JP2002282371A - 低電圧駆動型イオントフォレシス素子 - Google Patents

低電圧駆動型イオントフォレシス素子

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JP2002282371A
JP2002282371A JP2001091581A JP2001091581A JP2002282371A JP 2002282371 A JP2002282371 A JP 2002282371A JP 2001091581 A JP2001091581 A JP 2001091581A JP 2001091581 A JP2001091581 A JP 2001091581A JP 2002282371 A JP2002282371 A JP 2002282371A
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conductive
needle
layer
insulator
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Hiroyuki Kasano
宏之 笠野
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Polytronics Ltd
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Polytronics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高分子薬剤の急速浸透や血中濃度の制御性に
優れた自己偏倚型(内部電源駆動型)素子を提供する。 【解決手段】 非浸透有効成分を含む薬剤層3の一方の
表面に第2の導電性鉱物6を積層する。薬剤層3の他方
の表面に絶縁体層2を設ける。絶縁体層2の薬剤層3と
反対側の面には中空絶縁体針4が形成する。一方、中空
絶縁体針4の近傍には第1の導電性鉱物1で被覆した閉
端絶縁体針5を本配置する。閉端絶縁体針5を被覆した
第1の導電性鉱物1はストライプ状に非皮接領域まで進
展し、非皮接領域で第2の導電性鉱物6と導電接続す
る。閉端絶縁体針5及び第1の導電性鉱物1ストライプ
は、絶縁体層2の皮接面上に中空絶縁体針4と空間的に
分離させる。第1、第2の導電性鉱物1、6の自由表面
を構成する材料は、互いに異なる電子親和力をもつ金属
または半導体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被浸透薬剤イオン
の有効成分を電界加速により皮内に浸透させるイオント
フォレシス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】経皮投薬は、薬剤の血中濃度定量化や局
所投与性に優れ、患者の負担が少ないので望ましい投薬
方法として開発が続けられている。高分子薬剤の浸透促
進法のうち有力な手段のひとつにイオントフォレシスが
ある。イオントフォレシスは、可溶性の被浸透薬剤イオ
ンを電気的に偏倚することによって、通電路の一部であ
る皮内に電界加速して引き込むもので、パルス通電の場
合エレクトロポレーションということもある。イオント
フォレシス素子は、高分子薬剤投与の場合、高い電界強
度、高い電流密度を必要とするため、通電電極下の皮膚
が損傷を受けることが多い。また、通電の安全性を確保
するため、保護装置等電気回路がコストアップになるこ
とは避けられない。さらに皮膚組織と反応する薬剤は、
浸透中に薬効を失いまた皮膚トラブルをを起こすため経
皮投薬できないという問題点があった。
【0003】本発明者は、低コストで安全性が高く、ま
た皮膚適合性を欠く薬剤投与も可能な方法として、皮接
時生体皮膚を電解質として発電する電池を利用し、かつ
細針で皮膚内部と薬剤層とを導電的に連結する微少侵襲
のインフォレシス素子の出願を行った(特願平9−32
1457号)。この素子は、被浸透薬剤イオンを含む導
電性薬剤層に接触した金属または半導体Aを自由表面に
もつ第1の導電性鉱物と、Aとは異なる電子親和力を有
し前記第1の導電性鉱物及び薬剤層とは絶縁して積層さ
れ接皮して用いられる金属または半導体Bを自由表面に
もつ第2の導電性鉱物とを、それぞれ正極及び負極と
し、皮膚を電解質として発電する生体電池を偏倚用電源
としている。また、薬剤層と第2の導電性鉱物とを電気
的に遮断する絶縁層に中空細針を設け、皮接時にこの細
針を以て穿皮することにより角質層を回避して被浸透薬
剤イオンを皮内に浸透せしめ得る機能を持っている。こ
の結果外部電源を用いることなく、皮膚に損傷を与えな
い程度の低い偏倚電圧によっても高分子薬剤を効率よく
体内に浸透させることが可能となった。また皮膚表面、
特に角質層における薬剤の科学的変化の影響を回避する
ことが出来、多くの薬剤の経皮投与が可能になった。し
かるに、薬剤の急速浸透が必要な場合例えば急性疾患の
場合や、血中濃度制御の場合には、偏倚電源の動作マー
ジンを大きくとることが必要となる。ところが前記素子
は、電極間の電子親和力差を利用した生体電池としてお
