JP2002294559A - シート状高吸収体及びその製造方法 - Google Patents

シート状高吸収体及びその製造方法

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JP2002294559A
JP2002294559A JP2001100096A JP2001100096A JP2002294559A JP 2002294559 A JP2002294559 A JP 2002294559A JP 2001100096 A JP2001100096 A JP 2001100096A JP 2001100096 A JP2001100096 A JP 2001100096A JP 2002294559 A JP2002294559 A JP 2002294559A
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mfc
sap
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absorber
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Kazuhide Hata
一英 秦
Yuji Matsuda
裕司 松田
Fumitaka Okamoto
史隆 岡本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高分子吸収体と微細フ
ィブリル化セルロースを主成分とする吸収層を有するシ
ート状高吸収体において、相反する性能である「初期吸
収速度」と「固着強度」、「塗工液の分散性」を同時に
満足するシート状高吸収体を得ることを目的とする。 【解決手段】 シート状高吸収体に使用されるM
FCの軸比を50以上、数平均繊維長を0.05〜0.
15mmにすることで、「固着強度」を損なうことな
く、「初期吸収速度」を向上させる。更に、シート状高
吸収体に使用されるMFCの保水度を500%以上にす
ることで、「塗工液の分散性」、「固着強度」を損なう
ことなく、「初期吸水速度」を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子吸収体(以下
「SAP」と称す)を、その結合剤および分散剤として微
細フィブリル化セルロース(以下 「MFC」と称す)
を用いて、シート状支持体に固着させたシート状高吸収
体に関する。このシート状高吸収体は、通常の高吸水体
と同様に、幼児用および成人用オムツ、女性用生理用
品、あるいはメディカル用血液吸収体等の吸収体製品等
に広く利用できる。
【0002】
【従来の技術】吸収体製品に用いられている水分や体液
を吸収する吸収体は、従来よりフラッフ状木材パルプ
と、SAPとの組み合わせから成り立っている。しかし
近年、物流の効率化、小売店頭での棚効率の向上のた
め、さらには省資源化のために、従来の比較的かさばる
吸収体製品に対して、薄物化、コンパクト化への社会的
要請が大きくなっている。
【0003】フラッフ木材パルプとSAPを用いた吸収
体のコンパクト化、薄物化の手段として、フラッフ木材
パルプに対するSAPの比率を高くする方法がある。S
APの比率を高くすればするほど、吸収体の厚みは薄く
なり、究極的にはSAP100%構造をとれば、最大限
に薄物化できる。しかし、SAPの比率を上げると、S
APの特性に基づく「ゲルブロッキング」が発生し、吸
収性の効率が悪化する。この「ゲルブロッキング」と
は、SAPを含む吸収体が水を吸収する際、表面にある
SAPが水を吸収し膨潤することにより、内部にあるS
APが水を吸収できなくなる現象を言う。この「ゲルブ
ロッキング」が発生すると、表層のみのSAPしか水を
吸収することが出来なくなり、吸水効率が非常に低下す
る。また、SAPの比率が高くなると、SAPを支持体
に固着させることが出来なくなり、SAPが吸収体から
脱落したり、また吸水して膨潤したSAPが吸収体から
はみだしてしまう等の問題が発生する。
【0004】SAPの比率を高くし、且つ、使用に耐え
