JP2002283561A - アクチュエータ及びインクジェットヘッド - Google Patents

アクチュエータ及びインクジェットヘッド

Info

Publication number
JP2002283561A
JP2002283561A JP2001090253A JP2001090253A JP2002283561A JP 2002283561 A JP2002283561 A JP 2002283561A JP 2001090253 A JP2001090253 A JP 2001090253A JP 2001090253 A JP2001090253 A JP 2001090253A JP 2002283561 A JP2002283561 A JP 2002283561A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
actuator
diaphragm
gas chamber
pressure
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001090253A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4227735B2 (ja
Inventor
Fumito Masubuchi
文人 増渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2001090253A priority Critical patent/JP4227735B2/ja
Publication of JP2002283561A publication Critical patent/JP2002283561A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4227735B2 publication Critical patent/JP4227735B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は静電引力を利用して振動板を変位させ
るアクチュエータ及びこのアクチュエータで振動板上の
液室を圧縮してインク滴を吐出するインクジェットヘッ
ドを提供する。 【解決手段】インクジェットヘッド1は、電極基板2上
に、振動板基板3、液室基板4及びノズルプレート5が
順次積層されており、振動板基板3と液室基板4とノズ
ルプレート5により、複数の加圧液室6が画成されてい
る。アクチュエータ部15を構成する振動板基板3の振
動板9と個別電極12の間の気体室13は封止部材14
で封止されているとともに、気体室13内の気体の圧力
が、振動板9に静電気力がかからずかつ振動板9が静止
している状態において大気圧より低い(大気圧の95%
よりも低い)圧力に設定されている。エアダンパ効果を
軽減させることができ、低い駆動電圧で駆動することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクチュエータ及
びインクジェットヘッドに関し、詳細には、静電引力を
利用して振動板を変位させるアクチュエータ及び当該振
動板上の液室を圧縮してインク滴を吐出するインクジェ
ットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、現像・定着
等のプロセスを必要とせず、非接触で記録を行うことが
できるために、記録時の騒音が極めて小さいこと、イン
クの自由度が高く、安価な普通紙を使用できることなど
多くの利点を有していることから、プリンタ、ファクシ
ミリ装置、複写装置等の画像記録装置として利用される
ようになってきている。
【0003】このようなインクジェット記録装置におい
て使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出す
るノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(圧力
室、加圧液室、液室、インク流路等とも称される。)
と、この吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生
するエネルギー発生手段(アクチュエータ)と、を備え
て、アクチュエータを駆動することで吐出室内のインク
を加圧して、ノズル孔からインク滴を吐出させるもので
あり、記録の必要なときにのみインク滴を吐出するイン
ク・オン・デマンド方式のものが主流である。
【0004】アクチュエータやインクジェットヘッド
は、インク滴(記録液体)の発生方法及び飛翔方向を制
御する制御方法により、いくつかの方式に大別されるる
が、静電気力でインク滴を発生させる静電型アクチュエ
ータ及び静電型アクチュエータを用いたインクジェット
ヘッドが多く用いられている(例えば、特開平4−52
214号公報及び特開平3−293141号公報等参
照)。
【0005】この静電型アクチュエータは、一般に、シ
リコン基板からなる第1の基板(振動板基板)にエッチ
ングによって液室とこの液室の一壁面を形成する振動板
とを形成し、この第1の基板の下側に電極を形成した第
2の基板(電極基板)を配置して、振動板に所定ギャッ
プをおいて電極を対向させることで静電型アクチュエー
タを構成し、静電型アクチュエータの振動板と電極間に
電圧を印加することで、静電気力によって振動板を撓ま
せて液室の内容積を変化させて液室に連通するノズルか
らインク滴を吐出させる。
【0006】そして、静電型インクジェットヘッドのア
クチュエータの駆動方式は、振動板を静電気力で引いた
ときの変位の限度によって方式が2種類に区別され、特
開平7−10470号公報等に開示されているように、
振動板が対向する電極(対向電極)に接触(当接)する
まで変位させる方式(「当接駆動」方式と呼ばれる。)
と、振動板の変位を対向電極に接触しない範囲に限定す
る方式(「非当接駆動」方式と呼ばれる。)とがある。
【0007】当接駆動方式は、非当接駆動方式にひ比較
して、振動板とそれに対向する電極との間の間隔が同じ
であれば、振動板の変位量が3倍程度に拡大するため、
間隔を小さくしても非当接駆動と同等の噴射量が得ら
れ、結果的により低い電圧で駆動可能になるという利点
を持っている。また、当接駆動方式は、振動板の変位量
が振動板とそれに対向する電極の間のギヤップサイズに
よって規制されるため、液滴の噴射量を一定に保たれや
すいという点においても、非当接駆動方式に対して優れ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電型
アクチュエータでは、振動板とそれに対向する電極との
間に気体が存在し、振動板が電極に近づくとこの気体が
