ましくは1〜5重量部程度である。
【0044】助触媒は、液相反応系において、重量基準
で、通常、1〜10000ppm、好ましくは5〜50
00ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度
の濃度で使用できる。
【0045】なお、イミド化合物と助触媒との割合は、
例えば、イミド化合物/助触媒=95/5〜5/95
(モル比)、好ましくは90/10〜20/80(モル
比)、さらに好ましくは85/15〜50/50(モル
比)程度である。
【0046】[基質]基質の種類は特に制限されず、晶
析温度で水溶性の化合物を生成させる基質であってもよ
く、非水溶性化合物を生成させる基質であってもよい。
好ましい基質は、非水溶性の化合物(例えば、常温(1
5〜25℃程度)で固体の化合物)を生成させる。
【0047】基質としては、特開平9−327626号
公報に開示されている種々の基質、例えば、炭化水素
類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン
類、複素環化合物、チオール類、スルフィド類、アミド
類などが挙げられる。好ましい基質としては、炭化水素
類(シクロアルカン類、多環式シクロアルカン類な
ど)、メチル基含有芳香族性化合物などが含まれる。
【0048】シクロアルカン類としては、例えば、シク
ロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘ
プタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチ
ルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、クロロシ
クロヘキサン、メトキシシクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロノナン、シクロドデカン、シクロペンタデカ
ン、シクロオクタデカンなどのC4-20シクロアルカン
(好ましくはC4-16シクロアルカン、さらに好ましくは
4-10シクロアルカン)などが挙げられる。これらのシ
クロアルカン類は、一種で又は二種以上組合わせて使用
してもよい。
【0049】好ましいシクロアルカン類には、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタンなどの
4-10シクロアルカン(好ましくはC5-8シクロアルカ
ン)が挙げられる。
【0050】多環式シクロアルカン類には、橋頭位に第
3級炭素原子を有する化合物(ボルナン、ノルボルナ
ン、ノルボルネンなどの2環式炭化水素類、トリシクロ
[4.3.1.12.5]ウンデカン、ホモブレダン、ア
ダマンタンなどの3環式炭化水素類、4環式炭化水素
類、テルペン類など)、縮合多環式芳香族炭化水素類の
水素添加物(例えば、デカリン、パーヒドロアントラセ
ン、パーヒドロフェナントレンなど)などが例示でき
る。
【0051】メチル基含有芳香族性化合物としては、少
なくとも一つ(例えば、1〜10、好ましくは1〜8個
程度)のメチル基が芳香族性環に置換した化合物であれ
ばよく、芳香族性環は、芳香族性炭化水素環、芳香族性
複素環のいずれであってもよい。メチル基含有芳香族炭
化水素類には、芳香族炭化水素環(ジフェニルメタン、
トリフェニルメタン、ジベンジル、スチルベンなどのジ
又はトリアリール−C 1-3アルカンを含む)にメチル基
が置換した種々の化合物、例えば、トルエン、(o−,
m−,p−)キシレン、トリメチルベンゼン(1,2,
3−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベン
ゼンなど)、テトラメチルベンゼン(1,2,3,4−
テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチル
ベンゼンなど)、ヘキサメチルベンゼン、4−t−ブチ
ル−1−メチルベンゼン、2−メトキシ−1−メチルベ
ンゼン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレ
ン、1,5−ジメチルナフタレン、2,5−ジメチルナ
フタレンなどの1〜6個程度のメチル基が置換した芳香
族炭化水素類などが挙げられる。好ましいメチル基含有
芳香族性炭化水素類には、メチル基の置換数が、分子中
1〜4個(特に1〜2個)程度のC6-10芳香族炭化水素
