JP2002299727A - 磁性素子、トンネル磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

磁性素子、トンネル磁気抵抗効果素子及びその製造方法

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JP2002299727A JP2001103185A JP2001103185A JP2002299727A JP 2002299727 A JP2002299727 A JP 2002299727A JP 2001103185 A JP2001103185 A JP 2001103185A JP 2001103185 A JP2001103185 A JP 2001103185A JP 2002299727 A JP2002299727 A JP 2002299727A
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magnetic layer
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Akio Koganei
昭雄 小金井
Kazuhisa Okano
一久 岡野
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    • H01F10/3281Exchange coupling of magnetic film pairs via a very thin non-magnetic spacer, e.g. by exchange with conduction electrons of the spacer the exchange coupling being asymmetric, e.g. by use of additional pinning, by using antiferromagnetic or ferromagnetic coupling interface, i.e. so-called spin-valve [SV] structure, e.g. NiFe/Cu/NiFe/FeMn only by use of asymmetry of the magnetic film pair itself, i.e. so-called pseudospin valve [PSV] structure, e.g. NiFe/Cu/Co

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微細化した強磁性層の保磁力を低減させるこ
とで、磁化と保磁力を自由に選択可能な磁性素子を実現
する。 【解決手段】 第2の磁性層102は第1の磁性層より
も保磁力が小さいため磁化が反転しやすい。第2の磁性
層102の磁化が反転すると、第2の磁性層102から
漏洩する磁界により、第2の磁性層102に接触してい
る第1の磁性層101の磁化が反転しやすくなる。第1
の磁性層101が第2の磁性層102から漏洩する磁界
で反転しやすくなるので、本発明の磁性素子の保磁力が
低くなる。また、本発明の磁性素子を用いたトンネル磁
気抵抗効果素子は保磁力が低くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不揮発性の記憶素
子に関し、特に、保磁力で情報を記憶する磁性素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、強磁性体は外部から印加された
磁界によって生じた磁化が外部磁界を取り除いた後にも
残留する。また、強磁性体は、磁化の方向によってその
電気抵抗値が変化する。これは磁気抵抗効果と呼ばれて
いる。また、その電気抵抗値の変化率は磁気抵抗比(M
agneto−Resistance Ratio;M
R比)と呼ばれている。
【0003】磁気抵抗効果を利用すれば、強磁性体の磁
化方向により情報を記憶する不揮発性のメモリを実現す
ることができる。このような不揮発性メモリは磁気メモ
リ(MRAM;Magnetic Random Ac
cess Memory)と呼ばれている。近年、非磁
性層を2つの強磁性層で挟んだ構造のトンネル磁気抵抗
効果(TMR;Tunnel Magneto−Res
istance)素子により巨大磁気抵抗効果(Gia
nt Magnet Registance)が得られ
ることが発見され、注目されている。トンネル磁気抵抗
効果素子は磁気抵抗比が高いので、それを利用したMR
AMや磁気ヘッドの実用化に向けた開発が進められてい
る。
【0004】この種のMRAMは、各メモリセルにトン
ネル磁気抵抗効果素子を有している。トンネル磁気抵抗
効果素子において、膜面に対して膜垂直方向に電流を流
した場合の電気抵抗値の変化は、非磁性層をトンネルバ
リア層として、2つの強磁性層のスピン分極率の差によ
り生じる。そして、電気抵抗値の変化をトンネル電流の
変化として検知すれば、記憶された情報を読み出すこと
ができる。
【0005】ところで、昨今では携帯電話やPDA等の
モバイル機器の開発が盛んである。モバイル機器の高機
能化に伴い、その格納用メモリとして、大容量で高速ア
クセス可能な不揮発性メモリの必要性が高まっている。
また、様々な技術分野で軽量化、小型化、低消費電力化
が指向されている。これらを実現するために、MRAM
においては、微細化した磁性材料の磁化と保磁力という
2つのパラメータを自由に選択可能とすることが望まれ
ている。ここで、何らかの機能を実現するために微細加
工された磁性薄膜の膜片を磁性素子と呼ぶこととする。
磁性素子の開発では、サブμmデバイス、更には100
nmデバイスを実現するために、材料の物性の極限に挑
む戦いが繰り広げられている。
【0006】トンネル磁気抵抗効果素子の基本構造とし
ては、2つの強磁性層と、それらの間に挟まれた薄い非
磁性層とからなる。そして、2つの強磁性層は保磁力が
互いに異なっている。2つの強磁性層の磁化方向が平行
でかつ同一方向の場合(以下、平行と称す)と、平行で
かつ反対方向の場合(以下、反平行と称す)とで、トン
ネル磁気抵抗効果素子の電気抵抗値は異なる。トンネル
磁気抵抗効果素子は、この現象を利用して“0”及び
“1”の2値の状態を記憶する。
【0007】トンネル磁気抵抗効果素子への情報の書き
込みは、保磁力が大きい方の強磁性層の磁化方向を外部
磁界により変化させることで行われる。トンネル磁気抵
抗効果素子の近傍に配置した配線に電流を流すことで、
トンネル磁気抵抗効果素子への外部磁界を発生させる方
法が知られている。
【0008】トンネル磁気抵抗効果素子から情報を読み
出す方法としては、絶対値検出方式と差動検出方式とが
知られている。絶対値検出方式は、トンネル磁気抵抗効
果素子の電気抵抗値の絶対値で判断するものである。差
動検出方式は、書き込みの際より弱い外部磁界を印加し
て、保磁力の小さい強磁性層の磁化のみを反転させ、そ
の前後の電気抵抗値の差から、保磁力の大きい強磁性層
の状態を読み出すものである。
【0009】トンネル磁気抵抗効果を利用した磁性素子
は、情報を磁気的に記憶するため放射線に対する耐性に
優れ、原理的に不揮発であり、高速アクセスが可能であ
り、書き込み回数に制限がない等様々な利点を有する。
また、MRAMでは、既存の半導体製造技術を流用して容易
に高密度記録が実現できるので、MRAMが将来的にはDR
AMに置き換わるものと期待されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】メモリ開発では、記録
密度を向上させるために、情報を記録する単位であるメ
モリセルのサイズは年々縮小している。しかし、磁性膜
は、微細化するとその保磁力が増大する傾向にある。こ
れは、微細化すると膜があるかないかの境目(端部)に
位置する部分の割合が相対的に増えることに原因がある
と考えられる。何故なら、磁極を外部に発しないよう
に、膜の端部では磁化方向が膜面に向く傾向にあるため
である。
【0011】このように本来の磁化が容易な軸方向から
外れた成分を有する膜では交換エネルギーが大きく、磁
化反転に大きなエネルギーが必要である。磁化を反転さ
せるためのエネルギーが大きいことは、即ち保磁力が大
きいことを意味する。
【0012】MRAMでは、メモリセルの付近の配線に
電流を流すことで発生する外部磁界で強磁性層の磁化を
反転させる。メモリセルの保磁力が増大すれば、磁化反
転に大きな電流が必要となる。必要な電流が大きければ
それだけ消費電力が大きいので、好ましくない。
【0013】希土類金属と遷移金属の合金磁性薄膜は特
に垂直異方性に優れており、微細化しても磁化が膜面に
対して垂直方向に安定して向くことから、Ni,Fe,
Coなどの従来より提案されてきた面内磁気異方性を有
する強磁性薄膜に比べて有利であると考えられてきた。
【0014】しかし、希土類金属と遷移金属の合金磁性
薄膜は元来の保磁力が巨大であるため、メモリセルをサ
ブミクロン領域まで微細化すると、情報の書込み及び読
出しに必要な電流が面内磁化膜に比べて大きなものとな
ってしまうという課題があった。
【0015】本発明の第1の目的は、微細化した強磁性
層の保磁力を低減させることで、磁化と保磁力を自由に
選択可能な磁性素子を実現することである。
【0016】また、本発明の第2の目的は、メモリセル
の保磁力を低減させることで、磁化の反転に必要な書き
込み電流を低減し、低消費電力のMRAMを実現することで
ある。
【0017】また、本発明の第3の目的は、コストパフ