圧縮されるために振動板に反発力を生じる。これをエア
ダンパ効果といわれており、振動板とそれに対向する電
極の間の空間が密閉されているか、あるいは密閉されて
いなくても気体が逃げる時間が無い程の高速で振動板を
動かすときに顕著に観測される。特に、アクチュエータ
が密閉されているときには、大気圧の変化やアクチュエ
ータの温度変化により、振動板とそれに対向する電極と
の間の空間の体積が変化して、エアダンパ効果も著しく
変化し、アクチュエータの変位量にばらつきが発生する
原因になる。
【0009】また、このエアダンパ効果は、当接駆動方
式の場合には非当接駆動方式と比較して振動板が空気を
圧縮する量が多いため、特に顕著に観測され、駆動に必
要な電圧を高くする主な原因となっている。
【0010】そこで、従来、電極またはその周辺に凹み
を設けて、この窪みを空気の逃げ場にしたり、あるい
は、振動板と振動板に対向する電極との間の空間を密閉
しない大気開放の状態として、十分遅い速度で駆動した
りしている。
【0011】しかしながら、前者の方法では、エアダン
パ効果の絶対値をある程度減らすことはできるが、十分
ではなく、また、振動板とそれに対向する電極のと間の
空間の体積が増えるため、アクチュエータの温度や大気
圧の変化によるアクチュエータの変位量のばらつきがさ
らに大きくなるという問題があった。また、後者の方法
では、アクチュエータが遅いという根本的な問題がある
だけでなく、アクチュエータ内に埃などの異物が進入
し、また、大気中の水分や酸素等により電極や振動板表
面が劣化して、アクチュエータの信頼性が低下するとい
う問題があった。その結果、これらのいずれの方法も解
決策として十分ではない。
【0012】そこで、請求項1記載の発明は、振動板
と、当該振動板との間に気体室を形成する所定のギャッ
プをおいて対向して配設された電極との間に印加される
電圧で生じる静電気力で振動板を電極方向に変位させた
後、当該電極を放電して振動板の復元力で当該振動板を
変位前の状態に復元させるアクチュエータの振動板と電
極との間の気体室を、所定の封止部材で外部から封止し
て、所定の気体を充満させるとともに、当該気体の圧力
を少なくとも振動板に静電気力が作用せずかつ当該振動
板が静止している状態で大気圧よりも低い圧力に設定す
ることにより、振動板の変位に対するエアダンパ効果を
低減し、低い駆動電圧で駆動することのできる安価で信
頼性の良好なアクチュエータを提供することを目的とし
ている。
【0013】請求項2記載の発明は、気体室の気体の圧
力を、少なくとも振動板が中立状態のときに大気圧の9
5%よりも低い圧力に設定することにより、振動板の変
位に対するエアダンパ効果をより低減し、より低い駆動
電圧で駆動することのできる安価で信頼性の良好なアク
チュエータを提供することを目的としている。
【0014】請求項3記載の発明は、同一基板上に複数
アクチュエータを配設し、当該各アクチュエータの電極
と振動板との間の気体室を、少なくとも、相隣接するア
クチュエータ同士で直接連通し、または/及び共通気体
室を介して連通することにより、振動板の変位に対する
エアダンパ効果を低減するとともに、気体室の圧力を均
一に保ち、低い駆動電圧で安定して駆動することのでき
る安価で信頼性のより良好なアクチュエータを提供する
ことを目的としている。
【0015】請求項4記載の発明は、少なくとも気体室
を減圧する減圧機構を設け、アクチュエータの駆動前及
び/または駆動中に、気体室を減圧機構で減圧すること
により、振動板の変位に対するエアダンパ効果をより一
層低減し、より一層低い駆動電圧で駆動することのでき
る信頼性のより一層良好なアクチュエータを提供するこ
とを目的としている。
【0016】請求項5記載の発明は、減圧機構を、アク
チュエータの形成されている基板と同じ基板上に形成す
ることにより、低い駆動電圧で駆動することのできるよ
り一層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なアクチ
ュエータを提供することを目的としている。
【0017】請求項6記載の発明は、減圧機構を、気体
室を外部から封止する封止部材の一部に当該外部と気体
室を連通する連通孔と、封止部材に設けられ外部方向に
作動して連通孔を開閉する開閉弁と、を備えたものとす
ることにより、低い駆動電圧で駆動することのできるよ
り一層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なアクチ
ュエータを提供することを目的としている。
【0018】請求項7記載の発明は、アクチュエータを
同一基板上に複数配設し、各アクチュエータの電極と振
動板との間の気体室を、少なくとも、相隣接するアクチ
ュエータ同士で直接連通し、または/及び共通気体室を
介して連通し、駆動パルスのデューティ比が5%以上で
アクチュエータを駆動動作して、減圧機構として機能さ
せることにより、低い駆動電圧で駆動することのできる
より一層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なアク
チュエータを提供することを目的としている。
【0019】請求項8記載の発明は、気体室内に気体と
して不活性気体を充填することにより、安全でかつ信頼
性のより一層良好なアクチュエータを提供することを目
的としている。
【0020】請求項9記載の発明は、インクの充填され
ている複数の液室と、各液室に連通して当該液室内のイ
ンクを吐出する複数のノズルと、各液室に圧力変化を生
じさせて当該液室内のインクをノズルから吐出させるア
クチュエータと、を備えたインクジェットヘッドのアク
チュエータとして、請求項1から請求項8のいずれかに
記載のアクチュエータを用いることにより、振動板の変
位に対するエアダンパ効果を低減し、低い駆動電圧でア
クチュエータを駆動して、噴射性能を向上させるととも
に、安価かつ信頼性の良好なインクジェットヘッドを提
供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のア
クチュエータは、少なくとも振動板と、当該振動板との
間に気体室を形成する所定のギャップをおいて対向して
配設された電極とを有し、前記振動板と前記電極との間
に印加される電圧で生じる静電気力で前記振動板を前記
電極方向に変位させた後、当該電極を放電して前記振動
板の復元力で当該振動板を変位前の状態に復元させるア
クチュエータにおいて、前記振動板と前記電極との間の
気体室は、所定の封止部材で外部から封止され、所定の
気体が充満されているとともに、当該気体の圧力が少な
くとも前記振動板に静電気力が作用せずかつ当該振動板
が静止している状態で大気圧よりも低い圧力に設定され
ていることにより、上記目的を達成している。