類(例えば、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼ
ン)などが含まれる。
【0052】メチル基含有複素環化合物としては、複素
環にメチル基が置換した化合物、例えば、2−メチルフ
ラン、3−メチルフラン、2−メチルピラン、3−メチ
ルピラン、3,4−ジメチルピラン、メチルクロマン、
ピコリン類(2−,3−又は4−メチルピリジン)、ル
チジン類(2,3−ジメチルピリジン、2,4−ジメチ
ルピリジン、2,5−ジメチルピリジン、3,5−ジメ
チルピリジン)、コリジン類(2,3,4−トリメチル
ピリジン、2,3,5−トリメチルピリジン、2,4,
6−トリメチルピリジンなど)、メチルインドール類
(4−メチルインドール、5−メチルインドール、7−
メチルインドールなど)などが例示できる。
【0053】なお、基質としては、種々の置換基を有す
る基質、例えば、炭素数2以上のアルキル基(例えば、
エチル、プロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オ
クチル基などのC2-10アルキル基)、ハロゲン原子(フ
ッ素、塩素、臭素原子など)、カルボニル基を有する基
質(シクロヘキサノン、アダマンタノンなどのケトン
類)、ヒドロキシル基を有する基質(シクロヘキサノー
ル、アダマンタノールなどのアルコール類)、カルボキ
シル基を有する基質(カルボキシトルエンなどのカルボ
ン酸類)又はその誘導体(エステルなど)、これらの混
合物(KAオイル)やエステル類(シクロヘキシルアセ
テート、アセチルオキシトルエンなど)なども使用でき
る。
【0054】前記イミド化合物は、種々の反応(酸化反
応、カルボキシル化反応、ニトロ化反応、スルホン化反
応、アシル化反応、ラジカルカップリング反応など)に
おいて、触媒作用を有する。
【0055】(酸化反応)反応は、酸素雰囲気下で行わ
れる。酸素源としては、特に制限されず、純粋な酸素を
用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素
などの不活性ガスで希釈した酸素を使用してもよい。操
作性及び安全性のみならず経済性などの点から、空気を
使用するのが好ましい。酸素の使用量は、基質の種類に
応じて選択でき、通常、基質1モルに対して、0.5モ
ル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100
モル、さらに好ましくは2〜50モル程度であり、通
常、過剰モルの酸素を含有する酸素雰囲気下で反応が行
われる。
【0056】反応は、予め十分な分子状酸素を反応装置
内に供給した後、密閉系で行ってもよく、連続的に分子
状酸素を流通させて行ってもよい。連続的に流通させる
場合、酸素の流通速度は、前記使用量に対応した速度で
供給できる。
【0057】なお、前記酸化反応において、アルデヒド
類(特に、アセトアルデヒドなどのC1-6アルデヒド
類)、ケトン類及び/又はアルコール類などの共存下で
反応させると、前記酸化反応を促進し、高効率で脂肪族
ジカルボン酸又は芳香族カルボン酸を製造できる。ま
た、ラジカル発生剤やラジカル促進剤などを併用すれ
ば、反応が促進される場合もある。
【0058】また、前記基質(例えば、炭化水素類)を
前記イミド化合物の存在下、(i)酸素及び一酸化炭素、
(ii)窒素酸化物(NO、NO2、N23など)、(iii)硫
黄酸化物(SO2など)、(iv)1,2−ジカルボニル化
合物、又は(v)ラジカル的な炭素−炭素結合形成反応の
可能な化合物と反応させることにより、それぞれ、前記
基質に対応する(i)カルボン酸、(ii)ニトロ化合物、(ii
i)有機硫黄酸(スルホン酸など)、(iv)アシル化反応生
成物(アルデヒド、ケトン)又は(v)炭素−炭素結合形
成反応生成物もしくはその誘導体(例えば、酸化体、ラ
クトン等の環化体など)が生成する。
【0059】(反応溶媒)酸化反応は、反応に不活性な
溶媒の非存在下で行ってもよいが、通常、溶媒の存在下
で行うことができる。溶媒としては、例えば、ギ酸、酢
酸、プロピオン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸
などの有機カルボン酸類;ヘキサン、オクタン、ベンゼ
ンなどの炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン、トリ
フルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、
オクタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル類;ジメチルエーテル、ジエチ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル
類;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなど
のニトロ化合物;アセトニトリル、プロピオニトリル、
ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセ
トアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチル
アセトアミドなどのアミド類;水;およびこれらの混合
溶媒などが挙げられる。
【0060】溶媒としては、通常、カルボン酸類(酢酸
など)、炭化水素類、アルコール類(メタノール、2−
エチルヘキサノールなど)、ケトン類、エステル類、エ
ーテル類、ニトロ化合物、ニトリル類、アミド類、含水
溶媒(酢酸水溶液などの有機カルボン酸水溶液など)な
どが使用され、基質を溶媒として用いる場合も多い。な
お、含水溶媒としては、高濃度(例えば、40〜99重
量%、好ましくは60〜95重量%、特に80〜95重
量%程度)の有機溶媒を含む水溶液を用いていてもよ
い。
【0061】反応温度は、例えば、0〜300℃、好ま
しくは15〜250℃、さらに好ましくは30〜200
℃程度であり、通常、50〜190℃(特に70〜19
0℃)程度で反応する場合が多い。
【0062】また、反応は、常圧または加圧下で行なう
ことができ、加圧下で反応させる場合には、通常、1〜
100atm(例えば、1.5〜80atm)、好ましくは2
〜70atm、さらに好ましくは3〜50atm程度である場
合が多い。反応時間(流通式反応においては滞留時間)
は、反応温度及び圧力に応じて、例えば、1分〜48時
間、好ましくは2分〜24時間、さらに好ましくは5分
〜8時間程度の範囲から適当に選択できる。
【0063】なお、反応系の水分量を、反応系全体に対
して、30重量%以下(例えば、0〜30重量%)、好
ましくは3〜20重量%(例えば、3〜18重量%)、
さらに好ましくは4〜15重量%(例えば、4〜10重
量%)程度の範囲に調整すると、前記酸化反応を促進で
きるとともに、副生物の生成を抑制でき、カルボン酸な
どの反応生成物を高収率で得ることができる。
【0064】前記反応操作は、連続式、回分式、又は半
回分式で行ってもよい。また、反応は、水を除去しなが
ら行う反応蒸留で行ってもよく、デカンターなどの水分
離装置と組み合わせて水を除去する反応蒸留で行っても
よい。反応を二段階以上に分けて行ってもよい。反応装
置としては、慣用の装置が使用でき、1又は複数の装置
を使用してもよい。複数の装置を使用する場合、装置は
直列及び/又は並列に接続してもよい。
【0065】このような反応により、種々の生成物、例
えば、アルコール類又はその誘導体(エステルなど)、
ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類などの酸化反応
生成物を生成させることができる。また、酸化反応で
は、目的化合物よりも低級の有機カルボン酸又はその誘
導体(エステルなど)が生成する場合がある。さらに、
反応に伴って、前記イミド化合物及び/又は助触媒の活
性が低下し、変質又は分解物が生成する場合もある。
【0066】本発明では、前記イミド化合物及び金属触
媒を含む混合物(例えば、前記反応により得られた反応
混合物)から、晶析溶媒を利用して、イミド化合物を晶
析させることにより、イミド化合物と金属触媒とを分離
する。
【0067】晶析溶媒としては、金属触媒の溶解特性に
応じて、疎水性溶媒などの種々の晶析溶媒が使用できる
が、水性溶媒により金属触媒を分離する場合が多い。水
性溶媒としては、水、水と水溶性溶媒との混合溶媒が使
用できる。水溶性溶媒としては、前記と同様に、例え
ば、カルボン酸類(酢酸などのC2-3アルカンカルボン
酸など)、アルコール類(メタノール、エタノール、イ
ソプロパノールなどのC 1-4アルキルアルコールな
ど)、ケトン類、ニトリル類、アミド類などが例示で
き、これらの水溶性溶媒は単独で又は二種以上組み合わ
せて使用できる。なお、含水混合溶媒としては、例え
ば、5〜95重量%、好ましくは25〜90重量%、特
に30〜90重量%程度の水を含む混合溶液が使用でき
