JP2002283879A - 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置 - Google Patents

無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置

Info

Publication number
JP2002283879A
JP2002283879A JP2001092102A JP2001092102A JP2002283879A JP 2002283879 A JP2002283879 A JP 2002283879A JP 2001092102 A JP2001092102 A JP 2001092102A JP 2001092102 A JP2001092102 A JP 2001092102A JP 2002283879 A JP2002283879 A JP 2002283879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acceleration
variable transmission
continuously variable
value
state
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001092102A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Tazoe
和彦 田添
Hideo Nakamura
英夫 中村
Masashi Matsuyama
昌史 松山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2001092102A priority Critical patent/JP2002283879A/ja
Publication of JP2002283879A publication Critical patent/JP2002283879A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Control Of Transmission Device (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低μ路から高μ路へ復帰したときの加速度の
初期応答を向上させる。 【解決手段】 状態空間法を用いたモデルフォローイン
グ制御手法により加速度推定値αwfを目標加速度αw*
一致させるための操作量を演算し、エンジンと無段変速
機を制御する場合に、駆動輪のスリップ状態を検出し
(4f)、駆動輪のスリップ状態に応じて状態フィード
バックゲインを切り換えるとともに、駆動輪がスリップ
状態から非スリップ状態へ変化したときは積分手段4b
の初期値を0にリセットする。これにより、低μ路走行
で積分手段4bの積分値が増加しているときに高μ路へ
変化しても、無用な積分値が0にリセットされ、高μ路
進入後の制御量(例えば加速度やプライマリープーリー
回転速度)の応答性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機を備え
た車両の加減速度を制御する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】状態空間法を用いたモデルフォローイン
グ制御装置として、図17に示すように、制御対象の状
態量x(t)、規範モデルの状態量xm(t)、および規範モ
デルの出力ym(t)と制御対象の出力y(t)との偏差e(t)
の積分値のすべてを状態量とした拡大システムを定義
し、状態フィードバックを施すことによってロバスト性
を改善したモデル追従型サーボコントローラーが知られ
ている(例えば、「航空宇宙における誘導と制御」西
村、金井、村田共著 コロナ社 pp101〜pp103参
照)。
【0003】さらに、モデルフォローイング制御の具体
的な応用例として、CVTなどの無段変速機を備えた車
両の駆動力制御装置がある(例えば、特開平11−10
5584号公報参照)。この装置では、エンジンの最適
燃費(効率)運転線、あるいは燃料カット時のエンジン
ブレーキ特性線に基づいて決定したエンジン運転点拘束
条件、すなわちエンジントルクとエンジン回転速度との
関係を満たしながら、第1目標である目標駆動力に推定
駆動力を一致させるために必要なエンジントルク指令値
と無段変速機の変速比指令値を演算し、それぞれ別個に
制御して二つの指令値を同時に達成するフィードバック
補償器を構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のシステムを用いて高μ路から低μ路へ進入した場合
に、駆動輪速度や加速度が大きくハンチングすることが
考えられる。この対策として、スリップ状態を検出した
場合はスリップ用(低μ路用)の状態フィードバックゲ
インへ切り換えることが考えられるが、低μ路走行時は
高μ路走行時に比べて達成可能な最大加速度が低下する
ため、目標加速度と実際の加速度との偏差積分値が増加
しやすく、次に高μ路へ復帰した際の加速度の初期応答
を悪化させることになる。
【0005】本発明の目的は、低μ路から高μ路へ復帰
したときの加速度の初期応答を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明の一実施の形態を示
す図1および図9に基づいて本発明を説明すると、 (1) 請求項1の発明は、車速を検出する車速検出手
段8と、車速検出値に基づいて車両の加速度を推定する
加速度推定手段4と、車両の目標加速度αw*を設定する
目標加速度設定手段4と、状態空間法を用いたモデルフ
ォローイング制御手法により加速度推定値αwfを目標加
速度αw*に一致させるための操作量を演算してエンジン
1と無段変速機3を制御する制御手段4であって、目標
加速度αw*を入力し加速度指令値αrefを出力する規範
モデル手段4aと、加速度指令値αrefと加速度推定値
αwfとの偏差を積分する積分手段4bと、積分手段4b
の出力を用いて操作量を演算する状態フィードバック手
段4cとを有する制御手段4と、駆動輪のスリップ状態
を検出するスリップ状態検出手段4fとを備え、駆動輪
のスリップ状態に応じて状態フィードバックゲインを切
り換えるとともに、駆動輪がスリップ状態から非スリッ
プ状態へ変化したときは積分手段4bの初期値を0にリ
セットする。 (2) 請求項2の発明は、車速を検出する車速検出手
段8と、車速検出値に基づいて車両の加速度を推定する
加速度推定手段4と、車両の目標加速度αw*を設定する
目標加速度設定手段4と、無段変速機入力軸の回転速度
を検出する回転速度検出手段11と、無段変速機入力軸
の目標回転速度を設定する目標回転速度設定手段4と、
