JP2002282860A - プール水浄化処理方法および装置 - Google Patents
プール水浄化処理方法および装置Info
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Abstract
着浄化等、浄化処理装置に要求される能力を好適に満足
し、かつ、低コストで運用可能なプール水浄化処理方法
および装置を提供すること。 【解決手段】少なくとも濾過手段を有するプール水浄化
処理装置を用いて、前記濾過手段の後段に濾過工程を終
了したプール水の電気分解手段を有し、プール水中に含
まれる塩分(人体から放出される汗などに含まれるも
の)を電気分解により消毒用に添加する塩素製剤の一部
として利用するようにしたことを特徴とするプール水浄
化処理方法および装置。これにより、消毒等の処理の実
を挙げつつ、プール運用のランニングコストを大幅に低
下させることが可能になる。
Description
法および装置に関し、より詳細には、プール運用中にプ
ール水中に蓄積される、使用者の身体から出る汗などに
含まれる塩分を有効利用するようにしたプール水浄化処
理方法および装置に関する。
増進やストレス解消に適した全身運動としての水泳を行
うものが増え、老若男女を問わずプールに親しむものが
増えている。そして、これに伴い、水泳をより安全かつ
衛生的に楽しむために、プールの衛生状況、特に水質に
対する関心が高まっており、このため、プールの水質を
決定するプール水浄化処理装置に対する要求はますます
厳しいものとなってきており、さらなる高性能化が進ん
でいる。
的に説明すると、プール水浄化処理装置は、一般的にプ
ール水に含まれるゴミ,髪の毛等の不純物を取り除く前
濾過装置,精密濾過装置,吸着浄化装置,プール水の殺
菌を行う殺菌装置等を有するものであり、さらに必要に
応じて、濾過装置に濾過助剤を供給する装置や、また温
水プールであればプール水の加温手段等が接続されて構
成されるものであり、通常、プール水はこの浄化処理装
置とプールとの間を循環されることにより浄化処理さ
れ、衛生的に保たれている。
置等の浄水設備に適用される濾過装置として、多孔質セ
ラミックフィルタが多く用いられている。多孔質セラミ
ックフィルタは、プール、特に温水プールの濾過に好ま
しい極めて微細な濾過空間を立体的に有し、従来のフィ
ルタでは濾過することが不可能であった、人体より放出
される油分等の有機質も好適に濾過することが可能であ
る。
の水質を規定範囲内に維持することが重要である。ここ
でいう規定範囲とは、水道法による水道基準,遊泳プー
ル水の水質基準などに基づく規定範囲を指している。そ
して、このような基準を満たすため、各プールに、各種
の水質浄化処理装置(プール水浄化処理装置)が設置さ
れて、プール水の浄化処理が行われている。
ると、プール水浄化処理装置は、例えば、本発明者の出
願に係る特開平11−347376号公報「多孔質セラ
ミックフィルタおよびこれを用いる流体浄化方法ならび
に装置」に開示されているように、濾過装置,殺菌装
置,吸着浄化装置などの各種の浄化処理装置から構成さ
れている。
り取出されたプール水は、上述の各種の浄化処理装置に
より順次処理されて浄化処理された後、前述の基準に適
合するように消毒用の塩素を添加された上で、プールに
戻されるという形で、繰り返し使用される。なお、この
過程では、一部のプール水が排出され、代わりに新鮮な
水道水もしくは井戸水などが補給される。
プール水浄化処理においては、高機能の濾過装置,殺菌
装置,吸着浄化装置などの各種の浄化処理装置を用いて
処理を行った上に、さらに、消毒用の塩素を添加すると
いう、いわば、二重の安全策が採られている。そして、
この消毒用の塩素は、活性塩素、すなわち、次亜塩素酸
の形でその添加量が規定されているものである。
ては、高機能の濾過装置,殺菌装置,吸着浄化装置など
の各種の浄化処理装置を用いて浄化処理を行った上に、
次亜塩素酸塩を添加しているわけであるが、このような
方法では、次亜塩素酸塩の消費量が多くなり、コスト的
にも無視できない部分を占めるに至っている。
たもので、その第1の目的は、前述のような高機能の濾
過装置,殺菌装置,吸着浄化装置などの各種の浄化処理
装置を用いて処理を行うとともに、プール水中に含まれ
る塩分を次亜塩素酸塩に変えて、プール水中に戻すよう
な処理を追加することにより、新規に追加する次亜塩素
酸塩の消費量を低減するようにしたプール水浄化処理方
法および装置を提供することにある。