うるSAPと支持体の固着強度を得るために、特開昭5
7−181193号公報では、SAPを水で軟化してか
ら支持体に固着させる方法が提案されている。また、特
開昭54−141099号公報、特開昭58−1010
47号公報では、SAPを支持体に挟み、水、又は蒸気
によりSAPを支持体に固着させる方法が提案されてい
る。しかし、これらの方法では、SAPが水を吸水し膨
潤した時、SAPが吸収体からはみだしてしまう等の問
題は解決できない。また、「ゲルブロッキング」の発生
が顕著であり、吸水性は非常に低い。
【0005】特開昭60−149609号公報では、吸
収体のモノマーを支持体に含浸し、その後重合、架橋す
る方法が提案されている。しかし、この方法では十分な
液体の吸収性は得られない。
【0006】この様な、SAPの比率を高くすることに
伴う問題点を解決する方法として、特開平10−168
230号公報では、MFCを使用する方法が提案されて
いる。この発明では、SAPとMFCをアルコール/水
混合分散媒体に分散させ、シート状支持体上に塗布し、
ついで脱液した後、乾燥することによりシート状高吸収
体を製造する。このとき、MFCは塗工液の分散性向上
とSAPのシート状支持体への固着の役割を担ってい
る。MFCはフラッフ木材パルプと比較して、SAPを
シート状支持体に固着させる強度(以下 「固着強度」
と称す)が格段に高い為、SAPに対する添加量を低減
することができ、吸収体を薄物化することができる。ま
た、MFCは乾燥することにより高密度化するため、フ
ラッフ木材パルプに比べ格段に密度が高くなる。このこ
とも、吸収体を薄物化するのに寄与している。更に、M
FCを用いることにより、SAP周囲に適当な空間を確
保し、ゲルブロッキングを防止する効果がある。
【0007】しかし、上記の方法でMFCとSAPを用
いて工業的にシート状高吸収体を製造すると、シートへ
の固着強度を得るために、多くのMFCを添加せざるを
得ない。このため、SAPの表面をMFCが被覆してし
まい、液体の吸収性、特に吸収速度を低下させてしま
う。
【0008】吸収速度とは、吸収層が液体を吸収する速
度であり、一定の条件化で、どの程度の液体を吸収する
ことができるかの目安となる水膨潤度、加圧下飽和吸水
量等とは区別される。水膨潤度、飽和吸水量は、水が吸
収できる量の限界値を示し、速度は示さない。通常、シ
ート状高吸収体の吸収性は、これら水膨潤度、飽和吸水
量等で表されるが、シート状高吸収体が特におむつ等の
生理用品に使用される場合、これら水膨潤度、飽和吸水
量より吸収速度の方が重要となるケースが多い。この吸
収速度が低いと、排尿などの際、短時間で尿が吸収しき
れず、シート状高吸収体外に尿が漏れてしまう。尿が漏
れると衣服や布団などを汚してしまうため、吸収体とし
ての役割を果たせない。例えば、シート状高吸収体をお
むつに使用した際、このシート状高吸収体の飽和吸水量
が尿の全量よりはるかに多い場合でも、吸収速度が低け
れば、シート状高吸収体外に尿がもれてしまう。
【0009】この吸収速度の中で、特に液体がシート状
高吸収体に接触してから吸収を開始するまでの時間(以
下 「初期吸収速度」と称す)が非常に重要となる。M
FCとSAPを用いたシート状高吸収体の致命的な欠点
は、この初期吸収速度が低いことにある。これは、MF
CがSAPを被覆しているため、シート状高吸収体が液
体に接触した際、液体が直ぐにSAPに接触できないた
めである。本来、MFC自体はセルロースであることか
ら親水基である水酸基を多く持ち、水を取り込み易い。
にもかかわらず、MFCが液体を直ぐにSAPに伝える
ことができないのは、MFCが多くの繊維間結合を持つ
ためであると推測する。このことを、更に詳しく説明す
る。
【0010】セルロース繊維は叩解処理をすることによ
り繊維が柔軟になり(内部フィブリル)、また細かいフ
ィブリル繊維が発生(外部フィブリル)する。これら現
象をフィブリル化と言う。このため、セルロース繊維は
フィブリル化すると繊維同士の接点が多くなる。この接
点で繊維同士は繊維間結合し、強固に結合する。叩解の