状態空間法を用いたモデルフォローイング制御手法によ
り加速度推定値αwfを目標加速度αw*に一致させるため
の無段変速機入力トルク指令値Tp*と変速比指令値Ip*
を演算してエンジン1と無段変速機3を制御する制御手
段4であって、目標加速度αw*を入力し加速度指令値α
refを出力する規範モデル手段4aと、加速度指令値αr
efと加速度推定値αwfとの偏差を積分する第1の積分手
段4bと、無段変速機入力軸の目標回転速度と回転速度
検出値との偏差を積分する第2の積分手段4eと、第1
および第2の積分手段4b、4eの出力を用いて無段変
速機入力トルク指令値Tp*と変速比指令値Ip*を演算す
る状態フィードバック手段4cとを有する制御手段4
と、駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出
手段4fとを備え、駆動輪のスリップ状態に応じて状態
フィードバックゲインを切り換えるとともに、駆動輪が
スリップ状態から非スリップ状態へ変化したときは第1
および第2の積分手段4b、4eの初期値を0にリセッ
トする。 (3) 請求項3の無段変速機を備えた車両の加減速度
制御装置は、状態フィードバックゲインを切り換えると
きに、切り換え前後で操作量が連続的に変化するように
積分手段4bの初期値を設定する初期値設定手段4を備
える。 (4) 請求項4の無段変速機を備えた車両の加減速度
制御装置は、状態フィードバックゲインを切り換えると
きに、切り換え前後で操作量が連続的に変化するように
第1および第2の積分手段4b、4eの初期値を設定す
る初期値設定手段4を備える。 (5) 請求項5の無段変速機を備えた車両の加減速度
制御装置は、車速検出値と無段変速機入力トルクとに基
づいて状態フィードバックゲインKを切り換えるように
したものである。
【0007】上述した課題を解決するための手段の項で
は、説明を分かりやすくするために一実施の形態の図を
用いたが、これにより本発明が一実施の形態に限定され
るものではない。
【0008】
【発明の効果】(1) 請求項1の発明によれば、状態
空間法を用いたモデルフォローイング制御手法により加
速度推定値を目標加速度に一致させるための操作量を演
算してエンジンと無段変速機を制御する場合に、駆動輪
のスリップ状態を検出し、駆動輪のスリップ状態に応じ
て状態フィードバックゲインを切り換えるとともに、駆
動輪がスリップ状態から非スリップ状態へ変化したとき
は積分手段の初期値を0にリセットするようにしたの
で、低μ路走行で積分手段の積分値が増加しているとき
に高μ路へ変化しても、無用な積分値が0にリセットさ
れ、高μ路進入後の制御量(例えば加速度やプライマリ
ープーリー回転速度)の応答性を向上させることができ
る。 (2) 請求項2の発明によれば、状態空間法を用いた
モデルフォローイング制御手法により加速度推定値を目
標加速度に一致させるための無段変速機入力トルク指令
値と変速比指令値を演算してエンジンと無段変速機を制
御する場合に、駆動輪のスリップ状態を検出し、駆動輪
のスリップ状態に応じて状態フィードバックゲインを切
り換えるとともに、駆動輪がスリップ状態から非スリッ
プ状態へ変化したときは第1および第2の積分手段の初
期値を0にリセットするようにしたので、低μ路走行で
積分手段の積分値が増加しているときに高μ路へ変化し
ても、無用な積分値が0にリセットされ、高μ路進入後
の制御量(例えば加速度やプライマリープーリー回転速
度)の応答性を向上させることができる。 (3) 請求項3および4の発明によれば、状態フィー
ドバックゲインを切り換えるときに、切り換え前後で操
作量が連続的に変化するように積分手段の初期値を設定
するようにしたので、状態フィードバックゲインの切り
換え前後においても操作量が連続的に変化し、フィード
バック制御系の応答が乱れることがない。 (4) 請求項5の発明によれば、車速検出値と無段変
速機入力トルクとに基づいて状態フィードバックゲイン
を切り換えるようにしたので、無段変速機を備えた車両
のような非線形な制御対象であっても、広い車速域と広
いトルク域において安定でかつ応答の速い制御性能を実
現することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は一実施の形態の構成を示す
図である。一実施の形態の車両のパワートレインはエン
ジン1、ロックアップクラッチ付きトルクコンバーター
2および無段変速機(CVT)3から構成される。エン
ジン1は、電子制御式スロットルバルブアクチュエータ
ー(不図示)による吸入空気量制御と、インジェクター
(不図示)による燃料噴射制御と、点火装置(不図示)
による点火時期制御とにより、エンジントルクが制御さ
れる。
【0010】ロックアップクラッチ付きトルクコンバー
ター2のロックアップクラッチは、極低速域でのみ開放
して停車と発進とを可能にし、さらに振動をダンピング
する。一方、中高速域ではロックアップクラッチを締結
して伝達効率を向上させる。無段変速機3は、ベルトを
張るプライマリープーリーとセカンダリープーリーの有
効半径を油圧機構(不図示)で調節して変速比を可変に
する。なお、無段変速機3はベルト式に限定されず、例
えばトロイダル式でもよい。
【0011】加減速度コントローラー4、エンジントル
クコントローラー5およびCVT&クラッチコントロー
ラー6はそれぞれ、マイクロコンピューターとROM、
RAM、A/Dコンバーター、各種タイマーなどの周辺
回路や、通信回路、各種アクチュエーターの駆動回路な
どを備え、互いに高速通信線13を介して通信を行う。
【0012】加減速度コントローラー4は、車速検出値
にバンドパスフィルター処理を施して車両の加速度αwf
を推定し、この加速度推定値αwfを加速度検出値とし
て、目標加速度αw*に対する加速度推定値αwfの望まし
い応答を演算する規範モデル出力αrefにフィードバッ
クし、加速度フィードバック制御を行う。加減速度コン
トローラー4には、アクセルペダルの踏み込み量(以
下、アクセル開度と呼ぶ)Apoを検出するアクセルセン
サー7と、駆動輪14および従動輪(不図示)の周速
(以下、車輪速および車体速と呼ぶ)Vw、Vbを検出す
るための車輪速センサー8とが接続される。
【0013】エンジントルクコントローラー5は、吸入
空気量制御、燃料噴射制御および点火時期制御によりエ
ンジン1のトルクを制御する。エンジントルクコントロ
ーラー5には、エンジン1の回転速度ωeを検出するた
めのクランク角センサー9が接続される。CVT&クラ
ッチコントローラー6は、油圧機構(不図示)を制御し
て無段変速機3の変速比を制御する。CVT&クラッチ
コントローラー6には無段変速機3のプライマリープー
リーの回転速度ωpを検出するためのプライマリー速度
センサー10と、セカンダリープーリーの回転速度ωs