出願人の出願に係る特願平10−1754269号「多
孔質セラミックフィルタおよびこれを用いる流体浄化方
法ならびに装置」(特開平11−347376号)によ
り提案した流体浄化処理装置をさらに改良することによ
り、前記従来技術の問題点を解決し、不純物の濾過や吸
着浄化や殺菌等、プール水浄化処理装置に要求される能
力を好適に満足させ、しかも低コストで運用可能なプー
ル水浄化処理方法および装置を提供することにある。
に、本発明に係るプール水浄化処理方法は、少なくとも
濾過工程を有するプール水浄化処理方法であって、前記
濾過工程の後段に濾過工程を終了したプール水の電気分
解工程を有することを特徴とする。また、前記濾過工程
の後段に濾過工程を終了したプール水の殺菌工程を有
し、この殺菌工程を終了したプール水を前記電気分解工
程により電気分解処理することを特徴とする。
は、前記殺菌工程の後段に前記濾過工程および殺菌工程
を終了したプール水の吸着浄化工程を有し、この吸着浄
化工程を終了したプール水を前記電気分解工程により電
気分解処理することを特徴とする。さらに、前記電気分
解工程の前段または後段の少なくとも一方に、消毒用塩
素製剤の添加工程を有することを特徴とする。
は、前記濾過工程が、多孔質セラミックフィルタを用い
て行われるものであることを特徴とする。さらに、前記
濾過工程が、前記多孔質セラミックフィルタに、活性炭
を含むプレコートを施して行われるものであることを特
徴とする。
しては、浄化処理前のプール水と接触する外周面および
浄化処理前のプール水が流れる中心貫通孔を限定する内
周面とを有する筒状体からなり、この筒状体の外周面と
内周面との間の肉厚部にその軸線方向に浄化処理後のプ
ール水が流れる複数の貫通孔を有する円筒状の多孔質セ
ラミックフィルタを用いることが好ましい。
に係るプール水浄化処理方法は、下記のように、プール
水浄化処理装置として具体化することが可能である。
を有するプール水浄化処理装置であって、前記濾過手段
の後段に濾過工程を終了したプール水の電気分解手段を
有することを特徴とするプール水浄化処理装置として具
体化することが可能である。ここで、前記濾過手段の後
段に濾過工程を終了したプール水の殺菌手段を備え、こ
の殺菌手段による殺菌工程を終了したプール水を前記電
気分解手段により電気分解するように構成することが好
ましい。
は、前記殺菌手段の後段に前記濾過手段,殺菌手段によ
る濾過および殺菌工程を終了したプール水の吸着浄化手
段を備え、この吸着浄化手段による吸着浄化工程を終了
したプール水を前記電気分解手段により電気分解するよ
うに構成することが好ましい。さらに、前記電気分解手
段の前段または後段の少なくとも一方に、消毒用塩素製
剤の添加手段を有するように構成することが好ましい。
は、前記濾過手段を、多孔質セラミックフィルタで構成
することが好ましい。ここで、前記多孔質セラミックフ
ィルタとしては、浄化処理前のプール水と接触する外周
面および浄化処理前のプール水が流れる中心貫通孔を限
定する内周面とを有する筒状体からなり、この筒状体の
外周面と内周面との間の肉厚部にその軸線方向に浄化処
理後のプール水が流れる複数の貫通孔を有する円筒状の
多孔質セラミックフィルタを用いることが好ましい。
においては、前記殺菌手段が、紫外線照射手段および空
気バブリング手段であることが好ましい。またさらに、
前記吸着浄化手段が、活性炭を含んで構成されるもので
あることが好ましい。
置においては、前記電気分解手段による電気分解工程に
おいて発生する酸素を、前記殺菌工程に還流するための
送気手段を有することが好ましい。さらに、本発明に係
るプール水浄化処理装置においては、前記濾過手段とし
て、砂濾過手段と前記多孔質セラミックフィルタを用い
る精密濾過手段とを組み合わせて用いてもよい。
ば、処理対象となるプール水中に含まれる塩分(人体か
ら放出される汗などに含まれるもの)を電気分解により
消毒用に添加する塩素製剤の一部として利用することが
可能になり、塩素製剤の添加量を削減することが可能に
なる。これにより、消毒等の処理の実を挙げつつ、プー
ル運用のランニングコストを大幅に低下させることが可
能になる。
は、上述のプール水浄化処理を効率的に実行することが
可能な装置であり、上述の作用・効果を具体化すること
が可能なものである。
ついて、添付の図面に基づいて詳細に説明するが、本発
明は、これに限定されるわけではない。
浄化処理装置を利用するプール水浄化処理システムの基
本構成を示す図である。図1に示されるプール水浄化処