ォーマンスと生産性の高いMRAMを提供することにあ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の磁性素子は、強磁性体の保磁力を利用した
磁性素子であって、基板上に形成した第1の磁性層と、
前記第1の磁性層より磁気異方性が低く、前記第1の磁
性層に接触した第2の磁性層とを有している。
【0019】第2の磁性層は、第1の磁性層より磁気異
方性が低いため、第1の磁性層よりも保磁力が小さいた
め、第1の磁性層より磁化が反転しやすい。第2の磁性
層の磁化が反転すると、第2の磁性層から漏洩する磁界
により、第1の磁性層の磁化が反転しやすくなる。した
がって、本発明の磁性素子は、第1の磁性層が単独で存
在する場合よりも小さな外部磁界で反転するので、微細
化した強磁性層において保磁力を低減させることが可能
である。
【0020】本発明の実施態様によれば、前記第2の磁
性層は、前記第1の磁性層の周囲に接触している。
【0021】本発明の実施態様によれば、前記第2の磁
性層は、前記第1の磁性層の上部に接触している。
【0022】本発明の実施態様によれば、前記第1の磁
性層及び前記第2の磁性層の主たる磁化方向が膜面に対
して垂直である。
【0023】本発明の実施態様によれば、前記第1の磁
性層及び前記第2の磁性層は、希土類金属と遷移金属と
の合金である。
【0024】本発明の実施態様によれば、前記合金は、
Gd、Tb、Ho、Dy、Fe、Co、Niのうち少な
くとも2つを含んでいる。
【0025】本発明の他の実施態様によれば、前記第1
の磁性層及び前記第2の磁性層の主たる磁化方向が膜面
に対して水平である。
【0026】本発明の実施態様によれば、前記第2磁性
層が前記第1磁性層の改質物である。
【0027】本発明の実施態様によれば、前記改質物は
Ga混入物である。
【0028】本発明の他の実施態様によれば、前記改質
物は酸化物である。
【0029】本発明の他の磁性素子は、強磁性体の保磁
力を利用した磁性素子であって、磁気異方性の異なる磁
性層を複数有する。
【0030】本発明のトンネル磁気抵抗効果素子は、磁
気異方性の異なる2つの磁性層が接触した構成の第1の
磁性素子と、磁気異方性の異なる2つの磁性層が接触し
た構成であり、前記第1の磁性素子と保磁力が異なる第
2の磁性素子と、前記第1の磁性素子と前記第2の磁性
素子とに挟まれた非磁性絶縁層を有している。
【0031】2つの磁性素子と非磁性絶縁層からなるト
ンネル磁気抵抗効果素子において、磁気異方性の異なる
磁性層が接触してなる磁性素子を用いれば、保磁力の小
さいトンネル磁気抵抗効果素子を実現できる。
【0032】本発明の他のトンネル磁気抵抗効果素子
は、単独の磁性層からなる第1の磁性素子と、磁気異方
性の異なる2つの磁性層が接触した構成であり、前記第
1の磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素子と、前記
第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた非磁
性絶縁層を有している。
【0033】本発明の更に他のトンネル磁気抵抗効果素
子は、磁気異方性の異なる複数の磁性層からなる第1の
磁性素子と、磁気異方性の異なる複数の磁性層からな
り、前記第1の磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素
子と、前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟
まれた非磁性絶縁層を有している。
【0034】本発明の更に他のトンネル磁気抵抗効果素
子は、単独の磁性層からなる第1の磁性素子と、磁気異
方性の異なる複数の磁性層からなり、前記第1の磁性素
子と保磁力が異なる第2の磁性素子と、前記第1の磁性
素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた非磁性絶縁層を
有している。
【0035】本発明の磁性素子の製造方法は、基板上に
第1の磁性層を形成するステップと、荷電粒子を打ち込
んで前記第1の磁性層を改質し、前記第1の磁性層より
磁気異方性の低い第2の磁性層を作成するステップを有
している。
【0036】磁性層にイオンビームを照射することによ
り荷電粒子を打ち込んで、磁気異方性の低減した磁性素
子を作成するプロセスを導入するという、マスク製造工
程が不要で容易な工程により、保磁力を低減した磁性素
子を製造することができる。
【0037】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
を前記第1の磁性層の側壁部分に打ち込む。
【0038】本発明の他の実施態様によれば、前記荷電
粒子を前記第1の磁性層の上面部分に打ち込む。
【0039】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
を打ち込むことにより、前記第1の磁性層の概ね全体を
改質する。
【0040】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
は希ガス、窒素、酸素またはこれらの混合物を原料とす
る。
【0041】本発明の他の実施態様によれば、前記荷電
粒子はGa、B、P、Asまたはこれらの混合物を原料
とする。
【0042】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
の注入エネルギーが10〜300keVである。
【0043】本発明のトンネル磁気抵抗効果素子の製造
方法は、基板上に下部強磁性層、非磁性絶縁層及び上部
強磁性層を形成して素子を構成するステップと、荷電粒
子を打ち込んで、前記下部強磁性層または前記上部強磁
性層の少なくとも一方を改質するステップを有してい
る。
【0044】強磁性層にイオンビーム等を照射すること
により荷電粒子を打ち込んで、磁気異方性の低減した磁
性素子を作成するプロセスを導入するという、マスク製
造工程が不要で容易な工程により、保磁力を低減したト
ンネル磁気抵抗効果素子を製造することができる。ま
た、ピンポイントで要所の処理を済ませることができ
る。
【0045】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
を前記素子の側壁部分に打ち込む。
【0046】本発明の他の実施態様によれば、前記荷電
粒子を前記素子の上面部分に打ち込む。
【0047】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
を打ち込むことにより、前記上部強磁性層の概ね全体を
改質する。
【0048】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
は希ガス、窒素、酸素またはこれらの混合物を原料とす
る。
【0049】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
はGa、B、P、Asまたはこれらの混合物を原料とす
る。
【0050】本発明の実施態様によれば、前記荷電粒子
の注入エネルギーが10〜300keVである。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図面を
参照して詳細に説明する。
【0052】本発明の磁性素子は、磁気異方性の異なる
複数の磁性層からなる。本発明の一実施形態として、互
いに磁気異方性の異なる2つの磁性層が接触している場
合を例示する。
【0053】本実施形態の磁性素子は、第1の磁性層か
らなるドメインと、第1の磁性層に比べて磁気異方性が
低く、第1の磁性層に接触した第2の磁性層からなるド
メインとが基板上に形成されている。ここで“磁性素
子”とは、何らかの機能を実現するために、磁性薄膜を
微細加工して構成された膜片のことを指すものとする。
また“ドメイン”とは、微細加工により規定された磁性
薄膜が存在する領域のことを指すものとする。
【0054】第2の磁性層は、第1の磁性層より磁気異
方性が低いため、第1の磁性層よりも保磁力が小さい。
外部から本実施形態の磁性素子に与える磁界を徐々に強
めていくと、第1の磁性層より先に第2の磁性層の磁化
が反転する。第2の磁性層の磁化が反転すると、第2の
磁性層からの漏洩する磁界により、第1の磁性層の磁化
が反転しやすくなる。そのため、第1の磁性層は、第2
の磁性層と接触している場合の方が、単独で存在する場
合よりも小さな外部磁界で反転する。したがって、微細
化した強磁性層において保磁力を低減させることが可能
となり、磁化と保磁力を自由に選択して磁性素子を構成
することができる。
【0055】下部強磁性層と非磁性層と上部強磁性層か
らなるトンネル磁気抵抗効果素子において、下部又は上
部強磁性層に本実施形態の磁性素子を用いれば、保磁力
の小さい磁気メモリ(MRAM)を実現することができ
る。保磁力の小さい磁気メモリは、磁化の反転が生じる
外部磁界(以下、反転磁界と称す)が小さいため、低消
費電力である。
【0056】図1は、本発明の実施形態の磁性素子の4
つの形態の斜視図である。図1(a)は、円筒型、図1
(b)は直方体型、図1(c)は上面型、図1(d)は
下面型のそれぞれの磁性素子を示す。
【0057】図1(a)及び(b)を参照すると、第1
の磁性層101の周囲に第1の磁性層よりも磁気異方性
が低い第2の磁性層102が配置されている。図1
(c)及び(d)を参照すると、第1の磁性層101の
上或いは下に、第2の磁性層102が重畳されている。