を検出するためのセカンダリー速度センサー11とが接
続される。
【0014】図2は、一実施の形態の加速度制御プログ
ラムを示すフローチャートである。このフローチャート
により、一実施の形態の動作を説明する。加減速度コン
トローラー4のマイクロコンピューターは、所定の時間
間隔、例えば10msecごとにこの制御プログラムを実行
する。
【0015】ステップ1において、アクセルセンサー7
からアクセル開度Apoを読み込む。ステップ2では、車
輪速センサー8からのパルス信号を計測してタイヤの有
効半径Rに対する駆動輪14および従動輪の周速、すな
わち車輪速Vwおよび車体速Vbを検出する。なお、高μ
路走行時には車輪速Vwと車体速Vbは等しい。
【0016】ステップ20では、ステップ2で検出され
た車輪速Vwおよび車体速Vbを用いてスリップ状態の判
断を行う。スリップ状態の判断は次のようにして行う。
スリップ率(=|Vb−Vw|/Vb)が所定値α1より大
きい状態が所定時間以上Ton1継続したらスリップ状態
にあると判断し、スリップ率が所定値β1(<α1)より
小さい状態が所定時間Toff1(>Ton1)以上継続した
らスリップ状態が解消されたと判断する。なお、スリッ
プ率の代わりにスリップ量(=|Vb−Vw|)を用いて
スリップ状態の判断を行ってもよい。すなわち、スリッ
プ量が所定値α2より大きい状態が所定時間Ton2以上継
続したらスリップ状態にあると判断し、スリップ量が所
定値β2(<α2)より小さい状態が所定時間Toff2(>
Ton2)以上継続したらスリップ状態が解消されたと判
断する。スリップ状態の判断方法はこの実施の形態の判
断方法に限定されず、他の多くの方法を用いることがで
きる。スリップ時にはスリップフラグfsに1をセット
し、非スリップ時には0をセットする。
【0017】続くステップ3で、CVT&クラッチコン
トローラー6から高速通信線13を介して無段変速機3
のプライマリープーリー(入力軸)の回転速度ωp、セ
カンダリープーリー(出力軸)の回転速度ωsおよび変
速比Ip(=ωp/ωs)を読み込むとともに、エンジン
トルクコントローラー5から高速通信線13を介してエ
ンジン1の回転速度ωeを読み込む。
【0018】ステップ4において、アクセル開度Apoと
車輪速Vwとに基づいて目標加速度αw*を演算する。具
体的には、図3に示すようなアクセル開度Apoと車輪速
Vwに対する目標加速度αw*のマップを設定しておき、
検出したアクセル開度Apoと車輪速Vwに対する目標加
速度αw*を表引き演算する。なお、自動車速制御中の場
合はセットスイッチ、アクセラレートスイッチ、コース
トスイッチなどの目標車速の設定操作に応じて目標加速
度αw*を設定する。
【0019】ステップ5では、車輪速Vwにバンドパス
フィルター処理を施して加速度推定値αwfを演算する。
以下、加速度推定値αwfの演算方法を説明する。
【0020】まず、車輪速Vwを入力とし加速度推定値
αwfを出力とする連続時間系の伝達関数Gbp(s)を次の
ように記述する。
【数1】 (1)式において、sはラプラス演算子、ωnは固有角
周波数、ζnは減衰率であり、ωnとζnは車輪速検出値
Vwに含まれるノイズレベルに応じて決定する。
【0021】次に、この伝達関数Gbp(s)を状態ベクト
ルによる表現に変換すると、図4に示すブロック線図で
表され、状態変数ベクトルxfを用いた状態方程式と出
力方程式は次のように記述される。
【数2】 (2)式において、Af、Bf、Cf、Dfは固有角周波数
ωnや減衰率ζnから決まる定数行列である。
【0022】バンドパスフィルターの出力である加速度
推定値αwf以外に、バンドパスフィルターの内部状態変
数ベクトルxfを算出するために、(2)式に示す連続
時間系の状態方程式と出力方程式の形で演算を行う。ま
た、加速度制御用状態フィードバック補償器の設計を連
続時間系で行うために積分演算をオイラー積分とする
と、上記(2)式の状態方程式と出力方程式を、実際に
マイクロコンピューターのソフトウエアで実行可能な差
分方程式として次のように表すことができる。
【数3】 (3)式において、Tsmpはサンプリング周期であり、
この実施の形態では10msecである。また、(k)は現
在値、(k−n)はnサンプリング周期前の値を示す。
この(3)式を実行して加速度推定値αwfを求める。
【0023】ステップ6では、エンジントルク指令値T
e*から実際のエンジントルクTeまでを簡易な一次遅れ
モデルとし、エンジントルク指令値Te*に対する実際の
エンジントルクTeを推定する。まず、エンジントルク
指令値Te*から実際のエンジントルクTeまでの連続時
間系の伝達関数Geng(s)を次のように記述する。
【数4】 (4)式において、Tengは時定数である。
【0024】(4)式をタスティン近似などで離散化
し、実際にマイクロコンピューターのソフトウエアで実
行可能な差分方程式を求めて実行する。
【数5】 (5)式において、TEN0、TEN1、TED1は時定数Teng
およびサンプリング周期Tsmpから決まる定数である。
【0025】ステップ7では、図5に示すような予め設
定したエンジン運転点拘束線マップから、エンジントル
ク推定値Teに対応するエンジン回転速度ωeを表引き演
算する。エンジン運転点拘束線マップ図5において、正
のトルク域ではエンジン最適燃費運転線を拘束線として
用い、負のトルク域ではエンジンブレーキ特性線を拘束
線として用いる。なお、エンジン最適燃費運転線はエン
ジン等出力線上の最も燃料消費量が少ないエンジン運転
点を連ねた特性線である。また、エンジンブレーキ特性
線はスロットルバルブ全閉で、且つ燃料カット時のエン
ジン運転点であり、このエンジンブレーキ特性線に沿っ
て制御することにより、無段変速機3のダウンシフト時
のエンジンブレーキ制御を可能にする。
【0026】ここで、トルクコンバーター2のロックア
ップクラッチが締結された状態を考えると、エンジン回
転速度ωeは無段変速機3のプライマリープーリー(入
力軸)の回転速度ωpに等しい。そこで、図5のマップ
から表引き演算して求めたエンジン回転速度ωeを目標
プライマリープーリー回転速度(無段変速機入力軸回転
速度)ωp*とする。そして、目標プライマリープーリー
回転速度ωp*と実際のプライマリープーリーの回転速度
ωpとの偏差を積分した値Zを算出する。
【数6】
【0027】ステップ8において、加速度フィードバッ
ク制御でゲイン切り換えを行うための運転領域判定を行
う。この実施の形態では、図6に示すように、車輪速V
wの値と無段変速機3の入力トルクTpの符号とに基づい
て運転領域を6分割し、ゲインKの切り換えを行う。な
お、トルクコンバーター2のロックアップクラッチが締
結された状態では、無段変速機3の入力トルクTpはエ
ンジントルクTeに等しい。