理システムは、プール12からオーバーフローしたプー
ル水を貯留するオーバーフロータンク14と、プレフィ
ルタ(ヘヤキャッチャー)16と、プール水循環用ポン
プ18と、本発明のプール水浄化処理装置10と、濾過
助剤供給ユニット22と、塩素タンク24並びに限外濾
過装置26を有している。なお、84a,86aはバル
ブを示している。
からオーバーフローしたプール水、あるいは自然排水も
しくはポンプ等により強制排水されたプール水を一時的
に貯留するものであり、所定量のプール水を配管を通し
てプレフィルタ16,16に供給する。
ボンフィルタなどをタンク内に配置したものからなり、
オーバーフロータンク14から流出したプール排水中に
含まれ、あるいは浮遊している髪の毛,糸くず,絆創膏
やゴミなどの粗大な不純物を除去するためのもので、後
段の本発明のプール水浄化処理装置10によるプール水
浄化処理(特に、後述する多孔質セラミックフィルタ2
0による濾過)をスムーズに行わせるために設けられ
る。
プール水を本発明のプール水浄化処理装置10の流路内
で流動させるためのエネルギを与えるものであればどの
ようなものでもよい。この循環ポンプは1台のポンプで
あってもよいし、複数のポンプを並列または直列に配置
したものであってもよい。
で本発明のプール水浄化処理装置10によって精密濾
過,殺菌および吸着浄化処理される。以下、図2に基づ
いて、本発明のプール水浄化処理装置10の詳細な構成
例を説明する。
ール水浄化処理装置10は、精密濾過部84と、殺菌部
90と、吸着浄化部86と、電気分解部88並びにこの
電気分解部88からの流出液の混合部92とを有する。
ブ84aを経て精密濾過部84内に流入し、精密濾過部
84によって濾過される。この精密濾過部84は、後述
する多孔質セラミックフィルタ(以下、単にセラミック
フィルタという)20によって、プール水中に持ち込ま
れてあるいは生成されて混在している浮遊金属塩類,油
分,汚れなどの有機物,不純物,細菌などの微細粒子
(例えば、0.25μm〜1μm程度の微細粒子)まで
濾過して、プール水を浄化処理するための装置である。
0.25μm〜1μm程度の微細粒子まで濾過可能なセ
ラミックフィルタ20が複数本(例えば、100〜15
0本程度)装着されている。セラミックフィルタ20と
しては、通常の円筒状等の各種のものが利用可能であ
る。例えば、長さ500mm、内径50mm、外径85
mmの市販のセラミックフィルタを用いることができ
る。しかし、好ましくは、本出願人による出願に係る特
開平5−253451号公報に開示されている、浄化処
理する前のプール水と接触する外周面および中心貫通孔
を限定する内周面とを有する筒状体からなり、この筒状
体の外周面と内周面との間の肉厚部に、その軸線方向に
浄化処理後のプール水が流れる複数の貫通孔を有するセ
ラミックフィルタが好適に利用される。
例として、図3(a)および(b)に示すように、外周
面42aおよび内周面42bを有する円筒状体42から
なり、円筒状体42の肉厚部42cに円筒状体42の軸
線に平行な複数の貫通孔43を有するものが挙げられ
る。図示例では、貫通孔43は、円筒状体42に10個
穿設され、その断面形状は長円状であるが、数および形
状は特に限定されるわけではない。通常のセラミックフ
ィルタは、単純な円筒状体であるのに対して、このセラ
ミックフィルタ20は、円筒状体42の肉厚部42cに
少なくとも一次濾過したプール水を流すための複数の貫
通孔43が設けられている。従って、このセラミックフ
ィルタ20は、例えば、以下に述べる方式に従って使用
するのが効果的である。
みならず内周面42bにも濾過助剤をプレコートし、円
筒状体の内周面42bによって形成される中心貫通孔4
4にも浄化処理前のプール水を流して、外周面42aお
よび内周面42bの両方に未浄化プール水を接触させ、
浄化処理したプール水を貫通孔43から回収することが
できるので、プール水の処理能力を大幅に向上させるこ
とができる。
前記特開平5−253451号公報の図4,図11〜図
17に開示されているような各種のセラミックフィルタ
も、好適に利用可能である。
の例としては、同じく本出願人の出願に係る特願平10
−175426号「多孔質セラミックフィルタおよびこ
れを用いる流体浄化方法ならびに装置」(特開平11−
347376号公報参照)に開示されている、浄化処理
する前のプール水と接触する外周面および中心貫通孔を
限定する内周面とを有する筒状体からなり、この筒状体
の外周面と内周面との間の肉厚部に、その軸線方向に浄