【0022】上記構成によれば、振動板と、当該振動板
との間に気体室を形成する所定のギャップをおいて対向
して配設された電極との間に印加される電圧で生じる静
電気力で振動板を電極方向に変位させた後、当該電極を
放電して振動板の復元力で当該振動板を変位前の状態に
復元させるアクチュエータの振動板と電極との間の気体
室を、所定の封止部材で外部から封止して、所定の気体
を充満させるとともに、当該気体の圧力を少なくとも振
動板に静電気力が作用せずかつ当該振動板が静止してい
る状態で大気圧よりも低い圧力に設定するので、振動板
の変位に対するエアダンパ効果を低減することができ、
低い駆動電圧で駆動することができるとともに、アクチ
ュエータを安価で信頼性の良好なものとすることができ
る。
【0023】この場合、例えば、請求項2に記載するよ
うに、前記アクチュエータは、前記気体室の気体の圧力
が、少なくとも前記振動板が中立状態のときに大気圧の
95%よりも低い圧力に設定されているものであっても
よい。
【0024】上記構成によれば、気体室の気体の圧力
を、少なくとも振動板が中立状態のときに大気圧の95
%よりも低い圧力に設定するので、振動板の変位に対す
るエアダンパ効果をより低減することができ、より低い
駆動電圧で駆動することができるとともに、アクチュエ
ータを安価で信頼性の良好なものとすることができる。
【0025】また、例えば、請求項3に記載するよう
に、前記アクチュエータは、同一基板上に複数配設され
ており、当該各アクチュエータの前記電極と前記振動板
との間の前記気体室が、少なくとも、相隣接するアクチ
ュエータ同士で直接連通され、または/及び共通気体室
を介して連通されているものであってもよい。
【0026】上記構成によれば、同一基板上に複数アク
チュエータを配設し、当該各アクチュエータの電極と振
動板との間の気体室を、少なくとも、相隣接するアクチ
ュエータ同士で直接連通し、または/及び共通気体室を
介して連通するので、振動板の変位に対するエアダンパ
効果を低減することができるとともに、気体室の圧力を
均一に保つことができ、低い駆動電圧で安定して駆動す
ることができるとともに、アクチュエータを安価で信頼
性のより良好なものとすることができる。
【0027】さらに、例えば、請求項4に記載するよう
に、前記アクチュエータは、少なくとも前記気体室を減
圧する減圧機構を備え、当該アクチュエータの駆動前及
び/または駆動中に、当該気体室を前記減圧機構で減圧
するものであってもよい。
【0028】上記構成によれば、少なくとも気体室を減
圧する減圧機構を設け、アクチュエータの駆動前及び/
または駆動中に、気体室を減圧機構で減圧するので、振
動板の変位に対するエアダンパ効果をより一層低減する
ことができ、より一層低い駆動電圧で駆動することがで
きるとともに、アクチュエータを信頼性のより一層良好
なものとすることができる。
【0029】また、例えば、請求項5に記載するよう
に、前記アクチュエータは、前記減圧機構が当該アクチ
ュエータの形成されている基板と同じ基板上に形成され
ているものであってもよい。
【0030】上記構成によれば、減圧機構を、アクチュ
エータの形成されている基板と同じ基板上に形成してい
るので、低い駆動電圧で駆動することができるととも
に、アクチュエータをより一層安価かつ小型で、信頼性
のより一層良好なものとすることができる。
【0031】さらに、例えば、請求項6に記載するよう
に、前記減圧機構は、前記気体室を外部から封止する前
記封止部材の一部に当該外部と前記気体室を連通する連
通孔と、当該封止部材に設けられ前記外部方向に作動し
て当該連通孔を開閉する開閉弁と、を備えているもので
あってもよい。
【0032】上記構成によれば、減圧機構を、気体室を
外部から封止する封止部材の一部に当該外部と気体室を
連通する連通孔と、封止部材に設けられ外部方向に作動
して連通孔を開閉する開閉弁と、を備えたものとしてい
るので、低い駆動電圧で駆動することができるととも
に、アクチュエータをより一層安価かつ小型で、信頼性
のより一層良好なものとすることができる。
【0033】また、例えば、請求項7に記載するよう
に、前記アクチュエータは、同一基板上に複数配設され
ており、当該各アクチュエータの前記電極と前記振動板
との間の前記気体室が、少なくとも、相隣接するアクチ
ュエータ同士で直接連通され、または/及び共通気体室
を介して連通され、駆動パルスのデューティ比が5%以
上で駆動動作して、前記減圧機構として機能するもので
あってもよい。
【0034】上記構成によれば、アクチュエータを同一
基板上に複数配設し、各アクチュエータの電極と振動板
との間の気体室を、少なくとも、相隣接するアクチュエ
ータ同士で直接連通し、または/及び共通気体室を介し
て連通し、駆動パルスのデューティ比が5%以上でアク
チュエータを駆動動作して、減圧機構として機能させて
いるので、低い駆動電圧で駆動することができるととも
に、アクチュエータをより一層安価かつ小型で、信頼性
のより一層良好なものとすることができる。
【0035】さらに、例えば、請求項8に記載するよう
に、前記アクチュエータは、前記気体室内に前記気体と
して不活性気体が充填されているものであってもよい。
【0036】上記構成によれば、気体室内に気体として
不活性気体を充填しているので、アクチュエータを安全
でかつ信頼性のより一層良好なものとすることができ
る。
【0037】請求項9記載の発明のインクジェットヘッ
ドは、インクの充填されている複数の液室と、前記各液
室に連通して当該液室内の前記インクを吐出する複数の
ノズルと、前記各液室に圧力変化を生じさせて当該液室
内のインクを前記ノズルから吐出させるアクチュエータ
と、を備えたインクジェットヘッドにおいて、前記アク
チュエータが前記請求項1から請求項8のいずれかに記
載のアクチュエータであることにより、上記目的を達成
している。
【0038】上記構成によれば、インクの充填されてい
る複数の液室と、各液室に連通して当該液室内のインク
を吐出する複数のノズルと、各液室に圧力変化を生じさ
せて当該液室内のインクをノズルから吐出させるアクチ
ュエータと、を備えたインクジェットヘッドのアクチュ
エータとして、請求項1から請求項8のいずれかに記載
のアクチュエータを用いているので、振動板の変位に対
するエアダンパ効果を低減することができ、低い駆動電
圧でアクチュエータを駆動して、噴射性能を向上させる
ことができるとともに、インクジェットヘッドを安価か
つ信頼性の良好なものとすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0040】図1及び図2は、本発明のアクチュエータ
及びインクジェットヘッドの第1の実施の形態を示す図
