JP2002292608A - 木質系基材及びその製造方法 - Google Patents

木質系基材及びその製造方法

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JP2002292608A JP2001103756A JP2001103756A JP2002292608A JP 2002292608 A JP2002292608 A JP 2002292608A JP 2001103756 A JP2001103756 A JP 2001103756A JP 2001103756 A JP2001103756 A JP 2001103756A JP 2002292608 A JP2002292608 A JP 2002292608A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境負荷の少ない手法でもって再構築した高
強度で、リサイクル可能で、生分解性を有する木質系基
材と、その製造方法を提供する。 【解決手段】 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ
繊維の集合体であって、各パルプ繊維3が、高度に絡み
合い、接近したフィブリル相互間において、強固な繊維
間結合点2が形成されたことを特徴とする木質系基材
1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、本質系基材及びそ
の製造方法に関し、詳しくは、高強度を有する植物繊維
材料を、環境負荷の少ない手法でもって再構築してなる
高強度で生分解性及びリサイクル性を有した木質系基材
と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、木質資源材料として、集成
材、LVL(単板積層材)、合板、PB(パーティクル
ボード)、FB(ファイバーボード)などが、広く建築
材料(ボード材として)やその他の工業材料(成形材料
など)として使用されている。
【0003】木材は、微視的にはセルロース、リグニ
ン、ヘミセルロースなどからなる複合材料であり、セル
ロース結晶は細胞壁の骨格となり、リグニン、ヘミセル
ロースはマトリックスの働きをしている。そして、セル
ロースの高い結晶性や、主成分であるセルロース、リグ
ニン、ヘミセルロース間の二次結合により、高い弾性を
有し、可塑性が非常に低く、溶融性を持たない。上記木
質資源材料は、それらの木材特有の直接的な性質が、そ
のまま利用されている。
【0004】一方、木質系資源材料として、主として紙
の原料として使用されるパルプなるものがある。パルプ
は、木材、じん皮、葉などの植物繊維を化学的或は機械
的方法によって単繊維化したものであり、機械パルプ
(MP)、ケミグランドパルプ(CGP)、化学パルプ
(CP)に分類され、更に、化学パルプは、クラフトパ
ルプ(KP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパ
ルプ(AP)に分類されるが、それぞれの特徴を生かし
た用途に使用されている。パルプは、先述した木質資源
材料とは異なり、単繊維化した材料を使用することによ
る特徴が生かされる用途に使用される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記フ
ァイバーボードなどの木質資源材料は、それらの木材特
有の直接的な性質が、そのまま利用されているため、例
えば、軽量化を考えた場合に、薄板状にするという手段
をとれば、たちまち強度面で問題が出て来る。
【0006】また、上記の単繊維化したパルプについて
は、主として紙の原料として使われていることもあっ
て、紙として持つべき諸性能を発揮させんがための改質
研究はよく行われているものの、更に紙を改質して、高
強度を発揮する薄板状にするといった研究はあまり行わ
れていないのが現状である。
【0007】一方、木質系材料として、近年、熱可塑性
木材或は熱溶融性木材と呼ばれる材料が注目されて来て
いる。この種材料は、木材主成分であるセルロース、リ
グニン、ヘミセルロース間の二次結合状態に変化を与え
ると同時にセルロースの非晶化を伴うエステル化反応や
エーテル反応により製造されるが、その特徴は、木材構
成成分を分離することなくそのまま処理できることであ
って、WPC(Wood Plastic Compo
sit,Wood Polymer Combinat
ion)や他の化学処理とは異なり、本質的には木材の
性質を失った材料に誘導することである。結果的には、