いずれの場合でも、本実施形態の磁性素子は、単独の第
1の磁性層101に比べて保磁力が小さい。
【0058】なお、第1の磁性層101と第2の磁性層
102の磁化の方向は、概略そろっていることが望まし
い。また、第1の磁性層101及び第2の磁性層102
は、磁化の方向が膜面に水平な面内磁化膜であってもよ
く、また、磁化の方向が膜面に対して垂直な垂直磁化膜
であってもよい。
【0059】図2は、本実施形態の磁性素子の各磁性層
の磁化方向の変化の様子を示す断面模式図である。図2
(a)〜図2(d)は、第1及び第2の磁性層101,
102の磁化方向がそろっている状態から、外部磁界の
印加により磁化が反転し、逆方向に揃うまでの様子を時
系列に示している。図2(a)において、矢印は、第1
の磁性層101及び第2の磁性層102の磁化方向を表
すベクトルである。
【0060】なお、これは本発明のメカニズムを簡潔に
説明するために単純化したモデルである。実際の磁化反
転挙動は、マイクロマグネティクスに基づいた、微視的
でかつ複雑な反応であることは言うまでもない。
【0061】図2を用いて本発明のメカニズムについて
説明する。
【0062】図2(a)の時点では、第1の磁性層10
1及び第2の磁性層102a,102bは共に磁化が上
向きである。ここで、磁性素子に与える下向きの外部磁
界を徐々に強めていくと、図2(b)に示すように、磁
気異方性の低い第2の磁性層102a,102bの磁化
の方向が傾いてくる。
【0063】図2(b)の時点では、外部磁界の強さが
単独の第1の磁性層101の保磁力より小さい。第1の
磁性層101は、その周囲にある第2の磁性層102
a,102bから交換力を受けて、単独の場合より磁化
が反転しやすい状態となっている。そのため、図2
(b)に示すように、第1の磁性層101の磁化の方向
も傾いている。ただし、第1の磁性層101の傾きは第
2の磁性層102a,102bより小さい。
【0064】図2(c)の時点では、下向きの外部磁界
が図2(b)の時点より強くなっている。磁気異方性の
低い第2の磁性層102a,102bの磁化はほぼ反転
を終了している。これに対して、第1の磁性層101の
磁化の方向はやや遅れて回転している。ただし、単独の
第1の磁性層101に比べると、保磁力が低減している
ので、磁化の回転は進んでいる。
【0065】図2(d)の時点では、図2(c)の時点
より更に外部磁界が強くなっている。第1の磁性層10
1及び第2の磁性層102a,102bは共に磁化の反
転が完了している。以上のように、第1の磁性層101
が単独の場合に比べて、小さな外部磁界で磁化が反転す
る。
【0066】したがって、本実施形態の磁性素子をMR
AMに応用すれば、容易に、メモリセルの保磁力を下
げ、磁化反転に必要な書き込み電流を低減することが可
能になる。
【0067】図3は、本実施形態の磁性素子の磁化曲線
(a)及び単独の第1の磁性層101の磁化曲線(b)
の模式図である。磁化曲線とは、外部磁界(H)と磁化
の関係を示すグラフである。図3中の矢印は磁化曲線が
ヒステリシス特性を示す部分での磁化の進行方向を示
す。ここで、磁化曲線がH軸と交差する点における外部
磁界を保磁力と定義する。本実施形態の磁性素子の保磁
力はHc1であり、単独の第1の磁性層101の保磁力
はHc2である。
【0068】保磁力Hc1と保磁力Hc2とは、Hc1
>Hc2の関係にある。すなわち、本実施形態の磁性素
子は、単独の第1の磁性層101に比べて、弱い外部磁
界で磁化が反転する。
【0069】図4は、希土類金属と遷移金属の合金であ
る垂直磁化膜を用いた磁性素子の磁化の様子を示す模式
図である。図4(a)は遷移金属優勢の場合の磁化を示
し、図4(b)は希土類金属優勢の場合の磁化を示す。
太い黒矢印は希土類金属(RE)の磁化の方向を示し、
細い矢印は遷移金属(TM)の磁化の方向を示し、白抜
きの太い矢印はそれらを合算した磁化の方向を示す。
【0070】適切な材料及び組成で組み合わせた希土類
金属―遷移金属の磁性体はフェリ磁性を示す。したがっ
て、希土類金属の磁化と遷移金属の磁化とは反平行であ
る。そして、これら主格子磁化と副格子磁化の差分が全
体の磁化として観察される。
【0071】図4(a)は、第1の磁性層401及び第
2の磁性層402は共に遷移金属が優勢な合金である。
本実施形態の磁性素子は第1の磁性層401と第2の磁
性層402a,402bとからなる。
【0072】第1の磁性層401では、遷移金属の磁化
が希土類金属の磁化より大きいが両者の差は小さい。そ
のため、第1の磁性層401全体の磁化は、第2の磁性
層402a,402bの磁化より小さい。第2の磁性層
402a,402bでは、遷移金属の磁化が希土類金属
の磁化よりはるかに大きい。そのため、第2の磁性層4
02a,402b全体の磁化は第1の磁性層401の磁
化より大きい。
【0073】したがって、磁化が大きい、即ち、磁気異
方性が低い第2の磁性層402a,402bは、第1の
磁性層401よりも弱い外部磁界で磁化が反転する。
【0074】図4(b)は、第1の磁性層403及び第
2の磁性層404は共に希土類金属が優勢な合金であ
る。本実施形態の磁性素子は第1の磁性層403と第2
の磁性層404a,404bとからなる。
【0075】第1の磁性層403では、希土類金属の磁
化が遷移金属の磁化より大きいが両者の差は小さい。そ
のため、第1の磁性層403全体の磁化は、第2の磁性
層404a,404bの磁化より小さい。第2の磁性層
404a,404bでは、希土類金属の磁化が遷移金属
の磁化よりはるかに大きい。そのため、第2の磁性層4
04a,404b全体の磁化は第1の磁性層403の磁
化より大きい。
【0076】したがって、磁化が大きい、即ち、磁気異
方性が低い第2の磁性層404a,404bは、第1の
磁性層403よりも弱い外部磁界で磁化が反転する。
【0077】したがって、磁化が大きい、即ち、磁気異
方性が低い第2の磁性層404a,404bは、第1の
磁性層403よりも弱い外部磁界で磁化が反転する。
【0078】図4は、第1の磁性層の優勢な金属と第2
の磁性層の優勢な金属が同類である場合を示したが、第
1の磁性層全体の磁化が第2の磁性層全体の磁化より大
きく、方向が同じであれば、何れか一方が希土類金属優
勢で、他方が遷移金属優勢であってもよい。
【0079】次に、本実施形態の磁性素子の製造方法に
ついて説明する。本実施形態の磁性素子の製造方法は多
数存在する。例えば、第1の磁性層を改質して第2の磁
性層を得る方法や、第2の磁性層をフォトリソグラフィ
によってパターニングして成膜する方法などがある。
【0080】図5は、第1の磁性層に荷電粒子を注入し
て改質し、第2の磁性層を得る本実施形態の磁性素子の
製造方法を説明するための模式図である。
【0081】図5(a)に示すように、基板501上に
第1の磁性層502と保護層503を形成する。
【0082】第1の磁性層502はGaをイオン源とす
る集束イオンビーム(加速電圧30kV)により素子化
される。図5(b)は加工の様子を示すもので、第1の
磁性層502は、イオンビーム504が照射されること
により、素子周囲に改質したテーパを生じる。第1の磁
性層502が改質した部分が第2の磁性層505とな
る。図5(c)は改質により第2の磁性層505が生じ
た後の状態を示す。
【0083】第2の磁性層505の部分では、Gaイオ
ンにより第1の磁性層502内の磁気結合鎖が部分的に
断ち切られているので、磁気異方性が減少している。
【0084】なお、第1の磁性層502を改質するため
に使用されるイオン或いは荷電粒子はGaの集束ビーム
に限定されるものではない。Ar等の希ガス、反応性プ
ロセスを実現するN2やO2等のガス、或いは半導体の製
造工程でドーパントガスとして使用されるGa、B、
P、As、及びこれらの混合物を原料とするイオンが用
いられてもよい。
【0085】第1の磁性層502を改質するために使用
されるイオン或は荷電粒子の注入エネルギーとしては1
0〜300keVが適当である。10keV以下のエネ
ルギーでは十分な改質が生じない。また、300keV
を超えるエネルギーでは、対象物に物理的ダメージを生
じ、破壊してしまう場合がある。
【0086】注入エネルギーは、荷電粒子、改質の対象
となる第1の磁性層502の材質や加工形状、加工場所
等に応じて適宜選択される。
【0087】第1の磁性層502を改質することで第2
の磁性層505を作成する場所は、図5に示したような
第1の磁性層502の周囲に限定されるものではない。
【0088】図1(c)や図1(d)に示したように、
第1の磁性層502の上或は下に第2の磁性層505を
作成した形態も考えられる。
【0089】図6(b)は、第1の磁性層502の上に
第2の磁性層505を作成したものを示す。保護層50
3の膜厚として適当な厚さを選択することで第1の磁性
層502へのイオン注入量を調整し、図6(a)のよう
にイオンビーム504を第1の磁性層502の上面に照
射することで、第2の磁性層505の膜厚を所望の厚さ
とすることができる。
【0090】保護層503の膜厚を更に薄くして非磁性
元素506が完全に浸入するようにすれば、図6(c)
のように第1の磁性層502は全面的に改質する。
【0091】なお、第1の磁性層502から第2の磁性
層505を作成するための製造方法は、FIBなどのイ
オンビーム照射に限定されるものではない。例えば、第
1の磁性層502を大気中で自然に酸化させることでも
容易に改質することができる。
【0092】自然酸化により第1の磁性層を改質して第
2の磁性層を得る製造方法の一例を図7を用いて説明す