進んだ繊維により得られる紙が高い強度を示すのはこの
ためである。繊維間結合は、セルロース繊維同士の間に
ある水が乾燥工程によって蒸発するに従い、水の表面張
力の作用でお互いが接近し、セルロース繊維中の水酸基
が水素結合により結合して発現する。このことから、フ
ィブリル化したセルロース繊維は多くの繊維間結合点を
持ち、結果繊維の水酸基が減少する。MFCは高度にフ
ィブリル化したセルロース繊維であるため、また、水の
表面張力による凝集作用は微小であるほど効果的に作用
するため、極めて多くの繊維間結合点を持つ。このため
MFC中の水酸基の多くは繊維間結合により使用され、
親水基である水酸基は減少する。このため、本来は親水
性であるMFCは、繊維間結合を形成することにより、
親水性が低下し、SAPに水を伝えにくくしてしまう。
この現象はある程度MFCに水が接触し、繊維が膨潤す
れば軽減されるが、液体が接触した初期の段階では顕著
に現れる。特に粒子状のMFCは、SAPを膜の様に包
んでしまうため、SAPに水を伝えることが困難とな
る。
【0011】また、SAPとMFCを主成分とする吸収
性シートとして、特開平11−128825に号公報に
は、MFCの保水度が300%以上を用いたことを特徴
とする吸収性シートが提案されている。この発明では、
固着強度を高めるため、MFCの保水度が300%以上
であることが好ましい、としている。MFCの保水度が
300%以上であれば、基材とSAPの固着強度は得ら
れるが、前述した通り、充分な固着強度を得るためには
MFCの添加率を増やさなくてはならない。その結果、
SAP表面に被覆するMFCが多くなり、吸収性、特に
初期吸収速度が満足のいくものではなかった。さらに、
この発明では塗工液の分散性については考慮されていな
い。塗工液の分散性とは、塗工液中のSAPがより均一
に混合していることを表わす。(以下 「塗工液の分散
性」と称す)。MFCは塗工液中でSAPの分散性を高
めることが知られているが、保水度500%未満では分
散性が良好でなく、塗工液中でSAPの沈降が起こり、
塗布量のばらつきが生じる。このため、塗工液の分散性
を向上させるためにMFCの添加率を増やさなくてはな
らない。その結果、前述した初期吸収速度に悪影響を及
ぼす。つまりこの発明では、固着強度を得ることは可能
であるが、初期吸収速度、塗工液の分散性が非常に劣
り、使用には困難であった。
【0012】上記の問題を解決するため、MFC/SA
Pの重量比を小さくしていくと、塗工液の分散性および
SAPの固着強度が低下する。この傾向は、例えば特開
平10−168230号公報によるシート状高吸収体に
最適とされるS−MFC(スーパーミクロフィブリレイ
テッドセルロース)やBC(バクテリアルセルロース)
を使用しても同様である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、こ
の相反する性能である「初期吸収速度」と「固着強
度」、「塗工液の分散性」を同時に満足するシート状高
吸収体を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、「初期吸収速度」、「固着強度」は、MFCの繊
維長、MFCの軸比が大きく影響していることを見出し
た。更に、この特性をある特定の範囲以内にすれば「初
期吸収速度」、「固着強度」を飛躍的に向上させること
が可能であることを見出した。一方、「塗工液の分散
性」は、MFCの保水度が大きく影響していることを見
出した。更にこの特性がある特定の範囲以内にすれば、
「塗工液の分散性」を飛躍的に向上させることが可能で
あることを見出した。
【0015】以上の事から、MFCの保水度、繊維長、
軸比をある特定範囲以内にすることで、「固着強度」、
「塗工液の分散性」を損なうことなく、「初期吸収速
度」を向上させることが可能であることを見出し、本発
明に至った。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のシート状高吸収体は、基
本的には、MFCがSAP粒子表面を被覆しながらシー