プラスチック性や熱溶融性を示す材料となるので、工業
原料としての新しい木材の利用が期待されている。
【0008】しかしながら、その製造法としては、高級
脂肪酸による木粉のエステル化の例にみられるように、
セルロースの非晶化溶剤であるN−DMF(ジメ
チルホルムアミド)混合溶媒にピリジンを助触媒として
加えるなど、化学処理剤の使用が不可欠であって、環境
問題(安全性など)を考えた場合に、製造環境面のみな
らず、製品自体についても、次世代の新規材料としての
展開に対しては、一抹の不安を残している。
【0009】本発明は、かかる現状に鑑みてなされたも
のであり、高強度を有する植物繊維材料を、環境負荷の
少ない手法でもって再構築してなる高強度で、生分解性
及びリサイクル性を有した木質系基材と、その製造方法
を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前
記熱可塑性木材の製造原理であるところの「木材構成成
分を分離しない」という点に着目し、敢えて逆に、木材
構成成分が分離された状態から出発して、分離構成成分
を再構築することによって、薄板状体である高強度の木
質系基材を創製できないものかと考え、鋭意研究を重ね
た結果、パルプ繊維状態から出発して、本願発明にかか
る木質系基材を創製するに至った。更に、その製造にあ
たっては、環境問題を考え、有害な化学処理剤を一切使
用せずに、薬品処理ではなく、あくまでも機械的方法で
もって製造する方法を開発するに至った。
【0011】具体的に、上記目的を達成するための本請
求項1にかかる発明は、可塑化及びフィブリル化の進ん
だパルプ繊維集合体であって、各パルプ繊維が高度に絡
み合い、接近したフィブリル相互間において、強固な結
合が形成されたことを特徴とする木質系基材であって、
単位繊維当たりの結合点が増加し、強固な結合が形成さ
れたことにより、特に、曲げ強度、曲げヤング係数など
曲げ性能が著しく向上されている。具体的に、曲げ強度
150MPa程度、曲げヤング係数13GPa程度の基
材が得られる。
【0012】また、本請求項2にかかる発明は、可塑化
及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体であって、
更に、各パルプ繊維が繊維間結合成分を介在して強固に
結合したことを特徴とする木質系基材であって、各パル
プ繊維間に繊維間結合成分が介在されることによって、
繊維同士の直接的な結合に、繊維間結合成分による接合
が加わって、更に曲げ強度、曲げヤング係数が顕著に向
上される。
【0013】また、本請求項3にかかる発明は、請求項
1または請求項2にかかる発明であって、前記パルプ繊
維が、クラフトパルプ繊維であることを特徴とする木質
系基材である。ここで、クラフトパルプ繊維は、木材構
成成分であるセルロース、リグニン、ヘミセルロースの
内の、リグニン成分が極端に少なくなっていることか
ら、水分存在下において可塑化は比較的容易に実現でき
る利点がある。合わせて、クラフトパルプ繊維は、その
引っ張り強度が1.0GPa〜1.5GPa程度と非常
に高く、薄板状体である高強度の木質系基材を創製する
のに有利である。なお、鋼鉄の引っ張り強度は0.4G
Pa程度であり、炭素繊維の引っ張り強度は3GPa程
度であるので、クラフトパルプ繊維の持つ引っ張り強度
は大変高いものと言える。
【0014】また、本請求項4にかかる発明は、請求項
2にかかる発明であって、前記繊維間結合成分が、天然
系接着剤であることを特徴とする木質系基材である。天
然系接着剤としては、例えば、多糖類である「デンプン
のり」を使用することで、生分解性の問題のない有効な
バインダーとすることができる。
【0015】また、本請求項5にかかる発明は、本発明
にかかる木質系基材の製造方法であって、最初にパルプ
繊維からなるパルプシート状体に対して、十分量の温水
を含浸させた後、余剰水分を脱水除去する温水含浸脱水
工程を実行し、更に、温水を含浸した前記パルプシート
状体を、混練機で所定時間混練して混練物を得る混練工
程を実行し、更に、前記混練物に所定量の水を添加混合
して流動性を調整し、成形準備物を得る流動性調整工程
を実行し、更に、前記成形準備物を成形型に投入し、該
成形型に収容された該成形準備物に対して、加圧するこ
とにより第1の含水率まで脱水する脱水工程を実行し、
更に、前記第1の含水率に調整された前記成形準備物を
加圧下で乾燥して、第2の含水率に調整された予備成形
乾燥物を得る乾燥工程を実行し、更に、前記予備成形乾
燥物を120℃〜200℃の加熱範囲下で、且つ、5M
Pa〜100MPaの加圧範囲下における所定の可塑化
