JP2002282349A - 潤滑性医療用器具及びその製造方法 - Google Patents

潤滑性医療用器具及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002282349A
JP2002282349A JP2001092598A JP2001092598A JP2002282349A JP 2002282349 A JP2002282349 A JP 2002282349A JP 2001092598 A JP2001092598 A JP 2001092598A JP 2001092598 A JP2001092598 A JP 2001092598A JP 2002282349 A JP2002282349 A JP 2002282349A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
medical device
hydrophilic polymer
balloon
polymer material
triazine ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001092598A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Kumai
裕司 熊井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2001092598A priority Critical patent/JP2002282349A/ja
Publication of JP2002282349A publication Critical patent/JP2002282349A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Media Introduction/Drainage Providing Device (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水性媒体中の低温の反応により、医療用器具の
表面に良好な潤滑性が付与された医療用器具及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】体内に挿入して使用する医療用器具であっ
て、医療用器具の表面が1,3,5−トリアジン環を介し
て結合した親水性高分子材料により被覆されてなること
を特徴とする潤滑性医療用器具、並びに、水性媒体中に
おいて、医療用器具をハロゲン化シアヌル及び親水性高
分子材料と接触させ、脱ハロゲン化水素反応により、医
療用器具の表面に1,3,5−トリアジン環を介して親水
性高分子材料を結合することを特徴とする潤滑性医療用
器具の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性医療用器具
及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、水性媒体中の低温の反応により、医療用器具の表面
に良好な潤滑性が付与された潤滑性医療用器具及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガイドワイヤやバルーンカテーテルなど
の医療用器具は、体内に挿入して使用するときの摩擦抵
抗が小さいことが必要である。そのために、医療用器具
の表面に親水性高分子材料を結合し、表面に湿潤性を付
与することが検討されている。例えば、特開昭58−1
93766号公報には、水ベース液体で濡らされた場合
に低い摩擦係数を有する親水性コーティングの調製方法
としして、2個の未反応イソシアネート基を有する化合
物を重合体表面に適用して溶媒を蒸発させ、次いでポリ
エチレンオキサイドを含有する溶液を適用して溶媒を蒸
発させたのち、高温でコーティングを硬化させる方法が
提案されている。また、特開平1−195863号公報
には、湿潤状態で使用されたとき、挿入時の摩擦抵抗が
小さく、持続性、保存性が良好な医療用具として、医療
用具の基材の表面に反応性官能基が存在するよう下地層
を形成したのち、水溶性高分子物質で処理する湿潤時に
潤滑性を有する医療用具の製造方法が提案され、例え
ば、軟質塩化ビニルをジフェニルエタンジイソシアネー
トのメチルエチルケトン溶液に浸漬し、60℃で30分
間乾燥したのち、メチルビニルエーテル−無水マレイン
酸共重合体のメチルエチルケトン溶液に浸漬し、60℃
で2時間乾燥する処理が例示されている。しかし、これ
らの方法では、ジフェニルメタンジイソシアネートの有
機溶媒溶液を用いて、比較的高温で反応するために、有
機溶媒の使用による安全衛生上の懸念と、高温による医