り、大出力化は困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】生体電池を電源とする
内部電源式イオントフォレシス素子には、短絡時発電が
自動停止し、また皮膚通電による皮内のpH変化を抑制
するという優れた特徴があるが、その一方上記したよう
に電源の動作マージンが小さいという問題点がある。し
たがって、内部電源式イオントフォレシス素子動作マー
ジンを大きくするには、通電損失なかんずく電池の内部
損失を低減しなければならない。本発明の目的は、比較
的低起電力の内部電源(生体電池)を用いても高分子薬
剤の急速浸透が可能になるように薬剤イオン偏倚の動作
マージンを比較的大きく取り得るイオントフォレシス素
子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】生体皮膚は、角質層、顆
粒層、有棘層、基底層から成る表皮領域と真皮領域およ
び皮下組織からなっている。角質層は、死んだケラチノ
サイトが堆積して形成されるが、表面には皮脂腺が分泌
した脂肪が被っており滑らかさを与えている。角質層の
導電性は、含有する水分によって与えられるが、角質層
は細菌等外敵の侵入を防ぐ目的で緻密に層状分布してい
るため導電性は低い。したがって、皮膚表面に電極を密
着させた時、皮脂層プラス角質層の抵抗値は数百KΩ至
当数MΩに達する。一方、表皮下層である顆粒層以深の
皮膚領域はそれぞれ生きた細胞で構成され、その導電性
は細胞間を流れる体液イオンによって与えられる。それ
ゆえ、この領域の導電性は高く、抵抗率は数百Ω以下で
ある。実験的検討の結果、前記した生体電池の内部損失
の約9割が皮脂層と角質層から成る表皮上部領域で生じ
ていることがわかった。
【0006】そこで本発明では、非浸透有効成分を含む
薬剤層と、この薬剤層の第1の表面側に積層され薬剤層
と反対側の面が皮接面となる絶縁体層と、この絶縁体層
に設けられておりその中空部分が導電的に前記薬剤層及
び皮内と繋がりまたは繋がることが可能である解放端を
有しその形状が皮接面から皮内に突出する針状である中
空絶縁体針と、前記薬剤層と皮内とを電気的に遮断する
ような閉端を有しその形状が皮接面から皮内へ突出する
針状である閉端絶縁体針と、前記絶縁体層の皮接面側の
一部と前記閉端絶縁体針上に導電的に連続して設けられ
閉端絶縁体針と共にその一部が穿皮する構造をもつ金属
または半導体Aから成る自由表面を有する第1の導電性
鉱物と、上記薬剤層の第2の表面に接して設けられ且つ
前記第1の導電性鉱物と非皮接領域で電気的に接続され
前記Aとは異なる電子親和力を有する金属または半導体
Bから成る自由表面をもつ第2の導電性鉱物と、より成
る低電圧駆動型のイオントフォレシス素子を開示する。
【0007】本発明の素子における中空絶縁体針及び閉
端絶縁体針は穿皮能力の高いものが望まれるので、例え
ば硬質合成樹脂などで形成されるが、薬剤輸送及び導電
性の観点から穿皮深さはすくなくともイオン性体液循環
領域である顆粒層以深である必要がある。素子を皮接す
ると同時に、中空絶縁体針及び閉端絶縁体針が針長まで
穿皮される。中空絶縁体針から浸出したイオン性被浸透
有効成分は、体液と接触し起電した生体電池に偏倚され
て速やかに皮下領域から血管内に浸透する。
【0008】一方、閉端絶縁体針を被覆した第1の導電
性鉱物は、皮内で体液と接触しつつ起電する。すなわち
この時、第1の導電性鉱物→体液→薬剤層→第2の導電
性鉱物→第1の導電性鉱物という電気的閉回路を電流が
流れる。第1の導電性鉱物が、単に接皮しているだけの
特願平9−321457号の素子においては、第1の導
電性鉱物は表皮上部である角質層を電解質として起電す
るので電解質作用が弱く、また発生した電流が皮内を貫
流する際接触抵抗と角質層抵抗によって大きな内部損失
を発生するので生体電池外部に引き出し得る電力は小さ
なものになる。
【0009】これにたいして本発明の素子では、第1の
導電性鉱物がイオン性体液と接触して起電するため電解
質効果が高い上に内部損失は小さくなる。すなわち外部
に引き出し得る電力が大きくなるのである。第1の導電
性鉱物が体液と接触して化学変化を生ずる場合には、そ
の表面を化学的に安定な導電物質、例えば導電性カーボ
ンや導電性ポリマーで被覆することができる。この素子
においては、第1の導電性鉱物の発電に寄与する部位
は、ほぼ体液に接触する穿皮部位のみであり、接皮部位
はほとんど導線作用を示すにとどまる。これは、角質層
表面と体液との電解質作用の違いに起因するものと考え
られる。本発明で、中空絶縁体針と閉端絶縁体針を空間
的に分離することによって、イオン性薬剤成分と第1の
導電性鉱物、すなわち電池の両極が電解質内で短絡して
発電を停止する危険が著しく減少した。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の低電圧駆動イオ
ントフォレシス素子を皮接した場合の構造の一例を示す
断面図である。この素子は、薬剤層3と、その上部に設
けられた第2の導電性鉱物6、薬剤層3の下部に接して
設けられた多孔質海面体層7と、その下部に接して設け
られた絶縁体層2と、絶縁体層2の7と反対側表面の一
部に形成された中空絶縁体針4及び閉端絶縁体針5と、
