JP2002298439A - 光記録媒体及び再生方法 - Google Patents

光記録媒体及び再生方法

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JP2002298439A
JP2002298439A JP2001098495A JP2001098495A JP2002298439A JP 2002298439 A JP2002298439 A JP 2002298439A JP 2001098495 A JP2001098495 A JP 2001098495A JP 2001098495 A JP2001098495 A JP 2001098495A JP 2002298439 A JP2002298439 A JP 2002298439A
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super
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optical
recording
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JP2001098495A
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Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
Kenji Todori
顕司 都鳥
Itaru Kamiya
格 神谷
Kenichi Yoshie
建一 吉江
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Toshiba Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Toshiba Corp
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】超解像効果を十分に引き出し得る技術を提供す
ること。 【解決手段】本発明の光記録媒体1は、情報の再生に焦
点レンズで集束させた光を利用する再生装置に着脱可能
或いは着脱不可能に搭載される光記録媒体であって、薄
膜記録部4と照射光強度に応じて光学定数が変化する超
解像膜3との積層構造及び前記積層構造を支持する基板
2を具備し、前記超解像膜3の膜厚Tsと前記光の波長
λと前記焦点レンズの開口数NAとは、不等式: Ts>0.5×(λ/NA2) に示す関係を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体及び再
生方法に係り、特には超解像膜を有する光記録媒体及び
そのような光記録媒体に記録された情報を再生する再生
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ビームを照射することにより情報の再
生または記録及び再生を行う光ディスクメモリは、大容
量である、高速アクセスが可能である、及び光ディスク
を脱着可能とすることができるなどの優れた特徴を有し
ている。そのため、そのようなメモリは、音声、画像、
及び計算機データなどの様々なデータを保存する記憶装
置として実用化されており、今後、さらに普及するもの
と期待されている。
【0003】光ディスクをより高密度化するための技術
としては、原盤のカッティングに利用するガスレーザの
波長をより短くすること、動作光源である半導体レーザ
を短波長化すること、対物レンズの開口数をより高める
こと、及び光ディスクの光入射側基板をより薄くするこ
となどが考えられている。さらに、再生だけでなく記録
も可能な光ディスクについては、マーク長記録やランド
・グルーブ記録などの様々なアプローチが考えられてい
る。
【0004】これら高密度化技術に加え、効果的に高密
度化を実現し得る技術として、超解像膜を利用した超解
像技術が提案されている。この超解像膜は、基本的に
は、照射光強度に応じて光学定数が非線形的且つ可逆的
に変化する材料からなり、光ディスクの記録面に対して
その光入射側に設けられる。
【0005】例えば、超解像膜を有する光ディスクの光
学応答を低強度の光は透過せず且つ高強度の光は透過す
るように設計した場合、入射光としてガウス型ビームを
使用すると、そのビームの周縁部は低強度であるので記
録面には到達せず、高強度のビーム中央部のみが記録面
に到達して情報の記録や再生に寄与する。これは、記録
面でのビームスポット径が入射光のビーム径よりも絞ら
れていることを意味している。したがって、超解像技術
によると、回折限界未満のサイズの記録マークを形成す
ること及びそのようなサイズのマークとして記録された
情報を読み出すことが可能となる。
【0006】上述した超解像技術に関連して幾つかの開
示がなされている。例えば、特開平11−273148
号公報は、一般に、記録時に高い超解像効果が得られる
ように設計された超解像膜を有する光記録媒体では、記
録時と再生時とではビーム強度が著しく異なるため、再
生時に高い超解像効果を得ることができず、そのため、
再生時に高い分解能を実現するには記録と再生とに別々
の光学系を使用する必要があるという問題に取り組んで
いる。特開平11−273148号公報は、このような
問題に対し、光記録媒体に感度が互いに異なる二種以上
の超解像膜を設けることにより、同一の光学系で回折限
界未満のサイズの記録マークを形成すること及びそのよ
うなサイズのマークとして記録された情報を読み出すこ
とが可能となることを開示している。
【0007】また、超解像技術はヒートモード系とフォ
トンモード系とに大別することができるが、フォトンモ
ード系のうち超解像膜としてフォトクロミック膜を利用
するものは一般に単一波長での動作が不可能である。特
開平10−320857号公報は、充満帯から励起子準
位もしくは伝導帯への電子励起による吸収飽和現象を利
用して非線形的な光学応答を実現する半導体微粒子分散
膜を開示している。この半導体微粒子分散膜を超解像膜
として用いた場合、基本的には単一波長での動作が可能
となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来技
術は、超解像膜を構成する材料自体を改良することや、
同一の光学系を用いて記録時と再生時との双方で高い超
解像効果を得ることへと向けられている。しかしなが
ら、それら手法だけでは、必ずしも十分な超解像効果が
得られる訳ではない。
【0009】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、超解像効果を十分に引き出し得る技術を提供
することを目的とする。また、本発明は、超解像効果を
容易且つ十分に引き出し得る技術を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、情報の再生に焦点レンズで集束させた光
を利用する再生装置に搭載される光記録媒体であって、
薄膜記録部と照射光強度に応じて光学定数が変化する超
解像膜との積層構造及び前記積層構造を支持する基板を
具備し、前記超解像膜の膜厚Tsと前記光の波長λと前
記焦点レンズの開口数NAとは、不等式: Ts>0.5×(λ/NA2) に示す関係を満足することを特徴とする光記録媒体を提
供する。
【0011】また、本発明は、薄膜記録部と照射光強度
に応じて光学定数が変化する超解像膜との積層構造及び
前記積層構造を支持する基板を備えた光記録媒体に対し
前記超解像膜側から前記薄膜記録部に向けて焦点レンズ
で集束させた光を照射して前記光記録媒体からの反射光
を検出することにより前記薄膜記録部に記録された情報
を読み出すことを含み、前記情報の読み出しを、前記超
解像膜の膜厚Tsと前記光の波長λと前記焦点レンズの
開口数NAとが、不等式: Ts>0.5×(λ/NA2) に示す関係を満足する条件下で行うことを特徴とする再
生方法を提供する。
【0012】本発明の光記録媒体は、再生専用型であっ
てもよく、或いは、再生及び記録の双方が可能な記録可
能型であってもよい。前者の場合、通常、薄膜記録部は
情報に対応してピットが設けられた反射膜である。一
方、後者の場合、通常、薄膜記録部は少なくとも記録膜
と反射膜とを積層してなる積層構造で構成される。
【0013】本発明の光記録媒体は、記録可能型である
場合、相変化記録媒体や光磁気記録媒体のように情報の
記録及び消去を繰り返し行うことが可能な書き換え可能
型の光記録媒体であってもよく、或いは、色素系光記録