であり、図1は、本発明のアクチュエータ及びインクジ
ェットヘッドの第1の実施の形態を適用したインクジェ
ットヘッド1の短辺方向要部断面図である。
【0041】図1において、インクジェットヘッド1
は、電極基板2上に、振動板基板3、液室基板4及びノ
ズルプレート5が順次積層されており、振動板基板3と
液室基板4とノズルプレート5により、図1の紙面に表
裏方向に複数の加圧液室6が画成されている。ノズルプ
レート5には、各加圧液室6に連通する複数のノズル7
が形成されている。
【0042】振動板基板3は、加圧液室6となる凹部8
が形成され、この凹部8の底面が振動板9として形成さ
れている。また、振動板基板3には、図示しないが、各
加圧液室6にインクを供給する共通インク室、共通イン
ク室と加圧液室6とを連通する流体抵抗部等を形成する
凹部や溝等が形成されている。振動板基板3は、SUS
基板などの金属基板、シリコン基板等をエッチングする
ことで所望の微細な液室パターンが形成されて、加圧液
室6や上記凹部及び溝等が形成されている。
【0043】液室基板4には、振動板基板3の凹部8と
ともに加圧液室6を形成する孔10が形成されており、
この液室基板4の上部にノズルプレート5が接合されて
加圧液室(液室)6が画成されている。
【0044】電極基板2、凹部11が形成されており、
凹部11の底面であって振動板9に対向する位置に、所
定(例えば、0.2μm)のギャップをおいて第2の電
極となる個別電極12が形成されており、個別電極12
と振動板9との間のギャップ部分に気体室13を画成す
る状態で封止部材14で封止されている。個別電極12
と振動板9によって、振動板9を変位させて加圧液室6
の内容積を変化させるアクチュエータ部(アクチュエー
タ)15を構成している。電極基板2は、SUS等の金
属、ガラス、Si等をエッチングして、凹部11を形成
し、凹部11にNi、Al、Ti、Pt、Cu等の電極
材料を、スパッタ、CVD、蒸着等の成膜技術で所望の
厚さに成膜した後、フォトレジストを形成してエッチン
グすることで、凹部11にのみ個別電極12が形成され
ている。また、電極基板2の個別電極12上には短絡、
放電によって個別電極12が破損するのを防止するため
に、SiO2等の絶縁層16が成膜されている。
【0045】ノズルプレート5は、NiやSUSなどの
金属板、ガラス、あるいは、樹脂等で形成されており、
エッチングやニッケルのエレクトロフオーミング法等の
周知の方法で作製されている。ノズルプレート5には、
上記ノズル7が2列千鳥状に配列して、ノズル密度が高
く形成されており、これに対応して、上記振動板基板3
及び液室基板2には、加圧液室6、振動板9が、電極基
板2には、個別電極12が、それぞれ2列配列して形成
されている。さらに、ノズルプレート5のノズル面(吐
出方向の表面)には、インクとの撥水性を確保するため
に、メッキ被膜、あるいは、撥水剤コーティング等の周
知の方法で撥水膜が形成されている。
【0046】上記振動板基板3、液室基板4、電極基板
2及びノズルプレート5は、接着剤や陽極接合等の直接
接合法、共晶接合法等によって接合されている。
【0047】このインクジェットヘッド1は、振動板9
と個別電極12の間に電圧を印加して充電することで電
荷によるクーロンカを発生させて、振動板9を個別電極
12に当接(接触)するまで撓ませ、加圧液室6の容積
を拡大させる。インクジェットヘッド1は、この状態か
ら、個別電極12と振動板9との間の電荷を急激に放電
させることにより、振動板9をその弾性復元力によって
復帰させて、加圧液室6内の容積を急激に収縮させ、こ
のとき加圧液室6内に発生するインク圧力によってノズ
ル7からインク滴を吐出させる。インクジェットヘッド
1は、再度、振動板9と個別電極12の間に電圧を印加
して振動板9を個別電極12に接触するまで変位させて
その状態に保持し、インク滴吐出により加圧液室6内に
負圧が生じて共通インク流路からインク供給路(流体抵
抗部)を通して加圧液室6内にインクを供給させ、ノズ
ル7のインクメニスカスがある程度安定させた状態で、
次のインク滴吐出行程へと移行する。
【0048】そして、振動板9と個別電極12の間の気
体室13には、所定の気体、例えば、不活性ガスや空気
が充満されている。そして、気体室13内の気体の圧力
は、従来では、振動板9に静電気力がかからずかつ振動
板9が静止している状態において大気圧と同じ圧力とな
っている。
【0049】ところが、本実施の形態のインクジェット
ヘッド1では、気体室13内の圧力を、振動板9に静電
気力がかからずかつ振動板9が静止している状態におい
て大気圧より低く、好適には、大気圧の95%よりも低
く設定している。
【0050】そこで、インクジェットヘッド1では、気
体室13を上述のように封止部材14で密閉して気体室
13内の気体を減圧するか、または、図2に示すよう
に、気体室13を封止材14で密封することなく、チャ
ンバー20内にアクチュエータ部15ごと入れて、チャ
ンバー20と減圧ポンプ21とを導気管22で接続し、
減圧ポンプ21でチャンバー20内を減圧して、気体室
13を減圧する。
【0051】次に、本実施の形態の作用を説明する。本
実施の形態のインクジェットヘッド1は、上述のよう
に、気体室13を上述のように封止部材14で密閉して
気体室13内の気体を減圧するか、または、図2に示す
ように、気体室13を封止材14で密封することなく、
チャンバー20内にアクチュエータ部15ごと入れて、
チャンバー20と減圧ポンプ21とを導気管22で接続
し、減圧ポンプ21でチャンバー20内を減圧して、気
体室13を減圧している。
【0052】一方、振動板9が個別電極12に近づくこ
とによって生じるエアダンパ効果は、振動板9によって
気体室13内の気体が圧縮されるために生ずる反発力で
あり、気体の圧縮による圧力の変化は、温度が一定のと
きには、次式のボイルの式であらわされる。
【0053】PV=一定・・・(1) ここで、Pは、気体の圧力、Vは、気体の体積である。
【0054】このボイルの式を変形させると、エアダン
パ効果は、温度Tが一定という条件の下では、振動板9
によって気体室13の体積Vが、ΔVだけ小さくなるこ
とにより、圧力Pが次式(2)で示されるΔPだけ大き
くなる現象として、説明することができる。
【0055】 ΔP=PV/(V+ΔV)−P・・・(2) この式(2)において、気体の圧力Pを小さくすると、
圧力変化量ΔVと同じだけ体積を変化させても、図3に
示すように、圧力変化量ΔPが小さくなる。
【0056】ここで、図3は、体積変化量ΔVが、気体
室13の体積Vの80%のときの圧力Pと圧力変化量Δ
Pの関係を示す線図であり、横軸が気体の圧力(気圧)
P、縦軸が気体の圧力変化量ΔPであって、気体の圧力