化処理後のプール水が流れる複数の貫通孔と、上記外周
面と内周面とを接続する連絡流路を有するセラミックフ
ィルタが、好適に利用可能である。
うに、先に説明したセラミックフィルタの有する、その
軸線方向に浄化処理後のプール水が流れる複数の貫通孔
43相互間を、上記外周面42aと内周面42bとを接
続する連絡流路47とすることにより、濾過面積の大幅
な増加を実現したものであり、別のいい方では、このセ
ラミックフィルタは、多数のセラミックフィルタ膜セル
46を組み合わせたものである。
は、先に説明したセラミックフィルタと実質的に同様で
あるが、濾過面積が大幅に増加しているため、濾過効率
をさらに大幅に向上させることができるという特徴があ
る。上述のような構成を有するセラミックフィルタ20
は、精密濾過部84内において、適宜の接合部材によっ
て、複数本(図2に示す例では3本であるが、これに限
定されないのはもちろんである)が接合されて用いられ
る。
しては、まず、後述する濾過助剤供給ユニット22から
供給される種々の濾過助剤を、セラミックフィルタ20
の外周面42aおよび内周面42bに予めプレコートし
ておく。そして、バルブ84aを経て精密濾過部84に
導入された浄化処理すべきプール水を、セラミックフィ
ルタ20の中心貫通孔44にも導入して外周面42aの
みならず、内周面42bにも加圧接触させて、プール水
中の不純物を主に濾過助剤に吸着させ、さらにセラミッ
クフィルタ20で濾別して、清浄水のみを透過させて貫
通孔43に流入させる。
を用いることによって、セラミックフィルタ20の外周
側と中心孔側の両側から供給される未浄化プール水は、
濾過されて肉厚部42c内(もしくは、前述のセラミッ
クフィルタ膜セル46内)の貫通孔43に透過してく
る。そして、この浄化処理済みのプール水は、この貫通
孔43から集められて、次工程に送られる。
逆洗操作時においては、セラミックフィルタ20の貫通
孔43側から気液2相のジェット水流を導入し、このジ
ェット水流が、貫通孔43からセラミックフィルタ20
の外周面42aおよび内周面42b(並びに連絡流路4
7)に向かって噴出して、セラミックフィルタ20内に
捕獲されていた不純物および外周面42aおよび内周面
42b(並びに、前述のセラミックフィルタ膜セル46
の外周面)にプレコートされていた濾過助剤や濾滓を吹
き飛ばして除去する。
に設けられたノズルからのシャワーによって、内周面4
2bは中心貫通孔44内に設けられたノズルからのシャ
ワーによって洗浄される。このように、本実施例に係る
濾過ユニットにおいては、大量のプール水の濾過もセラ
ミックフィルタ20の逆洗もスムーズに行うことができ
る。
Aにおいては、セラミックフィルタ20によって濾過さ
れたプール水は、バルブ84bを経て集水され、殺菌部
90に送液される。
菌やブドウ状球菌などの細菌やウィルスを殺菌,滅菌お
よび不活化するためのもので、透明な石英ガラス管内に
挿入された紫外線ランプにより、前記石英ガラス管の外
側を循環する濾過後のプール水を殺菌するばかりでな
く、石英ガラス管内に酸素ガスや乾燥空気を送気して上
記紫外線ランプによりオゾンを発生させ、発生したオゾ
ンを含む空気をプール水中に十分にバブリングして攪拌
し、小さな気泡として混合させることにより、プール水
のオゾンによる酸化殺菌を行うものである。なお、通
常、プール水は塩素殺菌が行われるが、この紫外線殺菌
およびオゾン殺菌はプール水に混入される塩素製剤の効
果をより一層効果的にするものである。
は、次に吸着浄化部86内に送られ、ここで、吸着浄化
される。すなわち、吸着浄化部86において、プール水
中に存在する殺菌されたバクテリア類が、吸着除去され
る。
ト、活性炭、シリカゲルなどの吸着剤が充填されたもの
で、濾過および殺菌後のプール水中に含まれている汗や
尿などから発生したアンモニアや殺菌部90で分解され
た細菌,色素および結合塩素などを、吸着剤の吸着作用
等により吸着して除去するためのものである。
ル水中に溶解させるものでなければなんでもよいが、ゼ
オライトおよび活性炭さらにはシリカゲルなどが好まし
い。ここで、ゼオライトは、特に上述のアンモニアを吸
着除去するのに有効なものであり、活性炭は、特に臭気
成分,色素,プール水の結合塩素などを吸着除去し、シ
リカゲルは、特にタンパク質を選択的に除去する作用が
ある。
ール水は、次に、電気分解部88に流入する。電気分解
部88では、吸着浄化部86による吸着浄化処理の終了
