JP2002276548A - 圧縮機の防振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮機の始動・停止に伴って発生する圧縮機
の変位を抑制し、製品全体及び接続されている部品に伝
達し難くするとともに、製品輸送時に生ずる圧縮機の上
下方向の変動及び上方向への飛び上がりに対し、抑制効
果を発揮する圧縮機の防振装置を提供する。 【解決手段】 底板４に固定され上方に直立する支持ボ
ルト５と、貫通孔８ａを有しこの貫通孔８ａを支持ボル
ト５に挿通する基部防振ゴム８とを備え、圧縮機１の下
部に設けられて外方向に延出する固定脚３の取付孔２を
支持ボルト５に遊挿し、ナット６を螺合することによ
り、圧縮機本体１Ａを底板４に支持してなる圧縮機１の
防振装置２０において、前記支持ボルト５に、圧縮機１
の固定脚３の左右の縁を押える固定脚押え具１２を取り
付けた圧縮機１の防振装置２０。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機等の底
板等に載置され、圧縮機の固定脚を支持する圧縮機の防
振装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の圧縮機の防振装置の一例を、図４
及び図５（図４のＡ−Ａ断面図）に示す。図において、
１Ａはロータリ式圧縮機１の本体で、この本体１Ａは円
柱形状をし、その下方には取付孔（貫通孔）２を有する
４個の固定脚３が設けられている。この固定脚３は圧縮
機１の半径方向外方に向かって取り付けられ、固定脚３
の左右の縁が下方に折曲されて折曲片１６、１６が形成
されている。

【０００３】４は圧縮機本体１Ａを載置する製品の底
板、５はねじ部５ｂが上方に直立する支持ボルトで、支
持ボルト５の頭部５ａが底板４に固定されている。

【０００４】８はゴム等の弾性体により形成され、圧縮
機１の固定脚３を下から支える角柱状の基部防振ゴム
で、その中央部には貫通孔８ａが設けられている。６は
ナット、７は円筒形の位置決めカラーで、この位置決め
カラー７は、貫通孔８ａを有し、この貫通孔８ａを支持
ボルト５に挿入し、ナット６の固定位置を決めるもので
ある。

【０００５】このように構成された防振装置１０におい
て、次のように、圧縮機本体１Ａが底板４に固定され
る。まず、底板４上の支持ボルト５のねじ部５ｂに、カ
ラー７の貫通孔７ａが挿通される。このカラー７の外周
に基部防振ゴム８の貫通孔８ａ、及び圧縮機１の固定脚
３の取付孔２が挿通される。固定脚３が基部防振ゴム８
の上面と上部側面とに接して載置される。そして、ナッ
ト６が支持ボルト５に螺合され、カラー７の上端に当接
するまで締め付けられる。このようにして圧縮機１の固
定脚３が支持ボルト５に取り付けられ、ロータリ圧縮機
１が底板４に支持される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来、圧縮
機１の固定脚３は、その取付孔２に汎用性を持たせるた
め、取付孔２の直径Ｄがカラー７の外径Ｃに比べ大きく
形成されており、支持ボルト５に固定脚３の取付孔２を
挿通した場合、取付孔２の周縁とカラー７の外周との間
には隙間ができる。そのため、圧縮機１の始動・停止時
や製品の輸送時等、圧縮機本体１Ａに円周方向（回転ま
たは反回転方向）の大きな力が加わった場合には、基部
防振ゴム８が歪んで変形し、圧縮機１が円周方向に大き
く変位する。この圧縮機１の変位により、圧縮機１に接
続されている部品や配管等が歪み、傷み易くなるという
問題があった。

【０００７】また、従来の圧縮機の防振装置は、製品の
輸送時や圧縮機１の始動・停止時等の上下方向に加わる
力に対して、ナット６の位置決めカラー７を用いて圧縮
機１の固定脚３の上方に隙間を設け、圧縮機１の固定脚
３の変動を自由にしていた。そのため、圧縮機本体１Ａ
または固定脚３が、ナット６や他の部品と衝突して騒音
を発生するということがあった。