5の表面を被覆し2の平坦部に連続する第1の導電性鉱
物1と、1と6とを非皮接領域で接続する電気的経路E
と、から成る。
【0011】この断面図においては、絶縁体層2の皮接
面側の一部に設けられた細針は、開放端を有する中空絶
縁体針4と閉端絶縁体針5とが交互に並んでいる。閉端
絶縁体針5は、第1の導電性鉱物1によって被覆されて
おり、この第1の導電性鉱物1は絶縁体層2の平坦部を
経て非皮接領域で電気的経路Eにより第2の導電性鉱物
6に接続されている様子が省略図として描かれている。
典型的には、細針4及び5の直径は100μm程度、長
さは1mm程度であるが、目的に応じて別の値をとるこ
ともできる。なお、図では、理解を容易にするために細
針部位のサイズを相対的に他の部位よりも誇張して描い
ている。他の素子構造図においても同様である。
【0012】絶縁体層2は、細針4の開放端部を除いて
薬剤層3と皮膚または皮内とを電気的に遮断する役割を
もっている。絶縁体層2の細針形成面の反対側の面に
は、多孔質海綿体7及び薬剤層3が積層されている。中
空絶縁体針4は、中空部を介して薬剤層3に繋がる。薬
剤層3は、イオン性浸透有効成分を含んだゲルであるこ
とが多いが、クリーム基剤を用いることもできる。ま
た、薬剤層の被浸透有効成分は、元来生体内に存在しな
い成分には限定されない。例えば、生体構成の蛋白質や
DNA、あるいは幹細胞(ES細胞)などとすることも
可能である。薬剤層3に接する多孔質海綿体7には、導
電性液体、例えば生理的食塩水を含浸させることができ
る。その結果、イオン性薬剤有効成分はこの導電性液体
中に浸出し、導電性液体と共に中空絶縁体針4内に侵入
する。
【0013】薬剤層3の多孔質海綿体7接触面と反対側
の面には、第2の導電性鉱物6が導電的に薬剤層3と密
着している。第2の導電性鉱物6の自由表面を形成する
金属または半導体Bが薬剤層3と化学反応する場合に
は、Bの導電性鉱物接触面を化学的に安定な他の導電性
物質、例えば導電性のカーボンやポリマーなどで覆うこ
とができる。前記したように第2の導電性鉱物6の薬剤
層接触面と反対側の面には、第1の導電性鉱物1との間
の電気的経路E(導線または直接第1の導電性鉱物を用
いることが多い)が接続されている。閉端絶縁体針5の
表面に形成された第1の導電性鉱物1の自由表面を成す
金属または半導体Aが穿皮により接触した体液と化学的
に反応する場合にも、上記したA同様安定な他の導電性
材料でその表面を被覆することができる。
【0014】細針4及び5は、素子を皮接した時その先
端が穿皮して皮脂層、角質層を経て表皮下部の顆粒層/
有棘層/基底層にまで最低限到達しなければならない。
必要に応じて中空絶縁体針4の開放端は、さらに深部の
真皮や皮下組織に至るため、細針4及び5は通常1mm
かそれより長い針長を有する。多孔質海綿体7は、素子
構成の必要条件ではないが、導電性液体を予め含浸させ
ておくことにより素子皮接時に速やかに薬剤イオンを体
液と接触させることが可能となる。第1及び第2の導電
性鉱物1および6は、それぞれの自由表面を構成する金
属または半導体AおよびBがそれぞれ異なる電子親和力
を有するように選択する。薬剤層3に含有される被浸透
薬剤イオン(有効薬剤成分イオン)が負に帯電していれ
ばAよりBの電子親和力が大きく、逆に被浸透薬剤イオ
ンが正に帯電していればBよりAの電子親和力が大きく
なるように材料を選択する。
【0015】絆創膏等の皮接手段によって素子を図示し
たように皮接すると、圧接時に細針4および5が穿皮さ
れるため患者にはわずかに違和感または疼痛感がある
が、穿皮深さが浅いため一瞬のことであり、患者に持続
的な苦痛を与えることはない。圧接によって多孔質海綿
体7が圧迫されて導電性液体が細針中空部を満たし、細
針4の開放端で体液と接触する。皮接後は圧接時より素
子内部の圧力が低下するため素子内は負圧となり、図示
したように中空絶縁体針4の開放端から毛管現象によっ
て体液が素子内へ侵入するため薬剤イオンが体液と容易
に接触する。
【0016】一方、閉端絶縁体針5の穿皮によってその
表面を被覆する導電性鉱物1は少なくとも表皮下部層に
まで到達し、イオン導電性体液と接触する。体液は良好
な電解質であり、また低抵抗である。そこで、素子の皮
接によって電気的閉回路E(第1の導電性鉱物1→皮内
→導電性溶液→多孔質海綿体7→薬剤層3→第2の導電
性鉱物6→第1の導電性鉱物1)が形成されると、金属
または半導体A及びB間の電子親和力差に基づく起電力
によってこの閉回路に電流が流れる。穿皮された中空絶
縁体針4は、いわば人工毛穴的存在であるが、生物由来
の毛穴とは異なり内部の電気抵抗が著しく小さい。ま
た、穿皮された閉端絶縁体針5を被覆する導電性鉱物1
は、少なくとも先端部が体液と接触するので、体液と接
触した領域のみが優先的に発電に寄与し、単に表皮上部
の角質層と接触する部位でほとんど発電しない。したが
って回路電流は、細針4、5のいずれにおいても穿皮さ
れた表皮下層部以深の皮内を選択的に流れ、高抵抗の皮
脂層、角質層領域は通電に寄与しなくなる。
【0017】前記したAとBとの電子親和力差による起
電力は、コストや安全性、安定性を考慮すると高々1.