【0028】ゲインKにはスリップ時(フラグfs=
1)と非スリップ時(fs=0)とで異なる値を設定す
る。この実施の形態では高μ路走行時の非スリップ用ゲ
インをKhとし、低μ路走行時のスリップ用ゲインをKl
(<Kh)とする。そして、車輪速Vwと無段変速機入力
トルクTpによる分割領域とスリップの有無によりゲイ
ンKを選択する。これにより、スリップ時には、制御量
(加速度、プライマリープーリー回転速度)の応答性を
緩慢にしてスリップの影響を抑制することができる。
【0029】1サンプリング周期前の運転領域と今回の
サンプリング周期における運転領域とが同一領域の場合
はステップ10へ進み、異なる場合はステップ9へ進
む。ステップ9では、状態フィードバックゲインの切り
換えの準備として、加速度制御用フィードバック補償器
内の2個の積分器の初期値を算出する。具体的には、予
めROMに記憶した各運転領域に対応した状態フィード
バックゲイン定数行列の中から、1サンプリング周期前
の運転領域に対応したKold、今回の運転領域に対応し
たKnewを選択する。ゲイン切り換え前後で補償器出力
Uが連続的に変化するように、後述する状態フィードバ
ック演算の(15)式を解いた次式を用いて、加速度偏
差積分器の初期値Xi_iniと、プライマリープーリー回
転速度偏差積分器の初期値Ziniを算出する。
【数7】 (7)式において、(k)は今回のサンプリング周期に
おける値を示し、(k−1)は1サンプリング周期前の
値を示す。
【0030】ただし、この実施の形態では低μ路(スリ
ップ状態fs=1)を走行しているときに高μ路(非ス
リップ状態fs=0)へ変化した場合には、加速度偏差
積分器の初期値Xi_iniとプライマリープーリー回転速
度偏差積分器のZiniをともに0にリセットする。つま
り、加速度偏差積分器の積分値Xiとプライマリープー
リー回転速度偏差積分器の積分値Zをともに0にリセッ
トする。これにより、低μ路走行で偏差積分値Xi、Z
が増加しているときに高μ路へ変化しても、無用な偏差
積分値Xi、Zが0にリセットされ、高μ路進入後の制
御量(加速度、プライマリープーリー回転速度)の応答
性を向上させることができる。
【0031】ステップ10において、加速度制御用フィ
ードバック補償器の演算を行う。この実施の形態では、
実用的な線形制御手法の一つである「モデルフォローイ
ング制御」を用いる。以下にその制御系設計手法を説明
する。
【0032】まず、制御系設計用のプラントモデルの導
出を行う。図7に示す無段変速機入力トルク指令値Tp*
および変速比指令値Ip*を入力とし、駆動輪加速度推定
値αwfおよびプライマリー回転速度ωpを出力とする非
線形車両モデルを特定運転点(Tp0、Ip0、ωp0)で線
形近似したモデルを次式に示す。
【数8】 (8)式および図7において、Teはエンジントルク、
Tpは無段変速機入力トルク、Tineはイナーシャトル
ク、Ipは無段変速機変速比、ωeはエンジン回転速度、
ωpは無段変速機プライマリープーリー回転速度、ωwは
駆動輪回転速度(Vw=R・ωw)、Vwは駆動輪速度、
αwは駆動輪加速度、Mは車両質量、Rはタイヤの有効
半径、Ifはファイナルギア比、T1はエンジントルク系
の時定数(=Teng)、T2は変速比サーボ系の時定数、
J1はエンジン1から無段変速機3のプライマリープー
リーまでのイナーシャである。
【0033】(8)式に示す線形近似車両モデルに対し
て、(2)式に示すバンドパスフィルターモデルと、下
記(9)式に示すエンジン運転点拘束条件に関する偏差
積分モデルとを結合した拡大系モデルを制御系設計用プ
ラントモデルとする。
【数9】 (9)式において、kaは定数であり、エンジン運転点
拘束条件に関する非線形マップを特定点で線形近似した
ものである。
【0034】拡大系のプラントモデルを図8に示す状態
ベクトルを用いたブロック線図で表し、連続時間系の状
態方程式および出力方程式の形で次のように記述する。
ただし、トルクコンバーター2のロックアップクラッチ
締結状態の場合は、無段変速機3の入力トルクTpはエ
ンジントルクTeに等しい。
【数10】 (10)式において、入力数2、出力数1、状態数6で
あり、Ap、Bp、Cp、Dpは定数行列である。また、T
p*は無段変速機3の入力トルク指令値、Ip*は無段変速
機3の変速比指令値である。さらに、xf1、xf2は、
(1)式に示す二次式で表したバンドパスフィルターの
内部状態変数ベクトルxfの要素である。
【0035】目標加速度αw*に対する加速度推定値αwf
の望ましい応答性を示す規範モデルを一次遅れとし、そ
の伝達関数、状態方程式および出力方程式を次のように
表す。
【数11】 (11)式において、Tαwは時定数である。
【0036】以上の拡大系プラントモデルと規範モデル
に、「状態フィードバックによるモデルフォローイング
制御手法」を用いて加速度サーボ系を構成した場合の制
御ブロック図を図9に示す。なお、図9において太線は
ベクトルを表し、細線はスカラーを表す。
【0037】このような補償器を構成することによっ
て、規範モデル出力の加速度指令値αrefに加速度推定
値αwfが定常偏差なく一致する。また同時に、状態フィ
ードバックによってすべての状態変数が安定化される。
つまり、状態変数の一つである無段変速機3のプライマ
リープーリー(入力軸)の回転速度偏差積分値Zも安定
化されるため、結果として無段変速機3のプライマリー
プーリーの目標回転速度ωp*に実回転速度ωpが定常偏
差なく一致する。
【0038】図9に示す状態フィードバックゲインK
(定数行列)は、上述した拡大系プラントモデルと規範
モデルをさらに結合した図10に示す結合モデルに対し
て、一般的な「最適レギュレーター手法」などを用いて
求める。ただし、規範モデル出力の加速度指令値αref
と推定加速度αwfの偏差積分量をXiとする。
【数12】
【0039】次に、実際の処理をマイクロコンピュータ
ーのソフトウエアで実行可能な差分方程式の形に表す。
まず、規範モデルの演算は次の差分方程式により実行す
る。
【数13】 (13)式において、MAN0、MAN1、MAD1は上記(1
1)式をタスティン近似などで離散化して得られた定数
である。次に、加速度の偏差積分演算は次の差分方程式
により実行する。
【数14】 さらに、状態フィードバック演算は次式により実行す
る。
【数15】 そして、次式によりエンジントルク指令値Te*を決定す
る。
【数16】 (16)式において、Lは無段変速機3のロックアップ
クラッチ非締結時のトルクコンバーターのスリップ率の
関数である。なお、ロックアップクラッチの締結状態と
非締結状態はCVT&クラッチコントローラー6により
検出され、エンジンコントローラー5へ送信される。
【0040】ステップ11において、加速度制御用モデ
ルフォローイング補償器で演算されたエンジントルク指