ト状支持体へ固着させる。このため、前述した通り、M
FCがSAP粒子表面を被覆し、初期吸収速度に悪影響
を及ぼす。これらを改善するため、MFCの軸比が50
以上、繊維長が0.05mm〜0.15mmである必要
がある。軸比とは繊維の長さ/幅であり光学顕微鏡と電
子顕微鏡による直接観察から測定される。この軸比はM
FCの形状を示す目安となる。軸比が大きければMFC
が繊維状態であることを示し、逆に軸比が小さければM
FCが粉末状態であることを示す。初期吸収速度はこの
MFCの形状に大きく影響される。
【0017】シート状高吸収体に液体が接触した際、M
FCの軸比が50以上であれば、表面にある液体がMF
Cの毛管作用によりSAPへ円滑に移動するようにな
り、初期吸収速度が高くなる。さらに吸水層内部にある
SAPにもMFCの毛管作用によって素早く水が移動す
ることができ、初期だけでなく全体の吸収速度を向上さ
せることができる。これは、MFCが繊維状であるから
可能となる。例えば、粒子状のMFCであると、MFC
がSAPを膜の様に包んでしまい、円滑な水の移動が不
可能となる。軸比が50未満であると、充分な毛管作用
が得られず、結果吸収速度が低くシート状高吸収体とし
ての性能が著しく低くなる。
【0018】更にMFCの数平均繊維長が0.05mm
〜0.15mmであると、より毛管作用が効果的に行え
る。また、この範囲の繊維長であるとシート状支持体と
SAPを固着しつつ、この両者の間に適度な空隙を形成
する。この空隙が水の移動を容易にしている。数平均繊
維長が0.05mm未満のMFCを使用すると、シート
状支持体とSAPとの間、またSAP同士の間に空隙が
なくなるために吸収速度が落ちる。一方、MFCの繊維
長が0.15mmより長くなると「固着強度」、「塗工
液の分散性」が著しく悪くなる。
【0019】本発明で規定している数平均繊維長は、K
AJAANI社(フィンランド)製造の繊維長分布測定
機(FS−200型)で測定したデータのうち、一定の
パルプサスペンション中に存在する繊維の全長を積算し
た後、その本数で割った値を示す。
【0020】次に本発明の「塗工液の分散性」について
述べる。塗工液の分散性が悪いと、塗工液中でSAPの
沈降が起こり、塗工の始めと終わりで塗工液の濃度に変
化が生じ、塗布量が変わってしまう。この「塗工液の分
散性」を良好にするためには、保水度が500%以上の
MFCを使用する必要がある。MFCの保水度が300
%以上であれば、固着強度は充分に得られるが、「塗工
液の分散性」を良好にするには充分ではない。つまりM
FCの保水度が300%以上であっても、500%未満
である場合、「塗工液の分散性」が悪く、結果MFCの
添加率を高くしなくてはならない。このため、吸収性、
生産性が非常に悪くなる。
【0021】保水度は、パルプの膨潤度の指標であり、
膨潤繊維中に取り込まれて保持された水分と、繊維内お
よび繊維間に存在する自由水とを、適当な遠心力により
区別しうるという考えに基づき測定される値である。本
発明で規定している保水度も同様の概念に基づき、JA
PAN TAAPI No.26に示されている方法で
測定した値であり、予め規定のフィルターに一定量の試
料のマットを形成しておき、遠心分離機を用いて300
0Gの遠心力で15分間脱水した後、保持されていた水
の量を絶乾パルプ量で割った時の値を示す。
【0022】次に、シート状高吸収体の製造方法につい
て述べる。シート状高吸収体の製造方法として、SAP
とMFCを分散媒体に分散させ、これを基材に塗布、脱
液、乾燥する方法がある。SAPとMFCを分散媒体に
分散する際、SAPは吸水膨潤すると、その分散液は非
常に高粘度となり、流動性を失い、取扱いが困難にな
る。したがって、SAPを分散する分散媒体は、SAP
をあまり膨潤させないものである必要がある。一方、固
着強度はMFCの水素結合により発現すると考えられる
ため、MFCの水素結合を発現させるための水が必要で
ある。このことから水と相溶性のある分散媒体と水との
混合媒体が使用される。水以外の分散媒体は、SAPを
あまり膨潤させず、水と相溶性があり、また取扱いの容