療用器具材料の物理的特性の劣化を生ずるおそれがあっ
た。さらに、特開2000−197692号公報には、
体内に挿入して使用される医療用器具の表面に、比較的
低温で処理することにより湿潤性を付与する方法とし
て、医療用具の基材の表面とジイソシアナート化合物と
を接触させ、次に、ポリエチレンオキサイド及びジシク
ロアミジン化合物と接触させる医療用具表面の湿潤性付
与方法が提案されている。この方法によれば、30〜4
0℃の比較的低温の処理で、医療用具の基材の表面にポ
リエチレンオキサイドを固定化することができるが、有
機溶媒を使用するという問題はなお残されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水性媒体中
の低温の反応により、医療用器具の表面に良好な潤滑性
が付与された医療用器具及びその製造方法を提供するこ
とを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水性媒体中におい
て、ハロゲン化シアヌル及び親水性高分子材料に医療用
器具を接触させることにより、低温で脱ハロゲン化水素
反応が起こり、親水性高分子材料が1,3,5−トリアジ
ン環を介して医療用器具の表面と結合し、医療用器具の
表面を被覆して潤滑性が付与されることを見いだし、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、(1)体内に挿入して使用する医療用器
具であって、医療用器具の表面が1,3,5−トリアジン
環を介して結合した親水性高分子材料により被覆されて
なることを特徴とする潤滑性医療用器具、(2)医療用
器具が、先端側内芯部、本体側内芯部及び後端側内芯部
からなり、軸方向に延在する金属製芯線と該金属製芯線
の全体を覆う合成樹脂の表面層とを有する医療用ガイド
ワイヤであって、合成樹脂の表面層が、1,3,5−トリ
アジン環を介して結合した親水性高分子材料により被覆
されてなる第1項記載の潤滑性医療用器具、(3)医療
用器具が、カテーテル管及びカテーテル管の遠位端部に
取り付けられたバルーン部を有するバルーンカテーテル
であって、カテーテル管の表面及び/又はバルーン部
が、1,3,5−トリアジン環を介して結合した親水性高
分子材料により被覆されてなる第1項記載の潤滑性医療
用器具、及び、(4)水性媒体中において、医療用器具
をハロゲン化シアヌル及び親水性高分子材料と接触さ
せ、脱ハロゲン化水素反応により、医療用器具の表面に
1,3,5−トリアジン環を介して親水性高分子材料を結
合することを特徴とする潤滑性医療用器具の製造方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の潤滑性医療用器具は、体
内に挿入して使用する医療用器具であって、医療用器具
の表面が1,3,5−トリアジン環を介して結合した親水
性高分子材料により被覆されてなる潤滑性医療用器具で
ある。体内に挿入して使用する医療用器具としては、例
えば、ガイドワイヤ、シースイントロデューサ、ステン
ト、導尿のための膀胱カテーテル、腹腔・胸腔穿刺用カ
テーテル、脳室ドレナージカテーテル、心・血管疾患診
断用のX線不透過性の血管内カテーテル、輸液用及び静
脈圧測定用の中心静脈カテーテル、先端にバルーンをつ
け、末梢血管より心臓に進めて検査又は治療を行うバル
ーンカテーテルなどを挙げることができる。本発明の潤
滑性医療用器具の表面を被覆する親水性高分子材料に特
に制限はなく、例えば、ポリエチレンオキサイド、エチ
レンオキサイドと少量のプロピレンオキサイドとの共重
合体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその
塩、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン
などの合成高分子材料;ヒアルロン酸、コンドロイチン
硫酸、カロニン硫酸、キトサン、ゼラチンなどの動物性
多糖類又はその塩;ローカストビーンガム、グアーガ
ム、アラビアガム、トラガントガム、ペクチン、アルギ
ン酸、寒天、カラゲニンなどの植物性多糖類又はその
塩;ポリヌクレオチドなどの天然高分子材料などを挙げ
ることができる。これらの親水性高分子材料は、1種を
単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合
わせて用いることもできる。
【0006】本発明において、親水性高分子材料で被覆
する医療用器具は、表面層が合成樹脂で形成されている
ことが好ましい。表面層が合成樹脂で形成されている医
療用器具は、医療用器具全体が合成樹脂製であってもよ
く、金属製の医療用器具の表面が合成樹脂で覆われた形