令値Te*、変速比指令値Ip*に上下限リミッター処理を
施し、エンジントルクコントローラー5およびCVT&
クラッチコントローラー6で達成可能な値にそれぞれ制
限し、最終的なエンジントルク指令値Te*および変速比
指令値Ip*とする。続くステップ12では、エンジント
ルク指令値Te*をエンジントルクコントローラー5へ、
変速比指令値Ip*をCVT&クラッチコントローラー6
へそれぞれ高速通信線13を介して出力する。エンジン
トルクコントローラー5はエンジントルクTeが指令値
Te*となるように制御し、CVT&クラッチコントロー
ラー6は無段変速機3の変速比Ipが目標値Ip*となる
ように制御する。
【0041】次に、上記一実施の形態の中の本願発明に
係わる部分を整理して説明する。まず、説明を簡単にす
るために、スリップ状態と非スリップ状態でゲインを切
り換えず、Kl=Kh=Kとして説明する。
【0042】上述したように、従来の加減速度制御装置
では線形制御理論に基づく線形コントローラーを、無段
変速機を備えた車両のような非線形な制御対象に適用す
る際に、例えば図17に示すように、サーボコントロー
ラーの内部状態量、すなわち規範モデルの出力ym(t)と
制御対象の出力y(t)との偏差e(t)の積分値と無関係
に、状態フィードバックゲインK1、K2、K3を制御途
中で切り換えているので、ゲイン切り換え前後で操作
量、すなわちコントローラーの出力u(t)が急変し、応
答が乱れたりして制御性能が悪化するという問題があ
る。
【0043】このような従来の加減速度制御装置の問題
を解決するために、この実施の形態では、目標加速度と
目標無段変速機入力軸回転速度(この実施の形態では、
目標エンジン回転速度に等しい)を同時に達成するため
の無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置に対し
て、二つの操作量(コントローラーの出力値)、すなわ
ちエンジントルク指令値Te*(ロックアップクラッチ締
結時はTe*=Tp*)および変速比指令値Ip*が、状態フ
ィードバックゲインKの切り換え前後で連続的に変化す
るように、モデルフォローイングコントローラー内の2
個の積分器の初期値、すなわち図9に示す規範モデル
(4a)出力の加速度指令値αrefと制御対象プラント
(4d)出力の加速度推定値αwfとの偏差を積分する第
1の積分器(4b)の積分値Xiの初期値Xi_iniと、無
段変速機入力軸の目標回転速度ωp*と回転速度検出値ω
pとの偏差を積分する第2の積分器(4e)の積分値Z
の初期値Ziniとを、状態フィードバックゲインKの切
り換え時に設定する。
【0044】「モデルフォローイング制御手法を用いた
加速度制御」を行うために、ステップ10において、図
6に示す運転領域に対応した状態フィードバックゲイン
行列Knewを用いて、(14)式に示す状態フィードバ
ック演算を行う。運転点が同一の運転領域にあり続ける
場合は、同一のフィードバックゲイン行列が用いられて
連続的な制御がなされるが、別の運転点へ移行する場合
には、フィードバックゲイン行列がKoldからKnewへ切
り換わるので、制御が不連続となって操作量の無段変速
機入力トルク指令値Tp*(無段変速機ロックアップクラ
ッチ締結時はTp*=Te*)および変速比指令値Ip*が急
変しないようにしなければならない。
【0045】一実施の形態では、ステップ8で運転領域
の切り換えが判定された場合に、ステップ9で加速度フ
ィードバック補償器の出力(操作量)、すなわち無段変
速機入力トルク指令値Tp*および変速比指令値Ip*がゲ
イン行列Kの切り換え前後で連続的に変化するように、
補償器内の積分器の初期値、すなわち加速度偏差積分値
Xiと無段変速機入力軸回転速度偏差積分値Zの初期値
を演算する。
【0046】具体的には、次式を[Z(k),Xi(k)]で
解いた(7)式で算出する。
【数17】
【0047】図11および図12に、一実施の形態の加
減速度制御装置のシュミレーション結果を示す。なお、
図11および図12の下部の数字は図6に示す運転領域
番号を表す。また、トルクコンバーター2のロックアッ
プクラッチ締結時は無段変速機(CVT)3の入力トル
ク指令値Tp*はエンジントルク指令値Te*に等しい。
【0048】図11は、状態フィードバックゲイン切り
換え時に加速度フィードバック補償器内の積分器初期値
を設定し直さなかった場合、つまり従来の加減速度制御
装置の応答結果を示す。ゲイン切り換え前後で加速度フ
ィードバック補償器出力の無段変速機3の入力トルク指
令値Tp*(無段変速機ロックアップクラッチ締結時Tp*
=Te*)および変速比指令値Ip*が大きく急変し、加速
度αwfやプライマリープーリー回転速度ωpの応答波形
が大きく乱れている。
【0049】一方、図12は、状態フィードバックゲイ
ン切り換え時に加速度フィードバック補償器内の積分器
初期値を設定した場合、つまり上述した一実施の形態の
加減速度制御装置の応答結果を示す。ゲイン切り換え前
後で加速度フィードバック補償器出力の無段変速機3の
入力トルク指令値Tp*(無段変速機ロックアップクラッ
チ締結時Tp*=Te*)および変速比指令値Ip*が急変す
ることなく連続的に推移し、加速度αwfやプライマリー
プーリー回転速度ωpの応答波形が乱れることなく、目
標値によく追従している。
【0050】このように、上述した一実施の形態では、
目標加速度と目標無段変速機入力軸回転速度とを同時に
達成するための無段変速機を備えた車両の加減速度制御
装置において、2つの操作量すなわち無段変速機入力ト
ルク指令値Tp*(無段変速機ロックアップクラッチ締結
時Tp*=Te*)と変速比指令値Ip*とが、状態フィード
バックゲインKの切り換え前後で連続的に変化するよう
に、モデルフォローイングコントローラー内の規範モデ
ル出力の加速度指令値αrefと制御対象出力の加速度推
定値αwfとの偏差積分値Xiの初期値Xi_iniと、無段変
速機入力軸の目標回転速度ωp*と回転速度検出値ωpと
の偏差積分値Zの初期値Ziniとを、状態フィードバッ
クゲインKの切り換え時に設定するようにした。これに
より、状態フィードバックゲインの切り換え前後でも操
作量Te*、Ip*が連続的に推移するので、フィードバッ
ク制御系の応答が乱れることがない。したがって、状態
フィードバックゲインの切り換えを比較的自由にできる
ので、CVTなどの無段変速機を備えた車両のような非
線形な制御対象であっても、広い運転領域において安定
で応答が速い制御性能を実現することができる。
【0051】また、上述した一実施の形態では、車輪速
Vw(車速に相当)と無段変速機入力トルクTp(無段変
速機ロックアップクラッチ締結時Tp=Te)に基づいて
状態フィードバックゲインKを切り換える。車輪速Vw