Pも圧力変化量ΔPも大気圧を1としたときの圧力とし
て正規化したものである。
【0057】図3で分かるように、圧力Pは、低ければ
低いほど、エアダンパ効果を軽減させる効果が高い。例
えば、極端な例として、気体室13内が真空であると、
エアダンパ効果は、0になる。アクチュエータ部15を
インクジェットヘッド1に用いた場合の実用上の目安と
しては、図3において大気圧の95%程度以下からエア
ダンパ効果の軽減度合いが、顕著化する。
【0058】また、インクジェットヘッド1は、アクチ
ュエータ部15内の温度が変化すると、温度に比例して
気体室13の圧力Pと体積Vの積が上昇するため、元の
圧力Pが小さいほど温度変化による体積Vの変化が小さ
くなり、結果として、エアダンパ効果の変動も小さくな
る。例えば、気体室13内が真空であると、温度にかか
わらず真空のままであるため、変動は0になる。
【0059】そして、本実施の形態のインクジェットヘ
ッド1は、上述のように、振動板9に静電気力がかから
ずかつ振動板9が静止している状態において大気圧より
低く、好適には、大気圧の95%よりも低く設定してい
る。
【0060】したがって、エアダンパ効果を軽減させる
ことができ、低い駆動電圧で駆動することができる。
【0061】図4及び図5は、本発明のアクチュエータ
及びインクジェットヘッドの第2の実施の形態を示す図
であり、図4は、本発明のアクチュエータ及びインクジ
ェットヘッドの第2の実施の形態を適用したインクジェ
ットヘッド30の短辺方向要部断面図、図5は、図4の
インクジェットヘッド30の部分断面平面図である。
【0062】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェットヘッド1と同様のインクジェット
ヘッドに適用したものであり、本実施の形態の説明にお
いては、上記第1の実施の形態のインクジェットヘッド
1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。
【0063】図4において、本実施の形態のインクジェ
ットヘッド30は、気体室31に連通路32を介して共
通気体室33に連通されており、各気体室31は、図5
に示すように、さらに、気体室31を画成する電極基板
2の隔壁に形成された所定開口径の室間連通路34で連
通されている。
【0064】したがって、本実施の形態のインクジェッ
トヘッド30は、各々の気体室31内の圧力変化が、連
通路32を通して共通気体室33に逃げ、また、室間連
通路34を通して隣接する気体室31に逃げて、各気体
室31内の圧力を均一に保つことができる。
【0065】なお、本実施の形態では、共通気体室33
と連通路32を介して各気体室31を連通するととも
に、室間連通路34を介しても各気体室31を連通して
いるが、いずれか一方のみであってもよい。
【0066】図6は、本発明のアクチュエータ及びイン
クジェットヘッドの第3の実施の形態を適用したインク
ジェットヘッド40の短辺方向要部断面図である。
【0067】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェットヘッド1と同様のインクジェット
ヘッドに適用したものであり、本実施の形態の説明にお
いては、上記第1の実施の形態のインクジェットヘッド
1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。
【0068】図6において、本実施の形態のインクジェ
ットヘッド40は、気体室13を封止する封止部材14
に貫通口41が形成されており、貫通口41には、導気
管42が取り付けられている。導気管42は、減圧ポン
プ43に接続されており、気体室13は、導気管42及
び貫通口41を通して減圧ポンプ43により減圧され
る。
【0069】インクジェットヘッド40は、少なくとも
アクチュエータ部15の駆動中においては、所定の減圧
状態を維持するために、アクチュエータ部15の駆動中
に減圧するか、または、アクチュエータ部15の駆動前
から減圧を開始して所定の減圧状態としてからアクチュ
エータ部15の駆動を開始する。
【0070】したがって、インクジェットヘッド40
は、気体室13の気密が不完全であっても、所定の減圧
状態でアクチュエータ部15を駆動することができると
ともに、大気圧が変動したときにも、減圧の設定圧力を
変更することにより容易に補正することができる。
【0071】図7は、本発明のアクチュエータ及びイン
クジェットヘッドの第4の実施の形態を適用したインク
ジェットヘッド50の短辺方向要部断面図である。
【0072】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェットヘッド1と同様のインクジェット
ヘッドに適用したものであり、本実施の形態の説明にお
いては、上記第1の実施の形態のインクジェットヘッド
1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。
【0073】図7において、本実施の形態のインクジェ
ットヘッド50は、各気体室13を封止する封止部材1
4に貫通口51が形成されており、貫通口51の形成さ
れた封止部材14の外側には、外方に開閉動作して当該
貫通口51を開閉する逆止弁52が取り付けられてい
る。
【0074】また、インクジェットヘッド50は、各気
体室13を仕切る電極基板2の隔壁には所定開口径の連
通路53が形成されており、各気体室13は、隣接する
気体室13と連通路53により連通されている。
【0075】本実施の形態のインクジェットヘッド50
は、振動板9の撓みにより気体室13の圧力が高くなる
と、逆止弁52が開いて気体室13内の気体が外部に流
出し、気体室13内の圧力が下がると、逆止弁52が閉
じて、気体室13内への気体の流入を防止する。また、
インクジェットヘッド50は、ある気体室13内の圧力
が高くなると、当該気体室13内の気体が連通孔53を
介してより圧力の低い隣接する気体室13内に逃げ、ま
た、当該気体室13内の圧力が隣接する気体室13の圧
力よりも低くなると、当該隣接する気体室13から気体
が流入する。
【0076】したがって、このアクチュエータ部15
は、貫通口51、逆止弁52及び連通孔53が形成され
ることで、各気体室13を減圧する減圧ポンプとして動
作し、外部に減圧ポンプを設けることなく、気体室13
を減圧することができる。その結果、インクジェットヘ
ッド50を小型で安価なものとすることができる。
【0077】図8は、本発明のアクチュエータ及びイン
クジェットヘッドの第5の実施の形態を適用したインク
ジェットヘッド60の短辺方向要部断面図である。