態であってもよい。表面層を形成する合成樹脂に特に制
限はなく、例えば、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹
脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリイミド樹
脂などの熱硬化性樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、フ
ッ素ゴムなどのゴムなどを挙げることができる。これら
の中で、ポリウレタン樹脂を好適に用いることができ
る。合成樹脂がポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂などの
ように活性水素を有しない場合は、ハロゲン化シアヌル
との反応に先立って、あらかじめプラズマ処理などを施
すことにより、表面層に活性水素を形成することが好ま
しい。本発明において、医療用器具の表面に親水性高分
子材料を結合するための1,3,5−トリアジン環は、医
療用器具の表面層にハロゲン化シアヌルを反応させるこ
とにより導入することができる。使用するハロゲン化シ
アヌルに特に制限はなく、例えば、2,4,6−トリクロ
ロ−1,3,5−トリアジン(塩化シアヌル)、2,4−
ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−
6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−ト
リブロモ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジブロモ−
1,3,5−トリアジン、2,4−ジブロモ−6−ヒドロ
キシ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリヨード−
1,3,5−トリアジン、2,4−ジヨード−1,3,5−
トリアジン、2,4−ジヨード−6−ヒドロキシ−1,
3,5−トリアジンなどを挙げることができる。これら
の中で、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン
を好適に用いることができる。
【0007】本発明の潤滑性医療用器具の製造方法にお
いては、水性媒体中において、医療用器具をハロゲン化
シアヌル及び親水性高分子材料と接触させ、脱ハロゲン
化水素反応により、医療用器具の表面に1,3,5−トリ
アジン環を介して親水性高分子材料を結合する。本発明
方法において、使用する水性媒体としては、例えば、水
のほかに、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの活性
水素を有しない有機溶媒と水との混合溶媒を挙げること
ができる。ハロゲン化シアヌルは、水で加水分解してハ
ロゲン化水素とシアヌル酸になるとされているが、低温
においてはその分解速度は遅く、医療用器具の表面に
1,3,5−トリアジン環を介して親水性高分子材料を結
合することができる。本発明において、水性媒体中にお
ける医療用器具のハロゲン化シアヌル及び親水性高分子
材料との接触は、10℃以下で行うことが好ましく、5
℃以下で行うことがより好ましい。本発明方法におい
て、医療用器具をハロゲン化シアヌル及び親水性高分子
材料と接触させる方法に特に制限はなく、例えば、ハロ
ゲン化シアヌルを含有する水性媒体に医療用器具を浸漬
して、医療用器具をハロゲン化シアヌルと接触させたの
ち、該水性媒体に親水性高分子材料を添加して、医療用
器具を親水性高分子材料に接触させることができ、ある
いは、ハロゲン化シアヌルと親水性高分子材料を含有す
る水性媒体に医療用器具を浸漬して、医療用器具をハロ
ゲン化シアヌル及び親水性材料と接触させることもでき
る。
【0008】医療用器具の表面の活性水素をH−MA、
親水性高分子材料の活性水素をH−HPで表すと、医療
用器具の表面及び塩化シアヌルと親水性高分子材料は、
次式で表される脱ハロゲン反応により、1,3,5−トリ
アジン環を介して結合される。
【化1】 本発明は、医療用ガイドワイヤ及びバルーンカテーテル
に特に好適に適用することができる。医療用ガイドワイ
ヤは、先端側内芯部、本体側内芯部及び後端側内芯部か
らなり、軸方向に延在する金属製芯線と該金属製芯線の
全体を覆う合成樹脂の表面層とを有する医療用器具であ
る。ガイドワイヤは、心臓血管造影、経皮経管冠動脈拡
張術などの検査や治療を行う際に、患者の動脈血管など
の体内に挿入される。あらかじめ体内にガイドワイヤを
挿入しておき、カテーテルをガイドワイヤに被せるよう
にして導くと、カテーテルを円滑に進めることができ
る。ガイドワイヤの芯線の材質に特に制限はなく、例え
ば、従来から用いられているステンレス鋼線材などのほ