と無段変速機入力トルクTpは大きく値が変化するの
で、図7に示す非線形車両モデルを(8)式に示すよう
に線形近似した場合の、モデル化誤差による影響が大き
くならないように、上述した一実施の形態ではこれら2
つの車両状態量Vw、Tpに基づいて線形補償器のゲイン
切り換えを行う。
【0052】さらに、(10)式に示す制御系設計用モ
デルには、(6)式に示すプライマリープーリー回転速
度偏差積分モデルも包含している。つまり、図5に示す
エンジン運転点拘束線マップの傾きka((9)式参
照)を含んでいるので、最適効率運転線を用いる正トル
ク域と、エンジンブレーキ特性線を用いる負トルク域で
は、必ず傾きkaの符号が切り換わる。したがって、こ
れに起因した線形モデル化誤差の影響は大きく、無段変
速機入力トルクTpの符号に対応した状態フィードバッ
クゲインKの切り換えが必須となる。
【0053】このように、この一実施の形態によれば、
車輪速Vwと無段変速機入力トルクTp(=エンジントル
クTe)に基づいて状態フィードバックゲインKを切り
換えるようにしたので、無段変速機を備えた車両などの
非線形な制御対象であっても、広い車速域、広いトルク
域において安定で応答が速い制御性能を実現することが
できる。
【0054】《スリップ判断によるゲイン切り換え》次
に、スリップ状態または非スリップ状態の判断(図9の
4f)に基づいて、スリップ状態ゲインKlと非スリッ
プ状態ゲインKhを切り換える場合について説明する。
【0055】上述したように、状態フィードバックゲイ
ンKの切り換え前後でプラント操作量(Te*、Ip*)が
連続的に変化するように、状態フィードバックゲインK
の切り換え時にモデルフォローイングコントローラー内
の積分器(4b、4e)の初期値(Xi_ini、Zini)を
設定するだけでは、路面の状態を考慮していないので次
のような問題が残る。
【0056】すなわち、高μ路から低μ路へ進入したと
きに、駆動輪速や加速度が大きくハンチングするおそれ
がある。そこで、駆動輪のスリップを判断し、スリップ
しているときは非スリップ用状態フィードバックゲイン
Khよりも小さいスリップ用状態フィードバックゲイン
Klへ切り換える。これにより、制御量(加速度、プラ
イマリープーリー回転速度)の応答性を緩慢にしてスリ
ップの影響を抑制することができる。
【0057】ところが、低μ路走行時には路面状態に応
じて達成可能な最大加速度が制限されるので、高μ路走
行時に比べて目標加速度を達成することが困難な状況に
あり、目標加速度と実際の加速度との偏差積分値Xiが
増加しやすい状況にある。そして、この増加した偏差積
分値Xiが、次に高μ路へ復帰したときの加速度、プラ
イマリープーリー回転速度の初期応答を悪化させる。
【0058】そこで、上述したようにこの実施の形態で
は、低μ路(スリップ状態fs=1)を走行していると
きに高μ路(非スリップ状態fs=0)へ変化した場合
には、加速度偏差積分器の初期値Xi_iniとプライマリ
ープーリー回転速度偏差積分器のZiniをともに0にリ
セットする。つまり、加速度偏差積分器の積分値Xiと
プライマリープーリー回転速度偏差積分器の積分値Zを
ともに0にリセットする。これにより、低μ路走行で偏
差積分値Xi、Zが増加しているときに高μ路へ変化し
ても、無用な偏差積分値Xi、Zが0にリセットされ、
高μ路進入後の制御量(加速度、プライマリープーリー
回転速度)の応答性を向上させることができる。
【0059】状態空間法を用いたモデルフォローイング
制御により実現されたCVT搭載車両用の加速度制御シ
ステムでは、高μ路走行時(fs=0)に路面が低μ路
へ変化した場合、車輪速、加速度ともに大きくハンチン
グするという問題点がある。さらには、高μ路走行時に
比べて低μ路走行時には目標加速度αw*の実現は困難で
あり、目標加速度αw*と加速度推定値αwfとの偏差積分
値が増加しやすい状況にある。偏差積分値が増加してい
る状況で路面が高μ路へ変化した場合、高μ路へ移行し
た直後の加速度応答性が悪化するといった問題点もあ
る。
【0060】上述した一実施の形態では、高μ路用状態
フィードバックゲインKhと低μ路用の状態フィードバ
ックゲインKlとを用意し、駆動輪のスリップが検出さ
れたときは高μ路ゲインKhから低μ路ゲインKlへ切り
換える。さらには、低μ路から高μ路へと走行する場合
には制御量(加速度、プライマリー回転速度)のそれぞ
れに関する偏差積分値を0クリアすることにより、これ
らの問題点の対策とした。
【0061】図13〜図16は一実施の形態のシミュレ
ーションの結果を示す。高μ路から低μ路へ変化したと
きの加速度、プライマリープーリー回転数、プライマリ
ートルク、変速比、駆動輪速および車体速の変化を示
し、図13は低μ路用状態フィードバックゲインKlへ
の切り換えなしの場合、図14は低μ路用状態フィード
バックゲインKlへの切り換え有りの場合を示す。図1
3と図14を比較してみると、高μ路から低μ路へ変化
したときに高μ路用ゲインKhよりも小さい低μ路用ゲ
インKlへ切り換えることによって、車速、加速度に見
られるハンチングを低減できることが確認できる(10
秒以降)。
【0062】また、図15、図16は、低μ路から高μ
路へ変化したときに、各制御量に関する偏差積分値を0
リセットしない場合(図15)と、0リセットする場合
(図16)を示す。これらの図を比較すると、高μ路移
行後の加速度の応答が改善されていることが確認できる
(15〜25秒)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 一実施の形態の加速度制御プログラムを示す
フローチャートである。
【図3】 アクセル開度Apoと車輪速Vwに対する目標
加速度αw*のマップ例を示す図である。
【図4】 車輪速Vwを入力とし加速度推定値αwfを出
力とする連続時間系の伝達関数Gbp(s)を状態ベクトル
で表した図である。
【図5】 エンジン運転点拘束線マップ例を示す図であ
る。
【図6】 車輪速Vwと無段変速機入力トルクTpの符号
とに基づいて運転領域を分割した例を示す図である。
【図7】 無段変速機入力トルク指令値Tp*および変速
比指令値Ip*を入力とし、駆動輪加速度推定値αwfおよ
びプライマリープーリー回転速度ωpを出力とする非線
形車両モデルを示す図である。
【図8】 拡大系の制御系設計用プラントモデルを示す
図である。
【図9】 拡大系プラントモデルと規範モデルに状態フ
ィードバックによるモデルフォローイング制御手法を用
いて加速度サーボ系を構成した場合の制御ブロック図で
ある。
【図10】 拡大系プラントモデルと規範モデルを結合
したモデルを示す図である。
【図11】 状態フィードバックゲイン切り換え時に加
速度フィードバック補償器内の積分器初期値を設定し直
さなかった場合、つまり従来の加減速度制御装置の応答
