JP2002280057A

JP2002280057A - アルカリ二次電池

Info

Publication number: JP2002280057A
Application number: JP2001074513A
Authority: JP
Inventors: Kazuhiko Harada; 和彦原田; Yutaka Tsuga; 裕都賀; Koji Taguchi; 幸治田口
Original assignee: Toshiba Battery Co Ltd
Current assignee: FDK Twicell Co Ltd
Priority date: 2001-03-15
Filing date: 2001-03-15
Publication date: 2002-09-27

Abstract

(57)【要約】【課題】高容量化を維持しつつ、負極の集電板（特に
無地部）を容器との導通をとるために導電部材に溶接す
る際に発生する熱や爆飛によって、前記負極の負極層が
発火するのを防止したアルカリ二次電池を提供する。【解決手段】容器と、この容器内に収納され、水素吸
蔵合金粉末を含む負極層を有する負極および水酸化ニッ
ケルを含む正極層を有する正極をセパレータを挟んで渦
巻き状に捲回した電極群と、前記容器内に収容されたア
ルカリ電解液とを具備し、前記負極は少なくとも一方の
側端部に無地部を有するパンチングメタルシートからな
る集電板を有し、かつ前記無地部を帯状または前記容器
底部と相似した板状の導電部材を介して前記容器底部の
内面に接続され、かつ前記負極は前記容器底部側の端部
に０．１〜５ｍｍの幅の実質的に前記集電板が露出する
領域を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金を含
む負極層を有する負極を改良したアルカリ二次電池に関
する。

【０００２】

【従来の技術】各種の電動工具や電動補助付き自転車、
さらに最近開発された電気自動車などの駆動電源として
は、充放電が可能で携帯に便利な点から各種の二次電池
が使用されている。

【０００３】前記用途に適した二次電池としては、大電
流放電が可能であるという特徴を有するニッケル・カド
ミウム二次電池が多く採用されている。これは、前記ニ
ッケル・カドミウム二次電池はその内部抵抗が低く、か
つ時間率当たりの放電電流（放電率）が大きく、さらに
過充電・過放電を行なった場合でも電池特性の劣化を起
こし難いという特性を有することに起因する。

【０００４】一方、ノート型パソコンや携帯電話などの
小形電子機器の駆動電源としては、ニッケル・水素二次
電池が広く用いられている。これは、ニッケル・水素二
次電池は同一サイズのニッケル・カドミウム二次電池に
比べてその内部抵抗が高く、かつ放電率も小さいもの
の、放電容量がその二次電池に比べて１．５〜２倍と大
きく、さらに形状が小型であっても、微小電流で駆動可
能な電子機器を長期間にわたって駆動することが可能で
あるためである。

【０００５】また、水素吸蔵合金を含む負極は従来の代
表的なアルカリ二次電池用負極の材料であるカドミニウ
ムに比較して単位重量または単位容積当たりのエネルギ
ー密度を大きくすることができ、電池の高容量化を可能
にする他、環境汚染の恐れが少ないばかりか、電池特性
も優れているという特徴を有する。

【０００６】しかしながら、従来より市販されているニ
ッケル・水素二次電池は、１時間率の１〜３倍程度の放
電時（満充電量を２０分から１時間で放電する時）に始
めて公称容量を得ることができるため、微小電流で駆動
可能な前記小型電子機器の電源としては有効であるもの
の、大電流を必要とする電動工具や電気自動車などの電
源としては事実上、使用できないという問題があった。
例えば、従来のニッケル・水素二次電池において１時間
率の５倍を超えるような大電流で放電させる、つまり満
充電量を１２分未満で放電させると作動電圧が大幅に低
下する。特に、高容量化された電池では、前記作動電圧
の低下が顕著に現れ、作動電圧の低下のみならず、サイ
クル寿命においても、実用に耐え得ないという問題があ
った。