5乃至2ボルトが限界である。このような低起電力の場
合、皮脂層や角質層など極めて高抵抗の表皮上部層を通
電経路に含むと通電損失が1乃至1.5ボルトにもなる
ため、イオントフォレシスに利用できる電圧が1ボルト
以下の低い値となり、素子の動作マージンが低下する。
【0018】勿論前出願(特願平9−321457号)
に開示した中空絶縁体針4の穿皮によって皮脂層、角質
層領域を回避しつつ高分子薬剤イオンを皮内、したがっ
て血中へ導入することが比較的低電圧で行えるようにな
った。しかし、本発明によって初めて表皮上部層の弱い
電解質作用による起電の不安定性と薬剤導入の低効率性
が克服され、また前記したように動作マージンの低下
(電池の大きな内部損失)が回避された。
【0019】硬質樹脂などで作られた細針4、5の針径
は0.1〜0.2mm程度であり、また針長も1〜2m
m程度であるため、あらかじめ滅菌処理をしておけば穿
皮によっても患者の疼痛感はほとんどなく、また感染の
心配もない。素子を皮膚から除去すれば穿皮個所の皮膚
はただちに閉じるので、出血することも細菌感染の心配
もない。従って、この素子は皮膚内奥部にまで穿皮する
特殊な場合を除き、曲面部を含む身体のさまざまな部位
の皮膚に貼付することが可能である。
【0020】以下、本発明を具体例に沿ってより詳しく
述べる。 (その1)図2は、具体例における低電圧型イオントフ
ォレシス素子の構造概略を示す図である。図2(A)は
下面図(皮接側から見た底面図)、同(B)及び(C)
は、(A)のN−N’断面図及びM−M’断面図であ
る。なお、図2(A)でK−K’断面を取れば、図1の
ような構造図が得られる。図2において、1は第1の導
電性鉱物、2は絶縁体層、3は薬剤層、4は中空絶縁体
針、5は閉端絶縁体針、6は第2の導電性鉱物、7は多
孔質海綿体である。
【0021】第1の導電性鉱物1は、1a−1fの六片
に分かれて絶縁体層2上にストライプ状に配置されてい
る。各片は、少なくとも1個の閉端絶縁体針5を内部に
含み5の全体を被覆している。それぞれのストライプ状
導電性鉱物1は、図2(C)で示すように素子背面にお
いて第2の導電性鉱物6に直接接続され電気的経路を成
している。第1の導電性鉱物1を構成する導電性材料A
は、テフロン(登録商標)樹脂板(厚さ50μm)上に
物理蒸着された亜鉛過剰酸化亜鉛(厚さ0.5μm)で
あり、ストライプ幅は1mmである。亜鉛過剰酸化亜鉛
は低抵抗のn型半導体であり絶縁体層2であるテフロン
樹脂板をパターン打ち抜きし、細針加工後にその上に形
成される。各ストライプの非皮接領域では、テフロン樹
脂板のストライプ領域の上下側面上に亜鉛過剰酸化亜鉛
膜が形成され電気的経路を成している。
【0022】薬剤層3は、0.1NのKOHとヒトイン
シュリンを分散させた導電性ゲルである。中空絶縁体針
4及び閉端絶縁体針5は、加熱して可塑性を高めた状態
で金型によるプレスによってテフロン樹脂板(絶縁体層
2)に形成される。細針4、5の全長は約1mm、外径
は約100μm、中空部内径は約50μmである。
【0023】第2の導電性鉱物6を構成する導電性材料
Bは、銅薄板(厚さ40μm)にメッキされた金(厚さ
2μm)である。多孔質海綿体7は、例えばポリウレタ
ン板(厚さ1mm)であり、0.3%のKOH水溶液が
含浸されている。素子サイズは、例えば25×25mm
2である。 この素子を図2で示した底面が皮接する如
くして生体皮膚面に圧接し、非皮接面を絆創膏等で皮膚
に固定する。この結果、細針4、5が穿皮され、その先
端部が真皮にまで到達すると同時に多孔質海綿体7に含
浸されたKOH水溶液が押圧によって細針4の開口部よ
り真皮領域に達する。圧接作業終了によって押圧が緩む
と多孔質海綿体7は膨張するので中空絶縁体針4の中空
部は負圧となり、真皮領域の体液が毛管現象で徐々に中
空絶縁体針4内部に侵入する。同時に第1の導電性鉱物
1と第2の導電性鉱物6を電極とする化学電池が発電を
開始し、1→真皮領域→中空絶縁体針4の中空部位→海
綿体7→薬剤層3→6→1閉回路に電流が流れる。
【0024】ストレプトゾシンをあらかじめ投与して高
血糖化したヘアレスラットの背部に本実施例のイオント