結果を示す図である。
【図12】 状態フィードバックゲイン切り換え時に加
速度フィードバック補償器内の積分器初期値を設定した
場合、つまり上述した一実施の形態の加減速度制御装置
の応答結果を示す図である。
【図13】 高μ路から低μ路へ変化したときに、低μ
路用状態フィードバックゲインKlへの切り換えなしの
場合の一実施の形態のシミュレーション結果を示す図で
ある。
【図14】 高μ路から低μ路へ変化したときに、低μ
路用状態フィードバックゲインKlへの切り換え有りの
場合の一実施の形態のシミュレーション結果を示す図で
ある。
【図15】 低μ路から高μ路へ変化したときに、各制
御量に関する偏差積分値を0クリアしない場合の一実施
の形態のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】 低μ路から高μ路へ変化したときに、各制
御量に関する偏差積分値を0クリアする場合の一実施の
形態のシミュレーション結果を示す図である。
【図17】 従来のモデルフォローイング制御を示す制
御ブロック図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 ロックアップクラッチ付きトルクコンバーター 3 無段変速機 4 加減速度コントローラー 4a 規範モデル 4b 第1の積分器 4c 状態フィードバック 4d 制御対象のプラント 4e 第2の積分器 5 エンジントルクコントローラー 6 CVT&クラッチコントローラー 7 アクセルセンサー 8 車輪速センサー 9 クランク角センサー 10 プライマリー速度センサー 11 セカンダリー速度センサー 13 高速通信線 14 駆動輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 41/04 325 F02D 41/04 325G 41/10 325 41/10 325 45/00 314 45/00 314E 370 370B F16H 61/02 F16H 61/02 // F16H 59:06 59:06 59:18 59:18 59:44 59:44 59:66 59:66 63:06 63:06 (72)発明者 松山 昌史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3D041 AA32 AA48 AB01 AC01 AC15 AC19 AD01 AD02 AD10 AD31 AD47 AD51 AE03 AE31 AF01 3G084 BA02 CA04 CA06 DA05 DA17 DA25 EA11 EB08 EB12 EB13 EB24 EC04 FA05 FA10 FA33 3G093 AA05 AA06 BA01 CB06 CB07 DA01 DA06 DB03 DB05 DB17 DB18 DB21 EA02 FA05 FA11 3G301 JA03 JA38 KA12 KA16 NA04 NA08 NA09 NB02 NB04 NB15 NC02 NC08 ND02 ND05 ND06 ND45 PE01A PE01Z PE06Z PF01Z PF02A PF02Z PF03Z PG00Z 3J552 MA07 MA09 MA12 NA01 NB04 PA32 RA27 RB26 SA34 SA44 SB01 TA02 TA10 TB17 UA02 UA08 VA11W VA12Z VA22Z VA32W VA32Y VA34W VA37Z VA74Z VA76Z VB01W VB03W VB04W VC01Z VC02Z VC03Z VC05Z VC06Z VD02Z VE05Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車速を検出する車速検出手段と、 車速検出値に基づいて車両の加速度を推定する加速度推
    定手段と、 車両の目標加速度を設定する目標加速度設定手段と、 状態空間法を用いたモデルフォローイング制御手法によ
    り加速度推定値を目標加速度に一致させるための操作量
    を演算してエンジンと無段変速機を制御する制御手段で
    あって、前記目標加速度を入力し加速度指令値を出力す
    る規範モデル手段と、前記加速度指令値と前記加速度推
    定値との偏差を積分する積分手段と、前記積分手段の出
    力を用いて前記操作量を演算する状態フィードバック手
    段とを有する制御手段と、 駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段
    とを備え、 駆動輪のスリップ状態に応じて状態フィードバックゲイ
    ンを切り換えるとともに、駆動輪がスリップ状態から非
    スリップ状態へ変化したときは前記積分手段の初期値を
    0にリセットすることを特徴とする無段変速機を備えた
    車両の加減速度制御装置。
  2. 【請求項2】車速を検出する車速検出手段と、 車速検出値に基づいて車両の加速度を推定する加速度推
    定手段と、 車両の目標加速度を設定する目標加速度設定手段と、 無段変速機入力軸の回転速度を検出する回転速度検出手
    段と、 無段変速機入力軸の目標回転速度を設定する目標回転速
    度設定手段と、 状態空間法を用いたモデルフォローイング制御手法によ
    り加速度推定値を目標加速度に一致させるための無段変
    速機入力トルク指令値と変速比指令値を演算してエンジ
    ンと無段変速機を制御する制御手段であって、前記目標
    加速度を入力し加速度指令値を出力する規範モデル手段
    と、前記加速度指令値と前記加速度推定値との偏差を積
    分する第1の積分手段と、無段変速機入力軸の目標回転
    速度と回転速度検出値との偏差を積分する第2の積分手
    段と、前記第1および第2の積分手段の出力を用いて前
    記無段変速機入力トルク指令値と変速比指令値を演算す
    る状態フィードバック手段とを有する制御手段と、 駆動輪のスリップ状態を検出するスリップ状態検出手段
    とを備え、 駆動輪のスリップ状態に応じて状態フィードバックゲイ
    ンを切り換えるとともに、駆動輪がスリップ状態から非
    スリップ状態へ変化したときは前記第1および第2の積
    分手段の初期値を0にリセットすることを特徴とする無
    段変速機を備えた車両の加減速度制御装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の無段変速機を備えた車両
    の加減速度制御装置において、 状態フィードバックゲインを切り換えるときに、切り換
    え前後で操作量が連続的に変化するように前記積分手段
    の初期値を設定する初期値設定手段を備えることを特徴