る。
【0093】図7を参照すると、第1の磁性層701が
基板(不図示)上に形成されている。第1の磁性層70
1において、遷移金属の磁化が希土類金属の磁化より大
きい。そして、両者の磁化の大きさの差は小さいため遷
移金属優勢である。そのため、第1の磁性層701は磁
気異方性が大きい。
【0094】第1の磁性層701を大気中に一定時間放
置すると、第1の磁性層701内の希土類金属が容易に
酸化して磁化を失う。それにより磁気異方性の低い第2
の磁性層が第1の磁性層701の周囲に生じる。この例
では、第2の磁性層は遷移金属の磁化を主に示すことに
なる。したがって、遷移金属材料の種類によっては、磁
性素子は若干の面内磁化成分を持つようになる。しか
し、第1の磁性層と第2の磁性層の磁化方向は概ね揃っ
ているため本発明の機能が損なわれることはない。
【0095】なお、第1の磁性層の周囲を覆う第2の磁
性層の厚さは、材料の組み合わせにより適宜選択され
る。
【0096】また、第1の磁性層と第2の磁性層の境界
には、第1の磁性層及び第2の磁性層と異なる第3の層
が存在してもよい。第3の層は、第1の磁性層と第2の
磁性層の材料の混合物からなる場合もあり、また、全く
異なる非磁性材料からなる場合もある。いずれの場合で
も、第3の層の厚さはできるだけ薄いことが望ましい。
0〜3nmの範囲であることが望ましい。第3の層が厚
すぎると、第1の磁性層と第2の磁性層との磁気的な結
合力が弱まり、保磁力を低減させるという本発明特有の
効果が低下してしまうからである。
【0097】本実施形態の磁性素子は、トンネル磁気抵
抗効果素子に応用することができる。
【0098】図8は、本実施形態の磁性素子で非磁性絶
縁層を挟んだ構成のトンネル磁気抵抗効果素子の一例を
示す斜視図である。
【0099】従来のトンネル磁気抵抗効果素子は、下部
強磁性層と非磁性絶縁層と上部強磁性層とからなり、上
部及び下部強磁性層は共に単独の層である。
【0100】図3を参照すると、本実施形態のトンネル
磁気抵抗効果素子の下部強磁性層は、第1の磁性層80
1及び第2の磁性層804から構成された第1の磁性素
子810である。また、非磁性絶縁層はトンネル膜80
2である。また、上部強磁性層は、第1の磁性層803
及び第2の磁性層805から構成された第2の磁性素子
820である。
【0101】下部強磁性層と上部強磁性層の保磁力は互
いに異なる。保磁力の小さい方がフリー層となり、保磁
力の大きい方がピン層となる。
【0102】本実施形態では、第1の磁性素子810の
第2の磁性層804は、第1の磁性層801の周囲を覆
うよう配置されている。第2の磁性素子820の第2の
磁性層805は第1の磁性層803の周囲を覆うよう配
置されている。そして、第1及び第2の磁性素子81
0,820でトンネル磁気抵抗効果素子が構成されてい
る。
【0103】トンネル磁気抵抗効果素子は、下部センス
線806及び上部センス線807a,807bに電気的
に接続されている。図8中では、上部センス線807は
構造を見やすくするために807a及び807bに分割
されているが、実際には一つの配線である。
【0104】下部センス線806には、第1磁性素子8
10の第1の磁性層801及び第2の磁性層804が接
続されている。上部センス線807には第2磁性素子8
20の第1の磁性層803及び第2の磁性層805が接
続されている。そして、センス電流は、一方のセンス線
から、トンネル磁気抵抗効果素子を通って、他方のセン
ス線に流れる。なお、図8中では、センス電流を流すた
めに必要な絶縁層は図示されていない。
【0105】本実施形態の磁性素子は保磁力が小さいた
め、外部磁界を印加することにより情報を容易に書込む
ことができる。
【0106】トンネル磁気抵抗効果素子は、構成要素と
して、保磁力の互いに異なる上部強磁性層と下部強磁性
層とを有する。これらは保磁力が互いに異なり、磁化の
反転し易さが異なる。磁化が反転し易い方が軟磁性材料
であり、磁化が反転し難い方が硬磁性材料である。軟磁
性材料は容易に磁化が反転するので、情報を読み出すと
きに磁化が反転される再生層として機能する。
【0107】また、硬磁性材料は軟磁性材料よりも磁化
が反転し難いので、情報を記憶するメモリ層として機能
する。
【0108】この軟磁性材料及び硬磁性材料は2つの強
磁性層間における保磁力の大小関係で定義されるもので
保磁力が大きいものを硬磁性材料とする。
【0109】なお、本実施形態の磁性素子をトンネル磁
気抵抗効果素子に応用する場合、図8に示したように上
部強磁性層及び下部強磁性層の双方に用いる以外に、上
部強磁性層のみに適用する場合も考えられる。
【0110】イオンビームにより上部強磁性層を改質す
る場合、上述したように、上部強磁性層の一部を改質し
てもよく、また、上部強磁性層の概ね全体を改質しても
よい。
【0111】図9は、上部強磁性層の一部を改質して作
成したトンネル磁気抵抗効果素子の斜視図である。
【0112】図9において、下部強磁性層は第1の磁性
素子830である。また、非磁性絶縁層はトンネル膜8
02である。また、上部強磁性層は、第1の磁性層80
3と第2の磁性層805からなる第2の磁性素子840
である。そして、導電性保護層308によりイオン注入
ダメージを防止している。
【0113】下部強磁性層と上部強磁性層の保磁力は互
いに異なり、保磁力の小さい方がフリー層となり、保磁
力の大きい方がピン層となる。ここでは上部強磁性層が
ピン層であるとする。
【0114】製造方法としては、メモリセルのエリアを
規定するための加工の後に、イオンビームを照射して第
2の磁性素子840の第1の磁性層803を改質し、第
1の磁性層803の上部に第2の磁性層805を生成す
る。
【0115】第2の磁性層805では、Gaイオンによ
り第1の磁性層803内の磁気結合鎖が部分的に断ち切
られ、磁気異方性が減少している。ピン層となる第2磁
性素子840の保磁力は、導電性保護層808の膜厚を
選択することにより調整できる。
【0116】本実施形態の磁性素子は保磁力が小さいた
め、図9のトンネル磁気抵抗効果素子は外部磁界を印加
することにより情報を容易に記録することができる。
【0117】図10は、上部強磁性層全体を改質して作
成したトンネル磁気抵抗効果素子の斜視図である。
【0118】図10において、下部強磁性層は第1の磁
性素子830である。非磁性絶縁層はトンネル膜802
である。上部強磁性層は第2の磁性素子850である。
なお、図10の場合も図9と同様に上部強磁性層がピン
層であるとする。
【0119】メモリセルのエリアを規定するための加工
の後に、イオンビームを照射して上部強磁性層全体を改
質して第2の磁性素子850を生成する。第2の磁性素
子850には、非磁性元素809が注入されている。こ
のときの注入エネルギーを選択することで、ピン層とな
る第2磁性素子850の保磁力を調整することができ
る。
【0120】本実施形態の磁性素子は保磁力が小さいた
め、図10のトンネル磁気抵抗効果素子は外部磁界を印
加することにより容易に情報を記録することができる。
【0121】なお、トンネル磁気抵抗効果素子の製造工
程において、イオンビームを照射して磁気異方性の低減
した磁性素子を作成するプロセスを導入することは、マ
スク製造工程が不要なため比較的容易である。また、ピ
ンポイントで要所の処理を済ませることができるので、
保磁力を低減させるための加工の生産性が高い。
【0122】なお、本実施形態の磁性素子の応用範囲
は、トンネル磁気抵抗効果素子のみに限定されるもので
はない。本実施形態の磁性素子は、微細加工を施した磁
気応用製品において保磁力の低い磁性素子が要求される
場合に、広く適用することが可能なのは言うまでもな
い。
【0123】次に、本発明の具体的な実施例について詳
細に説明する。 (第1の実施例)第1の磁性層の周囲に第1の磁性層の
改質物である第2の磁性層を配置することにより、保磁
力を低下させた磁性素子の一例を示す。
【0124】磁性膜をFIB(集束イオンビーム)装置
を使って微細加工し、0.3〜0.7[μm]角の図5
(c)に示したような磁性素子を作成した。そして、素
子サイズに依存して保磁力がどのように変化したかを検
証した。
【0125】このとき、磁性素子の保磁力として、磁気
力顕微鏡(MFM)で測定した磁気情報を用いた。ま
た、振動式磁気測定装置(VSM)により測定した1c
m角の垂直異方性磁化単層膜を比較対象とした。また、
実験には、遷移金属が優勢なフェリ磁性体を使った。
【0126】第1の磁性層としてTb20Feを用い、膜
厚を30nmとした。Tb−Fe系の垂直磁化膜ではT
b成分が25%付近に補償組成があるので、25%以下
では遷移金属であるFeが優勢となり、25%以上では
希土類金属であるTb優勢となる。
【0127】先ず、第1の磁性層としてTb20Feを基
板上に成膜した。ここで用いた基板は、(1,0,0)
の結晶方位を持つ4インチのSiウエハに1μmの熱酸
化膜を形成したものである。Tb20Feの成膜にはマグ
ネトロンスパッタ法を用い、TbターゲットとFeター
ゲットによるコスパッタを行った。希土類金属は酸化し
やすいためロードロック室を有する装置を使った。スパ
ッタ室の到達圧力は−5乗Pa以下であった。
【0128】第1の磁性層を成膜した後、保護膜として
45nmのSiをマグネトロンスパッタにて成膜した。
【0129】次に、基板を取り出してFIB装置に投入
した。FIB装置では、加速電圧30kV、ビーム電流
11pAでGaイオンを引き出してボックス・イン・ボ
ックス形状に磁性膜を加工し、各サイズの磁性膜を周囲