フォレシス素子を装着し、30分、60分、90分およ
び120分後のラット血中のグルコース濃度を測定し
た。比較のために、図2に示した本発明の素子から閉端
絶縁体針5のみを除き、それ以外は全く同じパターン、
サイズおよび材料で構成した素子を作成し、本実施例同
様高血糖化したラット背部に装着して血中のグルコース
濃度の経時変化を測定した。この比較例の素子において
は、閉端絶縁体針5位置は平坦な絶縁体層2が占めてい
るため、電池負極である亜鉛過剰酸化亜鉛(第1の導電
性鉱物1)は皮膚表面を電解質として発電に寄与し、ま
た閉回路電流は表皮上部を介して生体内部を流れること
になる。
【0025】実施例、比較例とも1群3匹として平均値
を取ったデータを図3に示す。いずれの場合においても
インシュリン投与前の血中グルコース濃度を100とし
て規格化してある。各例において120分皮接後マウス
の皮膚損傷および第1の導電性鉱物表面の変化は認めら
れなかった。図3は、いずれの場合もインシュリンのイ
オントフォレシス効果によって血糖値が大きく低下して
いることを示すが、二つの素子例を比較すると本実施例
の素子では皮接後30分で血糖値がほぼ最低値に到達し
ているのに対し、比較例の素子では約2時間を経過して
ようやく本発明の素子水準まで血糖値が低下しているこ
とがわかる。本発明の素子を用いた場合の30分経過後
の血糖値は、高血糖化したラットに1単位/Kgのイン
シュリンを皮下注射した場合と同じ水準である。皮下注
射した場合も本実施例同様約30分経過後に血糖値は最
低値を記録するが、約1時間を経過して血糖値は急激に
増加し始めることがわかった。図3から示唆されるよう
に、本実施例の素子を用いた場合薬剤層中のインシュリ
ン濃度が低下しない限り長時間にわたって安定的に低い
血糖値を保つことが可能である。
【0026】薬剤層3を除去して第2の導電性鉱物6を
直接多孔質海綿体7に接触させ、非皮接位置における第
1の導電性鉱物1と第2の導電性鉱物6間の電気的経路
に直接電圧計を設置し、ヌードマウス背部に装着して化
学電池の外部に取り出された電圧を測定すると、本実施
例の場合約1.8ボルトであったのに対し比較例では約
0.7ボルトであった。この結果は、第1の導電性鉱物
1を真皮領域まで穿皮して配置した本実施例の素子で
は、高い電解質効果による電池出力の増加と表皮上部層
による電位降下(電池の内部損失)の低減が同時に図ら
れ、薬剤層へのより高い電圧印加によってイオントフォ
レシス効果が高まったことを示している。
【0027】(その2)図4は、本発明の別の実施例に
おけるイオントフォレシス素子の構成を示す図である。
図4(A)は皮接側から見た素子底面図、同(B)は
(A)のN−N’断面図、同(C)は(A)のM−M’
断面図である。この素子は、前実施例の場合と異なり多
孔質海綿体を用いてはいないが、第1の導電性鉱物1と
第2の導電性鉱物6とを非皮接領域で接続する電気的経
路20にダイオード10と容量11を並列接続した負荷
を挿入している。このタイプの素子は、皮接時に生ずる
化学電池を電源とするパルス素子で、通電電流を単極性
パルス化することができる(特願平8−24245
号)。
【0028】図において、8は可撓性のあるポリウレタ
ン性の絶縁性枠(厚さ2mm)であり、この枠が薬剤層
3のリザーバーとなっている。薬剤層3は0.1%Na
3含有の尿素クリームに1%の塩化デカリニウム(D
equalinium Chloride)を分散させ
たものである。また、9はこの素子を生体皮膚へ貼付す
るための絆創膏である。第1の導電性鉱物1は閉端絶縁
体針を含む硬質フッ素樹脂絶縁層2にストライプ状に物
理蒸着した金(厚さ0.5μm)を導電性材料Aとして
成る。金ストライプは、図4(C)で示したように素子
の非皮接領域にまで至り、その位置で電位的経路である
導線20Aに接続している。中空絶縁体針4及び閉端絶
縁体針5は外径100μm、長さ1mmである。素子の
外径寸法は30×30mm2とした。
【0029】一方、第2の導電性材料6は、厚さ40μ
mのアルミ箔上に導電性材料BとしてA1−Zn−Mg
合金を約0.5μm厚みに物理蒸着し、さらに薬剤層3