したプール水に対し、所定の直流電圧を印加して、隔膜
を用いる電気分解処理を行う。
この電気分解処理について、詳細に説明する。未浄化の
プール水中には、人体から放出される汗などに含まれて
いた塩分が、Cl -として、概ね10mg/l〜200
mg/l程度存在することが知られている。ここでは、
この塩分を含む未浄化のプール水を電気分解処理し、上
述の塩分を次亜塩素酸イオンとして、消毒用に利用する
ものである。
解部88の陰極には水素ガスが発生する。また、陽極に
は当初は塩素ガスが発生し、電気分解処理がさらに進行
して陽極付近の塩素イオン濃度が低下すると、酸素ガス
が発生する。そして、発生した塩素ガスは直ちに水に吸
収されて次亜塩素酸イオンに変化するので、そのまま、
プール水の消毒に用いられる。
ら、電気分解により塩分を次亜塩素酸イオンとして取り
出し、これを消毒用に利用するという技術は、これをプ
ール水の浄化処理に用いることができるばかりでなく、
他の各種の処理、例えば、飲料水の浄化処理や、さらに
は産業廃棄物処理場からの浸出水の浄化処理などにも好
適に利用できるものであることはいうまでもない。
殺菌部90に送られて、濾過済みのプール水のバブリン
グに用いられる。そして、この過程で、紫外線照射によ
ってもたらされるラジカル反応により、その一部がオゾ
ンに変化して、自らも殺菌作用に貢献することになる。
また、陽極をオゾン発生に有効な触媒となる金属で構成
することにより、陽極で直接オゾンを発生させることも
可能である。
陰極付近の水は弱酸性に、また、陽極付近の水は弱アル
カリ性になる。そこで、この両者を混合部92において
混合し、必要な場合には、さらに、pHを所定の範囲に
なるように調整した上で、プール水浄化処理装置10A
から送出するようにする。
流させる前に塩素製剤を添加して、遊離残留塩素濃度を
所定の目標値範囲内に調整することも可能である。また
さらに、任意の複数の時点で、処理対象水の諸特性を測
定し、必要に応じてその結果を前段の各処理工程にフィ
ードバックし、適切な対応をとることも可能である。
84のセラミックフィルタの洗浄時期を調整したり、電
気分解処理前のプール水中の塩分量によって、電気分解
処理前のプール水に、塩素製剤を添加するなどの処置が
行われる。また、電気分解部88の電極には、析出物
(主として、カルシウム化合物)の付着を防止するた
め、振動を与えることが有効である。振動は、例えば、
超音波振動子による方法,超音波モータを用いる方法
(この場合には、摺動による析出物除去効果も期待でき
る)などが好適に利用可能である。
10Aによって高度に浄化処理されたプール水は、次い
で限外濾過装置26に流入し、より高度に浄化処理さ
れ、プール12に戻される。この際、必要に応じて、熱
交換器を通して所定の温度に加温することも可能であ
る。限外濾過装置26は、セラミックフィルタ20で分
離除去できない、菌類よりもさらに小さいウィルス、例
えば、エイズウィルス,インフルエンザウィルス,日本
脳炎ウィルス,肝炎ウィルス類等や、タンパク質類等を
分離除去するためのもので、中空糸膜などの限外濾過膜
を多数配列したものである。
る不純物のうち、セラミックフィルタ20では、大腸
菌,コレラ菌,チフス菌,緑膿菌等の細菌類などのよう
な、ほぼ、0.2μm〜0.5μm程度以上の直径を持
つ不純物粒子が除去されるが、これ以下の直径を持つ不
純物粒子は除去できない。
空糸膜などの限外濾過膜によってプール水中に残存して
いる0.001μm〜0.2μm程度の粒子径を持つタ
ンパク質類(例えば、0.002μm〜0.01μm程
度)およびウィルス類(例えば、0.01μm〜0.2
μm程度)ならびにセラミックフィルタで完全に除去で
きなかった細菌類(例えば、0.2μm〜0.5μm程
度)を除去している。しかし、プール水中に必要なイオ
ン、例えばNa+ などの金属イオン、Cl- などの陰イ
オン等のイオンや分子類は限外濾過膜を透過する。
いフィルタを使用して大量のプール水を濾過しようとし
た場合にはすぐに目詰まりを生じ、継続的な濾過が不可
能であったが、図示例においては、限外濾過の前に、予
めプール水をセラミックフィルタ20により精密濾過す
ることにより、はじめて大量のプール水の限外濾過を可
能にしている。
く、公知の限外濾過膜、すなわち中空糸膜であればよ
く、例えば代表的にクラレUFフィルター(クラレ社
製)などを挙げることができる。また、このような中空
糸膜は、外側から内側に向けて限外濾過するものであっ
ても、逆に内側から外側に向けて限外濾過するものであ