【０００７】このようなことから特開平１１−２５０８
９１号公報には、水素吸蔵合金粉末を含む負極層を有す
る負極と、この負極にセパレータを挟んで配置された水
酸化ニッケルを含む正極層を有する正極と、アルカリ電
解液と、これら部材を収納する容器とを具備し、前記負
極として少なくとも一方の側端部に無地部を持つパンチ
ングメタルシートからなる集電板を有し、かつ前記無地
部を帯状または前記容器底部と相似した板状の導電部材
を介して前記容器底部の内面に接続した構造のものを用
いることのよって、従来の問題を解決し、高容量でかつ
大電流放電を行っても作動電圧の低下を抑制することが
できるニッケル・水素二次電池が開示されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公
開公報に開示されたニッケル・水素二次電池は前記負極
の集電板、特に無地部を前記導電部材（例えば前記容器
底部と相似した板状の導電部材）に溶接する際に発生す
る熱や爆飛によって、前記負極の無地部に形成されてい
る負極層が発火や着火し、その結果その近傍のセパレー
タが熱収縮を生じて正負極同士が内部短絡する虞があっ
た。本発明は、高容量化を維持しつつ、負極の集電板
（特に無地部）を容器との導通をとるために導電部材に
溶接する際に発生する熱や爆飛によって、前記負極の負
極層が発火や着火するのを防止したアルカリ二次電池を
提供しようとするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係るアルカリ二
次電池は、容器と、この容器内に収納され、水素吸蔵合
金粉末を含む負極層を有する負極および水酸化ニッケル
を含む正極層を有する正極をセパレータを挟んで渦巻き
状に捲回した電極群と、前記容器内に収容されたアルカ
リ電解液とを具備し、前記負極は、少なくとも一方の側
端部に無地部を有するパンチングメタルシートからなる
集電板を有し、かつ前記無地部を帯状または前記容器底
部と相似した板状の導電部材を介して前記容器底部の内
面に接続され，かつ前記負極は、前記容器底部側の端部
に０．１〜５ｍｍの幅の実質的に前記集電板が露出する
領域を有することを特徴とするものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係わるアルカリ二
次電池（円筒形ニッケル水素二次電池）を図１を参照し
て説明する。

【００１１】有底円筒状の容器１内には、電極群２が収
納されている。この電極群２は、図１〜図３に示すよう
に下側端部に無地部３を有するパンチングメタルシート
４からなる集電板を有し、かつ両面に水素吸蔵合金を含
む負極層５を形成した帯状負極６と帯状セパレータ７と
上側端部に導電性基板９に活物質である水酸化ニッケル
粒子を含む正極層１０を形成し、かつ無地部８にリード
８ａを取り付けた帯状正極１１とを前記負極６の無地部
３が一方の側に表出し、前記正極１１の無地部８が反対
側に表出するように相互にずらして積層し、この積層物
を渦巻状に巻回することにより作製される。前記負極６
は、前記容器１底部側の端部に０．１〜５ｍｍの幅の実
質的に前記集電板が露出する領域を有する。

【００１２】前記電極群２の負極６の無地部３下端は、
前記容器１底部と相似した板状（例えば円板状）の導電
部材１３にスポット溶接されている。この導電部材１３
は、図４に示すように前記負極６の無地部３下端が当接
される表面に多数の微小突起１２が形成されている。前
記導電部材１３は、前記容器１内に収納された後に、そ
の中心付近を前記容器１底面にスポット溶接されてい
る。前記電極群２の正極１１のリード８ａ上端は、図１
に示すように中央に穴１４が開口された円板状導電板１
５にスポット溶接されている。アルカリ電解液は、前記
容器１内に収容されている。

【００１３】中央に孔１６を有する円形の封口板１７、
前記容器１の上部開口部に配置されている。リング状の
絶縁性ガスケット１８は、前記封口板１７の周縁と前記
容器１の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口
部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器１に前記
封口板１７を前記ガスケット１８を介して気密に固定し
ている。正極タブ１９は、一端が前記正極１１の円板状
導電板１５に接続され、他端が前記封口板１７の下面に
接続されている。

【００１４】複数のガス抜き孔２０を有する帽子形状を
なす正極端子２１は、前記封口板１７上にその封口板１
７の孔１６を覆うように取り付けられている。ゴム製の
安全弁２２は、前記封口板１７と前記正極端子２１で囲
まれた空間内に前記孔１６を塞ぐように配置されてい
る。

【００１５】次に、前記負極６、正極１１、セパレータ
７および電解液について説明する。

【００１６】１）負極６この負極６は、前述したように下側端部に無地部３を有
するパンチングメタルシート４からなる集電板を有し、
かつ前記容器１底部側の端部から０．１〜５ｍｍの範囲
の前記無地部を除くパンチングメタルシート４領域に水
素吸蔵合金を含む負極層５を形成した構造を有する。こ
の負極層は、例えば水素吸蔵合金粉末に導電材を添加
し、高分子結着剤および水と共に混練して調製したペー
ストを、前述した無地部を有するパンチングメタルシー
ト（集電板）の所定領域に充填し、乾燥した後、成形す
ることにより形成される。