媒体のように情報の記録を1回のみ行うことが可能な一
回記録消去不能型の光記録媒体であってもよい。
【0014】一般に、光記録技術においては幾つかの規
格が存在している。これら規格では、光記録媒体の反射
率、サイズ、形状、記録及び/または再生に使用する光
の波長、及び焦点レンズの開口数NAなどが明確に定め
られており、光記録媒体や記録再生装置などは、これら
規格に基づいて設計されている。例えば、CDについて
は、焦点レンズの開口数NAは0.45であり且つ使用
するレーザビームの波長λは780nmと定められてい
る。また、DVDについては、焦点レンズの開口数NA
は0.6であり且つ使用するレーザビームの波長λは6
50nmと定められている。さらに、HD−RAMにつ
いては、焦点レンズの開口数NAは0.8であり且つ使
用するレーザビームの波長λは400nm付近に定めら
れている。
【0015】光記録媒体を着脱不可能な記録再生装置や
再生装置などでは起こり得ないが、光記録媒体を着脱可
能な記録再生装置や再生装置などでは、様々な規格の光
記録媒体が装填される可能性がある。そのため、通常、
光記録媒体にはそれがいずれの規格に対応するものかを
特定するための識別情報が記録されており、媒体を取り
外し可能な記録再生装置や再生装置などは、この光記録
媒体に記録された識別情報から、装填された光記録媒体
がいずれの規格に基づくものであるのかを識別してい
る。なお、ここで言う「識別情報」は、反射膜に設けら
れたピットのような記録マークの形態で記録されたもの
に限られず、光記録媒体の反射率、光記録媒体のサイ
ズ、及び光記録媒体の形状的特徴なども包含する。
【0016】本発明は、後で詳述するように、そのよう
な識別情報から導かれるか或いは装置で実際に使用する
照射光の波長λ及び焦点レンズの開口数NAと光記録媒
体の一部を構成する超解像膜の膜厚Tsとに上記不等式
に示す関係を満足させるという極めて簡便な方法で高い
超解像効果を実現可能とするものである。すなわち、本
発明によると、超解像効果を容易且つ十分に引き出すこ
とが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、図面を参
照しながらより詳細に説明する。なお、各図において、
同様または類似する構成要素等には同一の参照符号を付
し、重複する説明は省略する。
【0018】まず、超解像技術の基本的原理について説
明する。図1は、照射光強度と超解像膜の光学定数との
間の理想的な関係を示すグラフである。図中、横軸は照
射光強度Pを示し、縦軸は超解像膜の透過率Trを示し
ている。なお、図1に示すデータは、照射光として強度
分布が一様な光ビームを使用した場合を想定している。
【0019】超解像膜は、例えば図1に示すように、照
射光強度が臨界パワーPc未満である場合には透過率Tr
が低く、照射光強度が臨界パワーPc以上である場合に
は透過率Trが高い薄膜である。なお、臨界パワーP
cは、超解像膜がSb、Te、及びGeSbTeなどの
材料で構成される場合はその融点に相当し、超解像膜が
AgOxで構成される場合はその分解温度に相当し、超
解像膜がロイコ色素で構成される場合はその熱褪色温度
に相当する。また、臨界パワーPcは、超解像膜がフォ
トクロミック膜である場合には例えば開環反応が十分に
進行するフォトン数に相当し、超解像膜が半導体微粒子
分散膜である場合には吸収飽和に至るフォトン数に相当
する。
【0020】図2は、図1に示す光学変化を示す超解像
膜への入射前及び透過後におけるガウス型光ビームの強
度分布を示すグラフである。図中、横軸は光ビームの中
心からの距離rを示し、縦軸は光強度Pを示している。
また、曲線51は超解像膜への入射前における光ビーム
の強度分布を示し、曲線52は超解像膜を透過後の光ビ
ームの強度分布を示している。
【0021】図2に示すように、超解像膜にガウス型の
光ビームを入射させた場合、光ビームが超解像膜を伝播
する間に、光強度が臨界パワーPc未満である光ビーム
周縁部は遮断され、光強度が臨界パワーPc以上である
光ビーム中央部のみが選択的に透過する。すなわち、超
解像膜を透過した後のビーム径は、超解像膜への入射前
に比べて縮小される。これが、超解像技術の基本的原理
である。
【0022】次に、本発明の原理について説明する。図
3は、光学定数が一定の領域内を焦点レンズで集束させ
た光が伝播する状態を概略的に示す図である。なお、図
中、wは焦点位置でのビーム径を示しており、Df
焦点深度を示している。この焦点深度Dfは、ピークパ
ワーが焦点位置におけるピークパワーの80%となる位
置と焦点位置との間の距離であり、焦点レンズの開口数
NAと光の波長λとを用いると、下記等式: Df=0.5×λ/NA2 で表すことができる。また、焦点位置から距離Df離れ
た位置でのビーム径は約1.2×wである。
【0023】図3に示すように、z方向に伝播する集束
光のビーム径は、焦点位置に向けて減少し、焦点位置で
最小値wとなり、その後、増加する。このビーム径の
変化率は、焦点位置近傍では僅かであるが、焦点位置か
ら距離Df以上離れた位置では非常に大きい。
【0024】従来技術では、超解像膜と薄膜記録部との
界面を焦点位置に合わせ、超解像膜の膜厚は焦点深度D
fよりも薄く設定していた。すなわち、従来技術では、
光ビームを、ビーム径がw近傍にまで減少した状態で
超解像膜に入射させていた。これに対し、本発明は、超
解像膜の厚さを焦点深度Dfよりも厚くすることによ
り、超解像膜と薄膜記録部との界面を焦点位置に合わせ
た場合に、焦点位置近傍だけでなくビーム径の変化率の
大きな位置にも超解像膜を存在させ、それによって得ら
れる特有な現象を利用可能とするものである。
【0025】図4は、本発明の一実施形態に係る光記録
媒体を概略的に示す断面図である。図4に示す光記録媒
体1は、透明基板2と、透明基板2上に設けられた超解
像膜3と、超解像膜3上に設けられた薄膜記録部4を有
している。
【0026】図4は、光記録媒体1の超解像膜3の膜厚
と、光記録媒体1への情報の記録または光記録媒体1に
記録された情報の再生に利用する光ビーム11との関係
を示している。但し、図4は、光ビーム11を光記録媒
体1に実際に照射した状態を正確に示している訳ではな
い。すなわち、図4においては、超解像膜3によっても
たらされるビーム径を縮小するという効果は考慮されて
いない。
【0027】図4に示すように、超解像膜3の膜厚Ts
が焦点深度Dfよりも厚い場合、光ビーム11の焦点位
置を超解像膜3と薄膜記録部4との界面またはその近傍
に合わせると、焦点位置における光ビーム11のビーム
径w0と、透明基板2と超解像膜3との界面位置におけ
る光ビーム11のビーム径wiと、超解像膜3と薄膜記
録部4との界面位置における光ビーム11のビーム径w
rとは、不等式: w0≦wr≦1.12×w0r<wi に示す関係を満足する。以上の事実を踏まえて、図5及
び図6を参照しながら本発明により得られる効果を説明
する。
【0028】図5は、本発明により得られる効果の一例
を概略的に示すグラフである。図中、横軸は光ビーム1
1の中心からの距離rを示し、縦軸は光強度Pを示して
いる。また、曲線53は透明基板2と超解像膜3との界
面位置における光ビーム11の強度分布プロファイルで
あり、曲線54は超解像膜3と薄膜記録部との界面位置
における光ビーム11の強度分布プロファイルである。
超解像膜3の臨界パワーPcを焦点位置でのピークパワ
ーよりも低く設定すると、光ビーム11が超解像膜3を
伝播する間に、臨界パワーPc未満である光ビーム11
の周縁部は遮られる。一方、臨界パワーPc以上である
光ビーム11の中央部は超解像膜3を透過するのととも
に、図4から明らかなように超解像膜3を伝播する間に
集束する。すなわち、超解像膜3の膜厚Tsを焦点深度
fよりも厚く設定した場合、透明基板2と超解像膜3
との界面位置における光ビーム11のうち径φ1の中央
部のみが透過し、この光ビーム中央部は径φ1’に集束
されて超解像膜3を出射する。
【0029】それに対し、超解像膜3の膜厚Tsが焦点
深度Df以下である場合、図3に関する説明から明らか
なように、光ビーム11は殆ど集束することなく超解像
膜3を伝播する。そのため、この場合、透明基板2と超
解像膜3との界面位置における光ビーム11の強度分布
プロファイルは、超解像膜3と薄膜記録部との界面位置
における光ビーム11の強度分布プロファイルとほぼ等
しい。そのため、この場合、光ビーム11が超解像膜3
を伝播する間に臨界パワーPc未満であるその周縁部は
遮られるものの、超解像膜3を出射する光ビーム中央部