条件下において、所定時間保持する加熱加圧保持工程
と、を順に実行することによって、可塑化及びフィブリ
ル化の進んだパルプ繊維集合体からなる木質系基材を製
造することを特徴とする木賀系基材の製造方法である。
なお、予備成形乾燥物の加熱範囲を200℃以上とする
と、パルプの熱劣化が生じ成形物の強度が低下するので
好ましくない。また、加圧範囲は、温度、含水率により
変動する。
【0016】また、本請求項6にかかる発明は、請求項
5における前記流動性調整工程において、更に、繊維間
結合成分が添加されることを特徴とする木質系基材の製
造方法である。上記製造方法によれば、温水含浸脱水工
程にてパルプシート状体の内外全体各部に対して、十分
な温水が行き渡り、パルプ繊維集合体からなるパルプシ
ート状体は全体に十分に膨潤する。続く混練工程では、
十分な混練が行われることにより、パルプ繊維の高度の
フィブリル化が進行する。続く流動性調整工程、脱水工
程、乾燥工程を経ることで、安定品質をもった半製品で
ある予備成形乾燥物が得られる。荷重下に脱水乾燥が行
われることで、成形準備物に反りが発生する現象を確実
に抑制できる。更に、加熱加圧保持工程を実行すること
により、高圧縮状態下にあるパルプ繊維集合体に流動化
が起こり、可塑化が進行し、可塑化及びフィブリル化の
進んだパルプ繊維集合体からなる木質系基材が創製され
る。
【0017】また、本請求項6にかかる発明のように、
請求項5における前記流動性調整工程において、更に、
繊維間結合成分を添加させれば、パルプ繊維間に介在さ
せるべきバインダーとなる繊維間結合成分が容易に成形
準備物に均等に配置せしめることができ、パルプ繊維間
の結合力が一層、強化される。また、本請求項7にかか
る発明のように、前記混練工程において、混練機とし
て、ニーダーを使用すれば、パルプ繊維のフィブリル化
は、極めて、効果的に進められる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図
1は、本発明にかかる木質系基材1の化学構造を模式的
に示した図である。図1aは、ニーダーによる混練を行
わない場合の化学結合状態を模式的に示したもの(A
1)であり、形成される繊維間結合点2(図中、円中に
×印で示す)が、図1bや図1cに示す他の状態のもの
(A2)(A3)に比べて、はるかに少ないことが理解
されよう。なお、線状体として示しているのは単繊維パ
ルプ3である。
【0019】図1bは、ニーダーで混練した場合の化学
結合状態を模式的に示したもの(A2)であり、図1a
に示した状態に比べて、多数の繊維間結合点2が形成さ
れていることが理解されよう。すなわち、ニーダーによ
る混練によって、パルプ繊維のフィブリル化が進み結合
点が顕著に増大したものと推察される。
【0020】図1cは、図1b(A2)の状態に繊維間
結合成分4を混入させた状態を模式的に示したもの(A
3)であり、繊維間結合成分4が、複数の単繊維パルプ
にまたがって、その結合力を及ぼしていることから、図
1bの状態に比べて、パルプ繊維集合体全体としての更
なる強度アップ効果が発揮される。なお、ニーダーによ
る混練の効果については、図7に示す顕微鏡写真を参照
して後述する。
【0021】図2は、本発明にかかる木質系基材の製造
工程を示す製造フローシートである。図に示すように、
最初に、パルプシートを温水中に含浸させ(ステップS
1)、続いて、余剰水分の脱水を行い(ステップS
2)、その状態の含水パルプシートを混練機に投入し
て、所定時間混糠する(ステップS3)。ひき続いて、
作業性を向上するため、混練物に適量の水を添加して若
干の流動性を付与し(ステップS4)、更に、繊維間結
合成分を添加して混合する(ステップS5)。続いて、
この混合物を脱水成形可能な金型内に投入し、加圧下で
脱水する(ステップS6)。更に、この加圧下に加温し
て乾燥させる(ステップS7)。ひき続き、加熱加圧
し、所定温度、所定圧力下で所定時間保持し、可塑化を
進行させる(ステップS8)。その後、徐冷し(ステッ
プS9)、脱型し(ステップS10)、薄板状の木質系
基材を得る。
【0022】図3は、本発明にかかる木質系基材1の製
造に使用するニーダー10の主要部を示す概念図であ
る。ニーダー10は、固定混和槽11内に互いに反対方
向に回転する断面視略三角形の2つのブレード12、1
2を備えており、固定混和槽11の上面中央部に形成さ
れた開口隙間部13より含水パルプシート14を内に投
入することにより、含水パルプシート14は断面視略三
角形のブレード12、12によって、混練及びフィブリ