ってもよい。
述のように、セラミックフィルタ20によるプール水の
濾過を補助し、さらにセラミックフィルタ20の目詰ま
りを防止するとともに逆洗を容易にするための濾過助剤
を供給する、濾過助剤供給ユニット22を有する。
化処理装置10A内の精密濾過部84のセラミックフィ
ルタ20の濾過能力を常に良好な状態に維持し、洗浄お
よび逆洗を容易にする濾過助剤層を形成するための濾過
助剤を保持しており、精密濾過部84の使用開始前に、
これをスラリーポンプによってプール水浄化処理装置1
0A内のセラミックフィルタ20に供給する。
な孔を有するため、直接的に濾過に用いると、この微細
な孔がすぐに目詰まりして、短時間のうちに濾過能力が
低下してしまう。このため、セラミックフィルタは一般
的にその流入側面に、除去が容易な濾過助剤層を形成し
て用いている。
土や石灰などの粉末状濾過助剤およびセルロース,パル
プ繊維やアスベスト等の繊維状濾過助剤ならびにタンパ
ク質の選択的除去が可能なシリカゲルなどを用いるのが
好ましい。従って、前記セラミックフィルタ20の流入
側面には、除去が容易な粉末状濾過助剤からなる剥離層
を設け、その上層に、繊維状濾過助剤からなる濾過層な
らびにシリカゲル層を形成しておくのが好ましい。
濾過助剤などにより形成した一次助剤層上に、粉末状の
活性炭による二次助剤層を形成して用いることが好まし
い。これにより、活性炭の吸着能力を利用して、従来の
方法では不可能であった、結合塩素を除去することが可
能になるという新規な効果が得られるものである。ま
た、この活性炭層は、繊維状濾過助剤などにより形成し
た一次助剤層上に形成されているため、粉末状の活性炭
を用いた場合にも、前記セラミックフィルタ20の目詰
まりを起こしにくいという効果がある。
されるプール水浄化処理システムにおいては、プール1
2からオーバーフローしたプール水は、オーバーフロー
タンク14に流入し、プレフィルタ16,16により髪
の毛,糸くずなどの比較的大きな不純物を除去された
後、循環ポンプ18,18の作用によりプール水浄化処
理装置10Aに流入する。
部84に流入し、セラミックフィルタ20によって精密
濾過され、次に、紫外線およびオゾンを用いる殺菌部9
0に流入して殺菌された後、活性炭などを用いる吸着浄
化部86の吸着浄化層に流入して、アンモニアなどの不
快臭分子や殺菌部90によって死滅させられたウィルス
類,細菌類を吸着除去した後、電気分解部88に送られ
る。
て塩分を有効な消毒剤成分に変化させた後のプール水
は、同じく電気分解部88において生成された酸性水,
アルカリ性水の混合液として、プール水浄化処理装置1
0Aから送り出される。その後、プール水浄化処理装置
10Aによって高度に浄化処理されたプール水は、限外
濾過装置26に流入してさらに限外濾過された後、浄化
処理済みプール水としてプール12に戻される。
10Aによれば、不純物の濾過や殺菌,吸着浄化等の、
プール水浄化処理装置に要求される処理を効率的に行う
ことを可能とするとともに、プール水中に持ち込まれ
る、人体から放出された塩分を有効利用可能としたプー
ル水浄化処理装置を実現できるという効果が得られる。
また、上記実施例に示したプール水浄化処理装置10A
によれば、殺菌消毒用に用いられる塩素製剤に不純物と
して含まれるNaCl(塩化ナトリウム)が、有効に利
用可能になるという効果も得られる。これは塩素製剤の
生産量低減に貢献することに通じ、地球環境保護の面か
らも大きく評価できる。
明する。電気分解部88は、前述のように、吸着浄化処
理の終了したプール水に対し、所定の直流電圧を印加し
て、隔膜(イオン膜)を用いる電気分解を行うものであ
るが、ここで用いる電極の形状などについては、以下の
ような点に配慮することが好ましい。
めの電極の配置にも留意することが好ましい。例えば、
図5(a)に示すような、一対の平板状の電極を対峙さ
せた場合に比較して、同(b)に示すような、一対の同
心円状の電極を対峙させた場合,同(c)に示すよう
な、複数の円筒状の電極を対峙させた場合などでは、同
一容積の処理槽内で単位時間に処理可能な処理対象水の
量が大幅に増加する。
極、88cは隔膜を示している。この隔膜88cとして
は、塩素イオンに対して極めて選択性の高い遮蔽性(非
透過性)を有するイオン選択透過性膜(例えば、ナフィ
オン(Nafion 、デュポン社商品名))などを用いるこ
とが好ましい。
極を構成する材料として、均質な板状のものと、細かい
メッシュ状のものを比較すると、細かいメッシュ状のも