【0078】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェットヘッド1と同様のインクジェット
ヘッドに適用したものであり、本実施の形態の説明にお
いては、上記第1の実施の形態のインクジェットヘッド
1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。
【0079】図8において、本実施の形態のインクジェ
ットヘッド60は、各気体室13を封止する封止部材1
4に貫通口61が形成されており、貫通口61の形成さ
れた封止部材14の外側には、外方に開閉動作して当該
貫通口61を開閉する逆止弁62が取り付けられてい
る。
【0080】本実施の形態のインクジェットヘッド60
は、振動板9の撓みにより気体室13の圧力が高くなる
と、逆止弁62が開いて気体室13内の気体が外部に流
出し、気体室13内の圧力が下がると、逆止弁62が閉
じて、気体室13内への気体の流入を防止する。
【0081】したがって、このアクチュエータ部15
は、貫通口61と逆止弁62が形成されることで、各気
体室13を個別に減圧する減圧ポンプとして動作し、外
部に減圧ポンプを設けることなく、気体室13を減圧す
ることができる。その結果、インクジェットヘッド60
を小型で安価なものとすることができる。
【0082】図9は、アクチュエータ及びインクジェッ
トヘッドの第6の実施の形態を適用したインクジェット
ヘッド70の短辺方向要部断面図である。
【0083】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェットヘッド1と同様のインクジェット
ヘッドに適用したものであり、本実施の形態の説明にお
いては、上記第1の実施の形態のインクジェットヘッド
1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その詳
細な説明を省略する。
【0084】図9において、本実施の形態のインクジェ
ットヘッド70は、各気体室13を封止する封止部材1
4に貫通口71が形成されている。
【0085】本実施の形態のインクジェットヘッド70
は、アクチュエータ部15が駆動すると、振動板9の動
きが遅いときには、振動板9が個別電極12側に下がる
と、封止部材14の貫通孔71から気体が排出され、振
動板9が個別電極12から離れる方向に上がると、吸入
される。したがって、気体室13内の圧力は、脈打つだ
けであって、平均的には圧力が上昇も下降もしない。
【0086】ところが、振動板9の速度が上がるにつれ
て、封止部材14の貫通孔71を通過する気体の速度が
振動板9の速度に追いつかなくなり、振動板9の速度が
十分速いときには、気体室13内の平均圧力は、外側の
大気圧よりも低い一定の圧力になる。
【0087】したがって、アクチュエータ部15が減圧
ポンプとして作用し、コンパクトで部品点数の少ない減
圧ポンプが形成されることになる。
【0088】このときの気体室13内の平均圧力は、振
動板9の行程容積と気体室13の容積の比に比例し、ま
た、アクチュエータ部15を矩形パルス状の電圧波形で
駆動するときには、そのデューティーに比例する。デュ
ーティーは、好適には20%以上、好適には50%以上
が望ましい。これより少ないと、空気の粘性によるロス
で、減圧ポンプとしての効果が低下するからである。
【0089】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0090】例えば、上記各実施の形態においては、ア
クチュエータ部をインクジェットヘッドに適用した場合
について説明しているが、アクチュエータ部の用途とし
ては、インクジェットヘッドに限られるものではない。
【0091】
【発明の効果】請求項1記載の発明のアクチュエータに
よれば、上記構成によれば、振動板と、当該振動板との
間に気体室を形成する所定のギャップをおいて対向して
配設された電極との間に印加される電圧で生じる静電気
力で振動板を電極方向に変位させた後、当該電極を放電
して振動板の復元力で当該振動板を変位前の状態に復元
させるアクチュエータの振動板と電極との間の気体室
を、所定の封止部材で外部から封止して、所定の気体を
充満させるとともに、当該気体の圧力を少なくとも振動
板に静電気力が作用せずかつ当該振動板が静止している
状態で大気圧よりも低い圧力に設定するので、振動板の
変位に対するエアダンパ効果を低減することができ、低
い駆動電圧で駆動することができるとともに、アクチュ
エータを安価で信頼性の良好なものとすることができ
る。
【0092】請求項2記載の発明のアクチュエータによ
れば、気体室の気体の圧力を、少なくとも振動板が中立
状態のときに大気圧の95%よりも低い圧力に設定する
ので、振動板の変位に対するエアダンパ効果をより低減
することができ、より低い駆動電圧で駆動することがで
きるとともに、アクチュエータを安価で信頼性の良好な
ものとすることができる。
【0093】請求項3記載の発明のアクチュエータによ
れば、同一基板上に複数アクチュエータを配設し、当該
各アクチュエータの電極と振動板との間の気体室を、少
なくとも、相隣接するアクチュエータ同士で直接連通
し、または/及び共通気体室を介して連通するので、振
動板の変位に対するエアダンパ効果を低減することがで
きるとともに、気体室の圧力を均一に保つことができ、
低い駆動電圧で安定して駆動することができるととも
に、アクチュエータを安価で信頼性のより良好なものと
することができる。
【0094】請求項4記載の発明のアクチュエータによ
れば、少なくとも気体室を減圧する減圧機構を設け、ア
クチュエータの駆動前及び/または駆動中に、気体室を
減圧機構で減圧するので、振動板の変位に対するエアダ
ンパ効果をより一層低減することができ、より一層低い
駆動電圧で駆動することができるとともに、アクチュエ
ータを信頼性のより一層良好なものとすることができ
る。
【0095】請求項5記載の発明のアクチュエータによ
れば、減圧機構を、アクチュエータの形成されている基
板と同じ基板上に形成しているので、低い駆動電圧で駆
動することができるとともに、アクチュエータをより一
層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なものとする
ことができる。
【0096】請求項6記載の発明のアクチュエータによ
れば、減圧機構を、気体室を外部から封止する封止部材
の一部に当該外部と気体室を連通する連通孔と、封止部
材に設けられ外部方向に作動して連通孔を開閉する開閉
弁と、を備えたものとしているので、低い駆動電圧で駆
動することができるとともに、アクチュエータをより一
層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なものとする