【００１７】前記水素吸蔵合金としては、格別制限され
るものではなく、電解液中で電気化学的に発生させた水
素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出
できるものであればよい。この水素吸蔵合金としては、
例えばＬａＮｉ₅、ＭｍＮｉ ₅（Ｍｍ；ミッシュメタ
ル）、ＬｍＮｉ₅（Ｌｍ；ランタン富化したミッシュメ
タル）、またはこれらのＮｉの一部をＡｌ、Ｍｎ、Ｃ
ｏ、Ｔｉ、Ｃｕ、Ｚｎ、Ｚｒ、Ｃｒ、Ｂのような元素で
置換した多元素系のもの、もしくはＴｉＮｉ系、ＴｉＦ
ｅ系のものを挙げることができる。中でも、一般式Ｌｍ
Ｎｉ_xＭｎ_yＡ_z（ただし、ＡはＡｌ，Ｃｏから選ばれ
る少なくとも一種の金属、原子比ｘ，ｙ，ｚはその合計
値が４．８≦ｘ＋ｙ＋ｚ≦５．４を示す）で表されるも
のを用いることが好ましい。

【００１８】前記高分子結着剤としては、例えばカルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン、スチレ
ン・ブタジエンゴム、変性スチレン・ブタジエンゴム等
を挙げることができる。

【００１９】前記導電材としては、例えばニッケルフレ
ーク、カーボンブラック等を用いることができる。

【００２０】前記負極は、前記容器底部側の端部に０．
１〜５ｍｍの幅の実質的に前記集電板が露出する領域を
有することが必要である。前記負極における前記容器底
部側端部の集電板露出部の幅を０．１ｍｍ未満にする
と、この集電板の無地部を前記円板状の導電部材にスポ
ット溶接する際に発生する熱や爆飛により前記負極層が
発火や着火し、その結果その近傍のセパレータが熱収縮
を生じて正負極同士が内部短絡する虞がある。一方、前
記負極における前記容器底部側端部の集電板露出部の幅
が５ｍｍを超えると、負極に占める負極層の面積が減少
して二次電池の容量低下を招く虞がある。より好ましい
前記負極における前記容器底部側端部の集電板露出部の
幅は、０．５〜２．０ｍｍである。２）正極１１この正極１１は、前述したように上側端部に無地部８を
有する導電性基板９に活物質である水酸化ニッケル粒子
を含む正極層１０を形成し、かつ無地部８にリード８ａ
を例えば溶接により取り付けた構造を有する。この正極
層は、例えば活物質である水酸化ニッケル粒子に導電材
料を添加し、高分子結着剤および水と共に混練して調製
したペーストを、前述した導電性基板に充填し、乾燥し
た後、成形することにより形成される。

【００２１】前記水酸化ニッケル粒子としては、例えば
単一の水酸化ニッケル粒子、または亜鉛、コバルト、ビ
スマス、銅のような金属を金属ニッケルと共に共沈され
た水酸化ニッケル粒子を用いることができる。特に、後
者の水酸化ニッケル粒子を含む正極は、高温状態におけ
る充電効率をより一層向上することが可能になる。

【００２２】前記水酸化ニッケル粒子は、Ｘ線粉末回折
法による（１０１）面のピーク半価幅が０．８゜／２θ
（Ｃｕ−Ｋα）以上であることが好ましい。より好まし
い水酸化ニッケル粒子のピーク半価幅は０．９〜１．０
゜／２θ（Ｃｕ−Ｋα）である。

【００２３】前記導電材料としては、例えば金属コバル
ト、コバルト酸化物、コバルト水酸化物等を挙げること
ができる。

【００２４】前記高分子結着剤としては、例えばカルボ
キシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリ
ル酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン等を挙げ
ることができる。

【００２５】前記導電性基板としては、例えばニッケ
ル、ステンレスまたはニッケルメッキが施された金属か
ら形成された網状、スポンジ状、繊維状、もしくはフェ
ルト状の金属多孔体等を挙げることができる。