か、広いひずみ範囲にわたって高弾性を示し、プッシャ
ビリティ、トルク伝達性、繰り返し挿入性などに優れた
ニッケル−チタン系合金線材などを挙げることができ
る。芯線の表面に設ける合成樹脂の表面層の材質に特に
制限はなく、例えば、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン
樹脂、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリイミド
樹脂などの熱硬化性樹脂などを挙げることができる。こ
れらの中で、ポリウレタン樹脂を好適に用いることがで
きる。
【0009】以下に本発明の医療用ガイドワイヤの1実
施形態を示して説明する。図1(A)は、本発明の実施形
態の一つである医療用ガイドワイヤの断面図である。ま
た、図1(B)は、図1(A)のI−I線における拡大断面
図である。本実施形態の医療用ガイドワイヤ1は、先端
側内芯部3、本体側内芯部4及び後端側内芯部5から芯
線2が構成され、芯線2は、ニッケル−チタン系合金ワ
イヤ等により一体に形成されている。図1(B)に示すよ
うに、芯線2の断面は円形であり、先端側内芯3は先端
に向けて連続的に外径が減少し、芯線2全体は合成樹脂
で覆われ、その外径φ1は、長手方向に同一である。芯
線2の長手方向全体の長さは、通常100〜1,000m
mである。先端側内芯部3の長さは、通常5〜30cmで
ある。芯線2の本体側内芯部4の外径φ2は、通常0.1
〜1mmである。先端側内芯部3の外径は先端方向に向け
てテーパ状に減少している。被覆された外径φ1は、通
常0.2〜1.5mmである。本実施形態では、芯線2の全
体は、ポリウレタン樹脂からなる表面層6で覆われ、さ
らにその表面は、ポリウレタン樹脂に1,3,5−トリア
ジン環を介して結合したポリエチレンオキサイド(PE
O)からなる親水性コート層7が設けられる。なお、表
面層6には、ポリウレタン100重量部に対して、硫酸
バリウム粉、タングステン粉等の高エックス線造影材5
〜60重量部を配合してある。本実施形態の医療用ガイ
ドワイヤの表面に、ポリウレタン樹脂に1,3,5−トリ
アジン環を介して結合したPEOの親水性コート層7を
設ける方法としては特に限定されないが、例えば以下の
方法を採用することができる。予め、PEO(重量平均
分子量60万)の3重量%水溶液500mLにジオキサン
100mLを加えて均一に混合し、0℃まで冷却する。次
にこの混合液に塩化シアヌルの0.02モル/Lジオキ
サン溶液100mLを加えて均一に混合し、混合液を0℃
に保ったまま上記の医療用ガイドワイヤを2時間浸漬
し、引き上げて、数分間風乾し、さらに室温で蒸留水で
洗浄して未反応のPEOを除去する。PEOからなる親
水性コート層7の厚さは約50μmである。
【0010】バルーンカテーテルは、カテーテル管及び
カテーテル管の遠位端部に取り付けられたバルーン部を
有する。バルーンカテーテルは、カテーテル管の軸方向
内部に延在する内管を有する二重管構造のものであって
もよい。バルーンカテーテルは、末梢血管から、心臓、
大動脈、肺動脈、冠動脈などに挿入して、心内圧の測
定、採血などの検査や、冠動脈の狭窄性病変などの治療
などに用いられる。二重管構造の場合は、あらかじめ血
管内に挿入したガイドワイヤに、カテーテル管の軸方向
内部に延在する内管を被せて患部までバルーン部を導く
ことができる。バルーン部を膨張させて血管を閉塞する
ことにより、血圧の測定を行うことができる。また、バ
ルーン部を膨張させることにより、狭窄部を拡張するこ
とができる。狭窄部の拡張は、順次バルーン部の大きい
バルーンカテーテルを用いて段階的に行われる。以下に
本発明の1実施形態について説明する。図2(A)は本発
明の1実施形態に係るバルーンカテーテルの全体構成
図、図2(B)は図2(A)に示すIB−IB線に沿う断面
図を示す。図2に示す本実施形態に係るバルーンカテー
テル8は、例えば経皮的冠動脈形成術(PTCA)等に
用いられるものである。本実施形態のバルーンカテーテ
ル8は、いわゆるモノレール方式のバルーンカテーテル
であり、バルーン部9と、カテーテル管としての外チュ
ーブ10と、コネクタ11とを有する。外チューブ10
は、第1外チューブ部材10aと、接合部12にて第1
外チューブ部材10aに接合される第2外チューブ部材
10bとで構成してある。本実施形態は、内チューブの
近位端開口部が、第1外チューブ部材10aの長手方向
の途中に位置するチューブ壁を貫通して外部に開口して
あり、バルーンカテーテルの遠位端部のみが、いわゆる
同軸構造のカテーテルチューブ構造となるものである。
バルーン部9の膜厚は、通常、15〜300μmであ
る。拡張時のバルーン部9の外径は、通常1.5〜10.