から切り出した。切り出した磁性膜から周囲の膜までの
切り離し距離は3μmとした。
【0130】次に、FIB装置から基板を取り出した
後、2nmのPtをスパッタして加工面に酸化防止膜を
形成した。
【0131】次に、基板の膜面に対して垂直方向に+1
8kOeの磁界を掛けて着磁を行った。着磁後の基板を
MFM装置に導入し、サンプルの磁化方向を確認した。
【0132】表1は、着磁後を行った後に、磁界をマイ
ナス方向に掃引し、その後にゼロ磁界下においてMFM
測定を行ったときのMFMイメージを示したものであ
る。表1では、磁化が+側であった場合が白丸で示さ
れ、磁化が−側であった場合が黒丸で示されている。
【0133】
【表1】
【0134】図11は、着磁方向によるMFM像の違い
を示す図である。図11(a)は、1μm角の素子の膜
面に対して垂直で上向きに着磁した場合である。図11
(b)は、同様の素子に垂直で下向きに着磁した場合で
ある。MFMプローブの磁化方向は下向きとした。
【0135】MFMはCoCrでコートされたプローブ
を用いた位相検出で画像化しており、カラーテーブルが
白いほど斥力が強く働き、黒いほど引力が強く働く関係
となるよう設定されている。リフトスキャンの高さは3
0nmである。サンプルの着磁方向に依存して白黒が明
瞭に反転している。
【0136】VSMにより測定した1cm角の垂直異方
性磁化単層膜の保磁力は12.72[kOe]であり、
磁化は92.2emu/ccであった。
【0137】これに対して、0.5[μm]〜0.7
[μm]角サイズの素子は着磁磁場2〜3[kOe]の
間で磁化反転していた。また、0.3[μm]〜0.4
[μm]角サイズの素子は1〜2[kOe]の間で磁化
反転していた。
【0138】これは、素子サイズが小さくなるほど素子
の保磁力が低下することを示している。素子サイズが小
さいほど素子全体の面積に対するGaイオン照射部分面
積が増大するからである。すなわち、第1の磁性層の側
壁を改質することで第1の磁性層の周囲に生成した第2
の磁性層を配置することで保磁力を低下させることがで
きた。 (第2の実施例)第1の磁性層の周囲に第1の磁性層の
改質物である第2の磁性層を配置することにより、保磁
力を低下させた磁性素子の他の例を示す。
【0139】FIBを使って磁性膜を改質し、図6
(b)に示したように第1の磁性層の上部に第2の磁性
層を作成した。
【0140】第1の磁性層としてTb20Feを用い、膜
厚を30nmとした。先ず、第1の磁性層としてTb20
Feを基板上に成膜した。ここで用いた基板は、(1,
0,0)の結晶方位を持つ4インチのSiウエハに1μ
mの熱酸化膜を形成したものである。Tb20Feの成膜
にはマグネトロンスパッタ法を用い、Tbターゲットと
Feターゲットによるコスパッタを行った。希土類金属
は酸化しやすいためロードロック室を持つ装置を使っ
た。スパッタ室の到達圧力は−5乗Pa以下であった。
【0141】第1の磁性層の成膜した後、保護膜として
25nmのSiをマグネトロンスパッタにて成膜した。
こうして得られた磁性膜をフォトリソグラフィによるマ
スク形成と、イオンミリングとにより孤立した磁性素子
に加工した。素子サイズは1μm角とした。磁性素子か
ら周囲の膜までの切り離し距離は3μmとした。
【0142】磁性素子を加工した後に、2nmのPtを
スパッタして加工面に酸化防止膜を形成した。
【0143】次に、Gaをイオン源とする集束イオンビ
ーム(加速電圧30kV)で第1の磁性層を改質した。
保護膜であるSiが第1の実施例に比べ薄いため、図6
(a)のようにイオンビーム504を第1の磁性層に注
入すると、図6(b)のように第1の磁性層502の上
部に異方性が低下した第2の磁性層505が形成され
た。なお、30kVの集束イオンビームによるGaイオ
ンの注入量は、J.Electoron Micros
c 43,322(1994)よれば、単結晶Si基板
に対して30nm程度である。
【0144】次に、基板の膜面に対して垂直方向に25
kOeの磁界を掛けて着磁を行った。次に、着磁した後
の基板をMFM装置に導入し、第1の実施例と同様の方
法でサンプルの磁化状態を確認した。
【0145】表2に、Si保護膜25nmとした第2の
実施例におけるサンプルの保磁力と、注入による磁気異
方性の低減が生じていない、保護膜が45nmの比較用
サンプルの保磁力とを測定した結果を示す。 (第3の実施例)第1の磁性層の周囲にフォトリソグラ
フィで第2の磁性層を形成することにより、反転磁界を
低減した磁性素子の例を示す。
【0146】ここでは、遷移金属優勢の希土類―遷移金
属からなるフェリ磁性体を磁性素子の構成材料として用
いた。
【0147】図12を参照して、フォトリソグラフィに
よって第2の磁性層を成膜する方法を説明する。
【0148】先ず、基板上に第1の磁性層をパターン形
状に形成する。図12(a)はパターニングが完了した
模様を示す図であり、基板121上に第1の磁性層12
2が形成されている。なお、第1の磁性層122のパタ
ーニング方法としてはリフトオフやエッチング等があ
る。
【0149】次に、第2の磁性層をパターン形状に形成
する。図12(b)は第2の磁性層122のパターニン
グが完了した模様を示す図であり、第2の磁性層123
が形成されている。第1の磁性層122を成膜した後に
第2の磁性層123を重畳したため、図12(b)を参
照すると、基板121の中央部では、第1の磁性層12
2と第2の磁性層123が重なっている。第2の磁性層
123のパターニング方法としては、リフトオフやエッ
チング等が挙げられる。最後に、第2の磁性層123の
第1の磁性層122上に重なっていた部分を除去するこ
とで磁性素子を作成する。
【0150】なお、ここで第1の磁性層122と同じ形
状のマスクパターンを残して第2の磁性層123を成膜
することにより第1の磁性層122と第2の磁性層12
3が重ならないようにすることも考えられる。しかし、
実際にはパターン形状の位置ずれを回避することはでき
ないので、どうしても第1の磁性層122と第2の磁性
層123とが重なる領域が生じてしまう。したがって、
第1の磁性層122と同じ形状のマスクパターンを残す
ような複雑なことをせず、単純なマスク形状で第1の磁
性層122に第2の磁性層123を重ね、重なった領域
があるという前提でプロセスを組んだ方が不安定な位置
ずれ領域を生じず、加工の信頼性は向上する。
【0151】図12(c)は、全てのパターニングが完
了した状態を示すものであり、第1の磁性層122の周
囲に第2の磁性層123が配置されている。図12
(b)の状態から第2の磁性層123が第1の磁性層1
22に重なった部分をCMP等の手法で研磨するか、或
は、重なった部分を指定してエッチングすることによ
り、図12(c)の形状を得ることができる。
【0152】ここでは、遷移金属が優勢なフェリ磁性体
を使って上述した方法により実験を行った。第1の磁性
層としてTb20Feを用い、第2の磁性層としてTb18
Feを用いて、それぞれの膜厚を30nmとした。Tb
−Fe系の垂直磁化膜ではTb成分が25%付近に補償
組成があるので、25%以下では遷移金属である遷移金
属が優勢となり、25%以上では希土類金属である希土
類金属が優勢となる。
【0153】図12の手順に従って、先ず、第1の磁性
層としてTb20Feを基板上に成膜した。ここで用いた
基板は、(1,0,0)の結晶方位を持つ4インチのS
iウエハに1μmの熱酸化膜を形成したものである。T
20Feの成膜にはマグネトロンスパッタ法を用い、T
bターゲットとFeターゲットによるコスパッタを行っ
た。希土類金属は酸化しやすいためロードロック室を持
つ装置を使った。スパッタ室の到達圧力は−5乗Pa以
下であった。
【0154】予め、フォトリソグラフィによりレジスト
マスクを作成した基板上に、マグネトロンスパッタに
て、第1の磁性層として30nmのTb20Feを成膜
し、次に、酸化防止膜として2nmのPtを成膜した。
取り出した基板に対してアセトンの超音波洗浄でリフト
オフを行い、パターン形状を形成した。
【0155】次に、フォトリソグラフィにより、第2の
磁性層のパターン形状のレジストマスクを作成した。マ
スクが作成された基板を再びマグネトロンスパッタ装置
に投入し、十分な脱気後に、第2の磁性層であるTb18
Feを30nm成膜し、次に、酸化防止膜としてPtを
2nm成膜した。
【0156】これらが成膜された後の基板は、アセトン
の超音波洗浄でリフトオフを行った。
【0157】次に、第2の磁性層のパターニングが終了
した基板を、再びマグネトロンスパッタ装置に投入し、
今度はマスクなしで全体に100nmのSiNを成膜し
た。
【0158】次に、基板をCMP装置に投入し、第1の
磁性層と第2の磁性層が重なった領域を平坦化した。
【0159】平坦化が終了した基板の膜面に対して垂直
方向に25kOeの磁界を掛けて着磁を行った。次に、
着磁した後の基板をMFM装置に導入し、サンプルの磁
化方向を確認した。
【0160】また、比較用サンプルとして、第1の磁性
層及び第2の磁性層をTb20Feとしたサンプルを作成
した。そして、第3の実施例のサンプルと比較用サンプ
ルとで、磁化方向を反転させるために必要な磁界の大き
さを比較した。
【0161】評価方法としては、MFM装置を用いてサ
ンプルの磁化方向を確認し、反転に必要な印可磁界の大
きさを比較することで評価した。実験の結果、第3の実
施例のサンプルは、比較用サンプルよりも小さな磁界が
印加されるだけで磁化が反転することが観察された。結