    とする無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2に記載の無段変速機を備えた車両
    の加減速度制御装置において、 状態フィードバックゲインを切り換えるときに、切り換
    え前後で操作量が連続的に変化するように前記第1およ
    び第2の積分手段の初期値を設定する初期値設定手段を
    備えることを特徴とする無段変速機を備えた車両の加減
    速度制御装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかの項に記載の無段
    変速機を備えた車両の加減速度制御装置において、 車速検出値と無段変速機入力トルクとに基づいて状態フ
    ィードバックゲインを切り換えることを特徴とする無段
    変速機を備えた車両の加減速度制御装置。
JP2001092102A 2001-03-28 2001-03-28 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置 Pending JP2002283879A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001092102A JP2002283879A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001092102A JP2002283879A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002283879A true JP2002283879A (ja) 2002-10-03

Family

ID=18946620

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001092102A Pending JP2002283879A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002283879A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008296702A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Toyota Motor Corp 回転速度推定装置及び振動抑制装置
JP2014113913A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Toyota Motor Corp 車間距離制御装置
JP6286092B1 (ja) * 2017-05-30 2018-02-28 株式会社ショーワ サスペンション制御装置、及びサスペンション装置。
US11318804B2 (en) 2017-05-30 2022-05-03 Hitachi Astemo, Ltd. Vehicle state estimation device, control device, suspension control device, and suspension device

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008296702A (ja) * 2007-05-30 2008-12-11 Toyota Motor Corp 回転速度推定装置及び振動抑制装置
JP2014113913A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Toyota Motor Corp 車間距離制御装置
JP6286092B1 (ja) * 2017-05-30 2018-02-28 株式会社ショーワ サスペンション制御装置、及びサスペンション装置。
WO2018220862A1 (ja) * 2017-05-30 2018-12-06 株式会社ショーワ サスペンション制御装置、及びサスペンション装置
US11318804B2 (en) 2017-05-30 2022-05-03 Hitachi Astemo, Ltd. Vehicle state estimation device, control device, suspension control device, and suspension device
US11548344B2 (en) 2017-05-30 2023-01-10 Hitachi Astemo, Ltd. Suspension control device and suspension device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3555402B2 (ja) 車速制御装置
EP1297990B1 (en) Vehicle driving force control
JPH0514139B2 (ja)
KR930007709A (ko) 로버스트 알고리듬을 이용한 자동클러치용 폐쇄루우프의 출발 및 크리프 제어기
US8406972B2 (en) Device and method for controlling automatic transmission
JP2002283879A (ja) 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置
US20170158198A1 (en) Vehicle control apparatus
JP3796959B2 (ja) 無段変速機付き車両の車速制御装置
JP3596317B2 (ja) 車両駆動力制御装置
JP2004034886A (ja) 車両の駆動力制御装置
JP3832205B2 (ja) 無段変速機を備えた車両の加減速度制御装置
JP3982129B2 (ja) 車両用加速度制御装置
JP3613974B2 (ja) 車速制御装置
JP2004276681A (ja) 車両の駆動力制御装置
JP3719032B2 (ja) 無段変速機を装備した車両の駆動力制御装置
JP2002187463A (ja) 無段変速機を備えた車両の加減速制御装置
JP2002039350A (ja) 車両用制御装置
JP2002187464A (ja) 無段変速機を備えた車両の加減速制御装置
JP4051779B2 (ja) 車速制御装置
JP3770025B2 (ja) 無段変速機を備えた車両の加速度制御装置
JP3596318B2 (ja) 無段変速機を備えた車両の制御装置
JP3669122B2 (ja) 車速制御装置
JP3515219B2 (ja) 無段変速機の変速制御装置
JP2000291472A (ja) 車両の制御装置
JP2000248973A (ja) 無段変速機を装備した車両の駆動力制御装置