0mm、軸方向長さは、通常15〜50mmである。第1外
チューブ部材10aの第1ルーメン13は、バルーン部
9の内部拡張空間に流体を送り込み、バルーン部9を拡
張させたり、流体をバルーン部9の拡張空間から抜き取
りバルーン部9を収縮させたりするための通路である。
内チューブ14の内部には、第2ルーメン15が形成し
てあり、バルーンカテーテル8を体内に案内するため
の、ガイドワイヤが挿通するガイドワイヤ挿入用ルーメ
ンとなる。内チューブ14の近位端開口部が第1外チュ
ーブ部材10aの外側に開口する位置は、第1外チュー
ブ部材10aの遠位端から長さL1の位置であることが
好ましく、長さL1は、通常150〜350mmである。
第1外チューブ部材10aの外径は、特に限定されない
が、通常0.5〜5mmである。第1外チューブ部材10
aの肉厚は、特に限定されないが、通常0.05〜0.5
mmである。内チューブ14の外径は、特に限定されない
が、通常0.3〜3mmである。内チューブ14の内径
は、ガイドワイヤを挿通できる径であれば特に限定され
ず、通常0.5〜1.0mmである。
【0011】バルーン部9を構成する材料は、例えば、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プ
ロピレン共重合樹脂、エチレンと他のα−オレフィンと
の共重合樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂等が
挙げられる。本実施形態では、ポリウレタン樹脂製のバ
ルーンが用いられている。前記外チューブに使用される
材料は、例えば、オレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂;ポリイミド樹脂等の
熱硬化性樹脂等が挙げられる。本実施形態では、ポリエ
チレン樹脂製の外チューブが用いられている。前記ポリ
ウレタン樹脂からなるバルーン部9の表面は、以下の方
法により、ポリウレタン樹脂に1,3,5−トリアジン環
を介して結合したヒアルロン酸ナトリウムで被覆されて
いる。予め、ヒアルロン酸ナトリウムの0.5重量%水
溶液(pH10)500mLを容量1Lのビーカーに入れ、
ジオキサン125mLを加えて均一に撹拌混合し0℃まで
冷却した。次に、この混合液に0℃に冷却した塩化シア
ヌルの0.02モル/Lジオキサン溶液125mLを加え
て均一に撹拌混合した後、前記バルーンカテーテルのバ
ルーン部9のみを浸漬した。混合液の温度を0℃に保っ
たまま、さらに水酸化ナトリウムの1モル/L水溶液6
mLを加え、そのまま2時間撹拌を続けた。その後、バル
ーンカテーテルを引き上げて、室温で蒸留水で洗浄して
風乾した。本発明の潤滑性医療用器具の製造方法によれ
ば、低温で水性媒体を用いて、医療用器具に潤滑性を付
与することができる。本発明の潤滑性医療用器具は、優
れた潤滑性を有し、特に医療用ガイドワイヤ及びバルー
ンカテーテルとして好適に用いることができる。
【0012】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 実施形態で説明した前記医療用ガイドワイヤから、長さ
10cmのサンプル5本を切り出した。幅5cm、長さ25
cm、厚さ1cmの加硫ゴムシートの表面に形成された幅
0.5cm、深さ0.2cm、長さ25cmのV字形の溝にサン
プルを載置し、37℃の水槽に浸漬し、V字形の溝が傾
斜するように加硫ゴムシートの一端を徐々に持ち上げ、
サンプルが滑り落ちはじめるときの傾斜角度を測定し
た。5個のサンプルについての平均値は、15度であっ
た。 比較例1 実施形態で説明したポリウレタン樹脂からなる表面層で
覆われた医療用ガイドワイヤから、長さ10cmのサンプ
ル5本を切り出し、実施例1と同様にして、サンプルが
滑り落ちはじめるときの傾斜角度を測定した。5個のサ
ンプルについての平均値は、60度であった。実施例1
と比較例1の結果を比較すると、ポリウレタン樹脂の表
面がポリエチレンオキサイドで被覆された実施例1のサ
ンプルは、表面がポリウレタン樹脂のままの比較例1の
サンプルよりも、はるかに小さい角度の傾斜で滑り落ち
はじめ、優れた潤滑性が付与されていることが分かる。
【0013】
【発明の効果】本発明方法によれば、低温で水性媒体を
用いて、医療用器具に潤滑性を付与することができる。
本発明の潤滑性医療用器具は、優れた潤滑性を有してい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の潤滑性医療用器具の一態様の
断面図である。
【図2】図2は、本発明の潤滑性医療用器具の一態様の
全体構成図及び断面図である。
【符号の説明】
1 医療用ガイドワイヤ 2 芯線 3 先端側内芯部 4 本体側内芯部 5 後端側内芯部 6 表面層 7 親水性コート層 8 バルーンカテーテル 9 バルーン部 10 外チューブ 10a 第1外チューブ部材 10b 第2外チューブ部材 11 コネクタ 12 接合部 13 第1ルーメン 14 内チューブ 15 第2ルーメン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AC08 AC10 BB01 CC07 CD082 EA01 4C167 AA01 AA06 AA15 AA50 BB03 BB06 BB11 BB13 BB29 CC04 FF01 FF03 FF05 GG02 GG03 GG04 GG05 GG06 GG07 GG08 GG09 GG10 GG11 GG12 GG24 HH14

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体内に挿入して使用する医療用器具であっ
    て、医療用器具の表面が1,3,5−トリアジン環を介し
    て結合した親水性高分子材料により被覆されてなること
    を特徴とする潤滑性医療用器具。
  2. 【請求項2】医療用器具が、先端側内芯部、本体側内芯
    部及び後端側内芯部からなり、軸方向に延在する金属製
    芯線と該金属製芯線の全体を覆う合成樹脂の表面層とを