易さから、メチルアルコール、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール等のアルコール類が好ましい。
【0023】アルコール/水の分散媒体はアルコール/
水の重量比が8/2〜6/4であることが必要である。
8/2より大きいと、水が充分でないため、ミクロフィ
ブリル同士が充分に結合できず固着強度が不十分とな
る。これはミクロフィブリルが水素結合によりネットワ
ークを形成し、この水素結合には水が必要不可欠だから
である。また、必要以上にアルコールを使用すること
は、コストの面からも不利である。逆に6/4より小さ
いと、SAPが分散媒体中で吸水、膨潤し粘度が急激に
高くなり、塗工することは不可能となる。また仮に塗工
できたとしても水を吸水したSAPを乾燥工程で適切な
水分に乾燥することは非常に困難で、生産性が悪い。こ
の分散媒体にSAPとMFCを分散させる濃度は、使用
するSAP、MFCの種類によって異なるが、およそ固
形分濃度で10〜40%(重量%)にすることが好まし
い。
【0024】シート状支持体へのSAPの塗工方法とし
ては、支持体上にMFC/SAPを分散させた塗工液の
塗工層を形成できる方法であればいずれも使用すること
ができる。これらの塗工層を形成するには、ダイコータ
ー、カーテンコーター、ナイフコーター、ブレードコー
ター、ロールコーター、スプレーコーター等が使用でき
るが、特に特開2000−229259公報記載の方法
のように密閉型容器の頂部に設けたノズルからオーバー
フローさせることにより塗工する方法が好ましい。
【0025】本発明で使用するMFCは、セルロースあ
るいはセルロース誘導体を微細化処理することにより得
られる。原料としては、針葉樹、広葉樹の漂白または未
漂白化学パルプ、機械パルプ、溶解パルプ、古紙パルプ
等の木質系パルプ、また麻、コットン等の非木質系パル
プ等、繊維状のセルロースであればいずれも使用できる
が、軸比が大きな針葉樹材が適している。
【0026】微細化の方法は、セルロース繊維に強力な
機械的せん断力を与える事により微細化する方法が以前
より数多く提案されている。たとえば、特開平7−31
0296号では、あらかじめ叩解処理をしたセルロース
繊維のスラリーを砥粒板摺り合わせ装置の摺り合わせ部
を通過させる事によって微細化する方法を提案してい
る。また、特公昭60−19921号では、繊維状セル
ロースのスラリーを小径のオリフィスを通過させてその
スラリーに高速度を与え、次にこれを衝突させて急速に
減速させる事により切断作用を行わせることにより、微
細化する方法を提案している。さらに、特開平06−1
0286号では、ガラス、アルミナ、ジルコニア、ジル
コン、スチール、チタニア等の材質のビーズまたはボー
ルを粉砕媒体として用いた振動ミル粉砕装置によって、
繊維状セルロースのスラリーを微細化する方法が提案さ
れている。また、微細フィブリル化セルロースは、微生
物の代謝によっても得ることもできる。一般的には、A
cetobactor Xylinum等の、いわゆる
酢酸菌を適当な炭素源を含む培地で攪拌培養して粗ミク
ロフィブリルを生成させ、ついで精製することにより得
られる。この微細フィブリル化セルロースは、BC(バ
クテリアルセルロース)と呼ばれる。また紡糸性を有す
るセルロースの銅アンモニア溶液、アミンオキサイド溶
液、セルロースザンテート水溶液、あるいはジアセチル
セルロースのアセトン溶液等を剪断応力下で凝固させて
得られる、いわゆるフィブリル状物をさらに離解しても
微細フィブリル化セルロース状の素材を得る事が出来
る。
【0027】以上の様々な微細フィブリル化セルロース
および微細フィブリル化セルロース状の素材はすべて本
発明に記載の「MFC」に含まれるものである。
【0028】そのなかでも、あらかじめ叩解処理をした
パルプスラリーを砥粒板摺り合わせ装置により微細化す
る方法は高度にフィブリル化をしたMFCが効率的に得
られるので、特に有用である。
【0029】本発明で使用されるSAPは、液体を吸収