る。水性溶媒としては、通常、水が使用される。
【0068】(晶析操作)晶析溶媒を用いる晶析(溶媒
晶析)操作は、適当な温度(例えば、−10℃〜+15
0℃程度、好ましくは0〜+100℃程度の範囲であ
る)で行うことができる。溶媒晶析では、前記混合物に
溶媒を添加することにより、イミド化合物を晶析させて
もよく、混合物に溶媒を添加して、加熱し、冷却するこ
とによりイミド化合物を晶析させてもよい。イミド化合
物と金属触媒を含む混合物を濃縮後、溶媒を添加しても
よい。
【0069】金属成分を含む水性溶媒相(非晶析成分)
はそのまま反応系にリサイクルしてもよく、水性溶媒相
から金属触媒又は金属成分を回収し、必要により再生
し、反応系にリサイクルしてもよい。例えば、回収した
金属触媒や金属成分は、必要により、炭酸塩、酢酸塩に
再生したり、焼却灰化後、金属成分を回収して再生し、
反応系にリサイクルしてもよい。金属触媒や金属成分の
回収は、晶析、濾過(濾過洗浄など)、吸着(イオン交
換樹脂などによる吸着と脱離)、脱溶媒又は濃縮、乾燥
又はこれらを組合せた慣用の方法により行うことができ
る。このような操作により非晶析成分中に残存するイミ
ド化合物をさらに分離できる。また、イミド化合物を含
む晶析成分は、そのまま反応系にリサイクルしてもよ
く、必要により再生し、反応系にリサイクルしてもよ
い。
【0070】また、前記混合物が、イミド化合物及び金
属触媒の共存下、基質を反応させることにより得られた
反応混合物である場合、反応混合物から、予め反応生成
物を含む成分と、イミド化合物及び金属触媒を含む成分
とを分離した後、前記晶析溶媒により、イミド化合物と
金属触媒とを分離してもよく、反応生成物を分離するこ
となく、反応混合物から、前記晶析溶媒により、イミド
化合物を含む晶析成分と、金属触媒を含む非晶析成分と
を分離してもよい。なお、後者の場合、反応生成物は、
その溶解特性に応じて、晶析成分又は非晶析成分に分配
される。
【0071】特に、反応混合物から、溶媒を利用して、
イミド化合物及び金属触媒を溶媒相に分配させることに
より、目的反応生成物(目的化合物)を分離し、前記溶
媒相から、イミド化合物と金属触媒とを分離するのが有
利である。
【0072】なお、反応混合物中の固体成分や夾雑物を
分離するため、反応混合物をろ過処理などの分離処理に
供した後、分離処理してもよい。
【0073】前記反応生成物の分離に用いる溶媒として
は、抽出、晶析などの種々の溶媒を利用する分離方法に
おいて、反応生成物と、イミド化合物と、金属触媒とを
分離可能な溶媒であればよく、反応生成物を溶媒相に分
配させ、イミド化合物及び/又は金属触媒を析出させる
溶媒であってもよい。溶媒としては、通常、反応生成物
を晶析させるとともに、前記イミド化合物及び金属触媒
を溶媒相に分配又は抽出可能な溶媒が使用される。その
ため、目的化合物は、溶媒により晶析可能な反応生成物
であるのが好ましく、例えば、アルコール誘導体(エス
テル類など)、アルデヒド類であってもよいが、通常、
アルコール類やケトン類、好ましくはカルボン酸類であ
る。
【0074】本発明では、特に、非水溶性の化合物(例
えば、常温(15〜25℃程度)で固体の化合物)、例
えば、カルボン酸類(芳香族性カルボン酸)、特に芳香
族性カルボン酸類を、イミド化合物及び/又は金属触媒
から分離するのが有用である。
【0075】なお、反応を溶媒の存在下で行う場合、目
的化合物の晶析に先立って、反応混合物を濃縮してもよ
く、濃縮することなく、反応混合物を晶析工程に供して
もよい。また、反応溶媒として、反応生成物に対して貧
溶媒で、前記イミド化合物及び金属触媒に対して良溶媒
である溶媒を用いてもよい。また、前記溶媒は、反応温
度において反応生成物、イミド化合物および金属触媒が
可溶であってもよい。このような溶媒は晶析溶媒として
利用でき、冷却により反応混合物から反応生成物を晶析
させることができるとともに、溶媒相にイミド化合物及
び金属触媒を分配させることができる。例えば、目的化
合物が非水溶性カルボン酸(特に、炭素数6以上の脂肪
族カルボン酸、芳香族性カルボン酸など)である場合、
反応溶媒として低級カルボン酸(酢酸などのC1-4アル
カンカルボン酸、特に水溶性カルボン酸など)、アルコ
ール類(メタノール、2−エチルヘキサノールなどのC
1- 10アルコールなど)又は含水溶媒を用いることによ
り、反応混合物から前記非水溶性カルボン酸を効率よく
晶析でき、イミド化合物(芳香族イミド化合物など)お