ことができる。
【0097】請求項7記載の発明のアクチュエータによ
れば、アクチュエータを同一基板上に複数配設し、各ア
クチュエータの電極と振動板との間の気体室を、少なく
とも、相隣接するアクチュエータ同士で直接連通し、ま
たは/及び共通気体室を介して連通し、駆動パルスのデ
ューティ比が5%以上でアクチュエータを駆動動作し
て、減圧機構として機能させているので、低い駆動電圧
で駆動することができるとともに、アクチュエータをよ
り一層安価かつ小型で、信頼性のより一層良好なものと
することができる。
【0098】請求項8記載の発明のアクチュエータによ
れば、気体室内に気体として不活性気体を充填している
ので、アクチュエータを安全でかつ信頼性のより一層良
好なものとすることができる。
【0099】請求項9記載の発明のインクジェットヘッ
ドによれば、インクの充填されている複数の液室と、各
液室に連通して当該液室内のインクを吐出する複数のノ
ズルと、各液室に圧力変化を生じさせて当該液室内のイ
ンクをノズルから吐出させるアクチュエータと、を備え
たインクジェットヘッドのアクチュエータとして、請求
項1から請求項8のいずれかに記載のアクチュエータを
用いているので、振動板の変位に対するエアダンパ効果
を低減することができ、低い駆動電圧でアクチュエータ
を駆動して、噴射性能を向上させることができるととも
に、インクジェットヘッドを安価かつ信頼性の良好なも
のとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第1の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【図2】図1のインクジェットヘッドの気体室を密閉し
ないでアクチュエータをチャンバー内に入れて気体室を
減圧する場合の一例を示す要部断面図。
【図3】図1の気体室の体積の80%のときの圧力と圧
力変化量の関係を示す線図。
【図4】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第2の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【図5】図4のインクジェットヘッドの部分断面平面
図。
【図6】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第3の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【図7】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第4の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【図8】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第5の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【図9】本発明のアクチュエータ及びインクジェットヘ
ッドの第6の実施の形態を適用したインクジェットヘッ
ドの短辺方向要部断面図。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 電極基板 3 振動板基板 4 液室基板 5 ノズルプレート 6 加圧液室 7 ノズル 8 凹部 9 振動板 10 孔 11 凹部 12 個別電極 13 気体室 14 封止部材 15 アクチュエータ部 16 絶縁層 20 チャンバー 21 減圧ポンプ 22 導気管 30 インクジェットヘッド 31 気体室 32 連通路 33 共通気体室 34 室間連通路 40 インクジェットヘッド 41 貫通口 42 導気管 43 減圧ポンプ 50 インクジェットヘッド 51 貫通口 52 逆止弁 53 連通路 60 インクジェットヘッド 61 貫通口 62 逆止弁 70 インクジェットヘッド 71 貫通孔

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも振動板と、当該振動板との間に
    気体室を形成する所定のギャップをおいて対向して配設
    された電極とを有し、前記振動板と前記電極との間に印
    加される電圧で生じる静電気力で前記振動板を前記電極
    方向に変位させた後、当該電極を放電して前記振動板の
    復元力で当該振動板を変位前の状態に復元させるアクチ
    ュエータにおいて、前記振動板と前記電極との間の気体
    室は、所定の封止部材で外部から封止され、所定の気体
    が充満されているとともに、当該気体の圧力が少なくと
    も前記振動板に静電気力が作用せずかつ当該振動板が静
    止している状態で大気圧よりも低い圧力に設定されてい
    ることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 【請求項2】前記アクチュエータは、前記気体室の気体
    の圧力が、少なくとも前記振動板が中立状態のときに大
    気圧の95%よりも低い圧力に設定されていることを特
    徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
  3. 【請求項3】前記アクチュエータは、同一基板上に複数
    配設されており、当該各アクチュエータの前記電極と前
    記振動板との間の前記気体室が、少なくとも、相隣接す
    るアクチュエータ同士で直接連通され、または/及び共
    通気体室を介して連通されていることを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のアクチュエータ。
  4. 【請求項4】前記アクチュエータは、少なくとも前記気
    体室を減圧する減圧機構を備え、当該アクチュエータの
    駆動前及び/または駆動中に、当該気体室を前記減圧機
    構で減圧することを特徴とする請求項1から請求項3の
    いずれかに記載のアクチュエータ。
  5. 【請求項5】前記アクチュエータは、前記減圧機構が当
    該アクチュエータの形成されている基板と同じ基板上に
    形成されていることを特徴とする請求項4記載のアクチ
    ュエータ。
  6. 【請求項6】前記減圧機構は、前記気体室を外部から封
    止する前記封止部材の一部に当該外部と前記気体室を連
    通する連通孔と、当該封止部材に設けられ前記外部方向
    に作動して当該連通孔を開閉する開閉弁と、を備えてい
    ることを特徴とする請求項4または請求項5記載のアク
    チュエータ。
  7. 【請求項7】前記アクチュエータは、同一基板上に複数