の径φ2は、本発明により実現される径φ1’に比べると
遥かに大きい。
【0030】このように、本発明によると、従来に比べ
て遥かに大きなビーム径縮小効果が得られる。なお、上
述した原理は、超解像膜3の光ビーム11に対する光学
応答が理想的なステップ関数型である場合を想定し且つ
光ビーム11が超解像膜3を伝播する間におけるビーム
プロファイルの変化をあまり考慮していないなど、モデ
ル的な議論に基づいているが、実際に観測される現象を
十分に高い精度で説明するものである。
【0031】図6は、本発明により得られる効果の他の
例を概略的に示すグラフである。図6は、超解像膜3と
して、より高感度の超解像膜(臨界パワーPc1)とより
低感度の超解像膜(臨界パワーPc2)との積層構造を利
用し、より高感度の超解像膜を透明基板2側に及びより
低感度の超解像膜を薄膜記録部4側に配置した場合に得
られるビーム径縮小効果を示している。なお、図5と同
様、図6においても、横軸は光ビーム11の中心からの
距離を示し、縦軸は光強度を示している。
【0032】上述のように、透明基板2と超解像膜3と
の界面位置における光ビーム11のうち径φ1の中央部
のみが超解像膜3を透過し、この光ビーム中央部は径φ
1’に集束されて超解像膜3を出射する。しかしなが
ら、現実的には、超解像膜3の臨界パワーPc未満の光
に対する透過率は0%よりも高く、また、超解像膜3の
膜厚は有限である。しかも、光強度は集束するのに応じ
て増加するので、光ビーム11の集束によって超解像膜
3中でビーム径を大きく変化させる本発明では、光ビー
ム周縁部は、超解像膜3への入射時には臨界パワーPc1
未満の強度であったとしても、超解像膜3を出射する際
にはその一部が臨界パワーPc1以上となることがある。
すなわち、超解像膜3に光ビーム11を照射した場合、
実際には、ビーム周縁部が完全に遮られる訳ではない。
【0033】これに対し、上述の積層構造を採用した場
合、臨界パワーがPc1である高感度の超解像膜を透過し
た光ビーム周縁部は、集束することにより強度が高めら
れたとしても、より高い臨界パワーPc2を有する低感度
の超解像膜で遮ることができる。すなわち、この場合、
透過光の強度分布プロファイルをよりシャープなものと
することができる。なお、このような効果は、3層以上
の超解像膜を光入射側から出射側に向けて順次低感度と
なるように積層してなる積層構造を採用した場合におい
ても得ることができる。また、上記の効果は、超解像膜
の感度を光入射側から出射側に向けて連続的に低下する
ように傾斜させた場合においても得ることができる。
【0034】次に、上述した光記録媒体1のより詳細な
構造及び各構成要素などについて説明する。上記の光記
録媒体1は、再生専用型であってもよく、或いは、再生
及び記録の双方が可能な記録可能型であってもよい。す
なわち、上記光記録媒体1において、薄膜記録部4は、
情報の記録が可能なものであってもよく、或いは、超解
像膜3側の面に記録マークとしてピットが設けられた反
射膜であってもよい。なお、記録可能型の光記録媒体1
は、相変化記録媒体や光磁気記録媒体のように情報の記
録及び消去を繰り返し行うことが可能な書き換え可能型
の光記録媒体、及び、色素系光記録媒体のように情報の
記録を1回のみ行うことが可能な一回記録消去不能型の
光記録媒体などを包含する。
【0035】透明基板2の材料としては、ポリカーボネ
ート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、フ
ォトポリマーコートガラス、及びガラスなどを使用する
ことができる。上記光記録媒体1が再生専用型である場
合、この透明基板2の表面にピットを形成することによ
り、このピットを薄膜記録部4である反射膜の表面に記
録マークとして転写することができる。一方、上記光記
録媒体が記録可能型である場合、通常、透明基板2の表
面には、記録マークとしてのピットは設けられないが、
アドレス情報に対応したピットやトラッキンググルーブ
などが設けられる。
【0036】ピットやトラッキンググルーブが設けられ
た透明基板2は、例えば、以下に説明するようなマスタ
リングプロセスによって得ることができる。すなわち、
まず、ガラス原盤の一方の主面上にレジスト膜を形成す
る。次に、ガスレーザカッティング装置を用いて、その
レジスト膜を形成すべきピットやトラッキンググルーブ
に対応して露光する。レジスト膜を現像処理することに
よってレジストパターンを形成した後、ガラス原盤のレ
ジストパターンを形成した面にメッキシード層をスパッ
タリングし、さらにメッキプロセスを実施することによ
りスタンパを得る。その後、このスタンパを用いて射出
成形を行うことにより、表面にピットやトラッキンググ
ルーブが設けられた透明基板2を得る。
【0037】なお、透明基板2は、超解像膜3及び薄膜
記録部4を形成するための下地を提供するものであって
もよく、或いは、薄膜記録部4及び超解像膜3が順次形
成された基板(図示せず)と対向して配置される透明カ
バー層であってもよい。後者の場合、透明基板2は必ず
しも設ける必要はない。
【0038】上記光記録媒体1において、超解像膜3
は、ヒートモード系の薄膜であってもよく、或いは、フ
ォトンモード系の薄膜であってもよい。
【0039】ヒートモード系の薄膜としては、例えば、
Sb及びTeなどの低融点金属を含有する薄膜、結晶化
速度の速いGeSbTe膜、熱分解性のAgOx膜、及
び熱脱色性のロイコ系色素を含有する薄膜などを挙げる
ことができる。ヒートモード系で得られる超解像効果
は、光照射により超解像膜3が加熱され、構成成分の少
なくとも一部が何らかの熱的変化を生じ、その結果、光
学定数が非線形的に変化することに基づいている。例え
ば、SbやTeを含有する薄膜及びGeSbTe膜など
では、光強度の高いビームスポット中央部で超解像膜が
溶融することにより、その光学定数が非線形的に変化す
る。また、AgOx膜では、超解像膜に含まれるAgOx
がビームスポット中央部でAgとOとに熱分解すること
により、その光学定数が非線形的に変化する。さらに、
ロイコ系色素を含有する薄膜は、超解像膜に含まれる色
素と発色剤とがビームスポット中央部で熱分離すること
により透明化する。
【0040】一方、フォトンモード系の薄膜としては、
フォトクロミック膜や半導体微粒子分散膜などを挙げる
ことができる。フォトンモード系では、光による化学反
応または電子励起を利用して超解像効果を得る。例え
ば、フォトクロミック膜で超解像効果を得るには、フォ
トクロミック材料の開環反応と閉環反応とで互いに波長
の異なる光を照射するか、或いは、それら反応の一方を
熱的に進行させる。そのため、フォトクロミック膜を用
いた場合には、一般に、単一波長での動作が不可能であ
り、したがって、装置には複雑な光学系が必要となる。
半導体微粒子分散膜では、充満帯から励起子準位もしく
は伝導帯への電子励起による吸収飽和現象が利用され
る。超解像膜として半導体微粒子分散膜を用いた場合、
光強度の高いビームスポット中央部では入射フォトン数
が十分に多いため、励起可能な電子数が不足するか或い
は上準位の状態が飽和し、その結果、入射フォトンをさ
らに吸収することができずに非線形的な光学応答を示
す。半導体微粒子分散膜を用いた場合には、純安定準位
を介しての電子の励起や脱励起が生じる場合も含めて、
基本的には単一波長での動作が可能である。
【0041】半導体微粒子分散膜のうち、波長650n
mの光を使用した場合に超解像効果が得られる半導体微
粒子分散膜としては、例えば、CdSSe、Cu2O、
AgTe、SrSe、SrTe、CaSi、ZnTe、
CdO、CdTe、GaSe、InS、AlSb、Sb
Se、CuAlS、及びZnSiAsなどのような半導
体微粒子を有機マトリクス中に分散させてなる薄膜を使
用することができる。また、波長405nmの光を使用
した場合に超解像効果が得られる半導体微粒子分散膜と
しては、例えば、ZnSSeTe、CuCl、CuB
r、AgCl、AgBr、AgI、ZnO、ZnSe、
GaS、AlSe、AlTe、InO、PbO、及びT
iOなどのような半導体微粒子を有機マトリクス中に分
散させてなる薄膜を使用することができる。さらに、記
録や再生に上記以外の波長の光を使用する場合には、使
用する光の波長に近いギャップ長を有する半導体材料を
上記半導体微粒子の材料として用いればよい。
【0042】半導体微粒子分散膜は、例えば、基板2の
一方の主面上に、液状有機マトリクス中に半導体微粒子
が分散された塗工液をスピンコート法などによって塗布
し、液状有機マトリクスを硬化させることにより形成す