よび金属触媒(カルボン酸塩など)を溶媒相に溶解させ
て分配できる。
【0076】目的化合物の晶析は、冷却による晶析や晶
析溶媒を用いる晶析(溶媒晶析)などにより行うことが
できる。冷却晶析は、目的化合物と晶析溶媒とを含み、
適当な温度(例えば、40〜200℃程度)に加熱され
た反応混合液又は混合液を、−10℃〜150℃(特に
室温)程度に冷却することにより行うことができる。溶
媒晶析では、目的化合物を含む混合物に溶媒を添加する
ことにより、目的化合物を晶析させてもよく、混合物に
溶媒を添加して、前記と同様に加熱し、冷却することに
より目的化合物を晶析させてもよい。目的化合物を含む
混合物を濃縮後、溶媒を添加してもよい。
【0077】晶析又は分配溶媒としては、前記反応溶媒
の項で例示の種々の溶媒、例えば、カルボン酸類(ギ
酸、酢酸、プロピオン酸などのC1-4アルカンカルボン
酸、特にC2-3アルカンカルボン酸など)、炭化水素類
(ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、シクロ
ヘキサン、シクロペンタン、デカリンなどの脂環式炭化
水素類、エチルベンゼン、トルエン、p−キシレンなど
の芳香族炭化水素など)、アルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノ
ール、イソブタノール、オクタノール、2−エチルヘキ
サノールなどの脂肪族アルコールなど)、ケトン類(ア
セトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチル
イソブチルケトンなどの脂肪族ケトン類など)、エステ
ル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸
エステルや乳酸エステルなど)、エーテル類(ジメチル
エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、ジ−n−ブチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル
類)、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリンなど
のアルキルピリジン、塩化メチレン、クロロホルムなど
のハロゲン化炭化水素類、ニトロ化合物(ニトロメタ
ン、ニトロエタンなどのニトロアルカン類など)、ニト
リル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニ
トリルなど)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセト
アミドなど)、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素、四
硫化炭素、石油エーテル、水、含水溶媒(酢酸水溶液、
アルコール水溶液などの水溶性有機溶媒を含む水溶液)
が含まれる。晶析溶媒としては、これらの溶媒を混合し
て用いてもよい。
【0078】晶析又は分配溶媒としては、通常、水性溶
媒又は水溶性溶媒、例えば、カルボン酸類(酢酸などの
2-3アルカンカルボン酸など)、アルコール類(メタ
ノール、エタノール、イソプロパノールなどのC1-4
ルキルアルコールなど)、ケトン類、ニトリル類、アミ
ド類、水から選択された少なくとも一種の溶媒、これら
の混合溶媒(含水溶媒など)が使用される。なお、含水
溶媒としては、例えば、5〜95重量%、好ましくは5
〜75重量%、特に5〜50重量%程度の有機溶媒を含
む水溶液を用いていてもよい。通常、晶析溶媒として
は、水、又は水と水溶性溶媒との混合溶媒が使用され
る。
【0079】目的化合物を含む被処理物に対して晶析溶
媒を添加して晶析させる場合、晶析溶媒の使用量は、目
的化合物が晶析可能である限り特に制限されず、例え
ば、目的化合物を含む被処理物100重量部に対して1
0〜500重量部程度であってもよい。
【0080】本発明の好ましい態様では、目的化合物と
しての脂肪族カルボン酸(炭素数6以上(例えば、6〜
16、好ましくは6〜12)の脂肪族カルボン酸)又は
芳香族性カルボン酸(ベンゼンカルボン酸、複素環式カ
ルボン酸など)と、イミド化合物としての芳香族イミド
化合物と、金属触媒としての水性溶媒に可溶な化合物
(特に水溶性金属触媒)との分離に適用され、反応生成
物を分離するための晶析又は分配溶媒として、C1-4