の接触面には導電性炭素膜を保護材として形成して成
る。薬剤層3の非接触面の一部は導線20に接続し、絆
創膏9の裏面(素子の非皮接面)で前記した並列負荷を
介して第1の導電性鉱物1に導電接続される。本実施例
の場合電子親和力は第1の導電性鉱物構成のAの方が第
2の導電性鉱物材料のBより大きく、かつA及びBとも
に金属材料である。並列負荷は、逆耐圧1.1ボルトの
ダイオード10及び20pFの容量11より成る。
【0030】ヘアレスラットの背部に本実施例の素子を
装荷し、一定時間毎に薬剤由来成分の血中濃度を測定し
た。血中濃度測定は、ラット3匹を1群としその平均値
を取った。素子装荷時、導線20Aに測定器を設置して
調べたピーク電圧は2.3ボルトであり、周波数300
ないし400Hzの鋸子状波パルス電流が観測された。
比較のために、図4の素子における閉端絶縁体針5を除
去し、それ以外は本実施例と同じ材料、寸法、構成のイ
オントフォレシス素子を作成し本実施例同様ヘアレスラ
ット背部に装着して薬剤浸透実験を行った。この場合も
通電パルス電流の周波数は300−400Hzであった
が、ピーク電圧は1.2ボルトにとどまった。素子装荷
後30分、60分、90分、120分における導入薬剤
由来成分の血中濃度の変化を図5に示す。図示したよう
に、本実施例の場合血中濃度の立ち上がりは速やかであ
り、装荷後100分前後で血中濃度は飽和値に達する。
しかし、比較例では装荷後2時間を経過してもなお血中
濃度は増加中であり、濃度制御性が悪いことがわかる。
【0031】(その3)図6は、本発明のさらに別の実
施例におけるイオントフォレシス素子の構造概略を示
す。図の(A)は底面図、(B)はK−K’断面図であ
る。この素子は、前実施例の場合と異なり、薬剤皮内濃
度の検出回路と薬剤血中濃度の制御回路を有しているた
め血中濃度の制御性に優れた特性を発揮する。すなわ
ち、図示したように、絶縁体層2の皮接面側で中空絶縁
体針4の配置されていない箇所に、空間的に分離されて
一対の検出用電極21、22が配置されており、その信
号が計測回路25を経てCPU26に伝達されることに
よりCPU26からの帰還信号が制御回路27に発せら
れる仕組みになっている。その結果、設定値より高いま
たは低い血中濃度が非侵襲的に常時補正される(特願2
000−103298号)。一対の検出用電極21、2
2はそれぞれ第1の導電性鉱物1及び第2の導電性鉱物
6から成り、皮接面側では表面が絶縁処理された導線2
3,24によって検出信号が絆創膏裏面の計測回路25
に伝達される。
【0032】この素子は、計測回路25及びCPU26
の駆動用電源として電池(EB)28を内蔵している
が、イオトフォレシス自体及び薬剤皮下濃度の検出は第
1の導電性鉱物1と第2の導電性鉱物6との電子親和力
差に起因する化学電池によって行われる。そして、素子
の絆創膏9及び9より皮接側の部分が使い捨てとなり、
9の裏側回路部分が再使用箇所となる。素子の皮接面側
直径は30mmである。第1導電性鉱物1は厚さ50μ
mのテフロンシート上に物理蒸着されたn−Ge0.7
0.3(厚さ約1μm),第2の導電性鉱物6は厚さ40
μmのA1シート上に物理蒸着された厚さ1μmのパラ
ジウムである。薬剤層3は、導電性ゲルに0.5%の塩
酸モルヒネを分散させたものであり、厚みは1mmであ
る。多孔質海綿体7には生理的食塩水が含浸されてい
る。
【0033】NWY系ヘアレスラットの背部にこの素子
を装荷して血中濃度制御した経皮投薬実験を行った。装
荷直後に測定すると、穿皮された閉端絶縁体針5と第2
の導電性鉱物6をそれぞれ電極とする化学電池の皮外取
り出し電圧(すなわち薬剤層印加電圧)は約1.2ボル
トであった。また、同時に測定した一対の検出用電極2
1、22間の電圧は0.35ボルトであった。まず最初
に、薬剤濃度の生体検量線を作るために、薬剤層3中に
分散させた塩酸モルヒネ濃度の異なる前記素子を何種類
か用意し、HWY系ヘアレスラットの背部に装着して一
定時間経過毎に測定を行った。測定は、所定時間経過後
にCPU26を作動させて計測回路25の二つの標準抵
抗を切り替えて読み取った標準抵抗両端の電位降下から