果を表2に示す。 (第4の実施例)第1の磁性層の周囲にフォトリソグラ
フィで第2の磁性層を形成することにより、反転磁界を
低減した磁性素子の他の例を示す。
【0162】ここでは、希土類金属が優勢な希土類―遷
移金属からなるフェリ磁性体を磁性素子の構成材料とし
て用いた。
【0163】第1の磁性層としてTb26Feを用い、第
2の磁性層としてTb28Feを用いて、それぞれの膜厚
を30nmとした。Tb−Fe系の垂直磁化膜ではTb
成分が25%付近に補償組成があるので、25%以下で
は遷移金属であるFeが優勢となり、25%以上では希
土類金属であるTbが優勢となる。
【0164】図12の手順に従って、先ず、第1の磁性
層であるTb26Feを基板上に成膜した。ここで用いた
基板は、(1,0,0)の結晶方位を持つ4インチのS
iウエハに1μmの熱酸化膜を形成したものである。T
26Feの成膜にはマグネトロンスパッタ法を用い、T
bターゲットとFeターゲットによるコスパッタを行っ
た。希土類金属は酸化しやすいためロードロック室を持
つ装置を使った。スパッタ室の到達圧力は−5乗Pa以
下であった。
【0165】予め、フォトリソグラフィによりレジスト
マスクを作成した基板上に、マグネトロンスパッタに
て、第1の磁性層として30nmのTb26Feを成膜
し、次に、酸化防止膜として2nmのPtを成膜した。
取り出した基板に対してアセトンの超音波洗浄でリフト
オフを行い、パターン形状を形成した。
【0166】次に、フォトリソグラフィにより、第2の
磁性層のパターン形状のレジストマスクを作成した。マ
スクが作成された基板を再びマグネトロンスパッタ装置
に投入し、十分な脱気後に、第2の磁性層であるTb28
Feを30nm成膜し、次に、酸化防止膜としてPtを
2nm成膜した。
【0167】これらが成膜された後の基板は、アセトン
の超音波洗浄でリフトオフを行った。
【0168】次に、第2の磁性層のパターニングが終了
した基板を、再びマグネトロンスパッタ装置に投入し、
今度はマスクなしで全体に100nmのSiNを成膜し
た。
【0169】次に、基板をCMP装置に投入し、第1の
磁性層と第2の磁性層が重なった領域を平坦化した。
【0170】平坦化が終了した基板の膜面に対して垂直
方向に25kOeの磁界を掛けて着磁を行った。次に、
着磁した後の基板をMFM装置に導入し、サンプルの磁
化方向を確認した。
【0171】また、比較用サンプルとして、第1の磁性
層及び第2の磁性層をTb26Feとしたサンプルを作成
した。そして、第4の実施例のサンプルと比較用サンプ
ルとで、磁化方向を反転させるために必要な磁界の大き
さを比較した。
【0172】評価方法としては、MFM装置を用いてサ
ンプルの磁化方向を確認し、反転に必要な印可磁界の大
きさを比較することで評価した。実験の結果、第4の実
施例のサンプルは、比較用サンプルより小さな磁界を印
加されるだけで磁化が反転することが観察された。結果
を表2に示す。 (第5の実施例)第1の磁性層の周囲に第1の磁性層の
改質物である第2の磁性層を配置することにより、保磁
力を低下させた磁性素子の他の例を示す。第1の磁性層
を酸化させることにより、第1の磁性層の側壁部に第2
の磁性層を作成した。
【0173】ここでは、遷移金属が優勢なフェリ磁性体
を使って実験を行った。
【0174】第1の磁性層としてTb20Feを用い、膜
厚を30nmとした。Tb−Fe系の垂直磁化膜ではT
b成分が25%付近に補償組成があるため、25%以下
では遷移金属であるFeが優勢となり、25%以上では
希土類金属であるTbが優勢となる。
【0175】図12の手順に従って、先ず、第1の磁性
層であるTb20Feを基板上に成膜した。ここで用いた
基板は、(1,0,0)の結晶方位を持つ4インチのS
iウエハに1μmの熱酸化膜を形成したものである。T
20Feの成膜にはマグネトロンスパッタ法を用い、T
bターゲットとFeターゲットによるコスパッタを行っ
た。希土類金属は酸化しやすいためロードロック室を持
つ装置を使った。スパッタ室の到達圧力は−5乗Pa以
下であった。
【0176】予め、フォトリソによりレジストマスクを
作成した基板上に、マグネトロンスパッタにて、第1の
磁性層として30nmのTb20Feを成膜した。次に、
取り出した基板は、アセトンの超音波洗浄でリフトオフ
を行い、パターン形状を形成した。
【0177】次に、パターニングの完了した基板を大気
中に約1日放置して、第1の磁性層の周囲を酸化させ
た。酸化した第1の磁性層ではTbの磁性が失われるた
め、より遷移金属が優勢の傾向が強まる。したがって、
第1の磁性層の周囲には磁気異方性が小さい第2の磁性
層が実質的に形成される。
【0178】基板の膜面に対して垂直方向に25kOe
の磁界を掛けて着磁を行った。次に、着磁した後の基板
をMFM装置に導入し、サンプルの磁化方向を確認し
た。
【0179】また、比較用サンプルとして、第1の磁性
層を成膜した直後に、マグネトロンスパッタにて2nm
のPtを酸化防止膜として成膜したサンプルを作成し
た。そして、第5の実施例のサンプルと比較用サンプル
とで、磁化方向を反転させるために必要な磁界の大きさ
を比較した。
【0180】評価方法としては、MFM装置を用いてサ
ンプルの磁化方向を確認し、反転に必要な印可磁界の大
きさを比較することで評価した。実験の結果、第5の実
施例のサンプルは、比較用サンプルより小さな磁界を印
可するだけで磁化が反転することが観察された。結果を
表2に示す。 (第6の実施例)第1の磁性層の周囲にフォトリソグラ
フィで第2の磁性層を形成することにより、反転磁界を
低減した磁性素子の他の例を示す。磁性素子の構成材料
としては面内磁化膜を用いた。面内磁化膜の一例として
FeとCoを使った。
【0181】第1の磁性層としてFeを用い、第2の磁
性層としてCoを用い、それぞれの膜厚を30nmとし
た。
【0182】図12の手順に従って、先ず、第1の磁性
層であるFeを基板上に成膜した。ここで用いた基板
は、(1,0,0)の結晶方位を持つ4インチのSiウ
エハに1μmの熱酸化膜を形成したものである。ロード
ロック室を持つ装置を使い、スパッタ室の到達圧力は−
5乗Pa以下であった。
【0183】予め、フォトリソグラフィによりレジスト
マスクを作成した基板上に、マグネトロンスパッタに
て、第1の磁性層として30nmのFeを成膜し、次
に、酸化防止膜として2nmのPtを成膜した。
【0184】取り出された基板は、アセトンの超音波洗
浄でリフトオフを行い、パターン形状を形成した。
【0185】次に、フォトリソグラフィにより、第2の
磁性層のパターン形状のレジストマスクを作成した。マ
スクが作成された基板を再びマグネトロンスパッタ装置
に投入し、十分な脱気後に、第2の磁性層であるCoを
30nm成膜し、次に、酸化防止膜としてPtを2nm
成膜した。
【0186】これらが成膜された後の基板は、アセトン
の超音波洗浄でリフトオフを行った。
【0187】次に、第2の磁性層のパターニングが終了
した基板を、再びマグネトロンスパッタ装置に投入し、
今度はマスクなしで全体に100nmのSiNを成膜し
た。
【0188】次に、基板をCMP装置に投入し、第1の
磁性層と第2の磁性層の重なった領域を平坦化した。
【0189】平坦化が終了した基板の膜面に対して垂直
方向に25kOeの磁界を掛けて着磁を行った。次に、
着磁した後の基板をMFM装置に導入し、サンプルの磁
化方向を確認した。
【0190】また、比較用サンプルとして、第1の磁性
層及び第2の磁性層をFeとしたサンプルを作成した。
そして、第6の実施例のンプルと比較用サンプルとで、
磁化方向を反転させるために必要な磁界の大きさを比較
した。
【0191】評価方法としては、MFM装置を用いてサ
ンプルの磁化方向を確認し、反転に必要な印可磁界の大
きさを比較することで評価した。実験の結果、本発明の
サンプルの方が、比較用サンプルと比べ、小さな印可磁
界で磁化反転が観察されることがわかった。結果を表2
に示す。
【0192】
【表2】
【0193】(第7の実施例)保磁力を低減させた磁性
素子を用いたトンネル磁気抵抗効果素子の一例を示す。
【0194】トンネル磁気抵抗効果素子は、下部強磁性
層と上部強磁性層で非磁性絶縁層を挟んだ構成であり、
本発明により保磁力を低減させた磁性素子を上部及び下
部強磁性層として用いた。
【0195】図8に示すように、イオンミリングによる
加工後の酸化処理で側壁部を改質する製造方法で上部及
び下部強磁性層の双方を作成した。
【0196】図13を参照してトンネル磁気抵抗効果素
子の作成方法について説明する。
【0197】図13(a)は、加工する前のトンネル接
合の断面形状を示す模式図である。基板131上に、フ
リー層となる磁性層132、ピン層となる磁性層13
4、導電性保護層135、パターン形成後のレジスト1
36が形成されている。磁性層132と磁性層134の
間にトンネル膜133がある。ここで、素子の加工はイ
オンミリングやRIE等により行われる。また、加工の
後に、レジスト136を残したまま絶縁膜で周りを埋め
込み、リフトオフによってトンネル接合を完成させる手
法が広く用いられている。
【0198】図13(b)は、比較用の例であり、フォ
トリソグラフィで作成したレジストマスクでイオンミリ
ングすることで素子を作成する加工の後のトンネル接合
部の断面図である。図13(b)を参照すると、レジス
ト136を残した領域にトンネル接合が形成されてい
る。その領域の両脇は絶縁層139で埋められている。
【0199】図13(c)は、第1の磁性層の側壁部を
酸化処理することで、第1の磁性層の改質物である第2
の磁性層を作成したトンネル接合部の断面図である。
【0200】図13(b)と比較すると判るように、ト
ンネル接合の周囲に、磁性層132から改質した磁性層
137と、磁性層134から改質した磁性層138が形
成されている。磁性層137は、磁性層132を第1の
磁性層とした場合の第2の磁性層に相当する。磁性層1
38は、磁性層134を第1の磁性層とした場合の第2
の磁性層に相当する。
【0201】次に、実験に供した材料を具体的に述べな
がら工程を説明する。
【0202】基板131は1μmの熱酸化膜を形成した
(1,0,0)のSiウエハである。
【0203】基板131上に成膜した磁性層132,1
34、トンネル膜133及び導電性保護層135の各材
質と膜厚を表3に示す。これらの成膜はマグネトロンス
パッタで行った。トンネル膜134は、Al23をRf
スパッタで成膜した後に、酸素プラズマ処理(0.2P
a,Rf5W,30sec)をすることで形成した。
【0204】
【表3】
【0205】成膜が終了したサンプルにレジストを塗布
し、フォトリソグラフィによってトンネル接合のマスク
パターンを形成した。具体的には、東京応化LOR−P
003を用いて約1.2μm厚のレジスト膜を形成し、
ハロゲン光による密着露光6秒を行ってパターンを形成
した。
【0206】レジストパターンが形成された基板をイオ
ンミリング装置に導入し、トンネル素子を形成するため
の加工を行った。
【0207】ここで、加工が終了した直後に、絶縁層の
成膜を行ったものを比較用サンプルとした。比較用サン
プルは、図13(b)に示したような断面形状である。
【0208】また、加工が終了した後に一旦大気暴露し
て磁性層137,138を形成し、更に、絶縁層139
の成膜を行ったものを第7の実施例のサンプルとした。
第7の実施例のサンプルは、図13(c)に示したよう
な断面形状である。
【0209】次に、トンネル接合の加工が終了した基板
を再びフォトリソグラフィ工程に戻し、上部電極用のレ
ジストマスクを形成した。次に、マグネトロンスパッタ
装置で50nmのAlを上部電極膜として成膜し、トン
ネル磁気抵抗効果素子を完成させた。接合面積は200
μm2である。
【0210】ここで、素子の特性を磁気抵抗測定装置で
測定し、評価した。外部磁界は1kOeまで印加し、素
子に流す電流は1μAとした。また、プローブによる接
触抵抗の影響を取り除くため4端子測定を行った。磁化
反転が生じる磁界をHcとして第7の実施例のサンプル
と比較用サンプルとで、磁界Hcの値を比較した。結果
を表4に示す。 (第8の実施例)保磁力を低減させた磁性素子を用いた
トンネル磁気抵抗効果素子の他の例を示す。
【0211】トンネル磁気抵抗効果素子は、下部強磁性
層と上部強磁性層で非磁性絶縁層を挟んだ構成であり、
本発明により保磁力を低減させた磁性素子を上部及び下
部強磁性層として用いた。
【0212】図8に示すように、FIBで側壁部を改質
する製造工程で上部及び下部強磁性層の双方を作成し
た。ここで、実験に供したサンプルの基板及び磁性膜の
層構成と、比較用サンプルは第7の実施例同一である。
【0213】成膜が終了した後に、サンプルに対してフ
ォトリソグラフィにより微細加工して下部電極等を形成
した。更に、単層膜からなる磁性素子を形成し、図5
(b)と同様にして、Gaをイオン源とする集束イオン
ビーム(加速電圧30kV)でトンネル素子を形成する
加工を行った。
【0214】その際に図5(b)と同様に、素子周囲に
テーパが生じるように集束イオンビームを照射すること
により、上部及び下部強磁性層の素子周囲部分を改質し
た。改質した部分では、Gaイオンにより上部強磁性層
内部の磁気結合鎖が部分的に断ち切られているので、磁
気異方性が減少している。
【0215】トンネル接合の加工が終了した基板を再び
フォトリソ工程に戻し、上部電極用のレジストマスクを
形成した。マグネトロンスパッタ装置で、50nmのA
lを上部電極膜として成膜し、トンネル磁気抵抗効果素
子を完成させた。
【0216】そして、磁性素子の特性を第7の実施例と
同一条件で評価した。結果を表4に示す。 (第9の実施例)保磁力を低減させた磁性素子を用いた
トンネル磁気抵抗効果素子の他の例を示す。
【0217】トンネル磁気抵抗効果素子は、下部強磁性
層と上部強磁性層で非磁性絶縁層を挟んだ構成であり、
本発明により保磁力を低減させた磁性素子を上部及び下
部強磁性層として用いた。
【0218】図9に示すように、イオンビーム照射によ
り上部強磁性層を部分的に改質した。ここで、実験に供
したサンプルの基板及び磁性膜の層構成と、比較用サン
プルは非磁性導電層を除き、第7の実施例と同一であ
る。また、非磁性導電層の厚さは、部分的なイオン注入
を可能にするため25nmのSiとした。
【0219】成膜が終了した後に、サンプルに対してフ
ォトリソグラフィにより微細加工し、下部電極及びトン
ネル素子を形成した。更に、単層膜からなる磁性素子を
形成し、図6(a)と同様に、Gaをイオン源とする集
束イオンビーム(加速電圧30kV)で上部強磁性層を
部分的に改質する加工を行った。
【0220】その際に図6(b)と同様に、上部強磁性
層内部にGaイオンを注入するため素子上部の全面にイ
オンビームを照射した。Gaの上部強磁性層への注入を
完全に防ぎ切れないような導電性保護層の膜厚に設定さ
れているので、イオンが上部強磁性層内部の磁気結合鎖
を部分的に断ち切り、上部強磁性層の一部が低保磁力層
となる。
【0221】トンネル接合の加工が終了した基板を再び
フォトリソグラフィ工程に戻し、上部電極用のレジスト
マスクを形成した。マグネトロンスパッタ装置で、50
nmのAlを上部電極膜として成膜し、トンネル磁気抵
抗効果素子を完成させた。
【0222】そして、磁性素子の特性を第7の実施例と
同一条件で評価した。結果を表4に示す。 (第10の実施例)保磁力を低減させた磁性素子を用い
たトンネル磁気抵抗効果素子の他の例を示す。
【0223】トンネル磁気抵抗効果素子は、下部強磁性
層と上部強磁性層で非磁性絶縁層を挟んだ構成であり、
本発明により保磁力を低減させた磁性素子を上部及び下
部強磁性層として用いた。
【0224】図10に示すように、イオンビーム照射に
より上部強磁性層を全面的に改質した。ここで、実験に
供したサンプルの基板及び磁性膜の層構成と、比較用サ
ンプルは非磁性導電層を除き、第7の実施例と同一であ
る。また、非磁性導電層の厚さは、全面的なイオン注入
を可能にするため5nmのSiとした。
【0225】成膜が終了した後に、サンプルに対してフ
ォトリソグラフィにより微細加工し、下部電極等を形成
した。更に、単層膜からなる磁性素子を形成し、図6
(a)と同様に、Gaをイオン源とする集束イオンビー
ム(加速電圧30kV)で上部強磁性層を全面的に改質
する加工を行った。
【0226】その際に図6(c)と同様に、上部強磁性
層内部にGaイオンを注入するため素子上部の全面にイ
オンビームを照射した。Gaが上部強磁性層の膜厚全域
に渡り注入され、上部強磁性層内部の磁気結合鎖を部分
的に断ち切ることで、上部強磁性層の全体が低保磁力層
に改質される。
【0227】トンネル接合の加工が終了した基板を再び
フォトリソグラフィ工程に戻し、上部電極用のレジスト
マスクを形成した。マグネトロンスパッタ装置で、50
nmのAlを上部電極膜として成膜し、トンネル磁気抵
抗効果素子を完成させた。
【0228】そして、磁性素子の特性を第7の実施例と
同一条件で評価した。結果を表4に示す。
【0229】
【表4】
【0230】
【発明の効果】本発明によれば、第2の磁性層は、第1
の磁性層より磁気異方性が低いため、第1の磁性層より
も保磁力が小さいため、第1の磁性層より磁化が反転し
やすい。第2の磁性層の磁化が反転すると、第2の磁性
層から漏洩する磁界により、第1の磁性層の磁化が反転
しやすくなる。したがって、本発明の磁性素子は、第1
の磁性層が単独で存在する場合よりも小さな外部磁界で
反転するので、微細化した強磁性層において保磁力を低
減させることが可能となり、磁化と保磁力を自由に選択
して磁性素子を構成することができる。
【0231】また、本発明によれば、2つの磁性素子と
非磁性絶縁層からなるトンネル磁気抵抗効果素子におい
て、磁気異方性の異なる磁性層が接触してなる磁性素子
を用いれば、保磁力の小さいトンネル磁気抵抗効果素子
を実現できる。保磁力の小さい磁気メモリは、磁化の反
転が生じる外部磁界が小さいため、低消費電力である。
【0232】また、本発明によれば、強磁性層にイオン
ビーム等を照射することにより荷電粒子を打ち込んで、
磁気異方性の低減した磁性素子を作成するプロセスを導
入するという、マスク製造工程が不要で容易な工程によ
り、保磁力を低減したトンネル磁気抵抗効果素子を製造
することができる。また、ピンポイントで要所の処理を
済ませることができる。ので、保磁力を低減させるため
の加工の生産性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の磁性素子の4つの形態の斜
視図である。
【図2】本実施形態の磁性素子の各磁性層の磁化方向の
変化の様子を示す断面模式図である。
【図3】本実施形態の磁性素子の磁化曲線(a)及び単
独の第1の磁性層101の磁化曲線(b)の模式図であ
る。
【図4】希土類金属と遷移金属の合金である垂直磁化膜
を用いた磁性素子の磁化の様子を示す模式図である。
【図5】第1の磁性層に荷電粒子を注入して改質し、第
2の磁性層を得る本実施形態の磁性素子の製造方法を説
明するための模式図である。
【図6】第1の磁性層に荷電粒子を注入して改質し、第
2の磁性層を得る本実施形態の磁性素子の製造方法を説
明するための模式図である。
【図7】自然酸化により第1の磁性層を改質して第2の
磁性層を得る製造方法の一例を説明するための模式図で
ある。
【図8】本実施形態の磁性素子で非磁性絶縁層を挟んだ
構成のトンネル磁気抵抗効果素子の一例を示す斜視図で
ある。
【図9】上部強磁性層の一部を改質して作成したトンネ
ル磁気抵抗効果素子の斜視図である。
【図10】上部強磁性層全体を改質して作成したトンネ
ル磁気抵抗効果素子の斜視図である。
【図11】着磁方向によるMFM像の違いを示す図であ
る。
【図12】フォトリソグラフィによって第2の磁性層を
成膜する方法を説明するための模式図である。
【図13】トンネル磁気抵抗効果素子の作成方法につい
て説明するための模式図である。
【符号の説明】
101 第1の磁性層 102,102a,102b 第2の磁性層 401 第1の磁性層 402,402a,402b 第2の磁性層 501 基板 502 第1の磁性層 503 保護層 504 イオンビーム 505 第2の磁性層 506 非磁性元素 701 第1の磁性層 801 第1の磁性層 802 トンンル膜 803 第1の磁性層 804 第2の磁性層 805 第2の磁性層 806 下部センス線 807,807a,807b 上部センス線 808 導電性保護層 809 非磁性元素 810,830 第1の磁性素子 820,840,850 第2の磁性素子 121 基板 122 第1の磁性層 123 第2の磁性層 131 基板 132,134,137,138 磁性層 133 トンネル膜 135 導電性保護層 136 レジスト 139 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/32 H01L 43/12 H01L 27/105 G01R 33/06 R 43/12 H01L 27/10 447 Fターム(参考) 2G017 AA10 AD55 5E049 AA04 BA06 5F083 FZ10 GA05 GA09 GA28 JA60 PR04 PR22 PR36 PR40

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強磁性体の保磁力を利用した磁性素子で
    あって、 基板上に形成した第1の磁性層と、 前記第1の磁性層より磁気異方性が低く、前記第1の磁
    性層に接触した第2の磁性層とを有する磁性素子。
  2. 【請求項2】 前記第2の磁性層は、前記第1の磁性層
    の周囲に接触している、請求項1記載の磁性素子。
  3. 【請求項3】 前記第2の磁性層は、前記第1の磁性層
    の上部に接触している、請求項1記載の磁性素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層
    の主たる磁化方向が膜面に対して垂直である、請求項1
    記載の磁性素子。
  5. 【請求項5】 前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層
    は、希土類金属と遷移金属との合金である、請求項4記
    載の磁性素子。
  6. 【請求項6】 前記合金は、Gd、Tb、Ho、Dy、
    Fe、Co、Niのうち少なくとも2つを含む、請求項
    5記載の磁性素子。
  7. 【請求項7】 前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層
    の主たる磁化方向が膜面に対して水平である、請求項1
    記載の磁性素子。
  8. 【請求項8】 前記第2磁性層が前記第1磁性層の改質
    物である、請求項1記載の磁性素子。
  9. 【請求項9】 前記改質物はGa混入物である、請求項
    8記載の磁性素子。
  10. 【請求項10】 前記改質物は酸化物である、請求項8
    記載の磁性素子。
  11. 【請求項11】 強磁性体の保磁力を利用した磁性素子
    であって、 磁気異方性の異なる磁性層を複数有する磁性素子。
  12. 【請求項12】 磁気異方性の異なる2つの磁性層が接
    触した構成の第1の磁性素子と、 磁気異方性の異なる2つの磁性層が接触した構成であ
    り、前記第1の磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素
    子と、 前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた
    非磁性絶縁層を有するトンネル磁気抵抗効果素子。
  13. 【請求項13】 単独の磁性層からなる第1の磁性素子
    と、 磁気異方性の異なる2つの磁性層が接触した構成であ
    り、前記第1の磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素
    子と、 前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた
    非磁性絶縁層を有するトンネル磁気抵抗効果素子。
  14. 【請求項14】 磁気異方性の異なる複数の磁性層から
    なる第1の磁性素子と、 磁気異方性の異なる複数の磁性層からなり、前記第1の
    磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素子と、 前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた
    非磁性絶縁層を有するトンネル磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 単独の磁性層からなる第1の磁性素子
    と、 磁気異方性の異なる複数の磁性層からなり、前記第1の
    磁性素子と保磁力が異なる第2の磁性素子と、 前記第1の磁性素子と前記第2の磁性素子とに挟まれた
    非磁性絶縁層を有するトンネル磁気抵抗効果素子。
  16. 【請求項16】 基板上に第1の磁性層を形成するステ
    ップと、 荷電粒子を打ち込んで前記第1の磁性層を改質し、前記
    第1の磁性層より磁気異方性の低い第2の磁性層を作成
    するステップを有する、磁性素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記荷電粒子を前記第1の磁性層の側
    壁部分に打ち込む、請求項16記載の磁性素子の製造方
    法。
  18. 【請求項18】 前記荷電粒子を前記第1の磁性層の上
    面部分に打ち込む、請求項16記載の磁性素子の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記荷電粒子を打ち込むことにより、
    前記第1の磁性層の概ね全体を改質する、請求項16記
    載の磁性素子の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記荷電粒子は希ガス、窒素、酸素ま
    たはこれらの混合物を原料とする、請求項16記載の磁
    性素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記荷電粒子はGa、B、P、Asま
    たはこれらの混合物を原料とする、請求項16記載の磁
    性素子の製造方法。
  22. 【請求項22】前記荷電粒子の注入エネルギーが10〜
    300keVである、請求項20または21記載の磁性
    素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 基板上に下部強磁性層、非磁性絶縁層
    及び上部強磁性層を形成して素子を構成するステップ
    と、 荷電粒子を打ち込んで、前記下部強磁性層または前記上
    部強磁性層の少なくとも一方を改質するステップを有す
    る、トンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記荷電粒子を前記素子の側壁部分に
    打ち込む、請求項23記載のトンネル磁気抵抗効果素子
    の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記荷電粒子を前記素子の上面部分に
    打ち込む、請求項23のトンネル磁気抵抗効果素子の製
    造方法。
  26. 【請求項26】 前記荷電粒子を打ち込むことにより、
    前記上部強磁性層の概ね全体を改質する、請求項23記
    載のトンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 前記荷電粒子は希ガス、窒素、酸素ま
    たはこれらの混合物を原料とする、請求項23記載のト
    ンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記荷電粒子はGa、B、P、Asま
    たはこれらの混合物を原料とする、請求項23記載のト
    ンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記荷電粒子の注入エネルギーが10
    〜300keVである、請求項27または28記載のト
    ンネル磁気抵抗効果素子の製造方法。
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