    配設されており、当該各アクチュエータの前記電極と前
    記振動板との間の前記気体室が、少なくとも、相隣接す
    るアクチュエータ同士で直接連通され、または/及び共
    通気体室を介して連通され、駆動パルスのデューティ比
    が5%以上で駆動動作して、前記減圧機構として機能す
    ることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
  8. 【請求項8】前記アクチュエータは、前記気体室内に前
    記気体として不活性気体が充填されていることを特徴と
    する請求項1から請求項7のいずれかに記載のアクチュ
    エータ。
  9. 【請求項9】インクの充填されている複数の液室と、前
    記各液室に連通して当該液室内の前記インクを吐出する
    複数のノズルと、前記各液室に圧力変化を生じさせて当
    該液室内のインクを前記ノズルから吐出させるアクチュ
    エータと、を備えたインクジェットヘッドにおいて、前
    記アクチュエータが前記請求項1から請求項8のいずれ
    かに記載のアクチュエータであることを特徴とするイン
    クジェットヘッド。
JP2001090253A 2001-03-27 2001-03-27 アクチュエータ及びインクジェットヘッド、インクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP4227735B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090253A JP4227735B2 (ja) 2001-03-27 2001-03-27 アクチュエータ及びインクジェットヘッド、インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001090253A JP4227735B2 (ja) 2001-03-27 2001-03-27 アクチュエータ及びインクジェットヘッド、インクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002283561A true JP2002283561A (ja) 2002-10-03
JP4227735B2 JP4227735B2 (ja) 2009-02-18

Family

ID=18945063

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001090253A Expired - Fee Related JP4227735B2 (ja) 2001-03-27 2001-03-27 アクチュエータ及びインクジェットヘッド、インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4227735B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP4227735B2 (ja) 2009-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7571992B2 (en) Pressure compensation structure for microelectromechanical systems
JP2001113737A (ja) 液滴吐出装置
US7108354B2 (en) Electrostatic actuator with segmented electrode
JP4595369B2 (ja) 液体移送ヘッド及びこれを備えた液体移送装置
JP4419639B2 (ja) 静電memsアクチュエータ、マイクロポンプを含む微小流体駆動装置、インクジェットプリンタヘッドを含む微量流体吐出装置及びインクジェットプリンタを含む印刷装置
JP2000006397A (ja) インクジェット式記録ヘッドおよびその製造方法
JP4227735B2 (ja) アクチュエータ及びインクジェットヘッド、インクジェット記録装置
JPS6325943B2 (ja)
US7883182B2 (en) Fluid ejection device for ink jet heads
JP4379128B2 (ja) インクジェットヘッド
JP3432346B2 (ja) 記録ヘッド
JP4430337B2 (ja) 液滴放出のための放出装置
JP4480956B2 (ja) 液滴放出のための放出装置
US6874867B2 (en) Electrostatically actuated drop ejector
JP2002086713A (ja) オンデマンド型インクジェットプリントヘッド
JP2008260195A (ja) 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、静電アクチュエータの製造方法
JP2002307716A (ja) 画像形成用ヘッド及び該ヘッドを用いた画像形成装置
KR100243041B1 (ko) 잉크분사장치
JPH10770A (ja) インクジェット記録装置
JP2010131820A (ja) 液体吐出装置および液体吐出方法
JP4052349B2 (ja) インクジェット式記録装置
JPH10193600A (ja) インクジェットヘッド
JP2001300421A (ja) 静電アクチュエータ、及びそれを用いた液体噴射装置
KR100641286B1 (ko) 압전방식을 이용한 초소형 정밀 액적분사헤드 및 제조 방법
JP2004098178A (ja) 静電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、インクジェット記録装置及び液供給カートリッジ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050906

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20050916

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080815

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081015

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081125

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081201

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees