JP2002283091A - 薄板の溶接方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接中の熱膨張による被溶接部材１０の残留
応力を軽減し、溶接歪を小さくすることによって、溶接
形状を安定化させ、良好な品質の溶接を行う。 【解決手段】 薄板を溶接する際に、溶接部１１の近傍
に冷却ブロック２２を配置し、該冷却ブロック２２によ
り溶接部近傍の少なくとも一面を強制的に冷却しながら
溶接する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、薄板の溶接方法及
び装置に係り、特に、溶接長の長い薄板板金に用いるの
に好適な、溶接中の熱膨張による材料の溶接部位の変形
がなく、溶接形状を安定化し、良好な品質の溶接を行う
ことが可能な、薄板の溶接方法及び装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】溶接、特に、薄板板金で溶接長が長い場
合、従来は、溶接部の数箇所をスポット溶接などで仮止
めして、溶接部位の変形を拘束した後、被溶接部材を治
具で固定して溶接していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、溶接歪
が発生し、治具から溶接後の部材を取り外すと変形す
る。他の溶接方法に比べ、材料の入熱量が少ないＹＡＧ
レーザによる溶接を行う場合もあるが、この場合でも、
やはり溶接歪が残り、特に、図１に示すような、カウン
ター表面等に使用される弧状の外装化粧板を溶接した場
合に、表面が完全な鏡面にならず、表面に写る像が歪ん
でしまい、きれいな像が得られないという問題を有して
いた。

【０００４】なお、溶接による熱は、被溶接部材と接触
する治具から伝達拡散し、被溶接部材の多少の冷却効果
は得られるものの十分とは言えなかった。

【０００５】更に、溶接部に吹き付けるアシストガスに
より、溶接部位を冷却することも考えられ、場合によっ
ては、ガスを冷却することも考えられるが、逃がせる熱
量が低く、十分な冷却効果を上げることができないとい
う問題点を有していた。

【０００６】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、溶接中の熱膨張による材料の溶接部
位の変形がなく、溶接形状を安定化し、良好な品質の溶
接を行うことを課題とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の問
題点を解消するべくなされたもので、薄板を溶接する際
に、溶接部近傍に冷却ブロックを配置し、該冷却ブロッ
クにより溶接部近傍の少なくとも一面を強制的に冷却し
ながら溶接することにより、前記課題を解決したもので
ある。

【０００８】又、本発明は、相対変位可能に接続され
た、冷却液を通水可能な複数の冷却ブロックと、各冷却
ブロック間の通水を行うためのフレキシブル管と、を含
む溶接用冷却冶具を提供するものである。

【０００９】本発明は、更に、前記溶接用冷却治具を備
えた薄板の溶接装置を提供するものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。

【００１１】本実施形態は、図２（全体の断面図）及び
図３（図２のIII部拡大図）に示す如く、仮止めされた
被溶接部材１０の溶接部１１近傍に、相対変位可能に接
続された、冷却水を通水可能な複数の冷却ブロック２２
と、各冷却ブロック２２間の通水を行うためのフレキシ
ブル管２８とを含む溶接用冷却治具２０を配置し、溶接
時に各冷却ブロック２２に設けた冷却水穴２３に冷水を
流し、被溶接部材１０の発熱を抑制しながら溶接するこ
とにより、残留応力を軽減し、溶接歪を小さくするよう
にしたものである。

【００１２】加工に際しては、溶接用のレーザビーム３
０により、被溶接部材１０が発熱し、材料が溶融する。
レーザビーム３０が溶接線１２に沿って移動することに
より、溶融部は冷却され、接続される。この時発生する
熱は、被溶接部材１０の内部及び部材外へ拡散し、冷却
される。この時、被溶接部材１０に接触する冷却ブロッ
ク２２に熱が伝達され、冷却ブロック２２に入った熱
は、冷却水を通して外部へ取り除かれる。

【００１３】前記冷却ブロック２２としては、例えば熱
伝導率の高い銅合金を用い、冷却水の流量は、入熱量に
より調整できるようにすることができる。

【００１４】本実施形態においては、冷却ブロック２２
を、各種の溶接線形状に対応できるように、図４(平面
図)及び図５（横断面図）に示す如く、長さ１５０mm程
度の短いブロックとし、長い被溶接部材に対しては、こ
のブロックを継いで対応し、曲がっている被溶接部材１
０については、ピン２６で屈曲可能に接続して、対応で
きるようにし、更に、冷却水通路を配管継手２６及びフ
レキシブル管２８で接続している。なお、各ブロックを
完全に分離することもできる。又、被溶接部材１０の形
状が特定されている場合には、その溶接形状にあった冷
却ブロックを用いることができる。又、大量生産の場合
には、前記冷却ブロック２２をアクチュエータにより駆
動することが考えられる。

【００１５】なお、前記実施形態では、冷却ブロック２
２が被溶接部材１０の上側面のみに設けられていたが、
例えば側面や下側面等、複数の面に配置して冷却能力を
高めることも可能である。冷却液の種類も水に限定され
ない。

【００１６】前記実施形態においては、本発明が、ＹＡ
Ｇレーザによる溶接加工に用いられていたが、本発明の
適用対象はこれに限定されず、レーザ以外の入熱量を多
く必要とする一般の溶接加工にも同様に適用できること
は明らかである。

【００１７】

【発明の効果】本発明によれば、溶接部近傍の熱を、冷
却ブロックで取り除くことができるため、部材全体に熱
が拡散せず、熱による残留応力を発生しにくく、歪が少
なくなる。又、被溶接部材の温度が過度に上昇すること
が無いので、溶ける量が過大になって、溶接ビードが大
きくなることがない。更に、ビード幅も、従来例のよう
に、上昇した温度によって徐々に大きくなることがな
く、ビード幅の変化も少なくなる。更に、部材の変形に
よる溶接形状の変化が無くなり、均一な溶接ビードが得
られる。特に、外装化粧板の溶接においては、化粧板が
鏡面となるため、歪のない綺麗な像として写るようにす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】溶接歪による像の歪が問題となる溶接対象の一
例を示す斜視図

【図２】本発明により溶接している様子を示す断面図

【図３】図２のIII部拡大断面図

【図４】前記実施形態で用いられている溶接用冷却治具
の全体構成を示す平面図

【図５】図４の横断面図

【符号の説明】

１０…被溶接部材 １１…溶接部 １２…溶接線 ２０…溶接用冷却冶具 ２２…冷却ブロック ２３…冷却水穴 ２４…ピン ２８…フレキシブル管 ３０…レーザビーム

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】薄板を溶接する際に、 溶接部近傍に冷却ブロックを配置し、 該冷却ブロックにより溶接部近傍の少なくとも一面を強
   制的に冷却しながら溶接することを特徴とする薄板の溶
   接方法。
2. 【請求項２】相対変位可能に接続された、冷却液を通水
   可能な複数の冷却ブロックと、 各冷却ブロック間の通水を行うためのフレキシブル管
   と、 を含むことを特徴とする溶接用冷却冶具。
3. 【請求項３】請求項２に記載の溶接用冷却冶具を備えた
   ことを特徴とする薄板の溶接装置。