【０００８】本発明は上述のような従来の問題点に着目
してなされたものであり、防振装置の防振効果を高める
ものであって、圧縮機の始動・停止に伴って発生する圧
縮機の変位を抑制し、製品全体及び接続されている部品
に伝達し難くするとともに、製品輸送時に生ずる圧縮機
の上下方向の変動及び上方向への飛び上がりに対し、抑
制効果を発揮する圧縮機の防振装置を提供することを目
的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項１記載の発明は、底板に固定され上方に直
立する支持ボルトと、貫通孔を有しこの貫通孔を支持ボ
ルトに挿通する基部防振ゴムとを備え、圧縮機の固定脚
に設けられた取付孔を支持ボルトに遊挿し、ナットを螺
合することにより、圧縮機本体を底板に支持してなる圧
縮機の防振装置において、前記支持ボルトに、圧縮機の
固定脚の左右の縁を押える固定脚押え具を取り付けたこ
とを特徴とする。

【００１０】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の圧縮機の防振装置おいて、前記固定脚押え具は、上板
とこの上板の両端に折曲部とを有し、断面コ字状に形成
されていることを特徴とする。

【００１１】請求項３に記載の発明は、請求項２に記載
の圧縮機の防振装置おいて、前記固定脚押え具の上板に
貫通孔を設け、この貫通孔を支持ボルトに挿通すること
を特徴とする。

【００１２】請求項４に記載の発明は、請求項１〜３の
いずれかに記載の圧縮機の防振装置おいて、前記固定脚
押え具と圧縮機の固定脚との間に緩衝用ゴムを介在させ
たことを特徴とする。

【００１３】請求項５に記載の発明は、請求項３または
４に記載の圧縮機の防振装置おいて、前記支持ボルトに
位置決めカラーを挿通して固定脚押え具の上板下面を支
えると共に、ナットを螺合することによって、固定脚押
え具の上板上面を支持ボルトに固定したことを特徴とす
る。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明一実施形態を図１〜
図３に基づいて説明する。なお、図４及び図５と同一の
構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明は省略
する。

【００１５】図１において、１Ａはロータリー圧縮機１
の圧縮機本体で、下部には、円周付近から外方向に、均
等に４ヵ所配置された固定脚３が設けられ、それぞれに
取付孔２を有している。この固定脚３は、図２に示すよ
うに、左右の縁が下方に折曲されて折曲片１６、１６が
形成されている。

【００１６】４は圧縮機本体１Ａを載置する製品の底板
で、この底板４には、前記固定脚３の取付孔２に対応し
て４ヵ所の貫通孔４ａが設けられている。

【００１７】図２及び図３において、２０は圧縮機１の
防振装置で、支持ボルト５、位置決めカラー１７、基部
防振ゴム８、固定脚押え金具（以下単に押え金具とい
う）１２、緩衝用ゴム１５、及びナット６等を備えてい
る。

【００１８】支持ボルト５は、頭部５ａとねじ部５ｂと
を有し、前記底板４の貫通孔４ａの周縁に支持ボルト５
の頭部５ａが固定され、支持ボルト５のねじ部５ｂが上
方に直立している。

【００１９】位置決めカラー１７は、円筒形の中央に貫
通孔８ａを有し、この貫通孔８ａを支持ボルト５に挿入
し、押え金具１２の上下方向の固定位置を決めるもので
ある。

【００２０】押え金具１２は、上板１３の左右の縁が折
曲されて折曲部１４、１４を形成し、下方に開いた断面
コ字状をしている。左右折曲部１４、１４間の内側寸法
Ｌは、圧縮機１の固定脚３の幅寸法Ｍよりも少し大きく
作られており、これら折曲部１４と固定脚３の隙間（Ｌ
−Ｍ）は、前記固定脚３の取付孔２とカラー１７の外径
Ｃとの間の隙間（Ｄ−Ｃ）よりも小さくしている。上板
１３の中央部には、カラー１７の外径より小さい、支持
ボルト５挿通用の貫通孔１２ａが形成されている。

【００２１】さらに、この押え金具１２には、上板１３
の下面全体及び折曲部１４の内側全体を覆う緩衝用ゴム
１５が接着剤により接着されている。この緩衝用ゴム１
５には、カラー１７の外周に挿通される貫通孔１５ａが
設けられている。

【００２２】このように構成された防振装置２０におい
て、圧縮機本体１Ａの固定が次のように行われる。ま
ず、底板４上に固定された支持ボルト５に、カラー１７
の貫通孔７ａが挿通され、カラー１７の下面が底板４に
当接して設けられる。次に、このカラー１７の外周に基
部防振ゴム８の貫通孔８ａが挿通されて底板４上に載置
され、圧縮機１の固定脚３の取付孔２が遊挿される。こ
のとき固定脚３の折曲片１６間が基部防振ゴム８の上部
を挟持して載置される。次に、押え金具１２の貫通孔１
２ａが支持ボルト５に挿通され、押え金具１２の下面が
カラー１７の上面に当接される。カラー１７により押え
金具１２の上下方向の位置が固定されるので、押え金具
１２の下面と固定脚３の上面との隙間を任意に設定する
ことができる。次に、ナット６が支持ボルト５に螺合さ
れて固定脚３が底板４に取り付けられ、ロータリ圧縮機
１が底板４に支持される。

【００２３】このように、本発明の圧縮機１の防振装置
２０は、底板４上に直立して設けられた支持ボルト５
に、カラー１７、基部防振ゴム８、圧縮機１の固定脚３
及び押え金具１２のそれぞれの貫通孔７ａ、８ａ、２、
１２ａが挿通されており、圧縮機１の固定脚３は、その
折曲片１６、１６の両外側が押え金具１２の折曲部１４
で、両内側が基部防振ゴム８で押えられているので、圧
縮機１の円周方向に加わる大きな力に対し、圧縮機１の
固定脚３の変動を抑え、圧縮機１の変位を抑制すること
ができる。

【００２４】また、同様に、圧縮機１の固定脚３は、そ
の上面が押え金具１２の上板１３で、下面が基部防振ゴ
ム８で押えられているので、上下方向に加わる大きな力
に対し、圧縮機１の跳ね上がり等の上下方向の変動を抑
制することができる。

【００２５】従って、圧縮機１に加わる円周方向及び上
下方向の大きな力に対し、圧縮機１に接続されている部
品や配管等が大きく変動し難くなり、これら部品や配管
等の傷みが軽減される。

【００２６】また、圧縮機１の固定脚３の上面及び折曲
片１６、１６の外側面が、押え金具１２の下面及び折曲
部１４の内側面に接着された緩衝用ゴム１５で押えら
れ、固定脚３の下面及び折曲片１６、１６の内側面が、
基部防振ゴム８で支えられているので、圧縮機１の固定
脚３と防振装置２０との間の傷みや金属疲労等を軽減す
ると共に、これらの部品間の衝突音を軽減することがで
きる。さらに、圧縮機１の上下方向の振動に対して防振
効果が得られ、製品全体への振動の伝達と振動による騒
音が低減される。

【００２７】同様に、固定脚３の左右の縁と、押え金具
１２の折曲部１４間との間にできる隙間（Ｌ寸法とＭ寸
法との差）が、圧縮機１の固定脚３の取付孔２と、カラ
ー１７の外径Ｃとの間にできる隙間（Ｄ寸法とＣ寸法と
の差）よりも小さくしているので、固定脚３の取付孔２
とカラー１７との衝突がなく、固定脚３の左右の縁と押
え金具１２の折曲部１４とが衝突する。この押え金具１
２の折曲部１４内側には、緩衝用ゴム１５を介在させて
いるので、固定脚３の変動による衝突音を軽減すること
ができると共に、圧縮機１の回転方向の振動に対して防
振効果が得られ、製品全体への振動の伝達と振動による
騒音が低減される。

【００２８】以上、実施形態に基づいて本発明を説明し
たが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施
形態では押え金具１２を金属製としているが、例えば樹
脂製等、金属以外の材質で強度を持つものであれば、金
属でなくても良い。