【００２６】前記正極は、表出した集電板を除く面積が
電池の理論容量（Ａｈ）当たり３０ｃｍ²以上、つまり
３０ｃｍ²／Ａｈ以上である。この正極面積を３０ｃｍ²
／Ａｈ未満にすると、大電流放電が困難になる虞があ
る。より好ましい正極面積は、３８ｃｍ²／Ａｈ以上で
ある。正極の面積を大きくするためには、電極群の外径
および高さが一定であれば正極の厚さを薄くすることに
より対応することができる。これは、電極群に倦回され
る正極の長さが長り、正極数が多くなって倦回後におけ
る電極群に占める面積が広くなるからである。しかしな
がら、正極の厚さを薄くし過ぎると、正極の強度が低下
して倦回時に割れや亀裂等が発生して電極群の不良が増
大するばかりか、電極群に占めるセパレータの面積の増
大して容量低下を招く。したがって、前記正極の面積の
上限は１００ｃｍ²／Ａｈにすることが好ましい。３）セパレータ７このセパレータ７としては、例えばポリアミド繊維製不
織布、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン繊維製不織布、またはこれらの不織布に親水性官能
基を付与したものを挙げることができる。

【００２７】４）アルカリ電解液このアルカリ電解液としては、例えば水酸化ナトリウム
（ＮａＯＨ）と水酸化リチウム（ＬｉＯＨ）の混合液、
水酸化カリウム（ＫＯＨ）とＬｉＯＨの混合液、ＫＯＨ
とＬｉＯＨとＮａＯＨの混合液等を用いることができ
る。

【００２８】前記円板状の導電部材は、アルカリ電解液
に腐食されず、比抵抗が小さく、さらに比較的低コスト
の材料から作られることが好ましい。例えば、純ニッケ
ル、ステンレス鋼、ニッケルめっきが施された金属の板
が好適である。前記導電部材の厚さは、厚いほど、導体
抵抗が低くなって、大電流を流しし易くなるものの、あ
まり厚くし過ぎるとコスト高や二次電池の容量低下（電
極群が収納される有底円筒状容器の容積低下）を招く。
このため、前記導電部材の厚さを０．１５〜２．０ｍｍ
にすることが好ましい。なお、前記円板状の導電部材を
負極の無地部下端に接続させる形態に限らず、複数の帯
状の導電部材を負極の無地部下端に接続し、これら帯状
の導電部材を容器底部の内面にスポット溶接等により接
続した形態にしてもよい。

【００２９】本発明に係るアルカリ二次電池に用いる電
極群２において、前述した図２に示すように負極５の容
器１底部側に位置する無地部３端部から正極１１の容器
１底部側に位置する端部までの長さ（負極およびセパレ
ータの突出長さ）をｈ₁とすると、このｈ₁は正極１１と
負極６が導通される導電部材１３との短絡を防止する観
点からｈ₁＞０にすることが好ましい。また、正極１１と
負極６との対抗面積を十分に取るためにはｈ₁＜５ｍｍ
にすることが好ましい。つまり、０＜ｈ₁＜５ｍｍにする
ことが好ましい。また、本発明に係るアルカリ二次電池
に用いる電極群２において前述した図２に示すようにセ
パレータ７の容器１底部側に位置する無地部３端部から
正極１１の容器１底部側に位置する端部までの長さ（セ
パレータの突出長さ）をｈ₂とすると、このｈ₂は０＜ｈ
₂＜ｈ₁を満たすことが好ましい。前記円板状の導電部材
表面に形成される多数の微小突起は、高さが前記ｈ₁以
下であることが好ましい。以上説明した本発明に係るア
ルカリ二次電池（例えばニッケル・水素二次電池）は、
容器と、この容器内に収納され、水素吸蔵合金粉末を含
む負極層を有する負極および水酸化ニッケルを含む正極
層を有する正極をセパレータを挟んで渦巻き状に捲回し
た電極群と、前記容器内に収容されたアルカリ電解液と
を具備し、前記負極が少なくとも一方の側端部に無地部
を有するパンチングメタルシートからなる集電板を有
し、かつ前記無地部を帯状または前記容器底部と相似し
た板状の導電部材を介して前記容器底部の内面に接続さ
れている。また、前記負極は前記容器底部側の端部に
０．１〜５ｍｍの幅の実質的に前記集電板が露出する領
域を有する。