ル化してゆく。なお、ここでは混練時間が重要であり、
その曲げ性能に及ぼす影響については後述する。
【0023】ニーダー10のブレード12、12の形状
については、図示のものに制限されるものではなく、混
練時間とフィブリル化の関係などを考慮して適宜選択さ
れる。また、ニーダーの他に、ボールミルなど他の混合
機を使って解繊することも可能である。いずれにして
も、混練時間とフィブリル化の関係などをテストして適
宜のものを選択使用する。
【0024】また、混練時間の経過に伴い、クラフトパ
ルプ繊維のフィブリル化の進行状況が変化してゆくが、
その進行状況を評価する定性的評価方法としては、乾燥
後の予備成形乾燥物表面が外観上、明らかに異なってい
るので、その状態を測色する方法が有効である。
【0025】図4は、本発明にかかる木質系基材1の製
造に使用する金型(図4a)と、プレス機(図4b)を
示す概略図である。ここでは、円形の成形薄板を形成す
るために円筒金型20を使用している。混練物或は繊維
間結合成分を混入したものをマット状態1aにして金型
20の上下内枠21、22で挟み、図4bに示すよう
に、それをホットプレス機25によりプレス処理を行
う。
【0026】図2に示した製造フローに従い、図3に示
すニーダー10と、図4に示す金型20及びプレス機2
5を使用して、次なる製造条件の下で成形薄板を製造し
たところ、曲げヤング係数13GPa、曲げ強度150
MPaの薄板状の基材1(密度1.4g/cm)が得
られた。
【0027】 ・パルプシート〜北米産針葉樹を原料とするクラフトパルプ ・沸騰水浸漬 1分 ・脱水後乾燥〜パルプシートの含水率2% ・ニーダーによる混練時間 20分 (混練速度:50rpm、混練温度0℃〜80℃) ・ホットプレス 昇温→150℃(プレス圧:100MPa) そのまま150℃で30分間圧縮保持
【0028】次に、得られた成形物から試験体(縦40
mm×横8mm×厚み1.5mm)を作製して、3点曲
げ試験(JIS−K7203)による曲げ性能を評価し
た結果を図5aおよび図5bに示す。図5aは、混練時
間が曲げ弾性率に与える影響を示すグラフであり、図5
bは、混練時間が曲げ強さに与える影響を示すグラフで
ある。
【0029】図に示すように、混練機による混練を行わ
なかった場合(混練時間0)は、曲げ弾性率は3GPa
〜3.5GPa、曲げ強度は40MPa〜50MPaの
成形物が得られた。また、混練時間が20分までは、混
練時間の増大とともに、曲げ性能は向上した。そして、
混練時間が20分を越えると、成形物の曲げ弾性率は1
0GPaに達し、曲げ強度も120MPaに達した。こ
の値は、混練機を使用しなかったときの約3倍の値であ
る。また、混練時間が20分を越えると、成形物の色も
白色から薄緑色に変化するようになり、光を透過するプ
ラスチック様の外観を呈するようになった。
【0030】表1に混練時間(分)と、曲げ強度(MO
R)と、曲げ弾性率(MOE)と、密度の測定データを
示す。いずれも混練時間の増加に伴って増加しており、
そして、混練時間が10分を越えるころから、横這い状
態となっていることがわかる。密度についても、ほぼ同
様である。
【0031】
【表1】
【0032】以上の結果から、混練機によるパルプ繊維
の混練程度が、繊維間の密着性の向上に重要な役割を果
たしていることが理解されよう。
【0033】図6は、ニーダーの使用有無と添加物(繊
維間結合成分)の、曲げ強度に与える影響を示すグラフ
である。縦軸に曲げ強度(単位MPa)、横軸に添加物
の種類の配合を示している。ニーダーを使用していない
にもかかわらず、クラフトパルプ繊維(KP)とデンプ
ンのりの組み合わせ配合は、150MPa以上の曲げ強
度(MOR)を発揮している。デンプンのりの添加量と
しては、10%よりも20%の方が、より高い曲げ強度
が得られている。測定データは、KP+デンプンのり1
0%のとき149.4MPa、KP+デンプンのり20
%のとき167.5MPaであった。
【0034】一方、ニーダーを使用した場合、サーモメ
カニカルパルプ(TMP)については、予想どおり、リ
グニンが残っているために、曲げ強度は低かった(測定
データは、73.3MPa)。また、クラフトパルプ
(KP)については、予想どおり、リグニンの残留量が
極めて少ないため、単独でも高い曲げ強度を発揮してい
た(測定データは、130.4MPa)。更に、クラフ
トパルプと木粉との配合についてもテストしてみたが、
木粉を配合したことによる曲げ強度の向上効果は見られ
なかった。測定データとしては、KP+木粉10%のと
き134.7MPa、KP+木粉10%のとき135.
5MPaであった。
【0035】図7は、ニーダーによる混練の効果を示す
顕微鏡写真であり、混練前の状態は、パルプ繊維は、そ
の剛直性を保持しているが、混練することにより、パル
プ繊維が柔軟化し、更に、枝分かれして絡み合い、微細
繊維の発生も見受けられる。このことは、拡大写真によ
りより鮮明に確認できる。以上の結果から、繊維間結合
成分として、デンプンのりの漆加は、曲げ性能向上に大
きく影響を及ぼすこと、そして、木粉ではなくパルプ繊
維、特にクラフトパルプ繊維の、曲げ性能に及ぼす影響
が甚大であることが理解されよう。
【0036】なお、デンプンのりの他にも、繊維間を結
合するバインダーとしては、蒟蒻成分であるグルコマン
ナンも使用可能である。他にも、ゼラチン、カゼイン、
デキストリン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ、ポリ
ビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチ
ルセルロース、ハイドロキシエチルセルロースなども生
分解性のあるバインダー成分として使用可能であるが、
いずれについても、混練時間と曲げ性能の関係を見極め
て、最適な条件の下で使用される。
【0037】また、生分解性を有することという条件を
はずすことによって、耐水性を向上させるためにフェノ
ール樹脂がバインダーとして使用できるなど、本発明に
かかる製造方法は、通常の木材の改質に使用される薬剤
に何らの制約なく使用できる。また、発泡剤を導入する
ことによって、曲げ強度性能を大きく低下させることな
く、密度をより低くすること(0.7〜0.8程度)も
可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、高強度を有する植物繊
維材料を、環境負荷の少ない手法でもって再構築してな
る木質系基材と、その製造方法を提供することができ
る。かかる木質系基材は、紙のようにリサイクルがで
き、生分解性も有するため、環境にやさしい基材とな
る。
【0039】更に、異種材料との複合体を成形し、使
用、後容易に異種材料と分別して回収できる木質系基材
は、成形することにより、コンピュータ等電子機器、携
帯電話や各種家電品のフレーム、プリント基板、インス
タントカメラ等に用いる回収型資源としても利用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる木質系基材の化学構造を模式的
に示した図。
【図2】本発明にかかる木質系基材の製造工程を示す製
造フローシート。
【図3】本発明にかかる木質系基材の製造に使用するニ
ーダーの主要部を示す図。
【図4】本発明にかかる木質系基材の製造に使用する金
型と、プレス機を示す図。
【図5】図5aは混練時間が曲げ強さに与える影響を示
すグラフ、図5bは混練時間が曲げ弾性率に与える影響
を示すグラフ。
【図6】ニーダーの使用有無と添加物(繊維間結合成
分)の、曲げ強さに与える影響を示すグラフ。
【図7】ニーダーを用いた混練の効果を確認するための
顕微鏡写真の図。
【符号の説明】
1…木質系基材、2…繊維間結合点、3…単繊維パル
プ、4…繊維間結合成分、10…ニーダー、12…ブレ
ード、14…含水パルプシート、20…金型、25…プ
レス機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2B260 AA03 AA20 BA04 BA19 CD11 DA11 DA13 EA05 EB02 EB05 EB06 EB08 EB19 EB21 4L055 AC06 AF09 BF02 BF03 BF04 FA13 FA30 GA24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ
    繊維集合体であって、 各パルプ繊維が高度に絡み合い、接近したフィブリル相
    互間において、強固な結合が形成されたことを特徴とす
    る木質系基材。
  2. 【請求項2】 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ
    繊維集合体であって、 更に、各パルプ繊維が繊維間結合成分を介在して強固に
    結合したことを特徴とする木質系基材。
  3. 【請求項3】 前記パルプ繊維が、クラフトパルプ繊維
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    木質系基材。
  4. 【請求項4】 前記繊維間結合成分が、天然系接着剤で
    あることを特徴とする請求項2に記載の木質系基材。
  5. 【請求項5】 パルプ繊維からなるパルプシート状体に
    対して、十分量の温水を含浸させた後、余剰水分を脱水
    除去する温水含浸脱水工程と、 温水を含浸した前記パルプシート状体を、混練機で所定
    時間混練して混練物を得る混練工程と、 前記混練物に所定量の水を添加混合して流動性を調整
    し、成形準備物を得る流動性調整工程と、 前記成形準備物を成形型に投入し、該成形型に収容され
    た該成形準備物に対して、加圧することにより第1の含
    水率まで脱水する脱水工程と、 前記第1の含水率に調整された前記成形準備物を加圧下
    で乾燥して、第2の含水率に調整された予備成形乾燥物
    を得る乾燥工程と、 前記予備成形乾燥物を120℃〜200℃の加熱範囲下
    で、且つ、5MPa〜100MPaの加圧範囲下におけ
    る所定の可塑化条件下において,所定時間保持する加熱
    加圧保持工程と、を実行することによって、 可塑化及びフィブリル化の進んだパルプ繊維集合体から
    なる木質系基材を製造することを特徴とする木質系基材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の製造方法おいて、 前記流動性調整工程では、更に、繊維間結合成分が添加
    されることを特徴とする請求項5記載の木質系基材の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記混練工程では、混練機として、ニー
    ダーを使用することを特徴とする請求項5または請求項
    6記載の木質系基材の製造方法。
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