すると膨潤してヒドロゲルを形成する高分子である。こ
れらSAPにはデンプンやセルロースなどの天然高分子
に、アクリル酸、スチレンスルホン酸などをポリマー化
して結合した共重合体や、合成高分子のポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸塩を架橋処理したもの、またポ
リエチレングリコール系ポリマー等があり、これを単独
または組み合わせて使用することができる。SAPの形
状としては、粉末状、フレーク状、小ブロック状、繊維
状、シート状、フィルム状、積層体などがあり、本発明
ではこれら全てを使用することが可能であるが、アルコ
ール/水の混合媒体中に分散可能な粉末状、フレーク
状、小ブロック状が好ましい。
【0030】シート状支持体は、不織布、織布、紙等を
使用することが可能であるが、シート上に塗工層を形成
でき、脱液、乾燥できるものであれば、あらゆるものを
使用することができる。素材としては、液の浸透性の問
題から、コットン、レーヨン、木材パルプ等の親水性素
材、あるいはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル等の合成繊維を親水性化処理した素材を用いること
が望ましい。とくにMFCは物理的交絡に加えて、水素
結合性がきわめて強いため、セルロース系の基材を用い
ると、乾燥時にはさらに強く安定結合する。
【0031】本発明の吸収層は、MFCとSAPを主成
分とするが、必要であれば性能を阻害しない範囲で他の
繊維、薬品を添加することができる。繊維としては、例
えば木材繊維、非木材繊維などの天然繊維、レーヨン等
の化学繊維、リヨセル等の再生繊維、アセテート等の半
合成繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成
繊維等が添加できる。これらの繊維は、シート状高吸収
体を薄物化する、という面では不利であるが、触感を柔
らかくしたり、また、毛管作用によってSAPに水を導
く、という面では有利な場合がある。このため、これら
繊維をシート状高吸収体の用途によって、適宜使用する
ことができる。また、薬品としては、例えば抗菌剤、脱
臭剤、防かび剤等の機能性薬品、バインダー、染料、顔
料等が使用できる。これら薬品もシート状高吸収体の用
途によって、適宜使用することができる。
【0032】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例を示す。
【0033】[実施例1]SAP(三菱化学(株)製、
商品名「アクアパールAP−211D」)と砥粒板刷り
合わせ装置(増幸産業(株)、商品名「スーパーグライ
ンデル」)により製造したMFCを、SAP/MFC=
98/2として、エチルアルコール/水=7/3の混合
溶媒に固形分濃度20%で分散したものを、不織布(ク
ラレ製、レーヨン/PET 40g/m)上に塗布し
て、脱液後に乾燥してシート状高吸収体を製造した。な
お、保水度580%、数平均繊維長0.10mm、軸比
60のMFCを使用した。
【0034】[比較例1]実施例1と同様の方法で、保
水度599%、数平均繊維長0.04mm、軸比60の
MFCを使用して製造した。
【0035】[比較例2]実施例1と同様の方法で、保
水度599%、数平均繊維長0.17mm、軸比60の
MFCを使用して製造した。
【0036】[比較例3]実施例1と同様の方法で、保
水度557%、数平均繊維長0.10mm、軸比40の
MFCを使用して製造した。
【0037】[比較例4]実施例1と同様の方法で、保
水度324%、数平均繊維長0.09mm、軸比60の
MFCを使用して製造した。
【0038】[製造したシート状高吸収体の初期吸収速
度の比較]図1に表すように、円筒容器の下に15cm
×15cmの支え板をつけ、7.0ml/秒の水が抜け
るように7個の穴をあけたものである。この装置の下に
シート状高吸収体を敷き、25mlの人工尿を吸収する
時間を計測し、比較した。尚、人工尿の組成は以下の表
に示す。
【0039】[固着強度の測定の比較]シート状支持体