【００３０】このような構成の二次電池は、高容量化を
維持しつつ、大電流放電時における作動電圧の低下を抑
制できるとともに負極の集電板（特に無地部）を導電部
材に溶接する際の発火や着火に伴う正負極間の短絡を防
止することができる。すなわち、ニッケル・水素二次電
池は一般的にニッケル・カドミウム二次電池に比べて内
部抵抗が大きいため、特に高い放電率で放電した場合、
作動電圧の低下が生じる。

【００３１】前述したニッケル・水素二次電池におい
て、高い放電率で作動させても電池作動電圧の低下を抑
制ないし防止するにはその内部抵抗を可能な限り低くす
る必要がある。

【００３２】このようなことから、本発明は少なくとも
一方の側端部に無地部を有するパンチングメタルシート
からなる集電板を有する負極を用い、この負極の無地部
を帯状または前記容器底部と相似した板状の導電部材を
介して容器底部の内面に接続することによって、負極と
容器との間の接触抵抗を著しく低減できるため、大電流
放電時における作動電圧の低下を効果的に抑制すること
ができる。

【００３３】また、前記負極として前記容器底部側の端
部に０．１〜５ｍｍの幅の実質的に前記集電板が露出す
る領域を有する構造のものを用いることによって、高容
量化を維持しつつ、この無地部端部を例えば円板状の導
電部材にスポット溶接する際に発生する熱や爆飛により
前記負極層が発火ないし着火するのを防止できる。その
結果、前記負極層の発火や着火に起因するセパレータの
熱収縮を防止して正負極同士が内部短絡する問題を回避
できる。特に、表出される集電板を除く正極の面積を電
池の理論容量（Ａｈ）当たり３０ｃｍ²以上にすること
によって、正負極間を流れる電流の密度を小さくするこ
とができる。その結果、作動電圧の低下を抑制して大電
流放電を実現できる。

【００３４】また、前述した図１に示すように電極群２
の正極１１のリード８ａ上端に中央に穴１４が開口され
た円板状導電部材１５をスポット溶接し、この導電部材
１５に接続された正極タブ１９を通して正極端子として
機能する封口板１７に接続すれば、電池の内部抵抗をよ
り一層低減でき、さらに負極６の無地部３下端を円板状
の導電部材１３に接続した構造との相互作用により、渦
巻状に巻回した電極群２の形状安定性を向上できるた
め、電池の組み立ても容易に行なうことができる。

【００３５】さらに、図４に示すように前記負極６無地
部３下端が当接される表面に多数の微小突起１２が形成
された構造の円板状導電部材１３を用いれば、前記負極
の無地部下端を前記円板状の導電部材表面に当接させて
溶接する際、前記導電部材表面の多数の微小突起が前記
無地部下端の端面に食い込むような状態で圧接されるた
め、溶接電流を流すときの接触抵抗を小さくでき、溶接
後における溶接点の強度を向上することが可能になる。

【００３６】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を前述した図
面を参照して詳細に説明する。

【００３７】（実施例１〜５および比較例１〜６）＜負極の作製＞Ｌｍ（Ｌｍ；ランタン富化したミッシュ
メタル）Ｎｉ_3.6Ｃｏ_0.8Ｍｎ_0.3Ａｌ_0.3の水素吸蔵
合金を作製した。これら合金を１０００℃のアルゴン雰
囲気中で１０時間熱処理して合金組成を均質化した。つ
づいて、この水素吸蔵合金を機械的に粉砕し、篩い分け
を行なって２５〜７５μｍの粉末を取出した。得られた
水素吸蔵合金粉末１００質量部にポリアクリル酸ナトリ
ウム０．３質量部、カルボキシメチルセルロース（ＣＭ
Ｃ）０．１質量部、カルボキシ変性スチレン・ブタジエ
ンゴム０．５質量部、導電性材料としてのカーボンブラ
ック０．５質量部およびニッケルフレーク０.５質量部
を添加し、水３０質量部と共に混合することによりペー
ストを調製した。ひきつづき、厚さ０．０６ｍｍ、下側
端を幅１ｍｍに亘って無地部とし、かつ直径１ｍｍの開
口が４５％の開口率でパンチングされたパンチドメタル
シートを用意し、このパンチングメタルシート全面に前
記ペーストを塗布し、８０℃の温度で１時間乾燥した
後、ローラプレスで圧延して負極層を形成した。この
後、前記負極層の一部を除去し、所望の寸法に裁断する
ことにより前述した図２および図３に示す下端から５ｍ
ｍの高さの領域を表出させて負極を作製した。