ることができる。なお、そのような塗工液は、例えば、
半導体を構成する各元素を含む有機金属化合物の溶液を
所定の割合で混合し、適当な温度に昇温することによっ
て調製することができる。この塗工液は、原液でまたは
スピンコート剤などを添加して適宜濃度調整して使用す
ることができる。また、半導体微粒子分散膜の膜厚は、
塗工液の希釈度やスピンコートの際の基板回転数によっ
て制御可能である。
【0043】半導体微粒子の粒径をより小さくした場
合、量子サイズ効果によって励起寿命を長くして吸収飽
和を容易に生じさせることや、吸収飽和し易い準位,例
えば励起子準位,の吸収をより顕著にすることなどがで
きる。半導体微粒子の粒径及び濃度は、有機金属化合物
溶液中の有機金属化合物の濃度、有機金属化合物溶液の
混合比、及び反応温度などによって制御可能である。な
お、いずれの条件であっても、微粒子の生成がある程度
進行すると微粒子の成長は飽和に達するため、均一なサ
イズの粒子を得ることができる。
【0044】超解像膜3は、主として再生時に超解像効
果が得られるように感度を設定されていてもよく、或い
は、主として記録時に超解像効果が得られるように感度
を設定されていてもよい。超解像膜3の感度は、ヒート
モード系では例えば融点を変化させることによって、フ
ォトンモード系では例えば電子遷移エネルギーを変化さ
せることによって調節可能である。
【0045】再生専用型の光記録媒体1においては、再
生時に超解像効果が得られるように超解像膜3の感度を
設定することにより、再生装置の回折限界未満の記録マ
ーク(ピット)を各記録マーク間の間隔を狭めて形成し
たとしても、高い分解能で再生することができる。すな
わち、記録密度を著しく向上させることができる。
【0046】また、記録及び再生の双方が可能な,すな
わち記録可能型の,光記録媒体1において、例えば、主
として再生時に超解像効果が得られるように超解像膜3
の感度を設定した場合には、記録マークのサイズを著し
く小さくすることは困難である。しかしながら、各記録
マーク間の間隔を狭めて記録したとしても、高い分解能
で再生することが可能となる。
【0047】さらに、記録可能型の光記録媒体1におい
て、例えば、主として記録時に超解像効果が得られるよ
うに超解像膜3の感度を設定した場合には、記録マーク
のサイズを著しく小さくすること及び各記録マーク間の
間隔を狭めて記録することの双方が可能である。この場
合、記録に利用する光学系と同一の光学系では高い分解
能で再生することが困難であるので、記録に利用する光
学系とは別に、ビーム径をより小さくした光学系を準備
すればよい。
【0048】光記録媒体1が記録可能型である場合、先
に記載したように、光記録媒体1に感度が互いに異なる
二種以上の超解像膜を設けることにより、同一の光学系
で回折限界未満のサイズの記録マークを形成すること及
びそのようなサイズのマークとして記録された情報を読
み出すことができる。この場合、高感度の超解像膜及び
低感度の超解像膜の双方を薄膜記録部4に対して光入射
側に配置することができる。或いは、高感度の超解像膜
を薄膜記録部4に対して光入射側に配置し、低感度の超
解像膜を記録膜と反射膜との間に配置してもよい。
【0049】後者の場合、前者に比べて、再生時の光損
失を抑制する上で有利である。なお、通常、記録膜の膜
厚は10〜30nm程度と薄いため、入射光の多くは反
射膜側に透過し、この透過光は反射膜で反射されて記録
膜側へと戻る。記録膜の感度は、干渉膜などによっても
たらされる多重干渉効果に大きく影響されるので、低感
度の超解像膜を記録膜と反射膜との間に配置した場合、
反射膜から記録膜へと戻る光ビームの径を縮小すること
ができる。したがって、この場合も、高感度の超解像膜
及び低感度の超解像膜の双方を薄膜記録部4に対して光
入射側に配置した場合と同様に、同一の光学系で超解像
記録及び超解像再生の双方を実現することができる。
【0050】前者のように薄膜記録部に対して光入射側
に複数の超解像膜の積層構造を設ける場合、個々の超解
像膜は焦点深度Dfよりも厚い必要はなく、その積層構
造の膜厚が焦点深度Dfよりも厚ければよい。一方、後
者の場合は、薄膜記録部4に対して光入射側に配置され
る超解像膜の膜厚が焦点深度Dfよりも厚ければよく、
記録膜と反射膜との間に配置する超解像膜の膜厚に特に
制限はない。但し、記録膜と反射膜との間に配置する超
解像膜の膜厚は、好ましくは焦点深度Df未満である。
【0051】上記のように超解像記録及び超解像再生の
双方を実現するために光記録媒体1に感度が互いに異な
る二種の超解像膜を設ける場合、低感度の超解像膜の臨
界パワーは高感度の超解像膜の臨界パワーの数倍以上で
あることが好ましい。これは、記録パワーと再生パワー
とは著しく異なっているためである。
【0052】また、図6を参照して説明したように、超
解像膜3として高感度の超解像膜と低感度の超解像膜と
の積層構造を使用し、その積層構造を高感度の超解像膜
が光入射側に位置するように配置した場合、透過光の強
度分布プロファイルをよりシャープなものとすることが
できる。このような効果は、その積層構造の膜厚Ts
上述した不等式に示す関係を満足していれば、光記録媒
体1が再生専用型及び記録可能型のいずれであっても得
ることができる。
【0053】高感度の超解像膜と低感度の超解像膜との
積層構造としては、ヒートモード系については、例え
ば、高感度の超解像膜であるTe膜と低感度の超解像膜
であるGeSbTe膜との積層構造を使用することがで
きる。なお、そのような積層構造がヒートモード系であ
る場合、各超解像膜間には、それらを構成する材料同士
が混合されるのを防止するために透明誘電体薄膜を設け
ることが好ましい。
【0054】フォトンモード系については、波長405
nmの光に対して超解像効果を示す積層構造として、例
えば、S含有量及びTe含有量が互いに異なる複数のZ
nSSeTe微粒子分散膜の積層構造を使用することが
できる。この場合、S含有量がより少なく且つTe含有
量がより多いZnSSeTe微粒子分散膜は高感度の超
解像膜として使用され、S含有量がより多く且つTe含
有量がより少ないZnSSeTe微粒子分散膜は低感度
の超解像膜として使用される。ZnSSeTe微粒子分
散膜のエネルギーギャップ(電子遷移エネルギー)は、
Teが多いと狭くなり、Sが多いと拡がる。また、吸収
飽和は、そのエネルギーギャップと照射光のエネルギー
との差が少ないほど低いパワーで生じさせることができ
る。したがって、上記のようにS含有量及びTe含有量
を調節することにより、上記の積層構造を得ることがで
きる。
【0055】上述した光記録媒体1がCDである場合、
焦点レンズの開口数NAは0.5であり且つ使用するレ
ーザビームの波長λは780nmである。したがって、
この場合、超解像膜3の膜厚Tsを1.56μmよりも
厚くすることにより上述した効果を得ることができる。
また、上述した光記録媒体1がHD−RAMである場
合、焦点レンズの開口数NAは0.8であり且つ使用す
るレーザビームの波長λは410nmである。したがっ
て、この場合、超解像膜3の膜厚Tsを0.32μmよ
りも厚くすることにより上述した効果を得ることができ
る。さらに、上述した光記録媒体1がDVDである場
合、焦点レンズの開口数NAは0.6であり且つ使用す
るレーザビームの波長λは650nmである。したがっ
て、この場合、超解像膜3の膜厚Tsを0.90μmよ
りも厚くすることにより上述した効果を得ることができ
る。
【0056】本発明の効果は、上記の理論によれば、超
解像膜3の膜厚が厚いほど顕著となる。しかしながら、
現実的には、臨界パワーPc以上の光に対する超解像膜
3の透過率は100%未満である。換言すれば、高強度
の光であっても超解像膜3で減衰される。通常、そのよ
うな減衰は超解像膜3に使用する材料に応じて異なるの
で、超解像膜3の膜厚の上限値は使用する材料に応じて
適宜設定される。
【0057】上記光記録媒体1が再生専用型である場
合、薄膜記録部4は、上述のように、超解像膜3側の面
に記録マークとしてピットが設けられた反射膜である。
この反射膜の材料としては、Al合金やAg合金などの
金属材料を用いることができる。また、再生光として例
えば波長650nmの光を使用する場合には、Cu、A
u、及びTiNなどの金属やセラミックなども使用する
ことができる。反射膜は、スパッタリング法などによっ
て形成することができる。反射膜の膜厚は、通常は50
nm以上であり、多くの場合、100nm程度に設定さ
れる。
【0058】上記光記録媒体1が記録可能型である場