ルカンカルボン酸(特に酢酸などのC2-3アルカンカル
ボン酸)、アルコール類(C1-10アルキルアルコー
ル)、これらの混合溶媒又はこれらの含水溶媒が使用さ
れる。
【0081】目的化合物を含む晶析成分と、イミド化合
物および金属触媒を含む溶媒相(非晶析成分)は、濾
過、デカンテーション、遠心分離などの簡単な操作で分
離できる。晶析成分は、必要であれば、洗浄、再結晶
(晶析)、抽出などの操作により精製してもよい。な
お、分離効率を高めるため、溶媒相を濃縮工程に供して
濃縮(又は脱溶媒)し、晶析溶媒により、イミド化合物
と金属触媒とを分離するのが有利である。さらに、抽出
処理(抽剤の添加、振とう、分液などの処理)に伴っ
て、晶析物が生成する場合がある。そのため、濃縮物を
溶媒(水性溶媒など)で処理(例えば、添加,振とう又
は抽出処理など)して晶析成分(イミド化合物を含む晶
析物)と溶媒相(水性溶媒相など)とに分離し、溶媒相
から金属触媒を回収してもよい。また、濃縮物を水性抽
剤により抽出して、イミド化合物を含有する有機相と、
金属触媒を含む水相とに分離し、水相(水性溶媒相)か
ら金属触媒を回収してもよい。
【0082】なお、副生物のうち、カルボン酸前駆体
(基質に対応するアルコール類又はその誘導体、モノカ
ルボン酸、ケトン類、アルデヒド類など)は、晶析工程
で分離された晶析成分及び/又は非晶析成分から、分配
(抽出など)、晶析、吸着、加水分解、ケン化、中和、
蒸留(蒸発など)、濾過(濾過洗浄など)、乾燥又はこ
れらを組合せた操作により分離し、必要により反応系に
リサイクルしてもよい。
【0083】
【発明の効果】本発明では、晶析溶媒を用いることによ
り、イミド化合物と金属触媒とを効率よく分離できる。
また、反応混合物から簡単な操作でイミド化合物又は金
属触媒を効率よく分離回収できる。
【0084】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0085】実施例1−テレフタル酸とイミド化合物と
金属触媒との分離− 酸化触媒(N−アセトキシフタルイミド(NAP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、パラキシレンを、酢酸溶媒中、温度150℃、圧
力4MPaで50%酸素(バランス:窒素)空気を用い
て酸化し、テレフタル酸を生成させた。反応混合液を、
常圧で、温度80℃まで冷却晶析し、ろ過し、残存物を
酢酸で洗浄してろ過し、テレフタル酸を分離した。ろ液
と洗浄液とを合わせて脱酢酸し、濃縮した残渣中の成分
を分析したところ、テレフタル酸2.7g、酢酸7.8
g、N−アセトキシフタルイミド(NAPI)0.2
g、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.2
g、フタル酸(PA)1.2g、フタルイミド(PI)
1.4g、無水フタル酸(APA)0.4g、パラキシ
レン0.3g、4−カルボキシベンズアルデヒド(4−
CBA)7.8g、パラトルイル酸(p−TA)22.
3g、全コバルト0.4g、全マンガン1.0gであっ
た。
【0086】濃縮物に水51gを添加して温度30℃、
常圧で抽出させ、析出物を温度30℃及び圧力300m
mHgでろ過し、残存物に水61gを添加して同条件で
洗浄し、ろ過した。ろ液中への全コバルトの分配率は9
8.4%、全マンガンの分配率は98.4%、ろ過物中
へのNAPI、NHPI、PA、PIの分配率は、それ
ぞれ99.2%、99.1%、77%、85%であっ
た。なお、分配率とは、濃縮物中の成分の含有量に対す
るろ液又はろ過残渣中の成分の含有量の割合(重量基
準)である。
【0087】実施例2−テレフタル酸とイミド化合物と
金属触媒との分離− 酸化触媒(N−ヒドロキシフタルイミド(NHP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、パラキシレンを、酢酸溶媒中、温度150℃、圧
力4MPaで50%酸素(バランス:窒素)を用いて酸
化し、テレフタル酸を生成させた。反応混合液を、常圧
で、温度80℃まで冷却晶析し、ろ過し、残存物を酢酸
で洗浄してろ過し、テレフタル酸を分離した。ろ液と洗
浄液とを合わせて脱酢酸し、濃縮した残渣中の成分を分
析したところ、テレフタル酸2.7g、酢酸7.7g、
N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.35g、
フタル酸(PA)1.2g、フタルイミド(PI)1.