【００３８】＜正極の作製＞水酸化ニッケル粉末９０質
量部および一酸化コバルト粉末１０質量部からなる混合
粉体に、カルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）０．３
質量部、ポリテトラフルオロエチレンのディスパージョ
ン（比重１．５、固形分６０質量％）を固形分換算で
０．５質量部を添加し、純水４５質量部と共に混合する
ことによりペーストを調製した。

【００３９】また、ニッケル発泡シートの上側端を幅２
ｍｍに亘ってその長さ方向に加圧して緻密化することに
より上端に幅２ｍｍに亘って加圧前に比べて１／５の厚
さを有する無地部を形成した。つづいて、前記無地部を
除くニッケル発泡シートに前記ペーストを充填し、１０
０℃の温度で乾燥した後、ローラプレスで圧延して正極
層を形成し、さらに前記無地部に厚さ０.０８ｍｍ、幅
３ｍｍのニッケルメッキステレンス鋼製のリードを溶接
し、所望の寸法に裁断することにより上側端にリードを
有する正極を作製した。

【００４０】得られた正極は、その正極層の面積が組み
立てられる電池の理論容量あたり３８ｃｍ²、つまり３
８ｃｍ²／Ａｈであった。＜ニッケル・水素二次電池の組み立て＞前記負極、厚さ
０．１３ｍｍのポリプロピレン不織布からなるセパレー
タおよび前記正極を前述した図２に示すように前記負極
６の無地部３が下部側に表出し、前記正極１１のリード
８ａが上部側に表出するように相互にずらして積層し、
この積層物を渦巻状に巻回することにより外径１６ｍ
ｍ，中心部に直径４ｍｍの空洞部を有する電極群を作製
した。なお、前記セパレータの下端および前記負極の下
端をそれぞれ前記正極の下端を基準にしてそれぞれ１．
０ｍｍ（図２中のｈ ₂に相当），２．０ｍｍ（図２中の
ｈ₁に相当）突出させた。次いで、表面に高さ１．０ｍｍ
の微小突起が多数形成された直径１５．５ｍｍのニッケ
ル製円板状導電部材を用意し、この導電部材の微小突起
が形成された面に前記電極群の突出した負極の無地部を
圧接し、スポット溶接することにより当接部に約２０箇
所のナゲットを形成し電極群と導電部材とを一体化し
た。つづいて、前記電極群を有底円筒状の容器内にその
電極群と一体化された円板状導電部材が内部底面側に位
置するように挿入して前記導電部材を前記容器の内部底
面に接触させた。ひきつづき、上部溶接電極を前記電極
群の中央の空洞部を通して挿入してその溶接電極先端で
前記導電部材を加圧し、同時に前記容器の外側底面に配
置した下部溶接電極でその容器を上方に向けて加圧した
後、両溶接電極かに電流を通電することにより前記円板
状導電部材を前記容器の内部底面に溶接した。次いで、
前記容器内の電極群の上端に突出した正極のリードにニ
ッケル製の円板状導電部材を載置し、２０箇所を点溶接
した後、ニッケル製の正極タブの一端を前記導電部材に
溶接した。つづいて、前記容器内に水酸化カリウムを主
体とする電解液を注入した。ひきつづき、前記正極タブ
の他端を孔を有する封口板に溶接した。この後、予め前記
封口板にゴム製の安全弁をその封口板の孔を塞ぐように
配置し、この封口板上にガス抜き孔を有する帽子形状を
なす正極端子を前記安全弁を囲むように載置した後、溶
接した。前記封口板を前記有底円筒状容器の上端開口部
にガスケットを介して嵌め込み、型締め加工することに
より前述した図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの
円筒形ニッケル水素二次電池を組み立てた。

【００４１】（実施例２）パンチングメタルシートの下
端から０．１ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の
領域の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と
同様な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形
ニッケル水素二次電池を組み立てた。

【００４２】（実施例３）パンチングメタルシートの下
端から０．５ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の
領域の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と
同様な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形
ニッケル水素二次電池を組み立てた。

【００４３】（実施例４）パンチングメタルシートの下
端から２ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の領域
の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と同様
な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形ニッ
ケル水素二次電池を組み立てた。

【００４４】（実施例５）パンチングメタルシートの下
端から３ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の領域
の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と同様
な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形ニッ
ケル水素二次電池を組み立てた。