【００２９】また、押え金具１２の下面及び側面内側に
緩衝用ゴム１５を接着剤にて接着固定しているが、接着
しないで単に重ね合わせておいても良い。

【００３０】また、圧縮機はロータリ圧縮機としていた
が、レシプロ式圧縮機、スクロール式圧縮機等他の形式
の圧縮機に対しても適用できる。

【００３１】また、防振装置２０の押え金具１２を４ヵ
所に設けているが、３ヵ所以上の複数ヵ所に設ければ、
圧縮機の防振装置２０と成すことができる。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の圧縮機の
防振装置によれば、底板に固定され直立した支持ボルト
に、基部防振ゴム、圧縮機の固定脚及び押え金具のそれ
ぞれの貫通孔を挿通し、固定脚押え具が圧縮機の固定脚
の左右の縁を外側から押えているので、圧縮機に加わる
回転及び反回転方向の大きな力を抑えて、圧縮機の変位
を抑制することができる。また、固定脚は、その上部が
固定脚押え具で押えられ、その下部が基部防振ゴムで支
えられ挟持されているので、圧縮機に加わる上下方向の
大きな力を抑制することができる。

【００３３】これにより、圧縮機の変位を抑制すること
ができるので、圧縮機に接続された配管や部品の、圧縮
機の変位による歪みや損傷を軽減することができる。ま
た、圧縮機本体や固定脚が他の部品と衝突して発生する
騒音を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態における圧縮機の平面図で
ある。

【図２】本発明の一実施形態における圧縮機の防振装置
を示す断面図である。

【図３】図２の斜視図である。

【図４】従来の圧縮機の防振装置の一例を示す一部正面
図である。

【図５】図４のＡ−Ａ断面図である。

【符号の説明】

１ 圧縮機 ２ 取付孔（貫通孔） ３ 固定脚 ４ 底板 ５ 支持ボルト ６ ナット ８ 基部防振ゴム １２ 固定脚押え金具（固定脚押え具） １３ 上板 １４ 折曲部 １５ 緩衝用ゴム １６ 折曲片 １７ 位置決めカラー ２０ 防振装置 Ｃ カラーの外径 Ｄ 取付孔の内径 Ｌ 押え具の折曲部間の内側寸法 Ｍ 固定脚の幅寸法（固定脚の左右の縁間寸法）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小内 一則 栃木県足利市大月町１番地 三洋電機空調 株式会社内 (72)発明者 八藤後 裕志 栃木県足利市大月町１番地 三洋電機空調 株式会社内 (72)発明者 下谷 亮 栃木県足利市大月町１番地 三洋電機空調 株式会社内 Ｆターム(参考） 3H003 AA05 AB01 AC03 BB06

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底板に固定され上方に直立する支持ボル
   トと、貫通孔を有しこの貫通孔を支持ボルトに挿通する
   基部防振ゴムとを有し、圧縮機の下部に設けられて外方
   向に延出する固定脚の取付孔を支持ボルトに遊挿し、ナ
   ットを螺合することにより、圧縮機本体を底板に支持し
   てなる圧縮機の防振装置において、 前記支持ボルトに、圧縮機の固定脚の左右の縁を押える
   固定脚押え具を取り付けたことを特徴とする圧縮機の防
   振装置。
2. 【請求項２】 前記固定脚押え具は、上板とこの上板の
   両端に折曲部とを有し、断面コ字状に形成されているこ
   とを特徴とする請求項１に記載の圧縮機の防振装置。
3. 【請求項３】 前記固定脚押え具の上板に貫通孔を設
   け、この貫通孔を支持ボルトに挿通することを特徴とす
   る請求項２に記載の圧縮機の防振装置。
4. 【請求項４】 前記固定脚押え具と圧縮機の固定脚との
   間に緩衝用ゴムを介在させたことを特徴とする請求項１
   〜３のいずれかに記載の圧縮機の防振装置。
5. 【請求項５】 前記支持ボルトに位置決めカラーを挿通
   して固定脚押え具の上板下面を支えると共に、ナットを
   螺合することによって、固定脚押え具の上板上面を支持
   ボルトに固定したことを特徴とする請求項３または４に
   記載の圧縮機の防振装置。