4g、無水フタル酸(APA)0.35g、パラキシレ
ン0.3g、4−カルボチンベンズアルデヒド(4−C
BA)7.8g、パラトルイル酸(p−TA)22.3
g、全コバルト0.4g、全マンガン1.0gであっ
た。
【0088】濃縮物に水51gを添加して温度25℃、
常圧で抽出し、析出物を温度25℃及び圧力300mm
Hgでろ過し、残存物に水80gを添加して同条件で洗
浄し、ろ過した。ろ液中への全コバルト95.2%、全
マンガンの分配率は99.5%、ろ過物中へのNHPI
の分配率は99.4%、PA70%、PI80%であっ
た。
【0089】実施例3−イソフタル酸とイミド化合物と
金属触媒との分離− 酸化触媒(N−ヒドロキシフタルイミド(NHP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、メタキシレンを、酢酸溶媒中、温度150℃、圧
力4MPaで50%酸素(バランス:窒素)を用いて酸
化し、イソフタル酸を生成させた。反応混合液を、常圧
で温度80℃まで冷却晶析し、ろ過し、残存物を酢酸で
洗浄してろ過し、イソフタル酸を分離した。ろ液と洗浄
液とを合わせて脱酢酸し、濃縮した残渣中の成分を分析
したところ、イソフタル酸2.7g、酢酸7.8g、N
−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.35g、フ
タル酸(PA)1.2g、フタルイミド(PI)1.4
g、無水フタル酸(APA)0.35g、メタキシレン
0.3g、3−カルボキシベンズアルデヒド(3−CB
A)7.8g、メタトルイル酸(m−TA)22.3
g、全コバルト0.4g、全マンガン1.0gであっ
た。
【0090】濃縮物に水51gを添加して温度25℃、
常圧で抽出させ、析出物を温度25℃及び圧力300m
mHgでろ過し、残存物に水80gを添加して同条件で
洗浄し、ろ過した。ろ液中への全コバルト96.2%、
全マンガンの分配率は99.2%、ろ過物中へのNHP
Iの分配率は98.9%、PA65%、PI75%であ
った。
【0091】実施例4−イソフタル酸とイミド化合物と
金属触媒との分離− 酸化触媒(N−アセトキシフタルイミド(NAP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、メタキシレンを、酢酸溶媒中、温度150℃、圧
力4MPaで50%酸素(バランス:窒素)を用いて酸
化し、イソフタル酸を生成させた。反応混合液を、常圧
で温度80℃まで冷却晶析し、ろ過し、残存物を酢酸で
洗浄してろ過し、イソフタル酸を分離した。ろ液と洗浄
液とを合わせて脱酢酸し、濃縮した残渣中の成分を分析
したところ、イソフタル酸2.7g、酢酸7.8g、N
−アセトキシフタルイミド(NAPI)0.2g、N−
ヒドロキシフタルイミド(NHPI)0.2g、フタル
酸(PA)1.2g、フタルイミド(PI)1.4g、
無水フタル酸(APA)0.4g、メタキシレン0.3
g、3−カルボキシベンズアルデヒド(3−CBA)
7.8g、メタトルイル酸(m−TA)22.3g、全
コバルト0.4g、全マンガン1.0gであった。
【0092】濃縮物に水51gを添加して温度30℃、
常圧で抽出させ、析出物を、温度30℃及び圧力300
mmHgでろ過し、残存物に水61gを添加して同条件
で洗浄し、ろ過した。ろ液中への全コバルト98.2
%、全マンガンの分配率は98.7%、ろ過物中へのN
API99.2%、NHPIの分配率は98.9%、P
A72%、PI79%であった。
【0093】実施例5−ニコチン酸とイミド化合物と金
属触媒との分離− 酸化触媒(N−ヒドロキシフタルイミド(NHP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、β−ピコリンを、ニコチンアルデヒドを共酸化剤
として用い、酢酸溶媒中、温度140℃、圧力2MPa
で空気を用いて酸化し、ニコチン酸を生成させた。反応
混合液を、脱酢酸し、濃縮物に2−エチルヘキサノール
を添加して常圧、温度25℃で冷却晶析し、ろ過し、残
存物をメタノールで洗浄してろ過し、ニコチン酸を分離
した。ろ液と洗浄液とを合わせて脱溶媒し、濃縮した残
渣中の成分を分析したところ、ニコチン酸94g、2−
エチルヘキサノール164g、N−ヒドロキシフタルイ
ミド(NHPI)2.8g、フタル酸(PA)113
g、フタルイミド(PI)67.4g、無水フタル酸
(APA)26.2g、全コバルト11g、全マンガン
11.4gであった。