【００４５】（実施例６）パンチングメタルシートの下
端から５ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の領域
の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と同様
な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形ニッ
ケル水素二次電池を組み立てた。

【００４６】（比較例１）パンチングメタルシートの下
端を表出させず、全面に負極層を形成した負極を用いた
い外、実施例１と同様な４／５Ａサイズの円筒形ニッケ
ル水素二次電池を組み立てた。

【００４７】（比較例２）パンチングメタルシートの下
端から８ｍｍの高さの領域を表出させ、それ以外の領域
の負極層を形成した負極を用いたい外、実施例１と同様
な図１に示す構造を有する４／５Ａサイズの円筒形ニッ
ケル水素二次電池を組み立てた。

【００４８】得られた実施例１〜６および比較例１，２
の二次電池１００００個について、組み立て後２５℃で
２４時間放置し、電圧を測定した。この測定において、
電池電圧が１ｍＶ以下の二次電池を絶縁不良とし、その
不良個数を調べた。その結果を下記表１に示す。また、
実施例１〜６および比較例１，２の二次電池１００個に
ついて、所定の初期活性化を行った後、１時間率で１．
２時間の充電を行い、３０分間休止し、１時間率の電流
で放電し、０．７Ｖまで電圧を降下したときの放電容量
を測定し、１００個の平均値として求めた。その結果を
下記表１に併記する。

【表１】

【００４９】前記表１から明らかなように容器底部側の
端部から０．１〜５ｍｍの範囲のパンチングメタルシー
ト領域を表出させ、この領域を除く前記パンチングメタ
ルシートに負極層を形成した実施例１〜６の二次電池
は、１００００個中の絶縁不良数が最大で１個であり、
かつ高い放電容量を有することがわかる。これに対し、
パンチングメタルシートが容器底部側の端部から表出せ
ず、全面に負極層が形成された比較例１の二次電池は、
高い放電容量を有するものの、１０００個中２０個の絶
縁不良が発生することがわかる。また、容器底部側の端
部から１０ｍｍの範囲のパンチングメタルシート領域を
表出させ、この領域を除く前記パンチングメタルシート
に負極層を形成した比較例２の二次電池は、１００００
個中の絶縁不良数が０個であるものの、放電容量が低下
することがわかる。

【００５０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
容量で、かつ大電流放電時における作動電圧の低下を抑
制することが可能で、さらに負極の集電板（特に無地
部）を容器との導通をとるために導電部材に溶接する際
に発生する熱によって前記負極の負極層が発火するのを
防止してセパレータの熱収縮による正負極同士が内部短
絡を回避でき、各種の電動工具や電動補助付き自転車、
電気自動車などの駆動電源として有用なアルカリ二次電
池を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるニッケル水素二次電池を示す断
面図。

【図２】図１の二次電池に組込まれる電極群の展開図。

【図３】図２の電極群を背面から見たときの展開図。

【図４】図１の二次電池の容器底部内面に配置される円
板状の導電部材を示す平面図。

【符号の説明】

１…容器、２…電極群、３，８…無地部、６…負極、７…セパレータ、１１…正極、１３…導電部材、１７…封口板、１８…絶縁ガスケット。

フロントページの続き (72)発明者田口幸治東京都品川区南品川３丁目４番10号東芝電池株式会社内Ｆターム(参考） 5H022 AA04 AA18 BB16 CC13 CC20 CC23 EE01 5H028 AA01 AA05 BB05 BB07 CC05 CC10 CC12 EE01 HH06 HH10

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】容器と、この容器内に収納され、水素吸
蔵合金粉末を含む負極層を有する負極および水酸化ニッ
ケルを含む正極層を有する正極をセパレータを挟んで渦
巻き状に捲回した電極群と、前記容器内に収容されたア
ルカリ電解液とを具備し、前記負極は、少なくとも一方の側端部に無地部を有する
パンチングメタルシートからなる集電板を有し、かつ前
記無地部を帯状または前記容器底部と相似した板状の導
電部材を介して前記容器底部の内面に接続され，かつ前
記負極は、前記容器底部側の端部に０．１〜５ｍｍの幅
の実質的に前記集電板が露出する領域を有することを特
徴とするアルカリ二次電池。
【請求項２】前記電極群に組み込まれた前記正極の正
極層は、電池の理論容量当たり３０ｃｍ²以上の面積を
有することを特徴とする請求項１記載のアルカリ二次電
池。