のでは電極の表面積が大きくできる分、大量の水の処理
が可能になる。実際の電極の設計に際しては、これらの
点をよく考慮して、処理槽の形状や目的とする処理速度
などに合った材質,形状を決定する必要がある。
10においては、精密濾過部84内のセラミックフィル
タの濾過能力を高水準に維持するために、適宜、逆洗洗
浄を行うことが好ましい。これには、高圧空気含有洗浄
水流を供給する機能を有する逆洗装置を備えることが好
ましい。
のセラミックフィルタ20の濾過能力を常に良好な状態
に保つように、濾過効率が低下する前に、例えば、一定
期間ごとにセラミックフィルタ20に堆積した濾滓を除
去・洗浄するための高圧空気含有洗浄水流(ジェット水
流)を発生させるための、洗浄水の流速を加速する循環
回路と、高圧空気と加速された洗浄水との混合器を備え
ることが好ましい。
様の逆洗装置を備えてもよい。これにより、限外濾過膜
の濾過効率の低下を防止し、常に高い効率に維持すると
ともに、高価な限外濾過膜の交換の頻度を少なくするこ
とが可能になるという効果が得られる。この逆洗装置
は、洗浄水供給のためのタンク,ポンプおよび超音波発
生器から構成される。
て洗浄水を限外濾過装置26の出口側に流入させ、限外
濾過膜の内側から外側に逆流させて、限外濾過膜に捕獲
された不純物微細粒子を外側に流し出し、この微細不純
物粒子を含む洗浄水を限外濾過装置26の外部に排出す
る。なお、このとき、超音波発生器によって限外濾過装
置26の外周から中心に向けて超音波を発振させ、限外
濾過膜を超音波振動させることで、捕獲されていた不純
物微粒子の逆洗除去を容易にし、逆洗効率を高ることが
できる。
などの濾過装置の逆洗用に、殺菌部90内において発生
するオゾンを含む水(オゾン水)を流用することも有効
である。また,このオゾン水は、吸着浄化部86におけ
る吸着炭の洗浄などにも好適に利用可能である。
水浄化処理装置の精密濾過手段に利用される多孔質フィ
ルタを、多孔質セラミックフィルタを代表例として説明
したが、本発明はこれに限定されず、多孔質セラミック
フィルタのように非常に微細な孔を3次元的に有し、細
菌などの微粒子や生体から放出される油分等も濾過する
ことが可能なものであれば、材質は特にセラミックに限
定されることはない。
液体中の除去対象となる不純物の粒子径に応じて適当な
ものを選べばよい。例えば、3次元構造の繊維状物をプ
レス圧縮して得た圧縮ステンレスパイル,圧縮金属パイ
ル,カーボン繊維を圧縮したもの,焼結金属,樹脂ビー
ズを固めたものなど、種々の材質の多孔質フィルタを挙
げることができる。
ような電気分解部88の電極への析出物の付着防止以外
に、前記殺菌部90などにおけるオゾンによる殺菌作
用、あるいは、前記吸着浄化部86における活性炭によ
る吸着作用の効果を向上させるためにも用いることが可
能である。この場合における超音波は、上記殺菌部9
0,吸着浄化部86などのオゾン吹き込み口付近に振動
子を設ける方式などで供給することが好ましい。
する紫外線ランプとしては、本出願人が先に特願平10
−351148号「紫外線蛍光ランプおよび浄化装置」
により提案した、2種類の波長の異なる紫外線を射出し
て、殺菌のみならず、オゾンを効率的に発生させる機能
を備えた紫外線蛍光ランプを用いると、処理をさらに効
率化することが可能である。
ランプとを組み合わせて用いる場合の、電気分解部88
の構成を示す部分断面図である。ここでは、図5(b)
に示したような円筒状の電極88a,88bに超音波発
振器88dを取り付けるとともに、上記円筒状の電極8
8a,88bに対応するように環状の紫外線蛍光ランプ
90Aを配置し、この紫外線蛍光ランプ90Aの周囲に
も超音波発振器88dを配置したものである。
る処理対象水Wは、電気分解を受けた直後に、引き続い
て紫外線照射による殺菌処理を受けるが、このとき、電
極には超音波の作用により析出物が付着しにくく、ま
た、紫外線照射による殺菌処理においては、これが超音
波の作用により加速されるという効果が得られ、さら
に、紫外線蛍光ランプ90Aの周囲における水流が加速
される効果も得られる。
は、これを、さらに図7に示すように一体化しコンパク
ト化することが可能である。ここでは、陰陽両電極間に
存在する隔膜88cを複数の部分に区切り、それらの複
数の部分の間に紫外線蛍光ランプ90Aを配置したもの
である(図7(a)参照)。また、電気分解部88の入
口側,出口側に、それぞれ超音波モータ(いわゆる進行
波型モータ)を配置しており、これにより図中の上方へ