    有する医療用ガイドワイヤであって、合成樹脂の表面層
    が、1,3,5−トリアジン環を介して結合した親水性高
    分子材料により被覆されてなる請求項1記載の潤滑性医
    療用器具。
  3. 【請求項3】医療用器具が、カテーテル管及びカテーテ
    ル管の遠位端部に取り付けられたバルーン部を有するバ
    ルーンカテーテルであって、カテーテル管の表面及び/
    又はバルーン部が、1,3,5−トリアジン環を介して結
    合した親水性高分子材料により被覆されてなる請求項1
    記載の潤滑性医療用器具。
  4. 【請求項4】水性媒体中において、医療用器具をハロゲ
    ン化シアヌル及び親水性高分子材料と接触させ、脱ハロ
    ゲン化水素反応により、医療用器具の表面に1,3,5−
    トリアジン環を介して親水性高分子材料を結合すること
    を特徴とする潤滑性医療用器具の製造方法。
JP2001092598A 2001-03-28 2001-03-28 潤滑性医療用器具及びその製造方法 Pending JP2002282349A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001092598A JP2002282349A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 潤滑性医療用器具及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001092598A JP2002282349A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 潤滑性医療用器具及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002282349A true JP2002282349A (ja) 2002-10-02

Family

ID=18947034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001092598A Pending JP2002282349A (ja) 2001-03-28 2001-03-28 潤滑性医療用器具及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002282349A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126642A1 (ja) * 2005-05-26 2006-11-30 Kaneka Corporation カテーテル
JP2006340868A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Johnson & Johnson Kk 血管カテーテル

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006126642A1 (ja) * 2005-05-26 2006-11-30 Kaneka Corporation カテーテル
JP2006340868A (ja) * 2005-06-08 2006-12-21 Johnson & Johnson Kk 血管カテーテル
JP4549933B2 (ja) * 2005-06-08 2010-09-22 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 血管カテーテル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0429481B1 (en) Nylon-peba copolymer catheter
US5385152A (en) Guidewire for crossing occlusions in blood vessels
US5443907A (en) Coating for medical insertion guides
EP2961458B1 (en) Guide extension catheter with a retractable wire
CA2170912C (en) Catheter with kink-resistant distal tip
EP1301235B1 (en) Medical device with braid and coil
US20050131316A1 (en) Guidewire with flexible tip
US20050182386A1 (en) Catheter with stiffening element
JPH0737199U (ja) ガイドワイヤー
JP2001218851A (ja) カテーテル
AU2001273446A1 (en) Medical device with braid and coil
US20070225680A1 (en) Guiding catheter with chemically softened distal portion and method of making same
JP2001190681A (ja) カテーテル
US6126650A (en) Flow directed catheter having radiopaque strain relief segment
CN110267701A (zh) 具有自动化关联产品的蠕动导管的***
JP2002282349A (ja) 潤滑性医療用器具及びその製造方法
JPH01121064A (ja) カテーテル
JP3288619B2 (ja) ガイドワイヤー
JP3998918B2 (ja) ガイドワイヤー
JP2000217923A (ja) バルーンカテーテルおよびその製造方法
JPH07308383A (ja) カテーテル
JP2002291902A (ja) 医療用具導入具
JP2002282350A (ja) 潤滑性医療用器具及びその製造方法
JP4311845B2 (ja) 医療用導入具
CN219721653U (zh) 一种导丝及延长导管***