検出用電極21、22の間の皮内における抵抗値Rd
演算し、その時間毎に採血し化学分析によって求めたモ
ルヒネの血中濃度〔M〕と対比させるものである(特願
2000−103298号)。この時制御回路27は駆
動させず、抵抗ゼロの状態で短絡してある。このように
して求めたRdvs.〔M〕検量線を用いて、次に血中
濃度制御の実験を行った。
【0034】塩酸モルヒネ濃度0.5%の薬剤層3を用
いた図6の素子をHWY系ヘアレスラットに装着し、1
0分毎にRdを測定した。上述の検量線(図示せず)を
利用してその時点のモルヒネ血中濃度〔M〕を求め、設
定した血中濃度〔M〕。と対比しつつ濃度制御を行っ
た。すなわち、その時点で計測した血中濃度〔M〕が設
定値〔M〕。より低ければ、制御回路27の負荷抵抗を
小さくして薬剤層へ印加される電圧を高くし、逆に
〔M〕が設定値〔M〕。より高ければ、27の負荷抵抗
を大きくして薬剤層3に印加される電圧を下げるのであ
る。得られた制御結果を比較例の場合と共に示したの
が、図7である。比較例は、図6に示した素子において
第1の導電性鉱物1のストライプ中にある閉端絶縁体針
5のみを除去し、その他は材料、サイズ、構成をまった
く変えない素子を用いて濃度制御実験を行ったものであ
る。
【0035】本実施例では、約30分後に血中濃度がほ
ぼ〔M〕。に収束しており優れた濃度制御性が示されて
いるが、比較例では濃度制御に約3時間を要することが
わかる。これは、比較例の場合、第1の導電性鉱物1と
第2の導電性鉱物6とをそれぞれ電極とする化学電池の
皮外取り出し電圧が第1の導電性鉱物1直下の接触抵抗
及び皮脂層・角質層抵抗によって大きく低下し(装着直
後計測で約0.3ボルト)、イオントフォレシスが充分
有効に惹起せず、かつ制御のための動作マージンが小さ
くなったために設定値〔M〕。からのズレが大きくなっ
たことに起因すると考えられる。
【0036】以上、具体的な実施例によって本発明を詳
しく述べたが、本発明は上記実施例にとどまるものでは
ない。例えば、穿皮する絶縁体針4、5の素材は金属と
し、その表面を絶縁性膜で被覆した複合材料を用いるこ
とも可能である。穿皮長は原理的に角質層を回避する程
度で良いので0.5mm程度あればよい。ただし、皮内
深部まで到達すればその分薬剤の送達効率が向上するこ
とはいうまでもない。本発明の素子は、針径が鍼灸治療
針程度に細いので、注射などのように薬剤を圧入するに
は不向きであるが、イオントフォレシスによって患者に
苦痛を与えることなく必要濃度の薬剤を持続的に投与す
ることができる。化学電池電極として用いた第1及び第
2の導電性鉱物材料も実施例にとどまることなく、目的
に応じて多くの金属、半導体群から選択することができ
ることは自明である。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、自
己偏倚型(イオントフォレシス素子において非常に低い
電圧の薬剤層印加によっても薬剤を効率よく皮内に送達
できるのみならず、起電領域の内部損失を大きく低減す
ることによって素子の動作マージンを大きく取ることが
可能となった。この結果、薬剤血中濃度の制御性を著し
く向上させることができる。また、皮膚に損傷を与える
ことなく薬剤の高濃度投与や急速浸透も可能になる。さ
らに、イオントフォレシス偏倚用の内部電源電池を構成
する電極材料(金属または半導体)の選択範囲を広げる
ことができる。内部電源電池の二つの電極のうち非薬剤
側電極は穿皮され体液と接触する穿皮部位のみが発電に
寄与して接皮部位はほとんど導電路としての働きしか示
さないので、発汗などによる極間短絡、発電停止事故を
防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオントフォレシス素子の皮膚装着時
を示す図である。
【図2】実施態様における素子構成を示す図である。
【図3】実施例による薬剤血中浸透効果を比較例と対比
して示す図である。
【図4】別の実施態様における素子構成を示す図であ
る。
【図5】図4のイオントフォレシス素子による薬剤浸透
効果を比較例と対比して示す図である。
【図6】さらに別の実施態様における素子構成を示す図