の水流を加速するようにしている。
いて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はさ
れず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の
変更および改良を行ってもよいのはもちろんである。
にキセノンランプを用いてもよい。この場合、キセノン
ガス単独のものに限らず、キセノンガスとアルゴンガス
とが混合状態で用いられている混合キセノンランプも好
適に用い得る。
プール水中に含まれる不純物の濾過や殺菌や吸着浄化
等、浄化処理装置に要求される能力を好適に満足し、か
つ、低コストでプール水浄化処理装置を運用することが
可能になるという顕著な効果を奏するものである。
置を利用するプール水浄化処理システムの一例を示す概
念図である。
一具体例を示す概略断面図である。
本発明のプール水浄化処理装置に用いられる多孔質セラ
ミックフィルタの一例を示す上面図および断面図であ
る。
用いられる多孔質セラミックフィルタの他の一例を示す
上面図および断面図である。
の説明図である。
他の具体例を示す概略部分図(その1)であり、断面図
である。
他の具体例を示す概略部分図(その2)であり、(a)
は上面図、(b)は断面図である。
Claims (12)
- 【請求項1】少なくとも濾過工程を有するプール水浄化
処理方法であって、前記濾過工程の後段に濾過工程を終
了したプール水の電気分解工程を有することを特徴とす
るプール水浄化処理方法。 - 【請求項2】前記濾過工程の後段に濾過工程を終了した
プール水の殺菌工程を有し、この殺菌工程を終了したプ
ール水を前記電気分解工程により電気分解処理すること
を特徴とする請求項1に記載のプール水浄化処理方法。 - 【請求項3】前記殺菌工程の後段に前記濾過工程および
殺菌工程を終了したプール水の吸着浄化工程を有し、こ
の吸着浄化工程を終了したプール水を前記電気分解工程
により電気分解処理することを特徴とする請求項2に記
載のプール水浄化処理方法。 - 【請求項4】前記電気分解工程の前段または後段の少な
くとも一方に、消毒用塩素製剤の添加工程を有すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプー
ル水浄化処理方法。 - 【請求項5】前記濾過工程は、多孔質セラミックフィル
タを用いて行われるものであることを特徴とする請求項
1〜4のいずれか1項に記載のプール水浄化処理方法。 - 【請求項6】前記濾過工程は、前記多孔質セラミックフ
ィルタに、活性炭を含むプレコートを施して行われるも
のであることを特徴とする請求項5に記載のプール水浄
化処理方法。 - 【請求項7】少なくとも濾過手段を有するプール水浄化
処理装置であって、前記濾過手段の後段に濾過工程を終
了したプール水の電気分解手段を有することを特徴とす
るプール水浄化処理装置。 - 【請求項8】前記濾過手段の後段に濾過工程を終了した
プール水の殺菌手段を備え、この殺菌手段による殺菌工
程を終了したプール水を前記電気分解手段により電気分
解することを特徴とする請求項7に記載のプール水浄化
処理装置。 - 【請求項9】前記殺菌手段の後段に前記濾過手段,殺菌
手段による濾過および殺菌工程を終了したプール水の吸
着浄化手段を備え、この吸着浄化手段による吸着浄化工
程を終了したプール水を前記電気分解手段により電気分
解することを特徴とする請求項8に記載のプール水浄化
処理装置。 - 【請求項10】前記電気分解手段の前段または後段の少
なくとも一方に、消毒用塩素製剤の添加手段を有するこ
とを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のプ
ール水浄化処理装置。 - 【請求項11】前記濾過手段は、多孔質セラミックフィ
ルタで構成されるものであることを特徴とする請求項7
〜10のいずれか1項に記載のプール水浄化処理装置。 - 【請求項12】前記多孔質セラミックフィルタとして、
浄化処理前のプール水と接触する外周面および浄化処理
前のプール水が流れる中心貫通孔を限定する内周面とを
有する筒状体からなり、この筒状体の外周面と内周面と
の間の肉厚部にその軸線方向に浄化処理後のプール水が
流れる複数の貫通孔を有する円筒状の多孔質セラミック
フィルタを用いることを特徴とする請求項11に記載の
プール水浄化処理装置。
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