合、薄膜記録部4は相変化記録膜や光磁気記録膜などの
ように情報の記録を繰り返し行うことが可能な記録膜或
いは色素系記録膜などのように情報の記録を1回のみ行
うことが可能な記録膜を有するものであれば特に制限は
ない。相変化記録膜の材料としてはGeSbTeやAg
InSbTeが代表的であり、光磁気記録膜の材料とし
てはTbFeCoが代表的である。なお、超解像膜3と
薄膜記録部4とは、前者では光学変化は基本的には光照
射を継続している間においてのみ維持されるのに対し、
後者では光学変化はメモリ性を有している点で異なって
いる。
【0059】薄膜記録部4が情報の記録が可能なもので
ある場合、通常、薄膜記録部4は記録膜に加えて反射膜
を有している。反射膜は、超解像膜3と反射膜との間に
記録膜が介在するように配置される。そのような反射膜
の材料としては、再生専用型に関して説明したものを使
用することができる。
【0060】また、上記光記録媒体1が記録可能型であ
る場合、薄膜記録部4の光学特性の最適化及び記録膜の
保護などを目的として、記録膜を一対の干渉膜で挟持し
た構造を採用することが好ましい。そのような干渉膜の
材料としては、記録膜が相変化記録膜である場合にはZ
nS・SiO2などが一般に用いられ、記録膜が光磁気
記録膜である場合にはSiNが一般に使用される。
【0061】上述した光記録媒体1においては、透明基
板2と超解像膜3との界面における反射率が、超解像膜
3と薄膜記録部4との界面における反射率よりも低く設
定されていることが好ましい。この場合、特にフォーカ
ス調整しなくとも焦点位置を自動的に超解像膜3と薄膜
記録部4との界面に合わせることができる。このような
反射率の調節は、各構成要素に使用する材料を適宜選択
することにより行ってもよく、或いは、透明基板2と超
解像膜3との間に反射防止膜を設けることにより行って
もよい。
【0062】反射防止膜は、屈折率がnarである材料か
らなり、膜厚がλ/4nar程度の透明薄膜である。反射
防止膜はスパッタリング法などで形成することができ、
その材料としては、例えば、ZnS・SiO2、Si
N、SiO、AlN、AlO、及びTiOなどを挙げる
ことができる。反射防止膜は、単層構造であってもよい
が、複数の薄膜を隣り合うもの同士の間で屈折率が互い
に異なるように積層してなる積層構造とすることによ
り、より顕著な反射防止効果を得ることができる。
【0063】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。以
下に説明する各実施例では、ヒートモード系の超解像膜
を有する光記録媒体及びフォトンモード系の超解像膜を
有する光記録媒体を作製し、それぞれの動的評価を行
う。各実施例について個々に説明するのに先立ち、まず
は、それら実施例で使用する超解像膜について説明す
る。
【0064】以下の実施例では、ヒートモード系の超解
像膜としてはTe膜を使用した。また、フォトンモード
系の超解像膜としては、CdSSe微粒子を有機マトリ
クス中に分散させてなり且つ波長650nmの光に対し
て光学応答を示す半導体微粒子分散膜、及び、ZnSS
eTe微粒子を有機マトリクス中に分散させてなり且つ
波長405nmの光に対して光学応答を示す半導体微粒
子分散膜を使用した。
【0065】フォトンモード系の超解像膜であるTe膜
は、スパッタリング法によって形成した。より具体的に
は、Te膜は、スパッタリング時に基板をIRランプで
加熱することにより、所定の厚さを有する結晶質の薄膜
として形成した。なお、この結晶質のTeをレーザ加熱
すると溶融してその消衰係数が低下するため、Te膜の
溶融部では透過率が増加する。また、Teの結晶化は速
やかに進行するので、溶融したTeは加熱を終了すると
直ちに結晶質のTeに戻る。Te膜の透過率は、このよ
うな原理で可逆的に変化させることが可能である。
【0066】一方、上記の半導体微粒子分散膜は、有機
金属化合物を原料として用いて有機合成法によって塗工
液を調製する調製工程と、その塗工液を基板上にスピン
コートする塗布工程とを順次行うことによって形成し
た。半導体微粒子分散膜にレーザ光を照射すると、照射
部では、電子励起によって励起準位が飽和して透過率が
上昇する。また、光照射を終了すると、脱励起によって
元の状態へと戻る。半導体微粒子分散膜の透過率は、こ
のような原理で可逆的に変化させることが可能である。
【0067】半導体微粒子分散膜の形成に用いる塗工液
は、半導体を構成する各元素を含む有機金属化合物の溶
液を所定の割合で混合し、適当な温度に昇温することに
よって調製した。このような方法によると、液状有機マ
トリクス中に半導体微粒子が分散された塗工液を得るこ
とができる。また、この塗工液は、原液でまたはスピン
コート剤などを添加して適宜濃度調整して使用した。半
導体微粒子分散膜の膜厚は、塗工液の希釈度やスピンコ
ートの際の基板回転数によって制御した。
【0068】次に、各実施例で使用する超解像膜の特性
等について説明する。なお、それら特性は、光記録媒体
の一部として形成した超解像膜について得られたもので
はなく、基板上に超解像膜のみを形成してなる超解像膜
サンプルについて得られたものである。
【0069】以下の実施例で行うのと同じ条件で超解像
膜として半導体微粒子分散膜を作製し、それぞれの半導
体微粒子分散膜について、半導体微粒子の平均粒径と粒
径分散とを調べた。その結果、半導体微粒子としてCd
SSe微粒子及びZnSSeTe微粒子のいずれを用い
た場合においても、半導体微粒子の平均粒径は3nm程
度であり、粒径分散は10%以内であった。なお、上記
のヒートモード系及びフォトンモード系超解像膜の膜厚
を触診式膜厚計及び光学式膜厚計の双方で測定したとこ
ろ、それら膜厚計によって得られた結果は10%以内の
精度で一致した。
【0070】次に、超解像膜サンプルの超解像特性を調
べた。すなわち、高パワーのガスレーザシステムを用
い、超解像膜サンプルにビーム径が数100μmであり
且つビームスポット内でパワー密度が均一である波長6
50nmのレーザビームを照射して、照射パワー密度と
透過率との間の関係を調べた。図7及び図8にその結果
を示す。
【0071】図7は、膜厚1μmのTe膜に関して得ら
れた照射パワー密度と透過率との関係を示すグラフであ
る。また、図8は、膜厚1μmのCdSSe膜に関して
得られた照射パワー密度と透過率との関係を示すグラフ
である。なお、図7及び図8において、横軸は照射パワ
ー密度Pを示し、縦軸は透過率Trを示している。
【0072】図7に示すように、Te膜の透過率変化
は、Teの溶融に対応する照射パワー密度近傍で急峻で
ある。一方、CdSSe膜では、Te膜ほどの急峻な透
過率変化は見られないが、大きな透過率変化量を確認す
ることができた。なお、Te膜及びZnSSeTe膜に
ついて波長405nmの光を使用して同様の評価を行っ
たところ、図7及び図8に示したのとほぼ同等の関係が
得られた。
【0073】次に、各実施例について、順次説明する。 (実施例1)図9は、本発明の実施例1に係る光ディス
クを概略的に示す断面図である。図9に示す光ディスク
1は再生専用型であって、透明基板2の一方の主面上に
超解像膜3と薄膜記録部4である反射膜5が順次積層さ
れた構造を有している。
【0074】本実施例では、後述するように、後述する
動的評価を、焦点レンズの開口数NAが0.65である
場合及び0.85である場合のそれぞれについて行う。
前者の場合、透明基板2としては、厚さが0.6mmで
あり且つ超解像膜3が設けられた面に記録情報としてピ
ットが形成されたものを使用し、この透明基板2のピッ
トが設けられた面に超解像膜3及び反射膜5を順次成膜
することによって光ディスク1を得た。一方、後者の場
合、厚さが1.1mmであり且つ一方の主面に記録情報
としてピットが形成された透明基板(図示せず)を使用
し、この透明基板のピットが設けられた面に反射膜5及
び超解像膜3を順次成膜し、さらに、超解像膜3上に例
えば厚さが0.1mmである透明基板2を配置すること
によって光ディスク1を得た。
【0075】なお、いずれの場合においても、光学系の
分解能(≒0.5×λ/NA)を基準として、Duty
比50%の単一周波数の信号をピットピッチを変化させ
て記録した。また、いずれの場合においても、超解像膜
3は焦点深度Dfよりも厚く形成した。
【0076】次に、以下に示す方法により、これら光デ
ィスク1の動的評価を行った。すなわち、まず、上述し
た方法で作製した光ディスク1を一般的な光ディスク評
価機にセットした後、ディスク1を回転させながら0.
5mW程度の再生パワーでフォーカシング及びトラッキ
ング調整を行った。次に、光学系の分解能未満のピッチ
でピットが形成されたトラックにガウス型の強度分布を
有する光ビームをパワーを変化させながら照射すること
により、CNR値が最大となる再生パワーを選択した。
この操作によって、超解像膜の光照射部における透過率
がビームスポット周縁部で十分に低く且つビームスポッ
ト中央部で十分に高くなるように再生パワーを設定する
ことができる。このような方法で設定した再生パワーで
上記光ディスク1に記録された情報の再生を行い、ピッ
トピッチとCNR値との関係を調べた。
【0077】なお、以下の表1に、本実施例で動的評価
を行った光ディスク1について、超解像膜3の材料及び
その膜厚Ts並びに透明基板2の厚さを纏めて示す。ま
た、表1には、光ディスク1の動的評価に使用した再生
光の波長λ、焦点レンズの開口数NA、及び焦点深度D
fも併せて示す。
【0078】
【表1】
【0079】図10は、本発明の実施例1に係る光ディ
スク1に関して得られたピット長とCNR値との関係の
一例を示すグラフである。図中、横軸はピット長を示し
ており、縦軸はCNR値を示している。また、図中、曲
線55は上記表1のディスク(2)について得られたデ
ータを示し、曲線56は超解像膜3の膜厚を500nm
としたこと以外はディスク(2)と同様の構造を有する
光ディスクについて得られたデータを示し、曲線57は
超解像膜3を設けなかったこと以外はディスク(2)と
同様の構造を有する光ディスクについて得られたデータ
を示している。
【0080】図10から明らかなように、ピット長を5
00nm未満とした場合、厚さ1.5μmの超解像膜3
を設けた光ディスク1及び厚さ500nmの超解像膜3
を設けた光ディスクのいずれにおいても、超解像膜3を
有していない光ディスクに比べれば、ピット長をより短
くすることができる。しかしながら、その効果は、超解
像膜3の膜厚を1.5μmとした場合と500nmとし
た場合とで大きく異なっている。すなわち、超解像膜3
の膜厚を1.5μmとすることにより、ピット長を著し
く短くすることが可能となることが分かる。
【0081】次に、超解像膜3の膜厚が異なること以外
は上記表1のディスク(1)と同様の構造を有する光デ
ィスク1を作製した。これら光ディスク1について、超
解像膜3の膜厚Tsとマーク長が光学系の分解能の半分
の長さであるピット列に関するCNR値(CNR50)
との関係を調べた。その結果を図11に示す。
【0082】図11は、本発明の実施例1に係る光ディ
スク1に関して得られた焦点深度D fに対する超解像膜
3の膜厚Tsの比とCNR値との関係の一例を示すグラ
フである。図中、横軸は比Ts/Dfを示しており、縦軸
はCNR値(CNR50)を示している。
【0083】一般に、CNRは40dB程度以上である
ことが必要である。図11から明らかなように、マーク
長を光学系の分解能の半分の長さとした場合であって
も、比Ts/Dfを1よりも高くすることにより40dB
を上回るCNRを得ることができる。特に、比Ts/Df
を約1.25〜約2.5の範囲内とした場合には、CN
R50は50dB以上もの高い値を示した。
【0084】なお、CNR50は、比Ts/Dfが2.5
以上になると低下している。これは、超解像膜の膜厚T
sが厚くなると、光学パスが長くなりビームスポット中
央部での光吸収が増加するため、及び、透過すべき光成
分の一部が超解像膜を伝播する過程で減衰して臨界パワ
ー未満となるためである。したがって、比Ts/Dfは、
5以下であることが好ましく、3以下であることがより
好ましく、2以下であることが最も好ましい。
【0085】次に、以上説明した評価を上記表1のディ
スク(1),(3)〜(8)に関しても行った。その結
果、図10及び図11に示したのとほぼ同様の傾向が見
られた。
【0086】なお、本実施例で作製したディスク1で
は、透明基板2と超解像膜3との界面における反射率
が、超解像膜3と反射膜5との界面における反射率より
も低かったため、超解像膜3と反射膜5との界面,すな
わち記録面,に対して自動的に焦点位置を合わせること
ができた。しかしながら、超解像膜3に用いる材料によ
っては、透明基板2と超解像膜3との界面における反射
率が過剰に高くなり、オートフォーカスでは透明基板2
と超解像膜3との界面に焦点位置が合ってしまうことが
ある。この場合でもフォーカシングオフセット調製を行
うことによって超解像膜3と反射膜5との界面に焦点位
置を合わせることは可能であるが、透明基板2と超解像
膜3との界面における反射率を超解像膜3と反射膜5と
の界面における反射率よりも低く設定することが好まし
い。
【0087】(実施例2)本実施例では、主に、反射防
止膜の効果について実証し、光ディスク1の超解像効果
については他の実施例で説明する。
【0088】図12は、本発明の実施例2に係る光ディ
スクを概略的に示す断面図である。図12に示す光ディ
スク1は記録可能型であって、透明基板2の一方の主面
上に、反射防止膜6、超解像膜3、干渉膜7、記録膜
8、干渉膜9、及び反射膜5が順次積層された構造を有
している。なお、干渉膜7、記録膜8、干渉膜9、及び
反射膜5は、薄膜記録部4を構成している。また、通
常、このような構造の光ディスク1において、反射膜5
を除く薄膜記録部4の厚さは、焦点深度未満に設定され
ている。
【0089】本実施例では、超解像膜3として厚さ1μ
mのTe膜を用い、記録膜8としてGeSbTe膜を用
い、干渉膜7,9としてZnS・SiO2膜を用いて図
12に示す光ディスク1を作製した。また、反射防止膜
6を有していないこと以外は同様の構造を有する光ディ
スク1も作製した。
【0090】なお、超解像膜3と薄膜記録部4との界面
の反射率は、記録膜8が結晶質状態にある場合に20%
であり且つ非晶質状態にある場合にほぼ0%となるよう
に調節した。これは、記録マーク形成部と非形成部との
間で高い光学コントラストを得るためである。このよう
に結晶質状態及び非晶質状態における反射率を設定した
ところ、記録後における超解像膜3と薄膜記録部4との
界面の平均的な反射率は10%程度であった。また、反
射防止膜6を設けた光ディスク1では、反射防止膜6及
び超解像膜3からなる積層構造と透明基板2との界面に
おける反射率は3%程度であり、反射防止膜6を有して
いない光ディスク1では、超解像膜3と透明基板2との
界面における反射率は15%程度であった。
【0091】次に、これら光ディスク1の記録膜8を初
期結晶化した。次いで、照射光の波長λが650nmで
あり、焦点レンズの開口数NAが0.65である光ディ
スク評価機を用い、実施例1で説明したのと同様の方法
により、これら光ディスク1の評価を行った。
【0092】その結果、反射防止膜6を設けた光ディス
ク1では、記録及び再生の双方に際し、超解像膜3と薄
膜記録部4との界面に対して自動的に焦点位置を合わせ
ることができた。一方、反射防止膜6を有していない光
ディスク1に関しては、記録前の状態では超解像膜3と
薄膜記録部4との界面に対して自動的に焦点位置を合わ
せることができた。しかしながら、記録後は透明基板2
と超解像膜3との界面に焦点位置が合ってしまい再生が
困難となることがあった。
【0093】なお、光ディスク1が反射防止膜6を有し
ていなくとも、フォーカスオフセット調整を行って超解
像膜3と薄膜記録部4との界面にフォーカシングすれ
ば、記録マークの長さが光学系の分解能未満であっても
高いCNRで再生信号を得ることができた。しかしなが
ら、そのような調整なしで安定した動作を継続するため
には、透明基板2と薄膜記録部4との間に反射防止膜6
を設けることが好ましいことが分かった。
【0094】(実施例3)本実施例では、主に、互いに
感度の異なる複数の超解像膜を積層した場合に得られる
効果について実証する。
【0095】図13は、本発明の実施例3に係る光ディ
スクを概略的に示す断面図である。図13に示す光ディ
スク1は再生専用型であって、透明基板10の一方の主
面上に、薄膜記録部4である反射膜5、第1の超解像膜
3a、第2の超解像膜3b、及び透明基板2が順次積層
された構造を有している。なお、第1の超解像膜3aは
第2の超解像膜に比べて低感度である(或いは、臨界パ
ワーが高い)。また、図示していないが、透明基板10
の反射膜5側の面には記録情報に対応してピットが設け
られており、これらピットは反射膜5の透明基板2側の
面に転写されている。
【0096】本実施例では、透明基板2として、厚さ
0.1mmのUV樹脂基板を使用した。この光ディスク
1は、焦点レンズの開口数NAが0.85である条件下
での動作に適した構造を有しており、透明基板10のピ
ットが設けられた面に、反射膜5、第1の超解像膜3
a、及び第2の超解像膜3bを順次成膜し、最後に透明
基板2を配置することにより得ることができる。
【0097】また、本実施例では、低感度の超解像膜3
a及び高感度の超解像膜3bとしてZnSSeTe微粒
子分散膜を使用した。なお、それら超解像膜3a,3b
の感度は、超解像膜3bに比べて超解像膜3aにおける
S含有量がより高く且つTe含有量がより少なくするこ
とにより調節した。また、超解像膜3aの膜厚と超解像
膜3bの膜厚とは同一とし、それらが形成する積層構造
の膜厚が互いに異なる複数の光ディスク1を作製した。
【0098】次に、これら光ディスク1について、実施
例1で説明したのと同様の方法により、超解像膜3a,
3bが形成する積層構造の膜厚とCNR50との関係を
調べた。その結果、図11に示すデータに比べ、比Ts
/Dfが2以下の範囲ではCNR50は2〜3dB向上
し、CNR50は比Ts/Dfが1.1〜3.5程度まで
50dB以上の値を維持した。
【0099】このようにCNR50が向上した理由は、
高感度の超解像膜を伝播する際に光ビーム周縁部が遮ら
れる遮断効果に、低感度の超解像膜を伝播する際に光ビ
ーム周縁部が遮られる遮断効果が重畳されて、透過光の
強度分布プロファイルをよりシャープなものとすること
ができたためであると考えられる。また、CNR50が
50dB以上の値を示す比Ts/Dfの上限値が高められ
た理由は、焦点から離れた位置における光ビーム中央部
のパワー密度が、超解像膜の光学定数が変化するパワー
密度よりも高く設定されたため、焦点から離れた位置で
の過度な光の減衰が防止されたためであると見なすこと
ができる。
【0100】(実施例4)図14は、本発明の実施例4
に係る光ディスクを概略的に示す断面図である。図14
に示す光ディスク1は記録可能型であって、透明基板2
の一方の主面上に、第1の超解像膜3a、干渉膜7、記
録膜8、干渉膜9、第2の超解像膜3b、及び反射膜5
が順次積層された構造を有している。なお、干渉膜7、
記録膜8、干渉膜9、及び反射膜5は、薄膜記録部4を
構成している。
【0101】図14に示す構造は、焦点レンズの開口数
NAが0.65程度である場合に適している。焦点レン
ズの開口数NAが0.85程度である場合には、図示し
ない基板上に、反射膜5、第2の超解像膜3b、干渉膜
9、記録膜8、干渉膜7、第1の超解像膜3a、及び透
明基板2を順次積層してなる構造を採用することが好ま
しい。
【0102】本実施例では、図14に示す構造を採用
し、透明基板2としては、マスタリングプロセスによっ
てアドレスピット及びトラッキンググルーブが形成され
たポリカーボネートディスクを使用した。また、超解像
膜3aとしては膜厚Tsが600nmであるZnSSe
Te微粒子分散膜を使用し、干渉膜7としては膜厚60
nmのZnS・SiO2膜を使用し、記録膜8としては
膜厚20nmのGeSbTe膜を使用し、干渉膜9とし
ては膜厚15nmのZnS・SiO2膜を使用し、超解
像膜3bとしては膜厚200nmのZnSSe微粒子分
散膜を使用し、反射膜5としては膜厚100nmのAg
PdCu膜を使用した。これら薄膜のうち、超解像膜3
a,3bは前述した有機合成法による塗工液の調製及び
スピンコートによる塗布を順次行うことによって形成
し、それら以外の薄膜はいずれもスパッタリング法によ
り形成した。以上のようにして図14に示す光ディスク
1を作製した。
【0103】なお、超解像膜3a,3bの感度は、半導
体微粒子の組成を変化させてエネルギーギャップを適当
な値とすることにより、超解像膜3aの臨界パワーが
0.5〜1mWの範囲内となるように及び超解像膜3b
の臨界パワーが7〜10mWの範囲内となるように調節
した。
【0104】次に、照射光の波長λが405nmであ
り、焦点レンズの開口数NAが0.65である光ディス
ク評価機を用いて、上記光ディスク1に対して記録再生
試験を行った。その結果、記録マークのピッチが光学系
の分解能(約300nm)の1/4である場合において
も、40dB以上もの高いCNR値が得られた。また、
超解像膜3aの膜厚が異なること以外は同様の構造を有
する複数の光ディスク1を作製し、これら光ディスクに
ついても記録再生試験を行った。これにより得られた結
果をもとに、マークピッチを分解能の1/4とした場合
における、CNRと比Ts/Dfとの関係を求めたとこ
ろ、図11に示したのと類似の結果が得られた。
【0105】(実施例5)本実施例では、上記の実施例
1〜実施例4で作製した光ディスク1に記録された情報
の再生やその光ディスク1への情報の記録に利用可能な
光ディスク装置について説明する。
【0106】図15は、本発明の実施例5に係る光ディ
スク装置を概略的に示す図である。図15に示す光ディ
スク装置21は、光ディスク1、スピンドルモータ2
2、焦点レンズ23、ハーフミラー24、レーザ光源2
5、光検出器26、プリアンプ27、可変利得アンプ2
8、A/D変換回路29、線形等価回路30、データ検
出回路31、デコーダ32、ドライブコントローラ3
3、駆動制御系34、インターフェース35、変調回路
36、及びレーザドライバ37を有している。なお、通
常、光ディスク装置21には、ビーム整形プリズム及び
半波長板が必要であり、光ディスク1が光磁気ディスク
である場合には偏光子及び検光子などが必要であるが、
図15では、それら部材は省略して描かれている。
【0107】図15に示す光ディスク装置21におい
て、光ディスク1は再生専用型または記録可能型であ
り、この光ディスク1は、透明基板2が図中上向きとな
るようにスピンドルモータ22の回転軸に着脱可能に或
いは着脱不可能に支持されている。光ディスク1は、ス
ピンドルモータ22の回転数を制御することにより、所
定の回転数で回転され得る。
【0108】光ディスク1の上方には、ピックアップ系
の一部を構成する焦点レンズ23が配置されている。こ
れらピックアップ系及びスピンドルモータ22は、駆動
制御系34を介してドライブコントローラ33によって
駆動される。このように構成される駆動機構によって、
光ディスク1の回転数の制御並びにフォーカシング及び
トラッキング制御が可能とされている。
【0109】この光ディスク装置21では、光ディスク
1の超解像膜3の膜厚Tsよりも光学系の焦点深度Df
短い。すなわち、レーザ光源25から出射されるレーザ
ビームの波長λ、焦点レンズ23の開口数NA、及び光
ディスク1の超解像膜3の膜厚Tsは、不等式:Ts
0.5×(λ/NA2)に示す関係を満足している。
【0110】このように構成される光ディスク装置21
での情報の記録は、上述のように光ディスク1の回転数
の制御並びにフォーカシング及びトラッキング制御を行
いつつ以下の方法により行われる。すなわち、情報の記
録に際しては、そのような制御のもと、まず、ドライブ
コントローラ33によってインターフェース35を介し
て取り込んだユーザデータ信号を変調回路36へと転送
する。ユーザデータ信号は変調回路36で所定の符号ビ
ット列へと変換される。レーザドライバ37は、レーザ
光源25を符号ビット列に対応して駆動し、それによ
り、レーザ光源25はパルス状のレーザビームを記録光
として出射する。
【0111】記録光は、ハーフミラー24を透過して焦