【0094】濃縮物に水100gを添加して温度30
℃、常圧で抽出し、析出物を、温度30℃及び圧力30
0mmHgでろ過し、残存物に水30gを添加して同条
件で洗浄、ろ過し、温度30℃及び常圧で分液した。水
相中への全コバルト95.5%、全マンガンの分配率は
99.0%、有機相及び前記ろ過物中へのNHPIの分
配率は99.4%、フタル酸(PA)98%、フタルイ
ミド(PI)97%であった。
【0095】実施例6−ニコチン酸と金属触媒との分離
− 酸化触媒(N−アセトキシフタルイミド(NAP
I))、金属触媒(酢酸コバルト、酢酸マンガン)の存
在下、β−ピコリンを、ニコチンアルデヒドを共酸化剤
として用い、酢酸溶媒中、温度140℃、圧力2MPa
で空気を用いて酸化し、ニコチン酸を生成させた。反応
混合液を、脱酢酸し、濃縮物に2−エチルヘキサノール
を添加して常圧で、温度25℃まで冷却晶析し、ろ過
し、残存物をメタノールで洗浄してろ過し、ニコチン酸
を分離した。ろ液と洗浄液とを合わせて脱溶媒し、濃縮
した残渣中の成分を分析したところ、ニコチン酸92
g、2−エチルヘキサノール160g、N−アセトキシ
フタルイミド(NAPI)1.0g、N−ヒドロキシフ
タルイミド(NHPI)1.8g、フタル酸(PA)1
08g、フタルイミド(PI)67g、無水フタル酸
(APA)24g、全コバルト11g、全マンガン1
1.4gであった。
【0096】濃縮物に水100gを添加して温度30
℃、常圧で抽出し、析出物を、温度30℃及び圧力30
0mmHgでろ過し、残存物に水30gを添加して同条
件で洗浄ろ過し、温度30℃及び常圧で分液した。水相
中への全コバルトの分配率は98.4%、全マンガンの
分配率は98.2%、有機相及び前記ろ過物中へのNA
PIの分配率は99.4%、NHPIの分配率は99.
2%、フタル酸(PA)98%、フタルイミド(PI)
99%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07C 51/265 C07C 51/265 63/24 63/24 63/26 F 63/26 C07D 213/803 C07D 213/803 209/48 Z Fターム(参考) 4C055 AA01 BA01 CA02 CA57 DA01 FA34 FA37 FA41 4C204 BB09 CB04 DB30 EB03 FB33 FB34 GB01 4G069 AA06 AA10 BA21A BA21B BC15A BC16A BC29A BC30A BC38A BC49A BC53A BC57A BC61A BC62A BC62B BC65A BC67A BC67B BC69A BD03A BE08A BE08B BE19A BE19B CB15 CB16 GA09 GA13 4H006 AA02 AC46 BA16 BA20 BA51 BA55 BA83 BB17 BB31 BC10 BC11 BC35 BC51 BJ50 BS30 4H039 CA65 CC30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 (式中、Xは酸素原子、ヒドロキシル基又はアシルオキ
    シ基を示す)で表されるイミド単位を有するイミド化合
    物と金属触媒とを含む混合物から、晶析溶媒を用いて、
    前記イミド化合物と前記金属触媒とを分離する方法。
  2. 【請求項2】 混合物を水性溶媒で処理して、イミド化
    合物を含む晶析成分と、金属触媒を含む水性溶媒相とに
    分離する請求項1記載の分離方法。
  3. 【請求項3】 水性溶媒が、水である請求項2記載の分
    離方法。
  4. 【請求項4】 イミド化合物が、芳香族イミド化合物で
    あり、金属触媒が、遷移金属化合物および周期表13族
    元素を含む化合物から選択された少なくとも1種の化合
    物であり、かつ水性溶媒に可溶である請求項1記載の分
    離方法。
  5. 【請求項5】 イミド化合物と金属触媒とで構成された
    触媒系の存在下、基質と酸素との接触により生成した反
    応混合物から、前記イミド化合物と金属触媒とを分離す
    る方法であって、溶媒を利用して、前記イミド化合物及
    び金属触媒を溶媒相に分配させることにより、反応生成
    物を分離し、前記溶媒相から晶析溶媒により金属触媒を
    分離する請求項1記載の方法。
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