の塗工面にテープを貼り付け、剥がしたテープの接着面
に付着したSAPの量を判断した。 接着面全体に付着・・・× 多少付着 ・・・△ 付着なし ・・・〇 [製造したシート状高吸収体の塗布量の減少の比較]長手
方向に1000m、製造したシート状高吸収体の塗工始
め1mおよび塗工終わり1mの絶乾の平均塗布量を測定
し、塗工始め塗布量に対する塗工終わり塗布量の減少率
(((塗工始め塗布量−塗工終わり塗布量)/塗工始め
塗布量 )×100(%))を求めた。これは、塗工液
のバラツキを示す値であり、この値が低いほど塗工液の
バラツキが少なく、塗工液の分散性が良いことを示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】以上の結果より、MFCの数繊維長におい
て、数平均繊維長の短かいMFCを使用した比較例1
は、塗工層の空隙率が低くなり初期の吸水性が良好でな
く、一方数平均繊維長の長いMFCを使用した比較例2
は、固着強度が低下し、減少率がまた、実施例1と比較
例2とを比較すると、針葉樹材のMFCを使用した実施
例1の初期の吸水性が良好であることがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上のように、SAPとMFCから成る
吸収層を有するシート状高吸収体において、そのMFC
/SAPの重量比が0.1/99.9〜3/97で構成
され、MFCの軸比が50以上、且つ数平均繊維長が
0.05〜0.15mmであれば、固着強度、初期吸収
速度に優れるシート状高吸収体を得ることができる。ま
た、保水度が500%以上のMFCを使用することによ
り、固着強度、初期吸収速度が優れるこのに加え、塗工
液の分散性に優れるシート状高吸収体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 初期吸収速度を測定する装置の説明図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61F 13/15 A41B 13/02 D D21H 19/12 A61F 13/18 307C 21/22 Fターム(参考) 3B029 BA04 BA12 BA18 4C003 AA09 AA12 AA22 AA25 GA02 4C098 AA09 CC01 DD05 DD06 DD10 DD25 DD26 DD27 4L033 AA02 AC07 CA03 4L055 AG04 AG34 AG45 AG56 AG94 AH02 AH50 AJ04 BE07 BE08 EA16 EA19 EA32 FA30 GA26 GA29 GA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子吸収体と微細フィブリル化セルロー
    スを主成分とする吸収層を有するシート状高吸収体にお
    いて、吸収層の微細フィブリル化セルロース/高分子吸
    収体の重量比が0.1/99.9〜3/97であり、且
    つ、前記微細フィブリル化セルロースが、1)軸比が5
    0以上、2)数平均繊維長が0.05〜0.15mmで
    あることを特徴とするシート状高吸収体。
  2. 【請求項2】微細フィブリル化セルロースの保水度が5
    00%以上であることを特徴とする請求項1に記載のシ
    ート状高吸収体。
  3. 【請求項3】軸比が50以上、且つ、数平均繊維長が
    0.05〜0.15mmである微細フィブリル化セルロ
    ースと、高分子吸収体を、アルコール/水の重量比が8
    /2〜6/4の分散媒体に分散させ、この分散液を支持
    体上に塗布し、ついで脱液した後、乾燥することにより
    シート状高吸収体を製造することを特徴とするシート状
    高吸収体の製造方法。
  4. 【請求項4】微細フィブリル化セルロースの保水度が5
    00%以上であることを特徴とする請求項3に記載のシ
    ート状高吸収体の製造方法。
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