点レンズ23へと導かれ、光ディスク1上に集光照射さ
れる。これにより、光ディスク1の記録膜8には、符号
ビット列に対応した記録マークが形成される。図15に
示す光ディスク装置21での情報の記録は、以上のよう
にして行われる。なお、最短マークピッチを狭めて記録
するためには、変調回路36の出力信号や駆動制御系3
4の出力信号などを変化させればよい。
【0112】また、この光ディスク装置21での情報の
再生は、上述のように光ディスク1の回転数の制御並び
にフォーカシング及びトラッキング制御を行いつつ以下
の方法により行われる。すなわち、情報の記録に際して
は、そのような制御のもと、まず、レーザ光源25から
再生パワーレベルのレーザビームを再生光として出射す
る。なお、レーザービームのパワーレベルは、レーザ光
源25からの出力を周期が一定なパルス光とし、その周
期を適宜設定することにより制御可能である。レーザ光
源25から出射した再生光は、ハーフミラー24を透過
して焦点レンズ23へと導かれ、光ディスク1上に集光
照射される。光ディスク1の記録トラックからの反射光
は、ハーフミラー24で反射されて光検出器26へと導
かれ、そこで電気信号へと変換される。
【0113】光検出器26からの電気信号は、プリアン
プ37及び可変利得アンプ28で増幅され、その後、A
/D変換回路29でデジタル信号へと変換される。次い
で、このデジタル信号は、線形等化回路30でフィルタ
リングされてノイズに起因するジッタ成分を除去され
る。データ検出回路31は、例えば、パーシャルレスポ
ンスで等化した再生信号波形からデータを検出するマキ
シマムライクリフッド法によって符号ビット列を推定す
る信号処理回路であり、具体的にはビタビデコーダであ
る。デコーダ32は、データ検出回路31によって検出
された符号ビット列を元の記録データへと復元する。こ
のようにして復元された記録データは、ドライブコント
ローラ33及びインターフェース35を介して装置外部
へと出力される。図15に示す光ディスク装置21での
情報の再生は、以上のようにして行われる。
【0114】なお、図15に示す光ディスク装置21は
記録及び再生の双方が可能な記録可能型である。この光
ディスク21を再生専用型とする場合は、変調回路36
は必ずしも設ける必要はない。また、焦点レンズ23及
び光源25以外の光学系は、図15に示す構造に限られ
るものではなく、様々な変形が可能である。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、超解
像膜の厚さTsを焦点深度Dfよりも厚くすることによ
り、超解像膜と薄膜記録部との界面を焦点位置に合わせ
た場合に、焦点位置近傍だけでなくビーム径の変化率の
大きな位置にも超解像膜を存在させている。そのため、
本発明によると、従来技術に比べて著しく大きな超解像
効果を得ることができる。すなわち、本発明によると、
超解像効果を十分に引き出し得る技術が提供される。ま
た、本発明によると、超解像効果を容易且つ十分に引き
出し得る技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】照射光強度と超解像膜の光学応答との間の理想
的な関係を示すグラフ。
【図2】図1に示す光学変化を示す超解像膜への入射前
及び透過後におけるガウス型光ビームの強度分布を示す
グラフ。
【図3】光学定数が一定の領域内を焦点レンズで集束さ
せた光が伝播する状態を概略的に示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る光記録媒体を概略的
に示す断面図。
【図5】本発明により得られる効果の一例を概略的に示
すグラフ。
【図6】本発明により得られる効果の他の例を概略的に
示すグラフ。
【図7】膜厚1μmのTe膜に関して得られた照射パワ
ー密度と透過率との関係を示すグラフ。
【図8】膜厚1μmのCdSSe膜に関して得られた照
射パワー密度と透過率との関係を示すグラフ。
【図9】本発明の実施例1に係る光ディスクを概略的に
示す断面図。
【図10】本発明の実施例1に係る光ディスクに関して
得られたピット長とCNR値との関係の一例を示すグラ
フ。
【図11】本発明の実施例1に係る光ディスクに関して
得られた焦点深度Dfに対する超解像膜の膜厚Tsの比と
CNR値との関係の一例を示すグラフ。
【図12】本発明の実施例2に係る光ディスクを概略的
に示す断面図。
【図13】本発明の実施例3に係る光ディスクを概略的
に示す断面図。
【図14】本発明の実施例4に係る光ディスクを概略的
に示す断面図。
【図15】本発明の実施例5に係る光ディスク装置を概
略的に示す図。
【符号の説明】
1…光記録媒体; 2,10…透明基板; 3,3a,
3b…超解像膜;4…薄膜記録部; 5…反射膜; 6
…反射防止膜; 7,9…干渉膜;8…記録膜; 11
…光ビーム; 21…光ディスク装置;22…スピンド
ルモータ; 23…焦点レンズ; 24…ハーフミラ
ー;25…レーザ光源; 26…光検出器; 27…プ
リアンプ;28…可変利得アンプ; 29…A/D変換
回路; 30…線形等価回路;31…データ検出回路;
32…デコーダ; 33…ドライブコントローラ;3
4…駆動制御系; 35…インターフェース; 36…
変調回路;37…レーザドライバ; 51〜57…曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 都鳥 顕司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 神谷 格 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内 (72)発明者 吉江 建一 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内 Fターム(参考) 5D029 MA39 5D090 AA01 BB04 BB10 BB12 CC05 DD01 EE02 FF11 KK03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報の再生に焦点レンズで集束させた光
    を利用する再生装置に搭載される光記録媒体であって、 薄膜記録部と照射光強度に応じて光学定数が変化する超
    解像膜との積層構造及び前記積層構造を支持する基板を
    具備し、 前記超解像膜の膜厚Tsと前記光の波長λと前記焦点レ
    ンズの開口数NAとは、不等式: Ts>0.5×(λ/NA2) に示す関係を満足することを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記膜厚Tsは0.32μmよりも厚い
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記膜厚Tsは0.90μmよりも厚い
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記膜厚Tsは1.56μmよりも厚い
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 薄膜記録部と照射光強度に応じて光学定
    数が変化する超解像膜との積層構造及び前記積層構造を
    支持する基板を備えた光記録媒体に対し前記超解像膜側
    から前記薄膜記録部に向けて焦点レンズで集束させた光
    を照射して前記光記録媒体からの反射光を検出すること
    により前記薄膜記録部に記録された情報を読み出すこと
    を含み、 前記情報の読み出しを、前記超解像膜の膜厚Tsと前記
    光の波長λと前記焦点レンズの開口数NAとが、不等
    式: Ts>0.5×(λ/NA2) に示す関係を満足する条件下で行うことを特徴とする再
    生方法。
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