である。
【図7】図6のイオントフォレシス素子による薬剤血中
濃度の制御性を比較例と対比して示す図である。
【符号の説明】
1 第1の導電性鉱物 2 絶縁対層 3 薬剤層 4 中空絶縁体針 5 閉端絶縁体針 6 第2の導電性鉱物 7 多孔質海綿体 8 絶縁体枠 9 絆創膏 10 ダイオード 11 容量 20、23、24 導線 21、22 一対の検出用電極 25 計測回路 26 CPU 27 制御回路 28 電池 A、B 金属または半導体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被浸透有効成分を含む薬剤層と、 該薬剤層の第1の表面側に積層され、薬剤層と反対側の
    面が皮接面となる絶縁体層と、 該絶縁体層に設けられており、その中空部分が導電的に
    前記薬剤層及び皮内と繋がり又は繋がることが可能であ
    る開放端を有し、その形状が皮接面から皮内に突出する
    針状である中空絶縁体針と、 その形状が皮接面から皮内に突出する針状を成す閉端絶
    縁体針と、 前記絶縁体層の皮接面側の一部と前記閉端絶縁体針上に
    導電的に連続して設けられており、閉端絶縁体針と共に
    その一部が穿皮する構造を持つ金属又は半導体Aから成
    る自由表面を有する第1の導電性鉱物と、 上記薬剤層の第2の表面に接して設けられ、且つ前記第
    1の導電性鉱物と非皮接領域で電気的に接続され、前記
    Aとは異なる電子親和力を有する金属又は半導体Bから
    成る第2の導電性鉱物と、 より成る低電圧駆動型イオントフォレシス素子。
  2. 【請求項2】 前記中空絶縁体針の中空部分はあらかじ
    め導電性液が充填されており、及び又は前記薬剤層側を
    前記開放端側に比して負圧とし得る構成とした請求項1
    記載の低電圧駆動型イオントフォレシス素子。
  3. 【請求項3】 前記被浸透有効成分が皮膚に対して陰イ
    オン性又は電気的陰性である場合には、前記Aが前記B
    より低い電子親和力を持つ金属又は半導体であり、 前記被浸透有効成分が皮膚に対して陽イオン性又は電気
    的に陽性である場合には、前記Aが前記Bより高い電子
    親和力を持つ金属又は半導体である請求項1又は2記載
    の低電圧駆動型イオントフォレシス素子。
  4. 【請求項4】 前記中空絶縁体針及び前記閉端絶縁体針
    が、穿皮時に表皮領域の顆粒層より深い位置まで達する
    程度の長さを有して成る請求項1乃至3のいずれかに記
    載の低電圧駆動型イオントフォレシス素子。
  5. 【請求項5】 前記絶縁体層が、所定の厚みを有する透
    水性柔軟絶縁体層と前記中空絶縁体針及び閉端絶縁体針
    を具備した非透水性絶縁体層との積層体から成る請求項
    1乃至4のいずれかに記載の低電圧駆動型イオントフォ
    レシス素子。
  6. 【請求項6】 前記第1の導電性鉱物が、電気的に互い
    に分離された複数本のストライプ状膜として前記絶縁体
    層上に配置されており、各ストライプ状膜は非皮接領域
    で前記第2の導電性鉱物に導電接続されている請求項1
    乃至5のいずれかに記載の低電圧駆動型イオントフォレ
    シス素子。
  7. 【請求項7】 前記第1及び第2の導電性鉱物間を非皮
    接領域で接続する電気経路上に通電電流を断続化してパ
    ルス化するための電気的手段を設けて成る請求項1乃至
    6のいずれかに記載の低電圧駆動型イオントフォレシス
    素子。
  8. 【請求項8】 前記絶縁体層の皮接面側表面に、前記被
    浸透有効成分の皮内又は血中濃度を測定するセンサが設
    けられており、該センサの出力を計測してこれを前記第
    1及び第2の導電性鉱物間を非皮接領域で接続する電気
    的経路に帰還し電気的に被浸透薬剤濃度を制御する装置
    を該電気的経路上に組み込んで成る請求項1乃至7のい
    ずれかに記載の低電圧駆動型イオントフォレシス素子。
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